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2025年7月31日木曜日

ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイvol.2 FT新聞 No.4572

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ローグライクハーフ『写身の殺人者』リプレイ vol.2

 (東洋 夏)
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 FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!
 東洋 夏(とうよう なつ)と申します。

 本日はサン・サレンが舞台のd33シナリオ『写身の殺人者』のリプレイ小説をお届けいたします。
 製本版『雪剣の頂 勇者の轍』に収録された、サン・サレン四部作のひとつです。
 ファンメイドのリプレイとなりますが、お楽しみいただけましたら幸いです。
 
 さて、前回は冒険のはじまりをお届けいたしました。
 サン・サレンの街を悩ませる飛び切りの悪夢。自分の姿をした何者かに殺される夢を見て、その後、現実でも殺されてしまう。そんな気味の悪い事件が連続しているところに居合わせた十二歳の見習い聖騎士のシグナスは、昨夜ついに同じ悪夢を見てしまいました(そして、おねしょをしました)。自分の身に迫る危機を前に、主人ノックスの助けを借りず、自ら捜査に乗り出すことにしたシグナス。不思議な喋る剣・クロを相棒に、果たして悪夢殺人事件を解決することはできるのでしょうか?
 
 なお、ここから先はシナリオのネタバレを前提に記述します。プレイするまで内緒にしておいてくれという方は一旦この新聞を閉じ、代わりにシナリオを開いてサン・サレンにお出かけいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 それでは主人公紹介、そして捜査の記録をお読みいただきましょう!
 
 
 [主人公紹介]
 
(1)シグナス(12歳、人間、男性、レベル7、聖騎士)
・技量点:0
・生命点:6
・筋力点:3
・従者点:9

・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】
・持ち物=見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧、金貨10枚、食料2個
 
◆作成コンセプト:従騎士(見習いの騎士)であることを念頭に、半人前の冒険者ということで初期レベルを7に設定しています。初期経験点は7で計算。未熟なので技量点も0スタートにしてみました。しかし聖騎士について鍛錬を積んでいるので、聖騎士としてのスキルは一応発揮できるよという設定です。ちなみにレベル7スタートは、基本ルールにはない、オリジナルの処理となります。
 

(2)クロ(?歳、おどる剣、男性、レベル10、炎属性)
・技量点:1
・生命点:6
・器用点:6
・従者点:7

・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】
・持ち物=金貨10枚 (※〈おどる剣〉は食料を消費できず、初期の持ち物は金貨のみ。また装備品を所持も装備もできない)

◆作成コンセプト:ヒーローズオブダークネスの種族が紹介された折、「半人前の少年を導く喋る剣」というファンタジーの王道のようなことが出来るなあと思って温めていたコンビです。本来はチャマイ製のゴーレムなのですが、少し捻らせていただいて「元は人間だったと主張している」という設定を付与しました。
 
 
 ※ヒーローズオブダークネス(HoD)についてはこちらをご参照ください。
 https://ftbooks.xyz:443/ftwiki/index.php?%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%8D%E3%82%B9

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
 
[探索記録1]21:薬局


 洗濯係は金貨を見せるなり笑顔になったので、シグナスの不安はひとつ消えた。急ぎ足で部屋に取って返し、鎧と分厚い毛皮のマントで、危険な外出にふさわしい装いを整える。
「これでいいかな、クロ。変じゃない?」
「子熊としては立派な仕上がりだぞ」
「褒めてないじゃんか!」
 シグナスは口を尖らせながら、〈おどる剣〉クロとは別の剣を一振り持って、部屋を出た。こちらは喋りも動きもしない金属製の、平凡な剣である。
 屋敷の廊下も寒かったが、街なかは輪をかけて冷え込んでいる。春先なのに小雪がちらついており、街路の左右には掻き上げられた雪がシグナスの背丈よりも高く積み上がっていた。遠景には万年雪をいただくスォードヘイル山脈が見え、剣先の如き峰々は真っ白に輝いている。
 サン・サレンの街並みは、シグナスが慣れ親しんだナリクの景色とは全く違って、全てがもの珍しかった。従騎士には雑務が多く、街をじっくり眺めるのは初めてである。
「ドルツ石の線路も見てみたいね、クロ」
「物見遊山じゃないんだぞ」
「社会勉強って言うんだよ」
「ふん、口だけは達者に育ちよって」
 さてどこから調査すべきか、と周りを見渡したシグナスの目にとまったのは『アグピレオ薬局』の看板だった。アグピレオと言えば領主様お抱えのお医者さんで、今朝方も屋敷で見かけている。領主の悲鳴を聞いてシグナスが駆けつけた時、騎士の先輩たちと話し込んでいたのはアグピレオ先生だった。悪夢についての詳しいことが聞けるかもしれない。
「クロ、ここから行ってみるね。〈お静かに〉の姿でお願い」
「分かっている」
 ゴーレムの〈おどる剣〉は誰もが知っている種族だけれど、本人たち──本剣たちの数はと言うと、極めて少ない。なのでいきなり剣が口を開くと、びっくりされてしまう事があるのだ。ナリクなんかでは、悪魔みたいだって悪口も言われる。だからシグナスとクロの間では、喋ってはいけないときの合図を決めてあるのだった。
 薬局に入ってみると、折りよく客はいなかった。
 出て来た下働きと思しき人に、
「すみません、アグピレオ先生はいらっしゃいますか? あの、ナリクの聖騎士の遣いで来たシグナスと申します」
と告げた。主人の行方も聞いてみようと思っているから、嘘をついた訳では無い。
 奥に通されたシグナスは、宮廷医アグピレオの穏やかな顔にほっとした。お医者さんというのは怖いものだと思っているので、怒られたり尻を叩かれたりするのでは、と戦々恐々だったのである。
「夢を見てしまいましたか。それは困りましたね」
 アグピレオ先生はシグナスにもハーブティーを淹れてくれた。陽だまりの草原のような香りがして、草原の多いナリクで育ったシグナスは心から安らいだ。
「これ、ご領主様がお飲みのものと同じですか?」
「少し変えてあります。大人と子供では、体も心も働き方が異なりますからね。決して馬鹿にしている訳では無いのですよ。シグナス殿のお年頃は大人よりも感受性が高いので、同じものだと作用が強すぎる恐れがあるんです」
 シグナスは、アグピレオが子供だからと手を抜かずに説明してくれる態度に感激した。領主様からも街の人からも信頼されて、ハーブティーが良く売れているという話も納得である。
「ところで、聖騎士の方からご用命とか?」
 あっ、とシグナスは声に出してしまった。ハーブティーに癒されて、本来の目的を見失いかかっている。
「えっと、サー・ノックスをお見かけしていないでしょうか。黒髪で、前髪が右側だけこう長くて」
「ああ、こう……」
 アグピレオ先生が、目が隠れるほど前髪を伸ばした主人の髪型を真似したものだから、思わずシグナスはハーブティーを噴き出してしまうところだった。
「いやはや、今のは黙っておきますよ。しかし残念だが、君のご主人の事はお見かけしていないな」
 悪夢のことを調べるなら、まず宮廷医には声をかけるだろうとシグナスは読んでいたが、空振りのようである。がっかりした様子があからさまだったのだろう。アグピレオ先生は、
「見かけたら、君が探していたと声をかけておくよ」
と気遣ってくれた。
 
 
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 
 今回のリプレイは、ここまでです。
 記念すべき最初のイベント「薬局」は【休憩】して生命点と副能力値を回復出来るイベントですが、何の消耗も無い初手で来てしまいました。ちょっと勿体ないと思いつつ、シグナス君がリラックスできたので良い事としましょうか。初めてのお仕事って緊張しますもんね。しかも命懸けですからね。
 ただ、肝心の事件の概要について情報が聞き出せなかった(フレーバーテキストに記述がない)のが少々引っかかるところ。捜査協力者とはいえ、他国の騎士にほいほい内部情報を渡したくはないというお気持ちでしょうか。地道に足で稼いでいくしかなさそうです。
 
 それではまた木曜日にお目にかかりましょう。
 良きローグライクハーフを!
 
 ◇
 
 (登場人物)
 ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。殺人者の悪夢を見ておねしょした。
 ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉。元は人間かつ騎士だと主張している。
 ・ノックス…シグナスの主人。超が付くほど厳格な聖騎士。
 ・ベルールガ…ノックスの同僚の聖騎士。優しい。
 ・サン・サレンの領主…殺人者の悪夢に苛まれている。
 ・アグピレオ…領主付きの医師。心が落ち着くハーブティーの売り上げが好調。

■作品情報
作品名:『写身の殺人者』
著者:ロア・スペイダー
イラスト:海底キメラ
監修:杉本=ヨハネ、紫隠ねこ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/6820046
『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録


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2025年7月30日水曜日

第3回【竜鍵諸島の露店祭〜フェスティバルだよ大集合!〜】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4571

第3回【竜鍵諸島の露店祭〜フェスティバルだよ大集合!〜】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「竜鍵諸島の露店祭〜フェスティバルだよ大集合!〜」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


ぜろです。
ローグライクハーフリプレイ「竜鍵諸島の露店祭〜フェスティバルだよ大集合!〜」をプレイしています。
竜鍵諸島の町マックルーで開催される露店祭のスタンプラリーに参加して、お祭りを楽しんじゃおう、というのが今回の目的です。
一緒にスタンプラリーを巡るのは、竜人の女性ヨアケさん。最初のお店でふたりして見事に酔っぱらい、意気投合しました。
この露店祭、裏ではなにやら不穏な陰謀もあるようですが、そんなこと知ったこっちゃありません。
とにかく祭りを楽しもう、それだけ。
では今回も、露店を巡ってスタンプを集めましょう。


【ポストん レベル11 技量点:1 生命点:6/6 器用点:6 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(斬撃)
シノビ装束(生命点+2 器用ロール+1)

【食料】0
【金貨】6
【ホム】6

【持ち物】
1 火亀鍋 食料消費時に全員回復
2 黄金魚

【未使用経験点】0

【従者】
黒子(弓兵)【射撃+1】

【同行者】
ヨアケ:技量点:1 生命点:6/7 筋力点:3/4
【全力攻撃】【全力防御】【かばう】
【装備】
両手武器(サンゴの槍)(斬撃)(攻撃+1)
板金鎧(生命+2 防御+1)


●アタック01-6 ポストんとドルルドルルレース

【22 ドルルドルルレース】

ここはドルルドルルレースの会場だ。
ドルルドルルレース。

名前の響きがちょっとデジャヴる。
あれはそう、ゲームブック「マドレーンの海域」だ。
そこには「ポルルポルルレース」なるものがあった。
ポルルポルルという飛べない鳥をレースで競わせ、勝敗を当てるという競馬や競艇を思わせる内容だった。

では、こちらのドルルドルルというのは、どういう生き物?

ドルルドルルは、トンネル掘りを得意とする家畜とのこと。
この瞬間にイメージはモグラに確定。
そういえば名前の響きも、土を掘る擬音のイメージっぽい。
ドリルでルンルン。

ここではホムを支払うことで、どれか1匹に賭けることができるという。
やはり競馬系のイベントだったようだ。

ホムなら持ってる。参加可能だ。
選べるドルルドルルは次の3匹。

レースマッハ 速さを追求。スピード命。能力5。
ドンゴット タフネスで度胸がある。能力3。
スターゴッテス 脚は遅いが頭が光る。能力1。

サイコロを1個振って、能力を足した結果で順位が決まる。
もちろん、有利なものほど配当は低い。レースマッハなど勝って当然だからだ。
だが、ほぼ勝ち目のない鈍足のスターゴッデスにも勝ち目はある。
スターゴッデスのサイコロの出目が6だったとき、特殊技能「ワープ」をきまぐれ発動して、必ず勝利するのだ。

さて、どれに賭けるかだけど。
そんなの、決まってるよね。

スターゴッデス一択だだだ!
考えてもみてほしい。
これがシリアスなシナリオの中の出来事で、金銭管理もシビアなら、別の考えもあるだろう。
けれど今私は、祭を楽しみに来ているのだ。

ならばこの中で一番楽しめるのはどれか。
勝ち目は薄いが一発逆転あり。しかも高配当なスターゴッデス。
それ以外にどれを選べというのか。

というわけで、スターゴッデス、君に決めた!

賭けがまとまったら出走だ。
ドルルドルルのレースってのはどんななんだろう。
やっぱり土に潜って、進むのだろうか。
見えない。実況できない。

あれかな。漫画的表現で、土の上にもこもこと跡がついていくやつ。
あんな感じで土中を進むイメージでどうか。そうだそれでいこう。

出走!!

レースマッハがサイコロの出目4を出した。能力を合わせて9だ。
ドンゴットがサイコロの出目6を出した。能力を合わせて9だ。

あれ、これ優勝者が引き分けた場合、どうなるんだろ。
そこまでの説明はないな。

さあ、我らがスターゴッデスの番だ。
先の2匹とも9。もうすでに、普通の出目では絶対に勝てない。
クリティカルワープ以外での勝ち筋はない。

サイコロを振る。
結果は……6だった!!

なんと、いきなりワープしてゴールへ。
スターゴッデス、優勝!!

こうした私は、1ホムを賭けて6ホムの配当を得たのだった。
最高の結果だ!


●アタック01-7 ポストんとドーナツ

【23 ジキとエッダの薬草茶】

「お疲れさま。がんばっているようだね。一休みしていきなよ」

声をかけられた。
2人の樹人だ。森の薬売り、ジキとエッダ。
木の葉のような頭髪のある頭から、両側に枝が生えている。
普段は薬売りをしている2人だが、今日は薬草茶を提供しているという。

ここでは、休憩して生命点と副能力値が回復できる。
それだけでなく、スタンプラリーのポイントでもある。
何もしなくてもスタンプゲットだ。

2人の樹人はイラストを見ると、魅力的な造形だ。
もっといろいろ活躍させたいところだけれど、ここでできることは回復だけだった。
私たちは、しばらく樹人の2人とのおしゃべりを楽しむと、席を立った。


【33 キラードーナツ】

さあ、のんびり休息を取った後は、激しいバトルが待っている。
それは新作ドーナツの大食いバトル!

うーん。私は大食い系はあまり好みではないのだけれど。
ここまででけっこうつまみ食いもしてきたし、この先だっていろいろ食べ歩きたい。
それをここで胃袋を使い潰してしまうのはちょっと気が引ける。

別に無理に勝負しなくても、ちょっとだけ味見させてもらおうかな。
そう思ってドーナツを1個つまむと、おいしい。

ルモーイさんのドーナツショップはけっこう人気のお店みたいだ。
そこの新作ドーナツで大食い大会をするなんて、やっぱりもったいなくない?

あまりのおいしさに、もう1個と手を伸ばす。
その時、信じられないことが起こった。

突如ドーナツに手足が生え、私の手が振り払われたのだ。

「我ら新作ドーナツ、かような大食らい大会なんぞで食べつぶされてたまるものか!」
「立てよ同胞! 怒れよ同胞! 今こそ反撃の時!」

次々と手足が生え、覚醒していくドーナツたち。その姿はさながら円盤人。
そう、覚醒した彼らはキラードーナツというクリーチャーなのだ。

ちょっとちょっと、ルモーイさーん。
新作ドーナツたちが反乱を起こしてますよー。

しかしルモーイ氏は、ドーナツを揚げるのに余念がない。
こっちの状況に気づいてさえいない。

これはまずいぞ。つまり、次から次へとキラードーナツが作り出され続けるということじゃないか。

ひとまず、目の前で暴れている一団をなんとかしよう。
ところで、このキラードーナツ、【アンデッド】に属するクリーチャーらしいんだけど。
動き出したところで十分アレだけど、そのうえアンデッドとか言われると、食べる気なくすなぁ。

【キラードーナツ 出現数4 レベル4 攻撃回数1】

さて、この大食い大会に参加していたキャラクターは、おいしいドーナツを食べたことにより生命点1点を回復できる。
そのかわり、満腹すぎて、攻撃と回避にマイナス1のペナルティを負ってしまう。
私は、まともに勝負はしていなかったので別に満腹にはなっていない。
しかしつまみ食いとはいえ大会に参加しているため、ルールにのっとってペナルティは受けておこう。
きっと、ドーナツが動き出したのを見て、自分の胃の中で暴れる未消化のドーナツでも幻視して、気分が悪くなったに違いない。

まずは0ラウンドの先制攻撃で、手元のキラードーナツ1体をはたき落とした。
黒子が影から飛び出して攻撃するが、そちらは外してしまった。

残り3体から通常の戦闘ラウンドスタートだ。
ヨアケが1体を叩く。
これで残り2体。半分に減らしたが、キラードーナツは戦いをやめる気配がない。
それもそのはず、彼らは常に【死ぬまで戦う】なのだ。
彼らにとっては、この戦いは、食うか食われるか。生死を賭けた戦いなのだ。
もう食べる気ないけどな。

残る2体が私とヨアケに攻撃してくるが、レベル4の相手なら、回避の可能性は十分ある。
2人ともうまいこと、回避に成功した。
そして次のラウンドで、その2体もはたき落として動きを止めたのだった。

しかし、まずいな。
今のは手近な一団を叩いたにすぎない。
会場全体のキラードーナツをどう対処したものか。

と、そんな時だ。

「はいはーい。次のが揚がったよー」

能天気な声とともに、ルモーイ氏が次なるおかわりドーナツを大皿に乗せて会場に現れた。
それを見るや否や、キラードーナツたちはひゅんっと手足をひっこめて、元のドーナツに戻ってしまったのだ。

どうやら彼ら、創造主のルモーイ氏には見られたくないらしい。

「あの…俺…棄権します」「ワイも」「アタイも」

大食い大会の参加者たちが、次から次へと棄権していく。
無理もない。あんな場面を見て、さらにドーナツを食べて勝負を続けようなんて人はいない。

「おやおや、そうなのかい。新作ドーナツのいい宣伝になるかと思ったのだが」
「いやいや、やっぱりドーナツは味わって食べなきゃ」「そうそう、もったいないですから」

こうして大食い大会はうやむやになり、この場所は、新作ドーナツの試食会会場となったのだった。
大食い大会の参加者たちは、そのままその場を去り、やがてそこは、試食会めあての客でにぎわっていった。
キラードーナツたちも、味わって食べてもらえるのなら本望なのだろう。その後騒ぎになることはなかった。

私たちは、一応宝物判定で金貨3枚を得た。
キラードーナツたちが持っているわけがないので、きっと騒ぎの混乱で落ちていたお金を発見したのだろう。


●アタック01-8 ヨアケと異次元キャッチャー

【中間イベント2 トットマックの異次元キャッチャー】

外の特設会場では、なにやら特別なイベントで大盛り上がりをしているようだ。
そこでは、この露店祭の主催者、トットマックが楽しげに実況をしていた。
それは、巨大なUFOキャッチャー?

いやいや、そんな生易しいものでは断じてない。
無重力に浮かぶプライズ宝箱を、キャッチャー役とクレーン役との2人1組になってゲットしようという、いわば人間キャッチャーなのだ。

「やりたいやりたい。あれやりたい!」

なぜかヨアケがものすごく乗り気になっている。
プライズ宝箱への反応がすごい。
私は聞いていないので知らないことなのだが、実はヨアケは元海賊。
海賊から転身して魚屋さんになったという筋力キャラなのよね。宝箱に目を輝かせるのはそのへんがあってのことなのだろうね。
私は知らないけど。

こういうときは、まずはルールを確認してみよう。
確認したところ、キャッチャー役は器用キャラか幸運キャラが向いていて、クレーン役は筋力キャラか魔術キャラに向いているということのようだった。

つまり、キャッチャー役を器用キャラの私、クレーン役を筋力キャラのヨアケがやるのが適任ということになる。
が、ヨアケは直接賞品をゲットできるキャッチャー役がやりたかったらしく、不満そうだ。

まあたしかに、通常のUFOキャッチャーなら、アームの力が弱すぎて持ちあがらないということはよくある。
キャッチャー役には筋力キャラこそ適任かもしれない。いざプレイしたら筋力が必要だったりして。

なんてことを考えもしたが、ルールは嘘をつかない。確実にいこう。
最終的にはヨアケも納得した。

ちょっと待っててね、私がキャッチャー役になるには、この重力おパンツ脱がないと。

キャッチャー役の私がワイヤーをつけられ、無重力空間に放り込まれる。
目標値5の器用ロールをする。これはクリティカルで成功した。
なるほど、こうやって無重力を漂っていると、プライズ宝箱を取るにはかなりの細やかさが要求されることがわかった。
これは器用さが必要だ。筋力キャラでは、宝箱をキャッチするところがまず壁だろう。

さあ、宝箱を手に入れたら、次はクレーン役のヨアケが私を引き上げれば良い。
実際のUFOキャッチャーと違ってアームが弱くて落ちるなんてことはありえないから、よほどの手違いがなければ大丈夫のはずだ。
ヨアケの筋力ロール、目標値は4。
サイコロの出目だけで4を出して成功だ。

と、無重力地帯を脱した瞬間にずっしりと重みがきた。
危うく宝箱を落とすところだった。これがアームの弱さに相当するトラップだったのだろう。
私はがっちりと宝箱を挟んで離さず、ついにプライズ宝箱をゲットしたのだった。

ヨアケとともに、わくわくしながら宝箱を開けて宝物判定。
中身はノーマル品で、宝石(金貨20枚)だった。
ちなみに、宝石箱のほかは、砂が詰まっていた。それで重みを増してたのか。

ヨアケは、お宝をゲットすることに意味を見出していたらしく、この宝石は私にくれるとのことだった。
そこはありがたくもらっておこう。

次回もたたかう露店祭。


【ポストん レベル11 技量点:1 生命点:6/6 器用点:6 従者点:8】
【装備】
シュリケン(弓矢扱い)
忍者刀(斬撃)
シノビ装束(生命点+2 器用ロール+1)

【食料】0
【金貨】6→9
【ホム】6→11

【持ち物】
1 火亀鍋 食料消費時に全員回復
2 黄金魚
3 宝石(金貨20枚)

【未使用経験点】0

【従者】
黒子(弓兵)【射撃+1】

【同行者】
ヨアケ:技量点:1 生命点:6→7/7 筋力点:3→4/4
【全力攻撃】【全力防御】【かばう】
【装備】
両手武器(サンゴの槍)(斬撃)(攻撃+1)
板金鎧(生命+2 防御+1)


■登場人物
ポストん 宇宙忍者。おパンツ大好き。マックルー滞在中に露店祭に参加する。
ヨアケ 竜人の女性。ポストんと一緒に露店祭スタンプラリーの攻略を目指す。
キモリコ マックルーのお騒がせキャラ。祭りに乱入した。
測量三銃士 器用さと魔力と運とで測量を行う測量士たち。
トットマック この露店祭の主催者。ステージ上で一緒に盛り上がっている。
ルモーイ 味に定評のあるドーナツ屋さん。丁寧に作りすぎてドーナツに魂が宿ってしまった。

■作品情報
作品名:「竜鍵諸島の露店祭〜フェスティバルだよ大集合!〜」
著者:ロア・スペイダー
監修:杉本=ヨハネ
原案・設定:海底キメラ


ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946

竜鍵諸島 〜フェスティバルだよ大集合!〜
https://booth.pm/ja/items/5331098
※「竜鍵諸島の露店祭〜フェスティバルだよ大集合!〜」が収録されています。

本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


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2025年7月29日火曜日

『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.6 FT新聞 No.4570

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『スーパーアドベンチャーゲームがよくわかる本』 vol.6

 (田林洋一)
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 FT新聞の読者のあなた、こんにちは、田林洋一です。
 全13回を予定しております東京創元社から出版されたゲームブックの解説「SAGBがよくわかる本」、6回目の記事を配信いたします。今回と次回の7回は日本が生み出したゲームブックの申し子「鈴木直人」の諸作品を扱います。6回は『スーパー・ブラックオニキス』を中心に解説します。
 なお、本連載はSAGBとして東京創元社版のみを検討・分析する記事とさせて頂いておりますので、後に別会社から出版された復刻版・改訂版など(今回では『ブラックオニキス・リビルド』)については取り上げていないことを予めお断りいたします。
 
 本連載は「名作」と呼ばれるものを最初に集中的に扱っている関係上、連載の後半になるに従って厳しい批評が多くなりますこと、ご寛恕ください。作品そのものを全否定する意図は全くないことをご理解いただければと思います。「私はそうは思わない」という感想がございましたら、ぜひともお寄せいただければ嬉しく思います。
 
 毎回の私事ではありますが、アマゾンにてファンタジー小説『セイバーズ・クロニクル』とそのスピンオフのゲームブック『クレージュ・サーガ』を上梓しておりますので、そちらもご覧いただければ嬉しく思います。なお、『クレージュ・サーガ』はこの記事の連載開始後に品切れになりました。ご購入くださった方には、この場を借りてお礼申し上げます。

『セイバーズ・クロニクル』https://x.gd/ScbC7
『クレージュ・サーガ』https://x.gd/qfsa0

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6.日本人作家最高峰の作品 -鈴木直人の世界(その1)

主な言及作品:『スーパー・ブラックオニキス』(1987)
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 「ドルアーガの塔」三部作で鮮烈なデビューを果たした鈴木直人は、その後も優れた作品を残し、日本のゲームブック作家として最も成功した人物の一人である。鈴木直人の作品が傑作の地位をほしいままにしているのは、圧倒的な文章力、表現力に加えて、面白いゲームを構築するというゲーム作家としての二つの素質を高レベルで備えているからであろう。ゲームブックを作成するのが小説やゲームを作るよりも遥かに難しいのは、単に一つの才能に特化するだけでは足りないという点、即ち、マルチな才覚が要求される点にあると思われる。ここでは、鈴木直人の作品のうち、執筆順としては「ドルアーガの塔」三部作に続く『スーパー・ブラックオニキス』を検討してみよう。
 
 『スーパー・ブラックオニキス』は、同名のパソコンゲームを原作・下敷きとしているのは「ドルアーガの塔」とほぼ同じだが、内容は(やはりアーケード版やファミコン版「ドルアーガの塔」と同じく)大幅に異なる。完成度という点では他の国産のゲームブック、そして海外の作品と比べても群を抜いていて、今でもゲームブックの最高傑作と評されることも多い。
 放浪の戦士テンペストが、呪われた街ウツロで仲間を集めて秘宝ブラックオニキスを探し出すというのが物語の筋書きだが、単純な宝探しに終わるわけではない。宿敵マサイヤとの手に汗握るドラマチックな戦いや緻密に計算された豊富な謎解きなど、随所に飽きさせない仕掛けがされていて、単純な迷路や意味のないイベントなどは全くない。ここまで濃密かつ細部にまで配慮が行き届いた、隙のないゲームブックも珍しい。
 独特のストーリーや雰囲気を特徴づけているのは、原作のパソコンゲーム「ザ・ブラックオニキス」が、海外出身のゲームプログラマーであるヘンク・ロジャースが日本で制作・販売したという「ハイブリッドな」ゲームという要因もあるだろう。原作では各キャラクターの数値が固定化されており(これは後述するように、ゲームブック『スーパー・ブラックオニキス』のプレイヤーキャラクターが「盗賊」や「魔術師」、「聖職者」など、確固たる役割(職業)を担っていることに反映されている)、出てくるモンスターがファンタジー的な魔物に加えて、自然界に存在する動物も頻出するなど、他のゲームとは一線を画する特徴を備えている。

 『スーパー・ブラックオニキス』の興味深いところは、主人公側が四人パーティで臨むという点だろう。最終的には最初の戦士テンペスト(A戦士)、盗賊のバムブーラ(B戦士)、魔法使いのシモン(C魔術師)、そして聖職者タラミス(D戦士)という個性溢れる四人が集合するが、「誰を仲間にするか」も主人公側の決断に委ねられている。例えば最初に仲間になるバムブーラには(そしてシモンにも)候補が三人おり、名前こそ同じだが全くの別人物という設定で、それぞれ能力値や特殊能力が異なっている。つまり、プレイヤーはそれぞれの「バムブーラ」と「シモン」を仲間にできるというわけだ。唯一タラミスだけは固定だが、この美人戦士の加入を喜ばないものはいないだろう。
 基本的に、こちらのパーティが一人(テンペストのみ)の場合はレベル1の迷宮、バムブーラと組んだ場合にはレベル2の迷宮、という具合に探索が行われることになるが、作者があとがきでも述べているように、誰かが死ぬだけでゲームオーバーになるわけではなく、また主人公のA戦士テンペストだけが生き残れば残りは全滅してもいい、というような冷酷なシステムにもなっていない。四人のうち誰か一人でも生き残っていれば冒険が継続できる(ゲームオーバーにならない)という寛大かつ計画的なシステムを採用しているのだ。
 この辺りは、ちょうどコンピューターゲームの「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズに似ている。もっとも、双葉社から1987年に出版されたゲームブック『ドラゴンクエストII』(上)(下)は、仮に仲間が死んでも生き返らせればそれでゲームが続けられる仕様になっている(仲間が死亡状態の場合は、冒険を一時的に中断し、仲間を寺院などで復活させるために急いで町や城まで戻る必要がある)一方で、主人公が死んでしまえばそれで終わり、というシステムを採用している。
 これは、双葉社版『ドラゴンクエストII』が「パーティキャラクター全員が生きていることを前提としたストーリー構成」であることもその理由の一つだろう。当時のファミコンは容量やスペックの都合で、どうしても「キャラクター同士の掛け合い」や「会話」といった側面が削ぎ落とされていた。双葉社のファミコン冒険ゲームブックは、ファミコンでは表現し切れなかったキャラクターの関係性を前面に押し出した結果、「常に三人のパーティで進行する」という展開に立脚することになったのではないかと思われる。
 
 「主人公が複数」というシステムはファイティング・ファンタジー・シリーズの第四巻『さまよえる宇宙船』でスティーブ・ジャクソンが採用しているが、着陸した惑星を調査する場面では双葉社版『ドラゴンクエストII』と同じく、「主人公が仲間を連れて行動する」というルールを用いている(安田均はこのシステムの複雑さと作品の量が折り合わないことから『さまよえる宇宙船』を「失敗作」と断じている(『ファイティング・ファンタジー・ゲームブックの楽しみ方』p. 116-117))。もっとも、『さまよえる宇宙船』は主人公である船長が生きていれば残りのメンバーに欠員が出ても冒険を継続できるので(パーティ全体の特殊能力は限られてしまうが)、双葉社版『ドラゴンクエストII』よりも現実主義なところがある。
 また、双葉社版『ドラゴンクエストII』の能力値が一人分(パーティ全体を一つの単位として扱う)であるのに対し、『さまよえる宇宙船』では科学官や警備員にまで固有の能力が付与されている。つまり、『スーパー・ブラックオニキス』と同じシステムになっているのだが、『さまよえる宇宙船』はパラグラフ数が三四〇しかないのに対し、『スーパー・ブラックオニキス』は六〇〇とほぼ倍の分量である。
 
 前者は設定しなければならないパーティメンバーも多く、やや複雑で皮相的なパーティプレイになる危険性も秘めているが、逆に言えば、より細かなデータをプレイヤーキャラクターに落とし込むことで、ゲームとしてのリアリティ(各個人の特性)をゲームシステムに反映させたパイオニアとも捉えられる。因みに、同じファイティング・ファンタジー・シリーズの第十六巻『海賊船バンシー号』は、複数いるであろう船の乗組員に個別にデータを付与することはせずに、(主人公とは別に)乗務員をまとめて一塊とみなし、「襲撃力点」と「戦力点」の二つの数値で能力を表している。
 その一方で、後者『スーパー・ブラックオニキス』は壮大なボリュームと同時に、きめ細かく練られて使われているシステムが濃密なストーリーとうまくマッチしている。『スーパー・ブラックオニキス』は、『さまよえる宇宙船』のパーティーシステムを改良した、非常にバランスの良い構成になっているのだ。

 要の戦闘ルールは、「ドルアーガの塔」三部作と『ドラゴンバスター』両者の利点を取り入れた内容になっている。キャラクターごとに攻撃力(戦力ポイント+武器ポイント)と防御力(防御力ポイント+防具ポイント)が設定されており、サイコロを二つ振って出た目に攻撃力を加え、やはりサイコロを二つ振って出た目を相手の防御力に足した数とを比較する。体力ポイントの概念は主人公側にはあるが敵側にはなく、基本的に攻撃が一回当たれば敵は死ぬ。具体的には、怪物チェックと呼ばれる空欄のボックスがあり、攻撃が当たるとチェックを加えることで「敵の死」を表し、「敵があと何匹生きているかどうか」が分かる仕組みになっている。よって、敵が単体で出現した場合には(一度当たれば敵は死亡するので)怪物チェックを用意する必要がない。
 外すと相手が攻撃してくるが、仮に敵の攻撃が当たったとしても敵のダメージポイント分の点数を体力ポイントから引くだけで、再び自分の攻撃ターンが回ってくる。つまり、戦闘においては圧倒的に主人公側が有利なように設定されているのだ。もちろん例外はあって、体力が極めて高い敵については一体につき複数の怪物チェック(つまり、特定の敵は通常の雑魚敵よりも体力が高いことを示す)を要求されることもある。
 これは、このゲームブックの難易度が非常に高いこととも関係している。他のゲームブックと違って主人公側の体力ポイントは低めで、しかも体力を回復する手段が極めて限られている(ウツロの街では、体力を回復する方法が宿に泊まるか食事をするかくらいである)。初期装備も甚だ貧弱で、また金銭的にもあらゆる場所で金策を練っておかないとたちまち破産する。敵も単体で出現することは少なく、たいていは徒党を組んで襲ってくるので、戦闘でも苦戦することになるだろう。

 戦闘において、敵は一撃で死んでくれるが味方は体力ポイントを削られていくだけというルールは賛否両論があるだろう。手順が単純化されて戦闘システムが進めやすく、また敵を一刀両断するという爽快感が味わえるという利点はあるが、逆に敵の耐久力を無視するという点ではリアリティを損なうからだ。例えば、攻撃力はたいしたことはないがタフな相手(ゾンビなど)、逆に攻撃力は凄まじいが一瞬で死んでしまう敵(巨大クモなど)のように、敵を個性化することができない。つまり、細かい敵の能力を戦闘に反映できないという欠点があるというわけだ。
 これに対する反論は当然あり、前者のゾンビのような敵は防御力を極めて高くすればいいという意見もあるだろう。リアリティとゲーム的な煩雑さの軋轢をどうなくしていくかという問題は、ゲームブックだけでなく等しくRPGという形式のゲーム(コンピューターゲームやテーブルトークRPGを含む)に共通していると言っていい。例えばコンピューターゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズは、徐々に主人公側の能力値が上がっていくことで成長を楽しむことができるが、かよわい女性や子供のキャラクターでもレベルを上げれば、低レベルの筋肉マッチョの男戦士よりも能力値が上回ってしまうという事態が往々にして頻出する。これはゲーム的にはレベルで成長を感じさせるという点で優れているが、リアリティという点では相反する。
 どのようなシステムを採用するにしても一長一短があるが、『スーパー・ブラックオニキス』は『ドラゴンバスター』などと同じで、一撃で敵を倒せる爽快感に加えて、敵の側にも「攻撃力」と「防御力」を差異化させることで体力ポイントをこの二つに内在化させ、(プレイヤーを必要以上に戦闘に拘束させない)ゲーム的に自然な流れを作り出したように思われる。このように、そのゲーム的効果は極めて高いレベルで保持されている。

 また、双方向移動の常としてフラグ管理の問題があるが、『スーパー・ブラックオニキス』ではチェックリストという『ネバーランドのリンゴ』の「キーNo.」に近いシステムをとっている。この辺りは、鈴木直人が「ドルアーガの塔」の鐘などに代表されるアイテムの捨象問題を改善させたことが示唆される。アイテム名もいちいち記録する必要がなく、アイテムの有無もチェックリストで管理できるという利点も併せ持つ。もっとも、入手したアイテムを記録することで臨場感を味わうのがたまらないというプレイヤーは物足りなさを感じるかもしれない。

 ルールシステムは以上の通り、売りの四人パーティと別個に能力値を振り分けるという以外はごくシンプル(あるいは既出)だが、『スーパー・ブラックオニキス』が傑作との呼び声が高いのは、その物語性の濃さにあると言っていいだろう。まず、無駄なものが極めて少ない。「無駄」とは、単に迷路のための迷路(迷わせるだけの迷路)や襲いかかってくるだけの障害物のような敵は出て来ないという意味で、基本的に全ての事件が何らかの役割を持っている。
 例えばレベル1の迷宮にはテンペストが単身で挑むことになるが、一見「単なる迷路」にみせかけておきながら、ここでのマッピングが後々の展開に多大な影響を与える。更にはレベル2の迷宮で遭遇する「汚物溜めに浮かぶ石をジャンプしていく仕掛け」は、「ドルアーガの塔」の第一巻『悪魔に魅せられし者』に登場する七階の熱湯風呂に浮かんでいる浮き石をジャンプして渡っていく罠を彷彿とさせるが、前者がスマートに作られているのに対し、後者はやや浮き石の迷路がくどく、意味が希薄になっている。もっとも、鈴木直人はここでもさりげなく隠しアイテム「レッドソード」を用意することで、「探索の楽しさ」を十分に味あわせ、かつ読者の興を惹く仕様も忘れない。
 ウツロの街も、「ドルアーガの塔」の第三巻『魔界の滅亡』を思わせるような個性的かつ人を惹きつける登場人物が満載で、「商品を並べただけのつまらない店」や「ただ体力を回復させるためだけの宿」といった単純な場所は一つもない。全ての場所や出会いに意味があり、主人公とゲーム的にもストーリー的にも濃厚にかかわってくる。一回立ち寄っただけでは「その場所の深み」を味わうことができず、チェックリストの状態によってそれぞれの場所で起こるイベントが変化する。「前に来た時にはなかったのに、こんなところにこんなものが」という意外性が物語に更に深みを与えているのだ。
 
 もっとも、ゲーム的な「イベントフラグ」だけでないところが『スーパー・ブラックオニキス』の素晴らしいところで、圧倒的な筆力にちょっとしたチャームポイントを加えたり、数々の新しいアイデアを施した謎解きがあったりと、繰り返すようだが無駄なパラグラフが一つもない。例えばレベル3の迷宮には、魔術師シモンを加えた三人パーティで挑むことになるのだが、回転扉という非常に精緻な仕掛けが施されている。ジャクソンやリビングストンの作品ではこうしたイベントにヒントがなく、運任せでトライする「覚えゲー」という展開になることも多いが、『スーパー・ブラックオニキス』では事前に情報を集めてアンテナを張っておけば、こうした罠や迷路を回避することは比較的容易である。
 これはレベル3の迷宮に言えることだけでなく、ウツロの街を含めた全ての場所でも同様である。この作品には、いわゆる「理不尽なイベント」や「突発的な死」がない。プレイヤーは注意深く迷宮を探索し、周囲の声に耳を傾けながら徐々に明らかにされていく壮大な謎と向き合っていくという、「こちら側の才覚」も要求されることになる。ある意味で、ゲーム的なパズルが冒険全体に押し広げられていると言ってもいいだろう。「パズル」と言っても、パズルのためのパズルや迷路のための迷路、つまり、そのイベントの目的がゲーム的に明らかにはっきりしているのではなく、物語と重厚に絡みながら解き明かしていくという、ゲームブックの極みを体現した形になっている。
 
 前の回でも既に述べているように、海外産のゲームブックの代表格であるファイティング・ファンタジー・シリーズ、中でもイアン・リビングストンを中心とした作品群ではこの点がかなり高難易度な作りになっていて、例えば「右に行くか、左に行くか」という単純かつノーヒントの迷路を右往左往させられることがままある。安田均は、リビングストン著の『盗賊都市』で起こるイベントが気ままかつノーヒントであることを「起こった事件の突飛さを楽しめばいい」(前掲書、p. 79-80)と好意的に受け取っているが、プレイヤーから見ればその「突飛さ」が時として予期せぬもので唐突な印象を受けることもあるのではないだろうか。
 同じくファイティング・ファンタジー・シリーズの第十四巻、リビングストン著の『恐怖の神殿』では、五つの竜の飾りを探し出さなくてはいけないのだが、それと同時に「死の使者」が用意した五つの呪いの文字(DEATH)を回避しなければならない。あちこちと家捜しをしなければ竜の飾りを逃がしてしまうかもしれず、かといって全ての箇所(机の引き出しなど)を覗き込んでいくと必然的に死の使者のDEATHの文字を見てしまうというジレンマに立たされる。そして、ある場所を探索するかどうかという基準やヒントはほとんど皆無で、「運ゲー」「覚えゲー」の様相を呈することになる。だからこそと言うべきだろうが、こうした「予兆」や「ヒント」がないことで、プレイヤーは真に迫った「リアルな冒険」を楽しむことができるようになっている。
 
 この「運」という概念において、ファイティング・ファンタジー・シリーズではキャラクターの特性ないしは属性(能力値)として運点が設定されているのだが、これではプレイヤー自身の「本当の運」がどこで生かされるのかという問題に直面する。この問題にダイレクトに解答を与えうるのが、「右へ行くか、左へ行くか」が単に並列的に(つまり、何のヒントもなく)提示される選択肢と言っていいかも知れない。つまり、どちらへ行くかは全く「プレイヤーの運次第」という理屈である。『恐怖の神殿』では、序盤の何気ないルートの選択によってクリアの可否がダイレクトに影響していたり、その他の作品でも道を一つ間違えただけで即死したりする(あるいは、単にアイテムを拾っただけで即死する)という罠が、特にリビングストンの作品では豊穣に見られるような気がする。
 このようなシステムを「偶発的なイベント」として楽しめるかどうかは、結局のところプレイヤーの好みに一任するしかないが、少なくとも『スーパー・ブラックオニキス』においてはこの手の「運」の要素は皆無である。練りに練られたイベント群を、提示されたヒントを手がかりに周到に分析していく手法が要求される。そもそも、場当たり的なプレイではクリア(ブラックオニキスを見つけ出す)は不可能だろう。徹底してやり込んだプレイができる反面、ライトで気軽なプレイヤーには向かないとも言える。
 
 こうした物語全体にまで広がった謎解きに加え、マサイヤとの一騎打ちや憎々しい黒騎士たちとの絡み、タラミスの磔刑を阻止して救出するシーンなど、映画を観ているような展開が重厚に広がっている。ゲーム的な側面と同じく、ストーリー的(小説的)な意味でも無駄が極力削ぎ落とされ、物語に深みを与えている。
 更にとどめを刺すように、主人公たちにもキャラクター的な個性の魅力が満載である。既に『魔界の滅亡』で魅力的なキャラクターを創造することに長けていることを証明して見せた鈴木直人だが、ここでは俯瞰的・客観的な登場人物だけでなく、能動的に絡み合ってくるキャラクターに加えて、主人公自体にも個性を持たせているのだ。
 これは国産品のゲームブックの特徴とも言えるが、ここまで徹底的にキャラクターを大事にする手法は、やはり鈴木直人の諸作品が頭一つ抜けている。例えば『ゼビウス』のP・J、『ドラゴンバスター』のクロービス、そして『ネバーランドのリンゴ』のティルトなどもその個性が遺憾なく発揮されているが、『スーパー・ブラックオニキス』ではキャラクターの魅力が他の作品よりもいっそう際立っているように思われる。テンペストの狂戦士ぶり、バムブーラの愛嬌、シモンの冷静さ、そしてタラミスの屈託のなさといった魅力満載のキャラクターになりきる(ロールプレイする)楽しさがある。

 おそらく鈴木直人は、ジャクソンの「ソーサリー」やリビングストンの『死のワナの地下迷宮』のように、自身の集大成として『スーパー・ブラックオニキス』を完成させたのだろう。この「魅力的なキャラクターの操作」という点は、後の鈴木直人の作品の特徴ともなっていく。次章では、突き抜けたキャラクターという点から鈴木直人のゲームブックを見てみよう。

※次回は「鈴木直人の世界(その2)」と題して、「メスロン・サーガ」シリーズを中心に扱います。

◆書誌情報
 『スーパー・ブラックオニキス』
 鈴木直人(著)
 東京創元社(1987/12/24)絶版

 『ブラックオニキス・リビルド』
 幻想迷宮ゲームブック(Kindle版)(2017/12/21)

■参考文献
 『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(上)(下)
 樋口明雄(著)
 双葉文庫(1987/9/1)絶版

 『さまよえる宇宙船』
 スティーブ・ジャクソン(著)浅羽莢子(訳)
 社会思想社(1985/9/20)絶版
 SBクリエイティブ(2025/2/19)安田均(訳)

 『海賊船バンシー号』
 アンドリュー・チャップマン(著)鎌田三平(訳)
 社会思想社(1987/3/25)絶版

 『ファイティング・ファンタジー ゲームブックの楽しみ方』
 安田均(著)
 社会思想社(1990/8/1)絶版
 
 ドルアーガの塔 第一巻『悪魔に魅せられし者』
 鈴木直人(著)
 東京創元社(1986/7/31)絶版
 創土社(2006/12/29)絶版
 幻想迷宮ゲームブック(Kindle版)(2016/3/1)
 
 ドルアーガの塔 第三巻『魔界の滅亡』
 鈴木直人(著)
 東京創元社(1986/12/21)絶版
 創土社(2013/11/23)絶版
 幻想迷宮ゲームブック(Kindle版)(2016/3/1)

 『盗賊都市』
 イアン・リビングストン(著)喜多元子(訳)
 社会思想社(1985/10/20)絶版
 SBクリエイティブ(再生産版) こあらだまり(訳)(2024/3/28)
 
 『恐怖の神殿』
 イアン・リビングストン(著)浅羽莢子(訳)
 社会思想社(1987/1/30)絶版


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2025年7月28日月曜日

私の新作のお話 FT新聞 No.4569

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
この記事は「スペインへの旅に出ることが決まって」から、「キャンセルする」までの間に書かれたものです。


◆新作の構想☆
旅に出ると決めた瞬間、私の周りにあるさまざまな鎖から、一時的に解放されることが決まりました。
その鎖は、私をこの世界につなぎ止める大切なものであると同時に、私の行動をひとつひとつ重くするものでもあります。
「義務」から解放されたとき、私が最初にとった行動は、どこからか湧いてくる食欲に身を任せることでした。
1日半で8回の食事をして、1.7kgほど体重が増えました。
それから12時間ほど寝て、また食べて、心がどんどん落ち着きを取り戻してくるのを感じました。


◆私にとっての「神」。
私はクリスチャンですが、唯一神とは別に信じているひとつの「神性」があります。私にとって神に最も近いのは「言葉」です。
キリスト教の聖書には「神は言葉であった」と書かれていますが、ここで言うのはもっと、ずっと個人的なことです。
私は少年時代には英語を、青年時代にはスペイン語を、そして29歳からは冒険分岐小説作家としての道を選び、生きてきました。
言葉は私にとって、何よりも大切な「生きる力」そのものなのです。
鬱になって、その力が、人に見せられるほどの強さを失っていることに苦しんできました。
その力が今、戻ってきつつあります。


◆根源的な理由。
私が鬱になった理由をひと言でまとめるのは難しいことなのですが、簡単に言ってしまうと「人間関係の負担」でした。
私は周囲の人たちに対して「何かをしてあげられる「人間」であることが、ひとつの誇りというか、アイデンティティになっている存在です。
しかし、ある時、そのこと自体が負担になってしまい、しかもそのことに自覚がないという状態で、数ヶ月を過ごしていました。
そしたら、あるキッカケを経て、どかっと調子が悪くなってしまったのです。


◆何を書こうか?
そんな経験を経る間に、私は、それまでにない「人間のキレイでない面」に触れる機会に恵まれました。
自分と異なる価値観を持つ人たちとの、あつれきと和解。
なんだかんだ言って、ふだん自分の周りにいる人が、常識と良識の枠内にいる存在だと、強く認識させられる経験でした。

さて、私は冒険分岐小説作家として、さまざまな人間の考え方を、自分の作品に役立てる術に長けています。
このような人とグループに触れ合ったことを活かして、次の作品を書きたい。
新しい価値観を持つ「敵の集団」と、それに対峙する主人公たち。
そう思った瞬間に、文章がすらすらと書けるようになり出しました。
止まっていた「創作」が、動きはじめたのです。

今、私は「死霊都市フアナ・ニクロ」を拠点とした作品を執筆しています。
ひとつの街の領土の端に現れる、新興宗教の教祖の討伐を目的とした作品です。
教祖は触れたものを爆弾に変える力を持っている【悪魔】で……そんな物語です☆
【アンデッド】と【悪魔】の激突!
そんな冒険をお届けしたいと、考えております☆

それではまた!




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