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2026年3月12日木曜日

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.42『きみへ贈る詩』前編 FT新聞 No.4796

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児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.42
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お久しぶりです。ローグライクハーフに絶賛ハマり中の齊藤飛鳥です。今回は『君へ贈る詩』リプレイ(前編)をお送りします。
通常は探索や戦闘が冒険の中心となりますが、今作は「詩を作る」ことを目標とした珍しいシナリオです。
これだけでも心惹かれましたが、さらには、
1:舞台が以前プレイした(リプレイはなし)『幽霊屋敷の果実酒』と同じ自治都市トーン。
2:クワニャウマの冒険の目標である、「ファラサールの詩を吟遊詩人に作ってもらう」と、うまく絡み合う、吟遊詩人がメインとなるシナリオ。
と、クワニャウマの冒険譚とぴったり合うシナリオ内容に、「もうプレイするしかないじゃない♪」ということで、クワニャウマに冒険してもらうことにしました^^
そこで、ファラサールの詩を作ってくれる吟遊詩人も作成し、冒険に参加してもらって「一緒に冒険した仲だから詩を作ってもらった」という展開を目指しました。
初めてローグライクハーフをプレイした時には、キャラクターを一人作って動かすのもやっとで、キャラクターを増やすたびに会話や掛け合いに難航しておりました。でも、プレイ経験を重ねるうちに、「自分で作ったキャラクター同士で冒険を盛り上げたい!」「今の自分ならできる!」「主人公キャラ二人を動かす、いい勉強になるぞ!」と、がんばりましたf^^
そういうわけで、今回は冒険家乙女の魔術師クワニャウマと、新規キャラの吟遊詩人少女のピロスカの冒険となります。双方の個性をつぶし合わないように気をつけてキャラクター作成をしたのですが、いかがでしょうか? この期に及んで、緊張しております><

最後になりますが、『シニカル探偵安土真』7巻が3月17日に発売となりました^^ 
こんなに巻数を重ねられましたのも、皆様のご声援のおかげです!! まことに感謝の念に堪えませんm(_ _)m♪


※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。

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ローグライクハーフ
『君へ贈る詩』リプレイ
前編

齊藤(羽生)飛鳥
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0:プロローグ
こんな夢を見た。
実物よりもクレバーになったわたしが、『冒険家の友』を刊行している出版社の人を招き、しゃれたアジトを紹介している。
緑あふれるそのアジトで、イェシカが幸せそうにすごしていた。
目が覚めたわたしの口から、自然とこんな言葉が零れ出た。
「そうだ、家を買おう」

わたしは、クワニャウマ。
善悪より損得を美徳とする強欲な冒険家乙女。
黒髪を二つ結びのおさげにして、イエベ肌で金褐色の瞳が特徴だ。
最初の装備は、布鎧と剃刀と竹光で作った軽い武器だったが、いくつかの冒険を経て、今は革鎧と古代の神槍を装備できるまでになったから、我ながら成長したものだ。
でも、冒険家としての最大の成長は、旅の相棒イェシカができたことだろう。
魔犬獣の毛皮の犬耳付きローブがべらぼうに似合う、愛くるしいエルフの少女である彼女は、ランタン持ちを務めてくれている。
イェシカの最大の功績は、強欲で損得勘定命で、自他共に邪悪と評されるわたしに、無償で心を開いてくれているし、一緒にいてくれることだ。生ける奇跡であり、天使であり、唯一無二の宝だ。
この幸運の天使が選んでくれた三匹の猟犬・雷電、飛燕、月光は、遠い異国のチャウチャウという犬種で、モフモフとかわいいだけでなく、しっかり者で頼もしい従者でもある。
こうして恵まれた冒険家生活を送るわたしとイェシカと猟犬たちだけど、それはとあるエルフの青年の献身が大きい。
彼の名は、ファラサール。
こともあろうに、彼は出会って正味数分もないわたしの命を、報酬を要求するどころか、ただで、しかも自らの命と尊厳を代価にして、救ってくれたのだ。
この偉大なるファラサールを忘却の彼方へ送り出すのは、世界にとって大損失だ。
そんなわけで、彼の勇敢な人生を後世に語り伝えるべく、わたしは吟遊詩人にファラサールの詩を作ってもらおうと資金を貯めていた。
運がいいことに、〈太古の森〉の奥に昔から住んでいる森の賢人・メメコレオウス様が遺跡の冒険を紹介してくれたので、そこでも荒稼ぎさせてもらったのだけど……。
……またも世界の大損失を目の当たりにしてしまった。
二度も大損失を味わい、図太いわたしはともかく、イェシカがひどく打ちのめされてしまった。
冒険には出ず、フーウェイですごして顔なじみのヴィドとゲルダと交流したけれど、やっぱりまだどこか元気がない。
わたしに気を使って元気に振る舞っているところが、いっそう不憫だ。
そこで、今しがた見た夢に着想を得て、イェシカが落ち着いてすごせる家を買うことに決めた。
現在、わたしとイェシカが下宿しているのは、蛮族都市フーウェイの安酒場の二階だ。安酒場の主人夫婦である、頭頂部がまぶしい太鼓腹のマスターと、ふくよか美人のママにフーウェイで家を買いたいと相談すると、二人は顔を見合わせる。それから、念を押すようにこう訊いてきた。
「もう一回、言ってくれ」
「できれば、正確にね」
「わかった。予算は、金貨20枚。メイン通りから徒歩三分。庭付き一戸建て。日当たり良好。ペット可。冒険家に最適な物件希望」
わたしは、マスターとママへ理路整然と答える。だが、二人は頭を抱えた。
「そんな一等地を金貨20枚で買えるわけねえだろう」
「その予算だと、町の東端にある奴隷厩舎の近所の家くらいよ?」
「奴隷厩舎は絶対にダメ! イェシカの情操教育に悪い!」
「いつになく、すげえ目がマジだな、クワニャウマ……」
「でも、イェシカちゃんは闇エルフにさらわれた子だったものね。クワニャウマの気持ちもわかるわ」
イェシカの訳ありな事情を察し、マスターとママはまた頭をひねってくれる。相談料として、この店で一番高いメニューを頼んでおいたのは正解だった。ちなみに、イェシカは安酒場の裏庭で雷電、飛燕、月光と遊んでいる。
「おい、クワニャウマ。マスターとママをあまり困らせるんじゃないぞ」
「ゲルダ、久しぶり!!」
安酒場に顔なじみの女剣士ゲルダがやって来たので、わたしは彼女が座れるように、丸太のベンチの端に寄る。その間、家を買う相談をしていたことを主人夫婦がゲルダへ説明する。
「ゲルダは、〈男の中の男〉の称号を持っているだけあって、フーウェイの住宅事情に詳しいよね? 食事をおごるから、いい家があったら紹介して」
「おまえからおごられるとは、明日は槍が降るかもしれんな……。しかし、一軒だけだが、おまえの希望通りの家があるぞ」
「さすが、ゲルダ!」
「ただし、古いので修理とリフォームをする必要がある上、二股をかけて貢がせていたせいで、逆上した恋人にメッタ刺しにされたその家の娘の幽霊が出るという曰く付きだぞ?」
「大丈夫。幽霊なら、自治都市トーンにある幽霊屋敷で退治した経験があるから! 退治できなくて居座られても、家をクワニャウマ・ゴーストハウスに改造。観光の目玉になって稼いでもらうから問題なし!」
「幽霊に同情する日が来ようとは……。わかった。私の方から家主に話をつけておく。あちらとしても、長年売れなかった家を手放せて悪い話ではないからな」
「ありがとう、ゲルダ! イェシカにさっそくしらせてくる!」
こうして、ゲルダのおかげで、トントン拍子で話はまとまり、わたしは希望通りの家を手に入れることができた。イェシカも、わたしと一緒に幽霊屋敷で冒険した経験があるので、石板に〈宝を持っている幽霊だといいね〉というメッセージを書くほど、曰くつきの家でも気にしていなかった。天使か。
ただし、修理とリフォームが完了するまでそこそこの日数がかかるため(特に壁や床に染み付いた血痕が消えないので張り替える必要があるらしい)、住めるようになるまでの間、わたしたちは自治都市トーンへ行くことにした。
そこには、以前の冒険でイェシカと友達になった人間の少女・ミッチがいるからだ。
トーンに着いてミッチの家を訪ねると無人になっていて、あせって通行人に訊ねると、彼女は『騒ぎすぎる白鯨』亭の経営者夫婦の養女に迎えられていると聞き、わたしたちはそこへ向かった。
イェシカもミッチも、大喜びで再会する様子を見て、大いに満足していると、『騒ぎすぎる白鯨』亭へ一人の少女が入ってきた。
ミルク色の肌とチョコレート色の髪と瞳を持つ、14〜15歳ほどのウェーブのかかったロングヘアをした少女で、ハーディガーディを携えている——吟遊詩人だ。
見るからに駆け出しの冒険家らしく、居酒屋の中を歩くだけで生まれたての仔鹿のように震えている。
大丈夫かと気になっていると、彼女はなんとわたしの所へ来た。
「その、大地を這いずり回る獲物を蒼穹より狙う鷹の目のような金褐色の瞳。幽霊屋敷を制したクワニャウマさん、ですよね?」
吟遊詩人らしく、形容詞過多な確認をしてくる彼女へ、わたしは頷く。
「ええ、そうよ。趣味は節約、特技は損得勘定。好きなものはお金と金目の物。善悪よりも損得が判断基準で世の中を渡り歩く冒険家乙女よ」
「その性格、噂で聞いた通り! 間違いなくクワニャウマさんですね!!」
たちまち、緊張しきっていた彼女の顔が明るく緩む。
「あ、あたし、吟遊詩人のピロスカと言います。突然のお願いですみません。どうか、一緒に『詩人の石碑』へ行っていただけませんか?」
声を弾ませて頼みこむピロスカに、『騒ぎすぎる白鯨』亭の主人夫婦が加わってきた。
「クワニャウマ、『詩人の石碑』ってのは、トーン近郊にある遺跡だよ」
「かつては栄えた街だったけど、一夜にして滅んじゃったから、行き場をなくした住民達の霊がさまよって大変だったのよ。でも、そこに一人の詩人が現れてね」
「すごいんだぞ、その詩人。千もの詩を遺跡にささげて霊たちを慰めたんだ。その詩人も亡くなって霊たちの一員となったが、彼の栄誉をたたえ、その詩を記すために作られたのが『詩人の石碑』ってやつよ」
「石碑には、年に一度、勇気ある者が訪ねて新しい詩を二つ刻んで霊たちへのあらたな慰めにするの。そっかぁ、今年の勇気ある詩人はピロスカちゃんだったのね」
客商売らしく人当たりのいい主人夫婦のおかげで、ピロスカがわたしに何を頼みたいのか、速攻理解できた。
ピロスカは、うつむきがちにもじもじと赤面する。
「クワニャウマさんは、いくつもの危険な冒険を生きのびた冒険家と評判ですので、今回の冒険の仲間になっていただければ、頼もしいです」
「そう。ありがとね。で、報酬はいくら出せる?」
なかなか大事な話が出て来ないので、わたしから切り出してみた。
ピロスカは、一瞬何を言われたかわからないという顔をしたけれど、すぐに理解できたらしい。ゴクリと息を呑みこんでから、こう言った。
「トーンの街から支払われる報酬と、遺跡を冒険中に見つけた宝の合計の半分の金額というのはいかがでしょうか?」
「半分? 七対三じゃないの」
ピロスカが、困りきった顔になる。
そこへ、イェシカがわたしの背中をつつき、持っていた石板を見せた。
石板には、〈ファラサールの詩を作ってもらえば?〉と書かれていた。
「イェシカ、頭いい! てなわけで、その報酬プラス、ただで詩を作ってくれるって条件なら引き受ける!」
「いいんですか? ありがとうございます! その条件でお受けします!」
こうして、交渉成立。
イェシカはミッチと一緒に猟犬たちをモフモフして楽しくすごし、わたしはピロスカと遺跡へ行くことで話はまとまり、新たな冒険が始まった。


(続く)


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2025年までに6巻が刊行中。2026年春には、7巻が刊行予定。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行。同年春には『歌人探偵定家 弐』(仮)が刊行予定。

初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。

■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『君へ贈る詩』
著 丹野佑
2025年11月2日FT新聞配信


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2026年3月11日水曜日

第9回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4795

第9回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


ぜろです。
ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」への挑戦。妖狐と魔猫、二匹のお供を連れたタイガが巨大樹に挑む冒険です。
オウカンワシにさらわれた商家の娘コンスタンサを救出した後、巨大樹の異変を探るべく、タイガたちはみたび巨大樹を登ります。
怪物狩猟者レンジュの同行を得て、巨大樹の頂上に登頂しました。
そこには、巨大な寄生花が。
巨大樹はこの「ヤドリバナ」に急激に養分を吸い取られ、弱っていたのでした。
ヤドリバナはうごめくツタ状の茎で、タイガたちを排除しようとしてきます。
これが最終決戦です。


【フォルネ(妖狐) レベル12 技量点:2 生命点:5 魔術点:3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。
2草避けのお守り

【ニャルラ(魔猫) レベル12 技量点:1 生命点:10 器用点:6/8 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。

【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料2
金貨44
1希少な薬草(金貨24枚)


●アタック03-7 フォルネとニャルラとヤドリバナ戦

【最終イベント ヤドリバナ】

【ヤドリバナの茎 レベル4 生命点6 攻撃回数3】
※斬撃による攻撃は、攻撃ロールにプラス1。炎による攻撃も同様。
※全方位からの攻撃のため、防御ロールにマイナス1のペナルティ。

ヤドリバナの六本のツタ状の茎が、鋭い槍のようにこちらに狙いを定めている。
ヤドリバナは、自身を支える最低限の茎を残し、すべてを攻撃に回しているみたいだ。
ツタが鋭い直線的な動きで、フォルネとニャルラを襲う。それが始まりの合図だった。

ツタは木の地面に乾いた音を立ててぶつかる。そこにフォルネとニャルラはもういない。
飛び跳ねて左右に散り、それぞれが伸びきったツタを1本ずつ引き裂いていた。

しかしその間にも、残りのツタがしなるような動きで二匹を襲う。
フォルネはツタに鞭のようにはたかれ、そのまま巻きつかれた。

「くうっ」

フォルネが苦し気にうめく。

ニャルラにも、明らかに避けようがない動きでツタが迫る。
視覚外からのそれを、信じられない反射でかわしたニャルラだったが、かわした先で別のツタに後足をからめとられ、そのまま地面に打ちつけられた。

「いたいなっもおっ」

ニャルラの足をからめているツタは、そのままニャルラを軽々と持ちあげ、ぐるぐるとニャルラをぶん回す。

「目がまわるうぅぅぅ」

一方フォルネも、身体をぐるぐるに巻きつけられ、身動きが取れない状態だ。
そこに別のツタが、槍のような直線的な動きで顔面を狙い、しゅっと突き出された。
フォルネはすんでのところで、わずかな首の動きでそれをかわすと、逆に突き出されたツタに噛みつき、噛みちぎる。
わずかにツタがほどけたところで、すき間を広げて脱出、着地した。

「ニャルラっ!!」

ニャルラは後足を絡めとられ、振り回されていた。
それでも反動をつけ、遠心力に逆らい、しなやかに身体を折り曲げると、どうにかツタを断ち切った。
ぼてっと落ちる。身体を起こすがふらふらだ。

そんなニャルラに次のツタが迫っている。しかしニャルラはまだ目を回してふらふらしている。
フォルネが、ニャルラに向かうツタを断ち切った。

「ありがとぉふぉるねぇ〜」

ニャルラがへろへろした声でお礼を言い、自身もツタへの攻撃をしかけるが、へろへろしたその動きでは、まったく仕留めることができなかった。

「手ごわいですね。痛みも感じないでしょうから、攻撃が止むことも逃げることもないのかも」
「なにがきたって、にゃるらがぜんぶやっつけてやるのらぁ〜」
「ニャルラ、無理しないで」
「ん……もう、だいじょ〜ぶ」

ニャルラは、身体をぶるぶるっと震わせると、四肢でがっしりと地面をつかんだ。

「いけるよっ」

フォルネはうなずく。

「じゃあ、これで決めましょう」

僕は、戦いになると、ただ見ているだけしかできない。
いつも何かできることはないかな、って考えている。
そう。考えるんだ。

ヤドリバナは枝に巻きついたツタをほどき、さらなるツタを投入してきた。
そのため、ヤドリバナは自身を支えきれないほとの危ういバランスになっている。

僕はピンときた。

「あの支えになっているツタを狙って! あれを切断すれば、きっとヤドリバナは落ちる」
「そなの? よぉ〜し」

二匹は支柱になっているツタに向かって疾走する。
そこに、ヤドリバナは全てのツタを集中させて攻撃をしかける。

ニャルラは右に左に避ける。
しかし数が多い。素早い反射で避けようとしたが、それでも避けきれない。

「いけないっ」

フォルネは自身へ来た攻撃を避けつつ、幻術でニャルラの幻を作り出す。【空蝉】の術だ。
しかし、おそらくは目で敵を察知していないツタには意味をなさず、ニャルラはツタにはたき落とされた。

けれども、その程度ではニャルラの闘志は衰えない。
むしろそこから一気に大きく跳躍した。
そして、勢いよくツタに噛みつくと横回転。
見事に支柱となるツタを切断した。

支えを失ったヤドリバナの巨大な花が、天井から降ってきて、ぼとりと樹の床に落ちた。

「やったのらぁ!」

今度は自分の回転でへろへろになりながら、ニャルラがドヤる。

「まだよ!」

レンジュさんが叫んだ。

「あの花が本体。花をどうにかしない限り、ツタは動き続ける」

【ヤドリバナ レベル5 生命点3 攻撃回数2】
※防御ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
※攻撃ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。

戦いは、まだ終わっていなかった。
それどころか、ここからが本番だ。


[プレイログ]
【ヤドリバナの茎 レベル4 生命点6 攻撃回数3】
※斬撃による攻撃は、攻撃ロールにプラス1。炎による攻撃も同様。
※全方位からの攻撃のため、防御ロールにマイナス1のペナルティ。

第1ラウンド
ニャルラの攻撃 サイコロの出目5 命中 ヤドリバナの茎の生命点6→5
フォルネの攻撃 サイコロの出目2+技量点2+斬撃1=5 命中 ヤドリバナの茎の生命点5→4
ヤドリバナの茎の3回攻撃(ニャルラに2回、フォルネに1回)
ニャルラの回避 サイコロの出目2 失敗
 【素早い反射】(器用点6→5)で振り直し。サイコロの出目5で回避。
ニャルラ2回目の回避 サイコロの出目2 失敗
 【素早い反射】(器用点5→4)で振り直し。サイコロの出目2で失敗 ニャルラの生命点10→9
フォルネの回避 サイコロの出目1で失敗 フォルネの生命点5→4

第2ラウンド
フォルネの攻撃 サイコロの出目5で命中 ヤドリバナの茎の生命点4→3
ニャルラの攻撃 サイコロの出目3+技量点1+斬撃1=5 命中 ヤドリバナの茎の生命点3→2
ヤドリバナの3回攻撃(ニャルラに2回、フォルネに1回)
ニャルラの回避 サイコロの出目3で失敗
 【素早い反射】(器用点4→3)で振り直し。サイコロの出目5で回避
ニャルラの2回目の回避 サイコロの出目4+技量点1-ペナルティ1=4 回避
フォルネの回避 サイコロの出目3+技量点2-ペナルティ1=4 回避

第3ラウンド
フォルネの攻撃 サイコロの出目4 命中 ヤドリバナの茎の生命点2→1
ニャルラの攻撃 サイコロの出目1(ファンブル)外れ
ヤドリバナの3回攻撃(ニャルラに2回、フォルネに1回)
ニャルラの回避 サイコロの出目2で失敗
 【素早い反射】(器用点3→2)で振り直し。サイコロの出目1 ファンブル
 フォルネが【空蝉】使用(魔術点3→2)し、ニャルラの防御ロールを振り直し。サイコロの出目3+技量点1-ペナルティ1で、それでも命中。ニャルラの生命点9→8
ニャルラの2回目の回避 サイコロの出目2で失敗
 【素早い反射】(器用点2→1)で振り直し。サイコロの出目5で回避
フォルネの回避 サイコロの出目6で回避

第4ラウンド
ニャルラの攻撃 サイコロの出目2+技量点1+斬撃1=4 命中 ヤドリバナの茎の生命点1→0 勝利


●アタック03-8 レンジュのとっておき

【ヤドリバナ レベル5 生命点3 攻撃回数2】
※防御ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
※攻撃ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。


地面に落ちたヤドリバナは、巨大な九枚の花弁を広げた。
その動作は、まるで生き物がむっくりと起き上がるみたいだ。
花弁の中心には、まるで生き物の口のような器官がある。
それは、鋭い牙が無数に生えた巨大な口に見える。
本当の口みたいに噛んだり食べたりできるのかは、わからない。
根っこから栄養を吸い取るみたいだから、できないと思いたい。
けれどその凶悪な見た目からは、一度口に放り込まれたらもうおしまいだと思わせる怖さがあった。

ヤドリバナは、中心となる茎に無数のツタをより合わせるようにして、立ち上がった。
その立ち姿は一本の茎から一本の花が咲く植物、ひまわりやチューリップを思わせる。
しかしより合わさったツタは、地面でとぐろを巻いてバランスを取った後、こちらに向けての攻撃姿勢を取っている。
地面に落ちたことで、動けるツタの数を増やしたようだ。

「すぐにおわらせるよっ!」

ニャルラが気合とともに突進した。直接花を狙っている。しかし、無数のツタに阻まれてしまった。

「フォルネ、前後があるかわからないけど、花の後ろ側を狙ってみよう」

僕の提案に、フォルネはすぐさま背後に回り込み、人でいう後頭部を狙って攻撃した。
一撃は命中し、速攻で次の攻撃を叩きこもうとしたが、それはツタの動きに阻まれ、地面に着地する。

「一応前と後ろはあるみたいですね。けどすぐに気づかれてしまう」

ヤドリバナはフォルネに立て続けにツタを送り込むが、フォルネは軽くいなしている。

「攻撃も、正面に比べれば大したことはありません」

その正面では、ニャルラが無数のツタに囲まれ、身動きが取れない状態に陥っていた。
フォルネが再び幻術【空蝉】をニャルラに使用する。
ニャルラの動きは残像をともなって数を増やしたように見えた。
ツタはその動きを追い切れず、ニャルラはツタを囲いを脱出した。

「はふう。フォルネありがとっ、たすかったぁ〜」
「さっきと違い、【空蝉】が通った……? どこかに『眼』があるということ?」
「こんどはっ! はずさないっ!!」

ニャルラは全身の毛を逆立て、力をみなぎらせると、花に向かって突進してゆく。
フォルネは多くのツタを翻弄しながら、再び後ろから、ヤドリバナに取りついた。

「今ですニャルラ!」

ニャルラの姿が星くずを散らすようにきらめき、花弁の中心に向かう。
その直線的な攻撃は、目の前を阻むツタをものともせずに貫き、そのまま花弁へと……。

それは偶然だったのだろう。
横あいから鞭のようにしなったツタが、超速で動くニャルラの胴に偶然当たり、軌道が変わった。
ニャルラの攻撃は花弁を逸れ、あさっての方向へと跳んで行ってしまった。

「ニャルラっ!」
「ぶにゃああああ!!」

そこにレンジュさんの凛々しい声が響く。

「十分だ。よくやった」

次の瞬間、レンジュさんが放った矢が、ヤドリバナの中心を貫いていた。

「君たちが隙を作ってくれたおかげだ。ありがとう」
「待って。こんな巨大な植物が、中心部を矢で射貫かれたくらいで倒れるとは……」

実際に、地面を這うツタは、今もなおうねうねとうごめいている。

「まあ、見ていなさい」

レンジュさんは自信たっぷりだ。
その間に、狙いを外して地面に落下していたニャルラがへろへろと、皆のところに戻ってきた。

見ると、ヤドリバナの中心が変色していた。急速に枯れ始めている?

「毒には毒を。『植物枯らし』だ。矢にしこんでおいた。私のとっておきさ」

それにしても、進行が速い。
すでに花弁をしおれさせ、茎の部分にも至っている。

「さすがにこれほどの効き目とは想像もしていなかった。きっと、巨大樹の魔力を吸ったせいで循環が良くなっていたのだろうな」

花弁ががっかりするようにうなだれた。
そしてツタがひとつひとつ地面に落ちてゆき、最後のツタが力なくしなだれた。

「終わった……のでしょうか。これで」

フォルネがつぶやく。
ヤドリバナのツタはうねるのを止め、完全に沈黙していた。


[プレイログ]
【ヤドリバナ レベル5 生命点3 攻撃回数2】
※防御ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
※攻撃ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。

第1ラウンド
ニャルラの攻撃 サイコロの出目3*技量点1 外れ
フォルネの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル ヤドリバナの生命点3→2
フォルネの再攻撃 サイコロの出目2 外れ
ヤドリバナの2回攻撃
ニャルラの回避 サイコロの出目3+技量点1 回避失敗
 フォルネの【空蝉】で振り直し サイコロの出目5 回避成功!
フォルネの回避 サイコロの出目5 回避成功

第2ラウンド
ニャルラの攻撃 【目も当てられぬ激怒】サイコロの出目3+技量点1 外れ
フォルネの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル ヤドリバナの生命点2-1
ここで【怪物狩猟者】レンジュ同行の特典 強いクリーチャーの生命点-1の使用を忘れていたことに気づき、フォルネの再攻撃をキャンセルしてレンジュが止めを刺すことにしました。
また、リプレイでは演出上フォルネとニャルラの攻撃の順番を変更したので、ニャルラが残り生命点1点の相手に【目も当てられぬ激怒】でクリティカルを狙うというおかしなことに。
レンジュの使用した「植物枯らし」は、矢で植物に止めを刺すためのアイディアです。アイテムの出典はゲームブック「宝石島の脱出」です。


●アタック03-9 オウカンワシの後始末

ヤドリバナの毒の脅威が去ったためだろう。
オウカンワシが力強い羽ばたきで降りてくると、ヤドリバナのしおれた花をがっしりとつかんだ。
ぶちぶちっと茎やツタを引きちぎり、花を持ちあげると、巨大樹の外に捨て去った。

続いて、仲間のオウカンワシたちが次々と飛来すると、次々とヤドリバナのツタを引きちぎっていく。
ヤドリバナの痕跡を、まったく残さないつもりだ。少しでも残っていて、活動を再開されないように。
僕たちは、オウカンワシたちの大掃除の様子を、ただ黙って見ていた。

そんな様子を見ていたら、僕の胸に、ある思いが去来した。
それでつい、言ってしまったんだ。

「これで、よかったのかな」

ヤドリバナだって悪意があったわけじゃない。
ただ、自分が生きて、繁殖するために取った行動ってだけだ。
それを倒してしまうのは、正しいことだったんだろうか、って。

それを聞いて真っ先に反応したのは、レンジュさんだった。

「それはさすがに聞き捨てならないな」

レンジュさんは、怒っていた。

「君の意をくんで巨大樹のてっぺんまで上り詰め、命をかけて戦った二匹のことを、あまりにもないがしろにしていないか」

僕ははっとした。
レンジュさんの言うとおりだ。
僕がしようと言ったから、フォルネとニャルラはここまで来た。
巨大樹を守るために、戦ってくれたんだ。それなのに、僕は……。

「フォルネ、ニャルラ、ごめん」
「……タイガさま」

フォルネが言った。

「タイガさまは、正しいことをなさりたいのですか?」

僕は、質問の意味がよくわからなかった。フォルネは続けた。

「ここに来る間にも、いろんなことがありました。縄張りを守る猿たちには猿たちの正義があるでしょう。襲ってきた飛鮫だって、私たちを餌にしたいだけで、悪意があったわけではありません」

ああ。
僕は、フォルネが何を言いたいのか、わかってきた。
ヤドリバナだけじゃない。これまでだって、同じだったのに。
オウカンワシがヤドリバナをちぎり取っていく様子を見て、感傷的な気分になりすぎていた。

「タイガさまがいつも言う『ほっとけない』は、『正しいことをしたい』ということなのですか?」
「違う。違うよ。そういうんじゃない。僕は、僕の中から湧き上がってくる気持ちに正直でいたいだけ……なんだ」

フォルネはそれを聞いて、少し表情をゆるめた。

「そうであれば、いいのです。私はこれからも、タイガさまについていきます」
「へ? それでいいの? それだけ?」

レンジュさんは拍子抜けするように言った。

「え? ほかになにか?」
「いや、ずいぶんあっさり許しちゃうんだなって思っただけ。他意はない。そっちの猫ちゃんはどうなんだい」
「アタイはそろそろ下に降りて、おいしい丸々獣のおにく食べたいのだ」
「……まあいいや。仲が良いのはよくわかった。別にアンタらの間を裂きたいわけでもないし」

そのとき、オウカンワシが僕たちの前に大きな翼を羽ばたかせて降り立ち、口にくわえていたものを僕たちの前に置いた。

「驚いた。これ、かなり希少な薬草になるものです」
「さしずめ、今回の報酬ってとこかね。私はいいからもらっておきな」
「はい」

僕はその薬草を束にして、道具入れにしまった。
目的は果たした。これから下樹だ。

「そうだ。私も一緒に下までつきあおう」
「え。でも、戦いを一回お手伝いしてくれるだけの約束で、メガレオン狩りも」
「考えてもみなよ。その一回のお手伝いがラスボス戦だ。あんなデカい出来事があったら、のんびり狩りの続きをする気にはなれないさ。下樹は単に同行しようってだけだ。金は要求しないよ」

こうして僕たちは、一緒に下まで行くことになった。
言葉が通じないのはわかっているけれど、オウカンワシに別れをつげる。
するとオウカンワシは、意外な行動に出た。

僕たちに接近すると、横向きになり、体を低くした。何かを促しているような動きに見える。
何を促しているのか。
僕とレンジュさんは顔を見合わせた。

「乗れ……って言ってると思います?」
「奇遇だな。私にもそう見える。いやしかし……どうしたものか」

レンジュさんは怪物狩猟者。時によってはオウカンワシを狩る側の人間だ。ためらいも大きい。
僕だって、さすがにオウカンワシに乗せてもらうというのは考えてもみなかった。

そして、こういう時にまっさきに動いてしまうのは、決まってニャルラだ。
ちょこちょこと飛び跳ね、オウカンワシの背に乗っていた。

「みんな〜、はやくはやく〜。これならすぐにおにく食べにいけるよ〜」

全員、言葉も出ない。

「能天気にもほどがある」

レンジュさんがつぶやいた。

「……乗りましょうか、タイガさま」
「うん、そだね」
「……ええい。私も乗ろう。こんな経験、二度とできないだろうからな。経験は財産。経験は財産……」

レンジュさんは繰り返し唱えながら、おっかなびっくりオウカンワシの背に乗った。
僕たちを乗せたオウカンワシは優雅に翼を広げ、雄大に羽ばたいた。

次回、最終回。


【フォルネ(妖狐) レベル12 技量点:2 生命点:5→4/5 魔術点:3→1/3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。
2草避けのお守り

【ニャルラ(魔猫) レベル12 技量点:1 生命点:10→8/10 器用点:6→0/8 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。

【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料2
金貨44
1希少な薬草(金貨24枚)
2希少な薬草(金貨30枚)


■登場人物
タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。
フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。
ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。
コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。オウカンワシにさらわれた。愛称はコニー。
ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。目の前で娘をさらわれ、救援隊を編成。
ロイ 巨大樹のふもとで出会った冒険者のおじさん。
ドトール 闇エルフの妖術師。闇エルフの繁栄のため、巨大樹を調査している。
レンジュ 高々度で狩りを続ける怪物狩猟者の女性。一時同行することに。
オウカンワシ 身体中に装飾品を身につけた巨大鳥。巨大樹の中腹に生息。


■作品情報
作品名:巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
著者:丹野佑
監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
https://ftbooks.booth.pm/items/5361362


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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2026年3月10日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.130 FT新聞 No.4794

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『これはゲームブックなのですか!?』vol.130

 かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

『ローグライクハーフ』の、いえ、RPGの楽しみ、って何でしょう?
 謎解き、シナリオってのもあるでしょうが、まっさきに思いつくのが「戦闘」だと思うの。
 事実、それだけに特化したゲームもあるしね。
 そんな常識に、一石投じようとしたゲームが! しかもローグライクハーフシリーズで出たわ!
 その名も、『きみへ贈る詩』(作:丹野佑 監修:杉本=ヨハネ FT新聞 No.4666 2025年 11月 2日)
 内容は「自治都市トーンのそばにある、かつて滅びた街を2人で旅する」んだけど「二人」ってとこ 重要。
 システムから言って、「二人」いればより盛り上がる……、いえ、もともと二人で遊ぶために作られたと明言しております。
 本作は「コミュニケーション・ゲーム」としての側面も強いし。

 ページに飛ぶと、いつものようにローグライクハーフの戦闘説明、死亡条件もあるけど、今回さらっとそれは忘れて。  
 なぜなら、本ゲームの目的は「詩」を作ること。
 よって「戦闘」がない。
 雑魚や中ボス、ラスボスとの派手なドンパチはない。

 じゃあ、何をするの? と言ったら、花園や、廃墟と化した様々な地を、ほてほてと歩きながら、各地に備えられた詩の断片を七つ集めること。
 それだけなんだけど……

 丹野先生の必要最低限の文で表現される情緒豊かな文は、ものすごく読ませる!
 例えば、あえて読者の想像力を掻き立てるため、「君の前にモンスターが現れた! 倒せば●●がもらえる」などという状況説明に徹するテキストも、ローグライクハーフでは少なくないと思うんだけど、この文体の香りときたら!

 例えば、プレイステーションのゲーム『アクアノートの休日』、例えばPCエンジンCDロムロムでリリースされた『マンホール』をほうふつさせる。
 読んでいるだけで、情景が浮かび、「休日の一散策」に浸らせてくれるこの文は、さすが丹野佑先生とうならせられざるをえないわ!
 それで、集める詩自体も、いくつかの文がデフォルトで用意されているものいいけど、テーマに絞って「自分で創作できる」っていうところもポイント高い!
 抒情詩、なんて言葉もあるくらいだから、「詩」を作る、というのは「物語」を作ることでもある。
 つまり「ローグライクハーフ」という物語の中で、さらに「あなた自身」の物語が作られる。
 この二重構造にもにやり!

 で、二人のプレイヤーはお互いに詩をささげあうんだけど、この辺、『ワンス・アポン・ア・タイム』という名作カードゲームを彷彿とさせます。
『ワンス・アポン・ア・タイム』は、カードに書かれた言葉と描かれたアイコンから、創造の翼を広げて、物語を作るゲーム。
 二人のプレイヤーが、物語に干渉できるのが面白い!
 この物語にも、そんな香りを感じるわ。
「物語は人に聞かせるためにある」
 一人プレイと二人プレイだと、がぜん面白さが違う!

「竜退治はもう飽きた」ではないけど「殺伐な戦闘はもう飽きた」な人に!
「ちょっと和む箱庭的ゲームが欲しい!」という方に!
 ある種、ローグライクハーフの可能性進化系の一つです!

 そして、来る今週の3/12から、本作のリプレイが始まるわ!
 書き手はなんと齊藤飛鳥先生!
 おなじみの強欲!? 冒険家クワニャウマ氏が、どう本シナリオに絡んでくるか!?
 今からご刮目よろしくお願いいたします!

 見逃せば人生後悔することウケアイ!


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

『きみへ贈る詩』
 著 丹野佑 監修 杉本=ヨハネ
 出版社:FT新聞 No.4666 2025/11/2


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2026年3月9日月曜日

有償GMのニーズ FT新聞 No.4793

おはようございます、電車に乗りながらの杉本です。
先日「有償ゲームマスターの可否」について、Twitter(現X)で色々と流れてきました。
色々と思うところのあるお話でしたので、つらつらと書いていきます☆


◆私はアリ派。
TRPGのセッションにおいて、ゲームマスター(GM)を有償で行うことの是非、といった内容がTwitter(現X)に流れてきました。
このお話を読んだ際に最初に感じたのは、こういった話題が「あ、『今』なんだな」と感じたことです。
というのは、有償GM、あるいは有料で行われるセッション卓というものは、それほど珍しいものではないという意識が、私のなかには存在したからです。


◆参加したこともあります。
大阪の真ん中に近い東梅田という場所には「アルケリンガ」という名前のお店があります。
グループSNE系列のお店で、トンネルズ&トロールズ完全版(T&T)やアドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版の書籍が並んでいた時期もあり、何度か遊びに行ったことがあります。
まさにそういったルールでのセッションが行われたことが何度かありまして、グループSNEの柘植めぐみさんがGMをする際の有料卓に参加しました。
綺麗な店内、行き届いた空調、滞りのない進行。
やや暑い季節でしたが冷たい飲みものも買える店で、そういった面でも快適で。
すべてのサプリメントが揃った状態で、分かりやすいルール的な補足を交えながら、シナリオが楽しめたのをよく覚えています。


◆感じたこと。
その体験を通じて感じたのは、そのセッションが思ったよりも簡単だったことです。
考えてみれば、これは当然のことです。
どれだけのセッション経験があるのかが分からないプレイヤーが集まる場面で、難易度を高く設定するのはリスキーです。
冒険を通じてキャラクターが死を迎えたとしたら、それはそのプレイヤーにとって貴重な、素敵な体験になるのでしょうか。
そう考えたとき、「ゲームのハードモードは、そのゲームに慣れた人間のためのもの」であるという、当たり前の原則が頭をよぎりました。


◆わき道にそれる話。
私はTRPGのセッションで「プレイヤーが創造的に行動することで、困難を乗り越える」という遊び方が大好きです。
なぜなら、それは電源系ゲームでも、ゲームブックでも、ソロアドベンチャーであっても、そういった遊び方をすることが困難だからです。
プレイヤーとGMが対話することができる、TRPGだからこそできる遊び方だからです。

ただ、その遊び方は、TRPGに慣れて、ルールが大体把握できてからはじめるべきなのだと、急に理解してしまいました。
ゲームや世界観を理解している最中ぐらいのプレイヤーには、普通に敵と戦い、倒して、ボスに対しても真正面から立ち向かって、やっつける。
それはたとえるなら、陸上選手が初めてマラソンの大会に出る時のようなものです。
大会の流れであるとか、走るコースを間違えないことであるとか、あるいはルールそのものであるとか、考えなければならないことがたくさんあるのと同じ状況なわけで。
もっと端的なことを言えば、「その場にいるだけで高い緊張を強いられる」状況にあるわけです。
そんな状況を考慮するとき、シナリオがごくシンプルで、解決手段が(ゲーム慣れしている人間には)見通しが立ちやすいものであり、また、判断を間違えた際にもリカバリーが効くように作られているのは、ごく自然なことなのかもしれないと、感じました。


◆考察。
有償GMを誰かがやるとして、それが流行るかどうかは、いくつかの要素が関係してくると私は思っています。
それは街のレストランにも似ていて、値段の割においしい店、接客のいい店、高くて雰囲気のいい店、夜遅くまでやっていて便利な店……色々あります。
そういった価値をどう打ち出していくのかも、とても興味深い。
いずれにせよ、もしもそういったものが受け入れられ、流行るようなことがあれば、これまでのセッションとは異なるコンセプトで行われ、歳月とともに進化していくでしょう。

サプリメントを含むルールの総把握。
道具の準備力。
噛まないトーク。
飽きさせない、隙のないシナリオ。
時間どおりにセッションを終わらせる能力。
本人の知名度。

それらをすべて高い水準で持ち合わせている必要はありませんが、リピートしてもらうには何かが大きく欠けていてはつらいでしょうし、どこかに魅力がある必要があるでしょうね。


◆私自身がやるとしたら。
私がやるとしたら、有償GMで稼ぐほうではなくて、プレイヤーとして参加するほうで関わることを、考えます。
TRPGのセッションはやりたいけれど加齢は否定できず、昔ほどタフではありません。

自動車教本のように厚いルールブック。
ルールブックを参照しながら書き込む冒険記録紙。
「ミス」が自動的には分からない、アナログ式という課題。
そして、ひとたびシナリオがはじまれば、自分のミスによって他プレイヤーのキャラクターを死なせる可能性があるという、精神的負担。

それらを考えると、ルールとキャラクターづくりを丁寧に教えてもらえて、そんなに難しくないシナリオを気軽にやれるなら、いくばくかの金銭を支払うぐらい苦ではないと、感じます。
無料でそうしてくれる親切な友人も心当たりはあるのですが、人に親切にされるのは、あまり得意じゃないのです(親切にするほうが性に合っています)。
それよりは、その場で謝礼をして教えてもらう方が、気持ちが楽なのです。
そして、その体験を通じて「またやりたい」と思うゲームに出会えたら、友人どうしで今度は遊ぶような、そんな利用方法をしたいですね。


それではまた!



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2026年3月8日日曜日

『生霊姫@狂騒曲』ローグライクハーフd33シナリオ FT新聞 No.4792

FT新聞の読者のみなさま、こんにちは。
火呂居美智です。

このたび、d33シナリオ「生霊姫@狂騒曲」を配信させていただくことになりました。
(編註:@は実際にはハートマーク記号ですが、メールマガジンのシステムでは文字化けしてしまうので、置き換えております)

本作は、もともと別のd66シナリオのプロット作成中に、「若者のキャラクターを出したいな……」と考えていたところ、イメージが膨らみ、気づけば先にシナリオとして形にしてしまった、という経緯の作品です。(紫隠ねこさん、水波さんのご助言もあり、かなり短期間で完成しました)
いわば次作の前日譚的なエピソードでもありますが、これまでの作品とは趣が大きく異なる、コミカル寄りの作風となっています。

舞台は、ポロメイア小国家連合の要所のひとつ——倒れた塔に栄えた街、塔街ビウレス。
主人公は、スライダー商会のドワーフに依頼され、肉体を失った〈生霊姫〉の体を探索することになります。
〈できごと〉の多くは、生霊姫が関わることで巻き起こる騒動が中心です。
彼女のキャラクターこそが本作の魅力のひとつですので、ぜひフレーバーテキストを読みながら、彼女とのドタバタ劇を楽しんでいただければと思います。

ローグライクハーフd33シナリオ『生霊姫@狂騒曲』
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_LivingSpiritPrincess_Rhapsody.txt


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2026年3月7日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第682号 FT新聞 No.4791

From:水波流
古本屋でしゃがんで下の方の本棚を見たあと、立ち上がって上の段を見ようとすると、ほぼ100%立ちくらみする。
棚が多い店の場合、何度もしゃがんで立ち上がって、立ちくらみが直るのを待って上の段を見て、隣にずれてまたしゃがんでを、繰り返す。
立ちくらみしないなんかいい方法ないですかねー。


From:葉山海月
ゲームブックは、常に真剣勝負を挑みます。
だって指セーブなんかで、両手がふさがりますので「片手間に」ということができない。
ここがゲームブックの不滅の魅力かもしれません。


From:天狗ろむ
3月になり、暖かい日も多くなってきましたね。春はもうすぐといったところでしょうか。
色んな花が咲き始めるので好きな季節なのですが、一つだけ大問題が……そう、花粉症なのです……。まだ軽い方なので何とかなってはいるのですが、暫くくしゃみが止まりそうにありません。
花粉症かと思っていたら実は風邪だった、なんてこともあったりして、厄介ですね。まだまだ寒暖差の激しい時期、季節の変わり目ですので、皆様も体調にはどうぞお気をつけて。

From:中山将平
名古屋コミティアに落選しました!
僕らFT書房の次回参加予定イベントは2026年3月21日(土)「RETRO GAME SUMMIT Lv.5」です。
開催地は『東京都立多摩産業交流センター 東京たま未来メッセ』
配置は【F-11】です。
僕自身は、個人サークル「ギルド黄金の蛙」で、3月14日(土)・15(日)開催の「第8回 蛙びとの集い in OCAT」にサークル参加します。
こちらの開催地は『大阪なんばOCAT 1階正面広場』です。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら!


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(明)=明日槇悠


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3/1(日)~3/6(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


2026年3月1日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4785

アランツァクリーチャー事典 Vol.26
・毎月第1日曜日は、ローグライクハーフのシナリオ配信日!なのですが……配信予定だったローグライクハーフ版『ガルアーダの塔』第2回は内容のブラッシュアップの為のお時間を頂き、今回はアランツァクリーチャー事典の最終回である第26回をお届けしました。
最終回を飾るのは、「龍」や「巨人」、「ワイバーン」などの『巨大生物』!
通常、クリーチャーの攻撃による生命点へのダメージは1点が基本ですが、巨大生物は2点です。これはかなり痛い! 更に「防御点」を持つため、たとえば魔術師の【氷槍】など、2点ダメージを与えるような攻撃でないと彼らの生命点を減らせません。主人公側の通常攻撃(1点ダメージ)では全く歯が立たないのです……流石は『巨大生物』、一筋縄ではいきません。
シナリオで出すとするなら、クリーチャー事典の第25回で紹介した『兵器、建造物』を活用すると、勝ち筋が見えてくるのかも……?
そんな『巨大生物』との戦闘をまず体験してみたい方には、『エメラルド海の探索』がおススメです!
(天)


2026年3月2日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4786

・お詫びとお知らせ。
3月の配信シナリオとして予定されておりました「ガルアーダの塔」第二回配信について。
来週日曜日になったと、お知らせをいたしましたが、再度リスケジュールが入りまして、第二回の配信が来月の第一日曜日(4月7日)となりましたことを、お詫びとともに申し上げます。
お待たせして申し訳ありませんが、その分だけ確実な手ごたえをアナタに!
それでは、3月の「ローグライクハーフ」シナリオは?
皆様待望! 不思議かつ壮大な幻想タペストリを織り上げる腕は超一品! 火呂居美智先生による新作が登場します!!
詳細は分かり次第お届けいたします。
刮目をよろしくお願いいたします!
(葉)


2026年3月3日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4787

ゲームブックにおける死と物語 第5回:『ミラー・ドール』におけるドールの「本質」
・編集部員くろやなぎが不定期で(月1回程度)お届けするこのシリーズでは、毎回ひとつずつの作品を取り上げて、ゲームブックにおける「死」と「物語」のあり方について、ゲームシステムやパラグラフ構造などの要素も踏まえながら考察しています。
今回の作品は、先日ついに電子書籍(PDF)版が販売開始となった、FT書房の初期の名作『ミラー・ドール』。共通世界アランツァの「樹島」(いつきじま)を舞台としており、騎乗生物や「ドール」といった、現在のローグライクハーフにも見られる要素がゲームシステムや物語の中に登場しています。
主人公である「君」の旅は、さまざまな出会いや出来事に満ちており、記事の中ではその一端に触れただけに過ぎません。未プレイの方は、ぜひいちど実際にプレイしてみてください!
(く)


2026年3月4日(水)ぜろ FT新聞 No.4788

第8回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第481回。「荷物持ち」の少年タイガが〈妖狐〉や〈魔猫〉と一緒に旅をする、ポケモン風ローグライクハーフリプレイの第8回です。
前回の〈できごと〉で一行に加わった、怪物狩猟者のレンジュ。ゲーム上の扱いは「次に会う〈強いクリーチャー〉の生命点を1低いものとして戦闘をはじめることができる」というものですが、このリプレイの中では、タイガたちとのやりとりを通じて、冒険をより賑やかなものにしてくれるキャラクターでもあります。
その後も巨大樹の上へと進むタイガたちは、〈強いクリーチャー〉には遭遇せず、そのままレンジュとともに3回目の【最終イベント】に到達。ここでもやはり、動植物の生態に詳しいレンジュの観察眼が光ります。
次回の最終決戦も、どうぞお見逃しなく!
(く)


2026年3月5日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4789

「北方墓畔派」
・岡和田晃氏による、オリジナル小説をお届けしました。
「ケンブリッジの隠者、トマス・グレイ」「レンガであつらえた喫茶店」「北の軍都」という言葉選びが、なぜか夏の日の夕暮れのように長く伸びた影を落とす、そんな心に響く幻想的な掌編です。
まだお読みで無い方は、少し落ち着いた時間を取れるお休みの日などに開かれることをお薦めいたします。
(水)


2026年3月6日(金)休刊日 FT新聞 No.4790

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ぜろさん)
きましたねミラー・ドール。
たしかにこのテーマで語るうえでは外せないタイトルかと思います。当然このあとに続く「混沌の迷宮」「殉教者の試練」も含めて。
「あの選択肢」の考察、深く考えさせられました。そしてあの問いは、「正解」を求められているのではなく、白の魔法使いがどのような答えを求めていて、どう答えたら情報を引き出せるのかを問うものであったと、ようやく思い至りました。
私もリプレイを書いていたときには思いもしなかったことです。ただ、私の思考をたどると、自然と、白の魔法使いが望む答えを探していたようです。選択肢は、正しいものを選ぶのがすべてではない。奥が深いですね。

(お返事:くろやなぎ)
ご感想ありがとうございます!
おっしゃる通り、『ミラー・ドール』そして【ドール三部作】全体は絶対外せないタイトルだと思うのですが、なんというか作品本体が「テーマそのもの」すぎて、逆に考察記事としてのアプローチの仕方がすごく難しいのでは?…と記事を書き始めてから気付きました。そんな中、ぜろさんの『ミラー・ドール』リプレイにときどき出てくるツッコミへの答えを想像しながら作品を読み直すことで、物語やそのテーマに対する自分なりの解釈を深めることができたように思っています。
たとえば「魂吸いの間」を抜ける手段へのツッコミに対しては、「実はドールである必然性はないけど、白の魔法使いの『研究』の一環として、島にやってきた冒険者とドールをあえてそういう状況に追い込んで反応を見ているのでは?(ボルノはそのためにもっともらしい説明をする役回り。もし裏技的にドールを使わずに部屋を抜けても、白の魔法使いに初手で消し炭にされるだけ)」とか。あるいは、アルマドールへのツッコミに対しては、「アルマドールは、ミラードールを自分より格下(魂が不完全とか?)だと思っていて、主人公のドールのことはそもそも眼中にないのかも(ゲーム上の設定にはないけど、自分以外のドールに対する特効スキルとか持っててもおかしくなさそう)」とか、そんな感じで積み上げた「自分なりに納得のいく答え」を、最終的に「あの選択肢」に集約させることでなんとか記事が出来上がった、という感じです。
[読者の皆さまへ:ぜろ氏による『ミラー・ドール』リプレイは、2016/11/30〜2017/06/21のFT新聞に、全29回にわたり掲載されました。KindleのFT新聞バックナンバーの2016年版と2017年版に収録されています!]


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