━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 連載第6回 岡和田晃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼はじめに 本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編です。 当時のサイトは閉鎖されていますが、前日譚の「トレイルブレイザーズを探せ!」と「竜の予言を解放せよ!」はウェブアーカイブで閲覧可能です。D&D第4版や舞台の世界観そのものの解説にもなっておりますので、未読の方は以下よりご覧ください。 https://web.archive.org/web/20110520091921/http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay_eb/index.html うまく繋がらない方は以下もあわせてご利用ください。 https://www.dropbox.com/scl/fi/hfckq3h4rglyer10ycaj4/1_.pdf?rlkey=xzasih78fdhbqoikbr98kovkl&dl=0 https://www.dropbox.com/scl/fi/nluo5nzotbnpeanc1zh0r/2_.pdf?rlkey=f49qwu5pxzhc4flzcw7kj1v5y&dl=0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ DM:ダンジョンマスター(岡和田晃) ネディア:ヒューマンのレンジャー(PL:中山葵) ヘルメス:ヒューマンのアーティフィサー(PL:カナイセイジ) クシュタリ:カラシュターのパラディン(PL:見田航介) ベック:ウォーフォージドのファイター(PL:高橋志行) ジュス:ティーフリングのウィザード(PL:ノダソル) ●明かされた進攻計画 DM:さて、君たちは技能チャレンジに成功した。無事にブラックマーケットの一角にある、アウフルの店にまで辿り着くことができました。薄暗い店内には蝋燭の明かりが灯っていて……そこに現れたのは、怪しくも{艶/なまめ}かしいティーフリングの美女だ。 一同:おお〜!(感心したようなため息) ジュス:「久しぶりだな、アウフル。貴様のその角、忘れたことはなかったぜ」 DM:何だか、いわくありげだなあ(笑)では、その言葉を受けて、アウフルは遠くを見るような眼差しをしつつ……。 DM/アウフル:「金なら貸さないわよ」 一同:(爆笑) DM/アウフル:「あんたとは、色々あったからね。この前、あんたが持ってきた死体なんて、後で動き始めて大変だったんだから。で、今さらノコノコと、どうして顔を出してきたの?」 ジュス:「コースにちょっくら野暮用があってな。ついでに、貴様のツラでも拝みに来たってわけよ」 ネディア:なんだか、入れない世界になっていますね……。 DM/アウフル:「よく言うわ。いつも甘えてばかりのくせに」 一同:ひゅ〜ひゅ〜! ヘルメス/カナイ:どことなく、演歌の世界みたいだな。 ベック:これが“恋の駆け引き”ってやつですね(笑) DM/アウフル:「“皮剥がれ”になったヒューマンの女の子を連れて歩くだなんて、あんた、いいご身分だこと」 ネディア:「(驚いてフードを取り)わたしのこと?」 ジュス:「“皮剥がれ”だあ?」 DM:ネディアやヘルメスならば判定不要で理解できる。“皮剥がれ”とは、ドラゴンマーク氏族を追放になった者のことを言います。昔は本当に皮膚のドラゴンマークが剥がされてしまったらしい。 ネディア:「どうして? わたし、何もしてないのに?(驚く)」 DM/アウフル:「さあね。あんたがなぜ追放されたのかなんて、あたしにはどうでもいい。で、何をしてほしいの」 ヘルメス:「実は、この娘の妹が——まだ13歳なんだが——政略結婚させられるらしくてな。それがどうもキナ臭いんだよ。ハルデン・ド=オリエン、あるいはエラストレル・イル=ワイナーンという奴が絡んでいるのかもしれない」」 DM/アウフル:「だいたいわかってきたわ。大物が絡んでいるわけね」 ネディア:「(叫ぶ)そうよ、そいつと妹のサナが無理やり結婚させられるの!」 DM/アウフル:「妹さんが心配なのはわかったわ。だけど、まずは落ち着いて。あんた、そんな可愛い顔をして、いったい何をやらかしたの?」 ネディア:「たぶん、何か勝手に噂を作られてしまったんだと思うの」 DM/アウフル:「……繋がってきたわ。あなたの妹さん、大変な事件に関わってしまっているわね」 ネディア:「ええっ!?」 DM/アウフル:「実は、近々、あなたの妹さんの婚約者、エラストレル・イル=ワイナーン卿を総司令官として、大規模な戦が準備されているらしいの」 ジュス:「それと嬢ちゃんの結婚式に、どんな関係があるんだ?」 ベック:「戦争するんだったら、結婚式なんかで散財させない方が得策だと思いますが……」 クシュタリ:「戦意高揚を兼ねているのかもしれんぞ」 DM/アウフル:「そのあたりの事情はわからないけれども、エラストレル卿が兵隊を集めているってのは公然の秘密みたいなもの」 クシュタリ:「で、どこに攻めこもうとしているんじゃ?」 DM/アウフル:「“冬の砦”ティラー・シラエンよ」 ジュス:「ティラー・シラエン? 何だ、それは?」 DM:知りたいと思った人は、〈自然〉で判定してちょうだい。 ネディア:(ころころ)達成値23に行きました。 DM:“冬の砦”ティラー・シラエンというのは、エラドリンの居住地のことです。エラドリンの7つのフェイスパイアの1つ。 ネディア:フェイスパイアって? DM:フェイスパイアとは、「光輝燦然たるエラドリンの都市」のこと。このエベロン世界と、精霊たちが住まう“黄昏の次元界”セラニスとを行ったり来たりしている謎の都市です。冬の砦という名の通り、青白色の優美な光の塔が煌めいている美しい要塞。もっとも、カルナスの歴史からすると、建造されたのはごく最近であるようですが。 ヘルメス/カナイ:タップすると、白マナが出そうですね(笑) ジュス/ノダソル:それは違うゲームだ(笑) ネディア:そのフェイスパイアに、アンデッド兵士を引き連れたカルナス軍が進攻しようとしているわけですね。どうしてそういうことを? DM/アウフル:(静かに)「カイバー・シャードのため。“冬の砦”ティラー・シラエンの側には、カイバー・シャードの鉱床が存在するのよ。フェイスパイアが存在できるのは、このカイバー・シャードの力があるため。カルナス国王カイウスIII世は、何度か交渉を試みたようだけど、お高く止まったエラドリンたちに、一顧だにされなかったようなのね」 ヘルメス:そりゃあ、潔癖主義っぽいエラドリンたちに、アンデッドを操る怪しげな連中が交渉を持ちかけてきても「キモい、臭い!」って一蹴されちまうわなあ(笑) DM/アウフル:「そこで激怒したカイウスIII世は、甥のエラストレル・イル・ワイナーン卿を使って、武力をもってエラドリンを駆逐し、カイバー・シャードの鉱床を我が物にしようとしているってわけね」 ジュス:「それはけしからんな……」 DM/アウフル:「おまけに、手勢には翠玉爪騎士団の連中が混じっているとか。彼らは『リヴァイアサン計画』と言っているわね」 ヘルメス:「『リヴァイアサン計画』……」 ネディア:「それで、どうしてわたしが“皮剥がれ”にされてしまったの……?」 DM/アウフル:「それはわからないわ。ただ、“皮剥がれ”の状態では、オリエン氏族のエンクレーヴ(居住区)があるジッグラトにも近寄れないわね……」 ネディア:「どういう意図でわたしを結婚式に呼んだのか、お父様に聞こうと思ったのですが、危険でしょうか」 クシュタリ:「……現時点で避けておいた方がよいだろうな。もし何か悪しき連中と関わっていたことがはっきりすれば、それこそ滅殺せねばならん」 ネディア:「そうですか……(アウフルに)エラドリンの側は、進攻計画のことを知っているのでしょうか?」 DM/アウフル:「さあ。そこまではわからないわ。あたしには関係のないことだしね」 ネディア:「(きっと睨む)」 ●エレメンタル式岩石掘削機 ヘルメス:「(ネディアを制止して)きな臭い話になってきたな」 ベック:「“最終戦争”を思い出します」 DM/アウフル:「エラドリンの“冬の砦”への進攻は、エラストレル卿の結婚式を終えてからという話だったけれども、どうも、そんなに悠長な話でもないみたい」 ヘルメス:「進攻時期が早まったのか?」 DM/アウフル:「おそらくは、ね。結婚式を待っていられなくなったんじゃないかな」 ネディア:「これは“冬の砦”ティラー・シラエンへ行った方がいいかもしれませんね……」 DM/アウフル:「悪くない考えね。あそこに行けば、妹さんにまた逢えるだろうから」 ネディア:「何ですって、サナが、サナがそこにいるの? どうして、それを先に言わないの!」 DM/アウフル:「だって、聞かれなかったから……うふふ」 ヘルメス:「ひょっとして、ネディアを“皮剥がれ”にした連中は、サナを匿っていると思ったのかもしれないな」 ジュス:「どうしてサナがいるとわかるんだ?」 DM/アウフル:「あたしの情報網を舐めてもらっちゃあ、困るよ」 クシュタリ:「しかし、それで“皮剥がれ”にはなるかの?」 ヘルメス:「疑わしきは罰せよ、というわけではないだろうが……決め手に欠けるな。だが、その裏を取るにはリスクが伴う」 ベック:「ハルデン卿や、あるいは“ビューティ”というウォーフォージドとは、一度じっくりお話をしてみたいと思いますが」 ヘルメス:「ネディアの父のゾグルドも含め、どいつもこいつも胡散臭いからな……」 ジュス:「アウフル、エラドリンどもの砦へ向かう足はあるのか?」 クシュタリ:「エラストレル卿の手勢に見つからずに向かうのは、なかなか難しそうじゃぞ」 DM/アウフル:「それは任せて。うちの店が確保した“エレメンタル式地下岩石掘削機”(Tumbler)があるわ。これに乗って地下に潜って行けば、エラストレル卿の手勢に見つからず、目的の“冬の砦”へ行くことができるわよ。いくらか魔法工学の知識があれば、運転するのはとっても簡単♪」 クシュタリ:「やけに気前がいいじゃないか。まさか、俺様とお前の仲で、乗車料をふんだくろうってんじゃないだろうな」 DM/アウフル:「その、まさかよ。大丈夫。お金をもらったらビジネスだから、それであんたたちを売ったりしなくなるわ。料金は一人500gp、どう、安いもんでしょ?」 安い金額ではない。しかし、特に仲間もなく、古都コースをうろつくよりは、エラドリンに危機を知らせ、戦禍を避ける方が先決だろうと考えたパーティは、アウフルの条件を呑むことにした。(ヘルメス:「自分で運転するのに、この額は高いぜ……」) DM:アウフルの店の地下は広い格納庫のようになっており、いくつもの謎めいた機械がところ狭しと詰め込まれている。 ジュス:「いつ来ても、ここは変わらねえな。ちょっとは整理したらどうだ」 DM/アウフル:「ふふふ、雑多に詰め込んでいるように見えるでしょ。だけど、無駄なものは入れてないの。現に、“エレメンタル式岩石掘削機”は、こういう時に役立つのよ」 ジュス:「ったく、どこから仕入れてくるんだろうな」 DM:「倉庫の奥に連れて行かれた君たちが見たものは、直径10メートルほどの金属でできた“ロケットモグラ”と巨大な岩石がドッキングしたような、得体の知れない代物でした。違うのは、正面に巨大なドリルが付いており、これで地下に潜れるようになっているということ」 一同:おおーっ(唖然としている) DM/アウフル:「すごいでしょう。だいじょうぶ、コンパスが内蔵されているから、地下でも迷うことはないはず」 ジュス:「動力のエレメンタルは、アース・エレメンタルか?」 DM/アウフル:「そうよ。いい子だから、大丈夫♪」 ヘルメス:「シナリオによっては、動力として捕縛されているエレメンタルが解放されて、エラい目に遭うことなんか、普通にあるからな(遠い目で)」 ネディア:「びびってはいられない。サナがいるんだったら、急がなくちゃ!」 急いで乗り込む一行。“エレメンタル式岩石掘削機”は、大きな地響きを立て、倉庫の床に穴を開け、地下へとゆっくり潜行していく。乗っている者たちは目を回しそうだが、不思議なほどの安定感。またたく間に、岩盤を繰り抜いて目指すティラー・シラエンへ向かっていく。本来ならば制御の判定が必要かもしれないが、今回はオリエン氏族(皮剥がれになったものの……)のネディアがいたのでOKだとDMは裁定を行なうこととした。 なお“エレメンタル式岩石掘削機”は『MAGIC OF EBBERON』(未訳、第3.5版のサプリメント)で紹介されていた逸品である。英語版のサプリメントを読むのは大変と思われるかもしれないが、ヴィジュアル資料も多く刺激になるので、意外に敷居は高くない。チャレンジングなDMはぜひとも挑戦してもらいたい。 (つづく) “『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜” is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy.Not approved/endorsed by Wizards. 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