From:水波流 ずっと積読だった『ヘンダーズ・ルインの領主』を読了。 TRPG小説のアンソロジーで、収録はルーンクエスト(水野良)、トラベラー(山本弘)、トンネルズ&トロールズ(清松みゆき)、クトゥルフの呼び声(山本弘)、アドバンスト・ファイティング・ファンタジー(下村家惠子)、ウィザードリィRPG(高井信)、GURPSルナル(友野詳)という綺羅星のごとき作品と作家陣。 これだけ出版元を横断してのアンソロジーというのも、いまでは見ることができないだろうなぁ。 From:葉山海月 けものへん・おう。 私の友達のホラー作家志望の方のペンネームです。 さて、このペンネームの由来というか意味を知って「負けたな」と思いました。(笑) なぜでしょう? From:中山将平 僕ら明日9月20日(日)以下の2つのイベントに出展します。 ・「ゲームレジェンド42」!! 開催地:埼玉県川口市キュポ・ラ本館4階フレンディア 配置:【05b】 ・「さっぽろ卓ゲっと2026」!! 開催地:TKPガーデンシティPREMIUM札幌大通 配置:【C16】 ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 また僕自身は個人サークル「ギルド黄金の蛙」で 今日9月19日(土)大阪のATCホールにて「大阪アート&手作りバザール52」に参加しています。 配置は【T-30】です。 さらに、9月22日(火・祝)マイドーム大阪にて「そうさくマーケット4」に参加します。 こちらの配置は【か15a】です。 このサークルにもぜひ是非お立ち寄りを。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (明)=明日槇悠 (天)=天狗ろむ (く)=くろやなぎ (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■9/13(日)~9/18(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年9月13日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4981 Re:オレニアックス生物学 Vol.7 『もっさもさ』 ・過去の人気記事の再配信として、聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義をお届けしました。 今回の講義のテーマは「もっさもさ」。世界に1匹しかいないという謎の生物です。ちなみに、ローグライクハーフのデータとしては【ゴーレム】【巨大生物】のタグをもち、生命点はなんと「40」! 詳細なデータが気になる方は、ぜひローグライクハーフwikiまたは『アランツァクリーチャー事典』もご覧ください。 また、講義の中での生徒たちの会話にもご注目。近刊予定の『ガルアーダの塔』(ローグライクハーフ版)で、この個性豊かな生徒たちが【仲間】としてどんな活躍を見せてくれるのか、楽しみに待ちましょう! (く) 2026年9月14日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4982 ・「ガルアーダの塔」の書籍版のお話です! ビジュアル面と遊びやすさでアナログゲームはデジタルゲームに押されがちですが、だからこそ「体験」で勝負したいという杉本氏。 今回の【新職業】では、主人公が手に入れる装備品や、遭遇した〈できごと〉によって、なれる【職業】の選択肢が変化します。 【仲間】システムにおいても、今回は単なる「能力値や判定時へのボーナス」ではなく、「幼少期からの時間をともに過ごしてきた、特別な存在」なのです。 また、イラストレーターであるカワラベ氏による描き下ろしイラストをふんだんにご用意いたしました! すべては冒険が読者のものであり、「ローグライクハーフ」をドラマと冒険のランダマイザーとして提供するために。 あなただけの冒険を、体験してみませんか? (明) 2026年9月15日(火)かなでひびき FT新聞 No.4983 これはゲームブックなのですか!? vol.138 ・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。 今回紹介する作品は、『実験小説 ぬ』(著:浅暮三文/光文社文庫) 例えば、自動車標識によって、江戸の判じ絵のように奇想天外な発想で紡がれる物語、『帽子の男』を始めとした、奇妙な美しさで彩られるお話がいっぱい! ゲームブック好きには、分岐がある物語、『カヴス・カヴス』『お薬師様』はいかがでしょうか? 奇想の遊園地とも呼べる作品が目白押し! 機会がございましたら、ぜひ! (葉) 2026年9月16日(水)ぜろ FT新聞 No.4984 第8回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第510回。 今回の主人公は筋骨隆々な傭兵・ヴァルグ。そして、彼を師匠と呼び、赤い毛並みを持つ大型犬を連れ、「獣の腕」を宿す少年・ハルトの冒険の最終回! 二人は「クラーケンぶっ殺し号」に乗って、今回の冒険の最終目的であるクラーケン討伐のため、船の仲間と共に激闘を繰り広げます! 巨大なクラーケンを相手に、怯む事なく戦いを挑む彼らの勇姿を見逃す事なかれ! ヴァルグの過去にも触れる話も出てきますので、どうぞ最後までしっかりお楽しみくださいね。 (天) 2026年9月17日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4985 D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第7回 ・本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編。そのリプレイ7回目をお届けします。 すべての疑惑を解くために、エラドリンたちの砦に行くことに。 驚くほどのスピードで“冬の砦”ティラー・シラエンに到着しましたが、待っていたものはエラドリンの精鋭監視隊! それに投降する一行。 やがて、彼らの前に姿を現した長老は言います。 「ネディアの妹、サラに穢れが見られるようになった」 穢れの拡大感染を恐れる長老は、その原因を狂気の次元界ゾリアッドの者が有する穢れだと判断し、パーティにそれを問いただすのですが!? 一行に突きつけられるクエストとは? サラの穢れを落とす方法は!? 運命が絡みつき、回転するお話! どうぞご一読を! (葉) 2026年9月18日(金)ぜろ FT新聞 No.4986 感想回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第511回は、16日に無事完結した【エメラルド海の探索】の感想回をお届けします。 今回のリプレイは船の上での戦いの描写に苦戦したとの事ですが、「でもそのぶん、いいものをお届けできたのではないか」と確信しておられる様子です。工夫した点などを知った上で、作品を改めて読み直すと色んな発見がありそうですね。リプレイを書いてみたい方の、書き方の参考になるかもしれません! 今作の感想や、次回作への期待など、ぜろさん宛のお便りもお待ちしております! (天) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (ジャラル アフサラールさん) 浅暮三文さんは『石の中の蜘蛛』で日本推理作家協会賞を受賞したり、短編が中学校向け国語の教科書に採用されたりという異才作家で海外にも作品が翻訳されていますが、今回紹介された作品の翻訳は困難でしょうね(笑)。 (お返事:かなでひびき) おたよりありがとうございます。 「翻訳が難しい」ということで、かなでは、ジェイムズ・ジョイス先生の『フィネガンズ・ウェイク』を思い出しましたよ! だけど、びっくりです! 教科書に掲載されていたとは! センセイに効いてみねば! 今回も面白い情報ありがとうございました。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
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2026年9月19日土曜日
2026年9月18日金曜日
感想回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4986
【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ蛇足な感想 ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 や。完結までこぎつけました! 今回のリプレイは苦戦しました。でもそのぶん、いいものをお届けできたのではないかと確信しております。 ○作品について とにかく、海の伝説の魔物クラーケン退治に正面から取り組む骨太のストーリー。ガチガチの王道です。 奇をてらうことなく、真正面から挑みます。 巨大なクリーチャーの脅威がよく表現されていて、本当に素晴らしい。 3回の冒険の理由にも説得力がありました。 また、成田芋虫さんによるイラストも素晴らしいですね。 表紙のトロピカルさも素晴らしいですし、本文中のイラスト群もたまらないです。 ○主人公のこと 今回の主人公は、ヴァルグとハルトですね。 でも、語り手は、ハルトと、従者枠のひとり、ポールです。 これを入れ替える構造にすることで、主人公視点と、主人公や船を外側から見る視点で、物語が立体的に描き出せるのではないかというこころみです。 はたして、狙ったとおりの効果は出ているでしょうか。 ヴァルグからの視点の話は、意図的に外しています。 ○リプレイのこと リプレイの書き方って書く人の数だけあって、書く人が同じでもアプローチの仕方は違ったりするわけです。 私はこれまで、海洋冒険もののリプレイを2作品書いています。 ひとつは「マドレーンの海域」。まさにこの「エメラルド海の探索」と同じビストフ周辺を舞台とした作品でした。 もうひとつは「大真珠の探索」。こちらは、作中の描写にある風景の美しさに心を奪われました。 で、アプローチの仕方に話は戻ります。 「マドレーンの海域」は、ゲームブックリプレイらしさを前面に出して、ゲーム的な処理や本文中の描写をメインに組み立てました。 「大真珠の探索」も同様ですが、こちらは本文でも描写に力を入れていたため、本文に沿って書いていくだけでいい感じに仕上がっていきました。 今回「エメラルド海の探索」は、「巨大樹の迷宮」「蜂竜の森」に繋がる物語です。 そのため、ゲーム的な側面よりも、物語に力を入れています。 となると、これまでのようにゲーム的な語りで誤魔化すことが難しく、最小限ではありますが、海洋冒険の知識を仕入れる必要が出てきました。 海でクリーチャーと出会った際にはどういうシチュエーションで対決まで持っていくのか。 船の甲板ってけっこう海から高いところにあるので、敵をどうやって甲板まで上げるのか、甲板に上がらない敵とはどう対峙するのか。 ルール上は全部普通に戦えてしまうのを、表現上はどのような動きをしている形をとるのか。 海戦の場合、船はどのような動きをするのか。 もちろん、単にリアルを追及するだけでは面白くありませんので、それをぶち破る超人的な活躍の表現はどうしたらいいのか。 巨大なクラーケンと戦う時に、ルール上は脚に1点ダメージで落ちますが、その1点をいかにして与えるのかの工夫として、火薬樽への火の玉発射を考えたりとか。 ない知恵を絞って、原作にはない描写や展開をひねり出していきました。 その甲斐もあって、最後のクラーケン戦などは、かなりの迫力バトルが描けたのではないかと自画自賛しております。 あれ、実際のプレイログ見ていただくとわかるのですが、完封、圧勝なんですよね。 船全体が一丸となって戦っているように描きたくて、プレイログだけでは表現できないところも多く入れております。 たとえば3回目の冒険の中間イベントに登場したノームの三銃士などは、従者にはできなかったのですが、あの場面で乗船させないというのも考えにくかったので、従者ではないが、乗組員にする、という扱いにしました。 そうしたらやはり活躍の場は与えたくなってしまい、生命点のやりとりがない範囲で描写させていただきました。 クラーケンの脚は切り離されない限りダメージは入りませんが、それ以外の手段で1点に達しないダメージを積み重ねることは重要な役割です。 そういったお助けキャラの最たるものは、東洋 夏さんのリプレイから拝借させていただいた白奴ですね。 このコビットのおじさんは、東洋 夏さんの描いたリプレイ「エメラルド海の探索」に登場するキャラクターです。 しかも2人目の主人公キャラクターなんですよ。だからちゃんと技量点もあれば生命点もあるのです。 人様のキャラクターなので、イメージどおりに描けたか不安はありますが、だいぶ好き勝手やらせていただきました。 腰痛で戦力外通告ってことにしてプレイヤーキャラクターとして動かない理由づけをしてみましたが、そんなのおかまいなしに暴れ回ってくれましたね。 途中でこのキャラ、主役食ってしまうんじゃ? と不安になったものです。 なお、同じ「エメラルド海の探索」のクラーケン退治の冒険なので、東洋 夏さんのリプレイとはパラレル展開ということになりますね。 でもエピソードは違えど白奴は、東洋 夏さんバージョンの「エメラルド海の探索」のもう一人の主人公ソール君とはちゃんと知り合っているようなので、話は広がりそうです。 ちなみに東洋 夏さんバージョンの「エメラルド海の探索」と、イベントのかぶりはけっこう多くあります。 読み比べてみると違いがわかって面白いかも。 かぶったイベントについては、特に向こうの描写に近づかないようにとかを意識することなく、自然に書いたらちゃんと別展開になっていてよかったです。 ハルトの物語はご覧のとおり、タイガたちの物語とは別のもう一本の主軸として展開していくことになります。 今後この二人がどのような軌跡をたどるのか、展開を楽しみにお待ちいただけたらと思います。 完全に蛇足な感想になりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございます。 次のリプレイにも、ご期待ください。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月17日木曜日
D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第7回 FT新聞 No.4985
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 連載第7回 岡和田晃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼はじめに 本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編です。 当時のサイトは閉鎖されていますが、前日譚の「トレイルブレイザーズを探せ!」と「竜の予言を解放せよ!」はウェブアーカイブで閲覧可能です。D&D第4版や舞台の世界観そのものの解説にもなっておりますので、未読の方は以下よりご覧ください。 https://web.archive.org/web/20110520091921/http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay_eb/index.html うまく繋がらない方は以下もあわせてご利用ください。 https://www.dropbox.com/scl/fi/hfckq3h4rglyer10ycaj4/1_.pdf?rlkey=xzasih78fdhbqoikbr98kovkl&dl=0 https://www.dropbox.com/scl/fi/nluo5nzotbnpeanc1zh0r/2_.pdf?rlkey=f49qwu5pxzhc4flzcw7kj1v5y&dl=0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ DM:ダンジョンマスター(岡和田晃) ネディア:ヒューマンのレンジャー(PL:中山葵) ヘルメス:ヒューマンのアーティフィサー(PL:カナイセイジ) クシュタリ:カラシュターのパラディン(PL:見田航介) ベック:ウォーフォージドのファイター(PL:高橋志行) ジュス:ティーフリングのウィザード(PL:ノダソル) ◆遭遇3:ドラゴンの予言者 ●“冬の砦”にて DM:では、途中、特に目立った遭遇もなく、驚くほどのスピードで“冬の砦”ティラー・シラエンに到着しました。 一同:早っ! ベック/高橋:乗り物を使えば、大幅な時間短縮が可能になるところが、エベロン世界ならではですね〜。 ジュス:で、俺様たちはいったいどこに現れたんだ! DM:(ころころ)えーっと、これがティラー・シラエンの中庭に登場した次第でして(笑)、周りのエラドリンたちが目を白黒してます。 一同:(爆笑) DM:すぐさま、ティラー・シラエンの中心にある、奥魔砦に設定されていた破幻球が作動します。爆発20の振動警報だと思いねえ。全員〈魔法学〉で判定をどうぞ。 ヘルメス:「誰だよ、ここに出ろって言ったのは!(笑)」 “冬の砦”ティラー・シラエンは、詳細な公式設定が存在しないので、DMは『ドラゴン・マガジン年鑑』所収の「フェイワイルドの城塞都市、ミスレンダイン」を参考にしつつ、一部設定を踏襲する形で自作している。 サプリメントに記載されているこのような情報は、そのまま使用するだけではなく、ちょっとした工夫によって、あなたのセッションを何倍も面白くしてくれるのだ。 ベック:(ころころ)達成値9ですね。 クシュタリ:(ころころ)うわー、1振った。 ネディア:(ころころ)わたしは13です。 ヘルメス:(ころころ)俺も16しか行かんなあ。 ジュス:(ころころ)俺様は12。 DM:それでは、全員、回復力を1消費してください。で、警報の結果、エラドリンたちが集まってきます。 ヘルメス:そりゃあ、岩石が突然現れたんじゃあ、びっくりもするよな(笑) ベック:とりあえず、ハッチを開けてエレメンタル式岩石掘削機から降ります。「私たちは怪しいものではありません」と身ぶりでアピールしましょう。 DM:“冬の砦”に集うエラドリンたちは、呆気に取られた様子で君たちを見ていますね。 ネディア:これはまずいですね。「私はネディア・ド=オリエン、妹のサナがこちらにいるとお聞きしましたが」と叫びましょう。 ベック:「カルナス軍の悪しき計画をお伝えするためでもあります」 DM:すると、エラドリンたちの態度が変化してしまいます。各々、怪訝な顔つきで剣や槍を構えて君たちを取り囲みますね。 ネディア:「えええっ、どうして?」 ベック:「私たちは怪しいものではありませんよ!」 クシュタリ:「そうじゃ、シルヴァー・フレイムの名にかけて!」 ヘルメス:困った、何人くらいいる? DM:だいたい20人くらいはいますね。君たちを監視しているのは「砦の監視隊」という、エラドリンの精鋭です。指令官らしい男性の指揮のもとに、君たち“侵入者”を見つけて取り囲みました。「おとなしく、武器を我々に預けなさい!」 ベック:ダイナミック・ウェポンをパワーでとても小さなサイズにまで縮小し……。「これは、椅子の脚ですよ(笑)危なくないですよ」 DM/監視隊隊長:「ウォーフォージドは戦のために造られた、自然ならざる存在だ。すなわち武器と同じですらある。そのウォーフォージドも引き渡してもらおうか」 ベック:「これは聞き捨てなりませんね。スローンホールド条約の結果、ウォーフォージドにも人権はあるという規定がなされました。そうした条約の姿勢を軽んじるのですか?」 クシュタリ:待て、さすがに、エラドリンのような種族と事を荒立てるのは得策ではない。何らかの誤解がありそうじゃの。 ベック:シルヴァー・フレイムとエラドリンの仲はどうなんでしょう。 クシュタリ:シルヴァー・フレイムを信仰しないのは問題じゃが、悪しき種族ではないからの。私の鎧はサモンド・プレート・アーマーのパワーにて異次元に隠してあるから、いざというときも鎧をつけられる。 ヘルメス:気乗りがしないが……戦うか? DM:長老格のエラドリンが、戦士たちの後ろで、君たちをためつすがめつしながら、何やら話しているようですね。 ネディア:サナ……いったいどこにいるの。 ベック:では、ここは武器を捨てて投降しましょうか。 ジュス:俺様は不本意だ。なぜエラドリンなんぞに……。 クシュタリ:じゃあ、お主一人で戦うのか? ジュス:それはもっと不本意だ…(ワンドを捨てる)。 ●エラドリン長老との面会 DM:では、とりあえず投降ということでいいのかな。エレメンタル式岩石掘削機は押収され、君たちは個室へと隔離されてしまいます。若いエラドリンが番をしていますね。もちろん帯剣しています。 ジュス:この際に大休憩を取ろうか。 DM:だーめ。そんなにリラックスできませんよーだ。で、しばらく待っていると、何かイベントが起きるかもしれません。ネディア、1d10をロールしてみて。1か2なら、愉快ならざるイベントが起こります(笑) ネディア:(ころころ)2! 一同:(声を合わせて)さすがネディア! ネディア:うっ、嬉しくないッ! DM:すると、先程の長老格のエラドリンが、衛兵を連れて君たちの部屋を訪れ……。 DM/長老ヴァロン:「ネディア、とか言ったな……そなたの妹のことでちょっと見てもらいたいものがある」 ベック:ダイナミック・ウェポンを大きくさせて、阻止することも可能ですが? ネディア:(首を振って)サナのことだから、ここは見ておきたいです。「妹のことでしたら、もちろんご一緒します」 DM:それでは、ネディアが向かった先は、奥魔砦の謁見の間のような場所ですね。サナの姿はありませんが、替りにエラドリンの長老たちが集まっています。彼らは互いに怪訝な顔つきで何かを相談しているように見えるが、ネディアがやってきたのを確認すると……。 DM/長老ヴァロン:「実は、事件が起こった。そなたの言う“妹”のことだ」 ネディア:「サナに何があったの?」 DM/長老ヴァロン:「さよう、突如、そのサナとやらに“穢れ”が見られるようになったのだ。その“穢れ”は拡がりを見せ、我らの仲間にも感染する始末」 ネディア:「“穢れ”?」 ベック/高橋:『銃・病原菌・鉄』を思い出しますね! DM/長老ヴァロン:「さよう。我々はの“穢れ”を異形のもの、つまり狂気の次元界ゾリアッドの者が有する穢れだと確認した。そこで、そなたに問いたい。そなたらは異形どもと関わりがあるのか? 返答次第では、この清き砦から帰すことはできなくなるが……」 ネディア:「わたしたちは、異形とは無関係です。わたしと仲間たちは、長きにわたって、むしろ異形の存在と戦ってきました」と、これまでの冒険を、かくかくしかじかと、ひと通り話します。 会話型RPGでは、これまでに起こったものごとを、仲間や新しく出逢ったNPCに話して聞かせなければならないことが往々にしてある。その際には、こうした「かくかくしかじか」が便利だ。 DM/長老ヴァロン:「……そなたの話を総合しよう。どうやら、サナとやらが“穢れ”を身に宿すこととなったのは、アンデッドを率いる忌まわしき連中と無関係ではないようじゃな」 ネディア:「……わかりませんが、サナが穢されているとしたら、それは悪しき連中の仕業に違いありません。サナと、サナと会わせてください!」 DM/長老ヴァロン:「それはできない。“穢れ”を広めてはならんからな」 ネディア:「じゃあ、どうすればいいんですか!」 DM/長老ヴァロン:「……そなたは、“竜の予言”に選ばれし者だと言ったな。我々はまだ、そなたらの言葉を、そのまま信用するわけにはいかん。カルナス軍の進行は由々しき事態だが、誤情報の可能性もあるからな」 ネディア:「な、なんですって?」 DM/長老ヴァロン:「憤るではない。ヒューマンは行き急ぐがゆえ、早急に生命を落としてしまうのだ。そなたらの措置は“ドラゴンの予言者”様に委ねようと思っている」 ネディア:「“ドラゴンの予言者”?」 DM/長老ヴァロン:「さよう。ここ“冬の砦”ティラー・シラエンがフェイスパイアとして、エベロン世界とフェイワイルドの均衡を維持していられるのは、“竜の予言”と、それを護る予言者様の献身的なお力あってのこと。“穢れ”の蔓延からもわかるとおり、近年、我らの聖地を守る破幻珠の効果は弱まっておる。よいかな?」 ネディア:「……わかりました。やってみます。ただ、サナが大変なことになっているのに、おちおちとそんな人に会っている時間など……」 DM/長老ヴァロン:「そこは心配せんでよい。“ドラゴンの予言者”様がおられる“予言の洞窟”は、自然世界の時間を超越した空間じゃ。予言者様が認めてからで遅くない。しかし……もしお眼鏡に敵わなければ、そなたはもはや、自然世界に戻っては来られぬ。アンダーダーク、カイバーの化物どもの餌食になるやもしれぬ。それでも、やるか?」 ネディア:「やります!」 DM/長老ヴァロン:「うむ、その心意気やよし。じゃが、“試練の洞窟”へは一人で入ることはできん。猶予をやろう。仲間とじっくり相談し、またここへ来るがよい」 DM:ネディアは部屋へ戻ったよ。 ネディア:「(長老ヴァロンとの会見を説明し)お願い、みんな、力を貸して!」 クシュタリ:「シルヴァー・フレイムの信徒として“穢れ”を認めるわけにはいかんな。ネディアよ、もちろん、力になるぞ。神の試練と思って引き受けよう」 ジュス:「(軽薄に)ヤバそうだったら、逃げればいいしな!」 ネディア:「クシュタリ、ジュス、ありがとう!」 ベック:「むろん同行しますが、エラストレル・イル・ワイナーン卿が、“穢れ”をもたらしたのでしょうか?」 ヘルメス:「フィッツギボンの手の者、あるいはハルデン卿という可能性もあるな」 ネディア:「……きっと、この先に行けば、何かわかりそうな気がします」 ヘルメス:「そうだな、行ってみよう……」 (つづく) “『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜” is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy.Not approved/endorsed by Wizards. 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2026年9月16日水曜日
第8回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4984
第8回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の冒険譚です。 今回の主人公たちは、元剣闘士で熟練の傭兵ヴァルグと、彼と行動をともにする、左腕に「獣の腕」を宿す少年ハルト。 貿易都市ビストフの領主マキシミリアンから受けた依頼はクラーケンの討伐。 海神ホリィドゥーンの加護、クラーケンの居所を見通す遠見師エラ・シエロの同行を得て、クラーケンぶっ殺し号は、航海を続けます。 そしていよいよクラーケンの出現場所へ。最終決戦の幕開けです! 【ヴァルグ レベル20 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【ハルト レベル10 技量点1 生命点7 筋力点4 従者点8】獣使い 「クラーケンぶっ殺し」号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 ●アタック03-6 決戦! クラーケン 【ハルト】 そのときは、突然やってきた。 遠見師のエラが、不意にビクッと体を震わせた。 すぐに見張り台から大声が響いた。 「左舷前方に巨大な影! 急速に接近してきます!」 船に緊張が走る。 「本船はこれより、クラーケンの討伐を開始する!!」 ハーツデイル船長が高らかに宣言する。 「よォしやっときたな! 気合を入れろ! テメエら!」 師匠がバカでかい声で鼓舞する。 その声に押されるように、コビットたちが慌ただしく動き出した。 次から次へ、左舷の船側から火薬入りの樽を投下していく。 オレはヒースをともない、前方の甲板に立つ。 投げ込まれた樽は波に揺られ、船から少しずつ離れてゆく。 「近いのは狙うなよ。船を傷つけてしまうからな」 船長の言葉にオレはうなずいて、その時を待つ。 まわりは騒がしいのに、不思議と、心臓の鼓動だけがやけに大きく聞こえる。 巨大な影が、樽の下にさしかかった。 今だっ。 「ヒース、火の玉!!」 「ギャウ!」 ヒースが火の玉を放つ。 それは波間に揺られる樽に命中した。 ドォン!! 爆発とともに水柱が上がる。 続けざまに狙い撃つ。 水上にいくつもの水柱が咲いた。 水柱が消えた海上には、千切れた触手が浮かんでいた。 よし、効いている! 「よくやったヒース!」 「ギャウ!」 【ポール】 樽に火薬を入れて、ヒースの火の玉で爆発させる。 単純な作戦だったけど、効果はあった。 そのとき、海そのものが盛り上がり、クラーケンの巨大な頭が顔を出した。 かなりの至近距離だ。まるで目の前に巨大な壁が現れたよう。 これなら狙わずとも当たる。 ニーナが砲撃する。弾はクラーケンの巨大な頭部に命中したが、簡単にはじかれてしまった。 ダメだ。これじゃあ分厚い城壁に素手でパンチするようなものだ。 ヴァルグは「狙わなくても当たる」くらいなことを言っていたけど、当てるだけじゃ意味ない。 どうしたらいい。 そうか! 私は砲台を斜め下に向ける。 分厚い頭にいくら撃っても無駄だ。 狙うのなら、たくさんの触手に繋がるつけねの部分。 「そこだあ!」 透明感のある海の浅いところに見える、クラーケンの器官が密集しているところに向けて、続けざまに砲撃を叩きこむ。 エメラルドの海が黒く染まっていく。どうやら、墨を吐く部位を傷つけたらしい。 しまった。これでは海の下が見えなくなってしまう。狙えない。 「大丈夫。だいたいわかったから」 ニーナも私にならって狙いを変更し、黒い水面に砲撃を叩きこむ。 たしかな手ごたえを感じているようだ。さすがはニーナ。もうコツをつかんでいる。 いける。いけるぞ! 【ハルト】 クラーケンぶっ殺し号の砲撃が始まった。 ポールさんもニーナさんもがんばっている。 クラーケンは巨大な二本の触腕を持ち上げ、怒り心頭のようだ。 クラーケンは二本の巨大な触腕と、八本の吸盤のついた触手を持つ。 狙いは触手の方だ。 「鉤つきロープをおろせ!!」 珍しく大声を張り上げる白奴の号令で、次々と鉤つきロープが海に投下されてゆく。 それらは海中にあるクラーケンの触手にひっかかり、あるいは巻きつかれてゆく。 「いよおおぉし。引けーーい!!」 コビットの乗組員たちが、並んでロープを持ち、全力のかけ声とともに必死に引っ張る。 「えいさっ! よいさっ! えいさっ! ほらさっ!」 船が大きく傾き始めるが、おかまいなしだ。 やがて海中から、クラーケンの触手が吊り上げられてきた。 ずるずると重い音を立てながら、ぬめぬめとした太い触手が甲板まで引きずり上げられる。 「銃士隊、前へ!」 激しく揺れる甲板で三人のノームの銃士が膝をつき、体を固定して銃を構える。 「撃てっ!」 銃声が連続して響き、触手を深く傷つける。触手は黒っぽい体液を飛び散らせながら激しくのたうった。 そのとき、二本の巨大な触腕が、船に向けて叩きつけられた。 しかしそれは船をかすめ、海面を叩く。船はさらに激しく揺れる。 そうか。海面が黒く変色しているせいで、クラーケンも視界がきかないんだ。 するとクラーケンは、船に吊り上げられた触手を起点に、船に巻きつきはじめた。 これまで隠れていた触手のつけねにあたる部分もすべてむき出しだ。 それを逃すポールさんたちじゃない。連続して砲撃を叩きこむ。 それでもクラーケンは船本体への巻きつきを強めていく。 船がギシギシと嫌な音を立てて軋む。船体はいつまでもつのか? 「いいかハルト。巻きついている触手をぜんぶぶった切るぜ」 師匠が動く。傾いた足場をものともせずに、人の胴体より太い触手に斬りつけ、あっさりと切り裂いた。 オレも一本の触手に向かう。鉤で吊り上げられ、銃士の攻撃で傷つきのたうつそれに当てるのは容易だ。 オレは獣の腕を振り上げ、槌を渾身の力で叩きつけた。 巨大な触手がぐにゃりとへこむ。オレは甲板をまな板がわりに、触手の同じ場所を繰り返し叩き続ける。 獣の腕は、全力を奮える機会にうち震え、オレは無我夢中になっていた。 やがて触手は、まるで鍛冶師が剣を鍛えるように、完全に平たくなった。 それでも先端の触手はまだ動き続けている。なんて執念深いんだ。 「もういいハルトちゃん! その触手は切り離されたも同然だ。心配はいらん!」 白奴の声が聞こえ、はっとした。オレは次の触手を求めて周囲を見渡した。 それはまさに総力戦だった。 いつまで続くのかわからない激闘。 巨大な触手に巻きつかれ、激しく揺れる船。 響く砲撃音。とどろく銃声。 白奴の指示。コビットたちのかけ声。師匠の怒号。 火薬の臭い。ヒースの鳴き声とあぶったイカの臭い。 オレも必死に戦った。 うなりを上げて飛んでくる触手をかわし、全力で槌を振りぬいた。 戦いの高揚感に、獣の血が全身を駆け巡り、まるで疲れを感じない。 終わりは唐突に来た。 船に巻きついていた巨大な触手が、不意に力なくほどけ始めた。 頭上にそびえていたクラーケンの壁が、少しずつ低くなってゆく。 海に、沈んでゆくんだ。 そのとき、船ががくん、と大きく傾いた。オレはとっさに欄干をつかみ、落下を防ぐ。 「いかん!」 ハーツデイル船長が叫ぶ。 「触手にからむロープを切り離せ! 船ごとクラーケンに引きずり込まれるぞ!」 その声を受け、師匠がすぐに動く。斜めになった甲板を、欄干伝いに移動する。 気合の声を上げながら、ピンと張られた三つ編みの太いロープを分断していく。 コビットの船員たちも、めいめいのナイフやノコギリで、ロープを切り離しにかかる。 が、がっしり太くしたロープががちがちに張られていては、簡単に切ることはできない。 「はいちょいとどいてな〜」 白奴がカタナを抜き、素早い一閃でロープを断ち切った。 チィン、という金属音を立てながら、洗練された所作で鞘に収める。 白奴は師匠とは反対側の端からロープを切り離しにかかった。 その間にも船はみるみる傾いてゆく。 「だりゃああ!」 やがて師匠が、クラーケンと船を繋ぐ最後の一本を切り離した。 「反動に備えろ!」 船長の叫びと船の動きは同時だった。 ざばああん! 限界まで傾いていた船は、反動で大きく跳ね上がり、激しく揺れ戻った。 オレは欄干を必死につかんだまま、滅茶苦茶に体を揺さぶられた。 なんの支えもなかった師匠が空中に投げ出されたが、目の前のロープをつかみ、ギリギリ甲板に落下して転がったのが見えた。 突然の沈黙が訪れた。 波音しかしない。 さっきまでの激戦が、嘘のように。 ポールさんとニーナさんが、甲板に上がってきた。 コビットの乗組員も集まってくる。不安げに海面を見つめる船員もいる。 「クラーケンは力なく沈んでゆきました。……脅威は完全に去りました」 遠見師エラ・シエロが、厳かに宣言した。 それでも、現実感がない。 師匠が船長の隣に立ち、小突いた。 「おい、なんか言ってやれよ。締まらねェだろ」 はっとした船長が、皆に向かい宣言する。 「本船は見事クラーケンを打ち倒した! 我々の勝利だ!」 「おおおおおーーーー!!」 それとともに、乗組員全員の勝どきが一斉に上がる。 本当に、オレたち全員で、あのとんでもない海の魔物を倒したんだ。 オレにもようやくじんわりと、その実感がわいてきた。 「あれ、食えるのかなあ」 甲板に残され、なおもうねる触手の端っこを見ながら、白奴がつぶやいていた。 ●アタック03-7 余韻【ポール】 激戦の爪痕を残す「クラーケンぶっ殺し号」。 点検をしてみたところ、損傷は軽微だった。 点呼をかけたが、誰一人欠けている者はいなかった。 クラーケン討伐自体が奇跡のようなものなのに、犠牲者が一人も出ていないなんて、もう奇跡のレベルを超えている。 この所業はきっと英雄譚として、後世まで語り伝えられるものになるに違いない。 その中にわずかでも名を連ねられるかもしれないと思うと、私の心はうち震えた。 これから船は、行きと同じくらいの時間をかけて、ビストフへと帰還する。 航海には危険がつきものだ。帰路にもなにが起きるかわからない。 しかし今は、この高揚感に身を委ねていたい。 そう思った。 エメラルド色を取り戻した海のかなたに小さく、白いイルカが跳ねるのが見えた。 [プレイログ] 【最終イベント】 【クラーケン レベル4 生命点8 攻撃2回 ダメージ2点 防御1点】 【クラーケンの脚 8体 レベル3】 ※本体にダメージが1点入ると脚1本破壊。脚が0になれば勝利。 【0ラウンド】 ヒースの攻撃 サイコロの出目4 脚8→7 ニーナの砲撃 サイコロの出目2 外れ ポールの砲撃 サイコロの出目6 本体の生命点8→7 脚7→6 ポールの追加砲撃 サイコロの出目3+技量点1 本体の生命点7→6 脚6→5 【1ラウンド】 ヒースの攻撃 サイコロの出目5 脚5→4 ヴァルグの攻撃 サイコロの出目1 外れ ハルトの攻撃 サイコロの出目3 脚4→3 クラーケンの攻撃2回 ・船の回避 サイコロの出目4 回避 ・船の回避 サイコロの出目6 回避 クラーケンの脚の攻撃3回 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目5 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目4 回避 ・ヒースの回避 サイコロの出目5 回避 【2ラウンド】 ポールの砲撃 サイコロの出目6 本体の生命点6→5 脚3→2 ポールの追加砲撃 サイコロの出目2 外れ ニーナの砲撃 サイコロの出目5 本体の生命点5→4 脚2→1 ヴァルグの攻撃 サイコロの出目5 脚1→0 勝利 【宝物判定】 サイコロの出目1+修正2 2d6枚の金貨 サイコロの出目2と3 金貨5枚入手 【ヴァルグ レベル20→21 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】25→30 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 精巧なアクセサリー(金貨120枚) アクセサリー(金貨30枚) 宝石(金貨30枚) 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】2→3 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【備考】呪いのため攻撃ロールにマイナス1 【ハルト レベル10→11 技量点1 生命点7 筋力点4 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】45 【持ち物】 ランタン 蟹座の彫刻(金貨300枚、持ち物欄2消費) ボロボロのペンダント(金貨1枚) →売却 浮力の胴着(水中ペナルティを無視。泳ぎの判定+2) 狼の刻印の腕輪(金貨12枚) エメラルド(金貨30枚) 【獣血】【凶暴化】【騎馬防御】 【未使用経験点】1→2 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 エラ・シエロ 遠見師。クラーケンの居場所を探るのに必要な人材。 白奴 コビット乗組員たちをまとめるチーフ。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●エンディング01 領主との対話【ハルト】 貿易都市ビストフの宮殿の謁見の間。 オレは領主マキシミリアンと一対一で対面していた。 「ハルトといったか。褒美が私とこうして話すこととは、いささか変わった申し出をするものだな」 ハーツデイル船長、師匠、遠見師エラ、そしてオレの四人で、クラーケン退治の報告にきた時のこと。 報告が終わり、領主から歓喜の言葉と褒賞の話が出た。 そこで問われた時にオレは迷った末にこう答えたのだ。 「領主様と二人きりで話がしたい」と。 領主はその発言をたいそう面白がり、他の三名を退出させ、オレだけを残した。 そして今。 領主はオレが何を言うのかを、興味深く見守っている。 オレは言葉を絞り出し、どうしても聞きたかった質問をぶつけた。 「なんで師匠は、『味方殺し』だの『全滅野郎』だの呼ばれているんだ?」 それを聞いた領主は、目を細め、ゆっくりと頷いた。 「おまえはヴァルグの弟子なのか。てっきりあいつの武器持ちかと思っていたが。なるほど、そうか……」 領主はなにやら勝手に納得している。そんなことより、早く教えてくれよ。 「本人に直接聞いてはみなかったのか?」 「聞いたさ。……あ。聞きました。けど、『事実だ』としか答えてくれなくて」 「なるほど。あいつらしいな……」 領主は、少し思案していた。 「ハルトよ。私からそれを聞き出すということは、ヴァルグ本人が望んでいないことかもしれない。それでもおまえはその答えを求めるのか?」 オレは一瞬言葉に詰まった。 でも、オレは知らなきゃならない。 そんな気がした。だからはっきりこう答えた。 「はい。お願いします」 領主は、オレの決意の固さを感じ取ったのだろう。ゆっくりと話し出した。 「不名誉な異名のことなら噂で聞いている。あいつと組んだ者たちは、必ずと言っていいほど命を落とす。使命は果たすが、一人だけ生き残る。……それでついた二つ名だと。私としては剣闘士時代の二つ名『千の傷を持つ男』の方があいつらしいと思うのだがな」 「じゃあ、本当に味方を殺したなんてことは」 「あるわけがないだろう。あいつに限って」 オレは心底ほっとした。けれど領主の話には、まだ続きがあった。 「それから、あいつは誰とも組まなくなった。一人で、誰をも寄せつけない強さを持つ。それがあの男ヴァルグだ。だからお前が弟子と聞いて、私も驚いたのだぞ」 「そんな、大げさな」 「大げさなものか。一緒に組んだ者が死ぬ。一人だけ生き残る。初見の者も、大切な者も。そんな経験を繰り返したらどうだ。組んだら、そいつが死ぬかもしれない。それに耐えられるか? だからあいつは孤独を選んだ」 オレは胸が詰まって、何も言うことができなくなってしまった。 領主は続けた。 「今回のクラーケン退治は一人ではこなせない依頼だった。そして一人の犠牲者も出さなかったと聞く。この出来事が、あいつが変わるきっかけになってくれれば、と思うが」 領主はそこで一旦言葉を切り。 「いや、おまえがそばにいるということは、もう変わり始めているのかもしれないな」 そう言った。 オレは目を伏せた。師匠のこと、ほんとうになにもわかってなかったんだな、って。 黙ってしまったオレを気遣ってか、領主はさらに言葉を続けた。 「だからな。今のヴァルグにとって、おまえは必要な存在かもしれん。……いや、今の言葉は忘れてくれ」 謁見は終わった。オレは無言のまま、謁見の間をあとにした。 「知りたかったことは聞けたか?」 「……うん。まあ」 外で待っていた師匠の問いに、ぶっきらぼうに答えると、そのまま通過して厩舎へ向かう。 どうしても、師匠の顔を直視できなかった。 不用意に、師匠の過去を覗いてしまった。 少しの後ろめたさはある。けど、後悔はしていない。 師匠を信じたい気持ちを裏づけるには、必要なことだった。 明日になれば、オレはまた師匠とともに旅立つんだろう。 「ギャウ?」 オレはヒースを、無言で抱きしめた。 今は、今だけは、誰とも顔を合わせたくない気分だった。 ●エンディング02 別れの日【ポール】 ビストフの一号桟橋には「クラーケンぶっ殺し号」が停泊している。 契約は今日でおしまいだ。いよいよこの船ともお別れとなる。 私は桟橋から船を見上げて、感傷的な気持ちになっていた。 船長以下、かつての乗組員の多くが、ここに集まっていた。 「いよいよこの船ともお別れなのね」 ニーナが感慨深げにつぶやく。 そこにヴァルグと、ヒースを連れたハルトが現れた。 彼らは、旅装束に身を包んでいる。船にお別れをして、そのまま旅立つつもりらしい。 「なんでェ。船名、変更しないのかよ。『エメラルドのなんちゃら』によ」 ヴァルグが茶化してくる。 「しない」 船長は端的に答える。 「下品な船名なンだろ」 「栄誉ある名称だ。現実となったのだからな」 そう言って船長はひとしきり笑った。ヴァルグも笑っていた。 「なあヴァルグ。この航海で私は、ばく大な財宝を得た。けれどな、一番の財宝は、……この船だ」 船長は、誇らしげな表情で大きくうなずいた。私たち乗組員を見渡す。 その瞳は、厳粛だった船長がこれまで見せたことがないほどに柔らかだった。 「船だけじゃない。ここにいる船員たちひとりひとりが、な」 「そうかよ」 ヴァルグは短く、それだけを返した。 「行き先は決まっているのか?」 「ああ。次はロング・ナリクだ。国じきじきのご指名だ。きっとまたデカいヤマだろうぜ」 すると船長のそばにいた白奴が割って入った。 「ロング・ナリクか。もしかしたらおじさんの知り合いがいるかもしれん。ソールって貴族の若者なんだが」 「貴族の知り合いがいたのか」 「なに、海賊退治で同じ船の飯を食った仲だ。もし会ったらおじさんは元気だって伝えといてくれや」 めんどくせぇな、と答えるヴァルグの横で、ハルトがうなずいていた。 私も、ヴァルグにもハルトにもずいぶん世話になった。 何度も命を助けられた。お別れとお礼を言っとこうかな。 そう思っていたんだけれど。 「あ、ポールさん。海に落ちたとき、助けてくれてありがと」 先にハルトからお礼を言われてしまった。 「ハルトくん旅立っちゃうのね」 ニーナが残念そうにつぶやく。 「はい。ニーナさんにもお世話になりました。買い物のときとか」 「うんうん。お姉さん寂しくなるなー」 私も、ヴァルグとハルトにそれぞれお礼を言った。 ほんの少し、ハルトの表情が固いのが気になった。なにか、あったのかな? 「じゃあな。あばよ」 ヴァルグは、最後までヴァルグらしい態度で、もう歩き出しながら後ろ手に手をひらひらと振った。 ハルトとヒースも後に続く。 私とニーナは、その二人と一匹が去っていくのを見送った。 「行っちゃったね」 彼らの姿が小さくなってきた頃、ニーナがそう言ってきた。 「うん」 私はそう返しつつ、あることを切り出した。 「なあニーナ。もしよかったらだけど、……次の船も一緒に乗らないか?」 ニーナはほんの少しだけ思案し、返事をくれた。 「いいね。あなたとならいい仕事ができそう」 「ありがとう、じゃあ、よろしく」 私は小躍りしたくなる喜びを抑えながら、ニーナと握手した。 今はこれが精いっぱいの誘いだ。けど、いつかきっと。 ヴァルグたちの姿は、もう見えなくなっていた。 【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ 完 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月15日火曜日
これはゲームブックなのですか!? vol.138 FT新聞 No.4983
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『これはゲームブックなのですか!?』vol.138 かなでひびき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 世の中、「ホラー」「推理」と、ジャンルわけしてあるものが多いよね。 しかし、それでは収まりきらない「作品」も、綺羅星のようにあるのも事実。 今回紹介するのは、まさにそれ! 『実験小説 ぬ』(著:浅暮三文/光文社文庫)よ。 で、ページめくってみると、 「彼のことを教えよう。運転免許を持っている人なら、おそらく自動車教習所で彼のことを知っているはずだから」 と、奇妙な紹介文で始まる『帽子の男』 で、実際に、本の上を使って、自動車標識のオンパレードが出てくる。 うまいのが、この標識を使って物語を語るんだけど、それが、まるで江戸の判じ絵みたいに、実に思いもよらない視点から、物語は進む。 同様に、奇妙な→を駆使したロードムービー? 『遠い』 主に線だけで証言される『線によるハムレット』など。 絵との融合な作品だけではなく、例えば、本来ならあとがきに当たるところまで小説だったりする。その名も『これはあとがきではない』 こんなふうに、文字だけの話でも仰天させるところがいっぱい! ゲームブックフリークな、本誌の愛読者なら『カヴス・カヴス』なんてどう? 夜、リラックスして部屋にいる「あなた」がふと手にとったものは、「まるで身に覚えのない」本。 どうも、一昔前のレトロテイストな冒険小説らしいけど……。 手にとったあなたを襲う恐怖とは!? これも、途中でページの上の段、下の段に分かれて、それぞれ違う物語、さらにはエンディングを楽しめる一本! さらには『お薬師様』なんていかが? 山の川瀬で釣りに洒落こもうとした男に待ち受ける運命とは? これまた、分岐があって、一回目、二回目とやり込むことが分岐条件。 だんだんと広がっていく物語は、さながらゲームブック! というわけで、この世のどんなジャンルにも分け難い短編集の登場! 自ら「実験小説」とジャンルわけしているだけあって、一度口にしたら、やめられなくなる奇想の展覧会になっているわ! あの手この手で真摯に読者と遊ぼうとするその姿は、まさに「大人向けの絵本!」 あなたの本棚にも、この奇妙な宝石を! 見逃せば後悔することウケアイ! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『実験小説 ぬ』 著:浅暮三文 出版社:光文社 2006/7/20 文庫 495円(税別) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月14日月曜日
FT新聞 No.4982
おはようございます、松井山手のパン屋さん(イートイン)から杉本です。 松井山手にあるクライミングジムに行く前に、朝ごはんがてら仕事をしております。 最近はずっと忙しいですが、そのぶん楽しくやれています☆ 今日の話題は「ガルアーダの塔」の書籍版のお話です! ◆【新職業】の実装。 私がいつもやりたいことのひとつに、「ゲーム性と物語性の融合」があります。 唐突ですが、デジタルゲームに対してアナログゲームは、いつも後手を取る傾向にあります。 遊びやすさはいつの世も重要な要素で、ビジュアル面と遊びやすさでアナログゲームはデジタルゲームに押されがちと、私は思っています。 だから、「体験」で勝負したいんです。 今回の【新職業】では、主人公が手に入れる装備品や、遭遇した〈できごと〉によって、なれる【職業】の選択肢が変化します。 そういうのが面白いと感じるのはもちろんです。それに加えて、主人公が「この道を選んだから、こうなれた」という出会いや選択があることが、私が作品を通じて届けたいことにマッチしているので、このシステムを導入しました。 それは、冒険が読者のものであり、私は「ローグライクハーフ」を、ドラマと冒険のランダマイザーとして提供したいと考えていることにつながっています。 あなただけの冒険を、体験してほしい。 がんばっています。 ◆【仲間】システムの掘り下げ。 私はゲームブック「かえる沼を抜けて」で、さまざまな仲間を「能力値や判定時へのボーナス」というカタチで表現しました。 それはひとつのあり方だったと思っています。 しかしながら、今回の「ガルアーダの塔」において、仲間は「幼少期からの時間をともに過ごしてきた、特別な存在」です。 文字どおり、名前のある存在なわけです。 そんな彼らを表現するには彼らの個性を示す描写と、強みを活かした活躍の場面を描ききる必要があります。 彼らの中には独自の目的を持つ者もいるし、主人公とは距離のある者もいます。 しかし、それでも彼らは、悪魔ガルアーダを討ち取るという共通の目的のために結束するのです。 私が真に描きたかった「ガルアーダの塔」の姿が、そこにあります☆ ◆豊富なイラスト。 今回、イラストレーターであるカワラベ氏による描き下ろしイラストをふんだんにご用意いたしました! ゲームブック版「ガルアーダの塔」からのイラストも、いくつか再録されております……楽しみにしていただけましたらさいわいです! それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年9月13日日曜日
Re:オレニアックス生物学 Vol.7 『もっさもさ』 FT新聞 No.4981
(編註:この記事は、過去の人気記事を再配信するReシリーズです。文中のコメント等は全て当時のものとなっております) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ オレニアックス生物学 Vol.7 『もっさもさ』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 生物学の授業は非常に重要な科目だった。 アランツァの地での戦いは、戦争となるとまた話は別だが、人間以外の生き物と交戦することも少なくなかった。 聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラントは生物学の権威。 そんな彼の授業は生き物の外見、性質、そして対処方法を教えてくれる。 生徒たちを生き残る道へと導く、確かな灯火だ。 今日もカメルの授業が始まる……。 「もっさもさと言ったのじゃ」 爆笑をこらえる生徒たちとは対照的に、カメル博士の表情は至って真剣だ。 「もっさもさ。それが、この生き物の正式名称じゃ。世界に1匹しかおらず、広大な桜森のどこかにいることは分かっているが、その習性は分からんことの方が多い」 いたずらっぽい顔をしたガリィが、手をあげる。 「そいつを捕まえたら、高くで売れるんじゃないですか? だって、世界で1匹しかいないんですよね?」 「ふむ。ガリィくんは珍しい生き物を捕まえたら、売るのかね?」 急に真面目くさった顔になり、ガリィはしばし黙る。 「いや……売らないと思います。逆に、ずっと一緒にいてみたいかな。どんなヤツかによります。いくら世界に1匹だからって、いびきがとんでもなくうるさいヤツだったらイヤだもの!」 ガリィの言葉には生き物に対する暖かい気持ちが込められていて、クラスメートたちはなんだかホッとしたような気持ちになる。特にエルフのニナは、このクラスのガリィとアヴィオンから放たれるこのような感情に、いつも安心感を覚えていた。 「そうだな。珍しいからといって、ステキな生き物とは限らないからな。だが、喜んでいいぞガリィくん。もっさもさは昔から根強いファンの多い、魅力ある生き物だ」 カメルは口のはしでにんまりと笑う。てろんと垂れた下くちびるは、まるっきりラクダそのものだ。 「その大きさは全長1km、体重は不明。年齢は推定800歳。長い4本の脚を持ち、1日に20時間睡眠する。全身はほぼ鉱物でできていて、顔には口めいた亀裂が走っている。食事はしない。冬場を除いて全身に緑の草花が生えていて、鳥や昆虫などが住みついている」 カメルの言葉の後半は、ざわざわとざわめく生徒たちの喧噪によって半分も届かなかった。レムレスが代表して手を挙げる。 「待ってください、先生。今、全長1kmと言ったのですか?」 アランツァに巨大生物は多々あれど、1kmの生物など見たことも聞いたこともない。 「いかにも。もっさもさはおそらく、世界で1番大きな生き物じゃろう。千年樹を除けばな。移動はゆっくりだが、1歩で200m近くを歩く。人間など意に介さずに歩くから、もっさもさに踏み潰された者もいる」 レムレスを見つめたまま話したので、彼はそのまま次の質問をする。 「それって……いったいどうやって倒すんですか?」 グラントは首をかしげて答える。 「もっさもさを倒す方法も、必要もない。そのような質問こそ、人間のおごりだよ」 レムレスは黙る。レムレスにも支配者層の血が流れている。無意識にそれがあらわになったことを、恥じた。 カメルはもちろん、わざとレムレスのそういうところを指摘した。貴族なればこそ、危ういのだ。自身を正しく見る目を養わせることこそ、教師たるもののつとめである。 錬金術師のマグスが左手を挙げる。 「先生、それは本当に生物なのですか? ゴーレムのたぐいでは? 全身がほぼ鉱物の生物なんておかしいです。亀のような生き物だって、甲羅の部分以外は肉でできているんですから……。」 カメルがふふんと笑う。 「さすがに優秀だな、マグスくん。もっさもさはゴーレムか、植物の一種だと言われている。もっさもさの研究の第一人者であるイスト博士の論文によると、もっさもさは古代のゴーレムで、意思あるゴーレムがすべてそうであるように、何らかの生き物の魂を継承していると考えられている」 クラスの空気が固まる。意思あるゴーレムはすべて、もともと何かの生き物だった? ゴーレム剣士のヘイルのほうに、視線が降り注ぐ。 「ん? 俺はもともと人間だよ?」 クラスに衝撃が走る。あまりに子どもの頃から一緒だったので、ゴーレム剣士のヘイルは最初からゴーレムだと誰もが信じていた。いや、信じていたというには語弊がある。そのことについて、疑ったことがなかったのだ。 「うそ! えっ? お前、俺らと同い年じゃないの!?」 「俺はもっと歳上だよ。生まれはドラッツェンで、ウォードレイク戦役にも参戦した」 「お前! こないだのウォードレイクの授業のとき、そんなこと言わなかったじゃん!」 「静かに!」 カメル博士がピシャリと叱りつける。 「ヘイルくんの身の上話は、休み時間にするように」 それでもざわつく教室の机と机の間を、カメル博士は厳しい顔で歩きはじめる。カメルはかなりご立腹だ。 「もっさもさはゴーレムと目されているが、誰がいつその身体を作ったのかは明らかになっていない。イスト博士によれば、森の中で生活し、非常に長い時間眠るもっさもさは、人間以外のある動物の魂を継承しているのではないか、と推察されている。なんだか分かるかね?」 博士はニナを指名する。 「……猫、ですか」 いかめしくなっていた博士の顔が少しやわらぐ。 「そのとおりだ。もっさもさは気まぐれでマイペースな生き物だ。そして、不思議なことに、自分よりもはるかに小さい人間になつくことがある。それらすべてが、かの生き物がかつて猫であったことを示していると、イストは主張する」 カメルは咳払いをして、今日の授業のもっとも重要な箇所を話しはじめる。 「もっさもさの体内には、地下迷宮がある。そこで生活する人々も、実際にいるのだ。彼らはもっさもさ族と呼ばれ、時おりナゴールの都市の人々と交易をするらしい。迷宮の最深部には古代の宝が眠っているというウワサもある。君たちと決して無関係ではないのだぞ。迷宮探索の任を受けるかもしれないし、もっさもさ族と関わる機会があってもおかしくはないのだからな」 終業の鐘が鳴る。カメルはしかめ面だ。今日の授業は非常に興味深いものとなるはずだった。だが、残念ながら、1人の生徒の生い立ちを計算に入れていなかったがために、すっかり生徒が浮き足だってしまった。 だが……。違う考え方をするなら、今日は間違いなく成功ではある。彼らはもっさもさの名前を覚えたはずだ。友人の生い立ちとともに、忘れられない授業になったに違いない。思惑とは違っても、目的は果たしたのだ。 博士はピンと背すじを伸ばしたまま、教室の扉を開ける。ありがとうございました! と声が響く。 若い生徒たちに教えることのうち、どれが役立ち、どれが無駄になるかは分からない。 だが、いくつかはきっと、彼らの命を永らえさせてくれるだろう。 そう信じて博士は今日も教鞭をとる。 (From:杉本=ヨハネ) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。