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2026年7月29日水曜日

第1回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4935

第1回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ●ある船員の手記 雲ひとつない空に、照りつける陽光が肌を焼く。 その暑さを和らげるように、暖かな風が全身をほどよく撫でてゆく。 そのあまりの心地よさに、私は甲板作業の手を止め、しばし身を委ねる。 海原はどこまでも続き、水平線の彼方に溶けるように消えている。 ビストフへ向けた航海は順調だ。 これまでの航路は、かつて体験したことがないほどに穏やかだった。 やさしい波を、船体がゆるやかにかき分けて進んでいる。 マストの上に設けられた見張り台から、マドレーン諸島の島影がうっすらと見えるようになれば、目的地の貿易都市ビストフは近い。 この船は、ビストフへ向けた貿易船。 多くの貨物と香辛料、それに見合った船員、そして少ない乗客を乗せている。 今、甲板で海を眺めている二人と一匹は、その数少ない乗客の一組だ。 その風体が特徴的で、乗船したときからずっと気になっていた。 ひとりは年かさの偉丈夫。齢は三十代後半から四十代あたりだろうか。 筋肉質な体躯をむき出しにしており、全身が浅い傷にまみれている。 両頬にも十字傷。左目は眉のあたりから目の下にかけて傷が走っているが、目は無事なようだ。 幾度も危地を乗り越えて来たのだろう、歴戦の猛者を思わせた。 声量も大きく態度も大きい。口調もその容姿に見合った乱雑さだ。 名前はたしか、ヴァルグと名乗っていた。 気になるのはもうひとりの方だ。 見たところはまだ少年だろうか。大男と一緒にいるためより小柄に見える。 その少年はフードを目深にかぶり、マントで全身を隠すように覆っていた。 その背には、少年に持てるとは思えない巨大な槌が背負われていた。 ヴァルグの荷物持ちか武器持ちだろうか。 ビストフは大陸北東部に位置する都市だ。 しかし、この時期のマドレーン海域は暖流の影響で暑いほどだ。 初夏のビストフの陽射しは容赦なく、人々の肌をあらわにさせていく。 大男ヴァルグの格好の方が自然なのだ。 にもかかわらず、あんな厚手のマントに身を隠すなど、正気とは思えない。 一度訊いてみたものの、ヴァルグの「気にするな」の一言で終わってしまった。 気になる。 そしてその少年が連れているのは炎のように赤い直毛のロン毛、毛深い大型犬のように見える。 少年くらいなら乗せて移動することもできそう。ただの犬でないことは明らかだ。 私は、この人たちの関係性も気になっていた。 少年は、ヴァルグとはよく会話しているようだが、他の人に積極的に話しかける感じではない。 ヴァルグと少年は、父と子ほどに年齢は離れているが、親子というには似てなさすぎだ。 本当に荷物持ちなのか。 見張り台の船員が緊迫感あふれる警告の声を発したことで、私の思考は中断された。 見張りが示した方角を見る。甲板からも、海原に、なにやら複数の物体が漂っているのが見えた。 しかしそれよりもその先だ。海そのものが丘のように盛り上がりながら迫ってくる?! 「あれは……クラーケン!!」 見張り台の船員が絶望的な名を叫ぶ。 その瞬間、船に十分に近づいていた海の丘がさらに盛り上がり、白く巨大な胴体があらわになった。 同時に巨大な二本の触腕が海中から飛び出し、甲板にのしかかる。 船体がぐらりと傾き、見張り台の船員が海に落下するのが見えた。 クラーケンは巨大すぎる伝説的な海の魔物。その容姿はイカを思わせる。 出会ったが最後、船はバラバラにされ、生きて還るなど絶対に不可能だ。 甲板の触腕の一本が無造作に横に払われる。 それは甲板にいるものすべてを海へと薙ぎ払う動きだ。 私は一瞬で死を間近に感じた。 だが、その触腕は私のところへ届かなかった。 ヴァルグが、両手に持った剣を交差させ、がっしりと踏ん張って触腕の動きを止めていた。 両の腕の筋肉がパンパンに膨れ上がっている。 いや、ありえないだろ。いくら頑強な猛者だろうと、人の身体で止められるものじゃない。 目の前の光景を見せられてもなお、頭が理解を拒む。 そこにヴァルグの、怒号のような声が降ってきた。 「そこのテメエ! 砲台に向かえ! でっけえ図体のどてっぱらに一発お見舞いしてやんだよッ!!」 キョドって左右を見るが、言われたのは私以外ありえなかった。 「で、でも私、撃ったことなんて、一度も……」 「やるんだよッ!!」 ヴァルグのバカでかい声に縮み上がる。 「……船員さんなら、撃ち方のひとつも習ってんだろ。誰にだってはじめてはある。やってみな」 私が委縮したのを察したのだろうか、ヴァルグの口調が柔らかくなった。 あの触腕を押さえながら、そこまでの余裕があるのか。 そうだ。今動けるのは私しかいない。貿易船にも最低限の武装はある。 私はクラーケンの本体がいる、左舷側の砲台を目指す。 しかしそこに、もう一本の触腕が持ち上がり、上からたたきつけるように動いた。 今度こそ、終わりだ。 そう思った私の前に、ひとつの影が。 それは、あのマントの少年だった。 「君、あぶなっ!」 「なぁに。大丈夫だ」 ヴァルグの声。 少年がマントを払う。あらわになったのは、体躯に見合わぬ、巨大な左腕。 それは黒毛に覆われていた。そして、少年に持てるとは思えぬ巨大な槌が握りしめられていた。 「獣の……腕……!」 私は、その光景に、思わずつぶやいていた。 少年は、振り下ろされる触腕を、真下で受け止めきった。 その横ではあの大型犬めいた生き物が、がじがじと触腕に噛みついている。 「オレには長くは止められない。今のうちに、早く!」 少年の声で我に返る。砲台に取りつくと、あとは無我夢中だった。 **** 私たちはどうやら、助かったらしい。 伝説の海の魔獣クラーケンが、私の砲撃なんかであっさり撃退できるはずがないのだが。 海に落ちた船員たちの救助にあたっているうちに、その理由がわかってきた。 クラーケン出現前に波間に見えた複数の物体は、船の残骸だった。 クラーケンはここに来る前に、すでに一隻の巨大船を破壊していたのだ。 つまり私たちは、ひと仕事を終えたクラーケンの帰路にたまたまはち合わせたにすぎなかったわけだ。 それでも、助かったのは奇跡としか言いようがない。 私は、私たち船員と、船の命を救ってくれた二人を見る。 少年は獣の腕を、すでにマントの下に隠していた。あのさなか、それを見たのは私だけだったかもしれない。 「よくやった、ハルト」 「はい、師匠」 「だから師匠って呼ぶんじゃねえよ!」 ああ。師弟だったのか。 最初はそんな可能性すら感じなかったが、今の私は、変に納得していた。 ヴァルグの意識が私に向けられた。 「おい、テメエ、名はなんていうんだ」 「あっはい、ポールです」 「ポールか。いい腕してんじゃねえか。ありがとよ!!」 ヴァルグがまた、デカい声を私に降らせてきた。けど、それは意外にも感謝の言葉が添えられていた。 いや、意外というのは失礼にあたるかな。私は、人は見かけによらないということを、今、目の当たりにしているところだ。 そんな武骨で不器用なヴァルグの隣には大型犬がぺたんと座ってリラックスしていた。 口から小さな火の舌がチロチロと出ていて、私は目を丸くした。 「こいつはヒース。火吹き獣なんだ」 ハルトと呼ばれた少年が説明してくれた。 さあ、ビストフはもうすぐそこだ。 この後、ヴァルグからクラーケン退治の砲撃手としてスカウトされる日が来ようとは、想像もしていなかった。 ■ローグライクハーフとは ——想像の、旅に出よう。 ローグライクハーフのリプレイへようこそ! 「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。 1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。 その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。 同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。 簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。 そしてリプレイは、そんなローグライクハーフのシナリオを実際にプレイした様子を物語風に記述したもの。 自分がプレイした様子を、想像力のおもむくまま、冒険小説として仕立てています。 さらに、実際にどんなプレイをしたのかの[プレイログ]もついています。 プレイ風景を知りたい方、自分のプレイとの違いを楽しみたい方、純粋に物語を楽しみたい方、いろんな楽しみ方ができる、それがリプレイの魅力です。 ●作品紹介 ぜろです。 今回挑むのは、ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」になります。 クラーケンを退治する海洋冒険譚です。 また今回も、新しいキャラクターを用意しました。 ヴァルグとハルトの師弟コンビになります。 以前私は、ヒーローズオブダークネスから、妖狐と魔猫を使ったリプレイを書きました。 今回は、拡張ルールから新しい職業をチョイスしています。 とはいえ、その職業に就いている、というよりも、その系統の技能を使いこなしている、という感覚になります。 そのため作中で職業名が触れられることはありません。それぞれがなんの職業なのかは、後に記載されるデータにありますので、ご確認ください。 また、ハルトの持つ「獣の腕」は、データ的な裏付けのない描写のみの設定になります。 見た目にそぐわぬ巨大な腕と巨大な槌を持っていますが、データ状は単なる片手武器の扱いです。 ローグライクハーフはもともと、効率を最小化するよう設計されています。 弱いクリーチャーが基本的に一撃で落ちるようにデザインされているのは、プレイヤーキャラクターは最初から英雄的な強さを持っていることの証左です。 だからその強さの理由づけとして、こういう設定を付加してもいいかなと思いました。 彼がどうしてそんな外見をしているのかは、おいおい語られることでしょう。 さあ、それでは、新鮮な驚きに満ちた、スリル満点な冒険をお届けしますよ! さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。 だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。 リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。 あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。 また、本リプレイではランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めながら冒険を進めていきます。 サイコロを振ってイベントが決まったら、イベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていきます。 彼らの織りなす冒険を、ぜひ楽しんでください。 ●アタック01-1 領主との謁見【ハルト】 貿易都市ビストフの宮殿の謁見の間で、オレはヴァルグ師匠について、領主マキシミリアンと対面していた。 火吹き獣は宮殿に連れ込んじゃダメっていうから、ヒースは厩舎に預けてある。 「ヴァルグ。我が友。久しいな」 「ヴィル、テメエ友とか気色悪りぃこと言ってんじゃねェよ」 「そう言うな。ネグラレーナの剣闘士時代にはだいぶ稼がせてもらったからな」 「俺は金づるかよ!」 ヴィルヘルム・マキシミリアン。それがこの領主のフルネームだそうだ。 師匠は領主を愛称で呼んでいた。しかも完全にタメ口。これって王族とか貴族にしてもいい態度なんだろうか。なんかダメな気がする。 短い口ひげに、端正な顔立ち。物静かで思慮深そうな雰囲気をまとっている。師匠とは正反対のタイプだ。 「……で、わざわざ呼び寄せた理由はアイツだな。クラーケン」 「ほう、話が早いな」 「ここに来る前にちょっくらあいさつしてきたからな」 その意味がわかったのだろう。領主は身を乗り出した。 「なんと。まさかクラーケンに遭遇したのか。……それで生還するとは、やはり私の目に狂いはなかった」 「俺を選んだ時点で曇ってるぜ。わかってんだろ。俺の悪評をよ」 「多少は耳に入っているが、それがどうかしたか。私は君の実力を知っているからな」 「チッ。どうなっても知らねェぞ」 オレは師匠の過去を知らない。師匠は自分のことをなにも話さないからだ。 元剣闘士っていうのも今知った。 「お前のために船を用意した。乗組員もな。もし他に呼びたい者がいれば人員に余裕もある。無論、相応の報酬は用意させてもらう」 「たりめェだ」 「出航日はもう少し調整が必要だな。船を見ていくか?」 「ああ」 「では港の一号桟橋で合流しよう。また後でな」 宮殿から港へ向かう途中で、オレは気になっていた質問を師匠にぶつけてみた。 「なあ、悪評ってなんだ。態度の悪い衛兵が言ってたことか」 「なにを聞いた?」 ヒースを預けるときの衛兵の態度が悪かったからいい気分はしなかったが、師匠が一喝すると縮み上がっていた。 そのときにぼそぼそと悪態をついていたのを、オレの耳は拾っていたんだ。 「全滅野郎とか、味方殺しのヴァルグとか」 「そうか……」 師匠は、黙ってしまった。 「けど、そんなわけない。オレ、文句言ってくる」 「やめとけ」 「なんで」 「それが事実だからだ」 「……」 今度は、オレの方が黙ってしまった。 「だからテメエも俺についてこない方がいいぞ」 師匠はそのままさっさと歩き始めてしまう。 オレはその背中をただ、呆然と眺めていたが、はっとなって大声でわめいた。 「……オレは、信じないからな!」 ●アタック01-2 出航の日【ポール】 私が一番桟橋に到着すると、停泊している船に、コビットの船員たちが慌ただしく、食料品を積み込んでいるところだった。 ビストフにはコビットが多く、特に港湾作業や船員として働く者が多い。小柄な種族のため、船の揺れでも安定性が抜群なためと言われている。 あれがこれから私が乗船する船、「エメラルドの誓い」号か。 武装商船をベースに組み上げられた新たな船だ。白い帆がまぶしい。 砲門が並んでいる。そのうちのひとつを、私が受け持つことになるのだ。 私はバンダナを結び直して気合を入れると、板橋を渡り甲板へと向かう。 板橋は頑丈なつくりだったが、私の脇をちょこまかと器用に避けつつ行き来するコビットたちの勢いで、ゆらゆらと揺れていた。 甲板に上がる。箱の上に座ったコビットのチーフが、軽い口調で右へ左へと指示を出している。 私は、私をスカウトした男の姿を探した。 「あれ、ポールじゃない」 そのとき、聞き知った声がした。張りのある威勢のいい女性の声。ニーナだ。 ニーナとは同じ港で働く者同士、見知った仲だ。何度か同じ船で働いたこともある。 「なに、あなたこの船に乗るの? 乗船名簿にはなかったはずだけど」 「ソイツは、俺が呼んだ。貴重な砲撃手だ」 太くてデカい声が聞こえ、私が探していた人物が現れた。 私をスカウトした男、ヴァルグ。 相変わらずその横にはフードにマントの少年と、直毛ロン毛の火吹き獣を連れている。 ニーナはそれを聞いて、目を丸くした。 「え? なんの冗談? 彼そもそも砲撃手じゃないし」 そのとおりだ。もともと私は砲撃手じゃない。 ニーナの方が、領主に正式に雇われた砲撃手のはずだ。 「ソイツはな、クラーケンめがけて果敢に撃ち続けたんだ。大した奴だぜ」 「い、いやそれは、ただ必死だっただけで……」 褒められているのに、なぜか委縮して言い訳をしてしまう。 「まさか、クラーケンと!? ……あなたなかなかやるのね。あたしも負けてられないわ」 ニーナは気持ちの良い女性だ。変に絡むこともなく、あっさりと私のことを認めた。 「皆、そろっているようだな」 コビットたちの搬入が終わる頃、ハーツデイル様が乗り込んできた。 ハーツデイル様はこの船を領主から賜った、所有者である貴族。つまり、船長ということになる。 強いくせっ毛が、三角帽の外にまではみ出ている。 「作業の手を止められる者は一旦止めて聞け。我が船『エメラルドの誓い号』はこれより、エメラルド海への航海を妨害する海賊船<鮮血号>の脅威を取り除く」 ハーツデイル船長が説明を始めると、ヴァルグがたちまち抗議の声を上げた。 「この船はクラーケン退治に出るんだろ。ヴィルからそう聞いてるぜ」 「なるほど君がマキシミリアン様推薦の傭兵か。見学のときに一度会ったかな」 「そんなことよりどういうことか説明しやがれ」 「まあ待て。どのみち海域を荒らす海賊を取り除かねば、エメラルド海には出られぬのだ。それに我らの力がいかほどのものか試す必要もある」 「チッ。そういうことかよ。じゃあ、しゃあねェな」 ヴァルグの不遜な態度は相変わらずだ。ハーツデイル船長は一瞬だけ苦い表情を見せたが、その後は気にした様子もない。 もしかしたら、領主様からあらかじめ聞いているのかもしれない。 「理解したかな。では、出航の号令を下そう」 「待ちな。もういっこある」 「なんだね?」 「クラーケンをぶっ潰しに行く船の名が『エメラルドの誓い』なんてのはオシャレすぎんだろ」 「ほう。なら君がもっと良い名をつけてくれてもいいが」 「そんなん決まってる」 ヴァルグはニヤリと笑って宣言した。 「この船はこれから『クラーケンぶっ殺し号』だ」 こうして新たな船名が決まった。ハーツデイル船長は一言「下品な……」とつぶやいたが、異を唱えることもなく受け入れた。 「出航だ! 碇を上げよ!!」 ハーツデイル船長の号令が響きわたる。航海のはじまりだ。 次回、最初の航海は順調そうに見えたが……。 【ヴァルグ レベル18 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】20 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) ハチミツの塊2(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】0 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【ハルト レベル8 技量点1 生命点7 筋力点3 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】43 【持ち物】 ランタン 【獣血】【凶暴化)【騎馬防御】 【未使用経験点】0 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! 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2026年7月28日火曜日

ゲームブックにおける死と物語 第8回:『単眼の巨獣』における選択と成長 FT新聞 No.4934

おはようございます。FT新聞編集部員のくろやなぎです。 本日は『ゲームブックにおける死と物語』の第8回として、『単眼の巨獣』(著:ロア・スペイダー、2025年、FT書房)に関する考察記事のつづきをお届けします(前回掲載は2026/06/30、No.4906)。 『単眼の巨獣』は、「混沌」と呼ばれるモンスターを主人公とするゲームブックです。 混沌は、「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という特徴をもつモンスターですが、その中でも「森の一つ目狼」と呼ばれる個体は、自らの「分裂体」を生み出すという「まれな選択」を行う、変わり者の混沌でした。 作品のプロローグで、一つ目狼は人間たちの国からの討伐隊に殺されますが、その分裂体である「君」は、一つ目狼によって海へ逃がされて生き延び、作品の序盤の舞台となる絶海の孤島に流れ着きます。 前回の記事では、このプロローグにおけるいくつかの描写や、本編開始直後のある強敵との遭遇の場面を手がかりとして、混沌の「本能」と、一つ目狼や君の「個性」および「選択」との関係性について考察しました。 「あらゆるものを取り込み、成長を続ける」という指向性は、すべての混沌に共通する「本能」として語られますが、その「本能」から生じる具体的な行動は、結果として一律ではなく、それぞれの個体の個性を反映したものになります。特に、「まれな選択」をした一つ目狼の分裂体であり、さらに、その一つ目狼に命を救われる・逃がされるという経験(これも、混沌としては「まれな」経験のはずです)をした「君」は、その分裂元である一つ目狼よりも、さらに特殊で個性的な個体だと言えるかもしれません。 そして、そのような変わり者の「君」が今後どうなっていくのかは、ひとつひとつの場面における読者(プレイヤー)の選択にかかっています。 では、作品の中で、君(としての読者)にはどのような選択肢が用意されており、そこでの選択の積み重ねに応じて、君の「取り込む」「成長する」という「本能」はどのような形をとることになるのでしょうか。 あるいは、その成長の途上には、どのような形での終わり(死)が待ち構えており、君はそれをどう回避し、生き延びていくのでしょうか。 前回は物語上の背景や描写に基づき考察を行いましたが、今回の記事では、『単眼の巨獣』のゲームとしてのルールや進行という側面から、君の選択と成長のあり方について見ていきたいと思います。 記事の中には、作品の最序盤の内容に関する詳細な記述が含まれます。未プレイの方はご注意ください。 作品はBOOTHにて販売されていますので(本稿作成時点では在庫あり)、実際に読みたい・遊びたい、と思われた方はぜひお早めにどうぞ。 [FT書房公式HP内 『単眼の巨獣』紹介ページ] https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/tangan ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ゲームブックにおける死と物語 第8回:『単眼の巨獣』における選択と成長  (くろやなぎ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ■君の成長と2種類の数値 まず、主人公である「君」の強さや成長が、どのような要素によって構成されているのかを確認しておきましょう。 プロローグの終わりに絶海の孤島へ流れ着いた時点での、君のステータスは以下のとおりです。  戦闘力:10  体力(現在値/最大値):10/10  【能力】 「ゼリーの体」  【スキル】 なし 数値化されたステータスが2種類と、取得したものを個別に記録していくタイプの【能力】【スキル】という2つのカテゴリー。 他には金貨も食料もアイテムもなく、経験値もフラグ管理のための記号もない、非常にシンプルな構成ですが、これらの4要素が作品内での「君」を表現する指標のすべてとなります。 「戦闘力」は、生物としての「強さ」の指標であり、戦闘力が高いほど強い生物になるとされています。 『単眼の巨獣』の戦闘は、基本的には「戦闘力の比べあい」の一発勝負となっており、君の戦闘力(素の戦闘力に、【能力】と【スキル】とサイコロの出目によるボーナスを加算した合計値)が相手の戦闘力より大きければ勝利、そうでなければ敗北、というシンプルなルールになっています。サイコロによるランダムなボーナスは君の戦闘力にのみ加算され、相手の戦闘力は固定値となっているので、君の戦闘力が順調に成長している場合は、目の前の敵に100%勝利できる(サイコロの出目を見る以前に勝利が確定している)状況も珍しくはありません。 物語上の設定として、君は混沌としての「本能」に基づき「最強」を目指して戦い続けるわけですが、ゲームとしても、とにかく戦闘力を高める(戦闘力に乗せられるボーナスを増やす)ことがわかりやすい勝利への道になるため、主人公としての「君」の目的は、そのまま読者としての「君」の目的と重なりやすくなっていると言えるでしょう。 「体力」は、最大値が生物としての「体長」や「頑丈さ」の指標となり、現在値が無くなると死亡する(GAME OVERになる)と決められています。 先に述べたように、戦闘は「戦闘力」による一発勝負ですので、体力の削り合いのような側面はありません(敵にはそもそも体力の設定がありません)。また、たとえば「サイコロの出目が体力以下だと成功」のような、体力を使用した判定のルールも存在しません。 では、体力はどのような場面で必要になってくるのかと言うと、たとえば以下のような場面が挙げられます。 ・敵から一方的な遠距離攻撃などを受けたとき (→現在値が減り、1以上残っていれば生き延びる) ・戦闘などで【スキル】を使用するとき (→戦闘力を一時的に増やしたり、特殊効果を発動したりする代わりに、現在値が減る) ・いくつかの特定の【能力】を取得するとき (→新たな【能力】と引き替えに、最大値が減る) ・戦闘で、【能力】や【スキル】やサイコロによるすべてのボーナスを戦闘力に足しても勝てないとき (→現在値と最大値を削って、戦闘力に上乗せできる) ここで注目したいのは、ひとつめのケース(いわゆる「ダメージを受ける」とき)を除いては、すべて「体力を失う代わりに、何かを得る」という構造になっていることです。 君はひたすら戦闘と成長のために生きるモンスターであり、食料やアイテムなどの消費財を何も携行せず、もちろん貨幣も使用しません。この作品が「何かを失う代わりに、何かを得る」という選択を読者に迫ろうとするとき、「支払われる代価」という役回りを担うのは、君の外部にある何らかのモノではなく、主に君自身の「体力」なのです。 ルール説明における定義に従えば、君の体力が成長するということは、君の「体長」が増加し、生物として「頑丈」になる、ということと同義です。 これは、成長する君の姿に対する具体的なイメージを喚起する表現であり、その意味では、物語としての側面に寄せた説明だと言うこともできるでしょう。 一方、ゲームとしての側面から見れば、君の体力の成長は「何らかのメリットと交換可能なリソースの蓄積」を意味するものでもあります。 勝利への近道として「戦闘力」を伸ばすか、あるいはリソースとしての「体力」を蓄えるか。そして、蓄積された「体力」を、どのタイミングで、何を得る代価として使用するか。 これが、『単眼の巨獣』の全体を通して、読者に対して(暗黙のうちに)投げかけられ続ける問いのひとつとなります。 ■最序盤における選択と成長のバリエーション それではここで、君の成長に関して、実際にどのような選択肢が用意されているのかを見ていきましょう。 プロローグ直後のパラグラフ1では、さっそく君にとって最初の成長の機会が与えられます。 君はもともと、自らの分裂元である「森の一つ目狼」の腕に保護されるようにして、絶海の孤島に流れ着きました。そして、砂浜でふと「空腹」を感じた君は、まず目の前にあるその「一つ目狼の腕」を「取り込む」ことに決めます。 これによって、君の外見はいくらか変化し、以下のうちどれか1つの【能力】を得ることができます。  ・爪(戦闘力+10)  ・角(戦闘力+5、体力の現在値/最大値+5)  ・毛皮(体力の現在値/最大値+10) この選択は、ゲームを開始したばかりの読者に対する、一種のチュートリアルになっているとも言えるでしょう。 というのは、「どの【能力】を取得するかという選択を通じて、読者がある程度、戦闘力と体力とのバランスを調整することができる」という、君の成長に関する基本的な構造が、きわめてシンプルな具体例として提示されているからです。 読者はここで、戦闘力を優先するか(爪)、体力を優先するか(毛皮)、それとも両者のバランスを取るか(角)、という数値的な成長の方向性を考慮しつつ、「爪」「角」「毛皮」それぞれに固有の特性やイメージも踏まえて、「君」としての最初の選択を行うことになります。 そして、つぎのパラグラフからはルートが細かく分岐していき、最初の中ボス的な敵の手前(パラグラフ14)で再び合流することになりますが、そこまでをゲームの最初のブロック(以下、この記事では《ブロックA》と呼びます)とすると、《ブロックA》は全部で16のパラグラフで構成されており、通過するパラグラフのパターンを細かく分ければ9通りのルートが存在します(GAME OVERになるものを除く)。 通るルートごとに、取り込める相手(能力値の上昇幅や、取得できる【能力】または【スキル】)は異なっており、さらにパラグラフ内での選択や分岐の結果も含めると、まだまだ序盤の段階ではありますが、すでに君の成長のバリエーションはそれなりの数にのぼります。 たとえば、あるルートを順調に進んでいくと、《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、以下のようなステータスになっています。 〈ケース1〉  戦闘力35 体力15/15 【能力】「ゼリーの体」「爪」「腕」「丈夫な消化器官」「尻尾」 君が初期状態から上記のステータスになるまでの成長のプロセスを、少し詳しく見ていきましょう。 スタート地点の砂浜から森の中へと向かった君は、島の大ボス的な存在である「マグマレックス」と巨大ゴリラとの戦闘に遭遇します。やがて勝利したマグマレックスはゴリラを貪り食いますが、隠れてその場をやり過ごした君は、マグマレックスが去った後に、食べ残しの「腕」(戦闘力+5)を取り込むことができます。このとき、パラグラフ1で「爪」(戦闘力+10)を選択していれば、「腕」との相乗効果で戦闘力がさらに+5されるため、君の戦闘力は合計「30」まで上昇します。 つづいて君の前には「死体漁りの群れ」(戦闘力20)が出現しますが、君の方が戦闘力が高いので、サイコロを振るまでもなく君は勝利し、体力(現在値及び最大値)を+5した上で、新たな【能力】である「丈夫な消化器官」(腐った死体や多少の毒を食べても体力が減らない)を取得します。 さらに森の奥へ進むと、「腐った尻尾」が落ちています。これは、本来は食べると体力の現在値が「10」減ってしまうのですが、君はついさっき「丈夫な消化器官」を取得したばかりなので、その効果によって体力を減らさずに「尻尾」(戦闘力+5)の【能力】を取得することができます。 こうして、君は効率的に成長しながら、「関連する能力を系統的に取得することで、追加のボーナスを得ることができる」「特定の能力は、戦闘時以外にも効果を発揮することがある」という、この作品のゲームシステムにおける基本的事実を新たに知ることができます。 ある意味では、これもまたチュートリアルのつづきのような展開だと言えるかもしれません。 ただし、上記はあくまで、君の選択した「成長」と「ルート」とが、うまく噛み合った場合の結果です。 たとえば、最初に「爪」(戦闘力+10)ではなく「毛皮」(体力+10)を取得していると、同じルートに入っても、「腕」(戦闘力+5)を取得した時点の君の戦闘力は、初期の「10」に「5」を足した「15」だけ。つまり、つぎに出てくる「死体漁りの群れ」(戦闘力20)には、サイコロの「6」を出さないと勝つことができません(この時点では、君の戦闘力に加算できる値は「1D6」で、戦闘力が同じなら負けです)。危険だと思えば「この場から急いで離れる」こともできますが、その場合、君はそのままあっさりと《ブロックA》を終えることになり、このブロックでの君の成長は、最初の「毛皮」と「腕」1本ぶんだけ、ということになります。 また、「死体漁りの群れ」と戦った上で負けてしまうと、勝ったときとは逆に、自分の体の一部を食べられてしまうため、体力の現在値を「10」減らさなければなりません(→君の体力:10/20)。 さらに、その先で「腐った尻尾」を見つけても、「死体漁りの群れ」を倒していない君は「丈夫な消化器官」を持っていないので、食べようとすると体力を「10」減らす必要があります。しかし、君の体力の現在値も「10」しかないので、食べると体力がきっちり0になり、死んでGAME OVERになってしまいます。つまり、腐った尻尾は無視して先へ進むしかありません。 結果、《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、先ほどの〈ケース1〉とまったく同じルートを通過していても、以下のようなステータスになっています。 〈ケース2〉  戦闘力15 体力10/20 【能力】「ゼリーの体」「毛皮」「腕」 〈ケース1〉と比べると、戦闘力が半分以下であるばかりか、体力の現在値でも【能力】の数でも劣っており、なかなかに先行きが不安な状態だと言えるでしょう。 そして両者の違いは、元をたどれば、パラグラフ1の最初の選択肢で「爪」を選んだか「毛皮」を選んだかという、その1点に起因します。 もちろんこれは、パラグラフ1では「爪」を選ぶのが正解だとか、「毛皮」が間違いだとかいうことではありません。 上記の森を進むルートのひとつが、たまたま「現時点としては戦闘力が高めの敵」が出てくるルートだったというだけで、森に入らず砂浜沿いに進むルートを選べば、戦闘がない代わりに「体力を減らす」イベントが発生したり、新たな【スキル】を取得できたりする場合もあります。そちらのルートだと、むしろ「毛皮」で体力を増やしておいた方が、多少のダメージを受けても余裕がある状態で先へ進むことができ、体力を消費する【スキル】も心おきなく使用できる、という点で有利だと言えるかもしれません。あるいは、どのルートでもそこそこの対応をするためには、結局のところ「角」(戦闘力+5、体力+5)でバランスを取っておくのがちょうどよい、という考え方もあるでしょう。 『単眼の巨獣』においては、読者の意識的な選択による分岐と、君の状態に応じて芋づる式に連鎖していく成長や苦難のプロセスとが、相互に絡み合いながらゲームを先へと進めていきます。 「爪」か「毛皮」か、「森」か「砂浜」か、といった選択は、それ自体としては明確な優劣を含まないとしても、それらの組合せの結果は、あるときは「最強」への近道となり、またあるときは死へ向かう下り坂となります。ある「君」にとって効率的に成長できるルートは、別の「君」にとってはほとんど成長できずに命からがら逃げのびるルートにもなり得るでしょう。そして、成否が微妙な状況においては、最終的にはサイコロの出目が君の運命を左右するかもしれません。 このような構造の中には、君の成長におけるひとつひとつの選択の重さと、その選択の結果を予見しコントロールしようとすることの限界を、ともに見て取ることができるように思います。 また、いま述べてきた2つのケースの違いは、ゲームの終盤における君の状態から振り返れば、実にささやかなものにすぎないようにも見えます。 順調に成長を続けた君は、戦闘力は3桁の規模になり、所有する【能力】も20種類を超えているので、その立場からすれば、ここでの「爪」か「毛皮」かという選択など、ほとんど意味をもたないように思えるかもしれません。 ただ、この「最序盤においては重要に見える差が、後にはほとんど意味のないもののようになる」ということ自体が、作品内での君の「桁違い」な成長の本質を表しているとも言えるでしょう。 「10」と「20」の違いが大きな意味をもつ《ブロックA》から、やがて(私の勝手な命名による)《ブロックB》、《ブロックC》、《ブロックD》……と進んでいくにつれて、君の状態は量的にも質的にも大きく変容し、作品自体のあり方もまた、《ブロックA》と同一のシンプルなルールの中にありながら、ある意味では《ブロックA》とは別のゲームのような様相を呈することになります。詳しくは次回以降で改めて述べる予定ですが、このような君の成長(あるいは死)の描き方が、「混沌」という特異なモンスターを主人公に据えた、『単眼の巨獣』というゲームブックの重要な特徴だと私は考えています。 [注:ここまでに述べた一部の【能力】(具体的には「腕」と「尻尾」)のボーナスについて、作品の本文では「攻撃力+5」と書かれているのですが、作品のルール説明で「攻撃力」という単語は使用されておらず、作品内のどこにも「攻撃力」という単語に関する説明はありません。「攻撃力」は「戦闘力」と読み替えてそのまま意味が通じるため、この記事の中では、作品内で「攻撃力」となっている箇所でも、ルール説明で使用されている「戦闘力」に表現を統一する形で記載しています。] ■最序盤におけるサバイバルと選択 さて、先ほどの〈ケース2〉の「君」に話を戻しましょう。 少なくとも《ブロックA》の規模感の中では、〈ケース2〉は〈ケース1〉に比べてかなりのビハインドを負っているように見えますが、これは単なる「失敗例」というわけではありません。 むしろ、すべてが順調に進んだ〈ケース1〉とはまた別の意味で、この〈ケース2〉の軌跡もまた、『単眼の巨獣』という作品に関する充実したチュートリアルになっているように思います。 まず、「死体漁りの群れ」(戦闘力20)との戦闘について改めて見てみましょう。これは、このルートを選んだ君(現時点の戦闘力:15)にとっては初めて経験する戦闘です。 ここでサイコロを振って「6」が出なければ、君は敵の戦闘力を上回れないため、そのままだと敗北となります。ただし、戦闘ルールの最後には、体力の現在値と最大値を減らせば、その分の数値を戦闘力に上乗せできることが記されています。 つまり、サイコロの出目が最低の「1」でも、君の体力を最大値ごと「5」減らせば、君は何とか勝利を収めることができるのです。 また、君はここで、唯一の初期能力である「ゼリーの体」に頼ることもできます。 「ゼリーの体」がもつ特殊効果として、君は好きなタイミングで一度だけ、ゼリーの体を「消費」することで以下のいずれかの効果を得ることができます。  (1)サイコロ1つの目を好きな数字に変更できる  (2)体力の現在値の消費または減少を0にできる  (3)「〜の体」という能力を得た際、体力の現在値/最大値と戦闘力を+20できる (3)の効果はここでは使用できませんが、(1)の効果によってサイコロの出目を「6」にすれば、君は体力を減らすことなく「死体漁りの群れ」に勝利できます。 あるいは、ここで「君」がひとまず敗北を受け入れ、体力を減らして先へ進んだ場合は、「腐った尻尾」を見つけたときに(2)の効果を発動し、「体力の現在値を10減らす」というペナルティを無効化しつつ「尻尾」の【能力】を取得することも可能になります。 上記のように、最初に「毛皮」(体力+10)を選択してからこのルートに入った読者は、早くも君の敗北(戦闘力不足)や死(体力の枯渇)の気配を感じつつ、戦闘ルールにおける最終手段や「ゼリーの体」の特殊効果も意識しながら、先へ進んでいくことになります。 最初に「爪」(戦闘力+10)を選んでこのルートに入った読者に比べると、なかなかハードな道のりにはなりますが、そのぶん一足先に、体力や特殊な【能力】と引きかえにその場を切り抜けるという、このゲームにおけるサバイバルの一側面を経験できるとも言えるでしょう。 そしてまた、最初にどの【能力】を選んでいても、このルートの途中でマグマレックスに戦いを挑んでしまった場合、君はあっさりとマグマレックスに食べられてGAME OVERになってしまいます(詳細は前回の記事参照)。 この段階では、マグマレックスと君との間には戦闘力にして数十の差があるため、同レベルの敵との間では大きな影響を及ぼした「爪」と「毛皮」の違いは意味をもたず、どちらにしても「ゴリラの前の前菜」にされてしまいます。 こうして死に至る選択をした読者は、最序盤からサクッと「君」を殺しに来るパラグラフ構成を見て、この作品(あるいは「君」が生きるこの作品世界)における「殺意」の高さを実感するかもしれません。 なお、スタート地点から森に入らず、砂浜沿いに移動するルートを選択すると、また別の展開が君を待っています。 そこでは、トカゲや魚を「取り込む」機会があり、細かい選択に応じて「鱗」などの【能力】や「放電」という【スキル】を取得できる場合がありますが、それらの対象をすべてスルーして進み続けた場合は、パラグラフ1の終了時点と比べ、全く何も成長していない状態でブロックの最後に辿り着くことも可能です。こうして戦闘や成長を先送りした読者は、他のルートの場合よりも一歩遅れたタイミングで、この作品における戦闘や成長の実際を知ることになるでしょう。 『単眼の巨獣』の最序盤(私が《ブロックA》と呼ぶ部分)では、全部で16のパラグラフの中に、9通りの通過ルートと、2箇所のデッドエンド(必ずGAME OVERとなるパラグラフ)、そして11種類の【能力】と2種類の【スキル】の取得の機会が埋め込まれています。 このブロックは、読者のためのチュートリアルとみなすこともできますが、それは決して「やさしい一本道」だからではありません。むしろ、このゲームの厳しさや多面性の基盤となる部分を、細やかな分岐によって、限られた要素でわかりやすく提示してくれるという意味において、《ブロックA》はこの作品らしい導入部分となっているように思います。 ■おわりに チュートリアル的な《ブロックA》の最後に辿り着いた君は、そこで一体の敵と出会います。 その敵とは、「チャージ・コンパニョン」。物語のプロローグに登場した、君の分裂元である「森の一つ目狼」を殺した討伐隊を構成するゴーレムたちのうちの一体です。 この敵が、枝分かれしていたルートの合流地点に配置されているということは、この作品にとってふたつの意味をもっているように思います。 ひとつは、ゲームにおける中ボス的な存在として、「チャージ・コンパニョン」は「戦って倒す」べき敵であるということです。 そこでは必ず「戦闘力の比べあい」が発生し、《ブロックA》での君の成長具合によっては、体力を削って戦闘力に上乗せしたり、「ゼリーの体」の特殊効果を発動しなければならない状況も生じるでしょう。 君は「チャージ・コンパニョン」を容易に倒せる状態まで成長しているか、そうでなければ、苦しい局面を切り抜けるためのルールや特殊効果を(読者として)使いこなせる必要があるのです。 また、さらにその先の敵の強さは、君がこの「チャージ・コンパニョン」を倒せた、ということを前提として調整されていることになります。 そしてもうひとつ、物語の上でも、君が「チャージ・コンパニョン」を倒すことには、大きな意味が与えられていると言えるでしょう。 「チャージ・コンパニョン」との遭遇、戦闘、そして君の勝利は、物語の最後まで辿り着くためには、必ず通過しなければならないイベントです。すなわち、「チャージ・コンパニョン」という存在は、『単眼の巨獣』という作品が君の物語を語りきるための、不可欠な構成要素として位置付けられているのです。 では、君の物語における「チャージ・コンパニョン」の意味とは何でしょうか。 「森の一つ目狼」を殺した当事者のひとつである「チャージ・コンパニョン」は、君にとっての仇敵であることは確かですが、君がそれを倒すことには、単なる「復讐」を超えた意味を見出すことができるように思います。 次回の記事(配信日未定)では、この「チャージ・コンパニョン」と君たち(君自身と「森の一つ目狼」)との関係性を軸に、「生物」と「生物ではないもの」をキーワードとして、『単眼の巨獣』の考察のつづきを展開する予定です。 【書誌情報】 ロア・スペイダー『単眼の巨獣』(絵:中山将平、監修:杉本=ヨハネ、FT書房、2025年) https://booth.pm/ja/items/6823989 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun 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2026年7月27日月曜日

☆雑記☆ FT新聞 No.4933

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。 1ヶ月遅れで恐縮ですが、名古屋で日本初のTrollConが開催されました! トンネルズ&トロールズ、そしてモンスター!モンスター!TRPGの生みの親であるケン・セント・アンドレによって認められた、公式のイベントです。 めちゃくちゃ楽しかったですよ。 さて、そのTrollConで打診された「お願い」をひとつ、叶えるために今日は記事を書いています☆ ◆Tシャツがほしいのかい! 寄せられた「お願い」……それはTシャツを作ってほしいというものです! 今回は「モンスター!モンスター!TRPG」から「ヒューマンズ!ヒューマンズ!」のTシャツ作成依頼を承っております。 他に「こんなTシャツがほしい」というご要望がありましたら、ご連絡ください☆ 「ローグライクハーフ」のTシャツも、ご要望があれば、権利関係の整理がつく範囲で作ってまいります! ご希望をお寄せくださいませ☆ 「モンスター!モンスター!TRPG」のほうは権利を買う必要がありますので、ご希望の人数に合わせて価格を相談させていただく流れになります! ◆動きはじめました☆ 最近なにをしていたかというと、作家としては「アランツァワールドガイド」の記事を書きつつ、編集長としては「ローグライクハーフ」と「モンスター!モンスター!TRPG」を中心としたムック本(不定期に刊行される雑誌)の準備を敷いておりました。 これも、いまは胎動とでも言うべき時期にあります……充実した紙面にしていきます! ◆未来の話。 9月には「ローグライクハーフ」の公式シナリオとしては未登場の「盗賊都市ねぐらレーナ」を舞台としたシナリオ「ハンティング・ペストガール」を配信するべく、奮闘しております☆ 「SAGBがよく分かる本」のほうも、準備をしなければいけません★ こちらも、やっていきます! ◆キャラクターブックを作ろうかなぁ☆ 先週の火曜日の記事を読みました。 中山将平による「キャラクターブック」のアイディアは、とても魅力的であるように感じます☆ なにより、アランツァという世界を全世界の人々に届けるにあたって、イマジネーションにつながる最強のアイテム感がすごいですよね! これも、案を練ってまいります☆ 今回はこのあたりで。 それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月26日日曜日

読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第13回出題編 FT新聞 No.4932

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 読者参加企画『みんなのリドルストーリー』第13回(出題編) かなでひびき ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●  はろにちわー!  初めての方は、はじめまして!  おなじみの方は、毎度!  火曜日の記事『これはゲームブックなのですか?』にて、掲載させていただいてる、ヴァーチャル図書委員長かなでひびきですぅ! 「としょいんちょー」なんてものを長年やってますと、中には奇妙な話をいただくことがあります。  何が奇妙か? っていうと、謎かけの部分だけあって、答えがプッツン尻切れトンボなお話。  推理小説の結末がどうしても知りたくなるように、かなでもいろいろ頭をひねっておりますが、どうも、イマイチ腑に落ちるオチがない。  というわけで、FT書房の読者様、皆様のお知恵を貸していただけませんか?  これから紹介いたしますショートストーリー。  謎だけのお話に、オチを付けていただけませんか? 「物語で遊ぶ」のがゲームブックでしたら、これも「ゲームブック」!?  世界で一つだけ、あなただけの結末がつけられる!  もしも、この謎かけにピピぴと琴線が響きましたら、解答編のご応募、よろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『くまだ! 熊が出たぞ!』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  えー、バカバカしい話を一席。  舞台はS市。そう、未だにコンビニは深夜には止まっちまう。野良猫も野良犬も、猪から果てはクマまで出る、っていうあそこですわ。  ある男が、殺人を犯したんでさ。  なんでも、某国民的子どもさんに大人気なヒーローの中身はこしあんか粒あんか。  ちょっと行きずりで酒場からの帰りに起こった犯行でさ。  運良く殺人の目撃者もいない。  しかも、衝動的な犯行だから、「恨み」という線からも足跡が辿りにくい。  そうなると、困ってくるのは、死体の処理でさぁな。  で、その男、苦労して現場の道路にある山に引きずり込み、人気のない奥の茂みに、まるで待ち構えたように穴とシャベルがあった!  これ幸いと、彼は死体を捨てて、ご丁寧に土なんかかぶせちゃったりして。  で、これで一安心、と思っていると、ガサガサと茂みの向こうから女の子の声が聞こえたんでさぁ。 「誰かいるの?」  どんどん声はこっちへ近づいてくる。  慌てる男の頭に、素晴らしいひらめきが! 「ウゴォォォォ! うがァァァ」  まるで怪獣みたいな低い声でおたけんだんでさぁ。  で、それを聞いた女の子「く、クマだー!」って逃げたんでさぁね。  これで危機は去った。  その男は、家帰ったらこのエライ事の疲れがどっと出て、そのまんま眠りに落ちちまったんでさぁ。 ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴  出題編のお話はここまで。  皆さんに解答編で書いて頂きたいのは「くまのフリをして危機を切り抜けた犯人。この後彼に降りかかった運命は?」ということ。  ハッピーエンドもよし、バットエンドもよし。  なるべくフレッシュなものを考えて欲しい!  まことに勝手ながら、期限は1週後の8/2日曜24時までとさせていただきます。  発表はその2週後の8/16日曜記事にて!  もちろんワタクシ、かなでひびきも1本書かせていただきます。  また、答えに限らず、皆様が思いついた謎。そちらも大募集しております!  日常を題材にしたミステリー。SF。そしてクトゥルフ神話ネタから剣と魔法のファンタジーまで!  あなたの思いついた「出題編」をご投稿下さい!  喜んでここで出題させていただきます。  そして、読者のみなさんも、それにアンサーよろしくお願いいたしますうっ!  かなでの方も、マジでマジでお返事ならぬマジ解答いたします!  (つまんなかったらごめんなさい)  あなただけの謎かけに、あなただけの答え!  FT書房オンリーワンのショートショートを作り上げるのは、アナタですぅ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 「今回の解答編」及び「オリジナル出題編」 ご投稿はコチラより↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report  *リドルストーリー投稿と文頭に追記下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月25日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第702号 FT新聞 No.4931

From:水波流 日々に紛れてなかなか書きあぐねているうちに、シナリオ案ばかり思いついてしまうので、そろそろひとつ形にせねばなるまいと思っています。夏らしく、水に潜る話です。(私が水モチーフだともう不穏だと言われそうですが……) From:葉山海月 夜間のこと。 ビデオ返却のためドライブへしゃれこみます。 到着して、ふと見て見るとビデオがない! 慌ててドアを開け、外の光と車内灯で車の中を調べます。 どこにもない! これは密室消失事件か!? と思いましたら。 外に開けたドアポケットの中に滑り込んでいましたとさ。 From:中山将平 僕ら、8月9日(日)マイドームおおさかにて開催の「TGFF2026」に物販で出展します。 配置は【η08b】です。 ゲームブック、1人用TRPG「ローグライクハーフ」、モンスター!モンスター!TRPG関連作品等を扱います。 ぜひお立ち寄りいただけましたら。 当日は、僕中山が現地に行く予定です。 こっそりカエル人の本も持っていきます! さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (天)=天狗ろむ (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (葉)=葉山海月 (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■7/19(日)~7/24(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年7月19日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4925 ローグライクハーフシナリオソムリエ その6『素敵なあの子に今年もプレゼントを』 ・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第6弾をお届けしました。 ローグライクハーフのシナリオは、d66、d33が基本の形式ですが、今回ご紹介する、寝子氏の作『素敵なあの子に今年もプレゼントを』はd22形式! 中間イベントの前後で舞台が変わるという、新しい形式です。 前半は「素敵なあの子」、りにゃちゃんへのプレゼント探しをしまして、さて後半は……? 是非プレイして確かめてみてくださいね! プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜! (天) 2026年7月20日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4926 アランツァへのいざない 装備品や食べもの(その他) ・FT書房が展開するファンタジー世界「アランツァ」について深掘りする本連載。装備品や食べものについて「植物由来」「動物由来」のものをご紹介してきたところで、今回は「その他」。具体的には、水や鉱物に由来するものが中心です。 こうしたリストの中に、実際に自分が出会って印象深かった装備品等を見つけると、ついテンションが上がってしまいますね。個人的には、某ゲームブック作品で苦労させられた〈ド〉について、ローグライクハーフでは使う側にも回れるのがうれしいところです(「城塞都市ドラッツェン」の都市オプションにて実装。ただし、命中時の追加効果はありませんが…)。 記事の冒頭には、モンスター!モンスター!TRPGでは初となる国産ソロアドベンチャー作品についてのご案内もありますので、ぜひご確認ください! (く) 2026年7月21日(火)かなでひびき FT新聞 No.4927 『これはゲームブックなのですか!?』vol.135 ・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。 今回紹介する作品は『異世界の召喚者』(株式会社 亥辰舎)! ゲームブック形式で紹介される、ファンタジー作品に出てくるアイテムの緻密なミニチュア、さらにはその制作過程まで楽しめる、一粒で三粒おいしい夢のような本。 梅干、絵の具セット、鍬などの日常的なモノから、レイピア、天使の羽、水晶、ランタンなどファンタジーの定番アイテム、果ては「蒸気じかけの翼」、「ワイルドバイク」といったスチームパンクテイストあふれるものまで! 複数のクリエーター様によって作られています。 もちろん「異世界」を謳うゲームの方も、ファンタジーとSFが交じり合うスチームパンク世界。ただの本かと思って、ページめくればあらびっくり、実際に「立体化」されてあなたの前に広がるこのインパクト! 「さぁ! ページをめくりたまえ!」 そう、記事の末尾にヒントのあるパラグラフ42もそこに…… (明) 2026年7月22日(水)ぜろ FT新聞 No.4928 第6回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第501回。 荷物持ちの少年タイガと、妖狐フォルネ、魔猫ニャルラの一人と二匹が、スズメバチとドラゴンの両方の特性を兼ね備えた狂暴な「蜂竜」の巣でのみ取れる「王蜜」を求めて、女王蜂竜との激戦の末に勝利! 王蜜をゲットして、持ち帰る事に成功します。タイガたちにもお裾分けのサプライズが! 次の冒険……の前に、タイガは自分の旅の目的を話し始めます。 タイガが目の前で誰かが危険な目にあうのを見過ごせない性格になった理由は、彼の過去に秘められていたのでした。 (天) 2026年7月23日(木)岡和田晃 FT新聞 No.4929 D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第3回  ・こんな緊張の糸が張り詰める中、ネディアのもとに届いた1通の手紙。 そこには、「喜ぶのだ。そなたの妹サナに、由緒正しき家柄の立派な結婚相手が見つかった!」 うれしい!? 驚きに戸惑うネティア。 その一方、この機会に、ハルデン卿のことをお父上に尋ねることができるかもしれない。 さらに、政敵だったら、協力を仰げるかもしれない。 ヘルメスは己が患者を救うため、クシュタリは、異形の存在と関わる者を、浄化するため。 早速結婚式へ向かうために、“大陸横断鉄道”ライトニング・レイルに乗り込む一同だった……。 一方、何をしているかわからなかったジュスは、とんでもない(笑)団を結成して、一同のもとへ駆けつけた! 奇想天外に転がる一幕! どうぞご一読を! (葉) 2026年7月24日(金)ぜろ FT新聞 No.4930 感想【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ   ・ついにラストまでたどり着きました! ぜろ氏の水曜日のローグライクハーフリプレイ『蜂竜の森』 今回は感想記念に!? 本リプレイの感想を語っちゃいます! 殺意が見え隠れするようなその難易度における「ローグライクハーフ」らしさ。 はじめての「巨大なクリーチャー」との戦い。 その中で、お気に入りとなったキャラ。タイガ、フォルネ、ニャルラへの思い入れ。 などなど、あんなことこんなことを深掘りしてまいります! ぜろ氏ファンなら必読! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (成田砂男さん) 「アランツァビジュアルガイドシリーズ」、はいっ!中山先生、それ欲しいですっ!(手をあげてぴょんぴょんしています) 特にビジュアル人物ガイドがいいですねぇ。 きっとこれまで沢山の人物たちが生まれているでしょうから、実際に作るとなるともの凄い労作になりそうな気配はしますが! いやでも、結局どれも読みたいですね! (お返事:杉本=ヨハネ) ありがとうございます、作るのは杉本ですよ(笑 ビジュアル人物ガイド、特に声をいただいております! アランツァを代表する人物をある程度まで絞り込んで、そこからすべてをはじめようと思います! (ジャラル アフサラールさん) 亥辰舎さんは「クリエイターの為の〜」のシリーズ出されているのは知っていましたが、こういう本も出されていたのですね。 (お返事:かなでひびき) おたよりありがとうございます。 かなでは、逆に「ドールハウスクラフト」シリーズから入りましたので、そんな雑学的なものを扱っていたとは!  驚きです! かなりジャンルも多彩で、知的好奇心をくすぐるラインナップですねー。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月24日金曜日

感想【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4930

●感想 【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ぜろです。 こちらの記事は、水曜日のローグライクハーフリプレイ「蜂竜の森」の感想になります。 ローグライクハーフ「蜂竜の森」のネタバレ記事となっておりますので、未プレイの方はご注意願います。 ○従者への殺意が高いシナリオ 今回は「巨大樹の迷宮」に引き続いてのタイガ、フォルネ、ニャルラの冒険をお届けしました。 森へハチミツを取りに行く冒険ということで、このメンバーにぴったりのゆるふわな冒険が繰り広げられることに期待していたんです。 そう、ここのところ難易度的には落ち着いたレベルの冒険をしていたために、忘れていたんですよ。 そもそもローグライクハーフとは、従者に非常にシビアな作品だったということを。 そういえば、私が最初にプレイした二作品「黄昏の騎士」と「混沌迷宮の試練」は、従者がバタバタとリタイアしていきましたっけ。 そしてこの作品は、従者に対する殺意の高さを久しぶりに感じさせてくれました。 特に冒頭の「清流の主」イベントはやばかったですね。 フォルネが失敗し、ニャルラがサイコロで5以上を出さなければタイガをロストしてしまう、というギリギリの岐路に立たされました。 さらに中間イベントでも、蜂竜が従者を狙って攻撃すると明記されていますからね。 ルールの解釈で切り抜けましたけれど、下手をしたらこちらでもタイガの命はなかったかもしれません。 従者を主人公に据えるプレイって怖い。 ○巨大なクリーチャーの脅威 今回、はじめて「巨大なクリーチャー」と戦うことになりました。 シンプルに、とてつもなく強い。 1点のやりとりをするのが基本の作品にあって、2点のダメージを与えてくる敵、そして2点のダメージを出さないと攻撃が通らない敵というのは、本当に脅威でしかありません。 私はこれまでのプレイで2点のダメージというものを1回も出したことがなかったので、そんなことが可能なのかと思ってしまいました。 2点のダメージを与える手段は限定的ですが、複数の手段があります。 それらがきちんと作中に用意してあるという親切設計ではありました。 さらに2点のダメージを与える手段が尽きたとしても、ラスボスの生命点を3点以下にすれば、時間さえ稼げれば自滅していってくれます。 そう。親切なのですよ。基本的には。 その親切のうえを行く凶悪さなだけで。 もっとレベルを上げてから挑むべきだったかもしれません。 けれども、この作品の適正レベルは10から12らしいですぞ。 さて、2点のダメージを与える複数の手段ですが、私のキャラクターたちは、そのほとんどが有効でなかったために、作戦を考えるのに非常に苦労しました。 まずは丸太。 丸太が攻撃手段として用意されているというだけで、漫画「彼岸島」の初期の頃を連想しますね。 「みんな、丸太は持ったな!」 しかし、フォルネとニャルラではとても扱えません。 リプレイ本編では、タイガが丸太を発見し、丸太による攻略を夢想する、という場面で丸太を登場させました。 そして次に騎乗槍と騎乗生物の組み合わせによる突撃。 こちらはフォルネが人間形態になれば可能ではあるかもしれません。 しかし従者枠が足りないため騎乗生物を得ることができず、断念。 主人公のタイガに竜人の村で留守番してもらって騎乗生物を買うことができればあるいは。 そもそも竜人の村に立ち寄った際には所持金が底をついていたので無理だったのでした。 それで選んだのが、ニャルラ向けには蟷螂蜂毒。 フォルネ向けには西法術【氷槍】となりました。 最初の注釈で書かれていなければ、私はきっと【氷槍】は取得しなかったように思うので、たちまち詰んでいたのではないかと思います。 ○キャラクターについて そんな作品の中にあっても、やはりキャラクターのイメージについては、やはりポケモン風アニメ調な脳内イメージができていました。 蜂竜の女王は伝説のポケモンクラスですね。 それだけでなく、ヘラクレスナイトを含む竜人の面々もかなり良いです。 私にとってはゲームブック「百竜の森」からの再登場ということになります。 ヘラクレスナイトのほかにも、道具屋のキャティやその姉など、あちらの作品で登場した竜人たちを嬉々として登場させてしまいました。 ヘラクレスナイトは設定そのものが、私のプレイヤーキャラクターたちとの相性もバッチリでしたね。 「蜂竜の森」では語られていないヘラクレスナイトと道具屋キャティの関係性なども、しっかりリプレイには反映させました。 ゲームブック「百竜の森」は百竜の森の繭の内部の物語で、「蜂竜の森」は繭の外側の森の物語です。 そこで、ヘラクレスナイトと竜人たちが繭の外に移住する展開にさせてもらいました。 こういう繋ぎを考えるのも楽しいです。 ○百竜の森について そういえばこの「百竜の森」の繭は「百年に一度だけ」繭がなくなり外と繋がると説明がなされています。 しかしこの設定は、「百竜」からの連想でうっかり「百年」としてしまったミスだと思っています。 たぶん「一年に一度」、繭が薄くなる時期がある、というのが正しい。 というのも、そうでないとゲームブック「百竜の森」のストーリーが成立しなくなるのです。 あちらの作品では、繭が薄くなる日に繭の中へと入り込んだものの失敗し、次の年にリベンジする、という物語が展開します。 さらに百竜の森の研究家ザスカル氏は、何度も森の内部に出たり入ったりしています。 あと、百竜の森の変わり種の竜が外部に出てくるのが百年に一度では、事実として語られるというよりも、伝説や伝承のレベルになっていると思うんですよね。 ということで、私の中では完全に「一年に一度」という設定にさせていただき、勝手に「繭なしの日」と命名させていただきました。 ○今後の展開について タイガ、フォルネ、ニャルラはすっかりお気に入りのキャラクターになりました。 この先もぜひいろんな作品に登場させたいところです。 できれば作品の雰囲気をほのぼのした側に引っ張ってこられるものにしたいところです。 そう言いながら、今回のエピローグでわりと重めの設定を語らせてしまうのが、私の悪い癖かもしれません。 そんな中でもこの一人と二匹は、きっと強くたくましく楽しくやっていってくれると思います。 とはいえ、タイガたちの冒険が続いていたので、いったんここで区切りにして、次はまた別の作品でお目にかかることになると思います。 それではまた、次回別の作品のリプレイでお会いしましょう。 ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。 キャティ 竜人の村の道具屋。初出はゲームブック「百竜の森」。 カトリーナ 竜人の村の女戦士。蜂竜討伐の遠征中。 ナイトさん ヘラクレスナイト。カブトムシ形態から人間形態に変形できる竜人の村への協力者。その動機はキャティへの一目ぼれ。 蜂竜の女王 巨大なクリーチャー。巣への侵入者に対し怒りで我を忘れ、赤熱化し暴走する。 ■作品情報 作品名:蜂竜の森「ローグライクハーフ」d33シナリオ 著者:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ(「蜂竜の森」収録) https://ftbooks.booth.pm/items/5361362 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月23日木曜日

D&D第4版リプレイ〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 第3回 FT新聞 No.4929

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜 連載第3回 岡和田晃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ▼はじめに 本作は、かつてD&D日本語版公式サイトに掲載されていた、エベロン世界が舞台の『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版』リプレイ「竜の予言に選ばれし者たち」の続編です。 当時のサイトは閉鎖されていますが、前日譚の「トレイルブレイザーズを探せ!」と「竜の予言を解放せよ!」はウェブアーカイブで閲覧可能です。D&D第4版や舞台の世界観そのものの解説にもなっておりますので、未読の方は以下よりご覧ください。 https://web.archive.org/web/20110520091921/http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay_eb/index.html うまく繋がらない方は以下もあわせてご利用ください。 https://www.dropbox.com/scl/fi/hfckq3h4rglyer10ycaj4/1_.pdf?rlkey=xzasih78fdhbqoikbr98kovkl&dl=0 https://www.dropbox.com/scl/fi/nluo5nzotbnpeanc1zh0r/2_.pdf?rlkey=f49qwu5pxzhc4flzcw7kj1v5y&dl=0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ DM:ダンジョンマスター(岡和田晃) ネディア:ヒューマンのレンジャー(PL:中山葵) ヘルメス:ヒューマンのアーティフィサー(PL:カナイセイジ) クシュタリ:カラシュターのパラディン(PL:見田航介) ベック:ウォーフォージドのファイター(PL:高橋志行) ジュス:ティーフリングのウィザード(PL:ノダソル) ●無法者頭、ジュス DM:ネディアは悩んどいてね。一方のジュスは何をしている? ジュス:忘れたのか。俺様はしばらく文明を離れ、「ジュス団」を作っているのさ。パーティの面々に冒険に呼ばれた時だけ、ひょっこりと出てくる。 DM:そうでした(笑)ダイスでランダムにジュス団の構成員を決めたら、副団長のランバートのほか、11人の「雑魚」相当の人間の屑が集まっていることになったんだっけ。  では、ジュス団は、山賊たちが好んで住みそうな洞穴を占拠している(『スター・ウォーズ』のダース・ヴェーダー登場の音楽を口ずさむ)。 ヘルメス/ランバート:(ランバートの台詞を横取りし)「へへ、おかしら、次はどの村を襲いましょうか(笑)」 ジュス:「馬鹿野郎ッ! ジュス団は義賊なんだ。可哀想な農民をイジめるような真似はするな! 丸焦げにしてやる!」 ヘルメス/ランバート:「でも、おかしら。いくら義賊でも、こう毎日ダイコンばかり食ってるんじゃあ、干からびちまいますわ」 DM:ジュス団の下っ端たちは、洞窟に怪しげな飾り付けを施して悦に入ったり。海賊旗みたいなのを立てたりしています。暇を持て余した連中は、近くの畠からダイコンをくすねて来たりも……。 ジュス:「ゴルァ! 俺様の{マジック・ミサイル/魔法の矢}の餌食になりたいのか! ジュス団は義賊なんだぞ! ほら、ジュス団の存在価値をアピールするために、ダイコンを返して、ついでに畠を耕してこい!」 ネディア:ジュスがいい人になっている(笑) DM:こうして、ジュス団は地域密着型の義賊となるべく、日々研鑽を積んでいるのだった……って、そろそろ話を進めていいですか(笑) ジュス:大丈夫だ。俺様が地域密着型の義賊としてこいつらを育てているのは、俺様が冒険に出ている間、こいつらが路頭に迷わないようにという深〜い配慮があってのことなんだ!(力説) 一同:なんだってー!(爆笑) ジュス:「(一喝する)野郎ども、ここに“ジュス団の基地”を作るのだ〜!」 ヘルメス/カナイ:アドベンチャーが終わるたびに戻ってみると、基地が少しずつ大きくなっていたりしそうですね。 ベック/高橋:で、ある時、帰ってみると、ランバートが下手打って牢屋に閉じ込められている(笑) クシュタリ/見田:それじゃあ、『ドラゴンクエストIII』の「商人の町」ですよ(笑) ジュス:(無視して)DM、手下たちを育てつつ、ヴェディカーやテリクあたりの様子をうかがっているのだが……。 DM:判定するまでもなく、ジュスはすぐに気づきました。どうやら死体調達吏たちが、次々と姿を消しているらしいのです。どいつもこいつも脛に傷持つ連中なので、大きな話題にはならず、「むしろ、せいせいした」「ヴェディカーのゴミが掃除されたというような声すら聞こえてくる始末……。 ジュス:それでも死体調達吏は役人なんだから、役所は守ってくれないのか? DM:役人とはいっても、ゴロツキと大差ない連中と思われていたのか、ろくな調査もされず、すぐに捜索は打ち切られてしまったようで。死霊大臣の直下だったら安全のようだけど、君みたいな下請けの死体調達吏はねぇ……。 ジュス:用済みになったとか? 口封じとか?  DM:さあね、その両方かも。いかがわしい仕事だから、身に覚えがありすぎますねぇ。 ジュス:まずい、危険を感じるな……。 DM:小耳に挟んだ話では、「ティーフリングの死体調達吏が狙われている」という話もあったね。 ジュス:悔しいが、どうやら潮時みたいだな。仕方がない、あいつらの尊い犠牲で……。 一同:おいおい! ジュス:……もとい(笑)あいつらに協力してもらって、一刻も早く逃げ出さなくちゃな。 ●カルナスの首都コースへ DM:それでは、ネディアに戻りましょう。 ネディア:結婚式まで、あとどれくらい日にちが残っているんですか? DM:だいたい一週間くらいでしょうね。 ネディア:早い! 「どうしてそんなに急なの?」 DM:「ええと、その……」手紙を届けに来たシヴィス氏族の配達人の言うことはなんだか要領を得ません。仮に配達人が油を売っていたとしても、ずいぶん急な婚姻だということはわかります。 ネディア:急ぐ理由でもあったんでしょうか……。なんだか、とっても嫌な予感がします。 ヘルメス/カナイ:このDMだからなあ(笑) DM:こらこら(笑) ネディア:結婚式は、いったいどこで行なわれるのでしょう? DM:もちろん、カルナスの首都、コースで催されますよ。 ベック:コース! 距離はどれくらいあるのでしょう。 DM:かなり離れていますが、大陸横断鉄道“ライトニング・レイル”を使えば、あっという間ですよ。ええと、第3.5版のサプリメント『EXPLORER'S HANDBOOK』(未訳)には、ライトニング・レイルでの所要時間がきちんと記載されています。それによれば、コース〜ヴェディカー間は522マイル(約835.2キロメートル)もありますが、所要時間はわずか17.5時間! ネディア:1日かからないんですねぇ。徒歩だと数週間は要しそうな日程ですが。 DM:『ルールズ・コンペンディウム』によれば、徒歩だと1時間で3マイルしか進めませんし、〈持久力〉判定なしに歩くのならば、1日に10時間の行軍が限界ですね。 ネディア:どうやら、“ライトニング・レイル”で行くしかなさそう。 ベック/高橋:(地図を身ながら)シベリア鉄道で旅をしているみたいですね(笑) DM:あるいは、オリエント急行かなあ(笑) ベック:「でも、これはかえって好都合ですね。この機会に、ハルデン卿のことをお父上に尋ねることができます」 ヘルメス:「しかも政敵だったら、協力を仰げるかもしれない」 クシュタリ:うーん、そう、うまく事が運べばよいがのう……。 DM:結婚式の招待状には、一等車両のチケットが5枚同封されています。「ボディーガード用に用意した」との但し書きも添えられています。 ヘルメス:「よし決めた。俺はネディアに同伴してコースまで行く。俺の患者たちを苦しめる原因は、きっとそこにあるから」 クシュタリ:「それなら、私も同行するぞ。そこに諸悪の根源が眠っているのならば、偉大なるシルヴァー・フレイムの名にかけて、見過ごすことは到底できぬからな」 ベック:「もちろん行きます。ハルデン卿の企ては“竜の予言”にも関わりがありそうですし……」 クシュタリ:「異形の存在と関わる者は、浄化せねばならん!」 ジュス:盛り上がってきたな。DM、そろそろ登場していいか? DM:OK。それでは、皆さんが第1話の時のように、ヴェディカーの酒場〈トロールの脳漿〉亭で歓談していると……。ジュスが乱入してきますね。 ジュス:「やあ、みんな、久しぶりだな。俺様の秘術の腕を、また見たいとは思わないか?」 一同:(寒い目でジュスを見る) ネディア:「ジュス、あなた盗賊団の親玉になったんじゃなかったの?」 ジュス:「盗賊団じゃない。ジュス団と言うのだ。義賊の集まりだぞ。貴様らもジュス団に入りたいのか? 入団試験は厳しいぞ〜」 ネディア:「(ため息をつき)そうじゃなくって、ジュス。わたしたちと一緒にコースへ行ってほしいの(手を握る)」 ジュス:「(どぎまぎしながら)……いいだろう。実は、死体調達吏が次々と行方不明になっているらしい。いなくなって当然の連中も多いとはいえ、気分のよい話ではないからな」 DM:ということで、コースへ向かうということで、パーティの意見が一致しましたね。それでは主要クエストを与えます。ハルデン・ド=オリエンの企てを明らかにするです。  副次クエストは、ヘルメスにカルナス後宮で女が衰弱する事件を阻止する、ベックにバリジスクの卵のような触媒が、何の儀式に使われるのかを探る、ジュスに死体調達吏が狙われる真の目的を探る。  ネディアとクシュタリについては、ストーリーが進行するうちに、また、新たな副次クエストが渡される可能性があります。 ネディア:了解しました〜! ●“ライトニング・レイル”乗車  ネディアの両親からの手紙には、“大陸横断鉄道”ライトニング・レイルの切符を買うのに充分すぎるほどのお金が添えられていた。  ライトニング・レイルの運賃は決して安価なものではないが、それを差し引いても充分すぎるほどの額であった。  出発までの数日間、パーティはヴェディカーでのつてを頼り、情報収集を開始する。  すると、思わぬ事実が明らかになった。ネディアの妹サナの結婚相手であるエラストレル・イル=ワイナーン卿とは、カルナスのレッケンマーク騎士団一の剛の者、カルドラス・イル=クルドバッハ卿の部下だということが判明したのである。  しかし、このエラストレル卿がくせもので、最終戦争時にはカルナスを離れていたのだけれども、要職についていた将軍たちが死んだので、戻ってきたのだということが判明した。レッケンマーク騎士団の隠し玉とも言われているが、神出鬼没、どのような人間であるのか、とらえどころがない。 ネディア:戦争がない間、レッケンマーク騎士団はいったい何をしているのでしょう? DM:それは〈事情通〉で判定してちょうだい。 ネディア:(ころころ)20が出ました! DM:ならば、だいたいのところは察しがつきました。あまり知られていませんが、彼らは人里離れた場所で大規模な軍事演習をしていると言われています。ただ、ついでに言っておけば、死体調達吏狩りを裏で主導していたのは、レッケンマーク騎士団ではなく、“ヴォルの血”の仕業だと噂されていますね。 ヘルメス:つまり、ハルデン卿は“ヴォルの血”に関わっているのかなあ。 DM:さあね。そうこうしているうちに、ヴェディカーでの滞在時間のリミットが見えてきましたよ。 ネディア:仕方がない。駅にまで戻って、大陸横断鉄道“ライトニング・レイル”に乗り込みます……。 DM:“ライトニング・レイル”は、エレメンタルを動力として動く列車です。導線石と車輪の間に火花を散らせつつ、軍艦のような偉容をもって走り続けます。君たちは駅で切符と身分証明書をチェックされた後、一等車両へ案内されます。“ライトニング・レイル”の内部は切符の等級ごとに部屋が分かれていますから、コースまで一等車両に乗ると、一人頭261gpはかかりますね。 ヘルメス:高えーっ! DM:その代わり、ちゃんとした個室が与えられますよ。もっとも一等車両でも2〜3人で相部屋になってしまいますが……。 ネディア:ありがとうございます、お父さま(笑)ええと、わたしとクシュタリが同じ部屋で、あとの3人が同席ということで問題ありませんか? クシュタリ:異存はないぞ。女子部屋というやつだな(笑)ベックは性別がないが……。 ネディア:それでも、女子部屋に来てもらうのはなんとなく抵抗がありますね。 ベック:ちょっと自分にはよくわかりませんが……。それなら男性陣の方へ行きましょうか。 DM:君たちは、一等車両は、各個室は30平方フィートほどの広さになっています。窓やベッドもついていて、なかなか快適です。廊下に出ると、10フィート幅の廊下が続いています。  パーティが乗り込むと、すぐに“ライトニング・レイル”は発車する。何度も“ライトニング・レイル”に乗っているネディアやクシュタリも、“ライトニング・レイル”への搭乗が初めてのジュスも、窓の外で流れていく雄大なカルナスの風景に、しばし見とれている。  やがて、ゆっくりと陽が暮れてくる。 ネディア:食事は個室でとるんですか? DM:一等車両にはルームサービスがありますし、食堂車両もありますから、頃合いを見てそちらに移ってもらってもOKです。 ベック:DM、自分は食事をするのですか? DM:『エベロン・プレイヤーズ・ガイド』には食事不要と書かれています。でも、食事を取ることができないとも書かれていませんよ。もっとも、メンテナンスならば、むしろ注油をしたほうがよかったりして。 ベック:いや、自分はヒューマンの食事に興味がありますから、ここは食堂車へ向かうことにしましょうか。 ジュス:食堂車で食事をすると、一等車両とは別料金になるのか? DM:公式設定には書かれていないので、DM裁量で判断すると……ルームサービスだと別料金、食堂車ならばコミコミということで! ジュス:それなら食堂車へ行くぞ!(即決する) 一同:(爆笑) ジュス:俺様はケチなんじゃない。肉が食いたいんだ! ネディア:ジュスって、そんなに野蛮なの? ジュス:違わい! サイアリにいたころ、俺様の氏族は肉の調理にうるさかったんだ。半端な肉をオルクス様に供えたら、バチがあたっちまう。 DM:グルメ・キャラになっているわけね(笑)面白いからOKですよ。カルナスは20世紀前半のドイツに似た社会なので、ご当地料理としては、ソーセージやジャガイモをうまく使った料理が出てくる感じかなあ。おそらく肉料理も充実しているはず。乗車の時にもらったメニューに、本日の日替わり料理として「カルナス風ビーフ・ソテー」がメインディッシュだと書いてあります。 ジュス:グレイト。食堂車へ行こう! ベック:自分も興味本位で、ジュスの後をくっついて行きます。 ネディア:せっかくの機会なので、私も食堂車に行きたいと思うんですが……。 ヘルメス:それなら、俺も行くぞ。パーティを組んでいる以上、バラバラで動くのは危険だからな。 クシュタリ:同意。やむを得ないとはいえ、部屋で分断されているより、全員で動いているほうが心強いわい。 (つづく) “『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版リプレイ 竜の予言に選ばれし者たち 〜リヴァイアサン計画、そして予言の洞窟へ〜” is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy.Not approved/endorsed by Wizards. 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2026年7月22日水曜日

第6回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4928

第6回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「蜂竜の森」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「蜂竜の森」の冒険譚です。 妖狐のフォルネ、魔猫のニャルラ。二匹のお供を連れたタイガの冒険です。 今回の目当ては「蜂竜の王蜜」。 コーネリアス商会の料理人クックロッド氏の依頼による、危険な蜂竜の巣でしか取れない食材採取の冒険です。 蜂竜と戦う竜人やヘラクレスナイトの協力を得て蜂竜の巣へと侵入。 そこで怒りに我を忘れた蜂竜の女王との戦いになり、ギリギリの戦いの中、勝利したのでした。 今回は冒険のその後を描きます。 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5→3/5 魔術点:4→0/4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:9→5/10 器用点:8→4/8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料0 金貨5 1 ロープ 2 オオトカゲの宝石(金貨18枚分) ●アタック01-15 ニャルラと蜂竜の王蜜 ここは蜂竜の巣の内部。 薄い金色の照明に照らされたような洞内。 天井の六角形の巣穴からぽたぽたと垂れている蜂竜の王蜜は、池を形づくっている。 巨大なクリーチャー、蜂竜の女王に、激戦のすえ勝利した。 蜂竜の女王は体を横たえ、手足を縮めた状態で丸まっている。 手足はもぞもぞと動き、顎もガチガチと鳴っているので、生きてはいる。 けれどもう、何か行動を起こそうという様子は見られない。 赤熱化した身体が熱を発し、密閉された巣の内部はどんどん温度を上げている。 それにともない蜜の甘い匂いが充満し、くらくらするほどだ。 「フォルネ、しっかり。立てる?」 「はい。ええ、大丈夫です」 僕は、身を挺して僕とクロスボウを守ってくれたフォルネを抱き起こした。 少年の姿のフォルネの髪は乱れ、和装の胸のあたりは赤熱化した球の直撃を受けて黒く焦げていたが、どうにか立ち上がる。 そこへニャルラも駆け寄ってきた。 「じゃまものやっつけたから、はやくお〜みつ、もってこ!」 ニャルラはまだまだ元気だ。 さっき蜂竜の女王の攻撃をもろに食らって、今にも死んでしまうのではないかと心配したけど。 「げんきげんきっ。あと半分くらいだいじょ〜ぶだよっ」 あと半分ってのはよくわからないけれど、ニャルラがとにかくタフネスだってことはわかった。 「それよりフォルネのほうがだいじょうぶ? なんだか息もあらいし、顔もまっかだし」 たしかにフォルネのダメージは深刻だ。けど顔はダメージというより、赤面しているように見えた。 「だ、大丈夫……です」 フォルネはニャルラに顔を見られないようにか、僕の胸により深く顔をうずめた。 なぜだか、フォルネの心臓の鼓動の高鳴りが聞こえるような気がした。 「あ、そだ。奥の部屋で、お〜みつがまゆみたいなのに入ってるの。あれならかんたんに運べそう」 そういえば、ここの王蜜たまりの池から、運搬係の蜂竜が、王蜜を吸い上げては運んでいた。 ニャルラが見つけたのは、きっとその王蜜の貯蔵庫だ。 「だったら、そっちの王蜜を運び出そう」 僕はそう提案し、そちらに移動しようとした。 その時、背後から高熱を感じた。見ると、蜂竜の巣が、燃えはじめていた。 女王の赤熱化の影響か、フォルネがはじいた火炎の球が燃え移ったのか。 材質を考えると、この巣は非常によく燃えるのではないか。もう時間がない。 「急ごう」 僕たちはニャルラの案内で、貯蔵庫へと移動する。 そうしている間にも火はすごい勢いで燃え広がっている。 ゆっくりと王蜜を採取している時間はない。 僕とフォルネは手早く王蜜を手に取る。 「さあニャルラ、行くよ!」 なんとしてもひとつでも多く追加で持っていこうと粘っているニャルラにそう声をかけ、甘く焦げた匂いが充満する蜂竜の巣から脱出した。 僕たちが外に出ると、巣の外観は、もうすっかり火の手に覆われていた。 一応ここは森の中でも開けた場所だし風もない。 巨大樹はがっしりとした巨体なので、飛び火にさえ注意すれば燃え移ることはなさそう。 中に残った働き蜂の蜂竜たちは、外に出てくる様子はない。そうした判断もできないのだろうか。 ごうごうという炎の音に混じり「ギガガガガ」という、ひときわ大きな顎を鳴らす音が響いた。 蜂竜の女王の断末魔だろう。 僕たちは、炎に包まれた蜂竜の巣をじっと見つめていた。 と、ニャルラが急に僕によじのぼり、頬をなめはじめた。 「たいがのほっぺ、あま〜い」 「ニャルラ、自分だって王蜜でべたべたなのに、なんで僕なの?」 「アタイのおてて、どくどくなのよ。はやくキレイにしてよ〜」 「あ、そうだったね、ごめんごめん」 僕はニャルラを地面におろすと、丁寧に前脚を布でぬぐっていく。 「やったな。まさか巣ごと駆除してしまうとは思いもしなかったぞ」 そこに、ナイトさんの引き締まった声が降ってきた。 僕たちはそこでようやく周囲を見渡した。 外の戦闘は終わっていた。そこかしこに蜂竜が倒れており、竜人の戦士たちが、互いの健闘をたたえあっているところだった。 そして、人間形態に変形したナイトさんが、僕たちの前に降り立った。 「君たちの実力は承知していたつもりだった。しかしこれは偉業というほかないな」 「私からも感謝の言葉を贈らせてもらおう。君たちは我らの村の救い主だ」 竜人の女戦士カトリーナさんもそんな風に言ってくる。 さらにほかの竜人の戦士たちも僕たちの周りに集まってきて、口々に感謝の気持ちを伝えてきた。 「お供のふたりはだいぶ傷ついているようだ。ここはひとつ、私が先に村まで送っていこう。君たちのサイズならたぶん飛べるだろう」 ナイトさんがそんなことを言い出した。 「いえ、私はタイガさまのおそばに……」 フォルネが断わろうとする。 「大丈夫だ。カトリーナをはじめ竜人の戦士たちがいる。タイガ君を無事に村まで送り届けることは保証しよう」 「タイガくんのことは私たちに任せておいて。それより早く村に行って手当を受けた方が良いわ」 そう言われては、フォルネも折れるしかなかった。 ニャルラの方は、ナイトさんに乗って空を飛べることに大はしゃぎだ。 ナイトさんは二匹を連れて、先行して飛び去っていった。 「彼は、とにかく早く村に戻って蜂竜の脅威が去ったことを報告したくて仕方ないのね、私の妹に」 飛び去るナイトさんを眺めながら、カトリーナさんがそう言った。 それから僕たちは、特に大きな危険に遭遇することもなく竜人の村に戻った。 先に到着したフォルネとニャルラはすでに手当を受けていた。 二匹によればナイトさんは村長とキャティさんの前で、へにょへにょした奇妙な踊りをしながら蜂竜退治の報告をしたらしい。 「妹の前では緊張しすぎていつもそうなんだよ。いつになったらくだけた態度が取れるようになるのかね」 カトリーナさんは呆れていた。 僕たちは竜人の村では歓待を受け、数日間身体を休めることができた。 そうしてフォルネとニャルラの体力がすっかり回復した頃、僕たちは村をあとにした。 さあ、カラメールに戻って、コーネリアス商会で依頼の達成と顛末を報告しよう。 [プレイログ] 蜂竜の王蜜2個入手。 ニャルラが追加で1個の入手チャレンジ。幸運点で目標値は4。失敗すると火に巻き込まれダメージ。 サイコロの出目3+技量点1=4 成功し、蜂竜の王蜜を追加で1個入手。 ●アタック01-16 クックロッドの歓喜 コーネリアス商会に戻ると、まさにクックロッドさんが来ているところだった。 クックロッドさんは料理人。僕たちはクックロッドさんの依頼で蜂竜の王蜜を採集に行ったんだ。 クックロッドさんは険しい表情をしている。なにかあったのかな? 「討伐隊が森へと向かったのですが、蜂竜とまったく遭遇しなかったそうなのです」 それはそうだろうね。竜人の戦士たちが、外を徘徊する蜂竜たちを駆逐して回っていたから。 巣を失った蜂竜は、散り散りになってどこかへ行ってしまった。 「何者かによって駆除されたのか、あるいはほかの地へと移動してしまったのか。なんにせよ、これで蜂竜の王蜜は手に入らなくなってしまったのです」 クックロッドさんは目に見えて落胆していた。 僕とフォルネ、ニャルラは顔を見合わせた。 僕たちが竜人の村で数日間過ごしている間に、そんなことになっていたのか。 「カラメールに出されていた『非常事態宣言』もまもなく解けるでしょう。君たちも森に行ってくれて、ありがとう」 これは、今すぐに伝えた方がいいよね? 「アタイたち、お〜みつ取ってきたのよっ」 ニャルラがすましたドヤ顔で宣言する。 僕は王蜜の入った繭を3つ、取り出した。 「蜂竜の巣は燃えちゃったんで、これだけなんですけど」 クックロッドさんは最初、僕たちが何を言っているのかわからないといった顔をしていたが、目の前の王蜜の繭を見せられて、じわじわと現実を理解したらしい。 「おお……おお……! そんなまさか、信じられない!!」 これ以上ないほどに全身で喜びを表現していた。 「伝説の食材をこの手にできるなんて。討伐隊が行く前に、君たちが依頼を達成していたとは。ありがとう。ありがとう!」 クックロッドさんはそう言って、王蜜の繭に抱きついたのだった。 **** 蜂竜の女王を討伐したことを報告すれば、多額の報酬が約束されているという。 けれども僕たちは、やめておくことにした。 蜂竜の巣が消えたことで「我こそは蜂竜を討伐した」という者たちが後を絶たないらしい。 そんな中で僕たちが討伐報告に行っても、きっと信じてもらえないだろうし、証明する方法もない。 そんな僕たちを見かねてか、ヴァンダービルドさんは商会から、王蜜の買い取り料金のほかに報酬として多額の金品を用意してくれた。 僕は、そんなにはもらえないと辞退しようとしたけれど、断らせてもらえなかった。 聞くところによると蜂竜の王蜜は、コーネリアス商会主催の晩さん会で使用されたらしい。 もちろん料理を取り仕切ったのはクックロッドさん。メインディッシュの「ドラゴンステーキのロイヤルソースがけ」に王蜜が使用されていて、大評判だったとのこと。 晩さん会に参加していたコニーさんが教えてくれた。 「それでね、タイガくん、フォルくん、ニャルちゃん」 コニーさんが別室に僕たちを案内する。 そこにはクックロッドさんが待ち受けていて、テーブルの上と下とに、豪華なごちそうが並べられていた。 忙しいはずのヴァンダービルドさんまでおり、僕たちの入室を待ちわびていたようだ。 「せっかくの王蜜、採ってきた皆さんにも味わっていただきたくて、用意させていただきました」 「本当は君たちを晩さん会に招待したかったのだがね」 「ね、ね、すごいでしょう。晩さん会の料理を再現してもらったのよ」 これは……すごい。 フォルネは絶句している。 ニャルラは瞳に星くずを散らし、全身で喜びを表現している。 「ど、ど、ど……どらごんすてーきっ!!」 「さあどうぞ、召し上がれ」 ニャルラは床の料理に突進していき、さっそくメインのドラゴンステーキにかぶりついていた。 僕はテーブルにつく。フォルネは少年の姿に【変化】し、僕の隣に着席した。 蜂竜の巣の一件からフォルネは、僕の前で人間の姿になることに、それほど嫌がる様子を見せなくなった。 とはいえ、積極的に人間の姿をすることはない。 僕たちはクックロッドさんの料理を、心ゆくまで堪能したのだった。 ●幕間 次の旅へ カラメールには、すっかり長期に滞在してしまった。 その間にコーネリアス商会の伝手で、僕の探し人についての情報を集めてもらったけれど、有力な手掛かりは得られないままだった。 そろそろ、旅立ちのときだ。 けど僕には、このところずっと考えていたことがあった。 旅や冒険には危険はつきものだ。ときにはそれが命がけになることもある。 それはわかっている。 それでも、今回の冒険はリスクがあまりにも高すぎた。 僕自身、川に引きずり込まれたときには本当に危ないところだった。 それに蜂竜の女王とも戦わなければならない状況になってしまった。 勝てたのは偶然が重なった結果だ。まともに戦って勝てる相手じゃない。 僕だけならともかく、フォルネとニャルラが僕の前で死んでしまうなんてこと、考えたくない。 そんな考えを僕が話し始めたら、全部言い切る前にフォルネにたしなめられた。 「タイガさまがこの話をどこに運ぼうとしているかはわかりませんが、私たちを置いていくというのだけは絶対にありえませんからね」 「よくわかんないけどアタイも〜」 「そもそも、タイガさまの方こそ、自分の身を危険にさらしすぎなのです。私たちの前に自分の心配をしてほしいところですよ」 「それは、そのとおりなんだけれども」 僕自身、どうしたらいいのかわかって話し始めたわけじゃない。 フォルネとニャルラをここに置いていけば、コニーさんはきっとよくしてくれるに違いない。 けれども、僕はそれを望んでいるわけじゃない。 フォルネとニャルラがあまりに勝ち目のない相手に対しても果敢に向かっていくことに、言いようのない不安に駆られてしまったことはたしかだ。 僕は決めた。僕の旅の目的を、今、話しておこうと。聞いてくれるかな。 「タイガさまが探し人をしていることは知っていましたが……無理に話さなくてもいいんですよ」 「ううん。聞いておいてもらいたいんだ。僕にとってフォルネもニャルラも大切。だから、知っておいてもらいたくて」 そうして、僕は話し始めた。僕が旅に出るきっかけの出来事を。 **** そのとき、僕は兄のハルトと一緒に森で探検ごっこをして遊んでいた。 ハルトは、今の僕と同じくらいの年だったと思う。 ハルトはちょうどいい形の枝を見つけて剣に見立て、僕を引っ張って森の奥へと進んでいく。 森の奥といっても、子どもの遊び場。村のすぐそばの、森の入口あたりで奥に行った気分にひたっていただけだ。 ハルトが剣士、僕は魔法使いの役だ。 「大丈夫。どんな敵が来てもオレが守ってやるからな。タイガは安心して魔法を放て」 ハルトはそんな風に、自信満々に僕を導いてくれていた。 その生き物の気配には、僕とハルト、同時に気がついた。 それほどに、まがまがしい気配を放っていたからだ。 茂みからこっそり覗くと、それは巨大なヤギの姿をした魔獣だった。 頭頂から生える二本の長い漆黒の角は、まるで悪魔のよう。 僕は、足ががくがくと震えた。心が純粋な恐怖心に支配されていた。 「まずいな。あれ、村の方に向かってないか」 ハルトの声も震えている。 魔獣が森のこんな浅いところにいるのを見るのは初めてだ。 このあたりは比較的安全で、僕たちの格好の遊び場になっていたんだから。 村はもうすぐそこだ。 ハルトが言うように、ここに魔獣がいるのなら、きっと村が襲われる。 「早く、村のみんなに知らせないと」 でも、僕の足は動かなかった。完全にすくんでしまっていた。 「ハルト……。僕、動けない」 「オレも一緒に行くから、がんばれ」 「できない」 「じゃあ、オレが村に知らせに行ってくるから、ここで待ってろ」 「できない」 「大人の力が必要だ。きっと迎えに来るから」 「できない、できない、できない」 僕はただ、怖くて仕方なかった。ハルトはいつも、僕の多少のわがままは聞いてくれた。ハルトと離れたくなかった。 「……わかった。じゃあオレがあいつを、森の奥へ引きつける」 「……え?」 「アイツがいなくなれば、村までは安全だ。そうしたら、動けるだろ。タイガが村まで行って、大人に知らせるんだ」 「え? え?」 「頼んだぞ、タイガ」 ハルトは、僕の返事も聞かずにもう動き出していた。 僕から離れると、木の枝の剣でばしばしと幹を叩き、魔獣に居場所を知らせた。 大ヤギの魔獣は、のっそりと首を回す。 その視界の先には、剣木を構えた少年が、震えながら立っている。 「こっちだ。クソデカヤギ野郎」 ハルトが森の奥へ向かって駆けだすと、大ヤギはそれを追い、森の奥へと消えていった。 僕は、怖くて茂みにうずくまり、……そのまま、何もできなかった。 夕暮れ時になり、村の大人たちが僕を見つけてくれた。僕はただ、泣きじゃくっていた。 「村に、大ヤギの魔物が現れて大あばれしたんだ。犠牲も出た。たまたま村に来ていた冒険者が手傷を負わせ、なんとか追い払ったところだ」 「ハルトとタイガが森に行ったと聞いて、探しにきた。無事で良かった。ハルトはどうした。一緒じゃなかったのか?」 僕はそれを聞いて、また大泣きをした。感情がぐちゃぐちゃで、何をどう話したのか、よく覚えていない。 それでも、村の大人たちには伝わった。 「そうか。ハルトはお前を逃がすために、魔獣を引きつけたんだな」 そうじゃない。ハルトは僕に言ったんだ。 村に行って大人に知らせろって。 できなかったのは僕だ。だからハルトは戻ってこなかった。だから村は襲われた。 大人の付き添いで家に帰る。 父さんも母さんも暗く沈んでいた。きっともういきさつを聞いているんだろう。 でも二人とも、決して僕を責めなかった。それどころか、僕が無事に帰ったことを喜んでくれた。 それで僕は、余計に自分で自分を責めた。 次の朝、僕と両親、森に慣れた村人数人で、森の奥へと向かった。 ハルトの捜索のためだ。 そして見つけた。ハルトがあの時、使っていた剣木を。 それは崖下に落ちていた。血のような赤黒いものがこびりついていた。 ……見つかったのはそれだけで、結局、ハルトは見つからないまま捜索は打ち切られた。 僕は誓いを立てた。僕は、ハルトみたいになる。 ハルトが僕にしてくれたように、誰かが危ない目にあっているのなら、絶対に助ける。 もう、何もできない僕にはならない。 「頼んだぞ、タイガ」 ハルトの最後の言葉は、いつも僕の耳から離れない。 僕には確信があった。 ハルトは、きっと生きてる。だって、どんなに探しても遺体は見つからなかったから。 どうして村に帰ってこないのかはわからないけれど、きっと何か事情があるんだ。 あれから数年が経ち、僕は、あの時のハルトと同じくらいの年齢になった。 あるとき、森で妖狐のフォルネと知り合い、僕の時は動き出した。 フォルネは僕にはない、戦う力があった。僕はフォルネに、人探しの旅に出たいことを告げた。 フォルネは即答で、僕と一緒に行くと言ってくれた。 ハルトを探す。それが僕が旅をする理由。 会ってどうするかはまだ考えていないけれど、ハルトには謝りたい。 あのとき、僕が動けなかったことを。 **** 話が終わったとき、フォルネの表情が少しかげったのを、僕は見逃さなかった。 フォルネがなにを思ってしまったのか、わかる。 「生きてる可能性はほとんどない……って、思ったんでしょ」 「……お見通しですね」 「いいんだ。それが普通だと思うから。けど、それは旅をやめる理由にはならないよ」 村の大人たちにもさんざん言われた。だから僕は、旅の目的をあまり話さなくなった。 けど、僕はあきらめない。あきらめたら、そこで終わってしまう。探しつづける限り、可能性は残っている。 「……そんなことがあったから僕は、目の前で誰かが危険な目にあうのは見過ごせない。けど、フォルネにもニャルラにも危険な目にあってほしくないんだ。自分勝手なことを言っているのはわかっているけれど」 「言いたいことはわかりました。でもそれは聞けない相談ですね。なぜなら私は、タイガさまに救われたあの日から、タイガさまのために命を捧げると決めているからです」 「決めてるってそんな」 「なんと言われようと、私の考えは変えられませんよ。私の方こそ、タイガさまになにかあったら、残された私がどんな気持ちになるか、考えたことがおありですか」 「それは……」 わかってる、と言うのは、あまりにも軽い言葉のように感じられた。 「どっちもどっちだね〜」 ニャルラがそう言った。 それを聞いて、フォルネの表情が少しほころんだ。 「本当にそうですね。タイガさまにも私にも譲れないものがあるし、それは変えられない。今まで私たちは、勝手に互いの心情を推し量って不安がっていました。お互いの気持ちを話せただけでも違うんじゃないですか」 「そうだね。それは本当にそうだ。フォルネ、これからもよろしくね」 「はい。タイガさま」 「はいはい。アタイも〜。たいがと一緒にいたら、めずらしいもの食べれるし、おもしろいとこいっぱい行けるもんね」 ニャルラが絶妙なタイミングで場をなごませてくれたため、僕とフォルネは一緒にくすりと笑ったのだった。 「はると、みつかるといいねっ」 「私も願っています。タイガさまが、お兄さまとまた会える日を」 【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ 完 【収支報告】 オオトカゲの宝石 金貨18枚 蜂竜の王蜜3 金貨30枚 褒賞金 金貨30枚 褒賞の宝石 金貨45枚 合計 123枚 手持ちの金貨5枚と合わせ、所持金は128枚 ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。 コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。通称コニー。オウカンワシにさらわれたところをタイガたちに救われる。 ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。コニーの父親。 クックロッド コーネリアス商会の料理人。蜂竜の王蜜取得に情熱を燃やす。 キャティ 竜人の村の道具屋。初出はゲームブック「百竜の森」。 カトリーナ 竜人の村の女戦士。蜂竜討伐の遠征中。 ナイトさん ヘラクレスナイト。カブトムシ形態から人間形態に変形できる竜人の村への協力者。その動機はキャティへの一目ぼれ。 蜂竜の女王 巨大なクリーチャー。巣への侵入者に対し怒りで我を忘れ、赤熱化し暴走する。 ■作品情報 作品名:蜂竜の森「ローグライクハーフ」d33シナリオ 著者:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ(「蜂竜の森」収録) https://ftbooks.booth.pm/items/5361362 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月21日火曜日

これはゲームブックなのですか!? vol.135 FT新聞 No.4927

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『これはゲームブックなのですか!?』vol.135  かなでひびき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  みなさーん!  ゲームブックはお好きですか!?  Yes!Yes!Yes!  じゃ、ファンタジーは?  全身全霊をかけてYes!  そうよねー。それこそFT新聞読者の鏡、っていうもの!  そんじゃ、緻密なミニチュアはどうですか?  しかも、そのファンタジー作品で出てくるアイテムの緻密なミニチュア!  今回は、ゲームブック作品としても楽しく、しかも、そのアイテムの精密なミニチュア。さらにはその制作過程まで楽しめる、一粒で三粒おいしい本だよ!  その名も『異世界の召喚者』(株式会社 亥辰舎)だよっ!  まず、目に飛び込んでくるのは、みんなの合言葉! 「さぁ! ページをめくりたまえ!」  もうこの辺から、「むむっ! できるなコイツ!」って思っちゃわない?  引き続き本書をめくると、早速「本書の登場キャラクター」紹介が!  前半は、ゲームブックになっているんだけど、その通り、これらキャラクターが生き生き喋り、動き、主人公を導く面々が、様々なクリエーター様によってイラスト付きで人物紹介されてるよ!  出てくるのは人間だけではないわ。  獣人、しかも可愛い猫ちゃんから、なんかトナカイまで!  あるいは、なんとも懐かしいマンガアニメチックなレトロな方まで!  もう、これだけでも、なんかワクワクしない?  で、ゲームの方は、目が覚めたら、突然あなたは「異世界」に飛び込んでいた!?  これに巻き込まれるきっかけさえおぼろげなあなたは、とりあえず旅立たなきゃ、先へ進めない。  そこの住人との交流の中、どうやら「別次元」からあなたがやってきたらしい。そして、平行世界を渡り歩く旅人もいるらしい。  鍵を握るのは、現実のこの世界でも有名な歌姫「ノエル」らしいってことがわかるんだけど……。  ファンタジー、そしてサイエンスフィクションが交じり合うスチームパンク世界を、どうぞご堪能あれ!  で、冒険を支えるアイテムなんだけど、これがなかなか個性あふれるものが、これまた複数のクリエーター様によって作られているよ!  梅干から、絵の具セット、鍬など、現在でも日常的にあるあるなモノから、レイピア、天使の羽、水晶などの宝玉系、ランタンなんか、いかにもファンタジーに出てきそうな定番アイテム。  あるいは「蒸気じかけの翼」から「ワイルドバイク」まで、スチームパンクテイストあふれるものまで!  やたら凝ったとこでは「機械仕掛けの馬が防具に!?」なんか聖闘士とか思い出しそうな「UMA」  アインシュタインの頭脳を生体コンピュータ化した「アインシュタインの頭脳」 「人の惑う感情を食べる時計」  ただの本かと思って、ページめくればあらびっくり、ちょっとした野原が広がる本。  他にも、紹介できないぐらいのアイディアがいっぱい!  実際に「立体化」されてあなたの前に広がるこのインパクト!  これだけでも、「何か面白いアイテムのアイデアはないか?」と考えている人には面白いし、そのアイテムだけでも何か物語りだしそうです!  加えて、その制作法を載せているのもディ・モールドいい!  実際にアイテムを作ってみたい、という方にももちろん、普通のドールハウスにつかう小物を作りたい、という方にも、基本のものは全て網羅している、ってボリュームね。 「読む」「遊ぶ」「作る」と三拍子揃った本書、手に入れておいても損はないと思うんですが……。    追伸  「あれ? パラグラフ42がない!」  そんな方。おそらく本ゲームブックの最大の謎がそれ!  SFに詳しい方なら、ピンと来るかもしれないけど……  とにかく本書を隅から隅まで探して! そう、いつもは読み飛ばしてしまう第一ページ目から、最後の奥付、裏表紙まで…… ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『異世界の召喚者』  出版社:亥辰舎 2025/11/26  単行本 1800円+税 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月20日月曜日

アランツァへのいざない 装備品や食べもの(その他) FT新聞 No.4926

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆ 岡和田晃・他によるソロアドベンチャー2本を収録した「モンスター!モンスター!TRPG」初となる国産ソロアドベンチャー『廃都脱出』の書影があがりました! この記事をもって通販の予約を開始いたします☆ ↓『廃都脱出』の通販はこちらから! https://ftbooks.booth.pm/items/8613676 さて、今日のFT新聞は「アランツァへのいざない」から、植物由来でも動物由来でもない装備品や食べものをご紹介していきます。 水由来とか、金属由来とか、そういうものが中心です☆ 大した量はありません。 いってみましょう! ◆その他の装備品や食べもの。 ・聖アナベルの聖水 前時代に聖者として知られたアナベルが清めた聖水。 効果:これを飲むと生命点を1点回復する。あるいは、【アンデッド】のタグを持つクリーチャーにこれをかけてもいい。 ・桜吹雪 オークの英雄ドバーが使っていた刀。波紋刀と呼ばれる、異郷都市キョウの武器。 効果:両手武器であるため、【攻撃ロール】に+1の修正を得る。また、この英雄的な刀は各戦闘の最初の攻撃において、【攻撃ロール】にさらに+1の修正を得る。 ・凶戦士の粉:金貨15枚 小瓶に入った黄色い粉。異国で採掘される鉱石を原料とする。狂ったように攻撃性が高まる。 効果:戦闘の各ラウンドでの最初の【攻撃ロール】において成功した場合、それをクリティカルとして扱うことができる。ただし、接近戦における攻撃にかぎる。戦闘が終了した後、使用者は生命点を1点減らさなければならない。≪依存効果≫として、「反応表」を確認して戦闘にならなかったとき、もう一度「反応表」を振る。【ワイロ】を支払った後に【ワイロ】が出た場合、2回払う必要はない(【友好的】として扱う)。 ・幸運の剣 幸鉄鉱と呼ばれる鉱物をもとに造られる。ほのかにピンクがかった細身の剣となる。 効果:【幸運点】を1点消費することで、使用者の【判定ロール】に+1の修正を与える。戦闘時であれば次の自分のラウンド直前まで、戦闘のない〈できごと〉であれば〈できごと〉が終わるまで効果がある。 ・ド ドは異なる大陸で造られた石弓の一種。連射することができる。故障が多く手入れが大変なうえ、非常に高価。 効果:この石弓は「飛び道具」として扱われ、1回の射撃で【攻撃ロール】を7回行える(【攻撃ロール】に-1の修正)。ただし、クリティカルが発生しても連続攻撃は行えない。攻撃特性は【斬撃】で、片手で扱うことができる。 『ド』で射撃するさいの【攻撃ロール】でファンブルが発生した場合、石弓が動作不良を起こしてしまうため、冒険が終わるまで直すことができない。 また『ド』は、弓矢用の特殊な矢を発射することはできず、さらに【剛弓術】の技能(『ドラゴンレディハーフ』に収録された中級ルールを参照)と併用することもできない。 この飛び道具は、各冒険につき1回しか使用できない。 ・ハリストンの聖印 ハリストンの聖印はチャーム(お守り)の一種である。 効果:装備品欄を1個占める。【対魔法ロール】に自動的に成功する(6の目が出たものとして扱う)。効果を発揮するタイミングは、自分で選ぶことができる。2回使用すると力を失う。 ・魔力石 魔力を結晶化したもので、宝石のような見た目をしている。もっともよく見られるものは立方体の形状。 効果:これを消費して【副能力値】を1点回復させる。 今回はこのあたりで。 それではまた!! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月19日日曜日

ローグライクハーフシナリオソムリエ その6『素敵なあの子に今年もプレゼントを』 FT新聞 No.4925

◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ローグライクハーフのシナリオソムリエ(自称)の本日のおススメシナリオ その6『素敵なあの子に今年もプレゼントを』 天狗ろむ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇◆  おはようございます! 「1人用TRPGローグライクハーフ」の楽しさに魅せられ、ローグライクハーフのシナリオソムリエ(※)を目指す編集部員、天狗(あまく)ろむです。 (※ワイン専門の給仕人ソムリエのように、皆様のローグライクハーフのシナリオ選びの際の手助けが出来る人になりたいな、くらいの意味です)  さてこちらは、特に「個人制作シナリオの周知」を目的としたローグライクハーフのシナリオの紹介記事です。  ローグライクハーフのシナリオには、6面ダイスを2個振り十の位と一の位の値を決めて、できごとの出目とする「d66」、1d3の値を使う「d33」、十の位は6面ダイスの値のまま、一の位は1d3とする「d63」など、基本の形式が幾つかあります。天狗ろむは大体3回まで遊べて、できごともいっぱいあって楽しいd66シナリオが推し形式(?)なんですが、あなたはどれがお好みでしょうか? さくっと軽めに遊べるd33も、忙しい方にはおススメです。  今回のシナリオ紹介記事の第6弾は、既存形式とは異なる「d22」という新たな形式のシナリオです。何と、中間イベント前と後で、冒険の舞台が変わるのです! 「ローグライク」……同じ舞台(ダンジョン)に潜っては帰ってくる、という概念を軽やかに変え、画期的な形式を生み出した、寝子さんより頂きました。2回目の記事投稿をありがとうございます!  こちらはぜろさんによるリプレイが連載されていた『可愛いあの子に最高のプレゼントを』の続編だそうですよ。  まずはご本人から紹介して頂きましょう! ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 皆さま、こんにちは。寝る子と書いて寝子(ねこ)と申します。 YouTubeでローグライクハーフのプレイ配信をしたり、noteでリプレイを書いたり、TALTOにシナリオを投稿したり、BOOTHでシナリオ本を販売したりしています。 今回紹介する作品は『素敵なあの子に今年もプレゼントを』です。 このシナリオは『可愛いあの子に最高のプレゼントを』の続編ですが、単体でも問題なく遊べます。『可愛いあの子』を遊んでからの方が「ニヤリ」とできるかもしれません。 これはオリジナル世界キャトルドのウサギノニワと呼ばれる地域で、知り合いの少女りにゃの誕生日を祝うお話です。 キャトルドへは、ローグライクハーフの主な舞台となるラドリド大陸から西へ向かうと辿りつけます。船で行き来が可能です。 ・ジャンル:ファンタジー、ほのぼの ・難易度:易しい ・形式:シナリオ(d22) ・世界:ウサギノニワ(オリジナル) ・プレイ時間:10-15分 ・適正レベル:10-12 ・対象年齢:10歳以上 ・シナリオの公開場所:  TALTO https://talto.cc/projects/2NzSHQjFe1-y9Z8ZIXh2z  note https://note.com/mizuneko206/n/n5edd03a75345 誕生日を祝うのが目的なので戦闘は少なめです。ほのぼのした雰囲気が好きな方にオススメです! 「去年に引き続き、今年も新しいシナリオでりにゃちゃんの誕生日を祝おう!」と思い作り始めましたが、「作りたい」と思うだけでアイデアはなかなか浮かばず……。 思いつくのは最終イベントのみ。それも、ギミックがイマイチで気に入ったのはフレーバーテキストだけ。 諦めきれずにギミックを練り直し、結局完成したのは誕生日の1週間前でした。かなりギリギリですが、ギミックは多少マシになったと思います。なんとか完成してホッとしています。 この紹介文が掲載される頃には、りにゃちゃんの誕生日はとっくに過ぎていると思います(誕生日は4月22日という設定です)。 ですが、どのタイミングでも、お好きな時にこのシナリオを遊んで誕生日を祝っていただけたら嬉しいです。あなたがこのシナリオを遊ぶその日が「4月22日」なのです。 ◇◆◇◆◇  ご紹介ありがとうございました! 『素敵なあの子に今年もプレゼントを』に出て来る少女「りにゃ」ちゃんは、寝子さんのオリジナルキャラクターです。とても元気いっぱいな可愛らしい女の子で、寝子さん作のシナリオやリプレイにはちょくちょく登場しています。小さいながらも立派な冒険者です。  お話は初めから終わりまで、ずっとほのぼのしていますので、親子で遊んだりする場合や、戦闘描写が苦手な方には特におススメの作品となっております。また、敵味方問わず、生命点が0点以下になった場合は、【死亡】ではなく気絶したものとして扱うルールになっていますので、従者を失って悲しい思いをするタイプの方にもおススメです。優しい世界……!  主人公は、りにゃちゃんのお誕生日パーティーにお呼ばれしています。お誕生日であればやはり、プレゼントは準備したいですよね。できれば喜んでもらえるものを!  そんな訳で、まずはプレゼントを見繕いに【街】エリアへと向かいます。金貨の準備はお済みでしょうか? 手持ちの金貨が5枚未満であれば、5枚になるように最初に調整して良いようですよ!  できごとを決めるのはd22ですので、6面ダイスをお使いならば、1〜3が出たら出目1、4〜6が出たら出目2とするなどが宜しいかもしれませんね。コイントスでも今回はOKそうです。  お店が幾つかありますのでお買い物ができます。さてあなたは、りにゃちゃんの好きなプレゼントを選ぶことができるでしょうか? ローグライクハーフでのお買い物は、大体は自分の装備を整えるためのお買い物が多いので、「誰かの為に」お買い物が出来るのは何だか新鮮ですね。PLのあなたがりにゃちゃんの事をよく知らなかったとしても、PCの判定次第で喜んでくれそうなものを買えますので、ご安心を! こういうものが好きそうかな? 喜んでくれそうかな? と想像しながら選ぶのも一興です。  プレゼントを選んだら、後半はお誕生日パーティー当日。パーティーは午後からですが、りにゃちゃんの遊び相手になって欲しいということで、午前からお家にお邪魔します。ここからは【家】エリアのできごとです。【街】エリアで出目11をめくっていても、【家】エリアの出目11は別扱いなので登場します。そこだけは注意が必要かもしれません。りにゃちゃんと遊んだら、午後はお誕生日パーティー! 最終イベントでは特殊な戦闘(?)があるのですが……ヒントは、お誕生日パーティーで食べるもの。そうきたか! と思わず唸ってしまうのは、寝子さん作品にいつも通ずるポイントですね。  最後に、自分が選んだプレゼントを渡すのですが、個人的にはここが一番ドキドキ致します! 喜んでくれるかな……!?  何を渡したとしても(万が一渡せなかったとしても)、お祝いの気持ちがあればりにゃちゃんはきっと喜んでくれる筈です。  寝子さんが仰った通り、いつでもりにゃちゃんのお誕生日をお祝いしてあげてください!  プレイしてみた感想は、FT新聞の感想フォームからでも、作者さん自身に直接でも、どうぞお気軽にお寄せください!  それでは、今回はここまで。次回のシナリオ紹介記事にてお会いしましょう。  貴方に良き冒険のあらんことを!  天狗ろむでした! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月18日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第701号 FT新聞 No.4924

From:水波流 調べ物があり、SFマガジンのバックナンバーを借りたかったが、近畿大学では産業理工学部の図書館でしか定期購読しておらず(それもSFマガジンらしいが)、雑誌は東大阪の中央図書館へは取り寄せられないのである。 それなら、と電子書籍で借りるかと思ったら、そもそもSFマガジンには電子書籍が存在しないのであった。 SFなのになぁ……。 From:葉山海月 面「白い」の反対は? 実は「面黒い」なんですって。 ウソのようなホントの話。 ただねー。「おも黒い」も「おもしろい」と解釈することもあって。 そんな話を「おもしろく」うかがいました。 From:中山将平 ぜろさんのリプレイ、第500回おめでとうございます。 明後日7/20に僕らFT書房は「文フリ北海道」に出展する予定です。配置はD-42。開催地は札幌コンベンションセンターです。 また、僕自身は個人サークルギルド黄金の蛙にて明日7月19日(日)「ZINEフェス奈良」と明後日7月20日(月・祝)「そうさくマーケットvol.3」にサークル参加します。 創作マーケットでの配置は「ち18a」です。 お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。 さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。 紹介文の執筆者は、以下の通りです。 (く)=くろやなぎ (明)=明日槇悠 (葉)=葉山海月 (天)=天狗ろむ (水)=水波流 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■7/12(日)~7/17(金)の記事一覧 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2026年7月12日(日)ロア・スペイダー FT新聞 No.4918 Re:オレニアックス生物学 Vol.5 『生ける骸骨』 ・過去の人気記事の再配信として、聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義をお届けしました。 「動く骸骨」(スケルトン)といえば、【アンデッド】のモンスターとしては比較的オーソドックスな存在のようにも思われますが、今回の講義のテーマは「生ける骸骨」。【アンデッド】ではなく、それどころかモンスターでもない、そんな「生ける骸骨」とは一体どのような生物なのでしょうか? その存在を知っているかどうかで、遭遇の結果が大きく変わってきそうな「生ける骸骨」。たしかに、カメル教授が講義の題材に選んだのも納得です! (く) 2026年7月13日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4919 ☆新作告知☆ ・夏のコミックマーケットにおける新刊のご案内です!! FT書房からこの夏、初の国産ソロアドベンチャーとして「廃都トゥー=エバンから脱出せよ!」を刊行いたします!! 更にホラー系ソロアドベンチャー「黒い猫でも白い猫でも」を同時収録☆ M!M!ファンのあなたなら、「黒い猫でも白い猫でも」の題をご存知かもしれません。なんとこの作品、すでに米国ではケン・セント・アンドレ監修のもと、英語で刊行されているのです! これらの刊行はM!M!の翻訳長である岡和田晃氏のアイディアです。本誌で配信し大好評を博した、氏の手になる「廃都コッロールから脱出せよ!」をM!M!向けにコンバートするという提案が最初のきっかけでした。 すべてのイラストを手がけてくださるのはアメリカでは日本を凌ぐ人気だというDON-CHANGさん! 1ヶ月足らずという短い期間ですが、今回も全力を挙げてまいります!! (明) 2026年7月14日(火)中山将平 FT新聞 No.4920 FT書房の作品としてこんなのがあったらいいなぁという勝手なアイデア 第1回  ・FT書房メンバー兼イラストレーター。中山氏が送る、タイトルそのまんまな新企画。 その名も、「FT書房の作品としてこんなのがあったらいいなぁという勝手なアイデア」 記念すべき第一回目の企画は、「アランツァビジュアルガイドシリーズ」。 アランツァの主要人物、印象に残るキャラクターをまとめた人物ガイド。 代表の杉本=ヨハネ氏が記事「アランツァへのいざない」で紹介する様々なアイテムをビジュアル化したアイテムガイド。 さらには、アランツァの食べ物にスポットライトを当てたガイドでは、それを食べられるお店、料理法、はては食料を通じた各都市の交易まで。 「イラストレーター」であるから、かくも深掘りができるガイド! FT書房の本来の製造ラインとは全く関係がありませんが、出たら必ず欲しくなる逸品! 本当に作って来られるチャレンジャブルな方、ぜひ出てきてほしいと妄想しつつ…… (葉) 2026年7月15日(水)ぜろ FT新聞 No.4921 第5回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイもとうとう第500回です! 拍手〜! 荷物持ちの少年タイガと、妖狐フォルネ、魔猫ニャルラの一人と二匹が、スズメバチとドラゴンの両方の特性を兼ね備えた狂暴な「蜂竜」の巣でのみ取れる「王蜜」を求めて、とうとう目的地に辿り着きました。 待ち構えているのは、勿論……蜂竜の女王。【巨大生物】のため、通常攻撃ではダメージが通りません。事前に準備はしてきたタイガたちですが、それでもやはり女王は強く、苦戦を強いられます。 ニャルラ、フォルネ、タイガの全員が、出来得る全てを出しきって、女王に打ち勝つことはできるでしょうか……!? リプレイ第500回目に相応しい、アツい激戦を見逃すなかれ! (天) 2026年7月16日(木)東洋夏 FT新聞 No.4922 ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.6 ・X(旧Twitter)にて意欲的にリプレイ執筆中であり、生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、東洋夏氏による「怨霊列車は夜笛を鳴らす」のリプレイ第6回目をお届けしました。 前作の『写身の殺人者』リプレイと同様に、主人公の一人は従騎士の少年・シグナス。そして二人目の主人公は、剣型ゴーレム「おどる剣」クロ。 人をさらう怪物〈怨霊列車〉なる、夜空を走る面妖な列車に乗り込んだ二人は、途中で同行者となったドワーフ・アルゴットを喪いながらも、もう一人の同行者のコビット・ヨンと共に先頭車両を目指します。 今回の車両は舞踏会が開かれているようです。踊っているのは骸骨たちなのが流石は〈怨霊列車〉。そんな会場でヨンが見つけたのは……意味深に置いてある宝箱。 「盗ろうぜえ」と悪そうに笑うヨンに、真面目なシグナスはどきまぎ。そんな二人に呆れながら「見ていろ」と舞踏会の輪の中へ入っていったクロ。さて、「おどる剣」のダンスの鮮やかさはどれほどでしょうか……!? (天) 2026年7月17日(金)休刊日 FT新聞 No.4923 休刊日のお知らせ  ・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! (葉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週の読者様の声のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。 紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。 すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。 ↓↓ (忍者福島さん) ルピス飲んでみたいなあ! 原液をソーダで割って飲むのも美味しそうです(笑 (お返事:杉本=ヨハネ) ありがとうございます(笑) アランツァの世界では甘味は大変貴重なものですから、よく味わって飲みたいですね^^ (成田砂男さん) 「アランツァビジュアルガイドシリーズ」、はいっ!中山先生、それ欲しいですっ!(手をあげてぴょんぴょんしています) 特にビジュアル人物ガイドがいいですねぇ。 きっとこれまで沢山の人物たちが生まれているでしょうから、実際に作るとなるともの凄い労作になりそうな気配はしますが! いやでも、結局どれも読みたいですね! (お返事:中山将平) 僕の記事にご感想をいただき、ありがとうございます。 共感いただけたこと、嬉しく思っております。 僕自身が読みたい本なので、たくさんの声が集まることを願っています。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■FT新聞が届かない日があった場合 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。 未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。 もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。 このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。 未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。 https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html *10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。 また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。 ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月17日金曜日

休刊日のお知らせ FT新聞 No.4923

おはようございます。 本日は、タイトルのとおり休刊日です。 毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。 あなたの記事を、お待ちしております! FT新聞編集部一同 ■FT新聞へのご投稿はコチラ! こんな記事はどうかな?というご相談からでもぜひご連絡ください。 ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ■FT書房作品の通販はこちらから☆ FT書房 - BOOTH https://ftbooks.booth.pm ■FT書房YouTubeチャンネルはこちら! https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月16日木曜日

ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイvol.6 FT新聞 No.4922

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』リプレイ vol.6  (東洋 夏) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■    FT新聞をお読みの皆様、こんにちは!  本日の担当は東洋 夏(とうよう なつ)。  ローグライクハーフ『怨霊列車は夜笛を鳴らす』のリプレイ小説をお届けいたします。  冒険の舞台は、夜を駆け、人をさらうという謎の〈怨霊列車〉。調査を依頼された十二歳の見習い聖騎士シグナスと、その相棒〈おどる剣〉のクロ。そして従者に「面白いこと」を愛するコビット族のヨンという布陣で進んでいきます。  前回vol.5では、騎士ゾンビとの戦いを繰り広げた三人。自分の頭をちぎって投げるというアグレッシブな攻撃に意表を突かれながらも、勝利を掴みました。  次の車両では何が待ち受けているのでしょうか。  なお、リプレイの性質上シナリオの根幹に触れます。  ネタバレとなりますので、避けたい方はそっと閉じていただけましたら幸いです。    前口上はこれでおしまい。  亡霊たちの晩餐会、謎のシスター、そしてシグナスたちに刃を向けた女騎士。予測不可能な波乱を運ぶ列車の旅へ、いざ出発と参りましょう。  ◇ 〈シグナス(レベル8、聖騎士)〉 ・技量点:0 ・生命点:7 ・筋力点:4 ・従者点:9 ・技能:【高潔な魂】【全力攻撃】【癒しの光】 ・持ち物:見習いの片手剣(片手武器、斬撃)、丸盾、板金鎧(防御ロールに+1)、金貨11枚、スノーレパードアイ(金貨30枚相当の宝石)、騎士グロリアの指輪(金貨12枚の価値)、ランタン、食料2食分 〈クロ(レベル11、おどる剣、炎属性)〉 ・技量点:1 ・生命点:6 ・器用点:4 ・従者点:7 ・技能:【装備化】【凶器乱舞】【精密攻撃】【鋼の意志】 ・持ち物:なし    ◇ [6号車]12:踊る骸骨と宝物 「シグ、あの剣どんは君の友達なんだよね?」  コビットらしく恐れ知らずのヨンが、連結部を軽やかに歩きながら言った。 「友達っていうか──」  風に負けないようにシグナスは叫び、途端に後悔する。冷たい風を思い切り吸い込んだせいで、くしゃみが出たのだ。足元には千尋の闇が広がっていると言うのに。  〈怨霊列車〉が何処かに降りる気配は無かった。夜の空を黙々と走り続ける。目的地は何処なのだろう。列車というものをシグナスは初めて知ったが、乗り物であるならば、辿り着きたい場所に向かうためのからくりであるはずだ。目的地さえ判明すれば、少しはこの冒険も楽になるかもしれない。  シグナスは注意深く足場を確かめながらも、素早く連結部を渡り切った。次の車両の扉を開けて中へ転がり込むと、嫌な予感に捉われる。  美しい音楽と、明るい光が内扉の向こうから漏れ出ていた。二両目の車両を思い出す。 「ねえ、シグ」  上目遣いにこちらを見るヨンも、同じ気持ちであるらしい。二両目の車両は華やかな晩餐会の場になっていたが、後に酷いまやかしであったと判明している。 「分かってます。今回はしくじりませんから」 「おもろしてくれても良いよ」 「良くないです」  シグナスは内扉を滑らせ、開いた。どっと音量の上がった調べは優雅な三拍子。床を踏む幾組もの男女の足が揃った音を立て、軽やかな合いの手を入れる。しかし熱気はない。生者が持つはずの熱気は。踊っているのは、貴族めいた豪華な衣装を着込んだ骸骨だ。楽団もまた骸骨。 「ご飯食べて踊ってる内に死んじゃったのか」 とヨンが言う。 「いいね!」 「いい──でしょうか」 「どうせ死ぬなら楽しく死ぬよ。それがコビット流。湿っぽいのは嫌いさ。おや?」  ヨンが忙しなく体を左右に振り、骸骨の踊り手を透かして何かを見ようと務めている。シグナスも真似してヨンの視線の先を窺うと、 「宝箱?」 「んっふっふ、盗ろうぜえ」 ヨンはにっかりと笑った。 「と、盗るぅ!?」 「騎士様には思いもよらぬことでございましようが、こちとらコビットよ。おもろがすべてよ。くっくっく」   (※ここで求められるのは【器用ロール】。目標値は4です。ここは副能力値に【器用】を持つクロにお願いしましょう。出目は2。ギリギリですが成功は成功です、ヨシ!)  ヨンが悪い笑いをし、シグナスがどぎまぎしていると、 「待て、無粋な奴らめ」  〈おどる剣〉のクロが、二人と踊る骸骨たちの間に浮かんで、ゆらりゆらりと揺れる。 「クロ?」 「盗みの秘策でもありやすかね、旦那。こちとらケチな泥棒でござーい」 「これは、スプリンガルだ。知らんだろう」  シグナスとヨンは顔を見合せる。 「知らんだろうな。サン・サレンのダンスだからな。まあ見ていろ」  〈おどる剣〉は総身で三拍子を刻むと、ふっと骸骨たちの踊りの輪に寄っていく。ワン・ツー・スリー。エット・トヴォ・トレ。  シグナスは驚いた。クロのリズムは骸骨たちの踊りと完全に調和している。あまりにも自然なので、最初からそこにいた事が正しいかのように、クロはするすると輪の内側に入っていった。骸骨たちも咎めない。 「ははーん。人間だった頃はさ、あいつ遊び人だったに違いない。シグよ、教えといてもらうんだぜ」 「踊り方を?」 「遊び方だよ、シグ! 世の中にゃ、何を見ても聞いても、おもろくない奴がいるって聞くよ。そういうのは心が曇ってんだね。自分で磨きゃあ、ぴっかりぴっかり光るのにな」 「ふうん」  遊び方。遊ぶこと。思えば、あまり知らないかもしれない。シグナスは輪の中で踊る剣を見ながら、ふうっと溜め息をついた。孤児院からここまで、自分だけの自由時間を持って遊ぶなんて、あんまり考えてもみなかったことである。 (……え?)  シグナスは目を擦った。翻る衣服の幕の向こう、踊りの輪の中に、骸骨ではない一組の男女が交じっているように見える。銀の髪を長く垂らした女性はお姫様だろうか。その手を取って情熱的に踊るのは頬にそばかすの散った青年騎士だ。ふたりは幸せそうに微笑みを交わしている。両思いに違いない。何でこんなところで踊っているのだろう。もしかしてこの列車の主だったりするのか。 (じゃあ、クロが危ない)  シグナスは慌ててコビットの肩を小突いて、 「ヨンさん──」 「何だい」 「あそこで踊ってるの……あれ? いや、ごめんなさい見間違いです」  瞬きの間に男女はいなくなっていた。  シグナスが呆然としていると、カチリと掛けがねの開く音が三拍子を乱す。 「うわわっ!」  一斉に骸骨たちが動きを止め、重力に従って潰れた。粉末になった踊り手たちを吸い込まぬよう、ヨンとシグナスは咄嗟に目口鼻を塞ぐ。    (※宝箱の中身を判定します。ここは修正なしの【宝物表】ですね。いざ……出目2。金貨3枚。ううううううん、もうちょっと欲しかったかな(強欲)。とはいえ金貨1枚を笑うものは金貨1枚に泣くのでしょう。有難く懐に入れていきます)   「ははは、これは愉快だ。見ろシグナス」 と、目口鼻のうち口と鼻の無いクロが笑っている。もうもうと立ち上った粉塵が収まるとシグナスとヨンは慎重に歩を進め、ゆらゆらと三拍子に揺れる〈おどる剣〉が開いた宝箱を覗き込んだ。 「オー・ラ・ラ! こんだけ?」  ヨンが口を尖らせる。無理もない。仰々しく飾られた宝箱の中に入っていたのは、金貨三枚ぽっちであった。骸骨たちは、自分たちがこの金貨のために踊らされていたと知ったら、憤慨するかもしれない。 「罠じゃなさそうだ。もらっていくぞ」  クロがベルベットの内張りにめり込んだ金貨をほじくり出し、ピンと跳ねあげた。それをシグナスが取ろうとしたところを、すかさずヨンが宙に躍り上がって掴まえる。 「おいおい、シグナス。聖騎士が反射神経で負けるというのは」 「言わないでクロ、お願いだから。あの、ヨンさんその金貨……」 「え、おーもろ!」 「何ですか? 金貨がおもろ?」 「見なよシグ。この美しいレイディのお顔をさ」  ヨンは金貨を突き出す。その表面を見て、シグナスにも意味が分かった。現在のサン・サレンの硬貨には領主ラドスの顔がついている。とすると、この金貨はラドスが領主になる前、シグナスが生まれるよりずっと前のものだ。〈怨霊列車〉の中に、何故そんなものがあるんだろう。シグナスは首を傾げた。 ◇  少し短めですが、今回のリプレイはここまでです。  〈怨霊列車〉の主は上流階級の方なのか、あるいは憧れがあるのか……。晩餐会といい、パーティーが沢山開かれているようですね。  クロ先輩に踊ってもらった「スプリンガル」はノルウェーの民族舞踊。サン・サレンには北欧の風合いが似合うかなと思い、採用してみました。いわゆる西洋の社交ダンスとはひと味違う男女の踊り。分かりやすく三拍子で表現したものの、本当は西洋音楽の「三拍子」という枠に当てははまらないのだとか、地方ごとに方言のようにスプリンガルにも癖が出るのだとか、なかなか奥の深い踊りのようです。よろしければ検索してみてください。    それでは、次の車両でお目にかかりましょう。  良きローグライクハーフを!   ◇    (登場人物)  ・シグナス…ロング・ナリクの聖騎士見習い。12歳。ヨンから悪いことに誘われて、まだ緊張している。  ・クロ…シグナスの相棒の〈おどる剣〉で、元人間だと主張。ダンスは体が覚えていた。  ・ヨン…身長1メートルほどの陽気な種族「コビット」の兵士。面白さがすべて。  ・アルゴット…土を掘り、金属を加工する技術に優れた種族「ドワーフ」の兵士。グロリアの火球により落命。  ・グロリア…サン・サレンの女騎士。アンデッドの部下を引き連れ、様子がおかしい。 ■作品情報 作品名:『怨霊列車は夜笛を鳴らす』 著者:ロア・スペイダー イラスト:海底キメラ 監修:杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 購入はこちら https://booth.pm/ja/items/6820046 『雪剣の頂 勇者の轍』ローグライクハーフd33シナリオ集に収録 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月15日水曜日

第5回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4921

第5回【蜂竜の森】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「蜂竜の森」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「蜂竜の森」の冒険譚です。 妖狐のフォルネ、魔猫のニャルラ。二匹のお供を連れたタイガの冒険です。 今回の目当ては「蜂竜の王蜜」。 コーネリアス商会の料理人クックロッド氏の依頼による、危険な蜂竜の巣でしか取れない食材採取の冒険です。 森へと入り、蜂竜と戦う竜人やヘラクレスナイトと協力関係になりました。 今回はついに蜂竜の巣を発見。ヘラクレスナイトたちも到着し、いよいよ巨大な巣の内部へと突入します。 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5/5 魔術点:4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:9/10 器用点:8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料0 金貨5 1 蟷螂蜂毒 3回分 追加ダメージ1 巨大樹の迷宮P56 2 ロープ 3 オオトカゲの宝石(金貨18枚分) 「手がかり」1 ●アタック01-12 タイガと蜂竜の巣 【最終イベント 蜂竜の女王】 逃げ去る蜂竜の偵察兵を追って、巣のところまでやってきた。 蜂竜の巣は、巨大樹のふもとにあった。前に行ったことのある巨大樹に比べれば、格段に小さい。 「小さい巨大樹」って単語が妙におかしい。 小さい巨大樹に、大きな蜂の巣。 蜂竜の巣は、巨大樹の枝からぶら下がり、地面についてしまっている巨大な土色の球体。 精緻な波のようなものを幾重にも重ねた模様は、まるで芸術作品のよう。 やがて巣の中から、蜂竜たちが次々と飛び出してきた。 それは、ここまで逃げる蜂竜を追跡してきた僕たちにまっすぐ向かってくる。 数が多い。これでは中に入るどころか、ここの戦いだけでも危ない。 その時、どこからともなく飛来した巨大なカブトムシが、蜂竜の群れを蹴散らしていった。 「チェーンジ! ヘラクレスナイト」 そのカブトムシはかけ声とともに、甲冑を身につけた人型に変形する。 「待たせたな、タイガ少年」 「ナイトさん!!」 「私もいるよ!」 竜人の女戦士カトリーナさんが、他の竜人の戦士たちを率いて参戦してきた。 「さあ、ここは私たちにまかせて、君たちは中に入りなさい」 「ありがとう、カトリーナさん、ナイトさんも。いくよ、フォルネ、ニャルラ」 「はい」「お〜みつっ!」 いよいよ、蜂竜の巣に突入だ。 「少しだけ、待ってください」 フォルネが制止をかける。なにをするかと思ったら、その場で【変化】をし、和装の少年の姿になった。 その姿は、蜂竜との激戦が繰り広げられているこの場所には場違いなほどに美しい。 「これは驚いた。君は私と同じタイプだったのだね」 ヘラクレスナイトが親近感マシマシで喜びの声を口にする。 「私のは『変形』ではなく【変化】なので違うのですけど……まあ、いいでしょう」 フォルネは説明を放棄した。のんびり説明している時間はない。 でも、フォルネは僕に人の姿を見られるのを避けていたけれど、どうして。 「私が得た新しい術『西法術』は人の姿でないと使えないのです。出し惜しみをしている余裕はなさそうですから」 なるほど。そういうことか。 「あの……でも……あまり私の方を見ないでいただけると……」 フォルネは頬を赤らめながら、恥ずかしげにそう言ったのだった。 「なにやってるの。はやくいくよっ。お〜みつがアタイを待ってるのだ」 ニャルラに急かされ、僕たちは蜂竜の巣に突入した。 巣の中は、真っ暗かと思ったが、そうではなかった。 巣の外観からはわからなかったけど、外の光が透過して内部を照らし出している。 それは外壁を通すことで、黄金色の光に変化して見えた。 まるで巣の内部全体が黄金でできているみたいだ。 そして、全体に甘ったるい匂いが漂っている。 「匂いだけのはずなのに、服がべとついてしまわないか心配になりますね」 「甘いかおりでくらくらする〜」 ニャルラは、甘さだけで酔っぱらったみたいになっている。 床はぶよぶよしている。 壁には、数多くの蜂竜がへばりついている。 しかし、僕たちに対して、攻撃する様子もなければ、なんらかのリアクションを起こそうという気配もない。 「クックロッドさんが言っていたとおりだ」 僕たちに蜂竜の王蜜を取ってくることを依頼したクックロッドさんは、出発前に知る限りの知識を教えてくれた。 外で遭遇する蜂竜は危険だけれど、巣の中の蜂竜は働き蜂だから、何もしてこない。 それでも僕たちは警戒しながら、蜂竜の王蜜がどこにあるのか探す。 広めの空間に出た。 甘い匂いは、ひときわ強くなってきた。 天井に、無数の六角形の穴があいている。 その六角形には、黄金色の液体のようなものがたまっている。 その液体は粘性があるのか、そこに留まり続ける。 と、徐々に六角形の口からはみだし、ふくらみ始める。 粘性のある液体が、ゆっくりと時間を引き延ばすように伸び、つながりの部分が糸のように細くなり……不意に、途切れておちた。 ぽたり。 それは下の柔らかな床へと落ちる。 下は黄金色の水たまりのようになっていた。 落ちた瞬間、粘り気が感じられる重い動きで水面がわずかに跳ね、波紋が広がる。 天井では、次の雫が落ちようと、その筋を伸ばしている。 その水たまりにたまった液体を、雑用係の蜂竜が、口で吸い上げては移動していく。 きっと、運搬しているんだ。あいかわらず、僕たちの方には見向きもしない。 「あの床の黄金色の水たまり。きっとあれが王蜜だね」 「わお!」 ニャルラが駆け寄り、さっそくひとなめ。 「あっま〜〜い!」 ニャルラはその味覚を全身で表現するかのように転げ回った。 「急いで回収しよう。外でナイトさんたちが戦ってくれてる」 僕たちは、王蜜を回収しようと水筒を取り出した。 そのときだ。 一方の壁に、赤いふたつの光が灯った。 不思議なことに、その壁にだけ、働き蜂の蜂竜が一匹もへばりついていない。 壁を割るように、巨大なスズメバチの頭がのぞいた。 壁を破って胴体が、そして脚が現れる。ぶよぶよの地面が揺れる。 のっそりと姿を現したのは、巨大な、あまりにも巨大な蜂竜だった。 胴の部分が異様に長く、壁の向こうに消えている。 間違いない。女王蜂。蜂竜の女王だ。 それは、道中に出会った蛇竜の女帝にもひけを取らない大きさだった。 ガギガギガギ、とその巨大な顎が鳴った。 僕たち侵入者を、放置する気はないようだった。 [プレイログ] 「手がかり」をひとつ消費することで、竜人の戦士たちが駆けつけ、巣の前の蜂竜(弓兵)との戦闘は回避できる。 ●アタック01-13 フォルネの西法術 【蜂竜の女王 レベル5 生命点7 攻撃回数2 ダメージ2 防御点1】〈巨大なクリーチャー〉 「ニャルラ、こっちへ」 蜂竜の女王がこちらに注意を向ける前に、僕はニャルラを呼び寄せた。 いざという時のために準備しておいた「蟷螂蜂毒」だ。 これにニャルラの爪を浸す。 「決して自分で舐めないようにね」 「うう〜。気をつける」 周りの匂いが甘すぎて、舐めたくなってしまうらしい。 「この毒は一度の攻撃しか効果はない。攻撃したら、また僕のところに戻ってきて。フォルネも」 「私は別の手段で攻撃します。それはすべてニャルラに」 「ありがとフォルネ」 それにしても大きい。こんな大きな怪物と、戦うのか僕たちは。 蛇竜の女帝のときに感じた、決して相手をしてはならない威圧感を全身に感じる。 「どんなに大きな敵でも、鼻の頭にかみつけばいけるんでしょう?」 「ちょっと鼻まで届きそうにないの」 そんな状況だというのに、僕の頼もしい仲間たちは、軽口をたたいていた。 やがて蜂竜の女王の全貌があらわれ、ついに僕たちと対峙した。 ガギガギと顎を鳴らし続けている。これが怒りのサインだというのは、コミュニケーションが取れずとも理解できた。 フォルネが遠方から術を使い、ニャルラが前線でかく乱をする作戦だ。 「いきます!」 フォルネが優雅な動きで術式を唱える。 かざした手の先に、光が集約し、氷の槍が形づくられた。 「これが会得した西法術【氷槍】です!」 鋭く発射された氷の槍は、蜂竜の女王の分厚い皮膚を貫き、長い胴体部分に突き刺さった。 これならこの巨大な女王にも通用する。 「くらえ、どくどくのツメ!」 ニャルラは目一杯ジャンプするけれど、やっぱり女王の頭にはとても届かなかった。 突き刺さった氷の槍の付近に接近すると、その鋭い爪を振るう。 それは腹部の比較的柔らかな皮膚を裂き、裂かれた部分がたちまち変色する。 蟷螂蜂毒は即効性の毒なのだ。 蜂竜の女王のギチギチ音が悲鳴のように変化した。明らかに効果がある。 蜂竜の女王は、その巨大な脚でニャルラを踏みつけようとする。 脚を持ちあげた時には余裕ぶっていたニャルラだが、踏み下ろしの動作に顔色を変えた。 予想を超えて鋭い動きだったからだ。素早い反射ですんでのところで身をかわす。 さらに蜂竜の女王は、連続しての攻撃を繰り出す。 次の脚が持ちあげられ……そしてそれはニャルラではなく、王蜜を運んでいる運搬係の蜂竜に向けられた。 運搬係の蜂竜は、これまで何の反応も示さず黙々と作業していたが、さすがに女王の攻撃に対しては回避行動を取り、なんと、ギリギリでかわした。 「見境ないですね。怒りで我を忘れているようです」 「それより、あの攻撃よけるなんて、あの蜂竜すごいの。一緒にたたかえないかな」 「それはさすがに無理でしょう」 戦いはまだ始まったばかりだ。 「ニャルラ、毒を塗り直すからこっちへ」 「あいあいさ〜」 僕たちが次の蟷螂蜂毒の準備をしている間にも、フォルネは【氷槍】を飛ばし、蜂竜の女王へのダメージを重ねている。 「タイガさま、そちらに向かっています。気をつけて」 その声にニャルラがいち早く反応し、すぐに前線に戻った。 そこに蜂竜の女王からの、鋭い爪蹴りが飛ぶ。 ニャルラは素早い反射で回避しようとするも避けきれず、軽々と蹴り飛ばされてしまい、壁に打ちつけられた。 よろよろと立ち上がる。 その合間にも蜂竜の女王は猛り狂い、運搬係の蜂竜が一匹、犠牲となった。 「ニャルラ、無事ですか!?」 「まだまだ。へっちゃら〜」 ふらつきながらも、まだ軽口を言えている。 しかし、ニャルラへのダメージはフォルネの集中力を奪った。 西法術を唱えるのだが、【氷槍】がうまく生成されない。 ニャルラもなんとか態勢を立て直して攻撃を試みるが、動きに精彩を欠き、ぜんぜん当てられない。 蜂竜の女王は、まるで意に介さずに前線のニャルラを蹴散らしにかかる。 今度はニャルラはどうにか避けた。付近にいた蜂竜がまた一匹犠牲になった。本当に誰彼かまわず攻撃をしている。 「まずいです。後がありません」 フォルネの口調から焦りがにじむ。 「私の魔力では、【氷槍】は、あと一発が限度です」 蜂竜の女王は、まだまだ余力を残している。 フォルネの【氷槍】がなくなれば、あとはニャルラの毒攻撃頼みだ。 なにか、ほかに方法はないか、考えなければ。 「フォルネ、落ち着いて。今はその魔法にだけ集中するんだ」 しかしフォルネは、あと一発しか打てないこと、絶対に外してはならないことへの緊張感から、まるで立ち直ることができていなかった。 フォルネの端正な顔立ちに、隠しようのない焦りが浮かび上がっている。 そしてフォルネの唱える術式は、光を集めて氷の槍を形成しつつあったが、それが途中で霧散した。 術は、効果を現さなかった。 「あ……」 フォルネは、がっくりと両膝をついた。 [プレイログ] 蟷螂蜂毒は事前に準備していたが、物語の展開上ここで準備描写を入れた。 第1ラウンド フォルネの攻撃【氷槍】 サイコロの出目3+魔術点4=7 命中 蜂竜の女王の生命点7→6 フォルネの魔術点4→3 ニャルラの攻撃 サイコロの出目5+技量点1 命中 蜂竜の女王の生命点6→5 毒の効果切れる 蜂竜の女王の攻撃 1回目 ニャルラの回避 サイコロの出目3+技量点1 命中 【素早い反射】で振り直し。サイコロの出目4+技量点1=5 回避。ニャルラの器用点8→7 2回目 蜂竜(雑用)の回避 サイコロの出目5で回避。 第2ラウンド フォルネの攻撃【氷槍】 サイコロの出目4+魔術点3=7 命中 蜂竜の女王の生命点5→4 フォルネの魔術点3→2 ニャルラ 蟷螂蜂毒を再装填 蜂竜の女王の攻撃 1回目 ニャルラの回避 サイコロの出目3+技量点1=4 命中 【素早い反射】で振り直し。サイコロの出目1 ファンブルで命中 ニャルラの生命点9→7 ニャルラの器用点7→6 2回目 蜂竜(雑用)に命中 第3ラウンド フォルネの攻撃【氷槍】 サイコロの出目1 ファンブルで失敗 フォルネの魔術点2→1 ニャルラの攻撃 サイコロの出目1 ファンブルで失敗 蜂竜の女王の攻撃  1回目 ニャルラの回避 サイコロの出目4+技量点1 回避 2回目 蜂竜(雑用)に命中 第4ラウンド フォルネの攻撃【氷槍】 サイコロの出目1 ファンブルで失敗 フォルネの魔術点1→0 ●アタック01-14 蜂竜の女王との決着 一方、ニャルラも攻めあぐねていた。 蜂竜の女王の一撃は強力だ。うっかり当たるだけでも命を削り取られかねない。 さきほどのダメージによるふらつきからは回復してきたものの、女王の攻撃を警戒しての動きでは、どうしても決定的な隙を突くことができなかった。 逆上した女王の無差別攻撃は、いたずらに蜂竜の数だけを減らしてゆく。 僕は、なにかないかと周囲を見回していた。 このままではジリ貧だ。この状況を打開できる鍵は、どこかにないか。 この空洞の隅には、馬車などの残骸が放置されていた。 明らかに場違いだ。馬車の乗り手がこの中まで来るのは考えにくい。 きっと、外の蜂竜たちが資材かなにかのために持ちこんだものに違いない。 その中に、なぜか巨大な丸太が転がっていた。 あの丸太をぶん回せば、いかな蜂竜の女王といえど、ダメージは通りそうだ。 僕は、筋肉ムキムキになって丸太で女王に殴りかかる自分を夢想し、その妄想を振り払った。 ダメだ。現実を見ろ。 次に目についたのは設置型のクロスボウだ。 手に持って発射するクロスボウと違い、サイズも大きく、威力も段違いだ。 これなら、なんとかなるかもしれない。 僕はクロスボウのところに向かい、動きを確かめる。 固いし重いが、ちゃんとまだ動く。 装填する矢も何本か落ちている。 「フォルネ、手伝って!」 声をかけるが、フォルネは反応しない。 僕が、やるしかない。 僕は、斜めにかしいでいる固定型クロスボウを全身の力を込めて押し、土台を水平に設置した。 ずりずりと引きずりながら、方向を蜂竜の女王の方へと向ける。 そのとき、こう着状態にあった戦場に動きがあった。 ニャルラの攻撃が、ついに蜂竜の女王を捉えたのだ。 またしても柔らかな腹部を狙った攻撃が見事にヒットする。毒による効果もあるのだろう。蜂竜の顎音が、まるで苦しみに歪むように変化した。 そしてそのまま、蜂竜の全体が灼熱の赤色に変貌してゆく。 黄金色の室内に、赤熱化した蜂竜の巨体のコントラストは、目に優しくない。 そして熱い。女王の身体全体が、熱を発しているのだ。 蜂の騎士が炎の舌で攻撃していたことを思い出す。蜂竜は炎を操るのだ。 腹部に突き刺さっていた、フォルネが放った氷の槍が白煙を上げて溶け出し、そこからドロドロと体液があふれ出している。 熱によって部屋の中に甘ったるい匂いがさらに充満し、蜜の中を泳いでいるみたいだ。 もはや蜂竜の女王は、蜂でも竜でもなく、巨大な怪獣に見えた。 これまでも無差別に攻撃していた女王だが、完全に自分を見失い、我を忘れている。 素早い動きでこの場にいるすべてのものを排除しようとする。 「フォルネ! 避けて!!」 失意の底に沈むフォルネにも容赦なく攻撃が向けられる。 さすがに女王の深刻な変化を見過ごすようなフォルネではない。 女王の手あたり次第の攻撃をギリギリで回避しながら、僕の動きにようやく気づいた。 「タイガさま、それは……」 「この固定式のクロスボウで、女王を射貫くんだ。僕ひとりの力じゃ足りない。力を貸して」 「は、はい……!」 一方、至近距離で女王に攻撃を加えたニャルラの方は、赤熱化した女王の熱波をまともに受けてしまった。 「あっつぅ〜〜い!」 女王から距離を取って転げまわる。 そしてあろうことか、水のかわりに蜂竜の王蜜だまりに突っ込んだ。 体じゅうべとべとになりながら、それでも熱さましにはなったみたいだ。 女王はグゴゴゴと、苦しげな顎音を鳴らす。 僕は気づいた。女王は怒りのあまり、自身の赤熱化を制御しきれていない。 あの熱は、女王自身をも傷つけている。そしてそのことで女王は、さらに怒りを増幅させている。 これまで女王の巨体へ与えたダメージはわずかで、まるで勝ち目が見えなかった。 けれど、女王が自分で自分を傷つけているのなら、勝機はある。 「ニャルラ。僕たちがクロスボウを準備する間、少しだけ時間を稼げる?」 「たいが、アタイを誰だと思ってるのっ。できるに決まってるじゃない」 そう言いながら、僕の方に向けて駆け寄ってくるニャルラ。 言葉と行動が合ってないけど、どういうこと? 「その前にまたどくちょ〜だい。さっきの攻撃で切れちゃった」 ああ、そういうことか。 僕はニャルラの爪に蟷螂蜂毒を塗布する。 「うう〜。お〜みつで全身甘いから、舐めたくなっちゃう〜」 「ニャルラ、がまんがまん」 「わかってる〜」 ニャルラは元気を取り戻して蜂竜の女王に向かっていった。 僕とフォルネは協力して、照準を微修正し、固定式クロスボウの弓を装填する。 この一撃で、決める。 僕たちの視線の先では、ニャルラが暴れる蜂竜の女王を必死にけん制していた。 当たらなければ良い。しかし一撃でも食らおうものなら、下手をすればそれだけで命を奪われかねない重い一撃。 それでもニャルラは、女王を翻弄することを楽しんでいるようにさえ見えた。 しかし、ついに女王の爪がニャルラを捉えた。 「ぎゃっ」という悲鳴とともに引き裂かれ、地面に投げ出されるニャルラ。 これまでの激戦のダメージの蓄積が一気に出たのか、息も絶え絶えだ。 そんなニャルラを、女王は容赦なく踏みつけにゆく。 「ニャルラぁ!」 フォルネが叫ぶ。フォルネは以前、【空蝉】でニャルラの幻影を作って割り込み、回避させたことがある。 けれども魔力が底をついた今、その方法が使えないことを悔やんでいるのだ。 ニャルラは最後の力を振り絞るようにして、すんでのところで転がって踏みつけを避けた。けれど、ふらふらだ。これ以上戦わせられない。 「ニャルラ、ありがとう。あとは僕たちがやる。フォルネ、用意はいい?」 「いけます」 蜂竜の女王の胴体を狙いたい。そこが一番柔らかいからだ。しかし重いクロスボウの角度はもう修正できない。 僕は弦をギリギリと引いてがちっと固定させる。引き金を引くのはフォルネの役目だ。 ニャルラが撤退したことで、蜂竜の女王の視界にいるのは僕たちだ。 蜂竜の女王はまっすぐ僕たちを見た。斜線は完全に通っている。これなら。 ところが、蜂竜の女王は赤熱化した火炎の球のようなものを飛ばしてきた。 いけない。これがクロスボウに当たって角度が変わったら、全部やり直しだ。 「させません!」 そこにフォルネがクロスボウの前に割って入り、自分の身体でそれを防ぐ。 「ぐ……ああ……」 「フォルネ!」 フォルネは自身に受けたダメージにふらつきながら赤熱の球をはじくと、がっくりと膝をついた。 その向こうには蜂竜の女王が至近に迫っていた。 「タイガさま、今です!」 「!! うん」 ニャルラが、フォルネが、命がけで作ってくれたチャンス。 僕は力任せに重い引き金を引いた。 クロスボウの太い矢は、ものすごい勢いで女王めがけて射出され、氷槍が刺さっていた傷痕に命中した。 通常だったら貫通していてもおかしくない攻撃だ。しかし女王の腹部が長く伸びているために、完全に胴内にめりこむ形となった。 蜂竜の女王の身体が大きくのけぞり、次に巨体が地響きを立てて倒れてゆく。 巨大な手足をもぞもぞさせながら、縮こまっていく。死に際の虫を思わせる動き。 巨大なるがゆえに、生命活動を停止するには至らないが、もう動いて戦う力も意志もないことは明らかだった。 手足を丸めた蜂竜の女王は、思った以上に小さく見えた。 [プレイログ] 第4ラウンド(続き) ニャルラの攻撃 サイコロの出目1 ファンブル 蜂竜の女王の攻撃 1回目 ニャルラの回避 サイコロの出目6クリティカル回避 2回目 蜂竜(雑用)に命中 第5ラウンド フォルネ 固定クロスボウの準備(位置修正) ニャルラの攻撃 サイコロの出目6 クリティカル命中 蜂竜の女王の生命点4→3 連続攻撃は毒の効果なくダメージが通らないためキャンセル。 生命点が3点になり、蜂竜の赤熱化。攻撃回数が2から4に。 蜂竜の女王の攻撃 1回目 フォルネの回避 サイコロの出目5 回避 2回目 ニャルラの回避 サイコロの出目1 ファンブルで命中 【素早い反射】で振り直し。サイコロの出目1でファンブル ニャルラの生命点7→5 ニャルラの器用点6→5 3回目と4回目 蜂竜(雑用)ともにサイコロの出目5で回避 赤熱化の反動により蜂竜の女王の生命点3→2 第6ラウンド ニャルラ 毒の準備 フォルネ 固定クロスボウの準備(弓の装填、弦を引く) 蜂竜の女王の4回攻撃 1回目 ニャルラの回避 サイコロの出目1でファンブル 【素早い反射】サイコロの出目4+技量点1=5 回避 ニャルラの器用点5→4 2回目 フォルネの回避 サイコロの出目1 ファンブル 命中 フォルネの生命点5→3 3回目 蜂竜(雑用)が回避 4回目 蜂竜(雑用)に命中 赤熱化の反動により蜂竜の女王の生命点2→1 第7ラウンド フォルネの攻撃 サイコロの出目3+技量点2 命中 蜂竜の女王の生命点1→0 (演出上、引き金を引くのはタイガですが、フォルネの攻撃の扱いです) 次回、この冒険の結末。そして……。 【フォルネ(妖狐) レベル13 技量点:2 生命点:5→3/5 魔術点:4→0/4 従者点:8】 【装備】(人間形態でのみ効果あり) 片手武器 木盾(生命点+1) 鎖鎧(生命点+1防御ロール+1) <スキル> 【変化】人間形態に変化する。 【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。 【西法術:氷槍】魔術ロール成功で2点ダメージ 【持ち物】 1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。 2草避けのお守り 植物によるアクシデントへの対応力を上げる。 【ニャルラ(魔猫) レベル13 技量点:1 生命点:9→5/10 器用点:8→4/8 従者点:5】 【装備】なし <スキル> 【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない 【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。 【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。 【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。 【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。 【温存経験点】1 【タイガ 従者 荷物持ち】 【持ち物】 食料0 金貨5 1 蟷螂蜂毒 3回分→0 追加ダメージ1 巨大樹の迷宮P56 2 ロープ 3 オオトカゲの宝石(金貨18枚分) ■登場人物 タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。 フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。 ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。 コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。通称コニー。オウカンワシにさらわれたところをタイガたちに救われる。 ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。コニーの父親。 クックロッド コーネリアス商会の料理人。蜂竜の王蜜取得に情熱を燃やす。 キャティ 竜人の村の道具屋。初出はゲームブック「百竜の森」。 カトリーナ 竜人の村の女戦士。蜂竜討伐の遠征中。 ナイトさん ヘラクレスナイト。カブトムシ形態から人間形態に変形できる竜人の村への協力者。その動機はキャティへの一目ぼれ。 蜂竜の女王 巨大なクリーチャー。巣への侵入者に対し怒りで我を忘れ、赤熱化し暴走する。 ■作品情報 作品名:蜂竜の森「ローグライクハーフ」d33シナリオ 著者:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ(「蜂竜の森」収録) https://ftbooks.booth.pm/items/5361362 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! 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2026年7月14日火曜日

FT書房の作品としてこんなのがあったらいいなぁという勝手なアイデア 第1回 FT新聞 No.4920

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ FT書房の作品としてこんなのがあったらいいなぁという勝手なアイデア 第1回 「アランツァビジュアルガイドシリーズ」 (中山将平) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■  おはようございます。  今年の年始から、個人サークル「ギルド黄金の蛙」を始動しているイラストレーターの中山将平です。  このサークルで色々なイベントに出ています。  次回参加予定は、7月19日(日)「ZINフェス奈良」と7月20日(月・祝)「そうさくマーケットvol.3」です。  前者はまだブース配置が分かりませんが、後者は「ち18a」かと。  実は、同じ7/20にFT書房は「文フリ北海道」に出展する予定です。  お近くの方は、ぜひ遊びにお越しいただけましたら。  ちなみに、ギルド黄金の蛙から出しているカエル人の本「カエル人の全て(魔法と儀式編)」はおかげさまでご好評をいただき、増刷することができました。  続巻(衣食住編)はこっそり申し込んで当選している8月のコミケでお披露目できるように現在鋭意作成中ですので、ご興味の方はぜひお楽しみに。  さて、最近僕は月に1度程度だけ記事を書いているのですが、この機会を「どのように意味あるものにするか」深く考えていました。  その一つの答えとして、今回は「FT書房の作品としてこんなのがあったらいいなぁという勝手なアイデア」を書いてみたいと思います。  ええ、あなたの予想通り、このお話は僕の勝手なアイデアであって、FT書房の本来の製造ラインとは全く関係がありません。  つまり、実現する見込みは現在のところ皆無です。  とはいえ、僕があるといいなぁと思っているということは、他にもそう思われる方がいらっしゃるやもしれません。  もしたくさん声を見かけたときには、僕自身が作ることを検討しようかなとも思っています。  まぁ、そんな現象はないのが常ですので、あり得ないことを前提とした記事として気軽に読んでいただけましたら。  今日は3つのアイデアをお届けしてみます。 ◆「アランツァビジュアル人物ガイド」   僕個人として、「なぜこれがないんだ!?」「これは絶対必要なのでは!?」と勝手に考えているものの一つが、このアイデア「アランツァビジュアル人物ガイド」だったりします。  タイトル通り、アランツァの有名人物や印象的な人物を、ビジュアルを中心としてまとめたある種の設定集、もしくはガイドブックのような作品というアイデアを考えています。  僕はイラストレーターなので、ビジュアル的なものへの関心が特に大きいのかもしれません。  各キャラクターの背景・登場作品・持ち物の解説はもとより、相関図や各都市・組織との関わり、アランツァ世界で暮らすキャラクターについてもコラムなどもあると楽しそうです。  本文24ページ(表紙裏表紙を含むと28ページ)、A4サイズ、フルカラー、中綴じ本、イベント頒布価格2,000円。(僕が作っている「カエル人の全て(魔法と儀式編)」と同じ仕様です)  最大総発行部数1,000部、初版第一刷りの発行部数500部で、それ以降の再版はせず電子版のみに移行。イベントとBOOTHでのみ頒布の形式を想定しています。 ◆「アランツァビジュアル装備品ガイド」  最近、代表の杉本=ヨハネ氏が記事「アランツァへのいざない」で様々なアイテムについてまとめられているのを興味深く拝見しています。  実は以前、「ローグライクハーフのシナリオ作りにいつか必要になる日が来る」と考え、FT書房のゲームブックでアランツァ世界にこれまで描かれた様々な要素を勝手にエクセルファイルにまとめたことがありました。  誰に頼まれたわけでもないので、考えてみるとあれは単に僕が作りたくて作った、ある意味趣味の品だったのだと思います。  そのデータが「アランツァへのいざない 植物由来の装備品など」の回でベースに使われたとのお話を聞き、にんまりしていました。  それでなのですが、この装備品等々「風物」について、またしてもビジュアル中心にまとめたアイテム集というアイデアを考えています。  各アイテムのローグライクハーフでのデータと共に、それらを入手可能な施設や場所の例(商店・難所等々)、ゲームブックでの登場作品等を掲載。  さらに、生物由来のアイテムについては一部元となっている生物のデータも追いかけがあると楽しそうかと。  これもある意味、アイテムを中心とした切り口で描くワールドガイドの一種なのだと思います。  仕様・発行部数・形式などは「アランツァビジュアルキャラクター集」のアイデアと同様を想定しています。   ◆「アランツァビジュアル食べ物ガイド」  ローグライクハーフでは「装備品」に分類されることも多い、食料や酒等などに特化したアイテム集というアイデアです。  もちろん、それぞれのビジュアルやデータと共に、それらを入手可能な施設(宿屋等)の紹介も掲載するとワクワクするかと。  さらに、アランツァ世界で見かける料理法やキッチン関連の紹介、食料を通じた各都市の交易まで追いかける案も持っています。  仕様・発行部数・形式などはやはり、「アランツァビジュアルキャラクター集」のアイデアと同様を想定しています。 ◆ まとめ 形になることはないかもしれませんが、僕はこんなことを考えています。 冒険が大好きですが、冒険を構成する要素もまた、僕の愛するものなのだと思います。 では、今日はそろそろこのあたりで。 よきファンタジー・ライフを。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年7月13日月曜日

☆新作告知☆ FT新聞 No.4919

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。 今日の記事である「アランツァへのいざない」を次回に送らせていただきまして、緊急告知を行います! 記事を楽しみにしてくださっていたあなたに、心からお詫び申し上げます☆ 緊急告知とは、夏のコミックマーケットにおける新刊のご案内です!! ◆「モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)」公式から、初の国産ソロアドベンチャーを!! FT書房からこの夏、初の国産ソロアドベンチャーとして「廃都トゥー=エバンから脱出せよ!」を刊行いたします!! カップリングとしてクトゥルフ系ソロアドベンチャー「黒い猫でも白い猫でも」が同時収録されます☆ ◆夏は新刊がないはずでした★ 実はこの夏、FT書房からの新刊は出ないことに決まっておりました★ 「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ(RLH)」はイラスト待ちの作品がイラストレーターさんの進行具合の兼ね合いで遅れており、またワールドガイドである『アランツァワールドガイド』を控えているため、夏は見送ることにしました。 「モンスター!モンスター!TRPG」の方はというと、ケン・セント・アンドレの最新ソロアドベンチャーである『マタ・ハリの冒険』が、先日まで行われていたクラウドファウンディングとの兼ね合いで、本国アメリカから「待った」がかかった状態になってしまったのです。 そういうわけで、この夏は宙ぶらりんな状態になりそうでした。 ◆岡和田晃さんとの打ち合わせ☆ そんな状態であることを、M!M!の翻訳長である岡和田さんに共有したところ、ひとつの提案をいただきました。 それは、ふたつのアイディアでした。 ひとつは、ズィムララを舞台とした、オーソドックスな冒険要素のあるソロアドベンチャーを刊行すること。 もうひとつは、これよりも少し短めの、クトゥルフ要素のあるソロアドベンチャーをカップリングとしてつけることです。 ◆なぜ、ソロアドベンチャーなのか? 最初の案は、岡和田さんがかつてFT新聞にて配信して大好評を得た「廃都コッロールから脱出せよ!」を、M!M!向けにコンバートするという提案とセットになったものでした。 このまま埋れさせるには惜しい作品でしたし、初配信から6年が経過して、人々の記憶から薄れつつあるとも思い、この提案を受け入れ、刊行を決意しました☆ オーソドックスな冒険がM!M!の新たな間口となると同時に、国産の作品がどのぐらい受け入れられるかの試金石になると、私たちは考えています。 それはつまり、FT書房から刊行する「雑誌」、つまりM!M!やRLHなどに関連した不定期のムック本を、どんな内容と量にしていくのかにも関わってきます☆ この作品のタイトルは「廃都トゥー=エバンから脱出せよ!」へと決まりました! ふたつめの案は、これから先の展開と関わるものです。 ズィムララの世界にはクトゥルフが実在するわけですが、ホラー要素のあるクトゥルフ作品に対する評価は、どんな塩梅なのか。 そういった方向にも展開をしたいと考えてはいるものの、読者の需要に沿ったものでないと、なかなか出すわけにはいかないもので。 これも、作品の感想や評価を通じて掴んでいけたらと思っています。 ◆逆輸入作品です! ふたつめの案、つまりカップリング作品のタイトルは「黒い猫でも白い猫でも」と言います。 M!M!ファンのあなたは、この名称をご存知かもしれません。 なんとこの作品、すでにアメリカではケン・セント・アンドレ監修のもと、英語で刊行されているのです! 本の世界でも珍しい、逆輸入作品となったわけです☆ ◆イラストはDON-CHANG! すべてのイラストを手がけてくださるのはDON-CHANGさん! FT書房のゲームブックでは『怪物狩猟』、トンネルズ&トロールズのソロアドベンチャーでは『月花の冒険』など、お世話になった作品を挙げれば枚挙にいとまがありません。 実力派のイラストレーターです……以前耳に挟んだお話では、アメリカでは日本よりもさらに人気だと聞いております。 ◆がんばっています! 1ヶ月足らずという短い期間ですが、もちろん誤植ゆるすまじ、です☆ もともとの原稿はみっちりチェックを受けたものですが、コンバートや編集に際してミスが生じていないか、バグチェッカーの輝龍をはじめ、作者、編集、監修である私も、目を皿のようにしてバグや誤植をあぶり出しております☆ たったひとつの誤植が、すべての読者の遊ぶ際のつまづきになってしまいます。 1冊の本からすべての誤植を滅せられるように、今回も全力を挙げてまいります!! それではまた! ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。

2021年5月23日日曜日

T&T読者参加企画『カザン帝国辺境開拓記』 エピローグ FT新聞 No.3042

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T&T読者参加企画『カザン帝国辺境開拓記』 エピローグ

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from 水波流
トンネルズ&トロールズを使った読者参加企画をやってみよう。
なぜそう思ったかは、今となっては覚えていません。
しかしこの2年半で、参加者の皆さんのキャラクターは、GMである僕自身にもとても愛着のあるものになりました。
このキャンペーンでは本家T&Tの設定と、それと同じくらい多くのオリジナルの設定を使いました。
T&Tに詳しい方にはおやこれは、と思ってもらえていれば嬉しいですが、
どれが正史でどれがオリジナルかは気にせずに、どうか我々だけのカザン帝国を楽しんで貰えたなら幸いです。

また今回のエピローグには、これまで以上に各プレイヤーの皆さんからご投稿頂いたエピソードを多く採用させて頂きました。
文章を私がアレンジしたものもありますが、ほとんどそのまま採用させて頂いたものもあります。(特にエミリアのエピソードなどはご本人ともやり取りしつつ仕上げさせて頂きました)
最後まで本当に皆さんと一緒につくりあげた読者参加ゲームだったと実感しております。
ありがとうございました。

せっかくですので、最後に我々のカザン帝国年表を掲載いたします。
T&T完全版BOOK3に掲載されている年表から主要な出来事を抜粋したものに、『カザン帝国辺境開拓記』のオリジナル要素を記載したものになります。
なおこちらの年表については、ヴェルサリウス27世さんに寄稿頂いたものを大いに参考にさせて頂きました。この場を借りて御礼を申し上げます。
願わくば、皆さんがT&Tを遊ぶ際にお使い頂ければ、GMとしてこの上なく嬉しく思います。

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スラムグリオン魔法学校所蔵
『カザン帝国暦』より抜粋

 *BK=Before Khazan
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【100000BK】 トロール、唯一の知的生命体として大いに栄える。
【99000BK】 ドラゴンに追われたエルフがトロールワールドに入ってくる。竜の大魔術師シャンインシン=シンインシャンがドラゴン大陸ルールフを創造する。
【97000BK】 《トロール=ドラゴン戦争》勃発。
【92000BK】 《エルフ=トロール戦争》勃発。
【57000BK】 エルフ最古の大魔術師ニン=ドゥルジエル=ニンにより、最後のトロール都市が壊滅する。
【50000BK】 《魔術師戦争》始まる。
【46020BK】 古代帝国ティグリアの覇王ガイウス、麾下にそれぞれ特異な力を持つ近衛騎士を5人従え、太古の街道《グレート・ロード》一帯の近隣諸国を平定し、《虎の王》と称される。
【46010BK】 覇王ガイウス、宮廷魔術師ルーポの進言に従い、天まで届かせるために自らの国の中央に巨大な塔を建造する。王と宮廷魔術師を含めた《七英雄》が国を挙げて天に向けて派遣される。民衆は心待ちにするもついに王たちは帰還せず。
【46000BK】 国は乱れ、人々が王の存在を忘れかけた頃、塔から不気味な悪鬼の軍勢が現れる。《狂える魔法使い》ルーポがエルフを魔法で変異させた、歪んだ存在ウルクである。
【45900BK】 白の大魔術師ニン=ドゥルジエル=ニンがミラードールの大軍を率い、激しい戦いの末に悪鬼の軍勢を打ち負かし、この世界から追放する。古代帝国の塔、封印される。
【35000BK】 魔術師グリッスルグリムがドワーフをトロールワールドに呼び寄せる。
【15000BK】 魔術師カルバン・アダムトが人間をトロールワールドに呼び寄せる。
【12000BK】 竜の大魔術師シャンインシン=シンインシャンがドラゴン大陸の東方に逃れ《魔術師戦争》から撤退する。
【8500BK】 グリッスルグリムがニン=ドゥルジエル=ニンをトロールワールドから追放する。
【5244BK】 《魔術師戦争》が遂に終結する。この時、世界に残った《神の如き力を持つ魔術師》は829人と言われる。
【3000BK】 邪悪なる不死者《不死身のコシチェイ》が暴虐の限りを尽くす。シャンキナルの森を治めるエルフの長老たちでさえ、コシチェイの前には為す術もなかった。
【2500BK】 時のエルフ王、偉大なる英雄ベリエンベールが西方エルフの従者とともに、大冒険の末についにコシチェイの秘密を突き止める。ベリエンベール王は不死者の魂をシャンキナルの森の守り神、《聖なる鳥》七頭神セマルグルに捧げる。セマルグルはその魂を7つに分けて森に封印し、自らも眠りにつく。
【1233BK】 《ドワーフ=エルフ戦争》勃発。
【1104BK】 太古の故郷《ホーラ・ルー・ヤー》よりこの地に降り立った《古き森》の主たちの子孫として、エルフの魔術師カザン=オータリエル=カザン生まれる。
【500BK】 へローム王国時代。《神の如き力を持つ魔術師》の1人、ダルゴンが《大断崖》付近に大図書館を設立する。更に《四つの闇の道》と呼ばれる迷宮をも作り上げ、数多くの遺跡荒らしがその迷宮に挑む。
【313BK】 炎の大地と称されるイーグル大陸ゾルで、もっとも偉大な人間の魔術師カーラ・カーンが生まれる。
【150BK】 エルフ王ベリエンベールと、人間の王《ウルク殺し》ソールの連合軍がナーガ連邦に攻め入って敗退する。
【114BK】 カザンとカーラ・カーンの魔術師対決。カザンは彼を弟子にする。
【 0 】 魔術師カザンが都市国家へロームの帝位に就任し、カザン帝国とカザン暦が始まる。
【200】 ユランタウと呼ばれる丘に蛇たちの王である邪悪な黒竜が巣食う。黒竜はたびたび《大断崖》を越えて北の大都市タリーマークを襲い、人々をさらっては貪り食らう。その圧倒的な力にはカザン帝国の騎士団でさえ歯が立たず、人々は黒竜を《カザンの悪夢》と呼び恐れた。
【250】 大魔術師カザン、《カザンの悪夢》の討伐に向かうも数度となく失敗し、親友であるシャンキナルの森の偉大なるエルフ王、ベリエンベールに助力を請う。
【255】 エルフ王ベリエンベール、《聖地シャンス》に伝わる三種の聖遺物を手に、配下の西方エルフの精鋭を率い、カザン帝国の魔術師たちともに黒竜討伐に遠征する。黒竜はベリエンベール王と一騎打ちとなり、三日三晩にわたる戦いの末に6つの肉片にされ退治される。黒竜の死骸は、丘の麓に建立された修道院に祀られ、以後この地は《竜塚》と呼ばれるようになる。
【595】 ウルクの呪術師ロトラー、北方の偉大な魔術師ハル=エニオン=ハルの娘、ラ=フリンジャ=ラ王女を誘拐する。
【597】 ロトラーの娘として後に《死の女神》と称されるレロトラーが生まれる。
【640】 レロトラー、エルフに宣戦布告。ドラゴン大陸の最果てで力を蓄え、仲間を増やす。
【654】 人とモンスターが共に暮らす世界を望んだカーラ・カーンはカザンと袂を分かち、レロトラーと手を結ぶ。
【661】 エルフの女戦士エレーラ、その身を大山猫の姿に変え、レロトラーに反旗を翻す。
【664】 レロトラーとカーラ・カーンによる《猫狩り》により、捕らえられたエレーラは服従を強いられ、獣の姿から二度と戻れぬ呪いをかけられる。
【666】 大魔術師カザンが降伏し、レロトラーとカーラ・カーンがカザン帝国の統治を開始する。カザンは1年に1日しか現れない島の墓所に追放される。
【780】 正気を失ったエレーラが獣人のための新たな宗教を広め始める。以後、エレーラは神の如き力を自在に操る存在《神獣》として獣人たちに崇められる。ドラゴン大陸全土から数々の獣人が馳せ参じ、《大断崖》山間の《精霊の祭壇》は獣人たちの聖地として大いに栄える。
【1049】 死の女神レロトラーに対抗する反乱勢力として《偉大なる熊神の教団》ことベアカルトが誕生する。
【1066】 《カザンの戦士たち》がカザンを目覚めさせる。
【1085】 レロトラーがカザンを侍祭テレヴォールの小迷宮に封印する。
【1100】 《神の如き力を持つ魔術師》の1人、黒のモンゴーが太古の街道《グレート・ロード》付近に研究室を設け、活発に活動する。《黒の使徒》として、漆黒の手のイーゼルヴァン、黒檀のメメコレオウスをはじめ優秀な弟子を多数排出する。
【1101】 第3代オーバーキル城城主、屍人使いマリオナルシスがオーバーキル城の戦いでカザン帝国の《死の軍団》の暗殺部隊に敗北し、西方エルフの手によって封印される。
【1195】 黒のモンゴー、赤の魔術師より塔を購入し移り住む。塔の地下調査のため《傭兵剣士》を雇う。
【1199】 女冒険者フレイミング・チェリーがストームガルドのローズの力を借りてテレヴォールを殺し、カザンを解放する。

【1200】(現在)
・レックス砦にて辺境開拓軍が編成され、各地から傭兵が集まる。
・《大沼地》のゴブリン山賊団によって、ナルン村の青カブトムシ寺院より祭器が盗まれる。
・《偉大なる熊神の教団》の活動が活発化する。
・《不死身のコシチェイ》こと屍人使いマリオナルシスの封印が解かれ、弟子である屍人使いエレファバ、エルファニ、エリファスたちが屍者の帝国を再興させるべく暗躍を始める。
・《カザンの悪夢》ことユランタウの黒竜の封印が解かれる。
・古代帝国ティグリアの塔が発見され、《七英雄》が復活を遂げる。
・《大断崖》風の峡谷にて、魔術師ダルゴンの大図書館が発見される。


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エピローグ

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『今回ばかりは本当に死ぬかと思った』
 私はレックス砦の机の引出しから日記帳を取り出すと、数日前の冒険を振り返りながらそう書き加えた。
 砦の窓から中庭を眺めると、慌ただしく行き来する砦の傭兵たちの姿が見受けられた。カザン市へ帰還するための撤収作業が行われているのだ。私もそろそろ荷物をまとめなくてはならない。
 私はため息を付くと日記帳を取り上げ、背負い袋に仕舞い込んだ。
 そしてそっと目を閉じ、既にこの砦から離れていった仲間たちの事を思い浮かべた。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 レックス砦の城門前に旅支度の一団が立ち尽くし、名残惜しそうに砦を振り返っていた。
 東洋風の修行着を身に纏った青年が、棍棒を2本腰から下げた男と話している。
「へーざぶろーさんは、本当にカザン市へは行かれないんですか」
「ああ、故郷に戻るにはちょうど潮時かなと思ってな」
 へーざぶろーはそう答えながら、腰のトゲ棍棒をジャラジャラと弄んだ。
「……お前こそ、カンダック師に弟子入り志願したんだって?」
「押忍。古代帝国の塔でカンダック師が使われた《魔法破り》、あれこそ強大な魔を滅す空手の道への光明と感じたのです……山に籠らずとも、修行の道はどこにでも転がっている。いい世界です、ここは!」
 その横では新人の男女が退屈そうな様子で荷物を直していた。
「アァ〜、ふかふかなベッドで寝たいぜ。火蜥蜴にはこってり焼かれそうになるしワイバーンには掻き乱されるしで、とんだ冒険だったなァ……」
「やれやれ、あたしゃ引退して玉の輿に乗るつもりだったんだがねぇ。金持ちのいい男はいまだ現れず……か」
 ガーランドとジェニファーは互いに不景気そうな顔を見合わせた。しばらくはまた傭兵か遺跡探索でもして稼ぐのも悪くない。
「ヘルト殿! 貴殿からお預かりしたシュバイツァーサーベル、確かにお返しもうした! 拙者を守ってくれたこの剣と貴殿に、感謝申し上げますぞ!」
 最後に城門から姿を表した禿頭の男は、大きな声とともに礼をしてから、一行の方に向き直った。
「ふぉふぉふぉ。皆様も素晴らしい御活躍でしたぞ。いざ、さらば。しかしまたいつの日かお会いしましょうぞ!」

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
へーざぶろー(緒方直人)
 故郷のオーシオ村に帰った彼を、弟たちが手荒い歓迎で出迎える。
 へーしろー「おっ、英雄さまのご帰還だぞ!」
 へーごろー「よく生きて帰ってきやがったなコノヤロー!」
 へーろくろー「いつくたばるかとずっと待ってたんだぞ!」
 へーしちろー「チクショー、第二部こそは!」
 へーはちろー「絶対活躍してやるからなー!」
 ボコッ! バキッ! ドカボカベシャン! ………(終劇)

ナカダンジョウ・ケン(シュウ友生)
 強大な魔と対する為には、魔力を破ると同時に魔獣の反射神経を超える速度を身につけねばならない。
 魔力を感じ、それを破る事に特化しての魔法習得を決意し、カンダックに師事を乞う。魔法破りと空手の融合という、前代未聞の荒業を目指して。
 それらを会得した暁には、彼は自らの空手をこう名付けるだろう。<魔破(マッハ)空手>と!

ガーランド
 離ればなれになってしまった弟ケインを探すため、また旅を続ける事に。
 いつか一緒に冒険する事を夢見て、彼は弟を探し続けている。

ジェニファー
 商家の娘として地元に戻ることもできたが、結局遺跡探索を続けている。
 後に、念願の玉の輿にのったとかのらなかったとか。

バルベル
 ヘルトから譲り受けた「シュバイツァーサーベル」を返却し、勝利に沸く峡谷の山猫亭の仲間たちに微笑んで、静かに立ち去る。
 故郷の剣竜亭へ帰還し、そこでまた別な冒険を繰り広げたと言われている。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 森の外れに位置する小さな村は、ちょうど昼どきを過ぎ、畑仕事から戻ってくる男たちの喧騒と、女たちが煮炊きをする生活音に包まれていた。
 村で唯一の雑貨店の店頭で、暇そうにあくびをしながら、若い店員が手紙に目を通していた。
「しっかし、アイツがまさかガガック兵長の元に残るとはねえ」
 若者は小さく笑いながら、かつての仲間である赤毛の盗賊の事を思い出していた。
 そこへ大きな物音を立てながら扉を押し開け、青年が駆け込んできた。
「あ、兄貴、大変だ!」
 青年は血相を変えて言葉を続ける。
「西方エルフの森林警備隊から苦情が来てる!」
「ガキどもめ。また丸々獣に夢中で境界を踏み越えやがったな」
 ニンツはカウンター越しにカーモネーギーに答えると、エプロンを外して釘にかけながら独りごちた。
「仕方ねえ。ギルサリオンの野郎に頭を下げに行くとするか……」
 畳んだ手紙を懐に入れ、すれ違いざまにカーモネーギーの肩を軽く叩いた。
「行くぞ、カーモネーギー」
「はい、兄貴!」

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
指導者のニンツ(忍者福島)
 村の復興に尽力した事で村長に推されるが、柄でもないと断る。
 カーモネーギーの雑貨屋を手伝いつつ、自警団の団長を務めている。
 西方エルフのギルサリオン隊長とは何かとやり合いつつも、仲はまんざら悪くもなさそうである。

カーモネーギー(鏡 有規)
 村で雑貨屋を営み、平和に暮らしている。
 ニンツに言われると断りきれず、自警団の人手が足りないときには駆り出されるらしい。
 最近子供が生まれたようだ。

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『……マロウズ、元気にしているか。生まれ故郷の森へ帰ったと聞いていたのに、またどこかに旅に出たそうじゃないか。ギルサリオン隊長が遺跡の浄化が一人で大変だとこぼしていたぞ』
 手紙を読みながら、エルフの青年は小さく苦笑する。そんな彼の後ろから、物静かなエルフの女性が覗き込んだ。古傷の覗く右耳に長い髪が触れる。どうしたの、楽しそうじゃないとでも言うような表情で彼女は優しく微笑んでいた。
「ああ、古い友人からの手紙なんだ」
 マロウズはイアヴァスリルにそう声をかけると、手紙の続きに目を通した。
『……それとヘルトの姿を最近見かけないとニンツたちが心配していた。もし顔を合わせることがあれば、よろしく伝えてくれ』
「おい、マロウズ。どうする」
 暗い口を開ける遺跡を見据えながら、女剣士ゲルダが尋ねかけた。
「ああ、準備はできてる。行こう」
 マロウズは腰を上げると、手紙を畳んで懐に入れた。
 と、その時、一行の背後から繁みをかき分ける音と足音が聞こえた。ゲルダは素早く振り返ると、剣に手をかけ音もなく引き抜いた。イアヴァスリルはマロウズの傍に寄り添うと、そっと魔法の杖を構える。マロウズも低く構えたまま、油断のない目つきで藪を見据えた。
 足音が近づいてくる。やがて藪から人影が姿を表した。すると、腰の短剣を握る手がふっと緩み、マロウズの顔に笑みが浮かんだ。
「へえ、まさかこんな異郷の地で会うとはな」
「……」
「久々に共同戦線と行こうか、ヘルト」
 マロウズの言葉に、寡黙な戦士はにこりと微笑した。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
"片耳の"マロウズ(うぐい)
 生まれ故郷であるシャンキナルの都に帰郷するも、復興が落ち着いた頃に誰にも告げず旅に出る。
 はるか遠い炎の大地ゾルで、褐色の肌の女剣士と物静かなエルフの女術士を伴って、遺跡を探索する彼の姿を見たと言われている。

ヘルト(英霧生)
 かつての仲間リディアとともに各地で冒険を続けており、たまにニンツたちの村に顔を出すらしい。
 多くは語らない彼の話を聞くために、村の若者で酒場は満席になる。
 ある日、屍者の帝国との戦いで失った剣の新たな刀身を求め、炎の大地ゾルに渡ると言い残して姿を消した。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

「……こうしてワシらは見事、竜を倒し、屍者どもを滅ぼした英雄となったんじゃ」
 街道の宿場の片隅で、枯れ枝のような老人が槍を杖代わりに身振り手振りで大げさな語りをしていた。
「じゃが、引退してゆっくりすごそうと村に帰ったワシを待っておったのは、焼け落ちて離散した故郷の姿じゃった。さすがのワシもすっかり気落ちして、あとはお迎えを待つばかり……」
 聴衆の輪がぐっと話に引き込まれる。
「……そんなときに出会ったのが、本日紹介するこちら、緑皇ミドリ汁! 厳選された天然野草と有機薬草と脱法ハーブを秘伝のバランスで調合、毎日一包を水に溶かして飲めば、たちまちあふれる神秘の力! 通常価格で1月分金貨500枚のところ、今なら5日分の特別お試しセットを金貨10枚でお届け! ……っておーいみなの衆、どこへ行くんじゃ! 話はまだ終わっとらんぞー!」
 呆れ顔で離れていく人々を尻目に、ポル・ポタリアは含み笑いを隠そうともせずにメックリンガーの肩を叩いていた。
「やれやれ、また失敗か。うまくいかんのう」
 やがて気を取り直した老人は、先ほどまで二人で目を通していた戦友からの手紙に目をやった。
「にしてもあやつめ、意外に筆まめなところがあったんじゃのう……で。お主はこれからどうするんじゃ?」
「僕ぁね……これまで色々な【お仕事】やってきたけど、教師は未経験なんだよね。教え子たちに囲まれて河原を走るなんてすてきじゃなーい? それに昔から人を見る目には自信があったんだ」
 ポルはそういうと遠い目で遥か彼方を眺めやった。その目に不思議な、それでいて怪しげな光が宿っていた事にメックリンガーは最後まで気づくことはなかった。
 二人はカザン市への返事の手紙を宿場に預けると、軽く握手をして別れた。
 メックリンガーはポルの飄々とした後ろ姿を見送ると、背中の凝った装飾の魔法の杖を小突いて話しかけながら、歩き出した。
「こりゃダーヴィドよ、ちったぁ路銀稼ぎに協力せんか。早々にダルゴン師のもとに返されたくはなかろうて。老い先短いワシの亡き後、お主を託せる勇士を探しておるんじゃからの」
 後にエミリアの元へ届いた手紙にはこう記されていた。
『まぁそんなわけで、ワシの旅も、もうちっとだけ続くんじゃ』

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
ポル・ポタリア
 人知れず彼は姿を消した。その後彼の姿を見たものは誰もいない。
 十数年後「教室」という名の犯罪組織が確認される。構成員は「生徒」と呼ばれ、それぞれの素質に応じた活動を行い、各地に混乱をまき散らした。
 ……不思議なことに殺人はタブーとされていたようだ。

メックリンガー老(めくり たまえ)
 ポルと別れ、一人で放浪の旅に出た。きっと各地で槍を振り回しては、大騒ぎを巻き起こしているのだろう。
 後に、背中に魔法の杖を背負った口の減らない老人がドラゴン大陸の東の果てからユニコーン大陸に渡って大冒険を繰り広げているとの噂が流れた。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 コースト市、スラムグリオン魔法学校の近くにある酒場で二人の男が酒を酌み交わしていた。テーブルの上には一通の手紙が広げてある。
「……噂には聞いていましたが、恐怖の街から戻っているとは思いませんでしたよ。それで、最近どうしていたんです?」
 穏やかな笑みを絶やさぬまま、片方の男が傍らに大剣を置いた男に語りかけた。
「ああ。戻ったはいいが、レックス砦ももう引き払われているし、また迷宮探索にでも出かけようかと思ってるんだ。万太郎たちと一緒に行くことも考えたんだけどな……お前さんの方はどうなんだ?」
 男は話を区切ると相手に水を向けた。
「私は宝石の街バモラ、フルロスガールの小屋、城塞都市ノールゲートを巡っていました。各地で手に入れた宝石や芸術の知識をまとめ、新たな本としてダルゴンの大図書館に寄贈する事ができればと思っているんです。今はちょうど、路銀を稼ぐため……そして素晴らしい宝飾品、財宝に触れるため、大図書館で手に入れた写本に書かれた情報をもとに遺跡探索に向かおうかと思っていたところです」
 ソーグの目に鋭い眼光が輝いた。
「詳しく話をしようじゃないか」
「ええ。いい話がありますよ」

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
ソーグ(ふろふき大根)
 故郷フォロン島のガル市に戻り、蔓延していたイカサマ賭博を一掃する。
 健全な賭博場を楽しむ傍ら、本人はまたカザン帝国に舞い戻っているらしい。
 いつか凶悪と名高い〈熊の迷宮〉に挑むため、仲間を探しているそうだ。

アンドレア
 芸術家(宝飾細工師)となるために、技術と審美眼を鍛える旅に出た。「魂の籠った本物」の作品を作ることを目的に過ごしているそうだ。
 ダルゴンの大図書館にも足繁く通い、知識を探求しており、いずれは図書館長の座を譲られるのではないかとも言われている。
 後年、或る魔術師と共作し「魂を込められる(封じる)」作品を作ったと噂される。

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 〈大断崖〉を越えた北の大都市タリーマークの宿屋。様々な国々の旅人たちがごった返す中でも、ひときわ奇妙な風体の三人組がテーブルについていた。東洋風の装束の目付きの鋭い男に、左腕がねじれたグレムリンの腕のドワーフ、そして最後の一人はカエル人の戦士ときている。人々は関わり合いはごめんとばかりに遠巻きにしつつも、目立つ三人組にちらちらと視線を送っていた。
「……で、まだアンタの左腕を治せる癒し手は見つからないってわけか」
 東洋風の装束の男が酒の小瓶を片手に口を開いた。問われたドワーフは不機嫌そうに頷く。その横ではカエル人がゲロゲロと面白そうに喉を鳴らしていた。
「オレは傭兵として稼げれば文句は無いゾ」
「わかっとるわ。じゃから相応の報酬を払っとるじゃろが」
 クリフは憮然とした表情でサマにやり返すと、デュラルの方に目をやり、話題を変えた。
「お前さんの方はどうしとるんじゃ。確かガガック兵長と共に、カザン市に向かったと聞いておったが……」
 クリフはデュラルの胸元に鈍く光る、見慣れぬ記章に目をやりながら尋ねかけた。
「ああ、兵長の口利きで宰相カーラ・カーン殿に謁見が叶ってね。レックス砦での功績を認めて頂き、レロトラー陛下直属の密偵に召し抱えてもらったというわけさ」
 〈エージェント・オブ・デス〉……泣く子も黙るカザン帝国の親衛隊である。クリフはその悪名を思い出し、背筋を震わせた。そう言えば、テーブルの上に広げられている手紙の差出し主である赤毛の盗賊も、いまはガガック兵長の元で密偵を務めているというが……。
「意外ダナ。お前が宮仕えを選ぶとはネ」
 サマが訝しげな様子を隠そうともせずに口にした。
「なぁに、熊野郎どもや屍人使いの連中とケリをつけるには、これまで以上の力が必要になるしな。それにカザン帝国は寛大だ。力さえあれば、誰でも平等に道は開ける」
 デュラルの明快な答えに、クリフとサマは顔を見合わせた。
「それでだ。旧交を温めるついでに、ひとつお前らに仕事の依頼があるんだがね……」
 デュラルはテーブルの上に身を乗り出して話し始めた。

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デュラル・アフサラール(ジャラル・アフサラール)
 マリオナルシスの隠し財宝から、強い魔力を持つ『ロキのブーツ』を入手したのを天命として、カザン帝国〈エージェント・オブ・デス〉に名乗りを上げる。
 レロトラー陛下より勅命を受け、カザン帝国のために数々のミッションを成し遂げ、後に"魔眼"と呼ばれる帝国の密偵になったとか、ならなかったとか。

クリフ(中山将平)
 グレムリンの左手を治せる癒し手を求めて、北の大都市タリーマークを拠点に探索を続けている。
 噂では《荒れ野》に向かって帰ってこなかったとも、両腕ともグレムリンの腕になった姿を見たとも言われている。

サマ
 傭兵として、クリフと共にタリーマークを拠点に探索を続けている。
 長い時を経て、カエル人の中でも名の通った戦士として、後々まで語り継がれたという。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 念願の我が家に帰って来て、はや3年。スパイディは妻と二人の子どもと共に平和な日々を過ごしていた。
 彼の妻エレインは意識を取り戻したものの、〈偉大なる熊神の教団〉で過ごした記憶は全て失っていた。
 今も教団の脅威は存在する。それは友人としてときおり家に尋ねてくる密偵がもたらす断片的な情報からも明らかであった。
「そらよ。赤毛の嬢ちゃんからの定期連絡だ」
 イェスタフがエミリアからの手紙を手渡してくれる。
「ありがとうございます。……ナミ、ハル。食後のお茶をお出ししなさい」
「はーい、おとうさん」
 家族との時間を何よりも大事に思う彼は、復讐などは愚かなことと考えているのだった。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

スパイディ
 妻を取り戻し、すっぱりと冒険から足を洗い、家族で平和に暮らしている。
 しかし教団の影をまた感じる事が多くなり、遠くの自身の故郷に移り住むことも考えている。
 果たして彼らに安住の地は見つかるのであろうか。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

「またこの塔を登るのか」
 万太郎とヴェルサリウス27世は、かつて冒険を繰り広げた古代帝国ティグリアの塔を見上げていた。
 あれから数年。ようやくドワーフの職人たちによって、第五階層へ向かう崩れた大階段の修復が終わったという報告が入ったのだ。
「万太郎隊長。準備は整ってますよ」
 塔の入口から姿を表したドワーフの青年は、数年で随分精悍な風貌になった様子だ。
「兄さん、忘れ物よ」
 ヤスヒロンの後ろから、幼さの残るエルフの娘がそっと声をかけた。
「お、おう。すまん、ディニエル」
 その様子を見守りながら、万太郎は顔をほころばせた。
「それじゃあ会えたんだな、ヤスヒロン」
 足早に二人に近づくと、万太郎はヤスヒロンの肩を叩いた。彼は照れたように頬を緩ませ、生き別れていた義理の妹を紹介した。
 と、そこに咳払いの音が聞こえた。
「私に声をかけないとは水くさいではないかね、万太郎くん」
 聞き覚えのある声を耳にして振り返ると、いつの間にかヴェルサリウスの横に二人の男女が控えていた。
「カンダック師、クリスティも」
「ヴェルサリウスくんが呼んでくれなければ、せっかくの上階を見損ねるところだったよ」
「あーあ。ウチは正直、もう怖い目には会いとうないんやけどなぁ」
 どうやらヴェルサリウスが探索の仲間として雇ってくれたらしい。当の本人は淡々と荷物をまとめると、ひょいと立ち上がった。
「さて、行くゾ」
《はい、我があるじ》
 そして彼らの後ろには二体のドールが付き従っている。
「我々はようやく登り始めたばかりだからナ。このはてしなく遠い塔の階段を……」

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
無敵の万太郎(岡和田晃)
 ドラゴン大陸の各地で冒険を続けながら、古代帝国の塔への挑戦を続けている。
 いつしか転移装置や時間操作、転生魔法などの強大な力を得て、生涯を賭してこの塔に関わり続けることを誓ったとされる。
 彼の挑戦がその後どうなったか、知るものはいない。

ヴェルサリウス27世(ヴェルサリウス27世)
 ドワーフ職人の一団により階段が修復された後、ハンター・ドールと雇い人のカンダック、クリスティを連れて再び塔に戻ったとされる。
 その後、幾度となく探索に向かう彼の姿が目撃されるが、晩年にはその消息はようとして知られぬままであったという。

ヤスヒロン(Miriam@orc_lord)
 旅路の果てに生き別れの義妹ディニエルと再開する。
 やがて冒険で貯めた資金を元手に、探索に挑む探検家向けの店をカザン市で開き、腰を落ち着けたらしい。新米に厳しい頑固親父として引退後も後進の指導に当たっている。
 冒険家仲間の居場所として、元レックス砦の戦士たちもよく訪れるようだ。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 伝書鳩が旧友の消息を知らせる手紙を私の部屋に届けてくれる。
 私はかつての仲間たちの事に思いを馳せた。
 最近ではすっかり返事がなくなってしまった連中だが、どこでどうしているのだろうか……。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
《冬の嶺の炎》バラク=ヘルムハート
 流行り病の後遺症でしばらく静養していたが、また戦いを求めてどこかへ姿を消した。
 つい先日カザンの闘技場で異例の10人抜きをした赤毛の戦士のサーガを吟遊詩人が歌っているのを耳にしたが、それが彼のことかはわからずじまいだった。

シャオリン
 思うところがあったのかソナン・イエに帰ったようだ。
 木製人形の「睡蓮」が、レックス砦の跡地に残されていたらしい。

ゲディス
 ガガック兵長の元で、傭兵として力を奮っている。
 最近では後輩たちが増え、頼もしい先輩として雄叫びを上げているらしい。 

イールギット
 祖父母と両親を食わせるため、ガガック兵長の元で傭兵として出稼ぎを続ける。
 一攫千金が成った暁には除隊したいと思いつつ、機会を伺っている。

アクロス
 スラムグリオン魔法学校で司書として働き始める。
 カンダック師から無理難題を言い付かっては苦労を重ねているようだ。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

 木漏れ日が差し込む森の広場で、赤毛の娘は手に持ったシャベルを使って懸命に穴を掘り続けていた。
「そもそも、知り合いじゃないし……」
 エミリアは少し息を切らしながら喘ぐように口にする。
「それに、私を殺そうとした相手を弔う義理なんて、本当はないんだけどさ……」
 やがて穴を掘り終えた彼女はシャベルを脇に置くと、額の汗を拭い、軽く息をついた。
「レックス砦を後にした時、たぶん私は戦いの中で死ぬんだろうなと思ってた。実際にそうなったとしても、そんなに悔いはなかったんじゃないかな。最初からその覚悟はできていたから」
 誰に言うともなしにそこまで呟くと、彼女はまるで興味がないかのように小首を傾げながら少しの間だけ自分の髪をいじり、それから再び墓穴の方を見て言葉を続ける。
「でもあんたの《死の九番》の魔法を喰らった時、ほんの一瞬だけど、自分の全てが消えて無くなるような感じがして凄く怖かった。私がこの世界にいたって痕跡は、砦の中に残してきたはずなのに、それなのに怖くて仕方がなかった。あの戦いで、皆の中で本当に死にかけたのは私一人だけだったから、ちょっぴりだけ分かるんだ。自分自身がいなくなってしまう事が怖かった、あんたの気持ちがさ」
 森は陽の光に照らされ、静寂を守っている。
 エミリアは再び髪をいじると、ふぅと息をついた。そしてバックパックの中から真紅のローブの残骸と一冊の書物を取り出すとボロボロの布地で丁寧に包み込んでから、それを静かに穴の底に置く。
「この世に一冊だけの、替えがきかない私だけの宝物だ。栞を挟んだ所から、私の子供の頃の夢とか、結構時間かけて書いた詩とか、お菓子の作り方とか、他人が見たらつまらない事がいろいろ書いてある。それを読んだら、あんたも一つぐらいはやってみたい事が見つかるんじゃないかと思ったんだ。他人に迷惑かけたりしない自分なりの人生の楽しみ方がさ。ただ誰にも見せたりはするんじゃないぞ」
 そこで一旦言葉を切ると、エミリアは左手の指にはめた煌く指輪を外し、それから穴の中に片手を伸ばして、折り畳んだ包みの中に指輪を無理矢理ねじ込んだ。
「この指輪は返しておくよ」
 エミリアは側に置いたシャベルを手に取ると、自分が掘った穴を埋め直す作業を始める。
 やがて遺品の埋葬を済ませると、墓標代わりに近くに転がっていた大きな石を置き、その表面に習い立てのエルフのルーン文字を刻む。エミリア自身は『私はあなたの事を決して忘れたりはしない』と書いたつもりだったが、その文法はことごとく間違っており、実際には『覚えた、そっちは私』としか読みようがない稚拙な一節だった。
 しかし、たとえ意味がつながらない言葉でも、自分が何をしようとしたのか、その誠意ぐらいは相手に伝わるだろうと彼女は思った。
 次に持ってきた小袋から花の種を取り出し、それを墓標の手前に埋めると、水筒に入れた水を半分だけ地面に撒く。
「こんな辺鄙な所まで、定期的に墓参りに来れるほど私は暇じゃないからな。上手い具合に花が咲いたら、自分で管理しろよ。それから弔ってやったんだから、私の夢の中に出てきたりはするな。……それじゃあな」
 立ち上がったエミリアは、片手を上げて別れの言葉を述べると森の空き地を後にした。
 彼女がその場所を振り返る事はなかった。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
エミリア
 屍者の帝国との戦いが終結した後、その功績にふさわしい報酬を手にして新たな人生を送るかと思いきや、今でもカザン帝国辺境開拓軍に身を置いている。
 正式に斥候の訓練を受けた彼女は、任務に赴いた仲間たちが無事に帰還を果たせるように、敵地の偵察や潜入などといった過酷な役目を進んで引き受けているようだ。

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

カザン暦1200年ストームライトの月22日
カザン帝国辺境開拓軍
レックス砦所属傭兵
エミリア・イアハートここに記す


 本を閉じた。

 ここは当時、レックス砦と言われていた遺跡の近くの森の広場である。
 数百年が過ぎた今となってはそこに砦があった事など誰も信じぬような、穏やかな色とりどりの花が咲き乱れる場所になっていた。
 魔術師風のローブの男は小さな紅い実をつける背の高い巨木のうろから見出した、古びた書物の閉じた表紙を改めて眺めた。
 そこには『カザン帝国辺境開拓記 第一部』と飾り文字で記されていた。
「さて、この旅もようやく終わる……」
 森を見回しながら一息をついた。野鳥が数羽、紅い実をついばみに枝に止まる。
 静かな光景を眺めるともなく目をやっていた男の脳裏に、不意に衝撃が走った。
「いや待て……第一部?……第一部だと。つまり……」
 彼は苦虫を噛み潰したような顔を取らざるを得なかった。
 それはつまり、第二部以降も存在する可能性があるという事。
「ええい、忌々しい。……ダルゴン師にご報告せねば。ダルゴンの大図書館には完璧な蔵書が必要なのだ」
 男は苛立ちを隠せず、書物を背嚢に放り込むと荒々しく立ち上がった。
 せっかく自由の身を取り戻したというのに、もう愚か者呼ばわりは御免こうむる。小さく舌打ちをすると彼は足を踏み出した。

 そうして、私の探索の旅は再びはじまったのである。


『カザン帝国辺境開拓記』第一部
〜完〜



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