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2026年6月14日日曜日

Re:オレニアックス生物学 Vol.4 『ウォードレイク』 FT新聞 No.4890

(編註:この記事は、過去の人気記事を再配信するReシリーズです。文中のコメント等は全て当時のものとなっております) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ オレニアックス生物学 Vol.4 『ウォードレイク』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 生物学の授業は非常に重要な科目だった。 アランツァの地での戦いは、戦争となるとまた話は別だが、人間以外の生き物と交戦することも少なくなかった。 聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラントは生物学の権威。 そんな彼の授業は生き物の外見、性質、そして対処方法を教えてくれる。 生徒たちを生き残る道へと導く、確かな灯火だ。 今日もカメルの授業が始まる……。 ラクダ人であるグラント博士は、年がら年中もっしゃもっしゃと口を動かし、授業する。 興奮するとつばが飛ぶので、博士の授業の際にはあまり前方に人がいなかった。 ヘイルとレムレスが平気な顔をして博士の授業を受けているのを、不思議な気持ちで君は観察していた。 今日の授業はウォードレイクについてだ。 「人間に扱うことのできる怪物はいない。そう考えるのが相場だった時代に、世界最大の都市ドラッツェンの王はその常識をくつがえした。☆年に勃発したトカゲ国との戦争で彼らが見せたその怪物は、その示した戦果以上に世界中に衝撃を与えた」 唇がラクダのように3枚(下唇、上右唇、上左唇)に割れたグラント博士は、いつも笑っているように見える。だが、このときの瞳は非常に真剣だった。 「人間に扱える生物といえば、せいぜい家畜のたぐいと決まっていた。ラクダ、馬、タケタケ、オストリッチ、大亀龍、トルケーブ、ポルルポルル……。怪物飼育の専門家でなければ、人間以上の大きさの餌を食べる怪物を飼い慣らすことは難しいとされていた。だが、ドラッツェンの軍事専門家たちはそれをやってのけた。その際に飼い慣らされたのはドレイクと呼ばれる、ドラゴンの親戚のような生き物だった」 「銀色に輝くウロコ。長いかぎ爪。大きく美しい翼。鋭い牙。ルビーのように赤い瞳。生き物の死骸にも似たにおいを撒き散らす。戦場では大トカゲに乗ったトカゲ人騎士を子ども扱いしたという」 「それだけの強大な軍事力でありながら、ウォードレイクは現在ドラッツェンにはいない。レムレス、どうしてか分かるか?」 眉間にしわを寄せながら、羽根ペンを器用に回しながらレムレスは考える。 「予算不足、ですか?」 満足そうに博士が笑う。 「そうだ。ドラッツェンは広大な領土を持っていたが、ウォードレイクによる世界覇権はならなかった。無敵の軍事力を誇ったウォードレイク1体を維持するために、1日約1頭の牛が必要だったのだ。皮肉でもなんでもなく、ドラッツェンからは牛が消えた。当時ウォードレイクはドラッツェンの象徴として庶民から愛されていたが、毎年少しずつその数は減らされた。軍事費が経済に与えた打撃は大きく、後にドラッツェンが植民地を失うキッカケのひとつとなった。だが、このクラスは生物学、歴史学ではない。話を戻そう。ドラッツェンは凶暴で、常に腹を空かせている。巨体にも関わらず飛ぶことができ、鋭い鈎爪で獲物を捕まえるが、炎は噴かない。彼らの弱点はどこだと思う? アヴィオン」 アヴィオンはマジメな顔をして答えた。 「目と鼻ですか」 博士は口をへの字にして応える。 「正解だ。ウロコが生えていない場所が弱点だ。戦いのさなかにこれを狙うのは簡単ではない。アヴィオンのような弓の名手でも、動いている15cmほどの的を射抜くのは至難の業だ。それでも、顔を射掛けるのは悪い案ではない。槍やパイクを持っているなら、もう少し楽に狙えるかもしれない。だが、ウォードレイクは軍事力に優れているから使われるようになった生き物だ。予算不足でいなくなったということは、つまり、未だに戦いでは攻略されていない生き物だということだ」 終業の鐘が鳴る。 「ウォードレイクと相対したときにどうしたらいいのかという問いは、戦車と出会ったらどうしたらいいのか、という問いに似ている。そのような事態に陥ってはならない。倒すには軍事的な連携が必要で、個人で相対するべき生物ではない。そのことをしっかりと肝に銘じること。以上!」 博士はピンと背すじを伸ばしたまま、教室の扉を開ける。ありがとうございました! と声が響く。 若い生徒たちに教えることのうち、どれが役立ち、どれが無駄になるかは分からない。 だが、いくつかはきっと、彼らの命を永らえさせてくれるだろう。 そう信じて博士は今日も教鞭をとる。 (From:清水龍之介) ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ ウォードレイク 【盗賊剣士】に登場。48ページを参照。 技術点不明 体力点不明 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。