第5回【エメラルド海の探索】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフ「エメラルド海の探索」の冒険譚です。 今回の主人公たちは、元剣闘士で熟練の傭兵ヴァルグと、彼と行動をともにする、左腕に「獣の腕」を宿す少年ハルト。 貿易都市ビストフの領主マキシミリアンから受けた依頼はクラーケンの討伐。 海域を封鎖する海賊を退治した後は、クラーケンの居所を探る遠見師エラ・シエロの捜索。 その最中、嵐を抜けた海に突如現れた幻狼の島。 海神の導きを感じ上陸した面々ですが、玄室から出現した魔狼たちに取り囲まれてしまうのでした。 【ヴァルグ レベル19 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【ハルト レベル9 技量点1 生命点7 筋力点4 従者点8】獣使い 「クラーケンぶっ殺し」号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 ●アタック02-4 魔狼との死闘【ハルト】 玄室からのっそりと出てきた巨大な狼。師匠が言うには「悪魔」の類だという。 その狼が呼び寄せ、森から飛び出してきた三匹の黒狼。 オレたちは完全に取り囲まれてしまった。 船長やコビットたちを守って戦わなければならない。 「ヒース、いけるか?」 「ギャウゥ」 嵐を抜けてから、ヒースの体調が良くない。船酔いなんだと思う。 それでもヒースは火を吐こうとした。しかし、うまくはいかなかった。 「ありがとう。ヒースはみんなを守ってくれ。オレと師匠であいつをやっつける」 師匠はというと、肩をこきこきと鳴らし、二刀流で高揚している。 「動きが軽いってのはいいねェ。遠慮なくやらせてもらう……ぜッ!」 そして周囲の黒狼を無視して、いきなり魔狼へとしかけた。 しかしそれは、黒狼が妨害し、阻まれてしまった。 「邪魔すんなボケェ!」 オレは黒狼の一匹を相手取る。動きの素早い獣に、オレの武器は相性が悪い。 襲いくる黒い狼に、オレの黒い腕から繰り出される巨大な槌。 黒狼がまっすぐ飛び込んできたおかげで、オレの横殴りの一撃が一匹を吹き飛ばした。 しかし、残る一匹がコビットたちの方へと向かってしまう。 「船長!」 オレは船長の技量に期待する。 しかしその前に立ち上がったのは、ヒースだった。 ヒースはコビットたちに向かった黒狼に、横合いから体当たりをしかけ、かみついた。 火を出せないなら牙をむく、と言わんばかりに。 「ヒース、無理はしないで」 「ギャウ!」 そのとき、魔狼が動いた。 巨体とは思えないすばやさで師匠を襲う。師匠が回避すると、次はオレへと突進してきた。 けれどもオレの目線は、残り一匹の黒狼が、ヒースに向かうのを捉えていた。ヒースは目の前の黒狼を倒すのに夢中で気づいていない。 いけない! オレはとっさに走り込み、ヒースと黒狼の間に割って入った。 槌でけん制し、黒狼の攻撃を防ぐ。そこへ魔狼がオレに飛びかかる。 オレは押し倒され、魔狼の牙を「獣の腕」で受けた。 「ぐうっ」 鋭い痛みが走る。同時に血がたぎり、目の前の獣を倒せと心の中でなにかが叫ぶ。 「俺を無視すんじゃねェッ!」 師匠が、残り一匹の黒狼をあっさりと蹴散らし、さらに聖剣で魔狼に斬りつけた。 それは魔狼に確実なダメージを与え、オレの腕は自由になった。 呼び寄せた黒狼をすべて倒され、傷を負ったことで、オレたちが油断ならない相手と悟ったのだろう。 魔狼は距離を取り、オレたちを威嚇する。 「そっちから来ねェなら、こっちから行くまでだ」 師匠が魔狼を追う。オレは師匠について動く。 魔狼が大きく跳躍した。師匠は軽いステップでそれをかわすと、魔狼に斬りつけ、ダメージを重ねてゆく。 魔狼は標的を変えた。 まっすぐオレに向かってくる。さっき傷を負わせたオレの方が、与しやすいと思われているんだ。 悔しいけど、そのとおりだ。 魔狼に巨体で押さえつけてくる。オレはまた地面に倒されてしまう。 防戦一方だ。 そこにヒースが魔狼の横腹にかみついた。 ヒース、オレを助けようとして必死になってくれてる。 しかし魔狼が身体をふるわせると、ヒースははじき飛ばされてしまった。 魔狼がオレに牙をむく。 オレは身を護るために腕を突き出す。 それは右腕。普通の腕の方だ。 魔狼は突き出された右腕に、鋭い牙をつき立てた。 激しい痛みが走る。しかしそんなことではオレの血のたぎりは抑えられない。 これでいい。魔狼の動きは止まった。 「ウオオォォォ!!」 心の叫びを声にして、オレは獣の腕で、渾身の力を込めて、魔狼の顔面を殴り飛ばした。 魔狼は情けない叫び声を上げ、バウンドしながら地面をゴロゴロと転がり、ぐったりと横たわると動かなくなった。 「ハルトにおいしいトコ、取られちまったな」 師匠は倒れた魔狼を確認すると、トドメを刺した。 [プレイログ] 【66 玄室の魔狼】 【玄室の魔狼 レベル5 生命点4 攻撃回数2】 【黒狼 出現数3 レベル5】 【0ラウンド】 ヒースの攻撃 サイコロの出目1 ファンブルで失敗 【1ラウンド】 ヴァルグの攻撃 サイコロの出目1 ファンブルで失敗 ハルトの攻撃 サイコロの出目3+修正2 黒狼3匹→2匹 ヒースの攻撃 サイコロの出目5 黒狼2匹→1匹 魔狼の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目2+修正3=5 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目3+修正1=4 命中 ハルトの生命点7→6 黒狼の攻撃 ・ヒースの回避 サイコロの出目3 命中 ここでハルトが【騎馬防御】を発動。筋力ロールに成功すれば、騎獣へのダメージを無効化できる サイコロの出目2+修正4 防ぎきった ハルトの筋力点4→3 【2ラウンド】 ヒースの攻撃 サイコロの出目4 外れ ハルトの攻撃 サイコロの出目2+修正1=3 外れ ヴァルグの攻撃 サイコロの出目6 黒狼1匹→0匹 追加攻撃 サイコロの出目6 魔狼の生命点4→3 追加攻撃 サイコロの出目1 ファンブル 魔狼の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目4+修正3=7 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目6 クリティカルで回避 【3ラウンド】 ヴァルグの攻撃 サイコロの出目5 魔狼の生命点3→2 ハルトの攻撃 サイコロの出目3+修正1=4 外れ ヒースの攻撃 サイコロの出目5 魔狼の生命点2→1 魔狼の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目5 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目3+修正1 命中 ハルトの生命点6→5 【4ラウンド】 ・ハルトの攻撃 サイコロの出目5 命中 魔狼の生命点1→0 勝利 ●アタック02-5 さまよえる幽霊船【ポール】 「皆、喜べ! ばく大な財宝を発見した。これは海神の導きである!」 船長が高らかに宣言する。探索隊は、大量の財宝を手に戻ってきた。 留守を守る船員たちは大いに盛り上がり、各々のポーズで海神に祈りを捧げる。 玄室を守る狼の姿をした悪魔を退治したという。 今回も、ヴァルグもハルトも大活躍だったらしい。なぜだか私も誇らしい気分になる。 ハルトは右腕に包帯をしていた。無傷というわけにはいかなかったようだ。 それでも、嵐の海を抜けてのこの成果は、海神ホリィドゥーン様の導きによるものだと確信できた。 船員たちに囲まれ、褒めたたえられるヴァルグとハルト。 普段と変わらぬヴァルグに比べ、少年らしい照れくさそうな表情を浮かべるハルトが印象的だった。 ハルトの代わりにヒースが喜色をたたえ「ギャウ」と鳴いた。 まだマントはしているものの、もうフードで顔を隠してはいない。 無口な印象だった少年は船員たちに受け入れられ、少しずつ変わっていた。 予期せぬ財宝を手に入れた私たちは、遠見師エラ・シエロ探しの船旅を再開する。 数日後、見張りが海原を漂う一隻の船を発見した。ボロボロに朽ちた帆船だ。 かなり古びており、見たところ乗組員が操船しているようには見えない。ただただ漂っている。 「生存者がいないことを慎重に確認しろ。遺体は海葬だ。船は……状態を見て判断する。曳航に耐えられるなら引き取る。貴重だからな」 ハーツデイル船長は甲板に立ち、双眼鏡を目に当てながら淡々と指示を出している。 それから、横に立つハルトの方をちらりと見た。 「しかし今回のように、目的があって船の回収ができないときや、港から遠すぎて曳航できないときは、船ごと海に沈めるのがならわしだ。なぜだかわかるか?」 ハルトは首をひねり、眉を寄せた。 「さっぱりわかりません。船ごと沈めるなんてもったなくないですか。砲弾だって貴重なのに」 「怨念を残した船を放置すればやがて幽霊船となり、海をさまよって他の船を引き寄せ、沈めていく。だからこそ、幽霊船になる前に海に還してやるのだ」 そのとき、ハルトに並んで船を眺めていた、ヴァルグの鋭い観察眼が違和感を感じ取った。 「あの船の砲門、動いてねェか?」 「なんだと!?」 船長が双眼鏡を構え直す。船長の表情に緊張が走る。 「調査は中止だ。戦闘配置! 奴はもう『幽霊船』だ! 面舵いっぱい!」 私とニーナは慌てて左舷の砲座にとりつく。 「ハルトちゃん、しっかりつかまりな。海に投げ出されないように」 白奴に言われたハルトは体を低くし、ヒースをしっかりと抱き寄せた。 船は右に大きく旋回をはじめ、ゆるやかなカーブを描きながら幽霊船に接近していく。 それとともに、徐々に左舷が幽霊船を正面に捉えてゆく。 幽霊船の砲門が視界に入った。それはぐねぐねと異様な動きをしていた。 明らかに人の手によるものではない。まるでそれ自体が得体の知れない生き物のような動きだった。 「わああっ!」 恐慌をきたしながら砲撃する。 そんな状態での砲撃だったが、十分な距離と角度を得ていたため、それでも幽霊船の船体に着弾した。 その時、私は見た。幽霊船に、無数の黒いもやのような人影が乗っているのを。 それらは、無言で私を見つめていた。まがまがしい呪詛の声が聞こえてくる。 ドウン! 大きな音がして、幽霊船の船体が大きく揺れた。ニーナの砲撃だ。 「飲み込まれてはダメ。自分を取り戻して!」 ニーナの叫びに、はっと我に返る。 そこに反撃がきた。幽霊船の砲撃はしかし本船には当たらず、近くの海に水柱を上げるのみ。 命中精度はかなり低い。 「取り舵だ! 左舷を敵船に向けたまま周回するぞ」 ハーツデイル船長が的確な指示を下す。動きのない幽霊船に対して有効な戦術だ。 私は幽霊船の怨念におそれおののいていたが、現実的な砲撃の応酬に、徐々に自分を取り戻していた。 敵船の操船技術は低い。砲撃もつたない。これなら……! 私とニーナの砲撃は次々と幽霊船の船体を傷つけてゆく。 いける。このまま押しきれば……! 幽霊船からの砲撃は、次第にその精度を増してきた。 そして黒い霧をまとった砲弾が、うなりを上げて飛んできた。 「ッ!」 左舷の砲座近くに仁王立ちしていたヴァルグが、動いた。 彼はあろうことか、甲板に深く踏ん張り、両手の剣を交差させて砲弾を正面から受け止めたのだ。 ガァァンッ!! 耳をつんざく金属音とともに、砲弾が空中で弾き飛ばされた。 信じられない光景だった。 人間の力で砲弾を弾くなど、ありえない。 「ぼさっとすんな! さっさと沈めちまえ!!」 私はその声に背中を押され、夢中で砲撃を続けた。 やがて幽霊船の船体が大きく傾いた。砲弾が二発飛んでくる。最後のあがきだ。 しかしまずいぞ。これはどちらも着弾コースだ。 「チィッ!」 ヴァルグがふたたび動き、腕の筋肉をパンパンに膨らませ、また一発の砲弾を力任せにはじいた。 しかしもう一発を同時に防ぐことはできない。 「着弾するぞ。衝撃に備えろ!」 船長の号令。 そこに小さな影が走り込んできた。 ハルトだ。 そしてハルトは驚くべきことに、着弾寸前の砲弾を、獣の腕で力任せに殴り飛ばした。 弾かれた砲弾は、黒い霧をまき散らしながらコースを外れ、海へと落下していった。 砲弾を素手で殴りつけるとは! まったく、なんて師弟だ。 その頃には幽霊船の船体はほぼ横倒しになり、砲門をこちらに向けられない状態になっていた。 私はダメ押しの砲撃を加えた。 「もう良い。撃ち方やめ」 船長が号令を下す。 私が目にしたのは、浮力を失った幽霊船が、黒い霧ごと溶けてゆくように、ゆるやかに海中へと没してゆく光景だった。 オオォ……オオォオォ…… 生きとし生けるものに呪いを振りまく呪怨の声も、徐々に薄れ、消えていった。 [プレイログ] 【66 玄室の魔狼】 宝物判定2回 サイコロの出目5 1d6×1d6のアクセサリー サイコロの出目2と6 金貨12枚の価値のアクセサリー(狼の刻印の腕輪) サイコロの出目4 1d6×5の宝石 サイコロの出目5 金貨30枚の価値の宝石(エメラルド) 手がかりを用いて財宝を発見する。 精巧な彫刻が施されたアクセサリー(金貨120枚) ハチミツの塊を消費し、ハルトの生命点1点回復(5点→6点) 【中間イベント 幽霊船の襲撃】 【幽霊船 レベル4 生命点7 攻撃数2 ダメージ2 防御点1】巨大なクリーチャー 器用ロール目標値5。 ヴァルグ サイコロの出目3+技量点2=5 成功 ヴァルグが幽霊船を発見。先攻する。 ※この処理は間違い。先攻の判定ができるのは本来、〈物見〉を連れている時だけ。 後に気づいたのでそのままとし、ヴァルグが鋭い観察眼で発見した描写に繋がった。 【0ラウンド】 ポールの砲撃 サイコロの出目3+技量点1 命中 幽霊船の生命点7→6 ニーナの砲撃 サイコロの出目3+技量点1 命中 幽霊船の生命点6→5 幽霊船の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目6 回避 【十字剣】発動。次ラウンドの幽霊船のレベル4→3 ・ハルトの回避 サイコロの出目5 回避 【1ラウンド】 幽霊船のレベルが4→3に ポールの砲撃 サイコロの出目4 命中 幽霊船の生命点5→4 ニーナの砲撃 サイコロの出目3+技量点1 命中 幽霊船の生命点4→3 幽霊船の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目2+修正2 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目2+修正1 回避 【2ラウンド】 幽霊船のレベルが3→4に ポールの砲撃 サイコロの出目2+技量点1 外れ ニーナの砲撃 サイコロの出目4 命中 幽霊船の生命点3→2 幽霊船の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目6 回避 【十字剣】発動。次ラウンドの幽霊船のレベル4→3 ・ハルトの回避 サイコロの出目4 回避 【3ラウンド】 幽霊船のレベルが4→3に ポールの砲撃 サイコロの出目5 命中 幽霊船の生命点2→1 ニーナの砲撃 サイコロの出目1 外れ 幽霊船の攻撃 ・ヴァルグの回避 サイコロの出目2+修正2 回避 ・ハルトの回避 サイコロの出目3 回避 【4ラウンド】 幽霊船のレベルが3→4に ポールの砲撃 サイコロの出目5 幽霊船の生命点1→0 勝利 宝物判定 サイコロの出目1+修正1 金貨1d6枚 サイコロの出目1 金貨1枚入手 ●アタック02-6 遠見師の島【ハルト】 幽霊船が消えると、霧が晴れたかのように、さあっと視界が明るくなった。 深みをたたえたディープブルーから、エメラルドのような鮮やかな緑がかった輝きへ。 その海の色を反射して、空気の色まで明るくなったみたい。 「皆、ご苦労だった。おかげでエメラルド海に入ることができたぞ」 船長が、ここまでの旅路をねぎらうように言った。 「南方から流れてくる暖流。それがエメラルド海のトロピカルな色あいを作り出してんだ」 いつの間にかオレの隣に来ていた白奴が、説明してくれた。 パシャン、と水音がした。船が水を切る音とは違う。 船と並走するように、跳ねながら泳ぐ生き物が目に入った。 「おやイルカじゃないか。しかも白いとは珍しい」 「ピュイ! キューイ!」 イルカというらしいその生き物は、高音で歌うような鳴き声を奏でた。 そしてやがて、船を追い越し、先導するかのように進み始めたんだ。 「この動きは……船長」 「ああ。イルカは賢い生き物だ。ホリィドゥーン様の加護を受け、我々を案内してくれているのかもしれん」 「では」 「ああ。あの白きイルカの導きに従ってみよう」 クラーケンぶっ殺し号は、イルカを追うように進む。 途中で一見何もないように見える海域を迂回するように航路を変える。 その頃にはオレも、イルカが船を導いているように感じ始めていた。 やがて島影が見えてきた。 白イルカは「キューイーー」と鳴きながら、胸のあたりにあるひれをぶんぶんと動かした。 それはまるで、手を振って別れを告げているようだった。 そしてざぶん、と海に潜ると、その姿は見えなくなった。 「おお。あれは。あれこそが『遠見師』の住む島に違いない」 島の形が鮮明になってくると、船長はそう宣言した。 中央にこんもりとした森のある小さな島だ。 森の入口付近に粗末な造りの小屋があるのが船からも見えた。 「上陸するぞ。『遠見師』を丁重に迎え入れねばな」 ハーツデイル船長自らが赴くという。 下船するのは、船長、師匠、そしてオレの3人だ。 「なんでェ。俺じゃ信用ならないってのかよ」 師匠が詰め寄るように言うと、船長はため息まじりに言った。 「むしろ、君だから信用がならないんだがな。礼儀作法など最も遠いところにいる男だろう、君は」 そう言われては、師匠は何も言い返せない。 正直、それにはオレも内心、激しく同意してしまった。 小舟を降ろし、上陸する。 オレと師匠がまっすぐ小屋を目指そうとすると、船長が制止をかけた。 「待て。止まれ」 「どうした。小屋に行くんじゃないのか?」 「この砂浜は、迂回して進む」 「なぜだ?」 船長と師匠のやりとり。 「この砂浜は……危険かもしれない」 「ただの砂浜だろ?」 「だといいんだが……確かめてみよう」 船長は、付近にいた手のひらサイズのカニを素早くつかむと、砂浜の方に放り投げた。 ぽてっと砂に落ちたカニは、すぐに体を反転させて起き上がる。 「だからなんだ。なんもねェじゃねえか」 師匠が言った瞬間、ざばっと盛り上がった砂が腕のように勢いよく伸び、一瞬でカニを飲み込んでしまった。 「やはりか。砂アメーバ。砂浜に擬態したクリーチャーだ。人くらい簡単に飲み込んでしまう」 オレは思いもよらない砂の動きに息を呑んだ。 砂に紛れた怪物? 「なんでわかったんですか?」 「勘だ。あとは経験か」 砂アメーバの擬態は完璧で、動きを止めていたらまず発見できないという。 動いていてさえ、風もないのに砂がちらつく程度の違和感でしかわからないらしい。 オレたちは砂浜を迂回し、ゴツゴツした岩場の方から内陸へ歩みを進めた。 「『遠見師』エラ・シエロってどんな人なんですか? どうしてこんなところに住んでるんです?」 「当然の疑問だなハルト君。彼女は、世間との繋がりを絶って隠棲していると言われている。その理由まではわからないがね」 「船長はどうして場所を知って……」 「会った者、助力を得た者はいる。そこからもたらされた情報だ」 あと少しで小屋というところで、ゴゴゴゴ、と山鳴りのような音が響いた。 オレは足を止め、視界を上げる。 それは信じられない光景。 森が、動いた? オレの視界の先、小屋の向こうの森が、動いていた。 いや、違う。森が動いてるんじゃない。 バキバキ、メキメキ、と木々が折れる音。 そうして、木々をかき分けるようにして、巨大な殻を背負った生き物が姿を現したんだ。 背中の殻には苔、それどころか小さな木々までが生え、まるで小さな森を背負っているよう。 「なんて巨大なヤドカリだ。まるで要塞だな」 船長に「要塞」と名づけられたヤドカリの太い脚が地面をえぐり、木々を押し倒し、こちらに向かってくるのだった。 次回、要塞ヤドカリの脅威! [プレイログ] 【21 イルカ】 ・反応表 サイコロの出目3 友好的 →今後の道案内の演出にしました 【43 幽霊船】 ・判定ロール 目標値4 で回避可能。 ヴァルグ サイコロの出目1 失敗 ハルト サイコロの出目4 回避に成功 →幽霊船イベントは中間イベントとかぶるので、イルカの演出で迂回させて登場させず。 【63 砂アメーバ】 【砂アメーバ レベル4 生命点8 攻撃回数3】 ・反応表 1 無視 【ヴァルグ レベル19 技量点2 生命点9 筋力点4 従者点9】剣闘士(元) 【装備】 片手剣(高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 聖剣(片手武器) 【アンデッド】【悪魔】に攻撃ロールプラス1 魔法の鎖鎧(生命点+2 防御ロール+1) 【食料】2 【金貨】20 【持ち物】 ランタン 魔法の大盾(従者の飛び道具防御+1) ハチミツの塊1(生命点+1) 魔法のつるはし 2回分 精巧なアクセサリー(金貨120枚) 【格闘術】【十字剣】【不屈の一撃】【神眼】 【未使用経験点】1 【従者】 ポール(砲兵) ニーナ(砲兵) 【ハルト レベル9 技量点1 生命点7→5→6/7 筋力点4→3/4 従者点8】獣使い 【装備】 槌(打撃/高品質) 初撃のみ攻撃ロールにプラス1 革鎧(生命+2 器用ロール+1) 【食料】2 【金貨】44→45 【持ち物】 ランタン 蟹座の彫刻(金貨300枚、持ち物欄2消費) ボロボロのペンダント(金貨1枚) →売却 浮力の胴着(水中ペナルティを無視。泳ぎの判定+2) 狼の刻印の腕輪(金貨12枚) エメラルド(金貨30枚) 【獣血】【凶暴化】【騎馬防御】 【未使用経験点】0 【従者】 ヒース(火吹き獣/技1)炎耐性 ・0ラウンド攻撃からすみやかに1ラウンド攻撃が可能 ・特定のクリーチャーに2点ダメージ ●船 クラーケンぶっ殺し号 技量点1 生命点9 攻撃回数2 【砲撃】ダメージ2点 船の強化 【船体補強】生命点+2 【煙霧放出器】巨大クリーチャーからの防御ロール+1 3ラウンドまで ■登場人物 ヴァルグ 元剣闘士の傭兵。悪名は知れ渡っているが、危険な依頼は後を絶たない。 ハルト 自称ヴァルグの弟子の少年。左腕に「獣の腕」を持つ。 ヒース ハルトが連れている火吹き獣。火を吹く。騎乗生物のため乗ることも可能。 ポール クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。砲撃手になりたての青年船員。 ニーナ クラーケンぶっ殺し号の砲撃手。ポールとは知り合いの女性船員。 ヴィルヘルム・マクシミリアン ビストフを治める領主。ネグラレーナを統治するマクシミリアン家と名を連ねる者。 ハーツデイル クラーケンぶっ殺し号の船長にしてビストフの貴族。 エラ・シエロ 遠見師。クラーケンの居場所を探るのに必要な人材。 白奴 コビット乗組員たちをまとめるチーフ。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 著者:杉本=ヨハネ 監修:紫隠ねこ 発行所・発行元:FT書房 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 ローグライクハーフd66シナリオ「エメラルド海の探索」 https://ftbooks.booth.pm/items/4941872 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。