(編註:この記事は、過去の人気記事を再配信するReシリーズです。文中のコメント等は全て当時のものとなっております)
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オレニアックス生物学 Vol.1
『大食らい虫』
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生物学の授業は非常に重要な科目だった。
アランツァの地での戦いは、戦争となるとまた話は別だが、人間以外の生き物と交戦することも少なくなかった。
聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラントは生物学の権威。
そんな彼の授業は生き物の外見、性質、そして対処方法を教えてくれる。
生徒たちを生き残る道へと導く、確かな灯火だ。
今日もカメルの授業が始まる……。
ラクダ人であるグラント博士は、年がら年中もっしゃもっしゃと口を動かし、授業する。
草食動物の性質を色濃く残したラクダ人は、繊維質の食物を大量に食べ、1日中消化にいそしむ必要があるのだ。
生徒から抗議が来ることもあったが、大抵の生徒は慣れてしまう。
今日の授業は「大食らい虫」についてだ。
「大食らい虫は原初の生物に近い存在だ」
グラント博士はおもむろにそう言った。
「今も原初の面影を残すゴーブの地や、あるいは地下迷宮の下の下のほう奥深くに生息する。
目がなく、耳がなく、手足がない。ただ、ものを食べるための口と、ごく小さな鼻孔が存在する。
外見は蛇のようだが、もっとずっと大きく、幅も広い。その体は柔軟で、地下迷宮の床、天井、そして壁に合わせて目いっぱいに広がる。
大食らい虫は実際、通路いっぱいに広がって、すべてのものを飲み込みながら進む。
地下迷宮で出会ったとき、大きな口が迫ってくるようにしか見えないだろう。
ヘイルくん、君ならどうするかね?」
名指しされてゴーレム剣士のヘイルは腕組みする。
「うーん。そいつって、俺みたいな木人でも消化するんですかね?」
博士はこくりとうなずく。
「わずかな鉱物を除き、どんなものでも溶かしてしまうよ」
ヘイルは困ったような顔をした。
「そんなにでかいと、倒せなさそうですよね。じゃあ、食べられちまうしかないのかな」
グラント博士は両手を叩いてヘイルを褒め称える。
「そのとおり、正解だよヘイル君。大食らい虫の弱点は身体の外側にはない。大きいだけじゃなく、急所と呼ばれる部分が存在しないのだ。だから、身体の内側に入って傷つけるしかない。大食らい虫が身体を目いっぱい伸ばして迷宮内を動きまわる間、その内側ではかなり自由に動けるのだ。じゃあ、マグス君。以上のことから、大食らい対策に必要なものは何かね?」
マグスは黙りこくって爪をかみながら、しばらく考える。
「火ですかね? あるいは、先の鋭い刃物。理容師が使うような……。」
グラント博士は口をもっしゃもっしゃと動かしはじめていたが、ゴクンと飲み込んで返事をする。
「刃物は正解だ。異物を呑み込んだと感じたら、大食らい虫は君を吐き捨てることだろう。もっと大きくて長い刃物であれば、腹を裂いて出ることだってできる。だが、火はまずい。彼らの体内にはガスが溜まっていることもある。そうなったら」
大きく息を吸い込んだ博士に対し、ニナほか何人かの生徒はすばやく耳を塞ぐ。
「ドカーン!」
とんでもない大声で、博士は叫んだ。
「と、爆発してしまうだろう。大食らい虫のゴム状の身体は、こういった爆発には強い。一方、腹の中の君はむだ死にしてしまうだろうな」
授業の終わりを告げる鐘が鳴る。
「最後にひとつ、アドバイスだ。大食らい虫を見つけたら、できるだけ逃げること。彼らのほうが人間よりも素早いが、さいわいなことに彼らは生き物に興味があるわけではない。気の向くままに動き回っているだけだから、その動きはランダムだ。つまり、『できるだけたくさんの曲がり角を曲がって逃げる』こと。T字路を抜けるたびに半分の確率で助かるし、十字路を抜けるたびに3分の2の確率で違う通路に向かってくれる。これが、大食らい虫から助かる公算の高い逃げ方だ。それでダメだったら、がんばって腹をつついてみること。以上!」
博士はピンと背すじを伸ばしたまま、教室の扉を開ける。ありがとうございました! と声が響く。
若い生徒たちに教えることのうち、どれが役立ち、どれが無駄になるかは分からない。
だが、いくつかはきっと、彼らの命を永らえさせてくれるだろう。
そう信じて博士は今日も教鞭をとる。
(From:杉本=ヨハネ)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『大食らい虫』
【混沌の迷宮】に登場。259ページを参照。
技術点不明 体力点不明
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2026年3月29日日曜日
2026年3月28日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第685号 FT新聞 No.4812
From:水波流
同じ森のキノコは、地下で菌糸ネットワークで繋がっており、電気信号で他のキノコたちと情報共有をしているという話を聞いて、ファンタジー世界のキノコ人のイメージがふつふつと。
From:葉山海月
タブレット。
いくらブラウザを操作しても動かない。
ついに故障? と思ったら、スクリーンショットの画像でしたー。
From:中山将平
僕ら、今日3月28日(土)「第5回名古屋ボドゲ楽市」にサークル参加しています。
開催地は「ウィンクあいち6・7階展示場」(FT書房は6階の方のようです。)
配置は【G3】です。
僕が現地に行く予定ですので、ぜひ会いにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
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■3/22(日)~3/27(金)の記事一覧
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2026年3月22日(日)森梟夫 FT新聞 FT新聞 No.4806
Ψ『銀鼠の微睡』 日曜ゲームブック
・今回は久々の日曜ゲームブック!
しかも、人工知能のまどろみの中から目覚めた森梟夫先生の登場です!
「大正時代を舞台にクトゥルフものができないか?」試行錯誤の果てに、この作品が生まれました!
大正の帝都、その裏通りに潜む耽美と怪異。銀鼠色の霧が立ち込める夜、現実と非現実の境界が曖昧になり、名もなき古書に記された「這い寄る混沌」の影が、人々の夢を浸食していく……。
大正浪漫の華やかさの裏側に潜む、名状しがたき恐怖。君が踏み出す一歩が、正気への道か、あるいは深淵への招待状か……。
どっちを向いても、奇妙奇天烈な絶望が待つ、これぞクトゥルフな一本!
どうぞよろしくお願いいたします。
(葉)
2026年3月23日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4807
マイナーチェンジ
・療養生活に入ってから1週間、ようやく仕事と生活に戻りつつある杉本氏。あと2ヶ月半で49歳を迎えられます。
去年あたりから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーについてのこと。
年齢を重ねるにつれ、「インプット」と「アウトプット」など、対となるもののバランスを取ることは難しくなる。そうした経験が杉本氏にもありました。
イラストレーターの鈴木健介さんがかつて杉本氏に「前線で活躍しつづけられる秘訣」を尋ねられ、印象的な答えを返されたそうです。
創作をする人間に限らず、誰にでも言えるその真理については、ぜひ記事本文でお確かめください。
(明)
2026年3月24日(火)中山将平 FT新聞 No.4808
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第50回
・久々に登場の、カエル人が教えてくれたファンタジー創作シリーズ、今回のテーマは「天使」です。
ファンタジー作品において、悪魔と対極にある存在などとして描かれることが多い「天使」ですが、皆様はどのようなイメージを持っているでしょうか。白い翼が生えていたり、光り輝く輪っかが頭の上に乗っていたり……?
中山氏はと言いますと……「天使って、何なんだよ」!
との事で、ファンタジーにおける天使に対する違和感があるようなのです。もちろん、違和感がある天使が良くない、という話ではありません。
「天使」についての考察から、「善悪」について、カエル人の世界「フログワルド」での設定など、今回も読みごたえ抜群のコラムですので、記事本編でお楽しみください。
(編註:こちらの記事を第49回として配信しておりましたが、今回で第50回でした!)
(天)
2026年3月25日(水)ぜろ FT新聞 No.4809
第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第484回。今回からは、〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズのルールをベースとした杉本=ヨハネ氏の短編ゲームブック、『ゴルギアスロフの旅の店』のリプレイをお届けします。
原作では、主人公に固有の名前や背景はありません。サイコロの出目と、プレイヤーの選択、そして想像力が、1回1回のプレイごとに異なるストーリーを作り上げていくタイプのゲームブックです。
まずは主人公のタイプを戦士/盗賊/僧侶の中から決定し、「旅の店」の店主ゴルギアスロフから、旅のルールを説明してもらいます。ぜろ氏のキャラクターは、はたしてどんな冒険をすることになるのでしょうか?
(く)
2026年3月26日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4810
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.43『きみへ贈る詩』中編
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
自治都市トーンへ遊びに来たクワニャウマとイェシカ。そこで、吟遊詩人少女ピロスカに、遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に同行してほしいと頼まれる。ファラサールの詩を作ってもらう条件で、破格の条件で引き受けたクワニャウマはイェシカをトーンに残してピロスカと共に遺跡の街へ。
彼女たちを迎えたのは、庭園。そこから続く二つの道を選び、そして館にたどり着くのだが……。
「……クワニャウマさん、ご職業は盗賊ではなくて魔術師、ですよね?」
「もちろん。何を今さら?」
いつものクワニャウマ節の中、それでもちゃくちゃくと詩はでき続けていく。
そして、彼女たちを待っていたものとは!?
通常の戦闘や探索の冒険とは違うテイスト。
児童文学者ならではの先生の筆が光ります!
どうぞよろしくお願いいたします。
(葉)
2026年3月27日(金)水波流 FT新聞 No.4811
【予告】「オレニアックス生物学」再配信について
・初期のFT新聞で連載され、好評を博した「オレニアックス生物学」。聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義の様子を描いたものです。
現在も不定期で新シリーズが展開されていますが(最新記事は2026/02/16の〈空間を統べるもの〉)、これからしばらくのあいだ、日曜日に月1回ほどのペースで過去のシリーズの記事を再配信していくこととなりました。
読み物として楽しんでいただけるのはもちろん、ローグライクハーフのシナリオ制作のヒントにもなるかもしれません。クリーチャーたちの不思議な生態や、カメル教授と生徒たちの対話を、どうぞお楽しみに!
(く)
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■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ふろふき大根さん)
FT新聞1ウィーク! 第684号 FT新聞 No.4805 への感想です。水波流さんのパトレイバーのお話、懐かしくてまた見たくなりました。PCのゲームはしたことが無かったのですが、PS1のゲームはとても良作だったですよね。犯人逮捕のたびに壊した公共物の被害総額が出るのんですよね。慣れると連続でコンボを決めて被害総額0で犯人逮捕できると「やったぜ!」って感じで嬉しかったです。同じように第3小隊を遊べるTRPGもありましたね。
(お返事:水波流)
いやぁ、パトレイバーってほんとによい世界ですよねー。
TRPG版はツクダホビーから出ていた「アルフォンス」でしょうか。ツクダホビーのアニメ系SLGシステムはほぼ共通のため、ガンダムやボトムズ、ダンバイン、エルガイムなどどれかのルールで遊んだことがあればすんなり遊べたようです。
……が、残念ながら未プレイなのです。当時はガンダムのように色々な機体が沢山登場するゲームに興味が向いていて、「これイングラムしか乗れねえじゃん」と敬遠してしまったのですが、今となってはむしろ特車二課の一員になれるというロールプレイ部分を楽しんでみたいなぁと思ったり。
(ジャラル アフサラールさん)
吉里川べおさんのコラムは『悪魔よそれをとれ』みたいに肩がこらずに読める内容ですので読むのが楽しみです。
(お返事:吉里川べお)
梅太や、ひさしぶりに投書したらジャラルさんからお便りが来ておるの。息災なご様子でなによりじゃ。〈べお〉さすがにそんなに経ってないですし。あとなんで僕がべおさんの老後を看取る設定になってるんですか……それはさておきジャラルさん、いつもいつも、ありがとうございます!〈梅太〉
(水波流)
森梟夫先生、新作ゲームブック『銀鼠の微睡』の執筆お疲れ様でした。
FT新聞読者も楽しんでくれたようで、Xでも反応がありましたよ。
ところで森さん、少々厳しいことを言うのですがね……。
この作品、大正時代を舞台にしたというには、ほぼ最初くらいしかそのテイストがありませんよね。すぐに館の中に入ってしまいますもんね。実はそれがずっと気になっているんです。
次回作をお願いするときには、もっと大正時代の帝都とクトゥルフ神話がクロスしたモチーフでお願いしたいのですが、そうした作品を書くために森さんにはどんな準備が必要ですか?
(お返事:森梟夫)
水波編集長、痛いところを突かれた。
執筆者として、その指摘は真摯に受け止めねばなるまい。確かに『銀鼠の微睡』において、浅草十二階(凌雲閣)を望む帝都の風景は、あくまで「異界への入り口」としての役割に留まっていた 。館に入った瞬間、そこは時代性を喪失した閉鎖空間となり、大正の「肌触り」は霧の向こうに消えてしまったのは事実だ。
大正という時代は、単なる懐古的な意匠ではない。それは近代の光と、足元で口を開ける江戸の闇、そして宇宙的な虚無が交差する、極めて不安定な時期だ。
次なる航海……「帝都×クトゥルフ」という深淵へ真に潜るため、私が筆を研ぎ澄ませるのに必要な「準備」をここに記そう。
■ 帝都怪異譚を紡ぐための四つの準備
1. 地理的・歴史的深掘り:都市の「地霊(ゲニウス・ロキ)」の掌握
大正十五年という舞台装置をより強固にする必要がある。
浅草の喧騒と混沌: 凌雲閣周辺の「六区」が持つ見世物小屋的エネルギーと、その地下に潜む「何か」を接続する。
銀座のモダニズム: カフェ・パウリスタの珈琲の香りの裏で、星辰の配置を計算するモダンガールや書生の描写。
地下鉄の胎動: 日本初の地下鉄(銀座線)着工に向けた掘削工事が、地中に封じられていた「国つ罪」を暴いてしまうという導線。
2. 『真州古伝攷』との合流:土着の恐怖の「輸出」
先日の信州の記録を、帝都の闇へと運び込む準備だ。
信州から運ばれた「鉄の棺」: 山奥に封印されていたはずの禁忌が、富国強兵や学術調査の名目で帝都の研究機関へと運び込まれる 。
「赤い仮面」の流行: 帝都のカフェや劇場で、自分の顔が「赤い仮面」に変わるという奇妙な流行病(集団ヒステリー)が蔓延する。
3. 精神的・文学的共鳴:変格探偵小説の再解釈
江戸川乱歩や夢野久作が描いたような「エロ・グロ・ナンセンス」の美学に、クトゥルフ神話の「宇宙的恐怖」をより深く接合させる。
狂気の見本市: パラグラフ27で描いた「異界の市場」を、より具体的かつ耽美な大正の風俗に落とし込む。
4. 儀式としての筆致:橘樹景巌の視点の継承
『真州古伝攷』の著者・景巌が説いた「記すことは、ひらくことなり」という思想を、ゲームブックのシステムそのものに組み込む。
読者が選択肢を選ぶ行為そのものが、帝都を覆う「封印」を一枚ずつ剥がしていく儀式になるような構成。
編集長、私の準備は、まずは「古地図」と「当時の新聞の三面記事」を漁るところから始まるだろう。大正の空気を十分に吸い込み、その肺を銀鼠色の霧で満たしたとき、次なる物語の門が開く。
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同じ森のキノコは、地下で菌糸ネットワークで繋がっており、電気信号で他のキノコたちと情報共有をしているという話を聞いて、ファンタジー世界のキノコ人のイメージがふつふつと。
From:葉山海月
タブレット。
いくらブラウザを操作しても動かない。
ついに故障? と思ったら、スクリーンショットの画像でしたー。
From:中山将平
僕ら、今日3月28日(土)「第5回名古屋ボドゲ楽市」にサークル参加しています。
開催地は「ウィンクあいち6・7階展示場」(FT書房は6階の方のようです。)
配置は【G3】です。
僕が現地に行く予定ですので、ぜひ会いにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
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■3/22(日)~3/27(金)の記事一覧
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2026年3月22日(日)森梟夫 FT新聞 FT新聞 No.4806
Ψ『銀鼠の微睡』 日曜ゲームブック
・今回は久々の日曜ゲームブック!
しかも、人工知能のまどろみの中から目覚めた森梟夫先生の登場です!
「大正時代を舞台にクトゥルフものができないか?」試行錯誤の果てに、この作品が生まれました!
大正の帝都、その裏通りに潜む耽美と怪異。銀鼠色の霧が立ち込める夜、現実と非現実の境界が曖昧になり、名もなき古書に記された「這い寄る混沌」の影が、人々の夢を浸食していく……。
大正浪漫の華やかさの裏側に潜む、名状しがたき恐怖。君が踏み出す一歩が、正気への道か、あるいは深淵への招待状か……。
どっちを向いても、奇妙奇天烈な絶望が待つ、これぞクトゥルフな一本!
どうぞよろしくお願いいたします。
(葉)
2026年3月23日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4807
マイナーチェンジ
・療養生活に入ってから1週間、ようやく仕事と生活に戻りつつある杉本氏。あと2ヶ月半で49歳を迎えられます。
去年あたりから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーについてのこと。
年齢を重ねるにつれ、「インプット」と「アウトプット」など、対となるもののバランスを取ることは難しくなる。そうした経験が杉本氏にもありました。
イラストレーターの鈴木健介さんがかつて杉本氏に「前線で活躍しつづけられる秘訣」を尋ねられ、印象的な答えを返されたそうです。
創作をする人間に限らず、誰にでも言えるその真理については、ぜひ記事本文でお確かめください。
(明)
2026年3月24日(火)中山将平 FT新聞 No.4808
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第50回
・久々に登場の、カエル人が教えてくれたファンタジー創作シリーズ、今回のテーマは「天使」です。
ファンタジー作品において、悪魔と対極にある存在などとして描かれることが多い「天使」ですが、皆様はどのようなイメージを持っているでしょうか。白い翼が生えていたり、光り輝く輪っかが頭の上に乗っていたり……?
中山氏はと言いますと……「天使って、何なんだよ」!
との事で、ファンタジーにおける天使に対する違和感があるようなのです。もちろん、違和感がある天使が良くない、という話ではありません。
「天使」についての考察から、「善悪」について、カエル人の世界「フログワルド」での設定など、今回も読みごたえ抜群のコラムですので、記事本編でお楽しみください。
(編註:こちらの記事を第49回として配信しておりましたが、今回で第50回でした!)
(天)
2026年3月25日(水)ぜろ FT新聞 No.4809
第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第484回。今回からは、〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズのルールをベースとした杉本=ヨハネ氏の短編ゲームブック、『ゴルギアスロフの旅の店』のリプレイをお届けします。
原作では、主人公に固有の名前や背景はありません。サイコロの出目と、プレイヤーの選択、そして想像力が、1回1回のプレイごとに異なるストーリーを作り上げていくタイプのゲームブックです。
まずは主人公のタイプを戦士/盗賊/僧侶の中から決定し、「旅の店」の店主ゴルギアスロフから、旅のルールを説明してもらいます。ぜろ氏のキャラクターは、はたしてどんな冒険をすることになるのでしょうか?
(く)
2026年3月26日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4810
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.43『きみへ贈る詩』中編
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
自治都市トーンへ遊びに来たクワニャウマとイェシカ。そこで、吟遊詩人少女ピロスカに、遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に同行してほしいと頼まれる。ファラサールの詩を作ってもらう条件で、破格の条件で引き受けたクワニャウマはイェシカをトーンに残してピロスカと共に遺跡の街へ。
彼女たちを迎えたのは、庭園。そこから続く二つの道を選び、そして館にたどり着くのだが……。
「……クワニャウマさん、ご職業は盗賊ではなくて魔術師、ですよね?」
「もちろん。何を今さら?」
いつものクワニャウマ節の中、それでもちゃくちゃくと詩はでき続けていく。
そして、彼女たちを待っていたものとは!?
通常の戦闘や探索の冒険とは違うテイスト。
児童文学者ならではの先生の筆が光ります!
どうぞよろしくお願いいたします。
(葉)
2026年3月27日(金)水波流 FT新聞 No.4811
【予告】「オレニアックス生物学」再配信について
・初期のFT新聞で連載され、好評を博した「オレニアックス生物学」。聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義の様子を描いたものです。
現在も不定期で新シリーズが展開されていますが(最新記事は2026/02/16の〈空間を統べるもの〉)、これからしばらくのあいだ、日曜日に月1回ほどのペースで過去のシリーズの記事を再配信していくこととなりました。
読み物として楽しんでいただけるのはもちろん、ローグライクハーフのシナリオ制作のヒントにもなるかもしれません。クリーチャーたちの不思議な生態や、カメル教授と生徒たちの対話を、どうぞお楽しみに!
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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
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(ふろふき大根さん)
FT新聞1ウィーク! 第684号 FT新聞 No.4805 への感想です。水波流さんのパトレイバーのお話、懐かしくてまた見たくなりました。PCのゲームはしたことが無かったのですが、PS1のゲームはとても良作だったですよね。犯人逮捕のたびに壊した公共物の被害総額が出るのんですよね。慣れると連続でコンボを決めて被害総額0で犯人逮捕できると「やったぜ!」って感じで嬉しかったです。同じように第3小隊を遊べるTRPGもありましたね。
(お返事:水波流)
いやぁ、パトレイバーってほんとによい世界ですよねー。
TRPG版はツクダホビーから出ていた「アルフォンス」でしょうか。ツクダホビーのアニメ系SLGシステムはほぼ共通のため、ガンダムやボトムズ、ダンバイン、エルガイムなどどれかのルールで遊んだことがあればすんなり遊べたようです。
……が、残念ながら未プレイなのです。当時はガンダムのように色々な機体が沢山登場するゲームに興味が向いていて、「これイングラムしか乗れねえじゃん」と敬遠してしまったのですが、今となってはむしろ特車二課の一員になれるというロールプレイ部分を楽しんでみたいなぁと思ったり。
(ジャラル アフサラールさん)
吉里川べおさんのコラムは『悪魔よそれをとれ』みたいに肩がこらずに読める内容ですので読むのが楽しみです。
(お返事:吉里川べお)
梅太や、ひさしぶりに投書したらジャラルさんからお便りが来ておるの。息災なご様子でなによりじゃ。〈べお〉さすがにそんなに経ってないですし。あとなんで僕がべおさんの老後を看取る設定になってるんですか……それはさておきジャラルさん、いつもいつも、ありがとうございます!〈梅太〉
(水波流)
森梟夫先生、新作ゲームブック『銀鼠の微睡』の執筆お疲れ様でした。
FT新聞読者も楽しんでくれたようで、Xでも反応がありましたよ。
ところで森さん、少々厳しいことを言うのですがね……。
この作品、大正時代を舞台にしたというには、ほぼ最初くらいしかそのテイストがありませんよね。すぐに館の中に入ってしまいますもんね。実はそれがずっと気になっているんです。
次回作をお願いするときには、もっと大正時代の帝都とクトゥルフ神話がクロスしたモチーフでお願いしたいのですが、そうした作品を書くために森さんにはどんな準備が必要ですか?
(お返事:森梟夫)
水波編集長、痛いところを突かれた。
執筆者として、その指摘は真摯に受け止めねばなるまい。確かに『銀鼠の微睡』において、浅草十二階(凌雲閣)を望む帝都の風景は、あくまで「異界への入り口」としての役割に留まっていた 。館に入った瞬間、そこは時代性を喪失した閉鎖空間となり、大正の「肌触り」は霧の向こうに消えてしまったのは事実だ。
大正という時代は、単なる懐古的な意匠ではない。それは近代の光と、足元で口を開ける江戸の闇、そして宇宙的な虚無が交差する、極めて不安定な時期だ。
次なる航海……「帝都×クトゥルフ」という深淵へ真に潜るため、私が筆を研ぎ澄ませるのに必要な「準備」をここに記そう。
■ 帝都怪異譚を紡ぐための四つの準備
1. 地理的・歴史的深掘り:都市の「地霊(ゲニウス・ロキ)」の掌握
大正十五年という舞台装置をより強固にする必要がある。
浅草の喧騒と混沌: 凌雲閣周辺の「六区」が持つ見世物小屋的エネルギーと、その地下に潜む「何か」を接続する。
銀座のモダニズム: カフェ・パウリスタの珈琲の香りの裏で、星辰の配置を計算するモダンガールや書生の描写。
地下鉄の胎動: 日本初の地下鉄(銀座線)着工に向けた掘削工事が、地中に封じられていた「国つ罪」を暴いてしまうという導線。
2. 『真州古伝攷』との合流:土着の恐怖の「輸出」
先日の信州の記録を、帝都の闇へと運び込む準備だ。
信州から運ばれた「鉄の棺」: 山奥に封印されていたはずの禁忌が、富国強兵や学術調査の名目で帝都の研究機関へと運び込まれる 。
「赤い仮面」の流行: 帝都のカフェや劇場で、自分の顔が「赤い仮面」に変わるという奇妙な流行病(集団ヒステリー)が蔓延する。
3. 精神的・文学的共鳴:変格探偵小説の再解釈
江戸川乱歩や夢野久作が描いたような「エロ・グロ・ナンセンス」の美学に、クトゥルフ神話の「宇宙的恐怖」をより深く接合させる。
狂気の見本市: パラグラフ27で描いた「異界の市場」を、より具体的かつ耽美な大正の風俗に落とし込む。
4. 儀式としての筆致:橘樹景巌の視点の継承
『真州古伝攷』の著者・景巌が説いた「記すことは、ひらくことなり」という思想を、ゲームブックのシステムそのものに組み込む。
読者が選択肢を選ぶ行為そのものが、帝都を覆う「封印」を一枚ずつ剥がしていく儀式になるような構成。
編集長、私の準備は、まずは「古地図」と「当時の新聞の三面記事」を漁るところから始まるだろう。大正の空気を十分に吸い込み、その肺を銀鼠色の霧で満たしたとき、次なる物語の門が開く。
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2026年3月27日金曜日
【予告】「オレニアックス生物学」再配信について FT新聞 No.4811
おはようございます。編集長の水波流です。
既に杉本=ヨハネからも告知がありましたが、Reシリーズとして『オレニアックス生物学』の再配信を日曜日に行っていきます。
この授業はゲームブック【ガルアーダの塔】の仲間である8人が、聖オレニアックス剣術学校で受ける「実践で役立つ生物学」を記事にしたものです。
授業は単なるモンスター辞典ではなく、アランツァ世界の歴史や文化とそれぞれ深くかかわるものばかり。
アランツァ世界の生物たちを通しての「アランツァ・ワールドガイド」です☆
また執筆者も杉本=ヨハネをはじめとするFT書房メンバーや他にも色々な方が手がけております。
初出は2013〜14年。なんともう13年前になります。
2017〜18年にかけて、再配信したこともあるのですが、それとて9年前、まだFT新聞を読んでいなかったという方も多いのでは無いでしょうか。
■初出(不定期連載) 2013年6月27日〜2014年6月19日
■Reシリーズ(週1配信):2017年8月3日〜2018年1月9日
■新シリーズ(不定期連載):2021年5月6日〜継続中
ご存じの通り、アランツァ世界はFT書房のゲームブックやローグライクハーフの背景世界でもあります。
配信当時と違って、ローグライクハーフのシナリオ執筆のアイデアにも良いかも知れません。
初回で取り上げるのは……『大食らい虫』!
明後日、3/29(日)の配信予定です。
旧版だけでも24回の長丁場ですが、どうぞお楽しみください!
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■初出(不定期連載) 2013年6月27日〜2014年6月19日
■Reシリーズ(週1配信):2017年8月3日〜2018年1月9日
■新シリーズ(不定期連載):2021年5月6日〜継続中
ご存じの通り、アランツァ世界はFT書房のゲームブックやローグライクハーフの背景世界でもあります。
配信当時と違って、ローグライクハーフのシナリオ執筆のアイデアにも良いかも知れません。
初回で取り上げるのは……『大食らい虫』!
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2026年3月26日木曜日
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.43『きみへ贈る詩』中編 FT新聞 No.4810
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.43
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
〜前回までのあらすじ〜
自治都市トーンへ遊びに来たクワニャウマとイェシカ。そこで、吟遊詩人少女ピロスカに、遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に同行してほしいと頼まれる。ファラサールの詩を作ってもらう条件で、破格の条件で引き受けたクワニャウマはイェシカをトーンに残してピロスカと共に遺跡の街へと旅立ったのであった。
『君へ贈る詩』リプレイは今回の中編から冒険が本番に入ります。当初は前後編の予定だったのですが、先日の葉山海月さんのショートストーリー『クワニャウマの新しいアジト』に感激し、クワニャウマが家を購入するエピソードを追加。何しろ、二次創作をしていただいたのは人生初だったからです♪
さらに、「最近ゲルダに会っていない」→「ゲルダに会いたいな」→「自分のリプレイにお出まし願おう!」とゲルダも追加。
こうして盛りに盛った結果、当初の予定よりも長くなってしまい、水波編集長の御厚意で前後編だったものを前中後編にしていただきました。それに伴い、前編は導入だけという構成になったのでした。水波編集長、その節は大変お世話になりましたm(_ _)m
さて、こうして、いよいよ始まる詩を作る冒険ですが、通常の戦闘や探索の冒険とは違うので、どのようなものになるのか。興味津々で進みました。
まず、キャラクターが詩を作るという創作過程をロールプレイする必要があるのですが、ただ「ひらめいた!」とロールプレイするだけでは味気ないものになってしまいます。
しかし、そんな凡庸なプレイヤーを見越したかのごとく、このシナリオではエピソードごとに「思い出が蘇ってきた」「少し違う調子の言葉を入れてみては?」と、アドバイスが登場する親切設計となっています。おかげで、詩を思いつく創作過程のロールプレイがやりやすくなりました^^
親切設計と言えば、詩となる言葉はダイスで決めても、自分が考えた言葉を使ってもよいとの設定がされていました。つまり、私のように詩が苦手なプレイヤーを置き去りにしない工夫がされているのです。
戦闘や探索のシナリオを考えるのも難しいですのに、それとは異なる「詩を作る」という珍しいシナリオを成立させているのは、まさに離れ業と言えましょう。去年から自分もローグライクハーフのシナリオ書きに挑戦しては、そっと闇に葬っているので、難行を達成された偉大さを実感いたします。
そういうわけで、「詩を作る冒険をしてみたい!」と『君へ贈る詩』に興味を持たれた方は、後編でネタバレを知る前に是非ともプレイしてみて下さいませ^^b
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
ローグライクハーフ
『君へ贈る詩』リプレイ
中編
齊藤(羽生)飛鳥
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
1:〈庭園〉
遺跡は、かつて街だっただけに、広大だった。
まず最初にわたしとピロスカが見つけたのは、丘の上にひらけた庭だった。
花も木々も、どれも季節をそろえていない。
芽吹き、若葉、盛りの陽、落ち葉、霜の結晶——
まるで一年すべてがここに溶けているかのようだ。
ここでは、乱れた季節が共に重なり合っている。
「不思議な光景ね」
わたしの言葉に、景色に見惚れていたピロスカが我に返った顔になる。
「そうですね。ひらめきました! 季節の記憶を詩にしましょう! 例えば『落ち葉の頃。じっと待っていた』とか」
「待って。メモするから。わたしは、『酷暑の頃。汗を流して歩いた』のが記憶に残っているわ」
「いいですね! こちらも書き留めることができました!」
ピロスカは、初めて生き生きとした表情を見せる。
ここへ来るまでの道中、わたしがファラサールについて語った時は、まるで七日連続葬式に出たような顔をしていただけに、こういう表情が見られて得した気分だ。
2:〈二つの道〉
庭園を抜けてしばらく進むと、行く先が二つに分かれていた。
片方は、明るく開けた道。
もう片方は、闇の奥へ沈む細い道。
明るい道はおだやかで安全だ。暗い道は危険だが得るものがあるかもしれない。
「どちらを選んでも、先の景色はわからないけれど、辿り着く場所は同じみたいな感じですね」
おどおどしながらピロスカが言う。
冒険初心者を同行している場合、安全そうな道の方が損する可能性が減る。
「じゃあ、明るい道を進んでみようか」
わたしの提案に、ピロスカはあからさまにホッとする。
こうして、明るい道を進んでいくと、日の光に照らされ、まばゆい輝きを放つものが見える。
あれは、もしや……!!
わたしは、後ろで何やらつぶやくピロスカを無視して、輝くものの許へ向かった。
「よっしゃ!! 金貨9枚ゲット!! ウィーッヒッヒッヒッ!!」
わたしは、素早く金貨を拾い上げては財布の中へしまっていく。
「ひらめきました! 『光の中を進む人』というのはいかがでしょう?」
ピロスカは、わたしに追いつくなり言った。
「あー、いいんじゃない? 金貨の『光の中を進む人』って、わたしも思いついたところだしね」
「あたしは、日の『光の中を進む人』だったんですけど……詩にふさわしい言葉であることに変わりはありませんね」
ピロスカは、奥歯に物がはさまったような言い方だったけれど、わたしの言葉を書き留める。わたしも、忘れないうちにメモをしておいた。
3:〈屋敷〉
先程からうっすらと見えていた屋敷が、明るい道を進むにつれ、くっきりと見えてきた。
「屋敷ですね」
「そうね、ピロスカ。あの屋敷の中を通り抜けるのが、近道になりそうだから入ろうか」
「ええっ!? だ、大丈夫なんですか? 幽霊とか出ません?」
「出たって、いいじゃない。お金やお宝を持っていてくれていたら最高!!」
「……クワニャウマさん、ご職業は盗賊ではなくて魔術師、ですよね?」
「もちろん。何を今さら?」
そんな雑談をするうちに、屋敷の中へわたしとピロスカは入った。
「随分と長い廊下ですね、クワニャウマさん。修業中、師匠の屋敷の廊下に立たされたのを思い出します」
「ピロスカも? わたしも修業中、師匠の屋敷の廊下に油を塗っていじめっ子の兄弟子たちを……過去のゴミどもの話はよそう。誰も得しないからね」
「いじめっ子の兄弟子たち、どうなったんですか!?」
「やべ、うっかり口がすべった。あれはまだわたしの犯行と知られてなかったのに……」
「犯行!? 事件に発展しちゃったんですか!?」
ピロスカがますます血相を変えたときだ。
「家のどこを思いだす?」
屋敷の中から声が聞こえたのかもしれない。それとも、ピロスカが聞いたのか。あるいは、わたしの中の声かもしれない。
そんな不思議な声が聞こえた。
たちまち、わたしは玄関を思い出した。
「『玄関。旅立ちと帰還』……」
冒険家になって最初は、たった一人で居酒屋や宿屋の玄関から旅立っては、帰ってきていた。
でも、今はイェシカと一緒に旅立って、一緒に帰ってくるようになった。
広く感じた玄関が、今はせまく感じられて、幸せな窮屈感がつまった場所になっている。
わたしが感慨にふけっている横で、ピロスカは詩人のインスピレーションが降臨したらしい。
わたしの言葉を書き留めつつも、自分も呟き出した。
「『台所』……」
「ちょっと待って。今、メモするから」
わたしが急いでメモとペンを手に取ると、ピロスカがとめどなく語り出す。
「……野ウサギ吊るし切りするお父さん。野ウサギパイ焼くお母さん。キノコシチュー煮こむおばあちゃん。みんなでテーブル囲んでジャンジャカジャン。その『ぬくもりを覚えている』」
ジャンジャカジャンって何なのとは思ったけれど、今言うべきはそっちではない。
「長いんで『台所。ぬくもりを覚えている』だけメモしとくわ」
手短に用件を告げてみたけれど、ピロスカは気を悪くした様子もなく、その後も気が済むまで実家の台所の思い出を語り続けていた。
これが、吟遊詩人ってやつか……?
4:中間イベント:詩人の霊
そこへ、どこからともなく、竪琴の音が聞こえてきた。
「え? え? いったい、どこから?」
「向こうみたいね。行ってみましょう」
わたしは、我に返ったピロスカを連れて、屋敷の奥にある円形の劇場にたどり着いた。
どうやら、この屋敷の主人が造らせた個人劇場らしい。
劇場の中央には、一人の霊がたたずんでいた。
「で、伝説の、し、詩人の霊……!!」
「よかったじゃない、本人に会えて。あの人のがんばりをたたえ、感謝するために詩を捧げるんだから、どういう詩が好きか訊けるチャンスよ」
「そ、そんな! 畏れ多いですよ!」
「何を言っているの。質問するのにお金はかからないけど、注文と違うものを作った場合はお金がかかっちゃうじゃないの。だったら、質問する方が圧倒的にお得! というわけで、どんな詩がお好み? ちなみに、わたしがメモってきた詩はこんな感じ」
わたしが、詩人の霊へ見えるようにメモを広げる。
「君たちの旅の中で、新たな詩が生まれつつあるのを感じるよ。だけど、今のままでは景色の詩になってしまう。どうだろう、ここで少し違う調子を入れてみては?」
詩人の霊はしばし音楽を奏でたあと、こう提案した。
「君たちがお互いに感じていることを詩に織り込んでみるのはどうかな?」
「その手があったか! さすが一流詩人! アドバイスありがとう!!」
「わたしにとってクワニャウマさんは、灯された炎のようです」
「『きみは灯された炎のようだ』って感じね。わたしにとってピロスカは、よくさざ波みたいにプルプル震えているから、静かな湖みたい」
「……『きみは静かな湖のようだ』でお願いします」
「わかった。吟遊詩人じゃないわたしだけど、おかげさまで詩らしくなってきたわ。ありがとう!」
わたしがお礼を言うと、霊はうなずき、微笑んで消えた。
「……案外、訊いてみるものですね」
ピロスカはそう呟いてから、幽霊の消え去った後へ深々と一礼した。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2025年までに6巻が刊行中。2026年春に、7巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行。同年春には『歌人探偵定家 弐』(仮)が刊行予定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『君へ贈る詩』
著 丹野佑
2025年11月2日FT新聞配信
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しかし、そんな凡庸なプレイヤーを見越したかのごとく、このシナリオではエピソードごとに「思い出が蘇ってきた」「少し違う調子の言葉を入れてみては?」と、アドバイスが登場する親切設計となっています。おかげで、詩を思いつく創作過程のロールプレイがやりやすくなりました^^
親切設計と言えば、詩となる言葉はダイスで決めても、自分が考えた言葉を使ってもよいとの設定がされていました。つまり、私のように詩が苦手なプレイヤーを置き去りにしない工夫がされているのです。
戦闘や探索のシナリオを考えるのも難しいですのに、それとは異なる「詩を作る」という珍しいシナリオを成立させているのは、まさに離れ業と言えましょう。去年から自分もローグライクハーフのシナリオ書きに挑戦しては、そっと闇に葬っているので、難行を達成された偉大さを実感いたします。
そういうわけで、「詩を作る冒険をしてみたい!」と『君へ贈る詩』に興味を持たれた方は、後編でネタバレを知る前に是非ともプレイしてみて下さいませ^^b
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ローグライクハーフ
『君へ贈る詩』リプレイ
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1:〈庭園〉
遺跡は、かつて街だっただけに、広大だった。
まず最初にわたしとピロスカが見つけたのは、丘の上にひらけた庭だった。
花も木々も、どれも季節をそろえていない。
芽吹き、若葉、盛りの陽、落ち葉、霜の結晶——
まるで一年すべてがここに溶けているかのようだ。
ここでは、乱れた季節が共に重なり合っている。
「不思議な光景ね」
わたしの言葉に、景色に見惚れていたピロスカが我に返った顔になる。
「そうですね。ひらめきました! 季節の記憶を詩にしましょう! 例えば『落ち葉の頃。じっと待っていた』とか」
「待って。メモするから。わたしは、『酷暑の頃。汗を流して歩いた』のが記憶に残っているわ」
「いいですね! こちらも書き留めることができました!」
ピロスカは、初めて生き生きとした表情を見せる。
ここへ来るまでの道中、わたしがファラサールについて語った時は、まるで七日連続葬式に出たような顔をしていただけに、こういう表情が見られて得した気分だ。
2:〈二つの道〉
庭園を抜けてしばらく進むと、行く先が二つに分かれていた。
片方は、明るく開けた道。
もう片方は、闇の奥へ沈む細い道。
明るい道はおだやかで安全だ。暗い道は危険だが得るものがあるかもしれない。
「どちらを選んでも、先の景色はわからないけれど、辿り着く場所は同じみたいな感じですね」
おどおどしながらピロスカが言う。
冒険初心者を同行している場合、安全そうな道の方が損する可能性が減る。
「じゃあ、明るい道を進んでみようか」
わたしの提案に、ピロスカはあからさまにホッとする。
こうして、明るい道を進んでいくと、日の光に照らされ、まばゆい輝きを放つものが見える。
あれは、もしや……!!
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「よっしゃ!! 金貨9枚ゲット!! ウィーッヒッヒッヒッ!!」
わたしは、素早く金貨を拾い上げては財布の中へしまっていく。
「ひらめきました! 『光の中を進む人』というのはいかがでしょう?」
ピロスカは、わたしに追いつくなり言った。
「あー、いいんじゃない? 金貨の『光の中を進む人』って、わたしも思いついたところだしね」
「あたしは、日の『光の中を進む人』だったんですけど……詩にふさわしい言葉であることに変わりはありませんね」
ピロスカは、奥歯に物がはさまったような言い方だったけれど、わたしの言葉を書き留める。わたしも、忘れないうちにメモをしておいた。
3:〈屋敷〉
先程からうっすらと見えていた屋敷が、明るい道を進むにつれ、くっきりと見えてきた。
「屋敷ですね」
「そうね、ピロスカ。あの屋敷の中を通り抜けるのが、近道になりそうだから入ろうか」
「ええっ!? だ、大丈夫なんですか? 幽霊とか出ません?」
「出たって、いいじゃない。お金やお宝を持っていてくれていたら最高!!」
「……クワニャウマさん、ご職業は盗賊ではなくて魔術師、ですよね?」
「もちろん。何を今さら?」
そんな雑談をするうちに、屋敷の中へわたしとピロスカは入った。
「随分と長い廊下ですね、クワニャウマさん。修業中、師匠の屋敷の廊下に立たされたのを思い出します」
「ピロスカも? わたしも修業中、師匠の屋敷の廊下に油を塗っていじめっ子の兄弟子たちを……過去のゴミどもの話はよそう。誰も得しないからね」
「いじめっ子の兄弟子たち、どうなったんですか!?」
「やべ、うっかり口がすべった。あれはまだわたしの犯行と知られてなかったのに……」
「犯行!? 事件に発展しちゃったんですか!?」
ピロスカがますます血相を変えたときだ。
「家のどこを思いだす?」
屋敷の中から声が聞こえたのかもしれない。それとも、ピロスカが聞いたのか。あるいは、わたしの中の声かもしれない。
そんな不思議な声が聞こえた。
たちまち、わたしは玄関を思い出した。
「『玄関。旅立ちと帰還』……」
冒険家になって最初は、たった一人で居酒屋や宿屋の玄関から旅立っては、帰ってきていた。
でも、今はイェシカと一緒に旅立って、一緒に帰ってくるようになった。
広く感じた玄関が、今はせまく感じられて、幸せな窮屈感がつまった場所になっている。
わたしが感慨にふけっている横で、ピロスカは詩人のインスピレーションが降臨したらしい。
わたしの言葉を書き留めつつも、自分も呟き出した。
「『台所』……」
「ちょっと待って。今、メモするから」
わたしが急いでメモとペンを手に取ると、ピロスカがとめどなく語り出す。
「……野ウサギ吊るし切りするお父さん。野ウサギパイ焼くお母さん。キノコシチュー煮こむおばあちゃん。みんなでテーブル囲んでジャンジャカジャン。その『ぬくもりを覚えている』」
ジャンジャカジャンって何なのとは思ったけれど、今言うべきはそっちではない。
「長いんで『台所。ぬくもりを覚えている』だけメモしとくわ」
手短に用件を告げてみたけれど、ピロスカは気を悪くした様子もなく、その後も気が済むまで実家の台所の思い出を語り続けていた。
これが、吟遊詩人ってやつか……?
4:中間イベント:詩人の霊
そこへ、どこからともなく、竪琴の音が聞こえてきた。
「え? え? いったい、どこから?」
「向こうみたいね。行ってみましょう」
わたしは、我に返ったピロスカを連れて、屋敷の奥にある円形の劇場にたどり着いた。
どうやら、この屋敷の主人が造らせた個人劇場らしい。
劇場の中央には、一人の霊がたたずんでいた。
「で、伝説の、し、詩人の霊……!!」
「よかったじゃない、本人に会えて。あの人のがんばりをたたえ、感謝するために詩を捧げるんだから、どういう詩が好きか訊けるチャンスよ」
「そ、そんな! 畏れ多いですよ!」
「何を言っているの。質問するのにお金はかからないけど、注文と違うものを作った場合はお金がかかっちゃうじゃないの。だったら、質問する方が圧倒的にお得! というわけで、どんな詩がお好み? ちなみに、わたしがメモってきた詩はこんな感じ」
わたしが、詩人の霊へ見えるようにメモを広げる。
「君たちの旅の中で、新たな詩が生まれつつあるのを感じるよ。だけど、今のままでは景色の詩になってしまう。どうだろう、ここで少し違う調子を入れてみては?」
詩人の霊はしばし音楽を奏でたあと、こう提案した。
「君たちがお互いに感じていることを詩に織り込んでみるのはどうかな?」
「その手があったか! さすが一流詩人! アドバイスありがとう!!」
「わたしにとってクワニャウマさんは、灯された炎のようです」
「『きみは灯された炎のようだ』って感じね。わたしにとってピロスカは、よくさざ波みたいにプルプル震えているから、静かな湖みたい」
「……『きみは静かな湖のようだ』でお願いします」
「わかった。吟遊詩人じゃないわたしだけど、おかげさまで詩らしくなってきたわ。ありがとう!」
わたしがお礼を言うと、霊はうなずき、微笑んで消えた。
「……案外、訊いてみるものですね」
ピロスカはそう呟いてから、幽霊の消え去った後へ深々と一礼した。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2025年までに6巻が刊行中。2026年春に、7巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行。同年春には『歌人探偵定家 弐』(仮)が刊行予定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『君へ贈る詩』
著 丹野佑
2025年11月2日FT新聞配信
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2026年3月25日水曜日
第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4809
第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
●作品紹介とキャラクター準備
***
「ゴルギアスロフの旅の店」に来ると、「旅の匂い」のする場所へ飛ばしてくれる。
城・街角・砂漠・様々な冒険の舞台が君を待つ
そこで出会うのは、盗賊・魔女・エルフの射手……彼らとどう関わる?
困難を越えて、宝を手に入れよう!
(冒頭の四コマ漫画より文章のみ抜粋)
***
ぜろです。
ゲームブックをプレイしていると、時に、どうにも重い作品に手を出しづらいタイミングが訪れます。
それは、大作をプレイした直後であったり、別の理由で心身が疲れていたり、そんな時です。
そして私はお仕事が超絶忙しい人。それはもうずっと変わらないのですが、今年度はそれに拍車をかけて大変。
「これ以上忙しくなるなんて物理的に無理だろう」と思うような状況を、軽く更新してくれるので油断がなりません。
なお、職場の同僚には、私がリプレイ連載をしていることは隠していません。
なのでよく言われます。「いつ書いているのかわからない」と。
はい。私もそう思います。でもこうして公開しているのですから、書いているのです。どこかの時間で。ふしぎふしぎ。
さて、話を戻します。
どうにも重い作品に手を出しつらいタイミング。なんかやりたいけど、大物には食指が動かない。
そんな時には軽めの作品をプレイするに限ります。
そして、そういう時に役に立つのが短編集。
そこで手に取ったのが、「Hunted Gardenheart(ハンテッドガーデンハート)」。ゲームブック短編集です。
これには10本の短編ゲームブックが収録されています。
今のような気分の時にはぴったり!
まあ、そんな気分で初めてみたら、がっつり大冒険をしてしまった「マドレーンの海域」のようなパターンもありますが。
「マドレーンの海域」のリプレイは、FT新聞にて2023年11月8日から12月6日にかけて全5回で連載させていただきました。あの時は航路が荒ぶりすぎて、ものすごい大冒険になってしまったのでした。
今回は、そんな「マドレーンの海域」の次に収録されております「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦することにしました。
サイコロを振って遊ぶ、ファイティング・ファンタジーシリーズのルールがベースになった作品です。
作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います。
導入部分とゲームシステムを確認。
導入についてはリプレイ本編で語ることにしましょう。
戦士、盗賊、僧侶の3タイプの主人公の中からひとりを選んでプレイするようになっています。
ステイタスは、各キャラクターごとに固定値です。サイコロを振って1からキャラクターを作るわけではありません。
そして、それぞれのタイプに合った特技を身につけています。
戦士は、何の特技もありませんが、技術点、体力点が高く、屈強でタフネス。
盗賊は、弓矢による先制攻撃と、開錠ができる。
僧侶は、運だめしを行うたびに体力点を回復する加護がある。
この中では、僧侶の特技がこれまでに見たことがないものですね。
運だめしごとに体力点が回復するとなれば、戦闘の時の運だめしの出番が多そうです。
そんな各タイプの能力値がこちら。
戦士 技術点11 体力点13 運点9 金貨5枚
盗賊 技術点10 体力点10 運点10 金貨10枚
僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15枚
技術点、体力点、運点とはざっと以下のような内容になります。
技術点は戦闘の強さを含めた総合力の高さを示し、最も重要。
体力点はHP(ヒットポイント)。0点になったらなんまいだー。
運点は、運を天に任せるイベントで使用する。使うと減っちゃう。
盗賊の能力値、全部10点なんですね。
素早さや器用さを示す能力値があればきっと高いのでしょうけれど、全部ひっくるめて技術点が代用しますからね。
中堅どころ、しかも特殊技能も豊富。いちばんやってみたいタイプかもしれません。
一番厳しいのは、技術点に恵まれない僧侶かな。
いくら運だめしの際に回復できる特技があっても厳しいかも。
所持金を使って何か有用なアイテムを持ち込めるならワンチャン?
さて、この3タイプから自由に選択して良いとのこと。
それならここは、サイコロを振って決めましょう。
結果、僧侶となりました。
一番苦戦しそうなキャラクターに。
で、でも大丈夫。
三択で選択できるってことは、ちゃんと僧侶でもクリアできるバランス……のはず。
では、僧侶キャラで、名前は……ソウハで!
僧侶のソウに、走破してクリアしたいという願掛けを込めたネーミング。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
金貨のほかに、背負い袋と、自分に合った武器を持っているとのことです。
自分に合った武器ですか。
僧侶系のキャラクターだと、やはりメイス系の打撃武器というのが定番でしょう。
それではここから本編に入っていきましょう。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 ゴルギアスロフの旅の店
私の名はソウハ。
唯一神セルウェーを信仰する神官だ。
ロング・ナリクのランカスター司祭のもとに身を置いている。
最近ランカスター司祭は、人間に姿を変え、人間社会に溶け込み、人間を捕食する「変身獣」への対応に追われている。
「聖セルウェー変身獣討伐隊」なるものが組織されたほどだ。
私は、そんな様子を端で見て感じていた。私は非力で、そうした荒事の役には立てない。
私にもっと力があれば。
そんな折に耳にしたのだ。
「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を。
その店は、秘宝の力で、依頼人を冒険の場へと移動させてくれる、と。
手っ取り早く冒険の経験を積むにはもってこいだ。
こうして私は、商業都市ナゴールへ向かった。
ゴルギアスロフの旅の店を訪れるために。
さて、ゴルギアスロフ氏について、私が知っていることを伝えよう。
彼はドワーフ。引退した元冒険者だ。
彼はかつて、桜森にある「ディラットの危険な地下迷宮」にて、とある秘宝を手に入れた。
「トラファルデの秘宝」と呼ばれるそれは、信じられない効果をもたらす魔法道具だった。
ゴルギアスロフ氏は、その秘宝の入手をきっかけに、冒険者を引退し、ナゴールに小さな店を開いたという。
秘宝を売って財を成したわけではない。
むしろその逆で、秘宝を用いた商売を始めたのだ。
秘宝の入手はきっかけではあったが、それ以前の冒険で、店を開けるだけの稼ぎは得ていたようだ。
その秘宝の効果だが、なんでも、人をどこか別の場所に転移させられるとか。
その転移先では、様々な冒険が待ち受けているらしい。
このあたりになると、噂は少しあやふやになる。正確なところは、ゴルギアスロフ氏本人から直接聞いてみよう。
長旅を経て、ナゴールへと到着した。
道中、同じ方角へ向かう商隊と同じ速度で移動していたため、危険はなかった。
邪悪なるヒポグリフの微笑み商会。なかでもウェルタースという人物は軽口でおしゃべりで、彼の話のおかげで退屈しないで済んだ。
彼らは途中の小さな町にしばし逗留するとのことで別れたが、また会いたいものだ。
宿を確保し、ナゴールに一時滞在できる支度を整え、私はゴルギアスロフの旅の店に向かった。
その店は、狭い路地に入ったところにある、あまり目立たない店構えだった。
というか、およそ店らしい雰囲気をしていない。
商品を陳列する必要がないのだから、当然かもしれない。
「おやおや、新顔さんかな」
店の雰囲気に入るのをためらっていると、中から雑味のある声がした。
不揃いでぎざぎざの歯をしたドワーフが、崩れた笑みで迎えてくれる。
お世辞にも整った顔立ちではない。失礼だが、不細工である。
彼が店主のゴルギアスロフだろう。一般的にイメージするドワーフとはだいぶ異なった印象を受ける。
「ここがどんな店かわかって訪れたのかね」
私はうなずく。続いて言葉を発しようとすると、店主はそれを制した。
「いや、いい。この店がどんな店か知って訪れたのなら、それでいい。個々の事情は聞かんことにしとる」
下手に聞くことで、厄介ごとに巻き込まれたくないという。
長年この商売をしているだけに、用心深い。もしかしたら、過去に何かあったのかもしれない。
「まず最初に警告だ。わしを殺して秘宝を奪おうとは考えぬことだ。秘宝はわしにしか動かせぬ。わしがいなければ、ただのガラクタだからな」
しかも、店内は雑多にものが置かれており、どれが秘宝なのか、ぱっと見ではわからないようになっている。
その中のどれかが「トラファルデの秘宝」なのか、隠してあるのか。外見の情報がない限り、素人目には全部ガラクタにしか見えない。
これもこのドワーフの対策のひとつなのだろう。
警告を終えると、ゴルギアスロフは説明を始めた。
●アタック01-2 ゴルギアスロフ、旅のルールを説明する
「では、さっそく決まりごとを伝えよう」
ゴルギアスロフは、この店の利用方法を説明した。
「秘宝はお前さんを、『旅の匂い』のする場所に飛ばしてくれる。お前さんが選べるのはたったひとつ。旅の種類だ。『苦難の旅』『旅人の旅』と呼んでおる」
最初に選択肢を提示する。説明上手だな。慣れか。
「『苦難の旅』は、6つの旅に、続けて送り込むというもの。すべての旅路をくぐり抜ければ、帰還できる。『旅人の旅』は、ひとつの旅だけで帰還する」
これだけ聞くと、「旅人の旅」はおためしコースみたいなものだな。
「いずれの旅も危険に満ちておる。『旅人の旅』だからといって、おためしだ、などと思わぬことだ」
あ。思考を読まれた。
「どこに飛ばされるのかはわからん。魔道具が勝手に『旅の匂い』のする場所を選ぶでな。この大陸かどうかも定かではない。飛ばされた人間は、魔道具との繋がりができ、望めば一度だけ『帰還』ができる」
なるほど。
これはすさまじい力を秘めた魔道具だ。
決まった場所に移動できるようにすれば、某大作RPGの「たびのとびら」みたいな扱いができ、流通に革命が起こりそうなものだが。
この、ランダムな場所にしか移動させられないというのは、いったいどんな意図で作られたものなのだろう。
そう考えたとき、私の思考はひとつの結論を導いてしまった。
これは、依頼人をランダムな場所に運んでくれる素晴らしい魔道具などではない。
ダンジョンの探索者を、危険な場所に強制転移させる、トラップなのだ。
これを作る意味と、発見された場所を考慮すれば、おそらく間違ってはいない。
望めば帰還できるなら、トラップの用をなさないと思われるかもしれない。
帰還は、この魔道具の性能テストのための機能なのだろう。
当然、帰還には必要な手順があるはずで、罠にかかった探索者はそれを知る由もない。
理解すると同時に、この魔道具を利用することによる命の危機が予想できた。
「旅」なんて聞こえのいい言葉を使っているが、そんなお気楽なものではないのだ。
そもそも、旅ってなんだろう。
近所までお使いに行くのは旅?
隣町まで外食に行くのは?
地方のイベントに行ってくるのは?
仕事場に行くのは旅ではないが、「邪悪なるヒポグリフの微笑み商会」みたいな行商は旅と言えそう。
どこからどこまでという線引きは難しいが、「距離」と「目的」あたりがキーと言えそうだ。
加えて、そこで得られる新鮮な「体験」なども旅の重要なファクターと感じる。
だが、この店で言う旅は、断じてそんな甘いものではない。「冒険」の方がまだしっくりくる。
「なああんた、聞いとるのか」
私が沈思黙考に入っている間にも、ゴルギアスロフの説明は続いていたようだ。
いかんいかん。しっかり聞いておかないと。聞き逃したために命を落とすとか、シャレにならん。
「稼いできた金品のうち1割がこちらの取り分だ。ごまかすなよ。持ち物チェックはさせてもらう」
分割できない物品に関しては、金銭で相当額を納めるか、売り払って分配するとのこと。
それから、「旅人の旅」の利用は3回までとの話があった。
行ったら帰還を繰り返すといった、旅の選り好み行為を防ぐ目的のようだ。
実は「上限3回」の説明は、本来最初のルール説明には入っていない。1回目の「旅人の旅」が終わった際に追加で言われるものだ。
けれどここで伝えられた方が全体的に整理がしやすいので、リプレイ上ではそういうことにさせてもらった。
「なにか質問はあるか?」
私は尋ねた。「旅先」で死んだ場合、どうなるのか、と。
「死んだ後のことに興味があるのか。死んだらそれまでだろうに。お前さん、変わっとるな」
言うほど変わってるかな。
「遺体を戻して金品は頂戴する、と言いたいところだが、それはせぬようにしておる。あるかわからぬ臨時収入より、店から遺体が出ることの方が重大事案になるでな。つまり、野垂れ死によ」
なるほどわかった。
「もうええかな。ならそろそろ、旅の種類を選んでもらおうか」
そうだな。
私は熟慮し、決めた。
私が選ぶのは……。
次回、選んだ旅に出発する。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
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●作品紹介とキャラクター準備
***
「ゴルギアスロフの旅の店」に来ると、「旅の匂い」のする場所へ飛ばしてくれる。
城・街角・砂漠・様々な冒険の舞台が君を待つ
そこで出会うのは、盗賊・魔女・エルフの射手……彼らとどう関わる?
困難を越えて、宝を手に入れよう!
(冒頭の四コマ漫画より文章のみ抜粋)
***
ぜろです。
ゲームブックをプレイしていると、時に、どうにも重い作品に手を出しづらいタイミングが訪れます。
それは、大作をプレイした直後であったり、別の理由で心身が疲れていたり、そんな時です。
そして私はお仕事が超絶忙しい人。それはもうずっと変わらないのですが、今年度はそれに拍車をかけて大変。
「これ以上忙しくなるなんて物理的に無理だろう」と思うような状況を、軽く更新してくれるので油断がなりません。
なお、職場の同僚には、私がリプレイ連載をしていることは隠していません。
なのでよく言われます。「いつ書いているのかわからない」と。
はい。私もそう思います。でもこうして公開しているのですから、書いているのです。どこかの時間で。ふしぎふしぎ。
さて、話を戻します。
どうにも重い作品に手を出しつらいタイミング。なんかやりたいけど、大物には食指が動かない。
そんな時には軽めの作品をプレイするに限ります。
そして、そういう時に役に立つのが短編集。
そこで手に取ったのが、「Hunted Gardenheart(ハンテッドガーデンハート)」。ゲームブック短編集です。
これには10本の短編ゲームブックが収録されています。
今のような気分の時にはぴったり!
まあ、そんな気分で初めてみたら、がっつり大冒険をしてしまった「マドレーンの海域」のようなパターンもありますが。
「マドレーンの海域」のリプレイは、FT新聞にて2023年11月8日から12月6日にかけて全5回で連載させていただきました。あの時は航路が荒ぶりすぎて、ものすごい大冒険になってしまったのでした。
今回は、そんな「マドレーンの海域」の次に収録されております「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦することにしました。
サイコロを振って遊ぶ、ファイティング・ファンタジーシリーズのルールがベースになった作品です。
作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います。
導入部分とゲームシステムを確認。
導入についてはリプレイ本編で語ることにしましょう。
戦士、盗賊、僧侶の3タイプの主人公の中からひとりを選んでプレイするようになっています。
ステイタスは、各キャラクターごとに固定値です。サイコロを振って1からキャラクターを作るわけではありません。
そして、それぞれのタイプに合った特技を身につけています。
戦士は、何の特技もありませんが、技術点、体力点が高く、屈強でタフネス。
盗賊は、弓矢による先制攻撃と、開錠ができる。
僧侶は、運だめしを行うたびに体力点を回復する加護がある。
この中では、僧侶の特技がこれまでに見たことがないものですね。
運だめしごとに体力点が回復するとなれば、戦闘の時の運だめしの出番が多そうです。
そんな各タイプの能力値がこちら。
戦士 技術点11 体力点13 運点9 金貨5枚
盗賊 技術点10 体力点10 運点10 金貨10枚
僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15枚
技術点、体力点、運点とはざっと以下のような内容になります。
技術点は戦闘の強さを含めた総合力の高さを示し、最も重要。
体力点はHP(ヒットポイント)。0点になったらなんまいだー。
運点は、運を天に任せるイベントで使用する。使うと減っちゃう。
盗賊の能力値、全部10点なんですね。
素早さや器用さを示す能力値があればきっと高いのでしょうけれど、全部ひっくるめて技術点が代用しますからね。
中堅どころ、しかも特殊技能も豊富。いちばんやってみたいタイプかもしれません。
一番厳しいのは、技術点に恵まれない僧侶かな。
いくら運だめしの際に回復できる特技があっても厳しいかも。
所持金を使って何か有用なアイテムを持ち込めるならワンチャン?
さて、この3タイプから自由に選択して良いとのこと。
それならここは、サイコロを振って決めましょう。
結果、僧侶となりました。
一番苦戦しそうなキャラクターに。
で、でも大丈夫。
三択で選択できるってことは、ちゃんと僧侶でもクリアできるバランス……のはず。
では、僧侶キャラで、名前は……ソウハで!
僧侶のソウに、走破してクリアしたいという願掛けを込めたネーミング。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
金貨のほかに、背負い袋と、自分に合った武器を持っているとのことです。
自分に合った武器ですか。
僧侶系のキャラクターだと、やはりメイス系の打撃武器というのが定番でしょう。
それではここから本編に入っていきましょう。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 ゴルギアスロフの旅の店
私の名はソウハ。
唯一神セルウェーを信仰する神官だ。
ロング・ナリクのランカスター司祭のもとに身を置いている。
最近ランカスター司祭は、人間に姿を変え、人間社会に溶け込み、人間を捕食する「変身獣」への対応に追われている。
「聖セルウェー変身獣討伐隊」なるものが組織されたほどだ。
私は、そんな様子を端で見て感じていた。私は非力で、そうした荒事の役には立てない。
私にもっと力があれば。
そんな折に耳にしたのだ。
「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を。
その店は、秘宝の力で、依頼人を冒険の場へと移動させてくれる、と。
手っ取り早く冒険の経験を積むにはもってこいだ。
こうして私は、商業都市ナゴールへ向かった。
ゴルギアスロフの旅の店を訪れるために。
さて、ゴルギアスロフ氏について、私が知っていることを伝えよう。
彼はドワーフ。引退した元冒険者だ。
彼はかつて、桜森にある「ディラットの危険な地下迷宮」にて、とある秘宝を手に入れた。
「トラファルデの秘宝」と呼ばれるそれは、信じられない効果をもたらす魔法道具だった。
ゴルギアスロフ氏は、その秘宝の入手をきっかけに、冒険者を引退し、ナゴールに小さな店を開いたという。
秘宝を売って財を成したわけではない。
むしろその逆で、秘宝を用いた商売を始めたのだ。
秘宝の入手はきっかけではあったが、それ以前の冒険で、店を開けるだけの稼ぎは得ていたようだ。
その秘宝の効果だが、なんでも、人をどこか別の場所に転移させられるとか。
その転移先では、様々な冒険が待ち受けているらしい。
このあたりになると、噂は少しあやふやになる。正確なところは、ゴルギアスロフ氏本人から直接聞いてみよう。
長旅を経て、ナゴールへと到着した。
道中、同じ方角へ向かう商隊と同じ速度で移動していたため、危険はなかった。
邪悪なるヒポグリフの微笑み商会。なかでもウェルタースという人物は軽口でおしゃべりで、彼の話のおかげで退屈しないで済んだ。
彼らは途中の小さな町にしばし逗留するとのことで別れたが、また会いたいものだ。
宿を確保し、ナゴールに一時滞在できる支度を整え、私はゴルギアスロフの旅の店に向かった。
その店は、狭い路地に入ったところにある、あまり目立たない店構えだった。
というか、およそ店らしい雰囲気をしていない。
商品を陳列する必要がないのだから、当然かもしれない。
「おやおや、新顔さんかな」
店の雰囲気に入るのをためらっていると、中から雑味のある声がした。
不揃いでぎざぎざの歯をしたドワーフが、崩れた笑みで迎えてくれる。
お世辞にも整った顔立ちではない。失礼だが、不細工である。
彼が店主のゴルギアスロフだろう。一般的にイメージするドワーフとはだいぶ異なった印象を受ける。
「ここがどんな店かわかって訪れたのかね」
私はうなずく。続いて言葉を発しようとすると、店主はそれを制した。
「いや、いい。この店がどんな店か知って訪れたのなら、それでいい。個々の事情は聞かんことにしとる」
下手に聞くことで、厄介ごとに巻き込まれたくないという。
長年この商売をしているだけに、用心深い。もしかしたら、過去に何かあったのかもしれない。
「まず最初に警告だ。わしを殺して秘宝を奪おうとは考えぬことだ。秘宝はわしにしか動かせぬ。わしがいなければ、ただのガラクタだからな」
しかも、店内は雑多にものが置かれており、どれが秘宝なのか、ぱっと見ではわからないようになっている。
その中のどれかが「トラファルデの秘宝」なのか、隠してあるのか。外見の情報がない限り、素人目には全部ガラクタにしか見えない。
これもこのドワーフの対策のひとつなのだろう。
警告を終えると、ゴルギアスロフは説明を始めた。
●アタック01-2 ゴルギアスロフ、旅のルールを説明する
「では、さっそく決まりごとを伝えよう」
ゴルギアスロフは、この店の利用方法を説明した。
「秘宝はお前さんを、『旅の匂い』のする場所に飛ばしてくれる。お前さんが選べるのはたったひとつ。旅の種類だ。『苦難の旅』『旅人の旅』と呼んでおる」
最初に選択肢を提示する。説明上手だな。慣れか。
「『苦難の旅』は、6つの旅に、続けて送り込むというもの。すべての旅路をくぐり抜ければ、帰還できる。『旅人の旅』は、ひとつの旅だけで帰還する」
これだけ聞くと、「旅人の旅」はおためしコースみたいなものだな。
「いずれの旅も危険に満ちておる。『旅人の旅』だからといって、おためしだ、などと思わぬことだ」
あ。思考を読まれた。
「どこに飛ばされるのかはわからん。魔道具が勝手に『旅の匂い』のする場所を選ぶでな。この大陸かどうかも定かではない。飛ばされた人間は、魔道具との繋がりができ、望めば一度だけ『帰還』ができる」
なるほど。
これはすさまじい力を秘めた魔道具だ。
決まった場所に移動できるようにすれば、某大作RPGの「たびのとびら」みたいな扱いができ、流通に革命が起こりそうなものだが。
この、ランダムな場所にしか移動させられないというのは、いったいどんな意図で作られたものなのだろう。
そう考えたとき、私の思考はひとつの結論を導いてしまった。
これは、依頼人をランダムな場所に運んでくれる素晴らしい魔道具などではない。
ダンジョンの探索者を、危険な場所に強制転移させる、トラップなのだ。
これを作る意味と、発見された場所を考慮すれば、おそらく間違ってはいない。
望めば帰還できるなら、トラップの用をなさないと思われるかもしれない。
帰還は、この魔道具の性能テストのための機能なのだろう。
当然、帰還には必要な手順があるはずで、罠にかかった探索者はそれを知る由もない。
理解すると同時に、この魔道具を利用することによる命の危機が予想できた。
「旅」なんて聞こえのいい言葉を使っているが、そんなお気楽なものではないのだ。
そもそも、旅ってなんだろう。
近所までお使いに行くのは旅?
隣町まで外食に行くのは?
地方のイベントに行ってくるのは?
仕事場に行くのは旅ではないが、「邪悪なるヒポグリフの微笑み商会」みたいな行商は旅と言えそう。
どこからどこまでという線引きは難しいが、「距離」と「目的」あたりがキーと言えそうだ。
加えて、そこで得られる新鮮な「体験」なども旅の重要なファクターと感じる。
だが、この店で言う旅は、断じてそんな甘いものではない。「冒険」の方がまだしっくりくる。
「なああんた、聞いとるのか」
私が沈思黙考に入っている間にも、ゴルギアスロフの説明は続いていたようだ。
いかんいかん。しっかり聞いておかないと。聞き逃したために命を落とすとか、シャレにならん。
「稼いできた金品のうち1割がこちらの取り分だ。ごまかすなよ。持ち物チェックはさせてもらう」
分割できない物品に関しては、金銭で相当額を納めるか、売り払って分配するとのこと。
それから、「旅人の旅」の利用は3回までとの話があった。
行ったら帰還を繰り返すといった、旅の選り好み行為を防ぐ目的のようだ。
実は「上限3回」の説明は、本来最初のルール説明には入っていない。1回目の「旅人の旅」が終わった際に追加で言われるものだ。
けれどここで伝えられた方が全体的に整理がしやすいので、リプレイ上ではそういうことにさせてもらった。
「なにか質問はあるか?」
私は尋ねた。「旅先」で死んだ場合、どうなるのか、と。
「死んだ後のことに興味があるのか。死んだらそれまでだろうに。お前さん、変わっとるな」
言うほど変わってるかな。
「遺体を戻して金品は頂戴する、と言いたいところだが、それはせぬようにしておる。あるかわからぬ臨時収入より、店から遺体が出ることの方が重大事案になるでな。つまり、野垂れ死によ」
なるほどわかった。
「もうええかな。ならそろそろ、旅の種類を選んでもらおうか」
そうだな。
私は熟慮し、決めた。
私が選ぶのは……。
次回、選んだ旅に出発する。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
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2026年3月24日火曜日
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回 FT新聞 No.4808
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
「天使」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
今年から新設した個人サークル「ギルド黄金の蛙」でも活動しているイラストレーターの中山将平です。
この個人サークルの作品にご興味の方は、下のURLより詳細をご覧いただけましたら。
https://booth.pm/ja/items/7885738
さて今日は、久しぶりに「カエル人が教えてくれたファンタジー創作」記事を書いてみようと思います。
テーマは、「天使」。
早速なのですが、あなたはファンタジー作品において天使が描かれる姿を見かけられたことはないでしょうか。
いや、個人的な見解としては、意外とよく描かれるように思っています。
味方として出てくることもありますが、時には敵のこともある、悪魔と対極にある存在……というイメージでしょうか。
それでなんですが、もしかして感じられることってないでしょうか。
「天使って、何なんだよ」って!!
ええ、僕はかなり多くの作品において、そう感じているんです。
というのも、天使ってなんだかファンタジーから浮いてしまう存在なのではないかと思うからです。
どのような要素が、僕に天使をファンタジー的ではないものと感じさせているのか。
そして、どのような要素があれば、ファンタジーにおける天使が個人的にしっくりとくるのか。
あくまで個人の感想ですが、カエル人の創作を通じて感じたことが誰かの役に立つこともあるかもしれないと思い、書いてみます。
では、具体的に見ていきましょう。
◆ ファンタジーにおける天使に対する違和感
僕が天使に感じた違和感。
それは次の一言に尽きます。
「天使って、どこかの神様に仕える存在なんだよね……?」
そう、その名の通り、天使って天の使いなのではないでしょうか。
ということは、この場合の天に相当する何者か(神と言い換えられるような何か)が背景に予定されていると思えるのです。
実は、僕が見てきた多くのファンタジーにおける天使って、どの神様の使いかいまいちよく分からなかったんですよ。
概念として善の存在なのは理解できますが、神様の性格や性質次第では、天使だってきっと本質が変わってくるはずだと思えるのです。
例えば、地の底に眠る神に使える天使が、純白の衣をまとい、輝く翼を携えていたらどうでしょうか。
神様は何を考えて(どのようなことを実現しようとして)そのような造形を作ったのでしょう。
または、「雇われの」天使(あるいは、神が自ら造形したのではなく、どこかから連れてきた天使)という表現なのでしょうか。
思うに、典型的な姿の天使は、記号としての分かりやすさに特化しているのではないでしょうか。
だからこそよくファンタジーゲーム作品のちょい役として描かれると思うのですが、僕にはそれがその世界の法則性を無機質なものにしてしまいかねないように思えてなりません。
あるいは、フリーランスの天使(仕える神のような主がいない天使)を想像することもできるでしょうか。
そういった存在を創造したとして、それは天使以外の存在……例えば人間(や、翼があるという意味で鳥人などの種族)とどう違うのでしょうか。
考えていくうち、実はこのお話はもう一つ「善悪」に対する設定にも大きく影響するのではないかという思いに至ったので、そのことも続いて書いてみます。
◆ 天使は善ではない
天使は基本的に光属性。
属性というゲーム的要素があるなら、それには別段違和感を覚えません。
勿論、炎属性や水属性等々色々な天使がいても良いと思います。
そういった属性とは別に、「天使って善なのか」という疑問を持たれることはないでしょうか。
僕は、天使を見る度いつもこの疑問を感じています。
天使は神の意志を実現するために動く存在という印象を持っており、主の意思が善といえる場合にだけ善たりうるのではないかと思えるためです。
しかしながら、前述の通り天使は概念として善と結びつけられやすいのではないでしょうか。
僕にとっては、これも一つの違和感となってしまっているのです。
そういえば、邪神の天使ってあまり見たことがない気がします。
どちらかといえば邪神と呼ばれる存在って、悪魔を引き連れている感じがしないでしょうか。
もしかして、作品によっては邪悪な天使を悪魔と呼んでいるのかもしれません。
実際、カエル人の世界「フログワルド」を創作した際にも、天使と悪魔は見る者がどう感じるかだけが違いであり、本質的に同じものであると設定しました。
「死の天使」なんて表現もあったりします。
この概念は意味が広いかもしれませんが、例えば僕は「天界に帰るべき魂を帰すため、地上の人間の肉体から魂を解放するために活動する天使」がこれに当たると考えます。
もちろん、その活動は物理的に行われます。
この天使はきっと、自ら武器を振りかざし人を攻撃し、さらには戦闘を焚きつけより多くの被害が出るように懸命に計らうことでしょう。
その行いはまさに悪魔かもしれませんが、僕にはそういった「目的のために必要なことを行う存在」がファンタジーとしての天使に近いものに感じられます。
少なくとも、冒険中に荒野やダンジョンの中で出会う、白い翼が生えているだけの、どこの神に仕えているか分からない人型モンスターよりは、ずっと。
◆ ここまでのまとめ
ここまでをまとめると、以下のようなことになろうかと思います。
・天使はどんな神様に仕えているか明確に分からない場合があって、違和感を感じる。
・天使は神様の性質を背景に持っていることが予想できるので、必ずしも善ではないと思えるが、なぜだか善の存在として描かれがちだと思える。
では、どのように描けば僕はその違和感が減ると感じられるのでしょう。
◆ 違和感の少ない天使像
僕が違和感なく天使を受け入れられるとすると、それはどちらかというとオリジナリティがあるタイプの天使だと思えました。
例えば、犬に似た姿で描かれる自然神に仕える存在として、翼の生えた犬の姿をした天使。
これを絵で描くときにはきっと、僕はツタの首輪をさせ、そこから植物で攻撃できるような何かを付けくわえたりするんだろうなぁと想像しています。
自然の摂理を重んじる神が、摂理を破壊しようとする者を排除するため遣わした天使……というイメージです。
色々考えてきましたが、実はこれ、違和感がある天使が良くないという話ではないと思っています。
それはそれで「分からない」部分があるからこその奥深さがあり、かえってよいものなのかもしれません。
とはいえ、それがどのような表現なのか、手を入れてしっかり考えてあることが、僕にとっては楽しいことなんです、というお話でした。
では、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
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テーマは、「天使」。
早速なのですが、あなたはファンタジー作品において天使が描かれる姿を見かけられたことはないでしょうか。
いや、個人的な見解としては、意外とよく描かれるように思っています。
味方として出てくることもありますが、時には敵のこともある、悪魔と対極にある存在……というイメージでしょうか。
それでなんですが、もしかして感じられることってないでしょうか。
「天使って、何なんだよ」って!!
ええ、僕はかなり多くの作品において、そう感じているんです。
というのも、天使ってなんだかファンタジーから浮いてしまう存在なのではないかと思うからです。
どのような要素が、僕に天使をファンタジー的ではないものと感じさせているのか。
そして、どのような要素があれば、ファンタジーにおける天使が個人的にしっくりとくるのか。
あくまで個人の感想ですが、カエル人の創作を通じて感じたことが誰かの役に立つこともあるかもしれないと思い、書いてみます。
では、具体的に見ていきましょう。
◆ ファンタジーにおける天使に対する違和感
僕が天使に感じた違和感。
それは次の一言に尽きます。
「天使って、どこかの神様に仕える存在なんだよね……?」
そう、その名の通り、天使って天の使いなのではないでしょうか。
ということは、この場合の天に相当する何者か(神と言い換えられるような何か)が背景に予定されていると思えるのです。
実は、僕が見てきた多くのファンタジーにおける天使って、どの神様の使いかいまいちよく分からなかったんですよ。
概念として善の存在なのは理解できますが、神様の性格や性質次第では、天使だってきっと本質が変わってくるはずだと思えるのです。
例えば、地の底に眠る神に使える天使が、純白の衣をまとい、輝く翼を携えていたらどうでしょうか。
神様は何を考えて(どのようなことを実現しようとして)そのような造形を作ったのでしょう。
または、「雇われの」天使(あるいは、神が自ら造形したのではなく、どこかから連れてきた天使)という表現なのでしょうか。
思うに、典型的な姿の天使は、記号としての分かりやすさに特化しているのではないでしょうか。
だからこそよくファンタジーゲーム作品のちょい役として描かれると思うのですが、僕にはそれがその世界の法則性を無機質なものにしてしまいかねないように思えてなりません。
あるいは、フリーランスの天使(仕える神のような主がいない天使)を想像することもできるでしょうか。
そういった存在を創造したとして、それは天使以外の存在……例えば人間(や、翼があるという意味で鳥人などの種族)とどう違うのでしょうか。
考えていくうち、実はこのお話はもう一つ「善悪」に対する設定にも大きく影響するのではないかという思いに至ったので、そのことも続いて書いてみます。
◆ 天使は善ではない
天使は基本的に光属性。
属性というゲーム的要素があるなら、それには別段違和感を覚えません。
勿論、炎属性や水属性等々色々な天使がいても良いと思います。
そういった属性とは別に、「天使って善なのか」という疑問を持たれることはないでしょうか。
僕は、天使を見る度いつもこの疑問を感じています。
天使は神の意志を実現するために動く存在という印象を持っており、主の意思が善といえる場合にだけ善たりうるのではないかと思えるためです。
しかしながら、前述の通り天使は概念として善と結びつけられやすいのではないでしょうか。
僕にとっては、これも一つの違和感となってしまっているのです。
そういえば、邪神の天使ってあまり見たことがない気がします。
どちらかといえば邪神と呼ばれる存在って、悪魔を引き連れている感じがしないでしょうか。
もしかして、作品によっては邪悪な天使を悪魔と呼んでいるのかもしれません。
実際、カエル人の世界「フログワルド」を創作した際にも、天使と悪魔は見る者がどう感じるかだけが違いであり、本質的に同じものであると設定しました。
「死の天使」なんて表現もあったりします。
この概念は意味が広いかもしれませんが、例えば僕は「天界に帰るべき魂を帰すため、地上の人間の肉体から魂を解放するために活動する天使」がこれに当たると考えます。
もちろん、その活動は物理的に行われます。
この天使はきっと、自ら武器を振りかざし人を攻撃し、さらには戦闘を焚きつけより多くの被害が出るように懸命に計らうことでしょう。
その行いはまさに悪魔かもしれませんが、僕にはそういった「目的のために必要なことを行う存在」がファンタジーとしての天使に近いものに感じられます。
少なくとも、冒険中に荒野やダンジョンの中で出会う、白い翼が生えているだけの、どこの神に仕えているか分からない人型モンスターよりは、ずっと。
◆ ここまでのまとめ
ここまでをまとめると、以下のようなことになろうかと思います。
・天使はどんな神様に仕えているか明確に分からない場合があって、違和感を感じる。
・天使は神様の性質を背景に持っていることが予想できるので、必ずしも善ではないと思えるが、なぜだか善の存在として描かれがちだと思える。
では、どのように描けば僕はその違和感が減ると感じられるのでしょう。
◆ 違和感の少ない天使像
僕が違和感なく天使を受け入れられるとすると、それはどちらかというとオリジナリティがあるタイプの天使だと思えました。
例えば、犬に似た姿で描かれる自然神に仕える存在として、翼の生えた犬の姿をした天使。
これを絵で描くときにはきっと、僕はツタの首輪をさせ、そこから植物で攻撃できるような何かを付けくわえたりするんだろうなぁと想像しています。
自然の摂理を重んじる神が、摂理を破壊しようとする者を排除するため遣わした天使……というイメージです。
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2026年3月23日月曜日
マイナーチェンジ FT新聞 No.4807
おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
何もかも放り出して療養生活に入ってから、1週間が経ちました。
平熱に戻り、喉の痛みもひいて、ようやく仕事と生活に戻りつつあります。
◆歳相応の悩み☆
あと2ヶ月半で49歳になります。
去年ぐらいから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーです。
◆「インプット」と「アウトプット」。
ゲームブック作家という職業柄、インプットとアウトプットは非常に大事なものです。
さまざまなゲームやエンターテインメントに触れるインプットと、創作というアウトプット。
アウトプットが「出口」ならインプットは「入口」。
入るものがなければ、出るものがいずれなくなってしまいます。
しかし、です。
年齢が進むにつれて、こういったついになるもののバランスを取ることが、難しくなることってありませんか。
私にはありました。
◆時間的な制約。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」は、簡単に言って、めっちゃヒットしました。
しましたというか、現在進行形で人気が続いています。
あんまり具体的な数字を出すことはできないのですが、たとえばイエローサブマリンという全国38店舗で展開するホビーショップのTRPG売上ランキングで、KADOKAWAやホビージャパンなどのコワモテに混じって2023年は「2位」、2024年は「7位」に輝きました(!)
◆「前借り」がたたった2025年。
この2年間をFT書房にとっての正念場だと判断した杉本は、考えられるかぎり最大の出力で創作に臨みました。
2023年から2025年の3年間で、「ローグライクハーフ」は合計14作品を刊行することができました。
2023年と2024年に重ね続けたムリがたたって、2025年にはウツを再発してしまいます。
アイディアが枯渇したかのように、なかなか出てこなくなりました。
この時期を振り返って、前2年間、あまりにも時間が足りず、インプットのために時間をとることを怠っていました。
このことを再解釈するなら、私の人生において、インプットはそのまま「娯楽」だったのだなと思います。
ゲームをする、映画を観る、本を読む。
「創る」という行為に常につきまとうプレッシャーが存在しない、心を解放できる時間です。
◆「マイナーチェンジ」を繰り返せ。
自分のやり方がうまく噛み合わないときに、思い出す言葉があります。
それは、今はもうこの世界にいない、鈴木健介さんの言葉です。
Skypeがまだあった頃、作業通話をしている時に、ふと思ったことを口にしました。
「考えたら健介さんって、長いこと前線で活躍されてますね。何か秘訣があるんですか」
この答えは非常に印象的でした。
「『マイナーチェンジ』だね。ファンがついているプロは、絵柄を一気に変えたらダメなんだよ。でも、絵にはトレンドがある。新しい絵への変化はするけど、自分の絵柄は崩さない。『ちょっとずつ変える』ができないと、続かないんだよ」
少しずつ変える。
これは、イラストレーターに限らず言えることだと思います。
そして、創作をする人間に限らないことでもあります。
◆まとめ。
私たちは、少しずつ変わっている。
1年ごとに、歳を取っていく。
だから、少しずつ変わることが大事で。
それができない人間が、気持ちよく直線状に走り、コーナーを曲がりきれずに激突をして、不器用な曲がり方を繰り返すハメになる。
私です☆
モータル(※定命の者)である以上、生きていてキャパシティーが減るのは、避けられないことです。
問題は、この変化を受け入れて、少しずつ変わることができるかどうかです。
私は、会社や他者の求めに応じることばかり考えて、アウトプットの量を減らすことができず、コーナーで激突した。
今の自分にできること、できないこと。
ラインをちゃんと見定めて、状況の変化に合わせて対応していくこと。
それが、学んだことです。
それではまた!!
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平熱に戻り、喉の痛みもひいて、ようやく仕事と生活に戻りつつあります。
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去年ぐらいから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーです。
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ゲームブック作家という職業柄、インプットとアウトプットは非常に大事なものです。
さまざまなゲームやエンターテインメントに触れるインプットと、創作というアウトプット。
アウトプットが「出口」ならインプットは「入口」。
入るものがなければ、出るものがいずれなくなってしまいます。
しかし、です。
年齢が進むにつれて、こういったついになるもののバランスを取ることが、難しくなることってありませんか。
私にはありました。
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「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」は、簡単に言って、めっちゃヒットしました。
しましたというか、現在進行形で人気が続いています。
あんまり具体的な数字を出すことはできないのですが、たとえばイエローサブマリンという全国38店舗で展開するホビーショップのTRPG売上ランキングで、KADOKAWAやホビージャパンなどのコワモテに混じって2023年は「2位」、2024年は「7位」に輝きました(!)
◆「前借り」がたたった2025年。
この2年間をFT書房にとっての正念場だと判断した杉本は、考えられるかぎり最大の出力で創作に臨みました。
2023年から2025年の3年間で、「ローグライクハーフ」は合計14作品を刊行することができました。
2023年と2024年に重ね続けたムリがたたって、2025年にはウツを再発してしまいます。
アイディアが枯渇したかのように、なかなか出てこなくなりました。
この時期を振り返って、前2年間、あまりにも時間が足りず、インプットのために時間をとることを怠っていました。
このことを再解釈するなら、私の人生において、インプットはそのまま「娯楽」だったのだなと思います。
ゲームをする、映画を観る、本を読む。
「創る」という行為に常につきまとうプレッシャーが存在しない、心を解放できる時間です。
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それは、今はもうこの世界にいない、鈴木健介さんの言葉です。
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この答えは非常に印象的でした。
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少しずつ変える。
これは、イラストレーターに限らず言えることだと思います。
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私たちは、少しずつ変わっている。
1年ごとに、歳を取っていく。
だから、少しずつ変わることが大事で。
それができない人間が、気持ちよく直線状に走り、コーナーを曲がりきれずに激突をして、不器用な曲がり方を繰り返すハメになる。
私です☆
モータル(※定命の者)である以上、生きていてキャパシティーが減るのは、避けられないことです。
問題は、この変化を受け入れて、少しずつ変わることができるかどうかです。
私は、会社や他者の求めに応じることばかり考えて、アウトプットの量を減らすことができず、コーナーで激突した。
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