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2025年10月15日水曜日

第9回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4648

第9回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。


ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
闇神オスクリードの加護を得た魔法の時計を駆使し、「還らずの森」深くの吸血鬼の館に赴きます。
そこでミナは、姉の遺体を発見し……。
間に合わなかった後悔とともに、謎の声に導かれ、ミナは時を遡り、森へ入る前へと戻されているのでした。
そうとは知らないミナは、前回の旅を悪夢の思い出として、旅を始めます。
森の案内人、ノームのフェルを加え、いよいよ森へと踏み込みます。

【ミナ 体力点4/4 悪夢袋6/7】
金貨 3枚
歯車 0枚
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。


●アタック02-3 フェルとの旅路

旅の供、フェルが言うには、危険な森での宿泊を少しでも減らすため、森の入口で一泊するのが賢い選択だそうだ。
森の入口の空き地には、先客がいた。
黒ねこ人だ。ボクは初めて見る種族だ。

フェルとボクは、おしゃべりをしながら野営の準備を始める。
ねこ人は、特にこちらに話しかけてくることはない。
ボクたちも、最初にあいさつを交わした以外は、特に交流を持つこともしない。

でも、不思議だ。なぜか気になる。
初めて会う種族のはずなのに、初めて会う気がしない。
あのもふもふに包まれたら、気持ちよさそう。

そんなことを思いながら、眠りについた。
朝起きると、ねこ人はもう、いなくなっていた。
なぜだか、少しさびしい気持ちになった。

いよいよ森へと踏み込む。
「還らずの森」は黒々とした木々が生い茂る不気味な森だ。
森の小道はでこぼこしているが、比較的広い。

「ウワサの割にはちゃんとした道があるって思ったろ。ここはかつて、ローズ家との馬車の往来もある道だったのさ」

フェルが説明してくれる。

「放置されてはいるが、日の光が当たらないせいで下草も生えないからな。雨のせいでボコボコになっちゃいるが、道の体は残してるってわけだ」

つまり、この道に沿って進めば、ローズ家の館へ行けるということか。

「道沿いは比較的安全だ。人が通らないから待ち伏せする魔物もない。けど、縄張りを巡回中の魔物に出くわしたら戦いは避けられない」

フェルは、森で特に注意しなければならない魔物について教えてくれた。

「館の当主が吸血鬼になってから、この森には吸血獣が増えた。巨大な吸血コウモリみたいなバケモンだ。魔物っていっても、吸血鬼みたいに不死。手ごわい相手だ。けど、それは同時に吸血鬼と同じ弱点があるってことでもある」

その時、茂みがガサガサと音を立てた。
その気配に、フェルが反応する。

「やれやれ。噂をすればなんとやら、だ。できれば会いたくなかったんだがな」

茂みの影からこちらの様子を伺っている魔物。おそらくたった今フェルが言っていた吸血獣だろう。

「吸血鬼対策は何かあるか? ないなら、全力で戦うしかない。ヤツを明るいところに引きずり出すんだ」

フェルが石弓を射る。茂みから、手負いの吸血獣が飛び出した。
それはまっすぐボクに向かってきて、ボクは押し倒された。鋭い痛みが走る。
でも、ボクも負けてばかりはいられない。剣で応戦した。

吸血獣に太陽光を当てて倒す頃には、ボクもフェルも完全に息が切れていた。
傷だらけだ。体力点を2点だけでなく、「不死化傷」まで負ってしまった。
傷は青白く変色し、出血もしていない。麻痺したように痛みを感じないのが、逆に不気味だ。

「吸血鬼に噛まれた時に出る症状だな」

ボクの傷を診ながらフェルが言う。

「こんくらいなら大丈夫だろう。けど、あんまり重なると、自分自身が不死のバケモンになっちまうから気をつけな」

<時もどしの回復時計>なら傷を負う前に戻せるから、不死化傷そのものを消してしまえるかもしれない。
けどボクはまだその時計を修理していない。

半日は歩いただろうか。
道は分岐へ差し掛かった。左の道はローズ家に向かう小道で、途中に時計塔がある。
右手の道は少し狭いが、道の踏み固められ具合から、こちらの方が往来が多い印象だ。

「右へは行かない方がいい」
「どうして?」
「そっちには、闇エルフの隠れ里があるんだよ。最近はあんまり隠れちゃいないけどな」

普段はこの分岐、雑木でカモフラージュされていて、道が続いているとは見えないようになっているらしい。
それが取り払われているのは、最近外縁の村に来た闇エルフの集団が通ったせいかもしれない。

「キミさあ、メッチャ行ってみたいって顔してるぞ。闇エルフじゃないんだろ。それともホントは闇エルフなん?」

違うよ。けど、もしかしたら姉たちを連れた闇エルフの一団が立ち寄ってる可能性があるし。
手がかりがあるかもって思うんだ。ボクの予感がそう言ってる。

「闇エルフの怖さを知らないから言えるんだ。森の外のあの村なんて搾取されすぎて、逆らう気力ごと根こそぎ奪われてるんだぜ」

それを聞いても、ボクの気持ちは揺るがなかった。

「やめとけ。部外者が隠れ里に行ったら、絶対に死ぬからだ。オレもそっちに行くのは避け続けてんだよ」

ボクがそれでも行くと主張すると、フェルは言った。

「だったら、オレの道案内はここまでだ。たしかにキミなら、闇エルフのフリをして潜り込めるかもしれない。それでも帰れるかわからないヤツを、待っちゃいられないんだよ」

仕方がない。ボクは、フェルと別れて歩き出した。

「バッ、やめとけって。待てよ。待てってば。……オレは止めたからな! ったく。こんな後味悪いんなら、案内役引き受けるんじゃなかったぜ」

後ろの方で、フェルの制止とぼやきが聞こえていた。


●アタック02-4 隠れ里にひそむ危機

ボクは、姉たちの手がかりがあると信じ、その道を進む。
闇エルフの隠れ里は、樹上に黒塗りの家々が建てられている。黒い色は、板に特殊な処理がほどこされているのか。
明らかにエルフの様式とは違う建てられ方をしていた。文化的背景が違う。

ボクは同族の旅人を装い、村へと入れてもらった。

けれども、すれ違う闇エルフたちの態度はよそよそしい。
わかってる。よそ者に冷たいのは、エルフも同じだ。
部屋に通され、紅茶を出されたが、いくら待っても誰も来ない。
ボクは意を決して、外に出てみた。もちろん紅茶には手をつけていない。

村の中心へ。
そこにある大きな家の住人の闇エルフに声をかけると、その人こそ村の長ネフェルロックだった。
すべてを見透かすような鋭い瞳に観察されながら、それでもボクは長の家へと招かれ、話を聞くことができた。
甘く重い独特の匂いがたちこめる部屋で、ボクは長にいくつか質問をした。

ボクの予想どおり、姉たちを連れた闇エルフの一団は、この村を経由していた。
それどころか、長自らがローズ家まで同行したことが明らかになった。
どうやらローズ家と闇エルフたちは、協調関係にあるようだった。

長は、ローズ家の秘密の拷問部屋の美しさについて、とくとくと語った。
それはまるで、買われていった姉たちのたどる運命を暗示するようだった。
ボクは聞いていて気分が悪くなった。

ボクが身体に変調をきたしたのは、その時だ。
部屋には最初から、闇エルフ以外の者には毒になるお香が焚かれていた。
長には最初から、ボクが同族じゃないってバレていた。
ボクの持つ魔法の時計に目をつけていて、それで泳がせていたんだ。

フェルの心配は当たっていた。
闇エルフは、部外者を決して生きて帰すようなことはしない。

ぼんやりと意識を失っていくボクは、すんでのところで<枝分かれの未来時計>を動かし、難を逃れることができた。
本当に危ないところだった。時計の力がなければ、ボクは間違いなく、ここで命を落としていただろう。

その後も魔法の時計で選択をやり直しながら、必要な手がかりを手に入れたボクは、村に入る前まで、時間を遡った。
そうして、フェルと別れた分岐へと戻った。

なんと、フェルはまだそこに待っていた。
ボクの姿を見ると、満面で喜びの表情を作った。

「やあ、よかった! 隠れ里に行くの、思いとどまってくれたんだな!」

ん? 話が合わない。

あ。そっか。
すぐに思い当たった。

ボクがここで別れてから、そんなに時間が経っていないんだ。
まさかボクが、闇エルフの隠れ里でものすごい危険な冒険をして、時間を巻き戻して戻ってきた、なんて思うわけないもんね。
ボクが下げている悪夢袋が、ひとつ追加でしぼんでいるのには気づいていないようだ。

それじゃあ、話を合わせておこうかな。

「心配かけて、ごめん」
「いいさ。戻ってくれたんだからな。姉ちゃん助ける前にキミが死んじゃ意味ないだろ」

フェルが小道をくいっと指す。

「それじゃあ、行こうぜ。途中に時計塔がある。そっちになら寄ってってもいいからさ」
「うん。行ってみたい」
「そう言うと思った」

ボクはまた、フェルとともに歩き出した。


●アタック02-5 時計塔のゴーレム

時計塔への入口は、使われなくなって久しいようで、そこに至る道には刺々しい植物が邪魔をしていた。

「こっちの方が安全だ」

フェルは近くのけもの道を案内し、ボクらは難なく時計塔にたどり着いた。

「どうだいこの時計塔。我らノームのからくりの技術の粋さ!」

フェルが自慢げに言う。彼もこの時計塔を、ボクに見せたかったに違いない。

時計塔は古びており、ツタが絡まっていたが、最上階3階にある時計は今も正確に時を刻んでいた。
ボクはそのまま時計塔の入口に近づく。

「お。入るつもりかい。でも感心しないな。強引な手段で入ろうとするとワナが作動するのがお約束ってもんだ」

もしかして、フェルがカギを持っているとか?

「残念。持ってないんだなこれが」

ボクは入り口をスルーして、裏へと回った。闇エルフの隠れ里で聞いていた、隠された裏口の情報。
そのとおり、目立たないところに小さな、ノームサイズの入口を発見した。

「え。なんでこんな隠し入口知ってんの。オレも知らなかったのに」

それには答えずに、入口をガチャガチャやっているうちに、簡単に扉は開いた。
くぐるようにして、中に入る。

「そっか。そんなに精巧で不思議なノームの時計を持ってるんだもんな。知っててもおかしくないか」

フェルは勝手に納得して、ボクの後について扉をくぐる。
時計塔の中は吹き抜けになっている。
入口側の扉の上部にはなにかの仕掛けがついており、フェルの警告通り、ワナが設置されているのは明らかだった。

1階はホールのほかに、上へと続く階段と、奥への部屋がある。
奥の部屋へと続くアーチのところに、シンプルな構造のゴーレムが立っていた。

・奥の部屋を見たい
・2階に登る

もちろん、奥の部屋を確認してみたい。

「気をつけろ。たぶん動くぞ、あいつ」

うん。ボクもそう思う。
近づくと案の定、ゴーレムは動き出した。機械音とともに畳まれた足を伸ばし、立ち上がる。

「命令を与えるキーワードがあればなんとかなるんだけど、さすがに知らないよな?」

ボクはうなずく。

「じゃ、壊すしかないか」

フェルが石弓を構えた。その時、ゴーレムの頭部がぐりん、と回転し、顔が現れた。
巨大な宝石めいた単眼が輝く顔だ。その単眼は輝きを増し、力を蓄えているように見えた。
なにか、危険なものがくる。直感した。

赤い光の筋が、ゴーレムの単眼から発射された。狙いは、ボク。
避けられない!

その時、フェルの石弓から射出された矢が、ゴーレムの顔の斜め下部分にヒットした。
その衝撃で、ゴーレムの狙いがやや上方に逸れた。
それでも完全に狙いを外しきることはできず、ボクは肩口に衝撃を感じて吹き飛ばされた。

体力点に1点のダメージを負い、ボクはのろのろと立ち上がる。
肩口が焼けるように熱いが、骨は折れていないようだ。

「はは。やった。やったぞ」

フェルはガッツポーズ。見るとゴーレムは、仰向けに倒れていた。

「一度発射したら反動で倒れて起き上がれないなんて、欠陥品だな」

フェルはゴーレムを分解にかかっている。かなり器用だ。

「また動き出されちゃかなわないからな。おっと。これ、キミの時計の修理に使えるんじゃないか?」

フェルは1枚の小さな歯車を取り出した。たしかに、ボクの時計の規格にぴったり合いそうだ。
ボクはフェルがゴーレムを分解している間に、時計の修理をすることにした。
修理するのは<速撃の戦時計>だ。ボクの弱点を補ってくれるこの時計は、いち早く修理したいと思っていた。

ボクが時計の修理を終える頃、フェルもちょうど分解作業を終えたみたいだった。

「さて、じゃ、奥の部屋を見てみようか」

フェルの方が興味津々だ。やはりからくりには、ノームの心を動かす何かがあるらしい。
奥の部屋は、作業部屋のようになっていた。部品や羊皮紙が散らばっている。そしてなんと、チャマイの魔法学校と7人の賢者のジオラマがある。

・机の上の部品から役立つものを集める
・羊皮紙を見たい
・この場を去る

フェルが羊皮紙を手に取って、うんうんとうなっていた。
何かの設計図のようだ。何ができるんだろう。気になるから、持って行くことにした。
とはいえ、作る機会があるとは思えないけれど。

机の上の部品をかきわけ、何かめぼしいものがないか探してみる。
フェルはちょいちょい興味を引くものをみつけたらしく、自らの荷物袋に放り込んでいた。
今は、かさばりそうな部品の前で、重さと欲しさのせめぎ合いで迷っている。

ボクは、小さなシャーレに入れられた、2枚の歯車を見つけた。時計の修理に使えそう。
フェルが悩んでいる間に、ここで時計を修理しておくことにした。
次に修理するのは、<時もどしの回復時計>だ。

ボクはさっきのゴーレムの光線みたいな攻撃で傷ついてるし、吸血獣との戦いで「不死化傷」も負っている。
回復ができる時計の力が必要なのは明らかだった。

<時もどしの回復時計>の修理を終えても、フェルはまだ悩んでいるようだった。
ボクは、そろそろ行こうと声をかけた。
フェルは結局、その部品をあきらめたようだ。
後ろ髪を引かれるように立ち上がると、ボクと一緒に2階へと上がった。

次回、時計塔の攻略の次は、ゾンビ墓地へと。


【ミナ 体力点4→2→1/4 悪夢袋6→5/7】<不死化傷>
金貨 3枚
歯車 0→1→0→2→0枚
・羊皮紙
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<刻々の狭間時計>短い時間だが時を止められる。
<速撃の戦時計>すごいスピードで動ける。
<時もどしの回復時計>身体の時を戻し回復する。


■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。確かな腕前を持つ。
ねこ人 黒ねこ人の旅人。希少種族。
ネフェルロック 闇エルフの隠れ里の長。ミナの力の源を欲している。
キーウ 初老のノーム。「還らずの森」の研究家。
ビバイア・ローズ ローズ家の病気の息子。5日前を最後に日記は途切れている。
フェルナンド・ウティリヌス 通称フェル。森の案内人をしているノーム。
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。
テクア からくりの神。ノームにからくりの知識を授けたとも言われる。


■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/4897513


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