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2024年5月8日水曜日

第1回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4123

第1回【くさびらの森】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【くさびらの森】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


●作品紹介

***

森で生まれた妖精女王と、平凡な1人の狩人。
2人が出会うとき、神秘の森の冒険がはじまる。
(100パラグラフゲームブック集3、背表紙より)

「くさびらの森」にいるアリ人たちの様子が怪しい。調査に出る。
大型の怪物も暮らすくさびらの森。様々な出会いが君を待つ。
恐怖の「ジバクアリ」をはじめ、アリ人たちには特に気をつけろ!
数多の試練を越え、この森で起こっている真の異変を理解したとき君は……。
(100パラグラフゲームブック集3、冒頭の4コマ漫画からセリフのみ抜粋)

***

ぜろです。
今回挑戦する作品は「くさびらの森」です。
作者は、杉本=ヨハネ氏。言わずと知れた、FT書房の代表です。
100パラグラフゲームブック集3の3本の作品の中の1本です。
私の100パラグラフゲームブック集3、ただ今借りパクされておりまして、やむを得ず再度購入させていただきました。

そして、実はこの作品、私は以前プレイしたことがあり、しかもリプレイも書いています。
今回は、再挑戦&再リプレイ化ということになります。
私からすれば、それだけの魅力を持った作品なのです。
記録を見ると、私が以前このリプレイを書いたのは2015年。すでに8年は経過していますね。
そっかーそんな前だったかー。つい最近とまでは言いませんが、そんなに前という意識もありませんでした。
時の流れは早いものです。

でも、1度プレイした作品ですから、そんなに悲惨なことにはならない……はず!
さくっとプレイして、さくっとクリアしてしまいましょう。
アタック01でクリアできたら拍手喝采をお願いします。(なにかのフラグ)

おおっと、まずは作品紹介からですね。
この作品「くさびらの森」の「くさびら」は「きのこ」のことです。
つまり、きのこの森。
きのこの山でもたけのこの里でもない、きのこの森。
きのこたけのこ戦争に終止符を打つべく遣わされた決戦兵器です。

この作品には、豊富な種類のきのこと、きのこの精たちが登場します。
そして、豊富な種類のアリ人も登場します。

アリ人!

FT書房の作品には、比較的頻繁に登場する種族です。
「宝石島の脱出」「マドレーンの海域」には友好的なアリ人が登場。食料を分けてもらえました。
「ディラットの危険な地下迷宮」ではアリ人の傭兵として雇われる展開がありました。アリ人の陣営で加藤茶と共闘したら、ディラット側に志村けんがいたんですよね。
「ディラットの危険な地下迷宮」未経験の方が見たら頭にはてなマークが浮かびそうですが、間違ったことを言っているわけではないのです。

そんなふうに、比較的交流ができる種族として登場しがちなアリ人ですが、本作のアリ人は、いうなれば……敵!

大雑把に言うと、きのこに味方してアリ人をなんとかするストーリーとなっております。
ただそれも、自然の大きな流れの中から見ると、ひとつの「共生」ではあるのですが。
そしてそれが、この作品のオチにあたる部分だったりもするのですが、作品紹介でバラしてどうする私。
でも大丈夫。そんなの全然問題にならないくらい、そこに至る過程が面白いんですから!
そんなきのことたけのこ……じゃなかった、きのことアリ人に彩られた冒険模様を、これからたっぷりお届けします。


●ルール確認

この作品は、ファイティングファンタジーの基本ルールをベースにした作品です。
技術点、体力点、運点といった能力値をサイコロを振って決め、サイコロを振っていろんな判定をし、サイコロを振って怪物と戦います。
最初に決める能力値の差が著しく、難易度が大きく左右されるため、バランスの悪さ等の欠点もありますが、やはりこのルールが原点だなと感じます。

この作品では、最初の能力値はサイコロを振って決めるのではなく、最初から決まっています。
なるほど、これなら極端な能力値を排除し、ある程度コントロールできるので、バランスの悪さという課題はクリアされますね。

そしてその能力値というのがこちら。

【主人公 技術点7 体力点14 運点7】

な、な、な、なんですとーーーーー!!!??

私が一体何に驚いているのか。
実はこれ、ファイティングファンタジーの基本ルールでいうところの「最弱キャラ」なのです!
技術点、体力点、運点を決めるサイコロですべて1を出したらできるキャラクターがこれ。
すなわち最弱。
これでは、通常の作品に登場するほとんどの強敵モンスターには手も足も出ません。
運だめしなどの判定の成功もおぼつきません。
しかも体力も貧弱貧弱ウリィィ状態ですから、すぐ死にます。
冒険者すぐ死ぬ。
あ、本作の主人公は冒険者ではなく狩人でしたね。

村の狩人。
そう、これはあくまでも狩人などの、冒険する職業の人の最低限の能力値なのです。
冒険に出ない一般人の能力値は、この最低値よりももっと低いはずなのです。
だから、この最弱ステイタスでも、きっと村ではかなり強いに違いない。地元じゃ負けしらずってやつです。
そんな村いちばんの勇者が、危険きわまりないくさびらの森へと挑むわけです。

ところで、ちょっと噂に聞いたところによると、スティーブ・ジャクソン氏のファイティングファンタジー最新作は、さらにこの上(この下?)をゆく、【技術点6 体力点12 運点6】なのだとか。
主人公作成上の最低値を下回る値を出してくるあたり、わずか1点であっても、さらなる発想の飛躍を感じます。さすが本家といったところ。

おおっと、持ち物等のチェックを忘れるところでした。
袋、剣、金貨10枚、食料2食分を持っているとあります。
食料は食べると体力点を4点回復できます。
そして大事。持ち物の欄には書かれていませんでしたが、それらと別に弓矢を持っています。
そりゃ狩人ですもんね。弓矢は持っててもらわないと。
矢は9本。
戦いに入るとき、通常の戦闘ルールに入る前に先制で弓を射ることができます。
技術チェックといって、サイコロ2個を振り、技術点7以下の目が出れば成功。
サイコロ1個分のダメージを相手に負わせることができるとあります。
これは、かなり強力です。
この攻撃が当たるか否かで、戦況がひっくり返るくらいの威力があります!

当たれば!

……当たれば!

技術点が7点だと、まず当てるとこがネックなんですよねぇ。

さあ、だいたい準備は整いました。

次は主人公の名前を決めます。
私はゲームブックに挑戦するときには、名前だけつけています。
特に詳細な背景や設定を考えるわけでもありませんし、リプレイ上は主人公の一人称なので、名前が登場することも滅多にありません。
単に、気分の問題です。

今回は、自作の名前決定表を用いてサイコロを振って決めました。
その結果、主人公の名前は「ハーヴェイ」に決定しました。
この名前で呼ばれる機会は少ないと思いますが、よろしくお願いします。

リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。

【ハーヴェイ 技術点7 体力点14 運点7】
【持ち物】
・ものを入れる袋
・剣
・弓矢
・金貨10枚
・食料2

さあ、それではここから本編に入りましょう!


●アタック01-1 くさびらの森のアリ人

俺はハーヴェイ。くさびらの森付近の村に住む狩人だ。
森へしばしば入っては、狩猟をしたり山菜を採ったりしながら生計を立てている。
そんな俺がスタート時に金貨を10枚も持っているというのは、我ながらいささか疑問だ。

さて、俺は今日も森へと入っていた。
いつもは外縁あたりで活動しているのだが、この日はいちご狩りに夢中になりすぎ、うっかり奥まったところに入り込んでしまった。
そしてそんなとき俺は、女性の悲鳴を聞いたのだ。

こんな森深い場所で。

すぐさまかけつける。
木々の間に1人の女性の姿をとらえた。
複数のアリ人に、槍を向けられている。

なんでこんな場所に女性がいるのか、疑問は尽きないが、今はそんな場合ではない。
俺は音を立てて接近し、女性に、アリ人たちに気づかせた。

「ここで何をしているのか!」

強い気迫でアリ人たちを問い詰める。俺の態度に一瞬ひるんだようだ。
アリ人という種族、一応話は通じる。しかし、何を考えているのかわからない不気味な怖さがある。

「立ち去れ!」

俺はもう一度、強い口調で言い渡す。
アリ人たちは、ここでこれ以上争うつもりはなかったようで、引き下がり、去って行った。
よかった。ほっとした。

さて、女性の方だ。
抜けるような白い肌に、薄い絹の衣類。
はっきり言って、こんな森の中にいられるような格好ではない。
それに漆黒の王冠をかぶっている。
どう見ても普通の立場の人間ではない。

謎は多いが、普通に声をかけるしかあるまい。

「森は危険だ。あなたも早く出たほうが良い」

それに対する女性の返事は、意外なものだった。

「ここが私の生まれた森。誰も『出ていけ』とは言えないのよ」

女性のまわりを、鱗粉のようななにかがキラキラと舞っていた。

「くらびらの王妃の命を救ったのです。あなたに褒美を取らせましょう」

くさびらの、王妃?

この女性は、きのこの精かなにかだというのか?
じゃあ、このキラキラと舞っているのは、きのこの胞子?

「森まで会いに来て。私とあなたはきっと、菌縁で結ばれている」

そんな謎めいた言葉を残すと、くさびらの王妃の身体は宙に浮き、森の奥へと消えて行った。
俺はそんな様子を、ぼーっと見送るだけだった。

くさびらの王妃が消えた後、ふと我に返り、俺はつぶやいた。

「褒美って、なに?」

これが俺とくさびらの王妃とのファーストコンタクトだった。
そしてこの出会いを経て俺はすっかり、くさびらの王妃のとりこになっていた。

そんなある日、村で事件が起きた。
村はずれに住む老婆カトリーヌが、惨殺されたのだ。
村勇者の俺には当然のようにお呼びがかかる。
俺はカトリーヌ老の状態を確認し、直感した。

これは、アリ人の仕業だ!

先日のアリ人は、俺の眼力で撤退させた。
それが村まで来て、問答無用で惨殺するところを見ると、だいぶ凶暴性が増しているようだ。
アリ人は定期的に移動を繰り返す種族だ。移動の前後にはひどく興奮する。
そうした種族的な習性によるものなのか、森でなにかが起きているのか。

……森に、行く必要があるな。

森へ行き、村に対してのアリ人の脅威を排除する。

しかし使命とは裏腹に、俺の頭の中にはくさびらの王妃の「森まで会いに来て」という言葉が反響していた。

次回、くさびらの森へと足を踏み入れる。

【ハーヴェイ 技術点7/7 体力点14/14 運点7/7】
【持ち物】
・ものを入れる袋
・剣
・弓矢
・金貨10枚
・食料2

■登場人物
ハーヴェイ 主人公。むらゆうしゃだがアストロンは使えない。うちゅうヒーローへの道は遠い。
くさびらの王妃 きのこの精かなにか。はじまる前に主人公をとりこにしてしまった。
カトリーヌ 村はずれに住む老婆。凶暴化したアリ人の犠牲に。

■作品情報
作品名:くさびらの森
著者:杉村=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://ftbooks.booth.pm/items/2484128
100パラグラフゲームブック集3に収録されています。


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