おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
今年も、桜の花を見ることができました。
今日はちょっとした雑談というか、ゲームブックを書く際に私がやっている「戦略」のお話です。
◆「解像度」を上げる。
ゲームブック作品を書く際に、私がちょくちょく使っている手法があります。
それは、登場する何かの「解像度」を高くするというものです。
たとえば、「くさびらの森」というゲームブックを書いた際、主人公たちが相対する脅威として〈アリ人〉という種族を登場させました。
アリ人は人間よりも少し背が低い種族で、アリと同じ外見をしています。
〈大アリ〉と呼ばれる家畜を飼っていて、生活の役に立てています。
私は「昆虫都市」というタイトルの作品を書くぐらいには昆虫が、特にアリとハチが好きです。
理由はおそらく、彼らが「個」の意思を超えた存在といいますか、種としての統率された行動をする面があって、そこにある異質さに魅力を感じるからだと思います。
話がそれましたが、私はアリが好きだったので、世の中にはあまり知られていないが、とてもとても個性的なアリの種が存在することを知っていました。
ジャンプして獲物に飛びかかるジャックジャンパー。
お腹の部分に蜜を溜める性質があって、現地では「自然のおやつ」と呼ばれるミツツボアリ。
危機が迫ると爆発するジバクアリ。
アリたちを単なるクロアリ1種類として出せば、読者に通じやすい存在にはなるでしょう。
しかし、私は、様々なアリを主人公に対する脅威として登場させることで、物語の個性とすることに決めました。
◆契機。
私がこの手法を思いついたのは、ある「きのこライター」さんとの出会いがキッカケでした。
「くさびらの森」を書く数ヶ月前に、私はきのこ専門の作家さんと知り合いました。
「くさびらの森」の「くさびら」とはキノコのことなのですが、その方は私が「きのこがたくさん登場する作品にしたい」と申し出たところ、さまざまな種類のきのこを紹介してくださいました。
それで、急に気づいたんです……一般的な作品よりも「解像度を上げる」という手法を。
この気づきはそこから先の展開に、大きな影響を与えました。
『狂える魔女のゴルジュ』に「時の魔法」が7種類も登場するのも、この「解像度を上げる」という考え方と深い関わりがあります。
FT書房のメンバーである中山将平が「さまざまな種類のかえる人」の本を描き出したのも、自分が好きで詳しいかえるでこの手法を使ったことが起点になっていると、聞いています。
余談ですが、手法をマネするというのは、大いにやっていいことだと考えています。
そうやって人類は発展してきたのですから。
◆向き不向きがある。
さて、この「解像度を上げる」という手法、実は対象による向き不向きがあります。
たとえば、〈ねこ人〉と〈いぬ人〉だったら、〈いぬ人〉のほうが圧倒的に「高解像度化」に向いています。
もととなる種のバリエーションを見れば、その理由は明らかです。
犬はチワワからドーベルマン、しば犬、ブルドッグ、ダックスフントにマスティフと、大きさから体型からさまざまな違いがあって、ゲームとしてのデータベース化がしやすい種であると言えます。
その点、猫はそこまで大きな違いがあるとは言えません。
そして、そんな犬猫と比べてみると、アリの方がずっと個性が強いことが明らかです。
危機が迫ったからといって爆発する犬や猫は、寡聞にして聞いたことがありません。
そんな制約があってなお、この「高解像度化」という手法が、ゲームをより面白いものにしてくれる可能性は大いにあると思います。
たとえば「剣」としてしか分類されていなかった武器を、グレートソード、シミター、サーベル、ショーテルといった細分化を行うことで、ゲームブック内での活躍の仕方に差をつけることができるでしょう。
◆「低解像度化」もある。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」においては、私は反対の「解像度を下げる」方法で、ゲームのルールを最軽量化するという試みをしました。
剣だけで20種類あるようなゲームが私は大好きなのですが、そこを敢えて「軽い武器」「片手武器」「両手武器」の3種類と【斬撃】【打撃】の2種類の特性を持たせるだけで、あとは「どういう武器であるかは、プレイヤーが定めていい。ただし、そのことはゲームに影響しない」というように、まとめ方を大きくとることにしたのです。
これには理由がありまして、先に挙げたアリたちは敵であり、読者の想像ではなく作品を創る側が「こういう敵だ」と決めるものであるため、解像度がそこそこ高くてもいいと、まず考えたのです。
それに対して武器は主に、プレイヤー側の主人公らが持つもので、その外見や細かい種類は、演じたいキャラクターの姿に関係するものになる、という判断がありました。
だから、そこは作者側の「解像度を低く保つ」ことにして、プレイヤー側が好きなだけ高解像度化してOKよ、という作りにしたかったわけです。
解像度の調整、というお話でした。
それではまた!
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
↓
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report
【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun
----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------
メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。