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2026年8月15日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第705号 FT新聞 No.4952

From:水波流 先日は大阪・TGFFにてFT書房ブースの売り子として参加してきました。 合間に聞きに行ったトークショーは、内山靖二郎先生、河嶋陶一朗先生のホラーTRPGについて。 システムから語るホラー、シナリオから語るホラーとそれぞれの切口から貴重なお話を聞かせて頂きました。 TRPGは対面しているからこそ、恐怖を主観的に感じれるように、敢えて文字情報で渡すのが良いとの話を聞き、会話と文字の媒体の違いを改めて意識しました。 From:葉山海月 実写をAI作品と勘違いされる。 これが技術の進歩だ! From:中山将平 僕ら8月15日(土)に東京ビッグサイトで開催の「コミックマーケット108(1日目)」にサークル参加します。 配置は【東2ホール ソ49ab】です。 新刊であるモンスター!モンスター!TRPGソロアドベンチャー「廃都脱出」を刊行します! この作品の詳細情報は僕たちのホームページで公開していまして、次のURLにてご覧いただけます! https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/haito ぜひチェックしていただけましたら。 さらに、8月16日(日)「コミックマーケット108(2日目)」に、僕の個人サークル「ギルド黄金の蛙」が初サークル参加します。 配置は【西1ホール ま36a】です。 当日刊行のカエル人の新刊、「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て(衣食住編)」と既刊(魔法と儀式編)等を持って行きます。 どちらも僕が現地にいますので、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (葉)=葉山海月 (天)=天狗ろむ (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■8/9(日)~8/14(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年8月9日(日)清水龍之介 FT新聞 No.4946 Re:オレニアックス生物学 Vol.6 『ウルフドッグ』 ・過去の人気記事の再配信として、聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義をお届けしました。今回の講義のテーマは「ウルフドッグ」です。 アランツァのウルフドッグは、錬金術の生み出した生物兵器。犬よりも狼よりもずっと大きく、全身が筋肉の塊のような猛獣です。そんなウルフドッグに出会ったときの対処法について、生徒たちのひとり、狩人アヴィオンが語ります。お調子者ガリィの「撃退」エピソードにもご注目! (く) 2026年8月10日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4947 カタログ、作っています☆ ・「油断するとすぐに新作を出す」ことで知られる集団、FT書房は2019年に成果物を紹介したPDFを無償公開しています。いわば作品カタログです☆ 「以前のイベントで何を買ったのか、忘れてしまった」ときでも持っている作品を把握しやすくなるとのことで、カタログは好評でした。でも、これ、7年も前のものなんです★ 新たに「ローグライクハーフ」や「モンスター!モンスター!TRPG」の紹介カタログを、作品サイズに合わせたB5版でお届けするべく動いております! 素晴らしいことに、ファンメイドの「ローグライクハーフ」のシナリオとリプレイを合わせると、今や200作品にも到達する勢いなのだそう。 国産TRPGの快挙、200作品すべての紹介はかなわないとしても、せめてFT書房の公式作品が網羅的に把握できるカタログにするべく、地道な取り組みが進んでおります。 蕨之介氏による「モンスター!モンスター!TRPG」シナリオ「希望の小惑星」、「月の秘密」の新作案内もございます。こちらも無償公開ですので、ぜひご覧ください! (明) 2026年8月11日(火)葉山海月 FT新聞 No.4948  『Monkey business 2』-斥候の犬-  ・先週の日曜日に、齊藤飛鳥先生による「ローグライクハーフ」としての作品、『霊廟館の悪夢』がリリースされたのが記憶に新しい方も多いと思います。 その、本格ミステリっぷりに、感銘を受けた不肖葉山海月が、その後日談を書いてみました。 『霊廟館の悪夢』事件から時は離れ、立派な冒険者となった主人公である君。 ふらりと立ち寄った酒場に、あの少女、クワニャウマが! 酒も進む中、彼女が語りだしたのは、ある斥候と、その忠犬にまつわる奇妙な疑惑だった……。 今回は探偵役に、われらがクワニャウマ姐さんを迎え、謎解きが進みます。 つたない作品ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 (快く二次創作の許可を出していただいた齊藤先生に、心より感謝いたします) (葉) 2026年8月12日(水)ぜろ FT新聞 No.4949 第3回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第505回。 今回の主人公は筋骨隆々な傭兵・ヴァルグ。そして、彼を師匠と呼び、赤い毛並みを持つ大型犬を連れ、「獣の腕」を宿す少年・ハルト。 二人は「クラーケンぶっ殺し号」に乗って、まずは海域を荒らす海賊退治に出ています。 今回は戦闘回! アクアデーモン戦では新米砲撃手のポールが海に引きずり込まれかけ、彼を助ける為に飛び込んだハルトは何と泳げない!?  更に畳みかけるように、海賊船も襲来! 元剣闘士だというヴァルグの大暴れ具合にも目が離せません! (天) 2026年8月13日(木)東洋夏 FT新聞 No.4950 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.8 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第8回目をお届けしました。 前作の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、途中で同行者となったドワーフ・アルゴットを喪いながらも、もう一人の同行者のコビット・ヨンと共に先頭車両を目指します。 アンデッドになっていた乗客を退け、とうとう先頭車両へ到達! そこで待っていたのは、二人の人物。悪趣味な黒幕にまたもや目をつけられてしまったシグナスは、果たして無事に生還できるでしょうか? (天) 2026年8月14日(金)市川大賀 FT新聞 No.4951 『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』作品紹介  ・今回は、SF Prologue Waveコラボレーション企画でも『僕と光の国のおじさん』という作品をご寄稿頂いたことのある、市川大賀先生から新作のご紹介を頂きました。 そのタイトルは、新作長編小説『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』 本シリーズは、とある民俗学ゼミの教授、折口裕一郎と、おっちょこちょいだがサポート力の強い助手とゼミの女生徒との三人組が、行く先々で怪奇な事件に遭遇するというのですが……。 折口先生、超能力も退魔術の心得もございません。そんな彼の武器は、「推理力」です! この一風変わった探偵冒険譚を、市川先生自ら語ります! 奇譚と推理が絡み合う頭脳の迷宮なこの一本! 読まなければ後悔することウケアイ(かなで風) (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (核通さん) いつもFT新聞を愛読しております、核通という者です。 このたびの「ローグライクハーフ」シナリオ、「霊廟館の悪夢」には特に感銘を受けましたので、初めて投稿しました。 高度なミステリー要素と、アランツァというファンタジー世界の舞台が見事に融合していると感じました。 今後とも、御社の製品(『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』を購入したところです)ともども、愛読させていただきます。 (お返事:齊藤飛鳥) 初めまして。このたびは拙作『霊廟館の悪夢』に感想を下さり、まことにありがとうございますm(_ _)m♪ 初めて書いたローグライクハーフのシナリオを、豪華執筆陣による『ヒューマンズ! ヒューマンズ!』と並べて愛読していただけるとは、たいへん嬉しいです^^ ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月14日金曜日

『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』作品紹介 FT新聞 No.4950

おはようございます。 FT新聞編集長の水波流です。 今回は、SF Prologue Waveコラボレーション企画でもご寄稿頂いたことのある、市川大賀さんから新作のご紹介を頂きました。 前作『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』は実は、私は2年ほど前に拝読しておりました。 奈良葛城山の土蜘蛛伝説や、"村の亡霊"の謎を追ううちに和歌山の徐福伝説を紐解く……という私の大好きな諸星大二郎の稗田礼二郎シリーズを彷彿とさせる古代史・民俗学もので、続編をぜひ読みたいなと思っておりました。 新作のモチーフは「河童」しかも「純粋な退魔綺譚に仕上げています」とお伺いし、さっそく注文しこちらも読み終えたところです。 今回は星野之宣の宗像教授シリーズのように緻密な考察を積み上げつつ、荻野真の孔雀王を彷彿とさせるダイナミックな展開が待ち受けています。 伝奇ロマン、古代史ミステリーがお好きな方にはオススメの作品です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』  (市川大賀) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ FT新聞をお読みの皆さん。 以前『僕と光の国のおじさん』を連載させていただいた市川大賀です。 実はこの度新作長編小説『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』を上梓出版いたしました。今回はその簡単な紹介を水波編集長からのオファーを受けてしたためた次第でございます。 この小説は僕の作品群の中では『折口裕一郎教授の怪異譚』シリーズ第二弾にあたります。 『折口裕一郎教授の怪異譚』シリーズとは、とある民俗学ゼミの教授、折口裕一郎が、おっちょこちょいだがサポート力の強い助手とゼミの女生徒との三人で、行く先々で怪奇な事件に遭遇し事件の傍観者になるという、よくあるハコ(タイトルも)のシリーズなのですが、折口君が他の諸先生方の作品の主人公たちとは違うのは、折口君は超能力も退魔術も使えず「徹頭徹尾謎を解いて傍観者に徹する」というのが特徴です。 第一作『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』をお読みくださった方々からはご好評をいただいたので、この度の続刊発行と相成りました。 先ほどのプロットをお読みになった方でピンときた方もいるかとは思いますが、このシリーズのキャラクター構造は往年のテレビ特撮ドラマ『ウルトラQ』(1966年)リスペクトで成り立っています。 今回の新作は、構想自体は10年以上前からありました。日本のエネルギー産業と戦後復興を支え続けてきた炭鉱とその成り立ち。傍目からは光り輝いた「戦後日本の繁栄」。その前期戦前戦時中から日本を支え続けてきた「燃料・石炭」は、どのような犠牲の果てで掘り起こされたものであったのか。そして「それ」を得るための犠牲はどう生まれどうその声は消し去られたのか。そしてその「声」を現代を生きる日本人に突き付けることはできないか。ずっと僕はそれを考えていました。 それには、ペンの力、すなわち「Speculative Fictionの力(SF=寓話)」しかないのではないかと思うようになりました。「僕たちが生きる現実」を表、「『日本書紀』『古事記』に書かれた記述」を「為政者が自己正当化のためのプロパガンダに書き換え続けた裏」ととらえ、その狭間で闇に葬られた「声なき声」を「第三界」として、毎回シリーズは続いていきます。 そして本作は、前作を読まれた読者皆様からの反応への反省を含めた構成をとっているつもりであります。曰く「クライマックスの盛り上がりが物足りない」「『古事記』『日本書紀』の読み取りばかりにウェイトを置きすぎる」などなど。あからさまな中傷やアンチ罵倒をノイズとすれば、他はどれもどれも頷けるご意見だったので、「ヒット作家」を目指している僕としては(笑)今回は前回よりも素直にエンタメに仕上げたつもりであります。 結果「市川大賀らしさが薄れた」「よくある既存の退魔物ジャンルになり下がった」等の「新たな苦言」を頂く覚悟は承知していますが、現実の日本国家が招いた惨劇と問題を、より多くの人達に共有してもらうためにはあえてステレオタイプの箱を用いることも一つの手段だと判断、今回の上梓に至ったというわけです。 本作はもちろん前作に続く『折口裕一郎教授の怪異譚』シリーズ第二弾であります。前刊で「葛城山」で「土蜘蛛」と、「紀伊新宮」で「地之龍」と遭遇して事件を解決に導いた折口君以下三人が、今度は「北九州」を舞台にして長らく民話伝承では「愛くるしい妖怪」とされてきた「河童」の抱く怨念と慚愧と相まみえるというのが今回のメインストーリーになります。 僕は初単著『スマホ・SNS時代の多事争論 令和日本のゆくえ』からも訴え続けているように、この国の発展・繁栄は、決してよくあるノスタルジィ漫画のような「日本のお父さんたちが頑張ってきたから」などというお花畑夢想で語り尽くせるものではないと思っています。 無謀で愚かな大東亜戦争含め、近代国家・日本を支えてきたのは、他ならない「大東亜共栄圏思想」に巻き込まれて植民地と奴隷化を余儀なくされた亜細亜諸国の犠牲の上に成り立った「繁栄」なのです。 「そこで圧殺されてきた声」が、この物語の主役なのです。 そこには深い悲しみと怨嗟の響きだけが残されています。今回の物語の主題は「恐怖の事件の謎を追え。怪奇な事件を暴け」でありました。 だからでしょう。前作からのレギュラーの三人は、先ほども書いたように『ウルトラQ』の主役トリオがモチーフですが、今回ゲストで登場する「民俗学者の的矢忠」も「警察庁刑事局広域捜査特別班警部に所属する牧史郎」も「久留米市の産業振興課課長、野村洋」も、その名前(特に牧は人物造形も)は同じ円谷プロが1968年に制作した特撮ドラマ『怪奇大作戦』から拝借しています。 FT新聞をお読みの皆さん、どうかこの謎解きと知的ゲームと「この国の真実」と、楽しみながら向き合ってみいませんか? 二冊ともAmazonで書籍、kindle版ともに絶賛発売中です。よろしくお願いいたします。 『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0BFJRB9Z4 『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』 https://www.amazon.co.jp/dp/4824611857 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月13日木曜日

ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.8 FT新聞 No.4950

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.8  (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■    FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!  本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。  ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。  冒険の舞台は、夜を駆け、人をさらうという謎の〈怨霊列車〉。調査を依頼された十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロ。そして従者に「面白いこと」を愛するコビット族のヨンという布陣で進んでいきます。  前回vol.7では、〈怨霊列車〉の車掌が登場。切符を切るはさみで人体に「パッチン♪」と刻印することが大好き、という特殊な癖をお持ちのお方でした。シグナスくんに興味津々の車掌さんに対し、勇気ある十二歳は刻印を承諾。耳たぶを「パッチン♪」とされることで事なきを得ました。  先頭車両まで残すは一両。  次の車両では何が待ち受けているのでしょうか?  なお、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。  ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。    前口上はこれでおしまい。  いざ出発と参りましょう!  ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:7 ・筋力点:4 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨14枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、騎士グロリアの指輪(金貨12枚の価値)、ランタン、食料1食分 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:6 ・器用点:3 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし    ◇ [8号車]31:アンデッドになった乗客  残すところ、車両はあとふたつ。  次の車両を過ぎれば、〈怨霊列車〉の主に行き着くはずだ。車掌に切られて熱を持った耳に、夜風が気持ちよかった。シスターから買ったワインで洗って簡単な手当は施したものの、どんどん腫れてきている気がする。  列車の目的地は何処なのだろうか。車掌に聞いてみれば良かったのかもしれない。攻略の手がかりになった可能性もあるのに、迂闊だった。  先に連結部を跳んだヨンが、異常なしと手招きする。  シグナスも慎重に渡って行く。  古城の跡を発して如何ほどの時が過ぎたのだろう。長い夜であることに違いないが、まだ明ける気配は無さそうだ。シグナスはがっかりした。怨霊と名乗るくらいだから、朝の光には弱そうなものなのに。  扉を開けて、車両に踏み込む。今度の車両は拍子抜けするほど静かだった。それでも警戒してクロを鞘から引き抜くと、恐ろしいほど不機嫌かつ乱暴に〈おどる剣〉はシグナスの手のひらを振り解く。 「見せてみろ、シグナス」  クロの声には紛れもない怒りがこもっている。 「全然どうってこと……」 「見せてみろ!」  宙に浮いたクロから切先を突きつけられ、シグナスはぎくりとした。ゆっくりと顔を横にして切られた耳たぶを向けると、クロはシグナスが切先で突いて見聞し、 「腐れ落ちないことを祈るんだな」 「やめてよ」 「そうやって体が腐った奴を、俺はそれこそ腐るほど知ってるんだぞ」  そこでシグナスの背中に隠れていたヨンがひょいと顔を出して、取りなすように口を開いた。 「いやあ、でもねえ剣どん」 「誰が〈剣どん〉だ」 「剣どんは剣どんでしょうよう。そんな調子でシグにもカッコいい二つ名は必要じゃございませんか、え、剣の旦那。おたくの国の大立者といったら〈黒真珠〉で〈歌養いの騎士〉ブラークなんぞと申しますでしょう。ですからよう、〈耳欠〉のシグナスとかなんとか」 「みみかけ」 「良い感じじゃね、シグ? どうよ」 「馬鹿馬鹿しい。シグナスも喜ぶんじゃない、おい!」 「良いじゃんかクロ、ひとつくらい勲章があったってさ。僕だってブラーク様みたいに〈黒真珠〉とか言われたいし、サー・ノックスだって〈王女様の猟犬〉って言われてるんでしょ」  〈おどる剣〉は苛立ちも隠さずに空中でスピンした。 「クロ!」 「くそ、浮かれるのは勝手だがな、せいぜい生きて帰れるように気を引き締めておけ。分かったなシグナス」 「うん」 「ああ、子守りは疲れる」  クロは空中に横たわり、まるでやる気の失せた修道女めいた怠惰な空気を漂わせる。シグナスは苦笑して、中扉を開けた。そしてむせた。客室から噴き出す匂いの酷さにである。刺激臭を吸い込んだ途端に、視界が涙で霞む。 「うげぇーっ」  ヨンが鼻を摘んで言った。 「何だい、こいつぁ」 「来るぞ、構えろ、不死者だ!」  こんなときは鼻のないクロが羨ましくなる。座席に腰掛けていた人々が立ち上がってこちらを向いた。顔の造作がおかしい。それで言うなら体もだ。腐って半分ずり落ちた顔に引きずられるように、半身が傾いている。それがよたよたとこちらに近づいて来ていた。相手の人数は多く、狭い客車内では囲まれて潰される恐れがある。    (※お出でになりましたのはその名もずばり〈アンデッドになった乗客〉。出現数5と出まして、かつ反応は「常に死ぬまで戦う」。しかしレベルは3と低い上に特殊能力も無いので、落ち着いて切り抜ければいけるでしょう。クロの技能は温存して、1ラウンドの接近戦から。シグナスがクリティカルからの成功、クロもヨンも成功して、一挙に4体を撃破。防御も無難に成功しました。よしよし!)   「シグ、こっちの扉を開けるよ!」  びょうびょうと背後で風が叫んだ。ヨンの作戦を理解したシグナスはあえて中扉から先には入らず、不死者たちを待ち受ける。クロも異は唱えない。 「やったれ、耳欠のシグ!」 「はいっ!」  どっと殺到して来た不死者の腹を、シグナスは剣で刺し貫いた。ずくずくとした柔らかな手応えに肌が粟だったが、そんなことは気にしていられない。ぐっと体重をかけてくる相手の力を誘導し、互いの立ち位置を入れ替えるように勢いをつけて背後へ斬り抜けた。足元の覚束ない不死者は停止できず前進を続け、夜空に続く後扉から落下する。同じ手法でもう一体をシグナスは突き落とし、続けてクロが、おまけにヨンまで調子良く不死者を車外に厄介払いした。    (※2ラウンド。シグナスは攻撃失敗ですがクロが成功したため、すべての敵を倒すことに成功。勝利です)    最後の一体は体格の良い剣士のもので、これはやや苦戦したが、シグナスが剣を押し止める間に背後に回り込んだクロが突き飛ばすと、夜空に消えていった。  新手の気配はないと判断して、客席に挟まれた通路に足を踏み入れる。腐臭がこびりついていた。彼らはいつからここにいたのだろう。自分たちと同じように、物申すために先頭車両を目指していたのかもしれない。 (順番待ちしながら死んじゃったとか)  と、不吉かつ不謹慎な想像がよぎり、シグナスは頭を振って追い払った。 (別のこと考えよ。例えば車掌さんの……あれ?)  車掌との一幕を思い出したところで、引っ掛かりを覚えてシグナスは足を止める。 「シグナス、どうした?」 「ねえクロ。車掌さんの言ったこと覚えてる?」  ふむん、と〈おどる剣〉は曖昧な返事をした。怒り狂ってろくに聞いていなかったのかもしれない。その怒りがペット呼ばわりされたことに端を発しているのか、それともシグナスが進んで傷つけられたことに対してなのかは、シグナスにはよく分からなかった。 「車掌さんがさ、確か〈久しぶりのお客様〉って言ったんだ」 「それがどうした」 「や、だって、僕たちの少し前に骸骨遣いのサー・グロリアが乗車したんじゃないの?」 「うむ……」 「サー・グロリアはさ、僕たちよりも先に進んでるはずじゃん。ここまで会わなかったんだから」 「そうか、車掌が会っていなかったのは不思議だとお前は言うんだな、シグナス」 「うん。だよね?」 「いっぱしの探偵みたいになってきたじゃないか。その路線で詩を作ってもらえ」 「からかわないでったら! ねえヨンさ……」  その時、いたずら者のコビットが腐臭も腐肉もものともせず座席によじ登り、シグナスの間近ながら死角になる位置に陣取って、 「ぶぉあわわー!」  と迫真の演技で不死者の真似事をしたものだから、シグナスは肝を潰して尻餅を突いてしまった。 「よよよ、ヨンさぁん」  情けない悲鳴を上げるシグナスに、コビットのヨンは、 「うけけけけ」  と愉快極まりないという様子で笑い、車両前方へ意気揚々と駆けていく。 「今のとこも歌ってもらうんだーぜ、シグ!」 「……シグナス、分かっただろう。イカれてる。だから俺はコビットなんぞ嫌いなんだ」  十二歳のいたいけなる従騎士は、正体不明のものでネチョネチョした床から尻を引き剥がし、大きく溜め息を吐いた。しかしそれであっても、シグナスはヨンのことを憎めない。面白い仲間と思っているのである。    ◆   [先頭車両]最終イベント  シグナスは、間近に見る先頭車両の姿に度肝を抜かれた。巨大な龍の頭骨と車両とが、金属のからくりを通じて一体化している。チャマイの匠であれば、あるいはこのように途方もない機械も創造できようか。彼の地の匠は、クロの如き〈おどる剣〉すら製作するのだと聞くから。しかしシグナスには、やはり人の手が生み出せるような代物ではないと感じられるのだった。  ぽうーっ、と高く汽笛が鳴る。龍の頭骨の天辺につけられた煙突から、毒々しい蛍光緑の煙が激しく噴き出して夜空に流れた。まるでシグナスたちの到着を歓迎、あるいは警告するようである。  先頭車両の客車部分は、今まで過ぎてきたものに比べてやや背が高い。やはり主人の居所となれば、城であれば玉座の間という場所であろうから、一際豪華なのも頷ける。その先に細長い円筒状の空間があり、頭骨の裏と接続している。  加えて龍の頭骨そのものの巨大さにも、シグナスは畏怖の気持ちを抱いた。主人ノックスの父であるブラーク様が倒したという、ローレンシアの龍。それも、このような大きさだったのではないだろうか。事の善悪は横に置いて、巨大な生物が生きていた証にシグナスは胸が高鳴った。 「行けるか、シグナス」  クロの声に我に返って、シグナスは頷く。すっかり魅了されていた。 「ヨンさんは? あれヨ……うそ、もう渡ってる!?」 「ほっほーい、おもろは一番乗りでこそさ!」  コビットはいつの間にか先頭車両の扉に取り付いて、ガチャガチャやっている。 「シグナス、慎重に進め。いかれコビットに影響されてはならん」 「うん」  連結部を渡った。扉は不具合があるのか、シグナスとヨンが力を合わせてようやく開く。 「ボスの寝床にしちゃあ、ちょいとショボいね」  ヨンがウィンクしてみせた。それくらいショボい相手だったら良いのだけど、と思ってシグナスは少し肩の力が抜けたように感じる。笑いにしてしまうことも、大事だ。 ところが足を踏み入れた途端、さしものヨンも顔を曇らせる。シグナスは即座にクロを鞘から解放した。  客車の内張は、躯(むくろ)であった。壁は大小様々な、種族も性別も職業も異なる躯の羅列で出来ている。細部を観察すれば、ひどく古めかしい鎧の持ち主も並んでいた。 「何これ……」 「最悪の収集癖を患っているらしいな」 「おもろではある」 「ではない! このイカれコビットが。シグナスの教育に悪いだろうが」 「分かったよシグのママン」 「おい!」  その時、誰も触れていないのに、内扉が速やかに開いた。三人は顔を見合わせる。危険であると誰もが思ったからだ。 「控室は静かに使うものではないかね、演者諸君。その程度のわきまえはあると思っていたが、所詮は田舎役者であったか。まあ入りたまえ。オーディションの時間だ」 低く落ち着いた男の声である。権威あるものの尊大さが骨の髄まで染み付いている感じがした。  シグナスを先頭に客車の内側へ踏み込む。ふたりの人間が、一行を待ち構えていた。ひとりは玉座に腰掛けた男。これが先ほどの声を発したのだろう。ほの暗い照明のせいだろうか、その顔の肌艶からは血の気が感じられない。玉座は、案の定というべきかもしれない。内装と同じく無数の躯で出来ている。 もうひとりは——。  シグナスは反射的に剣を抜いて構えた。因縁の女騎士グロリアが立っていたからである。  しかし様子がさらにおかしかった。表情がない。シグナスたちを見ようともしない。いや、瞬きすらしていないのだ。 「そなたが、ロング・ナリクのシグナスだな」  シグナスは女騎士から視線を引き剥がし、玉座の主に向き直る。 「良い目をしておる。怒り、恐怖、それにも勝る使命感。それは写身のも欲しがるわけだ」 「……写身の……?」 「黙れ! 口を開いて良いと、いつ許可した! このダゲン・ラ・バーゲズに従騎士ずれが質問するなど無礼千万。お前の主人は礼儀すら教えんかったと見える」  玉座の肘掛けをどんと叩くと、肘掛けの材料にされていた人間の手が、許しを乞うように指を開いてわなないた。  シグナスは二の句が継げない。これ以上は彼を怒らせない方が良いと思ったのと、後は「身分が高い者には礼儀正しく接さねばならぬ」という従騎士たる者の心得が制止したからであった。 「とまれ、歓迎しようナリクの従騎士よ。幾年待ったことか。三十年ぶり、いやもっとか? 悲しいかな、我が目にかなう役者は少ない。ナリクに原石がおるとは考えもしなかったが、持つべきものは友と時だ。良い報せだったと後で返礼をせねばならんな。さて、無駄話はこれくらいで良い。オーディションをせねばならぬ。見目がよろしくても大根役者ではつまらん。分かったか? 分からんのであれば質問のひとつでも許す。くるしゅうないぞ」  鷹揚に手を振ってシグナスに質問を許可すると、男は玉座の奥深くにどっかりと座り直した。 「バーゲズ卿」  シグナスは慎重に口を開く。 「役者とは、何をお求めなのです」  玉座の男が哄笑した。 「飲み込みの悪い子供だ! いいぞ、お前くらい鈍い方が釣り餌にはよかろうて。ほれよう見てみい」  躯の並ぶ壁を、躯の玉座に身を預けた男は指差す。ずらりと並ぶ躯の中に、ぽっかりと一人分空いているところがある。シグナスは理解した。このダゲン・ラ・バーゲズなる男は、この空白にシグナスを詰め込もうとしている。 「理解は成ったか? 不合格の場合はそこに並ぶ栄誉は与えられんぞ。必死で演ずるが良い。では始めよう」  男がパチンと指を鳴らすと、それまで棒立ちしていた女騎士グロリアが突然動き出した。先だって対峙した時とは全く違う、ぎくしゃくとした不自然な身のこなしである。ただ目だけには生気が宿っており、戸惑いに瞳が揺れ動いていた。 「サー・グロリア!」  シグナスが呼びかけると、女騎士はがくがくと口を震わせながら、言葉を紡ごうとする。 「にに、ににげ、ろろ、しょう、ねねねん」 (逃げろ、だって……?) 「ここにいい、ては、いいいいいいけな」 「演者が台本以外のセリフをしゃべるな!」  男が怒鳴って玉座を叩くと、グロリアの口がガチンと音を立てて閉じ、その目から最後に残った理性が失われた。腕利きの騎士らしい凄まじい速さで剣を抜くと、あっという間に距離を詰めてくる。    ◇  今回のリプレイはここまでです。  ついに〈怨霊列車〉の主ダゲン・ラ・バーゲズと対面。  「写身の」は前回『写身の殺人者』から繋がっています。『写身の殺人者』では真犯人を成敗したはずなのに、最後の最後に鏡の中から笑いかけてくる謎の存在が示されました。ですからきっと、シグナスくんが倒した写身の殺人者だとされた人物すら「真の」殺人者ではなかったのでしょう。ということで、人外の黒幕同士のつながりを匂わせてみました。さあ、こちらの因果の糸もどう紡がれていきますか!  それでは、次の車両でお目にかかりましょう。  良きローグライクハーフを!   ◇    (登場人物)  ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。  ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉で、元人間だと主張。  ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。面白さがすべて。  ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。グロリアの火球により落命。  ・グロリア…サン・サレンの女騎士。バーゲズの命令でシグナスに襲い掛かるが……。  ・ダゲン・ラ・バーゲズ…〈怨霊列車〉の主。役者と称して躯(むくろ)を蒐集する、最悪の手合い。 ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月12日水曜日

第3回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4949

第3回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の冒険譚です。 今回の主人公たちは、元剣闘士で熟練の傭兵ヴァルグと、彼と行動をともにする、左腕に「獣の腕」を宿す少年ハルト。 貿易都市ビストフの領主マキシミリアンから受けた依頼はクラーケンの討伐。 討伐船を賜った貴族ハーツデイルを船長に、まずは海域を封じる海賊の討伐に向かいます。 コビットの船員たちに、熟練の女性砲撃手ニーナと、新米砲撃手のポール青年を加え、「クラーケンぶっ殺し号」の航海は続きます。 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7 筋力点3 従者点8】獣使い 「クラーケンぶっ殺し」号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 ●アタック01-6 アクアデーモンの襲撃【ポール】 マーフォークとの遭遇のあとは、また落ち着いた航海が続いている。 一度輝石の鱗鳥が、マストを止まり木がわりにしたくらいだ。 ウロコに覆われた奇妙で巨大な鳥で、爬虫類を思わせる外見をしている。 戦いになれば、あまりの強さに手がつけられない。 だから、魚以外の肉が欲しい船員も、あの鳥には手を出さない。 刺激しなければそうそう襲われることはないからだ。 ヴァルグが餌がわりに食料を置くと、それを脚でつかんで飛び去っていった。 やがてマドレーン海域を抜ける。 潮流の関係で海の色が変わってきたらそこがエメラルド海だ。 私は海に詳しくないハルトに、そんなふうに説明した。 ハーツデイル船長の予測では、エメラルド海に出る前に海賊船の襲撃があるだろうとのことだった。 だから、コビットの見張りも厳重に警戒していた。海賊船の出現を。 でも、そのせいで違う怪物の接近を許してしまった。 そいつらは、飛びあがるようにして、突然甲板に降り立った。 「アクアデーモン!」 誰かが叫ぶ。 見た目は人型。青緑色のウロコに覆われている。 末裔やマーフォーク。似たような海の住人には出会ってきたけれど、そのいずれとも違う。 やつらは、海中を潜航するように船に接近し、吸盤のついた手で船の側面をよじ登る。 だから発見されにくいのだ。 アクアデーモンの戦法は、一撃離脱。 船に上がるなり人をさらい、海に飛び込む。そうしたら後はやつらの思うがままだ。 すでに複数のアクアデーモンの侵入を許してしまっている。 「チイッ! 数が多い!!」 「ヒース!」 「ギャウ!」 戦いはヴァルグたちの領分だ。 火吹き獣がハルトの指示に従い、炎の舌を伸ばしながら火の玉を吐き出す。 それは船側から上がったばかりのアクアデーモン二体に命中し、たちまち海へと落とした。 アクアデーモン、海の魔物だけに、やはり炎が弱点なのか。 二体を落としたくらいでは、すでに甲板に上がったアクアデーモンたちは止まらない。 それぞれが目標を定めると、対象を海中に沈めようとタックルを仕かけてくる。 ヴァルグは二本の片手剣でしっかりと防ぎきる。 ハルトは巨大な槌を甲板に降ろし、回避する。 火吹き獣は炎の舌でけん制する。 捕獲に失敗したアクアデーモンたちは、成果はなくとも海に飛び込んでゆく。 そして最後の一体が狙いをつけたのは……私だった!? 私はなす術なくアクアデーモンにがっしりとつかまれ、そのまま海へと死のダイブを敢行されてしまった。 視界に入る甲板の距離が徐々に遠のく。そこにハルトの姿が急に大映しになった。 ハルトは、すでに甲板から私目がけて飛び出していたんだ。私を助けるために。 飛び込む勢いのまま大振りした「獣の腕」をアクアデーモンめがけて振り下ろす。 アクアデーモンが殴り飛ばされると同時に、私はぐいっとハルトの方に引き寄せられた。 そしてそのまま海へと落下した。 「テメェはバカか! 泳げねェくせによ!!」 船からヴァルグの叫びが聞こえる。 ハルトは、泳げない? 見るとハルトはすでに水を飲んで、ぐったりしている。 私は慌ててハルトを支え、顔が上になるように、あお向けの体勢にした。 同じくあお向けになった私の胸のあたりにハルトの顔がくるようにして支える。 厚手のマントは水を吸って重い。隠そうとしている腕が皆の目にさらされてしまうが、外さざるを得なかった。 「なんとかなんねェか! 浮くものを!」 「ヴァルグ落ちつけ、今用意させている」 「これが落ちついていられるか!!」 やがて甲板から、ロープのついた樽が投げ込まれた。 私は波にあおられながらゆっくりと接近し、どうにか樽につかまって浮力を確保した。 アクアデーモンの追撃がないのは幸いだった。 一度捕獲に失敗したらすみやかに去る。 それがやつらの流儀であり、習性なのだろう。 私は、私の腕の中の少年を見る。獣の腕の大きさのせいか、とても小さく見える。 彼に救われたのは、これで二度目だ。 一度目はクラーケンの触腕に襲われたとき、そして今。 彼は命の危険もかえりみずに、船外に飛び出した。よく知りもしない私なんかを助けるために。 この少年を死なせるものか。 そうして、救命艇によって助けられるまで、なんとか持ちこたえることができた。 [プレイログ] 【65 輝石の鱗鳥】 【輝石の鱗鳥 レベル6 生命点3 攻撃回数2】 反応 サイコロの出目5 ワイロ(食料2個) ヴァルグが食料2個を与え、終了。 【54 アクアデーモン】 【アクアデーモン レベル3 6体】 反応 サイコロの出目5 敵対的 【0ラウンド】 ヒースの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル アクアデーモン6→5  追加攻撃 サイコロの出目3 クリティカル アクアデーモン5→4 アクアデーモンの引きずり込み(目標値3) ヴァルグ サイコロの出目4 回避 ハルト サイコロの出目2+技量点1=3 回避 ヒース サイコロの出目2+技量点1=3 回避 ポール サイコロの出目1 引きずり込まれる 【1ラウンド】 ヴァルグの攻撃 サイコロの出目1 外れ ハルトの攻撃 サイコロの出目4 アクアデーモン4→3 アクアデーモンは半減したため逃走。宝物判定なし。 ●アタック01-7 海賊船「鮮血号」【ポール】 ハルトをひとまず甲板に寝かせる。 マントがないから、黒毛に覆われた「獣の腕」がむき出しだ。 船の乗組員たちは、そのハルトの姿に息を呑んだ。 「この腕がなんなのか、説明を求めてもいいか?」 ハーツデイル船長が代表して、ヴァルグに問いかけた。 「俺も詳しくはわからねェが、厄介な呪いにやられてる。そこらの解呪師にゃ解けなかった」 「そう……なのか」 「霊廟の財宝を守る霊に呪われたとき、俺はやられたがコイツはなんともなかっただろ? ありゃ多分、より強力な呪いを受けてるせいではじかれたんだな」 「……」 「戦いになるとヤベェ力を出すが、今ンとこ他に影響はねェ。だから気にすんな」 「気にするなと言われてもな……」 そのとき、ハルトが小さなうめき声とともに、目を開けた。 私はたまらずハルトにとびついた。 「ハルト、私だ。ポールだ。私がわかるか?」 「あ……、ポールさん、無事だったんすね」 「ああ、ああ。君のおかげで助かったよ」 そこにヴァルグのドでかい声が降ってきた。 「テメエはバカか! 泳げもしねェクセに海に飛び込むなんざ」 「夢中だったんだ。ごめんなさい」 「ヴァルグ……さん、私は彼のおかげで命拾いしたんです。だからそれ以上は」 「俺ァな、テメエの命を大事にしろって言ってんの! 怒っちゃいねェよ!!」 どう見ても怒っているようにしか見えない。 ハルトは、自分がマントを身につけていないことに気がついたようだ。 「ハルト、すまない。海に浮かせるために外さないわけにはいかなかったんだ」 「大丈夫。どの道戦いになれば見せるモノ。師匠からも、『そンときゃためらわず使え』って言われてたし」 「そうそう、早ェか遅ェかの違いでしかねェのよ」 ハルトが意識を取り戻し、船内に安堵の空気が流れたそのときに、見張りの声が高らかに響いた。 「見えました! 海賊船『鮮血号』です! 右舷前方! まっすぐこっちに向かってきます」 「最悪なタイミングだな! クソが」 「……やれます。オレの武器をください」 「武器って、これのこと?」 ニーナが巨大な槌を両手で引きずりながら持ってきた。 「そう。ありがとう」 ハルトは荒い息を吐きつつも身体を起こし、「獣の腕」で槌を軽々と受け取る。 その腕は、恐ろしいものというよりも、頼もしいものとして私の目には映った。 「いけるか?」 「もちろん」 そうしてハルトは、師であるヴァルグの横に並び立った。 「ニーナ、ポール、砲撃準備急げ。全船員、武器を取れ」 ハーツデイル船長がてきぱきと指示を飛ばす。 私とニーナは砲座へと向かう。 そうしている間にも、海賊船「鮮血号」は、みるみる距離を詰めてくる。 船同士の戦いでは、位置取りが重要だ。 砲門は横腹についている。そのため、敵船に対しどのように有利に側面を向けられるかが重要となる。 「海賊船の馬鹿げた突貫にはつきあっておれん。舵を切れ。迂回して並走、接舷するぞ」 正面から突っ込んでくる無謀な鮮血号に対し、巧みな操舵で迂回する。 操船技術は明らかにこちらが上だ。 「撃て!」 迂回の軌道に乗ったことで、砲門が敵船を捉えた。 すかさず砲撃を仕かける。 ニーナの砲撃は鮮血号の船側に命中。木片が飛び散る。 私の砲撃はマストのやや上方に当たった。鮮血号の船速が削がれた。 「いいぞ、よくやった」 クラーケンぶっ殺し号は、鮮血号を後背から捕捉、並走に移行した。 鮮血号はガレー船だ。こちらよりも船体がやや低い。 鮮血号から、次から次へと鉤縄が飛んでくる。 鈎が舷側にがっちりと食い込み、ロープがピンと張って二隻を引き寄せる。 船腹がこすれ合い、木が軋む耳障りな音が響いた。 船が大きくよろめいた。 そこに鮮血号側から渡板が幾本もかけられる。 「あたいらの船を傷モノにした罰だ。あんたらの船をまるごといただくよ!」 鮮血号の甲板では、血のように赤い長コートを羽織った女船長が号令をかけている。 海賊船の船員の多くはオークだ。渡板を渡ってくる。 「白兵戦だ。気を引き締めろ!」 私とニーナも砲座を離れ、それぞれ武器を取った。 ●アタック01-8 海賊船の戦い【ハルト】 オレの目の前では、今まさに海賊と船員との戦いが繰り広げられていた。 「一対一では戦うな。海賊どもを囲い込め!」 白奴が右へ左へと、細かな指示を飛ばす。 こんな、敵味方が入り乱れての戦いは始めてだ。 白奴は、味方の手が薄いところを見るや、援護に回る。 カタナをすらりと抜き放ち一閃。たちまち海賊オークが次々と斬り倒されていく。 なにが戦力外通告だよ。もしかして、オレより強いんじゃないか? 「俺たちのやることはひとつだけだ。わかってるなハルト」 「ああ。もちろん。親玉をぶっ潰す」 「そのとおりだ。いくぜェ!」 オレは敵が敷設した渡板から、鮮血号へと乗り込んだ。すぐにヒースが続く。 師匠は豪快にも渡板を使わず、そのまま鮮血号へと飛び降りた。 甲板の女船長と対峙する。周囲には海賊オークども。その数は十体以上。 「おやおや、そんな少人数で乗り込んでくるなんて勇敢なおバカさん」 女船長から漂ってくるのは、ものすごい臭気だ。肉が腐った臭い。 近くで見て気づく。女船長の服は汚れきっており、ボロボロだった。 頬肉も一部そげており、ひゅーひゅーと音がもれていた。 「アイツはもう、死んでいる。『アンデッド』ってやつだ」 師匠はニヤリと笑った。 「俺の得意分野だ」 師匠の持つ剣の一本は、悪魔や不死の敵に絶大な威力を発揮する聖剣なのだ。 「死んでも宝を欲しがる強欲ババアにゃ、お仕置きが必要だな!」 「言わせておけばあ! やっておしまい!」 海賊オークどもがオレたちを取り囲む。 「獣の腕」に熱がこもる。戦いたい、という衝動がオレを蝕む。 師匠は目の前の甲板に、二本の剣を突き刺した。 素手で身構える。 「なめてんのかい?」 「見せてやるよ。大勢相手にするときの戦い方ってヤツをよ!」 ヒースが火の玉を放ち、海賊オークの顔面を燃やした。 それが開戦の合図だった。 師匠は素早い動きで海賊オークに接近すると、顔面目がけて剛腕を叩きこむ。 後背の敵めがけて鋭い蹴りを放つと、次の瞬間には身体を沈め、下から突き上げる拳でまた一体を倒す。 オークはたちまちその数を減らしてゆく。 「な、なんて強さだい」 「チッ。ウゼェ呪いを食らったせいで動きにキレがねえな」 「これでまだ全力じゃないってのかい」 いつもは武器を手にして戦っている師匠だけど、素手での戦いの方が動きがいいように見えた。 もしかしてこれが、闘技場の剣闘士の戦い方なのかな。 オレも負けてはいられない。 獣の腕を振るい、力まかせの槌の一撃で、海賊オークを叩き潰す。 しかし横から別のオークに体当たりをかまされ、大きくよろめき、片膝をついてしまった。 いけない。獣の腕の闘争本能に身を委ねすぎてしまった。しずまれ、オレの左腕よ。 「敵は目の前だけじゃねェ。常に周囲に気を配れ」 そう言う師匠は同時に何体を相手にしているのか。 オレとヒースがそれぞれ一体ずつを倒す頃、師匠は四体を甲板にはいつくばらせていた。 残りは四体。師匠がにらみを利かせると、たちまち逃げ去ってしまった。 「置いて逃げられるとか、船長のクセに人望ねェのな、テメエ」 「あんたの強さがデタラメすぎんだよ」 「言ったろ。俺は調子悪りい。だりィんだよっ!」 師匠は甲板に突き刺した二本の剣を抜き、構えた。 「とっとと終わらせる。テメエにはきっちり聖剣を叩きこんでやるからよ!」 そして師匠の連撃が決まり、たちまち女船長を追いつめていく。 「ヒース、火を!」 「ギャウ!」 ヒースに指示して、オレも隙を見て殴りかかる。 ヒースの火の息は女船長にダメージを与えたが、そのためにオレの接近に気づかれ、あっさりかわされてしまった。 女船長がきつい目でオレをにらみつける。 「ハン。卑怯とでも言いたげだな。下っ端を大量にぶつけといて、テメェは一対一で戦うつもりだったか」 師匠が挑発した。 女船長は、そんな師匠の安い挑発に乗り、オレと師匠へ同時にしかけた。 師匠の狙いは敵を怒らせ、集中力を乱すことにある……と思う。ただの素かもしれない。 けれども、女船長の激高ぶりは、予想の上をいった。 オレは攻撃を受けそこね、防いだ獣の腕を浅く傷つけられてしまう。しかしその血は、逆に、オレの闘争心をかきたてた。 そして師匠の方も、女船長の剣をかわしきれずに傷を増やしていた。 女船長は愉悦の表情を浮かべたが、すぐ次の瞬間、驚愕に目が見開かれた。 師匠の動きは傷を負わせられながらも止まらず、まっすぐ女船長を切り裂いたからだ。 自身が傷つくのをまったく恐れない、常人にはなしえない動きだった。 「俺の体の傷はすべて、反撃の証だッ!」 師匠が吼える。女船長はうろたえる。 その隙を逃さず、師匠、オレ、ヒースが追撃する。 女船長は防戦一方だ。 そのとき、女船長が苦しまぎれに放った一撃が、師匠にヒットした。 反撃におびえ、警戒する女船長。 しかしその反撃がないと知るやほっとしたような表情を浮かべ、……そのまま固まった。 傷を負いながらも、師匠が笑っていたからだ。 女船長が、誘い込まれたと悟ったときにはもう遅かった。 オレは背後から、動きを止めた女船長の脳天に、容赦なくトドメの一撃を振り下ろした。 「ハッ。俺の動きに気ィ取られ過ぎたな」 女船長は、何も言わずに倒れ伏した。 師匠は女船長が身につけていたボロボロのペンダントを取り、オレに投げてよこした。 「戦利品だ、とっとけ」 船長を失い、戦いの趨勢は決した。 海賊たちは、ある者は投降し、ある者は逃亡の望みを賭けて海へと飛び込んでいった。 オレたちは意気揚々と、「クラーケンぶっ殺し号」へ帰還した。 次回、ビストフへ一旦帰還し、次なる航海へ。 [プレイログ] 【最終イベント『鮮血号の女船長』】 【鮮血号の女船長 レベル5 生命点5 攻撃回数2】 【部下×11 レベル3】 【0ラウンド】 ・ヒースの攻撃 サイコロの出目4 命中 部下11→10 【1ラウンド】 ヴァルグは武器を置いており、【格闘術】使用。 【格闘術】〈弱いクリーチャー〉に対して素手攻撃の【攻撃ロール】を行ったさい、サイコロの目が4以上かつ攻撃が命中した場合はクリティカルが発生します。 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目3 命中 部下10→9 ・ハルトの攻撃 サイコロの出目3 命中 部下9→8 ・ヒースの攻撃 サイコロの出目3 命中 部下8→7 部下7人の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目3、3、6で3回とも回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目4、1で一回ダメージ ハルトの生命点7→6 ・ヒースの回避 サイコロの出目5、6で2回とも回避 【2ラウンド】 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル命中 部下7→6  追加攻撃 サイコロの出目4 【格闘術】クリティカル命中 部下6→5  追加攻撃 サイコロの出目5 【格闘術】クリティカル命中 部下5→4  追加攻撃 サイコロの出目2+修正0 外れ 残る部下4人は逃走。 【3ラウンド】 ・ヴァルグは素手から武器の持ち替え。 ・ハルトの攻撃 サイコロの出目2+技量点1 外れ ・ヒースの攻撃 サイコロの出目3+技量点1 外れ 女船長の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目3+修正2 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目6 回避 【4ラウンド】 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル命中 女船長の生命点5→4  追加攻撃 サイコロの出目3+技量点1 外れ ・ハルトの攻撃 サイコロの出目2+技量点1 外れ ・ヒースの攻撃 サイコロの出目4+技量点1 命中 女船長の生命点4→3 女船長の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目1 命中 ヴァルグの生命点9→8  ヴァルグの【不屈の一撃】 サイコロの出目4+修正2 命中 女船長の生命点3→2 ヴァルグの筋力点4→3 【不屈の一撃】斬撃ダメージを負った際、即座に修正+1で反撃できる。筋力点消費1 ・ハルトの回避 サイコロの出目2 ハルトの生命点6→5 【5ラウンド】 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目3+修正1 外れ ・ハルトの攻撃 サイコロの出目5 命中 女船長の生命点2→1 ・ヒースの攻撃 サイコロの出目3+技量点1 外れ 女船長の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目2 命中 ヴァルグの生命点8→7  ヴァルグの【不屈の一撃】 サイコロの出目1 外れ ヴァルグの筋力点3→2 ・ハルトの攻撃 サイコロの出目4+技量点1 命中 女船長の生命点1→0 戦闘終了。 【宝物判定】 ・サイコロの出目3+1 1d6×1d6のアクセサリー サイコロの出目1、1 金貨1枚相当のアクセサリー ●ボロボロのペンダント(金貨1枚)入手 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9→7 筋力点4→2 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】20 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) ハチミツの塊2(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】0 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【備考】呪いのため攻撃ロールにマイナス1 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7→5 筋力点3 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】43 【持ち物】 ランタン 蟹座の彫刻(金貨300枚、持ち物欄2消費) 平穏のポーション(船酔い回復、対魔法ロール+2) ボロボロのペンダント(金貨1枚) 【獣血】【凶暴化】【騎馬防御】 【未使用経験点】0 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 白奴 ホビット乗組員たちをまとめるチーフ。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! 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2026年8月11日火曜日

『Monkey business 2』-斥候の犬- FT新聞 No.4948

 挨拶に代えて。  ついに、齊藤飛鳥先生による「ミステリ」としての、しかも「ローグライクハーフ」しての作品、『霊廟館の悪夢』登場!  これでミステリ作家としての先生の味を十二分に楽しめる!  その手ごたえは、本格推理ものとして、あそびごたえがある一本でした!  あまりの喜びに、ついに一本書いてしまいました。  拙作の二次創作に、快く許可を出していただけた齊藤先生に、大いなる感謝を込めて!  つたない作品ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『Monkey business 2』  -斥候の犬-  著:葉山海月 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■    冒険者として、やっと独り立ちして十ン年。  君は、今日も殺人的なミッションをタフにこなし、「ああ、今日も忙しい野良犬な一日だった」と、場末の酒場に足を運ぶ。  店内に流れる甘ったるい音楽が、心をマッサージする。  これで、疲れを吹き飛ばすような「彼女」がいればなぁ、と夢想していた。  しかし、思い出すのは、かつて出会った女吸血鬼の館『霊廟館』の事件。  事件自体も、複雑な条件が絡み合い、不可能犯罪に見えた。  しかし、その中でも、ひときわ異様だった一人の少女。  その名はクワニャウマ。  「かわいい」というよりも「たくましい」(特に商魂)という顔をしていた彼女。  にやけているヤマネコのような印象の少女。  何よりも犯人を適当に指摘した時の、みぞおちに入れられた一撃が忘れられない!  あれのおかげで、全身にスパークが走り、犯人を指摘できたのだ。  「高嶺の華」というよりか「高くつくそのへんの花」みたいな彼女を、どうして思い出したのだろう?  不思議に首をかしげていると、「わたしのこと、呼んだ?」と声をかけられた。  見て見ると、あのトンでも少女の面影が残る、「おねえさん」じゃないか? 「なぜ? ここに?」 「あんたはわたしを探せないかもしれないけど、わたしは呼ばれたら飛び出すのがモットー。あんたの居所なんて教えてくれなくても横に立つ」  そういえばこの店の名前が『泥酔の泥沼亭』。流れる曲が『覚えてますか? 愛しい時を』だったことを思い出す。 「へぇ。あんたもお酒、飲めるトシになったんだ」  こちらに運ばれてきた酒は、そう弱くないのを見て、クワニャウマが揶揄する。 「あんたがお酒をたしなむ歳になったくらいには」    当然ながら、話はいつしかあの事件について飛ぶ。  というのが、お互い共通した体験が、それしかないから。 「しっかしねぇ。よくもあんなに細かいところから手がかりを見つけて、組み立てたもんだねぇ」  クワニャウマは「青い月」という、いわゆるかき氷に柑橘系のお酒をまぶしたもの、(この店だけで出す特注品)を注文したところで、語りだす。 「まぁ。たまたま運がよかっただけだよ」  君も注文を終えたので、謙遜しつつまんざらでもない顔で言う。 「わたしも年食った間にいろいろあってね。じゃあね。この謎は解けるかな? 最近、旅先でわたしが『弁護』した事件なんだけど」  ……はは、これが無いと夏がはじまんないんだってばさ。  クワニャウマは、愛しそうに自分の前に置かれた、皿にフルーツが盛られたフローズンカクテルを愛でる。  夜も、君に来た酒も、序の口。  君は早速クワニャウマを促す。  隣国との関係がちょっとキナ臭い国……「T国」とでもしておく……では、建国100周年を祝って「王家の犬」を、広く一般市民からも募集していた。  生まれも育ちも関係無い。とにかく「これは王家にふさわしい!」と思われる逸話を残したワンちゃんを集め、その中で一番優秀な一頭を王家の犬として公式に迎え入れようとしたのだ。 「で、その時に面白いエピソードがあるんだヨ」  彼女は、氷を匙で一口すると、切り出し始めた。  ナンバーワンのエピソードがこれ。  その国が独立戦争を始めたとき、ある斥候がいた。  彼には、いつも一緒にいる家族同然の犬がいて、いっつも行動をともにしていた。  で、切り込み部隊の先導として、敵地に偵察に行き、もしも何かまずいことが起こったら、ぎりぎりまで自分の陣地へ戻って赤い旗を振っていたのさ。  彼は全力を持って期待に応え、部隊からの信頼も厚かった。  そんなある日、敵の一団が、罠をはった。  先もってその部隊の行くところを待ち伏せして、一気に叩こうとしたわけ。  もちろん、その斥候は異常に気づき、仲間のところへかけ戻ろうとしたけど、追っ手にやられて大怪我をした。喉を深く傷つけられ、もはやこれまでか!  そいつが覚悟を決めたとき、その犬が大活躍!  彼は、自分の主人の血で赤く染まった上着を引きちぎって脱がせ、仲間のところへ駆け寄って、それを振るように走り暴れまわった。  その犬の異常さ。そして赤い布を見て、仲間は進撃を中断した。  一部隊の命を救ったのさ。 「いい話じゃないか」  君は正直なところを述べた。  クワニャウマは、皮肉な笑みで答えた。 「ところがね。そううまく世の中が転がるんだったら、わたしは今頃一国の大臣になってる」  それに異議を申し立てた者がある。  自称、「犬の研究家」さ。  そいつが言うことには。 「恐れながら陛下、この話は真っ赤な嘘と思われます。  というのが、犬は目が悪く、白黒なぼんやりとした視界しかございません。色が識別できないのに、どうして「赤い」布を認識できたのでしょうか?」 「この話を聞いて、その斥候の評判は一夜にしてひっくり返った。 『自分の名誉のためだけに、大嘘をついた大悪党』ってなもんね。  喉をやられて、一命をとりとめたやっこさんも、声が潰れていてろくに弁護ができない。かわいそうに、王家を騙した罪で、辺境の地へ流されるとこだったよ」 「それで?」 「そこで、名うての弁護士、クワニャウマ様のご登場」   彼女はニコリ、と向日葵が咲いたような笑顔を繰り出す。  そして、指を三本出した。 「何それ? 3杯おごれってこと?」 「いや、金貨3枚」 「高すぎるよ。せめて3杯おごれ、にしてくれよ」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・作者からの挑戦状。    私は犬でないのでよくわかりませんが、「犬は色を感知できない」ということを前提にします。  それならば、どうしてこのワンちゃんは、「赤い色」を識別できたのでしょうか?  「偶然それを取った」という答えは、面白いですがそれはなしにします。  クワニャウマと、「君」がもめている間に、答えをどうぞ!  制限時間は1分!  どうぞよろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  結局は、この店で一番高い酒を「正解」の代金にするということでお互いの利益は一致したらしい。  クワニャウマ切り出し始めた。  結論から言うと、その斥候が振り回していた布。  そいつには血が染み込んでいたんだな。  なんでも、初陣で斥候をやった時に、自身も大怪我をしたそうで、しかも、あたりに目立つようなものは無い。  そこで、自分の血で染めた下着を振り回して、仲間に危機を知らせた。  それ以来、「初心忘れるなかれ」という意味も込めて、その記念の布を使ってた。  つまり、布には「そいつの血と汗の匂い」が染み付いていたんだな。  で、今回の事案。  色はわからなくても「自分の主人が危機になると振り回している」血と汗にまみれた布がある。  お利口な犬は、咄嗟に機転を利かせて、血まみれの上着を使った。  これが事件の真相だよ。  彼は再び一転して、莫大な名誉と地位を得たよ。  わたしに弁護料を払えるくらいに」 「さぁて、まだまだ夜は長いよ。あんたに話がなくっても、こっちにはつもる話が、たっぷりあるの。なくってもでっちあげるケド。まぁ、その前に乾杯と行こうよ」  クワニャウマは、真顔になって聞く。 「ところで、この勘定は、あんた持ちだろうね」  なんで彼女を思い出したか、それがわかった。  永遠のとてつもなくフリーダムな女、それがクワニャウマだからだ。   ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 本作に登場した酒場『泥酔の泥沼亭』のイメージミニチュア(制作:葉山海月) https://ftbooks.xyz/ftnews/article/bar1.JPG https://ftbooks.xyz/ftnews/article/bar2.JPG ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月10日月曜日

カタログ、作っています☆ FT新聞 No.4946

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ 今年は去年よりも、イベントによく出ています。 そこにはそこでしか会えない、FT書房の作品を買ってくださる方と会うことができて、話をすることができて嬉しいです。 また、メール等でいただくおたよりとはまた違った角度の考えを知ることができて、参考になります。 さて、今日の記事に入る前に、蕨之介さんから「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオ公開について、ご連絡をいただきました。 ありがとうございます☆ 油断しているうちに2作品分のメッセージをいただいておりました……失礼しましたm(__)m ☆蕨之介さんからいただいたメッセージ抜粋☆ 今回はギリシャと宇宙を舞台にしたものです。 以前からやってみたかった「聖闘士星矢」チックなギミックを入れた、調子に乗った一作です。 ご笑覧いただけますと幸いです。 「希望の小惑星」 https://kakinokishokai.booth.pm/items/8689846  BOOTHさんにてシナリオを無償公開いたしましたこと、御報告いたします。  クリスさんのキャラクター、ブラックハートとエリカ・アメリカを使わせていただいております。  もちろん、クリスさんには了承をいただいています。 「月の秘密」 https://kakinokishokai.booth.pm/items/8693387 ☆ここまで☆ ◆最近、はじめたこと。 やることが多いのでゆっくりと進めていることがいくつかあるのですが、そのうちのひとつをご紹介します☆ 実は2019年に、FT書房の作品を紹介したPDFを作って、無償公開しました。 作品カタログみたいなもんです☆ ↓FT書房作品紹介 https://ftbooks.booth.pm/items/323032 FT書房は「油断するとすぐに新作を出す」ことで知られている集団です。 イベントでお会いしたファンの方はしばしば、「以前のイベントで何を買ったのか、忘れてしまった」とおっしゃります。 作品紹介のカタログがあれば持っている作品を把握しやすくなるとのことで、この作品紹介は好評でした☆ でも、これ、7年も前のものなんです★ ◆「ローグライクハーフ」「モンスター!モンスター!TRPG」の作品紹介、したいねえ☆ この7年前に作った本を更新したいなあと、最近、思っています。 そう思っていたのですが、ふと「いや、ちょっと違うぞ」と気づきました。 この2019年度版の作品紹介本は、FT書房作品のほとんどが文庫本サイズだったときのもので、それだから文庫本のカタチをしています。 今は「ローグライクハーフ」や「モンスター!モンスター!TRPG」など、B5サイズの書籍が増えています。 B5サイズの作品を紹介するなら、その紹介本もB5サイズにしたい。 つまり……「ローグライクハーフ」や「モンスター!モンスター!TRPG」を紹介する本を作るなら、別のものとして作るのが適切だと、感じたわけです。 そこで私は紫隠ねこさんのご協力のもと、「ローグライクハーフ」の作品情報を確認しました。 公式で書籍化したものだけで16作品、電子書籍も含めると20作品に及ぶことが分かりました。 「ローグライクハーフ」の入り口に最近立ったというファンのためにも、作品紹介を作らないと! そう思い、コツコツ取り組んでおります☆ 「モンスター!モンスター!TRPG」も同様で、どんなものかをまとめています☆ ◆水波流編集長と話したこと。 2026年8月9日(日)に、北澤慶先生が主催するTRPGイベント「TGFF(テーブルゲームファンフェスタ)」に、FT書房も物販として参加してまいりました☆ 古い知り合いやファンの方とたくさんお会いすることができて大満足なイベントだったのですが、そこで水波編集長と顔を合わせて、いろんなお話をしました。 ファンメイドの「ローグライクハーフ」のシナリオとリプレイを合わせると、今や200作品にも到達する勢いなのだそうです☆ しみじみ嬉しいナァと思いました……200作品が公開されている国産TRPGって、そんなに多くはないと感じます。 ◆せめて、公式だけでも! 200作品すべての作品紹介を私が作ることはあたわないのですが、せめて公式作品については、FT書房作品が網羅的に把握できるカタログを作りたい。 今、そう思っています。 FT新聞で配信するシナリオづくりや、ゲームブック制作なども並行してやっていくので、完成するのはだいぶん後になると思いますが……地道に進めてまいりますので、楽しみにしていただけましたらさいわいです! それではまた☆ ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月9日日曜日

Re:オレニアックス生物学 Vol.6 『ウルフドッグ』 FT新聞 No.4946

(編註:この記事は、過去の人気記事を再配信するReシリーズです。文中のコメント等は全て当時のものとなっております) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ オレニアックス生物学 Vol.6 『ウルフドッグ』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 狼犬ウルフドッグ。 狼の戦闘力に犬の忠誠心を持つ、 ハイブリッドの危険な番犬。 アランツァのウルフドッグは、 どうやらそれだけではないようです。 あなたが冒険者として力をつけてきたなら、 よく調教されたウルフドッグは落とし穴。 本日の授業は聞き逃せません、、、 * 生物学の授業は非常に重要な科目だった。 アランツァの地での戦いは、戦争となるとまた話は別だが、人間以外の生き物と交戦することも少なくなかった。 聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラントは生物学の権威。 そんな彼の授業は生き物の外見、性質、そして対処方法を教えてくれる。 生徒たちを生き残る道へと導く、確かな灯火だ。 今日もカメルの授業が始まる……。 * 「さっそく聞くが、このなかにウルフドッグと戦ったことのあるものはおるかね?」   開口一番、グラント博士は英雄候補たちにこう問うた。   さすが、というべきか、ちらほらと手が挙がる。 「これは驚いた。アヴィオン、ニナ、そしてガリィか」   前の方に座っていたガリィが驚いて振り返る。君の隣に座るヘイルが目をそらし、君の脇を肘でつついた。ヘイルと二人で含み笑いをする。 「では、ガリィ」 「うわ」   当てられたガリィがなぜか参ったという声を上げる。彼の様子に、クスクスと笑い声が上がる。 「なにがうわかね。君はどうやってウルフドッグを撃退したのかな? その時の様子を聞かせて欲しいのだが」 「あ、えっと……いや、大したことないんで、俺はいいです」 「こらこら。この授業は君のためだけじゃない。君の経験が、クラスメイトを救うことにもなるんだぞ」 「うーっ……」   悩むガリィを見て、君とヘイルはこらえきれなくなってプッと吹き出す。 「あーくそ、どうにでもなれ!」   ガリィは観念したように話し始めた。 「礼拝堂の隣の宿舎に入ろうとしたら、噛み付かれたんです」 「ほう、興味深いな」   グラント博士は目を見開いた。 「ウルフドッグは番犬として居たわけだな。どうして宿舎の番犬に噛み付かれたんだね」 「それは……」 「入ろうとした、というより、忍び込もうとしたというわけかね」 「あ、はい」 「日が沈んでから?」 「あ、はい」 「なぜ」 「あ……それは、その……シ、シスターに会いに行ったというか……」 「ほう。シスターに忍んで会いに行って、番犬のウルフドッグに噛み付かれて、それで?」 「で、ゴロゴロ転げまわったら服が破れて自由になったんで、そのまま逃げました」 「ふうむ」   グラント博士は眉を寄せてため息をついた。 「それは、ウルフドッグを撃退したとは言わんな。君がウルフドッグに撃退されたのだ」   ドッ、と教室が沸く。   ガリィは顔を真っ赤にして言い訳する。 「いや、でも、俺だけじゃないんですよ!」 「言い訳は男らしくないぞ、ガリィ!」   ヘイルがそれを打ち消すように叫ぶ。また教室が沸いて、グラント博士は彼らを鎮めなければならなかった。 「分かった分かった。その話は、職員室でじっくり聞こうじゃないか」 「うへえ」   ガリィは情けない声をあげた。 「手ぇ上げるんじゃなかった……」   また教室からゲラゲラと笑い声が上がった。その笑い声の大半は、ガリィと一緒に忍び込んだ、君とヘイルのものであったが……。 * 「では、気を取り直して質問しよう。アヴィオン、ウルフドッグに出会ったら、どのように対処するのが正しいか?」   グラント博士は狩人のアヴィオンを指名する。   アヴィオンはいつもの静かな口調で、すぐに答えた。 「その前に一つ質問させて下さい」 「うむ」 「出会った場所は、森ですか? 洞窟ですか?」 「ううむ」   グラント博士は反すうしていた口をピタリと止め、ニッコリと笑った。 「的を射た質問だな。優れた質問は優れた答えよりも尊い。アヴィオン、では、狩人の君から、森で出会った時、洞窟で出会った時、それぞれの対応について教えてくれないか」 「はい」   彼は静かに微笑みながら、控えめに話し始めた。 「洞窟で出会ったなら、部屋を塞ぐように守っている事が多いはずです。引き返しても、追ってくることはないでしょう。十分な準備をしてから戦うべきだと思います」 「例えば?」   グラント博士の問いに、アヴィオンはすぐに答える。 「例えば、狼犬の鋭い嗅覚を逆手に取るために、刺激臭のする物を用意します。部屋の中にぶちまければ、ウルフドッグの強さを半減できるでしょう」 「なるほど。では、森で出会ったら?」 「森でウルフドッグに出会ったら——」   アヴィオンは首を振った。 「どうか天国にいけるよう、自分の信じる神に祈れ。……そう言われています」 *   穏健派のアヴィオンのこぼした意外な言葉に教室はざわつく。 「こらこら、静粛に。アヴィオン、それは一体どういう意味か、皆に説明してくれないかね?」   グラント博士はしばらく反すうをしていたが、この件は完全にアヴィオンに任せてしまったようで、彼に続きを促した。 「はい。森で出会った狼犬は非常に危険な存在です。灰色熊と出会うか、ウルフドッグと出会うかと問われたら、僕なら灰色熊と戦うことを選ぶでしょう。まだ、逃げきれるかも知れませんから」   アヴィオンは話し始める。 「彼らは、誤解されやすい種族です。狼よりも少し弱いくらいだろう、と高をくくる冒険者もいます。それは間違いです。銀色に輝く彼らと実際に向い合ってみればそれが分かります。全身の毛が逆立ちますよ。猛獣です。犬よりも、狼よりもずっと大きいのです。イノシシと同じ体重を持ち、全身は筋肉の塊です。頭は分厚い頭蓋骨と頸椎(けいつい:首の骨)に守られています。当たりそこねた刃など、ものともしません。鋭い牙を持ち、一度噛みついたら肉を引きちぎるまで離れません。脚力が強く、枝の上に隠れるヒョウなどにも飛びつく跳躍を見せます。森を駆ける姿は銀の風のようです。森の動物は誰も逃げられません。嗅覚も犬のように鋭いのです」   アヴィオンはとつとつと話すが、顔は少し紅潮しているようだった。   グラント博士はうなづいて、彼に質問した。 「逃げるのではなく戦うのなら、どうなるかな?」   アヴィオンは問い返す。 「森で戦うんですよね」 「戦うことはできないかね?」 「いいえ、どうしてもというならやります。森は彼ら獣の領域ですが——」   アヴィオンはキッパリと言った。 「僕の領域でもありますから」 * 「森の中なら、罠を仕掛けます」   アヴィオンは森に潜む一本の木のような佇まいだったが、狩人としての知識を披露する時には、そこにキラリと刃が輝いたようだった。 「効果的な罠はスネアとかトラバサミなど、動きを止めるものがいいでしょう。彼らの知能が高いとは言っても、しょせん獣ですから、人間の知恵にはかないません。いや、人間は、知恵でしか勝てない、というべきかな」   アヴィオンは慎重に言葉を選んでいるようだった。 「肉弾戦なら、分厚い金属鎧を装備しなければならないでしょう。ヘイルのような特別な身体であれば別ですが、我々の首には大事な血の管があります。ウルフドッグはそれを知っており、首を噛み付いてくることが多いのです」   アヴィオンの答えに、グラント博士は更に質問する。 「遠距離戦なら?」 「弓矢がいいと思います。狙うのは心臓です。ですが……」 「どうした?」 「ウルフドッグに気づかれずに矢を射ることができるなら、引き返して別の道を行くべきだと思います」 「なるほど」   グラント博士は彼の言葉に大きく頷いた。 「アヴィオンは大事なことを教えてくれたな。不要な戦闘をけしかけることは、勇気ではない。軽はずみなだけだ、と」 *   授業も終わりに近くなり、グラント博士は真面目な口調で話し始める。 「魔法による掛け合わせで生まれたウルフドッグは、魔法を使わねば調教が難しく、本物の狩人でなければ飼いならすことができない。ただ、一度飼い馴らせば、血よりも濃い絆で結ばれるという。以上のことから分かることは何か? さすがに優秀だな。よく手が挙がるクラスだ。では、マグス」   錬金術師のマグスは、コクリと頷いた。 「ウルフドッグは人間にしか扱えない、ということです。彼らは錬金術の生み出した生物兵器だからです。だから、錬金術を理解する知能を持った限られた種族、つまり、人間にしか扱えません」   その言葉を引き継いで、グラント博士はニナに水を向ける。 「過激だな、マグス。エルフはウルフドッグを使うことはないのかね? ニナ」 「使いません。恐らく人間だけでしょう」   エルフのニナは、微笑んで首を振る。 (「そんな不自然な掛けあわせ、自然を愛する森の民なら許しません」とでも答えられたら盛り上がるんでしょうけど、ネグラレーナの商売ではそういうのも取り扱ってたからね……)   ニナは笑顔の裏で、密かに舌を出した。彼女の複雑な胸中を察するものは、ほとんどいないだろう。   グラント博士は続ける。 「ウルフドッグから逃げ切ることは至難の業だ。推定最高速は時速100キロで、全力で30分だって駆けつづけることができる。速度を半分に落とせば、一晩中だって走れるという。やはりウルフドッグは、森で一番出会いたくない獣のうちの一つだといえるだろう。どうしても戦わなければならないなら、地形を利用した罠を仕掛けたり、網で捉えることや布を噛ませることで、動きを止めることを考えること」   終業の鐘がなる。 「もっとも、アヴィオンの教えてくれたとおり、ウルフドッグを扱うものと敵対せぬに越したことはない。もしそうなってしまったら、ウルフドッグは犬とも狼とも違う、一種の猛獣だと心得て、正面からでなく、知恵を絞って戦うこと。以上!」   博士はピンと背すじを伸ばしたまま、教室の扉を開ける。ありがとうございました! と声が響く。   若い生徒たちに教えることのうち、どれが役立ち、どれが無駄になるかは分からない。   だが、いくつかはきっと、彼らの命を永らえさせてくれるだろう。   そう信じて博士は今日も教鞭をとる。 (From:清水龍之介) ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴  ウルフドッグ  部屋に入ると大きくて凶暴そうな犬が吠え掛かってきた。狼犬ウルフドッグだ! 部屋の奥には綺麗な道が見える。戦わずに逃げるなら一度だけ噛み付かれるものの、それ以上は追ってこない。体力ポイントを2へらして明るい道へ逃げる(Aへ進む)。  戦うならあなたはウルフドッグは嗅覚が非常に強いことを思い出す。香水かスライムのしずくを持っているか? 持っていて使用するなら、ウルフドッグの技量ポイントを2へらして戦うことができる。使ったものをアドベンチャーシートから消しておくこと。 【断頭台の迷宮】に登場。 技術点8 体力点8 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月8日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第704号 FT新聞 No.4945

From:水波流 庭にバッタが大量発生して葉を食い荒らされてるなぁと思っていたら、最近はカマキリがやって来てバッタを捕食している。 蜘蛛も巣をはって待ち受けている。 猫の額のような我が家の庭にも生態系が生まれている。 From:葉山海月 子どもが作ったなぞなぞ。 「シナマ山」って何ですか? 答え。 「ツナマヨ」 ツナマヨのタイトル(笑)が印刷されたセロファン。 裏に返して透かして見れば、あら不思議。そんな風に見えます! From:中山将平 僕ら、明日8月9日(日)マイドームおおさかにて開催の「TGFF2026」に物販で出展します。 配置は【η08b】です。 ゲームブック、1人用TRPG「ローグライクハーフ」、モンスター!モンスター!TRPG関連作品等を扱います。 こっそりコミケ発売の新刊モンスター!モンスター!TRPGソロアドベンチャー「廃都脱出」をフライングで持っていきます。 ぜひお立ち寄りいただき、こっそり「1週間後刊行の新刊ありますか」とささやいていただけましたら。 当日は、僕中山がこっそりカエル人本も持ちつつ現地に行く予定です。 さらに、僕ら8月15日(土)に東京ビッグサイトで開催の「コミックマーケット108(1日目)」にサークル参加します。 配置は【東2ホール ソ49ab】です。 発売の新刊は、なんとモンスター!モンスター!TRPGソロアドベンチャー「廃都脱出」! この作品の詳細情報は僕たちのホームページで公開していまして、次のURLにてご覧いただけます! https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/haito さらにさらに、8月16日(日)「コミックマーケット108(2日目)」に、僕の個人サークル「ギルド黄金の蛙」が初サークル参加します。 配置は【西1ホール ま36a】です。 当日刊行のカエル人の新刊、「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て(衣食住編)」と既刊(魔法と儀式編)等を持って行きます。 ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (葉)=葉山海月 (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (天)=天狗ろむ (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■8/2(日)~8/7(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年8月2日(日)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4939 『霊廟館の悪夢』ローグライクハーフd33シナリオ  ・新作ローグライクハーフシナリオ『霊廟館の悪夢』登場!。 なんと! 作者は、児童文学作家にして推理小説家である齊藤飛鳥先生! あらすじは以下の通り。 アランツァ大陸北西部から流れるハルト川から南西部の赤錆川にかけて、地図には載せきれないほど数多くの岩礁が存在する。 そのうちの一つにして最大の岩礁、松毬岩礁(まつかさがんしょう)で遭難してしまった主人公は、偶然にもそこに鎮座していた『霊廟館』にたどり着く。 一夜の宿のはずだったが、その晩に殺人事件が! 不可解なのは、被害者は齢200歳を超えた女吸血鬼にして魔術師のキュッリッキだったこと。 「アンデッド」という「不死」の代名詞のような存在を「殺した」だけではなく、目撃者が誰もいない。 館の特殊な構造ゆえ「殺人現場」を訪れたなら、「誰かが見ていた」はず。 この「姿なき殺人犯」に、挑め! 相棒として、齊藤先生の「リプレイ」でおなじみのヒロイン、若き日のクワニャウマ登場! 与えられた現場、証言に埋もれた真実のかけらを組み合わせないと「真実」は見えてこない! 推理作家ならではの、シリーズ初、ド本格ミステリ「ローグライクハーフシナリオ」 手ごわくも、その難易度の高さが心地よい一本に仕上がりました! どうぞよろしくお願いいたします。 (葉) 2026年8月3日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4940 ☆鬼が笑う話☆ ・FT書房代表の杉本=ヨハネ氏による月曜の記事、今週は雑談と近況報告でした。 杉本氏の趣味はボルダリング。未経験者からすると、1回1回のハードな全身運動にばかり目が行って、ひたすら大変なスポーツという印象を抱いてしまうのですが、今回杉本氏が語るのは、インターバルを含めたボルダリングの全体像。それは意外にも「心癒される経験」とのことで、執筆から生まれる緊張感やストレスをほどよく解消してくれるようです。 近況報告としては、8月の新刊となる『廃都脱出』の入稿完了のお知らせや、『アランツァ職業事典パーフェクトガイド』の構想など。詳しくはぜひ記事にてご確認ください☆ (く) 2026年8月4日(火)かなでひびき FT新聞 No.4941 これはゲームブックなのですか!? vol.136 ・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。 今回紹介する作品は『人が消える街』(SCRAP出版)! 本、そして、パソコンによる謎解きゲーム。 取り出しましたるものは、一冊の写真集『うたかた』。JR熱海駅から始まるモデルさんの足跡を辿るうち、モデルさんの姿は消え、最終ページ……水面に浮かぶあれは!? この『うたかた』にはクイズキャンペーンがついておりまして、チラシに明記されているサイトへGO! すると問題、「この写真集がとられた日はいつ?」 だけど、どこにも撮影日なんて明記されていない! となると、写真集に映り込んだモノを観察して……「現場百辺!」ヒントを探しましょう! たとえ答えがわかっても正しい単語を入れないと前に進めなかった、初期のパソコンアドベンチャーゲームを彷彿とする手触り。 あなたの探偵力を大いにくすぐる、意外な答え。「オンライン」と「ゲームブック」を掛け合わせた、まったく未知の挑戦状! 見逃せば、本気で一生後悔することウケアイ! (明) 2026年8月5日(水)ぜろ FT新聞 No.4942 第2回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第504回。 今回の主人公は筋骨隆々な傭兵・ヴァルグ。そして、彼を師匠と呼び、赤い毛並みを持つ大型犬を連れ、「獣の腕」を宿す少年・ハルト。 二人は「クラーケンぶっ殺し号」に乗って、まずは海域を荒らす海賊退治に出ています。 ヴァルグの「味方殺し」という悪評が気になり、居心地の悪そうなハルト。そこに監督役の白髪白髭の軽薄なおじさんコビットが現れます。彼と話をしている間に島を発見。ヴァルグの過去も気になりますが、島の探索と参りましょう! さて、初めての島には一体何が待ち受けているのでしょうか? (天) 2026年8月6日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4943 D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第4回  ・本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編。 その4回目をお届けします。 ネディアの妹サナの結婚会場へ向かうため、すわ、“大陸横断鉄道”ライトニング・レイルに乗り込む一同だった。 その食堂にて、ゆっくり食事でも、と思った一行。 しかし、次々に倒れる乗客! スープには毒が! そして、追い打ちをかけるように、「テロリスト」たちの襲撃が! 彼らの正体とは!? いや、毒を食らってダメージを受ける仲間もいる中、はたして、この難局を切り抜けられるのか!? 全編これ、スリルある戦闘な一本です! (葉) 2026年8月7日(金)休刊日 FT新聞 No.4944 休刊日のお知らせ  ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (忍者福島さん) 週刊文春で、羽生飛鳥さんの名前を見て、日本の中世ミステリーを書いておられるんだと改めて認識いたしました。 いつもリプレイで見ている名前が、他の媒体でも見ると、なんだか嬉しくなっちゃいますね。 (お返事:齊藤飛鳥) 「週刊文春」のインタビュー記事をお読み下さり、ありがとうございますm(_ _)m 作家人生初のインタビューでしたので、お読みいただけて嬉しいです^^♪ (ジャラル アフサラールさん) ミステリテイストなのはミステリ・ランキングの常連である齊藤飛鳥さんらしいですね。 (お返事:齊藤飛鳥) 御感想ありがとうございますm(_ _)mアランツァ世界は、独自の世界観とルールが作りこまれていますので、「特殊設定ミステリが書ける!」と血が騒ぎ、ミステリテイストになりましたf^^ (ジャラル アフサラールさん) 本の舞台の熱海は『人が消える街』とされてもいいんかいな(笑)と思いますが、熱海は最近エンタメの舞台になっていますから良いのかも? 私が印象的なのは最近新作アニメシリーズ開始した『機動警察パトレイバー』の実写版ドラマシリーズの「大怪獣現わる」という話で、怪獣騒動が財政復活を目論む熱海市長の陰謀で起こるという話でした。これがOKなら『人が消える街』も大丈夫? (お返事:かなでひびき) ありがとうございます。 いや、実はかなでも「熱海市がこんな事件を許可してくれたなー」と、その太っ腹に感動してたんですよー。 へー! 『機動警察パトレイバー』にそんなエピソードがあったんですかー。勉強になります。 かなでも早速チェックせねば! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月7日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4944

おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月6日木曜日

D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第4回 FT新聞 No.4943

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 連載第4回 岡和田晃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼はじめに 本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編です。 当時のサイトは閉鎖されていますが、前日譚の「トレイルブレイザーズを探せ!」と「竜の予言を解放せよ!」はウェブアーカイブで閲覧可能です。D&D第4版や舞台の世界観そのものの解説にもなっておりますので、未読の方は以下よりご覧ください。 https://web.archive.org/web/20110520091921/http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay_eb/index.html うまく繋がらない方は以下もあわせてご利用ください。 https://www.dropbox.com/scl/fi/hfckq3h4rglyer10ycaj4/1_.pdf?rlkey=xzasih78fdhbqoikbr98kovkl&dl=0 https://www.dropbox.com/scl/fi/nluo5nzotbnpeanc1zh0r/2_.pdf?rlkey=f49qwu5pxzhc4flzcw7kj1v5y&dl=0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ DM:ダンジョンマスター(岡和田晃) ネディア:ヒューマンのレンジャー(PL:中山葵) ヘルメス:ヒューマンのアーティフィサー(PL:カナイセイジ) クシュタリ:カラシュターのパラディン(PL:見田航介) ベック:ウォーフォージドのファイター(PL:高橋志行) ジュス:ティーフリングのウィザード(PL:ノダソル) ◆遭遇1:翠玉爪騎士団の強襲! ●不意打ち! DM:それでは、食堂車へ入ります。先ほどオリエント急行と言いましたが、まさにそんな感じの上品な{設/しつら}えとなっています。各テーブルに給仕係が控えていますね。ただ、客の多くは、君たちの前に食事を終えてしまったのか、一等車両の乗客で今から食事を始めるのは君たちくらいでしょう(いそいそとマップを広げる)。 ヘルメス:ちょっ、食堂車なのにマップで管理するのか……!?。 DM:いやいや、お気になさらず(笑)ごゆっくりお食事をお楽しみください。食事はコース料理になっておりまして、スープ、前菜と、給仕が次々とお皿を運んできてくれます。 ネディア:わーい! スープをさっそく飲みますよ。 ヘルメス:俺はなんだか嫌な予感がする。DM、〈知覚〉で判定していいか? クシュタリ:私も周囲に邪悪な連中が潜んでいないか〈知覚〉判定を試みたい。 DM:OK、やってみて。でも、難易度は秘密。ちなみにスープは牛乳がたっぷり使われたポタージュ・スープとなっており、飲まない人にも美味しそうな匂いが漂ってきます。 ヘルメス:(ころころ)〈知覚〉23! クシュタリ:(ころころ)21行ったぞ! DM:では、君たちは食堂車の奥から、ガシャガシャと鎧の音のようなものを聞いたかと思うと、スケイル・アーマーやサーコートで身を包んだ人型生物が4体、現れる(ミニチュアを配置する)。先に食事をしている他の客も、様子がおかしい。スープを飲んでいた客が、ばたりと倒れて痙攣を起こしている。 クシュタリ:はかられたか! ヘルメス:まずい、それを飲むな! DM:もう遅いですね。まず、ヘルメスとクシュタリを除いては“不意を打たれた状態”となります。スープはトラップ扱いで、ゲーム的な処理としては、スープから飲んだ人の頑健防御値を目標値にした攻撃が飛んでくるいう処理にします。(ころころ)よっしゃ、ネディア、ジュスに命中。2人は継続的[毒]ダメージ5(セーヴ・終了)を受けます。 ネディア:うわーん、踏んだり蹴ったり! ジュス:……まだ、肉を食っておらんというのに。許さん! ネディア:“不意を打たれた状態”というのは? DM:文字通り、戦闘の準備を整える前に攻撃を受けてしまった状態のことを意味します。通常のラウンドの前に「不意打ちラウンド」というラウンドが発生し、その「不意打ちラウンド」内で不意打ちを解決することになります。 ヘルメス/カナイ:今回の場合、ベックとネディア、それにジュスは“不意を打たれた状態”になっているから、何もアクションを取ることができません。敵に戦術的優位を与えるうえ、挟撃をすることもできなくなります。 ジュス:……これは酷い! DM:不意を打たれていないクリーチャーは、標準アクション、移動アクション、マイナー・アクションをいずれか1回、取ることができます。不意を打たれていないクリーチャーの行動がすべて終了すると、通常のラウンドが開始され、“不意を打たれた状態”ではなくなります。それでは、モンスター知識判定、およびイニシアチブ判定をどうぞ!  モンスター知識判定の結果、食堂車に急襲をかけてきた連中は4体、内訳は「翠玉爪騎士団の騎士」が3体、および「翠玉爪騎士団の将官」が1体だということが明らかになった。  「翠玉爪騎士団の騎士」は、フレイルとスケイル・アーマーで武装している。フレイルで攻撃し相手を“マークされた状態”にしたり、フレイルを「ぶんまわす」ことで相手にダメージを与えつつ横滑りさせたりすることが可能だ。  「翠玉爪騎士団の将官」は、ヘヴィ・フレイルを「ぶちかます」ことでダメージに加えて相手を“減速状態”にさせたり、1ラウンドに1回マイナー・アクションにて、10マス以内の味方に敵からの近接攻撃を誘発させ、カウンターとして1回の近接基礎攻撃を行なわせることができたりする。また「騎士」「将官」ともに、翠玉爪騎士団の大義に狂信的な忠誠心を抱いているため、ヒット・ポイントが0になった時点で、隣接している敵に1回の近接基礎攻撃を行なうことができる。いわば、この敵は死に際の一撃を放てるのだ。 ◆イニシアチブ(ヒット・ポイント)/状態  22ネディア(hp49)/不意を打たれた、毒  20ベック(hp55)/不意を打たれた  18クシュタリ(hp51)  16翠玉爪騎士団の騎士×3  15翠玉爪騎士団の将官  10ヘルメス(hp49)  9ジュス(hp39)/不意を打たれた、毒 ヘルメス:「やはり……翠玉爪騎士団だったか」 ネディア:翠玉爪騎士団って何ですか? DM:翠玉爪騎士団とは、もとはカルナス軍の一員として献身的な活躍をした英雄たちだったのですが、摂政モラーナ時代に激しい弾圧を受けて地下に潜り、現在では危険な雇われテロリストとして、各地で活動している集団のことです。 ベック/高橋:(中世ヨーロッパの伝説の騎士団)テンプル騎士団を彷彿させるグループですね……。 ▼不意打ちラウンド ネディア:理由はどうあれ、テロリストならば容赦しません! ああでも、こちらが不意を打たれているんでした……。 DM:ええ。ベックも不意を打たれているので、クシュタリにまで順番が飛びます。ただ、ダメージは受けてね。 ネディア:5の[毒]ダメージを受け、セーヴを(ころころ)成功! クシュタリ:私は魔法のアイテムのパワーを使うぞ。マイナー・アクションでサモンド・プレート・アーマー/召喚の鎧を異次元空間から呼び出す。呼び出された鎧は光り輝き、私の身体にまとわれた状態で現れる。 DM:翠玉爪騎士団の騎士と将官はそれぞれ移動。最も手強そうな君たちの元へ迫ってくるぞ。クシュタリは届く距離にいたので突撃を仕掛けましょう……(ころころ)外れ。 ヘルメス:「おいおい、ただの食事会じゃなかったのかよ」と、クシュタリに念のためサンダリング・アーマー/雷鳴の鎧! 俺は装具として+1スタッフ・オヴ・ナイヴズ/短剣のスタッフ+1を持っているので、木製のダガー状になっているスタッフからバチバチ電撃が発せられる! クシュタリは次のヘルメスのターンの終了時までACに+1。次いで、クシュタリの隣にいる翠玉爪騎士団の騎士Cに(ころころ)対“頑健”20! DM:それは命中! ヘルメス:それでは、10点の[雷鳴]ダメージに加え、翠玉爪騎士団の騎士を遠ざかる方向へ1マス押しやります。 クシュタリ:おお、ありがたい! DM:ジュスも不意を打たれていますね。 ジュス:だが、セーヴィング・スローはさせてもらうぞ。5の[毒]ダメージを受け(ころころ)セーヴ成功! DM:残念。せっかくの毒が1ラウンドも経たずに終わってしまった。これで不意打ちラウンドは終了かな。 ▼第1ラウンド ◆イニシアチブ(ヒット・ポイント)/状態  22ネディア(hp44)  20ベック(hp55)  18クシュタリ(hp51)/AC+1  16翠玉爪騎士団の騎士×3(A〜C、Cが10ダメージ)  15翠玉爪騎士団の将官  10ヘルメス(hp49)  9ジュス(hp34) ネディア:もう普通に動けるんですよね。距離をとっている翠玉爪騎士団の将官を倒したいので、マイナー・アクションで“狩人の獲物”に指定。移動して、突撃。マローダーズ・ラッシュ/襲撃戦闘のパワーを使用します。 ジュス:これはどんなパワー? ネディア:『武勇の書II』で追加されたレンジャー1レベルの無限回パワーです。再訓練でパワーを入れ替えて取得しました。 DM:再訓練とはレベルアップ時に、同じ種別のパワーを、同じレベルかそれ以下のレベルのパワーと交換することですね。 ネディア:突撃時には移動とともに近接基礎攻撃を行ないますが、このパワーは近接基礎攻撃の代わりに使用することができ、突撃のダメージが上がるわけです。狂ったように髪を逆立てて突撃します!(ころころ)対ACで23! DM:それは命中しました。ダメージをどうぞ。 ネディア:(ころころ)23点! DM:重傷には至らないけど、これは痛いな〜。 ベック:自分のターンですね。マイナー・アクションで、汎用パワーのフル・エクステンション/踏み込みを使用します。これは前に踏み込み、身体を伸ばすことで、次の自分のターンの終了時までに行なう次の1回の近接[武器]攻撃の間合いが1増加するというもの。もともと間合い2の武器であるハルバードを使用していたので、これで間合いが3になりますね。翠玉爪騎士団の将官のパワーがうざったいので、ネディアと挟撃できるように、移動して遭遇毎パワーのスピニング・スウィープ/回転足払いを。(ころころ)挟撃のおかげで、対ACで23を越えたのでヒットですね。ダメージは、12点。翠玉爪騎士団の将官は“伏せ状態”となります。で、間合いは元通りに。 DM:その一撃で、翠玉爪騎士団の将官は重傷となりました。 クシュタリ:私のターンじゃな。変身シーンも終わったので、あとは裁きを与えるのみ。目の前の翠玉爪騎士団の騎士に、再訓練で取得した無限回パワーのアーデント・ストライク/熱き心の一撃を。(ころころ)対ACで25が出たぞ。 DM:もちろん、ヒットですよ。ちぇっ。 クシュタリ:ダメージは10点だが、相手は“神の制裁”の対象となる。 ベック:“神の制裁”? クシュタリ:“神の制裁”とは、ざっくり言ってしまえば、ディヴァイン・チャレンジ/信仰の標的と同じように、相手を“マーク”するというもの。『信仰の書』から導入がなされた。ディヴァイン・チャレンジ/信仰の標的と併用してもいいし、“神の制裁”の方が縛りが緩いため、何かと使い勝手がいい。 ベック:“神の制裁”という独自のパワーを取得したのですか? クシュタリ:いいや、このアーデント・ストライク/熱き心の一撃がヒットすると、ダメージに加えて相手が“神の制裁”の対象となるのじゃ。このように、『信仰の書』で導入されたパワーには“神の制裁”が入るパワーがいくつもあるのじゃよ。 ベック:よくわかりました。めきめきと学習しています(笑) DM:さすが高性能AI(笑)翠玉爪騎士団の騎士×3のターンですね。まず、クシュタリの目の前にいる騎士Cは、クシュタリ以外を殴るとダメージを受けてしまうので、クシュタリにフレイルでのスマッシング・ストライク/ぶんまわし強打! (ころころ)対AC25! クシュタリ/AC+1:あいたたた、ヒットしたわい。 DM:(ころころ)ダメージは11点。これに勢いづいて、翠玉爪騎士団の騎士Aと騎士Bは、将官の方へ向かったネディアとベックを追いかけ、それぞれ殴るが……(ころころ)両方とも外れ。翠玉爪騎士団の将官は、移動アクションで立ち上がり、マイナー・アクションでクロー・マヌーヴァー/翠玉爪の展開。号令をかけたかと思うと、翠玉爪騎士団の騎士AとBが将官を守るように1マスずつシフト。各人が次の自分のターンの終了前に行なう1回のダメージ・ロールに+2。続いてネディアにヘヴィ・フレイルでの攻撃。(ころころ)対AC26で、ヒット。ダメージは14点。 ネディア:痛い! 頭きた〜! ヘルメス:大丈夫だとは思うが、壁になっているクシュタリを応援しよう。3レベルの遭遇毎パワー、オルタード・ラック/ツキ転移をクシュタリの前にいる翠玉爪騎士団の騎士Cに。魔法で敵を吹き飛ばし、ツキをクシュタリに転移させるぞ! (ころころ)対“意志”で16。 DM:意志防御値は低いので、それでもヒット。 ヘルメス:よし、クシュタリには一時的ヒット・ポイント10点をプレゼント。1回の攻撃ロールに+2の修正も入る。 クシュタリ:ヘルメス、感謝するぞ! ジュス:こんな連中に遭遇毎パワーはもったいない。翠玉爪騎士団の将官にマジック・ミサイル/魔法の矢で11ダメージ! DM:これも痛いなあ。将官はボロボロだねぇ。 ▼第2ラウンド ◆イニシアチブ(ヒット・ポイント)/状態  22ネディア(hp31)  20ベック(hp55)  18クシュタリ(hp40)/一時的ヒット・ポイント10  16翠玉爪騎士団の騎士A、B/ダ+2  16翠玉爪騎士団の騎士C(20ダメージ)  15翠玉爪騎士団の将官(46ダメージ)/重傷  10ヘルメス(hp49)  9ジュス(hp34)/不意を打たれた ネディア:よくも私を傷つけたわね、覚悟しなさい! (ころころ)ツイン・ストライク/二重攻撃! (ころころ)対ACで22! DM:うーん、ヒットしちゃったなあ。 ネディア:(ころころ)ダメージが15点、2回目は……。 DM:いや、その一撃で翠玉爪騎士団の将官は崩れ落ちます。では、死に際のファナティック/狂信を。(ころころ)対AC24。ヒットだね。ダメージは9点。 ネディア/重傷:その一撃で重傷です〜(涙)。 ベック:ネディアは守りが弱いですからね。あとは自分に任せてもらいましょう。手近な騎士Bに、リーピング・ストライク/刈り残さぬ打撃。(ころころ)12点のダメージです。 クシュタリ:翠玉爪騎士団の騎士Cに、ふたたびアーデント・ストライク/熱き心の打撃! (ころころ)ヒット、ダメージは13点。 DM:翠玉爪騎士団の騎士Cは重傷になりました。騎士Aは移動してネディアにスマッシング・ストライク/ぶんまわし強打。(ころころ)あちゃー、せっかくのチャンスに1を振っちゃった。騎士Bはベックに同じくスマッシング・ストライク/ぶんまわし強打! (ころころ)対ACで22。 ベック:ヒットしてしまいました。 DM:ではダメージが11点、と。なんだかしょっぱいなー。騎士Cはクシュタリにスマッシング・ストライク/ぶんまわし強打を。(ころころ)これも外れてしまった。 ヘルメス:ネディアがピンチだな。移動して、マイナー・アクションでネディアにヒーリング・インフュージョン:キュアラティヴ・アドミクスチャー/癒しの封呪:治療薬。魔法のアイテムのヒーラーズ・ブローチ+1/+1癒し手のブローチのおかげで、回復する値が+1底上げされているので、ネディアは回復力値+4を回復させてくれ。で、騎士Aにアグラヴェイティング・フォース/憎悪の力場を。(ころころ)対AC20。 DM:ヒットです。 ヘルメス:それでは、10点の[力場]ダメージ。続いて、俺の次のターンの終了時より前の段階で、次に翠玉爪騎士団の騎士Aを攻撃した味方には、攻撃ロールに+2のパワー・ボーナスが入るぞ。 ネディア:ありがとうございます! ジュス:翠玉爪騎士団の騎士Cにマジック・ミサイル/魔法の矢。11ダメージだが……。 DM:ご明察。これで騎士Cは死にましたが、死に際のファナティック/狂信が残っています。地獄へ道連れだ! (ころころ)クシュタリに外してしまった。死に切れない〜。 クシュタリ:見たか、これぞシルヴァー・フレイムのご加護!  翠玉爪騎士団の騎士は2名に減ってしまったが、こうなっては、いかな狂信者といえども先が見えたものである。翠玉爪騎士団のテロリストたちは、2ラウンドもかからず、ネディアやベックに打ち倒されていった。  小休憩をとったPCたちは、なぜ襲われたのか相談を始める。 ●賞金首? ベック:しかし、どうして自分たちが翠玉爪騎士団に狙われたんでしょうね。 ジュス:他の客も襲っていたようだから、誰でもよかったんじゃないか? ベック:そうかもしれません。ですが、スープに毒を入れられていたのですから、きっと手引きした者がいたんですよ。 ヘルメス:手が込んでいるなあ。 ジュス:尻尾をつかまないと。手短かに翠玉爪騎士団の連中の懐を漁ってみるぞ。 DM:ろくなものは見つかりませんでしたが、ネディアらしき似顔絵を描いた、手配書のようなものが出てきました。 一同:狙われているのか〜。 ネディア:ええ〜っ、わたし、この人たち知りませんよ(手配書を見ている) ジュス:賞金首というわけだからな。ネディアも偉くなったものだ(笑) DM:そうこうしているうちに、ようやく“ライトニング・レイル”の警備員たちが到着しました。オリエン氏族の隊長ガリマール・ド=オリエン。あとはデニス氏族の用心棒のようですね。 ヘルメス:傭兵氏族のデニス連中頼りとは、オリエン氏族も人手が足りてないようだなあ。 DM/ガリマール:「ご無事でしたか。お怪我はありませんか?」 ネディア:怪我はこちらで治療しましたが、どうやらこの連中を“ライトニング・レイル”に乗り込ませた者が、食堂車の給仕係にいるようです。 DM:警備員は驚いて、給仕係を集めて事情を聞き始めます。と、君たちに配膳をしていたヒューマンのウェイトレスの姿が見えない! クシュタリ:決まりだな。まだ、そんなに離れてないはずだ。こちらのリソースも残っているから、追いかけるか? ヘルメス:どこへ消えたかがわからないと……闇雲に追いかけてもかえって怪しまれかねないから、当局の協力を仰ごう。“ライトニング・レイル”はオリエン氏族の運営で、ネディアもオリエン氏族だから、好都合だ。 ネディア:そうよ、お父さまが黙っていないわ! DM:翠玉爪騎士団によるテロ行為はコーヴェア大陸のあちこちでなされているし、“ライトニング・レイル”でそうしたテロ行為が起きるのも、決して珍しいものではありません。結局、警備員たちは、今回の事件を「よくあるテロ」の一環として片付けようとします。 DM/警備隊長ガリマール:「つきましては、コースに着き次第、氏族の上層部へ事態を報告させていただき、今回の件で負傷なさった方にはオリエン氏族からの補償を行ないたいと思うのですが……」 ネディア:「また襲われたら、どうするんですか?」 DM/ガリマール:「巡回警備を強化することで対応をさせていただければと思います」 ネディア:「そんな〜。彼らはこんな手配書を持っていたんですよ〜」(見せる) DM/ガリマール:「(じっくりと見て)ほほう、それはそれは……翠玉爪騎士団に狙われるような心当たりが?」 ネディア:「あるわけ、ないじゃない!」 DM/ガリマール:「そちらのお嬢さまは、どうやらテロリストどもの標的とされたようですね。よろしければ、私どもで保護をさせていただきますが……」 ネディア:「それって、仲間たちから離れろってことなの……?」 DM/ガリマール:「申し訳ありません。人員の都合により、全員をお護りするわけにはいかないのです。ご心配なのはよくわかりますが、どうぞご理解とご協力を……」 ヘルメス:ネディアだけパーティから離れるのは上策とは言えないな。 ベック:ここは丁重にお断りをしておいて、首都コースに到着してから、オリエン氏族の庇護を求める際に口添えをしていただくというのは、いかがでしょう。 ネディア:そうですね、では「お心遣いには感謝いたしますが、仲間と離れるわけにはいきません。二度とあのような輩が入り込むことのないよう、厳重に注意なさってください」と。 DM:すると、ガリマールは引っ込んでいきます。 ジュス:さすがに食堂には懲り懲りだ。部屋に戻って、手持ちの食料を食らうことにするぞ。肉ぅ〜! クシュタリ:残念だが、どこに敵がいるかわからんからな。 DM:ガリマールらがうまく取り計らったのか、“ライトニング・レイル”内では特に大きな騒ぎになることもなく、無事にコースが見えてきます。10数時間はあっという間でしたね。 ネディア/葵:なんだか、就学旅行を思い出しますね(笑)  エベロン世界は交通手段が発達しているので、普通のファンタジー世界よりも、短時間で長距離を移動することが可能だ。この長所を活かし、ドラマと無関係なダラダラした部分は、ばっさりカットしてしまおう。  反対に、あえて時間をじっくりかけ、普段はなかなか描き出すことのできない英雄たちの日常生活を描写していくのも、なかなかオツなものだ。  「旅」をじっくり楽しんでみてほしい。 (つづく) “『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜” is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy.Not approved/endorsed by Wizards. 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2026年8月5日水曜日

第2回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4942

第2回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の冒険譚です。 今回の主人公たちは、元剣闘士で熟練の傭兵ヴァルグと、彼と行動をともにする、左腕に「獣の腕」を宿す少年ハルト。 貿易都市ビストフの領主マキシミリアンから受けた依頼はクラーケンの討伐。 討伐船を賜った貴族ハーツデイルを船長に、まずは海域を封じる海賊の討伐に向かいます。 コビットの船員たちに、熟練の女性砲撃手ニーナと、新米砲撃手のポール青年を加え、ヴァルグが命名した「クラーケンぶっ殺し号」はビストフを出航するのでした。 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7 筋力点3 従者点8】獣使い 「クラーケンぶっ殺し」号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 ●アタック01-3 洞窟の星空【ハルト】 航海初日はなにごともなく過ぎた。 海賊船は、マドレーン海域からエメラルド海を抜ける船舶を狙ってくるらしい。 その動きをしているのはまさにこの「クラーケンぶっ殺し号」なんだけど、クラーケン対策で重武装をしている船を狙ったりするものなんだろうか。 なんにせよ、マドレーン海域を抜けるまではもう数日かかるみたいだ。 オレにとってこれは2回目の航海だ。 ビストフに来たのがはじめての航海。初日は「船酔い」ってのに苦しめられたけど、今回はない。 慣れてきたんだろうか。 こないだの、師匠の不吉なふたつ名を知ってから、なんとなく師匠のそばに居づらくってオレは、甲板で火吹き獣のヒースにかまっていた。 そこにひとりのコビットが話しかけてきた。 「火吹き獣、名前はヒースっていうんだ。じゃあ、ひーちゃんかな」 「ヒースは、ヒースだ」 「いいねえ火吹き獣は。料理のときには火起こしいらず。一家に一台、おじさんも欲しくなっちゃう」 それはコビット船員たちのチーフをしている人物だった。白髪白髭のコビット。 あんまり聞きなれない名前だった。たしか白奴(しろやっこ)っていったっけ。 「そうそう、よく覚えてたねハルトちゃん」 かなり軽薄な口調だ。コビットってみんなこうなのかな? で、オレに何の用なわけ? 「やあ退屈だから話し相手になってほしくってさあ」 この人、船員たちの監督役のはず。暇してていいんだろうか。 「おじさん海賊退治もクラーケン退治もしたことあんだけど、腰をやっちゃってね。戦力外通告受けたんで、指示だけ出してればいいチーフになったってわけ」 本当なのかどうなのか、わからない軽さだ。戦力外って言いながら、腰には変わった剣を帯びているし。 「あ、コレ『カタナ』っていう東方の武器。オシャレなイケオジ感が爆増するやつ」 オレが白奴のことをいまいちはかりかねていると、コビット船員が白奴に報告にきた。 「チーフ、島が見えた。洞窟があるって報告したら船長が、上陸してみるって」 「え。そうなの? じゃあ、ちゃっちゃと準備すすめちゃって。ハルトちゃんも探索、よろしくね」 どうやら、上陸して探索するのは、オレや師匠の役割みたいだった。 **** 「ギャウッ」 ヒースに火をつけてもらい、ランタンを右手に洞窟に入る。 「ほう。これは便利だな」 オレと師匠、数人のコビットのほかに、なぜかハーツデイル船長もついてきていた。 加えて言えば、白奴もいる。本当にヒマなのかな? 船にまとめ役誰もいなくないか? 「発見した島を探索するのは、海賊の隠れ家の可能性があるためだ。物資や財宝があれば接収する」 船長の説明は、たぶん海洋探索慣れしていない師匠やオレ向けだ。 「ようするに金目当てってことか」 「重要な資金源だ。君たちの取り分にも影響する。あと、君らの実力を間近で見るいい機会という理由もある。心配しなくても、自分の身くらいは守れるとも」 「チッ。誰もテメエの心配なんざしてねェ」 「私の実力を認めてくれているということだね」 涼しい顔で受け流されて、師匠はやりにくそうだ。 「誰かが住んでた痕跡はあるね。でもだいぶ昔のものだ」 ランタンに照らされた壁面を指でなぞりながら白奴が言う。平らな壁面の凹凸が、人為的に作られたものに見えなくもない。 やがて洞窟は、広い空間に出た。ランタンに照らされたそこは、半球状のドームみたいになっている。天井にはちらちらとまたたいているものが見えた。 ヒカリゴケの一種かな? 「ここで行き止まりか。特になにもないようだな。撤収するとしよう」 「いや待って。ハルトちゃん、ちょっとランタン消してくんない?」 白奴がなにかに気づいたようだ。 オレはよくわからないまま、ランタンのシャッターをおろした。 辺りが闇に包まれる。 すると天井に、星空が浮かび上がった。 星と星の間を光る線が伝い、さまざまなものを形づくっている。 それが天井を覆い尽くしていた。 「星図か、これは。そして星座……。なんと見事な」 船長が感嘆の声をもらした。 オレも同じ気持ちだった。わけはわからないけれど、心を動かされるなにかがあった。 自分の存在が、抱えている悩みや苦しみが、ものすごくちっぽけなことのように感じられた。 「魔導羅針盤が当然になる前は、みんな星を見て航海してた。今も地元の漁師たちはそうしてる」 白奴が説明してくれる。 オレたちはその光景に、しばし見とれていた。師匠だけは、興味なさそうにあくびをしている。 「ドーム型の天井に星の形に光を配置するとは、どれほどの価値があるものか。持ち帰れないのが惜しいな」 やがてハーツデイル船長が後ろ髪を引かれるような感想を述べ、オレたちは船へと戻った。 [プレイログ] 【34 洞窟住居】 この光景を見た者は、次の冒険で最初から手がかりを1つ持っていることにできる。 ●アタック01-4 呪いと財宝【ハルト】 船へ戻ったら、新たな報告があった。 島の反対側に、建物を発見したという。でも、決める人が誰もいないから困っていたらしい。 ほらやっぱり。船の主要メンバー全員で上陸するのってどうなんだって、オレだって思ってたもん。 「今日はもう遅い。明日にしよう」 船長はそう判断をくだした。この島にはもう一日滞在するみたいだ。 そうして次の日。 オレたちは再び島に上陸した。 今度は白奴は留守番だ。長い距離を歩くのはキツいって言ってた。 けど、船長は今回も同行するみたい。あとはコビットの船員が数人ついてくる。 島には危険な魔獣などが出ることもなく、オレたちは、たやすくその建物のところに来ることができた。 白い壁のそれほど大きくない建物。けれど壁や屋根には意匠がほどこされていて、偉い人がいるような、気品みたいなのが感じられた。 「霊廟……だな」 船長が言った。 「霊廟って?」 「偉ェ奴の墓だな」 師匠がざっくり説明した。 もしかして、あの洞窟の星空を作った人たちだろうか? 「こういう場所には遺産が眠ってることも多いって聞くぜ。入ってみるか?」 「ああ。そうしよう」 師匠と船長はうなずきあって、方針を決定した。 霊廟の入口を開く。中から、ひやっとした空気が流れ出てきた。 オレはまた、ヒースにランタンの火をつけてもらうと、右手で持った。 冷たい無機質な廊下へ一歩踏み込む。空気の温度が、さらに一段階下がった。 厚手のマントをしているのに、寒気がする。 この空気、なにか、よくない気配を感じる。 ランタンに照らされ、すうっと透明な人影が明滅した。 宙に浮いている? すいっと移動してきたそれは、言葉を発することもなく接近すると、オレをすり抜けた。 その瞬間、全身の力が抜けるような感覚がして、思わず膝をついてしまう。 その透明な影はそのまま、後ろの師匠をも通過した。師匠もオレと同じ感覚に陥ったみたいだ。 「チィッ。実体がねェ奴か。厄介だな」 その影はさらにハーツデイル船長に向かう。師匠は全身の力をこめ直すと、後ろから透明な霊体に斬りつけた。 声にならない苦悶の表情を浮かべながら、霊体は霧散した。師匠はそのままがくんと膝をつく。 「ぐ。不意打ちとはしくじったぜ」 「助かった。その剣は実体のないものまで斬れるのか」 「悪魔とか死んでるヤツとかに効くすげェ剣だからな」 師匠はなんとか立ち上がる。 「こいつァ呪いだな。やべェの食らっちまった。ハルト、テメエは大丈夫か?」 「あ、うん。問題なさそうだ」 実際、身体の力が抜けるような感覚はもうなかった。 「そうか。あっちの呪いが強力すぎるせいかもな」 それよりも師匠だ。師匠も、呪いにおかされてしまったってこと? 「心配ねェよ。この程度の呪いなら、ビストフに戻ってどっかの神殿で【祝福】でもかけてもらやァ一発だ」 「そうか。幸い出航して日も浅い。今ならいったんビストフに戻ることも」 「必要ねェ。この程度、敵が海賊ごときなら、なんの問題もない。それよりも、だ」 師匠は高らかに宣言した。 「アレが俺らを妨害したってことは、ここには財宝がある。俺に呪いをかけてくれたツケは、宝で払ってもらうぜ。もう何の遠慮もいらん。全部持ってけ」 コビットの船員たちがわちゃわちゃと動き出す。 たちまち地下への階段を見つけ、石棺のある玄室にたどりついた。 棺のまわりには、さまざまな財宝がならべられている。 コビットの船員たちは、先を争うように財宝を集めていった。 「ここまで完璧に近い形で財宝が残されているのも珍しい。これは君たちの取り分だ」 財宝の回収が終わるころ、ハーツデイル船長はオレにひとつの彫刻をくれた。 それは黄金色の、カニのような形をしていた。 「カニ……?」 「星座のひとつをかたどった彫刻だ」 受け取ると、ずっしりと重い。 「ナニをもらっても呪いの代償には見合わねェが、もらっとけ」 「うん」 オレは出航前、師匠のふたつ名を巡る会話のときから、勝手に居心地の悪さを感じていた。 けど、師匠の方はまったくいつもと変わった様子もなかった。 そうか。そうだな。 オレちょっと、気にしすぎだったかもしれない。だいたい、ウジウジしてるのは性に合わないし。 忘れるわけじゃないけど、いずれまた、機会があれば、はっきりさせればいいさ。そうしよう。 [プレイログ] 【36 貴人の霊廟】 対魔法ロール、目標値5の判定に失敗すると、呪いにより攻撃ロールにマイナス1のペナルティがある。 ヴァルグ サイコロの出目2+技量点2 4で失敗。呪いを受ける。 ハルト サイコロの出目6 クリティカルで成功。 霊魂の撃破は演出によるもの。 財宝発見ロール(目標値7) ヴァルグ サイコロの出目6 クリティカルで成功。 蟹座の彫刻(金貨300枚、持ち物欄2消費)を入手 ●アタック01-5 ニーナの提案【ポール】 その島は星島と名づけられ、航海図に書き込まれた。 上陸した人たちは、洞窟の天井に描き出された美しい星図の話や、莫大な財宝を持ち帰ってきた。 聞けば聞くほどうらやましい。私も行ってみたい。特に星図は見たい。 「あーあ、あたしも見てみたかったな、星図の洞窟」 砲座の掃除を行いながらニーナが、まさに今、私が思っているのと同じ感想を言った。 「やっぱり君も、興味あるんだ」 「そりゃ船乗りだもの。あるに決まってるでしょ」 そして声をひそめて言うのだ。 「ねえ、この船は明朝には出ちゃうでしょ。今夜、こっそり見に行ってみない?」 「ええ?!」 「島に危険な魔獣は出ないみたいだし、こっそり行けばバレないでしょ」 「い、いやでもそれは……やっぱり、夜は危険、だし……」 私はうろたえつつ、そう答えるのが精いっぱいだった。 「それもそっかぁ。ごめん忘れて。見たかったなぁ〜」 ニーナはあっさり引き下がったが、私はその後しばらくドギマギしてしまった。 彼女は本気で星図を見に行きたかっただけだろうか。 それとも……いやいや、軽口だったに違いない。私を誘ったのだって、ただ人畜無害って思われてるだけだ。 そんなことを考えて上の空になっていたらニーナから「ほら、手を止めない」と軽く叱られてしまった。 ニーナが先に上がった後も、私はその場に残ってぼーっと考えごとにふけってしまうのだった。 翌日。 星島を出てからの航海は、順調に進んだ。 途中出会った商船とは物資の取引をした。 ヴァルグは交渉して、船酔いに効く薬を手に入れていた。 こっちからは特になにも差し出しておらず、一方的に受け取っているように見えたが、いったいどんな交渉をしたんだろう? 「売り物ならあるぜ。俺ァな、名前を売ってんのさ」 ヴァルグはかなり名の知れた傭兵で、国レベルの依頼が引く手あまたらしい。 たしかに今回も領主じきじきの依頼、クラーケン退治だ。説得力があった。 次の日には、人のような魚のような少数種族「末裔」に遭遇した。 海の中から顔をした3体の末裔たちは、こちらの出方を伺っているようだった。 こちらも手を出さないでいたところ、やがて波間に消えていった。 海では、こうした不意の遭遇がしばしば起きる。 見張りがなにごとかを発見した。 指し示した方角を見ると、船の左舷の海面が盛り上がり、海中から船が出現した。 水の中を進む船というものを初めて見た。 ハッチが開き、中から出てきたのは海棲種族だ。 人魚のようだが人魚でない。ウロコに覆われた足がある。 「マーフォークは、この海域ではポピュラーな種族なんです。ビストフとも親交があるんですよ」 私は、警戒モードに入っているヴァルグとハルトにそう説明した。 それでも二人は油断を解かない。当然といえば当然だ。 マーフォークが種族的に友好的な関係を築いているといっても、ここにいるマーフォークが友好的とは限らない。 そのマーフォークは、水中戦のハッチのところで、なにごとかを話した。 しかし、言葉が通じない。通訳が必要だ。 「師匠、わからない?」 「訊く相手間違えてねェか?」 ヴァルグとハルトはもちろん、ニーナも首を横に振る。 言葉が通じないと理解するや、マーフォークは身振り手振りで熱心になにかを訴えかけている。 「なにごとか」 そこへ、ハーツデイル船長が出てきた。簡単に事情を説明する。 「通訳できる者がいないのか……」 「どぉれ」 船長についてきた、コビットたちのチーフ、白奴が進み出た。 そしてなんと白奴は、身振り手振りでマーフォークとコミュニケーションを取り始めたのだ。 私たちは、その様子をかたずをのんで見守るしかない。 マーフォークと白奴、二人のジェスチャーはだんだんと熱を帯びてゆく。 なぜかスピードも上がり、白奴に至ってはダンスをしているようにすら見える。痛めた腰は大丈夫なのか? やがて、二人ははかったように、ぴたりとその動きを止めた。 まるで一流のパフォーマンスを見せられたよう。思わず拍手を送りたくなる動きだった。 白奴が、おもむろに振り向く。そして言った。 「さっぱり、わからんかった」 それには、その場にいた全員が、盛大にずっこけたのだった。 マーフォークは、明らかにがっかりした様子で、別れを告げるポーズを取ると、ハッチの中に戻っていった。 これまでのジェスチャーはわからなかったけれど、その様子だけははっきりと理解できた。 そしてハッチが閉じると、マーフォークの船は潜航していった。 次回、クラーケンぶっ殺し号が、海賊船と激突?! [プレイログ] 【12 平穏のポーション】 器用度ロール 目標値4で入手可能 ヴァルグ サイコロの出目3+技量点2=5 成功 平穏のポーション(船酔い回復、対魔法ロール+2)入手 【26 末裔】 3体出現。レベル5。 反応表 サイコロの出目1 中立 【中間イベント】 マーフォークの潜水船。 従者に〈案内人〉を連れている場合、会話ができる。 いない場合、コミュニケーションが取れず、去ってゆく。 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】20 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) ハチミツの塊2(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】0 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【備考】呪いにより攻撃ロールにマイナス1 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7 筋力点3 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】43 【持ち物】 ランタン 蟹座の彫刻(金貨300枚、持ち物欄2消費) 平穏のポーション(船酔い回復、対魔法ロール+2) 【獣血】【凶暴化】【騎馬防御】 【未使用経験点】0 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 白奴 ホビット乗組員たちをまとめるチーフ。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月4日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.136 FT新聞 No.4941

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『これはゲームブックなのですか!?』vol.136  かなでひびき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  さーて、取り出しましたるものは。一冊の写真集。  タイトルは『うたかた』  なんでも「熱海の今」を、この本を編んだ編集長自体が作り上げた、風景写真集らしいんだけど……。  今回取り上げるものは、ゲーム『人が消える街』(SCRAP出版)よ。  本、そして、パソコンによる謎解きゲーム。  少なくとも本年度「ここまで秀逸なアイディアはなかったで賞」あげちゃいたいくらい傑作!  一ページ目をくる。  なんかかわいらしいモデルさんが、JR熱海の駅に来たところから始まる。  で、街並みを見たり、名産品を食べたり、なんか普通のガイドブック?  みたいな感じがする。んだけどね。  あれ? なんかさりげなくモデルさん、男の人とあってたりするぞ。  で、いつの間にかモデルさんは消えている!?  出ているのは、街とそのモブだけ?  あれ? これって観光促進ガイドなの!? と思っていたら、突然堤防に向け、足跡が続いて、なんか魚釣りのケースが、写真のはじでぷかぷか浮いてるシーンで終わる。  ねぇ、これって……。  そして、ほんとゴミみたいにちっぽけに映っている、水面に浮かぶあれは!?  で、この『うたかた』って作品には、クイズキャンペーンがついているのよね。  ほんと、某大手リサイクルショップをほうふつさせる、黄色と青いロゴがやさしい印象を与えるアレ。  いい意味で、折りこみチラシのように安っぽい!  モキュメンタリーと言いながら、かなり雰囲気を出しているじゃない!?  しかも、特賞は「この本の編集長」とビデオ会話できることじゃない?  ハワイじゃなくても、ここは「熱海旅行」へご案内!? とかしてほしいナ。  だけど、本だけ眺めていても、らちが明かない。  一日中意味のない写真集と向き合うわけにもいかない! ってんで、チラシに明記されているサイトへ!  すると、ブラウザが立ち上がり、クイズキャンペーンのページへ!  早速、問題が! 「この写真集がとられた日はいつ?」  あなたは、回答を求めるために、なじみの掲示板に顔を出す……。  だけど、どこにもこの写真集を取られた日が明記されているとこなんてないじゃない?  と、なると……。 「現場百辺!」  写真集の中に、さりげなくホラ!  という具合に、写真集の中から、ヒントを得て、回答を出して、次へ進む。  それを繰り返して、真実にたどり着くんだけど、ほんと、これが「ウォーリーを探せ!」なみに、この80ページにも満たない写真集という迷宮を行ったり来たりする。  コツはね、ゲームに入る前に、写真集を熟読すること!  ただぼっと「見て」たらとてもじゃないが追っつかないよ。「観察」するのよ!  すると「あれ? この人、こことここのページに出ているんだけど」「気付かなかったけど、このオブジェは何?」という「違和感」が立ち上がってくるはず。  かなでは「本ゲームは写真から手がかりを得て推理する」ゲームだと身構えていたので、先にこういう「下調べ」をしたんだけど、おかげでスムーズな謎解きの一役を買っているわ!  で、この「捜査過程」が、雰囲気抜群!  オンライン上のみで話が進む「安楽椅子探偵」方式を逆手に取り、スレッド、資料となるサイトの作りこみがバッチリ! 特に、事件にかかわるサイトは、いちいちフェイクのサイトにブックマークされるんだけど、思わず「本当の」かなでパソコンのブックマークを開いてしまうほど、リアルよ!  で、謎も一筋縄では解けなくなる。  殺害現場を見て、部屋を割り出す。  ある大切な証拠品がどこにあるか推理する。  など「観察力がすごい」だけではダメ、な本格的推理ゲームになっている! イイね!  で、一見、「無意味な風景を映した無駄なページ」が、あとで重要な手がかりとなってくるとこなんか、常にゲームに緊張感を醸し出しているわ!  で、どうしても分からない! ってあなたもご安心!  ヒントが段階的に表示されていき、最後には答えが出る親切仕様!  面白いのは、自分で何か「単語」を入れないと答えが出ないところ。  これって、コマンド方式が無かった、初期のパソコンアドベンチャーゲームに似ていない?  正しいコマンド=単語を頭に汗かきながらひねり出す。 「答え」がわかっているのに、今一歩踏み出せない。  特に後半では、「何やっていいかわからない」ことが出るんだけど……。  これ、「今の時代だからこそのオンラインでの進め方」をしなくちゃいけないのよね!  コマンド入力という枠を離れた発想。  これこそ、「今というネット世界」を反映していると、かなで雷に打たれたような気が!  そして「意外な答え」というのが、終盤の謎。  これまた、ゲーム「ブック」=「本」でなければ答えが出ない独特の回答法!  つまり、オンラインと本。それぞれのいいとこ取りをした謎解きが、ギュっと詰まっている!  プラスね、この本のいいところ。  それは「出題者の意図した回答」以外でも、答えが出せるというとこ。  さっき言った終盤近くのヤマの謎。  これも、謎自体は解けなかったけど、「なんでこの人がこんな場所で不自然に強調されているんだろう?」と考えたら、正解だった。  あるいは、ある重要なアイテムを探す際、正攻法でやると、この本全体を「ウォーリーを探せ!」みたいな、あるいはやみくもにハイレベルなだけの、ただ「探す」だけの作業になって、イライラしちゃうものになってしまいかねない謎解きがあるの。  だけどね、「そのものが、それなりに目立つある一つのもの」とセットで出てくると気づけば、より簡単になる!  という具合に、本当に「あなたの探偵力を大いにくすぐって、試す」仕様になっている! 「はたしてあなたは、謎を解けるだろうか?」という煽り文句がウリのゲームってよく見かけようになったね!  だけど、これは、「オンライン」と「ゲームブック」を掛け合わせた、まったく未知の挑戦状!  今すぐ買いに走って!  見逃せば、本気で一生後悔することウケアイ! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『人が消える街』  出版社:SCRAP出版 2023/9/5  書籍+コンピューターゲーム 2860円(税込) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月3日月曜日

☆鬼が笑う話☆ FT新聞 No.4940

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆ 長い日には7時間ぐらいボルダリングを1日でやるんですが、これを言うと「そんなに運動するんですか!」と驚かれます、違うんです。 ボルダリングは平均して30秒から60秒ぐらい壁を登る、全力の全身運動です。 1回登った後は、体力が戻るまで休みます。 だから、7時間登るというのは、マラソンみたいにずっと運動してるわけじゃなくて……後半はだんだん休む時間が長くなっていくものなので、超人的な体力が必要な競技ってわけじゃあないんです。 冬は暖かい日差しが入り、夏は涼しいジムでボルダリングをしながらうららかな午後を過ごすのは、たぶん周りが思っているよりもずっと、心癒やされる体験です☆ 私の執筆生活はきっと、そんな時間に救われてきました。 今日は雑談と、近況報告です。 ◆「廃都脱出」刊行決定! FT新聞 No.4919にて、「モンスター!モンスター!TRPG」初の国産作品であるソロアドベンチャーを刊行する旨、告知いたしました。 すでに無事に入稿を完了しております☆ イベントではコミケ1日目ソ−49ABにて刊行いたします! また、8月下旬ごろを目指して通販も準備中です☆ ↓「廃都脱出」の通販はこちらから! https://ftbooks.booth.pm/items/8613676 ◆執筆の話。 執筆に関してよく忘れがちな、大切なことがあります。 それは、楽しむことです。 楽しいものを創る際に、楽しい気持ちがなかったなら、それはどこかうまくいかないものになるような気がします。 自分に嘘をついているというか。 心から楽しく書いたものは、素直に人の心に響くように思っています。 だから、書くときには真剣、心の充実を求めて全身全霊、乾坤一擲の気持ちで挑みますが、その一方で、自分自身が笑顔になれる瞬間のあるものを、求めています。 そうはいっても、自分自身を追い詰めながらストイックに行うのが、私の「ものづくり」です。 そこから生まれる緊張感とストレスを、溜めすぎないように気をつけています。 冒頭ではボルダリングについて少し触れました──リラックスした時間として、クライミングを楽しんでいます。 仲間とするときも1人のときも、豊かな時間になることを目指しています。 ◆来年以降の話。 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」が2023年に生まれて、3年と3ヶ月が経ちました。 とても人気のあるシリーズですが、さすがに最近は落ち着いてきました。 私の個人的な希望としては、このシリーズを通じて、FT書房の展開する共通世界「アランツァ」のサプリメントを、1つの都市につき1冊以上刊行することが、目標でした。 売上の観点からするとその目標を叶えるのは少し難しそうではありますが、17都市すべてをFT新聞上で配信できる見込みが立っていることを、嬉しく思います。 監修者であり作品そのものの共著者である紫隠ねこさんに、最大の感謝を伝えます。 いつも、本当にありがとうございます。 さて、このシリーズを通じてお見せしてきた「都市サプリメント」や「新職業」ですが、すべての都市を紹介できないとなると、紙の書籍として追いかけてきた人にとって、不完全なものになってしまうことが残念です。 このお話を編集の緋色と打ち合わせの際に相談したところ、「アランツァ職業事典パーフェクトガイドを出せばいいんですよ」と、サラリと言われました☆ 正直、目からウロコでした! 実を申しますと、サプリメントに載せた【新職業】には、多少の反省点がありました。 ひとつは、その職業者のビジュアル的な様子を表現することを、思い至れなかった点。 もうひとつは、その職業が持つ背景について、十分に掘り下げた情報を文章表現として載せられていなかったこと。 これまでに書籍化していない【職業】を加え、これらの反省点を活かして補強して作る本は、すべての「ローグライクハーフ」ファンに喜んでもらえる1冊とすることができるのではないかと、思いました☆ 現実に作れるかどうかも含めて、ただいま検討中の内容です☆ ◆総合的にみて。 これまでの記事で触れてきたムック本、キャラクターのビジュアルブック、新職業のパーフェクトガイド。 それらのいずれにおいても、ビジュアル面での大幅な強化ができればと考えております。 今回はこのあたりで。 それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月2日日曜日

『霊廟館の悪夢』ローグライクハーフd33シナリオ FT新聞 No.4939

お久しぶりです。ローグライクハーフに絶賛ハマり中の齊藤飛鳥です。 ハマりが高じて、ついに「自分でもローグライクハーフのシナリオを書いてみたい!」となり、去年からせっせと書いては闇に葬っておりましたが、ついに一作だけどうにかシナリオの態を成したものが仕上がりました。 そこで、蛮勇を振るって水波流さんへ提出。御厚意で、こちらに掲載と相成りましたm(_ _)m そして、水波流さんばかりか、杉本ヨハネさんと紫隠ねこさんにも監修をしていただけました!! おかげさまで、ルールミスや推理ミスも修正していただき、皆様へお届けできるまでに整いました^^ そういうわけで、d33シナリオ『霊廟館の悪夢』をお送りいたします。 主人公は嵐で遭難し、風変わりな女吸血鬼の館〈霊廟館〉に漂着し、一夜の宿を借りました。そこで、女吸血鬼殺人事件が発生。一宿一飯の恩義を果たすため、女吸血鬼の弟子の一人・魔術師クワニャウマを特別な従者に、殺人事件の解決に乗り出します。 しかし、ここは剣と魔法のアランツァ世界。容疑者の事情聴取も一筋縄ではいきません。話しかけようものなら、戦闘開始も辞さない連中ばかりです。 果たして、主人公は無事に真相を解明できるでしょうか?  どうぞ皆様、お楽しみ下さいませ^^ ローグライクハーフd33シナリオ『霊廟館の悪夢』 https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_Nightmare_at_the_Mausoleum.txt ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年8月1日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第703号 FT新聞 No.4938

From:水波流 2026/7/29頃発売のトーキングヘッズ叢書 TH No.107『ANGURA Revolution〜60's、アングラ、前衛、あの時代』に今回も寄稿させて頂いております。 『型を捨てよ、町へ出よう〜寺山修司の実験演劇が、今の時代に伝えるもの』というタイトルで、1972年オランダでのみ上演された天井桟敷による『阿片戦争』等を紐解きながら語っています。 THは、書評、映画評、舞台評、展覧会紹介などが掲載される季刊誌です。 書籍詳細や取扱店などはこちらの出版社サイトより! https://athird.cart.fc2.com/ca1/467/p-r-s/ From:葉山海月 ラジコンヘリと猫と子どもは、人を賢人にするらしいです。 そう信じたいお年頃(はぁと) From:明日槇悠 今更ながら貴志祐介『クリムゾンの迷宮』を面白く読んでいます。やっぱりゲームブックは読む者を主人公にするんですなー。 From:天狗ろむ 8月! 暑いとアイスが美味しいですね。「ガツンとみかん」やナタデココ入り杏仁アイスがお気に入りです。 さて、今月の勝手にオススメ公式シナリオは……「山の日」にちなんで、『ドラゴンレディハーフ』! 攫われたヒルダ王女を救うべく、「シャングリラ山」に陣取るドラゴンたちに挑む冒険です。中級レベル向けのやりごたえあるシナリオで、暑い夏も熱く乗り切りましょう!(でも水分補給を忘れずに、エアコンなども活用して、どうぞご無理なくお過ごしください!) From:中山将平 僕ら、8月9日(日)マイドームおおさかにて開催の「TGFF2026」に物販で出展します。 配置は【η08b】です。 ゲームブック、1人用TRPG「ローグライクハーフ」、モンスター!モンスター!TRPG関連作品等を扱います。 ぜひお立ち寄りいただけましたら。 当日は、僕中山が現地に行く予定です。 こっそりカエル人の本も持っていきます! さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (葉)=葉山海月 (明)=明日槇悠 (く)=くろやなぎ (天)=天狗ろむ (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■7/26(日)~7/31(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年7月26日(日)かなでひびき FT新聞 No.4932 読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第13回(問題編) ・かなでひびき氏による企画。かなで氏が集めた奇妙で結末がない物語の断片。この前半部に、読者の皆様がオチに当たるストーリーを考えるという企画です。 今回のお話は、「ある辺鄙な街で、殺人を犯した男。 死体を埋めるまではうまくいった。しかし、そこへ『誰かいるの?』ガサガサと茂みの向こうから女の子の声が聞こえ、あまつさえ近づいてくる。 熊の叫びを真似して追っ払い、その場は逃れたものの……。 はてさて、彼を待ち受ける運命は!?」 今回の出題編はここまで! 皆様の名解答! お待ちしております! (葉) 2026年7月27日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4933 ☆雑記☆ ・去る6月28日に、名古屋で日本初のTrollConが開催されました! 本記事はケン・セント・アンドレによって認められた、この公式イベントにて打診された「お願い」をひとつ、叶えるために書かれたものです☆ 寄せられた「お願い」……それは「モンスター!モンスター!TRPG」から「ヒューマンズ!ヒューマンズ!」のTシャツを作ってほしいというもの! 例えば「ローグライクハーフ」など、他に「こんなTシャツがほしい」というご要望がありましたら、ご連絡ください☆ その他、作家としても編集長としても様々な企画を準備し、案を練っているところの杉本氏ですが、まだ動きはじめたばかり。ぜひご希望をお寄せくださいませ☆ (明) 2026年7月28日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4934 ゲームブックにおける死と物語 第8回:『単眼の巨獣』における選択と成長 ・編集部員くろやなぎが不定期でお届けしているゲームブック考察記事。今回は、FT書房刊行のゲームブックとしては最新作にあたる『単眼の巨獣』に関する考察の第2回です。 『単眼の巨獣』の主人公である「君」は、「混沌」と呼ばれるモンスター。相手を「取り込む」ことで成長を続け、自分の身体のほかには何も持ち歩かず、他者とのあいだで「倒すか倒されるか」以外の関係性を結ぶことはほとんどありません。 そんな主人公の特性を踏まえたゲームシステムと、読者による選択のもとで、「君」はどのように成長し、物語はどのように分岐していくのか。今回は、最序盤の展開を一種のチュートリアルに見立てた上で、そこでの選択と成長のバリエーションを解析的に追ってみました。 (く) 2026年7月29日(水)ぜろ FT新聞 No.4935 第1回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第503回。 今回は新たなキャラクターが登場! 一人は筋骨隆々な偉丈夫・ヴァルグ。そして、彼を師匠と呼び、赤い毛並みを持つ大型犬を連れた少年・ハルト。ぜろ氏作品ファンには見逃せない名前が出てきましたね!? そんな二人が挑むのは、「エメラルド海の探索」。貿易都市・ビストフの近海、エメラルド海を舞台とした海洋冒険! ヴァルグによって改名された「クラーケンぶっ殺し号」で、まずは海域を荒らす海賊退治に出航します! ヴァルグにもハルトにも複雑な事情がある様子……気になる二人の冒険譚の始まりに、乗り遅れませんよう! (天) 2026年7月30日(木)東洋夏 FT新聞 No.4936 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.7 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第7回目をお届けしました。 前作の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、途中で同行者となったドワーフ・アルゴットを喪いながらも、もう一人の同行者のコビット・ヨンと共に先頭車両を目指します。 今回は魔物の車掌が登場。【歓待】して出迎えてくれましたが、その車掌からとんでもないお願い事をされるシグナス。何と身体の一部をハサミでパッチン! とさせて欲しいですって……!? ペット扱いされ鞘に押し込まれたクロは猛反対していますが、面白い事が大好きなヨンは「おもろ!」とけしかけます。さてさて、シグナスの決断はいかに? (天) 2026年7月31日(金)休刊日 FT新聞 No.4937 休刊日のお知らせ  ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月31日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4937

おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月30日木曜日

ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.7 FT新聞 No.4936

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.7  (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■    FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!  本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。  ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。  冒険の舞台は、夜を駆け、人をさらうという謎の〈怨霊列車〉。調査を依頼された十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロ。そして従者に「面白いこと」を愛するコビット族のヨンという布陣で進んでいきます。  前回vol.6では、踊る骸骨たちの輪の中に据えられた宝箱を「盗む」というミッションに挑戦した三人。〈おどる剣〉クロが持つダンスの知識によって、トラブルにもならずお宝(といっても金貨3枚しか入っていなかったのですが)の獲得に成功しました。サン・サレン伝統のダンスを見事にこなしたクロ。そしてシグナスが見た幻影。不思議な〈おどる剣〉の過去の断片が浮かび上がってきました。  次の車両では何が待ち受けているのでしょうか?  なお、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。  ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。    前口上はこれでおしまい。  予測不可能な列車の旅へ、いざ出発と参りましょう!  ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:7 ・筋力点:4 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨14枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、騎士グロリアの指輪(金貨12枚の価値)、ランタン、食料2食分 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:6 ・器用点:3 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし    ◇ [7号車]33:巨大な刻印はさみをもった魔物車掌  かしゃり、と車両前方の扉が開く音がする。  今までには無かったことだ。シグナスとクロ、それにヨンも素早く武器を構える。 客車の中扉が開くと、そこには魔物が立っていた。 「よ〜こそ! この怨霊列車にご乗車いただきありがとうございます♪ 私は当列車の車掌でございます。ただいまより切符を拝見したく存じま〜す」  車掌の服の下は黒いモヤで構成されており、瞳だけが怪しく光る。その手には不思議なはさみがあり、そのはさみは下手な怪物の口より大きく見えるから、人体でも易々と切り取れるだろうと考えた途端に、シグナスの全身にぞわりと鳥肌が立った。    (※何と、ここで初めて〈怨霊列車〉側の人物が登場です。いよいよ大詰めという感じがしてきましたね! この何となく9がみっつ並ぶ列車に兄弟がいらっしゃいそうな車掌さんですが、凶悪なはさみをお持ちです。切符を切るための刻印はさみとのこと。戦うこともできますが、ここは反応表を振ってみます。出目は1、【歓待】。よし、これを望んでいました!)   「シグ、シグ、切符出して!」  ヨンに小突かれて、慌ててシグナスも招待状を取り出す。 「おお、ようございます。こちらの、えー、お客様のペットでございましょうか? まあ今回は、無賃乗車とは致しませんのでね、次回からは切符を買っていただけますと」 「ペットだと! 俺は」 「黙ってクロ」  シグナスは空中の〈おどる剣〉を引き戻して鞘につっこんだ。 「ペットです。僕の」 「あい、よろしゅうございます。しかしシグナス様」  招待状の縁をパチリと切って印をつけると、車掌はポケットにはさみをしまう。その服の下のもやが動いて、首を傾げたように見える。 「何でしょうか」  黄色く光る車掌の目が、にっこりと笑みを形作った。化け物なのにここは一緒なんだな、などとシグナスは妙なことを考えてしまう。ヨンの影響かもしれない。おもろ! 「シグナス様は生身の人間でございますね。その、私の一身上の都合でありまして、大変申し上げづらいことではございますが、お願い事があるのです」  車掌の両手は、白くて薄い上等な手袋に包まれている。それが、宙に浮いて揉み合わさる形になった。 (もじもじしてるってこと?)  卵なれど聖騎士たる者、如何なる異形に遭遇しても動揺してはならない。そう自らに言い聞かせたものの、恥じらう化け物に遭遇したのは初めてである。シグナスは少しばかり化け物の車掌に好感を抱いた。しかしその思いは、続く言葉によって風の前の塵の如く儚い妄想であったと突きつけられる。 「ああどうかシグナス様、お身体の一部を切らせていただけませんでしょうか? このハサミで、パッチン! パッチン! と。ご乗車記念の刻印にもなりますよ♪」 「お、おもろ……」 「おもろじゃないですヨンさん!」  んふふ、と車掌は笑った。 「ご安心くださぁい♪ オーナーと違って殺しはいたしませんので。さあさあ、ご遠慮なさらずに」 「シグ、ここはいっちょ度胸だよお!」 「ヨンさん!? 一体どっちの味方なんですか」 「え、車掌さんのおもろに共感の嵐だけど?」 「おおーっほっほ、分かっていただけますかヨン様。うつろう人の身のその柔肌に永遠の傷を残す。その唯一無二の感触がですねえ」 「うん、おもろ!」 「はい、面白うございますでしょ♪」  イェーイ、と手のひらを打ち合わせて喜ぶ車掌とヨン。シグナスはコビットという種族の難しさに、今更ながら頭がこんがらがって来た。    (※さて、反応表が【歓待】だった場合、車掌はこちらの肉体をパッチンする代わりに、何故か「この冒険が終了するまで一度だけ判定時のファンブルをクリティカルにすることができる」という効果を付加してくれます。具体的にどう助けていただけるかは謎ですし、職業上の特権を濫用しているような気もしますが、これから最終イベントに向かうには非常に頼もしい効果ですね。生命点2を支払わないといけないので対象はシグナスかクロ。技量点0のシグナスくんにお願いしたいところですが……と冷静に計算したところで、心情的に十二歳にプレイヤーの選択で傷を残すことを躊躇って一ヶ月ほど筆が止まったりしたのですが……ここは彼に乗り越えていただくことにして、対象はシグナスとして進めましょう)    鞘の中に押し込められたクロが、ぶぶぶぶぶと震えて怒りを露わにする。シグナスが柄にかけた手を離せば、たちまち車掌に襲いかかるだろう。ここで戦闘はしたくない。何より、この<怨霊列車>におけるそれなりの偉い人なのだ。怒らせない方がいい。たぶん。 (というか、初めて会ったんじゃない? この列車で働く人…‥人じゃないけど)  シグナスは、巣を突かれた蜂のようにぶんぶん唸る、クロを納めた鞘をぎゅうと抑えつける。そして意を決して、 「分かりました」 「おお」 「でも! 切ったら先に行かせてください。約束ですよ」 「勿論でございますとも! さて、どこがよろしいでしょうか。よく見えて、しかも殺さずにいられるところ。そうだ」  車掌はポケットからはさみを取り出すと、電撃的な不意打ちでシグナスの耳たぶをぱちんと挟んで切り取った。 「うぁっ!」  頭の中に雷を流し込まれたような衝撃が走る。痛いのではなく、何か別のもの……この<怨霊列車>に属するものがシグナスの右耳から押し入って、左耳から突き抜けて行った気がした。  くらくらと目が回る。下を向くと床にぱたぱたと血が落ちた。 「す……ばらしい! 人間の、これほど若いお方を切ったのは初めてですが、おお何と生命力に溢れて華やかな手応えなのでございましょう」 「いいなあ、おもろで。ねえ車掌さん、はさみ貸してよ!」  シグナスが手を離した隙をついて、クロが猛然と鞘の外に飛び出す。怒りのまま、ヨンの頭に自身の柄をドカンと打ちつけた。 「痛いっ」 「いかれコビットめ! お前なんぞをシグナスに同行させるのではなかった!」 「おお、ペットはケージの中から決してお出しになりませんよう」 「ペットではないと言っておろうが、この無礼もむがーっ」  シグナスは再びクロを鞘の中に押し込む。むがむがむがむがと罵倒が聞こえるが、ともかく主導権は取り戻した。 「これで、良いですか」 車掌はにっこり笑う。 「ええ、ご協力ありがとうございます。久しぶりのお客様に昂ってしまい、申し訳ございませんでした」  帽子のつばにちょいと指をかけて敬礼の代わりとし、車掌はシグナスたちが過ぎて来た車両後方へと歩いて行った。 「シグ? 大丈夫? 新たな快感に目覚めた?」 「目覚めてないです」 「それは残念。だけどシグ、なっかなかイカしてるよ」  ヨンがウィンクしてみせる。シグナスは切られた耳を触り、早くも不穏な腫れを帯び始めた耳たぶの熱さと共に、鋭い切れ込みの感触をなぞった。 (これは、確かに)  十二歳の心が大きく疼く。  英雄には、インパクトのある逸話と外見が組み合わさるものである。 例えば主人ノックスの長い前髪と三白眼と無表情の組み合わせが、不吉で暴力的な噂に尾ひれを付けるように。だから僕にもひとつくらい勲章の傷が、それも良く見えるところにあったっていいじゃないかとシグナスは思う。 (ギザ耳のシグナス? それじゃあんまり格好良くないかも。どんなのがいいかな……?)  シグナスは騎士たちの仲間入りを果たしたような気分になって、ヨンにつられてか、こんな時なのに少しだけ嬉しくなってしまったのだった。    ◇  今回のリプレイはここまでです。  〈怨霊列車〉には車掌さんがいらっしゃったのですね。しかもかなり癖のある……。この車掌さんを雇っている列車の主にもかなり特殊な好みがありそうで、シグナスくんが無事に攻略できるか、改めてドキドキしてまいりましたよ。  さてギザ耳になったシグナスくん。生命点の回復のために食料を使っておきましょう。食べたというよりは、ワインがありましたから耳の傷を消毒したという感じでしょうか。これで今回の2点減少分をカバーできました。  最終イベントまで車両はあとひとつ。次はどんな驚きが飛び出すことやら!  それでは、次の車両でお目にかかりましょう。  良きローグライクハーフを!   ◇    (登場人物)  ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。中二病に罹患する年頃ではある。  ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉で、元人間だと主張。断じてペットではない。  ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。面白さがすべて。  ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。グロリアの火球により落命。  ・グロリア…サン・サレンの女騎士。アンデッドの部下を引き連れ、様子がおかしい。 ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月29日水曜日

第1回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4935

第1回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●ある船員の手記 雲ひとつない空に、照りつける陽光が肌を焼く。 その暑さを和らげるように、暖かな風が全身をほどよく撫でてゆく。 そのあまりの心地よさに、私は甲板作業の手を止め、しばし身を委ねる。 海原はどこまでも続き、水平線の彼方に溶けるように消えている。 ビストフへ向けた航海は順調だ。 これまでの航路は、かつて体験したことがないほどに穏やかだった。 やさしい波を、船体がゆるやかにかき分けて進んでいる。 マストの上に設けられた見張り台から、マドレーン諸島の島影がうっすらと見えるようになれば、目的地の貿易都市ビストフは近い。 この船は、ビストフへ向けた貿易船。 多くの貨物と香辛料、それに見合った船員、そして少ない乗客を乗せている。 今、甲板で海を眺めている二人と一匹は、その数少ない乗客の一組だ。 その風体が特徴的で、乗船したときからずっと気になっていた。 ひとりは年かさの偉丈夫。齢は三十代後半から四十代あたりだろうか。 筋肉質な体躯をむき出しにしており、全身が浅い傷にまみれている。 両頬にも十字傷。左目は眉のあたりから目の下にかけて傷が走っているが、目は無事なようだ。 幾度も危地を乗り越えて来たのだろう、歴戦の猛者を思わせた。 声量も大きく態度も大きい。口調もその容姿に見合った乱雑さだ。 名前はたしか、ヴァルグと名乗っていた。 気になるのはもうひとりの方だ。 見たところはまだ少年だろうか。大男と一緒にいるためより小柄に見える。 その少年はフードを目深にかぶり、マントで全身を隠すように覆っていた。 その背には、少年に持てるとは思えない巨大な槌が背負われていた。 ヴァルグの荷物持ちか武器持ちだろうか。 ビストフは大陸北東部に位置する都市だ。 しかし、この時期のマドレーン海域は暖流の影響で暑いほどだ。 初夏のビストフの陽射しは容赦なく、人々の肌をあらわにさせていく。 大男ヴァルグの格好の方が自然なのだ。 にもかかわらず、あんな厚手のマントに身を隠すなど、正気とは思えない。 一度訊いてみたものの、ヴァルグの「気にするな」の一言で終わってしまった。 気になる。 そしてその少年が連れているのは炎のように赤い直毛のロン毛、毛深い大型犬のように見える。 少年くらいなら乗せて移動することもできそう。ただの犬でないことは明らかだ。 私は、この人たちの関係性も気になっていた。 少年は、ヴァルグとはよく会話しているようだが、他の人に積極的に話しかける感じではない。 ヴァルグと少年は、父と子ほどに年齢は離れているが、親子というには似てなさすぎだ。 本当に荷物持ちなのか。 見張り台の船員が緊迫感あふれる警告の声を発したことで、私の思考は中断された。 見張りが示した方角を見る。甲板からも、海原に、なにやら複数の物体が漂っているのが見えた。 しかしそれよりもその先だ。海そのものが丘のように盛り上がりながら迫ってくる?! 「あれは……クラーケン!!」 見張り台の船員が絶望的な名を叫ぶ。 その瞬間、船に十分に近づいていた海の丘がさらに盛り上がり、白く巨大な胴体があらわになった。 同時に巨大な二本の触腕が海中から飛び出し、甲板にのしかかる。 船体がぐらりと傾き、見張り台の船員が海に落下するのが見えた。 クラーケンは巨大すぎる伝説的な海の魔物。その容姿はイカを思わせる。 出会ったが最後、船はバラバラにされ、生きて還るなど絶対に不可能だ。 甲板の触腕の一本が無造作に横に払われる。 それは甲板にいるものすべてを海へと薙ぎ払う動きだ。 私は一瞬で死を間近に感じた。 だが、その触腕は私のところへ届かなかった。 ヴァルグが、両手に持った剣を交差させ、がっしりと踏ん張って触腕の動きを止めていた。 両の腕の筋肉がパンパンに膨れ上がっている。 いや、ありえないだろ。いくら頑強な猛者だろうと、人の身体で止められるものじゃない。 目の前の光景を見せられてもなお、頭が理解を拒む。 そこにヴァルグの、怒号のような声が降ってきた。 「そこのテメエ! 砲台に向かえ! でっけえ図体のどてっぱらに一発お見舞いしてやんだよッ!!」 キョドって左右を見るが、言われたのは私以外ありえなかった。 「で、でも私、撃ったことなんて、一度も……」 「やるんだよッ!!」 ヴァルグのバカでかい声に縮み上がる。 「……船員さんなら、撃ち方のひとつも習ってんだろ。誰にだってはじめてはある。やってみな」 私が委縮したのを察したのだろうか、ヴァルグの口調が柔らかくなった。 あの触腕を押さえながら、そこまでの余裕があるのか。 そうだ。今動けるのは私しかいない。貿易船にも最低限の武装はある。 私はクラーケンの本体がいる、左舷側の砲台を目指す。 しかしそこに、もう一本の触腕が持ち上がり、上からたたきつけるように動いた。 今度こそ、終わりだ。 そう思った私の前に、ひとつの影が。 それは、あのマントの少年だった。 「君、あぶなっ!」 「なぁに。大丈夫だ」 ヴァルグの声。 少年がマントを払う。あらわになったのは、体躯に見合わぬ、巨大な左腕。 それは黒毛に覆われていた。そして、少年に持てるとは思えぬ巨大な槌が握りしめられていた。 「獣の……腕……!」 私は、その光景に、思わずつぶやいていた。 少年は、振り下ろされる触腕を、真下で受け止めきった。 その横ではあの大型犬めいた生き物が、がじがじと触腕に噛みついている。 「オレには長くは止められない。今のうちに、早く!」 少年の声で我に返る。砲台に取りつくと、あとは無我夢中だった。 **** 私たちはどうやら、助かったらしい。 伝説の海の魔獣クラーケンが、私の砲撃なんかであっさり撃退できるはずがないのだが。 海に落ちた船員たちの救助にあたっているうちに、その理由がわかってきた。 クラーケン出現前に波間に見えた複数の物体は、船の残骸だった。 クラーケンはここに来る前に、すでに一隻の巨大船を破壊していたのだ。 つまり私たちは、ひと仕事を終えたクラーケンの帰路にたまたまはち合わせたにすぎなかったわけだ。 それでも、助かったのは奇跡としか言いようがない。 私は、私たち船員と、船の命を救ってくれた二人を見る。 少年は獣の腕を、すでにマントの下に隠していた。あのさなか、それを見たのは私だけだったかもしれない。 「よくやった、ハルト」 「はい、師匠」 「だから師匠って呼ぶんじゃねえよ!」 ああ。師弟だったのか。 最初はそんな可能性すら感じなかったが、今の私は、変に納得していた。 ヴァルグの意識が私に向けられた。 「おい、テメエ、名はなんていうんだ」 「あっはい、ポールです」 「ポールか。いい腕してんじゃねえか。ありがとよ!!」 ヴァルグがまた、デカい声を私に降らせてきた。けど、それは意外にも感謝の言葉が添えられていた。 いや、意外というのは失礼にあたるかな。私は、人は見かけによらないということを、今、目の当たりにしているところだ。 そんな武骨で不器用なヴァルグの隣には大型犬がぺたんと座ってリラックスしていた。 口から小さな火の舌がチロチロと出ていて、私は目を丸くした。 「こいつはヒース。火吹き獣なんだ」 ハルトと呼ばれた少年が説明してくれた。 さあ、ビストフはもうすぐそこだ。 この後、ヴァルグからクラーケン退治の砲撃手としてスカウトされる日が来ようとは、想像もしていなかった。 ■ローグライクハーフとは ——想像の、旅に出よう。 ローグライクハーフのリプレイへようこそ! 「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、そんなローグライクハーフのシナリオを実際にプレイした様子を物語風に記述したもの。 自分がプレイした様子を、想像力のおもむくまま、冒険小説として仕立てています。 さらに、実際にどんなプレイをしたのかの[プレイログ]もついています。 プレイ風景を知りたい方、自分のプレイとの違いを楽しみたい方、純粋に物語を楽しみたい方、いろんな楽しみ方ができる、それがリプレイの魅力です。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑むのは、ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」になります。 クラーケンを退治する海洋冒険譚です。 また今回も、新しいキャラクターを用意しました。 ヴァルグとハルトの師弟コンビになります。 以前私は、ヒーローズオブダークネスから、妖狐と魔猫を使ったリプレイを書きました。 今回は、拡張ルールから新しい職業をチョイスしています。 とはいえ、その職業に就いている、というよりも、その系統の技能を使いこなしている、という感覚になります。 そのため作中で職業名が触れられることはありません。それぞれがなんの職業なのかは、後に記載されるデータにありますので、ご確認ください。 また、ハルトの持つ「獣の腕」は、データ的な裏付けのない描写のみの設定になります。 見た目にそぐわぬ巨大な腕と巨大な槌を持っていますが、データ状は単なる片手武器の扱いです。 ローグライクハーフはもともと、効率を最小化するよう設計されています。 弱いクリーチャーが基本的に一撃で落ちるようにデザインされているのは、プレイヤーキャラクターは最初から英雄的な強さを持っていることの証左です。 だからその強さの理由づけとして、こういう設定を付加してもいいかなと思いました。 彼がどうしてそんな外見をしているのかは、おいおい語られることでしょう。 さあ、それでは、新鮮な驚きに満ちた、スリル満点な冒険をお届けしますよ! さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 また、本リプレイではランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めながら冒険を進めていきます。 サイコロを振ってイベントが決まったら、イベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていきます。 彼らの織りなす冒険を、ぜひ楽しんでください。 ●アタック01-1 領主との謁見【ハルト】 貿易都市ビストフの宮殿の謁見の間で、オレはヴァルグ師匠について、領主マキシミリアンと対面していた。 火吹き獣は宮殿に連れ込んじゃダメっていうから、ヒースは厩舎に預けてある。 「ヴァルグ。我が友。久しいな」 「ヴィル、テメエ友とか気色悪りぃこと言ってんじゃねェよ」 「そう言うな。ネグラレーナの剣闘士時代にはだいぶ稼がせてもらったからな」 「俺は金づるかよ!」 ヴィルヘルム・マキシミリアン。それがこの領主のフルネームだそうだ。 師匠は領主を愛称で呼んでいた。しかも完全にタメ口。これって王族とか貴族にしてもいい態度なんだろうか。なんかダメな気がする。 短い口ひげに、端正な顔立ち。物静かで思慮深そうな雰囲気をまとっている。師匠とは正反対のタイプだ。 「……で、わざわざ呼び寄せた理由はアイツだな。クラーケン」 「ほう、話が早いな」 「ここに来る前にちょっくらあいさつしてきたからな」 その意味がわかったのだろう。領主は身を乗り出した。 「なんと。まさかクラーケンに遭遇したのか。……それで生還するとは、やはり私の目に狂いはなかった」 「俺を選んだ時点で曇ってるぜ。わかってんだろ。俺の悪評をよ」 「多少は耳に入っているが、それがどうかしたか。私は君の実力を知っているからな」 「チッ。どうなっても知らねェぞ」 オレは師匠の過去を知らない。師匠は自分のことをなにも話さないからだ。 元剣闘士っていうのも今知った。 「お前のために船を用意した。乗組員もな。もし他に呼びたい者がいれば人員に余裕もある。無論、相応の報酬は用意させてもらう」 「たりめェだ」 「出航日はもう少し調整が必要だな。船を見ていくか?」 「ああ」 「では港の一号桟橋で合流しよう。また後でな」 宮殿から港へ向かう途中で、オレは気になっていた質問を師匠にぶつけてみた。 「なあ、悪評ってなんだ。態度の悪い衛兵が言ってたことか」 「なにを聞いた?」 ヒースを預けるときの衛兵の態度が悪かったからいい気分はしなかったが、師匠が一喝すると縮み上がっていた。 そのときにぼそぼそと悪態をついていたのを、オレの耳は拾っていたんだ。 「全滅野郎とか、味方殺しのヴァルグとか」 「そうか……」 師匠は、黙ってしまった。 「けど、そんなわけない。オレ、文句言ってくる」 「やめとけ」 「なんで」 「それが事実だからだ」 「……」 今度は、オレの方が黙ってしまった。 「だからテメエも俺についてこない方がいいぞ」 師匠はそのままさっさと歩き始めてしまう。 オレはその背中をただ、呆然と眺めていたが、はっとなって大声でわめいた。 「……オレは、信じないからな!」 ●アタック01-2 出航の日【ポール】 私が一番桟橋に到着すると、停泊している船に、コビットの船員たちが慌ただしく、食料品を積み込んでいるところだった。 ビストフにはコビットが多く、特に港湾作業や船員として働く者が多い。小柄な種族のため、船の揺れでも安定性が抜群なためと言われている。 あれがこれから私が乗船する船、「エメラルドの誓い」号か。 武装商船をベースに組み上げられた新たな船だ。白い帆がまぶしい。 砲門が並んでいる。そのうちのひとつを、私が受け持つことになるのだ。 私はバンダナを結び直して気合を入れると、板橋を渡り甲板へと向かう。 板橋は頑丈なつくりだったが、私の脇をちょこまかと器用に避けつつ行き来するコビットたちの勢いで、ゆらゆらと揺れていた。 甲板に上がる。箱の上に座ったコビットのチーフが、軽い口調で右へ左へと指示を出している。 私は、私をスカウトした男の姿を探した。 「あれ、ポールじゃない」 そのとき、聞き知った声がした。張りのある威勢のいい女性の声。ニーナだ。 ニーナとは同じ港で働く者同士、見知った仲だ。何度か同じ船で働いたこともある。 「なに、あなたこの船に乗るの? 乗船名簿にはなかったはずだけど」 「ソイツは、俺が呼んだ。貴重な砲撃手だ」 太くてデカい声が聞こえ、私が探していた人物が現れた。 私をスカウトした男、ヴァルグ。 相変わらずその横にはフードにマントの少年と、直毛ロン毛の火吹き獣を連れている。 ニーナはそれを聞いて、目を丸くした。 「え? なんの冗談? 彼そもそも砲撃手じゃないし」 そのとおりだ。もともと私は砲撃手じゃない。 ニーナの方が、領主に正式に雇われた砲撃手のはずだ。 「ソイツはな、クラーケンめがけて果敢に撃ち続けたんだ。大した奴だぜ」 「い、いやそれは、ただ必死だっただけで……」 褒められているのに、なぜか委縮して言い訳をしてしまう。 「まさか、クラーケンと!? ……あなたなかなかやるのね。あたしも負けてられないわ」 ニーナは気持ちの良い女性だ。変に絡むこともなく、あっさりと私のことを認めた。 「皆、そろっているようだな」 コビットたちの搬入が終わる頃、ハーツデイル様が乗り込んできた。 ハーツデイル様はこの船を領主から賜った、所有者である貴族。つまり、船長ということになる。 強いくせっ毛が、三角帽の外にまではみ出ている。 「作業の手を止められる者は一旦止めて聞け。我が船『エメラルドの誓い号』はこれより、エメラルド海への航海を妨害する海賊船<鮮血号>の脅威を取り除く」 ハーツデイル船長が説明を始めると、ヴァルグがたちまち抗議の声を上げた。 「この船はクラーケン退治に出るんだろ。ヴィルからそう聞いてるぜ」 「なるほど君がマキシミリアン様推薦の傭兵か。見学のときに一度会ったかな」 「そんなことよりどういうことか説明しやがれ」 「まあ待て。どのみち海域を荒らす海賊を取り除かねば、エメラルド海には出られぬのだ。それに我らの力がいかほどのものか試す必要もある」 「チッ。そういうことかよ。じゃあ、しゃあねェな」 ヴァルグの不遜な態度は相変わらずだ。ハーツデイル船長は一瞬だけ苦い表情を見せたが、その後は気にした様子もない。 もしかしたら、領主様からあらかじめ聞いているのかもしれない。 「理解したかな。では、出航の号令を下そう」 「待ちな。もういっこある」 「なんだね?」 「クラーケンをぶっ潰しに行く船の名が『エメラルドの誓い』なんてのはオシャレすぎんだろ」 「ほう。なら君がもっと良い名をつけてくれてもいいが」 「そんなん決まってる」 ヴァルグはニヤリと笑って宣言した。 「この船はこれから『クラーケンぶっ殺し号』だ」 こうして新たな船名が決まった。ハーツデイル船長は一言「下品な……」とつぶやいたが、異を唱えることもなく受け入れた。 「出航だ! 碇を上げよ!!」 ハーツデイル船長の号令が響きわたる。航海のはじまりだ。 次回、最初の航海は順調そうに見えたが……。 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】20 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) ハチミツの塊2(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】0 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7 筋力点3 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】43 【持ち物】 ランタン 【獣血】【凶暴化)【騎馬防御】 【未使用経験点】0 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! 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2026年7月28日火曜日

ゲームブックにおける死と物語 第8回:『単眼の巨獣』における選択と成長 FT新聞 No.4934

おはようございます。FT新聞編集部員のくろやなぎです。 本日は『ゲームブックにおける死と物語』の第8回として、『単眼の巨獣』(著:ロア・スペイダー、2025年、FT書房)に関する考察記事のつづきをお届けします(前回掲載は2026/06/30、No.4906)。 『単眼の巨獣』は、「混沌」と呼ばれるモンスターを主人公とするゲームブックです。 混沌は、「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という特徴をもつモンスターですが、その中でも「森の一つ目狼」と呼ばれる個体は、自らの「分裂体」を生み出すという「まれな選択」を行う、変わり者の混沌でした。 作品のプロローグで、一つ目狼は人間たちの国からの討伐隊に殺されますが、その分裂体である「君」は、一つ目狼によって海へ逃がされて生き延び、作品の序盤の舞台となる絶海の孤島に流れ着きます。 前回の記事では、このプロローグにおけるいくつかの描写や、本編開始直後のある強敵との遭遇の場面を手がかりとして、混沌の「本能」と、一つ目狼や君の「個性」および「選択」との関係性について考察しました。 「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という指向性は、すべての混沌に共通する「本能」として語られますが、その「本能」から生じる具体的な行動は、結果として一律ではなく、それぞれの個体の個性を反映したものになります。特に、「まれな選択」をした一つ目狼の分裂体であり、さらに、その一つ目狼に命を救われる・逃がされるという経験(これも、混沌としては「まれな」経験のはずです)をした「君」は、その分裂元である一つ目狼よりも、さらに特殊で個性的な個体だと言えるかもしれません。 そして、そのような変わり者の「君」が今後どうなっていくのかは、ひとつひとつの場面における読者(プレイヤー)の選択にかかっています。 では、作品の中で、君(としての読者)にはどのような選択肢が用意されており、そこでの選択の積み重ねに応じて、君の「取り込む」「成長する」という「本能」はどのような形をとることになるのでしょうか。 あるいは、その成長の途上には、どのような形での終わり(死)が待ち構えており、君はそれをどう回避し、生き延びていくのでしょうか。 前回は物語上の背景や描写に基づき考察を行いましたが、今回の記事では、『単眼の巨獣』のゲームとしてのルールや進行という側面から、君の選択と成長のあり方について見ていきたいと思います。 記事の中には、作品の最序盤の内容に関する詳細な記述が含まれます。未プレイの方はご注意ください。 作品はBOOTHにて販売されていますので(本稿作成時点では在庫あり)、実際に読みたい・遊びたい、と思われた方はぜひお早めにどうぞ。 [FT書房公式HP内 『単眼の巨獣』紹介ページ] https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/tangan ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブックにおける死と物語 第8回:『単眼の巨獣』における選択と成長  (くろやなぎ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ■君の成長と2種類の数値 まず、主人公である「君」の強さや成長が、どのような要素によって構成されているのかを確認しておきましょう。 プロローグの終わりに絶海の孤島へ流れ着いた時点での、君のステータスは以下のとおりです。  戦闘力:10  体力(現在値/最大値):10/10  【能力】 「ゼリーの体」  【スキル】 なし 数値化されたステータスが2種類と、取得したものを個別に記録していくタイプの【能力】【スキル】という2つのカテゴリー。 他には金貨も食料もアイテムもなく、経験値もフラグ管理のための記号もない、非常にシンプルな構成ですが、これらの4要素が作品内での「君」を表現する指標のすべてとなります。 「戦闘力」は、生物としての「強さ」の指標であり、戦闘力が高いほど強い生物になるとされています。 『単眼の巨獣』の戦闘は、基本的には「戦闘力の比べあい」の一発勝負となっており、君の戦闘力(素の戦闘力に、【能力】と【スキル】とサイコロの出目によるボーナスを加算した合計値)が相手の戦闘力より大きければ勝利、そうでなければ敗北、というシンプルなルールになっています。サイコロによるランダムなボーナスは君の戦闘力にのみ加算され、相手の戦闘力は固定値となっているので、君の戦闘力が順調に成長している場合は、目の前の敵に100%勝利できる(サイコロの出目を見る以前に勝利が確定している)状況も珍しくはありません。 物語上の設定として、君は混沌としての「本能」に基づき「最強」を目指して戦い続けるわけですが、ゲームとしても、とにかく戦闘力を高める(戦闘力に乗せられるボーナスを増やす)ことがわかりやすい勝利への道になるため、主人公としての「君」の目的は、そのまま読者としての「君」の目的と重なりやすくなっていると言えるでしょう。 「体力」は、最大値が生物としての「体長」や「頑丈さ」の指標となり、現在値が無くなると死亡する(GAME OVERになる)と決められています。 先に述べたように、戦闘は「戦闘力」による一発勝負ですので、体力の削り合いのような側面はありません(敵にはそもそも体力の設定がありません)。また、たとえば「サイコロの出目が体力以下だと成功」のような、体力を使用した判定のルールも存在しません。 では、体力はどのような場面で必要になってくるのかと言うと、たとえば以下のような場面が挙げられます。 ・敵から一方的な遠距離攻撃などを受けたとき (→現在値が減り、1以上残っていれば生き延びる) ・戦闘などで【スキル】を使用するとき (→戦闘力を一時的に増やしたり、特殊効果を発動したりする代わりに、現在値が減る) ・いくつかの特定の【能力】を取得するとき (→新たな【能力】と引き替えに、最大値が減る) ・戦闘で、【能力】や【スキル】やサイコロによるすべてのボーナスを戦闘力に足しても勝てないとき (→現在値と最大値を削って、戦闘力に上乗せできる) ここで注目したいのは、ひとつめのケース(いわゆる「ダメージを受ける」とき)を除いては、すべて「体力を失う代わりに、何かを得る」という構造になっていることです。 君はひたすら戦闘と成長のために生きるモンスターであり、食料やアイテムなどの消費財を何も携行せず、もちろん貨幣も使用しません。この作品が「何かを失う代わりに、何かを得る」という選択を読者に迫ろうとするとき、「支払われる代価」という役回りを担うのは、君の外部にある何らかのモノではなく、主に君自身の「体力」なのです。 ルール説明における定義に従えば、君の体力が成長するということは、君の「体長」が増加し、生物として「頑丈」になる、ということと同義です。 これは、成長する君の姿に対する具体的なイメージを喚起する表現であり、その意味では、物語としての側面に寄せた説明だと言うこともできるでしょう。 一方、ゲームとしての側面から見れば、君の体力の成長は「何らかのメリットと交換可能なリソースの蓄積」を意味するものでもあります。 勝利への近道として「戦闘力」を伸ばすか、あるいはリソースとしての「体力」を蓄えるか。そして、蓄積された「体力」を、どのタイミングで、何を得る代価として使用するか。 これが、『単眼の巨獣』の全体を通して、読者に対して(暗黙のうちに)投げかけられ続ける問いのひとつとなります。 ■最序盤における選択と成長のバリエーション それではここで、君の成長に関して、実際にどのような選択肢が用意されているのかを見ていきましょう。 プロローグ直後のパラグラフ1では、さっそく君にとって最初の成長の機会が与えられます。 君はもともと、自らの分裂元である「森の一つ目狼」の腕に保護されるようにして、絶海の孤島に流れ着きました。そして、砂浜でふと「空腹」を感じた君は、まず目の前にあるその「一つ目狼の腕」を「取り込む」ことに決めます。 これによって、君の外見はいくらか変化し、以下のうちどれか1つの【能力】を得ることができます。  ・爪(戦闘力+10)  ・角(戦闘力+5、体力の現在値/最大値+5)  ・毛皮(体力の現在値/最大値+10) この選択は、ゲームを開始したばかりの読者に対する、一種のチュートリアルになっているとも言えるでしょう。 というのは、「どの【能力】を取得するかという選択を通じて、読者がある程度、戦闘力と体力とのバランスを調整することができる」という、君の成長に関する基本的な構造が、きわめてシンプルな具体例として提示されているからです。 読者はここで、戦闘力を優先するか(爪)、体力を優先するか(毛皮)、それとも両者のバランスを取るか(角)、という数値的な成長の方向性を考慮しつつ、「爪」「角」「毛皮」それぞれに固有の特性やイメージも踏まえて、「君」としての最初の選択を行うことになります。 そして、つぎのパラグラフからはルートが細かく分岐していき、最初の中ボス的な敵の手前(パラグラフ14)で再び合流することになりますが、そこまでをゲームの最初のブロック(以下、この記事では《ブロックA》と呼びます)とすると、《ブロックA》は全部で16のパラグラフで構成されており、通過するパラグラフのパターンを細かく分ければ9通りのルートが存在します(GAME OVERになるものを除く)。 通るルートごとに、取り込める相手(能力値の上昇幅や、取得できる【能力】または【スキル】)は異なっており、さらにパラグラフ内での選択や分岐の結果も含めると、まだまだ序盤の段階ではありますが、すでに君の成長のバリエーションはそれなりの数にのぼります。 たとえば、あるルートを順調に進んでいくと、《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、以下のようなステータスになっています。 〈ケース1〉  戦闘力35 体力15/15 【能力】「ゼリーの体」「爪」「腕」「丈夫な消化器官」「尻尾」 君が初期状態から上記のステータスになるまでの成長のプロセスを、少し詳しく見ていきましょう。 スタート地点の砂浜から森の中へと向かった君は、島の大ボス的な存在である「マグマレックス」と巨大ゴリラとの戦闘に遭遇します。やがて勝利したマグマレックスはゴリラを貪り食いますが、隠れてその場をやり過ごした君は、マグマレックスが去った後に、食べ残しの「腕」(戦闘力+5)を取り込むことができます。このとき、パラグラフ1で「爪」(戦闘力+10)を選択していれば、「腕」との相乗効果で戦闘力がさらに+5されるため、君の戦闘力は合計「30」まで上昇します。 つづいて君の前には「死体漁りの群れ」(戦闘力20)が出現しますが、君の方が戦闘力が高いので、サイコロを振るまでもなく君は勝利し、体力(現在値及び最大値)を+5した上で、新たな【能力】である「丈夫な消化器官」(腐った死体や多少の毒を食べても体力が減らない)を取得します。 さらに森の奥へ進むと、「腐った尻尾」が落ちています。これは、本来は食べると体力の現在値が「10」減ってしまうのですが、君はついさっき「丈夫な消化器官」を取得したばかりなので、その効果によって体力を減らさずに「尻尾」(戦闘力+5)の【能力】を取得することができます。 こうして、君は効率的に成長しながら、「関連する能力を系統的に取得することで、追加のボーナスを得ることができる」「特定の能力は、戦闘時以外にも効果を発揮することがある」という、この作品のゲームシステムにおける基本的事実を新たに知ることができます。 ある意味では、これもまたチュートリアルのつづきのような展開だと言えるかもしれません。 ただし、上記はあくまで、君の選択した「成長」と「ルート」とが、うまく噛み合った場合の結果です。 たとえば、最初に「爪」(戦闘力+10)ではなく「毛皮」(体力+10)を取得していると、同じルートに入っても、「腕」(戦闘力+5)を取得した時点の君の戦闘力は、初期の「10」に「5」を足した「15」だけ。つまり、つぎに出てくる「死体漁りの群れ」(戦闘力20)には、サイコロの「6」を出さないと勝つことができません(この時点では、君の戦闘力に加算できる値は「1D6」で、戦闘力が同じなら負けです)。危険だと思えば「この場から急いで離れる」こともできますが、その場合、君はそのままあっさりと《ブロックA》を終えることになり、このブロックでの君の成長は、最初の「毛皮」と「腕」1本ぶんだけ、ということになります。 また、「死体漁りの群れ」と戦った上で負けてしまうと、勝ったときとは逆に、自分の体の一部を食べられてしまうため、体力の現在値を「10」減らさなければなりません(→君の体力:10/20)。 さらに、その先で「腐った尻尾」を見つけても、「死体漁りの群れ」を倒していない君は「丈夫な消化器官」を持っていないので、食べようとすると体力を「10」減らす必要があります。しかし、君の体力の現在値も「10」しかないので、食べると体力がきっちり0になり、死んでGAME OVERになってしまいます。つまり、腐った尻尾は無視して先へ進むしかありません。 結果、《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、先ほどの〈ケース1〉とまったく同じルートを通過していても、以下のようなステータスになっています。 〈ケース2〉  戦闘力15 体力10/20 【能力】「ゼリーの体」「毛皮」「腕」 〈ケース1〉と比べると、戦闘力が半分以下であるばかりか、体力の現在値でも【能力】の数でも劣っており、なかなかに先行きが不安な状態だと言えるでしょう。 そして両者の違いは、元をたどれば、パラグラフ1の最初の選択肢で「爪」を選んだか「毛皮」を選んだかという、その1点に起因します。 もちろんこれは、パラグラフ1では「爪」を選ぶのが正解だとか、「毛皮」が間違いだとかいうことではありません。 上記の森を進むルートのひとつが、たまたま「現時点としては戦闘力が高めの敵」が出てくるルートだったというだけで、森に入らず砂浜沿いに進むルートを選べば、戦闘がない代わりに「体力を減らす」イベントが発生したり、新たな【スキル】を取得できたりする場合もあります。そちらのルートだと、むしろ「毛皮」で体力を増やしておいた方が、多少のダメージを受けても余裕がある状態で先へ進むことができ、体力を消費する【スキル】も心おきなく使用できる、という点で有利だと言えるかもしれません。あるいは、どのルートでもそこそこの対応をするためには、結局のところ「角」(戦闘力+5、体力+5)でバランスを取っておくのがちょうどよい、という考え方もあるでしょう。 『単眼の巨獣』においては、読者の意識的な選択による分岐と、君の状態に応じて芋づる式に連鎖していく成長や苦難のプロセスとが、相互に絡み合いながらゲームを先へと進めていきます。 「爪」か「毛皮」か、「森」か「砂浜」か、といった選択は、それ自体としては明確な優劣を含まないとしても、それらの組合せの結果は、あるときは「最強」への近道となり、またあるときは死へ向かう下り坂となります。ある「君」にとって効率的に成長できるルートは、別の「君」にとってはほとんど成長できずに命からがら逃げのびるルートにもなり得るでしょう。そして、成否が微妙な状況においては、最終的にはサイコロの出目が君の運命を左右するかもしれません。 このような構造の中には、君の成長におけるひとつひとつの選択の重さと、その選択の結果を予見しコントロールしようとすることの限界を、ともに見て取ることができるように思います。 また、いま述べてきた2つのケースの違いは、ゲームの終盤における君の状態から振り返れば、実にささやかなものにすぎないようにも見えます。 順調に成長を続けた君は、戦闘力は3桁の規模になり、所有する【能力】も20種類を超えているので、その立場からすれば、ここでの「爪」か「毛皮」かという選択など、ほとんど意味をもたないように思えるかもしれません。 ただ、この「最序盤においては重要に見える差が、後にはほとんど意味のないもののようになる」ということ自体が、作品内での君の「桁違い」な成長の本質を表しているとも言えるでしょう。 「10」と「20」の違いが大きな意味をもつ《ブロックA》から、やがて(私の勝手な命名による)《ブロックB》、《ブロックC》、《ブロックD》……と進んでいくにつれて、君の状態は量的にも質的にも大きく変容し、作品自体のあり方もまた、《ブロックA》と同一のシンプルなルールの中にありながら、ある意味では《ブロックA》とは別のゲームのような様相を呈することになります。詳しくは次回以降で改めて述べる予定ですが、このような君の成長(あるいは死)の描き方が、「混沌」という特異なモンスターを主人公に据えた、『単眼の巨獣』というゲームブックの重要な特徴だと私は考えています。 [注:ここまでに述べた一部の【能力】(具体的には「腕」と「尻尾」)のボーナスについて、作品の本文では「攻撃力+5」と書かれているのですが、作品のルール説明で「攻撃力」という単語は使用されておらず、作品内のどこにも「攻撃力」という単語に関する説明はありません。「攻撃力」は「戦闘力」と読み替えてそのまま意味が通じるため、この記事の中では、作品内で「攻撃力」となっている箇所でも、ルール説明で使用されている「戦闘力」に表現を統一する形で記載しています。] ■最序盤におけるサバイバルと選択 さて、先ほどの〈ケース2〉の「君」に話を戻しましょう。 少なくとも《ブロックA》の規模感の中では、〈ケース2〉は〈ケース1〉に比べてかなりのビハインドを負っているように見えますが、これは単なる「失敗例」というわけではありません。 むしろ、すべてが順調に進んだ〈ケース1〉とはまた別の意味で、この〈ケース2〉の軌跡もまた、『単眼の巨獣』という作品に関する充実したチュートリアルになっているように思います。 まず、「死体漁りの群れ」(戦闘力20)との戦闘について改めて見てみましょう。これは、このルートを選んだ君(現時点の戦闘力:15)にとっては初めて経験する戦闘です。 ここでサイコロを振って「6」が出なければ、君は敵の戦闘力を上回れないため、そのままだと敗北となります。ただし、戦闘ルールの最後には、体力の現在値と最大値を減らせば、その分の数値を戦闘力に上乗せできることが記されています。 つまり、サイコロの出目が最低の「1」でも、君の体力を最大値ごと「5」減らせば、君は何とか勝利を収めることができるのです。 また、君はここで、唯一の初期能力である「ゼリーの体」に頼ることもできます。 「ゼリーの体」がもつ特殊効果として、君は好きなタイミングで一度だけ、ゼリーの体を「消費」することで以下のいずれかの効果を得ることができます。  (1)サイコロ1つの目を好きな数字に変更できる  (2)体力の現在値の消費または減少を0にできる  (3)「〜の体」という能力を得た際、体力の現在値/最大値と戦闘力を+20できる (3)の効果はここでは使用できませんが、(1)の効果によってサイコロの出目を「6」にすれば、君は体力を減らすことなく「死体漁りの群れ」に勝利できます。 あるいは、ここで「君」がひとまず敗北を受け入れ、体力を減らして先へ進んだ場合は、「腐った尻尾」を見つけたときに(2)の効果を発動し、「体力の現在値を10減らす」というペナルティを無効化しつつ「尻尾」の【能力】を取得することも可能になります。 上記のように、最初に「毛皮」(体力+10)を選択してからこのルートに入った読者は、早くも君の敗北(戦闘力不足)や死(体力の枯渇)の気配を感じつつ、戦闘ルールにおける最終手段や「ゼリーの体」の特殊効果も意識しながら、先へ進んでいくことになります。 最初に「爪」(戦闘力+10)を選んでこのルートに入った読者に比べると、なかなかハードな道のりにはなりますが、そのぶん一足先に、体力や特殊な【能力】と引きかえにその場を切り抜けるという、このゲームにおけるサバイバルの一側面を経験できるとも言えるでしょう。 そしてまた、最初にどの【能力】を選んでいても、このルートの途中でマグマレックスに戦いを挑んでしまった場合、君はあっさりとマグマレックスに食べられてGAME OVERになってしまいます(詳細は前回の記事参照)。 この段階では、マグマレックスと君との間には戦闘力にして数十の差があるため、同レベルの敵との間では大きな影響を及ぼした「爪」と「毛皮」の違いは意味をもたず、どちらにしても「ゴリラの前の前菜」にされてしまいます。 こうして死に至る選択をした読者は、最序盤からサクッと「君」を殺しに来るパラグラフ構成を見て、この作品(あるいは「君」が生きるこの作品世界)における「殺意」の高さを実感するかもしれません。 なお、スタート地点から森に入らず、砂浜沿いに移動するルートを選択すると、また別の展開が君を待っています。 そこでは、トカゲや魚を「取り込む」機会があり、細かい選択に応じて「鱗」などの【能力】や「放電」という【スキル】を取得できる場合がありますが、それらの対象をすべてスルーして進み続けた場合は、パラグラフ1の終了時点と比べ、全く何も成長していない状態でブロックの最後に辿り着くことも可能です。こうして戦闘や成長を先送りした読者は、他のルートの場合よりも一歩遅れたタイミングで、この作品における戦闘や成長の実際を知ることになるでしょう。 『単眼の巨獣』の最序盤(私が《ブロックA》と呼ぶ部分)では、全部で16のパラグラフの中に、9通りの通過ルートと、2箇所のデッドエンド(必ずGAME OVERとなるパラグラフ)、そして11種類の【能力】と2種類の【スキル】の取得の機会が埋め込まれています。 このブロックは、読者のためのチュートリアルとみなすこともできますが、それは決して「やさしい一本道」だからではありません。むしろ、このゲームの厳しさや多面性の基盤となる部分を、細やかな分岐によって、限られた要素でわかりやすく提示してくれるという意味において、《ブロックA》はこの作品らしい導入部分となっているように思います。 ■おわりに チュートリアル的な《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、そこで一体の敵と出会います。 その敵とは、「チャージ・コンパニョン」。物語のプロローグに登場した、君の分裂元である「森の一つ目狼」を殺した討伐隊を構成するゴーレムたちのうちの一体です。 この敵が、枝分かれしていたルートの合流地点に配置されているということは、この作品にとってふたつの意味をもっているように思います。 ひとつは、ゲームにおける中ボス的な存在として、「チャージ・コンパニョン」は「戦って倒す」べき敵であるということです。 そこでは必ず「戦闘力の比べあい」が発生し、《ブロックA》での君の成長具合によっては、体力を削って戦闘力に上乗せしたり、「ゼリーの体」の特殊効果を発動しなければならない状況も生じるでしょう。 君は「チャージ・コンパニョン」を容易に倒せる状態まで成長しているか、そうでなければ、苦しい局面を切り抜けるためのルールや特殊効果を(読者として)使いこなせる必要があるのです。 また、さらにその先の敵の強さは、君がこの「チャージ・コンパニョン」を倒せた、ということを前提として調整されていることになります。 そしてもうひとつ、物語の上でも、君が「チャージ・コンパニョン」を倒すことには、大きな意味が与えられていると言えるでしょう。 「チャージ・コンパニョン」との遭遇、戦闘、そして君の勝利は、物語の最後まで辿り着くためには、必ず通過しなければならないイベントです。すなわち、「チャージ・コンパニョン」という存在は、『単眼の巨獣』という作品が君の物語を語りきるための、不可欠な構成要素として位置付けられているのです。 では、君の物語における「チャージ・コンパニョン」の意味とは何でしょうか。 「森の一つ目狼」を殺した当事者のひとつである「チャージ・コンパニョン」は、君にとっての仇敵であることは確かですが、君がそれを倒すことには、単なる「復讐」を超えた意味を見出すことができるように思います。 次回の記事(配信日未定)では、この「チャージ・コンパニョン」と君たち(君自身と「森の一つ目狼」)との関係性を軸に、「生物」と「生物ではないもの」をキーワードとして、『単眼の巨獣』の考察のつづきを展開する予定です。 【書誌情報】 ロア・スペイダー『単眼の巨獣』(絵:中山将平、監修:杉本=ヨハネ、FT書房、2025年) https://booth.pm/ja/items/6823989 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun 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