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2025年1月8日水曜日

第3回【最期の日に彼女は】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4368

第3回【最期の日に彼女は(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】ゲームブックリプレイ


※ここから先はゲームブック【最期の日に彼女は(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


ぜろです。
「最期の日に彼女は」(クトゥルー短編集2 暗黒詩篇)をプレイしています。
双子の妹、西宮ハナとして、週末に帰宅しない姉のレナを探し始めました。
レナのパソコンにある「スタグラム」の写真から、姉の立ち寄り先を突き止めました。
そこでレナの携帯電話を手に入れます。しかし、パスワードがわからずに開くことができません。
次に、レナの自転車を探すことに。
自転車の行方は、そしてなにより姉、レナの行方は?


●アタック01-6 レナ、みつかる

携帯電話のロック解除に行き詰ったので、レナの自転車を探すことにした。
赤いママチャリだ。防犯登録の番号もわかる。

家と、最後に立ち寄った焼鳥屋の間を往復し、道行く人に尋ねる。
しかし。人の数が多すぎる。特定の層に絞って聞き込みをしよう、となった。

選択肢は以下だ。

・警察に連絡したことがある
・学生中心
・主婦中心
・老人中心

なるほど。警察にすでに連絡したことがあれば、そっちから情報が入る可能性もあったのか。
あとは、学生、主婦、老人か。

レナが行方をくらましたのは、金曜日の夜だ。
そこを着眼点に、可能性を絞ろう。

夜の焼鳥屋を出た時間帯、出歩いている可能性があるのは誰か。
主婦や老人ではないだろう。
夜遊びか、塾帰りの学生というのが、いちばん可能性は高いのではないだろうか。

私は、学生中心に聞き込みを行った。
するとついに、知っている人を見つけることができた。
高校生くらいの男子だ。

「金曜日の夜に、橋のそばの道路で見かけたんです。それで、そこの公民館の駐輪場に移動させました。そのままだと危なかったので」

彼が自転車を発見したという、橋の近くに案内してもらう。
川は急な堤防に沿っており、下へは降り辛い構造だ。

「たしか、このへんでした」

堤防のへりに生えた草の上に、パンプスが片方、落ちていた。

レナの靴だ。

不吉な予感が高まる。動悸が激しくなる。
近づくと、堤防の草が不自然になぎ倒されていた。

その場からは降りられない。回り道をして堤防の下に降りた。

レナはそこで、うつぶせに、倒れていた。

名前を呼んでも、返事がない。

もう、生きていないのだ。

いちばん大切なひとの、突然の、死。

頭をがんと殴られたような衝撃。

私は、道案内した高校生が警察に電話しているのを、どこか遠くの出来事のように聞いていた。


●アタック01-7 レナの指紋

選択肢が出ている。

・レナの手をとって、もういちど呼びかける
・警察が来るまで、レナには触れない

私は、その選択肢を呆然と眺めることしかできなかった。
不吉な予感はあった。
そうであってほしくなかった。

でも今、私の目の前に、レナは倒れている。

「レナ…‥どうして」

私の声は、ひどく震えていた。
私は、レナの手を取る。

ひどく混乱している。
レナになにが起きたのか、私は知らなければならない。

ただその思いに突き動かされ、レナの携帯電話を取り出した。

指紋認証。

生体認証だろうから、反応しないかもしれない。
しかし、やってみないではいられなかった。

1回め、拒否。
2回め、拒否。

そのとき、レナの指先が、かすかに動いたように感じられた。

そんなはずない。錯覚だ。

そして3回め……ロックが解除された!

私はすかさず、パスワードの設定変更をした。
これで、後からいつでもロックを解除できるようになった。

その後のことは、遠い世界の物語のようだった。
警察に連れられ、事情を話す。自分の声ではないみたいだ。
レナの死に顔を見て「間違いありません。姉の、レナです」と言っているのは、誰?

ほかに、呼べる人はいない。身寄りはない。誰にも、頼れない。
私、ひとりきり。
警察のそうした質問は、嫌でも私がひとりぼっちになってしまったことを思い知らされる。
私が、レナの遺体の身元引受人となる。

遺体は検死が済んでいないので、本日中には家には帰れないらしい。
検死が終わったら、専用の車両にて家まで運んでもらえるとのことだ。

どうしたら良いのかわからない私のために、警察官は葬儀会社を紹介してくれる。
警察官にお任せする。私が呆然としている間に、警察官が葬儀会社と連絡を取る。
私が「はい」「はい」と返事をしているだけで、みるみるうちに葬儀の段取りが決まってゆく。

なに? なんなの? これはなんなの? 私は、なにをしているの?

解放されたのは、真夜中だった。


●アタック01-8 レナの交際相手

眠れないかと思っていたが、疲れがどっと出たのだろう。
私は、泥のように眠っていた。
朝、目覚める。
レナの携帯電話に、着信が入っている。
もしかしたら、この振動で目が覚めたのかもしれない。

番号を確認し、私の携帯電話から折り返した。
男性が電話に出た。

私は、西宮レナの妹です、と名乗った。
男性は、新名(にいな)と名乗った。
姉のレナさんと、お付き合いをさせていただいております、と。

私は、姉の死を伝えなければならなかった。
電話口の向こうの男性は、ショックを受け、絶句した。
男性に、本日がお通夜であることを告げる。それまでには、姉の身体はここに戻っていることになっている。

「お通夜には、必ず行きます」

新名と名乗る男性は、そう告げると、電話を切った。

次に何をすれば……。年賀状があれば、姉の友だちに連絡できるかもしれない。
そうだ。それより先に、姉の会社に連絡を入れないと。

ヤマト感染研究所に電話をする。
今日はもう平日だ。普通に電話は通じた。

電話に出たのは、ザラザラした低い声の男性だ。
特徴的な声。留守番電話の音声の人物に間違いない。
ザラザラ声の男性は、レナの上司とのこと。御国獅子丸と名乗った。
ここで私は、また姉の死を、私の口から説明しなければならなかった。

その後、私は葬儀の準備に追われた。
そんなことどうでもいいと思いながら、私は動いた。
動いている間は、神経を鈍らせることができた。

途中、警察署から電話が入る。
姉の荷物を返却するため、一度署に来てもらいたいとのこと。

警察署に行くと、レナの手帳や財布を渡された。
その後、署長室に通された。

署長はお悔やみの言葉を口にした。
そしてその後、信じられないことを言ったのだ。

「西宮レナさんの遺体が、検死の途中で行方不明になりました」


次回、私は姉レナがどうして死んだのか、知らなければ。


■登場人物
西宮ハナ 主人公。双子の妹。無職。
西宮レナ 主人公の双子の姉。ヤマト感染研究所勤務。遺体で発見され、その遺体が警察署から消えた。
新名 西宮レナの交際相手。
御国獅子丸 西宮レナの上司。

■作品情報
作品名:ゲームブック クトゥルー短編集2 暗黒詩篇 「最期の日に彼女は」
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
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