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2021年7月28日水曜日

第7回【クトゥルフのいざない】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.3108

第7回【クトゥルフのいざない】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【クトゥルフのいざない】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。

ぜろです。
【クトゥルフのいざない】クリア!
今回は感想回です。

アタック01 砂漠の遺跡で蛇人の妄執に囚われる
アタック02 クトゥルフの復活を阻止してクリア!


●クトゥルフ入門として最高!

本作は、クトゥルフ神話の入門編としてものすごくレベルが高い作品です、と最初にはっきり断言します。
本当に素晴らしい。

原作が下敷きにある物語。まさに「クトゥルフ」そのものを扱っている点。
シンプルなシステム。読みやすさ。

内容もシステム面も、文句のつけようがありません。

クトゥルフを扱ったゲームブック作品として有名なものに「暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン」という作品があります。
私は所持しながらも未プレイなのですが、この作品が強烈な難度であることは、噂に聞いて知っています。

また、クトゥルフとは関係ありませんが、恐怖を扱う作品としてはスティーブ・ジャクソンの「地獄の館」が有名ですね。
こちらはプレイしたことがありますが、恐ろしい難度でした。

思うに、恐怖をテーマに扱う作品は、難度が跳ね上がりがちなのだと思います。
恐怖を与えるというコンセプトは、ゲームオーバーの場面にこそ輝くという発想もあるのかもしれません。

しかしこの作品、プレイしてみるとわかるのですが、難度は高くありません。
それどころか、むしろ易しい。
それでいて、上限3点しかないというパニック値のきわどい設定が、作中に危機感を漂わせます。
いいスパイスになっています。

クトゥルフもののゲームブックは難しい、という思い込みをぶち壊す作品だと思います。

それにしても3章の主人公サーストンの、鋼メンタルっぷりが半端ないですね!
1章2章なら確実にパニック値が上がってるような場面でも平然としてますし。


●幅のある展開

さらに、原作つきでありながら、ストーリーが1本に限定されていない点。
特に情報収集の段階が練りつくされています。
同じ情報を、どこで得るのか、どういう順番で得るのか。何章で得るのか。
それらは固定されていないのです。
あなたがプレイしたとして、私と同じルートを辿り、私と同じ情報を手に入れるとは限らないのです。

たとえば1章でルグラース刑事がウェブ教授に彫像を預けたことで、教授は不審死を遂げました。
そこで彫像を預けない場合、ウェブ教授は2章以降も健在で、彼から情報を得ることができるのです。

クリアの方法も、1つではないようです。
私はドイツ軍の協力を得ました。
私のリプレイ中に【エルダーサイン】という単語がありました。そちらの手段からでもクリアは可能なようです。
クトゥルフ神話ではクトゥルフに並んで有名なハスターなんかを対抗手段として出してくることもあるみたいです。
クトゥルフにハスターで対抗する、って他の作品でも見たことがあると思います。メジャーなのかな?


●シェアワールド的な展開

これは、あとがきで作者が書いていたものです。
本筋のルートをそれた時に、単純にゲームオーバーにするのではなく、クトゥルフの別作品の世界に迷い込むような構成にしよう、というコンセプトのようです。
原作未読なので想像でしかないのですが、原作はクトゥルフ初期の作品ですし、クリーチャーもクトゥルフに絞った構成なのではないかと想像します。
だからきっと、1章に登場した「盲目のもの」や、アラビアの砂漠の蛇人の亡霊、ポナペ島の祭壇にひょっこり置いてあったショゴスなどがそれにあたるのでしょうね。

これらについては私は、良い面の方が大きいと考えていますが、ほんの少しのデメリットもあったと思っています。

デメリットというのは、クトゥルフとは別のクリーチャーの存在で、早々に常識が切り崩されてしまう点とか、そんなものです。正直全然大したものではありません。
1個気になったとしたら、「盲目のもの」情報は本編で、森に入る前の情報収集でもらえてしまうものだから、儀式のクトゥルフ信仰が、盲目のものの信仰と誤解されかねない点。
たぶんクトゥルフを知っている人はそういう風にはならないのだと思います。
知らないでプレイすると、与えられた情報の流れからは、盲目のもの信仰と推察してしまう構成になっています。リプレイではそんな風に感じた要素を少し入れ込んでみました。

もちろん、メリットは、そんなデメリットを軽く吹き飛ばすものです。
クトゥルフ者からしたら、原作には登場しないクリーチャーの意外な登場は歓喜でしょう。
あんまり知らない私でも、ショゴスの登場はちょっと「おお!」ってなりましたもん。

クトゥルフにはいろんな世界があり、いろんな作品がある。それを感じさせるもので、作品への興味をかきたてる、良い演出だと思います。


●読み物としての「軽さ」

内容の軽さじゃないです。
難度の低さとも関連していますが、この作品、ゲームブックにしてはかなり「軽い」部類に属します。

そもそもゲームブックは「重い」読み物です。
ゲームオーバーになればやり直しだし、選択肢を選んでページを繰って、場合によっては同じ展開を繰り返し読むことにもなります。

この作品は、そうした「重さ」を出来る限り排除している様子が見られます。
ゲームブックの「ブック」の方に重きを置いて、ゲームシステム的な記述は最低限に、物語として読ませる文章になっています。

ゲームオーバーになった場合にも、ものすごく戻ってやり直さなければならない事態に陥ることはまれで、大抵が、ほんの少し戻ってやり直せばリカバリーが効くというレベルのものです。
小説を普通に読む程度の労力で読めてしまうこの作品は、ゲームブックとしては、かなり間口が広いと思います。

現代人さんは、情報が過多すぎて、ワンコンテンツを味わう時間が必然的に減ってますからね。
そういう人のためにも良い作品だと思うのですよ。忙しい人のためのクトゥルフ。

しかも展開がいいんだこれがまた。
原作未読ですが、ちょっとだけネット検索したところ、もともとは主人公3人が交代していくような作品じゃないみたいだし。
それを、主人公が交代していくドラマチックなストーリーにしてしまった杉本=ヨハネさんの手腕は見事なものです。

それに多分、プレイヤーに不快な思いをさせないようにかもしれませんが、主人公たちにも原作以上のグッドエンディングを与えているように思います。
想像ですけど、エインジェル教授は原作では死亡がデフォルトでしょうね。
それを、死亡を偽装して隠居にするとか。
あるいはウェブ教授。私は死なせてしまいましたが、きっとあの人も不審死を遂げるのが本来で、生き残るルートは原作には存在しない気がしています。


●バグ報告

では、重箱の隅レベルのバグ報告です。

パラグラフ30
カストロが死亡した後に以下を追記。
「また、【カストロの死】を覚えておくこと。」

→パラグラフ91で、【カストロの死】を覚えているかと問われます。
情報に【カストロの死】がないと、うっかり覚えていない方に進み、生きているカストロと面会できてしまう場合があります。
はい。普通に読んでいれば気づくことなので、何の問題もありません。


●まとめ

おかしい。
いつも感想では、辛口だったりツッコミを入れたりすることがあるのに、というか作品にツッコミを入れることを楽しみにしている節さえあるのに、なんだこの絶賛記事。
あーそうだねー世界中どこでもつながる通信機器はオーバーテクノロジーじゃないかなー。
いかんダメだツッコミに力がない。
あと、このリプレイは、クトゥルフ知識が半端な筆者が、原典にも当たらずに書いたものですので、むしろ私の方こそツッコミを入れられまくってしまう可能性すらあるぞ。
原作のストーリーは、私がたどった道筋と比べて、どうだったのだろう。気になってきますね。

もう開き直って、それだけ面白い作品だったってことですよ。
だから、クトゥルフが気になる人はすべからく読めばいいんじゃないかな。

読んじゃいましょう。そして呼んじゃいましょう。
「ふんぐるい むぐるうなふ くとうるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん」

じゃあ、クトゥルフ教団に目をつけられて消されないうちに、今回の感想記事を終わります。


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2021年7月27日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.42 FT新聞 No.3107

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『これはゲームブックなのですか!?』vol.42

 かなでひびき
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「今っ! よみがえる死体っ!」
 前回に引き続き、「死体が生き返った」ネタをやっている推理小説ネタでお送りいたします。
 ここは「みんなの本棚かッ!?」バーチャル図書委員長かなでひびきです。
 だけど、このネタ、結構あるように見えて、メジャーなのが『屍人荘の殺人』(著 今村昌弘)、『生ける屍の死』(著 山口雅也)しか思いつかないのは、さびしいこと。
 かなでが浅学だけなのかもしれませんが、死者のよみがえりって、それこそキリスト時代からあるのに。いじりがいのあるネタだと思います。
 今回は数少ないこのネタを扱った白眉『蘇』(0能者ミナト 3巻 葉山透 メディアワークス文庫)

 街で「怪しげな怪異」がらみの事件を解決する、通称「0能者」九条湊のもとに、一人の「切れ者」風な男が現れる。
 そいつは、「ある人物を殺してほしい」と依頼する!
 しかも、そいつは死刑囚。とどめに、「毒物でも絞殺でも射殺でも、とにかく何をしても『死なない』男」と来たもんよ!

 実際にその死刑囚「姫川恵介」は、たとえ頭をたたき割られても、数分で再生してしまうの!
 まるでビデオの逆回しを見ているように、傷口が元へ戻る。
 こんな調子で、ナイフで刺そうが毒を盛られようが、へっちゃらなの!
 はたして、奴の不死を支えているものとは何か?
 依頼主「米澤」は、明らかに政府に一枚かんでいる。
 そして、湊には、何のバックボーンもついていない。
「不死の秘密を探り当てたら、その場で黒幕がそれを回収」
 最悪「探偵役=湊も消されてしまうかもしない」危険なシチュエーションの中、彼が見せた「解決法」とは……。

 ええ、姫川は中国人じゃないけど、思いっきり探偵小説のルール、ノックス十戒にいきなり反しているわ!
 だけど、この本は立派な「推理小説」よ。
 というのが、「死なないからお手上げ」という思考停止ではなく、「じゃあ死なない理由はなんだ?」という考察から話は始まる。
 吸血鬼、ゾンビ。あるいは八百比丘尼のように「人魚の血を飲んだ」
 論理的な考証をしたうえで、その上に「論理的」な、「死なない男」への対処法を考えていく。
 この辺の論理展開は、山口雅也先生もかくや! というくらい見事なもの!

 もともと、湊が「0能者」と呼ばれるのは、かれが「霊能力」を一切持たないから。
 霊やあやかしの存在を認知できないし、それゆえに、それらを「超常現象的」に排除する力も持たない。
 いわば、「その辺のにーちゃん」と変わりない!
 だけど「怪異を冷静に観察・分析」して、「合理的、現実的な解決を出す」
 「科学」の特徴の一つに「状況さえ整えば、、いつ、どこで、だれがやっても同じ結果が出る」
 手を離れたコップは、下に落ちる。普通は上にすっ飛ばない。
 そう、彼が取る手法は、タネさえ分かれば、他の人でも可能な方法で「常識外の怪異を封じる」 
 このプロセスは、さながらよくできた推理小説のよう!
 ただ、トリックが「怪異」だけであって、その怪異も「論理的・合理的」な手段によって解決される。
 聞き込みなんかで証拠を集めて、っていうのも、探偵小説の手法さながら!
 『屍人荘の殺人』『生きる屍の死』など、おきて破りのミステリが許される今なら、自信を持って堂々と宣言できるわ!
「これはミステリである」ってね。

 さらに言うと、キャラがギンギンに魅力的!
 九条湊は、町金やらいかがわしい店やらが立ち並ぶビルに住居を構えていて、言うことは皮肉とセクハラが九割!
 だけど、「俺が怪異に立ち向かえるのは、怪異に対抗する手段を持たなかったからさ」と言い切れるセンスと自信。それを裏打ちする卓越した行動力。
 もうこの辺から、「一匹狼のハードボイルド探偵」の香りが誇り高く漂う、正統派アウトローヒーローじゃない!
 脇を固めるワトスン役の一人、山神沙耶は、巫女さんで高校生なんだけど、真面目一点張り。
 もう一人のワトスン、赤羽ユウキは、湊に勝るとも劣らない毒舌家。まだ子どもだけど法力は抜群! 
 とっても頼もしいけど、ところどころで「やっぱり子どもだな」と思わせる言動がちらほら見え隠れするのが、ギュッと抱きしめたくなるほどかわいいわ。
 そんな性格が全く異なる三人が集まったら!?
 テンポよく切れのある会話は、ウイットに富んでいて、洋物のドラマをうまく日本風にアレンジしているようで、一見の価値あり(セクハラが多いけどね)
 断言します!
 これは、ただ犯人や犯行手段が「怪異」であるだけの「推理小説」よ!
 もしも『蘇』を読んで、「むむっ! これは!!」と来たら、是非ともシリーズ全作読んでほしい。
 見逃せば一生後悔することうけあい。
 
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『0能者ミナト』
 著:葉山透
 出版社:アスキーメディアワークス(メディアワークス文庫) 

1 2011/2/25   649円 Kindle版:607円
2 2011/6/25   693円 Kindle版:599円 
3 2011/12/22  605円 Kindle版:569円
4 2012/7/25   693円 Kindle版:578円
5 2012/12/25  605円 Kindle版:565円
6 2013/7/25   583円 Kindle版:548円
7 2014/1/25   583円 Kindle版:548円
8 2014/8/23   605円 Kindle版:565円
9 2015/9/24   627円 Kindle版:564円
10 2016/10/25  693円 Kindle版:652円
11 2018/1/25   693円 Kindle版:647円

『0能者ミナト』コミック版
漫画:田倉トヲル,原作:葉山透,キャラクター原案:kyo

1 2012/7/25   682円 Kindle版:565円
2 2013/7/25   682円 Kindle版:565円
3 2014/8/25   682円 Kindle版:568円
4 2015/9/24   682円

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2021年7月26日月曜日

人と確率とダイス FT新聞 No.3106

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です。
今日は「人と確率とダイス」という題名で、ダンジョンズ&ドラゴンズを遊んでいるときに、確率に関して私が感じたお話をしてまいります。


◆クリティカルの発祥は?
私が初めてクリティカルと出会ったのは、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(赤い箱のやつ)でした。
(以降、省略して「D&D」と書きます。すべてのD&Dではなく、このバージョンの話とお考えください。)
20面体ダイスを振って、もっともいい目(戦闘であれば20)が出た場合、自動的に成功するというものでした。
wikipediaを調べたところ、

>概念としては、世界初のテーブルトークRPGである『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の翌年に出た『Empire of the Petal Throne』(1975年)には既に同様のルールが存在する。

と書かれていました。
この表現からすると、D&Dには最初、クリティカルが存在しなかったようにも読めます。
当時のD&Dのルールブックには「クリティカル」という言葉は使われていなかったように記憶していますし、クリティカルというからには自動成功に加えて、何らかの特典(敵に与えるダメージが増えるとか)が期待されるものです。
「能力値に関わらず自動的に成功する」というだけでは、クリティカルとは言えないという考え方もあるのでしょう。

いきなり出鼻をくじかれる格好になりましたが、今回は私の最初の体験として、D&Dのクリティカル(的なもの)を中心に話をしてまいりますm(__)m


◆テキサス・ホールデムの話。
そもそもの話ですが、どうして多くのTRPGには「クリティカル」が存在するのでしょうか?
私は、ダイスを振る、つまりは確率を楽しむという発想は、TRPG発祥の地であるアメリカらしいものだと考えています。
この話をするために、いったん話を脱線させます。

20世紀に生まれた「テキサス・ホールデム」(ポーカーの一種)は、アメリカではおそらく最大の人気を誇るゲームです。
世界大会の優勝賞金は1千万ドル(円じゃないですよ)にも及びます。
驚くべき規模と人気ですが、このゲーム、日本人がよく知るポーカー(正式には「ドローポーカー」)とは大きく異なる点があります。
それは、「2枚の手札と5枚の場札から組み合わせて」役を作るという点です。
お互いの手札がまったく分からないドローポーカーと比べて、圧倒的に情報量が多いのです。
つまり、運に任せたギャンブルではなく、読みと確率が絡み合うスキルゲームなのです。

さて、本題です。
テキサス・ホールデムはスキルによって勝率に差が出るゲームですが、このゲームをプレイしたとき、短期的には初心者や素人がプロを打ち負かす光景をしばしば目にします。
実際のところ、それはまったく珍しいことではありません。


◆確率とポーカーの話。
このゲームにはアウツ(outs)と呼ばれる概念があります。
これは、簡単に言えば「自分の手札を強くするカード」です。
自分の手札が弱々しい2と7だとしても、場札に7が2枚出れば、7のスリーカードになるのです。
テキサス・ホールデムでは、場札がめくられるたびにチップを賭けることができます。
そのため、ときに、場札が全部出揃う前に、持っているチップを全額賭けるような事態に至ります(オールイン)。
オールインになると、お互いのカードを開いて見せあい、場札がすべて出揃うのを見て決着となります。
上手なプレイヤーは状況を正しく見極めることで、有利な状況で多くのチップを賭けるプレイを心がけます。
しかし、お互いにアグレッシヴ(積極的)なプレイをしているとき、場の情報(場札)がすべて出揃う前に、オールインの状況になります。

たとえば、プロと呼ばれる有名選手が、場にカードが出る前に、AA(エースのペア)でチップをすべて賭けたとします。
これを初心者プレイヤーが、22(2のペア)の手札で受けました。
このような場合、細かい話は避けますが、プロ側の勝率は81.30%。
引き分けを除いた初心者側の勝率は、18.20%です。
場にめくられる5枚のカードのなかにアウツ(この場合は2)が出たら、だいたい初心者側の勝ちです。
その確率が、ざっくり言って18%ぐらいということです。

余談ですが、アウツの確率には比較的簡略化された(その分実践的な)計算方法があります。
トランプの枚数は52枚で、自分の手札が2枚分かっているので、残りのカードは1枚につき50分の1です。
だから、「ある特定のカード」が出る可能性は、基本的に2%なのです。
アウツを頭の中で計算する場合、これを活用します。
例で言えば、自分で2を2枚持っているので、1枚めくって2が出る可能性は、山札にある2が2枚ですから、4%です。
これが5回あるので、約20%となります。
「相手側のAが出る」「相手に/自分に/お互いにフラッシュやストレートが揃う」「2が重複して出る」などの可能性を省いているため、この計算方法は精密ではありません。
今回も、2%ほど誤差が出ています。
しかし、短い時間で計算できるため、実践的には非常に役立ちます。

何を言いたいのかというと、テキサス・ホールデムというゲームは、「短期的にはプロでも負ける」ゲームだということです。
有利な状況で攻め込むのは、判断としては正しいものです。
しかし、結果がついてくるとは限りません。
判断が正しくても、結果が正しくついてくるとは限らないのです。
確率的な勝利が50%を越えていても、実際の勝利が50%を越えているとは限らない。
人はそれを運と呼びます。

しかしながら、1回だけの勝負ではプロが負けることがあるのですが、これが長期的な戦いになると、話が変わります。
正しい判断ができている、つまりは自分のほうが確率的に有利な状況を一定以上の頻度で選べているプロが、1年を通じて「たまたま」負け続けるなんてことがあるでしょうか?
天文学的な確率でしか、そんなことは起きません。
短期的な勝負では負けるとしても、長期的には勝つのです。
言い換えると、テキサス・ホールデムは短期的な視点に立つとギャンブルで、長期的な視点に立つとスキルゲームであるということです。


◆猿と興奮刺激の話。
すみません、少し性的な話が出てきます。
これはFT書房のイラストレーターであるかわらべ氏から聞いた話なのですが、猿を使った科学実験で、ある一定の条件を満たすと、オスの猿に性的な興奮を与えるというものがあったそうです。
一定の条件というのを色々と変えて、猿が興奮する量を観測するという目的の実験だったそうで。
色々と試してみたところ、「ボタンを押すと5分の1の確率で性的刺激が与えられる」という条件で猿が非常に興奮して、夢中になったと分かった、という話でした。
この話で大事なのは「5分の1」という数字で、つまり20%ということなのですが、ここから人間にも話が及んで、「ギャンブルを行うとき、勝率が5分の1に近いと興奮が最大化する」という仮説が立てられた、という話です。
より詳しく言うと、「勝率が20%から80%の間の勝負に、人は興奮しやすい」という話です。

私はこの話を聞いたとき、すぐにテキサス・ホールデムが頭に浮かびました。
ポーカーで全額勝負に至る多くの状況で、その勝率は有利なら84%や68%、不利なときは32%や16%ぐらいであることが多いことを、思い浮かべたのです。
つまり、アメリカでテキサス・ホールデムが流行った理由として、有利な状況も不利な状況も絶対ではなく、感覚的に「これは勝ったな」「あー、負けたわ」と思う場面が少ないことが、挙げられるのではないかと感じたわけです。


◆「スギモトさん、そろそろ話を戻してよ……。」
そろそろ話をD&Dに戻してまいります。
D&Dを初めて体験したとき、驚異的だと感じたのはその「適度な緊張感」です。
敵がとても弱い場合、多くのゲームではその戦闘がダレてしまいがちです。
しかし、D&Dの場合、どんなに弱い相手でも、5%の確率でこちらに攻撃が命中するのです。
敵の攻撃が合計3回なら約15%、5回なら約25%の確率で、毎ラウンド、敵の攻撃が命中するわけです。
この確率の分布が、1ラウンドも無視できない、いい緊張感をプレイヤーに与えているのだと私は感じました。


◆まとめ。
クリティカルというと1%から3%ぐらいの可能性で起こるぐらいのイメージが、私の頭のなかにはありました。
しかし、D&Dの場合、実践的にはもっと頻繁に起こるもので、それがちょうどいい緊張感につながるという、重要な役割を担っているのだと感じます。


長くなりました。
続きは次回に。



それではまた。





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2021年7月25日日曜日

鉱石四個収集日記page11  FT新聞 No..3105

おはようございます。緒方直人です。
本日は創土社版「ドルアーガの塔」で貴重なアルカニウム鉱石を4個集められるかの挑戦レポートの続きをお届けします。コンプリートに必要なのは店での購入実費となる金貨1000枚。今日も塔内を右往左往しながらケチケチ金策に励みます。ネタバレもあるよ!でも見てね!


前回はドルアーガの塔6階を攻略しました。フロアを移動して必要なお宝を回収せよという、ある意味原点回帰なオーソドックス階でありましたね。
さてさて続く7階はいったいどんな階なのか。それではここまでのステータス一覧から。



☆金(ゴールド)ギル太郎(※こいつだけサイコロ自在のチート戦士)
 原戦力: 6 原防御: 6 原体力:24   
  戦力:10  防御:12  体力:22
 装備:ホワイトソード(+戦3)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:7  食料:10
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)
    【MAURU】(覚醒)


★銀(シルバー)ギル次郎
 原戦力: 6 原防御: 6 原体力:24   
  戦力:10  防御:12  体力:23
 装備:ホワイトソード(+戦3)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:2  食料:9
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)
    【MAURU】(覚醒)


▼ギルガメスA
 原戦力: 5 原防御: 2 原体力:19   
  戦力: 9  防御: 8  体力:12
 装備:ホワイトソード(+戦3)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:2  食料:9
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)
    【MAURU】(覚醒)


◆ギルガメスB
 原戦力: 3 原防御: 1 原体力:24   
  戦力: 7  防御: 7  体力:21
 装備:ホワイトソード(+戦3)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:2  食料:9
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)


@共通アイテム:真珠貝のかけら
        白いローソク
        メタセコイアの葉
        メスロンの魔導書
        剣(+戦2)
 


【ドルアーガの塔、#7階】(地図がズレる場合は等角フォントでご覧ください。)

             北
   8  7  6  5  4  3  2  1
 ┏ ━ ┳ ━ ┳ ━ ┳ ━ ┳ ━ ┳ ━ ┳ ━ ┳ ━ ┓
 ┃ ↑             宝             罠 ┃一
 ┣ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┫
 ┃                               ┃二
 ┣         ●   〇   〇   剣         ┫
 ┃                               ┃三
 ┣         ●   〇   〇   〇         ┫
 ┃                               ┃四
西┣         ●   ●   ●   ●         ┫ 東
 ┃                               ┃五
 ┣         〇   〇   〇   ●         ┫
 ┃                               ┃六
 ┣         〇   〇   〇   ●         ┫
 ┃                               ┃七
 ┣ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┫
 ┃ S   食                         ┃八
 ┗ ━ ┻ ━ ┻ ━ ┻ ━ ┻ ━ ┻ ━ ┻ ━ ┻ ━ ┛
             南
(S:スタート ↑:上の階へ 罠:腐った階段 ●:当たりの石 〇:ハズレ石 食:食事ポイント 宝:白ポーション 剣:レッドソード)


この階も5階に続きイベントオンリーの特殊階です。フロアぶち抜きで広大な熱湯風呂が湯気を立てており、落ちたら体力ダメージ1というトラップゾーン。
どうすりゃいいのかと申しますと、風呂の中には縦5×横4の等間隔で飛び石が並んでおり、順にピョンピョン飛び移っていけと、まぁそういう楽しいアトラクションです。同世代の方なら風雲!たけし城でやっていた竜神池と聞けば、アァあれねとご理解いただけますでしょうか。


石には当たりとハズレがありまして、ハズレは支えのないただの浮石、乗ったら哀れ熱湯風呂にドボン!です。TRPGならば10フィート棒で突っつきたいところでありましょうが、あいにくこれは選択肢限定のゲームブック。覚悟を決めて一個一個ジャンプで行きましょう。もちろん私は正解ルートがマッピング済みなので何の危険もないわけですが。
あ、ちなみにスタート地点でまた食事してもいいよとのお許しが出ましたので、体力が減ってるギルAとBにはここで再度1食ずつ食べさせておきますね。


さてさて、こうして無事ノーダメで渡り切った向こう岸ではお宝の白ポーションをゲット(体力を+6回復)。その後は「さっさと階段を登るか、それともまだ熱湯風呂で泳ぎたければ石に戻ってもいい」なーんて思わせぶりな選択肢が出たりしています。ここを見逃さずに、これで初めて乗るはずの東端の石を選べば、隠れキャラであるレッドソードが手に入るんですね。
水滴が穿ってできた穴の中に隠されていたこの深紅の秘剣は戦力+4の業物。持ち替えて戦力アップと参りましょう。
出番少なかったねホワイトソード。これにて換金直行だけどゴメンね。


。。。。ということで、この階も短くサクッと終了です。ステータス結果はこちら。
しっかし増えませんねぇ金貨。2階で拾った10枚きりですよ。もう六分の一は工程消化しちゃってるんですけど、こんなペースで本当に大丈夫なんでしょうか。



☆金(ゴールド)ギル太郎(※こいつだけサイコロ自在のチート戦士)
 原戦力: 6 原防御: 6 原体力:24   
  戦力:10→11  防御:12  体力:22
 装備:レッドソード(+戦4)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:7  食料:10
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
      白ポーション×1(体力+6回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)
    【MAURU】(覚醒)


★銀(シルバー)ギル次郎
 原戦力: 6 原防御: 6 原体力:24   
  戦力:10→11  防御:12  体力:23
 装備:レッドソード(+戦4)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:2  食料:9
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
      白ポーション×1(体力+6回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)
    【MAURU】(覚醒)


▼ギルガメスA
 原戦力: 5 原防御: 2 原体力:19   
  戦力: 9→10  防御: 8  体力:12→15
 装備:レッドソード(+戦4)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:2  食料:9→8
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
      白ポーション×1(体力+6回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)
    【MAURU】(覚醒)


◆ギルガメスB
 原戦力: 3 原防御: 1 原体力:24   
  戦力: 7→8  防御: 7  体力:21→24
 装備:レッドソード(+戦4)
    盾・鎧・手甲・兜(+防5)
    ウイングブーツ(+戦1、+防1)
 金貨:10  経験値:2  食料:9→8
 アイテム:赤ポーション×1(体力フル回復)
      白ポーション×1(体力+6回復)
 呪文:【NUARA】(開錠)
    【MUALU】(魔防バリア)


@共通アイテム:真珠貝のかけら
        白いローソク
        メタセコイアの葉
        メスロンの魔導書
        剣(+戦2)
        ホワイトソード(+戦3)



そろそろ金策チャレンジっぽい事もしてみたいんですがねー。いやはや一体いつになりますことやら。
さて次なる8階はゴーストや暗闇通路といったホラー回? やっとローソクの出番か、それとも真っ暗闇の中で謎の暗黒舞踏が始まってしまうのか。
それでは長……うん、つ、次は久々に戦闘があるんで長くなるかも。またの機会をお楽しみに。


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2021年7月24日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第436号 FT新聞 No.3104

From:緒方直人
おはようございます。
同じコサキンリスナーだったと聞いて俄然親近感が湧いてきました。ガンバレよ、星野源。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■7/18(日)〜7/23(金)の記事一覧
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2021年7月18日(日)竹は速い FT新聞第3098号

Ψ金龍にお願い 日曜ミニゲームブック
・PBM(プレイバイメール)等に造詣が深い竹は速い氏によるミニゲームブックをお届けしました。以前お届けした『金龍のお願い』の続編になります。あなたは迷いの森へのお使いを頼まれた冒険者になってください。1本の中に3種のお使いクエストが入っておりますので、繰り返し遊べるおトクな仕様となっておりますよ。


2021年7月19日(月)杉本=ヨハネ FT新聞第3099号

あるカードゲームの話。
・FT書房リーダー・杉本=ヨハネ氏による定例記事をお届けしました。今回は杉本氏がよく遊ばれているハースストーンというパソコンやスマホで行うデッキ構築型のカードゲームから学んだことを綴ってみました。ゲームブック作りとはアナログとデジタルの違いがあれど、ユーザーのプレイアビリティをとことんまで追求してみるというその飽くなき姿勢は見習うべきものがありますよね。


2021年7月20日(火)かなでひびき FT新聞第3100号

これはゲームブックなのですか!? vol.41
・バーチャル図書委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうでありそうな周辺のよもやま話をしていきます。今回取り上げましたのは『生ける屍の死』(山口雅也(著))。ジャラル氏がみんなの本棚にてご紹介した『屍人荘の殺人』を受け、かなで氏も自慢の一作をご紹介。一流の「死の哲学」を存分に堪能できる傑作ミステリ小説をぜひどうぞ。


2021年7月21日(水)ぜろ FT新聞第3101号

第6回【クトゥルフのいざない】ゲームブックリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第240回をお届けしました。前回は惜しくもクトゥルフの深遠に引きずり込まれた無念のサーストン青年。気を取り直しての2人目がリスタートです。今度は怪しげな日本人には近寄らず、遺跡に囚われていたドイツ軍人も無事救出してドイツ軍の応援を要請できる貴重な通信機を手に入れましたよ。いざ太平洋はルルイエ神殿へと突撃です。


2021年7月22日(木)中山将平 FT新聞第3102号

クトゥルフとゲームブック第57回
・FT書房のイラストレーター・中山将平氏によるクトゥルフ神話やゲームブックに関するコラムをお届けしました。今回のお題は「現代神話としてのクトゥルフ」。原作が書かれた1910年代〜1930年代から百年も経てば、かつては理解の及ばなかった世界の謎も随分と解明されてしまいました。そんな謎少なき拓けた現代を舞台にするならば、いったいクトゥルフとしては何を題材にすればよいのでしょうか。


2021年7月23日(金)ジャラル FT新聞第3103号

迷宮キングダム@みんなの本棚185
・本棚に並んでいるもので「これ、知ってる?」と言いたくなる作品をあなたに紹介する記事。第185回はジャラル氏からのオススメ本でした。異世界転生ものは数あれど、こちらは『Role&Roll』誌でもサポートが行われているお馴染みのTRPG世界に転生してしまったという設定の小説です。元傭兵が現代のサバイバル技術を駆使して王国を築いていきますよ。


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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ジャラル・アフサラールさん)
WHのこういう試みは素晴らしいですね。遠方の人間にはサプリメント買いに行くのも遠征(笑)しなきゃならない時代に生きていた者としては羨ましいと思いますが(笑)。

(編集・水波流)
↑同じく遠征した世代としては懐かしい笑
私は1996年頃の大学時代に青春18切符の鈍行乗り継ぎで東京に行き、東京中のゲームショップ(ポストホビー、キヤホビー、奥野かるた店など)を行脚し、当時でもかなり品薄だったBOXタイプのTRPGなどを買い漁り、宅急便で数箱を実家に送った覚えが……笑
ロールマスター、指輪物語、ルーンクエスト、クトゥルフBOX、洋書のペンドラゴンなどはその時に手に入れましたねえ。

(お返事:岡和田晃)
 RPGのサプリメントは、いったん品切れになると途中に入手難易度が跳ね上がってしまいます。
 それはそれで困ったものではあるのですが、コレクション欲を掻き立てる側面もありますね。
 私は小学生の時、はじめて上京して入手したのが初代の『モンスター・コレクション』。これは古書ではなく、かなり刷を重ねた新刊でしたね。
 中学校の時に札幌へ行って入手したのがホビージャパン版の『フンタ』(於:ポストホビー札幌)。
 高校の修学旅行で上京して入手したのが『グリムトゥースのトラップブック』の原書(於:書泉ブックマート)。
 私は大学時代、自転車でツーリングするサークルにも入っていました。それで北海道や九州を回っていたのですが、古書店やゲームショップは必ず回るようにしていました。
 『ファイティング・ファンタジー』の持っていなかった巻はそれで集めましたし、今でもおぼえているのが、釧路のブック亭で買った『ルーンクエスト』の『ゆりかご河』。これは流通在庫でした。
 2015年にブック亭へ再訪した時は、私が第二特集を書いた号の「Role&Roll」(vol.38)がバックナンバーとして置いてあって、時の経過を感じました。その後、2016年にブック亭は閉店してしまいましたね……。


(忍者福島さん)
斎藤飛鳥さんのリプレー、やはりJOJOネタを連想した人が多数でしたか。予想通り(笑)
怜悧なるディーバは、今度は赤い宝石でも探しに行くんでしょうかね?

(お返事:齊藤飛鳥)
仮面と吸血鬼の組み合わせは、多くの方々にJOJOを連想させてしまいますよね。さすがJOJO、名作です!
怜悧なるディーバが、冒険の果てに赤い宝石を手に入れた暁には、強制的に宇宙へ送り出される結末が目に浮かんでしまいました^^


(竹は速いさん)
紹介、ありがとうございます。
どういう心境の変化から親方は克明に日記に書こうと思ったのでしょうか?
それだけでも読んでみたくなる1冊ですね。特に魔女裁判が行われなかったというのが興味深いです。
また、新しい本の紹介をお願いします。

(お返事:UMI)
 何故親方がペンを取ったのかという経緯は残念ながら日記には書かれておりません。
 魔女裁判がニュルンベルクでは行われなかったというのは(親方の日記にある限り)とても特筆すべきことだと思います。
 私もこの本を読むまでは中世というと魔女裁判が至る所で行われていたというイメージを持っていました。
 しかしそれは地域差があり、理性的な判断を下すことが出来る人々がいたこともまた中世の一面であることは事実のようです。
 また新しい本の紹介を是非したいとおもいます。
 竹は速いさん、感想ありがとうございました。


(ジャラル・アフサラールさん)
『ある首斬り役人の日記』興味深いです。
私が知っている首斬り役人はフランスのシャルル=アンリ・サンソンで、最近は漫画やゲームにも出てきて有名になりましたね。
ルイ16世・マリー・アントワネット・ロベスピエールらを処刑して有名ですが、本人は人格者であったというのがフランツ親方と共通していますね。

(お返事:UMI)
 ご興味をもっていただきありがとうございます。
 シャルル=アンリ・サンソンもフランツ親方と同じく職業的使命感を持った人物だったのかもしれませんね。
 処刑執行人は不名誉な仕事でありがらも二人とも使命感をもって職務にあたっていたのでしょう。
 シャルル=アンリ・サンソンについては恥ずかしながらあまり知らないのですが、その生涯を知りたくなりました。
 ジャラル・アフサラールさん、感想ありがとうございます。


(忍者福島さん)
中世ヨーロッパでも、絞首刑と斬首刑では名誉ある死かどうか違ったわけですね。
日本でも、武士の切腹は死を賜って名誉を守る意味が有ったようで、不名誉な場合は一般庶民と同様の死罪(斬首刑)だったようです。
興味深いですが、重いテーマですね。

(お返事:UMI)
 絞首刑を不名誉な死、斬首刑は名誉ある死であったというのは現代人から見たらピンと来ない感覚ですよね。
 その辺りは参考文献にもある阿部謹也著の「刑吏の社会史」が詳しいかと思います。よろしけばこちらもどうぞ。
 武士の切腹の歴史もひも解いていくと非常に興味深い歴史がありそうですね。おっしゃる通り重いテーマではありますが。
 忍者福島さん、感想ありがとうございます。


(緒方直人さん)
『Ψ金龍にお願い』面白かったです。今度はこっちがお願いする番なんですね。
2回目呼んだらどうなるんだろう、怒られるかな、それとも来てくれないかなと思ってましたが、嬉々として前のめりで来てくれた金龍くんが何とも愛らしかったです。これはまた次のお願いも聞いてあげなければなりませんね。楽しみにしてます。

(お返事:竹は速い)
緒方さん、感想ありがとうございます。
次は金龍一世一代のお願いなので楽しみにしていてください。
もう出来上がっててチェックを待ってる状態です(笑)


(ジャラル・アフサラールさん)
カードゲームもMTGの前世紀末の出現以来、日本でも「世界で最も販売枚数の多いトレーディングカードゲーム」等が発売され、紙幣を印刷している(笑)とまで言われたほど高利益あげたので有名・無名のゲームが数知れず作られましたが、ハースストーンは絵柄が濃いのでアニメになった日本のカードゲームに比べて不利で不遇なゲームみたいですね。

(お返事:杉本=ヨハネ)
ありがとうございます。
売上などはあまり詳しくありませんし、日本での人気という観点ではなおさら分かりませんけども。
すでに7年続いているゲームです、全体でみたときには不利ということはないんじゃないかと思っています。
絵柄については、それを私たちオールドスクールファンが言う必要はないでしょー。
ファイティング・ファンタジー、トンネルズ&トロールズ、ウォーハンマーRPG、ダンジョンズ&ドラゴンズ……あのイラストがいいんじゃあないですか。


(ナンカ清作さん)
「生ける屍の死」は僕も大好きな作品です。
 山口雅也は本作の主人公カップルを翻案したパンク探偵キッド・ピストルズと相棒ピンクの活躍するシリーズも読み応えがあります。
 キッドシリーズは「名探偵」が職業として確立した平行世界の英国が舞台なのですが、キッドとピンクはその助手をつとめるパンクファッションの刑事(パラレル英国は治安が悪化し過ぎてこんな奴しか警官のなりてがいない)。
 名探偵たちの推理をひっくり返すキッドの推理には毎回拍手喝采しています。
 このシリーズ最初の作「十三人目の探偵士」は元々ゲームブックとして発表されたもので、岡嶋二人「ツァラトゥストラの翼」と並ぶ、ミステリー作家が書いたゲームブックです。(もっとも山口氏曰く「ブームに便乗したもの」とあまりゲームブックの出来には満足していないようですが)。

 追記
 ゾンビと言えば、リビングストン「ゾンビの血」、FFコレクションの第二回配本に入ればいいなあ……

(お返事:かなでひびき)
 ありがとうございます。おおっ! ここにも同志が!
 『十三人目』も『キッド・ピストルズ』も、かなで座右の本です!
 今回、改めて読み直してみました。
 本当に「キッド・ピストルズ」への大いなる助走ですよね!
 スタイリッシュな「翻訳調」の文。個性的なユーモア。そして、「奇想、天をも覆す」大胆なアイディアと、芦辺拓先生並みの博学。
 かなで的には、同じく度肝を抜くトリック、スタイリッシュな博学を誇る殊能将之先生の再来と思っております!
 だけど、おっしゃるとおり、山口先生「ゲームの方には興味はない」って言ってたのが残念ですねー。
 山口先生の、新作「ゲームブック」でしたら、めでたくかなで「狂」気乱舞! 
 プレミア値ツイてても手、出させていただくのに!
 
 しかし、『ゾンビの血』知りませんでした! 勉強になりました、ありがとうございます。
 正統ゾンビものみたいでそそりますねー。ロメロ『ゾンビ』原理主義者なかなでとしても、読みたい一冊ですねー。


(竹は速いさん)
これは面白そうですね。特に「生ける屍の死」は読んでみたいです。
似たような不条理な気持ちになった作品があったなと考えていましたら、
かのマーリンとその弟子とエクスカリバーJRの物語に主要キャラがゾンビになって、
泣く泣く倒したら「死者が死ぬのは、つまり生き返る」という嬉しいような、
何じゃそりゃみたいな話があったことを思い出しました。
これもゲームブックですね、かなでさん

(お返事:かなでひびき)
 ありがとうございます。
 『生ける屍の死』もおすすめですが、読みやすさでは、同作者の『キッド・ピストルズ』シリーズもおすすめですよ。このシリーズは、短編で出来ていますので読みやすい。キレのよく、テンポよい進行に、いつの間にか引きずられるはず!
 あと、不勉強でゴメンナサイ。
 おっしゃるシリーズは『グレイルクエスト』でしょうか?
 ざっとネット情報に目を通しました。しかし、なかなか個性的ひとつ頭抜きん出ている作品みたいですねー。
 かなでの「読みたい本」本棚に、また新しい本が! ありがとうございます! 勉強になります!


(ジャラル・アフサラールさん)
『生ける屍の死』ですか!「このミステリーがすごい!」の30年間の作品から選ぶキング・オブ・キングスで1位となった傑作ですね。まあ登場人物が外国人ばかりなので(∔日本は火葬の国だし)『屍人荘の殺人』と違って映画化は難しそうですね。でも中国や韓国にも翻訳発売されているそうなので、そちらで映画化期待できるかも(笑)。

(お返事:かなでひびき)
 ありがとうございます。
 そうなんですよ! だからこそ、『生ける屍の死』は、一人でも多くの方に知ってもらいたい!
 そんな思いで、いつの間にかキーボードに指を走らせていました。
 だけど、ジャラルさんがおきて破りのミステリー『屍人荘の殺人』を紹介していただいたからですよ!
 かなでも、「同じテーマを扱いながら、ここまで方向性が違う! 素晴らしい!」と大満足な傑作でした!

 確かに、「土葬」は、映画化の最大のネックになりそうですよねー。
 だけど、その前にまずあの莫大なページが、壁になりそうです。
 何せ、新装文庫版では、上下巻になってますものね!


(竹は速いさん)
おぉ、拍手。
クリアおめでとうございます。クリアと言うより、ゴートゥーネクストストーリーズって感じですね。
エルダーサインというのが気になりましたが、ここは自分で調べるべきですね。
ちなみにエルダーと聞くとドラゴンかフラワーしか浮かばない私です。
ドラゴンはできれば会いたくなく、フラワーはハーブティーになるとかならないとか(笑)
シュトロハイムの時に語尾が伸びるのはもはや当たり前でしょう。
今回も楽しいリプレイありがとうございました。

(お返事:ぜろ)
ありがとうございます。意外とすんなり、わずか2回のアタックで納得の結末にたどり着けました。間違っていそうな選択肢とその先を覗いてみたい誘惑もかなりありましたし、むしろバッドエンドこそが魅力と言えるかもしれませんが、真向からプレイしたので、やっぱりベストエンドを目指した立ち回りをしてしまいましたね。
エルダーサインは画像検索してみたところ、ヒトデの真ん中に目のような火のようなものがあるデザインがとびこんできました。デザインは違いますが、20世紀少年のともだちマークとか連想しました。それがこの作品中でどのような効果をもたらすのか、クリアに向かうものなのか、逆に取り込まれてしまう系なのか。手元にある方はたしかめてみるのも面白いと思います。
来週は感想、そして次の連載はすでに準備完了しております。次から次へと楽しませる気満々ですので、今後もよろしくお願いします。


(緒方直人さん)
【クトゥルフのいざない】クリアおめでとうございました。最後の最後でクトゥルフ入信ルートが出てくるとか洒落てますね。そっちに行けば無事(?)邪神様の復活は拝めたのでしょうか、気になります。そんなこんなで今回も楽しませていただきました。また次のシリーズも楽しみにしておりますね。

(お返事:ぜろ)
いつも編集ありがとうございます。まだ読んでない作品のネタバレまで次から次へと見せてしまっていて、申し訳ないやら読みたくなってくださればいいなと思うやら。
今回は邪神完封しちゃいましたからね! クトゥルフワールドの邪神さんたちは普通人はまったく太刀打ちできないレベルなので、「復活した邪神を叩くぜ!」みたいなヒロイックな展開になることは実は少ないんじゃないかと思っています。むしろ今回みたいに、甦っちゃったらおしまいな奴らの怖さを演出しまくって、どうにか抑え込むけど完全には解決できないでもやっとエンドになる、みたいな印象が強いです。いうてクトゥルフ素人なんですけれども。
バッドエンドルートで邪神さん、完全復活するんでしょうか。どうもこのクトゥルフさん、何十年も前にも生贄の儀式がなされてたみたいだし、世界の人々に夢見させるのもすっごく中途半端な感じだし、差し迫った感というのはよくわかんないですよね。もしかしたらクトゥルフさん自身がまどろんでるから、中途半端な夢発信しかできていないのかも。あと、邪神時間だと十数年も数日もそんなに意味がないのかもしれない。今日にでも復活するかもしれないし、50年後かもしれない。そんな時間感覚の持ち主なのかもしれません。
来週の感想の後の、次の連載もまた、よろしくお願いします。


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2021年7月23日金曜日

迷宮キングダム@みんなの本棚185 FT新聞 No.3103

「みんなの本棚」のコンセプトは「読者参加+シンプルな本紹介」です。
FT新聞読者が蔵書のなかから、FT新聞をお読みいただいているあなたの関心をひきそうな作品をピックアップし、簡単にご紹介してくださるというものです。
第185回は、ジャラルさんからのご紹介です。
よろしくおねがいします!

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◆まえがき
 こんにちは。オジサンファンタジーファンのジャラルといいます。
 今回も蔵書をご紹介させていただく機会をもらえました。
 今回紹介するのは長いタイトルの『迷宮キングダムTRPG』小説です。

◆『迷宮キングダム 特殊部隊SASのおっさんの異世界ダンジョンサバイバルマニュアル!』
河嶋陶一朗/冒険企画局 (原作), 宮澤 伊織 (著),

 2021年度に放送された転移・転生物のアニメは私の知る限りですが20本以上ありますし、小説・漫画は数えきれない程あります。こうなると作り手も色々考えるもので、スクウェア・ エニックス社員がFF世界に転生する 『ファイナルファンタジー ロスト・ストレンジャー』、「聖闘士星矢」の世界に学生がハーデス配下の冥闘士に転生する『冥王異伝 ダークウィング』、サッカー漫画「シュート!」の世界に中山雅史選手が転生する『シュート!の世界にゴン中山が転生してしまった件』(*1)とか転生される舞台(笑)にもいろいろ工夫がされています。今回紹介する「行き先」はTRPG「迷宮キングダム」世界です。

 「迷宮キングダム」は迷宮災厄という天変地異によって、世界そのものがダンジョンとなってしまった<百万迷宮>を舞台に、空も大地も全てが壁に覆われた状況でプレイヤーキャラクターはランドメイカーという存在になり、ダンジョンの中に王国を作り、民を従え国家を運営するゲームで、現在でも『Role&Roll』誌でサポートが行われています。多くのサプリメントだけでなく、フーゴ・ハル先生によるゲームブック、製作スタッフの速水螺旋人さんによる漫画、カードゲームやボードゲームも発売されている作品です。その小説版がこの作品です。著者はアニメ化したヒット作の『裏世界ピクニック』で有名な宮澤伊織さんで、冒険企画局のメンバーで「迷宮キングダム」世界設定考案者でもあります。

 主人公の日英ハーフの安藤=ギャレット・大河(タイガ)は英国特殊空挺部隊SAS(*2)をとある事情で除隊し日本に里帰りしたが謎の襲撃者に襲われる。その時に遭遇した地震?の後、タイガは<百万迷宮>に放り込まれ、そこで王国を無くした民を率いる「ランドメーカー」、つまり王になります。何のチート能力も持たず、持ち物はフラッシュライトのみという状況で、果たしてタイガは生き延びて自分の小さな国を救う事ができるのか?

 タイガはSAS元隊員でサバイバル技術には長けていますが、道具も無い状態では火をつける事にも悪戦苦闘し、またTRPGではザコの小鬼でも脅威になるような状況ですので映画のように無双状態にはなれない状態です。小鬼をホイホイ倒していたゲームになれたものとして新鮮な感覚でした。この世界には火薬が存在するので(*3)、いずれは火器で無双状態できるかな?

 後書きにあった続編は宮澤伊織さんが『裏世界ピクニック』で忙しいので当分先になりそうです。宮澤さんと「迷宮キングダム」世界設定パートを半分ずつ書いたのが速水螺旋人さんだそうで、もし速水螺旋人さんがこの小説書かれていたらソ連大好き速水さんだから主人公はSASじゃなくスペツナズ(*4)出身になったと思われます(笑)。

*1 中山選手がかなり残念な(笑)性格に描かれていますが、「中山雅史、全面協力!」で著者にも名を連ねているから問題無し?

*2 イギリス陸軍の特殊部隊、私もTVドキュメント番組で見ましたが大勢の志願者中で合格が数名という過酷な試験を突破したエリート兵士です。作品の後書きにも書かれていますがアニメ化した漫画『MASTERキートン』の主人公の平賀・キートン・太一は、数々の戦果を上げた元SASの兵曹長です。

*3 <百万迷宮>ではオフィシャルの大国に「ダイナマイト帝国」という迷宮を爆破して領土を広げている国が存在しているので、そこから火薬精製技術を入手すれば転移物のお約束、銃器を製作する事が可能でしょう。

*4 ソ連→ロシアの特殊部隊。だいたいのゲームや小説、映画では悪役(笑)。

◆書誌情報 
『迷宮キングダム 特殊部隊SASのおっさんの異世界ダンジョンサバイバルマニュアル!』
 河嶋陶一朗/冒険企画局 (原作), 宮澤 伊織 (著), よー清水 (イラスト)
 (ドラゴンノベルス) − 2019/12/5 単行本 ¥1,430 / Kindle版 ¥1,287


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◆次回予告(編集部より)
 コンセプトにあるとおり、次はこれを読んでいるあなたの出番です☆
 今、本棚に並んでいる蔵書から、「紹介したいなぁ」と思うものをとりだしてみてください。
 あとは感想欄から「この本を紹介したい」とご連絡いただければOKです。
 おってこちらからコンタクトをとらせていただきます。

 ちなみに本棚に並んでいるならジャンルは問いません。
 マンガ、雑誌、画集、写真集、小説でも学術書でも、なんでもござれです☆

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2021年7月22日木曜日

クトゥルフとゲームブック第57回 FT新聞 No.3102

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クトゥルフとゲームブック 第57回
(中山将平)

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 おはようございます。
 イラストレーターの中山将平です。

 今日の「クトゥルフとゲームブック」の記事では、現代もののクトゥルフ神話作品の創作について書こうかと思っています。

 題して、「現代神話としてのクトゥルフ」。
 これからクトゥルフ神話作品を創作するという方や、近年に書かれたクトゥルフ神話作品を楽しもうとされている方に面白いなと思っていただける記事を目指します。

 それでは早速本題に入りましょう。

◆ 闇が照らされる時代
 クトゥルフ神話のコンセプトのひとつ「コズミック・ホラー」とは、「我々人類の理解の及ばないもの」から受ける恐怖といえるのではないか。
 そんなことを、以前記事で書いたように思います。
 遠い宇宙や、異次元ともいうべき場所、あるいは忘れ去られた過去からもたらされる恐怖。
 それは理解できない、説明できないもので、だからこそ恐ろしい想像を掻き立てるのだといえるやもしれません。

 ところでこの「コズミック・ホラー」ですが、「1910年代〜1930年代にラヴクラフトが執筆していた頃と比べて、現代で書くなら我々の感性や世相に合わせて概念もいくらか変化するのでは?」と感じられることってないでしょうか。

 かつてクトゥルフ神話が創造された頃、(少なくともクトゥルフ神話が生まれたアメリカでは)世界の姿は今ほど明らかになっておらず、偏見や不理解も今よりずっとたくさんあったことだと感じています。
 このことを指して、「恐怖の源泉となる闇が今よりも日常的に多かった」という言い方もできるかもしれません。
 その場合、現代は科学技術の進歩や急速な情報化によって「かつてあった闇が照らされている時代」ではないでしょうか。
 未だ僕たちが知らないことも多いですが、少なくともクトゥルフ神話が創造された時代よりはるかに多くの情報が容易に手に入る時代になったと思っています。

 僕が今日お話したいのは、「じゃあ、いま怖がられる闇って何だろう?」というお話です。

◆ 「恐怖を感じるかもしれない闇」は「当時の世界を映しだした要素」の中にあった!?
 元々、クトゥルフ神話の生みの親であるラヴクラフトの小説にも、いわゆる「当時の世界を映しだした要素」はたくさんあったように感じています。
 一例をあげてみます。
 ツタンカーメン王のミイラの発見は1922年。
 「ファラオのような人物」として描かれた謎の存在について書かれた小説「ナイアルラトホテプ」の執筆が1920年。
 廃都の中を探索し、古代の謎に迫る小説「無名都市」の執筆が1921年。
 このあたりの事って、無関係ではないと思います。
 人が理解できない何かから与えられる「コズミック・ホラー(宇宙的恐怖)」ですが、やはりその方向性の中には、時代に合わせて注目が集まっていることや、その中にある「恐怖を感じるかもしれない闇=まだ理解されていない部分」の影があったように感じているのです。

◆ 「コズミック・ホラー」にもたらされた変化
 と、するならば、現代に描かれる「コズミック・ホラー」は本質的には変わっていないとしても、外見上「恐怖を感じるポイント」等に大きな変化があることは想像に難くありません。
 クトゥルフ神話の黎明期に描かれた恐怖のうち、「既に決着がついてしまったもの」(既に多くの部分が理解されてしまったもの)や「今はかつてほど注目を集めているように感じられないもの」も流石にあるように思われます。

 勿論ですが、僕はラヴクラフト作品のファンで、1910〜30年代ごろのアメリカの空気感、その時代背景も含めて当時のクトゥルフ作品を楽しんでいます。
 それはそれで確実に面白いですし、現代においてもその空気を追いかけたい気持ちもあります。
 FT書房の「クトゥルー短編集2暗黒詩篇」で僕が書いたゲームブックは過去のアメリカが舞台でした。
 大好きなのでその方向性も見ていきたいですが、それはそれとして、今回は現代社会を前提としたクトゥルフ神話を描くときのお話を考えたいと思います。

◆ 僕が感じる闇
 今社会の注目が集まり、「怖いと思える理解されていない闇」を感じるものって、どんなものでしょうか。
 僕が真っ先に思いつくのは「情報技術」です。
 どんな可能性があるか、まだ探りきれていないジャンルだと感じています。
 ある意味で「生活の中に新たに現れた別世界」的なものだとも思えます。
 人工知能的な物からスマートフォンのアプリなどに関するものまで、「理解できない何か」を介入させることは容易ではないでしょうか。

 そういえばラヴクラフトの作品のうち、小説「冷気」や「彼方より」等には、マッドサイエンス的な空気を感じていました。
 科学技術が当時より進んだ現代では、例えば生命科学や物質科学の分野でも当時とは違った概念が注目されているように思います。
 そういった技術面や、世界のありかたへの理解の変化も、「理解できないという闇」が入り込みやすい場所だと感じますので、注目しています。

◆ 読者のみなさんの視点も聞いてみたいと思っています。
 今日は、ちょっとしたことをつなぎ合わせて、現代におけるクトゥルフ神話のネタになりそうなことを少し書いてみました。
 読者の皆さんがどのようなことに今コズミック・ホラーの要素を持ち込めそうと思われているか、ぜひお便りいただけましたら。

 それでは、今日はこのあたりで。
 良きクトゥルフ・ライフを。


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