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2026年8月18日火曜日

冒険は君の手で作れ! 第1回 FT新聞 No.4955

■冒険は君の手で作れ! 第1回■ おはようございます。紫隠ねこです。 FT書房が送り出す、30分で遊べる1人用TRPG『ローグライクハーフ』。 イタリアのゲームデザイナー、アンドレア・スフィリゴイが2017年に発表した『Four Against Darkness(以下4AD)』に着想を得て制作された作品です。 冒険者としてアランツァの各地を渡り歩き、困難な依頼を成し遂げる。冒険の舞台となる場所には、その地域特有のテーマが込められており、さらにゲームブックを意識したフレーバーテキストが冒険の臨場感を高めてくれます。 では、ローグライクハーフと比較して、4ADはどのようなゲームなのか? 今回の記事では、そのことを分かりやすく説明しようと思います。 ◆キャラクターメイキングについて キャラクターメイキングは非常にシンプルで、サイコロは一切使わず、4人のキャラクターのクラスを選択するだけ。 選んだクラスで、そのキャラクターの【生命点】と、戦闘における【攻撃ロール】【防御ロール】のボーナス、初期装備が決定されます。 クラスによっては、回数制限のある特技を使えたりもするのですが、基本的に能力値は【生命点】【攻撃ボーナス】【防御ボーナス】の3つだけです。 基本的なクラスは【戦士】【盗賊】【僧侶】【魔術師】【蛮人】【エルフ】【ドワーフ】【ハーフリング】の8種類。 クラシックD&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)を参考にしていることもあり、人間以外の種族も1つのクラスとして扱われています。 冒険中のあらゆる行動判定は、ローグライクハーフのように【判定ロール】によって行われます。 6面サイコロを1個振り、出目が目標値以上なら判定は成功。戦闘での【攻撃ロール】も同様ですが、【防御ロール】だけは目標値を上回る必要があります。 どの判定も、出目が1ならファンブル(自動的失敗)。出目が6ならクリティカルとなり、さらにサイコロを1個振って、その出目を達成値に加算していくことになります。 ◆ゲームの進行 4ADは、ダンジョン探索をメインとした1人用RPGです。 探索するダンジョンは、縦28ブロック、横20ブロックの構造になっています。 部屋や通路などのマップタイルは、d66(6面サイコロを2個振り、ひとつは十の位、もうひとつは一の位として扱う)で決定され、それを方眼紙に記していきます。 初めて入ったタイルでは、6面サイコロを2個振った出目の合計を【マップタイルの様子表】と照らし合わせ、イベントが発生するのか、あるいはクリーチャーやトラップに遭遇するのかを決定します。 サプリメントを利用しない場合、ダンジョン探索は「ダンジョンの主であるファイナル・ボスを倒す」が目的になり、短い時間でダンジョン探索を楽しむことができます。 冒険者のパーティは、前衛2人、後衛2人の隊列を組んで探索します。マップタイルには「部屋」と「通路」があり、隊列は「通路」のイベントでのみ適用されます。 通路で戦闘が起きた場合、接近戦で戦えるのは前衛に立っているキャラクターだけです。敵も同様に最大2人までしか攻撃してきません。 また、パーティの前衛に「トラップ解除」できるキャラクターを配置している場合、トラップに遭遇したときは、必要な判定ロールを行う前に、1回だけ「トラップ解除」の判定を行うことができます。これに成功すれば、トラップを無力化することができます。 1度登場したタイルを再び訪れた場合は、さまようモンスターが出現しないか、6面サイコロを1回振ってチェックする必要があります。出目が1だったらモンスターが出現。どのモンスターが出現するのかはランダムですが、もしも戦闘が発生した場合は、不意を突かれるため敵が先に行動します。 そのため、ファイナル・ボスを見事倒したとしても、ダンジョンの入口に戻るまでは油断のならない難易度になっています。 ◆遭遇について 探索中に遭遇するモンスターは「マイナー・モンスター」と「メジャー・モンスター」の2種類。 マイナー・モンスターは、1回でも攻撃を当てれば倒すことができますが、徒党を組んだグループとして出現します。メジャー・モンスターは単体で出現しますが、打たれ強く、様々な特殊能力を持っている強い敵です。 前者には「ヴァーミン」と「ミニオン」。後者には「ボス」と「ウィアード・モンスター(奇怪な怪物)」と呼ばれるモンスターが存在しますが、異なるダイスロール表を使うぐらいで、出現数と打たれ強さの扱いに変化はありません。 ダンジョンの主である「ファイナル・ボス」は、ボスまたはウィアード・モンスターのいずれかになりますが、能力が少しだけ強化されているため、さらに手強い相手となります。 モンスターに遭遇したとき、それが「ファイナル・ボス」でなければ、こちらか攻撃を仕掛ける代わりに、相手の反応をうかがうこともできます(ローグライクハーフと同様に、6面サイコロを1個振って決定します)。もし、相手の反応が【敵対的】だった場合は、敵の先攻で戦闘が発生することになります。 ◆戦闘について 戦闘の手順は、ローグライクハーフと同様です。第0ラウンド(遠距離)で敵を攻撃するには、「飛び道具」または「攻撃魔法」を使う必要があります。 【攻撃ロール】でクリティカルが発生した場合は、ローグライクハーフと異なり、達成値を加算していきます。達成値が敵のレベルの整数倍になるたびに、別の敵に1点のダメージを与えることができます(対象がメジャー・モンスターなら、その攻撃によって1点の追加ダメージを与える)。 敵からの攻撃は、生きているキャラクターで均等に配分されます。余った攻撃は、特別な指示がない限り、任意のキャラクターに割り当てることができます(たとえば魔術師を毛嫌いしているモンスターと戦っているなら、余った攻撃は自動的に魔術師を対象に選びます)。 敵の生命点(あるいは出現数)が半分以下になれば、ローグライクハーフでは敵が【逃走】したことになりますが、4ADでは敵の【士気ロール】を1回だけ行うことになります。 この判定に失敗した敵は【逃走】しますが、成功した場合は【死ぬまで戦う】ことを選びます。遭遇した敵によっては、勇敢なものや臆病なものがいるという訳で、モンスターの個性付けになっています。 ◆手がかりについて 「手がかり」は、何もないマップタイルを調査することで入手できます(ただし、確実に入手できるとは限りません)。これは各キャラクターごとで管理されていて、次の冒険へと持ち越せます。 冒険中に「手がかり」を3個消費することで、現在の冒険が終わるまでの間、特殊なボーナスを得ることができます。 また、シナリオブックなどの生成済みのシナリオによっては、冒険を達成するためのフラグとして使われることがあります。 ◆レベルアップ メジャー・モンスターとの戦闘に勝利した場合、またはマイナー・モンスターとの戦闘に10回勝利するたびに、レベルの低いキャラクター1人を対象に選び、1回だけ【経験ロール】を行うことができます。 6面サイコロを1個振り、出目が対象キャラのレベルを上回っていれば、レベルアップに成功。【生命点】が最大値ごと+1され、クラスに適した【判定ロール】のボーナスが上昇します(たとえば【戦士】であれば、レベルと同じ値だけ【攻撃ロール】にボーナスが得られます)。 キャラクターのレベルアップは順当に行われるようになっており、1人だけ極端に強くすることはできません。 基本ルールでは、成長はレベル5が上限になっています。別冊の中級ルール『Four Against the Abyss』(レベル5-9まで対応)、上級ルール『Four Against the Forsaken Depths』(レベル10-19まで対応)を導入すれば、さらにキャラクターを成長させることができます。 パーティが中級ルール、上級ルールを導入するほどの強さになると、キャラクターの「冒険者ランク(Tier)」が上昇し、使用するサイコロも成長します。たとえば、レベル5以上のエキスパート・ランクであれば、【判定ロール】で8面サイコロを使えるようになり、クリティカルも1つだけ出やすくなります(8面サイコロだと、目が7以上でクリティカル)。 ◆従者について 従者(雇い人)は『Four Against the Abyss』から導入されたオプションルールですが、最大2人までしか連れていくことはできず、ローグライクハーフで言うところの「主人公」が4人もいるパーティでは、活躍の機会はそれほどありません。 特に「戦う従者」は扱いが不遇で、従者はレベルアップができないため、サイコロを成長させることもできず、高レベルのパーティにとっては足手まといになりがち……。 それでもランタンを代わりに持ってくれる〈ランタン持ち〉や、行動を消費せずに武器交換してくれる〈槍持ち〉などの「戦わない従者」は、汎用性も高く、何かと役立ってくれます。 後に「戦う従者」の代わりとして、強くはないが独自のスキルを持つ「5人目のパーティキャラクター」や、通常クラスへと格上げされた従者が登場します。 格上げされたのは【防衛者(Bulwark)】で、元々はダメージを受けたキャラクターをかばう【ボディガード】と呼ばれる従者でした。従者のときとは違い、重装備ができるようになり、レベルアップもするので、打たれ弱い魔術師系クラスを守るのに適したクラスだと言えるでしょう。 「5人目のパーティキャラクター」では、たとえば冒険者が習得可能な技能を1つだけ使える【専門家(Specialist)】がいます。【専門家】はレベル5までしか成長しませんが、アイテムを使用できるため、技能以外でもパーティをサポートすることが可能になっています。 ローグライクハーフが、4ADの「従者」を参考にしたのかと言うと、実はそうではありません。 制作段階で「主人公が従者を引き連れて冒険する」というコンセプトが形になってきた当時、私は『Four Against the Abyss』の「従者」のことは知っていたのですが、そのことは杉本=ヨハネさんには黙っていました。 4ADファンの間では、従者について「緊急時にキャラクターの盾になる増加装甲」という印象を持つ人が多く、役立つサブキャラクターというよりは、足手まといのイメージが強い存在でした。 ローグライクハーフの主人公は強い存在だけど、冒険を達成するには、他の者たちと力を合わせる必要がある。ここで私が『Four Against the Abyss』の話を始めたら、おそらく修正を入れて別のシステムになってしまう。従者たちを主軸としたゲームシステムが、どのような物語を生み出すのか、私はそれを見届けたかったのです。 そのためローグライクハーフの従者システムは、完全にオリジナルのアイディアとなっています。 ◆自分だけの冒険を作る楽しさ サイコロを振り、地図を書き記すだけでダンジョン探索ができる4ADですが、各種ダイスロール表にはフレーバーテキストの類はなく、データ部分のみが記されているだけです。 一通り眺めてみると、ゲームを進行するためのデータは充実しています。しかし、ローグライクハーフとは違って、物語に関わりそうな部分がまったく書かれていません。 ランダムに従うだけでもゲームは楽しめますが、コンピュータRPGのようにゲーム面と物語性を両立して楽しむなら、それらの要素を自分の手で作っていくことが、本作を長く楽しむのに必要なスキルとなっています。 何故、自分のキャラクターは冒険をしているのか。どんな世界を歩いているのか。冒険の中で冒険者たちはどのような〈できごと〉を体験していったのか。 それらを一度に創造するのは大変なので、思いついた順に形にしていくのが良いかも知れません。 ただのレベル1の【戦士】を動かすよりは、たとえば英雄に憧れて冒険者になったアーウィンとか、名前をつけてあげるだけでも雰囲気は変わってきます。 お気に入りのRPGのサウンドトラックを再生して、ダンジョンに潜った冒険者たちのやり取りをイメージしてみましょう。ちょっとずつ、あなただけの世界が出来上がってくるはずです。 ときには、冒険を盛り上げるために、ダイスロール表の結果を任意で選ぶのも良いかも知れません。4ADのプレイヤーは、冒険者たちの役割を担当しながらも、ゲームマスターでもあります。 通路だらけで安全なダンジョンだと思っているなら、緊張感を取り戻せるように、パーティの行く先にモンスターやトラップを配備しましょう。 手強いボスを倒したけど、誰も使えない魔法の宝物が手に入ってしまったなら、別のアイテムに差し替えるか、または次の冒険のためのシナリオフックにすることもできます。 自分が楽しむために、いろいろと試してみるうちに、何もないところから物語を作るスキルが身についていくはずです。 次回では、4ADのサプリメントについて紹介します。良い冒険を! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: 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