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2022年12月5日月曜日

T&Tの《これでもくらえ!》強すぎ問題 FT新聞 No.3603

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T&Tの《これでもくらえ!》強すぎ問題

 (かあかばあど)
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T&Tでよくある話題のひとつに「戦士は初手《これでもくらえ!》を撃ってくる魔法使いには絶対勝てない」問題というのがある。5版時代の日本でもやはりこの問題は議論されていたようで、日本産のハイパーT&Tは耐久度ベースで、海外産の7版にも魔力度ベースによる魔法抵抗判定が導入されている。ただ7版の魔法抵抗だと魔力度を伸ばさない戦士はほとんど成功せず、そのせいか完全版では無くなってしまった(代わりに魔法のお守りなどの対抗手段が複数用意された)。

T&Tに魔法抵抗判定を再導入するなら、七版の魔力度判定やハイパーT&Tの耐久度判定よりも、魔力度か幸運度のどちらか(ただし幸運度だと魔力度より難易度1レベル上昇)で判定し、成功したらダメージ半減くらいがいいんじゃないかと思っております。魔力度だけで判定だと魔法職に有利すぎるし、耐久度だけで判定だと戦闘職に有利すぎる。

これなら知性度や魔力度を上げたくて幸運度を上げる余裕の少ない魔法職でも、魔法度で対抗判定ができる。また、魔法使用により魔力度が残り少なくなっていても、セーフティーネットとして幸運度が使える。

戦闘職にとって幸運度は個人修正が増えるので優先度が高めだけど、装備できる武器防具に直結する体力度や器用度よりも優先度は低い。そこで魔法抵抗用の能力値とすることで、こちらも上げたくなるように仕向ける感じで。

七版よりも前は幸運度をモリモリ伸ばしていくゲームだったけど、能力値成長の自由度が高まった分、幸運度の影が少し薄くなってしまったので、その辺を補うようなイメージ(あと運だめしで魔法抵抗をするAFF2eも参考にしている)。

まぁ影が薄くなったとはいえ、(こういう状況だとどの能力値で判定させりゃいいんだ?)と迷った時は、とりあえず幸運度で判定させとけばヨシ!みたいなところもあるゲームなので、伸ばさずにいるとそれはそれで困るんですが。知覚系に該当する能力値がないので、聞き耳などの判定は幸運度の出番になる。

魔力度で判定させるのは、魔法職なら敵魔法への対処方法を知っていてもおかしくないから。あと耐久度を上げる余裕が無くて脆い魔法職でも、魔法攻撃に抵抗しやすくさせるため。逆に幸運度による抵抗判定の難易度を上げて戦闘職だと抵抗しにくくしているのは、魔法攻撃が直撃しても耐久度で受けやすいため。

先ほどあげた抵抗判定導入案を採用しても、ダメージ半減程度では高レベルこれでもくらえ!で蒸発する問題は解決できないんだけど、完全打消しだとそれはそれで強すぎる気がするので半減にしています。

せっかく高いコスト(魔法の使用コストおよび1ラウンド分の行動)を費やしたのに、いっさい影響を与えられないというのはフラストレーションが貯まる。※なので抵抗されたらノーダメになるFC時代ドラクエの攻撃魔法に対して個人的には評価が辛くなりがち

まぁ高レベル《これでもくらえ!》だと半減した程度では相変わらずキャラが蒸発するので、そこを対処するとしたら自発的に判定抵抗の難易度を本来のものより上げる代わりに、成功したら完全打消しとかですかね。

抵抗成功で完全打消しだと悲しいというのはダメージ魔法だからであって、《のろま》や《大まぬけ》みたいな状態変化魔法とかだったら、抵抗成功で完全打消しでも普通に納得できる。コストを消費したのに無効化されるのは悲しい問題は残るんだけど、他のゲームも同じような処理をしている分、そういうものとして理解できる。

抵抗判定を導入した場合、判定の処理をするのはヒット数計算時ではなくダメージ計算時(防具とかの処理と同タイミング)にした方が良さそう。ダメージではなくヒット数が半減だと計算が狂いすぎて一気に戦線が崩壊しそうなので。

ただ能力値で抵抗判定を採用すると、モンスターレート表記のキャラが抵抗できないので不利になりすぎるというハイパーT&Tでよく指摘された問題も出てくる。こちらを解決したいなら、魔法を使用する側が魔力度判定をして失敗したらダメージ半減あたりかな。

なお、魔法を使用する側だけに判定をさせるのは、T&Tだとモンスターレート表記の相手がいる判定は、相手と自分の対抗判定してどちらが勝ったかではなく、自分が上手くいったかの判定になるため。

例えばモンスターから上手く隠れることができたかの判定の場合、、モンスターと自分の双方が(気づいた/隠れた)の判定するのではなくて、このモンスターから隠れるのはどれくらいの難易度なのかを裁定して、その判定に成功すれば上手く隠れることができた……となる。

「運命の審判」冒頭の「はしれ!犬ころめ!」なんかもこの方式。衛兵が矢を当てることができたかの判定ではなく、主人公が矢に当たらないよう走ることができたかの判定だけを行う。

T&T初版にはMR表記の敵がセービングロールを行うルールがあったらしいのに、後の版ではなくなっているあたり、(双方ではなく片方だけの判定で良くない?)という判断が働いたのではなかろうか。どちらも同じセービングロールなのに、PCとNPCではやり方が微妙に違うのは混乱を招くという判断もありそうだけど。

話を魔法に戻すと、敵がモンスターレート表記だった場合も、この考え方を応用すると、魔法を使う側だけが魔法防御を打ち破れたかの判定を行う。そのうえで失敗したらダメージ半減となる。

問題はどうやって難易度を裁定するかだけど、例えばザコ相手なら1レベル、ボスの護衛なら2レベル、ボスなら3レベルとかにして、シナリオや敵の規模に応じて増減とか? 機械的に算出するならMR÷100という方法もありえる。もしくは一般的なモンスターは判定できず、ボスキャラや特殊な設定のあるモンスター(魔法への抵抗力があるダークエルフ、隕鉄で作成されたゴーレム、隕鉄を食べたら魔法への抵抗力を有するようになった隕鉄トロールなど)のみ判定させるとか。この辺は実際に運用してみんことには何ともいえぬところ。

まぁ七版の頃の魔法抵抗判定が完全版ではすっぱり消えているあたり、(魔法抵抗判定自体がゲームのテンポを阻害するのでダメ)みたいな判断もしていそうではある。

《これでもくらえ!》や《まぬけ》などの魔術師呪文はおいといて、自作ソロアド内では、石化や幽霊の憑依、魅了などの魔法っぽい攻撃は基本的に魔力度/幸運度で抵抗判定という方向で処理しております。例えば、自作ソロアドだと『エンド・オブ・ザ・イヤー・イン・シタデル』で採用しております。

魔力度で抵抗判定をさせているのは、現状では魔力度が単なるMPだけでしかないので、もうちょっと他の意味合いも持たせたいな……というのがあるからですね。

《これでもくらえ!》が能力値表記キャラには強すぎる問題ですが、NPCデータをMRとして簡略化した煽りをモロに受けた部分なんだよな……。※MR表記の敵に使うには良い感じなんだけど敵に使われると困る。

まぁ店売りの対策アイテムとして、1レベル呪文用護符なら最安で90GP、隕鉄製短剣なら20GPで買えるので、(テンポ悪くなるから対抗判定は無くすけど、代わりにこっちで何とかしてくれよな!)みたいなデザイナーサイドの意図は感じる。

あと5レベルくらいになると《ないことに》《魔法破り》《結界》《わたしを守って、あなたを守って》《後方支援》など対抗呪文が充実してくるので、タリスマンにそうした呪文を仕込むという手もあるか。

個人的な感触としては、完全版になって店売りの呪文対策アイテムが増えたので、そうした対策を用意しているパーティーなら、敵に《これでもくらえ!》を使わせても何とかなりそうな気がしてきた。

それでも自分がGMなら、最大でも2発食らったら倒れるぐらいの威力に留めておくけど。一撃死させる威力だと、事故った時の理不尽感が高くなりすぎるように思えるので。

2発食らったら倒れる威力なら、用意した対策を2回続けてすり抜けなければ何とかなる余地があるし、たとえ対策なしでも最悪1発目は自前の耐久力で受けられる。その上で「もう1発食らったらマズいぞ!」と危機感を煽ることができる。

問題があるとすれば、ダメージが固定値なので何度も繰り返されると(またソレかよ……)みたいな気分に陥りかねないことかな。乱数による不確定要素があれば魔法で死んでも(ダイス運が悪かっただけ)と納得しやすいんだけど、ダメージが固定値だと完全にGMの裁量の範囲になるので(プレイヤーが勝てるように調整した出来レースなんでは?)となって冷めてしまう可能性がある。

逆にプレイヤーが下手うって死ぬと(GMの調整がヘボなせいで死んだ!)(プレイヤーの作戦がヘボなせいで死んだ!)と双方が死の責任を相手に押し付けてヘイトが生じやすい。でも乱数による不確定要素があればGMとプレイヤーの双方が(ダイス運が悪かっただけだからしゃーない)と責任をダイスのせいにできるのでギスギスが発生しにくくなる。

その辺を考慮して《これでも》乱数要素を入れるなら、相手の知性度をダイス振って決めるとかかね。1レベル魔法を使うには知性度は最低10必要なので、出目がそれ以下だったら「最低値の10点まで繰り上げる」「10点以上になるまでダイスを振り足す」とかそういう方向で。

……というような内容をツィートした結果、色々と面白い解決案が提示されました。そちらを読みたい方はこちらのまとめもどうぞ。
「T&Tの《これでもくらえ!》強すぎ問題( https://togetter.com/li/1839765 )の後半部」

ハウスルールによるバランス調整や戦術レベルでの対策などが色々と提案されており(やっぱり皆あの魔法には思うところがあるんだな……)となります。


こんな感じでT&Tのルールについて考えてながら作ってみたゲームブックが下記になります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
T&Tゲームブック『妖魅の森の魔女』
https://togetter.com/li/1182061
T&T
ゲームブック『ライフ・オブ・ゴブリン』
https://togetter.com/li/1302016

既刊はBOOTHにてDL販売しております。
https://gtr.booth.pm/

+++++
夏コミ新刊・T&Tソロアドベンチャー『パランニール島錬金工房』が発売中。
コンセプトはゲームブックでオープンワールド&素材を集めてアイテム錬成。11人の同行者と力を合わせ16のロケーションをめぐり39のアイテムを使いこなして100個の錬金素材を採取せよ!
+++++

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(編集人・水波流)
かあかばあどさん( https://twitter.com/kakhabad )による考察シリーズ、第27弾をお送りしました。

T&Tのレベル1にして最強魔法《これでもくらえ!》については、古参ゲーマー諸兄はそれぞれ一格言ありますよねー。
私などはT&Tはまどろっこしい判定が無くスピーディなのが良い点と思っているので、あっさり《くらってたまるか!》お守り(by HT&T)を持たせちゃいますねえ。
それと「コストを払ったのに完全失敗はフラストレーション」というのも全くもって同意です。なので自分の命中判定の後に相手の回避判定があるような戦闘ルールより、相手の回避力を加味してプレイヤーだけ判定というのが好きだったりします。(この辺は好みが分かれますが)
かあかばあどさんの指摘されているようにT&Tのルールは「GMとプレイヤーの双方が判定し成功度を比べる」ではなく「プレイヤーは成功したか」という趣旨なのが、なんとなくですがデザイナーのケン・セント・アンドレの「TRPGはルールに厳格なウォーゲームと違い、みんなでストーリーを楽しむためのものだ」という思想に基づいている気がして、好きです。

さて、かあかばあどさんの考察シリーズ、今回はいかがでしたか?
「もっと読みたい!」と思われた方は、ぜひ感想のお便りをお寄せ下さい。
お待ちしております。


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2022年12月4日日曜日

Ψ殺人鬼と幽霊と 日曜ゲームブック FT新聞 No.3602

はじめまして。火呂居美智と申し込ます。
ブログやエブリスタなどで、自作のゲームブックや短編小説を公開しています。
今回、短編ゲームブックを制作し、FT書房様に日曜ゲームブックへの掲載をお願いしたところ、ご快諾いただきました。
興味をもっていただけましたら、他の作品もありますので、ぜひ遊んでいただけたら、幸いです。

MY GAMEBOOK http://gandb777.seesaa.net/article/479595809.html

また2023年春頃に、幻想迷宮書店さまより長編ファンタジーゲームブックを刊行予定です。こちらも併せて、よろしくお願いします。

さて本作ですが、パラグラフ64、パラグラフジャンプを多用したホラーテイストの作品です。プロローグにて自らの立場を選択し、あなたは暗い屋敷の中を探索します。
屋敷に隠された真相をみつけ、エピローグへと進むことが出来るでしょうか?


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『殺人鬼と幽霊と』

 作:火呂居美智
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 ○はじめに
 この作品はゲームブックです。
 ストーリーは、項と呼ばれる複数の文章で分かれています。
 文末に次の項の数字が示されます。
 与えられた選択肢から次の項を選んで、物語を進めてください。

 ○ルール
 プロローグにおいて、主人公であるあなたは、自分の状態を殺人鬼か幽霊か決めなくてはいけません。
 その後、自分の状態を選ぶ場面にたどりついたら、正しい状態を示す項へと進んでください。
 また、エピローグにたどり着くには謎を解く必要があります。必要に応じてメモをとることをおすすめします。


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 プロローグ

 過去は、暗い霧に閉ざされてしまった。
 もはや、何も思い出すことができない。
 胸のうちに残るのは、蒼白い炎のような情念だけだ。
 その情念に突き動かされて、あなたはその屋敷に向かった。
 狭く何も見えない山あいの、暗い土地に建つ、古びた家。
 あなたは、自分について、ひとつだけ認識していた。
 それ以外は、なぜかよく覚えていない。
 あなたは……

 殺人鬼である30へ
 幽霊である2へ

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

↓続きはこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Killer,Ghost_and.html
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Killer,Ghost_and.txt

(編集部より:今回、火呂居さんにご用意頂きましたhtmlファイルは、選択肢をクリックするとパラグラフへ飛び、大変遊びやすいためお薦めです)


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2022年12月3日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第513号 FT新聞 No.3601

From:水波流
プリンタがエラーで止まり、見てみると「廃インク吸収パッドの限界値が近い」という表示が。メーカー修理に出すと1万円近くかかるそうで、でもこのプリンタ18,000円で買って、もう7年くらい使ってるしなぁと思い、買い換えを検討することに。ネットで調べてみると、いまのと同じくらいのグレードのものでなんと28,000円。高くなったのか、元のがお買い得だったのか。そこでこれまでの6色インクカートリッジから、4色エコタンクモデルにして画質よりコスパを上げることに。自宅で写真印刷は何度か試したけど、結局残しておくほどのものは印刷に出したほうが良いという結論なので、これで良いかなと。あとはいまのプリンタの交換インクが結構残っているので、ギリギリ限界まで使い切りたいところですが。。。

From:葉山海月
先日、通販の雑誌にて、ライカのカメラを見かけました。
やっぱ、ドイツと言えばライカだな。
そう思って眺めていると、堂々と「メイド・イン・チャイナ」の文字が!

From:中山将平
FT新聞3600回配信達成おめでとうございます!!間もなく10周年ですね。
僕らは今日、京都パルスプラザで開催の「TGFF2022 冬祭」にサークル参加しています!
ブース配置は【B1b】!!
FT書房が今年関西で参加する予定の中では、最後のイベントとなります!!
僕現地にいますので、是非遊びにお越しください!!


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■11/27(日)~12/2(金)の記事一覧
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2022年11月27日(日) 緒方直人 FT新聞 No.3595

鉱石四個収集日記page25
・緒方直人氏によるドルアーガの塔、アルカニウム鉱石4個ゲットに挑戦してみたのレポートをお届けしました。
今回は、連続小部屋迷路。強敵、サラマンダーはいませんが他にもいろんな住人がいる賑やかな階です。
しかし金貨1000枚集め隊のギル様ご一行は、単なる金食い虫でしかない預言者や物乞い達などはいっさいガン無視。さっさと金貨目当てで北のホブゴブリンがいる部屋へと向かいます。
金策! それ一点に絞った緒方氏のプレイが、今回もさえます!


2022年11月28日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.3596

自営業×作家 第12回 
・人に歴史あり! そしてFT書房に歴史あり。
FT書房のリーダーである、杉本=ヨハネ氏が、自らのエピソードとともに、その年代記をひもといていきます!
ボロッボロになって乗り切った「トンネル・ザ・トロールマガジン(TtTマガジン)」Vol.2の刊行。
続いて待っていたのは、怒涛の刊行ラッシュです。
「ゲームマスタリー(GM)マガジン」の創刊です。
ついてはその創刊号から、ソード・ワールドのソロアドベンチャーを制作。
そして『かえる沼を抜けて』の執筆刊行。
続けて、外城わたる氏著の日曜ゲームブック『夏のおもいで』の刊行!
などなど!
「杉本さんって、3人いるんですよね」と言わしめた八面六臂の大活躍!
とくとごらんあれ!


2022年11月29日(火) テンプラソバ FT新聞 No.3597

中世ヨーロッパの生活呪文 第3回(2)「蜂の群れへの呪文詩」 
・テンプラソバ氏による、中世ヨーロッパの生活に密着した呪文について……しかも、フィクションではなく実際に使われていた可能性が高い……を何回かに分けて紹介していきます。
今回は(1)~(3)と3回に分けて案内します。
旅を続け、暗い森に入る。
「旦那さん達、通行料をもらおうか? 身ぐるみ全部をな」
突然の襲撃!
しかし、その中の男の声は、メイソンじゃないか!?
この危機を、どうやって乗り越える!?
今回の呪文は、「蜂の群れへの呪文詩」
どうして「蜂」を取り上げるのか?
そこには、中世ヨーロッパの生活と切っては切れないものがあった!
意外な知識にうなずくこと必至! な記事です。


2022年11月30日(水) ぜろ FT新聞 No.3598

第3回【インスマスの影】ゲームブックリプレイ 
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第310回をお届けしました。
今回は、FT書房クトゥルフ・オリジンシリーズの第1巻!
『クトゥルフのいざない』に収録されております作品『インスマスの影』に挑戦!
青年にもらった地図を頼りに、いきなりダゴン秘密教団に向かう俺。
そこでなされた宣言。
「ギルマンハウスに宿泊する旅行者を、ダゴンへの生贄とするのだ!」
げげっ! それって俺じゃないっすか!?
逃避行の中での意外な展開に、息を飲むレポートです!


2022年12月1日(木)  岡和田晃 FT新聞 No.3599

「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.2
・「FT新聞」と、ネットマガジン「SF Prologue Wave」のコラボレーション企画!
前回(11月3日)の「FT新聞」No.3571に掲載された、伊野隆之氏による「SF Prologue Wave」の初出作品「ヴァレンハレルの黒い剣」は、おかげさまで好評を得ました。
今回は、著者自ら同作を翻訳し、更にはいかに英語圏のマーケットに載せたのか? 
その顛末や苦労話を記したエッセイをご紹介しました。
なんと、英語のタイトルから、『Crunchy with Ketchup』!?
直訳すると、「ケチャップでカリカリ」
この摩訶不思議なタイトルの意味を知りたい方! ぜひ本記事を!


2022年12月2日(金) 吉里川べお FT新聞   No.3600

T&Tコラム『悪魔よそれをとれ』完売御礼特別企画@04
・今年4月、〈FT書房〉よりトンネルズ&トロールズ(以下T&T)のコラム集、『悪魔よそれをとれ』を上梓された吉里川べお氏。おかげでほぼ完売!
その御礼企画として、T&Tについての、べお氏流改善の提案紹介です!
今回は、セービング・ロールのレベルの目安について。
「同じ挑戦をしてるのに、能力値が上がるとセービング・ロールのレベルが上がる"ってのはおかしいのでは?」との主張に基づき、ミニゲームのようなの楽しさを醸し出す3段階セービング・ロールを発案いたします。


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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ぜろさん)
今さらですが、11/13記事「デストラップダンジョン」リプレイ第16回の感想です。
仕事があまりに立て込んだので、読むのが遅くなってしまいました。
今回も大ボリューム! しかも原作?ではほぼサイコロ戦闘で片づけられてしまう忍者姐さんの深掘りがすごいことに。
ところで、この作品に限っては、選択肢が提示されていても全部上から熟読して展開の違いを読み比べて楽しんでいますが、その読み方もひとつの正解でいいですよね?
それぞれの展開に違う要素を入れ込んで、ほとんど同じ文面がないだけでなく、読み比べることで、背景がより鮮明になり、過去回想から現在の心境まで立体的に描かれているのに感動しました。
この先まだまだ難所が続きます。楽しみにしています。

(お返事:紫隠ねこ)
ありがとうございます。
フィリアが対人戦を行うのは、今回登場したカムルカが最後の相手になります。そのため原作のように、顔を合わせた途端に戦いが始まる展開にはしたくありませんでした。
カムルカは攻撃的な台詞が多く、他の人が考える「ファイティング・ファンタジーの冒険者」のイメージともかけ離れているので、あまり好かれる事のないキャラクターに設定しているのですが、彼女が背負った戦いの理由を楽しんで頂けたようで良かったです。(アレンジ版の忍者が好きな方には、彼女に乱暴な言葉遣いをさせて申し訳ありません……)
アレンジ版の紹介文に「出会いと別れ」という言葉が出てくるのですが、刊行から十年以上経ってから、あれをようやく形にできたと思っています。

カムルカとの戦闘シーンは特に苦労した所で、正直に言うと、あの場面は一番最後に書いています。
なりふり構わぬ戦い方をする所も、圧倒的な強さを見せつけているのに徐々に追い込まれていく所も、執筆している時は大変でしたが、描きたい場面をできるだけ詰め込む事ができたと思います。
今回の話の最初の方でフィリアがバトル・ハープーンを避けた時、本当は【運試し】をしなければならないのですが、選択肢がある場面なので、フィリアが強打を繰り出す時に運点を使わせています。
今更な話ですが、フィリアがフィニッシュブローの時に剣を逆手で持ちたがるのは、実は真サムスピのチャムチャムの影響だったりします。ブーメランを逆手で振る攻撃動作、あれ結構気に入ってるんですよ(笑)

この作品の読み方についてですが、上から順番に通して読むのも、選択肢に沿って読むのも、どちらでも楽しめるように執筆しています。
以前にも述べたように、どの展開がベストなのかは読者の方に委ねています。それぞれの展開の内容を大きく変えているのは、周回プレイで楽しめるノベルゲームを意識しているのですが、今回はそれが上手くいったような気がします。
ぜろさんがご指摘された通り、一つのルートを見ただけでは分からない事もあります。他の読者の方も、それぞれの展開を知る事で、大迷宮に挑んだ者たちの背景を感じ取っていただければ幸いです。
スロムと出会う以前から展開の分岐を入れていたら、また違ったのかも知れませんが、連載当初はそのような要素を入れる予定はなかったので、やはり原作で重要なキャラであるスロムのおかげと言えるかも知れません。

フィリアが戦う姿を見せる事ができるのも、残りわずかとなりました。
タイタン世界にスタイリッシュ剣術を取り入れてるので「はたしてファイティング・ファンタジーらしい雰囲気が出るだろうか」と思いながら執筆していたのですが、癖の強い作風であっても面白いと感じてくれた人も多く、長く連載を続けてきて良かったです。
既存の冒険をシリアス方向に描いた作品はあまり見かけず、設定資料の記述を生かした作品となるとさらに少なくなるので、自分らしい色が出せたのではないかと思っています。
最後の挑戦者も退場し、ついに本当の意味で一人だけになってしまったフィリア。最深部でどのような戦いが待ち受けるのか、次回もお楽しみください。今回もご感想ありがとうございました。


(あーるじぇいさん)
T&Tでもハイパーポイント使いたいの同感です!うちではハイパーダイスという使い捨てのアイテムを導入して一個消費するとダイス一個追加出来る...というのにしていました。お金も消費してもらえますからね...

(お返事:吉里川べお)
お金というリソース消費とハイパーポイントの交換という発想は面白い! あと、ゲーム世界の住民たちがどういう感覚でこのアイテムを流通・売買しているかを思うと妄想がふくらむな。〈べお〉(……この人、メタフィクション大好きだからなあ……)あーるじぇいさん、ツイッターでのご反応も含めてありがとうございます!〈梅太〉


(ジャラル アフサラールさん)
聖人が古代での多神教の神々や精霊と同じように魔法で使われると言うのは、この時代ならではですね。
続きを楽しみにしています。

(お返事:テンプラソバ)
ご感想ありがとうございます!
おっしゃる通り、キリスト教の聖人が『力の源』のような扱いで呪文詩に出てくるのは、キリスト教の布教が進んでいたこの時期らしさが出てて面白いですよね!


(まろーんさん)
個人的には、現時点で既にTtTvol.6が欲しいですね。もっとソロがしたい、シナリオ読みたい、記事が欲しいと思ってます。現行のサポート誌にも言っていますが……。

(お返事:杉本=ヨハネ)
感想、ありがとうございます☆
少し前にT&Tの原産国であるアメリカはフライングバッファロー社が別の会社に吸収されまして、そのM&Aの余波なのかちょっと本国の動きがにぶいのが現状のようでして。
サードパーティであるFT書房がこのタイミングで動くのは、あまりよろしくない状況です★
待ちましょう。
きっとまた、動きがあるはずです!


(ジャラル アフサラールさん)
クトゥルフの楽しみ方として他に
◆収集する
クトゥルフ関係の関係のアイテムや書籍を集めるというのがあると思います。幸い?クトゥルフ神話が日本に紹介されて間もない事もありますので、個人でもかなりのアイテムを集めることが可能だと思います。TRPG関係なんかは品によっては現在万円単位で取引されていますが、田舎の玩具店とかに埃被って置かれている事もあります(小生ネットで数万円単位で取引されているTRPGサプリメントを元値で入手しました)。まあ変な魔導書をコレクトしないように気を付ければ(笑)。

(お返事:中山将平)
いつもお便りをいただき、ありがとうございます。
収集、楽しいものですよね。
アイテムという点で考えますと、グッズの自作も楽しみ方に追加できるなぁと考えておりました。
心惹かれるものが手に入る喜びって大きいと思っております。


(ジャラル アフサラールさん)
この時代の蜂蜜というと「蜂蜜酒(ミード)」の材料としての価値もありますね。人間が最初に入手した酒と言われ造るのが簡単な酒ですから。ファンタジーRPGの好きな人には、ゲームの中に出てきた蜂蜜酒が実際に飲めるチャンスは興味ある方も多く『深淵』などの作品で知られるゲームデザイナーの朱鷺田祐介さんが愛好家でブログに時々ミードの事を書かれています。

(お返事:テンプラソバ)
ご感想ありがとうございます!
おっしゃる通り蜂蜜酒は、人類最古の酒と言われていますね。
雨水などで薄まった蜂蜜に、空気中にただよう天然酵母が入り自然発酵することで発見されたと考えられているようです。
クトゥルフの黄金の蜂蜜酒や、北方ぽい国のファンタジー居酒屋に出てくる蜂蜜酒などTRPG好きにとっても馴染み深いですよね!


(紫隠ねこさん)
【インスマスの影】リプレイ楽しませ頂きました。
危険な匂いしか漂ってこない秘密教団から上手く脱出できてホッと一安心。
しかしクトゥルフは日常に戻った途端、死亡フラグが点灯するイメージがあるので、次回が気になります……!

(お返事:ぜろ)
感想ありがとうございます。
そのイメージ、なんて的確な!!
次回どんな惨劇が起きてしまうのかは、ぜひその目でおたしかめください。
次はアタック02も入ってお得ですよ?!w


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2022年12月2日金曜日

T&Tコラム『悪魔よそれをとれ』完売御礼特別企画@04 FT新聞 No.3600

吉里川です。今回出てくるセービング・ロールの『修正レベル』、昔はもうひとつ決めかたがあって、それは"GMの『GMレベル』以下の任意の数値"というものでした。『GMレベル』というのは元々「GMにレベルアップがないのは残念だなあ」と思って内輪で作った称号みたいなもので、まあそれをシステムに組みこんだわけです。考えた当初は「おお、斬新だ」と悦に入ってたんですが、後に『スペースコブラ 最終兵器』〈*1〉に似たルールがあるのを知りました……むしろ古すぎたわけですね……。


『悪魔よそれをとれ』完売御礼特別企画

『勝手にハウスルール(4/12)〜セービング・ロール02、〔3段階セービング・ロール〕〜』


◎セービング・ロール02・レベル設定

梅太「"セービング・ロールのレベルの目安"ですが、べおさんはどうしてます?」
べお「何度か書いてるけど、本当は"同じ挑戦をしてるのに、能力値が上がるとセービング・ロールのレベルが上がる"ってのはおかしいんだ。ただT&Tではそうも言ってられないくらいバランスが悪い」
梅太「ですね。どうします?」
べお「……というわけで、私の"レベル設定の目安"は『基礎レベル』と『修正レベル』で構成される。射撃のセービング・ロールのような、"機械的にレベルが決まるもの"以外のすべてをこれで決める」
梅太「ははあ」
べお「まず『基礎レベル』は〔なんでも3/6分類法〕に従って、以下の通りだ」

1:ふつうの難しさ。それなりの訓練をした者で五分五分。
2:1と3の間。
3:かなりの難しさ。熟練者で五分五分。
4:3と5の間。
5:すごい難しさ。その道の達人で五分五分。
6:偉業。

梅太「普通のRPGだとこれで終わりですが、T&Tだと作成時点で1レベルでも絶望的ってキャラがいる反面、3レベルくらい楽勝、ってキャラが出てきますよね」
べお「うん。成功率の低いキャラは〔クレムブースト〕とかでしのいでもらうとして、楽勝の方はどんどん増えてくる」
梅太「みんな能力値上げてきますからね」
べお「そこで出てくるのが『修正レベル』だ。これはセッションごとに決めるんだが、決め方が2パターンある。ひとつめは"パーティーのキャラクター・レベルの中央値×1/2"だ。面倒なときにはこれでいい」
梅太「へえ。もうひとつは?」
べお「ミッションのレベルを指定する。ダンジョンなら"階層の数×1/2"。人助けなら、〔なんでも3/6分類法〕の【規模】を用いて、どれだけの人々を救うミッションかで1〜6を決める」
梅太「おお、そこで【規模】出てきますか。で?」
べお「最終的なレベルだが、通常は『基礎レベル』+『修正レベル』−1。能力値が派手に上がる感じでセッションをやってるときは、『基礎レベル』×『修正レベル』で」
梅太「……うーん、目安としては"あり"なのかなあ……〈*2〉。でもT&Tだったら、このレベルもどうせクリアしてきますよね」
べお「うむ。あとはGMがどこまで認めるか次第だ。私としてはいつまで経っても同じ行動でレベルが上がっていくだけだとつまんないから、能力値70を超えても引退しないのならもう"メガ・キャラクター"認定して、異能バトルやギャグマンガのような"ありえない"ことを可能にしていきたい〈*3〉」
梅太「どう運営するんです?」
べお「とりあえず高いレベルを叫んでダイスを振らせ、成功したらプレイヤーに描写してもらう〈*4〉。一瞬で縄抜けして跳んで敵の首筋にナイフ突きつけるので『器用度』か『速度』20レベル、捜査開始直後に事件の真相を解くので『知性度』30レベル……〈*5〉」
梅太「シナリオがめちゃくちゃになるじゃないですか!」
べお「まあ私だってあまりに無茶なのは却下するから、結局は程度問題になるんだろうけどね……」


◎〔3段階セービング・ロール〕

梅太「ところでT&Tの歴史の中で、0レベルのセービング・ロール〈*6〉、達成セービングロールやカウンター・セービングロール〈*7〉、いろんなものが開発されてきましたね。べおさんが作ったもので、使えそうなのないですか?」
べお「うん、じゃあ〔3段階セービング・ロール〕を紹介しよう。これはシナリオに想定してない目的が生まれたときや、事態がややこしくて抽象的に処理したくなったとき、あるいはシナリオとシナリオの間にプレイヤーが何かしたいと言いだしたときなんかに使う」
梅太「はあ。どうやるんですか?」
べお「まず目標を明確にし、必要なセービング・ロールの"総レベル"を算出。それを3つに分け、それぞれ適当に能力値とレベル、失敗時のペナルティーを決める。なお目安となる"総レベル"の基本は(1回のセービング・ロールで決めるとき想定される難度)×(RPGセッションで実際にやったとき想定される時間)だ」
梅太「……セッションにかかりそうな時間を数値扱いするルールなんて、初めて見ましたよ」
べお「なにか例をあげよう。市中の冒険のとき、プレイヤーの思いつきで男爵の館から印章を盗まないといけなくなったんだが、屋敷の地図を用意してなかったとする。この場合、"総レベル"は4レベル×2時間=8」
梅太「これを3つに分けるわけですね」
べお「そうそう、例えばこんな感じ。『目標:男爵の屋敷から印章を盗む』。『1館に侵入(幸運度3レベル、目標失敗)』>『2印章を盗む(器用度3レベル、目標失敗/拘束)』>『3逃げる(速度2レベル、再挑戦可/出目足りないぶん能力値減少:耐久度)』」
梅太「なるほど、ひとつのミニゲームみたいになってるのか〈*8〉」
べお「その通り。こちらに専用のシートを用意したんで見てほしい〈*9〉。予測できる状況ならこれであらかじめ作っとけばいいし、アドリブで書いても数分かからない」
梅太「おお」
べお「この〔3段階セービング・ロール〕、一番役立つのはパーティーがばらばらになったとき、何人かに振らせることで"時間短縮"になることだが〈*10〉、全員で挑戦するときにももちろん使える。さっきのシートには"複数による挑戦"という欄もつけといたんで、状況によって"全員成功しなければ失敗"とか、"誰かひとりが成功すれば良い"とか設定すればいい」
梅太「ふむふむ……これ、晩餐会の準備とか井戸の修理とか、目標があってプロセスがあるものなら、なんでも使えますね〈*11〉」
べお「うん。もうデータをなくしてしまったんだが、昔は長い儀式が必要な魔法や、新しい魔法の開発、機械の製造なんかのルールも作ってた。"総レベル数"は対象の難しさによって決定、他にも初期投資とか弟子によるボーナスとかの細則があったなあ〈*12〉」
梅太「へえ、夢が広がりますねえ……ところでこれ、領地運営とかお店の経営とかにも使えますか?」
べお「いや、目標が"維持"で期間が"ずっと"の場合、このテクニックは使えない。イベント表でも用意して、ふつうにセービング・ロールを振らせ続けたらいいと思う」
梅太「はあ。夢が一気になくなりました。経営者って大変ですね」
べお「……うっせえわ……」 (つづく)


******


*1 1983年、バンダイから出てました。〈編集部〉

*2 これだと、世界を救うミッション中は"酒場で相手を口説く"だけでも、6レベルもの修正がかかっちゃいませんか?〈梅太〉世界の命運が両肩にかかってるって状況だと、いつものようには舌が回らないってことさ……まあそういうときは単に『修正レベル』を外してもいいけど。〈べお〉

*3 "メガ・キャラクター"とは強力になりすぎてしまったキャラクターのこと。旧『ウォーロック』誌35号(1989年11月)所収の「T&Tデザイナー・インタビュー」など、何度か用例があります。〈編集部〉『死の女神の口づけ』(邦訳2017、書苑新社)には"世界を救う"ルートがあるが、セービング・ロールの処理としてはレベルが上がっているだけだったんで、ちょっと残念だったな。〈べお〉

*4 前から書いているが、プレイヤーが描写やロールプレイに凝りたいときは、セービング・ロールで結果が出てからさせるとよい。〈べお〉さんざんかっこいいセリフ言っといて失敗、っていうのも笑いとれますけどね。〈梅太〉

*5 いちおう目安はあって、前者は1戦闘ターンにやる行動をすべて足して算出(あと、ほんとは行動が増えるごとに『体力度』を2、4、8……と消費)、後者は「*10」を参照のこと。〈べお〉

*6 「0レベル」は日米で意味が異なる。アメリカでは"致命的失敗(1、2)以外では成功するセービング・ロール"のことで、『MSPE』や『完全版』ブック1、77ページに触れられている。日本では旧『ウォーロック』誌からの伝統で"目標値15のセービング・ロール"となっており、"目標値10"の−1レベルなるものも提案されている。〈べお〉

*7 「達成セービング・ロール」は「目標値を言わず、何レベルまで成功したか」を決めるもので、プレイヤーに目標値を知られたくないときや、目標値が特に決まっていないときに用います。「カウンター・セービング・ロール」は「自らレベルを宣言し、そのレベルをクリアしたか」を決めるもので、2者以上が競い合うために用います(順番に行い、勝つためには相手より上のレベルをクリアせねばならない。場合によっては勝敗が決まるまで続く)。いずれも『HTT』の用語です。〈編集部〉「カウンター・セービング・ロール」、面白いんだけど時間がかかるんで、うちでは「達成セービング・ロールで何レベルに達したかを競い合う」方法を多用してたな。〈べお〉

*8 原型は昔からあったけど、『ガンドッグ』シリーズ(初版は2004、新紀元社)の「TRS(ターゲット・レンジ・システム)」と『ダンジョンズ&ドラゴンズ4版』(邦訳2008、ホビージャパン)の「技能チャレンジ」を大いに参考にしたぞ。〈べお〉

*9 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/Threesteps_SR.pdf に格納しました。どこまで進んだか、コマかなにかを置いておくといいですね。〈編集部〉

*10 キャンペーン終盤なんかでテンポをさらに速くしたいときは、セービング・ロールを3分割せずに1回で判定させる。"メガ・キャラクター"対策にもなるしね。〈べお〉「世界を救うなんてまっぴらごめんだ」とか言って姿を消してた盗賊が、ふらりと迷宮の深奥にあった重要アイテムを持って再登場するんですね!〈梅太〉

*11 各段階にかかるゲーム内の時間は何種類かあって、例えば"印章を盗む"とかだと1段階1時間、新魔法の研究とかだったら1段階3ヶ月としていた。〈べお〉

*12 昔のデータがないんで数値は適当だが、例えば2レベル魔法の開発、初期費用20000GPと研究室、〔3段階セービング・ロール〕は『1術式の開発(知性度6、目標失敗)』>『2試薬の錬成(器用度4、再挑戦可/追加の出費1000GP)』>『3最終実験(知性度6、目標失敗/出目足りないぶん能力値減少:耐久度)』。〈べお〉『完全版』ブック1、149〜151ページもご参照ください。〈編集部〉


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2022年12月1日木曜日

「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.2 FT新聞 No.3599

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「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.2

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●はじめに(岡和田晃)

 11月3日に配信「FT新聞」No.3571に掲載された「SF Prologue Wave」の初出作品「ヴァレンハレルの黒い剣」は、おかげさまで好評を得ました。お読みいただいた方からは、「かつての創元推理文庫で翻訳されたファンタジーを読んでいるかのような胸躍る一篇だった」(あーるじぇい@owljeyさん)といった反響をいただきました。

【バックナンバー限定再公開】「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.1
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 そこで今回は、著者の伊野隆之さんが、同作をいかに英語圏のマーケットに載せたのか、その顛末や苦労話を記したエッセイをご紹介しましょう。
 興味深いのは、自分の作品を自分で英訳していること。これは翻訳論の文脈では「自己翻訳」というのですが、かく言う私自身、『モンスター!モンスター!』第二版に対応した汎用モンスター集『ケン・セント・アンドレによるツィムララのモンスターラリー(Ken St. Andre's Monsterary of Zimrala)』(https://www.drivethrurpg.com/product/414074)に、デーモンの「カレドミナクス(Kaledominax)」を寄稿した際には、日本語での草稿を自己翻訳し、さらにケンの的確なチェックを経て修正、掲載に至ったという経緯があります。
 『ツィムララ』には、ライターのたまねぎ須永さんもTaketo Sunaga名義でモンスター「Sea-Jibbles」を寄稿されており、まだの方は要チェック。さっそくケンのソロアドベンチャー「猫神のためのミッション(Mission for a Cat Goddess)も出たばかり。いきなり50ページ、110パラグラフ越えというボリュームです!
 狭義の小説のみならず、RPGにおいても、英語圏を視野に入れた活動が求められる状況となっており、伊野さんの試行錯誤は大いに参考になるでしょう(私はなりました)。
 各種デジタル・ツールが縦横に活用されていますが、それに頼りっきりにならず、英語・日本語の知識と実践を蓄えて推敲し、さらにネイティヴ・チェックをふまえるというのがコツであるようです。

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『Crunchy with Ketchup』あるいは自己翻訳の話」 
 伊野隆之

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 なかなかピンとこない英語のタイトルですが、機械翻訳にかけても「ケチャップでカリカリ」となるだけで、あまり状況は変わらず。
 裏表紙の説明文を機械翻訳に掛けるとこんな感じ。
 「人はドラゴンの問題に干渉してはいけないと言われています。あなたはカリカリしていて、ケチャップと一緒に食べるとおいしいからです。
 さあ、ドラゴンの巣窟へ。
 他のヒーローやヒロインたちと一緒に、史上最大の肉食動物に立ち向かうチャンスを掴みましょう。
 ドラゴンの内戦を目撃してください。
 ニューオーリンズの戦いの実話を聞く。
 ドラゴンの腹の中はどうなっているのか?
 猫がドラゴンの卵を盗むと災いをもたらす理由を知る。
 核兵器による破壊から私たちを守るドラゴンライダーのグループを紹介する。
 現代のドラゴンの伝説をたどっていくと、思いがけない発見があります。
 などなど。
 あなたはカリカリしていて、ケチャップと一緒に食べるとおいしいことを覚えておいてください。」
 ということで、この本はドラゴンをテーマにしたアンソロジーで、やっと表紙の絵が腑に落ちます。でもなぜ、ケチャップがドラゴンと関係があるの、ということで調べると、まず、「Do Not Meddle in the Affairs of Dragons For You Are Crunchy and Good with Ketchup(ドラゴンには関わるな、なぜならカリッとしたおまえはケチャップによく合うからだ)」という形で引用句(quote)になっており、その一つのオリジンが、シェエリン・ケニヨンというベストセラー作家が2002年に発表した「Dragonswan」という作品の冒頭に出てくる「Be kind to dragons, for thou art crunchy when roasted and taste good with ketchup. (ドラゴンには親切に。あなたはローストするとカリッとなり、ケチャップをつけるとおいしいから)」という文章らしい(ちなみに、日本でも翻訳が出ていて、タイトルは「永遠の恋人に誓って」。翻訳者がどう訳しているのか気になります)。
 もう一つ、元になったと言われているのが、かのトールキンの「指輪物語」の第1部「旅の仲間」に出てくる「Do not meddle in the affairs of wizards, for they are subtle and quick to anger. 魔法使いには、おせっかいをやくな、変幻自在で、よくおこる(瀬田貞二・田中明子訳)」という文章。
 ということで、ドラゴンとカリカリとケチャップには密接な関係があったらしい。
 ふう。
 それで、紹介文の下の寄稿者を見ると、いかにも欧米な名前に混じっている「Takayuki Ino」ってだれ?
 ちなみに目次には、「The Dragon Sword of Valenharel - Takayuki Ino」とあったりします。
 これは、SF PrologueWaveで発表した「ヴァレンハレルの黒い剣」の英語版なのです(アンソロジーの趣旨に合わせてタイトルを変え、作品の内容も、若干変えています)。
 翻訳者の名前も無く、つまり、「翻訳、自分!」。
 SF&F小説のマーケットは英語圏が大きいので、いつかは自分の作品が英語になると良いと思っていましたが、数年前までは自分で翻訳できるとは考えていませんでした。
 自作を翻訳しようと思った一つのきっかけは、本名で書いた法律の解説書への反応です。前職の公務員時代、担当していた法律の海外講演を一手に引き受けていました。そんなわけで、英語のプレゼン資料と読み上げ用の原稿が手元にあり、これらをまとめて残しておこうと英語で本を作ったところ、海外の多くの知人に褒めてもらえたため、気を良くしていました。
 もう一つは機械翻訳の精度の向上です。公務員を辞めてお手伝いを始めたコンサルの仕事で機械翻訳を使い始め、それなりに癖もわかってきたところで、自作の翻訳に手を出してみました。ただ、今の機械翻訳のレベルでは、定型的なメールなんかはともかく、小説の翻訳は無謀でしかないわけです。日本語の小説の文章は、主語は平気ですっ飛ばすし、時制はあって無いようなものです。文章としての形が、融通無碍なところが難しい。ですから、この翻訳は、まずは機械翻訳の間違いをチェックするというところから始まりました。
 良くある間違いが主語の間違いや、発話者の性別。日本語には男言葉と女言葉という便利な道具がありますが、英語ではいちいち指定しないといけない。単数と複数、特定されているのかいないのか(aとthe)などなどの修正が必要です。もちろん、文意が変わっているところもあり、そこは改めて英作文。機械翻訳で出てきた単語という材料はあるので、ゼロからの作文よりは楽ですが、それなりにしんどい作業です。また、「ヴァレンハレル」では、youを古英語風のthouに変えるという小細工も必要でした。そんなこんな完成した翻訳文も文法チェッカーで確認するとさらにダメ出しが……。
 自分翻訳にトライしたのは、これが最初ではありません。送った結果、没になったものもあります。そんな中で翻訳に苦しんでいる、時制がおかしい、というネガティブな指摘だけではなく、アイデアが気に入ったというポジティブな反応や、他の作品を読んでみたいという海外の編集者の反応があり、それで、初めて出版という結果につながったのが、この「Crunchy with Ketchup」の「The Dragon Sword of Valenharel 」です。
 もちろん、僕の英語が小説の英語として完璧だったわけでは無く、アンソロジスト兼エディターのキャロルさんからは、余分なthatをいくつも削除され、今の形になりました。
 ここまでの労力に対する経済的なリターンは微々たるものですが、英語圏のマーケットはオリジナルアンソロジーに限らず、Web MagazineやPod Castなど、公募が多く、まだまだチャンスがありそうなので、引き続きチャレンジしてみたいと思っています。
 少なくとも、僕の作品は(僕にもわかる)読みやすい英語になっていますので、もし、英語で書かれたドラゴンの話に興味をお持ちの方がおられましたら、是非、ご一読ください。
 僕も、他の作者の作品をこれから読もうと……。


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書誌情報:
『Crunchy with Ketchup』
 Various Authors (著), Carol Hightshoe (編集)
 出版社:WolfSinger Publications (2021/8/14)
 https://www.amazon.co.jp/Crunchy-Ketchup-Various-Authors/dp/1944637036

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初出:
「SF Prologue Wave」
https://prologuewave.club/archives/8856


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2022年11月30日水曜日

第3回【インスマスの影】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.3598

第3回【インスマスの影】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【インスマスの影】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。

ぜろです。
成人祝いの一人旅をしている主人公アーヴィン。
節約旅行を敢行し、悪い噂の絶えないインスマス経由の旅程にしてみたところ、インスマスは、想像以上にヤバげな町だと知るのでした。
ひとまずバスの時間待ちに町内散歩をしていますが、それだけで伝わってくるその不気味さ。
今回はついに、悪い噂の中心、ダゴン秘密教団に迫ります。

【アーヴィン:パニック値:0】


●アタック01-7 生贄宣言

何気ない散歩のはずだったが、青年にもらった地図を頼りに、俺の足はそこに向かっていた。
旧フリーメーソン会館。ダゴン秘密教団の基地だ。
秘密なのに、堂々と「ダゴン秘密教団」と看板を出している、本当に秘密なのか疑わしくなる組織だ。

さて、普通ならこんなところ、近寄るなんてとんでもない、と考えるところだ。
だが、ここまでの情報からして、このダゴン秘密教団こそが、このインスマスの秘密の中枢を担っているのだと思う。
そして俺はダゴン秘密教団の一員を示す〈印〉を持っている。
ならば、今はインスマスの秘密を探るチャンスなのではないか。

そもそも、午後8時のバスでインスマスを離れればいいだけの俺に、インスマスの秘密を探る意味があるのかとセルフツッコミしてしまうところだが、いいんだよ細かいことは。

俺は〈印〉を持っている。それを活用できる場面があるというんだ。行かない手はないだろう。
好奇心旺盛な俺も、きっと俺の選択を支持するはずだ。

実際、〈印〉を見せたところ、内部には簡単に入ることができた。
そしてそこで俺は、衝撃的な話を聞くことになる。いやホント、潜入してよかった。

ダゴン秘密教団の聖堂には、想像以上に多くの人が集まっていた。
司祭らしき男がスピーチをしている。頭には金色の冠。猫背でしわがれ声。
説明しがたい不快感を与える、人間的でない要素を、その立ち姿から感じる。
この男こそ、マーシュ精錬所の現在の持ち主、バーナバス・マーシュだ。
このインスマスに異形を連れてきたとされるオーベット・マーシュ船長の孫。三代目。

「いあ、いあ、くとぅるふ! 海神ダゴンに生贄を捧げよ!!」

生贄を求める狂信者の噂は本当だった! わかってたけど!
おかげでパニック値が1点上昇してしまった。だがもう少し粘って話を聞くぞ。

「本日のアーカム行きのバスは運休とする。そしてその結果、ギルマンハウスに宿泊する旅行者を、ダゴンへの生贄とするのだ!」

ゲゲェ!
それってまさしく俺のこと!!

これこそまさに、衝・撃・的!!

俺を生贄にする計画を、潜入した俺が聞いてしまった!!

さすがにこれは追加でパニック値が1点増加だ。でもこれは仕方がないな。

【アーヴィン:パニック値:0→2】

ここで「パニック値が3なら」、という質問が提示された。
よかった。まだ2点だ。散歩のときに用心深く立ち回ったのが功を奏した。

パニック値は上がってしまったが、むしろ、知ることができてラッキーと思うべきだ。
今なら誰にも気づかれることなく、この町を脱出できる可能性もある。というか、この状況、それに賭けるしかない。

ここで選択肢だ。

・すぐにこの教団からの脱出を試みる
・バーナバス・マーシュを尾行する

バーナバス・マーシュは講演の後、奥の控室に下がるようだ。見たところ、護衛がいる感じはない。
ここはバーナバスにとって、そういった気遣いは無用な場所なんだろうな。

ならば尾行しよう。
焦って脱出を図るよりも、尾行した方がチャンスが広がりそうな予感がする。
護衛がいないのなら、いざとなったら人質にだってできるかもしれない。

控室のバーナバスは一人座っている。
講演で昂った気持ちを落ち着けているのか?
今なら気づかれずに背後から襲うことができるかもしれない、という発想が頭の端によぎり、選択肢にも出た。
しかし無視する。

やがて何人かの教団員と入れ替わりに、バーナバスは裏口からその場をあとにする。
分かりにくい抜け道だが、俺はこっそりついていく。よし、少なくとも安全に教団本部から脱出できた。

そこに車が停車している。バーナバスが帰路で使うもののようだ。
バーナバスはまさに車に乗り込もうとしている。今や完全に一人だ。
これって、最大のチャンスなのではないか。

そしてここで出た選択肢は2つだ。

・車に潜入して好機を待つ
・バーナバスを襲い車を奪う

車に、潜入する?
今、バーナバスが運転席に乗ろうとしている車に、どうやって潜入すればいいんだ?
これは、けっこうな難題だと思う。
現代の車とは違う形状をしているのかもしれない。
けれども、運転席に乗り込もうとしている人に気づかれないように車に潜入するイメージを、俺はどうしても持つことができない。

むしろ町を脱出するために必要なのは、車だ。
バスは運休。あったとしても教団の息がかかっているのだ。徒歩での脱出は無謀としか思えない。
だからどのみち、脱出には必ず車が必要になるはずなのだ。
ならば、今、車を奪うのが最適と見た!


●アタック01-8 インスマスからの逃亡

落ちていたレンガを手に、バーナバスに不意打ちを敢行!
俺の怒りの一撃を受けたバーナバスは、その場に倒れる。

「ハスター教の者……か……?」

そうつぶやくと、バーナバスは死んだ。

って死んだ!?

やりすぎだ俺!

ああもう、殺っちまったものはどうしようもない。
どのみちこの町の警察にもモラルは期待できないし、おとなしく逮捕されるわけになんていかない。
このまま車を奪ってエスケープしか道はないじゃないか。

ハスターは【クトゥルフのいざない】をプレイした身としては、クトゥルフに対抗しうる宇宙的な存在のことだと知っているが、俺にはわからないので華麗にスルーする。

バーナバスの遺体から、車のキーを強奪した。俺は車を手に入れたのだ!

・車を使ってインスマスから脱出
・車を使わずにインスマスから脱出

この状況であえて車を置いて逃走する意味って一体……。
バーナバスの死は誰にも知られていない。車で逃げたと思わせる陽動にすらならないぞ。
よってここは、車で脱出の一択で!

次は、逃走経路だ。

・南西
・北
・南

北はもときたニューベリーポート。
南は次の目的地のアーカム方面。
南西は、雑貨屋店員の地図ではイプスウィッチという地名が書かれているが、これまでに説明があったことはない。

ふむ。この選択からなら、俺が選ぶのは北だな!
まず、俺は北に向けて散歩をし、この教団に潜入した。北の方が町の出口に近いだろう、というのが1つ目の理由。
それから、逃走するなら通ったことのある道をたどった方が、未知のルートを行くよりも確実だろう、というのが2つ目の理由だ。

夜になると、インスマスの住人たちは外に出てくる。
俺には、生贄にするための捕獲指令が出されている。
車は目立つ。

これは、急がなければならない。
俺は焦りつつ車を走らせる。

町の出口に近づいたときだ。
そこからは、噂に聞いていた〈悪魔の暗礁〉が見える。悪魔の群れが住むと噂されてたやつだ。
そうだ。来る時に眺めてきたんだから、こっち方向にはこれがあるんだった。

クトゥルフ世界では、悪い噂はだいだい真実。

大量の人間サイズの生き物が、悪魔の暗礁から町に向けて泳いでくるのが見える。
それは人間に似た異形の怪物だ。言うなれば半魚人だ。マーメイドのような美しいバージョンでは断じてない。
もうね、描写細かいの。
インスマス面だけじゃなくて、きっちりがっちり手足には水かきがついてる。首にはえらが口を開けてる。
正しくホラー系リアル半魚人。むしろ魚に近い方だろ。
でも服は着ている。これがインスマス人のなれの果てか。先祖返りか。

異形の怪物の実物を見たにもかかわらず、俺のパニック値は上昇しなかった。
ここまでの体験で、ある程度予測できちゃっていたのか、それどころではないほどに焦っているのかのどちらかだろう。

何の焦りか。
それは、悪魔の暗礁から泳ぎついた異形たちが、北の出口の封鎖にかかっているためだ。
てか、お前らえら持ちなんだから、おとなしく水の中にいろよ!

ああもう、こうなったら、強行突破しかない!
俺は封鎖しているがれきに突っ込み、怪物たちを跳ね飛ばしながら、町からの脱出を図った。
はねられた怪物たちにとってみれば、俺の方がよっぽど脅威の怪物に見えたかもしれないな。

俺は、そのまま走り続ける。止まるんじゃねえぞ!
そして明け方にようやくニューベリーポートへ到着したのだった。

次回、これで迎える結末は、「ゲームエンド」か、それとも「ゲームオーバー」か。

【アーヴィン:パニック値:0→2】

■登場人物
アーヴィン 好奇心旺盛だったが、ただならぬ町の雰囲気に、少しずつ慎重さを取り戻しつつある主人公。
青年 インスマスの食料雑貨店の店員で、よそ者。
バーナバス・マーシュ ダゴン秘密教団の幹部。祖父がインスマスの町へ異形を連れてきたとされている。


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2022年11月29日火曜日

中世ヨーロッパの生活呪文 第3回(2)「蜂の群れへの呪文詩」 FT新聞 No.3597

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中世ヨーロッパの生活呪文 第3回
(2)「蜂の群れへの呪文詩」

 テンプラソバ
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◇はじめに
 おはようございます!
 中世ヨーロッパと西洋風ファンタジーが大好きなテンプラソバです。
 中世ヨーロッパの生活に密着した呪文についてのコラムの第3回を始めます。
 第3回は、(1)~(3)と3回に分けて案内します。
 今回は第3回(2)「蜂の群れへの呪文詩」です。

 紹介する呪文は、中世に書かれた医学書などに記載され現代まで伝わるもので、フィクションではなく実際に使われていた可能性が高い、ある意味「本物」の呪文です!
 舞台は、第2回に続いて中世前半のイングランドのとある田舎の村です。
今回は、蜂の群れに関する呪文を紹介しましょう!

※注意
 呪文や歴史背景などに関する内容は参考文献を元に書いています。
 参考文献は記事の最後をご覧ください。
 ドラマパートは私が創作したフィクションです。

■ドラマパート前回のあらすじ
 自領民のメイソンが起こした一連の事件が、隣領地の領主ブラー家による工作か確認するため、領主エドリックは自らブラー家領地のブラートンに向かう。
家族は罠があると警告し止めようとするが、決意は固いエドリック。
ハードウルフは、旅立つエドリックを旅の呪文で祝福するのだった。

■登場人物
エドリック・ハマー ハマートンの領主、若く身重の妻がいる
ロドルフ・ハマー エドリックの父
ハードウルフ ハマートンの司祭でリーチ(医師)、呪文詩を駆使する
エグビン ハマー家の家人、エドリックが頼りにする男
エリク 元デーン人(ヴァイキング)で、ハマー家の警備担当
フレッチャー ハマー家の警備担当。普段はエリクに鍛えられている
メイソン ハマートンで牛泥棒や風説の流布など良からぬ事を企んだ者


◆「ブラートン」
■道行き
 エドリック達は、ハマートンとブラートンの境の目印となる石を超えて進む。
 エドリックの乗る馬は名をスノターという。
 古い英語で「賢さ」を意味し、その名の通り主人のいう事をよく聞き機転も利く馬だ。
 国境を超えてから乗り手のエドリックの心臓の鼓動が早まるのに応じて、スノターも敏感に察知し速足になってきた。
 エドリックは深呼吸をしたあと、スノターの首筋を易しくたたいて撫でると、嬉しそうに鼻を鳴らして速度を落とした。
 ゆっくり歩くスノターに、小走りしていた3人の武装した男達が息をきらしつつ後ろから追い付く。
「良かった。まさかお一人で行かれるのかと思いましたよ」
 息を整えながら言うのはエグビンだ。
 彼はエドリックの身の回りの世話や様々な雑用を引き受ける有能な家人だ。
 エドリックの武芸の稽古にもよく付き合い、投げナイフの腕はエドリック以上だ。
 何かと器用なため、エドリックも頼りにしている。
「もう年なんだから勘弁してくれよ! お館(やかた)さまよ」
 この文句はエリクのものだ。
 長髪で片目がない元ヴァイキングだ。
 先の戦乱で捕虜にされ処刑される所を、エドリックの父ロドルフが剣の腕を惜しんで引き取ったのだ。
 ハマー家の暮らしが気に入ったのか反抗も脱走しようともせず、館の守衛の一人として長年仕えてきた。
 壮年だが、剣の冴えはまだまだ衰えない。
 今回は、ロドルフたっての願いでエドリックに同行したのだ。
「この程度で息があがるなんて、エリクさん体なまってるんじゃないんですか?」
 そう軽口をたたくのはフレッチャーという名の若者だ。
 館の守衛の一人で、いつもエリクに鍛えられている。
 若者らしく喧嘩早い部分もあるが、主の命令をよく聞くいい男だ。
「俺の気が急いているのを、スノターが感じたらしくてな。すまなかった」
 エドリックは皆にそう言って、指にはめられた金の指輪を別の手でなぞる。
 指輪は、ハードウルフ特製の「守りの指輪」で魔術を込めた文字が刻まれている。
 他に、薬草をいくつかエグビンが携帯している。
 出発前に、ハードウルフがエグビンに何やら長めに話していた様子から、きっと薬草の説明を受けていたのだろうとエドリックは考える。
 やがて道の向こうに森が見えてきた。
 森に続くはっきりとした道路はないものの、獣や人が通って自然にできた道がいくつかある。
 エドリックは、聞いた話を頼りにそのうちの一つを進んだ。

■待ち伏せ
 森に入ると、少し薄暗くなった。
 あちこちに蜘蛛の巣がかかり、上空ではなにかブンブンとうなる音が聞こえる。
 低い所にも枝が張りめぐり馬では移動しづらいため、エドリックは馬を降りた。
 やがて、藪を抜けると木立の間に大きな空間があった。
 そして、その中央には火を囲んで座っている一団がいた。
 皆鎖帷子や革鎧を着込んでおり、槍や斧を手元に置いて何やら危ない雰囲気だ。
 ひときわ大柄な男がエドリック達を見ると、行く手を塞ぐように立ちはだかり言った。
「旦那さん達、通行料をもらおうか? 身ぐるみ全部をな」
 座ってた男たちがゲラゲラと笑う。
 野盗だろうか?
 それにしては皆一様に鍛えられ、武装も揃っている。
 エドリックが観察していると、ある事に気づく。
 フードを目深に被った男がこそこそ話をしていたが、鼻の形はどうみてもメイソンなのだ。
 エドリックはフードの男に聞こえるよう大きな声で呼びかける。
「メイソン! お前、ついに野盗になったのか?」
「メイソン?誰の事だ?」
 とフードの男がうわずった声で返答するが、声でメイソンとわかる。
「声がまんまメイソンじゃないか!おい!」エリクがそういって怒鳴りつける。
 フードの男がたじろぎ、地面にしりもちをつくとフードがめくれた。
 そこから、メイソンの顔が出てきた。
 メイソンの怖気づいた顔は、次第にニヤニヤ笑いに変わり、こう述べた。
「そうですね。旦那方は、ここで強盗に合い、お亡くなりになるのですよ」
 エドリックは、腰の剣の束に手をかけつつ、武装した男達に問いかけた。
「その一式揃った武装、鍛えられた体を見るに、ブラー家の関係者と見た。いかに?」
 大柄の男は、渋い顔で両手のひらを上向きに上げるしぐさをした後、仲間に視線を向ける。
 そして、腰の剣を抜きながらこう告げた。
「ハマートンで牛がなくなったり火事が起きたりと治安が乱れ、さらに領主が強盗に倒される。
 ハマー家にハマートンの統治能力なしとして、わがブラーが裁判に訴えそちらの土地も管理する。
 まあそういう手はずなんです」
 座っていた男達も、ぎらつく目線をしつつ周囲に展開しそれぞれ武器を構えた。

 エドリックも武器を抜くと、矢がエドリックの足下に刺さる。
 どうやら樹上に射手がいるようだ。それも複数人。
 大柄の男が口元だけ笑顔で言う。
「ブラー家はぬかりがないんです」

その時背後にいたエグビンが、小声で何か唱え始めた。
 「我はそれを足の下に捕らえ、
  我はそれを見つける。
  聞け、この土はあらゆる生物に対して有効であり
  そして、その相手にも、手入れの行き届かないところにも
  そして、人間の舌の偉大さに対して」*

 メイソンは何かに気づき、襲撃者達に「あれ」をやめさせろと言う。
 襲撃者達は「末期の祈りぐらいさせてやれ」と取り合わない。
 エグビンは詠唱を続ける。

 「とどまれ!勝利の女神よ、大地に沈め!
  あなたは決して森に飛ばないだろう
  わが善良さに心を寄せよ
  すべての人が食物と
  その家のためにそうであるように」*

 エグビンはそう言って、土くれを右手でつかみ樹上に向けて投げばらまく。
 メイソンが、「あれはそう言うのじゃないんだ」と叫んだ刹那、
 森の入り口から不気味なうなり声が聞こえてきた。

■脱出
 ワーンと激しくうなるその音は、春先に時々聞かれる蜂の大群の音だ。
 蜂の大群は、土くれが投げられた樹上めがけて殺到していく。
 すると、射手と思われる男達の悲鳴が聞こえ、すべって地面に落ちる者もいた。
 襲撃者達がぽかんとしている隙に、エリクは雄たけびをあげ斧を襲撃者にふるいだした。
 フレッチャーも槍を振り回し、襲撃者達をかく乱する。
 エドリックも剣を構えて戦うつもりだったが、エグビンに促されスノターを連れて来た道を走って戻る。
 襲撃者の数は多くエリクとフレッチャーだけでは押しとどめられず、6人ほど追撃してきた。
 森を抜けた所で追い付かれたエグビンとエドリックは、大木を背に傷だらけになりながらも善戦する。
 しかし、追加の襲撃者が後からやってきて形勢不利になりつつあった。
 その時スノターが今までにない大声でいななき、エドリックに背後から襲いかかろうとしていた者を、力強い後ろ脚で蹴り上げた。
 その隙に離脱しようと、エドリックは駆けだす。
 しかしその時、肩に激痛が走る。
 かすむ目で肩を見ると、そこには無情にも投げ槍が貫通していた。
 振り返ると、大柄の男が戦斧を振り上げ、今まさにこちらにとどめを刺そうとしている。
「これまでか」
 エドリックがそう思った刹那、目の前が大きなまばゆい光で包まれた。

~次回へ続く~

*呪文詩は、"Old English Poetry in Facsimile"掲載の現代英語翻版を、著者自ら日本語に翻訳しました

◆解説編
■蜂の呪文詩
 エグビンが、樹上に隠れた射手を襲わせるのに利用した蜂の呪文詩。
 それは、本来は蜜蜂の群れを自分たちが望むところに定着させ巣を作らせようとする生産のための呪文詩です。
 詩の内容は、投げた土くれの場所に定着させるような内容となっています。
 呪文の中に出てくる「勝利の女神」は、蜜蜂の他に、盾の乙女やヴァルキリーとの関連もあるとする見方もあります。

■中世の養蜂
 精製された砂糖が無かったこの時代に、唯一の甘味である蜂蜜はとても貴重でした。
 また蜜蜂の巣からは蜜蝋を生産する事もでき、養蜂はとても重要な産業でした。
 蜜蝋からは明かりとなるロウソクを生産し、蜂蜜からは蜂蜜酒が生産されていました。
 蜂蜜は、麦や家畜と並んで王への献上品リストに含まれます。
 また、起源や時期は明らかではないのですが、養蜂家は家族の冠婚葬祭について蜂に報告したり、食べ物を与え巣を飾る習慣があるようです。
 そうしないと、良くない事が起きるという言い伝えがあったためです。
 2022年にイギリスの女王エリザベス2世が崩御された際も、王立養蜂家が蜂に女王の崩御と新王の就任を報告したというニュースがありました。
 唯一無二の甘味「蜂蜜」をもたらす蜂と人との間には、昔から不思議なつながりがあるのかもしれません。

■アングロサクソン時代の軍人
 10世紀までのアングロサクソンの王国は、ブリテン島東部を支配しているデーン人達と激しく戦い続けていました。
 そのため、王に仕え兵役の義務がある下級貴族の従士「セイン」や自由農民などから構成される一般兵の「フュルド」によって軍が組織され、砦を防衛したり戦いに駆り出されていたようです。
 しかし、10世紀後半になると戦いも徐々に鎮静化し「平和」な時代が到来します。
 その頃には「フュルド」も形骸化していたと考えられています。

■アングロサクソン時代の馬
 当時、ブリテン島にいた馬は、現在のアラブ種にくらべて小柄だったと考えられています。
 ブリテン島の馬は、9世紀には蹄鉄も付けられ、より効率的に走れるようになりました。
 馬は牛よりも、育成に手間がかかります。
 そのため、農作業は牛が活躍し、戦争では歩兵中心の戦闘だったようです。
 盾をもつ歩兵達が密集して盾の壁を形成しぶつかり合う戦法が多かったとのことです。
 騎馬による戦いは主体ではなかったと考えられています。


◇次回予告
 ブラートンの手勢に襲撃され追い詰められたエドリック。
 果たして生き残れるのか?!
 ハマートンの明日はどうなるのか?!
 中世ヨーロッパの生活呪文 第3回(3)「回復の呪文」
 ご期待ください! 


◆参考文献
"Old English Poetry in Facsimile",Martin Foys, University of Wisconsin-Madison
https://oepoetryfacsimile.org/
※中世初期イギリスの詩を収集しオープンで共有するオンラインプロジェクト

唐沢 一友 (著)アングロ・サクソン文学史:韻文編 (横浜市立大学叢書—シーガルブックス, 東信社, 2004年) 

唐沢 一友 (著)アングロ・サクソン文学史:散文編 (横浜市立大学叢書—シーガルブックス, 東信社, 2008年) 

吉見昭徳(著)古英語詩を読む ~ルーン詩からベーオウルフへ~(春風社,2008年)

ウェンディ・デイヴィス/編 鶴島博和/監訳 オックスフォード ブリテン諸島の歴史 3 ヴァイキングからノルマン人へ (慶應義塾大学出版会,2015年)

イギリス王室の養蜂家が女王の崩御をミツバチに報告するための伝統的な儀式を執り行う
https://gigazine.net/news/20220912-royal-beekeeper-informed-bee/

ハチに家族の重大ニュースを話して伝える中世ヨーロッパの奇習
https://nazology.net/archives/40987

The Anglo-Saxon Fyrd 878-1066 AD
https://regia.org/research/warfare/fyrd2.htm
※9世紀-10世紀のフュルドについてまとめられた記事

Anglo-Saxon Warriors: From Thegns to Fyrd
https://www.thecollector.com/anglo-saxon-warriors-thegns-to-fyrd/
※ブリテン島入植からノルマンコンクエストまでのアングロサクソンの軍制についてまとめられた記事

Anglo Saxons and Their Horses
https://englishhistoryauthors.blogspot.com/2015/11/anglo-saxons-and-their-horses.html
※アングロサクソン時代の馬に関する記事


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