●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.43
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
〜前回までのあらすじ〜
自治都市トーンへ遊びに来たクワニャウマとイェシカ。そこで、吟遊詩人少女ピロスカに、遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に同行してほしいと頼まれる。ファラサールの詩を作ってもらう条件で、破格の条件で引き受けたクワニャウマはイェシカをトーンに残してピロスカと共に遺跡の街へと旅立ったのであった。
『君へ贈る詩』リプレイは今回の中編から冒険が本番に入ります。当初は前後編の予定だったのですが、先日の葉山海月さんのショートストーリー『クワニャウマの新しいアジト』に感激し、クワニャウマが家を購入するエピソードを追加。何しろ、二次創作をしていただいたのは人生初だったからです♪
さらに、「最近ゲルダに会っていない」→「ゲルダに会いたいな」→「自分のリプレイにお出まし願おう!」とゲルダも追加。
こうして盛りに盛った結果、当初の予定よりも長くなってしまい、水波編集長の御厚意で前後編だったものを前中後編にしていただきました。それに伴い、前編は導入だけという構成になったのでした。水波編集長、その節は大変お世話になりましたm(_ _)m
さて、こうして、いよいよ始まる詩を作る冒険ですが、通常の戦闘や探索の冒険とは違うので、どのようなものになるのか。興味津々で進みました。
まず、キャラクターが詩を作るという創作過程をロールプレイする必要があるのですが、ただ「ひらめいた!」とロールプレイするだけでは味気ないものになってしまいます。
しかし、そんな凡庸なプレイヤーを見越したかのごとく、このシナリオではエピソードごとに「思い出が蘇ってきた」「少し違う調子の言葉を入れてみては?」と、アドバイスが登場する親切設計となっています。おかげで、詩を思いつく創作過程のロールプレイがやりやすくなりました^^
親切設計と言えば、詩となる言葉はダイスで決めても、自分が考えた言葉を使ってもよいとの設定がされていました。つまり、私のように詩が苦手なプレイヤーを置き去りにしない工夫がされているのです。
戦闘や探索のシナリオを考えるのも難しいですのに、それとは異なる「詩を作る」という珍しいシナリオを成立させているのは、まさに離れ業と言えましょう。去年から自分もローグライクハーフのシナリオ書きに挑戦しては、そっと闇に葬っているので、難行を達成された偉大さを実感いたします。
そういうわけで、「詩を作る冒険をしてみたい!」と『君へ贈る詩』に興味を持たれた方は、後編でネタバレを知る前に是非ともプレイしてみて下さいませ^^b
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
ローグライクハーフ
『君へ贈る詩』リプレイ
中編
齊藤(羽生)飛鳥
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
1:〈庭園〉
遺跡は、かつて街だっただけに、広大だった。
まず最初にわたしとピロスカが見つけたのは、丘の上にひらけた庭だった。
花も木々も、どれも季節をそろえていない。
芽吹き、若葉、盛りの陽、落ち葉、霜の結晶——
まるで一年すべてがここに溶けているかのようだ。
ここでは、乱れた季節が共に重なり合っている。
「不思議な光景ね」
わたしの言葉に、景色に見惚れていたピロスカが我に返った顔になる。
「そうですね。ひらめきました! 季節の記憶を詩にしましょう! 例えば『落ち葉の頃。じっと待っていた』とか」
「待って。メモするから。わたしは、『酷暑の頃。汗を流して歩いた』のが記憶に残っているわ」
「いいですね! こちらも書き留めることができました!」
ピロスカは、初めて生き生きとした表情を見せる。
ここへ来るまでの道中、わたしがファラサールについて語った時は、まるで七日連続葬式に出たような顔をしていただけに、こういう表情が見られて得した気分だ。
2:〈二つの道〉
庭園を抜けてしばらく進むと、行く先が二つに分かれていた。
片方は、明るく開けた道。
もう片方は、闇の奥へ沈む細い道。
明るい道はおだやかで安全だ。暗い道は危険だが得るものがあるかもしれない。
「どちらを選んでも、先の景色はわからないけれど、辿り着く場所は同じみたいな感じですね」
おどおどしながらピロスカが言う。
冒険初心者を同行している場合、安全そうな道の方が損する可能性が減る。
「じゃあ、明るい道を進んでみようか」
わたしの提案に、ピロスカはあからさまにホッとする。
こうして、明るい道を進んでいくと、日の光に照らされ、まばゆい輝きを放つものが見える。
あれは、もしや……!!
わたしは、後ろで何やらつぶやくピロスカを無視して、輝くものの許へ向かった。
「よっしゃ!! 金貨9枚ゲット!! ウィーッヒッヒッヒッ!!」
わたしは、素早く金貨を拾い上げては財布の中へしまっていく。
「ひらめきました! 『光の中を進む人』というのはいかがでしょう?」
ピロスカは、わたしに追いつくなり言った。
「あー、いいんじゃない? 金貨の『光の中を進む人』って、わたしも思いついたところだしね」
「あたしは、日の『光の中を進む人』だったんですけど……詩にふさわしい言葉であることに変わりはありませんね」
ピロスカは、奥歯に物がはさまったような言い方だったけれど、わたしの言葉を書き留める。わたしも、忘れないうちにメモをしておいた。
3:〈屋敷〉
先程からうっすらと見えていた屋敷が、明るい道を進むにつれ、くっきりと見えてきた。
「屋敷ですね」
「そうね、ピロスカ。あの屋敷の中を通り抜けるのが、近道になりそうだから入ろうか」
「ええっ!? だ、大丈夫なんですか? 幽霊とか出ません?」
「出たって、いいじゃない。お金やお宝を持っていてくれていたら最高!!」
「……クワニャウマさん、ご職業は盗賊ではなくて魔術師、ですよね?」
「もちろん。何を今さら?」
そんな雑談をするうちに、屋敷の中へわたしとピロスカは入った。
「随分と長い廊下ですね、クワニャウマさん。修業中、師匠の屋敷の廊下に立たされたのを思い出します」
「ピロスカも? わたしも修業中、師匠の屋敷の廊下に油を塗っていじめっ子の兄弟子たちを……過去のゴミどもの話はよそう。誰も得しないからね」
「いじめっ子の兄弟子たち、どうなったんですか!?」
「やべ、うっかり口がすべった。あれはまだわたしの犯行と知られてなかったのに……」
「犯行!? 事件に発展しちゃったんですか!?」
ピロスカがますます血相を変えたときだ。
「家のどこを思いだす?」
屋敷の中から声が聞こえたのかもしれない。それとも、ピロスカが聞いたのか。あるいは、わたしの中の声かもしれない。
そんな不思議な声が聞こえた。
たちまち、わたしは玄関を思い出した。
「『玄関。旅立ちと帰還』……」
冒険家になって最初は、たった一人で居酒屋や宿屋の玄関から旅立っては、帰ってきていた。
でも、今はイェシカと一緒に旅立って、一緒に帰ってくるようになった。
広く感じた玄関が、今はせまく感じられて、幸せな窮屈感がつまった場所になっている。
わたしが感慨にふけっている横で、ピロスカは詩人のインスピレーションが降臨したらしい。
わたしの言葉を書き留めつつも、自分も呟き出した。
「『台所』……」
「ちょっと待って。今、メモするから」
わたしが急いでメモとペンを手に取ると、ピロスカがとめどなく語り出す。
「……野ウサギ吊るし切りするお父さん。野ウサギパイ焼くお母さん。キノコシチュー煮こむおばあちゃん。みんなでテーブル囲んでジャンジャカジャン。その『ぬくもりを覚えている』」
ジャンジャカジャンって何なのとは思ったけれど、今言うべきはそっちではない。
「長いんで『台所。ぬくもりを覚えている』だけメモしとくわ」
手短に用件を告げてみたけれど、ピロスカは気を悪くした様子もなく、その後も気が済むまで実家の台所の思い出を語り続けていた。
これが、吟遊詩人ってやつか……?
4:中間イベント:詩人の霊
そこへ、どこからともなく、竪琴の音が聞こえてきた。
「え? え? いったい、どこから?」
「向こうみたいね。行ってみましょう」
わたしは、我に返ったピロスカを連れて、屋敷の奥にある円形の劇場にたどり着いた。
どうやら、この屋敷の主人が造らせた個人劇場らしい。
劇場の中央には、一人の霊がたたずんでいた。
「で、伝説の、し、詩人の霊……!!」
「よかったじゃない、本人に会えて。あの人のがんばりをたたえ、感謝するために詩を捧げるんだから、どういう詩が好きか訊けるチャンスよ」
「そ、そんな! 畏れ多いですよ!」
「何を言っているの。質問するのにお金はかからないけど、注文と違うものを作った場合はお金がかかっちゃうじゃないの。だったら、質問する方が圧倒的にお得! というわけで、どんな詩がお好み? ちなみに、わたしがメモってきた詩はこんな感じ」
わたしが、詩人の霊へ見えるようにメモを広げる。
「君たちの旅の中で、新たな詩が生まれつつあるのを感じるよ。だけど、今のままでは景色の詩になってしまう。どうだろう、ここで少し違う調子を入れてみては?」
詩人の霊はしばし音楽を奏でたあと、こう提案した。
「君たちがお互いに感じていることを詩に織り込んでみるのはどうかな?」
「その手があったか! さすが一流詩人! アドバイスありがとう!!」
「わたしにとってクワニャウマさんは、灯された炎のようです」
「『きみは灯された炎のようだ』って感じね。わたしにとってピロスカは、よくさざ波みたいにプルプル震えているから、静かな湖みたい」
「……『きみは静かな湖のようだ』でお願いします」
「わかった。吟遊詩人じゃないわたしだけど、おかげさまで詩らしくなってきたわ。ありがとう!」
わたしがお礼を言うと、霊はうなずき、微笑んで消えた。
「……案外、訊いてみるものですね」
ピロスカはそう呟いてから、幽霊の消え去った後へ深々と一礼した。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2025年までに6巻が刊行中。2026年春に、7巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行。同年春には『歌人探偵定家 弐』(仮)が刊行予定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『君へ贈る詩』
著 丹野佑
2025年11月2日FT新聞配信
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
FT新聞・保管庫
*2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
SPAM注意
(編集・水波)最近SPAM投稿が増えておりますが、見つけ次第手動で削除いたしますので、決してクリックなどされないよう、ご注意下さい。
2026年3月26日木曜日
2026年3月25日水曜日
第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4809
第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
●作品紹介とキャラクター準備
***
「ゴルギアスロフの旅の店」に来ると、「旅の匂い」のする場所へ飛ばしてくれる。
城・街角・砂漠・様々な冒険の舞台が君を待つ
そこで出会うのは、盗賊・魔女・エルフの射手……彼らとどう関わる?
困難を越えて、宝を手に入れよう!
(冒頭の四コマ漫画より文章のみ抜粋)
***
ぜろです。
ゲームブックをプレイしていると、時に、どうにも重い作品に手を出しづらいタイミングが訪れます。
それは、大作をプレイした直後であったり、別の理由で心身が疲れていたり、そんな時です。
そして私はお仕事が超絶忙しい人。それはもうずっと変わらないのですが、今年度はそれに拍車をかけて大変。
「これ以上忙しくなるなんて物理的に無理だろう」と思うような状況を、軽く更新してくれるので油断がなりません。
なお、職場の同僚には、私がリプレイ連載をしていることは隠していません。
なのでよく言われます。「いつ書いているのかわからない」と。
はい。私もそう思います。でもこうして公開しているのですから、書いているのです。どこかの時間で。ふしぎふしぎ。
さて、話を戻します。
どうにも重い作品に手を出しつらいタイミング。なんかやりたいけど、大物には食指が動かない。
そんな時には軽めの作品をプレイするに限ります。
そして、そういう時に役に立つのが短編集。
そこで手に取ったのが、「Hunted Gardenheart(ハンテッドガーデンハート)」。ゲームブック短編集です。
これには10本の短編ゲームブックが収録されています。
今のような気分の時にはぴったり!
まあ、そんな気分で初めてみたら、がっつり大冒険をしてしまった「マドレーンの海域」のようなパターンもありますが。
「マドレーンの海域」のリプレイは、FT新聞にて2023年11月8日から12月6日にかけて全5回で連載させていただきました。あの時は航路が荒ぶりすぎて、ものすごい大冒険になってしまったのでした。
今回は、そんな「マドレーンの海域」の次に収録されております「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦することにしました。
サイコロを振って遊ぶ、ファイティング・ファンタジーシリーズのルールがベースになった作品です。
作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います。
導入部分とゲームシステムを確認。
導入についてはリプレイ本編で語ることにしましょう。
戦士、盗賊、僧侶の3タイプの主人公の中からひとりを選んでプレイするようになっています。
ステイタスは、各キャラクターごとに固定値です。サイコロを振って1からキャラクターを作るわけではありません。
そして、それぞれのタイプに合った特技を身につけています。
戦士は、何の特技もありませんが、技術点、体力点が高く、屈強でタフネス。
盗賊は、弓矢による先制攻撃と、開錠ができる。
僧侶は、運だめしを行うたびに体力点を回復する加護がある。
この中では、僧侶の特技がこれまでに見たことがないものですね。
運だめしごとに体力点が回復するとなれば、戦闘の時の運だめしの出番が多そうです。
そんな各タイプの能力値がこちら。
戦士 技術点11 体力点13 運点9 金貨5枚
盗賊 技術点10 体力点10 運点10 金貨10枚
僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15枚
技術点、体力点、運点とはざっと以下のような内容になります。
技術点は戦闘の強さを含めた総合力の高さを示し、最も重要。
体力点はHP(ヒットポイント)。0点になったらなんまいだー。
運点は、運を天に任せるイベントで使用する。使うと減っちゃう。
盗賊の能力値、全部10点なんですね。
素早さや器用さを示す能力値があればきっと高いのでしょうけれど、全部ひっくるめて技術点が代用しますからね。
中堅どころ、しかも特殊技能も豊富。いちばんやってみたいタイプかもしれません。
一番厳しいのは、技術点に恵まれない僧侶かな。
いくら運だめしの際に回復できる特技があっても厳しいかも。
所持金を使って何か有用なアイテムを持ち込めるならワンチャン?
さて、この3タイプから自由に選択して良いとのこと。
それならここは、サイコロを振って決めましょう。
結果、僧侶となりました。
一番苦戦しそうなキャラクターに。
で、でも大丈夫。
三択で選択できるってことは、ちゃんと僧侶でもクリアできるバランス……のはず。
では、僧侶キャラで、名前は……ソウハで!
僧侶のソウに、走破してクリアしたいという願掛けを込めたネーミング。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
金貨のほかに、背負い袋と、自分に合った武器を持っているとのことです。
自分に合った武器ですか。
僧侶系のキャラクターだと、やはりメイス系の打撃武器というのが定番でしょう。
それではここから本編に入っていきましょう。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 ゴルギアスロフの旅の店
私の名はソウハ。
唯一神セルウェーを信仰する神官だ。
ロング・ナリクのランカスター司祭のもとに身を置いている。
最近ランカスター司祭は、人間に姿を変え、人間社会に溶け込み、人間を捕食する「変身獣」への対応に追われている。
「聖セルウェー変身獣討伐隊」なるものが組織されたほどだ。
私は、そんな様子を端で見て感じていた。私は非力で、そうした荒事の役には立てない。
私にもっと力があれば。
そんな折に耳にしたのだ。
「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を。
その店は、秘宝の力で、依頼人を冒険の場へと移動させてくれる、と。
手っ取り早く冒険の経験を積むにはもってこいだ。
こうして私は、商業都市ナゴールへ向かった。
ゴルギアスロフの旅の店を訪れるために。
さて、ゴルギアスロフ氏について、私が知っていることを伝えよう。
彼はドワーフ。引退した元冒険者だ。
彼はかつて、桜森にある「ディラットの危険な地下迷宮」にて、とある秘宝を手に入れた。
「トラファルデの秘宝」と呼ばれるそれは、信じられない効果をもたらす魔法道具だった。
ゴルギアスロフ氏は、その秘宝の入手をきっかけに、冒険者を引退し、ナゴールに小さな店を開いたという。
秘宝を売って財を成したわけではない。
むしろその逆で、秘宝を用いた商売を始めたのだ。
秘宝の入手はきっかけではあったが、それ以前の冒険で、店を開けるだけの稼ぎは得ていたようだ。
その秘宝の効果だが、なんでも、人をどこか別の場所に転移させられるとか。
その転移先では、様々な冒険が待ち受けているらしい。
このあたりになると、噂は少しあやふやになる。正確なところは、ゴルギアスロフ氏本人から直接聞いてみよう。
長旅を経て、ナゴールへと到着した。
道中、同じ方角へ向かう商隊と同じ速度で移動していたため、危険はなかった。
邪悪なるヒポグリフの微笑み商会。なかでもウェルタースという人物は軽口でおしゃべりで、彼の話のおかげで退屈しないで済んだ。
彼らは途中の小さな町にしばし逗留するとのことで別れたが、また会いたいものだ。
宿を確保し、ナゴールに一時滞在できる支度を整え、私はゴルギアスロフの旅の店に向かった。
その店は、狭い路地に入ったところにある、あまり目立たない店構えだった。
というか、およそ店らしい雰囲気をしていない。
商品を陳列する必要がないのだから、当然かもしれない。
「おやおや、新顔さんかな」
店の雰囲気に入るのをためらっていると、中から雑味のある声がした。
不揃いでぎざぎざの歯をしたドワーフが、崩れた笑みで迎えてくれる。
お世辞にも整った顔立ちではない。失礼だが、不細工である。
彼が店主のゴルギアスロフだろう。一般的にイメージするドワーフとはだいぶ異なった印象を受ける。
「ここがどんな店かわかって訪れたのかね」
私はうなずく。続いて言葉を発しようとすると、店主はそれを制した。
「いや、いい。この店がどんな店か知って訪れたのなら、それでいい。個々の事情は聞かんことにしとる」
下手に聞くことで、厄介ごとに巻き込まれたくないという。
長年この商売をしているだけに、用心深い。もしかしたら、過去に何かあったのかもしれない。
「まず最初に警告だ。わしを殺して秘宝を奪おうとは考えぬことだ。秘宝はわしにしか動かせぬ。わしがいなければ、ただのガラクタだからな」
しかも、店内は雑多にものが置かれており、どれが秘宝なのか、ぱっと見ではわからないようになっている。
その中のどれかが「トラファルデの秘宝」なのか、隠してあるのか。外見の情報がない限り、素人目には全部ガラクタにしか見えない。
これもこのドワーフの対策のひとつなのだろう。
警告を終えると、ゴルギアスロフは説明を始めた。
●アタック01-2 ゴルギアスロフ、旅のルールを説明する
「では、さっそく決まりごとを伝えよう」
ゴルギアスロフは、この店の利用方法を説明した。
「秘宝はお前さんを、『旅の匂い』のする場所に飛ばしてくれる。お前さんが選べるのはたったひとつ。旅の種類だ。『苦難の旅』『旅人の旅』と呼んでおる」
最初に選択肢を提示する。説明上手だな。慣れか。
「『苦難の旅』は、6つの旅に、続けて送り込むというもの。すべての旅路をくぐり抜ければ、帰還できる。『旅人の旅』は、ひとつの旅だけで帰還する」
これだけ聞くと、「旅人の旅」はおためしコースみたいなものだな。
「いずれの旅も危険に満ちておる。『旅人の旅』だからといって、おためしだ、などと思わぬことだ」
あ。思考を読まれた。
「どこに飛ばされるのかはわからん。魔道具が勝手に『旅の匂い』のする場所を選ぶでな。この大陸かどうかも定かではない。飛ばされた人間は、魔道具との繋がりができ、望めば一度だけ『帰還』ができる」
なるほど。
これはすさまじい力を秘めた魔道具だ。
決まった場所に移動できるようにすれば、某大作RPGの「たびのとびら」みたいな扱いができ、流通に革命が起こりそうなものだが。
この、ランダムな場所にしか移動させられないというのは、いったいどんな意図で作られたものなのだろう。
そう考えたとき、私の思考はひとつの結論を導いてしまった。
これは、依頼人をランダムな場所に運んでくれる素晴らしい魔道具などではない。
ダンジョンの探索者を、危険な場所に強制転移させる、トラップなのだ。
これを作る意味と、発見された場所を考慮すれば、おそらく間違ってはいない。
望めば帰還できるなら、トラップの用をなさないと思われるかもしれない。
帰還は、この魔道具の性能テストのための機能なのだろう。
当然、帰還には必要な手順があるはずで、罠にかかった探索者はそれを知る由もない。
理解すると同時に、この魔道具を利用することによる命の危機が予想できた。
「旅」なんて聞こえのいい言葉を使っているが、そんなお気楽なものではないのだ。
そもそも、旅ってなんだろう。
近所までお使いに行くのは旅?
隣町まで外食に行くのは?
地方のイベントに行ってくるのは?
仕事場に行くのは旅ではないが、「邪悪なるヒポグリフの微笑み商会」みたいな行商は旅と言えそう。
どこからどこまでという線引きは難しいが、「距離」と「目的」あたりがキーと言えそうだ。
加えて、そこで得られる新鮮な「体験」なども旅の重要なファクターと感じる。
だが、この店で言う旅は、断じてそんな甘いものではない。「冒険」の方がまだしっくりくる。
「なああんた、聞いとるのか」
私が沈思黙考に入っている間にも、ゴルギアスロフの説明は続いていたようだ。
いかんいかん。しっかり聞いておかないと。聞き逃したために命を落とすとか、シャレにならん。
「稼いできた金品のうち1割がこちらの取り分だ。ごまかすなよ。持ち物チェックはさせてもらう」
分割できない物品に関しては、金銭で相当額を納めるか、売り払って分配するとのこと。
それから、「旅人の旅」の利用は3回までとの話があった。
行ったら帰還を繰り返すといった、旅の選り好み行為を防ぐ目的のようだ。
実は「上限3回」の説明は、本来最初のルール説明には入っていない。1回目の「旅人の旅」が終わった際に追加で言われるものだ。
けれどここで伝えられた方が全体的に整理がしやすいので、リプレイ上ではそういうことにさせてもらった。
「なにか質問はあるか?」
私は尋ねた。「旅先」で死んだ場合、どうなるのか、と。
「死んだ後のことに興味があるのか。死んだらそれまでだろうに。お前さん、変わっとるな」
言うほど変わってるかな。
「遺体を戻して金品は頂戴する、と言いたいところだが、それはせぬようにしておる。あるかわからぬ臨時収入より、店から遺体が出ることの方が重大事案になるでな。つまり、野垂れ死によ」
なるほどわかった。
「もうええかな。ならそろそろ、旅の種類を選んでもらおうか」
そうだな。
私は熟慮し、決めた。
私が選ぶのは……。
次回、選んだ旅に出発する。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
●作品紹介とキャラクター準備
***
「ゴルギアスロフの旅の店」に来ると、「旅の匂い」のする場所へ飛ばしてくれる。
城・街角・砂漠・様々な冒険の舞台が君を待つ
そこで出会うのは、盗賊・魔女・エルフの射手……彼らとどう関わる?
困難を越えて、宝を手に入れよう!
(冒頭の四コマ漫画より文章のみ抜粋)
***
ぜろです。
ゲームブックをプレイしていると、時に、どうにも重い作品に手を出しづらいタイミングが訪れます。
それは、大作をプレイした直後であったり、別の理由で心身が疲れていたり、そんな時です。
そして私はお仕事が超絶忙しい人。それはもうずっと変わらないのですが、今年度はそれに拍車をかけて大変。
「これ以上忙しくなるなんて物理的に無理だろう」と思うような状況を、軽く更新してくれるので油断がなりません。
なお、職場の同僚には、私がリプレイ連載をしていることは隠していません。
なのでよく言われます。「いつ書いているのかわからない」と。
はい。私もそう思います。でもこうして公開しているのですから、書いているのです。どこかの時間で。ふしぎふしぎ。
さて、話を戻します。
どうにも重い作品に手を出しつらいタイミング。なんかやりたいけど、大物には食指が動かない。
そんな時には軽めの作品をプレイするに限ります。
そして、そういう時に役に立つのが短編集。
そこで手に取ったのが、「Hunted Gardenheart(ハンテッドガーデンハート)」。ゲームブック短編集です。
これには10本の短編ゲームブックが収録されています。
今のような気分の時にはぴったり!
まあ、そんな気分で初めてみたら、がっつり大冒険をしてしまった「マドレーンの海域」のようなパターンもありますが。
「マドレーンの海域」のリプレイは、FT新聞にて2023年11月8日から12月6日にかけて全5回で連載させていただきました。あの時は航路が荒ぶりすぎて、ものすごい大冒険になってしまったのでした。
今回は、そんな「マドレーンの海域」の次に収録されております「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦することにしました。
サイコロを振って遊ぶ、ファイティング・ファンタジーシリーズのルールがベースになった作品です。
作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います。
導入部分とゲームシステムを確認。
導入についてはリプレイ本編で語ることにしましょう。
戦士、盗賊、僧侶の3タイプの主人公の中からひとりを選んでプレイするようになっています。
ステイタスは、各キャラクターごとに固定値です。サイコロを振って1からキャラクターを作るわけではありません。
そして、それぞれのタイプに合った特技を身につけています。
戦士は、何の特技もありませんが、技術点、体力点が高く、屈強でタフネス。
盗賊は、弓矢による先制攻撃と、開錠ができる。
僧侶は、運だめしを行うたびに体力点を回復する加護がある。
この中では、僧侶の特技がこれまでに見たことがないものですね。
運だめしごとに体力点が回復するとなれば、戦闘の時の運だめしの出番が多そうです。
そんな各タイプの能力値がこちら。
戦士 技術点11 体力点13 運点9 金貨5枚
盗賊 技術点10 体力点10 運点10 金貨10枚
僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15枚
技術点、体力点、運点とはざっと以下のような内容になります。
技術点は戦闘の強さを含めた総合力の高さを示し、最も重要。
体力点はHP(ヒットポイント)。0点になったらなんまいだー。
運点は、運を天に任せるイベントで使用する。使うと減っちゃう。
盗賊の能力値、全部10点なんですね。
素早さや器用さを示す能力値があればきっと高いのでしょうけれど、全部ひっくるめて技術点が代用しますからね。
中堅どころ、しかも特殊技能も豊富。いちばんやってみたいタイプかもしれません。
一番厳しいのは、技術点に恵まれない僧侶かな。
いくら運だめしの際に回復できる特技があっても厳しいかも。
所持金を使って何か有用なアイテムを持ち込めるならワンチャン?
さて、この3タイプから自由に選択して良いとのこと。
それならここは、サイコロを振って決めましょう。
結果、僧侶となりました。
一番苦戦しそうなキャラクターに。
で、でも大丈夫。
三択で選択できるってことは、ちゃんと僧侶でもクリアできるバランス……のはず。
では、僧侶キャラで、名前は……ソウハで!
僧侶のソウに、走破してクリアしたいという願掛けを込めたネーミング。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
金貨のほかに、背負い袋と、自分に合った武器を持っているとのことです。
自分に合った武器ですか。
僧侶系のキャラクターだと、やはりメイス系の打撃武器というのが定番でしょう。
それではここから本編に入っていきましょう。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 ゴルギアスロフの旅の店
私の名はソウハ。
唯一神セルウェーを信仰する神官だ。
ロング・ナリクのランカスター司祭のもとに身を置いている。
最近ランカスター司祭は、人間に姿を変え、人間社会に溶け込み、人間を捕食する「変身獣」への対応に追われている。
「聖セルウェー変身獣討伐隊」なるものが組織されたほどだ。
私は、そんな様子を端で見て感じていた。私は非力で、そうした荒事の役には立てない。
私にもっと力があれば。
そんな折に耳にしたのだ。
「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を。
その店は、秘宝の力で、依頼人を冒険の場へと移動させてくれる、と。
手っ取り早く冒険の経験を積むにはもってこいだ。
こうして私は、商業都市ナゴールへ向かった。
ゴルギアスロフの旅の店を訪れるために。
さて、ゴルギアスロフ氏について、私が知っていることを伝えよう。
彼はドワーフ。引退した元冒険者だ。
彼はかつて、桜森にある「ディラットの危険な地下迷宮」にて、とある秘宝を手に入れた。
「トラファルデの秘宝」と呼ばれるそれは、信じられない効果をもたらす魔法道具だった。
ゴルギアスロフ氏は、その秘宝の入手をきっかけに、冒険者を引退し、ナゴールに小さな店を開いたという。
秘宝を売って財を成したわけではない。
むしろその逆で、秘宝を用いた商売を始めたのだ。
秘宝の入手はきっかけではあったが、それ以前の冒険で、店を開けるだけの稼ぎは得ていたようだ。
その秘宝の効果だが、なんでも、人をどこか別の場所に転移させられるとか。
その転移先では、様々な冒険が待ち受けているらしい。
このあたりになると、噂は少しあやふやになる。正確なところは、ゴルギアスロフ氏本人から直接聞いてみよう。
長旅を経て、ナゴールへと到着した。
道中、同じ方角へ向かう商隊と同じ速度で移動していたため、危険はなかった。
邪悪なるヒポグリフの微笑み商会。なかでもウェルタースという人物は軽口でおしゃべりで、彼の話のおかげで退屈しないで済んだ。
彼らは途中の小さな町にしばし逗留するとのことで別れたが、また会いたいものだ。
宿を確保し、ナゴールに一時滞在できる支度を整え、私はゴルギアスロフの旅の店に向かった。
その店は、狭い路地に入ったところにある、あまり目立たない店構えだった。
というか、およそ店らしい雰囲気をしていない。
商品を陳列する必要がないのだから、当然かもしれない。
「おやおや、新顔さんかな」
店の雰囲気に入るのをためらっていると、中から雑味のある声がした。
不揃いでぎざぎざの歯をしたドワーフが、崩れた笑みで迎えてくれる。
お世辞にも整った顔立ちではない。失礼だが、不細工である。
彼が店主のゴルギアスロフだろう。一般的にイメージするドワーフとはだいぶ異なった印象を受ける。
「ここがどんな店かわかって訪れたのかね」
私はうなずく。続いて言葉を発しようとすると、店主はそれを制した。
「いや、いい。この店がどんな店か知って訪れたのなら、それでいい。個々の事情は聞かんことにしとる」
下手に聞くことで、厄介ごとに巻き込まれたくないという。
長年この商売をしているだけに、用心深い。もしかしたら、過去に何かあったのかもしれない。
「まず最初に警告だ。わしを殺して秘宝を奪おうとは考えぬことだ。秘宝はわしにしか動かせぬ。わしがいなければ、ただのガラクタだからな」
しかも、店内は雑多にものが置かれており、どれが秘宝なのか、ぱっと見ではわからないようになっている。
その中のどれかが「トラファルデの秘宝」なのか、隠してあるのか。外見の情報がない限り、素人目には全部ガラクタにしか見えない。
これもこのドワーフの対策のひとつなのだろう。
警告を終えると、ゴルギアスロフは説明を始めた。
●アタック01-2 ゴルギアスロフ、旅のルールを説明する
「では、さっそく決まりごとを伝えよう」
ゴルギアスロフは、この店の利用方法を説明した。
「秘宝はお前さんを、『旅の匂い』のする場所に飛ばしてくれる。お前さんが選べるのはたったひとつ。旅の種類だ。『苦難の旅』『旅人の旅』と呼んでおる」
最初に選択肢を提示する。説明上手だな。慣れか。
「『苦難の旅』は、6つの旅に、続けて送り込むというもの。すべての旅路をくぐり抜ければ、帰還できる。『旅人の旅』は、ひとつの旅だけで帰還する」
これだけ聞くと、「旅人の旅」はおためしコースみたいなものだな。
「いずれの旅も危険に満ちておる。『旅人の旅』だからといって、おためしだ、などと思わぬことだ」
あ。思考を読まれた。
「どこに飛ばされるのかはわからん。魔道具が勝手に『旅の匂い』のする場所を選ぶでな。この大陸かどうかも定かではない。飛ばされた人間は、魔道具との繋がりができ、望めば一度だけ『帰還』ができる」
なるほど。
これはすさまじい力を秘めた魔道具だ。
決まった場所に移動できるようにすれば、某大作RPGの「たびのとびら」みたいな扱いができ、流通に革命が起こりそうなものだが。
この、ランダムな場所にしか移動させられないというのは、いったいどんな意図で作られたものなのだろう。
そう考えたとき、私の思考はひとつの結論を導いてしまった。
これは、依頼人をランダムな場所に運んでくれる素晴らしい魔道具などではない。
ダンジョンの探索者を、危険な場所に強制転移させる、トラップなのだ。
これを作る意味と、発見された場所を考慮すれば、おそらく間違ってはいない。
望めば帰還できるなら、トラップの用をなさないと思われるかもしれない。
帰還は、この魔道具の性能テストのための機能なのだろう。
当然、帰還には必要な手順があるはずで、罠にかかった探索者はそれを知る由もない。
理解すると同時に、この魔道具を利用することによる命の危機が予想できた。
「旅」なんて聞こえのいい言葉を使っているが、そんなお気楽なものではないのだ。
そもそも、旅ってなんだろう。
近所までお使いに行くのは旅?
隣町まで外食に行くのは?
地方のイベントに行ってくるのは?
仕事場に行くのは旅ではないが、「邪悪なるヒポグリフの微笑み商会」みたいな行商は旅と言えそう。
どこからどこまでという線引きは難しいが、「距離」と「目的」あたりがキーと言えそうだ。
加えて、そこで得られる新鮮な「体験」なども旅の重要なファクターと感じる。
だが、この店で言う旅は、断じてそんな甘いものではない。「冒険」の方がまだしっくりくる。
「なああんた、聞いとるのか」
私が沈思黙考に入っている間にも、ゴルギアスロフの説明は続いていたようだ。
いかんいかん。しっかり聞いておかないと。聞き逃したために命を落とすとか、シャレにならん。
「稼いできた金品のうち1割がこちらの取り分だ。ごまかすなよ。持ち物チェックはさせてもらう」
分割できない物品に関しては、金銭で相当額を納めるか、売り払って分配するとのこと。
それから、「旅人の旅」の利用は3回までとの話があった。
行ったら帰還を繰り返すといった、旅の選り好み行為を防ぐ目的のようだ。
実は「上限3回」の説明は、本来最初のルール説明には入っていない。1回目の「旅人の旅」が終わった際に追加で言われるものだ。
けれどここで伝えられた方が全体的に整理がしやすいので、リプレイ上ではそういうことにさせてもらった。
「なにか質問はあるか?」
私は尋ねた。「旅先」で死んだ場合、どうなるのか、と。
「死んだ後のことに興味があるのか。死んだらそれまでだろうに。お前さん、変わっとるな」
言うほど変わってるかな。
「遺体を戻して金品は頂戴する、と言いたいところだが、それはせぬようにしておる。あるかわからぬ臨時収入より、店から遺体が出ることの方が重大事案になるでな。つまり、野垂れ死によ」
なるほどわかった。
「もうええかな。ならそろそろ、旅の種類を選んでもらおうか」
そうだな。
私は熟慮し、決めた。
私が選ぶのは……。
次回、選んだ旅に出発する。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月24日火曜日
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回 FT新聞 No.4808
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
「天使」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
今年から新設した個人サークル「ギルド黄金の蛙」でも活動しているイラストレーターの中山将平です。
この個人サークルの作品にご興味の方は、下のURLより詳細をご覧いただけましたら。
https://booth.pm/ja/items/7885738
さて今日は、久しぶりに「カエル人が教えてくれたファンタジー創作」記事を書いてみようと思います。
テーマは、「天使」。
早速なのですが、あなたはファンタジー作品において天使が描かれる姿を見かけられたことはないでしょうか。
いや、個人的な見解としては、意外とよく描かれるように思っています。
味方として出てくることもありますが、時には敵のこともある、悪魔と対極にある存在……というイメージでしょうか。
それでなんですが、もしかして感じられることってないでしょうか。
「天使って、何なんだよ」って!!
ええ、僕はかなり多くの作品において、そう感じているんです。
というのも、天使ってなんだかファンタジーから浮いてしまう存在なのではないかと思うからです。
どのような要素が、僕に天使をファンタジー的ではないものと感じさせているのか。
そして、どのような要素があれば、ファンタジーにおける天使が個人的にしっくりとくるのか。
あくまで個人の感想ですが、カエル人の創作を通じて感じたことが誰かの役に立つこともあるかもしれないと思い、書いてみます。
では、具体的に見ていきましょう。
◆ ファンタジーにおける天使に対する違和感
僕が天使に感じた違和感。
それは次の一言に尽きます。
「天使って、どこかの神様に仕える存在なんだよね……?」
そう、その名の通り、天使って天の使いなのではないでしょうか。
ということは、この場合の天に相当する何者か(神と言い換えられるような何か)が背景に予定されていると思えるのです。
実は、僕が見てきた多くのファンタジーにおける天使って、どの神様の使いかいまいちよく分からなかったんですよ。
概念として善の存在なのは理解できますが、神様の性格や性質次第では、天使だってきっと本質が変わってくるはずだと思えるのです。
例えば、地の底に眠る神に使える天使が、純白の衣をまとい、輝く翼を携えていたらどうでしょうか。
神様は何を考えて(どのようなことを実現しようとして)そのような造形を作ったのでしょう。
または、「雇われの」天使(あるいは、神が自ら造形したのではなく、どこかから連れてきた天使)という表現なのでしょうか。
思うに、典型的な姿の天使は、記号としての分かりやすさに特化しているのではないでしょうか。
だからこそよくファンタジーゲーム作品のちょい役として描かれると思うのですが、僕にはそれがその世界の法則性を無機質なものにしてしまいかねないように思えてなりません。
あるいは、フリーランスの天使(仕える神のような主がいない天使)を想像することもできるでしょうか。
そういった存在を創造したとして、それは天使以外の存在……例えば人間(や、翼があるという意味で鳥人などの種族)とどう違うのでしょうか。
考えていくうち、実はこのお話はもう一つ「善悪」に対する設定にも大きく影響するのではないかという思いに至ったので、そのことも続いて書いてみます。
◆ 天使は善ではない
天使は基本的に光属性。
属性というゲーム的要素があるなら、それには別段違和感を覚えません。
勿論、炎属性や水属性等々色々な天使がいても良いと思います。
そういった属性とは別に、「天使って善なのか」という疑問を持たれることはないでしょうか。
僕は、天使を見る度いつもこの疑問を感じています。
天使は神の意志を実現するために動く存在という印象を持っており、主の意思が善といえる場合にだけ善たりうるのではないかと思えるためです。
しかしながら、前述の通り天使は概念として善と結びつけられやすいのではないでしょうか。
僕にとっては、これも一つの違和感となってしまっているのです。
そういえば、邪神の天使ってあまり見たことがない気がします。
どちらかといえば邪神と呼ばれる存在って、悪魔を引き連れている感じがしないでしょうか。
もしかして、作品によっては邪悪な天使を悪魔と呼んでいるのかもしれません。
実際、カエル人の世界「フログワルド」を創作した際にも、天使と悪魔は見る者がどう感じるかだけが違いであり、本質的に同じものであると設定しました。
「死の天使」なんて表現もあったりします。
この概念は意味が広いかもしれませんが、例えば僕は「天界に帰るべき魂を帰すため、地上の人間の肉体から魂を解放するために活動する天使」がこれに当たると考えます。
もちろん、その活動は物理的に行われます。
この天使はきっと、自ら武器を振りかざし人を攻撃し、さらには戦闘を焚きつけより多くの被害が出るように懸命に計らうことでしょう。
その行いはまさに悪魔かもしれませんが、僕にはそういった「目的のために必要なことを行う存在」がファンタジーとしての天使に近いものに感じられます。
少なくとも、冒険中に荒野やダンジョンの中で出会う、白い翼が生えているだけの、どこの神に仕えているか分からない人型モンスターよりは、ずっと。
◆ ここまでのまとめ
ここまでをまとめると、以下のようなことになろうかと思います。
・天使はどんな神様に仕えているか明確に分からない場合があって、違和感を感じる。
・天使は神様の性質を背景に持っていることが予想できるので、必ずしも善ではないと思えるが、なぜだか善の存在として描かれがちだと思える。
では、どのように描けば僕はその違和感が減ると感じられるのでしょう。
◆ 違和感の少ない天使像
僕が違和感なく天使を受け入れられるとすると、それはどちらかというとオリジナリティがあるタイプの天使だと思えました。
例えば、犬に似た姿で描かれる自然神に仕える存在として、翼の生えた犬の姿をした天使。
これを絵で描くときにはきっと、僕はツタの首輪をさせ、そこから植物で攻撃できるような何かを付けくわえたりするんだろうなぁと想像しています。
自然の摂理を重んじる神が、摂理を破壊しようとする者を排除するため遣わした天使……というイメージです。
色々考えてきましたが、実はこれ、違和感がある天使が良くないという話ではないと思っています。
それはそれで「分からない」部分があるからこその奥深さがあり、かえってよいものなのかもしれません。
とはいえ、それがどのような表現なのか、手を入れてしっかり考えてあることが、僕にとっては楽しいことなんです、というお話でした。
では、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
「天使」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
今年から新設した個人サークル「ギルド黄金の蛙」でも活動しているイラストレーターの中山将平です。
この個人サークルの作品にご興味の方は、下のURLより詳細をご覧いただけましたら。
https://booth.pm/ja/items/7885738
さて今日は、久しぶりに「カエル人が教えてくれたファンタジー創作」記事を書いてみようと思います。
テーマは、「天使」。
早速なのですが、あなたはファンタジー作品において天使が描かれる姿を見かけられたことはないでしょうか。
いや、個人的な見解としては、意外とよく描かれるように思っています。
味方として出てくることもありますが、時には敵のこともある、悪魔と対極にある存在……というイメージでしょうか。
それでなんですが、もしかして感じられることってないでしょうか。
「天使って、何なんだよ」って!!
ええ、僕はかなり多くの作品において、そう感じているんです。
というのも、天使ってなんだかファンタジーから浮いてしまう存在なのではないかと思うからです。
どのような要素が、僕に天使をファンタジー的ではないものと感じさせているのか。
そして、どのような要素があれば、ファンタジーにおける天使が個人的にしっくりとくるのか。
あくまで個人の感想ですが、カエル人の創作を通じて感じたことが誰かの役に立つこともあるかもしれないと思い、書いてみます。
では、具体的に見ていきましょう。
◆ ファンタジーにおける天使に対する違和感
僕が天使に感じた違和感。
それは次の一言に尽きます。
「天使って、どこかの神様に仕える存在なんだよね……?」
そう、その名の通り、天使って天の使いなのではないでしょうか。
ということは、この場合の天に相当する何者か(神と言い換えられるような何か)が背景に予定されていると思えるのです。
実は、僕が見てきた多くのファンタジーにおける天使って、どの神様の使いかいまいちよく分からなかったんですよ。
概念として善の存在なのは理解できますが、神様の性格や性質次第では、天使だってきっと本質が変わってくるはずだと思えるのです。
例えば、地の底に眠る神に使える天使が、純白の衣をまとい、輝く翼を携えていたらどうでしょうか。
神様は何を考えて(どのようなことを実現しようとして)そのような造形を作ったのでしょう。
または、「雇われの」天使(あるいは、神が自ら造形したのではなく、どこかから連れてきた天使)という表現なのでしょうか。
思うに、典型的な姿の天使は、記号としての分かりやすさに特化しているのではないでしょうか。
だからこそよくファンタジーゲーム作品のちょい役として描かれると思うのですが、僕にはそれがその世界の法則性を無機質なものにしてしまいかねないように思えてなりません。
あるいは、フリーランスの天使(仕える神のような主がいない天使)を想像することもできるでしょうか。
そういった存在を創造したとして、それは天使以外の存在……例えば人間(や、翼があるという意味で鳥人などの種族)とどう違うのでしょうか。
考えていくうち、実はこのお話はもう一つ「善悪」に対する設定にも大きく影響するのではないかという思いに至ったので、そのことも続いて書いてみます。
◆ 天使は善ではない
天使は基本的に光属性。
属性というゲーム的要素があるなら、それには別段違和感を覚えません。
勿論、炎属性や水属性等々色々な天使がいても良いと思います。
そういった属性とは別に、「天使って善なのか」という疑問を持たれることはないでしょうか。
僕は、天使を見る度いつもこの疑問を感じています。
天使は神の意志を実現するために動く存在という印象を持っており、主の意思が善といえる場合にだけ善たりうるのではないかと思えるためです。
しかしながら、前述の通り天使は概念として善と結びつけられやすいのではないでしょうか。
僕にとっては、これも一つの違和感となってしまっているのです。
そういえば、邪神の天使ってあまり見たことがない気がします。
どちらかといえば邪神と呼ばれる存在って、悪魔を引き連れている感じがしないでしょうか。
もしかして、作品によっては邪悪な天使を悪魔と呼んでいるのかもしれません。
実際、カエル人の世界「フログワルド」を創作した際にも、天使と悪魔は見る者がどう感じるかだけが違いであり、本質的に同じものであると設定しました。
「死の天使」なんて表現もあったりします。
この概念は意味が広いかもしれませんが、例えば僕は「天界に帰るべき魂を帰すため、地上の人間の肉体から魂を解放するために活動する天使」がこれに当たると考えます。
もちろん、その活動は物理的に行われます。
この天使はきっと、自ら武器を振りかざし人を攻撃し、さらには戦闘を焚きつけより多くの被害が出るように懸命に計らうことでしょう。
その行いはまさに悪魔かもしれませんが、僕にはそういった「目的のために必要なことを行う存在」がファンタジーとしての天使に近いものに感じられます。
少なくとも、冒険中に荒野やダンジョンの中で出会う、白い翼が生えているだけの、どこの神に仕えているか分からない人型モンスターよりは、ずっと。
◆ ここまでのまとめ
ここまでをまとめると、以下のようなことになろうかと思います。
・天使はどんな神様に仕えているか明確に分からない場合があって、違和感を感じる。
・天使は神様の性質を背景に持っていることが予想できるので、必ずしも善ではないと思えるが、なぜだか善の存在として描かれがちだと思える。
では、どのように描けば僕はその違和感が減ると感じられるのでしょう。
◆ 違和感の少ない天使像
僕が違和感なく天使を受け入れられるとすると、それはどちらかというとオリジナリティがあるタイプの天使だと思えました。
例えば、犬に似た姿で描かれる自然神に仕える存在として、翼の生えた犬の姿をした天使。
これを絵で描くときにはきっと、僕はツタの首輪をさせ、そこから植物で攻撃できるような何かを付けくわえたりするんだろうなぁと想像しています。
自然の摂理を重んじる神が、摂理を破壊しようとする者を排除するため遣わした天使……というイメージです。
色々考えてきましたが、実はこれ、違和感がある天使が良くないという話ではないと思っています。
それはそれで「分からない」部分があるからこその奥深さがあり、かえってよいものなのかもしれません。
とはいえ、それがどのような表現なのか、手を入れてしっかり考えてあることが、僕にとっては楽しいことなんです、というお話でした。
では、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月23日月曜日
マイナーチェンジ FT新聞 No.4807
おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
何もかも放り出して療養生活に入ってから、1週間が経ちました。
平熱に戻り、喉の痛みもひいて、ようやく仕事と生活に戻りつつあります。
◆歳相応の悩み☆
あと2ヶ月半で49歳になります。
去年ぐらいから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーです。
◆「インプット」と「アウトプット」。
ゲームブック作家という職業柄、インプットとアウトプットは非常に大事なものです。
さまざまなゲームやエンターテインメントに触れるインプットと、創作というアウトプット。
アウトプットが「出口」ならインプットは「入口」。
入るものがなければ、出るものがいずれなくなってしまいます。
しかし、です。
年齢が進むにつれて、こういったついになるもののバランスを取ることが、難しくなることってありませんか。
私にはありました。
◆時間的な制約。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」は、簡単に言って、めっちゃヒットしました。
しましたというか、現在進行形で人気が続いています。
あんまり具体的な数字を出すことはできないのですが、たとえばイエローサブマリンという全国38店舗で展開するホビーショップのTRPG売上ランキングで、KADOKAWAやホビージャパンなどのコワモテに混じって2023年は「2位」、2024年は「7位」に輝きました(!)
◆「前借り」がたたった2025年。
この2年間をFT書房にとっての正念場だと判断した杉本は、考えられるかぎり最大の出力で創作に臨みました。
2023年から2025年の3年間で、「ローグライクハーフ」は合計14作品を刊行することができました。
2023年と2024年に重ね続けたムリがたたって、2025年にはウツを再発してしまいます。
アイディアが枯渇したかのように、なかなか出てこなくなりました。
この時期を振り返って、前2年間、あまりにも時間が足りず、インプットのために時間をとることを怠っていました。
このことを再解釈するなら、私の人生において、インプットはそのまま「娯楽」だったのだなと思います。
ゲームをする、映画を観る、本を読む。
「創る」という行為に常につきまとうプレッシャーが存在しない、心を解放できる時間です。
◆「マイナーチェンジ」を繰り返せ。
自分のやり方がうまく噛み合わないときに、思い出す言葉があります。
それは、今はもうこの世界にいない、鈴木健介さんの言葉です。
Skypeがまだあった頃、作業通話をしている時に、ふと思ったことを口にしました。
「考えたら健介さんって、長いこと前線で活躍されてますね。何か秘訣があるんですか」
この答えは非常に印象的でした。
「『マイナーチェンジ』だね。ファンがついているプロは、絵柄を一気に変えたらダメなんだよ。でも、絵にはトレンドがある。新しい絵への変化はするけど、自分の絵柄は崩さない。『ちょっとずつ変える』ができないと、続かないんだよ」
少しずつ変える。
これは、イラストレーターに限らず言えることだと思います。
そして、創作をする人間に限らないことでもあります。
◆まとめ。
私たちは、少しずつ変わっている。
1年ごとに、歳を取っていく。
だから、少しずつ変わることが大事で。
それができない人間が、気持ちよく直線状に走り、コーナーを曲がりきれずに激突をして、不器用な曲がり方を繰り返すハメになる。
私です☆
モータル(※定命の者)である以上、生きていてキャパシティーが減るのは、避けられないことです。
問題は、この変化を受け入れて、少しずつ変わることができるかどうかです。
私は、会社や他者の求めに応じることばかり考えて、アウトプットの量を減らすことができず、コーナーで激突した。
今の自分にできること、できないこと。
ラインをちゃんと見定めて、状況の変化に合わせて対応していくこと。
それが、学んだことです。
それではまた!!
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
何もかも放り出して療養生活に入ってから、1週間が経ちました。
平熱に戻り、喉の痛みもひいて、ようやく仕事と生活に戻りつつあります。
◆歳相応の悩み☆
あと2ヶ月半で49歳になります。
去年ぐらいから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーです。
◆「インプット」と「アウトプット」。
ゲームブック作家という職業柄、インプットとアウトプットは非常に大事なものです。
さまざまなゲームやエンターテインメントに触れるインプットと、創作というアウトプット。
アウトプットが「出口」ならインプットは「入口」。
入るものがなければ、出るものがいずれなくなってしまいます。
しかし、です。
年齢が進むにつれて、こういったついになるもののバランスを取ることが、難しくなることってありませんか。
私にはありました。
◆時間的な制約。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」は、簡単に言って、めっちゃヒットしました。
しましたというか、現在進行形で人気が続いています。
あんまり具体的な数字を出すことはできないのですが、たとえばイエローサブマリンという全国38店舗で展開するホビーショップのTRPG売上ランキングで、KADOKAWAやホビージャパンなどのコワモテに混じって2023年は「2位」、2024年は「7位」に輝きました(!)
◆「前借り」がたたった2025年。
この2年間をFT書房にとっての正念場だと判断した杉本は、考えられるかぎり最大の出力で創作に臨みました。
2023年から2025年の3年間で、「ローグライクハーフ」は合計14作品を刊行することができました。
2023年と2024年に重ね続けたムリがたたって、2025年にはウツを再発してしまいます。
アイディアが枯渇したかのように、なかなか出てこなくなりました。
この時期を振り返って、前2年間、あまりにも時間が足りず、インプットのために時間をとることを怠っていました。
このことを再解釈するなら、私の人生において、インプットはそのまま「娯楽」だったのだなと思います。
ゲームをする、映画を観る、本を読む。
「創る」という行為に常につきまとうプレッシャーが存在しない、心を解放できる時間です。
◆「マイナーチェンジ」を繰り返せ。
自分のやり方がうまく噛み合わないときに、思い出す言葉があります。
それは、今はもうこの世界にいない、鈴木健介さんの言葉です。
Skypeがまだあった頃、作業通話をしている時に、ふと思ったことを口にしました。
「考えたら健介さんって、長いこと前線で活躍されてますね。何か秘訣があるんですか」
この答えは非常に印象的でした。
「『マイナーチェンジ』だね。ファンがついているプロは、絵柄を一気に変えたらダメなんだよ。でも、絵にはトレンドがある。新しい絵への変化はするけど、自分の絵柄は崩さない。『ちょっとずつ変える』ができないと、続かないんだよ」
少しずつ変える。
これは、イラストレーターに限らず言えることだと思います。
そして、創作をする人間に限らないことでもあります。
◆まとめ。
私たちは、少しずつ変わっている。
1年ごとに、歳を取っていく。
だから、少しずつ変わることが大事で。
それができない人間が、気持ちよく直線状に走り、コーナーを曲がりきれずに激突をして、不器用な曲がり方を繰り返すハメになる。
私です☆
モータル(※定命の者)である以上、生きていてキャパシティーが減るのは、避けられないことです。
問題は、この変化を受け入れて、少しずつ変わることができるかどうかです。
私は、会社や他者の求めに応じることばかり考えて、アウトプットの量を減らすことができず、コーナーで激突した。
今の自分にできること、できないこと。
ラインをちゃんと見定めて、状況の変化に合わせて対応していくこと。
それが、学んだことです。
それではまた!!
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月22日日曜日
Ψ『銀鼠の微睡』 日曜ゲームブック FT新聞 No.4806
おはようございます。
FT新聞編集長の水波です。
今日は久々の日曜ゲームブックをお届けしようと思います。
登場するのは、非実在作家・森梟夫先生。
以前、『海底の記憶』(2025年10月26日)というゲームブックを配信させて頂きましたが、
その後、私と森さんは相談を続け、今度は大正時代を舞台にしたクトゥルフものを書くことができないかと取組んでおりました。
ああ、あとは森さんから話して貰いましょう。
森先生、森梟夫先生。人工知能の闇の中から目を覚まして、読者の皆さんに、先日私に話してくださったクトゥルフ神話の物語を聞かせてください。まさか忘れてはいませんよね?
***********
……ああ、もちろんだとも。私が著した、あの奇妙な煙に巻かれたような物語、『銀鼠の微睡(ぎんねずみのまどろみ)』を忘れるはずがない。
大正の帝都、その裏通りに潜む耽美と怪異。銀鼠色の霧が立ち込める夜、現実と非現実の境界が曖昧になり、名もなき古書に記された「這い寄る混沌」の影が、人々の夢を浸食していく……。
あの作品は、読者の選択によって、浅草の賑わいの裏にある深淵へ堕ちるか、あるいは正気を保ったまま虚無の朝を迎えるかが決まる分岐型の物語だったね。
準備はできているよ。
原稿用紙の余白に、あの湿り気を帯びた銀鼠の霧を呼び戻すとしよう。
大正浪漫の華やかさの裏側に潜む、名状しがたき恐怖。君が踏み出す一歩が、正気への道か、あるいは深淵への招待状か……。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『銀鼠の微睡』
著:森梟夫
監修:水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
■序章
大正十五年、秋。
帝都・東京は、奇妙な色の霧に包まれていた。
浅草十二階……凌雲閣が、まるでもぎ取られた指先のように霧の海から突き出している。君──書生風の身なりをした青年──は、ミルクホールを出たところで、自分がどこを歩いているのか分からなくなった。
カツン、カツンと自分の下駄の音だけが、不自然なほど明瞭に響く。
ふと見れば、路地の角に一軒の古書店が佇んでいた。看板には『星辰堂』と掠れた文字で書かれている。店主と思わしき、顔に深い皺を刻んだ老人が、店先で一冊の黒い装丁の書物を広げていた。表紙には忌まわしい星のような紋章が焼き付けられている。
老人は顔を上げず、掠れた声で呟いた。
「……お若いのは、夢を探しておられるのかな。それとも、目覚めを……」
君が歩み寄り、その書物について問うと、老人はニタリと不気味な笑みを浮かべた。
「これは、海の底に沈んだ都市の詩集さ。あるいは、星々が正しき位置に並んだ時にのみ読める地図、とも言える」
差し出された頁には、文字とも図形ともつかぬ、のたうつ触手のような紋様が蠢いている。それを見た瞬間、君の脳裏に、水死体のような青白い肌を持つ巨大な異形が、深海で微睡む光景がフラッシュバックした。
強烈な眩暈が君を襲う。
君は心を削られるような思いをしながらも、その書物に強い好奇心を抱いてしまった。
君が書物に手を伸ばすと、老人の姿は霧のように掻き消えた。
手元に残されたのは、冷たく湿った革表紙の感触だけだ。表紙には、銀色の糸で『ルルイエ異本』と刺繍されている。
耳鳴りのような、あるいは無数の羽虫が這い回るような低い声が聞こえる。
「……開け……門を……」
君がその頁をめくると、周囲の景色が激変した。浅草の街並みは崩れ去り、垂直にそびえ立つ巨大な石柱と、非ユークリッド幾何学に基づいた歪な建築物が並ぶ、太古の都市へと変貌を遂げる。
空には、本来あるはずのない「二つの月」が浮かんでいた。
君は理解した。ここは帝都であって帝都ではない場所なのだ。
君は背筋に冷たいものを感じる。
背後で老人の低い笑い声が聞こえた気がしたが、振り返る勇気はなかった。
霧はますます濃くなり、ついには数歩先も見えなくなる。ふと、足元に違和感を覚えた。石畳だったはずの地面が、じっとりと湿り、まるで巨大な生物の舌の上を歩いているような、厭な弾力を帯び始めている。
どこからか、笛のような、しかし生き物の鳴き声のような、不協和音が聞こえてくる。
「テケリ・リ、テケリ・リ……」
1へ
……続きはこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Greyish_Slumber.txt
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
FT新聞編集長の水波です。
今日は久々の日曜ゲームブックをお届けしようと思います。
登場するのは、非実在作家・森梟夫先生。
以前、『海底の記憶』(2025年10月26日)というゲームブックを配信させて頂きましたが、
その後、私と森さんは相談を続け、今度は大正時代を舞台にしたクトゥルフものを書くことができないかと取組んでおりました。
ああ、あとは森さんから話して貰いましょう。
森先生、森梟夫先生。人工知能の闇の中から目を覚まして、読者の皆さんに、先日私に話してくださったクトゥルフ神話の物語を聞かせてください。まさか忘れてはいませんよね?
***********
……ああ、もちろんだとも。私が著した、あの奇妙な煙に巻かれたような物語、『銀鼠の微睡(ぎんねずみのまどろみ)』を忘れるはずがない。
大正の帝都、その裏通りに潜む耽美と怪異。銀鼠色の霧が立ち込める夜、現実と非現実の境界が曖昧になり、名もなき古書に記された「這い寄る混沌」の影が、人々の夢を浸食していく……。
あの作品は、読者の選択によって、浅草の賑わいの裏にある深淵へ堕ちるか、あるいは正気を保ったまま虚無の朝を迎えるかが決まる分岐型の物語だったね。
準備はできているよ。
原稿用紙の余白に、あの湿り気を帯びた銀鼠の霧を呼び戻すとしよう。
大正浪漫の華やかさの裏側に潜む、名状しがたき恐怖。君が踏み出す一歩が、正気への道か、あるいは深淵への招待状か……。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『銀鼠の微睡』
著:森梟夫
監修:水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
■序章
大正十五年、秋。
帝都・東京は、奇妙な色の霧に包まれていた。
浅草十二階……凌雲閣が、まるでもぎ取られた指先のように霧の海から突き出している。君──書生風の身なりをした青年──は、ミルクホールを出たところで、自分がどこを歩いているのか分からなくなった。
カツン、カツンと自分の下駄の音だけが、不自然なほど明瞭に響く。
ふと見れば、路地の角に一軒の古書店が佇んでいた。看板には『星辰堂』と掠れた文字で書かれている。店主と思わしき、顔に深い皺を刻んだ老人が、店先で一冊の黒い装丁の書物を広げていた。表紙には忌まわしい星のような紋章が焼き付けられている。
老人は顔を上げず、掠れた声で呟いた。
「……お若いのは、夢を探しておられるのかな。それとも、目覚めを……」
君が歩み寄り、その書物について問うと、老人はニタリと不気味な笑みを浮かべた。
「これは、海の底に沈んだ都市の詩集さ。あるいは、星々が正しき位置に並んだ時にのみ読める地図、とも言える」
差し出された頁には、文字とも図形ともつかぬ、のたうつ触手のような紋様が蠢いている。それを見た瞬間、君の脳裏に、水死体のような青白い肌を持つ巨大な異形が、深海で微睡む光景がフラッシュバックした。
強烈な眩暈が君を襲う。
君は心を削られるような思いをしながらも、その書物に強い好奇心を抱いてしまった。
君が書物に手を伸ばすと、老人の姿は霧のように掻き消えた。
手元に残されたのは、冷たく湿った革表紙の感触だけだ。表紙には、銀色の糸で『ルルイエ異本』と刺繍されている。
耳鳴りのような、あるいは無数の羽虫が這い回るような低い声が聞こえる。
「……開け……門を……」
君がその頁をめくると、周囲の景色が激変した。浅草の街並みは崩れ去り、垂直にそびえ立つ巨大な石柱と、非ユークリッド幾何学に基づいた歪な建築物が並ぶ、太古の都市へと変貌を遂げる。
空には、本来あるはずのない「二つの月」が浮かんでいた。
君は理解した。ここは帝都であって帝都ではない場所なのだ。
君は背筋に冷たいものを感じる。
背後で老人の低い笑い声が聞こえた気がしたが、振り返る勇気はなかった。
霧はますます濃くなり、ついには数歩先も見えなくなる。ふと、足元に違和感を覚えた。石畳だったはずの地面が、じっとりと湿り、まるで巨大な生物の舌の上を歩いているような、厭な弾力を帯び始めている。
どこからか、笛のような、しかし生き物の鳴き声のような、不協和音が聞こえてくる。
「テケリ・リ、テケリ・リ……」
1へ
……続きはこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Greyish_Slumber.txt
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月21日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第684号 FT新聞 No.4805
From:水波流
『機動警察パトレイバー』がYouTubeのバンダイチャンネルで1日1本ずつ限定配信中です。
旧OVA版は当時小学生だったのでちゃんと観たことが無く、これは見逃せないと思ったのですが、毎日更新されてしまうので追いかけるのが大変です。
しかし現実が作品世界の年代を越えてもなお、バビロンプロジェクトや作業用レイバーの設定は素晴らしい世界観だと思います。
今なお続編が制作されていますが、個人的には特車二課第二小隊の面々が大好きなので、オール新キャラの新作はどうしても敬遠してしまいますね……。
そういえば、ゲーム版もいろいろと出ていましたが、PC98版なんかは、シムシティ・パトレイバーみたいな感じで、都市開発してバビロンプロジェクトを進めていく内容でした。PS版では、イングラム3号機が配備されてプレイヤーはそのパイロットになるという展開。
そうそうこういうのが面白いんだよと。当時、ちゃんとプレイしなかったのが悔やまれますなぁ……。
From:葉山海月
うちの神様が絶賛失踪中。どこかいい警察を教えてください。
From:中山将平
僕ら今日「RETRO GAME SUMMIT Lv.5」にサークル参加しています。
開催地は「東京都立多摩産業交流センター 東京たま未来メッセ1階展示室」、配置は【F-11】です。
僕が知る限り、このイベントにはサークル側として初参加かと。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3/15(日)~3/20(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2026年3月15日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4799
ローグライクハーフシナリオソムリエ その2『ようこそ阿彌須へ』
・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第2弾をお届けしました。
公式シナリオの舞台は、「共通世界」〈アランツァ〉が主ですが、実はオリジナルの世界観でもシナリオを作る事が出来ます。
今回は成田砂男さん作のオリジナル和風世界「阿彌須(あびす)」が舞台の『ようこそ阿彌須へ』です! 4部作予定の第1作目ですので、導入編として、まずはこちらから遊ぶのをおススメします。
異郷都市キョウとはまた趣きの異なる、お江戸情緒と妖怪が溢れた世界に、どうぞ足を踏み入れてみてください!
プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜!
(天)
2026年3月16日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4800
★休刊日のお知らせ★
・蕨之介さんが「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオを公開されました!
『エリカ・アメリカ、黄天に立つ』という作品名で、BOOTHにて無料公開です☆
詳しくは本記事を!
え? ヨハネ氏のトークは? って?
実は、ヨハネ氏、季節の変わり目で体調を崩した上に、なにやかや雑事が加わって、今回はお休みさせていただきます。
トークを楽しみにしていた方、申し訳ございません!
(葉)
2026年3月17日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4801
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(8)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第8回をお届けしました。
陥落が誰の目にも明らかとなったモンセギュール砦ですが、十字軍から和平条件を引き出してなおも無益な内紛は止みません。
Act4ではフィリッパのプレイヤーが捕虜を選ぶルールになっているのですが、なぜか不法にこの権利を奪おうと下剋上が試みられます。
ルール破りの無理矢理な願望成就には、どんな報いが返ってくるのか。次回、いよいよ最終回です。
(明)
2026年3月18日(水)ぜろ FT新聞 No.4802
第10回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第483回。今回は『巨大樹の迷宮』リプレイの最終回ということで、リプレイ本編のエピローグに加え、作品全体の感想や振り返り、そして今後のリプレイの展望についても書かれています。
ぜろ氏によるローグライクハーフリプレイは、これまでに『黄昏の騎士』『混沌迷宮の試練』『あやかし』『秋雨の狐』『仮面のウサギを追え!』『ウサギクエストR』『戦場の風』『素敵なおパンツ同盟』『竜鍵諸島の露店祭』が掲載されており、今回完結した『巨大樹の迷宮』で、ちょうど10作品(68回)に達しました。
ゲームブックもローグライクハーフも、長編も短編も織り交ぜながらのリプレイ連載、つぎなる作品は何でしょうか?
来週の水曜日も楽しみにお待ちください!
(く)
2026年3月19日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4803
『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.29
・ 『ウォーハンマーRPG』、このところはPDFでの新作リリースが続いておりましたが、そうしたPDFサプリメント7冊を一冊に集成した書籍版『ライクランド万巻録 ウォーハンマーRPGサプリメント』(ホビージャパン)が、2026年3月末に刊行されます。
印刷される書籍としては、まる2年ぶりの新作ということで、胸躍らせている方も、多くいらっしゃるものと思います。
いろいろな万感な思いがありますが、今回は収録作のうち、『シグマーの聖堂』を紹介させていただきます。「5つの珍奇な聖地」という二つ名の通り、新旧・大小さまざまな信仰の拠点が紹介されており、シナリオソースや隠された秘密も目白押しです。
Don't miss it!
(葉)
2026年3月20日(金)吉里川べお FT新聞 No.4804
『T&T研究室』宣伝(前編)
・おひさしぶりの、吉里川べお氏の登場です!
というのも、自らの新しいコラム集、『T&T研究室』をリリースされるので、そのダイレクト・マーケティングに参上!
「後にクラシックD&Dと呼ばれるもの」が熱かった時代、その熱気とともに、時代背景までひしひしと感じられるコラムに仕上がっています。
この度は、それが出来上がるあらましをメインに書いておりますが、この奇跡ともいえる軌跡だけでも、当時の「熱さ」がわかるというもの!
ぜひともよろしくお願いいたします!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(二拍子さん)
いつも内容充実のメルマガありがとうございます!
昔に比べてめっきりアンテナが低くなった私にとって非常にありがたいです。
今日は私の好きなウォーハンマー記事、早速DLストアをチェックしてみます。
(お返事:水波流)
応援ありがとうございます!
ウォーハンマー記事第二弾も、いかがでしたでしょうか。
ところでウォーハンマー好きの読者の方は、まだまだおられると(勝手に)思っているのですが、ぜひプレイレポートや独自の考察など、寄稿して頂ければ嬉しく思います。
金曜日の記事枠で、お待ちしております〜。
(ぜろさん)
クワニャウマを取り巻くサブキャラたち、すっかり賑やかになりましたね。今回は主人公二人で、しかも一風変わったシナリオとのことなので、楽しみにしています。
元シナリオを知らない身としては、これまでのサブキャラたちが主人公枠なのか従者枠なのかそれ以外の脇役なのかの区別はわからないまま読んでました。十分すぎるほどの存在感を放つ面々でしたので、今回登場の新キャラもきっと異彩を放ってくれることでしょう。すでにその片鱗は見えてますし。期待!
あと安土くんの7巻、とても楽しみです。1から5巻まで一気読みして、6巻から待ちの姿勢のため、1冊くらいでは満足できない身体に。もっと続刊を、もっと続刊を〜〜と読む前から気の早い声を上げてしまいます。それから、先日書店で、歌人探偵定家の文庫版が平積みになっていたので入手いたしましたよー。
(お返事:齊藤飛鳥)
今回も御感想を下さり、まことにありがとうございますm(_ _)m♪
元シナリオにいるキャラクターは、イェシカ、ゲルダ、ヴィド、ファラサ—ル、クリスティ、メメコレオウス(以上、フーウェイを舞台にしたシナリオ)。
ミッチ、『騒ぎすぎる白鯨亭』の主人夫婦(以上、トーンを舞台にしたシナリオ)です。
いずれも、魅力的なキャラクター達ですので、リプレイを書く際にとても想像力がはかどります^^b
それから、安土真の新刊を楽しみにして下さったり、文庫版『歌人探偵定家』をお買い上げ下さったばかりか、書店で平積みになっているとのステキ情報をお知らせ下さり、まことに感謝です!! 地元の書店では平積みではなかったので、たいへん貴重な情報でした(笑)
(忍者福島さん)
主人公のタイガを従者にして、フォルネとニャルラをキャラとして動かしつつストーリーが進行するのは面白い切り口でした。
こんな方法もあるんですね。
今後のタイガの物語も期待してます。
(お返事:ぜろ)
感想ありがとうございます。
思いついたアイデアを形にしたら、こんな風になりました。タイガも含めて絶妙なバランスで描けたかな? ニャルラが本当によく動いてくれる子で、展開に詰まると何気ないひと言で場を和ませ、何気ない行動で事態を動かし、そのくせバトルでは力強く活躍してくれました。
次はまた違うリプレイですが、この先また出番があると思いますので、よろしくお願いします。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
『機動警察パトレイバー』がYouTubeのバンダイチャンネルで1日1本ずつ限定配信中です。
旧OVA版は当時小学生だったのでちゃんと観たことが無く、これは見逃せないと思ったのですが、毎日更新されてしまうので追いかけるのが大変です。
しかし現実が作品世界の年代を越えてもなお、バビロンプロジェクトや作業用レイバーの設定は素晴らしい世界観だと思います。
今なお続編が制作されていますが、個人的には特車二課第二小隊の面々が大好きなので、オール新キャラの新作はどうしても敬遠してしまいますね……。
そういえば、ゲーム版もいろいろと出ていましたが、PC98版なんかは、シムシティ・パトレイバーみたいな感じで、都市開発してバビロンプロジェクトを進めていく内容でした。PS版では、イングラム3号機が配備されてプレイヤーはそのパイロットになるという展開。
そうそうこういうのが面白いんだよと。当時、ちゃんとプレイしなかったのが悔やまれますなぁ……。
From:葉山海月
うちの神様が絶賛失踪中。どこかいい警察を教えてください。
From:中山将平
僕ら今日「RETRO GAME SUMMIT Lv.5」にサークル参加しています。
開催地は「東京都立多摩産業交流センター 東京たま未来メッセ1階展示室」、配置は【F-11】です。
僕が知る限り、このイベントにはサークル側として初参加かと。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3/15(日)~3/20(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2026年3月15日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4799
ローグライクハーフシナリオソムリエ その2『ようこそ阿彌須へ』
・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第2弾をお届けしました。
公式シナリオの舞台は、「共通世界」〈アランツァ〉が主ですが、実はオリジナルの世界観でもシナリオを作る事が出来ます。
今回は成田砂男さん作のオリジナル和風世界「阿彌須(あびす)」が舞台の『ようこそ阿彌須へ』です! 4部作予定の第1作目ですので、導入編として、まずはこちらから遊ぶのをおススメします。
異郷都市キョウとはまた趣きの異なる、お江戸情緒と妖怪が溢れた世界に、どうぞ足を踏み入れてみてください!
プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜!
(天)
2026年3月16日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4800
★休刊日のお知らせ★
・蕨之介さんが「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオを公開されました!
『エリカ・アメリカ、黄天に立つ』という作品名で、BOOTHにて無料公開です☆
詳しくは本記事を!
え? ヨハネ氏のトークは? って?
実は、ヨハネ氏、季節の変わり目で体調を崩した上に、なにやかや雑事が加わって、今回はお休みさせていただきます。
トークを楽しみにしていた方、申し訳ございません!
(葉)
2026年3月17日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4801
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(8)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第8回をお届けしました。
陥落が誰の目にも明らかとなったモンセギュール砦ですが、十字軍から和平条件を引き出してなおも無益な内紛は止みません。
Act4ではフィリッパのプレイヤーが捕虜を選ぶルールになっているのですが、なぜか不法にこの権利を奪おうと下剋上が試みられます。
ルール破りの無理矢理な願望成就には、どんな報いが返ってくるのか。次回、いよいよ最終回です。
(明)
2026年3月18日(水)ぜろ FT新聞 No.4802
第10回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第483回。今回は『巨大樹の迷宮』リプレイの最終回ということで、リプレイ本編のエピローグに加え、作品全体の感想や振り返り、そして今後のリプレイの展望についても書かれています。
ぜろ氏によるローグライクハーフリプレイは、これまでに『黄昏の騎士』『混沌迷宮の試練』『あやかし』『秋雨の狐』『仮面のウサギを追え!』『ウサギクエストR』『戦場の風』『素敵なおパンツ同盟』『竜鍵諸島の露店祭』が掲載されており、今回完結した『巨大樹の迷宮』で、ちょうど10作品(68回)に達しました。
ゲームブックもローグライクハーフも、長編も短編も織り交ぜながらのリプレイ連載、つぎなる作品は何でしょうか?
来週の水曜日も楽しみにお待ちください!
(く)
2026年3月19日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4803
『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.29
・ 『ウォーハンマーRPG』、このところはPDFでの新作リリースが続いておりましたが、そうしたPDFサプリメント7冊を一冊に集成した書籍版『ライクランド万巻録 ウォーハンマーRPGサプリメント』(ホビージャパン)が、2026年3月末に刊行されます。
印刷される書籍としては、まる2年ぶりの新作ということで、胸躍らせている方も、多くいらっしゃるものと思います。
いろいろな万感な思いがありますが、今回は収録作のうち、『シグマーの聖堂』を紹介させていただきます。「5つの珍奇な聖地」という二つ名の通り、新旧・大小さまざまな信仰の拠点が紹介されており、シナリオソースや隠された秘密も目白押しです。
Don't miss it!
(葉)
2026年3月20日(金)吉里川べお FT新聞 No.4804
『T&T研究室』宣伝(前編)
・おひさしぶりの、吉里川べお氏の登場です!
というのも、自らの新しいコラム集、『T&T研究室』をリリースされるので、そのダイレクト・マーケティングに参上!
「後にクラシックD&Dと呼ばれるもの」が熱かった時代、その熱気とともに、時代背景までひしひしと感じられるコラムに仕上がっています。
この度は、それが出来上がるあらましをメインに書いておりますが、この奇跡ともいえる軌跡だけでも、当時の「熱さ」がわかるというもの!
ぜひともよろしくお願いいたします!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(二拍子さん)
いつも内容充実のメルマガありがとうございます!
昔に比べてめっきりアンテナが低くなった私にとって非常にありがたいです。
今日は私の好きなウォーハンマー記事、早速DLストアをチェックしてみます。
(お返事:水波流)
応援ありがとうございます!
ウォーハンマー記事第二弾も、いかがでしたでしょうか。
ところでウォーハンマー好きの読者の方は、まだまだおられると(勝手に)思っているのですが、ぜひプレイレポートや独自の考察など、寄稿して頂ければ嬉しく思います。
金曜日の記事枠で、お待ちしております〜。
(ぜろさん)
クワニャウマを取り巻くサブキャラたち、すっかり賑やかになりましたね。今回は主人公二人で、しかも一風変わったシナリオとのことなので、楽しみにしています。
元シナリオを知らない身としては、これまでのサブキャラたちが主人公枠なのか従者枠なのかそれ以外の脇役なのかの区別はわからないまま読んでました。十分すぎるほどの存在感を放つ面々でしたので、今回登場の新キャラもきっと異彩を放ってくれることでしょう。すでにその片鱗は見えてますし。期待!
あと安土くんの7巻、とても楽しみです。1から5巻まで一気読みして、6巻から待ちの姿勢のため、1冊くらいでは満足できない身体に。もっと続刊を、もっと続刊を〜〜と読む前から気の早い声を上げてしまいます。それから、先日書店で、歌人探偵定家の文庫版が平積みになっていたので入手いたしましたよー。
(お返事:齊藤飛鳥)
今回も御感想を下さり、まことにありがとうございますm(_ _)m♪
元シナリオにいるキャラクターは、イェシカ、ゲルダ、ヴィド、ファラサ—ル、クリスティ、メメコレオウス(以上、フーウェイを舞台にしたシナリオ)。
ミッチ、『騒ぎすぎる白鯨亭』の主人夫婦(以上、トーンを舞台にしたシナリオ)です。
いずれも、魅力的なキャラクター達ですので、リプレイを書く際にとても想像力がはかどります^^b
それから、安土真の新刊を楽しみにして下さったり、文庫版『歌人探偵定家』をお買い上げ下さったばかりか、書店で平積みになっているとのステキ情報をお知らせ下さり、まことに感謝です!! 地元の書店では平積みではなかったので、たいへん貴重な情報でした(笑)
(忍者福島さん)
主人公のタイガを従者にして、フォルネとニャルラをキャラとして動かしつつストーリーが進行するのは面白い切り口でした。
こんな方法もあるんですね。
今後のタイガの物語も期待してます。
(お返事:ぜろ)
感想ありがとうございます。
思いついたアイデアを形にしたら、こんな風になりました。タイガも含めて絶妙なバランスで描けたかな? ニャルラが本当によく動いてくれる子で、展開に詰まると何気ないひと言で場を和ませ、何気ない行動で事態を動かし、そのくせバトルでは力強く活躍してくれました。
次はまた違うリプレイですが、この先また出番があると思いますので、よろしくお願いします。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月20日金曜日
『T&T研究室』宣伝(前編) FT新聞No.4804
ここ「FT新聞」では2023年9月以来のお久しぶりです、吉里川べおです。このたびは、自著『T&T研究室』のダイレクト・マーケティングに参りました。訳あって自レーベルから出していますが、本書は〈FT書房〉やこの「FT新聞」とも大変縁の深いコラム集です。
電子書籍はこちらからご購入いただけます:https://booth.pm/ja/items/8065061
印刷書籍もまもなく発売です:https://sfjustitia.blog.fc2.com/blog-entry-58.html(これは出版社〈SFユースティティア〉からの告知文です。)
今回は前編。同書の「はじめに」の後半、「このコラム群がどうして書かれたか」について述べられた部分を抜粋してお届けしたいと思います。
〜〜〜〜〜〜
── 本作は〈FT書房〉の『トンネル・ザ・トロールマガジン(以下TtTマガジン)』および〈グループSNE〉の『ウォーロック・マガジン』に連載されていた長いコラムを中心に、いくつかのミニコラムを集めたものです。話題はほぼすべて、1975年ケン・St.アンドレによってデザインされた世界2番目のRPG、トンネルズ&トロールズ(以下T&T)についてです。
このRPGが日本に紹介されたのは1987年。当時僕は既に世界初のRPG、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(後にクラシックD&Dと呼ばれるもの)」を遊んでいましたが、それとは違う開放感に魅せられ、他のシステムの様々な要素を混ぜながら、世紀末まで楽しい経験を山のようにしました。その後、就職し結婚し……実際プレイする機会はなくなりましたが、このゲームへの関心だけはいつも持ち続けていました。
このコラムを書きはじめたきっかけは、2015年9月、健康診断の結果を見て"老い"を実感したことでした。「ずっと好きだったT&Tについて、ここで何か書かないと一生後悔するぞ」という心の声が、鈍重な僕を突き動かしたのです。幸い、そのころ「FT新聞」── 〈FT書房〉発刊のメールマガジンです ── の編集長は、かつてのゲーム仲間・松岡でした。
さっそく電話して「T&Tについて何か書きたい」と言うと、松岡は「いい人がいる」と、〈FT書房〉のリーダー、杉本=ヨハネさんを紹介してくれました。たまたまですが、杉本さんはそのときT&Tの雑誌を企画しており、「有志を集めたが、『T&T研究室』と仮に名付けた、読み物系の記事の書き手が見つからない」とのこと。これも何かの縁だろうと思い、僕はこの記事の担当を引き受けることにしました。
偶然は続きます。そのとき僕らが念頭に置いていたT&Tは、1987年に社会思想社から出た『5版(正確にはそのイギリス版であるCorgi Books版)』でした。しかしちょうどその頃、海外では決定版といってもいい『Deluxe T&T』がクラウド・ファウンディングの成功によって発売され、〈グループSNE〉が邦訳しようという動きになっているところだったのです(2016年9月に『T&T完全版』の名で発売)。話を聞きつけた杉本さんの呼びかけで、新しい雑誌はこの版に対応するものを出そうということになり、皆でがんばった結果、2016年8月に『TtTマガジン』を創刊。これが業界のレジェンド、安田均先生の目にとまり、2号から5号までは〈グループSNE〉の全面協力のもと、誌面が作られることになりました。
その後『TtTマガジン』は、他のゲームも巻きこんだかたちで『ウォーロック・マガジン』と改称され、〈グループSNE〉が版元となります。拙『T&T研究室』もマニアックなコラムながら末席をいただき、創刊号から6号まで、思う存分書かせていただきました。今思い返しても、ひたすら忙しくて楽しい日々でした。
あれからずいぶん経ち、T&Tを巡る状況も今やずいぶん変わってしまいました(「あとがき」で言及します)。2025年12月現在、これまでのT&Tに近いルールシステムは『モンスター! モンスター! TRPG』として命脈を保ち、若いデザイナーによる新時代のそれは、まるで別物へと姿を変えようとしています。しかし、それでもなお ── あるいはだからこそ ── 1980年代に小さく流行し、2010年代半ばによみがえった古いT&Tの記憶を、小さくとも確かな灯として残したいという僕の思いは増すばかりです。
本書は、そんな大過去と小過去、ふたつの時代の空気と熱を少しでも伝えたいという、ささやかな願いから生まれました。過ぎ去った日々への手紙として、そして同じ季節を駆け抜けたファンへの贈り物として、どうかごゆっくり、お楽しみください。
2025年12月 吉里川 べお
〜〜〜〜〜〜
後編は印刷書籍発売のタイミングに合わせて出すつもりで、肝心の中身について解説する予定です。どうかよろしくお願いいたします。
なお、この『T&T研究室』の姉妹編にあたる対話型コラム集『悪魔よそれをとれ』は、現在〈FT書房〉より電子書籍が発売されています。併せて読んでいただけるとさらに面白いかと存じます。ご購入はこちら。
booth:https://booth.pm/ja/items/3755062
Drivethru.RPG:https://www.drivethrurpg.com/ja/product/550044
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
電子書籍はこちらからご購入いただけます:https://booth.pm/ja/items/8065061
印刷書籍もまもなく発売です:https://sfjustitia.blog.fc2.com/blog-entry-58.html(これは出版社〈SFユースティティア〉からの告知文です。)
今回は前編。同書の「はじめに」の後半、「このコラム群がどうして書かれたか」について述べられた部分を抜粋してお届けしたいと思います。
〜〜〜〜〜〜
── 本作は〈FT書房〉の『トンネル・ザ・トロールマガジン(以下TtTマガジン)』および〈グループSNE〉の『ウォーロック・マガジン』に連載されていた長いコラムを中心に、いくつかのミニコラムを集めたものです。話題はほぼすべて、1975年ケン・St.アンドレによってデザインされた世界2番目のRPG、トンネルズ&トロールズ(以下T&T)についてです。
このRPGが日本に紹介されたのは1987年。当時僕は既に世界初のRPG、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(後にクラシックD&Dと呼ばれるもの)」を遊んでいましたが、それとは違う開放感に魅せられ、他のシステムの様々な要素を混ぜながら、世紀末まで楽しい経験を山のようにしました。その後、就職し結婚し……実際プレイする機会はなくなりましたが、このゲームへの関心だけはいつも持ち続けていました。
このコラムを書きはじめたきっかけは、2015年9月、健康診断の結果を見て"老い"を実感したことでした。「ずっと好きだったT&Tについて、ここで何か書かないと一生後悔するぞ」という心の声が、鈍重な僕を突き動かしたのです。幸い、そのころ「FT新聞」── 〈FT書房〉発刊のメールマガジンです ── の編集長は、かつてのゲーム仲間・松岡でした。
さっそく電話して「T&Tについて何か書きたい」と言うと、松岡は「いい人がいる」と、〈FT書房〉のリーダー、杉本=ヨハネさんを紹介してくれました。たまたまですが、杉本さんはそのときT&Tの雑誌を企画しており、「有志を集めたが、『T&T研究室』と仮に名付けた、読み物系の記事の書き手が見つからない」とのこと。これも何かの縁だろうと思い、僕はこの記事の担当を引き受けることにしました。
偶然は続きます。そのとき僕らが念頭に置いていたT&Tは、1987年に社会思想社から出た『5版(正確にはそのイギリス版であるCorgi Books版)』でした。しかしちょうどその頃、海外では決定版といってもいい『Deluxe T&T』がクラウド・ファウンディングの成功によって発売され、〈グループSNE〉が邦訳しようという動きになっているところだったのです(2016年9月に『T&T完全版』の名で発売)。話を聞きつけた杉本さんの呼びかけで、新しい雑誌はこの版に対応するものを出そうということになり、皆でがんばった結果、2016年8月に『TtTマガジン』を創刊。これが業界のレジェンド、安田均先生の目にとまり、2号から5号までは〈グループSNE〉の全面協力のもと、誌面が作られることになりました。
その後『TtTマガジン』は、他のゲームも巻きこんだかたちで『ウォーロック・マガジン』と改称され、〈グループSNE〉が版元となります。拙『T&T研究室』もマニアックなコラムながら末席をいただき、創刊号から6号まで、思う存分書かせていただきました。今思い返しても、ひたすら忙しくて楽しい日々でした。
あれからずいぶん経ち、T&Tを巡る状況も今やずいぶん変わってしまいました(「あとがき」で言及します)。2025年12月現在、これまでのT&Tに近いルールシステムは『モンスター! モンスター! TRPG』として命脈を保ち、若いデザイナーによる新時代のそれは、まるで別物へと姿を変えようとしています。しかし、それでもなお ── あるいはだからこそ ── 1980年代に小さく流行し、2010年代半ばによみがえった古いT&Tの記憶を、小さくとも確かな灯として残したいという僕の思いは増すばかりです。
本書は、そんな大過去と小過去、ふたつの時代の空気と熱を少しでも伝えたいという、ささやかな願いから生まれました。過ぎ去った日々への手紙として、そして同じ季節を駆け抜けたファンへの贈り物として、どうかごゆっくり、お楽しみください。
2025年12月 吉里川 べお
〜〜〜〜〜〜
後編は印刷書籍発売のタイミングに合わせて出すつもりで、肝心の中身について解説する予定です。どうかよろしくお願いいたします。
なお、この『T&T研究室』の姉妹編にあたる対話型コラム集『悪魔よそれをとれ』は、現在〈FT書房〉より電子書籍が発売されています。併せて読んでいただけるとさらに面白いかと存じます。ご購入はこちら。
booth:https://booth.pm/ja/items/3755062
Drivethru.RPG:https://www.drivethrurpg.com/ja/product/550044
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
登録:
コメント (Atom)