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2025年1月5日日曜日

☆新企画☆フォレストマスターへの道 FT新聞 No.4364

  背景
 主街道は起伏が小さく、歩きやすい。商業都市ナゴールに続くメインロードは何本もあって、大陸中からさまざまな商品がこの街へと流れ込む。食料や酒、装備品などを持ち込む商人に混じって。黙り込み、汗をかきながら荷車を引く者。仲間と話しながら、ペースを保って進む者。牛に荷を引かせ、ゆっくりと道を行く者。さまざまな商人たちに混じって、冒険者が歩いていた。その商品は、自分自身だ。
 人間に似た姿の使いの者が、商業都市ナゴールにある「赤髪の乙女」大通りの〈剣竜亭〉へとやってきた。清潔で気分のいいこの宿屋で、明らかに彼は助けを求めていた。おどおどした態度でキョロキョロと周囲を見渡し、緊張してため息をつきながら、話しかけやすそうな人を目で探していた。


  プロローグ
 春の息吹を目前にしたこの森の鼓動に、君は気づいていた。葉の1枚も残していない森の木々のなかを歩きながら……だが、その枝先はわずかに膨らむ。春を目の前にした桜の木々は、花を咲かせる準備を進めているのだ。一歩ずつ。風も空気も冷えきっている。けれど、日差しはもう暖かい。冷たい風の向こうから降り注いでくる透明な光。冬の気配を遠ざけていく力は、森のすべてを──心と身体を暖めはじめている。

「桜森のあるじに、会っていただきたいのです」

 人間に似た使いの者はそう言って、君に助けを求めた。ナゴールの西側にある桜森に〈魔犬獣〉たちが流れ込んできた。彼らは火を用いて、森を焼こうとしている。彼らは〈オーク〉や〈ゴブリン〉といった、他の【悪の種族】たちを引き連れているという。ナゴールの4人の統治者はこの【悪の種族】たちを、放ってはおかないだろう。だが、彼らが兵士を用意するには時間がかかる。街そのものを守ることはできても、森には多くの被害が出るだろう。森と、そこに暮らす者たち。彼らが危険に晒されるのは明白だ。

 視界が広がる。広場へとたどり着いた君を迎えてくれたのは、背の高いまっすぐな1本の樹だ。冬の終わりきらぬうちに、ひと足先にと咲き誇るひときわ美しい薄紅色の桜。ゆらゆらと揺れるその花から、届くはずもないかすかな香りが漂う──忘れていたあの日を──名前のついていない遠い日の思い出に{ルビ:ふ}触れるような、そんな香りが。
 桜の脇に立つ女性に、やっと気づく。{ルビ:りん}凛{/ルビ}とした立ち姿。ベテランの執事が着るようなスーツに身を包んだ、色の白い女性である。大きな瞳が印象的だ……髪の部分には青い花が咲いている。おそらくは人間ではない……かすかに緑がかった肌は、彼女がトレント(動く植物)の一種であることを想像させる。深々と頭を下げて彼女は、「よく来てくださいました」と言う。風の音のなか、どうしてかその小さな声ははっきりと耳に届く。

「桜の王キルシュバウム様に代わり、お礼を申し上げます。王はトレントとしての生を半ば終えて、あまりお話しになれないので……。」

 王と呼ばれるその樹は、今までに見たどの桜よりも立派な枝と花をつけている。

「私たちは貨幣を持ちませんが、お礼を用意しております。大きなマルハナバチたちが集めた、特別な蜂蜜を。きっと、ご満足いただけると思います」

 キルシュバウムの従者ブルーメはそう言って、壺に入った黄金色の蜜を取り出してみせる。桜森の花々から集められた蜜はドロリとして、純度の高いものだ……金貨50枚の価値はあるだろう。
 桜森のトレントたちの依頼を承諾する。【悪の種族】たちはもちろん、桜森の住人たちに歓迎されているとは限らない。慎重にこの桜森を冒険しなければ。


  読者投稿企画:桜森と冬の終わり
 ようこそ、新しいd66シナリオへ。このシナリオの大部分は空白になっていて、作られているのは「背景」「プロローグ」そして一部の〈固定イベント〉だけだ。
 昔、読者投稿企画があった。「ルームマスターへの道」という企画で、ゲームブックをみんなで作るというものだった。何人もの「ルームマスター」がダンジョンの部屋(ローグライクハーフでいう〈できごと〉)を作った。完成したそのダンジョンは『ディラットの危険な地下迷宮』と呼ばれた。完成した作品はFT書房のファンたちに喜ばれた。「違う人たちがそれぞれの部屋を作ることによって、『まとまりのないできごと』が揃う。そこが、本当のダンジョンのようだと感じた」。FT書房にはそんな感想が届いた。
 この挑戦を「フォレストマスターへの道」と名づけよう。桜森を舞台にした冒険を作る一員に、なってみないか?


  参加方法
 冒険に参加する方法は簡単だ。自分で考えた〈できごと〉に番号をつけて、送ってほしい。たとえば、出目52と書いて、こんな敵クリーチャーが登場するよ、というわけだ。フレーバーテキストは歓迎だ! これが「ローグライクハーフ」の要だからね。でも、自分で書くのが苦手だったら空白でもいい。空白だった場合、杉本=ヨハネがテキストをつけてしまうかもしれないことを、承知していてほしい。
 〈固定イベント〉を書いて送ってくれるのもOK☆ ただし、3回目の〈最終イベント〉に関しては、みんなの投稿を読んだ後で杉本=ヨハネが書くと思う。〈固定イベント〉は歓迎だ。戦いか大きなトラップにしてくれると、ありがたい。
 制作の都合で、番号をズラす可能性があるので、ご承知のほどお願いする。
 

  d66シナリオの〈できごと〉
 d66シナリオの作り方には決まりごとというか、うっすらとした法則を作っている。ひとつは十の位。これが大きいほど、危険が増すデザインになっている。
 「桜森と冬の終わり」の大枠は、次のように決まっている。

・10番台……隠されたなにか
・20番台……中立または友好的なクリーチャー
・30番台……イベント
・40番台……トラップ、あるいは災害
・50番台……弱いクリーチャー
・60番台……強いクリーチャー

 もうひとつは、一の位。これが大きいほど、やはり危険が大きい。同じ60番台でも、かなりの違いがあったりする。
 これらを踏まえて、〈できごと〉の番号をつけてほしい。


  送ってほしいもの
 d66に対応する〈できごと〉と、3回の冒険に対応する〈固定イベント〉から3回目の冒険の〈最終イベント〉を抜いた5個の〈できごと〉が対象だ。さらに、宝物表に登場する6個の「魔法の宝物」も歓迎だよ。
 何回かに分けて送ってくれていいけれど、送るのは完成したものだけにしておくれ。半分できたところで「途中までできました!」と送ってくれるのはNGだ。いや、過去にあったんだよ。


  桜森とその周辺地域
 FT書房の看板作品のひとつ「かえる沼を抜けて」は、かえる沼を舞台としている。この沼地は今回の冒険の舞台である桜森と隣接している(より正確には、かえる沼は桜森の一部だ。しかし、大きな土地を占めるため別に扱う)。
 桜森のシナリオには、かえる沼に関連する何かが登場するかもしれない。さらに言えば、それはかえる沼だけに限らない。そういった周辺地域に関する情報を共有するために、設定資料を準備した。URLを置いておく。

アランツァ設定資料集:大陸南西部
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/AranciaSynopsis_SouthWest.txt


  進行
 企画の進行は、FT新聞の月曜記事上でやろうと思っている。毎週月曜日の杉本=ヨハネによる記事で、こんな感じにできてきたよ、と紹介したい。毎週報告する予定。2ヶ月以内の完成を目指したい。
 〈できごと〉は毎週、水曜日を区切り目にする予定だ。木曜日になったら杉本は、それまでに届いた〈できごと〉や魔法の宝物に目を通す。来ている質問を返すのも、その時になるだろう。


  参加のルール
 ペンネームをひとつ決めて(途中で変えてはいけない!)、そのペンネームで参加してほしい。送り先はFT新聞のおたよりコーナーにしよう。質問はdiscordでしてもらうことになる。ただ、杉本は最近ちょっとメンタルの調子が悪いから、返事が返ってこないこともある。そのときは、なるべく相互に情報や知識を補い合ってくれると助かる。

↓投稿先はこちら!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

↓「桜森と冬の終わり」公式discordサーバーはこちら!
https://discord.gg/eu83KpP5cf


  〈できごと〉の内容
 名前のとおり桜森は「森」だから、〈できごと〉の内容はオープンフィールドに限定されやすい。でも、絶対にそうってわけじゃない。桜森には山に面している場所があって、そこには小さな洞窟がいくつもある。平地もあるし、川もある。あるいは、桜森には〈マルハナバチ〉と呼ばれる巨大な蜂型クリーチャーや〈ジグリ・ザグリ〉が住んでいる。〈かえる人〉が住むかえる沼が近い位置にある。今回はそれらに加えて〈ゴブリン〉〈オーク〉〈魔犬獣〉といった【悪の種族】もたくさん、入り込んでいる。もっと言えば、これらの種族とは関わりのない、君自身が考えたクリーチャーを準備してくれたっていい。

■参考資料
ローグライクハーフ サプリメント:都市オプション「商業都市ナゴール」
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/RogueLikeHalf_SUP_Nagor.txt

↓ローグライクwikiに登場する「商業都市ナゴール」の情報
https://ftbooks.xyz/ftwiki/index.php?%E5%95%86%E6%A5%AD%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%83%8A%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB 


  採用と不採用
 〈できごと〉を送ってほしいと言っておきながら心苦しいのは、すべてを採用できるわけではないっていう点だ。〈ゴブリン〉のアイディアが10種類届いたら、半分以上をボツにすることになるだろう。他にも、いくつかの理由で採用できないことはある。でも、そんなときでも、送ってくれてありがとうって思っている。
 それだけは、知っていてほしい。


  修正を入れること
 個人制作のシナリオで「アランツァの設定と食い違う場所」があったとき、それはそれでヨシ! と杉本は思っている。細部を詰めるのが楽しい作者はキッチリと作ればいいと思うけれど、そうでない人はあまり気にしなくていいと。そう考えないと、「すべてのサプリメントを読まなければ、シナリオを書く資格がない」みたいな話になってしまうからだ。
 だけど、今回のシナリオは読者投稿ながら、公式であるFT書房から出すものになる。だから、投稿されてきたいい〈できごと〉があったとき、それを採用する前に「修正」を入れることがある。つまり、アランツァ世界にマッチするように、私たちが調整を入れるって話だ。調整は設定に関する部分にフォーカスされる。
 そして、主に時間の都合で、調整後の原稿を確認のために、作者にフィードバックすることはできないと思う。「それでいいよ」という大らかな気持ちで、参加してほしい。敢えて言うなら、そのあたりが参加資格だ。


  参加特典
 「桜森と冬の終わり」は多分、小部数印刷をすると思う。他の作品と違って、あまり多くは刷れないんだ。この企画は営利目的じゃないし、どのぐらい売れるのかが読めないものだから。でも、参加してくれた(採用された)「フォレストマスター」たちには、優先的に献本を送ろうと思う。そのとき、FT書房の作品を1冊、同時に送ることも考えている。ただ、「ミラー・ドール」みたいな絶版本は、私たちも持っていないから、BOOTHで買えるものに限定させてもらうけれど。


  埋まらなかったら?
 優秀な「フォレストマスター」が揃えば、〈できごと〉はあっという間に埋まるだろう。でも、フォレストマスターたちは優秀だから、忙しくてあまり投稿が届かないこともあり得る。そんなときのために、フォレストマスターの間にはFT書房のメンバーが紛れ込ませておく。
 「ディラットの危険な地下迷宮」のときは、「エリアス・ウィンザー」という名前の投稿者がいたんだけど、それは杉本=ヨハネの別ハンドルネームだったんだ(初めて作ったキャラクターの名前だよ)。
 このフォレストマスターは、〆切が近づいているのに〈できごと〉が足りていないような状況で、バリバリと執筆をはじめる。作品全体で伏線が足りないときなんかにも、シレッとした顔で作品のクオリティを上げるために放り込んでくる。制作を半分手伝うことで、作品の質を維持するつもりなんだ。このあたりも「ハーフ」ってわけだよ、ローグライクハーフは。
 だから、気楽に参加して大丈夫。


 読んでくれてありがとう。みんなの参加を待っているよ。
 じゃあ、またね。


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