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2024年12月11日水曜日

第4回【白い小屋、赤い絶望】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4340

第4回【白い小屋、赤い絶望(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】ゲームブックリプレイ


※ここから先はゲームブック【白い小屋、赤い絶望(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


ぜろです。
「白い小屋、赤い絶望」(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)をプレイしています。
山小屋で行われていた儀式の謎をつきとめ、異星の怪物を現地へと送り返すことに成功しました。
しかしその代償として、山小屋は炎に包まれています。
吹雪は止んでいるので、小屋がなくても何とかなりそうではありますが。
そして、主人公サクタロウの手元には、この事件を引き起こすきっかけとなった魔導書が。
炎の中に投げ込むか、そのまま持ち帰るか。そんな最後の選択です。


●アタック02-8 どっちに行っても絶望

異星の怪物を送り返すことに成功した。
吹雪は止んでいる。
山小屋は燃えている。

そして俺の手には魔導書『妖蛆の秘密』がある。

選択肢が出ている。
この魔導書を持ち帰るか、炎の中へ投げ込むか、というものだ。

持ち帰ったとしよう。
すると俺はこの魔導書の魅入られ、怪しげな研究に没頭することだろう。
そんな未来が容易に想像できる。
そしてそれは、とてもクトゥルフっぽい結末のひとつと言っていいだろう。

では、炎の中に投げ込むというのはどうか。
この魔導書は、炎では燃えない。
それは暖炉ですでに実証済みだ。
つまり、炎の中に投げ込まれた魔導書は、燃え残ることとなる。
そしてこの火災の跡地で、何者かが魔導書を拾い……新たな悪夢が始まる。
そんな展開となることが、これもまた容易に想像できる。
これはこれで、クトゥルフらしい結末と言っていいだろう。

どちらの結末の先も想像したところで、俺はどちらを選ぶか。

俺はおもむろに魔導書を、炎の中へと投げ込んだのだった。

俺は山を降りた。
だがその日から俺は、悪夢に苛まれるようになった。
あの魔導書は、山小屋の火災程度では燃え残っているのではないか。
それを、誰かが手にするのではないか。

そこまでは、俺の事前の予想と同じ展開だ。
だが、俺が恐怖しているのはそんな漠然としたものではない。

魔導書のページをめくれば、そこには俺の名前が書いてあるのだ。
そうだった。そういえば儀式を終わらせるため、俺はあの書物に名前を書き記したのだ。

あの魔導書を拾った人間は、間違いなく俺の名前を目にするに違いない。
そして明日にでも、俺のもとを訪ねてくるかもしれない。
ろくでもない目的をもって。

いつか来るかもしれないその日におびえながら、俺は不安な日常を送るのだった。

(END4 生還)


●感想

わからない。わからないぞ。
真相がわからーーーーーん。

先客は5人いた。
3人は生贄に名前を書かれ、異星送りにされた。
残る2人はリーダーと女。

女はこの儀式を止めたかった。リーダーと2人になる機会を待っていた。
説得したがリーダーは応じなかった。
女は強引に儀式を終わらせるため、魔導書を暖炉に放り込んだ。
儀式が実行不可能になったと思い込んだリーダーは、儀式を中断された怒りから、女を地下に追い詰め殺した。
そして地上に戻り、ナイフを血染めのまま鞘にしまいリュックへ片づけた。

ここまでの流れは合ってると思う。
最後に丁寧かつ雑にナイフをしまう動作は謎だけど。

もう丁寧に血を拭き取るだけの心の余裕がなくなっていたのか。
どうせ全部消えるから、どうでもよくなっていたのか。
どうでもいいなら、しまう必要もない。そこらに投げ捨てればいいだけだ。

で、だ。

この後のリーダーの動きがまったく想像できないんだが、リーダーもいなくなっているんだよ。
なんでどうしてどうなって?

女の日記には2つの仮定がある。

1つめ。
「もし写本に誤りがあれば、召喚した『あれ』は、契約を無視して襲いかかってくるかもしれない」

あ、はい。襲いかかられた。
これはそのとおりだった。
でもそれは、『あれ』が実体を得てからのことだ。
実体なく見守っている状態の間、俺は襲いかかられることはなかった。
だから、リーダーが契約を無視して襲われたという流れは考えにくい。

あと残るのが2つめ。
「あるいは、『あれ』と体が入れ替わるかも」

これ。
まずこれ、どうしてそういう発想になるのかわからない。
女がどうしてこの仮説を持つに至ったのかがわからないと、ぽっと出の荒唐無稽な発想でしかない。

あと、どのタイミングで入れ替わったのかが、わからない。
入れ替わったのだとしたら、実体化した異界の怪物の中身は、リーダーということになる。
じゃあ、リーダー(体)はどうなったのか。異界の怪物の精神が宿ったということだろう。

宿ってどうなったのか。

どこにいったのか。

人間の体を得た異界の怪物は、この場から姿を消し、人間社会に溶け込んだ。
これがいちばん可能性としては高いのかな。
こっちはこっちで、新たな火種を残しているな。
こういう、あっちこっちに問題を残しながら事態が終わるあたり、いかにもクトゥルフものっぽい。

うわーんぜんぜんわからないーー。
作者様真相ぷりーーーず。

俺の思考ではここまでが限界だった。

***

さて感想。
この作品は、非常にオーソドックスな作りになっています。
途中でも触れましたが、昔々の総当たり式のアドベンチャーゲームみたいな感じ。
なのでプレイしている間に難しさを感じることはありませんでした。
ほぼ1回(最初のバグエンドは除くw)でクリアできたのは、私が選んだ順番が良かったのかな。

あまりひっかけを感じるところもありませんでした。
制限時間が3時間で、時間経過をともなう選択は3つありました。
そのうちのひとつ、殺された女の日記を先に読んでしまうと、タイムオーバーになるというつくりです。
その日記は後から読むこともできるという注釈つきなので、わざわざ先に読んで時間を消費する人も少ないのではないかと思います。

物語の内容も、永遠のクトゥルフ初心者の私が言うのもなんですが、たぶんこれはクトゥルフものの基本を押さえているのではないかと。

謎の儀式が投げっぱなしな中途半端な現場に居合わせてしまい、何が起きているのかを解き明かし、助かるために儀式の完遂&後始末をする。

クトゥルフ的な作品にはじめて触れる方がプレイするのに最適な作品だと思います。

ストーリーもストレートで、謎もそれほど難しくはないのですが、意外と感じたのはプレイヤーとキャラクターの乖離ですね。

プレイヤーの立場からメタな考察を挟みながら見ると、いろんな事象が読めてきます。
でもキャラクターの立ち位置から見ると、散りばめられたヒント程度では、なかなか真相が超常的な出来事って確信が持てないと思うんですよね。
なので、プレイヤーとキャラクターの間に距離を感じながら進めていました。

プレイヤーとキャラクターの思考の距離が近づいたと感じたのは、地下で女の死体を発見した時ですね。
あそこでうちのサクタロウは、これまで頭から振り払おうとしていた超常的な現象を少し飲みこめた気がします。
そして暖炉で燃え残った魔導書の発見で、ついにプレイヤーとキャラクターの思考がシンクロしました。

ちなみに5つあるエンディングのうち、私は「END4 生還」だったわけですが。
END5は、魔導書を持ち帰るエンドでした。
私の予想どおり、魔導書を持ち帰った主人公はそれに魅了されてしまいます。
これがEND5ということは、こちらの方がクトゥルフ的な真エンドということなのかもしれません。

あと、1から3のエンディングは、こんな感じでした。

・暖炉の火が燃え尽きて、そのまま遭難する結末。
・魔導書の名前欄を書き間違え、異星送りになってしまう結末。
・実体化した異星の怪物に血を吸われ尽くす結末。

途中どこで間違えればこの結末に至るのか、だいたい想像つきますね。
見事に回避することができてよかったです。

それほど時間をかけず、クトゥルフものの雰囲気を味わえる作品。
短編とはかくあるべき。手軽にやるにはもってこいです。
興味がわいたなら、ぜひプレイしてみてください。

そして最後に絶対にあってはならない致命的なバグ(笑)な正誤表を記載して、本リプレイを終えようと思います。


■正誤表

【1】
(正)文末に「今は【2】へ進め。」を追記。


以上で、白い小屋、赤い絶望(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】ゲームブックリプレイを終わります。
ではまた次の作品のリプレイでお会いしましょう。


■作品情報
作品名:ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇 「白い小屋、赤い絶望」
著者:丹野 佑
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/2484141

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