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『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.13
 (田林洋一)
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 FT新聞の読者のあなた、こんにちは、田林洋一です。
 全13回を予定しております東京創元社から出版されたゲームブックの解説「SAGBがよくわかる本」、最終回の記事をお届けいたします。今回はSAGBの中では珍しい、TRPG「ドラゴン・ウォーリアーズ」を中心に扱います。ゲームブックの解説は第12回を実質的な最終回として、この回は「補筆」という側面を持っています。
 
 本連載は時に厳しい評価をいたしましたが、作品そのものを全否定する意図は全くないことをご理解いただければと思います。「私はそうは思わない」という感想がございましたら、ぜひともお寄せいただければ嬉しく思います。なお、評者はTRPGについては知識があまりありませんので、今回は詳細なルール自体の解説は控え、当時のプレイの視点を交えつつ概要を紹介していくスタイルにしております。
 本連載はSAGBとして東京創元社版のみを検討・分析する記事とさせて頂いておりますので、後に別会社から出版された復刻版・改訂版などについては取り上げていないことを予めお断りいたします。
 毎回の私事ではありますが、アマゾンにてファンタジー小説『セイバーズ・クロニクル』とそのスピンオフのゲームブック『クレージュ・サーガ』を上梓しておりますので、そちらもご覧いただければ嬉しく思います。なお、『クレージュ・サーガ』はこの記事の連載開始後に品切れになりました。ご購入くださった方には、この場を借りてお礼申し上げます。
 
 『セイバーズ・クロニクル』https://x.gd/ScbC7
 『クレージュ・サーガ』https://x.gd/qfsa0
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13.イギリス産のTRPG -ドラゴン・ウォーリアーズの世界
主な言及作品:『ドラゴンの戦士』(1990)『魔法使いへの道』(1990)
『エルフのクリスタル』(1991)
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 SAGBの中で、ゲームブックではなく「TRPGルール集」が出ているというと、不思議に思う方もおられるかもしれない。これらは一人用のゲームブックではなく、あくまで多人数を想定したゲームだからだ。
 だが、元々ゲームブックブームの火付け役となったスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンの『火吹山の魔法使い』は、サイコロを振って戦闘をはじめとする様々な行為の結果を表したり、読者の選択によって物語が変化したりするというTRPGを一人で遊ぶ形式に落とし込む形で作られた。言わば、ゲームブックの「親」はTRPGというわけだ(2003年6月「剣社通信」vol. 4.「作者対談」創土社の記事より)。
 更に、ゲームブックのレーベルやゲームブック作家が一人用の冒険(ゲームブック)を制作するノウハウがあるのならば、多人数で冒険するTRPGを作っても違和感はないはずだ。現に、ジャクソンはSAGBの中で『スティーブ・ジャクソンのファイティング・ファンタジー』という「ファイティング・ファンタジー・シリーズ」のTRPG用のゲームルールとシナリオ二本を執筆している。
 
 「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ」シリーズの著者であるデイブ・モーリスとオリバー・ジョンソンも、同様に「ドラゴン・ウォーリアーズ」というTRPGルール集を世に送り出した。日本では第一巻『ドラゴンの戦士』、第二巻『魔法使いへの道』、そして第三巻のシナリオ集『エルフのクリスタル』の三冊が翻訳されている。
 第一巻は白兵戦(肉弾戦)が得意な騎士とバーバリアンのためのルール、第二巻は魔法が得意な魔術師と霊能者のためのルールが収められていて、この二冊で基本ルールが全て網羅されている。第三巻はゲームマスターが使用するシナリオが四本と、追加ルールが中心となって収録されている(なお、第一巻にはシナリオ「森に眠る王」、第二巻には魔法を使うキャラクターが多いパーティ向けの「霧に映る影」とその連続シナリオの「狩猟月」も収められている)。
 
 背景世界も、ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイシリーズと富士見文庫から翻訳が出ている「ブラッド・ソード」シリーズと共通の世界観「レジェンド」を用いている。本連載第4回でも紹介したが、その世界観は陰惨かつ不気味で、醸し出される雰囲気は抜群だ。付随しているシナリオも出来が秀逸で、おまけに当時主流だったボードゲームのような箱入りで高額になりがちなTRPGルール集と違って、文庫というお手軽さもある。
 まず、ドラゴン・ウォーリアーズの世界観や物語性について触れておこう。前述の通り日本で翻訳出版されている三冊全てにシナリオが付随しており、第三巻は文字通りシナリオがメインになっているが、「レジェンド」の世界観の不気味さも冒険を盛り上げるのに一役買っている。『ドラゴンの戦士』に付け加えられている入門向けの「森に眠る王」は、オープニングからダイダロスの巨大迷宮を彷彿とさせる逸話(マントの糸をほどいて王の墓を特定する)を挟んでいるなど、読み物としても興味深い。
 そして、このシナリオ自体はかなり簡潔かつほぼ一本道(迷わせるルートはほぼない)でありながら、途中で出会うイベントが魅力的かつおどろおどろしい雰囲気をたたえており、冒険をいやが上にも盛り上げる働きをしている。また、パーティは道中で「生ける彫像」という強力な敵と遭遇するのだが、一計を案じてアイテムを効果的に使えば簡単に破壊できるなど、こちら側のゲーム的発想力が存分に試されているのを実感することができる。ラスボスである亡霊モーグリンとの対決では黙示録的な存在の十二本の剣が重要な役割を果たすなど、物語的にも優れた面を持っている。クリアした後の「国の宝」は、単に莫大な金銀財宝をプレイヤーにプレゼントして「はい、さようなら」、という安直なものではなく、何とも考えさせる、余韻の残るエンディングになっていて、一見の価値ありだ。
 第一巻にはシナリオだけでなく、その他にも百種類以上ものモンスターの詳細なデータと不気味かつ凶悪な説明が掲載されていて、目を通しただけでもこれから暗澹かつ恐怖に満ちた冒険に向かうのだという気分にさせてくれる。
 
 第二巻『魔法使いへの道』の、やはり百種を超える魔法も、既に確立されている世界観を背景としていることもあってか安直なものは少ない。もちろん、定番と呼べる攻撃魔法や回復魔法はしっかりと抑えられているが、その一方でかなり独特なものもある。例えば「ダモクレスの剣」と呼ばれる魔法は、敵の頭上に光り輝く魔法の剣が現れ、敵を自動追尾するように動き、そしてきっかけがあるとその剣が落下して敵を串刺しにする、というものだ。この命名は、巻末の「解説」で健部伸明が論じているように、シラクサの王の家来で、いつもお世辞ばかり言っていたダモクレスに由来する。また、強力な魔法の剣を召喚する「鋭き剣(ヴォーパル・ブレード)」は、『鏡の国のアリス』から採られたアイデアである。古典的な知識や文学をゲーム上の魔法に投影する手腕は、やはり作者がこうした分野に精通していることの表れだろう。
 付随しているシナリオ二本のうち最初の「霧に映る影」は、冒険の依頼人である領主の家老ベオルン卿自体がとにかく胡散臭く、かつ人間味に溢れている。プレイヤーたちが汗水たらして魔物の谷の沼地を這い回り、次々に襲いかかるゾンビと悪戦苦闘して何とか依頼を達成しても、結局財宝の九割を掠め取られたり、悪辣な陰謀に加担させられたりとろくなことがない。裏を返せば、いかにベオルンの陰謀を暴いて正義の鉄槌を下してやろうかという復讐心(?)をもたぎらせることができ、プレイヤーの心も自然と熱くなる。そして、続編にあたるシナリオ「狩猟月」では、驚異的な魔力(と知識欲)を持つ半神カルヴァラとの邂逅など、ドラマチックな展開が待っており、まさに「剣と魔法の世界」である「レジェンド」にどっぷりと浸かることができる。
 
 そして、「ドラゴン・ウォーリアーズ」の魅力を更に押し出したオリバー・ジョンソンも、第二巻の「解説」で健部伸明に「恐怖の使者」と形容されるように、陰惨かつ身の毛のよだつ「魔界そのもの」の世界観を生かし、第三巻『エルフのクリスタル』で素晴らしいシナリオを提供している。『エルフのクリスタル』は、三つのクリスタルの断片を巡って連続する四つのキャンペーン・シナリオで構成されており、これだけで壮大な叙事詩を見ているようである。冒険者たちは三つに分かれたエルフのクリスタルの断片を探しに行くのだが、第一のシナリオ「絞首台の森」では意地悪かつ奸智に長けたホブゴブリンのネッドじいさんがラスボスに控えており、パーティを狭い自分の家に誘い込んで網で絡め捕ろうとするなど、その狡猾さは筆舌に尽くしがたい。
 単に敵が問答無用で強力というだけでなく、冒険者がクレバーに立ち回れば意外なところで活路を見出せるように設計してあるのも素晴らしいところだろう。例えば、「絞首台の森」では第15ランク(レベルのようなもの)相当のタイタンと呼ばれる石化した巨人が襲いかかってくるのだが、第1ランクの冒険者がまともに戦っても勝ち目は薄い。ところが、ここで相手の弱点を突くような戦略を取ると、運が良ければ一戦闘ターンでタイタンを壊滅させることも可能なのだ。評者のプレイでは、たった一人の第1ランクの魔術師が「竜の息」という魔法で攻撃したところ、このアクションだけでタイタンを灰燼に帰すことができた経験があった。この行動はタイタンの弱点を巧みに突いた妙であり、こうした起死回生のアイデアや乾坤一擲の妙手をプレイヤー同士で相談しながら探すのも楽しみの一つと言える。
 このような「頭脳的プレー」も、プレイヤーが一人のゲームブックとは異なり、多人数で頭をひねって対策を講じ、コミュニケーションを取りながら冒険を乗り越えていくという楽しみの結実である。
 
 『エルフのクリスタル』の第二のシナリオ「恐怖の城」ではプレイヤーは罠と魔物がそこら中に蝟集する城に潜入することになるのだが、冒頭で「簡単に生き延びられるシナリオではない」と説明されているように、その狡猾な難易度は尋常ではない。二人のNPC(キャラクター)の助力が提案されているのだが、単にデータ的な「助っ人」ではなく、猪突猛進な騎士ゴンドリックに金に汚い霊能者マジリアンなど、これだけでもにやりとさせられる設定である。最後は狂信者だらけの塔を上っていくのだが、ラスボスであるダリアン侯爵が影武者を用意していたりと、「ここにこんな仕掛けが」と思わせる手腕は只者ではない。
 三番目のシナリオ「難破船の島」では、海水とねばねばした粘液が滴るような雰囲気の中、また一癖も二癖もありそうなバーバリアンであるラケールとともに最後のエルフのクリスタルの断片を手に入れるべく旅立つ。「依頼者が腹に一物かかえている」という発想はここでも生きていて、一緒に怪物がひしめく入り江や船を捜索したと思ったら、最後に裏切られて決闘を余儀なくされることもあるなど、一瞬たりとも気が抜けない構成になっている。
 最後のシナリオ「暗い丘」では、先の三つの冒険で手に入れたエルフのクリスタルの断片を繋ぎ合わせることができたプレイヤーのための補足シナリオだが、フィナーレを飾るエピソードよろしく、強大な敵が待ち構えている。特に時間制限が設けられている戦闘(一定の戦闘ターン以内にゴーレムを倒さなければならない)では、緊迫感が増すこと請け合いだろう。
 これらのシナリオは、データ面でもかなり細かいところまで規定されていて、ゲーム的にも非常にやりごたえのある内容になっている。例えば『エルフのクリスタル』の三番目のシナリオ「難破船の島」では、終盤のクライマックスでクラーケンと呼ばれる巨大な海ヘビと相対することになるのだが、リアリティさを再現するために津波の進むスピード(秒速二メートル)まで指定されている。こうした一見細かいルールでもうまく処理する裁量がGMやプレイヤーにあれば、提供される「細則」はむしろリアリティを増し、深い印象を残すことに貢献するだろう。
 余談になるが、評者のプレイで印象に残った要素として「盾」の効果がある。初期の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」では盾を装備すると攻撃回避率が五パーセント上昇するので(そしてこの五パーセントという数字は、長い冒険では無視できない上昇率である)、特に初級の冒険者にとっては必須アイテムとなる。また、「トンネルズ&トロールズ」でも防御点に盾の効果が加味されるなど、威力の程を知ることができた。あくまで個人的な感想であるが、それらと比して「ドラゴン・ウォーリアーズ」では盾の威力がニッチなものになっていて、これならば両手持ちの剣や戦斧を装備した方がよいと考える冒険者もいるだろう(両手持ちの剣は鎧を貫き通す力が強く、戦斧は与えるダメージが大きい)。
 「ドラゴン・ウォーリアーズ」では、相手の攻撃が当たった時にダメージを受けるかどうかは鎧の性能に左右される。その一方で、盾の効果は六分の一の確率でクリティカル・ヒットでも敵の攻撃を完璧に無効化できるという「効果があるかないか」が運頼みになっている。つまり、いついかなる時でも一定の確率で相手の攻撃を受け止めてノーダメージにできるという強力な威力を持つ半面、うまく攻撃を受け止められないと防御にほとんど貢献しないというピーキーな特性を持つアイテムなのである。逆に言えば、「攻撃を防げない盾は宝の持ち腐れ」という戦闘のリアルを体現しているとも言えよう。
 実際の評者のプレイ時には、「守りを固めたくて六分の一の可能性に賭ける」防御重視派のプレイヤーと、「運の要素が強い盾に頼らず、攻撃力の強い武器で敵を殲滅する」攻撃重視派のプレイヤーという二派が生まれた。こうした「議論の余地のある、しかし選択に頭を悩ませる」装備の効果もまた、冒険の、ひいてはTRPGの面白さの一つだろう。
 さて、「ドラゴン・ウォーリアーズ」をはじめとしたTRPGのルールや枠組みが、SAGBのように簡素かつシンプルなルールを実装した(標準的な)ゲームブックとはかなり様相が異なることは注目していいだろう。ここで指摘したいのは、当時のTRPGのルールと、一人用のゲームブックのルールの難易度の差である。ソリティア的なゲームブックに対して、多人数を想定し、かつゲームマスターという進行役が存在するTRPGというのは、ある意味で天と地ほどの差がある。
 もちろん、TRPGではルールを完全に暗記する必要はなく、状況に応じてルールブックを参照するのはごく当たり前のことだ。更に、ゲームマスターが状況を考慮してアドリブの、あるいはハウスルールを導入して判定して解決するという手順も一般的で、その点、TRPGはゲームブックと違ってかなり(ルールに縛られない)自由度がある。
 
 この「自由度」は、SAGBをはじめとしたゲームブックと、同じレーベルでありながらもTRPGの形態を取っている「ドラゴン・ウォーリアーズ」との決定的な違いだろう。そもそも、ゲームブックは多人数で遊ぶTRPGの「ソリティア版(一人遊び)」であり、「会話の妙」という点が欠けている。読者は言わば「ゲームブックの作者」と文書を介してやり取りをしているのであって、それもあってゲームブックのルールは(厳密とは言わないまでも)かなりの拘束力を持つ。だが、「ドラゴン・ウォーリアーズ」(だけではなくTRPGのほぼ全て)は多人数で楽しむことを想定しており、コミュニケーションを取りながら楽しめば、多少のルールの犠牲は黙認される。
 更に言えば、柔軟性を持つTRPGはその分行動範囲や選択の可能性が極めて広い。ゲームブックでは紙面の都合上、プレイヤーが行動できる選択肢が数個に限定されていたが(ゲームブックで、何百もの行動可能性を羅列することは非現実的である)、TRPGは言わばその辺りが「何でもあり」である。しかしながら、それに呼応する形で当然待ち受ける危険や難易度もTRPGの方がゲームブックのそれよりも高い場合が多く、クリアするにはより柔軟かつ大胆な発想力ときめ細やかな注意力が要求される。
 もっとも、冒険中にどちらのゲームの方が「死亡率」が高いのか、という問いには、ソロアドベンチャーの様相を呈するゲームブックの方が遥かに高い、という回答に落ち着くだろう。TRPGでは冒険中にキャラクターが死亡するのは大事件だが、ゲームブックでは容易くやり直しがきくために(日常茶飯事とは言わないまでも)頻繁に起こる。危険が大きいはずのTRPGにおいて、プレイヤーの死亡率がむしろ低いというのは、ある意味ではTRPGルールブックの「意識顕揚」の側面もあると思われる。つまり、ルールブックの段階で既に「これだけの難関辛苦が待ち構えており、やりごたえのある冒険が楽しめる」と、プレイヤーの奮起を促す効果がある、というわけだ。
 こうして考えると、TRPGはプレイヤーの働きかけが多いという意味で「能動的」であり、それに比してゲームブックはどちらかというと「受動的」な側面を持つ。つまり、プレイヤーのかかわり方が文書で選択肢を提示されるという点で、ゲームブックはTRPGよりも相対的に受動的である(ただし、当然のことながらゲームブックにも、パラグラフジャンプや運だめしなど、能動的に働きかける要素もある)。
 本国イギリスでは当時六巻まで出ていた「ドラゴン・ウォーリアーズ」だが、日本ではゲームブックブームの凋落で第三巻までしか翻訳出版されなかった。世界観である「レジェンド」の設定も含めて、本国で人気のある「ドラゴン・ウォーリアーズ」が、なぜ日本では目立ったサプリメントが継続的に登場しないのか、評者には不可解ではある。
 
 恐らくこの「衰退」の原因の一端は、「ドラゴン・ウォーリアーズ」がSAGBのレーベルの一環として出版販売され、そして不幸にもSAGBが1990年代初頭で消滅してしまったということにもあるかもしれない。加えて、SAGBの読者に提供されているメディアは、折り込みペーパーの「アドベンチャラーズ・イン」くらいしか存在しなかった。当時の有力なゲームブック出版社である社会思想社が商業戦略として「ウォーロック」というサポート誌を用いて「ファイティング・ファンタジー・ゲームブックからTRPGへ」という接続を打ち立てたのとは対照的である。つまり、全体的に見て、SAGBのファンをうまくTRPGのファンへと繋ぐことができなかったということもあるだろう(岡和田晃氏の指摘による)。
 
 確かに「ドラゴン・ウォーリアーズ」は万人向けのTRPGという訳ではなかったかもしれないが、それでもプレイヤーを惹きつける力を持った、魅力溢れるTRPGである(そうでなければ本国でも根強い人気は続かないだろう)。例えばシナリオ集やリプレイ、追加ルール集などの強力なサポート(サプリメント)があれば、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」や「トンネルズ&トロールズ」のように現在の日本でも存続していたかもしれない。
 TRPGがゲームブックの元祖であることを考えると、日本でSAGBが好意的に迎えられたのは、「ドラゴン・ウォーリアーズ」も含めた数多くのTRPGのお陰とも言える。多くのTRPGは廃れていき、代わって新たなTRPGが誕生してはまた消えていくという「進化」の過程を経ている。こうした先達の影響が、SAGBにも、そしてゲームブック全般にも豊穣に見られる。その意味で、「ドラゴン・ウォーリアーズ」もまた、SAGBの下支えという役割を果たしたと言えそうだ。
※『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』の連載は今回で終了です。今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
◆書誌情報
 『ドラゴンの戦士』
 デイブ・モーリス(著) 本田成二(訳)
 東京創元社(1990/7/20)絶版
 『魔法使いへの道』
 デイブ・モーリス(著) 本田成二(訳)
 東京創元社(1990/7/27)絶版
 『エルフのクリスタル』
 オリバー・ジョンソン(著) 本田成二(訳)
 東京創元社(1991/11/29)絶版
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