おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
本日は大晦日なので、FT書房の1年間を振り返る「FT新聞1year!」をお届けします。
ぜろさんのリプレイを1回お休みいただきまして恐縮です。
今年は「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ(RLH)」と「モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)」のサプリメントを中心に展開する1年となりました☆
◆2025年のFT書房は。
書籍
・『雪剣の頂 勇者の轍』RLHシナリオサプリメント
・『単眼の巨獣』ゲームブック
・『ズィムララのモンスターラリー 【ワールド編】』M!M!サプリメント
・『エメラルド海の探索』RLHシナリオサプリメント
・『ヒーローズオブダークネス』RLHサプリメント
・『クトゥウルウの聖なる邪神殿』RLHシナリオサプリメント
・『ズィムララのモンスターラリー 【モンスター編】』M!M!サプリメント
電子書籍
・『戦場の風』『怪盗は雪夜に舞う』『我ら海底探検隊 〜海の幸を添えて〜』RLHd33シナリオ
・『狂える魔女のゴルジュ』ゲームブック
・『〈四猫亭〉の幽霊』RLHシナリオサプリメント
・『悪魔よそれをとれ』T&Tコラム集
これらの他に、新刊の電子書籍版も刊行しております☆
◆刊行を振り返って。
2025年は夏のコミックマーケットに落選するという、初めての「事件」が発生しました。
なかなかの打撃ではありましたが、委託を引き受けてくださったコノスさんほか、さまざまな方のご協力のおかげで、夏の刊行を無事にやり遂げることができました。
今年は「ぶ厚い本」が多かったので、編集仕事が本当に多かったと感じています。
たとえば、RLHのサプリメント『ヒーローズオブダークネス』は108ページありましたし、『ズィムララのモンスターラリー」は2冊あわせると270ページにもなります。
編集部員の緋色朱音が、きっちりとがんばってくれました。
私も編集長として、それなりにがんばりました(それなりです、執筆と違って)。
◆FT新聞は……。
FT新聞のほうも、振り返ってまいりましょう。
FT新聞の1年間を振り返るのは骨が折れるので、今年は第1日曜日に配信してきたRLHのシナリオを、振り返ってまいりましょう☆
・『桜森と冬の終わり』d66シナリオ(by読者の皆さま)
・『吹雪の慟哭 氷獄の囚人』d33シナリオ(byロア・スペイダー)
・『炎の王墓』d66シナリオ(by丹野佑)
・『怪盗は雪夜に舞う』d33シナリオ(byロア・スペイダー)
・『昆虫都市』d66シナリオ(by杉本=ヨハネ)
・『蛇禍の悪魔』d66シナリオ(by火呂居美智)
・『幽霊屋敷の果実酒』d66シナリオ(by火呂居美智)
・『クトゥウルウの聖なる邪神殿』d66シナリオ(by中山将平)
・『汝、獣となれ人となれ』d33シナリオ(by水波流)
・『死霊沼の聖母』d66シナリオ(by杉本=ヨハネ)
・『きみへ贈る詩』d33シナリオ(by丹野佑)
・『ベテルギウスの残光』d66シナリオ(by紫隠ねこ)
無事に12本のシナリオを送り届けることができて、FT書房のリーダーとして嬉しいです。
企画開始から1年が経とうとしている『桜森と冬の終わり』ですが、イラストレーターさんと交渉中ですので、気を長くしてお待ちいただけましたらさいわいです☆
◆日曜配信を振り返って。
今年の配信を通じて、共通世界アランツァにおける新たな姿が明らかになったと感じています。
商業都市ナゴール、山岳都市カザド・ディルノー、ポロメイア小国家連合、死霊都市フアナ・ニクロ、末裔村イシュ・ムスといった、新しい都市や村を知ってもらうことができました。
都市サプリメント、ワールドガイド、【新職業】、そしてシナリオ。
17都市のうち15都市までを紹介できて、嬉しいかぎりです☆
あとは盗賊都市ネグラレーナと、水上都市聖フランチェスコ市ですね。
◆振り返って。
FT書房にとっての2025年は、拡大と成長の年でした。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」は、【悪の種族】で遊ぶ『ヒーローズオブダークネス』を含む、さらなるサプリメントが刊行されました。
「モンスター!モンスター!TRPG」はもっとも重要なサプリメントである『ズィムララのモンスターラリー』を、【ワールド編】と【モンスター編】に分けて刊行することができました。
ゲームブックに続いて2つの柱を得たFT書房ですが、確実に成長を続けています。
それもこれも、このFT新聞を読み、作品を愛してくださるあなたのおかげだと、感じております。
それでは、よいお年を!
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2025年12月31日水曜日
2025年12月30日火曜日
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回 FT新聞 No.4724
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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
「クトゥウルウの聖なる邪神殿とカエル人の全て」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
先日、「ギルド黄金の蛙」という新サークルを立ち上げたイラストレーターの中山将平です。
いよいよ年の瀬となりましたね。
本年も、僕たちの作品を楽しんでいただき、ありがとうございました!
来年も何卒引き続き応援いただけますと幸いです。
さて、今日の記事では、2つの情報をお届けします。
1つは、FT書房から今日コミケで刊行される新刊『クトゥウルウの聖なる邪神殿』がどんな本であるかという情報。
もう1つは、来年1月11日(日)「SUPER COMIC CITY関西 31」でギルド黄金の蛙から新刊「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て 魔法と儀式編」を刊行します、という情報です。
早速それぞれ見ていきましょう。
◆『クトゥウルウの聖なる邪神殿』について
まずは前者、「クトゥウルウの聖なる邪神殿」がどんな作品であるかというお話から。
いえいえ、この作品、なんと今日本当に刊行なんですよ。
発表の場は「コミケ107」。
しかも、僕はなんとなんとその場に売り子として参加しているんです。
この記事を、コミケが開催される東京ビッグサイトに向かいながら読まれているあなたは、ぜひ配置【東ソ01ab】FT書房にお立ち寄りいただけましたら。
さてさて、それはそうと本題として作品の紹介に移りたいと思います。
『クトゥウルウの聖なる邪神殿』は、クトゥルフ神話×ファンタジーなジャンルの、「30分で遊ぶ1人用TRPGローグライクハーフ」シナリオ本です。
今回はクトゥルフ神話とファンタジーが両方大好きなイラストレーターである僕が、シナリオ作成と絵を担当しました。
あまり積極的に発信してきませんでしたが、絵を描くことと同様に、ゲームを作ったり、シナリオを考えたりすることも大好きなんです。
ファンタジー世界でクトゥルフ神話の要素がある冒険を描くといっても、その描き方はきっと様々なのだろうと思っています。
その中で本作は、「邪神的な悪魔たち、神話生物的なクリーチャーたちと、思う存分戦うことができる」という描き方を選びました。
せっかくのファンタジークトゥルフ作品なので、現実世界をベースにした作品では手も足も出ないような存在と、武力を持って対峙できる物語にしたいという激しい心の声に突き動かされてしまったのです。
とはいえ、実際クトゥルフ神話の前提知識は全く必要ではなく、「クトゥルフ系作品に興味はあるけど、あまり触れたことはない」という方にもしっかりと楽しんでいただける冒険を目指して作成しています。
その意味でも、舞台はFT書房のファンタジー世界であるアランツァとしました。
主人公たちは、魚人の一種「末裔」の集落の代表から依頼を受け、大悪魔クトゥウルウの野望を打ち砕くべく、魚人たちの狂信者に立ち向かうことになります。
しかしそのために足を踏み入れる、海中から浮上した古代神殿には、様々な狂気と神話的生物たちが待ち受けているのでした……という物語です。
適正レベルが10〜18と幅広く、作成したてのキャラクターでも、育てたキャラクターでも遊ぶことができる内容となっています。
文章面では、文字数を極力抑え、行間に想像が膨らむローグライクハーフの「良さ」を最大限輝かせられるように努めました。
クトゥルフ×ファンタジーな作風を表現するために、特別なルールも作成しましたが、いずれも実にシンプルで遊びやすいものにできたと自負しています。
「そういう冒険を待ち望んでいた!」という方に届くと幸いです。
以上のようなメッセージを含む作品紹介ページも用意しました。
以下のURLよりぜひご覧ただけましたら。
https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/jyashinden
◆ 「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て 魔法と儀式編」について
次に、「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て 魔法と儀式編」について軽く触れておこうと思います。
この本は、カエル人という異種族の設定をまとめた本です。
様々なファンタジー作品を作られる際に、インスピレーションを得られるものにできたらと思い、作成しました。(それで、今回は「汎用異種族設定集」と銘打つことに決めました。)
僕が作っているカエル人のイラストのシリーズ「カエルの勇者ケロナイツ」のシリーズ作品であり、彼らを中心のひとつとしています。
実は書きたい内容を2つに分けたうちのひとつがこの本で、ケロナイツも24人中12人の紹介を掲載しました。
もう一冊の方は今のところ「身体と生態編」というタイトルになる予定です。
オールカラーでお届けする本文24ページの書籍で、横書きです。
新サークルを作って刊行したかった本はまさにこれで、既に完成して入稿を終えています。
ご興味をいただける方は、1/11「SUPER COMIC CITY関西 31」または1/18「こみっくトレジャー」、または1/25「関西コミティア」にて「ギルド黄金の蛙」を探していただけましたら。
この情報はTwitter(現X)で発信していく予定ですので、以下のURLの僕のアカウントをぜひフォローしていただけますと幸いです。
https://x.com/ENDMOONDO
◆ まとめ
今日は自分が関わった2つの作品について描いてみました。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
そして、良いお年を。
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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
「クトゥウルウの聖なる邪神殿とカエル人の全て」
(中山将平)
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いよいよ年の瀬となりましたね。
本年も、僕たちの作品を楽しんでいただき、ありがとうございました!
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1つは、FT書房から今日コミケで刊行される新刊『クトゥウルウの聖なる邪神殿』がどんな本であるかという情報。
もう1つは、来年1月11日(日)「SUPER COMIC CITY関西 31」でギルド黄金の蛙から新刊「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て 魔法と儀式編」を刊行します、という情報です。
早速それぞれ見ていきましょう。
◆『クトゥウルウの聖なる邪神殿』について
まずは前者、「クトゥウルウの聖なる邪神殿」がどんな作品であるかというお話から。
いえいえ、この作品、なんと今日本当に刊行なんですよ。
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さてさて、それはそうと本題として作品の紹介に移りたいと思います。
『クトゥウルウの聖なる邪神殿』は、クトゥルフ神話×ファンタジーなジャンルの、「30分で遊ぶ1人用TRPGローグライクハーフ」シナリオ本です。
今回はクトゥルフ神話とファンタジーが両方大好きなイラストレーターである僕が、シナリオ作成と絵を担当しました。
あまり積極的に発信してきませんでしたが、絵を描くことと同様に、ゲームを作ったり、シナリオを考えたりすることも大好きなんです。
ファンタジー世界でクトゥルフ神話の要素がある冒険を描くといっても、その描き方はきっと様々なのだろうと思っています。
その中で本作は、「邪神的な悪魔たち、神話生物的なクリーチャーたちと、思う存分戦うことができる」という描き方を選びました。
せっかくのファンタジークトゥルフ作品なので、現実世界をベースにした作品では手も足も出ないような存在と、武力を持って対峙できる物語にしたいという激しい心の声に突き動かされてしまったのです。
とはいえ、実際クトゥルフ神話の前提知識は全く必要ではなく、「クトゥルフ系作品に興味はあるけど、あまり触れたことはない」という方にもしっかりと楽しんでいただける冒険を目指して作成しています。
その意味でも、舞台はFT書房のファンタジー世界であるアランツァとしました。
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しかしそのために足を踏み入れる、海中から浮上した古代神殿には、様々な狂気と神話的生物たちが待ち受けているのでした……という物語です。
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クトゥルフ×ファンタジーな作風を表現するために、特別なルールも作成しましたが、いずれも実にシンプルで遊びやすいものにできたと自負しています。
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次に、「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て 魔法と儀式編」について軽く触れておこうと思います。
この本は、カエル人という異種族の設定をまとめた本です。
様々なファンタジー作品を作られる際に、インスピレーションを得られるものにできたらと思い、作成しました。(それで、今回は「汎用異種族設定集」と銘打つことに決めました。)
僕が作っているカエル人のイラストのシリーズ「カエルの勇者ケロナイツ」のシリーズ作品であり、彼らを中心のひとつとしています。
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もう一冊の方は今のところ「身体と生態編」というタイトルになる予定です。
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ご興味をいただける方は、1/11「SUPER COMIC CITY関西 31」または1/18「こみっくトレジャー」、または1/25「関西コミティア」にて「ギルド黄金の蛙」を探していただけましたら。
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2025年12月29日月曜日
☆「モンスター!モンスター!TRPG」のファン作品について☆ FT新聞 No.4723
おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
本日は「モンスター!モンスター!TRPG」に関するお知らせです。
「ファンが作品を出すときは、どうしたらいいの?」についてです。
◆ロイヤリティの難しさ。
「モンスター!モンスター!TRPG」の個人制作(ファンメイド)作品に関して、かつてケン・セント・アンドレに打診したことがあります。
日本人が作品を出すとき、『モンスター!モンスター!TRPG』の世界観などを使用するには、どうしたらいいのかと。
ケンはそのとき、売上の何%かを毎月、振り込むことが条件であると答えました。
私はそれを聞いたとき、「現実的じゃないなあ」と思いました。
海外送金だけでも経験のない人には敷居が高いのに、毎月キチンと振り込むとなると、制作に二の足を踏む人が多いだろうことが、目に見えています。
◆クロンプトーン!!
そこで私は一計を案じました。
ケンの相棒であるスティーブ・クロンプトンが11月28日に来日した際、港まで迎えに行く約束をしたのです。
皆と合流するまでの数駅で、クロンプトンに問題点を話しました。
「OKヨハネ、それだったらファンメイド作品に関してはルールを変えよう!」
それから1ヶ月が経ち、クロンプトンと私で話をした後に、クロンプトンとケンが話し合って、最終的な調整がなされました。
◆5倍!
最終的な決定事項は次のとおりです。
日本語でファンメイド作品を出す際は、FT書房が窓口となります。
支払うロイヤリティは、作品価格の5倍です。
たとえば、1冊1000円の本を出す場合、5倍の5,000円をお支払いください。
無料PDFを配布する場合には無料ですが、忘れずにFT書房にお知らせください。
振込手数料はあなた持ちとなりますこと、ご了承くださいませ。
◆差額は?
このロイヤリティ額は、紙の本でもPDFでも変わりません。
紙の書籍とPDFの両方で出す場合、2回支払う必要はありません。
紙の本とPDFの両方を出す際に、価格が異なる場合には、高いほうの価格を基準に、その5倍を一度だけお支払いください。
いちど世に出した作品の価格が後に(高いほうに)変更になる場合、差額の5倍をお支払いください。
価格が低くなる場合、差額の払い戻しを行うことはありませんので、あらかじめご了承ください。
◆増刷は? 英語版は?
増刷に際しては、再度お支払いいただく必要はありません。
英語版を出す際には、別のルールが存在します。
英語版を出す際には、ケン・セント・アンドレかスティーブ・クロンプトンに直接ご連絡ください。
売上の4%を支払うか、彼らに任せる(売上に応じたロイヤリティを「受け取る」立場になります)かのどちらかを選ぶことになります(FT書房はこのとき、間には立ちません)。
詳しくは、ケンまたはクロンプトンに直接、ご質問ください。
◆ご連絡はFT書房まで!
ご不明な点や、作品を出す際の振込先などにつきましては、私杉本のところまでご連絡ください。
sugimotojohn☆hotmail.com が連絡先メールアドレスです(☆を@に変えて送ってください)。
それではまた!
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「ファンが作品を出すときは、どうしたらいいの?」についてです。
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日本人が作品を出すとき、『モンスター!モンスター!TRPG』の世界観などを使用するには、どうしたらいいのかと。
ケンはそのとき、売上の何%かを毎月、振り込むことが条件であると答えました。
私はそれを聞いたとき、「現実的じゃないなあ」と思いました。
海外送金だけでも経験のない人には敷居が高いのに、毎月キチンと振り込むとなると、制作に二の足を踏む人が多いだろうことが、目に見えています。
◆クロンプトーン!!
そこで私は一計を案じました。
ケンの相棒であるスティーブ・クロンプトンが11月28日に来日した際、港まで迎えに行く約束をしたのです。
皆と合流するまでの数駅で、クロンプトンに問題点を話しました。
「OKヨハネ、それだったらファンメイド作品に関してはルールを変えよう!」
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英語版を出す際には、別のルールが存在します。
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2025年12月28日日曜日
Re:ローグライクハーフ・都市サプリメント【ポロメイア小国家連合】&新職業【悪魔召喚師】 FT新聞 No.4722
おはようございます。
FT新聞編集長の水波です。
1月第1日曜日は、火呂居美智さんによるローグライクハーフd33シナリオ『失楽園奇譚』が配信予定です。
本日はそれに伴いまして、舞台となるポロメイア小国家連合にまつわる「都市サプリメント」と【悪魔召喚師】を再配信いたします!
◆ポロメイア小国家連合
大陸南東部にある地域で、南西部と比べると乾燥しており、他地域から独立した独自の文化が栄えています。
ポロメイアの人々は貧しいながらも工夫と地道な努力で生き延びる、驚異的な辛抱強さを持つ民です。
この地はまた、丸々獣の原産地として知られています。
↓ 都市サプリメント:ポロメイア小国家連合
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Polomeia.txt
◆【悪魔召喚師】
異界の【悪魔】たちを従者として従わせる【悪魔召喚術】の使い手のことを、【悪魔召喚師】と呼びます。
【悪魔】の本体はこの世界にはありません(アランツァに重なる精神世界「エヴァシュネ」に存在します)。
「召喚悪魔」として同行できる【悪魔】は常に1体のみです。
↓ 新職業【悪魔召喚師】
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_NewClass_DemonSummoner.txt
↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png
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1月第1日曜日は、火呂居美智さんによるローグライクハーフd33シナリオ『失楽園奇譚』が配信予定です。
本日はそれに伴いまして、舞台となるポロメイア小国家連合にまつわる「都市サプリメント」と【悪魔召喚師】を再配信いたします!
◆ポロメイア小国家連合
大陸南東部にある地域で、南西部と比べると乾燥しており、他地域から独立した独自の文化が栄えています。
ポロメイアの人々は貧しいながらも工夫と地道な努力で生き延びる、驚異的な辛抱強さを持つ民です。
この地はまた、丸々獣の原産地として知られています。
↓ 都市サプリメント:ポロメイア小国家連合
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◆【悪魔召喚師】
異界の【悪魔】たちを従者として従わせる【悪魔召喚術】の使い手のことを、【悪魔召喚師】と呼びます。
【悪魔】の本体はこの世界にはありません(アランツァに重なる精神世界「エヴァシュネ」に存在します)。
「召喚悪魔」として同行できる【悪魔】は常に1体のみです。
↓ 新職業【悪魔召喚師】
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↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
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■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
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2025年12月27日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第672号 FT新聞 No.4721
From:水波流
随分昔からずっとiPhoneに入れ続けているアプリがあります。
各地の森や山の環境音をライブ中継してくれる、"forest notes" というものです。
電車内など、本を読む時に周りの音が気になる時なんかはこれを聞いています。
自然の中にいるような静謐な気分になり、良いですよ。
From:葉山海月
割り箸を使いまわす。
折ってゴミ箱に入れようとして、箸の端に力を入れる。
「真ん中持って折れば手が汚れないのに」
このはしわたるべからず、か。(違げーよ)
From:明日槇悠
今週は『クリスマスに捧げるドイツ綺譚集』(遠山明子訳、創元推理文庫)よりホフマン「クルミ割り人形とネズミの王さま」を読んでいました。
初出時は「子供の理解力を考慮していない」、「裕福な家庭のことしか想定していない」と批判が殺到したそうですが、今読んでもその点は至極尤もだと思います。
しかし人の見てないところでドンパチしだす人形のモチーフは後に、トイ・ストーリー、スモール・ソルジャーズ、スマブラ、(なんだか21世紀直前に集中していますね)等々のエンタメにつながり、実に長い時と多くの手を経て子供たちが喜ぶプレゼントを渡すことになったのでした。知る由もないところで誰かのサンタになることもあるのでしょう。
From:中山将平
僕ら、12月30日「コミックマーケット107」にサークル参加します。
ブース配置は【東ソ01ab】です。
発売の新刊は2冊で、それ以外に11月ゲームマーケットで発売した作品が1冊あります。発売新刊の通販予約も開始していますので、ぜひチェックしていただけましたら。
・「ズィムララのモンスターラリー モンスター編」モンスター!モンスター!TRPGサプリメント
https://ftbooks.booth.pm/items/7733432
・「クトゥウルウの聖なる邪神殿」ローグライクハーフサプリメント
https://ftbooks.booth.pm/items/7726592
・「ヒーローズオブダークネス」ローグライクハーフサプリメント(ゲムマにて発売)
https://ftbooks.booth.pm/items/7572242
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■12/21(日)~12/26(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年12月21日(日)かなでひびき FT新聞 No.4715
読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回(解答編)
・かなでひびき氏による企画。かなで氏が集めた奇妙で結末がない物語の断片。この前半部に、読者の皆様がオチに当たるストーリーを考えるという企画です。
今回のお話は、「たぐいまれな美貌を持ったエルフ。エルフ・ザ・ピンチ!
おにゃのこに囲まれながら税関を通過しようとすると、いいかがりに近いバカ高い通行税を請求されてしまう!
突っぱねようとしても、『それなら女の子たちを置いてけ』
この欲の皮が突っ張った税関に。はたしてピンチは!?」
今回は、知識をフル活用したものから、ちょっとアダルティな答えまで!?
解答者さんの知恵の数々、お楽しみください!
(葉)
2025年12月22日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4716
☆告知と雑記☆
・発売から数日で完売となり、その後ずっと絶版のままだった、吉里川べおさんが書かれた、世界で2番目に古いTRPG「トンネルズ&トロールズ」のコラム集『悪魔よそれをとれ』の電子書籍版が突如として爆誕☆
この経緯については、電子書籍も充実させたいと思っている杉本氏の、経験に基づく深い訳がありました……詳細は記事にて。
『〈四猫亭〉の幽霊』の電子書籍版も登場! 自治都市トーンの宿〈四猫亭〉の存亡をかけたシティアドベンチャーを、書籍版でも電子書籍版でも、お楽しみください!
(天)
2025年12月23日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4717
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(4)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第4回をお届けしました。
持久戦のなか、精神的指導者同士の権力争いに翻弄されるカタリ派信者たち。とりわけ深刻な影響を受けたのがベルトランとセシル、両方との関わりが深い領主一家でした。
フィリッパの登場によって露わとなるのは、昼ドラさながらのドロドロな縮図! 領主レーモンは内的な問題から目をそらすようにアミエル少年に剣の指導をするのでした。
えげつない展開にロールプレイしている当人たちすら困惑を覚えていますが、『モンセギュール1244』の魅力が詰まった局面と言えることでしょう。
(明)
2025年12月24日(水)ぜろ FT新聞 No.4718
第2回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
・プレイヤーとキャラクター双方の視点を織り交ぜながら展開される、ぜろ氏のリプレイ第472回です。
大自然の罠にはまって、初回はあえなく失敗に終わったニナの逃避行。今回は、自然だけでなく人の作った罠も登場しますが、それに対するプレイヤーぜろ氏からのツッコミや豆知識も見どころのひとつです。
ちなみに、私(くろやなぎ)も自治体のLINEアカウントから「イノシシ捕獲のお知らせ」がしばしば届く土地に住んでおり、とても興味深く読ませていただきました。(記事の配信後に、ぜろ氏からさらなる追加エピソードも伺いましたので、詳しくはひとことアンケートのコーナーにて!)
(く)
2025年12月25日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4719
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.34
・岡和田晃氏による、スペキュレイティブ・フィクション専門のネットマガジン「SF Prologue Wave」とのコラボ企画記事です。
今回も前回に引き続き、ゲームブックの不朽の名作『展覧会の絵』で名高い平田真夫(森山安雄)先生の作品。
夜の園内を照らす電気の明かりの下で、道化師が風船を配っている。
しかし、不思議なのが、その風船が減っていかない……。
この奇妙な「ささくれ」が、主人公を、そしてと読者の皆さんを「不思議な世界」に誘います。
前回、ご紹介した「吟遊詩人」が『展覧会の絵』のスピンオフだったとしたら、今回ご紹介する「道化師」は『水の中、光の底』との連続性を感じさせる物語となっています。
ファンの方はもちろん、幻想的な世界をさまよってみたい方。
このクリスマスプレゼントFT新聞 No.4719をどうぞ!
(葉)
2025年12月26日(金)休刊日 FT新聞 No.4720
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(忍者福島さん)
踊る剣、クロくんのように気のいいヤツもいれば、問答無用で襲ってくるヤツもいるのかー。
違う作者の作品ですが、シグナスくんはいいパートナーに恵まれたなと思いました。
クワニャウマだと腐れ縁のパートナーが多い気がするのはなぜだろう(笑)
(お返事:齊藤飛鳥)
今回も感想を下さり、嬉しいです。ありがとうございますm(_ _)m
踊る剣のクロさんは、シグナスくんのよき保護者みたいで、いいパートナーですよね^^
シグナスくんはいい子ですが、クワニャウマは問題児なので、腐れ縁パートナーになるのでしょう(笑)
(くろやなぎさん)
ぜろさん、いつも楽しいリプレイ記事をありがとうございます。物語性重視の『ゴルジュ』も大好きでしたが、いつものぜろさんスタイルに戻った『ハンテッド・ガーデンハート』も気軽に読めてほっとします!
ところで今回、プレイヤー視点での「くくり罠」解説がとても面白く、自分でも少し調べてみたのですが、お話に出てきた「甲種狩猟免許」は、どうやら現在は名称や区分が変わって「網猟免許」や「わな猟免許」になっているようです。編集部内で先読みさせていただいたときに気付けず、申し訳ありませんでした…!
(お返事:ぜろ)
おお。現在の狩猟免許はそのようになっているのですね。私が猟友会の方々と仲良しさんで、猪鍋会にお呼ばれしていたのは20年くらい前のことだったので、自身の記憶に頼って最新情報にアップデートしていませんでした。当時は乙種(銃)、甲種(わな)、丙種(空気銃)の3区分になっていたんです。罠はゲームブック作品にはよく登場するので、こうした自分の経験は話題を広げるのに非常に役立っています。
それにしても、これがミステリ作品であれば、狩猟免許を古い呼び方をした失言をきっかけに嘘がばれて、「犯人はお前だ」されてしまいそうなシチュエーションですね。
ご指摘ありがとうございます。そしてそれでも楽しんでいただきありがとうございます。
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もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
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各地の森や山の環境音をライブ中継してくれる、"forest notes" というものです。
電車内など、本を読む時に周りの音が気になる時なんかはこれを聞いています。
自然の中にいるような静謐な気分になり、良いですよ。
From:葉山海月
割り箸を使いまわす。
折ってゴミ箱に入れようとして、箸の端に力を入れる。
「真ん中持って折れば手が汚れないのに」
このはしわたるべからず、か。(違げーよ)
From:明日槇悠
今週は『クリスマスに捧げるドイツ綺譚集』(遠山明子訳、創元推理文庫)よりホフマン「クルミ割り人形とネズミの王さま」を読んでいました。
初出時は「子供の理解力を考慮していない」、「裕福な家庭のことしか想定していない」と批判が殺到したそうですが、今読んでもその点は至極尤もだと思います。
しかし人の見てないところでドンパチしだす人形のモチーフは後に、トイ・ストーリー、スモール・ソルジャーズ、スマブラ、(なんだか21世紀直前に集中していますね)等々のエンタメにつながり、実に長い時と多くの手を経て子供たちが喜ぶプレゼントを渡すことになったのでした。知る由もないところで誰かのサンタになることもあるのでしょう。
From:中山将平
僕ら、12月30日「コミックマーケット107」にサークル参加します。
ブース配置は【東ソ01ab】です。
発売の新刊は2冊で、それ以外に11月ゲームマーケットで発売した作品が1冊あります。発売新刊の通販予約も開始していますので、ぜひチェックしていただけましたら。
・「ズィムララのモンスターラリー モンスター編」モンスター!モンスター!TRPGサプリメント
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・「クトゥウルウの聖なる邪神殿」ローグライクハーフサプリメント
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・「ヒーローズオブダークネス」ローグライクハーフサプリメント(ゲムマにて発売)
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さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
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■12/21(日)~12/26(金)の記事一覧
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2025年12月21日(日)かなでひびき FT新聞 No.4715
読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回(解答編)
・かなでひびき氏による企画。かなで氏が集めた奇妙で結末がない物語の断片。この前半部に、読者の皆様がオチに当たるストーリーを考えるという企画です。
今回のお話は、「たぐいまれな美貌を持ったエルフ。エルフ・ザ・ピンチ!
おにゃのこに囲まれながら税関を通過しようとすると、いいかがりに近いバカ高い通行税を請求されてしまう!
突っぱねようとしても、『それなら女の子たちを置いてけ』
この欲の皮が突っ張った税関に。はたしてピンチは!?」
今回は、知識をフル活用したものから、ちょっとアダルティな答えまで!?
解答者さんの知恵の数々、お楽しみください!
(葉)
2025年12月22日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4716
☆告知と雑記☆
・発売から数日で完売となり、その後ずっと絶版のままだった、吉里川べおさんが書かれた、世界で2番目に古いTRPG「トンネルズ&トロールズ」のコラム集『悪魔よそれをとれ』の電子書籍版が突如として爆誕☆
この経緯については、電子書籍も充実させたいと思っている杉本氏の、経験に基づく深い訳がありました……詳細は記事にて。
『〈四猫亭〉の幽霊』の電子書籍版も登場! 自治都市トーンの宿〈四猫亭〉の存亡をかけたシティアドベンチャーを、書籍版でも電子書籍版でも、お楽しみください!
(天)
2025年12月23日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4717
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(4)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第4回をお届けしました。
持久戦のなか、精神的指導者同士の権力争いに翻弄されるカタリ派信者たち。とりわけ深刻な影響を受けたのがベルトランとセシル、両方との関わりが深い領主一家でした。
フィリッパの登場によって露わとなるのは、昼ドラさながらのドロドロな縮図! 領主レーモンは内的な問題から目をそらすようにアミエル少年に剣の指導をするのでした。
えげつない展開にロールプレイしている当人たちすら困惑を覚えていますが、『モンセギュール1244』の魅力が詰まった局面と言えることでしょう。
(明)
2025年12月24日(水)ぜろ FT新聞 No.4718
第2回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
・プレイヤーとキャラクター双方の視点を織り交ぜながら展開される、ぜろ氏のリプレイ第472回です。
大自然の罠にはまって、初回はあえなく失敗に終わったニナの逃避行。今回は、自然だけでなく人の作った罠も登場しますが、それに対するプレイヤーぜろ氏からのツッコミや豆知識も見どころのひとつです。
ちなみに、私(くろやなぎ)も自治体のLINEアカウントから「イノシシ捕獲のお知らせ」がしばしば届く土地に住んでおり、とても興味深く読ませていただきました。(記事の配信後に、ぜろ氏からさらなる追加エピソードも伺いましたので、詳しくはひとことアンケートのコーナーにて!)
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2025年12月25日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4719
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.34
・岡和田晃氏による、スペキュレイティブ・フィクション専門のネットマガジン「SF Prologue Wave」とのコラボ企画記事です。
今回も前回に引き続き、ゲームブックの不朽の名作『展覧会の絵』で名高い平田真夫(森山安雄)先生の作品。
夜の園内を照らす電気の明かりの下で、道化師が風船を配っている。
しかし、不思議なのが、その風船が減っていかない……。
この奇妙な「ささくれ」が、主人公を、そしてと読者の皆さんを「不思議な世界」に誘います。
前回、ご紹介した「吟遊詩人」が『展覧会の絵』のスピンオフだったとしたら、今回ご紹介する「道化師」は『水の中、光の底』との連続性を感じさせる物語となっています。
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踊る剣、クロくんのように気のいいヤツもいれば、問答無用で襲ってくるヤツもいるのかー。
違う作者の作品ですが、シグナスくんはいいパートナーに恵まれたなと思いました。
クワニャウマだと腐れ縁のパートナーが多い気がするのはなぜだろう(笑)
(お返事:齊藤飛鳥)
今回も感想を下さり、嬉しいです。ありがとうございますm(_ _)m
踊る剣のクロさんは、シグナスくんのよき保護者みたいで、いいパートナーですよね^^
シグナスくんはいい子ですが、クワニャウマは問題児なので、腐れ縁パートナーになるのでしょう(笑)
(くろやなぎさん)
ぜろさん、いつも楽しいリプレイ記事をありがとうございます。物語性重視の『ゴルジュ』も大好きでしたが、いつものぜろさんスタイルに戻った『ハンテッド・ガーデンハート』も気軽に読めてほっとします!
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(お返事:ぜろ)
おお。現在の狩猟免許はそのようになっているのですね。私が猟友会の方々と仲良しさんで、猪鍋会にお呼ばれしていたのは20年くらい前のことだったので、自身の記憶に頼って最新情報にアップデートしていませんでした。当時は乙種(銃)、甲種(わな)、丙種(空気銃)の3区分になっていたんです。罠はゲームブック作品にはよく登場するので、こうした自分の経験は話題を広げるのに非常に役立っています。
それにしても、これがミステリ作品であれば、狩猟免許を古い呼び方をした失言をきっかけに嘘がばれて、「犯人はお前だ」されてしまいそうなシチュエーションですね。
ご指摘ありがとうございます。そしてそれでも楽しんでいただきありがとうございます。
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2025年12月25日木曜日
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.34 FT新聞 No.4719
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「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.34
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●はじめに(岡和田晃)
ゲームブックの不朽の名作『展覧会の絵』で名高い平田真夫(森山安雄)氏は、自他ともに認める熱心なSFファンで、リリカルなヴィジョンもSF的な裏付けてがあってのこそ——氏のもう一つの代表作たる『水の中、光の底』は、そのことをよく伝えてくれます。
前回、ご紹介した「吟遊詩人」が『展覧会の絵』のスピンオフだったとしたら、今回ご紹介する「道化師」は『水の中、光の底』との連続性を感じさせる物語となっています。
ご参考までに、「Webミステリーズ!」(現:「Web東京創元社マガジン」)に掲載された「平田真夫/森山安雄の挑戦——ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ」(平田真夫/森山安雄×岡和田晃)をお読みいただければ、いっそう興趣が増すと思います。
https://www.webmysteries.jp/archives/12245589.html
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
オリジナル小説「道化師」
平田真夫
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
——希ガス
周期表上の十八族に当たる、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンの六つの元素。最外殻の電子が丁度八つで安定しており、化合物を作り難い気体である。その為、不活性ガスとも言う。ただし、キセノンがフッ素や酸素などと結晶性の固体になる例もある。古くは存在量が少ないと思われていた為「希ガス」と呼ばれたが、実際には空気中で三番目に多いのはアルゴンであり、それ程「希」ではない。
夜の園内を照らす電気の明かりの下で、道化師が風船を配っている。この遊園地のあちこちで目にする赤と黄色の縦縞模様の制服、ただ、他の従業員のそれとは異なり、だぶだぶのズボンまでが同じ柄だ。帽子も被らない頭頂部の髪は綺麗に剃られており、どうみても鬘ではない。それが、道行く子供達を相手に、色取り取りの風船を手渡しては、一人一人の頭を撫でているのである。
跨っていた馬の背中を突いて合図を送り、足を止めさせる。しばしそのまま佇んで、その仕事振りを眺めることとする。
ヘリウムを詰められて宙に浮かぶ風船は、まだ彼の左手に何十本も残っており、幾ら子供の手に握らせてもいっかな無くなる気配が無い。というより、少しでも減っているようにすら見えなかった。まるで、配るそばから新しく増えていくみたいである。
どうなってるのかしら。
誰かが横に隠れて、新しい風船を膨らませながら渡しているのかとも思ったが、そのような人影は幾ら目を凝らしても見えなかった。そもそも仮にそうだとして、左手だけで受け取るのは難しかろう。そんなことをしたら、手を開いた瞬間に全部が空に逃げてしまう。
しかし、どんなに注意深く観察してみても、風船の数は少しも変わらない。一本、又一本、子供の手に風船が渡され、辺りに色取り取りの球が漂いながら散って行く。あれでは、いずれ敷地全体に溢れ返ってしまうのではなかろうか。成程、この遊園地ではどんなことでも起こり得るのだ、と改めて思わせられる。
そうして見ているうち、自分も風船が欲しくなった。余所見している馬の首を叩いて、道化師を指差す。馬は、解った、という風に、そちらに向かった。途中、何人かの子供達と擦れ違い、彼ら彼女らの影法師が、頭上に丸い球を漂わせながら走って行く様を目にする。
みんな、あれを持ったまま、回転木馬や珈琲茶碗に乗るのか。多分、その時は親に預けたりするのだろう。では、独りしか居ない自分はどうしよう。
と、その時、道化師から一本を受け取った女の子が、何の弾みか手を放してしまった。十歳にも満たなさそうな少女は、飛んで行く黄色い球を見上げ、しばし呆然とする。そして、顔を元に戻してから、肩を振るわせてしゃくり上げ始めた。周囲に満ちる客達のざわめきや音楽で声は聞こえないが、恐らく簡単には収まるまい。
↓続きは以下のPDFファイルでお読みください。
https://prologuewave.club/wp-content/uploads/2013/05/doukesi_hiratamasao.pdf
初出:「SF Prologue Wave」
https://prologuewave.club/archives/3241
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「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.34
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
●はじめに(岡和田晃)
ゲームブックの不朽の名作『展覧会の絵』で名高い平田真夫(森山安雄)氏は、自他ともに認める熱心なSFファンで、リリカルなヴィジョンもSF的な裏付けてがあってのこそ——氏のもう一つの代表作たる『水の中、光の底』は、そのことをよく伝えてくれます。
前回、ご紹介した「吟遊詩人」が『展覧会の絵』のスピンオフだったとしたら、今回ご紹介する「道化師」は『水の中、光の底』との連続性を感じさせる物語となっています。
ご参考までに、「Webミステリーズ!」(現:「Web東京創元社マガジン」)に掲載された「平田真夫/森山安雄の挑戦——ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ」(平田真夫/森山安雄×岡和田晃)をお読みいただければ、いっそう興趣が増すと思います。
https://www.webmysteries.jp/archives/12245589.html
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
オリジナル小説「道化師」
平田真夫
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
——希ガス
周期表上の十八族に当たる、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンの六つの元素。最外殻の電子が丁度八つで安定しており、化合物を作り難い気体である。その為、不活性ガスとも言う。ただし、キセノンがフッ素や酸素などと結晶性の固体になる例もある。古くは存在量が少ないと思われていた為「希ガス」と呼ばれたが、実際には空気中で三番目に多いのはアルゴンであり、それ程「希」ではない。
夜の園内を照らす電気の明かりの下で、道化師が風船を配っている。この遊園地のあちこちで目にする赤と黄色の縦縞模様の制服、ただ、他の従業員のそれとは異なり、だぶだぶのズボンまでが同じ柄だ。帽子も被らない頭頂部の髪は綺麗に剃られており、どうみても鬘ではない。それが、道行く子供達を相手に、色取り取りの風船を手渡しては、一人一人の頭を撫でているのである。
跨っていた馬の背中を突いて合図を送り、足を止めさせる。しばしそのまま佇んで、その仕事振りを眺めることとする。
ヘリウムを詰められて宙に浮かぶ風船は、まだ彼の左手に何十本も残っており、幾ら子供の手に握らせてもいっかな無くなる気配が無い。というより、少しでも減っているようにすら見えなかった。まるで、配るそばから新しく増えていくみたいである。
どうなってるのかしら。
誰かが横に隠れて、新しい風船を膨らませながら渡しているのかとも思ったが、そのような人影は幾ら目を凝らしても見えなかった。そもそも仮にそうだとして、左手だけで受け取るのは難しかろう。そんなことをしたら、手を開いた瞬間に全部が空に逃げてしまう。
しかし、どんなに注意深く観察してみても、風船の数は少しも変わらない。一本、又一本、子供の手に風船が渡され、辺りに色取り取りの球が漂いながら散って行く。あれでは、いずれ敷地全体に溢れ返ってしまうのではなかろうか。成程、この遊園地ではどんなことでも起こり得るのだ、と改めて思わせられる。
そうして見ているうち、自分も風船が欲しくなった。余所見している馬の首を叩いて、道化師を指差す。馬は、解った、という風に、そちらに向かった。途中、何人かの子供達と擦れ違い、彼ら彼女らの影法師が、頭上に丸い球を漂わせながら走って行く様を目にする。
みんな、あれを持ったまま、回転木馬や珈琲茶碗に乗るのか。多分、その時は親に預けたりするのだろう。では、独りしか居ない自分はどうしよう。
と、その時、道化師から一本を受け取った女の子が、何の弾みか手を放してしまった。十歳にも満たなさそうな少女は、飛んで行く黄色い球を見上げ、しばし呆然とする。そして、顔を元に戻してから、肩を振るわせてしゃくり上げ始めた。周囲に満ちる客達のざわめきや音楽で声は聞こえないが、恐らく簡単には収まるまい。
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2025年12月24日水曜日
第2回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4718
第2回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
ぜろです。
ニナ・ガーデンハートの雪深い森の中での逃避行。
その一点に絞ったゲームブック。それがこの「ハンテッドガーデンハート」です。
スタミナと敵との距離を測りながら、最終的に逃げ切るのが目的です。
しかし、相手は手練れのハンター、ダムリス。
その追跡術と、痕跡が残りやすい雪の地では、思うようにいきません。
最初の挑戦者は、雪による自然が作り出したトラップにはまり失敗に終わりました。
2回目の挑戦となる今回は、はたして逃げ切れるのでしょうか。
【ニナ スタミナ:5 距離:2】
●アタック02-1 ニナと毛皮商人
最初の挑戦は、あえなく失敗に終わった。
再挑戦の時間だ。
主人公ニナは、末妹ミナのような時を操る魔法使いではないので、設定を追加することもなくシンプルに「やり直し」ということでプレイする。
私ニナが、雪の森を歩いている場面からだ。
背後には、追っ手ダムリスが、視認できる位置をつかず離れずついてきている。
ダムリスは、優秀なハンターで、弓の名手でもある。
弓矢で狙われるリスクを考えると、隙を見せないよう、神経をすり減らし続けなければならない。
けれども、今回射てくることはないだろうと踏んでいる。
なぜなら、ヤツらは私を無傷で手に入れたいからだ。
私の身体が目当てなのだから。
ヤツらの組織はやばい。
かつて私がいっときヤツらの手に落ちていた時のことだ。
ヤツらは、私のセミヌードの写し絵を栞にして、全国各地のイベントで頒布してしまっていたのだ。
これだけで、ヤツらの組織がどれほど危険なのか、わかっていただけたと思う。
(註:FT書房はゲームブック「盗賊剣士」を発売した頃、ニナのセミヌード栞を各種イベントで頒布していました。今もあるのかな?)
いけない。現実と妄想の区別がつかなくなってきている。神経を使いすぎて、疲れてきたのかな。
・もう少し距離を取る
・状況を受け入れる
ここの答えはもう決まっている。
今、スタミナを余分に消費してまで無理に距離を取る必要はない。
むしろヤツは、そうやって私が消耗するのを待っている。だからああやってわざわざ見える位置からプレッシャーをかけ続けている。
私はそのまま、つかず離れずの距離のまま歩き続ける。
【ニナ スタミナ:5→3 距離:2→1】
やがて、メーラの実が3個なっている木を発見。
私は1個かじり、もう1個を半分にし、ポケットに突っ込む。
【ニナ スタミナ:3→4 距離:1】
やがて、野生のポルルポルルを発見した。
私の持つメーラの実に反応したため、餌付けついでに乗りこなす。
ポルルポルルは、最初こそ戸惑ったが、おとなしく私の合図に従ってくれた。
もともと人懐こい生物だけど、もしかしたらかつて人を乗せたことがあるのかもしれない。
私はこのポルルポルルを、ポリアンナと名づけた。
このまま森を抜けられたら良かったのだけれど、ポリアンナにはそんな体力は残っていなかったみたい。
少しの距離でへばってしまった。そのまま徒歩で並んで進むこともできそうにない。
せっかく名づけて愛着を持ったのに、別れの時は思いのほか早かった。
【ニナ スタミナ:4 距離:1→3】
やがて日が沈む。
そんなとき進行方向に、焚火の明かりが見えた。
人影は3人。中年の商人に、その護衛が2人といったところか。
・焚火の方に行く
・焚火を避ける
悩ましいシチュエーションだ。
焚火の商人たちとダムリスが連携を取っている可能性は少ないだろうと思う。
私は発見されるやいなや、逃走に転じた。だからそういった時間は与えていないはずだ。
しかし、それは別としてあの商人が、ヤツらの組織と繋がっている可能性は否定できない。
私は決めた。商人と接触しよう。
商人を避け、このまま夜通し歩き続けるくらいなら、賭けてみる価値はある。
私の接近に気づいた商人は、両手を大きく広げて歓迎のポーズをした。
「エルフのお嬢さん、こんばんは。一人旅ですかな? それともこの森にお住まいで?」
敵意がないことを示してくる。
たしかに、向こうは護衛を2人連れているのだから、立場的には上だ。
先にこちらの警戒心を解いてくるあたり、商売上手なのだろうと思う。
商人は、毛皮を取り扱っているという話をし、こんな森の中で出会ったのだから、お客でなくても歓迎だ、と言う。
・事情を話してみる
・事情は黙って泊めてもらう
・やはり夜通し歩く
いくら商人の信頼性が高かろうと、ここで事情を話すは、ないな。
事情を話すということは、商人側に選択肢を与えるということだ。
私は、出会ったばかりの商人に、自分の運命を委ねようなどという趣味はない。
私は、ただ旅人であることを告げ、一緒に野営したいと申し出る。商人は快諾してくれた。
なけなしの所持金を払うことにする。商人は断ってきたが、それでも強引に握らせた。
ダムリスは襲ってはこなかった。
商人の護衛たちがいるためだ。
おかげで私は、しっかり休息を取ることができた。
あくる朝。私のスタミナは1回復していた。距離は固定で、2にリセットされている。
【ニナ スタミナ:4→5 距離:3→2】
完全にスタート時のステイタスに戻った形だ。
商人とは進む方向が違う。
私は商人と別れを告げ、歩き出す。
商人の姿が見えなくなった頃合を見計らって、ダムリスがまた、その姿を見せた。
そうしてまた、視認されながらの、徒歩の追いかけっこが、始まる。
●アタック02-2 ニナとイタチ先生
森の端の崖側に、スキー板が落ちているのを見つけたが、無視した。
崖付近は、雪はあるけれど地面はないという危険性があるから、近寄らない方が良い。
ちなみにプレイヤーの方の私は、スキー場で道の端を歩いていた友人が、ずっぽりと雪に隠れた側溝にはまりこむのを目の当たりにしたことがある。
雪地の端はそれほどに危険なのだ。
この日もそのまま、つかず離れずの追いかけっこは続く。
徐々に空腹になってきた。
とはいえ、食料はない。
あの商人に、宿泊代を握らせるついでに、少しの食料でも分けてもらっておけばよかった。
過ぎたことを嘆いても仕方がない。
私は、昨日のように木の実がなっていないかといった期待をしながら、雪を踏みしめ歩く。
やがて、前方に動くものを見つける。小動物。イタチだ。
イタチを捕獲すれば、食料になる……か?
いやいや、さばく時間も、調理する時間もないぞ?
さすがに生肉にかじりつくこともできないし。
・イタチを追いかける
・まずは動きを観察する
・先を急ぐ
私は捕まえることにはこだわっていない。
ただ追うだけでは逃げられるだろうし、動きを観察してみよう。
どうやらイタチは、私ではない何かに追われているようだった。
せわしなく走り、川に飛び込んで反対側に渡ると数歩歩き……なんと、その数歩を、同じ足跡を踏んで戻った。
そして川に入り、泳いで消えて行った。
私は思った。これは……使える!
雪の中に行きの足跡しかない殺人事件のトリックのように、同じ足跡を踏んで戻る技術。
これを覚えておけば、ほんのわずかな距離でも行き先を偽装できる可能性がある。
きっとどこかで使えるチャンスはあるはずだ。
具体的には「雪に足跡が残る」という記述に出会った際に、特に指示がなくとも、直前のパラグラフに戻れるようになるという。
もとのパラグラフには戻るが、先に歩いて行ったと見せかける足跡が残った場面に変化しているという仕掛けだ。
これは新しいアイディアだ。
こうした短編作品には、何かひとつ目を引く仕掛けを用意するものだが、これがまさにそうだと確信できる。
この「バックトラック」を活用することが勝利の鍵となるに違いない。
そんなことを考えながら歩いていたら、うっかり仕掛け罠にかかってしまった。
イノシシなんかを捕獲する時に用いる「くくり罠」だ。
見れば、木々に動物が身体をこすりつけたような痕跡があった。
どうやらこのあたり、イノシシが生息しているようだ。それで猟師が、捕獲用のくくり罠を設置していたのだろう。
イノシシは本来、温暖なところを好む動物だ。このような雪の地にいるのは珍しい。冬眠する生態ではないから。
実際、プレイヤーの居住地、静岡はイノシシによる畑の被害が多いが、岩手に住んでいた頃、あちらにはイノシシは出ないと聞いたことがある。
それにしても迷惑なのはくくり罠だ。人には罠があることを知らせるために看板等で注意喚起をしておいてくれないと。甲種狩猟免許をはく奪されてしまうよ。
それに告知しておいてくれた方が、こうやって罠を無駄にしてしまうことが減るから、実は設置者にとってもお得なはずなのだ。
くくり罠は、獣の通り道を調べ、そこに足を置くであろう場所に想定して設置する、非常にデリケートで手間のかかる罠だから。
それでも、くくり罠はトラバサミよりはやさしい。人力なら比較的たやすく外すことができる。
とはいえ、罠を外すのに時間を要した。スタミナは減らなかったが、ダムリスは距離を詰めてきている。
【ニナ スタミナ:5 距離:2→1】
やがて、丸木小屋のある小さな広場に出た。
●アタック02-3 ニナと黒ずくめの男
ダムリスとの距離は1しかない。
かなり接近されてしまった。
あの丸木小屋を前にして、考えられる取り得る行動は2つ。
入るか、無視するかだ。
入る場合、何を目的とするか。
武器になるものを探すのが一番か。
今の距離だとダムリスは、私が小屋から出た時点で待ちかまえているか、なんらかの罠を仕かけてくる可能性は高いだろう。
いや待て。煙突から煙が出ている。
誰かが住んでいるのか。
だとしたらダムリスは慎重になるだろうな。焚火の商人に近づかなかったのと同じことだ。
住人が私にとってどういう態度に出るのかは賭けだけど、私にとって選択肢はないも同じだ。
このままではジリ貧なのだから、とにかく行ってみるしかない。
小屋に近づくと、異様な雰囲気に気がついた。
扉が半開きになっている。この寒い中で? 明らかに不自然だ。
扉の影からそっと中をのぞく。
2人の男がもつれあっている。
あ、ええと、いやらしい意味ではない。
青年が、黒ずくめの男に背後から首を締め上げられているのだ。
青年と目が合った。
助けを乞うような視線だ。
青年の足もとには、矢が数本と、弓が落ちている。あれがあれば、ダムリスに対抗する武器になるだろう。
・青年を助ける
・武器を持って去る
・先を急ぐ
今の状況を整理しよう。
青年が、黒ずくめの男に襲われている。これは間違いない。
となると、この小屋に住んでいたのは青年の方か。
青年が何をやらかしたのかはわからないが、あんなに怪しげな暗殺者を差し向けられるだけのことをしたということか。
ああ、考えてみたら私も完全に立場は同じだ。
となると、この小屋が青年の家なのかも怪しい。私と同じく一時避難として利用したのかもしれない。
なんにせよ、助けるほかないな。
だいたい、今助けを求めているのは若者の方だけだ。暗殺者に手を貸しても何の見返りもないどころか、目撃者として消されかねない。
若者の素性やいきさつによっては、危険ななにかに首を突っ込んでしまう可能性はあるけれど、売れる恩は売っておかないと。
私は若者に合図を送る。
若者は、暴れ出した。
「おとなしくしろ。今さら暴れても無駄だ」
もちろん若者の動きは、丸木小屋に進入した私の動きを察知されないためだ。
私はすかさず小屋に突入し、手近にあった薪を拾い上げると、暗殺者を殴りつけた。
頭部を狙ったつもりだったが、もみあう2人に正確な一撃を食らわせるのは難しく、肩への打撃となった。
「仲間がいたとはな!」
違うけど、誤解させておけ。
2対1になったにもかかわらず、暗殺者はひるむことなく私に向けて短刀を繰り出す。
相当な自信があるのか、失敗が許されないのか。
薪で防御するが、あっさりと払われる。
こいつ、かなり戦闘慣れしている。
・スタミナが3以上
・スタミナが2以下
今の私のスタミナは、5だ。これなら、いけそうだ。
戦いは長期戦になった。とはいえ、技量は向こうが上だ。
私はやがて、床に転ばされた。暗殺者は私に馬乗りになり、短刀を振り下ろしてくる。
私はその腕をつかみ、全力で止める。しかし力の差は歴然としており、短刀の刃先がじりじりと喉元に迫ってくる。
もうダメだと思った時、暗殺者は「うっ」とうめいた。短刀にかかる力がゆるむ。
その隙に抜け出そうとしたが、その前に暗殺者の身体が私に覆いかぶさるように倒れてきた。
その向こうに立っているのは青年だ。
暗殺者は息絶えている。首筋の後ろに、矢が突き刺さっていた。青年が、矢を直接ねじり込んだのだ。
助けに入って、助けられた。
けれど、実質は私が青年を助けたということで良いのだろう。
私が助けに入らなければ、青年は命を落としていたに違いないのだから。
次回、青年の助力を得て、ダムリスに反撃か
【ニナ スタミナ:5 距離:1】
■登場人物
ニナ・ガーデンハート ガーデンハート姉妹の長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
ダムリス 非合法な組織の追っ手。ニナを狙っている。
ポリアンナ 森でニナが餌付けしたポルルポルル。空腹。
イタチ先生 ニナに雪上の足跡トラップを伝授してくれる。
青年 小屋にいた青年。暗殺者に襲われていた。
暗殺者 名探偵コナンの犯人にしか見えない黒ずくめ。
■作品情報
作品名:ハンテッドガーデンハート
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
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ぜろです。
ニナ・ガーデンハートの雪深い森の中での逃避行。
その一点に絞ったゲームブック。それがこの「ハンテッドガーデンハート」です。
スタミナと敵との距離を測りながら、最終的に逃げ切るのが目的です。
しかし、相手は手練れのハンター、ダムリス。
その追跡術と、痕跡が残りやすい雪の地では、思うようにいきません。
最初の挑戦者は、雪による自然が作り出したトラップにはまり失敗に終わりました。
2回目の挑戦となる今回は、はたして逃げ切れるのでしょうか。
【ニナ スタミナ:5 距離:2】
●アタック02-1 ニナと毛皮商人
最初の挑戦は、あえなく失敗に終わった。
再挑戦の時間だ。
主人公ニナは、末妹ミナのような時を操る魔法使いではないので、設定を追加することもなくシンプルに「やり直し」ということでプレイする。
私ニナが、雪の森を歩いている場面からだ。
背後には、追っ手ダムリスが、視認できる位置をつかず離れずついてきている。
ダムリスは、優秀なハンターで、弓の名手でもある。
弓矢で狙われるリスクを考えると、隙を見せないよう、神経をすり減らし続けなければならない。
けれども、今回射てくることはないだろうと踏んでいる。
なぜなら、ヤツらは私を無傷で手に入れたいからだ。
私の身体が目当てなのだから。
ヤツらの組織はやばい。
かつて私がいっときヤツらの手に落ちていた時のことだ。
ヤツらは、私のセミヌードの写し絵を栞にして、全国各地のイベントで頒布してしまっていたのだ。
これだけで、ヤツらの組織がどれほど危険なのか、わかっていただけたと思う。
(註:FT書房はゲームブック「盗賊剣士」を発売した頃、ニナのセミヌード栞を各種イベントで頒布していました。今もあるのかな?)
いけない。現実と妄想の区別がつかなくなってきている。神経を使いすぎて、疲れてきたのかな。
・もう少し距離を取る
・状況を受け入れる
ここの答えはもう決まっている。
今、スタミナを余分に消費してまで無理に距離を取る必要はない。
むしろヤツは、そうやって私が消耗するのを待っている。だからああやってわざわざ見える位置からプレッシャーをかけ続けている。
私はそのまま、つかず離れずの距離のまま歩き続ける。
【ニナ スタミナ:5→3 距離:2→1】
やがて、メーラの実が3個なっている木を発見。
私は1個かじり、もう1個を半分にし、ポケットに突っ込む。
【ニナ スタミナ:3→4 距離:1】
やがて、野生のポルルポルルを発見した。
私の持つメーラの実に反応したため、餌付けついでに乗りこなす。
ポルルポルルは、最初こそ戸惑ったが、おとなしく私の合図に従ってくれた。
もともと人懐こい生物だけど、もしかしたらかつて人を乗せたことがあるのかもしれない。
私はこのポルルポルルを、ポリアンナと名づけた。
このまま森を抜けられたら良かったのだけれど、ポリアンナにはそんな体力は残っていなかったみたい。
少しの距離でへばってしまった。そのまま徒歩で並んで進むこともできそうにない。
せっかく名づけて愛着を持ったのに、別れの時は思いのほか早かった。
【ニナ スタミナ:4 距離:1→3】
やがて日が沈む。
そんなとき進行方向に、焚火の明かりが見えた。
人影は3人。中年の商人に、その護衛が2人といったところか。
・焚火の方に行く
・焚火を避ける
悩ましいシチュエーションだ。
焚火の商人たちとダムリスが連携を取っている可能性は少ないだろうと思う。
私は発見されるやいなや、逃走に転じた。だからそういった時間は与えていないはずだ。
しかし、それは別としてあの商人が、ヤツらの組織と繋がっている可能性は否定できない。
私は決めた。商人と接触しよう。
商人を避け、このまま夜通し歩き続けるくらいなら、賭けてみる価値はある。
私の接近に気づいた商人は、両手を大きく広げて歓迎のポーズをした。
「エルフのお嬢さん、こんばんは。一人旅ですかな? それともこの森にお住まいで?」
敵意がないことを示してくる。
たしかに、向こうは護衛を2人連れているのだから、立場的には上だ。
先にこちらの警戒心を解いてくるあたり、商売上手なのだろうと思う。
商人は、毛皮を取り扱っているという話をし、こんな森の中で出会ったのだから、お客でなくても歓迎だ、と言う。
・事情を話してみる
・事情は黙って泊めてもらう
・やはり夜通し歩く
いくら商人の信頼性が高かろうと、ここで事情を話すは、ないな。
事情を話すということは、商人側に選択肢を与えるということだ。
私は、出会ったばかりの商人に、自分の運命を委ねようなどという趣味はない。
私は、ただ旅人であることを告げ、一緒に野営したいと申し出る。商人は快諾してくれた。
なけなしの所持金を払うことにする。商人は断ってきたが、それでも強引に握らせた。
ダムリスは襲ってはこなかった。
商人の護衛たちがいるためだ。
おかげで私は、しっかり休息を取ることができた。
あくる朝。私のスタミナは1回復していた。距離は固定で、2にリセットされている。
【ニナ スタミナ:4→5 距離:3→2】
完全にスタート時のステイタスに戻った形だ。
商人とは進む方向が違う。
私は商人と別れを告げ、歩き出す。
商人の姿が見えなくなった頃合を見計らって、ダムリスがまた、その姿を見せた。
そうしてまた、視認されながらの、徒歩の追いかけっこが、始まる。
●アタック02-2 ニナとイタチ先生
森の端の崖側に、スキー板が落ちているのを見つけたが、無視した。
崖付近は、雪はあるけれど地面はないという危険性があるから、近寄らない方が良い。
ちなみにプレイヤーの方の私は、スキー場で道の端を歩いていた友人が、ずっぽりと雪に隠れた側溝にはまりこむのを目の当たりにしたことがある。
雪地の端はそれほどに危険なのだ。
この日もそのまま、つかず離れずの追いかけっこは続く。
徐々に空腹になってきた。
とはいえ、食料はない。
あの商人に、宿泊代を握らせるついでに、少しの食料でも分けてもらっておけばよかった。
過ぎたことを嘆いても仕方がない。
私は、昨日のように木の実がなっていないかといった期待をしながら、雪を踏みしめ歩く。
やがて、前方に動くものを見つける。小動物。イタチだ。
イタチを捕獲すれば、食料になる……か?
いやいや、さばく時間も、調理する時間もないぞ?
さすがに生肉にかじりつくこともできないし。
・イタチを追いかける
・まずは動きを観察する
・先を急ぐ
私は捕まえることにはこだわっていない。
ただ追うだけでは逃げられるだろうし、動きを観察してみよう。
どうやらイタチは、私ではない何かに追われているようだった。
せわしなく走り、川に飛び込んで反対側に渡ると数歩歩き……なんと、その数歩を、同じ足跡を踏んで戻った。
そして川に入り、泳いで消えて行った。
私は思った。これは……使える!
雪の中に行きの足跡しかない殺人事件のトリックのように、同じ足跡を踏んで戻る技術。
これを覚えておけば、ほんのわずかな距離でも行き先を偽装できる可能性がある。
きっとどこかで使えるチャンスはあるはずだ。
具体的には「雪に足跡が残る」という記述に出会った際に、特に指示がなくとも、直前のパラグラフに戻れるようになるという。
もとのパラグラフには戻るが、先に歩いて行ったと見せかける足跡が残った場面に変化しているという仕掛けだ。
これは新しいアイディアだ。
こうした短編作品には、何かひとつ目を引く仕掛けを用意するものだが、これがまさにそうだと確信できる。
この「バックトラック」を活用することが勝利の鍵となるに違いない。
そんなことを考えながら歩いていたら、うっかり仕掛け罠にかかってしまった。
イノシシなんかを捕獲する時に用いる「くくり罠」だ。
見れば、木々に動物が身体をこすりつけたような痕跡があった。
どうやらこのあたり、イノシシが生息しているようだ。それで猟師が、捕獲用のくくり罠を設置していたのだろう。
イノシシは本来、温暖なところを好む動物だ。このような雪の地にいるのは珍しい。冬眠する生態ではないから。
実際、プレイヤーの居住地、静岡はイノシシによる畑の被害が多いが、岩手に住んでいた頃、あちらにはイノシシは出ないと聞いたことがある。
それにしても迷惑なのはくくり罠だ。人には罠があることを知らせるために看板等で注意喚起をしておいてくれないと。甲種狩猟免許をはく奪されてしまうよ。
それに告知しておいてくれた方が、こうやって罠を無駄にしてしまうことが減るから、実は設置者にとってもお得なはずなのだ。
くくり罠は、獣の通り道を調べ、そこに足を置くであろう場所に想定して設置する、非常にデリケートで手間のかかる罠だから。
それでも、くくり罠はトラバサミよりはやさしい。人力なら比較的たやすく外すことができる。
とはいえ、罠を外すのに時間を要した。スタミナは減らなかったが、ダムリスは距離を詰めてきている。
【ニナ スタミナ:5 距離:2→1】
やがて、丸木小屋のある小さな広場に出た。
●アタック02-3 ニナと黒ずくめの男
ダムリスとの距離は1しかない。
かなり接近されてしまった。
あの丸木小屋を前にして、考えられる取り得る行動は2つ。
入るか、無視するかだ。
入る場合、何を目的とするか。
武器になるものを探すのが一番か。
今の距離だとダムリスは、私が小屋から出た時点で待ちかまえているか、なんらかの罠を仕かけてくる可能性は高いだろう。
いや待て。煙突から煙が出ている。
誰かが住んでいるのか。
だとしたらダムリスは慎重になるだろうな。焚火の商人に近づかなかったのと同じことだ。
住人が私にとってどういう態度に出るのかは賭けだけど、私にとって選択肢はないも同じだ。
このままではジリ貧なのだから、とにかく行ってみるしかない。
小屋に近づくと、異様な雰囲気に気がついた。
扉が半開きになっている。この寒い中で? 明らかに不自然だ。
扉の影からそっと中をのぞく。
2人の男がもつれあっている。
あ、ええと、いやらしい意味ではない。
青年が、黒ずくめの男に背後から首を締め上げられているのだ。
青年と目が合った。
助けを乞うような視線だ。
青年の足もとには、矢が数本と、弓が落ちている。あれがあれば、ダムリスに対抗する武器になるだろう。
・青年を助ける
・武器を持って去る
・先を急ぐ
今の状況を整理しよう。
青年が、黒ずくめの男に襲われている。これは間違いない。
となると、この小屋に住んでいたのは青年の方か。
青年が何をやらかしたのかはわからないが、あんなに怪しげな暗殺者を差し向けられるだけのことをしたということか。
ああ、考えてみたら私も完全に立場は同じだ。
となると、この小屋が青年の家なのかも怪しい。私と同じく一時避難として利用したのかもしれない。
なんにせよ、助けるほかないな。
だいたい、今助けを求めているのは若者の方だけだ。暗殺者に手を貸しても何の見返りもないどころか、目撃者として消されかねない。
若者の素性やいきさつによっては、危険ななにかに首を突っ込んでしまう可能性はあるけれど、売れる恩は売っておかないと。
私は若者に合図を送る。
若者は、暴れ出した。
「おとなしくしろ。今さら暴れても無駄だ」
もちろん若者の動きは、丸木小屋に進入した私の動きを察知されないためだ。
私はすかさず小屋に突入し、手近にあった薪を拾い上げると、暗殺者を殴りつけた。
頭部を狙ったつもりだったが、もみあう2人に正確な一撃を食らわせるのは難しく、肩への打撃となった。
「仲間がいたとはな!」
違うけど、誤解させておけ。
2対1になったにもかかわらず、暗殺者はひるむことなく私に向けて短刀を繰り出す。
相当な自信があるのか、失敗が許されないのか。
薪で防御するが、あっさりと払われる。
こいつ、かなり戦闘慣れしている。
・スタミナが3以上
・スタミナが2以下
今の私のスタミナは、5だ。これなら、いけそうだ。
戦いは長期戦になった。とはいえ、技量は向こうが上だ。
私はやがて、床に転ばされた。暗殺者は私に馬乗りになり、短刀を振り下ろしてくる。
私はその腕をつかみ、全力で止める。しかし力の差は歴然としており、短刀の刃先がじりじりと喉元に迫ってくる。
もうダメだと思った時、暗殺者は「うっ」とうめいた。短刀にかかる力がゆるむ。
その隙に抜け出そうとしたが、その前に暗殺者の身体が私に覆いかぶさるように倒れてきた。
その向こうに立っているのは青年だ。
暗殺者は息絶えている。首筋の後ろに、矢が突き刺さっていた。青年が、矢を直接ねじり込んだのだ。
助けに入って、助けられた。
けれど、実質は私が青年を助けたということで良いのだろう。
私が助けに入らなければ、青年は命を落としていたに違いないのだから。
次回、青年の助力を得て、ダムリスに反撃か
【ニナ スタミナ:5 距離:1】
■登場人物
ニナ・ガーデンハート ガーデンハート姉妹の長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
ダムリス 非合法な組織の追っ手。ニナを狙っている。
ポリアンナ 森でニナが餌付けしたポルルポルル。空腹。
イタチ先生 ニナに雪上の足跡トラップを伝授してくれる。
青年 小屋にいた青年。暗殺者に襲われていた。
暗殺者 名探偵コナンの犯人にしか見えない黒ずくめ。
■作品情報
作品名:ハンテッドガーデンハート
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
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ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
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2025年12月23日火曜日
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(4) FT新聞 No.4717
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『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(4)
(明日槇 悠)
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世にも稀な歴史をモチーフとしたGMいらずのナラティヴ・スタイルRPG、『モンセギュール1244』リプレイの第4回をお届けします。
本作は信仰等に関する繊細なテーマを扱っています。ロールプレイ上、現代の倫理観を欠いた表現をするところが多々ございます。
そうした表現にご不快を覚える方、それを予測された方は、その段階で当記事の閲覧を中止されますようお願いいたします。
◯これまでの『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編は……
1208年、十字軍は異端カタリ派を匿ったベジエの街を攻撃。無差別的な殺戮が行われ、ベジエは陥落した。
繰り返される迫害を逃れたカタリ派の人々はフランス南部、ピレネー山脈の山頂部にコミュニティの拠点《モンセギュール砦》を築いた。
1243年5月、十字軍はモンセギュール包囲戦を開始。砦で暮らす人々は事態をまだ楽観視していた……。
信者たちの精神的指導者であるベルトランは、領主レーモンの次女、エスクラルモンドが心酔しているもう一人の精神的指導者、セシルを怪しみ、レーモンの妻コルバに調査を依頼。
一方のセシルはコルバの追究を躱し、赤色の多く混じった布を織りながら、人間のよしなしごとに囚われているようではベルトランもまだまだだと達観していた。
完徳者同士の策謀と意地とがモンセギュール砦に交差する……。
◯プレイヤー紹介
Kei 構成作家。本文中のA。
木野誠太郎 小説家・ゲームシナリオライター。本文中のB。
明日槇悠 FT新聞編集部員。本文中のC。
小山 フォーエバーヤング。本文中のD。
プレイヤーは、キャラクター一覧の中から、少なくとも主要キャラクター1人、支援キャラクター1人を担当します。
キャラクターにはそれぞれ「3つの質問」が用意されており、この質問を元に、プレイヤーは担当キャラの肉付けをおこない、
プレイ終了までに少なくとも担当する主要キャラの質問にはすべて答えを出さなくてはなりません。
キャラクターの一覧や関係性については、ニューゲームズオーダー公式サイト内の「登場キャラクター」表を参照すると分かりやすいかと思われます。
(https://www.newgamesorder.jp/games/montsegur1244)
●本編
■Act2.過酷なる冬(後編)
——当初予期していたよりも状況は悲惨である。十字軍は冬を越す覚悟を決めた。戦局は決め手を欠いたまま、1244年1月まで続く。
C「てことで、シーンを移って、Act.2の二回目。新カード、この中から一つを選んでもらってという……」
D「あ、俺ですか? うーん……じゃあこれで。【雪の積もった山の斜面を照らし出す月光】。じゃあコルバを動かしていいですか。3の質問……【あなたが一番後悔していることは何か?】」
Dコルバ「私はなんであの時……セシル様と一緒になれなかったんだろう。私たちは実は愛しあっていたというのに。でも今は……セシル様は……私の娘、エスクラルモンドと、なにやら懇ろ。許せない。娘を殺してやる」
D「ということを思っています。この怨みを燃やしているという状況ですね」
C「エスクラルモンドはそうとは知らず……」
D「知らないですね」
A「手番が俺に移るのか。【息詰まるような煙で涙が出てしまう】」
Aベルトラン「いやぁ〜、巡礼料理なんて作るもんじゃないね、ガニエル君(一同笑)。けほっ、けほっ。やはり、召使い……誰かに作ってもらうことに慣れてるんでね。私、ペルフェッチだから。あー……ところでガニエル君、今日はわざわざ、私自ら料理を作って、君に話したいことがあったんだよ」
Cガルニエ「なんでしょうか」
Aベルトラン「どうやら聞いた話によると、セシルはフィリッパのことをよく思っていないようだね」
Cガルニエ「どうやら、そのようですね……。私はよく知りませんが……」
Aベルトラン「つまり、君のお気に入りの……エスクラ……んあー……エスちゃん、エスちゃんが……(一同笑)。もう名前がややこしいんだよ、君たち! 君のお気に入りのエスちゃんのためにも……そうだね、フィリッパ姉さんと自分は仲良くないということをアピールしなきゃいけない」
Cガルニエ「ああ、確かにそうですね」
Aベルトラン「つまり、フィリッパがセシルにもっと嫌われるようにすればいい。そこでエスクラルモンドに、フィリッパが……アミエルに性的ないたずらをしたという……噂があるっていうのを言ってもらえんかね(笑)」
Cガルニエ「そ、それは……私の口からは、ど、どうにも言いづらいもの……」
Aベルトラン「そうだな! それはやめよう。フィリッパが教皇軍と内通しているとエスクラルモンドに言ってもらえんかね。これならまだ言いやすいだろう?」
Cガルニエ「な、なるほど……」
Aベルトラン「フィリッパが、『ガルニエとか付き合うのダッサー、あんなキモいやつ!』ってエスクラルモンドに言ってたって、私聞いた! フフッ、うん。君がエスクラルモンドと仲良くなれないのはフィリッパのせいもでかい。フィリッパさえいなくなればエスクラルモンドと仲良くなれる確率は高いよ、ガルニエ君」
Cガルニエ「確かに」
Aベルトラン「じゃあガルニエ君、エスクラルモンドにそう言ってくれるね」
Cガルニエ「分かりました。し、しかしエスクラルモンドが私の言うことを信じてくれるかどうかは少し、自信のないところです」
Aベルトラン「ガルニエ君! ……信じさせるんだよ……。ガルニエ君ならできるよ。君、未来の指揮官だろう?」
Cガルニエ「わ、分かりました……!」
A「え? ちなみにエスクラルモンドって誰担当でしたっけ」
C「はい」
A「で、ガルニエは?(一同笑) 大きな問題が出た! おっけおっけおっけおっけ。ガルニエは明日の朝エスクラルモンドに会うと言って、そのまま帰路についた。そして」
Aベルトラン「コルバ君! コルバ君! きみ、娘と会話する? よく」
Dコルバ「最近は……あまり」
Aベルトラン「あー。え、君の娘のエスちゃんから、フィリッパの話、聞いた?(笑)」
Dコルバ「いや、特には」
Aベルトラン「ガッ……えええ……(笑)。ガルニエぇ……。あ〜、そう。ああ〜。あ〜……いや〜、なんか……でも、あるらしいよ。セシルは、君の娘のフィリッパが、教皇軍と内通してるんじゃないかって疑ってるらしいよ」
Dコルバ「あっ、そうなんですか!」
Aベルトラン「これは大変なことだよ? 君の娘が疑われてて、もう一人の君の娘がおかしくされてるんだよ。君、セシル嫌いだよな!?」
Dコルバ「え。う、う〜ん……」
Aベルトラン「な!」
Dコルバ「いや、ん〜……。すみません、ちょっとお腹が痛いので……(一同笑)お手洗いに……」
Aベルトラン「ああ。申し訳ないけど、うんこしたら、またセシルのとこへ行ってもらえんかね」
Dコルバ「はぁ……」
A「コルバは、うんこから帰ってきた後、セシルのところへ行きました」
Dコルバ「訪ねました。コルバでございます」
B「セシルは今、いないわよ。お母さん」
D「お」
B「セシルの部屋から出てきたのは、フィリッパでした」
A「えええ!? 想定外(笑)」
Dコルバ「あら。な、なんであなたが、セシル様の館に?」
Bフィリッパ「妹に言われたの。セシルが会いたがってるって」
Dコルバ「あ、あらそう」
Bフィリッパ「だから久々に来てやったら、あのババア、つまんねえ眠たい話しやがって。私はすごく、疲れたわ」
Dコルバ「なんてこと言うの!(バシッ)セシル様に、なんてそんな失礼なことを。あなた、悔い改めなさい」
Bフィリッパ「失礼なのはどっちの方かしら」
Dコルバ「うるさいわよ!」
Bフィリッパ「ペルフェッチャになったセシルさんとお母さんがとても仲良くしていたのは、知っているわ」
Dコルバ「……だから何だって言うのよ……」
Bフィリッパ「あなたは家族じゃなくて、セシルさんのことばかり。そんなだから、うちが今、滅茶苦茶になっているんじゃない。口を開けば、セシル、セシル……(一同笑)」
Dコルバ「そんなものは私の勝手でしょ? 何しようと私の勝手でしょ! もう子育ては終わったわ!」
Bフィリッパ「あんたのせいで……私のお腹の中にいる、子供の父親は誰か分かる?」
Dコルバ「知らないわ、そんなの……」
Bフィリッパ「レーモンよ」
D「ええええ?(笑) ヤッバ……近親相姦じゃん」
A「それ、あれじゃん! 俺がやろうと思ってやらなかったやつじゃん(笑)」
Dコルバ「ああ、そう。よかったじゃない。子供ができて……」
Bフィリッパ「何が面白いんだか。でも、これでロジェの気持ちを、私に向かせられるなら……」
Dコルバ「まあ、いいわ。セシル様がいないなら、帰るわ」
D「帰りました」
A「ベルトランは寝る前に言いました」
Aベルトラン「いや〜、でも……私いらんことして、レーモン君に申し訳ないなぁ。レーモン君の家庭……私、滅茶苦茶にしちゃったかもしれんなぁ。申し訳ないなぁ〜!(一同笑)あ〜、よし! じゃあベルトランは酒のんで寝よう!」
A「ベルトランは寝た」
B「ちなみに、この父親の件は質問に書いてて」
A「そうだよね」
B「【あなたのお腹のなかにいる子どもの父親は誰か?】そんな重い質問が……」
A「てか、探偵役の意図してないところで異様なドロドロが始まってるけど。これ、マジ……カタリ派に聞かれたら殺されること言ってるでしょ」
C「姦淫だらけ……」
A「だって……怪しげなババアと権力欲にまみれたジジイと近親相姦の一家と娼婦だろ? 暫定変態だろ(笑)」
D「ガルニエ発狂しちゃいますね。エスちゃんが死んだら。今んとこ、コルバは殺す気満々ですから。実の娘を。もう、セシルにしか興味ないから」
A「っていうか、レーモン一家は厄ネタ過ぎるやろ。領主だぞ、コイツ! 言っとくけど、この城塞コイツにかかってるぞ!(一同笑)」
D「終わりだべ……」
A「てか、この一家がけっこう信仰と砦の集合みたいなところあるから」
D「アミエルの動きに注目してますね。剣の腕を磨いている真面目な少年です」
A「武器作ってるからね。でも噂によると性的いたずらをされているらしいぞ」
B「これってレーモンからですよね。【鉄錆のような血の味】。レーモンは、自分の持っている刀を久々に研ぎながら、その味を思い出していました」
A「あ、そうだ。これ一個疑問があったんだけどさ、ベルナールさ、異端審問で死刑になったって書いてあるじゃん。これ、生きてんだよね?」
C「猶予期間じゃないですか?」
D「執行されてない」
A「OK、OK。出せるわ、じゃあ」
B「レーモンは、モンセギュールをカタリ派の根城としたことを後悔していました。カタリ派のペルフェッチ、ペルフェッチャを訪れてから、彼の生活は大きく変わり、妻のコルバがセシルに傾倒し、家庭は崩壊し、そしてレーモンはフィリッパに頼まれて、ロジェを誘惑するために子供を作ってほしいと言われ、それに応じることになってしまったのです。彼等が来たことによって、その信徒はモンセギュールに訪れ、そして城塞自体は発展したのですが、それに伴う大きな代償は、彼の人生に大きく影を落としていました。レーモンはかつて、城塞の外で狩りをしていて、そのときに滑落し、左足を怪我し、それからは表に出ていなかったのですが、十字軍が辺りを包囲する状況が半年間続いている中、ついに自分の持っていた、ほとんどお飾りだった刀を持ち出し、そして再び自衛のために体を鍛えはじめました。それは彼の家庭が崩壊している中で唯一の救いとなっていました。彼が日課の素振りをしていると、そこに木で作った刀を持ったアミエルが訪れました。……ちょっと誰かアミエルをやってもらっていいですか」
A「これ変わっていいんだっけ」
C「まあまあ。実質いいことには。仕方ない場合は」
A「あ、はい。じゃあやる? アミエル。好きでしょ、アミエル」
D「やります」
Bレーモン「おお、アミエル君じゃないか。おじちゃんが剣を教えてやろうか?」
Dアミエル「ほんとぉ!? ありがとう!」
Bレーモン「ええでー」
B「レーモンは、家庭環境のヤバさから目を逸らすために、近所にいる子供に剣を教えることで自尊心を満たしています。そこに訪れたのがベルナールでした」
Cベルナール「あー……アルセンドはいないのか、ここには……」
Bレーモン「アルセンドは見てないね」
Cベルナール「ここにいるのはアミエルと、領主のレーモン様か」
Bレーモン「うん。アミエルはかなり筋がいいね。私が見てきた中でも、かなり腕が立つ少年だ。大人になった時のことが、楽しみだよ」
Cベルナール「ああ……私は死刑になるというのに(一同笑)。これがこの城塞の未来になるといいのだが」
Bレーモン「とはいえ十字軍が去れば、君の身柄もしばらくは安泰だろう。大変な立場だとは思うが、頑張りたまえ。……ところで、あのロジェという男はどうかね」
Cベルナール「はあ……。ロジェは、妻のフィリッパと寝ている様子がありません(一同笑)。私はアルセンドと寝ているから知っているのです!」
Bレーモン「フィリッパとは私の娘のことで合っているね?」
Cベルナール「そうです。あなたの娘のフィリッパを娶っていながら、あの指揮官は情婦にうつつを抜かしております」
Bレーモン「しかし彼の思いも子供がいれば変わるだろう。フィリッパは、彼の子を妊娠しているのだ」
Cベルナール「ほう……そうだったのですか。いつの間に。そんな様子はなかったというのに」
Bレーモン「彼等も仲のいい男女、何があるか分からないからね」
Cベルナール「確かにそうですな」
Bレーモン「彼に指揮を任していれば、十字軍の攻勢は留まるところを知らない」
Cベルナール「はあ……あの楽観的な男に務まるのかというのは、部下の私の口から言うのもどうかと思うのですが……その考えを改めます」
Bレーモン「彼は色情狂ではあるが、やる時はやる男だと信じている。君も周囲から彼のことを支えてやってほしい」
Cベルナール「分かりました。もうすぐ火刑に処される身ですが、それまで頑張っていきたいと思います」
Bレーモン「もし彼に信用ならないところがあれば、私の元に来て、報告をお願いするよ」
Cベルナール「分かりましたっ……」
B「レーモンはベルトランのスパイ内通者の嫌疑を聞くために、ロジェの周辺に半年間、色々当たっているが、しかし彼の決定的な証拠は出てきていない。そのことに対しても少しフラストレーションを溜めているようだった。というところで、私の手番はこんなものですが」
◯Act3.運命の決戦(前篇) に続く……
●登場人物/3つの質問
フィリッパ……コルバと領主レーモンの娘。エスクラルモンドの姉。父のいとこのピエール・ロジェと結婚している。
1. あなたのお腹のなかにいる子どもの父親は誰か?
2. どうしてあなたは、母のコルバと口を利かないのか?
3. あなたがいちばん恐れていることは何か?
ベルナール・ド・サン・マルタン……ピエール・ロジェに仕える騎士の一人。留守の間に異端審問で、死刑を宣告された成人男性。
1. どうして他の誰もあなたの馬に乗れないのか?
2. なぜ、異端審問はあなたがいない間に行われたのか?
3. あなたがアルセンドと寝るとき、誰のことを頭に思い浮かべるのか?
■作品情報
・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳
モダン・ナラティブRPG
3〜6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3〜5時間 / 15歳以上向
・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
https://newgamesorder.booth.pm/items/4902669
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『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(4)
(明日槇 悠)
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世にも稀な歴史をモチーフとしたGMいらずのナラティヴ・スタイルRPG、『モンセギュール1244』リプレイの第4回をお届けします。
本作は信仰等に関する繊細なテーマを扱っています。ロールプレイ上、現代の倫理観を欠いた表現をするところが多々ございます。
そうした表現にご不快を覚える方、それを予測された方は、その段階で当記事の閲覧を中止されますようお願いいたします。
◯これまでの『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編は……
1208年、十字軍は異端カタリ派を匿ったベジエの街を攻撃。無差別的な殺戮が行われ、ベジエは陥落した。
繰り返される迫害を逃れたカタリ派の人々はフランス南部、ピレネー山脈の山頂部にコミュニティの拠点《モンセギュール砦》を築いた。
1243年5月、十字軍はモンセギュール包囲戦を開始。砦で暮らす人々は事態をまだ楽観視していた……。
信者たちの精神的指導者であるベルトランは、領主レーモンの次女、エスクラルモンドが心酔しているもう一人の精神的指導者、セシルを怪しみ、レーモンの妻コルバに調査を依頼。
一方のセシルはコルバの追究を躱し、赤色の多く混じった布を織りながら、人間のよしなしごとに囚われているようではベルトランもまだまだだと達観していた。
完徳者同士の策謀と意地とがモンセギュール砦に交差する……。
◯プレイヤー紹介
Kei 構成作家。本文中のA。
木野誠太郎 小説家・ゲームシナリオライター。本文中のB。
明日槇悠 FT新聞編集部員。本文中のC。
小山 フォーエバーヤング。本文中のD。
プレイヤーは、キャラクター一覧の中から、少なくとも主要キャラクター1人、支援キャラクター1人を担当します。
キャラクターにはそれぞれ「3つの質問」が用意されており、この質問を元に、プレイヤーは担当キャラの肉付けをおこない、
プレイ終了までに少なくとも担当する主要キャラの質問にはすべて答えを出さなくてはなりません。
キャラクターの一覧や関係性については、ニューゲームズオーダー公式サイト内の「登場キャラクター」表を参照すると分かりやすいかと思われます。
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●本編
■Act2.過酷なる冬(後編)
——当初予期していたよりも状況は悲惨である。十字軍は冬を越す覚悟を決めた。戦局は決め手を欠いたまま、1244年1月まで続く。
C「てことで、シーンを移って、Act.2の二回目。新カード、この中から一つを選んでもらってという……」
D「あ、俺ですか? うーん……じゃあこれで。【雪の積もった山の斜面を照らし出す月光】。じゃあコルバを動かしていいですか。3の質問……【あなたが一番後悔していることは何か?】」
Dコルバ「私はなんであの時……セシル様と一緒になれなかったんだろう。私たちは実は愛しあっていたというのに。でも今は……セシル様は……私の娘、エスクラルモンドと、なにやら懇ろ。許せない。娘を殺してやる」
D「ということを思っています。この怨みを燃やしているという状況ですね」
C「エスクラルモンドはそうとは知らず……」
D「知らないですね」
A「手番が俺に移るのか。【息詰まるような煙で涙が出てしまう】」
Aベルトラン「いやぁ〜、巡礼料理なんて作るもんじゃないね、ガニエル君(一同笑)。けほっ、けほっ。やはり、召使い……誰かに作ってもらうことに慣れてるんでね。私、ペルフェッチだから。あー……ところでガニエル君、今日はわざわざ、私自ら料理を作って、君に話したいことがあったんだよ」
Cガルニエ「なんでしょうか」
Aベルトラン「どうやら聞いた話によると、セシルはフィリッパのことをよく思っていないようだね」
Cガルニエ「どうやら、そのようですね……。私はよく知りませんが……」
Aベルトラン「つまり、君のお気に入りの……エスクラ……んあー……エスちゃん、エスちゃんが……(一同笑)。もう名前がややこしいんだよ、君たち! 君のお気に入りのエスちゃんのためにも……そうだね、フィリッパ姉さんと自分は仲良くないということをアピールしなきゃいけない」
Cガルニエ「ああ、確かにそうですね」
Aベルトラン「つまり、フィリッパがセシルにもっと嫌われるようにすればいい。そこでエスクラルモンドに、フィリッパが……アミエルに性的ないたずらをしたという……噂があるっていうのを言ってもらえんかね(笑)」
Cガルニエ「そ、それは……私の口からは、ど、どうにも言いづらいもの……」
Aベルトラン「そうだな! それはやめよう。フィリッパが教皇軍と内通しているとエスクラルモンドに言ってもらえんかね。これならまだ言いやすいだろう?」
Cガルニエ「な、なるほど……」
Aベルトラン「フィリッパが、『ガルニエとか付き合うのダッサー、あんなキモいやつ!』ってエスクラルモンドに言ってたって、私聞いた! フフッ、うん。君がエスクラルモンドと仲良くなれないのはフィリッパのせいもでかい。フィリッパさえいなくなればエスクラルモンドと仲良くなれる確率は高いよ、ガルニエ君」
Cガルニエ「確かに」
Aベルトラン「じゃあガルニエ君、エスクラルモンドにそう言ってくれるね」
Cガルニエ「分かりました。し、しかしエスクラルモンドが私の言うことを信じてくれるかどうかは少し、自信のないところです」
Aベルトラン「ガルニエ君! ……信じさせるんだよ……。ガルニエ君ならできるよ。君、未来の指揮官だろう?」
Cガルニエ「わ、分かりました……!」
A「え? ちなみにエスクラルモンドって誰担当でしたっけ」
C「はい」
A「で、ガルニエは?(一同笑) 大きな問題が出た! おっけおっけおっけおっけ。ガルニエは明日の朝エスクラルモンドに会うと言って、そのまま帰路についた。そして」
Aベルトラン「コルバ君! コルバ君! きみ、娘と会話する? よく」
Dコルバ「最近は……あまり」
Aベルトラン「あー。え、君の娘のエスちゃんから、フィリッパの話、聞いた?(笑)」
Dコルバ「いや、特には」
Aベルトラン「ガッ……えええ……(笑)。ガルニエぇ……。あ〜、そう。ああ〜。あ〜……いや〜、なんか……でも、あるらしいよ。セシルは、君の娘のフィリッパが、教皇軍と内通してるんじゃないかって疑ってるらしいよ」
Dコルバ「あっ、そうなんですか!」
Aベルトラン「これは大変なことだよ? 君の娘が疑われてて、もう一人の君の娘がおかしくされてるんだよ。君、セシル嫌いだよな!?」
Dコルバ「え。う、う〜ん……」
Aベルトラン「な!」
Dコルバ「いや、ん〜……。すみません、ちょっとお腹が痛いので……(一同笑)お手洗いに……」
Aベルトラン「ああ。申し訳ないけど、うんこしたら、またセシルのとこへ行ってもらえんかね」
Dコルバ「はぁ……」
A「コルバは、うんこから帰ってきた後、セシルのところへ行きました」
Dコルバ「訪ねました。コルバでございます」
B「セシルは今、いないわよ。お母さん」
D「お」
B「セシルの部屋から出てきたのは、フィリッパでした」
A「えええ!? 想定外(笑)」
Dコルバ「あら。な、なんであなたが、セシル様の館に?」
Bフィリッパ「妹に言われたの。セシルが会いたがってるって」
Dコルバ「あ、あらそう」
Bフィリッパ「だから久々に来てやったら、あのババア、つまんねえ眠たい話しやがって。私はすごく、疲れたわ」
Dコルバ「なんてこと言うの!(バシッ)セシル様に、なんてそんな失礼なことを。あなた、悔い改めなさい」
Bフィリッパ「失礼なのはどっちの方かしら」
Dコルバ「うるさいわよ!」
Bフィリッパ「ペルフェッチャになったセシルさんとお母さんがとても仲良くしていたのは、知っているわ」
Dコルバ「……だから何だって言うのよ……」
Bフィリッパ「あなたは家族じゃなくて、セシルさんのことばかり。そんなだから、うちが今、滅茶苦茶になっているんじゃない。口を開けば、セシル、セシル……(一同笑)」
Dコルバ「そんなものは私の勝手でしょ? 何しようと私の勝手でしょ! もう子育ては終わったわ!」
Bフィリッパ「あんたのせいで……私のお腹の中にいる、子供の父親は誰か分かる?」
Dコルバ「知らないわ、そんなの……」
Bフィリッパ「レーモンよ」
D「ええええ?(笑) ヤッバ……近親相姦じゃん」
A「それ、あれじゃん! 俺がやろうと思ってやらなかったやつじゃん(笑)」
Dコルバ「ああ、そう。よかったじゃない。子供ができて……」
Bフィリッパ「何が面白いんだか。でも、これでロジェの気持ちを、私に向かせられるなら……」
Dコルバ「まあ、いいわ。セシル様がいないなら、帰るわ」
D「帰りました」
A「ベルトランは寝る前に言いました」
Aベルトラン「いや〜、でも……私いらんことして、レーモン君に申し訳ないなぁ。レーモン君の家庭……私、滅茶苦茶にしちゃったかもしれんなぁ。申し訳ないなぁ〜!(一同笑)あ〜、よし! じゃあベルトランは酒のんで寝よう!」
A「ベルトランは寝た」
B「ちなみに、この父親の件は質問に書いてて」
A「そうだよね」
B「【あなたのお腹のなかにいる子どもの父親は誰か?】そんな重い質問が……」
A「てか、探偵役の意図してないところで異様なドロドロが始まってるけど。これ、マジ……カタリ派に聞かれたら殺されること言ってるでしょ」
C「姦淫だらけ……」
A「だって……怪しげなババアと権力欲にまみれたジジイと近親相姦の一家と娼婦だろ? 暫定変態だろ(笑)」
D「ガルニエ発狂しちゃいますね。エスちゃんが死んだら。今んとこ、コルバは殺す気満々ですから。実の娘を。もう、セシルにしか興味ないから」
A「っていうか、レーモン一家は厄ネタ過ぎるやろ。領主だぞ、コイツ! 言っとくけど、この城塞コイツにかかってるぞ!(一同笑)」
D「終わりだべ……」
A「てか、この一家がけっこう信仰と砦の集合みたいなところあるから」
D「アミエルの動きに注目してますね。剣の腕を磨いている真面目な少年です」
A「武器作ってるからね。でも噂によると性的いたずらをされているらしいぞ」
B「これってレーモンからですよね。【鉄錆のような血の味】。レーモンは、自分の持っている刀を久々に研ぎながら、その味を思い出していました」
A「あ、そうだ。これ一個疑問があったんだけどさ、ベルナールさ、異端審問で死刑になったって書いてあるじゃん。これ、生きてんだよね?」
C「猶予期間じゃないですか?」
D「執行されてない」
A「OK、OK。出せるわ、じゃあ」
B「レーモンは、モンセギュールをカタリ派の根城としたことを後悔していました。カタリ派のペルフェッチ、ペルフェッチャを訪れてから、彼の生活は大きく変わり、妻のコルバがセシルに傾倒し、家庭は崩壊し、そしてレーモンはフィリッパに頼まれて、ロジェを誘惑するために子供を作ってほしいと言われ、それに応じることになってしまったのです。彼等が来たことによって、その信徒はモンセギュールに訪れ、そして城塞自体は発展したのですが、それに伴う大きな代償は、彼の人生に大きく影を落としていました。レーモンはかつて、城塞の外で狩りをしていて、そのときに滑落し、左足を怪我し、それからは表に出ていなかったのですが、十字軍が辺りを包囲する状況が半年間続いている中、ついに自分の持っていた、ほとんどお飾りだった刀を持ち出し、そして再び自衛のために体を鍛えはじめました。それは彼の家庭が崩壊している中で唯一の救いとなっていました。彼が日課の素振りをしていると、そこに木で作った刀を持ったアミエルが訪れました。……ちょっと誰かアミエルをやってもらっていいですか」
A「これ変わっていいんだっけ」
C「まあまあ。実質いいことには。仕方ない場合は」
A「あ、はい。じゃあやる? アミエル。好きでしょ、アミエル」
D「やります」
Bレーモン「おお、アミエル君じゃないか。おじちゃんが剣を教えてやろうか?」
Dアミエル「ほんとぉ!? ありがとう!」
Bレーモン「ええでー」
B「レーモンは、家庭環境のヤバさから目を逸らすために、近所にいる子供に剣を教えることで自尊心を満たしています。そこに訪れたのがベルナールでした」
Cベルナール「あー……アルセンドはいないのか、ここには……」
Bレーモン「アルセンドは見てないね」
Cベルナール「ここにいるのはアミエルと、領主のレーモン様か」
Bレーモン「うん。アミエルはかなり筋がいいね。私が見てきた中でも、かなり腕が立つ少年だ。大人になった時のことが、楽しみだよ」
Cベルナール「ああ……私は死刑になるというのに(一同笑)。これがこの城塞の未来になるといいのだが」
Bレーモン「とはいえ十字軍が去れば、君の身柄もしばらくは安泰だろう。大変な立場だとは思うが、頑張りたまえ。……ところで、あのロジェという男はどうかね」
Cベルナール「はあ……。ロジェは、妻のフィリッパと寝ている様子がありません(一同笑)。私はアルセンドと寝ているから知っているのです!」
Bレーモン「フィリッパとは私の娘のことで合っているね?」
Cベルナール「そうです。あなたの娘のフィリッパを娶っていながら、あの指揮官は情婦にうつつを抜かしております」
Bレーモン「しかし彼の思いも子供がいれば変わるだろう。フィリッパは、彼の子を妊娠しているのだ」
Cベルナール「ほう……そうだったのですか。いつの間に。そんな様子はなかったというのに」
Bレーモン「彼等も仲のいい男女、何があるか分からないからね」
Cベルナール「確かにそうですな」
Bレーモン「彼に指揮を任していれば、十字軍の攻勢は留まるところを知らない」
Cベルナール「はあ……あの楽観的な男に務まるのかというのは、部下の私の口から言うのもどうかと思うのですが……その考えを改めます」
Bレーモン「彼は色情狂ではあるが、やる時はやる男だと信じている。君も周囲から彼のことを支えてやってほしい」
Cベルナール「分かりました。もうすぐ火刑に処される身ですが、それまで頑張っていきたいと思います」
Bレーモン「もし彼に信用ならないところがあれば、私の元に来て、報告をお願いするよ」
Cベルナール「分かりましたっ……」
B「レーモンはベルトランのスパイ内通者の嫌疑を聞くために、ロジェの周辺に半年間、色々当たっているが、しかし彼の決定的な証拠は出てきていない。そのことに対しても少しフラストレーションを溜めているようだった。というところで、私の手番はこんなものですが」
◯Act3.運命の決戦(前篇) に続く……
●登場人物/3つの質問
フィリッパ……コルバと領主レーモンの娘。エスクラルモンドの姉。父のいとこのピエール・ロジェと結婚している。
1. あなたのお腹のなかにいる子どもの父親は誰か?
2. どうしてあなたは、母のコルバと口を利かないのか?
3. あなたがいちばん恐れていることは何か?
ベルナール・ド・サン・マルタン……ピエール・ロジェに仕える騎士の一人。留守の間に異端審問で、死刑を宣告された成人男性。
1. どうして他の誰もあなたの馬に乗れないのか?
2. なぜ、異端審問はあなたがいない間に行われたのか?
3. あなたがアルセンドと寝るとき、誰のことを頭に思い浮かべるのか?
■作品情報
・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳
モダン・ナラティブRPG
3〜6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3〜5時間 / 15歳以上向
・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
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2025年12月22日月曜日
☆告知と雑記☆ FT新聞 No.4716
おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
今年の冬はあまり寒さを感じません。
身体が強くなったのか、それとも暖冬なのか。
特に調べもせず、毎日を強く生きています。
今日は「告知と雑記」です。
◆『悪魔よそれをとれ』の電子書籍版が出ました!
突然ですがあなたは『悪魔よそれをとれ』をご存知でしょうか。
吉里川べおさんが書かれた、世界で2番目に古いTRPG「トンネルズ&トロールズ」のコラム集です。
「世界で2番目にディープなT&Tコラム」という二つ名を持つこの本は、発売から数日で完売となり、その後ずっと絶版のままでした。
いろいろありまして、それの電子書籍版が昨晩、思い出したかのように突如として爆誕したのです☆
https://ftbooks.booth.pm/items/3755062
◆何があったのか、だって?
どうして突然、2年以上も前に出した本を出すのかと言いますと。
最近、電子書籍も充実させたいなって、思っているんです。
いきなり関係なさげな話からはじまるんですが、FT書房では最近、B5版の作品が増えました。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」と「モンスター!モンスター!TRPG」を展開している都合上、そうなっています。
数年前までは文庫本型のゲームブックが多かったので、これはちょっとした変化です。
この変化がもたらした〈できごと〉は、ふたつあります。
ひとつは、イベントで本を売る際に、ちょっと手狭(てぜま)な時があること。
文庫本よりもかなり大きいので、ズラリと並べると作品をすべて置くことができなくて、取捨選択が必要な事態に陥ることがしばしばあります。
もうひとつは、在庫となる段ボールの数が以前よりも遥かに多くなり、本を置く場所に困りつつあることです。
たとえば『アランツァクリーチャー事典』を出した際などには、16箱の段ボールが届きました(余談ですが、もうすぐ完売します。ありがとう)。
在庫本は中山将平と私の家にそれぞれ置いていますが、それぞれの家でそれぞれの段ボールが、独特の圧を放ちはじめています。
◆『混沌の迷宮』の話をしよう。
さて、在庫が空間を圧迫するとき、本当に苦痛となるのは「売れていないもの(デッドストック)」の存在です。
私の家でひときわ負の存在感を放っているのは『混沌の迷宮』です。
この本は16年前に私が出した作品で、イラストレーターはケロリという名前で載っています。
このケロリという人は、ケロちゃんという友人でもあったのですが、後に佐野菜見という名前で漫画家デビューを果たします。
その後『坂本ですが?』『ミギとダリ』といったヒット作を描き、2023年の夏に亡くなりました。
私よりも10歳以上は若かったので、ショックでした。
そんな彼女を偲んで、社長の独断で『混沌の迷宮』をまあまあの部数、再印刷したんです。
個人的な思いで再版しただけで、特に読者からの求めがあったわけではありません。
だから、ずっと売れ残っています。
実をいうと『混沌の迷宮』はもともと、自家製本という手法で作ったものしか存在しませんでした。
自分たちの手で作った、いわば「手づくり本」のみだったわけです。
それもあって、古い作品でしたが「きちんと製本されたもの」を墓前に供えたいという思いから、ご焼香に伺うまでの間に「製本したバージョン」をこしらえたという流れです。
後悔はまったくしていないんです。
私自身が、製本されたバージョンを欲しかった。
ご遺族にも、そのバージョンを渡せました。
でも、どう考えても、段ボール2箱は少なくして良かったんじゃないかと、家に積み上げられていっこうに減らない『混沌の迷宮』を見て、思っています。
◆そうだね、絶版したら電子だよね。
そんな経験を通じて、つくづく感じているんです。
「絶版になった本を安易に再版しない。電子書籍に移行する、それが大人だ」って。
またもや離れたところから話がはじまるんですが、先日、スティーブ・クロンプトンが来日しました。
その際に集結したファンが、クロンプトン氏にいくつかの本をプレゼントしたんです。
そのなかに『悪魔よそれをとれ』が混じっていまして。
その本が海を越えてケン・セント・アンドレの手もとまで届き、絶賛されたとのことでして。
そうなると、復刊したくなるわけです。
「あーダメダメ、在庫に押し潰されてしまうよ!」
という理性の声に従って、電子書籍版を出したわけです。
◆『〈四猫亭〉の幽霊』の電子版も出たよ!
1年越しとなってしまいましたが、『〈四猫亭〉の幽霊』の電子書籍版も登場しました!
お待たせしてしまい、申し訳ありません☆
https://ftbooks.booth.pm/items/5538872
本日はこれにて。
それではまた!
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今年の冬はあまり寒さを感じません。
身体が強くなったのか、それとも暖冬なのか。
特に調べもせず、毎日を強く生きています。
今日は「告知と雑記」です。
◆『悪魔よそれをとれ』の電子書籍版が出ました!
突然ですがあなたは『悪魔よそれをとれ』をご存知でしょうか。
吉里川べおさんが書かれた、世界で2番目に古いTRPG「トンネルズ&トロールズ」のコラム集です。
「世界で2番目にディープなT&Tコラム」という二つ名を持つこの本は、発売から数日で完売となり、その後ずっと絶版のままでした。
いろいろありまして、それの電子書籍版が昨晩、思い出したかのように突如として爆誕したのです☆
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◆何があったのか、だって?
どうして突然、2年以上も前に出した本を出すのかと言いますと。
最近、電子書籍も充実させたいなって、思っているんです。
いきなり関係なさげな話からはじまるんですが、FT書房では最近、B5版の作品が増えました。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」と「モンスター!モンスター!TRPG」を展開している都合上、そうなっています。
数年前までは文庫本型のゲームブックが多かったので、これはちょっとした変化です。
この変化がもたらした〈できごと〉は、ふたつあります。
ひとつは、イベントで本を売る際に、ちょっと手狭(てぜま)な時があること。
文庫本よりもかなり大きいので、ズラリと並べると作品をすべて置くことができなくて、取捨選択が必要な事態に陥ることがしばしばあります。
もうひとつは、在庫となる段ボールの数が以前よりも遥かに多くなり、本を置く場所に困りつつあることです。
たとえば『アランツァクリーチャー事典』を出した際などには、16箱の段ボールが届きました(余談ですが、もうすぐ完売します。ありがとう)。
在庫本は中山将平と私の家にそれぞれ置いていますが、それぞれの家でそれぞれの段ボールが、独特の圧を放ちはじめています。
◆『混沌の迷宮』の話をしよう。
さて、在庫が空間を圧迫するとき、本当に苦痛となるのは「売れていないもの(デッドストック)」の存在です。
私の家でひときわ負の存在感を放っているのは『混沌の迷宮』です。
この本は16年前に私が出した作品で、イラストレーターはケロリという名前で載っています。
このケロリという人は、ケロちゃんという友人でもあったのですが、後に佐野菜見という名前で漫画家デビューを果たします。
その後『坂本ですが?』『ミギとダリ』といったヒット作を描き、2023年の夏に亡くなりました。
私よりも10歳以上は若かったので、ショックでした。
そんな彼女を偲んで、社長の独断で『混沌の迷宮』をまあまあの部数、再印刷したんです。
個人的な思いで再版しただけで、特に読者からの求めがあったわけではありません。
だから、ずっと売れ残っています。
実をいうと『混沌の迷宮』はもともと、自家製本という手法で作ったものしか存在しませんでした。
自分たちの手で作った、いわば「手づくり本」のみだったわけです。
それもあって、古い作品でしたが「きちんと製本されたもの」を墓前に供えたいという思いから、ご焼香に伺うまでの間に「製本したバージョン」をこしらえたという流れです。
後悔はまったくしていないんです。
私自身が、製本されたバージョンを欲しかった。
ご遺族にも、そのバージョンを渡せました。
でも、どう考えても、段ボール2箱は少なくして良かったんじゃないかと、家に積み上げられていっこうに減らない『混沌の迷宮』を見て、思っています。
◆そうだね、絶版したら電子だよね。
そんな経験を通じて、つくづく感じているんです。
「絶版になった本を安易に再版しない。電子書籍に移行する、それが大人だ」って。
またもや離れたところから話がはじまるんですが、先日、スティーブ・クロンプトンが来日しました。
その際に集結したファンが、クロンプトン氏にいくつかの本をプレゼントしたんです。
そのなかに『悪魔よそれをとれ』が混じっていまして。
その本が海を越えてケン・セント・アンドレの手もとまで届き、絶賛されたとのことでして。
そうなると、復刊したくなるわけです。
「あーダメダメ、在庫に押し潰されてしまうよ!」
という理性の声に従って、電子書籍版を出したわけです。
◆『〈四猫亭〉の幽霊』の電子版も出たよ!
1年越しとなってしまいましたが、『〈四猫亭〉の幽霊』の電子書籍版も登場しました!
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2025年12月21日日曜日
読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回解答編 FT新聞 No.4715
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読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回(解答編)
かなでひびき
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
はろにちわー!
初めての方は、はじめまして!
おなじみの方は、毎度!
火曜日の記事『これはゲームブックなのですか?』にて、掲載させていただいてる、ヴァーチャル図書委員長かなでひびきですぅ!
かなでが集めてきた「謎だけ」で答えのないお話に、オチを付けていただくというこの企画!
今回のお話は、「われらが冒険者、ピンチ君の前に立ちふさがる税関。何とかしてこの女の子を見返りに請求するエロ税関をごまかし、犠牲者を出さずに突破する方法を考えて欲しい」
って話だったよねー!
そして、応募していただいた皆様、ありがとうございます!
早速、紹介していっちゃうね!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『女の子に厳しい税関』(解答編)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ポール・ブリッツさん)
「仕方がない、残りましょう」
ぼくが答えると、やつはいやらしい笑みを浮かべながらぼくの腕をつかんだ。だが、ぼくはそこを柔術の技で逆に押さえ込んだ。
「法に刃向かうのか!」
と叫ぶ声にぼくはさらに大きな声で返した。
「収賄の罪で現行犯逮捕する! このものは、おそれ多くも国税を見逃し、そして代価として賄賂をわたくししようとした大罪人であるぞ!」
周囲の人々は大笑いしながらロープとぞうきんを貸してくれたので、ぼくはそのままやつに縄をかけ猿轡をかました。こいつは番人としてよほど専横がひどかったらしい。恨まれるようなことしてるからいざというときこうなるんだぜ。
ぼくは贈賄罪にならなかったのかって?
その点に抜かりのあるぼくじゃない。もちろん公爵から、事前に公領の外交官身分をもらっていたから、ぼくは罪には問われないんだ。人間三人を入れられる外交官郵袋があったらもっと楽だったんだけど、高望みをしても仕方ないし、きれいに片付いたので万事オーライってことで……。
+++++++++++++
(かなでコメント)
なるほどねー。うまいこと法の抜け穴を熟知してますねー。
そして、本当にありがとうございます。ポール・ブリッツさん
次にあげる二作目も作ってくれました!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ポール・ブリッツさん)
「番人さん、あなたのお名前は?」
「ゴルディアスですが」
「えい面倒なり」
ぼくは一刀のもとにやつを切り伏せた。
こうして窮地を脱したぼくは、その後大帝国を築くことになるのだがそれはまた別の話。
+++++++++++++
(かなでコメント)
キレッキレです!
浅学ながら、「ゴルディアス」のこと知らなかったので、ググってみました!
なるほど「ゴルディアスの結び目」で「快刀乱麻を断つ」みたいな意味だったんですねー。
勉強になるし、こういうギャグ、大好きです。
センスあるユーモアとちらりと見せる博学に脱帽いたしました!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ジャラル アフサラールさん)
「じゃあボクが残ります。」
アブラギッシュ(仮名)は喜んで3人娘を通過させた後、僕のいる別室のベットに行き…。
「ああ、上手くいった。」
僕は人形相手に腰を振り続けるアブラギッシュ(仮名)を置いて関所を出た。部屋には強力な麻薬が充満しており、僕が「変わり身の術」用にいつも持ち歩いている傀儡人形を麻薬の効果で僕と思い込んだアブラギッシュ(仮名)は死ぬまで腰を振り続けるだろう。傀儡人形は出来が良いので置いていくのは残念だったが。
後年、僕の傀儡人形をモデルにした模造品があの国で販売されているのを知って複雑な気分になった僕だった。
<End>
今回の人形と麻薬は手塚治虫先生の大人向けサスペンス漫画『地球を呑む』にアイデア頂きました。世界に人造皮膚と無尽蔵の金塊で復讐しようとするゼフィルス7姉妹が男性を篭絡してベットインする時に人造皮膚製の人形と麻薬なのです。手塚先生は失敗作扱いされていますが、なかなかの佳作だと思います。
+++++++++++++
(かなでコメント)
なるほどねー。因果応報というか、欲におぼれすぎるというか、なかなか手の込んだ仕掛けですねー。
まさに「死の抱擁!」ってところもそそります。
勧善懲悪エンドなのもすかっとしますねー!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(忍者福島さん)
「それでは仕方ありませんねえ、こちらの別室へどうぞ」
と言われて、男に連れていかれた僕。
〜30分後〜
「ハァ…ハァ…どうぞ、この関所をお通りください…それどころか、また来てくれるなら関税もお返しします。というか、また来てください!」
こうしてぼく達は無事関所を通過することができたのだった。
え?別室で何があったのかって?
いや、太ってる体形であまりにも肩や腰がこってる感じだったから、僕が得意のマッサージでもみほぐしてあげたら一発で解消ってもんさ。
ぼくの魅惑のマッサージテクニック、あなたも味わってみませんか?
(注:この物語は全年齢向けの健全な物語です)
+++++++++++++
(かなでコメント)
えっちっち?に誘導しておいて、実は健全! というのが、いい意味で80年代ギャグをほうふつさせます!
しかし、ピンチ君、意外な特技を持っているものですねー!
いろんな意味でキャッキャウフフですねー。
かなでも受けてみたく候!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ヴェルサリウス28世さん)
「最近こんなものを手に入れたんですが、これは一体何ですか」
「ああ、これは東方の島国のカードゲームのアイテムだな。この読み札にある歌詞をゲームマスターが読み上げて、プレイヤーが歌詞の後半が書かれた取り札を取る遊びだ」
「何て書いてあるんです」
「うむ、1枚目のカードには、『よをこめてとりのそらねははかるともよにあふさかのせきはゆるさし』と書いてある」
「どういう意味ですか」
「これは、かの美形英雄、エルフ・ザ・ピンチの冒険譚を歌った歌だ。
あるとき、エルフ・ザ・ピンチは悪党に捕われた公爵令嬢を見事救い出したが、無事に帰るには関所を通り抜けなければならなかった。
ここは例の素顔を見せてでも突破しなければならないか、いやそれをすると騒ぎが起こって面倒だ。
そこで口を開いたのが公爵令嬢と一緒に救い出した女の一人で名を鳥野(とりの)ソラネ。鶏の鳴き真似が得意だという公爵令嬢の護衛の一人だ。
姫様はこの奥に隠れていてください、と公爵令嬢を馬車の奥に押し籠めると、もう一人の護衛とともに身を潜め、
クック・ア・ドゥードゥル・ドゥー
と見事な鶏の鳴き真似をした。
エルフ・ザ・ピンチは関所の男に、ほら、馬車に積んでるのは鶏ですよ、とかなんとか言ってごまかそうとしたが、関所の男は騙されずに馬車の中を見せろと迫った。ああ、私はこの関所を超えて家に戻ることは許されないのか、一行の運命やいかに、でこの歌は終わる」
「次回に続くクリフハンガーというわけですね。『よをこめて』というのは何ですか」
「公爵家といえば公侯伯子男の序列第1位。王女を嫁に迎えるような家柄だ。このアル・ポカネ家の公爵令嬢も王位継承権を持つようなお姫様で、長じて運命のいたずらで遂には女王となった。
女王となったのち、幼い頃に護衛と一緒に過ごした日々をなつかしんで歌ったのがこの歌だ。なので一人称が『予』。
『予を籠めて』、つまり私を馬車の奥に押し籠めて鳥野ソラネがはかりごとを謀ったが、予が関所を超えることは許されないのか、『鳥野ソラネは謀るとも、予にアフサカの関は許さじ』というわけだ」
「アフサカの関ってのは何ですか」
「アフサカというのはこの関所を守る関守の名だ。この回ではまだ登場しないが次の回で重要な役割を演じる」
「次の回って、この2枚目のカードですか」
「これや!」
「うわっ、びっくりした。何ですかいきなり」
「いや、この2枚目のカードの歌い出しだ。『これやこのゆくもかへるもわかれてはしるもしらぬもあふさかのせき』」
「その意味は」
「鳥野ソラネの作戦は失敗した。次に作戦を立てたのはもう一人の護衛、湯雲(ゆくも)カエルだ。こちらはまるで犬のように盗みを得意としていた」
「犬って盗みが得意なんですか」
「無くなったと思ったものが犬小屋だったり土の中だったりで見つかったということがあるだろう。まあそんなものだと思いなさい。
さてこの湯雲カエル、関所に並んでいる僧侶の一行から人数分の許可証を掏り取ると、こうまくし立てた。
『あたしたちは神に操を捧げた聖職者。今後も子を産んで生殖することはございませぬ。よって未来の子のための特別関税は課税されないはず。
あたしたちは恐れ多くも東方皇帝の命を受け、先の戦争で焼失した神殿再建のためのクラウドファンディングで諸国を回るもの。咎め立てすれば東方皇帝が黙っておりませぬぞ』
『なに神殿再建のクラウドファンディングと。ならばそれを依頼する勧進帳をお持ちであろう』と関守」
「勧進帳って何ですか」
「『勧進』というのは、東方の僧侶が、寺院の建立などのためにその費用を奉納させることをいう。このときも少し前の戦争で焼失した神殿再建ためのクラウドファンディングを募り、勧進の目的について書かれた『勧進帳』を持って諸国を回っていた。
もとより勧進帳のあらばこそ。湯雲カエルは背負い袋に入っていた白紙の巻物を取り出すと、あたかも勧進帳に見立てて朗々と読み上げた」
「すごいですね。Aパートをみるとまだ幼女でしょう」
「『衣装のところどころから見える手足は、女豹のようにしなやかでしっかりしている』ともあっただろう。後の女王になるような公爵令嬢の護衛にえらべれるような少女だ。あらゆる武芸と知識を叩き込まれていたのだろう。
関守アフサカは湯雲カエルの勢いに押され、思わず関所を通してしまう。
しかし実は、私が公爵令嬢だと知っていて通したのではなかっただろうか。アフサカは知っていたのか、知らなかったのか。
女王は、のちに公爵家を出て王家に入り、湯雲カエルと別れた後も、これ、この出来事が生涯で一番記憶に残っていると振り返った。
『これやこの、湯雲カエルも別れては、知るも知らぬも、アフサカの関』」
=======================
落語の『千早振る』パターンの百人一首解釈もの。「筑波嶺の」を解釈する『陽成院』という落語もある。
夜をこめて鳥の空音は謀るとも よに逢坂の関は許さじ:小倉百人一首第62番。清少納言の歌。『後拾遺和歌集』より。
藤原行成(972〜1028)が清少納言(966頃〜1025頃)と夜遅くまで話し込んで、途中で帰った後に「鶏の声にせきたてられて」と言い訳をしたのに対し、孟嘗君を通した函谷関の関守は鳴き真似に騙されても、逢坂の関(清少納言と会うこと)は許さない、と詠んだ歌。
清少納言(966頃〜1025頃)は、平安時代の女房、作家、歌人。一条天皇(在位986〜1011)の中宮・藤原定子(ていし。976〜1001)に仕え、随筆『枕草子』を書いた。
本作の公爵令嬢は僧を装い女を否定したが、清少納言には、源頼光が清原致信(きよはらのむねのぶ。?〜1017)を討った際、僧形をしていたため(男の)僧兵と思われて殺されそうになり、女性であることを示して逃れたという伝承がある(源顕兼『古事談』「清少納言、開を出だす事」)。
鶏鳴狗盗:中国の戦国時代、斉の孟嘗君(?〜−279)が秦の昭襄王(在位−306〜−251)のもとから脱出しようとした際、昭襄王に献上した「狐白裘」(狐の毛皮の衣)が必要となった。孟嘗君の食客に狗盗(犬のようにすばしこく盗むこと)を得意とする者がおり、狐白裘を盗んできた。また函谷関が開くのは一番鶏が鳴いてからであったが、食客に鶏鳴(鶏の鳴き真似)を得意とする者がおり、彼が鶏の鳴き真似をすると本物の鶏もつられて鳴き始め、函谷関が開き、孟嘗君は脱出に成功した(司馬遷『史記』孟嘗君伝)。
清少納言の歌もこれを踏まえたもの。
本作でも1人を鶏鳴を得意とする『鳥野ソラネ』としたため、それならもう1人は狗盗を得意とする者とした。
鳥野ソラネ:架空のキャラクターやVチューバーに同名は見当たらない。ペンネームに使っている人はいるようだ。
出題編で最初にしゃべっている、まだ幼さが残る、というか幼い女の子が鳥野ソラネ、女豹のようにしなやかでしっかりしている踊り子の服の女の子が湯雲カエル、最後の品の良さそうな少女が公爵令嬢である。なんでヴィオラを背負っていたのかは知らん。
アル・ポカネ:アル・カポネ(1899〜1947)は米国のギャング。本名アルフォンス・ガブリエル・カポネ。本作のアル・ポカネ家は由緒正しい公爵家という設定。
公爵令嬢:イギリスのヴィクトリア女王(在位1877〜1901)は、イギリス王ジョージ3世の王子ケント=ストラサーン公爵エドワード・オーガスタス(The Prince Edward Augustus, Duke of Kent and Strathearn)の娘で、生誕時王位継承権5位から先順位者が次々と死去し、18歳で女王に即位した。なので、公爵令嬢からの女王即位もそんなにあり得ないことではない(その国の制度によるが)。
クリフハンガー:作劇手法の一つで、劇中で盛り上がる場面、例えば主人公の絶体絶命のシーンや新展開をみせる場面などを迎えた段階で結末を示さないまま物語を終了とすること。元々は、1910年代から1920年代に映画館で上映された連続活劇の多くが、主人公が崖からぶら下がった絶体絶命のシーンで終わっていたことから、「崖にぶら下がるもの」を意味する「クリフハンガー」と呼ばれるようになった。
逢坂の関:山城国(現・京都府)と近江国(現・滋賀県)の国境となっていた関所。関のあった場所は現在では定かでないが、滋賀県大津市に「逢坂関址碑」が建てられている。逢坂は「おうさか」(歴史的仮名遣い:あふさか)と詠むが、大阪(古くは「大坂」、歴史的仮名遣い「おほさか」。さらに古くは「をさか」と発音されていたという。)とは同語源ではないようだ。
予:「予」や「余」は一人称の一つにすぎず、別段皇帝に限られるものではないが、現代では主に皇帝の一人称として使われることが多いので、女王になってからの一人称ということにした。
「夜をこめて」の歌の「よに」は「世に」や「夜に」ではなく、「決して」という意味の副詞。
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関:小倉百人一首第10番。蝉丸の歌。『後撰和歌集』より。
蝉丸は、平安時代前期の歌人。様々な伝承があり、『今昔物語集』に盲目で琵琶の名手であったとあり、琵琶法師の祖とされる。
湯雲カエル:こんな名前でも、出題編の描写からしても、公爵令嬢の護衛という設定的にも、カエル人ではなく人間である。「アフサカ」に合わせて「カヘル」でもよかったけど語呂の関係でこちらに。
勧進帳:一般名詞としての「勧進帳」は本文のとおり。また、『勧進帳』は、能の演目『安宅』を元に創られた義経と弁慶を題材とした歌舞伎の演目。1180年の平氏による南都焼討によって焼失した東大寺再建のための勧進を行う山伏に扮した源義経の忠臣・武蔵坊弁慶が、安宅の関(現・石川県小松市)の関守・富樫左衛門に、白紙の巻物を勧進帳に見立てて読み上げる。「もとより勧進帳のあらばこそ」は『勧進帳』の中のせりふ。
あたかも:漢字で書けば「恰も」。『勧進帳』の舞台である「安宅」に掛けている。
知るも知らぬも:能『安宅』の段階では、関守富樫は弁慶に欺かれた男として描かれていたが、歌舞伎『勧進帳』では、弁慶の真意に気付きながらあえて見逃したように演じられるようになった。
生殖:聖職者と生殖を掛けている。聖職者が妻帯して生殖を行うかどうかは、宗教・時代により異なる。キリスト教のカトリックでは、1139年の第2ラテラン公会議で聖職者・修道女の婚姻禁止が定められた。カトリックでは助祭以上を聖職者とし、女性は修道女にはなれても聖職者にはなれない。プロテスタントでは万人祭司の教義があり、牧師も聖職者と呼ばず、牧師の妻帯も禁じられない。現在のTRPGやその世界観に基づく中世ヨーロッパ風ファンタジーの大半では、男女とも僧侶職に就けるはずであり、本作の設定上もそうなっている。
+++++++++++++
(かなでコメント)
今回も力の入った力作、ありがとうございます!
なるほどね。
冒頭からいきなりの場面転換から、一気にストーリーへ!
思わず落語『千早振る』ググっちゃいました。
まさかの百人一首ネタとは!
話ずれますが、「強引な解釈」といえば「ノストラダムスの大予言系」の解説本を思い出すかなではもういいお年(はわわ!)
一句一句もちゃんと「お話」になっていて(『勧進帳』まで出てくるとは!)
全体として、ちゃんとオチがついてるのがすごいですねー。
今回も、勉強になりました!
楽しい時間、ありがとうございました!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(安住餡〇さん)
「仕方ないですねー」
僕は、彼女たちをあっさり手渡した。
奴はにやにや笑って、彼女たちに下卑た会話をするが……いつまで持つかな?
「アル・ポカネ」公爵の「通称」「娘」を、誘拐団から取り返して欲しい……。
アル・ポカネ氏は、「人間」コレクター。
そして、その中には「災厄」を引き寄せてしまう、疫病神「封印すべき」モノだってある。
彼女たちがそう。
事実、僕自身、まるで「運」を吸い取られていくように、腹をこわすわ財布に穴が開くわ、災難の連続。
彼女たちを狙うやつらは。彼女を「災厄兵器」として使おうと考えたから。
さて、奴はいつまで持つかな?
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございました。
確かに「大事に保管してあるもの」=「善きもの」ではないですよねー。
短いながら、その発想のパンチ、そして皮肉さにニヤリ! ですねー!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(七尾八尾さん)
僕は眉根にしわを寄せ、結局は手渡す。
「アル・ポカネ」公爵の「娘」の中には、「腹違いの娘」もいる。
ということは、スキャンダルを恐れて、ポカネは彼女たちを殺してしまう。
どうせ殺されるなら、ここで「生きている」方がマシだと思うのです。
彼女たちもこの程度の変態野郎なら、軽くあしらって逃げてくれるだろうし……。
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございます。
うわっ! 生々しい!
まるでよくある歴史の裏幕みたい!
で、これで愛憎乱れまくりで「歴史は夜作られる」(なんのこっちゃ!)
へヴィなネタ、ありがとうございます!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(クレイジィケンナオ子さん)
僕は、意を決して頷く。
「仕方ありませんね。彼女たちを預けます。」
あっさり答えたので、アブラ氏の顔が驚きに満ちた。
しかし、あっさりと元のいやらしい笑顔に戻って。
「いいんだね。確かにいいんだね」
彼の念押しに、彼女たちが一斉に頷く……。
「あんな手に引っかかるなんて、さすが安っぽい税関だよねー」
これはいらない、と返してもらったヴィオラ。そのケースの中から声がした。
「そこは、ピンチ様の頭の回転の速さ、ですわ」
「だけどびっくりしたろうね。あいつ。捕まえたと思った三人が煙のように消えたんだから」
「アル・ポカネ」公爵の「娘」
それは、ド級の名工、アル氏が、彼が文字通り心血、いや魂を注ぎ込んで作り上げたヴィオラ。
立て続けに不幸に襲われて、はかなくも幼いままこの世を去った三人の娘さんのレクイエムを弾くために作り上げられたもの。
そして、精魂込めて作っているうちに、三人の精霊がつくことになった。
僕にラブラブだった三人は、彼女たちの幻影というわけ。
「ねぇ。このままみんなで旅をして、みんなに歌を届けましょうよ」
悪くない。僕は思う。
+++++++++++++
(かなでコメント)
おおっ! きれいで和むお話ですねー。
なんか、本当に童話テイストというか、ファンタジーバリバリな作品ですねー!
この手の「魂を伝えるために作られたモノ」に、かなで弱いんですよー!
今回の募集の中で、一番ほのぼのしているかもしれません。
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(葉山海月さん)
ぼくはため息を付き、品のいい楽士の女の子の背中に回った。
覗き込んだ税関の男は、うっとうめいて、言葉も出なかった。
そこには、無数の歯車と、鉄の背骨。
「失われた古代技術と、トメキルアの最新魔法技術を駆使した、世にも珍しい、からくり人形です。
ほかの二人も……」
顔を外す!
それだけでも驚きなのに、その下には、硬質の仮面に、歯車が動く、水晶が瞳の顔があった。
「つまり、全員からくり人形なんです。人形って、『モノ』ですよね。課税対象じゃないですよね。
口をパクパクさせる彼を背に、歩き出す。
彼が混乱から覚めるまでに、消えてしまいたかったのだ。
「しかし、うまくいったね。もう二重に仮面被るのって、暑くって暑くって!」
「まったく、顔だけのサウナじゃないんですから……」
踊り子の子と、幼い子が、「からくり人形」の仮面を外す。
「だけど、あたしがいて、良かったですわね。」
そう、「アル・ポカネ」公爵の「娘」
それは、二人は肉親。
しかし、もうひとりは、幼くして逝った娘を偲んで、その財力と人脈にものを言わせ、作らせた「からくり人形」
いや、「魂」を持つという点では、人造人間に近いかもしれない。
一人「本物」を差し出せば、あとの二人も「からくり人形」だと思い込む。
危ない賭けだったが、額を流れる汗は、安堵の汗。
(からくり人形の踊り子、ヒントの元ネタははヴェルサリウス28世様から。ありがとうございました!)
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございます。
なんか、ルパン三世のようなオチですねー。
ちょいと頭脳プレイが絡むところなんかも、かなりツボですわー!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(かなでひびきさん)
「ああたっ!」
次の瞬間、棍棒片手に奥から鬼のような形相をして出てきたのは、ちょっとした小山のような、小太りマッチョな「おかあさん」!
「『この立場を利用して、公私混同やりたい放題してた!』ってのは、本当なのね! あたしという正妻がありながら、つまみ食いとは! ちょっとOHANASHIしましょうか」
悲鳴を引きながら、まるでクラーケンの触手に引きずられていくような彼に幸あれ!
+++++++++++++
(かなでコメント)
最後は、不肖、かなでひびきのオチで占めてみましたが……。
「おかあさん」はたぶんジャイアンのママの祖先です……。
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
改めて、皆さん! たくさんのご応募ありがとうございます!
みんなで考えたショートリドルストーリーの、お味はいかがだったかな?
今回、心に残ったのは、やっばりポール・ブリッツさんの豪華二本立て!
特に、二番目の作品は、短いながらも含蓄あるギャグにうならされました。
次は、やっぱり、ヴェルサリウス28世さんの力作ですね。
オチが効いているし、今回の作品「史実ネタを盛り込んだ」という点もリアリティがすごい出ていて、いいと思うのです。
ジャラル アフサラールさん、忍者福島さんは、えっちっちに見せかけながら……、というギャグオチが王道でした。
安住餡〇さん、七尾八尾さん、葉山海月さんは、あの手この手の頭をひねった「脱出口」そして「意外なオチ」が、いかにも「ショートショート」でしたよね。
クレイジィケンナオ子さんの「ヴィオラ」に着目したお話も意外でよかったです!
今回は十人十色、千差万別な答えが返ってきて、こちらとしても楽しませていただきました。
「一本のお題」で、ここまでバラエティー豊かな回答が返ってくるとは!
かなで、感謝感激感動の嵐です!
ありがとうございます!
締め切りは終わったけど、ここに応募された答えにこだわらず、みんなでご自由に謎の続きを考えて欲しいの。
魅力的な謎は、それだけで一つの物語。
それでは、次回の「問題編」
あなただけのオリジナルストーリー、ご応募お待ちしております!
どうぞよろしくお願いいたしますぅ!
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読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回(解答編)
かなでひびき
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
はろにちわー!
初めての方は、はじめまして!
おなじみの方は、毎度!
火曜日の記事『これはゲームブックなのですか?』にて、掲載させていただいてる、ヴァーチャル図書委員長かなでひびきですぅ!
かなでが集めてきた「謎だけ」で答えのないお話に、オチを付けていただくというこの企画!
今回のお話は、「われらが冒険者、ピンチ君の前に立ちふさがる税関。何とかしてこの女の子を見返りに請求するエロ税関をごまかし、犠牲者を出さずに突破する方法を考えて欲しい」
って話だったよねー!
そして、応募していただいた皆様、ありがとうございます!
早速、紹介していっちゃうね!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『女の子に厳しい税関』(解答編)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ポール・ブリッツさん)
「仕方がない、残りましょう」
ぼくが答えると、やつはいやらしい笑みを浮かべながらぼくの腕をつかんだ。だが、ぼくはそこを柔術の技で逆に押さえ込んだ。
「法に刃向かうのか!」
と叫ぶ声にぼくはさらに大きな声で返した。
「収賄の罪で現行犯逮捕する! このものは、おそれ多くも国税を見逃し、そして代価として賄賂をわたくししようとした大罪人であるぞ!」
周囲の人々は大笑いしながらロープとぞうきんを貸してくれたので、ぼくはそのままやつに縄をかけ猿轡をかました。こいつは番人としてよほど専横がひどかったらしい。恨まれるようなことしてるからいざというときこうなるんだぜ。
ぼくは贈賄罪にならなかったのかって?
その点に抜かりのあるぼくじゃない。もちろん公爵から、事前に公領の外交官身分をもらっていたから、ぼくは罪には問われないんだ。人間三人を入れられる外交官郵袋があったらもっと楽だったんだけど、高望みをしても仕方ないし、きれいに片付いたので万事オーライってことで……。
+++++++++++++
(かなでコメント)
なるほどねー。うまいこと法の抜け穴を熟知してますねー。
そして、本当にありがとうございます。ポール・ブリッツさん
次にあげる二作目も作ってくれました!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ポール・ブリッツさん)
「番人さん、あなたのお名前は?」
「ゴルディアスですが」
「えい面倒なり」
ぼくは一刀のもとにやつを切り伏せた。
こうして窮地を脱したぼくは、その後大帝国を築くことになるのだがそれはまた別の話。
+++++++++++++
(かなでコメント)
キレッキレです!
浅学ながら、「ゴルディアス」のこと知らなかったので、ググってみました!
なるほど「ゴルディアスの結び目」で「快刀乱麻を断つ」みたいな意味だったんですねー。
勉強になるし、こういうギャグ、大好きです。
センスあるユーモアとちらりと見せる博学に脱帽いたしました!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ジャラル アフサラールさん)
「じゃあボクが残ります。」
アブラギッシュ(仮名)は喜んで3人娘を通過させた後、僕のいる別室のベットに行き…。
「ああ、上手くいった。」
僕は人形相手に腰を振り続けるアブラギッシュ(仮名)を置いて関所を出た。部屋には強力な麻薬が充満しており、僕が「変わり身の術」用にいつも持ち歩いている傀儡人形を麻薬の効果で僕と思い込んだアブラギッシュ(仮名)は死ぬまで腰を振り続けるだろう。傀儡人形は出来が良いので置いていくのは残念だったが。
後年、僕の傀儡人形をモデルにした模造品があの国で販売されているのを知って複雑な気分になった僕だった。
<End>
今回の人形と麻薬は手塚治虫先生の大人向けサスペンス漫画『地球を呑む』にアイデア頂きました。世界に人造皮膚と無尽蔵の金塊で復讐しようとするゼフィルス7姉妹が男性を篭絡してベットインする時に人造皮膚製の人形と麻薬なのです。手塚先生は失敗作扱いされていますが、なかなかの佳作だと思います。
+++++++++++++
(かなでコメント)
なるほどねー。因果応報というか、欲におぼれすぎるというか、なかなか手の込んだ仕掛けですねー。
まさに「死の抱擁!」ってところもそそります。
勧善懲悪エンドなのもすかっとしますねー!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(忍者福島さん)
「それでは仕方ありませんねえ、こちらの別室へどうぞ」
と言われて、男に連れていかれた僕。
〜30分後〜
「ハァ…ハァ…どうぞ、この関所をお通りください…それどころか、また来てくれるなら関税もお返しします。というか、また来てください!」
こうしてぼく達は無事関所を通過することができたのだった。
え?別室で何があったのかって?
いや、太ってる体形であまりにも肩や腰がこってる感じだったから、僕が得意のマッサージでもみほぐしてあげたら一発で解消ってもんさ。
ぼくの魅惑のマッサージテクニック、あなたも味わってみませんか?
(注:この物語は全年齢向けの健全な物語です)
+++++++++++++
(かなでコメント)
えっちっち?に誘導しておいて、実は健全! というのが、いい意味で80年代ギャグをほうふつさせます!
しかし、ピンチ君、意外な特技を持っているものですねー!
いろんな意味でキャッキャウフフですねー。
かなでも受けてみたく候!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ヴェルサリウス28世さん)
「最近こんなものを手に入れたんですが、これは一体何ですか」
「ああ、これは東方の島国のカードゲームのアイテムだな。この読み札にある歌詞をゲームマスターが読み上げて、プレイヤーが歌詞の後半が書かれた取り札を取る遊びだ」
「何て書いてあるんです」
「うむ、1枚目のカードには、『よをこめてとりのそらねははかるともよにあふさかのせきはゆるさし』と書いてある」
「どういう意味ですか」
「これは、かの美形英雄、エルフ・ザ・ピンチの冒険譚を歌った歌だ。
あるとき、エルフ・ザ・ピンチは悪党に捕われた公爵令嬢を見事救い出したが、無事に帰るには関所を通り抜けなければならなかった。
ここは例の素顔を見せてでも突破しなければならないか、いやそれをすると騒ぎが起こって面倒だ。
そこで口を開いたのが公爵令嬢と一緒に救い出した女の一人で名を鳥野(とりの)ソラネ。鶏の鳴き真似が得意だという公爵令嬢の護衛の一人だ。
姫様はこの奥に隠れていてください、と公爵令嬢を馬車の奥に押し籠めると、もう一人の護衛とともに身を潜め、
クック・ア・ドゥードゥル・ドゥー
と見事な鶏の鳴き真似をした。
エルフ・ザ・ピンチは関所の男に、ほら、馬車に積んでるのは鶏ですよ、とかなんとか言ってごまかそうとしたが、関所の男は騙されずに馬車の中を見せろと迫った。ああ、私はこの関所を超えて家に戻ることは許されないのか、一行の運命やいかに、でこの歌は終わる」
「次回に続くクリフハンガーというわけですね。『よをこめて』というのは何ですか」
「公爵家といえば公侯伯子男の序列第1位。王女を嫁に迎えるような家柄だ。このアル・ポカネ家の公爵令嬢も王位継承権を持つようなお姫様で、長じて運命のいたずらで遂には女王となった。
女王となったのち、幼い頃に護衛と一緒に過ごした日々をなつかしんで歌ったのがこの歌だ。なので一人称が『予』。
『予を籠めて』、つまり私を馬車の奥に押し籠めて鳥野ソラネがはかりごとを謀ったが、予が関所を超えることは許されないのか、『鳥野ソラネは謀るとも、予にアフサカの関は許さじ』というわけだ」
「アフサカの関ってのは何ですか」
「アフサカというのはこの関所を守る関守の名だ。この回ではまだ登場しないが次の回で重要な役割を演じる」
「次の回って、この2枚目のカードですか」
「これや!」
「うわっ、びっくりした。何ですかいきなり」
「いや、この2枚目のカードの歌い出しだ。『これやこのゆくもかへるもわかれてはしるもしらぬもあふさかのせき』」
「その意味は」
「鳥野ソラネの作戦は失敗した。次に作戦を立てたのはもう一人の護衛、湯雲(ゆくも)カエルだ。こちらはまるで犬のように盗みを得意としていた」
「犬って盗みが得意なんですか」
「無くなったと思ったものが犬小屋だったり土の中だったりで見つかったということがあるだろう。まあそんなものだと思いなさい。
さてこの湯雲カエル、関所に並んでいる僧侶の一行から人数分の許可証を掏り取ると、こうまくし立てた。
『あたしたちは神に操を捧げた聖職者。今後も子を産んで生殖することはございませぬ。よって未来の子のための特別関税は課税されないはず。
あたしたちは恐れ多くも東方皇帝の命を受け、先の戦争で焼失した神殿再建のためのクラウドファンディングで諸国を回るもの。咎め立てすれば東方皇帝が黙っておりませぬぞ』
『なに神殿再建のクラウドファンディングと。ならばそれを依頼する勧進帳をお持ちであろう』と関守」
「勧進帳って何ですか」
「『勧進』というのは、東方の僧侶が、寺院の建立などのためにその費用を奉納させることをいう。このときも少し前の戦争で焼失した神殿再建ためのクラウドファンディングを募り、勧進の目的について書かれた『勧進帳』を持って諸国を回っていた。
もとより勧進帳のあらばこそ。湯雲カエルは背負い袋に入っていた白紙の巻物を取り出すと、あたかも勧進帳に見立てて朗々と読み上げた」
「すごいですね。Aパートをみるとまだ幼女でしょう」
「『衣装のところどころから見える手足は、女豹のようにしなやかでしっかりしている』ともあっただろう。後の女王になるような公爵令嬢の護衛にえらべれるような少女だ。あらゆる武芸と知識を叩き込まれていたのだろう。
関守アフサカは湯雲カエルの勢いに押され、思わず関所を通してしまう。
しかし実は、私が公爵令嬢だと知っていて通したのではなかっただろうか。アフサカは知っていたのか、知らなかったのか。
女王は、のちに公爵家を出て王家に入り、湯雲カエルと別れた後も、これ、この出来事が生涯で一番記憶に残っていると振り返った。
『これやこの、湯雲カエルも別れては、知るも知らぬも、アフサカの関』」
=======================
落語の『千早振る』パターンの百人一首解釈もの。「筑波嶺の」を解釈する『陽成院』という落語もある。
夜をこめて鳥の空音は謀るとも よに逢坂の関は許さじ:小倉百人一首第62番。清少納言の歌。『後拾遺和歌集』より。
藤原行成(972〜1028)が清少納言(966頃〜1025頃)と夜遅くまで話し込んで、途中で帰った後に「鶏の声にせきたてられて」と言い訳をしたのに対し、孟嘗君を通した函谷関の関守は鳴き真似に騙されても、逢坂の関(清少納言と会うこと)は許さない、と詠んだ歌。
清少納言(966頃〜1025頃)は、平安時代の女房、作家、歌人。一条天皇(在位986〜1011)の中宮・藤原定子(ていし。976〜1001)に仕え、随筆『枕草子』を書いた。
本作の公爵令嬢は僧を装い女を否定したが、清少納言には、源頼光が清原致信(きよはらのむねのぶ。?〜1017)を討った際、僧形をしていたため(男の)僧兵と思われて殺されそうになり、女性であることを示して逃れたという伝承がある(源顕兼『古事談』「清少納言、開を出だす事」)。
鶏鳴狗盗:中国の戦国時代、斉の孟嘗君(?〜−279)が秦の昭襄王(在位−306〜−251)のもとから脱出しようとした際、昭襄王に献上した「狐白裘」(狐の毛皮の衣)が必要となった。孟嘗君の食客に狗盗(犬のようにすばしこく盗むこと)を得意とする者がおり、狐白裘を盗んできた。また函谷関が開くのは一番鶏が鳴いてからであったが、食客に鶏鳴(鶏の鳴き真似)を得意とする者がおり、彼が鶏の鳴き真似をすると本物の鶏もつられて鳴き始め、函谷関が開き、孟嘗君は脱出に成功した(司馬遷『史記』孟嘗君伝)。
清少納言の歌もこれを踏まえたもの。
本作でも1人を鶏鳴を得意とする『鳥野ソラネ』としたため、それならもう1人は狗盗を得意とする者とした。
鳥野ソラネ:架空のキャラクターやVチューバーに同名は見当たらない。ペンネームに使っている人はいるようだ。
出題編で最初にしゃべっている、まだ幼さが残る、というか幼い女の子が鳥野ソラネ、女豹のようにしなやかでしっかりしている踊り子の服の女の子が湯雲カエル、最後の品の良さそうな少女が公爵令嬢である。なんでヴィオラを背負っていたのかは知らん。
アル・ポカネ:アル・カポネ(1899〜1947)は米国のギャング。本名アルフォンス・ガブリエル・カポネ。本作のアル・ポカネ家は由緒正しい公爵家という設定。
公爵令嬢:イギリスのヴィクトリア女王(在位1877〜1901)は、イギリス王ジョージ3世の王子ケント=ストラサーン公爵エドワード・オーガスタス(The Prince Edward Augustus, Duke of Kent and Strathearn)の娘で、生誕時王位継承権5位から先順位者が次々と死去し、18歳で女王に即位した。なので、公爵令嬢からの女王即位もそんなにあり得ないことではない(その国の制度によるが)。
クリフハンガー:作劇手法の一つで、劇中で盛り上がる場面、例えば主人公の絶体絶命のシーンや新展開をみせる場面などを迎えた段階で結末を示さないまま物語を終了とすること。元々は、1910年代から1920年代に映画館で上映された連続活劇の多くが、主人公が崖からぶら下がった絶体絶命のシーンで終わっていたことから、「崖にぶら下がるもの」を意味する「クリフハンガー」と呼ばれるようになった。
逢坂の関:山城国(現・京都府)と近江国(現・滋賀県)の国境となっていた関所。関のあった場所は現在では定かでないが、滋賀県大津市に「逢坂関址碑」が建てられている。逢坂は「おうさか」(歴史的仮名遣い:あふさか)と詠むが、大阪(古くは「大坂」、歴史的仮名遣い「おほさか」。さらに古くは「をさか」と発音されていたという。)とは同語源ではないようだ。
予:「予」や「余」は一人称の一つにすぎず、別段皇帝に限られるものではないが、現代では主に皇帝の一人称として使われることが多いので、女王になってからの一人称ということにした。
「夜をこめて」の歌の「よに」は「世に」や「夜に」ではなく、「決して」という意味の副詞。
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関:小倉百人一首第10番。蝉丸の歌。『後撰和歌集』より。
蝉丸は、平安時代前期の歌人。様々な伝承があり、『今昔物語集』に盲目で琵琶の名手であったとあり、琵琶法師の祖とされる。
湯雲カエル:こんな名前でも、出題編の描写からしても、公爵令嬢の護衛という設定的にも、カエル人ではなく人間である。「アフサカ」に合わせて「カヘル」でもよかったけど語呂の関係でこちらに。
勧進帳:一般名詞としての「勧進帳」は本文のとおり。また、『勧進帳』は、能の演目『安宅』を元に創られた義経と弁慶を題材とした歌舞伎の演目。1180年の平氏による南都焼討によって焼失した東大寺再建のための勧進を行う山伏に扮した源義経の忠臣・武蔵坊弁慶が、安宅の関(現・石川県小松市)の関守・富樫左衛門に、白紙の巻物を勧進帳に見立てて読み上げる。「もとより勧進帳のあらばこそ」は『勧進帳』の中のせりふ。
あたかも:漢字で書けば「恰も」。『勧進帳』の舞台である「安宅」に掛けている。
知るも知らぬも:能『安宅』の段階では、関守富樫は弁慶に欺かれた男として描かれていたが、歌舞伎『勧進帳』では、弁慶の真意に気付きながらあえて見逃したように演じられるようになった。
生殖:聖職者と生殖を掛けている。聖職者が妻帯して生殖を行うかどうかは、宗教・時代により異なる。キリスト教のカトリックでは、1139年の第2ラテラン公会議で聖職者・修道女の婚姻禁止が定められた。カトリックでは助祭以上を聖職者とし、女性は修道女にはなれても聖職者にはなれない。プロテスタントでは万人祭司の教義があり、牧師も聖職者と呼ばず、牧師の妻帯も禁じられない。現在のTRPGやその世界観に基づく中世ヨーロッパ風ファンタジーの大半では、男女とも僧侶職に就けるはずであり、本作の設定上もそうなっている。
+++++++++++++
(かなでコメント)
今回も力の入った力作、ありがとうございます!
なるほどね。
冒頭からいきなりの場面転換から、一気にストーリーへ!
思わず落語『千早振る』ググっちゃいました。
まさかの百人一首ネタとは!
話ずれますが、「強引な解釈」といえば「ノストラダムスの大予言系」の解説本を思い出すかなではもういいお年(はわわ!)
一句一句もちゃんと「お話」になっていて(『勧進帳』まで出てくるとは!)
全体として、ちゃんとオチがついてるのがすごいですねー。
今回も、勉強になりました!
楽しい時間、ありがとうございました!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(安住餡〇さん)
「仕方ないですねー」
僕は、彼女たちをあっさり手渡した。
奴はにやにや笑って、彼女たちに下卑た会話をするが……いつまで持つかな?
「アル・ポカネ」公爵の「通称」「娘」を、誘拐団から取り返して欲しい……。
アル・ポカネ氏は、「人間」コレクター。
そして、その中には「災厄」を引き寄せてしまう、疫病神「封印すべき」モノだってある。
彼女たちがそう。
事実、僕自身、まるで「運」を吸い取られていくように、腹をこわすわ財布に穴が開くわ、災難の連続。
彼女たちを狙うやつらは。彼女を「災厄兵器」として使おうと考えたから。
さて、奴はいつまで持つかな?
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございました。
確かに「大事に保管してあるもの」=「善きもの」ではないですよねー。
短いながら、その発想のパンチ、そして皮肉さにニヤリ! ですねー!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(七尾八尾さん)
僕は眉根にしわを寄せ、結局は手渡す。
「アル・ポカネ」公爵の「娘」の中には、「腹違いの娘」もいる。
ということは、スキャンダルを恐れて、ポカネは彼女たちを殺してしまう。
どうせ殺されるなら、ここで「生きている」方がマシだと思うのです。
彼女たちもこの程度の変態野郎なら、軽くあしらって逃げてくれるだろうし……。
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございます。
うわっ! 生々しい!
まるでよくある歴史の裏幕みたい!
で、これで愛憎乱れまくりで「歴史は夜作られる」(なんのこっちゃ!)
へヴィなネタ、ありがとうございます!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(クレイジィケンナオ子さん)
僕は、意を決して頷く。
「仕方ありませんね。彼女たちを預けます。」
あっさり答えたので、アブラ氏の顔が驚きに満ちた。
しかし、あっさりと元のいやらしい笑顔に戻って。
「いいんだね。確かにいいんだね」
彼の念押しに、彼女たちが一斉に頷く……。
「あんな手に引っかかるなんて、さすが安っぽい税関だよねー」
これはいらない、と返してもらったヴィオラ。そのケースの中から声がした。
「そこは、ピンチ様の頭の回転の速さ、ですわ」
「だけどびっくりしたろうね。あいつ。捕まえたと思った三人が煙のように消えたんだから」
「アル・ポカネ」公爵の「娘」
それは、ド級の名工、アル氏が、彼が文字通り心血、いや魂を注ぎ込んで作り上げたヴィオラ。
立て続けに不幸に襲われて、はかなくも幼いままこの世を去った三人の娘さんのレクイエムを弾くために作り上げられたもの。
そして、精魂込めて作っているうちに、三人の精霊がつくことになった。
僕にラブラブだった三人は、彼女たちの幻影というわけ。
「ねぇ。このままみんなで旅をして、みんなに歌を届けましょうよ」
悪くない。僕は思う。
+++++++++++++
(かなでコメント)
おおっ! きれいで和むお話ですねー。
なんか、本当に童話テイストというか、ファンタジーバリバリな作品ですねー!
この手の「魂を伝えるために作られたモノ」に、かなで弱いんですよー!
今回の募集の中で、一番ほのぼのしているかもしれません。
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(葉山海月さん)
ぼくはため息を付き、品のいい楽士の女の子の背中に回った。
覗き込んだ税関の男は、うっとうめいて、言葉も出なかった。
そこには、無数の歯車と、鉄の背骨。
「失われた古代技術と、トメキルアの最新魔法技術を駆使した、世にも珍しい、からくり人形です。
ほかの二人も……」
顔を外す!
それだけでも驚きなのに、その下には、硬質の仮面に、歯車が動く、水晶が瞳の顔があった。
「つまり、全員からくり人形なんです。人形って、『モノ』ですよね。課税対象じゃないですよね。
口をパクパクさせる彼を背に、歩き出す。
彼が混乱から覚めるまでに、消えてしまいたかったのだ。
「しかし、うまくいったね。もう二重に仮面被るのって、暑くって暑くって!」
「まったく、顔だけのサウナじゃないんですから……」
踊り子の子と、幼い子が、「からくり人形」の仮面を外す。
「だけど、あたしがいて、良かったですわね。」
そう、「アル・ポカネ」公爵の「娘」
それは、二人は肉親。
しかし、もうひとりは、幼くして逝った娘を偲んで、その財力と人脈にものを言わせ、作らせた「からくり人形」
いや、「魂」を持つという点では、人造人間に近いかもしれない。
一人「本物」を差し出せば、あとの二人も「からくり人形」だと思い込む。
危ない賭けだったが、額を流れる汗は、安堵の汗。
(からくり人形の踊り子、ヒントの元ネタははヴェルサリウス28世様から。ありがとうございました!)
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございます。
なんか、ルパン三世のようなオチですねー。
ちょいと頭脳プレイが絡むところなんかも、かなりツボですわー!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(かなでひびきさん)
「ああたっ!」
次の瞬間、棍棒片手に奥から鬼のような形相をして出てきたのは、ちょっとした小山のような、小太りマッチョな「おかあさん」!
「『この立場を利用して、公私混同やりたい放題してた!』ってのは、本当なのね! あたしという正妻がありながら、つまみ食いとは! ちょっとOHANASHIしましょうか」
悲鳴を引きながら、まるでクラーケンの触手に引きずられていくような彼に幸あれ!
+++++++++++++
(かなでコメント)
最後は、不肖、かなでひびきのオチで占めてみましたが……。
「おかあさん」はたぶんジャイアンのママの祖先です……。
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
改めて、皆さん! たくさんのご応募ありがとうございます!
みんなで考えたショートリドルストーリーの、お味はいかがだったかな?
今回、心に残ったのは、やっばりポール・ブリッツさんの豪華二本立て!
特に、二番目の作品は、短いながらも含蓄あるギャグにうならされました。
次は、やっぱり、ヴェルサリウス28世さんの力作ですね。
オチが効いているし、今回の作品「史実ネタを盛り込んだ」という点もリアリティがすごい出ていて、いいと思うのです。
ジャラル アフサラールさん、忍者福島さんは、えっちっちに見せかけながら……、というギャグオチが王道でした。
安住餡〇さん、七尾八尾さん、葉山海月さんは、あの手この手の頭をひねった「脱出口」そして「意外なオチ」が、いかにも「ショートショート」でしたよね。
クレイジィケンナオ子さんの「ヴィオラ」に着目したお話も意外でよかったです!
今回は十人十色、千差万別な答えが返ってきて、こちらとしても楽しませていただきました。
「一本のお題」で、ここまでバラエティー豊かな回答が返ってくるとは!
かなで、感謝感激感動の嵐です!
ありがとうございます!
締め切りは終わったけど、ここに応募された答えにこだわらず、みんなでご自由に謎の続きを考えて欲しいの。
魅力的な謎は、それだけで一つの物語。
それでは、次回の「問題編」
あなただけのオリジナルストーリー、ご応募お待ちしております!
どうぞよろしくお願いいたしますぅ!
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2025年12月20日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第671号 FT新聞 No.4714
From:水波流
巨大な島を探索する新作ファンタジーRPG『ソードヘイヴン』をSNSで知りました。
バルダーズゲート1・2、アイスウインドデイルのインスパイアRPGで、日本語翻訳済みとは!
Mac版もあるし、気になる……(でも遊ぶ時間はない)
From:葉山海月
ある本のタイトルを見て、「読んだ覚えはあるけど、内容はトンと忘れている」
本に限らず、忘れているってことって、人生のかなりの割合を占めているのではないのだろうか?
と思ったら、急に心が軽くなりました。
From:中山将平
僕ら、12月30日「コミックマーケット107」にサークル参加します。
ブース配置は【東ソ01ab】です。
発売の新刊は2冊で、それ以外に11月ゲームマーケットで発売した作品が1冊あります。発売新刊の通販予約も開始していますので、ぜひチェックしていただけましたら。
・「ズィムララのモンスターラリー モンスター編」モンスター!モンスター!TRPGサプリメント
https://ftbooks.booth.pm/items/7733432
・「クトゥウルウの聖なる邪神殿」ローグライクハーフサプリメント
https://ftbooks.booth.pm/items/7726592
・「ヒーローズオブダークネス」ローグライクハーフサプリメント(ゲムマにて発売)
https://ftbooks.booth.pm/items/7572242
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(天)=天狗ろむ
(葉)=葉山海月
(水)=水波流
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■12/14(日)~12/19(金)の記事一覧
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2025年12月14日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4708
アランツァクリーチャー事典 Vol.23
・本日は日曜日。アランツァクリーチャー事典の第23回目をお送りいたします。
先月に引続き『家畜、騎乗生物』後編!
かなりのボリュームがあるため、3回に渡って掲載します。
今回は軍馬やヒポグリフから、火吹き獣、丸々獣まで!
どうぞお楽しみ下さいませ。
(葉)
2025年12月15日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4709
これからの配信予定は……!
・1月の第1日曜日にお送りしますのは、火呂居美智先生による「ローグライクハーフ」の最新d33シナリオ「失楽園奇譚」!
拠点となる街は、獣人、コビット、龍人……さまざまな種族が暮らす砂漠の地、ポロメイア小国家連合です。そこで一体どんな冒険が繰り広げられるのでしょう?
2月以降の日曜枠は、ローグライクハーフ版「ガルアーダの塔」! 90階建ての果てしない冒険をお届けするべく、杉本氏が鋭意建築中でございます。
来年もスタートから未知の世界にお連れいたしますが、よろしくお願いします!
(明)
2025年12月16日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4710
ゲームブックにおける死と物語 第2回:『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
・『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」は、時を遡り、過去を変えることによって、死者の運命をも変える力をもっています。
その一方で、時の魔法による「死」への干渉は、いつも間接的な形になっていて、現前する「死んだ状態」を直接「生きている状態」に巻き戻すことはできないようにも見えます。
このような構造がもつ意味について、ぜろ氏による『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイやRLHシナリオ『ベテルギウスの残光』の内容も踏まえつつ、前回ご紹介した『護国記』と対比させる形で考察してみました。よろしければ、ご意見・ご感想などお聞かせください!
(く)
2025年12月17日(水)ぜろ FT新聞 No.4711
第1回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
・プレイヤーとキャラクター双方の視点を織り交ぜながら展開される、ぜろ氏のリプレイ第471回です。
先週ついに大団円を迎えた、ガーデンハート家の末っ子ミナの冒険に引き続き、今週からは、長女ニナ・ガーデンハートの逃走劇をお届けします。
追跡のプロを相手に、限られたスタミナを使いながら、距離を保ちつつ雪原の中を逃げ延びるという困難なミッション。何もなさそうな雪原でも、ポルルポルルや野営の焚火など、意外と助けになりそうな出会いはあるものですが、そこには危険や罠があるかもしれません。ニナの選択がもたらす、今回のアタックの結末はどうなるでしょうか?
(く)
2025年12月18日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4712
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.38『汝、獣となれ人となれ』 その2
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカは、昼の間ミソサザイになる呪いをかけられたコビットの冒険者クリスティと共に、彼女の呪いを解くカギを探しに〈太古の森〉に眠る遺跡へと出発!
思わぬ人との再会、思わぬものとの出会いを重ねていく、道中の軽妙なやりとりが賑やかで楽しいクワニャウマたちの冒険をどうぞご覧あれ。
(天)
2025年12月19日(金)休刊日 FT新聞 No.4713
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
時間遡行はエンタメを面白くもしますが「ご都合主義」になる可能性もありますね。現在アニメ放送中の『魔法少女まどか☆マギカ』の暁美 ほむらの「時間操作」の魔法なんかは上手く使っていると思います。まあ私は某ゲームブックで時間遡行の箇所で何度もパラグラフをやり直して最強に近づくという所だけ暁美 ほむらと同じです(笑)。
(お返事:くろやなぎ)
コメントありがとうございます。時間遡行というギミックの使用について、「エンタメ性を高める効果」と「ご都合主義に陥るリスク」との折り合いがどのように調整されているか、というのは興味深いテーマですね。
この視点から改めて考えてみると、『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」は、使える場面を限定した上で、あまり効果がない「空振り」的なケースや逆効果になるケースも用意し、さらに悪夢というリソース管理のバランスを厳しめに設定することで、プレイヤーに「ご都合主義感」を感じさせずに、しかもここぞという場面では劇的な変化を演出する、という絶妙なバランスになっているように思います。
また、ぜろ氏の『狂える魔女のゴルジュ』リプレイにおけるオスクリード神の「戯れ」については、時間遡行に伴うご都合主義的な万能性を「神」の側に寄せることで、主人公の無力感や苦悩をドラマチックに浮かび上がらせる効果をもっている、という見方もできるかもしれません。
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巨大な島を探索する新作ファンタジーRPG『ソードヘイヴン』をSNSで知りました。
バルダーズゲート1・2、アイスウインドデイルのインスパイアRPGで、日本語翻訳済みとは!
Mac版もあるし、気になる……(でも遊ぶ時間はない)
From:葉山海月
ある本のタイトルを見て、「読んだ覚えはあるけど、内容はトンと忘れている」
本に限らず、忘れているってことって、人生のかなりの割合を占めているのではないのだろうか?
と思ったら、急に心が軽くなりました。
From:中山将平
僕ら、12月30日「コミックマーケット107」にサークル参加します。
ブース配置は【東ソ01ab】です。
発売の新刊は2冊で、それ以外に11月ゲームマーケットで発売した作品が1冊あります。発売新刊の通販予約も開始していますので、ぜひチェックしていただけましたら。
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・「ヒーローズオブダークネス」ローグライクハーフサプリメント(ゲムマにて発売)
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さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(天)=天狗ろむ
(葉)=葉山海月
(水)=水波流
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■12/14(日)~12/19(金)の記事一覧
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2025年12月14日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4708
アランツァクリーチャー事典 Vol.23
・本日は日曜日。アランツァクリーチャー事典の第23回目をお送りいたします。
先月に引続き『家畜、騎乗生物』後編!
かなりのボリュームがあるため、3回に渡って掲載します。
今回は軍馬やヒポグリフから、火吹き獣、丸々獣まで!
どうぞお楽しみ下さいませ。
(葉)
2025年12月15日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4709
これからの配信予定は……!
・1月の第1日曜日にお送りしますのは、火呂居美智先生による「ローグライクハーフ」の最新d33シナリオ「失楽園奇譚」!
拠点となる街は、獣人、コビット、龍人……さまざまな種族が暮らす砂漠の地、ポロメイア小国家連合です。そこで一体どんな冒険が繰り広げられるのでしょう?
2月以降の日曜枠は、ローグライクハーフ版「ガルアーダの塔」! 90階建ての果てしない冒険をお届けするべく、杉本氏が鋭意建築中でございます。
来年もスタートから未知の世界にお連れいたしますが、よろしくお願いします!
(明)
2025年12月16日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4710
ゲームブックにおける死と物語 第2回:『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
・『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」は、時を遡り、過去を変えることによって、死者の運命をも変える力をもっています。
その一方で、時の魔法による「死」への干渉は、いつも間接的な形になっていて、現前する「死んだ状態」を直接「生きている状態」に巻き戻すことはできないようにも見えます。
このような構造がもつ意味について、ぜろ氏による『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイやRLHシナリオ『ベテルギウスの残光』の内容も踏まえつつ、前回ご紹介した『護国記』と対比させる形で考察してみました。よろしければ、ご意見・ご感想などお聞かせください!
(く)
2025年12月17日(水)ぜろ FT新聞 No.4711
第1回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
・プレイヤーとキャラクター双方の視点を織り交ぜながら展開される、ぜろ氏のリプレイ第471回です。
先週ついに大団円を迎えた、ガーデンハート家の末っ子ミナの冒険に引き続き、今週からは、長女ニナ・ガーデンハートの逃走劇をお届けします。
追跡のプロを相手に、限られたスタミナを使いながら、距離を保ちつつ雪原の中を逃げ延びるという困難なミッション。何もなさそうな雪原でも、ポルルポルルや野営の焚火など、意外と助けになりそうな出会いはあるものですが、そこには危険や罠があるかもしれません。ニナの選択がもたらす、今回のアタックの結末はどうなるでしょうか?
(く)
2025年12月18日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4712
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.38『汝、獣となれ人となれ』 その2
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカは、昼の間ミソサザイになる呪いをかけられたコビットの冒険者クリスティと共に、彼女の呪いを解くカギを探しに〈太古の森〉に眠る遺跡へと出発!
思わぬ人との再会、思わぬものとの出会いを重ねていく、道中の軽妙なやりとりが賑やかで楽しいクワニャウマたちの冒険をどうぞご覧あれ。
(天)
2025年12月19日(金)休刊日 FT新聞 No.4713
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
時間遡行はエンタメを面白くもしますが「ご都合主義」になる可能性もありますね。現在アニメ放送中の『魔法少女まどか☆マギカ』の暁美 ほむらの「時間操作」の魔法なんかは上手く使っていると思います。まあ私は某ゲームブックで時間遡行の箇所で何度もパラグラフをやり直して最強に近づくという所だけ暁美 ほむらと同じです(笑)。
(お返事:くろやなぎ)
コメントありがとうございます。時間遡行というギミックの使用について、「エンタメ性を高める効果」と「ご都合主義に陥るリスク」との折り合いがどのように調整されているか、というのは興味深いテーマですね。
この視点から改めて考えてみると、『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」は、使える場面を限定した上で、あまり効果がない「空振り」的なケースや逆効果になるケースも用意し、さらに悪夢というリソース管理のバランスを厳しめに設定することで、プレイヤーに「ご都合主義感」を感じさせずに、しかもここぞという場面では劇的な変化を演出する、という絶妙なバランスになっているように思います。
また、ぜろ氏の『狂える魔女のゴルジュ』リプレイにおけるオスクリード神の「戯れ」については、時間遡行に伴うご都合主義的な万能性を「神」の側に寄せることで、主人公の無力感や苦悩をドラマチックに浮かび上がらせる効果をもっている、という見方もできるかもしれません。
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2025年12月19日金曜日
休刊日のお知らせ FT新聞 No.4713
おはようございます。
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2025年12月18日木曜日
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.38『汝、獣となれ人となれ』その2 FT新聞 No.4712
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児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.38
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〜前回までのあらすじ、あるいはイェシカの日記より抜粋〜
おっす、おらイェシカ! 冒険家乙女クワニャウマの従者のランタン持ちのエルフだ! 今回は、闇の賢人メメコレオウス様の依頼を受け、〈太古の森〉に眠るヴィンドランダ遺跡群へ冒険することになった。コビットの冒険者クリスティのミソサザイになる呪いを解くカギとなる、旧き神の神像を探すためだ。かわいい三匹の猟犬・雷電、飛燕、月光を仲間にしてから初めての冒険だから、おらもワクワクしてきたぞ!!
あらすじに遊び心を入れてみようと試みたら、某竜玉アニメの次回予告風になってしまいました。それはさておき、今回は『汝、獣となれ人となれ』リプレイその2です。
今回から、ヴィンドランダ遺跡群を目指し、〈太古の森〉の冒険が本格的に開始します。
ところで、前回『名付けられるべきではないもの』の慟哭せんばかりの結末に耐え切れなかった私は、ラブコメで中和して精神を保とうと、ギルサリオンをラブコメ要員にするという、全国のギルサリオンファンから矢衾にされても文句を言えないリプレイを書いておりました。
すると、どうしたことでしょう。
ダイスの女神様が、一回目からギルサリオンとの再会という奇跡をもたらして下さいました。
このように、予期しない展開が来るので、ローグライクハーフは楽しいです^^
楽しいと言えば、今回は初めて魔法の武器を入手することができました!
その名も『古代の神槍』!!
飛び道具として扱うこともでき、その場合は【攻撃ロール】+2、命中時には2点のダメージを与えることができる優れものですが、命中した敵が逃走したり、自分が逃走した場合は回収できず失われてしまうリスクもあります。
そこで、このリスクを回避しようと【死ぬまで戦う】設定の敵のとどめを刺すタイミングでのみ投擲で攻撃してみたところ、効果絶大でした^^♪
もう一つ、戦闘において効果絶大だったのが、従者の猟犬達です。
敵の【不意打ち】を阻止してくれるので、【不意打ち】の敵と遭遇することが多かった今回の冒険において、大いに助けられました。
さらに猟犬は、接近戦での【攻撃ロール】に+1の修正を与えてくれるので、先述の古代の神槍の通常攻撃時の成功率を上げてくれました。まさに、猟犬さまさまです^^b
最後になりますが、来年1月上旬に、拙作『歌人探偵定家』(東京創元社)の文庫版が刊行となりました!!
人生二冊目の文庫化にまでたどり着けましたのも、ひとえに皆様のおかげです。まことにありがとうございます!!
少し早いですが、皆様もよい年末年始をお過ごし下さいませm(__)m
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
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ローグライクハーフ
『汝、獣となれ人となれ』リプレイ
その2
齊藤(羽生)飛鳥
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1:エルフの巡視隊
「賢人が言うからには、遺跡には相当たんまりとお宝がありそうね! ああ、早くクリスティの呪いを解いて、その相棒も見つけ出したら、二人にただで遺跡の隅から隅まで案内してもらって、お宝を荒稼ぎしたい!」
はりきるわたしに、猟犬たちが元気よく一声吠えて返事をする。賢い。そんな猟犬たちをイェシカがなでる。かわいい。わたしの肩に留まっているミソサザイが、「なんでやねん!」と言いたげに羽を振る。おもろい。
何か即興で割安な割に、いいパーティー編成だな。これはツイている!
不意に風を切る音が響いた直後、目の前に投げナイフが突き立つ。
「止まれ」
鋭い声が背後からかけられる。いつの間にか多数の気配がわたしたちを取り囲んでいる。
「武器を捨てて、両手を上げろ」
「わかったから、怖い顔しないでくれる? イェシカが怖がるでしょう」
わたしはそう言いながら、持っていた斧を捨てる。地面に鈍い音がして、エルフの巡視隊がいっそう警戒した表情になる。
武器を捨てたのに、余計警戒されるとは、何だか理不尽だな。
「また厄介事に首を突っ込んでいるようだな、外なる者よ」
聞き覚えのある声にはっとして振り返ると、武器を構えたエルフの巡視隊の後方から、部隊長である王族ギルサリオンが姿を現す。
わたしは目の前のナイフに見覚えがあった。彼の弟だったファラサールが使っていたものだ。ナイフを引き抜き、ハンカチで土汚れを落として無言で手渡すと、ギルサリオンは寂しそうな笑みを口の端に浮かべる。わたしと同じか。まだファラサールの死が心に大きな影を落としているんだ。
少し雰囲気を和らげたいし、会話をするか。
「久しぶり。相変わらずみたいね。わたしも相変わらず冒険でヴィンドランダ遺跡の調査をしているわ。あなたたちエルフの領域には立ち入らないと約束するから安心して」
「よかろう……しかし森の秩序を乱すような真似をしたならば、如何に貴様といえども部下たちに容赦はさせぬからな」
(なんやの、いけ好かん奴!)
わたしたちの周りで、小鳥の姿のクリスティが不満げに鳴きながら飛び回る。ちなみに、台詞はわたしの想像だ。
(大丈夫、こいつはこんな事は言ってるけど、本当はいい奴だから)
わたしはクリスティに小声で伝える。
(何しろ、ただで協力してくれたし、こっちが投資で渡そうとしたものを断ろうとするほど無欲という珍しい奴だから)
「黙れ」
ギルサリオンは顔をしかめながら吐き捨てる。
「はーい」
わたしが返事をすると、ギルサリオンは部下たちを撤退させにかかる。
エルフたちが立ち去る際に、ギルサリオンがわたしに意味有りげに目配せをする。
わたしはその目線の先に、トレント果実〈テュルニ〉が2個、実っているのを発見する。
「これ、〈テュルニ〉じゃない! しかも、2個! ギルサリオン、あんたいつからそんないい男になったの!?」
礼を言おうと振り返ると、既にエルフは姿を消していた。
お礼は次回会った時と決め、わたしは〈テュルニ〉を2個もぎ取って先へ進んだ。
2:雨宿りの妖精
「わたしたち、幸先いいわね! この調子でお宝じゃんじゃんゲットよ!」
わたしが気合いを入れると、クリスティがその調子だと言わんばかりに囀る。
「それにしても、周囲に漂う草いきれが強く鼻をつくね」
わたしがそう言ったところで、イェシカが石板に一文字、こう書いた。
〈雨〉
直後、わたしの頬に雨粒が当たる。
そこから、一気に雨は本降りになる。
「みんな、雨宿りよ!」
うまい具合に、遺跡群に到着していたので、わたしたちは崩れかかった建物の庇の下に逃げ込む。
ミソサザイに限らず、鳥は濡れたら飛べなくなるから、動きが制限されて大変そうだ。
「しまった……持ち物に傘を加えておくべきだったわ。でも、傘を持つと武器が持てなくなるか。そうだ、武器になる傘を作ればいいんだわ! そうすれば、武器を買えば傘としても使えるから、お買い得! このアイディアを武器職人に売れば、ひと稼ぎできそうよね! そう思わない?」
(思わんわ、ボケ!)
ミソサザイが、そんなツッコミを入れているような動きを見せる。
一方、イェシカは石板にメッセージを書いた。
〈早く雨がやむといいね〉
「そうだね。じゃあ、やむまでの間、お人形遊びでもしようか」
イェシカが持っているウォー・ドールは、起動しない限り手のひらサイズだ。それをいいことに、わたしはミソサザイを人形代わりに、イェシカのウォー・ドールと人形遊びをする。おかげで、ミソサザイが虚無顔ができるのだと初めて知ることができた。
すると、絶え間ない雨足のなかにぼんやりと光るものが目に留まる。
その光は、ふわふわと不安定にわたしに向かって漂ってくると、顔の真ん前で甲高い声を発する。
「ひゃー、ひどい目に遭ったよ」
その小さい姿は、淡いピンクの花をつけるリンネソウの妖精だった。
小妖精は身体をぶるぶると震って雨水を振り落とすと、きょろきょろと何かを探し始めた。
「すてきな休憩所を発見!」
そう言って、リンネソウの妖精はイェシカが持っていたランタンの蓋を開けると、その中に身体をねじこむ。
「ここは居心地が良くていいや」
そう言うと、あくびをして寝入ってしまった。身体がうっすら光っているので、ランタンを灯している時と同じくらい明るくなる。
ランタンを小屋代わりにしてくつろぐリンネソウの妖精を気に入ったのか、イェシカが目を輝かせる。
「灯油代が浮くことだし、このまま連れて行こうか」
わたしの提案に、イェシカが喜ぶ。天使だ。
ミソサザイが、またも「なんでやねん!」の仕草をしていたけど、イェシカの笑顔のよさがわからんとは、哀れな。
3:コビットの罠師
雨も上がり、わたしたちは遺跡の廂の下を出て、崩れた遺跡の探索を始めた。
すると、遺跡の死角をうまく使って仕掛けられた罠に引っかかってしまった!
「いてっ! イェシカ! みんなは大丈夫?」
慌ててふり返り、イェシカたちの無事を確認する。
すると、イェシカも猟犬たちも元気だった。ミソサザイも、ちゃっかりイェシカの頭に止まっているほどだ。
おいおい、罠にかかったのはわたしだけかーい。
それにしても、はね上げ式の罠か……。いい具合に逆さ吊りだから、長時間このままだと頭に血が上って召されそうだ。
「ちぇっ、なんでえ。間抜けなオークかと思ったのによ」
ぶつくさと文句を言いながら、コビットの罠師が現れる。
「第一声がそれか。あのさ、罠をはずしてもらえる? このままだと猟犬たちに襲われてボロ雑巾みたいになるわよ、あんたが」
「罠にかかった間抜けな姿で脅されてもなぁ。罠をはずしてほしいなら、金貨5枚をよこしな。それ以上はまからねえぜ」
「金貨5枚も!? 従者一人を余裕で雇えるお値段じゃない! もう少しまからない?」
「おまえ、自分の命が安値になっていいのか?」
「はっ……!! わたし、自分の命の値段を甘く見積もっていたわ!! そうよね。わたしが死んだら、イェシカと会えなくなるし、吟遊詩人を雇ってファラサ—ルの詩を作れなくなる……。わたしの命、ざっと金貨1000枚くらいの価値があるわ。それを考えたら、金貨5枚は破格か」
「自分を見つめ直す暇があるなら、さっさと財布の紐をゆるめろや」
「それもそうね。はい、金貨5枚」
「最初から素直に払えってんだ」
憎まれ口をたたきながらも、コビットの罠師は金貨を懐に納めると、罠をはずしてくれたのだった。
4:神の樹
〈クワニャウマ、大丈夫?〉
イェシカが、石板にそう書いてくれた。つくづく天使だ。
「心配してくれてありがとうね、イェシカ。まだちょっと痛むけど、食料を食べて元気になって来たから歩けるわ」
そんなこんなで話すうちに、わたしたちは澄んだ水が湧き出ている泉の前に出た。
猟犬たちが、いっせいにうれしそうに舌を出して尻尾を振る。
「少し休憩していこうか」
わたしたちは、泉の周りで休憩を取った。
泉の水はとてもおいしかった! ただでこの高品質、すばらしい!
すると、猟犬たちを泉の周辺で散歩させていたイェシカが、森木に絡まった根元にあった1本の古めかしい槍を拾ってきた。
木製の槍は複雑な文様が隙間無く刻み込まれていた。
〈これ、前にお兄ちゃんが読んでいた本に書いてあった。古代の神槍っていう魔法の両手武器〉
「魔法の武器!? 前からほしかったの! よくぞ見つけてくれたわ! ありがとう、イェシカ!」
わたしは、嬉々としてさっそく古代の神槍を装備した。
ここで問題になったのは、今まで装備していた片手武器の斧だ。捨てるのはもったいないけど、かと言ってこれ以上の武器は持てない。
強欲のわたしとして、ただ捨てるのは罪悪以外の何物でもなかった。
「よし、次にここへ来た冒険家がお得に思えるように、イェシカが槍を見つけてくれた場所に『ご自由にお持ち帰りください』と書いて置いておくか」
ミソサザイが、キレのよい動きで「なんでやねん!」の動きをする。……クリスティ、だいぶミソサザイの体になれてきてはいやしないか?
5:旧き騎士と旧き剣
泉を離れ、遺跡群の散策を再開する。
その中に廃墟があったので、さっそく入ってみた。遺跡の他の場所と異なり、中にある広間は綺麗でよく手入れされているように見える。
わたしは、床に敷かれた赤い絨毯や、壁にかけられた年代物の肖像画、その手前の台座に置かれた完全鎧と長剣を見る。どれも、埃一つついていない。
「もしかして、どなたかお住まいっぽい?」
〈貴族のお部屋みたい〉
イェシカが石板にそう書いて、わたしに見せた直後だった。
ガチャリという金属音と共に、台座からゆっくりと完全鎧を身につけた重装の騎士が広間に降り立った。
そして驚いたことに、長剣はふわりと宙に浮き、わたしたち目がけて飛びかかってきた!
「はぁっ!? 剣がひとりでに飛ぶって、まさかあの剣は〈おどる剣〉!?」
ゴーレムの一種と聞いたことがあるから、そうなるとあの騎士もゴーレム!?
わたしの推測の正しさを確認する暇もなく、騎士の攻撃が始まる。
「ワンッ!!」
猟犬が、わたしに体当たりを食らわせてくれたおかげで、騎士の不意打ちとも言える攻撃を回避できた。
「ありがとう、雷電!」
イェシカが石板に〈その子は月光〉と書いていたから、後で言い直そう。
息つく暇もなく、次は〈おどる剣〉が襲いかかって来た!
「食らえ、古代の神槍!」
わたしは〈おどる剣〉を槍で叩き落とす。初めて両手武器を使ったけど、悪くない使い勝手だ。
「ワンッ!!」
猟犬たちが騎士と戦って追いつめられているのがわかり、わたしはすかさず騎士めがけて古代の神槍を投げつけた。
よし、当たった!
騎士はそのまま動かなくなり、金属音を立てながら膝から崩れ落ちる。
恐る恐る近づき、槍を引き抜いても、騎士は動かない。
全身を探ってお宝の金貨1枚と金貨15枚相当の小さな宝石を見つけても、やはり動かない——倒せたのだ。
猟犬たちを従者にして初めての戦闘は、こうして無事に終わった。
欲を言えば、もうちょいお宝がゲットできたら申し分なかったけど、まだ冒険は始まったばかり。次へ行こう。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
2025年現在、『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を6巻まで刊行中。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行決定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『汝、獣となれ人となれ』
著 水波流
2025年9月7日FT新聞配信
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TRPG小説リプレイ
Vol.38
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〜前回までのあらすじ、あるいはイェシカの日記より抜粋〜
おっす、おらイェシカ! 冒険家乙女クワニャウマの従者のランタン持ちのエルフだ! 今回は、闇の賢人メメコレオウス様の依頼を受け、〈太古の森〉に眠るヴィンドランダ遺跡群へ冒険することになった。コビットの冒険者クリスティのミソサザイになる呪いを解くカギとなる、旧き神の神像を探すためだ。かわいい三匹の猟犬・雷電、飛燕、月光を仲間にしてから初めての冒険だから、おらもワクワクしてきたぞ!!
あらすじに遊び心を入れてみようと試みたら、某竜玉アニメの次回予告風になってしまいました。それはさておき、今回は『汝、獣となれ人となれ』リプレイその2です。
今回から、ヴィンドランダ遺跡群を目指し、〈太古の森〉の冒険が本格的に開始します。
ところで、前回『名付けられるべきではないもの』の慟哭せんばかりの結末に耐え切れなかった私は、ラブコメで中和して精神を保とうと、ギルサリオンをラブコメ要員にするという、全国のギルサリオンファンから矢衾にされても文句を言えないリプレイを書いておりました。
すると、どうしたことでしょう。
ダイスの女神様が、一回目からギルサリオンとの再会という奇跡をもたらして下さいました。
このように、予期しない展開が来るので、ローグライクハーフは楽しいです^^
楽しいと言えば、今回は初めて魔法の武器を入手することができました!
その名も『古代の神槍』!!
飛び道具として扱うこともでき、その場合は【攻撃ロール】+2、命中時には2点のダメージを与えることができる優れものですが、命中した敵が逃走したり、自分が逃走した場合は回収できず失われてしまうリスクもあります。
そこで、このリスクを回避しようと【死ぬまで戦う】設定の敵のとどめを刺すタイミングでのみ投擲で攻撃してみたところ、効果絶大でした^^♪
もう一つ、戦闘において効果絶大だったのが、従者の猟犬達です。
敵の【不意打ち】を阻止してくれるので、【不意打ち】の敵と遭遇することが多かった今回の冒険において、大いに助けられました。
さらに猟犬は、接近戦での【攻撃ロール】に+1の修正を与えてくれるので、先述の古代の神槍の通常攻撃時の成功率を上げてくれました。まさに、猟犬さまさまです^^b
最後になりますが、来年1月上旬に、拙作『歌人探偵定家』(東京創元社)の文庫版が刊行となりました!!
人生二冊目の文庫化にまでたどり着けましたのも、ひとえに皆様のおかげです。まことにありがとうございます!!
少し早いですが、皆様もよい年末年始をお過ごし下さいませm(__)m
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ローグライクハーフ
『汝、獣となれ人となれ』リプレイ
その2
齊藤(羽生)飛鳥
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1:エルフの巡視隊
「賢人が言うからには、遺跡には相当たんまりとお宝がありそうね! ああ、早くクリスティの呪いを解いて、その相棒も見つけ出したら、二人にただで遺跡の隅から隅まで案内してもらって、お宝を荒稼ぎしたい!」
はりきるわたしに、猟犬たちが元気よく一声吠えて返事をする。賢い。そんな猟犬たちをイェシカがなでる。かわいい。わたしの肩に留まっているミソサザイが、「なんでやねん!」と言いたげに羽を振る。おもろい。
何か即興で割安な割に、いいパーティー編成だな。これはツイている!
不意に風を切る音が響いた直後、目の前に投げナイフが突き立つ。
「止まれ」
鋭い声が背後からかけられる。いつの間にか多数の気配がわたしたちを取り囲んでいる。
「武器を捨てて、両手を上げろ」
「わかったから、怖い顔しないでくれる? イェシカが怖がるでしょう」
わたしはそう言いながら、持っていた斧を捨てる。地面に鈍い音がして、エルフの巡視隊がいっそう警戒した表情になる。
武器を捨てたのに、余計警戒されるとは、何だか理不尽だな。
「また厄介事に首を突っ込んでいるようだな、外なる者よ」
聞き覚えのある声にはっとして振り返ると、武器を構えたエルフの巡視隊の後方から、部隊長である王族ギルサリオンが姿を現す。
わたしは目の前のナイフに見覚えがあった。彼の弟だったファラサールが使っていたものだ。ナイフを引き抜き、ハンカチで土汚れを落として無言で手渡すと、ギルサリオンは寂しそうな笑みを口の端に浮かべる。わたしと同じか。まだファラサールの死が心に大きな影を落としているんだ。
少し雰囲気を和らげたいし、会話をするか。
「久しぶり。相変わらずみたいね。わたしも相変わらず冒険でヴィンドランダ遺跡の調査をしているわ。あなたたちエルフの領域には立ち入らないと約束するから安心して」
「よかろう……しかし森の秩序を乱すような真似をしたならば、如何に貴様といえども部下たちに容赦はさせぬからな」
(なんやの、いけ好かん奴!)
わたしたちの周りで、小鳥の姿のクリスティが不満げに鳴きながら飛び回る。ちなみに、台詞はわたしの想像だ。
(大丈夫、こいつはこんな事は言ってるけど、本当はいい奴だから)
わたしはクリスティに小声で伝える。
(何しろ、ただで協力してくれたし、こっちが投資で渡そうとしたものを断ろうとするほど無欲という珍しい奴だから)
「黙れ」
ギルサリオンは顔をしかめながら吐き捨てる。
「はーい」
わたしが返事をすると、ギルサリオンは部下たちを撤退させにかかる。
エルフたちが立ち去る際に、ギルサリオンがわたしに意味有りげに目配せをする。
わたしはその目線の先に、トレント果実〈テュルニ〉が2個、実っているのを発見する。
「これ、〈テュルニ〉じゃない! しかも、2個! ギルサリオン、あんたいつからそんないい男になったの!?」
礼を言おうと振り返ると、既にエルフは姿を消していた。
お礼は次回会った時と決め、わたしは〈テュルニ〉を2個もぎ取って先へ進んだ。
2:雨宿りの妖精
「わたしたち、幸先いいわね! この調子でお宝じゃんじゃんゲットよ!」
わたしが気合いを入れると、クリスティがその調子だと言わんばかりに囀る。
「それにしても、周囲に漂う草いきれが強く鼻をつくね」
わたしがそう言ったところで、イェシカが石板に一文字、こう書いた。
〈雨〉
直後、わたしの頬に雨粒が当たる。
そこから、一気に雨は本降りになる。
「みんな、雨宿りよ!」
うまい具合に、遺跡群に到着していたので、わたしたちは崩れかかった建物の庇の下に逃げ込む。
ミソサザイに限らず、鳥は濡れたら飛べなくなるから、動きが制限されて大変そうだ。
「しまった……持ち物に傘を加えておくべきだったわ。でも、傘を持つと武器が持てなくなるか。そうだ、武器になる傘を作ればいいんだわ! そうすれば、武器を買えば傘としても使えるから、お買い得! このアイディアを武器職人に売れば、ひと稼ぎできそうよね! そう思わない?」
(思わんわ、ボケ!)
ミソサザイが、そんなツッコミを入れているような動きを見せる。
一方、イェシカは石板にメッセージを書いた。
〈早く雨がやむといいね〉
「そうだね。じゃあ、やむまでの間、お人形遊びでもしようか」
イェシカが持っているウォー・ドールは、起動しない限り手のひらサイズだ。それをいいことに、わたしはミソサザイを人形代わりに、イェシカのウォー・ドールと人形遊びをする。おかげで、ミソサザイが虚無顔ができるのだと初めて知ることができた。
すると、絶え間ない雨足のなかにぼんやりと光るものが目に留まる。
その光は、ふわふわと不安定にわたしに向かって漂ってくると、顔の真ん前で甲高い声を発する。
「ひゃー、ひどい目に遭ったよ」
その小さい姿は、淡いピンクの花をつけるリンネソウの妖精だった。
小妖精は身体をぶるぶると震って雨水を振り落とすと、きょろきょろと何かを探し始めた。
「すてきな休憩所を発見!」
そう言って、リンネソウの妖精はイェシカが持っていたランタンの蓋を開けると、その中に身体をねじこむ。
「ここは居心地が良くていいや」
そう言うと、あくびをして寝入ってしまった。身体がうっすら光っているので、ランタンを灯している時と同じくらい明るくなる。
ランタンを小屋代わりにしてくつろぐリンネソウの妖精を気に入ったのか、イェシカが目を輝かせる。
「灯油代が浮くことだし、このまま連れて行こうか」
わたしの提案に、イェシカが喜ぶ。天使だ。
ミソサザイが、またも「なんでやねん!」の仕草をしていたけど、イェシカの笑顔のよさがわからんとは、哀れな。
3:コビットの罠師
雨も上がり、わたしたちは遺跡の廂の下を出て、崩れた遺跡の探索を始めた。
すると、遺跡の死角をうまく使って仕掛けられた罠に引っかかってしまった!
「いてっ! イェシカ! みんなは大丈夫?」
慌ててふり返り、イェシカたちの無事を確認する。
すると、イェシカも猟犬たちも元気だった。ミソサザイも、ちゃっかりイェシカの頭に止まっているほどだ。
おいおい、罠にかかったのはわたしだけかーい。
それにしても、はね上げ式の罠か……。いい具合に逆さ吊りだから、長時間このままだと頭に血が上って召されそうだ。
「ちぇっ、なんでえ。間抜けなオークかと思ったのによ」
ぶつくさと文句を言いながら、コビットの罠師が現れる。
「第一声がそれか。あのさ、罠をはずしてもらえる? このままだと猟犬たちに襲われてボロ雑巾みたいになるわよ、あんたが」
「罠にかかった間抜けな姿で脅されてもなぁ。罠をはずしてほしいなら、金貨5枚をよこしな。それ以上はまからねえぜ」
「金貨5枚も!? 従者一人を余裕で雇えるお値段じゃない! もう少しまからない?」
「おまえ、自分の命が安値になっていいのか?」
「はっ……!! わたし、自分の命の値段を甘く見積もっていたわ!! そうよね。わたしが死んだら、イェシカと会えなくなるし、吟遊詩人を雇ってファラサ—ルの詩を作れなくなる……。わたしの命、ざっと金貨1000枚くらいの価値があるわ。それを考えたら、金貨5枚は破格か」
「自分を見つめ直す暇があるなら、さっさと財布の紐をゆるめろや」
「それもそうね。はい、金貨5枚」
「最初から素直に払えってんだ」
憎まれ口をたたきながらも、コビットの罠師は金貨を懐に納めると、罠をはずしてくれたのだった。
4:神の樹
〈クワニャウマ、大丈夫?〉
イェシカが、石板にそう書いてくれた。つくづく天使だ。
「心配してくれてありがとうね、イェシカ。まだちょっと痛むけど、食料を食べて元気になって来たから歩けるわ」
そんなこんなで話すうちに、わたしたちは澄んだ水が湧き出ている泉の前に出た。
猟犬たちが、いっせいにうれしそうに舌を出して尻尾を振る。
「少し休憩していこうか」
わたしたちは、泉の周りで休憩を取った。
泉の水はとてもおいしかった! ただでこの高品質、すばらしい!
すると、猟犬たちを泉の周辺で散歩させていたイェシカが、森木に絡まった根元にあった1本の古めかしい槍を拾ってきた。
木製の槍は複雑な文様が隙間無く刻み込まれていた。
〈これ、前にお兄ちゃんが読んでいた本に書いてあった。古代の神槍っていう魔法の両手武器〉
「魔法の武器!? 前からほしかったの! よくぞ見つけてくれたわ! ありがとう、イェシカ!」
わたしは、嬉々としてさっそく古代の神槍を装備した。
ここで問題になったのは、今まで装備していた片手武器の斧だ。捨てるのはもったいないけど、かと言ってこれ以上の武器は持てない。
強欲のわたしとして、ただ捨てるのは罪悪以外の何物でもなかった。
「よし、次にここへ来た冒険家がお得に思えるように、イェシカが槍を見つけてくれた場所に『ご自由にお持ち帰りください』と書いて置いておくか」
ミソサザイが、キレのよい動きで「なんでやねん!」の動きをする。……クリスティ、だいぶミソサザイの体になれてきてはいやしないか?
5:旧き騎士と旧き剣
泉を離れ、遺跡群の散策を再開する。
その中に廃墟があったので、さっそく入ってみた。遺跡の他の場所と異なり、中にある広間は綺麗でよく手入れされているように見える。
わたしは、床に敷かれた赤い絨毯や、壁にかけられた年代物の肖像画、その手前の台座に置かれた完全鎧と長剣を見る。どれも、埃一つついていない。
「もしかして、どなたかお住まいっぽい?」
〈貴族のお部屋みたい〉
イェシカが石板にそう書いて、わたしに見せた直後だった。
ガチャリという金属音と共に、台座からゆっくりと完全鎧を身につけた重装の騎士が広間に降り立った。
そして驚いたことに、長剣はふわりと宙に浮き、わたしたち目がけて飛びかかってきた!
「はぁっ!? 剣がひとりでに飛ぶって、まさかあの剣は〈おどる剣〉!?」
ゴーレムの一種と聞いたことがあるから、そうなるとあの騎士もゴーレム!?
わたしの推測の正しさを確認する暇もなく、騎士の攻撃が始まる。
「ワンッ!!」
猟犬が、わたしに体当たりを食らわせてくれたおかげで、騎士の不意打ちとも言える攻撃を回避できた。
「ありがとう、雷電!」
イェシカが石板に〈その子は月光〉と書いていたから、後で言い直そう。
息つく暇もなく、次は〈おどる剣〉が襲いかかって来た!
「食らえ、古代の神槍!」
わたしは〈おどる剣〉を槍で叩き落とす。初めて両手武器を使ったけど、悪くない使い勝手だ。
「ワンッ!!」
猟犬たちが騎士と戦って追いつめられているのがわかり、わたしはすかさず騎士めがけて古代の神槍を投げつけた。
よし、当たった!
騎士はそのまま動かなくなり、金属音を立てながら膝から崩れ落ちる。
恐る恐る近づき、槍を引き抜いても、騎士は動かない。
全身を探ってお宝の金貨1枚と金貨15枚相当の小さな宝石を見つけても、やはり動かない——倒せたのだ。
猟犬たちを従者にして初めての戦闘は、こうして無事に終わった。
欲を言えば、もうちょいお宝がゲットできたら申し分なかったけど、まだ冒険は始まったばかり。次へ行こう。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
2025年現在、『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を6巻まで刊行中。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行決定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『汝、獣となれ人となれ』
著 水波流
2025年9月7日FT新聞配信
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2025年12月17日水曜日
第1回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4711
第1回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
****
私はニナ・ガーデンハート。
追っ手から逃れるため、森の中に入る。
相手はプロのハンター。怪物狩猟者で弓使い。
スタミナと敵との距離。2つの要素に気を配りながら、状況に対応せよ!
あきらめず、好機をつかむことができるか?
(「ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜」冒頭四コマから文章のみ抜粋)
****
●アタック01-1 逃げるエルフと追うハンター
ザク……ザク……。
歩を進めるたびに、雪を踏みしめる音が響く。
一歩。一歩。
ギュッ。ギュッ。
雪が私の足の形に圧し固められてゆく。
つかず離れずの距離を保ったまま、私のあとを追ってくるひとりの男がいる。
この雪の中では、たとえ距離をとったとしても、簡単に足跡を辿られてしまう。
いまいましい。
追っ手は、プロのハンター、ダムリス。
怪物狩猟者。小さな形跡からもヒントを見つけられる追跡のプロ。
追われる私は、ニナ・ガーデンハート。エルフの女性。
治安の悪さで有名なネグラレーナの、盗賊ギルドの一員。
手先の器用さや俊敏さは私が勝るかもしれない。
しかし、森は怪物狩猟者にとっては庭のようなもの。
しかも、ここは私にとってはアウェイ。地の利も向こうにある。
対抗できるとしたら、狩られる怪物と違い、知恵が回ることか。
これから、知略の限りを尽くして、あの男から逃げ切らねばならない。
ここは、北方の都市サン・サレンからそれほど離れていない森だ。
高地にあるため、雪をかぶった針葉樹林。ここのように雪原になっている場所も多い。
私に追っ手がかけられているのには、理由がある。
私には多くの妹たちがいたが、借金のカタに非合法な組織の手に落ち、女郎屋に売られてしまった。
私もあやうく売られるところだったけれど、どうにか逃げのびることができた。
それで、妹たちを買い戻すために、ネグラレーナで盗賊稼業をして稼いでいた。
そこに、大きく稼げる情報が舞い込んできた。
それは、サン・サレンの付近で新たな迷宮が発見されたというもの。
サン・サレンは私たち姉妹が一時期生活していたこともある地だ。
父もサン・サレンの迷宮で命を落としている。
危険はある。けれど、チャンスは逃したくない。
そこで、私は久しぶりにサン・サレンの地に戻ることにしたのだ。
あれから長い年月が経つ。まさか、組織がまだ私に目をつけているとは、露ほども思わずに。
サン・サレンに戻ったところを組織の追っ手ダムリスに見つかり、私は森へと逃げ込んだ。
そうして、このとおり逃亡を余儀なくされているというわけ。
武器もない。食料もない。味方もいない。
おまけに雪で足場も悪い。相手は追跡のプロ。
この状況で、私は逃げのびなければならないのだ。
●作品紹介とシステム確認
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」のリプレイを書き上げた後に、この作品をプレイしました。
「ゴルジュ」の主人公ミナの姉、ニナ・ガーデンハートが登場する短編だからです。
ガーデンハート姉妹のほかの物語に触れてみたくなったためです。
読み始めて感じたのは、細かい部分での初期設定の違いですね。
私の知るミナの物語では、ニナとミナが奴隷商人の襲撃から逃れ、さらわれた他の姉妹の行方を探す展開が描かれていました。
本作では、ニナの妹たちは全員女郎屋に売られたことになっており、ニナにも追っ手がかけられているという状態です。
長年温め続けていれば、設定が少しずつ変遷していくことは普通にあることです。
また、ニナが主人公のこの短編は「ゴルジュ」よりだいぶ前の作品。ミナだけの特別な物語に言及する必要がないのもうなずけます。
とにかく、細かい違いは気にしないで、この作品はこの作品として楽しみましょう。
全37パラグラフの短編です。
最初から、主人公ニナが「追っ手から逃げる」ことを、作品の主眼に置いています。
全編通して、逃走劇が描かれることでしょう。
本作をプレイするうえで必要なパラメータは、「スタミナ」と「距離」です。
スタミナの初期値は5。距離の初期値は2。どちらも0になると深刻な事態が発生するとのこと。
【ニナ スタミナ:5 距離:2】
スタミナを切らさないよう、距離を詰められないよう気をつけて、逃走を続けなければなりません。
これだけ確認すれば十分です。それでは本編に戻りましょう。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-2 ニナとポルナレフ
ダムリスはあいかわらず距離を詰めるでもなく、一定の間隔をあけてついてくる。
その余裕の態度が気にくわない。
雪が降っていれば足跡は消えるかもしれない。しかしよりスタミナを消耗することになる。
少ない雪で中途半端に消えるくらいなら、降っていない今の方がマシだ。
・もう少し距離を取る
・状況を受け入れる
無策で距離を取ることに、意味はあるのかな。
視認できているのは、こちらの焦りを誘うためだろう。
ここで距離を取るためにスタミナを消耗するのは、相手の思うツボだ。
私はこの状況を受け入れたまま、歩みを進める。
ダムリスは、ほんのわずかずつ距離を詰めている。
私が歩き続け、スタミナを2点消費する頃には、距離が1点縮まっていた。
【ニナ スタミナ:5→3 距離:2→1】
後ろを振り返ると、徐々に大きくなってくるダムリスの姿。しかし焦ってはいけない。
歩いているうちに、木の実がなっているのを見つける。メーラの実だ。
この季節に残っているなんて珍しい。
食べられる。そして私は空腹だ。食料も持っていない。
・まったく食べない
・1個だけ食べる
・3個とも食べる
時間と距離とスタミナ、これらのバランスを考えて答えを出そう。
食べればスタミナは改善する。
木の実を取るのには時間を取られる。距離はあと1だ。
でも、食べないという選択はないだろう。スタミナが尽きればおしまいだ。
私は、1個だけ食べることにした。
時間をかけずに1個をもぎとり、かじる。
そのジューシーさときたら!
極限状態で口の中に入った食物の美味さは果てしない。
体内をかけめぐり、脳に栄養が行き渡るような感覚を味わう。
スタミナが1、回復した。
【ニナ スタミナ:3→4 距離:1】
すかさずもう1個をもいで半分に割ってポケットに詰める。
これは後に食べる分だ。
時間をかけずにできる行動はここまでだ。歩き続けよう。
やがて、事態に変化が訪れた。
雪の中、林の影から顔をのぞかせている生き物が見える。
それはポルルポルルだ。
騎乗生物として使われることも多い、ダチョウっぽい外見の生き物。性質はおとなしめ。
ポルルポルルレースなんていう趣向がある町もあるという。人間と共生関係にあると言っていいだろう。
もし、このポルルポルルを慣らすことができたら、一気に距離を稼げるかもしれない。
そしてラッキーなことに、私は今、夜食用にと思って取っておいた、新鮮なメーラの実を持っているではないか。
これで餌付けできないだろうか。
・ポルルポルルを捕まえてみたい
・先を急ぐ
よし、捕まえよう。
ポルルポルルは警戒心なく私に近づき……こっちが餌付けする間もなく、自分から鼻面をポケットに突っ込んできた!
よっぽど空腹だったみたいだ。
でも、チャンスだ。私はすかさず、ポルルポルルの背に飛び乗った。
ポルルポルルは少しだけ暴れたけれど、すぐにおとなしくなった。
たてがみを引っ張り指示を出すと、走り出した。やった!
名前をつけよう。命名、ポルナレフ。
きっと後ろではダムリスが悔しそうな表情をしていることだろう。
このまま一気に森を走り抜けて……!
期待していたが、ポルナレフがへばるのは、思いのほか早かった。
そうか。かなりの空腹だったんだね。
メーラの実を食べた分の働きはしてくれたと思う。ありがとう。
おかげで距離を2点ほど稼ぐことができたよ。
【ニナ スタミナ:4 距離:1→3】
●アタック01-3 ニナと自然派トラップ
日没だ。
本当に大変なのはここからだ。
追っ手が迫る中では、野営もままならない。
足跡を辿られている今、足を止められない。歩き続けるしかない。
そんなとき、進行方向に、焚火の明かりが見えた。
焚火のゆらめきに人影。誰かがいる。野営しているのだろう。
それは中年の男性だった。護衛を2人ほど連れている。
行商人かな。
・焚火の方に行く
・焚火を避ける
これは悩ましい。
第三者の登場で、追っ手ダムリスが警戒して近寄ってこない可能性はある。
追っ手の脅威からは一旦解放されるだろう。
そうなれば、小休止を取ることも不可能ではないかもしれない。
しかし、ここで野営する商人を信用して良い根拠はどこにもない。
徒手空拳の私には、無防備な状態で身近な悪意にさらされたとき、対抗するすべがない。
そう考えると、これが最適な選択と言い切ることもまた、できない。
私は悩みつつ、焚火を迂回して進むことにしたのだった。
焚火を避けた以上、足を止めることはできない。
私は夜通し歩き続けた。
そのため、スタミナを2点消費し、距離を3点、稼ぐことができた。
【ニナ スタミナ:4→2 距離:3→6】
さすがにダムリスの姿は視認できなくなっている。
しかしそれでも、休むわけにはいかない。
見えないなら見えないで、不安が募る。
私がしたのと同様、騎乗生物か何か別の手段を用いて先回りされているのではないか。
どこかから不意打ちが来るのではないか。
そんな思いにも駆られてしまう。心が弱くなっている。
今歩いているのは、森の端のほうだ。雪はだいぶ、深くなってきた。歩くたびに、膝くらいまで沈んでしまう。
右手は、崖まで10メートルもない。
その崖寄りの雪の中に、何かが落ちているのが見えた。
木の板……? いや、あれはスキー板だ。しかも一対、両足分の。
競技やスポーツとしてのスキーがあるわけではない。
しかし、生活の足としてスキー板を用いる文化は、こうした北方の地には根付いている。
けれど、どうしてこんな場所にスキー板だけ?
その謎は、すぐに解けた。スキー板に、ちぎれた足の残骸が残っていたからだ。
猛獣に襲われたというところだろうか。
ここは高地にある傾斜地だ。
スキー板があれば、移動速度が上がる。それは逃走に有利にはたらく。
・スキー板を拾う
・無視して先を急ぐ
私は、目先の利益にとびついて、スキー板を拾いに行くことにした。
そう。私は完全に忘れていたのだ。このような立地の降雪地にひそむ危険性を。
雪庇という現象がある。
雪が、地面よりもせり出している状態のことだ。
豪雪地帯の建物の屋根で、雪が屋根よりもはみ出している状態というのを見たことがないだろうか。
あれと同じだ。
つまり、崖にほど近い雪地には、地面がない可能性がある。
私の体重すら支えきれないほどに。
今の状況は、まさにそれだった。
スキー板に目がくらんだ私は、雪庇に踏み込み……崩れる雪に巻き込まれた。
そのまま雪と一緒に地面を転がる。
崖とはいえそこまでの断崖ではないのが救いといえば救いだった。
雪のおかげでダメージも少ない。
あちこちに身体をぶつけながら、それでもようやく止まる頃には、スタミナを2、消費していた。
そのかわり、距離は1、稼げた。
【ニナ スタミナ:2→0 距離:6→7】
距離は申し分ないほどに稼げた。
しかし、今の滑落で、体力は完全に限界だった。
崖の上にダムリスの姿が見える。
時間をかけてゆっくりと回り込んでくるダムリスを、私はただ、待つことしかできなかった。
こうして私は、ダムリスの手に落ちた。
ハンターは、その依頼をまっとうしたのだ。
ゲームオーバー。
■登場人物
ニナ・ガーデンハート ガーデンハート姉妹の長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
ダムリス 非合法な組織の追っ手。ニナを狙っている。
ポルナレフ 森でニナが餌付けしたポルルポルル。空腹。
■作品情報
作品名:ハンテッドガーデンハート
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
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追っ手から逃れるため、森の中に入る。
相手はプロのハンター。怪物狩猟者で弓使い。
スタミナと敵との距離。2つの要素に気を配りながら、状況に対応せよ!
あきらめず、好機をつかむことができるか?
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****
●アタック01-1 逃げるエルフと追うハンター
ザク……ザク……。
歩を進めるたびに、雪を踏みしめる音が響く。
一歩。一歩。
ギュッ。ギュッ。
雪が私の足の形に圧し固められてゆく。
つかず離れずの距離を保ったまま、私のあとを追ってくるひとりの男がいる。
この雪の中では、たとえ距離をとったとしても、簡単に足跡を辿られてしまう。
いまいましい。
追っ手は、プロのハンター、ダムリス。
怪物狩猟者。小さな形跡からもヒントを見つけられる追跡のプロ。
追われる私は、ニナ・ガーデンハート。エルフの女性。
治安の悪さで有名なネグラレーナの、盗賊ギルドの一員。
手先の器用さや俊敏さは私が勝るかもしれない。
しかし、森は怪物狩猟者にとっては庭のようなもの。
しかも、ここは私にとってはアウェイ。地の利も向こうにある。
対抗できるとしたら、狩られる怪物と違い、知恵が回ることか。
これから、知略の限りを尽くして、あの男から逃げ切らねばならない。
ここは、北方の都市サン・サレンからそれほど離れていない森だ。
高地にあるため、雪をかぶった針葉樹林。ここのように雪原になっている場所も多い。
私に追っ手がかけられているのには、理由がある。
私には多くの妹たちがいたが、借金のカタに非合法な組織の手に落ち、女郎屋に売られてしまった。
私もあやうく売られるところだったけれど、どうにか逃げのびることができた。
それで、妹たちを買い戻すために、ネグラレーナで盗賊稼業をして稼いでいた。
そこに、大きく稼げる情報が舞い込んできた。
それは、サン・サレンの付近で新たな迷宮が発見されたというもの。
サン・サレンは私たち姉妹が一時期生活していたこともある地だ。
父もサン・サレンの迷宮で命を落としている。
危険はある。けれど、チャンスは逃したくない。
そこで、私は久しぶりにサン・サレンの地に戻ることにしたのだ。
あれから長い年月が経つ。まさか、組織がまだ私に目をつけているとは、露ほども思わずに。
サン・サレンに戻ったところを組織の追っ手ダムリスに見つかり、私は森へと逃げ込んだ。
そうして、このとおり逃亡を余儀なくされているというわけ。
武器もない。食料もない。味方もいない。
おまけに雪で足場も悪い。相手は追跡のプロ。
この状況で、私は逃げのびなければならないのだ。
●作品紹介とシステム確認
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」のリプレイを書き上げた後に、この作品をプレイしました。
「ゴルジュ」の主人公ミナの姉、ニナ・ガーデンハートが登場する短編だからです。
ガーデンハート姉妹のほかの物語に触れてみたくなったためです。
読み始めて感じたのは、細かい部分での初期設定の違いですね。
私の知るミナの物語では、ニナとミナが奴隷商人の襲撃から逃れ、さらわれた他の姉妹の行方を探す展開が描かれていました。
本作では、ニナの妹たちは全員女郎屋に売られたことになっており、ニナにも追っ手がかけられているという状態です。
長年温め続けていれば、設定が少しずつ変遷していくことは普通にあることです。
また、ニナが主人公のこの短編は「ゴルジュ」よりだいぶ前の作品。ミナだけの特別な物語に言及する必要がないのもうなずけます。
とにかく、細かい違いは気にしないで、この作品はこの作品として楽しみましょう。
全37パラグラフの短編です。
最初から、主人公ニナが「追っ手から逃げる」ことを、作品の主眼に置いています。
全編通して、逃走劇が描かれることでしょう。
本作をプレイするうえで必要なパラメータは、「スタミナ」と「距離」です。
スタミナの初期値は5。距離の初期値は2。どちらも0になると深刻な事態が発生するとのこと。
【ニナ スタミナ:5 距離:2】
スタミナを切らさないよう、距離を詰められないよう気をつけて、逃走を続けなければなりません。
これだけ確認すれば十分です。それでは本編に戻りましょう。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-2 ニナとポルナレフ
ダムリスはあいかわらず距離を詰めるでもなく、一定の間隔をあけてついてくる。
その余裕の態度が気にくわない。
雪が降っていれば足跡は消えるかもしれない。しかしよりスタミナを消耗することになる。
少ない雪で中途半端に消えるくらいなら、降っていない今の方がマシだ。
・もう少し距離を取る
・状況を受け入れる
無策で距離を取ることに、意味はあるのかな。
視認できているのは、こちらの焦りを誘うためだろう。
ここで距離を取るためにスタミナを消耗するのは、相手の思うツボだ。
私はこの状況を受け入れたまま、歩みを進める。
ダムリスは、ほんのわずかずつ距離を詰めている。
私が歩き続け、スタミナを2点消費する頃には、距離が1点縮まっていた。
【ニナ スタミナ:5→3 距離:2→1】
後ろを振り返ると、徐々に大きくなってくるダムリスの姿。しかし焦ってはいけない。
歩いているうちに、木の実がなっているのを見つける。メーラの実だ。
この季節に残っているなんて珍しい。
食べられる。そして私は空腹だ。食料も持っていない。
・まったく食べない
・1個だけ食べる
・3個とも食べる
時間と距離とスタミナ、これらのバランスを考えて答えを出そう。
食べればスタミナは改善する。
木の実を取るのには時間を取られる。距離はあと1だ。
でも、食べないという選択はないだろう。スタミナが尽きればおしまいだ。
私は、1個だけ食べることにした。
時間をかけずに1個をもぎとり、かじる。
そのジューシーさときたら!
極限状態で口の中に入った食物の美味さは果てしない。
体内をかけめぐり、脳に栄養が行き渡るような感覚を味わう。
スタミナが1、回復した。
【ニナ スタミナ:3→4 距離:1】
すかさずもう1個をもいで半分に割ってポケットに詰める。
これは後に食べる分だ。
時間をかけずにできる行動はここまでだ。歩き続けよう。
やがて、事態に変化が訪れた。
雪の中、林の影から顔をのぞかせている生き物が見える。
それはポルルポルルだ。
騎乗生物として使われることも多い、ダチョウっぽい外見の生き物。性質はおとなしめ。
ポルルポルルレースなんていう趣向がある町もあるという。人間と共生関係にあると言っていいだろう。
もし、このポルルポルルを慣らすことができたら、一気に距離を稼げるかもしれない。
そしてラッキーなことに、私は今、夜食用にと思って取っておいた、新鮮なメーラの実を持っているではないか。
これで餌付けできないだろうか。
・ポルルポルルを捕まえてみたい
・先を急ぐ
よし、捕まえよう。
ポルルポルルは警戒心なく私に近づき……こっちが餌付けする間もなく、自分から鼻面をポケットに突っ込んできた!
よっぽど空腹だったみたいだ。
でも、チャンスだ。私はすかさず、ポルルポルルの背に飛び乗った。
ポルルポルルは少しだけ暴れたけれど、すぐにおとなしくなった。
たてがみを引っ張り指示を出すと、走り出した。やった!
名前をつけよう。命名、ポルナレフ。
きっと後ろではダムリスが悔しそうな表情をしていることだろう。
このまま一気に森を走り抜けて……!
期待していたが、ポルナレフがへばるのは、思いのほか早かった。
そうか。かなりの空腹だったんだね。
メーラの実を食べた分の働きはしてくれたと思う。ありがとう。
おかげで距離を2点ほど稼ぐことができたよ。
【ニナ スタミナ:4 距離:1→3】
●アタック01-3 ニナと自然派トラップ
日没だ。
本当に大変なのはここからだ。
追っ手が迫る中では、野営もままならない。
足跡を辿られている今、足を止められない。歩き続けるしかない。
そんなとき、進行方向に、焚火の明かりが見えた。
焚火のゆらめきに人影。誰かがいる。野営しているのだろう。
それは中年の男性だった。護衛を2人ほど連れている。
行商人かな。
・焚火の方に行く
・焚火を避ける
これは悩ましい。
第三者の登場で、追っ手ダムリスが警戒して近寄ってこない可能性はある。
追っ手の脅威からは一旦解放されるだろう。
そうなれば、小休止を取ることも不可能ではないかもしれない。
しかし、ここで野営する商人を信用して良い根拠はどこにもない。
徒手空拳の私には、無防備な状態で身近な悪意にさらされたとき、対抗するすべがない。
そう考えると、これが最適な選択と言い切ることもまた、できない。
私は悩みつつ、焚火を迂回して進むことにしたのだった。
焚火を避けた以上、足を止めることはできない。
私は夜通し歩き続けた。
そのため、スタミナを2点消費し、距離を3点、稼ぐことができた。
【ニナ スタミナ:4→2 距離:3→6】
さすがにダムリスの姿は視認できなくなっている。
しかしそれでも、休むわけにはいかない。
見えないなら見えないで、不安が募る。
私がしたのと同様、騎乗生物か何か別の手段を用いて先回りされているのではないか。
どこかから不意打ちが来るのではないか。
そんな思いにも駆られてしまう。心が弱くなっている。
今歩いているのは、森の端のほうだ。雪はだいぶ、深くなってきた。歩くたびに、膝くらいまで沈んでしまう。
右手は、崖まで10メートルもない。
その崖寄りの雪の中に、何かが落ちているのが見えた。
木の板……? いや、あれはスキー板だ。しかも一対、両足分の。
競技やスポーツとしてのスキーがあるわけではない。
しかし、生活の足としてスキー板を用いる文化は、こうした北方の地には根付いている。
けれど、どうしてこんな場所にスキー板だけ?
その謎は、すぐに解けた。スキー板に、ちぎれた足の残骸が残っていたからだ。
猛獣に襲われたというところだろうか。
ここは高地にある傾斜地だ。
スキー板があれば、移動速度が上がる。それは逃走に有利にはたらく。
・スキー板を拾う
・無視して先を急ぐ
私は、目先の利益にとびついて、スキー板を拾いに行くことにした。
そう。私は完全に忘れていたのだ。このような立地の降雪地にひそむ危険性を。
雪庇という現象がある。
雪が、地面よりもせり出している状態のことだ。
豪雪地帯の建物の屋根で、雪が屋根よりもはみ出している状態というのを見たことがないだろうか。
あれと同じだ。
つまり、崖にほど近い雪地には、地面がない可能性がある。
私の体重すら支えきれないほどに。
今の状況は、まさにそれだった。
スキー板に目がくらんだ私は、雪庇に踏み込み……崩れる雪に巻き込まれた。
そのまま雪と一緒に地面を転がる。
崖とはいえそこまでの断崖ではないのが救いといえば救いだった。
雪のおかげでダメージも少ない。
あちこちに身体をぶつけながら、それでもようやく止まる頃には、スタミナを2、消費していた。
そのかわり、距離は1、稼げた。
【ニナ スタミナ:2→0 距離:6→7】
距離は申し分ないほどに稼げた。
しかし、今の滑落で、体力は完全に限界だった。
崖の上にダムリスの姿が見える。
時間をかけてゆっくりと回り込んでくるダムリスを、私はただ、待つことしかできなかった。
こうして私は、ダムリスの手に落ちた。
ハンターは、その依頼をまっとうしたのだ。
ゲームオーバー。
■登場人物
ニナ・ガーデンハート ガーデンハート姉妹の長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
ダムリス 非合法な組織の追っ手。ニナを狙っている。
ポルナレフ 森でニナが餌付けしたポルルポルル。空腹。
■作品情報
作品名:ハンテッドガーデンハート
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
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ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
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2025年12月16日火曜日
ゲームブックにおける死と物語 第2回:『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死 FT新聞 No.4710
みなさん、こんにちは。編集部員のくろやなぎです。本日は、連作記事『ゲームブックにおける死と物語』の第2回をお届けします。
第1回(2025/11/18、No.4682)では、「死」に関連するギミックをもつ作品として、主人公が「輪廻」の中で死を繰り返すゲームブック『護国記』(著:波刀風賢治、2018年、幻想迷宮書店刊)をご紹介しました。
今回は、「時の魔法」の使い手を主人公とするゲームブック『狂える魔女のゴルジュ』(著:杉本=ヨハネ、2023年、FT書房刊)と、前回ご紹介した『護国記』との対比を通じて、ゲームブックにおける死と物語について考えていきたいと思います。
なお、記事の中では、両作品の構造や物語の展開のほか、『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイ(著:ぜろ、2025年、FT新聞掲載)におけるオリジナル要素や、ローグライクハーフd66シナリオ『ベテルギウスの残光』(著:紫隠ねこ、原案・協力:ロア・スペイダー、監修:杉本=ヨハネ、2025年、FT新聞掲載)の内容についても言及していますので、未読の方はご注意ください。
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ゲームブックにおける死と物語
第2回:『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
(くろやなぎ)
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■「時の魔法」による死の回避
『狂える魔女のゴルジュ』(以下、『ゴルジュ』と略記します)の主人公ミナは、作品中の現在においては、アランツァ世界で唯一の「時の魔法使い」です。
物語の最初に置かれた「背景」の章で、ミナは奴隷商人に奪われた姉たちを取り戻すため、からくり都市チャマイの魔法学校から7つの魔法の時計を盗み出し、姉たちの消息を追って「還らずの森」へと足を踏み入れます。魔法の時計の力を使うための前提条件は、闇と時を司る「闇神オスクリード」の信者となることであり、ミナは時計を手にしたときに、白い肌のエルフから、闇神を信仰する闇エルフへとその姿を変えています。
『ゴルジュ』は、「どれほど罪を重ねても、愛を裏切らない」と誓った主人公が、闇神から得た力で魔法の時計を操り、2人の姉を「還らずの森」の吸血鬼から取り戻そうとする物語です。
時の魔法について、『ゴルジュ』の「あとがき」では、大きく分けて「現在に局地的な影響を与えるもの」と「世界に影響を与えるもの」の2種類があるとされています。
「現在に局地的な影響を与える」魔法には、自分自身の速さを2倍にする〈速撃の戦時計〉の魔法や、対象1人の身体の時間を戻し、身体に受けた悪い効果から回復させる〈時もどしの回復時計〉の魔法などがあります。
もう一方の「世界に影響を与える」魔法は、さらに「遡行」型の魔法と「跳躍」型の魔法に分けられます。『ゴルジュ』においては、「遡行」型の魔法として、前のパラグラフに戻ることができる〈枝分かれの未来時計〉の魔法、「跳躍」型の魔法として、過去にジャンプする〈跳兎の懐中時計〉の魔法が用意されています。
これらの魔法の中で、特にゲームブック的な「死」との関連性が強いのは、「遡行」型として位置づけられる〈枝分かれの未来時計〉の魔法です。
『ゴルジュ』のリプレイの中で、闇エルフの隠れ里に入ったミナが、毒の香りのために意識を失いそうになりながら、〈枝分かれの未来時計〉の力で時を遡り、無事に帰還するシーンをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。『ゴルジュ』のゲームブックの中でも、闇エルフの隠れ里は、生きて出られる選択肢のない袋小路になっており、〈枝分かれの未来時計〉の魔法を使うための「準備」をせずに「闇エルフの里に向かう」を選んでしまった場合、その時点でミナの死(ゲームオーバー)が確定してしまいます。
ここでいう「準備」とは、もとのパラグラフが書かれているページを指で押さえるという動作のことで、『ゴルジュ』のルール説明の中では「指セーブ」とも呼ばれています。なお、書籍版でも電子版(PDF版)でも、この「準備」に関する記載は変わりません。そのため、ここでの「指」や「押さえる動作」は、文字通りの物理的なものであっても、それに代わる、読者による何らかの決めごとであっても構わないと考えてよいでしょう。
この〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、「準備」さえすればいつでもどこでも使用できる、というわけではありません。魔法の「準備」をしても、飛んだ先のパラグラフ番号に矢印(電子版では「先が分かれた枝」のイラスト)が添えられていなければ、その準備は空振りに終わります。また、魔法の発動の際には「悪夢袋」に入った「悪夢」をひとつ消費するため、冒険の途中で「悪夢」を使い切ってしまった場合、何らかの手段で悪夢を補充し直さない限り、魔法を使うことはできなくなります。
このように制約も多い〈枝分かれの未来時計〉の魔法ですが、「指セーブ」を使って死の袋小路から脱出し、しかもそこで得た情報を冒険の中で活用できる、というギミックは、ゲームブックの読者にとってはある意味夢のような仕掛けだといえるでしょう(〈枝分かれの未来時計〉による遡行の結果として、遡行の前に手に入れた装備品などは「なかったこと」になりますが、経験したできごとに関する記憶や感情は残るというルールになっています)。
もっとも、ゲームのルールとしてはともかく、物語の設定上は、このような「時の魔法」の行使は「悪」として位置づけられることになります。『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界は、「人が時とともに死ぬことが決まっている」世界です。そこで一種の「不死」をもたらしうる時の魔法は、万人に平等なはずの「時」というものを、選ばれた者だけが恣意的に操作するという所業であり、作者からは自然の摂理に反する「悪夢のようなもの」として位置づけられているのです[『ゴルジュ』の「あとがき」より]。
前回の記事でご紹介した『護国記』における「輪廻」の力も、物語の中で、「後悔を残した者を時間の檻に閉じ込める」という、決して「善いもの」とは言えないような意味を与えられていました。「善いもの」ではないが、しかしそれでも主人公が目的を果たすためには必要な、ある種の「不死」をもたらすギミックとして、『ゴルジュ』における「時の魔法」は、『護国記』における「輪廻」に似た性格をもっているように思います。
この「輪廻」について、前回は主に、読者と主人公との関係性というメタ的な視点から見てみました。以下では、『護国記』の物語の内部における「輪廻」のあり方を改めて整理し、それを『ゴルジュ』の時の魔法のあり方と対比させることによって、これらふたつの物語をめぐる、ある種の対照的な構造を描き出すことを試みます。
■『護国記』の「輪廻」における蘇生と遡行
まず、『護国記』の主人公ライゼが初めて「輪廻」を経験した直後の場面を、少し詳しく見てみましょう。
王城の中の、見慣れた職場である史料編纂室で目を覚ましたライゼは、自分の左手に起きた異変(「残穢石」との同化)を認識するとともに、自分が「死ぬ」直前に、その「残穢石」に触れていたことを思い出します。そこでは、「自分は……死んだ!/死んだはずだった。/そして僕は蘇ったのだ。」というモノローグが展開されます(/は原文では改行)。
そしてライゼは、自分がいる史料編纂室や、そこから見える王城の中庭の様子が、「僕が死んだ日の朝の状態」であることに気付き、そこに「これって……時間が巻き戻ったのか? 生き返っただけではなく?」というモノローグが続きます。
このライゼの言葉どおり、『護国記』における「輪廻」は、「死んで生き返るとともに、時間が巻き戻る」という形、言い換えれば「蘇生」と「遡行」がセットになった形で起こります。また、その後の物語の中では、残穢石が「輪廻」を引き起こすために、「刻の力」(時間を操り、支配する力)の作用が必要だということも明らかにされます。そして、「蘇生」に「遡行」が附随することについて、ライゼがわざわざ驚くことはなくなります。
しかし、ファンタジー世界全般の約束事として、「蘇生」が必ずしも「遡行」を伴うわけではありません。蘇生という事象は、あえて時間を遡ることなく、対象者(死者)がいるその時間・その場所において、ただ「死んでいる状態」が「生きている状態」に変化する、という形で起きても構わないはずです(それが、その世界における「蘇生」のあり方ならば)。
蘇生と遡行のセットとしての「輪廻」は、『護国記』の物語全体を通じて、幾度も幾度も繰り返されます。そのため、『護国記』の読者は、蘇生と遡行が不可分なひとつの事象であるかのような心持ちになることがあるかもしれません。その一方で、はじめて「輪廻」を経験したときの、主人公ライゼの「生き返っただけではなく?」という驚きは、蘇生と遡行を別々の事象として切り分けうるということを、私たちに思い出させてくれます。
『護国記』における主人公の「輪廻」は、この作品のシステムや物語に対して最適化された、ファンタジー世界における「蘇生」や「遡行」のあり方のバリエーションのひとつとして位置づけることができるでしょう。
なお、『護国記』における主人公の「輪廻」では、蘇生が必ず遡行を伴うのと同様に、遡行も蘇生(の前提となる死)を必要とします。
物語の展開によっては、ライゼは不死者の眷属に取り込まれることによって、「輪廻」の及ばない物語の終わり、すなわちゲームオーバー(「あとがき」に続かないEND)を迎えてしまいます。ライゼが残穢石の力で「輪廻」してやり直すためには、その契機としての死が必要なので、不死者となることで死ねなくなったライゼは、もはや「輪廻」をすることができないのです。
このような『護国記』における「輪廻」の構造を踏まえた上で、つぎに『ゴルジュ』における「時の魔法」と死との関係性を整理してみたいと思います。
■『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
『ゴルジュ』における「遡行」の手段である〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、「悪夢」というリソースを必要としますが、「死」という契機を必要としません。むしろ、〈枝分かれの未来時計〉の魔法を含む「時の魔法」全般が、「蘇生」という事象とは、どうも相性が良くないようなのです。
まず、〈時もどしの回復時計〉や〈うたかたの齢時計〉の魔法の効果が及ぶのは、「生きている対象1人」であると明記されています。そのため、〈時もどしの回復時計〉を使っても、対象から「死」という「悪い効果」を取り除くことはできませんし、〈うたかたの齢時計〉を使っても、死者を「生きていたときの年齢の姿」に戻せるわけではありません。また、〈枝分かれの未来時計〉の魔法の効果には、「体力点が0点以下になった場合には、冒険がそこで終わってしまう」と明記されています。
この「体力点」に関するゲームブック内での説明はとても簡素で、「あなたの体力点は4点です。これは体力点の最大値でもあります。これが0点以下になるとゲームオーバーで、あなたは冒険に敗北します」と書かれているだけなので、必ずしも「体力点が0点以下」が「死」を意味すると決めつけることはできません。ただ、これらの記述から、冒険の途中で体力が尽きて死んでしまった主人公には〈枝分かれの未来時計〉の魔法の効果は及ばない、と解釈するのは、さほど不自然ではないように思います。
たしかに、〈枝分かれの未来時計〉が使用可能な(矢印や枝のイラストが添えられている)パラグラフには、飛び先のない、ゲームオーバーになるパラグラフがいくつか含まれています。では、これらのパラグラフでは、死からの蘇生を伴う遡行も可能なのかというと、どうもそうとは限らないようです。
あるパラグラフは、最後が「その先に訪れる死」を暗示する記述で終わっており、確かにゲームとしては「ゲームオーバー」なのですが、その時点では、ミナはまだ完全には死んでいません。そのようなパラグラフからの遡行は、「ゲームオーバー」のキャンセルではあっても、完全な「死」からの蘇生とは言えないでしょう。
また、ある別のパラグラフは、たしかにミナが「息を引き取る」記述で終わっています。そのパラグラフの最初の方には、ミナが魔法の時計の使用に失敗する描写があるのですが、そこには「あらかじめ準備していた魔法以外は、役に立たないのだ」と書かれています。これはつまり、その前のパラグラフで〈枝分かれの未来時計〉の「準備」をしていたミナであれば、そのタイミングで、その後の記述を無視して魔法を発動させ、死の場面を回避して前のパラグラフへ遡行できるということを意味しています。
つまり〈枝分かれの未来時計〉は、死なない程度の(体力点が1点以上残る状態での)ダメージは「なかったこと」にできますし、「この先はどうやっても死んでしまう」という絶体絶命の状況からも生還させてくれるのですが、完全に「死んでしまった」人間を蘇生したり遡行させることは、できないように見えるのです。
また、物語の展開によっては、〈枝分かれの未来時計〉は、隠された8番目の魔法の時計とも言うべき〈沙羅双樹の予知時計〉へと変化します。
その魔法の効果は、「指でセーブした箇所から、次にあるすべての選択肢の内容を確認して、戻ってくることができる」という非常に強力なもので、しかも〈枝分かれの未来時計〉にはなかった、「その番号で君が死んでいても戻ってくることができる」という注釈が追加されています。
ただし、〈沙羅双樹の予知時計〉の能力は、その名称が示すとおり「予知」に他なりません。「次のパラグラフを見て、元のパラグラフに戻り、別のパラグラフを選び直す」という読者の行為だけを見れば、それは〈枝分かれの未来時計〉とよく似ていますが、〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、実際に起きたできごとの枝分かれの中を遡行することによって、「世界に影響を与える」魔法です。これに対して、〈沙羅双樹の予知時計〉は、あくまで「次に起こる(まだ起こっていない)未来」を予知するものなので、予知した未来の中でミナが死んでいても、ミナが「実際に死んだ」ことを意味するわけではありません。
〈沙羅双樹の予知時計〉の魔法は、いわば「世界に影響を与えない」遡行型という、いささか特殊な時の魔法なのだと言えるかもしれません。
このように、「予知」の場合に限って「死」の例外性が解除されるというルールは、「現前する死」には対処できないという、『ゴルジュ』における時の魔法の原則を補強するもののように思われます。
なお、「不死者」に対しては、通常の生者のときと同様に、時の魔法は効果を及ぼすようです。
吸血鬼を含む不死者は、アランツァ世界では「死んだはずの生きものの時を止めて、ずっとそこにある」存在とされています[『ゴルジュ』の「あとがき」より]。それでも、〈時もどしの回復時計〉の魔法は、吸血鬼となったエナ(ミナの姉たちのひとり)を、「忌まわしき不死者から、1人のエルフに」戻すことに成功します。また、〈うたかたの齢時計〉の魔法は、森の中で襲ってきた吸血獣を、「吸血化する前の状態」であるコウモリに戻すことができます。
『護国記』における「輪廻」は、「刻の力」によって遡行を引き起こしますが、その発動には死を必要とし、対象の不死化によって無効化されます。
一方、『ゴルジュ』における「時の魔法」は、不死者には効果を発揮しますが、死者に対しては、直接的には有効ではないようです。
ただし、時の魔法は、間接的には「死」に影響を及ぼすことも可能です。すなわち、現在の死者について、〈跳兎の懐中時計〉で過去へ跳躍し、その死の原因を取り除くような行動を取った場合、その人物の死は「なかったこと」になります。そのようにして、主人公ミナは、姉のひとりであるティナを取り戻し、吸血鬼の館に住む少年ビバイアの命を救うことができます(『ゴルジュ』のリプレイでは、これらの場面が、そばにいる仲間の反応を含めて鮮明に描かれています)。
時の魔法は、「遡行」によって袋小路から抜け出ることで、その先で起きたはずの死を回避し、「跳躍」によって過去を変えることで、ある者が「死んでいた」現在を「生きている」現在に変えます。
それでも、これらのできごとは、死者の「蘇生」と同じではありません。時の魔法は、『ゴルジュ』というゲームブックの枠組みの中では、やはり現前する「死」そのものを直接的に覆すことはできないように見えるのです。
■『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイにおける「神の戯れ」
このように『ゴルジュ』の時の魔法の性質を整理したとき、『ゴルジュ』のリプレイで加えられたオリジナルの要素は、洞察を深めるひとつの契機となるように思います。
リプレイの中で、ミナは吸血鬼の館の地下室で殺され、渓谷の濁流に呑まれて死に、そのたびに「神の戯れ」による蘇生と遡行を経験します。
ミナをまるで「輪廻」のように蘇生させ、遡行させたのは、闇神オスクリード。ミナは、死の闇の中で、「稀有なる力の使い手よ。いましばし、我を楽しませよ」というオスクリードの声を聞きます。そしてミナは、闇神が「世界で唯一の時の魔法の使い手」であるミナを観察し、ミナが死ぬたびに時間を巻き戻しているのだと理解します。
それは明らかに、ミナに使用可能な「時の魔法」の制約を超越したできごとですが、ミナはそれを「神にしかできないみわざ」「闇の神の戯れ」として受け止めます。
この「神の戯れ」は、「プレイヤーが再アタックすること」を表現したものだとされています[リプレイの「番外編」より]。すなわち、リプレイの創作過程におけるメタ的な状況を、物語の内部に落とし込んだものだと言い換えてもよいでしょう。そしてまた、ゲームブックやリプレイという形式においては、そもそも「物語そのものの要素」とメタ的な仕掛けとの境界線が、常にどこか曖昧になりがちなようにも思います。
『護国記』の「輪廻」や、『ゴルジュ』における遡行の魔法は、ゲームブックの読者(プレイヤー)の「やり直し」や「指セーブ」という行為を想起させるメタ的な仕掛けであると同時に、物語の要素としても確固たる居場所と意味をもって存在しています。
同じように、この「神の戯れ」も、プレイヤーの「やり直し」の再現というメタ的な由来をもつ一方で、リプレイの物語の内部においても、主人公ミナの感情を激しく揺さぶる効果をもちます。それは、ミナを追い詰め、辺縁の村での悲痛な叫びを引き出すことで、ボラミーの態度を変え、リプレイの物語を大きく動かすことになるのです。
ゲームブックの物語が、このようにリプレイという形で創造的に再演されるとき、そこではまた、元となるゲームブックの物語に対しても、新たな解釈の可能性が開かれるように思います。
リプレイにおける闇神オスクリードの戯れが、もし「遡行」と「蘇生」が密接に関連する『護国記』の世界のできごとであれば、それは自然な成り行きとして、物語の中に溶けていくでしょう。
一方、『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界のできごととして見るとき、この「蘇生」を伴う「戯れ」は、ある違和感を伴って、『ゴルジュ』のゲームブックにひとことだけ記された設定を思い起こさせます。
『ゴルジュ』の本編が始まる前の「背景」には、からくり都市チャマイの描写として、以下のような記述があります。
「15柱の神には、それぞれ特性がある。その1柱、闇神オスクリードが、街に影を落としていた。闇をもたらす時の神。死の神ベルドゥーの兄弟であり、闇と時を司る。」
アランツァ世界において、「時」を司るのはオスクリードですが、「死」の神はオスクリードではなく、その「兄弟」とされるベルドゥーなのです。
『護国記』における「刻の力」の根源は「竜」(翼竜)であり、竜は「記憶を留めたまま復活」し、「永遠の刻を生き続ける」存在だとされています。時間の支配者たる「竜」と対置される存在は、空間の支配者としての「龍」(魔龍)であり、それらと別に「死」そのものを単独で司るような超越的存在が、物語の前面に出てくることはありません。
『護国記』の「輪廻」においては、死からの蘇生と時間の遡行が一体化して起こります。これは、『護国記』の物語が、超越的存在の支配する領分を「時間/空間」という形で切り分けた上で、「死」を司る力をそれらの領分に内包させるような構造になっていることとも、深く関係しているように思われます。
これに対して、『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界には、時を司る神とは別に、死の神が存在します。そのため、時の魔法による蘇生を可能にすることは、時の魔法の力の根源たる闇神オスクリードの領分からはみ出て、死の神の領分にまで大きく足を踏み入れることを意味します。
『ゴルジュ』における「時の魔法」が、「死」への直接的干渉を避けるような仕様になっていることは、アランツァ世界における神々の領分のあり方とも関係していると、そのように解釈してみるのも面白いでしょう。
『ゴルジュ』の「背景」の描写において、ミナが魔法の時計を手に取ったとき、闇神オスクリードとおぼしき「何者かの声」がミナの心の中に響きます。その声はミナに、時計の力を使いこなしたいなら、オスクリードの信者になるのだと伝え、ミナはそれに応じて闇エルフへと変貌を遂げます。そして物語の本編が始まった後は、闇神が自らの声や姿や、自我のようなものを示す機会はなく、ゲームブックの読者やミナからは、その内面を窺い知ることはできません。
しかし、リプレイの中で、時の魔法とその使い手に対する闇神の「興味」が明確に描写されるとき、そこには同時に、つぎのような問いが立ち上がってくるように思います。
時を司る神が時の魔法に興味を示すのであれば、時の魔法が行使された結果として、間接的にではあっても「死」が覆されていくことに対して、死の神はいったい何を思うのでしょうか。そして死の神は、自らの兄弟たる闇神の「戯れ」が、時の魔法の使い手を「蘇生」させ、自らの領分により深く踏み込んでくることを、どこまで許容するのでしょうか。あるいは、死の神もまた、闇神の「戯れ」に加担することがありうるのでしょうか。
時の神と死の神が「兄弟」であるという設定は、『ゴルジュ』の物語にとって、とりわけ意義深いもののように感じます。
『ゴルジュ』の物語の駆動力となっているのは、離れ離れになったきょうだいに対する愛や執着です。主人公ミナは、奪われた姉たちを取り戻すために時の魔法使いとなり、剣士ボラミーは、置き去りにした弟ビバイアを救うための薬を探し求めます。エルフや人間のきょうだいは、このように物語の中で互いを愛し、救おうとしますが、それでは「神」の兄弟についてはどうでしょうか。
『ゴルジュ』の中では、死の神ベルドゥーは名前が登場するのみですが、同じくアランツァ世界を舞台とするローグライクハーフのシナリオ『ベテルギウスの残光』の中では、ベルドゥーを信仰する教団の姿が描かれました。そこでは、ベルドゥー教団は「死」を神聖なものとして扱うため、「死」を捻じ曲げて不死者(アンデッド)を使役するオスクリード教団とは、「宿敵」といってよい関係にあるとされています。
とはいえ、このような信者たちの教義や教団同士の対立は、必ずしも、信仰される神そのものの関係性と同じであるとは限りません。また、『ゴルジュ』における時の魔法は、たしかに死者の運命を変えた一方で、直接的な「蘇生」や「不死化」を行ったわけではなく、逆に不死者を死すべき存在へと「戻す」こともしています。そのため、ミナや時の魔法の存在が、死の神に対してただちに敵対的・冒涜的かというと、そうとも言い切れないようには思います。
それでも、時の魔法と死の神とのあいだには、控えめに言って対立の芽が潜んでいることは確かであり、オスクリードとベルドゥーという「兄弟」のあいだにも、一触即発の緊張関係を見て取ることもできるでしょう(あくまで、人の立場からの比喩的な見立てではありますが)。
『ゴルジュ』のゲームブックの中では、魔法の力の向こう側に垣間見るような遠い存在だった闇神オスクリードを、『ゴルジュ』のリプレイは、「神の戯れ」というメタ的な仕掛けを介して、物語の表舞台の側に引き寄せます(自らの思惑をもつ主体としても、主人公や読者からの洞察の対象としても)。そのとき、物語の奥底に潜んでいた死の神もまた、闇神との設定上のつながりの強さゆえに、物語の中での居場所や意味を与えられることになるのかもしれません。
ミナ/エナ・ティナ、ボラミー/ビバイアという2組のきょうだいが、時の流れの中で生と死の狭間を行き来するとき、もう1組の「兄弟」が、その様子をじっと窺っている(反目しあいながら、あるいは共に戯れながら?)…『ゴルジュ』のリプレイからは、『ゴルジュ』のゲームブックにも内在するひとつの可能性として、このような構図が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
なお、『護国記』においては、『ゴルジュ』とは反対に、きょうだいという関係性が物語の前面に出てくることはほとんどありません。『護国記』の物語の中心に据えられているのは、生まれや育ちに由来する兄弟姉妹の愛ではなく、生まれも育ちも異なる主人公ライゼと王女ヴィルファンとのあいだの、異性愛的な関係性なのです。
これもまた、「時」と「死」をめぐる2つの物語のあいだの、興味深い対照構造のひとつだと言えるでしょう。
■おわりに
「輪廻」と「時の魔法」は、ゲームブック作品としての『護国記』と『ゴルジュ』において、どちらもゲーム上のギミックとして機能すると同時に、物語上の重要な役割を担っています。
「輪廻」においては「蘇生」と「遡行」が同時に起こる一方で、「時の魔法」における「遡行」や「跳躍」は、「死」を直接的な対象とすることはなく、それでも間接的な形で「死」を覆します。このような構造的差異は、ゲームとしての両作品の性格の違いを反映するとともに、神や竜といった超越的存在に関する設定をはじめとする、両作品の物語的な特徴にも由来しているように思われます。
もちろん、今回の記事で述べたことは、多くの可能な解釈のうちのひとつでしかありません。
私はこの記事で、「蘇生」と「遡行」の概念の切り分けに着目した解釈を展開しましたが、『ゴルジュ』のリプレイにおいて、闇神の戯れの中に蘇生と遡行が混在していることもまた、リプレイとして再演された物語の中では重要な意味と説得力をもっています。
そこで示唆されているのは、蘇生と遡行、時と死との本質的な(まるで「きょうだい」のような)関わりの深さであり、『護国記』と『ゴルジュ』は、こうした時と死との連関のあり方を、それぞれの世界観のもとで表現した作品同士なのかもしれません。
【書誌情報】
杉本=ヨハネ『狂える魔女のゴルジュ』(FT書房刊、2023年)
波刀風賢治『護国記』(幻想迷宮書店刊、2018年)[2023年9月更新版]
ぜろ『【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ』(全17回、FT新聞掲載、2025/08/20〜12/10)
ぜろ『番外編【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足』(FT新聞掲載、2025/12/12)
紫隠ねこ『ベテルギウスの残光』(原案・協力:ロア・スペイダー、監修:杉本=ヨハネ、FT新聞掲載、2025/12/07)
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第1回(2025/11/18、No.4682)では、「死」に関連するギミックをもつ作品として、主人公が「輪廻」の中で死を繰り返すゲームブック『護国記』(著:波刀風賢治、2018年、幻想迷宮書店刊)をご紹介しました。
今回は、「時の魔法」の使い手を主人公とするゲームブック『狂える魔女のゴルジュ』(著:杉本=ヨハネ、2023年、FT書房刊)と、前回ご紹介した『護国記』との対比を通じて、ゲームブックにおける死と物語について考えていきたいと思います。
なお、記事の中では、両作品の構造や物語の展開のほか、『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイ(著:ぜろ、2025年、FT新聞掲載)におけるオリジナル要素や、ローグライクハーフd66シナリオ『ベテルギウスの残光』(著:紫隠ねこ、原案・協力:ロア・スペイダー、監修:杉本=ヨハネ、2025年、FT新聞掲載)の内容についても言及していますので、未読の方はご注意ください。
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ゲームブックにおける死と物語
第2回:『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
(くろやなぎ)
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■「時の魔法」による死の回避
『狂える魔女のゴルジュ』(以下、『ゴルジュ』と略記します)の主人公ミナは、作品中の現在においては、アランツァ世界で唯一の「時の魔法使い」です。
物語の最初に置かれた「背景」の章で、ミナは奴隷商人に奪われた姉たちを取り戻すため、からくり都市チャマイの魔法学校から7つの魔法の時計を盗み出し、姉たちの消息を追って「還らずの森」へと足を踏み入れます。魔法の時計の力を使うための前提条件は、闇と時を司る「闇神オスクリード」の信者となることであり、ミナは時計を手にしたときに、白い肌のエルフから、闇神を信仰する闇エルフへとその姿を変えています。
『ゴルジュ』は、「どれほど罪を重ねても、愛を裏切らない」と誓った主人公が、闇神から得た力で魔法の時計を操り、2人の姉を「還らずの森」の吸血鬼から取り戻そうとする物語です。
時の魔法について、『ゴルジュ』の「あとがき」では、大きく分けて「現在に局地的な影響を与えるもの」と「世界に影響を与えるもの」の2種類があるとされています。
「現在に局地的な影響を与える」魔法には、自分自身の速さを2倍にする〈速撃の戦時計〉の魔法や、対象1人の身体の時間を戻し、身体に受けた悪い効果から回復させる〈時もどしの回復時計〉の魔法などがあります。
もう一方の「世界に影響を与える」魔法は、さらに「遡行」型の魔法と「跳躍」型の魔法に分けられます。『ゴルジュ』においては、「遡行」型の魔法として、前のパラグラフに戻ることができる〈枝分かれの未来時計〉の魔法、「跳躍」型の魔法として、過去にジャンプする〈跳兎の懐中時計〉の魔法が用意されています。
これらの魔法の中で、特にゲームブック的な「死」との関連性が強いのは、「遡行」型として位置づけられる〈枝分かれの未来時計〉の魔法です。
『ゴルジュ』のリプレイの中で、闇エルフの隠れ里に入ったミナが、毒の香りのために意識を失いそうになりながら、〈枝分かれの未来時計〉の力で時を遡り、無事に帰還するシーンをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。『ゴルジュ』のゲームブックの中でも、闇エルフの隠れ里は、生きて出られる選択肢のない袋小路になっており、〈枝分かれの未来時計〉の魔法を使うための「準備」をせずに「闇エルフの里に向かう」を選んでしまった場合、その時点でミナの死(ゲームオーバー)が確定してしまいます。
ここでいう「準備」とは、もとのパラグラフが書かれているページを指で押さえるという動作のことで、『ゴルジュ』のルール説明の中では「指セーブ」とも呼ばれています。なお、書籍版でも電子版(PDF版)でも、この「準備」に関する記載は変わりません。そのため、ここでの「指」や「押さえる動作」は、文字通りの物理的なものであっても、それに代わる、読者による何らかの決めごとであっても構わないと考えてよいでしょう。
この〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、「準備」さえすればいつでもどこでも使用できる、というわけではありません。魔法の「準備」をしても、飛んだ先のパラグラフ番号に矢印(電子版では「先が分かれた枝」のイラスト)が添えられていなければ、その準備は空振りに終わります。また、魔法の発動の際には「悪夢袋」に入った「悪夢」をひとつ消費するため、冒険の途中で「悪夢」を使い切ってしまった場合、何らかの手段で悪夢を補充し直さない限り、魔法を使うことはできなくなります。
このように制約も多い〈枝分かれの未来時計〉の魔法ですが、「指セーブ」を使って死の袋小路から脱出し、しかもそこで得た情報を冒険の中で活用できる、というギミックは、ゲームブックの読者にとってはある意味夢のような仕掛けだといえるでしょう(〈枝分かれの未来時計〉による遡行の結果として、遡行の前に手に入れた装備品などは「なかったこと」になりますが、経験したできごとに関する記憶や感情は残るというルールになっています)。
もっとも、ゲームのルールとしてはともかく、物語の設定上は、このような「時の魔法」の行使は「悪」として位置づけられることになります。『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界は、「人が時とともに死ぬことが決まっている」世界です。そこで一種の「不死」をもたらしうる時の魔法は、万人に平等なはずの「時」というものを、選ばれた者だけが恣意的に操作するという所業であり、作者からは自然の摂理に反する「悪夢のようなもの」として位置づけられているのです[『ゴルジュ』の「あとがき」より]。
前回の記事でご紹介した『護国記』における「輪廻」の力も、物語の中で、「後悔を残した者を時間の檻に閉じ込める」という、決して「善いもの」とは言えないような意味を与えられていました。「善いもの」ではないが、しかしそれでも主人公が目的を果たすためには必要な、ある種の「不死」をもたらすギミックとして、『ゴルジュ』における「時の魔法」は、『護国記』における「輪廻」に似た性格をもっているように思います。
この「輪廻」について、前回は主に、読者と主人公との関係性というメタ的な視点から見てみました。以下では、『護国記』の物語の内部における「輪廻」のあり方を改めて整理し、それを『ゴルジュ』の時の魔法のあり方と対比させることによって、これらふたつの物語をめぐる、ある種の対照的な構造を描き出すことを試みます。
■『護国記』の「輪廻」における蘇生と遡行
まず、『護国記』の主人公ライゼが初めて「輪廻」を経験した直後の場面を、少し詳しく見てみましょう。
王城の中の、見慣れた職場である史料編纂室で目を覚ましたライゼは、自分の左手に起きた異変(「残穢石」との同化)を認識するとともに、自分が「死ぬ」直前に、その「残穢石」に触れていたことを思い出します。そこでは、「自分は……死んだ!/死んだはずだった。/そして僕は蘇ったのだ。」というモノローグが展開されます(/は原文では改行)。
そしてライゼは、自分がいる史料編纂室や、そこから見える王城の中庭の様子が、「僕が死んだ日の朝の状態」であることに気付き、そこに「これって……時間が巻き戻ったのか? 生き返っただけではなく?」というモノローグが続きます。
このライゼの言葉どおり、『護国記』における「輪廻」は、「死んで生き返るとともに、時間が巻き戻る」という形、言い換えれば「蘇生」と「遡行」がセットになった形で起こります。また、その後の物語の中では、残穢石が「輪廻」を引き起こすために、「刻の力」(時間を操り、支配する力)の作用が必要だということも明らかにされます。そして、「蘇生」に「遡行」が附随することについて、ライゼがわざわざ驚くことはなくなります。
しかし、ファンタジー世界全般の約束事として、「蘇生」が必ずしも「遡行」を伴うわけではありません。蘇生という事象は、あえて時間を遡ることなく、対象者(死者)がいるその時間・その場所において、ただ「死んでいる状態」が「生きている状態」に変化する、という形で起きても構わないはずです(それが、その世界における「蘇生」のあり方ならば)。
蘇生と遡行のセットとしての「輪廻」は、『護国記』の物語全体を通じて、幾度も幾度も繰り返されます。そのため、『護国記』の読者は、蘇生と遡行が不可分なひとつの事象であるかのような心持ちになることがあるかもしれません。その一方で、はじめて「輪廻」を経験したときの、主人公ライゼの「生き返っただけではなく?」という驚きは、蘇生と遡行を別々の事象として切り分けうるということを、私たちに思い出させてくれます。
『護国記』における主人公の「輪廻」は、この作品のシステムや物語に対して最適化された、ファンタジー世界における「蘇生」や「遡行」のあり方のバリエーションのひとつとして位置づけることができるでしょう。
なお、『護国記』における主人公の「輪廻」では、蘇生が必ず遡行を伴うのと同様に、遡行も蘇生(の前提となる死)を必要とします。
物語の展開によっては、ライゼは不死者の眷属に取り込まれることによって、「輪廻」の及ばない物語の終わり、すなわちゲームオーバー(「あとがき」に続かないEND)を迎えてしまいます。ライゼが残穢石の力で「輪廻」してやり直すためには、その契機としての死が必要なので、不死者となることで死ねなくなったライゼは、もはや「輪廻」をすることができないのです。
このような『護国記』における「輪廻」の構造を踏まえた上で、つぎに『ゴルジュ』における「時の魔法」と死との関係性を整理してみたいと思います。
■『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
『ゴルジュ』における「遡行」の手段である〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、「悪夢」というリソースを必要としますが、「死」という契機を必要としません。むしろ、〈枝分かれの未来時計〉の魔法を含む「時の魔法」全般が、「蘇生」という事象とは、どうも相性が良くないようなのです。
まず、〈時もどしの回復時計〉や〈うたかたの齢時計〉の魔法の効果が及ぶのは、「生きている対象1人」であると明記されています。そのため、〈時もどしの回復時計〉を使っても、対象から「死」という「悪い効果」を取り除くことはできませんし、〈うたかたの齢時計〉を使っても、死者を「生きていたときの年齢の姿」に戻せるわけではありません。また、〈枝分かれの未来時計〉の魔法の効果には、「体力点が0点以下になった場合には、冒険がそこで終わってしまう」と明記されています。
この「体力点」に関するゲームブック内での説明はとても簡素で、「あなたの体力点は4点です。これは体力点の最大値でもあります。これが0点以下になるとゲームオーバーで、あなたは冒険に敗北します」と書かれているだけなので、必ずしも「体力点が0点以下」が「死」を意味すると決めつけることはできません。ただ、これらの記述から、冒険の途中で体力が尽きて死んでしまった主人公には〈枝分かれの未来時計〉の魔法の効果は及ばない、と解釈するのは、さほど不自然ではないように思います。
たしかに、〈枝分かれの未来時計〉が使用可能な(矢印や枝のイラストが添えられている)パラグラフには、飛び先のない、ゲームオーバーになるパラグラフがいくつか含まれています。では、これらのパラグラフでは、死からの蘇生を伴う遡行も可能なのかというと、どうもそうとは限らないようです。
あるパラグラフは、最後が「その先に訪れる死」を暗示する記述で終わっており、確かにゲームとしては「ゲームオーバー」なのですが、その時点では、ミナはまだ完全には死んでいません。そのようなパラグラフからの遡行は、「ゲームオーバー」のキャンセルではあっても、完全な「死」からの蘇生とは言えないでしょう。
また、ある別のパラグラフは、たしかにミナが「息を引き取る」記述で終わっています。そのパラグラフの最初の方には、ミナが魔法の時計の使用に失敗する描写があるのですが、そこには「あらかじめ準備していた魔法以外は、役に立たないのだ」と書かれています。これはつまり、その前のパラグラフで〈枝分かれの未来時計〉の「準備」をしていたミナであれば、そのタイミングで、その後の記述を無視して魔法を発動させ、死の場面を回避して前のパラグラフへ遡行できるということを意味しています。
つまり〈枝分かれの未来時計〉は、死なない程度の(体力点が1点以上残る状態での)ダメージは「なかったこと」にできますし、「この先はどうやっても死んでしまう」という絶体絶命の状況からも生還させてくれるのですが、完全に「死んでしまった」人間を蘇生したり遡行させることは、できないように見えるのです。
また、物語の展開によっては、〈枝分かれの未来時計〉は、隠された8番目の魔法の時計とも言うべき〈沙羅双樹の予知時計〉へと変化します。
その魔法の効果は、「指でセーブした箇所から、次にあるすべての選択肢の内容を確認して、戻ってくることができる」という非常に強力なもので、しかも〈枝分かれの未来時計〉にはなかった、「その番号で君が死んでいても戻ってくることができる」という注釈が追加されています。
ただし、〈沙羅双樹の予知時計〉の能力は、その名称が示すとおり「予知」に他なりません。「次のパラグラフを見て、元のパラグラフに戻り、別のパラグラフを選び直す」という読者の行為だけを見れば、それは〈枝分かれの未来時計〉とよく似ていますが、〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、実際に起きたできごとの枝分かれの中を遡行することによって、「世界に影響を与える」魔法です。これに対して、〈沙羅双樹の予知時計〉は、あくまで「次に起こる(まだ起こっていない)未来」を予知するものなので、予知した未来の中でミナが死んでいても、ミナが「実際に死んだ」ことを意味するわけではありません。
〈沙羅双樹の予知時計〉の魔法は、いわば「世界に影響を与えない」遡行型という、いささか特殊な時の魔法なのだと言えるかもしれません。
このように、「予知」の場合に限って「死」の例外性が解除されるというルールは、「現前する死」には対処できないという、『ゴルジュ』における時の魔法の原則を補強するもののように思われます。
なお、「不死者」に対しては、通常の生者のときと同様に、時の魔法は効果を及ぼすようです。
吸血鬼を含む不死者は、アランツァ世界では「死んだはずの生きものの時を止めて、ずっとそこにある」存在とされています[『ゴルジュ』の「あとがき」より]。それでも、〈時もどしの回復時計〉の魔法は、吸血鬼となったエナ(ミナの姉たちのひとり)を、「忌まわしき不死者から、1人のエルフに」戻すことに成功します。また、〈うたかたの齢時計〉の魔法は、森の中で襲ってきた吸血獣を、「吸血化する前の状態」であるコウモリに戻すことができます。
『護国記』における「輪廻」は、「刻の力」によって遡行を引き起こしますが、その発動には死を必要とし、対象の不死化によって無効化されます。
一方、『ゴルジュ』における「時の魔法」は、不死者には効果を発揮しますが、死者に対しては、直接的には有効ではないようです。
ただし、時の魔法は、間接的には「死」に影響を及ぼすことも可能です。すなわち、現在の死者について、〈跳兎の懐中時計〉で過去へ跳躍し、その死の原因を取り除くような行動を取った場合、その人物の死は「なかったこと」になります。そのようにして、主人公ミナは、姉のひとりであるティナを取り戻し、吸血鬼の館に住む少年ビバイアの命を救うことができます(『ゴルジュ』のリプレイでは、これらの場面が、そばにいる仲間の反応を含めて鮮明に描かれています)。
時の魔法は、「遡行」によって袋小路から抜け出ることで、その先で起きたはずの死を回避し、「跳躍」によって過去を変えることで、ある者が「死んでいた」現在を「生きている」現在に変えます。
それでも、これらのできごとは、死者の「蘇生」と同じではありません。時の魔法は、『ゴルジュ』というゲームブックの枠組みの中では、やはり現前する「死」そのものを直接的に覆すことはできないように見えるのです。
■『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイにおける「神の戯れ」
このように『ゴルジュ』の時の魔法の性質を整理したとき、『ゴルジュ』のリプレイで加えられたオリジナルの要素は、洞察を深めるひとつの契機となるように思います。
リプレイの中で、ミナは吸血鬼の館の地下室で殺され、渓谷の濁流に呑まれて死に、そのたびに「神の戯れ」による蘇生と遡行を経験します。
ミナをまるで「輪廻」のように蘇生させ、遡行させたのは、闇神オスクリード。ミナは、死の闇の中で、「稀有なる力の使い手よ。いましばし、我を楽しませよ」というオスクリードの声を聞きます。そしてミナは、闇神が「世界で唯一の時の魔法の使い手」であるミナを観察し、ミナが死ぬたびに時間を巻き戻しているのだと理解します。
それは明らかに、ミナに使用可能な「時の魔法」の制約を超越したできごとですが、ミナはそれを「神にしかできないみわざ」「闇の神の戯れ」として受け止めます。
この「神の戯れ」は、「プレイヤーが再アタックすること」を表現したものだとされています[リプレイの「番外編」より]。すなわち、リプレイの創作過程におけるメタ的な状況を、物語の内部に落とし込んだものだと言い換えてもよいでしょう。そしてまた、ゲームブックやリプレイという形式においては、そもそも「物語そのものの要素」とメタ的な仕掛けとの境界線が、常にどこか曖昧になりがちなようにも思います。
『護国記』の「輪廻」や、『ゴルジュ』における遡行の魔法は、ゲームブックの読者(プレイヤー)の「やり直し」や「指セーブ」という行為を想起させるメタ的な仕掛けであると同時に、物語の要素としても確固たる居場所と意味をもって存在しています。
同じように、この「神の戯れ」も、プレイヤーの「やり直し」の再現というメタ的な由来をもつ一方で、リプレイの物語の内部においても、主人公ミナの感情を激しく揺さぶる効果をもちます。それは、ミナを追い詰め、辺縁の村での悲痛な叫びを引き出すことで、ボラミーの態度を変え、リプレイの物語を大きく動かすことになるのです。
ゲームブックの物語が、このようにリプレイという形で創造的に再演されるとき、そこではまた、元となるゲームブックの物語に対しても、新たな解釈の可能性が開かれるように思います。
リプレイにおける闇神オスクリードの戯れが、もし「遡行」と「蘇生」が密接に関連する『護国記』の世界のできごとであれば、それは自然な成り行きとして、物語の中に溶けていくでしょう。
一方、『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界のできごととして見るとき、この「蘇生」を伴う「戯れ」は、ある違和感を伴って、『ゴルジュ』のゲームブックにひとことだけ記された設定を思い起こさせます。
『ゴルジュ』の本編が始まる前の「背景」には、からくり都市チャマイの描写として、以下のような記述があります。
「15柱の神には、それぞれ特性がある。その1柱、闇神オスクリードが、街に影を落としていた。闇をもたらす時の神。死の神ベルドゥーの兄弟であり、闇と時を司る。」
アランツァ世界において、「時」を司るのはオスクリードですが、「死」の神はオスクリードではなく、その「兄弟」とされるベルドゥーなのです。
『護国記』における「刻の力」の根源は「竜」(翼竜)であり、竜は「記憶を留めたまま復活」し、「永遠の刻を生き続ける」存在だとされています。時間の支配者たる「竜」と対置される存在は、空間の支配者としての「龍」(魔龍)であり、それらと別に「死」そのものを単独で司るような超越的存在が、物語の前面に出てくることはありません。
『護国記』の「輪廻」においては、死からの蘇生と時間の遡行が一体化して起こります。これは、『護国記』の物語が、超越的存在の支配する領分を「時間/空間」という形で切り分けた上で、「死」を司る力をそれらの領分に内包させるような構造になっていることとも、深く関係しているように思われます。
これに対して、『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界には、時を司る神とは別に、死の神が存在します。そのため、時の魔法による蘇生を可能にすることは、時の魔法の力の根源たる闇神オスクリードの領分からはみ出て、死の神の領分にまで大きく足を踏み入れることを意味します。
『ゴルジュ』における「時の魔法」が、「死」への直接的干渉を避けるような仕様になっていることは、アランツァ世界における神々の領分のあり方とも関係していると、そのように解釈してみるのも面白いでしょう。
『ゴルジュ』の「背景」の描写において、ミナが魔法の時計を手に取ったとき、闇神オスクリードとおぼしき「何者かの声」がミナの心の中に響きます。その声はミナに、時計の力を使いこなしたいなら、オスクリードの信者になるのだと伝え、ミナはそれに応じて闇エルフへと変貌を遂げます。そして物語の本編が始まった後は、闇神が自らの声や姿や、自我のようなものを示す機会はなく、ゲームブックの読者やミナからは、その内面を窺い知ることはできません。
しかし、リプレイの中で、時の魔法とその使い手に対する闇神の「興味」が明確に描写されるとき、そこには同時に、つぎのような問いが立ち上がってくるように思います。
時を司る神が時の魔法に興味を示すのであれば、時の魔法が行使された結果として、間接的にではあっても「死」が覆されていくことに対して、死の神はいったい何を思うのでしょうか。そして死の神は、自らの兄弟たる闇神の「戯れ」が、時の魔法の使い手を「蘇生」させ、自らの領分により深く踏み込んでくることを、どこまで許容するのでしょうか。あるいは、死の神もまた、闇神の「戯れ」に加担することがありうるのでしょうか。
時の神と死の神が「兄弟」であるという設定は、『ゴルジュ』の物語にとって、とりわけ意義深いもののように感じます。
『ゴルジュ』の物語の駆動力となっているのは、離れ離れになったきょうだいに対する愛や執着です。主人公ミナは、奪われた姉たちを取り戻すために時の魔法使いとなり、剣士ボラミーは、置き去りにした弟ビバイアを救うための薬を探し求めます。エルフや人間のきょうだいは、このように物語の中で互いを愛し、救おうとしますが、それでは「神」の兄弟についてはどうでしょうか。
『ゴルジュ』の中では、死の神ベルドゥーは名前が登場するのみですが、同じくアランツァ世界を舞台とするローグライクハーフのシナリオ『ベテルギウスの残光』の中では、ベルドゥーを信仰する教団の姿が描かれました。そこでは、ベルドゥー教団は「死」を神聖なものとして扱うため、「死」を捻じ曲げて不死者(アンデッド)を使役するオスクリード教団とは、「宿敵」といってよい関係にあるとされています。
とはいえ、このような信者たちの教義や教団同士の対立は、必ずしも、信仰される神そのものの関係性と同じであるとは限りません。また、『ゴルジュ』における時の魔法は、たしかに死者の運命を変えた一方で、直接的な「蘇生」や「不死化」を行ったわけではなく、逆に不死者を死すべき存在へと「戻す」こともしています。そのため、ミナや時の魔法の存在が、死の神に対してただちに敵対的・冒涜的かというと、そうとも言い切れないようには思います。
それでも、時の魔法と死の神とのあいだには、控えめに言って対立の芽が潜んでいることは確かであり、オスクリードとベルドゥーという「兄弟」のあいだにも、一触即発の緊張関係を見て取ることもできるでしょう(あくまで、人の立場からの比喩的な見立てではありますが)。
『ゴルジュ』のゲームブックの中では、魔法の力の向こう側に垣間見るような遠い存在だった闇神オスクリードを、『ゴルジュ』のリプレイは、「神の戯れ」というメタ的な仕掛けを介して、物語の表舞台の側に引き寄せます(自らの思惑をもつ主体としても、主人公や読者からの洞察の対象としても)。そのとき、物語の奥底に潜んでいた死の神もまた、闇神との設定上のつながりの強さゆえに、物語の中での居場所や意味を与えられることになるのかもしれません。
ミナ/エナ・ティナ、ボラミー/ビバイアという2組のきょうだいが、時の流れの中で生と死の狭間を行き来するとき、もう1組の「兄弟」が、その様子をじっと窺っている(反目しあいながら、あるいは共に戯れながら?)…『ゴルジュ』のリプレイからは、『ゴルジュ』のゲームブックにも内在するひとつの可能性として、このような構図が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
なお、『護国記』においては、『ゴルジュ』とは反対に、きょうだいという関係性が物語の前面に出てくることはほとんどありません。『護国記』の物語の中心に据えられているのは、生まれや育ちに由来する兄弟姉妹の愛ではなく、生まれも育ちも異なる主人公ライゼと王女ヴィルファンとのあいだの、異性愛的な関係性なのです。
これもまた、「時」と「死」をめぐる2つの物語のあいだの、興味深い対照構造のひとつだと言えるでしょう。
■おわりに
「輪廻」と「時の魔法」は、ゲームブック作品としての『護国記』と『ゴルジュ』において、どちらもゲーム上のギミックとして機能すると同時に、物語上の重要な役割を担っています。
「輪廻」においては「蘇生」と「遡行」が同時に起こる一方で、「時の魔法」における「遡行」や「跳躍」は、「死」を直接的な対象とすることはなく、それでも間接的な形で「死」を覆します。このような構造的差異は、ゲームとしての両作品の性格の違いを反映するとともに、神や竜といった超越的存在に関する設定をはじめとする、両作品の物語的な特徴にも由来しているように思われます。
もちろん、今回の記事で述べたことは、多くの可能な解釈のうちのひとつでしかありません。
私はこの記事で、「蘇生」と「遡行」の概念の切り分けに着目した解釈を展開しましたが、『ゴルジュ』のリプレイにおいて、闇神の戯れの中に蘇生と遡行が混在していることもまた、リプレイとして再演された物語の中では重要な意味と説得力をもっています。
そこで示唆されているのは、蘇生と遡行、時と死との本質的な(まるで「きょうだい」のような)関わりの深さであり、『護国記』と『ゴルジュ』は、こうした時と死との連関のあり方を、それぞれの世界観のもとで表現した作品同士なのかもしれません。
【書誌情報】
杉本=ヨハネ『狂える魔女のゴルジュ』(FT書房刊、2023年)
波刀風賢治『護国記』(幻想迷宮書店刊、2018年)[2023年9月更新版]
ぜろ『【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ』(全17回、FT新聞掲載、2025/08/20〜12/10)
ぜろ『番外編【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足』(FT新聞掲載、2025/12/12)
紫隠ねこ『ベテルギウスの残光』(原案・協力:ロア・スペイダー、監修:杉本=ヨハネ、FT新聞掲載、2025/12/07)
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2025年12月15日月曜日
これからの配信予定は……! FT新聞 No.4709
おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
最近、じんわりと執筆の時間が増えてきました。
ムリに増やしているわけではなく、書きたい気持ちが高まっております。
今後の日曜配信について、お知らせです!
◆火呂居美智先生による新d33シナリオ!
1月の第1日曜日は「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」の最新d33シナリオ「失楽園奇譚」を配信いたします!
拠点となる街はポロメイア小国家連合です。
獣人、コビット、龍人……さまざまな種族が暮らすこの砂漠の地で、どんな冒険が繰り広げられるのでしょう?
◆2月からは「ガルアーダの塔」を!
2月以降の日曜枠は、ローグライクハーフ版「ガルアーダの塔」をお届けいたします!
こちらは90階建てとなった結果、合計9回の冒険をお届けします。
今はこの塔を建築しておりますが、なにぶん大きな建築物です☆
2月から3回にわたってお届けすることになるだろうと思います……お時間をいただき恐縮ですが、よろしくお願いします!
簡単ですが、本日はこれにて。
それではまた!
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2025年12月14日日曜日
アランツァクリーチャー事典 Vol.23 FT新聞 No.4708
おはようございます。
FT新聞編集長の水波流です。
本日は日曜日。ローグライクハーフ関連記事をお送りいたします。
杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第23回です。
先月に引続き『家畜、騎乗生物』後編!
かなりのボリュームがあるため、3回に渡って掲載します。
今回は軍馬やヒポグリフから、火吹き獣、丸々獣まで!
どうぞお楽しみ下さいませ。
アランツァクリーチャー事典『家畜、騎乗生物』後編
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/AranciaMonsterEncyclopedia_vol.23.txt
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杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第23回です。
先月に引続き『家畜、騎乗生物』後編!
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今回は軍馬やヒポグリフから、火吹き獣、丸々獣まで!
どうぞお楽しみ下さいませ。
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2025年12月13日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第670号 FT新聞 No.4707
From:水波流
私は90年代前半にT&Tやソードワールドなどの文庫本TRPGをよく遊んだ世代なのですが、日本のTRPG黎明期の先輩方とは数年遅れだったので、D&Dを全く遊ばずに来ていたんだなぁと先日、ふと気づきました。
同様のズレは随所で起こっており、例えばロードス島戦記リプレイに間に合わず、コンプティークを買ったときにはクリスタニアが連載されていたり、蓬莱学園に間に合わず、遊演体のPBMを遊べていなかったり。
もっとも熱狂的な時代から、ほんの少しだけ遅れていたんだなぁと。
(余談ですが、蓬莱学園の小説のリブート連載がはじまってますよ!)
From:葉山海月
何かを検索しようとして忘れる。
だれか教えてください。
From:天狗ろむ
8日(月)の杉本先生の記事より告知がありました、シナリオ作者さんご自身による「ローグライクハーフシナリオ紹介記事」の件は、天狗ろむが窓口となっております。
是非、貴方の書かれたシナリオを、FT新聞読者の皆様に紹介してみませんか? ご相談からお気軽に! お待ちしております!
(連絡先
Twitter(現X)アカウント:@amaku_romu リプライ、またはDMにて
discordアカウント:amaku_romu DMにて)
From:中山将平
僕ら、明日12月14日(日)埼玉県の川口市民ホールフレンディアで開催の「ゲームレジェンド40」というイベントにサークル参加します。
レトロゲーム・マイナーゲーム中心の同人即売会です。
お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■12/7(日)~12/12(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年12月7日(日)紫隠ねこ FT新聞 No.4701
『ベテルギウスの残光』ローグライクハーフd66シナリオ
・今月の新作シナリオは、作:紫隠ねこ氏、原案:ロア=スペイダー氏のコンビでお送りします!
冒険の舞台は、ラドリド大陸の南西部に位置する町モフージャ。
もふもふの毛に覆われた生物〈もふもふ獣〉と楽器の音色にあふれる町に作られた公衆浴場〈ベテルギウス〉の拡張工事中に、何と温泉ではなく【アンデッド】が噴出!
更に原因不明の地震も発生した事で、深刻なダメージを受けた別館に多くの人々が取り残されてしまいます。事件の真相を突き止めると共に、人々の救助も行うという、緊張感と緊急性の高い冒険があなたを待っています。
このままでは消えゆきかねない〈ベテルギウス〉の輝きを、どうか守ってあげてください!
(天)
2025年12月8日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4702
新しい記事群のお知らせ!
・先日、名古屋で行われた「FT書房作品オンリーコンベンション」にゲスト参加した杉本氏。「1人用TRPGローグライクハーフ」の関連作品が、公式非公式を合わせると100作近くになるという事に驚いたそうです。
楽しいことが起こっている、けれども「作品が増えてるぶん、探すのが大変だぞ……?」
そこで! シナリオ作者さんご自身にシナリオを紹介いただく「紹介記事」の準備を、編集部員・天狗ろむが窓口となって進めています。続報はしばしお待ちください!
(天)
2025年12月9日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4703
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(3)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第3回をお届けしました。
カタリ派の「完徳者」であるベルトランは、モンセギュール砦にたてこもる信徒たちの精神的指導者ですが、このリプレイでは権謀術数を巡らす策士として演じられています。
そして今回登場するのは、もうひとりの「完徳者」であるセシル。こちらも一筋縄ではいかない、演じるプレイヤーB氏いわく「強キャラババア感」を醸し出す人物です。
領主レーモンの娘エスクラルモンドや、その母コルバをはさんで、対立するふたりの「完徳者」。砦を包囲する十字軍はまだ静かな様子ですが、砦の中の人間関係はどうなっていくのでしょうか…?
(く)
2025年12月10日(水)ぜろ FT新聞 No.4704
第17回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・精緻な原作を深く豊かな解釈で描き直す、ぜろ氏のリプレイ第469回です。
最後の魔法でエナを救い、スノウシャークの襲撃を振り切ったミナは、ゴルジュを抜けて湖の岸辺に辿り着きました。
フェルとの「再会」を経て、エナとともに辺縁の村に戻るミナを待つのは、ボラミーとビバイアのきょうだい、そしてもうひとりの姉・ティナ。残る姉たちを探す旅は続きますが、この物語はひとまずここで大団円を迎えます。
ぜろ氏の新境地とも言うべき物語性豊かな長編リプレイの結末を、どうぞ見届けてください!
(く)
2025年12月11日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4705
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.33
・岡和田晃氏による、スペキュレイティブ・フィクション専門のネットマガジン「SF Prologue Wave」とのコラボ企画記事です。
久々となる今回は、なんとゲームブックの名作『展覧会の絵』の外伝!
平田真夫氏と森山安雄氏の合作という事にニヤリとされた方もおられるのではないでしょうか。
平田氏の『水の中、光の底』では水と光をモチーフにした10の世界が描かれており、これぞまさに幻想世界の探索譚だと思ったものです。次回作も読みたいですねえ。
(水)
*編集部註*
本記事の配信時に初出の表記が抜け落ちておりました。正しくは下記となります。訂正してお詫び申し上げます。
初出:「SF Prologue Wave」
https://prologuewave.club/archives/3944
2025年12月12日(金)ぜろ FT新聞 No.4706
番外編【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足
・10日(水)に「狂える魔女のゴルジュ」のゲームブックリプレイを終えた、ぜろ氏のリプレイ番外編にあたる第470回は感想回です。
「物語」に比重を置いた作品だった「狂える魔女のゴルジュ」。その為、普段のぜろ氏の「ゲームブックリプレイらしさ」「メタ視点」は減っていき、物語の起伏と主人公ミナの感情に焦点を当てていったそうです。
細かな手を加えながら、こうして今回のリプレイ……「未来の記憶を有する」ミナの物語が出来上がったとのこと。ぜろ氏がどんな風に書き上げていったのか、詳しく知りたい方は記事をご覧ください。
これからもリプレイを書き続けてくれるであろうぜろ氏に、どうぞ引き続きの応援を宜しくお願いします!
(天)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(忍者福島さん)
もしかしたら、オスクリード神はボラミーとではなく、ミナとフェルが失敗せずに姉を助けた未来も知っているのかもしれない、でも自分の知ってる事は今の自分の記憶しかないのは、ちょっと切ない終わり方かもしれませんね。
からくり好きなフェルと共に歩んだ記憶は、また別の記憶なのはわかるんですが、それもまた人生って事ですかね。
(お返事:ぜろ)
皆さまのあたたかい応援や感想のおかげもあり、最終回までたどりつくことができました。
ラストのフェルとのすれ違いは、フェルがお気に入りのキャラクターだったからというだけでなく、実現しなかった未来の切なさとやさしさの両方を表現したいという思いを込めています。受け取っていただけたようで、うれしいです。フェルとの結末を正史としたミナにも、最後までシビアに単独で目的達成のために奮闘したミナにも、等しく祝福があらんことを。
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未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
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また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
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僕ら、明日12月14日(日)埼玉県の川口市民ホールフレンディアで開催の「ゲームレジェンド40」というイベントにサークル参加します。
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(天)=天狗ろむ
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(葉)=葉山海月
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2025年12月7日(日)紫隠ねこ FT新聞 No.4701
『ベテルギウスの残光』ローグライクハーフd66シナリオ
・今月の新作シナリオは、作:紫隠ねこ氏、原案:ロア=スペイダー氏のコンビでお送りします!
冒険の舞台は、ラドリド大陸の南西部に位置する町モフージャ。
もふもふの毛に覆われた生物〈もふもふ獣〉と楽器の音色にあふれる町に作られた公衆浴場〈ベテルギウス〉の拡張工事中に、何と温泉ではなく【アンデッド】が噴出!
更に原因不明の地震も発生した事で、深刻なダメージを受けた別館に多くの人々が取り残されてしまいます。事件の真相を突き止めると共に、人々の救助も行うという、緊張感と緊急性の高い冒険があなたを待っています。
このままでは消えゆきかねない〈ベテルギウス〉の輝きを、どうか守ってあげてください!
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2025年12月9日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4703
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(3)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第3回をお届けしました。
カタリ派の「完徳者」であるベルトランは、モンセギュール砦にたてこもる信徒たちの精神的指導者ですが、このリプレイでは権謀術数を巡らす策士として演じられています。
そして今回登場するのは、もうひとりの「完徳者」であるセシル。こちらも一筋縄ではいかない、演じるプレイヤーB氏いわく「強キャラババア感」を醸し出す人物です。
領主レーモンの娘エスクラルモンドや、その母コルバをはさんで、対立するふたりの「完徳者」。砦を包囲する十字軍はまだ静かな様子ですが、砦の中の人間関係はどうなっていくのでしょうか…?
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2025年12月10日(水)ぜろ FT新聞 No.4704
第17回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・精緻な原作を深く豊かな解釈で描き直す、ぜろ氏のリプレイ第469回です。
最後の魔法でエナを救い、スノウシャークの襲撃を振り切ったミナは、ゴルジュを抜けて湖の岸辺に辿り着きました。
フェルとの「再会」を経て、エナとともに辺縁の村に戻るミナを待つのは、ボラミーとビバイアのきょうだい、そしてもうひとりの姉・ティナ。残る姉たちを探す旅は続きますが、この物語はひとまずここで大団円を迎えます。
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・岡和田晃氏による、スペキュレイティブ・フィクション専門のネットマガジン「SF Prologue Wave」とのコラボ企画記事です。
久々となる今回は、なんとゲームブックの名作『展覧会の絵』の外伝!
平田真夫氏と森山安雄氏の合作という事にニヤリとされた方もおられるのではないでしょうか。
平田氏の『水の中、光の底』では水と光をモチーフにした10の世界が描かれており、これぞまさに幻想世界の探索譚だと思ったものです。次回作も読みたいですねえ。
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・10日(水)に「狂える魔女のゴルジュ」のゲームブックリプレイを終えた、ぜろ氏のリプレイ番外編にあたる第470回は感想回です。
「物語」に比重を置いた作品だった「狂える魔女のゴルジュ」。その為、普段のぜろ氏の「ゲームブックリプレイらしさ」「メタ視点」は減っていき、物語の起伏と主人公ミナの感情に焦点を当てていったそうです。
細かな手を加えながら、こうして今回のリプレイ……「未来の記憶を有する」ミナの物語が出来上がったとのこと。ぜろ氏がどんな風に書き上げていったのか、詳しく知りたい方は記事をご覧ください。
これからもリプレイを書き続けてくれるであろうぜろ氏に、どうぞ引き続きの応援を宜しくお願いします!
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