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読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第11回(解答編)
かなでひびき
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はろにちわー!
初めての方は、はじめまして!
おなじみの方は、毎度!
火曜日の記事『これはゲームブックなのですか?』にて、掲載させていただいてる、ヴァーチャル図書委員長かなでひびきですぅ!
かなでが集めてきた「謎だけ」で答えのないお話に、オチを付けていただくというこの企画!
今回のお話は、「われらが冒険者、ピンチ君の前に立ちふさがる税関。何とかしてこの女の子を見返りに請求するエロ税関をごまかし、犠牲者を出さずに突破する方法を考えて欲しい」
って話だったよねー!
そして、応募していただいた皆様、ありがとうございます!
早速、紹介していっちゃうね!
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『女の子に厳しい税関』(解答編)
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(ポール・ブリッツさん)
「仕方がない、残りましょう」
ぼくが答えると、やつはいやらしい笑みを浮かべながらぼくの腕をつかんだ。だが、ぼくはそこを柔術の技で逆に押さえ込んだ。
「法に刃向かうのか!」
と叫ぶ声にぼくはさらに大きな声で返した。
「収賄の罪で現行犯逮捕する! このものは、おそれ多くも国税を見逃し、そして代価として賄賂をわたくししようとした大罪人であるぞ!」
周囲の人々は大笑いしながらロープとぞうきんを貸してくれたので、ぼくはそのままやつに縄をかけ猿轡をかました。こいつは番人としてよほど専横がひどかったらしい。恨まれるようなことしてるからいざというときこうなるんだぜ。
ぼくは贈賄罪にならなかったのかって?
その点に抜かりのあるぼくじゃない。もちろん公爵から、事前に公領の外交官身分をもらっていたから、ぼくは罪には問われないんだ。人間三人を入れられる外交官郵袋があったらもっと楽だったんだけど、高望みをしても仕方ないし、きれいに片付いたので万事オーライってことで……。
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(かなでコメント)
なるほどねー。うまいこと法の抜け穴を熟知してますねー。
そして、本当にありがとうございます。ポール・ブリッツさん
次にあげる二作目も作ってくれました!
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(ポール・ブリッツさん)
「番人さん、あなたのお名前は?」
「ゴルディアスですが」
「えい面倒なり」
ぼくは一刀のもとにやつを切り伏せた。
こうして窮地を脱したぼくは、その後大帝国を築くことになるのだがそれはまた別の話。
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(かなでコメント)
キレッキレです!
浅学ながら、「ゴルディアス」のこと知らなかったので、ググってみました!
なるほど「ゴルディアスの結び目」で「快刀乱麻を断つ」みたいな意味だったんですねー。
勉強になるし、こういうギャグ、大好きです。
センスあるユーモアとちらりと見せる博学に脱帽いたしました!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(ジャラル アフサラールさん)
「じゃあボクが残ります。」
アブラギッシュ(仮名)は喜んで3人娘を通過させた後、僕のいる別室のベットに行き…。
「ああ、上手くいった。」
僕は人形相手に腰を振り続けるアブラギッシュ(仮名)を置いて関所を出た。部屋には強力な麻薬が充満しており、僕が「変わり身の術」用にいつも持ち歩いている傀儡人形を麻薬の効果で僕と思い込んだアブラギッシュ(仮名)は死ぬまで腰を振り続けるだろう。傀儡人形は出来が良いので置いていくのは残念だったが。
後年、僕の傀儡人形をモデルにした模造品があの国で販売されているのを知って複雑な気分になった僕だった。
<End>
今回の人形と麻薬は手塚治虫先生の大人向けサスペンス漫画『地球を呑む』にアイデア頂きました。世界に人造皮膚と無尽蔵の金塊で復讐しようとするゼフィルス7姉妹が男性を篭絡してベットインする時に人造皮膚製の人形と麻薬なのです。手塚先生は失敗作扱いされていますが、なかなかの佳作だと思います。
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(かなでコメント)
なるほどねー。因果応報というか、欲におぼれすぎるというか、なかなか手の込んだ仕掛けですねー。
まさに「死の抱擁!」ってところもそそります。
勧善懲悪エンドなのもすかっとしますねー!
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(忍者福島さん)
「それでは仕方ありませんねえ、こちらの別室へどうぞ」
と言われて、男に連れていかれた僕。
〜30分後〜
「ハァ…ハァ…どうぞ、この関所をお通りください…それどころか、また来てくれるなら関税もお返しします。というか、また来てください!」
こうしてぼく達は無事関所を通過することができたのだった。
え?別室で何があったのかって?
いや、太ってる体形であまりにも肩や腰がこってる感じだったから、僕が得意のマッサージでもみほぐしてあげたら一発で解消ってもんさ。
ぼくの魅惑のマッサージテクニック、あなたも味わってみませんか?
(注:この物語は全年齢向けの健全な物語です)
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(かなでコメント)
えっちっち?に誘導しておいて、実は健全! というのが、いい意味で80年代ギャグをほうふつさせます!
しかし、ピンチ君、意外な特技を持っているものですねー!
いろんな意味でキャッキャウフフですねー。
かなでも受けてみたく候!
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(ヴェルサリウス28世さん)
「最近こんなものを手に入れたんですが、これは一体何ですか」
「ああ、これは東方の島国のカードゲームのアイテムだな。この読み札にある歌詞をゲームマスターが読み上げて、プレイヤーが歌詞の後半が書かれた取り札を取る遊びだ」
「何て書いてあるんです」
「うむ、1枚目のカードには、『よをこめてとりのそらねははかるともよにあふさかのせきはゆるさし』と書いてある」
「どういう意味ですか」
「これは、かの美形英雄、エルフ・ザ・ピンチの冒険譚を歌った歌だ。
あるとき、エルフ・ザ・ピンチは悪党に捕われた公爵令嬢を見事救い出したが、無事に帰るには関所を通り抜けなければならなかった。
ここは例の素顔を見せてでも突破しなければならないか、いやそれをすると騒ぎが起こって面倒だ。
そこで口を開いたのが公爵令嬢と一緒に救い出した女の一人で名を鳥野(とりの)ソラネ。鶏の鳴き真似が得意だという公爵令嬢の護衛の一人だ。
姫様はこの奥に隠れていてください、と公爵令嬢を馬車の奥に押し籠めると、もう一人の護衛とともに身を潜め、
クック・ア・ドゥードゥル・ドゥー
と見事な鶏の鳴き真似をした。
エルフ・ザ・ピンチは関所の男に、ほら、馬車に積んでるのは鶏ですよ、とかなんとか言ってごまかそうとしたが、関所の男は騙されずに馬車の中を見せろと迫った。ああ、私はこの関所を超えて家に戻ることは許されないのか、一行の運命やいかに、でこの歌は終わる」
「次回に続くクリフハンガーというわけですね。『よをこめて』というのは何ですか」
「公爵家といえば公侯伯子男の序列第1位。王女を嫁に迎えるような家柄だ。このアル・ポカネ家の公爵令嬢も王位継承権を持つようなお姫様で、長じて運命のいたずらで遂には女王となった。
女王となったのち、幼い頃に護衛と一緒に過ごした日々をなつかしんで歌ったのがこの歌だ。なので一人称が『予』。
『予を籠めて』、つまり私を馬車の奥に押し籠めて鳥野ソラネがはかりごとを謀ったが、予が関所を超えることは許されないのか、『鳥野ソラネは謀るとも、予にアフサカの関は許さじ』というわけだ」
「アフサカの関ってのは何ですか」
「アフサカというのはこの関所を守る関守の名だ。この回ではまだ登場しないが次の回で重要な役割を演じる」
「次の回って、この2枚目のカードですか」
「これや!」
「うわっ、びっくりした。何ですかいきなり」
「いや、この2枚目のカードの歌い出しだ。『これやこのゆくもかへるもわかれてはしるもしらぬもあふさかのせき』」
「その意味は」
「鳥野ソラネの作戦は失敗した。次に作戦を立てたのはもう一人の護衛、湯雲(ゆくも)カエルだ。こちらはまるで犬のように盗みを得意としていた」
「犬って盗みが得意なんですか」
「無くなったと思ったものが犬小屋だったり土の中だったりで見つかったということがあるだろう。まあそんなものだと思いなさい。
さてこの湯雲カエル、関所に並んでいる僧侶の一行から人数分の許可証を掏り取ると、こうまくし立てた。
『あたしたちは神に操を捧げた聖職者。今後も子を産んで生殖することはございませぬ。よって未来の子のための特別関税は課税されないはず。
あたしたちは恐れ多くも東方皇帝の命を受け、先の戦争で焼失した神殿再建のためのクラウドファンディングで諸国を回るもの。咎め立てすれば東方皇帝が黙っておりませぬぞ』
『なに神殿再建のクラウドファンディングと。ならばそれを依頼する勧進帳をお持ちであろう』と関守」
「勧進帳って何ですか」
「『勧進』というのは、東方の僧侶が、寺院の建立などのためにその費用を奉納させることをいう。このときも少し前の戦争で焼失した神殿再建ためのクラウドファンディングを募り、勧進の目的について書かれた『勧進帳』を持って諸国を回っていた。
もとより勧進帳のあらばこそ。湯雲カエルは背負い袋に入っていた白紙の巻物を取り出すと、あたかも勧進帳に見立てて朗々と読み上げた」
「すごいですね。Aパートをみるとまだ幼女でしょう」
「『衣装のところどころから見える手足は、女豹のようにしなやかでしっかりしている』ともあっただろう。後の女王になるような公爵令嬢の護衛にえらべれるような少女だ。あらゆる武芸と知識を叩き込まれていたのだろう。
関守アフサカは湯雲カエルの勢いに押され、思わず関所を通してしまう。
しかし実は、私が公爵令嬢だと知っていて通したのではなかっただろうか。アフサカは知っていたのか、知らなかったのか。
女王は、のちに公爵家を出て王家に入り、湯雲カエルと別れた後も、これ、この出来事が生涯で一番記憶に残っていると振り返った。
『これやこの、湯雲カエルも別れては、知るも知らぬも、アフサカの関』」
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落語の『千早振る』パターンの百人一首解釈もの。「筑波嶺の」を解釈する『陽成院』という落語もある。
夜をこめて鳥の空音は謀るとも よに逢坂の関は許さじ:小倉百人一首第62番。清少納言の歌。『後拾遺和歌集』より。
藤原行成(972〜1028)が清少納言(966頃〜1025頃)と夜遅くまで話し込んで、途中で帰った後に「鶏の声にせきたてられて」と言い訳をしたのに対し、孟嘗君を通した函谷関の関守は鳴き真似に騙されても、逢坂の関(清少納言と会うこと)は許さない、と詠んだ歌。
清少納言(966頃〜1025頃)は、平安時代の女房、作家、歌人。一条天皇(在位986〜1011)の中宮・藤原定子(ていし。976〜1001)に仕え、随筆『枕草子』を書いた。
本作の公爵令嬢は僧を装い女を否定したが、清少納言には、源頼光が清原致信(きよはらのむねのぶ。?〜1017)を討った際、僧形をしていたため(男の)僧兵と思われて殺されそうになり、女性であることを示して逃れたという伝承がある(源顕兼『古事談』「清少納言、開を出だす事」)。
鶏鳴狗盗:中国の戦国時代、斉の孟嘗君(?〜−279)が秦の昭襄王(在位−306〜−251)のもとから脱出しようとした際、昭襄王に献上した「狐白裘」(狐の毛皮の衣)が必要となった。孟嘗君の食客に狗盗(犬のようにすばしこく盗むこと)を得意とする者がおり、狐白裘を盗んできた。また函谷関が開くのは一番鶏が鳴いてからであったが、食客に鶏鳴(鶏の鳴き真似)を得意とする者がおり、彼が鶏の鳴き真似をすると本物の鶏もつられて鳴き始め、函谷関が開き、孟嘗君は脱出に成功した(司馬遷『史記』孟嘗君伝)。
清少納言の歌もこれを踏まえたもの。
本作でも1人を鶏鳴を得意とする『鳥野ソラネ』としたため、それならもう1人は狗盗を得意とする者とした。
鳥野ソラネ:架空のキャラクターやVチューバーに同名は見当たらない。ペンネームに使っている人はいるようだ。
出題編で最初にしゃべっている、まだ幼さが残る、というか幼い女の子が鳥野ソラネ、女豹のようにしなやかでしっかりしている踊り子の服の女の子が湯雲カエル、最後の品の良さそうな少女が公爵令嬢である。なんでヴィオラを背負っていたのかは知らん。
アル・ポカネ:アル・カポネ(1899〜1947)は米国のギャング。本名アルフォンス・ガブリエル・カポネ。本作のアル・ポカネ家は由緒正しい公爵家という設定。
公爵令嬢:イギリスのヴィクトリア女王(在位1877〜1901)は、イギリス王ジョージ3世の王子ケント=ストラサーン公爵エドワード・オーガスタス(The Prince Edward Augustus, Duke of Kent and Strathearn)の娘で、生誕時王位継承権5位から先順位者が次々と死去し、18歳で女王に即位した。なので、公爵令嬢からの女王即位もそんなにあり得ないことではない(その国の制度によるが)。
クリフハンガー:作劇手法の一つで、劇中で盛り上がる場面、例えば主人公の絶体絶命のシーンや新展開をみせる場面などを迎えた段階で結末を示さないまま物語を終了とすること。元々は、1910年代から1920年代に映画館で上映された連続活劇の多くが、主人公が崖からぶら下がった絶体絶命のシーンで終わっていたことから、「崖にぶら下がるもの」を意味する「クリフハンガー」と呼ばれるようになった。
逢坂の関:山城国(現・京都府)と近江国(現・滋賀県)の国境となっていた関所。関のあった場所は現在では定かでないが、滋賀県大津市に「逢坂関址碑」が建てられている。逢坂は「おうさか」(歴史的仮名遣い:あふさか)と詠むが、大阪(古くは「大坂」、歴史的仮名遣い「おほさか」。さらに古くは「をさか」と発音されていたという。)とは同語源ではないようだ。
予:「予」や「余」は一人称の一つにすぎず、別段皇帝に限られるものではないが、現代では主に皇帝の一人称として使われることが多いので、女王になってからの一人称ということにした。
「夜をこめて」の歌の「よに」は「世に」や「夜に」ではなく、「決して」という意味の副詞。
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関:小倉百人一首第10番。蝉丸の歌。『後撰和歌集』より。
蝉丸は、平安時代前期の歌人。様々な伝承があり、『今昔物語集』に盲目で琵琶の名手であったとあり、琵琶法師の祖とされる。
湯雲カエル:こんな名前でも、出題編の描写からしても、公爵令嬢の護衛という設定的にも、カエル人ではなく人間である。「アフサカ」に合わせて「カヘル」でもよかったけど語呂の関係でこちらに。
勧進帳:一般名詞としての「勧進帳」は本文のとおり。また、『勧進帳』は、能の演目『安宅』を元に創られた義経と弁慶を題材とした歌舞伎の演目。1180年の平氏による南都焼討によって焼失した東大寺再建のための勧進を行う山伏に扮した源義経の忠臣・武蔵坊弁慶が、安宅の関(現・石川県小松市)の関守・富樫左衛門に、白紙の巻物を勧進帳に見立てて読み上げる。「もとより勧進帳のあらばこそ」は『勧進帳』の中のせりふ。
あたかも:漢字で書けば「恰も」。『勧進帳』の舞台である「安宅」に掛けている。
知るも知らぬも:能『安宅』の段階では、関守富樫は弁慶に欺かれた男として描かれていたが、歌舞伎『勧進帳』では、弁慶の真意に気付きながらあえて見逃したように演じられるようになった。
生殖:聖職者と生殖を掛けている。聖職者が妻帯して生殖を行うかどうかは、宗教・時代により異なる。キリスト教のカトリックでは、1139年の第2ラテラン公会議で聖職者・修道女の婚姻禁止が定められた。カトリックでは助祭以上を聖職者とし、女性は修道女にはなれても聖職者にはなれない。プロテスタントでは万人祭司の教義があり、牧師も聖職者と呼ばず、牧師の妻帯も禁じられない。現在のTRPGやその世界観に基づく中世ヨーロッパ風ファンタジーの大半では、男女とも僧侶職に就けるはずであり、本作の設定上もそうなっている。
+++++++++++++
(かなでコメント)
今回も力の入った力作、ありがとうございます!
なるほどね。
冒頭からいきなりの場面転換から、一気にストーリーへ!
思わず落語『千早振る』ググっちゃいました。
まさかの百人一首ネタとは!
話ずれますが、「強引な解釈」といえば「ノストラダムスの大予言系」の解説本を思い出すかなではもういいお年(はわわ!)
一句一句もちゃんと「お話」になっていて(『勧進帳』まで出てくるとは!)
全体として、ちゃんとオチがついてるのがすごいですねー。
今回も、勉強になりました!
楽しい時間、ありがとうございました!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(安住餡〇さん)
「仕方ないですねー」
僕は、彼女たちをあっさり手渡した。
奴はにやにや笑って、彼女たちに下卑た会話をするが……いつまで持つかな?
「アル・ポカネ」公爵の「通称」「娘」を、誘拐団から取り返して欲しい……。
アル・ポカネ氏は、「人間」コレクター。
そして、その中には「災厄」を引き寄せてしまう、疫病神「封印すべき」モノだってある。
彼女たちがそう。
事実、僕自身、まるで「運」を吸い取られていくように、腹をこわすわ財布に穴が開くわ、災難の連続。
彼女たちを狙うやつらは。彼女を「災厄兵器」として使おうと考えたから。
さて、奴はいつまで持つかな?
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございました。
確かに「大事に保管してあるもの」=「善きもの」ではないですよねー。
短いながら、その発想のパンチ、そして皮肉さにニヤリ! ですねー!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(七尾八尾さん)
僕は眉根にしわを寄せ、結局は手渡す。
「アル・ポカネ」公爵の「娘」の中には、「腹違いの娘」もいる。
ということは、スキャンダルを恐れて、ポカネは彼女たちを殺してしまう。
どうせ殺されるなら、ここで「生きている」方がマシだと思うのです。
彼女たちもこの程度の変態野郎なら、軽くあしらって逃げてくれるだろうし……。
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(かなでコメント)
ありがとうございます。
うわっ! 生々しい!
まるでよくある歴史の裏幕みたい!
で、これで愛憎乱れまくりで「歴史は夜作られる」(なんのこっちゃ!)
へヴィなネタ、ありがとうございます!
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(クレイジィケンナオ子さん)
僕は、意を決して頷く。
「仕方ありませんね。彼女たちを預けます。」
あっさり答えたので、アブラ氏の顔が驚きに満ちた。
しかし、あっさりと元のいやらしい笑顔に戻って。
「いいんだね。確かにいいんだね」
彼の念押しに、彼女たちが一斉に頷く……。
「あんな手に引っかかるなんて、さすが安っぽい税関だよねー」
これはいらない、と返してもらったヴィオラ。そのケースの中から声がした。
「そこは、ピンチ様の頭の回転の速さ、ですわ」
「だけどびっくりしたろうね。あいつ。捕まえたと思った三人が煙のように消えたんだから」
「アル・ポカネ」公爵の「娘」
それは、ド級の名工、アル氏が、彼が文字通り心血、いや魂を注ぎ込んで作り上げたヴィオラ。
立て続けに不幸に襲われて、はかなくも幼いままこの世を去った三人の娘さんのレクイエムを弾くために作り上げられたもの。
そして、精魂込めて作っているうちに、三人の精霊がつくことになった。
僕にラブラブだった三人は、彼女たちの幻影というわけ。
「ねぇ。このままみんなで旅をして、みんなに歌を届けましょうよ」
悪くない。僕は思う。
+++++++++++++
(かなでコメント)
おおっ! きれいで和むお話ですねー。
なんか、本当に童話テイストというか、ファンタジーバリバリな作品ですねー!
この手の「魂を伝えるために作られたモノ」に、かなで弱いんですよー!
今回の募集の中で、一番ほのぼのしているかもしれません。
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(葉山海月さん)
ぼくはため息を付き、品のいい楽士の女の子の背中に回った。
覗き込んだ税関の男は、うっとうめいて、言葉も出なかった。
そこには、無数の歯車と、鉄の背骨。
「失われた古代技術と、トメキルアの最新魔法技術を駆使した、世にも珍しい、からくり人形です。
ほかの二人も……」
顔を外す!
それだけでも驚きなのに、その下には、硬質の仮面に、歯車が動く、水晶が瞳の顔があった。
「つまり、全員からくり人形なんです。人形って、『モノ』ですよね。課税対象じゃないですよね。
口をパクパクさせる彼を背に、歩き出す。
彼が混乱から覚めるまでに、消えてしまいたかったのだ。
「しかし、うまくいったね。もう二重に仮面被るのって、暑くって暑くって!」
「まったく、顔だけのサウナじゃないんですから……」
踊り子の子と、幼い子が、「からくり人形」の仮面を外す。
「だけど、あたしがいて、良かったですわね。」
そう、「アル・ポカネ」公爵の「娘」
それは、二人は肉親。
しかし、もうひとりは、幼くして逝った娘を偲んで、その財力と人脈にものを言わせ、作らせた「からくり人形」
いや、「魂」を持つという点では、人造人間に近いかもしれない。
一人「本物」を差し出せば、あとの二人も「からくり人形」だと思い込む。
危ない賭けだったが、額を流れる汗は、安堵の汗。
(からくり人形の踊り子、ヒントの元ネタははヴェルサリウス28世様から。ありがとうございました!)
+++++++++++++
(かなでコメント)
ありがとうございます。
なんか、ルパン三世のようなオチですねー。
ちょいと頭脳プレイが絡むところなんかも、かなりツボですわー!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
(かなでひびきさん)
「ああたっ!」
次の瞬間、棍棒片手に奥から鬼のような形相をして出てきたのは、ちょっとした小山のような、小太りマッチョな「おかあさん」!
「『この立場を利用して、公私混同やりたい放題してた!』ってのは、本当なのね! あたしという正妻がありながら、つまみ食いとは! ちょっとOHANASHIしましょうか」
悲鳴を引きながら、まるでクラーケンの触手に引きずられていくような彼に幸あれ!
+++++++++++++
(かなでコメント)
最後は、不肖、かなでひびきのオチで占めてみましたが……。
「おかあさん」はたぶんジャイアンのママの祖先です……。
・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
改めて、皆さん! たくさんのご応募ありがとうございます!
みんなで考えたショートリドルストーリーの、お味はいかがだったかな?
今回、心に残ったのは、やっばりポール・ブリッツさんの豪華二本立て!
特に、二番目の作品は、短いながらも含蓄あるギャグにうならされました。
次は、やっぱり、ヴェルサリウス28世さんの力作ですね。
オチが効いているし、今回の作品「史実ネタを盛り込んだ」という点もリアリティがすごい出ていて、いいと思うのです。
ジャラル アフサラールさん、忍者福島さんは、えっちっちに見せかけながら……、というギャグオチが王道でした。
安住餡〇さん、七尾八尾さん、葉山海月さんは、あの手この手の頭をひねった「脱出口」そして「意外なオチ」が、いかにも「ショートショート」でしたよね。
クレイジィケンナオ子さんの「ヴィオラ」に着目したお話も意外でよかったです!
今回は十人十色、千差万別な答えが返ってきて、こちらとしても楽しませていただきました。
「一本のお題」で、ここまでバラエティー豊かな回答が返ってくるとは!
かなで、感謝感激感動の嵐です!
ありがとうございます!
締め切りは終わったけど、ここに応募された答えにこだわらず、みんなでご自由に謎の続きを考えて欲しいの。
魅力的な謎は、それだけで一つの物語。
それでは、次回の「問題編」
あなただけのオリジナルストーリー、ご応募お待ちしております!
どうぞよろしくお願いいたしますぅ!
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