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2024年4月27日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第585号 FT新聞 No.4112

From:水波流
海外翻訳を読んだ後は日本人作家。ファンタジーを読んだ後は現代日常ものを読みたくなるのは、甘いのと辛いのを交互に食べたくなるアレに似ている。
いまアルスラーン戦記を読んでいるのだけど、横に積んである民俗学ホラーを読みたくてたまらない。

From:葉山海月
「ある時は木更津の婦人警官。またあるときは木更津の婦人警官。そして、またある時は木更津の婦人警官。しかして、その正体は?」
「木更津の婦人警官」
「ブー。ただの怪しい人でしたー」
何なんだこれ? バカの会話!?

From:中山将平
僕たち、今日と明日「ゲームマーケット2024春」にサークル参加します。
新刊はローグライクハーフ作品が2冊。「女王の肉」と「巨大樹の迷宮」です。
ブース配置は【F32】。僕中山も現地にいますので、ぜひ遊びに来ていただけましたら。
「女王の肉」ご紹介ページ→https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/niku
「巨大樹の迷宮」ご紹介ページ→https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/kyodaijyu


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■4/21(日)~4/26(金)の記事一覧
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2024年4月21日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4106

アランツァワールドガイド Vol.11 神聖都市ロング・ナリク(後編)
・FT書房のゲームブック世界『アランツァ』について、ヨハネ氏自らのガイダンスです!
今回はアランツァ世界を旅するワールドガイドの第11回、神聖都市ロング・ナリク。
二回にわたりました当都市のガイド。
1000年近い歴史を誇る「古都」。
その迎春祭のフィナーレをオープニングに、この都市ならではの歴史、民俗や地理、機関について語ります。
どうぞよろしくお願いいたします。


2024年4月22日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4107

今後の配信予定☆@ローグライクハーフ
・30分で遊べる1人用TRPG 「ローグライクハーフ」!
躍進めざましい、本シリーズのこれまでの歴史を振り返ります!
これまでに配信したd66、d33シナリオリスト。
くわえて、ここからの配信予定☆
ここからの第1日曜日は、これまでと変わらず奇数月にd66シナリオ、偶数月にd33シナリオと交互に配信していきます。
その強力ラインナップをご紹介!
これまでのファンタジーなお話に加え、
「海底探検」に、「宇宙」
SFテイストが入った作品も目白押しです。
どうぞよろしく!


2024年4月23日(火) 中山将平 FT新聞 No.4108

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第22回 
・中山氏が創作している『カエルの勇者ケロナイツ』(ファンタジー世界に住まうカエル人たちの活躍を描いたオリジナル作品)。
その創作から、学んだことを書きつづります。
今日の記事はファンタジー世界における「経済」について。
まず、カエル人の社会には「貨幣」がない!?
では、どのようなシステムを取っているのか?
そこから見えてくる社会、そして資源の話を語ります。


2024年4月24日(水) ぜろ FT新聞 No.4109

第12回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第382回をお届けしました。
今回はノリに乗っている「ローグライクハーフ」2ndシナリオ『混沌迷宮の試練』リプレイ。
「ミラー・ドール」三部作の2巻、「混沌の迷宮」の後日談的な作品です。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
黒エルフとオークとの協定を結び、混成精鋭部隊でカオスマスター打倒を目指します。
賢人マトーシュとの出会い、聖剣悪死剣壱の入手。
黒エルフの勇士ジョゼの死を乗り越え、ついにカオスマスターのもとへ。
今回はついに、カオスマスターとの最終決戦です!
攻撃を受けたら混沌になる!? 
まさしく、「混沌」という言葉でしか形容できない、おねぇ言葉の狂気のボスの前で!?
その決着は、ぜひあなたの目で確かめてください!


2024年4月25日(木) 齊藤(羽生)飛鳥 FT新聞 No.4110

『ヨグ=ソトースの飛沫』リプレイ
・児童文学・ミステリ作家、齊藤(羽生)飛鳥氏によるゲームブックリプレイです。
今回は『ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇』から、『ヨグ=ソトースの飛沫』
「あんた……呪われているね」
奇妙な……なにせ血まみれの植木ばさみを持っているのだ……老婆からこんな縁起でもない言葉を宣託された、作家、甘木廿香(あまぎはつか)。
眼精疲労だろうか?
視界に飛ぶ黒点に悩まされつつあった廿香の日常は、少しずつ狂気にむしばまれていく……。
飛び散る飛沫が印象的な一本!
ぜひ一読を!


2024年4月26日(金) 休刊日 FT新聞 No.4111

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!


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■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ghostwriterさん)
ファンタジーと貨幣の関係性面白いですよね。
ある短編漫画で、「なぜモンスターは死ぬと金貨を出すのか?」という問いの答えとして、「モンスターが死ぬと出す綺麗な石で、物と交換したのが最初」というのがありましたね。

(お返事:中山将平)
ご感想をいただき、ありがとうございます。
モンスターが金貨を出す問題、興味深いですね。
細部にリアリティを感じられる表現物が作れたらと考えております。


(ジャラル アフサラールさん)
TRPGの先達で言うと確かSNEさんの『央華封神』が物々交換経済でした。公式漫画で主人公たちが旅先で食事代に笊を出していたのが印象的です。あれは舞台が古代中国風世界で貨幣経済が普及していない世界でした。まあ品物は買い物ではなく功績や冒険通じて入手する世界なら金銭は不要かもしれませんね。

(お返事:中山将平)
いつもお便りをいただきありがとうございます。
この話題については、どのような世界を表現したいかと同時に、ゲームとしてのバランス感も考慮すべきものなのだろうと思っています。
とはいえ、ロールプレイに意味を見出せる展開は楽しいものですね。


(ghostwriterさん)
ローグライフハーフの配信版ラインナップのタイトルを見ているだけでもワクワクします。そして、SFローグライフハーフ、ついに始動ですね!
連作ということで、同一キャラクターでのSF冒険譚を楽しみにしています。
咳喘息お辛いですね。稼業が見えないものを扱う仕事ですので、祈祷をしてみますね。

(お返事:杉本=ヨハネ)
ありがとうございます、アイディアを蓄積して現在進行中です!
祈祷、嬉しいです。
だんだんとよくなってきたような気がします^^


(忍者福島さん)
甘木廿香さんのモデルは齊藤(羽生)飛鳥さんなんですかね?
甘木をどう読んだら齊藤や羽生になるのかと気になったり、八つ墓村ネタが出てくるなあと思って楽しんでました(笑)
このストーリーもヨグ=ソトースの祟りだったりして?

(お返事:齊藤飛鳥)
御感想下さり、ありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです^^
甘木廿香のモデルは、「理想とする私」です。死にましたが(笑)
名前ですが、作中に「甘木」というデフォルト名があったので、それに字面が似ている廿という漢字と人名らしさを出すために香と組み合わせ、甘木廿香としました。
祟りとなりますと、ひょっとしたら八つ墓大明神の正体が、ヨグ=ソトースだったりするかもしれませんね^^


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2024年4月26日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4111

おはようございます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。

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2024年4月25日木曜日

GBクトゥルー短編集小説リプレイvol.1『ヨグ・ソトースの飛沫』 FT新聞 No.4110

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児童文学・ミステリ作家、齊藤(羽生)飛鳥さんによる
『ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇』・小説リプレイ
Vol.1
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御無沙汰しておりました。齊藤(羽生)飛鳥です。
『ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇』は、いくつものクトゥルー神話ゲームブックを楽しめるお得パックな作品集です。
各話のあらすじが、四コマ漫画で紹介されているのが、遊び心満載ですし、すぐに世界観に没入できる仕掛けになっているのも嬉しいところです。こういう演出、粋なので大好きです。
第一弾にあたる『ヨグ=ソトースの飛沫』は、ゲームブック作家になってクトゥルーな冒険を繰り広げるというもの。
クトゥルー神話では、何をしていても死亡フラグに繋がる印象がありましたが、日常で仕事に励んでいても死亡フラグになることには驚かされました^^
なお、私には「ゲームブックの主人公は自分と同性に設定する」という自分ルールがあるので、リプレイの主人公は女性ですが、本編自体はどちらの性別でプレイしても大丈夫なようにシナリオが書かれています。毎度のことながら、その辺りの自由度のバランスのとり方が、ゲームブック作家の方々はすごいです!
ちなみに、ホラーが苦手なので恐怖を和らげようと、脳内で挿絵を思い浮かべながら読んだのですが、主人公の職業が作家だったので「作家……漫画家……岸辺露伴……。よし、脳内イラストは荒木飛呂彦先生タッチで行こう!」となったので、恐怖は和らがず結局ホラーになったのでした^^;
それから、最後に近況報告です。
このたび、3月末に『蝶として死す』(東京創元社刊・「羽生飛鳥」名義)が文庫となりました。解説を書いて下さったのは、文芸評論家の細谷正充先生です!! 人生初の文庫の、これまた人生初の解説に細谷先生が書いて下さるとは、ありがたさのあまり正直震えております!!
そして、4月上旬には『シニカル探偵安土真3 写生大会はトラブルいっぱい!』(国土社刊・「齊藤飛鳥」名義)が刊行されました。こちらは、人生初のシリーズ物の3巻目です!!
御興味がおありの方は、お時間ある時に御笑覧下さいませ^^

※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
『ヨグ=ソトースの飛沫』リプレイ

齊藤(羽生)飛鳥
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●


0
私の名は、甘木廿香(あまぎはつか)。
一介の零細女流作家だ。
今回は、縁あってクトゥルー神話のゲームブックを書くことになった。
クトゥルー神話について、まだあまりよく知らない。そこで勉強しつつ執筆を続けていたら、最近黒い点々が見えるようになってきた。
眼精疲労とは、ついてない。
そして、ついてない時にはついてないことが重なるものだ。
帰宅途中に雨に降られ、たまたま雨宿りで入ったコインランドリーで、強烈な個性を放つ老婆に出会ってしまった。
「あんた……呪われているね」
普段の私なら、「新手の濃茶の尼?」と茶化すところだ。
しかし、血まみれの植木ばさみを持った老婆からこんなことを言われては、つべこべ言わず逃げたくなる。
私は、雨宿りで入ったのも忘れ、全速力でコインランドリーから飛び出していった。


1
無事に帰宅できた私は、次の日、とんでもない事実に気づいた。
黒い点々が前よりも数が増えて見えるようになったし、クトゥルー神話ゲームブックのネタをメモした手帳をコインランドリーに忘れてきてしまったのだ!!
あの手帳には、お気に入りの『ゲゲゲの鬼太郎』のマスキングテープを貼ってデコってあるので、中身を見られるのも、表紙を見られるのも、つらい!!
でも、黒い点々が見え続けるのもつらいから、●眼科にも行きたい。
ここは、眼科、コインランドリーの順番で出かけよう。
日のある時間帯なら、通行人がたくさんいるから、あの老婆に出会っても、助けを呼べるから、たいして怖くないだろう。
私は、眼科に向かった。


2
眼科の医師は、中学時代の同級生という気安さ●から、フランクに飛蚊症や網膜剥離の可能性を提示してくれた後、検査もしてくれた。
結果は、これと言って異常なし。
もしかしたら、ストレス性の幻覚症状かもしれないと言い、気分転換にと、奥さんが使わなかった美術館の予約チケットをくれた。
7色の水玉模様●が、やたらかわいい。
さて、黒い点々がストレス性のものだとわかって安心したところで、コインランドリーへ行って手帳を探すとしよう。


3
コインランドリーに到着。
手帳は、コインランドリーのベンチに置いたはずだけど、どこにも見当たらない。
誰かが拾って●、雑誌置き場に入れてくれたのかも。
さっそく雑誌置き場を探してみると、同人誌を見つけた。
タイトルは●、『ヨグ=ソトースの飛沫』
今ちょうど私が書いているゲームブックと同じテーマで、なおかつ同じ制作元だ。
こんな偶然の一致なんて、あるのだろうか?
私は気になって、見つけた同人誌『ヨグ=ソトースの飛沫』について、制作グループに電話で問い合わせた。
答えは、この同人誌はこの世にたった一冊しかなく、作者は20年前から行方不明。
文意不明の言葉が羅列された同人誌ってだけでも恐怖を感じるのに、作者が行方不明と聞いては●、完全に危険なパターンだ。
私は電話を切ると、今聞いたことはしいて忘れて、手帳探しを続けた。
そう言えば、落とし物入れがあったな。
覗いてみると、予想に違わず手帳がそこにあった!!
よかった!!
これで、一安心。
さあ、家に帰っ……うぅ……急にめまいがしてきた。
ふらつきもしてきた。
まっすぐ歩けない……。


4
●気がつくと、私は駅前の広場にいた。
周辺地図の看板の前に立つと、●どうしたわけか黒い点々が神社や美術館の上を指し示すように止まっている。
まるで、黒い点々が指し示す場所へ行けと、●指示されているみたいだ。
ちょっと言ってみるか。
私は、●まず神社へ行くことにした。


5
付喪神社。
それが、●私の来た神社の名前だった。
「つくも神社」と読むらしいが●、この字面だと、『付喪神絵巻』を思い出す。日本の絵巻物の中では、●『鳥獣戯画』と並んで好きだ。
この神社は観光スポットらしいけど、●地元にあると観光気分になれないとの理由で、来るのは初めてだ。
でも、ご神体が古い鍋とは面白いから、今度からちょくちょく散歩に来ようかな。
さてと、●予約チケットをもらっていることだし、次は美術館へ行くとしますかね。


6
草枕彌生美術館。
それが、●私の訪れた美術館の名前だ。
ここも地元にあるけど、●入場料が零細作家には高くて、いつも遠くから建物を眺めるだけという●『ティファニーで朝食を』状態だった。
でも、●今日は違う。
予約チケットがあるから、入れる!!
嬉々として美術館に入り、これまた嬉々として作品鑑賞。
特に気に入ったのは、突き当たりの壁全面に描きこんだ黒い水玉の乱れ舞う作品だ。
芸術家の無意識と同調するような心地よさを味わっていると、草枕彌生の秘書に話しかけられ、草枕彌生と話ができるようになった!!
伝説的アーティストとどんな話をしようか、●夢見る私を現実どころか超現実に叩き落とすように、草枕彌生は衝撃の事実を激白した。
何と、彼女も私と同じように、黒い点々が見えているのだ!!
この黒い点々に関する相談相手の住所を教えてくれた上に、●今夜1:37に会おうと言ってくれたのはありがたいが、相談相手のいるビルって、あのコインランドリーの裏手だ!!
すごく不安だ……。


7
私は、●美術館を後にすると、相談相手のビルへは行かず、気分転換を兼ねて高校に行った。
ここも黒い点々が指し示した場所の一つだし、我が母校だからだ。
●懐かしい。
名物の天体観測所が、●今なお健在で、嬉しくなる。
なぜだか、●むしょうに天体観測所の天体望遠鏡で見ている宇宙へ行きたい気分になってきた。
●遊園地の観覧車で地上を離れることすら嫌で、ひたすらゴーカートに乗っている普段の私からは●、想像もつかない感慨だ。変なの。
でも、●気分転換になったから、次は図書館に行くとしよう。


8
●図書館。
仕事の資料探しでよく来るから、●まるで実家に帰ってきたような安心感だ。
ちょうどいい。●岡肌コレクションのコーナーにある幻想文学専門の棚を覗いていこう。
前に読みかけだった●『マンク』の続き、気になっていたんだよね。
……●と、本を手に取ったのが仇。
気がつくと、●閉館時間の音楽が聞こえてきた。
ここの図書館で流れる閉館時間の音楽は、よくある『別れのワルツ』ではなく、なぜか『虹の彼方に』が流れるのが気になる。
だが、それはさておき、これでは●家に帰るしかない。
岡肌コレクションには、●時間を飛ばす能力があるのではなかろうかと思いつつ、私は帰宅した。


9
我が家に帰ると、●ルームウェアに着替える。
今日一日●長かった。
夕飯を作ったり、風呂に入ったり、本を読んだりするうちに、●気がつけば11時をまわっていた。
黒い点々が見えているせいか、●やけに眠たい。
でも、記憶がはっきりしているうちに、●昨日からの奇妙な出来事を整理しておこう。
まずは、●コインランドリーで拾った同人誌だ。
文意不明の内容だったから、読めるかな……?
ん?●読める……じっくり見たら、読めてきたぞ!!
内容の大半がタイトルどおり、ヨグ=ソトースについての考察だった。
つまり、●正気の沙汰とは思えない、狂気すら感じる内容だった。
恐怖を覚えるは、●黒い点々が増えてくるは、さんざんなので、私は同人誌を読むのはここまでにした。


10
口直しと言うのもいささかおかしいが、●自分の手帳を読んで恐怖を紛らわそう。
自慢ではないが、●私のクトゥルー神話のゲームブックネタは、●ちっとも怖くない。
何しろ、●ペットショップで猫や兎ではなく犬を選びペットにさえすれば、●どんな恐怖の状況に陥ろうが、神話生物に遭遇しようが、●犬が神話生物を倒してくれて生還できるハッピーエンドを迎えるプロットだからだ。
●あれ?
見覚えのないメッセージが、最後のページに書かれている?
「深夜24:30。99の裏手で待つ」
99と言えば、●つくもと読むから付喪神社のこと?
その裏手と言えば、●公園が確かあったな。
気になるから、●行ってみるか。


11
深夜の公園は、●はっきり行って薄気味悪かった。
今にも殺人鬼や変質者が現れるのではないか、●ポケットの中に隠し持つ防犯用の催涙スプレーを握りしめながら、私は約束の時間を迎えた。
現れたのは、●大学生くらいの白人の青年だ。
私、●英語は大学卒業してから、まったく使ってないからしゃべれないんだけど!?
ジェスチャーかパントマイムで乗り切ろうか、●半ば本気で検討していると、青年は巧みな日本語で話してくれた。●助かった。
しかも、●話の内容は目の黒い点々を見えなくする方法だった。●これも助かる。
ただ、●胡散臭い儀式のグッズを渡された時は、どんな顔をすればいいのか、●わからなくなった。
そんな私を放置し、謎の青年は公園を立ち去る。
彼は、●いったい何者なのか?
気になった私は、彼を尾行することに決めた。
しかし、異界に通じていそうなトンネルにさしかかったところで、青年を見失ってしまった。
これでは、帰宅するしかない。
私は帰宅してから、ふと思い出した。
1:37に、草枕彌生と会う約束だったではないか!!
私は、大急ぎで美術館に行った。


12
●ぎりぎり約束の時間に間に合った……●と喜んだのも束の間。
美術館は●跡形もなく●消滅していた。
美術館の周りには●、警官や野次馬達がいる。
しかも、●私にしか見えない巨大な黒い穴がある。
突然だけど、●今ならこの黒い穴●が異界への入り口だとわかる。
草枕彌生も、●穴へ美術館ごと引きずりこまれてしまったのだ。
そして、●私も……。
制止する警官の声も聞かず●、私は穴の中へと●入っていった。


13
暗黒の中●、私は空間に浮かんできたメッセージを読み解いた。
●ミード酒?
あの青年がくれたお酒だ。
これと●、笛と呪文が救いとなると教えてくれた。
胡散臭いけど●、試してみる価値はある。
私は●、ミード酒を飲んだ。
甘露とは、●まさにこの酒のためにある言葉だ!!
酔っ払いの勇気で●、私はラベルに書かれている呪文を唱える。
すると、●宇宙空間のただ中にある巨大な石の神殿の前に私は来ていた。●わっほう。
立ちすくむ私を迎えに来るように、●神殿の中からあの青年が現れた。
そして、●どう考えても巨大すぎる神殿の中へ私を案内してくれた。
人類のために建てられた建築物ではないのは●、そのスケールの大きさでわかる。
町サイズの書架が並ぶ図書館なんて、●生まれて初めて見た。
天井なんて、もはや空にしか見えない位置にある。
だから、青年が人間サイズの通路にへ案内してくれた時には、元の体のサイズに戻れた『ミクロキッズ』のような気分だった。
通路の先には回廊があり、重厚な革張りの古書が並んでいる。
どれも、とてもきれいな本ばかりだ。
博物館級といってもいい。
本を見てまわるうちに、一冊の大型の黒い本を見つけた。
これ、確か4日前に見た覚えが……。
もっとよく思い出そうと本を手に取った。
たちまち棚から他の本が私めがけて落ちてきた!!
これは痛い!!
いったい何が起きたの!?
そんな私の疑問を無視して、後頭部に本が直撃。
私は意識を失った……。


14
頭痛と喉の渇きで●、目が覚める。
青年が、●甲高い声の年配の男と何やら話しているのが●逆さに見える。
それもそのはず、●私は逆さ吊りにされて●いたからだ。
二人は●何か話している。
話の内容を●総合すると●……ああ●、目の前の黒い点々が増えすぎてうっとうしい。
もう●、この●黒い点々●に悩まされないなら●、どうだって●いいや。

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
———それが、私の最期の思考だった———
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。
2023年5月に『揺籃の都 平家物語推理抄』(東京創元社)が2023年第23回本格ミステリ大賞候補作にノミネートされた。
2023年9月には、齊藤飛鳥名義で、児童書では初のシリーズ物となる『シニカル探偵安土真(1)結成!放課後カイケツ団』(国土社)を刊行。
日常の謎解きをする少年少女探偵団物で、続刊予定。現在3巻まで出たので、このまま続刊を切に願う今日この頃。
2024年3月に『蝶として死す』文庫版(東京創元社)が刊行された。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表している。

初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。

■書誌情報
「ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇」所収
『ヨグ=ソトースの飛沫』
 著:HUGO HALL 絵:HUGO HALL
 発行:FT書房(2020年11月14日) 1,650円
 https://booth.pm/ja/items/2484141


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2024年4月24日水曜日

第12回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4109

第12回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「混沌迷宮の試練」の内容の詳細に踏み込んでおりますのでご了承ください。

ぜろです。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
黒エルフとオークとの協定を結び、混成精鋭部隊でカオスマスター打倒を目指します。
賢人マトーシュとの出会い、聖剣悪死剣壱の入手。
黒エルフの勇士ジョゼの死を乗り越え、ついにカオスマスターのもとへ。
今回はついに、カオスマスターとの最終決戦です!

混沌の迷宮 第3層
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Trials_of_TheChaosLabyrinth_Layer3.png


【サクラ 技量点:2 生命点:6 幸運点:4/6 従者点:7】
持ち物
悪死剣壱(悪魔とアンデッドに特効+1)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5混沌の核
6カタナ(片手武器相当)

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし2回分


●アタック03-9 サクラとラスボス戦

私たちは今、カオスマスターの居室……というか大浴場で、対峙している。

これまで罠の回避や攻撃の回避に一役も二役も買っていた黒エルフの勇士、ジョゼはもういない。
守りのかなめを失い、この戦闘ではどれほどの被害が出るのか、想像もしたくない。
しかもカオスマスターは、人間を一瞬で「しずくの怪物」に変えてしまう力を持つという。
これは最初から、犠牲をいとわず、数で押して倒すという無謀な作戦なのだ。
ここにいるメンバーには、覚悟がある。

【カオスマスター レベル4 生命点12 攻撃回数:特殊 死ぬまで戦う】

実はこのカオスマスターのステイタス表記、私は間違えてしまっている。
それは生命点。
カオスマスターの生命点は、たしかに12と表記されている。
しかし、初期作成のキャラクターの場合、生命点を2点減らせることになっているのだ。
だから、生命点は10点が正しかった。

他の生命点持ちのキャラクター、たとえば生命ゴーレムなどは、きちんとこの処理をして生命点を修正していたのだが、このときは忘れてしまったようだ。
そしてこの生命点2点分のために私たちは……大変な結果を招くことになる。

戦闘開始の前に、カオスマスターの特殊攻撃の確認だ。
カオスマスターの攻撃は、全体攻撃。そして【混沌化】の魔法だ。
目標値3の【魔法ロール】を行い、失敗するとしずくの怪物になってしまう。
全体攻撃なのが激しくやばい。

「混沌の核」を持っている私だけが、【混沌化】の【魔法ロール】に失敗しても、生命点へのダメージとして扱うことができる。
生命点を削り切られるまで、もちこたえることができるということだ。

これは、たとえ勝利できたとしても、私と非戦闘員以外の全員が、しずくの怪物と化してしまう未来が容易に想像できてしまう。

そんなこと、させない。

戦闘開始!

開幕最初は私の【奇跡】。全員を守る決意を秘めた【防衛】だ。
これで回避ロールにプラスがつく。カオスマスターの攻撃手段に対してはまったく意味はないのだが、皆を守るという私の絶対の意思を示す。

次は弓使いたちの出番。
猟師のサジタの攻撃はしかし、サイコロの出目3で外れ。
黒エルフ長エルサスの攻撃は、サイコロの出目5で命中だ。
カオスマスターの巨大なハエの複眼を射貫いた。初ダメージだ!

「うふふん。ハエの頭はただの飾りよぉん。黒エルフの人にはそれがわからんのね」

カオスマスターは余裕ぶっている。
その余裕も今だけだ。

続く私の攻撃は、カタツムリの触角を切り落とす。
グラザンとグリリンの打撃が、鼻の頭をつぶす。

「あいたたた。……愛ね! 鼻がひん曲がりそうよ!」

鼻は最初からひん曲がっている。
これでカオスマスターの生命点は12点から一気に8点まで減らした。
この調子で順調に攻撃を当て続ければ、3ラウンド目には倒せるかもしれない。
それも犠牲者が出ず、攻撃がうまく命中すればの話だ。

カオスマスターの全体攻撃【混沌化】は、確実に何度か受けてしまう。

「そうよ。愛よお。みんな私におなりなさぁいっ!」

カオスマスターは腕やら触手やらを伸ばして、私たちをひとなでしてくる。
【混沌化】が来る! 抵抗を!!

【魔法ロール】で目標値3。
サイコロの出目3で回避できる。
回避できる可能性は高いが、全員となると難しい。

私はサイコロの出目6で、危なげなく抵抗した。

しかし、オークの勇者グラザンのサイコロの出目は、2だった。
いや、大丈夫だ。オークの勇者たちは、技量点を1点持っている。加算できるから、目標値の3には届いている。
全身が波打ち、あわやという場面だったがもちこたえ、オークの姿を維持することができた。

グリリンはサイコロの出目3で抵抗。
エルサス、サジタも高い出目で問題なく抵抗できた。

誰一人として混沌化の影響を受けていない。

「あれ? おかしいわぁ?」

カオスマスターは、自分の体に同じ魔法を試している。
すると、ひん曲がった鼻から鼻が咲いた。

効果が正しく発揮されているのを肌で感じ、カオスマスターは安心したようだ。
けれど、その隙を見逃す私たちではない。

そこに2ラウンドの私たちの攻撃を!
カオスマスターのレベルは4。つまり攻撃の目標値は、4だ。

私の攻撃! サイコロの出目3だが、攻撃補正があるから命中だ。
鼻の上に咲いた鼻を切り裂いた。

「あああ! せっかく咲いたお鼻ちゃんが。もう」

グラザンは、サイコロの出目1でファンブル。触角を狙ったのだがうまくかわされてしまった。
グリリンの打撃は、肉体のぶよぶよした部分にめり込む。手ごたえは薄かったが、ダメージは与えているようだ。

武器を持ち換えたエルサスとサジタも接近戦で参戦する。
この怪物は部位がぐちゃぐちゃなので、人間型のクリーチャーとの戦いとは、なにからなにまで異なる。
接近戦に慣れていない2人だったが、逆にそれが幸いしてか、いい感じに攻撃を命中させた。
サジタ、3回目のダンジョンアタックではこれが初のダメージだ。活躍できてよかった。

エルサスの攻撃は巨大な舌を切り裂き、サジタの攻撃は人間の目の部分に突き刺さった。

「わあん痛いわぁん。舌はビンカンなのよ」

敏感な弱点を、そんなふうに巨大にして晒してどうするんだ。

「グフ。グフフ。濃厚なキッスが楽しめるのよお」

舐められた瞬間に溶かされそう。
2ラウンド目の私たちの攻撃が終わった時点で、カオスマスターの残り生命点は4点だ。
期待どおりの戦果を上げているといえる。
しかし、どうしてももう1回はカオスマスターの【混沌化】を受けなければならない。

そしてそこで、カオスマスターが動く。


●アタック03-10 サクラと【混沌化】

カオスマスターとの壮絶な戦いは続いている。
こちらへのダメージは今のところない。ないが、受けたが最後、人でなくなってしまうのだから、緊張感がものすごい。

「じゃあ、こんなのはどうかしら。目ばっかり潰された恨みよ。目出たい。愛でたーい!」

カオスマスターの【混沌化】が発動。
体の各所から目が出る。妖怪百目か。

そして目からビイィィム!

「おほほほほ。ワタクシの【混沌化】。無限のバリエーションを味わいなさーーい!」

しかも私は魔法ロールで、サイコロの出目1を振ってしまった!
ファンブルだ!
一瞬にして体が内部から変質していく感覚を味わう。
裏と表がひっくり返りそう。
しかしその力をなにかが引き戻してくる。
私の所持する「混沌の核」の力だ。
私は生命点に1点のダメージを負ったが、原形を保持したままだった。

「むふん。これはもしやアナタ、持っているわね。ワタクシと同じタイプの力を」

カオスマスター、鋭い。ただの変態ではない。
この一瞬で「同じタイプのスタンド!」と見破るとは。

ちなみに、グラザンとエルサスはクリティカルで混沌化を回避。
グリリンもサイコロの出目3で成功。サジタもサイコロの出目5で抵抗できた。
今回も、犠牲者はなしだった。

そうして運命の第3ラウンドだ。
全員が期待どおりに動けば、ここでカオスマスターを倒しきることができる。
そうなればなんと、犠牲者は、ぜろだ。
この恐るべき相手に、これほど素晴らしい勝利があろうか。いや、ない。

そして私の攻撃がサイコロの出目6のクリティカルで貫く。
綺麗に足を切り落とした。

「あぁあ! その足の美しさ、気に入ってたのに」

うん。足ったって、別に立ったり歩いたりで使わないものね。
そういう感覚だよね。

カオスマスターの残り生命点は、3点。

グラザンの攻撃!
サイコロの出目は2。技量点を加えても3で、わずかに攻撃は届かなかった。

グリリンはサイコロの出目6のクリティカルだ。
カオスマスターのわがままボディに、力の限りぶち当てる。

「はぅん。愛が……重い……」

残り生命点は2点。さすがのカオスマスターも弱りはじめている。
そこに私たちは、まだエルサスとサジタの攻撃を2回、残している。この意味がわかるか、カオスマスターよ。

エルサスの攻撃!
サイコロの出目は1! ファンブル!!

サジタの攻撃!
サイコロの出目は3! わずかに届かず!!

カオスマスター、生命点2点残しで持ちこたえてしまった!
そう。生命点10点設定なら、ここで決着はついていたのだ。
さらなる【混沌化】を受けることもなく。

悲劇はここから始まった。

「アナタたち、そろそろ混沌に呑まれてよ。呑んで呑まれて呑まれて呑んで」

カオスマスターの【混沌化】。
私、グラザン、グリリン、サジタ。
順当に抵抗していく。
しかしついに、抗えない者が出た。

エルサスの【魔法ロール】は、サイコロの出目1で止まった。
ファンブルだ。
エルサスは原形を保つことができず、一瞬でぶよぶよの肉塊「しずくの怪物」となった。

しずくの怪物は、生命点3点を持つので、強いクリーチャーに属する。

そして「死ぬまで戦う」。

しかし、レベルを持たない。つまり、実質的な攻撃手段はないということで、ただそこにぷるぷるしているだけなのだろう。


※※※註※※※

配信版と冊子版では記述が異なります。
FT新聞での配信版では「出現数:- レベル:3」という弱いクリーチャー表記なのに対し、冊子版では「レベル:- 生命点:3」という強いクリーチャーとしての記述になっていました。
誤植かもしれません。配信版から冊子版にする過程で何かが起きたのでしょうか。
私は配信版を参照にしなかったので、独自の解釈でそのまま読み進めています。

※※※※※※


次のラウンド、私の攻撃とグラザンの攻撃がヒットし、カオスマスターは倒れた。

「グフフ。負けたのねワタクシ。これが、絶望の味。二度と味わえないなんて、ざぁん念……。でも、アナタたちもじきに味わうことになるわ。この味を……」

カオスマスターは、まるでどろどろに溶けるように、沈み込むように、その場にだるんと体を弛緩させ、そして動かなくなった。

こうして、カオスマスターは倒した。目的は、達成した。
けれど、黒エルフのリーダー、エルサスは、しずくの怪物になったままだ。
カオスマスターが倒されたことで魔法が解けて、元の姿に戻るなんておとぎ話の中だけの話だ。
そんな都合の良い展開なんて、起こらない。

「父さま、父さま……!」

エルサスの娘ニモの叫びだけが、あたりに響いていた。


●アタック03-11 ニモと混沌の核

カオスマスターは倒した。しかし苦い勝利となった。
黒エルフたちは、リーダーを失った。

いや。そうと決めつけるには、まだ早い。
きっと今ならまだ間に合う。間に合うはずだ。
そう。方法は……ある。

私はニモを呼び、「混沌の核」を渡した。

「ニモ、これを使いなさい」

かつて混沌の迷宮にて白の魔法使いと対決した、かの冒険者。
彼は白の魔法使いに一瞬にしてぶよぶよの肉塊にされてしまう。
しかし、混沌の核の力で人の形を取り戻すのだ。それを用いた少女の生命エネルギーを代償として。

「父の姿を思い出して念じなさい。元に戻ると信じて」

かつて少女が命を代償としたのは、力を失った混沌の核を用いたからだ。
賢者マトーシュが託したこの「混沌の核」は、生命エネルギーに満ちているはず。
だからニモはきっと大丈夫。

なぜそう思えるのか。
それは、賢者マトーシュとの出会いだ。
あのとき賢者マトーシュは、なぜ生命ゴーレムの部屋にいたのか。
それは、混沌の核に生命エネルギーを充填するためだったのではないか。

はたして、ニモの祈りは通じた。
そこには、元の姿よりほんのちょっぴり格好良くなった、黒エルフの長、エルサスの姿があった。
どうやら元の姿を取り戻すときに、ニモの思い出補正が入ったようだ。

「父さま……!」

「ニモ……。言葉にできなかったが、すべて見ていたよ。私を取り戻してくれて、ありがとう」

そして父子はかたく抱きしめあった。

これが、カオスマスター討伐の顛末である。
そして私たちは、エルフの拠点へと帰還す……待って!

宝物判定! 宝物判定やってないよ!!

余韻が台無し? かまうものか。
なんたって3回目のダンジョンアタックでは、金貨の1枚も入手していないのだ。
あとは聖剣悪死剣壱と混沌の核、魔法のつるはし。
混沌の核は今、生命エネルギーを使い切ってただの石と化した。
聖剣は換金できないし、魔法のつるはしも使いかけ。
さすがにここは無視できない!

カオスマスターは、宝物判定に+2のボーナスがつく。
これは期待できる。

サイコロを振った。出目は1だったorz

ボーナスがついて、宝物判定ランクは3だ。
サイコロ2個分の金貨または、隠された何かを手に入れられるという。

なら、隠されたなにかに期待しよう。
サイコロを振る。その結果は……。

「エール酒の大瓶」だった……。

やーだーーー。
こんなのはやーーだーーー。
だって、カオスマスターの持ち物として出て来たんだよコレ。
エール酒の大瓶いうても、どんな液体が入っているかなんて想像もしたくない。
きっとカオスマスターの原液とか入ってるんだよ。

これはだめだ。持ち帰れない。
いくらルールとして中身が保証されてても、シチュエーション的に受け入れられない。

じゃあ……帰るか。

私たちは、帰途についた。

次回、エピローグと感想回です。


【サクラ 技量点:2 生命点:6→5 幸運点:4→3/6 従者点:7】
持ち物
悪死剣壱(悪魔とアンデッドに特効+1)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5混沌の核 →消費
6カタナ(片手武器相当)

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし2回分

■登場人物
サクラ 【奇跡】を使える流れの剣士。混沌の迷宮を攻略し、カオスマスターを倒した。
サジタ レドナント村の猟師。「弓使い」としてサクラに同行する。
ユミ レドナント村の猟師でサジタの妻。迷宮の罠にかかり死亡。
コナン レドナント村の猟師の息子。「ランタン持ち」としてサクラに同行する。
ニモ 黒エルフ「スネージ」に属する少女。黒エルフのリーダー、エルサスの娘。
エルサス 黒エルフ「スネージ」のリーダー。しずくの怪物と化すも生還。
エル/ルフィ/フォウ 黒エルフ「スネージ」の兵士クラスの手練れ3人。全員死亡。
ジョゼ 黒エルフの勇士。ハープ演奏のわざを見せることなくスケルトン戦で死亡。
カオスマスター 混沌の迷宮に棲む恐怖の変態生物。
グラードン オークの族長。豪放磊落。
グラザン/グリリン オークの勇者。棍棒使い。


■作品情報
作品名:「ローグライクハーフ」d66シナリオ第2弾『混沌迷宮の試練』
著者:杉本=ヨハネ
監修:紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
『混沌迷宮の試練』 ローグライクハーフd66シナリオ 第2弾
https://booth.pm/ja/items/4897324


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg

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2024年4月23日火曜日

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第22回 FT新聞 No.4108

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第22回
「経済」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 おはようございます。イラストレーターの中山将平です。
 
 最近ローグライクハーフを遊んでいて、ふと思っていました。
 「カエル人のTRPGを近しいルールのバージョンにコンバートできないか」
 僕にとってローグライクハーフのルールの最大の魅力は「手軽さ」です。
 大きなデータの読み込みが必要なく、一人でも初めての人とでも素早く手軽に遊べるルール。
 それはTRPGになじみがない方でも楽しみやすいという意味でとても良いものだと思っています。
 実際、僕自身プライベートでローグライクハーフを遊ぶ機会は(人に言うものでもないですが)わりと多かったりします。 

 やってみると、思いのほかこれはうまくいきそうだという感触を得ました。
 もともとシナリオを4つ用意しているので、「カエル人のTRPGでどんなことが起こるか」はルールに関係なく決まっています。
 そこからルールによって「どんな状況が表現できるか」を肉付けしていくことが起こりました。

 今回の経験を通して「肉付け」がどのくらいの意味を持つか理解できた気がします。
 「一輪車を運転する」時のバランスのとり方みたいなもので、端的な言葉で表現するのは難しい「感覚」が手に入ったのは嬉しいものです。
 この感覚がどこで役立つのかは全く分かりませんが、ゲーム作りの趣味がさらに楽しいものになるという点ではいいものだと感じています。
 (ちなみにこのゲームは、GMを合わせて4人プレイができます。)
 
 さて、今日の記事ではファンタジー世界における「経済」を話題にしようと思います。
 多分いつもより短い記事になりますが、カエル人の創作で得たものだったので書いてみようという気になりました。
 この記事がファンタジーを楽しまれている方にとって役立つものになることを願っています。
 それでは、早速詳しく見ていきましょう。

◆ 「経済から考える」という視点
 実は僕がカエル人の創作をする際、世界の全体像を考えるいくつかの視点の中で特に注目したものは「経済」でした。
 そもそも現実世界における「人間の経済活動」に興味があったせいかもしれません。
 例えば「ある監獄でタバコが通貨の代わりになった」というエピソードとか大好物です。
 自分は根本的に「物事の本質的な部分を理解したい」という欲が強く、それが分かったと心底思えるまで観測に努める傾向があると感じています。
 「経済」はまさにその対象でした。
 この観測は今も続けていますが、見切り発車で「理解した分を使って自分なりの仮想現実を作ってみる」のも楽しいものだと思っています。
 
 ファンタジー世界がどのような形をしているかは、「経済活動」という視点から読み解くことが出来るのではないか。
 それが僕の感じたことでした。
 その第一歩として、カエル人の社会から「貨幣」を取り除きました。

◆ なぜ貨幣は消えたのか
 貨幣を取り除いた理由は2つあります。

 一つは、貨幣を担保するに足る「権威」を定めることが出来ないと感じたから。
 貨幣は一種の「信用券」であるため、その価値を認めるに値する「信用元」(権威)が定められない世界ではそのパワーを失うと感じました。
 頼れる権威なしに「普遍的な価値があるものが貨幣の代わりの役割を果たす」というパターンもあると想定できますが、それは「物々交換」の延長線上のものであると考えています。
 (カエル人の経済では宝石などがその対象として考えられました。カエル人にとって宝石は星の神フログトゥルフへの供物として普遍的な価値を持つ品なのです。)

 もう一つは、経済の規模的に必要であると思いづらいから。
 貨幣の優位性はその流通の簡易さにあると感じています。
 カエル人の必要とする経済規模を考えたとき、その流通の簡易さが「意味を持つ」規模ではないと予想できました。
 
 結局、こうした理由でカエル人は物々交換による社会を形成していることと決めました。

◆ 経済が世界を起こす
 こう考えてきて、カエル人の集落ではそもそも金属が少ないだろうなぁと感じるようになりました。
 カエル人のような両生種族が扱える金属が限られるだろうなぁと感じるためです。
 金や銀のように錆びづらい金属もありますが、そうでないものも多い。
 それならばいっそのこと、ほとんど使わないという設定も良いかと思いました。
 貨幣を使わないので、通貨を使わない。
 通貨は金属であることが想定できますが、それがカエル人には性質上合わない……という構造です。
 
 経済から生活様式の設定ができ、文化が築かれることもある……ということなのかもしれません。

◆ まとめ
 今回はファンタジー世界における「経済」について少し触れてみました。
 カエル人は物々交換によって暮らすものの「物を所有するという概念」を持つ種族だと設定しました。
 生物の経済観念という点を根底から創作することって、楽しいと感じています。

 では、今日はそろそろこのあたりで。
 よきファンタジー・ライフを。


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2024年4月22日月曜日

今後の配信予定☆@ローグライクハーフ FT新聞 No.4107

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
ひたすら執筆する日曜日を過ごしております。
ネコが横にいてくつろぎ、外からは風の音ひとつしません。
満たされた気持ちのなかで、創作を続けています。
これで咳喘息さえよくなればと思います……ずっと咳が続いていて、春が終わるまでは耐えるしかなさそうです。
苦しいですが、すべて揃わないのが人生ですね。

さて、本日の記事では、今後の第1日曜日の配信予定を更新いたします☆
今年もはや4ヶ月が終わろうとしているので、修正報告を入れつつまいります。


◆これまでを振り返って。
去年の4月に初配信した「30分で遊べる1人用TRPG ローグライクハーフ」は、おかげさまで好調に部数を伸ばし、広まっています☆
FT新聞上でも9本のd66シナリオと7本のd33シナリオを配信して、おかげさまでどれも好評です。

  これまでに配信したd66シナリオ
○黄昏の騎士
○混沌迷宮の試練
・エメラルド海の探索
○あやかし
○ドラゴンレディハーフ
・呪われた血族の牙城
・巨大樹の迷宮
・女王の肉
・〈四猫亭〉の幽霊

  これまでに配信したd33シナリオ
・雪剣の頂 勇者の轍
○秋雨の狐
○素敵なおパンツ同盟
○竜鍵諸島の露店祭
・怨霊列車は夜笛を鳴らす
・写身の殺人者
・蜂竜の森

○がついているものは、書籍としても刊行済みです。
さらに、今週末には『女王の肉』と『巨大樹の迷宮』が、刊行されます。
いちばん早く手に入るのは4月27日(土)28日(日)のゲームマーケット、ブースは【F32】です☆


◆ここからの配信予定☆
ここからの第1日曜日は、これまでと変わらず奇数月にd66シナリオ、偶数月にd33シナリオと交互に配信していきます。

5月(d66シナリオ by杉本=ヨハネ)
・メルム・ヴァロワの秘宝

6月(d33シナリオ byロア・スペイダー)
・我ら海底探検隊〜海のモノを添えて〜

7月(d66シナリオ by水波流)
・常闇の伴侶

8月(d33シナリオ@杉本=ヨハネ)
・宇宙漂流@SFローグライクハーフ

9月(d66シナリオ by杉本=ヨハネ)
・辺境世界@SFローグライクハーフ

10月(d33シナリオ byロア・スペイダー)
・氷の駆け落ち

11月(d66シナリオ by杉本=ヨハネ)
・死霊沼の聖母

12月(d33シナリオ byロア・スペイダー)
・未定


◆6月のd33シナリオは「海底探検」!!
6月に配信予定のロア・スペイダーによるd33シナリオ「我ら海底探検隊〜海のモノを添えて〜」は、海の底を歩く探索ものの冒険です!
この作品は、去年配信した3個目のd66シナリオ「エメラルド海の探索」の書籍化にあたって、カップリングのd33シナリオとして、先日ロアが書き上げたばかりのものです☆
海底探索ものといえば個人制作で寝子さんが書かれた「海底遺跡プルマーレ」が好評ですが、それとはまた違った雰囲気の作品に仕上がっています。
港湾都市ビストフの冒険が、ふたたび!


◆7月は水波流による「常闇の伴侶」!!
7月にはFT新聞の編集長である水波流によるd66シナリオ「常闇の伴侶」が登場します☆
蛮族都市フーウェイを舞台とした冒険です……詳細は追ってお知らせしてまいります。


◆8月9月は連作!
さて、4月から6月末までの間、ロア・スペイダーは家業である金魚の生育に従事しなければなりません。
多忙をきわめているため、ロア・スペイダーが担当する8月のd33シナリオはお休みです。
そこでそこで……8月のd33シナリオの枠は、9月と併せて「SFローグライクハーフ」がいただくことにいたしました!
8月は「宇宙漂流」というd33シナリオ、つまり短編です。
9月は「辺境世界」というd66シナリオ、こちらが本番という構図になっています。
「SFローグライクハーフ」は基本ルールとシステム面では同じですが、職業や特殊技能、装備品などが一新されます。
そのため、短編から入ってもらおうというわけです。

そして、このふたつの作品。
実は連作になっております☆
別々に遊ぶこともできますが、d33シナリオを遊んだ後でd66シナリオを遊ぶと、より楽しくなるようにセットアップを進めています。


◆まとめ。
「ローグライクハーフ」の刊行作品も無事に7作品を迎えることができました☆
ファンであるあなたの応援のおかげです……ありがとうございます。
5月から、さらなる飛躍を目指して作品づくりに打ち込んでまいります。
今日はその、5月からの予定のご紹介でした。
個々の作品について、また配信が近づくたびに、ひとつずつご紹介していく予定です。


今日はこのあたりで。
それではまた!


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2024年4月21日日曜日

アランツァワールドガイド Vol.11 神聖都市ロング・ナリク(後編) FT新聞 No.4106

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

◆大聖堂。
宿を出て大通りを歩く。
大聖堂、教会、修道院……さまざまな宗教的な施設が立ち並んでいる。
今日が祝いの日だからなのか、どの建物も信者とおぼしき人々でいっぱいだ。
大聖堂の前の大通りで、人だかりができている。
見やると大きな屠殺剣(スローターソード)を担いだ屈強の戦士が、立っている。
その横には彼と同じぐらいの高さがある、檻がひとつ。
そこに入れられているのは野生の、縛られた〈丸々獣〉。
ブヒブヒブゴゴと鳴く声にかわいらしさはまったくなく、子どもが泣き出す声すら聞こえてくる。
司祭が合図を送ると、戦士は速やかに剣を抜いて、流れるような動作で〈丸々獣〉の脇の下を突く。
〈丸々獣〉が血を流して息絶えると、司祭は天を仰ぎ、太陽を祝福する。
祭りのボルテージはクライマックスを迎える。
その後、捧げられた〈丸々獣〉の肉が人々に配られて、祭りは終わりを迎える。
カメルとアレスはこの祭りの日に街に来られた幸運を喜んだ。


◆歴史的補足。
ロング・ナリクの大通りには、宗教建築を中心とした多くの歴史的建造物が立ち並ぶ。1000年近い歴史を誇る「古都」である。建物のほとんどが、セルウェー教が拡大した1000年前に造られた。その時期、神の庇護を求めて、他都市から人口が大量に流入。かつてはアランツァでもっとも繁栄した都市だった。
その一方で、ロング・ナリクは地理的な問題や民族感情から、隣都市である城塞都市ドラッツェンと衝突を繰り返してきた。高地で【巨大生物】と戦うドラッツェン兵は強く、ロング・ナリクは劣勢だった。
そんななか、街を特徴づける3つの力が生まれ、育っていった。


◆弓矢をもて、戦え。
高地から攻め込むドラッツェン兵と戦うため、この街でもっともメジャーな武器は弓矢である。
「遠くの敵」として遠隔から戦う相手に対抗するために、発達した。
また、これはかづら森に生息する動物系クリーチャーとの対決にも用いられた。

かづら森の植物系クリーチャーと戦うために斧文化も発達したが、こちらは片手武器である。


◆宗教的遺物とルーン。
かづら森のトレントかづらが大繁殖したことによって、森のエルフたちは生活基盤を失い、この都市に取り込まれた。
彼らエルフの民はルーンの使い手で、冒険開始前に冒険者や兵士に(有料で)力を授けてくれる。
また、彼らはロング・ナリクの宗教的パワーの大きさを活用して、かづら森やドラッツェンに対抗する手段を市に提供した。
セルウェー教の聖遺物は魔法の装備品の一種で、冒険者や兵士に力を与えてくれる。

彼らの神は知識神ソロンドオルである。


◆トレント材の活用。
トレント材はそのトレントの「もとの種」によって性質や用途が異なっており、トレント樫が特に価値が高い。
かづら森ではトレント材(トレントから採れる木材)の他に、トレント蔦(づた)と呼ばれる紐状の素材も手に入る。
これを活用したロープなど、利用価値があるものが多い。


◆その他の情報。
この街には吸血鬼などを中心とした【アンデッド】に対抗する勢力を育てるための「銀十字養成学校」がある。
街には向上心のある若者が多くいるが、そういったエリート階級がしばしば選択肢として選ぶ学校である。
彼らの多くは貴族だが、金を持つ(あるいは武勲を立てた)平民が入ってくることもある。
出自がどうあれ、エリート意識が強くプライドも高いが、階級よりも実力主義であり、弱者を守ることを旨とする責任感のある者ばかりである。
おしむらくは、そういった人物が時の流れとともに堕落することもしばしばあるのが、人生の難しいところでもある──。


◆まとめ。
神聖都市ロング・ナリクはアランツァの中心地であり、数多くの見どころと特徴がある。
セルウェー教であること、かづら森、ドラッツェンの隣都市であること、シャンクルー鉱山。
それぞれがこの街に影響を与えており、深い関係がある。


◆GMへ(作者補足)。
セルウェー教は唯一神セルウェーを信仰する宗教です。
キリスト教をモデルにしているとよく言われますが、別の一神教との垣根を低くする意識をもってデザインしています。
生贄の儀式はユダヤ教から来ている、といったように。
また、キリスト教といっても、近現代の洗練された思想体系としてのイメージはあまり強くありません。
聖書の時代の雰囲気を意識しています。



それではまた!


↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
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2024年4月20日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第584号 FT新聞 No.4105

From:水波流
電車内で読書や寝たりしたいのでノイズキャンセリングイヤホンをほぼデジタル耳栓として使っています(音楽はあまり聞かない)
2020年当時最高レベルのRZ-S50W(Panasonic)を愛用しているのですが、BOSE Ultra EarbudsとAirPods Pro (第2世代)がかなり性能上がってるそうで買い換えたいなぁと思いつつ、でも3万円オーバーてのは耳栓には厳しい……。

From:葉山海月
へーい、カノジョ! お茶しない?
ただし、貴様の金でだけどなぁ!
って口説き文句を放つ諸星あたる。
そんなものに、あたくしはなりたい。

From:中山将平
僕ら明日4月21日(日)大阪府「西九条駅」近くの此花会館で開催される「ゲームアンティーク2024」にサークル参加します。
レトロゲーム・マイナーゲーム中心オンリーイベントです。
ブース配置は【03】。お近くの方はぜひ遊びにお越しいただけましたら。
また、一週間後の4月27(土)と28(日)には東京ビッグサイトで開催の「ゲームマーケット2024春」にサークル参加します。
ブース配置は【F32】。ローグライクハーフの新刊2冊(「女王の肉」と「巨大樹の迷宮」)を発売予定です。
こちらもぜひご注目いただけましたら。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■4/14(日)~4/19(金)の記事一覧
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2024年4月14日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4099

アランツァクリーチャー事典 Vol.4 
・ローグライクハーフ関連記事アランツァクリーチャー事典の第4回をお届けしました。
今回も、アランツァ世界の【少数種族】について。その後半です。
彼らは総数においては少ないですが、ひとつの地域に根を下ろし、支配している場合が多いです。たとえば、かえる人はかえる沼を中心に生息しており、かえる沼においては支配的な種族、のように。
そのような特色を持つ彼らの生態をじっくり解説していきます。


2024年4月15日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4100

SF×ローグライクハーフ 
・ヨハネ氏の中で「ローグライクハーフ」でやりたい挑戦が燃えているっ!
それについて述べていきます。
ヨハネ氏はTRPGを制作するとき、いくつかのフェーズに分けて考えます。
わかりやすく建物の階数で表現しますと、次の通り。
「ローグライクハーフ」でいうと、能力値や【判定ロール】の方法のようなシステムが「1階」です。
「2階」にあたるのは、キャラクターの職業と成長のルールだろうと思います。
「3階」部分はというと、作品に登場させる従者や装備品でしょうか。
「4階」部分が世界観、つまり背景設定や〈できごと〉全般だろうな、と考えています。
その中で、「2階」つまり職業部分をカスタム化した作品を構想しておりますが、これがかなり大仕事になると思われます。
なぜなら、真っ先に思いつくのが「ジャンル変え」で、職業から変更していくしかないと思うわけです。
しかし、FT書房は、これに挑戦します!
ジャンルは、SF。
未知の分野への開拓に、ぜひご期待ください!


2024年4月16日(火) かなでひびき FT新聞 No.4101
 
これはゲームブックなのですか!? 
・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。
今回紹介する本は、懐かしのケイブンシャ大百科から『名探偵推理クイズ大百科』
推理小説のだいご味は、トリックと、膨大な描写の中から「手がかり」を見つけ出すこと!?
ネットもなかった時代、「いかにして推理小説の楽しみ」を詰めこんだか?
その試行錯誤をご堪能あれ!


2024年4月17日(水) ぜろ FT新聞 No.4102

第11回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第381回をお届けしました。
今回はノリに乗っている「ローグライクハーフ」2ndシナリオ『混沌迷宮の試練』リプレイ。
「ミラー・ドール」三部作の2巻、「混沌の迷宮」の後日談的な作品です。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
混沌の迷宮を支配する混沌の勢力・カオスマスター。それに対抗するには、積年の確執のある黒エルフとオークの協力が不可欠です。
3回目のダンジョンアタックでは、ついに黒エルフ、オークと協力し、精鋭部隊で打倒カオスマスターを目指します。
賢人マトーシュに会い、混沌の核を手に入れた一行は、その先の聖域へ。
聖域の聖剣を手にしようとしたところ、棺から10体のスケルトンが出現しました。
そして激闘の中、黒エルフの勇士ジョゼが、その命を落としたのでした。
きっちりとその報いを、霊廟のスケルトン10体に受けさせ、いざ、ラスボスへの一本道な隠し通路へ!
はたしてサクラに幸運の女神は微笑むか?


2024年4月18日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4103

『モンセギュール1244』リプレイ〜中世主義研究会編(8)
・本リプレイは、中世の異端カタリ派を演じるRPG『モンセギュール1244』(フレデリック・J・イェンセン著、岡和田晃訳、ニューゲームズオーダー)のプレイ光景をまとめ直したものです。連載第7回はこちらに採録されています(https://prologuewave.club/archives/10356)。未読の方は、そちらを先にお読みください。
モンセギュール城塞の本丸が危機的状況を迎える中、「フィリッパの子どもの父親は誰?」ということで、さらに輪をかけて危機が!
そして、ついに打ち明けられる父親の名の前に、驚きを隠せない一同!
そんな中、ベルナールは冷静に状況を判断。「仮にここモンセギュール城塞が陥落したら、誰が持って逃げるのかを決めておかなきゃならん」
喧々囂々の話し合いの中、立ち上がったのは!?
アクト3の終盤にふさわしい驚きの展開が目白押しです!


2024年4月19日(金) 休刊日 FT新聞 No.4104

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!


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■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ghostwriterさん)
子供向けの本とはいえ、かなりの推理小説を網羅しているようですね!
京極夏彦先生の小説に登場する陰陽師、京極堂こと中禅寺秋彦が登場しているのか気になるところです。
そういえば、京極夏彦先生の作家生活30年を記念した「京極堂ドール」が発売されるそうですね。
リアルフィギュアの中禅寺秋彦はあるみたいですが、推理小説作家がドールになるのは京極夏彦先生だけだと思いますよ。

(お返事:かなでひびき)
お便りありがとうございます!
ちょっと残念なことに、この本、最近の名探偵は網羅してないみたいですねー。
私も京極堂先生の「こどもむけ」紹介拝見してみたかった。
あんな特殊な方法で解決するかの名探偵を、どこまでかみ砕いて紹介できるのかな? って感じで。
しかし、京極堂先生のドールが、とうとう発売されるとは!
先にリアルフィギュアの中禅寺秋彦さんが出たのもおどろきですが!
長きにわたって、ファン待望のグッズがでましたよねー。


(ジャラル アフサラールさん)
名探偵紹介ですがご存じと思いますが『名探偵コナン』の紙コミックのバーの裏表紙側のソデ(折り返し部分)に毎巻描かれている「青山剛昌の名探偵図鑑」青山先生がイラストとコメントで世界の名探偵を紹介しているコーナーが面白いです。今回紹介された本にも掲載されている面々(ジェームズ・ボンドもいる(笑))だけでなく、『相棒』杉下右京や古畑任三郎、レントン教授や『ハコヅメ』藤聖子『薬屋のひとりごと』猫猫という幅広い範囲から選出されているのでミステリマニアの小生でも名前しか知らない名探偵がでております。ちなみに『アンナチュラル』の三澄ミコトが紹介されて演じている石原さとみさんは大喜びしたそうです(笑)。

(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます!
しかし、コナンの『名探偵図鑑』は知っておりましたが、博学なジャラルさんでもご存じない名探偵が紹介されているとは!
世に名探偵の種は尽きまじ! ですねー。
そのうち人類皆名探偵となったミステリとか、発売されないでしょうか?
そうしたら「謎」自体が無くなるという謎を解くということで。
かなでも『岸辺露伴』が紹介されてて、その後の、『岸辺露伴は倒れない』で、岸部先生が「怪異探偵」の扱いを受けて困惑するシーンにムネアツでした!


(ムクロ萬斎さん)
『カエル人が教えてくれたファンタジー創作』はいつも唸らされる内容で楽しみにしている記事です。
今回は家畜としてのオオガエルのくだりでうならされました。
設定の裏側に込められた意味や皮肉が絶妙で、これぞ文字通りの"創作"なのだと思いました。
あ、それとカエルって共食いしちゃうんですね。
知らなかったのでちょっとショックでした(笑)

(お返事:中山将平)
僕の記事をお楽しみいただき、ありがとうございます。
カエル人の創作には「物事を相対化する視点を楽しく共有したい」という目的があります。
意味や皮肉を感じていただけましたら、とても嬉しいです。


(ジャラル アフサラールさん)
カエル人の家畜があるとしたら大型の昆虫かな?と思っていましたが…家畜にするのは草食性の生物だと思うので。まあ地球のカエルは肉食性ですが多くのオタマジャクシは草食性ですので、その性質を残したまま草食性カエルもいる可能性がありますが。

(お返事:中山将平)
ご感想をいただき、ありがとうございます。
オオガエルの食料が実はカエル人にとっても有用であるというお話、また掘り下げて書くのも楽しそうですね。


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2024年4月19日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4104

おはようございます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。

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2024年4月18日木曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜中世主義研究会編(8) FT新聞 No.4103

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『モンセギュール1244』リプレイ〜中世主義研究会編(8)

 岡和田晃

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 本リプレイは、中世の異端カタリ派を演じるRPG『モンセギュール1244』(フレデリック・J・イェンセン著、岡和田晃訳、ニューゲームズオーダー)のプレイ光景をまとめ直したものです。連載第7回はこちらに採録されています(https://prologuewave.club/archives/10356)。未読の方は、そちらを先にお読みください。

■フィリッパの子どもの父親は誰?

フィリッパ(松本):生まれてきた子どもは、男の子だったことにしましょう。可能性があるのは、夫のピエール・ロジェか、夜な夜な寝室に忍び込んでくる父のレーモンか……。でも、ふたりともいとこだから、子どもの顔つきではわからない。
アルセンド(健部):私はフィリッパに詰め寄ります。「そろそろ、本音で話してくれてもいいんじゃないの? その子が大事なんじゃないの?」
フィリッパ(松本):「そうね……。正直言えば、みんな性根が腐っているし、とっとと降伏したほうがいいと思うわ。だって、この子どもの父親は……モンセギュール領主レーモンなんだもの!」いま決めました(笑)。
一同:「えええっ!」
ピエール・ロジェ(小宮):「俺の子じゃないのかよ!?」
コルバ(岡和田):「やっぱりそうなの!?」
フィリッパ(松本):「ええ、そうよ! どれだけ腐っているのか、みんなわかるでしょ!」とキレ気味に(笑)。
ピエール・ロジェ(小宮):「だってよ、レーモンはお前の親父じゃないか!」
フィリッパ(松本):「知らないわよ。父に言って」
ピエール・ロジェ(小宮)「お、おう……って、レーモンはここにいないじゃないか!」
一同:(爆笑)
ピエール・ロジェ(小宮):もともと俺はコルバが好きだったから、フィリッパと結婚することにしたのに、嫁まで寝取られるなんて……。レーモンは俺に親でも殺されたのか(笑)。
アルセンド(健部):じゃあ、みんなでレーモンを吊るし上げようか(笑)。ここでシーンをカット。

■詰め寄られるレーモン

健部:とはいえ、順番からすれば、手番プレイヤーは私からなんだよね。
ピエール・ロジェ(小宮):健部さん、さすがベテランのゲーマーだけあって、とんでもない爆弾ばかり仕掛けてきますからね(笑)。
ベルナール(健部):今回はベルナールを演ります。「オレがレーモンの親父を引っ張ってくればいいんだな」と、実際に彼を引っ立ててくるわけだけど、当然その場にはフィリッパが必要なわけで。また、もう一方の当事者であるコルバも要るな。
フィリッパ(松本):ええ。子どもに聞かせる話じゃないから、子どもは追い払っておきます。
ベルナール(健部):きちんと監督してもらうために、ベルトランも呼んできますよ。で、揃ったらレーモンに詰め寄ります。
コルバ(岡和田):「だから言ったでしょう、この薄汚い豚野郎は、ケダモノなのよ!」
ピエール・ロジェ(小宮):「そこまで腐ってるとは思わなかったよ、レーモン。あんたには失望した」
フィリッパ(松本):「お母様もそれを止めなかったんだから同罪よ」とフィリッパはキレてますね。
コルバ(岡和田):「そんな生意気なところだけ、昔のあたくしに似てるんだから」
ピエール・ロジェ(小宮):「レーモン、なにか言いたいことはあるか?」
レーモン(白幡):難しいことを振られたな……(笑)。食料ちょろまかしているうえに、娘に手を出しているわけですからね。
ピエール・ロジェ(小宮):ここはアルセンドの魔法で、レーモンに罪を自白させるというのはどうかしら(笑)。
コルバ(岡和田):レーモンなら、「ぜんぶ魔女の仕業だ」と、アルセンドに罪をなすりつけかねないと思いますけど(笑)。
ベルトラン(大貫):でも結局のところ、アルセンドとレーモンは、ある意味で結託していたというわけでしょう?
レーモン(白幡):でもレーモンとしては、アルセンドは魔女ですから(笑)。「ベルトラン、あなたはどっちを信じる?
ベルトラン(大貫):「それは……」

■ベルナールの真意

ベルナール(健部):「ところで」と割って入りまます。「ぶっちゃけた話をすると、アルセンドが魔女かどうかとか、フィリッパの子どもの父親が誰かとか、オレはどうでもいいんだ。そういうのは口実で、本当に必要な人を集めたかっただけなんだよ」
ベルトラン(大貫):「どういうことかな?」
ベルナール(健部):「ピエール・ロジェは勝算があると言ってるけど、オレは今回の戦は、勝てないと思ってるんだ。色んな戦場で戦ってきたけど、その経験からすれば、いまの状況は絶望的だ。覚悟を決めたほうがいいと思うぞ。それを話せる人間だけ、ここに呼んだ」
ベルトラン(大貫):「なんの覚悟のことを言っている?」
ベルナール(健部):「聖杯だよ。仮にここモンセギュール城塞が陥落したら、誰が持って逃げるのかを決めておかなきゃならん。それにピエール・ロジェ。お前はあのカネで、ちゃんと敵を籠絡できたのか?」
ピエール・ロジェ(小宮):「なんであいつら、攻撃やめなかったんだ」
ベルナール(健部):「少なくとも、舐められてたってことだ」
ピエール・ロジェ(小宮):「この俺が舐められてたとおっ!?」

■ファイユの覚悟

アミエル(岡和田):ここでシーンを奪取します。子どもたちはこっそり様子を見ていたことにしますよ。激昂するピエール・ロジェを見て「このおじさん、ちょっとカッコいいかも」と思い始める。
ファイユ(松本):いやいやいや、単に逆ギレしてるだけだから(笑)。
アミエル(岡和田):そうなんだ……じゃあ、ころっと態度を変えてベルナールにいいところを見せよう。「ベルナールおじさん、聖杯はぼくが守るよ!」と言ってみます(笑)。
一同:(爆笑)
ピエール・ロジェ(小宮):アミエル……ちょろいな……。
レーモン(白幡):自分のことを棚に上げて(笑)、「お前のような子どもには、聖杯のような大事なものを任せるわけにはいかない」
ベルトラン(大貫):ここでストーリーカードを使いたいんですが……。
ベルナール(健部):あ、でももう、このアクトで2枚使ってしまいますよ。
ベルトラン(大貫):ああ、これで終わりなんですね。それは残念……。「いまのベルナールの話は、きわめて説得力のある現実的な話だと私は思う。とにかく、私たちの信仰を守らなければならない。そのためには、全滅させられるわけにはいかんのだ」自分では気づいてないのですが、死んでいく兵士たちへの救慰礼とか二の次、三の次になってしまっているっぽいですね。
ベルナール(健部):そうそう、忘れてた。シーンカードの「闇夜の松明」がきらめく描写を入れましょう。闇夜のなかで松明の明かりに照らされて、生き残りが話し合っている、と。
ピエール・ロジェ(小宮):「しかし、結局、聖杯は誰が持つ? レーモンは論外だし、俺はここを守らなきゃならないし。ベルナールか?」
ベルナール(健部):「いや、オレが持って逃げたら、すぐにこの砦は陥落してしまうぜ。俺は何気に、アミエルに期待しているんだが」
ファイユ(岡和田):「わたしが持つのが、いちばん安全だと思う。だって、誰もわたしみたいな女の子が持っていると思わないでしょ。セシルさまもそう言っていたわ」と、この場にいないセシルを勝手に引き合いに出します(笑)。
ピエール・ロジェ(小宮):「すごく危ないぞ!」
ファイユ(松本):「子どもの方が油断するわ。それにだいじょうぶ。わたしは救慰礼を受けるつもりだから、もし死んでしまっても、生まれ変われるだけだから」
ベルトラン(大貫):「そこまでの覚悟があるなら……今からファイユの救慰礼を行うが」
ピエール・ロジェ(小宮):ファイユ……意思が強い。
ベルトラン(大貫):事前準備はそこまで大層なものではなく、基本的には会話で進んでいくものみたいですね。
ファイユ(松本):「わたし、頑張るから」
ベルトラン(大貫):「反対する者がなければ、私とセシルでファイユに救慰礼を授け、聖杯を預かってもらうことにしよう」

■女同士の連帯

コルバ(岡和田):ここでアルセンドにこっそり耳打ちします。「あなた、本当に魔法が使えるの?」
アルセンド(健部):「みんなが私に夢中になるのを魔法と言うなら、そうね」
一同:おお〜。うまいことかわした。
コルバ(岡和田):「いや、もし知っているなら教えてほしいの。あの豚野郎に復讐したいから」
ピエール・ロジェ(小宮):殺意高い〜(笑)。
アルセンド(健部):では、こっそり、自分が知っているヤバそうな黒魔術を教えておきますね(笑)。
レーモン(白幡):やっぱ知ってるんかい(笑)。
アルセンド(健部):「虫とか……血とかを集めて……真夜中にあそこに埋めて……」と、細かく教えてあげますよ(笑)。
コルバ(岡和田):「なるほど、レーモンの爪を入れなきゃ駄目なのね」と言って「ありがとう」と、アルセンドの手を握ります。「あなたは焼かせないわ」
ベルナール(健部):「ではオレたちは、何があってもファイユを守り抜くということで、決まりだな」と、シーンを終わらせます。
岡和田:次は小宮さんの手番ですね。

■ガルニエの覚悟

ピエール・ロジェ(小宮):穏やかそうなのと穏やかじゃなさそうなカードが両方ありますね。ここは「ローズマリーのようなむせかえる匂い」を出します。気分転換に、場所を変えて、ハーブ園のような場所で話しているということで。レーモンは出ますか?
ガルニエ(白幡):いやあ、レーモンはもう駄目なんじゃないかなあ(笑)。ここはガルニエで。
ピエール・ロジェ(小宮):あとはファイユちゃんと、完徳者代表で、セシルさんに。あとはベルナールとアルセンド、ふたりとも面白いのでどっちを登場させるか迷うのですが……。
ベルナール(健部):アルセンドはサブキャラですから、ベルナールを出しておけば、みんな好き勝手にアルセンドを使えますよ。
ピエール・ロジェ(小宮):じゃあ、健部さんはベルナールでお願いします。それで、聖杯をどう持ち出すかの相談をしましょうか。ローズマリーのむせ返るような匂いのなかで(笑)。
セシル(岡和田):「やはり、いくら覚悟を決めたといっても、ファイユだけじゃ心配なの。ファイユはわたしの名前を出して皆さんを説得したみたいですが、誰かついていってもらわないと」
ガルニエ(白幡):「それは、もちろんオレ様の役目だろうよ!」
ピエール・ロジェ(小宮):「何が"もちろん"なんだよっ!」と、思わず突っ込みます(笑)。
ガルニエ(白幡):「何度も包囲戦を戦って落ち延びてきた経験があるからな(笑)」
一同:そうだったのか〜!(笑)
ピエール・ロジェ(小宮):「(あ、あぶなくね?)」
ファイユ(松本):「こないだ、弟に酷いことしたし、大丈夫かなあ」
一同:恨んでる、恨んでる(笑)。
ガルニエ(白幡):「ガキは黙ってろよな。オレに任せてくれれば必ずファイユを脱出させてやるが、ひとつだけ条件がある」
ピエール・ロジェ(小宮):「条件だとぉ?」
ガルニエ(白幡):「エスクラルモンドを連れて行かせろ」
ピエール・ロジェ(小宮):「それなら、エスクラルモンドとファイユが行けばいいだろ」
ガルニエ(白幡):「女だけで行けるほど、戦は甘くないぜ」
ピエール・ロジェ(小宮):「逆に女だけの方が、敵も警戒しないかもしれんだろ」
セシル(岡和田):「わたしがエスクラルモンドとガルニエに救慰礼を授けてもいいよ」
ガルニエ(白幡):「オレはこう見えてもカタリ派の端くれだから、完徳者になれば、全力で女たちを守ってやるさ」
ピエール・ロジェ(小宮):「完徳者は敵を殺してはマズいんだぞ。女とも関係は持てなくなる」
ガルニエ(白幡):「んなこたぁわかってる。オレはエスクラルモンドが救われれば、それでいいんだよ」
セシル(岡和田):「ガルニエ……ついに悟ったのね!」
一同:(笑)
小宮:この場にいないけど、エスクラルモンドが聞いたら心動かされるような発言がありましたね(笑)。

■やっぱりいつもの……。

ピエール・ロジェ(小宮):「そうか、ほかのみんなはどう思う?」
アミエル(大貫):「ぼくも、お姉ちゃんと一緒に行きたいんだけど……」
ファイユ(松本):「危ないから、あなたはここにいなさい」
アミエル(大貫):しょぼーん……。
ベルナール(健部):「しかし、いくらお前が手練れでも、女ふたりを連れて逃げるのは無理だろうよ」
ガルニエ(白幡):「エスクラルモンドに聖杯を持たせて、オレが脱出させる役目を請け合うから、問題なしだ」
ピエール・ロジェ(小宮):「そもそも、目立たないよう女ふたりで脱出するという話だったのに、それじゃあ目立ちすぎるだろ」
ガルニエ(白幡):「ふん。ここに留まって死ぬか、踏みとどまって死ぬかを選ぶがいいさ」と、気を悪くします(笑)。
一同:やっぱりいつものガルニエだった……。
アミエル(大貫):「じゃあ、僕が代わりに一緒に行くよ!」
ピエール・ロジェ(小宮):「アミエル、俺が教えた剣でお姉ちゃんを守れるか!」
アミエル(大貫):「あんまり教わってない気がするけど……(笑)。頑張るよ!」
ファイユ(松本):「さっきはああ言ったけど、ここに弟を残しておくのも、それはそれで心配だし……」
アミエル(大貫):「やった!」
ピエール・ロジェ(小宮):「そうだな、子どもたちに大事な聖杯を任せているとは、よもや敵さんも思わんだろう」
ベルナール(健部):ここでガルニエに耳打ちします。「お前は本当にエスクラルモンドが好きなら、お前らで勝手にやればいいだろ」
ガルニエ(白幡):ニヤッと笑って、誰にも気づかれないよう、その場を離れます。
ピエール・ロジェ(小宮):では、ここで終了です。これでアクト3も終わりですね。

(続く)


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2024年4月17日水曜日

第11回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4102

第11回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「混沌迷宮の試練」の内容の詳細に踏み込んでおりますのでご了承ください。

ぜろです。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
混沌の迷宮を支配する混沌の勢力カオスマスター。それに対抗するには、積年の確執のある黒エルフとオークの協力が不可欠です。
3回目のダンジョンアタックでは、ついに黒エルフ、オークと協力し、精鋭部隊で打倒カオスマスターを目指します。
賢人マトーシュに会い、混沌の核を手に入れた一行は、その先の聖域へ。
聖域の聖剣を手にしようとしたところ、棺から10体のスケルトンが出現しました。
そして激闘の中、黒エルフの勇士ジョゼが、その命を落としたのでした。

混沌の迷宮 第3層
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Trials_of_TheChaosLabyrinth_Layer3.png


【サクラ 技量点:2 生命点:6 幸運点:4/6 従者点:7】
持ち物
カタナ(片手武器相当)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5混沌の核

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「黒エルフの勇士」ジョゼ・ヴァーミリオン
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし3回分


●アタック03-6 サクラと聖剣

聖域にて、聖剣を手にしようとしたところ、周囲の棺が開き、霊廟のスケルトン10体が出現。

【霊廟のスケルトン レベル4 死ぬまで戦う】

最初のラウンドで3体を倒したものの、スケルトンの反撃にあい、ジョゼが命を落としてしまった。
だが、悲しんでいる暇はない。戦闘は続行中だ。

次のラウンド。
私の怒りの一撃がスケルトンを屠る。
オークの勇者、グラザンとグリリンは絶好調だ。
グラザンはサイコロの出目6のクリティカルで1体潰し、グリリンも普通に命中させて1体倒した。
さらにエルフ長エルサスも、ジョゼの仇とばかりに接近戦で1体を仕留めた。
攻撃を外したのはサジタだけだ。サジタは3回目のダイブから弓矢も当たらないし、調子が悪い。

残り3体となったスケルトンは攻撃をしかけてくる。
そのうち2体を私が受け持つ。ファンブルでなければ回避可能。サイコロの出目は2と4で、いずれも回避だ。
そして残り1体は、オークの勇者グリリンに攻撃してきた。グリリンはサイコロの出目5で回避した。

さあ、あとは倒すだけだ。
私が1体を倒し、残りの2体はグラザンとグリリンが、いずれもサイコロの出目6のクリティカルで倒したのだった。
オークの2人はさすがの実力といえよう。オークの勇者と名乗るだけのことはある。

霊廟のスケルトンたちに宝物判定はない。
しかし、ここに安置してある聖剣は手に入る。
それは、アンデッドと悪魔に強い威力を発揮する片手剣だった。
カタナとは感覚が違うが、これは私が使うのが良いだろう。

この聖剣には名前をつけよう。
悪魔とアンデッドに特攻だから…「デビデッドスレイヤー+1」とか?

いや違う。
「悪死剣壱」これだ!
ゲームブック「サムライの剣」の表紙を飾ってそうなネーミングだが、忘れた頃にキャラクターシートを見たときに、名前を見ただけで効果までわかるという、素晴らしい名前ではないか。
あと、握手券ではない。

そしてジョゼ。
ここまで、君の力には大いに助けてもらった。
頼りすぎていたと言ってもいい。
罠を1回回避できる力、ダメージを1回無視できる技能。
ここまでの冒険で、めいっぱい使ってもらった。
そのために従者の犠牲が最小限で済んだと言ってもいいほどだ。

この先の冒険で、君の力を借りられないことは、非常に心細くもある。

一同で哀悼を捧げる。
黒エルフのエルサスとニモが、お別れを済ませるのを待ち、出発する。

気を引き締めていこう。目的地は、近い。


●アタック03-7 サクラと最後の扉

この部屋から延びる通路は、階段を登ると左右に分岐していた。
左は、生命ゴーレムのあった部屋へと続いている。
私たちは右へと進む。

通路イベントのサイコロは2で、なにも起きなかった。
通路を進み続けると階段を下り、行き止まりの部屋になっているようだ。
そこで起きるのはダンジョンナンバー20番台のイベントであることが明示されている。
実は、20番台のイベントはろくなのが残っていないので、この部屋は無視することにする。
マップがあると、そうやってメタ的に危険を回避することもできるのだ。

そしてメタ的にというと、もうひとつ。
この通路の途中に、隠し通路がある。

それこそが、最終イベントに向かうための隠し通路だ。
え。でも待って。私、隠し通路を発見するための「手がかり」を持っていない。
これって、あっちこっちの部屋を巡って「手がかり」を探さないといけないの?

実はこれは、私の思い込みだった。
2回めのダンジョンアタックの際私は、隠し通路を見つけるには、「手がかり」が必要だと勝手に思いこんでしまっていた。
それは大きな間違いだったのだ。

隠し通路を発見するには、目標値7の器用ロールに成功すればいい。
しかも、何度でも挑戦可能だ。生命点は消費するが。
そんなことを、ここで改めてルールを再確認し、発見したのだ。

なら、サイコロを振って隠し通路を見つけよう!
ランタン持ちのコナンが壁を照らし、みんなで隠し通路の目印を探す。

私は技量点が2点あるため、サイコロの出目で5を出せば隠し通路を発見できる。
サイコロを振る。出目は6。いきなりクリティカルで発見してしまった。
これはすごいことなのでは。

壁に不自然な穴。それはカギ穴のようだった。
そこを起点に、隠し扉を発見したのだ。

しかし、最終イベントに向かう隠し通路は、見つけただけでは通過できない。

「開かない。カギがかかってる」

隠し扉にはカギがかかっていた。
開けるには、黄金のカギが必要みたいだ。
黄金のカギ……生命ゴーレム戦で使ってしまった!
カギなんて回収すればよさそうなものだが、消費アイテム扱いのためそれはできなかったのだ。

生命ゴーレムにも最後の部屋の扉にも、両方に使えるなんて、黄金のカギはマスターキーだったのだろうか。

黄金のカギのほかに、手段はないのだろうか。

そうしたら発見した。
筋力ロールで扉を破壊することができる!

しかしその必要はない。
さらにこんな記述を発見した。魔法のつるはしが使えると!

魔法のつるはしを取り出すと、軽快なリズムに乗せて、動き出す。
ジョゼが生きていたら、ハープの演奏で場を盛り上げてくれたかもしれない。
いうてハープは迷宮に持ち込んでいなかったけれども。

そうして私たちは、最終イベントへ向かう隠し通路の扉を掘り開けた。
この向こうに、カオスマスターがいるはずだ。

通路を進む。通路イベントのサイコロの出目は2。何も起きなかった。
よかった。最後の最後に投げ槍の罠とかで犠牲者が出るのはごめんだ。

そして私たちは、カオスマスターの居室へと、到着した。


●アタック03-8 サクラと風呂場とカオスマスター

カオスマスターの居室。
そこは、広くて殺風景で薄暗い……浴場だった。

そう。風呂場だ。

そして、カオスマスターがそこにいた。
一言で言うと、グロテスク。
とても生物とは思えない。人間の体の部位が、身体の各所からランダムに生えている。
いや、人間の部位だけではない。虫のような複眼、イカのような触手、カタツムリのような触角。
ありとあらゆる生物の部位がぐちゃぐちゃに生えている。

そんな生物が、コナンのランタンに照らされて、陰影くっきりに浮かび上がるのだ。
ホラー以外のなにものでもない。

「グフ。グフ。グフフフフ。アナタたちが来ること、待ってたわぁん」

ザクとは違うらしい。
これからザクザクにしてやるつもりだけれど。

「オークと黒エルフが手を組むなんて、レアなことしてくれるじゃなぁい? いいわ。いいわぁん。そういう展開、ワタクシごのみよぉん」

別にあなたの好みに合わせて来たわけではないけどね。
それより私には気になっていることがある。
このカオスマスターは、かつて「混沌の迷宮」で、吟遊詩人のうたに登場する冒険者が倒したとされるものと、同じ個体なのだろうか。
そう。カオスマスターは、一度倒されているはずなのだ。かの冒険者に。

「うふん。人間ってヘンなこと気になるのね。ワタクシはワタクシ。ほかの何者でもないわぁん? でもせっかくここまで来てくれたんですもの。ちょっとだけネタバラシ」

カオスマスターはおしゃべりだ。口たくさんあるし、どの口が言ってるんだか。

「ワタクシの命の源は、白の魔法使いが埋め込んでくださった『混沌の核』。あの時ワタクシは一介の冒険者のうっとりほれぼれするダマシ討ちで倒されちゃったのん」

カオスマスターは恍惚の表情を浮かべる。今の話のどこに興奮する要素があった?

「ワタクシの中にあった『混沌の核』は下水へ流された後、偶然その冒険者に回収され、白の魔法使いを倒すのに使われたわ」

そこまでは、私の知っている物語のとおりだ。

「でもでもっ! ほんのわずかなワタクシの欠片が、混沌の核にしつっこくこびりついていたの! ワタクシはまわりのモノをちょっぴりずつ吸収して、それはもう長い年月をかけて、体を再生したゎん。白の魔法使いの肉体の一部さえも、わが物にしたのん! そしてようやく! かつての力を取り戻したのよ!! そう。今や今こそワタクシ最強伝説の幕開けよぉん!」

なるほど。長き沈黙の後、急に活動をはじめたと思ったら、そういう事情があったのか。

実はこのあたりの設定は、本作中の設定とは少々異なる。
本作中では、ある程度成長した混沌が知能を得た結果、カオスマスターになるということだった。
もちろん、過去作「混沌の迷宮」を知らなくても楽しめるように考えてのことだろう。
が、「混沌の迷宮」に思い入れのある私としては、「あのときの」カオスマスターにお出ましいただきたく、こうさせてもらった。

さて、そんな解説を読者向けにしている間にも、カオスマスターは気持ちよくおしゃべりしている。

「ただねぇ。下水になんて流されてたせいで、人間じゃない生き物の情報も、取りこんじゃったみたいなのよねぇん。おかげでワタクシの美しい肢体が台無しだわぁん」

ハエだかアブだかの頭とか、いかにもな触手とか、ザリガニの尻尾とか、わけがわからないものも生えてるね。
あまりに特殊すぎる美意識に、脳が痺れてしまいそうだ。
人間以外の生物が融合したことで、弱くなったのだろうか、逆に強くなったのだろうか。
それも、もうすぐにわかるだろう。

「さぁて、お話タイムはこのくらいでよろしいかしら。アナタたちも、ワタクシの一部におなりなさいな。それはもうめくるめくよな心地よさを味合わせてア・ゲ・ル☆」

ごめんだね私にはもうアナタを口説く暇はない。

ちゃき。

聖剣を構える。
この聖剣は、悪魔とアンデッドに対し強い力を発揮する。

「あらあらうふふ。それ持ってきたのね。でもおあいにくさま。ワタクシ悪魔でもアンデッドでもないの。……混沌よぉん!」

【カオスマスター レベル4 生命点12 攻撃回数:特殊 死ぬまで戦う】

カオスマスターとのラスボス戦が、はじまる。

次回、カオスマスターとの死闘と勝利の代償。


【サクラ 技量点:2 生命点:6 幸運点:4/6 従者点:7】
持ち物
悪死剣壱(悪魔とアンデッドに特効+1)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5混沌の核
6カタナ(片手武器相当)

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「黒エルフの勇士」ジョゼ・ヴァーミリオン→死亡
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし3→2回分


■登場人物
サクラ 【奇跡】を使える流れの剣士。レドナント村の憂いを取り除くため、混沌の迷宮の攻略を決意。
サジタ レドナント村の猟師。「弓使い」としてサクラに同行する。
ユミ レドナント村の猟師でサジタの妻。迷宮の罠にかかり死亡。
コナン レドナント村の猟師の息子。「ランタン持ち」としてサクラに同行する。
ニモ 黒エルフ「スネージ」に属する少女。黒エルフのリーダー、エルサスの娘。
エルサス 黒エルフ「スネージ」のリーダー。
エル/ルフィ/フォウ 黒エルフ「スネージ」の兵士クラスの手練れ3人。全員死亡。
ジョゼ 黒エルフの勇士。ハープ演奏のわざを見せることなくスケルトン戦で死亡。
カオスマスター 混沌の迷宮に棲む恐怖の変態生物。
グラードン オークの族長。豪放磊落。
グラザン/グリリン オークの勇者。棍棒使い。


■作品情報
作品名:「ローグライクハーフ」d66シナリオ第2弾『混沌迷宮の試練』
著者:杉本=ヨハネ
監修:紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
『混沌迷宮の試練』 ローグライクハーフd66シナリオ 第2弾
https://booth.pm/ja/items/4897324


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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2024年4月16日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.104 FT新聞 No.4101

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『これはゲームブックなのですか!?』vol.104

 かなでひびき
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 ねぇねぇ、考えてみたらウチって、FT書房の萌え成分をそのちっちゃな肩にになってない?
 ごめんなさいゴメンナサイ戯言にしても度が過ぎました!
 いつか萌え担当になるその時まで! 命ある限り! なバーチャル図書委員長かなでひびきです!

 今でこそ推理小説萌えですが、実はかなで、幼少時には、なんて表現したらいいのでしょうか?
 ほかの有象無象の趣味同様、「特に興味がありませんでした」
 特に、謎解き。
 科学知識、トリビアなんかと同じく、「そんなん、正解知識が無いと解けへんやろ!」と、冷めた目で見ておりました。
 そうではなくって、「正解にたどり着くまでの過程が楽しいよね」と気づくには、ホント苔むすまでかかりまして実はかなでロリ老女なんでゲフンゲフン!
 なぜ、そんな不遇な幼少のみぎりを送ったかということを、今回のケイブンシャの大百科『名探偵推理クイズ大百科』を見ながら振り返ってみましょ!

 まずこの本はね。子ども向けの、そう、まだ「推理」の「す」の字もわからない。
 というか、「お日様は西から登るんだ」って、某国民的ギャグアニメの主題歌のテーマを信じきっている年代めがけて、書かれたもの。
 まず小手調べ、冒頭の推理クイズから「窓ガラス破った犯人が、あからさまに手に包帯している」ってレベルの問題が出されてる。
 流石にここまで子どもをあなどっちゃ……、と正直引きつつ、次にひかえるのが「名探偵登場」と銘打たれた、和洋問わず「名探偵」のプロフィールを集めた特集ね。

 金田一少年のじっちゃんから、永遠の名探偵「明智小五郎」「シャーロック・ホームズ」
 その中に、神津恭介、法水麟太郎、巨勢博士などという渋いところ。
 そして、かなでの敬愛してやまないフィリップ・マーロウ。リュウ・アーチャーなど「ハードボイルド」な探偵も押さえてあるのがツボ!
 世界一有名な「スパイ」ジェームズ・ボンドまで出演しているのはご愛嬌。

 で、ホームズの代表的事件『まだらの紐』事件をはじめとして、クイーンの『国名シリーズ』あるいは異色のオチで有名な『二瓶のソース』など、「ミステリ」の基礎教養、もしも学校で教えるのなら、これだけは! って知識が、ぎゅっと詰め込まれているよ!
 乱歩先生の著作で、古今東西のミステリのトリックを紹介した、『幻影城』って名著があるけど、さながら、子ども版『幻影城』ってとこね。

 うん。トリックの種を見せられる、ということは、それだけで、よくできたマジックが芸術なように、ある意味、名作ショートショートの香りさえする。
 だけどねっ!だけどねっ!
 文庫本にしたら、防弾盾になりそうな分厚い長編を、見開き2ページに押さえるのは無理があります!
 手がかりをあからさまに出さざるをえないし、どうしてその結論にたどり着いたか、の詰めが割愛されている感が漂うのが残念!
 推理小説の醍醐味に「自分で証拠を見つける」っていうのがあると思うの。
 何気ない膨大な描写から、それこそ砂漠から宝を見つけるような楽しみ!
 だから、かなでも「手品の種明かし感」=「そんなん知ってたら誰でもわかるよ!」って感じがしちゃって。

 だけど、長い時を経て『名探偵コナン』『金田一少年の事件簿』に出会い、そのような、さりげない行動から「証拠を見つける楽しみ」。名探偵も神じゃない「試行錯誤しながら真相に迫る楽しみ」
 つまり「推理を一から組み立てる」楽しみに目覚めちゃったのよねー。
 今の子どもたち、本当にいい時代に恵まれたなー。本書も偉大だけど、つくづく思います。

 ただ、途中の読み物「スイート・ホームズ先生の探偵教室」は必読!
 しっかりと子どもの視点で、ちゃんと推理しているし、豆知識講座が面白い!
 例えば、変装術。「ルパンや、怪人二十面相」はフィクションだ! と断じて「変装」を教えるんだけど、これがなるほどと唸らされる。
 つまり「人は最低限、何をもって相手を○○と判断するか」って話なの。
 それに、暗号術なんか、本気でオトナのミステリに出てきそうなクオリティを保っているわ!
 まさに「探偵教室」にふさわしい一本ですぅ!
 以上、この手の推理ものが、子ども向けにはこのような解説書しかなかった時代の洗礼を受けた、ロリバアちゃまの告白でしたー。
 次回も、きっとモアベター。


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

『名探偵推理クイズ大百科』
 出版社:ケイブンシャ 単行本 2001/5/1 820円(+税)


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2024年4月15日月曜日

SF×ローグライクハーフ FT新聞 No.4100

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
5月のd66シナリオを配信する前に気が早いのですが、「ローグライクハーフ」でやりたい挑戦に触れていきます。


◆カスタム化できるTRPG。
突然ですが、私はシンプルなルールのゲームが好きです。
これまでの人生でいちばん遊んだのは「トンネルズ&トロールズ」というTRPGなのですが、この作品にはあまり細かいルールがありません。
「細部は自分たちで決めろ」というのが、基本的な姿勢のゲームです。
そこから思想的影響を受けているので、「ローグライクハーフ」のルールはきわめてシンプルです。
実を言うならいくつかの「出していないルール」もありますが……それを加えたとしても、今の世にあるTRPGと比べたら、ずっとルールが少ない部類に属しているでしょう。
データは可能なかぎりシンプルなものにしてありますので、制作者が自身の意図に合わせて調整するのも簡単だと思います。


◆「ローグライクハーフ」の構造分析。
私はTRPGを制作するとき、いくつかのフェーズに分けて考えます。
フェーズなんて横文字だと分かりづらいので、建物の階数で表現しますね。
「ローグライクハーフ」でいうと、能力値や【判定ロール】の方法のようなシステムが「1階」です。
「2階」にあたるのは、キャラクターの職業と成長のルールだろうと思います。
「3階」部分はというと、作品に登場させる従者や装備品でしょうか。
「4階」部分が世界観、つまり背景設定や〈できごと〉全般だろうな、と考えています。


◆TRPGのルールを「建物」として捉える。
実を言えば、これは少し変わった構造です。
私が知る一般的なTRPGでは、世界観が土台になっていて、その上に職業や装備が「乗っている」ことが多いからです。
しかし、私は最初に「ローグライクハーフ」を制作するさいに、「世界観をカスタム化しやすい」ような構造を意識して作りました。
シナリオ制作者がいちばんやりたいことのひとつが「自分のオリジナル世界を使ったTRPG」を遊んでもらうことだと、考えたからです。
「どんな世界観も『ローグライクハーフ』に乗せられる」ように、デザインしたわけです。


◆「3階」の改築。
さて、この4階建て構造となっている「ローグライクハーフ」ですが、どこまでカスタム化できるのでしょうか?
「1階」の部分をいじくると別のゲームになってしまいますが、「2階」から上は全部いじくれるように、設定してあります。

実は「3階」部分をいじくった作品はすでに出ておりまして、「ローグライクハーフ」のシナリオ制作者である寝子さんが書かれた「海底遺跡プルマーレ」では、連れていける従者の種類がふだんとは異なっているよ、という設定が持ち込まれています。
従者、あるいは装備品のオリジナル化まで踏み込むことで、遊ぶ側がより世界観に入り込みやすくなっていきます。


◆たぶん、なかなかしんどい。
たぶん、「2階」つまり職業部分をカスタム化した作品も、いずれは登場するのだろうと思っています。
どんなときにそれが必要になるかというと、想像しやすいのは「ジャンルが変わるとき」ですね。
「ローグライクハーフ」を使って別のジャンルをやろうと思ったら、職業から変更していくしかないと思うわけです。
「【幸運点】を副能力値に取ったら【奇跡】が使える」というルールは、それ自体がジャンルをファンタジー周辺に固定しています。
ジャンルを変更するなら、そこから変えなければならない。
ただ、これはなかなか簡単ではないだろう、とも思っています。
先の例でいう「2階」から上を、全部改築しなければならない。
相当な労力が必要になります。
これはもう公式の役目だろうな、と思います。


◆「寄り道」への渇望☆
さあ、ようやく本題に近づいてまいりました。
あなたがご覧になったかどうかは分かりませんが、私はこのFT新聞で、年末年始の記事に「新しいことをやりたい」と書きました。
その新しいことというのは……ジャンルをまたいで「ローグライクハーフ」のシナリオを作れるように、別ジャンルに使える「ローグライクハーフ」を作ることを指しています。
その第1弾は……SFです☆

具体的なお話をしたいと考えておりましたが、ちょっと長くなってきましたね。
今日のところはこのあたりで……続きはまた回を改めてお届けいたします☆
それではまた!

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2024年4月14日日曜日

アランツァクリーチャー事典 Vol.4 FT新聞 No.4099

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です。
アランツァのクリーチャーを紹介する「アランツァクリーチャー事典」の第3回は【少数種族】。
その後半です。

それでは、さっそくいってみましょう。

アランツァクリーチャー事典『少数種族』(後半)
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2024年4月13日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第583号 FT新聞 No.4098

From:水波流
初めて入る古い地方の書店。学習参考書コーナーの横に何故か聖エルザクルセイダーズが見本品で置いてある。もしかしてこれはと思い、ゲーム攻略本コーナーに向かうと、双葉文庫のルパン三世ゲームブックシリーズが大量に。慌てて手当たり次第に棚から抜く。
持ってないのどれだっけ?と考え始めたところで目が覚めた。めちゃくちゃ欲しいやつじゃない辺りが微妙にリアルだったなぁ笑

From:葉山海月
某病院のレントゲン室にて。
まじめを絵にかいたようなレントゲン技師です。
黒縁のメガネが、その印象に拍車をかけます。
レントゲン装置に入り、写真室から聞こえてきた大声!
「はーい! 大きく息をすってぇー。はいてぇー!はぁいそのまま!」
声がなかやまきんに君に激似!
というか「なかやまきんに君がレントゲン技師になったら」です!
おかげさまで和やか、というか笑いをかみころすので「びっくり! リテイクだらけのレントゲン試写会」になりましたとさ!

From:中山将平
僕ら今月、関西と関東でひとつずつイベントに参加予定です。
4月21日(日)「ゲームアンティーク2024」ブース配置【03】(開催地:大阪府「西九条駅」近くの、此花会館)。
4月27(土)と28(日)「ゲームマーケット2024春」ブース配置【F32】(開催地:東京ビッグサイト)。
お近くの方や、これらの即売会にご参加予定の方は、ぜひお立ち寄りいただけましたら。
僕、両方の現地に行く予定です。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。


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■4/7(日)~4/12(金)の記事一覧
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2024年4月7日(日) ロア・スペイダー FT新聞 No.4092

『蜂竜の森 〜竜の蜜は危険なお味〜』 ローグライクハーフd33シナリオ
・おまたせしました!
先週から予告していました、ローグライクハーフの新d33シナリオ『蜂竜の森 〜竜の蜜は危険なお味〜』ついに登場です!
舞台はカラメール! 冒険都市の名前を冠するこの城塞都市に非常事態宣言が発令されました。危険な外来種である『蜂竜』の巣が確認されたのです。
『蜂竜』はスズメバチとドラゴン両方の特性を持つクリーチャー。繁殖能力も高く、狂暴。このため、カラメールの街はこの蜂竜に対して討伐報奨を出し、駆除を推進。多くの冒険者や有志が討伐のために動き出しています。
主人公もその準備をしていると一人の男が訪ねてきました。名前を『クックロッド』。彼は腕がいい料理人であり、友人。クリーチャーの素材を使った料理を好んで作ることで有名です。そんな彼が君に提案してきました。
「『蜂竜の王蜜』を採ってきてくれないか?」
ロア氏渾身の、文字通り名クリフハンガー冒険をとくと味わってください!


2024年4月8日(月) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4093

近況について☆ 
・本日はヨハネ氏の近況報告がてらに、ちょっとした、新情報解禁!?、
BOOTHの「ローグライクハーフ」の1stシナリオ「黄昏の騎士」を、ココフォリアを使ったオンラインセッションで遊べるオマケを期間限定配布しております。
そこからご要望を受けまして、「ローグライクハーフ」公式シナリオ『竜鍵諸島』の電子書籍版(ココフォリア部屋つき)を準備中です。
そして、5月の新作d66シナリオについて。
ワクワクする冒険を、お届けできますように!


2024年4月9日(火) 中山将平 FT新聞 No.4094

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第21回 
・中山氏が創作している『カエルの勇者ケロナイツ』(ファンタジー世界に住まうカエル人たちの活躍を描いたオリジナル作品)。
その創作から、学んだことを書きつづります。
今日の記事では、ファンタジー世界における「家畜」の話題を通して、中山氏が感じている「創作の骨組み」について語ります。


2024年4月10日(水) ぜろ FT新聞 No.4095

第10回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第380回をお届けしました。
今回はノリに乗っている「ローグライクハーフ」2ndシナリオ『混沌迷宮の試練』リプレイ。
「ミラー・ドール」三部作の2巻、「混沌の迷宮」の後日談的な作品です。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
混沌の迷宮を支配する混沌の勢力カオスマスター。それに対抗するには、積年の確執のある黒エルフとオークの協力が不可欠です。
3回目のダンジョンアタックでは、ついに黒エルフ、オークと協力し、精鋭部隊で打倒カオスマスターを目指します。
ある部屋に入ると生命ゴーレムが動き出し、なんと表紙イラストのシチュエーションを完全再現!
そこに飛んでいるフクロウは、賢者マトーシュに違いありません。ぜひともコミュニケーションを取りたいところです。
強敵、生命ゴーレムを下し、マトーシュの影を追って、迷宮の奥へ!
いよいよクライマックス近し!?


2024年4月11日(木) 紫隠ねこ FT新聞 No.4096

『この先のゲームブック、あの頃のゲームブック』第2回 
・今日は「ローグライクハーフ」d66シナリオ『ドラゴンレディハーフ』の元となるゲームブック、『竜の血を継ぐ者』について、紫隠ねこ氏がお話します。
1987年に東京創元社が刊行した「スーパーアドベンチャーゲーム」シリーズの作品『ドラゴンバスター』のお話。
そして、2004年に創土社の「アドベンチャーゲームノベル」シリーズの新作として刊行された『竜の血を継ぐ者』のお話。
かの物語のあらすじ、そして、2023年夏『ドラゴンレディハーフ』へ、受け継がれるその血統を描きます。


2024年4月12日(金) 休刊日 FT新聞 No.4097

休刊日のお知らせ 
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!


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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ghostwriterさん)
百竜の森をプレイしながら配信を待っていました。
これぞカラメールでの冒険ですよ!
ヘラクレスナイトが登場した時には、百竜の森のあのヘラクレスナイトを思い出しましたね。もしかして百竜の森の前日譚だとしたら?とか色々想像しました。

(お返事:ロア)
感想ありがとうございます。期待に応えられてうれしい限りです。
今回の作品は「これぞカラメール!」というのを目指して作製したので……。
ヘラクレスナイトは百竜の森でも人気があったので再登場です。どちらかというと前日譚というよりも後日譚かも?
あれから村の守り人として竜人が百竜の森から出てきても付き添っていたり、子孫だったり……。


(ムクロ萬斎さん)
『蜂竜の森』早速プレイしました!
ラスボス戦における"かれら"のまさかの活躍など、D33の小冒険ながら非常に楽しめる作品でした。
ローグライクハーフのシステムって発想しだいでいろんな可能性が広がるものなんですね。
今後の展開も大いに期待しております!

(お返事:ロア)
感想ありがとうございます。
ラスボス戦を楽しんでいただき感謝です。あそこのギミックはカラメールという大自然に対して人間がどう立ち向かっていくか……。
という問いへの回答としてひねり出したもの。今後のシナリオでも活用されたりすると嬉しいです。
今後の作品の広がりもお楽しみください。


(忍者福島さん)
リプレイの細かなネタ、いつも楽しみにしてます!
魔法のつるはし、階層が変わるごとに1回使えるが、2回使うと壊れてしまうだったら良かったのに!と思ってしまうドルアーガの塔ファンの僕でした。

(お返事:ぜろ)
おお! 久しぶりです。感想ありがとうございます。
細やかなネタの数々は、私の趣味世界を反映しているのでそうとう偏ってますね。
もっともっと見聞を広めて、古いものばかりでなく新しめのネタも上手に扱いたいところです。
つるはしの件、ドルアーガ仕様の階層でリセットがかかるのだと、永続的に所持できそうですね。
ローグライクハーフはまだまだ広がり始めたばかり。このリプレイも楽しさを伝える一助になっていることを願ってやみません。


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未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
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このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
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2024年4月12日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4097

おはようございます。
本日は、タイトルのとおり休刊日です。

毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
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FT新聞編集部一同


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2024年4月11日木曜日

『この先のゲームブック、あの頃のゲームブック』第2回 FT新聞 No.4096

■この先のゲームブック、あの頃のゲームブック 第2回■

おはようございます。紫隠ねこです。
今日は「ローグライクハーフ」d66シナリオ『ドラゴンレディハーフ』の元となるゲームブック、『竜の血を継ぐ者』についてお話します。


◆『ドラゴンバスター』について
『ドラゴンバスター』は、1987年に東京創元社が刊行した「スーパーアドベンチャーゲーム」シリーズの作品です。著者は古川尚美さん。
このゲームブックは、ナムコ(現バンダイナムコ)のアクションゲーム『ドラゴンバスター』を原作としていました。
主人公はローレンス王国の剣士クロービス。剣術の修行に励む彼は、ある日、幼馴染でもあるセリア王女がドラゴンにさらわれたこと、そのときにセリアを守ろうとした親衛隊の隊長である父セリアズが命を落としたことを知らされます。
国王からドラゴン退治を命じられたクロービスは、父の仇を討つため、そして愛するセリアを救うために、冒険の旅に出発します……。
ゲームブック版の『ドラゴンバスター』は、一度訪れた場所に、再び立ち寄ることが可能な「双方向移動型」の構造になっており、各ダンジョンを攻略していくコンピュータRPG寄りの作品となっていました。

敵との戦闘はわずか1ラウンドで解決。お互いの攻撃力を比べて、クロービスの方が上回っていれば戦闘に勝利。逆に敵の方が上回っていれば、クロービスはダメージを受けた後、その場から逃走します。
「えー、たった1ラウンドしか戦わないの?」と思うかも知れませんが、クロービスを強くするためには、何度も戦闘を行う必要があるので、進行のテンポの良さを重視したのだと思われます。
ただし、ボス戦ではお互いの体力を削りあう激戦となるため、無用な怪我をしないに越したことはありません。
戦いの果てに迎えるエンディングは、少し寂しさを覚える展開なのですが、それは決して悲観的なものではなく、一つの大きな目的を成し遂げたクロービスが、新たな道へと進んでいくことを予感させる結末となっています。


◆『竜の血を継ぐ者』について
『竜の血を継ぐ者』は、2004年に創土社の「アドベンチャーゲームノベル」シリーズの新作として刊行されました。
元々は『ドラゴンバスター』を復刻する予定だったのですが、当時は版権元であるナムコ(現バンダイナムコ)からキャラクター使用の許可が下りず、原作ゲームに関連する固有名詞を使わないという形で、作者名義も中河竜都となり、リメイクの実現に至ったそうです。
冒険の舞台となるのは、三女神によって守られたローレンシア王国。邪悪なドラゴンにさらわれた王子を救出するのが使命です。シナリオプロットを箇条書きにすると、それほど変化は感じられません。

しかし『竜の血を継ぐ者』は、キャラクターやモンスターの名称を変更するだけではなく、大胆なアレンジが加えられています。
主人公がクロービスから女剣士レイラに変更され、本文も従来のファンタジーゲームブックでは定番だった二人称から、レイラの目線で語られるようになります。
また、新規のイベントが追加されたことで『ドラゴンバスター』よりも遊びやすい難易度に調整されています。同じようで、まったく違う作品。それが『竜の血を継ぐ者』という作品でした。


◆レイラの物語
『竜の血を継ぐ者』の主人公であるレイラ・ヴィークの物語は、夜間の逃走劇から始まります。
両親の顔を知らないレイラが育った孤児院は、表向きは「孤児院」を装っている奴隷市場。
一人で生き抜くための技術と知識を学ばされるのは「商品」としての価値を高めるためであり、教育の成果があがらないようであれば、食事を抜かれ、暴力も振るわれる。何かしらの秀でた能力を持たなければ、生きてはいけない。身寄りのない子供たちが暮らすには、あまりにも過酷な環境でした。
そのような生活に耐えられなくなったレイラは、恋人のエリックとともに孤児院からの脱走を試みますが、背後から迫る追っ手を引き離すことはできません。
このままでは二人とも捕まってしまう。そう判断したエリックは、自分が愛用していた剣をお守り代わりとしてレイラに渡すと、彼女を逃がすために囮役を引き受けます。
その後、エリックが無事に逃げ切れたのかは分かりません。悪夢のようだった孤児院も、不法な施設だったため、正確な場所はつかめずじまい。しかし、レイラは追跡を振り切り、生き延びることができました。
その事件から二年が過ぎ、現在のレイラは冒険者としての人生を歩んでいます。大陸の各地を冒険し、剣士として戦いの経験を積むことで、あの頃から自分が強くなったことに彼女は喜びを感じています。
冒険生活にも慣れ、束の間の休息をとるためにローレンシア王国を訪れたレイラ。そこでは、王国の王子イアンがドラゴンに誘拐されたという話で持ちきりになっていました。
レイラが驚いたことに、イアン王子の顔はエリックの生き写しのようでした。これに運命的なものを感じた彼女は、王子を救出するための冒険に出発します……。

『竜の血を継ぐ者』の冒険は、基本的に『ドラゴンバスター』のものをベースにしています。
魔物を倒して戦闘経験を積んでいき、王国を守護する三女神の助力を得て、最終的にドラゴンたちの本拠地である大洞窟に乗り込むのですが、終盤の展開が旧作とは大きく異なります。

ドラゴンとの戦いに身を投じる中で、レイラは自分の出生の秘密を知り、そしてそれまでの行動によって、物語のエンディングが分岐する構成になっているのです。
ローレンシア王国のためにイアン王子を救出するのか、それとも行方知らずとなったエリックの面影を追い求めるのか。
その選択次第で、冒険全体を通したレイラの運命が変化していきます。ゲームブックのリメイク作品としても、これは珍しい要素だと思います。
オリジナルの内容に忠実な『ドラゴンバスター』の復刻は叶いませんでしたが、どのような困難も乗り越えていくレイラのように、中河先生は新しい物語を生み出したのです。


◆『ドラゴンレディハーフ』について
2023年夏には『ローグライクハーフ』の公式d66シナリオとして、FT書房と『竜の血を継ぐ者』のコラボ企画になる『ドラゴンレディハーフ』の制作が開始されました。
原作のエンディングは複数用意されているのですが、本作では「イアン王子を救出して王国に凱旋する」という結末を元に、それから数年後のローレンシアを舞台としています。

制作にあたって、最初に決めていたのは「主人公がレイラと共闘することはない」ということでした。過酷な冒険を経たことで、レイラは自らの宿命に決着をつけているからです。
ローレンシア王国での冒険が終わり、新しい道を進み始めたレイラは、本作ではFT書房のファンタジーゲームブックの舞台となるアランツァ(ラドリド大陸)を旅しているという設定になっています。
これはコラボ作品としてのゲスト出演という枠にとらわれず、他の人たちが考えた作品世界とアランツァをつなぐという大切な意味を込めています。

残念ながら『竜の血を継ぐ者』は絶版となっているのですが、人と龍が対峙する世界観に魅力を感じていた杉本さんと私は、レイラが冒険の中で出会った人々や魔物たちを作品に登場させることで、中河先生が手がけたローレンシア王国の風を伝えようと思いました。
ゲーム面においても、アクションゲームの『ドラゴンバスター』のように、各冒険の最後に龍と対決するというコンセプトで制作され、原作となる『竜の血を継ぐ者』を知らなくても冒険を楽しめる作りにしています。
一昔前のファンタジーRPGでは、龍を退治するということは、冒険者にとって最大の挑戦でした。手強い冒険になりますが、その挑戦的な冒険を、上手く形にできたのではないかと思っています。

また、本作のイラストについては、プロの漫画家である成田芋虫さんにお願いして頂きました。
恐るべき龍に立ち向かう冒険者、主人公の前に立ちふさがるクリーチャーたち、冒険の中で手に入れる珍しいアイテム。
古き良きファンタジー作品を思い起こさせるイラストによって、本作には新たな生命力が与えられたと思います。
成田先生、そしてローレンシア王国の世界観をお貸しいただいた中河先生には、この場を借りて感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

昭和の『ドラゴンバスター』、平成の『竜の血を継ぐ者』、そして令和の『ドラゴンレディハーフ』……。
時代とともに形を変えていきながらも、その源となるものは受け継いでいく。
作品を手に取ってくれた方、また今回の記事を読んで『ドラゴンレディハーフ』に興味を持ってくれた方へ、ローレンシア王国という新しい風を感じて頂ければ幸いです。


≪書籍情報≫
●『ドラゴンバスター』(文庫) 1987/12/7(絶版)
出版:東京創元社
著者:古川尚美
装画/挿絵:寺田克也


●『竜の血を継ぐ者』(四六判) 2004/3/31(絶版)
出版:創土社
著者:中河竜都
挿絵:高橋政輝
装画:目黒詔子


●『ドラゴンレディハーフ』ローグライクハーフd66シナリオ(B5版) 2023/12/9  \1,980
出版:FT書房
著者:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ
監修:中河竜都
装画/挿絵:成田芋虫
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2024年4月10日水曜日

第10回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4095

第10回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「混沌迷宮の試練」の内容の詳細に踏み込んでおりますのでご了承ください。

ぜろです。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
混沌の迷宮を支配する混沌の勢力カオスマスター。それに対抗するには、積年の確執のある黒エルフとオークの協力が不可欠です。
3回目のダンジョンアタックでは、ついに黒エルフ、オークと協力し、精鋭部隊で打倒カオスマスターを目指します。
ある部屋に入ると生命ゴーレムが動き出し、なんと表紙イラストのシチュエーションを完全再現!
そこに飛んでいるフクロウは、賢者マトーシュに違いありません。ぜひともコミュニケーションを取りたいところです。

混沌の迷宮 第3層
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Trials_of_TheChaosLabyrinth_Layer3.png


【サクラ 技量点:2 生命点:6 幸運点:6 従者点:7】
持ち物
カタナ(片手武器相当)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2黄金のカギ(666)
3ハチコロリ2回分
4警告の紫水晶3回分
5聖水

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「黒エルフの勇士」ジョゼ・ヴァーミリオン
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし3回分


●アタック03-3 サクラと黄金のカギ

【61 生命ゴーレム】

部屋に入るなり動き出した黄金色の巨人。
そして部屋中をばさばさ飛び回る喋るフクロウ。

「警告! 警告! 気をつけよ。生命ゴーレムは生命力に反応して攻撃する」

私たちが相対しているのは、生命ゴーレム。鋼鉄の巨人。
そして警告を発してくれているあのフクロウは、おそらく鳥人の賢人マトーシュ。

私は高揚する。
生命ゴーレムも、賢人マトーシュも、私が聞いた吟遊詩人のうたに登場していたからだ。
あのうたをきっかけに、私はここへ赴いた。
そして今、それらの目の前に立っている。
まるで自分が英雄伝説の登場人物になったかのような錯覚を覚える。

「ホ。ホ。ホ。あやつの体内には、生命ガスが充満している。だから動く」

黄金色の光を発しているのは、その体内に充満する生命ガスのためだろうか。

「カギを使ってゴーレムの『蓋』を開ければ、生命ガスが抜けて、しぼんだ風船のように動きを止めるッホー」

賢人マトーシュは、早口でおしゃべりだ。そういうところはまさに鳥人。

「カギは黄金色。そして刻まれし番号は……あっホ!」

うっかり生命ゴーレムに接近しすぎたマトーシュ。
生命ゴーレムの腕が振り回された。マトーシュはすんでのところでかわすが、風圧だけでバランスを崩してしまう。

これだけ聞ければ十分だ。私は666と刻まれた黄金のカギを取り出す。
2回めの冒険で拾ったものだ。
使い道がわからずただ拾ったカギだが、これが生命ゴーレムのカギだという確信があった。
これを拾った場所は、なにか巨大なものが戦った痕跡があった。
おそらくあの部屋でも、生命ゴーレムが暴れていたのだ。
このカギで、生命ゴーレムの蓋を開けてやればいい。

だがそのためには、まずは攻撃を命中させなければならない。

【生命ゴーレム レベル4 生命点10 攻撃回数3 死ぬまで戦う】

生命ゴーレムは強いクリーチャーだ。
一撃で倒せる弱いクリーチャーと違い、生命点を持った手ごわい相手だ。

ここからルールにのっとった戦闘開始だ。
最初に私が奇跡【防衛】の力で全体の回避力を上げる。

黒エルフ長エルサスと、人間の猟師サジタの弓矢による攻撃。
サイコロの出目はどちらも4。レベル4の相手に、本来なら命中だ。
しかし鉄の体のゴーレムには斬撃系は効果が薄い。
2点のペナルティを受け、いずれもはじかれてしまった。

「やはり硬いな」
「関節を狙わねば」

2人は武器を持ち換え、次からの接近戦に備える。
さあ、私の攻撃だ。
攻撃を命中させれば、黄金のカギを用いてゴーレムの蓋を開くことができる。
そうしたら、ただちに勝利できる。

だが、私の攻撃はサイコロの出目1のファンブル。絶対的な失敗だった。
こんな巨体に当てそこなうとは、私の腕の腕が鈍ったのか。
否、黄金のカギを取り出しながら攻撃するなんていう中途半端なことをしていたせいだ。

「鉄のゴーレムは斬れぬ。我々に任せておけい!」

オークの勇者グラザンとグリリンが前面に展開する。打撃攻撃ならペナルティはつかない。
2人は棍棒を、生命ゴーレムの左右の足のむこうずねに思い切り叩きつけた。

ちょうど右足を上げる動作をしていたために、グラザンの攻撃は空振りだった。
しかしグリリンの打撃は、支点となる左足にあやまたず命中した。

今だ。これを!

私は生命ゴーレムの背中にとりつき、そこにあるカギ穴に黄金のカギをさしこんだ。
がちり、と重い感触がして、カギが回る。

ばっかーん、と蓋が思い切り開いた。生命ガスがぶっしゃー、とものすごい勢いで噴出する。
私は開いた蓋に顔面を打ちつけ、生命ガスの噴出の勢いで壁まで吹っ飛ばされた。
しかしダメージはない。それどころか逆に回復している?!
生命ガスを直接浴びていたせいだろう。

「ホ。ホ。ホ。生命ゴーレムを倒すとは、なかなかの者よのう」

「マトーシュ! あなたは賢人マトーシュなのでしょう? 私たちに助力を!」

黒エルフ長エルサスが声を上げる。その声を聞いてか聞かずか、マトーシュは部屋を飛び回ると、開いたままになっているもうひとつの出口の扉からすいーっと飛び出していった。

「来るが良い。そなたたちが『混沌の迷宮』の未来を憂うものならば……」

賢人マトーシュの声が、迷宮の通路に反響した。


●アタック03-4 サクラと賢人マトーシュの聖域

生命ゴーレムを倒したが、宝物判定は発生しなかった。
倒した際に生命ガスを浴びて、ちょっぴり健康になったくらいだ。

今回も宝物判定の機会は少ないし、実入りはもっと少ない。
金銭的なもうけは期待できそうにないな。

それよりも、この先どう動くかだな。
この部屋には扉が3つある。
1つは私たちが通ってきた扉。向かいの扉は開いていて、そこからマトーシュは飛び去った。
もうひとつは、左手にある扉だ。

説明はしたものの、選択は決まっている。
私たちは、マトーシュが消えた方の通路へと足を踏みこんだ。

通路イベントのサイコロの出目は3で、なにも起きなかった。
短い通路はすぐに扉でつきあたる。
その扉も開いている。マトーシュが通過したに違いない。


【中間イベント 混沌の核】

私たちは部屋へと踏み込む。
部屋の奥には段差と、かつて豪奢だった椅子がある。
かつては謁見の間のような部屋だったのだろう。
そして、その椅子の肘当てを止まり木がわりに、フクロウの賢人が留まっていた。

「賢人マトーシュ!」

黒エルフ長エルサスが何度目かの、感嘆の声を上げる。

「ホ。ホ。わたしは賢人などではないよ。わたしが干からびとる間に迷宮はこのありさまだ。今さらもとに戻す力などありゃせんわい」

賢人マトーシュはかつてボロボロの残骸のようになっていたところを、生命ガスを吸ったことでよみがえったという。
このあたりのエピソードは、「混沌の迷宮」に登場する。
生命ガスは、命がないものをよみがえらせることはできない。
残骸になってさえ生命力のかけらが残存していたというのは驚きだ。そこはさすが賢人といったところだろう。

「黒エルフとオーク、そして人間がともにおるとはな。ここ最近見ることのなかった光景よ。そなたたちは、『カオスマスター』に挑もうとする者で良いのだな」

私はうなずく。

「ホ。ホ。ならば、これを持って行け」

マトーシュは、脇にかかえていたカギつきの魔術書めいた本を取り出す。
カギの部分をくちばしで器用に開ける。
中がくりぬかれており、宝珠が入っていた。中は煙のようなもやが渦巻いている。

「これは『混沌の核』」

マトーシュが説明する。

「カオスマスターの呪術は、人間を簡単に『しずくの怪物』に戻してしまう。これはその力を弱めてくれるだろう」

しずくの怪物?
しずくの怪物とは?

かつて黒エルフ長エルサスが目の当たりにしたという光景がそれだ。
そのときエルサスがともに行動していた仲間は人としての姿を失い、たちまちのうちに、ただのぷるぷるした「しずくの怪物」に変化してしまった。

しかしマトーシュは言ったのだ。
「人間を簡単に『しずくの怪物』に『戻してしまう』」と。

「戻してしまう」って、どういうこと?
人間のもとの姿が、「しずくの怪物」とでも言いたいの?

「……くかー。すぴー」

しかしなんとマトーシュは、なんか眠っていた。

まあね、人間のなりたちって諸説あるのよ。
その中でもよく言われるのが、神さまが自分たちの姿に似せて作ったってやつ。
かつてこの迷宮に君臨していた白の魔法使いは、神にも等しき存在で、それゆえに人に対する情のかけらも倫理観も持ち合わせておらず、非人道的な生命の研究に明け暮れていたという。
鳥人を作ったのは自分だと、語っていたとも聞く。

そうであれば人間そのものの成り立ちも似たようなものなのかもしれない。

たとえそうだとしても、今を生きる私たちにはなんの関係もないけれど。

私たちは、マトーシュの聖域をあとにした。


●アタック03-5 サクラと聖剣と守護者たち

【32 聖域】

次の部屋は、白い石材を積み上げて作られており、かつて神殿の区画の一部だったような名残を感じる。
部屋の中央にある台座には、繊細な彫刻を施された一振りの剣が置かれている。
その周囲には棺が円状に並んでいる。棺の数は、合わせて12。まるで巨大な日時計のような配置だ。
神聖な雰囲気を、今もなお残している。

マトーシュの部屋の隣にある聖域。
そこに安置されている剣。

それは「聖剣」のたぐいだろう。

私はその剣に手をのばす。
すると、棺が次々と開いた。

中から出て来たのは骸骨。
スケルトンの戦士たちだ。
さしずめ聖剣を守護する戦士たちといったところだろう。
2つの棺は開かないままだ。中にいる間に朽ちてしまったのかもしれない。
つまり、棺から出てきたスケルトンの戦士たちの数は、10体だ。

無論、戦闘になる。
それにしても10体というのは多いな。
これでもサイコロの出目は4。最大数ではないのだ。
最大だったら12体出現しているところだった。

【霊廟のスケルトン レベル4 死ぬまで戦う】

開幕は、いつもの私の【防衛】の力だ。
聖水を使うことも考えないでもなかったが、先に1体2体を減らす程度では、数の力の前にはあまりにも無力だ。
それよりは、少しでも当たらないことを考えた方が良い。

黒エルフ長エルサスはサイコロの出目6のクリティカルで、一撃で1体のスケルトンの首を射ぬいた。
ぽろりと落ちた首が転がる。
猟師サジタの方は、急なスケルトンの出現に動転したのか、サイコロの出目1のファンブルで、つがえようとした矢を取り落とした。

ここからは接近戦だ。
まずは少しでも数を減らすこと。
私、グラザン、グリリン、ジョゼ。
最大で4体を倒せる計算だ。

だが、私の攻撃のサイコロの出目は1。ファンブル。絶対的な失敗だ。
こんなときに限って。
聖剣に注意が向きすぎていたのか?

続くグラザン、グリリンの攻撃は、どちらもサイコロの出目4で命中だ。
打撃系の攻撃はスケルトンに効果絶大。
2人は生き生きと大暴れしている。

ジョゼの攻撃はサイコロの出目2。残念ながら外してしまった。

敵を10体から7体に減らしたところで、反撃がくる。
攻撃回数は7回。半分は私に、残り半分は従者にいくという。
私が4回を受けもとう。残る3回はやはり、回避に秀でたジョゼをメインにして回避してもらうしかないか。

私の回避のサイコロの出目は、4、6、3、6。
修正を加えれば、すべて余裕で回避できている。

ジョゼのほうは、最初の攻撃をサイコロの出目3で回避。
しかし次の攻撃は、サイコロの出目1のファンブルで避け損ねてしまった。
ここでジョゼの特殊技能が発動。

『1回の冒険につき1回だけ、生命点へのダメージを無視できる』

スケルトンの攻撃を、神業的な動きでかわしきった。
だが、スケルトンの攻撃はもう1回残っている。
後がなくなったが、従者の中ではもっとも回避に秀でているジョゼにやってもらうしかあるまい。

ジョゼの3回目の回避のサイコロは、出目1だった。
ファンブルだ。もう、特殊技能の恩恵はない。

ジョゼは、自分でも信じられないほどの動きで攻撃を避けたことで油断していたのかもしれない。
そこを、別のスケルトンにつけこまれた。
スケルトンの錆びた剣が、ジョゼを貫いた。

次回、仲間の死を乗り越え、ついにラスボス、カオスマスターと対峙する。

【サクラ 技量点:2 生命点:6 幸運点:6→4 従者点:7】
持ち物
カタナ(片手武器相当)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5混沌の核

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「黒エルフの勇士」ジョゼ・ヴァーミリオン
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし3回分


■登場人物
サクラ 【奇跡】を使える流れの剣士。レドナント村の憂いを取り除くため、混沌の迷宮の攻略を決意。
サジタ レドナント村の猟師。「弓使い」としてサクラに同行する。
ユミ レドナント村の猟師でサジタの妻。迷宮の罠にかかり死亡。
コナン レドナント村の猟師の息子。「ランタン持ち」としてサクラに同行する。
ニモ 黒エルフ「スネージ」に属する少女。黒エルフのリーダー、エルサスの娘。
エルサス 黒エルフ「スネージ」のリーダー。
エル/ルフィ/フォウ 黒エルフ「スネージ」の兵士クラスの手練れ3人。全員死亡。
ジョゼ 黒エルフの勇士。ハープ演奏のわざを見せることなくスケルトン戦で死亡。
カオスマスター 混沌の迷宮に棲む恐怖の変態生物、のはずなのだが……。
グラードン オークの族長。豪放磊落。
グラザン/グリリン オークの勇者。棍棒使い。


■作品情報
作品名:「ローグライクハーフ」d66シナリオ第2弾『混沌迷宮の試練』
著者:杉本=ヨハネ
監修:紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
『混沌迷宮の試練』 ローグライクハーフd66シナリオ 第2弾
https://booth.pm/ja/items/4897324


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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2024年4月9日火曜日

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第21回 FT新聞 No.4094

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第21回
「家畜」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 おはようございます。イラストレーターの中山将平です。

 今日の記事では、ファンタジー世界における「家畜」の話題を通して、僕が感じている「創作の骨組み」について語りたいと思います。
 骨組みとは、つまり「方向性や着眼点」のことです。
 自分自身がどのような想いで作品を創作しているのか、分析したことを書こうと思います。
 
 この記事がファンタジーを楽しまれている方にとって役立つものになることを願っています。
 それでは、早速詳しく見ていきましょう。

◆ ファンタジー創作の2つの最終目的
 さて、ファンタジーの創作をすると一言で言っても、実は「最終目的」(脳内の想像をどのような形で、何を重視して出力するか)がどこにあるのか……というのは様々なのではないでしょうか。

 例えばそれが「物語を作ること」という場合もあるかもしれません。
 その場合、世界の設定を詳しく作りこまなくても、ファンタジー創作は十二分に成立すると思います。
 「矛盾の少ない背景」よりも「物語としての面白さ」が優先されることは、想像に難くありません。
 人物の心情の機微や目の前で起こる出来事のダイナミックさが楽しさの中心だと思うからです。
 なぜその場所にいるのかわからないモンスターが突然現れたとしても、それが主人公たちにとって主観的な意味があるならばむしろ歓迎されるわけです。

 一方で、「世界そのものを作りこみ、その場を物語という形で運営すること」が最終目的である場合もまたあるように感じられます。
 この場合は、物語そのものと同じくらい世界の作りこみを楽しむことになると思われます。
 僕はこちらの方の創作をより多くする傾向にあるのですが、奇妙なことに「世界の面白さが、物語の面白さにつながる」傾向を感じています。
 それは、「冒険譚としての出来事」という意味合いではない「現実とは違った世界で起こる出来事」が意外と物語そのものに好影響を与えるからだと思っています。

 上に書いた2つの「最終目的」はあくまで例ですが、他の場合と比べると、とても頻繁に見かけるものでもあると感じています。
 もちろん、「物語を作ること」を最終目的として創作されていた作品に、様々な説明を付け加えて世界を豊かにする……という状況も見かける頻度が高いことは追記したいですが。
 
 個人的には、前者は「小説」や「漫画」など基本的に主人公の体験を追っていくような作品と親和性が高い気がしています。
 後者は望めば世界観を俯瞰視できるような作品……TRPG等の「ゲーム」と親和性の高さを感じています。

 これらを踏まえたうえで、ファンタジー世界における「家畜」の創作に目を向けたいと思います。

◆ 個々の創作における3つの「基準」
 「家畜」は今回一つの例にすぎませんが、世界の創作そのものに目を向けるなら到底無視できない要素ではないでしょうか。
 いえ、ファンタジー世界のベースを「現実世界の過去の世界」に求めるのであれば、牛や豚が飼育されている状況が分かりやすいのは確かでしょう。
 しかし、僕自身はこういった個々の創作に対していくつかの(具体的には3つの)「基準」を持っています。
 この基準をなぜ設けているのか。
 それは、前述の通り僕が「世界そのものを作りこみ、その場を物語という形で運営すること」を創作の主な最終目的としているためです。
 目に入る出来るだけすべての要素に手を入れて「なぜそうなっているのか」を考え、世界そのものに息を吹き込みたいのです。
 創作の細部に込められた工夫が心地よいものであることを、知ってしまっているともいえるかもしれません。
 自分が「どうなっていれば楽しいと感じられるか」を追求した結果、「基準」が出来上がってきました。
 その「基準」をクリアするように創作をしている、というのが、今日お伝えしたいことなのです。

 どのような基準か、以下に簡潔にまとめてみたいと思います。
 1 ファンタジックであること。 
 2 世界に対し小さなリアリティがあること
 3 現実世界を歪に反映していること

 この3つです。
 それぞれについて、ここから見ていきましょう。

◆ ファンタジックであること
 まずは、ファンタジックであること。
 家畜を例としますと、単に牛や豚、鶏やヤギとかだけではなく、もっとファンタジーを感じられるものを設定したくなります。
 これは、せっかく世界そのものを創作するなら、出来るだけ特別なものを作りたいという想いから現れているものかもしれません。
 しかし、特殊すぎると「誰もついてこられない」恐れもあるので扱いには注意しなくてはならないと考えています。
 
 具体的には、ファンタジーを感じる存在として既存のものをベースにすると落ち着くことを感じていました。
 カエル人の創作では、オオガエル(時にファンタジーで見かける人を食べるサイズのカエル)やマンドラゴラ(伝承に出てくる方のタイプのもの)を家畜として設定しました。
 新しすぎるものも一つ二つ入れるのはありだと思いますが、オリジナルファンタジー色を出す度合のバランスを常にはかりながらコントロ—ルしていくものなのだと思います。 

 ちなみにカエル人の世界フログワルドでは、アンデッド(主にスケルトン)を集落の労働力として使役する文化も創作しています。
 これは家畜の話題とは少し違うかなと思いますので、また別の記事で扱うかもしれません。
 
◆ 世界に対し小さなリアリティがあること
 次に挙げる基準は、世界に対して小さなリアリティがあること。
 先ほどのカエル人の例を再び使うと、「カエル人の育てる家畜は両生類の方が飼育が容易に思える」というお話です。
 カエル人にとっての馬のような存在として巨大陸生ウーパールーパーも設定しました。
 
 世界の創作という大きな要素の中に、「細部」があることが輝くと信じています。
 そしてその「細部」とは全体から想像したときにより「らしさ」があることだと思うのです。
 結果として、各要素が逆に世界内での「土地柄」を表しそうです。

◆ 現実世界を歪に反映していること
 最後に挙げる基準は、現実世界を歪に反映していること。
 現実世界そのものを描くこととは違って、「歪であること」を特に強調したいと思っています。
 
 カエル人の家畜の例を3度使いますと、オオガエルの肉は食用に、革は衣服に使われます。
 カエル人にとってのオオガエルは、現実世界の人間にとっての牛などに相当するわけです。
 このメタファーは「カエル人とオオガエルが人間目線では仲間の種族に見える」という点で皮肉にもなっています。
 (カエル人の視点では、人間と牛も近い種族に見えるはずだという意味も込められています。)
 ただし、現実世界のカエルは共食いをする生物であるため、カエル人がオオガエルを食べることはその投影にもなっているのです。
 
 現実世界とは明らかに違う歪さを持ちながら、なお「現実的な」質感を残したいという願いが、このような設定を作らせたのだと分析しています。

◆ まとめ
 今回は「家畜」を例に、僕がファンタジー創作に対して感じていることをまとめてみました。
 実際、「世界そのものを作りこみ、その場を物語という形で運営する」ような創作は、多くの方と共に作っていきやすい傾向を感じています。
 それが、僕の好きなことなのかもしれません。

 では、今日はそろそろこのあたりで。
 よきファンタジー・ライフを。


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2024年4月8日月曜日

近況について☆ FT新聞 No.4093

おはようございます、自宅の寝室から杉本です。
数年ぶりに風邪など引いてしまい、お休みをいただいております☆
体調不良につき、今日は簡単な記事です★


◆入稿!
前回と前々回の2回にわたってお送りした新刊ですが、どうにか無事に印刷会社にバトンを渡すことができました!
5月中には通販にも出すことができると思いますので、今しばらくお待ちくださいませ☆


◆『竜鍵諸島』のココフォリア版!
実は現在、BOOTHの「ローグライクハーフ」の1stシナリオ「黄昏の騎士」を、ココフォリアを使ったオンラインセッションで遊べるオマケを期間限定配布しております。
中山将平によって、キャラクターやイベントがビジュアル化されました!

また、そこからご要望を受けまして、「ローグライクハーフ」公式シナリオ『竜鍵諸島』の電子書籍版(ココフォリア部屋つき)を準備中です☆
ワクワクする冒険を、お届けできますように!


◆5月のd66シナリオは……?
体調不良で遅れ気味ですが、5月のd66シナリオは神聖都市ロング・ナリクを拠点とした冒険です☆
廃墟となったかつての王城を探索する王道もので、「ローグライクハーフ」にあまり慣れていないプレイヤーに向けて作られる初級シナリオを予定しております。


簡単ですが、今回はこのあたりで……それではまた!


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