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2024年5月1日水曜日

第13回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4116

第13回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「混沌迷宮の試練」の内容の詳細に踏み込んでおりますのでご了承ください。

ぜろです。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
黒エルフとオークとの協定を結び、混成精鋭部隊でカオスマスター打倒を目指します。
そしてついにカオスマスターとの直接対決。
勝利しますが、同行していた黒エルフの長エルサスが、混沌の力でしずくの怪物と化してしまいます。
混沌の核の力とニモの祈りで、エルサスは元の姿を取り戻しました。
今回は、帰還後の顛末と感想回です。


【サクラ 技量点:2 生命点:6→5 幸運点:4→3/6 従者点:7】
持ち物
悪死剣壱(悪魔とアンデッドに特効+1)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5カタナ(片手武器相当)

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし2回分


●アタック03-12 サクラと冒険のおわり

私たちは、黒エルフの拠点へと帰還した。
たちまち祝宴が始まる。

犠牲者はゼロではなかった。ジョゼという尊い犠牲はあった。
しかし当初の予想はもっと悲惨だったのだ。
これは黒エルフにとっても、オークにとっても、大勝利というべき結果だ。

私もエール酒の大瓶を供出した。
カオスマスターのところにあったやつじゃない。
最初のダンジョンアタックで手に入れたものだ。
冒険が終わったら、黒エルフ三連星に渡すと約束していたものだ。
彼ら3人はもういない。だったら、黒エルフたちで飲んでもらうのが一番だろう。

オークの勇者、グラザンとグリリンも、居心地は悪そうだがその場にいる。
やはりこういうときのアルコールの力は偉大だ。

さて、と。

いつ終わるとも知れない宴会の中、私は席を立った。

宴会の輪を抜け、森への入口のあたり。
猟師のサジタと、その息子コナンが待っていた。

「ニモと、お別れはすませてきた?」

コナンは黙ってうなずく。

「……やはり、黙って出ていくつもりでしたか」

そのとき、後ろから声がかけられた。
エルサスだった。

「まあね。私たちは、村に成果を伝えに行かねば。家に帰るまでが冒険。あなたたちにとっては、拠点(ここ)に戻ったところで完了でしょうけど」

「あなた方には、感謝してもしきれない。あなた方の登場が、今回の件のすべてのはじまりだったと思う。最後までつきあってくれて、ありがとう」

「私たちは私たちの目的を達成すべく動いただけよ。きっともう会うことはないでしょうから、お別れを言っておくわ。さよなら」

私は、サジタ、コナンと連れ立って森へと歩き出す。
その後ろからエルサスが、さらに声をかけてきた。

「そうだな。ここへはもう来ない方が良いだろう。オークとの協定は長くは続かない。共通の敵もなく続けるには、遺恨を重ねすぎた。いつまた抗争が始まるとも知れないからな」

「そうね。私たち人間は、黒いスカーフにオークの指輪を通した新たな目印を持ち続けるわ。そんな時もあったという証として、ね。持ち物欄を圧迫しないのが最高」

こうして私たちは、黒エルフの拠点をあとにした。
エルサスの言うとおり、ここにはもう来ない方が良いのだろう。

ニモやコナンら新たな世代になれば、また違った融和の道もあるのかもしれない。
しかしそれは容易な道ではないし、おそらく父を継いで猟師の道を歩むであろうコナンも、生活に追われてそれどころではなくなるだろう。
黒エルフの姫君との冒険譚は、彼の心に残り続ける。思い出として。

さあ、レドナントの村へ向かおう。
当面の脅威が取り去られたことを報告しに。

サジタとコナンが、妻ユミの不在を本当の意味で実感するのは、村に帰ってからかもしれない。
村にとっては英雄かもしれないが、彼らの心は晴れないことだろう。代償としては、あまりにも大きすぎた。

そうして、私はまた旅に出る。次の冒険を求めて。


■登場人物
サクラ 【奇跡】を使える流れの剣士。混沌の迷宮を攻略し、カオスマスターを倒した。
サジタ レドナント村の猟師。「弓使い」としてサクラに同行する。
ユミ レドナント村の猟師でサジタの妻。迷宮の罠にかかり死亡。
コナン レドナント村の猟師の息子。「ランタン持ち」としてサクラに同行する。
ニモ 黒エルフ「スネージ」に属する少女。黒エルフのリーダー、エルサスの娘。
エルサス 黒エルフ「スネージ」のリーダー。しずくの怪物と化すも生還。
エル/ルフィ/フォウ 黒エルフ「スネージ」の兵士クラスの手練れ3人。全員死亡。
ジョゼ 黒エルフの勇士。ハープ演奏のわざを見せることなくスケルトン戦で死亡。
カオスマスター 混沌の迷宮に棲む恐怖の変態生物。
グラードン オークの族長。豪放磊落。
グラザン/グリリン オークの勇者。棍棒使い。


【感想】

クリア! おめでとう!!
さあ、今回の感想タイムです。


●従者について

今回のリプレイ、私にはひとつの目標がありました。
それは、従者を登場人物として扱うことです。

最初のリプレイ「黄昏の騎士」のときには、多少のやりとりは入れましたが、従者はどちらかというと「ユニット」としての運用だったように思います。
それでも従者が次から次へと倒れていくのは心にぐっとくるものがありました。
それで、主人公2人体制に魅力を感じたりもしましたが、従者プレイはローグライクハーフの基本形には違いないのです。
だったら、だからこそ、従者プレイの面白いリプレイを提供したい、という思いが強くなりました。

もともと人物描写は得意な方ではないし、リプレイはダイジェストになりがちです。
なので、従者の立ち位置に工夫をこらし、印象的なセリフを残すという形で、キャラクターとして立てることを心がけました。
戦わない従者の2人を子どもにしたことで、ぜったいに死なせられないという緊張感も加わりました。

名前の安直さは、名前だけでキャラクターの立ち位置がわかる、ということでもあります。
ランタン持ちの少年だけは「ランタ」ではなく「コナン」で繋がってないのですが……少年の名前、と考えた瞬間に「未来少年コナン」と「名探偵コナン」が脳裏をよぎったためですw

そうやって従者の設定に凝ったために、単にお金を出して雇うという形にならず、ストーリー上の必然で仲間のように加わる形を取ることに。
変則的ですが、ルールにのっとってお金は消費しています。そのお金がどこに消えているのかまでは知りませんw

物語の展開で従者になったために、次の冒険にはついてこられない人ばかりになりました。
そのあたりは、次回に同じ役割の人を配置することで対応しようと思っています。


●変則に変則を重ねて

また、今回は作中の設定を勝手にいじらせてもらっています。
これは、元のシナリオが悪いということを意味しません。
むしろ、あの「混沌の迷宮」を舞台にしたアフターストーリーをこんな見事な形で、と感嘆すらしております。

意識して変えた部分というのは、今回読者が「混沌迷宮の試練」だけで完結できるようにと配慮してある部分です。
この作品だけでも完全に楽しめる構造になっていましたからね。

前日譚としてミラードールシリーズの第2巻「混沌の迷宮」があります。
ミラードールは三部作なので、網羅するとなると、この前に3冊のゲームブックをプレイすることになってしまいます。

前日譚「混沌の迷宮」をプレイした私のリプレイは、どうしたってそれに触れないわけにはいかない。
だったらむしろ、「混沌の迷宮」とのつながりを濃くしてしまえ、といろんなアレンジをほどこしました。

黄金のカギの番号が666なのもそうです。

ミラードールのシリーズをお読みの方には、サクラがこの冒険の前に会ったという吟遊詩人が誰なのか、きっとわかることでしょう。
カオスマスターも「混沌の迷宮」に登場した「あの」カオスマスターにしてしまいました。

黒エルフのリーダーなんて、本当は魔法を使う強いクリーチャーとして、2回めの挑戦のボスとして配置されてるのをスルーして、しょぼい弓使いにしてしまいましたし。
前述の従者の仲間入りストーリーとかも、だいぶ変則的ですよね。

本作では「しずくの怪物」と化した従者を元に戻せる記述はどこにもありません。
前日譚「混沌の迷宮」での「混沌の核」の使われ方から、ルールの枠を超えて使わせてもらいました。
しかも、生命ゴーレムと賢者マトーシュの登場から、「混沌の核」に生命エネルギーが充填されていると繋げられて良かったです。

こういった変則的なものをリプレイとして公開したのにも、もちろん意図はあります。
それは、「1人で遊ぶTRPGなのだから、自分が面白ければどんな遊び方をしてもいいんだ」ということを示したかったのです。

作品は、作者の手から離れた後は、読者の手に委ねられます。
もちろん作者には「こう読んでほしい」「こう読んでもらえればきっと楽しい」という意図はあります。
でも、読者はどんな楽しみ方をしたっていい。それが作者の意図から離れたものであっても。
それがうまくいっていないと「こうやって遊んでもらえれば、もっと楽しめるのに」と思われてしまうかもしれません。
それでも、その作品をどう楽しむかは、最終的には読者に委ねられているのです。

だから私は私なりに、この作品を通じて前日譚「混沌の迷宮」への思いも繋げたかった。
私の中では繋がりました。自己満足ですが、満足しています。


●プレイする度に変わる印象

「黄昏の騎士」のときには、宝物をたくさん入手できて、資金も潤沢でした。
ところが今回の冒険では、3回の冒険を通じて、実入りがほとんどありませんでした。
お金を出して雇える従者を少し加えただけで、金欠です。
最後の冒険を終えた時点で、手持のお金は金貨6枚しかありません。

今回、宝物判定のサイコロの出目があまりに渋すぎたんですよね。
これが最初のローグライクハーフだったら、「ちょっと収入面が渋すぎるんじゃない?」という感想が出ていたかもしれません。
それだけ、プレイするたびに変化するのも、ローグライクハーフの魅力かもしれません。

ところで、今回冊子版でプレイしていて、どうしても気になったことがありました。
前作「黄昏の騎士」では気にならなかったことです。

今回は、「基本ルール」と「混沌迷宮の試練」の2冊の冊子を使って冒険をしました。
基本ルールは最初のキャラクター作成のほかは、ときどきのルールの再確認のために使用します。
そして、普段のプレイの際には、ほとんど「混沌迷宮の試練」の方を使って遊びます。

ところが、クリーチャーを倒した際の「宝物表」は、基本ルールにのみの掲載なんですよね。
つまりここだけは必ず基本ルールを参照しなければいけない。これ実は、地味に遊び辛かったんですよね。
「混沌迷宮の試練」の方に「宝物表」が掲載されていれば、快適度がぐっと増したのに、と思いました。

で、そんな風に思いながら確認を、と、他に手元にあるローグライクハーフのシナリオ「ドラゴンレディハーフ」を手に取ってみました。
すると、しっかり「宝物表」が掲載されているではないですか。

さすがFT書房さん、私が感じた部分は、とっくに承知で改善がなされていました。
この先の作品でもぜひこうした、取り回しの快適さは追求していただきたいと思います。


●職業名について

キャラクターシートに「職業名」がないことについてです。
職業名がないことで、呼び方の不便さはありますが、逆に自称でどんな職業を名乗ってもいいんだ、というメリットを強く感じました。
キャラクターシートに職業とかクラスとかの表記がない作品って非常に珍しいと思います。それは、魅力に繋がります。

今ローグライクハーフでは、基本の4つの副能力値による役割の幅を広げた、新しい職業のルールを拡張しています。
それらを踏まえても、こういった発想の自由さは保ち続けられるといいな、と思った次第です。


●マップモードについて

そうそう。前回の一本道モードから、今回はマップモードで冒険したのでした。
その感想を忘れるところでした。

実のところ、忘れそうになるほどに自然とプレイできたと感じています。
なにしろ私はマップ好きなのです。
ダンジョンマップよりもフィールドマップの方が痺れるのですが、そこはそれ。
やっぱりダンジョンも、マップがあって、そこを踏破していくという感覚にゾクゾクきます。
だから、私にとってはマップモードは素晴らしいの一言でした。

もちろん手軽さは一本道モードに軍配が上がりますので、必ずマップモードをつけろというものではありません。

今回は初めてということもあり、かなり新鮮に遊ぶことができました。
今後もマップモード搭載のシナリオを希望します。


●おわりに

さあ、今回の作品もとても楽しませていただきました。
このままでは、ゲームブックのプレイを差し置いて、ローグライクハーフにばかり走ってしまう危険性すら感じます。
時間のパイは有限です。やばい。これは非常にやばい。

今後もゲームブックのリプレイ、ローグライクハーフのリプレイ、両方を書き続けることはできるのでしょうか。
私にもっと時間があれば、水曜日はゲームブックリプレイ、金曜日はローグライクハーフリプレイ、くらいやってのけるバイタリティはあるのですが。
それをやるには仕事が忙しすぎます。

そんなわけで、さすがに週2連載というわけにはいきませんが、今後もFT新聞水曜リプレイを、どうぞよろしくお願いします。


■作品情報
作品名:「ローグライクハーフ」d66シナリオ第2弾『混沌迷宮の試練』
著者:杉本=ヨハネ
監修:紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
『混沌迷宮の試練』 ローグライクハーフd66シナリオ 第2弾
https://booth.pm/ja/items/4897324


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
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