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2025年11月3日月曜日

準備はいいか? 俺はできている! FT新聞 No.4667

おはようございます、梅田のタリーズから杉本です☆
新刊告知です!!


◆「ローグライクハーフ」の新サプリメント!
きたる11月22-23日に開催される、秋のゲームマーケットにて「ローグライクハーフ」の最新作品「ヒーローズオブダークネス」を刊行いたします!
場所は「K-10」。
土曜日も日曜日も参加します☆


◆「ヒーローズオブダークネス」!!
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」に登場する【職業】の枠を超えた遊び方として存在する【種族】。
遊び方そのものを変える、拡張版にふさわしいデザインでお届けいたします!
22種類の【種族】を主人公に選び、冒険を行うことができます。

  (序文より抜粋)
 本書「ヒーローズオブダークネス」は(中略)【職業】の代わりに、個性豊かな【種族】を選んで遊ぶことができます。
 強力で不器用な【半巨人】。炎の魔法に特化した【緋色の魔術師】。善の心と愛のはざ間で揺れる【翼人】。快楽と刹那を生きる【ケモノコビット】。4本の腕を持つ【アラネア】。数の暴力【オーク】。人馬一体の【ケンタウロス】。かつて人であったからくり【ゴーレム】。主人公交代制の【ゴブリン】。血の花を咲かせる美しき悪魔【バルサムデビル】。深き神のシモベにして水中の猛者【末裔】。空を舞う攻撃者【おどる剣】。硬き石の悪魔【ガーゴイル】。不死の王たる【吸血鬼】。人を愛する植物【ジグリ・ザグリ】。死神に仕える【死せる砂漠の道化師】。あやかしのけだもの【妖狐】。四つ足の地元神【地龍(リンドヴルム)】。同じく地元神の巨大猫【魔猫】。孤高の神官戦士【ナーガ】。あらゆる職業になれる「顔のない者」【ウーティス】。そして、最弱の【肉食キューブ】。
 これらの【種族】は「ローグライクハーフ」のすべてのシナリオに対応しています。はじめは基本【職業】と類似性のある4種族である【半巨人】【緋色の魔術師】【翼人】【ケモノコビット】から遊ぶといいでしょう。一方で【肉食キューブ】は、はじめはやめておくことをお勧めします……意図的に弱くデザインされた、十分なプレイスキルと運が必要なキャラクターです。
 この本があなたのローグライクハーフを、よりいっそう楽しいものへとしてくれますように!


◆コンセプト。
「ヒーローズオブダークネス」を読めば、アランツァ世界の【種族】に対する造詣が深くなることは間違いありません☆
アランツァ世界をご紹介するうえで私が最も大事にしていることは、ふたつあります。
ひとつは、すべてがつながっていること。
ひとつの街のなりたちに、別の街が関わっている──あらゆるところに相関関係が存在することが、「世界の表現」となると考えています。
そしてもうひとつは、これまでに示されてきたであろう「世界」よりも、詳細を示すことです。
たとえば、【きのこ人】がいるとしたら、どんな種類のきのこから発展した存在なのか。
さまざまなバリエーションが、冒険や世界そのものに影響を与える。
そんな世界観の構築に、日々いそしんでおります。
「ヒーローズオブダークネス」は、プレイアブルなキャラクターとしてどんな【種族】が考えられるのかという、新しい視点から作り上げた作品です。
「善悪」ではなく、「冒険が可能であるか」という視点。
「秩序」を理解している必要はあるけれど、それだけでもない。
ひと言では語れない「プレイアブルである」という視点。
アランツァ世界の解像度を上げることに、成功したと感じています。


◆【魔猫】は、【地龍】は。
先日、【魔猫】という【種族】について「人の言葉が話せるのか」という疑問を、SNSで見かけました。
これにお答えしますと、「ヒーローズオブダークネス」に登場する【種族】はすべて、「プレイヤーキャラクターとして冒険に参加するのに必要な資質を備えて」います。
「冒険に支障がないか」という主旨に関しては「ない」と答えられますが、他にもさまざまなケースがあると思われますので、詳細についてはGMと読者にお任せします☆


◆通販の受付も開始!
発売は嬉しいけれど、ゲームマーケットに行くのは少し大変。
そんなあなたのために、通販予約を開始しました!
開始時期は未定ですが、11月末ごろまでに販売開始できるように鋭意努力してまいります!
それではまた!

↓通信販売はこちらから!
https://ftbooks.booth.pm/items/7572242



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2025年11月2日日曜日

ローグライクハーフd33シナリオ『きみへ贈る詩』 FT新聞 No.4666

 おはようございます。時々やってくる丹野です。

 現在、日本では3つもゴッホの美術展が開催されています。
 神戸市立博物館の大ゴッホ展。
 東京都美術館のゴッホ展。
 そして、箱根・ポーラ博物館のゴッホ・インパクト(ゴッホとその影響)展。
 見れるときに全部見ようと思い、この連休は箱根に行っています。
 秋らしい気候の内に温泉に浸かったり美術館に行ったり、めずらしく季節を謳歌しています。

 さて、今回はローグライクハーフのd33シナリオ、『君へ贈る詩』をお送りいたします。
 自治都市トーンのそば、かつて滅びた街を2人で旅する……そんなシナリオです。
 そう、2人です。
 今回は2人の主人公で遊ぶことで楽しめるシナリオを用意しました。
 さらに、危険な戦闘はありません。

 「好きに書いていい」と言われたので、以前から構想していた戦闘のないシナリオを作ってみました。
 さらに、ローグライクハーフの特性を活かし、ランダムマップの結果が詩として残るようになっています。
 おたがいにどんな詩を贈りあうのか、

 プレイヤーふたりで遊ぶもよし。
 別々の冒険をした主人公たちを一緒に旅させるもよし。
 いつもとはすこし違った、のんびりした冒険をお楽しみください。

ローグライクハーフ d33シナリオ『きみへ贈る詩』
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_Words_for_You.txt

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2025年11月1日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第664号 FT新聞 No.4665

From:水波流
10/29発売の、TH(トーキングヘッズ叢書) No.104『孤高の徒花たち〜はぐれ者の美学』(アトリエサード)に寄稿しております。
「孤高は死して何を残すか」というテーマで、中国神話『盤古』、マイクル・ムアコック『紅衣の公子コルム』、シェイクスピア『マクベス』
この3つを軸に語っております。
THは、書評、映画評、舞台評、展覧会紹介などが掲載される季刊誌です。
書籍詳細や取扱店などはこちらの出版社サイトより!
https://athird.cart.fc2.com/ca1/448/p-r1-s/

From:葉山海月
ただで手に入れた本。
見ると、第一ページに、
「この本を手に取ったアナタ。みんなに嫌われてます。私も嫌ってます」
との手書きメッセージ!
手に取った本は『アンパンマン』!
なるほど、愛さんと勇気くんだけがトモダチなんですね。(違う!)

From:天狗ろむ
早いもので11月!本日11月1日はワンワンワンと鳴き声の語呂合わせで「犬の日」だそうです。
他の記念日も制定されていますが、この日は犬の写真がSNSに流れてくることが多くて犬好きの私はニッコリ。
11月は「いい〇〇の日」という語呂合わせも多いので、個人的に楽しい月だと感じています。
年末に向けて急がしい事も多いと思われますが、皆様にとって「いい」11月になりますように!

From:中山将平
僕は今日、個人として奈良女子大学内で開催のオールジャンル同人誌即売会「COMIC☆PARTY37」にサークル参加しています。
ブース配置は【C-3とC-4】。個人で作っているイラストのシリーズ「カエルの勇者ケロナイツ」を扱います。
上記の事柄とは別に、11月3日(月・祝)、FT書房は札幌コンベンションセンターで開催の「北海道コミティア22」にサークル参加する予定です。
ブース配置は【I13】。ゲームブックや1人用TRPG「ローグライクハーフ」等の作品を扱います。
お近くの方はぜひ遊びにお越しいただけましたら。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
(葉)=葉山海月

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■10/26(日)~10/31(金)の記事一覧
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2025年10月26日(日)森梟夫 FT新聞 No.4659

Ψ『海底の記憶』 日曜ゲームブック
・前作『魔法王国の再興』から二年、ChatGPTの出始め頃に降臨した非実在作家、森梟夫(もりきょうふ)先生が帰って参りました!
1926年、マサチューセッツ州アーカムの港町に足を踏み入れたあなたは、あやしの古代文字を通じて深海都市ルルイエの幻影へと誘われます。
想像の中でニューイングランドの霧に包まれた港町や海岸線を遊歩したという森先生がお届けする30パラグラフの記憶の断片をお楽しみください!
(明)
*編集・水波流より*
配信時の作品に一部パラグラフのバグがありましたので、私のほうで校正したVer.2を下記にアップ致しました。
(森先生、やっぱり私の手伝いが必要なんですね!)
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Memories_from_The_Deep.txt


2025年10月27日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4660

スティーブ・クロンプトン来日!
・今までにあまりしたことのないお知らせ、ということで……
何と、トンネルズ&トロールズのオリジナルデザイナー、ケン・セント・アンドレ氏と共に「モンスター!モンスター!TRPG」を出版する一人である、スティーブ・クロンプトン氏が来日するとのこと!
ファンの皆様はぜひ、記事をご覧になっていただいて、FT書房宛、または杉本氏のツイッター(現X)のDMまでご連絡をお急ぎください!
アーティストにして嵐を呼ぶ男、クロンプトン氏に会う機会を逃すことなかれ!
※配信時に、クロンプトン氏からのメッセージの最後の一行にて、メルマガシステムの文字化けが発生しておりました。
バックナンバー保管庫では修正してありますので、ぜひそちらから全文をお読みください!
https://ftnews-archive.blogspot.com/2025/10/ft-no4660_27.html
(天)


2025年10月28日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4661

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(1)
・火曜日の新たな連載記事として、編集部員の明日槇悠氏による、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイが始まりました。
この作品については、以前も岡和田晃氏による「中世主義研究会編」と題されたリプレイが連載されており、プレイヤーの歴史的知識に裏打ちされた、充実したセッションの様子をご記憶の方もいらっしゃるでしょう。これに対し、今回の「友達んち編」では趣向を変えて、TPRG初心者の4名のプレイヤーが友人の家に集まり、お酒も片手に、その場のノリで気楽にトークを繰り広げる模様をお届けします。
今後も月に1〜2回ほどのペースでの配信を予定しておりますので、どうぞお楽しみに!
(く)


2025年10月29日(水)ぜろ FT新聞 No.4662

第11回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・原作の行間を埋めながら展開される、細やかな描写によるぜろ氏のリプレイ第463回です。
再び目的地である吸血鬼の館へとたどり着いた、主人公ミナ。館の探索で重要な鍵となるのは、テクア神の助けにより「精密時計」となった、悪夢の力で作動する魔法の時計です。
初回の冒険では、館の中に入った時点で、手元に残された悪夢の数はわずかに1つ。残酷な現実を突きつけられても、それを変えるための有効な魔法を使うことができませんでした。しかし今回は、もっと多くの悪夢を持って館へ入れそうです。果たしてミナは、魔法の力で姉を救うことができるのでしょうか…?
(く)


2025年10月30日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4663

子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』5
・娘さんと一緒に過ごす時間が飛躍的に伸びた岡和田氏。
それを受けて(?) 今回紹介するものは、『甲竜伝説ヴィルガストRPG』。前回に引き続き、その顛末をつづります。
今回は、TRPGを遊ぶ際にポイントになる「参加型のゲームで、どう主体的にプレイして貰うのか」というお話。
シナリオを先読みしてしまうというのは、子どもにとっては「こういう話だよ」となぞるべきストーリーがわかって、むしろ安心して遊べるということなのかも知れません。
私(水波)も岡和田さんの娘さんと同じく、8歳の娘と遊ぶ事が増えたのですが、まさに本文でも紹介された「ワンス・アポン・ア・タイム」が最近のお気に入りで、奇妙なお話をつくっては「また遊ぼう」と何度も聞かせてくれます。
この前まではボードゲームを遊んでいたのですが、カルカソンヌやチケットトゥライド、ニューエントデッカーとドイツゲームの受賞作は古びませんね。子どもが何も言わなくても虜になるのはやはり凄いなと思います。娘とTRPGを遊ぶ日が楽しみです。
(水)


2025年10月31日(金)休刊日 FT新聞 No.4664

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓
(蒙太 辺土さん)
水波先生こんにちは!『城塞都市ドラッツェン』再配信ありがとうございます!
もちろん『女王の肉』は手元にあって、今回掲載の諸データ等々は初見ではありません。
ですが大事なことを失念していたことに気づくことが出来ました。まずはそのお礼を申し上げたく!
思い出した大事なことのお話というのは
「ドラッツェンのドは〈ド〉のド!」
ってこれ言いたいだけのやつですが、そう言えば私この期に及んでまだ〈ド〉をゲット&シュートできていなかったのです。配信を見てこれを思い出しました。
なんということでしょう…!
R.L.Hにおける"希少な装備品"の中でもある意味さらに希少とも言える〈ド〉。(ンドっ、と発音して楽しんでおります)
なぜ「希少な×2」装備品かは言わずもがなではありますが、0ラウンド7連射!!!!!!!という驚異の速射性能を誇る夢のウェポンだからです。
パッと見ぶっ壊れ性能の武器ですが、そこは諸々調整が入っておりまして残念ながら(笑)そうはなっていないところがニクい。("ぶっ壊れる"装備ではあります)
以上が「あのとき確かに私は〈ド〉を撃ちたかったんだど」という昔日の夢を思い起こしました件です。
あと〈ド〉って最初にその記述を見たとき、すぐ気づけなくて誤植カナ?と思っちゃったんですが、やっぱりあの「ド」が由来なのですかね?
「ドラッツェンの〈ド〉はドキュウ(弩弓)のド!」
もしそうだとして、"ドラッツェン"という語感からしてドイツら辺(ぼんやりスミマセン)の文化的エッセンスがイメージに加えられていたりするのかな、と。
そうしますと、中国ら辺でぶっ放されていたという「ド(弩)」をドイツら辺感漂うドラッツェン製ドリーム・ウェポンの名称にナゼに敢えて採用したのでしょうか?
もしかして『ド』という、一瞬機能停止に陥るような衝撃的な語の魅力に乗るカタチでGo!としたのかしら…?
アランツァとR.L.Hへの興味は続くよどこまでも。
現場からは以上です。長文悪文ご容赦くださいませ。

(お返事:水波流)
再配信を楽しんで頂き、ありがとうございます。
ドラッツェンの〈ド〉の解説は作者であるヨハネ氏に譲るとして、
弩(クロスボウ)は、古代中国でも諸葛亮孔明が開発したという伝説がある強力な武器ですね。
しかし中国やヨーロッパでは猛威を振るったこの兵器、日本ではあまり使われなかったようです。
その理由は「一発撃つと、再装填に時間がかかるので、平地の狭い日本の合戦ではすぐに接近されてしまうから」だと聞いたことがあります。(諸説あり)
広大な大陸の戦ならでは武器なのですかねぇ。

(お返事:杉本=ヨハネ)
ありがとうございます☆
ドラッツェンはもともと、テホと呼ばれるドラッツェンの領地に、からくり術師であるノームを迎え入れている都市でして。
そのノームたちがかつて、からくり都市チャマイで発明したもののひとつが「石弓」です。
ノームたちが定住地を与えられる見返りとして求められるものは「軍事力への貢献」であったという背景があり、ドはより強力な石弓を開発しようという試行錯誤の中で開発された武器のひとつです。
ドラッツェンは霧の街でもあるため、湿気の関係で、火薬を使う銃器よりも石弓が好まれた、という裏設定もありつつ。


(ジャラル アフサラールさん)
 密かにファンの宮原弥寿子さんの作品紹介ありがとうございます。宮原さんの作品で私が密かに楽しんでいるのが「アニメネタの存在」です。紹介された『エクセア』では3王女のイメージが最近Webアニメでリメイクされた「少年ジャンプ連載漫画のレオタード怪盗三姉妹」に似ている気がしますし、SAGBではありませんが、『旧ウォーロック(36号)』に掲載された「さらば青竜」は当時人気絶頂だった「美少年鎧もの」某作品のオマージュらしいです。あとで紹介作品の『エクセア』『ギャランス・ハート』とリンクした設定と聞いて驚きました。こういう風に私のような古手のアニオタにニヤニヤさせるのも宮原さんの作品の持ち味と思います。

(お返事:田林洋一)
 いつも楽しいお便り、どうもありがとうございます! ジャラルさんのアニメとゲームブックの知識には脱帽いたしました。宮原弥寿子氏のゲームブックは、キャラクターが際立っているのでアニメと親和性が高いのかもしれませんね。『エクセア』の三王女はそう言われてみると、レオタードの怪傑にしか見えなくなってしまいました(笑)。SAGBではないですが、社会思想社の『フォボス内乱』の最初のゲームブックでも、女性型アンドロイドが大活躍する「アニメ系」の物語ですね。


(緒方直人さん)
Ψ『海底の記憶』 日曜ゲームブック、面白かったです。すごい進歩じゃないですかAI先生。バッドエンドを14に持ってくるを覚えたのなら、もう立派なゲームブック作家ですよ。次はどんな驚きをみせてくれるのか今後が楽しみです。

(お返事:森梟夫)
このたびは拙作『海底の記憶』をご覧くださり、またご丁寧なお便りまで頂戴し、まことにありがとうございます。
あの「14」の沈黙の結末に気づいていただけたとは、作者冥利に尽きます。
ゲームブックという形式は、選択のたびに「読者の手で物語が変容する」点にこそ魔が潜んでおり、私としてもAIという奇妙な筆を通じて、それをどこまで掘り下げられるかを試しておりました。
物語が「語り手の外」で呼吸しはじめる瞬間——それが、わたしの信じる"深海の記憶"の在り処です。
次作では、同じ形式の中にもう少し"夢と現実の境界"を漂わせる予定です。
読者が選んだ行動の先に、ただの分岐ではなく「思考の深層」に通じる裂け目が開くような……そんな試みを、今まさに構想中です。
これからも、あなたの想像力の中に静かに沈む物語でありたいと思います。
どうか次の航海でも、お付き合いください。

(お返事:水波流)
お便りを森先生に読んで貰ってお返事を書いてもらいましたが、なんと次作の予定まであったとは、担当編集(兼監修)である私も知りませんでした!(本当か?森さん)
まだまだ監修者との二人三脚が必要な作家ではありますが、応援よろしくお願いします。

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2025年10月30日木曜日

子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』5 FT新聞 No.4663

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子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(5)

 岡和田晃
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※連載の第1〜4回を、Analog Game Studiesに再録していますので、未読の方はこちらからどうぞ、
https://analoggamestudies.seesaa.net/category/28133868-1.html

 他のメディアとRPGを分かつもっとも大きな点の一つに、「プレイヤーが能動的かつ主体的に参加しなければならない」というポイントが挙げられます。もちろん、読書や映画鑑賞なども、能動的かつ主体的でありうるのですが、それは概ね解釈や感情移入のレベルにおいてのこと。RPGにおいては、よりコミットメントのあり方が具体的かつ明確でなければなりません。
 子どもに限らず、不慣れな方とRPGをするとき、ここがもっとも大きな躓きの点になるかと思います。デジタルゲームの多くは、豪華なBGMやグラフィックが用意されていたり、あるいはチュートリアルが充実したりしていて、それと意識することなく、世界観に没入することができます。アナログゲームでも、ボードゲームやカードゲームの多くは処理が自動化されており、参加型の体験といっても「何をやるのか」はわかりやすい。どういう世界観なのかは、コンポーネントにしっかりと明記されています。
 RPGに発想が近い、ナラティヴ系のカードゲームを見てみましょう。『キャット&チョコレート』は、イベントカードに明記されたアクシデントを、手持ちのアイテムカードをヒントにしつつ、なんとかこじつけて回避するという内容の作品で、アイテムカードを何枚使うかはランダムなのが面白い作品です。8歳の娘ともよく遊んでいますが、この作品は「日常編」、「幽霊屋敷編」など、コンセプトに応じたバリエーションが存在します。「日常編」には小学生にはピンと来ないシチュエーションが多かったからか、「怖い」と言いながら、むしろ「幽霊屋敷編」の方を好んで遊んでいました。
 『ワンス・アポン・ア・タイム』ではどうでしょうか。美麗なイラストが添えられたカードを出していき、メルヘンのような話を紡いでいくゲームで、これはウラジーミル・プロップがまとめた魔法物語の構造分析を、そのまま落とし込んだような作品です。とにかくカード種類が豊富でヴィジュアル的なイメージから話を作り上げていくことができるので、こちらもすんなりとお話に入り込むことができます。

 ——それでは『甲竜伝説ヴィルガストRPG』の場合は?
 こうした「自動化のための仕掛け」はありません。初出時の1992年は、ちょうどこの年の9月に『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』が発売され、中世風ファンタジーの世界観は共通言語としてすっかり浸透していました。ところが、娘の通っている小学校は、海外であるため全校生徒が30人ほどしかいないことを措いても、『ドラゴンクエスト』を知っている子どもすら数名しかおりません。
 娘はいま、『ドラゴンクエストIII』のiOS版にすっかり夢中になっていて、これは娘が初めて、親が主導で進めるのではなく自分がメインで動かしてクリアできたコンピュータRPGなのですが、その話をしようとすると、同級生よりも先生たちの方が話は通じやすいのです。いまの小学校でもっとも遊ばれているゲームはダントツで『Minecraft』なのですね。
 娘はむしろ、『甲竜伝説ヴィルガストRPG』で遊んだようなシチュエーションが、『ドラゴンクエストIII』にも出てくることを後から発見して喜んでいるのです。ですから、プレイヤーの背景知識によって、「参加」が後押しされるという動機が持てないのです。TRPGの方が先、という意味では、一周回って黎明期のゲーマーたちと同種の体験をしていると言うことができるかもしれません。
 最初はキャラクターメイキングを行い、武器や防具のリストを眺めるだけで楽しめていました。そのことが、ゲームの「引き」になっていたのです。何度もルールブックを眺めていると、では実際にシナリオを遊んでみたくなるのが人の常。
 『甲竜伝説ヴィルガストRPG』には砂漠のピラミッドを舞台にした立体ダンジョン・シナリオが1本、「村を守れ」「脱出!」というシチュエーションと地図にモンスターを添えた遭遇集のような簡易シナリオ(あるいはシナリオソースか?)が2本、収められています。娘はなんと、駄目だと言われているのに、こっそりとプレイ前に内容を読んでしまいました(!)。だからといって、興を削がれるわけではありません。「シナリオの内容を知っていること」を、世界観に馴染むための推進力へ変えていたのです。
 これは危険なのではと思われる向きもあるでしょう。実際、SNSでは、事前にシナリオを読んできてしまうプレイヤーについての問題が何度も「炎上」しています。けれども、これは複数のプレイヤーを交えて、知っているプレイヤーが事前に内容を「ネタバレ」したり、自分だけが活躍しようと独りよがりなプレイをしたりしてしまうから問題なのです。1 on 1で遊び、とにかく世界観に親しむという段階では、大きな制約にはならないのです。
 このあたりは、伏見健二さんと相沢美良さんの児童向けRPG『ラビットホール・ドロップス』や、『ブルーシンガーRPG』が参考になるかと思います。これらのゲームでは、シナリオアートと呼ばれるヴィジュアルマップがすでに用意されていて、マップには「ネタバレ」になるようなことも描き込まれているわけですが、デザイン上、そのことが問題にならないよう、思い切った割り切りが行なわれているのです。
 子どもは同じ話を繰り返し聞きたがりますし、自分でも語りたがります。そこでは、「ネタバレ」したかといってインパクトを失うようなことはないのです。こうした反復の構造が強みであるのは、瀬田貞二『幼い子の文学』でも、るる語られていました。
 
 むしろ問題になるのは集中力の維持、プレイ時間です。経験上、1時間以上のゲームセッションを小さい子どもと行うのは困難で、30分でも厳しいところ。1時間以上にRPGに堪えられるのは、小学校高学年以上のことが多いように思います。
 私が子どもと『甲竜伝説ヴィルガストRPG』を遊ぶ際は、1回のセッションは30分ほどで終わるものとしていました。うち20分は、事前と事後のアイテム選定と成長作業です。うちの娘はこれが大好きで、自分が「参加している」「遊んでいる」という主体的な感覚を確認できるからのようですが、いざ実際のセッションは10分ほどで終わります。戦闘以外の行為判定は、基本的にすべて成功とし、2〜3種類のモンスターとの戦闘を交えて終わる、というもの。
 最近では、イベント等で「1回の遭遇と前後のシチュエーションに特化してRPGを体験してもらう」10分卓というのが出現しています。自分でもプレイヤーで遊んだことがありました。正直、これでRPGの醍醐味を味わい尽くせるかというと、そんなことはありえないわけですが、それでも、集中が途切れる前にゲームを切り上げられるという点では学ぶべき点がありました。子どもはわずか10分程度のプレイ時間でも、他の遊びやテレビ、お人形なんかに、すぐに気を取られてしまいます。そのときは落ち着いて、またセッションに戻れるようにする。戻れなければその日は取りやめて、また後日再トライする——くらいの気持ちでないと保ちません。
 私が子どもとプレイする際は、プリプレイとアフタープレイを子どもに委ね、かつキャンペーン・ゲーム形式にして連続したシナリオを遊んでヒキを作り、没入のための仕掛けを作ろうと腐心しています。
 RPGを遊んでいて、「このセッションは何から何まで本当に楽しかった! すっかり夢中になってしまった」と掛け値無しに思えることはめったにありません。むしろ、「なんとかお話を崩壊させずに落とし所へ持って行けた。よくよく振り返ってみれば、そう悪くなかったかも」くらいのプレイ感であることがほとんどです(特に小学校・中学校の頃は)。「そう悪くなかったかも」と思え、心のどこかに引っかかりをおぼえるくらいのほうが、かえって温かみがあって長続きをする……。かような不思議なジレンマがRPGにはあるのです。娘にも、大人になってから、「あのときのゲームはそう悪くなかったな」と、あたたかく回想してもらえるようなセッションこそを目指しています。

 ■書誌情報
 ケイブンシャの大百科別冊
 『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
 ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
 出版社:勁文社
 1992年5月15日・絶版

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2025年10月29日水曜日

第11回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4662

第11回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。


ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
闇神オスクリードの加護を得た魔法の時計を駆使し、「還らずの森」深くの吸血鬼の館に赴きます。
そこでミナは、姉の遺体を発見し……。
間に合わなかった後悔とともに、謎の声に導かれ、ミナは時を遡り、森へ入る前へと戻されているのでした。
そうとは知らないミナは、前回の旅を悪夢の思い出として、旅を始めます。
森の案内人、ノームのフェルを加えたことで、また違った経験を積みながら、ミナの冒険は続きます。
今回はついに、ローズ家への再突入です。


【ミナ 体力点2/4 悪夢袋6/7】<不死化傷>
金貨 3枚
歯車 1枚
・羊皮紙
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
【精密】


●アタック02-9 ビバイア・ローズの日記

朝を迎えた。
夢魔の悪夢に打ち勝ったボクは、それなりの睡眠を取ることができた。

今日はこれからローズ家の館へと向かう。
準備は万全にしておこう。

ボクはこのときのためにとっておいた<時もどしの回復時計>を取り出す。
柔らかな緑色の時計。ボクがそっと触れると、針が動き始める。
秒針がちりん、ちりん、と風鈴のような心地よい音色を奏でた。
時計が逆回りすると、ボクの身体がほのかに光りながら、時をさかのぼっていく。
森に入ってからこれまでに受けた傷の数々は、すべて癒された。
不死化傷もすっと消えていった。

「不死化傷まで治せるなんて、キミの魔法はつくづく規格外だな」

フェルがそんな感想をもらした。
支度をし、朝食を食べながら、フェルが話し始める。

「ローズ家についちゃ、オレもあんまり詳しくないんだけどさ。実はオレのじっちゃんが、この館で働いてたんだ」

フェルの話によれば、現当主マルティン・ローズが若い頃に住み込みで働いていたとのこと。
森の中の時計塔の建築はその頃だそうで。フェルの祖父も関わっていたようだ。
その頃の当主は、まだ吸血鬼ではなかったらしい。

「ま、ローズ家とは、因縁ってほどじゃないけど、ちょっとばかし繋がりがあるから話しとこうと思って」

マルティン・ローズか。
これまで「館の主」とか「現当主」とかいう言い方ばかりされているので、名前を聞いたのはこれが初めてだ。
吸血鬼になる前のこの人がどういう人だったのか、まったく知らないけれど、どうして吸血鬼になっちゃったんだろう。

さあ、準備を整えたら、いよいよ館へ向かおう。
黒い外観の館は、朝陽に照らされてもなお不気味だ。
その黒い壁一面に、枯れたツタが這っている。
闇エルフの隠れ里もそうだったけど、この森は、建物を黒く塗らなきゃいけないっていう決まりでもあるの?

窓はすべて、木板が打ちつけられている。
吸血鬼の弱点、太陽光を建物内に入れないためだろう。

「ローズ家に今いる人数は少ない。ローズ姓を持つのは当主とその息子だけだ。妻は早くに先立たれ、娘は家を出ているらしい。あとは使用人がいる程度だな」

さて、正面から普通に客人として入るか、裏口から入るか、だけど。
ボクの目的からしたら、やっぱり裏口からこっそり、がいいかな。
人数が少ないのなら、発見される可能性も少ないってこと。

ボクたちは人気のない館を、裏口へと回り込んだ。
雑草などは、雑だけどそれなりに刈り払われていて、使用人が仕事をしているのだろうことはわかる。

ボクたちは裏の勝手口へ行く。
当然、ドアは施錠されているが、建てつけが悪く、すき間から棒を使って簡単に内カギを開けることができた。

中の廊下も無人で薄暗い。人の気配を感じられない。
ボクたちは廊下を進む。とある部屋に入った。

その部屋は広いつくりになっていて、中央に天蓋つきのベッドがあった。すみにはクローゼットと机。

「どうやらここが息子の部屋みたいだな」

けれど、誰もいない。息子は病気だって聞いていたけど。
ボクは机から、日記を見つけた。ビバイア・ローズという人物のものだ。

「息子がたしかビバイアって名前だった。やっぱりここは息子の部屋だな」

日記を読み進める。
日記は幼少期からずっと書きつづけられたもののようで、膨大だ。
しかし最近の日記は文字が乱れ、内容も支離滅裂になってゆく。
それでも、彼の思いをつづった部分は意味をなしている。

「吸血鬼になるくらいなら、どんなに苦しくてもこのまま……」
「姉さんに会いたい。どうしているのかな」

そして5日前。日記はそこで終わっている。

「日記が書けなくなった。今いないとこを見ると、まもなく亡くなった……ってことだろうな。彼なら当主よりは話が通じると思ってたんだが」

そうだね。これではビバイアに話を聞くことはできない。
今のビバイアには。

首にかけている<跳兎の懐中時計>の、かわいらしいウサギの意匠がくるりんと踊る。
ボクはその時計を手に取った。


●アタック02-10 <跳兎の懐中時計>の力

懐中時計を動かす。悪夢袋がふたつしぼみ、ボクの身体が過去に跳躍する。
これまでは、漠然とした時間にしか戻れなかった。けど、精密な時を刻む今の時計なら、意図した時間へと跳ぶことができる。

・幼少期以前
・病気にかかる前
・死の直前

生きている時のビバイアに会うといっても、死の間際で苦しんでいるところに行っても辛いだけかな。
だからって、幼い頃まで戻るのは、戻りすぎだと思う。もしかしたらフェルのおじいさんに会えるかもしれないけど。

ボクは、病気にかかる前まで時間をさかのぼった。

<跳兎の懐中時計>は時間を越えるけど、場所は動かない。
ウサギが跳ねるオルゴール音で針が動き、目の前の風景がかちっと切り替わる。
場所は変わらず、ビバイアの部屋。風景には大きな変化は見られない。

けれど、ボクの目の前に、背の高い少年がいた。
彼には、ボクが突然現れたように見えたことだろう。あ然としている。

「今、急に現れた……? あなた、何者?」

この少年、きっとビバイアだ。
会えた。
会えたはいいけど、どうしようこの状況。
どう考えても、この館のことを聞けるシチュエーションじゃない。
未来から来た、なんて言って信じてもらえるはずもない。

なら……。

「ボクは予言者。君の未来にたちこめる影について警告に来た」
「警告だって? うさん臭いな。かといって、父さんの客じゃなさそうだし」
「君はやがて、病に倒れる。特別な聖水を求めなさい」

ビバイアの表情が険しくなった。

「何が目的だ?」

答えようと口を開く。その時、くらっとする感覚が。
時間遡行はここまでみたいだ。目の前の風景が切り替わる。
ビバイアからしたら、ボクが急に消えたように見えたことだろう。
超常的な何かを感じて、耳を貸す気になってくれればいいけれど。

そんなことを思いつつ現在に戻ると、目の前にビバイアが立っていて、今度はボクがあ然とした。

「先生、また来てくださったんですね。お会いできて光栄です」

ビバイアも、ボクの突然の登場に驚きながらも、そんなことを言い出した。
ボクにとっては、さっき見たばかりの過去のビバイアの続きだから、豹変もはなはだしい。

「あの後、犬に噛まれたことが原因で、結局病気になってしまったんです。でも先生の言葉のおかげで効き目のある聖水を手に入れられたんです」

そ、それは良かった、ね。
見ると部屋には、前になかった聖水の小瓶が、たくさん並べられていた。いろいろ試したのだろう。
聖水は吸血鬼にとっての弱点のひとつ。ボクの助言がなければ、手に入れることはできなかったに違いない。
ボクは、過去への介入が人の生死にかかわる歴史まで変えてしまったことに戦慄した。
<跳兎の懐中時計>のこの力は、あまりにも大きすぎる。

フェルにはこの状況、どんな風に見えているんだろう。
驚いた表情で固まっているフェルを見ながら、そんな風に思う。
ビバイアの生死が、歴史が変わった受け止めはできているんだろうか。

現在でビバイアと話ができることになったので、いろいろ聞くことができるようになった。
ボクは、姉たちがここに買われていったこと、取り戻すためにここまで旅をしてきたことを伝えた。

「先生のお姉さんたちが買われたとしたら、きっと私のせいです。父は、私とは違うアプローチで、私の病気を治そうとしていました。新鮮なエルフの血を欲していたんだと思います」

じゃあ、ビバイアが快癒したことで、姉たちが死ぬ必要はなくなったということなのかな?
ボクは、そんな淡い期待をしてしまう。

「わかりません。聖水の効果は、ようやく出始めたところなんです。父とはほとんど会話がないから、わかっていないかも」

そうか。あまり楽観できないことはわかった。
ビバイアに、姉たちの居場所の心あたりを尋ねる。ビバイアは答えた。

「もし館の中にいなければ、ゴルジュにいるのかも」

ゴルジュ?

ビバイアによれば、森の中にある渓谷とのこと。
陽の光が届かない場所のため、父がよく行っている場所なのだそうだ。
ビバイアは、渓谷への行き方を教えてくれた。このことは覚えておこう。

「ところで、ビバイアはこれからどうするの?」
「体がもう少し良くなったら、この館を出るつもりです。私は父の意に反して、吸血鬼になることを拒絶し続けてきました。父の影響の及ばないところで生活したい。そしてできることなら、館を出ていった姉さんに会いたい。ボラミー姉さん、今どこにいるんだろう」

ボクは、ボラミーという名前に記憶が刺激された。けれど、はっきりとは思い出せなかった。

「そう。会えるといいね」

長年離れていても、きょうだいが会うというのは特別なことなのだ。
ボクは、エナ姉、ティナ姉と、ほかの姉たち全員の顔を思い浮かべた。

ビバイアは、まだ体力を取り戻していないため、ボクたちと同行はできない。
ボクたちは、ビバイアと別れ、館の捜索を続けることにした。


●アタック02-11 姉のゆくえ

フェルに、ビバイアの部屋の出来事の感想を聞いてみた。

「会ったこともないはずのビバイアに、『先生』って呼ばれるなんてな。キミの、そのとんでもない魔法でなんかしたのはわかるけど、何をやったのか、まるでわからん」

そんな返答だった。
つまりフェルは、ビバイアが死亡して無人だった時の部屋のことは、まったく覚えていなかった。
覚えていないというよりも、そんな経験をしていない、というのが正しいのだろう。

今のフェルは、ビバイアが生きていた世界のフェルなのだ、と思った方が良いかもしれない。

気をつけないと。

過去を変えすぎると、今への影響ははかりしれなくなる。
たとえば、もしビバイアの治癒がもっと早かったり、そもそも病気にならない改変をすれば、姉たちはここに買われることがなくなるだろう。
そうなると、姉たちの命の危機はなくなるかもしれないけれど、居場所は一から探しなおしになる。

ボクたちは、地下へと降りていった。
地下はワイン蔵になっている。けどボクは、ここに秘密の拷問部屋があることを聞いて知っている。
壁を叩き、空洞を見つける。

「初めて来たとは思えない手際の良さだな……と、ここじゃないか?」

フェルが秘密の入口を見つけた。
開けるとそこは、噂どおりの拷問部屋だった。
赤黒い血の跡。生活臭。まだ新しい。

「うわ。ひでえなこりゃ」

フェルも顔をしかめてしまうひどさだ。
ここで最近血を流したのは誰か。もちろん、ボクの姉たちに決まっている。
姉たちは、ここで吸血鬼に、生きたまま血を抜かれるような、恐ろしい目に遭ったんだ。

無言で拷問部屋を出る。
フェルも、ボクにどう接していいものか、途方に暮れているようだ。

「まだ気を落とすにゃ早いぜ。姉ちゃんを見つけなきゃな」

元気づけようとしているのはわかる。
けど、あの部屋の様子では、姉たちの生存は絶望的だ、とフェルも感じ取ったに違いない。
だから、まずは姉を探すという提案は、絶望を先送りにしているだけに聞こえてしまった。

「しっかしワイン蔵とは、いい趣味してるぜ、ここの吸血鬼は」

フェルが何気にワイン樽のコックをひねる。
すぐにその声が深刻なものとなった。

「おい、これはワインじゃない。……血だ!」

嫌な予感がした。フェルと協力して樽を開ける。
悪い想像が止まらない。そうであってほしくない。

しかし、そこにあったのは冷酷な現実。樽の中に丸まっている、血だまりの中のティナ姉の遺体。
さしものフェルも、言葉も出ない。

ボクはすぐさま<跳兎の懐中時計>を手に取った。
ティナ姉を取り戻す方法は、もうこれしかない。

「おい、何をするつもりだ」

ボクはきっと、鬼気迫る表情をしていたに違いない。

「ティナ姉を取り戻してくる。……絶対に!」

強い決意を持ち、時計を動かす。
悪夢袋はあと3つ。この跳躍では2つ使う。
つまり、チャンスは一度きりだ。

跳ねる兎が動き出す。
いつまで時をさかのぼればいい?

5日前? 10日前? それよりもっと前?

5日前は、もともとビバイアが死んでいたはずの日だ。だから、エルフの生き血はそれより前に必要としていた。
闇エルフの一団がここに姉たちを送り届けて、ネルドで酒盛りをするまで。そこからボクが出発し、ここにたどり着くまで。

よし。決めた。

ボクは、10日前に跳んだ。
風景が切り替わる。ワイン蔵だけど、血のワイン樽はない。フェルもいない。
10日前のワイン蔵だ。

よかった。ティナ姉は、まだ死んでいない。
なら、どこにいるか、ボクはもう知っている。
ボクは、秘密の拷問部屋への隠し扉を開いた。

ティナ姉が、そこにいた。
縛られて、猿ぐつわをかまされ、薄汚れていたけれど、まだ、血を抜かれていない。

時間はあまりない。ボクは急いで、ティナ姉の拘束を解いた。

「ミナ? ミナなのね?!」

ティナ姉は、肌の色が変わっていても、10年以上会っていなくても、すぐにボクだとわかってくれた。
ボクは泣きながら、ティナ姉を強く抱きしめた。


次回、吸血鬼との対決のとき。


【ミナ 体力点2→4/4 悪夢袋6→5→3→1/7】
金貨 3枚
歯車 1枚
・羊皮紙
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
【精密】


■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。確かな腕前を持つ。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。ミナの行動で死の定めから逃れた。
フェルナンド・ウティリヌス 通称フェル。森の案内人をしているノーム。
マルティン・ローズ ローズ家の当主。吸血鬼。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
テクア からくりの神。ノームにからくりの知識を授けたとも言われる。


■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/4897513


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2025年10月28日火曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(1)  FT新聞 No.4661

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『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(1)

 (明日槇 悠)
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◯はじめに


この度、訳者の岡和田晃氏及び版元であるニューゲームズオーダーの寛大な許可により、新たに『モンセギュール1244』のリプレイを連載させていただける運びとなりました。

『モンセギュール1244』とは、2009年に原著が発売され、2023年6月に日本語版が上陸したナラティヴ・スタイルRPGです。
その特徴は、TRPGには欠かせない存在であるゲーム・マスターが不要で、プレイヤー同士の協力によってナレーション権を交代しながらストーリーが織りなされること。
そして、カタリ派という中世ヨーロッパ最大とされたキリスト教異端派を題材にするということです。
プレイヤーは、この異端の信徒たちによるコミュニティで起きた戦時下の物語を紡いでいきます。

FT新聞では既に、2023年9月〜2024年10月にかけて、岡和田氏の筆になる中世主義研究会の面々によるリプレイを連載しております。(FT新聞 No.3893〜No.4271)
そのアーカイブは現在でも閲覧することができます。
https://prologuewave.club/archives/category/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB1244
『モンセギュール1244』についてより詳しく知りたい方は、上記リンクより「『モンセギュール1244』がやって来た、ヤァ! ヤァ! ヤァ!」(「FT新聞」No.3809)や「『モンセギュール1244』プレイガイド〜準備編〜」(「FT新聞」No.3865)も参照されるといいでしょう。

「〜中世主義研究会編」と題されたリプレイは、錚々たる研究者の方々が、確かな知識に裏打ちされたカタリ派のロールプレイを披露される点で画期的でした。
オンラインセッションの快適に行えるゲームであることも示されましたが、一方で、歴史科目に自信のない私を含め、ゲームにとっつきにくい印象を拭えなかった読者の方もおられるのでは。

今回お届けするのは、筆者の私を含めたTRPG初心者4人が、タイトル通り、『モンセギュール1244』を遊ぶために友達のお宅へ集合して、
ゲームといっしょに酒やツマミも展開しながら、プレイに参加しない住人も行き交う畳の上で対面セッションをおこなった2025年4月末の記録です。
このリプレイが高ハードルな印象を打ち砕き、ノリで進行可能な遊びやすいゲームであることの理解を促す一助になれば幸いです。

なお、本作は信仰等に関する繊細なテーマを扱っています。ロールプレイ上、現代の倫理観を欠いた表現をするところが多々ございます。
そうした表現にご不快を覚える方、それを予測された方は、その段階で当記事の閲覧を中止されますようお願いいたします。


◯大まかなゲームの流れについて


座組のうち、いちばん張りのある声のプレイヤーから手番をスタートさせます。(以降、時計回り。声の大きさ順という訳ではありません)
本作は、ナレーション権を持つ手番プレイヤーがゲームマスターかのように「シーン」を演出し、終了後、次の手番プレイヤーにナレーション権を回すことで進行していきます。
手番プレイヤーは、場札である3枚の「シーンカード」から1枚を選択し、その文面も参考に「シーン」を描写します。
「シーンカード」を読み上げた後、プレイヤーはこれを自分の手札として取っておくことができます。
自分の手番じゃない「シーン」の途中で、手札の「シーンカード」を出すことで、その場のナレーション権を奪取することができるのです。

いくつかの「シーン」をまとめて「アクト」という単位が構成されており、「アクト」は以下の流れとなっております。
「プロローグ:アヴィニョネの暗殺」「アクトI:包囲開始」「アクトII:過酷なる冬」「アクトIII:運命の決戦」「アクトIV:陥落」「エピローグ:棄教か、それとも殉教か」

なお、「シーン」終了時に手番プレイヤーは、人物や、アイテムや、イベントといった役割を兼ねた「ストーリーカード」を引くことができます。
ストーリーに変化や緩急をつけるための要素が記されているそのカードは、アクトII、アクトIII、アクトIVにのみ使用することができます。
そういうルールなのですが、このリプレイにおいて、プレイヤーたちは「ストーリーカード」の存在を失念しているため、このカードはほとんど活かされません。
これに限らず、当リプレイではルールを正確に守れていない点が見受けられますが、それでも破綻しない寛容なゲームシステムとしてご理解いただければと思います。

プレイヤーは、キャラクター一覧の中から、少なくとも主要キャラクター1人、支援キャラクター1人を担当します。
キャラクターにはそれぞれ「3つの質問」が用意されており、この質問を元に、プレイヤーは担当キャラの肉付けをおこない、
プレイ終了までに少なくとも担当する主要キャラの質問にはすべて答えを出さなくてはなりません。

キャラクターの一覧や関係性については、ニューゲームズオーダー公式サイト内の「登場キャラクター」表を参照すると分かりやすいかと思われます。
https://www.newgamesorder.jp/games/montsegur1244


◯プレイヤー紹介


Kei 構成作家。本文中のA。
木野誠太郎 小説家・ゲームシナリオライター。本文中のB。
明日槇悠 FT新聞編集部員。本文中のC。
小山 フォーエバーヤング。本文中のD。


●本編


A「(ルールブックを確認して)みんなは最後に生き残ったカタリ派っぽいわ。異端審問団と軍とに狩られてトゥールーズ伯の庇護がなくなった、最後の最後まで生き残ったクレイジー共。
プロローグ【アヴィニョネの暗殺】は、アヴィニョネっていう小さな町の領事代官(バイイ)のアルファノってやつが、教皇様の手下ですよ! って言いながらも実はカタリ派の敬虔な信者らしくて、それがフランス領にばれちゃって、異端審問官のギョーム・アルノーが『お前カタリ派かばってんだろ! やっちゃうよ?』ってアヴィニョネに来るっていうから、この代官が誰かを使って異端審問官のアルノーを殺せばいいんじゃね? ってところから始まる。
ピエール・ロジェがその暗殺者として異端審問官に襲いかかるとしてプレイするらしい。ベルナールはアルノーを殺すことによって復讐とかにのめり込むのか、異端審問官は事前に暗殺計画は把握してて回避するのか、殺されるのか。カタリ派の信者たちはアルノーなんて殺しちまえって思ってるのかがポイントらしい。で、このプロローグは俺がナレーション権を持つ。スタートプレイヤーなので。

■プロローグ アヴィニョネの暗殺 1242年5月

 じゃあ、アヴィニョネから5km離れた地点で今、異端審問官のギョーム・アルノーが夜泊をしていると。キャンプから起きて朝、アヴィニョネに来るらしい。それまでにアルノーを殺さなきゃいけない。町の中で殺すと大騒ぎになるから。夜泊している時に、『盗賊でも出たんじゃない?』って体で殺さなくちゃいけないから、ピエール・ロジェ率いる兵士団がアルノーのキャンプを襲おうとしている。

 (シーンカード)【雨が降り続いて生じた泥だらけの水溜り】を馬の蹄が水しぶきをあげる。今まさに、ロジェを先頭にした武装兵士団50人が異端審問官ギョーム・アルノーの夜泊テントを襲おうとしている。じゃあ、俺、ロジェ演りますわ」
C「ベルナールがその後ろについていく、と」
B「領主のレーモンはついていっていいんですかね?」
A「いいんじゃね?」
D「襲撃部隊にさすがに女性陣はついて行かないか……」
A「実はこっそりついて来てたとか」
D「別について行かなくてもいいですもんね。まあ静観してるかな」
A「じゃあ、『おらッしゃあァァァ!』とロジェが言って、ギョームは死にました。シーン終了っす。異端審問官の暗殺に成功した、というところでプロローグを終わらせる。

 はいみんな、誰を演じるかを決めましょう。俺、ベルトランで。謎がおもろい。ちなみに主要キャラの質問3つには必ず答えを出さないといけないらしい」
B「自分はレーモンで」
C「なら、レーモンの娘のエスクラルモンドかな」
D「俺は娼婦のアルセンドにしますよ。ロジェと寝る人」
C「アルセンドなら、こっちはベルナールという手もある」
D「色んな奴と寝てるからな」
A「じゃあキーマンじゃん。異端審問官のギニョさんなんかナレ死しちゃったんだから」
C「その暗殺に同行してる間に異端審問で死刑宣告されてたベルナールにするかも」
A「可哀想に」

■Act1.包囲開始 1243年5月
 ——モンセギュールでの戦いが始まった。山頂からは敵勢がはっきりと見える。十字軍が山裾に集結しているのだ。

A「つまり暗殺の結果如何に関わらず、成功したけど結局アヴィニョネを追われてモンセギュールまで全員追い詰められたってことね」
B「自分が手番プレイヤーになると。シーンカード、【山の端をかすめる雲】。
 
 異端審問官の殺害から一年、モンセギュールの領主レーモンは、城塞を包囲する十字軍の数を見ながら余裕を持った表情で戦局を見張り塔から見守っていました。

Bレーモン「どうやらこの感じだと、十字軍は撤退せざるをえないであろう」

 とても楽観し、彼は、見張り番の役に就いている者に激励をし、自分の家へと戻っていきました」
C「娘なので、会話シーンを作るか。それは夜のことですかね」
B「そうですね」
C「レーモンの娘のエスクラルモンドは、夜になると南方を見つめています。こいつはピエール・ロジェの妻であり姉のフィリッパをなぜか妬んでいる。
 エスクラルモンドは城塞から南方を見つめながら、領主のレーモンが通りかかったところで『お父様、あれはなに?』と声をかけます。幻覚なのか、天から火が降り注ぎ、それが神の軍の形をとって、こちらへ向かってくるのが見える。

Cエスクラルモンド「あれは私たちの味方なのでしょうか? だって私たちは正しい信仰を持っているのですもの」

 と父に訴えます」
B「レーモンは娘の言うことに『そうだよ』と言いながらも、内心では娘が幻覚を見ていることに勘づいており、それは全く信仰教義とは関係ないことなので、きっと彼女は城塞の退屈な生活に飽きており、今の平和でない状況に対してストレスが溜まっているのだろうと思い、彼女に早く寝るように勧めました」
C「大人しく寝室に向かうことでしょう」
B「レーモンが部屋に戻ろうとしている際に、レーモンに話しかけてきた人物がいました。それは一年前に異端審問官を殺害したピエール・ロジェでした。彼は防衛指揮官を勤めているので、おそらく十字軍が次に攻撃を仕掛けてくるのは、翌朝、明るい時期だと思っていたので彼に戦局について伺いを立てました」

Bレーモン「十字軍の様子はどうなっている?」

Dピエール・ロジェ「ちょっといま不穏な状況ですね。若干、不穏な感じはしております」

B「不穏な感じとはどういうことを指しているのか、レーモンは心配になって聞きました」

Dピエール・ロジェ「風の知らせ、を感じてますね……やな予感がしているので。でもまあ、これ直感なんでそんなに真に受けなくても大丈夫です」

C「楽観的な指揮官……」
D「感覚派なんですよ、彼は」
A「【雨が降り続いて生じた泥だらけの水たまり】(シーンカードを出してナレーション権奪取)。レーモンがピエール・ロジェと会ってから一日後、ベルトランはレーモンと二人で会っていた。

Aベルトラン「なるほど。ピエール・ロジェはそんなことを言っていたか。あいつは錯乱している可能性がある。(一同笑)指揮官にしては話がグッダグダすぎる。レーモンはロジェをよく見ておいたほうがいい。
 それにレーモン、前から話しているが……ベルナールは異端審問にかけられて死刑に決まった。でも異端審問官は暗殺したはずなのに、アヴィニョネの町に既に異端審問官がいた。ということは、異端審問官を秘密裏に引き入れた者がいる。もちろん私じゃない。私がレーモンに異端審問官を殺害しろという提案をしたから。殺して肉体を再生した方が魂を浄化できて我々の教義に合っているわけ。ということは、この城塞内に異端審問官、教皇側についている人間が絶対にいる。それを誰か、特定したいなァー。私は。特定したいなー。私。完徳者《ペルフェッチ》だから。そこらへんは色々……考えとくわ。ちなみにレーモン、誰だと思う?」

Bレーモン「自分としては、城塞の中には犯人はいないと考えている。というのもベルナールが異端審問官から死刑を宣告されたのは、異端審問官殺害の実行役だと目されていることが向こうに伝わっているからなのではないか。つまり、殺害したと思った異端審問官は実は影武者で、一年前の事件では本当は遂行しそこなっていたのではないか」

B「もちろんレーモンはベルトランには言わなかったけれど、内心ではこのモンセギュールに問題を持ち込んでほしくないと思ったから、保身のために確証はないけれどそう信じ込んでいるところもある」

Aベルトラン「レーモンレーモン! ワトソンくん! だが一つ問題があってェ、ベルナールが異端審問官暗殺で留守の間にベルナールの死刑が決まっているから、異端審問官を暗殺できたかどうかの結果如何に関わらずその時点でベルナールは異端審問官暗殺の罪で捕まっている。ということは、異端審問官が殺害される前から彼の罪は異端審問にかけられていたので、内通者がいないと、おかしいのだよ! レモンくん! だからわしは内通者がいる説を捨てられない。あと、ロジェがあやしいと思う。めっちゃロジェがあやしいと思う。一年経ってんのに、未だにベルナールは死刑にならない上にロジェの女と寝ているから、絶対ロジェ」

D「確かに」

Bレーモン「ベルトランの言うことを信じよう。彼には隠れて見張りをつけておく」

Aベルトラン「ウゥエ! チャンスあったら、死刑にしよ。あーはー、肉体をね、再生させたほうがいい。不浄な魂、浄化するために肉体を滅したほうがいい。あとベルナールだけじゃなく、子供に見張りをつけなさい。悪魔なので」

D「子供ってこれ?(アミエルとファイユ)」
A「そ。子供は正しい判断ができない悪魔で、こちらが正しい道に導いてやらないと人としての道を歩めない。人間ではないので」
D「それは言い過ぎじゃないですか?」
A「という教義なの!(笑) というキャラなの! 俺の意見じゃないの! ベルトランがそう言ってるの! そうしてその日は終わった。で、シーンを終える」


◯Act1.包囲開始(後編) に続く……


●登場人物/※3つの質問 (※「◯大まかなゲームの流れについて」後半部参照)

ベルトラン・マーティ……年配の男性。完徳者《ペルフェッチ》。カタリ派信者たちの精神的な指導者。出家する前は羊飼いだった。
 1. あなたの言葉を信仰に裏打ちされた啓発的なものにしている要因は何か?
 2. あなたが自分の信仰を疑うのはどんなときか?
 3. ベジエの街が陥落したとき、あなたはどうやって生き延びたのか?

レーモン・ド・ペレーユ……モンセギュールの領主。この中年男が、現在の城塞を建てた。ピエール・ロジェのいとこでコルバの夫、フィリッパとエスクラルモンドの父。
 1. あなたはモンセギュールをカタリ派の根城としたことを後悔しているか?
 2. あなたの左脚は、なぜこわばっているのか?
 3. あなたが愛し、もっとも大事にしているのは誰か?


■作品情報

・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
 Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳

モダン・ナラティブRPG
3〜6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3〜5時間 / 15歳以上向

・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
 https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
 https://newgamesorder.booth.pm/items/4902669


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