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2024年4月10日水曜日

第10回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4095

第10回【混沌迷宮の試練】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「混沌迷宮の試練」の内容の詳細に踏み込んでおりますのでご了承ください。

ぜろです。
レドナントの村人のため混沌の迷宮に赴く主人公サクラ。
混沌の迷宮を支配する混沌の勢力カオスマスター。それに対抗するには、積年の確執のある黒エルフとオークの協力が不可欠です。
3回目のダンジョンアタックでは、ついに黒エルフ、オークと協力し、精鋭部隊で打倒カオスマスターを目指します。
ある部屋に入ると生命ゴーレムが動き出し、なんと表紙イラストのシチュエーションを完全再現!
そこに飛んでいるフクロウは、賢者マトーシュに違いありません。ぜひともコミュニケーションを取りたいところです。

混沌の迷宮 第3層
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Trials_of_TheChaosLabyrinth_Layer3.png


【サクラ 技量点:2 生命点:6 幸運点:6 従者点:7】
持ち物
カタナ(片手武器相当)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2黄金のカギ(666)
3ハチコロリ2回分
4警告の紫水晶3回分
5聖水

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「黒エルフの勇士」ジョゼ・ヴァーミリオン
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし3回分


●アタック03-3 サクラと黄金のカギ

【61 生命ゴーレム】

部屋に入るなり動き出した黄金色の巨人。
そして部屋中をばさばさ飛び回る喋るフクロウ。

「警告! 警告! 気をつけよ。生命ゴーレムは生命力に反応して攻撃する」

私たちが相対しているのは、生命ゴーレム。鋼鉄の巨人。
そして警告を発してくれているあのフクロウは、おそらく鳥人の賢人マトーシュ。

私は高揚する。
生命ゴーレムも、賢人マトーシュも、私が聞いた吟遊詩人のうたに登場していたからだ。
あのうたをきっかけに、私はここへ赴いた。
そして今、それらの目の前に立っている。
まるで自分が英雄伝説の登場人物になったかのような錯覚を覚える。

「ホ。ホ。ホ。あやつの体内には、生命ガスが充満している。だから動く」

黄金色の光を発しているのは、その体内に充満する生命ガスのためだろうか。

「カギを使ってゴーレムの『蓋』を開ければ、生命ガスが抜けて、しぼんだ風船のように動きを止めるッホー」

賢人マトーシュは、早口でおしゃべりだ。そういうところはまさに鳥人。

「カギは黄金色。そして刻まれし番号は……あっホ!」

うっかり生命ゴーレムに接近しすぎたマトーシュ。
生命ゴーレムの腕が振り回された。マトーシュはすんでのところでかわすが、風圧だけでバランスを崩してしまう。

これだけ聞ければ十分だ。私は666と刻まれた黄金のカギを取り出す。
2回めの冒険で拾ったものだ。
使い道がわからずただ拾ったカギだが、これが生命ゴーレムのカギだという確信があった。
これを拾った場所は、なにか巨大なものが戦った痕跡があった。
おそらくあの部屋でも、生命ゴーレムが暴れていたのだ。
このカギで、生命ゴーレムの蓋を開けてやればいい。

だがそのためには、まずは攻撃を命中させなければならない。

【生命ゴーレム レベル4 生命点10 攻撃回数3 死ぬまで戦う】

生命ゴーレムは強いクリーチャーだ。
一撃で倒せる弱いクリーチャーと違い、生命点を持った手ごわい相手だ。

ここからルールにのっとった戦闘開始だ。
最初に私が奇跡【防衛】の力で全体の回避力を上げる。

黒エルフ長エルサスと、人間の猟師サジタの弓矢による攻撃。
サイコロの出目はどちらも4。レベル4の相手に、本来なら命中だ。
しかし鉄の体のゴーレムには斬撃系は効果が薄い。
2点のペナルティを受け、いずれもはじかれてしまった。

「やはり硬いな」
「関節を狙わねば」

2人は武器を持ち換え、次からの接近戦に備える。
さあ、私の攻撃だ。
攻撃を命中させれば、黄金のカギを用いてゴーレムの蓋を開くことができる。
そうしたら、ただちに勝利できる。

だが、私の攻撃はサイコロの出目1のファンブル。絶対的な失敗だった。
こんな巨体に当てそこなうとは、私の腕の腕が鈍ったのか。
否、黄金のカギを取り出しながら攻撃するなんていう中途半端なことをしていたせいだ。

「鉄のゴーレムは斬れぬ。我々に任せておけい!」

オークの勇者グラザンとグリリンが前面に展開する。打撃攻撃ならペナルティはつかない。
2人は棍棒を、生命ゴーレムの左右の足のむこうずねに思い切り叩きつけた。

ちょうど右足を上げる動作をしていたために、グラザンの攻撃は空振りだった。
しかしグリリンの打撃は、支点となる左足にあやまたず命中した。

今だ。これを!

私は生命ゴーレムの背中にとりつき、そこにあるカギ穴に黄金のカギをさしこんだ。
がちり、と重い感触がして、カギが回る。

ばっかーん、と蓋が思い切り開いた。生命ガスがぶっしゃー、とものすごい勢いで噴出する。
私は開いた蓋に顔面を打ちつけ、生命ガスの噴出の勢いで壁まで吹っ飛ばされた。
しかしダメージはない。それどころか逆に回復している?!
生命ガスを直接浴びていたせいだろう。

「ホ。ホ。ホ。生命ゴーレムを倒すとは、なかなかの者よのう」

「マトーシュ! あなたは賢人マトーシュなのでしょう? 私たちに助力を!」

黒エルフ長エルサスが声を上げる。その声を聞いてか聞かずか、マトーシュは部屋を飛び回ると、開いたままになっているもうひとつの出口の扉からすいーっと飛び出していった。

「来るが良い。そなたたちが『混沌の迷宮』の未来を憂うものならば……」

賢人マトーシュの声が、迷宮の通路に反響した。


●アタック03-4 サクラと賢人マトーシュの聖域

生命ゴーレムを倒したが、宝物判定は発生しなかった。
倒した際に生命ガスを浴びて、ちょっぴり健康になったくらいだ。

今回も宝物判定の機会は少ないし、実入りはもっと少ない。
金銭的なもうけは期待できそうにないな。

それよりも、この先どう動くかだな。
この部屋には扉が3つある。
1つは私たちが通ってきた扉。向かいの扉は開いていて、そこからマトーシュは飛び去った。
もうひとつは、左手にある扉だ。

説明はしたものの、選択は決まっている。
私たちは、マトーシュが消えた方の通路へと足を踏みこんだ。

通路イベントのサイコロの出目は3で、なにも起きなかった。
短い通路はすぐに扉でつきあたる。
その扉も開いている。マトーシュが通過したに違いない。


【中間イベント 混沌の核】

私たちは部屋へと踏み込む。
部屋の奥には段差と、かつて豪奢だった椅子がある。
かつては謁見の間のような部屋だったのだろう。
そして、その椅子の肘当てを止まり木がわりに、フクロウの賢人が留まっていた。

「賢人マトーシュ!」

黒エルフ長エルサスが何度目かの、感嘆の声を上げる。

「ホ。ホ。わたしは賢人などではないよ。わたしが干からびとる間に迷宮はこのありさまだ。今さらもとに戻す力などありゃせんわい」

賢人マトーシュはかつてボロボロの残骸のようになっていたところを、生命ガスを吸ったことでよみがえったという。
このあたりのエピソードは、「混沌の迷宮」に登場する。
生命ガスは、命がないものをよみがえらせることはできない。
残骸になってさえ生命力のかけらが残存していたというのは驚きだ。そこはさすが賢人といったところだろう。

「黒エルフとオーク、そして人間がともにおるとはな。ここ最近見ることのなかった光景よ。そなたたちは、『カオスマスター』に挑もうとする者で良いのだな」

私はうなずく。

「ホ。ホ。ならば、これを持って行け」

マトーシュは、脇にかかえていたカギつきの魔術書めいた本を取り出す。
カギの部分をくちばしで器用に開ける。
中がくりぬかれており、宝珠が入っていた。中は煙のようなもやが渦巻いている。

「これは『混沌の核』」

マトーシュが説明する。

「カオスマスターの呪術は、人間を簡単に『しずくの怪物』に戻してしまう。これはその力を弱めてくれるだろう」

しずくの怪物?
しずくの怪物とは?

かつて黒エルフ長エルサスが目の当たりにしたという光景がそれだ。
そのときエルサスがともに行動していた仲間は人としての姿を失い、たちまちのうちに、ただのぷるぷるした「しずくの怪物」に変化してしまった。

しかしマトーシュは言ったのだ。
「人間を簡単に『しずくの怪物』に『戻してしまう』」と。

「戻してしまう」って、どういうこと?
人間のもとの姿が、「しずくの怪物」とでも言いたいの?

「……くかー。すぴー」

しかしなんとマトーシュは、なんか眠っていた。

まあね、人間のなりたちって諸説あるのよ。
その中でもよく言われるのが、神さまが自分たちの姿に似せて作ったってやつ。
かつてこの迷宮に君臨していた白の魔法使いは、神にも等しき存在で、それゆえに人に対する情のかけらも倫理観も持ち合わせておらず、非人道的な生命の研究に明け暮れていたという。
鳥人を作ったのは自分だと、語っていたとも聞く。

そうであれば人間そのものの成り立ちも似たようなものなのかもしれない。

たとえそうだとしても、今を生きる私たちにはなんの関係もないけれど。

私たちは、マトーシュの聖域をあとにした。


●アタック03-5 サクラと聖剣と守護者たち

【32 聖域】

次の部屋は、白い石材を積み上げて作られており、かつて神殿の区画の一部だったような名残を感じる。
部屋の中央にある台座には、繊細な彫刻を施された一振りの剣が置かれている。
その周囲には棺が円状に並んでいる。棺の数は、合わせて12。まるで巨大な日時計のような配置だ。
神聖な雰囲気を、今もなお残している。

マトーシュの部屋の隣にある聖域。
そこに安置されている剣。

それは「聖剣」のたぐいだろう。

私はその剣に手をのばす。
すると、棺が次々と開いた。

中から出て来たのは骸骨。
スケルトンの戦士たちだ。
さしずめ聖剣を守護する戦士たちといったところだろう。
2つの棺は開かないままだ。中にいる間に朽ちてしまったのかもしれない。
つまり、棺から出てきたスケルトンの戦士たちの数は、10体だ。

無論、戦闘になる。
それにしても10体というのは多いな。
これでもサイコロの出目は4。最大数ではないのだ。
最大だったら12体出現しているところだった。

【霊廟のスケルトン レベル4 死ぬまで戦う】

開幕は、いつもの私の【防衛】の力だ。
聖水を使うことも考えないでもなかったが、先に1体2体を減らす程度では、数の力の前にはあまりにも無力だ。
それよりは、少しでも当たらないことを考えた方が良い。

黒エルフ長エルサスはサイコロの出目6のクリティカルで、一撃で1体のスケルトンの首を射ぬいた。
ぽろりと落ちた首が転がる。
猟師サジタの方は、急なスケルトンの出現に動転したのか、サイコロの出目1のファンブルで、つがえようとした矢を取り落とした。

ここからは接近戦だ。
まずは少しでも数を減らすこと。
私、グラザン、グリリン、ジョゼ。
最大で4体を倒せる計算だ。

だが、私の攻撃のサイコロの出目は1。ファンブル。絶対的な失敗だ。
こんなときに限って。
聖剣に注意が向きすぎていたのか?

続くグラザン、グリリンの攻撃は、どちらもサイコロの出目4で命中だ。
打撃系の攻撃はスケルトンに効果絶大。
2人は生き生きと大暴れしている。

ジョゼの攻撃はサイコロの出目2。残念ながら外してしまった。

敵を10体から7体に減らしたところで、反撃がくる。
攻撃回数は7回。半分は私に、残り半分は従者にいくという。
私が4回を受けもとう。残る3回はやはり、回避に秀でたジョゼをメインにして回避してもらうしかないか。

私の回避のサイコロの出目は、4、6、3、6。
修正を加えれば、すべて余裕で回避できている。

ジョゼのほうは、最初の攻撃をサイコロの出目3で回避。
しかし次の攻撃は、サイコロの出目1のファンブルで避け損ねてしまった。
ここでジョゼの特殊技能が発動。

『1回の冒険につき1回だけ、生命点へのダメージを無視できる』

スケルトンの攻撃を、神業的な動きでかわしきった。
だが、スケルトンの攻撃はもう1回残っている。
後がなくなったが、従者の中ではもっとも回避に秀でているジョゼにやってもらうしかあるまい。

ジョゼの3回目の回避のサイコロは、出目1だった。
ファンブルだ。もう、特殊技能の恩恵はない。

ジョゼは、自分でも信じられないほどの動きで攻撃を避けたことで油断していたのかもしれない。
そこを、別のスケルトンにつけこまれた。
スケルトンの錆びた剣が、ジョゼを貫いた。

次回、仲間の死を乗り越え、ついにラスボス、カオスマスターと対峙する。

【サクラ 技量点:2 生命点:6 幸運点:6→4 従者点:7】
持ち物
カタナ(片手武器相当)
手甲(木盾相当)
胴袴(鎖鎧相当)
食料2
金貨6
1エールの大瓶
2ハチコロリ2回分
3警告の紫水晶3回分
4聖水
5混沌の核

【従者】
「弓使い」猟師サジタ
「弓の名手」黒エルフ長エルサス
「黒エルフの勇士」ジョゼ・ヴァーミリオン
「オークの勇者」グラザン
「オークの勇者」グリリン
「ランタン持ち」猟師の子コナン
「荷物持ち」黒エルフの少女ニモ
 ニモの荷物1 囮の風船
 ニモの荷物2 魔法のつるはし3回分


■登場人物
サクラ 【奇跡】を使える流れの剣士。レドナント村の憂いを取り除くため、混沌の迷宮の攻略を決意。
サジタ レドナント村の猟師。「弓使い」としてサクラに同行する。
ユミ レドナント村の猟師でサジタの妻。迷宮の罠にかかり死亡。
コナン レドナント村の猟師の息子。「ランタン持ち」としてサクラに同行する。
ニモ 黒エルフ「スネージ」に属する少女。黒エルフのリーダー、エルサスの娘。
エルサス 黒エルフ「スネージ」のリーダー。
エル/ルフィ/フォウ 黒エルフ「スネージ」の兵士クラスの手練れ3人。全員死亡。
ジョゼ 黒エルフの勇士。ハープ演奏のわざを見せることなくスケルトン戦で死亡。
カオスマスター 混沌の迷宮に棲む恐怖の変態生物、のはずなのだが……。
グラードン オークの族長。豪放磊落。
グラザン/グリリン オークの勇者。棍棒使い。


■作品情報
作品名:「ローグライクハーフ」d66シナリオ第2弾『混沌迷宮の試練』
著者:杉本=ヨハネ
監修:紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
『混沌迷宮の試練』 ローグライクハーフd66シナリオ 第2弾
https://booth.pm/ja/items/4897324


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
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