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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第37回
「ドラゴン」
(中山将平)
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あけましておめでとうございます!
旧年中も僕たちの作品をお楽しみいただき、ありがとうございました。
あらためまして、本年も何卒よろしくお願いいたします。
実は僕たち、1月18日(土)に1つ、1月19日(日)に4つのイベントに参加する予定なので、お知らせを。
以下のようなスケジュールです。
1/18・19(両日)『ボードゲームビジネスエクスポジャパン(BGBE JP)』に参加予定・ブース配置【G-8(一部分)】・開催地:インテックス大阪
1/19『コミックトレジャー45』に参加予定・ブース配置【4号館 D08b】・開催地:インテックス大阪
1/19『関西コミティア72』に参加予定・ブース配置【F-58】・開催地:インテックス大阪
1/19『文学フリマ京都9』に参加予定・ブース配置【お-73】・開催地:みやこめっせ
一日に4つのイベントに参加するのは、僕の記憶では初めてです。
いまから、どんなことになるのか、楽しみにしています。
さて、今日は僕の記事としては新年一つ目ということで、前回に続き少し特別性の高いことを書こうと思います。
ズバリ、今回のテーマは「ドラゴン」!
ファンタジー世界でドラゴンを扱うのは、やはり特別なことだと感じています。
カエル人の創作を通して学んだ扱いについての話を語ります。
ほら、辰年もありましたし。
……え、辰年は去年で、今年は巳年……!?!?
ほ、ほんとですね!!
とはいえヘビ人のテーマは以前書いてしまったので、このままドラゴンの話題を貫きたいと思います!!
創作を楽しまれている方にとって、読む価値のある記事にできたら幸いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
◆ ドラゴンの立場
ファンタジーといえば、ドラゴン。
そう感じられる方も、多いのではないでしょうか。
ドラゴンというモンスターがファンタジーというジャンルそのものを象徴することは、もはや殊更に取り上げる必要もないことのように感じられます。
これまで様々な小説、映像作品、ゲーム等々の中に、代表的な存在としてドラゴンが描かれてきたのを僕自身見てきました。
もちろん、それゆえ僕にとってもドラゴンは重要かつ特別なモチーフであることに疑いはありません。
正直、自分の人生の中で人間を描いた回数よりもドラゴンを描いた回数の方が2倍以上多いなぁと確信しています。
ええ、大好きなんです。
実際、僕の画風は「人間を正しく描くために作られている」のではなく「ドラゴン(やその他のクリーチャー)を(自分にとって)魅力的に輝かせるために作られている」と思っています。
それほど重要なポジションであるドラゴンなのですが、様々な作品を見渡すと、その「扱われ方」は多様であるように見受けられます。
ある作品の中では絶滅しかけている恐るべき兵器として、また別の作品では人間と心を通わせる騎乗生物として、さらに他の作品では悪意に満ちた孤高の存在として……というように。
これらの共通点は、やはりどれもドラゴンを物語において「大きな存在感を放つもの」として描いている点ではないかと感じています。
逆に、そうはいってもその立場やキャラクター性等の特徴・設定は世界観によって大きく異なるというわけです。
だからこそ、自分の作品の中でこの怪物を「どう扱うのか」が大切だと思っています。
◆ ドラゴンの知能
あまりにも大きな分岐点のひとつは、その知能ではないでしょうか。
一部の作品において、ドラゴンは「言語」を見事に操ります。(独自の言語の場合も、人間に通じる言語の場合もあると思います。)
会話ができるほどの知能があるというだけでなく、そういった場合一般的な人間以上に賢いことも少なくありません。
賢者として扱われていることも目にします。
このような作品において、ドラゴンはある種の「神」や「為政者」「知識層の人物」と近しい存在に思えるかもしれません。
一方で、言語を扱わないドラゴンはより獰猛な獣としての性質を描かれがちだと感じます。
「言葉が通じなくとも心は通じる」描写はあり得ます。
いずれにしてもそのキャラクター性が失われることはあまり見たことがありません。(完全な咬ませ犬の場合は別かもしれませんが。)
この描かれ方をする場合、ドラゴンはある種の「自然災害」や「非常に厄介な敵」「粗暴だが狡猾な人物」と近しい存在に思えるかもしれません。
これらのことから僕は、「ドラゴンというものがどういう存在か」ということ自体が、その作品のテーマと深く結びつくことを感じるようになりました。
それぞれの作品でドラゴンが「何の比喩として描かれているのか」が違い、そのことが表したいテーマを反映しているように思えたのです。
ある作品では話せないドラゴンを登場人物の子供のような存在として描いていました。
ドラゴンを通じてのこととはいえ、家族愛さえもテーマになりうるのです。
またある作品では話せるドラゴンを悪と脅威の権化として描いていました。
邪悪さとは何か。善性とはどんなものなのか。そして、悪と善はどのように互いに作用するのか。このドラゴンから、そんなテーマを胸が苦しくなるほど感じました。
◆ フログワルドにおけるドラゴン
カエル人の創作をする際、そこに何を表現したいのか、考えこみました。
一番表現したいものは「善悪観の否定という見地から獲得する他者性」です。
……言葉にするとやっぱり小難しくなりますね。
とにかく、僕は自分の世界を「善悪に分けられもの」にしたくないと思っていました。
そして、「自分が今の有り様と違う前提に立った時、どう判断するか」をもとに、「自分とは違う他者の視点を楽しむ」ことを表現したいという目的を持っていたのです。
そのようなものを表現するために、ドラゴンは二つの面を持つ存在として描くことに決めました。
一つは「世界の神秘を象徴する存在」として。
ドラゴンの体内で生成される特殊な宝石(胃石)「ドラゴナイト」や竜の血の効能、ドラゴンの牙から生まれるスパルトイ(竜牙兵)など、様々な神秘を体験できる存在としての役割。
もう一つは「力を持つ他者」として。
恐ろしく強力で、独自の目的を持ち行動する「自分とは明らかに異なる知的な種族」としての役割。(カエル人の世界フログワルドでは、これを表現するためドラゴンは話します。)
こうして見返してみても、どちらの役割も、僕の創作の目的そのものを照らしてくれるものだと感じています。
どのような目的によって創作をするか。それがドラゴンという象徴に文字通り投影されるのだと思います……というお話でした。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
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