SPAM注意

(編集・水波)最近SPAM投稿が増えておりますが、見つけ次第手動で削除いたしますので、決してクリックなどされないよう、ご注意下さい。

2026年5月10日日曜日

Re:オレニアックス生物学 Vol.3 『マンドラゴン』 FT新聞 No.4855

(編註:この記事は、過去の人気記事を再配信するReシリーズです。文中のコメント等は全て当時のものとなっております) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ オレニアックス生物学 Vol.3 『マンドラゴン』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 生物学の授業は非常に重要な科目だった。 アランツァの地での戦いは、戦争となるとまた話は別だが、人間以外の生き物と交戦することも少なくなかった。 聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラントは生物学の権威。 そんな彼の授業は生き物の外見、性質、そして対処方法を教えてくれる。 生徒たちを生き残る道へと導く、確かな灯火だ。 今日もカメルの授業が始まる……。 授業が始まる前に黒板大きな羊皮紙を貼り付ける。その羊皮紙にはあるモンスターが描かれていた。 そこには背中に木を生やした大きなトカゲに抱きつく裸の女性が描かれていた。 裸の女性はスタイル抜群で、頭についてる禍々しい花飾りが妖艶という言葉をイメージさせる。 それを見た瞬間、講義室に主に男性の歓喜とざわめきの声が響く。 「あー。静粛に。別に研究資料として隠していたご禁制の絵を披露しているわけではない。これは今日の講義の題材なのだ。この絵は『マンドラゴン』という生物を描いた物。さて! 生徒諸君! これのどっちがマンドラゴンかわかるかな?」 その言葉に生徒たちは互いを見たりざわめく。どっちというのはどういうことだろう? 『マンドラゴン』という名前からしてドラゴン、もしくはドラゴンに似た生物なはずだ。 となれば裸の女性ではなく大きなトカゲの方が正解なはずだ。実際ほとんどの生徒がトカゲの方が正解に手を上げた。 だが、2人の生徒は違った。 「ほう。アヴィオンとニナは違うようだ。君たちが女性の方だというその根拠は?」 カメルの問いかけにニナは立ち上がって答える。 「私は、マンドラゴラという植物の亜種だと予想しました。人の姿をして引っこ抜く際の声で害をなすという……。想像ですが、マンドラゴンというのはドラゴンに寄生し背中から生えてくるマンドラゴラなのではないでしょうか?」 二ナの答えにカメルはうなずく。そしてアヴィオンの方に視線を向けた。 「え……えっと。僕は匂いなどでオスの生物を操る森の妖精的な感じの生き物ではないかと……。『森で裸の女性を見たら逃げろ。正体がなんであれ酷い目にあう』という言い伝えも聞いてますし……」 自信の無そうな答えを聞いて、無言でうなずき再び、全体を見回す。 「それでは、皆に正解を教えよう。正解は……どちらも間違いだ。『マンドラゴン』というのはこの絵の通り。このドラゴンと女性が合わさった生物がそうなのだ」 その回答に何人かの生徒は崩れ、または抗議の視線を浴びせる。 「ははは。これは教訓だよ。問いかけはいつも親切とは限らない。最初から相手をだまそうとしているときだってある。さて……講義を続けようか。このマンドラゴン。とても珍しい共生生物なのだ」 そういって黒板に貼り付けてある絵を教鞭で叩く。 「共生? 混合生物ではないんですか? キマイラみたいな……」 レムレスの問いにカメルは嬉しそうに返答した。 「ああ。ちがう。キマイラは違う生物が魔術的にかけ合わさって生まれるが、マンドラゴンは特殊なマンドラゴラとツリードラゴンという種が百竜の森という特殊な環境で手を取り合って生まれた生物なのだ」 そういって、講義室にある地図を教鞭で指す。その先には白い大きな繭が描かれていた。 「百竜の森とはな、カオスドラゴンという生物が生み出した繭の中にある。この繭は年に一度。しかも一日しか開かない。そのとき以外は外界とは接触が無い隔離された場所なのだ。その特殊な環境が生み出した生物の一つがマンドラゴンだ」 今度は教鞭をトカゲの方に指す。 「マンドラゴンのドラゴン部分は普段は地面に埋まっている。つまり!見た目は大きな木に裸の女性が抱きついている!さあ、レムレス。君ならその光景を見たらどうする?」 「え?! あ! たぶん駆け寄るかと。近くで確認するために……は!」 レムレスはとっさに答えた後、自らの間違いに気付いた。 女生徒の視線が厳しい。決してそういうつもりで言ったわけではない! 「ははは。その答えは男性としては正しいな。だが、それはマンドラゴンの思う壺だ。女性に気を取られて近づいたところに地面の中からドラゴンが襲い掛かる。待ち伏せタイプの狩猟を行う生物なのだ」 続いて、女性の部分に教鞭を指す。 「さらに恐ろしいことに、ドラゴンの攻撃で獲物がしとめ切れなかった場合、この女性の部分が大きな金切り声を上げて、獲物の鼓膜にダメージを与え弱らせる。獲物はそれで気絶し、その後ゆっくりドラゴンに食べられるというわけだ。良くできているだろう?」 そこまで言ってカメルは生徒達を見渡す。 「このマンドラゴン、女性部分の大きさは我々と同じくらいなのだが、百竜の森にいる亜種の『マンドラゴラ』と『ツリードラゴン』はもっと小さい。マンドラゴラにいたっては、このような成人した女性ではなく子どもにそっくりで、声も人を気絶させるほどには大きくない。まあこれは百竜の森だけにいる個体だけなのだが……一部の好事家は『マンドラタン』という名前で呼び、とても高価で取引してるほどかわいらしいと。話がそれたな」 セキを一つして話し続ける。 「しかし、ツリードラゴン……背中に木をはやしたトカゲなのだがその木にとりついた時、話が変わってくる。ツリードラゴンはマンドラゴラのおかげで普段より簡単に沢山の獲物を捕らえられるため、図体が大きくなりやすい。一方、マンドラゴラは普通に木に生えるより栄養を多くもらえる上、ドラゴンに水や光がある所に連れて行ってもらえるため、大きく発育する。声の大きさや体のいろんなところがな」 教鞭の先は確かに、大きく発育した箇所を指している。 「つまり、これは、どちらかが一方的に利用する寄生ではなく、互いに利益を与え、協力し繁栄する共生なのだ。今日の授業のテーマは『協力とは人間だけの武器ではない』ということだ。弱肉強食で自分達の種だけ生き残ればいいという単純な生物だけではない。環境が変われば生物も変わる。そのことを良く覚えておくように」 そういって、カメルは教鞭をしまう。 「さて、最後にマンドラゴンの対処法だな。これは簡単。マンドラゴンの攻撃範囲外からの攻撃が一番だ。つまり遠距離攻撃だな。アヴィオンやニナの出番というわけだ。また、音に対する対策をしておくのも有効だ。不意打ちさえされなければ、ただの大きなトカゲなのだから」 終業の鐘が鳴る。 博士はピンと背すじを伸ばしたまま、教室の扉を開ける。ありがとうございました!と声が響く。 若い生徒たちに教えることのうち、どれが役立ち、どれが無駄になるかは分からない。 だが、いくつかはきっと、彼らの命を永らえさせてくれるだろう。そう信じて博士は今日も教鞭をとる。 (From:ロア=スペイダー) ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『マンドラゴン』 ロア=スペイダー著【百竜の森】に登場。 *【100パラグラフゲームブック集1】に収録。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。