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2026年7月29日水曜日

第1回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4935

第1回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●ある船員の手記 雲ひとつない空に、照りつける陽光が肌を焼く。 その暑さを和らげるように、暖かな風が全身をほどよく撫でてゆく。 そのあまりの心地よさに、私は甲板作業の手を止め、しばし身を委ねる。 海原はどこまでも続き、水平線の彼方に溶けるように消えている。 ビストフへ向けた航海は順調だ。 これまでの航路は、かつて体験したことがないほどに穏やかだった。 やさしい波を、船体がゆるやかにかき分けて進んでいる。 マストの上に設けられた見張り台から、マドレーン諸島の島影がうっすらと見えるようになれば、目的地の貿易都市ビストフは近い。 この船は、ビストフへ向けた貿易船。 多くの貨物と香辛料、それに見合った船員、そして少ない乗客を乗せている。 今、甲板で海を眺めている二人と一匹は、その数少ない乗客の一組だ。 その風体が特徴的で、乗船したときからずっと気になっていた。 ひとりは年かさの偉丈夫。齢は三十代後半から四十代あたりだろうか。 筋肉質な体躯をむき出しにしており、全身が浅い傷にまみれている。 両頬にも十字傷。左目は眉のあたりから目の下にかけて傷が走っているが、目は無事なようだ。 幾度も危地を乗り越えて来たのだろう、歴戦の猛者を思わせた。 声量も大きく態度も大きい。口調もその容姿に見合った乱雑さだ。 名前はたしか、ヴァルグと名乗っていた。 気になるのはもうひとりの方だ。 見たところはまだ少年だろうか。大男と一緒にいるためより小柄に見える。 その少年はフードを目深にかぶり、マントで全身を隠すように覆っていた。 その背には、少年に持てるとは思えない巨大な槌が背負われていた。 ヴァルグの荷物持ちか武器持ちだろうか。 ビストフは大陸北東部に位置する都市だ。 しかし、この時期のマドレーン海域は暖流の影響で暑いほどだ。 初夏のビストフの陽射しは容赦なく、人々の肌をあらわにさせていく。 大男ヴァルグの格好の方が自然なのだ。 にもかかわらず、あんな厚手のマントに身を隠すなど、正気とは思えない。 一度訊いてみたものの、ヴァルグの「気にするな」の一言で終わってしまった。 気になる。 そしてその少年が連れているのは炎のように赤い直毛のロン毛、毛深い大型犬のように見える。 少年くらいなら乗せて移動することもできそう。ただの犬でないことは明らかだ。 私は、この人たちの関係性も気になっていた。 少年は、ヴァルグとはよく会話しているようだが、他の人に積極的に話しかける感じではない。 ヴァルグと少年は、父と子ほどに年齢は離れているが、親子というには似てなさすぎだ。 本当に荷物持ちなのか。 見張り台の船員が緊迫感あふれる警告の声を発したことで、私の思考は中断された。 見張りが示した方角を見る。甲板からも、海原に、なにやら複数の物体が漂っているのが見えた。 しかしそれよりもその先だ。海そのものが丘のように盛り上がりながら迫ってくる?! 「あれは……クラーケン!!」 見張り台の船員が絶望的な名を叫ぶ。 その瞬間、船に十分に近づいていた海の丘がさらに盛り上がり、白く巨大な胴体があらわになった。 同時に巨大な二本の触腕が海中から飛び出し、甲板にのしかかる。 船体がぐらりと傾き、見張り台の船員が海に落下するのが見えた。 クラーケンは巨大すぎる伝説的な海の魔物。その容姿はイカを思わせる。 出会ったが最後、船はバラバラにされ、生きて還るなど絶対に不可能だ。 甲板の触腕の一本が無造作に横に払われる。 それは甲板にいるものすべてを海へと薙ぎ払う動きだ。 私は一瞬で死を間近に感じた。 だが、その触腕は私のところへ届かなかった。 ヴァルグが、両手に持った剣を交差させ、がっしりと踏ん張って触腕の動きを止めていた。 両の腕の筋肉がパンパンに膨れ上がっている。 いや、ありえないだろ。いくら頑強な猛者だろうと、人の身体で止められるものじゃない。 目の前の光景を見せられてもなお、頭が理解を拒む。 そこにヴァルグの、怒号のような声が降ってきた。 「そこのテメエ! 砲台に向かえ! でっけえ図体のどてっぱらに一発お見舞いしてやんだよッ!!」 キョドって左右を見るが、言われたのは私以外ありえなかった。 「で、でも私、撃ったことなんて、一度も……」 「やるんだよッ!!」 ヴァルグのバカでかい声に縮み上がる。 「……船員さんなら、撃ち方のひとつも習ってんだろ。誰にだってはじめてはある。やってみな」 私が委縮したのを察したのだろうか、ヴァルグの口調が柔らかくなった。 あの触腕を押さえながら、そこまでの余裕があるのか。 そうだ。今動けるのは私しかいない。貿易船にも最低限の武装はある。 私はクラーケンの本体がいる、左舷側の砲台を目指す。 しかしそこに、もう一本の触腕が持ち上がり、上からたたきつけるように動いた。 今度こそ、終わりだ。 そう思った私の前に、ひとつの影が。 それは、あのマントの少年だった。 「君、あぶなっ!」 「なぁに。大丈夫だ」 ヴァルグの声。 少年がマントを払う。あらわになったのは、体躯に見合わぬ、巨大な左腕。 それは黒毛に覆われていた。そして、少年に持てるとは思えぬ巨大な槌が握りしめられていた。 「獣の……腕……!」 私は、その光景に、思わずつぶやいていた。 少年は、振り下ろされる触腕を、真下で受け止めきった。 その横ではあの大型犬めいた生き物が、がじがじと触腕に噛みついている。 「オレには長くは止められない。今のうちに、早く!」 少年の声で我に返る。砲台に取りつくと、あとは無我夢中だった。 **** 私たちはどうやら、助かったらしい。 伝説の海の魔獣クラーケンが、私の砲撃なんかであっさり撃退できるはずがないのだが。 海に落ちた船員たちの救助にあたっているうちに、その理由がわかってきた。 クラーケン出現前に波間に見えた複数の物体は、船の残骸だった。 クラーケンはここに来る前に、すでに一隻の巨大船を破壊していたのだ。 つまり私たちは、ひと仕事を終えたクラーケンの帰路にたまたまはち合わせたにすぎなかったわけだ。 それでも、助かったのは奇跡としか言いようがない。 私は、私たち船員と、船の命を救ってくれた二人を見る。 少年は獣の腕を、すでにマントの下に隠していた。あのさなか、それを見たのは私だけだったかもしれない。 「よくやった、ハルト」 「はい、師匠」 「だから師匠って呼ぶんじゃねえよ!」 ああ。師弟だったのか。 最初はそんな可能性すら感じなかったが、今の私は、変に納得していた。 ヴァルグの意識が私に向けられた。 「おい、テメエ、名はなんていうんだ」 「あっはい、ポールです」 「ポールか。いい腕してんじゃねえか。ありがとよ!!」 ヴァルグがまた、デカい声を私に降らせてきた。けど、それは意外にも感謝の言葉が添えられていた。 いや、意外というのは失礼にあたるかな。私は、人は見かけによらないということを、今、目の当たりにしているところだ。 そんな武骨で不器用なヴァルグの隣には大型犬がぺたんと座ってリラックスしていた。 口から小さな火の舌がチロチロと出ていて、私は目を丸くした。 「こいつはヒース。火吹き獣なんだ」 ハルトと呼ばれた少年が説明してくれた。 さあ、ビストフはもうすぐそこだ。 この後、ヴァルグからクラーケン退治の砲撃手としてスカウトされる日が来ようとは、想像もしていなかった。 ■ローグライクハーフとは ——想像の、旅に出よう。 ローグライクハーフのリプレイへようこそ! 「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、そんなローグライクハーフのシナリオを実際にプレイした様子を物語風に記述したもの。 自分がプレイした様子を、想像力のおもむくまま、冒険小説として仕立てています。 さらに、実際にどんなプレイをしたのかの[プレイログ]もついています。 プレイ風景を知りたい方、自分のプレイとの違いを楽しみたい方、純粋に物語を楽しみたい方、いろんな楽しみ方ができる、それがリプレイの魅力です。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑むのは、ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」になります。 クラーケンを退治する海洋冒険譚です。 また今回も、新しいキャラクターを用意しました。 ヴァルグとハルトの師弟コンビになります。 以前私は、ヒーローズオブダークネスから、妖狐と魔猫を使ったリプレイを書きました。 今回は、拡張ルールから新しい職業をチョイスしています。 とはいえ、その職業に就いている、というよりも、その系統の技能を使いこなしている、という感覚になります。 そのため作中で職業名が触れられることはありません。それぞれがなんの職業なのかは、後に記載されるデータにありますので、ご確認ください。 また、ハルトの持つ「獣の腕」は、データ的な裏付けのない描写のみの設定になります。 見た目にそぐわぬ巨大な腕と巨大な槌を持っていますが、データ状は単なる片手武器の扱いです。 ローグライクハーフはもともと、効率を最小化するよう設計されています。 弱いクリーチャーが基本的に一撃で落ちるようにデザインされているのは、プレイヤーキャラクターは最初から英雄的な強さを持っていることの証左です。 だからその強さの理由づけとして、こういう設定を付加してもいいかなと思いました。 彼がどうしてそんな外見をしているのかは、おいおい語られることでしょう。 さあ、それでは、新鮮な驚きに満ちた、スリル満点な冒険をお届けしますよ! さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 また、本リプレイではランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めながら冒険を進めていきます。 サイコロを振ってイベントが決まったら、イベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていきます。 彼らの織りなす冒険を、ぜひ楽しんでください。 ●アタック01-1 領主との謁見【ハルト】 貿易都市ビストフの宮殿の謁見の間で、オレはヴァルグ師匠について、領主マキシミリアンと対面していた。 火吹き獣は宮殿に連れ込んじゃダメっていうから、ヒースは厩舎に預けてある。 「ヴァルグ。我が友。久しいな」 「ヴィル、テメエ友とか気色悪りぃこと言ってんじゃねェよ」 「そう言うな。ネグラレーナの剣闘士時代にはだいぶ稼がせてもらったからな」 「俺は金づるかよ!」 ヴィルヘルム・マキシミリアン。それがこの領主のフルネームだそうだ。 師匠は領主を愛称で呼んでいた。しかも完全にタメ口。これって王族とか貴族にしてもいい態度なんだろうか。なんかダメな気がする。 短い口ひげに、端正な顔立ち。物静かで思慮深そうな雰囲気をまとっている。師匠とは正反対のタイプだ。 「……で、わざわざ呼び寄せた理由はアイツだな。クラーケン」 「ほう、話が早いな」 「ここに来る前にちょっくらあいさつしてきたからな」 その意味がわかったのだろう。領主は身を乗り出した。 「なんと。まさかクラーケンに遭遇したのか。……それで生還するとは、やはり私の目に狂いはなかった」 「俺を選んだ時点で曇ってるぜ。わかってんだろ。俺の悪評をよ」 「多少は耳に入っているが、それがどうかしたか。私は君の実力を知っているからな」 「チッ。どうなっても知らねェぞ」 オレは師匠の過去を知らない。師匠は自分のことをなにも話さないからだ。 元剣闘士っていうのも今知った。 「お前のために船を用意した。乗組員もな。もし他に呼びたい者がいれば人員に余裕もある。無論、相応の報酬は用意させてもらう」 「たりめェだ」 「出航日はもう少し調整が必要だな。船を見ていくか?」 「ああ」 「では港の一号桟橋で合流しよう。また後でな」 宮殿から港へ向かう途中で、オレは気になっていた質問を師匠にぶつけてみた。 「なあ、悪評ってなんだ。態度の悪い衛兵が言ってたことか」 「なにを聞いた?」 ヒースを預けるときの衛兵の態度が悪かったからいい気分はしなかったが、師匠が一喝すると縮み上がっていた。 そのときにぼそぼそと悪態をついていたのを、オレの耳は拾っていたんだ。 「全滅野郎とか、味方殺しのヴァルグとか」 「そうか……」 師匠は、黙ってしまった。 「けど、そんなわけない。オレ、文句言ってくる」 「やめとけ」 「なんで」 「それが事実だからだ」 「……」 今度は、オレの方が黙ってしまった。 「だからテメエも俺についてこない方がいいぞ」 師匠はそのままさっさと歩き始めてしまう。 オレはその背中をただ、呆然と眺めていたが、はっとなって大声でわめいた。 「……オレは、信じないからな!」 ●アタック01-2 出航の日【ポール】 私が一番桟橋に到着すると、停泊している船に、コビットの船員たちが慌ただしく、食料品を積み込んでいるところだった。 ビストフにはコビットが多く、特に港湾作業や船員として働く者が多い。小柄な種族のため、船の揺れでも安定性が抜群なためと言われている。 あれがこれから私が乗船する船、「エメラルドの誓い」号か。 武装商船をベースに組み上げられた新たな船だ。白い帆がまぶしい。 砲門が並んでいる。そのうちのひとつを、私が受け持つことになるのだ。 私はバンダナを結び直して気合を入れると、板橋を渡り甲板へと向かう。 板橋は頑丈なつくりだったが、私の脇をちょこまかと器用に避けつつ行き来するコビットたちの勢いで、ゆらゆらと揺れていた。 甲板に上がる。箱の上に座ったコビットのチーフが、軽い口調で右へ左へと指示を出している。 私は、私をスカウトした男の姿を探した。 「あれ、ポールじゃない」 そのとき、聞き知った声がした。張りのある威勢のいい女性の声。ニーナだ。 ニーナとは同じ港で働く者同士、見知った仲だ。何度か同じ船で働いたこともある。 「なに、あなたこの船に乗るの? 乗船名簿にはなかったはずだけど」 「ソイツは、俺が呼んだ。貴重な砲撃手だ」 太くてデカい声が聞こえ、私が探していた人物が現れた。 私をスカウトした男、ヴァルグ。 相変わらずその横にはフードにマントの少年と、直毛ロン毛の火吹き獣を連れている。 ニーナはそれを聞いて、目を丸くした。 「え? なんの冗談? 彼そもそも砲撃手じゃないし」 そのとおりだ。もともと私は砲撃手じゃない。 ニーナの方が、領主に正式に雇われた砲撃手のはずだ。 「ソイツはな、クラーケンめがけて果敢に撃ち続けたんだ。大した奴だぜ」 「い、いやそれは、ただ必死だっただけで……」 褒められているのに、なぜか委縮して言い訳をしてしまう。 「まさか、クラーケンと!? ……あなたなかなかやるのね。あたしも負けてられないわ」 ニーナは気持ちの良い女性だ。変に絡むこともなく、あっさりと私のことを認めた。 「皆、そろっているようだな」 コビットたちの搬入が終わる頃、ハーツデイル様が乗り込んできた。 ハーツデイル様はこの船を領主から賜った、所有者である貴族。つまり、船長ということになる。 強いくせっ毛が、三角帽の外にまではみ出ている。 「作業の手を止められる者は一旦止めて聞け。我が船『エメラルドの誓い号』はこれより、エメラルド海への航海を妨害する海賊船<鮮血号>の脅威を取り除く」 ハーツデイル船長が説明を始めると、ヴァルグがたちまち抗議の声を上げた。 「この船はクラーケン退治に出るんだろ。ヴィルからそう聞いてるぜ」 「なるほど君がマキシミリアン様推薦の傭兵か。見学のときに一度会ったかな」 「そんなことよりどういうことか説明しやがれ」 「まあ待て。どのみち海域を荒らす海賊を取り除かねば、エメラルド海には出られぬのだ。それに我らの力がいかほどのものか試す必要もある」 「チッ。そういうことかよ。じゃあ、しゃあねェな」 ヴァルグの不遜な態度は相変わらずだ。ハーツデイル船長は一瞬だけ苦い表情を見せたが、その後は気にした様子もない。 もしかしたら、領主様からあらかじめ聞いているのかもしれない。 「理解したかな。では、出航の号令を下そう」 「待ちな。もういっこある」 「なんだね?」 「クラーケンをぶっ潰しに行く船の名が『エメラルドの誓い』なんてのはオシャレすぎんだろ」 「ほう。なら君がもっと良い名をつけてくれてもいいが」 「そんなん決まってる」 ヴァルグはニヤリと笑って宣言した。 「この船はこれから『クラーケンぶっ殺し号』だ」 こうして新たな船名が決まった。ハーツデイル船長は一言「下品な……」とつぶやいたが、異を唱えることもなく受け入れた。 「出航だ! 碇を上げよ!!」 ハーツデイル船長の号令が響きわたる。航海のはじまりだ。 次回、最初の航海は順調そうに見えたが……。 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】20 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) ハチミツの塊2(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】0 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7 筋力点3 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】43 【持ち物】 ランタン 【獣血】【凶暴化)【騎馬防御】 【未使用経験点】0 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! 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2026年7月28日火曜日

ゲームブックにおける死と物語 第8回:『単眼の巨獣』における選択と成長 FT新聞 No.4934

おはようございます。FT新聞編集部員のくろやなぎです。 本日は『ゲームブックにおける死と物語』の第8回として、『単眼の巨獣』(著:ロア・スペイダー、2025年、FT書房)に関する考察記事のつづきをお届けします(前回掲載は2026/06/30、No.4906)。 『単眼の巨獣』は、「混沌」と呼ばれるモンスターを主人公とするゲームブックです。 混沌は、「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という特徴をもつモンスターですが、その中でも「森の一つ目狼」と呼ばれる個体は、自らの「分裂体」を生み出すという「まれな選択」を行う、変わり者の混沌でした。 作品のプロローグで、一つ目狼は人間たちの国からの討伐隊に殺されますが、その分裂体である「君」は、一つ目狼によって海へ逃がされて生き延び、作品の序盤の舞台となる絶海の孤島に流れ着きます。 前回の記事では、このプロローグにおけるいくつかの描写や、本編開始直後のある強敵との遭遇の場面を手がかりとして、混沌の「本能」と、一つ目狼や君の「個性」および「選択」との関係性について考察しました。 「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という指向性は、すべての混沌に共通する「本能」として語られますが、その「本能」から生じる具体的な行動は、結果として一律ではなく、それぞれの個体の個性を反映したものになります。特に、「まれな選択」をした一つ目狼の分裂体であり、さらに、その一つ目狼に命を救われる・逃がされるという経験(これも、混沌としては「まれな」経験のはずです)をした「君」は、その分裂元である一つ目狼よりも、さらに特殊で個性的な個体だと言えるかもしれません。 そして、そのような変わり者の「君」が今後どうなっていくのかは、ひとつひとつの場面における読者(プレイヤー)の選択にかかっています。 では、作品の中で、君(としての読者)にはどのような選択肢が用意されており、そこでの選択の積み重ねに応じて、君の「取り込む」「成長する」という「本能」はどのような形をとることになるのでしょうか。 あるいは、その成長の途上には、どのような形での終わり(死)が待ち構えており、君はそれをどう回避し、生き延びていくのでしょうか。 前回は物語上の背景や描写に基づき考察を行いましたが、今回の記事では、『単眼の巨獣』のゲームとしてのルールや進行という側面から、君の選択と成長のあり方について見ていきたいと思います。 記事の中には、作品の最序盤の内容に関する詳細な記述が含まれます。未プレイの方はご注意ください。 作品はBOOTHにて販売されていますので(本稿作成時点では在庫あり)、実際に読みたい・遊びたい、と思われた方はぜひお早めにどうぞ。 [FT書房公式HP内 『単眼の巨獣』紹介ページ] https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/tangan ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブックにおける死と物語 第8回:『単眼の巨獣』における選択と成長  (くろやなぎ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ■君の成長と2種類の数値 まず、主人公である「君」の強さや成長が、どのような要素によって構成されているのかを確認しておきましょう。 プロローグの終わりに絶海の孤島へ流れ着いた時点での、君のステータスは以下のとおりです。  戦闘力:10  体力(現在値/最大値):10/10  【能力】 「ゼリーの体」  【スキル】 なし 数値化されたステータスが2種類と、取得したものを個別に記録していくタイプの【能力】【スキル】という2つのカテゴリー。 他には金貨も食料もアイテムもなく、経験値もフラグ管理のための記号もない、非常にシンプルな構成ですが、これらの4要素が作品内での「君」を表現する指標のすべてとなります。 「戦闘力」は、生物としての「強さ」の指標であり、戦闘力が高いほど強い生物になるとされています。 『単眼の巨獣』の戦闘は、基本的には「戦闘力の比べあい」の一発勝負となっており、君の戦闘力(素の戦闘力に、【能力】と【スキル】とサイコロの出目によるボーナスを加算した合計値)が相手の戦闘力より大きければ勝利、そうでなければ敗北、というシンプルなルールになっています。サイコロによるランダムなボーナスは君の戦闘力にのみ加算され、相手の戦闘力は固定値となっているので、君の戦闘力が順調に成長している場合は、目の前の敵に100%勝利できる(サイコロの出目を見る以前に勝利が確定している)状況も珍しくはありません。 物語上の設定として、君は混沌としての「本能」に基づき「最強」を目指して戦い続けるわけですが、ゲームとしても、とにかく戦闘力を高める(戦闘力に乗せられるボーナスを増やす)ことがわかりやすい勝利への道になるため、主人公としての「君」の目的は、そのまま読者としての「君」の目的と重なりやすくなっていると言えるでしょう。 「体力」は、最大値が生物としての「体長」や「頑丈さ」の指標となり、現在値が無くなると死亡する(GAME OVERになる)と決められています。 先に述べたように、戦闘は「戦闘力」による一発勝負ですので、体力の削り合いのような側面はありません(敵にはそもそも体力の設定がありません)。また、たとえば「サイコロの出目が体力以下だと成功」のような、体力を使用した判定のルールも存在しません。 では、体力はどのような場面で必要になってくるのかと言うと、たとえば以下のような場面が挙げられます。 ・敵から一方的な遠距離攻撃などを受けたとき (→現在値が減り、1以上残っていれば生き延びる) ・戦闘などで【スキル】を使用するとき (→戦闘力を一時的に増やしたり、特殊効果を発動したりする代わりに、現在値が減る) ・いくつかの特定の【能力】を取得するとき (→新たな【能力】と引き替えに、最大値が減る) ・戦闘で、【能力】や【スキル】やサイコロによるすべてのボーナスを戦闘力に足しても勝てないとき (→現在値と最大値を削って、戦闘力に上乗せできる) ここで注目したいのは、ひとつめのケース(いわゆる「ダメージを受ける」とき)を除いては、すべて「体力を失う代わりに、何かを得る」という構造になっていることです。 君はひたすら戦闘と成長のために生きるモンスターであり、食料やアイテムなどの消費財を何も携行せず、もちろん貨幣も使用しません。この作品が「何かを失う代わりに、何かを得る」という選択を読者に迫ろうとするとき、「支払われる代価」という役回りを担うのは、君の外部にある何らかのモノではなく、主に君自身の「体力」なのです。 ルール説明における定義に従えば、君の体力が成長するということは、君の「体長」が増加し、生物として「頑丈」になる、ということと同義です。 これは、成長する君の姿に対する具体的なイメージを喚起する表現であり、その意味では、物語としての側面に寄せた説明だと言うこともできるでしょう。 一方、ゲームとしての側面から見れば、君の体力の成長は「何らかのメリットと交換可能なリソースの蓄積」を意味するものでもあります。 勝利への近道として「戦闘力」を伸ばすか、あるいはリソースとしての「体力」を蓄えるか。そして、蓄積された「体力」を、どのタイミングで、何を得る代価として使用するか。 これが、『単眼の巨獣』の全体を通して、読者に対して(暗黙のうちに)投げかけられ続ける問いのひとつとなります。 ■最序盤における選択と成長のバリエーション それではここで、君の成長に関して、実際にどのような選択肢が用意されているのかを見ていきましょう。 プロローグ直後のパラグラフ1では、さっそく君にとって最初の成長の機会が与えられます。 君はもともと、自らの分裂元である「森の一つ目狼」の腕に保護されるようにして、絶海の孤島に流れ着きました。そして、砂浜でふと「空腹」を感じた君は、まず目の前にあるその「一つ目狼の腕」を「取り込む」ことに決めます。 これによって、君の外見はいくらか変化し、以下のうちどれか1つの【能力】を得ることができます。  ・爪(戦闘力+10)  ・角(戦闘力+5、体力の現在値/最大値+5)  ・毛皮(体力の現在値/最大値+10) この選択は、ゲームを開始したばかりの読者に対する、一種のチュートリアルになっているとも言えるでしょう。 というのは、「どの【能力】を取得するかという選択を通じて、読者がある程度、戦闘力と体力とのバランスを調整することができる」という、君の成長に関する基本的な構造が、きわめてシンプルな具体例として提示されているからです。 読者はここで、戦闘力を優先するか(爪)、体力を優先するか(毛皮)、それとも両者のバランスを取るか(角)、という数値的な成長の方向性を考慮しつつ、「爪」「角」「毛皮」それぞれに固有の特性やイメージも踏まえて、「君」としての最初の選択を行うことになります。 そして、つぎのパラグラフからはルートが細かく分岐していき、最初の中ボス的な敵の手前(パラグラフ14)で再び合流することになりますが、そこまでをゲームの最初のブロック(以下、この記事では《ブロックA》と呼びます)とすると、《ブロックA》は全部で16のパラグラフで構成されており、通過するパラグラフのパターンを細かく分ければ9通りのルートが存在します(GAME OVERになるものを除く)。 通るルートごとに、取り込める相手(能力値の上昇幅や、取得できる【能力】または【スキル】)は異なっており、さらにパラグラフ内での選択や分岐の結果も含めると、まだまだ序盤の段階ではありますが、すでに君の成長のバリエーションはそれなりの数にのぼります。 たとえば、あるルートを順調に進んでいくと、《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、以下のようなステータスになっています。 〈ケース1〉  戦闘力35 体力15/15 【能力】「ゼリーの体」「爪」「腕」「丈夫な消化器官」「尻尾」 君が初期状態から上記のステータスになるまでの成長のプロセスを、少し詳しく見ていきましょう。 スタート地点の砂浜から森の中へと向かった君は、島の大ボス的な存在である「マグマレックス」と巨大ゴリラとの戦闘に遭遇します。やがて勝利したマグマレックスはゴリラを貪り食いますが、隠れてその場をやり過ごした君は、マグマレックスが去った後に、食べ残しの「腕」(戦闘力+5)を取り込むことができます。このとき、パラグラフ1で「爪」(戦闘力+10)を選択していれば、「腕」との相乗効果で戦闘力がさらに+5されるため、君の戦闘力は合計「30」まで上昇します。 つづいて君の前には「死体漁りの群れ」(戦闘力20)が出現しますが、君の方が戦闘力が高いので、サイコロを振るまでもなく君は勝利し、体力(現在値及び最大値)を+5した上で、新たな【能力】である「丈夫な消化器官」(腐った死体や多少の毒を食べても体力が減らない)を取得します。 さらに森の奥へ進むと、「腐った尻尾」が落ちています。これは、本来は食べると体力の現在値が「10」減ってしまうのですが、君はついさっき「丈夫な消化器官」を取得したばかりなので、その効果によって体力を減らさずに「尻尾」(戦闘力+5)の【能力】を取得することができます。 こうして、君は効率的に成長しながら、「関連する能力を系統的に取得することで、追加のボーナスを得ることができる」「特定の能力は、戦闘時以外にも効果を発揮することがある」という、この作品のゲームシステムにおける基本的事実を新たに知ることができます。 ある意味では、これもまたチュートリアルのつづきのような展開だと言えるかもしれません。 ただし、上記はあくまで、君の選択した「成長」と「ルート」とが、うまく噛み合った場合の結果です。 たとえば、最初に「爪」(戦闘力+10)ではなく「毛皮」(体力+10)を取得していると、同じルートに入っても、「腕」(戦闘力+5)を取得した時点の君の戦闘力は、初期の「10」に「5」を足した「15」だけ。つまり、つぎに出てくる「死体漁りの群れ」(戦闘力20)には、サイコロの「6」を出さないと勝つことができません(この時点では、君の戦闘力に加算できる値は「1D6」で、戦闘力が同じなら負けです)。危険だと思えば「この場から急いで離れる」こともできますが、その場合、君はそのままあっさりと《ブロックA》を終えることになり、このブロックでの君の成長は、最初の「毛皮」と「腕」1本ぶんだけ、ということになります。 また、「死体漁りの群れ」と戦った上で負けてしまうと、勝ったときとは逆に、自分の体の一部を食べられてしまうため、体力の現在値を「10」減らさなければなりません(→君の体力:10/20)。 さらに、その先で「腐った尻尾」を見つけても、「死体漁りの群れ」を倒していない君は「丈夫な消化器官」を持っていないので、食べようとすると体力を「10」減らす必要があります。しかし、君の体力の現在値も「10」しかないので、食べると体力がきっちり0になり、死んでGAME OVERになってしまいます。つまり、腐った尻尾は無視して先へ進むしかありません。 結果、《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、先ほどの〈ケース1〉とまったく同じルートを通過していても、以下のようなステータスになっています。 〈ケース2〉  戦闘力15 体力10/20 【能力】「ゼリーの体」「毛皮」「腕」 〈ケース1〉と比べると、戦闘力が半分以下であるばかりか、体力の現在値でも【能力】の数でも劣っており、なかなかに先行きが不安な状態だと言えるでしょう。 そして両者の違いは、元をたどれば、パラグラフ1の最初の選択肢で「爪」を選んだか「毛皮」を選んだかという、その1点に起因します。 もちろんこれは、パラグラフ1では「爪」を選ぶのが正解だとか、「毛皮」が間違いだとかいうことではありません。 上記の森を進むルートのひとつが、たまたま「現時点としては戦闘力が高めの敵」が出てくるルートだったというだけで、森に入らず砂浜沿いに進むルートを選べば、戦闘がない代わりに「体力を減らす」イベントが発生したり、新たな【スキル】を取得できたりする場合もあります。そちらのルートだと、むしろ「毛皮」で体力を増やしておいた方が、多少のダメージを受けても余裕がある状態で先へ進むことができ、体力を消費する【スキル】も心おきなく使用できる、という点で有利だと言えるかもしれません。あるいは、どのルートでもそこそこの対応をするためには、結局のところ「角」(戦闘力+5、体力+5)でバランスを取っておくのがちょうどよい、という考え方もあるでしょう。 『単眼の巨獣』においては、読者の意識的な選択による分岐と、君の状態に応じて芋づる式に連鎖していく成長や苦難のプロセスとが、相互に絡み合いながらゲームを先へと進めていきます。 「爪」か「毛皮」か、「森」か「砂浜」か、といった選択は、それ自体としては明確な優劣を含まないとしても、それらの組合せの結果は、あるときは「最強」への近道となり、またあるときは死へ向かう下り坂となります。ある「君」にとって効率的に成長できるルートは、別の「君」にとってはほとんど成長できずに命からがら逃げのびるルートにもなり得るでしょう。そして、成否が微妙な状況においては、最終的にはサイコロの出目が君の運命を左右するかもしれません。 このような構造の中には、君の成長におけるひとつひとつの選択の重さと、その選択の結果を予見しコントロールしようとすることの限界を、ともに見て取ることができるように思います。 また、いま述べてきた2つのケースの違いは、ゲームの終盤における君の状態から振り返れば、実にささやかなものにすぎないようにも見えます。 順調に成長を続けた君は、戦闘力は3桁の規模になり、所有する【能力】も20種類を超えているので、その立場からすれば、ここでの「爪」か「毛皮」かという選択など、ほとんど意味をもたないように思えるかもしれません。 ただ、この「最序盤においては重要に見える差が、後にはほとんど意味のないもののようになる」ということ自体が、作品内での君の「桁違い」な成長の本質を表しているとも言えるでしょう。 「10」と「20」の違いが大きな意味をもつ《ブロックA》から、やがて(私の勝手な命名による)《ブロックB》、《ブロックC》、《ブロックD》……と進んでいくにつれて、君の状態は量的にも質的にも大きく変容し、作品自体のあり方もまた、《ブロックA》と同一のシンプルなルールの中にありながら、ある意味では《ブロックA》とは別のゲームのような様相を呈することになります。詳しくは次回以降で改めて述べる予定ですが、このような君の成長(あるいは死)の描き方が、「混沌」という特異なモンスターを主人公に据えた、『単眼の巨獣』というゲームブックの重要な特徴だと私は考えています。 [注:ここまでに述べた一部の【能力】(具体的には「腕」と「尻尾」)のボーナスについて、作品の本文では「攻撃力+5」と書かれているのですが、作品のルール説明で「攻撃力」という単語は使用されておらず、作品内のどこにも「攻撃力」という単語に関する説明はありません。「攻撃力」は「戦闘力」と読み替えてそのまま意味が通じるため、この記事の中では、作品内で「攻撃力」となっている箇所でも、ルール説明で使用されている「戦闘力」に表現を統一する形で記載しています。] ■最序盤におけるサバイバルと選択 さて、先ほどの〈ケース2〉の「君」に話を戻しましょう。 少なくとも《ブロックA》の規模感の中では、〈ケース2〉は〈ケース1〉に比べてかなりのビハインドを負っているように見えますが、これは単なる「失敗例」というわけではありません。 むしろ、すべてが順調に進んだ〈ケース1〉とはまた別の意味で、この〈ケース2〉の軌跡もまた、『単眼の巨獣』という作品に関する充実したチュートリアルになっているように思います。 まず、「死体漁りの群れ」(戦闘力20)との戦闘について改めて見てみましょう。これは、このルートを選んだ君(現時点の戦闘力:15)にとっては初めて経験する戦闘です。 ここでサイコロを振って「6」が出なければ、君は敵の戦闘力を上回れないため、そのままだと敗北となります。ただし、戦闘ルールの最後には、体力の現在値と最大値を減らせば、その分の数値を戦闘力に上乗せできることが記されています。 つまり、サイコロの出目が最低の「1」でも、君の体力を最大値ごと「5」減らせば、君は何とか勝利を収めることができるのです。 また、君はここで、唯一の初期能力である「ゼリーの体」に頼ることもできます。 「ゼリーの体」がもつ特殊効果として、君は好きなタイミングで一度だけ、ゼリーの体を「消費」することで以下のいずれかの効果を得ることができます。  (1)サイコロ1つの目を好きな数字に変更できる  (2)体力の現在値の消費または減少を0にできる  (3)「〜の体」という能力を得た際、体力の現在値/最大値と戦闘力を+20できる (3)の効果はここでは使用できませんが、(1)の効果によってサイコロの出目を「6」にすれば、君は体力を減らすことなく「死体漁りの群れ」に勝利できます。 あるいは、ここで「君」がひとまず敗北を受け入れ、体力を減らして先へ進んだ場合は、「腐った尻尾」を見つけたときに(2)の効果を発動し、「体力の現在値を10減らす」というペナルティを無効化しつつ「尻尾」の【能力】を取得することも可能になります。 上記のように、最初に「毛皮」(体力+10)を選択してからこのルートに入った読者は、早くも君の敗北(戦闘力不足)や死(体力の枯渇)の気配を感じつつ、戦闘ルールにおける最終手段や「ゼリーの体」の特殊効果も意識しながら、先へ進んでいくことになります。 最初に「爪」(戦闘力+10)を選んでこのルートに入った読者に比べると、なかなかハードな道のりにはなりますが、そのぶん一足先に、体力や特殊な【能力】と引きかえにその場を切り抜けるという、このゲームにおけるサバイバルの一側面を経験できるとも言えるでしょう。 そしてまた、最初にどの【能力】を選んでいても、このルートの途中でマグマレックスに戦いを挑んでしまった場合、君はあっさりとマグマレックスに食べられてGAME OVERになってしまいます(詳細は前回の記事参照)。 この段階では、マグマレックスと君との間には戦闘力にして数十の差があるため、同レベルの敵との間では大きな影響を及ぼした「爪」と「毛皮」の違いは意味をもたず、どちらにしても「ゴリラの前の前菜」にされてしまいます。 こうして死に至る選択をした読者は、最序盤からサクッと「君」を殺しに来るパラグラフ構成を見て、この作品(あるいは「君」が生きるこの作品世界)における「殺意」の高さを実感するかもしれません。 なお、スタート地点から森に入らず、砂浜沿いに移動するルートを選択すると、また別の展開が君を待っています。 そこでは、トカゲや魚を「取り込む」機会があり、細かい選択に応じて「鱗」などの【能力】や「放電」という【スキル】を取得できる場合がありますが、それらの対象をすべてスルーして進み続けた場合は、パラグラフ1の終了時点と比べ、全く何も成長していない状態でブロックの最後に辿り着くことも可能です。こうして戦闘や成長を先送りした読者は、他のルートの場合よりも一歩遅れたタイミングで、この作品における戦闘や成長の実際を知ることになるでしょう。 『単眼の巨獣』の最序盤(私が《ブロックA》と呼ぶ部分)では、全部で16のパラグラフの中に、9通りの通過ルートと、2箇所のデッドエンド(必ずGAME OVERとなるパラグラフ)、そして11種類の【能力】と2種類の【スキル】の取得の機会が埋め込まれています。 このブロックは、読者のためのチュートリアルとみなすこともできますが、それは決して「やさしい一本道」だからではありません。むしろ、このゲームの厳しさや多面性の基盤となる部分を、細やかな分岐によって、限られた要素でわかりやすく提示してくれるという意味において、《ブロックA》はこの作品らしい導入部分となっているように思います。 ■おわりに チュートリアル的な《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、そこで一体の敵と出会います。 その敵とは、「チャージ・コンパニョン」。物語のプロローグに登場した、君の分裂元である「森の一つ目狼」を殺した討伐隊を構成するゴーレムたちのうちの一体です。 この敵が、枝分かれしていたルートの合流地点に配置されているということは、この作品にとってふたつの意味をもっているように思います。 ひとつは、ゲームにおける中ボス的な存在として、「チャージ・コンパニョン」は「戦って倒す」べき敵であるということです。 そこでは必ず「戦闘力の比べあい」が発生し、《ブロックA》での君の成長具合によっては、体力を削って戦闘力に上乗せしたり、「ゼリーの体」の特殊効果を発動しなければならない状況も生じるでしょう。 君は「チャージ・コンパニョン」を容易に倒せる状態まで成長しているか、そうでなければ、苦しい局面を切り抜けるためのルールや特殊効果を(読者として)使いこなせる必要があるのです。 また、さらにその先の敵の強さは、君がこの「チャージ・コンパニョン」を倒せた、ということを前提として調整されていることになります。 そしてもうひとつ、物語の上でも、君が「チャージ・コンパニョン」を倒すことには、大きな意味が与えられていると言えるでしょう。 「チャージ・コンパニョン」との遭遇、戦闘、そして君の勝利は、物語の最後まで辿り着くためには、必ず通過しなければならないイベントです。すなわち、「チャージ・コンパニョン」という存在は、『単眼の巨獣』という作品が君の物語を語りきるための、不可欠な構成要素として位置付けられているのです。 では、君の物語における「チャージ・コンパニョン」の意味とは何でしょうか。 「森の一つ目狼」を殺した当事者のひとつである「チャージ・コンパニョン」は、君にとっての仇敵であることは確かですが、君がそれを倒すことには、単なる「復讐」を超えた意味を見出すことができるように思います。 次回の記事(配信日未定)では、この「チャージ・コンパニョン」と君たち(君自身と「森の一つ目狼」)との関係性を軸に、「生物」と「生物ではないもの」をキーワードとして、『単眼の巨獣』の考察のつづきを展開する予定です。 【書誌情報】 ロア・スペイダー『単眼の巨獣』(絵:中山将平、監修:杉本=ヨハネ、FT書房、2025年) https://booth.pm/ja/items/6823989 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun 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2026年7月27日月曜日

☆雑記☆ FT新聞 No.4933

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。 1ヶ月遅れで恐縮ですが、名古屋で日本初のTrollConが開催されました! トンネルズ&トロールズ、そしてモンスター!モンスター!TRPGの生みの親であるケン・セント・アンドレによって認められた、公式のイベントです。 めちゃくちゃ楽しかったですよ。 さて、そのTrollConで打診された「お願い」をひとつ、叶えるために今日は記事を書いています☆ ◆Tシャツがほしいのかい! 寄せられた「お願い」……それはTシャツを作ってほしいというものです! 今回は「モンスター!モンスター!TRPG」から「ヒューマンズ!ヒューマンズ!」のTシャツ作成依頼を承っております。 他に「こんなTシャツがほしい」というご要望がありましたら、ご連絡ください☆ 「ローグライクハーフ」のTシャツも、ご要望があれば、権利関係の整理がつく範囲で作ってまいります! ご希望をお寄せくださいませ☆ 「モンスター!モンスター!TRPG」のほうは権利を買う必要がありますので、ご希望の人数に合わせて価格を相談させていただく流れになります! ◆動きはじめました☆ 最近なにをしていたかというと、作家としては「アランツァワールドガイド」の記事を書きつつ、編集長としては「ローグライクハーフ」と「モンスター!モンスター!TRPG」を中心としたムック本(不定期に刊行される雑誌)の準備を敷いておりました。 これも、いまは胎動とでも言うべき時期にあります……充実した紙面にしていきます! ◆未来の話。 9月には「ローグライクハーフ」の公式シナリオとしては未登場の「盗賊都市ねぐらレーナ」を舞台としたシナリオ「ハンティング・ペストガール」を配信するべく、奮闘しております☆ 「SAGBがよく分かる本」のほうも、準備をしなければいけません★ こちらも、やっていきます! ◆キャラクターブックを作ろうかなぁ☆ 先週の火曜日の記事を読みました。 中山将平による「キャラクターブック」のアイディアは、とても魅力的であるように感じます☆ なにより、アランツァという世界を全世界の人々に届けるにあたって、イマジネーションにつながる最強のアイテム感がすごいですよね! これも、案を練ってまいります☆ 今回はこのあたりで。 それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月26日日曜日

読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第13回出題編 FT新聞 No.4932

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第13回(出題編) かなでひびき ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●  はろにちわー!  初めての方は、はじめまして!  おなじみの方は、毎度!  火曜日の記事『これはゲームブックなのですか?』にて、掲載させていただいてる、ヴァーチャル図書委員長かなでひびきですぅ! 「としょいんちょー」なんてものを長年やってますと、中には奇妙な話をいただくことがあります。  何が奇妙か? っていうと、謎かけの部分だけあって、答えがプッツン尻切れトンボなお話。  推理小説の結末がどうしても知りたくなるように、かなでもいろいろ頭をひねっておりますが、どうも、イマイチ腑に落ちるオチがない。  というわけで、FT書房の読者様、皆様のお知恵を貸していただけませんか?  これから紹介いたしますショートストーリー。  謎だけのお話に、オチを付けていただけませんか? 「物語で遊ぶ」のがゲームブックでしたら、これも「ゲームブック」!?  世界で一つだけ、あなただけの結末がつけられる!  もしも、この謎かけにピピぴと琴線が響きましたら、解答編のご応募、よろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『くまだ! 熊が出たぞ!』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  えー、バカバカしい話を一席。  舞台はS市。そう、未だにコンビニは深夜には止まっちまう。野良猫も野良犬も、猪から果てはクマまで出る、っていうあそこですわ。  ある男が、殺人を犯したんでさ。  なんでも、某国民的子どもさんに大人気なヒーローの中身はこしあんか粒あんか。  ちょっと行きずりで酒場からの帰りに起こった犯行でさ。  運良く殺人の目撃者もいない。  しかも、衝動的な犯行だから、「恨み」という線からも足跡が辿りにくい。  そうなると、困ってくるのは、死体の処理でさぁな。  で、その男、苦労して現場の道路にある山に引きずり込み、人気のない奥の茂みに、まるで待ち構えたように穴とシャベルがあった!  これ幸いと、彼は死体を捨てて、ご丁寧に土なんかかぶせちゃったりして。  で、これで一安心、と思っていると、ガサガサと茂みの向こうから女の子の声が聞こえたんでさぁ。 「誰かいるの?」  どんどん声はこっちへ近づいてくる。  慌てる男の頭に、素晴らしいひらめきが! 「ウゴォォォォ! うがァァァ」  まるで怪獣みたいな低い声でおたけんだんでさぁ。  で、それを聞いた女の子「く、クマだー!」って逃げたんでさぁね。  これで危機は去った。  その男は、家帰ったらこのエライ事の疲れがどっと出て、そのまんま眠りに落ちちまったんでさぁ。 ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴  出題編のお話はここまで。  皆さんに解答編で書いて頂きたいのは「くまのフリをして危機を切り抜けた犯人。この後彼に降りかかった運命は?」ということ。  ハッピーエンドもよし、バットエンドもよし。  なるべくフレッシュなものを考えて欲しい!  まことに勝手ながら、期限は1週後の8/2日曜24時までとさせていただきます。  発表はその2週後の8/16日曜記事にて!  もちろんワタクシ、かなでひびきも1本書かせていただきます。  また、答えに限らず、皆様が思いついた謎。そちらも大募集しております!  日常を題材にしたミステリー。SF。そしてクトゥルフ神話ネタから剣と魔法のファンタジーまで!  あなたの思いついた「出題編」をご投稿下さい!  喜んでここで出題させていただきます。  そして、読者のみなさんも、それにアンサーよろしくお願いいたしますうっ!  かなでの方も、マジでマジでお返事ならぬマジ解答いたします!  (つまんなかったらごめんなさい)  あなただけの謎かけに、あなただけの答え!  FT書房オンリーワンのショートショートを作り上げるのは、アナタですぅ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 「今回の解答編」及び「オリジナル出題編」 ご投稿はコチラより↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report  *リドルストーリー投稿と文頭に追記下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月25日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第702号 FT新聞 No.4931

From:水波流 日々に紛れてなかなか書きあぐねているうちに、シナリオ案ばかり思いついてしまうので、そろそろひとつ形にせねばなるまいと思っています。夏らしく、水に潜る話です。(私が水モチーフだともう不穏だと言われそうですが……) From:葉山海月 夜間のこと。 ビデオ返却のためドライブへしゃれこみます。 到着して、ふと見て見るとビデオがない! 慌ててドアを開け、外の光と車内灯で車の中を調べます。 どこにもない! これは密室消失事件か!? と思いましたら。 外に開けたドアポケットの中に滑り込んでいましたとさ。 From:中山将平 僕ら、8月9日(日)マイドームおおさかにて開催の「TGFF2026」に物販で出展します。 配置は【η08b】です。 ゲームブック、1人用TRPG「ローグライクハーフ」、モンスター!モンスター!TRPG関連作品等を扱います。 ぜひお立ち寄りいただけましたら。 当日は、僕中山が現地に行く予定です。 こっそりカエル人の本も持っていきます! さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■7/19(日)~7/24(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年7月19日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4925 ローグライクハーフシナリオソムリエ その6『素敵なあの子に今年もプレゼントを』 ・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第6弾をお届けしました。 ローグライクハーフのシナリオは、d66、d33が基本の形式ですが、今回ご紹介する、寝子氏の作『素敵なあの子に今年もプレゼントを』はd22形式! 中間イベントの前後で舞台が変わるという、新しい形式です。 前半は「素敵なあの子」、りにゃちゃんへのプレゼント探しをしまして、さて後半は……? 是非プレイして確かめてみてくださいね! プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜! (天) 2026年7月20日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4926 アランツァへのいざない 装備品や食べもの(その他) ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載。装備品や食べものについて「植物由来」「動物由来」のものをご紹介してきたところで、今回は「その他」。具体的には、水や鉱物に由来するものが中心です。 こうしたリストの中に、実際に自分が出会って印象深かった装備品等を見つけると、ついテンションが上がってしまいますね。個人的には、某ゲームブック作品で苦労させられた〈ド〉について、ローグライクハーフでは使う側にも回れるのがうれしいところです(「城塞都市ドラッツェン」の都市オプションにて実装。ただし、命中時の追加効果はありませんが…)。 記事の冒頭には、モンスター!モンスター!TRPGでは初となる国産ソロアドベンチャー作品についてのご案内もありますので、ぜひご確認ください! (く) 2026年7月21日(火)かなでひびき FT新聞 No.4927 『これはゲームブックなのですか!?』vol.135 ・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。 今回紹介する作品は『異世界の召喚者』(株式会社 亥辰舎)! ゲームブック形式で紹介される、ファンタジー作品に出てくるアイテムの緻密なミニチュア、さらにはその制作過程まで楽しめる、一粒で三粒おいしい夢のような本。 梅干、絵の具セット、鍬などの日常的なモノから、レイピア、天使の羽、水晶、ランタンなどファンタジーの定番アイテム、果ては「蒸気じかけの翼」、「ワイルドバイク」といったスチームパンクテイストあふれるものまで! 複数のクリエーター様によって作られています。 もちろん「異世界」を謳うゲームの方も、ファンタジーとSFが交じり合うスチームパンク世界。ただの本かと思って、ページめくればあらびっくり、実際に「立体化」されてあなたの前に広がるこのインパクト! 「さぁ! ページをめくりたまえ!」 そう、記事の末尾にヒントのあるパラグラフ42もそこに…… (明) 2026年7月22日(水)ぜろ FT新聞 No.4928 第6回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第501回。 荷物持ちの少年タイガと、妖狐フォルネ、魔猫ニャルラの一人と二匹が、スズメバチとドラゴンの両方の特性を兼ね備えた狂暴な「蜂竜」の巣でのみ取れる「王蜜」を求めて、女王蜂竜との激戦の末に勝利! 王蜜をゲットして、持ち帰る事に成功します。タイガたちにもお裾分けのサプライズが! 次の冒険……の前に、タイガは自分の旅の目的を話し始めます。 タイガが目の前で誰かが危険な目にあうのを見過ごせない性格になった理由は、彼の過去に秘められていたのでした。 (天) 2026年7月23日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4929 D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第3回  ・こんな緊張の糸が張り詰める中、ネディアのもとに届いた1通の手紙。 そこには、「喜ぶのだ。そなたの妹サナに、由緒正しき家柄の立派な結婚相手が見つかった!」 うれしい!? 驚きに戸惑うネティア。 その一方、この機会に、ハルデン卿のことをお父上に尋ねることができるかもしれない。 さらに、政敵だったら、協力を仰げるかもしれない。 ヘルメスは己が患者を救うため、クシュタリは、異形の存在と関わる者を、浄化するため。 早速結婚式へ向かうために、“大陸横断鉄道”ライトニング・レイルに乗り込む一同だった……。 一方、何をしているかわからなかったジュスは、とんでもない(笑)団を結成して、一同のもとへ駆けつけた! 奇想天外に転がる一幕! どうぞご一読を! (葉) 2026年7月24日(金)ぜろ FT新聞 No.4930 感想【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ   ・ついにラストまでたどり着きました! ぜろ氏の水曜日のローグライクハーフリプレイ『蜂竜の森』 今回は感想記念に!? 本リプレイの感想を語っちゃいます! 殺意が見え隠れするようなその難易度における「ローグライクハーフ」らしさ。 はじめての「巨大なクリーチャー」との戦い。 その中で、お気に入りとなったキャラ。タイガ、フォルネ、ニャルラへの思い入れ。 などなど、あんなことこんなことを深掘りしてまいります! ぜろ氏ファンなら必読! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (成田砂男さん) 「アランツァビジュアルガイドシリーズ」、はいっ!中山先生、それ欲しいですっ!(手をあげてぴょんぴょんしています) 特にビジュアル人物ガイドがいいですねぇ。 きっとこれまで沢山の人物たちが生まれているでしょうから、実際に作るとなるともの凄い労作になりそうな気配はしますが! いやでも、結局どれも読みたいですね! (お返事:杉本=ヨハネ) ありがとうございます、作るのは杉本ですよ(笑 ビジュアル人物ガイド、特に声をいただいております! アランツァを代表する人物をある程度まで絞り込んで、そこからすべてをはじめようと思います! (ジャラル アフサラールさん) 亥辰舎さんは「クリエイターの為の〜」のシリーズ出されているのは知っていましたが、こういう本も出されていたのですね。 (お返事:かなでひびき) おたよりありがとうございます。 かなでは、逆に「ドールハウスクラフト」シリーズから入りましたので、そんな雑学的なものを扱っていたとは!  驚きです! かなりジャンルも多彩で、知的好奇心をくすぐるラインナップですねー。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月24日金曜日

感想【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4930

●感想 【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ぜろです。 こちらの記事は、水曜日のローグライクハーフリプレイ「蜂竜の森」の感想になります。 ローグライクハーフ「蜂竜の森」のネタバレ記事となっておりますので、未プレイの方はご注意願います。 ○従者への殺意が高いシナリオ 今回は「巨大樹の迷宮」に引き続いてのタイガ、フォルネ、ニャルラの冒険をお届けしました。 森へハチミツを取りに行く冒険ということで、このメンバーにぴったりのゆるふわな冒険が繰り広げられることに期待していたんです。 そう、ここのところ難易度的には落ち着いたレベルの冒険をしていたために、忘れていたんですよ。 そもそもローグライクハーフとは、従者に非常にシビアな作品だったということを。 そういえば、私が最初にプレイした二作品「黄昏の騎士」と「混沌迷宮の試練」は、従者がバタバタとリタイアしていきましたっけ。 そしてこの作品は、従者に対する殺意の高さを久しぶりに感じさせてくれました。 特に冒頭の「清流の主」イベントはやばかったですね。 フォルネが失敗し、ニャルラがサイコロで5以上を出さなければタイガをロストしてしまう、というギリギリの岐路に立たされました。 さらに中間イベントでも、蜂竜が従者を狙って攻撃すると明記されていますからね。 ルールの解釈で切り抜けましたけれど、下手をしたらこちらでもタイガの命はなかったかもしれません。 従者を主人公に据えるプレイって怖い。 ○巨大なクリーチャーの脅威 今回、はじめて「巨大なクリーチャー」と戦うことになりました。 シンプルに、とてつもなく強い。 1点のやりとりをするのが基本の作品にあって、2点のダメージを与えてくる敵、そして2点のダメージを出さないと攻撃が通らない敵というのは、本当に脅威でしかありません。 私はこれまでのプレイで2点のダメージというものを1回も出したことがなかったので、そんなことが可能なのかと思ってしまいました。 2点のダメージを与える手段は限定的ですが、複数の手段があります。 それらがきちんと作中に用意してあるという親切設計ではありました。 さらに2点のダメージを与える手段が尽きたとしても、ラスボスの生命点を3点以下にすれば、時間さえ稼げれば自滅していってくれます。 そう。親切なのですよ。基本的には。 その親切のうえを行く凶悪さなだけで。 もっとレベルを上げてから挑むべきだったかもしれません。 けれども、この作品の適正レベルは10から12らしいですぞ。 さて、2点のダメージを与える複数の手段ですが、私のキャラクターたちは、そのほとんどが有効でなかったために、作戦を考えるのに非常に苦労しました。 まずは丸太。 丸太が攻撃手段として用意されているというだけで、漫画「彼岸島」の初期の頃を連想しますね。 「みんな、丸太は持ったな!」 しかし、フォルネとニャルラではとても扱えません。 リプレイ本編では、タイガが丸太を発見し、丸太による攻略を夢想する、という場面で丸太を登場させました。 そして次に騎乗槍と騎乗生物の組み合わせによる突撃。 こちらはフォルネが人間形態になれば可能ではあるかもしれません。 しかし従者枠が足りないため騎乗生物を得ることができず、断念。 主人公のタイガに竜人の村で留守番してもらって騎乗生物を買うことができればあるいは。 そもそも竜人の村に立ち寄った際には所持金が底をついていたので無理だったのでした。 それで選んだのが、ニャルラ向けには蟷螂蜂毒。 フォルネ向けには西法術【氷槍】となりました。 最初の注釈で書かれていなければ、私はきっと【氷槍】は取得しなかったように思うので、たちまち詰んでいたのではないかと思います。 ○キャラクターについて そんな作品の中にあっても、やはりキャラクターのイメージについては、やはりポケモン風アニメ調な脳内イメージができていました。 蜂竜の女王は伝説のポケモンクラスですね。 それだけでなく、ヘラクレスナイトを含む竜人の面々もかなり良いです。 私にとってはゲームブック「百竜の森」からの再登場ということになります。 ヘラクレスナイトのほかにも、道具屋のキャティやその姉など、あちらの作品で登場した竜人たちを嬉々として登場させてしまいました。 ヘラクレスナイトは設定そのものが、私のプレイヤーキャラクターたちとの相性もバッチリでしたね。 「蜂竜の森」では語られていないヘラクレスナイトと道具屋キャティの関係性なども、しっかりリプレイには反映させました。 ゲームブック「百竜の森」は百竜の森の繭の内部の物語で、「蜂竜の森」は繭の外側の森の物語です。 そこで、ヘラクレスナイトと竜人たちが繭の外に移住する展開にさせてもらいました。 こういう繋ぎを考えるのも楽しいです。 ○百竜の森について そういえばこの「百竜の森」の繭は「百年に一度だけ」繭がなくなり外と繋がると説明がなされています。 しかしこの設定は、「百竜」からの連想でうっかり「百年」としてしまったミスだと思っています。 たぶん「一年に一度」、繭が薄くなる時期がある、というのが正しい。 というのも、そうでないとゲームブック「百竜の森」のストーリーが成立しなくなるのです。 あちらの作品では、繭が薄くなる日に繭の中へと入り込んだものの失敗し、次の年にリベンジする、という物語が展開します。 さらに百竜の森の研究家ザスカル氏は、何度も森の内部に出たり入ったりしています。 あと、百竜の森の変わり種の竜が外部に出てくるのが百年に一度では、事実として語られるというよりも、伝説や伝承のレベルになっていると思うんですよね。 ということで、私の中では完全に「一年に一度」という設定にさせていただき、勝手に「繭なしの日」と命名させていただきました。 ○今後の展開について タイガ、フォルネ、ニャルラはすっかりお気に入りのキャラクターになりました。 この先もぜひいろんな作品に登場させたいところです。 できれば作品の雰囲気をほのぼのした側に引っ張ってこられるものにしたいところです。 そう言いながら、今回のエピローグでわりと重めの設定を語らせてしまうのが、私の悪い癖かもしれません。 そんな中でもこの一人と二匹は、きっと強くたくましく楽しくやっていってくれると思います。 とはいえ、タイガたちの冒険が続いていたので、いったんここで区切りにして、次はまた別の作品でお目にかかることになると思います。 それではまた、次回別の作品のリプレイでお会いしましょう。 ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。 キャティ 竜人の村の道具屋。初出はゲームブック「百竜の森」。 カトリーナ 竜人の村の女戦士。蜂竜討伐の遠征中。 ナイトさん ヘラクレスナイト。カブトムシ形態から人間形態に変形できる竜人の村への協力者。その動機はキャティへの一目ぼれ。 蜂竜の女王 巨大なクリーチャー。巣への侵入者に対し怒りで我を忘れ、赤熱化し暴走する。 ■作品情報 作品名:蜂竜の森「ローグライクハーフ」d33シナリオ 著者:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ(「蜂竜の森」収録) https://ftbooks.booth.pm/items/5361362 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月23日木曜日

D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第3回 FT新聞 No.4929

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 連載第3回 岡和田晃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼はじめに 本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編です。 当時のサイトは閉鎖されていますが、前日譚の「トレイルブレイザーズを探せ!」と「竜の予言を解放せよ!」はウェブアーカイブで閲覧可能です。D&D第4版や舞台の世界観そのものの解説にもなっておりますので、未読の方は以下よりご覧ください。 https://web.archive.org/web/20110520091921/http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay_eb/index.html うまく繋がらない方は以下もあわせてご利用ください。 https://www.dropbox.com/scl/fi/hfckq3h4rglyer10ycaj4/1_.pdf?rlkey=xzasih78fdhbqoikbr98kovkl&dl=0 https://www.dropbox.com/scl/fi/nluo5nzotbnpeanc1zh0r/2_.pdf?rlkey=f49qwu5pxzhc4flzcw7kj1v5y&dl=0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ DM:ダンジョンマスター(岡和田晃) ネディア:ヒューマンのレンジャー(PL:中山葵) ヘルメス:ヒューマンのアーティフィサー(PL:カナイセイジ) クシュタリ:カラシュターのパラディン(PL:見田航介) ベック:ウォーフォージドのファイター(PL:高橋志行) ジュス:ティーフリングのウィザード(PL:ノダソル) ●無法者頭、ジュス DM:ネディアは悩んどいてね。一方のジュスは何をしている? ジュス:忘れたのか。俺様はしばらく文明を離れ、「ジュス団」を作っているのさ。パーティの面々に冒険に呼ばれた時だけ、ひょっこりと出てくる。 DM:そうでした(笑)ダイスでランダムにジュス団の構成員を決めたら、副団長のランバートのほか、11人の「雑魚」相当の人間の屑が集まっていることになったんだっけ。  では、ジュス団は、山賊たちが好んで住みそうな洞穴を占拠している(『スター・ウォーズ』のダース・ヴェーダー登場の音楽を口ずさむ)。 ヘルメス/ランバート:(ランバートの台詞を横取りし)「へへ、おかしら、次はどの村を襲いましょうか(笑)」 ジュス:「馬鹿野郎ッ! ジュス団は義賊なんだ。可哀想な農民をイジめるような真似はするな! 丸焦げにしてやる!」 ヘルメス/ランバート:「でも、おかしら。いくら義賊でも、こう毎日ダイコンばかり食ってるんじゃあ、干からびちまいますわ」 DM:ジュス団の下っ端たちは、洞窟に怪しげな飾り付けを施して悦に入ったり。海賊旗みたいなのを立てたりしています。暇を持て余した連中は、近くの畠からダイコンをくすねて来たりも……。 ジュス:「ゴルァ! 俺様の{マジック・ミサイル/魔法の矢}の餌食になりたいのか! ジュス団は義賊なんだぞ! ほら、ジュス団の存在価値をアピールするために、ダイコンを返して、ついでに畠を耕してこい!」 ネディア:ジュスがいい人になっている(笑) DM:こうして、ジュス団は地域密着型の義賊となるべく、日々研鑽を積んでいるのだった……って、そろそろ話を進めていいですか(笑) ジュス:大丈夫だ。俺様が地域密着型の義賊としてこいつらを育てているのは、俺様が冒険に出ている間、こいつらが路頭に迷わないようにという深〜い配慮があってのことなんだ!(力説) 一同:なんだってー!(爆笑) ジュス:「(一喝する)野郎ども、ここに“ジュス団の基地”を作るのだ〜!」 ヘルメス/カナイ:アドベンチャーが終わるたびに戻ってみると、基地が少しずつ大きくなっていたりしそうですね。 ベック/高橋:で、ある時、帰ってみると、ランバートが下手打って牢屋に閉じ込められている(笑) クシュタリ/見田:それじゃあ、『ドラゴンクエストIII』の「商人の町」ですよ(笑) ジュス:(無視して)DM、手下たちを育てつつ、ヴェディカーやテリクあたりの様子をうかがっているのだが……。 DM:判定するまでもなく、ジュスはすぐに気づきました。どうやら死体調達吏たちが、次々と姿を消しているらしいのです。どいつもこいつも脛に傷持つ連中なので、大きな話題にはならず、「むしろ、せいせいした」「ヴェディカーのゴミが掃除されたというような声すら聞こえてくる始末……。 ジュス:それでも死体調達吏は役人なんだから、役所は守ってくれないのか? DM:役人とはいっても、ゴロツキと大差ない連中と思われていたのか、ろくな調査もされず、すぐに捜索は打ち切られてしまったようで。死霊大臣の直下だったら安全のようだけど、君みたいな下請けの死体調達吏はねぇ……。 ジュス:用済みになったとか? 口封じとか?  DM:さあね、その両方かも。いかがわしい仕事だから、身に覚えがありすぎますねぇ。 ジュス:まずい、危険を感じるな……。 DM:小耳に挟んだ話では、「ティーフリングの死体調達吏が狙われている」という話もあったね。 ジュス:悔しいが、どうやら潮時みたいだな。仕方がない、あいつらの尊い犠牲で……。 一同:おいおい! ジュス:……もとい(笑)あいつらに協力してもらって、一刻も早く逃げ出さなくちゃな。 ●カルナスの首都コースへ DM:それでは、ネディアに戻りましょう。 ネディア:結婚式まで、あとどれくらい日にちが残っているんですか? DM:だいたい一週間くらいでしょうね。 ネディア:早い! 「どうしてそんなに急なの?」 DM:「ええと、その……」手紙を届けに来たシヴィス氏族の配達人の言うことはなんだか要領を得ません。仮に配達人が油を売っていたとしても、ずいぶん急な婚姻だということはわかります。 ネディア:急ぐ理由でもあったんでしょうか……。なんだか、とっても嫌な予感がします。 ヘルメス/カナイ:このDMだからなあ(笑) DM:こらこら(笑) ネディア:結婚式は、いったいどこで行なわれるのでしょう? DM:もちろん、カルナスの首都、コースで催されますよ。 ベック:コース! 距離はどれくらいあるのでしょう。 DM:かなり離れていますが、大陸横断鉄道“ライトニング・レイル”を使えば、あっという間ですよ。ええと、第3.5版のサプリメント『EXPLORER'S HANDBOOK』(未訳)には、ライトニング・レイルでの所要時間がきちんと記載されています。それによれば、コース〜ヴェディカー間は522マイル(約835.2キロメートル)もありますが、所要時間はわずか17.5時間! ネディア:1日かからないんですねぇ。徒歩だと数週間は要しそうな日程ですが。 DM:『ルールズ・コンペンディウム』によれば、徒歩だと1時間で3マイルしか進めませんし、〈持久力〉判定なしに歩くのならば、1日に10時間の行軍が限界ですね。 ネディア:どうやら、“ライトニング・レイル”で行くしかなさそう。 ベック/高橋:(地図を身ながら)シベリア鉄道で旅をしているみたいですね(笑) DM:あるいは、オリエント急行かなあ(笑) ベック:「でも、これはかえって好都合ですね。この機会に、ハルデン卿のことをお父上に尋ねることができます」 ヘルメス:「しかも政敵だったら、協力を仰げるかもしれない」 クシュタリ:うーん、そう、うまく事が運べばよいがのう……。 DM:結婚式の招待状には、一等車両のチケットが5枚同封されています。「ボディーガード用に用意した」との但し書きも添えられています。 ヘルメス:「よし決めた。俺はネディアに同伴してコースまで行く。俺の患者たちを苦しめる原因は、きっとそこにあるから」 クシュタリ:「それなら、私も同行するぞ。そこに諸悪の根源が眠っているのならば、偉大なるシルヴァー・フレイムの名にかけて、見過ごすことは到底できぬからな」 ベック:「もちろん行きます。ハルデン卿の企ては“竜の予言”にも関わりがありそうですし……」 クシュタリ:「異形の存在と関わる者は、浄化せねばならん!」 ジュス:盛り上がってきたな。DM、そろそろ登場していいか? DM:OK。それでは、皆さんが第1話の時のように、ヴェディカーの酒場〈トロールの脳漿〉亭で歓談していると……。ジュスが乱入してきますね。 ジュス:「やあ、みんな、久しぶりだな。俺様の秘術の腕を、また見たいとは思わないか?」 一同:(寒い目でジュスを見る) ネディア:「ジュス、あなた盗賊団の親玉になったんじゃなかったの?」 ジュス:「盗賊団じゃない。ジュス団と言うのだ。義賊の集まりだぞ。貴様らもジュス団に入りたいのか? 入団試験は厳しいぞ〜」 ネディア:「(ため息をつき)そうじゃなくって、ジュス。わたしたちと一緒にコースへ行ってほしいの(手を握る)」 ジュス:「(どぎまぎしながら)……いいだろう。実は、死体調達吏が次々と行方不明になっているらしい。いなくなって当然の連中も多いとはいえ、気分のよい話ではないからな」 DM:ということで、コースへ向かうということで、パーティの意見が一致しましたね。それでは主要クエストを与えます。ハルデン・ド=オリエンの企てを明らかにするです。  副次クエストは、ヘルメスにカルナス後宮で女が衰弱する事件を阻止する、ベックにバリジスクの卵のような触媒が、何の儀式に使われるのかを探る、ジュスに死体調達吏が狙われる真の目的を探る。  ネディアとクシュタリについては、ストーリーが進行するうちに、また、新たな副次クエストが渡される可能性があります。 ネディア:了解しました〜! ●“ライトニング・レイル”乗車  ネディアの両親からの手紙には、“大陸横断鉄道”ライトニング・レイルの切符を買うのに充分すぎるほどのお金が添えられていた。  ライトニング・レイルの運賃は決して安価なものではないが、それを差し引いても充分すぎるほどの額であった。  出発までの数日間、パーティはヴェディカーでのつてを頼り、情報収集を開始する。  すると、思わぬ事実が明らかになった。ネディアの妹サナの結婚相手であるエラストレル・イル=ワイナーン卿とは、カルナスのレッケンマーク騎士団一の剛の者、カルドラス・イル=クルドバッハ卿の部下だということが判明したのである。  しかし、このエラストレル卿がくせもので、最終戦争時にはカルナスを離れていたのだけれども、要職についていた将軍たちが死んだので、戻ってきたのだということが判明した。レッケンマーク騎士団の隠し玉とも言われているが、神出鬼没、どのような人間であるのか、とらえどころがない。 ネディア:戦争がない間、レッケンマーク騎士団はいったい何をしているのでしょう? DM:それは〈事情通〉で判定してちょうだい。 ネディア:(ころころ)20が出ました! DM:ならば、だいたいのところは察しがつきました。あまり知られていませんが、彼らは人里離れた場所で大規模な軍事演習をしていると言われています。ただ、ついでに言っておけば、死体調達吏狩りを裏で主導していたのは、レッケンマーク騎士団ではなく、“ヴォルの血”の仕業だと噂されていますね。 ヘルメス:つまり、ハルデン卿は“ヴォルの血”に関わっているのかなあ。 DM:さあね。そうこうしているうちに、ヴェディカーでの滞在時間のリミットが見えてきましたよ。 ネディア:仕方がない。駅にまで戻って、大陸横断鉄道“ライトニング・レイル”に乗り込みます……。 DM:“ライトニング・レイル”は、エレメンタルを動力として動く列車です。導線石と車輪の間に火花を散らせつつ、軍艦のような偉容をもって走り続けます。君たちは駅で切符と身分証明書をチェックされた後、一等車両へ案内されます。“ライトニング・レイル”の内部は切符の等級ごとに部屋が分かれていますから、コースまで一等車両に乗ると、一人頭261gpはかかりますね。 ヘルメス:高えーっ! DM:その代わり、ちゃんとした個室が与えられますよ。もっとも一等車両でも2〜3人で相部屋になってしまいますが……。 ネディア:ありがとうございます、お父さま(笑)ええと、わたしとクシュタリが同じ部屋で、あとの3人が同席ということで問題ありませんか? クシュタリ:異存はないぞ。女子部屋というやつだな(笑)ベックは性別がないが……。 ネディア:それでも、女子部屋に来てもらうのはなんとなく抵抗がありますね。 ベック:ちょっと自分にはよくわかりませんが……。それなら男性陣の方へ行きましょうか。 DM:君たちは、一等車両は、各個室は30平方フィートほどの広さになっています。窓やベッドもついていて、なかなか快適です。廊下に出ると、10フィート幅の廊下が続いています。  パーティが乗り込むと、すぐに“ライトニング・レイル”は発車する。何度も“ライトニング・レイル”に乗っているネディアやクシュタリも、“ライトニング・レイル”への搭乗が初めてのジュスも、窓の外で流れていく雄大なカルナスの風景に、しばし見とれている。  やがて、ゆっくりと陽が暮れてくる。 ネディア:食事は個室でとるんですか? DM:一等車両にはルームサービスがありますし、食堂車両もありますから、頃合いを見てそちらに移ってもらってもOKです。 ベック:DM、自分は食事をするのですか? DM:『エベロン・プレイヤーズ・ガイド』には食事不要と書かれています。でも、食事を取ることができないとも書かれていませんよ。もっとも、メンテナンスならば、むしろ注油をしたほうがよかったりして。 ベック:いや、自分はヒューマンの食事に興味がありますから、ここは食堂車へ向かうことにしましょうか。 ジュス:食堂車で食事をすると、一等車両とは別料金になるのか? DM:公式設定には書かれていないので、DM裁量で判断すると……ルームサービスだと別料金、食堂車ならばコミコミということで! ジュス:それなら食堂車へ行くぞ!(即決する) 一同:(爆笑) ジュス:俺様はケチなんじゃない。肉が食いたいんだ! ネディア:ジュスって、そんなに野蛮なの? ジュス:違わい! サイアリにいたころ、俺様の氏族は肉の調理にうるさかったんだ。半端な肉をオルクス様に供えたら、バチがあたっちまう。 DM:グルメ・キャラになっているわけね(笑)面白いからOKですよ。カルナスは20世紀前半のドイツに似た社会なので、ご当地料理としては、ソーセージやジャガイモをうまく使った料理が出てくる感じかなあ。おそらく肉料理も充実しているはず。乗車の時にもらったメニューに、本日の日替わり料理として「カルナス風ビーフ・ソテー」がメインディッシュだと書いてあります。 ジュス:グレイト。食堂車へ行こう! ベック:自分も興味本位で、ジュスの後をくっついて行きます。 ネディア:せっかくの機会なので、私も食堂車に行きたいと思うんですが……。 ヘルメス:それなら、俺も行くぞ。パーティを組んでいる以上、バラバラで動くのは危険だからな。 クシュタリ:同意。やむを得ないとはいえ、部屋で分断されているより、全員で動いているほうが心強いわい。 (つづく) “『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜” is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy.Not approved/endorsed by Wizards. 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