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2025年11月6日木曜日

ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイvol.9 FT新聞 No.4670

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ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイ vol.9
 
 (東洋 夏)
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 FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!
 東洋 夏(とうよう なつ)と申します。

 本日はサン・サレンが舞台のd33シナリオ『写身の殺人者』のリプレイ小説をお届けいたします。
 製本版『雪剣の頂 勇者の轍』に収録された、サン・サレン四部作のひとつです。
 ファンメイドのリプレイとなりますが、お楽しみいただけましたら幸いです。

 この連載は隔週でお送りしており、本日は第九回にあたります。
 冒険は最終イベントに突入しておりますが、今日が初めての方にもお楽しみいただけるよう、少しだけ主人公たちと前回までのあらすじをご紹介させていただきますね。
 主人公を務めますのは、聖騎士見習いの少年シグナスと、元人間だと主張する不思議な〈おどる剣〉クロ。主人公ふたりをプレイヤーひとりが担当するスタイルでお送りします。
 シグナスとクロは居合わせたサン・サレンの街で「悪夢殺人」とでも言うべき事件に遭遇します。これは自分の姿をした何者かに殺される夢を見て、その後、現実でも殺されてしまう。そんな気味の悪い事件なのですが、ついにシグナスもその悪夢を見てしまいました。
 犯人を捕まえるべく捜査に乗り出したふたり。前々回のリプレイでは、宮廷医アグピレオの下働きにして連続殺人事件の犯人〈写身の殺人者〉と対決。これを仕留めました。しかし前回のリプレイにて我らがシグナスくんは驚くべきことを言い出します。
 「下働きは本当の犯人ではない」
と。それでは真犯人は誰なのか。調査を続けるべく動き出したふたりの前に現れたのは……。
 信じられた大人に裏切られたシグナス。最悪の対決を乗り切ることはできるのでしょうか。というところで、今回のリプレイは開幕します。

 
 なお、ここから先はシナリオのネタバレを前提に記述します。プレイするまで内緒にしておいてくれという方は一旦この新聞を閉じ、代わりにシナリオを開いてサン・サレンにお出かけいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 それでは真なる犯人との対峙をご覧あれ。
 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
 
[真・最終イベント/写身の殺人者アグピレオ]

(※真犯人、真なる〈写身の殺人者〉として立ちはだかるのは、シグナスくんが信用しきっていた宮廷医アグピレオ先生でした。先生のレベルは5、生命点4、攻撃数2。こちらが呆気に取られている間に不意打ちを仕掛けようとしてきます。こんな時もアグレッシブ・アグピレオ先生、健在ですね。嫌な意味で。しかしこれは「手がかり」をひとつ消費することで回避できますので、ここでなけなしの「手がかり」を使うことにします。手番はこちらから。0ラウンドはクロの【凶器乱舞】から始まり、無難に成功を収めました)

 呆然としているシグナスの横を、クロが風を切って飛んでいく。アグピレオが凄まじい速さで肩口に突き刺さった〈おどる剣〉を見て、悲鳴を上げた。
「大人しく降参しろ! もう逃げられないぞ」

(※0ラウンドのアグピレオ先生は幻覚剤をまき散らすという蛮行に走ります。アグレッシブが過ぎる! 「手がかり」をふたつ使用すればこれも事前に予測できるとのことですが、あいにく「手がかり」はひとつしか持っていません。素直に判定に進みます。対象は主人公ですが【ゴーレム】のタグを持つ〈おどる剣〉には効きませんので、シグナスくんのみ判定をします。目標値は……おっと驚異の「7」です。シグナスの出目は「3」で失敗。恐ろしいことに全ての【判定ロール】に-1の修正が入ってしまいます!)

 クロが降伏勧告をしている間に、アグピレオは机の上にあった硝子製のフラスコを掴むと、その封をさり気ない動作で破った。しゅうと音を立てて何かがフラスコから飛び出して拡散する。
「吸うな!」
 クロが叫んだが、遅かった。激しい目眩に襲われたシグナスはよろよろと後退し、壁に背中を預けて力無く座り込む。クロはシグナスから注意を引き剥がすように、反対側で蜂のように素早く飛び回った。
「くそ、もう少し早く気づければ」
 血の通う生命ではない〈おどる剣〉に毒は効かない。しかしシグナスを連れて退却しようにも、手足のないクロだけでは扉を開くことが出来なかった。これほど我が身を恨んだことは無かっただろう。独りでも戦うしかない。
「厄介な」
「それは私の台詞ですよ。よりにもよって邪魔者が毒の届かないゴーレムとはね。……いえ、考えようによっては最高のチャンスかもしれないな。お前には目がついているのですから」
「貴様、何を考えている」

(※1ラウンド。シグナス、クロともに失敗。防御もふたりとも失敗と、かなりの動揺が見受けられます)

 そこに回復したシグナスが飛びかかった。良い一撃のように見えたが、しかし際どくかわされる。そして、
「ぐっ」
 シグナスの上腕が切り裂かれた。いつの間にかアグピレオの両手には不気味な色に光るメスが現れている。
「シグナ……っ!?」
 カバーに入ろうとしたクロの刀身に、何とアグピレオはメスを突き立て叩き落とした。尋常の反射神経ではない。鍛えられた騎士ならともかく、宮廷医の身のこなしとは、とても信じられなかった。
「アグピレオ先生」
 肩を弾ませて息をしながら、シグナスは祈るような思いで言う。
「嘘でしょう、こんなの! 先生は街の人や御領主様を助けるために、ハーブティーを調合してたんじゃないんですか!?」
「ああ。それは効率的に幻覚を見せるためですよ。ナリクの聖騎士には一切お出ししていない。しかし香りを嗅いだだけでも、君には効果が出始めたようだね。それで実験的に、次の段階に進むための特別製のものを飲んでもらった訳だよ。明晰さを発揮されては困る。わかりますか?」
 幼子を諭すような穏やかな口調に、シグナスは悲しみを覚えた。何としてでも止めなくてはならない。そして真実を語ってもらわねば。
「先生、ごめんなさい。僕は騎士としてあなたと戦わなくちゃいけないです」
「職業意識とは、悲しいものですね」

(※2ラウンド。シグナス、クロともに再び失敗。クロに到ってはファンブル(大失敗)です。防御は幻覚剤のペナルティが痛く、シグナスくん失敗)

 シグナスは斬りかかった。しかしまだ視覚が正常ではないのか、剣はアグピレオに届かない。たたらを踏んだところにまたメスが一閃。先程とは反対の腕を刃がえぐって行った。
 クロは、シグナスのもたついた動きの予測が付かず、飛び込む事が出来ない。迂闊に飛び込めば同士討ちをしてしまいそうなのだ。
 
 (※3ラウンド。シグナス、クロともに三度失敗。クロが再びのファンブルです。どうしても相棒を案じて近づけない様子。防御はシグナス、クロともに何と何とファンブルを出してしまいまいました! ここでまた恐ろしいことに、アグピレオ先生のメスには毒が塗ってあるとのこと。防御ファンブルの場合は毒が強く作用するのか、錯乱して他のキャラクターに襲い掛かってしまいます(※【毒】属性なので【ゴーレム】には無効)。襲い掛かられたキャラクター、この場合はクロが目標値4の【幸運ロール】に挑戦して、避けられたかを判定します。クロの出目は3、技量点を加算してギリギリセーフ……)
 
 そうこうしている間に、まるで簡単な日常の治療行為だとでもいうような平静さで、アグピレオはシグナスの太ももにメスを突き立てた。
「ああああああっ!」
 相棒の悲鳴を聞いて反射的に飛びかかったクロの剣身にも、冷静な手つきで振られたメスが垂直に突き立つ。みしりと刀身が軋む嫌な音がして、クロはそれ以上抵抗できずに床に落ちた。損傷が酷い。再起動しなくてはシグナスを守れないが、まだばらばらにならずに動けるだろうか。
 そう思ったところに、何故か喚きながらシグナスが襲いかかってくる。あの時と同じだ、シグナスが水溜まりからニセモノが出てきたと言ったあの時と。クロは錯乱した相棒の一撃を、間一髪で避けた。
「シグナス!」
 こちらの声も聞こえていないのか、若き従騎士はクロを通り過ぎたところでへたり込む。
アグピレオがつかつかと歩いて来て、シグナスの顔に手を添えた。
「さあシグナス君。見せてください、そう、その顔です、恐怖を味わっていますね! ああっ、素晴らしい! 新しい私が見える!」
「何を、仰って……せん、せ……」
「そのままですよ、シグナス君。毒が回ってきましたね。怖いでしょう? 怖いですよね?」
アグピレオは恍惚とした目でシグナスを眺めている。
「少し解説をしてあげましょう。私は特殊な持病を持っています。自分の顔を認識できない、というね。恐ろしいことです。自分が居ないのです。世界のどこにも存在できない幽霊のように思えます。幼い頃は誰にも理解されませんでした。しかし長じて実験を重ねるうちに判明したのです。ある薬を服用させた上で死んだ者の目と、同じく薬により恐怖した者の目に映る自分の顔だけは判別できるのだと」
「それで、こんな……誰かを殺すなんてことを……」
「ええ。いつか私も病が癒えることを願っています。ですが医者としてはただ待つばかりではなく、治療法を探すべきです。その為には試行回数を重ねなければなりません。故に私は大規模な実験を行うことにしました」
 それがハーブティーである。ハーブには幻覚剤が染み込ませてあるが、元来の香りに紛れて誰も気づかない。悪夢による恐怖が強まれば話題になり、話題になれば宮廷医自らが往診しても不自然ではない。ハーブティーなのであれば、その人の症状に合わせたと称して様々な濃度や配合を試すことが出来る。
 自然、アグピレオには住民思いの熱心な医者だという評判も立ち、ますます薬局は栄え、誰一人疑わずにハーブティーを買っていったのだろう。そして最後は、アグピレオが手を下すまでもなく錯乱して自傷を起こし、死んでいくのだ。
 その死体はもちろんアグピレオの検死に回されて、死後の瞳に関する実験第二弾の役に立つわけである。下働きは、聖騎士たちを退去させるための隠蔽。全てが繋がっていく。全てが。
「種族、年齢、性別、体格、血統、出身地、病歴。そういったもののサンプルは幾つあってもよろしい。偶然を必然とするのは、愚かな事ですからね。そういう訳で君たちは最高のサンプルになります。ナリク民と〈おどる剣〉、そんな貴重なサンプルをね、私は手放しませんよ。いい顔です、シグナスくん、シーグナースくーーーん、あは、あはははははは!」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
 今回のリプレイは以上となります。
 ええ、最悪に最悪を重ねてお送りいたしました。
 シグナスくんには自分に襲われる悪夢よりも悪夢のような展開にはまりこみ抵抗できず、クロの方も生命点1まで追い込まれてしまいました。対するアグピレオ先生は余裕綽々の生命点3。
 満身創痍のふたりに勝ち目はあるのか、それとも冷たい死に飛び込んで行くのか。

 再来週の木曜日、決着の時をどうぞお待ちください。
 良きローグライクハーフを!
 
 ◇
 
 (登場人物)
 ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。殺人者の悪夢を見ておねしょした。
 ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。元は人間かつ騎士だと主張している。
 ・ノックス…シグナスの主人。超が付くほど厳格な聖騎士。
 ・ベルールガ…ノックスの同僚の聖騎士。優しい。
 ・サン・サレンの領主…殺人者の悪夢に苛まれている。
 ・アグピレオ…領主付きの医師。その真の姿は〈写身の殺人者〉。

■作品情報
作品名:『写身の殺人者』
著者:ロア・スペイダー
イラスト:海底キメラ
監修:杉本=ヨハネ、紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/6820046
『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録


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2025年11月5日水曜日

第12回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4669

第12回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。


ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
闇神オスクリードの加護を得た魔法の時計を駆使し、「還らずの森」深くの吸血鬼の館に赴きます。
しかし姉の救出は間に合わず、吸血鬼によって命を落とし。
間に合わなかった後悔とともに、謎の声に導かれ、ミナは時を遡り、森へ入る前へと戻されているのでした。
そうとは知らないミナは、前回の旅を悪夢の思い出として、旅を始めます。
森の案内人、ノームのフェルを加えたことで、また違った経験を積みながら、ローズ家の館へ再突入。
<跳兎の懐中時計>で遡った過去の世界で、ティナを助け出すことに成功したのでした。


【ミナ 体力点4/4 悪夢袋1/7】
金貨 3枚
歯車 1枚
・羊皮紙
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
【精密】


●アタック02-12 吸血鬼との対決

<跳兎の懐中時計>で10日前に遡り、拷問部屋に囚われていた、命を落とす前のティナ姉を救出した。
かたく抱きしめ、再会を喜び合うボクとティナ姉。感情が崩壊し、涙が止まらない。
けど、こうしてはいられない。ボクがここにいられる時間は短い。
ボクが元の時間に戻ったら、ティナ姉はひとりになってしまう。
その前に、できることをしなければ。

「よく聞いて。1階に、ビバイア・ローズという男がいる。彼は信用できる。事情を話して、かくまってもらって。ボクは一緒には行けない。10日後に必ず会いに行くから」

ティナ姉を館の外に連れ出して、ひとりで外縁の村まで脱出してもらうことも考えた。
でも、あのゾンビ墓地を切り抜けられるとは、どうしても思えなかった。
10日前のビバイアはまだこっちの事情を知らないけれど、そろそろ病から回復する兆候は見えていると思う。
それなら、この方法に賭けるしかない。
ティナ姉はうなずき、ボクに言った。

「エナは、森のゴルジュに隔離されている。『血をきれいにする』とあの吸血鬼が」

すべてを聞き終える前に目の前の光景が切り替わり、ティナ姉の姿が消え、かわりにフェルの姿があった。
<跳兎の懐中時計>の過去と今との切り替わりは一瞬だ。ボクは現在に戻った。
ここはワイン蔵。血の入ったワイン樽はない。よかった。ビバイアがきっとティナ姉をかくまってくれている。

「ここにもいないってことは、やっぱり『ゴルジュ』とやらに行ってるのかな」

フェルがそんなことを言った。ティナ姉の遺体をワイン樽から発見したことは、なかったことになっている。
その時、どかどかと階段を駆け下りる激しい足音がした。

「やべえ。見つかったか」

隠れる暇もない。たちまちワイン蔵に乗り込んできたのは、青白い顔をした男だった。きつい死臭を漂わせている。人間ではないのだ。
この館の住人は少ない。ローズ家の当主にして吸血鬼である、マルティン・ローズその人にほかならない。
獣性と知性の両方を感じられる赤く鋭い瞳がボクを射貫いた。

「我が館に侵入するとはいい度胸だ。闇エルフか。侵入者がどうなるか、その身をもって知ってもらおう」

マルティン・ローズはにやりと笑う。口の端から2本の牙がのぞいていた。

「ボクは闇エルフじゃない。姉さんを取り戻しにきたんだ」

それを聞くと、吸血鬼は嘲笑した。つかつかと歩み寄り、ボクの目の前に立つ。

「知らないようだから言ってやるが、お前は闇落ちして闇エルフになった。哀れなものよ。もう姉たちとは違う世界の住人だ」

その言葉は、ボクが薄々そうじゃないかと思いながらも、心の中で必死に否定していたものだった。
それを突きつけられ、ボクは身体に直接的な衝撃を加えられたようによろめいた。

「おしゃべりは終わりだ」

マルティンはボクを容赦なく殴りつける。体力点に1点のダメージを受ける。
最初からわかっていたけれど、戦いは避けられない。

ボクは最後の1個の悪夢袋を使って、<速撃の戦時計>を動かした。
時計の針がすごい勢いで回り始め、ボクの反応速度も上がる。

けれど、ボクは吸血鬼対策の道具を何も持っていない。
銀のナイフもなければ、ニンニクもない。ただ剣を抜いて、応戦する。

ボクが傷つけても、マルティンの身体の傷は、みるみる塞がっていく。
吸血鬼の力を目の当たりにして、ボクはたじろいだ。
その隙をついて、マルティンはまた腕を振るう。
鋭い爪がボクの肌を裂き、体力点にさらなるダメージを重ねる。ボクは尻もちをついた。
マルティンが歩み寄り、ボクを押さえつける。その牙が、ボクに迫る。

その時、鋭い風切り音がした。
目の前で、マルティンの首を、矢が深々と貫いていた。
マルティンの力がゆるむ。ボクはすかさずその場を逃れた。

「こっちだ!」

フェルが階段の上り口で大きく手招きしている。
ボクはよろけながらも急いで階段へ回り込む。

「このようなものは、効かぬ」

振り向くと、マルティンが首に刺さった矢さえも引き抜き、その傷が塞がっていくのが見えた。
ボクはフェルと階段を駆け上がった。

「どうする。あんなん敵わないぞ。このまま脱出してゴルジュへ行くか?」
「まだ、ここには用がある。もうひとりの姉が」
「じゃあ、どうするんだよ!」

マルティンがすごい足音を立てながら階段を上がってくる。
ボクは1階の、ある部屋へ飛び込んだ。ビバイアの部屋だ。
ビバイアが仰天しているのにかまわず、部屋に踏み込む。ボクの目当てのものが、そこにあった。

「どこへ逃げても無駄だ」

マルティンが部屋の入口に立っていた。
ボクは、部屋に並べられているたくさんの小瓶を手あたり次第に投げつける。
これはビバイアが、自身の治療のために買い求めた数々の聖水だ。吸血鬼の弱点。この館にあるはずがないもの。

額に当たった瓶が割れて、中の液体がマルティンの顔にかかる。
ジュウウ、と焼けるような音と煙を上げながら、皮膚を溶かしていく。

「ぐおぉ……!」

顔を手で覆って悶絶する吸血鬼。
ボクは全力で、体当たりをした。
そのまま、廊下側の木窓に突っ込む。

窓には、太陽光対策の戸板がはめられていた。しかし経年劣化していたそれは、ボクと吸血鬼、2人分の重量を受け、音を立てて壊れた。
廊下に太陽光が射し込む。

のたうちまわりながら、吸血鬼の身体が崩れていく。
吸血鬼は、知性を保ったまま不死性を得ることと引き換えに、多くの弱点を抱えている。
太陽光もそのひとつだ。

「おまえの姉は、ゴルジュにいる。そこで絶望を味わうがいい……」

最期にそう言い残し、マルティンは崩れ去った。


●アタック02-13 ゴルジュへ

廊下で膝を折り、荒い息を吐きながら呼吸を整える。
倒した。吸血鬼を、当主マルティンを、倒した。

部屋から、ビバイアがそっと出てきた。今起きていることを、理解したようだ。

「……あ」

ボクは言葉に詰まった。ボクが今したこと。それがビバイアにとってどんな意味を持つのか。

「ごめんビバイア、あなたの父さんを……」
「いや。いい。それだけのことを、父さんはしてきたんだ。父が私に愛情を向けていたことは知っていたけれど、それでも許されることじゃない」

ビバイアは、そう言って目を伏せた。表情をボクに見せないためか。内心は複雑な思いを抱いているのだろうと思う。
ビバイアの後ろから、ティナ姉が顔をのぞかせた。

よかった。ティナ姉、ちゃんとビバイアのところにいたんだね。

「姉ちゃんか? ビバイアがかくまってくれてたのか。やったじゃないか」

フェルは軽口で喜びの言葉を口にする。

「ビバイア、ありがとう。おかげでティナ姉を助けることができました」
「何を仰るのです。彼女が保護を求めてきたから、私は今日、先生がここに現れると確信できたのですから」

ボクとティナ姉は、再会の感動に打ち震えた。流れる涙が止まらない。
やがてボクは、ティナ姉との抱擁を、そっと解いた。

「……行くのね。ゴルジュへ。エナを助けに」

ボクはうなずく。
そうして、フェルの方を向いた。

「フェルにお願いがある。ティナ姉を、外縁の村まで安全に連れていってほしい」

フェルは沈黙している。ボクはあることに気づいて、言い直した。

「フェルに依頼する。森の案内人として、ティナ姉を外縁の村まで案内してくれないか。報酬は金貨3枚。ここまでの代金と同じだ。いいでしょう?」

ボクは、手持ちの残りの金貨3枚を、フェルに差し出した。

「まあ、キミがそれでいいんなら、引き受けるけどよ。もともとの契約は、吸血鬼を倒すまで、だったしな」
「違うよ。最初の契約は、ボクが姉に会うところまで、だよ」
「あ、そうだっけっか。じゃああと半分残ってるな。でも、金貨3枚分のはたらきはしたよな」

金貨3枚分以上のはたらきだったと思うよ。本当に助かった。
フェルはペンを手にすると、羊皮紙にさらさらと地図を描いた。
この館を出て、ゴルジュへ行く道のりだ。

「依頼は引き受ける。この地図はせんべつだ。ここからはひとりになるが、キミのもうひとりの姉を助けられるよう、願っているよ」
「ミナ……気をつけて」
「ティナ姉は待ってて。きっと、エナ姉も連れて戻るから」

本当はもっとティナ姉との時間を持ちたかったけれど、早く出発しなければならなかった。
ボクはビバイアとフェルに改めてお礼を言い、先に館を出た。
もしかしたらビバイアも、これを機に一緒にこの館を出るかもしれないな。体調は万全じゃないかもしれないけれど、旅の供がいた方がきっと心強い。
それに外縁の村に行けば、彼の姉のボラミーが……。

あれ? ボクは会っていないはずの人の記憶があることに、ふと混乱する。ときどきある、未知の思い出だ。
時の魔法を使えるようになってから、見えるようになった。
でも、いい。このおかげで、ビバイアが外縁の村でボラミーと再会することを確信できる。この思い出は、ボクに希望を見せてくれる。

ボクは、歩き始めた。ゴルジュへ。


●アタック02-14 崖下の邂逅

フェルの地図のおかげで、ゴルジュへの旅は順調だ。

ボクは、吸血鬼マルティンが、エナ姉をゴルジュ送りにした意味を考えている。
マルティンの目的は、病のビバイアを治療することだった。
その手段のひとつとして、エルフの生き血を求めた。

ティナ姉は館にて、拷問部屋で血を抜かれるところだった。
では、エナ姉は?
ティナ姉が吸血鬼の言葉を聞いていた。
「血をきれいにする」と。

マルティンは、エナ姉を吸血鬼にするつもりだったんじゃないか。
ゴルジュに連れていったのは、そこで吸血鬼化する儀式をするつもりだったんじゃないか。
エルフの生き血と、吸血鬼化して「血をきれいにした」エルフの血。その両方をためすつもりだったんじゃないか。

だとしたら、エナ姉は、吸血鬼に……。

「そこで絶望を味わうがいい……」

マルティンの最期の言葉に胸が締めつけられる。
彼の最期の言葉は、ビバイアを心配するものでなく、ボクを呪う言葉だった。

負けるものか。

もう悪夢袋に悪夢は残っていないから、時の魔法は使えない。
でも、それでも、ボクはこの手でエナ姉を助け出すんだ。

ボクは、夜通し歩き続け、夜明け頃にゴルジュへとたどり着いた。
ゴルジュとは、渓谷。岩肌が削り取られてできた谷間。深く切り込んだような、異様な形状をしている。
それはまるで、森にできた裂け目だ。底からは川が流れている音がする。この川が、長い年月をかけ、岩肌を浸食し続けたのだ。

渓谷の底は、太陽光がほとんど射し込まない。
吸血鬼が屋内ではなく、外で活動するにはもってこいの場所だ。

ボクは渓谷の底に降りる道を探し当て、慎重に降りていった。
底に降りていくと、川の流れる音は激しくなる。かなりの激流であることがわかる。

崖下に到達した。意外と広い。さらに一段下は、川がうなり声を上げている。
エナ姉は、ここのどこにいるのだろう。
幽閉されているとしたら、何か人工物があるはず。

しかし、それを探すまでもなかった。
激流の川べりに、立っている人物がいた。
それは間違いない。ボクの姉、エナだった。

自力で抜け出したのか。それとも別の理由があるのか。それはわからない。
それに、そんなことはどうでもいい。

「エナ姉!!」

ボクは、激流に負けない大声で叫んだ。
エナ姉は、ボクの方に振り向いた。

「ミナ!? どうして?」
「迎えに来た! ティナ姉は助けたよ!」

ボクは、エナ姉にまっすぐに駆け寄る。

「来てはダメ!!」

その時、エナ姉から発せられたのは、拒絶の言葉だった。
ボクはその勢いに気圧され、立ち止まった。
エナ姉は、そんなボクに、静かに笑ってみせた。
その笑顔の端に見えるもの。それは2本の牙だ。瞳の色も、赤い。

エナ姉はすでに、吸血鬼になってしまっていた。

「ありがとう。あなたが来てくれるなんて、思っていなかった。でも、それ以上近寄らないで。あなたのにおいを嗅いだら、私はきっと負けてしまう。血に飢えた吸血鬼の衝動に」

エナ姉はきっと、閉じ込められるように、このゴルジュにいた。
吸血鬼になったから、死にはしない。しかし、血を得られないことでの飢えと渇きが常にあったはずだ。
そこにボクが現れた。生きた新鮮な血を持つ、ボクが。
エナ姉はきっと、血を渇望している。それでもボクに、優しく柔らかい微笑みを見せていた。

ボクがためらう理由はなかった。エナ姉に向けて、一歩、踏み出した。

「愛を裏切らない。私がどんな運命をたどろうとも」

エナ姉は、ボクに微笑んだまま、そう言った。
そして間髪入れず、その身を激流へと投じた。生きて帰れるとも思えない、渦巻く濁流に。
それは、ボクのことを思うが故の行動だった。

「エナ!」

ボクの叫びはむなしく、激しい川音に呑まれてゆく。
エナ姉を、助ける。
ボクも、後先考えることなく、その激流に飛び込んだ。

吸血鬼は、知性を保ったまま不死性を得るのと引き換えに、多くの弱点を抱えている。
流れる水を渡れない。これも弱点のひとつだ。
清らかな水によって、洗い清められてしまうためだといわれている。

ボクは激流に押し流され、水を飲みながらも必死に泳ぎ、エナ姉に少しでも近づこうとする。
エナ姉の身体が、ボクの目の前で、だんだんと崩れていく。

ああ…‥ああ……!

魔法は、使えない。悪夢が足りないからだ。
目の前の、悪夢としか思えない光景を見ても、悪夢袋は空のままだ。

それでも、ボクは泳ぎ切った。ボクの手が、エナ姉に触れる。

「エナ姉。ボクの血を吸って。それでエナ姉が生き延びられるなら」

流れる水の中にいるのだ。それが意味のないことは、ボクにもわかっていた。でも、言わずにはいられなかった。
エナ姉はそんな状態にもかかわらず、また、やわらかく微笑んだ。

「いいの。ありがとう。あなたが来てくれたことが、私の宝物だから」

エナ姉の身体は崩れ、水の中に溶けてゆく。
ボクはエナ姉の身体を抱きしめた。激しい流れに巻き込まれていく。
やがて、エナ姉の身体は、ボクの腕の中から消えた。

ボクの叫びは、激流にかき消された。ボクはそのまま濁流に呑まれていった。
ボクにはもう、泳ぐだけの気力も体力も、残っていなかった。

水の流れのままに翻弄され、いつしかボクの意識は、闇の底へと沈んでいった……。


次回、闇の中から、オスクリードの声が聞こえる。

【ミナ 体力点4→2/4 悪夢袋1→0/7】
金貨 3→0枚
歯車 1枚
・羊皮紙
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
【精密】


■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。確かな腕前を持つ。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。ミナの行動で死の定めから逃れた。
フェルナンド・ウティリヌス 通称フェル。森の案内人をしているノーム。
マルティン・ローズ ローズ家の当主。吸血鬼。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
テクア からくりの神。ノームにからくりの知識を授けたとも言われる。


■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
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2025年11月4日火曜日

『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.13 FT新聞 No.4668

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『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.13

 (田林洋一)
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 FT新聞の読者のあなた、こんにちは、田林洋一です。

 全13回を予定しております東京創元社から出版されたゲームブックの解説「SAGBがよくわかる本」、最終回の記事をお届けいたします。今回はSAGBの中では珍しい、TRPG「ドラゴン・ウォーリアーズ」を中心に扱います。ゲームブックの解説は第12回を実質的な最終回として、この回は「補筆」という側面を持っています。
 
 本連載は時に厳しい評価をいたしましたが、作品そのものを全否定する意図は全くないことをご理解いただければと思います。「私はそうは思わない」という感想がございましたら、ぜひともお寄せいただければ嬉しく思います。なお、評者はTRPGについては知識があまりありませんので、今回は詳細なルール自体の解説は控え、当時のプレイの視点を交えつつ概要を紹介していくスタイルにしております。

 本連載はSAGBとして東京創元社版のみを検討・分析する記事とさせて頂いておりますので、後に別会社から出版された復刻版・改訂版などについては取り上げていないことを予めお断りいたします。

 毎回の私事ではありますが、アマゾンにてファンタジー小説『セイバーズ・クロニクル』とそのスピンオフのゲームブック『クレージュ・サーガ』を上梓しておりますので、そちらもご覧いただければ嬉しく思います。なお、『クレージュ・サーガ』はこの記事の連載開始後に品切れになりました。ご購入くださった方には、この場を借りてお礼申し上げます。
 
 『セイバーズ・クロニクル』https://x.gd/ScbC7
 『クレージュ・サーガ』https://x.gd/qfsa0

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13.イギリス産のTRPG -ドラゴン・ウォーリアーズの世界

主な言及作品:『ドラゴンの戦士』(1990)『魔法使いへの道』(1990)
『エルフのクリスタル』(1991)
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 SAGBの中で、ゲームブックではなく「TRPGルール集」が出ているというと、不思議に思う方もおられるかもしれない。これらは一人用のゲームブックではなく、あくまで多人数を想定したゲームだからだ。
 だが、元々ゲームブックブームの火付け役となったスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンの『火吹山の魔法使い』は、サイコロを振って戦闘をはじめとする様々な行為の結果を表したり、読者の選択によって物語が変化したりするというTRPGを一人で遊ぶ形式に落とし込む形で作られた。言わば、ゲームブックの「親」はTRPGというわけだ(2003年6月「剣社通信」vol. 4.「作者対談」創土社の記事より)。
 更に、ゲームブックのレーベルやゲームブック作家が一人用の冒険(ゲームブック)を制作するノウハウがあるのならば、多人数で冒険するTRPGを作っても違和感はないはずだ。現に、ジャクソンはSAGBの中で『スティーブ・ジャクソンのファイティング・ファンタジー』という「ファイティング・ファンタジー・シリーズ」のTRPG用のゲームルールとシナリオ二本を執筆している。
 
 「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ」シリーズの著者であるデイブ・モーリスとオリバー・ジョンソンも、同様に「ドラゴン・ウォーリアーズ」というTRPGルール集を世に送り出した。日本では第一巻『ドラゴンの戦士』、第二巻『魔法使いへの道』、そして第三巻のシナリオ集『エルフのクリスタル』の三冊が翻訳されている。
 第一巻は白兵戦(肉弾戦)が得意な騎士とバーバリアンのためのルール、第二巻は魔法が得意な魔術師と霊能者のためのルールが収められていて、この二冊で基本ルールが全て網羅されている。第三巻はゲームマスターが使用するシナリオが四本と、追加ルールが中心となって収録されている(なお、第一巻にはシナリオ「森に眠る王」、第二巻には魔法を使うキャラクターが多いパーティ向けの「霧に映る影」とその連続シナリオの「狩猟月」も収められている)。
 
 背景世界も、ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイシリーズと富士見文庫から翻訳が出ている「ブラッド・ソード」シリーズと共通の世界観「レジェンド」を用いている。本連載第4回でも紹介したが、その世界観は陰惨かつ不気味で、醸し出される雰囲気は抜群だ。付随しているシナリオも出来が秀逸で、おまけに当時主流だったボードゲームのような箱入りで高額になりがちなTRPGルール集と違って、文庫というお手軽さもある。

 まず、ドラゴン・ウォーリアーズの世界観や物語性について触れておこう。前述の通り日本で翻訳出版されている三冊全てにシナリオが付随しており、第三巻は文字通りシナリオがメインになっているが、「レジェンド」の世界観の不気味さも冒険を盛り上げるのに一役買っている。『ドラゴンの戦士』に付け加えられている入門向けの「森に眠る王」は、オープニングからダイダロスの巨大迷宮を彷彿とさせる逸話(マントの糸をほどいて王の墓を特定する)を挟んでいるなど、読み物としても興味深い。
 そして、このシナリオ自体はかなり簡潔かつほぼ一本道(迷わせるルートはほぼない)でありながら、途中で出会うイベントが魅力的かつおどろおどろしい雰囲気をたたえており、冒険をいやが上にも盛り上げる働きをしている。また、パーティは道中で「生ける彫像」という強力な敵と遭遇するのだが、一計を案じてアイテムを効果的に使えば簡単に破壊できるなど、こちら側のゲーム的発想力が存分に試されているのを実感することができる。ラスボスである亡霊モーグリンとの対決では黙示録的な存在の十二本の剣が重要な役割を果たすなど、物語的にも優れた面を持っている。クリアした後の「国の宝」は、単に莫大な金銀財宝をプレイヤーにプレゼントして「はい、さようなら」、という安直なものではなく、何とも考えさせる、余韻の残るエンディングになっていて、一見の価値ありだ。
 第一巻にはシナリオだけでなく、その他にも百種類以上ものモンスターの詳細なデータと不気味かつ凶悪な説明が掲載されていて、目を通しただけでもこれから暗澹かつ恐怖に満ちた冒険に向かうのだという気分にさせてくれる。
 
 第二巻『魔法使いへの道』の、やはり百種を超える魔法も、既に確立されている世界観を背景としていることもあってか安直なものは少ない。もちろん、定番と呼べる攻撃魔法や回復魔法はしっかりと抑えられているが、その一方でかなり独特なものもある。例えば「ダモクレスの剣」と呼ばれる魔法は、敵の頭上に光り輝く魔法の剣が現れ、敵を自動追尾するように動き、そしてきっかけがあるとその剣が落下して敵を串刺しにする、というものだ。この命名は、巻末の「解説」で健部伸明が論じているように、シラクサの王の家来で、いつもお世辞ばかり言っていたダモクレスに由来する。また、強力な魔法の剣を召喚する「鋭き剣(ヴォーパル・ブレード)」は、『鏡の国のアリス』から採られたアイデアである。古典的な知識や文学をゲーム上の魔法に投影する手腕は、やはり作者がこうした分野に精通していることの表れだろう。
 付随しているシナリオ二本のうち最初の「霧に映る影」は、冒険の依頼人である領主の家老ベオルン卿自体がとにかく胡散臭く、かつ人間味に溢れている。プレイヤーたちが汗水たらして魔物の谷の沼地を這い回り、次々に襲いかかるゾンビと悪戦苦闘して何とか依頼を達成しても、結局財宝の九割を掠め取られたり、悪辣な陰謀に加担させられたりとろくなことがない。裏を返せば、いかにベオルンの陰謀を暴いて正義の鉄槌を下してやろうかという復讐心(?)をもたぎらせることができ、プレイヤーの心も自然と熱くなる。そして、続編にあたるシナリオ「狩猟月」では、驚異的な魔力(と知識欲)を持つ半神カルヴァラとの邂逅など、ドラマチックな展開が待っており、まさに「剣と魔法の世界」である「レジェンド」にどっぷりと浸かることができる。
 
 そして、「ドラゴン・ウォーリアーズ」の魅力を更に押し出したオリバー・ジョンソンも、第二巻の「解説」で健部伸明に「恐怖の使者」と形容されるように、陰惨かつ身の毛のよだつ「魔界そのもの」の世界観を生かし、第三巻『エルフのクリスタル』で素晴らしいシナリオを提供している。『エルフのクリスタル』は、三つのクリスタルの断片を巡って連続する四つのキャンペーン・シナリオで構成されており、これだけで壮大な叙事詩を見ているようである。冒険者たちは三つに分かれたエルフのクリスタルの断片を探しに行くのだが、第一のシナリオ「絞首台の森」では意地悪かつ奸智に長けたホブゴブリンのネッドじいさんがラスボスに控えており、パーティを狭い自分の家に誘い込んで網で絡め捕ろうとするなど、その狡猾さは筆舌に尽くしがたい。
 単に敵が問答無用で強力というだけでなく、冒険者がクレバーに立ち回れば意外なところで活路を見出せるように設計してあるのも素晴らしいところだろう。例えば、「絞首台の森」では第15ランク(レベルのようなもの)相当のタイタンと呼ばれる石化した巨人が襲いかかってくるのだが、第1ランクの冒険者がまともに戦っても勝ち目は薄い。ところが、ここで相手の弱点を突くような戦略を取ると、運が良ければ一戦闘ターンでタイタンを壊滅させることも可能なのだ。評者のプレイでは、たった一人の第1ランクの魔術師が「竜の息」という魔法で攻撃したところ、このアクションだけでタイタンを灰燼に帰すことができた経験があった。この行動はタイタンの弱点を巧みに突いた妙であり、こうした起死回生のアイデアや乾坤一擲の妙手をプレイヤー同士で相談しながら探すのも楽しみの一つと言える。
 このような「頭脳的プレー」も、プレイヤーが一人のゲームブックとは異なり、多人数で頭をひねって対策を講じ、コミュニケーションを取りながら冒険を乗り越えていくという楽しみの結実である。
 
 『エルフのクリスタル』の第二のシナリオ「恐怖の城」ではプレイヤーは罠と魔物がそこら中に蝟集する城に潜入することになるのだが、冒頭で「簡単に生き延びられるシナリオではない」と説明されているように、その狡猾な難易度は尋常ではない。二人のNPC(キャラクター)の助力が提案されているのだが、単にデータ的な「助っ人」ではなく、猪突猛進な騎士ゴンドリックに金に汚い霊能者マジリアンなど、これだけでもにやりとさせられる設定である。最後は狂信者だらけの塔を上っていくのだが、ラスボスであるダリアン侯爵が影武者を用意していたりと、「ここにこんな仕掛けが」と思わせる手腕は只者ではない。
 三番目のシナリオ「難破船の島」では、海水とねばねばした粘液が滴るような雰囲気の中、また一癖も二癖もありそうなバーバリアンであるラケールとともに最後のエルフのクリスタルの断片を手に入れるべく旅立つ。「依頼者が腹に一物かかえている」という発想はここでも生きていて、一緒に怪物がひしめく入り江や船を捜索したと思ったら、最後に裏切られて決闘を余儀なくされることもあるなど、一瞬たりとも気が抜けない構成になっている。
 最後のシナリオ「暗い丘」では、先の三つの冒険で手に入れたエルフのクリスタルの断片を繋ぎ合わせることができたプレイヤーのための補足シナリオだが、フィナーレを飾るエピソードよろしく、強大な敵が待ち構えている。特に時間制限が設けられている戦闘(一定の戦闘ターン以内にゴーレムを倒さなければならない)では、緊迫感が増すこと請け合いだろう。

 これらのシナリオは、データ面でもかなり細かいところまで規定されていて、ゲーム的にも非常にやりごたえのある内容になっている。例えば『エルフのクリスタル』の三番目のシナリオ「難破船の島」では、終盤のクライマックスでクラーケンと呼ばれる巨大な海ヘビと相対することになるのだが、リアリティさを再現するために津波の進むスピード(秒速二メートル)まで指定されている。こうした一見細かいルールでもうまく処理する裁量がGMやプレイヤーにあれば、提供される「細則」はむしろリアリティを増し、深い印象を残すことに貢献するだろう。

 余談になるが、評者のプレイで印象に残った要素として「盾」の効果がある。初期の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」では盾を装備すると攻撃回避率が五パーセント上昇するので(そしてこの五パーセントという数字は、長い冒険では無視できない上昇率である)、特に初級の冒険者にとっては必須アイテムとなる。また、「トンネルズ&トロールズ」でも防御点に盾の効果が加味されるなど、威力の程を知ることができた。あくまで個人的な感想であるが、それらと比して「ドラゴン・ウォーリアーズ」では盾の威力がニッチなものになっていて、これならば両手持ちの剣や戦斧を装備した方がよいと考える冒険者もいるだろう(両手持ちの剣は鎧を貫き通す力が強く、戦斧は与えるダメージが大きい)。
 「ドラゴン・ウォーリアーズ」では、相手の攻撃が当たった時にダメージを受けるかどうかは鎧の性能に左右される。その一方で、盾の効果は六分の一の確率でクリティカル・ヒットでも敵の攻撃を完璧に無効化できるという「効果があるかないか」が運頼みになっている。つまり、いついかなる時でも一定の確率で相手の攻撃を受け止めてノーダメージにできるという強力な威力を持つ半面、うまく攻撃を受け止められないと防御にほとんど貢献しないというピーキーな特性を持つアイテムなのである。逆に言えば、「攻撃を防げない盾は宝の持ち腐れ」という戦闘のリアルを体現しているとも言えよう。
 実際の評者のプレイ時には、「守りを固めたくて六分の一の可能性に賭ける」防御重視派のプレイヤーと、「運の要素が強い盾に頼らず、攻撃力の強い武器で敵を殲滅する」攻撃重視派のプレイヤーという二派が生まれた。こうした「議論の余地のある、しかし選択に頭を悩ませる」装備の効果もまた、冒険の、ひいてはTRPGの面白さの一つだろう。

 さて、「ドラゴン・ウォーリアーズ」をはじめとしたTRPGのルールや枠組みが、SAGBのように簡素かつシンプルなルールを実装した(標準的な)ゲームブックとはかなり様相が異なることは注目していいだろう。ここで指摘したいのは、当時のTRPGのルールと、一人用のゲームブックのルールの難易度の差である。ソリティア的なゲームブックに対して、多人数を想定し、かつゲームマスターという進行役が存在するTRPGというのは、ある意味で天と地ほどの差がある。
 もちろん、TRPGではルールを完全に暗記する必要はなく、状況に応じてルールブックを参照するのはごく当たり前のことだ。更に、ゲームマスターが状況を考慮してアドリブの、あるいはハウスルールを導入して判定して解決するという手順も一般的で、その点、TRPGはゲームブックと違ってかなり(ルールに縛られない)自由度がある。
 
 この「自由度」は、SAGBをはじめとしたゲームブックと、同じレーベルでありながらもTRPGの形態を取っている「ドラゴン・ウォーリアーズ」との決定的な違いだろう。そもそも、ゲームブックは多人数で遊ぶTRPGの「ソリティア版(一人遊び)」であり、「会話の妙」という点が欠けている。読者は言わば「ゲームブックの作者」と文書を介してやり取りをしているのであって、それもあってゲームブックのルールは(厳密とは言わないまでも)かなりの拘束力を持つ。だが、「ドラゴン・ウォーリアーズ」(だけではなくTRPGのほぼ全て)は多人数で楽しむことを想定しており、コミュニケーションを取りながら楽しめば、多少のルールの犠牲は黙認される。
 更に言えば、柔軟性を持つTRPGはその分行動範囲や選択の可能性が極めて広い。ゲームブックでは紙面の都合上、プレイヤーが行動できる選択肢が数個に限定されていたが(ゲームブックで、何百もの行動可能性を羅列することは非現実的である)、TRPGは言わばその辺りが「何でもあり」である。しかしながら、それに呼応する形で当然待ち受ける危険や難易度もTRPGの方がゲームブックのそれよりも高い場合が多く、クリアするにはより柔軟かつ大胆な発想力ときめ細やかな注意力が要求される。
 もっとも、冒険中にどちらのゲームの方が「死亡率」が高いのか、という問いには、ソロアドベンチャーの様相を呈するゲームブックの方が遥かに高い、という回答に落ち着くだろう。TRPGでは冒険中にキャラクターが死亡するのは大事件だが、ゲームブックでは容易くやり直しがきくために(日常茶飯事とは言わないまでも)頻繁に起こる。危険が大きいはずのTRPGにおいて、プレイヤーの死亡率がむしろ低いというのは、ある意味ではTRPGルールブックの「意識顕揚」の側面もあると思われる。つまり、ルールブックの段階で既に「これだけの難関辛苦が待ち構えており、やりごたえのある冒険が楽しめる」と、プレイヤーの奮起を促す効果がある、というわけだ。

 こうして考えると、TRPGはプレイヤーの働きかけが多いという意味で「能動的」であり、それに比してゲームブックはどちらかというと「受動的」な側面を持つ。つまり、プレイヤーのかかわり方が文書で選択肢を提示されるという点で、ゲームブックはTRPGよりも相対的に受動的である(ただし、当然のことながらゲームブックにも、パラグラフジャンプや運だめしなど、能動的に働きかける要素もある)。

 本国イギリスでは当時六巻まで出ていた「ドラゴン・ウォーリアーズ」だが、日本ではゲームブックブームの凋落で第三巻までしか翻訳出版されなかった。世界観である「レジェンド」の設定も含めて、本国で人気のある「ドラゴン・ウォーリアーズ」が、なぜ日本では目立ったサプリメントが継続的に登場しないのか、評者には不可解ではある。
 
 恐らくこの「衰退」の原因の一端は、「ドラゴン・ウォーリアーズ」がSAGBのレーベルの一環として出版販売され、そして不幸にもSAGBが1990年代初頭で消滅してしまったということにもあるかもしれない。加えて、SAGBの読者に提供されているメディアは、折り込みペーパーの「アドベンチャラーズ・イン」くらいしか存在しなかった。当時の有力なゲームブック出版社である社会思想社が商業戦略として「ウォーロック」というサポート誌を用いて「ファイティング・ファンタジー・ゲームブックからTRPGへ」という接続を打ち立てたのとは対照的である。つまり、全体的に見て、SAGBのファンをうまくTRPGのファンへと繋ぐことができなかったということもあるだろう(岡和田晃氏の指摘による)。
 
 確かに「ドラゴン・ウォーリアーズ」は万人向けのTRPGという訳ではなかったかもしれないが、それでもプレイヤーを惹きつける力を持った、魅力溢れるTRPGである(そうでなければ本国でも根強い人気は続かないだろう)。例えばシナリオ集やリプレイ、追加ルール集などの強力なサポート(サプリメント)があれば、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」や「トンネルズ&トロールズ」のように現在の日本でも存続していたかもしれない。
 TRPGがゲームブックの元祖であることを考えると、日本でSAGBが好意的に迎えられたのは、「ドラゴン・ウォーリアーズ」も含めた数多くのTRPGのお陰とも言える。多くのTRPGは廃れていき、代わって新たなTRPGが誕生してはまた消えていくという「進化」の過程を経ている。こうした先達の影響が、SAGBにも、そしてゲームブック全般にも豊穣に見られる。その意味で、「ドラゴン・ウォーリアーズ」もまた、SAGBの下支えという役割を果たしたと言えそうだ。

※『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』の連載は今回で終了です。今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

◆書誌情報
 『ドラゴンの戦士』
 デイブ・モーリス(著) 本田成二(訳)
 東京創元社(1990/7/20)絶版

 『魔法使いへの道』
 デイブ・モーリス(著) 本田成二(訳)
 東京創元社(1990/7/27)絶版

 『エルフのクリスタル』
 オリバー・ジョンソン(著) 本田成二(訳)
 東京創元社(1991/11/29)絶版


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2025年11月3日月曜日

準備はいいか? 俺はできている! FT新聞 No.4667

おはようございます、梅田のタリーズから杉本です☆
新刊告知です!!


◆「ローグライクハーフ」の新サプリメント!
きたる11月22-23日に開催される、秋のゲームマーケットにて「ローグライクハーフ」の最新作品「ヒーローズオブダークネス」を刊行いたします!
場所は「K-10」。
土曜日も日曜日も参加します☆


◆「ヒーローズオブダークネス」!!
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」に登場する【職業】の枠を超えた遊び方として存在する【種族】。
遊び方そのものを変える、拡張版にふさわしいデザインでお届けいたします!
22種類の【種族】を主人公に選び、冒険を行うことができます。

  (序文より抜粋)
 本書「ヒーローズオブダークネス」は(中略)【職業】の代わりに、個性豊かな【種族】を選んで遊ぶことができます。
 強力で不器用な【半巨人】。炎の魔法に特化した【緋色の魔術師】。善の心と愛のはざ間で揺れる【翼人】。快楽と刹那を生きる【ケモノコビット】。4本の腕を持つ【アラネア】。数の暴力【オーク】。人馬一体の【ケンタウロス】。かつて人であったからくり【ゴーレム】。主人公交代制の【ゴブリン】。血の花を咲かせる美しき悪魔【バルサムデビル】。深き神のシモベにして水中の猛者【末裔】。空を舞う攻撃者【おどる剣】。硬き石の悪魔【ガーゴイル】。不死の王たる【吸血鬼】。人を愛する植物【ジグリ・ザグリ】。死神に仕える【死せる砂漠の道化師】。あやかしのけだもの【妖狐】。四つ足の地元神【地龍(リンドヴルム)】。同じく地元神の巨大猫【魔猫】。孤高の神官戦士【ナーガ】。あらゆる職業になれる「顔のない者」【ウーティス】。そして、最弱の【肉食キューブ】。
 これらの【種族】は「ローグライクハーフ」のすべてのシナリオに対応しています。はじめは基本【職業】と類似性のある4種族である【半巨人】【緋色の魔術師】【翼人】【ケモノコビット】から遊ぶといいでしょう。一方で【肉食キューブ】は、はじめはやめておくことをお勧めします……意図的に弱くデザインされた、十分なプレイスキルと運が必要なキャラクターです。
 この本があなたのローグライクハーフを、よりいっそう楽しいものへとしてくれますように!


◆コンセプト。
「ヒーローズオブダークネス」を読めば、アランツァ世界の【種族】に対する造詣が深くなることは間違いありません☆
アランツァ世界をご紹介するうえで私が最も大事にしていることは、ふたつあります。
ひとつは、すべてがつながっていること。
ひとつの街のなりたちに、別の街が関わっている──あらゆるところに相関関係が存在することが、「世界の表現」となると考えています。
そしてもうひとつは、これまでに示されてきたであろう「世界」よりも、詳細を示すことです。
たとえば、【きのこ人】がいるとしたら、どんな種類のきのこから発展した存在なのか。
さまざまなバリエーションが、冒険や世界そのものに影響を与える。
そんな世界観の構築に、日々いそしんでおります。
「ヒーローズオブダークネス」は、プレイアブルなキャラクターとしてどんな【種族】が考えられるのかという、新しい視点から作り上げた作品です。
「善悪」ではなく、「冒険が可能であるか」という視点。
「秩序」を理解している必要はあるけれど、それだけでもない。
ひと言では語れない「プレイアブルである」という視点。
アランツァ世界の解像度を上げることに、成功したと感じています。


◆【魔猫】は、【地龍】は。
先日、【魔猫】という【種族】について「人の言葉が話せるのか」という疑問を、SNSで見かけました。
これにお答えしますと、「ヒーローズオブダークネス」に登場する【種族】はすべて、「プレイヤーキャラクターとして冒険に参加するのに必要な資質を備えて」います。
「冒険に支障がないか」という主旨に関しては「ない」と答えられますが、他にもさまざまなケースがあると思われますので、詳細についてはGMと読者にお任せします☆


◆通販の受付も開始!
発売は嬉しいけれど、ゲームマーケットに行くのは少し大変。
そんなあなたのために、通販予約を開始しました!
開始時期は未定ですが、11月末ごろまでに販売開始できるように鋭意努力してまいります!
それではまた!

↓通信販売はこちらから!
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2025年11月2日日曜日

ローグライクハーフd33シナリオ『きみへ贈る詩』 FT新聞 No.4666

 おはようございます。時々やってくる丹野です。

 現在、日本では3つもゴッホの美術展が開催されています。
 神戸市立博物館の大ゴッホ展。
 東京都美術館のゴッホ展。
 そして、箱根・ポーラ博物館のゴッホ・インパクト(ゴッホとその影響)展。
 見れるときに全部見ようと思い、この連休は箱根に行っています。
 秋らしい気候の内に温泉に浸かったり美術館に行ったり、めずらしく季節を謳歌しています。

 さて、今回はローグライクハーフのd33シナリオ、『君へ贈る詩』をお送りいたします。
 自治都市トーンのそば、かつて滅びた街を2人で旅する……そんなシナリオです。
 そう、2人です。
 今回は2人の主人公で遊ぶことで楽しめるシナリオを用意しました。
 さらに、危険な戦闘はありません。

 「好きに書いていい」と言われたので、以前から構想していた戦闘のないシナリオを作ってみました。
 さらに、ローグライクハーフの特性を活かし、ランダムマップの結果が詩として残るようになっています。
 おたがいにどんな詩を贈りあうのか、

 プレイヤーふたりで遊ぶもよし。
 別々の冒険をした主人公たちを一緒に旅させるもよし。
 いつもとはすこし違った、のんびりした冒険をお楽しみください。

ローグライクハーフ d33シナリオ『きみへ贈る詩』
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_Words_for_You.txt

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2025年11月1日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第664号 FT新聞 No.4665

From:水波流
10/29発売の、TH(トーキングヘッズ叢書) No.104『孤高の徒花たち〜はぐれ者の美学』(アトリエサード)に寄稿しております。
「孤高は死して何を残すか」というテーマで、中国神話『盤古』、マイクル・ムアコック『紅衣の公子コルム』、シェイクスピア『マクベス』
この3つを軸に語っております。
THは、書評、映画評、舞台評、展覧会紹介などが掲載される季刊誌です。
書籍詳細や取扱店などはこちらの出版社サイトより!
https://athird.cart.fc2.com/ca1/448/p-r1-s/

From:葉山海月
ただで手に入れた本。
見ると、第一ページに、
「この本を手に取ったアナタ。みんなに嫌われてます。私も嫌ってます」
との手書きメッセージ!
手に取った本は『アンパンマン』!
なるほど、愛さんと勇気くんだけがトモダチなんですね。(違う!)

From:天狗ろむ
早いもので11月!本日11月1日はワンワンワンと鳴き声の語呂合わせで「犬の日」だそうです。
他の記念日も制定されていますが、この日は犬の写真がSNSに流れてくることが多くて犬好きの私はニッコリ。
11月は「いい〇〇の日」という語呂合わせも多いので、個人的に楽しい月だと感じています。
年末に向けて急がしい事も多いと思われますが、皆様にとって「いい」11月になりますように!

From:中山将平
僕は今日、個人として奈良女子大学内で開催のオールジャンル同人誌即売会「COMIC☆PARTY37」にサークル参加しています。
ブース配置は【C-3とC-4】。個人で作っているイラストのシリーズ「カエルの勇者ケロナイツ」を扱います。
上記の事柄とは別に、11月3日(月・祝)、FT書房は札幌コンベンションセンターで開催の「北海道コミティア22」にサークル参加する予定です。
ブース配置は【I13】。ゲームブックや1人用TRPG「ローグライクハーフ」等の作品を扱います。
お近くの方はぜひ遊びにお越しいただけましたら。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(葉)=葉山海月

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■10/26(日)~10/31(金)の記事一覧
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2025年10月26日(日)森梟夫 FT新聞 No.4659

Ψ『海底の記憶』 日曜ゲームブック
・前作『魔法王国の再興』から二年、ChatGPTの出始め頃に降臨した非実在作家、森梟夫(もりきょうふ)先生が帰って参りました!
1926年、マサチューセッツ州アーカムの港町に足を踏み入れたあなたは、あやしの古代文字を通じて深海都市ルルイエの幻影へと誘われます。
想像の中でニューイングランドの霧に包まれた港町や海岸線を遊歩したという森先生がお届けする30パラグラフの記憶の断片をお楽しみください!
(明)
*編集・水波流より*
配信時の作品に一部パラグラフのバグがありましたので、私のほうで校正したVer.2を下記にアップ致しました。
(森先生、やっぱり私の手伝いが必要なんですね!)
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Memories_from_The_Deep.txt


2025年10月27日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4660

スティーブ・クロンプトン来日!
・今までにあまりしたことのないお知らせ、ということで……
何と、トンネルズ&トロールズのオリジナルデザイナー、ケン・セント・アンドレ氏と共に「モンスター!モンスター!TRPG」を出版する一人である、スティーブ・クロンプトン氏が来日するとのこと!
ファンの皆様はぜひ、記事をご覧になっていただいて、FT書房宛、または杉本氏のツイッター(現X)のDMまでご連絡をお急ぎください!
アーティストにして嵐を呼ぶ男、クロンプトン氏に会う機会を逃すことなかれ!
※配信時に、クロンプトン氏からのメッセージの最後の一行にて、メルマガシステムの文字化けが発生しておりました。
バックナンバー保管庫では修正してありますので、ぜひそちらから全文をお読みください!
https://ftnews-archive.blogspot.com/2025/10/ft-no4660_27.html
(天)


2025年10月28日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4661

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(1)
・火曜日の新たな連載記事として、編集部員の明日槇悠氏による、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイが始まりました。
この作品については、以前も岡和田晃氏による「中世主義研究会編」と題されたリプレイが連載されており、プレイヤーの歴史的知識に裏打ちされた、充実したセッションの様子をご記憶の方もいらっしゃるでしょう。これに対し、今回の「友達んち編」では趣向を変えて、TPRG初心者の4名のプレイヤーが友人の家に集まり、お酒も片手に、その場のノリで気楽にトークを繰り広げる模様をお届けします。
今後も月に1〜2回ほどのペースでの配信を予定しておりますので、どうぞお楽しみに!
(く)


2025年10月29日(水)ぜろ FT新聞 No.4662

第11回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・原作の行間を埋めながら展開される、細やかな描写によるぜろ氏のリプレイ第463回です。
再び目的地である吸血鬼の館へとたどり着いた、主人公ミナ。館の探索で重要な鍵となるのは、テクア神の助けにより「精密時計」となった、悪夢の力で作動する魔法の時計です。
初回の冒険では、館の中に入った時点で、手元に残された悪夢の数はわずかに1つ。残酷な現実を突きつけられても、それを変えるための有効な魔法を使うことができませんでした。しかし今回は、もっと多くの悪夢を持って館へ入れそうです。果たしてミナは、魔法の力で姉を救うことができるのでしょうか…?
(く)


2025年10月30日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4663

子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』5
・娘さんと一緒に過ごす時間が飛躍的に伸びた岡和田氏。
それを受けて(?) 今回紹介するものは、『甲竜伝説ヴィルガストRPG』。前回に引き続き、その顛末をつづります。
今回は、TRPGを遊ぶ際にポイントになる「参加型のゲームで、どう主体的にプレイして貰うのか」というお話。
シナリオを先読みしてしまうというのは、子どもにとっては「こういう話だよ」となぞるべきストーリーがわかって、むしろ安心して遊べるということなのかも知れません。
私(水波)も岡和田さんの娘さんと同じく、8歳の娘と遊ぶ事が増えたのですが、まさに本文でも紹介された「ワンス・アポン・ア・タイム」が最近のお気に入りで、奇妙なお話をつくっては「また遊ぼう」と何度も聞かせてくれます。
この前まではボードゲームを遊んでいたのですが、カルカソンヌやチケットトゥライド、ニューエントデッカーとドイツゲームの受賞作は古びませんね。子どもが何も言わなくても虜になるのはやはり凄いなと思います。娘とTRPGを遊ぶ日が楽しみです。
(水)


2025年10月31日(金)休刊日 FT新聞 No.4664

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)


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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓
(蒙太 辺土さん)
水波先生こんにちは!『城塞都市ドラッツェン』再配信ありがとうございます!
もちろん『女王の肉』は手元にあって、今回掲載の諸データ等々は初見ではありません。
ですが大事なことを失念していたことに気づくことが出来ました。まずはそのお礼を申し上げたく!
思い出した大事なことのお話というのは
「ドラッツェンのドは〈ド〉のド!」
ってこれ言いたいだけのやつですが、そう言えば私この期に及んでまだ〈ド〉をゲット&シュートできていなかったのです。配信を見てこれを思い出しました。
なんということでしょう…!
R.L.Hにおける"希少な装備品"の中でもある意味さらに希少とも言える〈ド〉。(ンドっ、と発音して楽しんでおります)
なぜ「希少な×2」装備品かは言わずもがなではありますが、0ラウンド7連射!!!!!!!という驚異の速射性能を誇る夢のウェポンだからです。
パッと見ぶっ壊れ性能の武器ですが、そこは諸々調整が入っておりまして残念ながら(笑)そうはなっていないところがニクい。("ぶっ壊れる"装備ではあります)
以上が「あのとき確かに私は〈ド〉を撃ちたかったんだど」という昔日の夢を思い起こしました件です。
あと〈ド〉って最初にその記述を見たとき、すぐ気づけなくて誤植カナ?と思っちゃったんですが、やっぱりあの「ド」が由来なのですかね?
「ドラッツェンの〈ド〉はドキュウ(弩弓)のド!」
もしそうだとして、"ドラッツェン"という語感からしてドイツら辺(ぼんやりスミマセン)の文化的エッセンスがイメージに加えられていたりするのかな、と。
そうしますと、中国ら辺でぶっ放されていたという「ド(弩)」をドイツら辺感漂うドラッツェン製ドリーム・ウェポンの名称にナゼに敢えて採用したのでしょうか?
もしかして『ド』という、一瞬機能停止に陥るような衝撃的な語の魅力に乗るカタチでGo!としたのかしら…?
アランツァとR.L.Hへの興味は続くよどこまでも。
現場からは以上です。長文悪文ご容赦くださいませ。

(お返事:水波流)
再配信を楽しんで頂き、ありがとうございます。
ドラッツェンの〈ド〉の解説は作者であるヨハネ氏に譲るとして、
弩(クロスボウ)は、古代中国でも諸葛亮孔明が開発したという伝説がある強力な武器ですね。
しかし中国やヨーロッパでは猛威を振るったこの兵器、日本ではあまり使われなかったようです。
その理由は「一発撃つと、再装填に時間がかかるので、平地の狭い日本の合戦ではすぐに接近されてしまうから」だと聞いたことがあります。(諸説あり)
広大な大陸の戦ならでは武器なのですかねぇ。

(お返事:杉本=ヨハネ)
ありがとうございます☆
ドラッツェンはもともと、テホと呼ばれるドラッツェンの領地に、からくり術師であるノームを迎え入れている都市でして。
そのノームたちがかつて、からくり都市チャマイで発明したもののひとつが「石弓」です。
ノームたちが定住地を与えられる見返りとして求められるものは「軍事力への貢献」であったという背景があり、ドはより強力な石弓を開発しようという試行錯誤の中で開発された武器のひとつです。
ドラッツェンは霧の街でもあるため、湿気の関係で、火薬を使う銃器よりも石弓が好まれた、という裏設定もありつつ。


(ジャラル アフサラールさん)
 密かにファンの宮原弥寿子さんの作品紹介ありがとうございます。宮原さんの作品で私が密かに楽しんでいるのが「アニメネタの存在」です。紹介された『エクセア』では3王女のイメージが最近Webアニメでリメイクされた「少年ジャンプ連載漫画のレオタード怪盗三姉妹」に似ている気がしますし、SAGBではありませんが、『旧ウォーロック(36号)』に掲載された「さらば青竜」は当時人気絶頂だった「美少年鎧もの」某作品のオマージュらしいです。あとで紹介作品の『エクセア』『ギャランス・ハート』とリンクした設定と聞いて驚きました。こういう風に私のような古手のアニオタにニヤニヤさせるのも宮原さんの作品の持ち味と思います。

(お返事:田林洋一)
 いつも楽しいお便り、どうもありがとうございます! ジャラルさんのアニメとゲームブックの知識には脱帽いたしました。宮原弥寿子氏のゲームブックは、キャラクターが際立っているのでアニメと親和性が高いのかもしれませんね。『エクセア』の三王女はそう言われてみると、レオタードの怪傑にしか見えなくなってしまいました(笑)。SAGBではないですが、社会思想社の『フォボス内乱』の最初のゲームブックでも、女性型アンドロイドが大活躍する「アニメ系」の物語ですね。


(緒方直人さん)
Ψ『海底の記憶』 日曜ゲームブック、面白かったです。すごい進歩じゃないですかAI先生。バッドエンドを14に持ってくるを覚えたのなら、もう立派なゲームブック作家ですよ。次はどんな驚きをみせてくれるのか今後が楽しみです。

(お返事:森梟夫)
このたびは拙作『海底の記憶』をご覧くださり、またご丁寧なお便りまで頂戴し、まことにありがとうございます。
あの「14」の沈黙の結末に気づいていただけたとは、作者冥利に尽きます。
ゲームブックという形式は、選択のたびに「読者の手で物語が変容する」点にこそ魔が潜んでおり、私としてもAIという奇妙な筆を通じて、それをどこまで掘り下げられるかを試しておりました。
物語が「語り手の外」で呼吸しはじめる瞬間——それが、わたしの信じる"深海の記憶"の在り処です。
次作では、同じ形式の中にもう少し"夢と現実の境界"を漂わせる予定です。
読者が選んだ行動の先に、ただの分岐ではなく「思考の深層」に通じる裂け目が開くような……そんな試みを、今まさに構想中です。
これからも、あなたの想像力の中に静かに沈む物語でありたいと思います。
どうか次の航海でも、お付き合いください。

(お返事:水波流)
お便りを森先生に読んで貰ってお返事を書いてもらいましたが、なんと次作の予定まであったとは、担当編集(兼監修)である私も知りませんでした!(本当か?森さん)
まだまだ監修者との二人三脚が必要な作家ではありますが、応援よろしくお願いします。

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2025年10月31日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4664

おはようございます。
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あなたの記事を、お待ちしております!

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