【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ蛇足
●感想
ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」ゲームブックリプレイ、完結しました。
書いた自分自身の感情が極まってしまい、これ以上は何を書いても蛇足にしかなりません。
なので、ここから先はあえて蛇足と割り切って、思ったままのことを書き散らかしていきます。
書き出しこそ、普通のゲームブックリプレイ風に始まりましたが、途中から大幅に変化しました。
それはこの作品が、あまりにも「物語」に比重を置いたものだったためです。
リプレイでは、徐々に「ゲームブックリプレイらしさ」「メタ視点」を減らし、物語の起伏とミナの感情に焦点を当てる比重を重くしていきました。
最初は普通のリプレイ風、と言いましたが、そう言いながらも最初から、「物語」を強く印象づける内容にもなっています。
導入にあたるエピソードから様々なアレンジを加え、細やかな描写の追加やミナの内面の深掘りを心がけました。
その結果、ミナと仲間、そのほかの登場人物とのかかわりが、原作以上に関係性を重視するものとなりました。
フェルとはビジネスライクでありながら、親しげな雰囲気が加わり、ボラミーに至っては、ミナが「かけがえのない存在」と認識するほどに。
今回はアタック03として描いていますが、実際のアタックは06までありました。
内訳は、単独行が1回、フェル編が4回、ボラミー編が1回でした。
その中から3回を選んでリプレイにしました。
実際のプレイが、単独行→フェル編→ボラミー編だったのが、このリプレイの唯一無二の構成に繋がったと思っています。
単独でもフェルでもボラミーでもクリアできる構成となっているようでしたが、やはりボラミーはキャラクターづけの意味あいが他と異なります。
ラスボスであるマルティン・ローズを父に持ち、そしてミナと同じく「きょうだいを助ける」ことが動機のキャラクター。
ミナの物語を描き出すうえで、ボラミー編で締めくくったのは、結果的に必然だったと思います。
また、作品としては、時の魔法と、時に支配されない不死性を持った吸血鬼という対比が効いていると思いました。
物語の展開にも、大幅なアレンジを加えています。
特に大きく変化させたところは、ティナの救出後と、マルティン戦後の演出ですね。
ティナは時をさかのぼって救出するため、元の展開では屋敷の外まで逃がし、自力で脱出をさせます。
これは私には二重の違和感がありました。
このときだけ<跳兎の懐中時計>で過去に遡れる時間がだいぶ長いことと、そして館から脱出させたとしても、ゾンビ墓地を抜けられるとは到底思えないことです。
私がティナを助けた2回の道筋は、ともにビバイア生存ルートでしたので「ビバイアにかくまってもらう」という形に展開をいじらせていただきました。
また、ビバイアを助けた場合、元の展開ではボラミーは館を立ち去ります。
しかし、そこまでに築き上げたミナとボラミーの関係性では、ボラミーがミナを置いて去るなど、とても考えられなくなっていました。
そこで、ボラミーとビバイアが再会を喜んでいる間に、ミナだけがそっと部屋を抜け出すことで、ひとりになることにしました。
その後、ボラミーと合流して共闘する流れになります。
原作では、ボラミーとビバイアが部屋から抜け出す際に使った戸板が外れやすくなっており、その戸板を外すことで太陽光を部屋に取り込む展開でした。
そこは、ボラミーが戸板を破壊するという形に変更し、共闘での役割も与えた形です。
ほかにも、選択肢の構成は変えていませんが、ニュアンスを大幅に変えているところも多くあります。
外縁の村で「自分が闇エルフでないことを主張する」が、限界を迎えて泣きわめく行動になったり。
あるいは、ボラミーを仲間に誘う場面では、ボラミーの方から提案してくるなど、能動側と受動側を変更しているところも多くあります。
原作のエンディングでは、ティナが湖岸まで来て合流するのですが、地図を見る限り、湖はチャマイよりもさらに南です。
ミナとエナは湖まで激流で一気に流されています。距離がありすぎて、ティナが移動に要する時間を考えたとき、とてもすぐに合流できるとは思えませんでした。
また、スマホの位置情報もない世界では、ミナたちが湖まで流れていったという情報も得られるとは思えません。
もしかしたら、ティナにはそうした探索系の魔法か能力がある可能性もありますが、特にそうした匂わせも見当たりませんでした。
そこで展開を変え、こちらから、ボラミー宅にいるティナに会いに行く形を取ることとしました。
細かいところを挙げていくときりはありませんが、元がゲームブックであることは意識しながらも、だいぶ手を加えさせていただきました。
おかげで、リプレイとしてというより、物語としての完成度がかなり高まったと思います。
さて、オスクリードが時を巻き戻す能力については、実際にオスクリードにそのような能力があるかどうかは言及されていません。
これは、「プレイヤーが再アタックすること」を「オスクリードの戯れ」として表現したに過ぎません。時をテーマにした作品なので、こういう形に落とし込みました。
それもこれも、最初にキャラクターシートの説明をした時にミナが「未来の記憶」を断片的に持っている、と設定されたことに端を発しています。
何気なく考えついただけのその設定が、まさかこれほどまでに重さをもってミナに降りかかってくるとは、考えもしませんでした。
未来の記憶を有するミナだからこそ、このループに気づきました。
きっと他のゲームブックの他の主人公たちも、どこかで見ているデウスエクスマキナ神(プレイヤー)の戯れで、何度も巻き戻されているのに気づいていないということなのでしょう。
この話はこれでおしまいですが、これで終わりというにはあまりにも重厚な物語があります。
この先のミナの物語も、ぜひ見てみたい。そう思わせる作品でした。
ただ同時に、この作品の続編を書くことは、かなりの力量を要求されるものになるとも感じるところです。
あと救出すべき姉は3人? なら、ローグライクハーフのd66シナリオで行ける? なんて考えてはいませんよ(笑)
原作がとびきり面白かったこともありますが、このリプレイは、私がこれまで書いてきたものの中でも最高傑作となりました。
これを機に、姉であるニナの物語にも、少し触れられたらな、と思います。
と、この作品は物語の比重が大きいみたいな話をしてきましたが、実はゲーム面でもかなり凝った作りになっています
実は。物語性、ゲーム性、ともに高度なレベルの作品なのです。
7種類の時の魔法とその効果、使い方や使いどころなど、ものすごく練られています。
単独、フェル、ボラミーによる3つのルートは、そのいずれもで攻略法が異なります。
おかげで、銀のナイフを巡って失敗もしてしまいました。
森の中のキーウに会うと、銀貨5枚で銀のナイフを作ってもらえるんですよ。
その銀貨は、森の入口のねこ人からニンニクを購入することで、おつりとしてもらえます。
私は、それを見こしてプレイしていました。
ところが、森の入口でねこ人との交渉が発生するのは、単独の時だけでした!
それに気づかず、仲間キャラが変わっても、ねこ人との交渉に期待して、ハズレ続けてしまったのでした。
フェル編で手に入れる、なんらかの設計図が描かれた羊皮紙は、リプレイではまったく触れられない死んだ設定になっています。
これはフェル専用の武器「吸血鬼ごろし」の設計図で、フェル編での攻略に役立ちます。
そんなふうに、物語の面だけでなく、システム面もかなりの凝りようです。
私が最終的にクリアした道のりは、たぶんベストルートではありません。
少なくともね、ラストのスノウシャークを回避する場面では悪夢袋がひとつ残っていて、そこで<沙羅双樹の予知時計>を使う想定だとは思うんですよ。
私みたいに完全に勘に頼るのでなしに。
私は本作品のリプレイが、これまで書いてきたリプレイの中でも屈指の出来だと自負していますが、それは元作品が素晴らしいからこそです。
本当に、すごい作品をプレイしてしまった、また、自分の力量を越えるものすごいリプレイが書きあがってしまった、という両方の思いで感無量です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私はこれからも、ゲームブックリプレイを書き続けるでしょう。
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