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2025年6月11日水曜日

第4回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4522

第4回【戦場の風】ローグライクハーフリプレイ

※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「戦場の風」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


ぜろです。
ローグライクハーフ版d33シナリオ「戦場の風」に挑戦中です。
今回の主人公はウォーレン。ロング・ナリクで当代一と言われた聖騎士と同名の若き騎士です。
国王からの密命は、戦場に置き去りになっている王女コーデリアを救い出し、離脱すること。
前回までに、その密命は達成。それどころか、ウォー・ドレイク騎兵に勝利し、ウォー・ドレイクを王都に持ち帰ることができました。
今回は、物語の結末と感想です。


【ウォーレン レベル10聖騎士 技量点2 生命点8/8 筋力点4/4 従者点7】
【装備】
片手武器
板金鎧(生命点2 防御1)
丸盾(生命点2)

【食料】2
【金貨】0

【持ち物】
0 黒いコイン
1 ロケットつきペンダント(金貨15枚)
2 宝石(金貨25枚)

【高潔な魂】【全力攻撃】【神の加護】

【未使用経験点】0

【従者】
弓兵 2人
兵士 4人
乗用馬 1頭(装備5つ)


●アタック01-8 秘密の凱旋

俺は王都へと帰還を果たし、国王の執務室に呼ばれていた。
ウォー・ドレイクを引き連れての帰還は驚かれはしたものの、軍とは完全に別行動を取っていたため、あまり目立ちすぎると言うことはなかった。
軍の方は、コーデリア王女の指揮のもと、撤退戦での犠牲者はかなり少なく抑えられたと聞いた。

「よくやってくれた。おぬしを選んだわしの目に狂いはなかった。おぬし以外の誰にも、困難な使命を達成することはできなかったじゃろう」

国王は、俺をほめたたえてくれた。
今回の任務は秘密裏に行われたものである。正式な武勲にはあたらないため、戦の論功行賞には組み込むことはできない。
だから、恩賞は、国王からの個人的なものになる。具体的には金貨20枚といった即物的なものだ。

「それから、娘がぜひ、おぬしに礼を言いたいと。入りなさい」

国王が声をかけると、コーデリア王女が室内に入ってきた。
王女とは、戦場で別行動を取って以来の再会となる。

コーデリア王女は、金髪を短く切っていた。
王女は俺に、戦場での助力へのお礼を言った。

「聞きました。ウォー・ドレイクを手懐けて戦場を離脱したと。あなたは、私の想像を超える方でした」

それはそうだろう。俺もびっくりだ。
まさか敵の陣中深くに潜り込んで大騒動を起こした後、ウォー・ドレイク騎兵に勝利してしまうなんて。
正直、俺程度の腕でこれだけのことができてしまうのなら、聖騎士ウォーレンにだってウォー・ドレイクを倒せたんじゃないかと思ってしまう。
ドラッツェン軍とも、戦いようはあったのでは、と思ってしまうくらいに、内部に潜り込んだら大した相手ではなかった。

「あなたのおかげで私はここにいます。それに、多くの兵たちも帰還することができました」

それでも、あのまま徹底抗戦していたら、さらに犠牲者が増えた挙句敗北するという最悪な結果に繋がることは避けられなかったのだ。

「今日の敗北は、いつかの勝利につながると信じています。あなたが救ってくれた命は、無駄にしません」

コーデリア王女は、俺にお礼をくれた。宝物表を振ったところ、それは金貨20枚の価値を持つ宝石だ。

「アクアマリン。聡明さと勇敢さを象徴する宝石です。これからもあなたの知略と勇気を、我が国のために生かしてください」

今回の手柄は、公式には残らない。
俺、ウォーレンが、当代一の聖騎士ウォーレンを継ぐ者として「小ウォーレン」と呼ばれるようになるまでには、まだもう少し時が必要であった。


ローグライクハーフd33シナリオ「戦場の風」完。


■登場人物
ウォーレン 主人公。ロング・ナリクの若き騎士。従者とアンドレ頼みで活躍の場は少ない。
ロング・ナリク王 コーデリア王女の父。主人公に密命をくだす。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場から帰還を果たす。

■作品情報
作品名:『戦場の風d33』ローグライクハーフd33シナリオ
著者:丹野佑
初出:FT新聞2024年8月4日(No.4211)号


●感想

ローグライクハーフ版「戦場の風」クリアしました!
d33シナリオなだけに、全4回と、コンパクトな冒険となりました。
ゲームブック版が全11回、7人目のクリアだったことを思えば、だいぶスピーディな展開だったかと思います。
これはやはり、TRPGベースの作品と、繰り返し前提のゲームブックとの差が大きいでしょう。

さて、感想に入る前に少々事後処理を。
ウォーレンは今回、【ドレイクへの命令方法】を習得し、ロング・ナリクへウォー・ドレイクを持ち帰りました。
このウォー・ドレイクは、今後従者として連れて行くことができます。
しかし、従者点が12点必要なうえ、1回の冒険ごとに食費として、金貨40枚分の牛を買い与えなければなりません。
従者点12点というのは、初期キャラクターには到底持てる点数ではありません。初級ルールでは、従者点の上限は9点までですからね。
つまり、ここでウォー・ドレイクを手に入れても、すぐにそのまま従者として連れ歩くことはできないわけです。
だからってこのまま手放してしまうのは、あまりにもストーリーとの整合性が取れません。
ここは、主人公が乗りこなせるまで——具体的には従者点を12点にするまでは、ロング・ナリク王家に管理してもらっていることにしましょう。
いつかこのウォー・ドレイクに乗りこなせる騎士となった時こそが、このウォーレンが歴史に名を刻みはじめることになるのかもしれません。

さてここからが感想です。
まずは、ゲームブック版からローグライクハーフ版に落とし込むために、かなりの苦労のあとがしのばれました。
ゲームブック版ではストーリーラインがかなりかっちりと決められているのに対し、ローグライクハーフ版では基本はランダムイベント。
単に戦場を右往左往するのであれば、順不同なランダムイベントの集合体でも良さそうなものですが、このシナリオには明確な段階がありますからね。

王女に会うまでと、王女に会った後。

ゲームブックではもっと細分化されて5つの段階に分かれていましたが、主人公の行動の目的自体が変わるのはここになります。
それを1つのランダムイベント表に入れるのです。
なので、同じ文章でも、起きたタイミングによってその意味が変わってくることになります。

物語前半に敵陣に入った場合と、後半で入った場合では、プレイヤーの方でその意味づけの違いを考えたりも。
TRPGは想像する遊びなので、そこは自由な発想で楽しみたいものです。
私もあれやこれやと妄想がはかどりました。

そして、ゲームブック版とストーリーそのものにも手が加えられていました。
王女とともにする脱出行は、王女とは別行動で陽動をする形に。これがいちばん大きな変化に思いました。
また、ウォー・ドレイクを従えた英雄として凱旋するゲームブック版と、最後まで秘密の任務で終わるローグライクハーフ版。
ゲームブック版は、「敗北には英雄が必要なのだ」という気分にもなり、英雄に仕立て上げられた感がありました。
ローグライクハーフ版は、どこまでいっても秘密の任務ということで、国王と王女との親密度が上がる感じがありました。
同じミッションをこなしているはずなのに、読後感がまるで違うのが面白いですね。

あとは、ウォー・ドレイクまわりのことですね。
ここはやはり、作者の方でドラマの演出がしやすいゲームブック版の方に軍配が上がるでしょう。

序盤に決して勝てないウォー・ドレイクを登場させて、ウォー・ドレイクの無敵感を演出するのは見事と言うよりほかはありませんでした。
そのことで、ラストに再登場するウォー・ドレイクへの緊張感が、いやがおうにも高まります。

対してローグライクハーフ版は、ラスボス戦を除いては、ウォー・ドレイクの出番はほぼなく、出会えたとしても食事場面だけ。さらに、普通に戦って勝てる強さに調整されています。
これは、ウォー・ドレイクという存在そのものの扱いの大きさが、2つの作品で明確に異なっているということかと思いました。

ゲームブック版ではあんなに無敵な存在だったウォー・ドレイクに勝つことができる、ということ自体も十分な魅力ではあるのですけれどもね。

ローグライクハーフ版で工夫が凝らされていると感じたのは、ランダムイベントで、「次のイベントへの誘導」が行われた点ですね。
d33シナリオでは、3×3の9個のランダムイベントのうち、7個を通過し、2個は通過しません。
すべてランダムなイベントにすると、王女がかくまわれている聖堂にたどり着けない可能性もあるわけです。
そこで、あるイベントを通過すると、次は自動的に指定のイベントが起きる、というような誘導が組み込まれることで、聖堂を通過しやすい工夫がなされていました。

また、一度経験したイベントの場所には再度いつでも戻って来られるとルール上明記したのも面白かったですね。

これによって、一番最初に聖堂に到着し、王女に会えなかったとしても、後で聖堂に王女がいることをつかめば、そこに向かうことができるわけです。

誘導つきのイベントと、後から自由に戻れるイベントは、いろんなシナリオに組み込むことで、物語の幅がぐんと広がると思います。
複雑化することが良いことばかりとは思いませんが、たとえば、同じ番号のイベントに段階イベントを仕込むなんてことも可能になってくるアイディアだと思います。

ストーリーの基本的なラインは同じはずなのに、プレイの感覚も読後感もまるで違う2つの「戦場の風」。
ぜひ皆さまも、両方体験してみてはいかがでしょう。
ローグライクハーフのプレイヤーの方々はゲームブックの、ゲームブック好きの方々はローグライクハーフの、それぞれ新しいジャンルに繋がる懸け橋になる作品かもしれません。
どうでしょう。ゲームブック版とローグライクハーフ版を1冊にまとめた冊子版を発売してしまうなんてのは。両方のジャンルの読者からの購入が期待できるかもしれませんよ?
まあ、私は言いっぱなしなので、実現可能性に関してはFT書房様が、どの程度現実検討が可能な案と感じてくれるか、なのですが。

今回の主人公、ウォーレン君は、聖騎士として作成したキャラクターです。
その特殊技能も、せっかくなので、【高潔な魂】【神の加護】といった、聖騎士でしか取得できない技能を持たせました。
しかし、しかしですよ。
今回、その技能を使う機会がまったくおとずれませんでした!
せっかくの公開リプレイなのに、そこは残念でした。
とはいえ、【高潔な魂】のような、従者を蘇生させるような技能、使わないで済むに越したことはないんですけどね。

マッスルで魔法をはじく【神の加護】はどこかで演出入れてみたかったかも。
またの機会に期待しましょう。

それでは、話は尽きませんが、感想はこのくらいにして、今回のリプレイは終わりとさせていただきます。
また別の作品のリプレイでお会いしましょう。

本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
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