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2024年5月20日月曜日

夏の新作のお知らせ:Vol.1 FT新聞 No.4135

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
5月は忙しく、なかなか大変です。
先日はFT新聞の配信予定について書きましたので、今日の月曜記事はFT書房の刊行予定から、夏のコミックマーケットについて記事にしてまいります☆


◆「モンスター! モンスター! TRPG」のソロ・アドベンチャー!!
2023年末、FT書房は「モンスター! モンスター! TRPG(以降M!M!)」を翻訳して、日本で刊行する契約を結びました。
アメリカのゲームデザイナーであるケン・セント・アンドレ(「トンネルズ&トロールズ」の作者として有名)によるもので、モンスターとなってさまざまな冒険を行う、古くから存在する新しいTRPGです。

さて、今回FT書房はそのルールブックを翻訳しようと、思っていました。
途中までは。
このプロジェクトには秘密結社的に何人かのメンバーが集まっておりまして、さまざまな意見を交わしています。
そのなかで、「果たして基本ルールを読みたい人はどれだけいるのか?」という問題提起がなされました。
というのは、ケンが作るソロアドベンチャーには簡易ルールがついているため、そちらとともにソロアドベンチャーを訳したほうが「いきなり遊べる」からです☆
また、ケンのゲームを遊んだことがある人なら、M!M!の遊び方を掴むのはそう難しいことではないでしょう。


◆結論☆
そんな話し合いを経て、私たちはM!M!シリーズの第1弾として、ケン・セント・アンドレその人が書いたソロアドベンチャーであり、アメリカでも人気の『猫神様の試練』から刊行することに決定いたしました!
基本ルールが出るかどうかは、日本でのこの作品の人気次第です☆


◆さらに!
夏コミに刊行する予定の作品は、それだけではありません。
好調シリーズ「ローグライクハーフ」からも、新シナリオが登場します!
が、その件に関してはまた別の記事にて近いうちに☆
『猫神様の試練』の内容に関しましても、またお知らせしてまいります。


それではまた!





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2024年5月19日日曜日

アランツァワールドガイド Vol.12 蛮族都市フーウェイ(前編) FT新聞 No.4134

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
春先にひいた風邪で失った体力を取り戻すべく、毎日しっかりと運動をしつつ、仕事に励んでいます。
体力は回復しつつありますが、正直しんどい!
でも、いい作品づくりにはいい土台が必要です……気合いでがんばってまいります。

さて、本日は「アランツァワールドガイド」の配信日です!
FT書房が展開するゲームブックの主な舞台であり、「ローグライクハーフ」の共通世界でもあるこのワールドガイドシリーズも、はや第12弾を迎えました。
今回配信するのは7月に配信予定の作品、「ローグライクハーフ」のd66シナリオ「常闇の伴侶」の舞台である蛮族都市フーウェイ☆
なんとこの都市、アランツァ世界を最初に作った時点で名前があるにも関わらず、作品内で登場したことがありません(!)
この街を舞台とした作品を創るのはFT新聞の編集長をつとめる、水波流!!
とても楽しみな一作です。

さあさ、前口上はこれぐらいにして、本編へと入りましょう☆
アランツァにようこそ!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

日差しは決して弱くはないが、雪が深く、しばしば吹雪になる。
ラクダ人であるカメル教授が蛮族都市フーウェイにたどり着いたのは、冬のはじまりの頃だった。
カメル・グラント教授はいま、この大陸を旅してまわっている。
混沌都市ゴーブの城塞めいた堅牢な街壁を見た後であったため、木材でできたこの街の壁はいささか頼りないもののように見えた。


◆街門にて。
狼にも似た〈魔犬獣〉の毛皮をまとった衛兵たちが、カメル・グラントの都市通行証をいぶかしげに眺めている。
外の世界から人が来るのは珍しいことではない。
北の端にあるとはいえ、フーウェイは街である。
しかし、文字が読めない兵士たちには、通行証が本物かどうか、このラクダの獣人を通していいかどうかを、確信をもって判断できないのだ。

結局、兵士たちのリーダーがカメルを通すことに決める。
紳士的なカメルの態度は彼らの価値観にそぐう「立派な大人」ではないが、危険を感じる存在という結論には至らなかったらしい。


◆トレント材の街壁。
門をくぐりながら、珍しい街壁の素材をまじまじと眺める。
衛兵の1人が「トレント材だ」と、いささか誇らしげにつぶやく。
この街の主な外敵のひとつは、動きまわる大きな樹木、〈トレント〉と呼ばれるクリーチャーである。
このクリーチャーから採れたもの(特にトレント樫)を使っているのであれば、石にも似た堅さと燃えづらさを持った街壁といえよう。
しかし……と、カメルは街壁を見渡しながら思う。
街をぐるりと囲む、高い城壁。
そのすべてがトレント樫を素材としているのなら……この街はどれだけの歳月を〈トレント〉たちとの対決に費やし、彼らを狩ってきたのだろう?


◆毛皮でつながった家々。
街といっても大きくはない。
家々は何軒かごとにまとまっており、壁の一部を共有している。
氏族ごとにまとまって生活しているのだ。
壁がつながっているのは、こうすることで暖房の熱が壁づたいに伝わりあい、冬の寒さを軽減する工夫である。
屋根の部分には、木材の上に毛皮が使われている。
つながった家々と毛皮の屋根……火事に弱そうだなと、カメルは思った。


◆想像と異なる人々。
そうはいっても、フーウェイは街である。小さな蛮族の集落とは違う。
「外の人間」との交流はあるし、店屋も開いている。
カメルはメイン通りを歩き、開いている何軒かの店のひとつに入ってみる。
店とはいっても丸太を切って造った小さな家で、床はなくむき出しの地面だが……店屋は店屋である。
汚れた毛皮をはおった店主が、切株を引っこ抜いただけの椅子に座っている。
暗い店内には食料と毛皮などの生活必需品が並んでいる。

別の店に入ってみる。
店がまえに大きな違いはないが、店内には木の枠でピンと張った状態の脱脂した皮や、緑のにおいが残った樹木の幹が転がっている。
〈魔犬獣〉の皮だと、ひと目で分かる。
魔獣皮革だ。


◆魔獣皮革。
〈魔犬獣〉の外見は狼に似ている。大きさもそう変わらない。
発達した犬歯をもち、知能が高い。
{ルビ:よつあし}四足の生きものだが、文化を持つひとつの「種族」である。
掟に従って行動し、契約を守る。
堕落都市ネルドでは、いち市民として街を歩いていたのを覚えている。
それが、皮だけになって、地面がむき出しの店の片隅に転がっているのである。
形容しがたい感情が心を駆けめぐって、カメルはしばしその場にたたずむ。

〈魔犬獣〉や、魔獣と呼ばれる強力な獣たちの皮をはがしてなめすと、魔獣皮革と呼ばれる素材になる。
これが使われている製品は、いわゆる「上モノ」である。
高級品の部類として扱われる、頑丈で長持ちする優秀な製品である。


◆街を歩く人々。
街を歩きながら、目に入る人々をそれとなく観察する。
武器を持った人々が、他の街よりもずっと多い。
皮を使った簡素な衣服をまとい、上半身は裸である。
その上半身には、いろいろな{ルビ:タトゥー}刺青が彫られている。

フーウェイの戦士は、あまり鎧を着ない。
その主な理由は、彼らが持つ「鉄」の力があまり強くないからだと言われている。
領土からはあまり鉄が採れないため、鉄は主に泥炭を燃やすことで獲得される。
ウイスキーの香りつけにも使われるこの泥炭だが、そこから作られる武器は端的に言ってもろく、いい武器とは言えない。

そこで、鎧の代わりに発達したのが刺青文化である。
力のある彫り師が入れた刺青には、彼らが信仰する「獅子顔のセリオン」こと獣神セリオンの力が宿ると考えられている。
しかし、その力を発現するには、自らの肌を露出し、外気にさらさなければならない。
だから、彼らは鎧を脱ぎ捨てて戦うのだ。

そのさまを見た「外の人間」は、彼らを蛮勇の持ち主であるとみなした。
彼らのほうも、それを強く否定をすることはなかった。
そんな風に、カメルは推察した。


(後編に続く)


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↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
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2024年5月18日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第588号 FT新聞 No.4133

From:水波流
前にノイズキャンセリングイヤホンを新調するか悩んでいると書いたのですが、結局AirPodsProを購入しました。結論から言うと「なぜ早くこれを買わなかったのか!」と思う快適な毎日です。特に周囲の騒音に合わせて音量を変えてくれる適応型ノイズキャンセリングが良いのです。
スティーブ・ジョブズが生前「Appleが売っているのはコンピュータや音楽プレイヤーじゃない。我々が売るものは体験なんだ」と語っていましたが、まさにそれだなと。
イヤホンに数万円かと悩みましたが、これから毎日の快適な生活に数万円なら何も惜しくは無いですね。

From:葉山海月
鼻のメンテナンスをする→鼻くそをほじる

From:中山将平
明日5月19日(日)、僕たちは東京流通センターで開催の「文学フリマ東京38」にサークル参加します。
ブース配置は【え68】です。
30分で遊ぶ1人用TRPG『ローグライクハーフ』や、17年作り続けている『ゲームブック』を扱います。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■5/12(日)~5/17(金)の記事一覧
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2024年5月12日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4127

アランツァクリーチャー事典 Vol.5 
・本日は、ローグライクハーフ関連記事アランツァクリーチャー事典の第5回をお届けしました。
今回は『魔法使い』特集!
ネクロマンサー、ホワイトウイッチなどおなじみの面々から、アランツァならではの魔法使いまで!?
どうぞお楽しみ下さいませ。


2024年5月13日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4128

配信予定変更のお話☆
・今日の記事は日曜記事についてです。
配信予定の変更と、来月のシナリオについてご紹介いたします。
大変申し訳ございません。
8月のd33シナリオ「宇宙漂流」は、諸般の事情で延期となりましたm(__)m
かわりに、「巨大樹の迷宮」が大好評な丹野佑先生の作品を予定しております。
過去の100パラグラフゲームブック「戦場の風」。
この作品を「ローグライクハーフ」に翻案(原作を活かして改変すること)してもらえるように、お願いしました。
「廃城の秘宝」に登場したコーデリア王女が15歳のときの冒険です☆
戦場を指揮する初陣のコーデリアが、城塞都市ドラッツェンとの戦争中に敵陣で孤立。
彼女を助けるために、1人の冒険者が戦場へと向かいます。
ゲームブックと比べてどのぐらいの改変度合いになるかは、これから決まっていきます☆
楽しみにしていただけましたらさいわいです!


2024年5月14日(火) 中山将平 FT新聞 No.4129

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第23回 
・中山氏が創作している『カエルの勇者ケロナイツ』(ファンタジー世界に住まうカエル人たちの活躍を描いたオリジナル作品)。
その創作から、学んだことを書きつづります。
今回は「職業」について。
ファンタジーにおける職業というと、真っ先に思い浮かぶのはいわゆる「戦士」や「魔法使い」といった「クラス(役割)」が出てきます。
しかし、もっと「生活に向いたもので、この世界ならではの職業って何だろう!?
いかにも「カエル」人の「カエル」という生態に着目した職業づくりは、逆に「職業」から「世界観」を作り上げようとする方には、絶好の教材です!


2024年5月15日(水) ぜろ FT新聞 No.4130

第2回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第385回をお届けしました。
今回の冒険は、短編集100パラグラフゲームブック集3収録「くさびらの森」(著:杉本=ヨハネ)です。
俺はハーヴェイ。くさびらの森付近の村に住む狩人。
さて、俺は今日も森へと入っていた。
ひょんなことで、うっかり奥まったところに入り込んでしまった。
そしてそんなとき俺は、アリ人に囲まれた女性を助けるのだが……
「くさびらの王妃の命を救ったのです。あなたに褒美を取らせましょう」
そう言い残し、その場を去る不思議な女性。
そんなおり、村はずれに住む老婆カトリーヌが、惨殺される事件発生!
村勇者の俺は、さっそく調査に乗り出す。
なぞのあの人の「森まで会いに来て」という言葉とともに。
そして、出会ったくさびらの王妃の口からは、「私たちはアリ人の群れに襲われ、たくさんの仲間を食われています」
ここで立ち上がらねば勇者にあらずっ! 
しかして彼を待つ冒険は!?


2024年5月16日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4131

『モンセギュール1244』リプレイ〜中世主義研究会編(9) 
・本リプレイは、中世の異端カタリ派を演じるRPG『モンセギュール1244』(フレデリック・J・イェンセン著、岡和田晃訳、ニューゲームズオーダー)のプレイ光景をまとめ直したものです。連載第8回はこちらに採録されています(https://sfwj.fanbox.cc/posts/7794701)。未読の方は、そちらを先にお読みください。
物語は、いよいよ「アクト4:陥落」へ!
「このアクトでカタリ派の信者たちは敗北を悟り、待ち受ける運命に備える。──1244年3月2日」
……モンセギュール城塞の陥落は誰の目にも明らかとなった。ピエール・ロジェは敵と交渉するため、険しい山道を降りていった。包囲を無意味に引き延ばしたいと思う者は誰もなかった。ただ、残された課題は、降伏の条件だった。
ピエール・ロジェは慇懃に迎えられた。彼は、比較的寛大な和平の条件を引き出して戻ってきた。14日間の休戦期間が設けられる。その間、何人たりともモンセギュール城塞を離れてはならない。しかる後、異端の教えを捨てる者は皆、受け入れられるというのである。
約束を違えぬとの保証のため、カタリ派側と十字軍側で、それぞれ捕虜交換が行われる……
その役を受けて立ったのは、アルセンドだった。
エピローグでは主要キャラクターの運命を、殉教か棄教か、夜闇に紛れて逃亡かを選べるのだが、やっぱりそこでひと悶着が!
プレイヤーが巻き起こす人間ドラマ。
とくとご照覧あれ!


2024年5月17日(金) 休刊日 FT新聞 No.4132

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!


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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓


(ジャラル アフサラールさん)
ありそうかな?という職業に「温石売り」、カイロのルーツと呼ばれる温石(暖めた石を布でくるんだもの)はアニメの「薬屋のひとりごと」にも出ていますが、カエル人が寒い場所に行くときには「温石売り」に温石を買うとかありそうな気がします。
ちなみに小生が「温石売り」を見たのが子連れ狼の「温石くずし」という話で拝一刀の依頼人でした。

(お返事:中山将平)
いつもご感想をいただき、ありがとうございます。
温石売り、興味深い職業ですね。
カエル人の創作では実はまだ寒冷地方の設定を詰め切れずにいておりました。
活動する地方によって、とても輝きそうな設定だと感じております。


(ムクロ萬斎さん)
ヨハネ先生こんにちは!
ローグライクハーフめちゃくちゃ楽しんでおります。
自分は小、中学時代にゲームブック全盛期を享受した世代であり、さらにその後の急速な終息期も目の当たりにしております。
それから幾星霜。
FT書房の存在を知り、杉本ヨハネという漢が闘い続けていることに感銘を受けました。
こうして自分はめでたく出戻り組と相成ったわけです。
もちろんFT書房既刊のゲームブックやT&Tのソロアドベンチャーも楽しませていただきました。
ローグライクハーフはまさにゲームブックとTRPGとを掛け合わせたプレイ感覚で、すごろく的な手軽さがありながら、しっかり物語を体験させてくれる離れ業をやってのけている。
また、システムの取り回しの良さとキャラメイクの幅との案配が絶妙で、そこがまさに重すぎず、かといって軽すぎない。
いろいろな意味での"ハーフ"が功を奏した作品なのだなと思っています。
ところで100パラグラフのゲームブックシリーズについて「ナンバリングを重ねるにつれて売り上げが〜」というバックステージの正直な(笑)お話をされていました。
これについて素人の意見ではありますが、ちょっと感じたことをお伝えします。
以前、FT新聞の記事だったと思うのですが「自走するゴブリン要塞に街道巡回士が立ち向かう」という内容の作品があると知り、ぜひやってみたい!と調べてみたところ100パラシリーズの何作目かでした。
つまり"1"ではなかった。
なんとなく第1作から買わないと気持ち悪いような気がして、二の足を踏んでしまいました。
映画なんかのシリーズ物とはわけが違うはずなのに、です。
そしてその後のローグライクハーフのリリースラッシュがあり、にわかFT書房ファンとしては嬉しい悲鳴をあげつつ、過去作全部いずれは制覇してやるぞ云々。
脱線しましたが、恐縮しつつ愚考を申し述べますと、ナンバリングは小さくして表題作のタイトルを大きく打ち出すようなかたちであれば自分が感じた"ナンバリングの醸すバリア的なもの"は払拭されるのかな?と思った次第です。
いろいろご苦労はおありかと思いますが、今後とも文芸ゲーム道を切り拓いて私たちをお導きくだされ!
応援しています!

(お返事:杉本=ヨハネ)
こんにちは、おたよりありがとうございます!
ナンバリングのお話、本当にあると思います☆

時間のあるタイミングでご感想をいただいたときには「する」と決めていることなので、ちょろりと内幕をお話ししますね。
100パラ集のシリーズの第1巻、より正確に言うなら「龍の王女と大釜の魔女」には、他の作品の3倍ぐらいの制作時間をかけています。
100パラ集に興味を持ってくださった方に対しては、第1巻をオススメして、確実に満足してもらいたいという戦略をとっているからなんですね。
つまり、ナンバリングには第1巻への動線という目的が存在するわけです。
ただ、ムクロ萬斎さんがおっしゃるとおりで、「この作品に興味がある」という場合、たとえば「自宅の本棚にシリーズの第2巻だけある状態」が生まれてしまう。
ゲームブックファンにはコレクター気質の方が多いですし、この状態が落ち着かないという感覚が、「なんとなく……買わない」の部分の正体なのじゃないかと、仮説を立ててみました。
そう考えてみると、ムクロ萬斎さんが言われることが、自分の視野からみた「死角」にあるものとして、しっくりくる感覚をともなって入ってきます。

>ナンバリングは小さくして表題作のタイトルを大きく打ち出す

これが「正解」ですね!
バシッと決まるなと感じます、ありがとうございます☆

お褒めの言葉も、ありがとうございます。
楽しんでいただけていることが嬉しいですし、買っていただけていることが会社へのパワーになります☆
「ローグライクハーフ」はルールが多くないので、世界観や場面のおもしろさをゲーム内に詰めこむことに専念できて、とてもいいです。
たくさんの〈できごと〉を書けるぶん、アイディアをガンガン必要としますね。
シナリオごとに40種類以上の〈できごと〉があるわけですから、当然ですね。
でも、どのみち今世では使いきれないぐらい大量のアイディアが溜まっていたので、そういう面で「ローグライクハーフ」の制作は自分向きだと感じます。
相棒のしおんねこさんにも、ひたすら助けられております☆

これからもバリバリいきます!
楽しんでくださいね!!


追伸:お探しだった作品は第2巻に収録されております。
タイトルは「ゴブリン要塞を止めろ!」です。
書籍版ではFT新聞での配信時から40パラグラフぐらい増えていて、要塞本体との最終決戦までが描かれております(宣伝)☆


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2024年5月16日木曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜中世主義研究会編(9) FT新聞 No.4131

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『モンセギュール1244』リプレイ〜中世主義研究会編(9)

 岡和田晃

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 本リプレイは、中世の異端カタリ派を演じるRPG『モンセギュール1244』(フレデリック・J・イェンセン著、岡和田晃訳、ニューゲームズオーダー)のプレイ光景をまとめ直したものです。連載第8回はこちらに採録されています(https://sfwj.fanbox.cc/posts/7794701)。未読の方は、そちらを先にお読みください。

■「アクト4:陥落」の開始

岡和田:それでは、いよいよアクト4ですね。これは松本さん、背景文を読んでいただければと思います。
フィリッパ(松本):わかりました。「このアクトでカタリ派の信者たちは敗北を悟り、待ち受ける運命に備える。──1244年3月2日」

 モンセギュール城塞の陥落は誰の目にも明らかとなった。ピエール・ロジェは敵と交渉するため、険しい山道を降りていった。包囲を無意味に引き延ばしたいと思う者は誰もなかった。ただ、残された課題は、降伏の条件だった。
 ピエール・ロジェは慇懃に迎えられた。彼は、比較的寛大な和平の条件を引き出して戻ってきた。14日間の休戦期間が設けられる。その間、何人たりともモンセギュール城塞を離れてはならない。しかる後、異端の教えを捨てる者は皆、受け入れられるというのである。
 約束を違えぬとの保証のため、カタリ派側と十字軍側で、それぞれ捕虜交換が行われる。

フィリッパ(松本):ここで、「フィリッパのプレイヤーは、支援キャラクターから1人、捕虜を選択すること」という指示がありますね。誰がいいでしょうか?
アルセンド(健部):「私が志願するわ。ここにいても焼かれちゃうからね」
フィリッパ(松本):「本当にいいの、アルセンド? あなた、荒くれどものオモチャにされるかもしれないのよ」
アルセンド(健部):「慣れたものだから、大丈夫。それより、ファイユとアミエルを頼むわ」
フィリッパ(松本):「──わかった。あの子たちのことは心配しないで」と、フィリッパはアルセンドに捕虜を任せることに決めます。「あなたのことは、ずっと忘れない」と、強くアルセンドの手を握ります。
岡和田:いい場面ですね。それでは、背景文の続きをどうぞ。
フィリッパ(松本):「休戦の間、完徳者は、儀式を執り行う。夥しい数の信者たちが、救慰礼を授けられ、完徳者に従って死ぬことを選ぶ。死を覚悟した者は、友や家族と別れ、この世につながるものをすべて断ち切る。戦いに破れたカタリ派たちは、待ち受ける運命を直視せざるをえなくなる……」
岡和田:ありがとうございます。ルールに指示はありませんが、「救慰礼」の背景シートが残っているので、大貫さん、読んでくださいませ。

■背景シート:救慰礼(コンソラメンテ)

ベルトラン(大貫):わかりました。「救慰礼(コンソラメンテ)の儀式は2つの場合において執り行われる。完徳者(男性はペルフェッチ、女性はペルフェッチャ)に叙任されるときと、死にゆく人々を清めるときである。いずれの場合においても、儀式は同様の手順で繰り広げられる」と。あとは手順の列挙ですが、以下のような具合ですね。

・救慰礼を受礼するものは、完徳者の前に跪拝する。完徳者は受礼者に名を尋ね、完徳者としての魂のありかたを説明し、そうすることで、受礼者は神の子として受け入れられる。
・受礼者はカトリック教会とその十字架、洗礼をはじめとした神秘的な儀式の放棄を宣誓する。
・完徳者の義務が読み上げられる。罪人を赦すこと。敵を愛すること。片方の頬を打たれたら、もう片方の頬を差し出すこと。人を裁いたり、非難したりしないこと。受礼者はこれらに従うかどうかを訊ねられる。受礼者は「私は義務を胸に刻み、これに従います。神に力を与え賜えと祈りを捧げます」と答える。
・受礼者は罪を告白し、赦免が与えられる。
・受礼者の頭に福音が授けられる。完徳者は、「偉大なる父よ、汝のしもべを王国に受け入れ、汝の恩寵と清らかな魂を授け賜え」と述べる。
・『ヨハネによる福音書』の第1章第1節から、第1章第17節までを読み上げる。
・受礼者は聖なる糸で織られた帯を締めます。
・救慰礼を授けた完徳者は、新たな完徳者に平和の接吻をします。
・アクト4で、殉教を選んだキャラクターには、救慰礼が授けられます。

──と。ゲームなのになかなか本格的に手順が決まっていて、なるほどと思わせられます。

■そろそろ最後の決断が見えてきた……!?

岡和田:ありがとうございました。アクト4はプレイヤーの人数ぶん、6シーンあります。プレイヤーはそれぞれ、休戦のあいだ、シーンをセッティングすることになりますが、もうストーリーカードを引くことはできません。シーンカードを引いたり、それを使ってシーンを奪取したりできるのはこのアクトが最後になります。
ベルトラン(大貫):ストーリーカードを使うことはできるんですか?
岡和田:はい。使用は問題ありません。他のアクトと同じく、2枚までですね。では、白幡さん、シーンのセッティングお願いします。
健部:その前に質問なんですが、エピローグでは主要キャラクターの運命を、殉教か棄教か、夜闇に紛れて逃亡かを選ぶとありますが、そうなると支援キャラクターについてはどうすればいいんですか?
岡和田:特に決まっていないので、無理に選ぶ必要はないのですが、支援キャラクターについても選ぶと盛り上がるでしょうね。ただ、主要キャラクターはエピローグまでの生存が確定していますが、支援キャラクターは話の流れで死んでしまうこともあるわけです。死んでしまったほうがよいような場合もある、というのが正確でしょうが(笑)。
小宮:なるほど……。
健部:ルールパートでは、主要キャラで夜闇に紛れて逃亡できるのは1人だけとありますが、支援キャラは複数逃亡してもいいんですか?
岡和田:おお、ベテランらしい解釈が(笑)。できるといえばできるんじゃないでしょうか。ただ、とにかく生き残らせるよりは、『深淵』じゃないですけど「美しく滅ぶもまたよし」という考え方もありますよね。実際、エピローグの背景文には、「夜闇に紛れて逃亡するキャラクターは最大で1人である」とありますから、1人しか逃れられないとも読めますね。
健部:ええ、わかります。
岡和田:このあたりは、最終的にはプレイグループの同意が取れる解釈を選ぶべきでしょうが……。史実では、焼かれることを選ぶ人が圧倒的なんですよね。もちろん、必ずしも史実に従う必要はないわけなんですけど。
健部:松本さん、フィリッパとファイユでは、どちらが主要キャラなんでしたっけ?
松本:ファイユだったと思います。
健部:了解です!
岡和田:おお、何か面白いことを企んでおいでですね……。
健部:いえ。ファイユには聖杯を持たせるわけですから、ファイユは逃亡ルートで確定だと思っただけですよ(笑)。
岡和田:別に聖杯を、十字軍に見つからないよう埋めたりしてもいいわけじゃないですか(笑)。
ファイユ(松本):誰かに託してでもいいわけですしね。
コルバ(岡和田):とはいえ、私はファイユが聖杯を持つことには賛成なんですよ。

■すれ違う想い

ガルニエ(白幡):では、こちらがシーンをセッティングします。休戦帰還に何をするかというシーンなんですよね? シーンカードは、「積雪が呼び声をかき消す」にしましょう。ガルニエはレーモンの家を訪ねます。エスクラルモンド、フィリッパ、コルバの前が揃っているところに、「エスクラルモンドをオレと一緒に脱出させろ」と説得に来た、と。
エスクラルモンド(小宮):なるほど〜。
ガルニエ(白幡):「ここにいたら燃やされて死ぬだけだ。しかし、思い出してほしい。エスクラルモンド、お前の家は領主の一族だ。だから、最低1人は生き残るべきではないかね。オレなら、エスクラルモンドを無事に脱出させてやれる」
エスクラルモンド(小宮):でも、エスクラルモンドとしては脱出したくないんですよ(笑)。完徳者のセシル様に憧れて同じ髪型にしているくらいですから。なんか、いい話を言ったりもしたらしいけど、私はその場にいなかったんですよね。だから「なぜ逃げなきゃいけないのかわからない……」
ガルニエ(白幡):ぐぬぬ。ここはコルバに説得するよう頼みます。
フィリッパ(松本):「一族で1人というなら、私が生んだこの赤ちゃんでもいいじゃないの。その方が連れて逃げやすいでしょ」……まあ、父レーモンとの近親相姦の子どもではあるんですが。
コルバ(岡和田):「エスクラルモンド、あなたは救慰礼を受けるんでしょう?」
エスクラルモンド(小宮):「受けますわよ、もちろん! 清らかな身体になって死ねるなんて、なんて幸せなことなんでしょう!」
コルバ(岡和田):「だったら、一緒に逃げなくてもいいんじゃないかしら」
一同:説得してない〜!(笑)
コルバ(岡和田):「代わりに、私なんてどう?」
ガルニエ(白幡):「この家から1人でも救えるなら、オレは誰だってかまわないよと、コルバで連れ出しましょう」
フィリッパ(松本):コルバは領主の家系じゃないのに、いいのかしら(笑)。フィリッパは赤ちゃんが大事なんです。
コルバ(岡和田):コルバが赤ちゃんを連れて行ってもいいんですよ(笑)。
ガルニエ(白幡):フィリッパ的にはどうなんですか?
フィリッパ(松本):コルバ1人じゃなくて、子どもはせめて連れて逃げてほしいと思っているんです。
ガルニエ(白幡):では、ガルニエは頷いて、コルバと赤子を連れていきます。
コルバ(岡和田):でも、コルバは虎視眈々と、その赤子を手にかける機会を狙っていますよ(笑)。
一同:なんで〜!?(笑)。
コルバ(岡和田):うーん、だんだんコルバが悪い奴になってきましたね……(←完全に自分のせいである)。

■雪原へ

ベルナール(健部):シーンを奪取して乱入します。「オレはこの城塞と運命をともにするつもりだが、全員がそうなる必要はない。悪いこと言わないから、生命が惜しい奴は棄教しろ。そうすれば助けてくれるって。連中は言ってるぞ」
ガルニエ(白幡):では、ガルニエはそれを聞いて、エスクラルモンドにもう一度だけ訊ねます。「信仰を捨てて、助かる気はないのか?」
エスクラルモンド(小宮):「ないわ。セシル様と一緒に死ねるなんて、こんな幸せありませんもの」
ガルニエ(白幡):これは……アカン(笑)。
エスクラルモンド(小宮):本当に、ガルニエはなんでこんな娘に惚れたんでしょう(笑)。エスクラルモンドはもう死ぬ気でいますから、「逃げる? なんで? 意味がわからない」と思ってます。
フィリッパ(松本):「私は自分とこの子(赤子)が助かるのが大事だから、棄教するわ」……この流れだとそうなるでしょうね。棄教したら赤ちゃんは助けてもらえるんですよね?
健部:一応は、カトリックの側に組み込まれるわけですからね。孤児救済の対象になったりすることはあるのでは?
岡和田:それなりに嫌な思いはするかもしれないけど、親が赤ちゃんも改宗させると言えば、すぐに殺されることはないと思います。
フィリッパ(松本):では、フィリッパはきっぱり教えを捨てます。
コルバ(岡和田):一方、コルバはガルニエの食事に媚薬を盛ろうとして……(笑)。
一同:なんで〜!?(爆笑)
エスクラルモンド(小宮):コルバは出番が少ないのに、やることがいちいちエゲツナイ(笑)。
ガルニエ(白幡):では、城には必ず抜け道があるので、ガルニエとコルバは積雪に覆われた雪原の方へ足を踏み出す、というところでシーンエンドです。コルバの別れの声が、積雪に消えていきました。
松本:(感心して)おお〜。
健部:でも、ガルニエが逃げると、ファイユが逃げられなくなるかもしれない。
ガルニエ(白幡):大丈夫です。ガルニエは途中で死なせるつもりですから(笑)。
一同:爆弾発言!(爆笑)
岡和田:まあ、そうは言ってもどうなるか、最終決定はまだ先でかまいませんよ。
一同:ふう、一安心です(笑)。

(続く)


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2024年5月15日水曜日

第2回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4130

第2回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【くさびらの森】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


はじまりました「くさびらの森」の冒険!
くさびらの王妃の魅力のとりこになった主人公。
村の老婆の惨殺事件を機にアリ人の脅威を排除するため、くさびらの森へと踏み込みます。
でもその頭の中は、くさびらの王妃のことでいっぱい。こんな調子で大丈夫か?
最弱ステイタス、ハーヴェイの冒険は、まだ始まったばかり!

【ハーヴェイ 技術点7/7 体力点14/14 運点7/7】
【持ち物】
・ものを入れる袋
・剣
・弓矢
・金貨10枚
・食料2


●アタック01-2 くさびらの森の伝承

俺はくさびらの森へと足を踏み入れた。
普段から通ることもある外縁部あたりはどうということはない。
次第に人が入ることのない奥地へと踏み込んでゆく。

森の奥地へ入る村人はいない。
村には森についての様々な言い伝えがある。
それらはいずれも、森へ入るなと警告を与えるものばかりだからだ。

いわく、巨大な昆虫が住まい、人を食らう。
……アリ人のことだな。

いわく、心をくさびらの精に奪われ、二度と戻れない。
……あー、返す言葉もないな。

いわく、くさびらの森には妖精が漂う。
ふうん、妖精か。

ふと、目の前に気配。
目の前に巨大なきのこが。その上に、羽根の生えた少女が座っている。
妖精だ。

森の伝承、たちまちコンプリートw

そんなことより対応どうするよ。
こっちも戸惑っているが、むこうも相当警戒しているようだ。
こちらが観察しているのと同様に、観察されているに違いない。

・明るく話しかける
・おとなしく通過する
・目を伏せて少女の前に立つ

まず、ここでの対応の目的をはっきりさせよう。
俺は、可能ならば妖精とコンタクトを取りたい。
だから、黙って通過はなしだ。

そうなると、明るく話しかけるか、目を伏せて留まるか、だ。
警戒心の強い妖精に、強い態度で接するのは得策ではない。
俺は、目を伏せたままその場に留まることにした。
目と目を合わせることは、それだけで強力なコンタクトを示すことにもなりかねないからだ。
特に俺みたいに、眼力でアリ人を撤退させちゃうような村勇者ではな。(ドヤ顔)

すると、妖精の方から俺に寄ってきた。
まわりを飛び回り、においを嗅ぎまわる。犬か。
妖精は、なにかのにおいに特に反応しているようだ。
それはなにか。俺は思い当たった。
くさびらの王妃が俺の体にふりかけた、あのキラキラだ。きのこの胞子みたいなやつだ。
俺の外套にはたっぷり付着している。あれに反応しているのだ。

そのにおいに、妖精はなんらかの意味を見出したのだろう。
俺に、ふっと息を吹きかけてきた。
それが何を意味しているのか、俺にはわからないが「妖精の息」とメモしておくよう指示が入る。
妖精の祝福をもらった、みたいな理解をしておけばいいのかもしれない。

くさびらの王妃は俺に「褒美をあげましょう」と言っていた。
妖精に懐かれてしまう効果のある、俺の体に付着した胞子が、褒美だったのか。
俺はようやく理解した。人間と文化的背景が違いすぎてわからんわ!w


●アタック01-3 くさびらの森の王妃

やがて日が暮れた。森が暗くなるのは早い。
野営の準備をしていると、なんか出た。

えっと……、きのこ?

ヤコウタケってきのこに照らされて、道のようなものが形作られている。
これではまるで、俺を案内しているみたいだ。

さらにイヌセンボンダケってきのこにそっくりの生き物が、ひょこひょこ歩いている。

・襲いかかる
・話しかける
・やり過ごす

イヌセンボンダケを検索してみたが、悪いきのこではなさそうだ。
自分で言っといてなんだが、悪いきのこってなんだ。
毒きのこのことかな?
素行が悪いきのこってのは、さすがに検索では出てこないからなぁ。

俺は外村生まれ狩人育ち、森のきのこはだいたい友だち。

話しかけよう。
俺はきのこの敵じゃない。ていうかきのこの、いや、くさびらの王妃に会いたい。
なぜなら、王妃に「会いに来て」なんて言われて、すっかり心を奪われたから。
森の深くに入る機会なんてないと思ってた。けど、こうして機会を得た。
だったら、会いたい。

もちろん、使命をおろそかにするつもりなんてない。
くさびらの王妃はアリ人に襲われていた。アリ人は少なくとも共通の敵のはず。
情報や、なんらかの協力関係を築ける可能性はあるぞ。

王妃に会いたいという俺を、イヌセンボンダケらはくんくんと嗅ぎまわる。
名前の由来に犬は関係ないはずだが、その動作だけ犬っぽい。
さっきの妖精もそうだが、俺、森に入ってから嗅がれっぱなしだ。

そしてたぶんくさびらの王妃の胞子のにおいを嗅ぎ分けたのだろう。
俺はくさびらの王妃のもとに案内された。

そこは、キヌガサタケに囲まれた広場だった。
キヌガサタケは、白いひらひらのついたきのこだ。
きのこの女王とも言われ、その姿はまるでドレスを身にまとっているよう。
くさびらの王妃は、巨大なキヌガサタケの玉座に座っていた。
イラストがある。もしかしたら、王妃はキヌガサタケの精なのかもしれない。

王妃に再会し、俺の心は喜びに打ち震えた。
王妃はゆっくりと口を開いた。

「私たちはアリ人の群れに襲われ、たくさんの仲間を食われています」

森の外にある人間の村にまで被害が出始めているんだ。
森の中に住むきのこたちにとって、アリ人の脅威はどれほどのものだろう。
王妃にすっかりぞっこんな俺は、心底、この人の力になりたいと思った。

これは、この作品の特徴的な部分だ。
ゲームブックをプレイしていて、作中の主人公と、プレイヤーとの間で意思の疎通が取れないことはよくある。
だが、この作品の主人公はそんなレベルを軽々と飛び越え、くさびらの王妃に深い恋心を抱いてしまっているのだ。
それも、スタート前からである。
たしかに主人公とプレイヤーは完全に同一ではないが、これはわりと珍しいことなのではないかと思う。

「俺は、あなたの力になれるだろうか」

この人の手助けをしたい。俺はそう思った。
王妃は言った。

「ゾンビアリと女王アリが、私たちを滅ぼそうとしています」

女王アリはわかるけれど、ゾンビアリ?
森の中で、バイオハザード的なゾンビパニック映画が展開されているのか?
ゾンビアリがゾンビ映画ばりに感染するやつだったら、それはアリ人にとっても感染拡大して、アリ人存亡の危機に陥っているんじゃなかろうか。

だが、そんなアリ人の事情など俺たち人間やきのこたちには関係ない。
くさびらの女王は俺に手を伸ばす。

俺は、さながら忠誠を誓う騎士のように、王妃の前にかしずくと、その手を取り、手の甲に口づけを……口づけを……むぐっむぐぐっ!!

王妃は俺の口に、その手をねじこんできた。
それは、口づけなどという生易しいものでは断じてない。
なにがなんでも俺の口をこじあけようという強い意志を感じる。

・王妃の手を取り直し、そっと口づけする
・王妃の手に噛みつく

そんなに俺の口に入りたいのなら、お望み通りにしてやるよ!
俺は王妃の手を口の中に導いた。
とたんにひろがる芳醇なきのこの味と風味。
恋焦がれ忠誠を誓った相手の手を口の中で味わうとか、どういうシチュエーションだよ!
トリップしちゃうよ! 変な性癖に目覚めそうだよ!

……ごちそうさまでした。

その瞬間、俺の全身にきのこの力が行き渡るのを感じた。
きのこパワーでパワーアップ! 効果音とともに体のサイズが2倍に!……は、ならなかった。
なられても困る。

俺が手に入れたのは、くさびらの英知だ。
きのこを見ると、それがどんなきのこなのかが瞬時にわかる。そんな力。
きのこ愛、いやきのこアイとでも名付けようか。

きのこを識別する力か。これは素晴らしい力を手に入れた。
この先の冒険で役に立つかどうかはいまいちよくわからないけれど、日常生活では毒きのこと食用きのこの識別に大いに役立ちそうだ。

俺がきのこパワーを手に入れたのを見届けると、王妃は口を開いた。

「くさびらの王に会ってください」

くさびらの王。

王かぁ。

そうだよな。くさびらの王妃に勝手に恋焦がれているけれど、王妃なんだから、当然王はいるわけで。
俺、横恋慕もいいところだ。

考えてみたら、俺は王妃の名前すら知らない。
きのこアイのおかげで、王妃はアミガサタケの精ということはわかったけれど。

そうなのだ。きのこの王妃は、きのこの女王とも言われるキヌガサタケの精と思っていたら、勘違いだった。
アミガサタケの精だった。
キヌガサタケが白いドレスのようなひらひらをまとっているのに対し、アミガサタケはきのこの笠の部分が編み笠のような不思議な形状をしている。
そちらはそちらでファッションセンスにあふれているきのこだ。

だが、王の存在を知っても俺の気持ちは萎えなかった。
恋、崇拝、忠誠。さまざまな感情が俺の中を駆け巡っていたのだ。

王妃は、これから森を旅する俺に助言をくれた。

くさびらの王は川を越えた向こうにいる。
しかし渡る手段は魔法かなにかの力で隠されている。
花の精を探しなさい、と。花の精は幻を打ち破る力を持つという。

これでこの冒険は、やみくもにアリ人を探して倒すだけのものではなくなった。
俺は後ろ髪を引かれながら王妃と別れるのだった。


●アタック01-4 くさびらの森の剣士

さあ冒険の再開だ。
くさびらの王妃に会う直前に野営の準備をしていたはずだが、なぜかそのまま再開した。気にしない。
きっと野営の場所まで戻って一泊でもしたんだろう。きっとそうだ。

やがて次の出会いが待っていた。
声、そして剣撃の音。

女剣士だ。
2匹のアリ人から追撃を受け、戦いながら撤退している。

「誰かいないか! 我に助力を! 私は鋼剣のリュカ。ナリクの誇り高き剣士だ!!」

高名な剣士らしい名乗りだが、村から出ない俺は知らない。
助けるか、アリ人との戦いを避けるかの選択だ。

俺は弱い。

冒険をはじめる前のアナウンスにもあった。
「この冒険では、不要な戦いを避けたり、戦いに至っても積極的に逃げたりすることがもっとも有効な手段であることがあります」と。

けどね、こんな場面で剣士を見捨てられるような無慈悲さは持ち合わせていないんでね。
俺は迷うことなく、リュカを助けるほうを選んだ。

アリ人はシールドアント。
頭部に盾のような機構がついている。
これが鋼剣をはじき、リュカは苦戦していたのだ。

シールドアント 技術点7 体力点5

「こっちだ!」

アリ人の注意を引く。そして接近戦に入る前に矢を射る。
サイコロを2個振り出目は7。これが技術点7以下であれば命中。つまり命中だ。
与えるダメージはサイコロ1個分。出目は5。つまり一撃だ。俺すごい。

一発必中! シュトルムカイザー!!

リュカは名のある剣士。敵が1体になれば、もう問題なかった。
リュカは反撃に転じ、俺がその場にかけつける頃には、戦いは終わっていた。

俺たちはその場で休憩し、食事を取りながらお互いの境遇を話し合った。
リュカはこの森に隠とんした古い友人を訪ねて来たとのことだ。
俺の方の事情を知るとリュカは、自分が通ってきた道について話してくれた。
それによると、ここから北北東の方向に進むと川があり、そこから東へ行くと煙の上がる小屋があったとのことだ。
リュカ自身はこの森に不慣れで情報はないが、小屋に住んでいるであろう森の住民なら、アリ人のことについてなにか知っていてもおかしくはない。

さあ、そろそろ出発だ。
ここで選択肢が出る。

・小屋に向かってみる
・リュカと離れたくない

これは……。
俺の中に、以前プレイした頃の記憶がよみがえる。

うすぼんやりと!

小屋にいたのはドワーフかコビットだったような……気がする。
協力的だった……はずだ。
でもそれとは別に、リュカと一緒に誰かのところを訪ねたような、そんな覚えもある。
それも重要なイベントだった……たぶん!

俺の記憶力の薄さが留まるところを知らない。
けどつまり、小屋に向かうのと、リュカと一緒に行くのは、両立できそう!

……できる! できるさきっと!

となれば、どちらを選択するかは自明の理だ。
リュカと別れたら、それっきりだ。だから俺は、リュカと行動をともにすることを選ぶぜ。

リュカ、君と離れたくない!

リュカは言った。

「気が進まないな」

次回、このままではリュカに振られてしまう?! ハーヴェイはどこまで食い下がれるか?

【ハーヴェイ 技術点7/7 体力点14/14 運点7/7】
【持ち物】
・ものを入れる袋
・剣
・弓矢
・金貨10枚
・食料2
・シールドアントの頭

■登場人物
ハーヴェイ 主人公。むらゆうしゃだがアストロンは使えない。うちゅうヒーローへの道は遠い。
くさびらの王妃 アミガサタケの精。アリ人の猛威を憂いている。
カトリーヌ 村はずれに住む老婆。凶暴化したアリ人の犠牲に。
鋼剣のリュカ ナリクの誇り高き剣士。森に隠とんする古い友人を訪ねにきた。

■作品情報
作品名:くさびらの森
著者:杉村=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
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100パラグラフゲームブック集3に収録されています。

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2024年5月14日火曜日

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第23回 FT新聞 No.4129

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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第23回
「職業」
(中山将平)
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 おはようございます。イラストレーターの中山将平です。
 カエル人の創作をしている際、「特に楽しい部分」というのがいくつかあることに気づいていました。
 今日お伝えする「職業」に関する話は、まさにそれです。
 この創作がどのように楽しいものなのかということをお伝えしたいと思います。
 ファンタジーを作る際や楽しまれる際に役立つ記事に出来たら幸いです。
 
 この記事には「カエル人の住まう世界:フログワルド」を創作する上で考えた「灰汁の強い」アイデアが一部含まれています。
 カエル人の創作自身に焦点をあてる意図はありませんが、具体例としてお楽しみいただけましたら。
  
 まずはファンタジー世界における「職業」全般のお話から始めましょう。

◆ クラスについて
 ファンタジーにおける職業というと、真っ先に思い浮かぶのはいわゆる「戦士」や「魔法使い」といった「クラス(役割)」ではないでしょうか。
 そのお話だと思われた方には申し訳ありませんが、実は今日はこれらを扱う気がありません。
 創作するうち、これらは「戦闘」というひとつの方法に向いたものだと感じるようになったからです。
 僕のカエル人の創作では「ケロナイツ」という名前でくくっていますが、一般的には「冒険者」や、もっと言うと「傭兵」に近い概念なのだと思います。
 つまり僕の中でこれらの職種は現実世界にも該当する(近しいと感じられる)ものがある「ひとくくりに出来そうな」概念なのです。
 
 一方で、今日話題にしたいのは「くくれない方」の職業です。
 ファンタジー世界に「存在するであろうと想像できる」、現実世界には存在しない職種。
 戦いの方を向いたものではなく、基本的には生活の方を向いたもの。

◆ 創作の目的
 こうお話すると、きっと「なぜそんな創作をする必要があるのだ?」と思われることでしょう。
 そう、実はそれがこの記事で一番お伝えしたいことなのだと思っています。
 通常、ゲームや小説などのコンテンツの中でまず中心となるのは主人公とその周囲ではないでしょうか。
 ファンタジーというジャンルにもすさまじい多様性があるとはいえ、やはり一番多く目にするのは戦闘のある冒険ものという気がしています。
 ファンタジー世界自体がそういう物語が描きやすいように危険に満ちたものとして作られているとさえ思えます。
 
 その中で、戦闘と関係のない職業を特別に創作する意味とは何か。

 それはきっとこの記事を読まれている方にとって想像に難くないでしょう。
 「真の意味で世界に息を吹き込むため」です。

 創作には様々な目的があることと思っています。
 例えば、それは「面白い物語を作り、人と共有するため」だったりします。
 それは素晴らしいことですが、僕の真の目的とは少し距離があることもまた、感じているのです。
 僕にとっての目的は、実際「その世界を具体的なものとして作り上げること」にあります。 
 「物語を作るために世界を創作をする」という目的とは逆転しているため、これはある意味商業主義的な考え方とも矛盾するものだと感じています。
 だからこそ、きっと楽しいんだろうなぁということも感じていただけるかと。

◆ カエル人の職業
 では、少しだけ具体的にこの「職業」ってどんなものか見ていこうと思います。
 実際は8つとか考えたのですが、今回はその中から2つだけ具体例としてご紹介を。
 僕のカエル人の創作では、現実世界に存在しないもののいかにもフログワルドにありそうなものを特に想定して作っていました。

 例えば、カエル人の集落に「カビ取り屋」という職業を作りました。
 カエル人を脅かす恐怖の病「ツボカビ病」を予防するため、定期的に体をこすってきれいにしてくれるエキスパートです。  
 カエル人がいかにも恐れそうなもの(カビ)を想像し、そこから肉付けしていった設定です。
 
 この職業は人間でいうところの散髪屋に近く、多くの場合情報屋としても機能することとしました。
 カエル人のTRPGを遊ぶと、酒場以外の情報収集の場所としてこれが登場します。

 別の例として、「肌保湿油商人」という職業も作りました。
 肌が乾燥すると皮膚呼吸ができなくなってしまうカエル人たちのために、保湿用の油を扱う仕事です。
 油の種類や成分、香りなどには様々な好みがあるため、専門家として多様な商品を取り揃えていると設定しました。

 冒険の中で珍しい油が手に入ると、この職業の者がその価値を認めてくれるというギミックです。
 この「油」というものがカエル人にとってひとつのファッションなのだという点も、想像していて楽しいポイントです。
 
 お分かりいただけるでしょうか。
 「楽しんで世界に息を吹き込み、カエル人の集落の様子をこの目に浮かべたい」それが僕の創作の目的であり原動力なのです。

◆ まとめ
 今日は職業から創作の目的の話題までとりとめもなく思っていることを書いてみました。
 それぞれの方の目的に沿って楽しめることをしていくというのが、とても素敵なことだと感じています。

 では、今日はそろそろこのあたりで。
 よきファンタジー・ライフを。


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2024年5月13日月曜日

配信予定変更のお話☆ FT新聞 No.4128

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
今日の記事は日曜記事についてです。
配信予定の変更と、来月のシナリオについてご紹介いたします☆


◆8月に登場する作品の変更☆
「SFローグライクハーフ」を楽しみにされている方、申し訳ありません!
8月のd33シナリオ「宇宙漂流」は延期となりましたm(__)m
理由はいくつかあるのですが、ひとつは「思ったよりも大きな作品になってしまいそう」だからです。
d33シナリオにおさめるには、宇宙が広すぎたのです★
SF作品は配信しても刊行(書籍化)のメドは立たないと思うので、何作品も出すことはなさそうなので……1つの作品でやりたいことをキッチリとやりきりたい。
そんな思いがあるからかもしれません。

この作品をどうするか、そもそも完成に至れるのかは考える必要がありますが、今日の記事で言いたいことは別にあります。

「じゃあ、8月のd33シナリオはどうなるの?」

D33シナリオを普段書いてくれるロア・スペイダーはいま、家業である金魚屋の仕事に専念しております。


◆『巨大樹の迷宮』が好調!!
FT書房で現在作品を書いている者は、実はわりといます。
杉本=ヨハネ、ロア・スペイダーに加えて丹野佑、水波流。
ふだんはイラストレーターの中山将平も、たまに作品を書きます。

さて、そんな書き手たちの1人である丹野佑が書いた「巨大樹の迷宮」が好評です!
先月(2024年4月)にFT書房から刊行されたばかりですが、ぐいぐいと売れています。
同時に発売された『女王の肉』と同じか、やや上ぐらいに……☆
売れた人が出たら、続編を依頼するのが世の常です。


◆「戦場の風」の話。
話が急に飛ぶのですが、FT書房から「100パラグラフゲームブック集」というシリーズを出しています。
項目数が100前後のゲームブックを3作品収録した作品集で、現在第5巻まで刊行している好評のシリーズです。
しかし、この手のシリーズは、番号が進むほど売り上げが少しずつ下がっていくものでして。
第6巻を出すのは、ちょっと厳しいかなという状況になりつつあります。

さて、このシリーズには1巻に1作品ずつ、過去に書かれた100パラグラフのゲームブックが収録されていました。
第6巻にもそれは収録される予定で、そのタイトルは過去に丹野佑が書いた「戦場の風」だったのです。


◆コンバート、ってコト!?
載せられなかった作品、好調な作家、ポッカリとできた穴。
それらが導き出す答えはひとつ……丹野佑にd33シナリオを書いてもらいましょう!

完全な新作を書いてもらうことも、もちろんできます。
しかし、私は丹野が書いた「戦場の風」が大好きでした。
この作品を「ローグライクハーフ」に翻案(原作を活かして改変すること)してもらえるように、お願いしました。
「廃城の秘宝」に登場したコーデリア王女が15歳のときの冒険です☆
戦場を指揮する初陣のコーデリアが、城塞都市ドラッツェンとの戦争中に敵陣で孤立。
彼女を助けるために、1人の冒険者が戦場へと向かいます。
ゲームブックと比べてどのぐらいの改変度合いになるかは、これから決まっていきます☆
楽しみにしていただけましたらさいわいです!


長くなってきましたので、今日はこのあたりで。
それではまた!













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2024年5月12日日曜日

アランツァクリーチャー事典 Vol.5 FT新聞 No.4127

おはようございます。
FT新聞編集長の水波流です。

本日は日曜日。ローグライクハーフ関連記事をお送りいたします。
杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第5回です。
どうぞお楽しみ下さいませ。

アランツァクリーチャー事典『魔法使い』
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2024年5月11日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第587号 FT新聞 No.4126

From:水波流
5月1日発売『トーキングヘッズ叢書 No.98』〈骨と心臓〉特集にて
特撮の魔術師ハリーハウゼンによるエポックメイキングな映画作品『アルゴ探検隊の大冒険』を題材に、ファンタジーと骸骨についての考察を寄稿。
また新刊レビューにて『ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル完全版』および『九井諒子ラクガキ本 デイドリーム・アワー』も書かせて頂きました。
どちらもファンタジーファンには見逃せない作品です。ぜひ書店や通販にてお求め下さい。
https://athird.cart.fc2.com/ca1/407/p-r1-s/

From:葉山海月
「早起きは三文の得」ともうします。
三文っつったら、だいたい100円ぐらいでしょうか?
幼少のみぎり「早起きしても、それくらいしか価値がないの?」と思っていましたら、どうやら本当のこのことわざの意味、そんなネガティブなものだったらしいです……。
ただ、今となっては、早起きは値千金、だとつくづく。

From:中山将平
僕ら、明日5月12日(日)「関西コミティア70」にサークル参加します。
開催地はインテックス大阪。ブース配置は【A33】です。
僕も現地に行きますので、ぜひ遊びに来ていただけましたら。
ローグライクハーフの最新作『女王の肉』と『巨大樹の迷宮』も多めに持っていく予定です!


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■5/5(日)~5/10(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


2024年5月5日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4120

「廃城の秘宝」ローグライクハーフd66シナリオ 
・本日は、「ローグライクハーフ」の最新d66シナリオ「廃城の秘宝」の配信です!!
拠点はアランツァの神聖都市ロング・ナリク。
舞台は危険な食人植物のはびこるかづら森に支配されたナリクの王城。
難易度は易、ごく遊びやすい冒険です。
特に、初めての方。レッツプレイ!


2024年5月6日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4121

「廃城の秘宝」ってどんな作品? 
・昨日配信されたばかりの「ローグライクハーフ」のd66シナリオ『廃城の秘宝』
本日は、その魅力を解説!
より遊びやすく、そして原点回帰という創作の目標から、本作を語ります。


2024年5月7日(火) かなでひびき FT新聞 No.4122

これはゲームブックなのですか!? vol.105 
・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。
今回ご紹介するのは『幻想世界11カ国語 ネーミング辞典 (笠倉出版社)』です。
日本語、そして、世界共通語と化してしまった英語。フランス語などのヨーロッパ圏中心に、11カ国語で、総記に、時間から社会まで、ネーミングにすぐ使えそうな13409単語を収録!
で、その中には「色」や「数」そして当然!?「封印」やら「呪い」やら「精霊」に「堕天使」など、「ちょっとカッチョいい言葉を創作で使えないかな?」というときに、辞書よりも手軽に手を出せる逸品です!


2024年5月8日(水) ぜろ FT新聞 No.4123

第1回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ 
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第384回をお届けしました。
今回から新たな冒険!
短編集100パラグラフゲームブック集3収録「くさびらの森」(著:杉本=ヨハネ)です。
***
「くさびらの森」にいるアリ人たちの様子が怪しい。調査に出る。
数多の試練を越え、この森で起こっている真の異変を理解したとき君は……。
(100パラグラフゲームブック集3、冒頭の4コマ漫画からセリフのみ一部抜粋)
***
ぜろ氏にとって思い出深い本作を、今回は再挑戦していきます。そのリプレイ!
この作品では、最初の能力値はサイコロを振って決めるのではなく、最初から決まっています。
そしてその能力値というのがなんと……!?
そこはかとなく、児童文学の香りさえする本作のはじまりです!


2024年5月9日(木) 齊藤(羽生)飛鳥 FT新聞 No.4124

GBクトゥルー短編集小説リプレイvol.2『白い小屋、赤い絶望』 
・児童文学・ミステリ作家、齊藤(羽生)飛鳥氏によるゲームブックリプレイです。
今回は『ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇』から『白い小屋、赤い絶望』です。
休日登山家の白木赤音(しらきあかね)。
山をエンジョイするために登ったはいいが、猛烈な吹雪に見舞われる。
記憶を頼りに、ようやくたどり着けた山小屋は……。
壁や床に赤い謎の文字が書きこまれ、部屋中に異臭を放つ山小屋……。
つい先程まで人がいた気配もあるし、彼らの荷物もあるのに、誰もいない。
ただ、暖炉の薪だけが赤々と燃えているだけだった。
不気味な山小屋でのサバイバルは、ミステリーの香りが漂う!
ここで何が起こったのか!?
事件が終わっても、その後には!?
クトゥルフ怪異のミステリ・サヴァイバル! 
どうぞご堪能ください!


2024年5月10日(金) 休刊日 FT新聞 No.4125

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ジャラル アフサラールさん)
小生も気になっていた本の紹介有難うございます。Amazonの宣伝には
シュヴァインヴァイプ(ブタ女)
ベルクライスフェストグートマン(山田良男)
———ドイツ語にするとこんなに必殺技っぽくなる(笑)!
クリエイターから中二病患者(笑)まで、架空世界構築必須本!
というのが記されていて笑いました。そういえば現在リメイクアニメ放送中の『銀河英雄伝説』をドイツ人に見せると大笑いするそうで、登場人物の名前が日本風に言うと「伊集院タゴサク」「道明寺ゴンザエモン」というような「古典的な苗字と田〇風の名前」の組み合わせなのだそうです(笑)。


(お返事:かなでひびき)
わざわざありがとうございます。
なるほどー。『銀河英雄伝説』に、そういう裏話があったとは! 勉強になります。
英語でも「うちは桜井なんで、『チェリーボーイ』と呼んでくれと言ったら赤面モノの恥をかいた」とか「『カルピス』は、『牛のおしっこ』という言葉を連想させる」とか、哲学者カントの名前「カント」は実は……、なんてエピソードも聞きかじったことがあります。
確かに、外国語の響きには、なにか魔性のモノがあるとしか思えませんね!
だけど、ジャラルさんのお役に立ててよかったです!


(忍者福島さん)
きのこの山でも、たけのこの里でもないきのこの森の近くの村。
すぎのこ村って名前なんでしょうかね?
そしてくさびらの王妃と菌縁ができた、これであなたもドンブラザーズならぬキンブラザーズの仲間入りなのでしょうか?
ぜろさんの細かいネタに今後も期待しております(笑)

(お返事:ぜろ)
きのこのこのこげんきのこ。
きのこの森近くのすぎのこ村にはきこりの切株が。
くさびらの王妃の菌ブラザーズになった後は、くさびらの王、菌グオージャーと会うんでしょうか。今後もブンブンとばしていきますンジャー。
そういうことで、今回もお便りありがとうございました。


(ぜろさん)
いつも楽しく読ませていただいております。
……が、今回は完全に先を越されてしまいました。
実は私もクトゥルー短編集2のリプレイをこっそり準備中だったんですよおおお。
いつかの機会に公開すると思いますので、その時には、比較して楽しんでいただけたらと思います。
腹いせに、「蝶として死す」と「シニカル探偵安土真」のシリーズを買ってやりました。
ええっ。6月に新刊が? なんてことだ……。

(お返事:齊藤飛鳥)
楽しんでお読み下さったばかりか、拙作をお買い上げ下さり、たいへんありがとうございます^^
ぜろさんのクトゥルー短編集2のリプレイが公開される時を、楽しみにしております!
おかげさまで、6月の新刊完成に向けてエネルギーがチャージされました^^♪


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2024年5月10日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4125

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本日は、タイトルのとおり休刊日です。

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あなたの記事を、お待ちしております!

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2024年5月9日木曜日

GBクトゥルー短編集小説リプレイvol.2『白い小屋、赤い絶望』 FT新聞 No.4124

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児童文学・ミステリ作家、齊藤(羽生)飛鳥さんによる
『ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇』・小説リプレイ
Vol.2
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『白い小屋、赤い絶望』は、『暗黒詩篇』の第二話に収録されています。
猛吹雪のせいで登山中に遭難した主人公が迷いこんだ不気味な山小屋で、サバイバルしながら山小屋に残された奇妙な状況の謎解きをするという、謎解き大好き本格ミステリマニアにも突き刺さるストーリーです^^♪
そして、性懲りもなく自分ルール発動で、こちらも主人公は私と同じ性別で、女主人公となっております。名前は、せっかくだから題名にちなんだものにしようと思い、「白」木「赤」音となりました^^
今回もホラー対策として、脳内にイラストを思い描きながら読んだのですが、この時は「雪山サバイバル……サバイバー……バカサバイバー……ボボボーボ・ボーボボ……よし、今回の脳内イラストは澤井啓夫先生の絵柄で行こう!!」となりました。
意外にホラーの世界観ともマッチするので、澤井先生の画風はつくづく偉大です。
最後になりますが、6月に東京創元社様より拙作『歌人探偵定家 百人一首推理抄』(羽生飛鳥名義)が刊行されます。奇しくも藤原定家の子孫である冷泉家から定家直筆の『古今和歌集』の注釈書という国宝級の発見があった年に刊行できる幸運に、一足早いクリスマスプレゼントをもらえた気分です^^

※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
『白い小屋、赤い絶望』リプレイ

齊藤(羽生)飛鳥
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●


0
私の名前は、白木赤音(しらきあかね)。
普段は小学生相手に国語と社会と理科を教える一介の塾講師。
だけど、休日になるとアマチュア登山家になる。
山は、いい。
都会のせわしなさがなく、空気もきれいだ。
でも、そんな晴れやかな気分も、猛烈な吹雪に見舞われるまでのこと。
ホワイトアウトとは、まさにこんな状況を言うのだろう。360度、白一色に染まっている。
まずい。このままでは、遭難してしまう。
私は記憶を頼りに、山小屋を目指した。
そして、午後9時。
ようやくたどり着けた。
壁や床に赤い謎の文字が書きこまれ、部屋中に異臭を放つ山小屋に……。
つい先程まで人がいた気配もあるし、彼らの荷物もあるのに、誰もいない。
ただ、暖炉の薪だけが赤々と燃えているだけだった。


1
この山小屋、どう考えても怪しい。
しかし、この猛吹雪の中、外でビバークするのは論外。
たとえ不気味な山小屋でも、暖炉の薪に火が燃えていて暖かい室内にいる方が生きのびられる。
そうは言っても、薪には限りがある。
どこかにしまわれてないだろうか?
そして、もう一つ大事なことだが、壁や床に赤い文字が書かれてない場所はないだろうか?
はっきり言って、こんな赤い文字に囲まれた部屋では、眠れそうにない。
この二つの問題を手っ取り早く解決するために、私はまず便所を開けてみた。
前に行った山小屋の便所は、薪置き場も兼ねていたし、外の露天風呂に通じる脱衣所とも兼用していたので、けっこう広かったからだ。
だから、この山小屋の便所もそうかと思ったけど、あてがはずれた。
小さな便所、臭い匂いがあるだけだった。
あるだけ?
それ、本当?
壁や床に赤い文字が書かれてないから、居心地が他よりいいのは、けっこうな発見だ。
それに、便器の中に落ちている白いもの。
あれは何?
便器の中に手をつっこむのは、かなり抵抗がある。だけど、先程までこの山小屋にいたはずの人々につながる手がかりになるかも。
私は、慎重に便器から白い紙を引き上げた。
それは何かのメモで、外宇宙の生命体について書かれていた。
しかも、小説や漫画を書くための創作メモとしてではなく、かなり真剣な筆致で書かれている。
おかげで、一読しただけで名状しがたい恐怖がこみ上げてきた。
気味が悪いので、いったん部屋に戻ろう。
私が便所を後にすると、後ろで気配を感じた。
振り返るも、誰もいない。
ただ、閉めた覚えのない便所の扉が閉まっているのがやけに印象深かった。


2
便所の次は、地下へと続いていると思しき上げ板を引っぺがしてみた。
案の定、梯子を下りて地下へ行けるようになっている。
しかし、明かりがなくて何も見えない。
これでは、たとえ薪があったとしても、見つけることは不可能だ。
仕方なく、私は棚を調べてみることにした。
棚には、日用品が雑然と並んでいる。
中にはラジオがあった。
ちょうどいい。この猛吹雪がいつやむか、気象情報を聴こう。
私はラジオの電源を入れた。
ところが、電波の具合が悪いのか、聞こえてくるのはノイズばかり。
これは使えない。
それ本当?
ラジオの電池は他の物にも利用できそうじゃない?
よし、もらっていくとしよう。
私は、電池を手に入れた。
それから、暖炉を調べてみた。
薪は赤々と燃えていて暖かかったけれども、残り少ない。
いずれ、消えてしまうかもしれない。
早いところ、薪を見つけなくては。


3
そう言えば、入り口のそばに小さな物置があったのに、まだ探していなかった。
時間がかかりそうだから、何となく後回しにしていたけど、薪がいよいよなくなりそうだから、無精はしていられない。
私は、本腰を入れて物置を調べ始めた。
物置の中は雑然としていて、中に何があるか把握するには、整理整頓する必要があった。
こうして、一時間を費やして物置を大掃除して迎えた午後10時。
私は、頑丈そうな懐中電灯を確保した。
このサイズなら、もしかしたらラジオの電池が入るかもしれない。
試しに入れてみると、期待したとおり、懐中電灯に使えた!!
これなら、先程は暗くて諦めていた地下室で薪探しができる!!
他にも、この調子で役に立つ物が見つかるかもしれない。
私は、今はいない山小屋の先客達の荷物の中にサバイバルに必要なものはないか、調べてみることにした。


4
荷物は5人分置いてあった。
調べてみると、水や携帯食料が残っていた。
これは助かる。
後で持ち主がわかり次第、きちんと謝礼は支払うので、いただいてしまおう。
他に何か役に立ちそうな物はないだろうか?
調子に乗って荷物をさらに念入りにあさると、壁や床に書かれているのと同じく意味不明な文字が書かれた護符のようなものと、星図と思しき古い紙片、それに登山用とは思えない鞘付きのナイフがあった。
この山小屋に来ていた先客達が、どんな人達だったのか知る手がかりになるかもしれない。
私は、それぞれ詳しく調べてみた。
まず、護符。
全員の荷物の中からまったく同じ物が出てきた。
古今東西見たこともない、不気味で妙ちくりんな図像だ。
こんな物をおそろいで持っているとは、怪しげな宗教集団の人達くさい。
次に、星図。
塾の生徒達に時々理科で星座を教えるので、星図には詳しいつもりだ。
そんな私でさえ見たこともない星々ばかりが描かれているとは、よその宇宙の星図なの、これ?
何気なく裏にひっくり返してみると、とげとげしい筆記の文字が書かれていた。
儀式だの、異星だの、怪物だの、怪しすぎる単語が頻出している不穏なメモだ。
怪物を呼び出す呪文と、送り返す呪文が書いてある。
役に立ちそうだから、送り返す呪文の方を覚えておこう。
最後に、ナイフ。
革製の鞘に収まったナイフは、登山用のロープを切るようなナイフではなく、マタギが持っていそうな大ぶりのナイフだ。
鞘から抜いてナイフ本体を見てみる。
赤い刀身なんて珍しい。
鉄くさい匂いまでするから、なおさら珍しい。
それ本当?
単に、ナイフの刀身が血まみれだからじゃない?
わかった瞬間、私はナイフをそっと鞘に入れ、元の場所へ戻した。
まだ寒いから、手袋をはめていてよかった。
さもないと、危うく何かの事件の容疑者になるところだった。
私が来る前に、この山小屋では、相当恐ろしいことが起きたらしい。
具体的に考えると怖いので、私はそれ以上深く詮索するのはやめた。
時計を見ると、1時間経過して、夜11時になっていた。
いけない。早く薪を探さないと、いい加減燃えつきてしまいそうだ。
私は懐中電灯を用意すると、再び上げ板を引っぺがして、地下へ薪探しに向かった。


5
梯子を下りて地下室に到着。
懐中電灯で室内を照らすと……あったあった、整然と積まれた薪の束が!!
他にもないかと、別の方向へ懐中電灯向ける。
途端に、闇の中から女性の死体が浮かび上がってきた。
人間、驚きすぎると、声も出ない。
むしろ、出すのを惜しんで、声ばかりか呼吸すら飲みこむ。
私は持てるだけの薪を確保してから、おそるおそる女性の死体を見てみた。
壁に寄りかかった状態で、喉元を鋭い刃物で切り裂かれている。
凶器は、先程私が荷物の中から見つけた、あのナイフだろう。
流れ出る血は乾ききっていないことから、まだ死んでから半日も経っていない。
絵に描いたような他殺体だ。
待てよ。
もしかしたら、まだ殺人犯がこの地下室に息を潜めて隠れているかも!!
私は、大急ぎで地下室中に懐中電灯を照らす。
だが、意外と地下室は狭く、犯人が隠れられるスペースはどこにもなかった。
出入り口は、私が入ってきた上げ板だけ。
だとすると、これは密室殺人!?
……落ち着きなさい、白木赤音。
私が山小屋に来る前に殺人犯が逃亡した可能性があるでしょう。
むしろ、これで直前まで山小屋の中に人がいたのに、私が来た時には無人になっていた謎は解けた。
殺人が行なわれたので、死体となった1人は地下に隠され、殺人犯は外へ逃げていってしまったのだ。
荷物は5人分あったから、残りは殺人犯から逃げるため、あるいは殺人犯を捕まえるために山小屋を後にした。
こうして、『直前まで人がいた気配はするのに、無人の山小屋』が完成した。
うん、我ながらよくできた合理的解釈だ。
自画自賛してから、私は死体の持っている黒いノートに気がついた。
ひょっとしたら、殺人犯に関する手がかりが残されているかも。
現場保存するのが筋だけど、今は遭難中。猛吹雪からも、近くに潜んでいるかも知れない殺人犯からも生き残ることが最優先だ。
警察や世間がとやかく言おうとも、神様や仏様はわかってくださる。
私は、自分に強く言い聞かせてから、死体と目を合わせないよう、慎重にノートを回収した。
それから、彼女に両手を合わせる。
心の中で悼む言葉を唱え終え、確保しておいた薪をリュックに詰めると、地下室を後にした。


5
暖炉に薪をくべる。
火かき棒で新しい薪に火を移すと、暖炉の炎は勢いを増した。
よかった。これで凍死する恐れはなくなった。
ん?
暖炉の中に黒々とした物体がある?
暖炉は、最低でも1時間以上燃えている。
それなのに、どうしてこれは燃えていないの?
私は、奇妙な好奇心にかられ、火かき棒で慎重にそれを暖炉の外へかき出してみた。
それは、本だった。
タイトルは『妖蛆の秘密』
暇つぶしに読んでみよう。
薪が尽きる心配のなくなった私は、暖炉の前でぬくぬくと暖まりながら、読書を楽しむことにした。


6
本の表紙裏には、人名と解読できない言語が書きこまれていた。
一つは、解読できない言語と空欄。
もう一つは、人名と解読できない言語によるリスト。
なぜだろう?
むしょうに、自分の名前もここへ書きこみたくなってきた。
ちょうど床にペンが落ちていたことだし、おまけに空欄部分がある。そこへ名前を書きこんでしまおう。
し・ら・き・あ・か・ね、と!!
よし、書けた!!
それ本当?
自分の名前を書いていいものだったの?
自問し、自答しようとしたところへ、壁や床に書かれていた赤い文字列が、うごめき始めたように見えた。
悪臭が強まり、吐き気がこみ上げてくる。
どうやら、私はあの本に名前を書きこんだことで、何かの『儀式』をしたことになってしまったらしい。
そのせいでやって来た、目に見えない何かが、殺意剥き出しで私に迫ってくるのを感じる!!
そう言えば、便所にだけは赤い文字が書かれていなかった!!
私は、見えない脅威から逃れるべく、便所に駆けこんだ。


7
便所に避難して扉を閉めた直後、何かが扉に叩きつけられ、重い衝撃が走った。
便所には他に出口はない。
便所に逃げこんだのは失敗だったろうか?
私の問いに答えるように、再び重い衝撃が便所の扉に走る。
衝撃に耐えきれず、扉は真ん中から裂けて穴が開く。
ついに、私を襲おうとする者の正体が明らかに!?
恐怖はあった。
だけど、相手が何者かわからないままの方がもっと怖いので、私は扉の穴の向こうを見据えた。
……そこには、誰もいなかった。
あるのは、室内の風景のみ。
それなのに、扉はどんどん破壊され、穴は広がり、何かが私に迫ってくる!!
恐怖から恐慌状態になりかけたその時だ。
私の頭に、星図の裏に書かれていた呪文の記憶が蘇る。
それは、怪物を送り返す呪文だ。
私は、無我夢中で呪文を唱えた。
たちまち、山小屋中に突風が吹き荒れる。
便所の扉の穴からしか向こうの風景は見えない。
だけど、小屋の一部が破壊され、見えない何かが上昇気流のような突風にあおられ、山小屋から遠ざかっていくのを感じた。
私を襲おうとしていた恐ろしい気配は消えている。
きっと、本来の場所———異星———へ帰ったのだろう。
助かった。
安堵しかけた私の目に、扉の穴の向こうのとんでもない光景が飛びこんできた。
山小屋が燃え始めているのだ!!
このまま便所にいたら、焼け死んでしまう!!
私は、必死になって燃え盛る山小屋から飛び出した。
猛吹雪はいつの間にかやみ、黒雲も晴れていく。
ひょっとして、あの猛吹雪、『儀式』のせいで起きたものだった?
うぅん、今はそれどころではない。
一刻も早く下山しよう!!
気合を入れてリュックを背負い直すと、ポケットに手が触れた。
『妖蛆の秘密』だ。
まだ持っていたのか。
これに名前を書きこんだせいで、恐ろしい目に遭ったんだ。
いつまでも持っていたくない。
私は、即座に燃え盛る山小屋の中へ『妖蛆の秘密』を投げこむ。
それから、一目散で下山した。


8
私は、無事下山に成功。
元の暮らしに戻った。
あの猛吹雪は、一時はニュースで取り上げられたけれども、その後は特集されることもなかった。
でも、私はあの山小屋での一夜を忘れることができない。
私は今、山小屋の地下室で殺害されていた女性のノートを読んでいる。
彼女が、死の直前まで書いていた日記だった。
どうして彼女が山小屋の地下室で殺害されることになったのか、その経緯が書かれている。
そして、いかに『妖蛆の秘密』が恐ろしい魔導書であるのかが、ほのめかされていた。
先に彼女のノートを読んでいれば、そんな物騒なものに自分の名前なんて書きこまんかったわ!!
下山してから、何度同じ後悔をしたことだろうか。
今もまた、自宅で抹茶オレを飲みながら、後悔しているところだ。
そこへ、インターホンが鳴った。
女の独り暮らしの常で、まずはピッケルを片手にのぞき穴からインターホンを押した相手を確認する。
アパートの通路の照明が切れて、顔はよく見えない。
男か女か。年配者か若者か。それすらわからない。
でも、見知らぬ訪問者の手にある、見覚えのある黒々とした表紙の本だけは、やけに鮮明に見えた……。


(完)


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。
2023年5月に『揺籃の都 平家物語推理抄』(東京創元社)が2023年第23回本格ミステリ大賞候補作にノミネートされた。
2023年9月には、齊藤飛鳥名義で、児童書では初のシリーズ物となる『シニカル探偵安土真(1)結成!放課後カイケツ団』(国土社)を刊行。
日常の謎解きをする少年少女探偵団物で、続刊予定。現在3巻まで出たので、このまま続刊を切に願う今日この頃。
2024年3月に『蝶として死す』文庫版(東京創元社)が刊行された。
2024年6月に『歌人探偵定家 百人一首推理抄』(東京創元社)を刊行予定。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表している。

初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。

■書誌情報
「ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇」所収
『白い小屋、赤い絶望』
 著:丹野佑
 発行:FT書房(2020年11月14日) 1,650円
 https://booth.pm/ja/items/2484141


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2024年5月8日水曜日

第1回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4123

第1回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【くさびらの森】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


●作品紹介

***

森で生まれた妖精女王と、平凡な1人の狩人。
2人が出会うとき、神秘の森の冒険がはじまる。
(100パラグラフゲームブック集3、背表紙より)

「くさびらの森」にいるアリ人たちの様子が怪しい。調査に出る。
大型の怪物も暮らすくさびらの森。様々な出会いが君を待つ。
恐怖の「ジバクアリ」をはじめ、アリ人たちには特に気をつけろ!
数多の試練を越え、この森で起こっている真の異変を理解したとき君は……。
(100パラグラフゲームブック集3、冒頭の4コマ漫画からセリフのみ抜粋)

***

ぜろです。
今回挑戦する作品は「くさびらの森」です。
作者は、杉本=ヨハネ氏。言わずと知れた、FT書房の代表です。
100パラグラフゲームブック集3の3本の作品の中の1本です。
私の100パラグラフゲームブック集3、ただ今借りパクされておりまして、やむを得ず再度購入させていただきました。

そして、実はこの作品、私は以前プレイしたことがあり、しかもリプレイも書いています。
今回は、再挑戦&再リプレイ化ということになります。
私からすれば、それだけの魅力を持った作品なのです。
記録を見ると、私が以前このリプレイを書いたのは2015年。すでに8年は経過していますね。
そっかーそんな前だったかー。つい最近とまでは言いませんが、そんなに前という意識もありませんでした。
時の流れは早いものです。

でも、1度プレイした作品ですから、そんなに悲惨なことにはならない……はず!
さくっとプレイして、さくっとクリアしてしまいましょう。
アタック01でクリアできたら拍手喝采をお願いします。(なにかのフラグ)

おおっと、まずは作品紹介からですね。
この作品「くさびらの森」の「くさびら」は「きのこ」のことです。
つまり、きのこの森。
きのこの山でもたけのこの里でもない、きのこの森。
きのこたけのこ戦争に終止符を打つべく遣わされた決戦兵器です。

この作品には、豊富な種類のきのこと、きのこの精たちが登場します。
そして、豊富な種類のアリ人も登場します。

アリ人!

FT書房の作品には、比較的頻繁に登場する種族です。
「宝石島の脱出」「マドレーンの海域」には友好的なアリ人が登場。食料を分けてもらえました。
「ディラットの危険な地下迷宮」ではアリ人の傭兵として雇われる展開がありました。アリ人の陣営で加藤茶と共闘したら、ディラット側に志村けんがいたんですよね。
「ディラットの危険な地下迷宮」未経験の方が見たら頭にはてなマークが浮かびそうですが、間違ったことを言っているわけではないのです。

そんなふうに、比較的交流ができる種族として登場しがちなアリ人ですが、本作のアリ人は、いうなれば……敵!

大雑把に言うと、きのこに味方してアリ人をなんとかするストーリーとなっております。
ただそれも、自然の大きな流れの中から見ると、ひとつの「共生」ではあるのですが。
そしてそれが、この作品のオチにあたる部分だったりもするのですが、作品紹介でバラしてどうする私。
でも大丈夫。そんなの全然問題にならないくらい、そこに至る過程が面白いんですから!
そんなきのことたけのこ……じゃなかった、きのことアリ人に彩られた冒険模様を、これからたっぷりお届けします。


●ルール確認

この作品は、ファイティングファンタジーの基本ルールをベースにした作品です。
技術点、体力点、運点といった能力値をサイコロを振って決め、サイコロを振っていろんな判定をし、サイコロを振って怪物と戦います。
最初に決める能力値の差が著しく、難易度が大きく左右されるため、バランスの悪さ等の欠点もありますが、やはりこのルールが原点だなと感じます。

この作品では、最初の能力値はサイコロを振って決めるのではなく、最初から決まっています。
なるほど、これなら極端な能力値を排除し、ある程度コントロールできるので、バランスの悪さという課題はクリアされますね。

そしてその能力値というのがこちら。

【主人公 技術点7 体力点14 運点7】

な、な、な、なんですとーーーーー!!!??

私が一体何に驚いているのか。
実はこれ、ファイティングファンタジーの基本ルールでいうところの「最弱キャラ」なのです!
技術点、体力点、運点を決めるサイコロですべて1を出したらできるキャラクターがこれ。
すなわち最弱。
これでは、通常の作品に登場するほとんどの強敵モンスターには手も足も出ません。
運だめしなどの判定の成功もおぼつきません。
しかも体力も貧弱貧弱ウリィィ状態ですから、すぐ死にます。
冒険者すぐ死ぬ。
あ、本作の主人公は冒険者ではなく狩人でしたね。

村の狩人。
そう、これはあくまでも狩人などの、冒険する職業の人の最低限の能力値なのです。
冒険に出ない一般人の能力値は、この最低値よりももっと低いはずなのです。
だから、この最弱ステイタスでも、きっと村ではかなり強いに違いない。地元じゃ負けしらずってやつです。
そんな村いちばんの勇者が、危険きわまりないくさびらの森へと挑むわけです。

ところで、ちょっと噂に聞いたところによると、スティーブ・ジャクソン氏のファイティングファンタジー最新作は、さらにこの上(この下?)をゆく、【技術点6 体力点12 運点6】なのだとか。
主人公作成上の最低値を下回る値を出してくるあたり、わずか1点であっても、さらなる発想の飛躍を感じます。さすが本家といったところ。

おおっと、持ち物等のチェックを忘れるところでした。
袋、剣、金貨10枚、食料2食分を持っているとあります。
食料は食べると体力点を4点回復できます。
そして大事。持ち物の欄には書かれていませんでしたが、それらと別に弓矢を持っています。
そりゃ狩人ですもんね。弓矢は持っててもらわないと。
矢は9本。
戦いに入るとき、通常の戦闘ルールに入る前に先制で弓を射ることができます。
技術チェックといって、サイコロ2個を振り、技術点7以下の目が出れば成功。
サイコロ1個分のダメージを相手に負わせることができるとあります。
これは、かなり強力です。
この攻撃が当たるか否かで、戦況がひっくり返るくらいの威力があります!

当たれば!

……当たれば!

技術点が7点だと、まず当てるとこがネックなんですよねぇ。

さあ、だいたい準備は整いました。

次は主人公の名前を決めます。
私はゲームブックに挑戦するときには、名前だけつけています。
特に詳細な背景や設定を考えるわけでもありませんし、リプレイ上は主人公の一人称なので、名前が登場することも滅多にありません。
単に、気分の問題です。

今回は、自作の名前決定表を用いてサイコロを振って決めました。
その結果、主人公の名前は「ハーヴェイ」に決定しました。
この名前で呼ばれる機会は少ないと思いますが、よろしくお願いします。

リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。

【ハーヴェイ 技術点7 体力点14 運点7】
【持ち物】
・ものを入れる袋
・剣
・弓矢
・金貨10枚
・食料2

さあ、それではここから本編に入りましょう!


●アタック01-1 くさびらの森のアリ人

俺はハーヴェイ。くさびらの森付近の村に住む狩人だ。
森へしばしば入っては、狩猟をしたり山菜を採ったりしながら生計を立てている。
そんな俺がスタート時に金貨を10枚も持っているというのは、我ながらいささか疑問だ。

さて、俺は今日も森へと入っていた。
いつもは外縁あたりで活動しているのだが、この日はいちご狩りに夢中になりすぎ、うっかり奥まったところに入り込んでしまった。
そしてそんなとき俺は、女性の悲鳴を聞いたのだ。

こんな森深い場所で。

すぐさまかけつける。
木々の間に1人の女性の姿をとらえた。
複数のアリ人に、槍を向けられている。

なんでこんな場所に女性がいるのか、疑問は尽きないが、今はそんな場合ではない。
俺は音を立てて接近し、女性に、アリ人たちに気づかせた。

「ここで何をしているのか!」

強い気迫でアリ人たちを問い詰める。俺の態度に一瞬ひるんだようだ。
アリ人という種族、一応話は通じる。しかし、何を考えているのかわからない不気味な怖さがある。

「立ち去れ!」

俺はもう一度、強い口調で言い渡す。
アリ人たちは、ここでこれ以上争うつもりはなかったようで、引き下がり、去って行った。
よかった。ほっとした。

さて、女性の方だ。
抜けるような白い肌に、薄い絹の衣類。
はっきり言って、こんな森の中にいられるような格好ではない。
それに漆黒の王冠をかぶっている。
どう見ても普通の立場の人間ではない。

謎は多いが、普通に声をかけるしかあるまい。

「森は危険だ。あなたも早く出たほうが良い」

それに対する女性の返事は、意外なものだった。

「ここが私の生まれた森。誰も『出ていけ』とは言えないのよ」

女性のまわりを、鱗粉のようななにかがキラキラと舞っていた。

「くらびらの王妃の命を救ったのです。あなたに褒美を取らせましょう」

くさびらの、王妃?

この女性は、きのこの精かなにかだというのか?
じゃあ、このキラキラと舞っているのは、きのこの胞子?

「森まで会いに来て。私とあなたはきっと、菌縁で結ばれている」

そんな謎めいた言葉を残すと、くさびらの王妃の身体は宙に浮き、森の奥へと消えて行った。
俺はそんな様子を、ぼーっと見送るだけだった。

くさびらの王妃が消えた後、ふと我に返り、俺はつぶやいた。

「褒美って、なに?」

これが俺とくさびらの王妃とのファーストコンタクトだった。
そしてこの出会いを経て俺はすっかり、くさびらの王妃のとりこになっていた。

そんなある日、村で事件が起きた。
村はずれに住む老婆カトリーヌが、惨殺されたのだ。
村勇者の俺には当然のようにお呼びがかかる。
俺はカトリーヌ老の状態を確認し、直感した。

これは、アリ人の仕業だ!

先日のアリ人は、俺の眼力で撤退させた。
それが村まで来て、問答無用で惨殺するところを見ると、だいぶ凶暴性が増しているようだ。
アリ人は定期的に移動を繰り返す種族だ。移動の前後にはひどく興奮する。
そうした種族的な習性によるものなのか、森でなにかが起きているのか。

……森に、行く必要があるな。

森へ行き、村に対してのアリ人の脅威を排除する。

しかし使命とは裏腹に、俺の頭の中にはくさびらの王妃の「森まで会いに来て」という言葉が反響していた。

次回、くさびらの森へと足を踏み入れる。

【ハーヴェイ 技術点7/7 体力点14/14 運点7/7】
【持ち物】
・ものを入れる袋
・剣
・弓矢
・金貨10枚
・食料2

■登場人物
ハーヴェイ 主人公。むらゆうしゃだがアストロンは使えない。うちゅうヒーローへの道は遠い。
くさびらの王妃 きのこの精かなにか。はじまる前に主人公をとりこにしてしまった。
カトリーヌ 村はずれに住む老婆。凶暴化したアリ人の犠牲に。

■作品情報
作品名:くさびらの森
著者:杉村=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://ftbooks.booth.pm/items/2484128
100パラグラフゲームブック集3に収録されています。


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2024年5月7日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.105 FT新聞 No.4122

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『これはゲームブックなのですか!?』vol.105

 かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 こほん!
 覚えておるかの!
 ヴァーチャル図書委員長かなでひびきの永遠のライバル。かぶく鬼狐、七尾八尾たぁ、わしのことでぃ!
 で、なんか今回はかなでに呼ばれたから来たンだけれど、かなでは何処にありや?
「シュヴァインヴァイぃぃぃぃぃプ! あるいは! ベルクライスぅフェルトグゥゥゥゥゥゥゥトマァァァァン!」
 ぐぎゃー、いきなり必殺技で八尾たん光の中に消滅!

 のっけからトヴァしております。
 バーチャル図書委員長かなでひびきだよっち!
 うん。かなでもいきなり冒頭から必殺技出してみたい気分にも誘われるのよ。
 女の子だからてへぺろ。

 というわけで、今回ご紹介するのは『幻想世界11カ国語 ネーミング辞典 (笠倉出版社)』だよっ!
「幻想世界」って言うから、例えばトルメキア語やヨゴ語、グロンギ語など架空言語を紹介してるのかな? と思いつつ、読んでみましたら、まっとうな言語の本。
 日本語、そして、世界共通ごと化してしまった英語。フランス語などのヨーロッパ圏中心に、11カ国語で、総記に、時間から社会まで、13409単語を収録!
 で、その中には「色」や「数」そして当然!?「封印」やら「呪い」やら「精霊」に「堕天使」。
 ファンタジーなんかで、「ああ! アレってなんだったけ?」って思う単語も、これを引いたら、手軽にわかるわ。
 個人的には、中国語までフォローしているのが嬉しいですぅ。
 特に、巻末の、「中国語・新語・俗語辞典」
 というのは、中国語は「表意文字」です。
 つまり、字の中に「木」が含まれていたら、「木に関係あるんだな」と類推できる。
 さらに言うと、発音まで漢字でやらせちゃおう! としているのが中国語!
 日本語なら「カタカナ」で、英語なら外国語の単語は「ローマ字」で逃げることができるけど。
 まぁ、その結果、原型がわからない残念な仕上がりになっているものもあるけど、例えば「カプチーノ」は「カプジヌオ」、「カフェモカ」は「モカカフェイ」あるいは「フェイスブック」は「フェイスブクゥ」(ピンインはわかりませんので無視してます・かなで)
 どう? 似てない?
 という具合に「意味」を取るか、発音を取るか。
 特にかなでのツボに入ったのは「フェイスブクゥ」
 その綴りは果たして……。
 ぜひ、本書で確認してみて!

 あるいは、付録の「ヨーロッパ人名対照表」
 例えば「キャサリン」のロシア語読みは「エカテリーナ」。
 ジョジョでお馴染みの「ジョセフ」は、ドイツ語では「ヨーセフ」、イタリア語では「ジュゼッベ」。スペイン語では「ホセ」
 そのような、国によっての名前の呼び方の変化も、「ヨーロッパ人名対照表」に掲載されている。
 ネーミングだけではなくって、聞き覚えのある名前が、様々な国でどう変化するのか、見ているだけでおもしろいよ。

 ただねー。
 これは、本書でも断っているんだけど「あくまでも入門用」
 辞書には劣るのは、認めざるを得ないわ。
 例えば、「馬鹿」を英語で言うと「fool」または「idiot」
 だけど、この本、フランス語で「idiot」が来てる。
 そうなのよ。実は英語でもフランス語でも、「馬鹿」は「idiot」っていうの。
 ただね、初めて英会話、フランス語に触れる人は、混乱するかもしれない。
 あるいは、「いつも」の英訳は「always」ってなってるけど「everytime」など、ほかの言い回しも多数ある。
 武器は、英訳として「weapon」があるけど「arms」もそうよね。
 といった具合に、ちらほら「ゆれ・ぶれ」が見られるので、辞書として使うのはNG。

 ただ、言語に対するトリビア本としては一級!
 本書のまえがき。
「どうして、日本人は外来語がかっこよく見えるのか? それはもともと、外国語の漢字を輸入していたから」のくだりには、ものすごく頷いたよ!
 それに「十二指腸」「神経」なんて言葉って、日本産の造語って知ってた?
 この本で初めて知ったけど、杉田玄白先生たちが「舵も櫂もない小舟で大海に乗り出した」と例えられるぐらい、暗中模索、試行錯誤の連続だった『解体新書』の訳。
 その上で「どうしても在来の日本語にはぴったりくる言葉がない」ならば「作ってしまえ!」ってことで、爆誕した言葉だけど、今じゃまるで「日本語が生まれた時点からずっとあるような」感覚で使っているよね!

 いい意味で、お手軽に知的好奇心は満たしてくれる。
 言葉のトリビアにはもってこいな一冊ですぅ!
 そう言った意味では、楽しい一冊ね。
 それに、これをきっかけに、他言語を習い始めるきっかけになるかもしれないし……。
 冒頭、かなでがぶっぱなしていた呪文の意味もわかるかも?
 知ったらがっかりするか、びっくりするか?

 次回もモアベターでありますように。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

『幻想世界11カ国語 ネーミング辞典』
 著 ネーミング研究会
 出版社:笠倉出版社 
 ソフトカバー 2011/6/28 848円(+税)


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2024年5月6日月曜日

「廃城の秘宝」ってどんな作品? FT新聞 No.4121

おはようございます、京都に向かう電車のなかから杉本です。
昨日、「ローグライクハーフ」のd66シナリオ「廃城の秘宝」が、ついに配信されました。
感想などお待ちしております。
この作品が気になっているあなたに向けて、これがどんな作品であるかを今日はご紹介してまいります。


◆テーマは「遊びやすさ」。
シリーズで作品を出すときに難しいと思うのは、読者が作品を知る「タイミング」です。
「ローグライクハーフ」はおかげさまで7本の関連書籍を刊行しておりますが、その中で初心者にピッタリな作品というと、やはり最初に出した「黄昏の騎士」です。
「女王の肉」あたりはボリュームが多く、ルールを把握したうえで楽しむ方が余裕をもって遊べる作品だと思います。
いうなればこのような作品は、一連の作品を山に見立てるなら、中腹、あるいは頂上といった、ずっと上のほうにあるものと言えます。
でも、山の入口って、ひとつじゃなくてもいいですよね?


◆遊びやすい作品☆
「ローグライクハーフ」を何度かプレイしたことがあっても、やさしい作品でのんびりと、ルールの復習をしながら遊びたい気分のときもあるでしょう。
あるいは、中級レベルのキャラクターが存在しないので、新たに一から冒険したいときも、あることでしょう。

「山の入口にあたる作品、遊びやすく楽しい作品を定期的に出す」という考えに基づいて作られたのが、今作「廃城の秘宝」です。


◆原点回帰を!
この作品の制作を開始する少し前に、冒険企画局さんから声をかけていただき、冒険TVに出演いたしました。
その際、久しぶりに1stシナリオである「黄昏の騎士」を一緒に遊んだのですが、やってみて「おぉ!?」と驚いたことがありました。

「黄昏の騎士」に登場するアイテムの効果が、思ったよりも大胆で、状況をひっくり返すパワーのあるものが多かったのです。
特に、「隠された部屋」で入手できる装備品。
手に入れた作品内でしか使えないだけあって、とても強力です。

そのときの衝撃を振り返って、「原点回帰をしよう」と決めました。
使い方が単純かつ、力強いデザイン。
私が提供したいゲームの、基本コンセプトです。


◆うまくいきました。
これらの方向性を紫隠ねこさんと話し合って、パワフルでシンプルな装備品や、状況に大きな影響のある敵味方が入り混じった「ローグライクハーフ」のシナリオができあがったと思います☆



それではまた!



↓冒険TVとFT書房「ローグライクハーフ」のコラボはこちらから観られます☆
https://www.youtube.com/watch?v=A9FfZqyIQkY



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2024年5月5日日曜日

「廃城の秘宝」ローグライクハーフd66シナリオ FT新聞 No.4120

おはようございます、京都の平安神宮そばから杉本です。
イベントの手伝いに来ておりまして、その休憩時間に書いております☆
いよいよ本日はですね、「ローグライクハーフ」の最新d66シナリオ「廃城の秘宝」の配信です!!

拠点はアランツァの神聖都市ロング・ナリク。
舞台は危険な食人植物のはびこるかづら森に支配されたナリクの王城。
難易度は易、ごく遊びやすい冒険です。

それでは、さっそく☆

https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_Treasures_of_MelmValois.txt



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2024年5月4日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第586号 FT新聞 No.4119

From:水波流
アルスラーン戦記、全巻読了。30年以上かけての完結。これはなんというか、いろいろな感想があると思うが、自分は90〜00年代の田中芳樹が好きなんだなと改めて。
もしリアルタイムで追っていたらまた違う感想を持ったのかも知れないが、なにせ僕は中学生時代に2巻くらいで止めていた落第読者なので……。
このまま田中芳樹の未読本を進めるか、別の作家に行くか悩むなあ。

From:葉山海月
某仕事先で。
「葉山君。今回君の給料は三割引きでいいのかね?」
見て見ると、私のケツに、はがして捨てたはずの「三割引き」シールが!

From:中山将平
明日5月5日(日)、僕ら「TGFF(テーブルゲームファンフェスタ)2024春祭」に物販サークルとして参加します。
ブース配置は【δ6a】です。
開催地は「京セラドーム大阪9F スカイホールC・Dブロック」。
個人的にも大好きなイベントなので、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■4/28(日)~5/3(金)の記事一覧
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2024年4月28日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4113

神聖都市ロング・ナリク「ローグライクハーフ」都市サプリメント 
・本日の記事は「ローグライクハーフ」の新d66シナリオ「メルム・ヴァロワの秘宝」の拠点となる、神聖都市ロング・ナリクの都市サプリメントです!
トレント弓と、それを使った特殊技能。
トレント蔦。かづら森の魔術師エルフ。
など、ロング・ナリクならではの個性豊かなサプリメントをご堪能ください!


2024年4月29日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4114

【聖騎士】の登場!! 
・お待たせしました!
本日の記事は、ローグライクハーグ【新職業】として、神聖都市ロング・ナリクにふさわしい新職業【聖騎士】の登場です!!
副能力値は筋力点。
基本ルールで【筋力点】を選んだ場合ほど万能ではありませんが、魔法を使う敵や【アンデッド】などに対抗する力があるデザインです。
詳細は本記事をどうぞ!


2024年4月30日(火) ロア・スペイダー FT新聞 No.4115

蜂竜の森のあとがき 
・4月7日に発表されたd33シナリオ『蜂竜の森〜竜の蜜は秘密のお味〜』。皆様はプレイされたでしょうか? 
今回は舞台裏の小話というかあとがきというものを、作者ロア氏が直々につづっていきます。
……『モンスターを料理して冒険』というのはどうだ!?
そのようなコンセプトではじまったこの企画、芋づる式に、ロア氏にとっても思い入れが深い『百竜の森』を舞台にするというアイディアがひらめき、そして強すぎたラスボスについて。
ファンの方にも、これからシナリオを書こうとする方にも、参考になる逸品です!


2024年5月1日(水) ぜろ FT新聞 No.4116

第13回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第383回をお届けしました。
今回はノリに乗っている「ローグライクハーフ」2ndシナリオ『混沌迷宮の試練』リプレイ。
「ミラー・ドール」三部作の2巻、「混沌の迷宮」の後日談的な作品です。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
黒エルフとオークとの協定を結び、混成精鋭部隊でカオスマスター打倒を目指します。
そしてついにカオスマスターとの直接対決。
勝利しますが、同行していた黒エルフの長エルサスが、混沌の力でしずくの怪物と化してしまいます。
混沌の核の力とニモの祈りで、エルサスは元の姿を取り戻しました。
今回は、帰還後の顛末と感想回です。
祝宴の中、ちょっとほろ苦い別れが涙を誘う中、今回のリプレイについて、特に従者にこだわったプレイなどなど、ファンなら深くうなずけるところも多いと思います!
長い間の応援、ありがとうございました!
次のぜろ氏の冒険にて、またお会いいたしましょう!


2024年5月2日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4117

『Whether the Cat is Black or White』刊行までの裏話 
・世界で2番目に古いRPG『トンネルズ&トロールズ』(1975年〜)のデザイナー、ケン・セント・アンドレの出版社Trollgodfather Pressより、2024年4月末にラヴクラフト・ヴァリアントのソロアドベンチャー『Whether the Cat is Black or White』(著:岡和田晃・石川あやね、協力:水波流、イラスト:Don-Chang)が発売されました。様々な追い風に恵まれて刊行された本書。
例えばそれにかかわられた方々、例えばタイトルへのこだわり、などの裏話を、自ら翻訳を手がけられた岡和田氏自身の口から語ります。
どうぞよろしくお願いいたします。


2024年5月3日(金) 岡和田晃 FT新聞 No.4118

「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 番外編(1)

・岡和田晃氏による、新しく楽しい読み物満載な「SF Prologue Wave」とのコラボ企画記事です。
今回は、ちょっと趣向を変え、前回紹介した『Whether the Cat is Black or White』との兼ね合いで、英訳の話について書いた伊野隆之氏のエッセイを紹介させていただきます。
題して『「Osprey's Sky」と環境正義』!
独特の鋭い視線からメスを入れるお話にご注目!


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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ジャラル アフサラールさん)
今回はホラーGBリプレイご苦労様です。やはりバットエンドでしたね。
『蝶として死す』文庫化おめでとうございます。細谷正充賞を受賞した縁で細谷正充先生が解説書いてくださるんですね。
あと続編の『揺籃の都 平家物語推理抄』 ですがレジェンド脚本家でミステリーランキング3冠を達成したミステリ界の長老の辻真先先生がXで称賛されていました。さらなる続編期待しています。

(お返事:齊藤飛鳥)
御感想下さり、ありがとうございます!ホラーの醍醐味、バッドエンドをしっかり堪能いたしました^^
拙作『蝶として死す』文庫化、お祝いして下さってありがとうございます!! 細谷正充賞受賞の縁が、解説に繋がったので、本当にありがたい限りでした^^
Xをやっていなくて存じ上げなかったのですが、辻真先先生が『揺籃の都』を絶賛して下さっていたとは!!
ホラーゲームブックではバッドエンドを迎えましたが、現実ではグッドニュースをいただけました!! ありがとうございますm(_ _)m♪


(ghostwriterさん)
蜂竜の森のあとがき面白かったです。
こうした制作秘話があると、作品に深みがでますよね。
ちなみに、丸太は某吸血鬼漫画から着想かと勝手に思っていました。

(お返事:ロア)
感想ありがとうございます。丸太はあの吸血鬼漫画のイメージが強いですからね。武器としては……。
でも、あれみたいに一人で持つ武器ではないので。50cmほどの長さの丸太でも、持ち上げるのに精一杯ですから……意外とずっしり。
あとがきも楽しんでいただき書いてよかったです。


(ジャラル アフサラールさん)
武器=丸太というと実写映画化した吸血鬼と戦う漫画の最強武器を思い出します(笑)。ちなみに「空想科学読本」の柳田理科雄氏によると丸太は金属製の武器と違って中身が密だから、なかなか折れないそうで、直径20センチの丸太は1トン近くある車を支えられるそうです。あるTRPGでは丸太の威力は2D6+6でハルバートの2D6+5より上でした。「みんな丸太は持ったな! 行くぞ!」と冒険に出るパーティーもいそうです(笑)。

(お返事:ロア)
感想ありがとうございます。のこぎりで切ろうとすると密さがわかります。がっちりみっしりで重い。あんなものぶつけられたらただではすみませんよ。威力に関してもハルバードより強いと言われても納得です。ただ一人で振り回すのは……。やっぱりあれは協力兵器です。


(ghostwriterさん)
混沌迷宮の試練リプレイ楽しみにしていたので終わりとなるとさみしく感じます。
ですが冒険に終わりはありません。また新たなリプレイを待っています。

(お返事:ぜろ)
3か月にわたる連載、楽しんでいただけて最高にうれしいです。
こうして面白いと言ってもらえる方々のうえに成り立っているものですので。
そしてもちろん、次の水曜日からは、休むことなく新たなリプレイを始めますよ。
次はゲームブック。「100パラグラフゲームブック集3」に収録されております、「くさびらの森」という作品です。くさびら(きのこ)とアリ人にいろどられた森を探索する作品で、私は大好きなあまり、2回もリプレイを書いてしまいました。
また、「混沌迷宮の試練」の主人公サクラが活躍する、次のローグライクハーフのリプレイも着々と準備中です。次も少々変則でシステム上はサクラが主人公で従者を連れているのですが、ストーリー上はサクラが従者になっているという、そんなリプレイです。そちらも書き上げましたらいつの日かお目見えすると思いますので、期待してお待ちください。


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2024年5月3日金曜日

「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 番外編(1) FT新聞 No.4118

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「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 番外編(1)

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●はじめに(岡和田晃)

 ネットマガジン「SF Prologue Wave」とのコラボレーションについては、なるべく色々な方々にご登場いただければと思っているのですが、今回は『Whether the Cat is Black or White』との兼ね合いで、英訳の話について書いた伊野隆之さんのエッセイを紹介させていただきます。ご参考にしていただければと思います。

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『「Osprey's Sky」と環境正義』
 伊野隆之

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Reckoningという年次ジャーナルのサイトに、Takayuki Ino の小説、"Osprey's Sky" が掲載されている(https://reckoning.press/ospreys-sky/)。この作品が収載された Reckoning6 は、2022年の1月に電子版が発行され、7月には印刷物としても販売されており(https://www.amazon.com/Reckoning-6-Francesca-Gabrielle-Hurtado/dp/1955360049)、僕自身の手元にも実物が届いている。Reckoning6 のコンテンツは、発行者である Reckoning Press のサイトで順次公開されており、順番が回ってきた、ということになる。
それで、"Osprey's Sky" だ。カタカナにすると、「オスプレイズ・スカイ」で、オスプレイは例の傾きを変えられる回転翼が二つある軍用機の愛称として有名だが、元々の意味はミサゴという猛禽類の一種だ。つまり、"Osprey's Sky" は「ミサゴの空」(https://prologuewave.club/archives/735)で、自作の英訳作品としては、「FT新聞」にも再録してもらった「ヴァレンハレルの黒い剣」に続く第二弾になる。

"Osprey's Sky"を掲載したReckoning は非営利のジャーナルで、"Environmental Justice" をテーマにして、毎年1冊ずつ刊行してる。この "Environmental Justice" を日本語にすると「環境正義」になるのだが、これが少々ピンとこない。環境省の関係団体である「一般財団法人環境イノベーション情報機構」のEICネットでは、「環境保全と社会的正義の同時追及の必要性を示す概念。多民族国家である米国の社会的背景をもとに生まれてきた概念で、環境的人種差別主義批判(Environmental racism)として展開した環境正義運動(Environmental justice movement)に端を発す。1980年代に米国で、アフリカ系黒人が多くを占める地域において有害廃棄物処理施設が集中していることに対する抗議運動などが象徴的な動きとされる。」とある。

Reckoning のサイトにも説明があるが、そっちは英語が難しい。「人類の環境に関する誤った選択の結果を負わされた人々(および他の生物)は、その選択を是正する義務を負わないという考え方。」くらいだろうか。"Environmental Justice" や「環境正義」が具体的に何か、は、まだいろんな議論がなされているようで、それこそ難しいけれど、原稿の応募の観点からすれば、作品の内容で環境問題に起因した不公正を扱っていれば良い、くらいの解釈で間違っていないと思う。

そこで、「ミサゴの空」だ。作品は南北に延びる海岸線沿いに飛ぶミサゴが、太陽光発電衛星からのマイクロ波送電の受電施設の上を飛ぶことで、空から落ちるシーンで始まる。受電施設があるのは原子力発電所が事故を起こした跡地だ。どこが想定されているかはあえて説明するまでも無いだろう。その場所で主人公は放射線への暴露をごまかしながら働いている。

この作品の公開は2011年6月。何を契機として書かれたかは、言うまでも無く東日本大震災による福島原発の事故だ。今でも廃炉作業が続くサイトでの労働者の放射線暴露については、さすがにちゃんと管理されているとは思うが、東京でエアコンを使って快適に過ごしている僕たち(当時、僕はまだ現役で東京に住んでいた)は、普段、廃炉作業に従事する人の事など考えもしていない。敢えて言えば、職業選択の自由はあるが、一方で社会経済的制約が職業選択を狭める事を知っている。労働者を守るための規制はあるが、経済的な理由が労働者自身に規制を破らせるインセンティヴになり得る事を知っている。その上で、僕らは快適さをむさぼっているのだ。

原発事故の当時から今現在まで原子力発電は悪者にされている。ただ、悪者は原発だけなのか。原発という技術を悪者にして、その原発を必要なものとしているエネルギー消費構造を見ないふりをしているのではないか。そんな現状へのフラストレーションが、珍しく執筆のモチベーションになった作品だった。

この作品を公開した時には、これと言った反応も無かったのだけれど、日本語版の公開から10年以上を経て、米国の環境正義を扱うジャーナルで、僕の作品が評価された事を率直に喜びたい。担当編集者のGabrielaはメールの中でこんな風に書いた。 "It is a beautiful, haunting story, and the ending gets me every time."(これは、美しく、心に残る物語です。そしてエンディングには毎回感動させられます。)こんなことを米国の編集者に書いてもらったら、小説家なら誰だって舞い上がるはずだ。

ところで、日本語にすると、また、分かりづらいのだが、英語圏では「気候小説(Climate Fiction,略してCli-Fi)」なるものがジャンルとして認識されているらしい。SFのサブジャンルかというと、必ずしもそうではないようだが、かなりの重なりがある。最近は、SFプロトタイピングのような企業活動に貢献するSF的なアプローチが国内に紹介されてきているが、気候変動のような問題(とはいえ、あまり現実だと思われていないかも知れない)へのアプローチとして小説を捉え直すこともできるだろう。日本では聞き慣れないCli-Fiだか、毎年のように甚大な気象災害は発生している現在、世界でも「気候変動への意識」が低いと言われる日本の現状を変える一助にもなると思う。僕の書く小説が、どれくらい貢献できるかは疑わしいのだが。

(注釈1)
ちなみに、なんでミサゴかというと、猛禽類にしては珍しくミサゴの餌は魚で、太陽光を反射する受電施設(ホント?)を海と誤認して飛んでいくという展開にふさわしいということもあるが、それとは別にロバート・ホールドストックの「ミサゴの森」という小説が念頭にあった。ホールドストックの小説は、エンタメ的な盛り上がりに欠ける一方で、妙にじんわりくるイギリス的な小説で、結構好きでした。もっともホールドストックのミサゴは鳥では無く Mythago という森が作り出す神話的存在なので、鳥のミサゴとは全く関係が無いです。

(注釈2)
Environmental Justiceを説明するReckoning の説明(https://prologuewave.club/archives/6731)は以下の通り。もう少しわかりやすい英文にして欲しい気がする。
the notion that the people (and other living things) saddled with the consequences of humanity's poor environmental choices and the imperative to remedy those choices are not the ones responsible for them.
この説明の背景につき、岡和田晃氏から「「Environmental Justice」について、「この「Justice」はアメリカを代表する哲学者の一人、ロールズの思想等が背景にあると思います。ロールズはプラグマティズムやリバタリアニズムを代表する思想家とされますが、代表作に『正義論』があります。ロールズ的な「正義」とは、協業作業によって生まれる便益の分配に関する考え方のことで、格差が存在する際にそれを是正する「公正さ」(Fairness)の担保を「正義」の前提としています。従来、環境問題については「公正さ」の埒外にあるものとしてみなされがちでしたが、激しさを増す気候変動により、そうも言えなくなってきた。グレタ・トゥーンベリの訴えを思い出してください。だからこそ、「正義」をもって機会の平等を担保し、生まれながらに環境危機の負債を背負わされる将来世代をもエンパワーメントすることが、小説(Fiction)の切実なテーマともなっているのでしょう。」というコメントを頂いた。うん、そんな風に解説してもらえると、なんとなくわかりやすくなった気がする。

(注釈3)
自作の話になって恐縮だが、2018年に「チュティマの蝶」という気候変動をストレートに扱った作品がある。この作品もまた人災である気象災害が、あたかも天災のように報道される事へのフラストレーションが執筆の動機になっていた。この作品は、たまたま、西日本豪雨の直後に公開されており、ちょっとした偶然に驚かされたものだ。
なお、これもまた岡和田さんの紹介で、日本にはエコクリティシズム研究学会の論集では、ヴォネガット、バチガルピ、上田早夕里(敬称略)等が扱われているとのこと。もともとエコクリティシズムは「文学と自然環境の関係についての批評」を意味するようだが、論集である「エコクリティシズムの波を越えて」のサブタイトルは「人新世の地球を生きる」になっている。「人新世」とは、ノーベル化学賞受賞者パウル・クルッツェンらの言う人間登場以降の歴史のこと。そこには人の営みから切り離されたものとして「自然環境」を捉えることはもはやできないという認識が強く表れているように思う。

(注釈4)
「ヴァレンハレル」の方の原稿料は、「利益が出たら分配するね」なので、とりあえず印刷物はもらったものの、手元には入ってきていない。一方、「Ospray's Sky」は,ワードあたり8セントの原稿料が出ている。この8セントというのは、僕が寄稿した時点では、大きな意味のある数字だった。アメリカのSF作家クラブであるSFWAは,少し前までは入会基準が厳しく、単著であれば特定の版元からの出版ではないと入会資格を満たすための実績として認めないし、雑誌掲載ではワード8セント以上で3作合計○○ドル(←忘れました)以上でなければ認めなかった。このワード8セントも、過去からじわじわと上がってきていて、もしかすると作家の地位向上のためのレバレージに使っているのかとも思っていたのだが、最近になって、その基準が撤廃され、商業出版の単著であれば版元を問わず、雑誌等であれば累積金額の基準をいたせば良いとなったらしい。媒体の多様化に対応するとともに、組織の裾野の拡大を図っているのかな、という印象。
Reckoningやヴァレンバレルの掲載された「Chankey with Ketchuap」を出したWolfsinger Publicationに限らず、英語圏のSF&Fの出版はポッドキャストのようなものを含めて多様化している。チャンスはどこにでも転がっているのだ。

初出:「SF Prologue Wave」
https://prologuewave.club/archives/9656

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2024年5月2日木曜日

『Whether the Cat is Black or White』刊行までの裏話 FT新聞 No.4117

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『Whether the Cat is Black or White』刊行までの裏話
 岡和田晃

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 世界で2番目に古いRPG『トンネルズ&トロールズ』(1975年〜)のデザイナー、ケン・セント・アンドレの出版社Trollgodfather Pressより、2024年4月末にラヴクラフト・ヴァリアントのソロアドベンチャー『Whether the Cat is Black or White』(著:岡和田晃・石川あやね、協力:水波流、イラスト:Don-Chang)が発売されました。
 これは2023年に「FT新聞」No.3910にて非営利で発表された「黒い猫でも白い猫でも」を、私が英語に自己翻訳したもので、多人数用シナリオ「ドルイドの末裔」(「ウォーロック・マガジン」Vol.5、2019年)の自己翻訳による英語版『The Descendants of the Druids』(著:岡和田晃・豊田奏太、協力:仲知喜、イラスト:Don-Chang、2023年)に続く、Trollgodfather Pressからの第2作になります。

 そもそも英訳をしようと思ったきっかけは、2つあります。1つ目は、「FT新聞」にも登場いただいた伊野隆之さんが、自作の英訳に精力的に取り組んでおられるという話でありました。ストーリーゲームをも含めた日本の文芸マーケットが頭打ちになっていると、かねてから指摘されています。必ずしもそれを真に受ける必要はないにせよ、発表のチャンネルは多様な方がよいのは事実。英語で発表すれば、私が日頃から感じている閉塞感が、少しでも拭えるのではないかと考えていた矢先──伊野さんが次々と、自作を英語のウェブジンやアンソロジーに発表しているではありませんか! 思い返せば、ユキミ・オガワさんのように日本語のネイティヴなのに英語でのみ作品発表をする作家すら出てきている現状、座して翻訳者が現れるのを待つのは時代遅れで、Do it yourselfの精神こそが大事になっているようにも思います。
 
 2つ目は、私が編集に参加している「SF Prologue Wave」で、国領昭彦さんによる巨匠J・G・バラードの英文インタビューを掲載したこと(https://prologuewave.club/archives/9143)。こちらは、既存のバラード・インタビュー集には未収録のもので、国領さんが書き下ろした英語の序文の校閲には私も参加しています。同作は英語圏のバラード・ファンのコミュニティ(バラーディアンと言います)でたびたび話題になっており、英語で発表することの強みを、否が応でも感じさせるものとなっていました。
 
 折しも、『トンネルズ&トロールズ』の版権が、フライング・バッファロー社からウェッブド・スフィア社、さらにはリベリオン・アンプラグド社に移行し、次なる展開が待たれている一方で、ケン・セント・アンドレやスティーヴ・クロンプトンらのデザイナー陣は、自身に版権がある『モンスター!モンスター!TRPG』(1976年〜)の新作を精力的に打ち出しています。
 他方、トム・プーは、デザイナーのグレン・ラーマンから『ラヴクラフト・ヴァリアント』(1980年)の版権を購入し、クロンプトンの序文を添えた『The Lovecraft Variant』として2023年にリプリントしていますが、注目すべきは基幹のゲームエンジンは『モンスター!モンスター!TRPG』に変更されていること。このタイミングを逃す手はありません。
 
 さっそく関係各位に許諾を取り、翻訳作業に着手したのが2023年の2月。他の仕事を多数抱えていたことから、「ドルイドの末裔」の英訳は、他の仕事が煮詰まっているときに、気分転換を兼ねて進めることにしているため、完成したのは6月でした。
 ケンには、『Ken St. Andre's Monsterary of Zimrala』(2022年)に寄稿したときに編集を担当してもらったことがあります。このときは私がコロナ・ウイルスに罹患してダウンしているさなかだったにもかかわらず、懇切丁寧に対応してもらったので、今回もケンに直接持ち込みを行いました。
 
 ただ、翻訳そのものに苦労らしい苦労はありません。「ドルイドの末裔」は、舞台こそスコットランドのインナー・ヘブリディーズ諸島という珍しいものでしたが、基本となる構造は、シンプルなダンジョン探索だったからです。なぜスコットランドを舞台にしたかというと、原案となった豊田奏太さんのレポートが提出された回の拙ゲームデザイン講義においては、スコティッシュ・ケルトの作家フィオナ・マクラウドの小説を講読していたからですね。設定面では、H・P・ラヴクラフトやブラム・ストーカー、エミリー・ブロンテといった古典文学への参照を強化したうえで、仲知喜さんの意見を受けて大枠となる設定を組み直しましたが、基幹となる屋敷の構造そのものは、豊田さんの原案を尊重した形にしています。
 
 文章についても、初出時から一文一文を読みやすく整理していたので、それを英語に訳すことは、さほど難しいものではありませんでした。ゲームタームのブレを削り、日本語では省略される主語をきちんと打ち出すことを目指したのです。Don-Changさんには、地図の書き文字を英語に直してもらい、初出時にはモノクロだったイラストをカラーリングしてもらいました。
 『The Descendants of the Druids』のレイアウトは、ケンの「ゾルのモンスター迷宮」(「GMウォーロック」Vol.2、2021年)でもお馴染み、デイヴィッド・A・ウラリーに担当してもらいました。ケンとデイヴィッドのセンスによる著者紹介群は爆笑ものですので、ぜひご自分の目でご確認ください。
 幸い、『The Descendants of the Druids』の出版は東海大学文芸創作学科のニュースとしても取り上げられ(https://www.u-tokai.ac.jp/ud-cultural-and-social-studies/news/12502/)、入学説明会で言及があると、会場の空気が変わるといいます。
 
 驚いたのは、『The Descendants of the Druids』に支払われた印税でした。英語圏では小説のマーケットは多々ありますが、多くが無料で読めるもののためか、支払われる原稿料は決して多くはありません。単行本化しても、一定ラインに達するまで、支払いがないというのも普通です。
 ところが、『The Descendants of the Druids』も、3ドル99セントと廉価で売られているうえ、関係者で按分しているにもかかわらず、支払われた額は予想以上だったのです。もちろん、金額としては大騒ぎするほどのものではありませんが、レート換算をするならば、かつてアメリカSF作家協会が設けていた入会基準のラインを超えているように思いました。これは短編でも、Drive Thru RPGで単体作として売られることで、著者サイドへ還元される割合が高い、ということであるように思います。英語で発表すれば、北米やヨーロッパだけではなく、カナダやオーストラリア、さらにはアジア圏をも含めた世界各地の読者へ届くということが、しっかり確認できました。
 何より、T&T系ファンダムや個別読者の反応や、版元がつけてくれた紹介文から、『The Descendants of the Druids』に仕込んでいた古典文学へのオマージュが伝わっているという手応えがあったのも嬉しいところです。
 
 気を良くした私は、さっそく次作の英訳に取り組むことにしました。「黒い猫でも白い猫でも」を選んだのは、エドガー・アラン・ポーを下敷きにした構造が、英語圏にも伝わりやすいだろうと考えたためですが、多人数用のシナリオを発表したので、次はソロを、という思いもありました。
 今回は二人称のソロアドベンチャーなので、より狭義の小説に近くなります。まずは、どう考えても伝わらないだろう、という部分を置き換えるところから始まりました。「FT新聞」での配信直後に、すぐさま読者に見抜かれてしまいましたが、「黒い猫でも白い猫でも」には、カルト的な人気を誇るファミコンの怪作アドベンチャー『東方見文禄』(1988年)へのオマージュを入れ込んでいたのですが、私の知る限り『東方見文録』は英訳されていないので、そのまま訳しても意味不明だと思い、別のネタに差し替えざるをえませんでした。また、T&Tの地名とのリンクもあったのですが、M!M!がベースなので、そちらも差し替え。
 キャラクターの名称では「ケルベロス」に悩みました。「Cerberus」表記が原語に近いものの、作品によっては「Kerberos」表記の場合もある。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(1974年〜)の「Demon」が、『ウォーハンマーRPG』(1985年〜)では「Deamon」になるようなものですが、ここは安牌をとって「Cerberus」表記に。

 「The Descendants of the Druids」より分量はあったのですが、前よりもだいぶ早いペースで翻訳を進められました。私は現代詩作家でもあるのですが、「The Descendants of the Druidsと同時期に、アフガニスタンでタリバン政権により実際になされた詩の禁止に抗うテーマで、はじめて英語の詩を書き下ろしており(「The Death of Democracy」)、それがフランス語に訳されてフランスの出版社から出るという僥倖に恵まれました(セシル・ウムアニ監訳『Nulle prison n' enfermera ton poeme』収録【※poemeの最初のeにはアクサンテギュ】、Oxybia、2023年)。拙作のフランス語訳はかなり正確だったので、英訳の力を感じたものです。それが自信につながり、コツがつかめたのかもしれません。
 英訳にあたっては、何人かの方々に違和感がないか簡単なチェックをしてもらって微調整をしました。協力をいただいた方々については、『ラヴクラフト・ヴァリアント』紹介の先駆者や「The Descendants of the Druids」を取り上げてくださった方々とともに、Special Thanksにお名前を入れています。イラストレーターのDonさんにまでチェックをしてもらい、大きなバグを指摘していただいたのは、ここだけの秘密です(笑)。
 
 英語版タイトルは、最初は『Black Cat or White Cat』としていましたが、英語に堪能な吉里川べおさんに相談したところ、やはり、それでは味気ないと。思い返せば、もともと石川あやねさんの原案の段階では、タイトルは「黒猫」でした。それを「黒い猫でも白猫でも」としたのは、次のような理由によります。
 拙講義の課題の段階では、何らかの下敷きを用いたうえで創作を行うように指導していました。さもなければ、学生は往々にして、自分の知らないものを学ぶのではなく、身近な題材で小さくまとまってしまいがちになるからです。
 趣味で作るのであればそれでもかまいませんが、大学の講義である以上、プラスアルファの学びが必要です。そこで出てきたのが、講義内でしばしば読む、ポーの短編に引っ掛けたもの。ただ、内容を見るに、ポーを読んでいれば、一瞬にして「元ネタ」がわかるわけで、かえってミスリードにもなると考えました。
 そこで、ソロアドベンチャー内にも出てくる「白猫」をも含めたタイトル改善案を考えていたとき、トウ小平の有名なセリフが思い浮んだのです(「※トウ」は登へんにおおざと)。「白い猫でも黒い猫でも、鼠をとるのがよい猫だ」というものですね。
 本作のイメージとトウ小平は縁もゆかりもないものですが、だからこそ、かえって使えると思いました。トウ小平の台詞は、改革開放の正当化と受け止められることが多いのですが、言わんとすることは、要するにプラグマティズム(功利主義、実利主義)です。ソ連側の計画経済一辺倒でも、アメリカ式の自由主義経済一色でもなく、使えるものは使ってやろう、ということで、いうならば中国共産党の自立主義を謳ったもの。
 ただ、自立主義といっても、李大ショウ(※ショウは金へんにりっとう)が打ち立てた頃の中国共産党の理念と、トウ小平の頃の状況、もちろん2024年現在における中国共産党の実情は、それぞれ異なります。実際、今回の話はテクスチャーとして中国共産党とは一切関係なく、そう深読みするのも不可能です。そうすると生まれる文脈は、トウ小平をめぐる状況を離れた「プラグマティズム」そのものとなります。
 RPGにおけるプレイヤー・キャラクターは、基本的に、功利主義的に振る舞います。誰がいいか悪いかは関係なく、要は自分が生き延びて、より多くのお金をもらえればそれでよい、ということです。それが確保できてはじめて、願わくば人道的に振る舞いたい、と思うのではないでしょうか。しかし、今回のソロアドベンチャーは、実のところ、何が利益になるのかが、一見して見えづらい構成になっています。生死すらもが曖昧です。
 それゆえ、「白い猫でも黒い猫でも、鼠をとるのがよい猫だ」という常套句が、プレイをしているうちに、一種のアイロニーとしてプレイヤー側に響いてきます。そうすると、今回のタイトルは、「黒い猫でも白い猫でも(鼠をとるのがよい猫だ)」ではなく、「黒い猫でも白い猫でも……?!」と読むのが正解だとプレイしながらわかってきます。つまり、本作のタイトルは、マルチエンディング性を示唆しているのです。ゆえに、イマドキの分岐性をはっきり出すためにも、「Whether」から始まるのは外せない、と……。
 
 こうして初稿を仕上げ、ケンに送ったところ、まず、パラグラフ構成が単調すぎるという指摘がありました。もとの日本語版は、杉本=ヨハネさんが「Role&Roll」掲載のT&Tソロアドベンチャー(現在は『トラブル in トロールワールド』、書苑新社、2018年で読めます)にて本格的に導入した「1-1」、「1-2」と、2つの数字から構成され、ジャンプ先が比較的近いパラグラフになるという構成をとっていました。これは、ソロアドベンチャーが狭義のゲームブックよりも複雑な数値処理を要することを勘案しての処理で、事前に読んでいた方々は異口同音にこちらがよいと言われますが、ケンからは、英語の読者にとっては単純すぎると。しかも、3部構成では短すぎるということで、パラグラフを41パラグラフから60パラグラフまで増補したうえで、本格的なリシャッフルを行い、パラグラフ・アドベンチャーとしても楽しめるようにしました。
 
 次に、本作は叙述トリックのような仕掛けを用いています。叙述トリックとはミステリ小説の用語で、物理トリックではなくナラティヴのあり方によって、作者や語り手が読者を引っ掛けようとする技術のことを指します。アガサ・クリスティの有名作をはじめ、積極的に使われてはいるものの、英語での定訳はありません。イギリス文学を専門とし、最近では『一つの指輪:指輪物語TRPG』(ホビージャパン、2023年〜)がらみの企画でも著名な高橋勇さんから、「"narrative deception"とか"rhetoric of deception"なんかが近いと思います」というアドバイスをいただき、ケンにはnarrative deceptionの技術を用いたと説明して一定の理解は得たものの、やはり、英語圏の読者には不親切かもしれないと言われ、周辺の文脈を強化することで対応を行いました。
 
 次に、細かな指摘もありました。いくつかデータ処理の英訳や、館内での移動を処理する際に、ケアレスミスが残っていたのです。それらを直したわけですが、1つ紹介すると、例えば、「6のゾロ目」を「snake eyes」と表現していたこと。私が完全に誤解していたのですが、「snake eyes」は「1のゾロ目」のときしか言わないのですね。こういう箇所をすべて修正しました。
 また、ケンからは、「どうも文章が素朴すぎる」という指摘も受けましたが、これは日本語版が改行を多用していたからのようです。日本語版では、ゲームバランス調整については、水波流さんのご協力をいただき、その修正を受けたうえで、私が石川あやねさんの原文の修正を1行単位で行ってきたことから、読みやすさを優先して改行を増やしていたのですけれども、英語圏での小説の規範はチャールズ・ディケンズやヘンリー・ジェイムズ等の19世紀小説というわけで、逆に文章が痩せて見えると。ゆえに、改行を減らして説明を増やす形でカバーしました。
 ソロアドベンチャーは狭義の小説により近いということから、日本語での語りにおいては、二人称と一人称的な視点を織り交ぜ、また現在形と過去形を織り交ぜて「プレイヤー視点の現在」を表現していましたが、英語では混乱するとも言われたので、回想シーン以外は現在形、全体の地の文を二人称に統一しました。
 英語版ではサンプル・キャラクターを『The Descendants of the Druids』に登場したフィオナのその後という形に設定し直し、Donさんにイラストを描き下ろしてもらいましたが、ケンからは、プレイヤー・キャラクターが女性ならばきちんと明記すべきと言われ、ジェンダーについても明確化しました。主人公は女性(she/her)、恋人は男性(he/him)で統一。加えて、黒猫のプルートーは雄(he/him)、白猫のエルは雌(she/her)に設定し、人称も書き分けていましたが、こちらも動物ということで「it」に統一。
 その代わり、序文に、あなた性自認や性的指向を束縛するものではないので、望むのなら登場人物のジェンダーを好きなように読み替えてかまわない、との但し書きを添えることで、多様性を意識した配慮を行いました。
 
 それで、当初、ケンからは「この英語ではマズいからこちらで手を入れて、あとで差分から学んでほしい」とも言われていたのですが(涙)、最終的には直接書き直しをされることなくOKがもらえ、「このソロアドベンチャーには、ゲーマー向けの冒険にはめったに見受けられない心理的な深みが描かれている」とお褒めの言葉を頂戴しました。編集のデイヴィッド・ウラリーに、全体を調整してもらい、きれいなレイアウトでの出版が実現したという流れになります。ちなみに、パスした原稿は第4校です。
 編集者としての立場からすれば、著者に8校や10校まで直してもらうのもそう珍しくないとはいえ、少々手間をかけてしまった感は否めません。ちなみにTrollgodfather Pressでは、ゲラを直すという機会はなく、そのまま割り付けが行われるので、提出時にしっかりした原稿へと仕上げておく必要があります。タイトルと著者名の日本語が添えられているのは、さりげなく日本人作であることをアピールしたい、という意図によるようで、ケンに訊かれて日本語の綴りをレクチャーさせてもらいました(笑)。
 Don-Changさんのイラストは描き下ろしです。表紙のカラーは新境地ですね。ケンから、「Donのイラストは最高だが、カラーリングはもっとvividな色合いでもよいかも」と言われていたので、その要望を伝えました。もともとは3枚でしたが、「もっとほしい」と言われ、追加で4枚を描き下ろしてもらいました。すでに日本人女性の読者から「Donさんの表紙が素晴らしく、Drive Thruに並んでいても違和感ありませんね」という感想が届いており、世に出せてよかったなと思います。
 
 「黒い猫でも白い猫でも」の日本語版が商業出版できるとしても、まだ先になるかもしれませんから、まずは、私たちの自信作『Whether the Cat is Black or White』へ、あたたかいご支援をいただけましたら幸いです。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
 『Whether the Cat is Black or White』
 著:岡和田晃・石川あやね 協力:水波流
 英訳:岡和田晃 イラスト:Don-Chang
 編集:ケン・セント・アンドレ、デイヴィッド・A・ウラリー
 版元:Trollgodfather Press
 価格:4ドル99セント
 Drive Thru RPGの販売ページ
 https://www.drivethrurpg.com/ja/product/479009/whether-the-cat-is-black-or-white
 
 『The Descendants of the Druids』
 著:岡和田晃・豊田奏太 協力:仲知喜
 英訳:岡和田晃 イラスト:Don-Chang
 編集:ケン・セント・アンドレ、デイヴィッド・A・ウラリー
 版元:Trollgodfather Press
 価格:3ドル99セント
 Drive Thru RPGの販売ページ
 https://www.drivethrurpg.com/ja/product/445721/The-Descendants-of-Druids


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2024年5月1日水曜日

第13回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4116

第13回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「混沌迷宮の試練」の内容の詳細に踏み込んでおりますのでご了承ください。

ぜろです。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
黒エルフとオークとの協定を結び、混成精鋭部隊でカオスマスター打倒を目指します。
そしてついにカオスマスターとの直接対決。
勝利しますが、同行していた黒エルフの長エルサスが、混沌の力でしずくの怪物と化してしまいます。
混沌の核の力とニモの祈りで、エルサスは元の姿を取り戻しました。
今回は、帰還後の顛末と感想回です。


【サクラ 技量点:2 生命点:6→5 幸運点:4→3/6 従者点:7】
持ち物
悪死剣壱(悪魔とアンデッドに特効+1)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5カタナ(片手武器相当)

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし2回分


●アタック03-12 サクラと冒険のおわり

私たちは、黒エルフの拠点へと帰還した。
たちまち祝宴が始まる。

犠牲者はゼロではなかった。ジョゼという尊い犠牲はあった。
しかし当初の予想はもっと悲惨だったのだ。
これは黒エルフにとっても、オークにとっても、大勝利というべき結果だ。

私もエール酒の大瓶を供出した。
カオスマスターのところにあったやつじゃない。
最初のダンジョンアタックで手に入れたものだ。
冒険が終わったら、黒エルフ三連星に渡すと約束していたものだ。
彼ら3人はもういない。だったら、黒エルフたちで飲んでもらうのが一番だろう。

オークの勇者、グラザンとグリリンも、居心地は悪そうだがその場にいる。
やはりこういうときのアルコールの力は偉大だ。

さて、と。

いつ終わるとも知れない宴会の中、私は席を立った。

宴会の輪を抜け、森への入口のあたり。
猟師のサジタと、その息子コナンが待っていた。

「ニモと、お別れはすませてきた?」

コナンは黙ってうなずく。

「……やはり、黙って出ていくつもりでしたか」

そのとき、後ろから声がかけられた。
エルサスだった。

「まあね。私たちは、村に成果を伝えに行かねば。家に帰るまでが冒険。あなたたちにとっては、拠点(ここ)に戻ったところで完了でしょうけど」

「あなた方には、感謝してもしきれない。あなた方の登場が、今回の件のすべてのはじまりだったと思う。最後までつきあってくれて、ありがとう」

「私たちは私たちの目的を達成すべく動いただけよ。きっともう会うことはないでしょうから、お別れを言っておくわ。さよなら」

私は、サジタ、コナンと連れ立って森へと歩き出す。
その後ろからエルサスが、さらに声をかけてきた。

「そうだな。ここへはもう来ない方が良いだろう。オークとの協定は長くは続かない。共通の敵もなく続けるには、遺恨を重ねすぎた。いつまた抗争が始まるとも知れないからな」

「そうね。私たち人間は、黒いスカーフにオークの指輪を通した新たな目印を持ち続けるわ。そんな時もあったという証として、ね。持ち物欄を圧迫しないのが最高」

こうして私たちは、黒エルフの拠点をあとにした。
エルサスの言うとおり、ここにはもう来ない方が良いのだろう。

ニモやコナンら新たな世代になれば、また違った融和の道もあるのかもしれない。
しかしそれは容易な道ではないし、おそらく父を継いで猟師の道を歩むであろうコナンも、生活に追われてそれどころではなくなるだろう。
黒エルフの姫君との冒険譚は、彼の心に残り続ける。思い出として。

さあ、レドナントの村へ向かおう。
当面の脅威が取り去られたことを報告しに。

サジタとコナンが、妻ユミの不在を本当の意味で実感するのは、村に帰ってからかもしれない。
村にとっては英雄かもしれないが、彼らの心は晴れないことだろう。代償としては、あまりにも大きすぎた。

そうして、私はまた旅に出る。次の冒険を求めて。


■登場人物
サクラ 【奇跡】を使える流れの剣士。混沌の迷宮を攻略し、カオスマスターを倒した。
サジタ レドナント村の猟師。「弓使い」としてサクラに同行する。
ユミ レドナント村の猟師でサジタの妻。迷宮の罠にかかり死亡。
コナン レドナント村の猟師の息子。「ランタン持ち」としてサクラに同行する。
ニモ 黒エルフ「スネージ」に属する少女。黒エルフのリーダー、エルサスの娘。
エルサス 黒エルフ「スネージ」のリーダー。しずくの怪物と化すも生還。
エル/ルフィ/フォウ 黒エルフ「スネージ」の兵士クラスの手練れ3人。全員死亡。
ジョゼ 黒エルフの勇士。ハープ演奏のわざを見せることなくスケルトン戦で死亡。
カオスマスター 混沌の迷宮に棲む恐怖の変態生物。
グラードン オークの族長。豪放磊落。
グラザン/グリリン オークの勇者。棍棒使い。


【感想】

クリア! おめでとう!!
さあ、今回の感想タイムです。


●従者について

今回のリプレイ、私にはひとつの目標がありました。
それは、従者を登場人物として扱うことです。

最初のリプレイ「黄昏の騎士」のときには、多少のやりとりは入れましたが、従者はどちらかというと「ユニット」としての運用だったように思います。
それでも従者が次から次へと倒れていくのは心にぐっとくるものがありました。
それで、主人公2人体制に魅力を感じたりもしましたが、従者プレイはローグライクハーフの基本形には違いないのです。
だったら、だからこそ、従者プレイの面白いリプレイを提供したい、という思いが強くなりました。

もともと人物描写は得意な方ではないし、リプレイはダイジェストになりがちです。
なので、従者の立ち位置に工夫をこらし、印象的なセリフを残すという形で、キャラクターとして立てることを心がけました。
戦わない従者の2人を子どもにしたことで、ぜったいに死なせられないという緊張感も加わりました。

名前の安直さは、名前だけでキャラクターの立ち位置がわかる、ということでもあります。
ランタン持ちの少年だけは「ランタ」ではなく「コナン」で繋がってないのですが……少年の名前、と考えた瞬間に「未来少年コナン」と「名探偵コナン」が脳裏をよぎったためですw

そうやって従者の設定に凝ったために、単にお金を出して雇うという形にならず、ストーリー上の必然で仲間のように加わる形を取ることに。
変則的ですが、ルールにのっとってお金は消費しています。そのお金がどこに消えているのかまでは知りませんw

物語の展開で従者になったために、次の冒険にはついてこられない人ばかりになりました。
そのあたりは、次回に同じ役割の人を配置することで対応しようと思っています。


●変則に変則を重ねて

また、今回は作中の設定を勝手にいじらせてもらっています。
これは、元のシナリオが悪いということを意味しません。
むしろ、あの「混沌の迷宮」を舞台にしたアフターストーリーをこんな見事な形で、と感嘆すらしております。

意識して変えた部分というのは、今回読者が「混沌迷宮の試練」だけで完結できるようにと配慮してある部分です。
この作品だけでも完全に楽しめる構造になっていましたからね。

前日譚としてミラードールシリーズの第2巻「混沌の迷宮」があります。
ミラードールは三部作なので、網羅するとなると、この前に3冊のゲームブックをプレイすることになってしまいます。

前日譚「混沌の迷宮」をプレイした私のリプレイは、どうしたってそれに触れないわけにはいかない。
だったらむしろ、「混沌の迷宮」とのつながりを濃くしてしまえ、といろんなアレンジをほどこしました。

黄金のカギの番号が666なのもそうです。

ミラードールのシリーズをお読みの方には、サクラがこの冒険の前に会ったという吟遊詩人が誰なのか、きっとわかることでしょう。
カオスマスターも「混沌の迷宮」に登場した「あの」カオスマスターにしてしまいました。

黒エルフのリーダーなんて、本当は魔法を使う強いクリーチャーとして、2回めの挑戦のボスとして配置されてるのをスルーして、しょぼい弓使いにしてしまいましたし。
前述の従者の仲間入りストーリーとかも、だいぶ変則的ですよね。

本作では「しずくの怪物」と化した従者を元に戻せる記述はどこにもありません。
前日譚「混沌の迷宮」での「混沌の核」の使われ方から、ルールの枠を超えて使わせてもらいました。
しかも、生命ゴーレムと賢者マトーシュの登場から、「混沌の核」に生命エネルギーが充填されていると繋げられて良かったです。

こういった変則的なものをリプレイとして公開したのにも、もちろん意図はあります。
それは、「1人で遊ぶTRPGなのだから、自分が面白ければどんな遊び方をしてもいいんだ」ということを示したかったのです。

作品は、作者の手から離れた後は、読者の手に委ねられます。
もちろん作者には「こう読んでほしい」「こう読んでもらえればきっと楽しい」という意図はあります。
でも、読者はどんな楽しみ方をしたっていい。それが作者の意図から離れたものであっても。
それがうまくいっていないと「こうやって遊んでもらえれば、もっと楽しめるのに」と思われてしまうかもしれません。
それでも、その作品をどう楽しむかは、最終的には読者に委ねられているのです。

だから私は私なりに、この作品を通じて前日譚「混沌の迷宮」への思いも繋げたかった。
私の中では繋がりました。自己満足ですが、満足しています。


●プレイする度に変わる印象

「黄昏の騎士」のときには、宝物をたくさん入手できて、資金も潤沢でした。
ところが今回の冒険では、3回の冒険を通じて、実入りがほとんどありませんでした。
お金を出して雇える従者を少し加えただけで、金欠です。
最後の冒険を終えた時点で、手持のお金は金貨6枚しかありません。

今回、宝物判定のサイコロの出目があまりに渋すぎたんですよね。
これが最初のローグライクハーフだったら、「ちょっと収入面が渋すぎるんじゃない?」という感想が出ていたかもしれません。
それだけ、プレイするたびに変化するのも、ローグライクハーフの魅力かもしれません。

ところで、今回冊子版でプレイしていて、どうしても気になったことがありました。
前作「黄昏の騎士」では気にならなかったことです。

今回は、「基本ルール」と「混沌迷宮の試練」の2冊の冊子を使って冒険をしました。
基本ルールは最初のキャラクター作成のほかは、ときどきのルールの再確認のために使用します。
そして、普段のプレイの際には、ほとんど「混沌迷宮の試練」の方を使って遊びます。

ところが、クリーチャーを倒した際の「宝物表」は、基本ルールにのみの掲載なんですよね。
つまりここだけは必ず基本ルールを参照しなければいけない。これ実は、地味に遊び辛かったんですよね。
「混沌迷宮の試練」の方に「宝物表」が掲載されていれば、快適度がぐっと増したのに、と思いました。

で、そんな風に思いながら確認を、と、他に手元にあるローグライクハーフのシナリオ「ドラゴンレディハーフ」を手に取ってみました。
すると、しっかり「宝物表」が掲載されているではないですか。

さすがFT書房さん、私が感じた部分は、とっくに承知で改善がなされていました。
この先の作品でもぜひこうした、取り回しの快適さは追求していただきたいと思います。


●職業名について

キャラクターシートに「職業名」がないことについてです。
職業名がないことで、呼び方の不便さはありますが、逆に自称でどんな職業を名乗ってもいいんだ、というメリットを強く感じました。
キャラクターシートに職業とかクラスとかの表記がない作品って非常に珍しいと思います。それは、魅力に繋がります。

今ローグライクハーフでは、基本の4つの副能力値による役割の幅を広げた、新しい職業のルールを拡張しています。
それらを踏まえても、こういった発想の自由さは保ち続けられるといいな、と思った次第です。


●マップモードについて

そうそう。前回の一本道モードから、今回はマップモードで冒険したのでした。
その感想を忘れるところでした。

実のところ、忘れそうになるほどに自然とプレイできたと感じています。
なにしろ私はマップ好きなのです。
ダンジョンマップよりもフィールドマップの方が痺れるのですが、そこはそれ。
やっぱりダンジョンも、マップがあって、そこを踏破していくという感覚にゾクゾクきます。
だから、私にとってはマップモードは素晴らしいの一言でした。

もちろん手軽さは一本道モードに軍配が上がりますので、必ずマップモードをつけろというものではありません。

今回は初めてということもあり、かなり新鮮に遊ぶことができました。
今後もマップモード搭載のシナリオを希望します。


●おわりに

さあ、今回の作品もとても楽しませていただきました。
このままでは、ゲームブックのプレイを差し置いて、ローグライクハーフにばかり走ってしまう危険性すら感じます。
時間のパイは有限です。やばい。これは非常にやばい。

今後もゲームブックのリプレイ、ローグライクハーフのリプレイ、両方を書き続けることはできるのでしょうか。
私にもっと時間があれば、水曜日はゲームブックリプレイ、金曜日はローグライクハーフリプレイ、くらいやってのけるバイタリティはあるのですが。
それをやるには仕事が忙しすぎます。

そんなわけで、さすがに週2連載というわけにはいきませんが、今後もFT新聞水曜リプレイを、どうぞよろしくお願いします。


■作品情報
作品名:「ローグライクハーフ」d66シナリオ第2弾『混沌迷宮の試練』
著者:杉本=ヨハネ
監修:紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
『混沌迷宮の試練』 ローグライクハーフd66シナリオ 第2弾
https://booth.pm/ja/items/4897324


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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