From:水波流 先日は大阪・TGFFにてFT書房ブースの売り子として参加してきました。 合間に聞きに行ったトークショーは、内山靖二郎先生、河嶋陶一朗先生のホラーTRPGについて。 システムから語るホラー、シナリオから語るホラーとそれぞれの切口から貴重なお話を聞かせて頂きました。 TRPGは対面しているからこそ、恐怖を主観的に感じれるように、敢えて文字情報で渡すのが良いとの話を聞き、会話と文字の媒体の違いを改めて意識しました。 From:葉山海月 実写をAI作品と勘違いされる。 これが技術の進歩だ! From:中山将平 僕ら8月15日(土)に東京ビッグサイトで開催の「コミックマーケット108(1日目)」にサークル参加します。 配置は【東2ホール ソ49ab】です。 新刊であるモンスター!モンスター!TRPGソロアドベンチャー「廃都脱出」を刊行します! この作品の詳細情報は僕たちのホームページで公開していまして、次のURLにてご覧いただけます! https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/haito ぜひチェックしていただけましたら。 さらに、8月16日(日)「コミックマーケット108(2日目)」に、僕の個人サークル「ギルド黄金の蛙」が初サークル参加します。 配置は【西1ホール ま36a】です。 当日刊行のカエル人の新刊、「創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て(衣食住編)」と既刊(魔法と儀式編)等を持って行きます。 どちらも僕が現地にいますので、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (葉)=葉山海月 (天)=天狗ろむ (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■8/9(日)~8/14(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年8月9日(日)清水龍之介 FT新聞 No.4946 Re:オレニアックス生物学 Vol.6 『ウルフドッグ』 ・過去の人気記事の再配信として、聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義をお届けしました。今回の講義のテーマは「ウルフドッグ」です。 アランツァのウルフドッグは、錬金術の生み出した生物兵器。犬よりも狼よりもずっと大きく、全身が筋肉の塊のような猛獣です。そんなウルフドッグに出会ったときの対処法について、生徒たちのひとり、狩人アヴィオンが語ります。お調子者ガリィの「撃退」エピソードにもご注目! (く) 2026年8月10日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4947 カタログ、作っています☆ ・「油断するとすぐに新作を出す」ことで知られる集団、FT書房は2019年に成果物を紹介したPDFを無償公開しています。いわば作品カタログです☆ 「以前のイベントで何を買ったのか、忘れてしまった」ときでも持っている作品を把握しやすくなるとのことで、カタログは好評でした。でも、これ、7年も前のものなんです★ 新たに「ローグライクハーフ」や「モンスター!モンスター!TRPG」の紹介カタログを、作品サイズに合わせたB5版でお届けするべく動いております! 素晴らしいことに、ファンメイドの「ローグライクハーフ」のシナリオとリプレイを合わせると、今や200作品にも到達する勢いなのだそう。 国産TRPGの快挙、200作品すべての紹介はかなわないとしても、せめてFT書房の公式作品が網羅的に把握できるカタログにするべく、地道な取り組みが進んでおります。 蕨之介氏による「モンスター!モンスター!TRPG」シナリオ「希望の小惑星」、「月の秘密」の新作案内もございます。こちらも無償公開ですので、ぜひご覧ください! (明) 2026年8月11日(火)葉山海月 FT新聞 No.4948 『Monkey business 2』-斥候の犬- ・先週の日曜日に、齊藤飛鳥先生による「ローグライクハーフ」としての作品、『霊廟館の悪夢』がリリースされたのが記憶に新しい方も多いと思います。 その、本格ミステリっぷりに、感銘を受けた不肖葉山海月が、その後日談を書いてみました。 『霊廟館の悪夢』事件から時は離れ、立派な冒険者となった主人公である君。 ふらりと立ち寄った酒場に、あの少女、クワニャウマが! 酒も進む中、彼女が語りだしたのは、ある斥候と、その忠犬にまつわる奇妙な疑惑だった……。 今回は探偵役に、われらがクワニャウマ姐さんを迎え、謎解きが進みます。 つたない作品ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 (快く二次創作の許可を出していただいた齊藤先生に、心より感謝いたします) (葉) 2026年8月12日(水)ぜろ FT新聞 No.4949 第3回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第505回。 今回の主人公は筋骨隆々な傭兵・ヴァルグ。そして、彼を師匠と呼び、赤い毛並みを持つ大型犬を連れ、「獣の腕」を宿す少年・ハルト。 二人は「クラーケンぶっ殺し号」に乗って、まずは海域を荒らす海賊退治に出ています。 今回は戦闘回! アクアデーモン戦では新米砲撃手のポールが海に引きずり込まれかけ、彼を助ける為に飛び込んだハルトは何と泳げない!? 更に畳みかけるように、海賊船も襲来! 元剣闘士だというヴァルグの大暴れ具合にも目が離せません! (天) 2026年8月13日(木)東洋夏 FT新聞 No.4950 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.8 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第8回目をお届けしました。 前作の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、途中で同行者となったドワーフ・アルゴットを喪いながらも、もう一人の同行者のコビット・ヨンと共に先頭車両を目指します。 アンデッドになっていた乗客を退け、とうとう先頭車両へ到達! そこで待っていたのは、二人の人物。悪趣味な黒幕にまたもや目をつけられてしまったシグナスは、果たして無事に生還できるでしょうか? (天) 2026年8月14日(金)市川大賀 FT新聞 No.4951 『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』作品紹介 ・今回は、SF Prologue Waveコラボレーション企画でも『僕と光の国のおじさん』という作品をご寄稿頂いたことのある、市川大賀先生から新作のご紹介を頂きました。 そのタイトルは、新作長編小説『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』 本シリーズは、とある民俗学ゼミの教授、折口裕一郎と、おっちょこちょいだがサポート力の強い助手とゼミの女生徒との三人組が、行く先々で怪奇な事件に遭遇するというのですが……。 折口先生、超能力も退魔術の心得もございません。そんな彼の武器は、「推理力」です! この一風変わった探偵冒険譚を、市川先生自ら語ります! 奇譚と推理が絡み合う頭脳の迷宮なこの一本! 読まなければ後悔することウケアイ(かなで風) (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (核通さん) いつもFT新聞を愛読しております、核通という者です。 このたびの「ローグライクハーフ」シナリオ、「霊廟館の悪夢」には特に感銘を受けましたので、初めて投稿しました。 高度なミステリー要素と、アランツァというファンタジー世界の舞台が見事に融合していると感じました。 今後とも、御社の製品(『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』を購入したところです)ともども、愛読させていただきます。 (お返事:齊藤飛鳥) 初めまして。このたびは拙作『霊廟館の悪夢』に感想を下さり、まことにありがとうございますm(_ _)m♪ 初めて書いたローグライクハーフのシナリオを、豪華執筆陣による『ヒューマンズ! ヒューマンズ!』と並べて愛読していただけるとは、たいへん嬉しいです^^ ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
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2026年8月15日土曜日
2026年8月14日金曜日
『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』作品紹介 FT新聞 No.4950
おはようございます。 FT新聞編集長の水波流です。 今回は、SF Prologue Waveコラボレーション企画でもご寄稿頂いたことのある、市川大賀さんから新作のご紹介を頂きました。 前作『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』は実は、私は2年ほど前に拝読しておりました。 奈良葛城山の土蜘蛛伝説や、"村の亡霊"の謎を追ううちに和歌山の徐福伝説を紐解く……という私の大好きな諸星大二郎の稗田礼二郎シリーズを彷彿とさせる古代史・民俗学もので、続編をぜひ読みたいなと思っておりました。 新作のモチーフは「河童」しかも「純粋な退魔綺譚に仕上げています」とお伺いし、さっそく注文しこちらも読み終えたところです。 今回は星野之宣の宗像教授シリーズのように緻密な考察を積み上げつつ、荻野真の孔雀王を彷彿とさせるダイナミックな展開が待ち受けています。 伝奇ロマン、古代史ミステリーがお好きな方にはオススメの作品です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』 (市川大賀) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ FT新聞をお読みの皆さん。 以前『僕と光の国のおじさん』を連載させていただいた市川大賀です。 実はこの度新作長編小説『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』を上梓出版いたしました。今回はその簡単な紹介を水波編集長からのオファーを受けてしたためた次第でございます。 この小説は僕の作品群の中では『折口裕一郎教授の怪異譚』シリーズ第二弾にあたります。 『折口裕一郎教授の怪異譚』シリーズとは、とある民俗学ゼミの教授、折口裕一郎が、おっちょこちょいだがサポート力の強い助手とゼミの女生徒との三人で、行く先々で怪奇な事件に遭遇し事件の傍観者になるという、よくあるハコ(タイトルも)のシリーズなのですが、折口君が他の諸先生方の作品の主人公たちとは違うのは、折口君は超能力も退魔術も使えず「徹頭徹尾謎を解いて傍観者に徹する」というのが特徴です。 第一作『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』をお読みくださった方々からはご好評をいただいたので、この度の続刊発行と相成りました。 先ほどのプロットをお読みになった方でピンときた方もいるかとは思いますが、このシリーズのキャラクター構造は往年のテレビ特撮ドラマ『ウルトラQ』(1966年)リスペクトで成り立っています。 今回の新作は、構想自体は10年以上前からありました。日本のエネルギー産業と戦後復興を支え続けてきた炭鉱とその成り立ち。傍目からは光り輝いた「戦後日本の繁栄」。その前期戦前戦時中から日本を支え続けてきた「燃料・石炭」は、どのような犠牲の果てで掘り起こされたものであったのか。そして「それ」を得るための犠牲はどう生まれどうその声は消し去られたのか。そしてその「声」を現代を生きる日本人に突き付けることはできないか。ずっと僕はそれを考えていました。 それには、ペンの力、すなわち「Speculative Fictionの力(SF=寓話)」しかないのではないかと思うようになりました。「僕たちが生きる現実」を表、「『日本書紀』『古事記』に書かれた記述」を「為政者が自己正当化のためのプロパガンダに書き換え続けた裏」ととらえ、その狭間で闇に葬られた「声なき声」を「第三界」として、毎回シリーズは続いていきます。 そして本作は、前作を読まれた読者皆様からの反応への反省を含めた構成をとっているつもりであります。曰く「クライマックスの盛り上がりが物足りない」「『古事記』『日本書紀』の読み取りばかりにウェイトを置きすぎる」などなど。あからさまな中傷やアンチ罵倒をノイズとすれば、他はどれもどれも頷けるご意見だったので、「ヒット作家」を目指している僕としては(笑)今回は前回よりも素直にエンタメに仕上げたつもりであります。 結果「市川大賀らしさが薄れた」「よくある既存の退魔物ジャンルになり下がった」等の「新たな苦言」を頂く覚悟は承知していますが、現実の日本国家が招いた惨劇と問題を、より多くの人達に共有してもらうためにはあえてステレオタイプの箱を用いることも一つの手段だと判断、今回の上梓に至ったというわけです。 本作はもちろん前作に続く『折口裕一郎教授の怪異譚』シリーズ第二弾であります。前刊で「葛城山」で「土蜘蛛」と、「紀伊新宮」で「地之龍」と遭遇して事件を解決に導いた折口君以下三人が、今度は「北九州」を舞台にして長らく民話伝承では「愛くるしい妖怪」とされてきた「河童」の抱く怨念と慚愧と相まみえるというのが今回のメインストーリーになります。 僕は初単著『スマホ・SNS時代の多事争論 令和日本のゆくえ』からも訴え続けているように、この国の発展・繁栄は、決してよくあるノスタルジィ漫画のような「日本のお父さんたちが頑張ってきたから」などというお花畑夢想で語り尽くせるものではないと思っています。 無謀で愚かな大東亜戦争含め、近代国家・日本を支えてきたのは、他ならない「大東亜共栄圏思想」に巻き込まれて植民地と奴隷化を余儀なくされた亜細亜諸国の犠牲の上に成り立った「繁栄」なのです。 「そこで圧殺されてきた声」が、この物語の主役なのです。 そこには深い悲しみと怨嗟の響きだけが残されています。今回の物語の主題は「恐怖の事件の謎を追え。怪奇な事件を暴け」でありました。 だからでしょう。前作からのレギュラーの三人は、先ほども書いたように『ウルトラQ』の主役トリオがモチーフですが、今回ゲストで登場する「民俗学者の的矢忠」も「警察庁刑事局広域捜査特別班警部に所属する牧史郎」も「久留米市の産業振興課課長、野村洋」も、その名前(特に牧は人物造形も)は同じ円谷プロが1968年に制作した特撮ドラマ『怪奇大作戦』から拝借しています。 FT新聞をお読みの皆さん、どうかこの謎解きと知的ゲームと「この国の真実」と、楽しみながら向き合ってみいませんか? 二冊ともAmazonで書籍、kindle版ともに絶賛発売中です。よろしくお願いいたします。 『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0BFJRB9Z4 『折口裕一郎教授の怪異譚 佐賀 福岡 水底の声』 https://www.amazon.co.jp/dp/4824611857 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年8月13日木曜日
ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.8 FT新聞 No.4950
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.8 (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ FT新聞をお読みの皆様、こんにちは! 本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。 冒険の舞台は、夜を駆け、人をさらうという謎の〈怨霊列車〉。調査を依頼された十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロ。そして従者に「面白いこと」を愛するコビット族のヨンという布陣で進んでいきます。 前回vol.7では、〈怨霊列車〉の車掌が登場。切符を切るはさみで人体に「パッチン♪」と刻印することが大好き、という特殊な癖をお持ちのお方でした。シグナスくんに興味津々の車掌さんに対し、勇気ある十二歳は刻印を承諾。耳たぶを「パッチン♪」とされることで事なきを得ました。 先頭車両まで残すは一両。 次の車両では何が待ち受けているのでしょうか? なお、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。 ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。 前口上はこれでおしまい。 いざ出発と参りましょう! ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:7 ・筋力点:4 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨14枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、騎士グロリアの指輪(金貨12枚の価値)、ランタン、食料1食分 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:6 ・器用点:3 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし ◇ [8号車]31:アンデッドになった乗客 残すところ、車両はあとふたつ。 次の車両を過ぎれば、〈怨霊列車〉の主に行き着くはずだ。車掌に切られて熱を持った耳に、夜風が気持ちよかった。シスターから買ったワインで洗って簡単な手当は施したものの、どんどん腫れてきている気がする。 列車の目的地は何処なのだろうか。車掌に聞いてみれば良かったのかもしれない。攻略の手がかりになった可能性もあるのに、迂闊だった。 先に連結部を跳んだヨンが、異常なしと手招きする。 シグナスも慎重に渡って行く。 古城の跡を発して如何ほどの時が過ぎたのだろう。長い夜であることに違いないが、まだ明ける気配は無さそうだ。シグナスはがっかりした。怨霊と名乗るくらいだから、朝の光には弱そうなものなのに。 扉を開けて、車両に踏み込む。今度の車両は拍子抜けするほど静かだった。それでも警戒してクロを鞘から引き抜くと、恐ろしいほど不機嫌かつ乱暴に〈おどる剣〉はシグナスの手のひらを振り解く。 「見せてみろ、シグナス」 クロの声には紛れもない怒りがこもっている。 「全然どうってこと……」 「見せてみろ!」 宙に浮いたクロから切先を突きつけられ、シグナスはぎくりとした。ゆっくりと顔を横にして切られた耳たぶを向けると、クロはシグナスが切先で突いて見聞し、 「腐れ落ちないことを祈るんだな」 「やめてよ」 「そうやって体が腐った奴を、俺はそれこそ腐るほど知ってるんだぞ」 そこでシグナスの背中に隠れていたヨンがひょいと顔を出して、取りなすように口を開いた。 「いやあ、でもねえ剣どん」 「誰が〈剣どん〉だ」 「剣どんは剣どんでしょうよう。そんな調子でシグにもカッコいい二つ名は必要じゃございませんか、え、剣の旦那。おたくの国の大立者といったら〈黒真珠〉で〈歌養いの騎士〉ブラークなんぞと申しますでしょう。ですからよう、〈耳欠〉のシグナスとかなんとか」 「みみかけ」 「良い感じじゃね、シグ? どうよ」 「馬鹿馬鹿しい。シグナスも喜ぶんじゃない、おい!」 「良いじゃんかクロ、ひとつくらい勲章があったってさ。僕だってブラーク様みたいに〈黒真珠〉とか言われたいし、サー・ノックスだって〈王女様の猟犬〉って言われてるんでしょ」 〈おどる剣〉は苛立ちも隠さずに空中でスピンした。 「クロ!」 「くそ、浮かれるのは勝手だがな、せいぜい生きて帰れるように気を引き締めておけ。分かったなシグナス」 「うん」 「ああ、子守りは疲れる」 クロは空中に横たわり、まるでやる気の失せた修道女めいた怠惰な空気を漂わせる。シグナスは苦笑して、中扉を開けた。そしてむせた。客室から噴き出す匂いの酷さにである。刺激臭を吸い込んだ途端に、視界が涙で霞む。 「うげぇーっ」 ヨンが鼻を摘んで言った。 「何だい、こいつぁ」 「来るぞ、構えろ、不死者だ!」 こんなときは鼻のないクロが羨ましくなる。座席に腰掛けていた人々が立ち上がってこちらを向いた。顔の造作がおかしい。それで言うなら体もだ。腐って半分ずり落ちた顔に引きずられるように、半身が傾いている。それがよたよたとこちらに近づいて来ていた。相手の人数は多く、狭い客車内では囲まれて潰される恐れがある。 (※お出でになりましたのはその名もずばり〈アンデッドになった乗客〉。出現数5と出まして、かつ反応は「常に死ぬまで戦う」。しかしレベルは3と低い上に特殊能力も無いので、落ち着いて切り抜ければいけるでしょう。クロの技能は温存して、1ラウンドの接近戦から。シグナスがクリティカルからの成功、クロもヨンも成功して、一挙に4体を撃破。防御も無難に成功しました。よしよし!) 「シグ、こっちの扉を開けるよ!」 びょうびょうと背後で風が叫んだ。ヨンの作戦を理解したシグナスはあえて中扉から先には入らず、不死者たちを待ち受ける。クロも異は唱えない。 「やったれ、耳欠のシグ!」 「はいっ!」 どっと殺到して来た不死者の腹を、シグナスは剣で刺し貫いた。ずくずくとした柔らかな手応えに肌が粟だったが、そんなことは気にしていられない。ぐっと体重をかけてくる相手の力を誘導し、互いの立ち位置を入れ替えるように勢いをつけて背後へ斬り抜けた。足元の覚束ない不死者は停止できず前進を続け、夜空に続く後扉から落下する。同じ手法でもう一体をシグナスは突き落とし、続けてクロが、おまけにヨンまで調子良く不死者を車外に厄介払いした。 (※2ラウンド。シグナスは攻撃失敗ですがクロが成功したため、すべての敵を倒すことに成功。勝利です) 最後の一体は体格の良い剣士のもので、これはやや苦戦したが、シグナスが剣を押し止める間に背後に回り込んだクロが突き飛ばすと、夜空に消えていった。 新手の気配はないと判断して、客席に挟まれた通路に足を踏み入れる。腐臭がこびりついていた。彼らはいつからここにいたのだろう。自分たちと同じように、物申すために先頭車両を目指していたのかもしれない。 (順番待ちしながら死んじゃったとか) と、不吉かつ不謹慎な想像がよぎり、シグナスは頭を振って追い払った。 (別のこと考えよ。例えば車掌さんの……あれ?) 車掌との一幕を思い出したところで、引っ掛かりを覚えてシグナスは足を止める。 「シグナス、どうした?」 「ねえクロ。車掌さんの言ったこと覚えてる?」 ふむん、と〈おどる剣〉は曖昧な返事をした。怒り狂ってろくに聞いていなかったのかもしれない。その怒りがペット呼ばわりされたことに端を発しているのか、それともシグナスが進んで傷つけられたことに対してなのかは、シグナスにはよく分からなかった。 「車掌さんがさ、確か〈久しぶりのお客様〉って言ったんだ」 「それがどうした」 「や、だって、僕たちの少し前に骸骨遣いのサー・グロリアが乗車したんじゃないの?」 「うむ……」 「サー・グロリアはさ、僕たちよりも先に進んでるはずじゃん。ここまで会わなかったんだから」 「そうか、車掌が会っていなかったのは不思議だとお前は言うんだな、シグナス」 「うん。だよね?」 「いっぱしの探偵みたいになってきたじゃないか。その路線で詩を作ってもらえ」 「からかわないでったら! ねえヨンさ……」 その時、いたずら者のコビットが腐臭も腐肉もものともせず座席によじ登り、シグナスの間近ながら死角になる位置に陣取って、 「ぶぉあわわー!」 と迫真の演技で不死者の真似事をしたものだから、シグナスは肝を潰して尻餅を突いてしまった。 「よよよ、ヨンさぁん」 情けない悲鳴を上げるシグナスに、コビットのヨンは、 「うけけけけ」 と愉快極まりないという様子で笑い、車両前方へ意気揚々と駆けていく。 「今のとこも歌ってもらうんだーぜ、シグ!」 「……シグナス、分かっただろう。イカれてる。だから俺はコビットなんぞ嫌いなんだ」 十二歳のいたいけなる従騎士は、正体不明のものでネチョネチョした床から尻を引き剥がし、大きく溜め息を吐いた。しかしそれであっても、シグナスはヨンのことを憎めない。面白い仲間と思っているのである。 ◆ [先頭車両]最終イベント シグナスは、間近に見る先頭車両の姿に度肝を抜かれた。巨大な龍の頭骨と車両とが、金属のからくりを通じて一体化している。チャマイの匠であれば、あるいはこのように途方もない機械も創造できようか。彼の地の匠は、クロの如き〈おどる剣〉すら製作するのだと聞くから。しかしシグナスには、やはり人の手が生み出せるような代物ではないと感じられるのだった。 ぽうーっ、と高く汽笛が鳴る。龍の頭骨の天辺につけられた煙突から、毒々しい蛍光緑の煙が激しく噴き出して夜空に流れた。まるでシグナスたちの到着を歓迎、あるいは警告するようである。 先頭車両の客車部分は、今まで過ぎてきたものに比べてやや背が高い。やはり主人の居所となれば、城であれば玉座の間という場所であろうから、一際豪華なのも頷ける。その先に細長い円筒状の空間があり、頭骨の裏と接続している。 加えて龍の頭骨そのものの巨大さにも、シグナスは畏怖の気持ちを抱いた。主人ノックスの父であるブラーク様が倒したという、ローレンシアの龍。それも、このような大きさだったのではないだろうか。事の善悪は横に置いて、巨大な生物が生きていた証にシグナスは胸が高鳴った。 「行けるか、シグナス」 クロの声に我に返って、シグナスは頷く。すっかり魅了されていた。 「ヨンさんは? あれヨ……うそ、もう渡ってる!?」 「ほっほーい、おもろは一番乗りでこそさ!」 コビットはいつの間にか先頭車両の扉に取り付いて、ガチャガチャやっている。 「シグナス、慎重に進め。いかれコビットに影響されてはならん」 「うん」 連結部を渡った。扉は不具合があるのか、シグナスとヨンが力を合わせてようやく開く。 「ボスの寝床にしちゃあ、ちょいとショボいね」 ヨンがウィンクしてみせた。それくらいショボい相手だったら良いのだけど、と思ってシグナスは少し肩の力が抜けたように感じる。笑いにしてしまうことも、大事だ。 ところが足を踏み入れた途端、さしものヨンも顔を曇らせる。シグナスは即座にクロを鞘から解放した。 客車の内張は、躯(むくろ)であった。壁は大小様々な、種族も性別も職業も異なる躯の羅列で出来ている。細部を観察すれば、ひどく古めかしい鎧の持ち主も並んでいた。 「何これ……」 「最悪の収集癖を患っているらしいな」 「おもろではある」 「ではない! このイカれコビットが。シグナスの教育に悪いだろうが」 「分かったよシグのママン」 「おい!」 その時、誰も触れていないのに、内扉が速やかに開いた。三人は顔を見合わせる。危険であると誰もが思ったからだ。 「控室は静かに使うものではないかね、演者諸君。その程度のわきまえはあると思っていたが、所詮は田舎役者であったか。まあ入りたまえ。オーディションの時間だ」 低く落ち着いた男の声である。権威あるものの尊大さが骨の髄まで染み付いている感じがした。 シグナスを先頭に客車の内側へ踏み込む。ふたりの人間が、一行を待ち構えていた。ひとりは玉座に腰掛けた男。これが先ほどの声を発したのだろう。ほの暗い照明のせいだろうか、その顔の肌艶からは血の気が感じられない。玉座は、案の定というべきかもしれない。内装と同じく無数の躯で出来ている。 もうひとりは——。 シグナスは反射的に剣を抜いて構えた。因縁の女騎士グロリアが立っていたからである。 しかし様子がさらにおかしかった。表情がない。シグナスたちを見ようともしない。いや、瞬きすらしていないのだ。 「そなたが、ロング・ナリクのシグナスだな」 シグナスは女騎士から視線を引き剥がし、玉座の主に向き直る。 「良い目をしておる。怒り、恐怖、それにも勝る使命感。それは写身のも欲しがるわけだ」 「……写身の……?」 「黙れ! 口を開いて良いと、いつ許可した! このダゲン・ラ・バーゲズに従騎士ずれが質問するなど無礼千万。お前の主人は礼儀すら教えんかったと見える」 玉座の肘掛けをどんと叩くと、肘掛けの材料にされていた人間の手が、許しを乞うように指を開いてわなないた。 シグナスは二の句が継げない。これ以上は彼を怒らせない方が良いと思ったのと、後は「身分が高い者には礼儀正しく接さねばならぬ」という従騎士たる者の心得が制止したからであった。 「とまれ、歓迎しようナリクの従騎士よ。幾年待ったことか。三十年ぶり、いやもっとか? 悲しいかな、我が目にかなう役者は少ない。ナリクに原石がおるとは考えもしなかったが、持つべきものは友と時だ。良い報せだったと後で返礼をせねばならんな。さて、無駄話はこれくらいで良い。オーディションをせねばならぬ。見目がよろしくても大根役者ではつまらん。分かったか? 分からんのであれば質問のひとつでも許す。くるしゅうないぞ」 鷹揚に手を振ってシグナスに質問を許可すると、男は玉座の奥深くにどっかりと座り直した。 「バーゲズ卿」 シグナスは慎重に口を開く。 「役者とは、何をお求めなのです」 玉座の男が哄笑した。 「飲み込みの悪い子供だ! いいぞ、お前くらい鈍い方が釣り餌にはよかろうて。ほれよう見てみい」 躯の並ぶ壁を、躯の玉座に身を預けた男は指差す。ずらりと並ぶ躯の中に、ぽっかりと一人分空いているところがある。シグナスは理解した。このダゲン・ラ・バーゲズなる男は、この空白にシグナスを詰め込もうとしている。 「理解は成ったか? 不合格の場合はそこに並ぶ栄誉は与えられんぞ。必死で演ずるが良い。では始めよう」 男がパチンと指を鳴らすと、それまで棒立ちしていた女騎士グロリアが突然動き出した。先だって対峙した時とは全く違う、ぎくしゃくとした不自然な身のこなしである。ただ目だけには生気が宿っており、戸惑いに瞳が揺れ動いていた。 「サー・グロリア!」 シグナスが呼びかけると、女騎士はがくがくと口を震わせながら、言葉を紡ごうとする。 「にに、ににげ、ろろ、しょう、ねねねん」 (逃げろ、だって……?) 「ここにいい、ては、いいいいいいけな」 「演者が台本以外のセリフをしゃべるな!」 男が怒鳴って玉座を叩くと、グロリアの口がガチンと音を立てて閉じ、その目から最後に残った理性が失われた。腕利きの騎士らしい凄まじい速さで剣を抜くと、あっという間に距離を詰めてくる。 ◇ 今回のリプレイはここまでです。 ついに〈怨霊列車〉の主ダゲン・ラ・バーゲズと対面。 「写身の」は前回『写身の殺人者』から繋がっています。『写身の殺人者』では真犯人を成敗したはずなのに、最後の最後に鏡の中から笑いかけてくる謎の存在が示されました。ですからきっと、シグナスくんが倒した写身の殺人者だとされた人物すら「真の」殺人者ではなかったのでしょう。ということで、人外の黒幕同士のつながりを匂わせてみました。さあ、こちらの因果の糸もどう紡がれていきますか! それでは、次の車両でお目にかかりましょう。 良きローグライクハーフを! ◇ (登場人物) ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。 ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉で、元人間だと主張。 ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。面白さがすべて。 ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。グロリアの火球により落命。 ・グロリア…サン・サレンの女騎士。バーゲズの命令でシグナスに襲い掛かるが……。 ・ダゲン・ラ・バーゲズ…〈怨霊列車〉の主。役者と称して躯(むくろ)を蒐集する、最悪の手合い。 ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年8月12日水曜日
第3回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4949
第3回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の冒険譚です。 今回の主人公たちは、元剣闘士で熟練の傭兵ヴァルグと、彼と行動をともにする、左腕に「獣の腕」を宿す少年ハルト。 貿易都市ビストフの領主マキシミリアンから受けた依頼はクラーケンの討伐。 討伐船を賜った貴族ハーツデイルを船長に、まずは海域を封じる海賊の討伐に向かいます。 コビットの船員たちに、熟練の女性砲撃手ニーナと、新米砲撃手のポール青年を加え、「クラーケンぶっ殺し号」の航海は続きます。 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7 筋力点3 従者点8】獣使い 「クラーケンぶっ殺し」号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 ●アタック01-6 アクアデーモンの襲撃【ポール】 マーフォークとの遭遇のあとは、また落ち着いた航海が続いている。 一度輝石の鱗鳥が、マストを止まり木がわりにしたくらいだ。 ウロコに覆われた奇妙で巨大な鳥で、爬虫類を思わせる外見をしている。 戦いになれば、あまりの強さに手がつけられない。 だから、魚以外の肉が欲しい船員も、あの鳥には手を出さない。 刺激しなければそうそう襲われることはないからだ。 ヴァルグが餌がわりに食料を置くと、それを脚でつかんで飛び去っていった。 やがてマドレーン海域を抜ける。 潮流の関係で海の色が変わってきたらそこがエメラルド海だ。 私は海に詳しくないハルトに、そんなふうに説明した。 ハーツデイル船長の予測では、エメラルド海に出る前に海賊船の襲撃があるだろうとのことだった。 だから、コビットの見張りも厳重に警戒していた。海賊船の出現を。 でも、そのせいで違う怪物の接近を許してしまった。 そいつらは、飛びあがるようにして、突然甲板に降り立った。 「アクアデーモン!」 誰かが叫ぶ。 見た目は人型。青緑色のウロコに覆われている。 末裔やマーフォーク。似たような海の住人には出会ってきたけれど、そのいずれとも違う。 やつらは、海中を潜航するように船に接近し、吸盤のついた手で船の側面をよじ登る。 だから発見されにくいのだ。 アクアデーモンの戦法は、一撃離脱。 船に上がるなり人をさらい、海に飛び込む。そうしたら後はやつらの思うがままだ。 すでに複数のアクアデーモンの侵入を許してしまっている。 「チイッ! 数が多い!!」 「ヒース!」 「ギャウ!」 戦いはヴァルグたちの領分だ。 火吹き獣がハルトの指示に従い、炎の舌を伸ばしながら火の玉を吐き出す。 それは船側から上がったばかりのアクアデーモン二体に命中し、たちまち海へと落とした。 アクアデーモン、海の魔物だけに、やはり炎が弱点なのか。 二体を落としたくらいでは、すでに甲板に上がったアクアデーモンたちは止まらない。 それぞれが目標を定めると、対象を海中に沈めようとタックルを仕かけてくる。 ヴァルグは二本の片手剣でしっかりと防ぎきる。 ハルトは巨大な槌を甲板に降ろし、回避する。 火吹き獣は炎の舌でけん制する。 捕獲に失敗したアクアデーモンたちは、成果はなくとも海に飛び込んでゆく。 そして最後の一体が狙いをつけたのは……私だった!? 私はなす術なくアクアデーモンにがっしりとつかまれ、そのまま海へと死のダイブを敢行されてしまった。 視界に入る甲板の距離が徐々に遠のく。そこにハルトの姿が急に大映しになった。 ハルトは、すでに甲板から私目がけて飛び出していたんだ。私を助けるために。 飛び込む勢いのまま大振りした「獣の腕」をアクアデーモンめがけて振り下ろす。 アクアデーモンが殴り飛ばされると同時に、私はぐいっとハルトの方に引き寄せられた。 そしてそのまま海へと落下した。 「テメェはバカか! 泳げねェくせによ!!」 船からヴァルグの叫びが聞こえる。 ハルトは、泳げない? 見るとハルトはすでに水を飲んで、ぐったりしている。 私は慌ててハルトを支え、顔が上になるように、あお向けの体勢にした。 同じくあお向けになった私の胸のあたりにハルトの顔がくるようにして支える。 厚手のマントは水を吸って重い。隠そうとしている腕が皆の目にさらされてしまうが、外さざるを得なかった。 「なんとかなんねェか! 浮くものを!」 「ヴァルグ落ちつけ、今用意させている」 「これが落ちついていられるか!!」 やがて甲板から、ロープのついた樽が投げ込まれた。 私は波にあおられながらゆっくりと接近し、どうにか樽につかまって浮力を確保した。 アクアデーモンの追撃がないのは幸いだった。 一度捕獲に失敗したらすみやかに去る。 それがやつらの流儀であり、習性なのだろう。 私は、私の腕の中の少年を見る。獣の腕の大きさのせいか、とても小さく見える。 彼に救われたのは、これで二度目だ。 一度目はクラーケンの触腕に襲われたとき、そして今。 彼は命の危険もかえりみずに、船外に飛び出した。よく知りもしない私なんかを助けるために。 この少年を死なせるものか。 そうして、救命艇によって助けられるまで、なんとか持ちこたえることができた。 [プレイログ] 【65 輝石の鱗鳥】 【輝石の鱗鳥 レベル6 生命点3 攻撃回数2】 反応 サイコロの出目5 ワイロ(食料2個) ヴァルグが食料2個を与え、終了。 【54 アクアデーモン】 【アクアデーモン レベル3 6体】 反応 サイコロの出目5 敵対的 【0ラウンド】 ヒースの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル アクアデーモン6→5 追加攻撃 サイコロの出目3 クリティカル アクアデーモン5→4 アクアデーモンの引きずり込み(目標値3) ヴァルグ サイコロの出目4 回避 ハルト サイコロの出目2+技量点1=3 回避 ヒース サイコロの出目2+技量点1=3 回避 ポール サイコロの出目1 引きずり込まれる 【1ラウンド】 ヴァルグの攻撃 サイコロの出目1 外れ ハルトの攻撃 サイコロの出目4 アクアデーモン4→3 アクアデーモンは半減したため逃走。宝物判定なし。 ●アタック01-7 海賊船「鮮血号」【ポール】 ハルトをひとまず甲板に寝かせる。 マントがないから、黒毛に覆われた「獣の腕」がむき出しだ。 船の乗組員たちは、そのハルトの姿に息を呑んだ。 「この腕がなんなのか、説明を求めてもいいか?」 ハーツデイル船長が代表して、ヴァルグに問いかけた。 「俺も詳しくはわからねェが、厄介な呪いにやられてる。そこらの解呪師にゃ解けなかった」 「そう……なのか」 「霊廟の財宝を守る霊に呪われたとき、俺はやられたがコイツはなんともなかっただろ? ありゃ多分、より強力な呪いを受けてるせいではじかれたんだな」 「……」 「戦いになるとヤベェ力を出すが、今ンとこ他に影響はねェ。だから気にすんな」 「気にするなと言われてもな……」 そのとき、ハルトが小さなうめき声とともに、目を開けた。 私はたまらずハルトにとびついた。 「ハルト、私だ。ポールだ。私がわかるか?」 「あ……、ポールさん、無事だったんすね」 「ああ、ああ。君のおかげで助かったよ」 そこにヴァルグのドでかい声が降ってきた。 「テメエはバカか! 泳げもしねェクセに海に飛び込むなんざ」 「夢中だったんだ。ごめんなさい」 「ヴァルグ……さん、私は彼のおかげで命拾いしたんです。だからそれ以上は」 「俺ァな、テメエの命を大事にしろって言ってんの! 怒っちゃいねェよ!!」 どう見ても怒っているようにしか見えない。 ハルトは、自分がマントを身につけていないことに気がついたようだ。 「ハルト、すまない。海に浮かせるために外さないわけにはいかなかったんだ」 「大丈夫。どの道戦いになれば見せるモノ。師匠からも、『そンときゃためらわず使え』って言われてたし」 「そうそう、早ェか遅ェかの違いでしかねェのよ」 ハルトが意識を取り戻し、船内に安堵の空気が流れたそのときに、見張りの声が高らかに響いた。 「見えました! 海賊船『鮮血号』です! 右舷前方! まっすぐこっちに向かってきます」 「最悪なタイミングだな! クソが」 「……やれます。オレの武器をください」 「武器って、これのこと?」 ニーナが巨大な槌を両手で引きずりながら持ってきた。 「そう。ありがとう」 ハルトは荒い息を吐きつつも身体を起こし、「獣の腕」で槌を軽々と受け取る。 その腕は、恐ろしいものというよりも、頼もしいものとして私の目には映った。 「いけるか?」 「もちろん」 そうしてハルトは、師であるヴァルグの横に並び立った。 「ニーナ、ポール、砲撃準備急げ。全船員、武器を取れ」 ハーツデイル船長がてきぱきと指示を飛ばす。 私とニーナは砲座へと向かう。 そうしている間にも、海賊船「鮮血号」は、みるみる距離を詰めてくる。 船同士の戦いでは、位置取りが重要だ。 砲門は横腹についている。そのため、敵船に対しどのように有利に側面を向けられるかが重要となる。 「海賊船の馬鹿げた突貫にはつきあっておれん。舵を切れ。迂回して並走、接舷するぞ」 正面から突っ込んでくる無謀な鮮血号に対し、巧みな操舵で迂回する。 操船技術は明らかにこちらが上だ。 「撃て!」 迂回の軌道に乗ったことで、砲門が敵船を捉えた。 すかさず砲撃を仕かける。 ニーナの砲撃は鮮血号の船側に命中。木片が飛び散る。 私の砲撃はマストのやや上方に当たった。鮮血号の船速が削がれた。 「いいぞ、よくやった」 クラーケンぶっ殺し号は、鮮血号を後背から捕捉、並走に移行した。 鮮血号はガレー船だ。こちらよりも船体がやや低い。 鮮血号から、次から次へと鉤縄が飛んでくる。 鈎が舷側にがっちりと食い込み、ロープがピンと張って二隻を引き寄せる。 船腹がこすれ合い、木が軋む耳障りな音が響いた。 船が大きくよろめいた。 そこに鮮血号側から渡板が幾本もかけられる。 「あたいらの船を傷モノにした罰だ。あんたらの船をまるごといただくよ!」 鮮血号の甲板では、血のように赤い長コートを羽織った女船長が号令をかけている。 海賊船の船員の多くはオークだ。渡板を渡ってくる。 「白兵戦だ。気を引き締めろ!」 私とニーナも砲座を離れ、それぞれ武器を取った。 ●アタック01-8 海賊船の戦い【ハルト】 オレの目の前では、今まさに海賊と船員との戦いが繰り広げられていた。 「一対一では戦うな。海賊どもを囲い込め!」 白奴が右へ左へと、細かな指示を飛ばす。 こんな、敵味方が入り乱れての戦いは始めてだ。 白奴は、味方の手が薄いところを見るや、援護に回る。 カタナをすらりと抜き放ち一閃。たちまち海賊オークが次々と斬り倒されていく。 なにが戦力外通告だよ。もしかして、オレより強いんじゃないか? 「俺たちのやることはひとつだけだ。わかってるなハルト」 「ああ。もちろん。親玉をぶっ潰す」 「そのとおりだ。いくぜェ!」 オレは敵が敷設した渡板から、鮮血号へと乗り込んだ。すぐにヒースが続く。 師匠は豪快にも渡板を使わず、そのまま鮮血号へと飛び降りた。 甲板の女船長と対峙する。周囲には海賊オークども。その数は十体以上。 「おやおや、そんな少人数で乗り込んでくるなんて勇敢なおバカさん」 女船長から漂ってくるのは、ものすごい臭気だ。肉が腐った臭い。 近くで見て気づく。女船長の服は汚れきっており、ボロボロだった。 頬肉も一部そげており、ひゅーひゅーと音がもれていた。 「アイツはもう、死んでいる。『アンデッド』ってやつだ」 師匠はニヤリと笑った。 「俺の得意分野だ」 師匠の持つ剣の一本は、悪魔や不死の敵に絶大な威力を発揮する聖剣なのだ。 「死んでも宝を欲しがる強欲ババアにゃ、お仕置きが必要だな!」 「言わせておけばあ! やっておしまい!」 海賊オークどもがオレたちを取り囲む。 「獣の腕」に熱がこもる。戦いたい、という衝動がオレを蝕む。 師匠は目の前の甲板に、二本の剣を突き刺した。 素手で身構える。 「なめてんのかい?」 「見せてやるよ。大勢相手にするときの戦い方ってヤツをよ!」 ヒースが火の玉を放ち、海賊オークの顔面を燃やした。 それが開戦の合図だった。 師匠は素早い動きで海賊オークに接近すると、顔面目がけて剛腕を叩きこむ。 後背の敵めがけて鋭い蹴りを放つと、次の瞬間には身体を沈め、下から突き上げる拳でまた一体を倒す。 オークはたちまちその数を減らしてゆく。 「な、なんて強さだい」 「チッ。ウゼェ呪いを食らったせいで動きにキレがねえな」 「これでまだ全力じゃないってのかい」 いつもは武器を手にして戦っている師匠だけど、素手での戦いの方が動きがいいように見えた。 もしかしてこれが、闘技場の剣闘士の戦い方なのかな。 オレも負けてはいられない。 獣の腕を振るい、力まかせの槌の一撃で、海賊オークを叩き潰す。 しかし横から別のオークに体当たりをかまされ、大きくよろめき、片膝をついてしまった。 いけない。獣の腕の闘争本能に身を委ねすぎてしまった。しずまれ、オレの左腕よ。 「敵は目の前だけじゃねェ。常に周囲に気を配れ」 そう言う師匠は同時に何体を相手にしているのか。 オレとヒースがそれぞれ一体ずつを倒す頃、師匠は四体を甲板にはいつくばらせていた。 残りは四体。師匠がにらみを利かせると、たちまち逃げ去ってしまった。 「置いて逃げられるとか、船長のクセに人望ねェのな、テメエ」 「あんたの強さがデタラメすぎんだよ」 「言ったろ。俺は調子悪りい。だりィんだよっ!」 師匠は甲板に突き刺した二本の剣を抜き、構えた。 「とっとと終わらせる。テメエにはきっちり聖剣を叩きこんでやるからよ!」 そして師匠の連撃が決まり、たちまち女船長を追いつめていく。 「ヒース、火を!」 「ギャウ!」 ヒースに指示して、オレも隙を見て殴りかかる。 ヒースの火の息は女船長にダメージを与えたが、そのためにオレの接近に気づかれ、あっさりかわされてしまった。 女船長がきつい目でオレをにらみつける。 「ハン。卑怯とでも言いたげだな。下っ端を大量にぶつけといて、テメェは一対一で戦うつもりだったか」 師匠が挑発した。 女船長は、そんな師匠の安い挑発に乗り、オレと師匠へ同時にしかけた。 師匠の狙いは敵を怒らせ、集中力を乱すことにある……と思う。ただの素かもしれない。 けれども、女船長の激高ぶりは、予想の上をいった。 オレは攻撃を受けそこね、防いだ獣の腕を浅く傷つけられてしまう。しかしその血は、逆に、オレの闘争心をかきたてた。 そして師匠の方も、女船長の剣をかわしきれずに傷を増やしていた。 女船長は愉悦の表情を浮かべたが、すぐ次の瞬間、驚愕に目が見開かれた。 師匠の動きは傷を負わせられながらも止まらず、まっすぐ女船長を切り裂いたからだ。 自身が傷つくのをまったく恐れない、常人にはなしえない動きだった。 「俺の体の傷はすべて、反撃の証だッ!」 師匠が吼える。女船長はうろたえる。 その隙を逃さず、師匠、オレ、ヒースが追撃する。 女船長は防戦一方だ。 そのとき、女船長が苦しまぎれに放った一撃が、師匠にヒットした。 反撃におびえ、警戒する女船長。 しかしその反撃がないと知るやほっとしたような表情を浮かべ、……そのまま固まった。 傷を負いながらも、師匠が笑っていたからだ。 女船長が、誘い込まれたと悟ったときにはもう遅かった。 オレは背後から、動きを止めた女船長の脳天に、容赦なくトドメの一撃を振り下ろした。 「ハッ。俺の動きに気ィ取られ過ぎたな」 女船長は、何も言わずに倒れ伏した。 師匠は女船長が身につけていたボロボロのペンダントを取り、オレに投げてよこした。 「戦利品だ、とっとけ」 船長を失い、戦いの趨勢は決した。 海賊たちは、ある者は投降し、ある者は逃亡の望みを賭けて海へと飛び込んでいった。 オレたちは意気揚々と、「クラーケンぶっ殺し号」へ帰還した。 次回、ビストフへ一旦帰還し、次なる航海へ。 [プレイログ] 【最終イベント『鮮血号の女船長』】 【鮮血号の女船長 レベル5 生命点5 攻撃回数2】 【部下×11 レベル3】 【0ラウンド】 ・ヒースの攻撃 サイコロの出目4 命中 部下11→10 【1ラウンド】 ヴァルグは武器を置いており、【格闘術】使用。 【格闘術】〈弱いクリーチャー〉に対して素手攻撃の【攻撃ロール】を行ったさい、サイコロの目が4以上かつ攻撃が命中した場合はクリティカルが発生します。 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目3 命中 部下10→9 ・ハルトの攻撃 サイコロの出目3 命中 部下9→8 ・ヒースの攻撃 サイコロの出目3 命中 部下8→7 部下7人の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目3、3、6で3回とも回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目4、1で一回ダメージ ハルトの生命点7→6 ・ヒースの回避 サイコロの出目5、6で2回とも回避 【2ラウンド】 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル命中 部下7→6 追加攻撃 サイコロの出目4 【格闘術】クリティカル命中 部下6→5 追加攻撃 サイコロの出目5 【格闘術】クリティカル命中 部下5→4 追加攻撃 サイコロの出目2+修正0 外れ 残る部下4人は逃走。 【3ラウンド】 ・ヴァルグは素手から武器の持ち替え。 ・ハルトの攻撃 サイコロの出目2+技量点1 外れ ・ヒースの攻撃 サイコロの出目3+技量点1 外れ 女船長の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目3+修正2 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目6 回避 【4ラウンド】 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル命中 女船長の生命点5→4 追加攻撃 サイコロの出目3+技量点1 外れ ・ハルトの攻撃 サイコロの出目2+技量点1 外れ ・ヒースの攻撃 サイコロの出目4+技量点1 命中 女船長の生命点4→3 女船長の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目1 命中 ヴァルグの生命点9→8 ヴァルグの【不屈の一撃】 サイコロの出目4+修正2 命中 女船長の生命点3→2 ヴァルグの筋力点4→3 【不屈の一撃】斬撃ダメージを負った際、即座に修正+1で反撃できる。筋力点消費1 ・ハルトの回避 サイコロの出目2 ハルトの生命点6→5 【5ラウンド】 ・ヴァルグの攻撃 サイコロの出目3+修正1 外れ ・ハルトの攻撃 サイコロの出目5 命中 女船長の生命点2→1 ・ヒースの攻撃 サイコロの出目3+技量点1 外れ 女船長の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目2 命中 ヴァルグの生命点8→7 ヴァルグの【不屈の一撃】 サイコロの出目1 外れ ヴァルグの筋力点3→2 ・ハルトの攻撃 サイコロの出目4+技量点1 命中 女船長の生命点1→0 戦闘終了。 【宝物判定】 ・サイコロの出目3+1 1d6×1d6のアクセサリー サイコロの出目1、1 金貨1枚相当のアクセサリー ●ボロボロのペンダント(金貨1枚)入手 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9→7 筋力点4→2 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】20 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) ハチミツの塊2(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】0 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【備考】呪いのため攻撃ロールにマイナス1 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7→5 筋力点3 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】43 【持ち物】 ランタン 蟹座の彫刻(金貨300枚、持ち物欄2消費) 平穏のポーション(船酔い回復、対魔法ロール+2) ボロボロのペンダント(金貨1枚) 【獣血】【凶暴化】【騎馬防御】 【未使用経験点】0 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 白奴 ホビット乗組員たちをまとめるチーフ。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! 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2026年8月11日火曜日
『Monkey business 2』-斥候の犬- FT新聞 No.4948
挨拶に代えて。 ついに、齊藤飛鳥先生による「ミステリ」としての、しかも「ローグライクハーフ」しての作品、『霊廟館の悪夢』登場! これでミステリ作家としての先生の味を十二分に楽しめる! その手ごたえは、本格推理ものとして、あそびごたえがある一本でした! あまりの喜びに、ついに一本書いてしまいました。 拙作の二次創作に、快く許可を出していただけた齊藤先生に、大いなる感謝を込めて! つたない作品ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『Monkey business 2』 -斥候の犬- 著:葉山海月 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 冒険者として、やっと独り立ちして十ン年。 君は、今日も殺人的なミッションをタフにこなし、「ああ、今日も忙しい野良犬な一日だった」と、場末の酒場に足を運ぶ。 店内に流れる甘ったるい音楽が、心をマッサージする。 これで、疲れを吹き飛ばすような「彼女」がいればなぁ、と夢想していた。 しかし、思い出すのは、かつて出会った女吸血鬼の館『霊廟館』の事件。 事件自体も、複雑な条件が絡み合い、不可能犯罪に見えた。 しかし、その中でも、ひときわ異様だった一人の少女。 その名はクワニャウマ。 「かわいい」というよりも「たくましい」(特に商魂)という顔をしていた彼女。 にやけているヤマネコのような印象の少女。 何よりも犯人を適当に指摘した時の、みぞおちに入れられた一撃が忘れられない! あれのおかげで、全身にスパークが走り、犯人を指摘できたのだ。 「高嶺の華」というよりか「高くつくそのへんの花」みたいな彼女を、どうして思い出したのだろう? 不思議に首をかしげていると、「わたしのこと、呼んだ?」と声をかけられた。 見て見ると、あのトンでも少女の面影が残る、「おねえさん」じゃないか? 「なぜ? ここに?」 「あんたはわたしを探せないかもしれないけど、わたしは呼ばれたら飛び出すのがモットー。あんたの居所なんて教えてくれなくても横に立つ」 そういえばこの店の名前が『泥酔の泥沼亭』。流れる曲が『覚えてますか? 愛しい時を』だったことを思い出す。 「へぇ。あんたもお酒、飲めるトシになったんだ」 こちらに運ばれてきた酒は、そう弱くないのを見て、クワニャウマが揶揄する。 「あんたがお酒をたしなむ歳になったくらいには」 当然ながら、話はいつしかあの事件について飛ぶ。 というのが、お互い共通した体験が、それしかないから。 「しっかしねぇ。よくもあんなに細かいところから手がかりを見つけて、組み立てたもんだねぇ」 クワニャウマは「青い月」という、いわゆるかき氷に柑橘系のお酒をまぶしたもの、(この店だけで出す特注品)を注文したところで、語りだす。 「まぁ。たまたま運がよかっただけだよ」 君も注文を終えたので、謙遜しつつまんざらでもない顔で言う。 「わたしも年食った間にいろいろあってね。じゃあね。この謎は解けるかな? 最近、旅先でわたしが『弁護』した事件なんだけど」 ……はは、これが無いと夏がはじまんないんだってばさ。 クワニャウマは、愛しそうに自分の前に置かれた、皿にフルーツが盛られたフローズンカクテルを愛でる。 夜も、君に来た酒も、序の口。 君は早速クワニャウマを促す。 隣国との関係がちょっとキナ臭い国……「T国」とでもしておく……では、建国100周年を祝って「王家の犬」を、広く一般市民からも募集していた。 生まれも育ちも関係無い。とにかく「これは王家にふさわしい!」と思われる逸話を残したワンちゃんを集め、その中で一番優秀な一頭を王家の犬として公式に迎え入れようとしたのだ。 「で、その時に面白いエピソードがあるんだヨ」 彼女は、氷を匙で一口すると、切り出し始めた。 ナンバーワンのエピソードがこれ。 その国が独立戦争を始めたとき、ある斥候がいた。 彼には、いつも一緒にいる家族同然の犬がいて、いっつも行動をともにしていた。 で、切り込み部隊の先導として、敵地に偵察に行き、もしも何かまずいことが起こったら、ぎりぎりまで自分の陣地へ戻って赤い旗を振っていたのさ。 彼は全力を持って期待に応え、部隊からの信頼も厚かった。 そんなある日、敵の一団が、罠をはった。 先もってその部隊の行くところを待ち伏せして、一気に叩こうとしたわけ。 もちろん、その斥候は異常に気づき、仲間のところへかけ戻ろうとしたけど、追っ手にやられて大怪我をした。喉を深く傷つけられ、もはやこれまでか! そいつが覚悟を決めたとき、その犬が大活躍! 彼は、自分の主人の血で赤く染まった上着を引きちぎって脱がせ、仲間のところへ駆け寄って、それを振るように走り暴れまわった。 その犬の異常さ。そして赤い布を見て、仲間は進撃を中断した。 一部隊の命を救ったのさ。 「いい話じゃないか」 君は正直なところを述べた。 クワニャウマは、皮肉な笑みで答えた。 「ところがね。そううまく世の中が転がるんだったら、わたしは今頃一国の大臣になってる」 それに異議を申し立てた者がある。 自称、「犬の研究家」さ。 そいつが言うことには。 「恐れながら陛下、この話は真っ赤な嘘と思われます。 というのが、犬は目が悪く、白黒なぼんやりとした視界しかございません。色が識別できないのに、どうして「赤い」布を認識できたのでしょうか?」 「この話を聞いて、その斥候の評判は一夜にしてひっくり返った。 『自分の名誉のためだけに、大嘘をついた大悪党』ってなもんね。 喉をやられて、一命をとりとめたやっこさんも、声が潰れていてろくに弁護ができない。かわいそうに、王家を騙した罪で、辺境の地へ流されるとこだったよ」 「それで?」 「そこで、名うての弁護士、クワニャウマ様のご登場」 彼女はニコリ、と向日葵が咲いたような笑顔を繰り出す。 そして、指を三本出した。 「何それ? 3杯おごれってこと?」 「いや、金貨3枚」 「高すぎるよ。せめて3杯おごれ、にしてくれよ」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・作者からの挑戦状。 私は犬でないのでよくわかりませんが、「犬は色を感知できない」ということを前提にします。 それならば、どうしてこのワンちゃんは、「赤い色」を識別できたのでしょうか? 「偶然それを取った」という答えは、面白いですがそれはなしにします。 クワニャウマと、「君」がもめている間に、答えをどうぞ! 制限時間は1分! どうぞよろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 結局は、この店で一番高い酒を「正解」の代金にするということでお互いの利益は一致したらしい。 クワニャウマ切り出し始めた。 結論から言うと、その斥候が振り回していた布。 そいつには血が染み込んでいたんだな。 なんでも、初陣で斥候をやった時に、自身も大怪我をしたそうで、しかも、あたりに目立つようなものは無い。 そこで、自分の血で染めた下着を振り回して、仲間に危機を知らせた。 それ以来、「初心忘れるなかれ」という意味も込めて、その記念の布を使ってた。 つまり、布には「そいつの血と汗の匂い」が染み付いていたんだな。 で、今回の事案。 色はわからなくても「自分の主人が危機になると振り回している」血と汗にまみれた布がある。 お利口な犬は、咄嗟に機転を利かせて、血まみれの上着を使った。 これが事件の真相だよ。 彼は再び一転して、莫大な名誉と地位を得たよ。 わたしに弁護料を払えるくらいに」 「さぁて、まだまだ夜は長いよ。あんたに話がなくっても、こっちにはつもる話が、たっぷりあるの。なくってもでっちあげるケド。まぁ、その前に乾杯と行こうよ」 クワニャウマは、真顔になって聞く。 「ところで、この勘定は、あんた持ちだろうね」 なんで彼女を思い出したか、それがわかった。 永遠のとてつもなくフリーダムな女、それがクワニャウマだからだ。 ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 本作に登場した酒場『泥酔の泥沼亭』のイメージミニチュア(制作:葉山海月) https://ftbooks.xyz/ftnews/article/bar1.JPG https://ftbooks.xyz/ftnews/article/bar2.JPG ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2026年8月10日月曜日
カタログ、作っています☆ FT新聞 No.4946
おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ 今年は去年よりも、イベントによく出ています。 そこにはそこでしか会えない、FT書房の作品を買ってくださる方と会うことができて、話をすることができて嬉しいです。 また、メール等でいただくおたよりとはまた違った角度の考えを知ることができて、参考になります。 さて、今日の記事に入る前に、蕨之介さんから「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオ公開について、ご連絡をいただきました。 ありがとうございます☆ 油断しているうちに2作品分のメッセージをいただいておりました……失礼しましたm(__)m ☆蕨之介さんからいただいたメッセージ抜粋☆ 今回はギリシャと宇宙を舞台にしたものです。 以前からやってみたかった「聖闘士星矢」チックなギミックを入れた、調子に乗った一作です。 ご笑覧いただけますと幸いです。 「希望の小惑星」 https://kakinokishokai.booth.pm/items/8689846 BOOTHさんにてシナリオを無償公開いたしましたこと、御報告いたします。 クリスさんのキャラクター、ブラックハートとエリカ・アメリカを使わせていただいております。 もちろん、クリスさんには了承をいただいています。 「月の秘密」 https://kakinokishokai.booth.pm/items/8693387 ☆ここまで☆ ◆最近、はじめたこと。 やることが多いのでゆっくりと進めていることがいくつかあるのですが、そのうちのひとつをご紹介します☆ 実は2019年に、FT書房の作品を紹介したPDFを作って、無償公開しました。 作品カタログみたいなもんです☆ ↓FT書房作品紹介 https://ftbooks.booth.pm/items/323032 FT書房は「油断するとすぐに新作を出す」ことで知られている集団です。 イベントでお会いしたファンの方はしばしば、「以前のイベントで何を買ったのか、忘れてしまった」とおっしゃります。 作品紹介のカタログがあれば持っている作品を把握しやすくなるとのことで、この作品紹介は好評でした☆ でも、これ、7年も前のものなんです★ ◆「ローグライクハーフ」「モンスター!モンスター!TRPG」の作品紹介、したいねえ☆ この7年前に作った本を更新したいなあと、最近、思っています。 そう思っていたのですが、ふと「いや、ちょっと違うぞ」と気づきました。 この2019年度版の作品紹介本は、FT書房作品のほとんどが文庫本サイズだったときのもので、それだから文庫本のカタチをしています。 今は「ローグライクハーフ」や「モンスター!モンスター!TRPG」など、B5サイズの書籍が増えています。 B5サイズの作品を紹介するなら、その紹介本もB5サイズにしたい。 つまり……「ローグライクハーフ」や「モンスター!モンスター!TRPG」を紹介する本を作るなら、別のものとして作るのが適切だと、感じたわけです。 そこで私は紫隠ねこさんのご協力のもと、「ローグライクハーフ」の作品情報を確認しました。 公式で書籍化したものだけで16作品、電子書籍も含めると20作品に及ぶことが分かりました。 「ローグライクハーフ」の入り口に最近立ったというファンのためにも、作品紹介を作らないと! そう思い、コツコツ取り組んでおります☆ 「モンスター!モンスター!TRPG」も同様で、どんなものかをまとめています☆ ◆水波流編集長と話したこと。 2026年8月9日(日)に、北澤慶先生が主催するTRPGイベント「TGFF(テーブルゲームファンフェスタ)」に、FT書房も物販として参加してまいりました☆ 古い知り合いやファンの方とたくさんお会いすることができて大満足なイベントだったのですが、そこで水波編集長と顔を合わせて、いろんなお話をしました。 ファンメイドの「ローグライクハーフ」のシナリオとリプレイを合わせると、今や200作品にも到達する勢いなのだそうです☆ しみじみ嬉しいナァと思いました……200作品が公開されている国産TRPGって、そんなに多くはないと感じます。 ◆せめて、公式だけでも! 200作品すべての作品紹介を私が作ることはあたわないのですが、せめて公式作品については、FT書房作品が網羅的に把握できるカタログを作りたい。 今、そう思っています。 FT新聞で配信するシナリオづくりや、ゲームブック制作なども並行してやっていくので、完成するのはだいぶん後になると思いますが……地道に進めてまいりますので、楽しみにしていただけましたらさいわいです! それではまた☆ ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。
2021年5月23日日曜日
T&T読者参加企画『カザン帝国辺境開拓記』 エピローグ FT新聞 No.3042
T&T読者参加企画『カザン帝国辺境開拓記』 エピローグ
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from 水波流
トンネルズ&トロールズを使った読者参加企画をやってみよう。
なぜそう思ったかは、今となっては覚えていません。
しかしこの2年半で、参加者の皆さんのキャラクターは、GMである僕自身にもとても愛着のあるものになりました。
このキャンペーンでは本家T&Tの設定と、それと同じくらい多くのオリジナルの設定を使いました。
T&Tに詳しい方にはおやこれは、と思ってもらえていれば嬉しいですが、
どれが正史でどれがオリジナルかは気にせずに、どうか我々だけのカザン帝国を楽しんで貰えたなら幸いです。
また今回のエピローグには、これまで以上に各プレイヤーの皆さんからご投稿頂いたエピソードを多く採用させて頂きました。
文章を私がアレンジしたものもありますが、ほとんどそのまま採用させて頂いたものもあります。(特にエミリアのエピソードなどはご本人ともやり取りしつつ仕上げさせて頂きました)
最後まで本当に皆さんと一緒につくりあげた読者参加ゲームだったと実感しております。
ありがとうございました。
せっかくですので、最後に我々のカザン帝国年表を掲載いたします。
T&T完全版BOOK3に掲載されている年表から主要な出来事を抜粋したものに、『カザン帝国辺境開拓記』のオリジナル要素を記載したものになります。
なおこちらの年表については、ヴェルサリウス27世さんに寄稿頂いたものを大いに参考にさせて頂きました。この場を借りて御礼を申し上げます。
願わくば、皆さんがT&Tを遊ぶ際にお使い頂ければ、GMとしてこの上なく嬉しく思います。
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スラムグリオン魔法学校所蔵
『カザン帝国暦』より抜粋
*BK=Before Khazan
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【100000BK】 トロール、唯一の知的生命体として大いに栄える。
【99000BK】 ドラゴンに追われたエルフがトロールワールドに入ってくる。竜の大魔術師シャンインシン=シンインシャンがドラゴン大陸ルールフを創造する。
【97000BK】 《トロール=ドラゴン戦争》勃発。
【92000BK】 《エルフ=トロール戦争》勃発。
【57000BK】 エルフ最古の大魔術師ニン=ドゥルジエル=ニンにより、最後のトロール都市が壊滅する。
【50000BK】 《魔術師戦争》始まる。
【46020BK】 古代帝国ティグリアの覇王ガイウス、麾下にそれぞれ特異な力を持つ近衛騎士を5人従え、太古の街道《グレート・ロード》一帯の近隣諸国を平定し、《虎の王》と称される。
【46010BK】 覇王ガイウス、宮廷魔術師ルーポの進言に従い、天まで届かせるために自らの国の中央に巨大な塔を建造する。王と宮廷魔術師を含めた《七英雄》が国を挙げて天に向けて派遣される。民衆は心待ちにするもついに王たちは帰還せず。
【46000BK】 国は乱れ、人々が王の存在を忘れかけた頃、塔から不気味な悪鬼の軍勢が現れる。《狂える魔法使い》ルーポがエルフを魔法で変異させた、歪んだ存在ウルクである。
【45900BK】 白の大魔術師ニン=ドゥルジエル=ニンがミラードールの大軍を率い、激しい戦いの末に悪鬼の軍勢を打ち負かし、この世界から追放する。古代帝国の塔、封印される。
【35000BK】 魔術師グリッスルグリムがドワーフをトロールワールドに呼び寄せる。
【15000BK】 魔術師カルバン・アダムトが人間をトロールワールドに呼び寄せる。
【12000BK】 竜の大魔術師シャンインシン=シンインシャンがドラゴン大陸の東方に逃れ《魔術師戦争》から撤退する。
【8500BK】 グリッスルグリムがニン=ドゥルジエル=ニンをトロールワールドから追放する。
【5244BK】 《魔術師戦争》が遂に終結する。この時、世界に残った《神の如き力を持つ魔術師》は829人と言われる。
【3000BK】 邪悪なる不死者《不死身のコシチェイ》が暴虐の限りを尽くす。シャンキナルの森を治めるエルフの長老たちでさえ、コシチェイの前には為す術もなかった。
【2500BK】 時のエルフ王、偉大なる英雄ベリエンベールが西方エルフの従者とともに、大冒険の末についにコシチェイの秘密を突き止める。ベリエンベール王は不死者の魂をシャンキナルの森の守り神、《聖なる鳥》七頭神セマルグルに捧げる。セマルグルはその魂を7つに分けて森に封印し、自らも眠りにつく。
【1233BK】 《ドワーフ=エルフ戦争》勃発。
【1104BK】 太古の故郷《ホーラ・ルー・ヤー》よりこの地に降り立った《古き森》の主たちの子孫として、エルフの魔術師カザン=オータリエル=カザン生まれる。
【500BK】 へローム王国時代。《神の如き力を持つ魔術師》の1人、ダルゴンが《大断崖》付近に大図書館を設立する。更に《四つの闇の道》と呼ばれる迷宮をも作り上げ、数多くの遺跡荒らしがその迷宮に挑む。
【313BK】 炎の大地と称されるイーグル大陸ゾルで、もっとも偉大な人間の魔術師カーラ・カーンが生まれる。
【150BK】 エルフ王ベリエンベールと、人間の王《ウルク殺し》ソールの連合軍がナーガ連邦に攻め入って敗退する。
【114BK】 カザンとカーラ・カーンの魔術師対決。カザンは彼を弟子にする。
【 0 】 魔術師カザンが都市国家へロームの帝位に就任し、カザン帝国とカザン暦が始まる。
【200】 ユランタウと呼ばれる丘に蛇たちの王である邪悪な黒竜が巣食う。黒竜はたびたび《大断崖》を越えて北の大都市タリーマークを襲い、人々をさらっては貪り食らう。その圧倒的な力にはカザン帝国の騎士団でさえ歯が立たず、人々は黒竜を《カザンの悪夢》と呼び恐れた。
【250】 大魔術師カザン、《カザンの悪夢》の討伐に向かうも数度となく失敗し、親友であるシャンキナルの森の偉大なるエルフ王、ベリエンベールに助力を請う。
【255】 エルフ王ベリエンベール、《聖地シャンス》に伝わる三種の聖遺物を手に、配下の西方エルフの精鋭を率い、カザン帝国の魔術師たちともに黒竜討伐に遠征する。黒竜はベリエンベール王と一騎打ちとなり、三日三晩にわたる戦いの末に6つの肉片にされ退治される。黒竜の死骸は、丘の麓に建立された修道院に祀られ、以後この地は《竜塚》と呼ばれるようになる。
【595】 ウルクの呪術師ロトラー、北方の偉大な魔術師ハル=エニオン=ハルの娘、ラ=フリンジャ=ラ王女を誘拐する。
【597】 ロトラーの娘として後に《死の女神》と称されるレロトラーが生まれる。
【640】 レロトラー、エルフに宣戦布告。ドラゴン大陸の最果てで力を蓄え、仲間を増やす。
【654】 人とモンスターが共に暮らす世界を望んだカーラ・カーンはカザンと袂を分かち、レロトラーと手を結ぶ。
【661】 エルフの女戦士エレーラ、その身を大山猫の姿に変え、レロトラーに反旗を翻す。
【664】 レロトラーとカーラ・カーンによる《猫狩り》により、捕らえられたエレーラは服従を強いられ、獣の姿から二度と戻れぬ呪いをかけられる。
【666】 大魔術師カザンが降伏し、レロトラーとカーラ・カーンがカザン帝国の統治を開始する。カザンは1年に1日しか現れない島の墓所に追放される。
【780】 正気を失ったエレーラが獣人のための新たな宗教を広め始める。以後、エレーラは神の如き力を自在に操る存在《神獣》として獣人たちに崇められる。ドラゴン大陸全土から数々の獣人が馳せ参じ、《大断崖》山間の《精霊の祭壇》は獣人たちの聖地として大いに栄える。
【1049】 死の女神レロトラーに対抗する反乱勢力として《偉大なる熊神の教団》ことベアカルトが誕生する。
【1066】 《カザンの戦士たち》がカザンを目覚めさせる。
【1085】 レロトラーがカザンを侍祭テレヴォールの小迷宮に封印する。
【1100】 《神の如き力を持つ魔術師》の1人、黒のモンゴーが太古の街道《グレート・ロード》付近に研究室を設け、活発に活動する。《黒の使徒》として、漆黒の手のイーゼルヴァン、黒檀のメメコレオウスをはじめ優秀な弟子を多数排出する。
【1101】 第3代オーバーキル城城主、屍人使いマリオナルシスがオーバーキル城の戦いでカザン帝国の《死の軍団》の暗殺部隊に敗北し、西方エルフの手によって封印される。
【1195】 黒のモンゴー、赤の魔術師より塔を購入し移り住む。塔の地下調査のため《傭兵剣士》を雇う。
【1199】 女冒険者フレイミング・チェリーがストームガルドのローズの力を借りてテレヴォールを殺し、カザンを解放する。
【1200】(現在)
・レックス砦にて辺境開拓軍が編成され、各地から傭兵が集まる。
・《大沼地》のゴブリン山賊団によって、ナルン村の青カブトムシ寺院より祭器が盗まれる。
・《偉大なる熊神の教団》の活動が活発化する。
・《不死身のコシチェイ》こと屍人使いマリオナルシスの封印が解かれ、弟子である屍人使いエレファバ、エルファニ、エリファスたちが屍者の帝国を再興させるべく暗躍を始める。
・《カザンの悪夢》ことユランタウの黒竜の封印が解かれる。
・古代帝国ティグリアの塔が発見され、《七英雄》が復活を遂げる。
・《大断崖》風の峡谷にて、魔術師ダルゴンの大図書館が発見される。
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エピローグ
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『今回ばかりは本当に死ぬかと思った』
私はレックス砦の机の引出しから日記帳を取り出すと、数日前の冒険を振り返りながらそう書き加えた。
砦の窓から中庭を眺めると、慌ただしく行き来する砦の傭兵たちの姿が見受けられた。カザン市へ帰還するための撤収作業が行われているのだ。私もそろそろ荷物をまとめなくてはならない。
私はため息を付くと日記帳を取り上げ、背負い袋に仕舞い込んだ。
そしてそっと目を閉じ、既にこの砦から離れていった仲間たちの事を思い浮かべた。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
レックス砦の城門前に旅支度の一団が立ち尽くし、名残惜しそうに砦を振り返っていた。
東洋風の修行着を身に纏った青年が、棍棒を2本腰から下げた男と話している。
「へーざぶろーさんは、本当にカザン市へは行かれないんですか」
「ああ、故郷に戻るにはちょうど潮時かなと思ってな」
へーざぶろーはそう答えながら、腰のトゲ棍棒をジャラジャラと弄んだ。
「……お前こそ、カンダック師に弟子入り志願したんだって?」
「押忍。古代帝国の塔でカンダック師が使われた《魔法破り》、あれこそ強大な魔を滅す空手の道への光明と感じたのです……山に籠らずとも、修行の道はどこにでも転がっている。いい世界です、ここは!」
その横では新人の男女が退屈そうな様子で荷物を直していた。
「アァ〜、ふかふかなベッドで寝たいぜ。火蜥蜴にはこってり焼かれそうになるしワイバーンには掻き乱されるしで、とんだ冒険だったなァ……」
「やれやれ、あたしゃ引退して玉の輿に乗るつもりだったんだがねぇ。金持ちのいい男はいまだ現れず……か」
ガーランドとジェニファーは互いに不景気そうな顔を見合わせた。しばらくはまた傭兵か遺跡探索でもして稼ぐのも悪くない。
「ヘルト殿! 貴殿からお預かりしたシュバイツァーサーベル、確かにお返しもうした! 拙者を守ってくれたこの剣と貴殿に、感謝申し上げますぞ!」
最後に城門から姿を表した禿頭の男は、大きな声とともに礼をしてから、一行の方に向き直った。
「ふぉふぉふぉ。皆様も素晴らしい御活躍でしたぞ。いざ、さらば。しかしまたいつの日かお会いしましょうぞ!」
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
へーざぶろー(緒方直人)
故郷のオーシオ村に帰った彼を、弟たちが手荒い歓迎で出迎える。
へーしろー「おっ、英雄さまのご帰還だぞ!」
へーごろー「よく生きて帰ってきやがったなコノヤロー!」
へーろくろー「いつくたばるかとずっと待ってたんだぞ!」
へーしちろー「チクショー、第二部こそは!」
へーはちろー「絶対活躍してやるからなー!」
ボコッ! バキッ! ドカボカベシャン! ………(終劇)
ナカダンジョウ・ケン(シュウ友生)
強大な魔と対する為には、魔力を破ると同時に魔獣の反射神経を超える速度を身につけねばならない。
魔力を感じ、それを破る事に特化しての魔法習得を決意し、カンダックに師事を乞う。魔法破りと空手の融合という、前代未聞の荒業を目指して。
それらを会得した暁には、彼は自らの空手をこう名付けるだろう。<魔破(マッハ)空手>と!
ガーランド
離ればなれになってしまった弟ケインを探すため、また旅を続ける事に。
いつか一緒に冒険する事を夢見て、彼は弟を探し続けている。
ジェニファー
商家の娘として地元に戻ることもできたが、結局遺跡探索を続けている。
後に、念願の玉の輿にのったとかのらなかったとか。
バルベル
ヘルトから譲り受けた「シュバイツァーサーベル」を返却し、勝利に沸く峡谷の山猫亭の仲間たちに微笑んで、静かに立ち去る。
故郷の剣竜亭へ帰還し、そこでまた別な冒険を繰り広げたと言われている。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
森の外れに位置する小さな村は、ちょうど昼どきを過ぎ、畑仕事から戻ってくる男たちの喧騒と、女たちが煮炊きをする生活音に包まれていた。
村で唯一の雑貨店の店頭で、暇そうにあくびをしながら、若い店員が手紙に目を通していた。
「しっかし、アイツがまさかガガック兵長の元に残るとはねえ」
若者は小さく笑いながら、かつての仲間である赤毛の盗賊の事を思い出していた。
そこへ大きな物音を立てながら扉を押し開け、青年が駆け込んできた。
「あ、兄貴、大変だ!」
青年は血相を変えて言葉を続ける。
「西方エルフの森林警備隊から苦情が来てる!」
「ガキどもめ。また丸々獣に夢中で境界を踏み越えやがったな」
ニンツはカウンター越しにカーモネーギーに答えると、エプロンを外して釘にかけながら独りごちた。
「仕方ねえ。ギルサリオンの野郎に頭を下げに行くとするか……」
畳んだ手紙を懐に入れ、すれ違いざまにカーモネーギーの肩を軽く叩いた。
「行くぞ、カーモネーギー」
「はい、兄貴!」
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
指導者のニンツ(忍者福島)
村の復興に尽力した事で村長に推されるが、柄でもないと断る。
カーモネーギーの雑貨屋を手伝いつつ、自警団の団長を務めている。
西方エルフのギルサリオン隊長とは何かとやり合いつつも、仲はまんざら悪くもなさそうである。
カーモネーギー(鏡 有規)
村で雑貨屋を営み、平和に暮らしている。
ニンツに言われると断りきれず、自警団の人手が足りないときには駆り出されるらしい。
最近子供が生まれたようだ。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『……マロウズ、元気にしているか。生まれ故郷の森へ帰ったと聞いていたのに、またどこかに旅に出たそうじゃないか。ギルサリオン隊長が遺跡の浄化が一人で大変だとこぼしていたぞ』
手紙を読みながら、エルフの青年は小さく苦笑する。そんな彼の後ろから、物静かなエルフの女性が覗き込んだ。古傷の覗く右耳に長い髪が触れる。どうしたの、楽しそうじゃないとでも言うような表情で彼女は優しく微笑んでいた。
「ああ、古い友人からの手紙なんだ」
マロウズはイアヴァスリルにそう声をかけると、手紙の続きに目を通した。
『……それとヘルトの姿を最近見かけないとニンツたちが心配していた。もし顔を合わせることがあれば、よろしく伝えてくれ』
「おい、マロウズ。どうする」
暗い口を開ける遺跡を見据えながら、女剣士ゲルダが尋ねかけた。
「ああ、準備はできてる。行こう」
マロウズは腰を上げると、手紙を畳んで懐に入れた。
と、その時、一行の背後から繁みをかき分ける音と足音が聞こえた。ゲルダは素早く振り返ると、剣に手をかけ音もなく引き抜いた。イアヴァスリルはマロウズの傍に寄り添うと、そっと魔法の杖を構える。マロウズも低く構えたまま、油断のない目つきで藪を見据えた。
足音が近づいてくる。やがて藪から人影が姿を表した。すると、腰の短剣を握る手がふっと緩み、マロウズの顔に笑みが浮かんだ。
「へえ、まさかこんな異郷の地で会うとはな」
「……」
「久々に共同戦線と行こうか、ヘルト」
マロウズの言葉に、寡黙な戦士はにこりと微笑した。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
"片耳の"マロウズ(うぐい)
生まれ故郷であるシャンキナルの都に帰郷するも、復興が落ち着いた頃に誰にも告げず旅に出る。
はるか遠い炎の大地ゾルで、褐色の肌の女剣士と物静かなエルフの女術士を伴って、遺跡を探索する彼の姿を見たと言われている。
ヘルト(英霧生)
かつての仲間リディアとともに各地で冒険を続けており、たまにニンツたちの村に顔を出すらしい。
多くは語らない彼の話を聞くために、村の若者で酒場は満席になる。
ある日、屍者の帝国との戦いで失った剣の新たな刀身を求め、炎の大地ゾルに渡ると言い残して姿を消した。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
「……こうしてワシらは見事、竜を倒し、屍者どもを滅ぼした英雄となったんじゃ」
街道の宿場の片隅で、枯れ枝のような老人が槍を杖代わりに身振り手振りで大げさな語りをしていた。
「じゃが、引退してゆっくりすごそうと村に帰ったワシを待っておったのは、焼け落ちて離散した故郷の姿じゃった。さすがのワシもすっかり気落ちして、あとはお迎えを待つばかり……」
聴衆の輪がぐっと話に引き込まれる。
「……そんなときに出会ったのが、本日紹介するこちら、緑皇ミドリ汁! 厳選された天然野草と有機薬草と脱法ハーブを秘伝のバランスで調合、毎日一包を水に溶かして飲めば、たちまちあふれる神秘の力! 通常価格で1月分金貨500枚のところ、今なら5日分の特別お試しセットを金貨10枚でお届け! ……っておーいみなの衆、どこへ行くんじゃ! 話はまだ終わっとらんぞー!」
呆れ顔で離れていく人々を尻目に、ポル・ポタリアは含み笑いを隠そうともせずにメックリンガーの肩を叩いていた。
「やれやれ、また失敗か。うまくいかんのう」
やがて気を取り直した老人は、先ほどまで二人で目を通していた戦友からの手紙に目をやった。
「にしてもあやつめ、意外に筆まめなところがあったんじゃのう……で。お主はこれからどうするんじゃ?」
「僕ぁね……これまで色々な【お仕事】やってきたけど、教師は未経験なんだよね。教え子たちに囲まれて河原を走るなんてすてきじゃなーい? それに昔から人を見る目には自信があったんだ」
ポルはそういうと遠い目で遥か彼方を眺めやった。その目に不思議な、それでいて怪しげな光が宿っていた事にメックリンガーは最後まで気づくことはなかった。
二人はカザン市への返事の手紙を宿場に預けると、軽く握手をして別れた。
メックリンガーはポルの飄々とした後ろ姿を見送ると、背中の凝った装飾の魔法の杖を小突いて話しかけながら、歩き出した。
「こりゃダーヴィドよ、ちったぁ路銀稼ぎに協力せんか。早々にダルゴン師のもとに返されたくはなかろうて。老い先短いワシの亡き後、お主を託せる勇士を探しておるんじゃからの」
後にエミリアの元へ届いた手紙にはこう記されていた。
『まぁそんなわけで、ワシの旅も、もうちっとだけ続くんじゃ』
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
ポル・ポタリア
人知れず彼は姿を消した。その後彼の姿を見たものは誰もいない。
十数年後「教室」という名の犯罪組織が確認される。構成員は「生徒」と呼ばれ、それぞれの素質に応じた活動を行い、各地に混乱をまき散らした。
……不思議なことに殺人はタブーとされていたようだ。
メックリンガー老(めくり たまえ)
ポルと別れ、一人で放浪の旅に出た。きっと各地で槍を振り回しては、大騒ぎを巻き起こしているのだろう。
後に、背中に魔法の杖を背負った口の減らない老人がドラゴン大陸の東の果てからユニコーン大陸に渡って大冒険を繰り広げているとの噂が流れた。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
コースト市、スラムグリオン魔法学校の近くにある酒場で二人の男が酒を酌み交わしていた。テーブルの上には一通の手紙が広げてある。
「……噂には聞いていましたが、恐怖の街から戻っているとは思いませんでしたよ。それで、最近どうしていたんです?」
穏やかな笑みを絶やさぬまま、片方の男が傍らに大剣を置いた男に語りかけた。
「ああ。戻ったはいいが、レックス砦ももう引き払われているし、また迷宮探索にでも出かけようかと思ってるんだ。万太郎たちと一緒に行くことも考えたんだけどな……お前さんの方はどうなんだ?」
男は話を区切ると相手に水を向けた。
「私は宝石の街バモラ、フルロスガールの小屋、城塞都市ノールゲートを巡っていました。各地で手に入れた宝石や芸術の知識をまとめ、新たな本としてダルゴンの大図書館に寄贈する事ができればと思っているんです。今はちょうど、路銀を稼ぐため……そして素晴らしい宝飾品、財宝に触れるため、大図書館で手に入れた写本に書かれた情報をもとに遺跡探索に向かおうかと思っていたところです」
ソーグの目に鋭い眼光が輝いた。
「詳しく話をしようじゃないか」
「ええ。いい話がありますよ」
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
ソーグ(ふろふき大根)
故郷フォロン島のガル市に戻り、蔓延していたイカサマ賭博を一掃する。
健全な賭博場を楽しむ傍ら、本人はまたカザン帝国に舞い戻っているらしい。
いつか凶悪と名高い〈熊の迷宮〉に挑むため、仲間を探しているそうだ。
アンドレア
芸術家(宝飾細工師)となるために、技術と審美眼を鍛える旅に出た。「魂の籠った本物」の作品を作ることを目的に過ごしているそうだ。
ダルゴンの大図書館にも足繁く通い、知識を探求しており、いずれは図書館長の座を譲られるのではないかとも言われている。
後年、或る魔術師と共作し「魂を込められる(封じる)」作品を作ったと噂される。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
〈大断崖〉を越えた北の大都市タリーマークの宿屋。様々な国々の旅人たちがごった返す中でも、ひときわ奇妙な風体の三人組がテーブルについていた。東洋風の装束の目付きの鋭い男に、左腕がねじれたグレムリンの腕のドワーフ、そして最後の一人はカエル人の戦士ときている。人々は関わり合いはごめんとばかりに遠巻きにしつつも、目立つ三人組にちらちらと視線を送っていた。
「……で、まだアンタの左腕を治せる癒し手は見つからないってわけか」
東洋風の装束の男が酒の小瓶を片手に口を開いた。問われたドワーフは不機嫌そうに頷く。その横ではカエル人がゲロゲロと面白そうに喉を鳴らしていた。
「オレは傭兵として稼げれば文句は無いゾ」
「わかっとるわ。じゃから相応の報酬を払っとるじゃろが」
クリフは憮然とした表情でサマにやり返すと、デュラルの方に目をやり、話題を変えた。
「お前さんの方はどうしとるんじゃ。確かガガック兵長と共に、カザン市に向かったと聞いておったが……」
クリフはデュラルの胸元に鈍く光る、見慣れぬ記章に目をやりながら尋ねかけた。
「ああ、兵長の口利きで宰相カーラ・カーン殿に謁見が叶ってね。レックス砦での功績を認めて頂き、レロトラー陛下直属の密偵に召し抱えてもらったというわけさ」
〈エージェント・オブ・デス〉……泣く子も黙るカザン帝国の親衛隊である。クリフはその悪名を思い出し、背筋を震わせた。そう言えば、テーブルの上に広げられている手紙の差出し主である赤毛の盗賊も、いまはガガック兵長の元で密偵を務めているというが……。
「意外ダナ。お前が宮仕えを選ぶとはネ」
サマが訝しげな様子を隠そうともせずに口にした。
「なぁに、熊野郎どもや屍人使いの連中とケリをつけるには、これまで以上の力が必要になるしな。それにカザン帝国は寛大だ。力さえあれば、誰でも平等に道は開ける」
デュラルの明快な答えに、クリフとサマは顔を見合わせた。
「それでだ。旧交を温めるついでに、ひとつお前らに仕事の依頼があるんだがね……」
デュラルはテーブルの上に身を乗り出して話し始めた。
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デュラル・アフサラール(ジャラル・アフサラール)
マリオナルシスの隠し財宝から、強い魔力を持つ『ロキのブーツ』を入手したのを天命として、カザン帝国〈エージェント・オブ・デス〉に名乗りを上げる。
レロトラー陛下より勅命を受け、カザン帝国のために数々のミッションを成し遂げ、後に"魔眼"と呼ばれる帝国の密偵になったとか、ならなかったとか。
クリフ(中山将平)
グレムリンの左手を治せる癒し手を求めて、北の大都市タリーマークを拠点に探索を続けている。
噂では《荒れ野》に向かって帰ってこなかったとも、両腕ともグレムリンの腕になった姿を見たとも言われている。
サマ
傭兵として、クリフと共にタリーマークを拠点に探索を続けている。
長い時を経て、カエル人の中でも名の通った戦士として、後々まで語り継がれたという。
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念願の我が家に帰って来て、はや3年。スパイディは妻と二人の子どもと共に平和な日々を過ごしていた。
彼の妻エレインは意識を取り戻したものの、〈偉大なる熊神の教団〉で過ごした記憶は全て失っていた。
今も教団の脅威は存在する。それは友人としてときおり家に尋ねてくる密偵がもたらす断片的な情報からも明らかであった。
「そらよ。赤毛の嬢ちゃんからの定期連絡だ」
イェスタフがエミリアからの手紙を手渡してくれる。
「ありがとうございます。……ナミ、ハル。食後のお茶をお出ししなさい」
「はーい、おとうさん」
家族との時間を何よりも大事に思う彼は、復讐などは愚かなことと考えているのだった。
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スパイディ
妻を取り戻し、すっぱりと冒険から足を洗い、家族で平和に暮らしている。
しかし教団の影をまた感じる事が多くなり、遠くの自身の故郷に移り住むことも考えている。
果たして彼らに安住の地は見つかるのであろうか。
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「またこの塔を登るのか」
万太郎とヴェルサリウス27世は、かつて冒険を繰り広げた古代帝国ティグリアの塔を見上げていた。
あれから数年。ようやくドワーフの職人たちによって、第五階層へ向かう崩れた大階段の修復が終わったという報告が入ったのだ。
「万太郎隊長。準備は整ってますよ」
塔の入口から姿を表したドワーフの青年は、数年で随分精悍な風貌になった様子だ。
「兄さん、忘れ物よ」
ヤスヒロンの後ろから、幼さの残るエルフの娘がそっと声をかけた。
「お、おう。すまん、ディニエル」
その様子を見守りながら、万太郎は顔をほころばせた。
「それじゃあ会えたんだな、ヤスヒロン」
足早に二人に近づくと、万太郎はヤスヒロンの肩を叩いた。彼は照れたように頬を緩ませ、生き別れていた義理の妹を紹介した。
と、そこに咳払いの音が聞こえた。
「私に声をかけないとは水くさいではないかね、万太郎くん」
聞き覚えのある声を耳にして振り返ると、いつの間にかヴェルサリウスの横に二人の男女が控えていた。
「カンダック師、クリスティも」
「ヴェルサリウスくんが呼んでくれなければ、せっかくの上階を見損ねるところだったよ」
「あーあ。ウチは正直、もう怖い目には会いとうないんやけどなぁ」
どうやらヴェルサリウスが探索の仲間として雇ってくれたらしい。当の本人は淡々と荷物をまとめると、ひょいと立ち上がった。
「さて、行くゾ」
《はい、我があるじ》
そして彼らの後ろには二体のドールが付き従っている。
「我々はようやく登り始めたばかりだからナ。このはてしなく遠い塔の階段を……」
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無敵の万太郎(岡和田晃)
ドラゴン大陸の各地で冒険を続けながら、古代帝国の塔への挑戦を続けている。
いつしか転移装置や時間操作、転生魔法などの強大な力を得て、生涯を賭してこの塔に関わり続けることを誓ったとされる。
彼の挑戦がその後どうなったか、知るものはいない。
ヴェルサリウス27世(ヴェルサリウス27世)
ドワーフ職人の一団により階段が修復された後、ハンター・ドールと雇い人のカンダック、クリスティを連れて再び塔に戻ったとされる。
その後、幾度となく探索に向かう彼の姿が目撃されるが、晩年にはその消息はようとして知られぬままであったという。
ヤスヒロン(Miriam@orc_lord)
旅路の果てに生き別れの義妹ディニエルと再開する。
やがて冒険で貯めた資金を元手に、探索に挑む探検家向けの店をカザン市で開き、腰を落ち着けたらしい。新米に厳しい頑固親父として引退後も後進の指導に当たっている。
冒険家仲間の居場所として、元レックス砦の戦士たちもよく訪れるようだ。
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伝書鳩が旧友の消息を知らせる手紙を私の部屋に届けてくれる。
私はかつての仲間たちの事に思いを馳せた。
最近ではすっかり返事がなくなってしまった連中だが、どこでどうしているのだろうか……。
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《冬の嶺の炎》バラク=ヘルムハート
流行り病の後遺症でしばらく静養していたが、また戦いを求めてどこかへ姿を消した。
つい先日カザンの闘技場で異例の10人抜きをした赤毛の戦士のサーガを吟遊詩人が歌っているのを耳にしたが、それが彼のことかはわからずじまいだった。
シャオリン
思うところがあったのかソナン・イエに帰ったようだ。
木製人形の「睡蓮」が、レックス砦の跡地に残されていたらしい。
ゲディス
ガガック兵長の元で、傭兵として力を奮っている。
最近では後輩たちが増え、頼もしい先輩として雄叫びを上げているらしい。
イールギット
祖父母と両親を食わせるため、ガガック兵長の元で傭兵として出稼ぎを続ける。
一攫千金が成った暁には除隊したいと思いつつ、機会を伺っている。
アクロス
スラムグリオン魔法学校で司書として働き始める。
カンダック師から無理難題を言い付かっては苦労を重ねているようだ。
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木漏れ日が差し込む森の広場で、赤毛の娘は手に持ったシャベルを使って懸命に穴を掘り続けていた。
「そもそも、知り合いじゃないし……」
エミリアは少し息を切らしながら喘ぐように口にする。
「それに、私を殺そうとした相手を弔う義理なんて、本当はないんだけどさ……」
やがて穴を掘り終えた彼女はシャベルを脇に置くと、額の汗を拭い、軽く息をついた。
「レックス砦を後にした時、たぶん私は戦いの中で死ぬんだろうなと思ってた。実際にそうなったとしても、そんなに悔いはなかったんじゃないかな。最初からその覚悟はできていたから」
誰に言うともなしにそこまで呟くと、彼女はまるで興味がないかのように小首を傾げながら少しの間だけ自分の髪をいじり、それから再び墓穴の方を見て言葉を続ける。
「でもあんたの《死の九番》の魔法を喰らった時、ほんの一瞬だけど、自分の全てが消えて無くなるような感じがして凄く怖かった。私がこの世界にいたって痕跡は、砦の中に残してきたはずなのに、それなのに怖くて仕方がなかった。あの戦いで、皆の中で本当に死にかけたのは私一人だけだったから、ちょっぴりだけ分かるんだ。自分自身がいなくなってしまう事が怖かった、あんたの気持ちがさ」
森は陽の光に照らされ、静寂を守っている。
エミリアは再び髪をいじると、ふぅと息をついた。そしてバックパックの中から真紅のローブの残骸と一冊の書物を取り出すとボロボロの布地で丁寧に包み込んでから、それを静かに穴の底に置く。
「この世に一冊だけの、替えがきかない私だけの宝物だ。栞を挟んだ所から、私の子供の頃の夢とか、結構時間かけて書いた詩とか、お菓子の作り方とか、他人が見たらつまらない事がいろいろ書いてある。それを読んだら、あんたも一つぐらいはやってみたい事が見つかるんじゃないかと思ったんだ。他人に迷惑かけたりしない自分なりの人生の楽しみ方がさ。ただ誰にも見せたりはするんじゃないぞ」
そこで一旦言葉を切ると、エミリアは左手の指にはめた煌く指輪を外し、それから穴の中に片手を伸ばして、折り畳んだ包みの中に指輪を無理矢理ねじ込んだ。
「この指輪は返しておくよ」
エミリアは側に置いたシャベルを手に取ると、自分が掘った穴を埋め直す作業を始める。
やがて遺品の埋葬を済ませると、墓標代わりに近くに転がっていた大きな石を置き、その表面に習い立てのエルフのルーン文字を刻む。エミリア自身は『私はあなたの事を決して忘れたりはしない』と書いたつもりだったが、その文法はことごとく間違っており、実際には『覚えた、そっちは私』としか読みようがない稚拙な一節だった。
しかし、たとえ意味がつながらない言葉でも、自分が何をしようとしたのか、その誠意ぐらいは相手に伝わるだろうと彼女は思った。
次に持ってきた小袋から花の種を取り出し、それを墓標の手前に埋めると、水筒に入れた水を半分だけ地面に撒く。
「こんな辺鄙な所まで、定期的に墓参りに来れるほど私は暇じゃないからな。上手い具合に花が咲いたら、自分で管理しろよ。それから弔ってやったんだから、私の夢の中に出てきたりはするな。……それじゃあな」
立ち上がったエミリアは、片手を上げて別れの言葉を述べると森の空き地を後にした。
彼女がその場所を振り返る事はなかった。
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エミリア
屍者の帝国との戦いが終結した後、その功績にふさわしい報酬を手にして新たな人生を送るかと思いきや、今でもカザン帝国辺境開拓軍に身を置いている。
正式に斥候の訓練を受けた彼女は、任務に赴いた仲間たちが無事に帰還を果たせるように、敵地の偵察や潜入などといった過酷な役目を進んで引き受けているようだ。
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カザン暦1200年ストームライトの月22日
カザン帝国辺境開拓軍
レックス砦所属傭兵
エミリア・イアハートここに記す
本を閉じた。
ここは当時、レックス砦と言われていた遺跡の近くの森の広場である。
数百年が過ぎた今となってはそこに砦があった事など誰も信じぬような、穏やかな色とりどりの花が咲き乱れる場所になっていた。
魔術師風のローブの男は小さな紅い実をつける背の高い巨木のうろから見出した、古びた書物の閉じた表紙を改めて眺めた。
そこには『カザン帝国辺境開拓記 第一部』と飾り文字で記されていた。
「さて、この旅もようやく終わる……」
森を見回しながら一息をついた。野鳥が数羽、紅い実をついばみに枝に止まる。
静かな光景を眺めるともなく目をやっていた男の脳裏に、不意に衝撃が走った。
「いや待て……第一部?……第一部だと。つまり……」
彼は苦虫を噛み潰したような顔を取らざるを得なかった。
それはつまり、第二部以降も存在する可能性があるという事。
「ええい、忌々しい。……ダルゴン師にご報告せねば。ダルゴンの大図書館には完璧な蔵書が必要なのだ」
男は苛立ちを隠せず、書物を背嚢に放り込むと荒々しく立ち上がった。
せっかく自由の身を取り戻したというのに、もう愚か者呼ばわりは御免こうむる。小さく舌打ちをすると彼は足を踏み出した。
そうして、私の探索の旅は再びはじまったのである。
『カザン帝国辺境開拓記』第一部
〜完〜
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