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2026年6月22日月曜日

アランツァへのいざない FT新聞 No.4898

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ ワールドカップが好きだったのですが、最近は観ていません。 自分が選手として参加できないお祭りの時間は、自分がトライするボルダリングの時間に充てることに今はしています。 さて、今回の記事は「性差」についてです。 ◆女性冒険者について。 危険な職業に就くということは、この危険な世界において「種族的な全滅」を避けるために、何よりも優先されるべきことです。 そのため、アランツァにおいては、女性が冒険者になることは歓迎されます。 女性が危険な職業に就くことの妨げになる野卑な行い、強引なアプローチや下に見るような働きかけがまったくないわけではありませんが、一般的な見地としては「冒険者人口を半分にする行い」として忌避されます。 倫理的な理由よりも「1人でも多くの冒険者がいる必要性」が、アランツァ世界での女性のあり方に影響しています。 ◆性差の少ない世界観。 そもそもアランツァでは、男性と女性の肉体的な能力差が決定的に大きくはありません。体格も男女差が小さく、男性よりも背の高い女性が現実世界よりもずっと一般的で、珍しくありません。 そして、そのこと以上に決定的なのは「魔法の力」でしょう。 魔力、つまり魔術や奇跡などを行使できる力に関しては、男性のほうが優れていることはありません。 むしろ、女性のほうが優れているのではないかとする向きさえあります。 そのような背景ゆえに「冒険者としての男女差」は、取り沙汰されるほどにはなり得ません。 ◆中性について。 アランツァにおいては「中性」という性が明確に存在します。 性的な役割を担うことに忌避感を抱いた者が、ノードの濃い地域で生活を一定期間続けることでこの性へと変化します。 ノードは魔力が非常に濃いため、「その個体の根源的な欲求に従って、その姿を変える」力を持っているからです。 中性となったキャラクターは性的な特徴を持たなくなり、性的な欲求を失います。 アランツァではこのような個体を「中性」と呼びます。 これに対して妖精たちは「無性」と呼ばれます。 妖精たちは自分たちで増えることがなく、いわゆる性を持たないためそう呼ばれます。 ◆中性にも社会的役割はある。 アランツァの世界は中世ヨーロッパ的な価値観をある程度継承しているため、市民に「社会的役割」が求められるシーンがあります。 市民が求められる役割には大きくみっつあります。 そのうちのひとつは「人口を増やすこと」です。 市民はできうる限り家族をつくり、子どもというカタチで家族を増やし、養っていくことが理想とされます。 「中性」という存在はこの文脈において、外れた存在であるように映るかもしれません。 しかし、そうではありません。 アランツァでは養子が一般的な文化です。 この多産多死の世界では、親戚や友人、仲間の子を、子のないカップルや夫婦が育てることは珍しくありません。 つまり、中性であったり、同性愛者であったりする場合であっても、「養子をもらって育てる」という社会への参加方法があって、これが「立派な人物」であるかどうかの基準とされるわけです。 ◆冒険者と中性。 さて、市民が求められる残りの役割ですが……「社会に利益をもたらすこと」と「社会を損害から守ること」です。 このふたつは基本的に、職業を通じてまっとうされます……納税や仕事がそれにあたります。 冒険者という生き方は「社会を損害から守ること」という文脈において、大きく貢献していると考えられます。 それこそ、残りの役割(子どもの育成や納税など)がおざなりであっても、お釣りがくるほどに。 中性という生き方を選ぶとき、その人物は「養子をとること」を人生の選択肢に入れることになります。 しかし、自分の血がつながっていない子どもを育てることに対する抵抗感を覚える者も、そのなかにはいます。 そうした理由に後押しされて、冒険者になるキャラクターが存在する可能性もあります。 今回はこのあたりで。 それではまた!! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年6月21日日曜日

ローグライクハーフシナリオソムリエ その5『巨人殺し』 FT新聞 No.4897

◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ローグライクハーフのシナリオソムリエ(自称)の本日のおススメシナリオ その5『巨人殺し』 天狗ろむ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇◆  おはようございます! 「1人用TRPGローグライクハーフ」の楽しさに魅せられ、ローグライクハーフのシナリオソムリエ(※)を目指す編集部員、天狗(あまく)ろむです。 (※ワイン専門の給仕人ソムリエのように、皆様のローグライクハーフのシナリオ選びの際の手助けが出来る人になりたいな、くらいの意味です)  さてこちらは、特に「個人制作シナリオの周知」を目的としたローグライクハーフのシナリオの紹介記事です。  ローグライクハーフのシナリオには、様々なクリーチャーが登場します。あなたにとって一番手強かったのはどんなクリーチャーでしたでしょうか? 個人的にはボスより道中のできごとのクリーチャーが手強かったりする印象があります。『黄昏の騎士』であれば〈ウォー・ジェスター〉だとか、出現数が10体以上になってしまった時の〈大ネズミ〉だとか……! そういう時に限って、「カチカチになったチーズ」を持っていなかったり……などなど、様々あるかなと思います。  冒険の道中のできごとであれば、【逃走】が可能ですが、中間イベントや最終イベントで待ち構えるクリーチャーとの戦闘はほぼ【逃走】することができません(天狗ろむが覚えている限り、『女王の肉』では逃げられる場合がありました。冒険としては失敗ですが……)。たとえそのボスが、【防御点】を持つ【巨大生物】で、あなたのPCには2点ダメージを与えられる攻撃手段がないとしても、です。本来であれば、ルール上では詰んだ、という状況でしょう……。  しかし、シナリオを通して知恵と策を総動員することで、本来なら倒すのが極めて困難な巨人を倒す……大ピンチからの逆転劇が出来るのだとしたら? やりがいもあるし、面白いに決まっていますよね!  という訳で、シナリオソムリエシリーズ第5弾は、文字通りジャイアントキリングなシナリオ『巨人殺し』をご紹介いたします。webブラウザ上で遊べるWebアプリ形式のプログラミング技術も素晴らしい、もるもさんより頂きました。  まずはご本人から紹介して頂きましょう! ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞読者の皆様はじめまして、もるもと申します。 普段はnoteでローグライクハーフの自作シナリオなどを公開しております。 このたび拙作シナリオを紹介する機会を頂きましたので、僭越ながら記事を書かせていただきました。 ご一読いただけますと幸いです。 紹介シナリオ:「巨人殺し」 ジャンル:ファンタジー 形式:d33 世界観:共通世界(アランツァ) 難易度:普通 プレイ時間:15〜30分 適正レベル:13〜15 対象年齢:10-99歳 シナリオの公開場所:https://note.com/morumo16_7/n/ndfde2f17a9c8 本シナリオはWebブラウザ上で実行するWebアプリ形式で公開しています。 画面上のボタンをクリックすることで対応する出来事の内容が表示されます。また一部の出来事では、ゲームブックのように出来事の中で選択肢が表示され、選んだ行動によって展開が変化します。 ■シナリオのコンセプトについて ローグライクハーフには「巨大生物」という種類のクリーチャーが存在します。防御点1点を持つため、通常の攻撃ではダメージを与えることが出来ない非常に強力なクリーチャーです。まさにボスキャラとも言える存在ですが、その強力さ故に扱いが難しく、いつかシナリオに登場させたいと思っていました。本シナリオでは、主人公だけでなくNPCを含めた味方が一丸となって巨大生物に対抗する物語を描いています。 3部構成となっていますが、1回1回の冒険は比較的短時間でプレイ可能な内容になっていますので、お気軽にプレイしてみてください! ◇◆◇◆◇  ご紹介ありがとうございました!  もるもさんの作品は、どれもweb上で遊べる仕様になっているのですが、まず遊びやすい! というのが特徴の一つかなと思います。次のできごとが何枚目であるのか、最終イベントは何枚目なのか、というのが、一人で遊んでいると分からなくなる事がたまにあったりします。もしかしたらうっかり屋の天狗ろむだけかもしれませんが……ですが、もるもさん式webアプリではその点はプログラム上でやってくれますので、とても安心ですね。選択肢が出てくるときは、選んだ方の展開しか表示されないので、選ぶ時のドキドキ具合は、ゲームブックで指定されたパラグラフに飛ぶ時の感覚と似ています。そうなってくると他の選択肢も気になるので、周回して遊ぶのもより楽しい作品になっているかなと思います。  あらすじとしましては……。  ラドリド大陸南部に位置する商業都市ナゴールの南、ブランシェン山から連なる山岳地帯が舞台です。  その山麓付近に、30フィートを越える、荒ぶる巨人が現れ、近隣の村々を襲っているのです。30フィートはメートルで言うと9.144メートルだそうですから、10メートルは優に越えているのでしょう。現代にあるもので例を出すなら、電柱が8〜10メートル。それでいて筋骨隆々、大きな棍棒を振り回してくるのですから、何の備えもない〈弱いクリーチャー〉ばかりの村人たちでは、とても太刀打ちできません。冒頭では、とある少年の家族が襲われるショッキングなシーンも……!  早急に巨人討伐を……といきたいところですが、ナゴールは北方に好戦的なドラッツェンが座しており、軍隊の大半はそちらの警備で動けません。南方カラメールとの国境の警備を行っている部隊が討伐に赴きましたが、返り討ちに遭い半壊してしまいます。そんな訳で、本来はナゴール市内の警護を主とする、イングリッド隊長率いる衛士隊に白羽の矢が立ちました。このイングリッド隊長は、もるもさんの作品『腐った金貨』にも登場している、頼もしく格好良い印象の女性です。  本来の警護も行いながら、難易度の高い任務を完遂しなければならなくなったイングリッド隊長は、冒険者達に協力を求めます。その求めに応じたのが、あなたのPC(主人公)という訳ですね。  まずは巨人の居場所を突き止め、次に対巨人の攻撃手段を探し、最後には討伐! という流れになっています。  今回の敵である巨人は、もるもさんのご紹介にある通り、「防御点」というものを1点持っています。これは1点ダメージの攻撃を無効としてしまうので、2点ダメージの攻撃でなければダメージを与えることができません。つまり、通常の【攻撃ロール】は通用しないのです。とは言え、主人公が2点ダメージを与えることのできる【特殊技能】を持っていなくても、シナリオを進めると対策方法が見つかる可能性があります。むしろ持っていない主人公にこそ、是非とも挑んで欲しいシナリオです。勿論、【氷槍】などを覚えていた方が任務の成功率はぐんと上がりますけれどもね!  シナリオ1つ1つはd33形式で、1つにつき1回の冒険なのですが、今回のお話は3本仕立てのキャンペーン仕様です。舞台は一緒なのですがシナリオを1つクリアするごとに時間が経過しており、できごとによっては様々な変化があります。それもまた、徐々に巨人の被害が広がっている様を表していて、何とか食い止めなければ……! という気持ちになったりも。  また、今回の作品は巨人に村を襲われ、復讐を誓う少年と、厳しくも慈愛のあるイングリッド隊長の交流も見どころかなと思います。最後の方には、もしかしたらどこかで聞いた事もあるかもしれないワードも飛び出してきますよ。ヒントは、「世界で2番目に古いTRPG」。もるもさんにお尋ねしてみたら、「異国魔法ならぬ異世界の魔法ですね」との事でしたが、恐らくはアランツァと親和性がある世界なのではないかなと思っております。天狗ろむがそちらについてはまだまだ勉強中の身なので、これはこの辺りで切り上げさせていただきまして……。  シナリオタイトル通り、果たして『巨人殺し』を成し遂げることは出来るのか。  全てを失った少年の運命は如何に。  歯ごたえ抜群、激アツ&胸アツなストーリーは、クリアできた時に叫びだしたくなるほどの感激をもたらしてくれるでしょう!  是非ともあなたに遊んで頂きたい、おススメシナリオです!    プレイしてみた感想は、FT新聞の感想フォームからでも、作者さん自身に直接でも、どうぞお気軽にお寄せください!  それでは、今回はここまで。次回のシナリオ紹介記事にてお会いしましょう。  貴方に良き冒険のあらんことを!  天狗ろむでした! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年6月20日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第697号 FT新聞 No.4896

From:水波流 梅雨入りとともに庭で伸び始めたドクダミを摘んで、乾燥させ、焙煎して、ドクダミ茶に。 しかし癖がありすぎる風味に閉口して、なかなか飲む手が進みません……。 まだ庭にはだいぶ生えているのですが……。 From:葉山海月 妙な話ですが、今も起こり続ける殺人事件・戦争。 彼らは「幽霊」つーかそんな死後の存在が、「無敵の殺人鬼になって帰ってくる」のが怖くないんでしょうか? いやね。夏場だから怪談じみた妄想を…… From:中山将平 僕ら、今月6月28日(日)に以下の2つのイベントにサークル参加します。 ・「トロールコン名古屋1」開催地:ラルゴ会議室 ・「ゲームアンティーク2026」開催地:大阪・西九条 此花会館 配置:【03】 お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (く)=くろやなぎ (天)=天狗ろむ (葉)=葉山海月 (明)=明日槇悠 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■6/14(日)~6/19(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年6月14日(日)清水龍之介 FT新聞 No.4890 Re:オレニアックス生物学 Vol.4 『ウォードレイク』 ・過去の人気記事の再配信として、聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義をお届けしました。 今回のテーマであるウォードレイクは、ローグライクハーフにも【龍族】【騎乗生物】のタグをもつクリーチャー〈ウォー・ドレイク〉として登場します。莫大な維持コストと従者点を必要としますが、中級レベルの冒険者なら、敵として戦うだけでなく一緒に冒険することも可能です! 以前からFT新聞を購読されている方なら、ぜろ氏による『戦場の風』(著:丹野佑)のリプレイを読み返してみるのもオススメです[2025/03/05〜06/11、ゲームブック版+ローグライクハーフ版、全11回+4回]。今回の講義で語られたウォードレイクの強さや飼育の大変さについて、その実際がよくわかる展開・描写がありますよ! (く) 2026年6月15日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4891 アランツァへのいざない アランツァ百氏族3 ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載、今回のお話は「氏族」についての最終回です。 カラメールやゴーブなどを拠点とする氏族の他、最後の方には、失われた一族なんてものも……彼らの生き残りもアランツァのどこかにはいるのでしょうか? 何だかお話に繋がりそうな香りがします。 百氏族(正確には89氏族ですが)の中で、気になる氏族、好きな氏族はいらっしゃいましたか?  良ければ是非教えてくださいね! (天) 2026年6月16日(火)丹野佑 FT新聞 No.4892 Re:ゲームブックとホラー(中)@20代からのゲームブック125 ・『巨大樹の迷宮』『戦場の風』などの著者である丹野佑氏による、10年ほど前にFT新聞で連載されていたコラムの再録シリーズ。先週からは「ゲームブックとホラー」をテーマとする回を3週連続でお届けしています。 「ゲームブックが構造的に持っている要素のいくらかは、そもそもホラー的である」という丹野氏。今回は、次のパラグラフを探して移動する、というゲームブック特有の構造に着目し、そこで生じる適度な「間」や「ストレス」の意味について語ります。 今回の丹野氏の考察は、特に紙媒体のゲームブックによく当てはまるもののように思います。では、電子媒体のゲームブック、あるいは「ゲームブック風」のアプリや電源系ゲームの場合、こうした「間」や「ストレス」の要素はどうなっているのか……といったことを考えてみるのも面白いかもしれません。 (く) 2026年6月17日(水)ぜろ FT新聞 No.4893 第1回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第496回。また新たな物語が始まります。今回は『巨大樹の迷宮』に収録のd33シナリオ『蜂竜の森』。こちらに挑むのは、以前『巨大樹の迷宮』を見事クリアした、少年タイガと、妖狐フォルネ、魔猫ニャルラの一人と二匹。再びの登場です! 冒頭からクライマックスめいた展開で始まった今作。蜂竜とは? 王蜜とは? (魔)猫に蜂蜜って大丈夫なの? なんて色んな疑問もありますが、今回はプロローグ部分にあたりますので、その辺りをしっかりタイガたちと共に追っていきましょう。 (天) 2026年6月18日(木) FT新聞 No.4894 齊藤飛鳥・小説リプレイvol.45『銀鼠の微睡』リプレイ  ・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥氏によるゲームブックリプレイをお届けしました。 今回は、3月22日(日)に公開された、かの電脳大先生の最新作! 『銀鼠の微睡』(FT新聞 No.4806) それを齊藤飛鳥氏が熱筆! 「大正時代を舞台にしているとのあらすじに、日本史好きかつ探偵小説好きの血が騒ぎ、さっそくプレイしました^^♪」と言わしめただけある、ところどころに香る「江戸川乱歩」を彷彿とさせるフレーバーは、さすがミステリ作家とうならされます! そのアレンジをご堪能あれ! (葉) 2026年6月19日(金)休刊日 FT新聞 No.4895 休刊日のお知らせ  ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (ジャラル アフサラールさん) 『ズィムララ美食紀行』 参考になりました。メソポタミアの伝説のキンピカ鎧を着た王様が出るゲームのアニメで主人公達がチーズケーキを御馳走されていましたが、実際に当時の粘土板にウルクの宮殿のケーキの記載に「バター1シラ、白いチーズ1/3シラ、デーツ3シラ、レーズン1/3シラ」と記されているそうで、美味い物を食いたいと言う欲望は昔からあるんですね。 (お返事:ふろふき大根) ジャラル アフサラール様、『ズィムララ美食紀行』をお読みいただきありがとうございます。 メソポタミアのキンピカの鎧の王様は、けっこう良いものを食べていたようですよね。アニメは拝見していないのですが、有名なレシピのようで、現代に再現しようと頑張った方がけっこういらっしゃるようですね。 叙事詩のエンキドゥがパンとビールで野獣から人に目覚めたように、美味しいものを追求する心は、人類が野性から文明へと向かうための「人間性へのエンジン」だったのだと感じます。 キンピカの鎧の王様は、別な冒険では三つ指のトカゲなども食されていましたっけね。 何千年も前の人々が、現代の私たちと同じ熱量で食を楽しんでいたと思うと、とても親近感がわきます。 遥か宇宙の彼方惑星ズィムララでも、移住したエヂプトの民が創意工夫を凝らしたレシピができていると思います。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年6月19日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4895

おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年6月18日木曜日

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.45『銀鼠の微睡』リプレイ FT新聞 No.4894

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる TRPG小説リプレイ Vol.45 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 御無沙汰しておりました、齊藤(羽生)飛鳥です。 先日、FT新聞様を拝読した折り、絶妙なタイミングでゲームブック『銀鼠の微睡』が掲載されていました。 大正時代を舞台にしているとのあらすじに、日本史好きかつ探偵小説好きの血が騒ぎ、さっそくプレイしました^^♪ 本当の主人公は書生風の青年なのですが、「主人公は自分と同性にする」という鋼鉄のマイルールにより、主人公は女学生になりました。 ところで、せっかく舞台が大正時代なので、雰囲気を出そうと、主人公は江戸川乱歩好きになりました。当時の自称良識ある紳士淑女からは「変態小説」と見做されていた探偵小説が好きな主人公は、クトゥルー世界に迷いこまずとも、すでに茨の道を歩んでいたことになります。 さらに大正の雰囲気を出そうと、似非旧字体な話し方を主人公にさせてみました。あくまで「似非」なので、表記や文法にミスがあると思いますので、その辺りは生暖かい目でお見守り下さいませm(_ _;)m 最後になりますが、今月6月22日に拙作『御成敗式目の殺人』(中央公論新社)が刊行されます!! 今回は、北条泰時と北条時房を探偵役に据え、彼らが御成敗式目作りと謎解きにいそしむ本格ミステリであり、なおかつ、私の作品タイトルで初めて「殺人」がつく作品です^^ ※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ゲームブック 『銀鼠の微睡』リプレイ 齊藤(羽生)飛鳥 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■序章 大正十五年、秋。 帝都・東京は、奇妙な色の霧に包まれてゐます。浅草の活動写真の帝國館も、寛永寺に保管されている頭のもげた上野大佛様も、何もかもあの霧の海の底に沈んでしまってゐるのでせう。 斯様な感慨に耽ったのち、わたし──下げ髪を白いリボンでまとめて紫の矢絣の小袖と海老茶袴の女学生・霧生千秋(きりう・ちあき)──は、有り得ないものを目の当たりにしてしまいました。 三年前の関東大震災で倒壊した浅草十二階……凌雲閣が、まるでもぎ取られた指先のやうに霧の海から突き出してゐるのです。 嗚呼、どうしたことでせう。 友人から今年の一月に出版された江戸川亂歩の『屋根裏の散歩者』を借りて、彼女の家を出ただけなのに、この奇妙かつ不可解な光景。胸騒ぎを覚ゑずにはゐられません。 早く家に帰ろうと、わたしは速足で歩き出しましたが、しばらくもしないうちに自分が何処を歩いているのか分からなくなってしまいました。 『屋根裏の散歩者』を胸に抱きながら、恐る恐る歩き続けると、カツン、カツンと自分の編み上げブーツの音だけが、不自然なほど明瞭に響きます。 ふと見れば、路地の角に一軒の古書店が佇んでゐます。看板には『星辰堂』と掠れた文字で書かれてゐました。店主と思わしき、顔に深い皺を刻んだ老翁が、店先で一冊の黒い装丁の書物を広げてゐます。表紙には忌まわしい星のやうな紋章が焼き付けられてゐました。 老翁は顔を上げず、掠れた声で呟いてゐます。 「……お若いのは、夢を探しておられるのかな。それとも、目覚めを……」  これは、亂歩がサインに書き添える「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」を踏まへてゐるのでせうか。 「あなたも亂歩がお好きなのですか。そちらも亂歩の本なのですか? 」 わたしが歩み寄り、その書物について問ふと、老人はニタリと不気味な笑みを浮かべました。 「これは、海の底に沈んだ都市の詩集さ。あるいは、星々が正しき位置に並んだ時にのみ読める地図、とも言える」 差し出された頁には、文字とも図形ともつかぬ、のたうつ触手のやうな紋様が蠢いてゐます。それを見た刹那、わたしの脳裏に、水死体のやうな青白い肌を持つ巨大な異形が、深海で微睡む光景が走馬灯のやうに駆け巡りました。 強烈な眩暈が、わたしに襲ひかかります。 わたしは心を削られるやうな思ひをしながらも、その書物に強い好奇心を抱いてしまいました。 「その詩集の作者はどなたなのですか?」 わたしが書物に手を伸ばすと、老人の姿は霧のやうに掻き消えてしまいました。 手元に残されたのは、冷たく湿った革表紙の感触だけです。表紙には、銀色の糸で『ルルイエ異本』と刺繍されてゐます。 耳鳴りのやうな、あるいは無数の羽虫が這い回るやうな低い声が聞こゑてきます。 「……開け……門を……」 わたしがその頁をめくると、周囲の景色が激変したではありませんか。関東大震災よりも激しく浅草の街並みは崩れ去り、垂直にそびえ立つ巨大な石柱と、非ユークリッド幾何学に基づいた歪な建築物が並ぶ、太古の都市へと変貌を遂げていきます。 空には、本来あるはずのない「二つの月」が浮かんでゐます。 わたしは理解しました。ここは帝都であって帝都ではない場所なのだ、と……。 わたしは、背筋に冷たいものを感じます。 背後で老翁の低い笑ひ声が聞こゑた気がしましたが、振り返る勇気はありませんでした。 霧はますます濃くなり、ついには数歩先も見ゑなくなりました。ふと、足元に違和感を覚ゑました。石畳だったはずの地面が、じっとりと湿り、まるで巨大な生物の舌の上を歩いてゐるやうな、厭な弾力を帯び始めてゐます。 どこからか、笛のやうな、しかし生き物の鳴き声のやうな、不協和音が聞こゑてきます。 「テケリ・リ、テケリ・リ……」 意識が覚醒した刹那、わたしの肺腑を突いたのは、沈殿した時間と微かな腐敗臭が混ざり合う、かの忌まわしき洋館の空気でありました。大正建築の粋を極めたはずのその広間は、しかし柱の角度がどこか狂っており、視神経を苛む非ユークリッド的な歪みを帯びてゐます。壁に掛けられた古時計は、心臓の鼓動を嘲笑うかのやうに逆行し、硝子窓の向こうには、この地上のものではない、悍ましき紫色の星辰が脈動してゐました。 わたしは、血のやうな赤の絨毯が暗い奥底へと続く、廊下を凝視しました。すると、かそけき光が見ゑます。 「無断でお邪魔して恐れ入ります。わたしは、高等女学校の学生・霧生千秋といふ者です。どなたかいらっしゃいますか?」 わたしは何度もこの館の住人へ呼びかけながら、光を頼りに廊下を進みました。 廊下の分厚い絨毯は、わたしの編み上げブーツの足音さえ吸収してしまいます。 この世界に、わたしという人間は実在してゐるのでせうか?  そんな不安とも愚問ともつかない思ひがよぎりましたが、わたしは気を取り直し、お守りのやうに『屋根裏の散歩者』を抱きしめて廊下の彼方のかそけき光へ進み続けました。 ようやく光に到達すると、広大な食堂でした。 そこには、蝋燭の火が青白く揺らめいてゐます。食卓を囲む黒天鵞絨の燕尾服に身を包む紳士たちが見ゑました。ようやく出会えた館の住人たちです。わたしは安堵しました。 喜び勇んで食堂に入り、彼らへ声をかけやうとした刹那、彼らの襟元から覗く首筋が鱗に覆われていることに気がつきました。 「あなた方は、いったいどのやうな方々ですか?」 失礼かもしれませんが、わたしはさう問はずにはいられませんでした。 「我らは名もなき『モノ』たちです」 彼らの一人が答えてくれました。しかし、それきり貝のやうに黙りこんでしまいました。 彼らの前の皿には、煮えたぎる胆汁のやうな液体の中で、死んだ魚の眼球に似た何かが、不気味に明滅しながら蠢いてゐます。マグロの目玉でせうか。だとしたら、異国風な味付けを施されているのでせう。このやうな料理は、生まれて初めて見ます。 その時、これまで影のやうにテーブルのそばにゐた、感情を失ったやうな面構への給仕が、わたしをテーブルに導きます。 さうして、胃の腑を焼くやうな、冒涜的な芳香を放つ料理を口にするよう促してきました。 「サアサ、お嬢さん。召し上がれ」 名もなき『モノ』たちが、これまでの沈黙を破り、声をそろへて料理を勧めてきます。 招かれざる客であらうわたしへ、親切にも食事を勧められては、断るわけにはいきません。 「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えてさせていただきます」 わたしは、ナイフとフォークを手に取り、食事を始めました。 「いかがです。美味なものでしょう」 名もなき『モノ』たちが、わたしに問ひかけてきます。 「ええ。肉片を噛み締めた瞬間、わたしの脳髄は宇宙の深淵に投げ出されました。時空の壁が崩壊し、数億年前の地球を支配していた多頭の怪物の記憶が流れ込んでくるやうな味はひです」 まさか、せっかく振る舞っていただいた料理を不味いとは言へず、わたしは言葉を選んで取り繕ひました。 けれども、体は正直です。 あまりの不味さのためでせうか。喉元からは人間のものではない咆哮が漏れ、指先は急速に水掻きを伴う鉤爪へと変貌していきました。 沸き上がる破壊衝動に身を任せ、わたしは獣として覚醒しました。 もはや、わたしの骨格は人間の形状を保ってゐませんでした。背中を突き破って生えたのは、膜状の巨大な翼。視界は三基の色層を捉へ、思考は人類の言語を捨て去り、外なる神々の意志を直接受容し始めました。 いくら料理が不味かったとは言へ、我を忘れたにもほどがあります。 このままでは、せっかく友人から借りた『屋根裏の散歩者』を読めなくなってしまいます。 いいえ、これからも紡がれていくであらう江戸川亂歩の作品を読めなくなるなど、耐えられません。 わたしは最後の精神力を振り絞り、かつて「人間」であった自分の、消えゆく残影を追い求めました。 追い求めるうちに、わたしは雨に濡れた浅草の路地に立ってゐました。けど、そこにあるのは馴染み深い帝都ではありません。鏡合わせのやうに左右が反転し、人々の顔は溶け落ち、ガス燈からは黒い煙が立ち昇ってゐます。まるで、地獄絵図のパノラマのやうです。 これはわたしの脳が作り出した、最後の「現実の残骸」なのです。 誰に教わるともなく、わたしは直感でわかりました。 では、今のわたしは誰でせう?  わたしは鏡の街の深奥へ、自己の正体を確かめに向かひました。 深海に揺らめく海藻のやうな街路樹。 異形の獣となったわたしさえ霞むやうな、冒涜的な容姿の通行人たちの間をすり抜け、二つの月に見下ろされながら、わたしはただひたすら街の深奥と思われる場所を目指して突き進みました。 コツッ、コツッと、編み上げブーツの音ばかりがわたしの耳に響きます。 やがて足音は、コォン、コォンに変わっていきました。 ふと足下を見れば、石畳の歩道は分厚いガラス道へと変わってゐるではありませんか。 ガラスの下には、橄欖石の色をした油めいた海中を、青銀色の背鰭を煌かせた赤い目をした魚の群れや、どす黒い血の色をした蛸が泳いでゐます。 悪夢のやうな光景を目の当たりにしたわたしは、我武者羅に走り続けました。 気がつくと、わたしは神田の古本屋の前で、『屋根裏の散歩者』だけでなく、手にしていたはずのない一冊の古書を抱えて立ってゐました。帝都のガス燈の光は相変わらず優しく、すべては幻覚だったかのやうに思へます。けれども、店頭にかけられた鏡を覗き込めば、そこにはわたしの皮を被った「何か」が、爛爛とした眼光でこちらを嘲笑ってゐました。 「恐怖を秘し、沈黙の中で余生を過ごす?」 わたしの皮をかぶった「何か」はさう問ひかけてきました。 「ええ。余生は絶対に欲しいです。わたしはここで死ぬわけにはいかないのです。だって、まだ、『屋根裏の散歩者』も、江戸川亂歩の本のすべてを読んでいないのですから」 わたしの願いを嘲笑うかのごとく、わたしの皮をかぶった「何か」は深いな嘲笑を続けました。 「何が可笑しいのですか? 単純な恐怖しか生み出せないあなた方より、複雑怪奇で極彩色、剰へ心を豊かにする恐怖を与へてくれる江戸川亂歩の物語の方がよほど偉大です」 わたしが正気を保とうと足掻き、叫び、わめくうちに、銀鼠の霧は深く、重く、わたしの肺腑を満たしていきます。 どの道を選ぼうとも、この帝都に蔓延る「這い寄る混沌」からは逃れられないのです。 しかし、『屋根裏の散歩者』を読む前に、死にたくありません。わたしは、渾身の力で古書を放り捨てました。 古書は虹色の放物線を描いて二つの月へと飛んでいき、それと同時に紫の星辰に水面のやうな波紋が広がっていきました。これに伴ひ、周りの景色が大きく揺らぎ出していきます。 わたしは、必死に『屋根裏の散歩者』を抱きしめました……。 『衛府帝新聞』大正十五年十月一日(金)の記事より抜粋 ●海老茶式部、一夜にして白髪に 『屋根裏の散歩者』が謎を解く鍵か 「九月三十日未明。浅草の路地裏で、『屋根裏の散歩者』を抱きしめた一人の女学生が倒れているのが発見された。 近隣に住む友人の証言で、彼女は骨董商霧生九太郎氏の次女で高等女学校の学生霧生千秋(十七)と判明した。 体には外傷一つなかったが、その髪は一夜にして銀鼠色に染まり、瞳からは光が失われていた。 彼女はうわ言のように、誰も知らない神の名を呼び続けているという。 ただ、その神の名に紛れ、ときどき「大亂歩、大亂歩」とかろうじて聞き取れる言葉があった。 我ら衛府帝新聞記者達は、作家江戸川亂歩氏と心霊学者森梟夫氏の二名に意見を聞きに行く所存である。……」 『銀鼠の微睡』リプレイ── 完 ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 齊藤飛鳥: 児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。 現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2025年までに6巻が刊行中。2026年春に、7巻が刊行。 大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)、同年5月29日『歌人探偵定家 弐』が刊行。同年6月22日には、『御成敗式目の殺人』(中央公論新社)が刊行予定。 初出: 本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。 ■書誌情報 日曜ゲームブック 『銀鼠の微睡』 著:森梟夫 監修:水波流 2026年3月22日FT新聞配信 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年6月17日水曜日

第1回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4893

第1回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「蜂竜の森」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●蜂の騎士VS甲虫の騎士 人の身体ほどもある巨大な二匹の昆虫が、空中で激突を繰り返している。 二匹は円弧を描くように動き、体当たりをし、また離れる。 一匹は黄色と黒の特徴的な縞模様の、樽のごとき胴体を持つスズメバチ。 もう一匹は優雅に湾曲した二本の長いツノが特徴的なカブトムシだ。 僕たちはその状況を、地上から見守っている。 ここは森の中の開けた場所で、色とりどりの花が咲き乱れる花園のようになっている。 けどその花園は、ところどころから煙と火の手が上がっていた。 巨大なスズメバチが発射する赤熱化した針によるものだ。 やがて、巨大なスズメバチは、空中でなんと人型に「変形」した。 左腕に鋭い針が飛び出すシールドを構え、直線的なシルエットのそれは、さながら「蜂の騎士」だ。 「ジジ……ギギギギ……」 顎を軋ませるような叫び。 対する巨大なカブトムシもその動きに対応し、同様に人型に「変形」していた。 「チェーンジ! ヘラクレスナイト!!」 こちらは、僕たちにもわかる言葉で変身のかけ声を放っていた。 「かぁ〜っこいい!!」 僕と一緒にいる、夜空に星をちりばめたような艶やかな毛並みの子猫が、瞳をキラキラさせて感嘆の声をもらす。 僕も同じ思いだった。巨大な昆虫が人型に変形して戦うなんて、ロマンが過ぎる!! 戦いの危地にあることも忘れそうだ。 「タイガさま、危ない!」 僕と一緒にいるもう一匹、銀毛で三本尻尾の狐がそう警告する。 変形した蜂の騎士は、目の前のヘラクレスナイトではなく、地上にいる僕たちを狙ってきた。 僕たちの方に向かい、針のついた左腕を伸ばす。そこから、火炎が放射された。 「む。いかん」 ヘラクレスナイトの動きは素早かった。 僕の前に立ちはだかり、甲虫の盾でその炎を防ぎきる。 「平気か少年。安心したまえ。君は私が守る」 「ありがとうございます。フォルネ! ニャルラ!」 「いきます!」「アタイも!!」 僕の身の安全が確認できたところで、銀毛の狐フォルネと、星空色の子猫ニャルラは蜂の騎士に向かって突進していった。 「ふむ。ならば見せてもらおうか。君のお供たちの実力を」 僕の前で盾になりながら、ヘラクレスナイトは楽しげにそう言ったのだった。 ***** 僕はタイガ。銀毛の妖狐フォルネと、星空色の魔猫ニャルラを連れて旅をしている。 ここから、どうして僕たちが蜂の騎士と戦うことになったのか、そうして、その先にある今回の冒険の目的について、お話していくよ。 ■ローグライクハーフとは ——想像の、旅に出よう。 ローグライクハーフのリプレイへようこそ! 「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、そんなローグライクハーフのシナリオを実際にプレイした様子を物語風に記述したもの。 自分がプレイした様子を、想像力のおもむくまま、冒険小説として仕立てています。 さらに、実際にどんなプレイをしたのかの[プレイログ]もついています。 プレイ風景を知りたい方、自分のプレイとの違いを楽しみたい方、純粋に物語を楽しみたい方、いろんな楽しみ方ができる、それがリプレイの魅力です。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑むのは、ローグライクハーフ「蜂竜の森 〜竜の蜜は危険なお味〜」になります。 「蜂竜の森」は、ローグライクハーフのサプリメント「巨大樹の迷宮」に収録されているd33シナリオです。 「蜂竜の森」と同じく、カラメールという都市の周辺を舞台にした作品ですね。 目的は、「蜂竜の王蜜」なる特別な食材を手に入れること! そこで、「巨大樹の迷宮」で活躍した、タイガ、フォルネ、ニャルラに再登場してもらうことにしました。 だって、こんなおいしそうな依頼、ニャルラが飛びつかないわけないですものね。 でも待って。その依頼、本当に受けて大丈夫なの? 蜂蜜は、人間の赤ちゃんには与えてはいけない食材のひとつ。 それは、人間の赤ちゃんは蜂蜜に含まれる可能性があるボツリヌス菌を無害化する力を持っておらず、健康を害するリスクがあるためです。 「蜂竜の王蜜」はもちろん、蜂蜜と同じではありませんが、同様の特性があることは字面から想定できます。 ちょっと調べたところ、猫に蜂蜜を与えるのは問題ないようです。 しかし、それには条件があって「子猫には与えてはいけない」とありました。 そしてニャルラはまだ子猫。 王蜜と蜂蜜、猫と魔猫の差異はあれど、与えるのはあまりよろしくないようですね。 プレイヤーはそんな予備知識を得ておりますが、それで止まるニャルラではありません。 さて、食材を求めるこの冒険がどのような経過をたどり、どのような結末を迎えるのか、皆さまと一緒に追いかけたいと思います。 その前に、私ぜろによる「巨大樹の迷宮」ローグライクハーフリプレイをお読みでない方のために、主人公たちのことをもう少し詳しく説明させていただきましょう。 まずは人間の少年タイガ。 この物語の主人公です。年齢は11歳になるかといったところ。 ただし、ローグライクハーフのルール上は、「戦わない従者」の「荷物持ち」という役割になります。 ハルトという人物の行方を追っているという目的がありますが、行方の手がかりはつかんでおらず、その理由はまだ明かされていません。 困りごとを抱えた人物を「ほっとけない」性格をしており、そのことでいろんな事件に首をつっこんでしまうタイプです。 続いて、フォルネ。 ヒーローズオブダークネスにて紹介される<妖狐>という種族です。妖力を持った狐のあやかし。 三本尻尾の銀毛の狐。和装の美少年に【変化】できますが、基本は狐モードです。 タイガのことを心底大事に思っており、彼のためなら命を差し出すこともいとわないという危うい側面もあります。 ルール上は、タイガはフォルネの従者ということになります。ストーリー上は逆転していますが。 そして最後はニャルラ。 ヒーローズオブダークネスにて紹介される<魔猫>という種族です。高い知能を持つ猫のクリーチャー。 いつも艶やかな毛並みを「星空」にたとえられています。 魔猫は本当は巨大な猫なのですが、このリプレイの方の世界観に寄せて、魔猫の子猫にしてしまいました。 ちっちゃな気まぐれ猫ちゃんです。 でもタフネスで、抜群の戦闘力を持っています。 このキャラクターたちの着想は「ポケモン」にあります。 そのためこのリプレイは、本来のアランツァのダークな世界観よりも、ややコミカルで明るい方向性を目指しています。 だからこんな少年が世界を旅していても、軽いツッコミしか入りません。 主人公たちだけでなく、その他の登場人物やクリーチャーたちも、ややアニメ調のノリや外見を意識していただけると良いですね。 それでもたまに、アランツァ世界の過酷さとか設定のシビアさが顔をのぞかせることもあるかもしれません。 このひとりと二匹の初登場は、「巨大樹の迷宮」リプレイ。 そこで彼らは、オウカンワシにさらわれた「コーネリアス商会」の当主の娘コンスタンサ(愛称はコニー)を、巨大樹を登りつめて助け出しました。 さらには頂上にて、巨大樹が枯死しかけている事態を発見し、対処したのでした。 この物語は、そんな彼らがカラメールのコーネリアス商会を尋ねたところから始まります。 さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 また、本リプレイではランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めながら冒険を進めていきます。 サイコロを振ってイベントが決まったら、イベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていくこととさせていただきます。 彼らの織りなす冒険を、ぜひ楽しんでください。 ●アタック01-1 ニャルラと蜂竜の王蜜 ここは冒険都市カラメール。 僕たちがコーネリアス商会にお世話になって、十日くらいが過ぎていた。 「ニャールちゃんっ」 コニーが呼びかけるとニャルラは、「アタイはそんなに安い女じゃないのよ」と言いながら、全力でじゃれついている。めちゃくちゃ楽しそうだ。 僕は小判を模したふっくらとした焼き菓子をいただきつつ、湯呑に注がれた熱いお茶をすすって、ほっと一息。フォルネは僕の膝の上ですっかりくつろいでいる。 僕たちは、さきの冒険でオウカンワシにさらわれたコニーさんを助け出した。 そのとき、別の用事があってすぐにカラメールに行けなかったから、後で行くねって約束していたんだ。 それで、巨大樹の冒険を終えたあと、ようやくコーネリアス商会を訪ねた。 コーネリアス商会の当主、ヴァンダービルドさんは僕たちを歓待してくれた。 コニーさんが学園に行っていて不在だとかで、会いたがっているから戻るまで待ってほしいと懇願され、そのまま滞在することになった。 コニーさんは一昨日戻って来たんだけど、今度はそのコニーさんから引き留められて、ずるずると居残っているって状況だ。 ヴァンダービルドさんが僕にお礼をしたいというので、僕は、僕の旅の目的である人探しのことをお願いした。 ハルトの特徴を伝えると、ヴァンダービルドさんは、商会の総力を挙げて探そうと約束してくれた。 けれど、今のところは有力な手がかりは得られていない。もしかしたら、この地方にはいないのかも。 そろそろ、次の場所に旅立つころあいかもしれない。 ヴァンダービルドさんは忙しく動き回っている人なので、いつもいるわけではない。 ここまでお世話になったのだから、勝手にいなくなるのも気が引ける。 そう思っていたら、ちょうどタイミングよく、ヴァンダービルドさんの方から僕のところに会いに来てくれた。 ヴァンダービルドさんは、もうひとり壮年の男性を連れていた。僕が知っている人だ。名前はクックロッドさん。 いつもおいしいお菓子を届けてくれる、コーネリアス商会お抱えの料理人。実はさっき食べてたお茶菓子も、クックロッドさんが持ってきてくれたものだ。 僕の方から、そろそろ出発しようと思うんです、と切り出したところ、ヴァンダービルドさんは「まあ、待ちなさい」と引き留めてきた。 でも、いつもの引き留め方とはちょっと違う。何か理由があるっぽい。 「実は今、カラメールに『非常事態宣言』が発令されていてね」 非常事態宣言?! それは、ただごとではない響きだ。 「いったいなにが起きているんです?」 「タイガくんは、『百竜の森』を知っているかな?」 そう尋ねられたけれど、僕にはわからない。 僕は旅人。ここで育ったわけじゃないからだ。 ヴァンダービルドさんは説明してくれた。 カラメールからやや離れたところにある白い繭に覆われた森。 そこが「百竜の森」だという。 その森の中には、未知で異形なクリーチャーが生み出され続けている。 特に竜の形態をしているものも多く、それでつけられた名が「百竜」というわけだ。 そして、ここからが肝心なところだ。 この「百竜の森」の繭は、年に一度、張り直しの時期を迎える。 それは繭の中にいる、未知なるクリーチャーたちが、外界に出てくるタイミングでもある。 「そうした未知のクリーチャーを狩るために発展したのがここ、冒険都市カラメールというわけだ」 そうだったんだ。 歴史を学んでいるみたい。 「今出ている非常事態宣言。これは『百竜の森』の繭が解けた際に、『蜂竜』が放たれたことによるものなのだ」 蜂竜? 「そう。スズメバチとドラゴン、両方の特性を合わせ持つ、巨大で恐ろしいクリーチャー……」 それが、カラメールと百竜の森の間の森林地帯にて巣作りをしているところが目撃されたのだという。 繁殖されると、このうえなく厄介な魔物。 「なるほど。それはたしかに非常事態ですね」 フォルネも深々と納得して頷いている。 「そんなわけで、君たちには安全のためにも、非常事態宣言の解除まではここにいてもらいたいのだよ」 内容については理解した。でも、僕の関心はそこではなかった。 その話をしに来たのなら、どうして料理人のクックロッドさんが一緒に来ているの? すると途端に、クックロッドさんの目が輝きだした。彼の興味を引くなにかがあるということが一目でわかる。 「実は『蜂竜』の巣で生成される『王蜜』は、極上の食材なのだ!」 「ごくじょ〜のしょくざい!?」 そこまで話もろくに聞かずにコニーさんとじゃれていたニャルラが、ここぞとばかりに食いついてきた。 「カラメールは蜂竜の討伐隊を組織するだろうけれど、我々商会としては『蜂竜の王蜜』の入手を目的とした冒険者を募るつもりでいるわけさ」 クックロッドさんの口調は明らかに熱を帯びている。 このチャンスを逃さずに、蜂竜の王蜜を手に入れたいというみなぎる強い意思を感じる。 そしてニャルラはそれに完全に同調していた。 「はちりゅ〜のおうみつ……味わってみた〜い」 「一口なめるだけで天にも昇るほどの、至高の甘味。それを用いられた料理はいずれも高級にして極上究極の一品となる」 「はわわ〜〜」 僕は、ニャルラが次になにを言うのか、予想がついてしまった。 きっと、蜂竜の王蜜を取りに行こうと……。 「たいが! いこ! アタイたちも、はちりゅ〜のお〜みつ、とりにいこっ!」 僕が予想しきるより早くニャルラが言い出した。 「お待ちなさいニャルラ。子猫のアナタは、蜂蜜をあまり食しては……」 フォルネがそんな豆知識を披露しかけるけれど、ニャルラのほしがりさんは留まるところを知らなかった。 「ハチミツじゃないもん。お〜みつだもんっ」 「実際には蜂蜜を用いたお菓子もお出ししています。調味料として少量使う程度なら問題ないのでは」 「ほらねっほらねっ」 じゃあ、次の冒険は、蜂竜の王蜜探しで決まりかな。 「待ちなさい。君たちの実力は娘の救出で十分理解しているつもりだが、それでも蜂竜はかなり危険な相手だ。倒すことが目的でなくとも、巣の中にある王蜜を手に入れるために、戦いになるリスクも」 「のぞむところなのだ」 「仕方ないですね。準備は万全にしていきましょう。私に少し考えがあります」 「じゃあ、ヴァンダービルドさん、クックロッドさん。僕たちも王蜜探索の冒険者として志願します」 「ううむ。そういうことなら。しかし十分注意するのだぞ。君たちになにかあれば、娘が悲しむ」 「コニー、おみやげにあま〜いお〜みつ、持ってくるのだ〜」 「ふふ。期待していいのかしら」 こうして僕たちは、「蜂竜の王蜜」を求めて森へと入ることになった。 [プレイログ] ・【蜂竜の王蜜】は食料にかけることで生命点を1点追加で回復させる効果がある。データ的にはニャルラが食しても問題ない。 ●アタック01-2 フォルネの事前準備 フォルネがカラメールの町の買い物で購入を強く主張したのは、蟷螂蜂毒という「毒」だ。 これは「蜂カマキリ」という、蜂竜と同じく蜂がベースの魔物から抽出された毒だという。 「毒をもって毒を制す、です」 「レンジュさんが使ってた『植物枯らし』みたいな、ってこと?」 「そうです。巨大なクリーチャーにこそ有効かと」 レンジュさんは怪物狩猟者。 先の巨大樹での戦いで、巨大な毒を吐く植物「ヤドリバナ」に対し「植物枯らし」で対抗していた。 僕たちは蟷螂蜂毒3回分を購入した。 ただ、この買い物は高くついて、巨大樹の冒険で得られたお金のほとんどをつぎ込まなければならなかった。 また、フォルネはしばらく少年の姿でどこかへ行っていた。戻ってきたときに尋ねると、なにやら新しい術を会得してきたという。 フォルネの郷里のものではなく、このあたりで使われている魔術とのこと。 フォルネは「西法術」と呼んでるけれど、僕にしてみたら、ここが西の方って感覚はない。 こうして僕たちは、カラメールの街で準備を整えていった。 今回は高所には行かないと思うけれど、やはりロープは買っておいた方がいいかな。 あとは保存食を買いなおして、と。 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5 魔術点:4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:10 器用点:8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料2 金貨5 1 蟷螂蜂毒 3回分 追加ダメージ1 巨大樹の迷宮P56 2 ロープ 「ではニャルラ、蜂竜について少し復習しておきましょうか」 「えー。メンドい〜」 「森に入ったらどこで遭遇するかわからないのだから、ちゃんと頭に入れておいた方がいいですよ」 「ふ〜い」 フォルネとニャルラが蜂竜について、クックロッドさんに教えてもらったことを振り返っている。 ・巣の外に出ている蜂竜は兵隊で、凶暴。 ・巣の中にいる蜂竜は働き蜂で襲ってはこない。 ・巣は燃えやすいため火気厳禁。 ・蜂竜は赤熱化し、炎を操る個体もある。基本的に火に強い。 「じゃあ、森で会ったらとにかくやっつければい〜のね」 「ニャルラ、私の話聞いてた?」 「きょうぼ〜なのには、先制こ〜げきあるのみ!」 「……まあ、いいでしょう」 準備が整ったところで、いよいよ出発だ。 僕たちは、百竜の森へと繋がる森の小道へと第一歩を踏み出す。 [プレイログ] ・シナリオ導入の助言で【氷槍】があると良いとあった。フォルネは魔術点を伸ばし、新しい魔術として【西法術:氷槍】を取得した。 ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。 コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。通称コニー。オウカンワシにさらわれたところをタイガたちに救われる。 ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。コニーの父親。 クックロッド コーネリアス商会の料理人。蜂竜の王蜜取得に情熱を燃やす。 ■作品情報 作品名:蜂竜の森「ローグライクハーフ」d33シナリオ 著者:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ(「蜂竜の森」収録) https://ftbooks.booth.pm/items/5361362 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年6月16日火曜日

Re:ゲームブックとホラー(中)@20代からのゲームブック125 FT新聞 No.4892

FT新聞編集長の水波流です。 本日は、Reシリーズ・丹野佑氏による『20代からのゲームブック』 元は丹野氏が20代のとき、約3年に渡って書き綴られた名コラムの再録です。 (2014年2月5日 FT新聞No.391〜2016年11月23日 FT新聞No.1412) (編註:文中のコメントは全て当時のものとなっております) ☆★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆  おはようございます。丹野です。  そろそろお仕事が夏休みに入るという方もいらっしゃるでしょう。休みはいいですね。休みだけで生きていきたいです。  非常に日差しが強い時期ですので、外に少し出るだけでも水分補給は欠かせません。  のどが渇いたなと思った時にはすでに水分が足りてない状態ですので、のどが渇く前にちょくちょく水分を採るようにしていきましょう。 ■おさらい  さて、前回に続いて、今回もゲームブックとホラーについてお話します。  前回お話しした中で特に重要なのは、ホラーは「これから起きること」がとても重要です。  実際に人が死んでしまうことよりも、むしろ「これから人が死ぬ」という部分をいかに読者に対して楽しませるかが腕の見せ所といえます。  とはいえ、ゲームブックは選択肢によってストーリーに広がりがあるメディアです。  選択によっては突然死を入れることができますから、「この選択肢を選んだらどうなるだろう?」という想像で、読者をドキドキさせられるわけです。 ■間  ゲームブックはある意味、不思議な媒体です。  ひとつの読み物として話の初めから終わりまで読むとき、ふつうなら順番に頭から読めばいいものを、ぶつ切りにして順番をバラバラにしています。  これはある意味、読者に対してストレスをかける構造になっています。先が読みたければ手を動かしたり、頭を働かせなければなりません。  需要者に上手にストレスをかけるのは、物語では大事です。ストレスがかかると、人間はそこから解放されたい、結末を知って楽になりたいと感じるものですから、先を読み進める原動力になります。  また、その「次のパラグラフを探している時間」が、「これから起きること」についてのジャンルであるホラーにはいい方向に作用することは、ご想像いただけると思います。  パラグラフを探し、読み進めるまでに「間」が生まれます。ホラー映画をご覧になったことがある方なら、間やタメが効果的に使われていると怖さが増すことはわかっていただけると思います。  その意味で、パラグラフを移動している時間は、読者にストレスをかける時間を増やすことになっているので、「間」としての働きをしているわけですね。 ■ストレス  ホラーゲームブックは読者に対していかにストレスをかけるかが重要です。  もちろん、過剰にストレスをかければ読者は読むのをやめてしまいますから、適度に緊張をほぐしつつ、不安感を持続させる必要があります。  いつもなら問題を提示してその解決を読者に介入させるのが通常のゲームブックですが、ホラーではただ読者にご褒美を与えるだけではうまく怖がらせられません。  かといって、読者が何をしても結果がうまくいかないのでは当然、やる気がなくなってしまいます。  このバランスをとりつつ、展開は進んでいるけど恐怖は続いている、という状態でストレスをかけ続けるのが重要なわけですね。    さて、今回は中編。次回は、ゲームブックとホラーについて最も大事なポイントについてお話します。  それでは。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。