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2026年4月19日日曜日

Re:オレニアックス生物学 Vol.2 『竜巻女』 FT新聞 No.4834

(編註:この記事は、過去の人気記事を再配信するReシリーズです。文中のコメント等は全て当時のものとなっております) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ オレニアックス生物学 Vol.2 『竜巻女』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 美女の形をした空気のうず。 しかしご用心。 美しいものにはトゲがある。 危険な美女、「竜巻女」についての授業の はじまり、はじまり、、、。 * 生物学の授業は非常に重要な科目だった。 アランツァの地での戦いは、戦争となるとまた話は別だが、人間以外の生き物と交戦することも少なくなかった。 聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラントは生物学の権威。 そんな彼の授業は生き物の外見、性質、そして対処方法を教えてくれる。 生徒たちを生き残る道へと導く、確かな灯火だ。 今日もカメルの授業が始まる……。 * 「『つむじ風が成長すると、竜巻になる』。この定義は正しいか?」  グラント博士は口を開くなり、こう問うた。生徒たちは真面目に考えこむ。 「おっ! ウルトランクイズですか、先生? 重要区へ行きたいか〜! ってね」  一人だけどんな時でも真面目でない生徒、ガリィが叫ぶ。 「ブッ!」  思わず吹き出してしまった生徒たちはあわてて口をふさぐ。  ちなみに、ウルトランクイズ大会とは市民の主催する祭りで、知恵比べのようなものだ。  勝ち抜くとチャンピオンとなり、首都で豪華なディナーを楽しむことができる。  なお、ガリィは今年も一回戦で負けた。 「これは真面目な話だぞ、ガリィ。うむ。ちょうどいい。ガリィ、答えてみなさい」 「うっ!」  ガリィが思わずシャキッと立ち上がる。 「……へっ、こんなのカンタンだよ。いいか、みんな。ウルトランクイズ出場者の実力を見せてやる。行くぞ、答えは……『マル』!」 「不正解」 「えっ」  教室がドッ、と沸く。  グラント博士は、やれやれ、というように苦笑いしながら、手をひらひらと上下させ、『静まるように』というジェスチャーをした。 「まったく、型にはまらぬ生徒だな、君は。それが良い方向に働くことを祈ろう。それと、これも覚えておくといい。協調性もしばしば君を助けるだろう。すぐにでも、身につけることだ」 「ハイ」  ガリィは照れ笑いをしながら着席する。 「つむじ風は壁に風が当たってできたもの。竜巻は雲の異常によって発生する上昇気流だ。よって、この二つは別のものである」  博士は言い終えると、口の中のものをゴクリと飲み込んで反すうを終えた。  生徒たちはノートに羽根ペンを走らせる。  できれば最初から、飲み込んでから話してもらえると、もう少し聞き取りやすいのだが。 * 「さて、自然現象以外にも、竜巻が発生する条件がもう一つある。それは何か? ……レムレス」  指された最前列の生徒は即座に答える。 「魔法、ですね。正確には、ハッキリと実在するとされている魔法は3種。古代魔術の積乱雲生成。イラジエルの風神による竜巻召喚。最後に錬金術の……失礼。喋りすぎました」  彼はそれきり口を閉じた。  博士はまた、苦く笑わなければならなかった。 「見事だ。特に、異教の禁呪にまで言及できるのは誇り高きオレニアックス歴代の英雄たちの中でも君しかおるまい」  生徒たちの感嘆の溜息の中、レムレスは静かに、しかしはっきりとそれを否定した。 「いいえ、『愚賢者』がおります」  博士は真剣な表情に戻って、首を振る。 「レムレス。彼を賛美してはいけない」 「はい」 「うむ、よろしい」  レムレスが素直に首肯すると、博士は小さく微笑み、片目を瞑る。 「では、君が最後まで説明してしまわずに残してくれた最後の魔法、つまり錬金術の魔法生物生成、『生きる竜巻』について説明しよう」 * 「『生きる竜巻』。それは冒険者の前に立ちはだかる、女性の形をした暴風だ。『竜巻女』などと呼ばれることもある」  ラクダ人である博士は、もっしゃもっしゃと口を動かしながら続ける。 「困ったことに、彼女には意思がある。竜巻女は、人間を小馬鹿にして遊ぶのが好きなのだ。ならば、彼女にはどのような態度で接するべきか? ベルナデッタ」  指されたおとなしい生徒、ベルナデッタは、困ったような顔をして黙ってしまったが、すぐに意を決したように口を開いた。 「し、親切にすべきでないかと思います……」  それを受けて、博士はなお質問した。 「相手は人間を馬鹿にしているのだが、それでもかね?」 「はい。……いえ、『だからこそ』、親切にすべきです……」 「ふうむ」  博士は彼女の考えを肯定するように満足そうにうなずくが、他の者に水を向けた。 「他に考えのあるものは? では、同じ女性のニナ」  妖しげな雰囲気を持つエルフ、ニナは少し考えると、口を開く。 「仕事熱心な憲兵(警察)を見つけた時と同じね」  謎めいた答えに教室がざわつく。  これだから洒落者のいるクラスは退屈しない。 「何だって?」  博士が聞き返す。 「その心は?」  ヘイルがふざける。  ニナはかすかに微笑んで答える。 「見つけたら、一言も口をきかずに道を変えること」 「ヒュ〜!」  ガリィの口笛。教室はドッと色めき立つ。  博士はそれを静めながら、むしろ爽快、という顔をしていたが、彼は便宜的にニナをたしなめてみせた。 「正解、と言いたいところだが、少々盛り上げすぎたようだな。この生物学は君たちの命を救う授業であるから、もう少し謹まねばな」  かく言う彼も、言葉を続けながら、もっしゃもっしゃと反すうをして、笑い顔をごまかしているようだった。 「憲兵も竜巻女も、勝ち目がないので逆らってはいけないというのは本当だな。さらに、こちらが親切にした所で、それを素直に受けとる相手でないということも一致している。ふむ!」  博士は顔をくしゃくしゃにしながら、1つ咳払いをした。 「竜巻女の存在は、人格と捉えぬほうがいい。『現象』のようなものだ。竜巻そのもの、吹き付ける暴風そのものだと考えるのだ。彼女には意思があるが、それは人間の及び知る所ではない。何のためにいるのか、何がしたいのかと考えてはいけない。天災に良心を期待しないように、竜巻女にも良心を期待してはいけない。ただ、彼女のもとを去るのだ」  生徒たちは顔を上げ、身を乗り出して聞いている。 「最後に、このオレニアックスの英雄候補にしか教えぬことを告げよう。竜巻についてだ」  博士は心持ち、ゆっくりした口調で言った。 * 「アランツァでは竜巻は特別な存在だ。竜巻は自然現象というものの範疇から逸脱している。竜巻は障害の化身だ。害そのものだ。どんな状況でも、竜巻に関わること自体が不利益を生む。関わるだけ損なのだ。また、竜巻に出会ってしまったということ自体が、間違った選択をしたという意味を持つこともある」  終業の鐘がなる。 「本日の授業を少ない言葉でまとめることができるかな、ヘイル?」  博士は学校一の人気者、ゴーレム剣士のヘイルを指す。  ヘイルはニヤリと笑って、よく響く声で答えた。 「憲兵と竜巻を見たら、すぐに道を変えろ」 「ブッ!」  とうとう博士も吹き出してしまった。  教室は笑いのうずに巻き込まれる。 「ま、それで良しとしよう。竜巻は天災だ。竜巻女もその例に漏れない。出会ったら、可及的速やかにその場を離れる。そのことをしっかり肝に銘じること。以上!」  博士はピンと背すじを伸ばしたまま、教室の扉を開ける。ありがとうございました! と声が響く。  若い生徒たちに教えることのうち、どれが役立ち、どれが無駄になるかは分からない。  だが、いくつかはきっと、彼らの命を永らえさせてくれるだろう。  そう信じて博士は今日も教鞭をとる。 (From:清水龍之介) ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『竜巻女』  突風が吹きつけ、仰向けに倒されてしまった。すぐに起きようとするが、突風にからかわれているかのように転ばされてしまう。何分も同じ場所に貼り付けられていた。もう我慢の限界だ。  いいかげんにしろ、と叫ぶと、正面からゲラゲラと女の下品な笑い声がした。それは異様な光景だった。風が目の前に集まって竜巻のように巻き上がっているが、それが人間の女のような形を作っているのだ。その竜巻の女は腹を抱えて笑っている。  竜巻を無視するならAへ、戦いを挑むならBへ。  また、悪魔を召喚することもできる、、、 【魔の国の王女】に登場。90ページを参照。  技術点不明 体力点不明 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月18日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第688号 FT新聞 No.4833

From:水波流 9歳の娘を6月にジブリパークへ連れて行く任務を仰せつかり、予約解禁日の開始時間にスマホに張り付いて、チケット購入ボタンを押した瞬間の待機人数が「12,000人待ち」と表示されて絶望を感じる。 ただうちは土曜参観日の代休の月曜狙いだったため、なんとか1時間半待機した末に、無事プレミアム入場券を3枚ゲット。 さて次はジブリパーク公式ガイドで、予習である。ちなみに娘は6月までにまだ見ていないジブリ作品を予習すると張り切っている。 From:葉山海月 トモダチから送られてきたメール 「絶体ビビる! 見てね!」というもの。 一番ビビったのは、そのメールに添付画像もアドレスも何もなく、友人も送った覚えがないということ。 From:中山将平 僕ら明日4月19日(日)、埼玉県の川口市民ホールフレンディアで開催されるレトロゲーム・マイナーゲーム中心同人誌即売会『ゲームレジェンド41』にサークル参加します。FT書房の4月のイベント参加予定はこの一つだけです。お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 僕自身は同日、個人サークル「ギルド黄金の蛙」にて、インテック大阪で開催される獣人・ケモノオンリーイベント『関西けもケット11』にサークル参加します。配置は【B-37】で、カエル人のコンテンツを扱います。 こちらもぜひご注目いただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (明)=明日槇悠 (く)=くろやなぎ (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■4/12(日)~4/17(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年4月12日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4827 ローグライクハーフシナリオソムリエ その3『フランソワーズの猫』 ・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第3弾をお届けしました。 ローグライクハーフのd66シナリオは、「基本的に」3回まで遊べるようにデザインされています。ですが、これは1回でも2回でも、『ローグライクハーフ版ガルアーダの塔』のように9回でも全然構わないのです。 今回は恵那ケミカル氏のオリジナル世界「ドリームランド」と童話「フランダースの犬」が融合した『フランソワーズの猫』です! 何と選択肢次第で最大6回まで遊べる意欲的な大作です。 原作では美しくも悲しい結末を迎える「フランダースの犬」。その登場人物たちに更なる悲劇をもたらそうとする難敵「ナイトメア」を、味方である雨猫フランソワーズと協力しながら、特殊な戦闘ルール「ロール・ロール・ラッシュ」で討ち果たしましょう!  プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜! (天) 2026年4月13日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4828 ☆アランツァ世界へのいざない 第1回☆ ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」。 これまで、カメル・グラント教授による旅行記として「アランツァワールドガイド」、同教授による授業の形式でクリーチャーを紹介する「オレニアックス生物学」などを記事にしてきましたが、改めてアランツァについて「ちゃんと触れたことがなかったな」ということについて、記事というカタチでお届けします。 第1回のテーマは「冒険者」。ゲームブックでは「君」、ローグライクハーフでは「主人公」とされる「冒険者」ですが、「アランツァ」ではどんな立場なのか、どんな存在なのか、どんな経緯でなるのか……知らなくてもまったく問題ないけれど、ファンには気になる話が目白押し! どうぞ記事にてご覧ください。ご感想もお待ちしております! (天) 2026年4月14日(火)かなでひびき FT新聞 No.4829 『これはゲームブックなのですか!?』vol.131 ・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。 今回紹介する作品は『数字やデータのナゾをとく フェイクを見破れ!!』(山口慎太郎 著 JTBパプリッシング)! 「あなたは冒険者。今回はお宝ザクザクなダンジョンに向かう! さて、どこから侵入する?」……もしこの選択肢が、 (1 北の洞穴/ 2 南の洞穴/ 3 西の洞穴)と、(1 西の洞穴/ 2 東の洞穴/ 3 北の洞穴)では、印象もとる選択も変わってくるのではないでしょうか? 戦闘中などで、ダイスの目が六回連続して1が出たとして、次に1が出る確率は上がってるでしょうか? 減っているでしょうか? この手の世にはびこる統計学や確率論のトリックを、子ども向けにかみ砕いてわかりやすく楽しめる一冊! 悪評のたっているたこ焼き屋に行くと、あれれ? おいしい! そんなデータを鵜呑みにしないコツが学べちゃいます。見逃せば人生コウカイすることウケアイ! (明) 2026年4月15日(水)ぜろ FT新聞 No.4830 第4回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第487回。「旅の店」の魔道具の力で「旅の匂い」のする場所を巡る主人公の冒険、最終回&感想回です。 タイトルにもあるように、この作品のテーマは「旅」。ぜろ氏は「旅ってなんだろう」ということも考えながら、ボス戦直前っぽい地下迷宮から、魔女の住む不思議な果樹園まで、5つの旅先を巡ってきました。 たまたま3回続けて僧侶の主人公を引き当て、ボコボコにされながらも僧侶としての有効な戦術が見えたと思ったら、その後は強敵との戦闘は無く…という一連の「旅」の過程は、ランダムで単発的な「旅人の旅」に相応しく、ほどよい「体験版」として、作品の魅力の一端を伝えてくれたように思います。 戦士や盗賊でのプレイ、あるいは「苦難の旅」がどんなものになるのかは、ぜひ皆さんご自身で体験してみてください! (く) 2026年4月16日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4831 『アナログゲーム産業年鑑2024』のご紹介   ・例えば、『ファミ通ゲーム白書』 これはデジタルゲームを取り扱っていますが、ふと「ああ、アナログゲームにもこんな充実した資料があったらなぁ!」と思ったことはありませんか? 今回紹介する『アナログゲーム産業年鑑2024』は、そんなあなたをフォローする一冊かもしれません。 こちらは、ユーロゲームを中心としたボードゲームに関する記述がメインで、TRPGやゲームブックに関する個別の分析はありません。しかしながら、8章の「関連書籍動向」で、「書籍・雑誌形式のアナログゲームならびに関連書籍」として、2023年に刊行されたTRPGやゲームブックのリストが掲載されています。 とても頼りになる本なのですが、ただ値段が2万! この機会に、お近くの図書館等への購入依頼を呼びかけられてはいかがでしょうか? 詳細は本記事をよろしくお願いいたします! (葉) 2026年4月17日(金)水波流 FT新聞 No.4832 FT新聞が届かない日があった場合 ・どうもこのところ、FT新聞の未着が複数の方に発生しているようです。 メールマガジン配信システムを調べてみました。 すると、下記のようなMicrosoft系のメールアドレスが特に未着になりやすいようです。 @outlook.jp @hotmail.com @hotmail.co.jp @live.jp @msn.com メールアドレスを複数お持ちの方は、幾つか登録されるのも良いかも知れません。 下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試し頂くのもお薦めです。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html 詳細は本記事でよろしくお願いいたします! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (三日月蹴太さん) 『呪術廻戦』の主人公 虎杖悠仁が 「なんつーか、一度人を殺したら「殺す」って選択肢が俺の生活に入り込むと思うんだ」 と語ってますね。 芥見先生も同じものを見聞きしたのかもです。 (お返事:杉本=ヨハネ) ありがとうございます☆ それです、それです! 重い話になってしまうのですが、それより以前に、友人のご家族が自死したことがありまして、その際に「つらいとき、『自分も……』と選択肢に入ってきてしまうのがつらい」と言っていたことと結びついて、記憶にしっかりと刻まれました。 習慣の強さも、「他の選択肢が思い浮かばない」ことと関係があると思います。 毎朝の早起きはつらいですが、だからこそ、習慣で下支えしてやっていくのが吉と考えております★ (ぜろさん) 「アランツァ世界へのいざない」たいへん興味深く読みました。 細かい設定にとらわれず、自由にリプレイを書かせていただいている私ですが、それも強固な土台部分があってこそ、ですものね。 冒険者ギルドのくだりは、「あ、私これまで出したことなかった。ギリギリセーフ」と思いました(笑) でも別に出しちゃってたなら出しちゃってたで、普通に開きなおっていたと思います。 昨今の異世界転生系の作品では、「ステイタスオープン」と唱えれば自分のステイタスが見られるのが当たり前になってますね。なんなら「そういう」アランツァ作品を誰か書いでもいいくらいに思ってます。あ、自分で書けばいいのか。 冒険者ギルドがないから始まって、冒険者が国に招へいされるあたりの立場を読み、今まさに私が書いているリプレイの主人公がそんな感じです。しかも弟子を取る要素もあります。あまりもこの記事とシンクロしていて驚いております。 (お返事:杉本=ヨハネ) ありがとうございます☆ わざわざ説明するよりも、その思想が反映された世界をお見せして感じ取っていただくのが、遠回りながらいちばん楽しいと本当は考えています☆ ぜろさんがアランツァを旅して、感じ取ってくださった部分が正確だから、必然的にシンクロが発生したのだと思います☆ 来週の記事はもっとぶっ飛んでいるので、楽しみにお待ちください。 「そんな話、1回もしてないじゃん!」 という設定を、お見せいたしますので☆ (ジャラル アフサラールさん) 「因果関係のトリック」で「今まで負けた『貯金』があるから、次こそ勝てるはずだ!」というのはギャンブルで身を持ち崩す人が言いそうな理論ですね。ギャンブルは必ず胴元が勝つようにできているのに「必勝法」を見つけた!という人もよくいます。幸い私の身近にはこういう人はいませんが、いたら距離を置くべきでしょう。 (お返事:かなでひびき) ありがとうございます。 いますよねー。そんな人。 そんな人に限って「そんなちまちました理論で、漢のロマンは崩れねぇぜ!」って突っ込んでいきそうですよねー! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月17日金曜日

FT新聞が届かない日があった場合 FT新聞 No.4832

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ おはようございます。 FT新聞編集長の水波流です。 どうもこのところ、FT新聞の未着が複数の方に発生しているようで、メールマガジン配信システムを調べてみました。 すると、未着になるアドレスに傾向があることが分かりました。 下記のようなMicrosoft系のメールアドレスが特に未着になりやすいようです。 @outlook.jp @hotmail.com @hotmail.co.jp @live.jp @msn.com 残念ながら、理由は不明です。 FT新聞が使用しているメールマガジン配信システムと相性が悪いのかもしれません。 以前はGmailばかり未着になることがありましたが、現在は解消しています。 各社のメールセキュリティが強化されたりアルゴリズムが変更されたりすると、急に未着になったりするようです。(しばらく経つと直ることもあります) 未着のケースは複雑化しており、個々の環境の問題が大きく、なかなかFT新聞側で対処は難しいのが現状です。 メールアドレスを複数お持ちの方は、幾つか登録されるのも良いかも知れません。 下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試し頂くのもお薦めです。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html なおシステム上、10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。 再度登録していただく事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 という、ご案内でした。 なお毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月16日木曜日

『アナログゲーム産業年鑑2024』のご紹介 FT新聞 No.4831

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 『アナログゲーム産業年鑑2024』のご紹介  岡和田晃 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●  一般社団法人アナログゲームミュージアムをご存知でしょうか。2020年11月に、現代表理事の草場純氏から「準備委員会」の呼びかけがなされ、2023年5月のゲームマーケット2023春にて、「アナログゲームミュージアム設立記念イベント」が執り行われ、正式に始動した団体です。同イベントは4Gamer.netで詳細にレポートしているのでご参照ください(https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20230524001/)。  アナログゲームミュージアムは、活動目的に「文化資源としてのアナログゲーム」に関わる、「普及・啓発・コミュニティ育成」、「調査・研究・教育を通じた専門家の育成」、「資料の収集保存およびミュージアムの運営」、「これらの活動を通じた、ひらかれた遊び場の創出」を掲げていますが、同ミュージアムは神奈川県大磯市を拠点に、アナログゲームの現物の収集・保存を行っているのみならず、目録の検索システム「AGMサーチ」(https://id.analoggamemuseum.org/s/agm/page/welcome)、会報の発行などを行っています。  4Gamerでの上記レポートでは、安田均氏のコメントで、「ドイツには,ゲームの刊行データなどをまとめた年鑑本が刊行されている時期がありました。作るのは本当に大変みたいですが,AGMにはぜひ,ああいったものを作っていただければと思います」という提言がなされています。  昨今はボードゲームやTRPGをテーマに卒業論文や修士論文が書かれることも珍しくありませんし、ゲームをテーマにした学会や査読論文も複数あります。私自身、学会からの依頼で、査読者としてゲーム関係の論考にコメントを行ったこともあります。  研究において大事なのは一次資料の調査ですが、いかなる分野であれ、一定の信が置ける媒体をあたり、基礎的な動向を確認することも大事になってきます。  アナログゲームについては、ゲームの現物が散逸しやすく、いつ誰が出したものかということもわかりづらいという問題がある一方、中立的な立場からの情勢分析や批評が難しい、という現状もありました。このため、まずは基礎研究の充実が求められてくるわけです。  実際、デジタルゲームでは『ファミ通ゲーム白書2025(https://www.famitsu.com/article/202508/49165)や、『ファミ通モバイルゲーム白書2026』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000230.000017610.html)のような年鑑本が、すでに発行されています。    アナログゲームミュージアムでは、2024年12月『アナログゲーム産業年鑑2024』が、株式会社矢野経済研究所の協力のもとで刊行しています(電子版・印刷版)。  2025年7月13日、林尚志氏のドイツゲーム大賞受賞が、日本人初の快挙としてNHKで報じられました。このとき、アナログゲーム産業年鑑からの引用がなされました。それくらいには、信頼のおける典拠とみなされているわけです。  『アナログゲーム産業年鑑2024』は、あくまでもユーロゲームを中心としたボードゲームに関する記述がメインで、TRPGやゲームブックに関する個別の分析はありません。こちらは、編集委員会内に、ボードゲーム関係者がメインになっている部分が大きいようですが、ただし、8章の「関連書籍動向」で、「書籍・雑誌形式のアナログゲームならびに関連書籍」として、2023年に刊行されたTRPGやゲームブックのリストが掲載されています。    こちらのリストは、草場純氏からの依頼で、石在神明氏がお作りになったリストに、私が補填を行ったものです。私は編集委員会のメンバーではありませんが、キックオフイベントを取材し、また草場氏と一緒にAnalog Game Studiesやボードゲーム読書会@高田馬場といった研究会に参加してきたことから、依頼を受けた流れになります。    具体的には、ISBNが付され、Amazon.co.jp等で流通し「Role&Roll」等の専門書籍で紹介されているものを石在氏がリストアップし、私の方でそのリストを点検し、電子書籍専売のものや、海外RPGの翻訳作品、ボックスタイプのもの等を補填したという形になります。すべてを網羅しているわけではありませんが、それでも基礎資料にはなるでしょう。    これに加えて、本「FT新聞」のアナログゲーム関連記事の一覧(再掲、宣伝を除く)も載っています。日刊ペースで出ているアナログゲーム関係のメールマガジンは他になく、それを概観すれば、一定の動向はわかるだろうという考えにより、こちらは水波流氏に基礎的な一覧をご用意いただき、私が点検・補填したものになります。  ただ、この資料には一点、残念な点があります。それは高価なことです。  個人での購入というよりは、図書館や研究機関・企業等での購入が前提になっていること。定価は20000円+税というので、相当なものです。  アナログゲームミュージアムでも、図書館や研究機関・企業等への紹介を積極的に行っているということで、この機会に、お近くの図書館等への購入依頼を呼びかけられてはいかがでしょうか。    2026年3月には、続編たる『アナログゲーム産業年鑑2025』も刊行されましたが、そちらは別の機会に紹介したく思います。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 『アナログゲーム産業年鑑2024』 <冊子版> 発行日:2024年12月12日 版型:A4 ページ数:122p ISSN: 2759-8209 本文モノクロ印刷 <電子版> 発行日:2025年1月15日 版型:A4 ページ数:125p 編著:一般社団法人アナログゲームミュージアム運営委員会 発行人:草場 純 発売元:一般社団法人アナログゲームミュージアム運営委員会 連絡先:info@analoggamemuseum.org ※サンプルページ:https://analoggamemuseum.org/publication/annualreport 価格:本体20,000円+税 冊子版:https://booth.pm/ja/items/6352515 電子版:https://analoggamemuseum.booth.pm/items/6493071 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月15日水曜日

第4回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4830

第4回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ ※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。 ぜろです。 「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦中。 店からどこか別の冒険の舞台に転移させてくれるシステムです。 僧侶キャラの挑戦者、ソウハとソウヤはそれぞれの戦闘で生き残ることができずに命を落としました。 3人目の挑戦者ソウゴがようやく、ひとつの旅を成功で終えたところです。 「旅人の旅」はこの転移の旅を3回までできるというので、この3回の旅を成功させることが目的です。 さあ、あと2回。ソウゴの冒険は続きます。 【ソウゴ 僧侶 技9 体12 運10/11 金貨70(巻物の換算含む) 加護(運だめしごとに体力点+2)】 ●アタック03-3 乾くことを知らないキャラバン 「さあ、無事に帰ってきたんだから、儲けの一割をよこしな」 ゴルギアスロフの要求に応じ、金貨を支払った。金貨55枚分の儲けだったので、繰り上げて金貨6枚を支払った。 「で、次の旅に出るのか」 もちろんだ。 私は早速次の場所への転移を望む。 サイコロの出目は1。 また新たな場所だ。 次はいったいどんな場所へ飛ばされるのか。 一瞬で風景が変わる。 この切り替わりの瞬間は、どうにも馴染めないな。脳が一瞬バグる。 急な熱気が私を襲う。 飛ばされた場所は……砂漠!? そこは、砂漠のど真ん中だった。 これまでは、ボス戦の直前のセーブポイントとか言っていたが、今回はパターンが違う。 それとも、砂が盛り上がって巨大サンドワームでも出てくるのだろうか。 辺りを見回す。 遠くにキャラバンが見える。 選択肢は、キャラバンに向かうか、無視して歩き回るかだ。 砂漠の中を無目的に歩き回るなど、無謀にもほどがある。 目標物があるのなら、そこに向かうべきだ。 私はキャラバンに向かった。 砂漠の客は、キャラバンにとっては貴重な存在なのかもしれない。 私は歓迎された。 ここで選べるのは、武器商人に武器を見せてもらうか、休憩のテントに向かうかだ。 まだ何もしていないが、ゴルギアスロフに呼び戻してもらうこともできる。 いやいや、なんのためにここに転移したんだって話だよ。 私は、武器商人と話をした。 「そんな装備で大丈夫か?」 金貨5枚を出して一般的な武器を見せてもらうか、金貨10枚を出して「いちばんいいのを頼む」と言うかを選ぶことができる。 もちろん「大丈夫だ。問題ない」と言って買わないのも自由だ。 今の所持金なら問題ない。私は良い武器をみてもらうことにした。 すると、武器商人が見繕ってくれたのは、なんと戦槌だった! 硬い敵に対してダメージが倍増するという非常に優れた武器だ。 具体的には、岩悪魔や、がい骨に対して有効だ。 そして私は、スタート時に「自分に合った武器」を持っているという設定から、特に不自然ではないという理由で、戦槌を持っていることにしてしまっていた! まさか、作中で手に入る武器だったとは。 ひとまず戦槌は、ここで買うのは買っておいた。 初期装備の勘違いについては、戦槌が途中で手に入る武器であるとわからなかったことと、記述の仕方がミスリードを誘発しそうな文章だったということで、ご勘弁願いたい。 前回がい骨との戦いでは、戦槌の恩恵をちゃっかり受けていたので。 戦槌を買うと、あとはもう休憩テントに行くくらいしかない。 テントはなんか、煙草の煙がくすぶっており、めっちゃ退廃的な雰囲気だった。 喫煙所なんてレベルじゃない。なんかやばい薬でもキメてるんじゃないかって思うくらい。 誘いに応じて煙草を吸うか、酒を飲むかと選択があったけれど、どちらも趣味じゃないのでやめておいた。 となると、ここでできることは終了だ。 私は、ゴルギアスロフに帰還を依頼し、転移で店へと戻るのだった。 こんなパターンもあるんだな。 魔道具の「旅の匂い」の判断基準がよくわからなくなってきた。 ●アタック03-4 不思議な果樹園 店に戻ってきた。 今回は収入どころか、買い物をしてきただけなので、ゴルギアスロフに支払うものはない。 そしてさっそく、3回目の旅に出ることにする。 サイコロを振って、行き先を決める。 サイコロの出目は2だ。 これまた初めて行く場所だ。 最初の挑戦者ソウヤから、行き先を決めるサイコロは5回振っているが、なんと1回もかぶっていない。 これで行ったことがないのは、出目4の場所だけだ。 そしてこの出目にのイベントをクリアすれば、私の「旅人の旅」3回クリアという目標は完遂されることになる。 ここでつまづきませんように。 飛ばされたのは、果樹が規則正しく並んでいる場所のど真ん中だった。 森? 違う。ここは果樹園なのだ。 遠くには、石造りの小屋が見える。農機具小屋だろうか。 それにしては、変にねじれた形をしている。 小屋の付近に人影が見える。農夫だろうか。 前回に引き続き、あまりボス戦前のような雰囲気は感じられない。 もしかして、場所を決めるサイコロの出目が小さい方は、それほど危険はないということなのかもしれない。 だとしたら、ここは突破しやすいのかも。 ひとまず、小屋の近くの人影のところまで行ってみよう。 一応、果実を食べてみるという選択肢もあったが、それは選ばなかった。 人がいるのなら、先にどういう果実なのか、食べてもいいのかお伺いを立てた方が良いだろうし。 石造りの小屋に近づく。 農夫は無口で無反応に私を見ている。 ちょっと不気味だ。正直、普通じゃないと思う。 知らない人でも、軽くあいさつくらい交わすだろうに。 私の中で警戒レベルが一段階上がった。 ・農夫を無視して石の小屋をノックする。 ・農夫に話しかける ここは農夫に話しかけよう。この人物を放置して次の行動を取るべきではないと思う。 私があいさつをしても、農夫は無言だ。 ここはあなたが管理する果樹園ですか、と尋ねてみるが反応がない。 ますます不吉な予感ばかりが高まっていく。 その時、どこからか甲高い声が聞こえた。 私にとっては意味不明の言葉だったが、それは何かの合図だったらしい。 農夫はいきなり襲いかかってきた! 【農夫 技術点4 体力点4】 農夫自体は別に大した相手ではなかった。たちまち打ち倒す。 だが、この状況は明らかに異常だ。 農夫は、さっきの謎の声の主に操られたということなのだろうか。 そもそも、あの声はどこから。 そう遠くではない。ということは、やはりこの小屋の中からか。 改めて見ると、とても農機具小屋とは思えない。魔女でも住んでいそうな雰囲気だ。 魔女の果樹園か。何か特別な効果のある果実を栽培しているのかもしれない。魔女というより錬金術師のアトリエみたいな。 ここで転移して戻るという選択肢もあったが、私の好奇心は止まらない。 それに、ここで戻ったところで何も得られない。 私は、小屋をノックした。 ●アタック03-5 魔女のスープはいつも 小屋の中にいたのは、一目でわかる魔女だった。 思わず「ねるねるねるね」と言いたくなるような外見だ。 「おや、お前さんは誰だね。ちょうど今できた魔女のスープを飲んでみなさい」 ちょっと、前後の文脈が繋がってないんだけど! なんか、いかにもな魔女の釜からスープをすくって、私に押しつけてくるんだけど! スープ、熱いんだけど!! ・スープを飲む ・逃げ出す 飲みたくない。これぜったい飲みたくない。 やばい雰囲気しかしない。 あの農夫みたいになっちゃうかもしれない。 最初のセリフからも、私にカケラの興味もないことは明らかだ。 でも、逃げたら逃げたでもっとやばい気がする。 そもそも逃げられるの? カエルとかに変えられちゃうんじゃない? ええいもう、飲んでやらあ! 私はやけくそでスープを口に含んだ。 熱々だ! カニ味だ! ここでサイコロを振り、魔女のスープが成功だったか失敗だったかを判定する。 ちなみに、失敗だと、ただのおいしいスープらしい。 それはおいしい。失敗しろ失敗しろ〜。 念じて転がすサイコロの出目は2。魔女のスープ、成功だった! てーれってれー。 あれ……なんだか……ねむく……。 ここで今度は運だめしだ。 眠気にあらがうのが運なのかは置いといて、気力でサイコロを振り6出して成功。 入眠前に体を起こし、外に向かって走り出す。 結局逃げるのなら、最初から逃げとけばよかった。 でもここで逃げたらぜったいなんかペナルティ食らうよね。 運だめしには成功しているから、さすがにカエルやカラスにされちゃうなんてことはないと思いたいけれど。 明日に向かって走れ! 後ろから、魔女の呪いが飛んできた。 次に昆虫を見たらダメージを受ける呪いだ。効果は1回だけ。 うわあ。なんというピンポイントな呪い。 靴の中にちくちくした異物感を感じ続ける呪いの次くらいに嫌なやつだな。 もういい。もういいから帰るよ! 何の収穫もなかったけど! ここの「旅」は、何をどうすればプラス収支で帰れるのかな。 無断で果実を食べた方が良かったのか? それもなんかの判定を求められて、プラスマイナス両方の効果がある予感もあるけど。 ちょっと見に行ってみた。 「果実を食べると鼻が伸び、武器をもうひとつ余分に持てるようになって攻撃力1アップ」 ちょっと! 恩恵には預かれるけど、これってどうなのっていう効果だった。 ゾウか! あ。でも面白いかも。 つまり今後、長い鼻で武器を操る二刀流または三刀流の剣士をサブキャラなどで登場させても良いってことだ。 ローグライクハーフなどでサブキャラクターを作るときの設定の夢が広がる。 そんな妄想は魔女の小屋に置き去りにして、ゴルギアスロフの旅の店に帰る。 なんの実入りもない帰還だった。でも、これで3回目の旅からも無事に帰還することができた。 「へへっ。まいど」 ゴルギアスロフは言う。 「旅人の旅」はここまで。また旅を続けるなら「苦難の旅」を選ぶようにと。 私の目的だった、修行のための旅が達成できたかといえば、正直微妙なところだ。 だからといって、苦難の旅を乗り越えられると考えられるほどに能天気ではない。 私は店主に礼を述べ、店を出る。 今回の旅は、自分自身の技量を上げることには直接的には結びつかなかった。 しかし少なくとも、普通に生活しているだけでは決して経験できなかった様々な出来事に遭遇することができた。 これは、今後の私の人生に、きっとプラスに働いてくれるに違いない。 うん。経験にまさるものなし。 この旅で強くなった場合、ほぼ確実にゾウの鼻持ちということになるだろう。 そんな未来が訪れなくて、むしろよかったのかもしれない。 もちろん、私ソウゴはそんな、「あったかもしれない未来」のことなど知らず、ロング・ナリクへの帰路についたのだった。 ***ゴルギアスロフの旅の店 完*** ■登場人物 ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。 ソウヤ:2人目の挑戦者。僧侶キャラ。ソウハと同じ設定。 ソウゴ:3人目の挑戦者。僧侶キャラ。前2人と同じ設定。 ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。 魔女:スープを無理やり飲ませてくるだけの魔女。 ■作品情報 作品名:ゴルギアスロフの旅の店 著者:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/3998135 ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています ●感想 アタック01 ソウハ 岩悪魔にボコボコにされる。 アタック02 ソウヤ 巨大カブトムシに手も足も出ない。 アタック03 ソウゴ 「旅人の旅」3回の冒険を無事終え、帰路につく。 旅ってなんだろう。 そんなことを思いつつプレイしていました。 いきなり行った先の出来事のクライマックス部分だけをつまみ食いする感じは、旅とはまったく真逆の概念のような気がします。 むしろ、ロング・ナリクからナゴールの店まで来る過程こそが「旅」でしょう。 でも、それでいいのかもしれません。 昔の人は言っていました。 「幸せとは、幸せを探す旅そのもの」だと。 (「妹たちよ」(水木一郎)「宇宙海賊キャプテンハーロック」挿入歌より) ゴルギアスロフの旅の店についたことで、ソウゴの旅はすでに達成されていたのかもしれません。 私は今回「旅人の旅」を選択しました。 それでわかったのですが、順番に経由することで意味が出てくる「苦難の旅」を意識した構成になっていますね。 当然といえば当然ですが。 出目1の砂漠の商人のところで入手した戦槌は、後々の戦闘で役に立ちます。 出目2の魔女の呪い、昆虫に合ったらダメージは、巨大カブトムシ戦と連動しています。 おそらくですが、岩悪魔に出会う前に、ビールが手に入るイベントがあるに違いありません。 そう考えると、「旅人の旅」は「体験版」、「苦難の旅」は「本編」と、そういう仕様で間違いないでしょう。 ちなみに苦難の旅では、すべてクリアしたうえ、クリア時に金貨を50枚以上持っているかどうかで結末に少しだけ変化があるようでした。 結局、「苦難の旅」に挑まずとも、6つあるイベントのうち5つまで体験してしまいました。 本編にあたる「苦難の旅」は皆さまに譲るとしても、だいたい体験できた感があります。 あと、リプレイとしてあるまじきなのが、結局全部僧侶プレイだったことですね。 正直、リプレイとしてはちょっとどうなのかって思いましたけど、サイコロでランダムにしようって決めたらそうなっちゃったんだもんなぁ。 私としては、盗賊プレイをしてみたかった気持ちもありました。 実際、盗賊プレイの方が有利に進めそうな展開が多かったです。もしかしたら、盗賊プレイがもっとも難度低いかもしれません。 盗賊プレイで思ったのですけれど、このゴルギアスロフの旅の店の導入は、勝手にいろいろ設定を加えさせてもらいました。 特にゴルギアスロフの用心深さと魔道具の運用方法のあたりですね。 やっぱり、この店のいちばん有効な活用方法は、犯罪を犯した人物が高跳びするために使用することだと思うんですよ。 盗賊プレイがあったら、それを動機にしようかなと思ってしまうほどに。 でもどうやらこの魔道具、運用しているゴルギアスロフの側から呼び戻せてしまうみたいなので、逃げきれないのでしょうね。 逆のパターンも考えられます。 転移先で何らかの事件を起こして、転移で戻ってきてしまうなど。 この場合、転移先の方の視点から物語を描き出せば、犯人が忽然と消える犯罪の出来上がりです。 こういうネタで一本物語が書けてしまいそうですね。 今回は、比較的軽めな冒険を堪能させてもらいました。 次はまた、がっつりとした作品に挑戦してみたいと思います。 では、以上で「ゴルギアスロフの旅の店」ゲームブックリプレイを終わります。 楽しませていただきました。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月14日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.131 FT新聞 No.4829

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『これはゲームブックなのですか!?』vol.131  かなでひびき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  あなたは冒険者。  今回はお宝ザクザクなダンジョンに向かう!  さて、どこから侵入する? 1 西の洞穴 2 東の洞穴 3 北の洞穴  と、突入する前に。  ちょっと聞いて欲しいの。  これが、 1 北の洞穴 2 南の洞穴 3 西の洞穴  だったら、印象違わなくない?  パッと見、指セーブして1選んじゃえ! って方も少なくないと思うの。  あるいは、みんな朝ご飯食べてる?  食べてるよね。  そして、風邪をひいたことある人、手をあげて!?  よしよし、おそらく大半の方が手を挙げたようね。  つまりこう言えない? 「朝ごはんを食べたら、風邪を引く」 =「朝ごはんは、風邪を引く原因の一つ」  まさか、ね。  だけど、この手のトリックは、本当に世にはびこってる。  そこで、今回の本!  今回紹介する本は『数字やデータのナゾをとく フェイクを見破れ!!』(山口慎太郎 著 JTBパプリッッシング)よ。  と、来ると「うわぁ、苦手な統計学かぁ!」とか「確率論はちょっと……」な方も大丈夫!  手に取ってみてもらえばわかるのだけど、これは子ども向けの本で、かみ砕いてわかりやすく、結果子どもさんでも大人でも楽しめる内容になってる。  上に書いた二つの例。  選択肢のトリックも、因果関係のトリックも、この本で網羅!  特に、「因果関係のトリック」は、六つのケースを上げながらじっくりと語っている。  そして、高校、大学受験では泣かされました!? 偏差値について。  あるいは「二度あることは三度ある!?」偶然が起こすフェイク。  例えば、戦闘中でダイスを転がし、いい目が続いている、って経験、読者のみんなもあると思う。  でも、ダイスの目が六回連続して1が出たからと言って、次に1が出る確率は上がってるのかな? 減っているのかな? みたいな例。  もちろん、さいころやコインだけにかかわらず、ツイてる波に乗っているかどうか? という話。  そんな数学・統計的なデータの扱い方もあれば、さっきあげた選択肢のトリック。質問に忍び込ませることができるトリック。「夏休みの宿題、みんなとっくにやっている!?」=「見栄っぱり」が生み出すフェイクなど、心理的なものもちゃんと補完!  これを見ると、統計、データの取り扱いの難しさがわかるわ!  かなでが心底感心したのは、「評判のフェイク」  例えば「あの店のたこ焼きって、まずいよね」とか悪評が立っている店に行くと、あれれ? まずくない!   いや、かなりおいしい!?  こんなことに遭遇した人もあるんじゃない!?  実は、これ、数学的心理的知識もいらない、ちょっと考え、視点を変えてみるとかんたんにわかる話。 だけど、その意外さに、かなでびっくり!  いいかな?  例えばネットショッピング。  手元に商品が来ました。これでたいていおしまいじゃない?  あえて、「終了」した後に、こっちから「メール」出すのは「注文した品じゃない」みたいなクレームのケースになって、初めてお便りを出す。 裏を返せば「便りがないのは良い返事」だよね!  「評判のフェイク」は、まさにそれ!  本当に「良い手品」は、その仕掛けのシンプルさにあり!」とも言われるんだけど、ここはまるで鮮やかな手品を見ているようで、心底「アハ体験の泉湧く!」って感じ。  てなわけで、実際に、データを鵜呑みにしないコツもわかる。  学生時代「統計や確率は苦手で……」って方にも、最近流行りの「学び直し」の第一歩になる。  一番最初にあげたように、選択肢の誘導テクにも応用できるかもしれない。  なんともお得な本となっております!  見逃せば人生コウカイすることウケアイ! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『数字やデータのナゾをとく フェイクを見破れ!!』  著 山口慎太郎  出版社:JTBパブリッシング 2025/10/24  単行本 1200円(税別) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月13日月曜日

☆アランツァ世界へのいざない 第1回☆ FT新聞 No.4828

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。 先日、10代の頃によく聴いていた歌を偶然、耳にしました。 「やけにテンポがはやいな……」と思って調べてみたのですが、後世に出たアレンジバージョンなどは存在しない、同じ曲でした。 つまり、聴く側である私が、同じものを速く感じていただけだったのです。 50歳に近い年齢ですから、これまでにも時間の流れを速く感じることはありましたが……あまりにも具体的なできごとに、息を呑むほど驚いてしまいました。 さて、今日はFT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について、記事にしてまいります。 私はこれまで、カメル・グラント教授による旅行記として「アランツァワールドガイド」、同教授による授業の形式でクリーチャーを紹介する「オレニアックス生物学」などを記事にしてきました。 そして今、年末に刊行したいと切に願っている(そして、一生懸命書いている)『アランツァワールドガイド』に掲載する内容を、書いています。 このFT新聞はもともと、私が原稿を書くペースを強制的に作ることを目的のひとつにして作られたものです。 本業が作家である私は、その気になれば「今日は休日!」と言って休めますし、好きなだけ朝寝ができます。 でも、元来の性質が怠け者なものですから、それをするとどんどん「ゴロゴロするだけの無職」に近づいてしまうと、20代の頃には確信していました。 そこで、私は「毎朝6時までに起きる」「夜9時までに寝る」「毎日必ず文章を何か書く」などなど、ガチガチに自分を縛るルールをいくつか設けて、日々を成立させてきました。 これは、誰かから聞いた「ある言葉」が、心に残っているからです。 「人を殺すと、それ以降、その人の人生に『人を殺す』という選択肢が頭のどこかに浮かぶようになる」 というものです。 小説か映画か、出どころは忘れてしまったのですが……学校を一度サボれば、後日また行きたくない日に「サボる」という選択肢が心に登場する。 そういうのが怖くて、「朝早く起きて、仕事をはじめる」「散歩を経てスターバックスに入る」「午前中のうちに5時間は仕事をする」「決められた日の運動を欠かさない」といった決めごとを作って、「それを破るという選択肢を自分に与えない」という日々を送ってきました。 このままいくと私の生活を書いた雑談記事になってしまうので、本筋に戻ります。 「アランツァ世界へのいざない」は、アランツァがどんな世界であるかについて、たとえばTwitter(現X)でどなたかが疑問に思われていたら、それを詳しく書くなどですね。 あるいは、「こういう部分について、ちゃんと触れたことがなかったな」と思ったことについて、記事というカタチで出していくというものです。 「そういうのは、ゲームブックやシナリオで出してほしい」という考えも、分かります。 実際のところ、作品のネタとして取っておきたいがために、触れられない事柄もいくつかあります。 しかし、「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ(RLH)」の発展を経て、たくさんのファンが応援してくださるようになった昨今、「アランツァについて紹介していくことの急務さ」を、よく感じるのです。 アランツァという共通世界を舞台にしたシナリオづくりをする際、私はファンの方が作られる作品が、公式のように厳密さに神経をつかう必要はないと、考えています。 でも、ですよ。 その一方で、こうも思うんです。 熱心なファンの方が、細かい情報まで行き届いた世界に愛着を持たれ、それを望むのだとしたら……そういった部分を「ちゃんと描く」のは、読む方にとっても私にとっても、非常に重要なことではないかと。 長い前置きになりましたが、はじめます。 この記事では日常の細かい「生活」について取り扱うこともありますが、世界観そのものや、世界の人々が持つ価値観など、具体的でないものについて執筆することもあります。 第1回のテーマは「冒険者」です。 ◆冒険者とは? FT書房から刊行される作品をみると、プレイヤーが操るキャラクターのことを、ゲームブックでは「君」、RLHでは「主人公」という言葉で表現しています。 「冒険者」という言葉で表現されることもありますし、「旅人」として語られることもしばしばあります。 ◆冒険者は、卑賎なだけの職業ではない。 アランツァにおける冒険者は、野鄙な存在とはみなされていません。 日々クリーチャーと戦う生活に明け暮れている彼らですが、人々からは尊敬の念をもって迎え入れられています。 これにはいくつかの理由があります。 中世ヨーロッパの歴史をみると、「血に触れる職業」は多くの場合、卑賎あるいは高貴な存在として大衆に扱われてきました。 処刑人は秩序を維持するために、王の権力を執行する存在でした。 しかし、同じ処刑人が、血に触れること(不浄)などを背景に、不名誉な存在として扱われる場合もありました。 アランツァ世界における「冒険者」は、似たようなニュアンスで捉えられています。 血に触れる不浄な職業であり、同時に怪物を倒す職業、つまりは村や町、都市や世界を守る「守護者」でもあります。 余談ですが、去年あたりから、熊が日本で大量出没する状況が続いています。 そんな熊を倒して、ハンターは自分たちを安全に導いてくれる方々です。 その一方で、身近に「猟銃を持った隣人」がいると、あなたはうっすらと怖さを感じるかもしれません(※)。 身近なものにたとえるなら、冒険者に対して人々が抱く感情は、そういったものに似ているのかもしれません。 ※……ニュアンスを伝えるために書きましたが、日本においては、猟銃の所持を認められているのは、かえってしっかりした人である証明です。申請をして、許可を与えられているのですから。 ◆「遊歴の騎士」を想像してほしい。 冒険者が旅人となり、知らない世界へと向かうとき、多くの場合、彼らはその先の村や町で【歓待】されます。 これは、アランツァの集落が多くの場合、解決しがたい難題と脅威を抱えているからです。 それを解決してくれる(かもしれない)人々として、冒険者は歓迎されます。 だから、冒険者にはその土地の統治者に「お願いごと」をされるとき、可能なかぎりそれに応えるという「掟」があります。 それは、守らないと罰則があるという意味ではなく、「そうしないと、次に冒険者が来た際に【歓待】を受けられなくなる」という、具体的なギブアンドテイクの話です。 もちろん、報酬が少なすぎる場合などには、頼みごとを断る場合もあります。 しかし、大した理由もなく断ってしまうのは、自分たちの居どころを狭く小さくしていく行為なわけです。 そのあたりを、そこそこの数の冒険者が肌で分かっています(あまり考えていない冒険者もたくさんいます)。 さて、この話の前提には「冒険者には難題を解決する能力がある」という前提があります。 ◆「冒険者ギルド」だけが存在しない。 アランツァ世界では冒険者は、1人1人が強力な存在です。 中世ヨーロッパに「騎士ギルド」や「諸王ギルド」が存在しないように、強い存在である彼らは群れません。 だから、アランツァ世界には「盗賊ギルド」や「船大工ギルド」といったギルドの概念があるにも関わらず、「冒険者ギルド」だけが存在しません。 アランツァ世界の冒険者は、寄り集まって生きることをあまりしません。 また、冒険者1人1人が、そこそこ戦える強さを持っています。 【魔術師】であっても剣は使えるようなことも、珍しくありません。 (余談ですが、それだから冒険者の育成学校の名称がオレニアックス『剣術』学校なのです。全員が冒険者になる可能性を持っているため、あらゆる生徒に剣術を教えます。) 一騎当千という言葉がありますが、冒険者はその卵ぐらいの存在です。 ◆誰かに習った時期を経ている。 そんな冒険者ですが、先にも触れたとおり、RLHでは初期作成時点で10レベルですし、ゲームブックに登場するのも「万能ではないが、熟練」な存在です。 基本的には読み書きができますし、親切にされたら礼を言うこともできます。 彼らはどこかで、誰かから、ひととおりの準備を教え込まれた期間を経ているのです。 もしかしたら、その期間には、(初級のシナリオよりもさらに少し簡単なぐらいの)実際の冒険も含まれているかもしれません。 誰かという部分は、たとえば学校です。 しかし、アランツァの世界では、学校に行くにはそれなりのお金がかかります。 学校出身の冒険者は、効率よくものごとを教わることができるため、総じて若い傾向があります。 また、裕福な家の出身者であることが多く、学校出身の冒険者どうしである種の仲間意識を持っていることが多くあります。 「オレニアックス剣術学校」や「エルダーベリー魔法学校」のような学校の出身者であることは、相手がそうである場合の交渉に有利な影響を与えてもおかしくありません。 ただし、ゲーム的な話をすると、基本的にはこういったことは作品に反映させません。 主人公の出自は多様であってほしいので、有利不利をあまりこのあたりで作りたくはないからです。 親や親族が協力的な場合、技術を教えられながら育つという場合もあります。 この場合、親が忙しくて、手っ取り早く実戦の世界に放り込まれる(要は、自力で腕を磨く)ことも多々あります。 子どもが「たくさん生まれて、たくさん他界する」世界ですから、その過程で命を落とすこともあるでしょう。 別の選択肢としては、師弟関係を結ぶというものがあります。 誰かの弟子となって、冒険に必要な力を養うわけです。 その力とは、たとえば【魔術師】であれば魔法の呪文を行使する力ですが、もっと共通するものもあります。 基礎的な体力であるとか、罠やクリーチャーに関する予備知識、読み書き、売買で商人にだまされない程度の計算をする力、人にものを聞く態度など……「最低限これだけの」という力を授けてもらうわけです。 いずれのルートを経たにせよ、生き残ったキャラクターが冒険者になります。 しかし、この時点では、まだまだ弱いクリーチャーが1体いるだけです。 さらに何回かがんばって、10回ほど冒険を達成することができれば、めでたく「主人公」と呼ばれる存在へと成長を遂げられます。 ◆「主人公」になるには? RLHのプレイヤーキャラクターである「主人公」になるために必要なことは、3つあります。 ひとつは、人間型種族(ドワーフ、エルフ、人間など、都市や村落で生活が可能な者)に生まれついて、育つこと。 ひとつは、金貨10枚を貯めること。 そして、経験点10点を稼ぎきることです。 冒険者になる方法は、周りに「俺、冒険者だから」と言えばいいだけですが……「主人公」(あるいはゲームブックの「君」)になるには、それなりの尽力が必要だというわけです。 上記の話は、知らなくてもまったく問題ありません。 冒険者に至る過程の話を書いただけです。 あなたが最初に作成するのは、すでにその時点に達したキャラクターです。 ◆最後に。 ここまで書いて、まだ書けていないことがふたつあります。 ひとつは、身分です。 冒険者の多くは平民ですが、プレイヤーがそう望むのであれば、貴族や王族の血を引いていることにすることもできます。 ただし、そのことはゲームにまったく影響を与えません……なぜ影響を与えないかというところまで、ぜひお考えください。 私に「なんでですか?」と聞かれるのであれば、「ゲーム的なバランスの公平性」という、面白みのない返事をさせていただきます☆ もうひとつは衣食住の「住」つまり、冒険者が生活を営むある区域についてです。 これについては、おそらくかなり長くなりますので、別の記事に。 ご感想、お待ちしております☆ それではまた!! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月12日日曜日

ローグライクハーフシナリオソムリエ その3『フランソワーズの猫』 FT新聞 No.4827

◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ローグライクハーフのシナリオソムリエ(自称) 本日のおススメシナリオ その3『フランソワーズの猫』 天狗ろむ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇◆  おはようございます! 「1人用TRPGローグライクハーフ」の楽しさに魅せられ、ローグライクハーフのシナリオソムリエ(※)を目指す編集部員、天狗(あまく)ろむです。 (※ワイン専門の給仕人ソムリエのように、皆様のローグライクハーフのシナリオ選びの際の手助けが出来る人になりたいな、くらいの意味です)  さてこちらは、特に「個人制作シナリオの周知」を目的としたローグライクハーフのシナリオの紹介記事です。  ローグライクハーフは、d66シナリオですと基本的に3回まで遊べるようにデザインされています。しかし、これは「基本的に」というだけでありますので、d66シナリオでも1回の冒険で終わるものもあれば、2回まで……もしくはもっと多い、というのもあり得ます。その辺りは作者次第ですから、もしシナリオを作りたくて〈できごと〉は思いつくけど、ストーリーが3回分も思いつかない……なんて方でも、1回の冒険のシナリオから、気軽に挑戦してみてくださいね! 用意する〈できごと〉が少なくて済むd33シナリオもおススメです。  シナリオソムリエのおススメ第3弾は、イラスト制作もされている恵那ケミカルさんより頂きました。何と、選択肢次第で最大6回まで遊べるシナリオです。ありがとうございます!  まずはご本人から紹介して頂きましょう! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇ ・自己紹介:恵那ケミカル ・今回紹介する作品タイトル『フランソワーズの猫』 ・ジャンル:ファンタジー ・形式:d66 ・世界観:(独自世界(ドリームランド)、童話世界(フランダースの犬)、共通世界(アランツァよりPC)) ・難易度:難しい ・プレイ時間:約 60-180分 ・適正レベル:中級(16レベル以上) ・対象年齢:16-99歳 (猟奇的、グロテスクな表現があります。) ・シナリオの公開場所:BOOTH https://booth.pm/ja/items/7733781 ・このシナリオを作ったきっかけ、コンセプト: 変えられない結末。悲しい別れ。心が傷ついてしまう物語。この世には八百万ともよべる、無限の物語が今日も紡がれ作られています。 この物語を作った根底には、そんな結末を自分で変えることはできないだろうか? ハッピーエンドに導くことはできないだろうか?という思いと、 「現実の自分も、少しでも元気になれるかもしれないソロアドベンチャー」を目指しました。 もちろん本編、オリジナル作品は尊重し、その結末も表現も、最大限リスペクトしております。 あくまでももうひとつの結末、自分の思うエンドにならないだろうか…という単純な妄想が、創作のきっかけになりました。 また、恵那ケミカルが過去に作っていたオリジナルファンタジー世界として、「ピクシィ」たちと呼ばれる妖精や精霊たちの住む宇宙、「ドリームランド」という世界があります。 この物語は、そのドリームランドと童話の世界、そして主役としてアランツァの英雄たちを呼んでの一大冒険活劇に織り込みました。 オリジナル創作が絡んできますので、ご不明な点も多いかもしれませんが、解説や表現は極力砕きながらあちこちに散りばめました。 6回の冒険を終える頃には、一通りこんなものなのか…というご理解・認識ができるように意識してみました。3つの世界を束ねるというのはとても困難であると同時に、大変楽しい作業でした。 ※ 現実で心が折れた時や、元気が欲しい時、ぜひ遊んで欲しい物語です。 選択肢次第では恐ろしい結末や、届かない手があるかもしれません。しかし現実でも物語でも、無限の選択肢と可能性が常にあると思っています。 あなたが選んだ事で、世界が変わる。それを物語で体験し、力になれたら。そんな思いを込めて作りました。 僕個人的に、やや難しい内容に仕上げてあります。トゥルーエンドの他、様々なエンディングがあります。ぜひ楽しんでください! ・こんな人におススメ!: こってり骨太の物語が好き、少年漫画のような熱い物語が好きな方、独自ルール大歓迎!な方、文章が素人でもまぁなんとか読んでやるかというお優しい方、物語への思いが、似たような方向性の方…など。 ・シナリオを作っていて楽しかった点、難しかった点 ローグライクハーフ歴半年程度で作り初めまして、独自ルールがとにかく多いです。ルールも常に確認しながら作り、監修のご協力を頂いた皆様のご意見やテストプレイを頂きながら、血を吐く思いで仕上げました。全てが手探りであり、困難を極めましたが、自分が作ってみたいものの一つをこの世に残すことができて満足しています。 ありがとう、ローグライクハーフ!! ・作者から一言 妖精宇宙ドリームランド。恵那ケミカルの創作のあらゆるものに、その影響があり、繋がっております。今後も生きている限り、いや死んでからも(笑)、シナリオやサプリメントを創っていきますので、末永く宜しくお願い致します! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇  ご紹介ありがとうございました!  このシナリオのモチーフとなったのは「フランダースの犬」。あらすじとしては……  主人公は貧しい家に生まれた少年ネロ。寝たきりの祖父と、老犬パトラッシュが唯一の家族で、牛乳運搬業で何とか暮らしておりました。そんな貧しい暮らしの中でも画家になるという夢を抱き、明るく清く正しく生きていたネロでしたが、祖父が亡くなり、貧しさと家柄の低さ故に疎まれてしまって放火犯の濡れ衣を着せられたり、仕事を奪われたり、家を追い出されたり、渾身の作品がコンクールで落選したり……少年を襲う数々の過酷な現実によって、最後にはパトラッシュと共に凍死してしまいます。  けれど、最期までネロは他人や自分の境遇を恨む事はなく、直に観るのを夢見ていたルーベンスの絵の前に辿り着くと、神に感謝を捧げて旅立っていく……そんな切なく悲しくも美しい物語となっています。  その物語の世界が、ナイトメアという存在に歪められ、更なる悲劇に見舞われそうになっている……それを阻止し、物語の登場人物たちを救うべく、様々な世界をナイトメアから守るピクシィなどと呼ばれる存在の雨猫フランソワーズと共に、主人公は「フランダースの犬」の世界へと召喚されます。  このシナリオの特徴の一つは、何と言ってもフラグの多さ!(褒め言葉ですよ!) ※フラグとは、元々はコンピューターのプログラムを作るときに使われているプログラミング用語「旗(フラッグ)」から来ている言葉。『イベントやエンディングに向かう条件がそろった』ことを『フラグが立つ』と言ったりします。今回のシナリオですと、随所で貰えたりする様々な「アイテム」などが、フラグにあたります。たとえば〇〇を持っているなら△△ができるなど、物語の選択肢や分岐が多いとも言えますね。 〈できごと〉の至る所に、導線が敷かれており、それが思わぬ形で実を結ぶ事があります。これほどまでフラグが濃密な、ゲームブックもかくやというシナリオを、「フランソワーズの猫」以外には私もまだ見た事がありません。自分の冒険の軌跡は通ったフラグによって様々に変わるので、「ローグライクハーフ」のランダムイベントによる唯一無二の冒険性が格段にアップしています。何度遊んでも、絶対にワクワクドキドキできる、そんな楽しさが存分に散りばめられています。選択によっては、悲劇が回避できることも……「フランダースの犬」の物語内の人々に不幸が訪れない、IFの世界を目指してみるのもアリな、やり応え抜群のシナリオです。  加えて、独自ルールも豊富です。一つ一つ見ていけばどれもそこまで難しくはないですので、ゆっくりじっくり遊ぶ事をおススメ致します。  一つ例を挙げるとすれば、特殊な戦闘ルール『〈ロール・ロール・ラッシュ(RRR)〉』。  こちらはナイトメア特攻の必殺技といったところ。ラッシュ発動点というものがレベルごとに決まっており(これが目標値で、この数値から主人公の経験レベルを引いた値以上を出せば成功)、判定ロールは2d6を振り、技量点または副能力値を足します。もしゾロ目が出たら、何度でも振り足しが出来る……おや? 何だか見た事がある気がするな、と気づいた方もおられるのではないでしょうか?  恵那ケミカルさんが最も敬愛する「トンネルズ&トロールズ完全版」への深い敬愛とリスペクトを込めて作られたこのルールで、強敵ナイトメアを粉砕出来たときの爽快感は、「ローグライクハーフ」の基本の戦闘とはまた違った楽しさをもたらしてくれます。  体験版では、一部のイベントは起きないものの、3回目の冒険まで遊べます……が、最終ボスは最恐とも言える強さを誇りますので、そう簡単には倒せないでしょう。完全版では最大6回の冒険(!)まで遊ぶ事が出来るようになっており、シナリオを隅々まで遊びつくした方が勝率も上がっていく形になっています。是非ともナイトメアを打ち倒し、『フランダースの犬』の世界に平和をもたらしてあげてくださいね。  見事な筆致のケミカルさん作ペン画イラスト付きの完全版は有料公開となっておりますが、どんな内容か気になる方には、3回の冒険まで遊べる無料の体験版もございますので、まずはそちらを見てみると雰囲気が分かるかなと思います。 https://enachemical2979.booth.pm/items/7434523  しかし、ケミカルさんの魂の込められたシナリオとイラストは必見です! 是非とも完全版でじっくり楽しんで頂けましたら!  プレイしてみた感想は、FT新聞の感想フォームからでも、作者さん自身に直接でも、どうぞお気軽にお寄せください!  それでは、今回はここまで。次回のシナリオ紹介記事にて、お会いしましょう。  貴方に良き冒険のあらんことを!  天狗ろむでした! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月11日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第687号 FT新聞 No.4826

From:水波流 Xで見かけたイギリスの田舎の風景写真をRTしたら、にわかにおすすめタイムラインがイギリスの風景ばかりに。 此れ幸いと定期的にいいねを押して、眺望を維持しています。 最近、ローグライクハーフの短編シナリオで、森を逍遥し祖先に纏わる樹を巡っていくものを書いているので、イメージを喚起されてとても良いです。 シナリオは近いうちにFT新聞でお目にかけれることと思います。 From:葉山海月 「人であることからただ解放されたかっただけ」 生きている愛しい人の死に顔を想像し涙にふける。 この中二病テイスト満載のポエム書いたの誰だ!?(俺だ!) From:中山将平 僕ら4月19日(日)、埼玉県の川口市民ホールフレンディアで開催されるレトロゲーム・マイナーゲーム中心同人誌即売会『ゲームレジェンド41』にサークル参加します。FT書房の4月のイベント参加予定はこの一つだけです。 お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 ちなみに、僕自身は同日、個人サークル「ギルド黄金の蛙」にて、インテック大阪で開催される獣人・ケモノオンリーイベント『関西けもケット11』にサークル参加します。配置は【B-37】で、カエル人のコンテンツを扱います。 こちらもぜひご注目いただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (明)=明日槇悠 (く)=くろやなぎ (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■4/5(日)~4/10(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年4月5日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4820 『ガルアーダの塔』1-60階 ローグライクハーフd66シナリオ ・お待たせいたしました!杉本=ヨハネ氏によるローグライクハーフ版『ガルアーダの塔』d66シナリオをお届けしました。第2回では「4回目〜6回目の冒険」が追加され、1階から60階まで登れるようになりました。前回の配信を逃した方も安心!新たにダウンロードしてプレイしてみてくださいね。 舞台となる「水上都市聖フランチェスコ」都市サプリメント、「中級ルール」改訂版も再配信です。こちらで入念な準備をおススメいたします。 そして今回は何と、製品版に向けたカワラベ氏のイラストの一部を特別公開!繊細な筆致のイラストは必見です。合わせてお楽しみくださいませ! (天) 2026年4月6日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4821 世界観と解像度 ・ゲームブックを書く際に杉本氏がやっている「戦略」のお話です。 それは、登場する何かの「解像度」を高くするという手法。 例えばアリ人が単なるクロアリ1種類なら読者に通じやすい存在にはなりますが、一方で様々なアリを登場させることは、物語の個性につながります。 『狂える魔女のゴルジュ』に「時の魔法」が7種類も登場するのも、中山将平氏による「さまざまな種類のかえる人」の本も、この戦略と深い関わりがあるのです。 一方、「解像度を上げる」対象には向き不向きがあります。また反対に、「解像度を下げる」という手法もあります。 思うに、表現したいものごとには用途に応じて「適した解像度」があり、そのレンズの調整が作り手の役目ということなのでしょう。 (明) 2026年4月7日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4822 『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(10) ・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイが先週、最終回を迎えました。 今回はあとがきにかえまして、セッションから一年後のプレイヤーたちに独占インタビューを試みます。 TRPG初心者が感じた『モンセギュール1244』の楽しかったところと難しかったところをご紹介することで、興味を持った皆さんの参考になれば幸いです。 そして、最後に明かされる「友達んち」の真実……。皆さんもぜひ未知のナラティブ・スタイルを体験してみてください! (明) 2026年4月8日(水)ぜろ FT新聞 No.4823 第3回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第486回。戦士/盗賊/僧侶のいずれかのキャラクターを使って、魔道具による「旅人の旅」を3回クリアすることを目指します。 最初の転移先であえなくボコられてしまった僧侶ソウハに引き続き、2人目の挑戦者である僧侶ソウヤが登場。こんどは古城の小塔を舞台とする「旅」のクライマックスっぽい場面に飛ばされます。そして、またもや強敵との戦闘へ。 この作品での僧侶の特徴は、技術点は低めだが【加護】という特殊スキルをもっていること。僧侶としての2回のプレイを通じて、ぜろ氏は【加護】を使った有力な戦術に思い至ります(シンプルなルールの中にもプレイヤーの工夫の余地があり、ゲームデザインの巧みさが伝わりますね)。今度こそ、無事に旅を終えることができるでしょうか?! (く) 2026年4月9日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4824 齊藤飛鳥・小説リプレイvol.44『きみへ贈る詩』後編  ・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。 クワニャウマは、自治都市トーンにて、吟遊詩人少女ピロスカに頼まれ、近郊にある遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に出た。詩を作るという前代未聞の冒険でも、礼金とファラサールの詩を作ってもらうために、クワニャウマは突き進むのであった。 運動場、崩れかけの橋、そよ風、と、順調にイベントを進め、ついに最終目的地、詩人の石碑へ! そこで捧げられた詩は、お!? クワニャウマの冒険らしからぬ、児童文学者センスが光る感動作!? しかし、待ってほしい。まだこの先には 「『騒ぎすぎる白鯨』亭で、ピロスカが作ったファラサールの詩の披露」 「家を買う」 というイベントが待っているのだっ! きっと、あなたの予想は裏切られる(荒木飛呂彦先生風っ!) エンディングプラスαな豪華仕様! にぎやかな最終回を見逃すな! (葉) 2026年4月10日(金)休刊日 FT新聞 No.4825 休刊日のお知らせ  ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (ジャラル アフサラールさん) T&Tの炎が消えず、ケン・セント・アンドレ御大も健在と今回の記事で分かってT&Tフリークとしては感涙ものです。けいねむさん有難うございます。自分は参加できませんが、けいねむさんとトロール洞の皆さんによるTrollcon Nagoya 1の成功をトロール神に祈っております。 (お返事:けいねむ) ありがとうございます!ケン・セント・アンドレの健康状態は落ち着いてはいるものの、今も毎週病院に通っている様子のようです。大仰かもしれませんが、ケンがそういった時だからこそ決してT&Tの炎を消すわけにはいかない。私はそう考えて活動しておりますし、他のT&Tファンの皆様もきっと同様に考えておられると思います。 (ぜろさん) 「君へ贈る詩」リプレイお疲れさまでした。まさかのオチに、「なんで?ピロスカなんで?」の思いがぬぐえません。 「ファラサールー!」ではなく、「とがしー!」とか「とらまるー」とかの叫びが聞こえてきました。 そしてまさかのマーダーグース戦。なんで詩バトル?と思っていたら、まさかのオチにやられました。 オリジナルエピソード、追加したくなりますよね。これからもその方向性も期待してます。 (お返事:齊藤飛鳥) 今回も御感想下さり、ありがとうございますm(_ _)m♪ ピロスカを主人公その2で作ったものの、あまりにも個性が薄かったので、何らかの形で印象に残したいと思った結果がリプレイ本文ですf^^ 今まで何度も取り上げていた『魁!男塾』ネタの集大成にしてみました(笑) リプレイの元々の結末はピロスカを倒して終わっていたのですが、葉山さんのショートストーリーにテンションが爆上がりし、クワニャウマが故郷を買うエピソードを追加するうちに、ゲルダとヴィドの活躍場面を入れたくなって、あのような仕上がりになりました。ちなみに、マーダーグースの名前は、山口雅也先生の評論書『マザーグースは殺人鵞鳥(マーダーグース)』から引用させていただきました^^ オリジナルエピソード、楽しんでいただけて何よりです。独り善がりにならないよう、今後も気をつけようと思います。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月10日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4825

おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月9日木曜日

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.44『きみへ贈る詩』後編 FT新聞 No.4824

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる TRPG小説リプレイ Vol.44 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ~前回までのあらすじ~ クワニャウマは、自治都市トーンにて、吟遊詩人少女ピロスカに頼まれ、近郊にある遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に出た。詩を作るという前代未聞の冒険でも、礼金とファラサールの詩を作ってもらうために、クワニャウマは突き進むのであった。 『君へ贈る詩』リプレイ、今回で最終回を迎えます。詩の完成を目的とした冒険という、珍しい冒険シナリオに最初のうちこそ手探り状態でしたが、詩を考えつくリプレイを書くのに困らないよう、さりげなくシナリオ本文にアドバイスがある親切設計のおかげで、最後までリプレイが書けました^^ ちなみに、本来のシナリオでは二人目の主人公を作らずとも、ノンプレイヤーキャラクターを〈同行者〉の表の中から選ぶことができる仕様となっております。その数、何と6人!! しかも、種族や職業の種類が豊富で、どのような背景を持つキャラクターなのか、あれこれ想像できて楽しいです。こういうところも行き届いた工夫がこらされているので、詩を作る冒険という珍しい冒険でも、するっと冒険に入りこめます^^♪ ところで、ローグライクハーフでは、様々な最終イベントが待ちかまえているのですが、この『君へ贈る詩』は類を見ない最終イベントを用意して下さっているのが魅力です!! そういうわけで、最終イベントのネタバレに触れたくない方は、今すぐ『君へ贈る詩』の冒険へ出発することをお勧めします^^b そして迎えるエンディングはとても情緒的なものなのですが、本リプレイにおいてはクワニャウマの個人的な冒険目標である「ファラサールの詩を作る」と「フーウェイに家(故郷)を買う」の二つがあるのと、ゲルダにお出まし願ったのであれば、ヴィドにも登場していただこうとなり、さらに二人の見せ場も欲しいと考えるうちに、導入の時と同様に盛りに盛ってしまい、エンディングだけでなくエピローグまで追加してしまいました^^v 最後になりますが、拙作『歌人探偵定家 弐』の刊行日が、5月29日に決定しました!! 今回は、勅撰和歌集(『千載和歌集』)の編纂をする父親の周辺で続発する奇妙な事件を解決して勅撰和歌集を完成させようと、藤原定家が友人で平家一門の生き残りの平保盛を相棒に謎解きに奮闘する本格ミステリです^^ ※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ローグライクハーフ 『君へ贈る詩』リプレイ 後編 齊藤(羽生)飛鳥 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 5:〈運動場〉 屋敷を通り抜けると、広場に出た。 砂が敷き詰められたここは、かつて市民の運動場だったようだ。 「過去の人々は、どのように体を動かしてきたのでしょうね」 ピロスカが、辺りを見回しながらいにしえの住民たちに思いをはせるようにまっすぐに立つ。 「あ、思いついた。『まっすぐに立つ』と」 「詩人の霊と出会ったおかげで、詩人の霊感がクワニャウマさんにも降臨するようになったんですね! あたしも負けずに降臨させます!」 ピロスカは、しばらく黙りこみ、うつむく。 それから、不意に顔を上げた。 「母なる大地のどこかに眠る宝を求めるように『遠くを見ている』」 「長い長い! 『遠くを見ている』でいい?」 「いいですよ」 詩の一節を思いつけて気分がいいのか、ピロスカはわたしの提案を快く受け入れてくれた。 6:〈崩れかけの橋〉 運動場を出ると、川をまたぐように古い石橋があった。 欄干は崩れ落ち、足場はひび割れ。川面には白い霧がかかっている。 これだけで、すでに十分身の危険を覚えずにはいられない。 しかも、霧がかかっているせいで川の深さも早さも分からない。 おかげで、ピロスカは顔面蒼白だ。 「こ、こ、この橋を渡るんですか?」 「それしかないからね。大丈夫、いざというときに備えながら、協力して橋を渡りましょう」 ゲルダもだけど、わたしと組む女冒険家は川を怖がる人が多いな。 そんなことを思いつつ、わたしがピロスカと慎重に石橋を進んで五歩も行かない時だった。 「ひっ!!」 ピロスカの足元が崩れる。 「ピロスカ、危ない!」 わたしは、慌ててピロスカへ手をのばす。 ピロスカも必死に自分の腕をのばしてわたしの手をつかむ。 おかげで、川へ落ちることなく石橋を渡り切ることができた。 「ひらめきました。『支え合うことができる』というのは、いかがでしょうか?」 「奇遇ね。わたしもその言葉が浮かんだところよ」 わたしとピロスカは、同じ言葉を書き留めたのだった。 7:〈そよ風〉 石橋を渡り切って、心身共に安堵に包まれたところで、一陣の風が吹き抜けた。 「クワニャウマさん、お酒の香りがしません?」 「『騒ぎすぎる白鯨』亭にいたから、お酒の香りが移ったのかな? ピロスカこそ花の香りがしない?」 「さっき石橋を渡っているときに咲いていた苔の花の香りが移ったんでしょうか?」 二人そろって首を傾げたところで、はっとした。 「それこそ、詩の一節に使えるじゃない! 『花の残り香』ってのはどう?」 「いいですね。では、『ほのかな酒の香り』というのはいかがです?」 「それでいこう!」 そよ風の中、わたしとピロスカは足取り軽く先を進んだ。 8:最終イベント:詩人の石碑 しばらくして、小高い丘の頂上に石碑が見えた。 「あれが、『詩人の石碑』です。伝承の通りなので、間違いありません」 ピロスカは、小高い丘の頂上目指して駆け上がっていく。 石碑のそばにはいくつもの石板が並べられている。その一つ一つに、詩が刻まれている。 「ここの石板に詩を刻めば、この冒険は完了です」 「わかった……て刻む!? 石に!? 道具もないのに、どうやって?」 「安心して下さい。今こそ吟遊詩人の腕の見せ所です!!」 ピロスカは、持っていたハーディガーディを奏でながら、二つの詩を読み上げる。 『ピロスカ』 酷暑の頃。汗を流して歩いた。 光の中を進む人。 玄関。旅立ちと帰還。 きみは静かな湖のようだ。 まっすぐに立つ。 支え合うことができる。 花の残り香。 愛をこめて。 『クワニャウマ』 落ち葉の頃。じっと待っていた。 光の中を進む人。 台所。ぬくもりを覚えている。 きみは灯された炎のようだ。 遠くを見ている。 支え合うことができる。 ほのかな酒の香り。 夜明け前に。 二つの詩が詠み上げられ、石に文字が刻まれていく。 刻まれた文字を伝って魔力の光が走った。 風はやわらぎ、遠くで竪琴の弦がひとつ鳴った気がした。 9:エンディング トーンの街へ戻ると、市民たちはわたしとピロスカの勇気をたたえてくれた。 わたしたちが捧げた新たな詩を披露してほしいというリクエストに応え、大いに盛り上がった後、報酬として金貨1枚と金貨18枚相当の一編の詩をくれた。 これにわたしが拾った金貨9枚を足して金貨28枚相当になったので、約束通りピロスカと山分けして二人で金貨14枚を受け取った。 「ピロスカ、まだ約束があったのを覚えている?」 「もちろんです!! お聞かせいただいたファラサールさんをたたえる詩を作らせていただきますね」 ピロスカは、はりきって答えてくれた。 ついに、ファラサールへの恩返しができる。 わたしは、青空を見上げてファラサールに思いをはせた。 数日後。 『騒ぎすぎる白鯨』亭で、ピロスカが作ったファラサールの詩が披露されることになった。 わたしとイェシカ、ミッチと主人夫婦、ドラム老人はもちろん、居酒屋の常連客たちもいる。 「それでは、〈ファラサールの詩〉を歌います」 ピロスカは、席の一つに腰かけ、ハーディガーディを奏で始めた。 〈ファラサールの詩〉は、優しい音色と共に語られていく。 最初だけは。 「『あばよ、クワニャウマ!! おまえが俺だったら同じことをすると思うぜ!!』 『よして、ファラサール!!』 『見さらせ、これが男ファラサールの生き様じゃー!!』 『ファラサールー!!』」 ……。 わたしとイェシカは、名状しがたい表情をしていたと思う。 そんなわたしたちをよそに、ミッチたちはピロスカの作った〈ファラサールの詩〉が終わると、感涙しながらスタンディングオーベーションだった。 「いかがでしたか、クワニャウマさん?」 ピロスカが、はにかみながら、おずおずと訊いてくる。 「そうねぇ。なんでファラサールが似我蜂の背中に張りついて空中で自爆しているの?」 「その方が、ファラサールさんの勇敢さが伝わりやすくなると思って……」 「そもそも、ファラサールの人柄が変わっているんだけど? わたし、彼の人柄について『光のエルフの王家の血筋である、〈太古の森〉のエルフの巡視隊の一員。隊長であるお兄さんのギルサリオンと仲が良くて、初対面の人間も無料で命を捨てて助けてくれる、剣を武器にする銀髪のエルフ』と説明したよね……? なんで伸縮自在のドスを武器にしている、片目に傷を持つ庶民派ナイスガイになっているの?」 「大衆受けを狙ってみました」 ピロスカは、もじもじとはにかんで答える。 「へ~……。わたしがその後、雷が落ちると床から巨大な針が飛び出す闘技場で似我蜂の女王との戦いで窮地に陥るも、似我蜂の子どもたちを倒して後から追いついてきたギルサリオンが投げ渡した、ウォードレイクも三秒で死ぬ毒草の汁を手にかけて即席毒手にして、からくも逆転勝利を収めるのも?」 「あれは熱い戦いだったよね! あたい、感動しちゃった!」 「俺もだよ!」 「あたくしも!」 「わしも!」 「僕も!」 「おいらも!」 ピロスカが答える前に、ミッチたち観客が袖で涙を拭いながら笑顔で口々に答える。それを見たイェシカが、こんな表情もできたのかと思うくらい、やるせない顔になる。 わたしの心は、決まった。 「ファラサールの人生を勝手に変えるんじゃなーい!!」 「ぴえーっ!!」 わたしは、ピロスカの胴体に手を回すと、そのままバックドロップを決めた。 イェシカが微笑みながら、持っていた石板に〈クワニャウマのバックドロップ、地味だけど決まった瞬間に描かれる曲線が美しいから好き〉と書いたのを見て、わたしは心底すっきりした。 ……ファラサールの詩が完成する日は、まだまだ遠い。 10:エピローグ そこそこ稼げたし、ピロスカを締め上げてファラサールの詩を封印作品にすることで話がまとまったし、何よりもイェシカの表情が久しぶりに晴れ晴れとしたので、今回の冒険は黒字だ。 そろそろ新居の修築とリフォームも完了している約束の期日も近いので、わたし達はフーウェイに帰還した。 ゲルダのおかげでゲットできたわたし達の家は、メイン通りから徒歩三分。だから、街門をくぐり抜けて五分ほどで到着できた。 フーウェイの家は、壁つづきで毛皮の屋根でできた建築物が多い。そんな中、わたし達の家は、珍しく独立した庭付き一戸建てになっている。 その理由は、ガチョウ農家だったからだ。大々的な家畜舎を構えなくても庭で飼育できるから、住宅地の中で家禽農家ができたのだろう。少し周囲の家から離れているのは、ガチョウたちの鳴き声対策のためだったそうな。 背の低い垣根に囲まれた庭は緩やかに起伏していて、木々と池とガチョウ小屋があった。そんな庭の中心に、木造藁葺き平屋建ての我が家があった。トイレは併設されているので、遠くまで用を足しに行っている間に盗みに入られる心配がないのが嬉しい。建物の中には、寝室や物置に使えるロフトやちょっとした家畜を飼うスペースもあり、猟犬達も一緒にすごせるようになっているのがお得だ。 「イェシカ。今日から、ここがわたし達の家だからね!!」 呼びかけるわたしに、イェシカは嬉しそうに石板に〈家に入るとき、ただいまと言おうね〉と書いてきたので、一も二もなく賛成した。 そこで、はやる気持ちで大家からもらっていた家の鍵でドアを開ける。 「ただいま~!!」 「ワン!!」 わたしと猟犬達が、元気よく言いながらドアを開けた直後だった。 ゲルダとヴィドが、天井に頭が付かんばかりの巨大なガチョウと対峙している姿を目の当たりにしたのは。 《新手の人間か。我こそは、殺人ガチョウ〈マーダーグース〉。番鳥になれると思っていたのに、おいしい肉として出荷されたガチョウ達の無念が集結して誕生した怨霊だ》 ざらついた声で、マーダーグースはわたし達へ語りかけてくる。 「ガチョウの幽霊ってこと? 若い女の幽霊の方が需要あって客を呼べて儲かるんだけどなぁ」 「問題はそこじゃないだろう、クワニャウマ!!」 「このマーダーグースが、この家で過去に起きた殺人事件の真犯人だったんだ!! 眠りを妨げたこの家の娘に怒ってくちばしでメッタ突きにしたのが、ナイフによるメッタ刺しに似ていたし、こいつが用心深く身を潜めていたせいで発覚しなかったんだ!! それより、巨大なガチョウの怨霊にまずは驚け!!」 ゲルダとヴィドに一斉にツッコまれたけれど、こっちだってツッコミを入れたいことがある。 「ところで、どうしてゲルダとヴィドはここにいて、マーダーグースと向き合っているの?」 わたしと同じ疑問を抱いていると言わんばかりに、イェシカもコクコクとうなずく。かわいい。 「合鍵を預かっていたのをいいことに、修築がすんだこともあったので、おまえ達への引っ越し祝いを届けに来たんだ」 「そうしたら、こいつが現れやがったんだよ。はぁ、せっかく二人が帰ってくる前にこっそりと引っ越し祝いを届けたかったのに、とんだ番狂わせだぜ」 《我の眠りを妨げた者達よ。詩を詠んで我を再び眠らせたまえ》 ゲルダとヴィドが答えたのはいいとして、マーダーグースまでこちらの質問を先取りして答えてきた。 「また詩を作らないといけないの!?」 「クワニャウマ。おまえの事情はよく知らんが、このマーダーグースはけっこう詩に厳しいぞ。面白くないと、これ以上先に進めさせてくれん」 「これでも俺達、頑張ったんだぜ。最初は門の前に立ちはだかっていたが、何度も詩を作ってようやく一階のダイニングに入れた。今は、台所の食器棚に引っ越し祝いの食器セットを入れたいんで、新しい詩を考えている」 「つまり、詩を作らないとここから先、中に入れないのね。わかった。この家を買った金貨20枚を無駄にしないためにも、詩を作ってマーダーグースを寝かしつける!!」 わたしは、廃墟の街で学んだ詩の作り方を思い返しながら、マーダーグースに立ち向かった。 翌朝。 わたし達は、ようやくすべての部屋に入れるようになった。 おやすみ、マーダーグース。二度と目を覚ますな。 おはよう、我が家。いつか壁一面『翠竜の鱗』いっぱいにするからね。 でも、今は……。 「ゲルダ!! ヴィド!! イェシカ!! マーダーグースの寝かしつけに成功した記念よ!! ごちそうを食べに出かけよう、ごちそう!!」 「おう!!」 いずれ新たな冒険に出るけれど、今は腹ごしらえが最優先。 わたしはいくつもの食堂が建ち並ぶにぎやかなメイン通りを目指し、ゲルダとヴィドの背中を押しながら、イェシカと猟犬達と共に歩き出す。 ファラサール。 あなたが助けてくれたおかげで、今日も愉快な一日になりそう。 クリスティ。 たぶん、あの世で恋人とおもしろおかしくすごしているだろうけど、わたしも負けなさそう。 今はいない人達へ、心の中で報告する。 彼らからの返事のように、季節の変わり目の風が吹いた。 なお、わたし達がマーダーグースを寝かしつけるために作った数々の即興詩は、やがて『マーダーグース』という一冊の詩集としてまとめられ、ラドリド大陸で広く長く愛されることになった……なんてことはない。 (完) ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 齊藤飛鳥: 児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。 現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2025年までに6巻が刊行中。2026年春に、7巻が刊行。 大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行。同年5月29日には『歌人探偵定家 弐』が刊行決定。 初出: 本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。 ■書誌情報 ローグライクハーフd33シナリオ 『君へ贈る詩』 著 丹野佑 2025年11月2日FT新聞配信 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ----------------------------------------------------------------

2026年4月8日水曜日

第3回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4823

第3回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


ぜろです。
「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦中。
店からどこか別の冒険の舞台に転移させてくれるシステムです。
主人公ソウハは、単発の「旅人の旅」へ。
そこは地下迷宮。探索を開始しましたが、遭遇した岩悪魔の怒りを買ってしまい、あえなくボコられてしまったのでした。
そんなわけで、ゲームブックらしく、今回から別の主人公が挑みます。
目指すは、「旅人の旅」を、上限の3回クリアすることです。


●アタック02-1 カブトムシは宝の番人

最初の挑戦者は、岩悪魔に手も足も出ず、あえなくやられてしまった。
今回から、2人目の挑戦者の登場だ。
まずは職業選択からだ。
1回目と同様に、戦士、盗賊、僧侶の3種類からサイコロを振って決めることにする。
僧侶以外だったら、また別の目的を考えよう。

と思っていたのだが、次の挑戦者も僧侶になった。名前はソウヤだ。
旅の目的もそのまま引き継ぐことにした。
ソウヤは、ロング・ナリクにてセルウェー神を信仰する神官。
神殿に貢献するため、強くなることを願っていた折、「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を聞き、修練のため旅立つ。
そんでもってゴルギアスロフの旅の店を利用することになった。

【ソウヤ 僧侶 技9 体12 運11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】

ゴルギアスロフが無造作に魔道具を起動させる。
私は瞬く間に転移した。
サイコロを振って冒険の舞台を決める。
出目は6だった。

そこは、石壁と通路だ。
明り取りの窓がある。そこから外を眺めて、ここが古城の小塔の中であることを知った。
前任者のソウハの時は地下迷宮のど真ん中からだった。そして今度もいきなり小塔の中。
ゴルギアスロフの魔道具は、「旅の匂い」のする場所に飛ばしてくれるという。
しかし、これはどうやら、私が思っていたのと違うようだ。

たとえば、私が古城の入口に立っていて、そこになんらかの依頼があり、古城探索に乗り出す。
これならば、いかにも冒険という感じがする。

ゴルギアスロフの魔道具はそうではない。ダンジョンど真ん中だ。
どちらかというと、ボス戦前のループに飛ばしてくれる装置のように感じられる。
最初からクライマックス、みたいな。仮面ライダー電王みたいな。

そしてここの選択肢は、この小塔を、上がるか下がるかだ。
自分がどっちから来たもないのだから、どっちに行っても新鮮な展開だ。
そういうことなら、上がろう。
理由は簡単。塔があれば、ボスは最上階にいる。
これはもはや常識だからだ。

屋上に出た。
エルフの弓兵がいる。
特にボス的な何かではないようだ。
弓矢のスキルがあれば対処可能っぽいが、そんなスキルはない。
ないとなると、戻るしか選択肢がない。

弓矢のスキルで対処するってことは、エルフの弓兵を攻撃するということだ。
問答無用だな私。そもそもここは、どういう由来の場所なのか。

ああでも、この古城の主にとっては、私は突然城内に振ってわいた侵入者なのだろうから、友好的になるはずもないのか。
下手にコミュニケーションを取るのも無駄ということかな。

小塔を下りながら、そんなことを考える。

塔の階段を下りきると、そこは宝物庫の扉の前だ。
おお。こっちが本命だったか。

扉の前には、巨大なカブトムシがカチカチと顎を鳴らしている。
宝物庫のガーディアンってところだろう。
よろしい。ならば挑戦だ。

弓矢のスキルがあれば先制できるという。
ここでも弓矢のスキルか。
盗賊であれば持っているスキルだ。
この場所は、盗賊ならかなりの活躍が期待できそうだ。

【巨大カブトムシ 技術点10 体力点10】

うはあ。
最初の挑戦の岩悪魔ほどではないにせよ、こっちもだいぶ強敵だ。
死のワナの地下迷宮の大サソリと同等の強さ。
私に勝てるだろうか。
ここは、僧侶の特殊能力【加護】を最大限に駆使して戦うしかない。

【加護】は運だめしを使用した際に、同時に体力点2点を回復するというものだ。
技術点では劣っていても、体力を回復しまくれば、いつかは勝てるかもしれない。

戦いがはじまる。
私は、巨大カブトムシにいいようにつつきまわされている。
ようやく私の攻撃が2回命中。いずれも運だめしをして吉。
巨大カブトムシへのダメージを増やし、自分の体力点も回復させた。

この時点でのステイタスは、こうだ。

【巨大カブトムシ 技術点10 体力点2】
【ソウヤ 技術点9 体力点10 運点9】

あと一撃!
あと一撃あれば倒せる!

ところが、ここから私の攻撃はまったく命中しなくなった。
そして巨大カブトムシの連続攻撃を受け、そのまま体力点0になって、やられてしまったのだった。

ここで私は、僧侶の「運だめし」の使い方で、新たな知見を得た。
私は、攻撃が命中したタイミングの運だめしで、追加ダメージを与えることにこだわっていた。
でも違う。
攻撃を受けたときこそが、運だめしの使いどころなのだ、と。

僧侶の特殊能力は、運だめしをすれば体力点が2点回復するというもの。
つまり、運試しの成否に関係なく体力点が2点回復する。
通常攻撃を受けたら2点のダメージを負う。運だめしをし、失敗したら追加で1点、つまり3点のダメージだ。
しかし運だめしをした僧侶は、体力点2点を回復できるのだ。運だめしに失敗しても。

失敗しても!

つまり、攻撃を受けた際、仮に運点が0点であっても、運だめしに失敗したとして追加ダメージを受けたとしても。
回復分の2点を差し引きすることで、1点のダメージに抑えることができるんだよ!

だったら、ダメージ上乗せを意識するんじゃなく、防御的に使うのが賢い使い方ではないか。
あと一撃だったのだ。もしかしたら、道は開けていたかもしれない。

そうは言っても、あとのまつりなのだった。
私は死んだ。ゲームオーバー。

アタック02 ソウヤ 巨大カブトムシに手も足も出ない


●アタック03-1 廃神殿のソウゴ

手ごわい。
パラグラフ数も少ない、いきなりクライマックスな小冒険なのに、手ごわい。
技術点が低めの僧侶キャラだったといっても、ここまで苦戦するとは。
戦士、盗賊、僧侶で比べれば低めの技術点というだけで、技術点9というのは、決して弱い数値ではないはずなのだが。

めげずに次の挑戦だ。私の目的は、「旅人の旅」3回制覇なのだから。
では、職業決めはまたサイコロで。弓矢のスキルが役立ちそうなので、盗賊あたりを出したいところ。

と思っていたら、今回も僧侶だった!
3回連続僧侶とは。
名前はソウゴにした。3人目でもソウゴだ。
って、1人目、2人目もソウハ、ソウヤと数字に置き換えられそうなのだから、今さらか。

【ソウゴ 僧侶 技9 体12 運11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】

設定はまったく同じ、ソウヤ、ソウハの経歴を引き継ぐことにする。
ゴルギアスロフの店にたどり着いた私は、この店のシステムの説明を受ける。
厄介ごとに巻き込まれるのを避けるため、ゴルギアスロフは顧客の一切の事情を聞かない。
これは逆に、なにかやらかした犯罪者などが、逃走のためにここを使うということもあるのだろうな。
そのままトンズラしようってやつ。盗賊キャラだったら、そういう目的のプレイも面白いかも。

さて、旅先の出来事はすべて自己責任という契約書にサインをしたら、いよいよ即席、旅立ちのときだ。
サイコロを振って行き先を決めよう。

サイコロの出目は、3。

その瞬間、私は別の場所に転移していた。

そこは、知らない場所だが、知っている場所でもあった。
つまり、僧侶である私にはおなじみの場所。教会だ。
廃教会。
しかもそこは、セルウェー神の教会だ。
セルウェーを信仰する私にとっては、これほどなじみのある場所はない。

中に入る。ボロボロだ。
地下の納骨堂への階段がある。

・納骨堂に向かって降りる
・礼拝堂を調べる

こういう時には、まずは場所移動しない礼拝堂を調べ、その後に納骨堂に向かうというのが私の思考パターンだ。

礼拝堂を調べる。
献金箱を発見した。
運だめしを行い、幸運なら献金箱の中身を取り出せるとのこと。

運だめしか。できれば戦闘のためにとっておきたいな。
それに、まがりなりにもセルウェー神の教会への献金を私がいただくというのは……。

いや待て。むしろそれは正当な使い道なのでは。
セルウェー神殿への献金は誰が何に使うのか。
そんなもの、セルウェー神殿の神官が、神殿の運営のために使うに決まっている。
ということは、私がこの献金の中身を手に入れるのに、何のためらいもいらない。

そもそもここの指示は「運だめしを行え」と強制的だったので、私が運だめしを嫌がっても、やらなければならないのだった。

運だめしの結果は出目9で成功した。
サイコロを振り、献金箱の中身の金貨の枚数を決める。
15枚だった。しめしめ。なかなかの枚数だ。
金貨をふところにいれながら、そんなことを思う。

あ、いや、違う。しめしめなんて思ってない。
セルウェー神も信仰心がこのような形で示されて、およろこびだろう。

そしてここで選択肢だ。
納骨堂に降りるか、それともゴルギアスロフに呼びかけ帰るか。

え。ここで帰れるの。
待って、ここで帰ったら旅でも冒険でもない、ただの賽銭泥棒じゃん。
私は帰らないよ。当然、納骨堂に降りる。

私は慎重に、納骨堂への階段を下っていく。


●アタック03-2 納骨堂のがい骨たち

ゴルギアスロフの魔道具は、旅を提供するものではなく、ボス手前のセーブポイントに転移させるもの。
そんな私の仮説が正しければ、納骨堂にはなんらかの中ボス的存在がいるはずなのだ。

用心深く歩を進める。
納骨堂なら、いるのは当然、不死(アンデッド)系のクリーチャーである可能性が高い。

納骨堂には、古い巻物がたくさん転がっている。
地下の壊れ具合からしても、書庫から転がり出たものだろうか。
そして案の定、がい骨たちがうろうろしていた。
いつから廃れてしまったのかは知らないが、教会が機能しなくなったことで、眠りを妨げられたものたちなのかも。

ここでも、入るか戻るかの選択がある。
無理せずに帰っても、この旅はクリアという扱いになるのだろう。
しかし私はそれでは満足できない。
ここは納骨堂の中に踏み込もう。

納骨堂に踏み込めば、当然、がい骨たちとの戦闘になる。
とはいえ、私の目的は、がい骨たちを全滅させることではない。
むしろ、巻物を拾い集めるのが主目的で、それを妨害してくるがい骨だけを相手にする感じだ。

それはそうか。私はここに、何らかの目的をもってがい骨退治にきたわけではないのだから。
そんなストーリーもへったくれもなく、いきなり直前セーブポイントから飛んできたのだから、いただくものだけいただいて帰る行動になるというもの。
ガイコッツ退治はタイムボカンに任せる。

ここのがい骨たちはおそらく生前はセルウェー神の信徒だったものたちだ。
心情的にはすべて浄化してやりたいところではあるが、いかんせん数が多すぎる。

サイコロを振って、私のところに何体のがい骨が来たかを決める。
サイコロの出目は1だった。おかげでがい骨の数は最小だ。全体でひとつの怪物として扱う。

【がい骨(小規模) 技術点7 体力点6】

このがい骨の群れを、どれくらいの速さで退治できたかで、回収できた巻物の数が決まるという。
なお、この戦闘では武器が戦槌の場合、ダメージが倍増する。

前に1人目の挑戦者が岩悪魔と戦った時にも、戦槌が有効とあった。
そこで私は、主人公は出発時、自分に合った武器を手にしているという設定を生かして、最初の装備を戦槌にした。
僧侶なので、別に不自然ではない。

すると、サイコロの出目にも恵まれ、わずか2ターンでがい骨の群れを倒してしまった。
この結果、手に入れた巻物は8個。1個あたり金貨5枚換算ということだから、合計金貨40枚分だ。
献金箱の金貨15枚と合わせれば、合計金貨55枚分を手に入れたことになる。

ここにある巻物はおそらく、魔導書とかではなく、セルウェー神に関するなんらかの記述だろう。
そこらで売るよりも、神殿に持ち帰りたいところだな。

納骨堂を出た私は、ゴルギアスロフへ帰還を要請し、店へと転移した。

ついに旅をひとつ、無事に終えることができた。
この調子であと2つ、完遂したいものだ。

【ソウゴ 僧侶 技9 体12 運11→10/11 金貨15→70 加護(運だめしごとに体力点+2)】


■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ソウヤ:2人目の挑戦者。僧侶キャラ。ソウハと同じ設定。
ソウゴ:3人目の挑戦者。僧侶キャラ。前2人と同じ設定。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
岩悪魔:地下迷宮で、ビールの分配について頭を抱えている。

■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています

2026年4月7日火曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(10) FT新聞 No.4822

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『モンセギュール1244』リプレイ~友達んち編(10)
 あとがきにかえて

 (明日槇 悠)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■


世にも稀な歴史をモチーフとしたGMいらずのナラティヴ・スタイルRPG、『モンセギュール1244』リプレイ~友達んち編を約半年にかけてお送りして参りました。
あとがきにかえまして、セッションから一年後のプレイヤーたちの感想をお聞かせして、各位に謝意を述べ、最後のご挨拶とさせていただこうとおもいます。
『モンセギュール1244』をプレイして、どこが楽しかったか。そしてどこが難しかったか。私はFT新聞の記者として独占インタビューを試みました。


◯プレイヤーに訊く!


はじめにお話をうかがったのは、本文中のBさんこと小説家/ゲームシナリオライターの木野誠太郎さんです。
レーモン、アミエル、フィリッパ、セシルといった幅広いキャラクターを好演し、場の勢いに乗ったり、流れを抑えたりのバランサーを見事務めてくださいました。

【楽しかった点は?】
B「歴史上のいち人物として振る舞えて、また役割を適宜交代することから様々なロールプレイが楽しめた点です。複雑な人間関係が織り成す出来事は知性と示唆に富んでおり、プレイ中から終幕に至るまでに深い人間讃歌の片鱗を見ることができました。」

【難しかった点は?】
B「教義や歴史について一定の理解が必要な作品のため、導入に時間がかかったことでしょうか。そのため、他人に簡単におすすめしづらいと感じました。モンセギュールをプレイできる人間関係のなかにあること、それ自体が幸福とさえ感じるかもしれません。」

木野誠太郎さん、ありがとうございました! 木野さんの近著である『Re:cycle  -たったひとりのアイドル-』(十夜原作、PHP研究所)も気になった方はぜひチェックしてみてください。
(https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-88146-1)


続いて、様々なキャラクター、特にベルトランの怪演によって絶大なインパクトを残し、全体の場を掌握した本文中のAさんこと構成作家のKeiさんにお話をうかがいました。
巧みな演技力とユーモアによってセッションを積極的に引っ張っていただいたおかげでプレイがしやすく、何より面白くなりました。

【楽しかった点は?】
A「絶対に自分からは出てこない特殊な設定を与えられてのロールプレイ。戦闘メインではなく、会話メインで進行する点もよかった。職場にTRPG趣味の人がいて、その話を聞けば聞くほど『あれ珍しかったんやな』と実感できる。」

【難しかった点は?】
A「ストーリーがマジで把握しにくい。自分はよかったけど、口下手な人は苦手そう。普通よりもキャラクターを演じる難易度が高いので。」

Keiさん、ありがとうございました。現在はモキュメンタリー作品の準備をされているそうで、公開を楽しみにしております。


そして、本文中のDさんこと「あのセッションの時の心の若さを忘れずにいたい」というフォーエバーヤング、小山さんのご感想。
サブキャラクターのアミエルを主人公と見なすほどの感情移入や、マクベス夫人のように野望を達成した途端それを手放すアルセンドのある意味リアルなロールプレイが心に残りました。

【楽しかった点は?】
D「冗談言いながら遊べるところ」

【難しかった点は?】
D「プレイ時間が長い」

小山さんは現在公の場から姿をくらましているそうなのですが、幸運にも人づてにこのご感想をあずかることができました。当記事のためにご協力いただき、ありがとうございます。


こうなると一人だけ何も述べないわけにはいかないので、最後となりますが、本文中のCこと『モンセギュール1244』を持参した編集部員の明日槇自身の感想をお届けします。

【楽しかった点は?】
C「このゲームを共に遊べる友達がいるということがなにより楽しいことではないでしょうか。これが面白そうと感じる価値観を同じくするわけですから。」

【難しかった点は?】
C「ルールブックや参考資料の文章量に尻込みする人は多いでしょう。実際、メンバーが決まるまでに長い時間を要しました。ロールプレイにはかなりの頭の回転が必要です。総じてやってやるという勢いが大切といえます。」


●そしてあの家は……


今回のインタビューで改めて分かったことですが、我々がセッションをおこなった「友達ん家」には、本連載の参加メンバーはもう一人も住んでいないということでした。
その家のシャンプーが長らく切れているというので、みんなで近くのドラッグストアまで買い出しに行ってだいぶ開始時間が遅れたものですが。
プレイ中に誰か知らない住人がルールブックやカードを展開している横の畳を行き交ったり、ずるずる麺をすすったり、丸まって寝たりしていたものでしたが。

おもえば一緒に遊んだ参加メンバーも、多くは知り合って間もない方々で、中には当日飛び入りで参加され、この家で初めて会って連載まで名前も知らないままの方もいたのでした。
そう、実のところ私はあの「友達ん家」が誰の何であるのか、未だによく分からずにいるのです。
しかし、友達とは本来、そういったものではなかったでしょうか。
お互いに正体も知らないし、正確に知ろうともしていないし、なんなら思想や信条なんかについてうっすら誤解していたりもする。
それでも(だからこそ?)仲よくなることはできるし、そこから何かが生まれることもある。
友達を持つ勇気さえあれば、『モンセギュール1244』を遊ぶハードルはそう高くはないのではないでしょうか。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
最後に、寛大にも本リプレイ連載の許可をくださった訳者の岡和田晃氏及び版元であるニューゲームズオーダーに格別の感謝を申し上げます。
かなり自由にプレイさせていただいた中で冷や冷やさせてしまう場面もあったのではないかと拝察しますが、まだ先の展開もご存じない段階で許可をいただけたことが何よりの励みとなりました。
皆さんもぜひご自由に、『モンセギュール1244』を遊びましょう。異端カタリ派と呼ばれた人々とその時代への手向けに!


◯C'est tout.


■作品情報

・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
 Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳

モダン・ナラティブRPG
3~6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3~5時間 / 15歳以上向

・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
 https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
 https://newgamesorder.booth.pm/items/4902669

2026年4月6日月曜日

世界観と解像度 FT新聞 No.4821

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
今年も、桜の花を見ることができました。
今日はちょっとした雑談というか、ゲームブックを書く際に私がやっている「戦略」のお話です。


◆「解像度」を上げる。
ゲームブック作品を書く際に、私がちょくちょく使っている手法があります。
それは、登場する何かの「解像度」を高くするというものです。
たとえば、「くさびらの森」というゲームブックを書いた際、主人公たちが相対する脅威として〈アリ人〉という種族を登場させました。
アリ人は人間よりも少し背が低い種族で、アリと同じ外見をしています。
〈大アリ〉と呼ばれる家畜を飼っていて、生活の役に立てています。
私は「昆虫都市」というタイトルの作品を書くぐらいには昆虫が、特にアリとハチが好きです。
理由はおそらく、彼らが「個」の意思を超えた存在といいますか、種としての統率された行動をする面があって、そこにある異質さに魅力を感じるからだと思います。
話がそれましたが、私はアリが好きだったので、世の中にはあまり知られていないが、とてもとても個性的なアリの種が存在することを知っていました。
ジャンプして獲物に飛びかかるジャックジャンパー。
お腹の部分に蜜を溜める性質があって、現地では「自然のおやつ」と呼ばれるミツツボアリ。
危機が迫ると爆発するジバクアリ。
アリたちを単なるクロアリ1種類として出せば、読者に通じやすい存在にはなるでしょう。
しかし、私は、様々なアリを主人公に対する脅威として登場させることで、物語の個性とすることに決めました。


◆契機。
私がこの手法を思いついたのは、ある「きのこライター」さんとの出会いがキッカケでした。
「くさびらの森」を書く数ヶ月前に、私はきのこ専門の作家さんと知り合いました。
「くさびらの森」の「くさびら」とはキノコのことなのですが、その方は私が「きのこがたくさん登場する作品にしたい」と申し出たところ、さまざまな種類のきのこを紹介してくださいました。
それで、急に気づいたんです……一般的な作品よりも「解像度を上げる」という手法を。
この気づきはそこから先の展開に、大きな影響を与えました。
『狂える魔女のゴルジュ』に「時の魔法」が7種類も登場するのも、この「解像度を上げる」という考え方と深い関わりがあります。
FT書房のメンバーである中山将平が「さまざまな種類のかえる人」の本を描き出したのも、自分が好きで詳しいかえるでこの手法を使ったことが起点になっていると、聞いています。
余談ですが、手法をマネするというのは、大いにやっていいことだと考えています。
そうやって人類は発展してきたのですから。


◆向き不向きがある。
さて、この「解像度を上げる」という手法、実は対象による向き不向きがあります。
たとえば、〈ねこ人〉と〈いぬ人〉だったら、〈いぬ人〉のほうが圧倒的に「高解像度化」に向いています。
もととなる種のバリエーションを見れば、その理由は明らかです。
犬はチワワからドーベルマン、しば犬、ブルドッグ、ダックスフントにマスティフと、大きさから体型からさまざまな違いがあって、ゲームとしてのデータベース化がしやすい種であると言えます。
その点、猫はそこまで大きな違いがあるとは言えません。
そして、そんな犬猫と比べてみると、アリの方がずっと個性が強いことが明らかです。
危機が迫ったからといって爆発する犬や猫は、寡聞にして聞いたことがありません。
そんな制約があってなお、この「高解像度化」という手法が、ゲームをより面白いものにしてくれる可能性は大いにあると思います。
たとえば「剣」としてしか分類されていなかった武器を、グレートソード、シミター、サーベル、ショーテルといった細分化を行うことで、ゲームブック内での活躍の仕方に差をつけることができるでしょう。


◆「低解像度化」もある。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」においては、私は反対の「解像度を下げる」方法で、ゲームのルールを最軽量化するという試みをしました。
剣だけで20種類あるようなゲームが私は大好きなのですが、そこを敢えて「軽い武器」「片手武器」「両手武器」の3種類と【斬撃】【打撃】の2種類の特性を持たせるだけで、あとは「どういう武器であるかは、プレイヤーが定めていい。ただし、そのことはゲームに影響しない」というように、まとめ方を大きくとることにしたのです。
これには理由がありまして、先に挙げたアリたちは敵であり、読者の想像ではなく作品を創る側が「こういう敵だ」と決めるものであるため、解像度がそこそこ高くてもいいと、まず考えたのです。
それに対して武器は主に、プレイヤー側の主人公らが持つもので、その外見や細かい種類は、演じたいキャラクターの姿に関係するものになる、という判断がありました。
だから、そこは作者側の「解像度を低く保つ」ことにして、プレイヤー側が好きなだけ高解像度化してOKよ、という作りにしたかったわけです。


解像度の調整、というお話でした。
それではまた!



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2026年4月5日日曜日

『ガルアーダの塔』1-60階 ローグライクハーフd66シナリオ FT新聞 No.4820

おはようございます、FT新聞編集長の水波流です。

第1日曜日は、ローグライクハーフのシナリオ配信日!
お待たせ致しました!d66『ガルアーダの塔』第2回の登場です!

広大な90階建ての塔に、今回60階までのシナリオとして、「4回目〜6回目の冒険」が追加されました。

前回配信しました1-30階のシナリオをアップデートする形ですので、
続きの方も、まだ冒険に出られていない方も、新たにダウンロードしてプレイください!

舞台となる都市サプリメント「水上都市聖フランチェスコ」、中級ルールの改訂版も再配信いたします。

また製品版に向けたカワラベ氏のイラストの一部も、特別に公開!

ぜひじっくりとお楽しみください。


ローグライクハーフd66シナリオ『ガルアーダの塔』1-60階
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_TowerofGaruada1-60.txt

↓ 都市サプリメント:水上都市聖フランチェスコ
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_St-Francis.txt

↓ ローグライクハーフ:基本ルール2(中級レベル) ver.1.3
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_BasicRuleSet2_Middle-class.txt


【イラスト】 by カワラベ
レディ・マチルダ
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/Garuada_LadyMatilda.png
ゴーストマスター
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/Garuada_GhostMaster.png
猛獣アドン
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/Garuada_Adon.png


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2026年4月4日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第686号 FT新聞 No.4819

From:水波流
名作スチームパンクTRPG『ギア・アンティーク』(デザイン:伏見健二氏)を、ついに遊びました。
キャラクターメイキングが特徴的で、生まれや両親の職業だけでなく、年齢ごとにどんな事件があったのか、どこに進学してどのような職業に就いていくのか、そしてそこで何が起こっていくのかを、全てダイスロールし、ログブックに書き留めていくことで、キャラクターシートならぬキャラクターブックが出来上がる。
私のキャラクターは、鉄道学校に通う13歳の少年(シナリオ1)→その後、探検家として名を馳せ、飛行学校へ入学。23歳の精悍な青年となる(シナリオ2)。次回は更に10年後、33歳になった彼は……?
初版は1991年、改訂版が1999年出版ですが、今遊んでもダントツで面白い、さすがのゲームデザインです。

From:葉山海月
「超人」かと思ったら「超人気」でしたー!

From:明日槇悠
プレイ中の『Pentiment』という近世期の画家が主人公のビデオゲームがヘンテコながら興味深いです。
みんな大好き(ですよね?)『Disco Elysium』を彷彿とするシステムの生半でないナラティブアドベンチャー。
スムーズに終わりそうでいて、だいぶ食べ進めてもどんなゲームなのかまだわからない塩梅がワクワクさせてくれます。

From:天狗ろむ
早くも新年度! 生活環境が変わる方もいらっしゃるかもしれません。
変化に対応するのはそれだけでエネルギーを沢山使いますので、どうぞご無理なくお過ごしくださいね。
自称・ローグライクハーフシナリオソムリエによる四月のおススメ公式シナリオは、基本ルールと共に公開中の『黄昏の騎士』!
桜森の桜が満開の時期の聖フランチェスコ近くのハイホロウ村を救いましょう。
何度遊んでも楽しいシナリオですが、持ち帰った「イケてる彫像」が毎回イケていません……。

From:中山将平
僕ら4月19日(日)、埼玉県の川口市民ホールフレンディアで開催されるレトロゲーム・マイナーゲーム中心同人誌即売会『ゲームレジェンド41』にサークル参加します。
FT書房の4月のイベント参加予定はこの一つだけです。
お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
ちなみに、僕自身は同日、個人サークル「ギルド黄金の蛙」にて、インテック大阪で開催される獣人・ケモノオンリーイベント『関西けもケット11』にサークル参加します。
配置は【B-37】で、カエル人のコンテンツを扱います。
こちらもぜひご注目いただけましたら。

さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(葉)=葉山海月
(水)=水波流

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■3/29(日)~4/3(金)の記事一覧
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2026年3月29日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4813

Re:オレニアックス生物学 Vol.1 『大食らい虫』
・過去の人気記事を再配信するReシリーズとして、聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義が再び始まりました!
第1回目は『大食らい虫』。ローグライクハーフだと『混沌迷宮の試練』に出て来る、とても大きく手強いクリーチャーです。生物学で生態を学んだクリーチャーを、ローグライクハーフに落とし込むなら……なんて楽しみ方も出来るかも。是非ともお楽しみください!
(天)


2026年3月30日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4814

悪魔の話。
・「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」には【悪魔】というタグが登場します。
この【悪魔】が何かという問いをいただいたクリスチャンの杉本氏が、キリスト教的な視点から悪魔を解説していきます。
悪魔と呼ばれる存在には、聖書に登場する悪魔、堕天使、他の宗教の神の3種類があります。
そして、アランツァ世界における悪魔は「アランツァの外から来た存在」です。必ずしも邪悪であるとはかぎりません。
あくまでも悪魔扱い……不用意に「言葉」を使わない方が戦略的なようです。
(明)


2026年3月31日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4815

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(9)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、最終回をお届けしました。
様々な人間模様がありました。誰もが内なる答えを求めていました。とうとう火刑のお時間です。
史実ではカタリ派の殆どは信仰を棄てず殉教します。当リプレイでも大半のキャラクターが死を迎えます。
棄教せず、夜闇に紛れ逃亡できるキャラクターは一名のみ。さて、最後に逃亡したのは誰だったでしょうか?
後日、プレイした感想についてもお届けいたします!
(明)


2026年4月1日(水)ぜろ FT新聞 No.4816

第2回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第485回。前回のルール説明を踏まえて、いよいよ実際の「旅」が始まります。
僧侶ソウハが「旅の店」の魔道具で転移した先は、地下迷宮。扉の向こうからは、誰かのうめき声らしきものが聞こえてきます。
シリアスな展開が待っているかと思いきや、わりとしょうもない悩みを聞かされることになるソウハ。機転を利かせて、「公平」な解決策を提示しますが…。
「それはそう」という感じのオチがついた今回の旅。短編ゲームブックならではのスピード感あふれる展開と、ぜろ氏の軽やかな筆致との組み合わせが絶妙でした!
(く)


2026年4月2日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4817

『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜』が刊行! 
・SBクリエイティブから、『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜 インタラクティブに振り返るファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史』が刊行されました。
こちらはジョナサン・グリーン著(安田均監修、羽田紗久椰訳)の親本に加え、岡和田氏が担当した「日本での歴史編」が添えられている、豪華版です。
 『主人公はキミだ!』は、ひたすらファイティング・ファンタジーを中心に、ファン世代の研究家で自身もFFシリーズのゲームブックを手掛けたジョナサン・グリーンの目線で書かれ、更にゲームブック仕様になっております!
今回はその詳細。そして編まれた歴史を熱く語ります!
詳細は本記事をよろしくお願いいたします!
(葉)


2026年4月3日(金)けいねむ FT新聞 No.4818

Trollcon Nagoya 1 開催のお知らせ 
・けいねむ氏から重大発表です!
昨年開催した「FT書房作品オンリーコンベンション」に続き、今年もコンベンションを開催する運びとなりました。しかも今回は、非常に特別な形での開催となります。
「本来、T&TとM!M!TRPGを専門とする私たちの活動としては、他のルールシステムも扱うより、この二作に特化したコンベンションを開催したほうが、もっと満足度の高い一日になるのではないか」
このコンセプトのもと、コンベンション名を「ケン・セント・アンドレ作品オンリーコンベンション」としたいと考えたけいねむ氏。
そこで、ケン・セント・アンドレ氏本人に直接相談しました。
魂が震えるような返事がっ!
そして、
「Trollcon Nagoya 1」、開催します!
詳細は本記事をお読みください!
絶対に見逃すなかれ!
(葉)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(よしひささん)
いつも楽しく読んでます。
カエル人の世界の話が好きで、指の数的に10進法なのかを疑った回とか最高でしたが、今回の天使の話も面白かったです!
これからも更新楽しみにしてます。

(お返事:中山将平)
ご感想をいただき、ありがとうございます。
正直、記事を書いても読んでくださっている方がほとんどいないことを想定していましたので、楽しんでいただけているのであればとても嬉しいです。
また書こうと思います。


(あーるじぇいさん)
確かにコンピュータゲームでも蘇生時に現れる天使とか(マンガ的演出なのでしょうけど)、どの神に仕えているの?とか気になってきますね。そして、フログワルドの天使は、カエルさんに羽がついているお姿なのか...とか。

(お返事:中山将平)
ご感想をいただき、ありがとうございます。
そうなんですよ、神様を前提としない天使って、天からの使いではきっとないのだと感じています。
フログワルドにおける天使は、エネルギー体である神々から多くの力を与えられ、作りかえられた存在です。
対象となる生物がカエル人とは限らず、翼はあったりなかったりという設定です。
天使・悪魔はともに『半神(デミゴッド)』と呼ばれ、ごくまれにこうなったカエル人が出現すると、その力により「国」と呼べるほどの規模の集落が形成されます。


(ジャラル アフサラールさん)
天使というのは「敵」のイメージ強いです。TRPGにもなったライトノベル『妖魔夜行』の第一部最終巻『戦慄のミレニアム』では20世紀末に人類を滅亡させようと襲ってきた敵は「神」と「天使」で、人類の存亡賭けての妖怪軍団と天使軍団の決戦が描かれます。またアニメ化された漫画『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』でも真に人類を滅ぼそうとしていたのは人類を導くはずの神と天使達だったという真相でした。両方ともガブリエルだけが唯一人間に同情的だという設定でした。

(お返事:中山将平)
ご感想をいただき、ありがとうございます。
天使について、むしろ敵という印象を持たれていたとは、驚きです。
とはいえ、大変興味深い視点だと感じております。


(ぜろさん)
天使のお話、なるほどなーって思って読みました。
似たように、イメージに違和感があるものに、死神がありますね。いろんな漫画作品の影響か、実際の神様というよりも、死を管理するお仕事をしている会社員みたいなイメージになってます。あと一人じゃなくてたくさんいたりとか、それこそこの話に出てきたダークサイドの天使のイメージに近いようにも思いました。

(お返事:中山将平)
ご感想をいただき、ありがとうございます。
死神って、明らかに神ではない描写の作品ありますよね。
僕も、死神に対して同じような印象を持っていました。
これについて不思議な違和感を抱えていたため、カエル人世界での死神は、死に関する特徴を持った神(「骨の神」等)と定めておりました。


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2026年4月3日金曜日

Trollcon Nagoya 1 開催のお知らせ FT新聞 No.4818

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Trollcon Nagoya 1 開催のお知らせ

けいねむ
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皆様、こんにちは。トンネルズ&トロールズ(T&T)とモンスター!モンスター!TRPG(M!M!TRPG)の非公式ファングループ「トロール洞」主宰の、けいねむと申します。

今回は、私たちからとても大きなお知らせがあります。
昨年開催した「FT書房作品オンリーコンベンション」に続き、今年もコンベンションを開催する運びとなりました。しかも今回は、私たちにとって非常に特別な形での開催となります。

■第二回FT書房作品オンリーコンベンション……のはずでした
もともと私たちは、昨年ご好評をいただいた「FT書房作品オンリーコンベンション」の第二回を企画していました。
しかし準備を進める中で、ある意見が挙がりました。

「本来、T&TとM!M!TRPGを専門とする私たちの活動としては、他のルールシステムも扱うより、この二作に特化したコンベンションを開催したほうが、もっと満足度の高い一日になるのではないか」

これは、私自身にとっても非常に納得のいく意見でした。

その結果、今回は内容をより明確にし、私たちが本当に愛し、遊び続けてきた作品群に焦点を当てたコンベンションとして開催することを決めました。
それに伴い、コンベンション名称についても改めて考え直すことになりました。

■ケン・セント・アンドレ本人からの提案
そこで私は、コンベンション名を「ケン・セント・アンドレ作品オンリーコンベンション」としたいと考えました。
ですが、個人名を冠する以上、ご本人の承諾なしにはできません。そこで私は、ケン・セント・アンドレ本人に直接相談しました。
そのやり取りが以下です。

けいねむ
「こんにちは。私たちのプレイグループでは、今年6月28日に名古屋で、『Tunnels & Trolls』『Monsters! Monsters!』『Humans! Humans!』のみを扱うコンベンションを企画しています。日本のファンとして、敬意と感謝の気持ちを込めて、このコンベンションを『Ken St. Andre作品オンリーコンベンション』と名付けたいと考えています。コンベンションの名称にあなたのお名前を使用することを、許可していただけないでしょうか?」

ケン・セント・アンドレ
「昔、Flying Buffaloが自分たちのミニコンベンションを開いて、StarwebやTunnels & Trollsを宣伝していた頃、そんな長くてややこしい名前は使っていなかったよ。あれは『Trollcon』と呼んでいたんだ。だから、名古屋でやる君たちのコンベンションも、そう呼ぶべきだと思う。『Trollcon Nagoya 1』とか『2』とか、回を重ねるごとに番号を付けていけばいい。そうすれば伝統になっていく。もし私の名前を使いたいなら、不自然な形では使わないでほしい。コンベンションのタイトルの下に、『このコンベンションはKen St. Andreが創作したゲームのみに捧げられている』といった一文を添えればいい。そうすれば、人々は『名古屋のKenのTrollcon第1回』みたいに自然に呼べるようになるし、いちいち私の名前を言わなくても、君たちが私に敬意を払っていることはすぐに伝わる。分かるかい? Trollcon。たった2音節だ——言いやすいだろう?」

これを読んだとき、私は本気で身震いしました。
Trollconとは、T&Tの発売元であるフライング・バッファロー社の公式コンベンションの中のトンネルズ&トロールズのコンベンション名として長く使われてきた由緒ある名称です。
その名前を、作者本人から提案され、しかも使ってよいと言っていただいた。これは日本のファンにとって、本当に特別な出来事だと思っています。

■Trollcon Nagoya 1、開催します
そうした経緯を経て、このたび私たちは、Trollcon Nagoya 1 を開催します。

T&TとM!M!TRPGを愛する仲間が集まり、
その世界、その精神、その面白さを丸一日たっぷり遊ぶためのコンベンションです。

古くからのファンの方にも、最近興味を持った方にも、そして「名前は知っていたけれど遊ぶ機会がなかった」という方にも、ぜひ来ていただきたいと思っています。
これは単なる一回のイベントではなく、これから先へ続いていく"最初のTrollcon Nagoya"です。

今回もM!M!TRPGの発行元であり、多数のT&T作品を出されているFT書房の皆様のご協力を頂き、ゲストとしてお招きいたします!

Trollcon Nagoya 1
主催:トロール洞
協賛:FT書房
本コンベンションは、Ken St. Andreが創作したゲームのみに捧げられています。

日程
2026年6月28日(日)
9:00開場、16:30解散予定

会場
愛知県名古屋市内・名古屋駅周辺を予定

卓構成(4卓予定)
・1卓:モンスター!モンスター!TRPG(Humans! Humans!対応卓)
・1卓:モンスター!モンスター!TRPG卓
・1卓:トンネルズ&トロールズ完全版 特別GM卓
・1卓:トンネルズ&トロールズ卓

詳細な告知とプレイヤー募集は、開催約1か月前の5月末ごろに行う予定です。

T&TとM!M!TRPGを愛する皆様。
ぜひ、名古屋でお会いしましょう。
Trollcon Nagoya 1、その第一歩に立ち会っていただければ幸いです。


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2026年4月2日木曜日

『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜』が刊行! FT新聞 No.4817

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『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜 インタラクティブに振り返るファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史』が刊行!

 岡和田晃
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 SBクリエイティブから、『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜 インタラクティブに振り返るファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史』が刊行されました。
 こちらはジョナサン・グリーン著(安田均監修、羽田紗久椰訳)の親本に加え、私が担当した「日本での歴史編」が添えられている、豪華版です。
 
 すでに「GMウォーロック」Vol.20でも、こあらだまり「〈ファイティング・ファンタジー〉の歴史書、邦訳版登場!」、中山哲学「超・はじめてのAFF」(第18回)、ピピン「I WAS THE HERO!」と、集中的に紹介されていますし、SNSをはじめ、かなり話題になりましたので、入手された方も多いでしょう。
 
 あいにく完全受注生産なので、申し込みしそびれた方は、一部の店鋪に入荷しているぶんを当たったり、あるいは購入した方から借りるなり、図書館をあたるなりしていただければと思いますが、原著は、2025年早くに日本語版が出た『ダイスメン ゲームズ・ワークショップのオリジン・ストーリー』(白石瑞穂訳、岡和田晃・矢田部健史翻訳協力、ニューゲームズオーダー)にも通じる内容ながら、重複するトピックそのものは意外に少ないという印象です。
 『主人公はキミだ!』が、ファン世代の研究家で自身もFFシリーズのゲームブックを手掛けたジョナサン・グリーンの目線で書かれ、ひたすらファイティング・ファンタジーを中心にしているのに対し、『ダイスメン』はイアン・リビングストンの自伝であって、それこそリビングストンやスティーブ・ジャクソンの生い立ちからゲームズ・ワークショップの設立、メタルフィギュアにも多くの紙幅が割かれているのが特徴的。
 『ダイスメン』がカウンター・カルチャー直撃世代の空気を色濃く伝えているのに対し、『主人公はキミだ!』は構成からしてゲームブック仕立てとなっています。
 
 定価は、税込みで17600円となかなかのものになっていますが、『主人公はキミだ!』の底本になっているのは原著の第2版にあたる40周年記念版で、キックスターター(クラウドファンディング)でハードカバー版がゲットできるのは、55ポンド(約12000円)からとなっており、それに『日本での歴史編』が付くとならば、不条理なほど高価というわけではないというのもおわかりでしょうか。
 この40周年記念版は、先んじて刊行されていた初版の1巻と2巻を合本して加筆編集・再修正が加えられたもの。初版では、1巻は編年体の歴史書、2巻はヴィジュアル中心というスタイルになっていました。インタビューやファンジンなどをくまなくあたって、適切に裏を取っていくとともに、FFシリーズの各巻に関する著者のみならずイラストレーターについての情報も、盛りだくさんとなっています。
 以前「ウォーロック・マガジン」で連載していた(1号〜5号)「FFによる遊戯史学のススメ」も、『主人公はキミだ!』初版に負うところが大きかったものです。最近は、FFのみならず、D&DやT&T、『トラベラー』などの歴史研究も、とりわけ海外では盛んになっており、大小さまざまな出版物が出ています。
 『主人公はキミだ!』も、ひと昔前ならば、日本での出版は到底無理だと言われたに違いありませんが、こうして成り立ったわけです。それは訳者・関係者やファン一丸となって成し遂げた「ファイティング・ファンタジー・コレクション」の成功によるところが大きいのは言うまでもありませんが、SBクリエイティブでは『ドルアーガの塔」40周年記念 公式記録全集』(2025)、『ワルキューレの冒険 40周年記念 公式記録全集』(2026)と、貴重なアーカイブ系の出版物が立て続けに刊行されたおり、その流れに連なるものとして『主人公はキミだ!』を位置づけることができるように思います。
 
 『日本での歴史編』は岡和田が久々に刊行した評論・歴史系の単著となります。それだけでも感慨深いのですが、分量としては書籍一冊分を書き下ろし、それを4Gamer.netで「『ファイティング・ファンタジー』とその時代」として4回に分けて先行掲載し、さらなる編集を加えてまとめ直したものとなります。その過程で、資料協力者の「帽子屋」さんのお名前が抜けてしまったのは痛恨の至りではありますが、他に2026年3月末段階では間違いも見つかっていないので、お手数ですが「帽子屋」さんの名前を加えたうえで、長らく保存をしていただければと思います。
 
 『日本での歴史編』執筆の出発点としては、2025年に惜しまれながら世を去った紀田順一郎氏をはじめ、関係者の物故が続いているなか、という危機感があります。研究者のなかでは、当事者の回想など一顧だにしない、という人がいるのは承知していますが、そうした研究はニセモノだというのが、ゲームの開発や翻訳、研究に携わってきた者としてのまごうことなき実感です。特にアナログゲームは、デジタルゲーム系の研究が中心になっている状況においては、平気でデタラメな内容が垂れ流されてきた分野でもあります。
 
 そこから、アクセスできる資料をまずもって精査しながら、オーラルヒストリーを分析して、ありうべき"史観"を提示していく、というのが『日本での歴史編』にあたって心がけたことです。すべてを網羅することはできないにしても、概観はしたいと考えました。ゲームブック黄金時代の1980年代については、特に記述を厚くしましたが、それ以降も、公式では完全に黙殺されてきた——それもやむを得ないでしょうが——海賊版、あるいはサービスが終了したら追跡調査が困難になるフィーチャーフォン版についても、強調するなどして工夫もしました。
 
 取材や資料協力にあたっては、FT書房からはカワラベさん、杉本=ヨハネさん、水波流さんにご協力をいただいていますし、フーゴ・ハルさんや門倉直人さんら、「FT新聞」でもお馴染みの方々のお力添えをいただきました。

 『主人公はキミだ!』そのものは、現在の流通在庫が払底したら完全に入手できなくなってしまいますが、「『ファイティング・ファンタジー』とその時代」そのものは、特に公開が終了する予定はありません。必要に応じて、いずれもご参照をいただけましたら幸いです。
 
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『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜 インタラクティブに振り返るファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史』
 著:ジョナサン・グリーン、岡和田晃
 監修:安田均
 翻訳:羽田紗久椰訳
 SBクリエイティブの公式サイト:
 https://www.sbcr.jp/product/4815640453/

4Gamer.net「『ファイティング・ファンタジー』とその時代(全4回)」
 https://www.4gamer.net/games/758/G075800/20260122001/


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2026年4月1日水曜日

第2回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4816

第2回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


ぜろです。
はじまりました「ゴルギアスロフの旅の店」リプレイ。
セルウェー神を信仰する神官である主人公ソウハは、神殿に貢献するため、強くなることを願っていました。
そんな折、「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を聞きます。なんでも、冒険の舞台に転移させてもらえるといいます。
ソウハはその噂にとびつき、ナゴールにあるゴルギアスロフの店へ。
連続した冒険に挑む「苦難の旅」と単発で飛ばしてもらう「旅人の旅」の説明を聞き終えたところです。
これから冒険に旅立ちます。ソウハが選ぶのは、どちらの冒険でしょうか。


【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】


●アタック01-3 地下迷宮のソウハ

私は、「旅人の旅」を選んだ。
理由はいくつかある。

まず、「苦難の旅」は明らかに、ベテランの冒険者が挑戦するガチなやつだ。
修練して強くなることが目的の私には合致しない。

もうひとつはメタな理由だが、すべての冒険の内容をつまびらかにしない方が、リプレイらしいというものだ。
そうなれば、他にどんな冒険が待っているのか、興味も湧くというもの。

「旅人の旅」を、利用上限の3回達成することを、今回の目標としよう。

ところでこの「苦難の旅」と「旅人の旅」から選択して小冒険に出かけるというシチュエーションは、見覚えがある。
かつて文庫で発売されていた、T&Tのソロアドベンチャーの中にあったはずだ。タイトルは忘れてしまったが。
明確に、それのオマージュということなのだろう。
本リプレイの第1回で、「作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います」と言ったのは、そういうわけだ。

「転移先でいかなる事態が起きても自己責任とする」という契約書にサインをし、持ち物チェックを受ける。
いよいよ、出発だ。
ここから別の場所に転移するというのは、いったいどんな感覚なのだろう。
転移先の危険はさておき、転移自体に危険はないのだろうか。
直前になると、そんな不安も湧いてくる。

ゴルギアスロフは、そんな私の不安など意に介さず、私が心の準備を整えることなど斟酌せずに、「ほいっ」とかいった軽いノリで、魔道具を起動させた。

転移先は、サイコロを振ってランダムに決定される。
出目は……5で。

瞬きするくらいの間で、突然視界が変化した。
うす暗い……石壁の、通路?
等間隔に、謎の光源がある。魔法的な明かりか何かか?

ここは、地下迷宮なのだ。
危なかった。明かりのない洞窟に放り込まれたら、いきなり詰むところだった。
どこに転移するかわからないというのがどういうことか、身をもって体験した。これは怖い。

目の前には、扉がある。通路は通路で続いている。
今回の旅は、迷宮探検ということか。

目の前の扉の中から、声がした。うめき声のように聞こえる。
この扉を開けてみるや否や。

ここは、開ける一択だ。
結果、通路を進むにせよ、安全のために確認しておく必要がある、というのが私の考えだ。
見過ごした結果、何かに追われる展開になることは避けたい。

扉を開ける。

部屋にいたのは、岩悪魔だった。


●アタック01-4 ソウハ、画期的なアイディアをひらめく

部屋には大きな岩悪魔が、人間を椅子にして座っていた。
なぜかうんうんとうなりながら、「考える人」のポージングをしている。
わかりやすく、何かに悩んでいるようだ。

岩悪魔についての説明はないので、そういう名称の生き物なのだろうという理解でいく。
知ってる人は、トンネルズ&トロールズ「傭兵剣士」あたりに出てくる岩悪魔シックスパックとかを連想すればいいのかな?
いつも酔っぱらっている陽気な奴だった。

さてどうしようか。選択肢は以下のとおり。

・悩みを聞く
・頭をかち割ってやる
・逃げ出して通路を進む

うめき声の正体もわかったし、追われるリスクは消えた。
だから無視して進んでも良い。

人間椅子なんて奇行に走っているくらいだから、人類の敵かもしれない。
だからいきなり頭をかち割ってやるのは選ぶ余地がある。

とはいえ、コミュニケーションが取れるのなら、まずは何を悩んでいるか聞いてみるところからかな。
悩みがあまりに非人道的なものだったら、そこから敵対行動に移ってもいいだろう。

私は、岩悪魔が何に悩んでいるのか、尋ねてみた。

「ここに3本のビールがあるじゃろ?」

ああ、あるな。

「ギャンブルで勝ってゲットした。一緒に勝った友と分けたい。だがここには3本。俺も友も2本飲みたい。なんとかして公平に分けられないかと悩んでるんだ」

そこまで深刻な悩みじゃなかった!
そこには、どう対応するかの選択肢が並んでいる。

もし、ビールを持っていれば、足して4本にするという手が使えるみたいだ。
これなら、公平に分けることができるうえに、何かお礼が期待できるかもしれない。
しかし私はビールを持っていない。
もしかしたら、どこか別の「旅」で手に入れられるということなのだろうか。

私は別の選択肢に目をつけた。
これは……いや、これならたしかに「公平」に分けることは可能だな。

私はおもむろに1本のビールに手を伸ばした。

「ここに1本のビールがあるじゃろ?」

岩悪魔の口調を真似て言ってみる。
岩悪魔は、私が何をするのかを、固唾をのんで見守る。

「これをこうして……こうじゃ!」

私はビールを開栓すると……飲んだ!

ごきゅごきゅごきゅ……ぷはぁ! 美味い!

ぽかーんと眺める岩悪魔。
私は言った。

「これで残りは2本。1本ずつ公平に分けられるぞ。私も加えて3人になれば1本ずつだ」


●アタック01-5 鉄拳制裁! 岩悪魔

岩悪魔は激怒した。
必ず、この傍若無人な人間を除かなければならぬと決意した。
岩悪魔には人間の言っている理屈はわからぬ。
岩悪魔は、遊び人である。勝負事をし、あぶく銭で遊んで暮らしてきた。
けれども酒に対しては、人一倍に敏感であった。

***

私がビールを公平に分ける提案をしたら、岩悪魔が大激怒している件。

即座に鉄拳が飛んでくる。戦闘は、不可避だ。
岩悪魔は、手ごろな岩をつかんで大あばれをする。
それは、戦いと呼べるものではない。本当にただの大あばれだ。

【岩悪魔 技術点11 体力点12】

そして、お強い。強すぎる。
私は技術点9、体力点12だ。
体力点が同等なのに、技術点で2点劣っている。

これは、勝ち目ないかな。

しかし勝負はやってみるまでわからない。
私はこれまで、不利な勝負を幾度となく繰り返し、たまには勝ったこともある男だ。
今回だって、たまたままぐれで勝てるかもしれない。

そしてここに、気になる記述を見つけた。

「戦槌を持っているなら、岩悪魔に対する攻撃が成功したさい、通常の2点ではなく4点の体力点を奪うことができる」と。

戦槌!
持ってないか? 私。

私の武器って、なんだっけ?
キャラクター設定の時には「自分に合った武器を持っている」とだけの記載だった。
そこで私は、僧侶なら打撃武器だろうと、メイス系の武器を持っていることにしたのだった。

任意の武器で良いのなら、そこで戦槌を持っていることにすれば良かったのかな?
今から持っていることにするのはさすがにズルいよな。じゃあ、次回から武器を戦槌に設定すればいいかな。

やがて私は、戦槌は別の「旅」の中で手に入るものと知るのだが、それはまだ後の話なのであった。

なんて呑気にしている場合じゃなかった!
たった今、岩悪魔の鉄拳が飛んできているところだった!

私は素早く身体を沈めて回避し、綺麗にアッパーを決めた。
やった。技術点差をはねかえし、見事に初撃を食らわせたぞ。

しかしその攻撃は、岩悪魔の怒りを増幅させただけだった。
ここから岩悪魔の怒涛の反撃が始まる。
たちまち削られていく体力点。
私の残り体力点が2点というところで、なけなしの反撃を命中させたが、そんなものは焼石に水だった。

私は岩悪魔に一方的にノックダウンされた。ゲームオーバー。

そして、この時になってようやく私は、僧侶の特殊技能の使いみちを完璧に把握した。
僧侶の特殊技能【加護】。これは、運だめしをするたびに、体力点を2点回復できるというもの。
つまり僧侶は、技術点が低くて戦闘には向かないが、運だめしの度に体力点を回復できる。
これを駆使することで、不利な戦闘でもどうにか立ち回れるということだ。

運点って、使えば使うほど消耗するポイントだから、温存したくなる。
だから戦闘で使おうっていう気持ちに、あんまりならないんだよね。
僧侶の特殊能力は、私の性格には微妙にマッチしないみたいだ。

ためしに、今回の戦闘で【加護】を用いていたらどうなっていたのかを、シミュレートしてみた。
しかしそれでも、ちょっと勝つのは難しそうだ。
攻撃は2回しか当てていない。両方運だめしをして吉を出しても、奪える体力点は8点。運の力を乗せたもう一撃が足りない。
ただこれも、戦槌を持っていれば、運だめしと合わせて一度に当てられるダメージは6点まで増える。
そうなれば、強敵岩悪魔も、攻撃を2回当てただけで死ぬことになる。加護ちゃんすごい。

次のキャラクターからは、【加護】を役立てられるようにしよう。

アタック01 ソウハ 岩悪魔にボコボコにされる。


■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
岩悪魔:地下迷宮で、ビールの分配について頭を抱えている。ビールを飲まずに固唾をのんだ。

■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています


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2026年3月31日火曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(9) FT新聞 No.4815

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『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(9)

 (明日槇 悠)
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世にも稀な歴史をモチーフとしたGMいらずのナラティヴ・スタイルRPG、『モンセギュール1244』リプレイの最終回をお届けします。
当記事とは別に、後ほどプレイ後の感想もお届けする予定です。
本作は信仰等に関する繊細なテーマを扱っています。ロールプレイ上、現代の倫理観を欠いた表現をするところが多々ございます。
そうした表現にご不快を覚える方、それを予測された方は、その段階で当記事の閲覧を中止されますようお願いいたします。


◯これまでの『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編は……


ベジエ陥落を皮切りに、迫害されてきた異端カタリ派の人々は安住の地を求め、フランス南部、ピレネー山脈の山頂部に《モンセギュール砦》を築いた。
1243年5月、十字軍はモンセギュール包囲戦を開始。戦局が悪化の一途をたどるにつれ、カタリ派の人々は信仰による心の平衡を失っていく。
精神的指導者ベルトランとセシルの確執、それに振り回される領主一家を中心として、複雑な人間模様が繰り広げられたが、一切は無益な内紛であった。
仲間内から命を狙われながらも、指揮官ピエール・ロジェは陥落が誰の目にも明らかとなったモンセギュール砦を代表し、十字軍の元へ和平交渉に赴いた。
その結果もたらされた寛大な条件として、ロジェの子を身籠る妻に捕虜を選ぶ特権があると聞いた娼婦アルセンドは、妊婦フィリッパを殺害。
正妻の座を奪い取ったアルセンドから捕虜として選ばれた姪のファイユは、実は教皇軍と内通していたことを明かして、異端カタリ派の根城を去るのだった。


◯プレイヤー紹介


Kei 構成作家。本文中のA。
木野誠太郎 小説家・ゲームシナリオライター。本文中のB。
明日槇悠 FT新聞編集部員。本文中のC。
小山 フォーエバーヤング。本文中のD。

プレイヤーは、キャラクター一覧の中から、少なくとも主要キャラクター1人、支援キャラクター1人を担当します。
キャラクターにはそれぞれ「3つの質問」が用意されており、この質問を元に、プレイヤーは担当キャラの肉付けをおこない、
プレイ終了までに少なくとも担当する主要キャラの質問にはすべて答えを出さなくてはなりません。
https://www.newgamesorder.jp/games/montsegur1244


●登場人物/3つの質問

セシル・デ・モンセヴェール……完徳者《ペルフェッチャ》。信徒たちの指導者的な立場にある年配の女性。
 1. ファイユを見ると、あなたは誰のことを思い出すのか?
 2. あなたが織る布に、もっとも多く混じる色は何色か?
 3. 自分が死の淵にあると信じなかったなら、あなたは果たして救慰礼《コンソラメンテ》を受けて完徳者《ペルフェッチャ》になったろうか?

エスクラルモンド……モンセギュールの領主レーモンの娘で、フィリッパの妹。
 1. どうしてあなたは、夜になると南方を見つめるのか?
 2. なぜあなたは、セシルと同じ髪型をしているのか?
 3. あなたが姉のフィリッパをいちばん妬んでいることは何か?

アルセンド……娼婦。カタリ派の庇護者・トゥールーズ伯の親戚。ファイユとアミエルの叔母。
 1. 15歳のとき、あなたを手込めにしたのは誰か?
 2. あなたはどうやって、甥や姪の世話をしていくつもりか?
 3. ピエール・ロジェと寝るとき、あなたは何を感じるか?

アミエル……孤児の少年。ファイユの弟。おばのアルセンドと一緒に、モンセギュールに住んでいる。
 1. 父親について、どんなところがいちばん恋しいか?
 2. あなたが木で作ったのは、いかなる種類の武器か?
 3. あなたは大人になったら、何になりたいか?

コルバ……レーモン・ド・ペレーユと結婚している中年女。フィリッパとエスクラルモンドの母親。
 1. あなたは何人の子どもを埋葬してきたか?
 2. フィリッパを見ると、あなたは誰のことを思い出すか?
 3. あなたがいちばん後悔していることは何か?

ピエール・ロジェ・ド・ミルポワ……レーモンのいとこの中年男性。モンセギュールの防衛指揮官。フィリッパと結婚している。十字軍により、すべての財産を失った。
 1. 人々はどうしてあなたに従うのか?
 2. 戦争で最初の犠牲者となったあなたの父が、今際の際に言い残したことは何だったか?
 3. 何があなたを戦争へと駆り立てるのか?

ガルニエ……傭兵。射手。モンセギュールからそう離れていないカモンの村で育った若い男性。
 1. あなたはどれくらいの間、密かにエスクラルモンドのことを想い続けてきたか?
 2. どうやってあなたは、傭兵および射手として、武器を扱う術を身につけたのか?
 3. あなたにとって信仰にはどんな意味があるのか?

ベルナール・ド・サン・マルタン……ピエール・ロジェに仕える騎士の一人。留守の間に異端審問で、死刑を宣告された成人男性。
 1. どうして他の誰もあなたの馬に乗れないのか?
 2. なぜ、異端審問はあなたがいない間に行われたのか?
 3. あなたがアルセンドと寝るとき、誰のことを頭に思い浮かべるのか?


●本編


 ■Act4.陥落 1244年3月2日
 ピエール・ロジェは比較的寛大な和平の条件を引き出して戻ってきた。14日間の休戦期間内に、異端の教えを捨てる者は皆受け入れられる。一方、夥しい数の信者たちが、自らの信仰に従って死ぬことを選ぶ。

A「シーンカード、【女の笑い声】を取りました」

Aベルトラン「ガルニエく〜ん! ガルニエ君……聞こえるかい? このエスクラルモンドの声が。ガルニエ君! あんなに塞ぎ込んでいたエスクラルモンドが、こんなに笑い声を立てるようになった理由が分かるかい?」

Cガルニエ「はあ……確かに女の笑い声がどこからか聞こえてくるような気がいたします」

Aベルトラン「ぼくはフィリッパが死んだときに彼女の口から聞いたんだよ。あいつは完徳者《ペルフェッチャ》になったんだ。あいつが完徳者《ペルフェッチャ》になったということは……君が捕虜になろうが、カタリ派でいようが、彼女と結婚できることは二度とないんだ。分かるか?」

Cガルニエ「はあ……」

Aベルトラン「でも彼女が、完徳者《ペルフェッチャ》じゃなくなる唯一の方法があるんだ。ガルニエ君。"セシルを完徳者《ペルフェッチャ》から下ろせばいい"。セシルに、戒律を破ったっていう事実があれば、エスクラルモンドは完徳者《ペルフェッチャ》じゃなくなるんだよ、ガルニエ君!」

Cガルニエ「確かにそうなるのかもしれません……」

Aベルトラン「そして、ガルニエ君……君、捕虜になるつもりないよね? だってエスクラルモンドは、信仰を棄てないんだから」

Cガルニエ「はい。……私はこの砦のために、命を捧げるつもりでおります」

Aベルトラン「エスクラルモンドと一緒に死ぬことの方が、捕虜になるよりステキなことだと思わないかい? セシルのせいで一緒になれない。そして……カタリ派の主導者は一人でいい。セシルを……完徳者《ペルフェッチャ》から下ろそう。
 噂によると……コルバとセシルに何かがあるらしい。ガルニエ君。コルバの口から、セシルとの関係を……しっかりと……根掘り葉掘り聞いて……セシルのスキャンダルを掴んできてくれ」

Cガルニエ「わ、分かりました……!」

A「そして、ガルニエはコルバのところへ向かいました。……ガルニエの姿を見て、コルバはガルニエに衝撃の一言を言いました。その衝撃の一言とは!?」

Dコルバ「私、セシルが好き(一同笑)」

Cガルニエ「どういうことですか、それは!」

Dコルバ「言葉通りよ。私はあの方を好きなの。愛してるの」

Cガルニエ「それは……なんらかの関係があったということなんですか?」

Dコルバ「そうよ」

Cガルニエ「なんとそれは完徳者《ペルフェッチャ》としてあるまじきことでは」

A「ガルニエは、どこまで行ったのか聞きました(笑)」

Dコルバ「そうね。……それなりの関係を持ってるわ」

Cガルニエ「それは……(エスクラルモンドの質問2)エ、エスクラルモンドが、セシルの髪型を真似ているのは、まさか……」

A「ガルニエは、コルバに、え、ヤッてる? と聞きました(笑)。え、俺の好きな人、もしかして、ヤッてる? って聞きました」

Dコルバ「……ヤッてるわ」

A「そうなの?(笑)」

Cガルニエ「そういうことだったのか……。私は信仰を疑ったことはないが、しかしセシルは……セシルは完徳者《ペルフェッチャ》として相応しくないのかもしれない。確かにベルトラン様の言う通り……セシルを完徳者《ペルフェッチャ》の座から下ろすべきだ」

C「ガルニエは弓を取って、セシルの館へと向かいました」

A「えーえーえええー!?(一同笑) 報告は!? しかもナレーション権、俺なのに(笑)。が、面白いからこのまま行こう。ベルトラン、家で待ってるのに(笑)。『ガルニエ君、来るかな!? なんか面白い話持ってくるかな?』っていうベルトランを置いて、ガルニエは弓を取って、セシルの館へと向かいました(笑)」
C「じゃあ、シーンカード【乾いた汗のすえた臭い】。セシルは次々と信徒に対して、救慰礼《コンソラメンテ》を授けています。その様子をじっと見ながら、ガルニエは弓を引いて、その姿が完徳者《ペルフェッチャ》として相応しいものなのかどうかを、じっと見極めます。セシルの一言一句を遠くから見ることによって、弓を引くか否かを判断することでしょう」
A「それにセシルは気付いていました。そしてセシルは衝撃の一言を言いました」

Bセシル「殺すがいい(一同笑)」

C「救慰礼《コンソラメンテ》を受けていた一般人が『はぁ?』という顔を(一同笑)」
A「その言葉を聞いたガルニエは、決意しました」

Cガルニエ「弓を引く。……私の矢は、外れたことがない。私は、どれくらいの間、密かにエスクラルモンドのことを思い続けてきたか。その密かな思いが、なぜかベルトランにはバレていた……」

A「ベルトランは、思いました。

Aベルトラン「あいつ……一回も授業中に先生の方を見ずにずっとエスクラルモンドを見てるんだもんな」

 そしてガルニエの放った弓矢は、セシルの頭を射抜こうとしていました。そしてセシルは……!」
B「セシルは、自らの殉教をするために死を待っていたので、その弓矢をただ受け入れました」
(炸裂音)
A「エピローグに行きましょう!」

Aベルトラン「セシル死亡! うぇーい!」



■エピローグ:棄教か、それとも殉教か 1244年3月16日
 信徒たちは火刑に処される

C「(ルールブックを読んで)プレイヤーは自分の手番に、自らの主要キャラクターのエピローグを語る。このエピローグでは、主要キャラクターの運命を明らかにせねばならない。信仰に殉じるのか、異端審問官に悔い改めるのか、あるいは夜闇に紛れて逃亡するか、だ。」
A「アミエルを殺したかったな……(一同笑)。セシル死んだのは嬉しいけど、アミエルを殺せなかった。……てかヤバいな。こういうゲームを長時間やったせいで、俺ちょっとベルトランのこと好きになりはじめてる(一同笑)。ゴメンな、ベルトラン。勝手に人間のクズにして」
B「愛着が(笑)」
C「では、レーモンのエピローグを」

 ■レーモン・ド・ペレーユのエピローグ

B「最後の質問。【あなたが愛し、もっとも大事にしているのは誰か?】……それはレーモン自身でした。
 彼は数々の失態や悪行をしでかしてきましたが、それはすべて彼の平穏への布石のため、そして保身のためでした。彼はこの状況において、当然棄教を選びました。

Bレーモン「私はカタリ派という異端者たちを受け入れてしまったことを非常に後悔しています。これがなければ、私の娘は死ぬことはなかった。私はこんな異教徒たちの町を作ったことを、大変後悔しています。私は棄教を以て、この罪を悔い改めたいとおもいます」

 そう言って、自らをまた保身の道へと駆り立てるのでした。
 私のターンは終わりです。他のみんな(セシル、フィリッパ等)はちょっと、死んでしまいましたので(笑)、悲しいことに」

 ■その娘、エスクラルモンドのエピローグ

C「彼女はもちろん完徳者《ペルフェッチャ》として火刑の道を選びました。
 質問:【どうしてあなたは、夜になると南方を見つめるのか?】
 ……火刑台が置かれたのは、奇しくもその南方でした。
 【あなたが姉のフィリッパをいちばん妬んでいることは何か?】
 完徳者《ペルフェッチャ》となった身によって、ついにその妬みから解放されることができましたが、その妬みの原因は、自分が誰からも愛されていないと思っていたことでした」
A「……ッ、ガッ、ガ、ガニエルぅッ……!(一同笑) あ、ガルニエだった。もういいや、ガニエルで! ガ、ガニエル……!(笑)」
B「ただ見つめていただけの習慣(笑)」
C「そしてエスクラルモンドが火刑台に架けられたとき、その隣の火刑台にはガルニエがついていました。

Cガルニエ「エスクラルモンド……エスクラルモンド……これで一緒に……死ぬことができるな……」

 と、ガルニエはエスクラルモンドに呼びかけます。しかしエスクラルモンドはその方に顔を向けることはなく、

Cエスクラルモンド「あなたはセシルを殺しましたね」

 というふうに語りかけます。

Cエスクラルモンド「完徳者《ペルフェッチャ》を殺したあなたに、天国への道は開きません。あなたは神の軍の一員となることなく、死へと堕ちていくことでしょう」

 それだけ言い残して、エスクラルモンドは先に火刑に処されました」

A「でも、ベルトランが言ってた。『まあ、ガルニエ君が悪いね!』(一同笑)」

 ■アルセンドと、コルバと、アミエルのエピローグ

D「コルバは、セシルが殺されてしまったので、ここにいる理由はないということで逃亡しました。セシルへの思いを胸に。……逃げている道中に、足をすべらせて、滑落して死亡しました」
A「で、……この悪魔(アミエル)は?(一同笑)」
D「それは最後に」
A「お前、もうメインキャラ、アミエルじゃん!(一同笑)」
D「アルセンドは、火炙りになりました」
A「え、アルセンド火炙りになったの!? こいつ教義に殉じたの? 夫(ロジェ)いんのに(笑)」
B「周りに流されて(笑)」
D「主体性がない。アミエルは……捕虜になりました」
A「悪魔じゃん」
D「はい。生き残りたい。彼は助かりました」

 ■完徳者ベルトランのエピローグ

A「ベルトランはね、もちろん……

Aベルトラン「や。私が完徳者《ペルフェッチ》だ」

 つって死んでいきましたよ。多数の信者と共にね」
D「おおー。素晴らしい」
A「捕虜になるか逃亡をすると、信者の聖性が剥がれてしまうので。ただベルトランは、この後教科書に載るカタリ派の最高権力者が自分だけであるということに悦に入って、絶頂しながら死んでいきました(一同笑)。ロジェは、

Aピエール・ロジェ「ハッ! ロジェ、ムズかしいことわかんなぁい! (震え声)死んじゃった奥さぁん! 新しい奥さん死んじゃった! でも、ロジェ、セックスが好き!」

 つって、降伏しました(一同笑)。捕虜になりました。ロジェはその後、十七人の子供を遺した」
D「父の言葉をね、守って(笑)」
A「ただロジェ、ベルトランにすげぇ文句つけられてたけど、けっこう戦と交渉役では優秀なんよ。そこそこの出世をし、軍隊長ぐらいにまでなり、十七人の子供を、四人の女と遺しました」
C「あんなに処刑されかかってたのに」
A「交渉役として、向こうの印象もよかった。『あっ、こいつ有能だけどバカだ!』って(一同笑)。
『あっ、こいつカタリ派とかよく分かってなくて、好きなコがいたとか、一回居酒屋で盛り上がったとか、そういう理由で参加してるけど、こいつ、こんな任務で呼ばれるのに、バカなんだ。あ、じゃあもう俺ら友達やん』つってロジェは受け入れられました」
D「よかった(笑)。バカなのが幸いして」
A「ギリギリ裁判にもかけられなかったし、勝ち組でしたよ、十分」
B「ファイユは捕虜?」
A「そう。あとはベルナールだけ。じゃ、最後にベルナール……」
B「どうなったか」
C「どうなったか……まあ、異端審問で死刑を宣告されている……。普通に考えれば、普通に火刑に処されるんだけど……」

Aベルナール「ふぅーっ。これが人間かぁ」

A「そう言ってベルナールは、サタンの姿になり(一同笑)、夜空の闇を飛んでいきました」
D「第二期始まっちゃうよ」

Aベルナール「人間というのはいつまで経っても、醜いものだなぁ」

A「ベルナールは、逃亡ということで」
D「めでたしめでたし」


◯Fin.


■作品情報

・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
 Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳

モダン・ナラティブRPG
3〜6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3〜5時間 / 15歳以上向

・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
 https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
 https://newgamesorder.booth.pm/items/4902669


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