おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」の最新作「ガルアーダの塔」の通販サイトが開かれました! 正式な刊行日は10月17日(土)です……ゲームマーケット2026秋「S-006」にてお披露目となります! 価格をいつもどおりに収められなくて申し訳ないです……内容でお応えできればと考えております。 今回はB5版134ページで、通常サプリメントの2.5倍にまで文量が達しました。 イラストは50点。すべてカワラベ先生によるものです☆ ↓『ガルアーダの塔』ローグライクハーフ版はこちら! https://ftbooks.booth.pm/items/8752965 ◆コメントを、ひとつ。 だいぶ前の記事の話ですが、「アランツァへのいざない」の記事で、アランツァ世界の男女には性差が小さい、という話を書きました。 この記事を読まれたとき、これがとても「現代風」で、配慮に富んだ姿勢であるという解釈をされたかもしれません。 実を言いますと、この事実を定めたのは最近ではなく、コンプライアンスや多様性の追求が原因/目的でもありません。 今から5年ほど前、私はFT書房から刊行するTRPGをこしらえるために、苦闘の日々を過ごしておりました。 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」の前に、「60ミニッツオブサバイバル(SoS)」「パイレーツオブエメラルドシー」「アランツァTRPG」など、合計4作品を作り、ボツにしてきたわけですけども。 FT書房の共通世界である「アランツァ」を舞台にしたTRPG「アランツァTRPG」のキャラクター作成部分を、あるメンバーに確認してもらっている際に、言われたのです。 「アランツァの世界では男性に筋力があり、女性に魔法の才があるって、ハッキリと決まっているんですね。でも、私は男性の魔法使いを創りたいんだけどなぁ」 この言葉をキッカケに、私は色んなことを検討しはじめました。 ◆なぜ、そうしたか。 「アランツァTRPG」で私が「女性のキャラクター」に対して優遇したのは、1点の能力値でした。 確率でいうと、5%ぐらいのイメージです。 どうしてそうしたかというと、アランツァ世界には、「戦士は男性が多めで、魔法使い(僧侶や魔術師)は女性が多めである」という事実があるからです。 プレイヤーキャラクターを「アランツァ世界の一部」として捉えるとき、同じような傾斜が生まれるように、ルール部分に傾斜をつけたかったわけです☆ 「男性の冒険者は筋力(戦士に必要な能力)に恵まれていて、女性のキャラクターは魅力(僧侶に必要な能力)に恵まれている」という設定も、感覚的に自然であると感じました。 しかし……です。 ◆「設定」という名の「檻」。 その後、私はテストプレイならぬテストビルドとして、10人のテストプレイヤーに、キャラクターを作ってもらいました。 するとですね、魔法使い(魔術師や僧侶)はすべて女性となり、肉体系職業(戦士や盗賊)はすべて男性となる、という結果になったのです。 どうしてそうなったのか、私は思案しました。 これは極端な、偏りのある結果だったのでしょうか? キャラクターを作成する際、私は通常、「最も強いキャラクターのビルド方法」を下調べします。 これは、基本的にTRPGが、複数のプレイヤーで遊ぶことを前提としているからです。 最強のキャラクターで遊びたいからではなく、他のプレイヤーの足を引っ張ることになるのがこわいから、十分な強さのあるキャラクターを作りたいのです。 また、テストビルドに参加してくれたプレイヤーに尋ねたところ、こういう答えをもらいました。 「明確に得なほうがあればそちらを選ぶし、それに逆らって役に立たないキャラクターを作るのもこわい。セッションの間じゅうヒマになってしまうのはイヤだ」 このテストビルダーの意見は、私と言い方は異なるものの、根本にあるのは私と同じだと受け止めました。 この件を通じて、能力によって「世界観に沿った傾斜」を与えようという試みは、機能しない可能性が十分にあると感じました。 それがたった1%の差であっても、有利は有利なわけで……プレイヤーからしたらそちらを「選ばない理由がない」のです。 ◆なら、どうするの? 実を言いますと「アランツァTRPG」では、この他にも「有利と不利」がいくつかありました。 年齢が若ければ肉体的に有利ですし、歳を重ねていれば知識量として有利です。 ドワーフは戦いに有利で、エルフは魔法を使う存在として有利です。 その結果、戦士系のキャラクターは若いドワーフの男、魔法使い系のキャラクターは歳老いたエルフの女性ばかりという、極端な偏りが起こってしまいました。 これは違うな……そう感じました。 それで、「ローグライクハーフ」では「すべてを自由にしよう」と決めました。 「ルールを最軽量にする」という方針が決まっていたこともあって、どんな種族/性別/年齢であっても、能力値等に一切の影響はないと定めたのです。 定めてみて、「これはとてもいいな」と感じました。 私がTRPGのキャラクタービルドで大事にしてほしいのは「自分が望むキャラクターを作って、楽しく遊ぶ」ことだからです。 ◆TRPG「らしさ」をどう受け止める? TRPGのキャラクターが、たとえばある程度の年齢だとして、「若い頃のようには動けない」というルールは、あっていいものかもしれません。 しかし、そのような実装は寡聞にして聞いたことがありません。 あるかもしれませんが、多くのTRPGでは採用されていません。 それはおそらく、そうしたルールが生む能力値への変化が、プレイヤーにとってあまりにも大きな影響を与えるからだと、私は結論づけました。 ほんの小さな違いでも、それは大きな「束縛」となるのです。 これは、私の望むところではありません。 プレイヤーは自由にキャラクターをデザインしていいし、できるべきなのです。 世界を表現する大枠として何を省き、何を残すのか。 私は「ロールプレイングゲーム(役割を演じるゲーム)」であるTRPGには、【職業】だけがあればいいと考えて、「ローグライクハーフ」を作りました。 もちろん、これが唯一の答えだとは思いません。 ファンタジーの文脈からすれば「種族」を省くのはかなりの勇気が要りました。 ほとんどのオールドスクールファンタジーでは、種族を選べるようになっています。 後に【悪の種族】をプレイできる「ヒーローズオブダークネス」を作ってしまいもしました。 しかし、それを【悪の種族】限定にした(【善の種族】によるオプションルールは作らなかった)のは、種族がプレイ上の制約=能力値的な有利不利を生むことが、少なくとも「ローグライクハーフ」が目指す遊び方と異なっていると感じたからです。 「役割を遊ぶ」というシンプルさが、「ローグライクハーフ」の目指すところです。 ◆まとめ。 そのような理由から、私は「アランツァ」における冒険者は、役割以外の影響を受けることが基本的にないという設定を置くようになりました。 性差だけでなく、年齢における有利不利もないという設定があります。 現役でいられる以上は、どの冒険者も十分に強いと考えています。 種族に関しても、たとえば、「エルフの里で暮らすエルフ」と「冒険者としてのエルフ」の間に線を引いて考えています。 全体としてアランツァ世界の冒険者は都会的な感覚を持っていて、結果的にそれは、たとえばエルフが持つ神秘性のようなものとの距離が存在することを意味しています。 だから、プレイヤーが【善の種族】からエルフやドワーフやコビットやノーム(ときにはもっとかけ離れた種族でも)を選んだとしても、それは自由であり……ゲームに影響を与えません。 今回はそのあたりで。 それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
FT新聞・保管庫
*2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
SPAM注意
(編集・水波)最近SPAM投稿が増えておりますが、見つけ次第手動で削除いたしますので、決してクリックなどされないよう、ご注意下さい。
2026年9月28日月曜日
2026年9月27日日曜日
Re:アランツァワールドガイドVol.12 蛮族都市フーウェイ FT新聞 No.4995
おはようございます、編集長の水波流です。 10月第1日曜は、私の新作d33シナリオ『蟲宿り』を配信いたします。 そこで本日はその舞台となる「アランツァワールドガイド『蛮族都市フーウェイ』を再配信。 今回のシナリオは、フーウェイの蛮族の中でも少数氏族にスポットを当てた物語となります。 氏族ごとに文化や考え方には違いがあり、相手の全てを認めるわけではない。しかしお互いを尊重し、共存しているという蛮族社会をもう少し掘り下げていければと思っています。 シナリオ配信まで、ワールドガイドでぜひフーウェイの雰囲気を感じて頂ければ幸いです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 日差しは決して弱くはないが、雪が深く、しばしば吹雪になる。 ラクダ人であるカメル教授が蛮族都市フーウェイにたどり着いたのは、冬のはじまりの頃だった。 カメル・グラント教授はいま、この大陸を旅してまわっている。 混沌都市ゴーブの城塞めいた堅牢な街壁を見た後であったため、木材でできたこの街の壁はいささか頼りないもののように見えた。 ◆街門にて。 狼にも似た〈魔犬獣〉の毛皮をまとった衛兵たちが、カメル・グラントの都市通行証をいぶかしげに眺めている。 外の世界から人が来るのは珍しいことではない。 北の端にあるとはいえ、フーウェイは街である。 しかし、文字が読めない兵士たちには、通行証が本物かどうか、このラクダの獣人を通していいかどうかを、確信をもって判断できないのだ。 結局、兵士たちのリーダーがカメルを通すことに決める。 紳士的なカメルの態度は彼らの価値観にそぐう「立派な大人」ではないが、危険を感じる存在という結論には至らなかったらしい。 ◆トレント材の街壁。 門をくぐりながら、珍しい街壁の素材をまじまじと眺める。 衛兵の1人が「トレント材だ」と、いささか誇らしげにつぶやく。 この街の主な外敵のひとつは、動きまわる大きな樹木、〈トレント〉と呼ばれるクリーチャーである。 このクリーチャーから採れたもの(特にトレント樫)を使っているのであれば、石にも似た堅さと燃えづらさを持った街壁といえよう。 しかし……と、カメルは街壁を見渡しながら思う。 街をぐるりと囲む、高い城壁。 そのすべてがトレント樫を素材としているのなら……この街はどれだけの歳月を〈トレント〉たちとの対決に費やし、彼らを狩ってきたのだろう? ◆毛皮でつながった家々。 街といっても大きくはない。 家々は何軒かごとにまとまっており、壁の一部を共有している。 氏族ごとにまとまって生活しているのだ。 壁がつながっているのは、こうすることで暖房の熱が壁づたいに伝わりあい、冬の寒さを軽減する工夫である。 屋根の部分には、木材の上に毛皮が使われている。 つながった家々と毛皮の屋根……火事に弱そうだなと、カメルは思った。 ◆想像と異なる人々。 そうはいっても、フーウェイは街である。小さな蛮族の集落とは違う。 「外の人間」との交流はあるし、店屋も開いている。 カメルはメイン通りを歩き、開いている何軒かの店のひとつに入ってみる。 店とはいっても丸太を切って造った小さな家で、床はなくむき出しの地面だが……店屋は店屋である。 汚れた毛皮をはおった店主が、切株を引っこ抜いただけの椅子に座っている。 暗い店内には食料と毛皮などの生活必需品が並んでいる。 別の店に入ってみる。 店がまえに大きな違いはないが、店内には木の枠でピンと張った状態の脱脂した皮や、緑のにおいが残った樹木の幹が転がっている。 〈魔犬獣〉の皮だと、ひと目で分かる。 魔獣皮革だ。 ◆魔獣皮革。 〈魔犬獣〉の外見は狼に似ている。大きさもそう変わらない。 発達した犬歯をもち、知能が高い。 {ルビ:よつあし}四足の生きものだが、文化を持つひとつの「種族」である。 掟に従って行動し、契約を守る。 堕落都市ネルドでは、いち市民として街を歩いていたのを覚えている。 それが、皮だけになって、地面がむき出しの店の片隅に転がっているのである。 形容しがたい感情が心を駆けめぐって、カメルはしばしその場にたたずむ。 〈魔犬獣〉や、魔獣と呼ばれる強力な獣たちの皮をはがしてなめすと、魔獣皮革と呼ばれる素材になる。 これが使われている製品は、いわゆる「上モノ」である。 高級品の部類として扱われる、頑丈で長持ちする優秀な製品である。 ◆街を歩く人々。 街を歩きながら、目に入る人々をそれとなく観察する。 武器を持った人々が、他の街よりもずっと多い。 皮を使った簡素な衣服をまとい、上半身は裸である。 その上半身には、いろいろな{ルビ:タトゥー}刺青が彫られている。 フーウェイの戦士は、あまり鎧を着ない。 その主な理由は、彼らが持つ「鉄」の力があまり強くないからだと言われている。 領土からはあまり鉄が採れないため、鉄は主に泥炭を燃やすことで獲得される。 ウイスキーの香りつけにも使われるこの泥炭だが、そこから作られる武器は端的に言ってもろく、いい武器とは言えない。 そこで、鎧の代わりに発達したのが刺青文化である。 力のある彫り師が入れた刺青には、彼らが信仰する「獅子顔のセリオン」こと獣神セリオンの力が宿ると考えられている。 しかし、その力を発現するには、自らの肌を露出し、外気にさらさなければならない。 だから、彼らは鎧を脱ぎ捨てて戦うのだ。 そのさまを見た「外の人間」は、彼らを蛮勇の持ち主であるとみなした。 彼らのほうも、それを強く否定をすることはなかった。 そんな風に、カメルは推察した。 ◆集団での営み。 街の中央に大きな広場があり、外から来た人々が泊まる宿の他に、石造りの大きな建物がそこに面している。 石の建造物には大きなアーチ型の扉がある……そこは開いていて、中を覗くことができる。 そこでは女性たちが、{ルビ:はたお}機織りをし、動物の皮を縫っている。 男性が集団で狩りを行うように、女性はひとつの大きな建物にまとまって、仕事をする。 それがフーウェイの流儀なのだと、聞いたことがある。 カメルは集団をつぶさに観察する。 女性のなかに男性が少し、混じっている。 これもフーウェイの特徴である。 フーウェイの民は成人するときに、「男」になるか「女」になるかを自分の意思で選ぶ。 「男」「女」という訳がそのまま当てはまるかは言語学的に難しいところだが、勇敢さに自信を持てない男性は、女性とともに手仕事をする人生を選ぶのだ。 「女」の仕事には、他の街であれば男仕事と呼ばれるようなものも含まれる。武器づくりのような鍛治や、荷物の上げ下ろし。 「男」の仕事と呼ばれるものは、命の危険があるものを指しているように見える。狩り。戦い。護衛。冒険者。 「女」であることを選んだ男性は伴侶を見つける上で不利になりそうなものだが、実際にはそこまでの差はない。 女性たちに混じって仕事をするぶん、仲良くなりやすいのだろうか。 ◆フーウェイの収穫人。 広場に目を戻すと、狩りから帰ってきたであろう集団が目に入る。 街の衛兵たちの格好と少し異なる、自然に似た服を着た集団だ。 森のなかに溶け込むための服装というのか……上半身は濃い緑色、下半身は茶色の服を着ている。 木の棒を組んで造ったそりに、大きな樹の幹を載せている。 そりで引かれている樹が、うめくような低い声をあげる。 〈トレント〉だ! 地鳴りのようなその声を聞いても、フーウェイの人々は振り返りもしない。 彼らは〈フーウェイの収穫人〉と呼ばれる集団だ。 太古の森から押し寄せてくる「動く植物」と戦い、トレントの身体を生活の糧とする。 〈魔犬獣〉や、ときどき出現する〈巨人〉のような【巨大生物】と戦うための戦士集団とは別に形成された、対植物の専門家である。 フードを目深にかぶり、彼らは他者と目を合わさない。 誰も口をきかず、2人で使う大型のノコギリで、〈トレント〉の身体を寸断していく。 カメルはその手ぎわをしばらく眺めた後に、広場から離れることにした。 ◆家畜厩舎。 朝のうちに門をくぐったカメルは、広場で少し時間を費やした後に、反対側の街壁まで歩く。 フーウェイはそれほど大きな街ではない。 街の東の端にたどり着いたのは昼すぎで、厩舎めいた建物がいくつか見える。 馬を飼っている厩舎の横に、奇妙なものが見えた。 鎖でつながれた「切株」が、牧草地に放置されているのだ。 足を止めてよく見ると、切株は少しずつ動いている。 なんだこれは? ピッチフォークで馬のエサを持ち上げている男を呼び止めて、カメルは尋ねる。 「〈切株トレント〉だよ。〈トレント〉を倒した後で完全に死んでいなかったら、俺らはその身体の根っこを残して、上の部分を切り落とす」 男が言うには、数分の1のサイズになった〈トレント〉は知能が下がり、従順になるのだという。 「すると、根だけになっても、すぐには死なないで何年か生きる。だんだん枯れて、しまいには死んじまうが、それまでは役に立つってわけよ」 男に礼を言って、カメルはもう少し奥まで歩く。 そこにも厩舎がある。 【騎乗生物】を飼っているのだろう……そう思ったカメルは、確認のつもりでその屋根の下を確認した。 ◆奴隷厩舎。 それが何なのかを理解するのに、少し時間がかかった。 屋根の下の暗い部分で、何かが動いている。 黒い肌の人間型生物。エルフのように耳が尖っていて、エルフよりもずっと目つきが悪い。 闇エルフだ! ここは奴隷厩舎なのだ。 ここフーウェイの北西部には「太古の森」と呼ばれる、古い時代から続く森がある。 そこには「動く植物」トレントの他に、邪神を信仰するエルフである闇エルフたちが生息している。 生きたまま捕まった闇エルフは【捕虜】として生かされ、奴隷として飼われるのだ。 カメルは来た道を急ぎ戻る。 先ほどの男が、しかめ面で立っている。 カメルからすると、彼が何も言わないので奥へと進んだのだが……男のほうは単に自分の馬のほうに気がいっていただけだったらしい。 あまりいい行動ではなかったようだ……カメルは軽率な行動を謝ると、足早に「牧場」をあとにする。 ◆仕事の後に。 引き返して宿に着くまでに、少しずつあたりが暗くなる。 夜空に星が見える頃、先ほどの石造りの建物の前にやってくる。 カメルの宿に面した広場である。 女性たちの集団が、建物の前の広場に出ている。 広場の中心で焚き火をたき、1人が月に似た楽器(ムーンハープというらしい)を弾いている。 静かな声で残りの女性たちが歌いながら、空へと昇っていく煙を眺めている。 広場に続く道から、男たちの太い歌声が呼応するように返ってくる。 日暮れとともに、狩りから戻ってきたのだろう。 枝にくくりつけられた数匹の〈魔犬獣〉を、皆でかついでいる。 今日の狩り──あるいは戦いと言ったほうがいいのだろうか──は、上々の首尾だったらしい。 宿に入り、2階の個室に上がっても、その心地よい音楽は鳴り続けていた。 カメルはその旋律と歌声を、焚き火の前で笑い合う人々を、部屋の窓からずっと眺めていた。 ◆その他の話。 毛皮などの動物素材と石材を中心とした独自の文化は、より南方の都市民に「野蛮」との印象を与え、未開の部族のように思われることもある。 しかしながら、実際の彼らは(我々の基準とは違うものの)おしゃれ好きで、戦闘や鍛冶のみならず、航海術や占星術に発達した洗練された部族である。 彼らは集団で行動するが、それはひとつには厳しい寒冷地方に住んでいるためである。 日中の燃料消費を抑えるための最適な方法は、個別に暮らさないことだ。 街にはいくつかの部族がまとまって暮らしている。 とはいえ、そのすべてが集団行動を行うわけではない点にも注意が必要だ。 店を営む者や、少人数で行う仕事をなりわいとする者たちもいるのである。 ◆北方の2つの街。 エドワルド・フォン・ハルト3世は「ドラゴンごろし」の異名を持つエドワルド・フォン・ハルト1世の孫である。 しかしながら、フーウェイの統治は世襲ではない。 1世が実力でこの街のリーダー(「長」と呼ばれる)の地位を勝ち取ったように、3世もまた戦いのなかで周囲に認められ、長となった。 フーウェイのなかでも彼らハルトの一族は代々、特に武勇に秀でていた。 エドワルド1世がこの街の長となるずっと前に、彼の先祖の一部はフーウェイの街を出て、危険なスォードヘイルの雪山を越え、新たな街をつくった。 街は北方都市サン・サレンと呼ばれた。 サン・サレンは「聖なるサレン」という意味であり、サレンという名称は彼らが信仰する獅子の顔を持つ神、獣神セリオンを由来とすると言われている。 ◆旅は続く。 翌朝早くにカメルは街を出る。 西の端にあるハルト川に面した港から、船旅をはじめるのだ。 盗賊都市ネグラレーナへと向けて。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月26日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第711号 FT新聞 No.4994
From:水波流 長らく途中脱落していたハリーポッターの小説をちゃんと読み通すべく、いま第5部まで読了。 「これどこで出てきた誰だっけ?」と思って登場人物名でうっかりググると、最終巻までにその人物に起こる出来事が目に入ってしまうので、なかなか難しい。 From:葉山海月 先週の答え 「けものへん」に「おう」で「狂」という漢字が出てくるペンネーム。 この辺の遊び心というか筋の通し方に敗北! From:中山将平 10月4日(日)、僕ら「ボドゲガレージダンジョン2026秋」というイベントにサークル参加します。 開催地は『東京たま未来メッセ3階(八王子駅前)』 配置は【E26】です。 お近くの方、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■9/20(日)~9/25(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年9月20日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4988 ローグライクハーフシナリオソムリエ その8『踊る二枚貝』 ・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第8弾をお届けしました。 ローグライクハーフのd66シナリオなどは基本3回まで遊べるデザインが多く、この時点で既にキャンペーンのような遊び方が出来ますが、今回のシナリオは明確にキャンペーンシナリオとして作られた中の1つです! 是非この『踊る二枚貝』を含めて、全部楽しんでみてください。 今回の話では、トラップまみれの洋館で盗まれた至宝の探す事になりますが……果たして無事に取り戻せるでしょうか! プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜! (天) 2026年9月21日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4989 アランツァへのいざない 移動集落もっさもさの話 ・FT書房代表の杉本=ヨハネ氏による月曜の記事、今週は謎のクリーチャー〈もっさもさ〉のご紹介でした。 クリーチャーとしてのステータスやおおまかな生態については、これまで「アランツァクリーチャー事典」や「オレニアックス生物学」でも明らかにされてきましたが、今回はさらにその来歴や住民(?)などについて深掘りします。 魔法都市/天空都市ジョルクという気になる固有名詞も登場し、ますますアランツァ世界への興味が深まりますね! (く) 2026年9月22日(火)かなでひびき FT新聞 No.4990 これはゲームブックなのですか!? vol.139 ・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。 今回紹介する作品は『ドラゴンの洞窟』(J・H・ブレナン著 大久保寛訳)! ゲームブックブームの原点というべき、昭和六十年発行の「ドラゴン・ファンタジー」(「グレイルクエスト」)シリーズ第二作。 お話は、大魔術師マーリンが読者のあなたに「電話」しているシーンから始まる。 が、法螺貝に向けて話しかけているので、周囲からは「ついにイッちゃったか!?」と思われているマーリン……弁明によると「この時代は電話機が発明されてなかったから」 冒頭から、このユーモアのセンス! まさに魔法にかかったように、この世界へ飛び込めてしまう。 システムはシンプル、なおかつ読者に親切で、始終マーリン先生がユーモアたっぷりに教えてくれます。 そのかわり、罠が満載! けれど、何回もトライする意欲を促そうとしている風で、意地悪なトラップやパラグラフジャンプはありません。 あなたに親しげに話しかけるような、「泥臭い」けれど「黄金」の「読書体験」を探しに出かけませんか? (明) 2026年9月23日(水)ぜろ FT新聞 No.4991 第1回【獣の弟子】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第512回をお届けします。 今回のリプレイ対象の作品は、東洋夏氏のローグライクハーフd33シナリオ『あなたに弟子がやってきた』 あれ?本リプレイと名前が違う?と思った方。 実は、前回に引き続き、『エメラルド海の探索』と地続きの世界として、その主人公ハルトを弟子とした視点で描きます。 ぜろ氏独特の『エメラルド海の探索』その続編にして過去編としても楽しめる一本。 大ヤギの呪いを受けてしまったハルト。偶然その場に出会ったヴァルグは、彼を助け、そこから新たな冒険が始まる! 前回のリプレイが気に入った方は必見! (葉) 2026年9月24日(木)東洋夏 FT新聞 No.4992 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.11 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第11回目をお届けしました。 前作の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、とうとう先頭車両に辿り着き、黒幕ダゲン・ラ・バーゲズを追い詰めたかに思えましたが、不死性を見せるバーゲズは余裕綽々。そこへ戦況を覆す、大いなる一撃が! シグナスの主人ノックスの大活躍、シグナスとクロの過去、そして「七人会」と名乗る者たち……続きが気になる所ですが、今回の冒険は最終回です! どうぞお見逃しなく! (天) 2026年9月25日(金)休刊日 FT新聞 No.4993 休刊日のお知らせ ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (忍者福島さん) けものへん・おうさんは、ホラー作家志望という事なので、クトゥルフ神話ホラーでの狂気を書き表したかったからでしょうか? (お返事:葉山改月) お返事ありがとうございます。そうなんですよー。 クトゥルフに限定されないホラー書きを目指しているそうですが、「くるまへん」に「おう」で狂いになります! よくぞ見破っていただきました(笑) (ジャラル アフサラールさん) 当時はアーサー王伝説は日本ではゲームファンとファンタジーファン以外にはTVアニメ『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』*1ぐらいでしか知られいませんでしたが、現在ではゲーム『Fate/stay night』*2やそのスマートフォン専用ロールプレイングゲーム『Fate/Grand Order』で有名になりましたね。 *1『アーサー王物語』を基にしたテレビアニメ。アーサー役がロボットアニメの大御所声優の神谷明さんなので「エックスカリバァー!」というのがスーパーロボットの必殺技のような(笑)。 *2 伝奇活劇ビジュアルノベルで「実は女性だった」アーサー王が登場。聖剣エクスカリバーは巨大妖魔も一撃で葬るビーム兵器(笑)。マーリンも美男子で登場。 (お返事:かなでひびき) ありがとうございます。 なるほどねー。時代変われば知名度も変わる、ってやつですねー。 しかし、『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』が出てくるとは! 通ですね! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月25日金曜日
休刊日のお知らせ FT新聞 No.4993
おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月24日木曜日
ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.11 FT新聞 No.4992
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.11 (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ FT新聞をお読みの皆様、こんにちは! 本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。 冒険の舞台は、夜を駆け、人をさらうという謎の〈怨霊列車〉。調査を依頼された十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロが主役です。 前回vol.10では〈怨霊列車〉の主ダゲン・ラ・バーゲズとの対決の模様をお届けいたしました。躯を操るバーゲズが繰り出した魔術王の腕と傭兵兄弟の腕を退けたシグナスとクロ。しかし再生力を持つバーゲズは余裕の気配を崩さず、次はアラネアの躯と融合してふたりを追い詰めようとします。 その〈怨霊列車〉の外ではバーゲズの不死性を消し去るため、シグナスの主人ノックスが必殺の一矢を放ちますが……。さて、最終決戦の結末をお楽しみください。 なお、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。 ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。 前口上はこれでおしまい。 さあ〈怨霊列車〉の冒険、ラストフライトに参りましょう! ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:7 ・筋力点:0 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨14枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、騎士グロリアの指輪(金貨12枚の価値)、ランタン、食料1食分 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:5 ・器用点:1 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし ◇ [先頭車両]最終イベント (承前) バーゲズの八本の手が蠢動する。その爪先から落ちた水滴が傭兵兄弟の剣に落ちると、じゅっと泡立って刃が溶けた。クロに当たったら……。シグナスはぞっとした。 「さて、第二幕だ。題名は〈蹂躙〉とつける」 シグナスとクロは迎え撃つ構え。八本の手はカチカチと音を立てて、開きゆく花弁の如く襲撃の陣を整える。 その時、何か凄まじい質量を持ったものが、下方から列車に激突した。衝撃で、どすんと先頭車両が跳ね上がった。壁の向こうで連鎖的な爆発音が轟き、玉座の主は憤怒の形相で振り返って走り出す。 「ええい、機関手は何をやっている!」 主は自身の玉座をアラネアの手で引きちぎる。その奥には、煙突から出ていた煙と同じ蛍光緑の炎が渦巻いていた。 「機関——」 再爆発が起こる。緑の炎が玉座の主に引火した。アラネアの手が次々に燃え落ち、玉座の主は絶叫しながら狂ったように胴体の飛び火を叩き消そうとするが、まったく効果がない。 「このダゲン・ラ・バーゲズの命の火が! おお、我が命が漏れていく! この高貴なる劇場が燃えてしまう! 馬鹿な馬鹿な馬鹿な! 誰も知り得ぬはずだ、我が糧の在処など! まさか裏切ったか、羨望故に。そうだろう……写身の!」 玉座の主は壁から躯を引き出し、乗り替えようと試みるも、その前にすべて緑の炎に飲み込まれていく。バーゲズの体はどんどん縮み、シグナスより小さくなって、鼠ほどになって、それでも止まらず豆のようになって、最終的には何も無くなってしまった。 その間に〈怨霊列車〉自体がもう分解し始めている。躯の壁に炎が燃え移って結合が緩み、軋む。斜めに傾き始めた客車は、その重さのかかったところから外に向けてたわみ始めている。 「あ、ヨンさんが!」 コビットの遺体が、客車の隅に開いた穴に吸い寄せられるように、傾いた床の上を転がっていく。シグナスが駆け寄ろうとしたところを、クロが制止した。 「諦めろ」 「でも」 「手遅れだ。シグナス、落ちる前に脱出するぞ!」 「嫌だ!」 ヨンの小さな体は、重力に引かれてぼろぼろと地面に向かってこぼれていく躯の壁の、その隙間から滑り落ちようとしている。 「ヨンさん──」 「いい加減にしろ! 早く! お前は生きなきゃならないんだ!」 クロが体を張って、閉まりかけた扉のつっかえ棒になっていた。シグナスは呆然とした悲しみに心の半分を握られながらも、体だけ動かしてクロの下を潜り抜ける。連結部はまだ無事だ。後ろの客車の方が動揺は少なそうである。しかしそれも時間の問題だった。客車がまっすぐ並んでいない。軌道が歪みつつある。〈怨霊列車〉を飛ばす力が破壊されたなら、後は落ちるしかない。 徐々に高度は下がってきているようだが、まだ雪原は遠い。振り返ればスウォードヘイル山脈の山肌がすぐ近くに見えた。雪原に落ちるより、コントロールを失った〈怨霊列車〉が激突する未来の方が近いだろう。 そこでシグナスは躊躇した。 (もし僕が向こうに渡った重さで連結が解けて、すぐに落ちちゃったらどうしよう。シスターやトーヴァさんがまだいる……) がくん、と右足が落ちる。 「うわあああっ」 悩んでいる間に、今まで踏んでいたデッキ部分にも、分解が及んで来ていた。踏み抜いた右足を抜こうとすると、今度は左足が怪しい。 「俺を掴め、シグナス!」 クロの柄を握りしめた。しかし〈おどる剣〉の中でも小柄なクロの浮力だけで人間を引き上げるのは困難を極める。ばたつかせた右足が、ついにデッキの床になっていた躯を蹴り落としてしまった。シグナスの体が宙に放り出される。 「あ……」 クロは上昇しようとする。だが足りない。出力が絶対的に足りない。落ちる。 「駄目……」 下降に転じたシグナスのすぐそばで、力強い羽ばたきが聞こえた。一瞬のうちに首根っこを掴まれ、予想外の方向へ振り回されて、最後は鞍の上に尻が着地する。 「ふぇっ!?」 シグナスが現実に追いつく前に、体は急速に斜めに傾いた。ずり落ちそうになったところを、大きめの舌打ちと共に抱き寄せられる。シグナスは慌ててクロを鞘に戻すと、体を捩って振り向いた。 「サー」 「黙れ!」 転回するグリフォンの真横を〈怨霊列車〉が雷鳴の如き轟音を立てて通過する。主人ノックスはシグナスを救うため、機関部を失った〈怨霊列車〉が描き始めた破滅的な螺旋軌道の只中に突っ込んで来たのだ。 龍の頭蓋の真裏からバーゲズの客車を繋ぐ細長い部分に大穴が開き、そこから蛍光緑の炎が噴き出している。あれが、あの穴を開けたものが、バーゲズの不死性を撃ち破ったのだ。 しかし何が? シグナスは、そこではっと思い出して、風に負けないように声を張り上げる。 「サー・ノックス! まだ生存者がいます! 最後尾に兵士一名、それと後ろから三番目にシスターが! あそこ!」 横倒しになって飛んでいる最後尾の車両の窓から、トーヴァが懸命に這い出そうとしていた。アルゴットとヨンと共に調査に訪れたサン・サレンの兵士だ。 「手綱」 「は、はい!」 シグナスはグリフォンの手綱を預かり、最後尾車両をめがけて飛ぶように指示する。途端、がくんと体が跳ねた。グリフォンが嫌がっている。翼が乱暴に車体の破片を叩いて、ますます飛行姿勢が乱れた。主人ノックスから手綱を渡されて数秒で台無し。 「言うこと聞いて!」 シグナスが懸命に手綱を引くが、グリフォンは収まらない。猛々しい苛立ちのまま空中を跳ね回る。拒否、拒否、拒否。小山のような車輪がすぐ目の前を擦るように通過し、客車同士が激突し始めた衝撃で落ちて来た金属片がシグナスの鼻先をかすめた。時間がない。 「お前の体が曲がっているからだ」 主人の冷静な声に、シグナスは恥ずかしさのあまり消えてしまいたくなった。基本中の基本すら、パニックで忘れてしまっている。なんと青い従騎士だろう。少し剣の腕が上がって誇らしかったのが、まっさらに吹き飛んでしまう。 苛立って鳴くグリフォンの背中で、シグナスは深呼吸して背筋を伸ばした。主人ノックスと一体化するくらい、真っ直ぐに、ぴったりと角度を寄せて。するとグリフォンは嘘のように鎮まった。 「行きます!」 グリフォンは矢のように最後尾車両を目掛けて飛んで行く。ぐんぐんと客車がシグナスの視界のなかで大きくなり、トーヴァが呆気に取られた顔でこちらを見ているのが分かった。背後で主人ノックスがハーネスを外す音が聞こえ、意を察したシグナスは体を低くする。 数秒後、グリフォンが少し沈んで、鐙に立ち上がった主人ノックスがトーヴァを抱き留めたのが分かった。シグナスはほっとする間もなくグリフォンを穏やかな上昇に転じさせ、主人ノックスがトーヴァを背後に座らせるまでの安定飛行を守る。 「脱出する」 「まだシスターが」 手綱を渡しながら、シグナスは言った。それはほとんど無理な祈りだと分かりつつ、そして無責任な言葉だと知りつつ言った。グリフォンの背にこれ以上の人間を乗せて、毎秒崩壊しつつある〈怨霊列車〉の破片の間を飛ばせるのは、どだい無理な注文である。 (それを主人に求めることで僕は責任逃れを……) シグナスが罪悪感に突き刺されたその時、 「わたくしのことはお構いなく〜♪ 逞しい殿方に助けていただくプランも考えましたが、きちんとお布施を頂戴しましたので、今回は自力脱出プランにいたしました」 振り仰げば、そのシスターが見たこともない四つ足の怪物の背に優雅に腰掛けて宙に浮かんでいる。つぎはぎの怪物の毛皮は、椅子の上で寝ていた子供達の服の色を連想させた。 「さて、親切心から忠告しておきましょう。貴方たち、厄介なものに目をつけられておりましてよ。七人会と紳士淑女は名乗っておられるようでして、明かす前に六人に減ってしまった訳では御座いますけれど。きっと神への信仰が足りなかったのでしょうね。それではご機嫌よう、〈猟犬〉様に、取り替え子たち♪」 「待ってください、取り替え子ってなんですか!?」 動揺するシグナスに向かって優雅に手を振るシスターの姿がブレたと思った瞬間、グリフォンは最高速度で急降下に入って〈怨霊列車〉の渦を突き抜けて行く。サー・ノックスの手綱捌きは本人の気性と同じく容赦がない。シグナスとトーヴァの悲鳴を背後に吹き流しながら、グリフォンは縦横無尽に空を縫う。 急降下開始のコンマ何秒後のことであったろうか。 先頭車両がスウォードヘイルの山肌に激突し、蛍光緑の怪炎をこれが最期と高く撒き散らしながら爆発大破した。炎は次々と後続の車両に燃え移り、連結部が壊れた箇所からぼろぼろと墜落していく。車両が落下する衝撃で雪原には次々と巨大な雪の壁が立ち上がった。 三人を乗せたグリフォンは、雪壁による死の迷路を突破すべく、極低空を滑るように弧を描いて飛行する。一度でも判断を誤れば雪に飲まれて一巻の終わりだ。 最後の墜落の振動が鎮まった頃、固唾を飲んで事態を見守っていたサン・サレンの兵士たちの前に、雪煙を突き破ってグリフォンが現れた。大歓声が三人と一振りと一頭を迎える。 駆け寄ってきた兵士たちによって、グリフォンの背からまずトーヴァが下ろされた。次いで、シグナスを小脇に抱えたノックスがひらりと鞍を跨いで着地する。雪の地面を踏み締めるなりノックスはシグナスを離したので、情けなくもすっかり腰が抜けていたシグナスは、そのまますとんと雪原に座り込むこととなった。 トーヴァが命の恩人サー・ノックス・オ・リエンスの顔を見てあんぐりと口を開け、その一秒後に真っ赤な顔になる。流石にシグナスにも、トーヴァがどう思ったかは分かった。 主人ノックスは乙女心を無視して、へたりこんだシグナスを見下ろす。慌てて立ち上がろうとジタバタするシグナスの頭に、ぽんと置かれた主人の大きな手のひらの感触。 「うひゃっ!?」 「……良く戻った」 緊張の糸がぷつりと切れる。シグナスは誰はばかることなく、大きな声を上げて泣き出した。 ◇ 聖堂には、出棺と共に鳴らされた鐘の余韻がまだ残っているようだった。アルゴットとヨンの棺は空のまま、ただ「死」という記号になって、これから冷たい土の下で眠るのである。埋葬の儀式にシグナスは招待されなかった。余所者であり、ふたりはシグナスのために──本当は怨霊列車の主がすべて悪いのだと誰もが知ってはいたけれど──命を散らせたのだから、悪感情を抱く者がいないとも限らない。そして聖騎士だと分かれば、蘇らせてくれと泣きつかれるかもしれなかった。確かに聖騎士には、善なる高潔な魂を呼び戻す秘技がある。ただし今回のように魂が戻ってくる体が喪われてしまえば、シグナスの技量では如何ともしがたい。ということで主人ノックスに不許可だと言われたのだ。主人ノックスは葬儀の代金を全額出して、後はだんまりを決め込んでいる。トーヴァは残念そうだった。会いたかったのだろう。 シグナスは他に誰もいない信徒席に座って、ぼんやりとドーム型の天井を見上げている。長い冬の雪に耐える頑丈なドルツ石造りの聖堂には様々な神の絵や像が集って、敬虔な民にそれぞれの形で祝福を与えていた。ナリクでは唯一の神として崇められるセルウェー神は、ここでは大勢のうちのひとりでしかない。シグナスには、それが心細かった。世界はどうやら、自分が知っているよりもずっと広いらしい。 「ねえ、クロ」 「どうした」 「今回はさ、色んな人に会ったね」 「寂しいのか」 「……うん」 〈おどる剣〉は無言のまま空中で一回転する。何と言うべきか悩んでいるようだ。 トーヴァ、アルゴット、ヨン。帰ってこられたのはたった一人。 女騎士グロリアは、何とシグナスの主人に自身の剣と、シグナスへの伝言を託して去ったという。主人ノックスの曰く、「国は違えど騎士として恥ずかしい背中を見せてしまった。恨んでほしい。許さないでくれ」と。その言葉を今はどう捉えて良いのか分からない。けれど大人になれば、きっと理解できるのだろう。シグナスはそう思うことにした。 まだいる。空飛ぶ謎のシスターに、車掌さん。 それからダゲン・ラ・バーゲズ。 列車に囚われた躯(むくろ)たち。彼らの魂が相応しい場所に導かれたことを祈り……。 シグナスは何かの気配を感じて、周りを見渡した。 「どうした、シグナス?」 「ねえ、誰かに見られてない? あっ!」 祭壇に飾られた大鏡に目が吸い寄せられる。その中で、写るはずもないシグナスが、こちらを指さしてニヤニヤ笑っているではないか。鮮烈に記憶が蘇る。 「写身の……!」 クロが剣の身を唸らせ、鏡に向かって猛禽のように襲いかかったその時、偽シグナスは急に心の底から驚いたような顔をして逃げ腰になった。次の瞬間、鏡に写ったのはクロ──ではない! シグナスは信徒席から立ち上がった。 (あの人、スプリンガルを踊ってた人だ!) 〈怨霊列車〉で亡霊の輪の中で踊っていた青年騎士そっくりの人物が、クロに代わって写りこんでいる。鏡の中で青年騎士が剣を突き入れると、偽シグナスは憎々しげな顔をしてひょいと避け、そのまま鏡面からいなくなった。 (もしかしてクロなの……?) 鏡面に激突する寸前で急停止したクロが、とんぼ返りしてシグナスの手元まで戻ってくる。 「ええい、忌々しい。一刻も早くお前の主人に報告せねばならん。どうしたシグナス」 「ねえ、クロが人間だった時の顔、わかっちゃったかも!」 「何だと! お前、絵心はあるか? いやそれよりもだな、その……」 「?」 「さ、さ、さぞかし二枚目だったんだろうなあと思ってだな」 「それは高望みなんじゃない」 「何だとおーーー!」 ぶんぶんと怒れる蜂のように聖堂内を飛び回るクロを見て、シグナスは久々に腹の底から笑ったのであった。まあその陽気も、笑い声を聞きつけて飛んできた司祭にこってりとお説教されるまでの命ではあったけれど……。 [完] ◆ これにて『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイは完結です。 語りたいことは多々あれど何だか不粋な蛇足になってしまうような気もしますので、余韻だけを残して作者はお別れを申し上げることといたします。 長の列車旅にお付き合いいただき、誠にありがとうございました! 読者の皆様、FT書房の皆様に心より御礼申し上げます。 それでは、良きローグライクハーフを! ◇ (登場人物) ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。 ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉で、元人間だと主張。 ・ノックス・オ・リエンス…ロング・ナリクの聖騎士。シグナスの師匠。〈猟犬〉の異名を持ち、主命を受けて暗殺などの仕事もこなしているともっぱらの噂。 ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。面白さがすべて。グロリアとの最後の対決にて落命。 ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。グロリアの火球により落命。 ・トーヴァ…ヨンとアルゴットと共に〈怨霊列車〉の調査に来ていた「人間」の兵士。 ・グロリア…サン・サレンの誇り高い女騎士。躯になってもバーゲズに操られ、最後には爆発させられた。魂となってノックスの元を訪れバーゲズの情報を提供する。 ・ダゲン・ラ・バーゲズ…〈怨霊列車〉の主。役者と称して躯(むくろ)を蒐集する、最悪の手合い。 ・シスター…〈怨霊列車〉に乗っていた謎のシスター。最後まで謎であった。 ・〈写身の殺人者〉…前回の冒険でシグナスにより倒されたと思われていたが……!? ◇ (付記) なお、9回目の記事に名前が登場しました「ハボリーム」、そして10回目の記事でノックスが引いている砂クジラの弓は、天狗ろむ様による『賞金首を狙え—隠密任務編—』(https://talto.cc/projects/mjMKe3Lgaz58zl4sg5LdE)に登場するものです。ノックスで挑んだ際に獲得したアイテムや関係性を引き継ぎたいと思い、作品をまたいで登場いただきました。暗殺がテーマというかなり刺激的で独創的なシナリオですので、皆様も是非チャレンジを! ※『賞金首を狙え—隠密任務編—』リプレイ:https://x.com/summer_east/status/2003597509038678525?s=20) ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月23日水曜日
第1回【獣の弟子】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4991
第1回【獣の弟子】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「あなたに弟子がやってきた」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●思い出す、あの日 そのとき、オレは弟のタイガと一緒に森で探検ごっこをして遊んでいた。 タイガはオレの四歳年下の弟だ。あのとき、あいつは七歳くらいだったと思う。 オレはいい感じの木の枝を剣に見立てて、タイガを引っ張って森の奥へと遊びに出かけた。 森といっても、子どもの遊び場だ。村のすぐそばの、森の入口付近で奥に行った気になっていただけだ。 オレは剣士、タイガは魔法使いの役だ。 「大丈夫。どんな敵が来てもオレが守ってやるからな。タイガは安心して魔法を放て」 オレはそんな風に得意になりながら、タイガを引っ張っていった。 その生き物の気配には、オレとタイガ、同時に気づいた。 それほどに、まがまがしい気配を放っていたからだ。 茂みからこっそり覗くと、それは巨大なヤギの姿をした魔獣だった。 頭頂から生える二本の長い漆黒の角は、まるで悪魔のよう。 タイガが震えている。オレも怖い。けど、オレがしっかりしなきゃ。 オレは大ヤギの魔獣を鋭く観察した。森の奥からのっそりとやってきたそれは、森の出口を目指しているように見えた。 その先にあるのは、村だ。 「まずいな。あれ、村の方に向かってないか」 魔獣が森のこんなところまで出てくることは、まずない。 少なくともオレは見たことがない。 だから村の大人たちも、オレたちが森の入口で遊ぶことを問題にしていなかった。 けれど魔獣はここにいる。このままでは、村が襲われてしまう。 どうしよう。どうしたらいい? 「早く、村のみんなに知らせないと」 オレにはそれしか考えつかなかった。 とにかく早く、動きの遅いヤギの魔獣より先回りして、魔獣の襲来を村に知らせる。 けれど、タイガは完全に足がすくんでしまっていた。 「ハルト……。僕、動けない」 タイガは、兄のオレのことを名前で呼ぶ。 最初からその呼び方で慣れてしまったからだ。 「オレも一緒に行くから、がんばれ」 「できない」 タイガは、その場から一歩も動けそうになかった。 「じゃあ、オレが村に知らせに行ってくるから、ここで待ってろ」 「できない」 「大人の力が必要だ。きっと迎えに来るから」 「できない、できない、できない」 自分でも無茶な要求をしていることはわかっていた。 タイガをここに残して村に行ったら、タイガが魔獣の餌食になるかもしれない。 だったらもう、オレに取れる手段はひとつしかなかった。 「……わかった。じゃあオレがあいつを、森の奥へ引きつける」 「……え?」 ここに魔獣がいなくなれば、タイガは安全だ。 村の方向に行ったら、村が襲われる。 だったらオレが、森の奥へ魔獣を誘導するしかない。 「アイツがいなくなれば、村までは安全だ。そうしたら、動けるだろ。タイガが村まで行って、大人に知らせるんだ」 「え? え?」 タイガが間違ってもオレの後を追わないように、村に伝えるという仕事を与えた。 行けなくてもいい。動けなくてもいい。とにかく、無事でいてくれれば。 「頼んだぞ、タイガ」 オレは、まだ混乱しているタイガを置いて、茂みから飛び出した。 まだ手に持っていた木の枝の剣で、辺りの幹をばしばしと叩く。 大ヤギの魔獣は、のっそりとこちらを向いた。 感情が読み取れない無機質な視線が、オレを貫いた。 オレは精一杯の虚勢を張って、木の枝の剣を構えた。 「こっちだ! クソデカヤギ野郎」 大ヤギの魔獣がオレに注意を向けたのを確信すると、オレはそのまま森の奥へ向けて駆け出した。 後ろを振り返ると、魔獣は間違いなく、オレを追ってきていた。 よし。それでいい。そのままオレを追ってこい。そうしたら、タイガは助かる。 オレは走った。全力で。 息が切れても、まだ走り続けた。 大ヤギの魔獣はどこまでも追ってくる。 どうやってやり過ごすかなんて、考えてなかった。考えられなかった。 けどおかしい。 動物の足の速さって、こんなもんじゃないはずだ。 子どものオレに追いつけないなんてこと、あるのか? もしかしてオレ、完全にもてあそばれている? 疲れてきて少し速度が落ちる。それでも追いつかれることなく、一定の距離を保って追って来る魔獣。 やっぱりそうだ。オレはいつでも狩れる獲物なんだ。 オレは絶望的な気持ちで、それでも走り続けた。 そしてとうとう、崖に追いつめられた。 もう、後がない。 大ヤギの魔獣はゆったりとした動きで、オレとの距離を詰めてくる。 崖から落ちて、助かるとは思えなかった。 それなら……。 オレは呼吸を整え、魔獣の脇をすり抜けようとダッシュした。 しかし、無駄だった。 「ぐうっ!」 左腕に鋭い痛みが走る。見ると、オレの左腕を、大ヤギの漆黒の角が貫いていた。 大ヤギの魔獣が首を振ると、オレはそのまま体ごと持ち上げられた。 ぶうんっ。 大ヤギはオレを振り回し、腕から角が抜けてオレは飛ばされた。 助かるとは思えない崖下へと。 オレにとってまだしも幸いだったのは、角が引き抜かれるときの激痛のため、空中で意識を失ったことだったかもしれない。 ■ローグライクハーフとは ——想像の、旅に出よう。 ローグライクハーフのリプレイへようこそ! 「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、そんなローグライクハーフのシナリオを実際にプレイした様子を物語風に記述したもの。 自分がプレイした様子を、想像力のおもむくまま、冒険小説として仕立てています。 さらに、実際にどんなプレイをしたのかの[プレイログ]もついています。 プレイ風景を知りたい方、自分のプレイとの違いを楽しみたい方、純粋に物語を楽しみたい方、いろんな楽しみ方ができる、それがリプレイの魅力です。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑むのは、ローグライクハーフ「あなたに弟子がやってきた」になります。 本編タイトルが違うって? はい。良いところに気づかれましたね。 このリプレイは、弟子視点で描かれています。 そのため、タイトルと内容に不一致が生じてしまい、リプレイタイトルを変更させていただきました。 内容は間違いなく「あなたに弟子がやってきた」のシナリオになります。 d33シナリオで、作者は東洋夏さん。FT新聞では、シグナスくんとクロのリプレイでおなじみですね。 私と同じくローグライクハーフのリプレイを多数執筆している方です。 本作品の元となるシナリオ集は、以下で冊子版とダウンロード版を入手できます。 ローグライクハーフ個人製作シナリオ集『主人公は一日にして成らず』 https://booth.pm/ja/items/8063646 ※本作品が収録されています。 ネット閲覧可 ローグライクハーフd33シナリオ『あなたに弟子がやってきた』 https://talto.cc/projects/FoEKXdyD2KdpaLHU1_siE そして主人公は、「エメラルド海の探索」の主人公ハルト。 本リプレイは、「エメラルド海の探索」の続編にして過去編という位置づけになります。 また、導入を読んでお気づきの方もいるように、「巨大樹の迷宮」から始まる主人公タイガのシリーズとの、明確なリンクが張られた構成になっています。 「あなたに弟子がやってきた」のリプレイとして単体で楽しむことはできますが、繋がりのある作品を読んでいれば、なおのこと楽しめるのは間違いありません。 「巨大樹の迷宮」「蜂竜の森」「エメラルド海の探索」、そして本作「あなたに弟子がやってきた」ですね。 さあ、それではここから、新たな冒険をお届けしましょう。 さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 また、本リプレイではランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めながら冒険を進めていきます。 イベント番号と簡単な内容については、本編の後に補足されている[プレイログ]をご覧ください。 彼らの織りなす冒険を、ぜひ楽しんでください。 ●01 魔獣と巨漢 ぼんやりと目を開く。 視界が安定しない。薄暗い。 目の前に、誰か、いる。 徐々に目が慣れてきた。 目の前に、獣の顔があった。 炎のように真っ赤な直毛で毛の長い、犬のような馬のような顔。 影がゆらめいて、本当に燃えているようだ。 「ギャウ」 魔獣!? オレははっとして動こうとし、全身に激痛が走った。 「ぐ……ああ……!」 たまらず悲鳴を上げる。 「なんだ。生きてたのか」 オレの悲鳴に反応してか、でかい声が降ってきた。 それは目の前の魔獣が喋ったのかと驚いたが、違う。 全身の痛みに耐えながら、首だけをどうにか動かす。 どうやらここは、洞窟の中みたいだ。 ぼんやりと照らされているのは、焚火の火が揺らめいているからだ。 焚火のゆらめきが、目の前の魔獣の炎の赤毛をゆらめかせていた。 「目を覚まさないまま死んじまうかと思ったぜ」 焚火のそばに、がっしりした巨漢が見えた。 ゆらめく炎に照らされたその顔と体は傷だらけだ。 よくわからないけど、このガラの悪そうなおじさんがオレを助けてくれたってことなのか? じゃあ、目の前のこの魔獣は、この男が飼ってるのか? 喋ろうと思ったが、口から出るのはうめき声だけだった。 「ああ、そいつは火吹き獣。顔は怖ェが取って食ったりはしねェから安心しな」 どう見ても男の顔の方がはるかに怖い。 そんなことを思いながら、オレの意識はまた闇に呑まれた。 ●02 大ヤギと呪い それから、意識のある時間がだんだん延びていった。 全身の痛みはあるが、それでも少しずつ体も動かせるようになってきた。 喋れるようにもなってきたので、巨漢の男にお礼を言った。 「オレのこと、助けてくれたんでしょ。ありがと」 「たまたま見つけちまったからな。目の前で人に死なれるのにガマンならなかっただけだ」 男の口調はいつも雑で乱暴で、しかも声がデカかった。 そんな日々を過ごすうちに、少しずつ今置かれている状況がわかってきた。 男の名前はヴァルグ。全身傷だらけの巨漢だ。 二本の剣を携えているから、剣士かなにか、武器を持って戦う人なのは間違いない。 ここは浅い洞穴で、ヴァルグが根城に使っているみたい。 ヴァルグはいつも、何かの用事で出て行っては、日暮れに戻ってくる。 食べ物は、野草とか、狩ったウサギとかを持ち帰ってくる。 たまに、帰ってこない日があって不安になった。 ヴァルグが不在の間、火吹き獣が留守番をしている。 一度狼が近寄ってきたとき、追い払ってくれた。たぶん、オレのために置いてってくれてる。 ヴァルグはオレの事情を聞いてこなかった。 だからオレは何も話してない。 逆に自分のことも何も話してこなかった。 何日か経って、体を起こせるようになった。 そのことに、ヴァルグは驚いていた。 ヴァルグ曰く、とても元の状態に戻るとは思えなかったとのこと。 オレ、よっぽどひどい状態で倒れてたみたいだ。 そしてその頃になってオレは、左腕にある明確な違和感を自覚した。 左腕が熱い。 ヴァルグは、オレの全身に薬草汁を塗りたくり、雑に布を巻いていたが、左腕だけはやけに念入りに巻いてあった。 「オレの左腕、どうなっちまったんだ?」 「あー……」 ヴァルグが珍しく、言いよどんでる。 オレは左腕の包帯を解く。 「な……なんだよこれ!」 これが、オレの左腕……なのか?! 左腕は、パンパンに膨れ上がっていた。 それだけじゃない。得体の知れない黒い体毛のようなものに、覆われていたんだ。 「俺がテメエを拾った時は、左腕が一番ヒドかった。だが、みるみる傷がふさがり、こうなった」 ヴァルグの説明は、簡単すぎた。 「大ヤギの魔獣の真っ黒な角に、刺されたんだ。そのまま崖下に放り投げられたんだ……と思う」 オレは経緯を伝えることにした。 ふむう、とヴァルグは思案する。やがて言った。 「そいつァ、たぶん『呪い』だな」 「『呪い』?」 「ああ。だが、テメエが会ったっていう大ヤギの魔獣にゃそんな力はねェ。大ヤギの角に呪いをかけた変人がいるんだな。その呪いが刺されたことでテメエにうつった」 「……そう、なのか」 「どんな『呪い』なのかは、さっぱりわからねェがな」 そう言ってヴァルグはガハハと笑った。 「ま、死ぬような呪いじゃなかったんだからいいじゃねェか」 いいのか? オレには、よくわからなかった。 ●03 弟子志願 体が動かせるようになると、驚くほどに回復は早かった。 ヴァルグは、オレが動けるようになったら、手近な町や村に連れてくつもりでいたみたいだ。 オレは「帰るとこなんてない」と嘘をついた。 この呪われた腕のまま、村に帰ろうとは、どうしても思えなかった。 「だったら、テメエ一人で生きてくんだな」 ヴァルグはそう突き放した。 けど、空いてる時間で、オレに生きるための術を叩きこんでくれた。 生活のこと、獲物の捕り方。解体のやり方。武器の扱い方。 ヴァルグの言葉は感覚的でよくわからなかったけど、見よう見まねでやった。 武器を手にした時の勢いは凄まじく、気合も迫力も半端なかった。 ヴァルグは、獣のようにどう猛に剣を振るった。 そうして気づいた。 最初は左腕をかばって動かしていたのが、何も支障なく動かせること。 むしろ力がみなぎっている。 ためしに大岩を動かそうと力をこめると、簡単に動かせた。かなりの怪力だ。 「その怪力を生かすなら、剣よりもこっちだな」 ヴァルグは作業用のハンマーをよこした。 それをオレは、軽々と使いこなした。 ヴァルグと打ち合ううちに、わけのわからない衝動がオレを動かそうとしてきた。 戦いたい。暴れたい。 闘争本能がかきたてられる。 ヴァルグはオレの上達と、戦いになると人が変わる様に驚いていた。 オレは、湧き上がる衝動のことを正直に伝えた。 「『呪い』の影響だろうさ」 「なんとかできないの?」 「僧侶や解呪師ンとこに行って解呪してもらう、だな」 だが、とヴァルグは言葉を切った。 「テメエの呪いは厄介そうだ。その手の奴ァ、術者を探して解いてもらわねェと。この場合、大ヤギの魔獣に呪いをかけたアホンダラだな」 「そうなのか」 そんなの、雲をつかむような話だ。解けないって言われてるのと同じじゃないか。 オレの回復に合わせるように、ヴァルグがここでやっていた仕事もそろそろ終わるらしい。 別れのときが、近づいていた。 オレは、ヴァルグに頼み込んだ。一緒に行きたいって。 「弟子なんてまっぴらゴメンだ」 ヴァルグの返事はそっけなかった。 けど、オレはあきらめなかった。 「冒険者になりたい」みたいな漠然とした夢では、ヴァルグは決して受け入れない。 オレは、呪いを解くための旅がしたいと伝えた。 見つかるかわからない術者を探す、あてのない旅だ。 そのために、もっと力をつけたい。 これはヴァルグに師事する理由づけではなく、本心でもあった。 「師匠」 「うるせえ。俺を師匠なんて、ぜってェ呼ばせねェ」 オレがぎこちなく師匠呼びをすると、ヴァルグは全否定した。 そして提案してきた。 ヴァルグはいわゆる、冒険者とか傭兵とかをなりわいとしている。 今、この周辺の遺跡群の調査依頼を受けているという。 八つの遺跡があるため、調査は長期にわたっていた。 残りはひとつ。その遺跡に、オレを同行させるというのだ。 それは、オレに現実の厳しさを教えて、あきらめさせようとしているに違いなかった。 だったら話は簡単だ。 この調査を絶対に成功させて、ヴァルグにオレを認めさせればいいんだからな! [プレイログ] 「あなたに弟子がやってきた」では、ここで弟子のステイタスを決めます。 弟子のスタート時のレベルは6。副能力値はまだ決定していません。 そのため、副能力値を使った技能は使えませんが、その代わり「弟子スキル」をひとつだけ持って行くことができます。 こうしてルールに沿って作成された弟子、ハルトの能力値は、以下のようになりました。 【ハルト レベル6 技量点:1 生命点:5 副能力値:2 従者点:8】 弟子スキル:【心優しき勇者の素質】 ・自分以外のキャラクターが【防御ロール】に失敗した際、その生命点へのダメージを身代わりとして自分に受けます。このスキルの発動は任意です。 また、ヴァルグは2回のd66シナリオをクリアしているため、レベルは16になります。 【ヴァルグ レベル16 技量点:2 生命点:9 筋力点:4 従者点:8】 【従者:火吹き獣(技量点:1)】炎耐性。特定のクリーチャーに2点ダメージ。0ラウンド攻撃に引き続き1ラウンド攻撃が可能。 装備や持ち物、所持金等のデータは省略します。 なお、「あなたに弟子がやってきた」は本来、師匠の立場から弟子入り志願者に試験を課すのが本来の流れです。 そのため、本作品には「弟子プロフィール表」がついています。 これを使えば、サイコロを振って弟子の特徴を決めることができるのです。 その中身は、「弟子になりたい理由」「性格」「特徴的な持ち物」「種族」になります。 ハルトの場合最初から設定がある程度固まっていたため利用しませんでした。 フリーなプレイの場合、この「弟子プロフィール表」を利用したら、きっと思いもよらない弟子が現れて面白いことになると思いますよ。 ちなみにためしにサイコロを振ってみたところ 「あなたに憧れ」「負けず嫌いな」「書状(紹介状)を持ってきた」「ドワーフ」 になりました。ストーリーが根幹から変わってしまいますね。 なお、ヴァルグがここに長期滞在する理由づけとして、「遺跡調査」を「遺跡群の調査」に設定変更しております。 では、次回から遺跡探索の冒険に入りましょう。 ■登場人物 ヴァルグ 冒険者。依頼を受けて遺跡調査に来たところ、偶然瀕死のハルトを発見した。 ハルト 大ヤギの魔獣の黒角にやられ、崖下に転落したところをヴァルグに助けられた。左腕に厄介な呪いを受けている。 タイガ ハルトの弟。大ヤギの魔獣の出現の恐怖で動けなくなった。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd33シナリオ『あなたに弟子がやってきた』 著者:東洋夏 イラスト:骨盤 編集:緋色朱音 発行者:東洋夏 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 冊子版 ローグライクハーフ個人製作シナリオ集『主人公は一日にして成らず』 https://booth.pm/ja/items/8063646 ※本作品が収録されています。 ネット閲覧可 ローグライクハーフd33シナリオ『あなたに弟子がやってきた』 https://talto.cc/projects/FoEKXdyD2KdpaLHU1_siE 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月22日火曜日
これはゲームブックなのですか!? vol.139 FT新聞 No.4990
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『これはゲームブックなのですか!?』vol.139 かなでひびき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 近所に24時間体制の本屋ができたんだけど、夜間は店サイド無人。 つまり全自動で機械がやってくるはるんですって。 ということは、ちょっとはサイバーでパンクな風景が見られるのかしら? どんどん近代化機械化が進む世の中、アナログなネタをお一つ! 『これはゲームブックなのですか!?』と謳っているのに、ちっとも「ゲームブック」の話をしない!ってんでお嘆きのアナタ! というか、かなで自身お嘆きなので、今回はゲームブックのお話をしてみようと思うの。 しかも、ど直球な原点。 『ドラゴンの洞窟』(J・H・ブレナン著 大久保寛訳)よ! それ相応にセピア色な本書は、まるで羊皮紙のような貫禄を持つわ! どれどれ、見てみると……。 発行は昭和六十年! まさに、ゲームブックブームが、産声を上げるその黎明期のお宝じゃあーりませんか!? 表紙帯にデカデカと踊る「ロール・プレインゲームの王様」プレイングの(グ)が抜けているとこに、時代を感じますぅ! 「読みだしたら止まらない本格の味!」 さらに「見てはいけないマップ付!」豪華仕様! 迷わずゲットして、読んでみましたら…… 話は、大魔術師のマーリンが、読者であるあなたに「電話」しているところから始まる。 で、マーリンは「いま現場にいる周りの人からは、ついにイッちゃったか!?」と思われている。 というのは、彼は電話機ではなく、法螺貝に向けて話しかけているから! マーリン自身の弁明によると「この時代は電話機が発明されてなかったから」 どうです!? この冒頭! このユーモアのセンスに、一発で引きずられました! 彼自身の弁によると「この本自体が魔法であり、あなたはこっちの時代へ飛んでこられる」とのことなんだけど。 この冒頭の文が、センスいいユーモアで彩られているので、まさに魔法にかかったように、この世界へ飛び込めたわ! で、この本でのあなた自身の役割。 そして、ここへ至るまでの経緯が話される。 八月はドラゴンの繁殖の季節。で、そこで暴れまわるドラゴンに、皆は悩まされているけど、今年はサイアク! 「地獄から生まれた」ともあだ名される最強最悪のドラゴン。「真鍮のドラゴン」からこの地を守るために、いえ、このままだと、奴に対して決定的な対処を立てられなかったおかげで賃金カットされそうなマーリンのために、あなたは旅立つ……。 で、戦闘システムは基本のキ、「サイコロを二つ用意して、それを転がして出た数をもとに、生命力や攻撃力、防御力を決める」というものなんだけど、かなりシンプルにまとめられている。 今時のゲームブックだと「あなたの生命値は……」と、ここだけなんか取り扱い説明書みたいなテイストでしらけるんだけど、この本はそういうことがないわ。 始終、物語と同じテイストで、マーリン先生がユーモアたっぷりに懇切丁寧教えてくれる。 この気の使いように、ものすごくかなで共感いたしました! 本書の最後にも、冒険記録用紙とともに戦闘のやり方まとめが載っている。 さらに、「開けるな!」と言っているページにも、大雑把にエンディングまでの道しるべ=パラグラフが載っている。この親切丁寧さ! それもそうでしょ。 当時は「ゲームブック」そのものが「海のものとも山のものともつかない」。さらには「本のすごろく」とまで評する方もおられた時代。 途中で投げ出さないために、例えば直接マップからバラグラフへ飛ぶ仕掛けがしてあったり、暗号があったり、本当に親切丁寧にできているよ! この辺、「RPGという概念が浅い日本人に、どうやったらその楽しさが伝わるか?」試行錯誤して出来た『ドラゴンクエスト』を彷彿させますぅ! そのかわり、罠が満載! この手のゲームの定番「その場所をよく調べて」みたら何もないのはいいほう。即死トラップが待っているってことも多く思える。 森であったウサギさえ牙を向いて襲ってくる! さらには「眠りで休息を取る」ための「夢時間」というパラグラフがあるのに、そこで体力を削られまくるってどういう仕様(涙) だけど、この辺は「初見殺し」ランダムなポイントが少ないので、一回かかったら二回目は回避できる。 何回もトライする意欲を促そうとしているんでしょうね。 まさに「死んで覚えろ」的な厳しさがコンティニューなしで最後まで突っ走った初期のファミコンゲーム感が出ていて、かなでキュンキュン! で、長さもちょうど良く、例えば休憩時間、電車などの移動時間を使ってこつこつとやっていけば、誰にでもエンディングを迎えられるはず。 あなたに親しげに話しかけるような、センス溢れたユーモアのある文に惹かれていると、最後まで読み通せるはず! ジョークやギャグは、はやりものの一過性であることも少なくないと思うけど、この文に流れるギャグは「今読んでも面白い!」、時をこえた色あせない名文! 意地悪なトラップやパラグラフジャンプもない。 本当に、この「読書体験」は「黄金」! 悪く言うと「泥臭い」 だけど、本当に読者のそばに作者、あるいはゲームマスターがいる感覚におちいらせてくれるこの文体は、もっともゲームブックが輝いていた時代だからこそだと思うの! ゲームブック好きな方にも、面白い本を探しているあなたにも、まさに教科書な一冊! 見逃せば後悔することウケアイ! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『ドラゴンの洞窟』 著:J・H・ブレナン 訳:大久保寛 出版社:二見書房 1985/8/20 文庫 690円(絶版) 新訳版 『ドラゴンの洞窟』 著:ハービー・ブレナン 翻訳:日向禅 翻訳監修:フーゴ・ハル 出版社:創土社 2006/4/1 単行本(ソフトカバー) 1,320円(絶版) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。