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2026年5月25日月曜日

アランツァへのいざない 神 FT新聞 No.4870

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆ 本日の「アランツァへのいざない」は「神」について触れてまいります。 すでにwikiにある情報ですが、「アランツァワールドガイド」の原稿として肉づけをしました。 それでは、さっそく。 ◆この世界の魔法と信仰について  魔法を使用する行為は神との契約によってなされます。神との契約は「約束」によって成立していて、アランツァではその心根を問われることはありません。極端なことを言えば、約束ごと(戒律)を守るかぎり、信仰心がなくても構わないのです。とはいえ、善神は善の行いを、悪神は悪の行いをするような戒律がありますから、自分に合わない神を選ぶことは負担になるでしょう。  アランツァにおける魔法の呪文は特殊技能の一種で、神との契約によって与えられる力を意味しています。特殊技能さえ取得すれば、誰でも魔法を覚えることはできます。しかし、ちゃんと唱えるには、魔力点を基準にした【判定ロール】に成功しなければなりません。  魔法には系統があります。「奇跡」「魔術」「呪術」「錬金術」「異国魔法」「からくり術」がその代表です。「悪魔召喚術」については、悪魔はアランツァ世界の神々とは別の力を源としているため、厳密には魔法ではありません。ですが、人間が神のことを本当の意味では知らないように、悪魔を統べるこの術のことも知らず、そういう意味ではすべて同じといえます。 ◆魔法を使うには  アランツァ世界を舞台にしたTRPG「ローグライクハーフ」では、さまざまな【職業】が登場します。キャラクター作成時や特定のレベルに達した際に【副能力値】を選ぶのと同じタイミングで【職業】を選ぶことになります。基本ルールでは【魔術点】を選べば【魔術師】、【幸運点】を選べば【僧侶】になります。それ以外の【職業】は、ローグライクハーフwikiにて詳細が記述されています(https://x.gd/KjD6s)。  ゲーム的には、神への信仰心がどのように表現されてもかまいません(まったく表現されなくても問題はありません)。参考までに、対応する一覧表をここに記します。これはアランツァ世界の「カタチ」を示したもので、ゲーム的な意味合いはありません。 【僧侶】が信仰する神:【幸運点】 ・剣神エスパダ、盾神エスクードなど 【聖騎士】が信仰する神:【筋力点】 ・唯一神セルウェー 【緋色の魔術師】が信仰する神:【魔術点】 ・炎神カタク 【吟遊詩人】が信仰する神:【幸運点】 ・自然神ヴェルディア 【魔術師】が信仰する神:【魔術点】 ・知識神ソロンドオル、獣神セリオンなど 【秘術師】が信仰する神:【魔術点】 ・龍神ラガルティハ 【呪術師】が信仰する神:【幸運点】 ・闇神オスクリード 【死せる砂漠の道化師】が信仰する神:【幸運点】 ・死神ベルドゥー 【錬金術師】が信仰する神:【幸運点】 ・混沌神カルネー 【異国魔法使い】が信仰する神:【魔術点】 ・海神ホリィドゥーン 【からくり術師】が信仰する神:【魔術点】 ・からくり神テクア 【悪魔召喚師】が信仰する神:【幸運点】 ・無信仰、あるいは悪魔 ◆奇跡  【僧侶】が行使します。基本ルールで【幸運点】を選んだ際に、自動的に選ばれる職業です。  状態異常の除去や防御、回復やアンデッドにダメージを負わせる呪文などが中心です。主人公が生き延びる率を上げる、王道の魔法が多く含まれています。 ◆聖騎士の奇跡  【聖騎士】が行使します。サプリメント『廃城の秘宝』に収録されています。  死んだ直後のキャラクターを復活させるなど、復活と回復、そして力づよい防御の呪文を持ち合わせています。 ◆緋色の魔術  【緋色の魔術師】が行使します。これは【種族】として『ヒーローズオブダークネス』に登場します。  炎に関する魔術を使います。 ◆奏楽  【吟遊詩人】が行使します。『四猫亭の幽霊』に収録されています。  音楽そのものが魔法の呪文として働きます。 ◆魔術  【魔術師】が行使します。基本ルールで【魔術点】を選んだ際に、自動的に選ばれる職業です。   攻撃魔法が中心ですが、敵の反応をよくするなど、オールラウンドに冒険を行えます。 ◆秘術  【秘術師】が行使します。サプリメント『雪剣の頂 勇者の轍』に収録されています。  人里離れた秘境で修行を続けることで習得する、閉ざされた世界で独自の進化を遂げた魔法です。 ◆呪術  【呪術師】が行使します。サプリメント『死霊沼の聖母』に収録されています。  対象に状態異常を引き起こす魔法が呪術の中心です。アンデッドに関連するものが多くあります。 ◆錬金術  【錬金術師】が行使します。サプリメント『女王の肉』に収録されています。  怪物と呼ばれるクリーチャーを製作します。錬金術は技であって魔法の呪文ではありませんが、信仰の対象となるのは混沌神カルネーです。 ◆異国魔法  【異国魔法使い】が行使します。サプリメント『エメラルド海の探索』に収録されています。  海の向こうから渡ってきた、系統の異なる魔法の呪文を駆使することができます。 ◆からくり術  【からくり術師】が行使します。厳密にはからくり神テクアから受けたインスピレーション(霊的ひらめき)をもとにゴーレム等の製作を行うため、魔法の呪文ではありません。サプリメント『昆虫都市』に収録予定です。 ◆悪魔召喚術  【悪魔召喚士】が行使します。サプリメント『蛇禍の悪魔』に収録予定です。 ◆アランツァの主神15柱  アランツァ世界を代表する15柱の神さまを紹介します。これまでに記述したように、【職業】(「ヒーローズオブダークネス」においては【種族】)によって信仰する神が決まることもあります。これらの信仰はプレイヤーのロールプレイに影響を与えるかもしれませんが、ルール的な制約は一切ありません。  これらの神さまのいずれかを信仰するのであれば、あなたのキャラクターが生まれ育った街で信仰対象になっている神さまを確認してください。街の信仰対象を信仰してもいいですし、それ以外の神を信仰することもできます。  以下に登場する「職業/種族」は、その神を信仰する者が就くことの多い【職業】や【種族】を示しています。これは傾向を示しているもので、制限ではありません。  アランツァ世界の主な神を紹介します。アランツァにはこの神さまの他に、たくさんのマイナー神が存在します。 ◆唯一神セルウェー  セルウェーは神聖都市ロング・ナリクや自治都市トーン、西方砂漠の諸都市で信仰される、男の老人の姿をした、威厳のある善神です。光の神とも呼ばれます。善の種族にまんべんなく信仰され、愛情と善行を励行する宗教です。  セルウェーと縁が深い少数種族は鳥人で、ロング・ナリクには飛翔槍士、自治都市トーンには飛翔騎士と呼ばれる部隊がそれぞれの都市を守っています。  宗教を代表する英雄は翼人リナエル。 奨励:愛を信じ、人々のために生きること。 職業:【聖騎士】【僧侶】 種族:【翼人】 英雄:翼人リナエルは美しい心を持った村娘を守るために堕天して、後にロング・ナリクの「救国の英雄」となりました。伴侶となった村娘が天寿を迎えた後に、許されて天使へと戻ります。本人は帰天しましたが、その子孫は今もロング・ナリクのどこかで暮らしています。 ◆剣神エスパダ  剣神エスパダは盗賊都市ネグラレーナ、商業都市ナゴール、城塞都市ドラッツェンなど広い地域で信仰の対象となっている宗教です。弟神にあたる盾神エスクードとセットで二神教と呼ばれます。もっとも冒険者に親しみの深い宗教としても知られています。エスパダは長い剣を持ち、鎧に身を包んだ戦乙女の姿をしています。苛烈で厳しい神ですが、信者に対しては公正さともって接します。「アランツァの戦乙女」とも呼ばれ、戦における勝利を司る攻撃の神で、多くの冒険者に愛されています。自治都市トーンとその北にある盗賊都市ネグラレーナでは特に信仰されます。 奨励:善を行い、悪を砕くために剣を振るい、命を懸けること。 職業:【僧侶】【戦士】【剣闘士】【盗賊剣士】 英雄:鋼剣のリュカ。混沌ごろしなどで知られる人間の英雄で、龍人の血を引くと言われています。「死霊都市ネグラレーナ」の領主であるフアナ女王に仕えています。 ◆盾神エスクード  屈強な体格をした若い男性で、大きな盾と戦槌を持っていますが、鎧は着ません。剣神エスパダの弟。温厚な性格で、エスパダの後を歩き、戦いのさいには彼女を守る存在です。戦いにおける防御を司る神といえます。誠実さ、正直さ、実直さを好む神で、よくまわる舌やごまかしを嫌います。 奨励:善を行い、善を守るために盾を掲げること。誠実に生きること。 職業:【僧侶】【戦士】 英雄:伝説の戦士ガバナック・ロンデンベルク。ウォードレイクの卵を持ち帰ったドラッツェンの英雄で、後に「生きては帰れない砂漠」でゴーレム化した姿を目撃されています。 ◆自然神ヴェルディア  野放図に生えた2本の角を持つ、中性的な顔立ちの美しい神。エルフの姿をしていますが、下半身はシカかヤギのような動物で描かれます。植物と陸上の自然を司る神です。  ヴェルディアはコビット、人間、エルフが信仰する神とされています。大自然の力の象徴で、風と稲妻の神という側面もあります。 奨励:自然とともに生き、動植物の繁栄に尽力すること。 職業:【吟遊詩人】【僧侶】【獣使い】 種族:【半巨人】【ジグリ・ザグリ】 英雄:英雄は勇猛たる樹人アルボール。トレントの一種で、もっとも古い存在の1人と言われています。太古の森の守護者でしたが、今は若さを失い、動かなくなりました。 ◆炎神カタク  目に炎を宿した、屈強な戦士の姿をした神です。ドワーフに似た姿で描かれることもありますが、ヒゲは生やされません。ドワーフの故郷であるカザド・ディルノーの都市宗教で、戦いと炎を司ります。 奨励:善良なる神に創られた5つの種族を守護すること。 職業:【戦士】【戦鍛治】 種族:【緋色の魔術師】 英雄:「カタクの瞳」たるロソス。世界で初めてオリハルコン鉱脈を見つけた、信心深いドワーフの戦士です。現在はカザドの重鎮として、将軍の座に就いています。 ◆知識神ソロンドオル  片手に天秤を、片手に本またはペンを持つ人間型の神です。知的な顔立ちの男性として描かれることが多いですが、性別は不明。知識と学問を司ります。  ソロンドオルはアランツァの生きものたちに、魔法の使い方を教えたとされる神です。ソロンドオルはエルフたちを中心に信仰されています。また、ネグラレーナの大学やチャマイにある図書館といった施設は、熱心なソロンドオルの信徒によって建設されました。 奨励:魔法の実践と研究に励むこと。知を探究すること。 職業:【魔術師】 英雄:魔術師ティーボグ。ライフノードの放射を浴びて不老を得たとされる、善の魔術師です。「からくり都市チャマイ」にあるエルダーベリー魔法学校の創設者にして校長であり、七賢者の筆頭でもあります。 ◆獣神セリオン  獅子の顔と人間の身体を持つ神です。複数の獣神(鳥神、馬神など)の頭領。動物を司る神です。自然で暮らす犬人、獣人、ケンタウロスなどが信仰します。なかでももっとも特筆すべき種族は魔獣犬で、この四足の動物は一見すると大きくなった狼か犬のようですが、実際には人間に劣らない知能をもつ種族です。彼らは建築や製作に適した腕を持たないため、二本足の種族を奴隷にしてそういった仕事に従事させ、洞窟を快適化した居住空間を発展させます。彼らが建てる(建てさせる)もののひとつに祠があり、彼らの住み家からは獣神セリオンを祀った祠がよく見つかります。 奨励: すべての獣たちと心を一とすること。 職業:【獣使い】 種族:【ケンタウロス】 英雄:ヴォルグ・ヴィエリ。蛮族都市フーウェイの心ある集落民に拾い育てられた犬人です。「太古の森」の力が「蛮族都市フーウェイ」やその周辺へと拡大しつつある時期に、人間たちと獣人の間に立ち、侵略に対抗して街を守りました。長毛種で、その体毛は「朝陽に輝く銀の光」と称された美しい灰色をしています。 ◆龍神ラガルティハ  顔を上に向けて気炎を上げる、巨大なドラゴンの姿で描かれます。ドラゴンたちの神で、彼らには「ドラゴン神ラガルティハ」と呼ばれます。また、トカゲ人たちはラガルティハを「チャ」と呼びます。獣神セリオンとは仲が悪く、自分が自然界の頂点であると互いに主張しあっています。龍とは虫類を司ります。  ラガルティハが創り出した最初の龍が「歌う者バスケス」で、この龍を含めてアランツァにはドラゴンが108体しか創られませんでした。そして、ドラゴンは増えないので、今ではかなり数が減っているようです。 奨励:もっとも優勢な種族である龍族の繁栄を目指すこと。 職業:【秘術師】 種族:【地龍(リンドヴルム)】 英雄:歌う者バスケス。強い秘術によって召喚される「神の子」。 英雄:黄金龍オレニアックス。「水上都市サン・フランチェスコ」の守護者。今は同市の広場にて長い眠りについており、ほとんど目覚めることがない。 ◆海神ホリィドゥーン  「聖なる夜明け」の意味を持つ海の神は、アランツァの船乗りたちが信仰する海の神です。屈強な男の人魚、あるいはウロコの生えた脚を持つマーマンの姿で描かれます。手には銛を携えています。海と船を司ります。  ホリィドゥーンは海難から信者たちを守り、安全な航海を約束するとされています。水の精霊たちのあるじであり、海底に豪華な宮殿を構えてそこに住んでいるとも言われています。 奨励:美しき海を愛し、その恵みに感謝して生きること。 職業:【異国魔法使い】 英雄:「海を翔ぶ鳥」「ウロコ脚もつ鳥人」のディアラ。アランツァの主大陸ラドリドと「異郷都市キョウ」の間を休むことなく渡ることのできる、驚異の鳥人。蛇に似た細い縦長の瞳を持つその姿はワイバーンにも似て、龍と鳥人の混血であるとの噂もある。大陸を航海する「貿易都市ビストフ」の船団を難破から救ったことで知られる。 ◆からくり神テクア  テクアは歯車と金属でできた、機械の神として知られます。ノームたちが描くさいには、頭にゴーグルを着けた、ノームの中年女性なこともあります。からくりを司ります。  知的好奇心旺盛で、ノームにからくりの知識を授けたと言われています。 奨励:からくりの実践と研究に励むこと。 職業:【からくり術師】 英雄:思考戦車スミス。「からくり都市チャマイ」で造られた戦車であり、チャマイの軍人であるスミス将軍が戦場で四肢を失った際、本人の強い希望によって、その脳をもとに人格核が構築された。強力な戦車になった後は将軍を辞して、最前線の部隊を率いる部隊長となった。現在もチャマイを守る。 ◆闇神オスクリード  アランツァ世界を終わりに導くことを目標とする、生きとし生けるものの敵神です。アンデッドに力を与えて動かす、その力の源と言われています。  オスクリードは鉄の玉座に座る、王冠を被った骸骨として描かれます。極北に住むクマのような姿で描かれることもあります。 奨励:闇の世界に近づき、悪しきものに親しみ取り込むこと。 職業:【呪術師】 英雄:最凶のアンデッド「死を振りまく女王」ペルディダ。今は「死霊都市フアナ・ニクロ」がある死霊沼の南部に存在した。かつて死霊沼を統治し、生に絶望した者たちの最後の救済者として、その魂と引き換えに永遠の隷属という「救い」をもたらした。フアナ女王との間に交わされた取引によって、現在はフアナ・ニクロの外のどこかに存在している。 ◆死神ベルドゥー  死を司る神。祈りを捧げて待つ等身大のカマキリとして描かれます。言葉を発さない神として知られています。じっと動かないかと思うと、あっという間に近づいて、その手で祈りを刈り取るのです。死を司り、信者が何かを殺すさいには加護を与えることがあります(が、信者が死にそうなときに助けることはありません)。ベルドゥーは悪神ですが、死を神聖なものとして受け止める信徒もいます。   奨励:死神を畏れ敬い、その手に捕らえられないように祈ること。 種族:【死せる砂漠の道化師】 英雄:自然種族のカマキリ人、「祈るもの」レリギオサ。大陸南部にあるブランシェン山の周辺に棲息する。人語を解さず、人間の味方でもない。この地方を「開拓」する人間たちを何度となく攻撃、捕食。彼女に率いられた人間サイズの昆虫たちが、軍隊にも似た統率された行動をする「奇跡」は何度も目撃されている。 ◆混沌神カルネー  もっとも古くから存在する神です。うごめく肉塊から、あらゆる生物の口や眼や鼻、手足がランダムに生えた姿で描かれます。現在は眠りについていると言われています。 奨励:混沌を取り入れ、その力を我がものとすること。 職業:【錬金術師】 種族:【ウーティス(顔のない混沌)】 英雄:白の魔法使い。半神であり、ポロメイア小国家連合で宮廷魔術師を務めていたが、生命の秘密を求めて「混沌都市ゴーブ」へと転居。その後、因縁深き冒険者に殺害された。 ◆クモ神アラネル  人の顔を持つ8本脚のクモですが、そのうちの1本が半分だけ欠けています。アラネルはマイナー種族アラネアの守り神で、この種族自体は邪悪ではありませんが神は邪悪です。  アラネルは新しい神で、その前身は悪魔(魂吸い)だったと言われています。 奨励:クモと昆虫を大切にして、それらの繁栄に尽力する。 種族:【アラネア】 英雄:存在しない。 ◆魚神ペソンブレ  水中に生きる者たちの神です。その姿は魚人そのもので、暗闇でぼんやりと光る瞳を持っています。ペソンブレは自分が創った種族を、太古の時代に海へと投げ込みました。彼らはペソンブレの子ら、あるいは魚神の子らと呼ばれていて、まさに魚人そのものといった外見をしているそうです。  長い年月を経て、これらの魚人はいくつかの種族に枝分かれしています。マーマン、シブリム人、そして末裔(まつえい)と呼ばれる種族ですが、ここではそれらの種族について多くを語りはしません。   奨励:海の底に眠る大いなる神を信じ、その力を讃えること。 職業:【末裔】 英雄:深暗の瞳を持つシブリム人、刺角を持つ末裔クブレス。海底都市の守護者、ペソンブレを信仰する魚人たちを率いる将軍。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 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2026年5月24日日曜日

Ψ『Belleville_Rendez_vous』 日曜ゲームブック FT新聞 No.4869

◆警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告warning警告◆ MC said……         『The Outfoxies』vol.6 『Belleville Rendez vous』予告   (BGM 『Belleville Rendez vous』from『ベルウィル・ランデブー』) 「燃えるような恋」ってぇのは、都市伝説の一つだと思っていたけど、どうも認識を改めなくっちゃならねぇらしい。 というのがさぁ、突如、うちらの前に現れた風来坊。 ジローと名乗ったそいつ。なんでもこの街にかつていた「ハートゲッター」ってヒーローを探しているみたいなんだけど。 なんかその捜査途中で、ねぇ。あーた。 相棒の卓球先生の方が、なんかキャッキャウフフワールドへ! いやー、いつになっても、恋愛っていいもんすねー。 俺もそろそろモテますかね」 『The Outfoxies』track06! 『Belleville Rendez vous』予告! チャンネルは決まったぜ! 葉山海月代理、アタック・ザ・ばにぃメイド。 「ましろさんは動かない」ザ・ましろでした。 あ、そうそう。 今回は俺視点と卓球視点という一粒で二度おいしい物語が用意されている。 途中から主人公が切り替わることもあると思う。 「俺」視点で描かれているのが俺サイド、三人称で描かれているのが卓球サイドの話だ。 よろしくな! ◆緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news緊急速報news◆ おっと! 速報だ! スペシャルコンテンツ! なんとWEBブラウザゲーム版が同時公開! {BGM}も、、俺の声も拝める、もとい聞ける豪華仕様! このままアニメ化、ついでに「ローグライクハーフ」化 さらには映画化でカンヌとしゃれこみたいもんだね。 うん。希望と妄言はいくら言ってもタダだかんに。 WEBブラウザゲーム版を作っていただいた水波編集長。 そして支えていただいた皆さんに感謝を込めて! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ The Outfoxies vol.6 『Belleville Rendez vous』 著:葉山海月  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ツヅキハコチラツヅキハコチラツヅキハコチラツヅキハコチラ ↓ https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Belleville_Rendez_vous.txt ↓WEBブラウザゲーム版はこちら(「BGM」ONがお薦め!) https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/belleville_Rendez_vous.html ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月23日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第693号 FT新聞 No.4868

From:水波流 娘が小学校の図書委員になり、貸出作業の話をしてくれ、ふと図書貸出カードってもう無いんだなぁと。 小学時代に誰も読んでない本のカードに名前を書くのが誇らしかった記憶。 「耳をすませば」の話をしてみたが「ちょっと意味がわかんない」と言われました。(まぁ仕方ない) From:葉山海月 罪深くて毛深い、っていうのはありなんでしょうか? From:中山将平 僕ら、今日5/23(土)と明日5/24(日)の両日、幕張メッセで開催の「ゲームマーケット2026春」にサークル参加しています! 配置は【に42】です。 発売の新刊は2冊。「ロ—グライクハーフ 常闇の伴侶」と「ヒューマンズ!ヒューマンズ!」。 僕自身も現地に行っております!(カエル人の本もあります) ぜひ遊びにお越しいただけましたら! また、5/31(日)には、FT書房とギルド黄金の蛙の両方がインテックス大阪で開催の「SUPER COMIC CITY 33 -day3-」にサークル参加します。 お近くの方は、そちらもぜひご注目いただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (明)=明日槇悠 (く)=くろやなぎ (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■5/17(日)~5/22(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年5月17日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4862 ローグライクハーフシナリオソムリエ その4『我ら、その速さに命運を賭す』 ・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第4弾をお届けしました。 ローグライクハーフのシナリオには、「特殊ルール」が設けられることがあります。公式シナリオであれば『巨大樹の迷宮』を登っていく程に難易度が上がっていく【高度】ルールなど。そんなシナリオの肝にもなる「特殊ルール」を上手く組み込んだのが、リプレイ連載もされている東洋夏氏の作『我ら、その速さに命運を賭す』です。 ジャンルはズバリ、騎乗生物による「レース」! あなたのPCは果たして1位の座をゲット出来るでしょうか? 是非チャレンジしてみて下さいね! プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜! (天) 2026年5月18日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4863 「アランツァへのいざない」第4回 ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載、今回のお話は「貨幣と流通」「アジール」「フェーデ」「決闘裁判」「はざま」について。 「アジール」や「フェーデ」と聞いても多くの方はピンとこないとおもわれますが、現実の世界にあるものなんですね。人と人が暮らしていれば出てくる仕組みなので、アランツァにもある。翻って自分たちが今いる世界についても詳しくなれる学識的な解説です。 一方で、「はざま」はアランツァというファンタジー世界特有のものです。そこにいる誰でも「はざま」という何かに落としものをして、記憶を忘れたり、小物を失ったり、やれていたことが急にできなくなったり、いきなり情熱をなくしたりするのです。「不運の日々」と呼ばれる5日間は1年の「はざま」にあたり、都市の広場でこの世の者たちではない何かによる市場が開かれるので、これが失ったものを取り返すチャンスでもあるのだとか。 ファンタジーの方向性の違う魅力がいっぺんに詰まった設定の数々。まだあなたが知らないアランツァへようこそ! (明) 2026年5月19日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4864 ゲームブックにおける死と物語 第6回:「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語 ・編集部員くろやなぎが不定期でお届けしているゲームブック考察記事、今回取り上げた作品は『魔人竜生誕』です。 「ヒーロー物」を完全再現する、というコンセプトのもとで書かれたバトル中心のこの作品において、主人公はいつ、どのように死んで、その死はどのように描写されるのか。そして逆に、どんなときは死なないのか。そんな感じのことを「ヒーロー物」としてのゲーム性や物語の展開を踏まえて考えてみました。 先週の火曜日の丹野氏のコラムにおける、「インセンティブ」としての「約束」の話とも関係しているかもしれません。 (く) 2026年5月20日(水)ぜろ FT新聞 No.4865 第1回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第492回。今回からは、寝子氏によるローグライクハーフシナリオ『可愛いあの子に最高のプレゼントを』に挑戦します。 寝子氏のオリジナルワールド「キャトルド」の、人とウサギが共存する街「ウサギノニワ」で繰り広げられる、ほんのりゆるふわファンタジー。ウサナギノミコト少年、通称ウサナギが、ねこ耳しっぽの女の子、りにゃちゃんのお誕生日会に招待され、九匹のウサギのファミリーを引き連れていくというストーリーです。従者ウサギの名前は覚えなくてもかまわないということですが、九匹のウサギの語尾がかわいらしくて楽しいですね。 りにゃちゃんに渡すものを用意しようと街にくりだす一行ですが、はたして無事にプレゼントで喜んでもらえるでしょうか? はじめてのおつかいではありませんが、陰から見守ってあげましょう。そっとそ〜っと…… (明) 2026年5月21日(木)東洋夏 FT新聞 No.4866 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.3 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第3回目をお届けしました。 前回の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、同行者として陽気なコビット兵士のヨンと、いかめしいドワーフの兵士アルゴットを加え、先頭車両を目指します。 今度の車両の中は、一見豪華な晩餐用の食堂車でしたが……? 怨霊列車は容赦ない! お食事中の方は要注意!  (天) 2026年5月22日(金) 水波流 FT新聞 No.4867 RLH『常闇の伴侶』5/23発売!  ・皆さんお待ちかね! 5月23日(土)、24日(日)「ゲームマーケット春2026(幕張メッセ)」にて、 水波流氏が執筆しました、ローグライクハーフ『常闇の伴侶』が発売となります! 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」のd66シナリオであり、「蛮族都市フーウェイ」が舞台です。 ローグライクハーフは基本ルールがWEBで無料で公開されておりますので、これまで遊んだことが無いという方でも、本作だけで遊んで頂けます。 イラストは松本貴子氏 通販は6月上旬予定。 今回は、本作の紹介とともに、物語に込められた思いも余すところなく吐露します。 水波氏の民俗学への深い造形とともに、お楽しみください! (葉) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月22日金曜日

RLH『常闇の伴侶』5/23発売! FT新聞 No.4867

おはようございます。 FT新聞編集長の水波流です。 いよいよ明日、5月23日(土)、24日(日)「ゲームマーケット春2026(幕張メッセ)」にて、 私が執筆しました、ローグライクハーフ『常闇の伴侶』が発売となります! 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」のd66シナリオであり、「蛮族都市フーウェイ」が舞台です。 ローグライクハーフは基本ルールがWEBで無料で公開されておりますので、これまで遊んだことが無いという方でも、本作だけで遊んで頂けます。 イラストは松本貴子さん 通販は6月上旬予定。下記にて予約受付中です。 https://ftbooks.booth.pm/items/8232653 ここからは長文になりますが、作品の紹介をさせて頂きます。  世界の根源たる太古の森に蠢く闇の奇祭  蛮族の男女と共に君は探索に赴く…… 『常闇の伴侶』は、アランツァ世界の北方に位置するフーウェイ地方が舞台の作品です。 〈蛮族都市〉と呼ばれるフーウェイですが、単に粗野で野蛮な未開の部族=ファンタジーでいうところのバーバリアンのような存在ではありません。 私の頭に浮かぶのは、北欧やヴァイキング、またはケルトやネイティブアメリカンの呪術的な風俗など、西洋文明の価値観では計れない、独特な歴史ある文化を持つ人々のことでした。 フーウェイの物語を準備しているときに、私は川の畔を散歩したり、裏山を逍遙したり、自然の中に身を置いて、風の音や草木の匂いを感じるようにしています。 冒険の舞台になるのは、世界の根源的な姿を残すと言われる〈太古の森〉。 その奥深い森に蠢く闇の奇祭を、蛮族のひとりが目にしたところから物語は始まります。 知性を持つ樹人トレント、そして危険な存在である闇エルフたち、森の奥には何が潜んでいるのか。 シナリオの仕掛けとして、背景をもった「特別な従者」を2人(剣士とまじない師)、どちらかを選んで同行して貰うルールを作りました。 ゲーム的には従者の1人ですが、シナリオ中にどんどん話しかけてきて、物語に大きく関わります。 また物語は主人公である「あなた」の選択で、エンディングも分岐します。 私の書くシナリオには、物語が分岐する「選択肢」がよく登場します。それは、作者である私自身が、「どちらが正解か」を選べなかった場面なのです。 ですので、どちらかが正ルートなどではありません。「あなた」が選んだほうが、「あなたの物語」になるのだと私は思っています。 (もちろん、もう一度別の選択肢を選ぶために、それこそローグライクハーフらしく何度も遊んで頂けるというのは作者として大変嬉しいことですが) 私は昔から、善悪二元論というものに懐疑的で、この物語も「自分が信じているものは本当に正しいのか」という考え方が根底に流れています。 この物語を読み終わった後、皆様がどのような感想をお持ちになったのか、機会がありましたらぜひそれをお聞かせ頂ければ、嬉しく思います。 なお『常闇の伴侶』には、その後のフーウェイの物語としてd33『名付けられるべきではないもの』、d33『汝、獣となれ人となれ』というお話があります。 またフーウェイの入門シナリオとして、d33『九つの樹の道』も先日配信いたしましたので、そちらも遊んで頂ければ幸いです! ■書誌情報 『常闇の伴侶』ローグライクハーフd66シナリオ 作:水波流 絵:松本貴子 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行元:FT書房 https://ftbooks.booth.pm/items/8232653 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年5月21日木曜日

ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.3 FT新聞 No.4866

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.3  (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■    FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!  本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。  ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。  夜を駆け、人をさらう謎の怪物〈怨霊列車〉の調査を依頼されたのは、十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロ。共に調査に参加しようとした師匠は列車によって地上の遥か彼方に置き去りにされてしまい、半人前のシグナスはおっかなびっくり先頭車両を目指して歩き出すことに。生存をかけた冒険の始まりです!  前回vol.2では、列車に乗り込んだふたりが錯乱していた兵士たちを助け、その内のふたりを仲間に加えるところまでをお届けしました。  よく舌の回るお調子者のコビット族のヨンと、巌のようにどっしりといかめしいドワーフ族のアルゴット。四人組になった一行は、次の車両に向かいます。  さあ、怪物の腹の内側には、果たして何が待ち受けるものか。    ちなみに本編の前に申し上げておきますと、今回のリプレイはお食事中の方には向かない描写が出てまいります。予めご了承ください。  また、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。  ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。    前口上はこれでおしまい。  さあ、冒険の始まりです!  ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:8 ・筋力点:4 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨21枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、ランタン 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:7 ・器用点:6 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし    ◇ [2号車]22:晩餐車両  兵士たちに手ほどきされ、シグナスは車両の先頭の扉を開ける方法を会得した。次の車両へは空中を飛ぶ〈怨霊列車〉の繋ぎ目を渡るので、そこにも多少のコツと度胸が必要である。  風吹きすさぶ連結部に立つと、頭上には真っ暗な夜空に輝く一面の星。踏み出そうとする足の遥か下方では、雪原が妖しくほの白い光を放っていた。  今は何処を飛んでいるのだろう。既に廃城は影も形もない。置き去りにされたサー・ノックスも、サン・サレンからの救援の姿も見えない。乗り物といえば馬車、空を飛ぶといえばグリフォンしか馴染みのないシグナスにとって、空飛ぶ列車とは驚異の存在だ。常識外れの度が過ぎて、かえって驚くことを忘れてしまうほどに。  シグナスは平衡感覚を失いそうになりつつも、先に連結部を渡ったアルゴットに手を引いてもらって、ひと跨ぎに次の車両に取り付いた。クロは吹き飛ばされるといけないので、元の鞘の中である。 「先に何があるかは分からん」 と、ドワーフのアルゴット。三つ編みにした彼の髭が、強風にあおられてシグナスの額を叩いた。 「おお、すまん」 「大丈夫です。それより」 「いやいや、おいら達だって開けたさ、何回も」  反対側からコビットのヨンが声を張り上げる。 「だけど開けるたんびに中身が変わるの。おもろだろ。お宝の山に出会うまで開け閉めしたいね」 「けしからん。当初の目的を忘れとる」  アルゴットが顔をしかめ、シグナスに、 「覚悟しておいた方が良いぞ。死の罠であるかもしれん」  そうして開かれた連結扉の先は、しかし禍々しさとは無縁のものだった。  車内にはまた左手に乗降口と、前方に車両内部に続く扉があって、その小さい空間には、ほっとするような暖かな空気が詰まっている。夜空を渡って凍えそうになったシグナスの体は暖気にあたって、緊張をみるみる解いていった。  内部に続く扉を一枚挟んで聞こえてくるのは優雅なリュートの響き。さらに扉の上部にはナリクでもまだ高価なガラスの覗き窓があり、向こう側に煌々と照明が点っていることを伝えていた。 「今回はアタリかも」  ヨンが目を輝かせる。 「きっと派手でおもろだよ」 アルゴットは渋い顔で、 「お前の面白いは信用ならん」 と言った。  シグナスは好対照なふたりの間で、 「行くんですよね?」  コビットのヨンはにっかり笑い、ドワーフのアルゴットは牛のように唸る。行くということだ。  三人が慎重に車輌内部の扉を開くと、食器の触れ合う音がどっと聞こえてくる。豪華に装飾された晩餐用の食堂車らしい。着飾った貴族たちが円形の卓に着き、メイドや執事が客席の間を音もなく滑らかに歩いて給仕をしている。 「いらっしゃいませ。切符を拝見いたします」  やって来た白髪の執事に切符を渡すと、彼は一瞥するなり微笑んで、一行を席に案内した。  シグナスが見るところ、これはかなり格式高い晩餐会に紛れ込んだようである。銀製の食器は鏡になるほど磨き上げられ、ナイフだけでなくフォークまで揃えられていた。   (※さて、見た目は華麗なのですが、ここは〈怨霊列車〉の内側。シグナスたちが目にしているのは幻影による偽物の美しさです。出される食事すら幻で、口にする前にその欺瞞を見破れるか、【判定ロール】ないし【魔術ロール】(目標値4)に挑戦します。なお対象は全員ですが〈おどる剣〉は食事が出来ないため、クロは対象外と判断しました。それではいきます。シグナス=出目3で失敗。ヨン=出目5で成功。アルゴット=出目5で成功。おお、シグナスくん。君は相変わらず判定ごとが苦手な少年のままなのだね……)   「ねえ三つ編みお髭のドワーフどん。この三つ編みにそっくりな三又の痩せっぽちは何者だい」 「黙ってろ、チビ助。俺はこういうのは苦手だ」  ヨンとアルゴットが息ぴったりにシグナスの方を向く。本当に仲良しなんだなとシグナスは思った。 「これはフォーク。指でつまむ代わりに、突き刺すんです。見てて」  シグナスの主人である聖騎士ノックスは、騎士であると同時に大富豪の息子である。如何なる食事の場面で主人と並んでも恥ずかしくないように、一通りのマナーは教え込まれていた。それが〈怨霊列車〉の中で活きるとは、思いもよらない事ではあったが。 (人さらいの列車なのに、何でこんなに高貴な人がたくさん乗ってるんだろう。……いや、僕が今すべきは、目の前のパスタを礼儀正しく食べること。ボロを出したら襲ってくるパターンかも知れないし)  前菜に出されたマカロニをフォークで突き刺す。それを口に入れた時、コビットのヨンが真っ青な顔でシグナスを指さし、けたたましい悲鳴を上げた。 「それ食べ物じゃないよお!」  フォークに刺されたマカロニが、独りでに反り返ってシグナスの鼻にぴたりとくっつく。 「うわっ」  思わず口の中から──主人ノックスと一緒だったら叱られるだろうが──フォークを引き戻したシグナスの目の前で、くねくねと動くマカロニが真っ黒いムカデに変化した。シグナスは悲鳴を上げてフォークを投げ捨てる。美味しそうだったミートソース和えのマカロニは、腐ってドロドロした何かの中にうごめくムカデの群れに変貌していた。 「怨霊共め!」  どんと机を叩いてアルゴットが立ち上がった。その瞬間、幻想の晩餐会は砕け散り、客も執事もメイドも円卓も照明も塵と化す。残されたのは暗闇だけ。  シグナスがランタンに火を灯すと、その鎧の爪先をてらてらと光るムカデが横切って行った。    (※残念ながら判定に失敗したシグナスくんは、次の〈できごと〉が終わるまで攻撃ロールに−1のペナルティ。食感を思い出して力が入らなかったりするのでしょうか、と想像するだけでぞわぞわしてしまいますね。そしてプレイヤーは、前回の冒険『写し身の殺人者』で道中の判定ロールを全失敗したシグナスくんを思い出し、別の意味でぞわぞわしております。気を取り直して次の車両に行きましょう!) ◇ [3号車]21:シスターがいる客室車両  這いずる虫たちから一刻も早く逃れたくて、シグナスは次の車両へと急いだ。宙を渡る恐ろしさも、悪夢の晩餐会を後にできるとあっては何ほどのこともない。 「次もおもろだといいねえ」  コビットの兵士ヨンが、もう早や先程の出来事が喉元を過ぎているらしい調子で言うと、 「面白いものか!」  ドワーフの兵士アルゴットが筋肉質の体を憤りに震わせる。 「いやいや、シグのファインプレーよ、あれは。おもろだったよ」  ヨンが黄ばんだ歯をずらりと見せて笑い、ナリクの従騎士シグナスはいたたまれない気持ちになった。極寒の空の上でも頬が火照るのが分かるほどに。 「からかうでない、このイカれコビットめ」  アルゴットが勢いよく三両目の扉を横に滑らせる。内側は予想に反し、厳粛な静けさに支配されていた。三人はそれでも慎重に、続きの扉を開いてみる。  前の車両とは違って、人の気配がなく薄暗い。かすかな光は所々に置かれたロウソクが発しているようだ。座席は二人がけの長椅子が進行方向を向いて二列に並び、その真ん中が通路になっている。  おぞましさは感じられない。しかし前の車両だって最初は由緒正しいパーティーの一幕のように思ったのだから、感覚を信用することはできないとシグナスは自らを戒めた。今回は失敗をしないように気を引き締めなくては……。  シグナスがランタンを持ち上げてゆっくり歩き出すと、不意に〈怨霊列車〉にふさわしいと思えぬものが、くっきりと薄暗闇の中で輪郭を浮かび上がらせた。神像である。それも無数にある。規則正しく並んでいる座席の幾つかが抜かれて祭壇になっており、そこに諸神の像が置かれているのだった。どうやらロウソクは座席ではなく、神像の足元を照らすためのもの、祈りを捧げる明かりのようである。 「礼拝堂、なのかな?」  シグナスの呟きに、アルゴットが髭をしごきながら、 「どうやらそのようだ」 と賛同する。ランタンの灯りが伸ばしたヨンの影が、きょろきょろと辺りを見渡した。 「この中身は初見だねえ。お、ドワーフどん、お前さんのカタクさんじゃないかい」  ヨンが指さすのは、ドワーフに似た姿で表現される、炎と戦の神である。 「うむ。祈りの時をもらえるか、シグナスよ。いかな邪悪であろうと、カタク神への祈りを歪ませることは出来ぬであろう故に」 「どうぞ」  シグナスが見渡すと、そのひとつの座に、剣を手にした善神セルウェーの像が背筋を伸ばして立っておられた。ロング・ナリクの聖騎士はセルウェー神の恩寵によって、奇跡を起こす力を授かる。そしてナリクにおいてセルウェー神は〈唯一神〉だ。何より、シグナスはセルウェー教の聖堂に附属する孤児院で育ってきたのである。このように他宗教の神と一緒くたに並べられるというのは、シグナスの心を波立たせるものだった。主人サー・ノックスであったら何と仰るだろう。  コビットのヨンが獣神セリオンの像の足元に置いてあった器を引っくり返したらしい。派手な音が車両に響き渡る。 「おい!」 と祈りを中断してアルゴットが怒鳴った。ヨンよりもシグナスの方が驚いて跳び上がり、 「おもろだねえ。金貨があったよ」  サン・サレンの金貨を指先につまんで他人事のように言ったヨンのその脳天に、アルゴットが拳骨を落とす。 「騎士様の前で盗みなど、このイカレ──」 「お静かになさいませ」  唐突に放たれた女性の声に、三人は一斉に動きを止めた。最前列の椅子が軋んで、何者かが立ち上がる。 「何奴!」  アルゴットが斧を手に誰何した。板張りの床を踏む軽い足音を響かせて、ランタンの灯りの内側に、怖がる様子もなく黒衣の女性がすたすたと歩み入って来る。  シスターだ、とシグナスは理解した。セルウェー教の装束では無いが、雰囲気で分かる。聖堂付き孤児院で幼い自分を世話してくれたような、神に仕えるシスターに違いない。黒いベールの下から覗くハシバミ色の瞳が、三人を順に見渡した。 「皆様、そのように大きな音を立てられては、子供たちが起きてしまいますわ。それに神々の御前です。礼儀をわきまえていただかなくては」  シスターはなおも斧を構えたままのアルゴットを見、 「ここは清浄です。魔が入ることはできません。暴力を振るう場所ではないのよ」 と言った。不承不承の様子でアルゴットは斧を下ろす。微笑んだシスターは付け加えた。 「静かにしていただけるなら、お座席で休まれても構いません」  しかし、シグナスは急ぐつもりである。背中を向けようとしたシスターに、慌てて声をかけた。 「あの、待ってください。教えていただきたいことがあります」 「何かしら」  三人の中で最年少のシグナスが代表して発言したことに、恐らくシスターは意表をつかれたようである。振り返った彼女は、驚きに目を丸くしていた。 「この〈怨霊列車〉に……」 「しいっ!」  シスターは唇に指を当て、シグナスの言葉を制する。 「あの……」 「いけません。語らないからこそ保たれているのです。語れば、気づかれてしまう」  不意に〈怨霊列車〉の甲高い汽笛が鳴って、列車を震わせた。  シスターは目を伏せる。いったい何に気づかれるというのだろうか? しかしそれも問うことは出来ないらしい。今のは〈怨霊列車〉からの警告だ。シグナスは仕方なく、全ての質問を心の奥に押し戻す。  シスターは聞き分けの良い子供を見るような笑顔になって、こう続けた。 「もしよろしければ、神の恵みなどいかがでしょう? お布施をいただけるなら、ですけども♪」  (※ここでは、以下のふたつをシスターにお願いすることが出来ます。   ・【休憩】して生命点と副能力値の回復ができる   ・金貨5枚で食料を1食分売ってくれる シグナスくんはヨンたちを助けるためにすべての食料を使ってしまいましたから、ここでシスターから買わせていただきましょう) ◇  今回のリプレイは、ここまでです。    ちなみにシスターから買わせていただいた食料は「篭に入ったワインとバケット」だそうです。未成年飲酒はどうなんだと思いましたが、実際に中世では未成年でもお酒を飲んでいたそうなので、このままの描写で進めたいと思います。孤児院時代はさておき、聖騎士に仕えるようになってからは飲んでそうですね。  赤なんだろうか、白なんだろうか、ブドウの産地は何処なんだろうか、とか考え出すとこのひとつの描写から無数に物語が広がりそうですし、もっと大人な冒険者ならここでシスターとワイン談義が盛り上がるのかもしれません。  ローグライクハーフ経験者の方は、是非うちの主人公ならどういう反応をするかと考えてみてください。きっと面白いですから。  それではまた、次の車両でお目にかかりましょう。  良きローグライクハーフを!   ◇    (登場人物)  ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。しばらくマカロニが食べられない。  ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。元は人間かつ騎士だと主張している。  ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。  ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。  ・謎のシスター…怨霊列車に乗り込んだシスター。正気を保っているが、存在のすべてが謎。そのワインとバケットは何処から!? ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 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2026年5月20日水曜日

第1回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4865

第1回【可愛いあの子に最高のプレゼントを】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「可愛いあの子に最高のプレゼントを」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●はじまり 「おてがみきてたよ。うさなぎ宛て〜☆ミ」 食器の片づけを済ませ、ベッドメイクをし、そろそろお風呂に入ろうかなってタイミング。 ファミリーウサギの一匹がそんなことを言いながら、トコトコと手紙を持ってきてくれた。 「ウサミ、ありがと」 僕は受け取ると、さっそく開封する。 そこには、文字をならいたてといった子どもの文字で、こんなことが書いてあった。 「りにゃの たんじょびパーティに きてくだちい!」 あ、これ、招待状だ。 りにゃちゃんの誕生日会のお誘いだ。 りにゃちゃんは、ねこ耳とねこしっぽの女の子。 ちょっと前にちょっとした事件で知り合った。 ここは、おしゃべりするウサギがたくさん住んでる不思議な世界。ウサギノニワって呼ばれてる。 だから、ねこ耳とねこしっぽの女の子はめずらしい。 そんなりにゃちゃんには、リナちゃんってお姉さんもいる。 ねこ耳の子のお姉さんなのに、リナちゃんは普通の人間。なんでだろ? リナちゃんのペンダントを、森へ逃げた仮面ウサギから取り返しに行ったのが、知り合ったきっかけだった。 ほかにも、森の中の魔王城に、りにゃちゃんのおともだちの黒ウサギ「ふぃあ」を取り戻すために乗り込んだりもしたっけ。 今では、魔王ウサギとはおともだちで、ときどきみんなでお城に遊びに行ったりもしている。 もしかしたら、このお誕生日パーティ、魔王様も呼んでるのかな? 招待状の下の方には、パーティの開催日時が書いてあった。 ……って、明日の午後なんだけど!? なんで手紙、こんなギリギリに届いたの? どっかで迷子にでもなってたのかな? 「ちがうの。ポストからはみでて落ちてたのよ☆ミ」 そっか。それじゃしょうがないね。 逆に、見つけてくれてありがとだね、ウサミ。 気づかなかったら、明日ドタキャンしちゃうとこだったよ。 「えっへん☆ミ」 でもどうしよう。誕生日のパーティなんだから、プレゼント持ってかなきゃだよね。 今日はもう夜だからお店も閉まっちゃってるし、どうしよ。 すると、うちのたくさんいるファミリーウサギたちが、口々にいろんな提案をしてくれた。 「あしたの午前にピュンっと行って用意するピュン」 「いつもの森の採集はおやすみにするヒコ」 「いっそ森に行けば、プレゼントになりそうないいもの見つけられるかもニャン?」 「『街』にプレゼント買いに行ったほうがよくなくない?☆ミ」 「だったら両方行っちゃうチュウ」 「時間足りないマル〜」 「早起きすればだいじょぶマロ」 早起きしなくても、いつもどおり日の出とともに起きれば、両方行ってもじゅうぶん間に合うと思うよ? 「それもそうね☆ミ」 じゃあ、明日の予定も決まったところで、今日はもう寝よっか。 「「「「はーい」」」」 森と街へ、りにゃちゃんのプレゼント探しか。 明日は忙しくなるぞ。 ■ローグライクハーフとは ローグライクハーフの世界へようこそ! ローグライクハーフは、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 一人でもプレイできますし、三人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、実際に遊んだ様子に脚色や演出を加えて、物語ふうに書き記したものになります。 自分が設定したキャラクターを冒険の舞台に立たせた記録は、ゲームプレイの思い出に、さらなる感動をもたらしますよ。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑戦するのはローグライクハーフ「可愛いあの子に最高のプレゼントを」になります。 著者は寝子さん。読みは「ねこ」ですが、作品ははウサギ愛に満ちあふれています。 寝子さんのオリジナルワールド「キャトルド」。「ウサギノニワ」が舞台の作品をいくつも公開しています。 おしゃべりするかわいいウサギたちがくり広げる、ほんのりゆるふわファンタジー。 あとは読みながら雰囲気を把握していただければ。 この作品はローグライクハーフのリプレイなので、「可愛いあの子に最高のプレゼントを」のシナリオに沿った冒険をします。 本作品は、d22シナリオです。 ローグライクハーフでは、6×6個のイベントが用意されているd66シナリオと、3×3個のイベントを配置したd33シナリオが主流なので、これはちょっと珍しいですね。 d22シナリオというと、2×2で合計4個のイベントがある計算です。 でも、ランダムなイベントを潜り抜ける作品でイベント4個は少なく感じられますよね。 本作品では、「森編」「街編」に分かれてそれぞれ4個ずつ、合計8個のランダムイベントが置かれています。 ちょうど寝子さんの前作「ウサギクエストR」がこれに似た構造でした。 主人公は、ウサナギノミコト。通称ウサナギ。 ウサギ使いの少年です。 九匹のウサギのファミリーを従者として引き連れていて、普段は森へ採取などをして生計を立てています。 従者ウサギの名前は、ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ、ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ。 セリフの語尾に特徴をつけているだけのウサギたちなので、覚えなくてもかまいません。 戦闘の際には全員一斉の先制攻撃で、反撃の隙を与えずに倒しきるのが基本スタイルです。 ウサナギたちはこの冒険の前に「仮面のウサギを追え!」「ウサギクエストR」というふたつの作品をクリアし、成長してきました。 ここにステイタスを表記しておきます。データをあまり参照せず、物語の雰囲気を追いたい方は、読み飛ばしていただいてかまいません。 【ウサナギノミコト レベル12 技量点:1 生命点:8 筋力点:4 従者点:9】 【装備】 ピコピコハンマー(片手打撃)初撃+1 丸盾(生命点+2) ウサギ使いの服(生命点+2・防御+1) 【食料】0 【金貨】62 【持ち物】 強化ポーション(1ラウンド消費攻撃+1/金貨30枚) ブラウンダイヤの結婚指輪(金貨30枚) 魔王の宝玉(金貨25枚) 【全力攻撃】【全力防御】【かばう】 【未使用経験点】2 【従者】 ドリルウサギ(弓兵扱い)四匹(ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ) ノウサギ(剣士扱い)五匹(ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ) さっき私は「成長」と書きましたが、スマンありゃウソでした。 【未使用経験点】が2点。2回分の冒険で貯まる分です。 つまり、まるで成長していない。 でも、武器がパワーアップしていたり、連れているウサギが兵士扱いから剣士扱いになったりしてますから。 さあ、それでは本編に入りましょう。 プレイを始める前のおことわりを。 「ローグライクハーフ」のルールは、FT新聞誌上の発表も含み、追加要素などもいろいろ発表されています。 しかし忙しい私はあれこれ参照しきれません。 そこで今回は、冊子版の「基本ルール」と「可愛いあの子に最高のプレゼントを」のみを参照してプレイしています。 さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 ●アタック01-1 街でプレゼントを探そう! 僕たちは街へとやってきた。この街「ウサギノニワ」は、人とウサギが共存する素敵な場所だ。 僕もいつも、森での採取品を売りにきては、食料品などを購入している。 都市オプション「ウサギノニワ」があれば、ここだけにある希少な装備品なんかも手に入れられる。 けれども今日の僕たちは目的が違うし、時間もないからそれはできないのだった。残念。 街にきたのはいいけれど、どこを見に行こうかな。 りにゃちゃんが欲しがりそうなものがわからない。 「だったら大通りをつきぬけて、めぼしいものをさがすヒコ」 「そのまま森へとピュンって」 そうだね。まっすぐ森へ抜ける道をたどって、何かいいものがあるか探してみよう。 さあ、ここからは、ランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めていく冒険が始まる。 本リプレイでは、サイコロを振ってイベントが決まったら、次にあるような表記でイベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていくことにする。 【12 あなたが落としたのは】 大通りで、茶髪の女性がキョロキョロとあたりを見回しながら歩いていた。 ベンチの裏をのぞいてみたり、記憶をたどるように立ち止まって思案していたり。 まるでなにか、探しものをしているみたい。 「アタチがきいてくる!☆ミ」 ウサミがしゃたたと女性に駆け寄り、少し会話して戻ってきた。 「あのね、落としものしちゃったんだって! それで来た道を思い出しながら戻ってるトコ☆ミ」 そうなんだね。じゃあ、僕たちも手伝ってあげよっか。手分けして探したらきっと早く見つかるよね。 「じゃあ、だれが見つけるか競争タロ」 「ピュンって見つけてやるピュン」 「もう探しチュウ〜」 ウサギたちは一斉に散っていった。 ちょっとちょっと、気が早すぎだよ。 僕は茶髪のお姉さんに近寄ってあいさつすると、なにを落としたのか聞き取る。 新しめのウサギ柄のお財布らしい。 みんな、どんな落とし物かも聞かないで、なにを探すつもりでいるんだろう。 やがて、ウサギたちが次々と、思い思いのものを持って戻ってきた。 「あなたが落としたのは、この黄色いハンカチですコ?」 「はつねミクの缶バッジひろったニャン」 「こっちはソールくんのアクスタ☆ミ」 「つまようじ!」 「ねこ足もようのサイコロ!」 「かんでんち!」 「みみかき!」 「竜鍵諸島のキャラクターマグネット!」 「ニナ・ガーデンハートさんのセミヌードしおり!」 ちょっとちょっと、普通にこの世界になさそうなものが並んでるんだけど。 君たち、今目の前にあるものを列挙してるだけでしょ。 落としものはお財布なんだって。 「まちがえちゃった、てへぺろ」 僕たちはもう一度探してみたけれど、残念ながら見つけることはできなかった。 「探してくれてありがとう。もしかしたら家に置き忘れたのかもしれないから、一度戻ってみるわ」 お役に立てず、ごめんなさい。 「いいの。みんなで探してくれて、うれしかったから」 お姉さんはお礼にアメちゃんをウサギたちに配ると、去っていった。 なんの成果も得られなかったうえにアメちゃんまでもらっちゃうなんて、もうしわけなかったな。 さあ、いくよ。 僕は、自分がもらったアメちゃんがなに味かで盛り上がっているウサギたちに声をかけた。 [プレイログ] 財布を落とした女性 発見は器用ロールで目標値5 ウサナギ サイコロの出目2+技量点1=3 失敗 【11 焼きたての香り】 ウサギたちがアメちゃんをなめ終える頃、香ばしい匂いが大通りに漂ってきた。 これはぜったい、パンやさんだ。いってみよう。 そこはウサギのパンやさん。 両親ウサギと、カラフルな四匹の子ウサギたちが、パンを売っていた。 子ウサギたちはそれぞれの色から、チョコちゃん、リンゴちゃん、レモンちゃん、オモチちゃんって名前なんだって。 いろんなキャラクターの形をしたパンが並んでいた。同じ形のものはいっこもない。 キャラクターのアイディアは子ウサギたちが考えて、みんなで作ったんだって。 ウサギさんの形のパンもあったけれど、僕の目を引いたのは、ねこの形のパン。 これならりにゃちゃんの誕生日のプレゼントにもよさそう。 パーティにはたくさんの料理が並ぶけど、パンなら後で食べてもらってもいいもんね。 ほかにもっといいプレゼントを見つけたら、僕たちで食べちゃってもいいんだし。 僕は焼きたてのパンをひとつ購入した。 そんな僕の様子を物陰から観察する影たちの存在に、僕たちはまだ誰も気づいていなかった。 [プレイログ] パン1個金貨2枚で購入可能。 プレゼント用か食料用、どちらか1個しか購入できない。 プレゼント用に購入。 焼きたてのねこパン(プレゼントランク1)入手。 金貨62枚→60枚 (元ネタは絵本「からすのパンやさん」) 次回、トラブル発生?! 【ウサナギノミコト レベル12 技量点:1 生命点:8 筋力点:4 従者点:9】 【装備】 ピコピコハンマー(片手打撃)初撃+1 丸盾(生命点+2) ウサギ使いの服(生命点+2・防御+1) 【食料】0 【金貨】62→60 【持ち物】 強化ポーション(1ラウンド消費攻撃+1/金貨30枚) ブラウンダイヤの結婚指輪(金貨30枚) 魔王の宝玉(金貨25枚) 焼きたてのねこパン 【全力攻撃】【全力防御】【かばう】 【未使用経験点】2 【従者】 ドリルウサギ(弓兵扱い)四匹(ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ) ノウサギ(剣士扱い)五匹(ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ) ■登場人物 ウサナギノミコト 通称ウサナギ。ウサギ使いの少年。 りにゃ ねこ耳ねこしっぽの女の子。誕生日パーティするよ。 リナ りにゃの姉。仮面ウサギに大事なペンダントを盗まれたことがある。 魔王ウサギ マオウサギ。いろいろあったけど今はりにゃのトモダチ。 ウサピュン、ウサマル、ウサチュウ、ウサマロ ドリルウサギ。ウサナギのファミリー。 ウサヒコ、ウサタロ、ウサミ、ウサニャン、ウサコ 普通のウサギ。ウサナギのファミリー。 ■作品情報 作品名:「可愛いあの子に最高のプレゼントを」 作者・イラスト:寝子 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 可愛いあの子に最高のプレゼントを(冊子版) https://lennon257.booth.pm/items/6915985 可愛いあの子に最高のプレゼントを(ダウンロード版) https://lennon257.booth.pm/items/6713417 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! 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2026年5月19日火曜日

ゲームブックにおける死と物語 第6回:「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語 FT新聞 No.4864

おはようございます。FT新聞編集部員のくろやなぎです。 本日は、『ゲームブックにおける死と物語』の第6回として、『魔人竜生誕』(著:松友健、2006/2016年、創土社/幻想迷宮書店)における死と物語についての考察をお届けします。 前回までの5回の記事で取り上げたゲームブックには、それぞれある程度の割合で、「死のパラグラフ」とでも言うべき、主人公が死んでゲームオーバーとなるパラグラフが含まれていました。 それらの作品では、主人公(読者)が特定の選択肢を選んでしまうと、何らかの罠や攻撃、アクシデントなどによって主人公は死亡し、物語はそこで唐突な終わりを迎えるようになっています(ただし、「輪廻」や「時の魔法」や「予知」といった特殊なギミックが発動しなければ、ですが)。 そうした「死のパラグラフ」は、ゲームとしてのバッドエンドであると同時に、物語としての奥行きや多層性の源泉でもありました。むしろ「死のパラグラフ」は、それぞれの作品のテーマや世界観を、ゲームブックという形式で表現する上での、本質的な要素のひとつだとも言えるかもしれません(前回取り上げた『ミラー・ドール』でも、記事の中では言及しなかったのですが、やはり印象的な「主人公の死」のパラグラフがいくつも存在します)。 一方、今回取り上げる『魔人竜生誕』には、そのような「死のパラグラフ」がほとんど見当たりません。 『魔人竜生誕』は、作者の言葉を借りれば「特撮番組や少年漫画でおなじみ、超人ヒーローバトルの世界をちょっと行き過ぎなぐらいに完全再現」した作品であり、敵を倒すか、それとも主人公が倒されるか…という状況が物語の中では何度も繰り返されます。にもかかわらず、主人公の敗北や死がしっかりと描写されるパラグラフは、全部で600パラグラフを超える作品のスケールを考えれば、ごくわずかしか存在しない、と言ってよいくらいです。 今回の記事では、主人公の死に関する数少ない描写の内容や、そのような「描写の少なさ」自体を手がかりとして、私なりの視点から『魔人竜生誕』の物語を読み解いていきたいと思います。 記事の中では、物語の具体的な展開や結末、作品全体の構造などにも言及していますので、作品を未読の方はご注意ください。 実際に作品を読みたい・遊びたい、という方は下記のリンクからどうぞ。 [幻想迷宮書店ホームページ内、『魔人竜生誕』紹介ページ] https://gensoumeikyuu.com/gb10/ また、記事の作成にあたっては、作者である松友健氏のホームページも参考にしています。直接的に参照・引用した内容については、「作者の言葉を借りれば〜」のような形で、そうとわかるように記載しました。 [松友健ホームページ『駄人間生誕』内、『魔人竜生誕』コンテンツトップページ] https://matutomoken.web.fc2.com/page014.html なお、『魔人竜生誕』は、2006年に創土社から刊行された後、遊びやすくなるよう大幅に改良された上で、Kindle対応の電子書籍として2016年に幻想迷宮書店から改めて刊行されています。 創土社版と幻想迷宮書店版では、ルール説明の記述やフラグ管理の方法、パラグラフ構成等の一部が異なりますが、記事内での説明に際しては、できるだけ両方の版に当てはまる表現にした上で、バージョンによる差異がある点についてはそのことを明記しました。また、上記の松友健氏のホームページにおける『魔人竜生誕』のコンテンツは、サイト内の更新履歴によれば、創土社版の刊行直後に書かれたものが中心となっているようです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブックにおける死と物語 第6回:「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語  (くろやなぎ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ■『魔人竜生誕』における死とゲームオーバー まず、『魔人竜生誕』の物語の基本設定や、全体的な構造について整理させてください。 主人公である羅田 明(作品の地の文における「俺」。以下、「明」と呼びます)は、下町の零細工場を営む23歳の男性であり、肉体労働に従事しているので「体力ならそこそこある」という程度の、「特にどうという事のない」一般人でした。 ある日、仕事帰りの山道でトラックを走らせていた明は、山の上から突然現れた巨大な虫のような怪物に襲われ、わけもわからないうちに致命傷を負ってしまいます。 怪物は去り、後には瀕死の明が残されますが、そこに「誰か」の気配が近付き、明に「何か」を与えます。 その「誰か」は、自然の神のひとりであり、与えられた「何か」は、いちど殺された明を、超自然の戦士である「霊神将」として生まれ変わらせるための力でした(ここでの「神」とは、超越的・支配的な存在というより、もっと身近で人間的な、自然から生まれた精霊のような感じの「神」です)。 やがて目覚めた明は、「翼をたたんだ竜」のような姿の鎧を身にまとっており、そこにいた神(どのような神なのかは、そこまでの明の行動によって決定されます)から、自分が霊神将として生まれ変わったことや、先ほど自分を殺したのが「邪魔神」の眷属であったことなどを知らされます。 明は、異様な状況と知らない単語だらけの話に困惑しますが、結局は状況を受け入れ、先ほどの怪物を倒します。そして、自然と頭の中に浮かんだ「猛竜・ジーレギオン」という名を名乗り、自らの「主神」となった神をパートナーとして、敵である邪魔神の眷属たちと戦うことを決意するのでした。 以上が、この作品の導入部分のストーリーであり、「魔人竜」(すなわち、霊神将である「猛竜」ジーレギオンとしての主人公)の「生誕」に至るまでの経緯です。 その後、明は主神とともに、いったん元の人間の姿で日常生活に戻りますが、世間では邪魔神の眷属たちが引き起こす事件やトラブルが次々に起こりつつあり、明もそんな事件やトラブルにしばしば巻き込まれます。 そこでは、一話完結型のテレビ番組や連載漫画のように、  事件やトラブルの発生 → 探索行動 → 邪魔神の眷属との対決 → 一件落着 という定型的なサイクルが何回も繰り返され、このサイクルを通じて、明は霊神将としての能力を高めていきます。 やがて明は、敵の親玉である邪魔神そのものとの対決の時を迎えます。 そこで起きる出来事は、明がそれまでに積み重ねたさまざまフラグの組み合わせによって変化し、さいごに邪魔神を倒すことができれば、約20種類のマルチエンディングのいずれかに辿り着くことができます。 ざっくりまとめると、『魔人竜生誕』は、  導入(「魔人竜」の「生誕」) → 邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクル(主人公の成長とフラグ立て) → 邪魔神との最終決戦(フラグの回収) → 終幕(マルチエンディング) という感じの構造になっていると言ってよいでしょう。 さて、物語の導入部分から、作品の大半を占める、邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクルに入っていくとき、主人公の死やゲームオーバーに関する記述に、ある変化が起こります。 以下は、先ほど述べた物語の導入部分で、まだ普通の人間だった明が怪物に遭遇したときの、明の死に関する描写の一部です。  俺は……唐突に目の前が真っ赤になった!衝撃!地面が足元に無い!液体が器官に溢れかえり、呼吸が全然できない!  自分の胸部が背中から巨大な鉤爪で貫かれていることも、人間離れした怪力でそのまま持ち上げられている事も、そしてもう絶対に助からない事も、何一つとして俺には理解できない。投げ捨てられ、俺は地面にべちゃりと張り付く。俺は死ぬ。 ここでは地の文の語り手としての明、すなわち「俺」が、怪物になすすべなく殺される様子が鮮明に語られています(ただし、これでゲームオーバーになるわけではなく、物語はこのまま明の蘇生、すなわち「魔人竜」の「生誕」の場面へと続きます)。 また、明が霊神将として生まれ変わった直後、それまでの明(としての読者)の選択によっては、明は全てを忘れることにして「帰る」ことができますが、その先のパラグラフは以下のような記述で終わります。  ニュースは今まででは有り得ないほど多発する凶悪犯罪を連日報道しだした。しかも、犯人が不明の事件があまりにも多いという異常事態。これはいつまで続くのだろうか……。  だが、これはもはや俺にとって関わるべきでない事なのだ。 これは、作品中で唯一の、ゲームオーバー(邪魔神が倒されることのないバッドエンド)のためだけに用意された専用のパラグラフです。 電子書籍である幻想迷宮書店版では、通常の(邪魔神を倒したあとの)エンディングには「あとがき」へのリンクが付いていますが、このパラグラフにはそのようなリンクが存在しません。ここに辿り着いた読者は、何も遷移先も示されない文章の最後に、パラグラフの終わりを示す「▲」のマークだけがぽつりと添えられているのを見ることになります。 このように、作品の導入部分の、明が霊神将として生まれ変わる前やその直後の時点では、明の「死」の様子は文章としてはっきりと描写され、ゲームオーバーになるときは、そのための専用のパラグラフが用意されています。 一方、明が霊神将・ジーレギオンとして戦う覚悟を決め、自分を「殺した」怪物と再び対峙する段階になると、明の死やゲームオーバーに関する記述は、以下に引用するパラグラフのような形に変わります。  俺の攻撃が外れた隙をつき、ガヌァヴが鉤爪を叩きつけてきた。その爪がヌラヌラと光っているのが見える。直感的に、それが毒液の光沢だとわかった。俺はとっさに手甲を使ってブロックする。  俺に対する奴の攻撃力は11。防御に失敗すれば、俺は3点の生命力を失う。  結果、生命力か持久力のどちらかが0以下になっていれば俺はここで倒れる。防いだにしろ食らったにしろ、戦えるなら反撃するしかない。[以下、創土社版では「技の使用番号に10を足した項目へ進み、再度攻撃せよ。」という記述があり、幻想迷宮書店版では「技を選べ。」という記述とともにそれぞれの技へのリンクが示される。] このパラグラフでの記述と、先に引用したパラグラフでの描写との違いは明白でしょう。 ここでは、明の死やゲームオーバーは、ルールに則った戦闘処理の説明の一環として、パラグラフの途中に溶け込むように、事務的かつ汎用的な表現で記述されています。 「生命力か持久力のどちらかが0以下に」なった明が、どのように敵の鉤爪に貫かれ、どんな最期を迎えたか、このパラグラフの文章は何も描写しません。また、ゲームオーバーになったことが、パラグラフの最後の「遷移先の不在」によって示されるわけでもありません。「俺」による説明は、「死」の説明からシームレスな形で、改行すらされずに、そのまま「戦える」場合(生命力も持久力もまだ1以上残っているとき)の遷移先の説明へと移っていってしまいます。 ここで戦闘処理の結果から「俺」の死やゲームオーバーを判断し、その最期の様子を(心の中で)描き出す役割は、すべて読者の側に委ねられているのです。 以降、何度も繰り返される邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクルの中では、明の死とゲームオーバーはすべて、後から引用したパラグラフと同様に、戦闘シーンの途中に「生命力か持久力が0以下になっていれば〜」と挟み込まれる形で提示されます。 最初の方で引用したような、明の死の描写やゲームオーバーのためのパラグラフは、ゲームブックとしてはとりたてて珍しいものではありませんが、この作品の中では、むしろ異質でイレギュラーな存在となっています。それらの描写やパラグラフは、『魔人竜生誕』における死の描写やゲームオーバーのパラグラフの「不在」や「稀少さ」を、かえって浮かび上がらせる役目を果たしている、と言ってもよいかもしれません。 ■『魔人竜生誕』における戦闘と物語 『魔人竜生誕』の大部分では、主人公の死やゲームオーバーに関する記述は、個別的な描写や専用のパラグラフを伴わず、戦闘シーンのパラグラフの中に汎用的な表現で埋め込まれています。 このことは、作品のどのような特性を反映し、作品においてどのような意味をもっているのでしょうか。 作者のホームページには、『魔人竜生誕』のコンセプトについて、「とにかく強い主人公が同じぐらい強い敵と一般人立ち入り禁止レベルの戦闘を延々と繰り返す話」と表現している箇所があります。 そして、この冗談めかした表現には、この作品における主人公の死やゲームオーバーの位置付けに関する、本質的な要素が含まれているように思います。 『魔人竜生誕』の作品世界において、霊神将となった明は「とにかく強い」存在であり、彼の前に立ちはだかる邪魔神の眷属たちも、「同じぐらい強い」存在です。彼らの戦いの前で、「一般人」はひたすら無力であり、そこはまさに「一般人立ち入り禁止」の領域に他なりません。 物語の開始時点で、読者はすでに戦闘ルールに関する説明を受けており、主人公の明には、最初に読者が決めた能力値が設定されています。しかし物語の導入部分で、怪物に襲われ、逃げたり隠れたり殴りかかったりする明には、戦闘ルールに沿った判定や処理も、能力値の増減も、いっさい求められることはありません。まだ「一般人」である明は、目の前の怪物とは能力の次元が全く異なるため、それらの戦闘ルールや能力値はそもそも無意味で、適用される余地がないのかもしれません。 作者曰く、『魔人竜生誕』は「バトル中心」のゲームブックであり、「強制的に何度もやらせる」(「延々と繰り返す」)ことになる戦闘システムこそが、「ヒーロー物を再現」するための作品の核に他なりません。作者の言葉を引用すると、この作品の戦闘システムは、  1:ヒーローが終始優勢である事はあまり無い。何度か技をはね返されたりする。  2:ヒーローは勢い重視の戦いを好む。さっきまで大ピンチでも、突破口を見つけた途端に敵を滅多打ちにして最終奥義に繋げたりする。  3:ヒーローが最強技をクライマックスで放てば敵は死ぬ。 という「ヒーロー物」の条件を満たすように設計されています(その具体的な設計内容は、作者のホームページで細やかに説明されています)。 ここで、「0以下になる」ことが敗北(死)を意味するふたつの能力値、「生命力」と「持久力」について簡単に説明すると、生命力はダメージを受けることで減少し、持久力は敵を攻撃することで消耗します。 また、こちらからの攻撃の命中率やダメージ量は、自分の使う技(最終的には10種類ほどになります)と敵との相性によって上下し、さらに敵に与えたダメージの合計によっても変化します(最初は通じなかった技が、敵が弱って隙を見せると有効になるという感じです)。 さらに、最終的な命中・回避の判定はサイコロの出目を使って行われ、そこではいわゆるクリティカルやファンブルのように、低確率で出現しうる、絶対的な成功・失敗の出目も設定されています。 つまり、敗北(死)の直接的原因としては、  ・敵からの反撃によるダメージが蓄積し、生命力が0以下になる  ・技を使いすぎて消耗し、持久力が0以下になる という2種類のパターンが存在し、さらに、その状況に至る要因としては、  ・その敵に対する有効な(命中率や与えるダメージが高い)技を見つけられなかった  ・敵の状態(有効になる技)が変化したのに、それにうまく対応できなかった  ・有効な技には気付いていたが、運(サイコロの出目)が悪く、攻撃が当たらなかった など、いくつものパターンが考えられます。 戦闘のパラグラフの途中での、「生命力か持久力のどちらかが0以下になっていれば俺はここで倒れる。」といった記述は、単体として見れば、たしかに汎用的で事務的な説明でしかありません。 しかし、それ自体が個別の物語性をもちうる戦闘の展開の中で、「生命力か持久力のどちらかが0以下」になった時点で、読者はすでに十分な量と質の、主人公の死やゲームオーバーに至る物語を(文章化された描写とは別の形で)受け取っている、と言うことができるかもしれません。 『魔人竜生誕』において、設計されたルールに則った戦闘処理の繰り返しこそが、文章での描写と並ぶ、もうひとつの物語の存在形態なのだとしたら、主人公の死やゲームオーバーもまた、その中に織り込まれていても不思議ではありません。 ただし、作品の導入部分の主人公は、戦闘能力をもたない「一般人」であり、あるいは、戦う覚悟の決まらない、生まれたての霊神将です。彼はまだ、作品本来の死やゲームオーバーの場としての、戦闘シーンに移行することを許されません。 文章による主人公の死の描写や、選択肢によるゲームオーバーは、多くのゲームブックにとっては普通のことです。しかしそれらは、この作品においては、戦う「ヒーロー」になる以前の主人公の死やゲームオーバーのための、あくまで例外的な位置付けしか与えられていないようにも見えます。 先に述べたように、『魔人竜生誕』の大部分は、「事件やトラブルの発生 → 探索行動 → 邪魔神の眷属との対決 → 一件落着」という定型的なサイクルの繰り返しで構成されています。 このサイクルの中では、邪魔神の眷属との対決(すなわち戦闘シーン)が重要なことはもちろんですが、敵のもとに辿り着くまでの探索行動のパートにも、多くのパラグラフが使われています。そこでは、最終決戦の展開やエンディングの分岐に関わるさまざまなフラグ立てが行われるほか、敵の攻撃などによって、明の生命力が減少することもありえます。 しかし、そこでのダメージの量は、基本的には明が死なない程度の、「その後の戦闘で不利になる」という意味合いのものでしかありません。明の死やゲームオーバーは、あくまでそのサイクルの最後に控える邪魔神の眷属との、ルールに則った戦闘シーンの中でしか起こりえないのです。 もちろん、ゲームブックの構成として、探索行動の中でも、場合によっては死ぬような大ダメージを受ける判定や、致命的な罠やアクシデントにつながる選択肢などを設定することはできるでしょう。また、そうすることで、探索行動が読者にとってより緊張感のあるものになり、ゲームや物語としての奥行きも増すかもしれません。 しかしそれらは、この作品の「ヒーロー物」としての全体的なデザインにとっては、むしろ蛇足というべき要素になるようにも思われます。 霊神将としての使命に目覚め、邪魔神の眷属たちとの戦いを繰り返す明は、敵に辿り着く前の探索行動の途中で、必殺技を撃つこともなく死んだり逃げたりすることはできません。それは、この作品を貫く、ある種の型や「お約束」に反する出来事です。 明は必ず敵のもとに辿り着き、「ジーレギオン! 覚醒・装・着!」などと叫び、霊神将としての鎧をまとった姿に変身して、「フルンティングエッジ」や「デュランダルストライク」といった、カタカナ10文字前後の舌を噛みそうな名前の技をつぎつぎと繰り出します。攻撃を外すと敵からは重い反撃がやってきますし、巧妙な敵は、明の技をそのまま反射してくるかもしれません。敵の弱点を見つけるのに手間取ったり、運悪く攻撃を外し続けたりすれば、敗北、すなわち死を迎えることもありえます。しかしそれは、この作品世界によく似合う、ヒーローとしての死やゲームオーバーに他なりません。 読者はそこからひとつの戦いの物語を受け取って、戦術を練り直し、あるいは今度こそサイコロの出目が明に味方することを願って、新たな物語を辿り直すことになるでしょう。 ■主人公の「最後の奥義」と2度目の死 『魔人竜生誕』における主人公の死のあり方は、作品全体の構造において、どの段階の出来事なのかによって変化します。 先に述べたように、作品の冒頭での明の死は、「ヒーロー」になる以前の「一般人」としての死であり、神による蘇生から「魔人竜」の「生誕」へとつながるストーリーの一部として、文章によって鮮明に描写されます。 その後、作品の大部分における明の死は、ヒーローとして邪魔神の眷属たちと戦う中での敗北と死であり、それはすなわちゲームオーバーを意味します。その死はルールに則った戦闘処理の結果としてもたらされ、個別に文章として描写されることはありませんが、読者が経験した戦闘の経過の中で、「ヒーロー物」のフォーマットに沿いながら、即興的な物語性を与えられます。 そして、作品のクライマックスとなる邪魔神との最終決戦においては、明の死は、また別の形をとることがありえます。 そこに大きく関わってくるのが、霊神将ジーレギオンの「最後の奥義」である、「レーヴァンテインフレア」という技です。 邪魔神の眷属たちとの戦いのサイクルの中で、明はいくつもの新しい技を習得していきますが、このレーヴァンテインフレアだけは特別で、通常の戦闘では使用することができません。というのも、この技は「存在する事そのものへの絶対の否定、究極の滅びの力」であり、この技を使ってしまうと、戦闘の場そのものが「滅びの業火に埋め尽くされ」てしまうからです。 また、この技の習得のためには、「生神力」という経験値のようなポイントを一定以上獲得する必要があり、明のさまざまな行動や判定の結果次第では、最後まで習得できずに終わってしまう場合もあります。 ラスボスたる邪魔神の強さは圧倒的であり、通常の戦闘ルールのもとでは倒すことができないようになっています(もっとも、すべての面が「6」であるような特製のサイコロを使ったりすれば、天文学的な確率でしか起こり得ない形で邪魔神を倒し、特別なエンディングに辿り着けるかもしれません)。 そのため、明が邪魔神を倒すためには、何らかの特殊な出来事が起こる必要があり、それが何なのかはさまざまなフラグの組み合わせによって決定されます(必要なフラグが全く立っていない場合はゲームオーバーとなります)。 ここで、他のキャラクターからの助力などにより、最後の切り札としてのレーヴァンテインフレアを使用せずに明が勝利できれば、明は死なずに、生きたままでエンディングに辿り着くことができます。 一方、レーヴァンテインフレアを使用して邪魔神を倒した場合は、この技を使ったことによる当然の帰結として、明もまた「滅びの業火」に呑まれることとなります(これらの分岐はフラグの状態によって自動的に決定され、読者がその場で選択することはできません)。 ここでの明の「死」は、明の「生神力」(経験値)の高さに応じて、大きく分けてさらに2種類のエンディングへと分岐します。 ひとつは、邪魔神と明が相打ちとなったことを示唆する、明が不在のエンディング。 そしてもうひとつは、霊神将として究極までその力を高めた明が、「人間としての肉体」が燃え尽きた後に、こんどは不老不死の(戦って敗れれば滅びるが、定められた寿命をもたない)存在として生まれ変わり、未来において邪魔神が復活するたびに戦い続ける、というエンディングです。 (それぞれのパターンは、明の「主神」がどの神だったかによって、さらに3通りずつに分かれます。) 一方は、完全な死と消滅。もう一方は、「不死」の存在への「生まれ変わり」。これらは正反対の結末だとも言えますが、読者の視点からは、わかりやすい共通点を見て取ることができます。それは、これらのエンディングにおける地の文が、それまでのような明の一人称ではなく、外から見た三人称や、明以外のキャラクターの一人称のもとで記述されていることです。 明がレーヴァンテインフレアを使わず、生きたまま迎えるエンディングは10種類以上ありますが、そのほとんどのエンディングでは、それまでと同様に、明の一人称(俺)による語りの下で物語は幕を閉じます(1種類だけ、明ではない「俺」が語り手となる例外があります)。これに対して、明がレーヴァンテインフレアを使い、導入部分以来の2度目の「死」を迎えた場合は、明は物語のいちばん最後のパラグラフでだけ、読者に対して口を閉ざしてしまうのです。 相打ちの場合は、死んでしまった明はもちろん何も語りませんし、また、彼が語るべきことも、もう何も残されていないと言えるでしょう。明はヒーローとしてやるべきことをやり遂げて消滅し、あとには霊神将を失った主神と、ヒーローによって守られた世界が残され、物語は喪失感や寂寥感とともに静かに終わります。 そして、明が不老不死の存在として「生まれ変わった」場合、エンディングの中には明が登場するにもかかわらず、彼はあくまで外側から、彼のそばにいる「主神」の一人称のもとで、「俺」ではなく「明(さん)」として描写される対象になっています。そこではおそらく長い年月が過ぎ、邪魔神も何度か復活を遂げ、そのたびに明が邪魔神を倒してきたことが、彼の主神によって語られます。明はずっと「ヒーロー」としての役目を果たし続けているようですが、明はあまりに強くなっているため、もはやその戦いは、読者が見慣れた戦闘ルールのもとで展開されてきたような、「ヒーロー物」のお約束に沿ったバトルではなくなっているのでしょう。その意味では、たしかにこの(人間を完全に超越してしまった)明にも、もう「ヒーロー物の主人公」として読者に語るべきことは、何も残されていないようにも思われます。 作者によれば、明は「そもそも変身超人という時点で読者との一体化など無理」という割り切りのもとで書かれた、「ゲームブックとしてはかなり個性の強い主人公」です。そして『魔人竜生誕』の物語は、無色透明な主人公と一体化するのではなく、「主人公の行動・活動を見て楽しんでもらう」という方向性で構築されたものだとされています。 実際、地の文の語り手としての明は、ある意味では読者の視線を常に意識しながら、作品中での「ヒーロー」を(ときには突飛な言動も交えて)演じつつ、そこでの状況や心情を読者に対して語ります。さらには、戦闘やフラグなどのゲーム的な処理についても、同じ口調で読者に説明し、ときには指示を出してきます。 「俺」という一人称のもとでの、個性の強い明の語りは、読者との「一体化」には不向きだとしても、読者との「共演」には向いているように思います。ゲームブックという形式、ヒーロー物というジャンル、そうした型やルールやお約束の中で、明はそれを自ら演じながら、読者に「俺」の行動を選択させ、サイコロを振らせ、フラグを管理させ、物語をともにつくりあげるように働きかけます。 そして、物語の最初と最後において、そのような明の立ち位置を転換させる契機となるのが、明の「死」と「生まれ変わり」なのだと言えるかもしれません。 『魔人竜生誕』において、明の1度目の死、すなわち「一般人」としての死は、物語上の必然であり、明が「ヒーロー」として物語のメインステージに上がるための前提でもありました。作品の中核にある、「ヒーロー物の再現」として練り上げられた戦闘システムと、マルチエンディングにいたるフラグの積み重ねは、明の死(=魔人竜の生誕)を契機として本格的に動き出し、そのときから、ヒーローとしての明と、それを見て楽しみつつ、能動的に物語に関与する読者との共演は始まります。 これに対して、明の2度目の死、すなわち「ヒーロー」としての死は、物語上の必然というわけではありません。明がどこまで強くなったか、他のキャラクターとどのような関係性を築いてきたか、それらの要素の組み合わせによっては、作品はそのまま「俺」によって、それまでの物語と地続きのような形で語り終えられることになります。 しかし、明が「最後の奥義」であるレーヴァンテインフレアを使う展開になった場合は、明は2度目の死を迎え、辿り着く最後のパラグラフでは、もはや読者に自ら語りかけたり、何かを説明したりすることはありません。その死(あるいは、さらなる「生まれ変わり」の結果としての「不死」)と沈黙は、「俺」と読者との共演によってゲームブックという形式で展開された「ヒーロー物」としての物語の終わりを、より強く印象づけるもののようにも思われます。 ■おわりに 『ゲームブックにおける死と物語』の第6回となる今回の記事では、「ヒーロー物」としての『魔人竜生誕』における死と物語について考察しました。 第1回から第4回までで取り上げた各作品には、サイコロを使った戦闘システムはありません。そこでの主人公の死は、主人公(読者)が特定の選択肢を選び、死のパラグラフに辿り着いた結果として生じるものでした。 それらの死は、主人公が遭遇する状況の困難さや、置かれた環境の厳しさ・苛酷さ、あるいは悪意や敵意の存在などを、物語の一部として読者に提示する役目を果たします。また、「輪廻」や「時の魔法」や「予知」といったギミックによる死のキャンセルや、複数の主人公たちの異なる視点からの描写などを通じて、それらの死は、それぞれの作品のテーマ・システム・パラグラフ構造とも有機的に関連しながら、物語を多層的・立体的に構成していきます。 一方、『魔人竜生誕』における主人公の死は、特定の選択肢の先に用意されているわけではありません。それは、邪魔神の眷属たちとの繰り返される戦いの中に、サイコロの出目という偶発的事象にも左右される形で、いつか発現するかもしれない可能性として潜在しています。 この作品では、物語の中に「死のパラグラフ」を散りばめるのではなく、工夫された戦闘システムの中に物語性のある「死の可能性」を織り込むことで、「ヒーロー物」としての作品世界に合致する形で、ゲームブックとしてのゲーム性と物語性をともに担保しているのだと言えるでしょう。 また、第5回で取り上げた『ミラー・ドール』(著:杉本=ヨハネ、2008年、FT書房)は、主人公が自らの血肉を与えた「ドール」とともに旅をし、その生と死に深く関わる物語でした。この作品における主人公とドールの運命には、それまでの旅の過程を反映する「献身点」が大きな影響を与えるとともに、ある程度の偶然性も関与します。 これに対して、『魔人竜生誕』は、いちど死んだ主人公が彼の「主神」によって霊神将としての力と命を与えられ、主神とともに敵と戦う物語です。 明は決してドールのように従順で無口なキャラクターではありませんが、それでも主神を大切に思い、彼なりに最善を尽くして戦い、最終決戦の展開次第では、彼か主神のいずれかが命を落とすことになります。そこでの彼らの運命は、やはりそれまでの邪魔神の眷属たちとの戦いの過程における、さまざまなフラグの積み重ねに左右されるでしょう。 いわゆる「剣と魔法」の世界を舞台として、硬質な二人称で綴られるファンタジー作品と、21世紀の日本を舞台として、個性の強い一人称で語られる「ヒーロー物」の作品。 前回の『ミラー・ドール』と今回の『魔人竜生誕』は、全体的な雰囲気やシステムにおいては互いに大きく異なる作品同士ですが、いずれもある意味では命を「与えた者」と「与えられた者」とのつながりを軸とした作品です。そして、『ミラー・ドール』では「与えた者」、『魔人竜生誕』では「与えられた者」を主人公とした上で、それぞれの視点から物語が進み、そのような「命」を介した関係性の積み重ねが、物語の最終局面で意味をもつことになります。 これらの作品からは、ゲームブックにおける死と物語に関する、あるひとつの抽象的な構造と、その具体的なバリエーションの幅広さを、ともに見て取ることができるようにも思います。 【書誌情報】 松友健『魔人竜生誕』(創土社、2006年) 松友健『魔人竜生誕』(幻想迷宮書店、2016年) 松友健『駄人間生誕』(ホームページ、2006年〜) https://matutomoken.web.fc2.com/ ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 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