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2025年12月2日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.126 FT新聞 No.4696

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『これはゲームブックなのですか!?』vol.126

 かなでひびき
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 ドラえもんの道具じゃございませんが、「左うちわ」に、「転ばぬ先の杖」ってホントにあったら欲しくありません?
 だけど、いざ実現すると、なかなか解決すべき課題が出てくるようで……。
 というわけで、今回紹介する本は『ないもの、あります』(クラフト・エヴィング商會:著 筑摩書房)だよ!

 この本には、慣用句を実際の「商品」として扱っているカタログ。
「堪忍袋の緒」「自分を上げる棚」のように、「お?これってお役立ちかな?」と思うものから、「一筋縄」「冥途の土産」など「なんじゃそれは?」と首をかしげたくなるものまで26アイテムがずらりそろってる!
 で、それが実際に使われるとなると、どういったメリットがあるのか、それで引き起こされるデメリットは何なのか、ユーモアたっぷりに紹介している。
 例えば、「転ばぬ先の杖」は、一生手放すことができなくなる。
 なぜなら、逆に言えば、それを手放すことは転倒につながるから。
「捕らぬ狸のジャンパー」は、はだかの王様の服ライクに、そもそも「存在しない」ものを商品として売っている。
 だって、ジャンパーの材料である「狸」は、まだ捕まっていないから!
 まさに、この本のタイトル通り「ないものを売る」っていうコンセプト。
 ついでに、料金はフリーってことなので、そもそも「売り物かどうか?」もわからない。
「鬼に金棒」の金棒に付属する鬼は、どうもただの鬼の面をつけた普通のおっさんにしか見えない。
 そして、商品についてのガセトリビア。
 例えば「目からうろこが落ちる」のうろこ。
 本書によると、実際に生成されるんだけども、無限に再生されるわけではないし、落ちたうろこは、二度と再生されないそうよ。
 だから本書でも、こう書いてあるわ。

『「目から鱗が落ちる」ような何事かを見知ることは、その代償として、あなたの中から、このように貴重ではかないものが「はらり」と落ちることでもあるのです。』
(本文より)

 そう。この本の中には、こんな含蓄のある言葉がたくさん含まれているわ。
 例えば、「地獄耳」の効用。
 自分にとっていいことも悪いことも聞こえてくるけど、それをこんな風にまとめている。

『もちろん、そこには「愛」もあれば「憎」もあり、耐えられないほどの辛い評価が聞こえてくることもしばしばあります。
 それに、しっかりと耳を傾けること。
 すなわち、すべてを聞き入れること。
 これを称して「地獄耳」というのであります。』
(本文より)


 劇作家の別役実先生の、フェイクソースを巧みに仕込んだエッセイ、あるいは現代語版、「悪魔の辞典」の慣用句バージョンみたいな逸品!

 中には「どさくさ」「一筋縄」みたいな「これどんなふうに実現するんだ?」とか、「腹時計」のように「もう持っているよ」ってものもあるけど、それがどう料理されているのかは、本編読んでのお楽しみ。

 ネタとして読んでも面白い。
 そもそも、こんな風に「慣用句を実際に出してみたら?」と考えるのも、一つの頭の体操=ゲームブックだと思うの。
 創作の中で、奇天烈なアイテムを出そうとアイディアを練っている方にもおすすめ!
 まさに、アイディアの玉手箱!

 見逃せば人生後悔することウケアイ!


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『ないもの、あります』
 著 クラフト・エヴィング商會
 出版社:筑摩書房
 単行本 2001/12/1 絶版
 文庫 2009/2/10 900円+税


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