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2026年5月27日水曜日

第2回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4872

第2回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「可愛いあの子に最高のプレゼントを」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 はじまりました「可愛いあの子に最高のプレゼントを」リプレイ。 お友だちのりにゃちゃんへ贈る誕生日のプレゼントを探すという、ほんのりほんわかしたローグライクハーフのシナリオです。 街エリアと森エリア、両方を見てまわってプレゼント候補を探そうという主人公ウサナギと、そのお供の九匹のウサギたち。 平和なお話が続くと思っていましたが、なにやらウサナギたちを観察する不穏な影があるようで? 戦闘シーンも不可避な第2回です。 【ウサナギノミコト レベル12 技量点:1 生命点:8 筋力点:4 従者点:9】 【装備】 ピコピコハンマー(片手打撃)初撃+1 丸盾(生命点+2) ウサギ使いの服(生命点+2・防御+1) 【食料】0 【金貨】60 【持ち物】 強化ポーション(1ラウンド消費攻撃+1/金貨30枚) ブラウンダイヤの結婚指輪(金貨30枚) 魔王の宝玉(金貨25枚) 焼きたてのねこパン 【全力攻撃】【全力防御】【かばう】 【未使用経験点】2 【従者】 ドリルウサギ(弓兵扱い)四匹(ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ) ノウサギ(剣士扱い)五匹(ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ) ●アタック01-2 ウサナギと仮面子ウサギたち 【21 忍び寄る影】 突然、路地裏から飛び出してきた複数の白い影が、背後から僕めがけて飛びかかってきた。 「うー」「やー」「たー」 いち早く察知できた僕は、かろうじてかわすことができた。 僕を行き過ぎて、したっと着地した三匹のウサギは、身体を反転して僕に向き直り、敵意むき出しの視線を送ってくる。 三匹とも子ウサギと言っていいサイズだ。しかしその顔には、特徴的な仮面がつけられていた。 バタフライマスクのようだが、表情が違う。「笑い」「怒り」「冷血」を模した仮面だ。 仮面ウサギっていう、この界隈に出没する怪盗ウサギがいる。 前に、森に逃げこんだ仮面ウサギから、りにゃちゃんの姉、リナちゃんのペンダントを取り返したことがあった。 この子ウサギだち、仮面をつけてるってことは、仮面ウサギの関係者だろうか。 「失敗しちゃった! ししょーのカタキだったのに!」 「しくじっちゃった! なんか盗み返してやる気だったのに!」 「ヘタこいた! みんなでかかればいけると思ったのに!」 なんだか本当に、仮面ウサギの弟子たちみたいだ。 一応確認だけど、君ら仮面ウサギの弟子だよね? なんで僕を狙うのさ。 「ボクたちは仮面ウサギ様のおしかけ弟子だいっ」「だいっ」「だいっ」 自分で「おしかけ」と言い切っているあたり、かわいい。 「仮面ウサギ様はペンダントを奪い返されて変わってしまった」 「仮面ウサギ様は、仮面を取ってふつうのウサギに戻りますなんていうんだ」 「だから、仮面ウサギ様のかわりにお前からなんか盗んで、やる気を取り戻してもらうんだ」 もう泥棒するのやめるんなら、いいことじゃない。 それに僕たちは、仮面ウサギに盗まれたペンダントを取り返しただけだよ。 先に盗んだのは仮面ウサギの方じゃないか。 どうする? まだやるの? 僕の振った反応表は、がっつり【敵対的】だった。 【仮面子ウサギ 出現数3 レベル4】 もう、僕からなんか盗まない限りここから立ち去らないって気迫でいる。 「盗む。そして逃げるっ」 「仮面ウサギ様にやる気を取り戻してもらうには、これしかないっ」 「もう怪盗なんてしないなんて、言わせないよ絶対」 僕はゆっくりと首を横に振った。 君たちのやる気はわかったけれど、僕に集中しすぎて、いくらなんでも周りが見えてなさすぎだよ。 気づいてないの? 君たちもう、完全に取り囲まれてるんだけど。 僕のファミリーのウサギたちは、三匹の仮面子ウサギを完全に包囲しきっていた。 さあ、いって、ドリルウサギたち。 僕の合図でドリルウサギたちが、ぴゅんぴゅんっとツノを飛ばす。 ウサピュンとウサマルの攻撃は続けざまに命中し、笑い面と怒り面の仮面子ウサギたちは、ぽてころってなってバタンのキューだ。 「え。ど、どうして。反応表振ってたのに」 冷血面の仮面子ウサギは動揺している。 反応が【敵対的】だと、最初のラウンドはそっちから攻撃できるはずだもんね。 でも残念。それは1ラウンド目から。ドリルウサギたちは、その前に0ラウンド攻撃ができるのさ。 「そんなぁ」 冷血面の仮面子ウサギは、完全に戦意を喪失した。 逃げようとする仮面子ウサギのために、道をあけてあげるように合図を送る。 ほかの二匹も連れていってね。追わないからさ。 これに懲りたら、もう人からものを盗るのはやめるんだよ。 「お、おおお、おぼえてろ〜。次はぜえったい盗んでやるからな〜」 仮面子ウサギは、お約束のような捨てゼリフを残して去った。否、去ろうとした。 しかし、ほかの二匹の子ウサギたちをずりずりと引きずっているので、その歩みは非常に遅かった。 捨てゼリフまで残して去ろうっていうのに、じりじりずりずりと、まだそこにいる。 間が。間がもたない。 どうしよう。僕たちが家まで送り届けてあげよっか。 「いらんわぁ〜」 冷血の仮面なのに、もう泣きそう。 僕たちは仮面子ウサギが完全に立ち去るまで、ゆっくりと見守るのだった。 プレゼントを買いに来たはずなのに、逆に持ち物を奪われてしまうところだった。危なかったー。 [プレイログ] ウサナギの器用度チェック 目標値4。サイコロの出目4+技量点1 5で最初の盗みは回避。 出現数は3。反応表は6で【敵対的】。 0ラウンド(ドリルウサギの攻撃) ウサピュン サイコロの出目3+1 合計4で命中 ウサマル サイコロの出目5+1 合計6で命中 半分に減らしたので戦闘終了。 ※仮面子ウサギたちの三つの仮面の元ネタは「キン肉マン」に登場するアシュラマンです。 ●アタック01-3 ウサナギとわがやのぬいぐるみ 【中間イベント 可愛いあの子にぬいぐるみを】 歩いているうちに大きな通りは途切れ、このまま進めば森へ入ってゆく。 ここまでで、ひとまずプレゼント候補になるのは焼きたてのねこパンだけかな。もう焼きたてじゃないけど。 そう思っていると、街はずれに行列が見えた。 こんなところにお店なんてあったかな? 近づくにつれ、どこから連なっているのかわかった。 大きめの天幕が張られている。 行列はそこに吸い込まれるように入っていくのだ。 行商かなにかの移動型の商人が、ここに一時的に店舗を構えているに違いない。 街はずれなのにこの行列はすごいな。 よほど良いものを扱っているのか、宣伝のしかたがうまいのか。 それとも、その両方か。 興味がわいたので、僕も列に並んでみることにした。 もしかしたら、掘り出し物を見つけられるかもしれないし。 時間をかけて待つと、列はゆっくりと進んでいき、やがて僕たちの番になった。 天幕に入るとそこは、ところせましとぬいぐるみが並べられた空間だった。 入場制限がかかっているおかげで、しっかり見て回ることができる。 ファミリーのウサギたちは目を輝かせて、あちこちのぬいぐるみを見にいってしまった。 「みてみて、この首のないまんまるアルパカの子、マルパカちゃんっていうんだって!☆ミ」 「こっちにはやわらかカピバラさんがいるニャン」 「座り抱きまくらのフニオくん、めっちゃやわらかいタロ」 「ピカチュウ!」「シナモロール!」「パペットスンスン!」「なおとらちゃん!」 ちょっと君たち、また今プレイヤーさん家にあるぬいぐるみ列挙してるだけでしょ。 店内を見て回る中で、ねこのぬいぐるみが気になった。 ひざねこちゃん。触れてみると、いい肌ざわり。 手に取ってみると、ずしりと重い。リアルな猫のウェイトを意識してるみたい。 だっこしたり、ひざの上に乗せたりするのにちょうど良さそう。 「君、一緒に来るかい?」 僕はそう声をかける。ぬいぐるみは喋らないから、この子だなって思ったら、こっちから声をかけるんだ。 「へえ、君はそうやってぬいぐるみを選ぶんだね。実はこっちにおしゃべりする子もいるんだよ」 店員が、そうやって教えてくれた。案内されたそこには、しゃべるねこちゃんのぬいぐるみが。 ボタンを押すと、ねこの鳴き声じゃなくて、普通の言葉でごあいさつ。他にもいくつかおしゃべりするパターンがあるみたいだった。 うん。これもいいね。でも、僕が求めているのとは違うみたい。 実際に触ってみて、語りかけてみて、ピンときたのは最初の子だった。しゃべらない方のねこのぬいぐるみ。 うん。君に決めた。 僕は、その猫ちゃんを買っていくことにした。ラッピングもお願いね。 [プレイログ] ぬいぐるみノウサギさん 金貨5枚 しゃべるデラックスノウサギさん 金貨15枚 ラッピング手数料 金貨2枚 原作ではウサギでしたが、うちのぬいぐるみにウサギがいなかったのでねこに変更。 ぬいぐるみねこちゃんとラッピング手数料で金貨7枚 ラッピングされたねこのぬいぐるみ(プレゼントランク2)入手 金貨60枚→53枚 ●アタック01-4 ウサニャンとウサギの合唱団 僕らは森へとやってきた。 勝手知ったる森の中。いつもの道を歩いてゆく。 森で見つけられるプレゼントって何があるだろう。 魔王のお城まで行けばなにか見つけられるかな? でも、あそこまで行ったらお誕生会に間に合わないな。 もう少し手前、間に合う時間までに切り上げよう。 【12 無造作に置かれた宝箱】 「たからばこ、はっけ〜ん☆ミ」 ウサミがそんな風に教えてくれたけれど、ほとんど全員同じタイミングで気がついた。 なぜならその宝箱は、通り道を塞ぐように、堂々と置いてあったから。 豪華な装飾がほどこされた新しい宝箱だ。箱そのものにも価値がありそう。 あたりまえだけど、普通道の真ん中に宝箱は置いてない。いつもこんなところに宝箱はなかった。 つまりこの宝箱は、誰かがわざわざ置いたってことだ。 あやしい。あやしすぎる。 でも、罠にしたってこんな雑な置き方しないだろうし。いったいどんな意図で? 宝箱型のモンスター、ミミックとかかな? それとも、ウサミミのウサミミックとかかな? とにかく注意した方がよさそう。 罠かもしれない。うかつにあけないで。 「マロ?」 遅かった。 僕が注意したときには、すでにウサマロがジャンプ頭突きで宝箱を開けていた。 ひとまず開けてもなにも起きなかった。罠じゃなかったのかな? ウサヒコが宝箱のへりに飛び乗って中をのぞきこむ。 「おおっ!」 ウサヒコはびっくり声を上げると、そのままバランスを崩して宝箱の中に落っこちた。 振動で箱のふたが閉じてしまう。 まさか、閉じ込められちゃった!? 慌てて近づき箱を空ける。宝箱はすんなり開いて、ウサヒコがびっくり箱みたいに中から飛び出した。 そうして僕と、顔と顔とがごっつんこ。 お互い鼻を押さえてうずくまる。 あいたたた……。でも、ひとまず無事でよかった。 ウサヒコのことだから、びっくりさせようとして失敗したんでしょ? 「ごめんちゃい。あ! これみっけたヒコ!」 ウサヒコが出したのは金貨5枚。 豪華な宝箱に、中身は金貨5枚だけ。 いったいなんだったんだろう。 謎は深まる……。 [プレイログ] 無造作に置かれた宝箱 宝箱の内容をサイコロを振って決める。 サイコロの出目5 宝物表(修正+1)で判定。 サイコロの出目2+1=3 2d6枚の金貨。下限は金貨5枚 サイコロの出目1と1=2 下限の金貨5枚を入手 金貨53枚→58枚 【11 歌う花ウサギ】 綺麗な歌声が聞こえる。 まるでコーラスみたい。リズミカルな輪唱だ。 声のする方に近づいてみる。 そこでは、三匹の花ウサギたちが、歌の練習をしているところだった。 花ウサギは、頭に花が咲いている緑色のウサギだ。 ウサギのように見えるけど、マンドラゴラの一種なんだって。 マンドラゴラって知ってる? 普段は土に埋まってるニンジンっぽい植物なんだけど、引っこ抜くときにすっごい悲鳴を上げるの。 その悲鳴を聞いた人はばったり倒れちゃったりするんだって。 もしかして、花ウサギが練習しているのって、音波攻撃の練習? ぴた、と歌がやんだ。 僕たちの存在に気がついたみたい。 「ぴょえっ!」 花ウサギたちは跳びあがった。 「ウサギのたいぐんだああぁぁ!!」 あああ、しまった。僕たちひとりと九匹の大パーティだから、びっくりさせちゃったかも。 花ウサギたちは、大きく息を吸い込んだ。 そして次の瞬間。 「ボエエエェェエエエ!!!!」 文字にトゲトゲが生えているような破壊的なビブラート音声が、僕たちを襲った。 とっさに耳をふさぐのが間に合わず、まともに聞いてしまった僕は、思わずうずくまってしまう。 僕のほかにも何匹かは間に合わず、悲鳴を上げて転げ回っている。 花ウサギは、僕たちを排除するためにさらなる攻撃をしようとしているみたいだ。 しかもこの攻撃は……。 僕たちは花ウサギたちの歌声に聞きほれていただけで、やっつけるつもりはない。 ここは逃げよう。 【花ウサギ 出現数3 レベル3】 僕たちが逃げはじめると、花ウサギたちは追撃してくる。 三匹の攻撃を、それぞれ1回は受けないと逃げきれそうにない。 「みんな気をつけて。音の塊を打撃として放ってくるよ」 僕が花ウサギ二匹分の攻撃を引き受け、難なくかわす。 でも、もう一匹の攻撃がウサギたちの方に向かった。 音の塊がウサニャンへ飛ぶ。 「にゃにゃにゃにゃーん!」 ウサニャンは、大きな声で「運命」を感じさせる音節を叫んだ。 花ウサギたちの攻撃がぴたりと止んだ。ウサニャンの発した音節に興味があるみたいだ。 「……みんな。わたしはここまでニャン。ちょっと花ウサギたちと合唱したら帰るニャン」 え。そんな、一緒にりにゃちゃんの誕生日会へ行こうよ。 「やめとくニャン。だってわたし、りにゃちゃんとキャラかぶるから……」 えええ。同じねこ系のキャラクターだからって、かぶらないよ! だってほら、りにゃちゃんと語尾ちがうでしょ。りにゃちゃんは語尾に「ニャン」つかないよ。 「だいじょうぶ。ここはわたしがくいとめるニャン。だからみんなは行ってニャン」 そうしてウサニャンは、花ウサギたちと一緒に第九の合唱を始めた。 僕にはもう、ウサニャンの行動を止める言葉がなかった。 「行こうみんな。ウサニャンが花ウサギたちを止めてくれてる間に」 僕はそう告げる。他のみんなはウサニャンにお別れを告げると、名残惜しそうに進み始めた。 次回、森の中には危険がいっぱい! [プレイログ] 【花ウサギ 出現数3 レベル3】 反応表のサイコロの出目6 敵対的 【逃走】を選択 0ラウンド 花ウサギの大きな音(幸運度で目標値5)失敗するとその後の判定ロールに-1のペナルティ ウサナギ サイコロの出目1 ファンブルで失敗 ウサギたちのサイコロの出目6、5、4、1、2、3、1、6、5 ウサピュン、ウサマル、ウサニャン、ウサコが成功 【逃走】のため、花ウサギのフリー攻撃が三匹分。ウサナギ2回、ウサニャン1回に割り振り。 ウサナギの回避 サイコロの出目5と4で判定ペナルティ-1があっても回避成功 ウサニャンの回避 サイコロの出目1でファンブルで失敗。脱落。 ※【逃走】なのでウサナギの【かばう】は対象外と思っていましたが、【かばう】は【防御ロール】に対して発動するため、ここは本当なら【かばう】で防げた攻撃でした。 【ウサナギノミコト レベル12 技量点:1 生命点:8 筋力点:4 従者点:9】 【装備】 ピコピコハンマー(片手打撃)初撃+1 丸盾(生命点+2) ウサギ使いの服(生命点+2・防御+1) 【食料】0 【金貨】60→53→58 【持ち物】 強化ポーション(1ラウンド消費攻撃+1/金貨30枚) ブラウンダイヤの結婚指輪(金貨30枚) 魔王の宝玉(金貨25枚) 焼きたてのねこパン ぬいぐるみねこちゃん 【全力攻撃】【全力防御】【かばう】 【未使用経験点】2 【従者】 ドリルウサギ(弓兵扱い)四匹(ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ) ノウサギ(剣士扱い)五匹(ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ) ※ウサニャンが脱落 ■登場人物 ウサナギノミコト 通称ウサナギ。ウサギ使いの少年。 りにゃ ねこ耳ねこしっぽの女の子。誕生日パーティするよ。 リナ りにゃの姉。仮面ウサギに大事なペンダントを盗まれたことがある。 魔王ウサギ マオウサギ。いろいろあったけど今はりにゃのトモダチ。 ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ ドリルウサギ。ウサナギのファミリー。 ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサコ 普通のウサギ。ウサナギのファミリー。 ウサニャン ウサナギのファミリーのウサギ。途中脱落し、花ウサギと一緒に合唱している。 ■作品情報 作品名:「可愛いあの子に最高のプレゼントを」 作者・イラスト:寝子 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 可愛いあの子に最高のプレゼントを(冊子版) https://lennon257.booth.pm/items/6915985 可愛いあの子に最高のプレゼントを(ダウンロード版) https://lennon257.booth.pm/items/6713417 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月26日火曜日

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第52回 FT新聞 No.4871

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第52回 「ゴーレム」 (中山将平) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  おはようございます。  今度の土曜日・日曜日ともに個人サークル「ギルド黄金の蛙」でイベントに出展しているイラストレーターの中山将平です。  土曜日は名古屋オアシス21で開催の「いきものづくし」。  日曜日はインテックス大阪で開催の「スーパーコミックシティ33DAY3」(このイベントはFT書房も出展しています)。  詳細は僕のツイッターをぜひチェックしていただけましたら。    さて、今回のテーマは「ゴーレム」。  短い記事になりそうですが、書きたいことがありましたのでそれをまとめたいと思います。  というのも、僕ずっと思っているんですよ。  ゴーレムって、実はかなり面白いモンスター……いや、面白すぎるといえるモンスター、なんじゃないかって。  どういうことか、早速具体的に見ていきましょう。 ◆ ゴーレムの面白さ  いきなり結論からなのですが、ゴーレムって、考えれば考えるほど「その姿から作り手の種族や用途、作成の意図を感じることができる」モンスターなのではないでしょうか。  いえ、全てのゴーレムからこれを感じられるわけではないんです。  現実世界においてゴーレムは、「数秘術」で知られる「カバラ」の秘術の中で語られたものであると記憶しています。  (詳しい方で、もし別の出典をご存知の方がいらっしゃった場合は、ぜひ教えていただけましたら。)  そのような「歴史上の初期において考えらえれていた」ゴーレム像においては、前述の「面白さ」を感じることは難しいかもしれません。  しかし、近年のファンタジー物語の中で語られるゴーレムは相当に多様化したといえるのではないでしょうか。  僕らは、例えば翼があって飛べるゴーレムも、頭が3つあるゴーレムも、許容できると思います。    僕が今回お話ししたい面白さは、「なぜ翼が必要だったのか。なぜ頭が3つあった方が良かったのか」という問いの中にあります。 ◆ 翼の有るゴーレム、頭が3つあるゴーレム  ゴーレムの作り手が鳥人だった場合、翼がないことはかえって不自然かもしれません。  それは、彼ら自身の現身として創作されたものだと想像できるからです。  あるいは、ゴーレムの作り手が渓谷など「飛行」の必要性が高い場所に暮らす種族だったらどうでしょうか。  そのゴーレムが「移動用」であることが分かった瞬間、翼がなくても飛行機能がある可能性すら浮上すると思います。  頭が3つあるゴーレムは、もしかしたら三叉路を防衛する必要がある場所に設置されていたのかもしれません。  わざわざ3つも頭があるわけですから、その利点をいかんなく発揮できる(あるいは過去において発揮できた)物語があると面白いなぁと感じます。  このことが興味深いのは、ゴーレムの形という「結果」を見ることで、読者やゲームのプレイヤーが「過去にいた作成者の意図を推察できる可能性がある」という点です。  もちろん逆に、「過去の事情を知ることによって、ゴーレムの隠された機能に気づく」という展開も用意できることでしょう。  これはただのギミックかもしれませんが、思うにもっと大切なもの、重要な要素である場合も考えられるのではないでしょうか。 ◆ カエル人世界で描いたゴーレム  カエル人のTRPGを考えている際、4つ目のシナリオで一体のゴーレムを創作しました。  今までプレイしていただいたプレイヤーには一度も話す機会がなかったのですが、そのゴーレムは「失われた神(過去に強い力を持っていたが、現在は地下に潜り、力を蓄えている神)」の信者が作ったもので、よくよく観察していけばその神がカエル人の歴史と未来に大きな影響を及ぼすことが分かる仕様にしていました。  これって、おそらくゴーレムではなくても、同じ文法で扱える要素がたくさんあるのだと考えています。  人工物であれば、より使いやすいかと。(人工的なモンスターって、広義ではゴーレム的なものだと扱えるかもしれないと考え、今回の話題は「ゴーレム」としました。)  語るべきは、「そのように扱える視点がある」という点なのだと思っています。 ◆ まとめ  モンスターという一要素が、実は重大な過去の事実や物語そのものを背負いうる、伝えうる。  そのような可能性を考えつつ、物語を「有機的なもの(意味が連続して繋がりうるもの)」として描いていきたい。  今回は、そういうお話でした。    では、今日はそろそろこのあたりで。  よきファンタジー・ライフを。  ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月25日月曜日

アランツァへのいざない 神 FT新聞 No.4870

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆ 本日の「アランツァへのいざない」は「神」について触れてまいります。 すでにwikiにある情報ですが、「アランツァワールドガイド」の原稿として肉づけをしました。 それでは、さっそく。 ◆この世界の魔法と信仰について  魔法を使用する行為は神との契約によってなされます。神との契約は「約束」によって成立していて、アランツァではその心根を問われることはありません。極端なことを言えば、約束ごと(戒律)を守るかぎり、信仰心がなくても構わないのです。とはいえ、善神は善の行いを、悪神は悪の行いをするような戒律がありますから、自分に合わない神を選ぶことは負担になるでしょう。  アランツァにおける魔法の呪文は特殊技能の一種で、神との契約によって与えられる力を意味しています。特殊技能さえ取得すれば、誰でも魔法を覚えることはできます。しかし、ちゃんと唱えるには、魔力点を基準にした【判定ロール】に成功しなければなりません。  魔法には系統があります。「奇跡」「魔術」「呪術」「錬金術」「異国魔法」「からくり術」がその代表です。「悪魔召喚術」については、悪魔はアランツァ世界の神々とは別の力を源としているため、厳密には魔法ではありません。ですが、人間が神のことを本当の意味では知らないように、悪魔を統べるこの術のことも知らず、そういう意味ではすべて同じといえます。 ◆魔法を使うには  アランツァ世界を舞台にしたTRPG「ローグライクハーフ」では、さまざまな【職業】が登場します。キャラクター作成時や特定のレベルに達した際に【副能力値】を選ぶのと同じタイミングで【職業】を選ぶことになります。基本ルールでは【魔術点】を選べば【魔術師】、【幸運点】を選べば【僧侶】になります。それ以外の【職業】は、ローグライクハーフwikiにて詳細が記述されています(https://x.gd/KjD6s)。  ゲーム的には、神への信仰心がどのように表現されてもかまいません(まったく表現されなくても問題はありません)。参考までに、対応する一覧表をここに記します。これはアランツァ世界の「カタチ」を示したもので、ゲーム的な意味合いはありません。 【僧侶】が信仰する神:【幸運点】 ・剣神エスパダ、盾神エスクードなど 【聖騎士】が信仰する神:【筋力点】 ・唯一神セルウェー 【緋色の魔術師】が信仰する神:【魔術点】 ・炎神カタク 【吟遊詩人】が信仰する神:【幸運点】 ・自然神ヴェルディア 【魔術師】が信仰する神:【魔術点】 ・知識神ソロンドオル、獣神セリオンなど 【秘術師】が信仰する神:【魔術点】 ・龍神ラガルティハ 【呪術師】が信仰する神:【幸運点】 ・闇神オスクリード 【死せる砂漠の道化師】が信仰する神:【幸運点】 ・死神ベルドゥー 【錬金術師】が信仰する神:【幸運点】 ・混沌神カルネー 【異国魔法使い】が信仰する神:【魔術点】 ・海神ホリィドゥーン 【からくり術師】が信仰する神:【魔術点】 ・からくり神テクア 【悪魔召喚師】が信仰する神:【幸運点】 ・無信仰、あるいは悪魔 ◆奇跡  【僧侶】が行使します。基本ルールで【幸運点】を選んだ際に、自動的に選ばれる職業です。  状態異常の除去や防御、回復やアンデッドにダメージを負わせる呪文などが中心です。主人公が生き延びる率を上げる、王道の魔法が多く含まれています。 ◆聖騎士の奇跡  【聖騎士】が行使します。サプリメント『廃城の秘宝』に収録されています。  死んだ直後のキャラクターを復活させるなど、復活と回復、そして力づよい防御の呪文を持ち合わせています。 ◆緋色の魔術  【緋色の魔術師】が行使します。これは【種族】として『ヒーローズオブダークネス』に登場します。  炎に関する魔術を使います。 ◆奏楽  【吟遊詩人】が行使します。『四猫亭の幽霊』に収録されています。  音楽そのものが魔法の呪文として働きます。 ◆魔術  【魔術師】が行使します。基本ルールで【魔術点】を選んだ際に、自動的に選ばれる職業です。   攻撃魔法が中心ですが、敵の反応をよくするなど、オールラウンドに冒険を行えます。 ◆秘術  【秘術師】が行使します。サプリメント『雪剣の頂 勇者の轍』に収録されています。  人里離れた秘境で修行を続けることで習得する、閉ざされた世界で独自の進化を遂げた魔法です。 ◆呪術  【呪術師】が行使します。サプリメント『死霊沼の聖母』に収録されています。  対象に状態異常を引き起こす魔法が呪術の中心です。アンデッドに関連するものが多くあります。 ◆錬金術  【錬金術師】が行使します。サプリメント『女王の肉』に収録されています。  怪物と呼ばれるクリーチャーを製作します。錬金術は技であって魔法の呪文ではありませんが、信仰の対象となるのは混沌神カルネーです。 ◆異国魔法  【異国魔法使い】が行使します。サプリメント『エメラルド海の探索』に収録されています。  海の向こうから渡ってきた、系統の異なる魔法の呪文を駆使することができます。 ◆からくり術  【からくり術師】が行使します。厳密にはからくり神テクアから受けたインスピレーション(霊的ひらめき)をもとにゴーレム等の製作を行うため、魔法の呪文ではありません。サプリメント『昆虫都市』に収録予定です。 ◆悪魔召喚術  【悪魔召喚士】が行使します。サプリメント『蛇禍の悪魔』に収録予定です。 ◆アランツァの主神15柱  アランツァ世界を代表する15柱の神さまを紹介します。これまでに記述したように、【職業】(「ヒーローズオブダークネス」においては【種族】)によって信仰する神が決まることもあります。これらの信仰はプレイヤーのロールプレイに影響を与えるかもしれませんが、ルール的な制約は一切ありません。  これらの神さまのいずれかを信仰するのであれば、あなたのキャラクターが生まれ育った街で信仰対象になっている神さまを確認してください。街の信仰対象を信仰してもいいですし、それ以外の神を信仰することもできます。  以下に登場する「職業/種族」は、その神を信仰する者が就くことの多い【職業】や【種族】を示しています。これは傾向を示しているもので、制限ではありません。  アランツァ世界の主な神を紹介します。アランツァにはこの神さまの他に、たくさんのマイナー神が存在します。 ◆唯一神セルウェー  セルウェーは神聖都市ロング・ナリクや自治都市トーン、西方砂漠の諸都市で信仰される、男の老人の姿をした、威厳のある善神です。光の神とも呼ばれます。善の種族にまんべんなく信仰され、愛情と善行を励行する宗教です。  セルウェーと縁が深い少数種族は鳥人で、ロング・ナリクには飛翔槍士、自治都市トーンには飛翔騎士と呼ばれる部隊がそれぞれの都市を守っています。  宗教を代表する英雄は翼人リナエル。 奨励:愛を信じ、人々のために生きること。 職業:【聖騎士】【僧侶】 種族:【翼人】 英雄:翼人リナエルは美しい心を持った村娘を守るために堕天して、後にロング・ナリクの「救国の英雄」となりました。伴侶となった村娘が天寿を迎えた後に、許されて天使へと戻ります。本人は帰天しましたが、その子孫は今もロング・ナリクのどこかで暮らしています。 ◆剣神エスパダ  剣神エスパダは盗賊都市ネグラレーナ、商業都市ナゴール、城塞都市ドラッツェンなど広い地域で信仰の対象となっている宗教です。弟神にあたる盾神エスクードとセットで二神教と呼ばれます。もっとも冒険者に親しみの深い宗教としても知られています。エスパダは長い剣を持ち、鎧に身を包んだ戦乙女の姿をしています。苛烈で厳しい神ですが、信者に対しては公正さともって接します。「アランツァの戦乙女」とも呼ばれ、戦における勝利を司る攻撃の神で、多くの冒険者に愛されています。自治都市トーンとその北にある盗賊都市ネグラレーナでは特に信仰されます。 奨励:善を行い、悪を砕くために剣を振るい、命を懸けること。 職業:【僧侶】【戦士】【剣闘士】【盗賊剣士】 英雄:鋼剣のリュカ。混沌ごろしなどで知られる人間の英雄で、龍人の血を引くと言われています。「死霊都市ネグラレーナ」の領主であるフアナ女王に仕えています。 ◆盾神エスクード  屈強な体格をした若い男性で、大きな盾と戦槌を持っていますが、鎧は着ません。剣神エスパダの弟。温厚な性格で、エスパダの後を歩き、戦いのさいには彼女を守る存在です。戦いにおける防御を司る神といえます。誠実さ、正直さ、実直さを好む神で、よくまわる舌やごまかしを嫌います。 奨励:善を行い、善を守るために盾を掲げること。誠実に生きること。 職業:【僧侶】【戦士】 英雄:伝説の戦士ガバナック・ロンデンベルク。ウォードレイクの卵を持ち帰ったドラッツェンの英雄で、後に「生きては帰れない砂漠」でゴーレム化した姿を目撃されています。 ◆自然神ヴェルディア  野放図に生えた2本の角を持つ、中性的な顔立ちの美しい神。エルフの姿をしていますが、下半身はシカかヤギのような動物で描かれます。植物と陸上の自然を司る神です。  ヴェルディアはコビット、人間、エルフが信仰する神とされています。大自然の力の象徴で、風と稲妻の神という側面もあります。 奨励:自然とともに生き、動植物の繁栄に尽力すること。 職業:【吟遊詩人】【僧侶】【獣使い】 種族:【半巨人】【ジグリ・ザグリ】 英雄:英雄は勇猛たる樹人アルボール。トレントの一種で、もっとも古い存在の1人と言われています。太古の森の守護者でしたが、今は若さを失い、動かなくなりました。 ◆炎神カタク  目に炎を宿した、屈強な戦士の姿をした神です。ドワーフに似た姿で描かれることもありますが、ヒゲは生やされません。ドワーフの故郷であるカザド・ディルノーの都市宗教で、戦いと炎を司ります。 奨励:善良なる神に創られた5つの種族を守護すること。 職業:【戦士】【戦鍛治】 種族:【緋色の魔術師】 英雄:「カタクの瞳」たるロソス。世界で初めてオリハルコン鉱脈を見つけた、信心深いドワーフの戦士です。現在はカザドの重鎮として、将軍の座に就いています。 ◆知識神ソロンドオル  片手に天秤を、片手に本またはペンを持つ人間型の神です。知的な顔立ちの男性として描かれることが多いですが、性別は不明。知識と学問を司ります。  ソロンドオルはアランツァの生きものたちに、魔法の使い方を教えたとされる神です。ソロンドオルはエルフたちを中心に信仰されています。また、ネグラレーナの大学やチャマイにある図書館といった施設は、熱心なソロンドオルの信徒によって建設されました。 奨励:魔法の実践と研究に励むこと。知を探究すること。 職業:【魔術師】 英雄:魔術師ティーボグ。ライフノードの放射を浴びて不老を得たとされる、善の魔術師です。「からくり都市チャマイ」にあるエルダーベリー魔法学校の創設者にして校長であり、七賢者の筆頭でもあります。 ◆獣神セリオン  獅子の顔と人間の身体を持つ神です。複数の獣神(鳥神、馬神など)の頭領。動物を司る神です。自然で暮らす犬人、獣人、ケンタウロスなどが信仰します。なかでももっとも特筆すべき種族は魔獣犬で、この四足の動物は一見すると大きくなった狼か犬のようですが、実際には人間に劣らない知能をもつ種族です。彼らは建築や製作に適した腕を持たないため、二本足の種族を奴隷にしてそういった仕事に従事させ、洞窟を快適化した居住空間を発展させます。彼らが建てる(建てさせる)もののひとつに祠があり、彼らの住み家からは獣神セリオンを祀った祠がよく見つかります。 奨励: すべての獣たちと心を一とすること。 職業:【獣使い】 種族:【ケンタウロス】 英雄:ヴォルグ・ヴィエリ。蛮族都市フーウェイの心ある集落民に拾い育てられた犬人です。「太古の森」の力が「蛮族都市フーウェイ」やその周辺へと拡大しつつある時期に、人間たちと獣人の間に立ち、侵略に対抗して街を守りました。長毛種で、その体毛は「朝陽に輝く銀の光」と称された美しい灰色をしています。 ◆龍神ラガルティハ  顔を上に向けて気炎を上げる、巨大なドラゴンの姿で描かれます。ドラゴンたちの神で、彼らには「ドラゴン神ラガルティハ」と呼ばれます。また、トカゲ人たちはラガルティハを「チャ」と呼びます。獣神セリオンとは仲が悪く、自分が自然界の頂点であると互いに主張しあっています。龍とは虫類を司ります。  ラガルティハが創り出した最初の龍が「歌う者バスケス」で、この龍を含めてアランツァにはドラゴンが108体しか創られませんでした。そして、ドラゴンは増えないので、今ではかなり数が減っているようです。 奨励:もっとも優勢な種族である龍族の繁栄を目指すこと。 職業:【秘術師】 種族:【地龍(リンドヴルム)】 英雄:歌う者バスケス。強い秘術によって召喚される「神の子」。 英雄:黄金龍オレニアックス。「水上都市サン・フランチェスコ」の守護者。今は同市の広場にて長い眠りについており、ほとんど目覚めることがない。 ◆海神ホリィドゥーン  「聖なる夜明け」の意味を持つ海の神は、アランツァの船乗りたちが信仰する海の神です。屈強な男の人魚、あるいはウロコの生えた脚を持つマーマンの姿で描かれます。手には銛を携えています。海と船を司ります。  ホリィドゥーンは海難から信者たちを守り、安全な航海を約束するとされています。水の精霊たちのあるじであり、海底に豪華な宮殿を構えてそこに住んでいるとも言われています。 奨励:美しき海を愛し、その恵みに感謝して生きること。 職業:【異国魔法使い】 英雄:「海を翔ぶ鳥」「ウロコ脚もつ鳥人」のディアラ。アランツァの主大陸ラドリドと「異郷都市キョウ」の間を休むことなく渡ることのできる、驚異の鳥人。蛇に似た細い縦長の瞳を持つその姿はワイバーンにも似て、龍と鳥人の混血であるとの噂もある。大陸を航海する「貿易都市ビストフ」の船団を難破から救ったことで知られる。 ◆からくり神テクア  テクアは歯車と金属でできた、機械の神として知られます。ノームたちが描くさいには、頭にゴーグルを着けた、ノームの中年女性なこともあります。からくりを司ります。  知的好奇心旺盛で、ノームにからくりの知識を授けたと言われています。 奨励:からくりの実践と研究に励むこと。 職業:【からくり術師】 英雄:思考戦車スミス。「からくり都市チャマイ」で造られた戦車であり、チャマイの軍人であるスミス将軍が戦場で四肢を失った際、本人の強い希望によって、その脳をもとに人格核が構築された。強力な戦車になった後は将軍を辞して、最前線の部隊を率いる部隊長となった。現在もチャマイを守る。 ◆闇神オスクリード  アランツァ世界を終わりに導くことを目標とする、生きとし生けるものの敵神です。アンデッドに力を与えて動かす、その力の源と言われています。  オスクリードは鉄の玉座に座る、王冠を被った骸骨として描かれます。極北に住むクマのような姿で描かれることもあります。 奨励:闇の世界に近づき、悪しきものに親しみ取り込むこと。 職業:【呪術師】 英雄:最凶のアンデッド「死を振りまく女王」ペルディダ。今は「死霊都市フアナ・ニクロ」がある死霊沼の南部に存在した。かつて死霊沼を統治し、生に絶望した者たちの最後の救済者として、その魂と引き換えに永遠の隷属という「救い」をもたらした。フアナ女王との間に交わされた取引によって、現在はフアナ・ニクロの外のどこかに存在している。 ◆死神ベルドゥー  死を司る神。祈りを捧げて待つ等身大のカマキリとして描かれます。言葉を発さない神として知られています。じっと動かないかと思うと、あっという間に近づいて、その手で祈りを刈り取るのです。死を司り、信者が何かを殺すさいには加護を与えることがあります(が、信者が死にそうなときに助けることはありません)。ベルドゥーは悪神ですが、死を神聖なものとして受け止める信徒もいます。   奨励:死神を畏れ敬い、その手に捕らえられないように祈ること。 種族:【死せる砂漠の道化師】 英雄:自然種族のカマキリ人、「祈るもの」レリギオサ。大陸南部にあるブランシェン山の周辺に棲息する。人語を解さず、人間の味方でもない。この地方を「開拓」する人間たちを何度となく攻撃、捕食。彼女に率いられた人間サイズの昆虫たちが、軍隊にも似た統率された行動をする「奇跡」は何度も目撃されている。 ◆混沌神カルネー  もっとも古くから存在する神です。うごめく肉塊から、あらゆる生物の口や眼や鼻、手足がランダムに生えた姿で描かれます。現在は眠りについていると言われています。 奨励:混沌を取り入れ、その力を我がものとすること。 職業:【錬金術師】 種族:【ウーティス(顔のない混沌)】 英雄:白の魔法使い。半神であり、ポロメイア小国家連合で宮廷魔術師を務めていたが、生命の秘密を求めて「混沌都市ゴーブ」へと転居。その後、因縁深き冒険者に殺害された。 ◆クモ神アラネル  人の顔を持つ8本脚のクモですが、そのうちの1本が半分だけ欠けています。アラネルはマイナー種族アラネアの守り神で、この種族自体は邪悪ではありませんが神は邪悪です。  アラネルは新しい神で、その前身は悪魔(魂吸い)だったと言われています。 奨励:クモと昆虫を大切にして、それらの繁栄に尽力する。 種族:【アラネア】 英雄:存在しない。 ◆魚神ペソンブレ  水中に生きる者たちの神です。その姿は魚人そのもので、暗闇でぼんやりと光る瞳を持っています。ペソンブレは自分が創った種族を、太古の時代に海へと投げ込みました。彼らはペソンブレの子ら、あるいは魚神の子らと呼ばれていて、まさに魚人そのものといった外見をしているそうです。  長い年月を経て、これらの魚人はいくつかの種族に枝分かれしています。マーマン、シブリム人、そして末裔(まつえい)と呼ばれる種族ですが、ここではそれらの種族について多くを語りはしません。   奨励:海の底に眠る大いなる神を信じ、その力を讃えること。 職業:【末裔】 英雄:深暗の瞳を持つシブリム人、刺角を持つ末裔クブレス。海底都市の守護者、ペソンブレを信仰する魚人たちを率いる将軍。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 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2026年5月24日日曜日

Ψ『Belleville_Rendez_vous』 日曜ゲームブック FT新聞 No.4869

◆警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告◆ MC said……         『The Outfoxies』vol.6 『Belleville Rendez vous』予告   (BGM 『Belleville Rendez vous』from『ベルウィル・ランデブー』) 「燃えるような恋」ってぇのは、都市伝説の一つだと思っていたけど、どうも認識を改めなくっちゃならねぇらしい。 というのがさぁ、突如、うちらの前に現れた風来坊。 ジローと名乗ったそいつ。なんでもこの街にかつていた「ハートゲッター」ってヒーローを探しているみたいなんだけど。 なんかその捜査途中で、ねぇ。あーた。 相棒の卓球先生の方が、なんかキャッキャウフフワールドへ! いやー、いつになっても、恋愛っていいもんすねー。 俺もそろそろモテますかね」 『The Outfoxies』track06! 『Belleville Rendez vous』予告! チャンネルは決まったぜ! 葉山海月代理、アタック・ザ・ばにぃメイド。 「ましろさんは動かない」ザ・ましろでした。 あ、そうそう。 今回は俺視点と卓球視点という一粒で二度おいしい物語が用意されている。 途中から主人公が切り替わることもあると思う。 「俺」視点で描かれているのが俺サイド、三人称で描かれているのが卓球サイドの話だ。 よろしくな! ◆緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news◆ おっと! 速報だ! スペシャルコンテンツ! なんとWEBブラウザゲーム版が同時公開! {BGM}も、、俺の声も拝める、もとい聞ける豪華仕様! このままアニメ化、ついでに「ローグライクハーフ」化 さらには映画化でカンヌとしゃれこみたいもんだね。 うん。希望と妄言はいくら言ってもタダだかんに。 WEBブラウザゲーム版を作っていただいた水波編集長。 そして支えていただいた皆さんに感謝を込めて! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ The Outfoxies vol.6 『Belleville Rendez vous』 著:葉山海月  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ツヅキハコチラツヅキハコチラツヅキハコチラツヅキハコチラ ↓ https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Belleville_Rendez_vous.txt ↓WEBブラウザゲーム版はこちら(「BGM」ONがお薦め!) https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/belleville_Rendez_vous.html ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月23日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第693号 FT新聞 No.4868

From:水波流 娘が小学校の図書委員になり、貸出作業の話をしてくれ、ふと図書貸出カードってもう無いんだなぁと。 小学時代に誰も読んでない本のカードに名前を書くのが誇らしかった記憶。 「耳をすませば」の話をしてみたが「ちょっと意味がわかんない」と言われました。(まぁ仕方ない) From:葉山海月 罪深くて毛深い、っていうのはありなんでしょうか? From:中山将平 僕ら、今日5/23(土)と明日5/24(日)の両日、幕張メッセで開催の「ゲームマーケット2026春」にサークル参加しています! 配置は【に42】です。 発売の新刊は2冊。「ロ—グライクハーフ 常闇の伴侶」と「ヒューマンズ!ヒューマンズ!」。 僕自身も現地に行っております!(カエル人の本もあります) ぜひ遊びにお越しいただけましたら! また、5/31(日)には、FT書房とギルド黄金の蛙の両方がインテックス大阪で開催の「SUPER COMIC CITY 33 -day3-」にサークル参加します。 お近くの方は、そちらもぜひご注目いただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (明)=明日槇悠 (く)=くろやなぎ (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■5/17(日)~5/22(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年5月17日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4862 ローグライクハーフシナリオソムリエ その4『我ら、その速さに命運を賭す』 ・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第4弾をお届けしました。 ローグライクハーフのシナリオには、「特殊ルール」が設けられることがあります。公式シナリオであれば『巨大樹の迷宮』を登っていく程に難易度が上がっていく【高度】ルールなど。そんなシナリオの肝にもなる「特殊ルール」を上手く組み込んだのが、リプレイ連載もされている東洋夏氏の作『我ら、その速さに命運を賭す』です。 ジャンルはズバリ、騎乗生物による「レース」! あなたのPCは果たして1位の座をゲット出来るでしょうか? 是非チャレンジしてみて下さいね! プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜! (天) 2026年5月18日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4863 「アランツァへのいざない」第4回 ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載、今回のお話は「貨幣と流通」「アジール」「フェーデ」「決闘裁判」「はざま」について。 「アジール」や「フェーデ」と聞いても多くの方はピンとこないとおもわれますが、現実の世界にあるものなんですね。人と人が暮らしていれば出てくる仕組みなので、アランツァにもある。翻って自分たちが今いる世界についても詳しくなれる学識的な解説です。 一方で、「はざま」はアランツァというファンタジー世界特有のものです。そこにいる誰でも「はざま」という何かに落としものをして、記憶を忘れたり、小物を失ったり、やれていたことが急にできなくなったり、いきなり情熱をなくしたりするのです。「不運の日々」と呼ばれる5日間は1年の「はざま」にあたり、都市の広場でこの世の者たちではない何かによる市場が開かれるので、これが失ったものを取り返すチャンスでもあるのだとか。 ファンタジーの方向性の違う魅力がいっぺんに詰まった設定の数々。まだあなたが知らないアランツァへようこそ! (明) 2026年5月19日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4864 ゲームブックにおける死と物語 第6回:「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語 ・編集部員くろやなぎが不定期でお届けしているゲームブック考察記事、今回取り上げた作品は『魔人竜生誕』です。 「ヒーロー物」を完全再現する、というコンセプトのもとで書かれたバトル中心のこの作品において、主人公はいつ、どのように死んで、その死はどのように描写されるのか。そして逆に、どんなときは死なないのか。そんな感じのことを「ヒーロー物」としてのゲーム性や物語の展開を踏まえて考えてみました。 先週の火曜日の丹野氏のコラムにおける、「インセンティブ」としての「約束」の話とも関係しているかもしれません。 (く) 2026年5月20日(水)ぜろ FT新聞 No.4865 第1回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第492回。今回からは、寝子氏によるローグライクハーフシナリオ『可愛いあの子に最高のプレゼントを』に挑戦します。 寝子氏のオリジナルワールド「キャトルド」の、人とウサギが共存する街「ウサギノニワ」で繰り広げられる、ほんのりゆるふわファンタジー。ウサナギノミコト少年、通称ウサナギが、ねこ耳しっぽの女の子、りにゃちゃんのお誕生日会に招待され、九匹のウサギのファミリーを引き連れていくというストーリーです。従者ウサギの名前は覚えなくてもかまわないということですが、九匹のウサギの語尾がかわいらしくて楽しいですね。 りにゃちゃんに渡すものを用意しようと街にくりだす一行ですが、はたして無事にプレゼントで喜んでもらえるでしょうか? はじめてのおつかいではありませんが、陰から見守ってあげましょう。そっとそ〜っと…… (明) 2026年5月21日(木)東洋夏 FT新聞 No.4866 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.3 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第3回目をお届けしました。 前回の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、同行者として陽気なコビット兵士のヨンと、いかめしいドワーフの兵士アルゴットを加え、先頭車両を目指します。 今度の車両の中は、一見豪華な晩餐用の食堂車でしたが……? 怨霊列車は容赦ない! お食事中の方は要注意!  (天) 2026年5月22日(金) 水波流 FT新聞 No.4867 RLH『常闇の伴侶』5/23発売!  ・皆さんお待ちかね! 5月23日(土)、24日(日)「ゲームマーケット春2026(幕張メッセ)」にて、 水波流氏が執筆しました、ローグライクハーフ『常闇の伴侶』が発売となります! 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」のd66シナリオであり、「蛮族都市フーウェイ」が舞台です。 ローグライクハーフは基本ルールがWEBで無料で公開されておりますので、これまで遊んだことが無いという方でも、本作だけで遊んで頂けます。 イラストは松本貴子氏 通販は6月上旬予定。 今回は、本作の紹介とともに、物語に込められた思いも余すところなく吐露します。 水波氏の民俗学への深い造形とともに、お楽しみください! (葉) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月22日金曜日

RLH『常闇の伴侶』5/23発売! FT新聞 No.4867

おはようございます。 FT新聞編集長の水波流です。 いよいよ明日、5月23日(土)、24日(日)「ゲームマーケット春2026(幕張メッセ)」にて、 私が執筆しました、ローグライクハーフ『常闇の伴侶』が発売となります! 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」のd66シナリオであり、「蛮族都市フーウェイ」が舞台です。 ローグライクハーフは基本ルールがWEBで無料で公開されておりますので、これまで遊んだことが無いという方でも、本作だけで遊んで頂けます。 イラストは松本貴子さん 通販は6月上旬予定。下記にて予約受付中です。 https://ftbooks.booth.pm/items/8232653 ここからは長文になりますが、作品の紹介をさせて頂きます。  世界の根源たる太古の森に蠢く闇の奇祭  蛮族の男女と共に君は探索に赴く…… 『常闇の伴侶』は、アランツァ世界の北方に位置するフーウェイ地方が舞台の作品です。 〈蛮族都市〉と呼ばれるフーウェイですが、単に粗野で野蛮な未開の部族=ファンタジーでいうところのバーバリアンのような存在ではありません。 私の頭に浮かぶのは、北欧やヴァイキング、またはケルトやネイティブアメリカンの呪術的な風俗など、西洋文明の価値観では計れない、独特な歴史ある文化を持つ人々のことでした。 フーウェイの物語を準備しているときに、私は川の畔を散歩したり、裏山を逍遙したり、自然の中に身を置いて、風の音や草木の匂いを感じるようにしています。 冒険の舞台になるのは、世界の根源的な姿を残すと言われる〈太古の森〉。 その奥深い森に蠢く闇の奇祭を、蛮族のひとりが目にしたところから物語は始まります。 知性を持つ樹人トレント、そして危険な存在である闇エルフたち、森の奥には何が潜んでいるのか。 シナリオの仕掛けとして、背景をもった「特別な従者」を2人(剣士とまじない師)、どちらかを選んで同行して貰うルールを作りました。 ゲーム的には従者の1人ですが、シナリオ中にどんどん話しかけてきて、物語に大きく関わります。 また物語は主人公である「あなた」の選択で、エンディングも分岐します。 私の書くシナリオには、物語が分岐する「選択肢」がよく登場します。それは、作者である私自身が、「どちらが正解か」を選べなかった場面なのです。 ですので、どちらかが正ルートなどではありません。「あなた」が選んだほうが、「あなたの物語」になるのだと私は思っています。 (もちろん、もう一度別の選択肢を選ぶために、それこそローグライクハーフらしく何度も遊んで頂けるというのは作者として大変嬉しいことですが) 私は昔から、善悪二元論というものに懐疑的で、この物語も「自分が信じているものは本当に正しいのか」という考え方が根底に流れています。 この物語を読み終わった後、皆様がどのような感想をお持ちになったのか、機会がありましたらぜひそれをお聞かせ頂ければ、嬉しく思います。 なお『常闇の伴侶』には、その後のフーウェイの物語としてd33『名付けられるべきではないもの』、d33『汝、獣となれ人となれ』というお話があります。 またフーウェイの入門シナリオとして、d33『九つの樹の道』も先日配信いたしましたので、そちらも遊んで頂ければ幸いです! ■書誌情報 『常闇の伴侶』ローグライクハーフd66シナリオ 作:水波流 絵:松本貴子 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行元:FT書房 https://ftbooks.booth.pm/items/8232653 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月21日木曜日

ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.3 FT新聞 No.4866

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.3  (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■    FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!  本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。  ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。  夜を駆け、人をさらう謎の怪物〈怨霊列車〉の調査を依頼されたのは、十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロ。共に調査に参加しようとした師匠は列車によって地上の遥か彼方に置き去りにされてしまい、半人前のシグナスはおっかなびっくり先頭車両を目指して歩き出すことに。生存をかけた冒険の始まりです!  前回vol.2では、列車に乗り込んだふたりが錯乱していた兵士たちを助け、その内のふたりを仲間に加えるところまでをお届けしました。  よく舌の回るお調子者のコビット族のヨンと、巌のようにどっしりといかめしいドワーフ族のアルゴット。四人組になった一行は、次の車両に向かいます。  さあ、怪物の腹の内側には、果たして何が待ち受けるものか。    ちなみに本編の前に申し上げておきますと、今回のリプレイはお食事中の方には向かない描写が出てまいります。予めご了承ください。  また、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。  ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。    前口上はこれでおしまい。  さあ、冒険の始まりです!  ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:8 ・筋力点:4 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨21枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、ランタン 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:7 ・器用点:6 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし    ◇ [2号車]22:晩餐車両  兵士たちに手ほどきされ、シグナスは車両の先頭の扉を開ける方法を会得した。次の車両へは空中を飛ぶ〈怨霊列車〉の繋ぎ目を渡るので、そこにも多少のコツと度胸が必要である。  風吹きすさぶ連結部に立つと、頭上には真っ暗な夜空に輝く一面の星。踏み出そうとする足の遥か下方では、雪原が妖しくほの白い光を放っていた。  今は何処を飛んでいるのだろう。既に廃城は影も形もない。置き去りにされたサー・ノックスも、サン・サレンからの救援の姿も見えない。乗り物といえば馬車、空を飛ぶといえばグリフォンしか馴染みのないシグナスにとって、空飛ぶ列車とは驚異の存在だ。常識外れの度が過ぎて、かえって驚くことを忘れてしまうほどに。  シグナスは平衡感覚を失いそうになりつつも、先に連結部を渡ったアルゴットに手を引いてもらって、ひと跨ぎに次の車両に取り付いた。クロは吹き飛ばされるといけないので、元の鞘の中である。 「先に何があるかは分からん」 と、ドワーフのアルゴット。三つ編みにした彼の髭が、強風にあおられてシグナスの額を叩いた。 「おお、すまん」 「大丈夫です。それより」 「いやいや、おいら達だって開けたさ、何回も」  反対側からコビットのヨンが声を張り上げる。 「だけど開けるたんびに中身が変わるの。おもろだろ。お宝の山に出会うまで開け閉めしたいね」 「けしからん。当初の目的を忘れとる」  アルゴットが顔をしかめ、シグナスに、 「覚悟しておいた方が良いぞ。死の罠であるかもしれん」  そうして開かれた連結扉の先は、しかし禍々しさとは無縁のものだった。  車内にはまた左手に乗降口と、前方に車両内部に続く扉があって、その小さい空間には、ほっとするような暖かな空気が詰まっている。夜空を渡って凍えそうになったシグナスの体は暖気にあたって、緊張をみるみる解いていった。  内部に続く扉を一枚挟んで聞こえてくるのは優雅なリュートの響き。さらに扉の上部にはナリクでもまだ高価なガラスの覗き窓があり、向こう側に煌々と照明が点っていることを伝えていた。 「今回はアタリかも」  ヨンが目を輝かせる。 「きっと派手でおもろだよ」 アルゴットは渋い顔で、 「お前の面白いは信用ならん」 と言った。  シグナスは好対照なふたりの間で、 「行くんですよね?」  コビットのヨンはにっかり笑い、ドワーフのアルゴットは牛のように唸る。行くということだ。  三人が慎重に車輌内部の扉を開くと、食器の触れ合う音がどっと聞こえてくる。豪華に装飾された晩餐用の食堂車らしい。着飾った貴族たちが円形の卓に着き、メイドや執事が客席の間を音もなく滑らかに歩いて給仕をしている。 「いらっしゃいませ。切符を拝見いたします」  やって来た白髪の執事に切符を渡すと、彼は一瞥するなり微笑んで、一行を席に案内した。  シグナスが見るところ、これはかなり格式高い晩餐会に紛れ込んだようである。銀製の食器は鏡になるほど磨き上げられ、ナイフだけでなくフォークまで揃えられていた。   (※さて、見た目は華麗なのですが、ここは〈怨霊列車〉の内側。シグナスたちが目にしているのは幻影による偽物の美しさです。出される食事すら幻で、口にする前にその欺瞞を見破れるか、【判定ロール】ないし【魔術ロール】(目標値4)に挑戦します。なお対象は全員ですが〈おどる剣〉は食事が出来ないため、クロは対象外と判断しました。それではいきます。シグナス=出目3で失敗。ヨン=出目5で成功。アルゴット=出目5で成功。おお、シグナスくん。君は相変わらず判定ごとが苦手な少年のままなのだね……)   「ねえ三つ編みお髭のドワーフどん。この三つ編みにそっくりな三又の痩せっぽちは何者だい」 「黙ってろ、チビ助。俺はこういうのは苦手だ」  ヨンとアルゴットが息ぴったりにシグナスの方を向く。本当に仲良しなんだなとシグナスは思った。 「これはフォーク。指でつまむ代わりに、突き刺すんです。見てて」  シグナスの主人である聖騎士ノックスは、騎士であると同時に大富豪の息子である。如何なる食事の場面で主人と並んでも恥ずかしくないように、一通りのマナーは教え込まれていた。それが〈怨霊列車〉の中で活きるとは、思いもよらない事ではあったが。 (人さらいの列車なのに、何でこんなに高貴な人がたくさん乗ってるんだろう。……いや、僕が今すべきは、目の前のパスタを礼儀正しく食べること。ボロを出したら襲ってくるパターンかも知れないし)  前菜に出されたマカロニをフォークで突き刺す。それを口に入れた時、コビットのヨンが真っ青な顔でシグナスを指さし、けたたましい悲鳴を上げた。 「それ食べ物じゃないよお!」  フォークに刺されたマカロニが、独りでに反り返ってシグナスの鼻にぴたりとくっつく。 「うわっ」  思わず口の中から──主人ノックスと一緒だったら叱られるだろうが──フォークを引き戻したシグナスの目の前で、くねくねと動くマカロニが真っ黒いムカデに変化した。シグナスは悲鳴を上げてフォークを投げ捨てる。美味しそうだったミートソース和えのマカロニは、腐ってドロドロした何かの中にうごめくムカデの群れに変貌していた。 「怨霊共め!」  どんと机を叩いてアルゴットが立ち上がった。その瞬間、幻想の晩餐会は砕け散り、客も執事もメイドも円卓も照明も塵と化す。残されたのは暗闇だけ。  シグナスがランタンに火を灯すと、その鎧の爪先をてらてらと光るムカデが横切って行った。    (※残念ながら判定に失敗したシグナスくんは、次の〈できごと〉が終わるまで攻撃ロールに−1のペナルティ。食感を思い出して力が入らなかったりするのでしょうか、と想像するだけでぞわぞわしてしまいますね。そしてプレイヤーは、前回の冒険『写し身の殺人者』で道中の判定ロールを全失敗したシグナスくんを思い出し、別の意味でぞわぞわしております。気を取り直して次の車両に行きましょう!) ◇ [3号車]21:シスターがいる客室車両  這いずる虫たちから一刻も早く逃れたくて、シグナスは次の車両へと急いだ。宙を渡る恐ろしさも、悪夢の晩餐会を後にできるとあっては何ほどのこともない。 「次もおもろだといいねえ」  コビットの兵士ヨンが、もう早や先程の出来事が喉元を過ぎているらしい調子で言うと、 「面白いものか!」  ドワーフの兵士アルゴットが筋肉質の体を憤りに震わせる。 「いやいや、シグのファインプレーよ、あれは。おもろだったよ」  ヨンが黄ばんだ歯をずらりと見せて笑い、ナリクの従騎士シグナスはいたたまれない気持ちになった。極寒の空の上でも頬が火照るのが分かるほどに。 「からかうでない、このイカれコビットめ」  アルゴットが勢いよく三両目の扉を横に滑らせる。内側は予想に反し、厳粛な静けさに支配されていた。三人はそれでも慎重に、続きの扉を開いてみる。  前の車両とは違って、人の気配がなく薄暗い。かすかな光は所々に置かれたロウソクが発しているようだ。座席は二人がけの長椅子が進行方向を向いて二列に並び、その真ん中が通路になっている。  おぞましさは感じられない。しかし前の車両だって最初は由緒正しいパーティーの一幕のように思ったのだから、感覚を信用することはできないとシグナスは自らを戒めた。今回は失敗をしないように気を引き締めなくては……。  シグナスがランタンを持ち上げてゆっくり歩き出すと、不意に〈怨霊列車〉にふさわしいと思えぬものが、くっきりと薄暗闇の中で輪郭を浮かび上がらせた。神像である。それも無数にある。規則正しく並んでいる座席の幾つかが抜かれて祭壇になっており、そこに諸神の像が置かれているのだった。どうやらロウソクは座席ではなく、神像の足元を照らすためのもの、祈りを捧げる明かりのようである。 「礼拝堂、なのかな?」  シグナスの呟きに、アルゴットが髭をしごきながら、 「どうやらそのようだ」 と賛同する。ランタンの灯りが伸ばしたヨンの影が、きょろきょろと辺りを見渡した。 「この中身は初見だねえ。お、ドワーフどん、お前さんのカタクさんじゃないかい」  ヨンが指さすのは、ドワーフに似た姿で表現される、炎と戦の神である。 「うむ。祈りの時をもらえるか、シグナスよ。いかな邪悪であろうと、カタク神への祈りを歪ませることは出来ぬであろう故に」 「どうぞ」  シグナスが見渡すと、そのひとつの座に、剣を手にした善神セルウェーの像が背筋を伸ばして立っておられた。ロング・ナリクの聖騎士はセルウェー神の恩寵によって、奇跡を起こす力を授かる。そしてナリクにおいてセルウェー神は〈唯一神〉だ。何より、シグナスはセルウェー教の聖堂に附属する孤児院で育ってきたのである。このように他宗教の神と一緒くたに並べられるというのは、シグナスの心を波立たせるものだった。主人サー・ノックスであったら何と仰るだろう。  コビットのヨンが獣神セリオンの像の足元に置いてあった器を引っくり返したらしい。派手な音が車両に響き渡る。 「おい!」 と祈りを中断してアルゴットが怒鳴った。ヨンよりもシグナスの方が驚いて跳び上がり、 「おもろだねえ。金貨があったよ」  サン・サレンの金貨を指先につまんで他人事のように言ったヨンのその脳天に、アルゴットが拳骨を落とす。 「騎士様の前で盗みなど、このイカレ──」 「お静かになさいませ」  唐突に放たれた女性の声に、三人は一斉に動きを止めた。最前列の椅子が軋んで、何者かが立ち上がる。 「何奴!」  アルゴットが斧を手に誰何した。板張りの床を踏む軽い足音を響かせて、ランタンの灯りの内側に、怖がる様子もなく黒衣の女性がすたすたと歩み入って来る。  シスターだ、とシグナスは理解した。セルウェー教の装束では無いが、雰囲気で分かる。聖堂付き孤児院で幼い自分を世話してくれたような、神に仕えるシスターに違いない。黒いベールの下から覗くハシバミ色の瞳が、三人を順に見渡した。 「皆様、そのように大きな音を立てられては、子供たちが起きてしまいますわ。それに神々の御前です。礼儀をわきまえていただかなくては」  シスターはなおも斧を構えたままのアルゴットを見、 「ここは清浄です。魔が入ることはできません。暴力を振るう場所ではないのよ」 と言った。不承不承の様子でアルゴットは斧を下ろす。微笑んだシスターは付け加えた。 「静かにしていただけるなら、お座席で休まれても構いません」  しかし、シグナスは急ぐつもりである。背中を向けようとしたシスターに、慌てて声をかけた。 「あの、待ってください。教えていただきたいことがあります」 「何かしら」  三人の中で最年少のシグナスが代表して発言したことに、恐らくシスターは意表をつかれたようである。振り返った彼女は、驚きに目を丸くしていた。 「この〈怨霊列車〉に……」 「しいっ!」  シスターは唇に指を当て、シグナスの言葉を制する。 「あの……」 「いけません。語らないからこそ保たれているのです。語れば、気づかれてしまう」  不意に〈怨霊列車〉の甲高い汽笛が鳴って、列車を震わせた。  シスターは目を伏せる。いったい何に気づかれるというのだろうか? しかしそれも問うことは出来ないらしい。今のは〈怨霊列車〉からの警告だ。シグナスは仕方なく、全ての質問を心の奥に押し戻す。  シスターは聞き分けの良い子供を見るような笑顔になって、こう続けた。 「もしよろしければ、神の恵みなどいかがでしょう? お布施をいただけるなら、ですけども♪」  (※ここでは、以下のふたつをシスターにお願いすることが出来ます。   ・【休憩】して生命点と副能力値の回復ができる   ・金貨5枚で食料を1食分売ってくれる シグナスくんはヨンたちを助けるためにすべての食料を使ってしまいましたから、ここでシスターから買わせていただきましょう) ◇  今回のリプレイは、ここまでです。    ちなみにシスターから買わせていただいた食料は「篭に入ったワインとバケット」だそうです。未成年飲酒はどうなんだと思いましたが、実際に中世では未成年でもお酒を飲んでいたそうなので、このままの描写で進めたいと思います。孤児院時代はさておき、聖騎士に仕えるようになってからは飲んでそうですね。  赤なんだろうか、白なんだろうか、ブドウの産地は何処なんだろうか、とか考え出すとこのひとつの描写から無数に物語が広がりそうですし、もっと大人な冒険者ならここでシスターとワイン談義が盛り上がるのかもしれません。  ローグライクハーフ経験者の方は、是非うちの主人公ならどういう反応をするかと考えてみてください。きっと面白いですから。  それではまた、次の車両でお目にかかりましょう。  良きローグライクハーフを!   ◇    (登場人物)  ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。しばらくマカロニが食べられない。  ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。元は人間かつ騎士だと主張している。  ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。  ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。  ・謎のシスター…怨霊列車に乗り込んだシスター。正気を保っているが、存在のすべてが謎。そのワインとバケットは何処から!? ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 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2026年5月20日水曜日

第1回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4865

第1回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「可愛いあの子に最高のプレゼントを」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●はじまり 「おてがみきてたよ。うさなぎ宛て〜☆ミ」 食器の片づけを済ませ、ベッドメイクをし、そろそろお風呂に入ろうかなってタイミング。 ファミリーウサギの一匹がそんなことを言いながら、トコトコと手紙を持ってきてくれた。 「ウサミ、ありがと」 僕は受け取ると、さっそく開封する。 そこには、文字をならいたてといった子どもの文字で、こんなことが書いてあった。 「りにゃの たんじょびパーティに きてくだちい!」 あ、これ、招待状だ。 りにゃちゃんの誕生日会のお誘いだ。 りにゃちゃんは、ねこ耳とねこしっぽの女の子。 ちょっと前にちょっとした事件で知り合った。 ここは、おしゃべりするウサギがたくさん住んでる不思議な世界。ウサギノニワって呼ばれてる。 だから、ねこ耳とねこしっぽの女の子はめずらしい。 そんなりにゃちゃんには、リナちゃんってお姉さんもいる。 ねこ耳の子のお姉さんなのに、リナちゃんは普通の人間。なんでだろ? リナちゃんのペンダントを、森へ逃げた仮面ウサギから取り返しに行ったのが、知り合ったきっかけだった。 ほかにも、森の中の魔王城に、りにゃちゃんのおともだちの黒ウサギ「ふぃあ」を取り戻すために乗り込んだりもしたっけ。 今では、魔王ウサギとはおともだちで、ときどきみんなでお城に遊びに行ったりもしている。 もしかしたら、このお誕生日パーティ、魔王様も呼んでるのかな? 招待状の下の方には、パーティの開催日時が書いてあった。 ……って、明日の午後なんだけど!? なんで手紙、こんなギリギリに届いたの? どっかで迷子にでもなってたのかな? 「ちがうの。ポストからはみでて落ちてたのよ☆ミ」 そっか。それじゃしょうがないね。 逆に、見つけてくれてありがとだね、ウサミ。 気づかなかったら、明日ドタキャンしちゃうとこだったよ。 「えっへん☆ミ」 でもどうしよう。誕生日のパーティなんだから、プレゼント持ってかなきゃだよね。 今日はもう夜だからお店も閉まっちゃってるし、どうしよ。 すると、うちのたくさんいるファミリーウサギたちが、口々にいろんな提案をしてくれた。 「あしたの午前にピュンっと行って用意するピュン」 「いつもの森の採集はおやすみにするヒコ」 「いっそ森に行けば、プレゼントになりそうないいもの見つけられるかもニャン?」 「『街』にプレゼント買いに行ったほうがよくなくない?☆ミ」 「だったら両方行っちゃうチュウ」 「時間足りないマル〜」 「早起きすればだいじょぶマロ」 早起きしなくても、いつもどおり日の出とともに起きれば、両方行ってもじゅうぶん間に合うと思うよ? 「それもそうね☆ミ」 じゃあ、明日の予定も決まったところで、今日はもう寝よっか。 「「「「はーい」」」」 森と街へ、りにゃちゃんのプレゼント探しか。 明日は忙しくなるぞ。 ■ローグライクハーフとは ローグライクハーフの世界へようこそ! ローグライクハーフは、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 一人でもプレイできますし、三人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、実際に遊んだ様子に脚色や演出を加えて、物語ふうに書き記したものになります。 自分が設定したキャラクターを冒険の舞台に立たせた記録は、ゲームプレイの思い出に、さらなる感動をもたらしますよ。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑戦するのはローグライクハーフ「可愛いあの子に最高のプレゼントを」になります。 著者は寝子さん。読みは「ねこ」ですが、作品ははウサギ愛に満ちあふれています。 寝子さんのオリジナルワールド「キャトルド」。「ウサギノニワ」が舞台の作品をいくつも公開しています。 おしゃべりするかわいいウサギたちがくり広げる、ほんのりゆるふわファンタジー。 あとは読みながら雰囲気を把握していただければ。 この作品はローグライクハーフのリプレイなので、「可愛いあの子に最高のプレゼントを」のシナリオに沿った冒険をします。 本作品は、d22シナリオです。 ローグライクハーフでは、6×6個のイベントが用意されているd66シナリオと、3×3個のイベントを配置したd33シナリオが主流なので、これはちょっと珍しいですね。 d22シナリオというと、2×2で合計4個のイベントがある計算です。 でも、ランダムなイベントを潜り抜ける作品でイベント4個は少なく感じられますよね。 本作品では、「森編」「街編」に分かれてそれぞれ4個ずつ、合計8個のランダムイベントが置かれています。 ちょうど寝子さんの前作「ウサギクエストR」がこれに似た構造でした。 主人公は、ウサナギノミコト。通称ウサナギ。 ウサギ使いの少年です。 九匹のウサギのファミリーを従者として引き連れていて、普段は森へ採取などをして生計を立てています。 従者ウサギの名前は、ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ、ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ。 セリフの語尾に特徴をつけているだけのウサギたちなので、覚えなくてもかまいません。 戦闘の際には全員一斉の先制攻撃で、反撃の隙を与えずに倒しきるのが基本スタイルです。 ウサナギたちはこの冒険の前に「仮面のウサギを追え!」「ウサギクエストR」というふたつの作品をクリアし、成長してきました。 ここにステイタスを表記しておきます。データをあまり参照せず、物語の雰囲気を追いたい方は、読み飛ばしていただいてかまいません。 【ウサナギノミコト レベル12 技量点:1 生命点:8 筋力点:4 従者点:9】 【装備】 ピコピコハンマー(片手打撃)初撃+1 丸盾(生命点+2) ウサギ使いの服(生命点+2・防御+1) 【食料】0 【金貨】62 【持ち物】 強化ポーション(1ラウンド消費攻撃+1/金貨30枚) ブラウンダイヤの結婚指輪(金貨30枚) 魔王の宝玉(金貨25枚) 【全力攻撃】【全力防御】【かばう】 【未使用経験点】2 【従者】 ドリルウサギ(弓兵扱い)四匹(ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ) ノウサギ(剣士扱い)五匹(ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ) さっき私は「成長」と書きましたが、スマンありゃウソでした。 【未使用経験点】が2点。2回分の冒険で貯まる分です。 つまり、まるで成長していない。 でも、武器がパワーアップしていたり、連れているウサギが兵士扱いから剣士扱いになったりしてますから。 さあ、それでは本編に入りましょう。 プレイを始める前のおことわりを。 「ローグライクハーフ」のルールは、FT新聞誌上の発表も含み、追加要素などもいろいろ発表されています。 しかし忙しい私はあれこれ参照しきれません。 そこで今回は、冊子版の「基本ルール」と「可愛いあの子に最高のプレゼントを」のみを参照してプレイしています。 さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 ●アタック01-1 街でプレゼントを探そう! 僕たちは街へとやってきた。この街「ウサギノニワ」は、人とウサギが共存する素敵な場所だ。 僕もいつも、森での採取品を売りにきては、食料品などを購入している。 都市オプション「ウサギノニワ」があれば、ここだけにある希少な装備品なんかも手に入れられる。 けれども今日の僕たちは目的が違うし、時間もないからそれはできないのだった。残念。 街にきたのはいいけれど、どこを見に行こうかな。 りにゃちゃんが欲しがりそうなものがわからない。 「だったら大通りをつきぬけて、めぼしいものをさがすヒコ」 「そのまま森へとピュンって」 そうだね。まっすぐ森へ抜ける道をたどって、何かいいものがあるか探してみよう。 さあ、ここからは、ランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めていく冒険が始まる。 本リプレイでは、サイコロを振ってイベントが決まったら、次にあるような表記でイベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていくことにする。 【12 あなたが落としたのは】 大通りで、茶髪の女性がキョロキョロとあたりを見回しながら歩いていた。 ベンチの裏をのぞいてみたり、記憶をたどるように立ち止まって思案していたり。 まるでなにか、探しものをしているみたい。 「アタチがきいてくる!☆ミ」 ウサミがしゃたたと女性に駆け寄り、少し会話して戻ってきた。 「あのね、落としものしちゃったんだって! それで来た道を思い出しながら戻ってるトコ☆ミ」 そうなんだね。じゃあ、僕たちも手伝ってあげよっか。手分けして探したらきっと早く見つかるよね。 「じゃあ、だれが見つけるか競争タロ」 「ピュンって見つけてやるピュン」 「もう探しチュウ〜」 ウサギたちは一斉に散っていった。 ちょっとちょっと、気が早すぎだよ。 僕は茶髪のお姉さんに近寄ってあいさつすると、なにを落としたのか聞き取る。 新しめのウサギ柄のお財布らしい。 みんな、どんな落とし物かも聞かないで、なにを探すつもりでいるんだろう。 やがて、ウサギたちが次々と、思い思いのものを持って戻ってきた。 「あなたが落としたのは、この黄色いハンカチですコ?」 「はつねミクの缶バッジひろったニャン」 「こっちはソールくんのアクスタ☆ミ」 「つまようじ!」 「ねこ足もようのサイコロ!」 「かんでんち!」 「みみかき!」 「竜鍵諸島のキャラクターマグネット!」 「ニナ・ガーデンハートさんのセミヌードしおり!」 ちょっとちょっと、普通にこの世界になさそうなものが並んでるんだけど。 君たち、今目の前にあるものを列挙してるだけでしょ。 落としものはお財布なんだって。 「まちがえちゃった、てへぺろ」 僕たちはもう一度探してみたけれど、残念ながら見つけることはできなかった。 「探してくれてありがとう。もしかしたら家に置き忘れたのかもしれないから、一度戻ってみるわ」 お役に立てず、ごめんなさい。 「いいの。みんなで探してくれて、うれしかったから」 お姉さんはお礼にアメちゃんをウサギたちに配ると、去っていった。 なんの成果も得られなかったうえにアメちゃんまでもらっちゃうなんて、もうしわけなかったな。 さあ、いくよ。 僕は、自分がもらったアメちゃんがなに味かで盛り上がっているウサギたちに声をかけた。 [プレイログ] 財布を落とした女性 発見は器用ロールで目標値5 ウサナギ サイコロの出目2+技量点1=3 失敗 【11 焼きたての香り】 ウサギたちがアメちゃんをなめ終える頃、香ばしい匂いが大通りに漂ってきた。 これはぜったい、パンやさんだ。いってみよう。 そこはウサギのパンやさん。 両親ウサギと、カラフルな四匹の子ウサギたちが、パンを売っていた。 子ウサギたちはそれぞれの色から、チョコちゃん、リンゴちゃん、レモンちゃん、オモチちゃんって名前なんだって。 いろんなキャラクターの形をしたパンが並んでいた。同じ形のものはいっこもない。 キャラクターのアイディアは子ウサギたちが考えて、みんなで作ったんだって。 ウサギさんの形のパンもあったけれど、僕の目を引いたのは、ねこの形のパン。 これならりにゃちゃんの誕生日のプレゼントにもよさそう。 パーティにはたくさんの料理が並ぶけど、パンなら後で食べてもらってもいいもんね。 ほかにもっといいプレゼントを見つけたら、僕たちで食べちゃってもいいんだし。 僕は焼きたてのパンをひとつ購入した。 そんな僕の様子を物陰から観察する影たちの存在に、僕たちはまだ誰も気づいていなかった。 [プレイログ] パン1個金貨2枚で購入可能。 プレゼント用か食料用、どちらか1個しか購入できない。 プレゼント用に購入。 焼きたてのねこパン(プレゼントランク1)入手。 金貨62枚→60枚 (元ネタは絵本「からすのパンやさん」) 次回、トラブル発生?! 【ウサナギノミコト レベル12 技量点:1 生命点:8 筋力点:4 従者点:9】 【装備】 ピコピコハンマー(片手打撃)初撃+1 丸盾(生命点+2) ウサギ使いの服(生命点+2・防御+1) 【食料】0 【金貨】62→60 【持ち物】 強化ポーション(1ラウンド消費攻撃+1/金貨30枚) ブラウンダイヤの結婚指輪(金貨30枚) 魔王の宝玉(金貨25枚) 焼きたてのねこパン 【全力攻撃】【全力防御】【かばう】 【未使用経験点】2 【従者】 ドリルウサギ(弓兵扱い)四匹(ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ) ノウサギ(剣士扱い)五匹(ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ) ■登場人物 ウサナギノミコト 通称ウサナギ。ウサギ使いの少年。 りにゃ ねこ耳ねこしっぽの女の子。誕生日パーティするよ。 リナ りにゃの姉。仮面ウサギに大事なペンダントを盗まれたことがある。 魔王ウサギ マオウサギ。いろいろあったけど今はりにゃのトモダチ。 ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ ドリルウサギ。ウサナギのファミリー。 ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ 普通のウサギ。ウサナギのファミリー。 ■作品情報 作品名:「可愛いあの子に最高のプレゼントを」 作者・イラスト:寝子 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 可愛いあの子に最高のプレゼントを(冊子版) https://lennon257.booth.pm/items/6915985 可愛いあの子に最高のプレゼントを(ダウンロード版) https://lennon257.booth.pm/items/6713417 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! 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2026年5月19日火曜日

ゲームブックにおける死と物語 第6回:「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語 FT新聞 No.4864

おはようございます。FT新聞編集部員のくろやなぎです。 本日は、『ゲームブックにおける死と物語』の第6回として、『魔人竜生誕』(著:松友健、2006/2016年、創土社/幻想迷宮書店)における死と物語についての考察をお届けします。 前回までの5回の記事で取り上げたゲームブックには、それぞれある程度の割合で、「死のパラグラフ」とでも言うべき、主人公が死んでゲームオーバーとなるパラグラフが含まれていました。 それらの作品では、主人公(読者)が特定の選択肢を選んでしまうと、何らかの罠や攻撃、アクシデントなどによって主人公は死亡し、物語はそこで唐突な終わりを迎えるようになっています(ただし、「輪廻」や「時の魔法」や「予知」といった特殊なギミックが発動しなければ、ですが)。 そうした「死のパラグラフ」は、ゲームとしてのバッドエンドであると同時に、物語としての奥行きや多層性の源泉でもありました。むしろ「死のパラグラフ」は、それぞれの作品のテーマや世界観を、ゲームブックという形式で表現する上での、本質的な要素のひとつだとも言えるかもしれません(前回取り上げた『ミラー・ドール』でも、記事の中では言及しなかったのですが、やはり印象的な「主人公の死」のパラグラフがいくつも存在します)。 一方、今回取り上げる『魔人竜生誕』には、そのような「死のパラグラフ」がほとんど見当たりません。 『魔人竜生誕』は、作者の言葉を借りれば「特撮番組や少年漫画でおなじみ、超人ヒーローバトルの世界をちょっと行き過ぎなぐらいに完全再現」した作品であり、敵を倒すか、それとも主人公が倒されるか…という状況が物語の中では何度も繰り返されます。にもかかわらず、主人公の敗北や死がしっかりと描写されるパラグラフは、全部で600パラグラフを超える作品のスケールを考えれば、ごくわずかしか存在しない、と言ってよいくらいです。 今回の記事では、主人公の死に関する数少ない描写の内容や、そのような「描写の少なさ」自体を手がかりとして、私なりの視点から『魔人竜生誕』の物語を読み解いていきたいと思います。 記事の中では、物語の具体的な展開や結末、作品全体の構造などにも言及していますので、作品を未読の方はご注意ください。 実際に作品を読みたい・遊びたい、という方は下記のリンクからどうぞ。 [幻想迷宮書店ホームページ内、『魔人竜生誕』紹介ページ] https://gensoumeikyuu.com/gb10/ また、記事の作成にあたっては、作者である松友健氏のホームページも参考にしています。直接的に参照・引用した内容については、「作者の言葉を借りれば〜」のような形で、そうとわかるように記載しました。 [松友健ホームページ『駄人間生誕』内、『魔人竜生誕』コンテンツトップページ] https://matutomoken.web.fc2.com/page014.html なお、『魔人竜生誕』は、2006年に創土社から刊行された後、遊びやすくなるよう大幅に改良された上で、Kindle対応の電子書籍として2016年に幻想迷宮書店から改めて刊行されています。 創土社版と幻想迷宮書店版では、ルール説明の記述やフラグ管理の方法、パラグラフ構成等の一部が異なりますが、記事内での説明に際しては、できるだけ両方の版に当てはまる表現にした上で、バージョンによる差異がある点についてはそのことを明記しました。また、上記の松友健氏のホームページにおける『魔人竜生誕』のコンテンツは、サイト内の更新履歴によれば、創土社版の刊行直後に書かれたものが中心となっているようです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブックにおける死と物語 第6回:「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語  (くろやなぎ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ■『魔人竜生誕』における死とゲームオーバー まず、『魔人竜生誕』の物語の基本設定や、全体的な構造について整理させてください。 主人公である羅田 明(作品の地の文における「俺」。以下、「明」と呼びます)は、下町の零細工場を営む23歳の男性であり、肉体労働に従事しているので「体力ならそこそこある」という程度の、「特にどうという事のない」一般人でした。 ある日、仕事帰りの山道でトラックを走らせていた明は、山の上から突然現れた巨大な虫のような怪物に襲われ、わけもわからないうちに致命傷を負ってしまいます。 怪物は去り、後には瀕死の明が残されますが、そこに「誰か」の気配が近付き、明に「何か」を与えます。 その「誰か」は、自然の神のひとりであり、与えられた「何か」は、いちど殺された明を、超自然の戦士である「霊神将」として生まれ変わらせるための力でした(ここでの「神」とは、超越的・支配的な存在というより、もっと身近で人間的な、自然から生まれた精霊のような感じの「神」です)。 やがて目覚めた明は、「翼をたたんだ竜」のような姿の鎧を身にまとっており、そこにいた神(どのような神なのかは、そこまでの明の行動によって決定されます)から、自分が霊神将として生まれ変わったことや、先ほど自分を殺したのが「邪魔神」の眷属であったことなどを知らされます。 明は、異様な状況と知らない単語だらけの話に困惑しますが、結局は状況を受け入れ、先ほどの怪物を倒します。そして、自然と頭の中に浮かんだ「猛竜・ジーレギオン」という名を名乗り、自らの「主神」となった神をパートナーとして、敵である邪魔神の眷属たちと戦うことを決意するのでした。 以上が、この作品の導入部分のストーリーであり、「魔人竜」(すなわち、霊神将である「猛竜」ジーレギオンとしての主人公)の「生誕」に至るまでの経緯です。 その後、明は主神とともに、いったん元の人間の姿で日常生活に戻りますが、世間では邪魔神の眷属たちが引き起こす事件やトラブルが次々に起こりつつあり、明もそんな事件やトラブルにしばしば巻き込まれます。 そこでは、一話完結型のテレビ番組や連載漫画のように、  事件やトラブルの発生 → 探索行動 → 邪魔神の眷属との対決 → 一件落着 という定型的なサイクルが何回も繰り返され、このサイクルを通じて、明は霊神将としての能力を高めていきます。 やがて明は、敵の親玉である邪魔神そのものとの対決の時を迎えます。 そこで起きる出来事は、明がそれまでに積み重ねたさまざまフラグの組み合わせによって変化し、さいごに邪魔神を倒すことができれば、約20種類のマルチエンディングのいずれかに辿り着くことができます。 ざっくりまとめると、『魔人竜生誕』は、  導入(「魔人竜」の「生誕」) → 邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクル(主人公の成長とフラグ立て) → 邪魔神との最終決戦(フラグの回収) → 終幕(マルチエンディング) という感じの構造になっていると言ってよいでしょう。 さて、物語の導入部分から、作品の大半を占める、邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクルに入っていくとき、主人公の死やゲームオーバーに関する記述に、ある変化が起こります。 以下は、先ほど述べた物語の導入部分で、まだ普通の人間だった明が怪物に遭遇したときの、明の死に関する描写の一部です。  俺は……唐突に目の前が真っ赤になった!衝撃!地面が足元に無い!液体が器官に溢れかえり、呼吸が全然できない!  自分の胸部が背中から巨大な鉤爪で貫かれていることも、人間離れした怪力でそのまま持ち上げられている事も、そしてもう絶対に助からない事も、何一つとして俺には理解できない。投げ捨てられ、俺は地面にべちゃりと張り付く。俺は死ぬ。 ここでは地の文の語り手としての明、すなわち「俺」が、怪物になすすべなく殺される様子が鮮明に語られています(ただし、これでゲームオーバーになるわけではなく、物語はこのまま明の蘇生、すなわち「魔人竜」の「生誕」の場面へと続きます)。 また、明が霊神将として生まれ変わった直後、それまでの明(としての読者)の選択によっては、明は全てを忘れることにして「帰る」ことができますが、その先のパラグラフは以下のような記述で終わります。  ニュースは今まででは有り得ないほど多発する凶悪犯罪を連日報道しだした。しかも、犯人が不明の事件があまりにも多いという異常事態。これはいつまで続くのだろうか……。  だが、これはもはや俺にとって関わるべきでない事なのだ。 これは、作品中で唯一の、ゲームオーバー(邪魔神が倒されることのないバッドエンド)のためだけに用意された専用のパラグラフです。 電子書籍である幻想迷宮書店版では、通常の(邪魔神を倒したあとの)エンディングには「あとがき」へのリンクが付いていますが、このパラグラフにはそのようなリンクが存在しません。ここに辿り着いた読者は、何も遷移先も示されない文章の最後に、パラグラフの終わりを示す「▲」のマークだけがぽつりと添えられているのを見ることになります。 このように、作品の導入部分の、明が霊神将として生まれ変わる前やその直後の時点では、明の「死」の様子は文章としてはっきりと描写され、ゲームオーバーになるときは、そのための専用のパラグラフが用意されています。 一方、明が霊神将・ジーレギオンとして戦う覚悟を決め、自分を「殺した」怪物と再び対峙する段階になると、明の死やゲームオーバーに関する記述は、以下に引用するパラグラフのような形に変わります。  俺の攻撃が外れた隙をつき、ガヌァヴが鉤爪を叩きつけてきた。その爪がヌラヌラと光っているのが見える。直感的に、それが毒液の光沢だとわかった。俺はとっさに手甲を使ってブロックする。  俺に対する奴の攻撃力は11。防御に失敗すれば、俺は3点の生命力を失う。  結果、生命力か持久力のどちらかが0以下になっていれば俺はここで倒れる。防いだにしろ食らったにしろ、戦えるなら反撃するしかない。[以下、創土社版では「技の使用番号に10を足した項目へ進み、再度攻撃せよ。」という記述があり、幻想迷宮書店版では「技を選べ。」という記述とともにそれぞれの技へのリンクが示される。] このパラグラフでの記述と、先に引用したパラグラフでの描写との違いは明白でしょう。 ここでは、明の死やゲームオーバーは、ルールに則った戦闘処理の説明の一環として、パラグラフの途中に溶け込むように、事務的かつ汎用的な表現で記述されています。 「生命力か持久力のどちらかが0以下に」なった明が、どのように敵の鉤爪に貫かれ、どんな最期を迎えたか、このパラグラフの文章は何も描写しません。また、ゲームオーバーになったことが、パラグラフの最後の「遷移先の不在」によって示されるわけでもありません。「俺」による説明は、「死」の説明からシームレスな形で、改行すらされずに、そのまま「戦える」場合(生命力も持久力もまだ1以上残っているとき)の遷移先の説明へと移っていってしまいます。 ここで戦闘処理の結果から「俺」の死やゲームオーバーを判断し、その最期の様子を(心の中で)描き出す役割は、すべて読者の側に委ねられているのです。 以降、何度も繰り返される邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクルの中では、明の死とゲームオーバーはすべて、後から引用したパラグラフと同様に、戦闘シーンの途中に「生命力か持久力が0以下になっていれば〜」と挟み込まれる形で提示されます。 最初の方で引用したような、明の死の描写やゲームオーバーのためのパラグラフは、ゲームブックとしてはとりたてて珍しいものではありませんが、この作品の中では、むしろ異質でイレギュラーな存在となっています。それらの描写やパラグラフは、『魔人竜生誕』における死の描写やゲームオーバーのパラグラフの「不在」や「稀少さ」を、かえって浮かび上がらせる役目を果たしている、と言ってもよいかもしれません。 ■『魔人竜生誕』における戦闘と物語 『魔人竜生誕』の大部分では、主人公の死やゲームオーバーに関する記述は、個別的な描写や専用のパラグラフを伴わず、戦闘シーンのパラグラフの中に汎用的な表現で埋め込まれています。 このことは、作品のどのような特性を反映し、作品においてどのような意味をもっているのでしょうか。 作者のホームページには、『魔人竜生誕』のコンセプトについて、「とにかく強い主人公が同じぐらい強い敵と一般人立ち入り禁止レベルの戦闘を延々と繰り返す話」と表現している箇所があります。 そして、この冗談めかした表現には、この作品における主人公の死やゲームオーバーの位置付けに関する、本質的な要素が含まれているように思います。 『魔人竜生誕』の作品世界において、霊神将となった明は「とにかく強い」存在であり、彼の前に立ちはだかる邪魔神の眷属たちも、「同じぐらい強い」存在です。彼らの戦いの前で、「一般人」はひたすら無力であり、そこはまさに「一般人立ち入り禁止」の領域に他なりません。 物語の開始時点で、読者はすでに戦闘ルールに関する説明を受けており、主人公の明には、最初に読者が決めた能力値が設定されています。しかし物語の導入部分で、怪物に襲われ、逃げたり隠れたり殴りかかったりする明には、戦闘ルールに沿った判定や処理も、能力値の増減も、いっさい求められることはありません。まだ「一般人」である明は、目の前の怪物とは能力の次元が全く異なるため、それらの戦闘ルールや能力値はそもそも無意味で、適用される余地がないのかもしれません。 作者曰く、『魔人竜生誕』は「バトル中心」のゲームブックであり、「強制的に何度もやらせる」(「延々と繰り返す」)ことになる戦闘システムこそが、「ヒーロー物を再現」するための作品の核に他なりません。作者の言葉を引用すると、この作品の戦闘システムは、  1:ヒーローが終始優勢である事はあまり無い。何度か技をはね返されたりする。  2:ヒーローは勢い重視の戦いを好む。さっきまで大ピンチでも、突破口を見つけた途端に敵を滅多打ちにして最終奥義に繋げたりする。  3:ヒーローが最強技をクライマックスで放てば敵は死ぬ。 という「ヒーロー物」の条件を満たすように設計されています(その具体的な設計内容は、作者のホームページで細やかに説明されています)。 ここで、「0以下になる」ことが敗北(死)を意味するふたつの能力値、「生命力」と「持久力」について簡単に説明すると、生命力はダメージを受けることで減少し、持久力は敵を攻撃することで消耗します。 また、こちらからの攻撃の命中率やダメージ量は、自分の使う技(最終的には10種類ほどになります)と敵との相性によって上下し、さらに敵に与えたダメージの合計によっても変化します(最初は通じなかった技が、敵が弱って隙を見せると有効になるという感じです)。 さらに、最終的な命中・回避の判定はサイコロの出目を使って行われ、そこではいわゆるクリティカルやファンブルのように、低確率で出現しうる、絶対的な成功・失敗の出目も設定されています。 つまり、敗北(死)の直接的原因としては、  ・敵からの反撃によるダメージが蓄積し、生命力が0以下になる  ・技を使いすぎて消耗し、持久力が0以下になる という2種類のパターンが存在し、さらに、その状況に至る要因としては、  ・その敵に対する有効な(命中率や与えるダメージが高い)技を見つけられなかった  ・敵の状態(有効になる技)が変化したのに、それにうまく対応できなかった  ・有効な技には気付いていたが、運(サイコロの出目)が悪く、攻撃が当たらなかった など、いくつものパターンが考えられます。 戦闘のパラグラフの途中での、「生命力か持久力のどちらかが0以下になっていれば俺はここで倒れる。」といった記述は、単体として見れば、たしかに汎用的で事務的な説明でしかありません。 しかし、それ自体が個別の物語性をもちうる戦闘の展開の中で、「生命力か持久力のどちらかが0以下」になった時点で、読者はすでに十分な量と質の、主人公の死やゲームオーバーに至る物語を(文章化された描写とは別の形で)受け取っている、と言うことができるかもしれません。 『魔人竜生誕』において、設計されたルールに則った戦闘処理の繰り返しこそが、文章での描写と並ぶ、もうひとつの物語の存在形態なのだとしたら、主人公の死やゲームオーバーもまた、その中に織り込まれていても不思議ではありません。 ただし、作品の導入部分の主人公は、戦闘能力をもたない「一般人」であり、あるいは、戦う覚悟の決まらない、生まれたての霊神将です。彼はまだ、作品本来の死やゲームオーバーの場としての、戦闘シーンに移行することを許されません。 文章による主人公の死の描写や、選択肢によるゲームオーバーは、多くのゲームブックにとっては普通のことです。しかしそれらは、この作品においては、戦う「ヒーロー」になる以前の主人公の死やゲームオーバーのための、あくまで例外的な位置付けしか与えられていないようにも見えます。 先に述べたように、『魔人竜生誕』の大部分は、「事件やトラブルの発生 → 探索行動 → 邪魔神の眷属との対決 → 一件落着」という定型的なサイクルの繰り返しで構成されています。 このサイクルの中では、邪魔神の眷属との対決(すなわち戦闘シーン)が重要なことはもちろんですが、敵のもとに辿り着くまでの探索行動のパートにも、多くのパラグラフが使われています。そこでは、最終決戦の展開やエンディングの分岐に関わるさまざまなフラグ立てが行われるほか、敵の攻撃などによって、明の生命力が減少することもありえます。 しかし、そこでのダメージの量は、基本的には明が死なない程度の、「その後の戦闘で不利になる」という意味合いのものでしかありません。明の死やゲームオーバーは、あくまでそのサイクルの最後に控える邪魔神の眷属との、ルールに則った戦闘シーンの中でしか起こりえないのです。 もちろん、ゲームブックの構成として、探索行動の中でも、場合によっては死ぬような大ダメージを受ける判定や、致命的な罠やアクシデントにつながる選択肢などを設定することはできるでしょう。また、そうすることで、探索行動が読者にとってより緊張感のあるものになり、ゲームや物語としての奥行きも増すかもしれません。 しかしそれらは、この作品の「ヒーロー物」としての全体的なデザインにとっては、むしろ蛇足というべき要素になるようにも思われます。 霊神将としての使命に目覚め、邪魔神の眷属たちとの戦いを繰り返す明は、敵に辿り着く前の探索行動の途中で、必殺技を撃つこともなく死んだり逃げたりすることはできません。それは、この作品を貫く、ある種の型や「お約束」に反する出来事です。 明は必ず敵のもとに辿り着き、「ジーレギオン! 覚醒・装・着!」などと叫び、霊神将としての鎧をまとった姿に変身して、「フルンティングエッジ」や「デュランダルストライク」といった、カタカナ10文字前後の舌を噛みそうな名前の技をつぎつぎと繰り出します。攻撃を外すと敵からは重い反撃がやってきますし、巧妙な敵は、明の技をそのまま反射してくるかもしれません。敵の弱点を見つけるのに手間取ったり、運悪く攻撃を外し続けたりすれば、敗北、すなわち死を迎えることもありえます。しかしそれは、この作品世界によく似合う、ヒーローとしての死やゲームオーバーに他なりません。 読者はそこからひとつの戦いの物語を受け取って、戦術を練り直し、あるいは今度こそサイコロの出目が明に味方することを願って、新たな物語を辿り直すことになるでしょう。 ■主人公の「最後の奥義」と2度目の死 『魔人竜生誕』における主人公の死のあり方は、作品全体の構造において、どの段階の出来事なのかによって変化します。 先に述べたように、作品の冒頭での明の死は、「ヒーロー」になる以前の「一般人」としての死であり、神による蘇生から「魔人竜」の「生誕」へとつながるストーリーの一部として、文章によって鮮明に描写されます。 その後、作品の大部分における明の死は、ヒーローとして邪魔神の眷属たちと戦う中での敗北と死であり、それはすなわちゲームオーバーを意味します。その死はルールに則った戦闘処理の結果としてもたらされ、個別に文章として描写されることはありませんが、読者が経験した戦闘の経過の中で、「ヒーロー物」のフォーマットに沿いながら、即興的な物語性を与えられます。 そして、作品のクライマックスとなる邪魔神との最終決戦においては、明の死は、また別の形をとることがありえます。 そこに大きく関わってくるのが、霊神将ジーレギオンの「最後の奥義」である、「レーヴァンテインフレア」という技です。 邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクルの中で、明はいくつもの新しい技を習得していきますが、このレーヴァンテインフレアだけは特別で、通常の戦闘では使用することができません。というのも、この技は「存在する事そのものへの絶対の否定、究極の滅びの力」であり、この技を使ってしまうと、戦闘の場そのものが「滅びの業火に埋め尽くされ」てしまうからです。 また、この技の習得のためには、「生神力」という経験値のようなポイントを一定以上獲得する必要があり、明のさまざまな行動や判定の結果次第では、最後まで習得できずに終わってしまう場合もあります。 ラスボスたる邪魔神の強さは圧倒的であり、通常の戦闘ルールのもとでは倒すことができないようになっています(もっとも、すべての面が「6」であるような特製のサイコロを使ったりすれば、天文学的な確率でしか起こり得ない形で邪魔神を倒し、特別なエンディングに辿り着けるかもしれません)。 そのため、明が邪魔神を倒すためには、何らかの特殊な出来事が起こる必要があり、それが何なのかはさまざまなフラグの組み合わせによって決定されます(必要なフラグが全く立っていない場合はゲームオーバーとなります)。 ここで、他のキャラクターからの助力などにより、最後の切り札としてのレーヴァンテインフレアを使用せずに明が勝利できれば、明は死なずに、生きたままでエンディングに辿り着くことができます。 一方、レーヴァンテインフレアを使用して邪魔神を倒した場合は、この技を使ったことによる当然の帰結として、明もまた「滅びの業火」に呑まれることとなります(これらの分岐はフラグの状態によって自動的に決定され、読者がその場で選択することはできません)。 ここでの明の「死」は、明の「生神力」(経験値)の高さに応じて、大きく分けてさらに2種類のエンディングへと分岐します。 ひとつは、邪魔神と明が相打ちとなったことを示唆する、明が不在のエンディング。 そしてもうひとつは、霊神将として究極までその力を高めた明が、「人間としての肉体」が燃え尽きた後に、こんどは不老不死の(戦って敗れれば滅びるが、定められた寿命をもたない)存在として生まれ変わり、未来において邪魔神が復活するたびに戦い続ける、というエンディングです。 (それぞれのパターンは、明の「主神」がどの神だったかによって、さらに3通りずつに分かれます。) 一方は、完全な死と消滅。もう一方は、「不死」の存在への「生まれ変わり」。これらは正反対の結末だとも言えますが、読者の視点からは、わかりやすい共通点を見て取ることができます。それは、これらのエンディングにおける地の文が、それまでのような明の一人称ではなく、外から見た三人称や、明以外のキャラクターの一人称のもとで記述されていることです。 明がレーヴァンテインフレアを使わず、生きたまま迎えるエンディングは10種類以上ありますが、そのほとんどのエンディングでは、それまでと同様に、明の一人称(俺)による語りの下で物語は幕を閉じます(1種類だけ、明ではない「俺」が語り手となる例外があります)。これに対して、明がレーヴァンテインフレアを使い、導入部分以来の2度目の「死」を迎えた場合は、明は物語のいちばん最後のパラグラフでだけ、読者に対して口を閉ざしてしまうのです。 相打ちの場合は、死んでしまった明はもちろん何も語りませんし、また、彼が語るべきことも、もう何も残されていないと言えるでしょう。明はヒーローとしてやるべきことをやり遂げて消滅し、あとには霊神将を失った主神と、ヒーローによって守られた世界が残され、物語は喪失感や寂寥感とともに静かに終わります。 そして、明が不老不死の存在として「生まれ変わった」場合、エンディングの中には明が登場するにもかかわらず、彼はあくまで外側から、彼のそばにいる「主神」の一人称のもとで、「俺」ではなく「明(さん)」として描写される対象になっています。そこではおそらく長い年月が過ぎ、邪魔神も何度か復活を遂げ、そのたびに明が邪魔神を倒してきたことが、彼の主神によって語られます。明はずっと「ヒーロー」としての役目を果たし続けているようですが、明はあまりに強くなっているため、もはやその戦いは、読者が見慣れた戦闘ルールのもとで展開されてきたような、「ヒーロー物」のお約束に沿ったバトルではなくなっているのでしょう。その意味では、たしかにこの(人間を完全に超越してしまった)明にも、もう「ヒーロー物の主人公」として読者に語るべきことは、何も残されていないようにも思われます。 作者によれば、明は「そもそも変身超人という時点で読者との一体化など無理」という割り切りのもとで書かれた、「ゲームブックとしてはかなり個性の強い主人公」です。そして『魔人竜生誕』の物語は、無色透明な主人公と一体化するのではなく、「主人公の行動・活動を見て楽しんでもらう」という方向性で構築されたものだとされています。 実際、地の文の語り手としての明は、ある意味では読者の視線を常に意識しながら、作品中での「ヒーロー」を(ときには突飛な言動も交えて)演じつつ、そこでの状況や心情を読者に対して語ります。さらには、戦闘やフラグなどのゲーム的な処理についても、同じ口調で読者に説明し、ときには指示を出してきます。 「俺」という一人称のもとでの、個性の強い明の語りは、読者との「一体化」には不向きだとしても、読者との「共演」には向いているように思います。ゲームブックという形式、ヒーロー物というジャンル、そうした型やルールやお約束の中で、明はそれを自ら演じながら、読者に「俺」の行動を選択させ、サイコロを振らせ、フラグを管理させ、物語をともにつくりあげるように働きかけます。 そして、物語の最初と最後において、そのような明の立ち位置を転換させる契機となるのが、明の「死」と「生まれ変わり」なのだと言えるかもしれません。 『魔人竜生誕』において、明の1度目の死、すなわち「一般人」としての死は、物語上の必然であり、明が「ヒーロー」として物語のメインステージに上がるための前提でもありました。作品の中核にある、「ヒーロー物の再現」として練り上げられた戦闘システムと、マルチエンディングにいたるフラグの積み重ねは、明の死(=魔人竜の生誕)を契機として本格的に動き出し、そのときから、ヒーローとしての明と、それを見て楽しみつつ、能動的に物語に関与する読者との共演は始まります。 これに対して、明の2度目の死、すなわち「ヒーロー」としての死は、物語上の必然というわけではありません。明がどこまで強くなったか、他のキャラクターとどのような関係性を築いてきたか、それらの要素の組み合わせによっては、作品はそのまま「俺」によって、それまでの物語と地続きのような形で語り終えられることになります。 しかし、明が「最後の奥義」であるレーヴァンテインフレアを使う展開になった場合は、明は2度目の死を迎え、辿り着く最後のパラグラフでは、もはや読者に自ら語りかけたり、何かを説明したりすることはありません。その死(あるいは、さらなる「生まれ変わり」の結果としての「不死」)と沈黙は、「俺」と読者との共演によってゲームブックという形式で展開された「ヒーロー物」としての物語の終わりを、より強く印象づけるもののようにも思われます。 ■おわりに 『ゲームブックにおける死と物語』の第6回となる今回の記事では、「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語について考察しました。 第1回から第4回までで取り上げた各作品には、サイコロを使った戦闘システムはありません。そこでの主人公の死は、主人公(読者)が特定の選択肢を選び、死のパラグラフに辿り着いた結果として生じるものでした。 それらの死は、主人公が遭遇する状況の困難さや、置かれた環境の厳しさ・苛酷さ、あるいは悪意や敵意の存在などを、物語の一部として読者に提示する役目を果たします。また、「輪廻」や「時の魔法」や「予知」といったギミックによる死のキャンセルや、複数の主人公たちの異なる視点からの描写などを通じて、それらの死は、それぞれの作品のテーマ・システム・パラグラフ構造とも有機的に関連しながら、物語を多層的・立体的に構成していきます。 一方、『魔人竜生誕』における主人公の死は、特定の選択肢の先に用意されているわけではありません。それは、邪魔神の眷属たちとの繰り返される戦いの中に、サイコロの出目という偶発的事象にも左右される形で、いつか発現するかもしれない可能性として潜在しています。 この作品では、物語の中に「死のパラグラフ」を散りばめるのではなく、工夫された戦闘システムの中に物語性のある「死の可能性」を織り込むことで、「ヒーロー物」としての作品世界に合致する形で、ゲームブックとしてのゲーム性と物語性をともに担保しているのだと言えるでしょう。 また、第5回で取り上げた『ミラー・ドール』(著:杉本=ヨハネ、2008年、FT書房)は、主人公が自らの血肉を与えた「ドール」とともに旅をし、その生と死に深く関わる物語でした。この作品における主人公とドールの運命には、それまでの旅の過程を反映する「献身点」が大きな影響を与えるとともに、ある程度の偶然性も関与します。 これに対して、『魔人竜生誕』は、いちど死んだ主人公が彼の「主神」によって霊神将としての力と命を与えられ、主神とともに敵と戦う物語です。 明は決してドールのように従順で無口なキャラクターではありませんが、それでも主神を大切に思い、彼なりに最善を尽くして戦い、最終決戦の展開次第では、彼か主神のいずれかが命を落とすことになります。そこでの彼らの運命は、やはりそれまでの邪魔神の眷属たちとの戦いの過程における、さまざまなフラグの積み重ねに左右されるでしょう。 いわゆる「剣と魔法」の世界を舞台として、硬質な二人称で綴られるファンタジー作品と、21世紀の日本を舞台として、個性の強い一人称で語られる「ヒーロー物」の作品。 前回の『ミラー・ドール』と今回の『魔人竜生誕』は、全体的な雰囲気やシステムにおいては互いに大きく異なる作品同士ですが、いずれもある意味では命を「与えた者」と「与えられた者」とのつながりを軸とした作品です。そして、『ミラー・ドール』では「与えた者」、『魔人竜生誕』では「与えられた者」を主人公とした上で、それぞれの視点から物語が進み、そのような「命」を介した関係性の積み重ねが、物語の最終局面で意味をもつことになります。 これらの作品からは、ゲームブックにおける死と物語に関する、あるひとつの抽象的な構造と、その具体的なバリエーションの幅広さを、ともに見て取ることができるようにも思います。 【書誌情報】 松友健『魔人竜生誕』(創土社、2006年) 松友健『魔人竜生誕』(幻想迷宮書店、2016年) 松友健『駄人間生誕』(ホームページ、2006年〜) https://matutomoken.web.fc2.com/ ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 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2026年5月18日月曜日

アランツァへのいざない 第4回 FT新聞 No.4863

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ ◆貨幣と流通  アランツァ世界の種族たちは、それぞれが異なる時間軸のなかで生きています。善の種族では 寿命がもっとも長いのはエルフで、次がドワーフ、人間、コビット、ノームの順に短くなっていきます。  それぞれの寿命の違いは、種族の人生観や生活スタイルに大きな影響を与えます。総人口はそれなりでも、大規模な経済流通が育ちづらい傾向がここにあります。価値間が異なるものどうしが集うとき、同じ都市に住まうとしてもその行動の指針はバラバラです。  貨幣は絶対的な価値を持ちません。問題なのは購入機会です。アランツァにおいては隣の街で当たり前に売っていたものであっても、隣の街ではまったく見かけないことが頻繁にあります。商人たちは品物を持って移動し、買ってもらう努力をしています。しかし、その品揃えはそれほどよくありません。ある都市で作られるものは、その都市でしか手に入らないことが珍しくありません。   貨幣と流通:貴金属や宝石  アランツァ世界でもっとも流通している貨幣は、金貨と銀貨です。金貨1枚は銀貨10枚に相当します。銅貨もあって、銀貨1枚=銅貨10枚ですが、こちらはあまり冒険で見かけません。  もっとマイナーな貨幣として、オリハルコンがあります。オリハルコン貨1枚は金貨100枚に匹敵します。これは優れたゴーレムを製作するさいに役立ちます。  武具に使われる金属も価値があります。アダマンタイト、カーグ鋼、幸鉄鋼などです。優れた武具などの製作に役立ちます。1枚が金貨10枚に匹敵します。  硬貨は1枚あたり50グラムですが、1人が所持する合計枚数が100枚以下のときには重さとしてカウントしません(100枚あたり装備品欄ひとつが必要です)。  宝石にはさまざまな種類があり、大きさや品質などによって価値もまちまちです。ひとつ言えることは、宝石で支払った場合にはお釣りがもらえない、という流通世界の実態です。宝石はそういう意味で、貨幣としての役割を完全に果たしてはいません。     貨幣と流通:食料  食料の中心は小麦と米で、これらもしばしば貨幣と同じように扱われます。小麦と米は価値としては同等です。装備品枠ひとつを埋める小麦/米は5キログラムほどで、金貨5枚の価値があります(つまり、1キログラムの小麦には金貨1枚の値が相場としてつくというわけです)。 ◆アジール  「アジール」は「聖域」「避難所」などと訳される概念で、中世における、争いごとを持ち込んではならない、罪人が捕まえられることのない場所です。ヨーロッパに限らず、たとえば日本にもありました。お寺に逃げ込んだ人を、岡っ引きが手出しできないような時代劇のシーン、見たことありませんか。そういうのの中世ヨーロッパバージョンです。「アジール」には、宗教的な理由からそうなっている場所と、実際的な理由からそうなっている場所とがあります。   アジール:宗教的な「聖地」としてのアジール  たとえば、前者は寺院のなかが挙げられます。宗教的に「神聖」だから、などの理由によって、俗権力が及ばない場所として存在します。   アジール:実際的な理由からのアジール  後者は渡し船の上などです。渡し船は経済や人間の流通上大切なものだったことに加え、船の上つまり川という、しばしば領地としてはあいまいな場所でした。その川が2つの領地の境目だった場合、どちらの側のトラブルかで揉めると、ややこしいことになりかねなかったわけです。 そこでのもめ事を避けるため、公権力の不可侵な領域としたのでしょう。  船でのゴタゴタの例を、少しご紹介します。追っ手に追われて逃げてきた犯罪者が、渡し船に乗り込んだとします。追っ手がそこに追いついたとしても、船上での逮捕はできません。厳格な、守らなければならないルールにのっとって、物事が粛々と進められました。  まず、船の前方に犯罪者が乗り、後方に追っ手が乗って、間に船頭がいるカタチで船を進める。 反対岸に着いたら犯罪者がまず逃げる。  一定の時間をおいて、追っ手がそれを追う。  アジールに逃げ込んだことによって中断された追いかけっこが、しかるべき手順に沿って再開されるというわけです。   その他のアジール:宿  宿もまたアジールの一種です。宿主が誰かを家に泊めてあげると決めた場合、その宿泊客がたとえ犯罪者であると分かっても、宿泊の期間中(最大3日ほど)は警察に引き渡すことがはばかられました。これも一種のアジールとして認められます。   その他のアジール:宴会の席  社交場のひとつとして用意される正式な宴会の場では、争いごとの因縁をその席に持ち込むことは許されませんでした。宴会が終わるまで、待たなければならなかったというわけです。  これも、アジールです。   アランツァ世界のアジール  アランツァ世界のアジールは、聖フランチェスコの街壁にある「救済の輪」が有名です。渡し舟や聖堂内、宿などでも戦いが禁じられていて、そういった場所では襲撃を行うことができません。別の例では、自治都市トーンにある「白い家」が知られています。人々はすべての身分と立場を「家の外に置いて」家に入らなければなりません。敵対する集団の代表どうしが話し合う際に使われることもしばしばです。 ◆フェーデ  フェーデをどう訳したらいいのか、私には分かりません。「自力救済」と訳されることもあります。「武力行使」のほうがしっくりくる感触もあります。  フェーデというのは、権力を与えられた王様などがちょっとした際に「やり過ぎてしまった」とき、これに武力でもって抵抗する行為のことを指します。 「おう、ウチの土地を勝手に切り取ってくなや!」 「おう、いま侮辱したな! 謝らんのか!」 「ウチの領民を傷つけたんやってなあ!」  主に土地などをむやみに侵害されたときや、恥辱を与えられた際に行ったとされています。 ポイントは、このフェーデは15世紀末まで諸貴族の権利としてちゃんと認められていた、という点です。  中世ヨーロッパにおける王様の力は、時期によって異なるものでした。中世初期の頃はいわゆる「天下統一」が進んでいませんから、ヨーロッパ全土における王様は中期や後期と比べて数が多かったわけです。王様の数が多いので、各王の統治するそれぞれの領土は小さいわけです。 だから、初期の頃のほうが個々の王様の持っている実力は小さなもので、その支配力もしれていました。  本当に初期の王様というのは、貴族が何人かいる中で誰か1人が代表にならなければならないような状況で「じゃあフェルナンドさんやってよ」ぐらいのノリで決まっただろうというレベルのものだったわけです。後に子孫が超大国の王となるフェルナンドさんも、最初はそんな感じだったのですよ。だから、権力を持ってはいましたが、それは相対的なものに過ぎませんでした。  そんな風に「周りの貴族よりも頭ひとつ分ぐらい権力を与えられた」程度の王様では、頼りになりません。警察が頼りない街みたいなものです。市民1人1人が銃で武装するような感覚で、貴族たちは武装したわけです。「そもそも頼りにする気がない」点も一緒ですね。  アランツァ世界におけるフェーデは、冒険者たちに対して都市が不当と思われる要求や態度をとったさいに発動します。冒険者たちは「正当な権利」として、彼らに戦いを挑むことができます。街で仲間を不当に拘束された、コロニーの所有物を接収されそうになった……今でいう主権侵害が行われるとき、フェーデを発動することができます。この戦いは「王の権威を損なう不遜なもの」として行われるのではありません。権利を侵害された冒険者たちが、「尊厳を回復するために行う正式な手続き」なのです。 ◆裁判と決闘裁判  裁判に対して不服を感じるとき、冒険者は決闘裁判を申し込む権利を有しています。決闘裁判はその街の闘技場で、当事者である冒険者とその仲間が戦う権利を有します(パーティ全体で戦うということです)。戦う相手は市が用意します。おそらくは街の衛兵か、奴隷化された悪の種族が登場するでしょう。  決闘裁判はフェーデの一種であるため、これもまた「尊厳を回復するために行う立派な行為」とみなされます。ただし、勝利しなければ、神に認められた正当性を得ることはできません。神の加護がある者が、負けるはずがないのですから。結果がすべてなのです。 ◆はざま    アジールとフェーデは人と人との間に生まれたならわしですが、はざまはアランツァというファンタジー世界特有のものです。  アランツァ世界では1年は365日ですが、その内訳は少し異なります。1ヶ月は30日で、12ヶ月で360日あります。残りの5日間は『不運の日々』と呼ばれていて、12月30日の後に訪れます。不運の日々の間は太陽が姿を隠し、5日間ずっと世界が闇で覆われます。不運の日々の間、死者の霊がエヴァシュネからアランツァにやってくるので、森や荒野、街の通りなど、安全な場所はほとんどなくなります。そのため、5日間外に出ないのがアランツァの習わしになっています。 ・闇のとばりの日(1日目) ・霊魂の舞い降りる日(2日目) ・覚めぬ眠りを知る日(3日目) ・漆黒たる沈黙の日(4日目) ・狂った夜の祭りの日(5日目)  この世界には『はざま』と呼ばれる何かが存在していて、誰でもそこに落としものをします。記憶を忘れてしまうこと。ちょっとした小物。やれていたことが急にできなくなること。いきなり情熱を失ってしまうこと。どのくらいの割合かは分からないが、それらの一部は『はざま』に落としたことで生じると言われています。  不運の日々は1年の「はざま」にあたり、失ったものを取り返すチャンスでもあります。都市の広場では『とばり市』と呼ばれる、この世の者たちではない何かが開く市場が5日間続きます。そこで扱われるのは人々が『はざま』に落としたものが中心で、普通は金で手に入らないようなものがたくさんあります。どこの大都市でも、霊とも妖術使いともつかぬ者たちがうろつきます。   領域的なはざま  不運の日々は「時間的なはざま」ですが、領域的なはざまも存在します。アランツァとエヴァシュネは重なり合うふたつの世界ですが、両者の間にもはざまが存在していて、ふたつの世界を行き来しようとすると、魔法使いは魔力をどこかに「落として」しまうことが知られています。  エルフたちはガリンカの精霊から導きを受けて、ふたつの世界にあるこのはざまに入り込む術を身に着けたとうわさされます。彼らの里がそのはざまにあるという話も、まことしやかにささやかれています。これはナーガたちと同様です。ナーガやラミアは世界のすき間が、ふたつの世界のどちらからも安全であることを知っているのです。とはいえ、彼らにも食料をはじめとする日用品が必要不可欠ですし、はざ間にとどまるには膨大な魔力が必要で、その魔力を維持するための「栄養」も摂取しなければなりません。結果として、彼らはアランツァとエヴァシュネの両方を、必要な糧を求めて定期的に探索します。 それではまた!

2026年5月17日日曜日

ローグライクハーフシナリオソムリエ その4『我ら、その速さに命運を賭す』 FT新聞 No.4862

◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ローグライクハーフのシナリオソムリエ(自称)の本日のおススメシナリオ その4『我ら、その速さに命運を賭す』 天狗ろむ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇◆  おはようございます! 「1人用TRPGローグライクハーフ」の楽しさに魅せられ、ローグライクハーフのシナリオソムリエ(※)を目指す編集部員、天狗(あまく)ろむです。 (※ワイン専門の給仕人ソムリエのように、皆様のローグライクハーフのシナリオ選びの際の手助けが出来る人になりたいな、くらいの意味です)  さてこちらは、特に「個人制作シナリオの周知」を目的としたローグライクハーフのシナリオの紹介記事です。  ローグライクハーフのシナリオには「特殊ルール」が設けられることがあります。たとえば公式シナリオであれば、ぜろさんによるリプレイが連載されていた『巨大樹の迷宮』。こちらは巨大樹を登っていくにつれ、【高度】が上がるルールになっています。【高度】が上がると敵のレベルやトラップの難易度も上がる代わりに、宝物などもより高価なものになる可能性が上がる……という、ハイリスクハイリターンな「特殊ルール」となっています。上に向かう程に冒険の厳しさを増す巨大樹を登っていく感覚が「特殊ルール」に含まれているので、その点でもとても楽しくスリリングなシナリオです。  そんな、シナリオの楽しさの肝にもなる「特殊ルール」を、自作シナリオに取り入れてみるのはいかがでしょう? ローグライクハーフは基本ルール自体が軽めなので、「特殊ルール」を設けてもそれほどにはプレイヤーの負担になりません。勿論、限度はありますし、ルールの簡略化などは必要かと思われますが、自作シナリオのオリジナリティは各段に上がると思いますので、ぜひ試してみてください!  今回のシナリオ紹介記事の第4弾は、そんな「特殊ルール」が上手く組み込まれた、午年の今年にピッタリのシナリオです。FT新聞にて「写身の殺人者」「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ連載もされている、東洋夏さんより頂きました。ありがとうございます!  まずはご本人から紹介して頂きましょう! ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは。 東洋 夏(とうよう なつ)と申します。主にXにて、ローグライクハーフのリプレイを書いて楽しんでいるものです。現在リプレイ掲載中ですので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれません(ありがとうございます)。 さて、最近はリプレイのみならずシナリオ執筆にも力を入れています。 今回紹介する作品タイトルは『我ら、その速さに命運を賭す』。 ジャンルはずばり「レース」! 主人公は、ナリクの草原から王都まで駆け抜ける命懸けのレースに挑み、一位を狙います。 障害物あり、クリーチャーあり、ハプニングありのサバイバルレース。 果たしてあなたの主人公は、〈速さ〉の頂点に立つことができるでしょうか? ・形式:d33 ・世界観:アランツァ ・難易度:普通 ・プレイ時間:10ー15分 ・適正レベル:10〜 ・対象年齢:10歳以上 ・シナリオの公開場所:TALTO talto.cc/projects/3MuY9FBe8_BJpJ6xuakLO 作者が競馬好きなので、仲間と協力するのではなく、個としての真剣勝負を表現できるシナリオを作ってみたいと考え、制作に取り組みました。 チームの中での順位を表す【順位点】、ライバルとの一騎打ち【競り合い】、走者として目覚める素質【レーススキル】というオリジナル要素を組み込み、スリリングなレース表現を追求しました。 d33ながら、このシナリオでしか味わえない冒険を体験していただけるはず。 もちろん競馬をご存知なくても、問題なく楽しめます。駆けて競うことの楽しさや熱さ、ひりつく感じが少しでも伝われば、作者冥利に尽きるというものです! また、このレースシナリオの各種ギミックは、参考文献にこのシナリオ名とTALTOのURLを明記していただけましたら、どなた様でも利用可能です。 アランツァ世界各地でレースが開催されたら楽しいだろうなと思いますので、お気に召したら、是非シナリオ制作にも挑戦してみてくださいね。 利用の際は基本的に報告不要ですが、教えてくださると大変嬉しいです。私も走りに行きたいものですから! ◇◆◇◆◇  ご紹介ありがとうございました! 『我ら、その速さに命運を賭す』のあらすじとしては、ラドリド大陸の〈神聖都市ロング・ナリク〉西端に位置する、貴族リエンス家の領地の地下で墳墓が発見されたことから始まります。そこに眠っていたのは、〈ロング・ナリク〉の主要な信仰であるセルウェー教勢力に追い立てられた騎馬民族の王クル・レン・ミロティン。【アンデッド】として蘇った王とその配下の戦士たちは、リエンス家に宣戦布告をします……この地の正当な支配者は自分たちである、と。  譲る気など毛頭ないリエンス家の当主ブラークが戦闘を避けるべく交渉をした結果、〈ロング・ナリク〉の王都までの「速さ比べ」で勝負をすることになったのでした……つまり「レース」ですね!  主人公は、リエンス家側の助っ人として「レース」に参加することになります。ですので、馬などの【騎乗生物】を所持しているか、自分自身が【騎乗生物】タグを持つ主人公でなければ、参加資格がありませんのでご注意ください。  通常の主人公であれば、拡張ルールの職業【獣使い】の特殊技能の1つ【竹馬の友】を選べば、【騎乗生物】である「軍馬」「乗用馬」「オストリッチ」のいずれかを無料で入手できます。また、「種族」で遊べるサプリメント『ヒーローズオブダークネス』の「ケンタウロス」は【騎乗生物】のタグを持つ主人公です。  天狗ろむ調べになりますが、最も安く買える(今回の参加条件に一致する)【騎乗生物】は『ヒーローズオブダークネス』の【悪の種族】である「オーク」や「ゴブリン」、「吸血鬼」などが購入可能な「魔犬獣」で金貨20枚。次に安かったのは、『混沌迷宮の試練』の舞台〈混沌都市ゴーブ〉や『雪剣の頂 勇者の轍』などの舞台〈北方都市サン・サレン〉、『エメラルド海の探索』の舞台〈貿易都市ビストフ〉の都市サプリメントにある、「ポルルポルル」(これは「オストリッチ」の別名で、いわゆるダチョウ)で金貨35枚でした。金貨200枚もする象のような「エレファス」などと比べるとお手頃価格とはいえ、どちらも初期装備(大抵は金貨10枚)では買えないため、さくっと遊びたい方は上述の「獣使い(【竹馬の友】が必須)」か「ケンタウロス」の主人公で挑むのが良さそうですね。  冒険を経た上で【騎乗生物】をゲットしたい! という方は、他の冒険で金貨を稼いでいただいて、各種都市サプリメントの飛行能力のない【騎乗生物】を購入してから挑んでもらうか……『混沌迷宮の試練』での冒険中、あるいは電子書籍で販売中の『戦場の風』冒険開始時に、それぞれ【騎乗生物】を金貨不要で入手可能ですので、そちらから始めてみるのも良いかもしれません。 (あと冒険中に【騎乗生物】を入手できる可能性があるのは『常闇の伴侶』、他の都市サプリメントですと『蛇禍の悪魔』『失楽園奇譚』の舞台〈ポロメイア小国家連合〉で「ポルルポルル」の別名の「オストリッチ」、『炎の王墓』の舞台〈山岳都市カザド・ディルノー〉で「ポルルポルル」と同額の「ドゥルドゥル」がいますが、現時点では書籍化されていません。FT新聞での配信時のデータを持っているのであれば見てみてくださいね)。 【騎乗生物】を用意出来たら、あとは【レーススキル】をダイスで決めます。「闘魂着火」や「豪脚一閃」など格好いい名前のものが用意してあり、それぞれレースに有利になるスキルとなっていますので、よく読んでおくことをおススメします。スキルによっては使いどころが大事になってくるので、これもまた面白いポイントの一つ。ここぞ! という時に使って優勝を目指しましょう。  そして、このシナリオの肝が【競り合い】のルール。それぞれの思惑を持ったライバルたちとの「戦闘」はこのルールで勝敗を決めます。要するに【判定ロール】の達成値を比べて、高い方が勝ち……なのですが、ローグライクハーフの戦闘とはまた異なり、1回だけのダイスロールで決まることも多く、ダイスを振るときに特に緊張感があります。この【競り合い】に勝つと、【順位点】が下がり(【順位点】=順位なので、低い方が良いのです。勿論最小値は1(位)!)、かなりレースに有利になりますが、負けた時は引き離されて【順位点】が上がり、優勝が遠のいてしまいます。  ライバルの中には、FT新聞読者の貴方なら見覚えのあるであろうキャラクターたちも登場しますよ。会えたときは是非、正々堂々と【競り合い】勝負してみてくださいね。  これら【順位点】【レーススキル】【競り合い】の「特殊ルール」は、本来のシナリオ制作の規約ですと使えないのですが、今回は東洋さんのご厚意で利用可能とのことですので、「特殊ルール」を自分で思いつくのは難しいけれど、「特殊ルール」を使ったシナリオは作ってみたい……という方は、これらを使わせていただいてシナリオを考えてみるのも楽しいかと! もし制作なさいましたら、「シナリオ紹介記事」にて是非紹介させてください! ご連絡をお待ちしております!  そしてこちらは余談ですが……ローグライクハーフは基本的にはPC2人までの遊びとなっています。なのですが、私はPC3人で遊ばせていただきました。【騎乗生物】の「軍馬」に乗った聖騎士、「相棒」ルールで【騎乗生物】を相棒にしている獣使い、そして自身が【騎乗生物】であるケンタウロス、とそれぞれ変化をつけてのプレイ。何せローグライクハーフは1人用TRPGですので、この辺りは自由なのです!(データ管理がちょこっと大変になりますがね!)  今回のシナリオでの遊び方も記しておきますので、ご参考までに。  まず、【順位点】の低い順に、キャラクターごとに〈できごと〉をめくり、処理を行います。1枚目の〈できごと〉として3人全員がそれぞれ別の〈できごと〉を体験したら、また【順位点】の低い順に〈できごと〉をめくっていきます。このサイクルで、一本道モードを進めていきます。この時、たとえば1人目が出目12をめくっていて、2人目が同じく出目12を出したら、出目を1つ足した出目13をめくります(出目13もめくられていたら出目21とします)。固定イベントは3人それぞれで処理をします。 〈できごと〉の結果、【順位点】が同値になった場合は、そのキャラクター同士ですぐに【競り合い】を行い、負けた方の【順位点】に+1します。たとえば【順位点】2同士で【競り合い】をした場合、負けた方が順位点3になる形です。この結果で更に他のキャラクターと【順位点】が同値になった場合、再び【競り合い】を行い、【順位点】が同値のキャラクターがいなくなったら次に進みます。  自分の作った主人公キャラクター同士が(戦闘によらない)バトルを繰り広げてくれるので、安心かつ新鮮な気持ちでとても楽しく遊ばせて頂きました。主人公キャラクターが多い方は、こんな遊び方もおススメかもしれません。  中央競馬のクラシック三冠とされる、皐月賞では「最も速い馬が勝つ」、日本ダービーでは「最も運のいい馬が勝つ」、菊花賞では「最も強い馬が勝つ」……という昔の格言があるそうですが、こちらのレースではどれもが重要かもしれません。最終イベントまでに【順位点】を1にしなければならないので速さは言うまでもなく、【競り合い】などはダイスで決めるので【運】も大事。通常の戦闘も無い訳ではないので、そもそも弱いと負けてしまいますからね。  そんな激闘になるであろうレースの最後に待ち受ける騎馬民族の王に、「速さ」のみで勝つことが出来れば、格好いい【称号】もゲット出来ますよ。私は何度か(しかもPC3人投入して)遊ばせてもらっているのですが、未だにゲットならずで悔しい限りです……! (こちらのシナリオをお気に召した方には、更に難易度の高くなった、『我ら、その速さに命運を賭すDX』もおススメしておきます。より手強くなったライバルたちに、貴方は勝てるでしょうか!)  プレイしてみた感想は、FT新聞の感想フォームからでも、作者さん自身に直接でも、どうぞお気軽にお寄せください!  それでは、今回はここまで。次回のシナリオ紹介記事にてお会いしましょう。  貴方に良き冒険のあらんことを!  天狗ろむでした! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月16日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第692号 FT新聞 No.4861

From:水波流 TRPG『ストームブリンガー』の事を考えていたら、久々にプレイをしたくなりました。なんだかんだで中高生の時に一番遊んだシステムなんですよね。 そういえばGoodman Gamesがエルリックの権利を取得して、5eと Dungeon Crawl Classics で展開するという記事を読みました。 日本語化もされるといいなぁと思いつつ。 From:葉山海月 今やその効果について賛否両論な「サブリミナル効果」ですが、ある方の意見によると「そもそもサブリミナル効果」がどのようなモノかわからないと効果がない。んだそうです。 この辺「呪い」とよく似てるなと思うんですが…… From:中山将平 5/17(日)に僕ら、インテックス大阪で開催の「関西コミティア76」にサークル参加します。配置は【C-11】。 僕自身はその隣の【C-12】にて、「ギルド黄金の蛙」というサークルで現地にいます。 また、5/23,24(土日両日)には僕ら、幕張メッセで開催の「ゲームマーケット2026春」にサークル参加予定です。 こちらの配置は【に42】です。 当日発売の新刊は2冊。「ロ—グライクハーフ 常闇の伴侶」と「ヒューマンズ!ヒューマンズ!」。 僕自身も現地に行きます!(カエル人の本も扱う予定です) ぜひ遊びにお越しいただけましたら! さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (明)=明日槇悠 (く)=くろやなぎ (水)=水波流 (葉)=葉山海月 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■5/10(日)~5/15(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年5月10日(日)ロア=スペイダー FT新聞 No.4855 Re:オレニアックス生物学 Vol.3 『マンドラゴン』 ・過去の人気記事を再配信するReシリーズとして、聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義をお届けしました。 第3回目は『マンドラゴン』。名前からするとドラゴンのような、マンドラゴラのようなクリーチャーですが、見た目は背中に木を生やした大きなトカゲに抱きつく裸の女性……さて、カメル教授は「どっちがマンドラゴンか?」と問いかけてきます。百竜の森のドラゴンは、ユニークな生態が多くてワクワクしますね。問いかけの答えは、是非記事にて! (天) 2026年5月11日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4856 「アランツァへのいざない」第3回 アランツァ世界の紙事情 ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載、今回のお話は「紙と識字率」についてです。 アランツァ世界の紙は大きく分けて2種類。ひとつは「獣皮紙」で、もうひとつは「植物紙」です。 「獣皮紙」は造語。なぜヨーロッパ世界における「羊皮紙」ではないのか? そこには知的探究心に裏打ちされた納得の説明が! 「植物紙」における「植物」も「紙」も、現代で私たちが手に触れられる形そのままではありません。 高価なものには、主に魔法のスクロール(巻物)の素材として使われる「トレント皮紙(樹人皮紙)」という代物さえあります! アランツァには文字を読める人も読めない人もいますが、冒険者の識字率は驚異の100%! 大いに読みましょう! (明) 2026年5月12日(火)丹野佑 FT新聞 No.4857 Re:インセンティブ(後)@20代からのゲームブック123 ・『戦場の風』『きみへ贈る詩』などの著者である丹野佑氏による、10年ほど前にFT新聞で連載されていたコラムの再録シリーズです。 先週配信された前編に引き続き、今回のテーマは「インセンティブ」。読者に先を読み進めてもらうための動機付けとして、作品の中で「約束」を行うことが効果的だと丹野氏は考えます。 これらの「約束」の中には、文学作品やゲーム全般に共通する要素もありますが、ゲームブックならではの、先の展開などが「ちらっと見えて」しまうことも「約束」として機能する、という着眼点が興味深いですね。そのような「約束」の発生にあたっては、作品の媒体やレイアウト、イラストなどによる影響も大きく、ゲームブックが文章やルール以外にもたくさんの要素から成り立っていることにも改めて気付かされました。 (く) 2026年5月13日(水)ぜろ FT新聞 No.4858 第4回【クトゥルフ深話(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】ゲームブックリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第491回。今回は、山田賢治氏の短編ゲームブック『クトゥルフ深話』の最終回と感想です。この作品には、クトゥルフものでありながら超重要アイテムがサクサク入手できるスピード感や、読者自身の現実世界での行動とのリンクなど、意欲的ゆえに賛否両論分かれそうでもある試みが盛り込まれていましたが、皆さんの感想はいかがでしょうか。 ちなみに、ぜろ氏の感想内の「ジョンズシステム」とは、杉本=ヨハネ氏の考案による、ゲームブック『盗賊剣士』で採用されているシステムです(「ジョン」は「ヨハネ」の英語読み)。杉本氏曰く、ジョンズシステムは「安定した世界(昼間・探索・双方向)と不安定な冒険の世界(夜・冒険・一方向)が交互に起こる場合」に十全に機能するシステムとのことなので、このような観点から『クトゥルフ深話』とジョンズシステムとの相性を考えてみるのも面白いかもしれません。[参考:FT新聞 2013/07/23(No.182)、2013/07/27(No.186)] (く) 2026年5月14日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4859 『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』は問いかける——人間とは何か、と。 ・岡和田晃氏による、ゲームマーケット2026春で先行発売となる『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』日本語版の紹介記事です。 トンネルズ&トロールズのデザイナーである、ケン・セント・アンドレによって、本作に込められた思いを読み解きます。例えば、人種差別(racism)に直結しないよう「種族(race)」という言葉を使わず「species(種)」としていたり、職業には「階級」や「階層」を想起させる「クラス」ではなく「プロフェッション」という言葉を採用しています。 一方で、どの職業につくかは一概に等しいチャンスが在るわけではなく、2d6でもっとも出やすい7にあるのは農民。ケンがイメージする世界観では、社会は本質的には平等であるべきだが、実際にはそうなってはいない、という矛盾をも表現しえているわけです。 ケン・セント・アンドレがデザインした「ストームブリンガー」でも、ランダムダイスで職業表を振るのですが、農民や乞食など、ヒーローらしからぬ職業になりがちな事に対し、ケンは「俺や君が暮らすこの世界も、平等でも公平でもない。だからいいんじゃないか!俺たちはどの世界でも、渡されたもので頑張るしかないんだ。それが冒険なんだよ」とコメントしていたのを思い出しました。 (水) 2026年5月15日(金) ぜろ FT新聞 No.4860 第2回 水曜ゲームブックリプレイの思い出 ・FT新聞にて驚異の連載回数を誇る、ぜろ氏のゲームブック(+ローグライクハーフ)リプレイ。 今回も、そのリプレイの中に詰まった思い出を、熱く語ります。 作品名は、『断頭台の迷宮』 リプレイの裏話はもちろん、作者である清水龍之介氏のことまで。 さらには、その当時のゲームブックの背景の香りさえただよってきます。 当時の「熱さ」を知る方には、まさに宝石箱! な一本です! (葉) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月15日金曜日

第2回 水曜ゲームブックリプレイの思い出 FT新聞 No.4860

第2回 水曜ゲームブックリプレイの思い出 FT新聞、水曜ゲームブックリプレイ担当のぜろです。 金曜日枠が空いているので、ふらふらっとたまに来ては記事を置いていこうかと思っております。 ここでは、自分自身がFT新聞で連載したリプレイを振り返りながら、思い出語りができればと思っております。 第1回は、2026年1月2日に掲載させていただき、「宝石島の脱出」と、その当時のFT新聞について語らせていただきました。 今回は第2回。「断頭台の迷宮」についてお話します。 ●その2 断頭台の迷宮 さて「宝石島の脱出」の次の連載は「断頭台の迷宮」にしないかと、杉本=ヨハネさんから提案されました。 ちょうどこの頃に、「断頭台の迷宮」のスマホプレイ版が出るという話があって、それに合わせてのリプレイ掲載ということでした。 「断頭台の迷宮」も、FT新聞が始まる前、2012年にプレイして、すでにmixiにて掲載していたものを流用するという形でした。 連載用に少し修正を入れる程度でしたので、この頃はかなり楽をさせてもらっていましたね。 作者は清水龍之介さん。 旧来のゲームブックの様式にとらわれない斬新なアイディアを多く持ち、その成功失敗を問わずに次から次へと投入する、才気あふれる方です。 後に超大作「魔の王の少年」「魔の国の王女」を執筆し、FT新聞連載開始時から「剣闘士ユーグ」を書いています。 「魔の王の少年」シリーズは3部で完結という話で、3巻が出そう、という話も聞いたことはあったのですが、その後音沙汰がないので気になっております。 商業的な事情であるとか、タイミング的なことであるとか、理由はいろいろあるかと思いますが、シリーズものとして始めたものは完結まで追いかけたいというのは、読者の切なる願いではあります。 だからね、「ガルアーダの塔」もね、ローグライクハーフ版もいいけどゲームブック版の続きも、と思うところがないでもないです。 が、やっぱりタイミングとやりたいことを優先するのが一番いいってのもわかってますので、願望だけ垂れ流しておきます。 この「断頭台の迷宮」は、FT書房の初期作品の中では、屈指の出来だと私は個人的に思っています。 ただし、高難度の作品ですので、あまりの難しさが肌に合わない方もあるかもしれません。 この作品の優れたところは、序盤はすごく簡単にコロコロとゲームオーバーを連発してしまいがちにもかかわらず、徐々に全体の把握ができると、きちんと攻略ができるような作りになっていることですね。 そんなふうに、試行錯誤をしながらきちんと考えて進めば、攻略できる、ただ難しいだけではないところがとても魅力的に映りました。 また、この作品は導入も引き込まれるものがありました。 主人公は記憶を失って、ダンジョンの奥、しかも奈落のような裂け目のふちで目が覚めるのです。 ちなみに最初のちょっとしたネタバレになりますが、目覚める前に寝返りでもうとうものなら、最速のゲームオーバーが待っています。 スーパーマリオブラザーズで最初のクリボーに当たって死ぬのといい勝負です。 そこからダンジョンを探索し、自分が覚えていない知人との出会いがあり、別れがあります。 難敵「ギロチンハンズ」との因縁めいた遭遇があります。 そうして、緊張感が増す中でダンジョンからの脱出を目指すのです。 ダンジョンは双方向のつくりになっています。 場面によっては、どちらから来たかによって展開が変化する要素も加えられています。 ラストには、宿敵ギロチンハンズも含めた、ちょっと意外な結末が待っています。 自身が記憶を失った事情とか、記憶を取り戻したらすごい設定が明らかになるとか、スタート時点ではそういう妄想もしていました。 でもどちらかというと、あくまで高難度ダンジョンの突破に重点が置かれたつくりになっています。 当時の私には、ゲームブックといえば400パラグラフ、という根拠不明の刷り込みがありました。 なので、100パラグラフでもこれだけ濃密な内容を詰め込める、ということに感動すら覚えました。 同じ作者が次に「見捨てられた財宝」という作品も書いておりまして、そちらはこの作品と対極でした。 冒険の達成値ごとにエンディングが分岐する形になっており、1回の冒険は短めに終わるようになっています。 この作品の次にプレイしたので、逆にもの足りなさを感じてしまったのを覚えています。 しかし、今にして思えば、それは作品コンセプトそのものの違いなわけで。 「見捨てられた財宝」の方も、クリアランクを導入するという面白い試みがされていて、ものすごい意欲作でした。 こうして「断頭台の迷宮」は、いつまでたっても私の中のゲームブックランキングで、常に上位をキープする作品になりました。 「断頭台の迷宮」リプレイは、FT新聞2013年版から2014年版で読むことができます。 FT新聞2013年版 https://www.amazon.co.jp/dp/B0B354RFVS FT新聞2014年版 https://www.amazon.co.jp/dp/B0B6BKZDNS 連載期間 2013年8月から2014年1月(全20回) 自分のリプレイの思い出語りをするだけのつもりだったのですが、周辺の記事が気になり、いろいろ目を通してしまいました。 こうしてみると、創刊当時の熱意すごい。 2013年の創刊当時は、清水龍之介さんの「剣闘士ユーグ」ですね。創刊と同時に配信するコンテンツでした。 これもメモ程度のリプレイは書きましたが、もっとちゃんと書きたい気持ちがあります。 丹野佑さんの「戦場の風」も2013年の終わりには登場しています。ちょうど「断頭台の迷宮」リプレイを連載していた頃ですね。 ほかにも、配信のみのゲームブック作品が多数登場しています。 最初の頃のFT新聞は、毎週日曜日にはミニゲームブックをお届けするという、今思えばそうとう無茶な挑戦をしていました。 そんな短距離走のような全力疾走な配信だったのに、こんなに長く続くなんて、つくづくどうかしていますね。 そして、FT新聞は、挑戦的な作品や短編を公開する場として機能していたんだなと思います。 挑戦作を、成功失敗を問わず世に出すことができる稀有な場所なのだと思います。 「断頭台の迷宮」リプレイは、私のmixiでも読むことができます。 ゲームブックリプレイ【断頭台の迷宮】目次 https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=7076225&id=1941236433 ■作品情報 作品名:断頭台の迷宮 著者:清水龍之介 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら 100パラグラフゲームブック集2 https://booth.pm/ja/items/2483162 ●おわりに さて、いかがでしたでしょうか。第1回の時には次は「断頭台の迷宮」と「大魔導城のワナ」についてお話すると言っていましたがすまん。ありゃウソでした。 「大魔導城のワナ」リプレイについては次回まわしにさせていただこうと思います。 不定期なので次はいつになるかはわかりませんが、たまに金曜記事を埋めに来ますので、よろしくお願いします。 みなさま方も、軽い気持ちで金曜日に記事を置いてくださいますと、私がうれしい気持ちになります。みんなで埋めよう金曜日。 では次は水曜リプレイでお会いしましょう。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月14日木曜日

『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』は問いかける——人間とは何か、と。 FT新聞 No.4859

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』は問いかける——人間とは何か、と。  岡和田晃 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●  2026年5月23日、ゲームマーケット2026春での先行発売といたしまして、『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』日本語版がFT書房のブースでお目見えします。この作品に関しては、すでに杉本=ヨハネさんが「☆モンスター!モンスター!TRPG 新刊のお知らせ☆」(「FT新聞」No.4549)で紹介をしておられますが、屋上屋を架すことになるのも恐れず、私なりに、その読みどころを掘り下げてみたいと思います。  そもそも『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』とは何か? これは世界で2番目に古いTRPGと互換性のあるTRPGルールブックです。さらには、『モンスター!モンスター!TRPG』のサプリメントでもあります。  商業的なRPGの歴史は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に始まる、というのが通説ですが、D&Dはあくまでも「中世ウォーゲーム」と銘打っていました。自覚的にRPGを名乗ったのは『モンスター!モンスター!』初版(1976)が最初だと言いますから、それくらい記念すべき作品であるわけです。  ところが『モンスター!モンスター!』は、その名の通り、モンスターをプレイして人間たちへ復讐を仕掛ける、というのが基本コンセプト。そうした「逆転の発想」からスタートし、現行、ズィムララ世界で展開されている『モンスター!モンスター!TRPG』——『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー』二分冊をご参照あれ——においては、人間中心主義が完全に転回された世界が再構築されています。  いわば、その文脈で人間をはじめとするおなじみのヒューマノイドたちは、どういう位置づけなのかを解説するというのが、『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』なのです。歴史的には、著者のケン・セント・アンドレは『トンネルズ&トロールズ』のデザイナーとして知られますが、T&Tの権利は現状、ケンのもとにはなく、Rebellion Unplugged社が『Tunnels & Trolls : A New Age』を開発中(現在、β版まで出来ています)。その状況で、T&T的な冒険を行うための裏ワザを——という安直なコンセプトなのではないかと、私としても当初は疑う部分がないではありませんでした。  けれども蓋を開けたら、そうではなく、新しい世界観のなかに、どう人間たちを再定位させるのか、というSF的というほかない問題意識による作品だということが、よくわかった次第なのです。  『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』は、「ケン、『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』を大いに語る」と題したおもしろコラムより幕を開けます。このコラムにおいては、〈小さき者ら〉が、モンスターだらけの世界で、どう生き延びるべきかが滔々と語られているのです。〈小さき者ら〉と言われれば、それこそホビットやハーフリングのような存在を意識してしまいますが、ここでは、モンスターから見た人間、エルフ、ドワーフらが、まとめて〈小さき者ら〉になっているのですね。  魑魅魍魎が蠢く、弱肉強食のズィムララ世界においては、〈小さき者ら〉は、頭を使い、戦略を練らねば、生存すらおぼつきません。様々な戦略が紹介されるなか、とりわけ大事になってくるのが、奇策(スタント)を駆使すること。  本コラムでは、『モンスター!モンスター!TRPG』第2.7版基本ルールブック(未訳)に出てくる奇策のルールを改めて紹介し、導入可能にすることで、スタンドアローンなヴァリアントとしての価値をもたらすことに成功しています。    そして本作においては、『モンスター!モンスター!TRPG』の根幹に関わる、大きな明確化がなされています。それは、原則的に「種族(race)」という言葉を使わない、ということです。raceという言葉は、それこそ人種差別(racism)に直結するから……というのが、その理由です。  自然科学的に言えば、それこそ人種という概念は架構されたフィクションにすぎません。肌の色や骨格といった、見た目にわかりやすい違いについては、人間の遺伝子の0.1%にも満たない差異にすぎないというのに、そこをクローズアップすることで「マイノリティを殺すこと」を正当化するというのが、昨今、社会問題になっているレイシズムの話ですが、ゲームタームのうえとはいえ、それを反復するのはやめてみよう、というスタンスなのですね。    かわりにケンが用いるのが、species(種)という概念です。例えば、ヴィーガニズム(菜食主義)のようなアニマル・ライツ(動物の権利)を守るための運動は、種差別に抗う営み、などという日本語で紹介されたりするわけです。  余談ですが、私の暮らすアルゼンチンでは新鮮な野菜や果物があちこちで売られているため、ヴィーガンとして生活するのは、そう難しいことでもありません。  他方で日本においては、ヴィーガンとしての生活を徹底させようとするのは、なかなか骨です。私も試みようとしたことはありますが、すぐに挫折してしまいました。  日本ではコンビニやスーパーで売っているお弁当やお惣菜の多くに、肉や卵が入っています。そうした肉や卵が、充分に動物福祉(アニマル・ウェルフェア)の保全された状態で生産されているのか、という点については、議論の分かれるところにもなっています。    ゆえに、ケンの「種」に関する問題意識は、大げさではなく、日本社会の現状へ一石を投じるものにもなりえているのですが……。ただ、日本語のゲーム上で「種族」を「種」に置き換えたからといって、その差分はわかりづらいですね。  そこで『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』では、「種族」の代わりに「モンスター・タイプ」という訳語を用い、クリーチャーごとの差異を表現することにしました。人間も、エルフも、ドワーフもモンスターの一種であり、個々の違いはタイプの違いにすぎない、と。こう表現すると、著者の意図するところを、日本の読者へより正確に伝えることができるのではないかと考えた次第です。何より、どことなくユーモラスな響きがあり、「お説教臭さ」も感じません。    多くのファンタジーRPGでは、人間という存在がどんなものかということは、当たり前のことすぎて(あるいは大きな問題にすぎるのか)、紹介が簡単に飛ばされるのが常です……それでも、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第3.5版のサプリメント『宿命の種族』(ホビージャパン、日本語版2006年)という専門のサプリメントはありましたが。    ズィムララ世界の人間は、私たちのお馴染みの人間であることもできれば、もっと別なタイプにすることもできます。この点については、すでに『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【ワールド編】』でサポートされているとおりです。  では『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』においては、人間というのはどういう具合に説明されるのかというと——職業(プロフェッション)、技能(スキル)、特殊能力(アビリティ)の3つを介して決まります。    ケンのデザインした他のシステムだと、『トンネルズ&トロールズ』第5版において、他のRPGにおける「キャラクター・クラス」に相当するものには「キャラクター・タイプ」という訳語が充てられていました。  私は、どうしてそうなのか、常々不思議に思っていたのですが、これもまた意図的だと、このたびわかりました。『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』では、「クラス」という言葉が使われず、「プロフェッション」が職業だと明記されていたからです。  察するに、どうしても「階級」や「階層」を想起させるからでしょう。ケンのおためごかしではない平等主義が、まさしく徹底されています。    そして面白いのは、この職業(プロフェッション)が、それで生計を立てておらずともかまわない、とさらりと書かれていること。多くのファンタジーRPGは——ファンタジー社会なのに——資本主義の論理とは無縁でいられないばかりか、かえってそうした要素が強調されていたりするのですが、『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』では、半ばそれが相対化されているわけです。  ただし、社会に存在する格差の問題に、本作は目をつぶっているわけではありません。どの職業につくかは一概に等しいチャンスではなく、わざわざ釣鐘状の確率曲線を描く2d6で決まります。2d6の期待値は7ですが、7にあるのは農民。いちばん出づらい2と12は、それぞれ錬金術師と探検家、ということになっています。それくらい、これらの職業は稀少なものとして位置づけられているわけですね。  むろん、GMが認めれば、任意に職業を選んでもかまわないとあるわけですが、つまり、ケンがイメージする世界観では、社会は本質的には平等であるべきだが、実際にはそうなってはいない、という矛盾をも表現しえているわけです。    技能(スキル)は、なんと、この職業に必ずしも紐付けなくてもよい、というものになっています。クラス・システムを取るRPGでは、多くの場合、職業ごとに推奨・制限されている技能を取るものですが、本作においてはゲーム的な軽さが優先されているのでしょう。2d6を振って技能を取得すると、その技能のレベル(1レベルから開始)だけ、セービング・ロールに数値的なボーナスが入るというのですから、実に単純明快です。    一方、特殊能力(アビリティ)は、各キャラクターを他から際立たせる、それこそスペシャルな能力であり、2d6で決定されますが、関連能力値の10の位に応じて、自動的にレベルアップしていきます。その記法は、意図してファジーなものになっていて、セービング・ロールの柔軟性、奇策(タレント)の応用性に、うまく見合うものが目指されているようです。  実際、『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』でサポートされている——人間に限らず——各種族の職業、技能、特殊能力を概観していくと、ケン自身が携わった『ストームブリンガー』はもとより、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』、『ウォーハンマーRPG』、『シャドウラン』などを彷彿させるものが、ちらほらあります。それらへのアンサーも兼ねていると思えば、シンプルなようで、あなどれない。  初心者でもスタンドアローンでプレイできながら、深読みしていけば、いっそう楽しくなってくる。それが『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』なのではないかと思います。   ■書誌情報  TRPGルールブック&『モンスター!モンスター!TRPG』用サプリメント  『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』日本語版  著 ケン・セント・アンドレ  訳 岡和田晃  絵 スティーブ・クロンプトン  印刷版 2,200円  ゲームマーケット2026春で先行発売予定 通販は以下(6月発送予定)  https://ftbooks.booth.pm/items/8232648 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! 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2026年5月13日水曜日

第4回【クトゥルフ深話(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4858

第4回【クトゥルフ深話(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】ゲームブックリプレイ ※ここから先はゲームブック【クトゥルフ深話(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。 ぜろです。 「クトゥルフ深話」(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)をプレイしています。 主人公グレイハッカー、キサラギは、世界各地で起きる天変地異に対応するため、各地の友人知人と連絡を取り合い、対処しています。 徐々に世界各地の異変は進行しつつあり、同時に何に使えるかはわからないけれど、邪神に対抗できそうな書物や道具も集まりつつあります。 とはいえ、すでにアメリカ以外の災害レベルは2になっています。あと1レベル上がればその都市は滅んでしまいます。 いったいどうしたらよいのでしょうか。 【災害レベル】 日本:2 アメリカ:1 モンゴル:2 イースター島:2 【持ち物】 ・書物「黄衣の王」 ・旧き印 ・覗きガラス ●アタック01-9 レムリア大陸と世界の滅亡 6日目。 世界の異常の進行に合わせて、アイテムを入手していっている。 となれば、次に何かを手に入れられるとしたら、アメリカだろう。 私はアメリカのマーカスに連絡を取ってみた。 アメリカは災害レベルが1だったが、この連絡で2に上がる。 そして2に上がったことで収穫があった。 アーカムシティから帰還したマーカスは書物「ネクロノミコン」を入手してきていたのだ。 この本のおかげで、私は様々なことを知ることができた。 これまで漠然と動いてきたことの裏付けのようなものだ。 東京、アメリカ、モンゴル、イースター島の4か所を頂点としたひし形を描くことで、太古に存在したレムリア大陸を蘇らせることができるという。 今この4地点で起きている異変は、レムリア大陸の復活に向けて収束していくということか。 アメリカ、とか国土が広大すぎるんだが、まあ、そこは今突っ込むべきところではないだろう。 データを送ってもらった。 書物「ネクロノミコン」を手に入れた。 午後だ。 まだ何も得ていないのは、イースター島だ。 私はイースター島のアブドルに連絡を取った。 アブドルは、海上の調査船にいた。 なんでも、海底ですごい発見があったのだと。 発見したものは2つ。 生物の化石らしきものと、船とともに沈んだと思われる書物類だという。 どちらも一緒にサルベージはできないので、どちらを優先した方が良いだろうかと、助言を求められた。 書物類などは、通常なら海中でダメになっていそうなものだ。 しかし、魔導書の類ならば、それでもそのまま残っている可能性がある。 あと、生物の化石はきっと危険なので引き上げない方がいいやつだ。 私はそう伝える。 アブドルは、私の助言に従い、書物の方をサルベージした。 そこで発見されたのは、なんと書物「ルルイエ異本」だった! クトゥルフ関連の本の本命みたいなやつではないか。 これもデータで送ってもらい、私は書物「ルルイエ異本」を入手した。 これってもしかして、かなり順調に対策アイテムが集まっているのではないだろうか。 こうして、6日目は終わった。 さて、6日目の世界情勢の変化を確認しよう。 ここでは、世界の災害レベルが、現実世界とリンクして上がるかどうかの判定をすることとなる。 まず日本。現実世界の時刻が丑三つ時(午前2時頃)であれば、災害レベルが1上がるという。 これは上がらずに済んだ。 次はモンゴル。空を見上げても太陽が見えない時間帯や天候なら、災害レベルが1上がるという。 モンゴルの災害レベルは上がってしまった。これで3になった。モンゴル……滅んだか。 続いてアメリカ。私が昨晩夢を見たなら、災害レベルが1上がるという。 夢は見ていないか覚えていない。セーフだ。 最後にイースター島だ。ここは、現実世界で雨が降っていれば、災害レベルが上がるという。 雨は降っていない。災害レベルは上がらなかった。 これにより、モンゴルだけは滅びを迎えてしまったことになる。 混乱がどういう形で滅びに繋がったのか。そしてそれが世界に何をもたらすのか、それを確認するため、次のパラグラフへ進む。 そこには、モンゴルの混乱を皮切りに、世界滅亡へと向かっていく人類の姿があった。 世界の混乱の中、恐るべき兵器が使用され……そして、モンゴルだけでなく、世界が滅びを迎えてしまったのだった。 なんと、ここでゲームオーバーだ。 いろいろアイテムを入手し、これからというところで! ●感想 いつもであれば、クリアするまでアタックを重ねるところです。 しかし今回は、ここで区切りにさせていただこうと思います。 感想では、ここまでの感想と、この先をチラ見してしまった部分を含めての感想を書かせていただきます。 この作品は、クトゥルフ神話に詳しい人の方がより楽しめる作品なのではないか、と思います。 クトゥルフ神話で超メジャーな存在たちが、ひしめきあっている作品です。 その存在の影が少し出てきただけで、よく訓練されたクトゥルフ信者たちはきっと、「おお」「あれが来たか」とうなることでしょう。 作品の構成としては、大きく三部構成になっています。 闇に呑まれた主人公が脱出し、自分を取り戻すまでが第一部。 主人公が世界各地の友人知人と連絡を取り合い、世界の異変を確認しながら対抗するアイテムを集めていく第二部。 そしてその時が来て、主人公が仲間と協力し、世界各地の邪神に対抗する第三部。 「その時」は、7日目に設定されていました。 つまり、あと1日を無事に乗り切れば、邪神たちとの対決の場面へと進めたことになります。 登場する存在は、ダゴン、アザトース、クトゥルフ、ヨグ=ソトース。 あと、トラペゾヘドロンに関連して、ナイアーラトテップも。 クトゥルフ世界の重鎮がそろいもそろっております。 それらの存在に対し、これまで手に入れて来たアイテムを、誰に対して何を使うのかを適切に選択し、対応し、切り抜けていく。 これがこの作品の醍醐味の部分になります。 いやこれどう考えても短編でやる内容じゃないでしょ。 こんなクトゥルフオールスターに人類が対抗する物語とか。 オールライダーものの映画とか、スーパー戦隊199ヒーロー大決戦とか、そういうノリですよこれもう。 最初の、闇から生還するまでの部分は、いかにもゲームブック的なギミックが仕掛けられておりました。 キーワードでパラグラフジャンプ。ジャンプするべきキーワードを、ワード入手のパラグラフにも仕掛けてあるというのが、いいひっかけになっていました。 第二部の、世界情勢とアイテム集めの段は、ジョンズシステム。 同じパラグラフから行動を選び、1行動につき時間が経過していくシステム。 そのため、行動できる総数は決まってきます。 また、行き先によっては災害レベルによる段階イベントにもなっており、物語の進展によって展開が変化するようにできています。 この部分のシステムまわりは、感動を覚えるレベルでよくできています。 私はゲームブックは作るのではなく読む方ですが、作るのならば、このシステムを生かした何かを作りたい、と強く思いました。 たとえば、ローグライクハーフにこの段階イベントを組み込んだりしたら、すごいものができそうな……。 ただ、短編の中で巨大な存在と対決していくというストーリーのためか、第二部以降全般にわたって、ダイジェスト感を強く感じてしまったのは残念なところではありました。 様々な超重要アイテムが短時間に次から次へと発見、発掘されていきます。 スピーディでさくさくと進んでいきますが、逆にクトゥルフでそれでいいのかと。 こう、その、なんですね。「クトゥルフってのはもっと殺伐としているべきなんだよ」みたいな講釈を垂れたくなってしまう感じといいますか。 さくさく感とクトゥルフの相性って言いますか。 せっかくスピーディに伝説級のアイテムを登場するカタルシスを与えてくれているのに、失礼極まりないですね私。 あと、これもダイジェスト感の弊害かもしれませんが、アイテムの入手方法が一部、なんというか……雑? これは、私が最初に入手したのが書物「黄衣の王」だったせいかもしれません。 何も情報のない中、なんとなく福井に行ったら、なんとなく九頭竜川流域を進み、なんとなく劇場跡に行ったら、なんとなく見つけました。 見つけた私がポカーンとしてしまいました。 他のアイテムは、ふさわしい雰囲気や場所で手に入るものもありますが……。でも展開の唐突さは否めません。 プレイヤー目線からなら、「ネクロノミコン」が手に入った。やった! って感じはわかるんですけど、作中の登場人物たちの立場で考えると、それらが世界の異変とどう繋がってくるのかの情報に乏しい。 論理的に根拠立てなくても、主人公が直感力に優れていて、そこから何かを感じ取るとか、もう少し描写が欲しかったと思います。 現実世界とリンクさせるのは、これまた独特なギミックを入れてきたなと思いました。 これは、読んだ最初はちょっと否定的だったんですよ。この物語を現実世界の自分の行動とリンクさせる意味ってそもそも何?なんて思ってました。 でも違うんですよ。 この作品の主人公はグレイハッカー。 今私がこのリプレイを書いているパソコンを用いて世界中と繋がり、情報を得て、対処していきます。 たまには車に乗って自ら移動し現場に行きます。 これってつまり、今の私そのものじゃないですか。 机に向かってネットをしている私。そんな私の存在そのものを、この作品の中に取り込んでしまうということ。 こうして、作者が現実世界の行動をリンクさせた意図が理解できました。 でも、そういう理解の仕方をしたら、次にひとつだけ不満が出てきて。 現実世界とのリンクは基本的に、私の普段の生活習慣がマイナスに作用して、災害レベルを上げるペナルティとして発現します。 でも、作中でグレイハッカーは、各地と連絡を取り合い、異変に対処しているんです。 現実世界とリンクするのだったら、私もそのグレイハッカーに協力する行動を取りたい。 私が現実世界で起こした何らかの行動が、作中での災害レベルを1下げるとか、本当は進行すべきところを止めるとか、そういう要素は入れてほしかったところです。 やはり、これだけのスーパー邪神大戦は、短編に収まるような器じゃありません。 もちろんそうは言っても超大作にする必要はないですし、パラグラフ数をいたずらに増やせばいいというものでもありません。 でも、読んでいて、もったいないと思う部分が多かったのも事実です。題材がよすぎるだけに、期待値も高まってしまったのかも。 そんなわけで、良いところや工夫が凝らされているところ、面白いギミックがてんこ盛りの作品でありながら、まだまだ上を目指せる作品でもありました。 あ、ちなみに再アタックをしないのは、ですね。 本作を有利に展開するためには、現実世界での私が、 「誰かがいるところでこの作品を読み」 「丑三つ時ではなく」 「太陽が見える時間で」 「昨晩夢を見ておらず」 「雨が降っておらず」 「体調不良ではなく」 「8時間以上睡眠を取っている」 ことが必要だとわかったからです。 全部完全にこなさなきゃいけないわけではないみたいですが。 それにそんなの、別にズルしちゃえばいいんですけどね。 でもでも、1プレイだけとはいえ、楽しんだことは間違いありません。 著者の山田賢治さんは、いつもこれでもかというほどにアイディアを惜しみなく投入してくるので、また、他の作品も期待してプレイしたいと思います。 それでは、以上で「クトゥルフ深話」のリプレイを終わります。 また別作品のリプレイでお会いしましょう。 ■作品情報 作品名:ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇 「クトゥルフ深話」 著者:山田 賢治 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら ・書籍版(現在、通販品切。委託店舗在庫のみ) https://booth.pm/ja/items/2484141 ・電子書籍版 https://www.amazon.co.jp/dp/B09Z22RJQY ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月12日火曜日

Re:インセンティブ(後)@20代からのゲームブック123 FT新聞 No.4857

FT新聞編集長の水波流です。 本日は、Reシリーズ・丹野佑氏による『20代からのゲームブック』 元は丹野氏が20代のとき、約3年に渡って書き綴られた名コラムの再録です。 (2014年2月5日 FT新聞No.391〜2016年11月23日 FT新聞No.1412) (編註:文中のコメントは全て当時のものとなっております) ☆★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆  おはようございます。丹野です。  これを読んでいるあなたは夏バテしていないでしょうか。丹野はできるだけ寝る時間をとって、一応いまのところは元気にやっています。  8月に配信予定のクトゥルフゲームブックを準備しています。調べれば調べるほど、クトゥルフ神話作品群の「なんでもあり」ぶりに驚かされています。  各執筆人がそれぞれどんな球を投げてくるか、こうご期待です。 ■インセンティブの話  前回は、ゲームブックにおいてはキャラクターの動機とは別に、読者に対するインセンティブが必要だという話をしました。  この作者の作品なら面白くなるはずだ、という信頼があれば問題ないですが、読者にインセンティブを与える工夫が必要です。  基本的には、主人公に強い動機を与えることが読者のインセンティブにもつながります。そうはいっても、たとえば主人公のキャラクターが気に入らないとか、あまり最初から話を進められないとか、そういった事情もあると思います。というわけで、読者へインセンティブを与える方法を具体的に考えていきましょう。 ■約束をする  ストーリーの上で読者を引き付けるためには、大きなフックになる要素が必要です。  ゲームなので目標を示すのが一般的ですが、ほかにも早めに大きな謎を突きつける、行先にこんな場所があるという噂を聞かせる、など、この先の展開を示す要素を入れ込みます。  こうすることで、この先の展開について一種の約束をすることができます。約束をすることで、読者に「じゃあ、それが実際に描かれるまではやってみようかな」と、小さな目標に向けてのインセンティブが生まれます。  あるいは、いっそ何が起きるのか教えてしまう手もあります。予言というやつですね。「おぬしはこれこれこういう運命なのだ」と先に言ってしまうことで、この先の展開をはっきり約束することになります。  ゲームブックは主人公のキャラクターでひきつけるのが難しいので、「約束」を積極的に行うことで、読者にインセンティブを与えることが重要です。 ■ゲームの約束  ゲームブックはゲームですから、約束するのはシナリオだけとは限りません。  この作品ではこういう風に遊びますよ、というルール説明をしておくことが一種の約束となります。  今月まで連載していた『VRMMOからの脱出』では、マクロを使った半自動ゲームブックを楽しんでもらえるよう、ストーリーが大きく動くよりも前にルール説明を置きました。  このように、特徴的なルールを使っているなら、こちらのほうがより効果的かもしれません。 ■ゲームブックならではの  また、ゲームブックなら必然的に発生する「約束」もあります。  あなたも経験があることだと思いますが、パラグラフを移動するときにちらっと見える文章やイラストが、一種のネタバレ、言い換えれば「約束」として機能しています。  知らない名前の登場人物がちらっと見えたり、奇妙なイラストが目に留まったりして、「これ、どういう状況だろう?」と感じたりすること、あるのではないでしょうか。  ほかの媒体ではなかなか発生しない状況ですから、あえて目につきやすい場所に、読者の注目しやすいパラグラフを置いておく……なんてテクニックも、あるかもしれませんね。  それでは、また来週。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月11日月曜日

「アランツァへのいざない」第3回 アランツァ世界の紙事情 FT新聞 No.4856

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ 実は半年ほど前に左手首を傷めてしまったので、今はクライミングは「ゆっくりと、長く」やることを心がけています。 強度を上げるのではなく、それほど高くない強度で確実な動きを続けること。 全力を出せない残念さはありますが、それはそれで楽しくもあります。 治ったときにはひとつ上の段階へと進んでいることを目指して、やっていきます。 さて、本日のお話は「紙と識字率」についてです。 ◆アランツァ世界には紙はあるのか? アランツァ世界には大きく分けて2種類の紙が存在します。 ひとつは「獣皮紙」で、もうひとつは「植物紙」です。 ◆獣皮紙の話。 「獣皮紙って何だろう? 羊皮紙なら聞いたことがあるんだけど……。」 そう思われたあなた、ご安心ください。 獣皮紙とは造語です。 といっても、私が初めて造った言葉というわけではありません。 そのあたりから、説明してまいります☆ ◆羊皮紙とは? 羊皮紙(parchment、パーチメント)とはそもそも、獣の皮を加工して製作された紙です。 細かい説明は省きますが、山羊や仔牛の皮を使うこともあります。山羊の場合にはペルガモン、仔牛の場合にはヴェラムと、異なる名称で特に区別することもあります。 そうなんです。 羊皮紙は、実は羊の皮だけとは限らないのです。 獣の皮を「極限まで薄く伸ばしたもの」が羊皮紙であるとするのが、一般的な定義のようです。 ◆アランツァ世界への「輸入」を考える。 ヨーロッパ世界では羊が多く飼われていたので、この「紙」に羊皮紙という名称がついたのは納得しやすいものです。 しかし、アランツァ世界においては、羊は(十分に存在する家畜であるものの)素材としてメインとするほどに多くはありません。 アランツァは気候が多様です、雪の地域もあれば砂漠もある。 さまざまな動物が紙の素材になる可能性がある。 だから、羊皮紙というよりも「獣皮紙」と呼ぶほうが、より適しているわけです☆ 仔オストリッチや仔丸々獣、あるいは田畑を荒らす鹿や、まだ登場していない害獣が素材になっていることもあり、豊富なバリエーションがあります。 ◆「植物紙」。 アランツァ世界には植物製の紙もあります。 しかし、これはいわゆる、現代の技術を使用したようなものではありません。 かといって、パピルスのような古い技術を使ったものでもありません。 寒い地方の白樺の樹皮をはがして、そのまま紙として利用するというものです☆ この紙は基本的に、片面だけが使えます。 もう片方の面は、ザラザラした木の表皮そのもので、ものを書くには適しません。 この「白樺紙」(私がつけた名称です)は、サン・サレンやフーウェイといった大陸北部(ともに豪雪地帯)において有名です。 太古の森のどこかにはトレント(樹人)たちが管理する白樺の森があり、そこから採取されて、大陸全土へと広がっていきます。 これはかなり大規模なものですが、正確な森の範囲は一部の、最も歳とったトレントたちしか把握していません。 ◆この「紙」が何を意味するのか。 トレントは(貨幣経済を理解してはいますが)、森の外からお金を獲得するためにこの「樹皮園」を営んでいるわけではありません。 これは、直接取引の手段として使われます。 つまりは物々交換です。 トレントたちはこの紙を他の種族に売っていくことで、生活必需品を入手します。 彼らにとってはこの白い紙が、ちょうど「お金」の役割を果たしているといえます。 確実に他のものと交換できるものは、お金と同じように扱われることがあります。 かつての日本において「米」がお金の役割を果たしていたのと同じですね。 まとめると、トレントの世界では「白紙」がお金として機能している、というわけです。 ◆白樺たちのその後。 彼らは白樺の樹皮を「苦しみを与えない範囲」で収穫していきますが、一度か二度ほど皮を得ると、その後は状態のいい皮が得られません。 トレントたちはそうした(経済的な視点から見れば「用済み」の)白樺のお世話を、ずっと続けます。 彼らにとって植物は友であって、人間と家畜のような関係性とは少し異なります。 人間であれば、樹皮を得た後の白樺の樹を、建築物等に活用することでしょう。 しかし、トレントたちはそうしないのです。 ◆より高価な紙。 トレントたちが住まう太古の森には、もうひとつ、もっと高価な皮があります。 それは、彼ら自身の皮を使った「トレント皮紙(樹人皮紙)」です。 こちらは非常に頑丈で、とても重要な(あるいは、神聖な)事柄を記すために使われます。 もっとも一般的な使い方は、魔法のスクロール(巻物)の素材です。 アランツァの世界では「生命を持つもの」は魔力を持っているため、魔法を使うトレントから得た生皮(あるいは、亡くなったばかりのトレントの皮)には魔力が宿っています。 この魔力は時間の経過とともに、(抜けた歯から水分がゆっくりと抜けていくように)少しずつ「死んで」いきます。 ◆識字率は? アランツァの主たる大陸であるラドリドは、紙は比較的手に入りやすい土地といえます。 いっぽう、それを読む側はどうでしょうか? 「アランツァへのいざない」第1回でご説明したとおり、冒険者は「最低限の読み書きと、商人と取引できる程度の計算」能力を身につけています。 言い換えると、冒険者の識字率は100%です。 もし、冒険者の識字率が100%でなかったとすると……冒険の途中で文字情報を得るたびに、それをちゃんと読めるかどうかの(【魔術ロール】のような)判定が必要になってしまいます。 それは、ゲームの本筋を面白くしてはくれない気がしました。 ですので、冒険者の識字率は100%です。 ◆まとめ。 アランツァの世界には「獣皮紙」と「白樺紙」が普及しており、特に魔法の巻物には「トレント紙」がよく使われます。 アランツァ世界の人々は文字を読めたり読めなかったりしますが、冒険者に関しては100%の識字率を誇ります(断言)。 「アランツァへのいざない」第3回でした。 それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。