みなさん、こんにちは。編集部員のくろやなぎです。本日は、連作記事『ゲームブックにおける死と物語』の第2回をお届けします。
第1回(2025/11/18、No.4682)では、「死」に関連するギミックをもつ作品として、主人公が「輪廻」の中で死を繰り返すゲームブック『護国記』(著:波刀風賢治、2018年、幻想迷宮書店刊)をご紹介しました。
今回は、「時の魔法」の使い手を主人公とするゲームブック『狂える魔女のゴルジュ』(著:杉本=ヨハネ、2023年、FT書房刊)と、前回ご紹介した『護国記』との対比を通じて、ゲームブックにおける死と物語について考えていきたいと思います。
なお、記事の中では、両作品の構造や物語の展開のほか、『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイ(著:ぜろ、2025年、FT新聞掲載)におけるオリジナル要素や、ローグライクハーフd66シナリオ『ベテルギウスの残光』(著:紫隠ねこ、原案・協力:ロア・スペイダー、監修:杉本=ヨハネ、2025年、FT新聞掲載)の内容についても言及していますので、未読の方はご注意ください。
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ゲームブックにおける死と物語
第2回:『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
(くろやなぎ)
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■「時の魔法」による死の回避
『狂える魔女のゴルジュ』(以下、『ゴルジュ』と略記します)の主人公ミナは、作品中の現在においては、アランツァ世界で唯一の「時の魔法使い」です。
物語の最初に置かれた「背景」の章で、ミナは奴隷商人に奪われた姉たちを取り戻すため、からくり都市チャマイの魔法学校から7つの魔法の時計を盗み出し、姉たちの消息を追って「還らずの森」へと足を踏み入れます。魔法の時計の力を使うための前提条件は、闇と時を司る「闇神オスクリード」の信者となることであり、ミナは時計を手にしたときに、白い肌のエルフから、闇神を信仰する闇エルフへとその姿を変えています。
『ゴルジュ』は、「どれほど罪を重ねても、愛を裏切らない」と誓った主人公が、闇神から得た力で魔法の時計を操り、2人の姉を「還らずの森」の吸血鬼から取り戻そうとする物語です。
時の魔法について、『ゴルジュ』の「あとがき」では、大きく分けて「現在に局地的な影響を与えるもの」と「世界に影響を与えるもの」の2種類があるとされています。
「現在に局地的な影響を与える」魔法には、自分自身の速さを2倍にする〈速撃の戦時計〉の魔法や、対象1人の身体の時間を戻し、身体に受けた悪い効果から回復させる〈時もどしの回復時計〉の魔法などがあります。
もう一方の「世界に影響を与える」魔法は、さらに「遡行」型の魔法と「跳躍」型の魔法に分けられます。『ゴルジュ』においては、「遡行」型の魔法として、前のパラグラフに戻ることができる〈枝分かれの未来時計〉の魔法、「跳躍」型の魔法として、過去にジャンプする〈跳兎の懐中時計〉の魔法が用意されています。
これらの魔法の中で、特にゲームブック的な「死」との関連性が強いのは、「遡行」型として位置づけられる〈枝分かれの未来時計〉の魔法です。
『ゴルジュ』のリプレイの中で、闇エルフの隠れ里に入ったミナが、毒の香りのために意識を失いそうになりながら、〈枝分かれの未来時計〉の力で時を遡り、無事に帰還するシーンをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。『ゴルジュ』のゲームブックの中でも、闇エルフの隠れ里は、生きて出られる選択肢のない袋小路になっており、〈枝分かれの未来時計〉の魔法を使うための「準備」をせずに「闇エルフの里に向かう」を選んでしまった場合、その時点でミナの死(ゲームオーバー)が確定してしまいます。
ここでいう「準備」とは、もとのパラグラフが書かれているページを指で押さえるという動作のことで、『ゴルジュ』のルール説明の中では「指セーブ」とも呼ばれています。なお、書籍版でも電子版(PDF版)でも、この「準備」に関する記載は変わりません。そのため、ここでの「指」や「押さえる動作」は、文字通りの物理的なものであっても、それに代わる、読者による何らかの決めごとであっても構わないと考えてよいでしょう。
この〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、「準備」さえすればいつでもどこでも使用できる、というわけではありません。魔法の「準備」をしても、飛んだ先のパラグラフ番号に矢印(電子版では「先が分かれた枝」のイラスト)が添えられていなければ、その準備は空振りに終わります。また、魔法の発動の際には「悪夢袋」に入った「悪夢」をひとつ消費するため、冒険の途中で「悪夢」を使い切ってしまった場合、何らかの手段で悪夢を補充し直さない限り、魔法を使うことはできなくなります。
このように制約も多い〈枝分かれの未来時計〉の魔法ですが、「指セーブ」を使って死の袋小路から脱出し、しかもそこで得た情報を冒険の中で活用できる、というギミックは、ゲームブックの読者にとってはある意味夢のような仕掛けだといえるでしょう(〈枝分かれの未来時計〉による遡行の結果として、遡行の前に手に入れた装備品などは「なかったこと」になりますが、経験したできごとに関する記憶や感情は残るというルールになっています)。
もっとも、ゲームのルールとしてはともかく、物語の設定上は、このような「時の魔法」の行使は「悪」として位置づけられることになります。『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界は、「人が時とともに死ぬことが決まっている」世界です。そこで一種の「不死」をもたらしうる時の魔法は、万人に平等なはずの「時」というものを、選ばれた者だけが恣意的に操作するという所業であり、作者からは自然の摂理に反する「悪夢のようなもの」として位置づけられているのです[『ゴルジュ』の「あとがき」より]。
前回の記事でご紹介した『護国記』における「輪廻」の力も、物語の中で、「後悔を残した者を時間の檻に閉じ込める」という、決して「善いもの」とは言えないような意味を与えられていました。「善いもの」ではないが、しかしそれでも主人公が目的を果たすためには必要な、ある種の「不死」をもたらすギミックとして、『ゴルジュ』における「時の魔法」は、『護国記』における「輪廻」に似た性格をもっているように思います。
この「輪廻」について、前回は主に、読者と主人公との関係性というメタ的な視点から見てみました。以下では、『護国記』の物語の内部における「輪廻」のあり方を改めて整理し、それを『ゴルジュ』の時の魔法のあり方と対比させることによって、これらふたつの物語をめぐる、ある種の対照的な構造を描き出すことを試みます。
■『護国記』の「輪廻」における蘇生と遡行
まず、『護国記』の主人公ライゼが初めて「輪廻」を経験した直後の場面を、少し詳しく見てみましょう。
王城の中の、見慣れた職場である史料編纂室で目を覚ましたライゼは、自分の左手に起きた異変(「残穢石」との同化)を認識するとともに、自分が「死ぬ」直前に、その「残穢石」に触れていたことを思い出します。そこでは、「自分は……死んだ!/死んだはずだった。/そして僕は蘇ったのだ。」というモノローグが展開されます(/は原文では改行)。
そしてライゼは、自分がいる史料編纂室や、そこから見える王城の中庭の様子が、「僕が死んだ日の朝の状態」であることに気付き、そこに「これって……時間が巻き戻ったのか? 生き返っただけではなく?」というモノローグが続きます。
このライゼの言葉どおり、『護国記』における「輪廻」は、「死んで生き返るとともに、時間が巻き戻る」という形、言い換えれば「蘇生」と「遡行」がセットになった形で起こります。また、その後の物語の中では、残穢石が「輪廻」を引き起こすために、「刻の力」(時間を操り、支配する力)の作用が必要だということも明らかにされます。そして、「蘇生」に「遡行」が附随することについて、ライゼがわざわざ驚くことはなくなります。
しかし、ファンタジー世界全般の約束事として、「蘇生」が必ずしも「遡行」を伴うわけではありません。蘇生という事象は、あえて時間を遡ることなく、対象者(死者)がいるその時間・その場所において、ただ「死んでいる状態」が「生きている状態」に変化する、という形で起きても構わないはずです(それが、その世界における「蘇生」のあり方ならば)。
蘇生と遡行のセットとしての「輪廻」は、『護国記』の物語全体を通じて、幾度も幾度も繰り返されます。そのため、『護国記』の読者は、蘇生と遡行が不可分なひとつの事象であるかのような心持ちになることがあるかもしれません。その一方で、はじめて「輪廻」を経験したときの、主人公ライゼの「生き返っただけではなく?」という驚きは、蘇生と遡行を別々の事象として切り分けうるということを、私たちに思い出させてくれます。
『護国記』における主人公の「輪廻」は、この作品のシステムや物語に対して最適化された、ファンタジー世界における「蘇生」や「遡行」のあり方のバリエーションのひとつとして位置づけることができるでしょう。
なお、『護国記』における主人公の「輪廻」では、蘇生が必ず遡行を伴うのと同様に、遡行も蘇生(の前提となる死)を必要とします。
物語の展開によっては、ライゼは不死者の眷属に取り込まれることによって、「輪廻」の及ばない物語の終わり、すなわちゲームオーバー(「あとがき」に続かないEND)を迎えてしまいます。ライゼが残穢石の力で「輪廻」してやり直すためには、その契機としての死が必要なので、不死者となることで死ねなくなったライゼは、もはや「輪廻」をすることができないのです。
このような『護国記』における「輪廻」の構造を踏まえた上で、つぎに『ゴルジュ』における「時の魔法」と死との関係性を整理してみたいと思います。
■『狂える魔女のゴルジュ』における「時の魔法」と死
『ゴルジュ』における「遡行」の手段である〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、「悪夢」というリソースを必要としますが、「死」という契機を必要としません。むしろ、〈枝分かれの未来時計〉の魔法を含む「時の魔法」全般が、「蘇生」という事象とは、どうも相性が良くないようなのです。
まず、〈時もどしの回復時計〉や〈うたかたの齢時計〉の魔法の効果が及ぶのは、「生きている対象1人」であると明記されています。そのため、〈時もどしの回復時計〉を使っても、対象から「死」という「悪い効果」を取り除くことはできませんし、〈うたかたの齢時計〉を使っても、死者を「生きていたときの年齢の姿」に戻せるわけではありません。また、〈枝分かれの未来時計〉の魔法の効果には、「体力点が0点以下になった場合には、冒険がそこで終わってしまう」と明記されています。
この「体力点」に関するゲームブック内での説明はとても簡素で、「あなたの体力点は4点です。これは体力点の最大値でもあります。これが0点以下になるとゲームオーバーで、あなたは冒険に敗北します」と書かれているだけなので、必ずしも「体力点が0点以下」が「死」を意味すると決めつけることはできません。ただ、これらの記述から、冒険の途中で体力が尽きて死んでしまった主人公には〈枝分かれの未来時計〉の魔法の効果は及ばない、と解釈するのは、さほど不自然ではないように思います。
たしかに、〈枝分かれの未来時計〉が使用可能な(矢印や枝のイラストが添えられている)パラグラフには、飛び先のない、ゲームオーバーになるパラグラフがいくつか含まれています。では、これらのパラグラフでは、死からの蘇生を伴う遡行も可能なのかというと、どうもそうとは限らないようです。
あるパラグラフは、最後が「その先に訪れる死」を暗示する記述で終わっており、確かにゲームとしては「ゲームオーバー」なのですが、その時点では、ミナはまだ完全には死んでいません。そのようなパラグラフからの遡行は、「ゲームオーバー」のキャンセルではあっても、完全な「死」からの蘇生とは言えないでしょう。
また、ある別のパラグラフは、たしかにミナが「息を引き取る」記述で終わっています。そのパラグラフの最初の方には、ミナが魔法の時計の使用に失敗する描写があるのですが、そこには「あらかじめ準備していた魔法以外は、役に立たないのだ」と書かれています。これはつまり、その前のパラグラフで〈枝分かれの未来時計〉の「準備」をしていたミナであれば、そのタイミングで、その後の記述を無視して魔法を発動させ、死の場面を回避して前のパラグラフへ遡行できるということを意味しています。
つまり〈枝分かれの未来時計〉は、死なない程度の(体力点が1点以上残る状態での)ダメージは「なかったこと」にできますし、「この先はどうやっても死んでしまう」という絶体絶命の状況からも生還させてくれるのですが、完全に「死んでしまった」人間を蘇生したり遡行させることは、できないように見えるのです。
また、物語の展開によっては、〈枝分かれの未来時計〉は、隠された8番目の魔法の時計とも言うべき〈沙羅双樹の予知時計〉へと変化します。
その魔法の効果は、「指でセーブした箇所から、次にあるすべての選択肢の内容を確認して、戻ってくることができる」という非常に強力なもので、しかも〈枝分かれの未来時計〉にはなかった、「その番号で君が死んでいても戻ってくることができる」という注釈が追加されています。
ただし、〈沙羅双樹の予知時計〉の能力は、その名称が示すとおり「予知」に他なりません。「次のパラグラフを見て、元のパラグラフに戻り、別のパラグラフを選び直す」という読者の行為だけを見れば、それは〈枝分かれの未来時計〉とよく似ていますが、〈枝分かれの未来時計〉の魔法は、実際に起きたできごとの枝分かれの中を遡行することによって、「世界に影響を与える」魔法です。これに対して、〈沙羅双樹の予知時計〉は、あくまで「次に起こる(まだ起こっていない)未来」を予知するものなので、予知した未来の中でミナが死んでいても、ミナが「実際に死んだ」ことを意味するわけではありません。
〈沙羅双樹の予知時計〉の魔法は、いわば「世界に影響を与えない」遡行型という、いささか特殊な時の魔法なのだと言えるかもしれません。
このように、「予知」の場合に限って「死」の例外性が解除されるというルールは、「現前する死」には対処できないという、『ゴルジュ』における時の魔法の原則を補強するもののように思われます。
なお、「不死者」に対しては、通常の生者のときと同様に、時の魔法は効果を及ぼすようです。
吸血鬼を含む不死者は、アランツァ世界では「死んだはずの生きものの時を止めて、ずっとそこにある」存在とされています[『ゴルジュ』の「あとがき」より]。それでも、〈時もどしの回復時計〉の魔法は、吸血鬼となったエナ(ミナの姉たちのひとり)を、「忌まわしき不死者から、1人のエルフに」戻すことに成功します。また、〈うたかたの齢時計〉の魔法は、森の中で襲ってきた吸血獣を、「吸血化する前の状態」であるコウモリに戻すことができます。
『護国記』における「輪廻」は、「刻の力」によって遡行を引き起こしますが、その発動には死を必要とし、対象の不死化によって無効化されます。
一方、『ゴルジュ』における「時の魔法」は、不死者には効果を発揮しますが、死者に対しては、直接的には有効ではないようです。
ただし、時の魔法は、間接的には「死」に影響を及ぼすことも可能です。すなわち、現在の死者について、〈跳兎の懐中時計〉で過去へ跳躍し、その死の原因を取り除くような行動を取った場合、その人物の死は「なかったこと」になります。そのようにして、主人公ミナは、姉のひとりであるティナを取り戻し、吸血鬼の館に住む少年ビバイアの命を救うことができます(『ゴルジュ』のリプレイでは、これらの場面が、そばにいる仲間の反応を含めて鮮明に描かれています)。
時の魔法は、「遡行」によって袋小路から抜け出ることで、その先で起きたはずの死を回避し、「跳躍」によって過去を変えることで、ある者が「死んでいた」現在を「生きている」現在に変えます。
それでも、これらのできごとは、死者の「蘇生」と同じではありません。時の魔法は、『ゴルジュ』というゲームブックの枠組みの中では、やはり現前する「死」そのものを直接的に覆すことはできないように見えるのです。
■『狂える魔女のゴルジュ』のリプレイにおける「神の戯れ」
このように『ゴルジュ』の時の魔法の性質を整理したとき、『ゴルジュ』のリプレイで加えられたオリジナルの要素は、洞察を深めるひとつの契機となるように思います。
リプレイの中で、ミナは吸血鬼の館の地下室で殺され、渓谷の濁流に呑まれて死に、そのたびに「神の戯れ」による蘇生と遡行を経験します。
ミナをまるで「輪廻」のように蘇生させ、遡行させたのは、闇神オスクリード。ミナは、死の闇の中で、「稀有なる力の使い手よ。いましばし、我を楽しませよ」というオスクリードの声を聞きます。そしてミナは、闇神が「世界で唯一の時の魔法の使い手」であるミナを観察し、ミナが死ぬたびに時間を巻き戻しているのだと理解します。
それは明らかに、ミナに使用可能な「時の魔法」の制約を超越したできごとですが、ミナはそれを「神にしかできないみわざ」「闇の神の戯れ」として受け止めます。
この「神の戯れ」は、「プレイヤーが再アタックすること」を表現したものだとされています[リプレイの「番外編」より]。すなわち、リプレイの創作過程におけるメタ的な状況を、物語の内部に落とし込んだものだと言い換えてもよいでしょう。そしてまた、ゲームブックやリプレイという形式においては、そもそも「物語そのものの要素」とメタ的な仕掛けとの境界線が、常にどこか曖昧になりがちなようにも思います。
『護国記』の「輪廻」や、『ゴルジュ』における遡行の魔法は、ゲームブックの読者(プレイヤー)の「やり直し」や「指セーブ」という行為を想起させるメタ的な仕掛けであると同時に、物語の要素としても確固たる居場所と意味をもって存在しています。
同じように、この「神の戯れ」も、プレイヤーの「やり直し」の再現というメタ的な由来をもつ一方で、リプレイの物語の内部においても、主人公ミナの感情を激しく揺さぶる効果をもちます。それは、ミナを追い詰め、辺縁の村での悲痛な叫びを引き出すことで、ボラミーの態度を変え、リプレイの物語を大きく動かすことになるのです。
ゲームブックの物語が、このようにリプレイという形で創造的に再演されるとき、そこではまた、元となるゲームブックの物語に対しても、新たな解釈の可能性が開かれるように思います。
リプレイにおける闇神オスクリードの戯れが、もし「遡行」と「蘇生」が密接に関連する『護国記』の世界のできごとであれば、それは自然な成り行きとして、物語の中に溶けていくでしょう。
一方、『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界のできごととして見るとき、この「蘇生」を伴う「戯れ」は、ある違和感を伴って、『ゴルジュ』のゲームブックにひとことだけ記された設定を思い起こさせます。
『ゴルジュ』の本編が始まる前の「背景」には、からくり都市チャマイの描写として、以下のような記述があります。
「15柱の神には、それぞれ特性がある。その1柱、闇神オスクリードが、街に影を落としていた。闇をもたらす時の神。死の神ベルドゥーの兄弟であり、闇と時を司る。」
アランツァ世界において、「時」を司るのはオスクリードですが、「死」の神はオスクリードではなく、その「兄弟」とされるベルドゥーなのです。
『護国記』における「刻の力」の根源は「竜」(翼竜)であり、竜は「記憶を留めたまま復活」し、「永遠の刻を生き続ける」存在だとされています。時間の支配者たる「竜」と対置される存在は、空間の支配者としての「龍」(魔龍)であり、それらと別に「死」そのものを単独で司るような超越的存在が、物語の前面に出てくることはありません。
『護国記』の「輪廻」においては、死からの蘇生と時間の遡行が一体化して起こります。これは、『護国記』の物語が、超越的存在の支配する領分を「時間/空間」という形で切り分けた上で、「死」を司る力をそれらの領分に内包させるような構造になっていることとも、深く関係しているように思われます。
これに対して、『ゴルジュ』の舞台であるアランツァ世界には、時を司る神とは別に、死の神が存在します。そのため、時の魔法による蘇生を可能にすることは、時の魔法の力の根源たる闇神オスクリードの領分からはみ出て、死の神の領分にまで大きく足を踏み入れることを意味します。
『ゴルジュ』における「時の魔法」が、「死」への直接的干渉を避けるような仕様になっていることは、アランツァ世界における神々の領分のあり方とも関係していると、そのように解釈してみるのも面白いでしょう。
『ゴルジュ』の「背景」の描写において、ミナが魔法の時計を手に取ったとき、闇神オスクリードとおぼしき「何者かの声」がミナの心の中に響きます。その声はミナに、時計の力を使いこなしたいなら、オスクリードの信者になるのだと伝え、ミナはそれに応じて闇エルフへと変貌を遂げます。そして物語の本編が始まった後は、闇神が自らの声や姿や、自我のようなものを示す機会はなく、ゲームブックの読者やミナからは、その内面を窺い知ることはできません。
しかし、リプレイの中で、時の魔法とその使い手に対する闇神の「興味」が明確に描写されるとき、そこには同時に、つぎのような問いが立ち上がってくるように思います。
時を司る神が時の魔法に興味を示すのであれば、時の魔法が行使された結果として、間接的にではあっても「死」が覆されていくことに対して、死の神はいったい何を思うのでしょうか。そして死の神は、自らの兄弟たる闇神の「戯れ」が、時の魔法の使い手を「蘇生」させ、自らの領分により深く踏み込んでくることを、どこまで許容するのでしょうか。あるいは、死の神もまた、闇神の「戯れ」に加担することがありうるのでしょうか。
時の神と死の神が「兄弟」であるという設定は、『ゴルジュ』の物語にとって、とりわけ意義深いもののように感じます。
『ゴルジュ』の物語の駆動力となっているのは、離れ離れになったきょうだいに対する愛や執着です。主人公ミナは、奪われた姉たちを取り戻すために時の魔法使いとなり、剣士ボラミーは、置き去りにした弟ビバイアを救うための薬を探し求めます。エルフや人間のきょうだいは、このように物語の中で互いを愛し、救おうとしますが、それでは「神」の兄弟についてはどうでしょうか。
『ゴルジュ』の中では、死の神ベルドゥーは名前が登場するのみですが、同じくアランツァ世界を舞台とするローグライクハーフのシナリオ『ベテルギウスの残光』の中では、ベルドゥーを信仰する教団の姿が描かれました。そこでは、ベルドゥー教団は「死」を神聖なものとして扱うため、「死」を捻じ曲げて不死者(アンデッド)を使役するオスクリード教団とは、「宿敵」といってよい関係にあるとされています。
とはいえ、このような信者たちの教義や教団同士の対立は、必ずしも、信仰される神そのものの関係性と同じであるとは限りません。また、『ゴルジュ』における時の魔法は、たしかに死者の運命を変えた一方で、直接的な「蘇生」や「不死化」を行ったわけではなく、逆に不死者を死すべき存在へと「戻す」こともしています。そのため、ミナや時の魔法の存在が、死の神に対してただちに敵対的・冒涜的かというと、そうとも言い切れないようには思います。
それでも、時の魔法と死の神とのあいだには、控えめに言って対立の芽が潜んでいることは確かであり、オスクリードとベルドゥーという「兄弟」のあいだにも、一触即発の緊張関係を見て取ることもできるでしょう(あくまで、人の立場からの比喩的な見立てではありますが)。
『ゴルジュ』のゲームブックの中では、魔法の力の向こう側に垣間見るような遠い存在だった闇神オスクリードを、『ゴルジュ』のリプレイは、「神の戯れ」というメタ的な仕掛けを介して、物語の表舞台の側に引き寄せます(自らの思惑をもつ主体としても、主人公や読者からの洞察の対象としても)。そのとき、物語の奥底に潜んでいた死の神もまた、闇神との設定上のつながりの強さゆえに、物語の中での居場所や意味を与えられることになるのかもしれません。
ミナ/エナ・ティナ、ボラミー/ビバイアという2組のきょうだいが、時の流れの中で生と死の狭間を行き来するとき、もう1組の「兄弟」が、その様子をじっと窺っている(反目しあいながら、あるいは共に戯れながら?)…『ゴルジュ』のリプレイからは、『ゴルジュ』のゲームブックにも内在するひとつの可能性として、このような構図が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
なお、『護国記』においては、『ゴルジュ』とは反対に、きょうだいという関係性が物語の前面に出てくることはほとんどありません。『護国記』の物語の中心に据えられているのは、生まれや育ちに由来する兄弟姉妹の愛ではなく、生まれも育ちも異なる主人公ライゼと王女ヴィルファンとのあいだの、異性愛的な関係性なのです。
これもまた、「時」と「死」をめぐる2つの物語のあいだの、興味深い対照構造のひとつだと言えるでしょう。
■おわりに
「輪廻」と「時の魔法」は、ゲームブック作品としての『護国記』と『ゴルジュ』において、どちらもゲーム上のギミックとして機能すると同時に、物語上の重要な役割を担っています。
「輪廻」においては「蘇生」と「遡行」が同時に起こる一方で、「時の魔法」における「遡行」や「跳躍」は、「死」を直接的な対象とすることはなく、それでも間接的な形で「死」を覆します。このような構造的差異は、ゲームとしての両作品の性格の違いを反映するとともに、神や竜といった超越的存在に関する設定をはじめとする、両作品の物語的な特徴にも由来しているように思われます。
もちろん、今回の記事で述べたことは、多くの可能な解釈のうちのひとつでしかありません。
私はこの記事で、「蘇生」と「遡行」の概念の切り分けに着目した解釈を展開しましたが、『ゴルジュ』のリプレイにおいて、闇神の戯れの中に蘇生と遡行が混在していることもまた、リプレイとして再演された物語の中では重要な意味と説得力をもっています。
そこで示唆されているのは、蘇生と遡行、時と死との本質的な(まるで「きょうだい」のような)関わりの深さであり、『護国記』と『ゴルジュ』は、こうした時と死との連関のあり方を、それぞれの世界観のもとで表現した作品同士なのかもしれません。
【書誌情報】
杉本=ヨハネ『狂える魔女のゴルジュ』(FT書房刊、2023年)
波刀風賢治『護国記』(幻想迷宮書店刊、2018年)[2023年9月更新版]
ぜろ『【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ』(全17回、FT新聞掲載、2025/08/20〜12/10)
ぜろ『番外編【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足』(FT新聞掲載、2025/12/12)
紫隠ねこ『ベテルギウスの残光』(原案・協力:ロア・スペイダー、監修:杉本=ヨハネ、FT新聞掲載、2025/12/07)
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2025年12月16日火曜日
2025年12月15日月曜日
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最近、じんわりと執筆の時間が増えてきました。
ムリに増やしているわけではなく、書きたい気持ちが高まっております。
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1月の第1日曜日は「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」の最新d33シナリオ「失楽園奇譚」を配信いたします!
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獣人、コビット、龍人……さまざまな種族が暮らすこの砂漠の地で、どんな冒険が繰り広げられるのでしょう?
◆2月からは「ガルアーダの塔」を!
2月以降の日曜枠は、ローグライクハーフ版「ガルアーダの塔」をお届けいたします!
こちらは90階建てとなった結果、合計9回の冒険をお届けします。
今はこの塔を建築しておりますが、なにぶん大きな建築物です☆
2月から3回にわたってお届けすることになるだろうと思います……お時間をいただき恐縮ですが、よろしくお願いします!
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2025年12月14日日曜日
アランツァクリーチャー事典 Vol.23 FT新聞 No.4708
おはようございます。
FT新聞編集長の水波流です。
本日は日曜日。ローグライクハーフ関連記事をお送りいたします。
杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第23回です。
先月に引続き『家畜、騎乗生物』後編!
かなりのボリュームがあるため、3回に渡って掲載します。
今回は軍馬やヒポグリフから、火吹き獣、丸々獣まで!
どうぞお楽しみ下さいませ。
アランツァクリーチャー事典『家畜、騎乗生物』後編
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/AranciaMonsterEncyclopedia_vol.23.txt
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
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杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第23回です。
先月に引続き『家畜、騎乗生物』後編!
かなりのボリュームがあるため、3回に渡って掲載します。
今回は軍馬やヒポグリフから、火吹き獣、丸々獣まで!
どうぞお楽しみ下さいませ。
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2025年12月13日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第670号 FT新聞 No.4707
From:水波流
私は90年代前半にT&Tやソードワールドなどの文庫本TRPGをよく遊んだ世代なのですが、日本のTRPG黎明期の先輩方とは数年遅れだったので、D&Dを全く遊ばずに来ていたんだなぁと先日、ふと気づきました。
同様のズレは随所で起こっており、例えばロードス島戦記リプレイに間に合わず、コンプティークを買ったときにはクリスタニアが連載されていたり、蓬莱学園に間に合わず、遊演体のPBMを遊べていなかったり。
もっとも熱狂的な時代から、ほんの少しだけ遅れていたんだなぁと。
(余談ですが、蓬莱学園の小説のリブート連載がはじまってますよ!)
From:葉山海月
何かを検索しようとして忘れる。
だれか教えてください。
From:天狗ろむ
8日(月)の杉本先生の記事より告知がありました、シナリオ作者さんご自身による「ローグライクハーフシナリオ紹介記事」の件は、天狗ろむが窓口となっております。
是非、貴方の書かれたシナリオを、FT新聞読者の皆様に紹介してみませんか? ご相談からお気軽に! お待ちしております!
(連絡先
Twitter(現X)アカウント:@amaku_romu リプライ、またはDMにて
discordアカウント:amaku_romu DMにて)
From:中山将平
僕ら、明日12月14日(日)埼玉県の川口市民ホールフレンディアで開催の「ゲームレジェンド40」というイベントにサークル参加します。
レトロゲーム・マイナーゲーム中心の同人即売会です。
お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■12/7(日)~12/12(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年12月7日(日)紫隠ねこ FT新聞 No.4701
『ベテルギウスの残光』ローグライクハーフd66シナリオ
・今月の新作シナリオは、作:紫隠ねこ氏、原案:ロア=スペイダー氏のコンビでお送りします!
冒険の舞台は、ラドリド大陸の南西部に位置する町モフージャ。
もふもふの毛に覆われた生物〈もふもふ獣〉と楽器の音色にあふれる町に作られた公衆浴場〈ベテルギウス〉の拡張工事中に、何と温泉ではなく【アンデッド】が噴出!
更に原因不明の地震も発生した事で、深刻なダメージを受けた別館に多くの人々が取り残されてしまいます。事件の真相を突き止めると共に、人々の救助も行うという、緊張感と緊急性の高い冒険があなたを待っています。
このままでは消えゆきかねない〈ベテルギウス〉の輝きを、どうか守ってあげてください!
(天)
2025年12月8日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4702
新しい記事群のお知らせ!
・先日、名古屋で行われた「FT書房作品オンリーコンベンション」にゲスト参加した杉本氏。「1人用TRPGローグライクハーフ」の関連作品が、公式非公式を合わせると100作近くになるという事に驚いたそうです。
楽しいことが起こっている、けれども「作品が増えてるぶん、探すのが大変だぞ……?」
そこで! シナリオ作者さんご自身にシナリオを紹介いただく「紹介記事」の準備を、編集部員・天狗ろむが窓口となって進めています。続報はしばしお待ちください!
(天)
2025年12月9日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4703
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(3)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第3回をお届けしました。
カタリ派の「完徳者」であるベルトランは、モンセギュール砦にたてこもる信徒たちの精神的指導者ですが、このリプレイでは権謀術数を巡らす策士として演じられています。
そして今回登場するのは、もうひとりの「完徳者」であるセシル。こちらも一筋縄ではいかない、演じるプレイヤーB氏いわく「強キャラババア感」を醸し出す人物です。
領主レーモンの娘エスクラルモンドや、その母コルバをはさんで、対立するふたりの「完徳者」。砦を包囲する十字軍はまだ静かな様子ですが、砦の中の人間関係はどうなっていくのでしょうか…?
(く)
2025年12月10日(水)ぜろ FT新聞 No.4704
第17回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・精緻な原作を深く豊かな解釈で描き直す、ぜろ氏のリプレイ第469回です。
最後の魔法でエナを救い、スノウシャークの襲撃を振り切ったミナは、ゴルジュを抜けて湖の岸辺に辿り着きました。
フェルとの「再会」を経て、エナとともに辺縁の村に戻るミナを待つのは、ボラミーとビバイアのきょうだい、そしてもうひとりの姉・ティナ。残る姉たちを探す旅は続きますが、この物語はひとまずここで大団円を迎えます。
ぜろ氏の新境地とも言うべき物語性豊かな長編リプレイの結末を、どうぞ見届けてください!
(く)
2025年12月11日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4705
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.33
・岡和田晃氏による、スペキュレイティブ・フィクション専門のネットマガジン「SF Prologue Wave」とのコラボ企画記事です。
久々となる今回は、なんとゲームブックの名作『展覧会の絵』の外伝!
平田真夫氏と森山安雄氏の合作という事にニヤリとされた方もおられるのではないでしょうか。
平田氏の『水の中、光の底』では水と光をモチーフにした10の世界が描かれており、これぞまさに幻想世界の探索譚だと思ったものです。次回作も読みたいですねえ。
(水)
*編集部註*
本記事の配信時に初出の表記が抜け落ちておりました。正しくは下記となります。訂正してお詫び申し上げます。
初出:「SF Prologue Wave」
https://prologuewave.club/archives/3944
2025年12月12日(金)ぜろ FT新聞 No.4706
番外編【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足
・10日(水)に「狂える魔女のゴルジュ」のゲームブックリプレイを終えた、ぜろ氏のリプレイ番外編にあたる第470回は感想回です。
「物語」に比重を置いた作品だった「狂える魔女のゴルジュ」。その為、普段のぜろ氏の「ゲームブックリプレイらしさ」「メタ視点」は減っていき、物語の起伏と主人公ミナの感情に焦点を当てていったそうです。
細かな手を加えながら、こうして今回のリプレイ……「未来の記憶を有する」ミナの物語が出来上がったとのこと。ぜろ氏がどんな風に書き上げていったのか、詳しく知りたい方は記事をご覧ください。
これからもリプレイを書き続けてくれるであろうぜろ氏に、どうぞ引き続きの応援を宜しくお願いします!
(天)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(忍者福島さん)
もしかしたら、オスクリード神はボラミーとではなく、ミナとフェルが失敗せずに姉を助けた未来も知っているのかもしれない、でも自分の知ってる事は今の自分の記憶しかないのは、ちょっと切ない終わり方かもしれませんね。
からくり好きなフェルと共に歩んだ記憶は、また別の記憶なのはわかるんですが、それもまた人生って事ですかね。
(お返事:ぜろ)
皆さまのあたたかい応援や感想のおかげもあり、最終回までたどりつくことができました。
ラストのフェルとのすれ違いは、フェルがお気に入りのキャラクターだったからというだけでなく、実現しなかった未来の切なさとやさしさの両方を表現したいという思いを込めています。受け取っていただけたようで、うれしいです。フェルとの結末を正史としたミナにも、最後までシビアに単独で目的達成のために奮闘したミナにも、等しく祝福があらんことを。
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■FT新聞が届かない日があった場合
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FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
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もっとも熱狂的な時代から、ほんの少しだけ遅れていたんだなぁと。
(余談ですが、蓬莱学園の小説のリブート連載がはじまってますよ!)
From:葉山海月
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だれか教えてください。
From:天狗ろむ
8日(月)の杉本先生の記事より告知がありました、シナリオ作者さんご自身による「ローグライクハーフシナリオ紹介記事」の件は、天狗ろむが窓口となっております。
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僕ら、明日12月14日(日)埼玉県の川口市民ホールフレンディアで開催の「ゲームレジェンド40」というイベントにサークル参加します。
レトロゲーム・マイナーゲーム中心の同人即売会です。
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(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
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■12/7(日)~12/12(金)の記事一覧
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2025年12月7日(日)紫隠ねこ FT新聞 No.4701
『ベテルギウスの残光』ローグライクハーフd66シナリオ
・今月の新作シナリオは、作:紫隠ねこ氏、原案:ロア=スペイダー氏のコンビでお送りします!
冒険の舞台は、ラドリド大陸の南西部に位置する町モフージャ。
もふもふの毛に覆われた生物〈もふもふ獣〉と楽器の音色にあふれる町に作られた公衆浴場〈ベテルギウス〉の拡張工事中に、何と温泉ではなく【アンデッド】が噴出!
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2025年12月8日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4702
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2025年12月9日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4703
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(3)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第3回をお届けしました。
カタリ派の「完徳者」であるベルトランは、モンセギュール砦にたてこもる信徒たちの精神的指導者ですが、このリプレイでは権謀術数を巡らす策士として演じられています。
そして今回登場するのは、もうひとりの「完徳者」であるセシル。こちらも一筋縄ではいかない、演じるプレイヤーB氏いわく「強キャラババア感」を醸し出す人物です。
領主レーモンの娘エスクラルモンドや、その母コルバをはさんで、対立するふたりの「完徳者」。砦を包囲する十字軍はまだ静かな様子ですが、砦の中の人間関係はどうなっていくのでしょうか…?
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2025年12月10日(水)ぜろ FT新聞 No.4704
第17回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・精緻な原作を深く豊かな解釈で描き直す、ぜろ氏のリプレイ第469回です。
最後の魔法でエナを救い、スノウシャークの襲撃を振り切ったミナは、ゴルジュを抜けて湖の岸辺に辿り着きました。
フェルとの「再会」を経て、エナとともに辺縁の村に戻るミナを待つのは、ボラミーとビバイアのきょうだい、そしてもうひとりの姉・ティナ。残る姉たちを探す旅は続きますが、この物語はひとまずここで大団円を迎えます。
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2025年12月11日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4705
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平田氏の『水の中、光の底』では水と光をモチーフにした10の世界が描かれており、これぞまさに幻想世界の探索譚だと思ったものです。次回作も読みたいですねえ。
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2025年12月12日(金)ぜろ FT新聞 No.4706
番外編【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足
・10日(水)に「狂える魔女のゴルジュ」のゲームブックリプレイを終えた、ぜろ氏のリプレイ番外編にあたる第470回は感想回です。
「物語」に比重を置いた作品だった「狂える魔女のゴルジュ」。その為、普段のぜろ氏の「ゲームブックリプレイらしさ」「メタ視点」は減っていき、物語の起伏と主人公ミナの感情に焦点を当てていったそうです。
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番外編【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足 FT新聞 No.4706
【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足
●感想
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」ゲームブックリプレイ、完結しました。
書いた自分自身の感情が極まってしまい、これ以上は何を書いても蛇足にしかなりません。
なので、ここから先はあえて蛇足と割り切って、思ったままのことを書き散らかしていきます。
書き出しこそ、普通のゲームブックリプレイ風に始まりましたが、途中から大幅に変化しました。
それはこの作品が、あまりにも「物語」に比重を置いたものだったためです。
リプレイでは、徐々に「ゲームブックリプレイらしさ」「メタ視点」を減らし、物語の起伏とミナの感情に焦点を当てる比重を重くしていきました。
最初は普通のリプレイ風、と言いましたが、そう言いながらも最初から、「物語」を強く印象づける内容にもなっています。
導入にあたるエピソードから様々なアレンジを加え、細やかな描写の追加やミナの内面の深掘りを心がけました。
その結果、ミナと仲間、そのほかの登場人物とのかかわりが、原作以上に関係性を重視するものとなりました。
フェルとはビジネスライクでありながら、親しげな雰囲気が加わり、ボラミーに至っては、ミナが「かけがえのない存在」と認識するほどに。
今回はアタック03として描いていますが、実際のアタックは06までありました。
内訳は、単独行が1回、フェル編が4回、ボラミー編が1回でした。
その中から3回を選んでリプレイにしました。
実際のプレイが、単独行→フェル編→ボラミー編だったのが、このリプレイの唯一無二の構成に繋がったと思っています。
単独でもフェルでもボラミーでもクリアできる構成となっているようでしたが、やはりボラミーはキャラクターづけの意味あいが他と異なります。
ラスボスであるマルティン・ローズを父に持ち、そしてミナと同じく「きょうだいを助ける」ことが動機のキャラクター。
ミナの物語を描き出すうえで、ボラミー編で締めくくったのは、結果的に必然だったと思います。
また、作品としては、時の魔法と、時に支配されない不死性を持った吸血鬼という対比が効いていると思いました。
物語の展開にも、大幅なアレンジを加えています。
特に大きく変化させたところは、ティナの救出後と、マルティン戦後の演出ですね。
ティナは時をさかのぼって救出するため、元の展開では屋敷の外まで逃がし、自力で脱出をさせます。
これは私には二重の違和感がありました。
このときだけ<跳兎の懐中時計>で過去に遡れる時間がだいぶ長いことと、そして館から脱出させたとしても、ゾンビ墓地を抜けられるとは到底思えないことです。
私がティナを助けた2回の道筋は、ともにビバイア生存ルートでしたので「ビバイアにかくまってもらう」という形に展開をいじらせていただきました。
また、ビバイアを助けた場合、元の展開ではボラミーは館を立ち去ります。
しかし、そこまでに築き上げたミナとボラミーの関係性では、ボラミーがミナを置いて去るなど、とても考えられなくなっていました。
そこで、ボラミーとビバイアが再会を喜んでいる間に、ミナだけがそっと部屋を抜け出すことで、ひとりになることにしました。
その後、ボラミーと合流して共闘する流れになります。
原作では、ボラミーとビバイアが部屋から抜け出す際に使った戸板が外れやすくなっており、その戸板を外すことで太陽光を部屋に取り込む展開でした。
そこは、ボラミーが戸板を破壊するという形に変更し、共闘での役割も与えた形です。
ほかにも、選択肢の構成は変えていませんが、ニュアンスを大幅に変えているところも多くあります。
外縁の村で「自分が闇エルフでないことを主張する」が、限界を迎えて泣きわめく行動になったり。
あるいは、ボラミーを仲間に誘う場面では、ボラミーの方から提案してくるなど、能動側と受動側を変更しているところも多くあります。
原作のエンディングでは、ティナが湖岸まで来て合流するのですが、地図を見る限り、湖はチャマイよりもさらに南です。
ミナとエナは湖まで激流で一気に流されています。距離がありすぎて、ティナが移動に要する時間を考えたとき、とてもすぐに合流できるとは思えませんでした。
また、スマホの位置情報もない世界では、ミナたちが湖まで流れていったという情報も得られるとは思えません。
もしかしたら、ティナにはそうした探索系の魔法か能力がある可能性もありますが、特にそうした匂わせも見当たりませんでした。
そこで展開を変え、こちらから、ボラミー宅にいるティナに会いに行く形を取ることとしました。
細かいところを挙げていくときりはありませんが、元がゲームブックであることは意識しながらも、だいぶ手を加えさせていただきました。
おかげで、リプレイとしてというより、物語としての完成度がかなり高まったと思います。
さて、オスクリードが時を巻き戻す能力については、実際にオスクリードにそのような能力があるかどうかは言及されていません。
これは、「プレイヤーが再アタックすること」を「オスクリードの戯れ」として表現したに過ぎません。時をテーマにした作品なので、こういう形に落とし込みました。
それもこれも、最初にキャラクターシートの説明をした時にミナが「未来の記憶」を断片的に持っている、と設定されたことに端を発しています。
何気なく考えついただけのその設定が、まさかこれほどまでに重さをもってミナに降りかかってくるとは、考えもしませんでした。
未来の記憶を有するミナだからこそ、このループに気づきました。
きっと他のゲームブックの他の主人公たちも、どこかで見ているデウスエクスマキナ神(プレイヤー)の戯れで、何度も巻き戻されているのに気づいていないということなのでしょう。
この話はこれでおしまいですが、これで終わりというにはあまりにも重厚な物語があります。
この先のミナの物語も、ぜひ見てみたい。そう思わせる作品でした。
ただ同時に、この作品の続編を書くことは、かなりの力量を要求されるものになるとも感じるところです。
あと救出すべき姉は3人? なら、ローグライクハーフのd66シナリオで行ける? なんて考えてはいませんよ(笑)
原作がとびきり面白かったこともありますが、このリプレイは、私がこれまで書いてきたものの中でも最高傑作となりました。
これを機に、姉であるニナの物語にも、少し触れられたらな、と思います。
と、この作品は物語の比重が大きいみたいな話をしてきましたが、実はゲーム面でもかなり凝った作りになっています
実は。物語性、ゲーム性、ともに高度なレベルの作品なのです。
7種類の時の魔法とその効果、使い方や使いどころなど、ものすごく練られています。
単独、フェル、ボラミーによる3つのルートは、そのいずれもで攻略法が異なります。
おかげで、銀のナイフを巡って失敗もしてしまいました。
森の中のキーウに会うと、銀貨5枚で銀のナイフを作ってもらえるんですよ。
その銀貨は、森の入口のねこ人からニンニクを購入することで、おつりとしてもらえます。
私は、それを見こしてプレイしていました。
ところが、森の入口でねこ人との交渉が発生するのは、単独の時だけでした!
それに気づかず、仲間キャラが変わっても、ねこ人との交渉に期待して、ハズレ続けてしまったのでした。
フェル編で手に入れる、なんらかの設計図が描かれた羊皮紙は、リプレイではまったく触れられない死んだ設定になっています。
これはフェル専用の武器「吸血鬼ごろし」の設計図で、フェル編での攻略に役立ちます。
そんなふうに、物語の面だけでなく、システム面もかなりの凝りようです。
私が最終的にクリアした道のりは、たぶんベストルートではありません。
少なくともね、ラストのスノウシャークを回避する場面では悪夢袋がひとつ残っていて、そこで<沙羅双樹の予知時計>を使う想定だとは思うんですよ。
私みたいに完全に勘に頼るのでなしに。
私は本作品のリプレイが、これまで書いてきたリプレイの中でも屈指の出来だと自負していますが、それは元作品が素晴らしいからこそです。
本当に、すごい作品をプレイしてしまった、また、自分の力量を越えるものすごいリプレイが書きあがってしまった、という両方の思いで感無量です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私はこれからも、ゲームブックリプレイを書き続けるでしょう。
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●感想
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」ゲームブックリプレイ、完結しました。
書いた自分自身の感情が極まってしまい、これ以上は何を書いても蛇足にしかなりません。
なので、ここから先はあえて蛇足と割り切って、思ったままのことを書き散らかしていきます。
書き出しこそ、普通のゲームブックリプレイ風に始まりましたが、途中から大幅に変化しました。
それはこの作品が、あまりにも「物語」に比重を置いたものだったためです。
リプレイでは、徐々に「ゲームブックリプレイらしさ」「メタ視点」を減らし、物語の起伏とミナの感情に焦点を当てる比重を重くしていきました。
最初は普通のリプレイ風、と言いましたが、そう言いながらも最初から、「物語」を強く印象づける内容にもなっています。
導入にあたるエピソードから様々なアレンジを加え、細やかな描写の追加やミナの内面の深掘りを心がけました。
その結果、ミナと仲間、そのほかの登場人物とのかかわりが、原作以上に関係性を重視するものとなりました。
フェルとはビジネスライクでありながら、親しげな雰囲気が加わり、ボラミーに至っては、ミナが「かけがえのない存在」と認識するほどに。
今回はアタック03として描いていますが、実際のアタックは06までありました。
内訳は、単独行が1回、フェル編が4回、ボラミー編が1回でした。
その中から3回を選んでリプレイにしました。
実際のプレイが、単独行→フェル編→ボラミー編だったのが、このリプレイの唯一無二の構成に繋がったと思っています。
単独でもフェルでもボラミーでもクリアできる構成となっているようでしたが、やはりボラミーはキャラクターづけの意味あいが他と異なります。
ラスボスであるマルティン・ローズを父に持ち、そしてミナと同じく「きょうだいを助ける」ことが動機のキャラクター。
ミナの物語を描き出すうえで、ボラミー編で締めくくったのは、結果的に必然だったと思います。
また、作品としては、時の魔法と、時に支配されない不死性を持った吸血鬼という対比が効いていると思いました。
物語の展開にも、大幅なアレンジを加えています。
特に大きく変化させたところは、ティナの救出後と、マルティン戦後の演出ですね。
ティナは時をさかのぼって救出するため、元の展開では屋敷の外まで逃がし、自力で脱出をさせます。
これは私には二重の違和感がありました。
このときだけ<跳兎の懐中時計>で過去に遡れる時間がだいぶ長いことと、そして館から脱出させたとしても、ゾンビ墓地を抜けられるとは到底思えないことです。
私がティナを助けた2回の道筋は、ともにビバイア生存ルートでしたので「ビバイアにかくまってもらう」という形に展開をいじらせていただきました。
また、ビバイアを助けた場合、元の展開ではボラミーは館を立ち去ります。
しかし、そこまでに築き上げたミナとボラミーの関係性では、ボラミーがミナを置いて去るなど、とても考えられなくなっていました。
そこで、ボラミーとビバイアが再会を喜んでいる間に、ミナだけがそっと部屋を抜け出すことで、ひとりになることにしました。
その後、ボラミーと合流して共闘する流れになります。
原作では、ボラミーとビバイアが部屋から抜け出す際に使った戸板が外れやすくなっており、その戸板を外すことで太陽光を部屋に取り込む展開でした。
そこは、ボラミーが戸板を破壊するという形に変更し、共闘での役割も与えた形です。
ほかにも、選択肢の構成は変えていませんが、ニュアンスを大幅に変えているところも多くあります。
外縁の村で「自分が闇エルフでないことを主張する」が、限界を迎えて泣きわめく行動になったり。
あるいは、ボラミーを仲間に誘う場面では、ボラミーの方から提案してくるなど、能動側と受動側を変更しているところも多くあります。
原作のエンディングでは、ティナが湖岸まで来て合流するのですが、地図を見る限り、湖はチャマイよりもさらに南です。
ミナとエナは湖まで激流で一気に流されています。距離がありすぎて、ティナが移動に要する時間を考えたとき、とてもすぐに合流できるとは思えませんでした。
また、スマホの位置情報もない世界では、ミナたちが湖まで流れていったという情報も得られるとは思えません。
もしかしたら、ティナにはそうした探索系の魔法か能力がある可能性もありますが、特にそうした匂わせも見当たりませんでした。
そこで展開を変え、こちらから、ボラミー宅にいるティナに会いに行く形を取ることとしました。
細かいところを挙げていくときりはありませんが、元がゲームブックであることは意識しながらも、だいぶ手を加えさせていただきました。
おかげで、リプレイとしてというより、物語としての完成度がかなり高まったと思います。
さて、オスクリードが時を巻き戻す能力については、実際にオスクリードにそのような能力があるかどうかは言及されていません。
これは、「プレイヤーが再アタックすること」を「オスクリードの戯れ」として表現したに過ぎません。時をテーマにした作品なので、こういう形に落とし込みました。
それもこれも、最初にキャラクターシートの説明をした時にミナが「未来の記憶」を断片的に持っている、と設定されたことに端を発しています。
何気なく考えついただけのその設定が、まさかこれほどまでに重さをもってミナに降りかかってくるとは、考えもしませんでした。
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そんなふうに、物語の面だけでなく、システム面もかなりの凝りようです。
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本当に、すごい作品をプレイしてしまった、また、自分の力量を越えるものすごいリプレイが書きあがってしまった、という両方の思いで感無量です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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2025年12月11日木曜日
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.33 FT新聞 No.4705
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.33
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
●はじめに(岡和田晃)
祝:田林洋一「スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本」、連載完結!
私は連載が始まって少し経ってから、公開前のチェックに参加させていただきました。
むろん、論そのものは田林さんのものですが、私見とは異なる箇所もままありますが、私の知っていることをお伝えし、参考にしていただいたということです。
そちらの連載でも取り上げられ、「FT新聞」でもたびたび言及されている「展覧会の絵」(創元推理文庫、1987年)。
創土社(2003年)・幻想迷宮書店(2016年)と、2度のリバイバルを経ている傑作として、もはやカノンと化していますが、その『展覧会の絵』に、外伝として書かれた小説があることをご存知でしたか?
リリカルなSF小説『水の中、光の底』(東京創元社、2011年)の著者・平田真夫氏との合作になります。
(こっそり書いておきますと、「スーパーアドベンチャーアドベンチャーゲームがよくわかる本」が書籍化するようなことがもしあれば、応援を兼ねて本作を収めてもかまわないとのご許諾も賜りましたよ)
そうそう、手前味噌ですが、名作ゲームブック「ファイティング・ファンタジー」シリーズの歴史をまとめ上げた書籍「主人公はキミだ!〜You are the Hero!日本語版〜インタラクティブに振り返る ファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史」に同梱される拙著に、東京創元社で「スーパーアドベンチャーゲーム」シリーズを手掛けた編集・小浜徹也氏への取材が含まれておりますので、同シリーズに関心がある方はぜひどうぞ。
https://www.4gamer.net/games/758/G075800/20251128001/
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
オリジナル小説「吟遊詩人」
平田真夫
(「展覧会の絵」外伝・森山安雄と合作)
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
—十二律
日本や中国で古くから用いられた音階。管楽器の管の長さを三分の一短くして完全五度、三分の一長くして完全四度を得、これを繰り返して十二の音を得る。ただしこのやり方では対数関数にならないので、現在の平均率とは異なる音高となる。西洋では、ピタゴラスが弦の長さを用いて同じ方法を採った為、十二律はピタゴラス音階と実質的に同じ物である。
艶のある固そうな皮膚に、切れ長の目——。始めは能面でも被っているのかと思った。その位彼女の顔は色が白く、のっぺりしていたのだ。
だが、すぐにそれは、外灯の暗さ故の見誤りだと判る。一瞬、上目遣いにこちらを向いた視線が瞬いたかと思うと、細目の唇の端が僅かに微笑んだ。全身に一枚布を巻き付けたかのような弛んだ服。白地に茶色く染みが付き、地べたに直接胡坐をかいた膝には有棹の琴が乗せられている——。
「ちょっと、あなた」
澄んだよく通る声で呼ばれて振り返る。跨った雌馬が足を止め、鬣の風船が揺れた。近くには他にもたくさんの子供がいるが、皆親子連れで、このような言い方をされるのは自分しか居なさそうだ。見ると舗道に、小柄な女が座っている。
↓続きはこちらから!(PDFファイル)
https://prologuewave.club/wp-content/uploads/2013/12/ginnyuusijinn_hiratamasao.pdf
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●はじめに(岡和田晃)
祝:田林洋一「スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本」、連載完結!
私は連載が始まって少し経ってから、公開前のチェックに参加させていただきました。
むろん、論そのものは田林さんのものですが、私見とは異なる箇所もままありますが、私の知っていることをお伝えし、参考にしていただいたということです。
そちらの連載でも取り上げられ、「FT新聞」でもたびたび言及されている「展覧会の絵」(創元推理文庫、1987年)。
創土社(2003年)・幻想迷宮書店(2016年)と、2度のリバイバルを経ている傑作として、もはやカノンと化していますが、その『展覧会の絵』に、外伝として書かれた小説があることをご存知でしたか?
リリカルなSF小説『水の中、光の底』(東京創元社、2011年)の著者・平田真夫氏との合作になります。
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そうそう、手前味噌ですが、名作ゲームブック「ファイティング・ファンタジー」シリーズの歴史をまとめ上げた書籍「主人公はキミだ!〜You are the Hero!日本語版〜インタラクティブに振り返る ファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史」に同梱される拙著に、東京創元社で「スーパーアドベンチャーゲーム」シリーズを手掛けた編集・小浜徹也氏への取材が含まれておりますので、同シリーズに関心がある方はぜひどうぞ。
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平田真夫
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—十二律
日本や中国で古くから用いられた音階。管楽器の管の長さを三分の一短くして完全五度、三分の一長くして完全四度を得、これを繰り返して十二の音を得る。ただしこのやり方では対数関数にならないので、現在の平均率とは異なる音高となる。西洋では、ピタゴラスが弦の長さを用いて同じ方法を採った為、十二律はピタゴラス音階と実質的に同じ物である。
艶のある固そうな皮膚に、切れ長の目——。始めは能面でも被っているのかと思った。その位彼女の顔は色が白く、のっぺりしていたのだ。
だが、すぐにそれは、外灯の暗さ故の見誤りだと判る。一瞬、上目遣いにこちらを向いた視線が瞬いたかと思うと、細目の唇の端が僅かに微笑んだ。全身に一枚布を巻き付けたかのような弛んだ服。白地に茶色く染みが付き、地べたに直接胡坐をかいた膝には有棹の琴が乗せられている——。
「ちょっと、あなた」
澄んだよく通る声で呼ばれて振り返る。跨った雌馬が足を止め、鬣の風船が揺れた。近くには他にもたくさんの子供がいるが、皆親子連れで、このような言い方をされるのは自分しか居なさそうだ。見ると舗道に、小柄な女が座っている。
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https://prologuewave.club/wp-content/uploads/2013/12/ginnyuusijinn_hiratamasao.pdf
初出:「SF Prologue Wave」
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2025年12月10日水曜日
第17回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4704
第17回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
闇神オスクリードの加護を得た魔法の時計を駆使し、「還らずの森」深くの吸血鬼の館に赴きます。
神の戯れによる時の繰り返しに気づき、一度は絶望しますが、それでもあきらめずに旅を続けます。
そしてついに、吸血鬼マルティンを倒し、双子の姉エナとティナを助け出すことができたのでした。
今回は、この冒険の結末を描きます。また、その後に感想もお届けします。
【ミナ 体力点2/4 悪夢袋0/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<沙羅双樹の予知時計>いつでも選択肢の先の未来を予知できる。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
●アタック03-15 静かな湖畔にて
ボクとエナ姉は、湖のほとりで横並びになって、あお向けに寝そべっている。
全力を出し切った後の疲れと、水から上がった体の重さで、しばらく動けそうになかった。
ずぶ濡れで冷え切った体を、雲ひとつない空から、太陽が温めてくれる。
「まぶしい……」
エナ姉が、腕を光の方向にかざしながら、かみしめるように言う。
「太陽の光を浴びられる日がまた来るなんて、思いもしなかった……」
エナ姉の透き通った瞳から、涙が一筋、見えた。
エナ姉は、やがてボクに向けて語りかけた。
「ありがとうねミナ。私がすべてを取り戻したのは、ミナのおかげよ」
「ずっと探してたんだ。姉さんたちの行方を。ボクだけじゃなく、ニナ姉も。ずっと、ずっと探してたんだ」
「うん。うん」
「やっと見つけた。やっと会えた」
「うん」
「会いたかった……」
「私も。また会えるなんて、本当に夢のよう」
エナ姉は、やわらかな笑みをボクにくれた。
奴隷として売られて、10年以上も、ずっとずっと辛い体験を重ねてきたに違いない。
それでも、こんな表情ができるんだ。ボクに変わらない笑顔を向けてくれるんだ。
ボクはこの旅で、自分が辛くてしんどい目にたくさんあってきたって思ってた。
けど、エナ姉の笑みはそれだけで、それが全部吹き飛んでしまうだけの力があった。
なんだか、自分がすごくちっぽけなことにとらわれていたように思えた。
オスクリード神に観察されてるからって、なんだ。
別に普段から、オスクリード神がボクに語りかけてくるなんてことはない。
単に、ボクが時の魔法を使うときに、ただ力を貸してくれるだけの存在だ。
それで、死んでも時間をさかのぼってやり直させてくれるんだ。だったらボクは、神の思惑だって、利用するだけだ。
そうはいっても、オスクリード神のボクへの興味がいつまで続くかわからない。
だからボクは、死なないようにしないと。
死ぬときの苦しみはもう二度と味わいたくないし、なにより、せっかく助けたエナ姉とティナ姉が、またピンチに逆戻りしてしまうのもきつい。
次に時が巻き戻ったら、記憶が継承されているかもわからない。
神の観察を知りながら、こんな風に考えてしまえるなんて。ボクはもう、狂ってるのかもしれないな。
でも、決して命を粗末にしない。どれだけ罪を重ねようと、精一杯、生き延びて、姉たちを救い出してみせる。
あと3人。マナ姉も、ドナ姉も、ノナ姉も。
ボクは、ひとつの時計をなでた。
<沙羅双樹の予知時計>。
この旅で新しく得た魔法だ。
重要な選択の先を知り、何度でも選び直すことができる魔法。
悪夢袋が尽きてしまったために、今回は使う機会がなかった。
けれど、この時計はこの先、ボクの生存率を上げてくれるだろう確信があった。
たよりにしてるよ。
<沙羅双樹の予知時計>の針が、わずかにふるえたように見えた。まるで、ボクが使う機会を待ちわびているように。
「ティナ姉も助けたよ。今は、外縁の村の仲間のところにいるはず。少し休んだら、会いに行こう」
「ティナも無事なのね。よかった」
ティナ姉を迎えに行ったら、一度、ニナ姉のところに帰ろう。
そうしたら、ほかの姉たちを探す旅に出よう。
もしかしたら、姉たちが全員が、エナ姉と同じ貴族に買われていたのかもしれない。
だとしたら、エナ姉に聞けば、次の身請け先のヒントが見つかるかもしれない。
それに、ニナ姉も何かつかんでいるかもしれない。
「かもしれない」ばかりだけれど、希望はある。
エナ姉とティナ姉を助け出したことで、ボクは停滞していた時間が、動き出したように感じていた。
「ところでミナ、気になることがあるの。聞いていいかどうかわからないけれど」
「なに?」
「ずいぶん真っ黒になったみたいだけど、どうしたの? 日焼け?」
とぼけた質問。エナ姉、昔とぜんぜん変わってない。
ボクはくすりと笑って、「そうだよ」と答えた。
●アタック03-16 再会
それからボクたちは、湖畔でぐったりしているところを漁師に見つけられ、湖畔の村に案内してもらった。
湖畔の村で一晩休んでわずかばかりの体力を回復し、還らずの森の外縁の村を目指し、歩みを進めている。
昨晩は悪夢を見なかったみたいだ。悪夢袋が空のままなのが、わずかに不安ではある。
数日をかけて、ボクたちはようやく還らずの森へと近づいた。
その間にボクは、今までに経験してきたことを、エナ姉に話して聞かせた。
エナ姉も、ボクの知らないこれまでの生活のことを聞かせてくれた。
ようやく外縁の村に近づいてきたところでボクたちは、反対側から来たノームの男に声をかけられた。
「ありゃ。闇エルフと普通のエルフが連れ立って歩いているなんて、初めて見るな」
たしかに、珍しい光景だろう。
エナ姉がボクのことを、「妹なのよ。日焼けしたみたい」と紹介する。
「いやいや。日焼けじゃないだろってのはオレでもわかるぜ」
エナ姉は、それでもボクが正真正銘の妹だと、言い切った。
「騙されてるとか脅されてるとかじゃなければいいんだけどよ。この先の村に入るときにゃ気をつけな。森の闇エルフどもに搾取されすぎて、闇エルフを憎んでる。エルフの姉ちゃんと一緒なら大丈夫かもしれないが、な」
そんな会話を交わした後、ノームの男はすれ違って去っていく。
ボクは去り際のノームに声をかけた。
「心配してくれてありがとう、フェル」
「あれ? オレ、名前言ったっけ。ま、いっか。じゃあな」
ノームの姿が見えなくなった後、エナ姉が怪訝な表情で尋ねた。
「さっきのノーム、お知り合い?」
うん。知ってるといえば知ってるし、初対面といえば初対面。
煙に巻くような答え方をして、ボクはフェルのことを思い起こしていた。
あいまいだけど、「フェルと一緒に旅をした」ことだけは覚えていた。
フェルに助けてもらったことを、ボクだけが知っている。
ボクは心の中で、フェルにもういちど、感謝の気持ちを告げた。
外縁の村に着いた。
村人たちの視線は気になるけれど、積極的に何かをしかけてくることはない。
ボクがエルフのエナ姉と一緒に歩いているからだろうか。
前にこの村に来たときの騒ぎを知っている人もいるかもしれない。
ボクたちは、まっすぐボラミーの家に向かった。
庭先にいたビバイアがボクたちに気がつくと、慌てて中に駆け込む。
やがてボラミーとティナ姉が飛び出してきた。
「ミナ、無事だったか! あまりに遅いから心配したぞ」
「ミナ、おかえり。エナも……よかった」
「ぜんぶミナのおかげ。ミナがいなければ命はなかった」
「それは、ここにいるみんながそう」
エナ姉、ティナ姉とボクは再会を喜び合う。
その光景を、ボラミーとビバイアがまぶしそうに見つめている。
ボクはそこにいるみんなに、とびきりの笑顔で告げた。
「ただいま!」
【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ 完
【ミナ 体力点2/4 悪夢袋0/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<沙羅双樹の予知時計>いつでも選択肢の先の未来を予知できる。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。ミナとともに森へと赴く。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。
フェルナンド・ウティリヌス 通称フェル。森の案内人をしているノーム。
マルティン・ローズ ローズ家の当主。吸血鬼。
マイトレーヤ 時計塔を守るゴーレム。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
テクア からくりの神。ノームにからくりの知識を授けたとも言われる。
■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
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※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
闇神オスクリードの加護を得た魔法の時計を駆使し、「還らずの森」深くの吸血鬼の館に赴きます。
神の戯れによる時の繰り返しに気づき、一度は絶望しますが、それでもあきらめずに旅を続けます。
そしてついに、吸血鬼マルティンを倒し、双子の姉エナとティナを助け出すことができたのでした。
今回は、この冒険の結末を描きます。また、その後に感想もお届けします。
【ミナ 体力点2/4 悪夢袋0/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<沙羅双樹の予知時計>いつでも選択肢の先の未来を予知できる。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
●アタック03-15 静かな湖畔にて
ボクとエナ姉は、湖のほとりで横並びになって、あお向けに寝そべっている。
全力を出し切った後の疲れと、水から上がった体の重さで、しばらく動けそうになかった。
ずぶ濡れで冷え切った体を、雲ひとつない空から、太陽が温めてくれる。
「まぶしい……」
エナ姉が、腕を光の方向にかざしながら、かみしめるように言う。
「太陽の光を浴びられる日がまた来るなんて、思いもしなかった……」
エナ姉の透き通った瞳から、涙が一筋、見えた。
エナ姉は、やがてボクに向けて語りかけた。
「ありがとうねミナ。私がすべてを取り戻したのは、ミナのおかげよ」
「ずっと探してたんだ。姉さんたちの行方を。ボクだけじゃなく、ニナ姉も。ずっと、ずっと探してたんだ」
「うん。うん」
「やっと見つけた。やっと会えた」
「うん」
「会いたかった……」
「私も。また会えるなんて、本当に夢のよう」
エナ姉は、やわらかな笑みをボクにくれた。
奴隷として売られて、10年以上も、ずっとずっと辛い体験を重ねてきたに違いない。
それでも、こんな表情ができるんだ。ボクに変わらない笑顔を向けてくれるんだ。
ボクはこの旅で、自分が辛くてしんどい目にたくさんあってきたって思ってた。
けど、エナ姉の笑みはそれだけで、それが全部吹き飛んでしまうだけの力があった。
なんだか、自分がすごくちっぽけなことにとらわれていたように思えた。
オスクリード神に観察されてるからって、なんだ。
別に普段から、オスクリード神がボクに語りかけてくるなんてことはない。
単に、ボクが時の魔法を使うときに、ただ力を貸してくれるだけの存在だ。
それで、死んでも時間をさかのぼってやり直させてくれるんだ。だったらボクは、神の思惑だって、利用するだけだ。
そうはいっても、オスクリード神のボクへの興味がいつまで続くかわからない。
だからボクは、死なないようにしないと。
死ぬときの苦しみはもう二度と味わいたくないし、なにより、せっかく助けたエナ姉とティナ姉が、またピンチに逆戻りしてしまうのもきつい。
次に時が巻き戻ったら、記憶が継承されているかもわからない。
神の観察を知りながら、こんな風に考えてしまえるなんて。ボクはもう、狂ってるのかもしれないな。
でも、決して命を粗末にしない。どれだけ罪を重ねようと、精一杯、生き延びて、姉たちを救い出してみせる。
あと3人。マナ姉も、ドナ姉も、ノナ姉も。
ボクは、ひとつの時計をなでた。
<沙羅双樹の予知時計>。
この旅で新しく得た魔法だ。
重要な選択の先を知り、何度でも選び直すことができる魔法。
悪夢袋が尽きてしまったために、今回は使う機会がなかった。
けれど、この時計はこの先、ボクの生存率を上げてくれるだろう確信があった。
たよりにしてるよ。
<沙羅双樹の予知時計>の針が、わずかにふるえたように見えた。まるで、ボクが使う機会を待ちわびているように。
「ティナ姉も助けたよ。今は、外縁の村の仲間のところにいるはず。少し休んだら、会いに行こう」
「ティナも無事なのね。よかった」
ティナ姉を迎えに行ったら、一度、ニナ姉のところに帰ろう。
そうしたら、ほかの姉たちを探す旅に出よう。
もしかしたら、姉たちが全員が、エナ姉と同じ貴族に買われていたのかもしれない。
だとしたら、エナ姉に聞けば、次の身請け先のヒントが見つかるかもしれない。
それに、ニナ姉も何かつかんでいるかもしれない。
「かもしれない」ばかりだけれど、希望はある。
エナ姉とティナ姉を助け出したことで、ボクは停滞していた時間が、動き出したように感じていた。
「ところでミナ、気になることがあるの。聞いていいかどうかわからないけれど」
「なに?」
「ずいぶん真っ黒になったみたいだけど、どうしたの? 日焼け?」
とぼけた質問。エナ姉、昔とぜんぜん変わってない。
ボクはくすりと笑って、「そうだよ」と答えた。
●アタック03-16 再会
それからボクたちは、湖畔でぐったりしているところを漁師に見つけられ、湖畔の村に案内してもらった。
湖畔の村で一晩休んでわずかばかりの体力を回復し、還らずの森の外縁の村を目指し、歩みを進めている。
昨晩は悪夢を見なかったみたいだ。悪夢袋が空のままなのが、わずかに不安ではある。
数日をかけて、ボクたちはようやく還らずの森へと近づいた。
その間にボクは、今までに経験してきたことを、エナ姉に話して聞かせた。
エナ姉も、ボクの知らないこれまでの生活のことを聞かせてくれた。
ようやく外縁の村に近づいてきたところでボクたちは、反対側から来たノームの男に声をかけられた。
「ありゃ。闇エルフと普通のエルフが連れ立って歩いているなんて、初めて見るな」
たしかに、珍しい光景だろう。
エナ姉がボクのことを、「妹なのよ。日焼けしたみたい」と紹介する。
「いやいや。日焼けじゃないだろってのはオレでもわかるぜ」
エナ姉は、それでもボクが正真正銘の妹だと、言い切った。
「騙されてるとか脅されてるとかじゃなければいいんだけどよ。この先の村に入るときにゃ気をつけな。森の闇エルフどもに搾取されすぎて、闇エルフを憎んでる。エルフの姉ちゃんと一緒なら大丈夫かもしれないが、な」
そんな会話を交わした後、ノームの男はすれ違って去っていく。
ボクは去り際のノームに声をかけた。
「心配してくれてありがとう、フェル」
「あれ? オレ、名前言ったっけ。ま、いっか。じゃあな」
ノームの姿が見えなくなった後、エナ姉が怪訝な表情で尋ねた。
「さっきのノーム、お知り合い?」
うん。知ってるといえば知ってるし、初対面といえば初対面。
煙に巻くような答え方をして、ボクはフェルのことを思い起こしていた。
あいまいだけど、「フェルと一緒に旅をした」ことだけは覚えていた。
フェルに助けてもらったことを、ボクだけが知っている。
ボクは心の中で、フェルにもういちど、感謝の気持ちを告げた。
外縁の村に着いた。
村人たちの視線は気になるけれど、積極的に何かをしかけてくることはない。
ボクがエルフのエナ姉と一緒に歩いているからだろうか。
前にこの村に来たときの騒ぎを知っている人もいるかもしれない。
ボクたちは、まっすぐボラミーの家に向かった。
庭先にいたビバイアがボクたちに気がつくと、慌てて中に駆け込む。
やがてボラミーとティナ姉が飛び出してきた。
「ミナ、無事だったか! あまりに遅いから心配したぞ」
「ミナ、おかえり。エナも……よかった」
「ぜんぶミナのおかげ。ミナがいなければ命はなかった」
「それは、ここにいるみんながそう」
エナ姉、ティナ姉とボクは再会を喜び合う。
その光景を、ボラミーとビバイアがまぶしそうに見つめている。
ボクはそこにいるみんなに、とびきりの笑顔で告げた。
「ただいま!」
【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ 完
【ミナ 体力点2/4 悪夢袋0/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<沙羅双樹の予知時計>いつでも選択肢の先の未来を予知できる。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。ミナとともに森へと赴く。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。
フェルナンド・ウティリヌス 通称フェル。森の案内人をしているノーム。
マルティン・ローズ ローズ家の当主。吸血鬼。
マイトレーヤ 時計塔を守るゴーレム。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
テクア からくりの神。ノームにからくりの知識を授けたとも言われる。
■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
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