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児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.37
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今回は、『汝、獣となれ人となれ』リプレイの導入篇です!
『常闇の伴侶』で初めてローグライクハーフをプレイして以来、ゲームブックにして一人用TRPGでもあるこのゲームにすっかりハマってしまいました。
そこで、来たるべき新たな冒険に向け、自分の冒険者であるクワニャウマの経験点を上げておこうと、ルールに一緒にあった『黄昏の騎士』と、運よくFT新聞様を見た日に出会った『幽霊屋敷の果実酒』を冒険しました。
同時に、前回『名付けられるべきではないもの』で苦戦したので、次回はそうならないよう、ルールを読み直したり、FT新聞様に掲載されていたローグライクハーフの遊び方を読んで勉強したりしました。
このおかげで、クワニャウマの従者点にだいぶ余裕があることに気づけました。
そこへ、うまい具合にFT新聞様にフーウェイの都市オプションなるものが掲載されておりましたので、そちらで初めて冒険開始前に猟犬(戦う従者)を購入しました。
従者に猟犬を選んだのは、「ワンコなら台詞や個性を考えなくてもいいから」という、かなりしょうもない理由でしたが、その分、犬種は自分の好み全開に設定しました。
選んだ動機は不純でしたが、今回の冒険で猟犬達を従者に選んだのは大当たりで、とても助けられました。どのように助けられたのかはまた別の機会に譲るとして、まずは『汝、獣となれ人となれ』について語らせていただきます。
『常闇の伴侶』でマイノリティと宗教問題、『名付けられるべきではないもの』で尊厳死とアイデンティティと、骨太なテーマを扱ってきた〈太古の森〉の冒険ですが、今回は前二作のテーマすべてを網羅してきております。まさに、重量級で鉄骨クラスの骨太っぷりです。それでも重苦しい物語にならないのは、今回の仲間キャラであるクリスティのおかげでしょう。
陽気な関西弁コビット娘で、この物語における光を一身に背負っていると言っても過言ではない名キャラクターの彼女は、ともすれば重厚なテーマの物語を明るく軽やかに彩ってくれます^^
そして、今回旅の仲間がクリスティのおかげで、女の子達とワンコと小鳥という、私の冒険の中で過去最高にかわいいパーティー編成となりました。
きっと、今回はほのぼのとした冒険になるんだろうな☆
……そう思っていた冒険開始直後の自分が、懐かしいです。
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
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ローグライクハーフ
『汝、獣となれ人となれ』リプレイ
その1
齊藤(羽生)飛鳥
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0:プロローグ
わたしの名は、クワニャウマ。
趣味は節約、特技は損得勘定。漆黒の髪とイエベ肌に金褐色の瞳が特徴の、強欲冒険家乙女だ。そのせいか、模範的な魔術師なのに、よく盗賊に間違えられる。
髪はまた切って三つ編みの二つ結びに戻し、いくつかの冒険を経て革鎧と斧を買って装備している。
旅の相棒は、エルフの少女・イェシカ。魔犬獣の毛皮の犬耳付きローブを装備していて、かわいさに磨きがかかっているランタン持ちだ。強欲で損得勘定命の邪悪なわたしに無償で心を開いてくれているし、受け入れてもくれている生ける奇跡だ。ようするに、わたしの宝だ。
ところで、わたしが今もこうしてイェシカと充実した冒険家生活を送れているのは、あるエルフの青年のおかげでもある。
その名は、ファラサール。
自分の命をぶん投げ、無料でわたしの命を救ってくれた彼への恩返しのため、その勇敢な人生を一人でも多くの人間に知ってもらおうと、吟遊詩人を雇って彼を讃える歌を作ってもらうための資金集めが、目下の冒険の目標だ。
そこで、〈太古の森〉の冒険を終えた後、初秋には自治都市トーンへ行って幽霊屋敷へ果実酒の原材料を取りに行く冒険を、晩冬には聖フランチェスコ市へ行って黄昏の騎士退治と、がんばって荒稼ぎをしてきた。
でも、吟遊詩人に歌を作ってもらう料金には、まだまだ届かない。
それに最近、ちょっとイェシカの元気がない。トーンで友達になったミッチという少女と別れたせいかも。
でも、あそこではミッチの祖母を2回も瀕死にしかけたから、正直戻りづらい。
そこで、イェシカの顔なじみがいる蛮族都市フーウェイへ顔を出すことにした。
フーウェイには、何度か来たことがある。
市場のある通りを歩いていると、イェシカが急に立ち止まった。
「どうしたの、イェシカ。何かいいものを見つけたの?」
見れば、イェシカは新しくできた犬舎の前に立ち止まり、食い入るように柵の向こうで思い思いに動き回っている猟犬達を見ていた。
イェシカは耳こそ聞こえないけど、目はいい。
今もきれいな瞳をキラキラと輝かせ、猟犬達を見つめるその横顔は、いくら大金を積んでも見られそうにないほど天使だった。
「最近荒稼ぎして従者を雇う余裕があるから、次の冒険に備えてここの猟犬達を買っていこうか。どの子がいいか、イェシカが選んでくれる?」
猟犬の値段は、一頭につき金貨7枚。
現在の所持金は、金貨153枚。余裕よゆー。
「……で、イェシカが3頭も猟犬を選んだから、いきなり大所帯になったのか」
日暮れ前の蛮族都市の広場で骰子賭博の胴元をしていた、顔なじみの銀狼のまじない師ヴィドが、笑いをこらえながらわたし達を見る。
カリウキ氏族の集落まで行く手間が省けたのでいいけど、意外な副業を持っているものだ。
「チャウチャウっていうの? 異国の珍しい犬種ですごくかわいいんで、イェシカがすっかりメロメロになっちゃってね。名前も付けたんだよね、イェシカ」
わたしが話しかけると、イェシカは慣れた手つきで首から下げていた石板にチョークで言葉を書いていく。
読唇術を習得していて、わたしたちの言語を理解できるイェシカだけど、話せるのは古代語のみ。それだと、下手したら彼女の真の素性がばれる危険があるので、外では用心のため、石板とチョークによる筆談でコミュニケーションを取るようにしてもらっている。
〈向かって左から、雷電。飛燕。月光〉
「……本当にイェシカがつけた名前なのか?」
ヴィドが疑うように私を見る。
「もちろんよ、ヴィド。わたしなら、特売、割引、半額って名付けるわ」
「それもそうか」
「イェシカはその点、おしゃれなネーミングセンスよ。この前の冒険で手に入れたウォー・ドールには、ニコライ・ボルコフって名前をつけていたからね」
「起動した暁には、スクリュードライバーを繰り出しそうなネーミングだな……」
ヴィドは、若干遠い目をしてから、ふと何か思い出したように急に真顔になった。
「そういや、〈太古の森〉に隠れ住む名高い賢人にして闇の魔獣の黒檀のメメコレオウスが、どういう訳だかお前さんをご指名だとよ」
「は? なに? 黒檀のメメコレオウスって誰?」
「ちょっと待ってろ。今、骰子賭博を開く時刻になったから」
そう言ってヴィドは焚火の傍らで獣骨の賽を振る。たちまち歓声が上がり、今日も一仕事を終えた〈男〉たちが賭博の客として集まり、彼の出目に一喜一憂し始める。
「黒檀のメメコレオウスは、お前さんがイェシカと出会った冒険をしていた時から、目をつけていたんだとよ」
骰子を振りながら、ヴィドが言う。
「何それ? イェシカ狙いだったら、灰にしなきゃ……」
「そうドン引くなよ。偉大な賢人なんだから」
「本当?」
うさんくさい賢人に、わたしが警戒していると、イェシカがわたしの背中をツンツンとつつき、石板を見せてきた。
石板には、こう書かれていた。
〈こくたんのメメコレオウス様は、おなやみ相談にのってくれる賢人。会えるのは、とても幸運。声をかけてもらうのは、もっと幸運〉
「〈太古の森〉育ちのイェシカが言うなら、間違いないわね。それで、どんな人なの?」
「俺よりイェシカを信用するのかよ……別にいいがな。話は戻るが、黒檀のメメコレオウスは、醜い老人の顔に獅子の身体と蝙蝠の翼、尾には猛毒の針を持つ魔獣だ」
「賢人なのか魔獣なのかはっきりせいと思ったけど、その両方の外見だから、あの説明だったってわけね」
「とにかく、行って来いよ。俺は御呼びじゃないようだしな」
用事はそれまでと言った風情で、骰子賭博に集中し始めたヴィドにため息をつくと、わたしたちは輪をそっと離れた。
偉大な賢人が、強欲を美徳とする偉大な俗物であるわたしに何の用があるというのだろう?
あわよくば、一攫千金なもうけ話につながればよいのだが。
「ああ、1つ忘れてた」
背中から声が掛けられる。振り返るとヴィドは不可解な表情でわたしをじっと見つめている。
「奴さん、"必ず夜の間に来い"とさ」
金もうけで最も大事なことは、約束を守ること。
よって、遅刻なんてもってのほか。
わたしは、イェシカと一緒に深夜の〈太古の森〉を苦労して横断し、なんとか夜明け前にヴィドから教わった洞窟の前に辿り着いた。
「ようやくのお出ましかね」
冥府の闇から語りかけてくるようなぞっとする声が響き渡る。
やがてのそりと姿を現したのは、醜い老人の顔に獅子の身体と蝙蝠の翼、尾には猛毒の針を持つ魔獣の姿だ。
間違いない。彼こそが、賢人にして闇の魔獣の黒檀のメメコレオウスだ。
「初めまして。あなたのご指名を受けたクワニャウマよ。ヴィドからの伝言、しっかり受け取ったわ」
「ならば、話が早い」
闇の賢人は鷹揚に頷き奥の闇に呼び掛けた。
「こやつの口から直接語らせる方が良かろう」
おずおずと踏み出してきたのはコビットの女だ。
「ウチはクリスティ。冒険家や」
「遺跡荒らしとも言うがな」
「余計なお世話や」
漫才のようなトークをできるとは、闇の賢人はお高くとまった人柄ではないようだ。
含み笑いをする魔獣を睨み終えた後、クリスティはわたしへ話しかけてくる。
「〈太古の森〉には、旧い神々を祀る遺跡が沢山あるのはアンタも知ってるやろ」
「ヴィンドランダ遺跡群……だよね? この地に蛮族が住まい、フーウェイの街を開くよりもはるか昔からこの森にあるといわれる遺跡でしょ? 知っているわ。その区域では、今でも手つかずの財宝が見つかる事があって、冒険家の間ではよく名前が知られているからね」
強欲なわたしが今の今まで手を出していないのは、案内人なしの遺跡発掘には危険が多いのと、案内人を雇う料金が高額だからだ。
得るもの少なく出費がかさむ見込みが高い冒険ほど、わたしの美学に反するものはない。
「そのうちの1つを探索中に、呪いにやられたんよ」
「呪い……?」
あきらかに、やばい予感しかしない。
クリスティは少し俯くと陰りを帯びた表情で語り始めた。
要約すると、彼女は相棒と遺跡を冒険中、獣神セリオンを祀る古ぼけた祠に隠された隧道を発見。その先にあった気味の悪い獣の神像の口に手を突っこんだら、呪いにかかってしまったという。
さらには、相棒とはぐれるは、怪物と遭遇してしまうは、さんざんな目に遭い、必死に助けを求めて無我夢中に逃げ回るうちにメメコレオウスと出会ったそうだ。
なんて過酷な話だ。
でも、クリスティのジェスチャを交えた軽妙な語り口が面白くて、悲壮感がまったく感じられん。
そこまで話した時、丁度、朝の光が洞窟に差し込む。
クリスティは呻き声を上げると、その場に崩れ落ちた。慌てて駆け寄ったわたしの前で、彼女の姿はみるみると変化してゆく。
小さなミソサザイが、悲しそうな目で君を見つめていた。
「……なるほど、これが呪いという訳ね」
イェシカが驚いて、猟犬たちにくっついてプルプルと震えている。今まで驚いたらわたしにくっついてくれたのに、ちょっぴり寂しいが、これも彼女が成長した証と思おう。
わたしがしみじみしていると、メメコレオウスがわたしへ話しかけてきた。
「その遺跡へ赴き、旧き神の神像を調べてきてほしいのだ。そのついでにこやつの連れとやらも探してやればよかろう」
「どうして、あんたがそんな依頼をするの? クリスティの話によると初対面ぽいよね?」
闇の賢人はふんと鼻を鳴らして呟いた。
「ヴィンドランダに眠る旧き神の信仰には以前から興味があったのだ。だが儂自らがわざわざ出向くほどの事でもない。諸君らのような射倖心に溢れる輩には丁度良い稼ぎになろう」
「メメコレオウス様、愛してます」
「間に合っておる。まったく、戯言を言っておらんで早く旅立ってやらんか」
見れば、いつの間にかわたしの肩に留まったミソサザイが、後押しするかのようにか細い声でさえずる。
「そうだった。一刻も早く宝を見つけて、あんたとその相棒と遺跡の宝を山分けしないとね。わたしが8で、あんたと相棒が1ずつでいいよね?」
ミソサザイが、器用に羽を「なんでやねん!」と言いたげに動いた。器用だな。
わたしたちは、夜明けの洞窟を後にし、朝靄にけぶる遺跡探索へ向かった。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
2025年現在、『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を6巻まで刊行中。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2024年6月に『歌人探偵定家』(東京創元社)を、同年11月29日に『賊徒、暁に千里を奔る』(KADOKAWA)を刊行。2025年5月16日刊行の「小説すばる」6月号(集英社)に、読切『白拍子微妙 鎌倉にて曲水の宴に立ち会うこと』が掲載。同年8月1日に『女人太平記』(PHP研究所)が刊行。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『汝、獣となれ人となれ』
著 水波流
2025年9月7日FT新聞配信
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2025年12月4日木曜日
2025年12月3日水曜日
第16回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4697
第16回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
闇神オスクリードの加護を得た魔法の時計を駆使し、「還らずの森」深くの吸血鬼の館に赴きます。
闇神の戯れによる時の繰り返しに気づき一度は絶望しますが、ボラミーという随伴者を得て、脆く壊れそうな心を奮い立たせます。
ボラミーとの関係を深めながら旅は続き、いよいよ目的のローズ家の館へ。
ボラミーの弟ビバイアの救出。そしてティナ姉との再会。<跳兎の懐中時計>が大活躍です。
そして今回は、マルティンとの対決、そしてエナ姉を救うためミナがゴルジュへ向かうパート。
いよいよクライマックスです。
【ミナ 体力点4/4 悪夢袋2/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<沙羅双樹の予知時計>いつでも選択肢の先の未来を予知できる。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
●アタック03-12 マルティン・ローズとこどもたち
<跳兎の懐中時計>で時を遡り、亡くなる前のビバイアに聖水を与えて命を繋いだ。
そしてまた<跳兎の懐中時計>で時を遡り、拷問部屋に囚われていた、命を落とす前のティナ姉を救出した。
今、ボクは現在に戻り、地下のワイン蔵で、階段を降りてきた甲高い靴音の主、ローズ家の当主たる吸血鬼マルティン・ローズと対峙したところだ。
青白い顔をした背の高い男が、ボクの前に立っている。唇の端に見える鋭い牙が、その男が吸血鬼だと主張している。
「侵入者が闇エルフとはな。ネフェルロックの手の者とは思えぬが」
「そんな奴関係ない。ボクは姉さんを取り戻しに来たんだ」
それを聞くと、吸血鬼はボクをあざ笑った。
「そうか。貴様はエルフだった者か。姉を救うため闇落ちするとは哀れなものよ」
「だからなんだ。エナ姉を返してもらう」
「それは無理だ。なぜなら貴様はここで死ぬからだ」
マルティン・ローズはその太い腕でボクを殴りつけてくる。
ダメージを負いながらも、すかさず<速撃の戦時計>を起動したボクは、吸血鬼の脇を抜けて階段をかけ上がった。
これで悪夢袋はあとひとつになってしまった。できればエナ姉を助けるために温存したかった。けど、一瞬の判断の遅れが死を招くタイミングだった。
マルティンは激しい足音を立てながら追ってくる。ボクはそのまま1階の廊下を走る。
ビバイアの部屋のドアが開いて、ボラミーが飛び出してきた。
「ミナ! 急にいなくなって……おまえはマルティン!」
ボラミーは父を名前で呼んだ。
「まさか……ボラミーか?」
「吸血鬼の父親を持った覚えはない!」
ボラミーは容赦なくマルティンに剣を振るった。
その剣は吸血鬼の胸元を傷つけ、赤黒い血が飛び散った。
「悪い子だ。……罰が必要なようだな」
マルティンの傷はもう治り始めている。吸血鬼の脅威の再生力を目の当たりにした。
ボクたちは吸血鬼の弱点を持っていない。どうしたら勝てるのか。
ボクはボラミーに目くばせすると、ビバイアの部屋に飛び込んだ。
廊下より少し広くなった空間で、ボクは剣を振るう。
それはマルティンの腕を浅く傷つけるが、すぐに回復されてしまう。
<速撃の戦時計>で素早くなっているボクは、マルティンの攻撃を避け続ける。
戦いは、こう着状態に陥った。しかしそれは長くは続かない。
すぐに、すごい勢いで回転していた<速撃の戦時計>の針がその動きを止めた。
不意にボクの動きが重く、遅くなる。時間切れだ。
マルティンはボクの胸ぐらをつかみ上げ、首を締め上げた。苦しい……!
そのとき、ボクの合図を受けて部屋の奥へと動いていたボラミーが、部屋の戸板を剣で派手に壊した。
激しい音とともに戸板が砕け、薄暗かった部屋に光が差し込む。太陽の光だ。マルティンは、その光をもろに浴びてしまった。
「光を……たわけ……!」
腕の力がゆるみ、ボクは解放された。床に膝をつき、ぜいぜいと息を吐くボクの隣で、吸血鬼は塵と化してゆく。
ベッドの陰に隠れていたビバイアも姿を見せた。複雑そうな視線で父、マルティンの最期を見つめる。
「父は、手段はどうあれ、私の病気を治そうとしていた。それに、私の意向を汲んで吸血鬼にしようとはしなかった……」
「そうか。マルティンは、ビバイアにとっての父であろうとしていたのだな」
吸血鬼になったとはいえ、ビバイアにとっては何年もともに過ごした肉親には違いなかった。
愛された記憶がなく、早くに父を見限って家を出た姉ボラミーとは根本的なところが違うのだろう。
不死であるはずのマルティンの命は、今まさに尽きようとしていた。
「父さん……」
しかしマルティンは、ビバイアを一瞥することもなく、ボクの方をにらみつけていた。
「闇エルフの女よ。貴様の姉は『ゴルジュ』にいる。貴様はそこで絶望を知ることになる」
マルティンは呪詛の言葉を言い残し、完全に崩れ去った。
『ゴルジュ』という単語とともに、脳裏に崖から飛び降りるエナ姉の姿がフラッシュバックした。
あの場所が……ゴルジュ……。
「最後の最後にビバイアの方を見ようともしないとはな」
ビバイアの頭をそっと抱き寄せながら、ボラミーはつぶやいた。
「あの男は妻……つまり、私たちの母を亡くして変わってしまった。不死を求める研究に没頭するようになったんだ。最初は、母を蘇らせようとしていたんだと思う。しかしいつしか死を恐れるあまり、自身の不死を求めるようになっていった。弱い男だったのさ……」
その言葉とは裏腹に、ボラミーの複雑な表情からは、一抹の寂しさが感じられた。
●アタック03-13 狂える魔女のゴルジュ
「もう大丈夫だよ。出ておいで」
ビバイアが声をかけると、カーテンの陰から一人の女性が出てきた。
「ミナ! 無事だったのね」
それは、ティナ姉だった。
「父のところから逃げてきたというから、ここでかくまっていたんだ。ミナの名前を出したからピンときた。君のお姉さんでしょう?」
「ミナ、私の目の前から突然消えてしまったけれど、10日後に会いに来るって、約束してくれたものね」
ボクはティナ姉と再会を喜びあった。
「ところでミナ、こんなことを言ったら変に思うかもしれないが。私はまた、ミナに助けられたんじゃないかと思っていることがある」
ボラミーがそんなことを言い出した。
「ビバイアが言うには、しばらく前にミナが現れて、私が用意した聖水を与えてくれたというんだ。ビバイアが見せてくれた聖水の瓶は、たしかに私が持っていたものだ。そして今の私は、持っていたはずの聖水を持っていない。ミナの持つ不思議な魔法の力で、過去のビバイアに聖水を与えて病気を癒してくれたのではないかと思ってね」
「私のところにも10日前にミナが現れて、拘束を解いてくれたんです」
「……宝物は大切にしないとね」
ボクはあいまいな笑みで返しておいた。
いくらなかったことになったとはいえ、ビバイアが死んでいたなんて話、ボラミーには聞かせたくない。
それよりも、ボクはエナ姉を助けるため、ゴルジュへ行きたい。
するとビバイアが、ゴルジュについて教えてくれた。
森の中の渓谷。陽の当たらない場所。父マルティンがよく行っていた。
ただ、わざわざそちらに連れて行った理由がわからないという。
ゴルジュでエナ姉を助けられなかった未来を鮮明に覚えているボクには、その理由に思い当たるところがあった。
マルティンは、ビバイアの治療のために効果があると信じ、エルフの血を欲していた。
エルフの血と、吸血鬼化したエルフの血。しかしエナ姉を館で吸血鬼にしてしまうと、強烈な吸血衝動に負けて、ビバイアが血を吸われてしまうかもしれない。
それでマルティンは、エナ姉をゴルジュに連れて行ったんだ。そこで吸血鬼にするために。
ボラミーは、ボクに同行を申し出た。けれどボクは断った。
それより、ティナ姉を守ってほしいとお願いした。
その結果、ボラミーはビバイアとティナ姉を連れて外縁の村へと向かうことになった。
「ミナのお姉さんのことは任せておいて。ミナも必ず戻って、私の家へ来るんだよ」
「うん。約束する」
ボクはボラミーと約束を交わした。
「ミナ……気をつけて」
「ティナ姉は待ってて。きっと、エナ姉も連れて戻るから」
ボクは急ぎゴルジュへ向かう。
最後の死のいまわしい記憶は、鮮明に覚えている。
あのとき、エナ姉がゴルジュで川べりに立っていたのは、絶望し、まさにこれから身を投げるところだったと思う。
ボクの到着が少しでも遅かったなら、顔を合わせることもできなかったかもしれない。
だから、急がなければ。
到着が少しでも遅れたら、間に合わないかもしれない。
悪夢袋はあとひとつ。ひとつしかない。
けれど、記憶にあるボクには、魔法はひとつも残っていなかった。
ひとつあれば、できることもある。
それを信じて進むだけだ。
ボクは夜通し歩き続けた。ゴルジュに到着したのは夜明け前だ。
岩肌が削り取られてできたその渓谷は深くえぐれており、異様な空気を漂わせている。
それはまるで、森にできた裂け目だ。底からは川が流れている音がする。この川が、長い年月をかけ、岩肌を浸食し続けたのだ。
渓谷の底は、太陽光がほとんど射し込まない。
吸血鬼が屋内ではなく、外で活動するにはもってこいの場所だ。
ボクは谷底へと至る狭い道を見つけると、慎重に谷底まで降りていく。
川音が激しい。聞き覚えのある激流の音だ。
谷底には広めの空間が広がっている。さらに一段下には、川がしぶきを上げてごうごうと流れている。
ボクはエナ姉を探した。記憶にある、立っていたあの場所にいるのか、それともまだ、付近のどこかにいるのか。
お願い。間に合っていてくれ。
エナ姉は、ボクの記憶にあるとおりの場所に、ボクに背を向け立っていた。
視線の先は、激流に向いている。
急がないと。
近づいてから声をかけた方が、飛び降りる前に止められる可能性は高い。
けど、近づく前に飛び降りられたら、おしまいだ。
ボクはエナ姉に駆け寄りながら、声の限りに呼びかけた。
「エナ姉! 助けに来たよ!!」
エナ姉は、ボクの声に気がつき、振り向いた。
その瞳は深紅に染まっており、口の端からは、鋭い牙がのぞいていた。
「ミナ?!」
「エナ姉! 待ってて。今そこに行く」
エナ姉はすぐに驚愕から立ち直り、ボクにそっと笑みを向けた。
「助けに来てくれたのね。ありがとう。でも、いいの。私は吸血鬼になってしまった。もう、一緒には生きられない」
「きっと、なんとかする。だから、待っていて!」
エナ姉は、ゆっくりとかぶりを振った。
「ありがとう。あなたが来てくれたことが、私の宝物。それだけで十分」
ボクは駆け寄りながら、力の限り叫んだ。
「誓ったんだ。どれだけ罪を重ねても、愛を裏切らないって。だから……!」
エナ姉は答えた。
「愛を裏切らない。私がどんな運命をたどろうとも」
そしてエナ姉は、自ら激流に身を投げた。
●アタック03-14 最後の魔法
間に合わなかった。止められなかった!
吸血鬼は、知性を保ったまま不死性を得るのと引き換えに、多くの弱点を抱えている。
流れる水を渡れない。これも弱点のひとつだ。
清らかな水によって、洗い清められてしまうためだといわれている。
ボクの腕の中で崩れていくエナ姉。その記憶が鮮明に浮かび上がる。
あきらめない!
ボクはエナ姉を追って川へと飛び込む。
激流の中、必死にエナ姉に近づく。エナ姉の身体は、もう崩れ始めている。
間に合え!
ボクは、エナ姉のもとまで、どうにか泳ぎ切った。
ボクの手が、エナ姉に触れる。エナ姉の意識は、まだあった。
「ミナ……。こんなところまで来るなんて……ばかな子……」
エナ姉は、愛おしそうにそう言った。
ボクはかまわず、激流に飲まれそうになりながら、魔法の時計を取り出した。
ボクが出したのは、<時もどしの回復時計>だ。柔らかな緑色の時計。
悪夢袋は最後のひとつ。これが今使える最後の魔法になる。
時計を動かすと、針がゆるやかに逆回りに動き始める。
秒針がちりん、ちりんと風鈴のような心地よい音色を奏でる。不思議なことに、川の流れの轟音の中にあっても、その音色は心に響いた。
ボクはその盤面を、エナ姉の方に向ける。
この時計は、明け方にのみ働く特殊な時計だ。まさに、今の時間がそれにあたる。
そして、身体に受けた悪い効果を、すべて回復するのだ。
エナ姉の身体がほのかに緑色に光る。崩れていく身体がもとの形を取り戻していく。
それだけではない。
深紅に染まっていた瞳の色が、鋭く尖った牙が、もとのエルフの姿を取り戻してゆく。
<時もどしの回復時計>は、エナ姉の身体を「もとどおりにした」。
それは、吸血鬼化をも無効にする、絶大な効果だった。
エナ姉は、崩れない身体に、柔らかな回復に、なにが起きたかわからないという顔をしている。
だから、ボクははっきりと宣言した。
「エナ姉はもう吸血鬼じゃない」
激流の中、流れに身を任せながら、ボクとエナ姉はかたく抱擁した。
次はどうやって、この流れから抜け出すか、知恵を絞らなければ。
両側は崖。せめて手がかりや、つかめそうな枝でもあればいいけれど、深い渓谷のためか、そんな都合の良い植生はない。
冷たい水は、容赦なくボクたちの体温を奪ってゆく。
悪夢袋は使い切った。魔法にはもう、頼れない。
そんな時、エナ姉がなにかに気がついた。
「あれは……スノウシャーク」
それは助けではない。新たな危機だった。
普段は豪雪地帯の雪の中にひそみ、雪の中を水中を泳ぐように移動することからその名がついた。
外見も、サメに似ている。
雪解けの時期には、雪解け水に乗って川に出ることもある。
何匹かの群れで行動する。
それらの基礎知識は、今のボクには思い出す余裕もない。
知ったとしても対処のしようもない。
エナ姉はまだ動ける状態ではなく、ボクに身体を預けている。
スノウシャークは今にもボクらに襲いかかろうとしている。
攻撃をかわす。どうやって?
左右に避ける? 流れに身を任せる? それとも……。
「潜るよ」
ボクはエナ姉に言うと、一気に川底へと潜った。
今までボクたちがいたところを、スノウシャークの魚影が通り過ぎていく。
息の続く限り潜り続ける。川底の流れは水面とは違う。
変な流れや渦に呑まれれば、水面に上がることさえできなくなってしまう危険な賭けだ。
特に水底の深さが違う場所などでは、水流が深みで滞留している場合がある。
川遊びでの水難事故は、こうした予備知識なしに深みに潜った場合などに起きがちだ。
ギリギリまで息を止め、一気に水面まで上がった。
水の流れはボクたちに味方してくれたみたいで、特に抵抗なく水面に上がることができた。
しかし、今度は流れがゆるやかになってきた。
これでは、スノウシャークたちの格好の的になってしまう。
いよいよなす術がなくなった。水の流れの中では、できることなどたかが知れている。
ところが、スノウシャークたちはその身をひるがえし、すうっと去っていくではないか。
理由はわからないけれど、ボクたちは助かったらしい。
スノウシャークたちが引き返した理由は、後で知った。
湖口には漁師たちが捕獲用の網を設置している時期があり、警戒心が強いスノウシャークは湖までは入り込まないのだそうだ。
そう。ここは、川が湖に繋がる湖口だった。
ボクたちはいつの間にか、川の終点まで流されていたんだ。
もう、ゴルジュのような断崖はない。ボクたちは湖の岸辺にどうにか泳ぎつき、その身を横たえた。
体が重い。
エナ姉もボクも、すぐには動けそうにないほどに、疲れ切っていた。
けれど、それでも、ボクの心は喜びに満ちあふれていた。
エナ姉を、救うことができたのだから。
次回、この物語は幕を閉じる。しかし姉たちを探す旅は終わらない。
【ミナ 体力点4→2/4 悪夢袋2→0/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<沙羅双樹の予知時計>いつでも選択肢の先の未来を予知できる。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。ミナとともに森へと赴く。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。
フェルナンド・ウティリヌス 通称フェル。森の案内人をしているノーム。
マルティン・ローズ ローズ家の当主。吸血鬼。
マイトレーヤ 時計塔を守るゴーレム。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
テクア からくりの神。ノームにからくりの知識を授けたとも言われる。
■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/4897513
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ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
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編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
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メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
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※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
闇神オスクリードの加護を得た魔法の時計を駆使し、「還らずの森」深くの吸血鬼の館に赴きます。
闇神の戯れによる時の繰り返しに気づき一度は絶望しますが、ボラミーという随伴者を得て、脆く壊れそうな心を奮い立たせます。
ボラミーとの関係を深めながら旅は続き、いよいよ目的のローズ家の館へ。
ボラミーの弟ビバイアの救出。そしてティナ姉との再会。<跳兎の懐中時計>が大活躍です。
そして今回は、マルティンとの対決、そしてエナ姉を救うためミナがゴルジュへ向かうパート。
いよいよクライマックスです。
【ミナ 体力点4/4 悪夢袋2/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<沙羅双樹の予知時計>いつでも選択肢の先の未来を予知できる。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
●アタック03-12 マルティン・ローズとこどもたち
<跳兎の懐中時計>で時を遡り、亡くなる前のビバイアに聖水を与えて命を繋いだ。
そしてまた<跳兎の懐中時計>で時を遡り、拷問部屋に囚われていた、命を落とす前のティナ姉を救出した。
今、ボクは現在に戻り、地下のワイン蔵で、階段を降りてきた甲高い靴音の主、ローズ家の当主たる吸血鬼マルティン・ローズと対峙したところだ。
青白い顔をした背の高い男が、ボクの前に立っている。唇の端に見える鋭い牙が、その男が吸血鬼だと主張している。
「侵入者が闇エルフとはな。ネフェルロックの手の者とは思えぬが」
「そんな奴関係ない。ボクは姉さんを取り戻しに来たんだ」
それを聞くと、吸血鬼はボクをあざ笑った。
「そうか。貴様はエルフだった者か。姉を救うため闇落ちするとは哀れなものよ」
「だからなんだ。エナ姉を返してもらう」
「それは無理だ。なぜなら貴様はここで死ぬからだ」
マルティン・ローズはその太い腕でボクを殴りつけてくる。
ダメージを負いながらも、すかさず<速撃の戦時計>を起動したボクは、吸血鬼の脇を抜けて階段をかけ上がった。
これで悪夢袋はあとひとつになってしまった。できればエナ姉を助けるために温存したかった。けど、一瞬の判断の遅れが死を招くタイミングだった。
マルティンは激しい足音を立てながら追ってくる。ボクはそのまま1階の廊下を走る。
ビバイアの部屋のドアが開いて、ボラミーが飛び出してきた。
「ミナ! 急にいなくなって……おまえはマルティン!」
ボラミーは父を名前で呼んだ。
「まさか……ボラミーか?」
「吸血鬼の父親を持った覚えはない!」
ボラミーは容赦なくマルティンに剣を振るった。
その剣は吸血鬼の胸元を傷つけ、赤黒い血が飛び散った。
「悪い子だ。……罰が必要なようだな」
マルティンの傷はもう治り始めている。吸血鬼の脅威の再生力を目の当たりにした。
ボクたちは吸血鬼の弱点を持っていない。どうしたら勝てるのか。
ボクはボラミーに目くばせすると、ビバイアの部屋に飛び込んだ。
廊下より少し広くなった空間で、ボクは剣を振るう。
それはマルティンの腕を浅く傷つけるが、すぐに回復されてしまう。
<速撃の戦時計>で素早くなっているボクは、マルティンの攻撃を避け続ける。
戦いは、こう着状態に陥った。しかしそれは長くは続かない。
すぐに、すごい勢いで回転していた<速撃の戦時計>の針がその動きを止めた。
不意にボクの動きが重く、遅くなる。時間切れだ。
マルティンはボクの胸ぐらをつかみ上げ、首を締め上げた。苦しい……!
そのとき、ボクの合図を受けて部屋の奥へと動いていたボラミーが、部屋の戸板を剣で派手に壊した。
激しい音とともに戸板が砕け、薄暗かった部屋に光が差し込む。太陽の光だ。マルティンは、その光をもろに浴びてしまった。
「光を……たわけ……!」
腕の力がゆるみ、ボクは解放された。床に膝をつき、ぜいぜいと息を吐くボクの隣で、吸血鬼は塵と化してゆく。
ベッドの陰に隠れていたビバイアも姿を見せた。複雑そうな視線で父、マルティンの最期を見つめる。
「父は、手段はどうあれ、私の病気を治そうとしていた。それに、私の意向を汲んで吸血鬼にしようとはしなかった……」
「そうか。マルティンは、ビバイアにとっての父であろうとしていたのだな」
吸血鬼になったとはいえ、ビバイアにとっては何年もともに過ごした肉親には違いなかった。
愛された記憶がなく、早くに父を見限って家を出た姉ボラミーとは根本的なところが違うのだろう。
不死であるはずのマルティンの命は、今まさに尽きようとしていた。
「父さん……」
しかしマルティンは、ビバイアを一瞥することもなく、ボクの方をにらみつけていた。
「闇エルフの女よ。貴様の姉は『ゴルジュ』にいる。貴様はそこで絶望を知ることになる」
マルティンは呪詛の言葉を言い残し、完全に崩れ去った。
『ゴルジュ』という単語とともに、脳裏に崖から飛び降りるエナ姉の姿がフラッシュバックした。
あの場所が……ゴルジュ……。
「最後の最後にビバイアの方を見ようともしないとはな」
ビバイアの頭をそっと抱き寄せながら、ボラミーはつぶやいた。
「あの男は妻……つまり、私たちの母を亡くして変わってしまった。不死を求める研究に没頭するようになったんだ。最初は、母を蘇らせようとしていたんだと思う。しかしいつしか死を恐れるあまり、自身の不死を求めるようになっていった。弱い男だったのさ……」
その言葉とは裏腹に、ボラミーの複雑な表情からは、一抹の寂しさが感じられた。
●アタック03-13 狂える魔女のゴルジュ
「もう大丈夫だよ。出ておいで」
ビバイアが声をかけると、カーテンの陰から一人の女性が出てきた。
「ミナ! 無事だったのね」
それは、ティナ姉だった。
「父のところから逃げてきたというから、ここでかくまっていたんだ。ミナの名前を出したからピンときた。君のお姉さんでしょう?」
「ミナ、私の目の前から突然消えてしまったけれど、10日後に会いに来るって、約束してくれたものね」
ボクはティナ姉と再会を喜びあった。
「ところでミナ、こんなことを言ったら変に思うかもしれないが。私はまた、ミナに助けられたんじゃないかと思っていることがある」
ボラミーがそんなことを言い出した。
「ビバイアが言うには、しばらく前にミナが現れて、私が用意した聖水を与えてくれたというんだ。ビバイアが見せてくれた聖水の瓶は、たしかに私が持っていたものだ。そして今の私は、持っていたはずの聖水を持っていない。ミナの持つ不思議な魔法の力で、過去のビバイアに聖水を与えて病気を癒してくれたのではないかと思ってね」
「私のところにも10日前にミナが現れて、拘束を解いてくれたんです」
「……宝物は大切にしないとね」
ボクはあいまいな笑みで返しておいた。
いくらなかったことになったとはいえ、ビバイアが死んでいたなんて話、ボラミーには聞かせたくない。
それよりも、ボクはエナ姉を助けるため、ゴルジュへ行きたい。
するとビバイアが、ゴルジュについて教えてくれた。
森の中の渓谷。陽の当たらない場所。父マルティンがよく行っていた。
ただ、わざわざそちらに連れて行った理由がわからないという。
ゴルジュでエナ姉を助けられなかった未来を鮮明に覚えているボクには、その理由に思い当たるところがあった。
マルティンは、ビバイアの治療のために効果があると信じ、エルフの血を欲していた。
エルフの血と、吸血鬼化したエルフの血。しかしエナ姉を館で吸血鬼にしてしまうと、強烈な吸血衝動に負けて、ビバイアが血を吸われてしまうかもしれない。
それでマルティンは、エナ姉をゴルジュに連れて行ったんだ。そこで吸血鬼にするために。
ボラミーは、ボクに同行を申し出た。けれどボクは断った。
それより、ティナ姉を守ってほしいとお願いした。
その結果、ボラミーはビバイアとティナ姉を連れて外縁の村へと向かうことになった。
「ミナのお姉さんのことは任せておいて。ミナも必ず戻って、私の家へ来るんだよ」
「うん。約束する」
ボクはボラミーと約束を交わした。
「ミナ……気をつけて」
「ティナ姉は待ってて。きっと、エナ姉も連れて戻るから」
ボクは急ぎゴルジュへ向かう。
最後の死のいまわしい記憶は、鮮明に覚えている。
あのとき、エナ姉がゴルジュで川べりに立っていたのは、絶望し、まさにこれから身を投げるところだったと思う。
ボクの到着が少しでも遅かったなら、顔を合わせることもできなかったかもしれない。
だから、急がなければ。
到着が少しでも遅れたら、間に合わないかもしれない。
悪夢袋はあとひとつ。ひとつしかない。
けれど、記憶にあるボクには、魔法はひとつも残っていなかった。
ひとつあれば、できることもある。
それを信じて進むだけだ。
ボクは夜通し歩き続けた。ゴルジュに到着したのは夜明け前だ。
岩肌が削り取られてできたその渓谷は深くえぐれており、異様な空気を漂わせている。
それはまるで、森にできた裂け目だ。底からは川が流れている音がする。この川が、長い年月をかけ、岩肌を浸食し続けたのだ。
渓谷の底は、太陽光がほとんど射し込まない。
吸血鬼が屋内ではなく、外で活動するにはもってこいの場所だ。
ボクは谷底へと至る狭い道を見つけると、慎重に谷底まで降りていく。
川音が激しい。聞き覚えのある激流の音だ。
谷底には広めの空間が広がっている。さらに一段下には、川がしぶきを上げてごうごうと流れている。
ボクはエナ姉を探した。記憶にある、立っていたあの場所にいるのか、それともまだ、付近のどこかにいるのか。
お願い。間に合っていてくれ。
エナ姉は、ボクの記憶にあるとおりの場所に、ボクに背を向け立っていた。
視線の先は、激流に向いている。
急がないと。
近づいてから声をかけた方が、飛び降りる前に止められる可能性は高い。
けど、近づく前に飛び降りられたら、おしまいだ。
ボクはエナ姉に駆け寄りながら、声の限りに呼びかけた。
「エナ姉! 助けに来たよ!!」
エナ姉は、ボクの声に気がつき、振り向いた。
その瞳は深紅に染まっており、口の端からは、鋭い牙がのぞいていた。
「ミナ?!」
「エナ姉! 待ってて。今そこに行く」
エナ姉はすぐに驚愕から立ち直り、ボクにそっと笑みを向けた。
「助けに来てくれたのね。ありがとう。でも、いいの。私は吸血鬼になってしまった。もう、一緒には生きられない」
「きっと、なんとかする。だから、待っていて!」
エナ姉は、ゆっくりとかぶりを振った。
「ありがとう。あなたが来てくれたことが、私の宝物。それだけで十分」
ボクは駆け寄りながら、力の限り叫んだ。
「誓ったんだ。どれだけ罪を重ねても、愛を裏切らないって。だから……!」
エナ姉は答えた。
「愛を裏切らない。私がどんな運命をたどろうとも」
そしてエナ姉は、自ら激流に身を投げた。
●アタック03-14 最後の魔法
間に合わなかった。止められなかった!
吸血鬼は、知性を保ったまま不死性を得るのと引き換えに、多くの弱点を抱えている。
流れる水を渡れない。これも弱点のひとつだ。
清らかな水によって、洗い清められてしまうためだといわれている。
ボクの腕の中で崩れていくエナ姉。その記憶が鮮明に浮かび上がる。
あきらめない!
ボクはエナ姉を追って川へと飛び込む。
激流の中、必死にエナ姉に近づく。エナ姉の身体は、もう崩れ始めている。
間に合え!
ボクは、エナ姉のもとまで、どうにか泳ぎ切った。
ボクの手が、エナ姉に触れる。エナ姉の意識は、まだあった。
「ミナ……。こんなところまで来るなんて……ばかな子……」
エナ姉は、愛おしそうにそう言った。
ボクはかまわず、激流に飲まれそうになりながら、魔法の時計を取り出した。
ボクが出したのは、<時もどしの回復時計>だ。柔らかな緑色の時計。
悪夢袋は最後のひとつ。これが今使える最後の魔法になる。
時計を動かすと、針がゆるやかに逆回りに動き始める。
秒針がちりん、ちりんと風鈴のような心地よい音色を奏でる。不思議なことに、川の流れの轟音の中にあっても、その音色は心に響いた。
ボクはその盤面を、エナ姉の方に向ける。
この時計は、明け方にのみ働く特殊な時計だ。まさに、今の時間がそれにあたる。
そして、身体に受けた悪い効果を、すべて回復するのだ。
エナ姉の身体がほのかに緑色に光る。崩れていく身体がもとの形を取り戻していく。
それだけではない。
深紅に染まっていた瞳の色が、鋭く尖った牙が、もとのエルフの姿を取り戻してゆく。
<時もどしの回復時計>は、エナ姉の身体を「もとどおりにした」。
それは、吸血鬼化をも無効にする、絶大な効果だった。
エナ姉は、崩れない身体に、柔らかな回復に、なにが起きたかわからないという顔をしている。
だから、ボクははっきりと宣言した。
「エナ姉はもう吸血鬼じゃない」
激流の中、流れに身を任せながら、ボクとエナ姉はかたく抱擁した。
次はどうやって、この流れから抜け出すか、知恵を絞らなければ。
両側は崖。せめて手がかりや、つかめそうな枝でもあればいいけれど、深い渓谷のためか、そんな都合の良い植生はない。
冷たい水は、容赦なくボクたちの体温を奪ってゆく。
悪夢袋は使い切った。魔法にはもう、頼れない。
そんな時、エナ姉がなにかに気がついた。
「あれは……スノウシャーク」
それは助けではない。新たな危機だった。
普段は豪雪地帯の雪の中にひそみ、雪の中を水中を泳ぐように移動することからその名がついた。
外見も、サメに似ている。
雪解けの時期には、雪解け水に乗って川に出ることもある。
何匹かの群れで行動する。
それらの基礎知識は、今のボクには思い出す余裕もない。
知ったとしても対処のしようもない。
エナ姉はまだ動ける状態ではなく、ボクに身体を預けている。
スノウシャークは今にもボクらに襲いかかろうとしている。
攻撃をかわす。どうやって?
左右に避ける? 流れに身を任せる? それとも……。
「潜るよ」
ボクはエナ姉に言うと、一気に川底へと潜った。
今までボクたちがいたところを、スノウシャークの魚影が通り過ぎていく。
息の続く限り潜り続ける。川底の流れは水面とは違う。
変な流れや渦に呑まれれば、水面に上がることさえできなくなってしまう危険な賭けだ。
特に水底の深さが違う場所などでは、水流が深みで滞留している場合がある。
川遊びでの水難事故は、こうした予備知識なしに深みに潜った場合などに起きがちだ。
ギリギリまで息を止め、一気に水面まで上がった。
水の流れはボクたちに味方してくれたみたいで、特に抵抗なく水面に上がることができた。
しかし、今度は流れがゆるやかになってきた。
これでは、スノウシャークたちの格好の的になってしまう。
いよいよなす術がなくなった。水の流れの中では、できることなどたかが知れている。
ところが、スノウシャークたちはその身をひるがえし、すうっと去っていくではないか。
理由はわからないけれど、ボクたちは助かったらしい。
スノウシャークたちが引き返した理由は、後で知った。
湖口には漁師たちが捕獲用の網を設置している時期があり、警戒心が強いスノウシャークは湖までは入り込まないのだそうだ。
そう。ここは、川が湖に繋がる湖口だった。
ボクたちはいつの間にか、川の終点まで流されていたんだ。
もう、ゴルジュのような断崖はない。ボクたちは湖の岸辺にどうにか泳ぎつき、その身を横たえた。
体が重い。
エナ姉もボクも、すぐには動けそうにないほどに、疲れ切っていた。
けれど、それでも、ボクの心は喜びに満ちあふれていた。
エナ姉を、救うことができたのだから。
次回、この物語は幕を閉じる。しかし姉たちを探す旅は終わらない。
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<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
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ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。ミナとともに森へと赴く。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。
フェルナンド・ウティリヌス 通称フェル。森の案内人をしているノーム。
マルティン・ローズ ローズ家の当主。吸血鬼。
マイトレーヤ 時計塔を守るゴーレム。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
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2025年12月2日火曜日
これはゲームブックなのですか!? vol.126 FT新聞 No.4696
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『これはゲームブックなのですか!?』vol.126
かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
ドラえもんの道具じゃございませんが、「左うちわ」に、「転ばぬ先の杖」ってホントにあったら欲しくありません?
だけど、いざ実現すると、なかなか解決すべき課題が出てくるようで……。
というわけで、今回紹介する本は『ないもの、あります』(クラフト・エヴィング商會:著 筑摩書房)だよ!
この本には、慣用句を実際の「商品」として扱っているカタログ。
「堪忍袋の緒」「自分を上げる棚」のように、「お?これってお役立ちかな?」と思うものから、「一筋縄」「冥途の土産」など「なんじゃそれは?」と首をかしげたくなるものまで26アイテムがずらりそろってる!
で、それが実際に使われるとなると、どういったメリットがあるのか、それで引き起こされるデメリットは何なのか、ユーモアたっぷりに紹介している。
例えば、「転ばぬ先の杖」は、一生手放すことができなくなる。
なぜなら、逆に言えば、それを手放すことは転倒につながるから。
「捕らぬ狸のジャンパー」は、はだかの王様の服ライクに、そもそも「存在しない」ものを商品として売っている。
だって、ジャンパーの材料である「狸」は、まだ捕まっていないから!
まさに、この本のタイトル通り「ないものを売る」っていうコンセプト。
ついでに、料金はフリーってことなので、そもそも「売り物かどうか?」もわからない。
「鬼に金棒」の金棒に付属する鬼は、どうもただの鬼の面をつけた普通のおっさんにしか見えない。
そして、商品についてのガセトリビア。
例えば「目からうろこが落ちる」のうろこ。
本書によると、実際に生成されるんだけども、無限に再生されるわけではないし、落ちたうろこは、二度と再生されないそうよ。
だから本書でも、こう書いてあるわ。
『「目から鱗が落ちる」ような何事かを見知ることは、その代償として、あなたの中から、このように貴重ではかないものが「はらり」と落ちることでもあるのです。』
(本文より)
そう。この本の中には、こんな含蓄のある言葉がたくさん含まれているわ。
例えば、「地獄耳」の効用。
自分にとっていいことも悪いことも聞こえてくるけど、それをこんな風にまとめている。
『もちろん、そこには「愛」もあれば「憎」もあり、耐えられないほどの辛い評価が聞こえてくることもしばしばあります。
それに、しっかりと耳を傾けること。
すなわち、すべてを聞き入れること。
これを称して「地獄耳」というのであります。』
(本文より)
劇作家の別役実先生の、フェイクソースを巧みに仕込んだエッセイ、あるいは現代語版、「悪魔の辞典」の慣用句バージョンみたいな逸品!
中には「どさくさ」「一筋縄」みたいな「これどんなふうに実現するんだ?」とか、「腹時計」のように「もう持っているよ」ってものもあるけど、それがどう料理されているのかは、本編読んでのお楽しみ。
ネタとして読んでも面白い。
そもそも、こんな風に「慣用句を実際に出してみたら?」と考えるのも、一つの頭の体操=ゲームブックだと思うの。
創作の中で、奇天烈なアイテムを出そうとアイディアを練っている方にもおすすめ!
まさに、アイディアの玉手箱!
見逃せば人生後悔することウケアイ!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『ないもの、あります』
著 クラフト・エヴィング商會
出版社:筑摩書房
単行本 2001/12/1 絶版
文庫 2009/2/10 900円+税
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『これはゲームブックなのですか!?』vol.126
かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
ドラえもんの道具じゃございませんが、「左うちわ」に、「転ばぬ先の杖」ってホントにあったら欲しくありません?
だけど、いざ実現すると、なかなか解決すべき課題が出てくるようで……。
というわけで、今回紹介する本は『ないもの、あります』(クラフト・エヴィング商會:著 筑摩書房)だよ!
この本には、慣用句を実際の「商品」として扱っているカタログ。
「堪忍袋の緒」「自分を上げる棚」のように、「お?これってお役立ちかな?」と思うものから、「一筋縄」「冥途の土産」など「なんじゃそれは?」と首をかしげたくなるものまで26アイテムがずらりそろってる!
で、それが実際に使われるとなると、どういったメリットがあるのか、それで引き起こされるデメリットは何なのか、ユーモアたっぷりに紹介している。
例えば、「転ばぬ先の杖」は、一生手放すことができなくなる。
なぜなら、逆に言えば、それを手放すことは転倒につながるから。
「捕らぬ狸のジャンパー」は、はだかの王様の服ライクに、そもそも「存在しない」ものを商品として売っている。
だって、ジャンパーの材料である「狸」は、まだ捕まっていないから!
まさに、この本のタイトル通り「ないものを売る」っていうコンセプト。
ついでに、料金はフリーってことなので、そもそも「売り物かどうか?」もわからない。
「鬼に金棒」の金棒に付属する鬼は、どうもただの鬼の面をつけた普通のおっさんにしか見えない。
そして、商品についてのガセトリビア。
例えば「目からうろこが落ちる」のうろこ。
本書によると、実際に生成されるんだけども、無限に再生されるわけではないし、落ちたうろこは、二度と再生されないそうよ。
だから本書でも、こう書いてあるわ。
『「目から鱗が落ちる」ような何事かを見知ることは、その代償として、あなたの中から、このように貴重ではかないものが「はらり」と落ちることでもあるのです。』
(本文より)
そう。この本の中には、こんな含蓄のある言葉がたくさん含まれているわ。
例えば、「地獄耳」の効用。
自分にとっていいことも悪いことも聞こえてくるけど、それをこんな風にまとめている。
『もちろん、そこには「愛」もあれば「憎」もあり、耐えられないほどの辛い評価が聞こえてくることもしばしばあります。
それに、しっかりと耳を傾けること。
すなわち、すべてを聞き入れること。
これを称して「地獄耳」というのであります。』
(本文より)
劇作家の別役実先生の、フェイクソースを巧みに仕込んだエッセイ、あるいは現代語版、「悪魔の辞典」の慣用句バージョンみたいな逸品!
中には「どさくさ」「一筋縄」みたいな「これどんなふうに実現するんだ?」とか、「腹時計」のように「もう持っているよ」ってものもあるけど、それがどう料理されているのかは、本編読んでのお楽しみ。
ネタとして読んでも面白い。
そもそも、こんな風に「慣用句を実際に出してみたら?」と考えるのも、一つの頭の体操=ゲームブックだと思うの。
創作の中で、奇天烈なアイテムを出そうとアイディアを練っている方にもおすすめ!
まさに、アイディアの玉手箱!
見逃せば人生後悔することウケアイ!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『ないもの、あります』
著 クラフト・エヴィング商會
出版社:筑摩書房
単行本 2001/12/1 絶版
文庫 2009/2/10 900円+税
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2025年12月1日月曜日
☆新刊告知☆「ローグライクハーフ」サプリメント最新作! FT新聞 No.4695
おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
先週の金曜日、「モンスター!モンスター!TRPG」のデザイナーであるケン・セント・アンドレの相棒であるスティーブ・クロンプトンが大阪港を訪れました。
FT書房のメンバー4人を含む11人のファンがこれを迎え、最高に楽しい1日となりました!
ただいま、その様子を文章にしたレポートを作成中です……できあがり次第、このFT新聞の月曜記事で配信してまいります!
さて、今日は冬のコミックマーケットの、もうひとつの新刊告知です☆
◆クトゥルフの話。
突然ですがクトゥルフ、お好きですか。
キリスト教徒だからなのか、私ははじめ、クトゥルフ関連の作品がどうも苦手でした。
より正確に言うなら、クトゥルフに関わる作品づくりが、得意ではなかったのです。
宗教という枠で捉えるとき、宗教学や神学を真剣に学んできた身として、うっすらとした嫌悪感があったんです。
でも、あるとき、ある知り合いの漫画家さんと話す機会がありまして。
その際に「クトゥルフって、何を書いたらいいのか分からない」と相談したんですよ。
そしたら、「クトゥルフはもはや巨大ジャンル。好きに書いていい」という、アドバイスをくれたんです!
それ以降、私はクトゥルフで書きたいように書けるようになり、冒涜的な文章を書く独特の楽しさ(※)に一時期ハマって、苦手意識はすっかりなくなりました☆
今日はそんなクトゥルフと関係あるような話です。
※……「冒涜的な」はクトゥルフ作品でよく使われる表現です。
◆冬コミに、もう1冊!
『ズィムララのモンスターラリー モンスター編』を、ついさっき入稿しました。
これで、2025年の冬のコミックマーケットで「モンスター!モンスター!TRPG」の作品を無事に出すことができます。
でもね、今年はもう1冊、冒涜的なプレゼントがあるんです……!
中山将平著、「30分で遊ぶ1人用TPRG ローグライクハーフ」の最新サプリメント『クトゥウルウの聖なる邪神殿」が、この冬、あなたの正気をむしばみに参ります!
◆とても、クトゥルフだね……!
『クトゥウルウの聖なる邪神殿』はですね、舞台は共通世界であるアランツァにありながら、同時にとてもクトゥルフであるという、絶妙な立ち位置の作品なんです。
中山将平はクトゥルフにとても詳しくて、作品の中身もたいそうクトゥルフです☆
登場するキャラクターが持つ不穏さや不気味さ。
〈友好的なクリーチャー〉ですら、どこかおかしな雰囲気に冒されている。
クトゥルフの最も重要なファクターである「真実に迫るほど、損なわれていくものがある」という部分を、シンプルながらとても工夫されたルールで表現。
そんな風にクトゥルフ的でありながら、魚人的な種族である【末裔】が出てきたり、自治都市トーンに関連する「4匹の猫」が出てきたりと、ちゃんと共通世界アランツァでもある。
ファンタジーを楽しみながら、ホラー(クトゥルフ)も楽しめる作品です。
なにより、遊びやすい。
◆「末裔村 イシュ・ムス」について……★
今回のサプリメントにも、d66シナリオだけでなく、サプリメントがついています。
今回の都市サプリメントは「末裔村 イシュ・ムス」。
これはアランツァの正式な地域名称ですが、都市ではありません。
そのため、「村サプリメント」というあだ名がついています。
魚人的な種族である【末裔】が暮らす村のひとつイシュ・ムスで入手可能な装備品などを、サプリメントとしてお届けします☆
さらに、この村についての情報を「アランツァワールドガイド」として、私杉本が「末裔村 イシュ・ムス」について書き下ろしました。
これはFT新聞では未配信のものです……いざ本を出すとなったときに「やっぱり書いておきたい」と思ったものですから。
◆【新種族】として進化した【末裔】を!
このシナリオには【新職業】の代わりに【新種族】がついています。
その【種族】とはなんと……【末裔】!!
あまりにも順当すぎるチョイスです……もともと【末裔】という名称は、暗い海の底に棲まう旧き存在の子孫であることを、示しているのですから。
【末裔】の存在そのものが、クトゥルフ的なわけです。
この【末裔】、実はこの秋の新刊である『ヒーローズオブダークネス』にも、プレイアブルな【種族】として先に登場しています。
同じものを載せたのか、なんて心配が、よぎりましたでしょうか。
そんな心配はご無用です……本作品に掲載された【末裔】は、なんと4種のバリエーションに分かれています!
「ベースとなる魚に対応して、仕様が異なっている」のです。
具体的には【標準種】【ウツボ種】【ガー種】【カサゴ種】の4種類!
こちらは、紫隠ねこさんが中心となって、杉本と2人でバリアントを作成いたしました!
◆1日目の出展です!
冬のコミックマーケットでは1日目、12月30日に「火曜日 東ソ01ab FT書房」として出展します!
今回は2スペースをお借りしております……本の種類が増えすぎて、1スペースではもう限界なのです!
先週ご紹介した「モンスター!モンスター!TRPG」の最新サプリメント『ズィムララのモンスターラリー モンスター編』とともに、その姿をお見せすることができますでしょう☆
楽しみです。
そして、楽しみにしていただけましたら、さいわいです☆
それではまた!
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◆クトゥルフの話。
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宗教という枠で捉えるとき、宗教学や神学を真剣に学んできた身として、うっすらとした嫌悪感があったんです。
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それ以降、私はクトゥルフで書きたいように書けるようになり、冒涜的な文章を書く独特の楽しさ(※)に一時期ハマって、苦手意識はすっかりなくなりました☆
今日はそんなクトゥルフと関係あるような話です。
※……「冒涜的な」はクトゥルフ作品でよく使われる表現です。
◆冬コミに、もう1冊!
『ズィムララのモンスターラリー モンスター編』を、ついさっき入稿しました。
これで、2025年の冬のコミックマーケットで「モンスター!モンスター!TRPG」の作品を無事に出すことができます。
でもね、今年はもう1冊、冒涜的なプレゼントがあるんです……!
中山将平著、「30分で遊ぶ1人用TPRG ローグライクハーフ」の最新サプリメント『クトゥウルウの聖なる邪神殿」が、この冬、あなたの正気をむしばみに参ります!
◆とても、クトゥルフだね……!
『クトゥウルウの聖なる邪神殿』はですね、舞台は共通世界であるアランツァにありながら、同時にとてもクトゥルフであるという、絶妙な立ち位置の作品なんです。
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登場するキャラクターが持つ不穏さや不気味さ。
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今回のサプリメントにも、d66シナリオだけでなく、サプリメントがついています。
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このシナリオには【新職業】の代わりに【新種族】がついています。
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この【末裔】、実はこの秋の新刊である『ヒーローズオブダークネス』にも、プレイアブルな【種族】として先に登場しています。
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2025年11月30日日曜日
Re:ローグライクハーフ・町オプション【モフージャの町】&新職業【吟遊詩人】 FT新聞 No.4694
おはようございます、編集長の水波流です。
来月第一日曜に配信予定のローグライクハーフシナリオは、ロア・スペイダーによるd66『龍脈温泉(仮)』
その舞台となる町サプリメントと新職業を再配信いたします。
舞台はラドリド大陸の南西部、ポートス地方。その中心部に位置する「闇の森」を避けるように作られたモフージャの町です。
この町はもふもふと楽器の音色があふれる町。都市というには規模は小さいですが、そこには確かに歴史や人々の営みがあります。
また、このモフージャは【吟遊詩人】という職業に縁が深い町となります。このため、楽器や楽譜など【吟遊詩人】専用のアイテムが買えるようになってます。
【吟遊詩人】を極めようとしてる方はぜひ訪れることを検討してみてください!
↓町オプション【モフージャの町】
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Mofuja.txt
◆吟遊詩人
アランツァの各地を渡り歩き、歌や演奏の技術、世界の伝承知識を身につけた職業のことを【吟遊詩人】と呼びます。
副能力値は幸運点。
習得できる特殊技能は魔法の力を持つ音楽「奏楽」です。
↓新職業【吟遊詩人】
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その舞台となる町サプリメントと新職業を再配信いたします。
舞台はラドリド大陸の南西部、ポートス地方。その中心部に位置する「闇の森」を避けるように作られたモフージャの町です。
この町はもふもふと楽器の音色があふれる町。都市というには規模は小さいですが、そこには確かに歴史や人々の営みがあります。
また、このモフージャは【吟遊詩人】という職業に縁が深い町となります。このため、楽器や楽譜など【吟遊詩人】専用のアイテムが買えるようになってます。
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2025年11月29日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第668号 FT新聞 No.4693
From:水波流
執筆の生命線であるATOK。
プレミアムの機能が全く不要なので月額330円のベーシック契約していたが、ついに廃止……。
強制的にプレミアム契約になるのかー。AI文章生成支援などの新機能より月額料金2倍になるのが厳しい。
しかし各種辞典データと連想変換辞書の機能は、他の日本語IMEには無いので代えがたい。
From:葉山海月
『ヨグ・ソトースの飛沫』を『ヨーグルトソースの秘密』と言い張って譲らない32歳
From:明日槇悠
隣町のお寺へ怪談を聞きにうかがいました。
出演された怪談師の語る怪談よりも、お上人のしごき体験談のほうが圧倒的にこわい!
この時期、お像にかぶせられる綿帽子の紅白はおめでたいからではなく血の滲んだ色なのです……と、これは怪談ではなくためになるお話(雑学)。
From:中山将平
僕ら今日11月29日(土)と明日30日(日)、「トレジャーズオブファンタジア6」というイベントにサークル参加しています。
開催地はJR大阪環状線新今宮駅近くの「YORO BASE」。
ブース配置は【B14】です。
個人的にも大好きなイベントなので、遊びにお越しいただけましたら幸いです。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■11/23(日)~11/28(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年11月23日(日)かなでひびき FT新聞 No.4687
読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回(出題編)
・かなでひびき氏による企画。かなで氏が集めた奇妙で結末がない物語の断片。この前半部に、読者の皆様がオチに当たるストーリーを考えるという企画です。
今回のお話は、
「たぐいまれな美貌を持ったエルフ。エルフ・ザ・ピンチ!
おにゃのこに囲まれながら税関を通過しようとすると、いいかがりに近いバカ高い通行税を請求されてしまう!
突っぱねようとしても、『それなら女の子たちを置いてけ』
この欲の皮が突っ張った税関に。はたしてピンチは」……
今回の出題編はここまで!
皆様の名解答! お待ちしております!
(葉)
2025年11月24日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4688
☆冬コミ新刊の話☆
・先日開催された秋のゲームマーケットでは、1人用TRPGローグライクハーフの最新サプリメント『ヒーローズオブダークネス』を引っ提げて参加して参りました。おかげさまで好評で、通販も近い内に開始予定です。
次は冬のコミックマーケット!「モンスター!モンスター!TRPG」の最重要サプリメント『ズィムララのモンスターラリー モンスター編』の刊行を目指し、ハイピッチで作業を進めています。
杉本氏が『ズィムララのモンスターラリー』を読んだとき、「こんなモンスターがプレイ可能なのか」という驚きがあったそうです。
そんな驚きと多様性と魅力に溢れ、プレイヤーとしても、シナリオ作者としても、創作のタネとなるインスピレーションを刺激してくれる「魔法の本」、楽しみにお待ちください!
(天)
2025年11月25日(火)中山将平 FT新聞 No.4689
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第48回
・『カエルの勇者ケロナイツ』の作者である中山氏が、新サークル「ギルド黄金の蛙」を立ち上げられました!
カエル人の創作を通じて新たなファンタジー世界を構築する氏にとって、避けては通れない今回のテーマは「吸血鬼」。
自作にも吸血鬼を描きたいと夢みてきた中山氏、いざその段になって大いに悩んだのは、「吸血鬼がいかなる存在かの設定が作品ごとに違いすぎる」という問題でした。
「求められる吸血鬼像」自体が多様なのだとしか思えないカオティックな状況から、氏は「吸血鬼を特別にしているものは、吸血という行為ではないか」と考えます。
どんな吸血鬼も血を吸うのであれば、その行為の意味——捕食なのか、契約なのか、愛情なのか、はたまた——によって存在のあり方を定めうるのではないか。
ファンタジー世界フログワルドにも存在するという吸血鬼に果敢に挑む、「ギルド黄金の蛙」への熱血応援をよろしくお願いします!
(明)
2025年11月26日(水)ぜろ FT新聞 No.4690
第15回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・精緻な原作を深く豊かな解釈で描き直す、ぜろ氏のリプレイ第467回です。
このリプレイで3度目となる吸血鬼の館のシーン。今回の仲間のボラミーは、館を目前にして、自らがその館と深い因縁をもつことをミナに打ち明けます。
ボラミーは、ミナとは別に、館に来るべき理由を持っていました。では、闇神が戯れに時を巻き戻さなければ、ミナと戦ったボラミーや、ミナと出会わなかったボラミーは、いつかひとりでこの館へと辿り着いていたのでしょうか。そして、間に合わなかったという後悔を、いつまでも抱え続けることになったのでしょうか…?
そんな「もしも」の可能性も想像させながら、物語はクライマックスに向けて加速していきます。
(く)
2025年11月27日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4691
「奇妙な仕事を斜めから見る」
・岡和田晃氏による、奇妙な味のするオリジナル小説をお届けします。
元OL、元デリヘル嬢でキーツ研究に没頭する世莉愛(ぜりあ)の今度の勤め先は、レポート代行業を行う「学術出版・オフィスGOKAK」。
そこで受けた新たな依頼は、「夢魔と幻獣、時間と"猟犬"の関係について論じよ」……明らかに世莉愛が大学時代からお世話になっている教授のクラスへのレポート代筆でした。
かつて博論の草稿を読んだその教授は、世莉愛を特別研究書庫に案内しますが、そこで手に取った水晶から、世莉愛は時間を斜めから見てしまうことに……!?
向学心によるサクセスストーリーが逃亡劇に変転した末に、彼女が見たものとは? ご自身の目でお確かめください!
※秘密結社「白金の落日」の痕跡を追うにあたっては、パラグラフジャンプに擬せし注記を参照せよ。
(明)
2025年11月28日(金)休刊日 FT新聞 No.4692
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
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執筆の生命線であるATOK。
プレミアムの機能が全く不要なので月額330円のベーシック契約していたが、ついに廃止……。
強制的にプレミアム契約になるのかー。AI文章生成支援などの新機能より月額料金2倍になるのが厳しい。
しかし各種辞典データと連想変換辞書の機能は、他の日本語IMEには無いので代えがたい。
From:葉山海月
『ヨグ・ソトースの飛沫』を『ヨーグルトソースの秘密』と言い張って譲らない32歳
From:明日槇悠
隣町のお寺へ怪談を聞きにうかがいました。
出演された怪談師の語る怪談よりも、お上人のしごき体験談のほうが圧倒的にこわい!
この時期、お像にかぶせられる綿帽子の紅白はおめでたいからではなく血の滲んだ色なのです……と、これは怪談ではなくためになるお話(雑学)。
From:中山将平
僕ら今日11月29日(土)と明日30日(日)、「トレジャーズオブファンタジア6」というイベントにサークル参加しています。
開催地はJR大阪環状線新今宮駅近くの「YORO BASE」。
ブース配置は【B14】です。
個人的にも大好きなイベントなので、遊びにお越しいただけましたら幸いです。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(天)=天狗ろむ
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
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■11/23(日)~11/28(金)の記事一覧
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2025年11月23日(日)かなでひびき FT新聞 No.4687
読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回(出題編)
・かなでひびき氏による企画。かなで氏が集めた奇妙で結末がない物語の断片。この前半部に、読者の皆様がオチに当たるストーリーを考えるという企画です。
今回のお話は、
「たぐいまれな美貌を持ったエルフ。エルフ・ザ・ピンチ!
おにゃのこに囲まれながら税関を通過しようとすると、いいかがりに近いバカ高い通行税を請求されてしまう!
突っぱねようとしても、『それなら女の子たちを置いてけ』
この欲の皮が突っ張った税関に。はたしてピンチは」……
今回の出題編はここまで!
皆様の名解答! お待ちしております!
(葉)
2025年11月24日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4688
☆冬コミ新刊の話☆
・先日開催された秋のゲームマーケットでは、1人用TRPGローグライクハーフの最新サプリメント『ヒーローズオブダークネス』を引っ提げて参加して参りました。おかげさまで好評で、通販も近い内に開始予定です。
次は冬のコミックマーケット!「モンスター!モンスター!TRPG」の最重要サプリメント『ズィムララのモンスターラリー モンスター編』の刊行を目指し、ハイピッチで作業を進めています。
杉本氏が『ズィムララのモンスターラリー』を読んだとき、「こんなモンスターがプレイ可能なのか」という驚きがあったそうです。
そんな驚きと多様性と魅力に溢れ、プレイヤーとしても、シナリオ作者としても、創作のタネとなるインスピレーションを刺激してくれる「魔法の本」、楽しみにお待ちください!
(天)
2025年11月25日(火)中山将平 FT新聞 No.4689
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第48回
・『カエルの勇者ケロナイツ』の作者である中山氏が、新サークル「ギルド黄金の蛙」を立ち上げられました!
カエル人の創作を通じて新たなファンタジー世界を構築する氏にとって、避けては通れない今回のテーマは「吸血鬼」。
自作にも吸血鬼を描きたいと夢みてきた中山氏、いざその段になって大いに悩んだのは、「吸血鬼がいかなる存在かの設定が作品ごとに違いすぎる」という問題でした。
「求められる吸血鬼像」自体が多様なのだとしか思えないカオティックな状況から、氏は「吸血鬼を特別にしているものは、吸血という行為ではないか」と考えます。
どんな吸血鬼も血を吸うのであれば、その行為の意味——捕食なのか、契約なのか、愛情なのか、はたまた——によって存在のあり方を定めうるのではないか。
ファンタジー世界フログワルドにも存在するという吸血鬼に果敢に挑む、「ギルド黄金の蛙」への熱血応援をよろしくお願いします!
(明)
2025年11月26日(水)ぜろ FT新聞 No.4690
第15回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ
・精緻な原作を深く豊かな解釈で描き直す、ぜろ氏のリプレイ第467回です。
このリプレイで3度目となる吸血鬼の館のシーン。今回の仲間のボラミーは、館を目前にして、自らがその館と深い因縁をもつことをミナに打ち明けます。
ボラミーは、ミナとは別に、館に来るべき理由を持っていました。では、闇神が戯れに時を巻き戻さなければ、ミナと戦ったボラミーや、ミナと出会わなかったボラミーは、いつかひとりでこの館へと辿り着いていたのでしょうか。そして、間に合わなかったという後悔を、いつまでも抱え続けることになったのでしょうか…?
そんな「もしも」の可能性も想像させながら、物語はクライマックスに向けて加速していきます。
(く)
2025年11月27日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4691
「奇妙な仕事を斜めから見る」
・岡和田晃氏による、奇妙な味のするオリジナル小説をお届けします。
元OL、元デリヘル嬢でキーツ研究に没頭する世莉愛(ぜりあ)の今度の勤め先は、レポート代行業を行う「学術出版・オフィスGOKAK」。
そこで受けた新たな依頼は、「夢魔と幻獣、時間と"猟犬"の関係について論じよ」……明らかに世莉愛が大学時代からお世話になっている教授のクラスへのレポート代筆でした。
かつて博論の草稿を読んだその教授は、世莉愛を特別研究書庫に案内しますが、そこで手に取った水晶から、世莉愛は時間を斜めから見てしまうことに……!?
向学心によるサクセスストーリーが逃亡劇に変転した末に、彼女が見たものとは? ご自身の目でお確かめください!
※秘密結社「白金の落日」の痕跡を追うにあたっては、パラグラフジャンプに擬せし注記を参照せよ。
(明)
2025年11月28日(金)休刊日 FT新聞 No.4692
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
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2025年11月28日金曜日
休刊日のお知らせ FT新聞 No.4692
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本日は、タイトルのとおり休刊日です。
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