第9回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
ぜろです。
ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」への挑戦。妖狐と魔猫、二匹のお供を連れたタイガが巨大樹に挑む冒険です。
オウカンワシにさらわれた商家の娘コンスタンサを救出した後、巨大樹の異変を探るべく、タイガたちはみたび巨大樹を登ります。
怪物狩猟者レンジュの同行を得て、巨大樹の頂上に登頂しました。
そこには、巨大な寄生花が。
巨大樹はこの「ヤドリバナ」に急激に養分を吸い取られ、弱っていたのでした。
ヤドリバナはうごめくツタ状の茎で、タイガたちを排除しようとしてきます。
これが最終決戦です。
【フォルネ(妖狐) レベル12 技量点:2 生命点:5 魔術点:3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。
2草避けのお守り
【ニャルラ(魔猫) レベル12 技量点:1 生命点:10 器用点:6/8 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。
【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料2
金貨44
1希少な薬草(金貨24枚)
●アタック03-7 フォルネとニャルラとヤドリバナ戦
【最終イベント ヤドリバナ】
【ヤドリバナの茎 レベル4 生命点6 攻撃回数3】
※斬撃による攻撃は、攻撃ロールにプラス1。炎による攻撃も同様。
※全方位からの攻撃のため、防御ロールにマイナス1のペナルティ。
ヤドリバナの六本のツタ状の茎が、鋭い槍のようにこちらに狙いを定めている。
ヤドリバナは、自身を支える最低限の茎を残し、すべてを攻撃に回しているみたいだ。
ツタが鋭い直線的な動きで、フォルネとニャルラを襲う。それが始まりの合図だった。
ツタは木の地面に乾いた音を立ててぶつかる。そこにフォルネとニャルラはもういない。
飛び跳ねて左右に散り、それぞれが伸びきったツタを1本ずつ引き裂いていた。
しかしその間にも、残りのツタがしなるような動きで二匹を襲う。
フォルネはツタに鞭のようにはたかれ、そのまま巻きつかれた。
「くうっ」
フォルネが苦し気にうめく。
ニャルラにも、明らかに避けようがない動きでツタが迫る。
視覚外からのそれを、信じられない反射でかわしたニャルラだったが、かわした先で別のツタに後足をからめとられ、そのまま地面に打ちつけられた。
「いたいなっもおっ」
ニャルラの足をからめているツタは、そのままニャルラを軽々と持ちあげ、ぐるぐるとニャルラをぶん回す。
「目がまわるうぅぅぅ」
一方フォルネも、身体をぐるぐるに巻きつけられ、身動きが取れない状態だ。
そこに別のツタが、槍のような直線的な動きで顔面を狙い、しゅっと突き出された。
フォルネはすんでのところで、わずかな首の動きでそれをかわすと、逆に突き出されたツタに噛みつき、噛みちぎる。
わずかにツタがほどけたところで、すき間を広げて脱出、着地した。
「ニャルラっ!!」
ニャルラは後足を絡めとられ、振り回されていた。
それでも反動をつけ、遠心力に逆らい、しなやかに身体を折り曲げると、どうにかツタを断ち切った。
ぼてっと落ちる。身体を起こすがふらふらだ。
そんなニャルラに次のツタが迫っている。しかしニャルラはまだ目を回してふらふらしている。
フォルネが、ニャルラに向かうツタを断ち切った。
「ありがとぉふぉるねぇ〜」
ニャルラがへろへろした声でお礼を言い、自身もツタへの攻撃をしかけるが、へろへろしたその動きでは、まったく仕留めることができなかった。
「手ごわいですね。痛みも感じないでしょうから、攻撃が止むことも逃げることもないのかも」
「なにがきたって、にゃるらがぜんぶやっつけてやるのらぁ〜」
「ニャルラ、無理しないで」
「ん……もう、だいじょ〜ぶ」
ニャルラは、身体をぶるぶるっと震わせると、四肢でがっしりと地面をつかんだ。
「いけるよっ」
フォルネはうなずく。
「じゃあ、これで決めましょう」
僕は、戦いになると、ただ見ているだけしかできない。
いつも何かできることはないかな、って考えている。
そう。考えるんだ。
ヤドリバナは枝に巻きついたツタをほどき、さらなるツタを投入してきた。
そのため、ヤドリバナは自身を支えきれないほとの危ういバランスになっている。
僕はピンときた。
「あの支えになっているツタを狙って! あれを切断すれば、きっとヤドリバナは落ちる」
「そなの? よぉ〜し」
二匹は支柱になっているツタに向かって疾走する。
そこに、ヤドリバナは全てのツタを集中させて攻撃をしかける。
ニャルラは右に左に避ける。
しかし数が多い。素早い反射で避けようとしたが、それでも避けきれない。
「いけないっ」
フォルネは自身へ来た攻撃を避けつつ、幻術でニャルラの幻を作り出す。【空蝉】の術だ。
しかし、おそらくは目で敵を察知していないツタには意味をなさず、ニャルラはツタにはたき落とされた。
けれども、その程度ではニャルラの闘志は衰えない。
むしろそこから一気に大きく跳躍した。
そして、勢いよくツタに噛みつくと横回転。
見事に支柱となるツタを切断した。
支えを失ったヤドリバナの巨大な花が、天井から降ってきて、ぼとりと樹の床に落ちた。
「やったのらぁ!」
今度は自分の回転でへろへろになりながら、ニャルラがドヤる。
「まだよ!」
レンジュさんが叫んだ。
「あの花が本体。花をどうにかしない限り、ツタは動き続ける」
【ヤドリバナ レベル5 生命点3 攻撃回数2】
※防御ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
※攻撃ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
戦いは、まだ終わっていなかった。
それどころか、ここからが本番だ。
[プレイログ]
【ヤドリバナの茎 レベル4 生命点6 攻撃回数3】
※斬撃による攻撃は、攻撃ロールにプラス1。炎による攻撃も同様。
※全方位からの攻撃のため、防御ロールにマイナス1のペナルティ。
第1ラウンド
ニャルラの攻撃 サイコロの出目5 命中 ヤドリバナの茎の生命点6→5
フォルネの攻撃 サイコロの出目2+技量点2+斬撃1=5 命中 ヤドリバナの茎の生命点5→4
ヤドリバナの茎の3回攻撃(ニャルラに2回、フォルネに1回)
ニャルラの回避 サイコロの出目2 失敗
【素早い反射】(器用点6→5)で振り直し。サイコロの出目5で回避。
ニャルラ2回目の回避 サイコロの出目2 失敗
【素早い反射】(器用点5→4)で振り直し。サイコロの出目2で失敗 ニャルラの生命点10→9
フォルネの回避 サイコロの出目1で失敗 フォルネの生命点5→4
第2ラウンド
フォルネの攻撃 サイコロの出目5で命中 ヤドリバナの茎の生命点4→3
ニャルラの攻撃 サイコロの出目3+技量点1+斬撃1=5 命中 ヤドリバナの茎の生命点3→2
ヤドリバナの3回攻撃(ニャルラに2回、フォルネに1回)
ニャルラの回避 サイコロの出目3で失敗
【素早い反射】(器用点4→3)で振り直し。サイコロの出目5で回避
ニャルラの2回目の回避 サイコロの出目4+技量点1-ペナルティ1=4 回避
フォルネの回避 サイコロの出目3+技量点2-ペナルティ1=4 回避
第3ラウンド
フォルネの攻撃 サイコロの出目4 命中 ヤドリバナの茎の生命点2→1
ニャルラの攻撃 サイコロの出目1(ファンブル)外れ
ヤドリバナの3回攻撃(ニャルラに2回、フォルネに1回)
ニャルラの回避 サイコロの出目2で失敗
【素早い反射】(器用点3→2)で振り直し。サイコロの出目1 ファンブル
フォルネが【空蝉】使用(魔術点3→2)し、ニャルラの防御ロールを振り直し。サイコロの出目3+技量点1-ペナルティ1で、それでも命中。ニャルラの生命点9→8
ニャルラの2回目の回避 サイコロの出目2で失敗
【素早い反射】(器用点2→1)で振り直し。サイコロの出目5で回避
フォルネの回避 サイコロの出目6で回避
第4ラウンド
ニャルラの攻撃 サイコロの出目2+技量点1+斬撃1=4 命中 ヤドリバナの茎の生命点1→0 勝利
●アタック03-8 レンジュのとっておき
【ヤドリバナ レベル5 生命点3 攻撃回数2】
※防御ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
※攻撃ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
地面に落ちたヤドリバナは、巨大な九枚の花弁を広げた。
その動作は、まるで生き物がむっくりと起き上がるみたいだ。
花弁の中心には、まるで生き物の口のような器官がある。
それは、鋭い牙が無数に生えた巨大な口に見える。
本当の口みたいに噛んだり食べたりできるのかは、わからない。
根っこから栄養を吸い取るみたいだから、できないと思いたい。
けれどその凶悪な見た目からは、一度口に放り込まれたらもうおしまいだと思わせる怖さがあった。
ヤドリバナは、中心となる茎に無数のツタをより合わせるようにして、立ち上がった。
その立ち姿は一本の茎から一本の花が咲く植物、ひまわりやチューリップを思わせる。
しかしより合わさったツタは、地面でとぐろを巻いてバランスを取った後、こちらに向けての攻撃姿勢を取っている。
地面に落ちたことで、動けるツタの数を増やしたようだ。
「すぐにおわらせるよっ!」
ニャルラが気合とともに突進した。直接花を狙っている。しかし、無数のツタに阻まれてしまった。
「フォルネ、前後があるかわからないけど、花の後ろ側を狙ってみよう」
僕の提案に、フォルネはすぐさま背後に回り込み、人でいう後頭部を狙って攻撃した。
一撃は命中し、速攻で次の攻撃を叩きこもうとしたが、それはツタの動きに阻まれ、地面に着地する。
「一応前と後ろはあるみたいですね。けどすぐに気づかれてしまう」
ヤドリバナはフォルネに立て続けにツタを送り込むが、フォルネは軽くいなしている。
「攻撃も、正面に比べれば大したことはありません」
その正面では、ニャルラが無数のツタに囲まれ、身動きが取れない状態に陥っていた。
フォルネが再び幻術【空蝉】をニャルラに使用する。
ニャルラの動きは残像をともなって数を増やしたように見えた。
ツタはその動きを追い切れず、ニャルラはツタを囲いを脱出した。
「はふう。フォルネありがとっ、たすかったぁ〜」
「さっきと違い、【空蝉】が通った……? どこかに『眼』があるということ?」
「こんどはっ! はずさないっ!!」
ニャルラは全身の毛を逆立て、力をみなぎらせると、花に向かって突進してゆく。
フォルネは多くのツタを翻弄しながら、再び後ろから、ヤドリバナに取りついた。
「今ですニャルラ!」
ニャルラの姿が星くずを散らすようにきらめき、花弁の中心に向かう。
その直線的な攻撃は、目の前を阻むツタをものともせずに貫き、そのまま花弁へと……。
それは偶然だったのだろう。
横あいから鞭のようにしなったツタが、超速で動くニャルラの胴に偶然当たり、軌道が変わった。
ニャルラの攻撃は花弁を逸れ、あさっての方向へと跳んで行ってしまった。
「ニャルラっ!」
「ぶにゃああああ!!」
そこにレンジュさんの凛々しい声が響く。
「十分だ。よくやった」
次の瞬間、レンジュさんが放った矢が、ヤドリバナの中心を貫いていた。
「君たちが隙を作ってくれたおかげだ。ありがとう」
「待って。こんな巨大な植物が、中心部を矢で射貫かれたくらいで倒れるとは……」
実際に、地面を這うツタは、今もなおうねうねとうごめいている。
「まあ、見ていなさい」
レンジュさんは自信たっぷりだ。
その間に、狙いを外して地面に落下していたニャルラがへろへろと、皆のところに戻ってきた。
見ると、ヤドリバナの中心が変色していた。急速に枯れ始めている?
「毒には毒を。『植物枯らし』だ。矢にしこんでおいた。私のとっておきさ」
それにしても、進行が速い。
すでに花弁をしおれさせ、茎の部分にも至っている。
「さすがにこれほどの効き目とは想像もしていなかった。きっと、巨大樹の魔力を吸ったせいで循環が良くなっていたのだろうな」
花弁ががっかりするようにうなだれた。
そしてツタがひとつひとつ地面に落ちてゆき、最後のツタが力なくしなだれた。
「終わった……のでしょうか。これで」
フォルネがつぶやく。
ヤドリバナのツタはうねるのを止め、完全に沈黙していた。
[プレイログ]
【ヤドリバナ レベル5 生命点3 攻撃回数2】
※防御ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
※攻撃ロールにファンブルで失敗すると、毒によるダメージを受ける。
第1ラウンド
ニャルラの攻撃 サイコロの出目3*技量点1 外れ
フォルネの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル ヤドリバナの生命点3→2
フォルネの再攻撃 サイコロの出目2 外れ
ヤドリバナの2回攻撃
ニャルラの回避 サイコロの出目3+技量点1 回避失敗
フォルネの【空蝉】で振り直し サイコロの出目5 回避成功!
フォルネの回避 サイコロの出目5 回避成功
第2ラウンド
ニャルラの攻撃 【目も当てられぬ激怒】サイコロの出目3+技量点1 外れ
フォルネの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル ヤドリバナの生命点2-1
ここで【怪物狩猟者】レンジュ同行の特典 強いクリーチャーの生命点-1の使用を忘れていたことに気づき、フォルネの再攻撃をキャンセルしてレンジュが止めを刺すことにしました。
また、リプレイでは演出上フォルネとニャルラの攻撃の順番を変更したので、ニャルラが残り生命点1点の相手に【目も当てられぬ激怒】でクリティカルを狙うというおかしなことに。
レンジュの使用した「植物枯らし」は、矢で植物に止めを刺すためのアイディアです。アイテムの出典はゲームブック「宝石島の脱出」です。
●アタック03-9 オウカンワシの後始末
ヤドリバナの毒の脅威が去ったためだろう。
オウカンワシが力強い羽ばたきで降りてくると、ヤドリバナのしおれた花をがっしりとつかんだ。
ぶちぶちっと茎やツタを引きちぎり、花を持ちあげると、巨大樹の外に捨て去った。
続いて、仲間のオウカンワシたちが次々と飛来すると、次々とヤドリバナのツタを引きちぎっていく。
ヤドリバナの痕跡を、まったく残さないつもりだ。少しでも残っていて、活動を再開されないように。
僕たちは、オウカンワシたちの大掃除の様子を、ただ黙って見ていた。
そんな様子を見ていたら、僕の胸に、ある思いが去来した。
それでつい、言ってしまったんだ。
「これで、よかったのかな」
ヤドリバナだって悪意があったわけじゃない。
ただ、自分が生きて、繁殖するために取った行動ってだけだ。
それを倒してしまうのは、正しいことだったんだろうか、って。
それを聞いて真っ先に反応したのは、レンジュさんだった。
「それはさすがに聞き捨てならないな」
レンジュさんは、怒っていた。
「君の意をくんで巨大樹のてっぺんまで上り詰め、命をかけて戦った二匹のことを、あまりにもないがしろにしていないか」
僕ははっとした。
レンジュさんの言うとおりだ。
僕がしようと言ったから、フォルネとニャルラはここまで来た。
巨大樹を守るために、戦ってくれたんだ。それなのに、僕は……。
「フォルネ、ニャルラ、ごめん」
「……タイガさま」
フォルネが言った。
「タイガさまは、正しいことをなさりたいのですか?」
僕は、質問の意味がよくわからなかった。フォルネは続けた。
「ここに来る間にも、いろんなことがありました。縄張りを守る猿たちには猿たちの正義があるでしょう。襲ってきた飛鮫だって、私たちを餌にしたいだけで、悪意があったわけではありません」
ああ。
僕は、フォルネが何を言いたいのか、わかってきた。
ヤドリバナだけじゃない。これまでだって、同じだったのに。
オウカンワシがヤドリバナをちぎり取っていく様子を見て、感傷的な気分になりすぎていた。
「タイガさまがいつも言う『ほっとけない』は、『正しいことをしたい』ということなのですか?」
「違う。違うよ。そういうんじゃない。僕は、僕の中から湧き上がってくる気持ちに正直でいたいだけ……なんだ」
フォルネはそれを聞いて、少し表情をゆるめた。
「そうであれば、いいのです。私はこれからも、タイガさまについていきます」
「へ? それでいいの? それだけ?」
レンジュさんは拍子抜けするように言った。
「え? ほかになにか?」
「いや、ずいぶんあっさり許しちゃうんだなって思っただけ。他意はない。そっちの猫ちゃんはどうなんだい」
「アタイはそろそろ下に降りて、おいしい丸々獣のおにく食べたいのだ」
「……まあいいや。仲が良いのはよくわかった。別にアンタらの間を裂きたいわけでもないし」
そのとき、オウカンワシが僕たちの前に大きな翼を羽ばたかせて降り立ち、口にくわえていたものを僕たちの前に置いた。
「驚いた。これ、かなり希少な薬草になるものです」
「さしずめ、今回の報酬ってとこかね。私はいいからもらっておきな」
「はい」
僕はその薬草を束にして、道具入れにしまった。
目的は果たした。これから下樹だ。
「そうだ。私も一緒に下までつきあおう」
「え。でも、戦いを一回お手伝いしてくれるだけの約束で、メガレオン狩りも」
「考えてもみなよ。その一回のお手伝いがラスボス戦だ。あんなデカい出来事があったら、のんびり狩りの続きをする気にはなれないさ。下樹は単に同行しようってだけだ。金は要求しないよ」
こうして僕たちは、一緒に下まで行くことになった。
言葉が通じないのはわかっているけれど、オウカンワシに別れをつげる。
するとオウカンワシは、意外な行動に出た。
僕たちに接近すると、横向きになり、体を低くした。何かを促しているような動きに見える。
何を促しているのか。
僕とレンジュさんは顔を見合わせた。
「乗れ……って言ってると思います?」
「奇遇だな。私にもそう見える。いやしかし……どうしたものか」
レンジュさんは怪物狩猟者。時によってはオウカンワシを狩る側の人間だ。ためらいも大きい。
僕だって、さすがにオウカンワシに乗せてもらうというのは考えてもみなかった。
そして、こういう時にまっさきに動いてしまうのは、決まってニャルラだ。
ちょこちょこと飛び跳ね、オウカンワシの背に乗っていた。
「みんな〜、はやくはやく〜。これならすぐにおにく食べにいけるよ〜」
全員、言葉も出ない。
「能天気にもほどがある」
レンジュさんがつぶやいた。
「……乗りましょうか、タイガさま」
「うん、そだね」
「……ええい。私も乗ろう。こんな経験、二度とできないだろうからな。経験は財産。経験は財産……」
レンジュさんは繰り返し唱えながら、おっかなびっくりオウカンワシの背に乗った。
僕たちを乗せたオウカンワシは優雅に翼を広げ、雄大に羽ばたいた。
次回、最終回。
【フォルネ(妖狐) レベル12 技量点:2 生命点:5→4/5 魔術点:3→1/3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。
2草避けのお守り
【ニャルラ(魔猫) レベル12 技量点:1 生命点:10→8/10 器用点:6→0/8 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。
【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料2
金貨44
1希少な薬草(金貨24枚)
2希少な薬草(金貨30枚)
■登場人物
タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。
フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。
ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。
コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。オウカンワシにさらわれた。愛称はコニー。
ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。目の前で娘をさらわれ、救援隊を編成。
ロイ 巨大樹のふもとで出会った冒険者のおじさん。
ドトール 闇エルフの妖術師。闇エルフの繁栄のため、巨大樹を調査している。
レンジュ 高々度で狩りを続ける怪物狩猟者の女性。一時同行することに。
オウカンワシ 身体中に装飾品を身につけた巨大鳥。巨大樹の中腹に生息。
■作品情報
作品名:巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
著者:丹野佑
監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
https://ftbooks.booth.pm/items/5361362
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
FT新聞・保管庫
*2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
SPAM注意
(編集・水波)最近SPAM投稿が増えておりますが、見つけ次第手動で削除いたしますので、決してクリックなどされないよう、ご注意下さい。
2026年3月11日水曜日
2026年3月10日火曜日
これはゲームブックなのですか!? vol.130 FT新聞 No.4794
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『これはゲームブックなのですか!?』vol.130
かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『ローグライクハーフ』の、いえ、RPGの楽しみ、って何でしょう?
謎解き、シナリオってのもあるでしょうが、まっさきに思いつくのが「戦闘」だと思うの。
事実、それだけに特化したゲームもあるしね。
そんな常識に、一石投じようとしたゲームが! しかもローグライクハーフシリーズで出たわ!
その名も、『きみへ贈る詩』(作:丹野佑 監修:杉本=ヨハネ FT新聞 No.4666 2025年 11月 2日)
内容は「自治都市トーンのそばにある、かつて滅びた街を2人で旅する」んだけど「二人」ってとこ 重要。
システムから言って、「二人」いればより盛り上がる……、いえ、もともと二人で遊ぶために作られたと明言しております。
本作は「コミュニケーション・ゲーム」としての側面も強いし。
ページに飛ぶと、いつものようにローグライクハーフの戦闘説明、死亡条件もあるけど、今回さらっとそれは忘れて。
なぜなら、本ゲームの目的は「詩」を作ること。
よって「戦闘」がない。
雑魚や中ボス、ラスボスとの派手なドンパチはない。
じゃあ、何をするの? と言ったら、花園や、廃墟と化した様々な地を、ほてほてと歩きながら、各地に備えられた詩の断片を七つ集めること。
それだけなんだけど……
丹野先生の必要最低限の文で表現される情緒豊かな文は、ものすごく読ませる!
例えば、あえて読者の想像力を掻き立てるため、「君の前にモンスターが現れた! 倒せば●●がもらえる」などという状況説明に徹するテキストも、ローグライクハーフでは少なくないと思うんだけど、この文体の香りときたら!
例えば、プレイステーションのゲーム『アクアノートの休日』、例えばPCエンジンCDロムロムでリリースされた『マンホール』をほうふつさせる。
読んでいるだけで、情景が浮かび、「休日の一散策」に浸らせてくれるこの文は、さすが丹野佑先生とうならせられざるをえないわ!
それで、集める詩自体も、いくつかの文がデフォルトで用意されているものいいけど、テーマに絞って「自分で創作できる」っていうところもポイント高い!
抒情詩、なんて言葉もあるくらいだから、「詩」を作る、というのは「物語」を作ることでもある。
つまり「ローグライクハーフ」という物語の中で、さらに「あなた自身」の物語が作られる。
この二重構造にもにやり!
で、二人のプレイヤーはお互いに詩をささげあうんだけど、この辺、『ワンス・アポン・ア・タイム』という名作カードゲームを彷彿とさせます。
『ワンス・アポン・ア・タイム』は、カードに書かれた言葉と描かれたアイコンから、創造の翼を広げて、物語を作るゲーム。
二人のプレイヤーが、物語に干渉できるのが面白い!
この物語にも、そんな香りを感じるわ。
「物語は人に聞かせるためにある」
一人プレイと二人プレイだと、がぜん面白さが違う!
「竜退治はもう飽きた」ではないけど「殺伐な戦闘はもう飽きた」な人に!
「ちょっと和む箱庭的ゲームが欲しい!」という方に!
ある種、ローグライクハーフの可能性進化系の一つです!
そして、来る今週の3/12から、本作のリプレイが始まるわ!
書き手はなんと齊藤飛鳥先生!
おなじみの強欲!? 冒険家クワニャウマ氏が、どう本シナリオに絡んでくるか!?
今からご刮目よろしくお願いいたします!
見逃せば人生後悔することウケアイ!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『きみへ贈る詩』
著 丹野佑 監修 杉本=ヨハネ
出版社:FT新聞 No.4666 2025/11/2
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
『これはゲームブックなのですか!?』vol.130
かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『ローグライクハーフ』の、いえ、RPGの楽しみ、って何でしょう?
謎解き、シナリオってのもあるでしょうが、まっさきに思いつくのが「戦闘」だと思うの。
事実、それだけに特化したゲームもあるしね。
そんな常識に、一石投じようとしたゲームが! しかもローグライクハーフシリーズで出たわ!
その名も、『きみへ贈る詩』(作:丹野佑 監修:杉本=ヨハネ FT新聞 No.4666 2025年 11月 2日)
内容は「自治都市トーンのそばにある、かつて滅びた街を2人で旅する」んだけど「二人」ってとこ 重要。
システムから言って、「二人」いればより盛り上がる……、いえ、もともと二人で遊ぶために作られたと明言しております。
本作は「コミュニケーション・ゲーム」としての側面も強いし。
ページに飛ぶと、いつものようにローグライクハーフの戦闘説明、死亡条件もあるけど、今回さらっとそれは忘れて。
なぜなら、本ゲームの目的は「詩」を作ること。
よって「戦闘」がない。
雑魚や中ボス、ラスボスとの派手なドンパチはない。
じゃあ、何をするの? と言ったら、花園や、廃墟と化した様々な地を、ほてほてと歩きながら、各地に備えられた詩の断片を七つ集めること。
それだけなんだけど……
丹野先生の必要最低限の文で表現される情緒豊かな文は、ものすごく読ませる!
例えば、あえて読者の想像力を掻き立てるため、「君の前にモンスターが現れた! 倒せば●●がもらえる」などという状況説明に徹するテキストも、ローグライクハーフでは少なくないと思うんだけど、この文体の香りときたら!
例えば、プレイステーションのゲーム『アクアノートの休日』、例えばPCエンジンCDロムロムでリリースされた『マンホール』をほうふつさせる。
読んでいるだけで、情景が浮かび、「休日の一散策」に浸らせてくれるこの文は、さすが丹野佑先生とうならせられざるをえないわ!
それで、集める詩自体も、いくつかの文がデフォルトで用意されているものいいけど、テーマに絞って「自分で創作できる」っていうところもポイント高い!
抒情詩、なんて言葉もあるくらいだから、「詩」を作る、というのは「物語」を作ることでもある。
つまり「ローグライクハーフ」という物語の中で、さらに「あなた自身」の物語が作られる。
この二重構造にもにやり!
で、二人のプレイヤーはお互いに詩をささげあうんだけど、この辺、『ワンス・アポン・ア・タイム』という名作カードゲームを彷彿とさせます。
『ワンス・アポン・ア・タイム』は、カードに書かれた言葉と描かれたアイコンから、創造の翼を広げて、物語を作るゲーム。
二人のプレイヤーが、物語に干渉できるのが面白い!
この物語にも、そんな香りを感じるわ。
「物語は人に聞かせるためにある」
一人プレイと二人プレイだと、がぜん面白さが違う!
「竜退治はもう飽きた」ではないけど「殺伐な戦闘はもう飽きた」な人に!
「ちょっと和む箱庭的ゲームが欲しい!」という方に!
ある種、ローグライクハーフの可能性進化系の一つです!
そして、来る今週の3/12から、本作のリプレイが始まるわ!
書き手はなんと齊藤飛鳥先生!
おなじみの強欲!? 冒険家クワニャウマ氏が、どう本シナリオに絡んでくるか!?
今からご刮目よろしくお願いいたします!
見逃せば人生後悔することウケアイ!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『きみへ贈る詩』
著 丹野佑 監修 杉本=ヨハネ
出版社:FT新聞 No.4666 2025/11/2
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月9日月曜日
有償GMのニーズ FT新聞 No.4793
おはようございます、電車に乗りながらの杉本です。
先日「有償ゲームマスターの可否」について、Twitter(現X)で色々と流れてきました。
色々と思うところのあるお話でしたので、つらつらと書いていきます☆
◆私はアリ派。
TRPGのセッションにおいて、ゲームマスター(GM)を有償で行うことの是非、といった内容がTwitter(現X)に流れてきました。
このお話を読んだ際に最初に感じたのは、こういった話題が「あ、『今』なんだな」と感じたことです。
というのは、有償GM、あるいは有料で行われるセッション卓というものは、それほど珍しいものではないという意識が、私のなかには存在したからです。
◆参加したこともあります。
大阪の真ん中に近い東梅田という場所には「アルケリンガ」という名前のお店があります。
グループSNE系列のお店で、トンネルズ&トロールズ完全版(T&T)やアドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版の書籍が並んでいた時期もあり、何度か遊びに行ったことがあります。
まさにそういったルールでのセッションが行われたことが何度かありまして、グループSNEの柘植めぐみさんがGMをする際の有料卓に参加しました。
綺麗な店内、行き届いた空調、滞りのない進行。
やや暑い季節でしたが冷たい飲みものも買える店で、そういった面でも快適で。
すべてのサプリメントが揃った状態で、分かりやすいルール的な補足を交えながら、シナリオが楽しめたのをよく覚えています。
◆感じたこと。
その体験を通じて感じたのは、そのセッションが思ったよりも簡単だったことです。
考えてみれば、これは当然のことです。
どれだけのセッション経験があるのかが分からないプレイヤーが集まる場面で、難易度を高く設定するのはリスキーです。
冒険を通じてキャラクターが死を迎えたとしたら、それはそのプレイヤーにとって貴重な、素敵な体験になるのでしょうか。
そう考えたとき、「ゲームのハードモードは、そのゲームに慣れた人間のためのもの」であるという、当たり前の原則が頭をよぎりました。
◆わき道にそれる話。
私はTRPGのセッションで「プレイヤーが創造的に行動することで、困難を乗り越える」という遊び方が大好きです。
なぜなら、それは電源系ゲームでも、ゲームブックでも、ソロアドベンチャーであっても、そういった遊び方をすることが困難だからです。
プレイヤーとGMが対話することができる、TRPGだからこそできる遊び方だからです。
ただ、その遊び方は、TRPGに慣れて、ルールが大体把握できてからはじめるべきなのだと、急に理解してしまいました。
ゲームや世界観を理解している最中ぐらいのプレイヤーには、普通に敵と戦い、倒して、ボスに対しても真正面から立ち向かって、やっつける。
それはたとえるなら、陸上選手が初めてマラソンの大会に出る時のようなものです。
大会の流れであるとか、走るコースを間違えないことであるとか、あるいはルールそのものであるとか、考えなければならないことがたくさんあるのと同じ状況なわけで。
もっと端的なことを言えば、「その場にいるだけで高い緊張を強いられる」状況にあるわけです。
そんな状況を考慮するとき、シナリオがごくシンプルで、解決手段が(ゲーム慣れしている人間には)見通しが立ちやすいものであり、また、判断を間違えた際にもリカバリーが効くように作られているのは、ごく自然なことなのかもしれないと、感じました。
◆考察。
有償GMを誰かがやるとして、それが流行るかどうかは、いくつかの要素が関係してくると私は思っています。
それは街のレストランにも似ていて、値段の割においしい店、接客のいい店、高くて雰囲気のいい店、夜遅くまでやっていて便利な店……色々あります。
そういった価値をどう打ち出していくのかも、とても興味深い。
いずれにせよ、もしもそういったものが受け入れられ、流行るようなことがあれば、これまでのセッションとは異なるコンセプトで行われ、歳月とともに進化していくでしょう。
サプリメントを含むルールの総把握。
道具の準備力。
噛まないトーク。
飽きさせない、隙のないシナリオ。
時間どおりにセッションを終わらせる能力。
本人の知名度。
それらをすべて高い水準で持ち合わせている必要はありませんが、リピートしてもらうには何かが大きく欠けていてはつらいでしょうし、どこかに魅力がある必要があるでしょうね。
◆私自身がやるとしたら。
私がやるとしたら、有償GMで稼ぐほうではなくて、プレイヤーとして参加するほうで関わることを、考えます。
TRPGのセッションはやりたいけれど加齢は否定できず、昔ほどタフではありません。
自動車教本のように厚いルールブック。
ルールブックを参照しながら書き込む冒険記録紙。
「ミス」が自動的には分からない、アナログ式という課題。
そして、ひとたびシナリオがはじまれば、自分のミスによって他プレイヤーのキャラクターを死なせる可能性があるという、精神的負担。
それらを考えると、ルールとキャラクターづくりを丁寧に教えてもらえて、そんなに難しくないシナリオを気軽にやれるなら、いくばくかの金銭を支払うぐらい苦ではないと、感じます。
無料でそうしてくれる親切な友人も心当たりはあるのですが、人に親切にされるのは、あまり得意じゃないのです(親切にするほうが性に合っています)。
それよりは、その場で謝礼をして教えてもらう方が、気持ちが楽なのです。
そして、その体験を通じて「またやりたい」と思うゲームに出会えたら、友人どうしで今度は遊ぶような、そんな利用方法をしたいですね。
それではまた!
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
先日「有償ゲームマスターの可否」について、Twitter(現X)で色々と流れてきました。
色々と思うところのあるお話でしたので、つらつらと書いていきます☆
◆私はアリ派。
TRPGのセッションにおいて、ゲームマスター(GM)を有償で行うことの是非、といった内容がTwitter(現X)に流れてきました。
このお話を読んだ際に最初に感じたのは、こういった話題が「あ、『今』なんだな」と感じたことです。
というのは、有償GM、あるいは有料で行われるセッション卓というものは、それほど珍しいものではないという意識が、私のなかには存在したからです。
◆参加したこともあります。
大阪の真ん中に近い東梅田という場所には「アルケリンガ」という名前のお店があります。
グループSNE系列のお店で、トンネルズ&トロールズ完全版(T&T)やアドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版の書籍が並んでいた時期もあり、何度か遊びに行ったことがあります。
まさにそういったルールでのセッションが行われたことが何度かありまして、グループSNEの柘植めぐみさんがGMをする際の有料卓に参加しました。
綺麗な店内、行き届いた空調、滞りのない進行。
やや暑い季節でしたが冷たい飲みものも買える店で、そういった面でも快適で。
すべてのサプリメントが揃った状態で、分かりやすいルール的な補足を交えながら、シナリオが楽しめたのをよく覚えています。
◆感じたこと。
その体験を通じて感じたのは、そのセッションが思ったよりも簡単だったことです。
考えてみれば、これは当然のことです。
どれだけのセッション経験があるのかが分からないプレイヤーが集まる場面で、難易度を高く設定するのはリスキーです。
冒険を通じてキャラクターが死を迎えたとしたら、それはそのプレイヤーにとって貴重な、素敵な体験になるのでしょうか。
そう考えたとき、「ゲームのハードモードは、そのゲームに慣れた人間のためのもの」であるという、当たり前の原則が頭をよぎりました。
◆わき道にそれる話。
私はTRPGのセッションで「プレイヤーが創造的に行動することで、困難を乗り越える」という遊び方が大好きです。
なぜなら、それは電源系ゲームでも、ゲームブックでも、ソロアドベンチャーであっても、そういった遊び方をすることが困難だからです。
プレイヤーとGMが対話することができる、TRPGだからこそできる遊び方だからです。
ただ、その遊び方は、TRPGに慣れて、ルールが大体把握できてからはじめるべきなのだと、急に理解してしまいました。
ゲームや世界観を理解している最中ぐらいのプレイヤーには、普通に敵と戦い、倒して、ボスに対しても真正面から立ち向かって、やっつける。
それはたとえるなら、陸上選手が初めてマラソンの大会に出る時のようなものです。
大会の流れであるとか、走るコースを間違えないことであるとか、あるいはルールそのものであるとか、考えなければならないことがたくさんあるのと同じ状況なわけで。
もっと端的なことを言えば、「その場にいるだけで高い緊張を強いられる」状況にあるわけです。
そんな状況を考慮するとき、シナリオがごくシンプルで、解決手段が(ゲーム慣れしている人間には)見通しが立ちやすいものであり、また、判断を間違えた際にもリカバリーが効くように作られているのは、ごく自然なことなのかもしれないと、感じました。
◆考察。
有償GMを誰かがやるとして、それが流行るかどうかは、いくつかの要素が関係してくると私は思っています。
それは街のレストランにも似ていて、値段の割においしい店、接客のいい店、高くて雰囲気のいい店、夜遅くまでやっていて便利な店……色々あります。
そういった価値をどう打ち出していくのかも、とても興味深い。
いずれにせよ、もしもそういったものが受け入れられ、流行るようなことがあれば、これまでのセッションとは異なるコンセプトで行われ、歳月とともに進化していくでしょう。
サプリメントを含むルールの総把握。
道具の準備力。
噛まないトーク。
飽きさせない、隙のないシナリオ。
時間どおりにセッションを終わらせる能力。
本人の知名度。
それらをすべて高い水準で持ち合わせている必要はありませんが、リピートしてもらうには何かが大きく欠けていてはつらいでしょうし、どこかに魅力がある必要があるでしょうね。
◆私自身がやるとしたら。
私がやるとしたら、有償GMで稼ぐほうではなくて、プレイヤーとして参加するほうで関わることを、考えます。
TRPGのセッションはやりたいけれど加齢は否定できず、昔ほどタフではありません。
自動車教本のように厚いルールブック。
ルールブックを参照しながら書き込む冒険記録紙。
「ミス」が自動的には分からない、アナログ式という課題。
そして、ひとたびシナリオがはじまれば、自分のミスによって他プレイヤーのキャラクターを死なせる可能性があるという、精神的負担。
それらを考えると、ルールとキャラクターづくりを丁寧に教えてもらえて、そんなに難しくないシナリオを気軽にやれるなら、いくばくかの金銭を支払うぐらい苦ではないと、感じます。
無料でそうしてくれる親切な友人も心当たりはあるのですが、人に親切にされるのは、あまり得意じゃないのです(親切にするほうが性に合っています)。
それよりは、その場で謝礼をして教えてもらう方が、気持ちが楽なのです。
そして、その体験を通じて「またやりたい」と思うゲームに出会えたら、友人どうしで今度は遊ぶような、そんな利用方法をしたいですね。
それではまた!
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月8日日曜日
『生霊姫@狂騒曲』ローグライクハーフd33シナリオ FT新聞 No.4792
FT新聞の読者のみなさま、こんにちは。
火呂居美智です。
このたび、d33シナリオ「生霊姫@狂騒曲」を配信させていただくことになりました。
(編註:@は実際にはハートマーク記号ですが、メールマガジンのシステムでは文字化けしてしまうので、置き換えております)
本作は、もともと別のd66シナリオのプロット作成中に、「若者のキャラクターを出したいな……」と考えていたところ、イメージが膨らみ、気づけば先にシナリオとして形にしてしまった、という経緯の作品です。(紫隠ねこさん、水波さんのご助言もあり、かなり短期間で完成しました)
いわば次作の前日譚的なエピソードでもありますが、これまでの作品とは趣が大きく異なる、コミカル寄りの作風となっています。
舞台は、ポロメイア小国家連合の要所のひとつ——倒れた塔に栄えた街、塔街ビウレス。
主人公は、スライダー商会のドワーフに依頼され、肉体を失った〈生霊姫〉の体を探索することになります。
〈できごと〉の多くは、生霊姫が関わることで巻き起こる騒動が中心です。
彼女のキャラクターこそが本作の魅力のひとつですので、ぜひフレーバーテキストを読みながら、彼女とのドタバタ劇を楽しんでいただければと思います。
ローグライクハーフd33シナリオ『生霊姫@狂騒曲』
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_LivingSpiritPrincess_Rhapsody.txt
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
火呂居美智です。
このたび、d33シナリオ「生霊姫@狂騒曲」を配信させていただくことになりました。
(編註:@は実際にはハートマーク記号ですが、メールマガジンのシステムでは文字化けしてしまうので、置き換えております)
本作は、もともと別のd66シナリオのプロット作成中に、「若者のキャラクターを出したいな……」と考えていたところ、イメージが膨らみ、気づけば先にシナリオとして形にしてしまった、という経緯の作品です。(紫隠ねこさん、水波さんのご助言もあり、かなり短期間で完成しました)
いわば次作の前日譚的なエピソードでもありますが、これまでの作品とは趣が大きく異なる、コミカル寄りの作風となっています。
舞台は、ポロメイア小国家連合の要所のひとつ——倒れた塔に栄えた街、塔街ビウレス。
主人公は、スライダー商会のドワーフに依頼され、肉体を失った〈生霊姫〉の体を探索することになります。
〈できごと〉の多くは、生霊姫が関わることで巻き起こる騒動が中心です。
彼女のキャラクターこそが本作の魅力のひとつですので、ぜひフレーバーテキストを読みながら、彼女とのドタバタ劇を楽しんでいただければと思います。
ローグライクハーフd33シナリオ『生霊姫@狂騒曲』
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_LivingSpiritPrincess_Rhapsody.txt
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月7日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第682号 FT新聞 No.4791
From:水波流
古本屋でしゃがんで下の方の本棚を見たあと、立ち上がって上の段を見ようとすると、ほぼ100%立ちくらみする。
棚が多い店の場合、何度もしゃがんで立ち上がって、立ちくらみが直るのを待って上の段を見て、隣にずれてまたしゃがんでを、繰り返す。
立ちくらみしないなんかいい方法ないですかねー。
From:葉山海月
ゲームブックは、常に真剣勝負を挑みます。
だって指セーブなんかで、両手がふさがりますので「片手間に」ということができない。
ここがゲームブックの不滅の魅力かもしれません。
From:天狗ろむ
3月になり、暖かい日も多くなってきましたね。春はもうすぐといったところでしょうか。
色んな花が咲き始めるので好きな季節なのですが、一つだけ大問題が……そう、花粉症なのです……。まだ軽い方なので何とかなってはいるのですが、暫くくしゃみが止まりそうにありません。
花粉症かと思っていたら実は風邪だった、なんてこともあったりして、厄介ですね。まだまだ寒暖差の激しい時期、季節の変わり目ですので、皆様も体調にはどうぞお気をつけて。
From:中山将平
名古屋コミティアに落選しました!
僕らFT書房の次回参加予定イベントは2026年3月21日(土)「RETRO GAME SUMMIT Lv.5」です。
開催地は『東京都立多摩産業交流センター 東京たま未来メッセ』
配置は【F-11】です。
僕自身は、個人サークル「ギルド黄金の蛙」で、3月14日(土)・15(日)開催の「第8回 蛙びとの集い in OCAT」にサークル参加します。
こちらの開催地は『大阪なんばOCAT 1階正面広場』です。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら!
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(明)=明日槇悠
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3/1(日)~3/6(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2026年3月1日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4785
アランツァクリーチャー事典 Vol.26
・毎月第1日曜日は、ローグライクハーフのシナリオ配信日!なのですが……配信予定だったローグライクハーフ版『ガルアーダの塔』第2回は内容のブラッシュアップの為のお時間を頂き、今回はアランツァクリーチャー事典の最終回である第26回をお届けしました。
最終回を飾るのは、「龍」や「巨人」、「ワイバーン」などの『巨大生物』!
通常、クリーチャーの攻撃による生命点へのダメージは1点が基本ですが、巨大生物は2点です。これはかなり痛い! 更に「防御点」を持つため、たとえば魔術師の【氷槍】など、2点ダメージを与えるような攻撃でないと彼らの生命点を減らせません。主人公側の通常攻撃(1点ダメージ)では全く歯が立たないのです……流石は『巨大生物』、一筋縄ではいきません。
シナリオで出すとするなら、クリーチャー事典の第25回で紹介した『兵器、建造物』を活用すると、勝ち筋が見えてくるのかも……?
そんな『巨大生物』との戦闘をまず体験してみたい方には、『エメラルド海の探索』がおススメです!
(天)
2026年3月2日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4786
・お詫びとお知らせ。
3月の配信シナリオとして予定されておりました「ガルアーダの塔」第二回配信について。
来週日曜日になったと、お知らせをいたしましたが、再度リスケジュールが入りまして、第二回の配信が来月の第一日曜日(4月7日)となりましたことを、お詫びとともに申し上げます。
お待たせして申し訳ありませんが、その分だけ確実な手ごたえをアナタに!
それでは、3月の「ローグライクハーフ」シナリオは?
皆様待望! 不思議かつ壮大な幻想タペストリを織り上げる腕は超一品! 火呂居美智先生による新作が登場します!!
詳細は分かり次第お届けいたします。
刮目をよろしくお願いいたします!
(葉)
2026年3月3日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4787
ゲームブックにおける死と物語 第5回:『ミラー・ドール』におけるドールの「本質」
・編集部員くろやなぎが不定期で(月1回程度)お届けするこのシリーズでは、毎回ひとつずつの作品を取り上げて、ゲームブックにおける「死」と「物語」のあり方について、ゲームシステムやパラグラフ構造などの要素も踏まえながら考察しています。
今回の作品は、先日ついに電子書籍(PDF)版が販売開始となった、FT書房の初期の名作『ミラー・ドール』。共通世界アランツァの「樹島」(いつきじま)を舞台としており、騎乗生物や「ドール」といった、現在のローグライクハーフにも見られる要素がゲームシステムや物語の中に登場しています。
主人公である「君」の旅は、さまざまな出会いや出来事に満ちており、記事の中ではその一端に触れただけに過ぎません。未プレイの方は、ぜひいちど実際にプレイしてみてください!
(く)
2026年3月4日(水)ぜろ FT新聞 No.4788
第8回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第481回。「荷物持ち」の少年タイガが〈妖狐〉や〈魔猫〉と一緒に旅をする、ポケモン風ローグライクハーフリプレイの第8回です。
前回の〈できごと〉で一行に加わった、怪物狩猟者のレンジュ。ゲーム上の扱いは「次に会う〈強いクリーチャー〉の生命点を1低いものとして戦闘をはじめることができる」というものですが、このリプレイの中では、タイガたちとのやりとりを通じて、冒険をより賑やかなものにしてくれるキャラクターでもあります。
その後も巨大樹の上へと進むタイガたちは、〈強いクリーチャー〉には遭遇せず、そのままレンジュとともに3回目の【最終イベント】に到達。ここでもやはり、動植物の生態に詳しいレンジュの観察眼が光ります。
次回の最終決戦も、どうぞお見逃しなく!
(く)
2026年3月5日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4789
「北方墓畔派」
・岡和田晃氏による、オリジナル小説をお届けしました。
「ケンブリッジの隠者、トマス・グレイ」「レンガであつらえた喫茶店」「北の軍都」という言葉選びが、なぜか夏の日の夕暮れのように長く伸びた影を落とす、そんな心に響く幻想的な掌編です。
まだお読みで無い方は、少し落ち着いた時間を取れるお休みの日などに開かれることをお薦めいたします。
(水)
2026年3月6日(金)休刊日 FT新聞 No.4790
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ぜろさん)
きましたねミラー・ドール。
たしかにこのテーマで語るうえでは外せないタイトルかと思います。当然このあとに続く「混沌の迷宮」「殉教者の試練」も含めて。
「あの選択肢」の考察、深く考えさせられました。そしてあの問いは、「正解」を求められているのではなく、白の魔法使いがどのような答えを求めていて、どう答えたら情報を引き出せるのかを問うものであったと、ようやく思い至りました。
私もリプレイを書いていたときには思いもしなかったことです。ただ、私の思考をたどると、自然と、白の魔法使いが望む答えを探していたようです。選択肢は、正しいものを選ぶのがすべてではない。奥が深いですね。
(お返事:くろやなぎ)
ご感想ありがとうございます!
おっしゃる通り、『ミラー・ドール』そして【ドール三部作】全体は絶対外せないタイトルだと思うのですが、なんというか作品本体が「テーマそのもの」すぎて、逆に考察記事としてのアプローチの仕方がすごく難しいのでは?…と記事を書き始めてから気付きました。そんな中、ぜろさんの『ミラー・ドール』リプレイにときどき出てくるツッコミへの答えを想像しながら作品を読み直すことで、物語やそのテーマに対する自分なりの解釈を深めることができたように思っています。
たとえば「魂吸いの間」を抜ける手段へのツッコミに対しては、「実はドールである必然性はないけど、白の魔法使いの『研究』の一環として、島にやってきた冒険者とドールをあえてそういう状況に追い込んで反応を見ているのでは?(ボルノはそのためにもっともらしい説明をする役回り。もし裏技的にドールを使わずに部屋を抜けても、白の魔法使いに初手で消し炭にされるだけ)」とか。あるいは、アルマドールへのツッコミに対しては、「アルマドールは、ミラードールを自分より格下(魂が不完全とか?)だと思っていて、主人公のドールのことはそもそも眼中にないのかも(ゲーム上の設定にはないけど、自分以外のドールに対する特効スキルとか持っててもおかしくなさそう)」とか、そんな感じで積み上げた「自分なりに納得のいく答え」を、最終的に「あの選択肢」に集約させることでなんとか記事が出来上がった、という感じです。
[読者の皆さまへ:ぜろ氏による『ミラー・ドール』リプレイは、2016/11/30〜2017/06/21のFT新聞に、全29回にわたり掲載されました。KindleのFT新聞バックナンバーの2016年版と2017年版に収録されています!]
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
古本屋でしゃがんで下の方の本棚を見たあと、立ち上がって上の段を見ようとすると、ほぼ100%立ちくらみする。
棚が多い店の場合、何度もしゃがんで立ち上がって、立ちくらみが直るのを待って上の段を見て、隣にずれてまたしゃがんでを、繰り返す。
立ちくらみしないなんかいい方法ないですかねー。
From:葉山海月
ゲームブックは、常に真剣勝負を挑みます。
だって指セーブなんかで、両手がふさがりますので「片手間に」ということができない。
ここがゲームブックの不滅の魅力かもしれません。
From:天狗ろむ
3月になり、暖かい日も多くなってきましたね。春はもうすぐといったところでしょうか。
色んな花が咲き始めるので好きな季節なのですが、一つだけ大問題が……そう、花粉症なのです……。まだ軽い方なので何とかなってはいるのですが、暫くくしゃみが止まりそうにありません。
花粉症かと思っていたら実は風邪だった、なんてこともあったりして、厄介ですね。まだまだ寒暖差の激しい時期、季節の変わり目ですので、皆様も体調にはどうぞお気をつけて。
From:中山将平
名古屋コミティアに落選しました!
僕らFT書房の次回参加予定イベントは2026年3月21日(土)「RETRO GAME SUMMIT Lv.5」です。
開催地は『東京都立多摩産業交流センター 東京たま未来メッセ』
配置は【F-11】です。
僕自身は、個人サークル「ギルド黄金の蛙」で、3月14日(土)・15(日)開催の「第8回 蛙びとの集い in OCAT」にサークル参加します。
こちらの開催地は『大阪なんばOCAT 1階正面広場』です。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら!
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(明)=明日槇悠
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3/1(日)~3/6(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2026年3月1日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4785
アランツァクリーチャー事典 Vol.26
・毎月第1日曜日は、ローグライクハーフのシナリオ配信日!なのですが……配信予定だったローグライクハーフ版『ガルアーダの塔』第2回は内容のブラッシュアップの為のお時間を頂き、今回はアランツァクリーチャー事典の最終回である第26回をお届けしました。
最終回を飾るのは、「龍」や「巨人」、「ワイバーン」などの『巨大生物』!
通常、クリーチャーの攻撃による生命点へのダメージは1点が基本ですが、巨大生物は2点です。これはかなり痛い! 更に「防御点」を持つため、たとえば魔術師の【氷槍】など、2点ダメージを与えるような攻撃でないと彼らの生命点を減らせません。主人公側の通常攻撃(1点ダメージ)では全く歯が立たないのです……流石は『巨大生物』、一筋縄ではいきません。
シナリオで出すとするなら、クリーチャー事典の第25回で紹介した『兵器、建造物』を活用すると、勝ち筋が見えてくるのかも……?
そんな『巨大生物』との戦闘をまず体験してみたい方には、『エメラルド海の探索』がおススメです!
(天)
2026年3月2日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4786
・お詫びとお知らせ。
3月の配信シナリオとして予定されておりました「ガルアーダの塔」第二回配信について。
来週日曜日になったと、お知らせをいたしましたが、再度リスケジュールが入りまして、第二回の配信が来月の第一日曜日(4月7日)となりましたことを、お詫びとともに申し上げます。
お待たせして申し訳ありませんが、その分だけ確実な手ごたえをアナタに!
それでは、3月の「ローグライクハーフ」シナリオは?
皆様待望! 不思議かつ壮大な幻想タペストリを織り上げる腕は超一品! 火呂居美智先生による新作が登場します!!
詳細は分かり次第お届けいたします。
刮目をよろしくお願いいたします!
(葉)
2026年3月3日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4787
ゲームブックにおける死と物語 第5回:『ミラー・ドール』におけるドールの「本質」
・編集部員くろやなぎが不定期で(月1回程度)お届けするこのシリーズでは、毎回ひとつずつの作品を取り上げて、ゲームブックにおける「死」と「物語」のあり方について、ゲームシステムやパラグラフ構造などの要素も踏まえながら考察しています。
今回の作品は、先日ついに電子書籍(PDF)版が販売開始となった、FT書房の初期の名作『ミラー・ドール』。共通世界アランツァの「樹島」(いつきじま)を舞台としており、騎乗生物や「ドール」といった、現在のローグライクハーフにも見られる要素がゲームシステムや物語の中に登場しています。
主人公である「君」の旅は、さまざまな出会いや出来事に満ちており、記事の中ではその一端に触れただけに過ぎません。未プレイの方は、ぜひいちど実際にプレイしてみてください!
(く)
2026年3月4日(水)ぜろ FT新聞 No.4788
第8回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第481回。「荷物持ち」の少年タイガが〈妖狐〉や〈魔猫〉と一緒に旅をする、ポケモン風ローグライクハーフリプレイの第8回です。
前回の〈できごと〉で一行に加わった、怪物狩猟者のレンジュ。ゲーム上の扱いは「次に会う〈強いクリーチャー〉の生命点を1低いものとして戦闘をはじめることができる」というものですが、このリプレイの中では、タイガたちとのやりとりを通じて、冒険をより賑やかなものにしてくれるキャラクターでもあります。
その後も巨大樹の上へと進むタイガたちは、〈強いクリーチャー〉には遭遇せず、そのままレンジュとともに3回目の【最終イベント】に到達。ここでもやはり、動植物の生態に詳しいレンジュの観察眼が光ります。
次回の最終決戦も、どうぞお見逃しなく!
(く)
2026年3月5日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4789
「北方墓畔派」
・岡和田晃氏による、オリジナル小説をお届けしました。
「ケンブリッジの隠者、トマス・グレイ」「レンガであつらえた喫茶店」「北の軍都」という言葉選びが、なぜか夏の日の夕暮れのように長く伸びた影を落とす、そんな心に響く幻想的な掌編です。
まだお読みで無い方は、少し落ち着いた時間を取れるお休みの日などに開かれることをお薦めいたします。
(水)
2026年3月6日(金)休刊日 FT新聞 No.4790
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ぜろさん)
きましたねミラー・ドール。
たしかにこのテーマで語るうえでは外せないタイトルかと思います。当然このあとに続く「混沌の迷宮」「殉教者の試練」も含めて。
「あの選択肢」の考察、深く考えさせられました。そしてあの問いは、「正解」を求められているのではなく、白の魔法使いがどのような答えを求めていて、どう答えたら情報を引き出せるのかを問うものであったと、ようやく思い至りました。
私もリプレイを書いていたときには思いもしなかったことです。ただ、私の思考をたどると、自然と、白の魔法使いが望む答えを探していたようです。選択肢は、正しいものを選ぶのがすべてではない。奥が深いですね。
(お返事:くろやなぎ)
ご感想ありがとうございます!
おっしゃる通り、『ミラー・ドール』そして【ドール三部作】全体は絶対外せないタイトルだと思うのですが、なんというか作品本体が「テーマそのもの」すぎて、逆に考察記事としてのアプローチの仕方がすごく難しいのでは?…と記事を書き始めてから気付きました。そんな中、ぜろさんの『ミラー・ドール』リプレイにときどき出てくるツッコミへの答えを想像しながら作品を読み直すことで、物語やそのテーマに対する自分なりの解釈を深めることができたように思っています。
たとえば「魂吸いの間」を抜ける手段へのツッコミに対しては、「実はドールである必然性はないけど、白の魔法使いの『研究』の一環として、島にやってきた冒険者とドールをあえてそういう状況に追い込んで反応を見ているのでは?(ボルノはそのためにもっともらしい説明をする役回り。もし裏技的にドールを使わずに部屋を抜けても、白の魔法使いに初手で消し炭にされるだけ)」とか。あるいは、アルマドールへのツッコミに対しては、「アルマドールは、ミラードールを自分より格下(魂が不完全とか?)だと思っていて、主人公のドールのことはそもそも眼中にないのかも(ゲーム上の設定にはないけど、自分以外のドールに対する特効スキルとか持っててもおかしくなさそう)」とか、そんな感じで積み上げた「自分なりに納得のいく答え」を、最終的に「あの選択肢」に集約させることでなんとか記事が出来上がった、という感じです。
[読者の皆さまへ:ぜろ氏による『ミラー・ドール』リプレイは、2016/11/30〜2017/06/21のFT新聞に、全29回にわたり掲載されました。KindleのFT新聞バックナンバーの2016年版と2017年版に収録されています!]
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月6日金曜日
休刊日のお知らせ FT新聞 No.4790
おはようございます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。
毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
FT新聞編集部一同
■FT新聞へのご投稿はコチラ!
こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。
毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
FT新聞編集部一同
■FT新聞へのご投稿はコチラ!
こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年3月5日木曜日
「北方墓畔派」 FT新聞 No.4789
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
オリジナル小説「北方墓畔派」
岡和田晃
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
——晩鐘が暮れゆく日に弔いを告げる
煉瓦であつらえられた喫茶店のなか、物憂げな情景が読み上げられる。一節、また一節と。ささやくのではなく、がなり立てるのでもなく……。
——居並ぶ家畜は草地をゆるやかに歩む
アルトの声音はよく通り、ざわついた店内を鎮める。落ち着いた色合いの布が張られたソファに腰掛けた客たちは談話を中断し、朗読者の方へと目を向け、ごくりと息を飲む。
——くたびれた農夫がとぼとぼと家路をゆき
なるほど、詠われる光景こそ寂寥たる田舎の景色ではあるが、朗読者の出で立ちはモダンな洋装で、背筋はピンと伸ばされている。その対照性が相俟って、確かな存在感を発揮しているのだ。当代のアプレゲールというよりは、大正時代のモガを思わせる短髪に、形のよい目鼻立ち……。
——この世界に残されたのは、夕闇と私のみ
最初の連を終えたら、あとは一瞬だった。全編を読み終わると、壇上の女性は深々と頭を下げた。堰を切ったように割れんばかりの拍手が巻き起こる。顔を上げた彼女の頬には、心なしか赤みがさしている。意外と場数を踏んではいないのかもしれない。席へ戻った彼女に、ソファに腰掛けていた五十がらみの紳士が、「あなたが読まれた詩は、何という作品ですか。どうも、どこかで聞いたことがあるような気がしまして」と訊ねる。
彼女は答える。トマス・グレイの"田舎の墓地で詠める悲歌(エレジー)"、ケンブリッジの隠者とも呼ばれる一八世紀の学究詩人が生前に遺した数少ない作品なのだと。それを聞いて男の方は、
「道理で聞き覚えがあると思いました。いやね、この喫茶店は、もう四半世紀前になりますか、それはもうハイカラで知られておりましてね。各地から若い詩人たちが集まり、競うように詩を吟じていたものです。当時、私はまだ二十歳そこそこの若造でしたが、次は何が来るかと思って通ったものです。なかにはアナキストや共産主義者までいてねぇ。そこで英国はもちろん、フランスの象徴派や、プーシキンみたいなロシアの詩なんかについても熱っぽく語られていましたよ。いやはや、懐かしいなあ。そのときのことを思い出させてもらいました」
納得したという面持ちで語った。もちろん、彼女の方は——名は史子と言うのだが——それくらいのことは心得ている。かつてこの店は、サロンとして知られた場所だ。いまこそ、ジャズの演奏がメインで、今回も前座の余興ならと特別に時間と場所を割いてもらったにすぎない。だけれども、史子はどうしてもこの場に立ちたかったのだ。
史子は東京の大学で英文学を学んでいる。学内の図書館で偶然見つけた戦前の雑誌「北方墓畔派」で、この喫茶店のことを知り、夏休みの旅行を兼ねて立ち寄ることにしたのだ。卒論に役立つとも思えなかったが、なぜか気になって仕方がなかった。詩誌の発行所として記された珈琲店トレンティとは、まさしくこの場所のこと。実は今回の朗読も、載っていた訳文を使わせてもらった。トマス・グレイは明治期から日本でも読まれ、それこそ有名な矢田部良吉訳のように「山々かすみ いりあひの/鐘はなりつつ 野の牛は」と、伝統的な七五調で訳した例もある。しかし、中央から遠く離れた北の軍都に息巻く詩人たちのなかでグレイが、近代詩らしい定型から半ば離れた文体をもって紹介されていたとは知らなかった。しかも当時としては珍しいことに、うら寂しい墓畔派の詩を訳していたのは、どうやら同じ女性、かつ史子という同名らしかった。
その日の昼、喫茶店の主人に挨拶して来訪の目的を簡単に告げると、まだ若い男は怪訝な顔をした。自分と同じ名の"女流詩人"がどうなったのかを尋ねたが、よく知らないとつっけんどんに返されただけで、せめてもの思いで彼女が訳した詩をここで詠みたいと食い下がったら、物珍しさからか許諾をもらえた。そのような経緯をかいつまんで紳士の方に話すと、それまで朗らかだった紳士は顔を曇らせ、
「そうでしたか、史子さんの……。マスターがしゃべりたがらないのもわかるなあ」
打って変わって言葉少なになる。が、彼は不思議そうに見つめられているのに気づいて、
「いやね、あまり話すと出るんですよ、その……史子さんの霊がね」
史子は川向うにあるゆるやかな坂を下っていた。あちこちの煙突から、細い煙がたちのぼっている。郊外の工場地帯というのだろうか、それとも北の新開地というべきか、百貨店や名画座の連なる駅前通りとは打って変わった雰囲気だ。生活感を隠そうともせず、それでいて横文字を使った洋食屋や時計屋がちらほら見える。
史子の霊だって? 苦笑しながら紳士を問い詰めてわかったのは、門別史子という名で「北方墓畔派」に書いた女性詩人は、すでに亡くなって久しいということだった。彼女は北の港町にあった高等商業学校で、苦学しながら英語と英文学を学んだ後、北の軍都の新聞社で校正係をつとめた。通信社から送られてきた英文の記事を翻訳するような仕事もこなした"才媛"だったらしい。傍ら、地元の詩人たちのサロンに顔を出し、英詩の翻訳を発表するようになったという。よくよく詩誌を追ってみると、史子の寄稿は一九三五年の初頭を最後に途絶えていた。図書館で地元の新聞をさらい直してわかったことには、この年、珈琲店トレンティに集った詩人たちは、"アカの手先"とみなされ、特高警察による摘発で片っ端から投獄されてしまったらしいのだ。多くはすぐに釈放されたが、その後、サロンでの会合も「日章旗に向かって敬礼」から始まるようなものに様変わりしてしまったという。
調査に数日を要したが、店で得たツテを頼りに「北方墓畔派」の元同人を訪ねて回った結果、新町と呼ばれるこのあたりの外れに史子が住んでいたと教えてもらえたのだが——なんと、そこは"雑品屋"だった。鉄屑や廃品を回収して回る、ハイブラウなイメージの英詩とは似ても似つかない店である。恐る恐る、浅黒く日焼けした店主に史子のことを訪ねると、彼は顔を曇らせた。
「そうですか、ええ、確かに史子さんはここで亡くなりました。実は、私が彼女を看取ったんです。よく知りませんが、頼れる人もなかったようで……」
中年男が鼻をすすらせる。
「釈放されたとき、史子さんはひどく胸を病んでいたんですよ。不衛生な環境で結核になってしまったんです。捕まえたまま死なれたんじゃあ体裁が悪いってんで、もう助からないのを見越して、地元に返されるところだったんです。だけど、引き取り手が現れない。だから、差し出がましいとは思いましたが、親父と相談して、うちに来てもらったんです。ですが、ロクな薬もないでしょう。一ヶ月もしないうちに亡くなってしまわれました」
史子とはどういう縁があったのか、と訊いても男は答えなかった。だが、彼女の墓がどこにあるのかを聞いてみたところ、軍都の隣町にある山の中だと教えてはくれた。それでピンと来た。地元では幽霊が出る、とあちこちで語られていた共同墓地である。とはいえ、そのことはおくびにも出さず、史子はその日の仕事が終わるまで待った。男はオート三輪を出し、墓まで連れて行ってくれるというのだ。朝が早いからか業務の切り上げも早々に終えられるのか、そこまで待たずに済み、日没の少し前には出発できた。
ガタガタと揺れる車窓から、流れ行く風景をじっと見つめる。すぐに市街地を離れ、あまり手の行き届いていない畑が続く。かと思えば、山道に差し掛かるにつれ、掘っ立て小屋が点在するのが見え、振り返れば、線路が見下ろせた。徐々に日が暮れてくる。やがて、何かが雪崩れ込んできた。唐突なようで、ごく自然と。窖(あなぐら)の奥底から渦巻く情念、苦悶に満ちた呻き……。この地に宿る、声にならない声が耳朶(じだ)の奥で轟き、脳裏を引っかかれるような痛みをおぼえた。極寒の冷気が史子を取り巻き、世界が青灰色に覆われる。
そうか、と腑に落ちた。この辺りにはタコ部屋がたくさんあった、という逸話を思い出したのだ。図書館で見た記録では、近隣の国から強制連行された人たちが短期間で大量に虐殺されたのは、詩人の没後十年近く後、敗戦も間近な時期という。けれども、死者たちの宇宙において時間なぞ関係ない。そして私は呼ばれている。何かを語らせるために。
史子は身を震わせながら、「北方墓畔派」の最終号に遺されていた一節を反芻する。
——うたの、いやはてに
初出:「ナイトランド・クォータリー・タイムス」issue22、2024年
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
オリジナル小説「北方墓畔派」
岡和田晃
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
——晩鐘が暮れゆく日に弔いを告げる
煉瓦であつらえられた喫茶店のなか、物憂げな情景が読み上げられる。一節、また一節と。ささやくのではなく、がなり立てるのでもなく……。
——居並ぶ家畜は草地をゆるやかに歩む
アルトの声音はよく通り、ざわついた店内を鎮める。落ち着いた色合いの布が張られたソファに腰掛けた客たちは談話を中断し、朗読者の方へと目を向け、ごくりと息を飲む。
——くたびれた農夫がとぼとぼと家路をゆき
なるほど、詠われる光景こそ寂寥たる田舎の景色ではあるが、朗読者の出で立ちはモダンな洋装で、背筋はピンと伸ばされている。その対照性が相俟って、確かな存在感を発揮しているのだ。当代のアプレゲールというよりは、大正時代のモガを思わせる短髪に、形のよい目鼻立ち……。
——この世界に残されたのは、夕闇と私のみ
最初の連を終えたら、あとは一瞬だった。全編を読み終わると、壇上の女性は深々と頭を下げた。堰を切ったように割れんばかりの拍手が巻き起こる。顔を上げた彼女の頬には、心なしか赤みがさしている。意外と場数を踏んではいないのかもしれない。席へ戻った彼女に、ソファに腰掛けていた五十がらみの紳士が、「あなたが読まれた詩は、何という作品ですか。どうも、どこかで聞いたことがあるような気がしまして」と訊ねる。
彼女は答える。トマス・グレイの"田舎の墓地で詠める悲歌(エレジー)"、ケンブリッジの隠者とも呼ばれる一八世紀の学究詩人が生前に遺した数少ない作品なのだと。それを聞いて男の方は、
「道理で聞き覚えがあると思いました。いやね、この喫茶店は、もう四半世紀前になりますか、それはもうハイカラで知られておりましてね。各地から若い詩人たちが集まり、競うように詩を吟じていたものです。当時、私はまだ二十歳そこそこの若造でしたが、次は何が来るかと思って通ったものです。なかにはアナキストや共産主義者までいてねぇ。そこで英国はもちろん、フランスの象徴派や、プーシキンみたいなロシアの詩なんかについても熱っぽく語られていましたよ。いやはや、懐かしいなあ。そのときのことを思い出させてもらいました」
納得したという面持ちで語った。もちろん、彼女の方は——名は史子と言うのだが——それくらいのことは心得ている。かつてこの店は、サロンとして知られた場所だ。いまこそ、ジャズの演奏がメインで、今回も前座の余興ならと特別に時間と場所を割いてもらったにすぎない。だけれども、史子はどうしてもこの場に立ちたかったのだ。
史子は東京の大学で英文学を学んでいる。学内の図書館で偶然見つけた戦前の雑誌「北方墓畔派」で、この喫茶店のことを知り、夏休みの旅行を兼ねて立ち寄ることにしたのだ。卒論に役立つとも思えなかったが、なぜか気になって仕方がなかった。詩誌の発行所として記された珈琲店トレンティとは、まさしくこの場所のこと。実は今回の朗読も、載っていた訳文を使わせてもらった。トマス・グレイは明治期から日本でも読まれ、それこそ有名な矢田部良吉訳のように「山々かすみ いりあひの/鐘はなりつつ 野の牛は」と、伝統的な七五調で訳した例もある。しかし、中央から遠く離れた北の軍都に息巻く詩人たちのなかでグレイが、近代詩らしい定型から半ば離れた文体をもって紹介されていたとは知らなかった。しかも当時としては珍しいことに、うら寂しい墓畔派の詩を訳していたのは、どうやら同じ女性、かつ史子という同名らしかった。
その日の昼、喫茶店の主人に挨拶して来訪の目的を簡単に告げると、まだ若い男は怪訝な顔をした。自分と同じ名の"女流詩人"がどうなったのかを尋ねたが、よく知らないとつっけんどんに返されただけで、せめてもの思いで彼女が訳した詩をここで詠みたいと食い下がったら、物珍しさからか許諾をもらえた。そのような経緯をかいつまんで紳士の方に話すと、それまで朗らかだった紳士は顔を曇らせ、
「そうでしたか、史子さんの……。マスターがしゃべりたがらないのもわかるなあ」
打って変わって言葉少なになる。が、彼は不思議そうに見つめられているのに気づいて、
「いやね、あまり話すと出るんですよ、その……史子さんの霊がね」
史子は川向うにあるゆるやかな坂を下っていた。あちこちの煙突から、細い煙がたちのぼっている。郊外の工場地帯というのだろうか、それとも北の新開地というべきか、百貨店や名画座の連なる駅前通りとは打って変わった雰囲気だ。生活感を隠そうともせず、それでいて横文字を使った洋食屋や時計屋がちらほら見える。
史子の霊だって? 苦笑しながら紳士を問い詰めてわかったのは、門別史子という名で「北方墓畔派」に書いた女性詩人は、すでに亡くなって久しいということだった。彼女は北の港町にあった高等商業学校で、苦学しながら英語と英文学を学んだ後、北の軍都の新聞社で校正係をつとめた。通信社から送られてきた英文の記事を翻訳するような仕事もこなした"才媛"だったらしい。傍ら、地元の詩人たちのサロンに顔を出し、英詩の翻訳を発表するようになったという。よくよく詩誌を追ってみると、史子の寄稿は一九三五年の初頭を最後に途絶えていた。図書館で地元の新聞をさらい直してわかったことには、この年、珈琲店トレンティに集った詩人たちは、"アカの手先"とみなされ、特高警察による摘発で片っ端から投獄されてしまったらしいのだ。多くはすぐに釈放されたが、その後、サロンでの会合も「日章旗に向かって敬礼」から始まるようなものに様変わりしてしまったという。
調査に数日を要したが、店で得たツテを頼りに「北方墓畔派」の元同人を訪ねて回った結果、新町と呼ばれるこのあたりの外れに史子が住んでいたと教えてもらえたのだが——なんと、そこは"雑品屋"だった。鉄屑や廃品を回収して回る、ハイブラウなイメージの英詩とは似ても似つかない店である。恐る恐る、浅黒く日焼けした店主に史子のことを訪ねると、彼は顔を曇らせた。
「そうですか、ええ、確かに史子さんはここで亡くなりました。実は、私が彼女を看取ったんです。よく知りませんが、頼れる人もなかったようで……」
中年男が鼻をすすらせる。
「釈放されたとき、史子さんはひどく胸を病んでいたんですよ。不衛生な環境で結核になってしまったんです。捕まえたまま死なれたんじゃあ体裁が悪いってんで、もう助からないのを見越して、地元に返されるところだったんです。だけど、引き取り手が現れない。だから、差し出がましいとは思いましたが、親父と相談して、うちに来てもらったんです。ですが、ロクな薬もないでしょう。一ヶ月もしないうちに亡くなってしまわれました」
史子とはどういう縁があったのか、と訊いても男は答えなかった。だが、彼女の墓がどこにあるのかを聞いてみたところ、軍都の隣町にある山の中だと教えてはくれた。それでピンと来た。地元では幽霊が出る、とあちこちで語られていた共同墓地である。とはいえ、そのことはおくびにも出さず、史子はその日の仕事が終わるまで待った。男はオート三輪を出し、墓まで連れて行ってくれるというのだ。朝が早いからか業務の切り上げも早々に終えられるのか、そこまで待たずに済み、日没の少し前には出発できた。
ガタガタと揺れる車窓から、流れ行く風景をじっと見つめる。すぐに市街地を離れ、あまり手の行き届いていない畑が続く。かと思えば、山道に差し掛かるにつれ、掘っ立て小屋が点在するのが見え、振り返れば、線路が見下ろせた。徐々に日が暮れてくる。やがて、何かが雪崩れ込んできた。唐突なようで、ごく自然と。窖(あなぐら)の奥底から渦巻く情念、苦悶に満ちた呻き……。この地に宿る、声にならない声が耳朶(じだ)の奥で轟き、脳裏を引っかかれるような痛みをおぼえた。極寒の冷気が史子を取り巻き、世界が青灰色に覆われる。
そうか、と腑に落ちた。この辺りにはタコ部屋がたくさんあった、という逸話を思い出したのだ。図書館で見た記録では、近隣の国から強制連行された人たちが短期間で大量に虐殺されたのは、詩人の没後十年近く後、敗戦も間近な時期という。けれども、死者たちの宇宙において時間なぞ関係ない。そして私は呼ばれている。何かを語らせるために。
史子は身を震わせながら、「北方墓畔派」の最終号に遺されていた一節を反芻する。
——うたの、いやはてに
初出:「ナイトランド・クォータリー・タイムス」issue22、2024年
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
登録:
コメント (Atom)