2020年4月7日火曜日

AFF『ソーサリー・キャンペーン』第7回・虚構の王(Vol.4) No.2631

■AFF2用『ソーサリー・キャンペーン』追加シナリオプロット 第7回■

おはようございます。紫隠ねこです。
これまで『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版』用のシナリオプロットに加えて、
ヒーローたちに力を貸してくれる二人の個性的なキャラクターを紹介いたしました。
心強い仲間と力を合わせ、砦の最終防衛ラインを突破したヒーローたち。
しかし、ブロンウィンが冒険から脱落し、アストガルと銀星にも出会わなかった場合、彼らはどのように困難を切り抜けたのでしょうか?
今回はそのような一つの可能性と、前回からの続きとなるエピソードの両方を紹介いたします。

なお、パーティにNPCが同行している場合は、『最後のスローベン・ドア』→『眠れぬ雄羊』→『ラドルストーンの研究者』という展開になります。
パーティにNPCが同行していない場合は、『綱渡りのやり取り』→『シンのサマリタン』という展開になります。


■AFF2用シナリオプロット『虚構の王』(Vol.4)■ 

◆綱渡りのやり取り(※NPCが同行していない場合)
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の45番の場面に対応しており、パーティにNPCが同行していない場合(例えばブロンウィンがパーティから離脱している状態)に限り発生するイベントです。部屋の構造、そして通路で待っているとスローベン・ドアから鍵を持った親衛隊が姿を現す展開は、前述の『最後のスローベン・ドア』と同様で、鍵を持った衛兵に戦いを挑んだ時の展開も変化はありません。しかし、ヒーローたちが、不注意から親衛隊たちの前に姿を現してしまった場合、門番を務めているうちの一人が、警告の声を発します。

「これより先は、許可されていない者が立ち入る事は禁じられている! 何故、お前たちが、第三のスローベン・ドアの開き方を知っている? 所属の部隊を名乗れ!」

もしヒーローのうち誰かが、砦に潜入する際に変装していなければ、すぐに気付かれて戦闘になってしまいます。まだ鍵を持った親衛隊が姿を現していない場合、最初の戦闘ラウンドが終了すると、彼はスローベン・ドアを開いて部屋の中に入ってきます。しかし、戸口が三人の親衛隊でふさがれているため、結局はこの三人を片付けなければ、合い鍵でスローベン・ドアを開きに行く事はできません。ここでヒーローたちが、最後のスローベン・ドアの前にいる三人の親衛隊を倒して強行突破した場合、『眠れぬラム』の広間を抜けるのが非常に難しくなります。広間の北側にある落とし格子をこじ開けようとしたヒーローがいた場合、【感知】と【剛力】の両方の判定を行わせて、少なくともどちらか一方が成功すれば、その者は鉄格子が上に持ち上げられる事に気付きますが、鉄格子の調査には1ラウンドの時間を必要とします。

もしヒーローたち全員が、砦に潜入する際に変装していた場合、非常に幸運な事ですが、門番を務める親衛隊たちは、身なりの特徴でアナランドの密偵かどうかを判断しています。ヒーローたちが、誤った部隊名さえ口にしなければ、上手く事が運んでくれるかも知れません。砦の中で、衛兵隊長に状況の報告ができるだけの権限を持つ部隊は『バロウズ隊』『オズワルド隊』『キアラ隊』の三つです。ただし、この時点でヒーローたちは『オズワルド隊』と『キアラ隊』の存在を知りませんし、仮にその二つの部隊の名前をあげたとしても、この部屋より奥に向かうだけの理由がありません。大魔王への報告が許されているのは、マンパンの親衛隊と、ごく一握りの鳥人だけです。ヒーローたちが誤った部隊名をあげるか、あるいは口ごもってしまった場合、遅かれ早かれアナランドの密偵であると気付かれ、親衛隊と戦闘になってしまいます。この場合の展開は、変装していなかったと時と同様です。

ヒーローたちが、所属の部隊名が『バロウズ隊』であると言った場合、まだ鍵を持った親衛隊が姿を現していない場合、彼がスローベン・ドアを開いて部屋の中に入ってきます。鍵を持った親衛隊は、門番の親衛隊に事情を聞いた後で「念のため、名前を確認しておきたい。少し待っていてくれないか」と言うと、ヒーローたちが止める間もなく、小走りで詰所の中に入っていき、すぐに名簿を持った状態で戻ってきます。ありがたい事に、彼はまだスローベン・ドアの鍵を返却していません。彼はヒーローたちの顔を一人ずつ眺めます。ここで、ヒーローたち全員に「運だめし」の判定を行わせてください。

人相を少しでも変えていたヒーローには、サイコロの出目を少しだけ減らせるボーナス修正が加えられますが、ディレクターはそれによるボーナスを非公開にしてください。通常は失敗でも、このボーナスのおかげで「運だめし」に成功したヒーローがいれば、ディレクターは「普通なら密偵だとバレていたはずだが、変装のおかげで、君がお尋ね者である事に相手は気付かない」と伝えてください。もし、仮面や面頬などのアイテムで変装したヒーローがおり、ボーナスによる修正を加えたにも関わらず「運だめし」に失敗してしまった場合、ディレクターは成功時と同じコメントを伝えた後、判定の対象となったヒーローが安心したところで「突然、親衛隊の一人が、君に向かって『その顔に付けている物を外してくれ』と言った」と伝えてください。結果的に、そのヒーローは「運だめし」に失敗したものとして処理されます。なお、顔全体を隠すような変装をしたヒーローは「運だめし」を行う事さえできず、確実に親衛隊から疑われる事になってしまいます。

一人でも「運だめし」に失敗したヒーローがいれば、手配書に記されていたアナランドの密偵である事に気付かれてしまうので、親衛隊と戦闘になってしまいます。この場合も、変装していなかったと時と同様の展開になります。

ヒーローたち全員が「運だめし」に成功した場合、彼は特に違和感を覚える事なく「そちらの君から、名前を言ってくれ」と言います。またしても幸運な事に、彼らは部隊の主力メンバー以外の顔をよく覚えていないようです。バロウズ隊は、約40名のメンバーで編成されているため、ヒーローたちが適当な名前を口にしても、ファーストネームあるいはセカンドネームのどちらかが適合してくれるかも知れません。なお、NGとされる名前は『バロウズ』『アストガル』『銀星』です。

またヒーローたちは、鍵を持った親衛隊が名簿を確認している隙に、武器の柄などで殴って彼を気絶させるという手段も使えます。彼は無防備な状態なので、よほどしくじらない限りは、気絶させる試みは簡単に成功します。この場合、門番を務める二人の親衛隊は、突然の出来事で驚かされるため、最初の戦闘ラウンドでは何も行動ができません。

ヒーローたちが、適当に思いついた名前を名乗る場合、ディレクターは一人ずつ「運だめし」をさせてください。「運だめし」に成功すれば、その名前は名簿に載っています。ただし、二人目は「運だめし」をするサイコロの出目に+1の修正、三人目はサイコロの出目に+2の修正……といった感じで、少しずつ難易度が高くなっていきます。一人でも失敗してしまった場合は、密偵だと気付かれてしまうので、残念ながらこれまでと同様に戦闘になってしまいます。ちなみに「運だめし」をする事なく、正解の名前を答える方法もあります。それは、外輪門の戦いでバロウズが口にした『レックス』『ヴァリマー』『マイルズ』の三名です。たとえ、その名を言ったのが女性のヒーローであっても「随分ゴツい名前だな。子供の頃にからかわれたりしなかったか?」と言ってくるだけで、それ以上は名前に関して疑ったりする事はありません。何であれ、ヒーローたち全員が名前をごまかす事に成功した場合、運点を2点回復させてください。そして、門番を務める親衛隊の一人が、このように言います。

「あの部隊の生き残りか。アナランドの密偵に外輪門の突破を許してしまった以上、ベストを尽くしたとは言いがたいな。砦に潜り込んだ密偵のうち一人を取り押さえる事はできたが、だからと言って安心はするな。お前たちが犯した重大なミスに対する処分の内容は検討中だが、降格はまぬがれないと思った方がいい。それよりも、大魔王様への報告、という訳ではなさそうだな。その役目は我々親衛隊に任されているし、バロウズ隊が壊滅的な被害を受けた事も、すでにカートゥーム隊長の耳に入っている。……ああ、そうか。そろそろ塔の上まで食事を運ぶ時間だったな。普段は銀星の役目だったから、こちらもつい警戒してしまった。今、食事を持ってくるから、このまま待ってくれ」

門番を務める親衛隊の一人はそう言うと、特に急ぐ事なく歩いて詰所の中に入っていき、少し経つとラージ・シールドの代わりに、暖かい食事を乗せた盆を両手で持って戻ってきます。そして、それをヒーローたちの誰かに渡すと、今度は鍵を持った衛兵が「じゃあ、俺たちに付いて来てくれ」と言った後、スローベン・ドアを正しい手順で開いてくれます。盆を持ってきた親衛隊は、もう一人の門番に「もう交替の時間になる。デーンとラングに声をかけた方がいい」と言うと、ヒーローたちの後ろから付いて来ます。この場合、ヒーローたちは、二人の親衛隊と共に『眠れぬラム』と呼ばれる彫像が置かれた円形広間に踏み込む事になります。広間の中に全員が入って、背後のスローベン・ドアが再び閉じられた後、鍵を持った親衛隊は、不思議な文句を高らかに唱えます。

「雄羊の彫像は『眠れぬラム』が如し、それはすなわち、『眠れぬラム』は雄羊の彫像が如し」

ヒーローたちは、その文句が合言葉である事までは判断できますが、何の仕掛けに作用するものなのかは分かりません。広間の向かい側の壁には、金属製の落とし格子があり、それを開けられるような装置が見当たらないため、ヒーローたちは先導する親衛隊の後ろを付いて行く事しかできません。何事もなくヒーローたちが落とし格子の近くまで来ると、先頭を歩いていた親衛隊はその側にある壁の一部に手を触れます。すると、そこに開閉スイッチが設けられていたのか、鉄格子がするすると持ち上がっていきます。その先にある回廊を進んでいくと、やがてヒーローたちは、先ほどの広間よりも狭い円形の部屋に出ます。部屋の出口はなく、螺旋階段が上の方へと続いています。階段を登った先にある、それぞれの踊り場では、壁に頑丈そうな扉が設けられていますが、随分と古びた感じで、今では階段だけしか利用されていない事がうかがえます。二人の親衛隊は、階段の前まで来ると立ち止まります。

「銀星から聞かされているかも知れないが、一応伝えておこう。今、この場所で使われているのは最上階の部屋だけだ。そこまで食事を運んで欲しい。うっかり段差につまづいて、スープをこぼしたりするんじゃないぞ。俺たちはここで待っているから、用事を済ませたら声をかけてくれ。世間話をするのも構わないが、ほどほどにな」

親衛隊たちは、最上階の部屋の扉を開くための小さな鍵を手渡すと、それ以上はヒーローたちに付いて来ようとはしません。正直な所、重武装をしているので長い階段を登りたくないのです。この場合、ヒーローたちは、安全に最上階の部屋にたどり着けますが、ある理由からラドルストーンの研究者ホワイド(※後述の『ラドルストーンの研究者』は飛ばし、『シンのサマリタン』のイベントを参照してください)から情報を得る事ができなくなり、最終的には二人の親衛隊を相手に戦わなければなりません。しかし、彼らはラージ・シールドを詰所に置いてきているため、完全武装している状態よりは倒しやすくなっています。


◆ラドルストーンの研究者(※ブロンウィンが同行している場合)
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の50番の場面に対応するイベントです。螺旋階段を登りきったヒーローたちは、短い回廊を進み、左手の壁にある頑丈そうな扉の前に立ちます。他に進める場所がないため、おそらくここが大魔王の私室ではないかとヒーローたちは思うかも知れません。扉を試してみると、やはりという感じで施錠されています。鍵は単純な造りなので、魔法の力に頼らずとも、手先の器用さや体当たりによる力技で簡単に開く事ができます。

部屋の中に踏み込むと、そこはヒーローたちが思っていたよりも簡素な私室になっています。右手の方にある北壁の近くには粗末なベッドが置かれていて、壁には鎧戸が閉められた窓があります。左手の方の壁には書棚が置かれており、棚の近くの壁に木炭で描いた女性の肖像画が貼られています。部屋の奥にある机の前に、誰かが背を向けて腰かけています。顔は見えませんが、緑色の胴着とズボンを着た、頭の禿げ上がった太っちょの老人です。机の上に広げた羊皮紙にペンで何かを書き込んでいる作業に没頭しています。【開錠】の特殊技能や魔法を使ってスマートに踏み込んだ場合、ヒーローたちが声をかけるか、何かしらの大きな物音を立てるまで相手はこちらに気付きません。

ヒーローたちが体当たりで扉を壊すか、あるいは彼に声をかけた場合、老人はぎょっとしながら振り返り、怒った口調で「スナタ猫かッ!」と叫びます。ヒーローたちが【世界の知識】の特殊技能を持っているか、あるいは旧世界の出身のヒーローがいる場合、この言い回しが「びっくりさせるな」という意味合いで用いられる言葉である事が分かります。スナタ猫は、バクランド北部の『スナタの森』に生息する獣ですが、実際にその獣の姿を目撃した人は、バクランド北部で住む者以外にはほとんどなく、言葉の響きの良さだけが一人歩きしている状態です。

ヒーローたちが無礼を謝って自己紹介をするか、あるいは老人が何者であるのかを尋ねた場合、彼は自分の名前を名乗ります。

「私はラドルストーンの研究者、ファレン・ホワイドだ。ところでラドルストーンが何処にあるのか、君は知っているかね?」

ヒーローたちの中に【世界の知識】の特殊技能を持っている者がいれば、判定に成功すれば、マンパンのあるザンズヌ連峰から西に向かった先にある小国の事だと分かります。すぐに他のヒーローたちにも教えてあげるべきでしょう。さもないと、この知識をひけらかす事が好きな男が、以下のような長話を披露する事になってしまいます。

「ここザンズヌ連峰から西に向かった先にある小国だ。小さいながらも、私のような知識人の集う国でもある。ラドルストーンとブライスを隔てる国境線のダッカ川の近くには、約千人の神官戦士が駐屯する前哨基地『魔守城』がそびえ立ち、川向こうにある野蛮なブライスが何か悪巧みをしていないか、常に睨みを利かせている。君たちは身なりからして冒険者のように見えるが、ハラブナッブへは当然行った事はあるだろうね? あそこはいいぞ、実にいい。治安が非常に良くて住みやすいし、都市全体が≪王たちの冠≫で出来上がっているようなものだな。君たちが宝探しに成功して別荘を構えるつもりであれば、ここほど適した港町はあるまい」

もしヒーローたちが、ホワイドの事を大魔王だと疑った場合、彼はヒーローたちを次々と指差しながら「私がマンパンの大魔王なら、君はアランシアで悪名高い『悪魔の三人』のオルドラン・ザゴールでなくてはならないし、そこにいる割と文明的な格好をしたクラッタマンのお嬢さんは『雪の魔女』シャリーラでなくてはならない。その隣にいる君は、さしずめ『闇の王者』ザンバー・ボーンって所だな」という感じで、ヒーローたちを若干いらつかせるような返答をします。ディレクターは、ヒーローたちの人数に合わせて台詞の内容を変えても構いません。それを聞かされたブロンウィンは、軽く肩をすくめながら「『暴虐の魔女』モルガーナと言われてしまうよりはマシだな。残忍さでは彼女の方がシャリーラより上だと聞いた事がある」とヒーローたちに言った後、ホワイドが本当に大魔王だとすれば、カーカバードの統一よりも誰かを笑わせる方がよっぽど向いてると言葉を付け加えます。

もしヒーローたちが、ホワイドがマンパンで何をしているのかを尋ねた場合、あるいは知識をひけらかしたがる彼に対してヒーローたちが怒り出す寸前の場合、彼は真剣な表情になると、そのようになった経緯について語り始めます。

「ここにいる事情をお話しよう。私は造兵学を専門としている。一年ほど前の事だが、私はあるきっかけから『閃光粉末』という物を発明した。それがどういう物なのか、残念ながら君たちに語る事はできない。これはラドルストーンの機密情報なのだ。君たちの中に、戦争屋のブライス人が混ざっていたとすれば、その詳細を知られれば一大事となる。それはさておきとして、どこからその情報を入手したのか分からないが、マンパンの大魔王がその『閃光粉末』を利用した新たな兵器を開発する事を企んだ。扱い方のノウハウを知っていったのは私だけだったから、ある日の晩、眠っている所を鳥人たちに誘拐されて、この砦に軟禁される事になったのだ」

「新兵器の開発が着実に進んでいるかどうか、定期的に確認しに来るし、さぼるような事があれば、オーガーの拷問人から『足の指捻り機』で酷い目に合わされる。最悪だ。彼らに提出する研究報告書は、できる限り出し惜しみしたつもりだが、幾つかの試作兵器は、実用に耐えうる段階まで間近の状態となっている。脅されて仕方なく研究をやらされているとは言え、カーカバードに接しているアナランドとラドルストーンを危険に晒しているかと思うと、気が気ではないよ……」

そこまで語ると、ホワイドは力なくうなだれます。それからホワイドは少し気分が落ち着いてくると、ヒーローたちに「君たちは、何のためにマンパンにやって来たんだ?」と尋ねてきます。ヒーローたちが、任務の事を打ち明けた場合、彼は大魔王が≪王たちの冠≫をアナランドから盗み出した事に大変驚きます。

「……何という事を。それは旧世界にとって恐ろしい事になる。大魔王がフェンフリィ同盟の脅威になるとか、そういう問題の話ではない。仮に大魔王が≪冠≫を手にしたとしても、旧世界を支配する事は不可能だ。ザンズヌ連邦が天然の要塞となるので、マンパンは守りに関しては完璧と言ってもいい。しかし、その補給の要所は城砦都市カーレに集中している。そこさえ押さえる事ができれば、大魔王がカーカバードを掌握する前に、フェンフリィ同盟はマンパンに勝利できる。だが、それには大きな犠牲がともなう」

「もし、君たちが≪冠≫を取り戻す事に失敗すれば、おそらくフェンフリィ同盟の軍隊は、カーレに総攻撃を仕掛けるはずだ。まだ大魔王の統治下にないとは言え、カーレは彼らを迎え討つだろうし、その争いに対してマンパンが静観を決め込む事もあるまい。その結果、都市は壊滅的な打撃を受け、どちらの側も数多くの命が犠牲となるだろう。そして物流に乱れが生じた事により、破壊行為による直接的な被害がなかったとしても、どこの国も少なからず経済的なダメージを受ける事になる。実際には、それだけでは事は治まらないんだが、後の時代に、その勝利者なき戦いが『冠戦争』として歴史書に記される事は、まず間違いないだろう」

「その事態を避けるには、アナランドから奪われた≪冠≫を、君たちが大魔王の手から取り戻す以外にはあり得ない。おそらく大魔王は、自分の私室にそれを保管しているだろう。他の者に預けたりすれば、統治者の座を乗っ取られてしまうからな」

彼の話を聞いたブロンウィンが「大魔王の私室とは言うが、もう砦の奥に進む道が見当たらない」と答えると、ホワイドは「北側の壁にある窓から外を眺めてくれ」とヒーローたちに言います。ヒーローたちが鎧戸を開けて、鉄格子のはめ込まれた窓から外の様子を確認すると、その向こうに、もう一つの塔がそびえ立っている事が確認できます。下の方に目を向けると、ホワイドが軟禁された幽閉塔と別の塔を結ぶ、胸壁に挟まれた渡り廊下が見えます。渡り廊下は別の塔に設けられた門から続いているもの、ヒーローたちのいる幽閉塔の外壁には出口がないので袋小路になっています。

「この幽閉塔の最下層にある壁は、特別な合言葉で開くんだ。向こうの塔から帰ってきた親衛隊が、兜を外して下の壁の前でゴニョゴニョ呟いたら、なんと秘密の抜け道が現れたんだ。そんな事が一日に何度もあるから、暇潰しで合言葉が何なのか読み取ってやろうとした事があってな。こう見えても、私は読唇術の心得があるんだ。一ヶ月ほど観察して、ようやくその合言葉が『ガンサンカモンタ』である事が判明した。言葉の意味は良く分からんが、まぁ、その事は正直どうでもいい。重要なのは、壁が開いた事だ。私はこの部屋から出る事ができないが、君たちが行き止まりだと思った場所も、案外その合言葉で抜け道が開くかも知れない。試してみる価値はあるだろう」

「……正直に言えば、私は自分が悪事に加担している事に、ほとほと嫌気が差していた。自分の命を絶とうと考えた事もある。しかし、君たちのおかげで少しは希望が持てるようになった。そう遠くないうちに、この地獄から逃れられるような気がしてきたよ」

ヒーローたちが、ホワイドから得られる重要な情報は、これですべてです。他の情報は、冒険の役には立ちませんが、ヒーローたちの好奇心を満たす助けにはなってくれます。机の上に広げた羊皮紙について尋ねた場合、ホワイドはすぐにその図面を裏返しにすると「こ、これは駄目だ! 詳しく見せてやる事はできない。それに何の意味が込められているのか、君たちには理解できないかも知れないが、だからと言って、気軽に見せびらかして良い代物ではない。機密を取り扱うとは、そういう事なのだ」と言います。

書棚を眺めると、難しい内容の学術書ばかり並んでいますが、その中に、赤い文字で『咆哮せし人狼』という表題が記された灰色の背表紙の本が、ヒーローたちの興味を引きます。その内容をホワイドに尋ねると「私が気分転換に読む、娯楽小説だ。正確には小説ではなく、小説とスゴロク式のゲームがドッキングした冒険物語ゲームといった所か。フィクションだが、その物語には『閃光粉末』を用いた新兵器のアイデアとなりそうな記述が含まれていて……いや、何でもない。ちょっとだけ、お喋りが過ぎた。今、私が言った事は忘れてくれ」と言います。それを聞いたヒーローたちが、新兵器のアイデアについて尋ねても、彼は断固として話そうとしません(※それは『フリントロック銃』の事ですが、その画期的な武器が製造されるのは、ずっと後の時代の事になります)

壁に貼られた女性の肖像画について尋ねた場合、彼は「毎晩、この部屋に夕食を運んでくる娘だ。こんな所に閉じ込められた私の愚痴に付き合ってくれる唯一の人間だよ。顔立ちから判断すると、旧世界やアランシアの人間ではなさそうだ。言葉遣いを聞いた限りでは、おそらくどこかの貴族の出だと思われるが、何故マンパンにとどまっているのか不思議でならんよ。そう言えば、もう食事を運んできても良い頃なのに、部屋に来る様子がないな。風邪でもひいたのだろうか」と言います。この肖像画の人物は、マンパンの精鋭部隊「バロウズ隊」に所属する余呂銀星です。もしヒーローたちが【感知】の判定に成功すれば、外輪門での戦いで彼女と戦った事を思い出します。その結果、彼女がどのような運命をたどったのか、ホワイドには伝えない方が良いでしょう。ブロンウィンもその事に気付いたらしく、ヒーローの誰かがその事をホワイドに教えようとしたなら、彼女はそのヒーローの肩に自分の手を置くと「伝えない方が彼のためだ」と言わんばかりに首を横に振ります。

ホワイドに砦から脱出する事をうながした場合、彼はヒーローたちの誘いに対して首を横に振ると「残念ながら、私の答えはノーだ。砦の外に出たところで、私には険しい山岳地帯を行き来するだけの体力はないし、自分の身を守るだけの戦いの技術も持っていない。君たちの足手まといになってしまう。私を家まで送ってくれる鳥人の友達とかいればいいんだがな」と半ば諦めた口調で言います。

なお幽閉塔は、ヒーローたちが休息できる最後の場所となります。この場所から先へと進む前に、しばらく休憩して体力点や魔力点を取り戻しておくべきでしょう。またホワイドから砦に関する情報を教えてもらったので、ここでヒーローたちが失った運点を回復させても良いでしょう。
ホワイドから貴重な情報を入手したヒーローたちが、螺旋階段を降りていき、幽閉塔の最下層の壁の前で、彼から教えてもらった合言葉を祈るような気持ちで呟くと、驚いた事に秘密の抜け道が現れます。その先に大魔王の塔へと通じる渡り廊下が明らかとなりますが、幸運な事に見張りの姿はありません。旅のゴールが近い事を確信したヒーローたちは、胸壁に挟まれた通路を一歩ずつ踏みしめながら、不気味にそびえ立つ塔の門へと歩いていきます……。


◆ラドルストーンの研究者(※アストガルが同行している場合)
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の50番の場面に対応するイベントです。部屋に入った時のホワイドの反応は、ブロンウィンが同行している時と同様です。ただし、ホワイドが幽閉塔に閉じ込められている経緯を話した時、彼が『足の指捻り機』の名前を出した際に、アストガルは思わずフッと笑います。何故笑ったのか誰かが指摘した場合、この黒エルフの魔剣士は「あまりに奇妙な名前の道具だったから、つい笑ってしまった。少し軽率だったな。不愉快な思いをさせて済まない」と老人に無礼を詫びます。

アストガルが同行している時に、ヒーローたちがホワイドの事を大魔王だと疑った場合、アストガルは「それはない。俺は砦の建造に立ち会っていた頃に、彼の顔を見た事があるからな。親衛隊に所属していたコレタスという名の男が大魔王に対して謀反を起こした時以来、砦の警備がより厳重になったので、少なくとも四十年はその姿を間近で見た事はないが、年老いているという事はあるまい。古代の失われた秘術を扱いこなせるようになれば、ある程度なら肉体の老化を抑制する事が可能になる。大魔術師であれば、エルフを除けば誰だってやっている事だ」と言います。

それに対して、ホワイドは「そいつは羨ましい事だ。私も毎日寝る前に、魔法の勉強でもしてみようかな」とぼやきます。黒エルフは、老人に駄目出しをするようなせずに「何かと役立つから、たしなむ程度でも良いので、魔法を使えるようになった方がいい」と老人にアドバイスをします。ヒーローたちが、アストガルに大魔王の人相を尋ねた場合、彼は「黒い髪を伸ばした細身の男だ。時折、正体を隠して砦の中を歩き回ったりするようだが、俺の事を警戒しているのか、すぐに姿をくらましてしまう。本来の服装は当時とは変わっているかも知れないが、たとえ太ましくなっていようと、白髪になっていようと、顔を合わせれば彼だと分かる。少なくとも俺だけはな」と答えます。

もしヒーローたちが、ホワイドがマンパンで何をしているのかを尋ねた場合、彼は「君たちはマンパンの衛兵ではないのか? そうだとすれば、一体何の用事で、この要塞の深部までやって来たんだ?」と尋ねてきます。ヒーローたちが、任務の事を打ち明けた場合、彼は大魔王が≪王たちの冠≫をアナランドから盗み出した事に大変驚いた後、真剣な表情になると、自分が幽閉塔に閉じ込められる事になった経緯と、≪王たちの冠≫に関する情報を話し始めます。会話の内容については、ブロンウィンが同行している時と同様ですが、ディレクターはイベントの整合性が合うように、NPCの台詞を適切なものに調整してください。

ホワイドが大魔王の私室について言及した後、アストガルは「俺の記憶が間違っていなければ、砦から離れた場所に、もう一つ別の塔が建造されているはずだ。ほとんど野営地と変わらなかった頃は、この幽閉塔を拠点としていたが、砦の規模が大きくなってからは、そちらの方に移り住んでいる」とヒーローたちに言います。ホワイドは、よく知っているなと感嘆した後、ヒーローたちに「北側の壁にある窓から外を眺めてくれ。彼が言った通りのものが見えるから」と言います。ヒーローたちが鎧戸を開けて、鉄格子のはめ込まれた窓から外の様子を確認すると、その向こうに、もう一つの塔がそびえ立っている事が確認できます。下の方に目を向けると、ホワイドが軟禁された幽閉塔と別の塔を結ぶ、胸壁に挟まれた渡り廊下が見えます。渡り廊下は別の塔に設けられた門から続いているもの、ヒーローたちのいる幽閉塔の外壁には出口がないので袋小路になっています。それ以降の展開は、ブロンウィンが同行している時と同様に、隠し扉を開く合言葉をホワイドから教えてもらう事になります。

部屋にある物についてホワイドに尋ねた場合、机の上に置かれた図面だけは、ブロンウィンが同行している時と同様です。書棚にある『咆哮せし人狼』という表題の本について尋ねた場合、ホワイドは「私が気分転換に読む、娯楽小説だ。正確には小説ではなく、小説とスゴロク式のゲームがドッキングした冒険物語ゲームといった所か。フィクションだが、その物語は真に迫っており、今のような状況に置かれる以前は、私を何時間も虜にしてくれた」と言います。老人の言葉を聞いた後、アストガルが「ジョナサンの著書なら『邪法使いオズ』も良い物だ。タイタンを基準にして考えると、その内容は少し現実離れしているかも知れないが、常識にとらわれない独創的な世界観がいい。それにあの本は、内容も素晴らしいが、画家のクロスリーが手がけた『エメラルドの征服者』の姿を見るだけでも十分な価値がある」と意見を述べると、ホワイドは「君は、なかなか分かっているね」と満足気に微笑みます。

壁に貼られた女性の肖像画について尋ねた場合、ホワイドは「毎晩、この部屋に夕食を運んでくる娘だ。こんな所に閉じ込められた私の愚痴に付き合ってくれる唯一の人間だよ。顔立ちから判断すると、旧世界やアランシアの人間ではなさそうだ。言葉遣いを聞いた限りでは、おそらくどこかの貴族の出だと思われるが、何故マンパンにとどまっているのか不思議でならんよ。そう言えば、もう食事を運んできても良い頃なのに、部屋に来る様子がないな。風邪でもひいたのだろうか」と言います。老人の言葉を聞いた後、アストガルは「彼女は別の部隊に配属され、そこで新たな役目を任された。だから、もうアンタに食事を運んでやる事はできないそうだ。俺は彼女から『貴方と世間話をするのは楽しかった』と伝えるように言付を頼まれた。ここにいる者たちと同様に、俺はマンパンに潜入した密偵の一人だが、彼女には信頼を置いていた。それまで親しかった仲間と離れる事になるのは、つらい事だ……」とホワイドに伝え、それを聞いた老人は残念がります。

ヒーローたちの誰かが、すべての仲間を失ったアストガルを気遣うような反応を取った場合、彼は「友との別れは、別にこれが初めてという訳ではない。俺のような者からすれば、よくある事だ」と言って、軽く微笑みます。それが自分が寿命の長い黒エルフだからなのか、あるいはヒーローたちに皮肉を込めて言ったのか、その答えは分からずじまいですが、彼がヒーローたちに敵意を抱いていない事だけは確かなようです。

なお幽閉塔は、ヒーローたちが休息できる最後の場所となります。この場所から先へと進む前に、しばらく休憩して体力点や魔力点を取り戻しておくべきでしょう。またホワイドから砦に関する情報を教えてもらったので、ここでヒーローたちが失った運点を回復させても良いでしょう。

もし、ブロンウィンが死亡している場合、ホワイドから貴重な情報を入手したヒーローたちは、部屋を出ると螺旋階段を降りていきます。そして幽閉塔の最下層の壁の前で、彼から教えてもらった合言葉を祈るような気持ちで呟くと、驚いた事に秘密の抜け道が現れます。その先に大魔王の塔へと通じる渡り廊下が明らかとなりますが、幸運な事に見張りの姿はありません。旅のゴールが近い事を確信したヒーローたちは、胸壁に挟まれた通路を一歩ずつ踏みしめながら、不気味にそびえ立つ塔の門へと歩いていきます……。(※この場合、後述の『シンのサマリタン』は飛ばし、次回掲載の『マンパンの崩壊』へとシナリオは続きます)


◆ラドルストーンの研究者(※銀星が同行している場合)
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の50番の場面に対応するイベントです。螺旋階段を登りきったヒーローたちは、短い回廊を進み、左手の壁にある頑丈そうな扉の前に立ちます。他に進める場所がないため、おそらくここが大魔王の私室ではないかとヒーローたちは思うかも知れません。扉を試してみると、やはりという感じで施錠されています。銀星がヒーローたちに同行している場合、彼女はこの部屋の合鍵を持っているので、問題なく中に入る事ができます。

ヒーローたちが部屋に入ると、老人は後ろを振り返り、銀星の姿に気付きます。彼は、彼女に向かって「おお、君かね。親衛隊ではない連れの者もいるとは、随分と珍しいな。部屋に来る様子がないから、何かあったのではないかと思ったよ」とに言います。銀星は、自分の携帯食糧をホワイドに手渡すと「このような質素な夕食しか出せなくて申し訳ありません。訳あって、私は今日限りでマンパンをお暇させて頂く事になりました」と彼に伝えます。老人はその別れの言葉を聞いて残念がります。

この二人のやり取りを見て、ヒーローたちの誰かが、すべての仲間を失った銀星を気遣うような反応を取った場合、彼女は「あなた方に関わらず、余呂銀星としての私は、あの時、外輪門の戦いで命を落とす運命にあったのでしょう。それでも私が生きていられるのは、このタイタンのどこかで私の力を必要とする者がいるからなのかも知れません。今宵より、私は戸田銀星としての道を歩む事にいたします。私が捨ててしまった、かつての私として生きようと思っております」と言います。彼女は過去に何があったか、それをヒーローたちが知る事はできませんが、彼女がそれまでの気持ちに整理がついた事だけは確かなようです。

銀星が同行している時に、ヒーローたちがホワイドの事を大魔王だと疑った場合、銀星は「ご無礼仕ります」と老人に言うと、机の引き出しを開き、その中に書類の束しか入っていない事を明らかにします。さらにヒーローたちが、ベッドの下や書棚を調べたとしても、≪王たちの冠≫らしき品はまったく見当たりません。ヒーローたちの家捜しが済んだ後、ホワイドは静かに引き出しを閉め直してから「ここにいる『兵器の専門家』ファレン・ホワイドが偽者だなんて誰が言ったんだね? 悪戯好きの妖精か何かに吹き込まれたのかね?」と、少し不機嫌そうな口調で言います。

もしヒーローたちが、ホワイドがマンパンで何をしているのかを尋ねた場合、彼は「君たちはマンパンの衛兵ではないのか? そうだとすれば、一体何の用事で、この要塞の深部までやって来たんだ?」と尋ねてきます。ヒーローたちが、任務の事を打ち明けた場合、彼は大魔王が≪王たちの冠≫をアナランドから盗み出した事に大変驚いた後、真剣な表情になると、自分が幽閉塔に閉じ込められる事になった経緯と、≪王たちの冠≫に関する情報を話し始めます。会話の内容については、ブロンウィンが同行している時と同様ですが、ディレクターはイベントの整合性が合うように、NPCの台詞を適切なものに調整してください。

ホワイドが大魔王の私室について言及した後、銀星が少し困った表情を浮かべながら「しかしながら、天守閣へと至る回廊が見当たりませぬ」と尋ねると、ホワイドは「北側の壁にある窓から外を眺めてくれ」とヒーローたちに言います。ヒーローたちが鎧戸を開けて、鉄格子のはめ込まれた窓から外の様子を確認すると、その向こうに、もう一つの塔がそびえ立っている事が確認できます。下の方に目を向けると、ホワイドが軟禁された幽閉塔と別の塔を結ぶ、胸壁に挟まれた渡り廊下が見えます。渡り廊下は別の塔に設けられた門から続いているもの、ヒーローたちのいる幽閉塔の外壁には出口がないので袋小路になっています。それ以降の展開は、ブロンウィンが同行している時と同様に、隠し扉を開く合言葉をホワイドから教えてもらう事になります。

部屋にある物についてホワイドに尋ねた場合、肖像画以外の物は、ブロンウィンが同行している時と同様です。ただし、壁に貼られた女性の肖像画について尋ねた場合は、彼の代わりに銀星が「先日、ホワイド殿が描いてくれた、私の絵姿でございます」と答えます。肖像画について尋ねるか、あるいはヒーローたちが部屋を立ち去ろうとした時、ホワイドが席から立ち上がり、肖像画を固定する鋲を全て外すと、その木炭画を銀星に手渡そうとします。銀星は「貴方の心の支えとして、この部屋に飾っておくべきです」と丁重に断りますが、老人は「いや、この絵は君が持っていくべきだ。君が何故マンパンに身を置いていたのかは分からないが、やむを得ぬ事情もあったのだろう。何かつらい事があれば、それを眺めるといい。こんな自分でも一人の老人に生きる気力を与える事ができたのだと考えれば、迷いを吹っ切るきっかけにはなるだろう」と言います。銀星は「そういう事であれば、ありがたく頂戴仕ります」と礼の言葉を述べながら、深々と頭を下げ、それから肖像画を傷めないように慎重に丸めた後、それをバックパックの中へとしまい込みます。

なお幽閉塔は、ヒーローたちが休息できる最後の場所となります。この場所から先へと進む前に、しばらく休憩して体力点や魔力点を取り戻しておくべきでしょう。またホワイドから砦に関する情報を教えてもらったので、ここでヒーローたちが失った運点を回復させても良いでしょう。

もし、ブロンウィンが死亡している場合、ホワイドから貴重な情報を入手したヒーローたちは、部屋を出ると螺旋階段を降りていきます。そして幽閉塔の最下層の壁の前で、彼から教えてもらった合言葉を祈るような気持ちで呟くと、驚いた事に秘密の抜け道が現れます。その先に大魔王の塔へと通じる渡り廊下が明らかとなりますが、幸運な事に見張りの姿はありません。旅のゴールが近い事を確信したヒーローたちは、胸壁に挟まれた通路を一歩ずつ踏みしめながら、不気味にそびえ立つ塔の門へと歩いていきます……。(※この場合、後述の『シンのサマリタン』は飛ばし、次回掲載の『マンパンの崩壊』へとシナリオは続きます)


◆シンのサマリタン(※ブロンウィンが敵の捕虜になっている場合)
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の49番の部屋に対応するイベントです。もし、砦の中でブロンウィンが衛兵に捕まっており(※第5回『ヒーローたちの協力者』を参照)、さらに銀星とアストガルが同行していない場合、ヒーローたちが最上階にある部屋に入ると、そこでは一人の頭の禿げ上がった太っている老人が机の上に突っ伏したままの状態でいます。どうやら、ヒーローたちが予想していた大魔王の私室ではなさそうです。
緑色の胴着とズボンを着た老人は、まったく身動きしておらず、机の上がおびただしい量の血で汚れています。

すでに息絶えた彼の体を調べると、彼は無念の表情を浮かべており、右手に持ったナイフで自分の胸を一突きしている事が明らかになります。机の上には、何かの設計図と思われる羊皮紙が広げられたままで、マンパンに協力する事を拒むために自らの命を絶った研究者のように思われます。ヒーローたちが、他に何かないかと部屋を調べ回った場合、ベッド付近の床に手帳が落ちている事と、壁に鎧戸が閉められた窓がある事に気付きます。窓の向かい側の壁に置かれた書棚には、難しい内容の学術書しか収まっておらず、どの本も冒険の役に立ちそうにはありません。

手帳は手頃な大きさの羊皮紙の隅に穴を開け、そこに紐を通して一つに束ねられた物です。単純な作りですが、紐の長さが許す限りは、幾らでも追加のページを付け足す事ができます。手帳に記されているのは、彼が何かの試作兵器のテストに立ち会った際の記録で、技術的な専門用語ばかりでヒーローたちには詳細が理解できないものの、どの日付を見ても「欠陥の改善」と「新たな問題点の発見」に関する覚え書きがされています。しかし、今日書かれた記録だけは、内容が他とは異なっていて、震えるような字体で「駄目だ、私にはラドルストーンとアナランドを危険に晒すような事はできない」とだけ書かれています。残りのページには何も記されていません。

ヒーローたちが鎧戸を開けて、鉄格子のはめ込まれた窓から外の様子を確認した場合、その向こうに、もう一つの塔がそびえ立っている事が確認できます。窓から顔を出して下の方に目を向けると、今ヒーローたちがいる塔と別の塔を結ぶ、胸壁に挟まれた渡り廊下が見えます。渡り廊下は別の塔に設けられた門から続いているもの、ヒーローたちのいる幽閉塔の外壁には出口がないので袋小路になっています。残念ながら、それ以上の情報をこの部屋で入手する事はできません。

幽閉塔の最下層まで降りてくると、二人の親衛隊がヒーローたちを出迎えますが、最上階の部屋の異変には気付いていないようです。ヒーローたちがその事を伝えようとするか、あるいは最下層の壁を調べるために、親衛隊を倒しておくべきだと考えた場合、大魔王の塔がある方角とは別の壁に設けられた隠し扉が開き、そこから秘密の通路を通ってきた三人の鳥人と、彼らの一人に肩を貸してもらっているブロンウィンに遭遇します。鳥人たちは、長剣と黒塗りのレザー・ホバークで武装しており、そのうちの一人は、円形盾に短剣を重ね合わせたデザインの記章を胴鎧に付けています。重い金属製の鎧は、鳥人たちが空を飛ぶ妨げとなってしまうため、部隊の隊長を務める鳥人を識別するために、このような記章が用いられています。その一方でブロンウィンは全ての装備を取り上げられ、尋問の際に痛めつけられたのか、衣服には血の染みがついており、頬の片側に殴られたようなアザがついています。彼らの姿を見た親衛隊が、思わず声をあげます。

「トリスタン、捕虜を治療室に連れて行ったのではなかったのか? それに、何故そんな所に通路が……。まっ、まさか、お前は『シンのサマリタン』のメンバーだというのかッ!?」

親衛隊が慌てて剣を抜き放つと、鳥人戦士の一人が、ブロンウィンに肩を貸す者と鎧に記章を付けた者をかばうように前に進み出て、二人の親衛隊を相手に戦闘を始めます。人数的に不利な状況だという事もあるのですが、それとは別に戦いの経験が浅いらしく、このままヒーローたちが傍観していれば、この勇敢な鳥人が倒されるのは時間の問題でしょう。それでもヒーローたちが加勢しない場合、記章を付けた鳥人が剣を抜いて、親衛隊に立ち向かっていきます。そしてトリスタンと呼ばれた鳥人が、ブロンウィンを静かに床に下ろしてから、ヒーローたちに戦いを挑もうとしますが、彼女がそれを止めようとします。

「待て! 彼らはマンパンの衛兵ではない、私の仲間だ!」 

剣でヒーローたちを切りつけようとしたトリスタンは、咄嗟にその手を止めると、彼女に向かって「分かった!」と声をかけ、次のラウンドから他の鳥人戦士たちに加勢するようになります。こうなると、ヒーローたちも親衛隊との戦いに加わるより他ありません。数の差で不利だと判断した親衛隊は、回廊に下がろうとします。回廊は狭いため、前衛で戦う事ができるのは二人までです。親衛隊を倒すのが長引いた場合、彼らは『眠れぬラム』がいる円形広間を介して親衛隊の詰所へと撤退します。全ての親衛隊を相手にするような事があれば、ヒーローたちにも勝ち目はないので、ここで彼らを無理に追う必要はないでしょう。二人の親衛隊を打ち倒すか、あるいは撤退させた場合、危険が去った事を確認したブロンウィンが、幽閉塔に来るまでの経緯をヒーローたちに説明してくれます。

またパーティにNPCが同行していない状態で、最後のスローベン・ドアの前にいる門番を倒して強行突破した(※第6回『虚構の王(Vol.3)』を参照)場合、ヒーローたちが幽閉塔の最下層までたどり着く事ができれば、誰かに妨害される事なく、ブロンウィンを連れた鳥人たちと出会う事ができます。おそらくヒーローたちは、鳥人たちをマンパンの衛兵だと判断して身構えるかも知れませんが、その場合でもブロンウィンが、鳥人の戦士たちが敵ではない事をヒーローたちに教えてくれます。

「ここにいる鳥人たちが、私の窮地を救ってくれたんだ」

衛兵たちに捕まってしまったブロンウィンは、あの後、マンパンの親衛隊から厳しい取調べを受ける事になりました。それでも彼女は口を割ろうとはしなかったので、もう少しでナッガマンテーの拷問室へと連れて行かれる寸前でしたが、その場へ一人の鳥人がやって来ます。外輪門で起きた戦闘の事後処理を済ませた事を報告をするために衛兵隊長の部屋を訪れた鳥人は、ブロンウィンの顔を見るなり「彼女の顔には見覚えがある。あのラグナー・レイヴンブレードの娘だ」と言います。実際には、これは彼の出任せでした。ブロンウィンがアナランドの送り込んだ密偵に違いないと判断した彼は、何でも良いから尋問を止めさせるきっかけを作りたかったのです。

カートゥーム隊長は、かつてラグナーがラドルストーンの危機を救った人物である事を知っていたので、ブロンウィンを交渉のカードとして、ラドルストーンから金をむしり取れるのではないのかと考え、治療室で必要最低限の応急処置を済ませた後、彼女を幽閉塔に監禁するように鳥人に命令を下します。この出来事はブロンウィンにとっては幸運でした。何故なら、この鳥人は、マンパンを破壊するために砦に潜り込んでいた『シンのサマリタン』のメンバーだったからです。

ブロンウィンは、自分に肩を貸してくれた鳥人を顎で指しながら、ヒーローたちに言います。

「彼が、私がラグナーの娘ではないかと言った時は、本当に驚かされたよ。君たちと冒険に出るまでは、鳥人と顔を合わせた事は一度もなかったから、どこでそれを知ったのか不思議でならなかった。まさか、口から出任せとは思わなかったが。しかし、その時が訪れるまでの間、私は肉体的にも精神的にも疲れ果てていた。父の名前を口にすれば、もしかしたら解放してもらえるのではないかと考えたりもした。だが、それはしたくはなかった。そのような事をすれば、私は『ただのブロンウィン』ではなくなってしまう。結局は父の功績のおかげで救われたが、自分から正体を明かすような事をすれば、おそらく死ぬまで後悔しただろう。私は、自分の意地を貫く事ができて良かったと思っている……」

もし、ヒーローたちが、パーティを指揮する権利をブロンウィンに任せていた(※第1回『マンパンの双蛇(前編)』を参照)場合、上記の代わりに、彼女は「彼が、私がラグナーの娘ではないかと言った時は、本当に驚かされたよ。君たちと冒険に出るまでは、鳥人と顔を合わせた事は一度もなかったから、どこでそれを知ったのか不思議でならなかった。まさか、口から出任せとは思わなかったが。しかし、その時の親衛隊の反応は傑作だった。危うく交渉のカードを、自分のたちの手で破り捨てるところだったんだからな。大魔王がよほど怖いのか、衛兵隊長のカートゥームまで真っ青な顔をしていた。君たちにも見せてやりたかったよ。正直に言えば、衛兵に密偵だと気付かれた時、私たちはもうおしまいだと思ったが、君たちも上手く切り抜ける事ができたようで何よりだ」と言います。

それから三人の鳥人のうち、鎧に記章を付けた隊長と思わしき人物が、ヒーローたちの前へと進み出ます。

「君たちは、良い仲間を持ったな。トリスタンが咄嗟に機転を利かせたとは言え、彼女が尋問に耐え抜く事ができたのは、君たちの信頼に応えたいという強い意志を持っていたからだろう。俺の名は、ピーウィット・クルー。大魔王の野望を阻止するために行動している一団『シンのサマリタン』のリーダーだ。このマンパンでは、ベルガの鳥人クリーガーの名で通している。ここにいる二人も俺の同志で、この場にいない幾人かの者たちも、表向きは砦の衛兵として仕事に務めているが、敵の目を盗みながら、マンパンを破壊するための計画を着実に進めている」

どうやらピーウィット・クルーは、大魔王と同盟関係にある鳥人の部族を装っているようです。彼は、ヒーローたちに幽閉塔の螺旋階段を登るように指示します。それぞれの踊り場には、古びた頑丈そうな扉が設けられており、マンパンの砦が建造された当初は、ここを間に合わせの拠点として使っていたのかも知れません。螺旋階段での通行を除けば、この場所はほとんど利用されていないような印象があります。もしヒーローたちが、シ・ハーザと会話を交わした時に、彼女からシンの鳥人が砦の襲撃に失敗した事を聞かされており、まだその事を覚えているのであれば、それを彼に尋ねる事ができます。

「女族サチュロスたちの口を通じて、その事を知ったのか? あれほど外から来た他所者には、砦への襲撃の件を伝えないようにと念を押したのに、あの雌ヤギときたらプライドばかり高い癖に……いや、もう済んだ事だ。外部からの攻撃にしくじった我々にも非があるのだ。手傷を負わされた者たちの身は心配だが、今、マンパンでは内部からの本格的な攻撃が始まろうとしている。時間をかけて、大魔王の後釜を狙っている連中を焚きつけてやったのだ。君たちは、傷ついた勇敢な同志たちに代わって、砦の外からプレッシャーをかけてくれた。バロウズ隊が全滅した事が、反乱の引き金となったのだ。君たちの働きには本当に感謝する」

そのうちの一つの扉の前で立ち止まった鳥人たちは、合い鍵を使って施錠された扉を開錠します。重い樫の扉が軋みながら開いていくと、比較的掃除が行き届いた部屋には、武具や装備がぎっしり収まった棚が壁の近くにあり、中央には机と二脚の椅子、棚がある反対側の壁に清潔そうなベッドが置かれています。

「幽閉塔とは呼ばれているが、実際にその目的で使われているのは最上階の部屋だけだ。それ以外の独房の管理は、俺たち『クリーガー隊』に丸投げしている。新参の鳥人戦士という扱いで、規模の小さい部隊だが、サマリタンのメンバーで固まっているので、他の部隊にいる同志たちよりも連携は取りやすい。俺たちの部隊が、ベルガの連中より下に見られているのは気に食わんが、砦に潜入したメンバーと秘密の相談を行うための隠れ家として、ありがたくこの場所を使わせてもらっている。トリスタンはクリーガー隊ではなく、マンパンにおいて実力者の集団である『オズワルド隊』に所属しているので、こちらにとって有力な情報をつかんでくれるのだ。ここ最近は、アナランドの密偵ともコンタクトが取れるようになったので、随分行動しやすくなった」

隠れ家に入ったピーウィット・クルーたちは、尋問によって疲れ果てたブロンウィンをベッドに寝かせます。彼女は相当痛めつけられたらしく、体を少し動かすだけでも辛そうな様子ですが、上半身だけ起こすと「ピーウィット・クルーに、私たちの任務の事を詳しく話してやってくれ」と言います。ヒーローたちが、自分たちの秘密を打ち明けた場合、ピーウィット・クルーは、≪冠≫には所有者に優れた統率力と判断力を与える魔力が秘められている事をヒーローたちに伝えると、かつて大魔王以外にも、カーカバードを統一しようとした征服者が何人もいた事を教えてくれます。征服者たちの中には、個人の能力としては大魔王と肩を並べられる人物もいたようですが、それだけの実力がありながら統一を果たせなかった事が、ヒーローたちには不思議でなりません。やがて彼は、その理由について語り始めます。

「何故、これまでいかなる征服者もカーカバードを統一できなかったか、その理由が君たちには分かるか? ≪王たちの冠≫が無かったからだとか、あるいは邪なる心を持った者が集う『地の果ての吹き溜まり』だからと思うかも知れないが、どちらも外れだ。カーカバードには、あらゆる種族がいる。その文化と風習は、種族によって大きく異なるが、共同体としての秩序は保たれている。そして、その結束力は高い。特にシャムタンティの丘陵地帯や、カーレで暮らしている者たちの中には、人間たちの集落から追放された『痛み』を知る者が含まれている」

「人間たちは、そのような追放者たちを『非友好的である』とか『攻撃的な反応を取る』といったレッテルを貼る事で簡単に片付けてしまう傾向があるが、それ以上に、彼らは自分たちの仲間を大切に扱い、何か困った者がいれば積極的に助けようとする善の勢力に近い考え方を持っているのだ。その考え方は、共同体の中で広がり、彼らの力をより強固なものへと変えていく。それは人間たちに復讐するためではない。善の勢力に敵意を抱く者がゼロとは限らないが、無法の地をさまよう怪物や略奪者たちに対処するには、仲間同士の結束は必要不可欠なのだ」

「そして、結束力が高いがゆえに、彼らは他の者たちと一纏めにされる事を嫌う。善の勢力という言葉によってカテゴリー分けされた、三種族しかいない都市国家とは違い、この地における種族間のギャップは限りなく大きい。そもそもカーカバードにいる全ての種族に、共通のルールを押し付けようとする事自体が誤った考えなのだ! 悪の勢力に属する者だから、協調性を欠いているという訳では決してないッ! カーカバードの中で発展を遂げた城砦都市カーレが上手くやっているのは、人間たちの文化に馴染んだ者の割合が大きく、強い権力を持った貴族たちが連携して統治しているからだ。このように言うと、君たちは不服に思うかも知れないが、カーレはフェンフリィ同盟の縮図と言っても良い。その事に気付かず、カーレを支配の成功例と信じ、カーカバード全土の統一を考える者がたびたび現れる。俺たち『シンのサマリタン』は、長年に渡って、そのような征服者と戦ってきた。この先も、カーカバードは、征服者たちやフェンフリィ同盟の干渉を受けない『秩序ある無法の地』であるべきなのだ!」

「……だが、マンパンの大魔王は、本気でカーカバードの統一を成し遂げようとしている。そして、奴がそれを実現させるだけの力を持っている事を、俺たちも認めざるを得ない。すでにマンパンは、ザンズヌ連峰に住むオークやトロールの部族の大半を掌握し、バクランドへと侵攻する準備も整えようとしている。それでも≪冠≫の力を必要とするのは、武力による制圧にも限界があると考えての事だろう。奴の野望だけは、何としてでも阻止しなければならない。君たちとは、大魔王に一矢報いるという目的しか共通点がないが、それでも俺たちにできる事があれば、喜んで手を貸そう。もし、君たちが≪王たちの冠≫を取り戻したのなら、この呼び子を吹いて欲しい。その時は、俺や同志の者たちが、君たちを助けるために駆けつけるだろう」

ピーウィット・クルーはそう言うと、ヒーローたちに『銀製の呼び子』を手渡します。彼らに迷惑をかけないためにも、ヒーローたちが任務を達成するまでは、呼び子は吹かない方が良いでしょう。そして彼は、塔の最下層にある壁の前で『ガンサンカモンタ』という呪文を唱える事で、自分たちが利用したものとは別の隠し扉が開く事を教えてくれます。

「この幽閉塔の最下層から、大魔王の塔へと続く渡り廊下が設けられている。その最上階に奴は潜んでいるそうだ」

またヒーローたちの中には、ブロンウィンと合流を果たしたので、彼女が再び自分たちと共に戦ってくれる事を期待する者がいるかも知れません。その場合、彼女はヒーローたちに向かって首を横に振ると「この部屋に必要な装備は揃っているが、こんな状態では、逆に君たちの足を引っ張ってしまう。最後まで君たちに付き合う事ができず、本当に済まない……」と申し訳なさそうに言います。鳥人の一人が、もうしばらく経てば、砦の中で起きた騒ぎが手に負えないものとなるから、その時にマンパンを脱出して彼女をアークレトンまで送り届けるつもりだとヒーローたちに伝えます。ヒーローたちが、NPCの同行なしで先に進むのであれば、ゲームバランスを考慮して、大魔王の塔で『風の蛇』と戦う直前に発生する幻術による攻撃(※次回掲載の『マンパンの崩壊』のイベントを参照してください)を省略すると良いでしょう。

もし、ヒーローたちが『体力のポーション』を持っていて、それをブロンウィンに手渡すか、あるいは魔法によって彼女の負傷を治療した場合、ブロンウィンは再び戦える事に喜びます。彼女が扱い慣れている長剣やレザー・キィラスも、この隠れ家に置かれているので、装備の面では問題ありません。またピーウィット・クルーたちも、彼女を引き止めるような事は言いません。仲間たちと共に、命を賭して敵と戦う事は立派な行いだと考えているからです。

もし、ブロンウィンの身を案じたヒーローたちが、彼女の代わりに『シンのサマリタン』のメンバーに協力を求めた場合、彼らは「これまで慎重に事を進めてきたのだから、目立つような真似をして、同志たちを危険に晒す訳にはいかない」と丁重に断ります。ただし、ディレクターがパーティの戦力を補うために、彼らをヒーローたちに同行させたいのであれば、その役目をピーウィット・クルーが引き受ける事になります。彼の部下は、自分たちのリーダーを思いとどまらせようと説得しますが、ピーウィット・クルーの決心は固く、結局は彼の望むようにさせます。ピーウィット・クルーがNPCとして同行する場合、彼はこのように言います。

「何にせよ、大魔王の親衛隊を相手に騒ぎを起こしてしまったのだ。そして反乱が起きようとしている。この企てが失敗すれば、我々の命はないも同然。もはや後に引き下がる事はできなくなった。それにマンパンとの戦いに身を投じた時から、俺はいつ死んでもおかしくない身だ。誰よりも狙われている俺が行くのが適任というものだろう。トリスタン、俺が戻らないようであれば、他の者たちの事を頼む」

最初に会った時に、ブロンウィンに肩を貸していたトリスタンという名の鳥人は、ピーウィット・クルーの言葉に頷き、彼が不測の事態に巻き込まれた時には、いつでも自分が新たなリーダーとして仲間を率いる事ができるように覚悟を決めます。これ以降、ピーウィット・クルーがヒーローたちに同行するようになりますが、その場合は、大魔王との戦いが不可避になってしまいます。

なお幽閉塔は、ヒーローたちが休息できる最後の場所となります。また、この隠れ家には、食糧だけでなく怪我の応急手当に必要となる備品も揃えられています。この場所から先へと進む前に、しばらく休憩して体力点や魔力点を取り戻しておくべきでしょう。またピーウィット・クルーから砦に関する情報を教えてもらったので、ここでヒーローたちが失った運点を回復させても良いでしょう。

ピーウィット・クルーから貴重な情報を入手したヒーローたちが、螺旋階段を降りていき、幽閉塔の最下層の壁の前で、彼から教えてもらった合言葉を祈るような気持ちで呟くと、驚いた事に秘密の抜け道が現れます。その先に大魔王の塔へと通じる渡り廊下が明らかとなりますが、幸運な事に見張りの姿はありません。旅のゴールが近い事を確信したヒーローたちは、胸壁に挟まれた通路を一歩ずつ踏みしめながら、不気味にそびえ立つ塔の門へと歩いていきます……。


◆シンのサマリタン(※ブロンウィンが敵の捕虜になり、アストガルか銀星がパーティに同行している場合)
もし、銀星やアストガルが同行していた場合、ホワイドから情報を聞いた後、ヒーローたちは長い螺旋階段を下りていき、幽閉塔の最下層でブロンウィンたちと会う事ができますが、鳥人たちと共に『シンのサマリタン』の隠れ家に行く事はせず、その場で彼らからブロンウィンが戦える状態でない事と、隙を見て砦から脱出させる事を伝えられます。ただし、ブロンウィンが救出された経緯に関しては、彼女の口を通じて教えてもらえます。ピーウィット・クルーは「これから我々は忙しくなるので、君たちを直接手伝ってやる事はできないが、マンパンの手中にある≪王たちの冠≫を取り戻し、大魔王に一矢報いる事ができたなら、この呼び子を吹いて欲しい。その時は、俺や同志の者たちが、君たちを助けるために駆けつけるだろう」と言って、ヒーローたちに『銀製の呼び子』を手渡します。彼らに迷惑をかけないためにも、ヒーローたちが任務を達成するまでは、呼び子は吹かない方が良いでしょう。

それからブロンウィンが申し訳なさそうな表情で「最後まで君たちに付き合う事ができず、本当に済まない」と言った後、ヒーローたちの新しい仲間に向かって「どうか私の分まで頑張って欲しい」と言葉を付け加えます。この展開の場合、ヒーローたちがブロンウィンと再び会えるのは、任務を終えてアークレトンに帰還した時になります。

幽閉塔の最下層の壁の前で、ヒーローたちが、ホワイドから教えてもらった合言葉を祈るような気持ちで呟くと、驚いた事に秘密の抜け道が現れます。その先に大魔王の塔へと通じる渡り廊下が明らかとなりますが、幸運な事に見張りの姿はありません。旅のゴールが近い事を確信したヒーローたちは、胸壁に挟まれた通路を一歩ずつ踏みしめながら、不気味にそびえ立つ塔の門へと歩いていきます……。


◆シンのサマリタン(※ブロンウィンが死亡しており、NPCが同行していない場合)
もし幽閉塔に到達するまでの間に、ブロンウィンが死亡しており、さらにNPCが同行していない場合、この場所では三人の鳥人たちとしか遭遇しません。この場合は、ピーウィット・クルーたち「クリーガー隊」とトリスタンが、今後の作戦を相談するために幽閉塔を訪れたというシナリオ展開になります。

もし、鳥人と親衛隊が鉢合わせになった場合、驚いた表情を浮かべる親衛隊の一人が「トリスタン、何故クリーガー隊と一緒に幽閉塔にいる? それに、その通路は一体……。まっ、まさか、お前は『シンのサマリタン』のメンバーだというのかッ!?」と声をあげ、二人とも慌てて剣を抜き放ちます。すると鳥人戦士の一人が、トリスタンと呼ばれた者と鎧に記章を付けた者をかばうように前に進み出て、二人の親衛隊を相手に戦闘を始めます。親衛隊たちは、ヒーローに向かって「こいつらは『シンのサマリタン』だ! 退路をふさげ、奥にいるクリーガーを逃がすな!」と叫びます。

ヒーローたちの目の前で交戦している鳥人は、人数的に不利な状況だという事もあるのですが、それとは別に戦いの経験が浅いらしく、このままヒーローたちが傍観していれば、この勇敢な鳥人が倒されるのは時間の問題でしょう。それでもヒーローたちが加勢しない場合、トリスタンという名の鳥人戦士が剣を抜き放つと、「ハヤンギ、私も加勢するぞ!」と声をあげて、親衛隊に立ち向かっていきます。鎧に記章を付けた鳥人は、その戦いの行方を後ろから見守っていますが、何故かヒーローたちに敵意を向けようとはしません。ヒーローたちは、目の前の状況に混乱するかも知れませんが、邪魔な親衛隊たちを片付けるのであれば、今が好機です。

二人の親衛隊を打ち倒すか、あるいは撤退させた場合、危険が去った事を確認した隊長格の鳥人が、ヒーローたちに向かって「君たちは、自分たちが砦に潜入した理由を隠し通そうとしているようだな。このマンパンでは、警戒するに越した事はないが、君たちが外輪門の防衛にあたる精鋭部隊を全滅させた事を、我々はすでに知っている。良かったら、砦の最深部まで来た本当の目的を教えてはくれないだろうか」と尋ねてきます。

ピーウィット・クルーは、手配書の人相書きを入念にチェックしているため、たとえヒーローたちが変装していたとしても、アナランドの密偵である事を見破ります。彼らはヒーローたちが任務の事を話さない限り、自分たちが『シンのサマリタン』である事を決して打ち明けようとはしません。またシンの鳥人は自分の母親を尊敬していますが、本シナリオプロットでは、家族の事を尋ねてサマリタンを判別する事はできません。彼らは何食わぬ顔で「自分は、戦士である父の背中を見て育った」と答えるクレバーさを持ち合わせています(※ただし、その時に心を読む魔法を使えば、判別はつくかも知れません)

ヒーローたちが、彼らを攻撃しようとした場合、ピーウィット・クルーは「君たちも密命を帯びた密偵なら、祖国から飛んできた金冠ワシを殺す事が、いかに馬鹿げた行いなのか、よく分かっているだろう!」と言い放ち、戦闘の回避を試みます。彼らがサマリタンだと判明した後の展開は、基本的にはブロンウィンと合流した時と変わりませんが、物語の整合性がとれるように、ディレクターはイベントの内容を適切なものに調整してください。またゲームバランスを考慮するのであれば、パーティの戦力を補うために、ここでピーウィット・クルーを同行させても良いでしょう。彼らから隠し扉を開く合言葉を教えてもらった後、ピーウィット・クルーは『銀製の呼び子』をヒーローたちに手渡します。彼らに迷惑をかけないためにも、ヒーローたちが任務を達成するまでは、呼び子は吹かない方が良いでしょう。

なお幽閉塔は、ヒーローたちが休息できる最後の場所となります。サマリタンの隠れ家には、食糧だけでなく怪我の応急手当に必要となる備品も揃えられています。この場所から先へと進む前に、しばらく休憩して体力点や魔力点を取り戻しておくべきでしょう。またピーウィット・クルーから砦に関する情報を教えてもらったので、ここでヒーローたちが失った運点を回復させても良いでしょう。

ピーウィット・クルーから貴重な情報を入手したヒーローたちが、螺旋階段を降りていき、幽閉塔の最下層の壁の前で、彼から教えてもらった合言葉を祈るような気持ちで呟くと、驚いた事に秘密の抜け道が現れます。その先に大魔王の塔へと通じる渡り廊下が明らかとなりますが、幸運な事に見張りの姿はありません。旅のゴールが近い事を確信したヒーローたちは、胸壁に挟まれた通路を一歩ずつ踏みしめながら、不気味にそびえ立つ塔の門へと歩いていきます……。


◆次回予告
前回の内容と合わせると、砦の中の構造は変わらないものの、それまでのヒーローたちの行動によって、彼らが遭遇する出来事が大きく変化していく事が明らかとなりました。しかし、それでもヒーローたちの運命がついえる事はなく、彼らは旅の終わりに向かって、ただひたすら前へと進んでいきます。
次回は最終回。ついにヒーローたちは大魔王の塔にたどり着き、≪王たちの冠≫をめぐる物語は最終局面を迎える事になります。お楽しみに!


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2020年4月6日月曜日

パラグラフジャンプ! No.2629

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。

コロナの影響で、ゲームマーケット×2もコミケも中止となりました。
他のイベントも中止が相次いでいます。
これはなかなか大変なことです、イベントがなければ売り上げは下がりますが、制作費のほうは変わりません。
でも、私たちの作品を待つ人たちがいることを考えると、ここで歩みを止めることはできません。
家で不安を抱えて過ごされるあなたに、気晴らしになるステキな冒険をお届けする。
それが自分たちの役割だと思い、踏み出していきます。
FT書房は作品制作と刊行を、同じペースで続けていくことに決めました。

イベントのたびに「次の新作も、待っています!」と声をかけてくださる方。
あるいは、FT新聞のご感想に「新作楽しみです」とメッセージを送ってくださったあなた。
そのことが私に、私たちに力を注いでくれます。
ありがとうございます。
とはいえ、実際のところ、ラクな状況ではありません。
しばらくは通販が主力となります。
「いつか買ってやろうと思っていた」と思っておられるあなた。
今、力を必要としています。

https://ftbooks.booth.pm

楽しい作品を作ってまいります。


◆本日の記事は。
さて、しばらくしていなかった「ゲームブック全般」に関連する話題を、今日はしたいです。
はい、したいです。
今日の話題は「パラグラフジャンプ」です。


◆パラグラフジャンプってなによ?
FT新聞の読者も幅が広くなって、「ファンタジーは知っているが」「TRPGは知っているが」ゲームブックは知らないという方にも、読んでいただけるようになりました。
そこで、ゲームブック通ならばわりと知っているが、そうでないと分からないこともある「パラグラフジャンプ」についての説明からはじめます。

ゲームブックって、選択肢が中心なんですよ。
例外もあります(「レーリッヒ断章の考察」など)が、基本的には選択肢があって、それを選んでいきます。
でも、この選択肢を選んでいく方法だけじゃなくて、別の要素も入れたいな。
過去に誰かが、そう考えました。
(私はこれを考えたのがスティーブ・ジャクソンだと思っていますが、彼よりも以前にこの手法を考えた人がいたかもしれません。)

パラグラフジャンプとは、どこかに「○○という場面に遭遇したら、その番号に△△番を加えた番号に移動すること」という記述を与えて、飛ぶという手法です。


◆なんのためにやるの?
パラグラフジャンプを用意するのは、どうしてなのでしょう?
よく聞く考えは、「謎を本当に解いたかどうか、確認するため」というものです。

「3歩進んで、2歩戻って。それから10歩進んだ。何歩進んだんだ? 今いる番号にその番号を足せ」

ごく簡単に示すなら、このようなものです。
このようなタイプの作品は、ストーリーよりもパズル的な楽しみ方としてゲームブックを捉えているもので、最近で言えば日曜ゲームブックに登場した梧桐重枝さんの「農魔道士 ほんとの冒険」が近いタイプだと思います。


◆杉本の場合。
私がパラグラフジャンプを作品で使うのは、物語とシステムの一致させる目的なことが多いです。
たとえば、隠し扉。

「王様の部屋に隠し扉があるという。王様の部屋にたどり着いたら、その部屋を調べることができる。王様の部屋の番号に50を足した番号に進め」

という記述を用意します。
で、王様の部屋が82番だったなら、50を足した132番に進む、というわけです。

というのは、王様の部屋に来たさいに、仮に選択肢に「隠し扉を探すなら□□へ進め」と書いてあったら、かなり多くの読者が、その番号を選んでしまうことが予想されるんですね。
そのような場面では、選択肢が「におい」となって、読者を不自然なカタチで正解へと導いてしまうのです。
そういったシステム上の抵抗感をなくすために、使用しています。
「王様の部屋に隠し扉がある」という情報を仕入れていなければ、先に進めない。
物語の進行を管理する、フラグの役割を果たしているともいえます。


◆どちらに関しても言えること。
ゲームブック関連のサイトをたまに見るのですが、そこで気になる記事をある日、見かけました。
それは、「パラグラフジャンプには問題がある」というものです。
ゲームブックの世界では当たり前だとしても、自発的に番号を加えて飛ぶという行為は、紛れもなく読者負担になると。
そのうえ、場合によっては飛んだことが「読者にとって」正解かどうか分からないと指摘するのです。

たとえば、「容疑者だと思う相手に出会ったら、その番号に30を加えた番号へ進め」と書いてあったとして、主人公がAさんに出会ったとします。
このとき、その番号に30を足した結果が、たまたま話がつながってしまう番号だったなら、読者は「あっ正解だ」と思い、勘違いしたまま続きを読んでしまうでしょう……ネタバレになる危険が生じます。
少なくとも、飛んだ先が正解かどうか、読者は慎重に見極める必要性が生まれてきます。


◆対策。
これに対する対策を講じたゲームブックもあります。
友野詳さんはクトゥルフ系ゲームブック「闇に彷徨い続けるもの」(2014年『闇のトラペゾヘドロン』に収録)で、飛んだ先の番号に「☆☆番から来た君、正解!」といった言葉をつけて、ジャンプが正しかったかどうかを明らかにしていました。
ファイティング・ファンタジーかソーサリー四部作か忘れましたが、海外作品でもパラグラフジャンプ先の「出だしが……という文章からはじまれば正解だ」と書くことで、つながりの正否を伝える作品がありました。


◆謎系のパラグラフジャンプで思うこと。
私の場合、謎系のパラグラフジャンプでよく思うことは、「この謎が解けないと、本の残り部分が読めない=お金をムダにしてしまう」という部分です。
謎の部分で詰まってしまうと、先に行けないときに起こります。

ゲームブックの謎は、通常、詳細を細かく書くことをしません。
また、ゲームブックはマイナージャンルなため、その謎の答えをネット上で探すこともなかなかできません。
だから、「謎を解けなくても先に進める」か、あるいは「それほど難しくはない(または、地道に手を動かせば解ける)謎である」ことが肝要だと、私は思います。


◆まとめ。
ゲームブックをやっていて楽しい部分のひとつに、パラグラフジャンプを挙げる方はたくさんいらっしゃると思います。
私も、パラグラフジャンプはゲームブック独自の文化だと感じています。
電源系ゲームやTRPGでパラグラフジャンプをすることはありませんからね。
TRPGのソロアドベンチャーでも、パラグラフジャンプが登場する作品は見たことがありません。
(もしかしたら、私自身が書いたソロアドベンチャーで、出したことがあったかもしれませんが。)

しかし、パラグラフジャンプを出すさいには、じんわりとでいいので「出す理由」があるといいかなというのが、作る側からの意見です。
むやみやたらに出すと、読者負担になってしまいがちですので。

読者ファーストが近ごろの作品のトレンドかなと、思っております。


それではまた!




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2020年4月5日日曜日

Ψ龍の王女と大釜の魔女(前編) 日曜ゲームブック No.2629

おはようございます!
編集人・水波流です。

本日は皆さんお待ちかね、日曜ゲームブックをお届けします。
今回は、杉本=ヨハネ氏の新作『龍の王女と大釜の魔女』登場です。

呪いを解くために、龍と騎士が旅に出る!
野獣、死霊、蛮族、別の魔女……荒野の大冒険。
イラストは、海底キメラ。
125パラグラフで、冒険記録紙は使いますが、サイコロは不要です。

この作品は近日発売予定の「100パラグラフゲームブック集1」に掲載されるものの、FT新聞先行配信です。
前編・後編に分けてお送り致します。またこの冒険では『地図』が大きな要素となりますが、こちらは簡易版での配信となります。
気になった方はぜひ書籍版もお求め下さい!

↓通販でのご注文はこちらから!(初回入荷予定は2020年6月上旬です)
https://ftbooks.booth.pm/items/1921377


——さあ、ページをめくりたまえ


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『龍の王女と大釜の魔女』

 著 杉本=ヨハネ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 大釜の魔女が黒ずんだ指で地面を指すと、いななくような鳴き声を上げながら、豚の怪物があらわれる。弾力のある身体つきの、太った獣が。そのまま、騎士めがけて突っ込んでくる。
 石畳の床が割れるような、激しい音が響く。騎士と豚のあいだに、龍が飛び込んでくる。美しい細身の龍が。乙女色のウロコ。燃えさかる炎を宿したような紅蓮の瞳。それらが松明の光に映えて、まるでひとつの芸術品だ。しなやかな筋肉を動かして、針のように鋭い尾先を豚の怪物に振り抜く。ムチめいた一撃に鼻先をかすられて、怪物は痛みか威嚇のためか、吠え声をあげる。

【ゲームを始めるにあたって】
 ようこそ、ゲームブックの世界へ。これは物語でもゲームでもあります。番号順に読んでも意味がありません。「背景」からスタートして、番号の指示に従って、進みたい方向(番号)へと進んでください。

【背景】
 この冒険は2人の主人公を操ることで進行します。ひとりは騎士である人間男性。憂国の騎士と呼ばれる、王国ロング・ナリクの守護者です。もうひとりは……いや、一頭と呼ぶべきか、魔法によって姿を龍に変えられた王女です。ふたりは恋人どうしです。
 
【目的】
 龍となった王女にかけられた、魔法の呪いを解くことが目的です。そのために主人公たちは、呪いをかけた老婆である、大釜の魔女に会うために冒険の旅をしています。

【ルール】
 このゲームでは、目的地に向かって2人の主人公が移動をします。ひとつの地点から別の地点に移動するさい、「一緒に移動する」か「別々に移動する」かを選ぶことができます。
 別々に行動する場合、異なる道を選んで進むことになります。待ち合わせの場所まで片方が移動します。本文中に指示がありますが、地図に欄がありますので、移動をはじめた場所に書かれている主人公の名前に、チェックを入れてください。一緒に移動する場合には、騎士と龍の両方にチェックを入れます。
 片方だけが移動する場合、チェックを入れた主人公が待ち合わせ場所にたどり着いたら、たどり着いた主人公の名前にチェックを入れます。その後、待ち合わせ場所に来ていない主人公がいれば、そちらを動かしはじめます(詳しくは本文中に指示があります)。それぞれに冒険が待っていることでしょう。
 一緒に移動するときは、ひとつの道を進むことになります。待ち合わせ場所にたどり着いたら、次の場所へと向かってください。一緒に移動するときは、団結して困難に立ち向かうことができます。しかし、常に一緒に移動するのがベストなわけではありません。
 作品内では、次のような選択肢がしばしば登場します。

   ・騎士の1人旅なら〜へ。
   ・龍の1人旅なら〜へ。
   ・ふたりで旅をしているなら〜へ。

 このような選択肢に遭遇した場合には、地図に書き込まれたチェックを確認して、現状に合わせて飛び先を選んでください。

【チェック】
 あなたはゲーム中、「冒険記録紙の〜にチェックを入れること」という記述に出会うことでしょう。この記述に出会ったときは、該当する冒険記録紙の欄にチェックを記入してください。チェック欄は次のとおりです。
 これらのチェックは、その主人公の状態を示しています。チェックを入れるよう指示があったとき、チェック欄がすでにいっぱいで指示のとおりにできないときは、ゲームオーバーになります。たとえば、騎士が負傷を2回受けたとします。指示に従ってひとつずつ負傷欄にチェックを入れていくわけですが、傷を治す機会がないままもういちど負傷を負うと、チェックを入れる欄がもうないため、ゲームオーバーになってしまうのです。

【騎士とその装備欄】
 この作品の2人の主人公のうち1人は、騎士です。騎士は優秀な戦い手であり、戦闘の訓練を積んでいない3人の人間相手に勝つことができるほどの力を有しています。また、出身国であるロング・ナリク国の騎士は信頼ある存在として、人々に認められています。
 騎士が旅をしているなら、冒険中に得たものを装備品として獲得することができます。詳しくは本文中に指示があります。
 騎士は冒険開始時に、装備品として食料を5個持っています。食料はいつでも好きなときに食べることができ、ひとつ消費するごとに、冒険記録紙にある空腹欄のチェックをひとつ外すことができます。これは騎士自身にも、龍に対しても使えます。
 注意してください! 騎士は食料を装備していますが、龍は騎士と一緒にいるときにしか、それを食べることはできません。

【龍について】
 王女が変化した龍は、女性的なフォルムをしていますが、非常に強力な存在です。戦いでは騎士であってすら、傷をひとつ負わせるのが関の山でしょう。戦いにおける弱点はありません。
 龍となった王女は空腹によわく、食料を得られるかどうかが冒険の成否に大きく関わります。じっさいのところ、彼女はたいていの肉であれば食べることができます。
 背中に生えた翼は、龍の身体を支えて飛ぶには不十分なものです。高いところから落ちたさいに、滑空するには役立ちます……翼を広げる余裕があれば。
 龍は人間の言葉が話せません。相手が龍の言葉を解するか、そばに以心伝心である恋人の騎士がいるときのみ、その意思を正確に周囲に知らせることができます。

【物語のはじまり】
「そんな、バカな!」
 敵対する2人が、同じ言葉を叫ぶ。新しい姿に変わった王女の姿は美しく、気高く、そして凶暴に見えた。つやめくウロコはイチゴの絞り汁を混ぜた、ミルクのような色。切れ長の眼の奥で燃える、暗い炎を宿した瞳。身軽で、巨大で、恐ろしい立ち姿。龍、龍だ。
 王女をこんな姿に変えたのは、老魔女フィニステラの呪術だった。

 偉大なるロング・ナリク国の王女は、恋をしていた。その相手は「憂国の騎士」と呼ばれている、若く誠実な国の騎士だった。2人のあいだに障害はなかったが、父王の命により、大っぴらに宮廷内で逢瀬を重ねることはできなかった。王女を妻にと願う他国の思惑に対して、もう少し父王は気を持たせておきたかったのだ。
 そこで王女と騎士は、王都の外で密会を行っていた。七曲谷と呼ばれる、美しい谷。静かで人が来ない、自然の力を感じる場所。左右を急峻な岩壁に挟まれた土地で、有事には天然の要塞として国民が避難することもある。

 ふたりきりの時間は、若い恋人にはなによりも尊い。だが、その日には、睦まじく紡がれる時間に割り込む不届きな老婆がいた。
 その老婆は、いつの間にか立っていた。大きな岩の陰に半身を隠すようにして。黒いローブ。曲がった背。ゴツゴツした杖をついていた。鼻は醜く曲がっていて、顔はしわだらけ。
「やっぱりね、ウワサは本当だった! ローリのやつを、褒めてやらなきゃね! あの臆病なチビ助も、役に立つことはある!」
 王女と騎士。身分の高い2人が目の前にいるにも関わらず、老婆にはひとつも臆するところがない。それどころか、愉悦に満ちた表情を浮かべながら、指を動かしている。
 なにかまずいと、騎士は思った。
「ウサギかね? ネコか? 小動物に変わったら、すぐに捕まえてやろうね」
 魔女は楽しそうに笑った。笑いながら杖を振るった。きらめくひと筋の軌跡が、王女にぶつかって消えた。
「王女よ!」
 護衛の騎士が、叫んだ。魔法の理をまったく知らない騎士に、まじないを防ぐすべはなかった。騎士は王女の恋人だったが、彼にできることはせいぜい、王女に呼びかけることぐらいだった。
 あっという間に、王女の姿がよじれていく。魔法だ! ウサギ? ネコ? 小動物になるだって? ああ!
 騎士は魔女の言葉を信じて、嘆いた。
 魔女は嘘をついたわけではない。じっさい、魔女の頭のなかでは、王女は小さくて無害な生き物になるはずだった。というのは、魔女はこのまじないについて、母親からこう聞かされていたのだ。
「かよわい女にかければ、小さなネズミやリスに。小悪党にかければ、コウモリやカラスに変える術」
 だから魔女は、そのまじないを王女にぶつけたのだ。だが、魔法というものは、その本質を正しく捉える者には、大きな力となる。だが、本質を見誤るものが行使すると、思いもよらぬ事態を引き起こす。
 魔女は間違えた。魔女フィニステラが唱えた呪文は、かけられた者の姿を、その性質に応じたものへと変えるものだった。その者にふさわしい姿へと、「正しく」変容させるものだったのだ。
「そんな、バカな!」
 巨大な釜に身を寄せながら、魔女が叫ぶ。老婆はすぐに、これが王女の本性なのだと悟る。きらびやかな外見で人を惹きつけながら、その本質は激情。渦巻く炎のような、激しい気性。
 老魔女フィニステラが使える呪文は、あまり多くはない。変容の魔法のほかには、「大釜魔術」と呼ばれる呪文をいくつか、知っているだけだった。彼女はその数少ない呪文のひとつを使うことに決める。大岩をくり抜いてつくった大釜をひっくり返して、その内側へと滑り込む。土ぼこりがあがって、それがやむと、そこにあるのはただの岩だ。怒り狂った龍が魔女を追って、鋭いかぎ爪を岩に食い込ませる。ミシミシと音がして、岩は石片となって散る。魔女の姿はどこにもない。龍は怒りの声をあげる。
 恐れとともに、騎士は龍を見上げる。自分は今から、この龍にバラバラにされるのだ。そんな恐怖の感情が、心を捉える。王女は龍となった。変わってしまったのだ。
 王女は混乱していた。突然あらわれた魔女は、自分を別の生き物に変えてしまったようだ。事態が呑み込めず、叫び声をあげてしまった。こわばった表情で、自分を見つめる恋人。混乱している自分に、声ひとつかけてはくれない。それどころか、今から殺されでもするかのような顔で、こちらを見ているではないか!
 王女は悲しみにくれた声を出しながら、しおしおとその場にくずおれる。

 しおれる龍を見て、騎士は感じ取る。この龍の内側には王女の心が生きている。即座に駆け寄って、騎士は声をかける。甘えるように龍は、騎士に頭をこすりつける。
 この冒険の目的は、龍を王女の姿に戻すこと。ときに騎士、ときに龍として行動を行い、龍を王女に戻す方法を見つけるための旅に出る。
 だが、どうすればいい? 1へ。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

↓続きはこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/DragonPrincess_and_CauldronWitch_1st.txt
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/DragonPrincess_and_CauldronWitch_1st.pdf

冒険記録紙
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/DragonPrincess_and_CauldronWitch_AdventureSheet.pdf

冒険の地図(簡易版)
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2020年4月4日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第368号 No.2628

From:水波流

おはようございます、編集人水波です。
読みたい小説が自宅に大量にあるのですが、さいきん通勤電車の往復でうたた寝ばかりして、全然読書時間が取れずにいます。困ったものだ……。
せめて漫画くらいは消化したいものですが、ダンジョン飯ととつくにの少女を単行本で追うので精一杯です。(ベルセルクも最近読んでない……)

さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事を紹介します。


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■3/29(日)〜4/3(金)の記事一覧
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2020年3月29日(日)水波流 FT新聞第2622号

T&T読者参加企画『カザン帝国辺境開拓記』 ep.11
・第11回の結果をお送りいたしました。今回から、事件Cをちょっと趣向を変えてみました。ウィザードリィ風のダンジョン探索、元々はこれくらいゲーム的な読者参加ゲームを考えていたので、一周回ってという感じではありますが、楽しんで頂ければ幸いです。現在20名にご参加頂いておりますが、途中参加ももちろん大歓迎です。今回の参加締切は4/12(日)24時まで。


2020年3月30日(月)杉本=ヨハネ FT新聞第2623号

☆新刊告知☆
・FT書房リーダー・杉本=ヨハネ氏による定例記事。今週の記事は、ゲームマーケット春で刊行する新刊『100パラグラフゲームブック集1』のお知らせです。項目数が100前後の中編作品を3本収録した作品集です。
◆龍の王女と大釜の魔女 by杉本=ヨハネ
◆魔法学校の秘密の扉 by清水龍之介
◆百竜の森 byロア・スペイダー

↓通販でのご購入はこちらから!
https://ftbooks.booth.pm/items/1921377
(6月上旬の発送になりますので、ご注意くださいませ☆)


2020年3月31日(火)紫隠ねこ FT新聞第2624号

AFF『ソーサリー・キャンペーン』第6回・虚構の王(Vol.3)
・紫隠ねこ氏によるAFF2用『ソーサリー・キャンペーン』追加シナリオプロットの第6回。マンパンの精鋭部隊を撃破し、砦に潜入を果たしたヒーローたち。心強い協力者の助けを借りて、各所に配置されたスローベン・ドアを突破した彼らは、その先にある大魔王の塔を目指します。最終防衛ラインを突破し、マンパンの大魔王に相対する事ができるのか……。来週火曜日もどうぞお楽しみに!


2020年4月1日(水)ぜろ FT新聞第2625号

第31回【魔の国の王女】ゲームブックリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第172回をお届けしました。運点だけが頼りの6人目の挑戦者マルスが挑むクリアへの道。7つの伝承地の攻略も終盤。オリオス墳墓へ向かい、アグリアとレリアとともに最後の赤子ジュディに子守歌を聞かせます。次回、スレイマンの壺を手に入れる前に、もうひと波乱が?


2020年4月2日(木)中山将平 FT新聞第2626号

クトゥルフとゲームブック第29回
・FT書房のイラストレーター・中山将平氏の連載・第29回をお送りしました。今回は「クトゥルフ神話の共通認識的なワード」についてのお話でした。記事中でも紹介された『アーカム』はクトゥルフもの以外のいろいろな作品に名前だけ登場したりもしますね。僕がとても好きな古代遺跡の探索漫画『スプリガン』でも、財団の名前が「アーカム財団」で、初めて読んだ当時は「あっ」と思ったものです。スプリガンはそれ以外にも魔術師マーリンやらライカンスロープやら、ファンタジー系・オカルト系・神話などいろいろなオマージュの宝庫ですが、これはまた別のお話……そういえば、同作者の『ARMS』でもラヴィニア・ウェイトリーという『ダンウィッチの怪』と同名のキャラが出てきますね。


2020年4月3日(金)ジャラル FT新聞第2627号

よわむし同心信長@みんなの本棚117
・本棚に並んでいるもので「これ、知ってる?」と言いたくなる作品をあなたに紹介する記事。第117回はジャラル氏からのオススメ本の紹介でした。ご紹介だけ読んでラノベかと思い込んでしまい、書影を見て普通の時代小説だったのでちょっと驚きました。でも時代小説って、意外とけっこうなんでもありだったりしますよね。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆現在募集中の日曜読者参加企画
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

みんなのファンタジー(随時募集中) ⇒ https://jp.surveymonkey.com/r/FBK5WL9

★☆お題☆★
・戦士
・魔法使い
・武器(刀剣類)
・モンスター(コボルド)
・ラスボス
・鉄板のシチュエーション
・読者参加ゲームの思い出
・美味しそうだった食事(食べ物)

カザン帝国辺境開拓記(ep.12受付は、4/12(日)まで) ⇒ https://jp.surveymonkey.com/r/QYYZPZ8

【作戦会議室・峡谷の山猫亭】 ⇒ https://www1.x-feeder.info/FTGAME/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓
(緒方直人さん)
オール・ユー・ニード・イズ・吉良〜死に戻りの赤穂事件〜、なろうで読んで参りました。
蹲踞がヤンキーずわりでツボにはまり、「警察仕事しろおおお!!」でビール吹きました。
適度に砕けた文調がとてもイイ感じで楽しめましたです。しかし途中で吉良という字がなんか別のキラに見えてきたのは私が呑み過ぎたせいでしょうか(笑

(お返事:ジャラル)
幕府は上杉家と浅野家を取り潰す為に赤穂事件放置したという説(NHK大河ドラマ『元禄繚乱』(1999年)はこの説)もありますね。吉良上野介の親類である米沢藩上杉家と赤穂浪士とを相争わせて取り潰せば、幕府の1年分の財政赤字が埋められるという…。まああの世界だと吉良さんは文字通りのキラーとして各種時代劇やゲームで扱われそうですwww


(besttアタルさん)
いつも楽しみに読んでますー、最近に至っては、コビットの奴がうざいので、おんもに出れずそんな中、限定された娯楽という物を考えた時、この新聞がスゲーたのしいいいです。あんがちょー。

(お返事:水波流)
お便りありがとうございます!
我々も普段は一人で文章に向き合っておりますので、届いた相手がどう思って頂いているのか、反応を頂けるのが編集人としても書き手としても、一番嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします〜。


(レンズマンさん)
新刊嬉しく思います。
残念ながら、2020年5月のコミケは中止になってしまいましたね。新刊も楽しみではありますが、コミケでお会いできるのも楽しみの1つでした。オリンピックの延期もあり、会場問題で今後のコミケがどうなるかが心配です。
皆様も健康にはおきをつけて。

(お返事:杉本=ヨハネ)
この記事を書きながら、冷静な自分が内側で「きっと中止になる」とささやいていました。
その一方で、情熱的な自分が「開催できると信じていこう」と熱弁を振るっておりました。
イベントがしばらく開けないのはFT書房に厳しい状況をもたらしていくと思いますが、よりすばらしい作品を作りつつ、新しい展開を思案していきます☆
新刊、原稿はすでにできていて、今はイラストや編集の段階です。
いい感じに煮詰まってきました、楽しみにしていただけましたらさいわいです。


(極太黒大将さん)
ゲームブックのサイズについてのお話。
オールドゲーマーたるわたしが初めて手に取ったのが「ソーサリー!」でして、文庫サイズが馴染み深いです。
永久保存は大賛成で、ソーサリー!は一生の宝です。(ファンタジー世界にはまるきっかけでしたから)
ブームが過ぎて寂しい思いをしていましたがまだまだ元気なんだと知ってうれしく思います。

(お返事:杉本=ヨハネ)
私もよく似ています☆
子どものころに兄の「運命の森」や「トカゲ王の島」をやったのが(兄はリビングストン派でした)入口で、ドラゴンファンタジーを経て小学5年生のときにソーサリー四部作をやって、一気にゲームブックにのめり込みました。
実を言えば文庫本は、商業的には少し厳しいところがある(A5版などのほうがコストが安い)のですが、このコダワリは捨てるわけにはいくまいと決め込んで、気持ちの入った作品を刊行するさいには文庫本(A6)サイズで印刷することにしております☆
新刊、楽しみにしていただけましたらさいわいです。


(ジャラル・アフサラールさん)
新刊楽しみです。表紙がカッコいいですな。

(お返事:杉本=ヨハネ)
ありがとうございます。
表紙は栗栖さんです、いつもステキな表紙を描いてくださいます☆


(ジャラル・アフサラールさん)
欧州の言語は全てラテン語が源流だからラテン語を覚えれば各国の言語を話せるようになると田中芳樹先生の小説「薬師寺涼子」シリーズの涼子様が言っておられましたね。
中世欧州文学の多くはラテン語で書かれていますし。
もっとも『神曲』のダンテみたいにあえてトスカーナ方言で書く人もいたようです。

(お返事:海ガメラ)
コメントありがとうございます。
小説の主人公のセリフは、事実と異なる場合がありますので、引用する場合は注意が必要です。
ラテン語はあくまでインド・ヨーロッパ語族のひとつで、「欧州の言語は全てラテン語が源流」ということではありません。
英語やドイツ語、北欧諸言語などはゲルマン語が源流で、ラテン語とは別の流れをくむ言語です。
「欧州」とひとまとめにして語られることも多々ありますが、地域それぞれに個性があり、全然まとまっていなかったりします。
「ほんとにそうなの?」と、一度はうたがってかかる姿勢が必要かも知れませんね。


(緒方直人さん)
『Classica Grammatica Latina』(標準ラテン文法)、面白そうですね。命名辞典として使うとはアイデアにびっくりです。
例えば使うとしたらどんな響きの単語が載ってましたか?
よければおススメのを教えてください。

(お返事:海ガメラ)
コメントありがとうございます。
おススメというほどではないですが、「〜トゥス(tus)」「〜クム(cum)」のような語尾がつくと、なんとなくラテン語っぽく感じます。
ほかに職業では戦士・ベラートル(bellator)、盗賊・フール(fur)、僧侶・モナクス(monachus)、魔術師・マグス(magus)という単語があります。
グーグルのサービスのひとつである「Google翻訳」ではラテン語を選択できますので、文法的な正確性を期待しなければそれらしい単語を見つけられますよ。


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2020年4月3日金曜日

よわむし同心信長@みんなの本棚117 No.2627

「みんなの本棚」のコンセプトは「読者参加+シンプルな本紹介」です。
FT新聞読者が蔵書のなかから、FT新聞をお読みいただいているあなたの関心をひきそうな作品をピックアップし、簡単にご紹介してくださるというものです。
第117回は、ジャラルさんからのご紹介です。
よろしくおねがいします!

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◆まえがき
 こんにちは。オジサンファンタジーファンのジャラルといいます。
 今回も蔵書をご紹介させていただく機会をもらえました。
 今回紹介するのは日本で一番有名な戦国武将が活躍?する捕物帳です。

◆『よわむし同心信長』 早見 俊 (著)

 2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』では第7回で遂に染谷将太さん演じる織田信長が登場しました。考えてみると私はこの数年で年に数回は「織田信長」の出る作品を見ているような気がします。何せ主人公・悪役・ライバル・上司・ヒロイン(笑)・ペット(*1)まで、どんな役でも登場させられますし、異世界転移(*2)・タイムスリップ(*3)しても動じず順応してしまいそうな(笑)人物ですから。ついに昨年はゲーム・漫画・アニメ・ライトノベル・パチンコ・ゆるキャラなど、「織田信長」や「織田信長をイメージしたキャラ」が登場する作品を広く調査編集した『信長名鑑』なんて本が発売されました。外国で「日本歴史のフリー素材(笑)」と呼ばれる所以です。今回紹介する小説では信長は江戸時代の捕物帳に出演します。

 南町奉行所例繰り方(事務職)に勤める信藤長次郎は、優しい性根とすぐれた知性、剣の資質を持ちつつも、自他ともに認める根っからの小心者。仕事も剣も恋も、持ち前の気弱さが邪魔をしてなかなかうまくはいかない。織田信長の史書を読むことを唯一の楽しみとしていたが、それも同僚から名前をもじられて「信長殿」とからかわれる始末です。

 天保七年三月──長次郎に、思わぬ人生の転機が訪れます。例繰り方から定町廻り同心となり、慣れぬ役務に戸惑う長次郎は、探索の途中、頭と身体を強く打ち、賊の手に捕らわれてしまいます。そしてそのときから頭の中で、戦国の英雄、織田信長の声が聞こえるようになってしまう……。信長の叱咤激励で若き同心の活躍が始まります!

 こちらの信長は長次郎の頭の中に住んでいて、天下人としての見識と知力でアドバイスする役割です。長次郎は信長大好き青年ですし、信長も天保の江戸に興味津々で、この異能コンビのチームワークは抜群です。もっとも長次郎が信長と会話するときには口に出して話さなければならないので、傍から見ると一人で会話している危ない人扱いされる可能性があるのですが(笑)。この二人組?に名古屋出身の小者の藤吉郎(こちらは別に秀吉とは関係なし(笑))が加わり、江戸に巻き起こるさまざまな難事件を解決していきます。時代はちょうど「大塩平八郎の乱」が起こる時ですので、それに関連した事件も起こります。もっとも信長さん曰く「謀叛など珍しくもない」そうですが(笑)。

*1『織田シナモン信長』(漫画)信長がラブリーな柴犬に転生? アニメ放送中。
*2『ドリフターズ』(漫画)信長はドワーフに銃作らせ、ゴブリンに三段撃ち! アニメ化。
*3『ノブナガ先生』(漫画)『殿が来る!』(ライトノベル)

◆書誌情報
『よわむし同心信長』 早見 俊 (著) (コスミック・時代文庫) 全4巻

 よわむし同心信長 − 天下人の声  2009/3/5 文庫 絶版 / Kindle版 ¥572
 よわむし同心信長 − うらみ笛   2009/7/5 文庫 絶版 / Kindle版 ¥572
 よわむし同心信長 − 消えた天下人 2010/1/10 文庫 絶版 / Kindle版 ¥572
 よわむし同心信長 − 春の夢    2010/9/10 文庫 絶版 / Kindle版 ¥572


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◆次回予告(編集部より)
 コンセプトにあるとおり、次はこれを読んでいるあなたの出番です☆
 今、本棚に並んでいる蔵書から、「紹介したいなぁ」と思うものをとりだしてみてください。
 あとは感想欄から「この本を紹介したい」とご連絡いただければOKです。
 おってこちらからコンタクトをとらせていただきます。

 ちなみに本棚に並んでいるならジャンルは問いません。
 マンガ、雑誌、画集、写真集、小説でも学術書でも、なんでもござれです☆

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2020年4月2日木曜日

クトゥルフとゲームブック第29回 No.2626

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クトゥルフとゲームブック 第29回
(中山将平)

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 おはようございます。
 イラストレーターの中山将平です。

 ご存知の通り、恐るべきコロナパンデミックですね。
 読者のみなさんも、何卒ご自愛ください。

 前回僕の記事で、FT書房の参加予定イベントが3個中止・1個延期になったと書きましたが……今は中止が8個になっています。(1個延期はそのまま)
 しかも、中止になったイベントの中には、僕が勝手に「作品を手に取ってもらう上での主軸」と位置付けている年間5大イベントのうち、「ゲームマーケット大阪」「ゲームマーケット春」「コミックマーケット」の3つも含まれているのです。

 僕にとっても、まさに絵に描いたような悪夢です。
 これがいつまで続くのか分からないというのですから……。

 とはいえ、前回も描かせてもらいましたがFT書房にはBOOTH通販もあります。
 ホームページに載せた詳しめの作品情報と共にぜひご利用いただけたらと願っています。
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 BOOTH通販のURL: https://ftbooks.booth.pm/

 さて、前回書いた「クトゥルフのお約束ネタ」の記事には3件のお便りをいただきました。その中には「また書いてほしい」という主旨のメッセージも。
 お楽しみいただけているなら是非また書かないわけにはいきません。

 ええ、そうです。圧倒的に読者の方の声に影響を受けやすい体質なんです!

 しかしながら、全く同じ趣向ではつまらない気もします。
 そこで今日は「クトゥルフ神話にあまり親しみがない(けどご興味はある)という方に向けた記事」というコンセプトはそのままに、「クトゥルフ神話に親しみのある多くの方が、なぜか知ってる共通認識的なワード」というテーマで記事をお届けしたいと思います。
 え? 回りくどい言い方過ぎる……ですって?
 ほんとだ。その通りですね!
 ほら、こんなことありませんか。「会話の中で町の名前が出ただけなのに、自分以外のみんなは何かその場所について知っている素振りを見せる」こと。
 そうなんですよ、なぜか、多くの方が同じようなことについてぼんやりと共通認識を持っているんですよね。

 いったいそりゃあ何だい、というお話をしていきたいと思います。

■ 「アーカム・ミスカトニック大学」
 今、ちょうど話題にした町の名前という例。クトゥルフ神話といえばまず僕が思い当たるのは「アーカム」という町なんですよ。
 この町の名前、もしかしたら全くクトゥルフに触れていない方でもご存知かもしれません。実際、アメリカンヒーローの「バットマン」でも出てきたりしますし。
 アーカムって町は、実在しないんですが、クトゥルフ神話作品にはめっぽうよく出てくるんですよ。
 アメリカに実在する「セイラム」っていう町(魔女狩りの事件があったとか)と地続きなのだという設定なんですが、町の様子はセイラムそのもの。……ってことは、一見普通の町なんですが、特徴的な……と言いますか、有名な施設があるんですよ。
 それが「ミスカトニック大学」。
 なんで特徴的かといいますと、その図書館に禁断の魔導書……「ネクロノミコン」や「ナコト写本」「エイボンの書」なんてのが所蔵されてるっていうのが大きな理由なんですよ。

 もしこの町や大学の名前を聞いたら、そこには邪神に関する危険な知識が保管されていることを察する方も多いのではと思います。

■ 「テケリ・リ!」
 次にご紹介したいのは、この奇妙な音「テケリ・リ!」
 はじめて聞かれた方は、正直なんじゃらほいと思われることでしょう。
 ですが、もしあなたがゲームをプレイ中にこの音を耳にしたなら、一目散にその場から逃げた方が良いですよ。
 なぜならこの音、恐ろしい怪物「ショゴス」の鳴き声だからです。

 「ショゴス」っていうのは、タールで出来たアメーバみたいな生物で、身体を様々な形に変形させられる存在です。
 言葉から想像されるのはスライム的なモンスターかなと思うのですが、この怪物は恐怖の存在として描かれることが多いです。

 めちゃめちゃでかい姿で描かれたり、時には異種族が人間社会を脅かすための兵器のようなものとされることすらあります。
 いずれにしても、ゲームの中でまともに戦うような相手ではなさそうです。

 ちなみに、この鳴き声何ですが、実は彼らだけのものではないようです。というのも、ショゴスには「古のもの」という奇妙な姿の種族に作られた設定がありまして(H.P.ラヴクラフトの「狂気の山脈にて」で詳しく書かれています)、この声はその創造主のものを真似ているのだと言われているからです。
 つまり、本来「テケリ・リ」は「古のもの」の声でもあるというわけです。
 しかしながら、作中に「古のもの」が鳴くシーンがないせいか、圧倒的にこの鳴き声は「ショゴス」のものとしてよく見かけます。一種のネタみたいなものなので、典型化が進んだ結果だろうなと感じています。

■ 「インスマス面」
 今日ももう一つご紹介しましょう。
 「インスマス面(づら)」という顔つきです。

 これは、ちょうど両生類(例えばカエル)と魚類の両方の特徴を備えたような顔の事なんですが、勿論人間についての言葉です。
 インスマスっていうのは町の名前なんですが、そこではおぞましい半魚人とも言うべき怪物たち(「深きものども」なんて呼ばれます)と人間の混血が進んでいるという設定があります。
 無論、住人たちはそのことを隠しているわけですが、その顔は成長するにつれてどんどん半魚人に近づいてくるのです。

 そういうわけで、もし「まばたきしないぎょろっとした目」のキャラクターなんて見かけたら、それはもう深きものどもとの関係を疑うには十分すぎる証拠となるわけです。
 いえ、あくまで僕の私見の中で一部のプレーヤーにとって、というお話ですよ。

■ 親しみを感じていただければ。
 場所や少しの鳴き声、面構えなんかでも特殊な情報が伝わることのあるクトゥルフ神話の世界。今日はなんだか親しみが少し湧いたなと思っていただければ幸いです。
 それでは、今日はそろそろこのあたりで。
 よきクトゥルフ・ライフを。


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2020年4月1日水曜日

第31回【魔の国の王女】ゲームブックリプレイ No.2625

第31回【魔の国の王女】ゲームブックリプレイ


※ここから先はゲームブック【魔の国の王女】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。

ぜろです。
技術点が低いマルスのギリギリ旅は続きます。
いよいよ体力点まで心許なくなってきました。
現在の技術点は4、体力点は5。そこらで遭遇するゴブリンと同じレベルです。
回復手段が限られているため、不安なことこのうえありません。
そんな心配な状況ながらも、各伝承地を巡ったことで用意が整いました。
いよいよ本命、オリオス墳墓を攻略します!

【マルス 技術点4 体力点5 運点13】


●アタック06-11 オリオス墳墓に挑め

7つの伝承地の攻略は順調だ。

1《エル・グァバ山》:自然の獣たちの楽園。
 →【攻略完了】楽譜「死のハミング」を手に入れ、ミスレン関連イベントをこなす。
2《エメランダ鉱山》:宝石の出る鉱山。
 →【攻略完了】タイムカウンターを6点減らす悪魔に会う。
3《ブンヘン地方》:蛮族の集落と聖地がある。
 →【攻略完了】フルフルの角、楽譜「廻る生命讃歌」を手に入れ、仙道修行。
4《サハス》:砂漠に囲まれたオアシスの町。
 →【攻略完了】聖魚シェラの助力、ケイブリックから墳墓への道を聞く。
5《混沌宮》:魔の集う城。壺はない。
 →まだ行っていない。
6《ナシル湖》:天然の湖の中央に滅びた都がある。
 →【攻略完了】貧民街の秘密の部屋で、サッボスの砂時計を手に入れる。
7《墳墓オリオス》:古代の王の墓。
 →今回攻略予定。

というわけで、今回は墳墓オリオスだ。
最初のチャレンジでは、アグリアが仙道修行をしているときに来た。
そして中で、アグリアそっくりの双子の姉、レリアに会ったのだ。

次に挑戦したときには、アグリアも一緒だった。
レリアはどちらがアグリアかわからないように混乱させながら、僕に愛着関係を求めてくるような様子だった。
でもあのとき、レリアも最後には協力的になってくれた。
ただ、最後の赤子、ジュディになすすべもなくやられてしまったが。

今回は、楽譜がすべてそろっている。
ジュディに子守歌を聞かせられるはずだ。
ムンフェイスの宿屋で、老婆に「廻る生命讃歌」を聞かせることで、子守歌の作り方も聞き出している。完璧だ。

僕は、前に攻略したのと同じルートで、墳墓の攻略を進めていった。


●アタック06-12 オリオス墳墓で決死のガチバトル

ここでまたしても、技術点の壁が立ちふさがることになる。

墳墓の探索を続けると、獅子の魔物が出た。
獅子の頭と獅子の右腕左腕だけが浮かんでいるという、奇抜なデザインだ。
右腕の対応をミスレンに任せ、僕は頭と左腕を相手に戦う。

獅子頭、獅子の左腕、それぞれが技術点7の相手だ。
以前戦った時は、こんなの敵ではなかった。
けれども今回は、油断のならない相手となる。
実はここに来るのにデュラハンで移動しているので、僕の残り体力点は3点に減っているのだ。

獅子頭 技術点7 体力点5
獅子の左腕 技術点7 体力点3
マルス 技術点4(指輪で+2)=6 体力点3

うわあ絶望的。
僕は、貴重な体力点3点のうち1点を消費して、シャイターンを召喚した。
これで技術点に2点加算。ダメージに2点加算。そして受けるダメージを1点減らすことができる。

これでようやく、なんとか戦える。

そして最初の僕の攻撃力を決めるサイコロが、3を出して止まった。

……うわあ絶望的!!

獅子頭、獅子の左腕の攻撃が両方とも命中する!
被ダメージが1点になっているといっても、1点ダメージを2回食らえば2点。
今の僕の残り体力は2点。死んでしまう!

これは、運だめしに賭けるしかない!
僕は運だめしに成功し、体力1点を返してもらうことができた。
ありがとう運点13! 首の皮1枚つながった! 首が皮だけで繋がってても死んでるだろうと思うけど、気にしない!

しかし次のターンの攻撃で、獅子頭はまたしても僕の攻撃力を上回ってきた!
ええええ! 運だめし運だめし!
僕は再び運だめしで切り抜ける。
獅子の左腕の攻撃はかろうじて回避することができた。

いかんジリ貧だ。
しかし、ここで僕の打線が爆発。
一気に攻勢に転じると、獅子の左腕を一撃で落とす。
さらに次のターン、獅子の頭への攻撃を成功させると、今度は攻撃に運だめしを使い、これも一撃で落としたのだった。

残り体力点1。しかも2回も運だめしでダメージを回避するとは。
これまでのゲームブック人生でも体験したことのないような恐るべき危機だった。

ていうかここ、仙道修行で技術点が下がる前に来ておくべきだったよね?!


●アタック06-13 地獄の子守歌

獅子頭を倒した先には、宝石が手に入る部屋がある。
しかし、部屋に入るとストリボーグをつけてても、毒におかされてしまうのだ。
残り体力点1点では、今回は諦めるしかない。ただの財宝だから諦めもつく。

そういえばそもそも、扉を開けるために悪魔アバビラを呼ぶだけの体力も残ってなかった。
先の戦いといい、集中力が落ちてきているのかもしれない。

さて、アグリアとレリアのくだりは省略しよう。
前回同様、アグリアが姿を消してしまったと思ったら2人同時に現れたり、2人が穴に落ちそうになっていてどちらを助けるかの選択だったりした。
久しぶりの人間だからって、レリアのテンションが高すぎるのだ。
僕は、すべて前回同様の選択を繰り返した。

そしてアグリア、レリア、僕で目的の棺の間へと到達する。
レリアが正体を明かしたところで登場するのが、「最後の赤子」ジュディだ。
悪魔と人間の交配実験の最後の実験体という。

ここで、集めた楽譜を使い、悪魔の子守歌を歌うことができる。
具体的には、集めた楽曲の中に埋め込まれた数字を掛け合わせ、今のパラグラフ番号に加えるのだ。

集めた楽譜は「一雫の歌声」「廻る生命讃歌」「死のハミング」だ。

一雫の歌声は、1。
廻る生命讃歌は、3。
死のハミングは、4だろう。

これを掛け合わせ……って、一雫の歌声、なくても問題ないんじゃ?

と、そんな不思議も感じつつも、悪魔の子守歌、完成。
子守歌を口ずさむ。

すると、僕の歌声に、重なる歌声があった。
アグリアだ。

「下手くそね。あたしはこの歌、赤ちゃんの時から歌ってるわ」

知ってたんかーい!
苦労して楽譜を集めた意味っていったい……。
いや。意味はあったはずだ。僕が気づいたからこそアグリアもこの歌のことを思い出したのだから。

そしてこの歌を小さい頃から聞いていたということこそ、アグリアもここで生まれ、ここで育った悪魔との間の子、ということなのだろう。

気づけば、レリアも歌っている。

「あなたにできることは、私にだってできるわ」

最後の赤子ジュディは、歌声に聞き入り、やがてキャッキャと笑い出した。
どうやら、危機は去ったということで良いみたいだ。

そして僕は思う。
1000年前の出来事とはいえ、僕はソロモン王の、そしてアグリアの子孫。
アグリアが悪魔との混血ということは、僕も、血は薄まりながらも、悪魔の血を宿しているということなんだな。
そしておそらく宿敵アゼルも。

次回、スレイマンの壺を手に入れる前に、もうひと波乱が? 体力1点しかないけど大丈夫?

【マルス 技術点4 体力点5→1 運点13→10→11】


■登場人物
マルス 9歳の少年。アゼルに対抗する力を得るため開花の玉座に座り、一千年前の世界に飛ばされる。
アグリア ソロモン王の孫。ソロモン王を救うために動いている。
ミスレン アグリアに付き従うエルフの青年。
ソロモン王 悪魔との約束で、魔天を目指す。現在は囚われ処刑待ち。
ルキフェル 12枚の黒翼を持つ魔神。冒険中一度だけの助力が約束されている。
レリア アグリアの双子の姉。オリオス墳墓で生活しているらしい。


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2020年3月31日火曜日

AFF『ソーサリー・キャンペーン』第6回・虚構の王(Vol.3) No.2624

■AFF2用『ソーサリー・キャンペーン』追加シナリオプロット 第6回■

おはようございます。紫隠ねこです。
これまで『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版』用のシナリオプロットに加えて、
ヒーローたちに力を貸してくれる二人の個性的なキャラクターを紹介いたしました。
ゲームブック版とは異なる強さを持つ「七匹の大蛇」を倒し、マンパンの精鋭部隊を撃破する事にも成功したヒーローたち。
砦では心強い協力者の助けを借りて、各所に配置されたスローベン・ドアを突破した彼らは、その先にある大魔王の塔を目指します。
果たしてヒーローたちは、マンパンの最終防衛ラインを突破する事ができるのでしょうか?


■AFF2用シナリオプロット『虚構の王』(Vol.3)■ 

◆隻眼の拷問人
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の37番の場面に対応するイベントです。ヒーローたちは、黒い塗料で塗られた壁が特徴的な、広い部屋の中に出ます。壁や天井の垂木からは、枷のついた鎖が飾りのように垂れ下がっています。そのうちの幾つかには、白骨化した亡骸が拘束された状態のままになっています。そして家具の代わりに、様々な拷問器具や檻が所狭しと並べられています。部屋の中央には、かがり火が置かれていて、燃え盛る炎の灯りが室内を不気味に照らしています。かがり火の側に、片目に眼帯をしたオーガーが立っています。オーガーの上半身は裸で、ズボンと厚手のブーツを履き、頭には使い古された皮の帽子をかぶっています。その右腕には、古い刀傷の痕が見られます。扉を開ける時の木々が軋む音に気付いた彼は、部屋に入ってきたヒーローたちの方を振り向きます。彼の手には鞭と拷問用のペンチが握られています。

「誰だ! 人の部屋に入る時はノックぐらいしろ、ガキの時に親から教わらなかったのか!」

このオーガーは、マンパンに雇われた拷問人ナッガマンテーです。隻眼であるため、砦にいる者たちからは『サイクロプス』の異名で知られています。彼はヒーローたちの腕につけられた腕章をちらりと見るなり「今からカートゥーム隊長の所に、バロウズ隊の事を報告しに行くのか? 良かったら、アストガルって男が無事なのかどうか尋ねてはくれないか? あいつは俺の親友なんだ。あの部隊に配属されていた」と言います。どうやらヒーローたちの事を、親衛隊に報告できる権限を持った部隊の者だと勘違いしているようです。ここでヒーローたちが適当に相槌を打つなら、彼はヒーローたちの妨害はせず、砦の奥に行く事を許可してくれます。

もしヒーローたちが、レッド・アイの傭兵フォージ(※第5回『アナランドの密偵』を参照)から、ナッガマンテーに関する情報を得ていれば、このオーガーがスローベン・ドアの開け方を知っている可能性の高い人物である事は知っているはずです。しかし、スローベン・ドアについて尋ねると、彼は若干ヒーローたちの事を疑いながら「親衛隊に報告できる立場の者が、どうして扉の開け方を知らないんだ?」と質問してきます。この場合、ヒーローたちが「上官に報告する仕事を任されたのは初めてだから、砦での勝手が分からない」などと言い訳をすれば、彼をごまかす事ができます。その際に、ナッガマンテーは「お前たちの部隊の隊長は、その事について一言も説明しなかったのか?」と問い詰めてきますが、ヒーローたちが断固としてシラを切るなら、彼もそれ以上は追及しません。その場合、彼はため息をついた後「そんなボンクラな奴の下にいるとは気の毒だ。まぁ、何でもいいから手柄をあげて、一刻も早くソイツとおさらばするんだな」と言ってから、ヒーローたちに第三のスローベン・ドアの開け方を、以下のように教えてくれます。

「あのスローベン・ドアは施錠されていないが、扉を開けると猛烈に渦巻く炎を見る事になるはずだ。だが、それは単なる幻覚だ。恐れずに進んでいけ。しかし、ビビったりしていると、そのうち炎が本物のように思えてきてしまう。そんな半端な気持ちで扉をくぐると、幻覚の炎は本物となり、侵入者を容赦なく焼き尽くしてしまうって訳だ。……何? うっかりビビったらどうすれば良いかって? そういう時は、目をつぶって、まったく別の事を考えながら全力疾走すれば良いだけの話だ。たとえば、どうすればグロイスターを美味しく完食できるか、あれこれ知恵を振りしぼってみるとかな。まぁ、マズイと思ったら、深呼吸して気を落ち着かせる事だ」

さらにヒーローたちが、第三のスローベン・ドアが配置された場所について尋ねたなら、彼はそれに関しても親切に答えてくれます。その場合は、以下の台詞を伝えてください。

「その場所だがな、まずこの部屋の奥の扉から出て……いや、右にある扉じゃない。そっちは俺の部屋だ。お前たちが入ってきた所の向かい側にある扉から出るんだ。床にいろいろと仕事道具が置いてあるから、うっかり踏みつけて壊したりするんじゃないぞ! ここを出た先にある庭園を真っ直ぐ抜けて、回廊沿いにずんずん進んでいけば、そのうち三叉路にたどり着く。そこを左に曲がって、真っ直ぐ進んだ突き当りにスローベン・ドアがある。両開きの扉だから、すぐにそれと分かるはずだ」

ナッガマンテーから第三のスローベン・ドアの情報を得たヒーローたちが、拷問室を後にする場合、彼はヒーローたちに「もし、アストガルが治療室のベッドで寝込んでいるようだったら、このナッガマンテーが『ロータグ長老が、お前の書いた本を高く評価してくれたぞ』と言ってた事を伝えておいてくれ。俺からのメッセージを聞けば、アイツもすぐに元気を取り戻すに違いない。俺は少し経ったら、サマリタンの疑いがある鳥人を拷問にかける予定になっているんだ。だから、今晩はアイツの見舞いに行けそうもない」と言います。ヒーローたちは、少し後ろめたさを感じながら拷問室を立ち去る事になります。

もしヒーローたちが、隠し通路を抜けた先にある砦の庭園(39番の場面)から、この拷問室に入った場合、ナッガマンテーは「さっき食事を運んでくるように頼んだ奴とは違うが、スログの所から『象のミートボール』を持ってきてくれたのか? ラベルはちゃんと確認したよな? あの棚の中には、食べれば肉体の変異を引き起こすゲテモノも混ざっているからな。もし俺に何かあれば、お前たちはこのマンパンにはいられなくなるぞ。おいおい、別に脅してる訳じゃない。俺はお前たちの事を気遣って言ってるんだ」と一方的に話しかけてきます。

ヒーローたちが、象のミートボールについて尋ねた場合、彼は「あれは俺の好物なんだが、この部屋から厨房までえらく離れているから、食事はいつも誰かに運んできてもらうんだ。以前『蟻のミートボール』と間違えた奴がいて、その時は、ついカッとなって平手打ちをしてしまった。そいつは治療室で三日間寝込むハメになったんだが、本当に済まない事をした」と言います。この時にヒーローたちが「持ってくる食事を間違えた」と答えれば、彼に嫌な顔はされますが、安全に拷問室を出る事ができます。

スローベン・ドアの開け方について尋ねた場合は、彼から「その先へは何の用事で行くんだ?」と質問されます。この場合、最初のパターンとは違い『上官への報告』と『砦での勝手を知らない』の両方を彼に伝える必要があります。ナッガマンテーがヒーローたちの答えに納得した場合、彼はスローベン・ドアの場所も教えてくれますが、ディレクターは「今、お前たちが入ってきた扉から部屋を出て、その先の庭園を真っ直ぐ抜けて……」という感じに、彼の台詞を変更してください。
ヒーローたちが答えを思いつかずとまどっていると、彼は直感的に、大蛇が報告した密偵がヒーローたちである事を察して、戦いを挑んできます。こうなるとヒーローたちが「いやいや、ちょっと待ってくれ」と彼に言い訳しても、向こうは一切聞き入れてくれません。

もしヒーローたちが、16番の中庭でスローベン・ドアを封鎖されるような状況に陥った事があるなら、彼はヒーローたちが腕章をつけている事に関係なく、アナランドが送り込んだ密偵であると見破ります。中庭の騒動が起きた時に、彼は砦の内部に密偵が侵入してきた事を察し、改めて手配書に記された人相書きを入念にチェックしています。その場合、彼はヒーローたちに向かって「髪を切ったり、服を着替えたぐらいで、俺の目をごまかせるか! お前たちがアストガルを……許せねぇッ!」と強く言い放つと、戦いを挑んできます。
ヒーローたちが、ナッガマンテーと戦う事になった場合、彼は壁の一つに駆け寄ると、ペンチを投げ捨ててから、そこに立て掛けた鋭利な刃のバトルアックスを手に取ります。彼は応援を呼ぶ事はありませんが、非常に手強い相手です。また彼は、できる事ならヒーローたちの誰かを生け捕りにして拷問してやりたいと考えていますが、多勢に無勢の状況であるため、手加減はせず命がけで立ち向かってきます。

ナッガマンテーを倒した場合は、38番のオーガーの私室を調査する事ができます。『ソーサリー・キャンペーン』とは違い、ワナは仕掛けられていません。ベッドの下に置かれた箱の中を調べると『カーカバード年代記』という表題が記された本が見つかります。著者はアストガル・ウィンドスラッシャーという人物のようです。これまでカーカバードの征服を試みた者たちの記録が詳細に書かれており、ページの最初の方にある献辞の言葉には『かけがえのない我が友、"サイクロプス"のナッガマンテーに捧ぐ』と記されています。この本は試し刷りされたもので、この旧世界には三冊しか現存しません。所有者はアストガル、ナッガマンテー、ロータグ長老の三人です。もし、ヒーローたちがこの本をアークレトンに持ち帰れば、カーカバードの歴史を探る貴重な資料として、歴史学者から喜ばれるでしょう。

机の上には、拷問の方法や拷問器具の扱い方が記された羊皮紙の束が積み重なっており、その上には『ナッガマンテーの拷問の書』という表題の本が重しとして置かれています。ヒーローたちは知りませんが、この羊皮紙の束は、改訂版の教本のために用いられる原稿です。またベッドのマットレスをめくると、そこから羊皮紙の切れ端が見つかります。そこには『三番扉・あってなきが如し』と雑な文字で一文が書かれています。これは第三のスローベン・ドアを突破するヒントになっています。


◆隻眼の拷問人(※アストガルが同行していた場合)
アストガルがヒーローたちに同行していた場合、拷問室に通じる扉は施錠されています。ヒーローたちが、部屋の中から苦痛の声があがるのを耳にすると、アストガルは若干落胆した表情を浮かべながら「友に最後の挨拶だけはしておきたいと思ったのだが、どうやら仕事を始めてしまったようだ。こんな形で別れる事になって済まない、どうか俺の事を許してくれ」と言って、軸に複雑な装飾が施されたペンを懐から取り出し、それを扉の格子がはめられた覗き窓から部屋の中へと投げ込みます。どのようにしてオーガーの拷問人と仲良くなったのか、アストガルはその事に関しては詳しく語ろうとはせず、ヒーローたちには「ちょっとしたきっかけが縁の始まりだ。人との出会いとはそういうものだ」としか言いません。またアストガルに、友人の仕事について尋ねた場合、彼は苦しげな声が聞こえてくる拷問室の扉を顎で指し示すと「察してくれ」とだけ言います。
施錠されている扉を魔法や【開錠】の特殊技能で開ける事は可能なのですが、そうしようとした場合、彼は「君たちにとって時間は貴重なものだ。今は先を急ぐべきだろう」とヒーローたちを急かそうとします。

もし、ヒーローたちがすでに拷問室を訪れた事がある場合、ヒーローたちが庭園から拷問室に向かおうとすると、アストガルは「俺が治療室に担ぎ込まれてから随分時間が経っている。外輪門で起きた戦いの事が、砦の中にいる者たちに知れ渡っていてもおかしくはない。衛兵の詰所があるメインホールを横切るのは危険だ。西側の回廊からでも、第三のスローベン・ドアに向かう事はできる。巡回中の小隊に出くわすかも知れないが、その時は親衛隊への報告を建前にやり過ごすつもりだ。さあ、急ぐとしよう」と言って、ヒーローたちを急かします。そして庭園を後にする時、彼は一度だけ東側の回廊の方に顔を向けると「友よ、こんな形で別れる事になって済まない。どうか俺の事を許してくれ」と呟きます。もう彼は後戻りをしようとはしません。


◆隻眼の拷問人(※銀星が同行していた場合)
銀星がヒーローたちに同行していた場合、拷問室に通じる扉は施錠されています。銀星が拳で扉の表面を軽く叩いて「誰か、おりませぬか」と呼びかけると、扉の格子がはめられた覗き窓越しに、眼帯をした隻眼のオーガーの顔が現れます。拷問人のナッガマンテーは「今は取り込み中だ!」と怒鳴った後で、相手が銀星だと気付くと「バロウズの部隊が全滅したと聞いた。お前と後ろの連中が生きているという事は、密偵に皆殺しにされずに済んだという訳だな。しかし、まさかアナランドが、ラザックの末裔のような連中を送り込んでくるとは……。大魔王も、大事をとってバロウズ隊だけでなくパンガラを外輪門の守りにつかせておけば、このような事態にはならなかった。それよりアストガルの奴はどうした? お前が無事なら、アイツも大丈夫だと思っているが」と不安気な表情を浮かべながら言います。彼は、ヒーローたちが砦に潜入できたのは、女族サチュロスの戦士団の協力があったおかげだという事実を知りません。

ナッガマンテーの質問に対して、銀星は少し視線をそらした後、再び彼の方を見て「治療室で目を覚ました時には、私しかおりませんでした」と答えます。オーガーは「と言う事は、お前よりも怪我の度合いが軽かったんだろう。アイツは剣を取って戦う事よりも、書き物の方が好きだからな。きっと原稿の手直しでもしているに違いない。この仕事を終えたら、アイツの部屋に立ち寄るつもりだ。お前も今日は大変だったな、ゆっくり休めよ」と言うと、扉から離れて部屋の奥に向かっていきます。少し経つと、部屋の中から誰かの苦痛の声があがるのが聞こえるようになりますが、ヒーローたちが小さな覗き窓越しに中の様子を見ても、何が起きているのかは良く分かりません。
ナッガマンテーが去ると、銀星は「私が真実を申さなかった事、どうか、ひらにご容赦ください」と言って、一度だけ深々と頭を下げた後、ヒーローたちに「西側の回廊を進む事にいたしましょう。そちらからでも、第三のスローベン・ドアに着到する事はできまする」と声をかけます。

ヒーローたちに【世界の知識】の特殊技能を持っている者がおり、判定に成功すれば、オーガーが口にした「ラザック」という名の人物が、百年前にアランシアを恐怖に陥れた死霊術士である事が分かります。ラザックは、自らの魔法の技量を世に示すために、アランシア各地に疫病と飢饉をもたらし、支配という名目の虐殺を行いました。そして、クルという名の人間の勇者が死霊術士を討つまでの間、ラザックに戦いを挑んだ数多くの勇敢な戦士が命を落としました。この事件によって、ラザックの悪名はタイタンに広く知れ渡る事になりますが、アランシアの支配を企てる他の悪の魔術師たちとは違い、彼は善と悪の区別なく殺戮数のカウントを増やしただけに過ぎず、破壊と混沌の痕跡を除いて、後の時代に何も残しませんでした。彼の所業に喜ぶ者がいるとすれば、それはタイタンを手中に収めようと画策を練る、黄泉の世界(魔界)を統べる権力者である魔王子たちだけでしょう。ナッガマンテーは、殺戮者の代名詞としてラザックの名を口にしたのです。
なお、クルの正義の刃によって倒されたラザックの死体は石棺の中に封印され、アランシア北西部の開拓された土地から東の辺境に向かった先にある月岩山地の奥地に安置される事になりました。しかし、これは一時しのぎに過ぎません。暗黒の魔術によって死を超越した者を簡単に滅ぼす事はできないのです。万が一にも、完全なとどめを刺す方法を発見する前に、ラザックが長きに渡る眠りから復活するような事があれば、それはアランシアの人々にとって恐ろしい出来事となるでしょう。今はただ、忌まわしき死霊術士が永遠に目覚めない事を祈るしかありません……。

もし、ヒーローたちがすでに拷問室を訪れた事がある場合、銀星が部屋の外から「誰か、おりませぬか」と呼びかけても、扉の側には誰もやって来ません。ナッガマンテーを倒していなければ、部屋の中から「今は取り込み中だ。用があるなら後にしろ!」と怒鳴り声が聞こえてくるだけです。この場合、どちらの展開であっても、銀星は時間を無駄にするような事は避け、ヒーローたちに先に進むようにうながします。


◆聖所
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の41番の場面に対応するイベントです。掃除の行き届いた小部屋には、テーブルと二脚の椅子が置かれています。部屋には誰もおらず、奥に扉が見えますが、開くかどうか試してみると施錠されている事が分かります。普段この場所には、マンパンの癒し手が待機していますが、今は砦の厨房にいます。厨房で火災が発生し、幸いにも大きな被害が出る前に消火はできたのですが、その際に数名の使用人が酷い火傷を負ってしまったので、彼らの治療に向かったのです。奥の扉は治療室(※後述の『残された者』を参照)ですが、ベッドには誰もいません。

もしディレクターが、ヒーローたちを「バロウズ隊」の唯一の生存者と会わせようとしているか、あるいはブロンウィンが衛兵に捕まるか死亡している場合、厨房では火災は発生せず、この聖所には一人の癒し手の青年がいます。彼はヒーローたちの顔を見るなり「確か君たちは、砦の外庭で僕の治療を受けた人だっけ? その様子だと怪我は大した事がなかったようだね。同じ部隊の仲間に面会に来たのかい? 容態はだいぶ落ち着いてきたから、少しの間だけなら話していくといい。君たちの顔を見れば、少しは元気も出るだろう」と言います。彼は手配書をよく見ておらず、ヒーローたちが密偵である事には気付いていません。たとえ16番の中庭でスローベン・ドアが封鎖される騒ぎがあったとしても、聖所で待機している彼は、その事を知りません。

彼の申し出を丁寧に断って聖所を出るか、あるいは外輪門の激戦での唯一の生存者と面会するかは、ヒーローたちの自由です。もし砦の中での戦闘によって、ヒーローたちが負傷を負っていた場合、この癒し手から応急処置をしてもらう事ができます。


◆残された者
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の42番の場面に対応するイベントです。ヒーローたちは、清潔なベッドが並べられ、掃除の行き届いた少し広い部屋に出ます。この場所は、砦の治療室です。それぞれのベッドの脇には、何も入っていない小棚が置かれています。ベッドのうちの一つに、誰かが横になっています。この人物は、ヒーローたちがマンパンの外輪門で戦った「バロウズ隊」の唯一の生存者であり、それはアストガル・ウィンドスラッシャー、あるいは余呂銀星のどちらかです。

アストガルは上半身が裸で、腕や胴体には包帯が巻かれています。銀星は袖のない質素な長衣だけを着ている状態ですが、もしかしたら長衣姿とは別の格好をしているかも知れません。彼女もまたアストガルと同様に、体のあちこちに包帯が巻かれています。彼らのプロフィール(※第4回『虚構の王(中編)』を参照)を見る限りでは、どちらも大魔王への忠誠のために戦っている訳ではありません。ディレクターが彼らに新しい道を示してあげたいのなら、そのようにしても構いません。ただし、彼らは重傷を負っているため、傷が癒えるまではベッドから離れる事ができず、ヒーローたちに同行する事はできません。

部隊の生存者がアストガルだった場合、ナッガマンテーから頼まれた言付を伝えると、彼は非常に喜びますが、その本が『カーカバード年代記』である事は語らず、ヒーローたちには「著書の出来について、カーレに住む知識人の意見をうかがったのだ」としか言いません。本の内容について尋ねても、専門的なものだから説明するには長くなってしまうと話題をはぐらかされてしまいます。

もし冒険の中で、ブロンウィンだけが衛兵に捕まってしまうか、あるいは戦闘で死亡するといった、パーティから離脱している状態であれば、ディレクターはパーティの戦力を補うために、彼らをヒーローたちに同行させる(※後述の『新たなる仲間』を参照)事もできます。その場合、彼らは癒し手の努力のかいもあって、ある程度は体が動かせるように体力が回復しています。そして、彼らは部屋の外にいる癒し手を呼び、ベッドまで自分の衣服と装備を運んでくるように頼むでしょう。この時、アストガルはその場で胴着を着込みますが、銀星は男性のヒーローたちに「今から着替えますので、殿方は部屋の外でお待ちになってください」と言います。

もしヒーローたちが、自分たちが砦に潜入した事を密告されるのを恐れて、ベッドで安静にしている彼らに攻撃を仕掛けた場合、このバロウズ隊の最後の生存者を簡単に殺す事ができます。しかし、敵陣とは言え、実際には敵意がなく、そして≪王たちの冠≫を取り戻す任務に力を貸してくれる可能性があった人物を手にかけてしまった事になるので、この場合はヒーローたち全員の運点を2点減らさなければなりません。


◆新たなる仲間(※ブロンウィンが離脱しており、アストガルをパーティに同行させる場合)
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の42番の場面に対応するイベントです。胴着を身につけたアストガルは、黒い衣服の上に使い慣れたレザー・キィラスを着込み、剣帯に細身の剣を収めた鞘を吊るします。そして、その上に服と同じ色をした袖のないクロークを羽織り、自分のバックパックを背負います。肩の辺りまで伸ばした銀髪と金色の瞳、そして武具とバックパックを除けば黒一色の外見で、彼の姿を目にした者には、闇夜で獲物に狙いを定める黒狼を思い起こさせ、若干ながら威圧的な印象を与えます。外輪門の戦いで剣を交わした黒エルフの魔剣士が同行を求めてきた事に、ヒーローたちは驚かされますが、どうやら彼も≪王たちの冠≫を取り戻すという任務に協力してくれるようです。

「これまでマンパンは、順調にカーカバードの統一を進めてきた。それにも関わらず、何故≪王たちの冠≫の力を当てにしようとするのか、俺は大魔王の真意が知りたい。己の魔法の技量に酔いしれて、領土の支配という本来の目的を見失い、破壊と混沌しか生み出さなくなったアランシアの死霊術士ラザックのような男ではないと俺は思っている。何か決定的な理由があるはずだ。そして、それこそが、俺が求める最後のピースとなる。砦の最深部に行くには、おそらく大魔王の親衛隊と一戦交える事になるだろう。俺一人の力ではどうにもならないが、あのバロウズと銀星を打ち倒した君たちの実力があれば、突破口を開く事ができるかも知れない」

アストガルは、アナランドから強奪された≪冠≫の事よりも、マンパンの大魔王が何を考えてそのような行動に出たのかが気になっているようです。とは言え、砦の最深部へ向かうという目的は、ヒーローたちと共通しています。

「マンパンを裏切る事にはなるが、元々俺は部外者のような立場にある黒エルフだ。砦を守る事よりも、カーカバードに挑んだ征服者たちの動向を知る事が、何よりも重要だと考えている。そうするのはフェンフリィ同盟のためではない。俺自身のためにやっている事なのだ。親衛隊の地位にのし上がらなかったのも、彼らと違って比較的自由に砦の中を移動できるからというだけに過ぎない。……出発の準備も済んだ事だ、そろそろ行くとしよう。君たちも、この場所でいつまでも時間を潰しているつもりはないだろう?」

これ以降、アストガルがパーティに同行するようになります。彼は妖術の使い手でもありますが、触媒となるアイテムは所持していません。ディレクターが望むのであれば、彼に必要な触媒を持たせるために、ナイロックの店に立ち寄らせても良いでしょう。その場合、彼は自分にとって必要な触媒を購入しますが、その代金は自分の財布から出します。しかし、ヒーローたちに金貨を貸す事には難色を示します。
なおアストガルは、第三のスローベン・ドアの開け方と、暗闇に包まれた『夜の小部屋』(45番の場面)を明るくする照明スイッチの場所を知っており、商人のナイロックとも顔見知りです。『夜の小部屋』は、照明スイッチを押す事で、床から突き出した刃が引っ込む仕掛けになっているため、ヒーローたちは安全にワナの部屋を通過する事ができます。


◆新たなる仲間(※ブロンウィンが離脱しており、銀星をパーティに同行させる場合)
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の42番の場面に対応するイベントです。藤色の着物と紺色の袴を身にまとった銀星は、両脚に脚甲を付けた後に、着物の上に漆塗りのレザー・ホバークを着込み、鞘に収められた剣と短剣を腰帯に挟み込んでから、バックパックを背負います。そして最後に、自分の額に白い鉢巻を締めます。外輪門の戦いで剣を交わした八幡の女サムライが同行を求めてきたので、ヒーローたちは驚かされますが、どうやら彼女も≪王たちの冠≫を取り戻すという任務に協力してくれるようです。もしパーティに男性のヒーローがいた場合、治療室の方から銀星の「お待たせ致しました」という声が聞こえてきます。聖所で待っていた彼らが扉を開くと、そこにはすでに身支度を整えた彼女の姿があります。

「八幡のサムライは、全ての名誉を失えば自らの命を断たねばならぬ掟なれども、私には、それが本当に正しき事であるのか分かりませぬ。たとえ恥辱にまみれたとしても、この命がある限り、名誉ある行いを果たす事はできるはず。私はそう思うております。貴方たちが申している≪諸王の冠≫は、城の天守閣に保管されている事には相違ありませんが、そこに向かう前に、大魔王殿の親衛隊と切り結ぶ事になるでしょう。私一人の力では限界がありますが、バロウズ隊長とアストガルを打ち倒した貴方たちの戦いの技があれば、天守閣に着到いたす事も決して不可能ではないと思うております」

八幡出身である銀星は、タイタンの共通語には完全に慣れていないらしく、その言葉には八幡特有の訛りが含まれており、そしてアナランドから強奪された魔法の品の事を≪諸王の冠≫と呼んでいます。ただし、これは≪冠≫の正式な名称としては間違っていません(※『ソーサリー』の原書では、≪王たちの冠≫の事を「Crown of Kings」と表記しています。また創土社版『ソーサリー』では「諸王の冠」という名称になっています )
彼女は≪冠≫の事には執着していませんが、砦の最深部へ向かうという目的は、ヒーローたちと共通しています。

「貴方たちは、マンパンに背を向けた私の事を、中立に属する者たちのように心が移ろいやすい女子と思うておられるかも知れませんが、私はこの地においての義理を果たしました。外輪門の戦いが、これまでの私にとって最後の戦となったのです。しかしながら、私はこの城を去る前に、『風の蛇』パンガラと決着をつけねばなりませぬ。私は名誉なきサムライなれど、本来サムライとは主君に忠義を尽くす戦士であり、そして主君が誤った道を突き進もうとするのであれば、それをいさめるのが務め。そのお役目を放棄したとなれば、大魔王の忠臣であるパンガラは、逆賊となった私を地の果てまで追いかける事でしょう」

「すなわち『七匹の大蛇』を乗り越えぬ限り、私が先へと進む事はまかりならぬのです。八幡の戦神、毘沙門天(びしゃもんてん)に誓って、私は来るべき戦いを避けるような真似はいたしませぬ。……それでは参りましょう、八幡には『先を打ちて制するは龍陣の如く』という格言がありますゆえ」

ヒーローたちの中に【世界の知識】の特殊技能を習得している者がいた場合、判定に成功すれば、銀星が口にした格言には「事態の解決を望むなら、自らが迅速に行動を起こすべきである」という意味が込められており、戦場において連続攻撃に適した陣形が、八幡では「龍陣」と呼ばれている事が分かります。また【宗教の知識】の特殊技能を習得している者がいた場合、判定に成功すれば、毘沙門天が八幡で信仰される七柱の神の一人であり、勇気と戦いを司る神テラクの別名である事が分かります。

これ以降、銀星がパーティに同行するようになります。銀星は幼少の頃からサムライとしての規則だけでなく、魔法の知識に関しても教え込まれたので、【魔法の知識】の特殊技能をランク1まで習得しています。ただし、魔法の扱い方を学ぶ機会に恵まれなかったため、彼女は魔法を一切使用する事はできません。
なお銀星は、第三のスローベン・ドアの開け方と、暗闇に包まれた『夜の小部屋』(45番の場面)を明るくする照明スイッチの場所を知っており、商人のナイロックとも顔見知りです。『夜の小部屋』は、照明スイッチを押す事で、床から突き出した刃が引っ込む仕掛けになっているため、ヒーローたちは安全にワナの部屋を通過する事ができます。


◆ナイロックの店
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の40番の場面に対応するイベントです。ヒーローたちが扉を開くと、壁に様々な品を収めた棚が幾つも並んでいる商店と思わしき部屋に出ます。部屋の隅にある机の奥には、黄色い肌をした太った商人が、背もたれつきの装飾が施された椅子に腰かけており、煙草のパイプを吹かしています。見慣れない顔の者を目にした事もあってか、彼はヒーローたちに対して、訝しげな視線を向けています。この部屋は、マンパンの資材調達を任されている商人ナイロックの店です。彼は外輪門で戦いが起きた事は知っていますが、侵入者を捕まえるのは衛兵の仕事だと考えているため、手配書をよく見ておらず、ヒーローたちが密偵である事には気付いていません。普通に買い物をするだけなら、ここで購入できる品は『ソーサリー・キャンペーン』と変わりありません。

もし、アストガルあるいは銀星がヒーローたちに同行していた場合、彼はヒーローたちの新たな仲間に向かって「治療室に担ぎ込まれたと聞かされた時は、私も心配になったが、その様子だと大事には至らなかったようだな。バロウズが亡くなったのは、本当に残念だ。彼が砦に戻ってきたら、グアーシュの中のグアーシュ『グリム・スレイヤー』を仕入れた事を伝えてやりたかったんだが、あの銘柄のラベルを見るたびに、私も寂しい気持ちになるよ。他の者たちは部隊の生き残りなのか? 今後は、君が隊長となって彼らを率いる事になるんだな。誇り高い好漢だけでなく、多くの仲間も失ってつらい時かも知れないが、気を落とさずに頑張ってくれ」と言います。

アストガルあるいは銀星が同行している場合に限り、ナイロックは『血のロウソク』や『銀貨』といったデメリットだらけの商品を売りつけるような事はしません。また彼は、ヒーローたちの新たな仲間と顔馴染みなので、少し値引きをしてくれたり、あるいはリストには記されていない商品を売ってくれたりもするでしょう。彼が取引をどのように優遇してくれるかは、ディレクターが自由に決めてください。ちなみにグアーシュとは、オークにとってのエール酒です。緑がかったピンク色をしているこの酒は、非常に度数が強いため、普通の者が飲めば、たちどころに胃腸を壊してしまう羽目になります。


◆最後のスローベン・ドア
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の45番の場面に対応するイベントです。漆黒の部屋を抜けたヒーローたちは、横幅の広い通路に出ます。通路の突き当たりは狭い戸口になっており、扉は設けられていないようです。ブロンウィンは戸口の側の壁を指差すと、ヒーローたちに「あそこから、向こうの部屋の様子を探った方が良いかも知れない」と小声で言います。壁に身を潜めながら戸口の向こうをのぞくと、その先は東西に長い部屋になっており、北側の壁に扉が二つ見えます。それぞれの扉の脇には、松明が掛けられており、部屋は比較的明るくなっています。ヒーローたちから見て戸口から近い方の扉は、鉄の帯で補強がされた頑丈な作りの樫の扉です。部屋の奥にある方は、装飾が施された金属製の扉で、両開きになっているようです。

金属製の扉の前には、重武装した二人の衛兵が立っており、その左腕には赤地に黒いユニコーンの頭を描いた腕章をつけています。彼らはチェインメイル・ホバークを身につけており、その上から赤地のタバードを着込んでいます。タバードには、腕章と同様の黒いユニコーンの紋章が刺繍されています。そして頭には、頭部を完全に覆う金属製の兜を着用しています。腰に巻いた剣帯には剣が収まった鞘が吊るされていて、左手にはラージ・シールドを持っています。門番の片割れは、人間やエルフよりも体格が一回り大きく、兜をかぶっているため素顔は見えませんが、おそらくトロールかオーガーだと思われます。その事からマンパンの防衛にあたる者たちが、必ずしも人間とは限らない事をヒーローたちは実感します。二人の門番の姿を確認したブロンウィンが、ヒーローたちに囁きます。

「奥にある扉、あれはスローベン・ドアじゃないのか。しかし、どうやって開ければいいんだ」

この状況だと、すぐにでも二人の衛兵を叩きのめして、スローベン・ドアの開け方を白状させたくなるかも知れませんが、それは無謀な行動です。ヒーローたちの近くにある樫の扉の向こうは、六人の親衛隊が待機している詰所になっており、その奥にある衛兵隊長の私室には、カートゥーム隊長と彼の護衛を務める一人の親衛隊がいる状態なのです。迂闊に部屋の中に飛び込めば、すぐに親衛隊に包囲されてしまいます。ラージ・シールドを持っていないのは、大きな鍵を持った一人だけですが、彼らに拘束される事態になれば、敵地の奥まで踏み込んだヒーローたちが助かる可能性はゼロに近いと言っても良いでしょう(※残る一人は、カートゥームの私室につながる扉を守ろうとするので、ヒーローたちが戦っている部屋まではやって来ません)

どうするべきかヒーローたちが判断に迷っていると、間もなく転機が訪れます。奥の方の扉からガチャリと大きな音がすると、両開きの扉が左右に滑るように開いていき、そこから大きな鍵を手にした別の親衛隊が一人姿を現します。彼の武装は、ラージ・シールドを持っていない事さえ除けば、他の親衛隊と同様です。少し経つと扉は自然に閉まり、鍵を持った者と、門番を務めていた二人が何やら雑談を始めます。ヒーローたちが【感知】の判定に成功した場合、以下のような内容が聞き取れます。

「バロウズ隊の件について、大魔王様への報告を済ませてきた。それにしても、まさか精鋭部隊がやられるとは……」

「本当にやったのは例の密偵なのか? 手配書を見る限り、あんな連中に正面突破ができるとは思えないが」

「もしかしたら部隊の中に『シンのサマリタン』とつながっている奴がまぎれ込んでいたのかも知れない。そうでなければ、全滅する事はまずあり得ない。……そう言えば、そろそろ交替の時間だったな。俺はデーンとラングに声をかけてくる。お前は少し休んでから来い。雄羊の広間にいるだけでも疲れただろう」

「ああ、そうさせてもらう。正直な所、あの広間は通りたくない。いつ手違いで殺されるか分かったものじゃない」

会話の内容が聞こえていようと聞こえていまいと、三人の親衛隊のうち門番を務める一人が樫の扉の方へと歩いていき、部屋の中へと姿を消します。相手に一声かけるだけの用事の割には、すぐには出てこないようです。ヒーローたちには何が起きているのかは分かりませんが、実際には砦の警備をさらに厳重にするために各スローベン・ドアの前に衛兵を配備するべきかどうかを、詰所に控えている仲間たちと相談しています。それからしばらくして、彼らはカートゥーム隊長にも意見をうかがおうとするので、交替の見張りが部屋の外に出るまでさらに時間がかかります。ヒーローたちが、親衛隊からスローベン・ドアを開けるための鍵を奪うのであれば、そのチャンスは今しかないでしょう。

それでもさらに待っている場合、鍵を手にした親衛隊が「声をかけるだけなのに随分遅いな、鍵を返すついでに様子を見てくる」と言って、詰所に通じる樫の扉の方へと歩いていきます。彼が詰所に入ってしまえば、せっかくここまで進んできたヒーローたちの努力が全て水の泡となってしまいます。このような差し迫った状況であっても、まだヒーローたちが動こうとしないなら、ブロンウィンが「鍵を奪うのは今しかない。私が先陣を切る!」と言うなり、鍵を持った親衛隊に向かって突撃を仕掛けます。こうなるとあまりに慎重過ぎるヒーローたちも、彼女と共に血路を開くより他はありません。

親衛隊と戦闘を開始してから数ラウンドが経過すると、詰所にいた者たちも騒ぎに気付いて、部屋の外に飛び出してきます。もし鍵を持っていた親衛隊が樫の扉に向かっていたのであれば、彼らが騒ぎに気付くのはもっと早くなります。ただし部屋の横幅が狭いので、ヒーローたちも親衛隊も、前衛で戦う事ができるのは三人までです。また戦いが始まったばかりの頃は一人しかいませんが、ラージ・シールドを持った重武装の親衛隊は非常に厄介です。ヒーローたちが彼を打ち倒すのであれば、武器よりは魔法の力に頼るべきでしょう。なお親衛隊に【骨抜き】の魔法や【衰弱】の神術をかけた場合、魔法の効果の対象は一人ずつですが、彼らは装備の重量を支えきれなくなり、すぐに床の上に倒れてへばってしまいます。相手を無力化させるのであれば、これが一番ベストといえる行動でしょう。

鍵を持った親衛隊と門番の二人を倒すか、あるいは無力化させた場合、すぐにブロンウィンが親衛隊の手から鍵を奪い取り、スローベン・ドアを開けようとします。たとえ詰所から増援が出ていたとしても、スローベン・ドアの方を守る者がいないので、彼女は扉を開きに行く事ができます。錠前に差し込んだ鍵を右に半回転させると、扉のロックが解除されるガチャリという音が鳴り、両開きの扉が開くのですが、指一本が通るか通らないかぐらいの隙間が出来た所で、開く動作が止まってしまいます。

「どうなっているんだ!? さっきは普通に開いたのに……」

ブロンウィンは槍を扉の表面に立て掛けると、隙間から扉の縁に両手の指を引っかけて、力技でスローベン・ドアをこじ開けようとします。彼女が扉の片側に力を入れると、仕掛けが連動しているのか手を触れていない側の扉も開き始めます。しかし渾身の力を込めているにも関わらず、目に見えてゆっくりとしか開いてくれません。ヒーローたちは知りませんが、実は鍵の回し方が間違っています。正しくは鍵を右に一周させてから、左に一周させて、最後に右に半回転させる事でスムーズに開いてくれます。鍵を右に半回転させただけでは、扉のロックは解除されるもの、今のような状況に陥ってしまいます。これは侵入者が容易に最深部に行くのをふせぐためのワナなのです。

ヒーローたちの一人がくぐれるだけの隙間を作る場合、技術点チェックを行ってから、その成功度(判定の成功に必要な基準値を下回った値)に+1した値を書き留めていってください。この値は扉を開けようと試みるたびに累積していきますが、失敗しても減る事はありません。またヒーローたちが扉を開けようと試みる場合、そのような行動を取ったヒーローが技術点チェックを行える回数は、1回の戦闘ラウンドにつき一度だけです。その値の合計が一定値以上になれば、ようやくヒーローたちが通れるだけの隙間を作る事に成功します。ブロンウィン一人の力だけでは、かなりの時間がかかってしまうでしょう。力に自信のあるヒーローが彼女に代わって作業を行うか、あるいは協力して扉を開く必要があります。このような時、魔法の力は非常に役立ってくれるでしょう。

詰所から増援の親衛隊が姿を現してから、さらに1ラウンドが経過すると、詰所から新たな一人の親衛隊と共に、長身ですらりとした体格の男が姿を現します。彼は他の者とは違って兜はかぶっておらず、肩の辺りまで髪を伸ばした厳格な印象のする顔立ちをしています。どうも旧世界の人間とは顔の特徴が異なるようです。もしヒーローたちの中に【世界の知識】の特殊技能を持っている者がいるか、あるいはアランシア出身の冒険者がいる場合、彼が旧世界の東に広がる『西の海』を越えた先にあるアランシア大陸の人間である事が分かります。彼はすべての衛兵たちの指揮を任されているカートゥーム隊長で、ヒーローたちの戦いの様子を見守っている部下の一人と以下のような会話を交わします。これは【感知】の判定をせずとも、ヒーローたち全員が聞く事ができます。またカートゥーム隊長は、他の親衛隊とは違ってラージ・シールドを装備していません。

「一体何の騒ぎだ!」

「カートゥーム隊長、ザメン高地でパンガラが目撃した例の密偵です! すぐに我々の手で片付けます!」

「待て、一人は生け捕りにしろ。アナランドと交渉するためのカードとして使える」

「分かりました。……おい、一人は生け捕りだ! 全員殺すんじゃないぞ!」

カートゥーム隊長と、戦いに参加できない親衛隊たちは、離れた場所から経過を見守る事になるので、ヒーローたちが一度に全ての親衛隊を相手にする必要はありません。少なくともカートゥーム隊長、そして彼の護衛を務める一人の親衛隊は決してヒーローたちと交戦しようとはしません。もし形成が不利と見れば、二人は45番の部屋を経由して逃走します。彼らは『夜の小部屋』の室内を照らすための仕掛けがどこにあるのかを知っているため、移動に手間取る事はないのです。

シナリオに参加しているヒーローが三人の場合、おそらく一人がブロンウィンと共同作業にあたり、残る二人のヒーローが三人の親衛隊を相手に戦う事になるでしょう。一人の敵を倒しても、新たな親衛隊が戦闘に参加するので、ヒーローたちがこの場面で敵に勝利するのは非常に難しくなっています。【防御専念】の戦闘オプションを使って、敵の猛攻に耐えるべきでしょう。

ヒーローたちがくぐれるだけの隙間ができると、ブロンウィンは「私が敵をおさえる、早く入るんだ!」とヒーローたちを急かし、殿の役割を務めようとします。ヒーローたちの誰かがスローベン・ドアをくぐると、乱戦の中でカートゥーム隊長とその部下が何やらまくし立てている声が聞こえてきます。【感知】の判定に成功すれば、以下のような内容を聞き取る事ができます。

「……隊長、大変です! 部屋に押し込めていたミュータントたちが脱走しました!」

「何、またか? ニブダムは役に立たんな。捕獲は他の部隊に任せろ、今はそれどころではない」

「で、ですが……、ミュータントを解き放ったのは、どうやらオズワルド隊とキアラ隊の仕業らしくて……」

「何だと! それはどういう事だ!」

ブロンウィン以外のヒーローたちが、スローベン・ドアをくぐると、殿の役割を務めているブロンウィンが必死に応戦する姿を目にします。両手で構えた硬木の槍の穂先を敵に向かって突き出し、時には薙ぎ払い、迫る親衛隊たちを一歩たりとも寄せ付けません。ヒーローたちが声をかけた場合、ブロンウィンは「分かった! 私も行く!」と言うと、槍の穂先の近くと柄の端の方を持ち、床を強く踏み込むと同時に上半身をひねって、槍の石突きの部分で親衛隊の頭に強烈な一撃を加えます。彼女の相手をしていた親衛隊がバランスを崩した隙に、彼女はスローベン・ドアをくぐります。ヒーローたちが声をかけない場合、彼女は自分の相手をしていた親衛隊の腹を強く蹴りつけ、敵がひるんでいる隙にスローベン・ドアをくぐります。どちらの選択をしても結果は変わりませんが、ヒーローたち全員がスローベン・ドアの先にある部屋に入ると、自然に扉が閉まってしまいます。

扉が閉まる寸前にヒーローたちは、カートゥーム隊長が大声で部下に命令を下すのが聞こえます。その内容は若干聞き取りづらいのですが、これも【感知】の判定に成功する事で、言葉の内容を知る事ができます。判定に成功したヒーローがいた場合、以下の台詞を伝えてください。

「こうなれば、密偵の始末は『眠れぬラム』に任せるしかない。それよりも、ただちに第一から第三のスローベン・ドアを封鎖するよう他の部隊に通達を出せ! 胸壁で見張りを務めるベルガの鳥人たちに召集をかけて、反乱分子の鎮圧にあたらせろ!」


◆最後のスローベン・ドア(※アストガルが同行している場合)
アストガルが同行している場合、第四のスローベン・ドアが設けられた部屋で、ヒーローたちが鍵を持った親衛隊の姿を目撃した時に、彼は行動を起こします。彼はヒーローたちに「あいつらには顔が利く。この場は俺に任せろ」と言うと、鍵を持った者と門番を務める二人に早足で近付き「バロウズ隊に所属していたアストガルだ。ミュータントが脱走して、こちらの方に押し寄せている。連中は馬鹿だから第三のスローベン・ドアでは止める事ができないし、その癖、二週間前の脱走騒ぎで『夜の小部屋』の照明スイッチの操作を学習している事も明らかになっている。元がゴブリンとは言え、たった数人で捕獲できるような相手ではない。その鍵は俺が返しておくから、詰所にいる者たちにも声をかけてくれ」と言います。

彼からそのように聞かされた三人の親衛隊は、言われるままに鍵を手渡すと、慌てた様子で詰所の扉へと駆けていきます。三人が部屋の中に入ると同時に、アストガルは身振りで「早くこっちに来い」とヒーローたちに合図をし、スローベン・ドアを正しい手順で開けてくれます。アストガルが最後のスローベン・ドアを開いた時、彼以外のヒーローたち全員に「運だめし」を行わせてください。全員が成功すれば、安全に48番の部屋へと侵入できますが、失敗したヒーローがいた場合、その者は詰所から出てきた親衛隊に行く手をふさがれてしまいます。他のヒーローたちは、その者を合流させるために、数ラウンドの間だけ敵の注意を引きつけなければならないでしょう。

なおヒーローたちは知りませんが、カーカバードに挑んだ征服者たちの情報を集めているアストガルは、定期的に門番を務める親衛隊の元を訪れて、彼らから砦の内情と大魔王の動向について教えてもらっています。大魔王も、この黒エルフのライフワークには理解を示しており、重要性の高い情報でなければ伝えても構わないと親衛隊に通達しています。このような事情もあって、アストガルは砦の最深部まで行く事はできないものの、親衛隊と対等の立場で話せる関係になっています。最後のスローベン・ドアの開け方も、親衛隊が鍵を錠前に差し込む状況に出くわすたびに、彼らに気付かれないように横目で確認していたので、その手順をしっかり記憶に焼きつけています。

精鋭部隊である「バロウズ隊」に所属している事も幸いして、親衛隊には、自分の行動を大目に見てもらっているアストガルですが、親衛隊を束ねるカートゥーム隊長は、彼の事を心の底からは信用していません。いつの日か、彼がマンパンにとって大きな厄介事を持ち込むのではないかと危惧しています。皮肉にも、アストガルがヒーローたちと行動を共にした事で、カートゥームの悪い予感は的中してしまった事になります。


◆最後のスローベン・ドア(※銀星が同行している場合)
銀星が同行している場合、彼女は幽閉塔にいるラドルストーンの研究者ファレン・ホワイドに夕食を運ぶ仕事を任されています。ヒーローたちにとっては運の良い事に、もうすぐその時間になります。第四のスローベン・ドアが設けられた部屋で、ヒーローたちが鍵を持った親衛隊の姿を目撃した時に、彼女は行動を起こします。彼女はヒーローたちに「私が刀を抜きましたなら、ご助力をお願いいたします」と言うと、鍵を持った者と門番を務める二人に近付いて会釈をします。すると彼女の姿に気付いた三人の親衛隊は「ああ、もうそんな時間か」と言います。

門番の一人が彼女に向かって「銀星、病み上がりの所、追い討ちをかけるようで済まないが、アナランドの密偵に外輪門の突破を許してしまった以上、降格はまぬがれないと思った方がいい。だが、こちらとしては、今までのように塔の上まで食事を運んでもらいたい。少しは息抜きさせてやらないと、仕事の成果が上がりそうにないからな。カートゥーム隊長の許可は取ってあるから、今後もスローベン・ドアの事は気にしなくていい」と声をかけると、彼女は「承知仕りました」と言って頷きます。門番もそれに対して頷き返した後、詰所の方へと向かい、そしてラージ・シールドの代わりに食事を乗せた盆を持って、スローベン・ドアの方へと戻ってきます。

銀星が盆を受け取ると、鍵を持った親衛隊が再びスローベン・ドアを開きます。その途端、銀星は盆を手放すと、稲妻のような速さで剣を鞘から抜き放つと同時に、その柄頭でスローベン・ドアを開いた親衛隊の首の後ろを強く打ち据えます。たちまちのうちに彼は気絶してしまいます。「銀星、何をする!」と門番の一人が声をあげますが、彼女はそれに構う事なく左手で短剣を抜き、右手の剣を一度だけ手元で回してから素早く構え直すと、敵に射抜くような視線を向けながら「お覚悟をッ!」という掛け声と共に、盾を持っていない親衛隊を二刀で切りつけます。流れるような動きから繰り出される斬撃を受けた事によって、親衛隊のタバードに刺繍された黒いユニコーンは、まるで喉元を切り裂かれたかのように無残な姿を晒しています。

八幡のサムライとして見れば、相手に不意打ちを仕掛ける事は、名誉ある行動ではありません。彼女は、すでに名誉が完全に失われたサムライではありますが、そうしなければ、自分だけでなくヒーローたちも危険に晒してしまう事を理解しています。この場において、彼女の判断は正しいと言えるでしょう。この時、盾を持たない門番に対する彼女の攻撃は、自動的に命中します。ちなみに銀星が与えたダメージは、剣でダメージ・ロールを行った結果に+1した合計です。ヒーローたちは、すぐに彼女の加勢に向かうべきでしょう。


◆眠れぬ雄羊
これは『ソーサリー・キャンペーン』第4章の48番の場面に対応するイベントです。スローベン・ドアをくぐったヒーローたちは、内周の壁全体にアーチ型の開口部が設けられた円形広間に出ます。床と壁は大理石で出来ており、壁に掛けられた松明が広間をぼんやりと照らしています。ヒーローたちがいるのは広間の南端です。広間の北端には金属製の落とし格子が見え、それがこの円形広間から出る唯一の進路である事が分かります。それを目にしたブロンウィンが苦笑しながら「先ほどのスローベン・ドアのように、また力仕事をする必要がありそうだな」と言います。

広間の中央には、高さが60センチほどの台座があり、その上に大理石の彫刻が置かれています。台座の両脇には、かがり火が置かれているので、その彫刻が雄羊を象ったものである事が分かります。彫刻のサイズは、大人の牛より一回り大きいぐらいです。それはヒーローたちの方を向いています。一見すると何の変哲もない彫像ですが、部屋に入ったヒーローたちが数歩進むと、何の前触れもなくそれは動き出し、左に弧を描くようにしながらヒーローたちの方に向かって突進を仕掛けてきます!

この彫像は、マンパンの砦の恐るべき守護者『眠れぬラム』です。『眠れぬラム』は、円形広間に踏み込んだ侵入者を排除するために配備された大理石のゴーレムです。通常のストーン・ゴーレムと異なり、実際の大型獣と変わらない機動力を持ち、また現在の戦闘状況を把握するだけの知能も持っています。侵入者を排除するまでは、常に円形広間の中を走り回ります。ただし「生物」に近い特徴を持っているせいか、その戦い方には『眠れぬラム』自身が好む癖が残っています。

口が開かない事もあって、彫像の攻撃手段は体当たりのみですが、正面衝突してスピードを減速させるのが嫌なのか、右半身からぶつかるように攻撃を仕掛ける事にやたらこだわります。この体当たり攻撃を避けられるかどうかの判定は『ソーサリー・キャンペーン』とは違って、技術点チェックにさえ成功すれば避ける事ができます。ヒーローが【回避】の特殊技能を持っていれば、その時の判定にボーナスを得られます。体当たりが直撃した時のダメージは『ソーサリー・キャンペーン』と同様ですが、ここで『運だめし』に成功すれば、受けるダメージをたった1点だけに軽減する事ができます。

またヒーローたちが『ガスのはいった瓶』を使った場合、その効果は『ソーサリー・キャンペーン』と同様で、数ラウンドの間だけ『眠れぬラム』を無力化させる事ができます。なお、最初の正面からの突進を避ける際、ヒーローたちに【感知】の判定を行わせてください。判定に成功したヒーローは、間近で見た雄羊の彫像の至る所に、無数の刀傷がついている事が確認できます。

『眠れぬラム』は、毎ラウンド体当たりを仕掛けてきて、一度に四人のヒーローたちを対象に攻撃する事が可能です。もしヒーローたちが『眠れぬラム』に対して攻撃魔法を使った場合、それを破壊する事はできませんが、魔法が直撃したショックにより僅かながら突進のスピードを減速させる事ができます。この場合は、そのラウンドの体当たりを避けるための判定にボーナスが得られます。

また【クモの巣】などの敵の動きを止める魔法を使用したり、あるいは36番の部屋で手に入れた油瓶の中身を攻撃の進路上に撒いた場合、彫像はバランスを崩しかけますが、それでも強引に突っ切ってきます。ただし、ヒーローたちが攻撃魔法を使った時と同様に、この時も体当たりを避ける判定のボーナスを得る事ができます。【壁】やWALの魔法で障害物を作った場合、そのラウンドでの『眠れぬラム』の体当たりを完全に妨害する事ができますが、彫像はすかさず魔法の力場を回り込み、次のラウンドからは普通に攻撃を仕掛けてきます。なお、この彫像は大きく間合いを離してから攻撃を仕掛ける習性があるので、魔法を使おうとするヒーローがいた場合、2ラウンド目からは攻撃のターゲットにされた事による魔法発動のペナルティを受ける事はありません。

またヒーローたちの中で、ウォーハンマーを主武器にしている者がいた場合、『眠れぬラム』はその者を執拗に攻撃するようになります。そのため彫像の体当たりによって負傷した場合、ウォーハンマーを持ったヒーローは、通常より1点多くダメージを受けてしまいます。ヒーローたちは知りませんが、この雄羊は過去にウォーハンマーを持った侵入者と戦った際に、すれ違い様に右の前脚に強力なカウンターアタックを貰った事があります。苦痛は感じないものの雄羊の頭の中では、その瞬間、片脚を砕かれた自分が廃棄処分にされてしまうビジョンがよぎりました。その一撃で体に致命的なヒビが生じる事はなかったのですが、苦い経験となったのか、それ以来ウォーハンマーを目にすると過剰な反応を示すようになっています。

もし、ヒーローたちの誰かが『イエローフルーツの皮』を彫像の攻撃の進路上に投げた場合、そのヒーローは、サイコロの出目に+2の修正を加えた『運だめし』を行ってください。これに成功した場合、とても信じられない事ですが、彫像はフルーツの皮を踏んだ事でバランスを崩して横倒しになり、さらに疾走による加速がついていたため、そのまま床を滑って円形広間の壁に衝突します。これにより、そのラウンドの『眠れぬラム』の体当たり攻撃を完全に無効化できます。彫像は恥辱のあまりに、わなわなと体を震わせた後、何事もなかったかのように立ち上がりますが、その瞳は怒りに燃えているようにも見えます。この『イエローフルーツの皮』による攻撃の妨害は、一度しか効果がないため、これ以降のラウンドでは通用しなくなってしまいます。

『眠れぬラム』が動き始めてから2ラウンドが経過した場合、ブロンウィンは走りながらも、背後から迫る彫像の方をチラチラと見ながら声をあげます。

「また左から回り込むように突進してくるぞ! ……あいつの攻撃の癖なのか? みんな、奴が背後から迫ってきたら右の方に避けろ!」

彼女のアドバイスのおかげで、3ラウンド目からヒーローたちは、避ける際の判定にボーナスを得る事ができるようになりますが、ヒーローたちが落とし格子の近くといった壁際にいると『眠れぬラム』が壁沿いに疾走するようになるので、向かって左側に逃げる事ができなくなってしまい、このボーナスは失われてしまいます。ちなみにヒーローたちが落とし格子にたどり着けるのは5ラウンド目の攻撃をやり過ごした後です。ヒーローたちが、落とし格子の近くまで来ると、それが人が二人並んだぐらいの幅しかなく、また近くに開閉のための装置が見当たらない事に気付きます。実際は、円形広間の壁に落とし格子の開閉スイッチが隠されているのですが、この状況ではそれを探すのは困難です(※そのために魔法の力に頼るという方法もあります)

ヒーローたちが落とし格子に到達した場合、ブロンウィンは、鉄格子の隙間越しに硬木の槍を回廊の奥へと投げ入れた後、両手で鉄格子をつかんで、必死になってそれを持ち上げようとします。最初のうちは無理かと思われますが、僅かに鉄格子が持ち上がり、ヒーローたちは脱出の可能性がゼロではない事を知ります!

「……うぅっ、いけるぞ! 誰か一緒に手伝ってくれ!」

鉄格子を持ち上げる時のルールは、前述の【最後のスローベン・ドア】と同様です。ただし、今度は二人しか判定に加われないうえ、持ち上げようとする者たちのうち一人はブロンウィンで固定されてしまいます。判定の成功による値は二人分しか加算できず、ラウンド終了時には、その合計値もゼロの状態に戻ってしまいます。難易度的には、すぐにヒーローたちに突破させたい場合は2点、持ち上げるのが難しいと判断するなら3〜5点が妥当でしょう。鉄格子を持ち上げるのに失敗した場合、ブロンウィンと彼女を手伝ったヒーローは、その試みをひとまず中断して『眠れぬラム』の攻撃を避けなくてはなりません。その場合、咄嗟に行動を起こせないため、前述の攻撃を避けるためのボーナスを得る事はできません。鉄格子を持ち上げるのに成功した場合、ブロンウィンと彼女を手伝ったヒーローは、鉄格子の手前から真下へと移動するため、体当たりを仕掛けた『眠れぬラム』は二人の背中のすぐ近くを通り過ぎていきます。鉄格子を持ち上げるのに成功すると、ブロンウィンが一緒に手伝ってくれたヒーローに対して声をかけます。

「後ろがつかえてる! 鉄格子は私が支えるから、早く通路の奥に!」

落とし格子を持ち上げた次のラウンドになって、ようやく残りのヒーローたちも、鉄格子の真下をくぐる事ができます。ブロンウィンの傍を通り過ぎる際、重い鉄格子に押し潰されないように耐えている彼女が、歯を食いしばり、唸っている声を出している事が分かります。残る最後の一人が鉄格子の下をくぐろうとした時、重みに耐えかねたブロンウィンの体が大きく沈み込みますが、彼女は気合いを振りしぼると、今一度だけ元の高さまで鉄格子を持ち上げます。そのおかげで、最後まで円形広間に残っていたヒーローも無事に脱出を果たせます。彼女以外のヒーローたちの避難が済むと、再び彼女の背後に『眠れぬラム』が迫ってきますが、彼女はすぐに鉄格子から両手を離し、ヒーローたちがいる回廊の奥へと逃げ込みます。間一髪、雄羊の彫像は閉まりきった落とし格子に衝突しますが、それを破壊するには至りません。ブロンウィンは疲れきっていますが、危険を避けるために、よろめきながらも鉄格子の側からすぐに離れます。『眠れぬラム』は何度か鉄格子に体当たりを繰り返しますが、そのうちヒーローたちの追跡を諦めたらしく、彫像は元いた台座の方へと引き返していきます。

「危ないところだった。何か重い物を引っ張ったり持ち上げたりするのは、もう当分やりたくはないな……」

ブロンウィンは片手を膝に置き、空いた手の甲で額から流れる汗を拭いながら喘ぐように言うと、少し無理して微笑みます。辛くも砦の最終防衛ラインを突破したヒーローたちは、しばらく休息した後、回廊の突き当たりにある螺旋階段を登っていきます……。


◆眠れぬ雄羊(※アストガルが同行している場合)
『眠れぬラム』から攻撃を受けた時の処理は、ブロンウィンが同行している時と同様です。『眠れぬラム』が動き始めてから2ラウンドが経過した場合、アストガルは走りながらも、背後から迫る彫像の方をチラチラと見た後で「奴は、またしても左から回り込んでくるようだ! ……馬鹿の一つ覚えとしか言いようがないが、攻撃の軌道は予測しやすい。いいか、奴が背後から迫ってきたら右の方に避けるんだ!」と言います。この場合、3ラウンド目からヒーローたちは、避ける際の判定にボーナスを得る事ができるようになりますが、ヒーローたちが落とし格子の近くといった壁際にいると『眠れぬラム』が壁沿いに疾走するようになるので、向かって左側に逃げる事ができなくなってしまい、このボーナスは失われてしまいます。ちなみにヒーローたちが落とし格子にたどり着けるのは5ラウンド目の攻撃をやり過ごした後です。

アストガルは『眠れぬラム』を停止する合言葉は知りませんが、落とし格子の開閉スイッチが設置された場所に関しては、大体の見当がついています。彼はヒーローたちに「この辺りの壁のどこかに、開閉スイッチが隠されているはずだ。普通は立った状態で押すものだから、腰の高さより下に設置されている事はあるまい。あの怪物が迫ってくる前に、急げ!」と言いながら、落とし格子の開閉スイッチを探し始めます。

ヒーローたちが、隠されたスイッチを探すのであれば【感知】で判定を行ってください。ただし、その作業には1ラウンドを費やす事になります。判定に成功すればスイッチは見つかり、1ラウンドの間に二人のヒーローを円形広間から脱出させる事ができます。ヒーローたちの人数が多い場合は、接近する『眠れぬラム』を魔法で一時的に食い止めるか、あるいはスイッチを探すヒーローとは別に、落とし格子を持ち上げようと試みるか(※前述のブロンウィン同行時の『眠れる雄羊』を参照)、役割を分担すると助かる可能性が高くなるかも知れません。

すべてのヒーローたち、そしてアストガルが回廊の奥に避難すると、再び落とし格子は閉まります。全員が無事である事を確認すると、アストガルは額から流れる汗を腕で拭いながら「砦の最深部に、恐るべき守護者が配備されていると噂に聞いていたが、あのような物だったとは……。だが、これ以上追って来る事はあるまい。足は生えているが、あの広間に仕掛けられたワナに過ぎないからな」と言います。これ以降の展開は、ブロンウィンが同行している時と同様に、休息を済ませた後で、ヒーローたちは塔の螺旋階段を登っていく事になります。


◆眠れぬ雄羊(※銀星が同行している場合)
『眠れぬラム』から攻撃を受けた時の処理は、ブロンウィンが同行している時と同様です。『眠れぬラム』が動き始めてから2ラウンドの間、銀星は走りながらも、何か合言葉のようなものを呟きますが、大理石の雄羊が一向に停止しない事に首を傾げています。そして、背後から迫る彫像の方をチラチラと見た後で「八幡の剣豪、新免武蔵(しんめん・むさし)殿のように、私が秘剣『夜馬の骨』さえ会得していれば、あの暴れ馬を一太刀で切り捨てる事ができますのに……」と何だか頼りない事を言い出します。この場合、ヒーローたちは彫像の突進を避ける際の判定にボーナスを得る事はできません。

銀星は『眠れぬラム』を停止するための合言葉を聞いた事があるのですが、それは彼女には馴染みのない旧世界の古語を用いた文句であるため、その正しい発音までは覚える事ができなかったのです。しかし、彼女は落とし格子の開閉スイッチの場所を知っています。ヒーローたちが落とし格子に到達した場合、次のラウンドで彼女はスイッチを押します。開け放たれた落とし格子は、1ラウンドの間に二人のヒーローを脱出させる事ができます。すべてのヒーローたち、そして銀星が回廊の奥に避難すると、再び落とし格子は閉まります。全員が無事である事を確認すると、銀星は手拭きの布で額から流れる汗を拭いながら「普段は付き添いの者が、暴れ馬をいさめてくれるのですが、今のは本当に危のうございました」と言うと、ヒーローたちに向かって微笑みます。ちなみに八幡には羊がいないため、彼女は『眠れぬラム』の事をずんぐりした体格の馬だと認識しています。


◆次回予告
マンパンの砦の奥となるとさすがに守りも厳重で、ヒーローたちは何度も危険な目に合いましたが、辛くも最終防衛ラインを突破する事ができたようです。
次回は『虚構の王』のVol.4をお送りいたします。お楽しみに!


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2020年3月30日月曜日

☆新刊告知☆ No.2623

おはようございます、枚方のスターバックスから杉本です。
暖かくなってきましたね☆
今日の記事はゲームマーケット春で刊行する新刊『100パラグラフゲームブック集1』のお知らせです。
コロナで思うように外出できない日々が続いていること、お察しいたします。
こんなときこそ、「冒険をお届けする企業」、FT書房の出番かと存じます。
中小企業。ふふっ。
ゲームマーケットもコミケも実施されるか分かりませんが、こんなときこそ。
自宅でできる冒険をお届けするため、積極的に作品を作っていく所存です。


◆新刊告知!
さてさて、あらためまして。
春のゲームマーケット(4月25〜26日)で、FT書房は新作ゲームブックを刊行いたします!
題名は「100パラグラフゲームブック集1」!
項目数が100前後の中編作品を3本収録した作品集です。
書き下ろし作品2本と、絶版となってしまった既刊1本を収録しております☆


◆100パラグラフゲームブック集1!
FT書房から刊行していた「100パラ」──項目数が100前後の作品を、FT書房ではこう呼んでいるのですが──作品のシリーズは、とても人気がありました。
よく売れていたのですが、この作品、少し変わったカタチをしていました。
電車のなかでも読めるようにと配慮して、新聞紙を縦に読むようなカタチ、A4の紙を半分に折ったようなデザインにしていたのです。
このデザインが好き、という方も多くいらしたのですが、「しまう場所にこまる」というご意見、「ルールでは冒険記録紙とサイコロを使うため、結局電車のなかではできない」というご意見など、私たちの考えの甘さが分かるご意見も、多くいただきました。

ご意見を聞きながら、「ゲームブックを買うとき、多くの方が『永久に保存する』ことを前提としているのだ」という感覚を抱きました。
嬉しいことです。

そこで、今回は、FT書房にとって正統派である文庫型で刊行いたします!


◆龍の王女と大釜の魔女 by杉本=ヨハネ
呪いを解くために、龍と騎士が旅に出る!
野獣、死霊、蛮族、別の魔女……荒野の大冒険。

「龍の王女と大釜の魔女」は、この「100パラグラフゲームブック集」シリーズの頭を飾るのにふさわしい、王道をいくファンタジー作品です。
大釜の魔女によって龍へと変えられてしまった王女が、もとの姿に戻るために騎士と一緒に冒険します。
誰にでも楽しめるとっつきやすさと、物語が進むにつれて見えてくる、それぞれのキャラクターの素顔。
簡単でありながら、見え隠れする複数の攻略ルート。
シンプルでありつつ、杉本らしさを失わない作品になったと思います。
制作は大変でした……遊びやすさ、楽しさ、ストレスの少なさ、そして私らしさ。
全部を入れるのに、ふだんの2倍以上の時間がかかりました。

イラストは、海底キメラ。
「出だしの作品にふさわしい、魅力あるイラストを」という想いのもと、イラストを務めます。
作者が言うのも妙ですが、このイラストだけで、すでに触れる価値のある作品になりました。
彼女の持つ力が十全に出た、最高のものを描いてくれました。

125パラグラフ(ちょっと書きすぎました)。
冒険記録紙は使いますが、サイコロは不要です。


◆魔法学校の秘密の扉 by清水龍之介
魔法学校のライバルであるセキエイが魔法の失敗により魔力を失ってしまった。このままでは退学となる彼を救うべく、あなたは魔法学校の秘密に迫る。

もうひとつの書き下ろしは清水龍之介による魔法学校もの。
親友どうしの友情を描きながら、登場する学友、先生や、学園そのものの歴史に関わる秘密など、実に興味深い作品に仕上がりました。
私は、この作品に目を通しているとき、どうしてか「ゲド戦記」の第1巻が頭に浮かんで離れませんでした。
イラストはFT書房のメンバーであり、プロの描き手としても大いに活躍中の中山将平。

冒険記録紙不要、サイコロ不要。


◆百竜の森 byロア・スペイダー
深い百竜の森の奥へと、君は危険を冒して足を踏み入れる。
幻の「ジュエル・ドラゴン」を求めて……。

2010年刊行の「百竜の森」は、初期作品のなかではかなりの人気を誇る、FT書房から刊行していた項目数113の「100パラ」ゲームブック。
異色の(そして、一部では"天才"と呼ばれる)書き手、ロア・スペイダーによる作品です。
「百竜」と呼ばれる、さまざまな姿をした怪物たちが生きる森。
自身の夢を叶えるために、どうしても金が必要な主人公は、狩人としてこの森に単身乗り込みます。
そこで待ち受けている冒険は、あなたが今までに見たことがあるようなものとは、かなり趣を異にしていることでしょう。
イラストは「ウォーロック・マガジン」等でも活躍中のあすろんさん。

冒険記録紙、サイコロともに必要です。


◆春のゲームマーケットにて!
「100パラグラフゲームブック集1」は4月25日にて発売開始です!
ブース番号はまた、分かり次第発表いたします☆

↓通販でのご購入はこちらから!

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(6月上旬の発送になりますので、ご注意くださいませ☆)




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2020年3月29日日曜日

T&T読者参加企画『カザン帝国辺境開拓記』 ep.11 No.2622

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

T&T読者参加企画『カザン帝国辺境開拓記』 ep.11

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
from 水波流
月イチペースでお送りする、読者参加企画。
今回も総勢20名のご参加を頂いております。途中参加ももちろん大歓迎!

毎度の長文ですのでパソコンでご覧頂くのを推奨いたします。
もし携帯電話などで受信し、途中で切れたりしている場合は、下記バックナンバー保管庫からご確認をお願いいたします。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

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事件の結末

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■事件A:8人出撃
〈大断崖〉山間のフョードル村からの救援要請に継続して対処にあたる。
地元の部族から精霊の祭壇として祀られている旧い神殿は、どうやら悪意を持つ何者かによって占拠されているようだ。
未確認情報ではあるが〈熊神教団〉の関与の可能性もある。ベアカルトはカザン帝国に公然と反旗を翻す不逞の輩。見つけ次第、躊躇せず放逐せよ。
探索には〈狼の部族〉から呪術師キース、〈狐の部族〉から女戦士オードリーが同行する。
脅威予測)中
報酬)中

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

「傷ついた女性がいたらそっと近寄りハンケチを差し出す……ポル・ポタリア参☆上、ってね。ボクぁ、昔から『オードリー』って女性はほっとけないんだ。よければ、寝室まで護衛しますよ?」
 急勾配の険しい山道を〈精霊の祭壇〉を目指して、歩みを進める一行。斧を担いだ大柄な女戦士の周りを、軽薄そうな男ポルがうろちょろとまとわり付きながら、にやけた調子で口説き文句を並べていた。
「フン、そんな台詞はアタシと同じ数の敵を倒してから言うんだね」
「ヒュ〜」
 にべもない女戦士オードリーの言葉に、ポルは口笛を吹きながら肩をすくめてごまかした。その横で、狼の部族の呪術師キースと並んで、赤毛の大男バラクが言葉を交わしていた。
「……でな、俺の部族も昔は四本腕の金の大熊に導かれて大熊に変身出来たらしいんだよな」
「ほう」
「だがある日、集落にやって来た化け物みたいに強い山賊に祖霊がぶっ殺された挙句に皮ぁ剥がれてな。俺達の部族は寒ーい冬の嶺に追放されたってぇ話だ」
 キースが深刻そうな顔でごくりと喉を鳴らした。
「噂によると、祖霊の毛皮は頭や爪までついた立派なマントになっちまって、今じゃ行方知れずらしい。もしもそいつを取り返せれば、ひょっとしたらまた俺達の部族も祖霊の力を借りられるのかもしれねぇな。そうすりゃ俺のことも〈熊の兄弟〉なんて呼んでくれるかい?」
 バラクはニヤリと笑みを浮かべると、本気か冗談かわからない顔で話を締めくくった。
 そんな二人の少し前方を、アンドレアはいつもの穏やかな笑みを潜め沈黙を守りながら歩を進めていた。その背中に、東洋風の装束の戦士デュラルが声をかけてきた。
「古代帝国の塔で珍しいものを手に入れたようじゃないか」
 アンドレアはその腰にこれまでの黒の剣に加え、見慣れぬ赤い刀身の剣を下げていた。
「ああ、役に立つといいんだがな……今回の敵は、手強いぞ」
「クマクマ団じゃったかのー、熊に変身する連中がおるんじゃろ? ワシも変身してみたいもんじゃのぉ」
 同じく背後から老戦士メックリンガーがショボショボとした目を擦りながら声をかけた。
「呑気なもんだな、爺さん」
  デュラルが呆れたように口にした。
「なぁに。窮すれば通ず、というじゃろ。いざというときはこの無敵のメックリンガーに任せとかんかい」
 つばを飛ばしながら槍を無闇に振り回す老兵を尻目に、デュラルは肩を竦めて山間に見え隠れする神殿に向き直った。
 最後方では、田舎からでてきたばかりという青年ゲディスに、黒髪長髪の剣士スパイデイがこれまでの探索の内容を話して聞かせていた。
「その時です。大きな遠吠えとともに、敵の首領がなんと大熊に」
「それはおっかねえズラ〜」
「しかし我々も負けてはおりませんよ。徹底的に攻撃を続け、そして勝利を収めたのです!」
「ようし、先輩方を見習って、オラもがんばっぺ!」
 ゲディスは村から持参したトマホークを握りしめ、ウララーと熱く雄叫びを上げた。
「ええ、共に頑張りましょう!」
 その横を片腕がグレムリンの腕のドワーフ戦士クリフが神妙な顔つきで注意深く歩を進めていた。
 ふと彼方から、かすかに遠吠えが聞こえた。一行は誰ともなしに遠くに見える神殿の方角を見やった。全員の視線が〈精霊の祭壇〉に集中する。天には暗雲が立ち込めてきたように思えた。


 神殿の奥の部屋で、古ぼけた鏡に向かって壮年の男性が金属製の全身鎧を一箇所ずつ身に着けていた。ノックの音とともに薄く扉が開き、不安げな若い男の顔が覗いた。
「スールさま……」
「いよいよ来たか。カシム、私の指示通り仕掛けてくれたか?」
 カシムは小さく頷く。
「……果たしてあれで時間稼ぎになるかどうか」
 聖堂騎士スールは金属鎧の上に教団の法衣を身に纏うと、最後にメイスを腰に下げ、鏡の横に立てかけてあったフレイルを手に取った。
「ブラザー・スール。死ぬ覚悟はできたのかね」
 カシムの背後から、聖印を身に着けた年嵩の男が姿を現した。何が面白いのかニヤついた笑みを浮かべている。
「ただでは死にませぬ。一人でも多くの帝国人を道連れに」
「バカめ。犬死だ」
 吐き捨てるようにそう言うと、クリストフはカシムの肩に手をかけた。
「貴様もこの男と一緒に死ぬつもりか? 生き残ってあの娘と添い遂げたくはないのか」
「わ、私は……」
 聖堂騎士スールは毅然とした口調で言葉を挟んだ。
「導師クリストフ。彼らを巻き込むつもりはありません。ご心配ならどうぞご一緒にお逃げ下さい」
 そういうと、スールはカシムの顔を正面からじっと見つめた。
「子熊らに父なる熊神の加護を」
「く、熊に幸あれ」
 冷たい足音とともに立ち去るクリストフとカシムを見送り、スールは踵を返して回廊を歩き出した。


 神殿の入口。明かりは消されており、外光が差し込むのも手前の限られた部分だけである。と、そこに低い姿勢で赤毛頭が覗いた。バラクは素早く入口付近を見て取ると、さっと顔を引っ込めた。明かりはなし、奇襲もなし、特におかしいところはない。
「エミリアかソーグがいてくれりゃよかったんだけどな……」
 バラクはそう独りごちると小声で魔術を詠唱した。そして左右の柱の影に紫色の輝きを見つけると小さく頷いた。
「やっぱ仕掛けてあらぁな……おい、ポル。右を頼めるか。俺は左を片付ける」
「はいよ。お任せあれ」
 ポルは片手を上げて笑いながら、するすると歩を進めた。柱から柱の低い位置に細いトリップワイヤーが仕掛けてあり、気づかずに引っ掛けると左右の柱の影からクロスボウが射出される仕掛けであった。単純なものだ。無論、急いで仕掛けたのだろうからその程度でもよくやったと言うべきか。
 ポルは手慣れた様子でクロスボウを抑え込みながら、ワイヤーを切断した。
「こちらは完了っと……」
 向かい側を見やるとバラクも同じように仕掛けを無効化しているところだった。二人は後続に手で合図を出すと、先行して神殿内部に歩を進めようとした。と、その時、バラクが足を取られ大きく体勢を崩した。
「く……なんだこりゃ」
 たまらず石畳についた手に、ぬらぬらとした液体がまとわりついた。
「大丈夫か、バラク」
 アンドレアが素早く近づき手を差し出そうとし、同じく足を取られた。
「これは……くそっ。油か」
「やられた、二重の罠か」
 気づいたときには全員が既に入口から踏み込んでいた。轟音とともに広間の中央に置かれた篝火の台座が火柱をあげて燃え上がった。あたり一面が赤い灯りで照らし出される。火柱は緩やかに四肢を持つ怪物の姿を取りながら、3つに別れて台座から這い出してきた。灼熱の風が一行に向けて吹き付ける。
「まずいぞ、こりゃあ」
 油を撒き散らされた石畳の床が真っ赤に燃え上がった。

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【戦闘】
PC:アンドレアMR70防5、バラクMR50防5、クリフMR45防5魔防5、デュラルMR40防5、ポルMR30防5、スパイデイMR30防5、メックリンガー老MR30防5、ゲディスMR20、呪術師キースMR25、女戦士オードリーMR60防5
敵:ファイアエレメンタルMR140*3

 *床の油に着火し、PC側全員に毎ターン防御無視3ダメージ

1ラウンド:PC【384】 VS 敵【372】 /敵側に12ダメージ!(ファイアエレメンタルA136、B136、C136)

 *炎・PC側全員に3ダメージ
「もたもたしてはこっちが不利じゃ!」
 *クリフ、竜の牙使用。MR30スパルトイ召喚。
「くそったれが! この程度でバラク様を止められると思うなよ!」

2ラウンド:PC【373】 VS 敵【360】 /敵側に13ダメージ!(ファイアエレメンタルA131、B132、C132)

 *炎・PC側全員に3ダメージ
 *デュラル、屍人使いエリファスの杖を使用。《L2これでもくらえ!》発動! ファイアエレメンタルAに40魔法ダメージ!
 *呪術師キース《L2これでもくらえ!》詠唱。ファイアエレメンタルBに40魔法ダメージ!
 *メックリンガー老、《L2これでもくらえ!》の呪文石の呪文石を使用。ファイアエレメンタルCに40魔法ダメージ!

3ラウンド:PC【367】 VS 敵【298】 /敵側に69ダメージ!(ファイアエレメンタルA68、B69、C69)

 *炎・PC側全員に3ダメージ

4ラウンド:PC【350】 VS 敵【252】 /敵側に98ダメージ!(ファイアエレメンタルA36、B36、C36)

 *炎・PC側全員に3ダメージ
 猛攻を受けて火勢が弱まりつつある炎の魔神たちは揃って魔法語の詠唱を始めた。
「まずい、あれは」
 同様の魔術の使い手であるデュラルにはその詠唱が理解できた。彼は背後を振り返ると新人に鋭い口調で警告した。
「ゲディス、下がれ! お前ではひとたまりもないぞ」
 その言葉に弾かれたようにゲディスは脱兎のごとく駆け出した。
「バラク!」
 ポルは一声叫ぶと対抗呪文の詠唱を始めた。バラクが慌てて追いかけて詠唱を始める。焦燥した表情だったキースもはっとすると同じ魔法語を唱え始めた。
 *ファイアエレメンタルA《炎の嵐》詠唱
 *ポル《ないことに》詠唱。ファイアエレメンタルAの《炎の嵐》を無効化
 *ファイアエレメンタルB《炎の嵐》詠唱
 *バラク《ないことに》詠唱。ファイアエレメンタルBの《炎の嵐》を無効化
 *ファイアエレメンタルC《炎の嵐》詠唱
 *呪術師キース《ないことに》詠唱。ファイアエレメンタルCの《炎の嵐》を無効化

5ラウンド:PC【326】 VS 敵【210】 /敵側に116ダメージ!(ファイアエレメンタル全滅)

戦闘終了:アンドレアMR55/70防5、バラクMR35/50防5、クリフMR30/45防5魔防5、デュラルMR25/40防5、ポルMR15/30防5、スパイデイMR15/30防5、メックリンガー老MR15/30防5、ゲディスMR5/20、呪術師キースMR10/25、女戦士オードリーMR45/60防5、スパルトイMR21/30(送還)

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「魔神たちも思ったよりは役に立ってくれたようだな」
 全員が荒い息をつく中、神殿の奥から完全武装の聖堂騎士スールが姿を現した。
 あたり一面にはまだ熱気と焼け焦げる嫌な匂いが漂っていた。
「1人だと……?」
「どういうつもりだ」
 火傷の箇所を押さえながら、一行は怪訝そうな顔で周囲を伺った。
「ここで何やってるか知らねぇが、取りあえず邪魔させて貰ったぜ、熊の旦那」
 バラクが身振りで一行を制し、言葉をかけながら前へ出た。
「俺は《冬の嶺の赤き炎》バラク=ヘルムハート。……まぁ顔は覚えてるだろうな」
「……あぁ」
 バラクは改めて対面する気まずさから、頭を掻きながら言葉を続けた。
「なにか大義名分があるなら聞いてやるぜ。ただの狂信者として死ぬのも不名誉だろ?」
「君たちこそわかってはいない」
 スールはゆっくりと歩みを進めながら口を開いた。
「ここが太古なんだったのか、知っているのか」
「精霊の祭壇を穢しておいて、なにを言うか貴様!」
 呪術師キースが怒鳴りつけた。スールはそれを受け流すように静かに言葉を続けた。
「精霊の祭壇……正しくは全ての精霊を敬う神獣エレーラを祀る祭壇。そしてエレーラ様は全ての獣人の守り手」
「何が言いたい」
「我ら呪われし熊人……太古はエレーラ様の御加護を賜る従者であった」
「馬鹿な。そんな話は聞いたことがない」
 キースが困惑した様子で口にした。その横で狐の部族の女戦士オードリーも首をかしげている。
「エレーラ様が獣人を率いて死の女神と戦われた時、その最も近くでお仕えしたのも我ら熊人であった。エレーラ様は敗れ、レロトラーの呪縛によって今はお休みになられているが、我らの戦いはまだ終わっていない」
「そうかい。ただ、そう言うことはレトロラーに直接言ったらどうだ? カザンの闘技場で勝ち抜きゃ聞いて貰えるだろうさ」
 バラクは大斧と長剣を構え直した。
「武器を取りな。せめて戦士として機会を与えてやる」
「君たちこそ、油断し過ぎではないのかね」
 スールは薄く笑うと、柱の影から筒状の絨毯を取り出し、一行の前に大きく広げた。
 そこには重武装の騎士をズタズタに引き裂く二頭の大熊の図が描かれていた。
 と、不意に遠くから熊の遠吠えが轟いたかと思うと、なんと絨毯の中の熊が振り返り、一行めがけて飛び出してきた。
「怪我人は下がれ。俺たちだけでやる」
 バラクの言葉に、まだ余力のあるアンドレア、クリフ、デュラル、そして女戦士オードリーが一歩前に出た。
「カザン帝国の異教徒どもよ、悔い改め偉大なる熊神の御本にひざまずくがよい! ベアカルト聖堂騎士団スール・レトナーク、参る!」

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【戦闘】
PC:アンドレアMR55/70防5、バラクMR35/50防5、クリフMR30/45防5魔防5、デュラルMR25/40防5、女戦士オードリーMR45/60防5
敵:聖堂騎士スールMR100防10、絨毯の大熊MR100*2
(待機):ポルMR15/30防5、スパイデイMR15/30防5、メックリンガー老MR15/30防5、ゲディスMR5/20、呪術師キースMR10/25

1ラウンド:PC【216】 VS 敵【256】 /PC側に40ダメージ!(アンドレア52、バラク32、クリフ27、デュラル22、オードリー42)

「多勢に無勢とはいかぬようじゃぞ」
「そのようですね。ではこちらもそれ相応の手段でやらせてもらいましょう」
 クリフとアンドレアが背中合わせで目配せした。その横でデュラルも小さく頷き詠唱をはじめた。

 *アンドレア、ファイアブランドを使用。《炎の嵐》発動! 敵全体に20魔法ダメージ!
 *クリフ《イーゼルヴァンの黒き手》詠唱。聖堂騎士スールに10魔法ダメージ!クリフ10回復。
 *デュラル《炎の嵐》詠唱。敵全体に20魔法ダメージ!

2ラウンド:PC【210】 VS 敵【209】 /敵側に1ダメージ!(聖堂騎士スール50、絨毯の大熊A60、B60)

「ちっ、これでようやく互角か……」
「おい狐女! ……助けてやらぁ」
 額の汗を拭う女戦士オードリーの背後から、呪術師キースが魔法語の詠唱を始めた。
 *呪術師キース《凶眼》詠唱。女戦士オードリーの攻撃力*3。
 *アンドレア、バラク《いだてん》詠唱。2回行動。
 *聖堂騎士スール、神の如き回復薬を使用。30回復。
「貴様らに太古より熊神教団に伝わる、真の狂戦士の闘いぶりを見せてやろう」
 *聖堂騎士スール、ハイパーバーサーク

3ラウンド:PC【364】 VS 敵【196+145=341】 /敵側に23ダメージ!(聖堂騎士スール80、絨毯の大熊A52、B52)

「な、なんだあの鬼神のような戦いぶりは」
「ええい、熊だ。先に熊を片付けちまえば……援護を頼む!」
「こうしちゃおれん。ワシも前線に出るゾイ」
 メックリンガー老が噛み砕いた木の実を回復薬で流し込みながら、槍を構えて走り出した。
 *メックリンガー老、ボンバの実+奇跡的な回復薬を使用。20回復。
 *スパイデイ、クリフに《いだてん》詠唱。2回行動。
 *ポル《いだてん》詠唱。2回行動

4ラウンド:PC【362】 VS 敵【197+126=323】 /敵側に39ダメージ!(聖堂騎士スール77、絨毯の大熊A39、B39)

 *呪術師キース《L2これでもくらえ!》詠唱。
 *聖堂騎士スールの身代わりの依り代が砕け散った! ダメージ無効
「なんだと、畜生」
 *ポル《凶眼》詠唱。攻撃力*3
「フフフ……ソナン・イエの拳士ワカ=シマヅから伝授された技を使う時が来たようだ」
 ポルは不敵に笑うと鞭を柱に絡みつかせ、怪鳥の如き奇声を上げながら、熊に向かって飛び蹴りを仕掛けた。
「キエェェェー!!」

5ラウンド:PC【455】 VS 敵【190+125=315】 /敵側に140ダメージ!(聖堂騎士スール41、絨毯の大熊A0、B0)

 倒れた熊が絨毯の上で姿を消し、さすがの狂戦士も片膝をついた。
「まだだ……まだ終わってはいない」
 聖堂騎士スールは懐から薬瓶を取り出し一気に煽ると、一行を睨みつけ熊の唸り声をあげた。
 *聖堂騎士スール、神の如き回復薬を使用。30回復。
 *聖堂騎士スール:ワーベア化→MR+100回復10

6ラウンド:PC【318】 VS 敵【374】 /PC側に56ダメージ!(アンドレア55、バラク33、クリフ34、デュラル19、オードリー39、メックリンガー27、ポル12)

「こっちも奥の手を使え!」
 デュラルがそう呼びかけると、アンドレア、スパイデイが懐に手を入れ、熊神石を掴み出した。
「己の目的の為に祭壇を私物化するお前たちは正義ではない!」
 *デュラル、アンドレア、熊神石を使用。ワーベア化→MR+30
 *スパイデイ、熊神石の破片使用。ワーベア化→MR+25
 *デュラル《凶眼》詠唱。攻撃力*3。
「変身!」

7ラウンド:PC【430】 VS 敵【372】 /敵側に58ダメージ!(聖堂騎士スール133)

「形勢逆転だぜ」
 熊化した一行が聖堂騎士スールににじり寄る。と、その時、不意に3人の熊の姿が朧げにかすみ、瞬時に人の姿に戻った。
 広間を見下ろす回廊から高笑いが響き渡った。
「ははは。愚かな。熊神の司祭の前で異教徒に祝福が与えられると思うたか」
 聖印を手にした灰色の法衣姿の導師クリストフが一行を見下ろしていた。
「くっ……」
「撃てい」
 導師クリストフの足元に控える若い男女が、震える手で火打石銃の銃口を一行に向けた。
 ズドンと轟音が二発、広間に木霊した。

狙撃:カシム【27】/デュラルに27ダメージ!(デュラル0)
狙撃:アンジェリカ【25】/スパイデイに25ダメージ!(スパイデイ0)

 銃弾に撃たれた二人の身体が激しく吹き飛び、柱に叩きつけられた。
「せ、先輩方、大丈夫ズラか!」
 駆け寄ったゲディスの目に、血反吐を吐きながら呻く二人の胸元の装飾品が粉々に砕け散るのが見えた。
 *デュラル、スパイデイ、身代わりの依り代が砕け散り、ダメージ無効

「さぁブラザー・スールよ。皆殺しにせよ」
 その様を目にし、聖堂騎士スールは人の姿に戻り、寂寥感の漂う目で一行を見つめた。
「殺す気はない。もともと時間を稼ぐことだけが目的だ……」
 そうつぶやき、両手の武器を投げ捨てた。
「……投降する。私はどうなってもかまわん。配下の者には寛大な処置を」

「ああっ、ブラザー・スール……」
 回廊から教団員カシムとアンジェリカが悲痛な叫びを上げる。背後で歯噛みをしていた導師クリストフは二人に目をやった。
「……助けたいかね?」
「お願いします!」
 その言葉に導師クリストフは歪んだ笑みを浮かべ、両者の肩に手を置いた。
「よかろう……《変身強制》」

 両膝をついて無抵抗の様子のスールに近づいた一行は、背後から新たな唸り声を耳にし、身を硬くして振り返った。
 回廊から二頭の熊が飛び降りるところだった。
「まだやるってのか!」

8ラウンド:PC【252】 VS 敵【174】 /敵側に78ダメージ!(教団員カシム61、アンジェリカ61)

「馬鹿な……修練不足の者が石の助力もなく変身したらどうなるか」
 スールは呆けた様子で戦いを目にしていた。
「くそっ、クリストフ、貴様!」
「貴様とは酷い言われようではないか。卿の窮地を救いたいという涙ながらの申し出を受けたまでのこと」
 回廊の上からニヤついた笑みで戦いを眺めるクリストフにスールは鋭い口調で言葉を続けた。
「人の心を無くしてまで、何の信仰だ……!」
「この背教者めが! 命の続く限り熊神に奉仕する事こそが信徒たる者の務め」
「私はそうは思わぬ!」
「もうよいわ。奴らが時間を稼いでいる間に、拙僧は帰還させてもらおう」
 回廊の窓を開けた導師クリストフが振り返り、蔑んだ目線でスールに一瞥をくれた。
「背教者スール、"熊の中の熊"へは報告させてもらうからな。……《翼》!」
 導師クリストフはそのまま窓の外へ身を投げ、魔法の力で飛び去っていった。

9ラウンド:PC【264】 VS 敵【148】 /敵側に116ダメージ!(教団員カシム3、アンジェリカ3)

「神獣エレーラよ、我ら呪われし熊人は、生きる事すら許されぬというのか」
 スールは片足を引きずりながら戦いに近づくと、広間のエレーラの神像に呪詛の言葉を吐いた。
 目の前ではカシムとアンジェリカがとどめを刺せられようとしていた。
「エレーラよ!」
 響き渡った声に、女戦士オードリーが不意に斧を下ろした。気勢を殺がれた一行も、振り上げた武器を持つ手を止めた。
 静寂が広間を支配していた。全員の荒い息と血の匂いだけが静かに漂っていた。
「……やめだ。アタシは祭壇を荒らす奴を取り除きに来たんだ。降伏した奴の命まで奪おうとは思わない」
 捻れた杖に怪我をした体を預けながら、呪術師キースも口を揃えた。
「狐女と同じ意見とは癪に障るが、狼の部族とて同じだ。同じ神獣エレーラを祀る〈熊の兄弟〉であるなら余計にな」

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「真面目に働くつもりがあるなら砦までついてくれば仕事はあると思うぜ。どうだ?」
「礼を言う。だが、私は教団に戻らねばならない。次に会ったとき……君たちの手が剣を握っているならば、やはりまた我々は戦う事になるだろう」
 聖堂騎士スールは傍らに控える二頭の熊の身体を優しく撫で、出発を促した。
「〈熊の兄弟〉よ。戦いを捨て、静かに暮らす道もあるのだと覚えておいてくれ」
 呪術師キースが言葉をかけた。スールは寂しそうに首を振ると、傷だらけの熊たちとともに山道を下っていった。
「さぁて。乗りかかった船だ。収穫祭の準備も手伝うぜ」
 バラクの言葉にメックリンガー老が嬉しそうな顔で言葉を続けた。
「ええのう、村の地酒をたっぷり頂きたいもんじゃ」
「最高ズラ〜」

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
☆戦果
《冬の嶺の炎》バラク=ヘルムハート
アンドレア →熊神石に亀裂が入った。次に使えば砕け散りそうだ。
クリフ
ゲディス
スパイデイ →熊神石の破片が完全に砕け散った。身代わりの依代を使用した。
デュラル・アフサラール →熊神石に亀裂が入った。次に使えば砕け散りそうだ。身代わりの依代を使用した。
ポル・ポタリア
メックリンガー老 →《L2これでもくらえ!》の呪文石、奇跡的な回復薬、ボンバの実を使用した。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
■事件B:6人出撃
司令室にて、ガガック兵長と西方エルフ森林警備隊長ギルサリオンが君たちを出迎えた。
「おお、貴様ら。無事で何よりだ。報告は聞いているぞ」
「我ら西方エルフはカルドゥニアとともに〈竜塚〉へ向かう。森のあるじのお言葉が気にかかるゆえな」
ギルサリオンを横目に、ガガック兵長が言葉を続けた。
「浄化した遺跡の警護はレックス砦で引受ける事となった」
「諸君らの助力も願いたいところだが……」
(下記より選択して下さい)
・西方エルフとともに〈竜塚〉へ向かう
・浄化した遺跡の警護にあたる
脅威予測)中
報酬)中

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 〈大断崖〉の麓を流れる大河ヴォルガ川。重武装の一行が神妙な顔で大河のほとりを下流に向かって行軍している。
 目指すはヴォルガ川がカザンカ川と合流する古き伝承の残る地〈竜塚〉と、その麓に古くからあるユランタウ修道院である。
「ユランタウってのは、カザン古語でユラン(蛇)とタウ(丘)ってのが語源なんだってよ」
「へええ」
「元々この辺は蛇が多い土地なんだ。ユランってのは蛇の意味。それが転じて蛇たちの親玉……〈竜〉の事も指すようになったらしいな」
 この地方の伝承に詳しい盗賊のニンツが、弟分のカーモネーギーに目的地ユランタウの由来について語っていた。その横を歩く一行も興味深げに耳を傾けはじめたため、話は〈カザンの悪夢〉こと、ユランタウの黒竜退治の伝説に移った。

 むかしむかし、まだカザン帝国ができて間もない時代、この地にユランタウと呼ばれる丘があった。丘にはその名の通り丈夫な丸太のごとき蛇たちが蔓延り、その蛇たちの王である邪悪な黒竜が巣食っていた。
 黒竜はたびたび〈大断崖〉を越えて北の大都市タリーマークを襲い、人々をさらっては貪り食らった。その圧倒的な力にはカザン帝国の騎士団でさえ歯が立たず、人々は黒竜を〈カザンの悪夢〉と呼び、恐れた。
 数度の討伐に失敗した大魔術師カザンは、親友であるシャンキナルの森の偉大なるエルフ王、ベリエンベールの力を借りることにした。
 エルフ王ベリエンベールは聖地シャンスに伝わる秘宝を手に、配下の西方エルフの精鋭を率い、カザン帝国の魔術師たちともに黒竜討伐に遠征した。
 激しい戦いの末、ついに魔術師たちはエルフにとって禁断である火を丘に放ち、蛇たちを焼き殺すことに成功した。
 そして蛇の王たる黒竜は偉大なるベリエンベール王と一騎打ちとなり、三日三晩にわたる戦いの末に6つの肉片にされ退治された。
 しかしベリエンベール王もその戦いで黒竜の毒を受け、その後生涯、片腕を使うことができなくなったという。
 竜の死骸は、丘の麓に建立された修道院に祀られることとなり、以後この地は〈竜塚〉と呼ばれるようになった。

「……てなわけで、この辺りで〈カザンの悪夢〉のことを知らないやつはいないのさ」
 ニンツの物語が終わると東洋風の少女シャオリンが感心した様子で拍手を送った。
「……ま、退治した英雄ってのが語り部によって違ってな。俺の村じゃ、大魔術師カザンその人ってことになってたんだが……ギルサリオンの野郎が言うなら、ベリエンベール王なんだろうさ」
「伝説ってそんなもんだよねえ」
「まぁベリエンベール王だって伝説上の人物だ。かのナーガ連邦との戦いで死んだというやつもいるし、実はまだ生きていてシャンキナルの森を治めているというやつもいる。……なんにせよ、黒竜の悪夢をもう一度見る訳にはいかねえ」
 ニンツとカーモネーギーは少し先を歩く西方エルフ隊長ギルサリオンの姿をそっと眺めながら話を締めくくった。
「アタシの故郷にも眠れる龍の伝説があるんだヨ。あのね、寐龍(メイロン)って言ってネ……」
 シャオリンは無口な戦士ヘルトにソナン・イエに伝わる伝承を楽しそうに語りはじめると、この辺りにも鱗とか落ちてないかなあとキャッキャと一人騒がしく笑っていた。
「ねえ睡蓮。アナタもそう思うよネエ?」
 シャオリンは手にした小さな木彫りのドールに優しげに話しかけた。古代帝国の塔で弐の騎士ヴェルナルドゥスの魔力によって動き出したドールであったが、塔を離れたその後二度と動く事はなかった。しかし時折、置いたはずの場所から移動していたり、閉じたはずの目をうっすらと開けていたりと不思議なことが続いていた。
「またお話してくれないかなァ……」
 シャオリンはひとしきり話し終わると残念そうな顔をしながらドールを鞄の中にしまい込んだ。

「マロウズはどうした?」
「あいつなら偵察だとか言って先に向かったぞ」
 ギルサリオンの問いに、赤毛の少女エミリアがぶっきらぼうに言葉を返す。
(やつめ、よほどカルドゥニアのことを気にしているようだな)
 ギルサリオンは後方を振り返ると、目で追えぬほど静かな動作で足を運んでいる深緑のローブの術士隊を眺め、ため息を付いた。
「ギルサリオン様」
 術士アルヴェルディアが側に寄って行軍を促した。
「ああ、わかっている。急ごう」
「待て」
 歩を進めようとするギルサリオンをエミリアが留めた。鋭い視線を周囲に投げかける。
「何か……変だ」
 そう口にしながら懐に手を入れると〈そこにあり〉の呪文石を掴み出した。周囲の木々のそこかしこに隠された存在を示す紫の光が生じる。
「ちっ……厄介なのがいるようだぞ」

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【戦闘】
PC:シャオリンMR45防5魔防5、ヘルトMR40防5、ニンツMR40防5、カーモネーギーMR35防10、エミリアMR30防5
西方エルフ森林警備隊:隊長ギルサリオンMR60防5、術士アルヴェルディアMR35
敵:吸血植物MR30*10

1ラウンド:PC【281】 VS 敵【298】 /PC側に17ダメージ!(シャオリン45、ヘルト40、ニンツ40、カーモネーギー35、エミリア30、隊長ギルサリオン60、術士アルヴェルディア35)

 *吸血植物、特殊能力/吸血(PC側全員に毎ターン防御無視2ダメージ)
「くっ……こいつは」
「まるで蛇だ」

2ラウンド:PC【254】 VS 敵【288】 /PC側に34ダメージ!(シャオリン43、ヘルト38、ニンツ38、カーモネーギー33、エミリア28、隊長ギルサリオン58、術士アルヴェルディア29)

 *吸血植物、特殊能力/吸血(PC側全員に毎ターン防御無視2ダメージ)
「術士のダンナ、援護を!」
 *術士アルヴェルディア《死の刃》詠唱。ニンツの攻撃力*2。
 *隊長ギルサリオン《死の刃》詠唱。攻撃力*2。
「燃えろぉ!」
 *シャオリン、炎のガントレットを使用。《炎の嵐》発動! 敵右翼に20魔法ダメージ!

3ラウンド:PC【322】 VS 敵【228】 /敵側に94ダメージ!(吸血植物A0、B0、C0、D0、E1,F21、G21、H21、I21、J21)

 *吸血植物、特殊能力/吸血(PC側全員に毎ターン防御無視2ダメージ)
 *増援:吸血植物MR30*5

4ラウンド:PC【242】 VS 敵【299】 /PC側に57ダメージ!(シャオリン36、ヘルト31、ニンツ31、カーモネーギー26、エミリア21、隊長ギルサリオン51、術士アルヴェルディア22)

 *吸血植物、特殊能力/吸血(PC側全員に毎ターン防御無視2ダメージ)
「くそっ、キリがない」
「こんなところで足止めを食らってる場合じゃねえってのに……!」
 と、そこへ前方の木立より一頭の銀狼が飛び出し、手近な吸血植物を噛み千切った。

 *増援:銀狼MR65

「チャンスだ! 各個撃破!」
 *ニンツ《これでもくらえ!》詠唱。吸血植物Fに20魔法ダメージ!
 *術士アルヴェルディア《L2これでもくらえ!》詠唱。吸血植物Oに40魔法ダメージ!

5ラウンド:PC【290】 VS 敵【230】 /敵側に60ダメージ!(吸血植物A0、B0、C0、D0、E0,F0、G15、H15、I15、J15、K24、L24、M24、N24、O0)

 *吸血植物、特殊能力/吸血(PC側全員に毎ターン防御無視2ダメージ)

6ラウンド:PC【272】 VS 敵【216】 /敵側に56ダメージ!(吸血植物A0、B0、C0、D0、E0,F0、G8、H8、I8、J8、K17、L17、M17、N17、O0)

 *吸血植物、特殊能力/吸血(PC側全員に毎ターン防御無視2ダメージ)

7ラウンド:PC【257】 VS 敵【154】 /敵側に103ダメージ!(敵全滅)

戦闘終了:シャオリンMR30/45防5魔防5、ヘルトMR25/40防5、ニンツMR25/40防5、カーモネーギーMR20/35防10、エミリアMR15/30防5、隊長ギルサリオンMR45/60防5、術士アルヴェルディアMR16/35、銀狼MR61/65

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「……すまない。遅くなった」
 銀狼は朧げな形でエルフの青年マロウズに姿を変えた。ギルサリオンが驚いた表情で近づく。
「氏族の名を捨てたはずの男が、眷属に姿を化すとはな」
「……これは俺ごときの力ではない」
 そう言うと、マロウズは腰に刺した不思議な光を放つ短剣を抜き放ち、日にかざした。
「なんと……古代の遺物か」
「ああ、西方エルフがこの地に住まうよりもはるか昔、〈古き森〉の主たちの残した逸物のようだ……俺には過ぎた代物だがな」
「銀の河ケレブスィールが健在であればなんと言われるかな」
「嘆いているだろうさ。枯木のウロの中でな」
 マロウズは吐き捨てるように言うと、仲間の方へ向き直った。
「急ごう。竜塚はもうすぐそこだ」


 ユランタウ修道院。〈竜塚〉の麓、黒竜の死骸を祀ったとされる古い建造物である。いまや訪れる者も少なく、風雨にさらされ苔むした姿を晒している。
 暗雲立ち込める中、一行は異様な気配を感じつつ、遠巻きに修道院を見やっていた。
「こんなとこで突っ立っててもどうしようもねえだろ。偵察は俺たちに任せとけよ」
 ニンツが一歩前に出て、盗賊二人に指示を出した。
「エミリアは右手から、カーモネーギーは左手から回り込んでくれ。俺は正面に向かう」
「わかったよ、兄貴」
「ふん、お前が正面でいいのかは疑問だがね」
 それぞれ返事を口にしながら、足音を消して静かに修道院へ向かった。その様子を尻目にギルサリオンは配下に手早く指示を出した。
「アルヴェルディア、カルドゥニアに儀式の準備を」
 その時、丘の上から激しい突風が吹き下ろしてきた。たまらず手で顔を覆った一行の耳に、かすかに竜の鳴き声が聞こえた。
「……妙な気配がする」
「おい! まずいぞ、こりゃ」
 修道院の周囲に散った盗賊たちから警戒の声が上がる。正面や窓が全て開き、武装した怪物が姿を現した。
「既に入り込んでいたか……術士隊は散開し浄化に当たれ!」

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【戦闘A】
PC:ニンツMR25/40防5、カーモネーギーMR20/35防10、エミリアMR15/30防5
敵:骸骨兵MR50*2

1ラウンド:PC【87】 VS 敵【93】 /PC側に6ダメージ!(ニンツ25、カーモネーギー20、エミリア15)

 *増援:骸骨兵MR50

2ラウンド:PC【89】 VS 敵【131】 /PC側に42ダメージ!(ニンツ16、カーモネーギー16、エミリア6)

「くそっ、これじゃまずい。いったん引くぞ」
 *PC側撤退

【戦闘B】
PC:マロウズMR41/45防5、シャオリンMR30/45防5魔防5、ヘルトMR25/40防5、隊長ギルサリオンMR45/60防5
敵:屍人兵MR80*2

1ラウンド:PC【149】 VS 敵【141】 /敵側に8ダメージ!(屍人兵A76、B76)
2ラウンド:PC【146】 VS 敵【146】 /両者ダメージなし
3ラウンド:PC【158】 VS 敵【140】 /敵側に18ダメージ!(屍人兵A67、B67)

 *ニンツたち合流

【合流戦闘】
PC:マロウズMR41/45防5、シャオリンMR30/45防5魔防5、ヘルトMR25/40防5、隊長ギルサリオンMR45/60防5、ニンツMR16/40防5、カーモネーギーMR16/35防10、エミリアMR6/30防5
敵:屍人兵MR67/80*2、骸骨兵MR50*3

 *エミリア、竜の牙使用。MR30スパルトイ召喚。
 *カーモネーギー《いだてん》詠唱。2回行動。

1ラウンド:PC【271】 VS 敵【281】 /PC側に10ダメージ!(マロウズ41、シャオリン30、ヘルト25、ギルサリオン45、ニンツ16、カーモネーギー16、エミリア6、スパルトイ30)

 両軍入り乱れての攻防の最中、窓を突き破って屍の猟犬が飛び出してきた。
 *増援:アンデッドハウンドMR60*2
 *エミリア、奇跡的な回復薬を使用。10回復。
 *マロウズ、シャオリン、ヘルト、ギルサリオン《死の刃》詠唱。攻撃力*2。

2ラウンド:PC【428】 VS 敵【375】 /敵側に53ダメージ!(屍人兵A59、B59、骸骨兵A42、B42、C43、アンデッドハウンドA53、B53)

「シャオリン!」
 ヘルトが珍しく鋭い口調で呼びかけた。振り返った耳に先行する魔法語の詠唱が木霊し、シャオリンはハッとして詠唱を重ねる。
「げ、原祖たる太陽の灼熱を用いて、アタシたちの敵を打ち倒す焔よ来てヨ……《炎の嵐》!」
 *ヘルト、シャオリン《炎の嵐》詠唱。敵全体に20魔法ダメージ!*2

3ラウンド:PC【275】 VS 敵【224】 /敵側に51ダメージ!(屍人兵A11、B11、骸骨兵A0、B0、C0、アンデッドハウンドA6、B6)

「よっしゃあ、これで終わりだ」
「……油断するなっ」
 歓声を上げたニンツをエミリアが鋭い口調で制した。開きっぱなしの扉の奥から巨体の怪物がゆっくりと姿を現していた。

 *増援:オーガ屍人兵MR100*2

 その姿を目にしたニンツは、カーモネーギーに一声呼びかけた。意図を汲んだカーモネーギーはすかさず距離を取って弓に矢をつがえる。ニンツはそのままエミリアに目配せをすると、巨体の怪物めがけて走り出した。
「いくぜ、ウスノロ野郎!」
「何をしてる! 無茶だ!」
 マロウズとヘルトが後を追った。
 ニンツは腰の二本の短剣を引き抜いて真正面からオーガ屍人兵に飛びかかったが、眼前で急に素早いステップで横にすり抜けた。
「やれ! カーモネーギー、エミリア!」

 *カーモネーギー、《死の刃》の呪文石を使用。攻撃力*2。
狙撃:カーモネーギー【60】/オーガ屍人兵Aに60ダメージ!
 *エミリア、屍人使いエルファニの指輪を使用。《L3これでもくらえ!》発動! オーガ屍人兵Aに60魔法ダメージ! オーガ屍人兵A死亡

「てめぇはこれでもくらっとけや!」
 *ニンツ《L2これでもくらえ!》の呪文石を使用。オーガ屍人兵Bに40魔法ダメージ!

4ラウンド:PC【201】 VS 敵【196】 /敵側に5ダメージ!(屍人兵A10、B10、アンデッドハウンドA5、B5、オーガ屍人兵A0、B59)
5ラウンド:PC【259】 VS 敵【192】 /敵側に67ダメージ!(屍人兵A0、B0、アンデッドハウンドA0、B0、オーガ屍人兵A0、B45)
6ラウンド:PC【257】 VS 敵【65】 /敵側に190ダメージ!(敵全滅)

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 乱戦に決着がついた頃、周囲でも術士隊によって大量の屍人兵が調伏されていた。その数、三十余り。一行は改めて、精鋭術士隊たるカルドゥニアの力を目にし、汗一つかかず、眉ひとつ動かさぬその立ち居振舞いに、背筋が寒くなった。
 ニンツはふと、傍に立つ術士の足元にきらりと輝くものが視界をかすめた。かがみ込むと銀製の首飾りであった。ニンツは拾い上げて術士の女エルフに差し出した。エルフは空虚な眼差しで差し出された品を見つめると、無言で受け取り首から下げ直した。
「……礼くらい言えねえのかよ」
「カルドゥニアの魂は精霊の樹に捧げられている。心はここには、無い」
 マロウズが背後から静かに声をかけた。そして寂しげとも懐かしげとも言える表情で、離れてゆく女エルフを見つめた。
「イアヴァスリルの事が気になるようだな」
「……さぁ、何のことかわからんな」
 マロウズはギルサリオンの視線を反らすように真逆へ向き直った。
「エルダーリーフ氏族の〈秋の輝き〉と称された娘……カルドゥニアに選ばれるのは氏族の名誉……そうだろう?」
「俺には関係のない話だ」
 マロウズは吐き捨てるように呟くと静かにギルサリオンから離れた。ギルサリオンはため息をつくとアルヴェルディアに術士隊を率いて丘の上に向かうよう指示を出した。竜の鳴き声を孕んだ風は、なお強く丘から吹き下ろしていた。

「やれやれ、屍人兵どもが騒がしいと思ったら……これはどうしたことかね」
 無造作に投げかけられた言葉に、一行は慌てて修道院の入り口へ向き直った。
 片眼鏡をかけ、顎に薄い山羊鬚を生やしている男性が、扉から姿を現したところだった。男は髭を触りながら興味深そうに一行を見回した。
「ほう……諸君らは例の。妹たちが世話になったようだな」
 男は軽い口調で話し続けながら歩を進めた。一行に緊張が走る。
「我はエレファバ。マリオナルシス卿の教えを賜る者である」
 男は両手を広げて優雅にお辞儀をした。そして丘の上を振り仰ぐように眺めながら誰に言うともなくつぶやいた。
「黒竜には過去の汚名をそそぐ機会をくれてやろうと思うのだよ。今度こそ〈カザンの悪夢〉の名に恥じぬよう大いに暴れてもらいたいものだ」
 男はくっくと喉を鳴らして笑った。一行は顔を見合わせた。
 そこへ、修道院の奥から足を引きずりながら別の人影が姿を現した。人影は真紅のローブを身に纏い、ゆっくりと歩を進めながら一行に声をかけた。
「あらあら……誰かと思ったら」
 片目片腕となり足をひきずるその人影は、一行もよく知っている女……屍人使いエルファニであった。
「兄上、魔力は捧げました。あとは時間の問題でしょう」
「よし、ではゆくぞ」
 男は懐から小ぶりなワンドを取り出した。
「待て!」
 ニンツが一歩踏み出し、叫んだ。男はそれを横目で眺めると、ワンドを持たぬ方の手を軽く払った。《泥だ沼だ》という囁き声が耳に届くや否や、一行の足元が突如、泥沼と化しずぶずぶと足が取られて沈みはじめた。
「それでは諸君、ごきげんよう」
 男はワンドを一振りすると、薄い笑みを顔に浮かべながら、エルファニと共に姿を消した。


 竜の鳴き声は更に大きく木霊していた。丘から吹き下ろす風は力を増し、辺りの木々は大きく揺れ、枝から葉が舞い散った。遠くに咆哮が聞こえはじめた。
「竜は……目覚めちまったのか」
 カーモネーギーが絶望的な口調で呟いた。
「いいや。まだ微睡んでいるだけだ……いまなら、まだ」
 ギルサリオンが毅然とした表情でそう答えた。
「お伽噺の3つの宝物がありゃあな」
 ニンツが本気とも冗談ともつかぬ口調で答えた。
「三種の聖遺物は聖地シャンスだ。そうだろ」
 マロウズはギルサリオンの目を見つめながら口にした。
「アルヴェルディア、カルドゥニアとともに儀式の準備を。少しでも長く、竜の目覚めを遅らせよ」
「御意」
 術士たちが足早に丘の上に立ち去ると、ギルサリオンは一行を振り返った。
「聖地へ向かう」


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
☆戦果
" 片耳の" マロウズ
エミリア →《そこにあり》の呪文石、奇跡的な回復薬を使用した。
カーモネーギー →《死の刃》の呪文石を使用した。
シャオリン
ヘルト
偵察兵のニンツ →《L2これでもくらえ!》の呪文石を使用した。


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■事件C:6人出撃
〈大断崖〉手前の盆地の古代帝国時代の塔について、探索を継続する。
貴様らあてに魔術師カンダックから伝言が届いているぞ。
「諸君、これを読んでいるという事は生きて帰ってきたのだろう。こちらも古代帝国ティグリアについて少し調べることができた。文献によると《七英雄》参の騎士の名はクリストフォルス。〈幻影遣い〉と呼ばれていたそうだ。次の階層には此奴が待ち構えているに違いない。私はいましばらく調査を続けたいので、スラムグリオン魔法学校を離れることはできない。無理はせず、慎重に進みたまえ。また何かわかったことがあれば連絡する」
第四階層へは、初の挑戦となる。事前情報がないため、一層の注意をして望むように。
脅威予測)未知数
報酬)莫大・金貨よりも魔法の物品の入手可能性が高い

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 第三階層の弐の騎士の玉座から続く古代樹の大階段を登りきった先、初めて足を踏み入れる第四階層は古典的とも言える石畳の迷宮が広がっていた。
 階段を登りきって、2ブロック先を左へ曲がり、4ブロック前進し、また左へ……。
 三名が並ぶとやっとの、縦横およそ3m四方の空間を、一行は言葉少なげに歩を進めていた。

「気をつけろよ。こう見通しが悪くてはいつ何が出てくるかわからんからな」
 先行して罠や仕掛けを調べていた盗賊ソーグが後方を振り返りながら声をかけた。
「まぁ、俺はこの方が落ちつきますがね」
 ドワーフ戦士ヤスヒロンが、ひんやりとした石壁を撫でながらつぶやいた。
「階層ごとにこうも違うのダナ……」
 初めてこの塔に足を踏みいれた、カエル人の戦士サマが周りを見回しながら口にする。
 魔獣の住処たる密林と化していた第三階層と打って変わった閉塞感のある空間に、一行はまだ慣れず、居心地悪そうな様子であたりを見回していた。
「10フィートの棒でも持ってくりゃ良かったかね」
 ソーグとともに前を歩いていた戦士へーざぶろーのつぶやきを耳に、後方のカエル人戦士ヴェルサリウス27世が神妙な様子で頷いた。
 前衛の様子を眺めながら、無敵の万太郎は隣に並ぶ長身の痩せた男に話しかけた。
「まさか第四階層にも付いて来てくれるとは思わなかったよ」
「ま、師匠に頼まれたからにはな」
 男はそう言うと大げさな身振り手振りとともにニヤリと笑った。
「……義理堅い男イェスタフとは俺様のことさ」

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【隊列】
前衛:ソーグ、ヤスヒロン、へーざぶろー
中衛:万太郎、イェスタフ、サマ
後衛:ヴェルサリウス、ハンタードール、バードドール

【進路】
北2→西4→南2→東2→南2
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「さて……どうする、隊長」
 ソーグはT字路を前に、振り返って万太郎の指示を仰いだ。
 向かって右手(西)と左手(東)には通路が伸びており、ほぼ正面(南)には扉が見えた。
 付け加えると、東の通路は2ブロック先で南に折れている。
「うーん……」
 万太郎は少し悩んだが、とりあえず目の前の扉からいこうと宣言した。ソーグが小さく頷き扉を調べ始めた。
「【#6】……? どういう意味だ」
 ソーグは扉の正面の金属板に彫り込まれた数字に首をひねりつつ、罠と仕掛けを手早く調査した。気になるものは何もない。鍵も開いていた。扉に耳をつけて音を探るが、特に何も聞こえては来ない。振り返ると後ろから覗き込んでいた万太郎が頭を掻きながらつぶやいた。
「悪いな。俺はどうもこういう作業が苦手で」
「なに、まだ借りを返せてないからな」
 ソーグはニヤリと笑うと、万太郎の肩を軽く叩いた。そして一行に行くぞと声をかけると、扉を引き開けた。

 目を疑う光景が広がっていた。
 そこは街の広場。噂話に興じる民衆。人々が見つめる先には、広場の中央に設置された処刑台。
 一行は刹那、息を呑み、立ち尽くしていた。ソーグは慌てて背後を見返した。奇妙なことに入ってきたはずの扉そのものがどこかへ姿を消していた。
「ディニエル!」
 突然ヤスヒロンが大声を出し、走り出そうとした。隣のへーざぶろーがその腕を掴んで引き止めた。
「よせ! 何をしてる」
「離せ! 妹が……!」
 ヤスヒロンは身を振りほどこうと、もがきながら叫んだ。へーざぶろーはやむなく羽交い締めにして口を塞いだ。
 万太郎がヤスヒロンの視線の先に目をやると、目隠しをされた若いエルフの娘が処刑台に向けて連行されていくところだった。
「ディニエル! ディニエル!」
 ヤスヒロンは塞がれた口から叫び続けた。
 背後から、辺り一面にまばゆい光が放たれた。一行が振り返ると光はヴェルサリウスの掲げた古代帝国の宝珠から発せられていた。
 光に照らされ、周囲の街の風景が歪み始める。やがて光が収まった時、辺りは薄暗い石造りの部屋に姿を変えていた。
「ふぅむ……やはりか」
 静まり返った部屋を見回し、ヴェルサリウスが宝珠を懐にしまいながら、誰に言うともなしにつぶやいた。万太郎がその後を引き継いだ。
「……参の騎士は〈幻影遣い〉」

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Room #6:
・東西4ブロック*南北3ブロック
・扉(北・南・東・西)
・古ぼけた家具
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 蜘蛛の巣の張った部屋には、古めかしいテーブル、椅子、戸棚が転がっていた。四方それぞれの方角には扉が見える。
 まだ先程の光景も生々しく、この古びた石造りの部屋と人々の息づかいが聞こえんばかりの雑踏と、どちらが真実なのか測りかねると言ったところである。
「なんだったんだ……いまのは」
 へーざぶろーはしきりに頭を振って平常心を取り戻そうとしている。当のヤスヒロンは放心したかのように口をつぐんでいた。
「この様子じゃ、ここは探すだけ無駄だな。……で、どっちに行くよ」
 ソーグが入ってきた以外の3つの扉を指し示しながら問いかけた。

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・扉(東)
 調査(ソーグ)→罠発見!→罠解除(ソーグ)→解除成功!

【進路】
扉(東)→東2→北2
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「ああ、やはりここで繋がるわけか……」
 曲がり角から先を覗いたソーグがそう呟いた。へーざぶろーと万太郎が覗き込むと、先程の部屋に入る前の扉が見えた。
「どうする? 一旦戻るか」
「あまり先へ先へは行きたくないかな」
「ではそうしよう」
 ソーグはそう答えつつ、先程からむっつりと押し黙ったままのヤスヒロンにチラリと目をやった。

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【進路】
西6→扉
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「……今度は【#1】か」
 一行の前にまた金属板のついた扉が見えた。横にスライドするタイプの石扉だ。通路はそこで北に曲がっている。
 前衛3人は後ろを振り返ったが、後衛のメンバーは任せるとばかりに鷹揚に頷くだけであった。
「〈そこにあり〉の呪文石が足りないやつは俺に言ってくれ。多めに用意してある」
 万太郎は一行を見回しながらそう伝えた。
「さっきみたいなのでは、調べるだけ無駄かもしれんがな……」
 ソーグはそう言いながら、石扉を手早く調べ、聞き耳を立てようとした。
「待て。そのまま開けるナ」
 中衛のサマが一歩前に出て、引き戸に仕掛けられていたワイヤーを手早く切断した。

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・扉
 調査(ソーグ)→失敗
 そこにあり(サマ)→罠発見!→罠解除(サマ)→解除成功!
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「ば、馬鹿な。こんなところに」
 扉を開けた瞬間、凄まじい熱風が顔を打ち、広めの部屋の中に巨大な赤い体躯の竜の姿が目に飛び込んできた。
 へーざぶろーが素早く魔法語を詠唱するが、発した光を受けてもなお赤竜はその巨体を揺るがせなかった。
「ちっ、今度は消えないのか」
「来るぞ、気を抜くな!」

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【戦闘】
PC:ソーグMR45防5、ヤスヒロンMR45防5、へーざぶろーMR35、無敵の万太郎MR25防5、イェスタフMR40防5、サマMR20防5、ヴェルサリウス27世MR20防10魔防5、バードドールMR30、ハンタードールMR35
敵:レッドドラゴンMR350防20魔防10

 *先制射撃:ハンタードール【29】/レッドドラゴンに29ダメージ!(レッドドラゴン341)

1ラウンド:PC【275】 VS 敵【292】 /PC側に17ダメージ!(ソーグ45、ヤスヒロン45、へーざぶろー33、万太郎25、イェスタフ40、サマ20、ヴェルサリウス20、バードドール28、ハンタードール33)

 *ヴェルサリウス27世《イーゼルヴァンの黒き夢》詠唱。レッドドラゴンには通じない!
 *サマ《イーゼルヴァンの黒き夢》詠唱。レッドドラゴンには通じない!
 *万太郎、古代帝国の指輪を使用。《わたしを守って、あなたを守って》発動! ソーグの魔法防御+15。
 *レッドドラゴン、特殊能力/炎のブレス(前衛3人に10魔法ダメージ)

「ヤスヒロン! いつまでボケっとしてやがるんだ! そんな事じゃ死ぬぞ!」
 ソーグが炎に身を焼かれながら、集中を欠いた動きで漫然とモーニングスターを振るうヤスヒロンを叱咤した。
「奴の鱗を貫き通す一撃が必要だ。例の杖を使え!」
「あ、ああ」
 ヤスヒロンはピシャピシャと自らの頬を叩いて気合を入れ直した。
「イェスタフ、援護を頼む!」
「ちぇっ。俺様に魔法を期待するなよな」
 万太郎の言葉にイェスタフは苦笑いしながら初歩的な魔法語の詠唱を始めた。
 *ヤスヒロン、古代帝国の杖を使用。《L3これでもくらえ!》発動! レッドドラゴンに60魔法ダメージ!
 *ソーグ《いだてん》詠唱。2回行動。
 *へーざぶろー《死の刃》詠唱。攻撃力*2
 *イェスタフ《死の刃》詠唱。万太郎の攻撃力*2

2ラウンド:PC【353】 VS 敵【277】 /敵側に76ダメージ!(レッドドラゴン235)

 *レッドドラゴン、特殊能力/炎のブレス(中衛3人に10魔法ダメージ)

「グワァ」
 カエル人サマが業火に身を焦がされる。比較的軽装の中衛と後衛メンバーはブレスを食らってはひとたまりもない。慌てて懐から回復薬を取り出した。
 *サマ、奇跡的な回復薬を使用。10回復。
「くそっ、さすがはドラゴン。手強いッ」

3ラウンド:PC【292】 VS 敵【244】 /敵側に48ダメージ!(レッドドラゴン207)

 *レッドドラゴン、特殊能力/炎のブレス(後衛3人に10魔法ダメージ)
 *ヴェルサリウス、奇跡的な回復薬を使用。10回復。

4ラウンド:PC【272】 VS 敵【233】 /敵側に39ダメージ!(レッドドラゴン188)

 *レッドドラゴン、特殊能力/炎のブレス(前衛3人に10魔法ダメージ)

「このままじゃ、ジリ貧だ」
「ああ、出し惜しみしてる場合じゃ無いな」
 *ソーグ《凶眼》詠唱。攻撃力*3
 *万太郎《凶眼》の呪文石を使用。攻撃力*3
 *サマ《これでもくらえ!》詠唱。レッドドラゴンに20魔法ダメージ! 
 *イェスタフ《これでもくらえ!》詠唱。レッドドラゴンに20魔法ダメージ! 

5ラウンド:PC【326】 VS 敵【209】 /敵側に107ダメージ!(レッドドラゴン81)

 *レッドドラゴン、特殊能力/炎のブレス(前衛3人に10魔法ダメージ)

6ラウンド:PC【214】 VS 敵【165】 /敵側に49ダメージ!(レッドドラゴン52)

 *レッドドラゴン、特殊能力/炎のブレス(中衛3人に10魔法ダメージ)

7ラウンド:PC【196】 VS 敵【149】 /敵側に47ダメージ!(レッドドラゴン25)

 *レッドドラゴン、特殊能力/炎のブレス(後衛3人に10魔法ダメージ)

「とどめだ! 首を落とせ」

8ラウンド:PC【187】 VS 敵【135】 /敵側に52ダメージ!(レッドドラゴン死亡)

戦闘終了:ソーグMR25/45防5、ヤスヒロンMR15/45防5、へーざぶろーMR3/35、無敵の万太郎MR5/25防5、イェスタフMR20/40防5、サマMR10/20防5、ヴェルサリウス27世MR10/20防10魔防5、バードドールMR8/30、ハンタードールMR13/35

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 全員半死半生となってようやく倒した赤竜の巨体が、霞のようにぼやけて姿を消した。
「危ないところだった……」
 万太郎は額の汗を拭って、それぞれの被害状況を確認した。大怪我を負った者も多い。一度出直すべきかもしれない。
「フン、竜の財宝と言うには随分チンケな代物ではないか」
 ヴェルサリウスがソーグの見つけた宝箱を〈開け〉の呪文石で解錠して、中身を覗き込むと、残念そうな声を上げた。

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Room #1:
・東西3ブロック*南北4ブロック
・扉(北・南・東・西)
・宝箱(銀貨1500枚(金貨150枚相当)、?ぶき、?まきもの、?いし、?きみょうなアイテム)
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☆戦果
ソーグ →戦闘後《そこにあり》の呪文石を使用し、レッドドラゴンの財宝を発見。
ヤスヒロン
へーざぶろー
無敵の万太郎 →《凶眼》の呪文石を使用した。
サマ →《そこにあり》の呪文石、奇跡的な回復薬を使用した。
ヴェルサリウス27世 →《開け》の呪文石、奇跡的な回復薬を使用した。

→レッドドラゴンの宝箱より、銀貨1500枚(金貨150枚相当)、?ぶき、?まきもの、?いし、?きみょうなアイテムを入手した。
→レッドドラゴンの幻影に手痛い損害を被った一行は、一度撤退し体勢を立て直す事にした。

■現在の攻略状況(MAP)
https://ftbooks.xyz/ftnews/KhazanEmpire/4F_MAP.png

■入手した財宝
全員、下記から好きなものを1つ選択して下さい。未鑑定のまま分配するため、詳細は入手後に確定となる。
それぞれ1つしか無いため先着順。(既に他者に取られていた場合は金貨となる)
・?ぶき
・?まきもの
・?いし
・?きみょうなアイテム
・金貨50枚


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☆ランキング

1位:
ヴェルサリウス27世/MR20防10魔防5
 +金貨30枚、選択した財宝
→(所持品:金貨160枚。高品質な武器【超小型単弓】、高品質な防具【キルテッド・シルク】、古代帝国の首飾り、古代帝国の宝珠(《開け》《そこにあり》《ないことに》のうち、1つを選んで使用可能/1事件に1回使用可能)、呪文:《イーゼルヴァンの黒き夢》、ハンタードール(MR35、先制攻撃可能))

サマ/MR20防5
 +金貨30枚、選択した財宝
→(所持品:金貨55枚。高品質な防具【スケイル・アーマー】、《開け》の呪文石、《ないことに》の呪文石、《魔神の盾》の呪文石、奇跡的な回復薬、呪文:《これでもくらえ!》《耐えよ》《イーゼルヴァンの黒き夢》)

ソーグ/MR45防5+
 +金貨30枚、選択した財宝
→(所持品:金貨30枚。高品質な武器+2【グレートソード】、高品質な防具【レザーアーマー】、奇跡的な回復薬、《ないことに》の呪文石、《そこにあり》の呪文石、呪文:《ないことに》《いだてん》《凶眼》)

無敵の万太郎/MR25防5
 +金貨30枚、選択した財宝
→(所持品:金貨40枚。高品質な武器+2【ソナン・イエの槍】、高品質な防具【アーミング・ダブレット】、古代帝国の指輪(《凶眼》《耐えよ》《わたしを守って、あなたを守って》のうち、1つを選んで使用可能/1事件に1回使用可能)、《そこにあり》の呪文石*6、《大まぬけ》の呪文石、《小鬼の口笛》の呪文石、奇跡的な回復薬、バードドール(MR30、飛行可能))

5位:
へーざぶろー/MR35
 +金貨20枚、選択した財宝
→(所持品:金貨25枚、高品質な武器+2【トゲこん棒】呪文:《死の刃》《そこにあり》《炎の嵐》《メメコレオウスの黒き礫》)

ヤスヒロン/MR45防10
 +金貨20枚、選択した財宝
→(所持品:金貨50枚。高品質な武器+2【鍛冶師の弟子考案、自作の:飛び出せ!くん【モーニングスター】壱号くん+2】、高品質な武器防具【バイキングスパイクシールド】、高品質な武器【ヘヴィーメイス】、高品質な防具【首、腕など急所を部分的に鉄板で覆った鎖帷子】、古代帝国の杖(《L3これでもくらえ!》《炎の嵐》のうち、1つを選んで使用可能/1事件に1回使用可能)《開け》の呪文石、《ないことに》の呪文石、《そこにあり》の呪文石、《魔神の盾》の呪文石*2、奇跡的な回復薬、ボンバの実)

7位:
《冬の嶺の炎》バラク=ヘルムハート/MR50防5
 +金貨50枚
→(所持品:金貨110枚。黒き大斧、高品質な武器【バスタードソード】、高品質な防具【革鎧】、《開け》の呪文石、奇跡的な回復薬*1、身代わりの依り代、呪文:《そこにあり》《ないことに》《いだてん》《メメコレオウスの黒き礫》)

アンドレア/MR70防5++
 +金貨50枚
→(所持品:金貨80枚。黒き剣、ファイアブランドMR+15(《炎の嵐》を発動/1事件に1回使用可能)、高品質な武器【鞭】、高品質な防具【革鎧】、《開け》の呪文石、《そこにあり》の呪文石*2、《ないことに》の呪文石、モンゴーのしるし、熊神石、呪文:《これでもくらえ!》《いだてん》)

クリフ/MR45防5魔防5+
 +金貨50枚
→(所持品:金貨90枚。高品質な武器+2【斧】、高品質な防具 【???】、魔封じの首飾り(魔防+5)、奇跡的な回復薬、竜の牙、炎の石、呪文:《イーゼルヴァンの黒き手》)

デュラル・アフサラール/MR40防5+
 +金貨50枚
→(所持品:金貨85枚。高品質な武器【弓】、灰色熊の毛皮、奇跡的な回復薬*2、《開け》の呪文石、《そこにあり》の呪文石、《ないことに》の呪文石、熊神石、屍人使いエリファスの杖(《L2これでもくらえ!》/1事件に1回使用可能)、呪文:《凶眼》《炎の嵐》)

11位:
エミリア/MR30防5
 +金貨45枚
→(所持品:金貨45枚。ベアクロー、高品質な防具【ブレストプレート】、《開け》の呪文石*3、《そこにあり》の呪文石*3、《ないことに》の呪文石*7、奇跡的な回復薬*1、竜の牙、熊神石の破片、屍人使いエルファニの指輪(《L3これでもくらえ!》/1事件に1回使用可能))

偵察兵のニンツ/MR40防5
 +金貨45枚
→(所持品:金貨65枚。高品質な武器【良い短剣】&【鋭い短剣】、高品質な防具【硬い皮鎧】、《ないことに》の呪文石、奇跡的な回復薬×2、呪文:《これでもくらえ!》《そこにあり》《ないことに》)

13位:
カーモネーギー/MR35防10
 +金貨40枚
→(所持品:金貨105枚。高品質な武器+2【魔弓・イチイバル】、高品質な防具【革鎧】、高品質な防具【籠手に付けれる小型盾】、《開け》の呪文石、奇跡的な回復薬、異界獣の黒曜石、呪文:《そこにあり》《ないことに》《いだてん》)

シャオリン/MR45防5魔防5
 +金貨40枚
→(所持品:金貨80枚。高品質な武器+2【ヒョウ】、高品質な武器【鉄扇】、高品質な防具 【火鼠の皮衣】、カザン帝国勲章、《大まぬけ》の呪文石、《粉みじん》の呪文石、奇跡的な回復薬*2、炎のガントレット(《炎の嵐》《炎の壁》のうち、1つを選んで使用可能/1事件に1回使用可能)、木製自作ドール「睡蓮」、呪文:《死の刃》《ないことに》《炎の嵐》)

スパイデイ/MR30防5
 +金貨40枚
→(所持品:金貨65枚。高品質な武器【細身の剣(レイピア)】、高品質な防具 【鋼の鎧、楯セット】、《そこにあり》の呪文石、奇跡的な回復薬、スパイダーベノム1瓶、呪文:《いだてん》)

ヘルト/MR40防5
 +金貨40枚
→(所持品:金貨55枚。高品質な武器【シュヴァイツァー・サーベル】&【カッツバルゲル】、高品質な防具【メイル・アーマー】、保存食*1、《開け》の呪文石、《ないことに》の呪文石、《厄払い》の呪文石、異界獣の黒曜石、呪文:《死の刃》《ないことに》《炎の嵐》)

ポル・ポタリア/MR30防5
 +金貨40枚
→(所持品:金貨95枚。高品質な武器【鞭】、高品質な防具【飛来物除けの護符を織り込んだジャケット(緑色)と足になじむ靴】、《開け》の呪文石、奇跡的な回復薬*3、スパイダー・ベノム1瓶、呪文:《そこにあり》《ないことに》《いだてん》《凶眼》《メメコレオウスの黒き礫》)

メックリンガー老/MR30防5
 +金貨40枚
→(所持品:金貨75枚。高品質な武器【槍】、いにしえの胸当て、《L2これでもくらえ!》の呪文石、《そこにあり》の呪文石、奇跡的な回復薬、ボンバの実)

19位:
ゲディス/MR20
 +金貨35枚
→(所持品:金貨35枚。)

"片耳の"マロウズ/MR45防5
 +金貨35枚
→(所持品:金貨90枚。黒き短剣、エルブンダガーMR+10(使用すると銀狼化MR+20/1事件に1回使用可能)、高品質な武器+2【チェーン・ソード】、高品質な防具【レザージャケット】、《ないことに》の呪文石、《わたしを守って、あなたを守って》の呪文石、奇跡的な回復薬、呪文:《死の刃》《そこにあり》)

■砦にて待機(今回投稿無し)
イールギット/MR30 →(所持品:金貨40枚。いにしえの短剣)
アクロス/MR20 →(所持品:金貨50枚)

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☆ザルダック商店
金貨を入手している場合、買い物をしても構わない。自由筆記欄に記載すること。
商品は変わる場合があるので、次回以降に残しておくこともできる。

<商品リスト>
・高品質な武器+2 金貨60枚 MR+15/好きな武器タイプを自由筆記に記載下さい(高品質な武器から買い替える場合、古い武器は金貨10枚で引き取ってくれる)
・高品質な武器 金貨30枚 MR+10/好きな武器タイプを自由筆記に記載下さい
・高品質な防具 金貨30枚 防御点+5/好きな防具タイプを自由筆記に記載下さい
・奇跡的な回復薬 金貨10枚 ダメージ10点回復/1回限り
・神の如き回復薬 金貨25枚 ダメージ30点回復/1回限り
・《L2これでもくらえ!》の呪文石 金貨20枚 魔法ダメージ40点/1回限り
・《L3これでもくらえ!》の呪文石 金貨40枚 魔法ダメージ60点/1回限り
・《死の刃》の呪文石 金貨15枚 1ターンのみダメージ2倍/1回限り
・《開け》の呪文石 金貨10枚 鍵開け/1回限り
・《そこにあり》の呪文石 金貨10枚 隠されたものを感知する/1回限り
・《ないことに》の呪文石 金貨20枚 魔術を1度だけ無効化する/1回限り
・《いだてん》の呪文石 金貨40枚 3ターンの間2回行動が可能/1回限り
・《凶眼》の呪文石 金貨40枚 1ターンのみダメージ3倍/1回限り
・《炎の嵐》の呪文石 金貨40枚 敵全体に魔法ダメージ20点/1回限り
・《耐えよ》の呪文石 金貨40枚 5ターンのあいだ防御点2倍/1回限り
・《わたしを守って、あなたを守って》の呪文石 金貨40枚 2ターンのあいだ1名に魔法防御15点/1回限り
・雇い人(戦士L2) 金貨60枚 MR60防5/1事件限り
・雇い人(戦士L3) 金貨100枚 MR85防10/1事件限り
・雇い人(盗賊L2) 金貨60枚 MR40・《死の刃》《開け》《そこにあり》/1事件限り
・雇い人(盗賊L3) 金貨100枚 MR55防2・《死の刃》《開け》《そこにあり》《いだてん》《耐えよ》/1事件限り
・雇い人(魔術師L2) 金貨60枚 MR25・《L2これでもくらえ!》《ないことに》《凶眼》/1事件限り
・雇い人(魔術師L3) 金貨100枚 MR35・《L3これでもくらえ!》《ないことに》《いだてん》《凶眼》《炎の嵐》《耐えよ》《わたしを守って、あなたを守って》/1事件限り

☆訓練場
金貨を使用して、ガガック兵長に特別訓練をつけてもらえる。自由筆記欄に記入すること。
支払い可能であれば複数回選択しても構わない。
なお魔術訓練で覚えるのはあくまで呪文そのものであり、高レベルで呪文をかける事は魔術師のみができる特技のため、PCにはできない。

・戦闘訓練:金貨100枚/基本MR+10
・魔術訓練1:金貨50枚/(これでもくらえ、死の刃、開け、そこにあり、ないことに)から1つ選択。今後1事件に1回使用可能に。(呪文石との併用可)
・魔術訓練2:金貨80枚/(いだてん、凶眼、炎の嵐、耐えよ、わたしを守ってあなたを守って)から1つ選択。今後1事件に1回使用可能に。(呪文石との併用可)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
【ルール】
・PCはカザン帝国の辺境開拓軍の戦士です。
・T&Tシステム的にはPCは盗賊にあたり、戦士の特技も魔術師の特技も持ち合わせません。
・毎回、「事件」が更新されます。どの事件を解決に向かうか選択して下さい。
・同じ事件に向かったPCが多ければ、解決しやすいですが報酬も少なくなります。逆に1人だと報酬は総取りですが、失敗の可能性も高くなります。
・トロールワールドは無情です。運が悪ければあっけなく死ぬでしょう。死んだときは死んだときです。新たなPCで1から出直して下さい。
・事件の処理はシンプルにモンスターレートで行います。(PCも一律でMR表記処理)PCの初期戦闘力はMR20(3D6+10)です。
・事件を解決したら、報酬がもらえます。報酬はカザン帝国への貢献度として、順位付けされます。順位によっては特別報酬がもらえることもあるでしょう。
・報酬を使って装備を購入したりすることもできます。商品は毎回変わるので使うか、貯めるかは判断のしどころでしょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
【未解決事件】
A:
〈大断崖〉風の峡谷に放棄された古城が発見された。
スラムグリオン魔法学校の文献にも記される、へローム王国時代の著名な魔術師ダルゴンの大図書館ではないかと噂されている。
神の如き力を持つと言われた魔術師の1人、ダルゴンの遺した魔導書を手に入れることが出来れば、ひと財産である事は間違いない。
脅威予測)中
報酬)大


B:
司令室にて、ガガック兵長と西方エルフ森林警備隊長ギルサリオンが君たちを出迎えた。
「報告は聞いている。〈シャンキナルの森〉の西方エルフの聖地へ向かうのだとな。レックス砦から大規模な探索部隊を出すという提案もさせてもらったが……」
「聖地シャンスは我ら西方エルフの魂の拠り所。本来であれば諸君ら帝国人には踏み入って貰いたくない場所なのだ。無論、今が非常時であるのは承知の上でだが……諸君ら少数部隊のみでの同行を願いたい」
参謀である魔術師ヴォーゼル卿が言葉を続けた。
「聖地には意志を持つ古代植物や太古の魔術などが仕掛けられていると聞く。よいか、準備を怠るでないぞ」
脅威予測)中
報酬)小


C:
〈大断崖〉手前の盆地の古代帝国時代の塔について、探索を継続する。
第四階層は古典的とも言える石造りの迷宮になっているようだ。
幻術によるものか不可思議な現象も起こっている。一層の注意をして探索に望むように。
(下記より方針を選択して下さい)
・新しいエリアへ進むことを重視
・未探索の扉や通路を埋めていくことを重視
・各部屋の中を丁寧に調査することを重視
脅威予測)未知数
報酬)莫大・金貨よりも魔法の物品の入手可能性が高い

■現在の攻略状況(MAP)
https://ftbooks.xyz/ftnews/KhazanEmpire/4F_MAP.png


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【作戦会議室・峡谷の山猫亭】

https://www1.x-feeder.info/FTGAME/

出撃前に相談をしたり、雑談や交流ができるチャットルームです。
PC・スマホ・携帯から閲覧/書き込みできますので、ぜひご活用下さい!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
【参加方法】

https://jp.surveymonkey.com/r/QYYZPZ8

参加フォームに下記を記入し、送信して下さい。
・キャラクター名
・今回選択する事件
・(任意・自由筆記)事件への対応や購入した商品、キャラ設定(年齢・性別・性格・生い立ち・風貌・特徴・口癖など)
・プレイヤー名・メールアドレス
 *投稿内容の詳細確認などが必要な際にこちらからご連絡をする場合があります。

【参加締切】
配信日の2週間後を締切とします。
締切を過ぎますと次回は「待機」となります。

■今回の締切:4/12(日)24時まで

 *ep.12配信予定:5月中旬


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ぜひ、お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

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