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2025年7月5日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第647号 FT新聞 No.4546

From:水波流
家の裏山から伏見稲荷大社の山頂付近へ行く隠し通路みたいなルートがあるのですが、最近朝の散歩にそこをよく歩いています。
昔と比べて外国人観光客が95%くらいを占めており、なかなかハードな山登りなのに朝早くからみんな頑張るなぁと思いながらすれ違っています。
今書いているローグライクハーフのシナリオが、自然と信仰が入り交じったような遺跡が舞台なのですが、書き出した当初はアンコールワットのような雰囲気をイメージしていましたが、この散歩のおかげで深山の静謐さと自然崇拝みたいなものも融合してきました。

from:葉山海月
小便器の流すボタンの上に小さく落書き
てつを
ゴルゴムのしわざ!?

from:中山将平
7月は参加予定のイベントがないので、勝手に、かつ突発的に毎週日曜日オンラインで何かしようと考えています。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■6/29(日)~7/4(金)の記事一覧
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2025年6月29日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4540

Re:ローグライクハーフ・新職業【吟遊詩人】
次週の日曜日は7月の第1日曜日。火呂居美智さんによる、ローグライクハーフの新作d66シナリオ『幽霊屋敷の果実酒』の配信日です。
前回の日曜日の記事では、その拠点となる自治都市トーンにゆかりのある新職業、【吟遊詩人】を再配信いたしました。
アランツァの各地を渡り歩き、歌や演奏の技術、世界の伝承知識を身につけた職業である【吟遊詩人】。
【奏楽:ギャップ】で従者たちを護り、アンデッドには【奏楽:プラーニュ】で対抗!
「音楽」に彩られたキャラクターを、よろしくお願いいたします。


2025年6月30日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4541

旅に出ます! 
・電車に揺られて、惰性で続けているボルダリングから帰っている最中のことでした。
夏の気配が、電車の中に満ちていました。
「旅に出よう」
杉本氏の内側に住むものが、そうささやきました。
かつていろんなことに煮詰まっていた時に行ったスペイン。
北スペインを840km歩くという「巡礼の道」をたどりました。
次回作の構想を、練り上げるため、そして鬱から脱出するため、今回は、山道がメインの道である「北の道」を歩く予定です!
しばし日本を旅立ちますが、リフレッシュした杉本氏にご期待ください!


2025年7月1日(火) 田林洋一 FT新聞 No.4542

『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.4
・田林洋一氏による、1980年代半ばから1992年の間に東京創元社から刊行された「スーパーアドベンチャーゲーム(SAGB)」の一連のゲームブックの解説記事です!
第3回では『ネバーランドのリンゴ』がゲームブックのボリュームアップの端緒を開いたと述べたが、ここで紹介する「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ・ゲームブック」(以下「ゴールデン・ドラゴン・シリーズ」)はややもすると容量過多の傾向にあったゲームブックに警鐘を鳴らす作品群ととらえてみます。
小粒だがピリリと辛いゲームシステム。夢幻的・悪魔的な雰囲気を醸し出す洗練された語り口。
同時期に出されたゲームブックを紹介しつつ、掘り下げていきます。


2025年7月2日(水) ぜろ FT新聞 No.4543

第3回【素敵なおパンツ同盟】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第445回をお届けしました。
今回挑みますは、「ローグライクハーフ」シリーズ『素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜』
銀幕のスター、ベル・ロックベー氏の履いているパンツに魅せられた主人公ポストん。
デザイナーのビビエ氏が惑星イロアスの、竜鍵諸島の都市マックルーに来るという情報を聞きつけます。
さらにマックルーでは、移植手術の格安キャンペーン中。
ベル・ロックベー氏のように、お腹に神々しいヒゲを移植してもらい、さらにビビエ氏に素敵なおパンツを作成してもらう。
そんな目的をもって、ポストんはマックルーへ。そこで知り合った相棒ドナとともに、マックルーの町を探索します。
ゴマンデル診療所! そこでおなかに立派なおヒゲを移植してもらう。
決意と幸運に支えられ、ややあってそこにたどり着きますが……。
「な。患者ファイトだと?!」
イイ感じにハジケいく本作!
目が離せませんね(じゅるり)


2025年7月3日(木) 齊藤飛鳥 FT新聞 No.4544

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.36『名付けられるべきではないもの』 その4 
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカは、超絶危険モンスターの似我蜂(じがばち)の探索を請け負い《太古の森》を冒険中、似我蜂に仲間の樹人アテリツィと命の恩人エルフのファラサールがさらわれてしまった! 
救助のため、いくつかの冒険を乗り越えて似我蜂の巣へ向かったクワニャウマは、そこでファラサールの兄・ギルサリオンと組んで似我蜂の群れと戦う。
窮地に陥った彼らだったが、そこへ旧知の仲のまじない師・ヴィドが見参。彼の活躍のおかげで、似我蜂の群れを撃破することに成功。
イェシカのランタンの灯りを頼りに、クワニャウマ一行は似我蜂の巣となっている洞窟へ入り、最終決戦に臨むのであった……。
待ち構えていた敵。恐るべきは似我蜂!
シリアスで濃厚なエンディングを、軽快なノリで魅せる、クワニャウマ一行はどう動くか!?
本リプレイを読めば、どうしてこの物語が『名付けられるべきではないもの』とタイトルされたのか、その意味が分かります!


2025年7月4日(金) 緒方直人 FT新聞 No.4545

機動灼熱追撃日記その2 
・『機動戦士ガンダム』の名作ゲームブック、『機動戦士ガンダム0079 灼熱の追撃』(山口宏 著 角川書店)
その復刻版に、リプレイの名手、緒方直人氏が追撃(リプレイ)をかけます!
前回にて全体のロケハンを終わり、登山計画もバッチリ考えた緒方氏。
それでは実際のゲームを進めましょう。
最初に選べるモビルスーツから、もっとも守備力が高いズゴックに乗り込んでスタート!
戦闘スタイルから物語のルートまでを巧みに織り込んだ、まさに「これぞ戦場の風よぉ」と言いたくなるリプレイです。
 

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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ジャラル アフサラールさん)
私は林友彦さんの作品ではやはり 「ウルフヘッドの冒険」シリーズですね。主人公の種族"ファーストボーン""(おそらく聖書の「神はアダムのあばら骨からエバを造り」の記述からですね)という呼び名がカッコいい(笑)ですし、アンデッド・モンスターは、銀の武器や特殊な魔物の牙以外では傷つかないという凄く強いのもいいですね。ゲームブック末期の作品でなければと思う作品です。

(お返事:田林洋一)
「ウルフヘッドの冒険」シリーズは傑作だと私も感じております! 雰囲気やストーリーと、ゲーム的な要素(ご指摘いただきました「アンデッドは銀の武器などでしか傷つかない」など)が絶妙にマッチしていて、SAGBの中でも本当に優れた作品だと思います。確かに、ブーム末期でなければ一大ムーブメントを作ったかもしれませんね。私は『ウルフヘッドの逆襲』で遭遇する4体の個性的な敵との戦いや絡みが大好きでした!


(ジャラル アフサラールさん)
「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ・ゲームブック」ですが、同じ作者がデザインしたTRPG「ドラゴン・ウォーリアーズ」、富士見書房から出た「ブラッド・ソード」と同一世界では?との説もありますが、Wikiによると作者さん自身により否定されていますね。冥界でチャンバラする(笑)「ブラッド・ソード」やルールブック記載のシナリオでプレイヤーがいきなり〇〇の騎士になってしまう「ドラゴン・ウォーリアーズ」とは違うとしたいのかも知れませんが、それにより物語に奥行きが無くなった気もします。

(お返事:田林洋一)
毎回感想をお送りいただき、ありがとうございます! デイヴ・モーリスらが構築した「レジェンド」の世界観は、どこまで行き渡っているのか見極めるのが難しいのですが(もしかしたら、作者自身にも揺れがあるかもしれません)、それでも夢幻的な世界をプレイヤーに提供してくれますよね。確かに「ブラッド・ソード」第4巻の『死者の国から還れ!』のクライマックスで、主人公は冥界で宿敵イコンと剣を交えていましたね。私はあの対決シーンが大好きでした!(イコンを倒した後にもドラマチックな台詞がありましたし)。


(高橋一路さん)
『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』
毎回 楽しみにしてます!

(お返事:田林洋一)
応援、ありがとうございます! 私は根が単純なので、こうした肯定的な反応を頂けると本当に励みになります。まだあと9回ほどの連載を予定していますが、変わらぬご声援を頂けましたら嬉しいです!


(シミュさん)
ゴールデンドラゴンファンタジーシリーズの戦闘システム。
発売当時遊んでいたときは、FFシリーズと比べて簡単すぎる!などと生意気な事を言ってた記憶があるのですが、要は技術点固定で公平だという事に気付いてからは、逆に好きになりました。
ダークな雰囲気溢れるシリーズ作の中で、「失われた魂の城」は、序盤にアイテム集めの為に賑やかな街巡りがあり、かなり好きなタイトルです。
次回の「デュマレスト・サーガ」も楽しみにしております。

(お返事:田林洋一)
 お便り、ありがとうございます! ゴールデン・ドラゴン・ファンタジィ・シリーズは、簡素なルールの中にも奥深い仕掛けがあって、今でも根強いファンがたくさんいらっしゃるようです。私は『失われた魂の城』初プレイの時は、アイテム集めに熱中しすぎて騎士と戦う羽目になり、最後には騎士の兜をどぶに投げ入れるという蛮行を犯しました(笑)。ラスボスのスランクとの騙し合いも緊張しましたね。シュミさんの好意に免じて、わしは今日魚を食べることにしよう(笑)。今後も拙記事をご覧いただけたら嬉しいです!


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2025年7月4日金曜日

機動灼熱追撃日記その2 FT新聞 No.4545

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《機動灼熱追撃日記 その2》

 緒方直人
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前回にて全体のロケハンを終わり、登山計画もバッチリ考えました。それでは実際のゲームを進めましょう。
まず初めにジョン君が乗るモビルスーツ(略称MS)選択シーンから。そこに3機のMSがあるじゃろ?
選べるのはデザートザク、ドム、ズゴック。この中から私が選ぶのは、ずんぐりむっくりなズゴック君です。理由はもっとも守備力の高い【ランクA】装甲で序盤敵のバルカンやキャノン砲といった弱武器を無傷で跳ね返せるから。加えて、唯一の発射無制限である低出力ビームも超魅力。長い道中、他の弾数制限のあるバズーカやマシンガンなんてやってられませんって。
砂漠の作戦でもっとも不適っぽい水陸両用機と匂わせといてコノ優遇っぷりですよ。逆にコイツ以外のザクやドムでクリアしましたって人がいたらどうやったか教えてほしいくらいス。


さてさてそれではガシャコンガシャコンと歩き出しましょう。
ちなみにズゴックのコクピットには備品として【拳銃】と【ナイフ】がありましたのでアイテム欄に加えておきますよ。
先述のベテランジムが待ち伏せていた最初の湖は華麗にスルーし、最初の3ルート分岐地点に到達です。
ここで選ぶのは最も西で連邦軍との境界線に近くて危険だと脅してくるハリールート。このラインに待ち受けているジムキャノンとかジムさんとかが、ズゴックのA装甲+弾数無制限の低出力ビームなら無傷で完勝をもぎ取れる持って来いのカモなんです。


本作は戦闘ルールが複雑なので詳しい経緯はもうザックリ端折ります。リザルトも面倒なので無しです。
まずここでは互いに離れた状態で飛び道具を撃ち合う射撃戦について解説。
こちらの撃った弾が敵に当たるかどうかは、こちらの攻撃P(熟練P+8面ダイス1個)vs敵の回避P(機動P+8面ダイス1個)の比較で決まります。機動Pが減るたびに動きが鈍って命中率が上がっていくのがミソです。リアル志向ですね。


さて、では何故にジムキャノンとジムがカモなのか。
それは両者の武器がキャノン砲にバルカンと、ズゴックのA装甲ならまったくの「無傷」で跳ね返せるトンだ豆鉄砲だから。
そう戦闘ルールに書いてあるんだからしょうがありません。ならばありがたく利用させてもらうだけです。敵の攻撃フェイズを完全にスルーして、こちらの攻撃フェイズだけを延々と繰り返せばよいのです。
しかもズゴックの武器は弾数無限の低出力ビーム。つまりはダイス差が最大の8−1なら辛うじて当たる、という可能性がわずかでもあれば、、、、、ハイ、1度もダイスを振らずに合法的なスルー勝ちとして扱えるのですね。


熟練度がゼロのジョン君でも、ダイスが最高の8なら攻撃Pは「8」までいきます。対して敵の機動Pが「6」以下の場合、ダイス1で回避Pが「7」という目もあり。かろうじて64分の1の確率でヒットの目があるわけです。
記載によればジムキャノンの初期機動Pは「6」、ズタボロのジムに至っては「4」です。
ということで、こいつらに関しては単なるボーナスキャラとして有難く熟練P+5をいただいて進みますよ。

@ジョン・クエスト 熟練P【0→5】 拳銃 ナイフ
 搭乗MS:ズゴック A装甲 機動P【12/10】
 遠距離武器:低出力ビーム(弾数∞) 近接武器:ツメ


さて、鉄のサソリを目指して気分よく行軍を続けます。
お次の道中にある小屋は大した情報もないのでスルーし、第二分岐ポイントです。ここで隣の中央ディックルートにシフト。
途中、強敵のビーム戦車に遭遇しますがこいつの武器はA装甲でも安々貫く強力ビーム砲なので逃げの一手。ペナルティとして手にした近接武器をキミは落とした! とありますがズゴックの近接武器であるツメは落としようがないので特例として免除してもらえます。優遇されすぎだぜズゴック君。


お次は補給基地イベント。減った機動Pやジャイアントバズーカの弾を補充できるよとあります。
忘れがちですが、ここでズゴックの減っていた機動Pを最大の12まで回復させました。

@ジョン・クエスト 熟練P【5】 拳銃 ナイフ
 搭乗MS:ズゴック A装甲 機動P【12/10→12】
 遠距離武器:低出力ビーム(弾数∞) 近接武器:ツメ


そして中央ディックルートへ合流。
ここでお目当てだったお役立ち装備、高機動バックパックを手に入れることができます。
これは「戦闘時の攻撃Pと回避Pにそれぞれ+2のボーナスが付けられる」というもの。ドルアーガのウィングブーツですね。
ただでさえ乏しい戦力を補強してくれる心強い相棒。有難く使わせてもらいましょう。

@ジョン・クエスト 熟練P【5】 拳銃 ナイフ
 搭乗MS:ズゴック A装甲 機動P【12/12】
 遠距離武器:低出力ビーム(弾数∞) 近接武器:ツメ
 高機動バックパック(攻撃P回避P+2)


その先では敵MS、ガンタンクIIと遭遇します。こいつの武装もジムキャノンと同じくキャノン砲なのでカモ確定。ニヤリと仕留めに挑みます。ここもスルー勝ちでありがたく熟練P+2をご馳走になりました。こんなんばっかりならいいのになぁ。

@ジョン・クエスト 熟練P【5→7】 拳銃 ナイフ
 搭乗MS:ズゴック A装甲 機動P【12/12】
 遠距離武器:低出力ビーム(弾数∞) 近接武器:ツメ
 高機動バックパック(攻撃P回避P+2)


しっかしジムならまだしも、タンクの主砲も同じく豆鉄砲ってのはさすがにオカシクナイ? 大口径ジャイアントキャノンとかじゃないの?
ということで今日はここまで。まともなダイスバトルなぞは一度もせぬままに第三の分岐ポイントまで来たところで一旦閉めます。
次回はジオンのベテラン兵ロベルト師匠との邂逅から激アツな機体乗り換えイベントまで一気に進めてみようかと。引き続きどうぞお楽しみに。


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
■書誌情報
『機動戦士ガンダム0079 灼熱の追撃』
 著 山口宏
 出版社:角川書店 2025/3/26
 新書 968円(税込)
 Kindle版 949円(税込)

 旧版:
 勁文社(新書) 1986/9/1・絶版
 バンダイ出版(文庫) 1989/10/1・絶版


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2025年7月3日木曜日

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.36『名付けられるべきではないもの』 その4 FT新聞 No.4544

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.36
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〜前回までのあらすじ〜
冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカは、超絶危険モンスターの似我蜂(じがばち)の探索を請け負い《太古の森》を冒険中、似我蜂に仲間の樹人アテリツィと命の恩人エルフのファラサールがさらわれてしまった! 
救助のため、いくつかの冒険を乗り越えて似我蜂の巣へ向かったクワニャウマは、そこでファラサールの兄・ギルサリオンと組んで似我蜂の群れと戦う。
窮地に陥った彼らだったが、そこへ旧知の仲のまじない師・ヴィドが見参。彼の活躍のおかげで、似我蜂の群れを撃破することに成功。
イェシカのランタンの灯りを頼りに、クワニャウマ一行は似我蜂の巣となっている洞窟へ入り、最終決戦に臨むのであった……。


長らくお付き合いいただきました『名付けられるべきではないもの』リプレイは、今回で最終回です。
前回の『常闇の伴侶』と同じく、重厚かつ骨太なテーマと結末が待ちかまえております。
今回は慟哭せんばかりの展開を迎えてしまったため、こちらの精神の許容量を超えてしまい、それに伴ってクワニャウマのSAN値も危うくなりかけ、エンディングをラブコメに仕上げることで、こちらの精神と物語のバランスを取りました。
ですから、本来の『名付けられるべきではないもの』のエンディングは、もっと端正で情緒的です。
間違っても、本リプレイのような、全国のギルサリオンファンの方々から剃刀を送られかねないシリアスクラッシュなエンディングではありません。
本来のエンディングを見たい方は、ぜひとも『名付けられるべきではないもの』の冒険に挑戦してみて下さいませ^^
ちなみに、今回の冒険をすると、猛烈にヴィドへの株が上がります。冒険の後半の裏主人公は、ヴィドではないかと思うくらい、存在感を発揮してくれるのが最高です^^b
私は『常闇の伴侶』ではゲルダを相棒にプレイしていたのに、二度目の時にはヴィドを選択してしまったほどです。
『常闇の伴侶』の初プレイでヴィドを相棒に冒険した方の場合も、『名付けられるべきではないもの』のヴィドの再登場でテンションが上がり、それに連動して彼の株も上がる様子が目に浮かびます。

最後になりますが、以前紹介した拙作『女人太平記』(PHP研究所)の刊行日が、当初の7月31日(木)から8月1日(金)に変更と言いますか、確定となりました^^
クワニャウマや、これまでのリプレイで書いてきた女主人公キャラ達を見た後だと到底信じていただけないかもしれませんが、シリアス度とIQが高い女主人公の物語です。
「見せてもらおうか、こいつが書いた女主人公の性能とやらを!」と、好奇心や怖いもの見たさでもよいので、興味と機会がありましたら御笑覧下さいませm(__)m



※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。

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ローグライクハーフ
『名付けられるべきではないもの』リプレイ
その4

齊藤(羽生)飛鳥
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9:最終イベント2
「うっ」
わたしは思わず口元に手をやる。イェシカに持たせているランタンの明かりに照らされた洞窟の奥には、囚われた人間やエルフ、また馬や牛などの家畜が並んでいた。
それぞれが時折身もだえしながら、白目を剥いてだらしなく涎を垂らしている。
不気味に呻き声を上げる男の皮膚の下をもぞもぞと植え付けられた幼生が蠢くと、男は激しく痙攣しながら口から白濁した粘液を吐き出している。
ここまで深く寄生されてしまえば残念ながらもう助けることはできないだろう。
「イェシカ、ごめんね。恐ろしいものを見せてしまって。でも、絶対にあなたをあんな目に遭わせないし、わたしたちも遭わないから」
恐怖に震えるイェシカを抱きしめて安心させる横で、ヴィドとギルサリオンが話をしている。
「焼き払う……か」
「神聖な森で炎を使うことは許さぬぞ」
焦燥を隠せない呟きに、厳しい口調でギルサリオンが口を挟み、ヴィドも口ごもる。森を敬う思いは同じなのだ。
そう思うと、戦闘でじゃんじゃか炎球を使ってすまん、二人とも。
「何を探してるんだい、兄さん」
巣穴の奥から柔らかい声が響く。
「ファラサール!」
「兄さん……僕は今とてもいい気分なんだ。兄さんも、こっちへ来なよ」
明かりにぼんやりと照らされたファラサールは穏やかな笑みを浮かべながら、ゆらゆらと緩慢な動作で兄を手招きする。
ギルサリオンは傷ついた身体で一歩一歩足を進める。
ファラサールは歪んだ微笑みで抱擁するように両手を広げて兄を迎える。
「ゔゔゔゔゔ」
ファラサールの口から体液とも粘液ともつかぬ吐瀉物がごぼごぼと吐き出される。
その中には、蛆虫のような幼生が蠢いていた。
ああ……わたしの命の恩人は、もう、手遅れ、だった……。
莫大な金を積んでも命を救ってもらえないこの世の中で、ただで命を助けてもらえることが、どんなにありがたいことか、わたしはよく知っている。
だから、こっちもただで命の恩人を助け出そうと決意していたのに、似我蜂め! 
その決意を無駄にしやがって! 
わたしの怒りをよそに、エルフの兄弟の会話が聞こえてくる。
「兄さん……兄さんは……どうしてあのとき僕を射たなかったんだい」
「それは、お前を……」
ギルサリオンが苦悶の表情で口ごもる。
「いいよ、兄さん。もういいんだ」
「ファラサール」
「許してあげるよ。僕がアンタを喰っちまうからなぁ」
めりめりと音を立てて、弟の身体から蟲が孵化する。
端正な顔を胴体の先にぶら下げながら、忌まわしき似我蜂がゆっくりと羽ばたき始める。
周りの囚われた肉体からも孵化した仔どもが次々と飛び立ってゆく。
「にいさぁぁん」
ギルサリオンを見れば、実の弟の顔をした似我蜂の仔への攻撃を逡巡している。
ここは、わたしがやるしかない。
それが、命の恩人へのせめてもの恩返しだ!
「その顔でこれ以上口をきくのは、我が命の恩人ファラサールへの冒涜と見做す! ギルサリオンへの賠償金と、わたしへの慰謝料を、その命で支払え!」
わたしの剣の一撃が、戦いの幕を切って落とした。
「いつになく熱いね、クワニャウマ。俺も熱くなっちまうよ」
おどけながらも、そこはヴィド。【防衛】のまじないを唱え始める。おかげで、わたしたちの防御力が上がった。
「弟の顔の似我蜂の仔は、私にやらせろ」
「言うと思った! でも、それは後に回して、今は奴らを殲滅させることだけに集中して! てなわけで、炎球!」
弟をあんな形で喪いつつあるギルサリオンに、説得が通じるとは到底思えないので、わたしはさっさと行動で殲滅を促す。
「命の恩人の僕を、君は攻撃するの? ひどくない?」
「ひどくない! 命の恩人だからこそ、死後も似我蜂の尻に顔が張り付けられているっていう尊厳破壊な境遇から救い出したいの」
「何それ? わけがわからないよ。あと、何か勘違いしていないかな?」
「勘違い? 何を言って———」
「———君は、僕が似我蜂に殺されたと認識し、僕を倒そうとしているみたいだけどさ。僕は、君の命を救ったファラサールでもあるんだよ?」
ファラサールは、親切そのものと言わんばかりに語り出す。
「僕ら似我蜂は、卵を植え付けた宿主とした生物と、蛹の時に同化して人格を得るんだ。そして、宿主にされた生物は、似我蜂の体を得て生命を継続する。そうした共生関係の結果、僕は新しい僕になったんだ。だから、僕は殺されていない。だから、今の君は、命の恩人である僕が殺されたことへの敵討ちとして、僕を殺そうとしているんだ」
「尻に顔が張り付いたり、お兄さんを喰っちまいたくなるという、巨大な欠点を抱えさせられたのに共生関係って言える? そうやってうまいことを言って、わたし達を喰っちまおうと企んでいるだけでしょ? あんたがファラサールのふりをした似我蜂ではないって証拠、ある?」
「『兄さんはああ言っているが、この広い森を我らだけで探索するなど無理なこと。君が手を貸してくれると助かるよ』」
ファラサールの言葉に、剣を握るわたしの手に冷たい汗がにじむ。
「『僕はファラサール。なにか見つけたら、教えてくれ。頼んだよ』」
間違いない。
ファラサールが、初めてわたしと会った時にかけた言葉だ。
その時、彼はまだ似我蜂の卵を植え付けられていなかった。
つまり、わたしをただで助けてくれた命の恩人は、似我蜂に殺されたのではない。
本人が主張している通り、似我蜂と同化した新しいファラサールになっている。
「わかってくれた? さあ、どうする? 命の恩人への恩返しとして、その恩人である僕を殺すこの矛盾を、君はどう解消する?」
念を押すように、ファラサールは訊く。
……ひどい悪夢だ。
いっそ、一思いにファラサールが死んでくれていた方が、わたしは恩人殺しをしないですんで、お得だった。
ん? お得?
恩人が尻に顔を張り付けた転落人生を送らせないようにする方が、よっぽどファラサールへの恩返しになるし、わたしにとってもお得じゃない?
わたしの肚は、決まった。
「よくわかった。そういうわけで、その顔でこれ以上口をきくのは、我が命の恩人ファラサールへの冒涜と見做す! ギルサリオンへの賠償金と、わたしへの慰謝料を、その命で支払え!」
「どうして最初に戻るわけ? 矛盾を解消するんじゃなくて貫き通すだなんて、わからないなぁ」
ファラサールは、呆れ顔で言う。
「あなたがあなたであることはわかった。でも、それはそれ! これはこれ! わたしは、命の恩人がこれから尻に顔を張り付けたまま、世界中に害悪をまき散らして生きていく姿を見たくはない。きれいな思い出のままでいてくれた方が、圧倒的お得! だから、自分はファラサールと主張し続けるなら、わたしのために死ね!」
「本当に、君はわけがわからないよ」
「わたしは、最初から理解なんて求めていない。求めているのはただ一つ。貴様の命だーっ!!」
「似我蜂よりも闇が深いぞ、クワニャウマ!」
ヴィドのツッコミが冴え渡る中、わたしとの会話で隙ができていた似我蜂の仔へ、ギルサリオンが矢を連射する。
矢はすべて、わたしの炎球で焼き損ねた似我蜂の仔を貫いていった。


10:冒険の達成
奇妙に歪んだ笑みを貼り付けたままファラサールの目から命の灯火が消えて行く。
「にいさん……酷いじゃないか」
全身を痙攣させながら、ファラサールの顔のままで忌まわしき怪物が呟く。
わたしの暴論には言わなかった恨み言を、ギルサリオンには漏らすということは、ギルサリオンへの深い思いがあるから。
すると、やっぱり、尻にファラサールの顔が張り付いた似我蜂の人格は……。
「どうせ殺すなら、どうしてあのとき殺さなかったの」
「……お前はもう……俺の弟じゃない」
そう言いながらも、ギルサリオンは右手に握った長剣を振り上げることができずにいる。
怪物は身もだえしながらも、巣穴の外をちらりと窺う様子を見せた。
隙あらば、逃げようとしているのは目に見えている。
こんなせこい行動をするなんて、わたしをただで助けてくれたファラサールのすることじゃない。
ファラサールのすることと言えば。
ファラサールが望むことと言えば。
……。
「ひと思いに殺せ、ギルサリオン!」
わたしは、おなかに力を込めて叫んだ。
「……わかっているさ」
「本当に? 今のあなたは、わたしの剣。ファラサールの顔をした似我蜂にとどめを刺すのは、あなたではなく、きれいな思い出のまま彼に死んでもらいたいと強く願っている、このわたし。わかる?」
「クワニャウマ……とか言ったな。思っていたよりも甘い女で呆れたぞ。言っただろう。施しは受けん。私が貴様に命じられたから弟の顔をした似我蜂に手をかけざる得なかった流れにして、罪を肩代わりする魂胆なのだろう。だが、私は王家の血を引く者。貴様ごとき取るに足りない外の者に憐れまれるほど軟弱な性根はしていない」
見抜かれたか。
彼らがどんな兄弟かはほとんど知らない。
けれども、ファラサールは自分ごと似我蜂を射るよう、兄のギルサリオンに頼んでいたことから、深く信頼し合っていた兄弟だったことが見て取れる。
この手の兄弟は、イェシカのお兄さんがそうだったように、自分よりも相手の無事や幸せを願うものだ。
だったら、彼の兄であるギルサリオンの罪の意識をやわらげるために、ファラサールの死は、あくまでもわたしと似我蜂によってもたらされたものと理解してもらうのが、ファラサールへの真の恩返しになってお得だ。
そう思った上での発言だったんだけど、いまいち不発だったか。
ギルサリオンは毅然とした表情を取り戻すと、長剣を振り上げる。
「ファラサール、約束だったな……たとえどちらかが欠けようとも、必ず責任は果たすと」
鋭い切っ先で貫かれ、怪物は奇怪な金切り声をあげて絶命する。
ギルサリオンは全身に返り血を浴びたまま、動かなくなった弟の亡骸を見つめている。
「背負っていくさ……これまでも、これからもな」
疲れきってはいるが、迷いない目で前を向く。そして囚われた生贄たち一人一人に手をかざし、ゆっくりと浄化し始める。
「それが光の役目だ」
今は、どんな言葉をかけても、ギルサリオンを傷つけることになりそうだ。それは、ファラサールが一番望まないことのはず。
わたしは、イェシカとヴィドと一緒に、黙って浄化がすんだ生贄たちの介抱をした。
きっとこれこそ、わたしの命の恩人であるファラサールが本当に望んだことであり、それをかなえることが、わたしができる彼への恩返しだろうから……。


11:エンディング
「……さて、これで忌まわしき似我蜂のお話はおしまいだ。めでたしめでたし、ってな」
ランタンの灯りに照らされる子供部屋を見回すと、えーっと小さな落胆の声が上がる。
「もっと話してよ、ヴィド」
「それからどうなったのさあ」
「気の毒なファラサールとは別に、アテリツィは助かったんで、クワニャウマとイェシカは喜んでいたぜ」
「それから?」
「クワニャウマは、しっかりと似我蜂の仔が残していった〈身代わりの依代〉を懐に詰めこんでいったぜ」
「それから?」
「二人は冒険家だから、また旅立ったよ。はいはい、終わり」
ヴィドは笑いながら、ランタンを吹き消した。
「さぁ、もう寝ろ寝ろ。夜更かしする子供のところにゃ、似我蜂が訪ねてくるぞ」

子供たちを寝かしつけ外へ出ると、俺はふと星明りに照らされる太古の森を見やった。
獣の遠吠え、吹き抜ける風の音、樹人のざわめきすら聞こえるようだ。
俺は奴の顔を思い浮かべながら、言葉にならない思いに開きかけた口を噤んだ。
損得勘定の塊で、どこかずれた感性で生きているクワニャウマだが、ファラサールの惨死は相当こたえたらしい。
『ファラサールみたいな、ただで他人の命を助けてくれる偉大な男が、このまま忘れ去られてしまうのは、世の中にとって大損失! 大枚積んで、ファラサールの勇敢な人生を吟遊詩人を雇って詩を作ってもらって千年先まで歌い継がれるほど大流行させたいから、荒稼ぎしたいの。いい仕事があったら、紹介してくれる?』
……奴に人間らしい心があって驚く瞬間でもあり、そういや訳ありのイェシカを曲がりなりにもかわいがって育てている時点で人間味はあったかと、納得する瞬間でもあった。
そこで、ゲルダが危険だが高額報酬の出る依頼を紹介したので、成功報酬の金貨8枚と金貨55枚相当の価値を持つ大きな宝石を受け取るや否や、こちらの依頼達成の感謝の宴会を蹴って、素早くごちそうだけ箱詰めにして弁当にすると、イェシカを連れてさっさと旅立ってしまったのだ。
つくづく、変わり者の強欲ちゃんだ。
そうして肩をすくめると、俺は一人暮らしの粗末な小屋へと歩き出した。
「帰りが遅いぞ」
我が家に入った途端の珍客に、俺は目を疑った。
「なんでお前がいるんだよ、ギルサリオン!?」
「あれから半年。癪に障るあの強欲女の消息が、どうにもつかめなくてな。まだ私が弟の死を気にかけて落ち込んでいると思われているのは、屈辱だ。奴に、私が元の生活を取り戻し、立派に光の役目を果たしているところを見せつけたい。そういうわけで、次にクワニャウマがここへ訪れたら、私の許へ知らせをよこすように」
「……ギルサリオン。ひょっとしてだが、クワニャウマに惚れ———」
「———おぞましいことを抜かすな。私はただ、いつまでも取るに足りない外の者に、王家の血筋に連なる者として、憐れみ続けられることを潔しとしていないだけだ。話は、これで終わりだ。邪魔したな。いいか。絶対に知らせをよこすんだぞ?」
ギルサリオンは、言いたい放題しゃべってから、威厳たっぷりに俺の小屋から出て行った。
……俺、何を見せつけられたんだろう。
いや、わかっちゃいるけどさ。
忌まわしき似我蜂のお話の本当の結末が、こんな安っぽい恋愛小説じみた結末なんて、誰が喜ぶんだよ? 
少なくとも、集落の子供たちは喜ばないぞ。
「頼むから、今度は俺が語り継ぐにふさわしいかっこいい冒険をしてくれよな、クワニャウマ」
俺は、一人きりになった小屋の中で、この大地のどこかで冒険をしているであろう、クワニャウマへ語りかけた。


(完)

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2024年末に5巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2024年6月に『歌人探偵定家』(東京創元社)を、同年11月29日に『賊徒、暁に千里を奔る』(KADOKAWA)を刊行。2025年5月16日刊行の「小説すばる」6月号(集英社)に、読切『白拍子微妙 鎌倉にて曲水の宴に立ち会うこと』が掲載。同年7月30日に『シニカル探偵安土真』6巻が、8月1日に『女人太平記』(PHP研究所)が、それぞれ刊行予定。

初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。

■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『名付けられるべきではないもの』
著 水波流
2024年12月1日FT新聞配信


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2025年7月2日水曜日

第3回【素敵なおパンツ同盟】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4543

第3回【素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


ぜろです。
ローグライクハーフリプレイ「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」をプレイしています。
銀幕のスター、ベル・ロックベー氏の履いているパンツに魅せられた主人公ポストん。
デザイナーのビビエ氏が惑星イロアスの、竜鍵諸島の都市マックルーに来るという情報を聞きつけます。
さらにマックルーでは、移植手術の格安キャンペーン中。
ベル・ロックベー氏のように、お腹に神々しいヒゲを移植してもらい、さらにビビエ氏に素敵なおパンツを作成してもらう。
そんな目的をもって、ポストんはマックルーへ。そこで知り合った相棒ドナとともに、マックルーの町を探索します。


【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+2 器用ロール+1)

【食料】0
【金貨】0

【持ち物】
1星見のレンズ
2宝石(金貨25枚)
3ヤコウミツメ酒(3本):食料がわり。あと発光。

【未使用経験点】0

【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)

【相棒】
【ドナ 技量点1 生命点7 器用点4】
【装備】
軽い武器(斬撃 攻撃-1)
弓矢
革鎧(生命点+2 器用ロール+1)


●アタック01-5 ポストんとポリゴンショック

【11 掲示板モドキ】

さて、私が行きたいのは2か所。
ひとつはゴマンデル診療所。そこでおなかに立派なおヒゲを移植してもらう。
もうひとつは伝説の職人ビビエさん。素敵なおパンツを作ってもらう。

さっきは噂話でガセ情報をつかまされてしまい、すべてをネコにする、ネコ好きビビエロボと戦うハメになってしまった。
土地勘はないから、次はどう探そう。

そんなふうに思っていたら、いい感じに広場の掲示板を発見した。
掲示板ならなにか情報がつかめるかもしれない。

すでにタイトルに「モドキ」がついているので悪い予感しかしないが、ポストんたる私には見えていない。

で、掲示板を見ようとしたら、案の定【魔術ロール】を求められた。
目標値は、5だ。

私もドナも器用点キャラなので、ここは代用して技量点でいく。
サイコロを振ったが2人とも出目は2。技量点を加えても3。どちらも失敗だ。

掲示板の流れる画面を見つめていると、明滅する光に気分が悪くなってきた。
これ、あかんやつだ。
私もドナも生命点を1点失った。
そして気がついた。
これはただの掲示板じゃない。
掲示板のふりをして油断させ、見ている者の気分を悪くする映像を流し、その隙に……その隙に?

なにをするんだろう。

よくわからないけれど、なにやらよからぬことをしようとしている、掲示板モドキなのだ。

私たちは、生命点を1点失いながらも、いち早くそれに気づいた。
掲示板モドキを締め上げようとしたが、あちらさんの反応のほうが一歩早く、逃げられてしまった。

はあ、あんな風に掲示板に擬態できる生き物もいるのか。宇宙ってひろいなぁ。


●アタック01-6 ポストんと患者ファイト

【中間イベント 1,212人目を目指す患者たち】

目的地を見失ったままさまよっていると、人だかりが見えた。
近づくと、そこがゴマンデル診療所だった!

結局偶然見つけてしまった。

ゴマンデル診療所では、1,212人目の患者の料金が無料になるというキャンペーン中なのだ。
私はそれを狙ってやってきた。

が、つまり、ここに集まっている人たちは、全員が1,212人目狙いってことか。
全員が私のライバル。
それにしても、これだけの人の中で、どうやったら見事1,212人目の患者の立場を勝ち取ることができるのだろうか。

やっぱり順番に並んで、偶然1,212人目になれるか試すしかない?
それとも一斉に押し合いへし合いすることになる?

と、そこへ出てきたのは、ナース服を着た女性だ。
看護師長かな。

「ただ今、1,211人目の患者の診察を終えました。これより、1,212人目選抜、患者ファイトを開催いたします!」

な。患者ファイトだと?!

「患者ファイト規約!
 ひとつ! 最後の1人になるまで戦え!
 ひとつ! 診療所の前がリングだ!
 ひとつ! 周辺に被害がおよぶ飛び道具の使用は禁止!
 ひとつ! 最後の1人になり、『急患でーす!』と叫んだ者を1,212人目の患者とする!」

つまり、この場でひとりになるまで戦えということか。
戦わなければ生き残れない。仮面ライダー龍騎もびっくりの患者バトルロイヤルだ。

「それでは、患者ファイト、レディー……ゴー!」

戦いのゴングが鳴る。
患者たちが、各所で戦いを始めた。

少し遅めにやってきたせいか、私たちのところには誰も来ないので、なんとなく見守っている。
ひとり、またひとりと倒れ、患者たちが減ってきた。そのあたりで、患者のひとりが私に気づく。

「お前も患者候補か!」

私はうなずき、忍者刀を構え、挨拶をする。
ここから参戦だ。

【患者たち レベル4 出現数3】

当然、全員倒すまで戦いは続く。

最初の攻撃。私はサイコロの出目1、ファンブルで攻撃を外してしまった。
しかしドナと黒子が高い出目で見事に命中させ、患者を残り1人にまで減らした。

患者の攻撃が私に来るが、それは回避。
お返しとばかりに振るった私の攻撃は、サイコロの出目6。今度はクリティカルをたたき出し、最後の患者も倒れた。

これで勝利だ。

私は、たからかに叫ぶ。

「急患でーす!!」

しかし、看護師長に動きはない。
え。なんで。どういうこと?

私とドナは顔を見合わせ、「あ」ってなった。
まだ、最後のひとりじゃなかった。

ドナは別に、1,212人目の患者になることを望んでいない。
そもそも整形手術に用がない。それは黒子も同様だ。

私とドナはそっと目配せ。
私は、ドナを手のハサミで軽くぺちんとやった。

「うわ、やられたあ」

棒読み演技でドナが倒れる。
黒子はその隙に、私の影に紛れている。

これで、いいはずだ。
私は叫んだ。

「急患でーす!」

看護師長がクラッカーを鳴らす。いつの間にか用意されていたくす玉が割れ「祝! 1,212人目の患者さま!」という垂れ幕が降りた。

「おめでとうございます! あなたがゴマンデル診療所1,212人目の患者に認定されました! 受けたい診療内容をどうぞ!」

私はさらに叫んだ。

「おなかに、神々しいおヒゲを生やしてくださーい!」

そうして、それは実現した。

おなかに神々しいおヒゲを生やし、私はよりおしゃれになった。新生ポストんだ。
手術を終えたところで、Dr.ゴマンデルは言った。

「君はビビエさんを探しているんだってね。ちょうどいい。ビビエさんに会ったら、これを渡してくれないか?」

それは老眼鏡だった。

「これはビビエさんのでね。修理したんだ。本来ならすぐに届けるべきだが、なぜか急に患者が増えてしまって、手が離せなくなってしまったんだ」

たしかに「急患でーす!」「急患でーす!」と次々と声が上がり、患者たちが運び込まれている。
それは、患者ファイトの敗者たちだった……。

なるほど。1,212人目を無料にしても、結果的に患者が増える仕組みというわけか。
Dr.はわかってなさそうだし、看護師長あたりの策謀かな?
なんというマッチポンプ。


●アタック01-7 ポストんとガラクタの宝箱

【31 腐ったオ・スッシー】

オ・スッシーといえば、私たちが乗ってきた定期就航便の巨大宇宙生物だ。
しかし、その大きさはさまざま。町のオ・スッシーは人と同じくらいのサイズだ。

しかし、私たちが遭遇したオ・スッシーは明らかにやばい集団だった。

なぜなら、腐っているから。
しっかりと【アンデッド】に属するクリーチャーって書いてある。
腐ったオ・スッシー。とても嫌な響きだな。
そんなオ・スッシーのゾンビが5体。
だいたい、なんで腐ってしまったんだ。

「工場廃液とかを飲んでたんじゃないかな」

ドナが言う。野生のオ・スッシーが工場廃液などを飲んで腐ってしまったというのか。
ここだけ、1990年代頃によく見られた、環境保護をテーマにした作品めいてきたな。
でもそんなの関係ねえ。戦うしかない。

【腐ったオ・スッシー レベル4 出現数5】

最初のラウンド。
みんな飛び道具を使い、みんな命中だ。
ポストん、ドナ、黒子の順にオ・スッシーを1体ずつやっつけた。

残るオ・スッシー2体の攻撃は、私とドナに命中してしまい、それぞれ1点のダメージだ。
大丈夫かな。傷つけられてゾンビになったりしないかな。

「ここにはアンブレラ社はないし、ゾンビウイルスじゃないから大丈夫」

そうだった。単に腐ってるだけだった。
じゃあ、残りも倒してしまおう。

次の私とドナの攻撃で、ゾンビなオ・スッシーは全滅した。
へろへろになったオ・スッシーたち。
次は腐ってないものを食べて、健全な肉体を生成するといいよ。


【12 ガラクタ箱の宝くじ】

私たちはどうやら、裏路地に迷い込んでしまったみたいだ。
思えばさっきのオ・スッシーなんかも、表通りで出るようなものではない。

少し迷っていると、路地の突き当りに変なものが置いてあった。
鎖に繋がれた、宝箱だ。
宝箱は、牙のついた口をバクバクと開閉している。

ガラクタ箱。
いわゆるミミック的なクリーチャーだ。
もっと静かに宝箱に擬態して犠牲者を待つのが普通なのだが、だいぶ凶暴なようだ。
もしかしたら、鎖につながれて放置されているせいで、飢えているのかも。

とはいえこれは、実は魅力的な誘いでもある。
というのも、ガラクタ箱はその名とは裏腹に、箱の中にはきちんと宝物を用意して、獲物を待つのが常だからだ。
あのバクバクした口よりも素早く手を突っ込んで中身を引っ張り出すことができれば、いいものが手に入るかもしれない。
中に何かがあるのは確実だ。あるからこそ、元気に動いているとも言える。

さあ、ガラクタ箱チャレンジをやるかどうか。
やるなら幸運ロールで目標値は5という。
五分五分くらいの確率で何かが手に入る。

やってみる価値はあるな。
まず、私が挑戦する。
ダメならドナだ。
それでもダメなときは……また考えてみよう。

私の挑戦。
ガラクタ箱に、ハサミをすばやく差し込む。
しかしサイコロの目は2。完全に失敗だ。
がぶーっと噛まれて生命点にダメージを負った。
いつの間にか私の生命点はあと3点にまで減っている。

ドナの挑戦。

「私は本来盗賊なのさ。素早いところを見せてあげる」

判定は幸運ロールだけどね。
ドナの手が素早く伸びる。
サイコロの出目は2。私とまったく同じパターンで噛みつかれた。

ガブってされてガクっときてるドナを前に、私は考える。
挑戦は何度でもできる。やるべきか、諦めるべきか。

よし。やろう。

このままやめたら丸損だ。
完全に身を持ち崩すギャンブラーの思考だが、この1回にすべてを賭ける。

私は右手のハサミを外し、素手になった。

「外せたのか、それ……」

ドナが素で驚いている。
うん。普段外すことはないが、外すことは外せるんだよ。
第1回のキャラクター設定のところに書いてあるからね。

「ハサミの中にちゃんと手があります。
 ハサミ部分は手を守るプロテクターのようなものです。データ的にはなにもありません」と。

そして再チャレンジ。サイコロを振ると、出目はなんと6。クリティカルだ。
これでガラクタ箱の中身ゲットだ。

手に入るのは、魔法の宝物1個と、装備品表から1個という。
素早い私は、まとめて2個持ちだすことができたようだ。

サイコロを振り、入手したものを決める。
まずは魔法の宝物。
「火亀鍋」を手に入れた。

これは火山亀の甲羅から作った鍋だ。
それ自体が発熱できるため、火がないところでも鍋を作れる。
持ち運びホットプレートみたいなものだ。
で、ゲーム的な効果としては、この鍋を使うことで、食料の回復効果が全員得られるという。
なかなか良いものを手に入れたな。

次に普通の装備品の方。
「ホム」を手に入れた。これは竜鍵諸島で使われている貨幣とのことだ。
これまでお金を使う機会はなかったが、買い物しようとするとホムが必要ってことかな。
持ち物欄は普通に使うのだろうか。
金貨に準拠する扱いなら、持ち物欄を圧迫しない可能性もあるけれど。

わからないから、一応持ち物欄に入れておこう。
金貨のように何枚も手に入るものなら、持ち物欄1つ分である程度の枚数は持てる取り扱いにすれば良いだろう。

さあ、生命点は消耗したものの、便利なものを手に入れることができた。
それこそここで、生命点を回復させておきたいところ。
さっそく火亀鍋の全員回復効果を使ってドナと私、2人の生命点を回復させようか。

そう思ったのだけど、今私は食料を持っていなかった。
持っているのは食料と同等の効果が得られるという、ヤコウミツメ酒だ。
食料と同等の効果とはいえ、食料とは違うので、火亀鍋で全員の回復効果を得られるかというと悩ましいところだな。
お酒を温めても熱かんにしかならない。

ということで、火亀鍋の使用はあきらめ、私たちはそれぞれ、ヤコウミツメ酒を呑み、生命点を回復させた。
そしてヤコウミツメ酒の効果で、体が発光したのだった。

次回、ついに伝説の職人ビビエ(本物)のところへ。


【ポストん レベル10 技量点:1 生命点:6→3→5/6 器用点:5 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(片手武器・斬撃)
シノビ装束(革鎧・生命点+2 器用ロール+1)

【食料】0
【金貨】0

【持ち物】
1星見のレンズ
2宝石(金貨25枚)
3ヤコウミツメ酒(3→1本):食料がわり。あと発光。
4火亀鍋
5ホム
6ビビエの老眼鏡

【未使用経験点】0

【従者】
黒子(弓兵・射撃+1・斬撃)

【相棒】
【ドナ 技量点1 生命点7→4→6/7 器用点4】
【装備】
軽い武器(斬撃 攻撃-1)
弓矢
革鎧(生命点+2 器用ロール+1)

■登場人物
ポストん 宇宙忍者。おパンツ大好き。ベル・ロックベー氏のおパンツに魅了され、手に入れるため竜鍵諸島へ。
ベル・ロックベー 銀幕のスター。おパンツ同盟の一員で、おパンツを広める啓蒙活動に一役買っている。
ビビエ 服飾デザイナー。特におパンツへの造詣が深いおパンツ職人。おパンツ界の神。
ドナ 仮面をかぶった謎の人。面白そうだから私についてきた。
Dr.ゴマンデル ゴマンデル診療所の医師。整形手術を行う。


■作品情報
作品名:「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」
著者:ロア・スペイダー
監修:杉本=ヨハネ
原案・設定:海底キメラ


ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946

竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜
https://booth.pm/ja/items/5331098
※「素敵なおパンツ同盟 〜紡ぐは夢のおパンツ〜」が収録されています。

本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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2025年7月1日火曜日

『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.4 FT新聞 No.4542

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『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.4

 (田林洋一)
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 FT新聞の読者のあなた、こんにちは、田林洋一です。

 全13回を予定しております東京創元社から出版されたゲームブックの解説「SAGBがよくわかる本」、4回目の記事を配信いたします。今回は「レジェンド」という世界観を共有する「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ・ゲームブック・シリーズ」を主に扱います。

 本連載は「名作」と呼ばれるものを最初に集中的に扱っている関係上、連載の後半になるに従って厳しい批評が多くなりますこと、ご寛恕ください。作品そのものを全否定する意図は全くないことをご理解いただければと思います。「私はそうは思わない」という感想がございましたら、ぜひともお寄せいただければ嬉しく思います。

 最後に、毎回の私事ではありますが、アマゾンにてファンタジー小説『セイバーズ・クロニクル』とそのスピンオフのゲームブック『クレージュ・サーガ』を上梓しておりますので、そちらもご覧いただければ嬉しく思います。なお、『クレージュ・サーガ』はこの記事の連載開始後に品切れになりました。ご購入くださった方には、この場を借りてお礼申し上げます。
 
 『セイバーズ・クロニクル』https://x.gd/ScbC7
 『クレージュ・サーガ』https://x.gd/qfsa0

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4.レジェンド世界 -ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ・ゲームブック

主な言及作品:『吸血鬼の洞窟』(1986)『シャドー砦の魔王』(1986)
『炎の神殿』(1986)『失われた魂の城』(1986)『ドラゴンの目』(1986)
『ファラオの呪い』(1986)
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

 第3回では『ネバーランドのリンゴ』がゲームブックのボリュームアップの端緒を開いたと述べたが、ここで紹介する「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジイ・ゲームブック」(以下「ゴールデン・ドラゴン・シリーズ」)はややもすると容量過多の傾向にあったゲームブックに警鐘を鳴らす作品群と言える。
 本シリーズは他のSAGBよりも薄めで、一番短いデイヴ・モーリスの『吸血鬼の洞窟』が二九〇パラグラフ、もっとも長い同じくデイヴ・モーリスの『ドラゴンの目』が三一〇パラグラフと多少のばらつきはあるものの、おおよそ三〇〇パラグラフで構成されている。『ファラオの呪い』の最後の解説で田中克己が述べている「このシリーズは、やたら長いだけがゲームをおもしろくする要素ではない、ということを如実に示してくれたと思う」という評は極めて的を射ている(余談だが、FT書房は「一〇〇パラグラフ・ゲームブック」シリーズを現在でも精力的に刊行しており、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」を証明してくれている)。
 このシリーズの六作品はストーリー面では完全に独立しており、プレイヤーが扮するのは、ある時は最強との呼び声高いパラドスの《竜騎士》に、またある時は富と冒険を求めるさすらいの剣士に、別の時には前途有望な魔法使いにと、舞台やストーリー、主人公の属性までもががらりと変わる。「レジェンド」と呼ばれる世界観を部分的に共有しているが、「ドルアーガの塔」や「ソーサリー」とは違って、一人の主人公を操っていく壮大なキャンペーン・ゲームにはなっていない。つまり、この六作品は、どれをどの順番でプレイしようともゲームに全く影響はない。ルール面では『ドラゴンの目』が十二種類の魔法を使用できる以外は共通しており、だからこその「シリーズ」なのだろうが、仔細に見ていくと、やはり他の国産のゲームブックとの違いが浮き彫りになる。
 
 まずは戦闘だが、初期値はなくただサイコロ二個を延々と振って結果を出す。大きな目の方がプレイヤーに有利になっており、サイコロの目が大きければそれだけ敵にダメージを与える確率が上がり、時にクリティカルヒットが出る。一方でサイコロの目が低ければ、敵の攻撃によってダメージを受ける可能性がある(時にプレイヤーが即死する)仕様になっている。また、一度に戦う敵の数が多いほど、主人公の命中率が悪くなる(攻撃が当たりづらい)という現実に即した工夫もなされている。ファイティング・ファンタジー・シリーズのゲームブックや「ドルアーガの塔」のように、最初に設定する技術点や戦力ポイントなどで差別化を図っているわけではないのだ。
 似たようなルールに『ネバーランドのリンゴ』の戦力ポイントがあり、初期値は共通で〇点だが、与えるダメージが異なる武器だけは旅立ちの最初にサイコロを振ってランダムに決定(剣二種類と戦斧の三つのうち一つを選択)するようになっている。
 このシリーズでは体力ポイントとPSI(直観力)ポイント、そして敏捷ポイントという値を設定する必要があり、後者二つはサイコロ一つに三を加えたものを初期値とする。最大で九、最低で四というわけだ。冒険の最中では、「サイコロ二個を振って出た目と現時点のPSIポイント(ないしは敏捷ポイント)を比較せよ」という指示が頻出するが、ファイティング・ファンタジー・シリーズなどの他の技術点や運点などの比較方法(技術点(運点)チェック)と違って、かなり失敗の確率が高い(ファイティング・ファンタジー・シリーズでは、サイコロ一個に六を加えた値が初期値のため)。また、全ての「ゴールデン・ドラゴン・シリーズ」の冒険において体力を回復する機会も非常に少なく、難易度は極めて高い。たかが三〇〇パラグラフの冒険だと思って舐めてかかると、プレイヤーは痛い目を見るだろう。

 SAGBの一環として翻訳出版されたゴールデン・ドラゴン・シリーズは、著者がデイヴ・モーリスとオリバー・ジョンソン(『失われた魂の城』だけは、デイヴ・モーリスの(恐らく当時の)フィアンセであるイヴォンヌ・ニューナムが共著者としてかかわっている)というイギリス人二人である。恐らく先行作品であるスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンが執筆・監修しているファイティング・ファンタジー・シリーズの影響を受けているためか、移動は全て単方向である。更に、全体の雰囲気やテイストも日本人作家の作風とは違い、ファイティング・ファンタジー・シリーズの諸作品と近い。
 もっとも、ジャクソンやリビングストンのようにノーヒントの致命的な選択肢(道を一本間違えただけで即死する類の罠など)は、例えば『吸血鬼の洞窟』や『失われた魂の城』などにはあまり見当たらないので、プレイヤーは気持ちよく冒険に参加できるはずだ。その一方で、例えば『炎の神殿』などはクリア達成のための正解ルートが限られていて難易度は比較的高く、軽々しく行動を選択することはできない。また、『ドラゴンの目』ではクライマックスにヒントなしの三択(これはリビングストン著『盗賊都市』のフィナーレを想起させる)がプレイヤーに突きつけられるのだが、デイヴ・モーリスは自身のブログでこの箇所を「重大な欠陥」と回想している。
 また、日本人作家によるゲームブックの特徴は主人公キャラクターの際立ちにあると第1回で述べたが、このシリーズでは言わば「無色透明の君」が主人公である。ルール欄にある「あなたの名前」という項目では「自由に名前をつけてください」という指示(提案)があり、実際にアドベンチャーシートの冒頭には「あなたの名前」を書く欄が用意されているが、名前によって冒険が変化することは一切ない。

 この「単方向移動」と「無色透明の主人公」という特徴は、SAGBにおいては珍しい(『ベルゼブルの竜』などの例外はある)。この特徴は、もちろん著者が日本人でないということに起因しているが、その一方で似たようなシリーズのファイティング・ファンタジーとの差別化もあり、各種能力値ポイントや戦闘の扱いが異なっていることは既に述べた。因みに、ファイティング・ファンタジー・シリーズでは項目数がほとんどの場合四〇〇と決まっていて、ゴールデン・ドラゴン・シリーズでは項目数が前述したようにほぼ三〇〇と、これまた容量が定まっている。それに比べて、日本人作家のSAGBのボリュームは得てしてばらばらで、どちらかというと分厚いものが多い傾向にある。

 このシリーズの最大の特徴は、その濃密な物語性と、重厚な雰囲気にある。考えてみれば、今までのSAGBのほとんどはアーケードゲームやファミコンソフトが原作であったり、キャラクターが突出して際立っていたりといった特徴を備えていたが、どちらかというとライトなイメージがあった。「ドルアーガの塔」にいたっては、(アーケードゲームやファミコンソフトの原作がそうであったからなのだが)最初から剣や黄金の鎧兜に盾など、完全装備での出立である。また、完全武装とは程遠いが『ネバーランドのリンゴ』などは、第3回で述べたように童話的・牧歌的でいかにもファンタジーという雰囲気を醸し出しており、旅の途中で悲壮感を感じさせることはあまりない。
 ところが、このシリーズで経験する冒険は国産品と比べても様相がかなり異なる。例えばシリーズの一作『シャドー砦の魔王』では、プレイヤーはララッサの王、ヴァラフォールに仕える近衛兵になって、王を亡き者にしようとする魔王ダークローブ卿を倒すためにシャドー砦に侵入するのだが、夜の道で遭遇する骸骨の使者をはじめ、陰惨な雰囲気が冒険の行程全てに立ち込めている。グールとの会食に参加して人肉を食するイベントがあったり、プレイヤーを罠にはめようとする不気味な女亡霊の発狂ぶりがあったりと、陰惨な世界観に満ちている。『ネバーランドのリンゴ』や「ドルアーガの塔」のように、「ちょっと一息できる場所」がないのだ。
 シリーズ最終巻の『ファラオの呪い』では、砂漠とピラミッドの冒険が描かれるが、まさに地獄の使者とも言うべき悪魔「イポ」や「ボス」が登場したり、随行する正体不明の老人との絡みがあったりと、まるで悪夢の世界を行脚しているような雰囲気にさせられる。
 また、『炎の神殿』では、パラドスの竜騎士である「あなた」が「カタク黄金の偶像」を探しに行くのだが、前半はジャングル、後半は宿敵の魔術師ダモンティールの待つ迷宮内を冒険する。ジャングルの冒険では木々の匂いがむせ返るような熱帯雨林を踏破していき、それに呼応するように奇怪な呪術師との遭遇などがイベントとして立ちふさがる。後半は罠だらけの迷宮に踏み込んでいくのだが、現れるだけで不気味な暗殺者・悪夢兵との戦いや、死んだはずのかつての旧友サルサ・ドゥームとの邂逅など、始終陰湿で恐ろしいイベントが目白押しなのである。既に延べたように体力回復の手段なども極めて少なく、徐々に削り取られていく体力ポイントに加えて、次から次へと襲い掛かってくる凶悪なイベントに恐ろしい敵の攻撃をかいくぐっていく冒険は、読者に多大な重圧を与えるだろう。

 それに比例するように、ゴールデン・ドラゴン・シリーズはファイティング・ファンタジー・シリーズなどと比較して1つのパラグラフの文章が多く、夢幻的・悪魔的な雰囲気を醸し出すのに一役買っている。つまり、ゲーム的な『ゼビウス』や『ネバーランドのリンゴ』とは異なり、かなり小説的なのだ。ルールは極めてシンプルで、いわゆる「ズル」を許さないパラグラフ・ジャンプなどはこのシリーズには全くない。また、林友彦の諸作品で見られた(時に可愛らしい)謎解きも、ほとんどないと言っていいだろう。例外は、『失われた魂の城』に登場するゴブリンのドランとカバグーの会話ぐらいである。これとても、いかにも謎解きという提示の仕方は取っておらず、要所でヒントを得て、そのヒントを元に推測すると危機を回避できるような、さりげないパズル、言うなればストーリーの中に組み込まれた謎解きという設定になっている。

 一般的に言って、ゲームブックはストーリーを味わう側面とゲーム的・パズル的な楽しさを追及する側面の二つのアプローチがあるかと思われるが、このシリーズは前者に特化したゲームブックと言えるだろう。スティーブ・ジャクソンは1986年に"Creature of Havoc"(邦題『モンスター誕生』(社会思想社版 1988年)をPenguin Booksから発表した後にゲームブックの休筆宣言を行ったが、それはストーリーとゲーム面の両方を内包するゲームブックという形式から一時離れたかったからだろう。
 その一方で、彼は1985年にOxford University Pressから "The Task of Tantalon"(邦題『魔術師タンタロンの12の難題』(社会思想社版1987年)を発表しているが、この作品はストーリーよりもゲーム的、パズル的な楽しさを味わうという側面が強い。また、日本ではSAGBの一環として出版されているTRPG『スティーブ・ジャクソンのファイティング・ファンタジー』(原書は "Steve Jackson's Fighting Fantasy"で、1984年にPenguin Booksから出版)も、多人数で遊ぶロール・プレイング・ゲームのルールブックという性質上、やはりゲーム的な要素が際立っているように思われる。
 このルールブックに付随している二つのシナリオ(短編「願いの井戸」と中編「シャグラッドの危険な迷路」)はいずれも突出した出来栄えで、ストーリー的にも文句のない佳作である。実際にTRPGをプレイすると、細かいルールよりもゲームマスターの作り上げたストーリー(あるいはジャクソンが用意したような既存のシナリオ)を楽しむことが多いだろうが、これはあくまでTRPGの「ルールブック」である。ストーリーにルールは要らないかもしれないが、ゲームには必ず何らかのルールを必要とする。その意味で、恐らくジャクソンは「ゲーム」に重きを置いて『スティーブ・ジャクソンのファイティング・ファンタジー』を執筆したような気がするのである。
 
 他方、ストーリーを純粋に楽しむために、ジャクソンは「ゲームブック」から「ゲーム」を除いた「ブック=小説」を手がけ、『トロール牙峠戦争』(新紀元社)という小説を出版するに至った。なお、『トロール牙峠戦争』の原書"The Trolltooth Wars"は1989年にPenguin Booksより出版されており、社会思想社から翻訳が出版予定であったが、同社は消滅し、実際の翻訳出版が叶ったのは32年後の2021年である。こうして見ると、彼は1984年から1989年にかけて、ゲームのルールブック(『スティーブ・ジャクソンのファイティング・ファンタジー』)、パズル的ブック(『魔術師タンタロンの12の難題』)、ストーリーとゲームを融合させたゲームブック(『モンスター誕生』)、そしてストーリーのみの小説(『トロール牙峠戦争』)という順に発表しており、徐々にゲーム性からストーリー性へとシフトしている様子が伺える。
 
 余談だが、ジャクソンはあくまで「ゲームブック作家」の申し子であり、本格的な小説という分野はゲームブック界で見せた「冴え」が見えないように管見では思われる。この感覚を裏づけるかのように、ジャクソンの小説は先の『トロール牙峠戦争』のみが発表されているだけである。一方で、後に「ゲームブック休筆宣言」から33年もの長い空白期間を経て2022年にジョナサン・グリーンとの共著で『サラモニスの秘密』などの新作ゲームブックを執筆しており、両者を比べると、構成の巧みさやゲーム的な側面のブラッシュアップという点で、やはり完成度という点では『サラモニスの秘密』に軍配が上がるように感じられる。
 もちろん、両者は小説とゲームブックという全く異質のジャンルであり、単純に比較はできない。だが、ブルネル大学でゲームデザイン理論の教授を務めていることから見ても、彼が「ゲームブック作家」であり、純文学をはじめとした「小説家」ではないことが見て取れよう。
 
 ゲームブックのストーリー面の広がりを徹底的に推し進めた結果、国産のゲームブックが「ゲーム」を楽しみの主眼として射程に捉えたのに対し、このシリーズは異界的、悪魔的、夢幻的な「レジェンド」という架空世界の中で、様々なキャラクターが様々な舞台で、様々な冒険を繰り広げる小説的な面白さを追及した。蛇足だが、ファンタジー世界「レジェンド」は、ファイティング・ファンタジー・シリーズにおける「タイタン」よりも設定が緩やかなようである。
 とは言え、この世界観はオリバー・ジョンソンとデイヴ・モーリスの諸作品に色濃く反映されている。例えば富士見文庫から訳が出ている「ブラッド・ソード」シリーズは、ゲーム的、RPG的なルールをふんだんに利用しつつ、世界観として「レジェンド」を採用し、結果としてゲームと硬派なストーリーの融合に見事に成功している。また、同著者の同じ背景世界を用いたTRPG「ドラゴン・ウォーリアーズ」については、第12回で別途検討する予定である。
 
 この「小説的なストーリー展開の面白さ」という傾向は挿絵にも表れていて、例えば『吸血鬼の洞窟』では、見開き二ページに渡ってラスボスである吸血鬼テネブロン卿のイラストが迫力満点に描かれており、アート集のように楽しむこともできる。つまり、体裁は当然のことながら選択肢を選んで進めたり、サイコロを振って戦闘の勝者を決めたりする「ゲームブック」になっているが、実際は装丁も含めてストーリーの世界にどっぷりとはまり込み、ゲームブックとしてはかなり長めの文章を堪能しながら冒険を進めていくという基本コンセプトが、ゴールデン・ドラゴン・シリーズの中で確立されていると思われる。
 
 本シリーズの中で、卓越したストーリーに更にゲーム的な要素が付け加えられているのが『ドラゴンの目』だろう。この作品の物語性の高さは、M・A・R・バーカー制作のTRPG「エンパイア・オブ・ザ・ペタル・スローン」のシナリオの一つとしてデイヴ・モーリスが本作を執筆したことにも起因する。例えば、冒頭に雰囲気抜群の遺跡の地図が掲載されているが、それは元となったシナリオ執筆時に著者がキャンペーンとして地図を細かく用意していたからである。また、メインの敵役である珊瑚の怪物の名前をギリシャ文字「ミュー」から採用するなど、やはりメッセージ性やストーリー性の濃密さが際立っている。それを表すように、この作品でも圧巻の文章の描写やおぞましい敵の遭遇、それにおどろおどろしいイベントなどが目白押しである。
 そしてそれらの解決策として、本作では十二種類の魔法が用意されている。これらの魔法は一度唱えると忘れてしまう(唱えられなくなる)というゲーム的な特徴を有しており、TRPG「ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ」や、ジャクソンの傑作ゲームブック『バルサスの要塞』、アメリカ人ゲームデザイナーで同姓同名のスティーブ・ジャクソン作の『サソリ沼の迷路』などの方式が取られている。魔法の使い方という点では、非常にゲーム的なのだ(後年、デイヴ・モーリスはこの魔法システムを「オール・オア・ナッシング」方式と呼び、疲労や瞑想による回復といったシステムを取り入れた方が良かったのではないかと述懐している)。
 但し、使える魔法が炎のトラや怒れるスズメバチの召喚、死者を蘇らせてヒントを語らせることのできる「死人返し」など、「ウィザードリィ」や「ドラゴンクエスト」などのコンピューターゲームRPGに見られるような「ゲーム的な魔法」だけではないところが、やはりこのシリーズの特徴を見事に表していると言ってよい。「ファイアーボール」や「ライトニングボルト」のような、ただ攻撃して敵の体力を削るだけの安直な「超能力」は出てこないのだ。
 安田均による『バルサスの要塞』の魔法についての評ではないが(『ファイティング・ファンタジー・ゲームブックの楽しみ方』p. 45-46)、『ドラゴンの目』の魔法は、超自然的な「何が起こるか分からない」「かけた際の神秘性」といういかにも魔法ならではの特性、不可思議性を豊穣に備えているのである。そして、文章が多く描写が凝っているのは『ドラゴンの目』でも同じで、圧倒的な描写力によって魔法を使用した後の劇的な効果のほどを知ることができる。

 日本人作家がキャラクター性と双方向移動という特徴を大いに生かし、ゲームブックの「ゲーム」の部分にスポットを当てたのに対して、ゴールデン・ドラゴン・シリーズは、むしろファイティング・ファンタジー・シリーズのようにストーリーを重視した作品群となった。しかし、だからと言って本シリーズがジャクソンやリビングストンの後追いに終わっているわけではなく、重厚かつおどろおどろしいストーリー展開と「読ませる」文章によって、しっかりとした佳作に仕上がっている。このシリーズのパラグラフ数が少ないというのは、小説的な描写力を大事にして、作品の完成度を向上させていることにも起因するだろう。

※第5回は、「デュマレスト・ゲームブック」シリーズを中心に扱います。

◆書誌情報
 『吸血鬼の洞窟』
 デイヴ・モーリス(著) 鎌田三平(訳)
 東京創元社(1986/3/14)絶版
 
『シャドー砦の魔王』
 オリバー・ジョンソン(著) マジカル・ゲーマー(訳)
 東京創元社(1986/4/26)絶版

『炎の神殿』
 モーリス&ジョンソン(著) 山本圭一(訳)
 東京創元社(1986/5/31)絶版

『失われた魂の城』
 D・モーリス&Y・ニューナム(著) マジカル・ゲーマー(訳)
 東京創元社(1986/8/13)絶版

『ドラゴンの目』
 デイヴ・モーリス(著) 大森望(訳)
 東京創元社(1986/9/10)絶版

『ファラオの呪い』
 オリバー・ジョンソン(著) マジカル・ゲーマー(訳)
 東京創元社(1986/10/31)絶版

■参考文献
 『FABLED LANDS』Dave Morris
 https://fabledlands.blogspot.com/

 『盗賊都市』
 イアン・リビングストン(著)喜多元子(訳)
 社会思想社(1985/10/20)絶版
 SBクリエイティブ(再生産版)こあらだまり(訳)(2024/3/28)

 『モンスター誕生』
 スティーブ・ジャクソン(著)安田均(訳)
 社会思想社(1988/3/30)絶版
 SBクリエイティブ(再生産版)(2024/3/28)

 『魔術師タンタロンの12の難題』
 スティーブ・ジャクソン(著)柿沼瑛子(訳)
 社会思想社(1987/2/28)絶版

 『スティーブ・ジャクソンのファイティング・ファンタジー』
 スティーブ・ジャクソン(著)本田成二(訳)
 東京創元社(1985/12/13)絶版

 『トロール牙峠戦争』
 スティーブ・ジャクソン(著)安田均(訳)
 新紀元社(2021/3/26)絶版
 FrogGames(電子書籍版)(2024/7/1)

 『サラモニスの秘密』
 スティーブ・ジャクソン(著)
 SBクリエイティブ(2024/2/16)

 「ブラッド・ソード」シリーズ
 『シナリオ♯1 勝利の紋章を奪え!』
 デイブ・モーリス&オリバー・ジョンソン(著)大出健(訳)
 富士見文庫(1988/3/30)絶版

 『シナリオ#2 魔術王をたおせ!』
 デイブ・モーリス&オリバー・ジョンソン(著)大出健(訳)
 富士見文庫(1988/7/20)絶版

 『シナリオ#3 悪魔の爪を折れ!』
 デイブ・モーリス&オリバー・ジョンソン(著)大出健(訳)
 富士見文庫(1989/2/28)絶版

 『シナリオ#4 死者の国から還れ!』
 デイブ・モーリス&オリバー・ジョンソン(著)大出健(訳)
 富士見文庫(1989/9/20)絶版

 『バルサスの要塞』
 スティーブ・ジャクソン(著)浅羽莢子(訳)
 社会思想社(1985/4/25)絶版
 SBクリエイティブ(再生産版)(2024/3/28)

 『サソリ沼の迷路』
 スティーブ・ジャクソン(著)大村美根子(訳)
 社会思想社(1986/2/21)絶版
 SBクリエイティブ(2025/2/19)

 『ファイティング・ファンタジー・ゲームブックの楽しみ方』
 安田均(著)
 社会思想社(1990/8/30)絶版


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2025年6月30日月曜日

旅に出ます! FT新聞 No.4541

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆
時が満ち、旅に出ます。


◆ほんの3日前に。
私の内側に住むものが、「旅に出よう」とささやきました。
ほんの3日前のできごとです。
あまり大っぴらにはしていないのですが、今年のはじめから鬱を患っていまして。
この数ヶ月は、メンバーや関係者とのやりとりや、経理などの事務仕事以外の創作を少なめにしてきました。
その環境を考えると『昆虫都市』はよく書けたなあ、と思います。
もともとのアイディアが、あったからだと思います。

電車に揺られて、惰性で続けているボルダリングから帰っている最中のことでした。
夏の気配が、電車の中に満ちていました。

「旅に出よう」

確かにその声は、私の内側から響きました。
その声を聞いたとき、私は初めて気づきました──自分が乗っている電車の色に。
生い茂った夏の河川敷に生え散らかしたツタ植物たちのような、深い緑。
その緑色を見た瞬間に、自分が見ていた世界がモノクロだったと、初めて気づいたのです。


◆どこに、どうして?
私が行きたい場所──そう自分に問うたなら、「スペイン」が真っ先に挙がります。
真っ先に挙がる場所なら、そこに行こう。
でも、どうしてスペインなの?
この記事を読んでくださっているあなたは、そう思うかもしれません。

今から10年前、私はいろんなことに煮詰まっていました。
ゲームブック作家としての私、あるいはFT書房は、今よりも小さい規模で、努力が見えない天井にさえぎられているような、苦しい時期を過ごしていました。
そんなときに行ったのが、北スペインを840km歩くという「巡礼の道」でした。

ヨハネという名前が示すとおり、私はクリスチャンです。
中世ヨーロッパが大好きな、冒険分岐小説作家です。
この道を歩くことで、新しい自分の可能性を認められるかもしれない。
そんな気持ちで、歩きはじめました。
そして、40日あまりをかけた末に、この行程を歩ききりました。


◆今度はどこに?
1日あたり25km平均で歩く旅は、運動をいっさいしていなかった当時には、かなりキツいものでした。
あれから10年が経って、私は48歳になりました。
歳はとりましたが、身体はたぶん、人生でいちばん体力がある時期だと思います。
だから、同じことをしても、特に意味はないでしょう。
私がやりたいのは、新しい挑戦です。
前回歩いたのは、主に平地でした。
今回は、山道がメインの道である「北の道」を歩く予定です☆


◆さすがに、休めない!
今回も一度に歩ききりたいというのが本音なのですが、おかげさまで私も、10年前より忙しくなりました。
今回は全行程の半分を目標にして、22日間で420kmを歩いてこようと思います。
距離こそ少ないですが、傾斜のある山道です。
気をつけて、行ってきます☆


◆目標は?
今回の目標は、ふたつあります。

ひとつは、いつも頭にあること──次回作の構想を、練り上げること。
私にとっては歩くこと、そして旅こそ、もっとも強力なインプットなのです。

もうひとつは、鬱を抜けること。
しかし、これは「結果」であって、自分でできるのは「たくさん歩き、たくさん食べて、たくさん笑う22日間を過ごすこと」だけです。
せっかくスペイン語もしゃべれるので、友だちを増やして帰ってきます☆


それではまた!


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2025年6月29日日曜日

Re:ローグライクハーフ・新職業【吟遊詩人】 FT新聞 No.4540

おはようございます。
FT新聞編集長の水波です。

7月の第1日曜日は、火呂居美智さんによる新作d66シナリオ『幽霊屋敷の果実酒』が配信となります。
拠点となる街は自治都市トーン!
それに伴いまして、以前配信しましたトーンにゆかりのある「新職業」を再配信いたします。

◆【吟遊詩人】
アランツァの各地を渡り歩き、歌や演奏の技術、世界の伝承知識を身につけた職業のことを【吟遊詩人】と呼びます。
対応する副能力値は【幸運点】で、「奏楽」という特殊技能を扱います。

新職業【吟遊詩人】
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↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/MAPofARANCIA.png


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