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2025年3月25日火曜日

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第42回 FT新聞 No.4444

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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第42回
「運」
(中山将平)
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 おはようございます。
 イラストレーターの中山将平です。
 この記事の「通し番号」をぜひご覧ください。
 そう、FT新聞4444番なのです!!
 このようなクリティカルな番号の記事を書かせていただけるとは、光栄の極み!
 何か特別なことを書こうと考えました。
 そこで選んだ話題がなんと「運」!!
 
 いや、本当にここだけの話なのですが、僕実はTRPGを遊んでいて「サイコロを振りすぎなんじゃないかな……」と思うことがあるのです。
 実際、自分で作ったカエル人のTRPGを遊んでいて、そう感じました。
 サイコロを振る行為って、いかにも「ゲームを遊んでいる」という雰囲気があって好きな方も多いはずだと感じています。
 でも、それが物語全体に与える影響が小さすぎるとき、「いちいちこれをする必要があるのか」と、どうしても自身に問うてしまう自分がいるんです。
 
 これについて、どういうときに自分がそう感じるのか自問自答してみました。
 その結果と、自分にとってどのような方法が良いと感じられたのかということを、今日は書いてみます。
 考えていて気づいたのですが、どうやらこの話題は「TRPGをどのようなゲームと考えているか」と大きく関係しているようです。
 ファンタジー系のTRPGを楽しまれている方に役立つ記事にできたら幸いです。

 それでは、具体的に見ていきましょう。

◆ 演劇なのか、創作なのか、思考実験なのか、それとも……
 前述の通り、僕はこの話題を「TRPGをどのようなゲームと考えているか」と大きく関係づけて考えていました。
 というのも、なぜサイコロを振るのか考えたところ、「そういうゲームだから」という答えがあり得ると思えたからです。
 果たして、TRPGはサイコロを振る必要のあるゲームなのでしょうか。

 個人的な見解として、TRPGは大きく4つの側面を持っているように感じています。
 
 1つ目は演劇として側面。
 キャラを即興で演じることの楽しさ。シナリオへの没入感。
 ある意味では感情の共有とも思えます。
 別の意味では自己表現の一種でしょうか。
 声色を変えたり、小さな仕草を大切にしたり、キャラ同士の関係性への言及を強めたりという形でこれを目にしてきました。

 2つ目は創作としての側面。
 シナリオそのものを作ったり、キャラクターを作ったりする楽しさ。
 想像の世界を他人と肯定しあい、一つの物語を気づいていくことの充実感。
 もしくは、1人で「自分の世界の拡張」を行う小さな魔法とでも言いましょうか。
 様々なシナリオ、リプレイ、考察を作られる方々に、最高の賛辞を贈りたいといつも心に願っています。

 3つ目は思考実験としての側面。
 一見創作としての面と似ていますが、明らかに異なる特徴だと感じます。
 「現実世界の前提を取り外して、物事の本質を見たとき、どのように判断するか」の思考実験として楽しいという視点です。
 主眼は現実世界の理解にあると思われるかもしれませんが、僕自身は想像の世界であれ現実世界であれ本質は変わりづらいものだと考えています。
 前提が違う世界の疑似体験と言い換えられるかもしれません。

 4つ目はゲームとしての側面。
 あくまで一つの遊び、一つのゲームとして「クリア」を目指しながら楽しむものだという捉え方です。
 ゲームである以上ルールが大切であり、その部分でどこまで透明性(処理の分かりやすさ)を持てるかはシステム次第なのかなと思っています。
 
 これらの側面に対し、実はどれもサイコロによる「ランダム性」の必要度合いはそれほど大きくないように感じられないでしょうか。
 あくまで私見ですが、おそらく一番サイコロが活躍するのはゲームとして捉えたときであり、そのときでさえも「必要」とまでは言えないかもしれません。
 しかし一方で、サイコロを振る行為は「必要ではないが、場面によってはあると楽しいものでもある」ということもまた感じました。
 では、なぜランダム性が「あると楽しい」と感じたのか、見てみましょう。

◆ できるのか、できないのか
 思うに、ランダム性があると楽しい場面って、基本的に「できるかできないか」あるいは「どの程度できるか」判断が難しい時ではないでしょうか。
 例えば、弓を射たとき的に当てることができるかどうか。
 これって、どんな達人でも当てられる時と当てられないときがあると思うんです。
 そうすると、サイコロで当たったかどうか決める意味が出てくるように思われないでしょうか。

 ただ、やはり悩ましいのは線引きです。
 どこからが「できるかできないか」判断が難しいことで、どこからが「完全にできる」ことや「完全にできない」ことなのか。
 その線引きがどこでなされるかによって、サイコロを使う意味は大きく変わると思うのです。
 それが悩ましいのは、与えられる状況が個別具体的なものであり、都度考える必要が出てくるからかもしれません。
 そうすると、このことをある程度「一般化」できて、通念としてのルールを導けているとより快適に感じられるのではないでしょうか。

 例えば、箱を開けたとき、ふたの裏に小さな文字が書かれていたとしましょう。
 その文字に「気づけるかどうか」をサイコロで決めることについてどう感じられるでしょうか。
 もしそれが緊迫した状況で、一度しか確認できないなら見落としもあるかもしれません。
 しかし、箱に正常な観察力を持って注目できているなら、「鈍感だから気づけなかった」という説明に納得できるか心配になります。

 僕はこの話から、「時間をかけて繰り返し試みることができることは、完全にできることとして扱う」という「一般化」を試みました。

◆ 専門性の壁
 思うに、僕がサイコロを振りすぎではないかと感じていたのは主に「情報に気づけるかどうか」という感覚的な部分であったように思っています。
 どうしても、「時間をかけて観察できるなら、あるいは慎重に見ることができるなら、気づけないことは少ない……ほとんどないと思える程度だ」と感じてしまうからです。
 その情報が得られるかどうかが物語の中で相当に重要なら隠されることも分かりますが、実際そうとも限らないことは想像に難くないかと思います。
 言い換えると、物語に入り込んでいく場面においてサイコロを振りながら進めていくことが、どこか物語性自体を膜で覆ってしまって没入感を緩めてしまうように感じる、ということでもあると思います。
 
 そうして考えたとき、先ほどの「時間をかけて繰り返し試みることができることは、完全にできることとして扱う」という「一般化」には穴があることに気づかれるかもしれません。
 これが「鍵開け」や「弓が的に当たるか」に適用される場合、例えば盗賊や射手の「お株を奪う」ルールになりかねないということが想定されるからです。
 
 確かに、専門的な知識や技術を持たない人物が「時間を掛けたらどんなことでもできる」というのは少々無理があるように感じられます。
 その専門性を獲得できるほどの、あるいは足らない技術を埋められるだけの「十分な時間」は、おそらく一つのシナリオの中に用意できないだろうと思えるからです。
 そこで、一般化する内容を修正することにしました。
 「専門性が必要ではないことのうち、時間を掛けて繰り返し試みることができることは、完全にできることとして扱う」という風に。

 今のところ、ここから修正を迫られる事態には出くわしていません。
 ただ、それは僕の経験の浅さゆえかもしれないと感じています。
 もしも読者の方の中に「いや、これでは対応できないケースがあったぞ」というお話をご存知の方がいらっしゃれば、ぜひご感想にて教えていただけましたら。
 そういう想いもあって、この内容を共有させていただきたかったのです。
 
◆ まとめ
 FT新聞4444回の記事では、TRPGにおけるサイコロ(ランダム性)について考えていることを書いてみました。
 それでは、今日はそろそろこのあたりで。
 よきファンタジー・ライフを。


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