第1回【海の奥底に夢は眠る】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「海の奥底に夢は眠る」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●ビストフでのはじまり 「おっさかなおっさか〜なっ☆ あ〜るか〜なおっさか〜なっ☆」 夜空に星を散りばめたような艶やかな毛並みの子猫が、陽気に歌を口ずさみながら軽快なステップを踏んでいる。 人通りも多く、陽気な声にあふれた通りを、人を避けつつちょこちょこと進んでいく。 「ニャルラ、あんまり先に行かないで。人多いんだから。はぐれちゃうでしょ」 銀毛で三本尻尾の子狐が、僕の肩のいつもの場所から子猫をたしなめる。 「んもう、フォルネは心配性ね〜。ねぇねぇたいが、はやくはやく〜」 子猫ニャルラは僕たちを急かしてきた。 「まったくしょうがない魔猫です。今回は特に、おまつり騒ぎにテンション上がっちゃって」 銀毛の妖狐フォルネはそう言いながらも、ちょっぴり楽しそうだ。 聞けばフォルネは、東の国から海を渡り、ここビストフへとやってきたのだという。 フォルネにとっては久しぶりの場所。なつかしさもあるのかもしれない。 「ビストフは陽気な街でしたが、前はここまでではなかったです」 フォルネはそんな感想をもらしていた。 そう。今この街は、空前のおまつり騒ぎの真っ最中だった。 なんでも、英雄ヴァルグが伝説の海の魔物クラーケンを退治したのだという。 それで漁業や貿易船の安全が守られるようになり、ビストフ挙げての大よろこび。 英雄はすぐに去ったみたいだけれど、おまつり騒ぎは続いている。 そんなさなかに僕たちはやってきたんだ。 「ニャルラ、おさかな食べに行くから、おいしそうなとこ案内して」 「らじゃ〜、おさかなっ☆」 僕が声をかけると、ニャルラはにおいをかぎわけ「こっちっ!」と言って駆けだした。 でも僕たちを案内するって目的は忘れずに、きちんとソワソワ待ちながら移動している。 「なるほど。そうやればいいのですね」 「ニャルラはいい子だから、僕たちを置いてったりしないよ」 ニャルラは一直線に、港の方向に進んでいった。 僕たちがここ、ビストフにいるのは、もちろん僕の兄ハルトを探す旅の途中だからだ。 実はビストフは、僕たちがこれまでいたカラメールからは、大陸の端から端くらいの距離がある。 そんなとびきり遠い場所に来れたのには、理由がある。 カラメールの近くの森で、コーネリアス商会の令嬢のコニーさんを助けた僕たちは、商会のお世話になっていた。 そこで蜂竜の王蜜を手に入れる冒険なんかもして、ますます商会とは縁が強くなった。 僕はコーネリアス商会にハルト探しを手伝ってもらっていたけれど、カラメールのあたりでは、まったく見つからなかった。 それで、そろそろ旅立つことを告げたら、商会の当主ヴァンダービルドさんから、隊商と一緒にビストフに行かないか、と声をかけられたんだ。 ビストフには、カラメールからたくさんの人が移民した歴史があるんだって。 それで、カラメールを拠点にしているコーネリアス商会も、ビストフとは深いつながりと活発な取引があるって言ってた。 僕の村からすると、カラメールとビストフは、ちょうど真反対の位置関係になる。 カラメールの方向でなんのヒントも見つからないなら、ビストフ方向に行ってるのかもしれない。 ノーヒントで探しているんだから、これくらい大胆に移動してもいいのかも。 それで僕たちは、コニーさんたちに別れを告げ、コーネリアス商会の隊商に同行させてもらって、ここビストフまでやってきたんだ。 隊商のリーダーはとっても親切な人だった。二か月を超える旅路でいろんなことを教えてもらった。 ビストフは港町で、海産物が有名なこととか、さっき話に出た、クラーケン退治のこととかも隊商の人に聞いたよ。 コーネリアス商会は僕たちのことをこれからもバックアップするって約束してくれて、困ったことがあればビストフの支店においでって言ってもらった。 そうして街について、僕たちだけの旅がまた始まったんだ。 そんなことを思い出しながらニャルラについて街並みを歩くと、建物に少しカラメールっぽさがあるような感じがした。 活気があるのはどっちも同じだ。 カラメールは冒険者たちの街だから、すごく元気があった。 ここビストフも、海産物がいっぱい取れたり、海賊の宝探しの冒険者が来たりと陽気さにあふれてる。 コビットという僕より背が低い小柄な種族がたくさん行き来しているのも新鮮だった。 僕たちは、港についた。 「ふわあ〜〜!」 ニャルラが、おさかなのことも忘れて立ち尽くしている。 そこには、どこまでも続く、青い青い水の原が広がっていた。 「これが……海!?」 「うみっ!」 どこまでも続く一面の青い景色。ところどころ白い線が揺れて見えるのは、波かな。 独特の香りが鼻をつく。ぬるい風が頬をなでる。ざざん、ざざん、という音が聞こえる。 フォルネに聞いたことはあったけど、見るのは初めてだった。 港にはたくさんの帆船が並んでいて、それも壮観だった。 初めて見るものばかりで、ニャルラは好奇心が抑えきれなくなっている。 いちばん端の桟橋に人だかりができている。 僕たちはそっちに行ってみた。 「ここは、なんですか?」 そこにいた人に声をかけてみた。 「これはね、ハーツデイル様の船『クラーケンぶっ殺し号』。英雄の船だから、毎日見物に来る人でいっぱいなのさ」 名前を聞いただけで、クラーケンを退治した船なのだとわかった。 これが、英雄の船……! 船の側面に砲門を並べた、大きく立派な船だった。 「かぁ〜っこいい!」 「この船で、あの伝説の大海獣を……」 僕たちは、しばらくその船に見とれていた。 と、ニャルラのおなかが「くぅ」と鳴って、おなかがすいていたことを思い出した。 「いけない。おさかなさがしてたんだった〜!」 このあたりは、港にいちばん近い食事処がならんでいる。 ニャルラが目をつけたのは、その中のひとつだった。 港にいちばん近いお店だから、きっといちばん新鮮なさかながあるんだろう。さすがニャルラだ。 「ここっ!」 ニャルラが一直線に突進する。 ちょうどそのとき、「酔っ払いしかいねえんじゃ、頼めねえなあ」とお店から大きな声が聞こえ、一人の白髪白髭のコビットの男が出てきた。 その人物は、ニャルラの突進にぶつかりそうになりながら、寸前で鋭い反射でお互いに避けた。 「おおびっくりした。猫ちゃんすっごい反射神経だな。もしかしてひとかどの冒険者だったりする? おじさんの依頼受けてくれないかなあ」 コビットはそんな風におどけて言った。もちろん猫に言ったつもりなのだから、冗談に決まっている。 だからその猫から「アタイつよいよ。やったらおさかなくれる?」なんて反応が返ってきたものだから、それはもう、盛大に驚いていた。 これが僕たちと白奴(しろやっこ)さんとの出会い、そしてビストフでの冒険のはじまりだった。 ■ローグライクハーフとは ——想像の、旅に出よう。 ローグライクハーフのリプレイへようこそ! 「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、そんなローグライクハーフのシナリオを実際にプレイした様子を物語風に記述したもの。 自分がプレイした様子を、想像力のおもむくまま、冒険小説として仕立てています。 さらに、実際にどんなプレイをしたのかの[プレイログ]もついています。 プレイ風景を知りたい方、自分のプレイとの違いを楽しみたい方、純粋に物語を楽しみたい方、いろんな楽しみ方ができる、それがリプレイの魅力です。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑むのは、ローグライクハーフ「海の奥底に夢は眠る」になります。 d33シナリオで、作者は東洋夏さん。 私と同様にローグライクハーフのリプレイ、それだけでなく生み出したキャラクターたちの短編なども書かれているかたです。 FT新聞でも「写身の殺人者」「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイを連載しておりました。 主人公シグナスとクロのコンビ、大好きです。シグクロ推し。 元となるシナリオは、「一日一歩のローグライクハーフ」2巻「大海魔と小剣士編」に収録されております。 実はこの作品、東洋夏さん版の「エメラルド海の探索」リプレイがメインの冊子なのですよ。 本編の「エメラルド海の探索」は、ソール・オ・リエンスとコビットの白奴が主人公で繰り広げられるクラーケン退治の物語。 さらにソールの父、ブラーク・オ・リエンスとハーフエルフの少女メロウが主人公の「雪剣の頂 勇者の轍」のリプレイも収録されています。 骨盤様のイラストも素晴らしく、豪華でたっぷり楽しめます。 そんな作品に収録されている本シナリオに挑むのは、「巨大樹の迷宮」「蜂竜の森」リプレイで活躍したタイガ、フォルネ、ニャルラです。 本リプレイは、「蜂竜の森」の続編という位置づけになります。 が、シリーズを追っている方にはおわかりのように「エメラルド海の探索」「あなたに弟子がやってきた」リプレイとも密接な関係があります。 そして舞台がビストフということは……? 本作品は、単体で読んでいただくというよりも、繋がりのあるリプレイを読んでいれば、なおのこと楽しめる構成になっております。 さあ、それではここから、新たな冒険をお届けしましょう。 さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 また、本リプレイではランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めながら冒険を進めていきます。 イベント番号と簡単な内容については、本編の後に補足されている[プレイログ]をご覧ください。 彼らの織りなす冒険を、ぜひ楽しんでください。 ●01 白奴の依頼 コビットが驚きから立ち直るあたりで僕とフォルネが到着し、ニャルラがぶつかりそうになったことを一緒に謝りながら、自己紹介をした。 「しゃべる猫と狐と一緒に旅をする少年か。おとぎ話の世界から飛び出してきたんじゃないよね君ら?」 そのコビットは白奴と名乗った。 「それでね、たいが。しろやっこがお仕事くれるっていうの! あとおさかなも!!」 「魚をやるとは言っていないが、仕事をやるとも言ってない」 「あれ? そなの?」 「奇妙なめぐりあわせだし、腹ごしらえしながら、おじさんのお話聞いてくんない? メシ食いに来たんだろ?」 そう言うと白奴さんはいい笑顔で、なにやらごそごそと荷物入れをまさぐった。 「これでうまいもんでも食いなさい」 「え、そんな初対面なのに食事代もらうわけには」 差し出されたのは緑色の、ニンジンのような根っこのような形状のものだった。 え? なにこれ? 僕は白奴さんの意図が読めずに固まった。 「ワサビですね。東方の香辛料です。たぶん冗談だと思いますが、タイガさまには通じてませんよ」 「そっかー残念。高度すぎたかな?」 「東方の知識がないと理解しかねます。ここでやるならもっとメジャーなスパイスにした方が無難かと」 「お。おじさんにジョークの指南とはフォルネちゃんやるねぇ」 そのあたりの会話で、ようやく僕にもその意図がわかった。 「お金を出すんじゃないかって誤解させる冗談だったんですね。まんまと引っかっちゃった」 「やめて。すべったギャグの解説するのやめて。おじさん傷ついちゃう」 白奴さんは、かなり陽気でおしゃべりで、距離感も近いタイプみたい。 お店に入って席を確保すると、お店のお勧め料理を教えてくれた。 ニャルラはおいしいさかなを教えてもらって尊敬のまなざしを向けていた。 店内はコビットが多くて、昼間からだいぶ酔っぱらって大騒ぎをしているみたいだった。 「ここに来てるヤツらはだいたい船乗り。無事に航海を終えて打ち上げに来てる連中だな」 「白奴さんも?」 「おじさんはな。あの『クラーケンぶっ殺し号』でクラーケン退治をしてきたのさ。だからしばらく休憩。好きなことして過ごしてるってわけ」 「あのお船のってたの? すっご〜い!」 「では、英雄ヴァルグとも知り合いなのですか?」 「おうよ。同じ船のメシを食った仲だ。ともに肩を並べて戦ったもんだ」 本当かなあ。白奴さんの話があまりにも軽口なものだから、さっきみたいな冗談じゃないかって勘ぐってしまう。 「こいつはこうやって使うんだ」 白奴さんはさっきの緑色の根っこ「ワサビ」を粗目の板でゴリゴリと削っている。 ふんわりと強めの香りが広がった。 「ふ〜ん」 何気なく味見したニャルラが強烈な悲鳴を上げる。 「かっら〜〜い!!」 「ははは。猫の嬢ちゃんには刺激が強すぎたか。具材にちょこっと乗っけて食べるんだ。ひとたらしのショウユがあればなお良し、だな」 そうこうするうちに食事が届いて、みんなでご飯タイム。 「これこれ、クラーケンの刺身」 「くら〜けんのっ!?」 白奴さんが自慢げに、白い太麺のようなものを指し示す。 まさか、伝説の魔獣を食材にしちゃったの?! 「イカソーメンですね」 「……フォルネちゃん東方に詳しすぎない?」 うん。フォルネは東方出身だからね。 「ちなみに、ニャルラは食べちゃダメなやつです」 フォルネによれば、イカを食べると猫はおなかを壊してしまうらしい。 一瞬しょんぼりしたニャルラだったけど、興味はすぐにつぎのメニューに移っていた。 「じゃあこっちのは?」 「マグロですね。ニャルラ好きそう」 「ただのマグロじゃないぞ。エメラルド海で捕れる緑玉マグロだ」 「うん。おいしいっ!」 「碧目鯛の煮つけもいいかも。ニャルラには味濃すぎるかな?」 「これも! おいしいっ!」 白奴さんのおしゃべりに引っ張られてついつい、酔っ払いたちに負けない騒がしい食事をしてしまった。 そうしてようやく、落ち着いて話ができるようになった。 「そんでなにおねがいしたいの?」 「ちいっとばかり、おじさんの航海の手伝いをしてくれる人を探していたんだなこれが」 「お船にのれるのっ!?」 「僕たちは船乗りじゃないから、ちょっとお役には立てないかも」 「船員はだいたいみつくろってある。欲しいのは、荒事に対処できる人材だな」 「あらごと?」 つまり、海の魔物が出たときに戦ったり、島に上陸して探索したり、そんな役割の人ってこと。 「そうそう。タイガ少年は頭の回転が速いな。たいしたもんだ」 「ふふん。たたかうのならニャルラにおまかせよっ」 ニャルラはいかにもなドヤ顔で応じた。 「でも、肝心なことをまだ聞けていません」 フォルネが突っ込む。 「どこに、なにをしに行くのか、です」 「そういや、そこ話してなかったか。聞いたら驚くぞ。なんと、宝探しだ!」 「たからさがしっ!」 うまい。白奴さんは、ニャルラが飛びつくように話をもっていくのが、実にうまい。 そんな僕も、「宝探し」と聞いてわくわくが止まらないでいた。 「そんな漠然とした話をされても」 唯一フォルネだけが、まだしも冷静だ。 「それが当てがないわけでもねえのよ。クラーケンの脅威が去った今、クラーケンが沈没させた船の財宝取り放題! おじさんはすでにだいたいの目星をつけてるから、迷うことはないぜ」 ここまで話を聞いたところで、もうほぼ行くのは決まったようなものだった。 ニャルラが、船に乗れるのと、宝探しに行けるので、瞳をキラキラさせている。 フォルネも少し思案しながらも、興味はありそう。 僕も、「宝探し」なんていう夢のワードに心がはずんでいた。 「よし、じゃあ決まりだな。じゃ、行こうか」 「え、待って。いつ出発するんですか」 「今からだよ!」 「「「ええー!!!」」」 こうして僕たちは、ビストフに着くなり海へと出ることになったんだ。 ●02 白波丸の出航 「こっちだ。『クラーケンぶっ殺し号』から反対の端っこの桟橋」 白奴さんの案内で船に向かう。 桟橋に近づいたところで、白奴さんを待っている人がいた。 頭にバンダナを巻いた、若い男の人だ。 少しやせ気味だけど、腕の筋肉の締まりと日焼けした肌をしていて、いかにも船乗りって感じだ。 「ああ、待ってたんですよ白奴。いきなり来いって言われても。私次はニーナと一緒の船に乗るって約束してるんだから」 白奴がそこにつくまえに、その人はそわそわと話し始めた。 「まあそういうなポール。そんなに日数かからねえよ。次の航海にゃあ間に合うって。ノーカンノーカン」 「いやでもだって」 「うちの船にゃあ大砲はついてないんでな。あんた砲撃手の前は航海士もしてたんだろ。だから呼んだんだ。頼りにしてるぜ」 「……もう、しょうがないなあ」 だいぶ押しに弱い人みたいだった。 「その子たちは?」 「おう。戦闘員をスカウトしてきたぜ」 「ええっ?!」 そこで白奴は、僕たちとその人を交互に紹介した。 「こいつはポール。ニーナって嬢ちゃんと一緒に『クラーケンぶっ殺し号』の砲撃手やってたんだ。見かけによらず頼りになるぜ」 「見かけによらずは余計ですってば」 ポールさんは苦笑いをしている。 「んで、この子らはすっげえ強い魔猫の嬢ちゃんと魔狐……」「妖狐です」「……と、それを連れたタイガ少年。ファンタジー世界の住人だ」 「はあ……、って狐がしゃべった?」 「アタイもしゃべるよ〜」 「猫まで!?」 まあ、初めてのときにはみんなだいたいこういう反応になる。 「ま、そういうこった。常識外だから計り知れねえぜ。おじさんにもよくわかんないけど」 「それでよく気軽にスカウトできますね」 「ほめんなよ」 「あきれてるんですっ」 ポールさんは僕たちの方に訊いてきた。 「ねえ君たち本当に船に乗る気かい? こんな雑な感じで」 「のるっ! のりたいっ! おふねっ!」 「船員の仕事はできないけど、それでもいいって白奴さんが言うので。ニャルラもその気だし」 船は、「クラーケンぶっ殺し号」を見た後だと、二回りくらい小さく見えた。大砲もついていない。 帆船で、マストは大きなのがひとつと、小さな補助的なものがもうひとつ。 小さいと言っても「クラーケンぶっ殺し号」と比べての話で、十分に大きい。 「そうか船に乗るの初めてだもんな。一応れっきとした遠洋漁船だ。強度は十分だぜ」 白奴はそんな風に船を紹介した。 「名前は『白波丸』。船員はアンタら含めてざっと三十人。手に入れた宝は山分けだ。そういうわけではい乗った乗った」 板橋を渡って乗船する。ニャルラは板橋の上から海をのぞきこんで歓声を上げていた。 「ゆれるっゆれてるっ!」 桟橋と船の間で、小波がたぷん、とぷんと音を発している。 落ちないでね、と心配な声をかけたくなるけど、巨大樹のてっぺんから下を見ても平気な子だし、バランス感覚も十分なので大丈夫かな。 「ニャルラが落ちないのはわかってますが、皆が心配するから早く乗りましょう」 「は〜い」 僕が迷っていたら、フォルネが上手に声かけをして船に誘導していた。 「こんな感じでしょうか」 僕の肩のフォルネはそう言って、ウインクしてみせた。 船には、大勢のコビットの船員たちがいた。人間は僕とポールさんだけみたい。 白奴さんは、僕たちやポールさんのことを、船員たちに紹介した。 「んじゃ、いっちょ出航すっかあ」 そして白奴のあっさりした号令で、「白波丸」は出航したのだった。 まだ見ぬ宝を夢に見て。 次回、さっそく出現、海の魔物!? [プレイログ] ・今回は導入部分のため、プレイログはありません。 ・本作品は白奴を「特別な相棒」として連れて行けるルールになっています。フォルネとニャルラの二人パーティのため従者点が不足しており、白奴を「特別な相棒」にすることはできないため、ステイタスのないサブキャラクターとして扱います。 ・ポールも前作ではヴァルグの従者でしたが、今回はステイタスのないサブキャラクターとして扱います。 【フォルネ(妖狐) レベル14 技量点:2 生命点:5 魔術点:4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【温存経験点】1 【ニャルラ(魔猫) レベル14 技量点:1 生命点:10 器用点:8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】2 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料2 金貨28 1 ロープ 2 金貨100枚 ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。11歳になった。フォルネとニャルラの二匹を連れて兄を探す旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれで好奇心のかたまり。食べること大好き。 白奴 白髪のコビット。タイガたちに宝探しへの同行をもちかける。 ポール 白奴の船「白波丸」に乗る航海士。クラーケン退治の砲撃手でもあった。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールがひそかに思いを寄せている。 ハルト 行方不明かつ生死不明のタイガの兄。いったいどこでどうしているのか。 ヴァルグ クラーケンを退治したというビストフの英雄。 コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。通称コニー。オウカンワシにさらわれたところをタイガたちに救われる。 ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。コニーの父親。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフオリジナルミニシナリオ『海の奥底に夢は眠る』 著者:東洋夏 発行者:東洋夏 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 冊子版 『一日一歩のローグライクハーフ 2.大海魔と小剣士編』 https://souyou-east.booth.pm/items/6617502 ※本作品が収録されています。 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。