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2026年7月6日月曜日

アランツァへのいざない 動物由来の装備品や食べもの FT新聞 No.4912

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ 「アランツァクリーチャー事典」を何のために制作するのか、ずっと考えています。 これを読む人が、ここではない世界に想いを馳せることができるように。 そして、アランツァの冒険を紡ぐ「シナリオの制作者」になろうとする人が、そのフック(きっかけ)を作品から見つけることができるように。 そんなことを考えながら、データを整理しています。 さて、今回の記事は「動物由来の装備品や食べもの」です! ◆動物に関する特記事項──シルバー・クリーチャー── アランツァの世界では、ノードを浴びた結果として身体の一部または全部が銀色になってしまうという症状が時として起こる。 その部位が腐りづらい場合、チャーム(お守り)として重宝される。これは、該当する部位には魔力を蓄える「器」としての力があるためである。 また、ノードの力によってクリーチャーは特別な力を持つ。 大抵の場合、それは身体的な能力で、人並みはずれて怪力であったり、類まれな器用さや敏捷性を発揮することができたり、といった具合である。 こういった存在はシルバー・クリーチャーと呼ばれるが、存在自体が稀なこともあって、世間ではあまり知られていない。 ◆動物由来の装備品や食べものなど。 前回に続いて、今回の記事は動物をベースにしたものを中心に並べられています。 さっそく、いってみましょう☆ ・足長蛇の卵 足長蛇は水辺に巣穴をつくる小型のヘビで、毒はなく無害。卵から半分だけ孵化したバロットが珍味として人気。 効果:1個あたり金貨2枚で売却可能。ひとつの巣には1d3+3個の卵がある。 ・甘い水玉(クラックボール) アリ人の尻から出る栄養豊かな水。甘い。 効果:食料1個分として扱う。 ・アルビノオニガエルの肝 色素欠乏症のオニガエルから取った肝である。民間療法の治療薬に用いられるが、効果に乏しい。 効果:冒険の合間ごとに一度、1d6を振る。出た目と同じ枚数で売ることができる。 ・アント・シールド シールドアントの頭部を加工して造られた盾。見た目は奇抜だが特記するほどの強さはない。 効果:【生命点】の最大値を2点増やす。 ・イッカクの角粉 氷樹海に生息するクジラの仲間であるイッカクの角を削って作る粉。 効果:食料を食べることができるキャラクターだけが、これを消費することができる。消費すると、あらゆる【病】を治療することができる。 ・ウサギの足の御守り 幸運をもたらす魔法の装備品。 効果:これを消費すると、次の【幸運ロール】に+1の修正を得る。 ・牛飼いの角笛 牛の角でできていて、吹くと牛が寄ってくる。 アランツァでは、同種のクリーチャーを素材にして装備品を作ると、対象に影響を与えやすいものになる。 効果:牛を引き寄せる。 ・大ガニの肉 〈大ガニ〉を倒した後に、殻をはがして入手する。 効果:食料1個分として扱う。 ・大這ナメクジ 人間の腕ぐらいの大きさのナメクジ。無害で、意外にかわいい。 効果:このクリーチャーを身体に這わせることによって回復する。【生命点】に受けているダメージ3点につき、1点を回復することができる。 ・ガシュラ鳥 岩場の穴に生息する。頭が大きく、暗赤色をした鳥。手のひらに収まるかどうかぐらいの大きさ。頭(ガシラ)鳥とも。 効果:手なづけることはできないが、【龍族】のタグを持つクリーチャーをおびき寄せるために使うことができる。その際は【器用ロール】を行う(目標値:クリーチャーのレベル)。成功したら、第1ラウンドの終わりまで対象1体は行動ができない。失敗した場合には、敵の先攻で戦闘を開始する。その後、この装備品を欄から消す。 ・ガツガツ魚 なんでも食いちぎる歯を持った凶暴な魚。額にスミレ色の宝石があり、成長とともに大きくなる。 効果:額石は金貨15枚の価値がある。 ・カンガルーキャットの肉 カンガルーキャットの肉はクセが少なく、噛むほどに出る旨味とさっぱりした後味が特徴。特別な力を肉体に与えてくれる。 効果:【器用ロール】1回に自動的に成功する(6の目が出たものとして扱う)。効果を発揮するタイミングは、自分で選ぶことができる。 ・ギザギザ魚 ギザギザのヒレを持つ長い身体の魚。 効果:その肉は美味で、食料1食分になる。 ・巨木鳥の卵 巨大樹に生息する非常に大きな鳥の、非常に大きな卵。1個で装備品欄を2個占める。 効果:1個で1食分の食料として扱う。【生命点】を1点、副能力値を1点回復する。 ・恐竜 マイナーすぎて「クリーチャー事典」にも載っていないクリーチャー。マドレーン諸島でその姿が見られる。 ・グリンティズ・ナイフ 翼人グリンティが死後、そのあばら骨をベースに造らせたナイフ。 効果:【悪魔】に対する【攻撃ロール】に+1の修正を得る。 ・ケッタクルの毛皮 〈ケッタクル〉は森林性の獣。モモンガやムササビのように飛ぶがより大きく、体長は70センチほどある。 効果:ケッタクルの毛皮は鎧の一種である。着用する場合【生命点】を原点ごと1点増やす。また、【器用ロール】に+1の修正を得る。さらに、【氷】による敵の攻撃や魔法に対する【判定ロール】を行う際、+1の修正を得る。 ・氷虫(青光虫) 蛍に似ているが、体温を吸い取る。 効果:この装備品を消費するなら、即座に【生命点】を1点失う。冒険が終わるまで、主人公の周辺を飛ぶ明かりとなる。 ・極彩鳥 南国に生息する鳥。非常に敏感で、【器用ロール】に成功しないかぎり逃げられてしまう(目標値:4)。 効果:この鳥の歌声に耳を傾けて休息することができた場合、すべての【副能力値】を1点ずつ回復させることができる。 ・龍鱗の盾 龍の鱗を加工して造った貴重な盾。魔法の装備品。 効果:【生命点】の最大値を2点増やす。【炎】による攻撃や魔法に対する【判定ロール】に+1の修正を与える。ただし、鱗の持ち主が氷龍である場合には【炎】が【氷】になる。 ・死者ヘビのスープ ゲテモノ料理。独特の臭気でまずい。 効果:食料1食分として扱う。ただし、回復につながるほどの効果はない。 ・殺人リスの心臓 殺人リスの心臓はコリコリとした食感があり、串焼きで食べるとうまい。 効果:食料1食分として扱う。冒険が終わるまで【筋力ロール】に+1の修正を得る。 ・砂漠鳥 砂漠鳥は砂漠にのみ生息する、取るに足らない強さのクリーチャー。弱っているクリーチャーに群がってエサにする。 効果:【鳥類】のタグをもつ弱いクリーチャー(レベル2)。攻撃特性は【斬撃】。1d6体に、主人公のパーティが生命点に受けているダメージ合計と同じ数を出現数に加える。反応は常に【敵対的】。 ・サンゴの剣 サンゴの剣は水中で扱いやすいように設計された水中剣。棒状の刀身に無数の小さな穴が空き、抵抗を減らす。敵の身体に密着させてから引くことで、その身を削り取る。 効果:【斬撃】の攻撃特性をもつ片手武器。【水場】で敵と戦う際、水中にいることによるペナルティが発生しない。 ・ジェイズ・ソード カブトムシの角にも似た黒光りの刀身。したたる蟻酸、持ちやすく加工した柄。ジャック・ジャンパーと呼ばれる大アリの口部分を加工して造られた剣。 効果:これは片手武器であり、【斬撃】の攻撃回数をもつ。【攻撃ロール】に+1の修正を与える。一度でも使用した場合、冒険終了時にこの剣を装備品欄から消すこと。 ・シルバートゥース・クリーチャーの牙 ノードを浴びて牙(歯)が銀色になった〈牙うさぎ〉やネズミなどの牙。 効果:シルバーの〈牙うさぎ〉は〈強いクリーチャー〉(レベル5、生命点2)で、第1ラウンドの終わりに【逃走】する。この牙には金貨6枚の価値がある。 ・スライムゼラチン スライムゼラチンはスライムの体液を採取したもの。美肌効果がある。 効果:【幸運ロール】1回に自動的に成功する(6の目が出たものとして扱う)。効果を発揮するタイミングは、自分で選ぶことができる。冒険が終わると効果を失う。 ・チャマスクの肛門 チャマスクはかつてチャマイ周辺に生息していた強いクリーチャー。熱を帯びた糞尿によって攻撃を行うクリーチャーだが、絶滅したと言われている(レベル5、生命点7、攻撃数1の【悪臭】による全体攻撃)。その肛門はチャームとして働き、装備品欄をひとつ占める代わりに主人公に力を与える。 効果:糞尿による、あるいは嗅覚を通じて与える効果(悪臭など)を無視する。 ・タカゾラツバメ タカゾラツバメは非常に高いところに巣をつける【鳥類】で、攻撃性は皆無。その巣は珍味として知られる。 効果:その巣は金貨11枚で取引される。食べることもできて、食料1個分として扱う。ただし、【生命点】の回復は1点。 ・ダトツ ヘビのように長い身体を持つ魚。先端が尖っていて、勢いよく海中から飛び出して対象に突き刺さる。 効果:2d6体(下限は6体)のダトツが出現して、第0ラウンドに突き刺さる。レベル3。反応表は「1から3は【逃走】、4から6は【敵対的】。攻撃特性は【斬撃】。【水中】のタグを持つ。このクリーチャーは第0ラウンドの終わりに死亡する。3体で食料1食分になる。 ・ダル麻薬:金貨20枚 ダル麻薬はダル甲虫と呼ばれる昆虫の腸を使って作る薬物。カラメールを原産とする。 効果:【毒】と【麻痺】の状態異常から完全に回復することができる(【石化】と【死亡】の状態を回復させることはできない)。≪依存効果≫として、無気力になるため、肉体を使う行動に支障が出る。これを使用した次の〈できごと〉が終わるまで、【筋力ロール】【器用ロール】【防御ロール】に-1の修正を受ける。≪依存効果≫として無気力になるため、肉体を使う行動に支障が出る。これを使用した次の〈できごと〉が終わるまで、【筋力ロール】【器用ロール】【防御ロール】に-1の修正を受ける。 ・鉄雄山羊の山賊焼き 見た目はおいしそうだが、とても硬く満足感がない。 効果:食料1食分として扱う。ただし、回復につながるほどの効果はない。 ・鳥の似姿 これをかぶり、太鼓を使って一定のリズムで祈祷を捧げると、一時的に鳥になることができる。鷹の鳥姿や雀の鳥姿などがある。祈祷には、〈鳥人〉が知る特定の踊りが必要。 効果:少しの間、大空を舞うことができる。 ・沼地亀 かえる沼をはじめとする、沼地で見かける亀。泥くさいが、かえる人には人気。 効果:かえる人との遭遇時、その反応表に【友好的】または【歓待】がある場合、その反応を選ぶことができる。その後、この装備品を欄から消すこと。 ・人皮の人形 【善の種族】の遺体をベースに作る人形。生前に、その人物がこの装備品を作ることを希望(あるいは合意)した場合にのみ、力を発揮する。 効果:この人形は一度だけ使うことができる。使うと、一度だけ【判定ロール】を振り直すことができる。 ・完全な結氷石 結氷石とは、かえる沼に降る雪の一種。完全な結氷石とは、氷龍が吐く最期の息で、雪の結晶をカタチをした宝石の一種。常に少しひんやりとしており、融けることがない。 効果:完全な結氷石には金貨10枚の価値がある。 ・ぷりぷりザリガニのソテー 厳密に管理された養殖ザリガニは、聖フランチェスコ市では高級料理とされている。ぷりぷりザリガニは最高級の食材で、口のなかではじけてうまい。リンゴ酒とよく合う。 効果:食料1個分として扱う。ただし、【生命点】を3点回復する。ぷりぷりザリガニ自体は金貨10枚と交換可能。食べるにせよ金貨にするにせよ、手に入れた冒険中に消費しなければ腐ってしまう(腐ると食べられなくなり、金貨との交換もできなくなる)。 ・骨馬 【呪術師】によって製作されたクリーチャー。 効果:骨馬は【騎乗生物】である(技量点0、生命点1、戦う従者)。最大の特徴は倒されても【生命点】を1点消費するか、冒険の合間に復活させることができる点にある。 ・マングースの肉 あっさりとした淡白な味わいの肉。くさみを正しく抜けば、それほど臭くはない。 効果:食料1個分として扱う。 ・ミツクビオニヒドラの肉料理 ミツクビオニヒドラは再生能力を持つ強力なクリーチャー(レベル6、生命点3の首を3本もつ)。【炎】によるダメージを与えないかぎり、それぞれの首が毎ラウンドの終わりに1点の【生命点】を回復する。 効果:生命点が0になるなどして冒険に敗北した場合、その主人公を失わない。生命点を原点の半分に設定して冒険を再開してもいい(端数切上)(副能力値は敗北時のまま)。あるいは、その作品から立ち去ってもいい。 ・ヤミフクロウの瞳 ヤミフクロウはフクロウの一種で、持ち主に幸運を授ける。 効果:これを消費すると、【幸運ロール】の際に6の出目が出たことにできる。ただし、クリティカルとしては扱わない。 ・ラクダ革の鎧 砂漠の遊牧民が製作した魔法の装備品。ラクダの皮を加工して造ったもので、暑さにも寒さにも強い。 効果:【生命点】の最大値を2点増やす。移動時に受ける「暑さ」や「寒さ」によるダメージと効果を無視する。【炎】や【氷】による攻撃に対して効果があるわけではない。 ・ワシの爪の御守り 幸運をもたらす魔法の装備品。 効果:これを消費すると、次の【幸運ロール】に+1の修正を得る。 ◆まとめ。 今回はアランツァに存在する動物由来のもろもろをまとました。 ここ数回の記事がとても濃かったので、次回の記事は少し短めです……動物由来でも植物由来でもないものについて、記述してまいります☆ それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 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2026年7月5日日曜日

『刻の悪魔のピラミッド』ローグライクハーフd66シナリオ FT新聞 No.4911

こんにちは、火呂居美智です。 ローグライクハーフd66シナリオ「刻の悪魔のピラミッド」をお届けいたします。 これまで4作(「蛇禍の悪魔」「幽霊屋敷の果実酒」「失楽園奇譚」「生霊姫狂騒曲」)を配信させていただきましたが、それらと少しずつ繋がりを持つシナリオとなりました。また、主人公によって依頼者が異なるマルチプロローグとなっています。 楽しんでいただければ幸いです。 *** 蛇禍の悪魔を打ち破ったポロメイア小国家連合であったが、新たな悪魔の影が忍び寄っていた。 砂漠に突如として現れた巨大なピラミッド。そこを占拠したのは〈刻の悪魔〉クロノヴァルスの復活を目論むクロノシア教徒たちだった。 ポロメイア王エドガー=ガゼルハイデン、アルマシウダ皇帝アルマは、それぞれ選りすぐりの冒険者を集め、ピラミッドに送り出す。それぞれの思惑が、ピラミッドの迷宮で交錯する。 ローグライクハーフd66シナリオ『刻の悪魔のピラミッド』 https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_ThePyramid_of_ChronoDemon.txt *** 〈編集部より〉 舞台となる都市サプリメント「ポロメイア小国家連合」、新職業「悪魔召喚師」も再配信致します。どうぞお楽しみください! ↓ 都市サプリメント:ポロメイア小国家連合 https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Polomeia.txt ↓ 新職業【悪魔召喚師】 https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_NewClass_DemonSummoner.txt ↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月4日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第699号 FT新聞 No.4910

From:水波流 一念発起して、社会思想社のウォーロック誌を買い集め始めています。(実は当時は小中学生でほとんど買えなかった) 門倉直人氏や朱鷺田祐介氏などベテランデザイナーの方々が若き日に書かれた創作コラムなど、時を経ても有用な記事を読めるのが大変参考になります。 1986年〜92年の雑誌ですし、全63冊まではまだまだ遠い道のりですが……(懐具合も!) From:葉山海月 いつも使っているDVDプレイヤーから、明日返却のDVDが抜けなくなった恐怖ときたら! From:天狗ろむ 下半期突入! そしてあつーいです! 皆様どうぞ、水分補給など忘れず、体調にはお気をつけて……! そういう私がちょくちょく熱中症気味になっているのですが、今年は何とか倒れないよう気を付けたいものです。 さて、7月のおススメ公式シナリオは……少々迷ったのですが、「海の日」があるので『エメラルド海の探索』! 青い海と空、そして人魚の表紙が眩しい本作は、船での航海しながらの冒険が楽しめますので夏本番のこれからにピッタリですよ! From:中山将平 僕ら、7月4日(土)と5日(日)に京都国際漫画ミュージアムで開催の「トレジャーズオブファンタジア」に出店します! 配置は【32】です。 また、7月5日(日)には札幌市民交流プラザ3Fで開催の「北海道ボドゲ博8.0+」にも出店します! 配置は【B-9】です。 どちらのイベントでも、ゲームブックや1人用TRPGローグライクハーフ関連作品を扱います。 実は僕自身は、7月4日(土)と5日(日)に個人サークル「ギルド黄金の蛙」で2つのイベントに出展しています。 京都国際漫画ミュージアムで開催の「トレジャーズオブファンタジア」配置【33】。(FT書房のお隣です) 大阪南港ATCホールで開催の「レプタイルズフィーバー」配置【G-25】。 どちらのイベントでも、カエル人の本やステッカー等のグッズを扱います。 お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (明)=明日槇悠 (く)=くろやなぎ (天)=天狗ろむ (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■6/28(日)~7/3(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年6月28日(日)明日槇悠 FT新聞 No.4904 Ψ『ゲームブック数え唄』 日曜ゲームブック ・この配信記事を受け取ったあなたの脳内にきこえてくる ♪ゲームブクゲーブックブックゲー という奇怪な唄。 それはゲームブックあるあるを数え唄にして唄う【往年のゲームブックプレイヤーの亡霊】の仕業だった! あなたが日常生活を送るごとに数えあげてくる歌詞に応えて、出口なきパラグラフをさまよう亡霊を解き放ってあげることはできるだろうか? 「どんな」言葉を「どこ」に覚えるかが攻略のカギ! 長いセンテンスほど【体力点】に回すことをオススメします。 幻のパラグラフ#13にはかなでひびき氏もゲスト出演。この唄でぜひ十まで数えあげてください! (明) 2026年6月29日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4905 アランツァへのいざない 植物由来の装備品など ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載、今回のお話は「植物由来の装備品など」について。 中山将平氏のまとめられた「過去のゲームブックに登場したデータ」をベースにして、「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」に合わせた効果を記述したものです。 多種多様な植物由来のアイテム。食べて回復したり、罠として仕掛けたり、ベッドにしたり、換金したり、酔ったり、なんでもござれ。 やはり摂取する用途のものが圧倒的多数ですが、それでもそれぞれ効果が個性的であるところに、植物を利用するのは敵味方、種族問わずだということに改めて気付かされます。 (明) 2026年6月30日(火)くろやなぎ FT新聞 No.4906 ゲームブックにおける死と物語 第7回:『単眼の巨獣』における「本能」と選択 ・編集部員くろやなぎが不定期でお届けしているゲームブック考察記事。今回からは、FT書房刊行のゲームブックとしては最新作にあたる『単眼の巨獣』を取り上げさせていただきます。 『単眼の巨獣』の著者ロア・スペイダー氏は、ちょうどFT新聞にて東洋夏氏によるリプレイが連載中の『怨霊列車は夜笛を鳴らす』など、多くのゲームブック/ローグライクハーフ作品の著者でもあります。アランツァ世界に「列車」を登場させて違和感なくシナリオに仕立て上げるロア・スペイダー氏の奇抜な発想や構想力は、『単眼の巨獣』にも遺憾なく発揮されており、この作品内では「混沌」と呼ばれるモンスターを主人公として、骨太で印象的な物語が展開されていきます。 その物語に対する私なりの解釈の一端を、今回は「本能」と「選択」をキーワードとして提示します。他の読者(プレイヤー)の皆さんは、あのプロローグをどのように読んだでしょうか。 (く) 2026年7月1日(水)ぜろ FT新聞 No.4907 第3回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第498回。荷物持ちの少年タイガと、妖狐フォルネ、魔猫ニャルラの一人と二匹が、スズメバチとドラゴンの両方の特性を兼ね備えた狂暴な「蜂竜」の巣でのみ取れる「王蜜」を求めて、冒険を続けます。 第1回にあったカッコいい戦闘シーンは、今回の中間イベントなのでした。騎士のような人型に「変形」した巨大なスズメバチ、対する大型カブトムシも「チェーンジ! ヘラクレスナイト」! これにはニャルラでなくても「かぁ〜っこいい!!」となってしまいますね! タイガを守るヘラクレスナイトの代わりに、蜂の騎士と戦うことになったニャルラとフォルネ。さてさて、強敵ですが勝てるでしょうか…! 結末は記事にて! (天) 2026年7月2日(木)東洋夏 FT新聞 No.4908 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.5 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第5回目をお届けしました。 前作の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、同行者として陽気なコビット兵士のヨンと、いかめしいドワーフの兵士アルゴットを加え、先頭車両を目指していましたが、前回、女騎士の魔術によってアルゴットが炎に包まれてしまいました……。 アルゴットの最期の行動の気高さを知り、シグナスは彼に誓って強くなることを決意します。 〈怨霊列車〉は容赦なく、次なる車両でも戦闘! なかなか苦戦を強いられますが、どうにもクロの様子もおかしく……? プレイヤーである東洋氏も定めていないという、彼の過去がどんどん気になるところです!  (天) 2026年7月3日(金)休刊日 FT新聞 No.4909 休刊日のお知らせ  ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (ジャラル アフサラールさん) ゲゲゲの鬼太郎を思わせる内容でしたね。ちなみにゲゲゲの鬼太郎のゲームブックは吉岡平氏の『ゲームブック ゲゲゲの鬼太郎』が5000円で売っていたなあ…。内容は西洋妖怪との「妖怪大戦争」の話でした。『ゲームブック数え唄』もボスキャラで「西洋妖怪TRPG」が出るかと期待してしまいましたwww (お返事:明日槇悠) ご一読くださりありがとうございます! ♪ゲッゲッゲゲゲのゲ でおなじみ、鬼太郎の強さをたたえる歌ですね。 うーむ、やはり古本高価(たか)すぎる……(個人的にこの2番の歌詞がいちばんお気に入りです)。インスパイア元の山田賢治氏『クトゥルフ深話』もぜろ氏の言葉を借りれば「スーパー邪神大戦」なので、そうしたこともありえたのかもしれません。ラスボスで皆さんのゲームブックの蔵書と大戦争になるとか……いや、そんなことは今後とも起こりませんよう。 (緒方直人さん) Ψ『ゲームブック数え唄』 日曜ゲームブック、面白かったです。ブクブクゲー♪という響きが良くつい歌ってしまいますね。体力点には寿限無の一文を書いてなんとかクリアすることができました。またの次作を期待しております。 (お返事:明日槇悠) プレイして歌っていただきありがとうございます! 寿限無や般若心経の類を体力点に回すのは頭脳プレイですね。そう言っていただけると嬉しく、二作目へのモチベーションにつながります。オーソドックスでいくかまたこの方向性になるかわかりませんが、思いつき次第また書かせていただきますね。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月3日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4909

おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月2日木曜日

ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.5 FT新聞 No.4908

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.5  (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■    FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!  本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。  ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。  夜を駆け、人をさらう謎の怪物〈怨霊列車〉。その調査を依頼されたのは、十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロ。未だ乗客の帰還者ゼロという危険な〈怨霊列車〉の正体を暴き、無事に脱出することができるのでしょうか。  前回vol.4では、謎めいた女騎士グロリアとの出会いをお届けしました。  「列車の調査に来たのか」というシグナスの問いかけに激しく苦悩し、アンデッドの兵士たちをけしかけて襲い掛かってきたグロリア。彼女の火球攻撃によってドワーフのアルゴットが落命。早くも冒険の仲間を喪う事態となってしまいました。  それでも後退は許されません。  涙を払って先へ進む彼らを、今回待ち受けるものは……。    なお、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。  ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。    前口上はこれでおしまい。  さあ、冒険の始まりです!  ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:8 ・筋力点:4 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨11枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、騎士グロリアの指輪(金貨12枚の価値)、ランタン、食料2食分 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:7 ・器用点:5 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし    ◇ [5号車]32:騎士ゾンビ 「ヨンさん、あの……」  友人を亡くしたコビットは、流石に気を落としているように見えた。 「お悔やみなんて言わないでおくれよ。あの頑固者が化けて出ちまう。寝てる間に三つ編みにされたら最悪じゃん?」 「……はい」 「それよりも、中々やるじゃんシグ。バッサバッサと斬ってさ。そっちの剣も強かったし」 「当たり前だ。俺は騎士だからな」  〈おどる剣〉のクロは、優しい声音で言った。ヨンを気遣っているのだとシグナスは察する。アルゴットの骸は無かった。彼の存在を示すのは、床に残った激しく焦げた痕跡だけ。シグナスは直視できなかった。 「アルゴットは……格好良かったよ」  ヨンの言葉が、開け放してきた扉から吹き込んだ夜風に舞う。思わず振り向いたシグナスは、床に点々とついた焼け跡が、後方の扉へと続いているのを知った。 (足跡だ。アルゴットさんの……!) 「シグに見せたくなかったんだ、自分が、こんがり焼けたところをさ。最後まで頑固なヤツ! 全然おもろじゃないよ。おもろじゃないっ」 (あんな炎に巻かれながら、歩いたんだ。それから空に身を投げた。……痛みや苦しみ、恐れじゃなくて、出会ったばかりの僕の事を最期に考えてくれたんだ。なんて誇り高い心なんだろう。僕もそうなりたい。誓います、アルゴットさん。強くなります)  シグナスは決意を込めて、ぎゅっと拳を握りしめた。  そして任務は再開される。  連結部を渡る時、シグナスは唐突に喪われたアルゴットの事を、やはり思い出した。空飛ぶ列車から吹き払われないように、先に渡ってシグナスの手を取ってくれた優しいドワーフの事を。 (仇を討ちます。絶対に)  シグナスは慎重に連結部を飛び越えた。 「ヨンさん、僕とクロが先に行きます」  次の車両には、大いに警戒が必要である。女騎士グロリアが次の策を講じて待ち構えているかもしれない。何故、彼女がこちらを害そうとするのか。きっと〈怨霊列車〉の味方だからだろうとシグナスは考えている。もしかしたら、この列車にはサン・サレンの重大な秘密が隠されているのだろうか。そうでも無ければ専属の騎士を置く意味は薄い。しかし、だったらサン・サレンの領主その人が、〈怨霊列車〉の正体を知らないことなど、あるのだろうか? (何だかちぐはぐだ)  そう思いつつ、シグナスは息を整えて内側の扉を開く。やはりと言うべきか、人の影があった。    (※ここで登場するのは騎士ゾンビ! フレーバーテキストには何も書かれていませんが、タイミング的にグロリアとの関係を勘ぐってしまいますね。出現数3、レベル3。反応表を見ますと、出目1〜4だと「手がかり」がいただけるそう。ローグライクハーフにおいて「手がかり」は攻略難易度ががらりと変わる超重要アイテムの場合が多いですから、ここは獲得しておきたいところです。確率も高いですからきっと大丈……ばない出目6! 敵対的も敵対的。んんん、他国の騎士なのがいけないのか、それともやはりグロリアの采配か。いずれにせよ、戦闘です!)  錆と汚れだらけの武器を持ち、型の古い鎧を着た亡者の騎士たち。鎧にはサン・サレンの紋章がついている。領主直属の騎士なのだろう。三人、いや三体の騎士は落ちかけた首の先から、虚ろな眼窩に光を宿して、シグナスを値踏みした。 「通してください。サー・グロリアに用事があります」 かた、かたかたかた、と亡者の騎士たちが骨を鳴らし、各々の頭に手を添えた。 「サー……?」 シグナスが言いかけたところで、騎士たちは白骨化した己の頭を己の手で引きちぎり、こちらに投げつける。 「うわ、うわあああ!」 シグナスとヨンは揃って悲鳴を上げて逃げ回る。  (※ということで0ラウンド、敵対的なので相手が先に動きます。ゾンビになった騎士たちは自分の頭をぶん投げて攻撃を敢行。あの、サン・サレンの皆様って急にアグレッシブになる国民性なんですか!? それはそうと、難易度が記載されていないので目標値をクリーチャーのレベルと設定して、判定していきます。シグナスとヨンは成功、クロは大失敗。クロ先輩、やはり何か変ですね)  顔の前で骸骨がぱかりと口を開け、シグナスは無我夢中でそれを叩き落とした。ヨンは小柄な体を床に放り出し、骸骨がすかを食って墜落したところを蹴飛ばして黙らせている。シグナスは一安心した。  ところが、ばり、と妙な音が聞こえる。そちらを向くと、一番身軽で戦闘慣れしているはずの〈おどる剣〉のクロが、骸骨に咥えられているではないか。歯を立てられた刀身が、みしみしと軋んでいる。    (※0ラウンド、こちらの攻撃。クロが【凶器乱舞】を選んで成功。)  シグナスは飛びかかって頭蓋骨に剣を突き入れた。 「すまん」 脱出したクロは宙を舞い、今まさに襲いかからんと剣を振り下ろしてきた首なしの騎士に体当たりすると、これを粉砕する。 (クロが変だ) その一撃が力任せの乱暴なものに感じられ、シグナスは不安に思った。 「シグ、危ない!」 ヨンの声に我に返る。いつの間にか、錆び付いた剣がシグナスの眼前に迫っていた。  (※1ラウンド。防御はシグナスとクロに割り振りますが、ここでシグナスくんが大失敗。ダメージを受けてしまいます。続く攻撃はレベル3相手に全員失敗するという体たらく。どうしたどうした!) 「くっ……!」  シグナスは咄嗟に弾こうとしたが、腐っても騎士。先程のグロリアの兵士たちより遥かに重く速い剣は、かえってシグナスの防御を弾き飛ばす。切っ先に肩口を突かれ、激しい衝撃でシグナスは床にひっくり返った。強かに体を打ち付けたが、何とか剣は握りしめている。転がり起きて反撃を試みた。が、軽く流される。ヨンが背後から攻撃を仕掛けるも結果は同じ。これではまるで、稽古を付けられているようだ。 (情けない)  もう一体とクロが斬り結んでいる。こちらも芳しくない。骸骨に刀身を噛まれた損傷が影響しているのか、それとも──。 (クロ、やっぱり何か思い出してるんじゃない?) 「シグ、狙われてる!」  (※2ラウンド。防御はシグナスとヨンに割り振ります。一転してシグナスくんが大成功を収めます。戦いの中で成長していくなんて主人公っぽいんじゃないでしょうか。ヨンさんも出目5で立派な数値です。そして攻撃はシグナスくん大失敗するものの、クロが成功、ヨンさんが何と大成功で勝利となりました。ヨンさん、いざとなったら強いじゃないですか。おもろ!)  振り下ろされる首なしの騎士の剣を、シグナスは今度は読んで、がっしりと受け止めた。 「負けない、負けるか、この……っ」  全身の力をかけて、騎士の剣と押し合う。その意を汲んだヨンが素早く騎士の脛に一撃を加えた。骨が砕ける乾いた音と共に騎士は横転。それ以上は動けなくなった。 「ありがとうございます、ヨンさん!」 「へへ、おいらもやる時はやるんよ」  同じ頃、クロももう一体の騎士を片付けている。しかしシグナスが見たところ、〈おどる剣〉にはどこか覇気に欠ける気がした。ぼんやりと、自分が仕留めた騎士の骸の上に浮かんでいる。 「ねえクロ、隠し事は無しだよ。何か思い出したんでしょ。違う?」  シグナスが声をかけると、〈おどる剣〉は言葉を探すように空中で回転し、 「その通りだシグナス。俺は何か引っかかっている。もう少しで思い出せそうなんだ」 「記憶喪失かい」  ヨンが口を挟む。 「俺は人間で、騎士だったんだ。それ以外が分からん」  シグナスが孤児院に預けられたとき、その傍らにクロが添えられていたという。最初は誰も〈おどる剣〉などではなく、守り刀の類なのだと思っていた。その剣が、シグナスが物心つくと同時に喋り出したのだから、孤児院は蜂の巣をつついたような大騒ぎになったと聞いている。ただその〈おどる剣〉は何の命令も自覚していなかった。ゴーレムなのだから、何かしらの役に立たせるために創られた存在のはずなのに。  クロはどこか自分に言い聞かせるように呟いた。俺は騎士なんだ、そのはずなんだ、と。 ◇  今回のリプレイは、ここまでです。  アルゴットさんとの別れを経て、シグナス&ヨンが良いコンビになりつつあるような気がします。ノーブレーキになったヨンさんが今後どの程度脱線するのか、それをシグナスくんは止められるのか、すべては出目のみが知るところです。スリリングおもろですね!  一方、クロ先輩の出目は乱高下し、どうにも冴えません。何があるのだろうと意味を求めるところも、またリプレイを書く楽しみだと思っています。クロが何者で、過去に何があったのかは、まだプレイヤーも決めていません。すべてはシナリオと出目を睨めっこしながら読み解いていこうと考えています。この先で、クロの動揺の理由が明らかになる展開が拾えたら楽しいですね。  それでは、次の車両でお目にかかりましょう。  良きローグライクハーフを!   ◇    (登場人物)  ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。泣かないように踏ん張っている。  ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。何かの記憶を思い出しつつある?  ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。面白さがすべて。  ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。グロリアの火球により落命。  ・グロリア…サン・サレンの女騎士。アンデッドの部下を引き連れ、様子がおかしい。 ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月1日水曜日

第3回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4907

第3回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「蜂竜の森」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「蜂竜の森」の冒険譚です。 妖狐のフォルネ、魔猫のニャルラ。二匹のお供を連れたタイガの冒険です。 今回の目当ては「蜂竜の王蜜」。 蜂竜の巣の中でなければ手に入らないそれを、コーネリアス商会の料理人クックロッド氏の依頼で引き受けたタイガたちです。 森へと入り、蜂竜と戦う竜人たちの村へと立ち寄り、協力関係になりました。 村へ接近する蜂竜を追い払い、先へと向かいます。 その先では、竜人の戦士たちと蜂竜が、今まさに戦っているのでした。 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5 魔術点:4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:9/10 器用点:8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料2 金貨5 1 蟷螂蜂毒 3回分 追加ダメージ1 巨大樹の迷宮P56 2 ロープ 「手がかり」1 ●アタック01-6 蜂の騎士VS甲虫の騎士 僕たちは竜人の村に急接近してくる一体の蜂竜を追い払った。 そして、蜂竜が飛んできた方向に進む。蜂竜が急いでいた理由を知るためだ。 竜人の村で、戦士たちが蜂竜討伐に向かっていると聞いている。 おそらく、竜人の戦士たちと蜂竜の間で戦端が開かれているのではないか。 いつものように、好奇心旺盛なニャルラが先頭を駆けてゆく。 僕の肩が定位置のフォルネも、地面に降り立つ。やや小走りで、僕の速度に合わせてくれている。 やがて、視界の先が明るさを増してきた。 どうやら、森が開けた場所になっているみたい。 先にそのポイントに到達したニャルラが立ち止まり、向こうを見て立ち尽くしている。 僕とフォルネはニャルラに追いつき、そしてその光景を目撃することになった。 【中間イベント】燃え上がる花園 そこは、色とりどりの花が咲き誇る花園だ。 しかしいまやその花園は、そこかしこからくすぶる煙が立ち上り、ところどころからは火の手も見えた。 花園が燃えている。 それは、今まさに戦闘が行われているしるしだった。 竜人たちが、蜂竜と戦っている。 僕たちのところからは距離がある。 竜人たちは、善戦している。 空中から接近してくる蜂竜の群れをけん制しながら攻撃を繰り出す。 空中に離れると弓矢を射かける。 蜂竜は1匹ずつその数を減らしている。 このままなら押しきれそうだ。 「危ない! 避けろ!」 不意に声が上から降ってきて、視界の外から赤熱化した針のようなものが、竜人の戦闘集団に撃ち込まれた。 警告に反応してか、竜人たちはギリギリで回避でき、犠牲者はいなかったようだ。 しかし針が花園の地面に突き刺さると、そこから煙が立ち上りはじめた。 花園の火事は、どうやらこの攻撃によるもののようだ。 目線を上げる。 そこでは、巨大な二匹の昆虫が、対峙と激突を繰り返していた。 一匹は黄色と黒の特徴的な縞模様の、樽のごとき胴体を持つスズメバチ。 もう一匹は優雅に湾曲した二本の長いツノが特徴的なカブトムシだ。 キャティの話した特徴に合致している。 あのカブトムシがキャティのいう「勇者」ナイトくんに違いない。 地上の戦闘では、竜人の女戦士が蜂竜に斬りかかり、一体を落とした。 その攻撃で戦力を半数ほどに減らした蜂竜は、後退にかかる。 竜人の方にも追撃する余裕はなさそうだ。 「ヘラクレスナイト、怪我人が出た。我々は森の中へ一時撤退する」 「わかった。しんがりはまかせたまえ」 竜人の女戦士の叫びを受けて、空中のカブトムシが応じた。 竜人たちが視界から森の中へと消えてゆく。 ヘラクレスナイトと呼ばれたカブトムシは、巨大なスズメバチの攻撃をいなしながらそれを見送った。 巨大なスズメバチは、空中でなんと人型に「変形」した。 左腕に鋭い針が飛び出すシールドを構え、直線的なシルエットのそれは、さながら「蜂の騎士」だ。 「蜂の騎士よ。お前は強いクリーチャーだ。だからこそ、竜人たちのもとへは行かせん」 ヘラクレスナイトは空中で、スズメバチの眼前に立ちはだかる。 その姿は地上の竜人たちを守る、頼れる「壁」そのものだった。 「チェーンジ! ヘラクレスナイト!!」 人ほどの大きさの巨大なカブトムシは、そのかけ声とともに「変形」した。 変形後の姿はまるで、カブトムシのごとき羽根を背中に生やした甲冑の戦士だ。 「かぁ〜っこいい!!」 ニャルラが思わず感嘆の声をもらす。瞳がキラキラに輝いている。 無理もない。僕もその光景に目を奪われていた。 キャティさんの説明を聞いたときには「魔物みたい」なんて感想だったけれど、とんでもない。 これはかっこいい。巨大な昆虫が人型に変形して戦うなんて、ロマンが過ぎる!! 「む。そちらにも誰か」 ヘラクレスナイトは僕たちの存在に気づいた。 それは、蜂の騎士も同様だった。 「ジジ……ギギギギ……」 顎を軋ませるような叫び。 変形した蜂の騎士は、目の前のヘラクレスナイトではなく、地上にいる僕たちを狙ってきた。 僕たちの方に向かい、針のついた左腕を伸ばす。そこから、火炎が放射された。 長大な炎の舌が、僕めがけて伸びてくる。 「タイガさま、危ない!」 フォルネが、自分の身が焦げることもいとわず、僕との間に割り込んできた。 「む。いかん」 ヘラクレスナイトの動きは素早かった。 僕とフォルネの前に立ちはだかり、甲虫の盾でその炎を防ぎきる。 「平気か少年。安心したまえ。君は私が守る」 「あ、ありがとうございます」 「ところで君たちは……と、話している暇はないな」 一方、フォルネは全身の銀毛を逆立たせていた。 「タイガさまを危険な目にあわせるなんて、許せない。ニャルラ、行きますよ! あいつを、倒します」 「ほいきた。やっちゃうよ〜!」 僕の身の安全を確認すると、フォルネとニャルラの二匹は、蜂の騎士に向かって突進していった。 「これは驚いた。あの二匹は小さいながらも『戦士』なのだな」 「はい。頼りになる相棒です」 「ふむ。ならば見せてもらおうか。君のお供たちの実力を」 僕の前で盾になりながら、ヘラクレスナイトは楽しげにそう言ったのだった。 ●アタック01-7 蜂の騎士VS銀毛の妖狐 【蜂竜(特殊兵)レベル5 生命点5 攻撃数3】 死ぬまで戦う 蜂の騎士はゆっくりと地上へと降り立った。 フォルネとニャルラを正面から迎え撃とうというかまえだ。 「あいつ、自分から攻撃が届くとこにおりてきたよ。もしかしておバカかな?」 「違います。逆ですよ。私たちをバカにしてるんです」 「そなの?」 「私たちを甘く見たらどうなるか、目にもの見せてやります」 蜂の騎士が噴射する炎をかいくぐり、フォルネは正面から、騎士の上半身に飛びかかる。 そして勢いにまかせ、騎士を地面に押し倒した。 それだけでは終わらない。 蜂の騎士の左腕は、蜂の胴体を模したふくらみの先端に針が突き出た構造をしている。 まるで左腕に取りつけられたアタッチメントのよう。 フォルネはなんと、倒れた勢いのまま後脚を騎士の左腕に叩きつけ、針をへし折ったのだ。 「敵の最大の攻撃手段を奪う。それが戦いの基本」 一方ニャルラはフォルネと同じく蜂の騎士に向けて突進し、飛びかかっていた。 しかし蜂の騎士がフォルネに押し倒されたため、空を切って通り過ぎていった。 「にぎゃあああ〜」 フォルネは倒れた蜂の騎士の上にマウントを取っているが、いかんせん体格差がありすぎる。 そのまま押さえつけるには限界があった。蜂の騎士は、折れた針の左腕でフォルネを殴りつける。 まさかそちらの腕が来ると予想していなかったフォルネは、弾かれるように殴り飛ばされた。 「折れた左腕で攻撃するとは……痛みを感じてないんでしょうか」 フォルネはふらふらと立ち上がり、四肢を踏みしめる。 蜂の騎士は、そんなフォルネではなく、ニャルラの方を見据えて突撃した。 さきほどの攻防から、ニャルラの方が与しやすいと読み取ったようだ。 攻撃に失敗し、地面にコロコロしていたニャルラは、蜂の騎士の攻撃を、そのままコロコロと避け続けた。 圧し折れた花々が、ニャルラが転がった痕跡を残してゆく。 「ほう。君のお供たちは、確かな実力を持っているようだ」 ヘラクレスナイトが感嘆の声をもらした。 しかし、ニャルラの神回避が続いたのはそこまでだった。 花々の影に隠れていた切り株に阻まれ、動きが止まってしまったのだ。 蜂の騎士は体格差を生かしてニャルラに覆いかぶさり、押さえつけた。 ニャルラは必死に抵抗して胴体を蹴り上げたが、蜂の騎士はそんなダメージなどものともせずに、力まかせにニャルラを組み伏せる。 フォルネは蜂の騎士をニャルラから引き離そうと動くが、蜂の騎士は羽根の動きでけん制し、攻めあぐねている。 蜂の騎士は折れた針をニャルラの腹部に叩きつけた。折れているとはいえ鋭さを残した針は、ニャルラの皮膚を傷つけた。 そして鋭い顎で、ニャルラの首元にかみつくと、ニャルラをぶら下げたまま立ち上がった。 ニャルラは、四肢をだらんとさせている。気を失っているのか? 「ニャルラを、放しなさい!!」 フォルネはついに蜂の騎士のけん制をくぐり抜け、後頭部へと頭突きをかました。 蜂の騎士はぐらり、とよろめき、ニャルラを落とす。地面に投げ出されたニャルラは痛みで意識を取り戻す。 そのままへろへろと反撃を試みるが、その動きにはまったくキレがなく、簡単にかわされてしまった。 「ニャルラ、いったん下がって態勢を整えるんだ」 僕は指示を出す。 蜂の騎士はニャルラを逃がさじと連続して攻撃を繰り出すが、ニャルラも必死にそれをかわした。 僕は蜂の騎士の動きを見て確信した。 まるで痛みがないかのような動きに、フォルネとニャルラには攻撃が効いていないのではないかという絶望感が漂っている。 けれど、二匹が重ねたダメージは、間違いなく蜂の騎士に蓄積している。 「フォルネ、あと一押しだ。それで蜂の騎士はやっつけられるよ」 「わかりました。やってみます」 フォルネは、ニャルラと蜂の騎士との間に身体ごと割って入った。 そのせいでダメージを受けるが、四肢をふんばって耐える。 「フォルネ、アタイをかばって……」 フォルネは全身に力をみなぎらせると、後脚を蹴り、蜂の騎士へと猛烈な体当たりをかました。 それは白銀の光の筋となり、蜂の騎士の胴にまともに命中する。 蜂の騎士は、スローモーションのようにゆっくりと、倒れた。 それが、決着だった。僕たちの勝利だ。 [プレイログ] 【蜂竜(特殊兵)「蜂の騎士」レベル5 生命点5 攻撃数3】 死ぬまで戦う 0ラウンド 蜂の騎士は従者に炎を噴射。 普通に考えたらタイガはひとたまりもないところ。 基本ルールに以下の記述がある。 「戦わない従者は戦闘時、特に記述がなければ、敵に攻撃されることも、敵を攻撃することもありません。まれに非戦闘員を狙う卑劣な敵がいますが、その場合には本文に記述があります。」 戦わない従者について本文に記述がないため、「戦わない従者のため狙われない」というプレイヤー有利の解釈を取り、蜂の騎士の行動自体をキャンセル。炎は噴射されたがヘラクレスナイトが防ぐという演出とした。 第1ラウンド フォルネの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル! 蜂の騎士の生命点5→4 フォルネの連続攻撃 サイコロの出目4+技量点2=6 命中! 蜂の騎士の生命点4→3 ニャルラの攻撃 サイコロの出目1 ファンブル。 蜂の騎士の3回攻撃 1回目 フォルネの回避 サイコロの出目2+2=4 命中 フォルネの生命点5→4 2回目 ニャルラの回避 サイコロの出目6 クリティカル回避。 3回目 ニャルラの回避 サイコロの出目6 クリティカル回避。 第2ラウンド フォルネの攻撃 サイコロの出目2+技量点2 外れ ニャルラの攻撃 サイコロの出目5+技量点1 命中 蜂の騎士の生命点3→2 蜂の騎士の3回攻撃 1回目 フォルネの回避 サイコロの出目5 回避 2回目 ニャルラの回避 サイコロの出目3+技量点1=4 命中 ニャルラの生命点9→8 3回目 ニャルラの回避 サイコロの出目2+技量点1=3 命中 ニャルラの生命点8→7 第3ラウンド フォルネの攻撃 サイコロの出目3+技量点2=5 命中 蜂の騎士の生命点2→1 ニャルラの攻撃 サイコロの出目1 ファンブル 外れ 蜂の騎士の3回攻撃 1回目 ニャルラの回避 サイコロの出目6 回避 2回目 ニャルラの回避 サイコロの出目5 回避 3回目 フォルネの回避 サイコロの出目2+技量点2 命中 フォルネの生命点4→3 第4ラウンド フォルネの攻撃 サイコロの出目3+技量点2=5 命中 蜂の騎士の生命点1→0 勝利! 宝物判定はなし。 ※手がかりを使用すれば蜂の騎士のレベルを1下げられたが、うっかり忘れていた。このことが結果的に、最終イベントへの手がかりの温存へと繋がった。 ●アタック01-8 甲虫の騎士と竜人の女戦士 「あの特殊な個体を倒してしまうとは、君のお供は大した腕前だな。それに君の的確な指示も生きていた」 蜂の騎士が倒れたのを見届けると、ヘラクレスナイトはそう評した。 「いえ、僕は戦闘に参加できないので」 「いや。君の観察は大したものだ」 そこへフォルネとニャルラが戻ってきた。 「そうなんです。タイガさまはすごいのです」 「へんけい、かっこいい〜!」 ニャルラの賞賛の言葉に、ヘラクレスナイトはくねくねとした動きで照れている。 手放しでほめられるのに弱いみたい。 僕は思っていた疑問を、直接ヘラクレスナイトにぶつけることにした。 「あの……ナイトさんって、あなたですよね」 「その呼び名を知っているということは……キャティ君だね。君たちは村を経由してここに来ているわけか」 「はい。蜂竜出現と聞いてこちらに来たんです」 僕は、蜂竜の王蜜を求めてこの森に来たことを明かした。 「なるほど。正真正銘の援軍だったわけか」 そこへ、森の向こうから竜人の女戦士が駆けてきた。 「いつまでも来ないから心配したぞ。……ここは片付いたようだな」 「ああ。彼らのおかげでな」 僕たちは互いに自己紹介しあった。 「カトリーナはキャティ君の姉なんだ」 ナイトさんが補足してくれた。 「ナイト、あんたまたキャティのこと他人行儀な呼び方して。キャティだって愛称で呼んでくれてんだし、私みたいに呼び捨てにすればいいのよ」 「あーうーそれはだってなんていうか照れくさいというか、だね」 ナイトさんはさらなるくねくね動きを披露している。 「はぁ、わかりやすい奴。……いいけど、あんまり距離取って愛想つかされても知らないよ」 「ええっ。それは困る。どどどどうしたらいいだろう!?」 「ははは。そうは言ったがキャティはそんな娘じゃないから心配しなくてもいいさ」 「そうか? そうなんだな。大丈夫だよな?」 戦闘の時とのギャップが激しすぎる。 「にゅふふ。アタイ、キャティとナイトの関係、わかっちゃったかも」 「奇遇ですね。私もです」 フォルネとニャルラは顔を見合わせて意味深な表情をしていた。 ナイトさんをひととおりいじったカトリーナさんは、今度は僕たちに話しかけてきた。 「あんたたちがあのボス蜂を倒したっていうの。なかなかやるじゃない」 「ああ。私の出番はなかったよ」 ほめられてニコニコなニャルラ。 フォルネはこんな時でも控えめで表情にあまり出していないが、ちょっぴりうれしそうだ。 カトリーナはナイトさんに、今度は真面目に報告をした。 「負傷者は休養と食事を取れば大丈夫そうだ。我々は蜂竜の討伐を続ける」 「そうか。ならば私もそろそろ行かねばなるまい」 ナイトさんは竜人の戦士たちとともに、蜂竜狩りを続けるという。 僕たちは外に出ている蜂竜ではなく、蜂竜の巣にある王蜜が目当てだから、ここで一旦お別れだ。 「またこの森の中で出会うことがあれば、互いに助け合おう」 「はい。こちらこそ」 ナイトさんは、蜂竜がよく飛来してくる方角を教えてくれた。 そちらに行けば、巣がある可能性が高い。 僕たちは、ナイトさん、竜人の女戦士カトリーナさんと別れた。 竜人の村へは戻らず、このまま蜂竜の巣があると思しき方角へと向かおう。 次回、蜂竜の巣の場所が明らかに。 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5→3/5 魔術点:4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:9→7/10 器用点:8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料2 金貨5 1 蟷螂蜂毒 3回分 追加ダメージ1 巨大樹の迷宮P56 2 ロープ 「手がかり」1 ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。 コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。通称コニー。オウカンワシにさらわれたところをタイガたちに救われる。 ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。コニーの父親。 クックロッド コーネリアス商会の料理人。蜂竜の王蜜取得に情熱を燃やす。 キャティ 竜人の村の道具屋。初出はゲームブック「百竜の森」。 カトリーナ 竜人の村の女戦士。蜂竜討伐の遠征中。 ナイトさん ヘラクレスナイト。カブトムシ形態から人間形態に変形できる竜人の村への協力者。その動機はキャティへの一目ぼれ。 ■作品情報 作品名:蜂竜の森「ローグライクハーフ」d33シナリオ 著者:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ(「蜂竜の森」収録) https://ftbooks.booth.pm/items/5361362 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年6月30日火曜日

ゲームブックにおける死と物語 第7回:『単眼の巨獣』における「本能」と選択 FT新聞 No.4906

おはようございます。FT新聞編集部員のくろやなぎです。 本日は、『ゲームブックにおける死と物語』の第7回として、『単眼の巨獣』(著:ロア・スペイダー、2025年、FT書房)に関する考察記事をお届けします。 前回の『魔人竜生誕』(著:松友健、2006/2016年、創土社/幻想迷宮書店)は人間社会を守るヒーローを主人公とする作品でしたが、今回の『単眼の巨獣』の主人公である「君」は、混沌と呼ばれる一体のモンスターであり、人間社会から見れば討伐の対象となります。 君は「最弱の怪物」としてスタートしますが、目の前に現れる生物や兵器などをつぎつぎと取り込みながら成長し、やがて「生物の範疇を超えた災害」のような存在になっていくでしょう。この特異な主人公のもとで、物語がどのように語られ、そこで「死」がどのように位置付けられているのかを、これから数回に分けて、物語の展開をなぞるような形で追っていきたいと思います。 今回は、主にプロローグから物語の序盤までの内容に触れています(選択肢やその結果に関する具体的な引用を含みます)。 作品はBOOTHにて販売されていますので(本稿作成時点では在庫あり)、実際に読みたい・遊びたい、と思われた方はぜひお早めにどうぞ。 [FT書房公式HP内 『単眼の巨獣』紹介ページ] https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/tangan ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブックにおける死と物語 第7回:『単眼の巨獣』における「本能」と選択  (くろやなぎ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ■「森の一つ目狼」の死と「君」の物語のはじまり 『単眼の巨獣』は、FT書房のファンタジー世界アランツァ(第一期:ゴーレム時代)を舞台とする、全106パラグラフの中編ゲームブックです。 その物語は、「森の一つ目狼」と呼ばれる個体の死から始まります。 「森の一つ目狼」(以下、単に「一つ目狼」と呼びます)は、動物の「狼」そのものではありません。 たしかに全身は黒い体毛をもつ巨大な狼のようにも見えるのですが、頭部からは鋭い角が生え、鱗で覆われた竜のような尻尾をもち、額には大きなひとつの目……と、さまざまな生物のパーツを乱雑に取り付けたような、普通の生物ではありえない奇妙な形態をしています。 そのようなモンスターは、人々から「混沌」と呼ばれていました。 混沌は、「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という特徴をもっています。これは、すべての混沌に備わった「本能」だとされており、作品の中では、そのように「成長する」こと自体が、混沌の究極的な目的や存在理由であるようにも描かれています。 一つ目狼は、ある森の生態系の頂点に君臨していましたが、そこは山脈と海に囲まれた原生林であり、外部からの侵略者が乏しい隔絶された環境でした。この環境は、もう十分に強くなった混沌にとっては、倒して取り込むべき強敵の不在を意味しており、一つ目狼は自らの成長が頭打ちになったことを感じていました。 そこで一つ目狼は、自らの分裂体として、混沌の原初の姿である「しずくの怪物」……ゼリー状の体に大きなひとつの瞳を浮かべた、丸っこい液体じみた存在を生み出します。これは一種の「出産」にあたる行為ですが、その目的は繁殖ではなく、あくまで「成長」に他なりません。つまり、そのしずくの怪物が順調に成長し、強大なもう一体の混沌になってくれれば、その個体と一つ目狼自身が戦い、勝者が敗者を取り込むことによって、もとの限界を超えることができるというわけです。 しかし皮肉なことに、一つ目狼が外敵との戦いによる成長に見切りをつけ、分裂体を生み出し、その影響で一時的に弱体化していたまさにそのとき、森には初めて外からの本格的な脅威が迫っていました。それは、強力な複数のゴーレムを含む、人間たちの国からの討伐隊です。 戦いの末に一つ目狼は敗れて殺されますが、その分裂体である「君」は、一つ目狼によって海へ放り投げられて生き延び、やがてどこかの絶海の孤島へと流れ着きます。 そしてそこから、君の混沌としての戦いと成長の物語が始まるのでした。 ■〈混沌〉の本能と「君」たちの個性 さて、主人公が混沌(初期状態においては、しずくの怪物)というモンスターだということは、言うまでもなく『単眼の巨獣』の大きな特徴のひとつですが、私にとってさらに興味深いのは、そこに設定上のもうひとひねりが加えられていることです。 作品のプロローグでは、まず、しずくの怪物や混沌がどのように特異なモンスターかということが説明され、続いて重要キャラクターである一つ目狼が紹介されます。 そこで最初に挙げられる、狼の体に「乱雑に」取り付けられた角や単眼、鱗に覆われた尻尾といった外見は、「いかにも混沌らしい」ものとして、混沌に関するそれまでの説明の具体例にもなっています。ですが、それに続いて語られる内容は、一つ目狼が混沌の典型例というわけではなく、むしろ混沌としてはかなりの変わり者であることを示唆しているのです。 まず、混沌全般の特徴としては、「城壁よりも大きな」巨体や「災害」のような強さが挙げられるのですが、一つ目狼はその隔絶された生息環境ゆえに、「普通の混沌より個体として少し小さく、弱かった」とされます。 また、「混沌は一定の場所にとどまることが少ない」と言われるのですが、一つ目狼は元の居場所である原生林にとどまり、山や海を越えて移動することをしませんでした。 混沌の生態は、「普通は周囲の生物を片っ端から喰らい、そこの生態系の頂点に達したら別の場所に移動する。結果、環境を破壊し、敵を作り続ける。さらなる強敵を倒して強くなるか、敗れて死ぬかの二択を選び続ける」というもののはずなのですが、一つ目狼は外部に新たな強敵を求めて出ていくよりも、成長のために自らの分裂体を生み出すという「まれな選択」を行いました。 さらに、討伐隊のゴーレムたちに追い詰められた一つ目狼は、自分自身が窮地を脱するよりも、分裂体である「君」を遠くへ逃がすことを優先し、力尽きて殺されてしまいます。 改めて考えてみると、そもそも「君」という分裂体は、成長が頭打ちになったと感じた一つ目狼によって、自身のさらなる成長のために、強力な外敵の代替物として生み出されたような存在のはずです。ならば、「本当の」強力な外敵であるゴーレムたちが現れた以上、一つ目狼は、「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という「本能」に忠実に従い、それらを倒して取り込むことに注力し、代替物であるはずの分裂体などさっさと捨ててしまうべきだったのではないでしょうか。 しかし一つ目狼は、君の存在を「先へ進むための希望」として認識し、君をゴーレムたちの手の届かない遠くの海面へと放り投げて逃がすことで、その命を守ることを選んだのです。 そしてまた、ゴーレムたちに組み伏せられる一つ目狼の様子を、放り投げられた先の海面から見つめる「君」の姿にも、一つ目狼のような変わり者の混沌としてのあり方を見て取ることができます。 以下はプロローグの中で、君が一つ目狼の付属物としてではなく、ひとつの内面をもつ主体として初めて描写される場面の一部です。  海面に浮かび、波に攫われている腕の上から分裂体である君は見ていた。分裂したてだが、本能で何をすべきかわかっていた。あらゆる生物に挑み勝利して喰らい、成長する。君にとって対面する生物は「取り込むべきかそうでないかの」2種類しかない。自分を生み出した元であってもだ。それなのに、なぜか分裂元の一つ目狼から目を離せなかった。[『単眼の巨獣』pp.16-17より引用。以降は引用ページのみ記載] 混沌としての君の「本能」に基づき合理的に判断するなら、いまや遠く離れた崖の上で繰り広げられている、強力なゴーレムと一つ目狼との熾烈な戦いの場には、生まれたばかりの「最弱」の君が勝利して取り込めるものは何もないでしょう。爪も牙も翼も持たない、ただの「丸っこい液体じみた存在」である今の君には、両者を倒すための能力はもとより、崖の上に戻る手段もありません。 ひとまず君ができることとしては、波に流されながら、何とか勝てそうな適度な弱さの生物や、取り込んで強くなれそうな物体を探すことくらいしかないはずです(作品のルール説明には、混沌はありとあらゆる「物体」を取り込み、自らの力にできると明記されています)。 それでも君は、混沌としての本能が命ずることはさておいて、「なぜか」分裂元の一つ目狼から目が離せません。そして、その最期をしっかりと見届けた後、数日のあいだ海上を漂い、やがて本編の最初の舞台である絶海の孤島へと流れ着くことになります。 このように、『単眼の巨獣』のプロローグでは、すべての混沌に共通する特性や「本能」についての説明とともに、そうした共通事項の中には回収しきれない、変わり者の混沌としての一つ目狼や君の個性が描き出されます。 そして、作品の中には、一つ目狼と君を除いて、具体的な混沌のキャラクターが登場することはありません。そのため、読者には、プロローグで作者によって説明されたような普通の混沌……すなわち、分裂などという「まれな」行動をとらず、外敵を前に分裂元に逃がされて生き延びるというまれな経験もしたことのない、いわば「典型的な」混沌の姿を、物語の中で実際に目にする機会はありません。 読者である私たちは、一つ目狼や君のような、混沌としての「本能」をもちつつ、混沌としては「まれな」選択や経験をした変わり者の混沌の姿を通してのみ、混沌というモンスターの実像に触れることができるのです。 ■「君」たちの本能と選択 では、同じ本能をもつ混沌たちの中に、なぜ一つ目狼や君のような変わり者の個体が存在しうるのでしょうか。 その理由のひとつは、おそらく、この作品における混沌の「本能」が、「強くなる」「成長する」といった大まかな目的や指向性を与えるものであり、具体的な行動や選択を決定づけるような性質のものではないからです。 この点についての象徴的なイベントが、本編の開始直後における「マグマレックス」との遭遇です。 マグマレックスは、地上戦に特化する形で進化したドラゴンで、炎どころか溶岩を吐き出して相手を焼き尽くす能力をもち、君が流れ着いた絶海の孤島の頂点に君臨しています。 マグマレックスはゲーム序盤のボス的な存在であり、その戦闘力を超えることが君の当面の目標となるのですが、場合によっては本編開始からわずか3パラグラフ目で、君にはいきなりマグマレックスと戦う選択肢が与えられます。 そこに至るまでの流れを簡単に追ってみましょう。 最初に流れ着いた砂浜から、取り込めそうな生き物を探して森へ分け入った君は、その森の向こうからの地響きや鳴き声を知覚します。その発生源で繰り広げられていたのは、一つ目狼と同レベルの大きさをもつ、巨大なゴリラとドラゴン(マグマレックス)との戦いでした。 戦いに勝利したマグマレックスは倒したゴリラの体を貪り食いますが、その様子を見ながら、君はマグマレックスが「この島の頂点だと確信」するとともに、「この化け物が君が取り込まなければならない獲物だ」と、「本能で」感じ取ります。 そして君には、  ・マグマレックスに襲い掛かる  ・今は勝機がないため、じっと息をひそめて隠れる という2つの選択肢が提示され、それぞれの結果は以下のようになります。  マグマレックスに挑むべく、前に躍り出た。明らかに格上であり、実力は比べ物にならない。だが、戦わないという選択肢はない。混沌にとって強い個体は、自らが強くなるための糧なのだ。「我は捕食者」という誇りが、君を突き動かす。たとえどんなに弱くても、混沌の相手を喰らうという本能は消えないのだ。  そして、マグマレックスをにらみつけ襲い掛かり……食べられた。いともあっさりと。[p.31]  木と茂みの影に隠れて、見つからないようじっと息をひそめる。強い者と戦い取り込むのは混沌の本能だが、それは勝機も無しに視界に入ったものを襲い掛かることではない。そんな個体はあっさり死ぬ。むしろ、本物はたとえ遠回りになっても勝機を見つけようとする。  そうして隠れていると、マグマレックスはゴリラを食べ終えてその場を立ち去る。向かう先は山の方だ。足音も消え、気配も感じなくなった。[p.29] 両者の結果は対照的ですが、いずれもそれぞれの選択からの自然な帰結だと言えるでしょう。無謀にも襲い掛かった君は、あっさりと返り討ちにされてGAME OVERとなり、隠れることを選んだ君は、生き延びて成長の機会を伺います。 そして、どちらの「君」の選択も、元をたどれば君の「本能」から生じたものとして描かれていることに違いはないように思います。 「相手を喰らう」という本能から、相手にそのまま襲い掛かり、そして死ぬ。あるいは、「強い者と戦い取り込む」という本能から、その実現可能性を検討し、今はそのときではないと判断して隠れ、生き延びていつか勝機を見出すことに賭ける。たしかに前者は随分と短絡的で、逆に後者はなかなか気の長い話になりますが、それらはどちらも、相手を喰らい、取り込み、成長し、強くなるという、混沌の「本能」に紐づいた選択として位置付けられます。 「隠れる」ことによって生き延びた方のパラグラフには、「本物はたとえ遠回りになっても勝機を見つけようとする」と書かれていました。 では、襲い掛かってあっさり食べられた方の君は、混沌として「偽物」だったということでしょうか。あるいは、君を動かしたのは「偽物」の本能だったのでしょうか。 しかし、「本物」であるはずの生き延びた君も、その先のどこかの戦闘で敗れ、あるいはどこかで選択を誤って、「偽物」とされた君のように、いつかあっさりとGAME OVERになってしまうかもしれません。そのとき、いまは「本物」である君もまた、やっぱり先見の明をもたない「偽物」だったということになってしまわないでしょうか。 幾通りかの「君」を経験した読者である私には、そのような「本物」らしさは単なる結果論にすぎないようにも思われます。 個々の状況における選択が、適合的で賢く見えても、あるいはちぐはぐで愚かに見えても、それらの選択が同じ「本能」に突き動かされた結果であれば、それらの選択やそれを行う主体は、少なくともその「本能」においては等しく「本物」なのだと言えるかもしれません。 君は混沌としての「本能」に突き動かされて、格上の敵に襲い掛かり、そして死ぬ。 あるいは、「本能」ゆえに思い止まり、遠回りの末の勝機を求め、生き延びる。 同じ本能をもつ同じ「君」たちが、その本能に基づき行動し、そして正反対の結果に辿り着くのであれば、それはむしろ、そこに「本能」以外の要因が強くはたらいているということに他なりません。 「成長する」という混沌の本能に導かれ、一つ目狼は、自分の命よりも「もうひとつの自分」である君の命を優先し、君が生き延びて成長する可能性に賭けました。しかしそこには同時に、取り込むべき強敵が向こうからやってきた状況を好機とみなし、生まれたての分裂体など放っておいて、今この場で自分自身でゴーレムを打ち倒すことに賭ける、という選択肢もあったはずです。そしてそれもまた、強い者と戦い取り込むという、混沌の本能に基づく行動には違いありません。 これら2つの選択肢のあいだで、自らが犠牲となってしまう方を選び、分裂体である君にバトンを渡したということが、変わり者の混沌としての一つ目狼の個性、一つ目狼なりの混沌らしさ、一つ目狼なりの「本能」の発露なのだと言えるかもしれません。 そして、この渡されたバトンを持つのは、物語の中の「君」であると同時に、その「君」としての選択を行う、読者である私たちだということになるでしょう。 『単眼の巨獣』の物語は、混沌の「本能」に基づく、しかし本能だけでも説明しきれない、ひとつの生と死に関わるきわめて重要な選択が、「森の一つ目狼」という個性的な一体の混沌によって行われるところから始まります。 そして、そこで選択された物語の続きを、一つ目狼の分裂体である「君」(としての読者)が引き継ぎ、同じ「本能」に導かれながら、新たな選択を重ねていく……これが、『単眼の巨獣』というゲームブックの中に見出すことができる、ひとつの基本構造であるように思います。 ■おわりに 今回の記事では、『単眼の巨獣』のプロローグから序盤までの物語の一部を紹介しながら、主人公である「君」やその「分裂元」の「森の一つ目狼」による、生死を分ける選択と、その基盤にある「本能」の意味について考察しました。 「本能」には「変わらないもの」「変えられないもの」「一律なもの」といったニュアンスがあり、個人的には、文章に出てくるとちょっと身構えてしまう概念なのですが、この作品においては、その本能こそが複数の選択や分岐を生み出すという構造が面白いと感じています。 今回触れた範囲では、混沌の本能に基づく「取り込む」という行為や「成長」については、抽象的・概念的な説明にとどまっており、それが具体的にどういうことなのかはほとんど示されていません。 実際、作品において、それらに関する物語としての説明、文章での説明は限られており、読者はそれらをゲームのルールやゲーム的な処理として受け取ることになります。 そこで、次回(配信日未定)の記事では、この作品のゲームとしての側面にも着目しながら、君の「成長」がどのように具体的な形をとり、そこにどのような選択や生と死が待っているのかを見ていきたいと思います。 【書誌情報】 ロア・スペイダー『単眼の巨獣』(絵:中山将平、監修:杉本=ヨハネ、FT書房、2025年) https://booth.pm/ja/items/6823989 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com 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