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2026年7月7日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.134 FT新聞 No.4913

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『これはゲームブックなのですか!?』vol.134  かなでひびき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  皆さんは、「メタ推理」と言われるジャンル、ご存じかしら?  推理小説の三大奇書にも挙げられる、超意外な犯人が劇的な『虚無への供物』  二つの物語。舞台、登場人物は同じだけど、殺される展開が違い、それぞれが絡み合う『匣の中の失楽』  こんな風に、推理「小説」……ノックス十戒もなんのその。  その構造を逆手にとって、それでいてちゃんと「推理小説」してるの。  それが、俗に言う「メタ推理」ってものなんだけど、その「奇書」に新しい一ページが!  それが、今回紹介する、五条紀夫先生の『流血マルチバース』よ!  物語は、締切破りの常連である作家「私」が編集から「今から原稿か、先生の首か、どちらかは必ず頂戴いたします」というSATSUGAI宣言を受けて、逃げていった先で、奇妙な女の人と会うことから始まる。 「ここは、どこですか?」 「ここはこことしかいえない」としか返しようがない質問をしてきた彼女が語りだしたのは、超絶に奇妙な話だった……。  太平洋に浮かぶ無人島「龍穴島」  そこには、旧日本軍が隠したお宝があるという。  それを探しに、貿易会社の成功者、猪俣左衛門が、菊田幸一と、その妹の菊田沙枝へそのお宝探しの招待状を送った。  これが事件のはじまり。  しかし、彼と猪俣一族には、なんのつながりもない。強いて言えば、幸一と沙枝がこの島で噴火被害にあったことぐらい。  どうして?なんのため?  疑問は解決されないまま、粗暴な猪俣五郎。その腰巾着な宗助。  学者の古川泰司とその秘書の喜代子。  使用人の清水竹松。  とどめに、この島の事故で火傷を負って、頭部全てを覆うシリコンマスクに覆われたスケキヨマスクのガイド、イッコウまで。  オールスターが出揃い、島についたとたん、竹松が殺されている。  そして、左衛門会長の姿がなくなっている!?  殺人者がうろついている危険な状況の中、さて、どうする? A・船で籠城 B・容疑者である左衛門会長を追う C・一同から逃げる。  そう、このお話は三つに分岐する。  このへん、かのヒットゲーム『ひぐらしのなく頃に』のように、同じ世界でも、展開が違う、ってところを彷彿させる。  だけど、かのゲームと違うところは、どのルートを通るかは読者の選択に任されている。  A、B、Cルートごとに、1、2、3、4と番号が打たれている。つまり一つのルートに四章あるのね。  で、時間軸上に、A-1、B-1、C-1と表記されている。  並列した世界の、それぞれの同時間で何が違うのかじっくり確認したい人はそのまんま普通の本のように読めばいい。  あるいは「一つのルートを完結させてから、次のルートを読んでいく」っていうのもおもしろいよ。  ただ、筆者は「どの順番で読んでもいい」と言ってるけど、いきなりA-1、B-2と、全然違う物語軸へ行くのはおすすめしないわ。  とりあえず、Aの物語を完結させて、次へ、ってのが一番楽しめるかもしれない。  かなで、いきなり「正解編」のCルートから初めてしまって、そこに出てくる「本筋の事件」を追うために、Aルート本筋で、そこで違和感があったらBルートで確認、って手を使ったわ。  で、どのルートをたどっても、そこで起きる出来事が伏線となって、ほかのルートに影響を与える、ってところに、五条先生の巧さを感じる。  「三つのルート」が存在することを逆手にとって、ちゃんと「推理パズル」になっている!  逆に言うと、たとえ正解編でも「三つの物語」で補完しないと納得できないピースの欠けがある。  これが、強烈に読者にページをめくらせるのはウケアイ!  エンディング「多重世界」を逆手にとったのも、うならざるをえない見事なもの!  かなでが「推理小説寄書」一覧に加えて欲しい訳がわかる!  少なくとも、今年今のところ、これを超える作品にお目にかかったことがないわ!  ゲームブック風なんだけど、頭からしっぽまで立派に「論理」の筋が通っている!  今すぐ本屋さんに走れ!  見逃せば一生後悔することウケアイ! (追伸 今回もぜろ様の紹介にあずかりました!   完全にかなでのツボです!   本当にありがとうございました!) ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『流血マルチバース』  著 五条紀夫  出版社 双葉文庫 2025/12/13  文庫 740円+税 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。