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2025年9月30日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.125 FT新聞 No.4633

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『これはゲームブックなのですか!?』vol.125

 かなでひびき
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 温故知新、って言葉があるよね。
 かなでの私見だけど、そんな言葉で古いものに「プレミア」というプライスを載せたただそれだけのものも少なくないと思うんだけど、寺沢武一先生も言ってる。
「SFは新しい革袋に入れた古い葡萄酒」だって。
 古いものにも、刮目するもの、永遠に光り続けるものだってある。
 いえ、「今」だからぜひ耳を傾けるべきものもある。
『火明かり ゲド戦記別冊』(アーシュラ・K.ル=グウィン著 井上里・清水真砂子・山田和子・青木由紀子・室住信子 訳 岩波少年文庫)
 ゲドの最後の物語。

 本作は
『オドレンの娘』、『火明かり』という短編が二本。
 そして、エッセイ集で成り立っているわ。
 とくに、『火明かり』。
 老境に入り、全て力を失ったゲドが、その先に見つけたものとは?
 この本の帯にある言葉「うれしやな、いざ、放たれて!」という言葉が深く刺さる、まさに最後を飾るにふさわしいお話。

 かなで、実はある老人施設にて、現場の人がこんな疑問を呈していたのを聞いたことがあるわ。
「老いれば老いるほど、坂道を下るようなもので、その人はどんどん、いろんなものを『無くしていく』。介護している身としては、これに手も足も出ずに、指をくわえているだけなのが辛い」みたいな意見。
 だけど、後年、別の老人介護施設に勤めているグレート・ボラン氏は、にやりと笑って言ったのよ。
「あまいなぁ。失ったら失うほど輝く瞬間もある」

 今回の『火明かり』は、そんな輝く一瞬を捉えた掌編!
 雑誌でもテレビでも「アンチエイジング」とか、まるで「老い」が絶対悪のように、ただ「回避すべきもの」みたいに扱われる昨今、これは絶対に必見な話。

 加えて、かなで的におすすめしたいのは、そのエッセイ集!
 例えば、自著に対する「万人受け」する表紙イラストに抗議したら「何が売れるのかは自分たちには分かっています」と編集に突っ返された話。
 私たちの中にある「悪」を、ヴィランとして、切り捨てるべきものとして扱っていないか? という問題提起。
 アンデルセンの童話を引き合いに出しながら「目を背けたくなる自分の闇に、目を向けるのは難しいけど、それも含めて自分を受け入れねば」という話は、深くうなずかされる。
 特におすすめは『アメリカ人はなぜ竜がこわいか』。
 アメリカでは、特にファンタジーが、子ども向けのたわいないフィクションとして扱われているのではないか? という問いから、「教育的」であるとか、「自己向上に役に立つ」、ひいては「即座に利益を生むもの」ではないと読まない。
 そんなことは、想像力をゆがめてしまうのではないか? と問いかける。
 特筆すべきは、じゃあ彼らが好むものは何か? と言えば。
「血なまぐさい犯罪スリラーや、粗悪な西部劇。そしてポルノグラフィー。そしてソープオペラ。くだらないお涙頂戴物」など。
 続いて一番受けている読み物が「あの徹底的な非現実の傑作、株式日報でしょう」
 と、手厳しい批判を述べている。
 それに対して、言い放たれた言葉。
「言うまでもなく、ファンタジーは真実だからです」
 この言葉を真摯に受け止めて書いている書き手って、どれくらいいるのかしら?

 で、ここからはかなでの意見なんだけど……
 残念なことに、ル=グウィン先生が示した「くだらないもの」の氾濫は、いまやファンタジーそのものにも溢れていると思うの。
「売れるという免罪符の下、俺TUEEEE!な快楽、その場のノリで読ませるファンタジー」って、結構横行していると思うの。
 この場合、一つの手として、今までのそんな堕落した立場から、「ホンモノ」を求める書き手、読み手になる、ってこともいいと思う。
 だけど、かなで的には「俗悪で何が悪い」って、堕落道を極めること という正反対の道もあると思う。
 例えば、血まみれウエスタン=マカロニ・ウエスタンの『夕陽のガンマン』。
 どんな教科書よりも、この作品から「漢の生きざま」を学んだ方は多いのでは?
 あるいは、『悪魔のいけにえ』。
 この作品も、ニューヨーク近代美術館に永久保存されたという輝かしい経歴を持つわ。
 さらに言うと「アニメ」=「くだらないもの」という時代に産声をあげ、未だに続く国民的作品『機動戦士ガンダム』に『ルパン三世』。
 凡俗さも極めれば「一理ある」ものになる。
 教育テレビは素晴らしいけど、「教育テレビ」だけだったらつまらない!
 かなでは、それもまたひとつの抗い方、世界との闘い方じゃないかと思うの。

 かなではこの本から、まるで静かに燃える炎の波のごとく、穏やかだけど、常に「闘いを続けた」かの人のスタンスを受け取ったんだけど、みなさんはどうかなぁ?
 これから「物語」を語ろうとする方にも、その受け手にも、決して損にはならない一本!
 見逃せば人生後悔することウケアイ!


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

『火明かり』
 著 アーシュラ・K.ル=グウィン 
 訳 井上里・清水真砂子・山田和子・青木由紀子・室住信子 
 出版社:岩波書店 2025/5/29
 文庫 900円+税


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2025年9月29日月曜日

想像の、旅をしよう。 FT新聞 No.4632

おはようございます、梅田に向かう電車の中から杉本です。
今は梅田やなんばのボルダリングジムに通っています。
片方は老舗。安くて、立地がよくて、近い。課題は、あまり面白くない。
片方は新規に近い。高めで、遠くて、課題が面白い。
行きたいのは後者ですが、時間には限りがあります。
バランスを見ながら行動しています。
今日は雑談のような、いちばん大事なことのような記事です☆


◆想像の、旅をしよう。
FT書房のキャッチフレーズは「想像の旅をしよう」です。
このフレーズを最初に考えたのはモモチトキ、今は専業主婦をしている最古参のメンバーです。
彼女はあまり複雑なゲームが好きではありませんでした。
自分が理解できないからという理由もあったのですが、彼女が言った言葉が、ずっと耳に残っています。

「ややこしかったら、賢い人しかできないじゃないですか。私は、自分の友だちとできるゲームがいいです」

なるほど、と思いました。
一緒に遊びたいという「人」を中心に考えるとき、ゲームは分かりやすくて単純なほうがいい。
賢い人でもシンプルなゲームはできるけれど、逆はない。
そして……人はいつか衰えます。
18年間の活動を通じて痛感していることですが、私自身、難しいゲームよりもシンプルなゲームの方が、楽しく感じられるようになってきました。
今も頭脳を鍛え続けるために複雑なゲームはやっていますが、「想像を楽しむ」にはシンプルなゲームの方が向いている、と感じています。
ゲームのルール理解に気を取られてしまうとき、想像の流れが弱められてしまうことがあるからです。


◆マイナーチェンジを繰り返して。
歳月を経るほどに、モモチトキが求めていたものは「自分ごと」になっていきます。
「一家に一台の暗記マシン」と言われる私の記憶力も、少しずつ衰えています。
そう呼ばれていたんですよ(笑)。
いつ誰が何を言ったのか、逐一覚えていたからです。
あと一年半で、50歳になります。
18年間、ひたすらに走ってきた私も、少し衰えました。
でも、思うんです。
衰えた自分だからこそ、作れるもの。
複雑で精密なものを作ってきた自分から、少しだけシフトして、そういうものを作りはじめたい。
想像の旅に出ることが、より容易な作品。
そんなことを思いながら作ったのが、「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」だったと、記憶しています。


◆ ルールは、想像の旅のために。
自分とチームが少しずつ変化するとしても、情熱の核(コア)となる部分は変わりません。
マイナーチェンジは、あくまで「焦点を合わせるためにする」ものです。
FT書房の核は、どんなものを創りたいのかという点にあります。
それは……感動を、越えるもの。
人の心を揺さぶるものの向こう側にある、人に影響を与えられるものを、創ること。
感動すること「だけ」なら、ひどい言い方ですが、愛くるしい動物を出してから死なせればいいだけです。
そうではなくて、人生そのものに何かを残し、新しい視点、ずっと残る記憶や感情、影響を与えるもの。
そういうものを目指して、今日もやっていきます。
持てるすべてを注ぎ込んで……先に進むために。


それではまた!



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2025年9月28日日曜日

「ローグライクハーフ」都市サプリメント:死霊都市フアナ・ニクロ FT新聞 No.4631

おはようございます。
FT新聞編集長の水波流です。

10月第1日曜は、杉本=ヨハネによるローグライクハーフ新作d66シナリオ『死霊沼の聖母』が配信予定です。
本日はそれに伴いまして、舞台となる死霊都市フアナ・ニクロにまつわる「都市サプリメント」を配信いたします!

◆死霊都市フアナ・ニクロ
死霊都市は他種族との関わりをいっさい持たず、意思あるアンデッドと化した民を受け入れ、静かに暮らしている。
死せる者たちに時の流れは意味がなく、ただただ彼らにとって等しく意味のない「現在」が流れ続けるだけである。
フアナ・ニクロに入ることを許されるのは、自我を失っていないアンデッドと呪術師、生きる希望を持たない難民とその子孫、よその都市に身をおけなくなったワケありの者たちだけである。
交易に関しては、限られた一族だけがこの都市と取引を続けている。
一族はもともとこの沼地のそばに住んでいた者たちで、その関係は都市成立時から継続している。

↓都市サプリメント:死霊都市フアナ・ニクロ
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Juana-Niclo.txt

↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png


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2025年9月27日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第659号 FT新聞 No.4630

From:水波流
明日、9月28日(日)は「FT書房作品オンリーコンベンション」が開催!
私もゲストGMとして参加します。しかし実はローグライクハーフのGMをするのは初めて。でもですね、よくよく考えてみると、公式イベントでGMありのローグライクハーフが遊ばれること自体が、世界初なのではないでしょうか!(と言ってみる)
てなわけで、隣卓の天狗ろむGMともどもマスタリングしてきますー。

From:葉山海月
古本屋にて。
表表紙の裏に「神を見たくないか?」 ならあとがきまで読め。
とのメモが!
で、文のところどころの単語に、赤丸でサインが!
文字をつなげてみるとこうなります。
「最後のページにリーマン予想の解が!」
で、ありましたよ。
ただ残念だったのは、私数学にさっぱり疎いんで、狂人の戯言なのか正解なのかわからなかったこと。

From:天狗ろむ
9月28日(日)に名古屋市にて開催の「FT書房作品オンリーコンベンション」!
天狗ろむもGM兼スタッフとして参加致します。
初めての事なので、慣れない準備に追われておりますが、「どうしたら参加者様に喜んでもらえるかな」と頭を悩ますのも楽しいイベントの一部ですね。
良きイベントになるよう、精一杯頑張ってきます!

From:中山将平
9月28日開催の「FT書房作品オンリーコンベンション」(主催は「トロール洞」様)に、僕もゲストとして参加させていただきます。
物販で様々な作品(実は絶版となっている希少在庫の作品数種類も含みます)やグッズを扱う予定です。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(く)=くろやなぎ
(明)=明日槇悠
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(水)=水波流

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■9/21(日)~9/26(金)の記事一覧
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2025年9月21日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4624

アランツァワールドガイドVol.15 死霊都市フアナ・ニクロ
・生物学者カメル・グラント教授の旅を通じて、アランツァの主要16都市をご紹介するアランツァワールドガイド。残る2都市のうち、今回の舞台となるのは、〈リッチ〉であるフアナ女王が治める死霊都市フアナ・ニクロです。
社会的弱者や【アンデッド】たちが、独自の価値観のもとで集う街。死の迎えを待つ生者と、死者たちが静かにたたずむ街。そんなフアナ・ニクロを、カメル教授は「終末の場」や「最期の土地」と表現します。
これまでの作品内で詳しく語られることのなかった死霊都市の光景を、カメル教授とともにどうぞご覧ください。
(く)


2025年9月22日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4625

最新シナリオ「死霊沼の聖母」のお知らせ☆
・10月第1週の日曜枠は、「ローグライクハーフ」の最新d66シナリオ、紫隠ねこ氏と杉本=ヨハネ氏で「死霊沼の聖母」をお届けいたします!
「フアナ・ニクロ」領主である狂女王フアナ・ヴァロワが冒険者を招聘した目的は、この地にはびこり出した新興宗教「鳳仙教」の教祖、アスタロス卿の討伐。
この地に亡命したエルフの王族ケリスリオン家の財産に目をつけた教祖の陰謀を挫くべく、退廃的な環境に潜伏して、暗殺を成功させなければなりません。
今回の都市サプリメントは、死者たちのつどう街「死霊都市フアナ・ニクロ」。【新職業】として、アンデッドを操る【呪術師】が登場!
この魅力的な舞台や【新職業】をお届けできる日を、いよいよ開催される初の「FT書房コンベンション」ともども、楽しみにしています!
(明)


2025年9月23日(火)田林洋一 FT新聞 No.4626

『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.10
・田林洋一氏による、1980年代半ばから1992年の間に東京創元社から刊行された「スーパーアドベンチャーゲーム(SAGB)」の一連のゲームブックの解説記事です!
今回はSAGBの中でもオリジナリティ溢れる4作品
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)
『暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン』(1987)
『展覧会の絵』(1987)
『眠れる竜ラヴァンス』(1988)
を中心に検討します。
特に、ゲームブック最大の特徴、そして魅力であり奇跡。「一本の物語」から分岐を作り上げて物語を広げていく創作スタイルにご興味ある方、今回は一押し必読!
(葉)


2025年9月24日(水)ぜろ FT新聞 No.4627

第6回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・プレイヤー視点とキャラクター視点を交えた独特の語り口による、ぜろ氏のリプレイ第457回です。
主人公ミナの旅の目的地は、「還らずの森」深くの吸血鬼の館。前回は、危険を冒して入り込んだ闇エルフの隠れ里で、館の秘密の部屋に関する情報を得ることができました。そして今回、ミナに新たな情報をもたらすのは、森の中で出会ったひとりのノームです。彼は、吸血鬼の一家について「奇妙な家」だと語るのですが……。
徐々に具体像が明らかになっていく、吸血鬼の館とその住人たち。そこにいるはずの姉たちを救い出すため、ミナは森の中の旅を続けていきます。
(く)


2025年9月25日(木)東洋夏 FT新聞 No.4628

ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイvol.6
・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、
東洋夏氏による「写身の殺人者」リプレイ第6回目です。
北方都市サン・サレンを脅かす、「自分の姿をした何かに殺される夢を見た者が、実際に殺される」奇妙な連続殺人事件。
件の悪夢を見てしまった聖騎士見習いの少年シグナスと、喋る「おどる剣」クロによる捜査が続きます。
今回はクロ目線が主軸。「元人間の騎士」だと名乗る彼の、欠けた記憶に残された過去と、シグナスへの思い。
彼の秘めた思いとは裏腹に、最後の調査もやはり一筋縄ではいかない様子で……!?
クロ先輩ファン必見の今回も是非お楽しみください。
(天)


2025年9月26日(金)休刊日 FT新聞 No.4629

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)


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■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(アカハヤさん)
トンネル&トロールズ。今日の記事を見せて頂きましたが90年代(でしたよね)学生の頃にルールブックを購入して友人と遊んでいた記憶が甦りました。「これでもくらえ!」などのワード久しぶりに聞きましたし、現在でもプレイできるのですね。TRPGに関してはわからない事が多いのですが、情報を提供して下さるFT書房さんを応援しております。

(お返事:シュウ友生)
 感想ありがとうございます。懐かしんでいただけたなら幸いです。
 T&Tは最初に出版された第五版から、日本オリジナルのハイパーT&T、第七版、そして現在完全版と続いていますね。
 TRPGのセッションに参加する機会に恵まれない場合でも、T&Tは所謂ゲームブックであるソロアドベンチャーが豊富なのも魅力。そしてかつて刊行された物以外にも、FT書房さんからはソロアドベンチャーも沢山出版されています。
 もしご興味があれば、遊んでみるのも一興かと思いますよ。


(ジャラル アフサラールさん)
T&Tで言うと『高機動幻想ガンパレード・マーチ』で有名な芝村裕吏さんが、T&Tにおける「壁」系呪文は敵を分断する為にある事をコラムで指摘されて、目から鱗が落ちた覚えがあります。私はバリアとしてしか使っていなかったので。流石は準竜師(笑)。

(お返事:シュウ友生)
感想ありがとうございます。
「ガンパレードマーチ」は寡聞にしてアニメしか知らないのですが、壁系魔法の使い方は「なるほど!」と膝を打つものがありますね。しかし、壁系魔法を使うほどのレベルとは、相当のやり込みですね(笑)
T&Tの魔法は、レベルが上がっても他のTRPGによくある様な単純に威力の上がった攻撃魔法みたいなものはほとんどなく、色んな効果の魔法が増えていく感じですよね。むしろ、幻覚の魔法がどんどんバージョンアップしていくという(笑)
威力は<これでもくらえ!>が勝手にどんどん上がっていきますし、様々な魔法で如何に敵を弱体化させて膠着状態を破るか、が試されている様にも感じます。


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2025年9月25日木曜日

ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイvol.6 FT新聞 No.4628

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ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイ vol.6
 
 (東洋 夏)
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 FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!
 東洋 夏(とうよう なつ)と申します。

 本日はサン・サレンが舞台のd33シナリオ『写身の殺人者』のリプレイ小説をお届けいたします。
 製本版『雪剣の頂 勇者の轍』に収録された、サン・サレン四部作のひとつです。
 ファンメイドのリプレイとなりますが、お楽しみいただけましたら幸いです。

 この連載は隔週でお送りしており、本日は第六回にあたります。
 今日が初めての方にもお楽しみいただけるよう、まずは少しだけ主人公たちと前回までのあらすじをご紹介させていただきますね。
 主人公を務めますのは、聖騎士見習いの少年シグナスと、元人間だと主張する不思議な〈おどる剣〉クロ。主人公ふたりをプレイヤーひとりが担当するスタイルでお送りします。
 シグナスとクロは居合わせたサン・サレンの街で「悪夢殺人」とでも言うべき事件に遭遇します。これは自分の姿をした何者かに殺される夢を見て、その後、現実でも殺されてしまう。そんな気味の悪い事件なのですが、ついにシグナスもその悪夢を見てしまいました。
 犯人を捕まえるべく捜査に乗り出したふたり。前回のリプレイでは被害者の家族に聞き込みをしようとするも拒絶され、死体の検分をさせてもらおうと教会を訪れたところ賄賂を要求され、と十二歳のシグナスくんに世間の風はとことん冷たく……。
 そんなところから今回の冒険は始まります。どうやら一難去ってまた一難、ふたりはまたも大人の世界に足を踏み入れてしまうようです。さあ、めげずに探索を続けることは出来るでしょうか?

 
 なお、ここから先はシナリオのネタバレを前提に記述します。プレイするまで内緒にしておいてくれという方は一旦この新聞を閉じ、代わりにシナリオを開いてサン・サレンにお出かけいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 それでは捜査の記録をご覧あれ。
 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
 
[探索記録7]12:酒場の用心棒


 シグナスは、そら恐ろしくなって墓地をそそくさと後にし、街の方へと足を向けた。
 棺の中に横たわる、自傷したように見えた死体。路地裏で水溜まりから這い出してきた、自分とそっくりな殺人犯の姿。そしてシグナスが殺人犯と必死に戦っている間、クロの目には殺人犯の姿は見えておらず、ただシグナスが独りで錯乱しているようにしか映らなかったという証言。それらがあと少しで噛み合う気がするのだ。
「次はどうしよう」
 シグナスが呟くと、
「先程の遺体だがな」
 鞘に収まってただの剣のふりをしているクロが応じる。人通りは無いから、話しても構わないだろう。
「他に何か気づいたの、クロ」
「いや。しかし証言が残っているなら死ぬ直前に話した相手がいるはずだな、と思ったのさ」
「そっか、その人を捜してみようか」
「生きていればいいが」
「怖いこと言わないでよ!」
 騎士の頃の記憶を辿って、その手の話を聞くなら酒場が良かろうとクロが助言した。聖騎士の使いっ走りで来ました、と説明すればどう見ても成人ではないシグナスだって入れてはもらえるだろう。棺を開かせてもらった故人の素性は聖具係から教わっていた。自宅に近い酒場に探りを入れれば、何かしら掴めるはず。
 そのように考えたふたりが目星を付けたのは〈黒鎚亭(こくついてい)〉という、サン・サレンでも有名な酒場だった。開けっ放しの扉から、まだ日も傾いていないのに酔っぱらいの声が聞こえる。しかしどこか虚勢を張っているようで、彼らも心から笑っていないようだと、シグナスには思えた。孤児として生きてくれば作り笑いには人一倍敏感になる。
 入口に守衛はいない。するりと中へ入り込むと、薄暗闇に目が慣れるのに少しだけ時間を要する。世間擦れしていないその姿に酒場の客たちの関心が集った。
 観光客も多い〈黒鎚亭〉のこと、地元の酔客は普段ならすぐに興味を失い、あるいはからかいの言葉ひとつ投げてまた自分の酒に戻っていくのだろうが、今は違う。いつ自分の身に降り掛かるかもしれない無差別連続殺人の真っ只中にあって、日常を掻き乱す珍客は歓迎されない。
(いかん、計算を間違えた)
 クロは焦った。剣になって以来、人間としての感覚が少しずつ薄れて来ている。しかも記憶として浮かび上がる思考回路は大の大人の騎士のそれだ。十二歳の少年の立場を推測するには、まったく役に立たない。
(しかしこの子は逃げないだろう。真っ直ぐに行ってしまう。止めるべきか、いや、黙っているべきか)
 鞘の中で揺れを感じる。シグナスが大人たちの視線の中を、胸を張ろうと努力しながらも、結局おどおど泳ぐ小魚のようになって渡っていく様子が伝わってきた。
(俺は、護らねばならんのだが)
 困ったことに、クロの記憶は一部欠損している。一番鮮明なのは、女王陛下の騎士であったという記憶。これはただしロング・ナリクではなく別の国のはずだ。まだコーデリア様は即位していないのだから。
 数百年眠っていたならば分からない。最後に覚えているのは、何か理不尽なことがあって、自分が猛烈に怒っていたということ。剣を抜いてはいなかったが、怒りにかられて机を投げ飛ばした時の感覚がまだ残っていた。
 それから空白があり、次に出てくる古い記憶は、赤子時代のシグナスの顔である。彼が孤児院に預けられた時、クロも一緒に預けられたのだと聞く。残念ながら預けられた時はまだクロは〈おどる剣〉として不完全な状態で、眠りの中にあった。起動していればシグナスを預けに来た誰かの顔や、対応した孤児院の担当者との会話を記録出来ていたはずなのに、と無い歯で歯噛みしそうになる。
 何の縁があるのか分からないが、兎も角はこの少年を護るべきであるとクロは決めていた。それは騎士の矜恃であり、また共に過ごす事で自分の欠損が埋まるはずだという実利も兼ねる。
 シグナスが、カウンターの奥から余所者の挙動を見張っていた酒場の主人に近づき、話しかけた。主人であるナリクの聖騎士の命で、連続殺人事件の聞き取りをしているのだと。
 
(※ここで反応表を振ることになります。上手く聞き取りが出来たか判定するところですね。出目4=ワイロ。しかしもちろんふたりは所持金0。払えないので反応は「敵対的」に! 店主の怒りを買って酒場の用心棒をけしかけられてしまうようです。【歓待】であれば「手がかり」を得られたのですが……。被害者家族との聞き取りの時といい、シグナスくんはこのような場面への対応が不得手のようです)

 それが店主の怒りをかったようだ。殺人事件で澱んだ空気を振り払おうと自分の店を選んでくれた客の前で、それを思い出させようとする。確かに歓迎はされまい。失策だ。
 懸命に弁明しているシグナスには見えていないようだが、壁から背を離した用心棒が、ずんずんと近づいてきた。がっちりとした体格のドワーフである。
 片手に持った斧は粗末に見えるが、刃は実用的に研がれていた。無論、斧の重さは量るまでもなく、シグナスの体のどこであれ叩き斬るには必要十分以上であろう。出口を塞ぐように歩いてくるのは、店から摘まみ出す前にこのチビ助には痛い目を見させる必要がある、と考えているからに違いない。
 
(※戦闘になります。酒場の用心棒はレベル4、生命点4、攻撃数2、宝物:通常。金属鎧を装備しているため、【攻撃ロール】に-1のペナルティを受けてしまいます。これはますます危ない。繰り返しますが、シグナスくんの技量点は0なのです! 幸い【敵対的】なので生命点を2点削れば勝利が掴めます。ではまずこちらから、0ラウンドはクロの【凶器乱舞】を選んで、堅実に成功)
 
「シグナス!」
 約束を破ってクロは声を上げた。ようやく気づいたシグナスが、鞘からクロを解放する。ひらりと宙を舞ったクロは、用心棒のドワーフに斬りかかった。
「〈おどる剣〉か!」
 長い髭の下で、白い歯をむいて用心棒が威嚇する。前歯が欠けていた。おおかた前職はドルツ石採掘現場の作業員で、問題を起こして解雇された手合いだろうとクロは考える。軌道を読まれないよう稲妻のようにジグザグを描いて飛び、構えた斧の下を潜り抜けて脇腹にぶつかった。浅いが、肉に届いた感触はある。
 
(※1ラウンド。ここでふたりとも攻撃失敗、防御も失敗という結果に)
 
 ところが用心棒は怯まない。雄叫びを上げて斧を振り回し、その刃がクロに当たったばかりか、反対側の柄がなけなしの決意を掻き集めて飛び掛ろうとしたシグナスの腹にどすんと当たった。クロは床に墜落し、少年従騎士は激突した机をひっくり返しながら派手に転がって行く。
「歯応えがねえぞ、おらっ!」
と用心棒が吠える。酔っぱらい達が手を叩き、口笛を吹いて囃したてた。

(※2ラウンド。ここでまたしても、ふたりとも攻撃失敗。頼れるクロ先輩まで不振です。悪い流れを引きずり、防御は再びクロが失敗してしまいました)

 よたよたとシグナスが立ち上がる。口元を拭って剣を構えた。そのいじらしさに、今度は別の意味で拍手が起こる。少年従騎士は自分より遥かに大きな用心棒に突っかかって行き、クロも合わせた。が、軽くあしらわれてしまう。評価を上方修正する必要がありそうだ。もしかしたら元冒険者かもしれない。
 用心棒の目がぎらりと輝いた。より脅威と見なしたクロを狙っている。かわせるかと思ったが、先程の一撃が予想外に効いているらしい。体の制御が覚束ず、避けきれなかった。斧の刃と衝突して嫌な感じの圧力がクロの全身に広がる。ヒビが入ったかもしれない。
「折っちまえ!」
と酔客が叫ぶ。
「そんな気色の悪い剣なんざよ、折った方が……おい待て、そいつら殺人鬼なんじゃあないだろうなあ!?」
 まずい、とクロは思った。疑念はどこまでも尾鰭をつけて肥大化する。小魚が、あっという間に鯨となって誰かを押しつぶす。
 
(※3ラウンド。副能力値は温存しておきたかったのですが、ここはやむなし。シグナスくんで【全力攻撃】を試みます。出目は……4! 副能力値を加えて成功です。これで何とか勝利にこぎつけました!)
 
 用心棒は斧を振り上げた。しかしその瞬間、げっと叫んでうずくまる。脅威にカウントされていなかったシグナスが不意をついて飛び掛り、剣の鞘で後頭部を強打したのだ。
「クロ、逃げよう!」
 ふたりは全速力で酒場から逃げ出して行く。その背におひねりのつもりか、酔客からバラバラと金貨が投げつけられた。

(※宝物表ロールの結果は金貨6枚。心がこもってなさそうな数字だったので、喧嘩という見世物に対する「おひねり」と解釈しました。なお次が最終イベントになりますので、ここで食料を使ってシグナスの生命点を2回復しておきます。残念ながらクロは食事がとれないため回復が出来ません。損傷が重なり心配なところですが、何とか乗り切れることを祈ります)


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
 
 今回のリプレイは以上となります。
 続・シグナスくんに世間の風が厳しい。
 拙リプレイにおいては主人公の立ち位置は最初にふんわり設定するものの、細かな気性などはダイス目から読み取っていく方針を取っています。シグナスくんについては孤児院出身という設定がありましたので、性格的には擦れている面もあったりするのかなあと予想していました。ところが蓋を開けたらご覧の通りの出目ですので、腹芸的な世渡りが苦手なピュア中のピュアの十二歳のようです。
 プレイヤー、捜査というより「はじめてのおつかい」を見守っているような気がしてきました。それにしては物騒な「おつかい」なのですが……。

 それではまた、再来週の木曜日にお目にかかりましょう。
 次回からはついに最終イベントに突入です。無事にふたりが帰還できるよう、セルウェー神にお祈りいただければ幸いです。
 良きローグライクハーフを!
 
 ◇
 
 (登場人物)
 ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。殺人者の悪夢を見ておねしょした。
 ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。元は人間かつ騎士だと主張している。
 ・ノックス…シグナスの主人。超が付くほど厳格な聖騎士。
 ・ベルールガ…ノックスの同僚の聖騎士。優しい。
 ・サン・サレンの領主…殺人者の悪夢に苛まれている。
 ・アグピレオ…領主付きの医師。心が落ち着くハーブティーの売り上げが好調。

■作品情報
作品名:『写身の殺人者』
著者:ロア・スペイダー
イラスト:海底キメラ
監修:杉本=ヨハネ、紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
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『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録


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2025年9月24日水曜日

第6回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4627

第6回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。


ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
旅の供は、禁断の、時を操る魔法の時計。
闇神オスクリードに見初められ、闇色の肌になってなお、目的を見失わない。
目的地は、「還らずの森」深くの吸血鬼の館。そこに双子の姉たちがいるはずです。
闇エルフの隠れ里にて、命の危険と引き換えに重要な情報を得たミナ。
時計塔を攻略し、新たな力の獲得を目指します。

【ミナ 体力点3/4 悪夢袋6/7】
金貨 6枚
銀貨 5枚
歯車 0枚
・ニンニク
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。


●アタック01-15 夜の森の出会い

ここは時計塔の最上階だ。
ドーム状の小さな部屋。
ノームサイズの小さな扉がついているので開けてみる。
そこは、この時計塔に設置されている時計の、文字盤の横の小窓だった。
メンテナンス用だろう。

ここからは、森の奥が一望できた。
森のすき間を抜けるように延びる一本の道は、黒塗りの館へと繋がっている。
しかしその手前に、見たくないものを見てしまった。

墓地が見える。無数の墓標が不気味に並んでいる。
それだけではない。ボロボロの衣類をまとった人影がいくつも、あてもなくうろついているのが見えた。
墓地であのような動きをするものといえば、ゾンビ以外思い当たらない。
どうしてあんなにゾンビが。吸血鬼に血を吸われた人間のなれの果てだろうか。
ここから見てわかるだけでも、20体はいる。うっそうとした森に隠れているから、もっといるのかも。
とても戦って切り抜けられる数ではない。
それでも、館に行くためには通らないわけにはいかない。

困ったな。

ボクは打開策を思いつかないまま、時計塔をあとにした。

その後は大きな危険に遭遇することなく、森を進んだ。
日暮れだ。
時計塔から見えていた墓地にたどり着く前に、一度野営をする必要がある。
吸血獣やゾンビが跋扈する暗い森で一夜を過ごすなんて、嫌な予感しかしない。

ボクは、野営に適した空き地を見つけた。
今晩は、ここで寝よう。

・空き地のすみで眠る
・安全な場所を探す
・火を焚いて起きている

どんなに恐ろしい場所でも、体を休める必要はある。
だから、起きている選択肢はなしだ。
空き地のすみ以外に、安全そうな場所って、どこがあるだろう。

安全性を考えるのなら、やはり木の上かな。
木に登ってまで襲って来る猛獣は、なかなかいない。

ボクは手ごろな木を見つけて登る。
森育ちだから木登りは得意だ。
大きな枝のところまで登ると、そこには木材をいかだのように組んだ床があって、ボクは面食らった。
なんと、こんな森の中の木に先客がいるなんて。
しかも、ボクみたいに一泊だけの目的ではない。この様子からすると、明らかに住んでいる。

「驚いた。誰だよ、驚かさないでくれ」

いや、こっちも驚いてるんだけど。まさかこんな暗い森で、樹上生活している人がいるなんて。
声の主は男。初老のノームだった。薄汚れた身なりをしているけど、普通に会話はできそう。
まさかと思うけど、吸血鬼じゃないよね?

「急に入り込んで来ただけじゃなく、失礼な奴だな」

あ。この反応なら大丈夫そうだ。

・泊めてもらえないか交渉する
・木を降りる

あまりにも唐突な出会いだったため、相手のことを何もわからないけれど、泊めてもらえたらありがたいな。
ボクは、このノームは交渉ができる相手と見て、お願いしてみた。
初老のノームは難色を示し、条件を出してきた。

「ただというわけにはいかん。わしの仕事を手伝ってもらえるか?」

ノームは、頭脳労働でも肉体労働でも良いという。
ノームはボクより小柄だから、肉体労働の手はきっとほしいだろう。
けどボクは、ノームの言う「頭脳労働」の中身が気になった。
ノームは研究好きだ。ボクの知識では役に立てないかもしれないけれど、どんなことを研究しているのか見てみたい。

ボクは、ノームが研究で詰まっているところを手伝うことにした。

ノームの研究は、驚いたことに時計に関するものだった。
それなら、ボクにも少しは役に立てる。
ボクは、これまで旅の中で研究してきた魔法の時計についての知識をフル活用し、ノームの疑問に答えていった。

「あんた、若いのにすごいな」

ノームは興奮を隠さず、次から次へと疑問点を出していく。
いつの間にか、ボクが質問に答えるばかりでなく、時計の仕組みについて互いに白熱して話し合う感じになった。
ボクの付け焼刃の知識がノームに押し負ける頃、ノームは大満足したようだ。

「まさかこんな森で、これほど有意義な時間が過ごせるとは」

ノームは、研究に関する激論に飢えていたという。
ノームとボクは、すっかり意気投合した。


●アタック01-16 ローズ家の家庭の事情

「泊めてほしいんだったな。キミなら何泊してくれてもいいぞ」

ノームは上機嫌だ。

「そういえば、名前も名乗っていなかったな。わしはキーウという」

ボクも、時計の話に夢中になって忘れていた。今さらだけど、ボクも名乗った。

キーウは、この森の歴史を研究している研究家だ。
「森とノームと時計塔」というタイトルの本を出版したいそうだ。
時計塔まで来たはいいものの、入る手段がなくて思案していたという。

そういうことならと、ボクは時計塔の秘密の裏口について教えた。
内部構造のことも、ボクが知っている限りのことを伝えておいた。
キーウはとても感謝した。そして次に、ボクのことを知りたがった。
ボクは、この先にある館に用があって来たことを伝えた。

「ローズ家の館か。それなら、さっきの話のお礼に、知っていることを話してやろう」

え。それはありがたいけど、どうして詳しいの?

「わしは森の研究をしてるんだ。ローズ家のことも含まれるのさ。口が軽い使用人からいろいろ聞き出したよ」

ローズ家は奇妙な家だ、とキーウは言う。
母親が早くに他界し、父親はその後吸血鬼になった。
しかし、その子どもたちは人間のままだという。
ローズ家には2人の子どもがいた。
父親が吸血鬼になったのをきっかけに、姉のほうは家を出た。
弟は、犬に噛まれたことがきっかけで病気になってしまい、館に住んでいる。
治すためには、特別な聖水が必要なのだとか。

館に用があるのなら、吸血鬼である主人より先に、病気の息子に会った方が良い、という助言ももらった。

これらはすべて、ボクが今まで知りたくても知り得なかったことだ。とても助かる。

「ところでキミは、銀貨を持っていないか?」

キーウは唐突に切り出した。
銀貨なら持っているけど、どうして?

「ちょっとしたことさ」

キーウはボクから銀貨を受け取ると、容器に入れ、小型の暖炉の中に突っ込んでしまった。
ボクにはその行動の意味がわからない。

「なあに、朝になればわかるさ」

その夜ボクたちは、また時計の話をしながら、いつしか眠りについた。

そして……。
とても心地よい入眠だったはずなのに、悪夢を見た。

「あの日」の夢だ。家が襲撃され、家族がばらばらに引き裂かれた、あの日の。
そこでボクはやっぱり何もできず……現実と同じ出来事をなぞった。
とても生々しい夢だった。起きると、体力点を1点、消耗していた。
けれど、悪夢袋に変化はない。
まるで誰かに悪夢を見させられ、吸い取られたような感覚だ。
ボクは、時計塔の中に囚われていた夢魔を思い出す。
あの夢魔のような、なんらかの別の力が、ボクに働いたように思えた。

寝覚めは悪かったが、朝を迎えることができた。

「おはよう。だいぶうなされていたね」

朝、目が覚めると、キーウが先に起き出していた。
野草とキノコのスープが用意されている。ボクもネルドで用意してきた固いパンと干し肉を提供した。

夢のダメージは、睡眠と食事では回復しそうになかった。
そこでボクは、<時もどしの回復時計>を取り出した。
この森の暗いイメージとは真逆の、柔らかな緑色の時計。
そっと触れながら念じると、時計の針が動き始める。それと同時に悪夢袋がひとつ、徐々にしぼみはじめる。
それは緩やかに逆回りをし、秒針がちりん、ちりんと風鈴のような心地よい音色を奏でた。
ボクの身体がほのかに光る。ボクの身体だけが時を戻し、悪い効果をすべて取り去っていく。
森に入ったばかりの時に吸血獣にやられた額の傷も、すうっと消えていった。
悪夢袋が空になると、回復時計はその動きを止めた。

「ほう。これは興味深い。時計と魔法の融合とは」

キーウはその様子を、興味深く眺めている。

「時計塔にあるという図面を見るのが楽しみになったよ」

朝食を終えたら、お別れだ。
キーウは、昨夜暖炉に放り込んだ容器を出してきた。
容器の中から出てきたのは、銀のナイフだ。
銀貨を溶かし、型にはめて作ってくれたんだ。

銀のナイフは、ぴかぴかに磨かれていた。
キーウがボクより早く起き出していたのは、このためだと知った。

「吸血鬼の館に行くんだ。準備しておくに越したことはない」

ボクはありがたく、銀のナイフを受け取った。
さらにキーウはボクに、小さな小さな歯車を1枚くれた。

「これはノームの技師で一般的に使われている歯車だ。もしかしたら、動かない時計の修理に役立つかもしれない」

ボクは感謝した。

「なに、楽しい一夜と時計塔の情報に比べれば、足りないくらいだよ」

ボクは木を降りると、キーウに別れを告げた。
背後から、鐘の音が聞こえた。森の中の時計塔が、朝を告げたのだ。
さあ、出発しよう。今日のうちに館にたどり着きたい。


●アタック01-17 からくり神と魔法の時計

昼間でも暗い森を進む。
空気がよどんできた。異臭がきつい。独特の腐敗臭だ。
時計塔から見えていた墓地が近いことが、嫌でもわかった。

やがて、森の中の墓地が見えてくる。
墓地は、低い石塀で仕切られている。
そこかしこに、ボロボロの服を着たゾンビたちがおり、呆けたようにうろついている。
その数は、時計塔で視認した20体より、もっとずっと多く見えた。木々の影に隠れていたのか。

ローズ家の館は、この先にある。
ここを、切り抜けなければならない。

ゾンビたちの腐った脳には、思考する力はほとんどない。
餌か、そうでないかくらいしか区別はない。
そしてボクはまだ、ゾンビたちに見つかってはいない。
ダッシュで走り抜けるか。できるかな。<速撃の戦時計>に頼ることになるかも。

ボクは、気配を殺して墓地の門に近づいた。
そっと門扉を開ける。

さびついた門扉は、ギィ、という嫌なきしみ音を立てて開いた。
その瞬間、たくさんのゾンビたちの顔がいっせいにこちらを向いた。
ボクに気づいたゾンビは、一斉にこちらに向かってくる。その動きは、予想以上に素早い。

緊急事態だ。どうしたらいい?

・ゾンビたちと戦う
・<速撃の戦時計>を用いる
・<刻々の狭間時計>を用いる

もともとは<速撃の戦時計>を使い、ゾンビたちが群がってくる前に墓地を走り抜けるつもりだった。
けれど、殺到してくるゾンビたちの数を見る限り、突破できる自信はない。一度引きずり倒されてしまえば、おしまいだろう。
もちろん、戦うなんて選択は、取れない。
<刻々の狭間時計>ならば、時を止めた隙に走り抜けることができるだろう。
けれど、まだ修理できていない。修理には歯車3枚が必要なのだ。歯車が足りない。

ボクは、ここにはないもうひとつの手段を思いついた。
時を遡る、<跳兎の懐中時計>。
どのくらい時を遡るのかはわからないが、使ってみる価値はある。
懐中時計に触れると、場違いな、跳ねるような音色で、針のかわりのウサギの意匠が動き出す。
その音は、止まりかけたオルゴールが、一音一音、丁寧に音を鳴らすのに似ている。
音に乗って、ボクは過去へと跳ぶ。

ボクの立つ場所は変わらない。
けれど、門扉も塀も、墓石もまだ新しい。
ゾンビはまだいたが、その数は多くない。
なにより、まだボクに気づいていない。
過去に戻っていられるのは、ボクが集中している間だけだ。
ボクは急ぎ足で、墓地を走り抜けた。

墓地を走り抜け、一息つく。そこで集中力が途切れた。
強く引き戻される力を感じ、ボクは現在へと戻った。
墓地のゾンビたちを大きく引き離していた。ここなら襲われる心配はない。

ボクはほっと、一息ついた。

ローズ家の館は、もうすぐだろうか。
ボクは歩を進めた。

やがて建物が見えてくる。
しかしそれは、ローズ家の館ではなかった。
さながら神殿のようだ。
時計塔の上からは見えなかった。木々に覆い隠されていたのかもしれない。

神殿の入口には扉がない。
石造りの建物の上部には、神像がかたどられている。
精密なからくりゴーレムの姿を模した像だ。
からくり神テクアの像だ。ボクが生活していたからくり都市チャマイで信仰されていた神。
信仰する者に、知力とインスピレーションを与えてくれるという。

ボクは神像の下をくぐり抜け、神殿の内部へと足を踏み入れた。
人の気配はない。ただ、荘厳な雰囲気だけがある。周囲の壁には、からくりの歴史をたどるレリーフが彫られている。
ボクはそれらを眺めながら、神殿の奥へと歩みを進めていく。
最奥の闇に影が見える。神像だろうか。

背後から物音がした。
振り返る。
そこには、吸血獣がいた。
ボクをつけてきたのか。それとも、神殿の中なら太陽の光が入らないため、根城にしていたのか。

・吸血獣と戦う
・<速撃の戦時計>を用いる
・<刻々の狭間時計>を用いる

吸血獣は強敵だ。
前の戦いでは、幸運にも勝利をつかむことができたが、今回もそうなるとは限らない。
ボクは迷いなく、<速撃の戦時計>を作動させようと手に取る。
その瞬間、空気が一瞬凍るような感覚。何かに、見られている?

ボクはかまわず、<速撃の戦時計>を作動させた。
しかし、時計は動き出さない。それどころか、奇妙な感覚がボクを襲う。
まるでボクの身体が、時の狭間に入り込んでしまったような。

神殿の最奥から、なにかが動き出した。
ボクの前にあらわれたそれは、魔術師の格好をしたゴーレムだ。
身体の全身が透き通っており、内側には無数の歯車が見える。その精巧精緻は、人の手で作り上げられるものを、軽く凌駕している。
謎の存在の登場に、吸血獣は怯えたように逃げ去ってしまった。

「大胆だな。私の神殿で、私の子らが造ったその道具を、盗んだその道具を使って、あまつさえ他の神の魔法を行使するとはな」

ボクは、このゴーレムの姿が、神殿の入口の神像に酷似していることに気がついた。
すなわち、——からくり神テクア。

次回、からくりの神からの問いかけ。ひとつ間違えば魂は破滅する。


【ミナ 体力点3→2→4/4 悪夢袋6→5→3/7】
金貨 6枚
銀貨 5枚→0枚
歯車 0枚→1枚
・ニンニク
・銀のナイフ
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。


■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。確かな腕前を持つ。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。


■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
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2025年9月23日火曜日

『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.10 FT新聞 No.4626

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『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.10

 (田林洋一)
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 FT新聞の読者のあなた、こんにちは、田林洋一です。

 全13回を予定しております東京創元社から出版されたゲームブックの解説「SAGBがよくわかる本」、10回目の記事をお届けいたします。今回はSAGBの中でもオリジナリティ溢れる4作品を中心に検討します。

 なお、本連載はSAGBとして東京創元社版のみを検討・分析する記事とさせて頂いておりますので、後に別会社から出版された復刻版・改訂版などについては取り上げていないことを予めお断りいたします。

 本連載は「名作」と呼ばれるものを最初に集中的に扱っている関係上、連載の後半になるに従って厳しい批評が多くなりますこと、ご寛恕ください。前回、前々回に引き続き、この回でも一部の作品に厳しい評価をしておりますが、作品そのものを全否定する意図は全くないことをご理解いただければと思います。「私はそうは思わない」という感想がございましたら、ぜひともお寄せいただければ嬉しく思います。

 毎回の私事ではありますが、アマゾンにてファンタジー小説『セイバーズ・クロニクル』とそのスピンオフのゲームブック『クレージュ・サーガ』を上梓しておりますので、そちらもご覧いただければ嬉しく思います。今回はクトゥルー・ゲームブック『暗黒教団の陰謀』を取り扱っておりますが、私はクトゥルー神話関連の小説も大好きで、拙クトゥルー短篇『変化』も出版しておりますので、そちらもご覧いただければ幸甚です。なお、『クレージュ・サーガ』はこの記事の連載開始後に品切れになりました。ご購入くださった方には、この場を借りてお礼申し上げます。

『セイバーズ・クロニクル』https://x.gd/ScbC7
『クレージュ・サーガ』https://x.gd/qfsa0
『変化』https://x.gd/8N82o

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10.オリジナル・ゲームブックの隆盛 -原作とオリジナリティの狭間

主な言及作品:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)『暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン』(1987)『展覧会の絵』(1987)『眠れる竜ラヴァンス』(1988)
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 1987年前後は、SAGBが原作ありきのゲームブックと、オリジナル・ゲームブックの刊行を平行して行ってきた時期と言えるだろう。例えば第9回で扱ったユニコーン・ゲームブックは海外産のオリジナリティ溢れるゲームブックで、ストーリーよりもゲーム性やマッピングを特化させて楽しむことを目的としたオリジナル・ゲームブックである。ここでは「原作物」と「オリジナリティ」という観点から、いくつかのゲームブックを眺めてみよう。

 SAGBシリーズの初期の作品群はほとんどがアーケードゲームやファミコンソフトを原作としていたが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はスティーブン・スピルバーグが製作した有名映画をそのままゲームブックとして書き下ろしたものである。
 かなり初期の段階で執筆された『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、映画を原作に据えるという、SAGBの中では唯一の存在である。ルールは非常に簡潔で、初期設定すべき能力値は運勢値ただ一つで、それもセービングスロー(サイコロを振って、出た目の数が一定の値以下ならば成功)の際の補助として用いられるだけである(バッドエンドにならないように緊急回避的に用いられる時もある)。また、アイテムなどの類いも一切ない。全てがプレイヤーの選択とセービングスロー(ないしは運勢値)に委ねられているのだ。これは、例えば「ソーサリー」が技術点、体力点、運点の三つの能力値を設定する必要があり、かつ戦闘の際にはそれらの数値が効果的に機能することを考えると、極めて対照的である。
 もちろん、その理由は原作の映画の存在にあるだろう。主人公のマーティは高校生で、当然のことながら剣を振るったり魔法を使ったりする能力はない。また、映画は現実世界を舞台にしたSFで、ファンタジーの要素が入る隙がない。その意味で、第5回で紹介したデュマレスト・ゲームブックはファンタジー色を極力排したオリジナリティのあるゲームブックであり、かなり異彩を放っていると言えよう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も作者は同じく安田均とTTGなのだが、こちらは原作の面白さを大事にして、敢えて余計な外伝を作らなかったように見受けられる。

 この「原作に忠実」という手法は(作成する側からすると)とても悩ましい問題だと思われる。というのも、原作を無視してストーリーを立て始めると、元々の原作の完成度を壊すことにも繋がりかねず、またオリジナリティ溢れる要素ばかりを詰め込むと、そもそも原作の存在は何だったのかということになってしまうからだ。かといって原作のシナリオ通りにゲームブックの選択肢を狭めてしまえば、プレイヤーはそもそも先の話を知ってしまっているし、究極的には小説や映画を楽しめばそれでよいということになる。
 つまり、原作ありきのゲームブック作成においては、原作の中身に忠実かどうかの線引きが非常に難しいのである。今までのSAGBはナムコのゲームソフトを原作にしたものが多かったが、あちらはあくまでもゲームを下敷きにしたもので、ストーリー的には変更の余地があるものが多かった。また、当時のゲームのスペックの関係で、映画や小説などと異なり、背景世界やストーリーなどをゲーム本体の中身で表現しきれなかったという事情もある(「ゼビウス」や「グラディウス」のような優れた例外はある)。つまり、当時のゲームにはシンプルなアクションゲームやシューティングゲームのように他のストーリーを介在させる余裕があったことや、遵守すべき情報量が圧倒的に少なく、作者が自由にアレンジする余地が豊穣にあったということである。

 さて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はストーリーそのものが原作に忠実にできているがゆえに、映画の内容を知っているとその筋書き通りに動けばクリアできてしまうという特徴がある。原作に沿ったルートを残した作品としては、例えば宮崎駿のアニメ映画「天空の城ラピュタ」をベースにしたゲームブック『天界の迷宮』(徳間書店)などがある。蛇足ではあるが、デュマレスト・ゲームブックはE・C・タブの小説を原作にしているが、ストーリーをそのまま踏襲することはせずに、その魅力を壊さないようにしながら敢えて内容は完全にオリジナルのストーリーで構成されている。
 もちろん、原作の味を残すためには「IFの世界」だけでなく「映画の中で本当に起こった出来事」のルートを残すのは必然だろうが、逆に言えば内容に変化がないために興ざめすることもあるだろう。同じ徳間書店のアニメージュ文庫から出た「風の谷のナウシカ」を基盤とした『巨神兵を倒せ!』が、原作アニメとはストーリー的に完全に独立したもの(外伝)であることを考えると、原作通りの筋書きを残すか、IFの世界を構築して進んでいくかは議論の分かれるところだろう。
 仮に「原作の筋書き」を辿ったとしても、複数の属性を表す数値や戦闘を含めた判定といった(時としてランダムとなる)要素が内包されていれば、いわゆるゲーム的なデータを俯瞰できただろう。だが、『天界の迷宮』とは違い、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にそうした細かいパラメーターの設定は前述したようにほぼない。また、初期の作品ゆえにパラグラフ・ジャンプなどの操作もないため、読者は忠実に、そして地道にマーティの行動を追ってストーリーを楽しむことができる。

 もちろん、原作のストーリーに逆らってゲームを進めることはできるが、どうしても元の物語を破壊する危険もあることから、時として本書の作者はそうした外伝や架空世界をゲームオーバーに誘導する傾向があったように思われる。そのためだろうか、ゲームブック版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のIFの世界が原作以上の魅力を備えているようには感じられない。例えばマーティが実の母親と関係を持つシーンが描かれていたりするが(これはこれで衝撃的だが)、この行為がクリアとはかけ離れたものであることは誰にでも分かる。
 もっとも、原作を熟知する読者の言わば「原作への反逆」という意味合いから、「こうした場合はどうなるのだろう」という好奇心も手伝って、時に破天荒にも思えるこのような破滅的な道筋を敢えて選択するという楽しみ方もある。先の選択の例で言うと、母親と関係を持った場合にはラストで主人公マーティと母親の禁断の息子とも言うべき「兄」が登場するという衝撃的なシーンが待っている。こうした、原作に抗って遊びつつ、IFの世界を思う存分堪能して楽しむという自由度が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』には豊富に用意されている。

 おそらく、ゲームブック版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、IFが選べる選択肢を残しつつ、あくまでも小説のように読み進めて楽しむのを想定して作られているのだろう。その証拠に、冒頭にかなりのページ数を割いて物語が描写されていたり(パラグラフの中の文章は少なめだが)、映画からの白黒写真が掲載されていたりと、あくまでも原作のストーリーと楽しさを大事にしようという意図が見える。物語のIFを選ぶかどうかはあくまでも読者に委ねられており、これはこれで一つの作品として自立しているのであろうが、簡略化の極みともいうべきゲーム的なルールシステムをもっと複雑にして細かいデータを扱うような仕様があっても良かった気もする。数値的な属性があれば、例えばマーティがビフと対決するシーンなどでも能力の良し悪しで結果が変わるような楽しみ方ができただろう。
 一方で、簡素化されたルールは読者の敷居を低くするメリットもあり、映画の筋を楽しむためにはむしろ煩雑なルールや数値は弊害にもなる。その意味で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、ストーリー性を前面に押し出し、無駄を極力排除した作品と言えるだろう。

 同じく原作を持つSAGBの作品として、クトゥルー神話を題材にした『暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン』も取り上げよう。「クトゥルー神話」とは、H・P・ラヴクラフトが創案した架空の神話体系で、宇宙を支配する邪神が地球にいつの日か再来し、世界を破滅に導くという名状しがたい恐怖を描いた作品群の一カテゴリーである。多数の作家がこの世界観を用いて作品を書き続け、後に神話体系としてまとめられ、現在でもTRPGをはじめとするゲームやコミック、小説などに影響を与え、カルト的な人気を誇っている。
 その中でも1936年発表の『インスマスを覆う影』(翻訳は東京創元社「ラヴクラフト全集」第一巻他)と、オーガスト・ダーレスが1944年に発表した『永劫の探求』(翻訳は「暗黒神話大系シリーズ クトゥルー」第二巻で青心社から出ている)を下敷きにしたこのゲームブックは、非常に解くのが難しいという特徴を持っている。
 クトゥルーの原作が「邪神の力が強大で、人間は非力なもの」という設定になっている以上、立ち向かうのに困難が横たわっているのは当然なのだが、「ギャンブル」と呼ばれるサイコロの目如何でクリア可能かが決定されてしまうのは、原作を知らないゲームブックファンには理不尽に映るだろう(この理不尽さは、「正しい選択をしている」のにサイコロの目という操作不能のランダム仕様によってバッドエンドを迎えてしまい、やり直しを強いられるストレスに起因する)。また、ジャクソンがファイティング・ファンタジー・シリーズ第十巻『地獄の館』などで用いて好評を博したデッドエンド・ブロック(どの選択肢を選んでも最後にはバッドエンドになる箇所)が豊穣に用意されており、危機また危機を回避して(時にサイコロの目を恣意的に操作して)進んでも、結局は暗黒教団の生贄になってしまう最期が待っているのは悲惨の一語に尽きる。
 
 ストーリーとしては原作(『永劫の探求』)の外伝的な位置づけになっており、原作を通読していなくても、あるいはクトゥルー神話のことを何も知らずともプレイすることができる。デュマレスト・ゲームブックと同じように、クトゥルー神話の小説を知らない読者のために、冒頭に数ページの説明を加えているのも類似している。本作は元ネタのダーレスの『永劫の探求』の影響を強く受けているため、クトゥルー神話の創始者ラヴクラフトよりも、派生したダーレスの世界観を色濃く反映しているようである。
 原作を知っている、あるいはクトゥルー神話の小説を既読の読者は、そこかしこに散りばめられている小道具ににやりとさせられるだろう。例えばあまりにも有名すぎる魔道書『ネクロノミコン』や、陰惨な雰囲気を醸し出すインスマスの町など、クトゥルーファンにはたまらない仕掛けが用意されている。

 戦闘システムとしては、ファイティング・ファンタジー・シリーズの方式を採用しているが、技術点が気力ポイントという名前に置き換えられている。この気力ポイントの増減が異様に激しく、また襲いかかってくる敵もかなり高い気力ポイントを持っている(だからこそ、その破滅的・絶望的な世界観を味わえるという長所もある)。
 ファイティング・ファンタジー・シリーズや「ドルアーガの塔」などでは、技術点や戦力ポイントが一上がったり下がったりするだけでもおおごとであった。なぜなら、サイコロ二個を振って出た目を気力ポイント(技術点や戦力ポイント)に加えて結果を判定するという戦闘システムにおいて、一点の増減が勝敗にダイレクトに直結するからである。ところが、主人公はただ敵から逃げたり、幻滅する気分を味わったりしただけでも気力ポイントを減らされる。だからこそ「気力」という名前がつけられているのであろうが、ポイントのぎりぎりの差における戦闘の緊迫感や(気力)ポイントの軽重を重視するゲーム性を考慮に入れるならば、より精密な、あるいは意味のある(説得力のある)能力値の増減を取り入れた方がよりゲーム的にも盛り上がったのではないだろうか。
 もっとも、このような大きな揺れ幅によって戦闘の趨勢が決まったり、イベントの成否が決定するという容赦のないスタンスも、絶望的な緊張感を維持する上では効果的に機能するという側面もある。
 
 また、ノーヒントでの選択場面が他のゲームブックに比べても多い。ゲームブックのクリアしやすさ(難易度)から見ると、何らかの行動を選択する必要に迫られた時に、今まで手に入れたヒントや情報が役に立つ方が難易度は公平になる(この「公平性」という観点は、特に鈴木直人の作品群で担保されていたように思われる)。『暗黒教団の陰謀』では、ノーヒントでの選択場面が他のゲームブックに比べても多く、ある行動の選択如何であっという間にデッドエンドになる(ないしはデッドエンド・ブロックに誘導される)ことがしばしばある。ホラー物のゲームブックにはありがちで、だからこそ恐怖心をあおられるのであろうが、こうまで理不尽な死があちこちに(無意味に)配置されていると、プレイヤーは先に進む気力が削がれる可能性がある。
 更に、経験ポイントや知性ポイントなどのオリジナルな能力値も導入されているのだが、特に狂気ポイントは、『地獄の館』の恐怖点のように、限界値である十に達すると発狂してゲームオーバーになってしまう。「非常手段」である程度狂気ポイントや気力ポイントを操作できる利点はあるが、それでも恐ろしい場面に遭遇するたびに容赦なく加えられていく狂気ポイントに泣かされたプレイヤーは多いだろう。

 この「狂気ポイントの厳しさ」は、先行するTRPG「クトゥルフの呼び声」(アメリカでは1981年、日本語翻訳版は1986年)のゲームシステムやプレイスタイルの影響を受けていたのだろう。このTRPGでは、プレイヤーである探索者はファンタジーなどの他のTRPGのキャラクターとは異なり英雄や超人的な力を持っているわけではなく、あくまで一般人である。よって、プレイヤーよりも遥かに高い能力を持つ怪物との戦闘などは避ける方が賢明で、かつ狂気的な事件の真相に近づけば近づくほど(ないしは恐怖の正体を知れば知るほど)狂気に陥るため、どこまで真相を知っていいのかというギリギリの線を、減っていく正気度を睨みつつプレイヤーが判断するという面白さがある。つまり、容易く発狂しかねないプレイヤーが、狂気と常に隣り合わせになりながら破滅していく真実に迫るという面白さを備えていたというわけだ。
 『暗黒教団の陰謀』は、こうしたTRPG的な「破滅すると分かっていても知りたいと希求する面白さ」を、狂気ポイントという言わば読者に忖度しない容赦のない難易度の設定によって取り込んだと言っていいだろう。

 総じて、ストーリーは及第点以上の出来だが、戦闘や条件分けのための属性的数値といったゲーム性という点では他のゲームブックに比べてやや厳しい判定基準を取り入れているようだ。例えば運任せのギャンブルによって冒険成功の可否が決まったり、とんでもなく高い数値(例えばヒュドラは「気力ポイント千 生命力ポイント万」である)を持つ敵と対峙しなければならないといった、時に不条理にも映るこうした辛口の数値判定によって、「絶望的な力を持つ敵との闘い」を反映させたかったようにも見える。これはおそらく、作者である大瀧啓裕がゲームブック作家というよりは翻訳者であることも影響しているのだろう。作者は、数値やバランスをよくよく熟考して本書を製作したようであるが、結局読者がそれを守ってプレイしないことが分かって落胆したと述べている(『翻訳家の蔵書』p. 187-188)。
 
 だが、ゲームブックのルール適用は敵の操作も含めてプレイヤーである読者に一任しているという構成上、一人遊び(ソリティア)的要素をふんだんに内包している。難易度が高く、不利な状況に陥った読者が馬鹿正直に(あるいは正当に)数値的条件を必ずしも厳守するわけではなく、その意味でゲームブックには時として読者の裁量に委ねられた大らかとも言うべき自由さがある。余談になるが、近年の(特に海外産の)コンピューターゲームには難易度設定に「ストーリーモード」という、戦闘で負けることのない、いわゆる「無敵モード」が実装されていることがある。これも要はゲームの「ストーリー」だけ、即ちゲームブックで言えば「ブックだけ」を楽しみたいという遊び方の一つだろう。
 
 ゲームバランスという点では敵が桁外れに強力であったり、あるいは主人公の各種属性ポイントの激しい増減などが見られるが、主人公が狂気に迫る様や濃密なストーリーが世界観に全く救いがないほど陰鬱な雰囲気を醸し出すことに成功していて、物語性という点ではかなり読ませる作品である。例えば主として活動するインスマスの町の住民たちは、読むだけで魚臭い吐息を感じられるほど不気味である。また、ダゴン秘密教団の悪魔宗教的な存在感は抜群で、いかにも狂気と恐怖の世界を行脚している気分に浸ることができる。
 
 だが、クリアしたパラグラフが僅か三行だけで、しかもエピローグもないという尻切れトンボの終わり方は、どうしても小説的な雰囲気の盛り上げに貢献しているとは言えない。ストーリーと雰囲気で勝負するのならば、最後の終わり方にも注意を払わなければいけないという小説的技法の大切さが、改めて浮き彫りになったようである。作者の述懐によると、「当初は三部作にするつもりで、残り二作のオーストラリア地底篇と狂気の山脈篇のプロットもできあがってはいた」ということもあり(『翻訳家の蔵書』p. 187)、物語を安直に大団円に締め括ることを躊躇わせた可能性もなくはない。しかしながら、物語として一応の完成を見るためには、そこまで大仰でなくとも一定の「締め」を意識してほしかった気もする。
 それでも、原作に忠実なまでの救いようのない世界観や体にまとわりつくような陰惨な雰囲気は見事に継承されていて、「恐怖を題材にしたゲームブック」としては完成を見ていると思われる。作者の大瀧啓裕は、当時もそして今もクトゥルー神話の翻訳の大家であり、クトゥルー神話のファンも納得する世界観を一切壊すことのない見事な文章表現は刮目に値する。実際、翻訳調の文体やクトゥルー神話の背景が色濃く滲み出た本作の濃密な表現は、まさにクトゥルー神話をはじめとする怪奇小説の翻訳家たる作者の面目躍如だろう。とにかくホラー物は「如何に読者を怖がらせるか」が重要な尺度になるが、『暗黒教団の陰謀』はその基準を見事にクリアしていると言っていい。

 ここまでは原作の雰囲気が色濃く出たゲームブックを解説したが、逆にオリジナリティが溢れる作品はどうだろうか。
 森山安雄の『展覧会の絵』はゲーム的な数字(能力値)を極力削った作品だが、完成度は極めて高く、SAGBファンの中でも人気が高い。2002年に創土社から復刻版が、そして2016年に幻想迷宮書店から電子書籍版が出されたことも、この作品の魅力が高いことを証明していよう。
 
 気がつくと、あなたは琴を片手に旅をする吟遊詩人となっていた。それ以前の記憶はなく、自分が誰かも思い出せない。吟遊詩人として町を放浪する途中、あなたのことを知っていそうな一人の商人が近づいてきて宝石を差し出してくる。あなたは自分が誰なのか、知ることができるだろうか……。
 剣も防具も持たず、記憶を失った吟遊詩人という蠱惑的な状況からスタートするこのゲームブックは、細かい数値や戦闘を含めたルールといったゲーム的要素を極限まで切り詰めて、どこまで優れたゲームブックが作れるのかという試みに挑戦している。そして、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同様か、あるいはそれ以上に、その極限なまでのシンプルさは高い効果を上げている。

 まず、主人公に属する数値(能力値)がない。その代わりに序盤で手に入る琴に和解の旋律、魔除けの旋律、戦いの旋律という三種類の弦が張ってあり、この旋律を消費することで敵と戦ったり、謎を解いたり、人とコミュニケーションを取ったりする。旋律が要求された時に適当な歌がなかった場合や、弦の色の歌(いわゆる琴の核になる旋律)がゼロになった場合はその場でゲームオーバーになる。数値らしい数値はこの程度であり、後はアイテムや宝石を記録すればいいという、読者に負担をかけない簡単なシステムになっている。そもそも戦いの時にはサイコロを振る必要すらない(他の場面ではサイコロを使用するが)。
 『ネバーランドのリンゴ』や『スーパー・ブラックオニキス』などでは、フラグ管理に必要な数値はキーNo.やチェックリストなどでプレイヤーが能動的にチェックしなければならなかった。また、ファイティング・ファンタジー・シリーズや、ルールがシンプルに見える『ティーンズ・パンタクル』ですらも、戦闘の際には延々とサイコロを振る手順が要求される。ところが、『展覧会の絵』にはそうした面倒なゲーム的作業は一切ない。だからと言ってランダム要素を取り入れたシステムや能力に依拠した戦闘などが欠けているわけではなく、琴(弦の歌)を如何に有効に使うかといった戦略が要求される。また、様々な場面で謎解きやパズルが用意されており、ルール面が簡素化されている一方で、こちら側の才覚が要求されるゲーム性は高いレベルで保持されている。
 この「作業が少ない読者に優しい仕組み」は、作者が後年述懐しているところによると「ゲームブックの最初にあるマニュアル(ルール説明)のようなものを廃止して、小説を読むような形で進めていくうちにルールが説明されていく」という、当時としては新しいものを作成したかった、とのことである(Web東京創元社マガジン2011年9月)。そうした方針もあって、迷路なども含めた無駄も極力排した、質の高さも兼ね備えたシンプルなゲームブックができたのだろう。

 ストーリーも、ムソルグスキーの『展覧会の絵』そのままに、十枚の絵の中を主人公は旅していく。途中で「キエフの門」の印のついた絵と、魔女バーバ・ヤーガの十二個の宝石を探すことになるのだが、仮に宝石が欠けていてもクリアは可能で、難易度は低い。これは、この作品が戦闘やアイテム集めを目的とせず、物語自体を読み進めることを目的としていたため、宝石が全部集まっていないと即ゲームオーバーになる、という安直な難易度設定を取り入れなかったからだと思われる。また、自身が鳥になって愛を語るシーンなども挿入されていて、ストーリー性や物語性、そして美しい文体に彩られた文学性は非常に高い。
 この先鋭的なルールとオリジナリティ溢れるストーリー展開により、『展覧会の絵』はSAGBの中でもかなり評判の高い作品となった。精密に数値を作り込んで、多種多様な属性値を設定し、好きな装備や好きな戦略、そして魔法を駆使したいと考えるコア層、即ちコンピューターRPGのようにゲームブックをプレイしたい読者にはやや物足りない内容かもしれない。それでも卓越した文章に加え、心が温まるエピソードがいくつもプレイヤーの前に提示され、物語的に飽きさせることがない。ラストの場面は圧巻で、感動的ですらある。
 『暗黒教団の陰謀』がそのオープニングにもかかわらず、あっさりと終わったのとは対照的であるが、これは読者に余韻を残しつつ考える余地も与えるか(『暗黒教団の陰謀』)、それともクライマックスを大団円に収めるか(『展覧会の絵』)という、作者の手法の違いであり、究極的には読者の好みに左右されるだろう。もっとも、『暗黒教団の陰謀』が三部作の第一部という位置づけであったために、その簡潔な幕切れは必然でもあったかもしれない。その一方で、『展覧会の絵』は一冊で物語として綺麗にまとまっている点は瞠目に値する。
 筆者の森山安雄は、後に平田真夫名義で文芸書も出版していることを鑑みると、ゲームブックをコンピュータゲームの代替ではなく、あくまで「ルールのある小説」、即ち「小説の変形」ないしは「小説の一ジャンル」と捉えていたように思われる。その意味で、『展覧会の絵』が文学的な素地が高いレベルで保持されているのも納得のいくところだろう。

 さて、もう一つのオリジナル・ゲームブックである滝日省三の『眠れる竜ラヴァンス』も取り上げよう。バルジニアを征服しようとたくらむ冥王モーレグは、暗黒竜アーリマンを召喚して仲間にした。モーレグに対抗するためには、もう一匹の善のドラゴンである眠れる竜ラヴァンスの力が必要だ。あなたはラヴァンスを蘇らせるために旅に出る、というストーリーが展開される。
 物語的には「悪い冥王モーレグを倒す→そのために善の竜ラヴァンスの力を借りる」という、勧善懲悪をベースにしている。このストーリー自体には原作がなく、ちょうど『展覧会の絵』が(同名のピアノ曲やオーケストラの存在はあるにしても)かなりオリジナリティが高かったのと同じく、『眠れる竜ラヴァンス』も全くのオリジナル作品である。

 ストーリー的には自立しているが、中身とゲーム性は、特に「ソーサリー」を強く意識しているように思われる。戦闘ルールはファイティング・ファンタジー・シリーズ(即ち「ソーサリー」)と同じくサイコロ二個に技量ポイントを加えた数値を比べ合うというものだし、十二種類の魔法が用意されているが、冒険が始まったら基本的に呪文の書を読んではいけないという制約も「ソーサリー」を受け継いでいるように見える。技量ポイントは筋力ポイントと敏捷ポイントを足した数値という設定になっていて、こちらは第11回で扱う予定の『紅蓮の騎士』の腕力ポイントと脚力ポイントを髣髴とさせる。更には普通の敵を倒すと経験値が一点増えるという仕様(他の状況でも増えることはあるが)は、「ドルアーガの塔」などのアイデアを採用している。

 ゲームの展開自体は、「無色透明の君」が単方向移動で諸々の問題を解決していくという手法を取っているが、それでも本作においてオリジナリティの高い箇所は随所に見られ、特に数々のパズルとイラストを用いた謎解きはヒントがあっても解くのにかなり苦労するだろう。これらの謎解きパズルは、解けないとクリアができないという致命的なものが多く、また非常に難解である。例えばある呪文を唱える際に必要な護符の選択や、暗黒の世界に閉じ込められた時の羊皮紙の解読などは、おそらくほとんどのプレイヤーがギブアップしたのではないだろうか。
 例えば前者の護符の選択は、たくさんの抽象的な図柄が描かれたいくつかの護符の中から共通項を見つけ出す必要があるのだが、その最終的な解は「内側に向かって右回りに巻く一本のらせん模様と一つの黒い三角形を有するという共通点を見つけ出すこと」という、非常に難解なものだった。また、後者の羊皮紙の解読では、あまりの難易度のせいか、作者が「あとがき」でヒントを用意しているぐらいである(そして、このヒントがあっても解けなかったプレイヤーは多かったに違いない)。
 
 本作は、魅力的な挿絵とともに強い個性を主張するキャラクターが満載で、スリリングな冒険が展開される。とかげ王のラスムーゼンに、敵の本拠地モンドバ寺院の醜悪さ(モンドバ寺院にはまさにクトゥルー的な悪辣さがある)、喧嘩をしている女魔法使いなどのNPCが効果的に散りばめられ、旅の楽しさに一役買っている。敵役も青銅巨人ザロスの恐ろしさやピンヘッドの雑魚さ加減などがうまく表現されていて、ストーリーの盛り上げ方という点では随一の出来だと言っていいだろう。
 『眠れる竜ラヴァンス』のイラストを担当した竜胆丈二は、表表紙と裏表紙のイラストも作成しており、一見すると海外調にも思える独特の作風は本作のストーリーとも極めてマッチしている。描かれたイラストも隠れキャラを登場させるような遊び心をふんだんに交えており、パズルの楽しさを提供するとともに、思わずくすりとさせられる微笑ましい工夫も忘れていない。例えば、モンドバ寺院のイラストにはウルトラマンの顔が隠れていたり、主人公のサポート役である魔術師オルセンが絶妙な隠れ方でひっそりと描かれていたりする。

 また、魔法もRPGのゲームによく用いられるファイアーボールのような攻撃魔法を忘れずに入れているかと思えば、僧侶魔法のような「実体を伴わない相手を退散させる」という効果的でありながらもかゆいところに手の届く魔法を用意しているなど、いかにもな天才魔術師の冒険が楽しめる。これらの魔法は、「かけた際の神秘性」と「戦略が要求されるゲーム性」という魅力的な要素二点を併せ持っており、秘密の使命を帯びた魔法使いの冒険を思う存分堪能できる。
 更に、クライマックスでは「剣士型のラスボス」青銅巨人ザロスと「魔法使い型のラスボス」精霊ヘイルダムのどちらかが襲い掛かってくるのだが、まともに戦っても勝ち目は薄い。クレバーに冒険を繰り広げて必要な情報やアイテムを収集し、それを絶妙のタイミングでここぞという場面で使用しなければならないという本格的かつ知略に満ち溢れた旅を楽しめるようになっている。

 前述した「ソーサリー」の影響が色濃い部分については、例えば、険しい崖を登る時に「(パラグラフ番号)○○か、××のどちらかを選ぶこと」というゲームテクニックを導入しているのだが、これは「ソーサリー」第四巻『王たちの冠』で剣が縦横に飛び出している暗黒の部屋を抜ける時のアイデアそのままである。このギミックは、まったく何のヒントも状況描写もない中、「自分が正しいと思った番号を勘で選び、誤った番号であれば体力ポイントが消耗していく」という仕様になっている。これは、プレイヤーがどれだけ進んでいるのか(あるいは後退しているのか)先が見えないだけに、徐々にキャラクターが消耗していく状況を突きつけることで、読者に緊張感を与える。この工夫は冒険の盛り上がりと緊迫感の高揚に絶大な効果を発揮したので、『眠れる竜ラヴァンス』でも積極的に採用したのだろう。
 また、一日の消耗点(食事をしていなかったり、十分な睡眠をとっていなかったりすると翌日の朝に体力ポイントを減らされる)も「ソーサリー」と似ている。
 こうした類似点を見ても、『眠れる竜ラヴァンス』は、SAGBで多くの読者に愛されて高い評価を得た「ソーサリー」へのリスペクトを込めたオマージュであることは疑いない。

 総括すると、パズル以外に飛び抜けたギミックはないものの、個性的なキャラクターやイラストを効果的に用いた謎解き、そして魔法使いとして秘密の旅を遂行していく緊張感溢れる過程など、冒険としての楽しさは高いレベルで保たれており、オリジナル・ゲームブックとしては成功だったと言えるだろう。
 もちろん、過去のゲームブックのアイデアをそのまま写し取ったことに議論の余地があるかもしれないが、例えば『パンタクル』の運だめしも、ジャクソンの「ソーサリー」と同一である。その割に『パンタクル』が剽窃だという批判を一切聞かないのは、それ以外のところで独自のアイデアと構成が優れていたためである。一部の似た(あるいは同じ)システムだけを取り上げて批判するのは、「木を見て森を見ず」であり、正しい評価だとは言えない。しかし、さすがに過去のゲームブックと似たところが多いと感じられたのか、ファンの間では賛否両論が沸き起こったが、それは仕方のないところだろう。

 『眠れる竜ラヴァンス』は三部作の一作目という位置づけだったが、結局第二部『ゼダンの審問』、第三部(題名不詳)は発表されないままに終わってしまった。『パンタクル2』も、結局続編が出ないままであることを考えると、ブームの凋落とはいえ残念である。もしブームが再燃するようであれば、『眠れる竜ラヴァンス』の続編もぜひ期待したいところだ。

◆書誌情報
 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
 安田均/TTG(著)
 東京創元社(1985/11/15)絶版

 『暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン』
 大瀧啓裕(著)
 東京創元社(1987/2/11)絶版
 
 『展覧会の絵』
  森山安雄(著)
 東京創元社(1987/10/9)絶版
 創土社(2002/12/1)絶版
 幻想迷宮ゲームブック(2016/3/11)
 
 『眠れる竜ラヴァンス』
  滝日省三(著)
 東京創元社(1988/6/23)絶版

■参考文献
 『天界の迷宮』
 佐藤大輔(著)
 徳間書店アニメージュ文庫(1987/12/31)絶版

 『巨神兵を倒せ!』
 下村家惠子(著)
 徳間書店アニメージュ文庫(1987/7/15)絶版

 『インスマスを覆う影』
 H・P・ラヴクラフト(著)大西尹明(訳)
 東京創元社(1974/12/13)他
 
 『永劫の探求』「暗黒神話大系シリーズ クトゥルー」第二巻
 オーガスト・ダーレス(著)大瀧啓裕(訳)
 青心社(1988/12/1)
  
 『地獄の館』
 スティーブ・ジャクソン(著)安田均(訳)
 社会思想社(1986/6/25)絶版
 SBクリエイティブ(2022/7/16)

 『翻訳家の蔵書』
 大瀧啓裕(著)
 東京創元社(2016/12/21)絶版
 東京創元社(Kindle版)(2016/12/21)

 Web東京創元社マガジン 2011年9月
 「平田真夫/森山安雄の挑戦——ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ」平田真夫/森山安雄×岡和田晃
 https://www.webmysteries.jp/archives/12245589.html
 https://www.webmysteries.jp/archives/12245590.html
 https://www.webmysteries.jp/archives/12245591.html
 https://www.webmysteries.jp/archives/12245592.html

 「ソーサリー」シリーズ
 スティーブ・ジャクソン(著)
 『魔法使いの丘』安藤由紀子(訳)東京創元社(1985/7/12)絶版
 『シャムタンティの丘を越えて』浅羽莢子(訳)創土社(2003/8/15)絶版
 『シャムタンティ丘陵』こあらだまり(訳)SBクリエイティブ(2024/2/16)
 
 『城砦都市カーレ』中川法江(訳)東京創元社(1985/8/10)絶版
 『魔の罠の都』浅羽莢子(訳)創土社(2003/12/31)絶版
 『罠の都カーレ』こあらだまり(訳)SBクリエイティブ(2024/2/16)
 
 『七匹の大蛇』成川裕子(訳)東京創元社(1985/9/10)絶版
 『七匹の大蛇』浅羽莢子(訳)創土社(2004/5/31)絶版
 『七匹の大蛇』柘植めぐみ(訳)SBクリエイティブ(2024/2/16)
 
 『王たちの冠』高田恵子(訳)東京創元社(1985/10/10)絶版
 『諸王の冠』浅羽莢子(訳)創土社(2005/3/31)絶版
 『王の冠』羽田紗久椰(訳)SBクリエイティブ(2024/2/16)


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2025年9月22日月曜日

最新シナリオ「死霊沼の聖母」のお知らせ☆ FT新聞 No.6235

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆
いよいよ初めての「FT書房コンベンション」が、6日後に迫ってまいりました!
「モンスター!モンスター!TRPG」に「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」のふたつのTRPGのセッションを中心に、名古屋で開催されるこの催し。
ゲストとして参加する私も、今から楽しみで仕方ありません!


◆来月の第1日曜枠は!
さてさて、10月第1週の日曜枠は、「ローグライクハーフ」の最新d66シナリオをお送りいたします!
10月は別の作品の配信を予定していたのですが、予定を差し替えていただきまして、紫隠ねこさんと私で「死霊沼の聖母」をお届けいたします!

舞台は死者たちのつどう街「死霊都市フアナ・ニクロ」。
領主である狂女王フアナ・ヴァロワが冒険者を招聘した目的は、フアナ・ニクロの地にはびこり出した新興宗教「鳳仙教」の教祖、アスタロス卿の討伐。
この怪しい教祖はこの地に亡命したエルフの王族ケリスリオン家の財産に目をつけて、それらを乗っ取ることで力をつけていきます。
彼らの力がこれ以上ふくらみきってしまう前に、主人公は教団が乗っ取ったエルフの館へと忍び込み(あるいは信者の間に潜伏して)、教祖を暗殺しなければなりません。


◆都市サプリメント「死霊都市フアナ・ニクロ」!
今回の都市サプリメントは、他のものと比較すると、かなり個性的なデザインになっていると感じます。
この地に流れ着いた人々が残した粗悪な武具が、無料で手に入る。
従者たちの多くは【アンデッド】で、その中には〈死豚獣〉と呼ばれる【騎乗生物】も含まれている。
主産業である「薬物」も盛んで、アランツァに流行するものの多くがここで手に入ってしまう。
それらすべてが、この土地が周囲の都市とは一線を画した場所であることを示しています☆


◆【新職業】は【呪術師】!
ついに死者を操る【呪術師】が登場します!
私は【アンデッド】を従者として従えるという状況が大好きなので、とても嬉しいです☆
古くは「ファイティング・ファンタジー」というRPGのシナリオに登場した「シャグラットの危険な迷路」に登場した「アナトール・ラー」のお守り(ゾンビを従者として従えて冒険ができる)にはじまり、このシチュエーションにひたすらな憧れを感じてきました。
それが実現できること、今から楽しみです☆
また、アランツァ世界の【呪術師】は単なる、老いた醜い老人どまりの存在ではありません。
人心を操る【魅了】のようなタイプの呪文を扱うことができる、危険な存在としても知られています。
この魅力的な【新職業】をお届けできる日が、今から楽しみです!


今回は短いですが、このあたりで。
それではまた!




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