●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第13回(解答編) かなでひびき ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● はろにちわー! 初めての方は、はじめまして! おなじみの方は、毎度! 火曜日の記事『これはゲームブックなのですか?』にて、掲載させていただいてる、ヴァーチャル図書委員長かなでひびきですぅ! かなでが集めてきた「謎だけ」で答えのないお話に、オチを付けていただくというこの企画! 今回のお話は、 「行きずりでついカッとなって殺人を犯してしまった犯人! 死体を埋めているところを女の子に目撃されそうになり、くまのフリをして彼女を追っ払った犯人。この後、彼に降りかかった運命は?」 って話だったよねー! そして、応募していただいた皆様、ありがとうございます! 早速、紹介していっちゃうね! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『くまだ! 熊が出たぞ!』(解答編) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (忍者福島さん) そうして寝る前に男が呟いたってえ一言が「ああ、くまったくまった」 お後がよろしいようで。 (次の演者、もとい筆者の出囃子が鳴る。ジャラル・アフサラールさんの出囃子かな?) 以上、フランチェスコ末廣亭での一席でした。 +++++++++++++ (かなでコメント) ありがとうございます。 ダジャレに全ブリしたスガスガしさ! たまりません! かなでも、こういう生き方をしたいです! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (ジャラル アフサラールさん) 男は逮捕されるかとビクビクしておりましたが、地方の事件のせいか報道もされないので安心しておりました。近所の果樹園で盗難があったので、その犯人の犯行と誤認されたのか、あるいは本物のクマの仕業と誤認されてるんだろう!と安心した男は調子に乗って近郊のカラオケ大会でロックを歌って準優勝したりしておりました。 しかし、男のアパートにある日訪問者が来ました「え〜あなた! 2、3お伺いしたい事があるんですけど〜」と少し影のある二枚目の年配男性は「申し遅れました。私、警視庁刑事部捜査一課の〜」黒のスーツにノーネクタイの年配男性の提示した警察手帳にパニックになった男は年配男性の名乗りも聞こえなかった。 警部補らしい年配男性はS市で行われた殺人について男に鋭い質問を幾つかした。男は「大丈夫だ。殺人の目撃者はいない。」と思いつつ、警部補の質問に答えた。 警部補は最後におでこに指先をあてて 「え〜あなたが犯人です。」 男は反論した。 「目撃者でもいるのか!」 警部補は 「いや〜目撃者はいないんですがね。これを聞いてください。」 警部補はスマホを取り出すと音声を再生した。 「ウゴォォォォ! うがァァァ」 男が女の子を脅かす時に叫んだ怪獣みたいな低い声が再生された。 「犯行現場の近くに果樹園があったでしょう? 果樹園に盗難防止用のカメラと集音マイクがセットされていましてね。殺人がクマの仕業なら大変ですから、警察や地元の猟友会や役場の人も交えて分単位で映像をチェックしまして、この音声を拾えたわけですよ。それに加えて…ピカさ〜ん!」 オデコの広い部下らしき刑事がタブレットを持ってきた。刑事がタブレットを操作するとカラオケ大会でロックを歌っている男の映像が映し出され、男がシャウトしている所で映像がストップされた。 「ここのあなたの叫び、現場にいた女性によると完全にあの夜の『クマ』の唸り声と同じだそうで、SNSにあげられたカラオケ大会の映像を見て警察に通報されたんです。鑑識さんによるとシャウトとクマモドキの唸り声の声紋は完全に一致するそうです。」 男は手錠をかけられながら 「ウゴォォォォ! うがァァァ」 というクマならぬアクマのような唸り声をあげたそうです。 <END> オカルトやSFは他の方が書くと思いましたのでミステリで行きました。名探偵にはプリキュ〇と最近共演した「見た目は子ども、頭脳は大人」の探偵モドキか最近の続編漫画でパパになった「名探偵の孫」探偵モドキにしようかと思いましたが、SMA〇もイチ〇ーも逮捕したあの警部補モドキにしましたwww +++++++++++++ (かなでコメント) ありがとうございます! というわけで、忍者福島さんのご氏名を受けて、真打!?ジャラルさん登場(ドンドンパフパフー) なるほどねー。 見事に倒叙ミステリに仕上がりましたねー。 原作に書かれていないことをうまく逆手にとって、証拠を作っていくのがなんとも! 加えて、それがさりげなく配置されているのもグッド! ラストの唸り声のオチには、かなでもうなり声をあげてしまいました。 ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (緒方直人さん) 次の日の日曜、男は都会におもむき趣味の100均ショップ巡りにいそしんでいた。今日こそ、今日こそはアレに巡り会えますように。。。。。うぉおッッ!あった!あったアッッ!! 男が何か月も探し求めていたロボットプラモホビー「MECHA ART(メカアーツ)」のBOX版がそこにはあった。300円という低価格ながら驚きのディティール、そして抜群の低重心フォルムがロボマニアの心を存分にくすぐり上げる珠玉の逸品だ。配色はシンプルにグレー単色のシール無し。だがそれが良いそこが良い。いくつも買って思うがままに雑に塗り上げたい。基本の迷彩柄はもちろん、今の気分はクリーム色ベースで差し色にライムグリーンだ。こないだ見た建物の塗り分けが凄くオシャレで良かったんだ。ぜひあれを真似したい。あぁようやくそれが現実に。。。。。 夢にまで見たその商品を、震える手で掴み取ろうとしたその刹那。 ドタドタドタッ!ギャーギャー!ワーワーワー!! 背後から猛烈な勢いで突進してきた無数の夏休みチビっ子ギャングどもが男を押しのけて「MECHA ART(メカアーツ)」に群がりはじめた。あっという間に棚がカラになる。 「あ、あの、、、お客様もお求めでしたか? 申し訳ございません。今のが最後の在庫でして、入荷はまたいつになるか、、、、」 その声! 男は瞬時にパカッと両耳をかっ開いて脳内でお得意の声紋分析を開始した。その時間、僅かゼロコンマ一秒。間違いない、この店員、昨晩、俺がクマの真似をして追い払ったあの女の子だ! 歩く声優名鑑カッコ女性声優限定カッコ閉じと謳われたこの俺、聞き間違えなど決してしないッ! 「あのぅ、お客様、、、、?」 「あ、あぁスミマセン。いえ良いんです。また来ます。。。。」 「もし宜しければあの悪ガキどもを引っ叩いて、ひとつくらいは取り返してさし上げますが」 「物騒な物言いをなさるんですね。でも本当に良いんですよ。私もオトナの端くれ、いたいけな子供たちの楽しみを奪うようなヤボな真似はしません。オモチャはお子様にこそ遊ばれてナンボですよ、ハハ、ハ」 「いえあの、アイツラまたどうせ砂場に埋めたりとかザリガニと戦わせたりとかロクな扱いしないですよ。100均の安オモチャだと思って」 「!?ぐ、グゥゥッ!! でも、それでも僕は、、、、自分の矜持を曲げたりはしません!サヨナラ!」 涙をこらえ男は店を後にした。夢にまで見た「MECHA ART(メカアーツ)」が悪ガキどもに砂場に埋められるのかと思うと悔しさで胸がいっぱいだったが、そういや俺ももっとヤバいものを埋めてきたんだっけなと思い返して、何だか腹が減った。そうだ、昼は深川飯にしよう。(完) +++++++++++++ (かなでコメント) ありがとうございます! すっとぼけた味が前半のブラックユーモア気味の文体と相乗効果をなして、いい味を出してますねー。 声優ネタと100円ショップネタというニッチ!?なネタも、面白く味あわせていただきました。 しかし、こと「声優」さんになると、神のような聴覚をお持ちの方もいますねー。 かく言うかなでは、小池朝雄さんと、石田太郎さん。コロンボの声優がわかりません(笑) ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (ヴェルサリウス28世さん) >読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第13回(出題編) 回答1はめちゃくちゃ短く、回答2はめちゃくちゃ長いので、そのつもりでお読みください。 回答1 女の子は驚いて村に帰り、「熊が出た!」と村人に言う。村人が驚き慌てるのを見て、女の子は思わず笑ってしまう。 翌日。女の子はほんのいたずら心から「熊が出た!」と村人に言う。村人は驚き慌て、女の子は笑った。 3日目。女の子が本当に熊に会い、村人に必死に警告したが、もはや女の子の言葉を信じる村人はいなかった。 ============== アイソーポス(−619−−564頃)『イソップ寓話集』の「嘘をつく子供」(オオカミ少年)より。 回答2 あるとき、美形英雄エルフ・ザ・ピンチは用事があって夜中のうちに山を越えることになった。ドルチ一族が経営する剣竜亭の支店もなく、コンビニ一族が経営し、その名を冠した、冒険帰りの冒険者にも優しい原則24時間営業のチェーン店の雑貨屋も深夜営業をしていないような辺鄙なところで、あるのは村人向けの酒場くらい。 夜に山を越そうとするエルフ・ザ・ピンチに対し、酒場の主人が言うことには、これから先の道は、夜には熊が出る、ゆえに旅人も白昼でなければ通れない、とのことであった。 エルフ・ザ・ピンチは急いでいたので、主人が止めるのも聞かずに出発すると、果たして、月夜の山道に1匹の熊が襲ってきた。 熊の爪を受けて、仮面が割れて地に落ちる。 ーーーーその刹那。満月がたちまち雲に覆われていく。 彼の特技は『美貌』。日月すら彼の素顔を見ると、己のあばた面を恥じるのだ。 「そのお姿は、もしや、エルフ・ザ・ピンチ様ではありませんか? 申し訳ございません。以前にお見掛けした時とはお姿も仮面の顔も異なっていらしたので、めぐり会ってもそれと分からないままでしたが、仮面が外れると雲が夜半の月を隠したので、すぐそれと分かりました。どうかお許しください」 足下から聞こえてきた人の声にエルフが目をやると、熊の姿はどこにもなく、裸の男が頭を地面に向けて土下座をしていた。 「その上で、もしよろしければ、私のばかばかしくつまらない話を聞いていただけませんでしょうか。 私は、かつて冒険者をしておりました。かたわらひそかに詩作を趣味としておりましたが、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨に努めたりすることをしませんでした。かといってまた、俗物の間に伍(ご)することも潔しとせず、内心では無教養な冒険者仲間を軽蔑しておりました。 この臆病な自尊心と尊大な羞恥心とのせいで、冒険者仲間ともうまくいかず、冒険者をやめ、山村で暮らしていましたが、つまらないことで人を殺し、死体を埋めているところを人に見られ、とっさに熊の鳴きまねをして追い払い、家に帰って眠りに落ちました。 その夜、月の光にふと目を覚ますと、私の体は1匹の熊へと変じておりました。家を出て山道を歩くうち、兎が目の前を横切るのを見ると目の前が真っ赤になり、気が付くとあたりには兎の血が散らばっておりました。 私は狂乱しました。まるで陸奥(みちのく)の「しのぶもじずり」(模様のある石に忍ぶ草の汁を塗り、その上に布を石で擦り付け、石の模様を転写したという衣)という擦り衣の乱れ模様のように。いったい誰のせいでこうなったのかと」 (ミチノク? シノブモジズリ? 何それ。こんな言い方をしてたのなら、冒険者仲間から疎んじられていたのもうなずける) エルフはこう思ったが、黙って男の話を聞き続けた。 「こうなってはもはや村人とともには過ごせません。私は昼は人、夜は熊の姿となり、都の東南に小さな庵を作って隠れ住んでいると、世の人々は世を憂いて住む隠者だと思い、この山も「世を憂し」の山などと呼んでいますが、そうではないのです。 私がそんな隠者であれば、浮世の民を(東方の大僧正が着る)墨染めの袈裟で覆って救済しようという身分不相応な大望を抱けたのでしょうが。 たまたま不運にもワーベアの身となったと知り、世の中にこの悲しみから逃れる方法もないのかと思い悩んで山道に入ると、山の奥で紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声が聞こえ、悲しみがつのりました。 御垣守(みかきもり)の衛士(えじ。宮中を警護する衛門府に勤める兵士)が焚く火が、夜は燃えて昼は消えているように、私の心は、夜ワーベアとなっている間には人を食べたくなる燃えるような本能に埋め尽くされ、昼は人間の姿となって物事を思い悩みます。 伊吹山のさしも草(灸に使用されるよもぎの異名。もぐさ。滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山で取れた。)の「さしも」ではないですが、さしものあなたでも知らないでしょう。私の心の中に燃える、人を食べたいという熱い思いを。 これを止めている人間としての理性を夜も忘れないでいたいものですが、将来どうなるかは分かりません。今日を限りに命が尽きてしまえばいいのに。 この命が絶えるなら絶えてほしいと思いました。このまま生き永らえると、人を食べるのを耐え忍ぶことができなくなるだろうから。 心ならずも浮き世に生き永らえると、人間だった頃に見た夜半の月が恋しくなりました。今や月の出る夜には人間の心でいることはできませんから。 生き永らえると、つまらないと思っていた人間だった頃の世の中も今は恋しいです。 思い悩んでも、自ら命を絶つこともできず、命はあるのに、悲しさに堪えられないのは涙だけでした」 男は涙を流しながら話し続けた。 「夜には私を熊に変える月が、昼には私に「嘆け」と命じているのでしょうか。そのように託(かこつ)けたくなるほど涙が流れました。 私の涙を拭う袖は、引き潮のときでも海中で見えない沖の石のように、人は知らないでしょうが乾く間もありません。 見せたいものです。雄島(宮城県の松島にある島)の蜑(あま。漁師。海女と違い男女どちらも指す。)の袖でさえ、いくら濡れても私の袖のように色は変わらないでしょう。 まるで、秋の田の近くに建てた仮庵(農作業のために臨時に建てる仮の小屋)の屋根の苫(とま。菅(すげ)や茅(かや)などを菰(こも)のように編み、屋根の覆いに使用したもの)の編み目が粗いので、夜露が落ちてきてびしょ濡れになった袖のように。噂に聞く高師(たかし。大阪府の高石付近にあった海岸)の浜の、むなしく寄せ返す波に濡れた袖のように。 人を恨む気力も失い、私の袖は涙に濡れて干す暇もありません。人恋しさに負けて人里に出て行ったりしたら、人食い熊の悪名があがるだけでしょう。 春の夜に、少女が落とした貝殻のイヤリングを届けに行ったら、お礼に一緒に踊ることになり、踊り疲れた少女の頭に、この手の肉球を枕に差し出す。そんなことを夢想したりしましたが、実際そんなことをしたら人食い熊の悪名が立つだけでしょう」 男は少し笑うと涙を止めた。 「曇りや新月で月の出ない夜には熊にならずにいられるのですが、独りで寝ていると孤独に耐えられなくなりそうでした。まるで山鳥の枝垂れた尾のように長い夜も、キリギリスが鳴く霜の下りた夜も、私は独りで夜を明かしました。 孤独を嘆きつつ独りで寝る夜が明けるまでの時間がどんなに長く感じるかよく知っています。 夜通し物を考えていると夜がなかなか明けず、寝室の隙間さえつれなく感じられました。 もう夢で昔の知り合いを見ることもなくなりました。住の江(大阪府の住吉付近の海岸)の岸に寄る波の「よる」ではないですが、夜に私の夢の中に出てくるのさえ人目を避けているのでしょうか。 瓶原(みかのはら。京都府の加茂の木津川の北の地域)から湧き出て流れる泉川(いずみがわ。京都の木津川の異名)の「いつみ」ではないですが、人を最後に見たのはいつのことだったでしょうか。それほど人と会っていないのにどうしてこんなに人恋しいのでしょうか。 有馬山の猪名の笹原(兵庫県にある有馬山の近くの猪名川に沿った、笹の生えた平原)に風が吹けば笹がそよそよと鳴るように、そう、どうして人の交わりを忘れることができましょうか。 誰も来ないとは知っていながら、人が訪ねて来るのを、松帆の浦(淡路島の海岸。海藻を焼いて塩を作る製塩法を行っていた。)で夕凪に焼いて作る藻塩のように身を焦がして待ったこともありました。 浅茅生の小野の篠原(まばらに茅(ちがや)の生えている小さな野で篠竹(しのたけ)が生えている平原)の「しの」ではないですが、いくら耐え忍んでも、余りに人が恋しい。 人が愛おしい。また人が恨めしい。つまらない世の中のことをいろいろと思い返して物思いにふけってしまいます。 いっそ人と人が会うということがなければ、人をも自分をも恨まないで済んだものを。 もう私のことを哀れと言ってくれる人もいるとは思えません。これは自身の行いによるものとしてあきらめるべきでしょう。 一緒に哀れと思ってくれるのは山桜だけです。もうこの辺りの桜以外に私を知っている人もいないのですから。 こうなった今、誰を知人にできましょうか。高砂の松(兵庫県の高砂の浜辺に生えた松)も昔からの友ではないのに。 人の心ももう分からなくなりましたが、春に咲く梅の花の香りだけは、ふるさとで嗅いだ昔の香りと同じです。 桜の花の色はむなしく色あせていき、それを眺めている私も年老いていきます。 花を誘って散らす嵐の吹く庭に、雪のように花びらが降ってくるように、老いて古くなっていくのは私自身です。 名古曽の滝(なこそのたき。京都の大覚寺にあった滝。)は、水源が涸れ滝の音もしなくなって久しいですが、その名前だけは今に伝わっています。 いま思い残すのは、私が作った歌のことです。私が作りためた歌が百首ばかりあります。これをなんとかして世に残していただけないでしょうか。私の名前は出さなくても構いません。ただ、このような身になっても作り続けた私の歌をどうしても世に伝えなくては、死んでも死にきれないのです」 涙を流して懇願する男の話を聞き、エルフも同情して泣きながら答えた。 「分かった。君が今後人を襲わないと誓うなら、僕もこの歌をなんとかして世に出すことを、エルフの崇める自然神ヴェルディアに懸けて誓おう」 「誓いますとも! ヴェルディアに懸けて誓います! どんなことがあっても、この誓いを守ります! お互いに涙で袖を絞りつつ誓いました。この上は、末の松山(宮城県多賀城市にあった小丘陵。貞観津波で波が越さなかったことから、詠み人知らずだが「君をおきて あだし心を わが持たば 末の松山 波も越えなむ」と詠まれた。)を波が越すようなあり得ないことが起きないことを祈ります。あなたが約束してくださったことを、させも草の上の露のようにありがたく大切にして、哀れにも何もなく今年の秋が過ぎ去ってしまわないことを祈ります。 ああ、あなたに会った後の、私の歌が世に出るのを待ち望んでいる今の心に比べれば、思い悩んでいた昔の思いなど何も思っていなかったも同じです。 私のことは忘れられても何とも思いません。先ほどの誓いを破ってあなたが神罰で命を失うことだけが心配です。 あなたが私の歌を世に出してくれるのを見届けるため、少し前まで惜しくなかった命さえ、少しでも永らえようと思ってしまいます」 男はエルフに百首の歌を書き付けた紙束を渡し、エルフの素顔から目をそらしたままかたわらの叢(くさむら)に分け入ると、再びその姿を見なかった。 エルフはこの歌をおもちゃ業者に持ち込み、真の作者を秘して、歌の作者として創作された100人の姫や坊主といったキャラクターの姿絵を絵師に描いてもらい、カードゲームとして発売したところ、飛ぶように売れた。 =========================== そのお姿は、もしや、エルフ・ザ・ピンチ様ではありませんか?:本作の元ネタは、全体として中島敦(1909−1942)『山月記』(著作権消滅済み)より。その元ネタは唐の李景亮の伝奇小説『人虎伝』(清の陳蓮塘の選の『唐人説薈(とうじんせつわい)』等に収載)であり、さらにその元ネタは唐の張読(883−889)の選の伝奇小説『宣室志』の一遍「李徴」とされている。 お姿も仮面の顔も異なっていらしたので:言い回しは吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(連載2016−2020)の、平伏した零余子(むかご)の台詞「お姿も気配も異なっていらしたので」から。エルフ・ザ・ピンチは素顔を隠すために常に仮面を着けているが、日によって仮面を変え、仮面に合わせて衣装も振る舞いも変えており、女性に扮することもあった。 めぐり会っても:以下、男の言葉は、後に百人一首となる設定である。盛り込めるだけ盛り込んだが、43首を盛り込むにとどまった。 第11話、第12話の作中解釈とは矛盾するのだが、まあ作中でも歌の解釈には諸説あるということで。 小倉百人一首は、藤原定家(1162−1241)が宇都宮頼綱(うつのみやよりつな。1178−1259)の別荘小倉山荘の襖に描く和歌100首を選んだものとされている。歌がるたとしてゲームに使用されるようになったのは江戸時代からと考えられている。歌人の絵が描かれるようになったのも歌がるたになってからである。 本作で、「なんでエルフ・ザ・ピンチの世界に百人一首があったのか」は明らかになったが、今度は「じゃあエルフ・ザ・ピンチの世界に陸奥の国や伊吹山があるの?」という新たな疑問が生まれてしまった。 もっとも、こうした歌に詠まれる地名は「歌枕」と呼ばれ、シチュエーションに合わせて歌に詠みこむもので、多くは現地を一度も見たこともない京都の貴族が詠みこんだものである。なので、歌枕を集めた歌道の本さえあれば、日本の地名を知らないファンタジー世界の住人であっても歌に詠みこむことは可能である。 ばかばかしくつまらない話:言い回しは吾峠呼世晴『鬼滅の刃』の狛治の独白「なんとまあ惨めで 滑稽で つまらない話だ」から。Aパート冒頭の「バカバカしい話を一席」を受けたもの。元ネタの『山月記』が高尚すぎて、バカバカしい落ちにならなかった。 不運にもワーベアの身となった:『山月記』及びその元ネタの『人虎伝』にある詩に「偶(たまたま)狂疾(きょうしつ)に因って殊類と成る」とあることから、人がたまたまワーベア化することもあるという設定である。ワーベアといえば熊神を崇めるベア・カルト(熊神教団)であり、熊神ゆかりのマジックアイテムには人をワーベア化するものがよくあったが、本件も熊神の恩寵だったのであろうか。男には教団員として生きる道もあったのかもしれないが、エルフ・ザ・ピンチが紹介してやれるほど友好的な関係にはなかった。 私の名前は出さなくても構いません:万葉集の時代から、官位を持たない身分の低い者や政争に敗れた罪人であっても、優れた歌は「詠み人知らず」として勅撰和歌集に採録されることがあった。平忠度(たいらのただのり。1144−1184)が平家一門と都落ちした際、歌の師であった藤原俊成(ふじわらのとしなり。1114−1204)の屋敷を訪れて自分の歌百余首を収めた巻物を託し、後に俊成は勅撰和歌集である『千載和歌集』に平忠度の歌を「詠み人知らず」として収録したというエピソードがあり、羽生飛鳥『歌人探偵定家 弐』(2026)でも触れられている。 誓いますとも!:言い回しは手塚治虫『ブラック・ジャック』の「おばあちゃん」に出てくる男の台詞「い、いいですとも! 一生かかっても どんなことをしても払います! きっと払いますとも!」から。それを聞きたかった。「かたみに(お互いに)袖を絞りつつ」から互いに誓い合った設定とした。 +++++++++++++ (かなでコメント) 今回も気合の入った作品をありがとうございます。 しかも二本立てとは! 最初の一本。いかにもショートショートにふさわしい脱力(いい意味で) 二作も、いつもと変わらない、造詣たっぷりなストーリー、ありがとうございます。 まさかホラーミステリーみたいな発端がこのような叙事詩へ!? なんか、もう、エルフ・ザ・ピンチ専属作家みたくなってきましたねー。 で、「いい話か!?」と思わせつつ、ラストのオチ。 かなで、本気でこの手の、「先立つものはお金」系のネタ、大好きです。 どんなことがあっても、やっぱり人間(エルフ・ザ・ピンチ君はエルフかな?)お金ですよお金! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (クレイジーケンナオコさん) 「ふぅー」 やっとここまで書き上げた小学生のタナカ君。 面白い小説を読み、「これならボクも書けるかも」AIの力を借りてここまで書き上げたのですが。 うーん。先が思いつきません。 AIが挙げてくれたオチも、たくさんありすぎて迷います。 そうこうしているうちに、その時に「おやつよー」の声。 こうして未完の短編は忘却の彼方に! +++++++++++++ (かなでコメント) ありがとうございます! なんというメタ物語っ! 物語自体をこんな異次元空間と化して、そのまんまオチにしているっ! 子どもの無邪気さという残酷さに!? 一面を当てたオチもいいですね! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (アガサ・ターナーさん) KABOOOON! そのとき、世界を焼き尽くす白い閃光が! そうです。どこぞの国が核戦争を始めたのです! 隠して死体も、犯人も、いえ事件そのものもなかったことに! 平和って大事だね! +++++++++++++ (かなでコメント) なんて力ずくなオチなんでしょうか! 子どもじみたイノセンスじみた狂喜、もとい狂気! ここまで来ると、かえって爽快な気が!? ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (葉山海月さん) しかし、悪いことはできないもんだねー。 次の日、早速「熊狩り」のための自警団が組まれ、山の捜索が行われたんでさ。 で、調査隊が見たものは、掘り返されて食い荒らされた死体のかけら。 そう、結果として、死体が腹を好かせた熊を呼び寄せちゃったんだね。 で、人の味を覚えた熊。早速山から降りて人を食い始めましたとさ。 しかし、真っ先に熊の胃の中に収まったのが、犯人ってぇのが洒落てるねー。 +++++++++++++ (かなでコメント) ジャラルさんに引き続いて、これまた頭脳系のオチ! 前半の物語に出てきたギミックを、うまく活用しているその巧さ! 夏らしく、ホラーっポイ落ちも秀逸ですね! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ (かなでひびきさん) 次の日男は、テレビのニュースを見て真っ青になった。 というのが、その番組でテロップ付きで「山中の遺体遺棄! 殺人の線が濃厚」とでかでかと出てきたからだ。 第一発見者の駐在さんは語る。 「いやー、この子が『熊が出た』って言ってきたんで、話一部始終聞いてみたら、『熊が低い声でウゴォォォォ!』って鳴いた。ってとこに引っかかったんだなー。 熊の声ってのは、結構甲高いし、結構猪、あるいは豚の鳴き声に聞こえなくもないんだよ。 ですからね、コイツも熊のことをよく知らない奴が偽装したんじゃないかなと……」 +++++++++++++ (かなでコメント) 最後は、不肖かなでひびきの作品で〆させていただきました。 熊の鳴き声って聞いたことないな。そこから生まれたアイデアなんですが、動画見てみたら、予想外な鳴き声もいっぱい出してて、びっくりです! 勉強になりました! ・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 改めて、皆さん! たくさんのご応募ありがとうございます! みんなで考えたショートリドルストーリーの、お味はいかがだったかな? 今回は七編だったけど、ピリリとおいしい短編が詰まっていると思うの。 まず、今回のは「ミステリ」タイプと、ギャグタイプに分けられるわね。 ミステリタイプで筆頭なのが、ジャラル アフサラールさん。 手の込んだ伏線。それを生かした倒叙推理ものとして「日本一有名な!?」警部補が出てくる名作は、ミステリ好きの心をキャッチすると思うんですぅ。 葉山海月さんは、いかにもブラックユーモアで、不肖かなでのは、「前編」で提示された「証拠」にこだわったわ。 で、ギャグタイプ! やっぱり忍者福島さん。ここまで勢いで、よくぞ乗り切ってくれました! 同じく。アガサ・ターナーさん。 うぉぉぉぉ! 本気で力技というか…… 緒方直人さんも、結構手の込んだネタで、全力で盛り上げていただいてありがとうございますぅ! 作者冥利につきますねー。 で、どのジャンルにもちょっと分けがたい作品。 クレイジーケンナオコさん。まさかそんなメタ視点で! っていうオチは、頭脳系でもありギャグ系でもあり…… まさに思考のびっくり箱! 古典への造詣がいっぱいつまった、もはやオリジナル!? ともいえる、ヴェルサリウス28世さんの『エルフ・ザ・ピンチ』譚。 古典だけじゃなく、今はやりのあの作品までネタに盛り込んでるのはスゴイ! 今回も勉強になりましたっ! というわけで、きっとあなたの心に刺さる作品がある!? 今回の特集、いかがだったでしょうか? 締め切りは終わったけど、ここに応募された答えにこだわらず、みんなでご自由に謎の続きを考えて欲しいの。 魅力的な謎は、それだけで一つの物語。 それでは、次回の「問題編」 あなただけのオリジナルストーリー、ご応募お待ちしております! どうぞよろしくお願いいたしますぅ! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 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