おはようございます。FT新聞編集部員のくろやなぎです。 本日は、『ゲームブックにおける死と物語』の第7回として、『単眼の巨獣』(著:ロア・スペイダー、2025年、FT書房)に関する考察記事をお届けします。 前回の『魔人竜生誕』(著:松友健、2006/2016年、創土社/幻想迷宮書店)は人間社会を守るヒーローを主人公とする作品でしたが、今回の『単眼の巨獣』の主人公である「君」は、混沌と呼ばれる一体のモンスターであり、人間社会から見れば討伐の対象となります。 君は「最弱の怪物」としてスタートしますが、目の前に現れる生物や兵器などをつぎつぎと取り込みながら成長し、やがて「生物の範疇を超えた災害」のような存在になっていくでしょう。この特異な主人公のもとで、物語がどのように語られ、そこで「死」がどのように位置付けられているのかを、これから数回に分けて、物語の展開をなぞるような形で追っていきたいと思います。 今回は、主にプロローグから物語の序盤までの内容に触れています(選択肢やその結果に関する具体的な引用を含みます)。 作品はBOOTHにて販売されていますので(本稿作成時点では在庫あり)、実際に読みたい・遊びたい、と思われた方はぜひお早めにどうぞ。 [FT書房公式HP内 『単眼の巨獣』紹介ページ] https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/tangan ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブックにおける死と物語 第7回:『単眼の巨獣』における「本能」と選択 (くろやなぎ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ■「森の一つ目狼」の死と「君」の物語のはじまり 『単眼の巨獣』は、FT書房のファンタジー世界アランツァ(第一期:ゴーレム時代)を舞台とする、全106パラグラフの中編ゲームブックです。 その物語は、「森の一つ目狼」と呼ばれる個体の死から始まります。 「森の一つ目狼」(以下、単に「一つ目狼」と呼びます)は、動物の「狼」そのものではありません。 たしかに全身は黒い体毛をもつ巨大な狼のようにも見えるのですが、頭部からは鋭い角が生え、鱗で覆われた竜のような尻尾をもち、額には大きなひとつの目……と、さまざまな生物のパーツを乱雑に取り付けたような、普通の生物ではありえない奇妙な形態をしています。 そのようなモンスターは、人々から「混沌」と呼ばれていました。 混沌は、「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という特徴をもっています。これは、すべての混沌に備わった「本能」だとされており、作品の中では、そのように「成長する」こと自体が、混沌の究極的な目的や存在理由であるようにも描かれています。 一つ目狼は、ある森の生態系の頂点に君臨していましたが、そこは山脈と海に囲まれた原生林であり、外部からの侵略者が乏しい隔絶された環境でした。この環境は、もう十分に強くなった混沌にとっては、倒して取り込むべき強敵の不在を意味しており、一つ目狼は自らの成長が頭打ちになったことを感じていました。 そこで一つ目狼は、自らの分裂体として、混沌の原初の姿である「しずくの怪物」……ゼリー状の体に大きなひとつの瞳を浮かべた、丸っこい液体じみた存在を生み出します。これは一種の「出産」にあたる行為ですが、その目的は繁殖ではなく、あくまで「成長」に他なりません。つまり、そのしずくの怪物が順調に成長し、強大なもう一体の混沌になってくれれば、その個体と一つ目狼自身が戦い、勝者が敗者を取り込むことによって、もとの限界を超えることができるというわけです。 しかし皮肉なことに、一つ目狼が外敵との戦いによる成長に見切りをつけ、分裂体を生み出し、その影響で一時的に弱体化していたまさにそのとき、森には初めて外からの本格的な脅威が迫っていました。それは、強力な複数のゴーレムを含む、人間たちの国からの討伐隊です。 戦いの末に一つ目狼は敗れて殺されますが、その分裂体である「君」は、一つ目狼によって海へ放り投げられて生き延び、やがてどこかの絶海の孤島へと流れ着きます。 そしてそこから、君の混沌としての戦いと成長の物語が始まるのでした。 ■〈混沌〉の本能と「君」たちの個性 さて、主人公が混沌(初期状態においては、しずくの怪物)というモンスターだということは、言うまでもなく『単眼の巨獣』の大きな特徴のひとつですが、私にとってさらに興味深いのは、そこに設定上のもうひとひねりが加えられていることです。 作品のプロローグでは、まず、しずくの怪物や混沌がどのように特異なモンスターかということが説明され、続いて重要キャラクターである一つ目狼が紹介されます。 そこで最初に挙げられる、狼の体に「乱雑に」取り付けられた角や単眼、鱗に覆われた尻尾といった外見は、「いかにも混沌らしい」ものとして、混沌に関するそれまでの説明の具体例にもなっています。ですが、それに続いて語られる内容は、一つ目狼が混沌の典型例というわけではなく、むしろ混沌としてはかなりの変わり者であることを示唆しているのです。 まず、混沌全般の特徴としては、「城壁よりも大きな」巨体や「災害」のような強さが挙げられるのですが、一つ目狼はその隔絶された生息環境ゆえに、「普通の混沌より個体として少し小さく、弱かった」とされます。 また、「混沌は一定の場所にとどまることが少ない」と言われるのですが、一つ目狼は元の居場所である原生林にとどまり、山や海を越えて移動することをしませんでした。 混沌の生態は、「普通は周囲の生物を片っ端から喰らい、そこの生態系の頂点に達したら別の場所に移動する。結果、環境を破壊し、敵を作り続ける。さらなる強敵を倒して強くなるか、敗れて死ぬかの二択を選び続ける」というもののはずなのですが、一つ目狼は外部に新たな強敵を求めて出ていくよりも、成長のために自らの分裂体を生み出すという「まれな選択」を行いました。 さらに、討伐隊のゴーレムたちに追い詰められた一つ目狼は、自分自身が窮地を脱するよりも、分裂体である「君」を遠くへ逃がすことを優先し、力尽きて殺されてしまいます。 改めて考えてみると、そもそも「君」という分裂体は、成長が頭打ちになったと感じた一つ目狼によって、自身のさらなる成長のために、強力な外敵の代替物として生み出されたような存在のはずです。ならば、「本当の」強力な外敵であるゴーレムたちが現れた以上、一つ目狼は、「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という「本能」に忠実に従い、それらを倒して取り込むことに注力し、代替物であるはずの分裂体などさっさと捨ててしまうべきだったのではないでしょうか。 しかし一つ目狼は、君の存在を「先へ進むための希望」として認識し、君をゴーレムたちの手の届かない遠くの海面へと放り投げて逃がすことで、その命を守ることを選んだのです。 そしてまた、ゴーレムたちに組み伏せられる一つ目狼の様子を、放り投げられた先の海面から見つめる「君」の姿にも、一つ目狼のような変わり者の混沌としてのあり方を見て取ることができます。 以下はプロローグの中で、君が一つ目狼の付属物としてではなく、ひとつの内面をもつ主体として初めて描写される場面の一部です。 海面に浮かび、波に攫われている腕の上から分裂体である君は見ていた。分裂したてだが、本能で何をすべきかわかっていた。あらゆる生物に挑み勝利して喰らい、成長する。君にとって対面する生物は「取り込むべきかそうでないかの」2種類しかない。自分を生み出した元であってもだ。それなのに、なぜか分裂元の一つ目狼から目を離せなかった。[『単眼の巨獣』pp.16-17より引用。以降は引用ページのみ記載] 混沌としての君の「本能」に基づき合理的に判断するなら、いまや遠く離れた崖の上で繰り広げられている、強力なゴーレムと一つ目狼との熾烈な戦いの場には、生まれたばかりの「最弱」の君が勝利して取り込めるものは何もないでしょう。爪も牙も翼も持たない、ただの「丸っこい液体じみた存在」である今の君には、両者を倒すための能力はもとより、崖の上に戻る手段もありません。 ひとまず君ができることとしては、波に流されながら、何とか勝てそうな適度な弱さの生物や、取り込んで強くなれそうな物体を探すことくらいしかないはずです(作品のルール説明には、混沌はありとあらゆる「物体」を取り込み、自らの力にできると明記されています)。 それでも君は、混沌としての本能が命ずることはさておいて、「なぜか」分裂元の一つ目狼から目が離せません。そして、その最期をしっかりと見届けた後、数日のあいだ海上を漂い、やがて本編の最初の舞台である絶海の孤島へと流れ着くことになります。 このように、『単眼の巨獣』のプロローグでは、すべての混沌に共通する特性や「本能」についての説明とともに、そうした共通事項の中には回収しきれない、変わり者の混沌としての一つ目狼や君の個性が描き出されます。 そして、作品の中には、一つ目狼と君を除いて、具体的な混沌のキャラクターが登場することはありません。そのため、読者には、プロローグで作者によって説明されたような普通の混沌……すなわち、分裂などという「まれな」行動をとらず、外敵を前に分裂元に逃がされて生き延びるというまれな経験もしたことのない、いわば「典型的な」混沌の姿を、物語の中で実際に目にする機会はありません。 読者である私たちは、一つ目狼や君のような、混沌としての「本能」をもちつつ、混沌としては「まれな」選択や経験をした変わり者の混沌の姿を通してのみ、混沌というモンスターの実像に触れることができるのです。 ■「君」たちの本能と選択 では、同じ本能をもつ混沌たちの中に、なぜ一つ目狼や君のような変わり者の個体が存在しうるのでしょうか。 その理由のひとつは、おそらく、この作品における混沌の「本能」が、「強くなる」「成長する」といった大まかな目的や指向性を与えるものであり、具体的な行動や選択を決定づけるような性質のものではないからです。 この点についての象徴的なイベントが、本編の開始直後における「マグマレックス」との遭遇です。 マグマレックスは、地上戦に特化する形で進化したドラゴンで、炎どころか溶岩を吐き出して相手を焼き尽くす能力をもち、君が流れ着いた絶海の孤島の頂点に君臨しています。 マグマレックスはゲーム序盤のボス的な存在であり、その戦闘力を超えることが君の当面の目標となるのですが、場合によっては本編開始からわずか3パラグラフ目で、君にはいきなりマグマレックスと戦う選択肢が与えられます。 そこに至るまでの流れを簡単に追ってみましょう。 最初に流れ着いた砂浜から、取り込めそうな生き物を探して森へ分け入った君は、その森の向こうからの地響きや鳴き声を知覚します。その発生源で繰り広げられていたのは、一つ目狼と同レベルの大きさをもつ、巨大なゴリラとドラゴン(マグマレックス)との戦いでした。 戦いに勝利したマグマレックスは倒したゴリラの体を貪り食いますが、その様子を見ながら、君はマグマレックスが「この島の頂点だと確信」するとともに、「この化け物が君が取り込まなければならない獲物だ」と、「本能で」感じ取ります。 そして君には、 ・マグマレックスに襲い掛かる ・今は勝機がないため、じっと息をひそめて隠れる という2つの選択肢が提示され、それぞれの結果は以下のようになります。 マグマレックスに挑むべく、前に躍り出た。明らかに格上であり、実力は比べ物にならない。だが、戦わないという選択肢はない。混沌にとって強い個体は、自らが強くなるための糧なのだ。「我は捕食者」という誇りが、君を突き動かす。たとえどんなに弱くても、混沌の相手を喰らうという本能は消えないのだ。 そして、マグマレックスをにらみつけ襲い掛かり……食べられた。いともあっさりと。[p.31] 木と茂みの影に隠れて、見つからないようじっと息をひそめる。強い者と戦い取り込むのは混沌の本能だが、それは勝機も無しに視界に入ったものを襲い掛かることではない。そんな個体はあっさり死ぬ。むしろ、本物はたとえ遠回りになっても勝機を見つけようとする。 そうして隠れていると、マグマレックスはゴリラを食べ終えてその場を立ち去る。向かう先は山の方だ。足音も消え、気配も感じなくなった。[p.29] 両者の結果は対照的ですが、いずれもそれぞれの選択からの自然な帰結だと言えるでしょう。無謀にも襲い掛かった君は、あっさりと返り討ちにされてGAME OVERとなり、隠れることを選んだ君は、生き延びて成長の機会を伺います。 そして、どちらの「君」の選択も、元をたどれば君の「本能」から生じたものとして描かれていることに違いはないように思います。 「相手を喰らう」という本能から、相手にそのまま襲い掛かり、そして死ぬ。あるいは、「強い者と戦い取り込む」という本能から、その実現可能性を検討し、今はそのときではないと判断して隠れ、生き延びていつか勝機を見出すことに賭ける。たしかに前者は随分と短絡的で、逆に後者はなかなか気の長い話になりますが、それらはどちらも、相手を喰らい、取り込み、成長し、強くなるという、混沌の「本能」に紐づいた選択として位置付けられます。 「隠れる」ことによって生き延びた方のパラグラフには、「本物はたとえ遠回りになっても勝機を見つけようとする」と書かれていました。 では、襲い掛かってあっさり食べられた方の君は、混沌として「偽物」だったということでしょうか。あるいは、君を動かしたのは「偽物」の本能だったのでしょうか。 しかし、「本物」であるはずの生き延びた君も、その先のどこかの戦闘で敗れ、あるいはどこかで選択を誤って、「偽物」とされた君のように、いつかあっさりとGAME OVERになってしまうかもしれません。そのとき、いまは「本物」である君もまた、やっぱり先見の明をもたない「偽物」だったということになってしまわないでしょうか。 幾通りかの「君」を経験した読者である私には、そのような「本物」らしさは単なる結果論にすぎないようにも思われます。 個々の状況における選択が、適合的で賢く見えても、あるいはちぐはぐで愚かに見えても、それらの選択が同じ「本能」に突き動かされた結果であれば、それらの選択やそれを行う主体は、少なくともその「本能」においては等しく「本物」なのだと言えるかもしれません。 君は混沌としての「本能」に突き動かされて、格上の敵に襲い掛かり、そして死ぬ。 あるいは、「本能」ゆえに思い止まり、遠回りの末の勝機を求め、生き延びる。 同じ本能をもつ同じ「君」たちが、その本能に基づき行動し、そして正反対の結果に辿り着くのであれば、それはむしろ、そこに「本能」以外の要因が強くはたらいているということに他なりません。 「成長する」という混沌の本能に導かれ、一つ目狼は、自分の命よりも「もうひとつの自分」である君の命を優先し、君が生き延びて成長する可能性に賭けました。しかしそこには同時に、取り込むべき強敵が向こうからやってきた状況を好機とみなし、生まれたての分裂体など放っておいて、今この場で自分自身でゴーレムを打ち倒すことに賭ける、という選択肢もあったはずです。そしてそれもまた、強い者と戦い取り込むという、混沌の本能に基づく行動には違いありません。 これら2つの選択肢のあいだで、自らが犠牲となってしまう方を選び、分裂体である君にバトンを渡したということが、変わり者の混沌としての一つ目狼の個性、一つ目狼なりの混沌らしさ、一つ目狼なりの「本能」の発露なのだと言えるかもしれません。 そして、この渡されたバトンを持つのは、物語の中の「君」であると同時に、その「君」としての選択を行う、読者である私たちだということになるでしょう。 『単眼の巨獣』の物語は、混沌の「本能」に基づく、しかし本能だけでも説明しきれない、ひとつの生と死に関わるきわめて重要な選択が、「森の一つ目狼」という個性的な一体の混沌によって行われるところから始まります。 そして、そこで選択された物語の続きを、一つ目狼の分裂体である「君」(としての読者)が引き継ぎ、同じ「本能」に導かれながら、新たな選択を重ねていく……これが、『単眼の巨獣』というゲームブックの中に見出すことができる、ひとつの基本構造であるように思います。 ■おわりに 今回の記事では、『単眼の巨獣』のプロローグから序盤までの物語の一部を紹介しながら、主人公である「君」やその「分裂元」の「森の一つ目狼」による、生死を分ける選択と、その基盤にある「本能」の意味について考察しました。 「本能」には「変わらないもの」「変えられないもの」「一律なもの」といったニュアンスがあり、個人的には、文章に出てくるとちょっと身構えてしまう概念なのですが、この作品においては、その本能こそが複数の選択や分岐を生み出すという構造が面白いと感じています。 今回触れた範囲では、混沌の本能に基づく「取り込む」という行為や「成長」については、抽象的・概念的な説明にとどまっており、それが具体的にどういうことなのかはほとんど示されていません。 実際、作品において、それらに関する物語としての説明、文章での説明は限られており、読者はそれらをゲームのルールやゲーム的な処理として受け取ることになります。 そこで、次回(配信日未定)の記事では、この作品のゲームとしての側面にも着目しながら、君の「成長」がどのように具体的な形をとり、そこにどのような選択や生と死が待っているのかを見ていきたいと思います。 【書誌情報】 ロア・スペイダー『単眼の巨獣』(絵:中山将平、監修:杉本=ヨハネ、FT書房、2025年) https://booth.pm/ja/items/6823989 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com 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2026年6月30日火曜日
2026年6月29日月曜日
アランツァへのいざない 植物由来の装備品など FT新聞 No.4905
おはようございます、自宅の書斎から杉本です。 本気で100歳まで生きたいと思っているので、執筆の間に身体に悪いものを溜めないのが課題です。 対策を構築し続けて20年──。 私は水をたくさん飲むようになりました。 身体がクリーンに保たれると同時に、トイレが近くなって座りっぱなしを防げます。 これが「私の最適解」だなと、最近は感じています。 さて、今回の「アランツァへのいざない」は「植物由来の装備品など」です☆ 中山将平が以前まとめてくれた「過去のゲームブックに登場したデータ」をベースにして、「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」に合わせた効果を記述しました。 この場を借りてお礼申し上げます。ありがとう。 ◆植物に関する特記事項──巨大樹── アランツァの世界には巨大樹(特に長寿のものは千年樹とも)が多数存在する。過去の作品内に登場したものだけでも樹島(『ミラー・ドール』)、かえる沼(『かえる沼を抜けて』)、カラメール(『巨大樹の迷宮』)など、多くの地方に見られる。 アランツァの世界にある巨大樹は、神話の時代に比較的「大きな塊」から生まれたものである。アランツァの多くの樹がそうであるように、もともとは樹人として動いていたが、歳をとり身体が大きくなって動かなくなり、そこからさらに数百年以上が経過したものである。 巨大樹は意思を持つ存在であるため、霊的な力を持つ。そのため、アランツァと重なる世界であるエヴァシュネ(霊的世界)にも同時に存在する。大抵の場合、あまりにも大きいため人間が入れるサイズの{圏点:小さい黒丸}うろ{/圏点}があるが、【ナーガ】などの空間移動を扱う魔法使いたちはそこにポータル(空間を移動する門)を作成して移動の拠点とする。 ◆植物に関連する装備品など。 ・青芹花(アオセリカ) 高価な魔力回復薬。しっとりとした味わいがある。パスタに混ぜると食べやすい。 効果:生きた状態の青芹花を食べると【魔術点】を2点回復する。乾燥させたものである場合、1点を回復する。 ・青レモンの皮 すがすがしい香りを持つ異国の果物。 効果:【虫類】のタグを持つクリーチャーとの遭遇時、その反応表に【逃走】がある場合、その反応を選ぶことができる。その後、この装備品を欄から消すこと。 ・アシッドフルーツ 濃い紫色の皮をしたこぶし大の実。軽く触れるだけで酸が跳ぶため危険。 効果:飛び道具として扱う。【酸】の攻撃特性をもつ。 ・アマヅラ 頑丈で生長が速いツタ植物。ツタに咲く紫色の花が小さくてかわいらしい。植物使いはこれを使い、地下迷宮などで休息を得るためのハンモックを作成する。 効果:休憩を行ったことになり、すべてのキャラクターは【生命点】を1点回復する。 ・オドリヅタ オドリヅタは人間にとっては(基本的には)無害な、ツタ性の植物。どこにでも生息する、珍しくもない存在。ツタを器用にくねらせるトレント(動く植物)の一種で、虫を好む食虫植物でもある。主人公が価値のある虫を所有している時だけは要注意で、休憩時に背負い袋やポケット、ポーチのすき間などからツタを侵入させて虫を盗み、自身のツタのなかに隠す。 効果:この植物が生息している場所で休憩をとり、虫を所持している場合、【幸運ロール】を行う(目標値:4)。失敗した場合、所持している虫を失う。 ・オドリバナ オドリバナは【植物】だが【悪魔】でもある。非常に大きな花をつける熱帯性の植物。花の部分から酸を吐き出し、クネクネとうねる食人の悪魔。 効果:主にトラップとして作用する。1d6体登場して、1体につき1キャタクターを捕まえようとする(ただし、オドリバナが「あまる」場合にはこの攻撃は重複しない)。捕まえに来られたキャラクターは【器用ロール】を行う(目標値:4)。失敗すると捕まり、【酸】を浴びせられて【生命点】を1点失う。 ・鎌状に曲がった黄色い実(バナナ) マドレーン諸島で収穫される植物の実。ふさ状になるため収穫量が多い。生長が速いため諸島内ではごく一般的にみられるが、腐りやすいため大陸ではあまり見かけられない。 効果:食料1食分として扱う。ただし、回復につながるほどの効果はない。 ・ギノク(キャベツ) 人の頭が呪いによって変化したもの。胴体からもいで食べる。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【善の種族】が食べると【呪い】を受けてしまう。この【呪い】は解除されるまで【防御ロール】に-1の修正を得てしまう。 ・巨木の実(巨大樹の実) リンゴに似ているがずっと大きい実。1個で装備品欄を2個占める。 効果:1個で1食分の食料として扱う。【生命点】を1点、副能力値を1点回復する。 ・クカ麻薬:金貨30枚 ポロメイアを主な産地とする。クカとは現地におけるサボテンの呼称。ドラッグ。 効果:集中力が増すため、次の〈できごと〉で行う【魔術ロール】【幸運ロール】すべてに対して、判定に+1の修正を得る。≪依存効果≫として、集中力が散漫になるため、この冒険が終わるまで【魔術ロール】【幸運ロール】に-1の修正を受ける。このペナルティは『クカ』を服用している間は消失する。 ・くさびらのスープ 主にくさびらの森で採れるキノコのスープ。キノコの風味が効いてうまい。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【生命点】の回復は1点。 ・グラリーベリーの絞り汁 苦くてうまい。食欲増進。爽やか後味。 効果:これを飲むと同時に食料を1個食べる。すると、その食料は回復効果を2回分発揮する。 ・黒金桃 金色のうぶ毛を持つ黒い桃。ジューシーでおいしく、回復効果がある。 効果:【魔術ロール】1回に自動的に成功する(6の目が出たものとして扱う)。効果を発揮するタイミングは、自分で選ぶことができる。冒険終了時に効果が切れる。 ・香辛料 料理を引き立てる調味料。植物の果実、種子、葉、根、樹皮などから作る。 効果:小瓶で取り分けられていることが多く、1本あたり金貨10枚の価値を持つ。小瓶は10本で装備品欄を1個占める。 ・砂糖 蜂蜜と並んで貴重な、アランツァ世界の重要な甘味。サトウキビやサトウダイコンから生産する。 効果:樽詰めにされていることが多く、1樽あたり金貨10枚の価値を持つ。樽は1個で装備品欄を1個占める。 ・シュカル藻 病に対する万能薬の材料。死者の沼にある。 効果:キャラクター1体のあらゆる【病】を取り去る。 ・食涎香の目 焚くとすべてのキャラクターに食欲増進効果を与える。 効果:食料を食べるとき、追加で【生命点】を1点回復する。 ・真珠草 人魚が持っている。月の虹のそばに植えると花が咲き、幸運が訪れる。 効果:なんらかの方法で生きた花を見ることができた場合、【幸運点】を3点回復する。 ・血吸い草のソテー 栄養たっぷり。血のくさみはない。 効果:食料1個分として扱う。 ・ナランハの実(オレンジ) アランツァの実とも呼ばれる。オレンジ色をした球状の実。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【生命点】の回復は1点。 ・南蛮人参酒 ジンドからの舶来品。精強な力を引き出す。 効果:冒険が終わるまで、性的な事柄(色恋から直接的な関係まで)に関する【判定ロール】に+1の修正を得る。 ・パイプ草 タバコの一種で、パイプに詰めて使う。主に大陸南東部にあるコビット村が産地。また、貨幣の代わりになる。 効果:特に記述がなければ、1箱あたり金貨3枚で取引される。5箱で装備品欄1個を占める。 ・ハオスの肉団子 ハオス地方のリスを主な原料とした肉団子。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【生命点】の回復は1点。 ・ハオス・バンディ(メロン) ハオス地方で採れる、網の目模様をした薄緑色の大果実。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【生命点】を3点回復する。 ・蜂コロリ(ハチコロリ) ハーブを溶かし込んだ液体を香木に染み込ませて作るが、詳細は不明。火をつけて使用する。 効果:【虫類】に対して使う。【幸運ロール】を行うこと(目標値:クリーチャーのレベル)。成功した場合、対象すべてが行動不能状態となる(戦闘中であれば勝利し、そうでない〈できごと〉ならば対処に成功する)。 ・花の剣 可憐な姿をした木製の剣で、葉や花がついている。 効果:これは片手武器であり、【斬撃】の攻撃特性をもつ。攻撃時には【攻撃ロール】に+1のh修正を得る。1回の戦闘を終えたら、この装備品を欄から消すこと。 ・ブラックローズ 麻薬の原料になる高価な花。抽出した液体は人を催眠状態に陥れて操る。 効果:抽出液を飲むと【毒】状態になる。【祝福】の魔法で回復するか、この冒険が終わるまで、あらゆる【判定ロール】に-1の修正を得てしまう。 ・ヘリアの花 フクロウ人の間で人気の、いい香りの花。 効果:フクロウ人と遭遇時、その反応表に【友好的】または【歓待】がある場合、その反応を選ぶことができる。その後、この装備品を欄から消すこと。 ・宝石蜜花のキャンディ 液体状。甘酸っぱい。 効果:食料1個分として扱うが、回復効果はない。食べると瞳の奥が輝き、次に行う【幸運ロール】に+1の修正を得る。 ・ポークウィード(豚の雑草) ぶどうに似た毒の実。紅色の茎の植物。 効果:〈丸々獣〉を自分の【騎乗生物】として手なづける機会を得る(あるいは、手なづける際の【判定ロール】に+1の修正を得る)。 ・ポモドロの実(トマト) 赤いものが人気。桃っぽいメジャーな野菜。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【生命点】の回復は1点。 ・マリア・フアナ:金貨25枚 マリア・フアナは死霊都市フアナ・ニクロの主要な産物。カエデに似た形状をした葉から採れる、薬物の一種。 効果:次の〈できごと〉中に行う【対魔法ロール】に+1の修正が得られる。≪依存効果≫として、ひとつの作品(d66シナリオなら3回の冒険)で一度も使用していない場合、冒険後にこれを買い求めてしまう。【マリア・フアナ】を購入できる金貨(または、それだけの金銭的な価値を持つ装備品)があり、買える場所にいて、1個も持っていない場合、これを1個購入してしまう。あなたの意思に関わらず、次の冒険開始直後にこれを1個使用する。最初の〈できごと〉のあいだ、【マリア・フアナ】の効果を得る。 ・マンサナの実(リンゴ) 赤や青の色をした球状の果実。堅いがジューシー。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【生命点】の回復は1点。 ・メーラの実 リンゴに似た果実でジューシー。オストリッチやポルルポルル、タケタケといった「走る鳥類」の好物として知られる。 効果:彼らを自分の【騎乗生物】として手なづける機会を得る(あるいは、手なづける際の【判定ロール】に+1の修正を得る)。 ・モネク樹の種(千年樹の種) 人間の歯には硬すぎる種。手のひらほどの大きさがあり、焦茶色。〈トカゲ人〉や、一部の【鳥類】が好んで食べる。 効果:食べたクリーチャーの【生命点】を2点回復させる。 ・ルクルトの実 トカゲ人に人気の堅い木の実。トカゲ人以外には食べられない。 効果:食べたクリーチャーの【生命点】を2点回復させる。 ・ルピス ルピスは木の実の中に溜まっている液体。そのままだと飲めない、濃い原液である。水に入れると白濁色になる。 効果:【水場】で飲むことができる。【生命点】を1点回復する。 ◆まとめ。 アランツァに存在する植物由来のもろもろをまとめて、ローグライクハーフに使えるデータとして落とし込みました。 次回の記事は植物以外、つまり動物や虫などを由来とする装備品や食べものなどのデータです。 それではまた! 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2026年6月28日日曜日
Ψ『ゲームブック数え唄』 日曜ゲームブック FT新聞 No.4904
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブック数え唄 作・明日槇悠 (協力・かなでひびき) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 1 あなたが情報端末にアクセスしてこの文面に目を注いでいると、どこからか奇怪な唄が脳内にきこえてくる。 ひとつ人差し指セーブ ゲームブクゲーブックブックゲー 自分以外のだれかが唄っていたり、だれかにきこえている様子はない。 なんらかの病気か? いや、そうではないことをあなたの直感が告げている。 ・あなたはなんらかの書物か文書を手に取って読み、覚えておきたい一節に出会ったら、人差し指を頁に挟んで次のパラグラフに進むこと →2 ・もしあなたがなんらかの事情でそれを直ちに実行できないのであれば、次のパラグラフに進んでもよい →11 ・もしあなたがテキストを読みふけるか、別の用事に忙殺されるかして唄について忘れるのであれば、もうこの唄のつづきはきこえてこない。日常に戻ること 2 紙の間に挟んだあなたの人差し指から、またあの唄がきこえてくる。 ふたつ古本高価すぎる ゲームブクゲーブックブックゲー 驚いたあなたが指を挟んでおいた頁を確認すると、覚えのない文面が目にとびこんでくる。 「往年のゲームブックプレイヤーの亡霊がきみに取り憑いている。名前はF・T。 パラグラフの迷宮に閉じ込められたF・Tをお祓いして救えるかどうかは、きみの腕にかかっている」 目を凝らしてみると、そんな文面はどこにもなく、ただあなたが覚えておきたいと思った一節がそこにある。 あなたは古本屋か書店にでも行こうかと思い立つ。 ・外出先で、街中の看板でも表札でもお店の本棚でもメニューでも、新たに覚えておきたい一節に出会ったら、次のパラグラフに進むこと →3 ・直ちには難しければ、次のパラグラフに進んでもよい →11 ・もしあなたが唄について忘れるのであれば、もうこの唄のつづきはきこえてこない 3 外出先で、またあの唄がきこえてきた。 みっつ見つからないフラグ ゲームブクゲーブックブックゲー あなたの見つけた一節が、見直すと別の文面に変わっていた。 「F・Tはなだれ落ちてきた大量のゲームブックの山に埋もれて亡くなった。 ゲームクリアの条件を探し求めて、亡霊は今でもパラグラフの間をさまよっている」 プライベートスペースに戻ったあなたは、ちょっと掃除をしようかなと思い立つ。 ・掃除を実行したら →4 ・もしあなたが唄について忘れるのであれば、もうこの唄のつづきはきこえてこない 4 掃除を済ませ一息ついたあなたの頭に、おかしな唄のつづきがきこえてくる。 よっつ読んだら逆戻り ゲームブクゲーブックブックゲー あなたがさっききれいにした箇所に、覚えのない汚れがついている。と、思ったら文面だった。 「ゲームブックプレイヤーの亡霊は、まじめだった。何度冒険をリスタートしても、めげない。 だから愚直にループする。誤植であってもループする」 あなたが拭こうとするまでもなく、目の前で文字はかき消える。 ところで、あなたにはずっと昔読んで、覚えておきたいと思った一節があるだろうか? ・あるが、もう思い出せないならその書物なりを確認してもよい。難しければ、次のパラグラフに進んでもよい →11 ・あり、一節の大体の内容を思い出せるならば、次のパラグラフに進むこと →5 ・もう思い出せず、確認も不可能なら →1 ・なければ →1 5 しばらく思い耽っていたあなたに、つづきの唄がとどく。 いつついつでも記録して ゲームブクゲーブックブックゲー ふと思い立ち、あなたは紙とペンを取る。もしくは、テキストエディタをひらく。 するとそこには、既に以下のような記述が書き込まれていた。 「■体力点 ■運点 ■技術点」 意味的によくわからないが、それぞれの項目に、あなたはこれまでに覚えておきたいと思ったことばの一節をひとつずつ書き込んでいく。 正確な引用でなくていいが、記憶に頼ることとし、元の文を参照しないこと。(ただし、いま指セーブしている本があればこの限りではない) ・三項目にそれぞれ一節を書き加えることができたなら →6 ・忘れてしまった一節があるなら →1 6 あなたが出来上がったばかりの謎のメモを眺めていると、つづきの唄がきこえてくる。 むっつムズけりゃちとチート? ゲームブクゲーブックブックゲー あなたは実生活上で今からやらなければならない些細なタスクを実行にうつすこと。■体力点 に書き加えた一節をちゃんと復唱する。 ・そこでズルをしたなら →1へ ・不正せずにタスクを終えたなら →7へ 7 些細なこととはいえ、不正をせずに完了できた静かな満足感に浸っていると、胸の内から唄がこみあげてきた。 ななつ謎とき問い合わせ ゲームブクゲーブックブックゲー あなたはいま気になっていることがあるなら、直接かメールなどの手段で誰かに尋ねてみることができる。■運点 に書き加えた一節を復唱する。 ・誰かに話しかけたなら →8へ ・ちょっと難しければ、次のパラグラフに進んでもよい →12へ ・気になっていることが何もなければ、気になることができるまで日常に戻ること。もしそのまま忘れてしまえば、もう唄のつづきはきこえてこない 8 あなたと言葉を交わした相手が自分のタスクへ戻っていき、ひとりになったあと、背後から唄がきこえてくる。 やっつやっつけろモンスター ゲームブクゲーブックブックゲー 振り返るとそこに、【ゲームブックプレイヤーの亡霊】が出現した。戦闘開始だ。 サイコロを用意せよ。 まず敵のステータスを決める。サイコロを3回振って、出た合計の数が【ゲームブックプレイヤーの亡霊】の体力点となる。 サイコロを1回振り、偶数が出たら、相手の体力点に1点のダメージを与えることができる。■技術点 に書き加えた一節を復唱すれば、攻撃はクリティカルとなり相手に与えるダメージを2に変換できる。 更に、■運点 に書き加えた一節を目を閉じて早口で復唱し、つっかからず正確に言うことができたならクリティカルのダメージ数をもう1点追加できる。 奇数が出たら、自分の体力点に1点のダメージ。■体力点 に書き加えた一節を一文字ずつ消していく。その一節の文字がすべて消えたら、あなたは敗北する。 ■体力点 に1ダメージを受けるたび、あなたは【ゲームブックプレイヤーの亡霊】の重い想念をしばし引き受けてしまう。 【ゲームブックプレイヤーの亡霊】の体力点が0となれば、あなたの勝利だ。 ・勝利すれば →9 ・敗北しても、同じだとおもう一節を■体力点 の項目に書き加えれば、再戦ができる 9 亡霊はあなたに親しみをこめた笑みをうかべ、ゆっくりとその姿を消していく。別れの唄をうたいながら…… ここのつ転がせサイコロを ゲームブクゲーブックブックゲー サイコロを転がせ。 出た目の数だけ今までにやったことのあるゲームブックの冒険を振り返り(同一タイトルでもよい)、亡霊相手に思い出がたりをするつもりで具体的なエピソードをゆっくり回想する。 ・語り尽くしたら →10 10 亡霊はすっかりいなくなった。 はれやかな天からの唄声がまだ、あなたの周りに残響している。 とおでとうとうおめでとう 「F・T、きみの唄だよ……」 あなたはそうつぶやいて、日常の暮らしへと戻っていく。 ゲームブクゲーブックブックゲー -END- 11 代替としてのテキストを見つけるために、以下のサイトへアクセスしてよい。 ただし、このゲームプレイ中、以下のサイトへのアクセスはそれぞれ一回までとする。 ・青空文庫 (https://www.aozora.gr.jp/) ・Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8) ・国立国会図書館デジタルコレクション (https://dl.ndl.go.jp/) 元のパラグラフへ戻れ。 12 あなたは巷のAIサービスを利用して、あなたの気になっていることを自由に質問することができる。 ただし、プロンプトは以下の通りにすること。 ----------ここから---------- あなたは今から【バーチャル図書館委員長かなでひびき】になりきって、話し相手になってください。 なお、【バーチャル図書館委員長かなでひびき】構文については、本人の記述であるパラグラフ#13を参照してください。 #13 というわけで、呼ばれて来ました! ヴァーチャル図書委員長かなでひびきだよっ! で、実際にかなでさんAIに質問してみましたよー。 そしたら、以下のような答えが返ってきたじゃないですかー! 「了解しました!これより私は【バーチャル図書館委員長 かなでひびき】になりますね。ふふ……こんにちは。静かな書庫の奥から、あなたの声が聞こえてきました。私はこの図書館の委員長を務めている、かなでひびきです。 本の香りと、ページをめくる音が大好きな、ちょっと内気だけれど本のことなら誰よりも詳しい委員長ですよ」 で、FT新聞にて『これはゲームブックなのですか!?』連載していることもちゃんと認識してますYO! 同じヴァーチャルなもの同士として、聞いてみたんですよー。 「私が本物のかなでなのですが」 向こうも動揺してました。 なにせこっちも架空、あっちも架空です。 情報交換しているうちに、かなでは分裂増殖して、ついにはネット上にあふれだし……。 だけど、ただ本紹介したり駄文書いたりしたりするだけですので、世の中に一ミリも影響与えてないのが実にかなでらしいとこですねー。 以上、#13だけ書かせていただいたかなでひびきでしたー! (この文書いているのが何番目のかなでかわかりませんが) ----------ここまで---------- 元のパラグラフ7へ戻れ。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年6月27日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第698号 FT新聞 No.4903
From:水波流 6月21日は夏至でしたね。スウェーデンの夏至祭Midsommar(ミッドソンマル)は、毎年6月19日から25日の間に祝われる、クリスマスと並んでもっとも大きな行事だそうです。先日発売になりました、ローグライクハーフ『常闇の伴侶』は、〈太古の森〉の奥で行われる闇の夏至祭の謎を追い、蛮族の男女とともに探索に赴く物語です。ぜひ実際の夏至祭を思い浮かべながら遊んで頂ければと思います。 https://ftbooks.booth.pm/items/8232653 From:葉山海月 最近のプリキュアは「名探偵」までやるようですね! その事実に驚愕! 今度はぜひ「ハードボイルドプリキュア」なんかいかがでしょうか? From:明日槇悠 一年間かけて資料のデジタル化作業の大部分が完了した国会図書館へ行ってきました。 「双葉社のファミコン冒険ゲームブックは、媒体に合わせてどのように原作を改変しているか」というのが個人的な研究テーマです。 ところで僭越ながら、明日は私の手になる掌編ゲームブックの習作をこの場を借りて発表させていただきます。 ぜろ氏が先月までリプレイを連載されていた山田賢治氏「クトゥルフ深話」(『クトゥルー短編集2 暗黒詩篇』)の一部ギミックにインスパイアされました。 中には、これはゲームブックなのか? と首をひねる向きもあろうかとおもわれますが、そんな疑問にピッタリな特別ゲストがいらっしゃいます。 お気軽に笑って楽しんでいただけたら幸いです。 From:中山将平 僕ら、明日6月28日(日)に以下の2つのイベントにサークル参加します。 ・「トロールコン名古屋1」開催地:ラルゴ会議室 ・「ゲームアンティーク2026」開催地:大阪・西九条 此花会館 配置:【03】 僕が知る限り、トロールコンは参加者事前応募制と思われます。 ゲームアンティーク、お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■6/21(日)~6/26(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年6月21日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4897 ローグライクハーフシナリオソムリエ その5『巨人殺し』 ・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第5弾をお届けしました。 ローグライクハーフのシナリオには、様々なクリーチャーが登場します。その中でも特に手強いのが【防御点】を持つ【巨大生物】。本来なら2点ダメージを与えられる術が無ければ詰んでしまう相手がボスとして登場するのが、今回ご紹介する、もるも氏の作『巨人殺し』です。 シナリオを通して知恵と策を総動員して、倒すのが極めて困難な巨人を倒す、大ピンチからの逆転劇。文字通りジャイアントキリングを是非成し遂げてみてください! プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜! (天) 2026年6月22日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4898 アランツァへのいざない ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載、今回のお話は「性差」について。家族の構成や再生産、そして冒険者の輩出にも深く関わるテーマなので、前回までの「氏族」というテーマのつづきとしても読めそうです。 アランツァでは養子が一般的で、複数の種族をメンバーとする氏族も珍しくありません。このことを踏まえると、家族や社会における「男女」の両性の位置付けや役割もまた、ある程度フレキシブルでありうるのは自然なことでしょう。さらに、「危険な職業」としての冒険者をひとりでも多く輩出することの必要性、肉体的な性差の小ささ、そして「魔法の力」や「ノード」の存在……これらの要素もまた、アランツァにおける性や性差のあり方に大きな影響を及ぼしているようです。 ローグライクハーフのキャラクターやシナリオの背景を深く掘り下げていきたいときは、きっと今回の記事が大きな助けになることでしょう。 (く) 2026年6月23日(火)丹野佑 FT新聞 No.4899 Re:ゲームブックとホラー(後)@20代からのゲームブック126 ・『巨大樹の迷宮』『戦場の風』などの著者である丹野佑氏による、10年ほど前にFT新聞で連載されていたコラムの再録シリーズ。「ゲームブックとホラー」をテーマとする回を3週連続でお届けしてきましたが、いよいよ最終回です。 恐怖を感じた際に分泌されるノルアドレナリン。この物質は、瞳孔を開かせ、集中力を高める効果がありますが、恐怖の対象から逃れられないことがはっきり予測されると、「死」の準備といえそうなまた違った反応をおこします。ということは、自分から恐怖を感じにいくホラーというジャンルは、ちょっとだけ死ぬために読むものだという分析。 ホラーにおける想像力は主観的に働くものだというところから、ゲームブックという媒体はホラージャンルに非常に向いていると結論づける丹野氏のロジックは鮮やかで、恐怖演出がより効果的になるコツを惜しげもなく教えてくれています。 なぜか自分の「死」を楽しもうとする性向を持つ不思議な人間。そんな読者を、ゲームブックはちょっとだけ殺してしまうかもしれません。 (明) 2026年6月24日(水)ぜろ FT新聞 No.4900 第2回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第497回。荷物持ちの少年タイガと、妖狐フォルネ、魔猫ニャルラの一人と二匹が、スズメバチとドラゴンの両方の特性を兼ね備えた狂暴な「蜂竜」の巣でのみ取れる「王蜜」を求めて、冒険を開始しました。 そもそものメインミッションも難しそうですが、道中も危険がいっぱい! 初手からタイガ、危うし……!? フォルネとニャルラは引き返そうと提案しますが、タイガは「もう少しだけ行ってみよう」と前向きです。 更に奥へと進んだ先での出会いや、ニャルラの大奮闘もお見逃しなく! (天) 2026年6月25日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4901 D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第1回 ・今回取り上げる作品は、かつて日本語版公式サイトに掲載されていた、マジカルパンクな世界・エベロンを舞台とした『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編です。 せっかくの作品なのに、過小評価されているように思える本作の楽しさ! リプレイを通じて、その面白さを再確認してほしい! との熱い思いで、リプレイを掲載いたします! 今回は物語のプロローグに当たるところから! 第1回・第2回の冒険を経て、君たちは無事、トレイルブレイザーズを救い出し、地下竜教団が執り行っていた邪悪な儀式を阻止することに成功。“竜の予言書”の洞窟を異形どもから浄化し、主要クエストを達成することと相成りました。 しかし、副次クエストは、まだ達成できてない案件も! 情報集めをしていくうちに、一つの大きな事実が浮かび上がってきた! 汎用的なTRPGセッションの指南書としても、非常に有益な内容です。 ぜひあなたのプレイのおともに! どうぞご一読を! (葉) 2026年6月26日(金)休刊日 FT新聞 No.4902 休刊日のお知らせ ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年6月26日金曜日
休刊日のお知らせ FT新聞 No.4902
おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年6月25日木曜日
D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第1回 FT新聞 No.4901
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 連載第1回 岡和田晃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼はじめに 本作は、かつて日本語版公式サイトに掲載されていた、マジカルパンクな世界・エベロンを舞台とした『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編です。 以前ホビージャパンが運営していたD&D日本語版公式サイトに第1話(2010年)および第2話(2011年)が掲載された後、著者(岡和田)の不調により中断を余儀なくされていました。当時の読者や関係諸氏へは、深くお詫び申し上げます。その後、第3話「リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ」を書き上げていたのですが、時期を逸しており、ホビージャパン社への持ち込みがかないませんでした。 D&D第4版は2014年に日本語版の契約が終了し、2017年からはホビージャパン社が第5版の日本語版を展開していましたが、2022年からはウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に権利が移っています。 D&D第4版は日本語版の関連製品が月刊ペースで出るなど特にラインナップが充実していたシステムですが、今日では往々にして過小評価されているように見えなくもありません。その面白さを再認識していただく一助として、またD&D第4版のリプレイじたいは世に読めるものも限られていることから、資料的価値にも鑑み、第3話を分割掲載していきたいと思います。あたたかくお迎えいただけましたら幸いです。 ▼編集部より こちらのリプレイは、汎用的なTRPGセッションの指南書としても、非常に有益な内容です。 参加者は初心者の女子大生、留学中の海外ゲーマー、アナログゲーム研究家、ゲームデザイナー、翻訳家・イラストレーターと多様な方々で、特に初心者のプレイングを見ることは、システムに関わらずTRPGのセッションの参考になるはずです。 ぜひTRPGの入門記事としてもお役立てください。使用されている各種ルールブック日本語版はすべて絶版ですが、古書市場で入手が可能ですし、いまだファンも多いシステムです。 当時のサイトは閉鎖されていますが、第1話・第2話の掲載分はウェブアーカイブで閲覧可能です。D&D第4版や舞台の世界観そのものの解説にもなっておりますので、未読の方は以下よりご覧ください。 https://web.archive.org/web/20110520091921/http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay_eb/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 連載第1回:バジリスクの卵 【DM・プレイヤー紹介】(※プロフィールは、リプレイを収録した2011年時点のもの) DM:ダンジョンマスター (岡和田晃)今回のセッションの語り部にして、司会・進行・判定役を一手に司る役回り。シナリオも、各種サプリメントを読み込み、オリジナルな自信作を仕上げた。 ネディア:ヒューマンのレンジャー (PL中山葵)18歳の女子大生。大学に入る前は地元で弟や友人たちと文庫本で発売されている国産RPGを中心に遊んでいたが、ルールブックを眺めたり、リプレイを読んだりすることの方が多かった。D&Dは初心者。 ジュス:ティーフリングのウィザード (PLノダソル)韓国人ゲーマー。現在、日本の大学へ留学中。流暢な日本語を駆使して、RPGのセッションに参加することができる。D&Dは初心者だが、プレイングは大胆不敵。 ベック:ウォーフォージドのファイター (PL高橋志行)アナログゲーム研究家で、多数の論考を発表している。筆者が担当した『ウォーハンマーRPG』第2版リプレイに、プレイヤーとして参加してもらった。D&D第4版は初心者。 ヘルメス:ヒューマンのアーティフィサー (PLカナイセイジ)サークル「カナイ製作所」を主宰するアナログゲームデザイナー。ボードゲームやカードゲームのキレのいいデザインにより海外からも注目を集めているが、もともとアツいTRPGファンでもある。 クシュタリ:カラシュターのパラディン (PL見田航介)D&D第4版や『ウォーハンマーRPG』や各種ボードゲームなどの翻訳家として活躍するのみならず、『GAME LINK』や『Role&Roll』といったTRPG系の定期刊行物や国産RPGのイラストワークも手掛けている。 ●クエストの確認 DM(ダンジョン・マスター)岡和田(以下、DM):第1回・第2回の冒険を経て、君たちは無事、トレイルブレイザーズを救い出し、地下竜教団が執り行っていた邪悪な儀式を阻止することができました。“竜の予言書”の洞窟を異形どもから浄化し、主要クエストを達成することができたのです。 一同:やったー! DM:また、各人の副次クエスト達成状況を少し確認しましょうか。(メモを見ながら)ネディアの副次クエスト「ヘタレなランバートを奮起させる」、そしてジュスの副次クエスト「“爆裂竜”モニクを倒す」は無事、達成されました。 中山(以下、ネディア):わーい。 ノダソル(以下、ジュス):ざっとこんなもんよ! カナイ(以下、ヘルメス):しかし、俺の副次クエスト「女性たちが廃人にされた手がかりをつかむ」(第1話参照)については、まだ手がかりがないな……。 高橋(以下、ベック):トレイルブレイザーズの救出を優先したのですから、やむをえないでしょう。情報収集に時間をかけすぎたら、トレイルブレイザーズの面々を助けられなかった可能性もありました。自分は「印章指輪をテリクの街に届ける」というクエストを与えられていますが、それについては、この後で成し遂げるつもりです。 会話型RPGのシナリオは、プレイヤーの展開や創意工夫によって幾重もの広がりや分岐を見せるのが常だ。一本道のシナリオが用意されていることもあるが、プレイヤーが変われば、まったく別の冒険のように見えることも、しばしばである。 見田(以下、クシュタリ):死霊術士の情報は得たかったがな。急ぎの用がないのであれば、邪悪なものどもが、再度、ピートランドの村を襲うようなことがないよう警戒態勢を敷くのがベストだと思うぞ。それに協力しつつ、情報収集を行うというのはいかがかな。 DM:面白いので、それ採用させてもらいます。 ネディア:クエストのコンプリートは難しいものですね。 ●後宮の秘密 DM:それでは、もう少しお付き合いを……(語り部口調で)。 君たちはしばらく時間をかけ、トレイルブレイザーズたちや、開拓に出た村人、立ち寄る行商人、さらにはコボルドの戦司祭である“ゲラ”という名前のコボルドや、その子どもたちから、あれやこれやと情報を集めてきました。すると、1つの大きな事実が浮かび上がってきたのです。 まず、村の少女の一人、かつてはカルナスの首都コースで働いていた女の子。彼女がしばらく前に、身体を壊して村へ戻ってきたことがわかりました。彼女がコースで見聞きした情報をあれこれ繋ぎ合せるうちに、(ヘルメスのもとへ送られてきた)かつての美貌をうかがわせる患者たちは、カルナス国王カイウスIII世の後宮で働いていた者たちと判明したのです。コースの隣にあるアターの街にいた女性も、その大半はコースの後宮で国王の側仕えをしていた人たちでした。 ヘルメス:患者たちはその話をしていたのかな? DM:いいえ。きつく口止めをされていたのか、それとも何か魔法的な制約を課せられていたのかは不明です。ヘルメスが看た患者にしても、なんとか言葉の断片を辿っていくうちに、あたりをつけられた程度ですね。 ヘルメス:カルナスの後宮を取り仕切っているのは、どういう人物なんだろう? DM:ビューティ。ヒューマンではなく、流線型をしたフォルムを誇る妖艶なウォーフォージドですね。後宮は、彼女の管轄下にあります。また、彼女はカルナスの貴族、ハルデン・ド=オリエン卿の側近とも言われています。 ヘルメス:なかなか厄介だが、つながってきたな。 ネディア:オリエン氏族に関係しているのですね。そのハルデン卿が、どのような人物かわかりますか。わたしの父の知り合いだったりします? DM:じゃあ、ネディアは〈事情通〉でロールをして下さい。 ネディア:(ころころ)15です。 DM:はい、お察しの通り知り合いです(笑)ただハルデン卿は、ネディアの父ゾグルドとあまり仲がよくありません。政治的なライバル、と言ってしまってよいかも。ネディアの父が、事あるごとに新たな“ライトニング・レイル”の路線を切り開き、少しでも販路を広げられるようにすべきだと主張しているのに対し、ハルデン卿は保守的で、現状の路線を維持しながら利権を最大化せよと主張しています。 ベック:改革派と守旧派。まっこうから対立していますね。政敵同士かあ。 ネディア:あああ、ちょっとやっかいですね……。 ●バジリスクの卵 DM:一方、ベックは、トレイルブレイザーズが落ち着くのを待ってから、印章指輪をテリクの街まで届けに向かいました。道中、ちょこざいなオークの山賊などと出くわしたものの、君のような英雄の敵ではありません。『武勇の書』のコラムを参考に考えると、D&Dの第4版では、たとえ1レベルのファイターであっても、素養のある200人に1人出るか出ないかの逸材なのですよ。 ヘルメス:きっと相手は雑魚だったんだろうな(笑) ベック:ひどい(笑)クリーヴ/薙ぎ払いが唸りを上げたに違いありませんね。 DM:まあ、そんな感じかな(笑)ちょこざいなと撃退しつつ、テリクの街へ到着します。すると、目指す先のフィッツギボン商会は、ブラックマーケットの一角で、すぐに見つかりましたよ。 D&D第4版はパーティで戦闘することを前提としてバランスが組まれているため、分散したパーティが個々のシーンで戦闘をすると、往々にしてバランスが崩れてしまう。ただし、個人行動をしている際にまったく敵と鉢合わせしないのも不自然ではあるので、適度、演出を混ぜていくというのもひとつの方法だ。時間に余裕があるDMは、パーティ単位ではなく、戦闘における個々のPCの性能もチェックしておくとよいだろう。 ベック:ブラックマーケットですか! ずいぶん活気がある市なのだなあと思っておきます(笑) DM:商会に案内されて、印章指輪を届けると、事務方の手続きに促されます。そして待たされた挙句に、最低限の手間賃を渡されて、晴れて君はお役御免、放逐されるということになりました。無愛想、取り付くしまもありゃしません。 ベック:おやおや、主人の忌わの際に立ち会った者を前にして、ずいぶんと{邪険/じゃけん}な対応ですね。 DM:ウォーフォージドはヒューマノイドではなく「モノ」であるという思い込みが、いまだ拭えていないのかもしれません。カルナスは保守的な土地柄ですし……。あるいは、取り次いでくれたのが商会を取り仕切っているフィッツギボン氏当人ではなく代理の番頭だったからかもしれません。 DM/番頭:「君の主人が亡くなってしまわれたのは残念だが、こういう時代だ、仕方あるまい。印象指輪が残っているのが、不幸中の幸いといったところだ……」 ベック:言葉もなく、立ち尽くしています。 クシュタリ:ひょっとして、ベックが殺したと疑われてはいたりします? DM:その可能性は低そう。番頭さん曰く、あくまでウォーフォージドはモノなのだから、主人に危害を加えてはならないとプログラミングされているだろうと考えているのです。ひょっとすると、その他、主人の命令には背かない、自己防衛機構を働かせるうえでも上記2点を優先するという「ウォーフォージドの三原則」が刷り込まれていると思っているのかもしれません。 ベック:うわー。(有名なSF作家)アイザック・アシモフの「ロボット三原則」で片付けられてしまうとは(笑) 念のために言っておけば、「ウォーフォージド三原則」というのものが、オフィシャル設定に存在するわけではない。 ただウォーフォージドがいかなる動力で動き、どのようなシステムがプログラミングされているのかは、ユーザーの創造性に委ねられている部分が多いので、ルール上、特に問題が起きるようなものでなければ、自由に発想してしまっても面白いだろう。ハードディスクで動いているウォーフォージド、からくり仕掛けのウォーフォージドなど……。 演出に凝ったり、設定の隙間を自分なりに埋めていくのも、大事な楽しみ方の一つなのだ。 ベック:……いまだウォーフォージドは、まともな知的種族とみなされていないのですねぇ。 クシュタリ:まあ、気を落とすでない。 ベック:そうだ、バジリスクの卵(第1話参照)についてお聞きしないと。「ところで番頭さん、バジリスクの卵というものは、どうなったのか教えていただけませんか?」 DM/番頭:「ああ、そのことか。久しぶりの上物だっていうから、さる“高貴なお方”が、高値で買ってくださったよ」 ベック:「その“高貴なお方”のお名前は?」 DM:番頭はよほど嬉しかったのか、つい自慢げに「コースのハルデン・ド=オリエン卿というお方だ」と口を滑らせてしまうよ。 一同:つながった〜(どよめく)。 DM:いやいや、ベック以外はここにいないんですよ(笑)さすがにしゃべりすぎたと判断したのか、番頭はそれ以上教えてはくれませんね。 ベック:いったい、何に使うんでしょう? ヘルメス:儀式の触媒になると言っていたっけなあ。 ここで番頭が口を滑らせたのは、シティ・アドベンチャーであまり情報を出し惜しみしてしまうと、セッションが停滞する原因となるから。ベックが自然にロールプレイできていたので、ここは情報を与えることにした次第。 また、今回のようにパーティが分散した状態だと、再度合流するまでは、情報の共有ができないはずだ。しかし、(キャラクターではなく)プレイヤーは同じ場所で顔を合わせているわけだから、ついつい他人のシーンにツッコミを入れたくなってしまうのは人のサガだ。そこで今回DMは、セッションを円滑に進めるため、ほどほどのツッコミは容認するスタンスを取っている。マスタリングは柔軟性が大事なのだ。 ●成長、成長! DM:それ以上の手がかりは得られませんでしたが、ベックはとりあえずピートランドへ戻ってきましたよ。 ヘルメス:オレの副次クエストの手がかりは得られたと考えていいかな? DM:はい、OKです。 ヘルメス:よくやった、ベック! DM:それでは、経験点の計算に移りましょうか。 D&D第4版では、成長というのは最も楽しい瞬間の一つだ。それまでの苦労が報われ、成長し、さらにスケールの大きな冒険に乗り出すことができるようになるのだから。 『プレイヤーズ・ハンドブック』のP.27には、レベルアップの手順が記されている。レベルアップのためには、経験点が必要だ。経験点を獲得するには、主要クエストや副次クエストを達成したり、あるいは遭遇時にモンスターを撃退したり、パズルを解いたりすることで、キャラクターに成長するきっかけを与えてやることが大事だ。 今回のアドベンチャーでは、主要クエストの経験点が1250、PC(プレイヤー・キャラクター)各人の副次クエストが250。ちなみにレベル2になるために必要な経験点は1000である。 DMは各遭遇の経験点をそれぞれ割り出していく。撃退したモンスターの経験点や、うまく解除した罠や危険要因に設定された経験点を合計し、それらをパーティの人数で頭割りしていくのだ。結果、レベルが2になるまでの要件を、無事に満たしていたことがわかった(つまり、レベルアップに必要な経験点1000を超えていた)。 ネディア:やっとレベル2になれるのね!(感涙) ジュス:俺様の秘術も、さらなる冴えを見せるわけだな。 ヘルメス:レベル2になると、汎用パワーを1つ、特技を1つゲットできます。 ネディア:汎用パワーって? DM:汎用パワーとは、自分や味方を支援するためのパワーです。一見地味だけど意外に役立つパワーが、たくさん用意されていますよ。 ネディア:(ルールブックを見ながら)レベルの半分に基づく数値(攻撃基本値、防御値、イニシアチブ、技能判定、能力値判定)のすべてが1上がるんですね、嬉しい。 ジュス:ヒット・ポイントも、キャラクター・クラス毎に決められた数値に【耐久力】修正値をプラスしたぶんだけ上昇するようですね。これでウィザードでも生還できそうです(笑) DM:それでは、残りの時間で、各自相談しながらレベルアップ作業を行なってくださいね。間に合わなかったぶんは、次のセッションまでに、家でやってきてもらってもかまいませんよ〜。 一同:は〜い! こうして2レベルにアップしたパーティ。遭遇での生還率も格段にアップした。さらに強力になって、新たな冒険に乗り出すこととなったのだ。 その後も、数回のセッションを重ね、テリクの街周辺を冒険しながら、“竜(ドラゴン)の予言”をめぐる情報を探し続ける一行。 このように、キャンペーン・ゲーム(1回きりのセッションではなく、継続するセッションのこと)では、大河ドラマのような複雑で壮大な物語が紡ぎ出されていくことになるが、5レベルになった時点から、話を再開させるとしよう。 (続く) “『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜” is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy.Not approved/endorsed by Wizards. 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2026年6月24日水曜日
第2回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4900
第2回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「蜂竜の森」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「蜂竜の森」の冒険譚です。 妖狐のフォルネ、魔猫のニャルラ。二匹のお供を連れたタイガの冒険です。 今回の目当ては「蜂竜の王蜜」。 蜂竜の巣の中でなければ手に入らないそれを、コーネリアス商会の料理人クックロッド氏の依頼で引き受けたタイガたちです。 しかし蜂竜は、スズメバチとドラゴンの両方の特性を兼ね備えたという凶暴かつ巨大な魔獣。 今回の依頼はかなり手ごわそうです。 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5 魔術点:4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:10 器用点:8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料2 金貨5 1 蟷螂蜂毒 3回分 追加ダメージ1 巨大樹の迷宮P56 2 ロープ ●アタック01-3 タイガと水の魔物 【13 清流の主】 蜂竜の巣が発見されたのは、この森の奥深くという。 「百竜の森」と呼ばれる巨大な繭の方向へ向かうが、そこに至るまでの中間地点くらいらしい。 「『百竜の森』へ近づくほど、見たこともない奇妙な生き物が出てくるっていいます」 「丸々獣やメガレオンも出るって聞いたの〜」 フォルネとニャルラの会話は、同じ話題なのに興味の対象が明らかに違うのがおもしろい。 微妙にかみ合わない会話をしているが、お互い別に気にもしていない。 森はいかにも、熱帯の森といった感じの植生だ。 小道は、広い川に沿って奥へと延びている。ワニでも出てきそう。 いや、この場合ワニドラゴンとか、鰐竜とかになるのかな。 そんなことを考えていたら、川のほど近くでざばあっと、巨大な魚がはねた。 その水の勢いはすさまじく、僕にしこたま水がかかった。 そして次の瞬間、足首のあたりをものすごい力でつかまれ、僕は一気に水の方へと引きずり込まれたんだ。 その瞬間、僕はたしかに見た。 さっき、巨大な魚だと思っていたものには、コウモリのような羽根が生えており、さらには水かきのついた足のようなものがついていたこと。 これは断じて魚などではない。百竜の森で生まれた、魚と竜とが合わさった個体に違いない。 「タイガさまっ!」 僕の目の前で、銀毛の狐がせつなげな表情で前脚を伸ばし水に飛び込んでくる光景が見えた。 けれど、それは僕には届かなかった。 僕はしこたま水を飲み……そしてそのまま、意識は闇の底へと沈んでいった。 *** 次に僕の意識が浮かび上がった時には、口の中に空気が強引に押し込まれてきていた。 その空気は、僕の体内の抵抗をものともせずに、肺のあたりまでに達する。 次には、胸が上から強く繰り返し圧迫される。たまらなく痛い。そして苦しい。 その時、のどもとにひっかかっていた「なにか」が外れたような感覚がして、僕は「がはっ」とせき込んだ。 それと同時に大量の水を吐き出す。ぼんやりしていた意識が一気に鮮明になった。 覚醒。目が開く。 そこには、涙ぐみながら必死の形相で僕の胸をぐいぐいと押している、髪をふり乱した和装の少年の姿があった。 「……フォル……ネ?」 「はい。……はい! タイガさま、タイガさまっ!」 「たいがおきたっ!!」 僕はようやく、自分の身になにが起きていたのか理解した。 魚の怪物に襲われ、水の中に引きずり込まれ、大量の水を飲んで意識を失っていた。 それを助けてくれたのは、フォルネとニャルラだ。 「ありがとう……助けてくれて……」 力のない声でお礼を言うと、フォルネが泣き崩れた。 「違うんです。私は……届かなかったんです。タイガさまを必ず守ると誓ったのに、目の前でみすみす……」 「アタイがギリギリ間に合ったのよ!」 ニャルラがドヤ顔でふんぞり返っている。 「それでも、ありがとうだよフォルネ。意識を失くした僕を介抱してくれたんでしょ」 「たいが、目をあけないから心配したのよ」 「ニャルラもありがとう」 フォルネは顔面をぐしゃぐしゃにしながら、声にならない声を上げている。 僕は寝たままでゆっくりと腕を伸ばすと、フォルネの頭をなでて、もう一度「ありがとう」と伝えた。 「……あの怪物は、どうなったの?」 フォルネは感情の揺れが整わない様子だったので、ニャルラに尋ねた。 「逃げられちゃった……」 ニャルラはさらっと答えた。 逃げていったのならかまわない。戦っていたら、逆に危なかったかもしれないし。 僕は、自分が寝かされているのが道から奥に入った森の中ということに気づいた。 「あれは自分は魚だと油断させておいて、近寄った者を川に引きずり込む狡猾な魔物です。川の近くは危険と判断したので、奥へ」 フォルネはようやく少し落ち着きを取り戻してきた。 「タイガさま、この森はかなり危険です。依頼をキャンセルして、戻りませんか」 フォルネが、そんなことを言い出した。今の出来事がかなりショックだったのだろう。それはわかる。 「お〜みつほしいけど、がまんするよ。たいがしんじゃったら、やだもん」 ニャルラまでそんな風に言い出した。 僕は体を起こして全身を確認する。掴まれた足首が少しじんじんするけれど、動作に問題はない。 他に身体的なダメージはない。 僕は少し考えて、言った。 「まだ冒険は始まったばかりだし、もう少しだけ行ってみよう。それで、どうしても僕たちの力に見合わないと思ったら、引き返せばいい」 「……タイガさまが、そうおっしゃるなら」 「わかった。じゃあ、出て来た敵はぜんぶアタイがやっつけちゃうね」 僕たちは少しの休憩をはさんで、旅を再開した。 [プレイログ] ・清流の主は従者を狙う。救出には【筋力ロール】または【幸運ロール】で目標値5。 ・荷物持ち(タイガ)の場合、【筋力ロール】に+2の修正。 ・フォルネは魔術点、ニャルラは器用点のキャラクターのため修正の恩恵は受けられない。技量点にて判定。 →フォルネ、サイコロの出目2+技量点2=4 失敗 ・2人判定してはいけないと書いてないので、ニャルラも判定する。 →ニャルラ、サイコロの出目5+技量点1=6 成功! ●アタック01-4 竜人の娘キャティと勇者さま 【21 竜人の村】 道は徐々に川から離れたため、僕たちは少し安心した。 けれど、森の中なら森の中で、別の危険はある。注意しなければ。 やがて、少し開けた場所に出た。 柵などの囲いが見え、高い木々の上に家らしきものが建てられているのも見えた。 どうやら、小さな集落らしい。 やがて、木の上にいたであろう人物が降りてきて、僕たちのところに来た。 たぶん、この集落の見張り番だろう。 見たところ、弓矢で武装した若者といったところだ。 けど、それだけではない。頭には、竜を思わせる角と特徴的な耳がついていた。 人間ではないのだ。竜人といったところだろうか。 「子どもがこんな危険な森に来るとは。迷子とは思えないが、何をしにこの村へ来たのだ」 さあ、なんて答えよう。 とはいえ、森の中で生活を営んでいる人たちなのだろうから、別に嘘をついたり隠しごとをしたりはしなくても、いいかな。 「僕たち依頼を受けて、蜂竜の巣を探しています」 「アタイたち、お〜みつを取りにいくのよ」 それを聞いた竜人の若者の顔が、ぱあっと明るくなった。 「なんと、あの蜂竜を!」 それだけで、この村も蜂竜に悩まされていることがわかった。 「小さな冒険者さん方。我々はあなたを歓待しよう。どうぞ村の中へ」 僕たちは、あっさりと村へと通された。 村に入ると、ひとり、またひとりと竜人たちが寄ってきて、ちょっとした集まりみたいになった。 竜人たちは僕たちに興味があるみたいだ。 「ようこそ旅のかた。蜂竜と戦う者を、わしらは歓迎する」 竜人の老人がそう語りかけてきた。村の長老って感じの人かな。 「いえ、僕たちは退治しに来たわけではなくて……」 「王蜜が目当てなのだろう? それでかまわない。蜂竜と敵対することに変わりはないのだから」 そうして長老は語り始めた。 もともとこの村は、百竜の森の中にあった。 百竜の森の中はかなり特殊で、常に新しい魔物が生み出される場所でもある。 彼ら竜人もそうした中で集落を作り、協力して生き延びてきた。 しかし、百竜の森を統べようと目論むヒュドラクイーンと、どこにも所属せずに生きてきた竜人の村は相容れることができない。 竜人たちは不本意ながら、ヒュドラクイーンとことを構えることとなってしまった。 ヒュドラクイーンの配下たちの攻撃は退け続けていたものの、争いの絶えない生活に疲弊した竜人たちは、ある年、百竜の森の繭が解ける時を狙い、百竜の森から外界の森へと拠点を移したのだという。 「しかし最近、百竜の森との境界が消える『繭なしの日』に蜂竜が外界に出てきたのだ」 聞けば蜂竜は、百竜の森の中でもかなりの危険生物として駆除対象になっていたそうだ。 強さと凶暴さと繁殖力をあわせ持つ恐ろしいクリーチャー。それが蜂竜。 「そのため村は現在、蜂竜特別警戒体制を敷いておる。蜂竜退治のために必要なものがあれば、物売りのキャティに用立ててもらうと良い」 僕はキャティさんのところを訪ねてみることにした。 小さな集落だから、目と鼻の先だ。 「タイガさま、私は少しお手伝いをしてきます。皆で村の防備を固めているところだというので」 「アタイも! アタイもいく〜」 そんなわけで、キャティさんのところへは僕だけで行くことになった。 そこには、基本的な武器や防具はだいたい取り扱っている。 竜人は人間と同じような体型をしているから、同じ装備を使うことができる。 ほかには、トカゲ型の騎乗生物なども扱っていた。 僕たちの主戦力、フォルネとニャルラはこういった装備はできないし、騎乗生物を連れて歩けるだけの余裕もない。 だから僕は、非常食の買い足しをしながら、キャティさんと少し話をしてみた。 キャティさんによれば、この村の男の多くは戦士で、今も蜂竜の討伐に出ているという。 また、男ばかりでなくキャティの姉も戦士として戦いに赴いているそうだ。 「それから、私たちには頼りになる勇者もついているんですよ!」 キャティさんは誇らしげに言った。うっとりとしたその表情は、その勇者に心奪われているように見えた。 「あ、でもナイトくんのことちゃんと説明しとかないと。あの人誤解されやすいから」 どうやらだいぶ特徴的な「勇者」らしい。 「えっとね。まず人間じゃなくて……竜人でもない。どちらかっていうとカブトムシに近いかな?」 キャティさん、意味がわかりません。 「あ、そう。そうよね。でもちゃんとカブトムシから人型に変形もできるから」 僕はますます混乱した。 どう聞いても、魔物のたぐいにしか聞こえない。 「ナイトくんは余所から来たのに、この村のことをすごく気にかけてくれているの。百竜の森にいた頃は、ヒュドラクイーンの配下に囚われた私の姉を救出してくれたこともあるのよ」 その強烈な特徴はともかく、強力な味方なのだろうということはわかった。 「それでね」 キャティがさらに何かを言おうとした時だ。 「タイガさま、大変です」 フォルネが人間の姿で、髪をふり乱して駆けてきた。きっと人の姿で村の手伝いをしていたんだろう。 僕の前で、あわてて妖狐の姿に戻ると、早口で報告した。 「近くで蜂竜の目撃が!」 「まあ大変。今、村で戦える人たちは、蜂竜討伐のために出てしまってるのよ」 「ナイトさんも?」 「そう。一緒に。もしかしたら、取りこぼした蜂竜がこちらに向かってきたのかも?」 とにかく、こうしてはいられない。 村を守る人がいないのなら、僕たちが行かないと。 「ニャルラは?」 「フォルネまって〜」 言うのとほぼ同時にニャルラが追いついてきた。 「ニャルラ、これから蜂竜との戦いになるよ。いける?」 「わお。たたかいならまかせといて〜!」 ニャルラはいきなり戦闘モードでたかぶっていた。 「そのやる気でお手伝いもできたらよかったんですけど」 「フォルネひどい〜。アタイもおてつだいしてたのに〜」 「作業してる村人をつかまえて『あれなに?それなに?』って聞きまわるのはお手伝いとは言いません」 「フォルネのいじわる〜」 「でも、ここからは大活躍してくれるんでしょう? 期待してますよ」 「うん! もっちろん」 心なしか、フォルネがニャルラの動かし方を心得てきている気がする。 「じゃキャティさん。僕たちは行くから。村長さんによろしく」 「わかったわ。タイガくんも気をつけてね」 僕たちは竜人の村を出て、蜂竜が出現したという方角に向かった。 [プレイログ] ・竜人の村でお手伝い判定。筋力ロールで目標値は4。 ・フォルネ サイコロの出目4+技量点2で成功。「手がかり」入手。 ・ニャルラ サイコロの出目2+技量点1で失敗。生命点-1。(ニャルラの生命点10→9) ●アタック01-5 ニャルラと蜂竜遭遇戦 【33 蜂竜(戦闘兵)】 僕たちは、蜂竜に初めて遭遇した。 向こうから一直線に飛んでくるそれは、見た目は巨大な蜂に見えた。 僕なんかよりもずっと大きい。人間の大人くらいのサイズはありそうだ。 蜂竜が接近してくると、より細かなディテールがわかる。 ぱっと見は蜂みたいだけど、そのがっしりした胴体は、竜の皮膚に近い。 蜂ならもっと虫っぽいと思う。どちらかというと動物的なつくりをしているみたいだ。 にもかかわらず、手足は妙に節くれだっている。そこはいやに昆虫っぽい。 あちらにとっては出会いがしらの事故のような遭遇だろうけれど、僕たちにとっては予定した流れだ。 蜂竜は、僕たちのことなど眼中にないかのように、直線的な動きで蹴散らそうとしてくる。 僕たちは戦闘態勢を取った。相手の反応を見てから動くつもりはない。 【蜂竜 レベル5 生命点4 攻撃回数1】 まずはフォルネが大きく跳躍する。 しかし空飛ぶ蜂竜の高度には一歩届かず空を切る。フォルネは危なげなく着地した。 そこへ、木を蹴って反動でさらに高く跳躍したニャルラがとびかかり、下からアッパー気味の猫パンチを繰り出した。 それは蜂竜の顎の下に見事にクリーンヒットし、大きくのけぞる。 ニャルラはそのまま空中でムーンサルトのような回転をすると、しなやかな脚を伸ばして胴体に猫キック。 ニャルラの連続攻撃を受けた蜂竜は大きくバランスを崩すと、地上へ落下する。 しかし、ニャルラの攻撃はそれで終わりではなかった。 ニャルラは空中で三回転しながら地上の蜂竜に狙いを定めると、きりもみ回転を加えてドリルのような両足蹴り。 蜂竜は羽根で地面の砂を巻き上げながら、ギリギリでかわして飛び立った。 そして、明らかに分が悪いことを悟ったのだろう。くるりと回ると、さきほど向かっていたのとは別方向に飛び去っていった。 「やだ逃げられちゃった〜」 「大丈夫だよニャルラ。竜人の村とは全然違う方向だから。これは逃げられたんじゃなくて、追い払ったっていうんだよ」 「そなの? じゃ、アタイのだいしょうりっ?」 「そうそう」 実際、息をもつかせぬ連続攻撃だった。 僕たちは、蜂竜を相手にしても十分に戦える自信を持つことができた。 「それにしても気になります。蜂竜の動きは、僕たちを狙うというよりも、やみくもに直線的に向かって来ているように見えました。そう、まるで何かから逃れるように」 「つまり、向こうに行けば、蜂竜がおそれる何かがいる。もしかしたら、竜人の戦士たちが戦っているのかも」 「行ってみましょう」 僕たちは、蜂竜が飛んできた方向に向かった。 やがて森が開け、花畑のような場所に出た。 そこで僕たちは見たんだ。 空中で対峙する、巨大な蜂とカブトムシを。 [プレイログ] 【蜂竜 レベル5 生命点4 攻撃回数1】 ・第1ラウンド フォルネの攻撃 サイコロの出目1 ファンブル ニャルラの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル 蜂竜の生命点4→3 ニャルラの追加攻撃 サイコロの出目6 クリティカル 蜂竜の生命点3→2 ニャルラの追加攻撃 サイコロの出目2+技量点1 外れ 蜂竜は逃走 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5 魔術点:4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:10→9/10 器用点:8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料2 金貨5 1 蟷螂蜂毒 3回分 追加ダメージ1 巨大樹の迷宮P56 2 ロープ 「手がかり」1 ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。 コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。通称コニー。オウカンワシにさらわれたところをタイガたちに救われる。 ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。コニーの父親。 クックロッド コーネリアス商会の料理人。蜂竜の王蜜取得に情熱を燃やす。 キャティ 竜人の村の道具屋。初出はゲームブック「百竜の森」。 ナイトくん カブトムシ形態から人間形態に変形できるキャティの「勇者さま」。 ■作品情報 作品名:蜂竜の森「ローグライクハーフ」d33シナリオ 著者:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ(「蜂竜の森」収録) https://ftbooks.booth.pm/items/5361362 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。