━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『これはゲームブックなのですか!?』vol.124
かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
このゲンコを見ている、って言うことは、きっと、かなではこの世の人ではなくって……じゃないっちゅーの!
季節はきっと夏でしょう。
夏といえば、怖い話。
というわけで、今回ご紹介する本は、
『怪奇推理ミステリー事件ファイル』(矢島 誠 ほか著 永岡書店)よ。
もともと、推理ものとホラーものって、相性がいいと思わないですかぁ?
例えば、密室の中で男が青龍刀で惨殺されていた!
これって、「おはぐろそんのたたりジャー」って、続けてポルターガイストでも起こせばホラーになるし、「いや、ちょっと待ってください!」って少年探偵の一つでも出てくればミステリになる。
大いなる先人、ディクスン・カーは、ミステリの中にホラー要素を取り入れたのが、「これぞ、カー!」と言わしめる独特の雰囲気を出しているし、まだ記憶に新しいかしら?
他にもコンピュータゲームから始まって、アニメ化までされたスマッシュヒット作『ひぐらしの泣く頃に』には、かなで衝撃を受けました!
でねでね。
この本も、そんな要素に満ちている。
亡くなった夫の声にそそのかされて、その妻がとった行動とは!?
丑の刻参りが、とんでもない方向でアリバイになってしまった!?
ストーカーの狂気が向かう完全犯罪!
地獄絵屋敷で起こる奇怪な事件。
「幽霊を見よう!」と集まった女の子達に起こる奇天烈としか表現できない怪事!
などなど、ざっとあげてみても、短編ホラーとしてもイケルんじゃない? ってテイスト満載な小説のアンソロジー!
実際に、ホラーな不可思議な謎を残して終わる事件もあるし。
おまけに、解決編が袋とじときている!
袋とじって、コスト的にも結構手間がかかる冒険だ、って話聞いたことあるけど、「それをやっても採算が取れるくらい売れる」=「おもしろい」って証拠。
特に、この本をおすすめしたいのは難易度の点から。
これみよがしに出てくるヒントは、おそらく解決に十二分につながるはず。
たとえば「犯人と思われる田辺よしお(仮)
Aという描写では、棚の一番てっぺんにも触れれなかったのに、Bの描写では、明らかに179cmもある衝立から目撃している。よってこの犯罪は一人二役によってアリバイが成立する」などというガチであなたの観察力が試される謎ではないから、気楽に取り組んで欲しいな。
かえって推理小説マニアの方が、えらく深読みして考えすぎで引っかかるかも。
実際、かなでもそうでした(。・ω<)ゞてへぺろ!
だけど、そんな方は、自分の考えたトリック、そして本書の事件を参考にして謎解きストーリーを作ってみてはいかがでしょうか?
熱い夜の怪談話としても、スキマ時間に解く推理ゲームとしても、一粒で二度おいしい!
これを逃す手はありませんって!
次回はモアベターだったらなぁ、と願いつつ。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『怪奇推理ミステリー』
著 矢島 誠 ほか
出版社:永岡書店 2000/7/10
文庫・絶版
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
FT新聞・保管庫
*2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
SPAM注意
(編集・水波)最近SPAM投稿が増えておりますが、見つけ次第手動で削除いたしますので、決してクリックなどされないよう、ご注意下さい。
2025年9月2日火曜日
2025年9月1日月曜日
☆新作のご案内☆ FT新聞 No.4604
おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
8月末の平日に、沢登りに行ってきました。
前日に大量の雨が降ったためか水量が多く、滝の勢いがすごかったです。
その滝を正面から浴びながら登ろうとするとき、生きている充実感が全身を駆けめぐりました。
その数秒後に勢いに負けて、滝壺まで吹っ飛び落ちたのも、いい経験でした☆
◆電子版の刊行が順調です!
いつぞやのFT新聞にも書きましたが、「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」のd33シナリオを、電子版で刊行しております。
先日、第3作品目を刊行いたしました!
・戦場の風 by丹野佑
・怪盗は雪夜に舞う byロア・スペイダー
・我ら海底探検隊 海の幸を添えて byロア・スペイダー
◆完全版「あやかし」が好評!
初期の頃に出したふたつのサプリメント『混沌迷宮の試練』と『あやかし』は、シナリオのみが収録されています。
『混沌迷宮の試練』には、表題のd66シナリオ。
『あやかし』には、d66シナリオ「あやかし」と、d33シナリオ「秋雨の狐」。
そこで、今回の電子版には、都市サプリメントとして「東国都市キョウ」のデータを、【新職業】として【影法師】を追加した、完全版バージョンを準備いたしました!
これがさっそく好評でして、ありがとうございます☆
ご要望をいただけるようならば、『混沌迷宮の試練』のほうの完全版も、視野に入れていく所存です。
◆近況報告☆
これらの電子版は、編集である緋色朱音が中心になって進めてくれているものです☆
私自身はというと、それらの監修を(紫隠ねこさんとともに)やりつつ、「ローグライクハーフ」の新作d66シナリオを執筆中です!
表題は「死霊沼の聖母」★
死霊都市フアナ・ニクロを拠点、舞台とした、初の作品です☆
楽しみにしていただけましたら、さいわいです。
それではまた!
↓「ローグライクハーフ」d33シナリオはこちらから!
https://ftbooks.booth.pm/items/7261223
↓電子版(完全版)「あやかし」はこちらから!
https://ftbooks.booth.pm/items/5085877
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
8月末の平日に、沢登りに行ってきました。
前日に大量の雨が降ったためか水量が多く、滝の勢いがすごかったです。
その滝を正面から浴びながら登ろうとするとき、生きている充実感が全身を駆けめぐりました。
その数秒後に勢いに負けて、滝壺まで吹っ飛び落ちたのも、いい経験でした☆
◆電子版の刊行が順調です!
いつぞやのFT新聞にも書きましたが、「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」のd33シナリオを、電子版で刊行しております。
先日、第3作品目を刊行いたしました!
・戦場の風 by丹野佑
・怪盗は雪夜に舞う byロア・スペイダー
・我ら海底探検隊 海の幸を添えて byロア・スペイダー
◆完全版「あやかし」が好評!
初期の頃に出したふたつのサプリメント『混沌迷宮の試練』と『あやかし』は、シナリオのみが収録されています。
『混沌迷宮の試練』には、表題のd66シナリオ。
『あやかし』には、d66シナリオ「あやかし」と、d33シナリオ「秋雨の狐」。
そこで、今回の電子版には、都市サプリメントとして「東国都市キョウ」のデータを、【新職業】として【影法師】を追加した、完全版バージョンを準備いたしました!
これがさっそく好評でして、ありがとうございます☆
ご要望をいただけるようならば、『混沌迷宮の試練』のほうの完全版も、視野に入れていく所存です。
◆近況報告☆
これらの電子版は、編集である緋色朱音が中心になって進めてくれているものです☆
私自身はというと、それらの監修を(紫隠ねこさんとともに)やりつつ、「ローグライクハーフ」の新作d66シナリオを執筆中です!
表題は「死霊沼の聖母」★
死霊都市フアナ・ニクロを拠点、舞台とした、初の作品です☆
楽しみにしていただけましたら、さいわいです。
それではまた!
↓「ローグライクハーフ」d33シナリオはこちらから!
https://ftbooks.booth.pm/items/7261223
↓電子版(完全版)「あやかし」はこちらから!
https://ftbooks.booth.pm/items/5085877
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2025年8月31日日曜日
Re:「ローグライクハーフ」都市サプリメント:蛮族都市フーウェイ&新職業【獣使い】 FT新聞 No.4603
おはようございます。
FT新聞編集長の水波流です。
9月第1日曜は、私が執筆したローグライクハーフd33シナリオを配信いたします。
蛮族都市フーウェイを舞台とした、d66『常闇の伴侶』、d33『名付けられるべきではないもの』に続く3つ目のシナリオです。
『汝、獣となれ人となれ』
フーウェイの〈太古の森〉に在るのは、樹人や闇エルフといった脅威だけではない。いにしえから受け継がれた旧き神の信仰が、自然と同化しながら眠っている。
木漏れ日の闇に潜み脈々と受け継がれる何者かの息づかいを感じて頂ければと思っております。
本日は都市サプリメントと新職業【獣使い】を再配信いたします。
シナリオを遊ぶ前後に、装備品や従者を購入するなどぜひご活用下さい。
↓都市サプリメント:蛮族都市フーウェイ
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Fuway.txt
↓新職業【獣使い】
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_NewClass_BeastTamer.txt
それでは来週日曜を、どうぞお楽しみに!
↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
FT新聞編集長の水波流です。
9月第1日曜は、私が執筆したローグライクハーフd33シナリオを配信いたします。
蛮族都市フーウェイを舞台とした、d66『常闇の伴侶』、d33『名付けられるべきではないもの』に続く3つ目のシナリオです。
『汝、獣となれ人となれ』
フーウェイの〈太古の森〉に在るのは、樹人や闇エルフといった脅威だけではない。いにしえから受け継がれた旧き神の信仰が、自然と同化しながら眠っている。
木漏れ日の闇に潜み脈々と受け継がれる何者かの息づかいを感じて頂ければと思っております。
本日は都市サプリメントと新職業【獣使い】を再配信いたします。
シナリオを遊ぶ前後に、装備品や従者を購入するなどぜひご活用下さい。
↓都市サプリメント:蛮族都市フーウェイ
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Fuway.txt
↓新職業【獣使い】
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_NewClass_BeastTamer.txt
それでは来週日曜を、どうぞお楽しみに!
↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2025年8月30日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第655号 FT新聞 No.4602
From:水波流
クトゥルフ神話の創始者H.P.ラヴクラフト御大は135年前、1890年8月20日に生誕されました。
ちなみに私のクトゥルフ初体験は、PC-98のクトゥルフ西部劇RPG『ティラムバラム』なので、邪神信仰がアステカ神話と融合しているふしはある。
あ、いや『暗黒教団の陰謀(大瀧啓裕)』の方が先か……?
いずれにせよ、30年以上前の当時はクトゥルフ神話の情報を得るのはとても難しく、本を読んでいて関連を発見すると「おお、これもクトゥルフ……!?」と嬉しくなったものです。(栗本薫『魔境遊撃隊』とか)
From:葉山海月
スーパーの喫煙ボックス。
まろび出た吸い殻に、
口紅のような血の跡べったり。
From:中山将平
僕ら2025年9月7日(日)インテックス大阪で開催の「こみっくトレジャー46」に出店します!!
ブース配置は【4号館C57a】。
18年作り続ける「ゲームブック」や1人用TRPG『ローグライクハーフ』、「モンスター!モンスター!TRPG関連書籍」などを扱います。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(く)=くろやなぎ
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■8/24(日)~8/29(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年8月24日(日)DON-CHANG FT新聞 No.4596
『モンスター!モンスター!の怪物たち』vol.5
・8月10日(日)のTGFF2025にて、ついに『ズィムララのモンスターラリー【ワールド編】』が発売となりました!
それを受けて、イラストレーターDON-CHANG氏がズィムララのモンスターをイラストで紹介するこの企画。
今回は「ズィムララ」での冒険で、プレイヤーたちと敵対することが多そうなデーモン(悪魔)の眷属から「ヴァクカヴューゴ」をピックアップしました。
一見、水牛にサイを加えたモンスターに見えますが、その実力はいかに!?
本編での活躍もどうぞご期待ください!
(葉)
2025年8月25日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4597
アランツァ世界の滅んだ街
・ローグライクハーフやFT書房作品のディープなファンの皆さん、お待たせしました!
アランツァ世界のマニアックな情報として、「第1期」の時代に存在した国や都市をご紹介します。
多くの作品の舞台となっている「第2期」の時代には、すでに滅び、あるいはすっかり様相を変えてしまったこれらの国や都市。
その過去の姿を知ることで、より深く作品を楽しむとともに、新たなシナリオや設定を生み出すきっかけにしていただければと思います。
(く)
2025年8月26日(火)田林洋一 FT新聞 No.4598
『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.8
・田林洋一氏による、1980年代半ばから1992年の間に東京創元社から刊行された「スーパーアドベンチャーゲーム(SAGB)」の一連のゲームブックの解説記事です!
今回は、ファミコンソフトを原作とする「ワルキューレの冒険」シリーズを、ゲーム性とストーリー性のバランスという観点から取り上げます。
『迷宮のドラゴン』の成長システムと魔法、果ては『時の鍵の伝説』のパーティコントロールと、巻を追うごとにゲームシステムの発展が図られた本シリーズ。
それはストーリーの上で主人公とプレイヤーの距離をどこまで近づけるかという問題とも無縁ではありません。
プレイヤーの好きに動かせる主人公は無色透明であったほうがいい反面、主人公がプレイヤーの意志に構わず行動する場合はキャラクターが際立っていた方がいい。
この二律背反にどう折り合いをつけて中道を目指すか?
今もって難しい課題に切り込みを入れるヒントが見つかるかもしれません。
(明)
2025年8月27日(水)ぜろ FT新聞 No.4599
第2回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・プレイヤー視点とキャラクター視点を交えた独特の語り口による、ぜろ氏のリプレイ第453回。
今回の内容は、プロローグの続きとルール説明、そしてキャラクターシート(冒険記録紙)の確認です。
すっきりわかりやすいデザインで、大事な情報がぎゅっと詰め込まれたキャラクターシート。
冒険の仲間、装備品、そしてもうひとつの魔法の時計…。
その1ページの中に、これから起こりうる未来を垣間見ながら、主人公ミナの冒険の準備が進んでいきます。
(く)
2025年8月28日(木)東洋夏 FT新聞 No.4600
ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイvol.4
・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、
東洋夏氏による「写身の殺人者」リプレイ第4回目です。
北方都市サン・サレンを脅かす、「自分の姿をした何かに殺される夢を見た者が、実際に殺される」奇妙な連続殺人事件。
件の悪夢を見てしまった聖騎士見習いの少年シグナスと、喋る「おどる剣」クロによる捜査が続きます。
中間イベントを迎え、少年シグナスはとうとう『写身の殺人者』と遭遇!
しかし、何故か頼れるクロも見当たらず、シグナス1人で立ち向かう事になり……!
悪夢が正夢にならぬよう、どうぞ応援してあげて下さい!
(天)
2025年8月29日(金)休刊日 FT新聞 No.4601
・休刊日のお知らせ
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(緒方直人さん)
『死はパラグラフに留まる——ゲームブックにおける「殺意」と死の意味について』面白かったです。死(ゲームオーバー)をどのように扱うかが作家によってこんなにも違うとは驚きの視点でした。特に死が物語からの非常口であるという点、確かに激ムズゲームブックに苦労してると「もう嫌だ!終わりにしてくれ!殺してくれー!」とか発狂しちゃう時、ありますもんね。ある意味、なんて優しい「死」もあるのだろうと感心しちゃいました。
(お返事:くろやなぎ)
ご感想ありがとうございます! 死(ゲームオーバー)のパラグラフの位置づけや描写は、その作品のストーリーや雰囲気はもちろん、ゲーム上のシステムからも影響や制約を受けますので(たとえば「ミツユビオニトカゲ」的なシステムがある場合は、ひとまず特定のパラグラフに行く必要がある等)、作家さんや作品の特徴が総合的に反映されやすいのかもしれません。『送り雛』は、ある意味では「巻き込まれ型」の物語で、さらに読者に対しても主体的な解釈を要求する作品なので、主人公目線でも読者目線でも「もう何も考えずに眠りたい…」的な気持ちが発生するのもよくわかる気がしていて、非常口的な幕引きが用意されていることに納得感がありますね。
(ジャラル アフサラールさん)
ゲームブックの「死」で有名な<14に行け>のハービー・ブレナンの『ドラキュラ城の血闘』では、ドラキュラ伯爵を倒す為にヘルシング教授と一緒に「きみ」は戦っているうちに噛まれすぎると自分が吸血鬼になってしまいドラキュラの僕としてヘルシング教授と戦う「ドラキュラ篇」が始まるという2部構成になっていて、これも「死」の別パターンなのかと思います。
(お返事:くろやなぎ)
『ドラキュラ城の血闘』のご紹介ありがとうございます。死や敗北が物語の「終わり」ではなく転機となり、ゲーム上の仕掛けとしても機能しているケースですね。二見書房版・創土社版ともに入手困難なのが残念ですが、二見書房版は国立国会図書館でデジタル化作業中のようですので、将来デジタルコレクションで読めることを楽しみにしています!
(ププププーさん)
FT新聞いつも楽しみにしております。
8月26日のスーパーアドベンチャーがよく判る本記事につきまして、意見が異なる箇所がありましたので感想として送らせていただきます。
vol4とvol8において、ゴールデン・ドラゴン・シリーズの主人公像を没個性的な「無色透明な君」として語られています。個人的に意見が異なる部分でした。
このシリーズの総論としては、無色透明な主人公という部分は理解できますが各作品ではその辺りかなり違うと考えます。
ドラゴンの目(ウルリックイベントで侮蔑・恐怖、物語の最初と最後で任務が容易いと語る軽口?余裕を見せる)、炎の神殿(油断した敵に唾を吐きかけようとして自重、物語らぬ像に略奪しないと語り掛ける誇り高さと敬意を表す心)等明確に強い個性を持たされております。
失われた魂の城でもそれより個性としては薄いかもしれませんが攻略自体には善性を試されており、それに応える主人公像を想定されていると思います。
このシリーズ全ての作品が「無色透明の君」とは言えないと考えます。名前を自由に付けられるにしても、「無色透明」と総論で語るのはやや粗い表現であるように思われました。
私SNSでゲームブック感想を報告するのが趣味ですので、そうしようかと考えましたがこの方法で感想として伝えさせていただきます。
田林先生の記事につきましては、「ベルゼブルの竜」主人公も無色透明として判別されておりました。私はこれには完全同意でして、自分の趣味範囲でSNS報告しようと考えておりました。今後の記事でどのように取り扱われるのか楽しみにしております。
(お返事:田林洋一)
いつも拙記事をご愛読くださり、どうもありがとうございます。そして、新たな気づきを投げかけてくださって感謝しております! 確かに、「名前がない」からといって「主人公キャラクターに個性がない」というのは違うかもしれません。『ドラゴンの目』のウルリックイベントはそれだけで恐怖ですが、キャラクターの個性が色濃く出た瞬間でもありましたね。また、『炎の神殿』は序盤にミンキーというサルと仲良くなるなど、優しさと誇り強さが見られました。もちろん無色透明の君だからと言って、感情が全くないわけではないですから、そこは新しい視点として開拓できる可能性があるように思いました。例えば『ドラゴンの目』では無敵の海の魔王ナックラヴィ—や悪辣なマンティス卿など、とにかく主人公以外のキャラクターが際立っていますが、それに付随して「あなた」にも感情が書き分けられていたと感じています。ご指摘、ありがとうございます!
(ジャラル アフサラールさん)
このシリーズは第二作の「ピラミッドの謎」で魅力ポイントが一定数以下だと「あなたにお手伝いしていただくわけにはいかないわ。正義の心がなさすぎるもの。」とワルキューレに同行を断られるというバットエンド?になりますね。まあ最初からやり直す手もありますが…。
(お返事:田林洋一)
いつもお便り、どうもありがとうございます! 『ピラミッドの謎』のあのエンディングは衝撃的でしたね。魅力ポイントが単なる数値的な飾りでなく、しっかりと動いていた強烈なシーンだと思います。あまり重視されないと思われがちな魅力イベント(戦闘で役に立たない、など)が決定的な役割を果たしますので、「悪人プレイ」を満喫していたプレイヤーはびっくりしたことでしょう。その辺りのポイントの軽重というか、バランスもしっかり取れていましたね。しかしあそこまで言われたら、プレイヤーは心を入れ替えて『迷宮のドラゴン』からやり直すしかないかもしれません(笑)。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
クトゥルフ神話の創始者H.P.ラヴクラフト御大は135年前、1890年8月20日に生誕されました。
ちなみに私のクトゥルフ初体験は、PC-98のクトゥルフ西部劇RPG『ティラムバラム』なので、邪神信仰がアステカ神話と融合しているふしはある。
あ、いや『暗黒教団の陰謀(大瀧啓裕)』の方が先か……?
いずれにせよ、30年以上前の当時はクトゥルフ神話の情報を得るのはとても難しく、本を読んでいて関連を発見すると「おお、これもクトゥルフ……!?」と嬉しくなったものです。(栗本薫『魔境遊撃隊』とか)
From:葉山海月
スーパーの喫煙ボックス。
まろび出た吸い殻に、
口紅のような血の跡べったり。
From:中山将平
僕ら2025年9月7日(日)インテックス大阪で開催の「こみっくトレジャー46」に出店します!!
ブース配置は【4号館C57a】。
18年作り続ける「ゲームブック」や1人用TRPG『ローグライクハーフ』、「モンスター!モンスター!TRPG関連書籍」などを扱います。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(く)=くろやなぎ
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■8/24(日)~8/29(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年8月24日(日)DON-CHANG FT新聞 No.4596
『モンスター!モンスター!の怪物たち』vol.5
・8月10日(日)のTGFF2025にて、ついに『ズィムララのモンスターラリー【ワールド編】』が発売となりました!
それを受けて、イラストレーターDON-CHANG氏がズィムララのモンスターをイラストで紹介するこの企画。
今回は「ズィムララ」での冒険で、プレイヤーたちと敵対することが多そうなデーモン(悪魔)の眷属から「ヴァクカヴューゴ」をピックアップしました。
一見、水牛にサイを加えたモンスターに見えますが、その実力はいかに!?
本編での活躍もどうぞご期待ください!
(葉)
2025年8月25日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4597
アランツァ世界の滅んだ街
・ローグライクハーフやFT書房作品のディープなファンの皆さん、お待たせしました!
アランツァ世界のマニアックな情報として、「第1期」の時代に存在した国や都市をご紹介します。
多くの作品の舞台となっている「第2期」の時代には、すでに滅び、あるいはすっかり様相を変えてしまったこれらの国や都市。
その過去の姿を知ることで、より深く作品を楽しむとともに、新たなシナリオや設定を生み出すきっかけにしていただければと思います。
(く)
2025年8月26日(火)田林洋一 FT新聞 No.4598
『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.8
・田林洋一氏による、1980年代半ばから1992年の間に東京創元社から刊行された「スーパーアドベンチャーゲーム(SAGB)」の一連のゲームブックの解説記事です!
今回は、ファミコンソフトを原作とする「ワルキューレの冒険」シリーズを、ゲーム性とストーリー性のバランスという観点から取り上げます。
『迷宮のドラゴン』の成長システムと魔法、果ては『時の鍵の伝説』のパーティコントロールと、巻を追うごとにゲームシステムの発展が図られた本シリーズ。
それはストーリーの上で主人公とプレイヤーの距離をどこまで近づけるかという問題とも無縁ではありません。
プレイヤーの好きに動かせる主人公は無色透明であったほうがいい反面、主人公がプレイヤーの意志に構わず行動する場合はキャラクターが際立っていた方がいい。
この二律背反にどう折り合いをつけて中道を目指すか?
今もって難しい課題に切り込みを入れるヒントが見つかるかもしれません。
(明)
2025年8月27日(水)ぜろ FT新聞 No.4599
第2回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・プレイヤー視点とキャラクター視点を交えた独特の語り口による、ぜろ氏のリプレイ第453回。
今回の内容は、プロローグの続きとルール説明、そしてキャラクターシート(冒険記録紙)の確認です。
すっきりわかりやすいデザインで、大事な情報がぎゅっと詰め込まれたキャラクターシート。
冒険の仲間、装備品、そしてもうひとつの魔法の時計…。
その1ページの中に、これから起こりうる未来を垣間見ながら、主人公ミナの冒険の準備が進んでいきます。
(く)
2025年8月28日(木)東洋夏 FT新聞 No.4600
ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイvol.4
・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、
東洋夏氏による「写身の殺人者」リプレイ第4回目です。
北方都市サン・サレンを脅かす、「自分の姿をした何かに殺される夢を見た者が、実際に殺される」奇妙な連続殺人事件。
件の悪夢を見てしまった聖騎士見習いの少年シグナスと、喋る「おどる剣」クロによる捜査が続きます。
中間イベントを迎え、少年シグナスはとうとう『写身の殺人者』と遭遇!
しかし、何故か頼れるクロも見当たらず、シグナス1人で立ち向かう事になり……!
悪夢が正夢にならぬよう、どうぞ応援してあげて下さい!
(天)
2025年8月29日(金)休刊日 FT新聞 No.4601
・休刊日のお知らせ
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(緒方直人さん)
『死はパラグラフに留まる——ゲームブックにおける「殺意」と死の意味について』面白かったです。死(ゲームオーバー)をどのように扱うかが作家によってこんなにも違うとは驚きの視点でした。特に死が物語からの非常口であるという点、確かに激ムズゲームブックに苦労してると「もう嫌だ!終わりにしてくれ!殺してくれー!」とか発狂しちゃう時、ありますもんね。ある意味、なんて優しい「死」もあるのだろうと感心しちゃいました。
(お返事:くろやなぎ)
ご感想ありがとうございます! 死(ゲームオーバー)のパラグラフの位置づけや描写は、その作品のストーリーや雰囲気はもちろん、ゲーム上のシステムからも影響や制約を受けますので(たとえば「ミツユビオニトカゲ」的なシステムがある場合は、ひとまず特定のパラグラフに行く必要がある等)、作家さんや作品の特徴が総合的に反映されやすいのかもしれません。『送り雛』は、ある意味では「巻き込まれ型」の物語で、さらに読者に対しても主体的な解釈を要求する作品なので、主人公目線でも読者目線でも「もう何も考えずに眠りたい…」的な気持ちが発生するのもよくわかる気がしていて、非常口的な幕引きが用意されていることに納得感がありますね。
(ジャラル アフサラールさん)
ゲームブックの「死」で有名な<14に行け>のハービー・ブレナンの『ドラキュラ城の血闘』では、ドラキュラ伯爵を倒す為にヘルシング教授と一緒に「きみ」は戦っているうちに噛まれすぎると自分が吸血鬼になってしまいドラキュラの僕としてヘルシング教授と戦う「ドラキュラ篇」が始まるという2部構成になっていて、これも「死」の別パターンなのかと思います。
(お返事:くろやなぎ)
『ドラキュラ城の血闘』のご紹介ありがとうございます。死や敗北が物語の「終わり」ではなく転機となり、ゲーム上の仕掛けとしても機能しているケースですね。二見書房版・創土社版ともに入手困難なのが残念ですが、二見書房版は国立国会図書館でデジタル化作業中のようですので、将来デジタルコレクションで読めることを楽しみにしています!
(ププププーさん)
FT新聞いつも楽しみにしております。
8月26日のスーパーアドベンチャーがよく判る本記事につきまして、意見が異なる箇所がありましたので感想として送らせていただきます。
vol4とvol8において、ゴールデン・ドラゴン・シリーズの主人公像を没個性的な「無色透明な君」として語られています。個人的に意見が異なる部分でした。
このシリーズの総論としては、無色透明な主人公という部分は理解できますが各作品ではその辺りかなり違うと考えます。
ドラゴンの目(ウルリックイベントで侮蔑・恐怖、物語の最初と最後で任務が容易いと語る軽口?余裕を見せる)、炎の神殿(油断した敵に唾を吐きかけようとして自重、物語らぬ像に略奪しないと語り掛ける誇り高さと敬意を表す心)等明確に強い個性を持たされております。
失われた魂の城でもそれより個性としては薄いかもしれませんが攻略自体には善性を試されており、それに応える主人公像を想定されていると思います。
このシリーズ全ての作品が「無色透明の君」とは言えないと考えます。名前を自由に付けられるにしても、「無色透明」と総論で語るのはやや粗い表現であるように思われました。
私SNSでゲームブック感想を報告するのが趣味ですので、そうしようかと考えましたがこの方法で感想として伝えさせていただきます。
田林先生の記事につきましては、「ベルゼブルの竜」主人公も無色透明として判別されておりました。私はこれには完全同意でして、自分の趣味範囲でSNS報告しようと考えておりました。今後の記事でどのように取り扱われるのか楽しみにしております。
(お返事:田林洋一)
いつも拙記事をご愛読くださり、どうもありがとうございます。そして、新たな気づきを投げかけてくださって感謝しております! 確かに、「名前がない」からといって「主人公キャラクターに個性がない」というのは違うかもしれません。『ドラゴンの目』のウルリックイベントはそれだけで恐怖ですが、キャラクターの個性が色濃く出た瞬間でもありましたね。また、『炎の神殿』は序盤にミンキーというサルと仲良くなるなど、優しさと誇り強さが見られました。もちろん無色透明の君だからと言って、感情が全くないわけではないですから、そこは新しい視点として開拓できる可能性があるように思いました。例えば『ドラゴンの目』では無敵の海の魔王ナックラヴィ—や悪辣なマンティス卿など、とにかく主人公以外のキャラクターが際立っていますが、それに付随して「あなた」にも感情が書き分けられていたと感じています。ご指摘、ありがとうございます!
(ジャラル アフサラールさん)
このシリーズは第二作の「ピラミッドの謎」で魅力ポイントが一定数以下だと「あなたにお手伝いしていただくわけにはいかないわ。正義の心がなさすぎるもの。」とワルキューレに同行を断られるというバットエンド?になりますね。まあ最初からやり直す手もありますが…。
(お返事:田林洋一)
いつもお便り、どうもありがとうございます! 『ピラミッドの謎』のあのエンディングは衝撃的でしたね。魅力ポイントが単なる数値的な飾りでなく、しっかりと動いていた強烈なシーンだと思います。あまり重視されないと思われがちな魅力イベント(戦闘で役に立たない、など)が決定的な役割を果たしますので、「悪人プレイ」を満喫していたプレイヤーはびっくりしたことでしょう。その辺りのポイントの軽重というか、バランスもしっかり取れていましたね。しかしあそこまで言われたら、プレイヤーは心を入れ替えて『迷宮のドラゴン』からやり直すしかないかもしれません(笑)。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2025年8月29日金曜日
休刊日のお知らせ FT新聞 No.4601
おはようございます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。
毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
FT新聞編集部一同
■FT新聞へのご投稿はコチラ!
こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。
毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
FT新聞編集部一同
■FT新聞へのご投稿はコチラ!
こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm
■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2025年8月28日木曜日
ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイvol.4 FT新聞 No.4600
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイ vol.4
(東洋 夏)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!
東洋 夏(とうよう なつ)と申します。
本日はサン・サレンが舞台のd33シナリオ『写身の殺人者』のリプレイ小説をお届けいたします。
製本版『雪剣の頂 勇者の轍』に収録された、サン・サレン四部作のひとつです。
ファンメイドのリプレイとなりますが、お楽しみいただけましたら幸いです。
この連載は隔週でお送りしており、本日は第四回にあたります。
今日が初めての方にもお楽しみいただけるよう、まずは少しだけ主人公たちと前回までのあらすじをご紹介させていただきますね。
主人公を務めますのは、十二歳の聖騎士見習いシグナスと、元人間だと主張する不思議な〈おどる剣〉クロ。主人公ふたりをプレイヤーひとりが担当するスタイルでお送りします。
シグナスとクロは居合わせたサン・サレンの街で「悪夢殺人」とでも言うべき事件に遭遇します。これは自分の姿をした何者かに殺される夢を見て、その後、現実でも殺されてしまう。そんな気味の悪い事件なのですが、ついにシグナスもその悪夢を見てしまいました。
このままでは自分の身にも危険が及ぶということで捜査に乗り出したふたりでしたが、前回のリプレイでは、我こそは巷を騒がす殺人犯だという三人組に襲われた挙句、市場では金貨をすられるという災難に見舞われます。
ダイス目からはシグナスくんの人間に剣を向けることをためらう優しい性格が明らかになり、プレイヤーはこの厳しい世界で彼が騎士として生きて行けるのか、不安で胸がいっぱいになってきました。
そんなところから今回の冒険は始まります。
悪夢は待ってくれません。追い付かれる前に解決に到れるか、いざダイスに問うてみましょう!
なお、ここから先はシナリオのネタバレを前提に記述します。プレイするまで内緒にしておいてくれという方は一旦この新聞を閉じ、代わりにシナリオを開いてサン・サレンにお出かけいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは捜査の記録をご覧あれ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
[探索記録4]中間イベント:路地裏の襲撃
市場から一本離れた路地裏は、人通りもなく静かである。シグナスはスリに刃物で底を切られた財布から金貨を取り出し、ローブをまさぐって、少しはまともそうな場所にしまい直す。
「踏んだり蹴ったりだよ」
と口を尖らせたシグナスに、
「動いた証拠だ」
クロは言った。
「領主館から出て、主人の手を借りず歩いているのだから」
「慰めてくれてるの?」
「さあな」
次は何処へ行くべきだろうか。市場は確かに人が沢山いたが、落ち着いて話が出来るような所ではなかった。最初に事件が起こった家とか、そういう所から探すのが良いのかもしれない。シグナスは自分の頬をぱちんと叩いて、気合いを入れた。
「調査続行だ!」
(※さて、このイベントでは「出目21」を通過しているかを問われます。ゲームブックっぽくて面白いですね。FT書房様の作品ならではという感じがします。出目21は薬局です。そう、いの一番に出たアグピレオ先生の薬局です。その場合は、こうシナリオに書かれています。「君は真っ暗な空間で、自分そっくりの殺人者と一対一で戦う」と。シグナスくん、これは危険な気配がしますよ!)
雪が溶けて、所々に水溜まりが出来ている。うっかり足を突っ込まないよう下を向いて歩く。そこだけ見れば確かに春らしい青空と、サン・サレンの尖った屋根の民家、それから自分の顔。異国にいるのだ、という実感が急に湧いてきて、じっと眺めてしまった。
すると、奇妙なことにシグナスは気づく。水溜まりの中の自分が、勝手に動いているような気がするのだ。不審に思い、試しに右腕を上げてみると、水溜まりの中の自分は不気味な形に唇を吊り上げて、にやりと笑い返すではないか。
「えっ、何!?」
身をすくませたシグナスに向かって、水溜まりの中からもう一人のシグナスが勢いよく飛び出し、組み付くと、さらに抵抗を許さない速さでこちらの顔に手を伸ばした。
「やめろ!」
顔を抉られてはたまらない。必死に振りほどいて目を開けると、そこは路地裏ではなかった。路地裏ではないどころか、恐らく何処でもなかった。のっぺりとした薄暗闇が前後左右に広がっている。クロもいない。邪悪なまじないに囚われてしまったのだろうか。
微かに金属が触れ合う音がして振り返ると、そこに自分が立っていた。にやにや笑いは水溜まりに映った時と同じである。自分はこんな嫌らしい顔をしているのだろうか。違う。絶対に違う。これほど邪悪な顔はしていないはずだ。そうですよね。そう言ってください、どうか此処に来て、サー・ノックス! そして善神セルウェー様、お救いください! 自分のニセモノに襲われてるんです!
必死に念じたが奇跡は起こらなかった。闇は闇のままで、もう一人の自分は気持ち悪い笑いを顔に張りつけたまま、抜き身の剣を持ってぶらぶらと近づいてきた。
(落ち着け、落ち着くんだ、僕)
自分の姿をした殺人者に襲われる。これはまさしく、悪夢の後に訪れるという状況だ。
(じゃあさ、もしこいつが犯人なら……)
ここで懲らしめたら解決するんじゃなかろうか。サー・ノックスにも感心していただけるはず!
シグナスは意を決して剣を抜いた。
「い、いくぞ殺人犯! 覚悟しろっ」
(※戦う相手は〈写身の襲撃者〉。レベル4、生命点3、攻撃数1。反応表は常に【死ぬまで戦う】です。一対一ですから、今回はクロの援護は得られません。技量点0のシグナスにはレベル4は立派な強敵。踏ん張りどころですよ、シグナスくん。さて大切な初撃、1ラウンドの攻撃は……出目1、ファンブル(大失敗)! これはまずい。大変まずいです。防御ロールの方もあえなく失敗してしまいました。どう見ても弱気になっています)
突きつけた切っ先が震えている。正直なところ、実戦らしい実戦は初めてなのだ。酔っ払いに立ち向かった時とは違うってところを見せるんだぞ、と自分に言い聞かせて駆け出してみる。サー・ノックス曰く、何事も機先を制するのが第一だという。ニセモノの自分が反応するより早く、まずは斬りつけることだ。
「ええい!」
しかしシグナスの渾身の一撃は、呆気なくかわされる。にやにや笑ったままニセモノはひょいと体を捻っただけで避けてみせ、そこから素早くシグナスの肩を剣で突いた。
「ひっ……」
飛び退いたシグナスは思わず自分の肩を触り、指先に赤い血が付いたのを見てぞっとする。まやかしではなく、本当に怪我をしているのだ。
(※2ラウンド目。ここで流れを引き寄せたいので、技能【全力攻撃】を使います。筋力点を使って攻撃ロールの判定を行うことが出来るという技ですね。単純な技能ではありますが、技能点0、筋力点3のシグナスにとっては大きな加点です。ここで攻撃成功、さらに防御を出目6で成功させました。別に防御でクリティカル(大成功)が出てもボーナスはないのですが、気分的にこう、完璧に見切ったぞという盛り上がりを得ることが出来ますね。1ラウンド目とはガラッと出目が変わりましたので、シグナスくんの闘争心にようやく火が付いたということでしょうか)
これは現実。まじないの類だとしても、戦って敗れれば死が待つのみ。
そう飲み込んだシグナスの体内が、燃え上がるように、かあっと熱くなった。今まで遠慮がちだった戦士としての資質が、さあ解き放てと叫んでいるのを感じる。深呼吸をすると、体の隅々まで心地好い緊張感が伝播した。
「我こそは、サー・ノックスの一番弟子シグナス。お前の悪行もここまでだ!」
鋭い踏み込みと共に走った刃が、ニセモノの腕をすっぱりと斬り裂く。狼狽したニセモノの放った剣撃は蝸牛の如く遅く感じられ、シグナスはそれを易々と弾き返した。
(見えてる)
世界の中で自分だけが速くなったような。加速しているような。そんな不思議な高揚感が沸き起こる。
(※3ラウンド目。何しろ筋力点が3しかないので、通常の攻撃に賭けます。何と今回は攻撃防御ともすんなり成功しました。いいぞいいぞ。調子に乗って4ラウンド目も引き続き振りますと、ここでシグナスくん頑張りました、連続成功で勝利となります!)
二撃目も極めて正確だ。にやにや笑いを引っ込めたニセモノの肩にシグナスは剣を突き刺し、素早く引っ込めた。ニセモノの反撃は届かない。
シグナスの心はますます澄み渡っている。今なら無敵だと思えるほどに。三撃目は、ついに致命傷を与えた。ニセモノの首をざっくりと斬ったのである。その不気味な手応えでシグナスは我に返った。
(僕は何を喜んでるんだろう。人間に斬りつけることが楽しいだなんて)
ニセモノがゆっくりと倒れ込むと同時に、闇が晴れる。正常な世界に戻ってきたのだ。しかし視界がおかしい。どうやら今、シグナスは仰向けになって空を見ているらしかった。
「どういうこと」
「お前が暴れたからだ」
その言葉に驚いて体を起こそうとすると、肩口がひどく痛む。刺されたのだから当然だ。
「クロ! 無事だったんだね」
「オレの目玉を潰そうとした奴の言葉とは思えんな」
「え?」
「水溜まりを見ていたら突然わめきだして、オレに斬りかかって、目玉を突こうとしたんだぞ」
「そんな事するはずないじゃん! それにクロも見てたでしょ、水溜まりの中から僕にそっくりなのが出てきたところ!」
「……いいや?」
「嘘つかないでよ。僕は、僕のニセモノと戦ってたんだから! 突然真っ暗になってさ、クロなんてそこにいなかったよ!」
「……」
〈おどる剣〉は首を傾げる代わりに、空中で斜め四十五度に傾いた。
シグナスは混乱する。クロは嘘を言わないと思う。でも僕が経験した、あの戦いは嘘じゃなかったはずだ。どういう事なんだ、と。
その時、シグナスは漂う香りに気づいた。こんな路地裏には似合わない香り。アグピレオ先生の薬局で飲ませてもらったハーブティーの香りがするのだ。路地裏には似つかわしくない気もするが、悪夢がはびこり出してから売れ行き好調だという話なので、路地に面した家で誰かが淹れているのかもしれない。先生の穏やかな顔を思い出すと、少しだけ気分が落ち着いたようだった。
(※戦闘に勝利した後、ランダムに従者を選び目標値4の【幸運ロール】を実施します。失敗すると、主人公はいきなり武器を振りかざして従者に襲い掛かり、その従者の命を奪ってしまうとのこと。今回は従者がいないため、シグナスがクロに対して判定をすることにしますが、判定は……失敗。主人公ふたりプレイの場合の記述がございませんので、ここは「クロが生命点に1ダメージを受けた」という処理にさせていただきます)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回のリプレイは以上となります。
ついに殺人犯が再び襲ってきました!
タイトルの『写身の殺人者』に繋がるイベント名ということで、実はここでも「手がかり」を入手するチャンスがあったのですが、戦闘後の【幸運ロール】失敗により空振りになってしまいました。なかなか上手くいきませんね。しかしその上手くいかない感が、レベル7であるシグナスくんの半人前っぷりをリアルに表している気もしています。
個人的な話ですが、私はこのリプレイを書いている時にちょうど仕事で行き詰っており、シグナスくんの悪戦苦闘が他人事ではなく思われて、砕けた心をそのまま貼り付けるようにして文章を書いていました。
読者の皆様も空回りする自分や部下を見るような気持ちでやきもきされているかもしれませんが、努力する者が報われますよう、引き続き応援していただければ嬉しいです。
それではまた、再来週の木曜日にお目にかかりましょう。
良きローグライクハーフを!
◇
(登場人物)
・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。殺人者の悪夢を見ておねしょした。
・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。元は人間かつ騎士だと主張している。
・ノックス…シグナスの主人。超が付くほど厳格な聖騎士。
・ベルールガ…ノックスの同僚の聖騎士。優しい。
・サン・サレンの領主…殺人者の悪夢に苛まれている。
・アグピレオ…領主付きの医師。心が落ち着くハーブティーの売り上げが好調。
■作品情報
作品名:『写身の殺人者』
著者:ロア・スペイダー
イラスト:海底キメラ
監修:杉本=ヨハネ、紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/6820046
『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイ vol.4
(東洋 夏)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!
東洋 夏(とうよう なつ)と申します。
本日はサン・サレンが舞台のd33シナリオ『写身の殺人者』のリプレイ小説をお届けいたします。
製本版『雪剣の頂 勇者の轍』に収録された、サン・サレン四部作のひとつです。
ファンメイドのリプレイとなりますが、お楽しみいただけましたら幸いです。
この連載は隔週でお送りしており、本日は第四回にあたります。
今日が初めての方にもお楽しみいただけるよう、まずは少しだけ主人公たちと前回までのあらすじをご紹介させていただきますね。
主人公を務めますのは、十二歳の聖騎士見習いシグナスと、元人間だと主張する不思議な〈おどる剣〉クロ。主人公ふたりをプレイヤーひとりが担当するスタイルでお送りします。
シグナスとクロは居合わせたサン・サレンの街で「悪夢殺人」とでも言うべき事件に遭遇します。これは自分の姿をした何者かに殺される夢を見て、その後、現実でも殺されてしまう。そんな気味の悪い事件なのですが、ついにシグナスもその悪夢を見てしまいました。
このままでは自分の身にも危険が及ぶということで捜査に乗り出したふたりでしたが、前回のリプレイでは、我こそは巷を騒がす殺人犯だという三人組に襲われた挙句、市場では金貨をすられるという災難に見舞われます。
ダイス目からはシグナスくんの人間に剣を向けることをためらう優しい性格が明らかになり、プレイヤーはこの厳しい世界で彼が騎士として生きて行けるのか、不安で胸がいっぱいになってきました。
そんなところから今回の冒険は始まります。
悪夢は待ってくれません。追い付かれる前に解決に到れるか、いざダイスに問うてみましょう!
なお、ここから先はシナリオのネタバレを前提に記述します。プレイするまで内緒にしておいてくれという方は一旦この新聞を閉じ、代わりにシナリオを開いてサン・サレンにお出かけいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは捜査の記録をご覧あれ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
[探索記録4]中間イベント:路地裏の襲撃
市場から一本離れた路地裏は、人通りもなく静かである。シグナスはスリに刃物で底を切られた財布から金貨を取り出し、ローブをまさぐって、少しはまともそうな場所にしまい直す。
「踏んだり蹴ったりだよ」
と口を尖らせたシグナスに、
「動いた証拠だ」
クロは言った。
「領主館から出て、主人の手を借りず歩いているのだから」
「慰めてくれてるの?」
「さあな」
次は何処へ行くべきだろうか。市場は確かに人が沢山いたが、落ち着いて話が出来るような所ではなかった。最初に事件が起こった家とか、そういう所から探すのが良いのかもしれない。シグナスは自分の頬をぱちんと叩いて、気合いを入れた。
「調査続行だ!」
(※さて、このイベントでは「出目21」を通過しているかを問われます。ゲームブックっぽくて面白いですね。FT書房様の作品ならではという感じがします。出目21は薬局です。そう、いの一番に出たアグピレオ先生の薬局です。その場合は、こうシナリオに書かれています。「君は真っ暗な空間で、自分そっくりの殺人者と一対一で戦う」と。シグナスくん、これは危険な気配がしますよ!)
雪が溶けて、所々に水溜まりが出来ている。うっかり足を突っ込まないよう下を向いて歩く。そこだけ見れば確かに春らしい青空と、サン・サレンの尖った屋根の民家、それから自分の顔。異国にいるのだ、という実感が急に湧いてきて、じっと眺めてしまった。
すると、奇妙なことにシグナスは気づく。水溜まりの中の自分が、勝手に動いているような気がするのだ。不審に思い、試しに右腕を上げてみると、水溜まりの中の自分は不気味な形に唇を吊り上げて、にやりと笑い返すではないか。
「えっ、何!?」
身をすくませたシグナスに向かって、水溜まりの中からもう一人のシグナスが勢いよく飛び出し、組み付くと、さらに抵抗を許さない速さでこちらの顔に手を伸ばした。
「やめろ!」
顔を抉られてはたまらない。必死に振りほどいて目を開けると、そこは路地裏ではなかった。路地裏ではないどころか、恐らく何処でもなかった。のっぺりとした薄暗闇が前後左右に広がっている。クロもいない。邪悪なまじないに囚われてしまったのだろうか。
微かに金属が触れ合う音がして振り返ると、そこに自分が立っていた。にやにや笑いは水溜まりに映った時と同じである。自分はこんな嫌らしい顔をしているのだろうか。違う。絶対に違う。これほど邪悪な顔はしていないはずだ。そうですよね。そう言ってください、どうか此処に来て、サー・ノックス! そして善神セルウェー様、お救いください! 自分のニセモノに襲われてるんです!
必死に念じたが奇跡は起こらなかった。闇は闇のままで、もう一人の自分は気持ち悪い笑いを顔に張りつけたまま、抜き身の剣を持ってぶらぶらと近づいてきた。
(落ち着け、落ち着くんだ、僕)
自分の姿をした殺人者に襲われる。これはまさしく、悪夢の後に訪れるという状況だ。
(じゃあさ、もしこいつが犯人なら……)
ここで懲らしめたら解決するんじゃなかろうか。サー・ノックスにも感心していただけるはず!
シグナスは意を決して剣を抜いた。
「い、いくぞ殺人犯! 覚悟しろっ」
(※戦う相手は〈写身の襲撃者〉。レベル4、生命点3、攻撃数1。反応表は常に【死ぬまで戦う】です。一対一ですから、今回はクロの援護は得られません。技量点0のシグナスにはレベル4は立派な強敵。踏ん張りどころですよ、シグナスくん。さて大切な初撃、1ラウンドの攻撃は……出目1、ファンブル(大失敗)! これはまずい。大変まずいです。防御ロールの方もあえなく失敗してしまいました。どう見ても弱気になっています)
突きつけた切っ先が震えている。正直なところ、実戦らしい実戦は初めてなのだ。酔っ払いに立ち向かった時とは違うってところを見せるんだぞ、と自分に言い聞かせて駆け出してみる。サー・ノックス曰く、何事も機先を制するのが第一だという。ニセモノの自分が反応するより早く、まずは斬りつけることだ。
「ええい!」
しかしシグナスの渾身の一撃は、呆気なくかわされる。にやにや笑ったままニセモノはひょいと体を捻っただけで避けてみせ、そこから素早くシグナスの肩を剣で突いた。
「ひっ……」
飛び退いたシグナスは思わず自分の肩を触り、指先に赤い血が付いたのを見てぞっとする。まやかしではなく、本当に怪我をしているのだ。
(※2ラウンド目。ここで流れを引き寄せたいので、技能【全力攻撃】を使います。筋力点を使って攻撃ロールの判定を行うことが出来るという技ですね。単純な技能ではありますが、技能点0、筋力点3のシグナスにとっては大きな加点です。ここで攻撃成功、さらに防御を出目6で成功させました。別に防御でクリティカル(大成功)が出てもボーナスはないのですが、気分的にこう、完璧に見切ったぞという盛り上がりを得ることが出来ますね。1ラウンド目とはガラッと出目が変わりましたので、シグナスくんの闘争心にようやく火が付いたということでしょうか)
これは現実。まじないの類だとしても、戦って敗れれば死が待つのみ。
そう飲み込んだシグナスの体内が、燃え上がるように、かあっと熱くなった。今まで遠慮がちだった戦士としての資質が、さあ解き放てと叫んでいるのを感じる。深呼吸をすると、体の隅々まで心地好い緊張感が伝播した。
「我こそは、サー・ノックスの一番弟子シグナス。お前の悪行もここまでだ!」
鋭い踏み込みと共に走った刃が、ニセモノの腕をすっぱりと斬り裂く。狼狽したニセモノの放った剣撃は蝸牛の如く遅く感じられ、シグナスはそれを易々と弾き返した。
(見えてる)
世界の中で自分だけが速くなったような。加速しているような。そんな不思議な高揚感が沸き起こる。
(※3ラウンド目。何しろ筋力点が3しかないので、通常の攻撃に賭けます。何と今回は攻撃防御ともすんなり成功しました。いいぞいいぞ。調子に乗って4ラウンド目も引き続き振りますと、ここでシグナスくん頑張りました、連続成功で勝利となります!)
二撃目も極めて正確だ。にやにや笑いを引っ込めたニセモノの肩にシグナスは剣を突き刺し、素早く引っ込めた。ニセモノの反撃は届かない。
シグナスの心はますます澄み渡っている。今なら無敵だと思えるほどに。三撃目は、ついに致命傷を与えた。ニセモノの首をざっくりと斬ったのである。その不気味な手応えでシグナスは我に返った。
(僕は何を喜んでるんだろう。人間に斬りつけることが楽しいだなんて)
ニセモノがゆっくりと倒れ込むと同時に、闇が晴れる。正常な世界に戻ってきたのだ。しかし視界がおかしい。どうやら今、シグナスは仰向けになって空を見ているらしかった。
「どういうこと」
「お前が暴れたからだ」
その言葉に驚いて体を起こそうとすると、肩口がひどく痛む。刺されたのだから当然だ。
「クロ! 無事だったんだね」
「オレの目玉を潰そうとした奴の言葉とは思えんな」
「え?」
「水溜まりを見ていたら突然わめきだして、オレに斬りかかって、目玉を突こうとしたんだぞ」
「そんな事するはずないじゃん! それにクロも見てたでしょ、水溜まりの中から僕にそっくりなのが出てきたところ!」
「……いいや?」
「嘘つかないでよ。僕は、僕のニセモノと戦ってたんだから! 突然真っ暗になってさ、クロなんてそこにいなかったよ!」
「……」
〈おどる剣〉は首を傾げる代わりに、空中で斜め四十五度に傾いた。
シグナスは混乱する。クロは嘘を言わないと思う。でも僕が経験した、あの戦いは嘘じゃなかったはずだ。どういう事なんだ、と。
その時、シグナスは漂う香りに気づいた。こんな路地裏には似合わない香り。アグピレオ先生の薬局で飲ませてもらったハーブティーの香りがするのだ。路地裏には似つかわしくない気もするが、悪夢がはびこり出してから売れ行き好調だという話なので、路地に面した家で誰かが淹れているのかもしれない。先生の穏やかな顔を思い出すと、少しだけ気分が落ち着いたようだった。
(※戦闘に勝利した後、ランダムに従者を選び目標値4の【幸運ロール】を実施します。失敗すると、主人公はいきなり武器を振りかざして従者に襲い掛かり、その従者の命を奪ってしまうとのこと。今回は従者がいないため、シグナスがクロに対して判定をすることにしますが、判定は……失敗。主人公ふたりプレイの場合の記述がございませんので、ここは「クロが生命点に1ダメージを受けた」という処理にさせていただきます)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回のリプレイは以上となります。
ついに殺人犯が再び襲ってきました!
タイトルの『写身の殺人者』に繋がるイベント名ということで、実はここでも「手がかり」を入手するチャンスがあったのですが、戦闘後の【幸運ロール】失敗により空振りになってしまいました。なかなか上手くいきませんね。しかしその上手くいかない感が、レベル7であるシグナスくんの半人前っぷりをリアルに表している気もしています。
個人的な話ですが、私はこのリプレイを書いている時にちょうど仕事で行き詰っており、シグナスくんの悪戦苦闘が他人事ではなく思われて、砕けた心をそのまま貼り付けるようにして文章を書いていました。
読者の皆様も空回りする自分や部下を見るような気持ちでやきもきされているかもしれませんが、努力する者が報われますよう、引き続き応援していただければ嬉しいです。
それではまた、再来週の木曜日にお目にかかりましょう。
良きローグライクハーフを!
◇
(登場人物)
・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。殺人者の悪夢を見ておねしょした。
・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。元は人間かつ騎士だと主張している。
・ノックス…シグナスの主人。超が付くほど厳格な聖騎士。
・ベルールガ…ノックスの同僚の聖騎士。優しい。
・サン・サレンの領主…殺人者の悪夢に苛まれている。
・アグピレオ…領主付きの医師。心が落ち着くハーブティーの売り上げが好調。
■作品情報
作品名:『写身の殺人者』
著者:ロア・スペイダー
イラスト:海底キメラ
監修:杉本=ヨハネ、紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/6820046
『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
2025年8月27日水曜日
第2回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4599
第2回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。
ぜろです。
はじまりました「狂える魔女のゴルジュ」リプレイ。
前回は、長い導入。主人公ミナ・ガーデンハートが家族と散り散りになったいきさつが語られました。
盗賊都市ネグラレーナへと生活の拠点を移したニナとミナ。ニナは盗賊ギルドへ、ミナは魔法学園へ。
ミナがからくり都市チャマイへの留学を決めたことで、2人の生活の場は離れます。
しかし、魔法の成果が上がらないミナはあるとき、魔道具を求めて学園へ忍び込みます。
そこで偶然、自身が師事する教授が禁断の研究を行っており、まさにその研究成果を秘密裏に持ち出そうとする現場を目撃するのでした。
そしてミナは、その「研究成果」を、こっそり横取りしようと画策するのでした。
●アタック01-4 闇の加護
モータス教授たちの密談の盗み聞きによれば、「魔法の時計」は時計塔にあるという。
ボクは時計塔に先回りすることにした。
教授たちが秘密の話を続けている隙に、先んじて校長室に忍び込んで、時計塔の鍵を盗み出した。
ついでに、キーケースの中の各部屋の鍵を、いくつか入れ替えておいた。
時計塔の鍵のスロットには、明らかに時計塔のものではないとわかる、器具庫の鍵をセットしておいた。
これで、しばらくは時間を稼げるはず。
ボクは校舎を出、時計塔へ。入口の鍵はばっちり合った。がちゃりと鍵を開け、時計塔の内部階段を上る。
入るのは初めてだ。モータス教授の言っていた魔法の時計は、どこにあるのだろう。
巧妙に隠されていたら、見つけられないかもしれない。ここはボクの運に賭けるしかない。
巨大な歯車が回る空間の中に、それはあった。
研究施設みたいになってる。大理石の台座に、小さな時計たちが並んでいる。
こんなに堂々と置いてあって、見つからないものなのか。
もしかしたら、年に1回程度のメンテナンスの時くらいしか、時計塔に入る人はいないのかもしれない。
そうだよね。入る人がほとんどいないから、隠し場所にはもってこいだったわけで。
台座に並べられている時計は、全部で7個。
ボクは魅入られたように、時計のひとつに手を伸ばした。
時計に触れた瞬間、心に声が響いた。
「汝……力を欲する者か……」
問いかけだ。昏くいびつで、ぞっとするほどに荘厳な声。
ボクは理解した。この時計の力を使いこなせるようになるためには、この声の主に応じなければならないと。
この時計の形を模した魔道具には、モータス教授が言っていたとおり、本当に、禁断の力が宿っていると。
ボクに、迷いはなかった。
姉たちを助ける力を手に入れるためには、なんだってやる。
師匠を出し抜いて研究成果を横取りだってする。謎の声の主の力も借りる。禁断の魔道具を使いこなしてみせる。
どんなに罪を重ねても、愛を裏切らない。
そう、誓ったから。
ボクは、声の主の提案を、受け入れた。
「ボク、ミナ・ガーデンハートは、この導きに感謝し、闇神オスクリード様の御名を永遠に讃えることを、ここに誓います」
こうしてボクは、闇神オスクリードの信徒となった。
その瞬間、ざわざわ、とした奇妙な感覚が体中を駆け巡る。
「あ……あっ……」
意識はそのままに、身体そのものが、別のものに置きかわっていくような、不思議な感覚。
でもそれは、恐怖を感じるものではなく、むしろ心地良いもので……。その心地よさが、逆に不安をかきたてた。
闇の神様に、祝福されているということ?
その感覚は、やがておさまった。
じっと手を見る。
肌の色が、変わっていた。闇色に近い、暗い色調に。闇の神の加護を受けた証だ。
ボクは自分自身が、取り返しのつかない状態になったことを悟った。
……でも、後悔はない。
自分で選んだことだから。
これで力が得られたのなら。これがその代償というのなら。
さあ、モータス教授たちがここに来る前に、退散しよう。
ボクは、急いで6個の腕時計をベルトにつけ、残る1個の懐中時計を首からかけた。
他にあった補助的な器具も持てるだけ持つと、急ぎ足で螺旋階段を下る。
入口に近づいたところで、外からざわついた気配を感じた。
教授たちが来たに違いない。
戸口にがちゃりと手がかけられる音がした。
「鍵がかかっていません。やはり、何者かが入り込んでいるようです」
「なんということだ。とにかく早く。侵入者を排除し、アレを確保せねば」
左右を見回す。隠れられる場所はない。
ボクは戸口の影の壁際に、気配を殺して立つほかなかった。
時計塔の扉が開く。モータス教授とその連れの小男が、急ぎ足で階段を駆け上がっていった。
教授たちがあわてふためいていたこと、そして闇色の肌が、ボクを闇に溶け込ませてくれたこと。2つの幸運が重なって、ボクは見つからずに済んだ。
このまま時計塔の鍵を閉めてしまえば、モータス教授たちは逃げ場を失い、逮捕されるかもしれない。
そんなよこしまな考えが一瞬だけよぎったが、すぐに振り払った。
教授はボクに、素晴らしい研究成果を与えてくれたんだ。感謝しかない。
不正がなんだっていうんだ。ボクが今している罪、そして闇の神様に魅入られたことを思えば、なんてことはない。
ボクは時計塔の鍵をそっと置くと、開いたままの入口から外に出た。
そしてボクは、夜の闇に紛れた。
●アタック01-5 時の魔法使い
ボクは、早々にチャマイを立ち去ることにした。
数少ない友だちに、別れも告げずに去ることになるが仕方がない。最初からそのつもりだったし。
ボクは最初から、学園の魔道具を盗み出して消えるつもりだった。
だから、学園の宿舎には二度と戻らないつもりで出た。逃走の準備は万端だ。
最初の計画では、安宿に泊まりつつ、ほとぼりが冷めるのを待って逃走するつもりだった。
けれどそこは、計画の変更を余儀なくされた。
肌の色が変わったボクが知り合いに会ってしまうリスクを思えば、早急に動いた方がいい。
今回の事態が発覚するには、もう少し時間がかかるだろう。
しかも、最初に矛先が向くのはモータス教授たちだ。
いつ動くのか。今でしょ。
ボクは、闇夜に紛れて朝を待った。
開門を待ち、朝の喧騒に紛れて、正門から堂々と外に出た。
もしかしたら、モータス教授たちが門のそばで、時計を盗んだ者がいないか観察しているかもしれない。
けれど、誰がやったかはわからないはず。実物さえ隠しておけば、見つかることはないはずだ。
それに、あちらもおたずねものになるのだ。いくら時計を取り戻したくても、そんな余裕はないと思う。
ボクは、何の問題もなくチャマイから外に出ることができた。
チャマイから北に向けて旅をしながら、盗み出した魔道具の研究を、少しずつ進めた。
オスクリード様は信仰告白の際に、ボクに「魔法の時計」の知識を与えてくれていた。それがボクの望みだったから。
だから魔法学園で落ちこぼれかけていたボクなんかでも、時の時計の構造を理解することができた。
モータス教授の10年分の成果を、実物だけでなく知識面からも得てしまうなんて、とんだチート能力だ。
野営をしながら、焚火の前に時計を並べる。
ボクが持ち出した7つの魔法の時計が、炎のゆらめきを映し、神秘的な光沢を放っている。
時計は全部、止まっている。魔法を使うときだけ時を刻む、不思議な時計だ。
その1つ1つに対応した、時の魔法がある。
つまりボクは、時を操る7つの力を持っていることになる。
モータス教授のメモによれば、7つの時計には名称がある。
・枝分かれの未来時計
・速撃の戦時計
・時もどしの回復時計
・うたかたの齢時計
・跳兎の懐中時計
・夢渡りの覚醒時計
・刻々の狭間時計
7つの力を持ってるって言ったけど、実は今すぐに7つの力全部が使えるわけじゃない。
モータス教授は、「ほぼ完成している」と言っていた。
3つの時計は完成していて、すぐに使うことができる。
残る時計は歯車が不足していて、歯車を見つけ、修理することで使えるようになる。
そして、ボクはあの時計塔から、時計だけでなく歯車も3枚持ってきた。
その歯車を使ってどの時計を修理するかで、どの魔法を最初から使えるか、選ぶことができるってこと。
モータス教授の研究メモからわかった7つの時魔法について、ここで簡単に説明しておくよ。
きっと覚えきれないと思うから、だいたいでいい。また使う時になったら説明するから。
まずは、最初から使える3つの魔法から。
【枝分かれの未来時計】
この魔法を使うと、パラグラフの番号に「↑」マークがついている範囲を自由に行き来できる。
「指セーブ」をルール化したみたいなものだ。
【うたかたの齢時計】
10年単位で年齢を変えられる魔法。変身じゃなくて、実際に若くもなれば老いもする。
けっこう集中力が必要で、集中が切れたら元に戻ってしまう。
【跳兎の懐中時計】
数年から十数年くらい昔に時間をさかのぼれる魔法。自分だけ過去の世界に行ける。
これも集中力が切れると元の時代に戻る。
あと、跳兎の懐中時計は表紙や裏表紙にイラストが載ってるやつ。兎のデザインがかわいすぎて神。
次に、修理が必要な魔法の時計が4つ。
【速撃の戦時計】
スピードがマッハに。2倍速の魔法。歯車1枚で修理できる。
【時もどしの回復時計】
身体の時間を戻すことで、身体に受けた悪い影響をすべて取り去り回復する。歯車2枚で修理できる。
【夢渡りの覚醒時計】
仲間を悪夢から守る。悪夢を吸い取り、悪夢袋に入れる。歯車1枚で修理できる。
【刻々の狭間時計】
時を止めるザ・ワールド。消耗も大きい。歯車3枚で修理できる。
時の魔法は使う時に「悪夢」を消費する。悪夢って言われてもピンとこないと思うけど。
だからボクは、悪夢を蓄えるための「悪夢袋」を持ってる。時計と一緒に置いてあったものだ。
悪夢袋は闇色の小さな袋。不思議なことに、出し入れする口はない。小さな風船みたい。
7袋あって、今は悪夢をたくわえてふくらんでいる。
入っているのは、ボクの悪夢だ。覚えてないけど、けっこう悪夢を見ているみたい。
悪夢を持ち歩くってヘンな話だけど、夢の持つエネルギー?みたいなのを蓄えるらしい。
ボクの悪夢だけでなく、ほかの誰かの悪夢を蓄えることもできる。
悪い夢を持ち歩いている、と思うと気味が悪いけど、ボクにはこれが必要なんだ。
ボクが研究しながら理解してきた時の魔法は、こんなとこかな。
●インターミッション ルール説明
ここからようやく、ルール説明のパートが始まる。
いつもはここは、プレイヤーの人が説明的にやるところだけど、ここまでボク主体でやってきたから、ここもそのままいこう。
ボクのステイタスを示す、専用のキャラクターシートがある。
すっきりまとまってる。とってもわかりやすい。視認性がいいのは大事。
ルールとか説明とかあんまり読まなくても、キャラクターシートを見れば、ある程度推測できてしまうくらい。
んー。自分で自分のキャラシー説明するなんて、なんだか変な気分。
ボクの体力点は4点。ハートの形でチェックできるようになってる。0点になるとゲームオーバー。
次に、使える悪夢袋の数が、袋の形でチェックできるようになってる。
金貨は7枚、歯車は3枚持ってる。
その横に「不死化傷」という意味深なフレーズがあるけど、説明にはない。
吸血鬼が登場する作品なので、吸血鬼に傷つけられた場合とかにチェックが入るのかもしれない。
それから、持ってる時計の名前がずらり、並んでる。
修理に必要な歯車の数も見てわかるようになってる。
そして実は、8か所目のところに、カッコ書きで(〜時計)という欄が作られている。
つまり、冒険中に8個目の時の魔法が手に入る可能性があるってこと。
モータス教授にしか作れない超レア技術のはずなのに、いったいなにがあれば8個目の魔法を手にできるのだろう。
興味は尽きないね。
その下には、装備品の欄が。
5つの装備品がすでに名前つきで並んでおり、入手したらチェックするようになっている。
5つの装備品とは、「銀のナイフ」「ニンニク」「聖水」「羊皮紙」「吸血鬼ごろし」。
ほとんどが吸血鬼対策のアイテムだ。
最初から入手できるアイテムの名前がわかっているというのも親切設計だ。
これだけでも、いろいろ予想する材料になる。
さらに、仲間の欄がある。
仲間の欄には、3人のキャラクターの名前があり、チェックを入れられるようになっている。
「ボラミー」「フェル」「マイトレーヤ」の3人だ。
マイトレーヤのところにはさらに「待機」という項目にチェックを入れられるようになっている。
そして、ルール上は何も言及がないけれど、いちばん下にメモ欄があり、小さく「精密」という項目にチェックを入れられるようになっている。
これは非常に気になる。こういうところに、クリアのために必須ななにかが隠れている気がしてならない。
ルールの確認はこんなところかな。
これはボクからしたら、時の魔法の力で、未来に起きるかもしれないことを、ほんの少しだけ垣間見た気分だ。
そうだ。このキャラクターシートは、ボクが未来の可能性を感じ取った記録、ってことにしよう。
こうすることで、何か変わるのかって?
実はすごい変化がある。
これまでキャラクターシートは、プレイヤーのものだった。
でもボクの力なら、キャラクターシートに書かれていることは、未来の記憶として、ボクも知っていることにできる。
未来の記憶と言っても確定じゃない。起こるかもしれない未来の可能性だ。
たとえば、「ボラミー」という人物が登場したのなら、ボクは、その人物が仲間になるかもしれない未来があることを知っている、ということになるんだよ。
これって、すごいことだ。これだけで、このリプレイの記述そのものが変わってくるって思わない?
未来の記憶を引き出すのは、過去の記憶を思い出すのとまったく同じ感覚だ。
ただ、夢を見ているみたいにおぼろげで、はっきりしない。未来を思い出すって、すごく不思議。
じゃあ、ルールも確認できたところで、歯車3枚を使って、時計を修理しよう。
歯車は、一度はめると、ボクの技術ではもう外すことはできない。だから、修理する時計は慎重に選ばなければいけない。
まずは、その素早さで戦いや逃走に役立ちそうな、【速撃の戦時計】。体術に自信のないボクの弱点を補う時計だ。
そして回復は大事ということで、【時もどしの回復時計】にしよう。
【速撃】の修理に歯車1個、【時もどし】の修理に歯車2個を使うから、これで使い切りだ。
これで準備は整った。次回からは、ステイタスが決まったボクの冒険本番がはじまる。
【ミナ 体力点4/4 悪夢袋7/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。
■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/4897513
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。
ぜろです。
はじまりました「狂える魔女のゴルジュ」リプレイ。
前回は、長い導入。主人公ミナ・ガーデンハートが家族と散り散りになったいきさつが語られました。
盗賊都市ネグラレーナへと生活の拠点を移したニナとミナ。ニナは盗賊ギルドへ、ミナは魔法学園へ。
ミナがからくり都市チャマイへの留学を決めたことで、2人の生活の場は離れます。
しかし、魔法の成果が上がらないミナはあるとき、魔道具を求めて学園へ忍び込みます。
そこで偶然、自身が師事する教授が禁断の研究を行っており、まさにその研究成果を秘密裏に持ち出そうとする現場を目撃するのでした。
そしてミナは、その「研究成果」を、こっそり横取りしようと画策するのでした。
●アタック01-4 闇の加護
モータス教授たちの密談の盗み聞きによれば、「魔法の時計」は時計塔にあるという。
ボクは時計塔に先回りすることにした。
教授たちが秘密の話を続けている隙に、先んじて校長室に忍び込んで、時計塔の鍵を盗み出した。
ついでに、キーケースの中の各部屋の鍵を、いくつか入れ替えておいた。
時計塔の鍵のスロットには、明らかに時計塔のものではないとわかる、器具庫の鍵をセットしておいた。
これで、しばらくは時間を稼げるはず。
ボクは校舎を出、時計塔へ。入口の鍵はばっちり合った。がちゃりと鍵を開け、時計塔の内部階段を上る。
入るのは初めてだ。モータス教授の言っていた魔法の時計は、どこにあるのだろう。
巧妙に隠されていたら、見つけられないかもしれない。ここはボクの運に賭けるしかない。
巨大な歯車が回る空間の中に、それはあった。
研究施設みたいになってる。大理石の台座に、小さな時計たちが並んでいる。
こんなに堂々と置いてあって、見つからないものなのか。
もしかしたら、年に1回程度のメンテナンスの時くらいしか、時計塔に入る人はいないのかもしれない。
そうだよね。入る人がほとんどいないから、隠し場所にはもってこいだったわけで。
台座に並べられている時計は、全部で7個。
ボクは魅入られたように、時計のひとつに手を伸ばした。
時計に触れた瞬間、心に声が響いた。
「汝……力を欲する者か……」
問いかけだ。昏くいびつで、ぞっとするほどに荘厳な声。
ボクは理解した。この時計の力を使いこなせるようになるためには、この声の主に応じなければならないと。
この時計の形を模した魔道具には、モータス教授が言っていたとおり、本当に、禁断の力が宿っていると。
ボクに、迷いはなかった。
姉たちを助ける力を手に入れるためには、なんだってやる。
師匠を出し抜いて研究成果を横取りだってする。謎の声の主の力も借りる。禁断の魔道具を使いこなしてみせる。
どんなに罪を重ねても、愛を裏切らない。
そう、誓ったから。
ボクは、声の主の提案を、受け入れた。
「ボク、ミナ・ガーデンハートは、この導きに感謝し、闇神オスクリード様の御名を永遠に讃えることを、ここに誓います」
こうしてボクは、闇神オスクリードの信徒となった。
その瞬間、ざわざわ、とした奇妙な感覚が体中を駆け巡る。
「あ……あっ……」
意識はそのままに、身体そのものが、別のものに置きかわっていくような、不思議な感覚。
でもそれは、恐怖を感じるものではなく、むしろ心地良いもので……。その心地よさが、逆に不安をかきたてた。
闇の神様に、祝福されているということ?
その感覚は、やがておさまった。
じっと手を見る。
肌の色が、変わっていた。闇色に近い、暗い色調に。闇の神の加護を受けた証だ。
ボクは自分自身が、取り返しのつかない状態になったことを悟った。
……でも、後悔はない。
自分で選んだことだから。
これで力が得られたのなら。これがその代償というのなら。
さあ、モータス教授たちがここに来る前に、退散しよう。
ボクは、急いで6個の腕時計をベルトにつけ、残る1個の懐中時計を首からかけた。
他にあった補助的な器具も持てるだけ持つと、急ぎ足で螺旋階段を下る。
入口に近づいたところで、外からざわついた気配を感じた。
教授たちが来たに違いない。
戸口にがちゃりと手がかけられる音がした。
「鍵がかかっていません。やはり、何者かが入り込んでいるようです」
「なんということだ。とにかく早く。侵入者を排除し、アレを確保せねば」
左右を見回す。隠れられる場所はない。
ボクは戸口の影の壁際に、気配を殺して立つほかなかった。
時計塔の扉が開く。モータス教授とその連れの小男が、急ぎ足で階段を駆け上がっていった。
教授たちがあわてふためいていたこと、そして闇色の肌が、ボクを闇に溶け込ませてくれたこと。2つの幸運が重なって、ボクは見つからずに済んだ。
このまま時計塔の鍵を閉めてしまえば、モータス教授たちは逃げ場を失い、逮捕されるかもしれない。
そんなよこしまな考えが一瞬だけよぎったが、すぐに振り払った。
教授はボクに、素晴らしい研究成果を与えてくれたんだ。感謝しかない。
不正がなんだっていうんだ。ボクが今している罪、そして闇の神様に魅入られたことを思えば、なんてことはない。
ボクは時計塔の鍵をそっと置くと、開いたままの入口から外に出た。
そしてボクは、夜の闇に紛れた。
●アタック01-5 時の魔法使い
ボクは、早々にチャマイを立ち去ることにした。
数少ない友だちに、別れも告げずに去ることになるが仕方がない。最初からそのつもりだったし。
ボクは最初から、学園の魔道具を盗み出して消えるつもりだった。
だから、学園の宿舎には二度と戻らないつもりで出た。逃走の準備は万端だ。
最初の計画では、安宿に泊まりつつ、ほとぼりが冷めるのを待って逃走するつもりだった。
けれどそこは、計画の変更を余儀なくされた。
肌の色が変わったボクが知り合いに会ってしまうリスクを思えば、早急に動いた方がいい。
今回の事態が発覚するには、もう少し時間がかかるだろう。
しかも、最初に矛先が向くのはモータス教授たちだ。
いつ動くのか。今でしょ。
ボクは、闇夜に紛れて朝を待った。
開門を待ち、朝の喧騒に紛れて、正門から堂々と外に出た。
もしかしたら、モータス教授たちが門のそばで、時計を盗んだ者がいないか観察しているかもしれない。
けれど、誰がやったかはわからないはず。実物さえ隠しておけば、見つかることはないはずだ。
それに、あちらもおたずねものになるのだ。いくら時計を取り戻したくても、そんな余裕はないと思う。
ボクは、何の問題もなくチャマイから外に出ることができた。
チャマイから北に向けて旅をしながら、盗み出した魔道具の研究を、少しずつ進めた。
オスクリード様は信仰告白の際に、ボクに「魔法の時計」の知識を与えてくれていた。それがボクの望みだったから。
だから魔法学園で落ちこぼれかけていたボクなんかでも、時の時計の構造を理解することができた。
モータス教授の10年分の成果を、実物だけでなく知識面からも得てしまうなんて、とんだチート能力だ。
野営をしながら、焚火の前に時計を並べる。
ボクが持ち出した7つの魔法の時計が、炎のゆらめきを映し、神秘的な光沢を放っている。
時計は全部、止まっている。魔法を使うときだけ時を刻む、不思議な時計だ。
その1つ1つに対応した、時の魔法がある。
つまりボクは、時を操る7つの力を持っていることになる。
モータス教授のメモによれば、7つの時計には名称がある。
・枝分かれの未来時計
・速撃の戦時計
・時もどしの回復時計
・うたかたの齢時計
・跳兎の懐中時計
・夢渡りの覚醒時計
・刻々の狭間時計
7つの力を持ってるって言ったけど、実は今すぐに7つの力全部が使えるわけじゃない。
モータス教授は、「ほぼ完成している」と言っていた。
3つの時計は完成していて、すぐに使うことができる。
残る時計は歯車が不足していて、歯車を見つけ、修理することで使えるようになる。
そして、ボクはあの時計塔から、時計だけでなく歯車も3枚持ってきた。
その歯車を使ってどの時計を修理するかで、どの魔法を最初から使えるか、選ぶことができるってこと。
モータス教授の研究メモからわかった7つの時魔法について、ここで簡単に説明しておくよ。
きっと覚えきれないと思うから、だいたいでいい。また使う時になったら説明するから。
まずは、最初から使える3つの魔法から。
【枝分かれの未来時計】
この魔法を使うと、パラグラフの番号に「↑」マークがついている範囲を自由に行き来できる。
「指セーブ」をルール化したみたいなものだ。
【うたかたの齢時計】
10年単位で年齢を変えられる魔法。変身じゃなくて、実際に若くもなれば老いもする。
けっこう集中力が必要で、集中が切れたら元に戻ってしまう。
【跳兎の懐中時計】
数年から十数年くらい昔に時間をさかのぼれる魔法。自分だけ過去の世界に行ける。
これも集中力が切れると元の時代に戻る。
あと、跳兎の懐中時計は表紙や裏表紙にイラストが載ってるやつ。兎のデザインがかわいすぎて神。
次に、修理が必要な魔法の時計が4つ。
【速撃の戦時計】
スピードがマッハに。2倍速の魔法。歯車1枚で修理できる。
【時もどしの回復時計】
身体の時間を戻すことで、身体に受けた悪い影響をすべて取り去り回復する。歯車2枚で修理できる。
【夢渡りの覚醒時計】
仲間を悪夢から守る。悪夢を吸い取り、悪夢袋に入れる。歯車1枚で修理できる。
【刻々の狭間時計】
時を止めるザ・ワールド。消耗も大きい。歯車3枚で修理できる。
時の魔法は使う時に「悪夢」を消費する。悪夢って言われてもピンとこないと思うけど。
だからボクは、悪夢を蓄えるための「悪夢袋」を持ってる。時計と一緒に置いてあったものだ。
悪夢袋は闇色の小さな袋。不思議なことに、出し入れする口はない。小さな風船みたい。
7袋あって、今は悪夢をたくわえてふくらんでいる。
入っているのは、ボクの悪夢だ。覚えてないけど、けっこう悪夢を見ているみたい。
悪夢を持ち歩くってヘンな話だけど、夢の持つエネルギー?みたいなのを蓄えるらしい。
ボクの悪夢だけでなく、ほかの誰かの悪夢を蓄えることもできる。
悪い夢を持ち歩いている、と思うと気味が悪いけど、ボクにはこれが必要なんだ。
ボクが研究しながら理解してきた時の魔法は、こんなとこかな。
●インターミッション ルール説明
ここからようやく、ルール説明のパートが始まる。
いつもはここは、プレイヤーの人が説明的にやるところだけど、ここまでボク主体でやってきたから、ここもそのままいこう。
ボクのステイタスを示す、専用のキャラクターシートがある。
すっきりまとまってる。とってもわかりやすい。視認性がいいのは大事。
ルールとか説明とかあんまり読まなくても、キャラクターシートを見れば、ある程度推測できてしまうくらい。
んー。自分で自分のキャラシー説明するなんて、なんだか変な気分。
ボクの体力点は4点。ハートの形でチェックできるようになってる。0点になるとゲームオーバー。
次に、使える悪夢袋の数が、袋の形でチェックできるようになってる。
金貨は7枚、歯車は3枚持ってる。
その横に「不死化傷」という意味深なフレーズがあるけど、説明にはない。
吸血鬼が登場する作品なので、吸血鬼に傷つけられた場合とかにチェックが入るのかもしれない。
それから、持ってる時計の名前がずらり、並んでる。
修理に必要な歯車の数も見てわかるようになってる。
そして実は、8か所目のところに、カッコ書きで(〜時計)という欄が作られている。
つまり、冒険中に8個目の時の魔法が手に入る可能性があるってこと。
モータス教授にしか作れない超レア技術のはずなのに、いったいなにがあれば8個目の魔法を手にできるのだろう。
興味は尽きないね。
その下には、装備品の欄が。
5つの装備品がすでに名前つきで並んでおり、入手したらチェックするようになっている。
5つの装備品とは、「銀のナイフ」「ニンニク」「聖水」「羊皮紙」「吸血鬼ごろし」。
ほとんどが吸血鬼対策のアイテムだ。
最初から入手できるアイテムの名前がわかっているというのも親切設計だ。
これだけでも、いろいろ予想する材料になる。
さらに、仲間の欄がある。
仲間の欄には、3人のキャラクターの名前があり、チェックを入れられるようになっている。
「ボラミー」「フェル」「マイトレーヤ」の3人だ。
マイトレーヤのところにはさらに「待機」という項目にチェックを入れられるようになっている。
そして、ルール上は何も言及がないけれど、いちばん下にメモ欄があり、小さく「精密」という項目にチェックを入れられるようになっている。
これは非常に気になる。こういうところに、クリアのために必須ななにかが隠れている気がしてならない。
ルールの確認はこんなところかな。
これはボクからしたら、時の魔法の力で、未来に起きるかもしれないことを、ほんの少しだけ垣間見た気分だ。
そうだ。このキャラクターシートは、ボクが未来の可能性を感じ取った記録、ってことにしよう。
こうすることで、何か変わるのかって?
実はすごい変化がある。
これまでキャラクターシートは、プレイヤーのものだった。
でもボクの力なら、キャラクターシートに書かれていることは、未来の記憶として、ボクも知っていることにできる。
未来の記憶と言っても確定じゃない。起こるかもしれない未来の可能性だ。
たとえば、「ボラミー」という人物が登場したのなら、ボクは、その人物が仲間になるかもしれない未来があることを知っている、ということになるんだよ。
これって、すごいことだ。これだけで、このリプレイの記述そのものが変わってくるって思わない?
未来の記憶を引き出すのは、過去の記憶を思い出すのとまったく同じ感覚だ。
ただ、夢を見ているみたいにおぼろげで、はっきりしない。未来を思い出すって、すごく不思議。
じゃあ、ルールも確認できたところで、歯車3枚を使って、時計を修理しよう。
歯車は、一度はめると、ボクの技術ではもう外すことはできない。だから、修理する時計は慎重に選ばなければいけない。
まずは、その素早さで戦いや逃走に役立ちそうな、【速撃の戦時計】。体術に自信のないボクの弱点を補う時計だ。
そして回復は大事ということで、【時もどしの回復時計】にしよう。
【速撃】の修理に歯車1個、【時もどし】の修理に歯車2個を使うから、これで使い切りだ。
これで準備は整った。次回からは、ステイタスが決まったボクの冒険本番がはじまる。
【ミナ 体力点4/4 悪夢袋7/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。
■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/4897513
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。
登録:
投稿 (Atom)