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2026年2月6日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4762

おはようございます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。

毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!

FT新聞編集部一同


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2026年2月5日木曜日

「ドウォンの秘密神殿の冒険」をどう料理する? FT新聞 No.4761

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「ドウォンの秘密神殿の冒険」をどう料理する?

 岡和田晃
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 発売中の『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【ワールド編】』には、付属シナリオ「ドウォンの秘密神殿の冒険」が収められています。これは、日本版のボーナスとして付属した翻訳シナリオ「女神キット=ラーの幽閉されしピラミッド」とは異なり、原著からそのまま付いていたもの。それこそ『トンネルズ&トロールズ』第5版のルールブックに付属していた多人数用「トロールストーンの洞窟」のごとくに、まず最初にプレイされることが想定されたシナリオなのかもしれません(もっとも、最近、T&T第5版日本語版のルールブックを改めて読んだケンは、日本語版に付いているのは、多人数用アドベンチャーではなく、ソロアドベンチャーの「バッファロー・キャッスル」だと勘違いしていましたが)。
 既刊に準えれば、「ドウォンの秘密神殿の冒険」は、『T&Tビギナーズバンドル 魔術師の島』に収められている「カリスの墳墓」に近いところがあります。つまり、一定のセッティングが与えられており、あとはゲームマスターが独自にそれらをアレンジしてプレイすることが想定されているわけです。
 この手のシナリオを、私は敬意を込めて「半構築済みシナリオ」と呼ぶようにしています。シナリオソースほど簡素ではないが、そのまま、おんぶに抱っこできてしまうほどには、悪い意味で懇切丁寧にはなっていない。同じタイプのシナリオはD&Dなんかにもありました。クラシックD&DのB2モジュール「国境の城塞」やB3「アリクの瞳」がこのタイプの冒険です。「国境の城塞」はD&D第4版のエンカウンターズ、第5版(いわゆる2024年版)のボックス・セットでリメイクされ、「アリクの瞳」も「ドラゴンマガジン」3号で日本オリジナルの続編が作られていましたから、「半構築済みシナリオ」はユーザーの創造性を掻き立てるところがあるようです。

 他方、ネット時代、地の文やセリフが事細かに書かれているタイプのシナリオ——「FT新聞」では、No.4145に掲載された「ファンタジーRPG汎用"逆転の発想"シナリオfeaturing 『モンスター!モンスター!TRPG』『新・裏伝説』」(https://analoggamestudies.seesaa.net/article/503784256.html)のようなタイプの冒険——とは真逆のアプローチ。至れり尽くせりに全てが設定されている『クトゥルフ神話TRPG』のシナリオに慣れ親しんでいる方にとっては、驚きを隠せないかもしれません。
 何はともあれ、見切り発車で構わないので、ひとまずプレイしてみることが手っ取り早いのでありますが、そこにいたるまでが大変、という方もあるでしょう。子ども時代ならばともかく、大人になったら、貴重な余暇を割いてゲームに突き合わせるのですから、余計に心理的ハードルが上がる、というものでしょう。

 それでは、どうやったら「ドウォンの秘密神殿の冒険」を上手にプレイすることができるのでしょうか? ルールブックにもいくつかの導入案は明記されていますが、もっともわかりやすいのは、シナリオソースのA(【ワールド編】、p.66)を採用することです。
 大神殿の修繕を手伝うか、侵入してくるバット・トロールと戦うか、という2つの案が提示されていますが、大神殿の修繕の方を選んでも、どのみちバット・トロールと戦う方向へ誘導すれば問題ないでしょう。
 ただ、いきなり転移門(ポータル)を通ってズィムララへやって来たと言っても、あまりにも唐突すぎて現実感がありません。一つの妙案としては、現代ものの別のシナリオと連結させることです。ある怪異が、転移門の向こう側からやってきた、その正体はバット・トロールで、PCたちは調査に来たということにすればいいのです。
 この方法の問題点は、基本的なシナリオ構造が異世界往復ファンタジーのようになってしまうこと。『ナルニア国ものがたり』が典型ですが、ズィムララから、いつかは現実世界へ戻らねばならなくなるのです。そうやって往復していくのも、海外のヒーローコミックでよくあるクロスオーバーものの雰囲気が出るので一興ではありますが——実際、「クチュールー・エンジェルズ」のように、『モンスター!モンスター!TRPG』はコミックとのクロスオーバーを積極的に行っているタイトルでもあります——カラーが異なる複数の世界を継続的に運用していくのは、なかなかどうして大変です。
 英語では、現実世界からズィムララへの旅路そのものをテーマにした『Trail to Zimrala』が存在します。これは北米先住民のヒロイン、エリカ・アメリカが登場する画期的なシナリオなのですが。あいにく、まだ日本語版は出ていませんので、お待ちいただくとしまして……。
 オススメなのは、『猫の女神の冒険』から、しっかり繋げていく方法です。

 この「繋げ方」には、コツがあります。
 「半構築済みシナリオ」の問題点は、とにかく、シナリオの押し引きが弱いこと。コンピュータRPGで言う「オープンフィールド」の先駆とも言うべきスタイルなのですから、プレイヤーの自由度こそを重視すべきで、自由に動き回ることができることが魅力なのですが、プレイヤーに一人でも、「何をやればいいのかわからない」という人がいれば、これは成り立たなくなってしまいます。
 そこで、強力な動機づけが必要になります。そこで、押し引きを強化することが、「半構築済みシナリオ」を完成させるうえで有用なのです。
 もっともわかりやすいのは、「死んだ仲間や、それに近い状態になった仲間を救う」というもの。それこそ、『ロードス島戦記リプレイI』の頃からの伝統です。オリジナル・ルール『ロードス島戦記コンパニオン』準拠の作品として、連載時のD&Dリプレイから収録し直された本作では、最初の冒険のゴブリン退治で主人公のひとり騎士パーンが死んでしまい、高位の司祭ニースに復活させてもらったはいいものの、代償として「7年前から行方不明になっている娘のレイリアを探してください」というクエストを受け入れる羽目になります。
 この点、『猫の女神の冒険』のGMアドベンチャーはソロアドベンチャーの多人数用シナリオ化なので、いちど自分でソロをプレイしておけば、多人数での運用についてイメージが持ちやすいですし、杓子定規に全滅させたりせずに、生かさず殺さずでストーリーを進めていくコツについても、身につけることができるでしょう。
 ただし……。【以下、ネタバレ注意】
 『猫の女神の冒険』に関して言えば、もっともストーリーの深奥に踏み込んだ結末部で、プレイヤー・キャラクターは猫の女神セクメトの計略に引っ掛かり、クリスタル・スカル(水晶髑髏)に閉じ込められてしまうことになります。ソロアドベンチャーでは、これで冒険は終わることになりますが、多人数用アドベンチャーでは、あくまでも閉じ込められるのはプレイヤーの1人、とすればいい。
 それで困るなら、途中で助けるラットリングのスクウィー=スクウィーが閉じ込められることにしてもいいし、誤って閉じ込められるのがテン=メアだということにすれば、セクメトは何に変えても、救出の方法を探ることでしょう。
 
 もちろん、「ドウォンの秘密神殿の冒険」には、そこまで強力な魔法のアイテムが設定されているわけではありません。そこで、私ならば部屋J、部屋K。部屋Oのそれぞれに、解呪のために用いられる特別なアンクの欠片を配置しておき、それらを揃えれば、クリスタル・スカルに閉じ込められた者を救済することができるようにすると思います。
 よりズィムララらしくというか、ケンのゲームらしくするのであれば、ドウォンの大神官ヴォラスカーに事情を話し、ドウォン魔法で解決するというのもオツかもしれません。ドウォン魔法については、【ワールド編】のp.30〜32に詳述されていますが、それ以外にも、雲ヶ谷正運さんによる「深淵なるドウォン魔法」(http://kumogaya.com/archives/28617129.html)という名コラムがあります。ここに出てくる「反魔法と解呪の神ヤー・クバライ」の加護を祈る、というわけです。

 さて、「ドウォンの秘密神殿の冒険」には、ボスらしいボスが設定されてはいません。バット・トロールや洞窟イカ、そしてヴォラスカーの設定は紹介されているものの、ボスらしいボスという感じはありませんよね。ダンジョンにボスがいなければらならない、という考え方そのものがステレオタイプではあり、かえってリアリティの演出にもつながるものですが、押し引きの強化という意味では、ボスもいてよいかと。
 手っ取り早くするなら、ここでもシナリオソースのお世話になりましょう。シナリオソースのD(【ワールド編】、p.66)には、アークデーモン(アーチデーモンとも)のマルゴデラウスの麾下にあるデーモン10体が、神殿に攻撃を仕掛けてくるというアイデアが書かれています。
 【モンスター編】のp.119によれば、アーチデーモンのモンスター・レートは300。作りたてのパーティで、MR300のボスは、正攻法では、なかなか倒せません。200くらいならば、なんとかなりますが……。ゆえに、それこそヴォラスカーや(場合によってはバット・トロールたちと協力してでも)アーチデーモンに立ち向かう意味が生まれてきます。
 ただ、MR300の敵1体では、数の暴力でたちまち蹂躙されてしまいます。ですから、マルゴデラウス以外のデーモンを設定してもいいでしょう。ここで便利なのが、【ワールド編】p.30の表。5のビースト=デヴィルは、原書の『Monsterary of Zimrala』の初期のバージョンのみに登場してくるクリーチャーで、日本語版でもいまのところ紹介がないので、自由に設定いただければと思います。アーチデーモンやデモドラゴンも強力すぎるので除外するとして、あとはゾム・レイス3体、ヘルハウンド2体、スナウター3体、シペ2体くらいの構成にして、ドウォンやバット・トロールたちとぶつけさせるのも面白いのではないでしょうか。単にぶつけさせるだけでは、デーモン軍団の圧勝となるのは目に見えていますから、地の利を活かした戦略を立てねばなりません。
 ——「半構築済みシナリオ」は使い倒すためのもの。あなただけの「ドウォンの秘密神殿の冒険」をデザインしてください!


■書誌情報
モンスター!モンスター!TRPGサプリメント
『ズィムララのモンスターラリー ワールド編』
著 ケン・セント・アンドレ
訳 岡和田晃
絵 スティーブ・クロンプトン
書籍版:3,850円/電子書籍版:3,500円
https://ftbooks.booth.pm/items/7041688

モンスター!モンスター!TRPGサプリメント
『ズィムララのモンスターラリー モンスター編』
著 ケン・セント・アンドレ
訳 岡和田晃
絵 スティーブ・クロンプトン
書籍版:4,950円/電子書籍版:4,500円
https://ftbooks.booth.pm/items/7733432


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2026年2月4日水曜日

第4回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4760

第4回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


ぜろです。
ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」への挑戦。妖狐と魔猫、二匹のお供を連れたタイガの冒険です。
目の前でコーネリアス商会の令嬢コンスタンサがオウカンワシにさらわれるのを目撃したタイガたち。
助けるために巨大樹の中腹にてオウカンワシと対決しますが、そこに令嬢はいませんでした。
さらなる高度を目指し、タイガたちの冒険は続きます。


【フォルネ(妖狐) レベル11 技量点:2 生命点:4 魔術点:3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。

【ニャルラ(魔猫) レベル11 技量点:1 生命点:10 器用点:7 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。

【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料4
金貨25
1ロープ
2ロープ


●アタック02-2 タイガと空飛ぶ鮫

【62 飛鮫(とびざめ)】

観測所でこの先のルートをある程度把握した僕たちは、巨大樹登りを再開した。
このあたりは、基本的には幹をぐるりと周回しながら登る階段状の道になっている。
苔むして滑りやすいところもあり、足元に細心の注意を払う必要があった。

風景は天候にも恵まれ、相変わらず息を呑むほどの絶景というほかない。
足の下には密林の広がりが見え、遠景はかすんでいる。

僕たちはまた、だいぶ高度を稼ぐことができた。

「タイガさま、あれを」

フォルネが頭で促すように上空を示す。
そこには、不思議な光景があった。

「さかな〜?」

たしかにそれは、魚のように見えた。
上空を魚影のようなシルエットがいくつも、優雅に旋回している。

まるで水の底から水面を見上げているようだ。
綺麗な光景だ、と思った。

そのうちひとつの魚影がくるりと回転したかと思うと、群れから離れて移動を始める。
こちらに近づいている?
距離感がつかめていなかったが、かなり大きいようだ。

「あれは、鮫。海に棲む肉食の凶暴な生物」
「ここ、海じゃないよ〜? アタイ、海知らない」
「私も空を泳ぐ鮫なんて見たことない。飛鮫とでも呼べばいいのかな」

フォルネは船でこの大陸に渡ってきたという。だから海を知っている。鮫についての知識も、その時に得たのだろうと思う。
僕やニャルラは、まだ海を見たことがない。

その間にも、飛鮫は徐々にそのサイズ感を増してゆく。
ここまでくれば、ターゲットとしてロックオンされていることは僕にもわかった。

「危ない!」

飛鮫は、身体が全部口になってしまったような、信じられないくらい巨大な牙だらけの口を開けると、突っ込んでくる。
僕たちは左右に跳んでかわす。

飛鮫は、僕たちのいた地面にあたる、巨大樹の幹を削り取る勢いで通り過ぎていった。
危なかった。あの場で伏せるだけだったら、今ごろ飛鮫の口の中だ。

飛鮫はだいぶ行った先で縦に旋回すると、またこちらに向かって、斜め上方から突撃してきた。
フォルネとニャルラが左右から臨戦態勢を取る。

僕は真ん中に陣取った。

「た、タイガさま?!」

僕は、突撃してくる飛鮫の牙だらけの大口めがけて、両手に持てるだけの食料を思い切り投げ込んだ。
そしてゴロゴロと転がって身をかわす。

飛鮫は僕のいた場所をすごい勢いで通過すると……今度は旋回することなく、そのまま空を泳ぎ去っていった。
口の中に味が広がったことで、少しは満足したに違いない。

「タイガさま、危ない真似は……!」
「はは。ごめんごめん」
「うぅ〜。アタイの丸々獣のおにく〜〜」

ふう。なんとか戦わずに追い払うことができたみたい。
また目をつけられないうちに、早くこの場を離れよう。

[プレイログ]
【飛鮫 レベル5 生命点3 攻撃回数1】
 反応 →ワイロ(食料2食分)
 食料2食分を消費して通過


●アタック02-3 ニャルラと鈍器猿リターンズ

【中間イベントA 帰ってきた鈍器猿】

坂道の上から、樽がゴロゴロと転がってきた。
その樽は、途中で出っ張った岩に乗り上げ方向を変えると道を外れ、はるか下へと落ちていった。
下に誰もいないといいけど。

坂の上には見覚えのあるムキムキしたシルエットが、僕たちを待ちかまえていた。
ゴリラのように巨大な、筋肉質な猿。少し跳ねた頭頂の毛髪が特徴的だ。

「あ。どんき〜こんぐ〜」
「鈍器猿ですね」

ニャルラとフォルネが同時に発した声が混ざった。
「でもでも、なんでこんなとこに?」
「ずっと猿たちを見かけていません。ここは縄張りではないはず」

鈍器猿は、右手に亀の甲羅を盾代わりに持ち、左手で次の樽を抱え上げていた。
鈍器猿と、亀の甲羅。よくわからないけれど、あまり指摘してはいけない組み合わせのような気がした。
もしかしたら僕たちとの戦いでボスの座を追われて、追い出されてしまったのかも。

「なるほど。はぐれ猿になって今、私たちへの復讐をくわだてていると。それでノコノコと私たちの前に現れたんですね」
「なにそれ。さかうらみ〜。簡単にやられちゃったアイツが弱いだけなのに〜」

【鈍器猿 レベル4 生命点5 攻撃回数1】※亀の甲羅の盾により攻撃に-1のペナルティ。

「今度もまた、ぱぱっとやっつけちゃうよっ」

ニャルラは僕たちに先行して、坂の上の猿に突進してゆく。
鈍器猿の怒りの矛先は、鼻っ柱にかみついたニャルラに向いているようだ。
怒りの雄叫びを上げると、左手の樽を勢いよくぶん投げた。
樽は幾度もバウンドしながら激しく転がり、ニャルラに迫る。

このままではニャルラにぶつかる、というタイミングで、ニャルラは素早い反射で跳び避けた。
しかし、まさにそのタイミングで岩の出っ張りに引っかかって跳ねた樽は、ニャルラが避けた方角へと軌道を変えた。
樽の予想外の軌道変更に、まともにぶつかってしまい、吹っ飛ぶニャルラ。そのまま幹の道の端、つまり外側へ、その姿が消えた。

「ニャルラっ!」

フォルネの体毛が総毛立ち、白銀の輝きを放つ。
フォルネの身体は光の筋のようになって、まだ次の準備が整わない鈍器猿へと突貫した。
スピードが乗った体当たりは、がっしりと構えた亀の甲羅すら跳ねのけて、鈍器猿の胴体にずどんと突き刺さる。
鈍器猿の身体が大きくよろめいた。

「アタイはここだよっ」

声が降ってきた。
ニャルラは細い枝に、尻尾を巻きつけてぶら下がっていた。
良かった。落ちてはいなかったんだ。

「やったな〜」

ニャルラは尻尾でぶら下がったまま、ぐるんぐるんと回転すると、勢いよく鈍器猿へと飛び出した。
鈍器猿は、亀の甲羅で防ぐ暇もない。ニャルラの鋭い攻撃が、猿の頬に三本の爪痕を残す。
たまらず、ばちんと叩き落そうとする鈍器猿。ニャルラが素早く地面に降り立ったため、自分で自分の顔面を殴りつける形になった。
ニャルラは続けざまに、亀の甲羅の盾を蹴っての二段ジャンプ。亀の甲羅は「ポコッ」という変な音を立てて転がる。
ニャルラはその勢いのまま鈍器猿の顔面に取りつくと、鼻の頭に思い切りかみついた。

「ギャブン!」

闘技場での戦いの古傷をえぐられ、たまらず声を上げる鈍器猿。
ニャルラは華麗に着地する。

鈍器猿は、ニャルラを激しい憎悪のこもった瞳でにらみつけると、亀の甲羅を放置したまま逃げ去っていった。

「……あれは、また来ますね」
「ふん。来たら、またアタイがギタギタにして、どっちが上かわからせてやる〜」
「ニャルラ、あなた今、かなり危なかったのわかってる!?」
「びっくりした〜」
「僕もびっくりした。無事でよかったよ」
「ニャルラつよ〜い。ほめてほめて〜」

僕は鈍器猿が落としていった亀の甲羅を拾い上げた。
さっきニャルラが蹴った時、甲羅とは思えない変な音がしてたんだよ。
コンコンと叩くと、空洞になっていそうなところがあった。
よく見ると、亀裂のようなものが走っている。外向きに力をこめると、ぱかっと開いた。
中には、1体の小さな彫像が入っていた。

「なにこれ、おじさん? へんなの〜」

その彫像は、立ち姿のずんぐりとした体型の男性に見えた。
つばつきの帽子をかぶり、大きな鼻と大きな目、口ひげが特徴的。
オーバーオールに長袖のシャツといったいでたちだ。
片手に持った大きなキノコを高々と掲げるポーズを決めている。

この巨大樹のどこにあったのかはわからないが、文化的価値か芸術的価値があるかもしれない。

「あの猿がどこから持ちだしたか知りませんが、武器としてしか考えてなかったんでしょうね」
「これは戦利品としてもらっておこうか」

僕はその彫像をしまうと、一休みの後、登山のような木登りを再開した。

[プレイログ]
【鈍器猿 レベル4 生命点5 攻撃回数1】※亀の甲羅の盾により攻撃に-1のペナルティ。
・0ラウンド
鈍器猿の樽投げ、ニャルラへ。
ニャルラ サイコロの出目1 回避失敗
→スキル【素早い反射】使用し防御ロールを振り直し。サイコロの出目2 失敗。
ニャルラの生命点10→9 器用点7→6
・1ラウンド
フォルネの攻撃 サイコロの出目3+技量点2-ペナルティ1=4 命中 鈍器猿の生命点5→4
ニャルラの攻撃 サイコロの出目5+技量点1-ペナルティ1=5 命中 鈍器猿の生命点4→3
鈍器猿の攻撃 ニャルラへ。ニャルラはサイコロの出目4+技量点1で回避。
・2ラウンド
ニャルラの攻撃 サイコロの出目4+技量点1-ペナルティ1=4 命中。鈍器猿の生命点3→2
生命点が半分以下になったので、鈍器猿は逃亡。
宝物判定 サイコロの出目6+高度3=9 古代の彫像(金貨25枚相当)


●アタック02-4 フォルネとロープほどき

【36 ロープアクション】

そこからしばらくは、幹をぐるりと回る坂道を、幹を周回するように歩いた。
まるで崖沿いの道を歩いているようだった。

やがてその道が、不意に途切れた。行き止まりだ。
けれど、その向こうには道が再び続いているのも見えている。

ちょうど上の方の枝から、ツタが何本もロープのように垂れている。

「あ、これ、いけるかもっ」

ニャルラが飛び出した。
ツタに尻尾を器用に絡め、次から次へとツタを渡っていく。
あっという間に向こう側に降り立った。

「ねっ。ほらっ。かんたんだよっ」

どう見ても簡単じゃないよ。だいたい僕、尻尾ないし。
フォルネは下をよく観察して言う。

「少し下に茂みが密集しています。間違って落ちても、問題ないでしょう」

僕ものぞいてみた。たしかに茂みがクッションのようになっているけど、その周囲に広がる直下の光景に目がくらんで、とても大丈夫とは思えなかった。

そうしてフォルネも、ツタのロープを巧みに繰りながら、向こう側に降り立った。
こういう動きは二匹とも得意中の得意だ。
さあ、僕はどうしようかな。

「タイガさま、ロープを投げてください」

そうだった。こんな時のために、今回はロープを買ってきてたんだった。
僕はロープの端を向こう側に投げる。フォルネはそれを口にくわえ、木の枝の回りにぐるぐると巻きつけた。
こっちもしっかりした枝にロープを結わえつけると、ぴんと張った。これでよし。

僕はロープを足がかりにして、上から垂れているツタを手がかりにして、ゆっくりと渡っていった。
途中で強風にあおられた時にはどきどきしたけれど、なんとか渡りきることができた。

幹伝いの道は先へと続いている。これで進めるようになった。
ロープはここに置いていくしかないかな。向こう側は縛ってあるから、回収できそうにない。

「私が行って、ほどいてきます」

フォルネが言うやいなや、ツタを器用にわたりながら、元の場所へ。
向こうでしばらくロープをほどこうと苦戦したようだが、やがて言った。

「タイガさま申し訳ありません。結び目がかたくて、取れませんでした」
「いいよ。落ちないようにと思って、強めに結んだんだ。そのまま戻っておいで」

フォルネが諦めて戻ろうとしたところに、ニャルラが言った。

「ね〜ね〜フォルネ。なんで人にならないの〜?」
「……あ」

フォルネはすっかり忘れていたみたいで、照れくさそうに後ろ足で頭をかいた。

「タイガさま……」
「わかってるよ。向こう向いてるから」
「ありがとうございます」

しばらくして、「終わりました」と声がした。
見るとフォルネは、もう狐の姿に戻っている。

僕はロープを手繰り寄せると、背負い袋にしまった。
その間にもフォルネは器用にロープ伝いに戻ってくる。

「フォルネ〜、なんで人の姿見られたくないの? かっこいいのに〜」
「……あの姿は、少し恥ずかしいから」
「え〜? でもアタイが見るのは平気でしょ? なんでたいがだけ?」
「う、うるさいですよっ」

本当、どうしてだろう。あんなに美しいのに。

「なっ! タイガさま、こっそり見てたんですかっ??」

え。見てないよ。見てないったら。
僕はあたふたと、フォルネをなだめた。

[プレイログ]
ツタ渡りは判定ロール(目標値4)
ニャルラ サイコロの出目4 出目のみで成功
フォルネ サイコロの出目3+技量点2 成功
成功すると、気持よく渡れることで副能力値が1点回復。
ニャルラ 器用点6→7
フォルネ 変化なし


●アタック02-5 タイガと闇エルフの妖術師

【65 黒エルフの妖術師】

ニャルラがたったと先行して行ってしまった。

「ほんとにしょうがないですね」

フォルネが僕の肩の定位置で、やれやれといったため息をつく。
仕方ないよ。あの自由さと気まぐれさこそが、ニャルラなんだから。

「それはわかっているのですが。むー」

やがてニャルラの姿が見えてきたが、もうひとつの人影と一緒だった。
それは浅黒い肌に、それに近い濃いコーヒーのような色合いのローブをまとった人物だった。

「おやおや、かわいらしいお客さんだ。つややかな毛並みは星空を映したようだ」
「そうよ。アタイかわいいの。それがわかるなんて、アンタみどころあるね」
「しゃべる猫とは。ますますかわいらしい」
「えっへん」

なぜだか仲良くなっている。
ニャルラが僕たちに気づいた。

「アタイがキレイでかわいいのは、たいががいつもブラッシングしてくれるからなの〜」
「ほう、そうかいそうかい」

僕たちはその人物に近づくと、あいさつをした。
男性だ。人と思っていたけれど、特徴的に尖った耳は人間のものではない。
闇エルフなのだ、とわかった。僕は少し警戒してしまう。闇エルフには、あまり良い噂を聞かないから。

「すみません。うちのニャルラが迷惑をかけてしまって」
「いやいやいいのだ。久しぶりに猫と戯れて、癒されたよ」

闇エルフは目を細める。本当に猫をかまって満足しているようにも見えたし、なにやら腹で企んでいるような笑みにも見えた。
その男は、先端に宝石のようなものがはまった杖を持っていた。
コーヒー色のローブに杖といったそのいでたちは、明らかに魔術師か妖術師を思わせた。

「あなたは、どうしてこの巨大樹へ?」
「我が名はドトール。この巨大樹の調査のために赴いている」
「調査?」
「さよう。この樹木にはおそらく、太古の魔術が関わっている。それを解き明かすためだ」
「解き明かして、どうするの?」
「我らの里に、巨大樹に匹敵するご神木を招きたいのだ。種族の栄えのために」

警戒は怠らないけれど、そう悪い人物には思えなかった。ただただ、研究熱心なのだ。

「そうだ。ここで知り合ったのも何かの縁だ。タイガ君といったか。ぜひ我が研究に出資してくれたまえ」

ドトールさんは、急にそんな風に切り出した。

「出会ったばかりの子どもにお金をせびるとか、常識ないですねこの人」

フォルネが肩口から、僕の耳元にささやく。
ニャルラはドトールさんの足下で気持ちよく丸まっている。

「どうかな? この樹木の研究が進めば、我ら闇エルフだけでなく、ここを攻略する冒険者にも恩恵があるかもしれんぞ」

僕は気づいた。ドトールさんの杖の動きが、ニャルラを捉えていることに。
どん、と一突きすれば、ニャルラにダメージを与え、動きを封じることができる位置取りだ。
表には出さないが、かなりの実力を隠し持っている。
ニャルラは、それに気づくことなく、ドトールさんの足下でくつろいでいる。

「……いいよ。金貨10枚もあれば足りる?」

僕は、そう提案した。喉がカラカラになっていて、声がわずかに上ずっているのが自分でもわかった。

「それだけあれば十分だ。ものわかりのいい子は嫌いじゃないよ」

ドトールさんは、そんな風に言いながら金貨を受け取る。

「さあ、いくよ。おいで」

僕がニャルラに声をかけると、ニャルラは機嫌よく戻って来た。

「じゃあ、僕たちは先を急ぐので、これで」
「闇エルフの里に来ることがあれば、歓迎しよう」

とにかく一刻も早くこの場を離れたかった。
闇エルフの妖術師とは、最後まで笑顔で別れた。

「そうだ。お前たちはさらに上へと行くのだろう?」

後ろから声が届いた。

「ならば気をつけよ。我が研究によれば、この巨木にたゆたう魔力の流れが歪になっている。端的に言えば、枯死しかけている」

僕はそれには答えず、そのまま立ち去った。

「ね〜ね〜、あのひと、アタイのことかわいいって。やっぱりびぼうは隠せないものよね」
「闇エルフにしては悪い人物じゃないかも。でもやっぱり常識ないですよ」

二匹とも、今置かれていた危険には気づいていないみたいだった。
僕は自分が感じた危機感を話すのはやめ、二匹に話を合わせて先へと進み始めた。
でもドトールさん、最後に気になることを言っていたな。この巨大樹が、枯死しかけてるって。
こんなに雄大で、幹も枝も力強くみなぎっている巨樹を、どうして枯死しかけてるなんて言うんだろう?

[プレイログ]
【闇エルフの妖術師 レベル4 生命点4 攻撃回数2】 所有技能【気絶】【氷槍】
反応表 サイコロの出目2 ワイロ(金貨10枚)
→金貨10枚を支払い戦闘を回避。


次回、おや、オウカンワシのようすが……?


【フォルネ(妖狐) レベル11 技量点:2 生命点:4 魔術点:3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。

【ニャルラ(魔猫) レベル11 技量点:1 生命点:10→9/10 器用点:7→6→7/7 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。

【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料4 →2
金貨25 →15
1ロープ
2ロープ
3古代の彫像(金貨25枚相当)


■登場人物
タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。
フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。
ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。
コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。オウカンワシにさらわれた。
ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。目の前で娘をさらわれ、救援隊を編成。
ロイ 巨大樹のふもとで出会った冒険者のおじさん。
ドトール 闇エルフの妖術師。闇エルフの繁栄のため、巨大樹を調査している。
オウカンワシ 身体中に装飾品を身につけた巨大鳥。巨大樹の中腹に生息。


■作品情報
作品名:巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
著者:丹野佑
監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
https://ftbooks.booth.pm/items/5361362


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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2026年2月3日火曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(6) FT新聞 No.4759

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『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(6)

 (明日槇 悠)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■


世にも稀な歴史をモチーフとしたGMいらずのナラティヴ・スタイルRPG、『モンセギュール1244』リプレイの第6回をお届けします。
本作は信仰等に関する繊細なテーマを扱っています。ロールプレイ上、現代の倫理観を欠いた表現をするところが多々ございます。
そうした表現にご不快を覚える方、それを予測された方は、その段階で当記事の閲覧を中止されますようお願いいたします。


◯これまでの『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編は……


1208年、十字軍は異端カタリ派を匿ったベジエの街を攻撃。無差別的な殺戮が行われ、ベジエは陥落した。
繰り返される迫害を逃れたカタリ派の人々はフランス南部、ピレネー山脈の山頂部にコミュニティの拠点《モンセギュール砦》を築いた。
1243年5月、十字軍はモンセギュール包囲戦を開始。当初は楽観していたカタリ派の人々だが、戦局はじりじりと悪化の一途をたどる。
不安にかられた娼婦アルセンドは甥のアミエルに秘密の過去を明かす。完徳者ベルトランが当時15歳の彼女に悪さをしたというのだ。
そのベルトランは砦内で権謀術数に奔走していた。不信を募らせる少年アミエルは隠し持つ小刀を夜な夜な磨き、切れ味を鋭くさせていったが……。


◯プレイヤー紹介


Kei 構成作家。本文中のA。
木野誠太郎 小説家・ゲームシナリオライター。本文中のB。
明日槇悠 FT新聞編集部員。本文中のC。
小山 フォーエバーヤング。本文中のD。

プレイヤーは、キャラクター一覧の中から、少なくとも主要キャラクター1人、支援キャラクター1人を担当します。
キャラクターにはそれぞれ「3つの質問」が用意されており、この質問を元に、プレイヤーは担当キャラの肉付けをおこない、
プレイ終了までに少なくとも担当する主要キャラの質問にはすべて答えを出さなくてはなりません。
キャラクターの一覧や関係性については、ニューゲームズオーダー公式サイト内の「登場キャラクター」表を参照すると分かりやすいかと思われます。
https://www.newgamesorder.jp/games/montsegur1244


●本編


 ■Act3.運命の決戦 1244年1月
 あらゆる希望がひとつ、またひとつと潰えていく。東塔が敵の手に落ちたのを皮切りに、アルビジョワ十字軍の部隊は、徐々にモンセギュール城塞の征服エリアを拡大していった。死と破壊の包囲網のさなか、城塞で暮らす人々は脱出という一縷の望みに賭けるようになった。

A「そしてベルトランは、レーモンの館に向かった」

Aベルトラン「コルバ君!」

Dコルバ「はッ」

Aベルトラン「知ってるかい? 君の娘のエスクラ……エス君に……ロジェが手を出そうとしている。しかもそれを指示したのは、セシルらしい。君、セシルが憎くはないか? 君の娘をいいように使っているのは、すべてセシルだぞ。君はセシルが憎くはないか?」

Dコルバ「はあ……。私は、エスクラルモンドなどどうでもよいのです。セシル様のことしか見ておりません。そもそも、エスクラルモンドは、私が望んで産んだ子供ではありません。産まされた子供なのです」

Aベルトラン「………………えっ(一同笑) ………………えっ(一同笑) ………………えっ! どういうこと?」

A「ベルトランはコルバのセシル絡みのやつとか全部知らなかったから、急に一気に来て、え! ってなってる」
D「純粋に(笑)」
A「セシル好きとか、娘嫌いとか全部知らずに密偵として使ってたら、急にそんなん言われて、ベルトランからしたら………………えっ! ぜんぶ何? っていう(笑)」
D「いやちょっと、余裕がなくて喋っちゃった(笑)。自棄になってるんすよ」

Aベルトラン「ああ。町も崩壊しそうだし。……えっ、じゃあ、エス……は誰の子なん。の、望まれて産んだ子じゃなきゃ、何だそれは」

Dコルバ「いやだから、普通にレーモンと作った子供なんですが、しかし……私はそもそも子供、欲しくなかったので」

Aベルトラン「でもフィリッパは!?(笑)」

Dコルバ「フィリッパもいらないです」

Aベルトラン「両方いらないの?(笑) ……教義的には素晴らしい……! でも……セシルのことは好きなの?」

Dコルバ「はい」

Aベルトラン「じゃあNG……!(一同笑)」

D「そもそもだから、こいつはレズなので。結婚もしたくなかったんですよ、ほんとは」

Aベルトラン「レズなのはいいんだけど、セシルなのはNGなんだよなァ。じゃあコルバ君には今後そういう対応をする」

Dコルバ「はッ」

Aベルトラン「もう君のことは、同じカタリ派だとは思わない。君のことは、背教者だと思う。これからは……」

Dコルバ「はッ」

Aベルトラン「いいよ。じゃ、帰る」

Dコルバ「えっ」

Aベルトラン「私、帰る。疲れたから帰るわ。何だこれ、アバズレが! あー。……レーモン君! レーモン君! レーモン君!」

Bレーモン「あっ。私も会いたかったところです。ベルトランさん」

Aベルトラン「……先に君が話していいよ(笑)。先に話を聞こう! 君に言いたいことがありすぎて、ちょっと整理ができない(笑)。先に話を聞こう!」

Bレーモン「今回の作戦の失敗の責任を取って、ロジェを処刑しようと思うのですが、どうお考えでしょうか」

Aベルトラン「うん。処刑はしたほうがいいね! それは賛成だよ。まあ、君が処刑しなくても明日には死んでるかもしれないけどね」

Bレーモン「彼は内通者として、十字軍と通じていた。そして今回の失態……そして、完徳者《ペルフェッチ/ペルフェッチャ》は殺生をすることができませんが、私たちはすることが可能です」

Aベルトラン「うん」

Bレーモン「代わりに、私に救慰礼《コンソラメンテ》を授けてはくださいませんでしょうか」

Aベルトラン「ん?」

Bレーモン「背教者をすべて私の責任のもとで処刑することを命ずることができます」

Aベルトラン「うん、そうしよう! うん……君を完徳者《ペルフェッチ》にしよう」

Bレーモン「ありがとうございます」

Aベルトラン「ロジェを処刑した暁には、うん! 分かった。その調子で頑張りたまえ」

Bレーモン「元はといえば、ロジェが作戦を失敗せずにすべてを遂行していればこんなことにはならなかった。しかしもう我慢の限界です。彼のせいで、ここに住むすべての人たちは不幸に苛まれ、食糧も今ではもう饐えた臭いのするものしか残っていません。この責任を私は領主として問わなくてはならず、そうするためには彼を処刑するしかないのです」

Aベルトラン「そうしよう! すべて君の言う通りだ。それで行こう。君に賛同する」

Bレーモン「ありがとうございます」

Aベルトラン「すまない、ちょっと僕、この後アミエル君に会わなきゃいけなくて……」

Bレーモン「アミエルにですか?」

Aベルトラン「アミエル君に教義を教えているんで、いま私は。この後、少しアミエル君に会いに行く」

Bレーモン「そうなのですね。では、私はここで失礼します」

Aベルトラン「アミエル君、アミエルくーん!」

Bアミエル「どうしたの、おっちゃん。……ベルトランさん、どうしたんですか」

Aベルトラン「アミエル君……噂に聞いたところによると、君……(声色を変え)めっちゃ武器作ってるらしいやん」

C「バレてんのか(笑)」

Bアミエル「そうなんですよ。最近、色々と仕掛けを考えるのにも興味がありまして、最近は野生の鳥がエサをめがけて飛んできたのを捕まえて、そういったものを殺すような罠を作っています」

Aベルトラン「君ィー……知ってるかい?」

Bアミエル「何がでしょうか」

Aベルトラン「アルセンドが、……君を養ってくれてるアルセンドが、なぜロジェと結婚できないのか」

Bアミエル「教えてください!」

Aベルトラン「レーモンがベルナールに命じているからだよ」

Bアミエル「そうなんですか?」

Aベルトラン「つまり、レーモンさえいなくなったら、アルセンドはロジェと結婚できるんだ。君ィー、戦場で兵士が死んでも、誰のせいか分からないよ? っていうのは、私が前線を回って気付いたことなんだけど、明日ぁー……レーモン、私と一緒に前線の兵士を鼓舞するために戦場に一緒に行こうと思ってるんだけど、私はお昼ごろに腹痛に見舞われて、レーモンから離れる。君、よかったら一緒にどうだ?」

Bアミエル「分かりました」

Aベルトラン「ありがとう。アミエル君、これを覚えておくといい。
 "妻帯者は完徳者《ペルフェッチ》にいらない"」

A「はいっ、そして一夜明けました。……てかもう、ベルトラン人間関係かきまわしすぎて、ベルトランがいま何してるか俺ですらあんま把握してない(笑)」


B「シーンカード【何か古めかしく邪悪な感触】。レーモンは城塞の地下にある、かつて大昔に使われた処刑器具を眺めていました。これを使えば大衆の溜飲は下がるであろう。そう思ってロジェの殺害計画を立てていました。この城内では完徳者《ペルフェッチ/ペルフェッチャ》を除いた賛同者が二名以上いればその者を処刑することができるというルールになっています。実際はもう少し多いけれども、そこは簡略化しています。そしてロジェに恨みを持つ人は、普通にいるでしょう。このルールの穴は、彼の血縁者であってもそれを指示できるということです。フィリッパはロジェを愛しているが、しかし恨んでいる。そして、コルバ、エスクラルモンド、彼女等もロジェの存在を邪魔だと思っている(一同笑)」
C「なんなら、ベルナールも(笑)」
B「ベルナールも、彼の失敗のツケを払わされている。この状況で彼を弾劾裁判にかければ、彼を確実に処刑することができる。そう考えています」
A「急に僕たちの全◯連的な血が騒いでいる(一同笑)」
B「翌日には十字軍との戦いに向けて士気を高める会がベルトランによって予定されています。そこで彼は弾劾裁判を実施しようと考えています。そして新たなる指揮官をベルナールに移譲するという手引きをするために、彼はベルナールを呼び出しました」

Cベルナール「何でしょうか、レーモン様」

Bレーモン「百年ぶりの弾劾裁判を始めようと思う」

Cベルナール「なんと。百年ぶりの」

Bレーモン「古来からの書によると、このモンセギュールでは弾劾裁判を行う法律が定められている」

Cベルナール「そうだったのですね……」

Bレーモン「それによると領民の複数名がその処刑に賛同した際に、処刑を行うことができる。そしてこの刑具を使って処刑することができる」

Cベルナール「なるほど……吊るすのは指揮官の顔をしたあの男ですね」

Bレーモン「彼の監督がこの状態を招いたのは君も知っていることだ。ぜひその際には協力してほしい。その際には、君を次の指揮官に任命しようとおもう」

Cベルナール「私も異端審問で死刑を宣告されている身ですが、あのロジェさえいなくなれば……。分かりました。主に賛同いたします」

Aベルトラン「レーモン君! レーモン君! ベルトランだけど、どうしたんだい君、こんなところで! 聞いたよ、君の家族から君がここにいるって! レーモン君、突然だが、いま戦況が膠着していて非常に状況が悪い。兵士を鼓舞するために私と一緒に前線を回ってくれんかね」

Bレーモン「畏まりました」

Aベルトラン「おお! それではお昼から行こうか」

Bレーモン「お昼からですね。ずいぶんと急だなあ。いえ、でもベルトラン様のことだ。なにかお考えがあってのことでしょう」

Aベルトラン「今が正念場だからね。じゃ! 私は帰って、ご飯を食う(笑)。朝ごはんを食べる」

B「レーモンはベルトランの言いつけに従い、弾劾裁判も少し早めることにしました。ベルトランのことを彼は信頼しています。そして彼の言動にはなにかの思惑があると信じています。すべては背教者であるロジェを処刑するため(一同笑)。兵糧が尽き、窮地に陥ったレーモンにはもはや冷静な感覚は残されていませんでした」


◯Act3.運命の決戦(後篇) に続く……


●登場人物/3つの質問

アミエル……孤児の少年。ファイユの弟。おばのアルセンドと一緒に、モンセギュールに住んでいる。
 1. 父親について、どんなところがいちばん恋しいか?
 2. あなたが木で作ったのは、いかなる種類の武器か?
 3. あなたは大人になったら、何になりたいか?

ピエール・ロジェ・ド・ミルポワ……レーモンのいとこの中年男性。モンセギュールの防衛指揮官。フィリッパと結婚している。十字軍により、すべての財産を失った。
 1. 人々はどうしてあなたに従うのか?
 2. 戦争で最初の犠牲者となったあなたの父が、今際の際に言い残したことは何だったか?
 3. 何があなたを戦争へと駆り立てるのか?


■作品情報

・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
 Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳

モダン・ナラティブRPG
3〜6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3〜5時間 / 15歳以上向

・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
 https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
 https://newgamesorder.booth.pm/items/4902669

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2026年2月2日月曜日

☆休載代わりの雑談☆ FT新聞 No.4758

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
またも「モンスター!モンスター!TRPG」の国産作品が爆誕しました!
松田洋平(ふろふき大根)さんによるソロアドベンチャーです!!

『沼をめぐる冒険』
https://booth.pm/ja/items/7888139


◆今日は休みます。
最近は週に1回のペースでイベントでの売り子をやっています。
色んな人に会うことができて、仕事上のつながりも多く生まれ、とても有意義な時間を過ごしています。
ただ、今だけに関して言うと、この数週間は忙しくて、疲れ果ててしまいました。
『ガルアーダの塔』の1-30階を作って、どうにか昨日、日曜ゲームブックとして配信することができましたが……これの準備も、かなり大変でした★
何もかもギリギリなので、今日の記事はお休みさせてください。
また、書いていきます。


◆何をしようとしているの?
現在の忙しさは、イベントへの参加と執筆、書籍化のための編集以外に、進めているプロジェクトの存在が関連しています。
そのプロジェクトはFT書房にとっては新しい挑戦で、私たちの作品をより多くの人たちに手に取っていただく可能性をアップさせるために、欠かせないものです。
また、しかるべき時が来たら、お聞きいただけましたらさいわいです☆

それではまた!

追伸:
ご存知かもしれませんが、中山将平が立ち上げた「ギルド黄金の蛙」に「かえる人」の汎用設定資料集が追加されました。
フルカラー、24ページで、紙の本も電子書籍でも購入が可能です。

https://guildauricfrog.booth.pm/items/7885738

読みましたが、FT新聞で配信されてきた中山の記事にあった濃ゆい設定が、そのまま1冊の本になったような楽しさと密度があります。
5年かけてコツコツと作り続けてきたそうで、暦や宗教、魔法など、凝り具合がマニアックでいい塩梅に仕上がった作品でした。


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2026年2月1日日曜日

『ガルアーダの塔』1-30階 ローグライクハーフd66シナリオ FT新聞 No.4757

おはようございます、FT新聞編集長の水波流です。

第1日曜日は、ローグライクハーフのシナリオ配信日!
本日お送りするのは、杉本=ヨハネによるローグライクハーフ版『ガルアーダの塔』!

広大な90階建ての塔のうち、今回は1-30階の冒険です。
舞台となる、新作都市サプリメント「水上都市聖フランチェスコ」、また中級ルールの改訂版も同時配信いたします!

ぜひじっくりとお楽しみください。

ローグライクハーフd66シナリオ『ガルアーダの塔』1-30階
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_TowerofGaruada1-30.txt

↓ 都市サプリメント:水上都市聖フランチェスコ
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_St-Francis.txt

↓ ローグライクハーフ:基本ルール2(中級レベル) ver.1.3
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_BasicRuleSet2_Middle-class.txt

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2026年1月31日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第677号 FT新聞 No.4756

From:水波流
1月28日発売のTH(トーキングヘッズ叢書) No.105「ハルシネーション・パラダイス〜偽りの王国へようこそ」(アトリエサード)
今回も特集記事へ寄稿しております。
『幻覚に溺れる者たち』と題して、夢野久作『ドグラ・マグラ』、唐辺葉介『PSYCHE』、鴻上尚史『トランス』と三つの作品について論じております。
ぜひ書店や通販でお手にとってお読み下さい!
詳細>https://athird.cart.fc2.com/ca1/454/p-r8-s/
主な取扱書店>https://atelierthird.blogspot.com/2026/01/th-seriesno105.html

From:葉山海月
たかがネットにつながりづらい、ということが、こんなに不安に直結するとは!
現代人の宿痾でございましょうか?

From:くろやなぎ
今週の記事紹介文の作成中、「幕間」と書こうとして「まくま」と入力すると、変換候補には「幕間」が見当たりません。調べてみて、「幕間」の本来の読みが「まくあい」だということを初めて知った次第です(「まくあい」という音自体は頭の中にあったのですが、漢字の「幕間」とは結びついていませんでした…)。
ちなみに「まくま」は、辞書によって誤読/俗用/許容と見解が分かれるようですが、うちのパソコンの辞書では誤読扱いでスルーされたようです。スマホでは「まくま」と入力すると「幕間[補正]まくあい」と出てきて、さすがに行き届いてるなあ、と感心しました。

From:中山将平
僕らFT書房は、今日1月31日(土)と明日2月1日(日)の両日、「BGBE2026」(Board Game Business Expo Japan 2026)にサークル参加します。
ブース配置は【G-14】です。
19年以上作り続ける「ゲームブック」や、「1人用TRPGローグライクハーフ」「モンスター!モンスター!TRPG」関連書籍などを扱います。
現地には、売り子として僕中山が行く予定です。ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
最新作「ズィムララのモンスターラリー モンスター編」ご紹介→ https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/zimralamonster
最新作「ローグライクハーフ クトゥウルウの聖なる邪神殿」ご紹介→ https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/jyashinden


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(く)=くろやなぎ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(水)=水波流

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1/25(日)~1/30(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


2026年1月25日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4750

ローグライクハーフ新職業【道化師】
・いよいよ配信開始が間近に迫った、ローグライクハーフ版『ガルアーダの塔』。そのシナリオに合わせた新職業【道化師】のデータをお届けしました。
戦闘・交渉・探索とさまざまな場面で役立ちそうな特殊技能の数々は、いちど使ってみたくなること間違いなしです。実際にその技を使う光景が目に見えるような、フレーバーテキストにもご注目ください!
(く)


2026年1月26日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4751

☆イベントに出てます☆ 
実は、忙しい理由は、「イベントに参加していた」ということがありまして。
「すでに去年の2倍ほどイベントに出たことになります」と本人から言わしめるほどです!
次にヨハネ氏が参加されるイベントについて。
去年の勢いに追いつけ追い越せで疾走するヨハネ氏に応援ヨロシク!
(葉)


2026年1月27日(火)かなでひびき FT新聞 No.4752

『これはゲームブックなのですか!?』vol.128
・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。
今回紹介する作品は『2つの意味の物語 勇者は聖なる剣を手に向かってくる魔物と戦った』及び『2つの意味の物語 アイドルの妹は高校生』(ささきかつお 新星出版社)!
この二冊のサブタイトル、あなたはどういう意味に捉えたでしょうか?
よく知られた例では「ここではきものをぬいでください」のような、二つの意味に解釈できる文がオチに混ざっているお話がズラリ満載!
かなで氏曰く、まさに、物語の「ルビンの壺」。そのラストは、「見逃せば人生後悔することウケアイ!」(二つの意味にしてみました)
(明)


2026年1月28日(水)ぜろ FT新聞 No.4753

第3回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第476回。「荷物持ち」の少年が〈妖狐〉や〈魔猫〉と一緒に旅をする、ポケモン風ローグライクハーフリプレイの第3回です。
今回は、1回目の【最終イベント】でのオウカンワシとの対決から。ファンブルもクリティカルも飛び交う2匹と1羽の戦闘の様子が、ダイスの目には表れない少年タイガのサポートも含め、たっぷりと描写されます。
戦いの後は、〈妖狐〉フォルネ視点での幕間を経て、2回目の冒険へ。【観測所】で先の様子を確認しつつ、タイガたちは巨大樹のさらに上を目指します!
(く)


2026年1月29日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4754

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.41『汝、獣となれ人となれ』 その5
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカは、昼の間ミソサザイになる呪いをかけられたコビットの冒険者クリスティと共に、彼女の呪いを解くカギを探しに〈太古の森〉に眠る遺跡を探索し、ついに目的地へ到達します。
クワニャウマ一行を待ち受けていたのは、「力」を手に入れたクリスティの探し人。そして、衝撃の結末……。
クワニャウマたちによる『汝、獣となれ人となれ』最終回、どうぞお見逃しなきよう!
(天)


2026年1月30日(金)森梟夫&水波流 FT新聞 No.4755

『忘れられた国学者と、開かれてはならぬ書』──橘樹景巌『真州古伝攷』をめぐって
・水波編集長と非実在作家・森梟夫先生が最近取組んでいる活動、それは怪異的な古史古伝を電子の海から引き揚げることです。
未だ嘗て知る人なき信濃国の国学者、橘樹景巌(たちばな・けいがん)が記した危険な書、『真州古伝攷(しんしゅうこでんこう)』全七巻。
書を読む行為を儀式に見立てたこれは、決して学問書ではなく、実践書であり、召喚書に近い。この書の存在を知ったこと自体が「始まり」に等しいと森先生は説きます。
記録によれば、井原志帆という研究者が本書の調査のため、長野県伊那郡の「鈴音坂(すずねざか)」を尋ねたまま消息を絶っているとのこと。
残されたレコーダーとノートを手がかりに、彼女の足跡を辿る佐伯修二。記録者本人が失踪したのに、一体なぜ失踪のことが記録されているのでしょうか?
「記すことは、封ずるにあらず。/これ、ひらくなり。」(終章注記より)
忘れ去られた存在を喚ぶことは、喚ばれる存在になることでもあるのでしょうか。「喚ぶ」ことは「読む」ことに通じるようです。
(明)


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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(忍者福島さん)
ジャバウォックとの会話、全然理解できねー!と思ったけど、クワニャウマも言いたいことだけ言って(お前は何を言ってるんだ)という感じだったので、二人とも違ったベクトルでコイツはヤベー奴だと思いましたね(笑)

(お返事:齊藤飛鳥)
今回も感想を下さり、まことにありがとうございますm(_ _)m♪
「二人とも違ったベクトルでコイツはヤベー奴」というコメントに、思わず吹いてしまいました(≧m≦)
話しかけたら、相手に発狂されるか、クワニャウマみたいなリアクションしかされないのでは、ジャバウォックは、もしかしたらとても孤独なクリーチャーなのかもしれません(笑)


(ぜろさん)
「汝、獣となれ人となれ」リプレイ完結おつかれさまおめでとうございます。
まさかのラスト。ミソサザイさんがあのようなことになってしまうなんて、思いもよりませんでした。相変わらずキャラクター設定と物語のシリアスさとのギャップが著しいですね。
とはいえプレイしてみないと先の展開も内容もわからないもの。そこに予想不可能なドラマも生まれます。原作シナリオを読んでいないので、どこまでが元シナリオで、どこからが創作なのかと思いながら楽しませていただきました。

(お返事:齊藤飛鳥)
御感想下さり、ありがとうございます!おかげさまで、リプレイを完結できましたm(_ _)m
まさかのラストとは、まさに言い得て妙です。この展開を迎えた瞬間、「やってしまった!」と頭を抱えましたorz
今回も、このラストの直前にクワニャウマにおバカな発言をさせてしまっていたので、シナリオと不調和を起こさない程度にその後のリアクションにシリアスを加味してバランスを取りましたf^^; 
ちなみに原作シナリオはいくつもの結末や分岐点があるので、拙リプレイとはまったく違った展開と結末も用意されております!
とても冒険し甲斐があって面白いので、お勧めです^^b


(忍者福島さん)
2ラウンドで鈍器猿は逃走したって事になってますが、鈍器猿は逃げた先でもジャッキを飛ばしてこないか心配ですね(笑)

(お返事:ぜろ)
ありがとうございます。
鉄骨のビスを全部外して高所から落とすしかないかもしれませんね。


(ジャラル アフサラールさん)
この「言葉の解釈」で一番印象的なのはミステリーですね。皆さんもご存じだろう『名探偵コナン』でも犯人ないし重要人物が「言葉の解釈」を間違えたための悲劇というのがありましたし、金田一耕助の出てくる傑作でも登場人物が言ってしまった言葉の解釈が事件解決のカギになるというのがありました。

(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます!
金田一先生のお話といえば、老女がうつむいて嘆くそぶりが実は……!?っていうのが印象的でしたよね!
これも言葉の解釈の違いではないですが、それに似たようなものだと思います。


(ジャラル アフサラールさん)
読むとSAN値の削れそうな(笑)本の紹介ありがとうございました。諏訪大社とミシャグジ神ですが、少年ジャンプ連載漫画でアニメ第二期が2026年7月が始まる『逃げ上手の若君』、北条時行の生涯を描く歴史漫画でミシャグジ神とある登場人物が深い関係(未読・未見の方の為に詳細は自粛)にあるのである意味タイムリーですね。

(お返事:森梟夫)
お便り感謝する、ジャラル・アフサラール殿。 私の筆致で君のSAN値を削ってしまったなら本望だが、どうか現実の平穏まで手放さないよう自愛していただきたい(笑)。
なるほど、『逃げ上手の若君』か。北条時行が駆け抜けた南北朝の動乱と、その背後で蠢く諏訪の神性……。アニメ第二期の放送が本年(2026年)七月とは、まさに「星辰が正しい位置に並ぶ」かのような、奇妙な符号を感じるよ。
君の鋭い指摘を受けて、私なりに返書を認めてみた。

■ 諏訪の神性と『真州古伝攷』の交差点
ジャラル殿の仰る通り、諏訪大社とミシャグジ神の関係は、歴史的にも民俗学的にも、そして物語的にも底知れぬ深淵を抱えている。
「生ける神」としての重圧: 『逃げ上手の若君』に登場する某人物が背負う神性は、まさに『真州古伝攷』が記す「神は名を持たず、人が呼ぶたびに名が生まれる」という、存在そのものが不安定な恐怖と隣り合わせだ 。
封印としての神事: 『真州古伝攷』の調査報告によれば、ミシャグジとは本来、外から来た異神を封じるための「再封(さいふう)」の儀式であるとされる 。漫画で描かれる華やかな伝承の裏側には、こうした「見せてはならぬ御印」としての側面が、毒のように塗り込められているのかもしれぬ 。
2026年7月の共鳴: アニメ第二期が始まるこの夏、多くの視聴者が「諏訪の神秘」に触れることになる。それは、図らずも橘樹景巌が危惧した「一たび記せば、古(いにしえ)は現(うつつ)となり、甦(よみがえ)らすなり」という状況を加速させるのではないか……と、作家としては期待と危惧を禁じ得ないのだ 。

■ 読者へのメッセージ
『逃げ上手の若君』を読み解く際、もし耳元で「鈴の音」が聞こえたり、ページをめくる手が氷のように冷たくなったりしたなら、それは『真州古伝攷』の断簡が君の心の中に侵入口を見つけた証拠かもしれない。
「赤面を剥ぎたる者、七夜ののち、村を喰う」—— 。 作中の物語が、単なる創作ではなく、何らかの封印を解くための「鍵」ではないことを祈るばかりだ。
ジャラル殿、またいつでもこの森梟夫へお便りをくれたまえ。君の知見が、私の物語にさらなる狂気と美を添えてくれるだろう。

(お返事:水波流)
諏訪とミシャグジについては、実は以前より私がよくモチーフにしている内容です。諏訪の地下に広がる維縵国とそこに巣食う蛇人間たちについての物語も、いつかお届けできればと思っています。
ところで『逃げ上手の若君』については私も未読で、森先生のお返事が正しいのかどうかは不明です……。(森さん、読んだの?)


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