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2026年10月15日木曜日

D&D第4版リプレイ〜暁のトロール号を駆り、”塔の街”シャーンでの決戦だ!〜 第1回 FT新聞 No.5013

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち 〜暁のトロール号を駆り、”塔の街”シャーンでの決戦だ!〜 連載第1回 岡和田晃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼第8回で終了かと思いきや……。  本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編の、そのまた続編です。  なお、この新シリーズは、2011年当時のセッション記録をもとに、2026年に新たに書き下ろしたものです。  本来、以前の連載は第8回で終了する予定でした。書き上げていたのが、そこまでだったからです。  第8回で言及された『ホビットの冒険』につき「映画化も予定されている」とあったように、執筆が終わっていたのは同作の公開(2012年)より前、2011年のことでした。  ここから先を書きあぐねて、2013年に大きく全体に手を入れて仕上げを試みていたものの、うまく「その先」が書けずにいました。  並行して進めていた評論の仕事や、手掛けていた別作品の翻訳が忙しくなってきたこと、心ない嫌がらせによって深く傷ついたこと……。  理由は様々にあるのですが、総合的に見て、やはり私の力不足だったと言わざるをえません。  次にリプレイを発表するのは、2018年に4Gamer.netに掲載された『ゴブリンスレイヤーTRPG』リプレイ(https://www.4gamer.net/games/436/G043667/20181224002/)を待たねばなりませんでした。  現在、商業的にTRPGリプレイは印刷された出版物では激減しており、過去形で語られることも少なくありません。でも、やっぱり私は「読むリプレイ」が好きなんですね。  新たに場を与えてくださった「FT新聞」の水波流編集長、編集部員の葉山海月さんをはじめFT書房の皆さん、あたたかなコメントで迎えてくださった読者の皆さん……らぱんどらさん、あーるじぇい@owljeyさん、ハイランスさん、カエル様教徒さん、吉里川べおさん、妖怪帽子さん、そして、毎度の連載を「楽しい」といって読み進め、第4話も書いてとせがんでくれた、私の9歳の娘に感謝したいと思います。  皆さんに、続きを書き、発表するモチベーションをいただきました。    引き続きルールは第4版のエベロン世界を使用しています。12月8日にグラフィック社から発売されるマイケル・ウィットワー&カイル・ニューマン&ジョン・ピーターソン&サム・ウィットワー『ダンジョンズ&ドラゴンズ ヴィジュアル大全 半世紀を超えるその歴史とアート』朱鷺田祐介監修、岡和田晃翻訳監修、見田航介&中村俊也&待兼音二郎訳(グラフィック社)でも、D&D第4版やエベロン世界については詳しく解説されますので、興味のある方はそちらもご覧ください。 ▼これまでの「リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ」振り返り  ネディア、ヘルメス、クシュタリ、ベック、ジュスの五人は、最終戦争の傷跡がなお残るコーヴェア大陸を旅してきた冒険者たちである。これまでの冒険で一行は、地下竜教団による邪悪な儀式を阻止し、“竜の予言書”の洞窟を異形どもから解放した。その過程で、彼ら自身もまた“竜の予言”に深く関わる存在となっていった。  そんな一行が追うことになったのが、謎めいた「リヴァイアサン計画」である。テリクの闇市場をはじめとする各地で情報を集めるうち、背後に「フィッツギボン商会」という名が浮かび上がる。一見すれば商取引を行なう組織にすぎないが、その活動にはどうにも不穏な影がつきまとう。やがて一行は、この商会をめぐる一連の事件が、単なる密輸や犯罪組織の活動では終わらないことを知る。  その旅の途中、ライトニング・レイルに乗り込んだ一行は、食堂車で翠玉爪騎士団の襲撃を受けた。翠玉爪騎士団は、かつてカルナス軍で英雄視されながら、現在では地下へ潜り、各地で暗躍する危険な武装組織である。食事中を狙った不意打ちにもかかわらず一行はこれを撃退するが、ここで「リヴァイアサン計画」を追う彼らとカルナスの暗部との結びつきはいよいよ濃くなっていく。  そして事件は、ネディアにとってきわめて個人的な問題とも結びついた。まだ13歳の妹サナが、カルナス王家に連なるエラストレル・イル=ワイナーン卿と政略結婚させられようとしていたのである。調査を進めた一行は、エラストレル卿が大軍を集めているという情報を得る。その攻撃目標こそ、フェイワイルドからエベロンへ出現した七つのフェイスパイアのひとつ、“冬の砦”ティラー・シラエンだった。結婚式と軍事行動は別々の事件ではなく、何らかの形で結びついているらしい。  ティラー・シラエンの周辺には、莫大なカイバー・シャードの鉱床が存在する。しかもエラストレル卿の軍勢には、「リヴァイアサン計画」を進める翠玉爪騎士団も加わっていた。カイバー・シャードはエレメンタルを捕縛し、飛空艇などの魔法装置を動かすことにも利用される強力な魔法資源である。一行は、カルナス側がこの鉱床を確保し、「リヴァイアサン計画」に利用しようとしているのではないかと疑うようになる。  ところが、危機は軍勢の侵攻だけではなかった。政略結婚の当事者であるサナ自身が、正体不明の“穢れ”に蝕まれていたのである。ネディアたちはサナを救うため、そしてカルナス軍の真の狙いを探るため、エレメンタル式岩石掘削機を駆ってティラー・シラエンへ急行。城塞都市の中庭へいきなり出現するという派手な到着を果たす。  しかし、ティラー・シラエンのエラドリンたちも、突然現れた一行を無条件には信用しない。長老ヴァロンによれば、サナの身に宿った“穢れ”は、アンデッドを率いる忌まわしい勢力と無関係ではないらしい。その一方で、ティラー・シラエンを守ってきた魔法的な防壁も弱まりつつあった。長老は、ネディアたちが本当に“竜の予言”に選ばれた者なのか、その判断を“ドラゴンの予言者”に委ねることにする。  こうして一行は、自然世界の時間から外れた「予言の洞窟」へ足を踏み入れた。そこで待っていたのが、ドラゴンの予言者イェスリン・リーンである。彼との対話を通じて明らかになったのは、“竜の予言”が単純に「未来に何が起こるか」を記した予言書ではないということだった。それは過去・現在・未来を貫き、世界が取りうる無数の「可能性」に関わるものなのである。  そしてイェスリン・リーンは、“竜の予言”に選ばれた者は未来の可能性を宿すだけではなく、過去をもその身に宿すのだと語る。さらにネディアへ、「思い出せ。そなたはかつて、わしとともに戦ったことがあるはずだ」と告げた。ネディアは、転生を繰り返しながら戦うマイケル・ムアコックの〈エターナル・チャンピオン〉さながらに、かつて別の時代、別の姿でイェスリン・リーンと共闘していたらしい。  かくしてDMから「転生前のネディアがどんな人物だったのか考えてください」という突然の無茶振りが飛び出したところで、前シリーズ「リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ」は幕を閉じた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ DM:ダンジョンマスター(岡和田晃) ネディア:ヒューマンのレンジャー(PL:中山葵) ヘルメス:ヒューマンのアーティフィサー(PL:カナイセイジ) クシュタリ:カラシュターのパラディン(PL:見田航介) ベック:ウォーフォージドのファイター(PL:高橋志行) ジュス:ティーフリングのウィザード(PL:ノダソル) ●転生前のネディア ネディア:アマゾネス系かな。それも男で……。 DM:むしろ男(笑)。それはそれで面白いですね。  前回、イェスリン・リーンはネディアを、転生を重ねて複数の時代を生きるマイケル・ムアコックの〈エターナル・チャンピオン〉になぞらえた。そこから「過去のネディア」を具体化することになる。卓上では、筋肉隆々の戦士、アルビノの剣士、かつて船長だった人物、眼鏡のアーティフィサー、ドラゴンボーンの娘、グレートソード二刀流など、さまざまな像が試されていく。 DM:ここでは設定を先に固定するより、いくつかの可能性を出してみましょう。RPGでは、プレイヤーが提示したイメージを世界設定へ接続していくこと自体が物語になります。それで結局どうですか、ネディア先生。 ネディア:二刀流で、今より若い。二十代後半くらい。褐色のイメージが抜けない。 DM:褐色になった。素早くて、ぱっと姿が消えたら相手が吹っ飛んでいるような。あだ名は“黒ヒョウ”。  しかし「褐色」というイメージはさらに先へ進む。 DM:褐色が行き過ぎたことにして、かつてはドラウだったことにしよう。 ネディア:ドラウ? DM:ダークエルフ、つまりドラウです。卓上の視覚的な連想としては、『ロードス島戦記』のピロテースに近いイメージも出ていますが、エベロンのドラウとして考えましょう。  こうして転生前のネディアは、リアーナという名のドラウの二刀流レンジャーとして輪郭を得ていく。現在のネディアと同じ戦闘スタイルを持つことは、単なる転生の記号ではない。身体も時代も異なる二人を、戦い方という反復可能な「型」が結んでいるのである。 DM:では、名前は決まりましたか? ネディア:リアーナ。 DM:リアーナ。二刀流レンジャーの伝説の道の何か……ソードマスターかな。パスファインダーというのもある。道を探る者。偵察を極め、どこまでも道を切り拓くような……。いや、ストームウォーデンのほうがかっこいいかもしれないなあ。  ここでは候補がいくつか挙がったままで、伝説の道はまだ確定していない。ただし『プレイヤーズ・ハンドブック』の“ストームウォーデン(嵐なす守護者)”は「レンジャーのクラス、二刀流戦闘スタイル」を前提とするため、リアーナの戦闘像にはよく似合う。 ●リアーナの記憶 DM:では、リアーナは、かつてイェスリン・リーンと共闘していた記憶を、おぼろげながら取り戻します。  見えてくるのは、輪郭の定かでない敵のシルエットだった。 DM:君とイェスリン・リーンが戦っていた相手は、ドラゴンの力を悪用しようという連中です。姿まではわからない。おそらくデーモンかデヴィル。その中には異形もいたのではないかと思われます。君たちはドラゴンを守り、カイバーの侵食から守ろうとしていた。そこまでわかります。 ネディア/リアーナ:「思い出したわ。確かに私たちは、ともに戦っていたわね」 イェスリン・リーン:「ようやく思い出したか、我が友よ。我らにとって時間は一瞬のもの。ふたたび相まみえるまでの時も、一瞬にほかならなかった」  何百年、あるいはそれ以上の時を隔てていたとしても、“竜の予言”の側から見れば、それはほんの一瞬なのだ。 ●脈動するドラゴン イェスリン・リーン:「“竜の予言”もまた、そなたらを待ちわびていたようだぞ」 DM:では、近づいて覗いてみますか。さっきまで動かなかったはずのドラゴンの文様が、ぼんやりと形を取り始める。やがて、どくどくと脈打ち始めます。  巨大なモノリス——あるいは「生きる化石」のようだったドラゴンから、奔流のような力が一行へ流れ込む。 DM:君たちが、かつてレッケンマーク444——サロから与えられた知識が、さらに上から書き換えられていくような感覚です。ドラゴンマークの力の本質の一部。ウォーフォージドを動かしている力とは何なのか。そうしたものが、理屈というより記憶のように流れ込んでくる。 ベック:サロから得た情報より、さらに根源に近い? DM:そう考えていいでしょう。そして、この周囲そのものがカイバー・シャードの巨大な鉱脈なのではないか、とわかる。カルナスがフェイスパイアを制圧して、この洞窟を掘り崩せば、シャードだけではなく、ここに封じられた異形や悪しき存在まで解放してしまうかもしれない。  イェスリン・リーンの背後に、数多の悪しき者たちの姿が重なる。リアーナがかつて戦った敵と、現在の危機は切り離されたものではないらしい。 (つづく) “『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち 〜暁のトロール号を駆り、”塔の街”シャーンでの決戦だ!〜” is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy. Not approved/endorsed by Wizards. Portions of the materials used are property of Wizards of the Coast. 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