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2025年10月1日水曜日

第7回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4634

第7回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。



ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
旅の供は、禁断の、時を操る魔法の時計。
闇神オスクリードに見初められ、闇色の肌になってなお、目的を見失わない。
目的地は、「還らずの森」深くの吸血鬼の館。そこに双子の姉たちがいるはずです。
闇エルフの隠れ里、時計塔の廃墟、ゾンビ墓地を攻略し、森の中の神殿を目にします。
そこは、からくり神テクアの神殿。
内部で闇の神に属する魔法を使ったことで、なんと、テクア神そのものと思われる存在が姿を現したのでした。


【ミナ 体力点4/4 悪夢袋3/7】
金貨 6枚
銀貨 0枚
歯車 1枚
・ニンニク
・銀のナイフ
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。


●アタック01-18 からくりの本質

ボクが今いるのは、森の奥深くにある、からくり神テクアの神殿。
ここで<速撃の戦時計>を使ったら、奥にある神像が動き出した。
全身が透き通った魔術師の姿をしたゴーレム。からくり神テクアそのものの神像だ。
そして、荘厳かつ機械的な音声で、こう言ったのだ。

「大胆だな。私の神殿で、私の子らが造ったその道具を、盗んだその道具を使って、あまつさえ他の神の魔法を行使するとはな」

それは、ボクを凍りつかせるには十分な存在感だった。
神像が本物の神なのか、神が依り代としているのか、そんなことは問題ではない。
ボクが神の存在を直接的に感じたのは、これで2回。

魔法の時計を前に闇の神オスクリード様の声を聞いた時よりも、直接的に、その存在に触れている感覚がある。

「お前をこのまま、この瞬間に固定して立ち去ろうか。時の魔法使いなど、わが子らの信仰の妨げになるやもしれぬ」

ボクには、何もできない。身体が動かないからじゃない。
たとえ動いたとしても、何かをする術があるとすら思えない。
ただ、神が次の言葉を紡ぐのを待つほかはない。
ボクには、神の考えることなど、まったくわからない。さらにテクア神のことは、知らなすぎる。

「ひとつ、訊かせてくれ。私は『からくり神』と呼ばれている。なぜか分かるか?『からくり』の意味を知っているか?」

ボクは、神の質問の意図などわからなかった。
ただ、直感した。この答えを間違えたら、ボクの魂は破滅するだろうと。

「からくりとは何だ?」

・機械だと答える
・運命だと答える
・構造だと答える

からくりの本質を問う質問だろうことはわかった。
ボクは考える。
運命では、ないと思う。それはむしろ、からくりから最も遠いところにある存在だ。
からくりは、もっと整合性が取れているものだ。論理的な帰結によって導かれる、構造そのものではないか。
構造か。
機械よりも、しっくりくる気がした。

ボクは、答えた。「構造」と。

「そうだ」

テクア神は即座に返答した。

「それが分かっているなら、お前はただの『歯車』ではないな」

さらに言った。

「私の関心は我が子ら、ノームたちの行く末だ。
 私は神だが、万能ではない。干渉できる範囲は限られている。
 お前が2人の姉を救えるのなら、吸血鬼に影響を与え、チャマイのノームたちが死なずに済む確率が大きくなる。
 だから、私はお前に力を貸そう。つまり、そういうからくりだ」

からくり神テクアにとっては、からくりの力を使って他の神の魔法を使うことは、問題ではなかったらしい。
テクアには、いったいどんな未来が見えているのか。
テクア神の機械の腕がボクの時計たちに触れる。これが、テクア神にできる「干渉」なのか。

「お前の時計は、より精密に時を刻むようになった」

テクア神はそう言った。
これでボクは、時へのアプローチを、より正確に行えるようになった。
たとえば<跳兎の懐中時計>を使えば、漠然とした過去に行くのではなく、正確にいつのタイミングに行くのかを選ぶことができる。

これは、テクア神に感謝をせねばならないだろうか。たとえ神の都合だとしても。
しかし、ボクが時の狭間から脱し、動作と言葉を取り戻した時には、テクア神は去り、最奥に鎮座する神像のみがあった。

ボクは、神像に感謝の意を伝え、神殿をあとにした。


●アタック01-19 吸血鬼の館

ボクはついに、吸血鬼の館までたどりついた。
しかしその時点で、日は暮れかかっていた。
館に乗り込むには危険な時間帯だ。

焦る気持ちを抑えて、朝を待つことにする。

・夜通し起きている
・交代で見張りをする
・見張りを相棒に任せて眠る

ボクは、ひとりだ。相棒はいない。
となると、この危険な森で、眠るわけにはいかない。
夜の突入は危険だが、朝を待っても寝不足で危険かもしれない。
といっても、仕方ないか。
ボクは消耗覚悟で、焚火のそばで一夜を過ごした。
明日は館に向かう緊張からか、あまり眠くは感じなかった。
寝ようとしても、眠れなかったかもしれない。
でも朝になる頃にはやっぱり、消耗していた。具体的には、体力点1点のロスだ。

それくらいなら、なんてことはない。
さあ、いよいよ行こう。ローズ家の館へ。
双子のエナ姉とティナ姉が買われていったという、吸血鬼の館へ。

暁の薄暗い空の下、昨夜は薄暗くてよく見えなかった吸血鬼の館が、朝陽に照らされている。
古いが、豪華な建物。枯れたツタが黒一色に塗られた壁を這っている。見ているだけで、悪寒が走る。

窓という窓には、木板が打ちつけられている。
太陽光を遮断するためだということが、すぐにわかった。

ボクはまず、館のまわりをぐるりと一周した。
裏側には小さな庭と、目立たない勝手口があった。
小さな庭には盛り土があった。少し気になる。

・表の玄関から入る
・裏口から忍び込む

この館に今住んでいるのは何人だろう。
吸血鬼となった館の主人。その妻は若くして亡くなったと聞いている。
あとは病気の息子。使用人もいるかな。そしてエナ姉とティナ姉。
建物の規模に対して、あまりにも寂しい人数だ。
しかも、館の主人は吸血鬼。昼間は就寝している可能性が高い。
番犬がわりに吸血獣を飼っている、なんてことはないと思いたい。これまで得た数少ないローズ家の情報の中には、なかった。

これなら、裏から忍び込んでも発見される可能性は低いかな。
表から客人を装うよりも、確実そうだ。

ボクは裏口から忍び込むことにした。

でも、その前にひとつ確かめておきたいことがある。
ボクは、<跳兎の懐中時計>を取り出した。
この館には、過去に多くのいわくつきの出来事が重なって起きている。
夫人の若すぎる死。
自ら吸血鬼となった主人。
家出した娘と、病気になった息子。
それらの出来事の一端でも、見ておくことができれば……!

ボクは、<跳兎の懐中時計>を動かした。
オルゴールのような音とウサギが跳ね、ボクも過去へと跳んだ。

そこは、今より少し新しい館だった。
周囲をぐるりと一周。裏庭には、盛り土はなかった。
これは何を意味しているのか。
もしかして、奥さんのお墓なのかな?
ここに来るまでのゾンビ墓地じゃ、とても普通に埋葬できそうにないし。
周囲を見回しただけでは、あまりヒントになるものは得られない。
館に入ってみようか。
ボクは正面から館に入ろうと試みた。過去だからこその大胆さだ。
けど、玄関には鍵がかかっていた。
ガチャガチャやっていると、館の内部からものものしい足音が聞こえてきた。
あ、これは出会ったら危険なやつだ。
ボクは集中を解き、たちまち現代に戻った。
危なかった。危険を冒したわりには、あまりヒントは得られなかったな。
でも、過去へ跳ぶには悪夢をたくさん消耗する。
悪夢袋が2つ、しぼんでいた。残る悪夢袋は、ひとつだけだ。
慎重に使わないと。

さあ、それじゃあ、裏口に向かおう。


●アタック01-20 ビバイア・ローズの影

裏の勝手口には、鍵がかかっていた。
しかし、建てつけが甘いためすき間があった。
ボクはすき間に、腕時計のベルト部分を差し込み、内側から鍵を外した。
勝手口は簡単に開いた。
中は埃っぽく、陰気な雰囲気だ。

・1階を調べる
・2階へ上がる
・地下を調べる

地下。
地下には、秘密の拷問部屋があることを、ボクは知っている。
姉たちがいる可能性が高く、もしすでにそこに送られているとしたら、姉たちの命はすでにないかもしれない。
けど、まだ地下には行かない。落ち着くんだ、ボク。

森で出会った初老のノーム、キーウが言っていたじゃないか。

「館に用があるのなら、吸血鬼である主人より先に、病気の息子に会った方が良い」と。

まずは、病気の息子に会ってみよう。
そうしたら、どうしてエナ姉とティナ姉がここに買われたのか、わかるかもしれない。
息子の話し相手として、とかだったら、平和的でうれしい解決なんだけどな。

それが希望的観測とわかっていながらも、そう願わずにはいられない。

1階の廊下を歩き、大きめの木製扉を開く。
中はゆったりとした広い部屋だ。
中央に、天蓋つきのベッドがあり、すみにクローゼットと机がある。
人の姿はない。

この館に住むという、病気の息子がいるのなら、ここだろうっていう雰囲気なんだけど。
ボクは、机の引き出しを調べてみることにした。

そこに入っていたのは、暗い革装丁の本。日記帳だ。
人の日記を覗き見るのはあまり気が進まないけれど、そんなこと言っていられない。
ボクはその本を手に取り、目を通した。

それは、ビバイア・ローズという男の日記だった。
しかも、幼少期からのものだ。かなりマメな性格だったのかな。
姉が家出をしたこと、自分が病気になっていることなどが書かれている。
この館の主人の、病気の息子に間違いなさそうだった。

でも、日記だけ残して、当の本人はいない。
どういうことだろう。

ボクは日記を読み進める。
最後の記述は、5日ほど前で途切れている。
5日前に、ビバイア・ローズの身になにか起きたのか。
悪い予感が胸を締めつける。死んだのか。それとも吸血鬼になった……?

……最後のページには、子どもの手で描かれた、少年と髪の長い女の子が、手をつないで笑っている絵があった。
ビバイアと、家出したというお姉さんかな? 女の子の印象が、ボクが出会ったことのある誰かとかぶる気がした。

ここで<跳兎の懐中時計>を使って、5日前に跳べたら、何が起きたかわかるのに。
でも、悪夢袋はあとひとつ。悪夢ふたつが必要な時計は動かせない。

使えない手段にこだわっても仕方がない。
ボクは次に、2階に上がってみることにした。

2階の廊下から、部屋をいくつか見て回るが、特に気になるところはない。
両開きの木製の扉は威容を放っている。館の主人の部屋を思わせる。

ボクはその部屋に入ってみた。
豪華な部屋に、中央に石の棺が。
まさにこの中に、館の当主である吸血鬼が、今は眠りについているのかもしれない。
無謀にも、石の棺を動かそうともしてみたが、びくともしなかった。

それで吸血鬼とご対面なんてのも嫌だから、動かなくてよかったけれど。

ここまでの探索では、誰にも出会うことができていない。
この館、本当に人が住んでいるのだろうか。無人ではなくて?

そう思いたくなるほどに、人の気配がない。
ボクは意を決して、地下へと降りてみることにした。

次回、地下でボクが目にしたものとは。


【ミナ 体力点4→3/4 悪夢袋3→1/7】
金貨 6枚
銀貨 0枚
歯車 1枚
・ニンニク
・銀のナイフ
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。


■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。確かな腕前を持つ。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。5日前を最後に日記は途切れている。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
テクア からくりの神。ノームにからくりの知識を授けたとも言われる。


■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/4897513


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