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児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.31
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〜前回までのあらすじ〜
《太古の森》で行なわれている、怪しい儀式の原因を突き止めれば、高額報酬が期待できる。そんな噂を安酒場で聞いた冒険家乙女のクワニャウマは、カリウキ氏族の戦士ゲルダとまじない師ヴィドと《太古の森》の探索を始めた。ついに怪しい儀式の原因は闇エルフ達であり、それに樹人の長老の弟が使われていることが判明。樹人の長老の依頼で、儀式によって衰弱している弟の安楽死を依頼されたクワニャウマ達は、数々の冒険の果てにようやく長老の弟の木を見つけ出し、依頼を決行。それと同時に、怪しい儀式で雷を食らわされそうになっていた耳の聞こえないエルフの少女を連れ出したため、闇エルフ達に追われて《太古の森》の中をさ迷うのであった。
前回は、闇エルフ族の衝撃の真実の発覚となりましたが、今回も驚愕の展開が待っております。いったい、この物語はいくつの秘密を隠し持っているのか、見落としている伏線がまだまだ潜んでいるのはないか……と、あれやこれやと妄想や考察がはかどるのも、魅力の一つです^^b
それから、リプレイしているうちに、無断で異界と交流がある世界に設定してしまいました。
公式のアランツァ世界と矛盾しているかもしれませんので、ここだけの設定ということで御容赦下さいませ(>_<)
ところで、今回から新たな従者が追加されます。
「従者キャラ作りに悪戦苦闘したのは、過去のこと。ウペペサンケを設定して学んだことは、すでにいるキャラクターと個性はかぶらせず、なおかつ主人公を目立たせるようにすればいいんだよね。それと、これからの冒険に必要そうな能力を持っているのも忘れちゃならぬ。もう恐れるにたらず。そう言えば、夕食時に見たDVD『名探偵ポワロ』は面白かったな。あれにブライト艦長の声優さんが出演していてびっくりした」
と、こうした思考がダイレクトに影響して誕生したのが、新・従者キャラです。今までにない個性として、「クワニャウマをツッコミにまわす天然」を付与したものの、まだキャラが薄いです。そこで、名前で個性を際立たせようと、ウペペサンケが山由来の名前だから、同じ法則で山由来の名前に設定しようと考えた際、「せっかくだから、ここは楽しもう!」と遊び心という名の欲もわいてしまいました。
ウペペサンケを考えるのにさんざん苦労した時から数日で、この適応力。
人生初めてのローグライクハーフでしたが、夢中になっている状態だと学習能力が上がるものだと思いました^^
最後になりますが、このたび、「小説すばる」6月号(5/16発売)にて、読み切り短編が掲載されることとなりました。
今回も日本の中世を舞台に、実在の人物を探偵役にした歴史本格ミステリです。羽生飛鳥名義の作品では、初の女性探偵役が登場します。
プレイキャラではシリアス度・低の女子キャラばかり作る私ですが、今回の読み切り短編ではシリアス度・高の女子が活躍しますので、興味がおありの方は御笑覧下さいませm(__)m
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
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ローグライクハーフ
『常闇の伴侶』リプレイその7
《3回目の冒険》
齊藤(羽生)飛鳥
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4:一角獣の癒やし
不意に辺りがしんと静まり返り、穏やかな空気が見渡す限りを包み込む。
驚き、わたしたちは走る速度を緩めた。
すると、闇夜を切り裂くように神々しい光を輝かせながら、ブナの木立の奥から気品溢れる聖なる獣が姿を現した。
額に螺旋状の角を持ち、純白の身体をゆっくりと揺らしながら、わたしたちに近づいてくる。
《長老の樹が請うたのはそなたらか》
一角獣はその角を優美にかざすと、わたしたちの身体を順に触れていく。
すると、瞬く間にこれまでの戦いの傷が癒えていった!
「ありがとう! お代はいくら? 」
《いらぬよ》
一角獣は一言告げ、やがて役目は終わったとばかりに一声いななくと、森の守護者たる聖なる獣は森の奥へ姿を消した。
「いくら金を積んでも、見殺しにされる時は見殺しにされるこの世の中で、ただで治療をしてくれるとは、さすが一角獣……」
「聖なる獣に対して、それしか言えんのか、クワニャウマ」
「クワニャウマ、ある意味わかりやすい」
感動するわたしの背後で、ゲルダとウペペサンケの話し声が聞こえたけど、一角獣への感動の方が大きかったので気にならなかった。
5:混沌のクモ
わたしたちは、再び森を脱出しにかかった。
そこへいきなり、混沌のクモが現れた!
その数、8匹!
何か最近やたらとクモづいているな。これで、金運も一緒について来てくれていれば、申し分ない。
「荒稼ぎするぞ!」
「もう本音を包み隠す気はなしか、クワニャウマ!」
「そんな心開かれても、迷惑」
わたしにあきれ返りながらも、ゲルダもウペペサンケも混沌のクモたちと戦い始める。
「混沌のクモには打撃が有効だが、誰一人としてその手の武器を持っている者がいないな」
「わたしたち全員斬撃だものね」
「それでも、ウペペサンケ、くじけない!」
混沌のクモたちは、地面にいくつもあけた穴を出入りして攻撃してくる。
それを切りつけるわたしたち。
「なるほど。ゲルダが言った通り、確かに打撃の方が有効だわ。特に、ピコピコハンマーが効きそう」
「異界人みたいなことを抜かす暇があったら、混沌のクモをしとめろ」
「まるで、ワニワニパニ……」
「クワニャウマ、それ以上言うの、ダメ!」
二人に釘を刺されながらも、わたしは何とか混沌のクモたちを倒し、金貨2枚を確保することに成功した。
6:中間イベント2≪3回目の冒険≫:『離別』
角笛の音とともに、怒声が森中に響き渡る。振り切れなかった追っ手がわたしたちに迫っているのだ。足音の数は先ほど撃退したものとは比べものにならない。
ゲルダが不意に足を止め、少し前に合流したヴィドが慌てて振り返る。
「私が食い止める」
沈痛な面持ちでゲルダは剣を片手に木立の向こうを睨みつけている。ヴィドはため息をついて首を振った。
「お前一人で食い止められると本当に思ってるなら、それこそ自信過剰ってもんだぜ、間抜け」
「……!」
「仕方ねえなぁ……」
ヴィドは舌打ちをしながら、ゲルダに並ぶとローブを脱ぎ捨てる。女子だらけのパーティーでためらいなく脱げるとは男……漢だな。そんなヴィドのむき出しになった痩せぎすの上半身には獅子の顔に人の身体を持つ獣神セリオンの刺青が深く彫りこまれている。
思った以上のもやしボディなんかがどうでもよくなる、気合いの入った刺青に思わず目を見はっていると、どこかから唸り声すら聞こえてきた気がした。いや実際に聞こえてくる……その刺青から。
「喰わせてやるよ。好きなだけな」
ヴィドが自分の右腕を差し出すと、刺青の獅子は不気味な笑みを浮かべると大口を開けて齧り付く。鮮血が飛び散り、ヴィドは苦痛に顔を顰める。
「だから嫌なんだ、これを使うのは……恨むぜ」
あきらめ顔のつぶやきとほぼ同時に、木立から闇エルフたちが飛び出してくるのが遠目に見えた。
両眼が爛々と異様な光を帯びると、全身を銀狼に変化させたヴィドが追っ手に向かって勢いよく飛びかかってゆく。
「さっさと行け! 生きてたら森の外れで落ち合おう」
ヴィドの咆哮に呼応して、ゲルダも駆け出した。
彼らの決意を無駄にするわけには行かない。わたしは少女の手を引いて、その場を後にした。
ウペペサンケは、ヴィドとゲルダに助太刀しようか逡巡した様子を見せたけれど、すぐにわたしと少女を追いかけてきた。
7:トレントの若木たち
「ヴィドとゲルダ、大丈夫?」
「あの二人なら、わたしたちという重い足枷がなくなったから、実力を思う存分ふるえるんで大丈夫でしょう。わたしたちが今できる、最もお得なコースは、二人との約束を守って森のはずれで落ち合うこと。それまで、こっちは絶対に生き延びること。わかった、ウペペサンケ?」
「……わかった」
頼りになるゲルダがいなくなったので、ウペペサンケは不安らしい。力ない声で返事をする。
彼女の立場からして、金に汚い大人といるより、ツッコミを一緒に言い合える気楽な大人がいてくれた方が安心なのは、よくわかる。わたしも、新人冒険家時代はそうだったから。
その時、鼻腔をくすぐるものがあった。闇夜に群生する白いアネモネが優しげな芳香を放っている。
わたしたちの前に、不意にナナカマドの若木が何本も並び立っているのが目に入る。
いや、違う! これは樹人だ。
《外なるものよ。長老の樹の命により、我ら助力しよう》
樹人の若木たちは梢を揺らして一礼する。
《なお、我らは無料だ》
樹人の長老、本当に冒険家への福利厚生が抜群だ!
あと五百年若かったら、うっかり恋に落ちているところだったぞ!
《誰を連れていく?》
《こいつは、太古の森一番の剣豪と評判になりたい奴だ》
《こいつは、太古の森主催の蛍飼育コンテストの大賞受賞者》
《こいつは、仲間内で太刀持ちチャレンジのチャンピオン記録保持者》
《ちなみに、俺は仲間内で一番モテるため、デート中に女子の荷物を持つうちに荷物持ちが上達したイケメン》
《太古の森》の樹人って、けっこう愉快な日常を送っているもんだなぁ……。
「今、真っ暗で辺りがよく見えなくて困っているから、明かりを提供できる蛍持ちくんに助力してもらうね」
《くっ……!! 選ばれたのは、異界から転生してきた勇者・鈴置洋孝似の声の持ち主である蛍持ちか!!》
《声に自信がある俺だが、鈴置ヴォイスは強すぎるぜ》
《俺、イケメンだから選ばれる自信あったんだけどなぁ》
《男は顔じゃない、声ってことか》
《みんな、あまり褒めてくれるな。照れるじゃないか》
「顔や声じゃなくて能力で選んだって前置きしているよね? 人の話をちゃんと聞かない大人になったら長老が泣いちゃうぞ、君たち?」
思いがけず十代半ばの男子のような会話をぶちかましてきた若い樹人たちに、そっとツッコミを入れてから、わたしは蛍持ちの樹人を従者に加えたのだった。
8:闇の領域
甘く温かな夜の闇に囚われ、私たちは道を見失ってしまった。
けれども、樹人の蛍持ちのおかげで、かろうじて歩くのに苦労はなかった。
「明るい。歩きやすい……!」
ウペペサンケは、樹人の蛍持ちのおかげですっかり明るくなった足元を見て、虚無顔の中にほのかに喜びを見せる。
「そう言えば、まだ名前を聞いてなかった。わたしは、クワニャウマ。あなたの名前は?」
《蛍が好きで、夜でも周囲が輝いているんで、仲間内ではブライトって愛称で呼ばれています》
「その声でその名前だと、各方面から抗議が来そうなんで、別の愛称はない?」
《うーん……本名のタウマタファカタンギハンガコアウアウオタマテアポカイフェヌアキタナタフから、略してタマテアとも呼ばれています》
「そっちのが断然イケているから、そっちで呼ばせて。ウペペサンケもいいよね?」
「うん。ウペペサンケも賛成」
《では、そういうことで。ところで、クワニャウマさん。そっち行くと大蜘蛛の巣があるんで気をつけて下さいね》
「ふぉおッ!」
わたしは慌てて立ち止まる。
目の前には、大蜘蛛の巣が静かに揺れていた。
あともう一歩遅れたら、危ないところだった……。
大蜘蛛の巣に絡め取られていたら、蜘蛛の餌食にされるところだった。
助かって、本当によかった。
わたしが無事で安心したのか、エルフの少女はほっとした笑みを見せる。客観的に見て、わたしは彼女を無理やり連れ去ってきた邪悪な誘拐犯なのに、この笑顔。天使か。
「ありがとう、タマテア。無料の従者なのに、観察力が高くて優秀で助かったわ。おかげで怪我をせずにすんだし、この子には心配かけずにすんで、二つもお得だったわ!」
素直にわたしがお礼を言うと、タマテアが少し困惑した様子で傍らにいたウペペサンケの方を見た。
「……ウペペサンケだったかな? 彼女、いつもああなのかい?」
「うん。クワニャウマ、あれが通常」
「森の外の人間には珍種が存在すると噂で聞いたことがあったけど、まさか一緒に冒険をすることになるとは。この冒険が終わったら、友人たちにいい土産話ができそうだ!」
「タマテア、前向きすぎ」
急にゲルダたちと別れたり、新しい従者が増えたりで、初めての冒険でウペペサンケの心に負担になっていないかと心配していたけど、彼女はすっかりタマテアと打ち解けていた。
何だか、今回の冒険の従者は当たりばかりでよかった!
9:魔獣グリフォン
ウペペサンケとタマテアがさっそく仲良くなってくれたこともあって、状況は好転の兆しが見えてきた。
このまま好転しまくって、全員無事に冒険を成し遂げたいものだ。
「大変! クワニャウマ、タマテア、あそこ……!」
さっきまでタマテアとおしゃべりしていたウペペサンケが、青ざめた顔で指を差す。
すかさずその方角へタマテアが蛍を向けると、そこには魔獣グリフォンがいた。
獅子の身体と鷲の顔と翼。最も強き獣と鳥の力を併せ持つ魔獣グリフォン。生きとし生ける全てを捕食する。
新人冒険家として故郷の村を旅立つ前夜、引退する冒険家からタダでもらった『すったもんだのモンスター図鑑』という本で勉強したから、ヴィドやゲルダに質問しなくても知っている。
そう言えば、あの本の作者の名前は、ヴィドがよく口にしている、あの……いや、それはいい。
最重要な情報は、グリフォンは巣穴に金銀財宝を溜め込むと言われていること!
ツキが帰ってきたか!
「あ、あんな化け物、勝てるわけがない……」
ウペペサンケが青ざめたまま後退る。
戦える従者が怖気づいていては、戦闘して噂の真相を確かめるべく宝をあさりに行くのは無理か。
下手に戦って従者死亡による金貨5枚の損失より、ここはワイロで切り抜ける方がお得と見た。
そう判断したところで、グリフォンと目が合った。
「散歩をしていて、小腹がすいてきたところだ。よく来たな。歓迎するぞ、おやつ諸君」
「それはどうも……あ、そうだ。ちょうど今、樹人の長老提供の食糧が2個あるんですよ。いかがです?」
わたしは、荷物の中から食糧を2個差し出す。
「じじい提供の食糧より、そっちのエルフの小娘の方がムッチムチでうまそうなんだが……」
「あちらは先約済みなんで。たとえあなたでも、こちとら商売柄、契約違反をするわけにはいかないんですよ。すみませんねぇ」
わたしは、旅の人買い商人のふりをして、グリフォンへ愛想よく応じる。
「それより、こちらの長老提供の食糧はいかがです? ジャムの詰まった瓶と木の実や果実などの森の幸たっぷり、牝馬にも人気の食材がふんだんに入っているんで、デートの時にもってこいですよ」
「べ、別に、牝馬なんて襲って孕ませればいいだけだし……デートとかしたいなんてちっとも思ってなんかないし……だが、貴様がそこまで言うなら受け取ってやらんでもないぞ!」
よかった……グリフォンを見た目で年齢判断できないけれど、どうやら多感なお年頃だったようだ。
何はともあれ、これで交渉成立!
わたしたちは、どうにかグリフォンから逃げることができた。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2024年末に5巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2024年6月に『歌人探偵定家』(東京創元社)を、同年11月29日に『賊徒、暁に千里を奔る』(KADOKAWA)を刊行。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd66シナリオ
『常闇の伴侶』
著 水波流
2024年7月7日FT新聞配信/2025年書籍版発売予定
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2025年4月24日木曜日
2025年4月23日水曜日
第8回【戦場の風】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4473
第8回【戦場の風】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【戦場の風】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
ぜろです。
ゲームブック「戦場の風」のプレイを続けています。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。主人公リオンは説得にあたります。
かなりいい展開かと思われましたが、最後の最後で王女の信を得ることができず、リオンの任務は失敗に終わったのでした。
●アタック06-1 ゴドフリーの旅路
5人目のリオンの挑戦は、失敗した。
しかしこれで、はっきりした。
道中で、「牛飼いジェイコブの家に立ち寄りもてなしを受ける」を選択するのは、誤りであったと。
これは、そのためのタイムロスが問題なのではない。
危急存亡の秋に、のんびりもてなしを受けようとする姿勢そのものが問題なのだと。
時間のない中とはいえ、友軍のテントで一泊するのは必要な行動である。それとは行動の意味がまったく違ってくるのだ。
それを、コーデリア王女の本質を見抜く目をもって、見透かされてしまったのだ。
牛飼いの笛なんていう、パラグラフジャンプをともなう、どう見ても必須アイテムを目の前にぶらさげられて、目がくらんだってのは、ある。
それでも、そこで戦うことになるドラッツェン兵2人が強敵すぎて、正しいルートとは思えないという疑問を抱いてはいたのだ。
6人目の挑戦者には、このあたりの行動に修正を加えよう。
たぶん、今までのような強い挑戦者でなくとも、かなり進めるはずだ。
では、6人目の挑戦者の登場だ。
名前はゴドフリー。
【ゴドフリー 技術点8 体力点18 運点7】
弱くてもいい、なんてことを言ったら、言霊になった。
技術点=よわよわ
体力点=そこそこ
運点=最弱最弱ゥ
このキャラクターでは、そもそも、牛飼いジェイコブさんちのお宅訪問なんてやってる場合じゃない。
では、挑戦のはじまりだ。
今回はもう、前半の道程はすべてスルーしてしまってもいいかな。
物語を進行していく。途中、牛飼いジェイコブを助けるために、ドラッツェン兵との戦闘がある。
その時のドラッツェン兵は、ジェイコブとのおいかけっこでへろへろになっているため、よわよわな俺でもノーダメージで倒すことができた。
あとは、ジェイコブの家に立ち寄らないこと以外、5人目のリオンのときと違いはない。
そうして俺は今、聖堂の地下室にて、コーデリア王女と面会している。
王からの伝令「撤退せよ。そんでもって帰れ」を伝えたところだ。
王女はでもでもだってを繰り返す。
そこをなんとか、と説き伏せるのが、俺の役目だ。
とにかく止まれ。話はそれからだ。
「なぜ止めるのですか? 戦うべきではない理由があるとでも?」
ああ。あるから止めてるんだよ。
ドラッツェン軍の狙いはこの土地と牛だ。
ウォードレイクの餌として牛を育て、さらなる軍拡を狙ってるんだよ。
そこに指揮官として王女がやってきた。ドラッツェンにしてみれば、今は「1粒で2度おいしい」状態なんだ。
わかるかなアーモンドグリコ。
「……ですが、それでも、私はここで、戦わなければならない理由があります」
それは現実が見えていないぜ王女様。
勝ち目のない戦いに挑むのは愚者のすること。生き残るから次がある。
指揮官の役目は、兵たちを死地に駆り立てることではない。
一兵でも多く、家族のもとに送り届けることではないのか。
「貴様! たかが伝令風情が王女になんという口の利き方を!」
悪いけど、あんたたちの相手をしている暇はないんでね。
王女が聞き入れないんなら、俺の役目はここまでだ。あとは好きにしなよ。
「待ってください」
王女が兵士たちを制した。
「その方の言葉、たしかに聞くべきところがあります。そなた、顔をよく見せてください。目を見ればわかります」
前回しくじったポイントだ。ここまで来た。
これまでの旅路を振り返り、キーアイテムを合計して王女のお眼鏡にかなうのかを判定する場面だ。
今回は、牛飼いジェイコブの家に立ち寄らなかった俺だ。
その行動がNGであったとするならば、ここは王女の信頼を勝ち取れるかもしれない。
「なるほど。あなたは陛下が見込んだだけのことはあるようですね」
お。コーデリア王女、少しは俺の話を聞く気になったみたいだ。
「ですが、軍が撤退できないのは、もはや私だけの問題ではありません。私たちは偉大な聖騎士ウォーレンを失っているのです。ここで戦場を捨ててしまっては、彼の死に報いることができません」
まだそんなこと言ってるのか王女さんよう。
俺の言うこと聞く気になったって言いながら、まったく聞く耳を持ってないじゃないか。
でも、ウォーレンのことが気になって撤退できないというのなら、ここは彼の出番だな。
ウォーレンの部下の生き残り、アンドロだ。
●アタック06-2 死せるウォーレンの説得
アンドロは所属を名乗り、王女の前に進み出た。
「そう。あなたはウォーレンのもとにいたのですね」
「はい。ウォーレン様のご遺志を伝えるため、ここまでついてきました」
「ウォーレンの、遺志……」
「ウォーレン様は、最後まで王女様と国のことを案じていました。あなたが正しい選択をしてくれるように、願っていたのです」
「正しい選択……とは?」
「この国の未来のためになることです」
この言葉は効果絶大だった。
なぜならば、今コーデリア王女がしようとしていることは、「未来のためになること」ではないからだ。
過去を見て、過去の過ちを認めたくないあまりに、同じ過ちを繰り返す。失われたものに固執するあまり、よりよい未来への道を拒んでしまう。
「ああ……。そう、なのですね。私は、進むべき道を、誤っていました。失われていった命のためにも、私や兵の命も投げ出さなければならないと……」
何度も言うが、兵を1人でも多く家族のもとに返すことも、指揮官の務めだ。
「私は、取り返しのつかない過ちを犯すところでした……」
そして、沈黙の中、王女の嗚咽がしばし、静かに響いた。
王女の心を最後にひと押ししたのは、生きている俺たちではなく、死してなお国を思う聖騎士の言葉であったか。
王女はこの戦の敗北を認め、撤退を決意した。
しかし、撤退にも問題があるという。それは、あのウォードレイクのことだ。
ウォードレイクは馬よりも速い。飛ぶこともできる。
どうにかしてウォードレイク騎竜兵を出し抜かなければ、逃走もままならないだろう、と。
それはそのとおりだ。
さりとて、どのような手段があるというのだろう。
まず考えられるのは、ウォードレイクそのものというよりも、それに乗る人間の方をどうにかすることだ。
いかなウォードレイクといえ、乗り手がいなくては機能はしないだろう。
あるいは、強烈な香辛料か何かで、ウォードレイクの目鼻口あたりに強烈な刺激を与えれば、騎手の言うことを聞いている場合じゃなくなるだろう。
手段がないわけではない。しかしそうした手段を使うためには、敵陣へ潜入しなければならない。
「私たちは敵のことを何も知りません。今からでも、ウォードレイクのことを調べることができないでしょうか」
なるほど。王女は的確に俺の考えを整理してくれるな。
それなら俺に心あたりがある。
あの人物の力を借りれば、ウォードレイクについて調べることができるのではないか。
さあ、その人物とは誰か。
選択肢が並ぶ。
・ジェイコブ
・ウォーレン
選択肢にはないが、たぶん司祭セロのパラグラフジャンプも選べるはずだ。
しかしここではパラグラフジャンプはしない。
なぜなら、俺が心あたりのある人物というのは、ほかならぬジェイコブだからだ。
牛飼いのジェイコブは、ウォードレイクの食用として牛を供出させられ、その食事風景を目の当たりにしている。
同じ生き物を飼育している身として、ウォードレイクのこともよく観察しているに違いない。
わかっていたけど好奇心に負けて、司祭セロの名前を出せるか、パラグラフジャンプを試してみてしまった。
そうしたら、たしかにパラグラフジャンプは機能しており、セロの名前を挙げることができた。
けれど、王女に「ナンセンス」と一刀両断に断られてしまった。
運点に1点のペナルティだ。
また選び直すこともできるようなので、このペナルティは甘んじて受けることにした。
それではジェイコブの名を出そう。
俺はジェイコブのことを王女に説明し、単独で彼に会いに行くことにした。
アンドロもここに残して行く。本来は負傷兵なのだ。よくここまでついてきてくれた。
さあ、ジェイコブに会いに行こう。
●アタック06-3 ゴドフリー、食される
すでにすっかり暗く、夜と言ってもいい頃合に、ようやくジェイコブの家に行くことができた。
俺はジェイコブに事情を説明した。
「なるほど。事情は分かりましただ」
ジェイコブは言った。
「そういうことなら良い手がありますだ。実はドラッツェン軍に、今夜も牛を1頭よこせと言われておりますだ」
俺が変装し、牛飼いのふりをすれば、簡単に敵陣に入り込めるだろう、と。
ジェイコブに頼ったのは間違いではなかった。
さらにここで、牛を呼び寄せる、牛飼いの笛をもらうことができた。
パラグラフジャンプが使える特殊なアイテムだ。
これは、以前この家に途中で立ち寄った時にもらえたことのあるアイテム。
途中で立ち寄ること自体が間違いルートであることはわかったけれど、パラグラフジャンプつきのアイテムが手に入らないのはおかしいと思っていた。
あの時にも、もしかして後になって入手できる機会があるのかも、と考察していたが、それがまさしく今この場だったというわけだ。
俺は牛飼いの格好に変装し、おとなしい雌牛を1頭連れて、ドラッツェン軍の陣地へと向かった。
ドラッツェンの陣地には、思いのほか簡単に入ることができた。
特に誰に怪しまれるという感じでもない。
やはり牛飼いの姿と、牛1頭連れている効果は大きい。
警戒しなければならないのは、幹部クラスに会ったときくらいだろう。
一兵士はそこまで深く考えたり注意を払ったりすることはない。
「そいつが今晩の怪物の餌か。ついてこい」
見張りの兵士の案内についていく。
やがてある建物の前についた。ウォードレイク舎だろう。
もとは牛舎だったものを改装したようだ。
改装といっても、入口を壊して強引に大きくしただけの、雑な改修だ。
「ほれ、ここだ。寝る前に食わさないと、吼えて催促すんだよ」
兵士は腰の袋を外すと、その中身の赤黒い液体を牛にかけた。
「これはほかの牛の血だ。怪物はこのニオイが好きでな。すぐに飛びつく。そうしたらさっさと離れるんだ。てめえも食われたくなけりゃな」
兵士がさっさと行けと促す。俺は牛を連れ、ウォードレイク舎に踏み込んだ。
中には、銀の鱗の怪物がいた。牛の足がすくむ。
しかし、牛が反転して逃げるよりも早く、その怪物ウォードレイクは飛び出してきて、牛の首筋に爪を立てた。
「よし。よくやった。今のうちだ。戻ってこい」
兵士の声が聞こえる。
しかしここには選択肢が出ている。今なら間近でウォードレイクを観察する好機だと。
・すぐに兵士のもとに戻る
・ウォードレイクの食事を観察する
俺はウォードレイクの弱点を調べるためにここに潜り込んだんだ。
ここで調べない手はないだろう。
俺はその場に留まり、ウォードレイクが牛を食す場面を観察した。
が、ウォードレイクは牛の動きが完全に止まった後、俺の方にすごい勢いで爪を立ててきた。
どうやら、牛1頭では足りなかったらしい。俺は目の前の牛と同じ運命をたどることになった。
ゲームオーバー。
【ゴドフリー 技術点8 体力点18 運点7→6/7】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1
・馬
・ガーネット
・黒いコイン
・牛飼いの笛
■登場人物
リオン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。5人目の挑戦者。王女の説得に失敗。
ゴドフリー ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。6人目の挑戦者。ウォードレイクに食べられる。
ロング・ナリク王 おうさま。コーデリア王女の父。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。
聖騎士ウォーレン ロング・ナリクの当代一の聖騎士。ロング・ナリク軍の副官。戦地で命を落とす。
ジェイコブ 金牛の丘の牛飼い
アンドロ 聖騎士ウォーレンに従っていた兵士。ウォードレイクに遭遇し生き延びる。王女の説得に一役買う。
セロ 聖堂の司祭。コーデリア王女の神学の先生でもある。
■作品情報
作品名:戦場の風
著者:丹野佑
編集:エディットなかの
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ぜろです。
ゲームブック「戦場の風」のプレイを続けています。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。主人公リオンは説得にあたります。
かなりいい展開かと思われましたが、最後の最後で王女の信を得ることができず、リオンの任務は失敗に終わったのでした。
●アタック06-1 ゴドフリーの旅路
5人目のリオンの挑戦は、失敗した。
しかしこれで、はっきりした。
道中で、「牛飼いジェイコブの家に立ち寄りもてなしを受ける」を選択するのは、誤りであったと。
これは、そのためのタイムロスが問題なのではない。
危急存亡の秋に、のんびりもてなしを受けようとする姿勢そのものが問題なのだと。
時間のない中とはいえ、友軍のテントで一泊するのは必要な行動である。それとは行動の意味がまったく違ってくるのだ。
それを、コーデリア王女の本質を見抜く目をもって、見透かされてしまったのだ。
牛飼いの笛なんていう、パラグラフジャンプをともなう、どう見ても必須アイテムを目の前にぶらさげられて、目がくらんだってのは、ある。
それでも、そこで戦うことになるドラッツェン兵2人が強敵すぎて、正しいルートとは思えないという疑問を抱いてはいたのだ。
6人目の挑戦者には、このあたりの行動に修正を加えよう。
たぶん、今までのような強い挑戦者でなくとも、かなり進めるはずだ。
では、6人目の挑戦者の登場だ。
名前はゴドフリー。
【ゴドフリー 技術点8 体力点18 運点7】
弱くてもいい、なんてことを言ったら、言霊になった。
技術点=よわよわ
体力点=そこそこ
運点=最弱最弱ゥ
このキャラクターでは、そもそも、牛飼いジェイコブさんちのお宅訪問なんてやってる場合じゃない。
では、挑戦のはじまりだ。
今回はもう、前半の道程はすべてスルーしてしまってもいいかな。
物語を進行していく。途中、牛飼いジェイコブを助けるために、ドラッツェン兵との戦闘がある。
その時のドラッツェン兵は、ジェイコブとのおいかけっこでへろへろになっているため、よわよわな俺でもノーダメージで倒すことができた。
あとは、ジェイコブの家に立ち寄らないこと以外、5人目のリオンのときと違いはない。
そうして俺は今、聖堂の地下室にて、コーデリア王女と面会している。
王からの伝令「撤退せよ。そんでもって帰れ」を伝えたところだ。
王女はでもでもだってを繰り返す。
そこをなんとか、と説き伏せるのが、俺の役目だ。
とにかく止まれ。話はそれからだ。
「なぜ止めるのですか? 戦うべきではない理由があるとでも?」
ああ。あるから止めてるんだよ。
ドラッツェン軍の狙いはこの土地と牛だ。
ウォードレイクの餌として牛を育て、さらなる軍拡を狙ってるんだよ。
そこに指揮官として王女がやってきた。ドラッツェンにしてみれば、今は「1粒で2度おいしい」状態なんだ。
わかるかなアーモンドグリコ。
「……ですが、それでも、私はここで、戦わなければならない理由があります」
それは現実が見えていないぜ王女様。
勝ち目のない戦いに挑むのは愚者のすること。生き残るから次がある。
指揮官の役目は、兵たちを死地に駆り立てることではない。
一兵でも多く、家族のもとに送り届けることではないのか。
「貴様! たかが伝令風情が王女になんという口の利き方を!」
悪いけど、あんたたちの相手をしている暇はないんでね。
王女が聞き入れないんなら、俺の役目はここまでだ。あとは好きにしなよ。
「待ってください」
王女が兵士たちを制した。
「その方の言葉、たしかに聞くべきところがあります。そなた、顔をよく見せてください。目を見ればわかります」
前回しくじったポイントだ。ここまで来た。
これまでの旅路を振り返り、キーアイテムを合計して王女のお眼鏡にかなうのかを判定する場面だ。
今回は、牛飼いジェイコブの家に立ち寄らなかった俺だ。
その行動がNGであったとするならば、ここは王女の信頼を勝ち取れるかもしれない。
「なるほど。あなたは陛下が見込んだだけのことはあるようですね」
お。コーデリア王女、少しは俺の話を聞く気になったみたいだ。
「ですが、軍が撤退できないのは、もはや私だけの問題ではありません。私たちは偉大な聖騎士ウォーレンを失っているのです。ここで戦場を捨ててしまっては、彼の死に報いることができません」
まだそんなこと言ってるのか王女さんよう。
俺の言うこと聞く気になったって言いながら、まったく聞く耳を持ってないじゃないか。
でも、ウォーレンのことが気になって撤退できないというのなら、ここは彼の出番だな。
ウォーレンの部下の生き残り、アンドロだ。
●アタック06-2 死せるウォーレンの説得
アンドロは所属を名乗り、王女の前に進み出た。
「そう。あなたはウォーレンのもとにいたのですね」
「はい。ウォーレン様のご遺志を伝えるため、ここまでついてきました」
「ウォーレンの、遺志……」
「ウォーレン様は、最後まで王女様と国のことを案じていました。あなたが正しい選択をしてくれるように、願っていたのです」
「正しい選択……とは?」
「この国の未来のためになることです」
この言葉は効果絶大だった。
なぜならば、今コーデリア王女がしようとしていることは、「未来のためになること」ではないからだ。
過去を見て、過去の過ちを認めたくないあまりに、同じ過ちを繰り返す。失われたものに固執するあまり、よりよい未来への道を拒んでしまう。
「ああ……。そう、なのですね。私は、進むべき道を、誤っていました。失われていった命のためにも、私や兵の命も投げ出さなければならないと……」
何度も言うが、兵を1人でも多く家族のもとに返すことも、指揮官の務めだ。
「私は、取り返しのつかない過ちを犯すところでした……」
そして、沈黙の中、王女の嗚咽がしばし、静かに響いた。
王女の心を最後にひと押ししたのは、生きている俺たちではなく、死してなお国を思う聖騎士の言葉であったか。
王女はこの戦の敗北を認め、撤退を決意した。
しかし、撤退にも問題があるという。それは、あのウォードレイクのことだ。
ウォードレイクは馬よりも速い。飛ぶこともできる。
どうにかしてウォードレイク騎竜兵を出し抜かなければ、逃走もままならないだろう、と。
それはそのとおりだ。
さりとて、どのような手段があるというのだろう。
まず考えられるのは、ウォードレイクそのものというよりも、それに乗る人間の方をどうにかすることだ。
いかなウォードレイクといえ、乗り手がいなくては機能はしないだろう。
あるいは、強烈な香辛料か何かで、ウォードレイクの目鼻口あたりに強烈な刺激を与えれば、騎手の言うことを聞いている場合じゃなくなるだろう。
手段がないわけではない。しかしそうした手段を使うためには、敵陣へ潜入しなければならない。
「私たちは敵のことを何も知りません。今からでも、ウォードレイクのことを調べることができないでしょうか」
なるほど。王女は的確に俺の考えを整理してくれるな。
それなら俺に心あたりがある。
あの人物の力を借りれば、ウォードレイクについて調べることができるのではないか。
さあ、その人物とは誰か。
選択肢が並ぶ。
・ジェイコブ
・ウォーレン
選択肢にはないが、たぶん司祭セロのパラグラフジャンプも選べるはずだ。
しかしここではパラグラフジャンプはしない。
なぜなら、俺が心あたりのある人物というのは、ほかならぬジェイコブだからだ。
牛飼いのジェイコブは、ウォードレイクの食用として牛を供出させられ、その食事風景を目の当たりにしている。
同じ生き物を飼育している身として、ウォードレイクのこともよく観察しているに違いない。
わかっていたけど好奇心に負けて、司祭セロの名前を出せるか、パラグラフジャンプを試してみてしまった。
そうしたら、たしかにパラグラフジャンプは機能しており、セロの名前を挙げることができた。
けれど、王女に「ナンセンス」と一刀両断に断られてしまった。
運点に1点のペナルティだ。
また選び直すこともできるようなので、このペナルティは甘んじて受けることにした。
それではジェイコブの名を出そう。
俺はジェイコブのことを王女に説明し、単独で彼に会いに行くことにした。
アンドロもここに残して行く。本来は負傷兵なのだ。よくここまでついてきてくれた。
さあ、ジェイコブに会いに行こう。
●アタック06-3 ゴドフリー、食される
すでにすっかり暗く、夜と言ってもいい頃合に、ようやくジェイコブの家に行くことができた。
俺はジェイコブに事情を説明した。
「なるほど。事情は分かりましただ」
ジェイコブは言った。
「そういうことなら良い手がありますだ。実はドラッツェン軍に、今夜も牛を1頭よこせと言われておりますだ」
俺が変装し、牛飼いのふりをすれば、簡単に敵陣に入り込めるだろう、と。
ジェイコブに頼ったのは間違いではなかった。
さらにここで、牛を呼び寄せる、牛飼いの笛をもらうことができた。
パラグラフジャンプが使える特殊なアイテムだ。
これは、以前この家に途中で立ち寄った時にもらえたことのあるアイテム。
途中で立ち寄ること自体が間違いルートであることはわかったけれど、パラグラフジャンプつきのアイテムが手に入らないのはおかしいと思っていた。
あの時にも、もしかして後になって入手できる機会があるのかも、と考察していたが、それがまさしく今この場だったというわけだ。
俺は牛飼いの格好に変装し、おとなしい雌牛を1頭連れて、ドラッツェン軍の陣地へと向かった。
ドラッツェンの陣地には、思いのほか簡単に入ることができた。
特に誰に怪しまれるという感じでもない。
やはり牛飼いの姿と、牛1頭連れている効果は大きい。
警戒しなければならないのは、幹部クラスに会ったときくらいだろう。
一兵士はそこまで深く考えたり注意を払ったりすることはない。
「そいつが今晩の怪物の餌か。ついてこい」
見張りの兵士の案内についていく。
やがてある建物の前についた。ウォードレイク舎だろう。
もとは牛舎だったものを改装したようだ。
改装といっても、入口を壊して強引に大きくしただけの、雑な改修だ。
「ほれ、ここだ。寝る前に食わさないと、吼えて催促すんだよ」
兵士は腰の袋を外すと、その中身の赤黒い液体を牛にかけた。
「これはほかの牛の血だ。怪物はこのニオイが好きでな。すぐに飛びつく。そうしたらさっさと離れるんだ。てめえも食われたくなけりゃな」
兵士がさっさと行けと促す。俺は牛を連れ、ウォードレイク舎に踏み込んだ。
中には、銀の鱗の怪物がいた。牛の足がすくむ。
しかし、牛が反転して逃げるよりも早く、その怪物ウォードレイクは飛び出してきて、牛の首筋に爪を立てた。
「よし。よくやった。今のうちだ。戻ってこい」
兵士の声が聞こえる。
しかしここには選択肢が出ている。今なら間近でウォードレイクを観察する好機だと。
・すぐに兵士のもとに戻る
・ウォードレイクの食事を観察する
俺はウォードレイクの弱点を調べるためにここに潜り込んだんだ。
ここで調べない手はないだろう。
俺はその場に留まり、ウォードレイクが牛を食す場面を観察した。
が、ウォードレイクは牛の動きが完全に止まった後、俺の方にすごい勢いで爪を立ててきた。
どうやら、牛1頭では足りなかったらしい。俺は目の前の牛と同じ運命をたどることになった。
ゲームオーバー。
【ゴドフリー 技術点8 体力点18 運点7→6/7】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1
・馬
・ガーネット
・黒いコイン
・牛飼いの笛
■登場人物
リオン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。5人目の挑戦者。王女の説得に失敗。
ゴドフリー ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。6人目の挑戦者。ウォードレイクに食べられる。
ロング・ナリク王 おうさま。コーデリア王女の父。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。
聖騎士ウォーレン ロング・ナリクの当代一の聖騎士。ロング・ナリク軍の副官。戦地で命を落とす。
ジェイコブ 金牛の丘の牛飼い
アンドロ 聖騎士ウォーレンに従っていた兵士。ウォードレイクに遭遇し生き延びる。王女の説得に一役買う。
セロ 聖堂の司祭。コーデリア王女の神学の先生でもある。
■作品情報
作品名:戦場の風
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2025年4月22日火曜日
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第44回 FT新聞 No.4472
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第44回
「商人」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
大阪万博に行ってきたイラストレーターの中山将平です。
見たいものが一通り見れましたし、実に楽しい経験でした。
様々なコンテンツを見るうち、「物語の表現」というものについて様々な様態がありうることをひしひしと感じてきました。
僕は「絵」や「漫画」、ゲ−ムブックやTRPGなどの「アナログゲーム」をその表現方法として使いがちなのですが、考えてみると手段は他にもたくさんあるはずです。
それは彫刻や木彫りのような造形作品かもしれません。
または、踊りや歌、演技のようなパフォーマンスかもしれません。
朗読やトークショーのような様態を取ることもきっとあるはずです。
もちろん、それらの合わせ技ということも多々あるでしょう。
そもそもアニメや影絵、砂絵等々例を挙げ続けるなら枚挙にいとまがないと思います。
実はこんなことを考えていたのは、「FT書房の作っている物語を表現し、紹介していくこと」について、様々な方法があるだろうといつも検討しているためです。
表現方法は様々にあるのですが、考えれば考えるほど「方法ごとに得意不得意」が感じられるようにも思えてきました。
僕がよく使う「絵」は、「一瞬で種類や魅力などの情報を伝える」ことはとても得意な一方、それだけで「時間の経過や多面的な出来事」を表したり「物事の内面の機微」を表すのは簡単ではないと感じています。
これについてはあくまで自分の得意不得意もあるのだと思うのですが……。
そういうわけで、この「表現方法」のうち特に「歌」について活用できないかと考えていました。
短い時間で心に届きやすいと感じたためです。
僕自身にはこの作成能力が全然ないので、どうしようかと悩んでいる現状です。
読者の方が何かのアイデアを下さることも多々あるので、ひとまず書いてみました。
さて、それはそれとして、今日のテーマは「商人」。
ファンタジーのTRPGやゲームブックにおける「物売り」の存在について思うところを書いてみようと思います。
というのも、実はカエル人のTRPGのシナリオを作成する際、僕はこの要素の細部に対してとても悩んだ経験があるのです。
「商人って便利で楽しい存在だから、シナリオの中に1人くらい登場させたい!」と思っていても、それは簡単なことではなかったんです。
なぜ、簡単ではなかったのか。
そしてどう考えてその創作を行ったのか。
それを書いてみようと思います。
この記事が、ファンタジーを楽しまれている方にとって有益な物であれば幸いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
◆ 「商人」を取り巻く違和感
早速ですが、ダンジョンの中で出会う行商人に対し、僕は多くの場合違和感を捨てられずにいました。
危険な場所で商いをすること自体はあり得ると思うのですが、「どうやって身を守っているのか」という問いが解決しないためです。
より詳しく考えると、このことについて覚えた違和感は次の二つに分類できることに気づきました。
・ なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。
・ 商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか。
それぞれについて、語ろうと思います。
◆ なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。
まずは、「なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。」ということについて。
これは、そもそも襲うことができる前提がある場合も多いと感じています。
そもそも冒険の中で出会う商人って、信用できるか怪しい場合も多くないでしょうか。
商人と見せかけておいて、油断を誘い襲ってくる敵かもしれないはずです。
そんな相手を判別できないなら、「怪しい」ということを根拠に相手を制圧することがそれほど不思議とは思えません。
主人公側が重要な使命を帯びているなら、なおのことという風に感じます。
そもそも敵の根城で商人と出会ったなら、その相手は「敵と商売をしている」「敵側の存在である」ことも大いにあり得るはずです。
条件がそろっていた場合、実は「こちらから襲い掛かる」選択肢は最適解なのかもしれません。
しかし、ここで忘れてはいけないのは「主人公たちがどんな存在であるか」という視点だと思います。
主人公側が「正義」を掲げる存在であったり、ゲーム自体が「ヒロイック・アドベンチャー」なのであるならば、疑いが即攻撃になるのは速すぎる気がします。
無垢な人物を信じ、尊重してこそ主人公たちはヒーローたりえるのではないでしょうか。
一方カエル人のTRPGでは、主人公たちはケロナイツと呼ばれる「傭兵」や「用心棒」に近い立場です。
彼らはカエル人のコミュニティの守り手でもあるため、旅の途中出会ったカエル人を「ただ疑わしいというだけで」攻撃することにはためらいがある設定です。
しかし、相手が他種族であれば状況は違います。
もしかしたら危険かもしれないと危惧される場合には、警戒心を持って商人とも向き合わなければならないわけです。
そういうこともあって、カエル人TRPGのシナリオ内で出会う商人は非常に優秀な防御力と逃走力を持っていることが多くなりました。
穴の中から出てきて、危険があれば素早く土中に撤退する「ホシバナモグラ人」の商人などがこれに当たります。
◆ 商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか。
もう一つの話題、「商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか」について。
こちらについての一つの解は、先ほど話題に上げた「敵側の存在だから」というものが当てはまるかもしれません。
少なくとも、敵側や「誰とでも」取引をするタイプの商人は周囲から保護されていても違和感はないように感じます。
とはいえ、そのどちらでもない場合はやはり何か「特別な方法を用いている」と考える方が自然ではないでしょうか。
例えば危険が迫った際に姿を隠すことのできる魔法や道具などの手段があるとか。
常に巨漢の護衛と共に行動しているとか。
商人をシナリオに登場させるとき、この部分は特別気を配りたいと感じていました。
それは、その人物との「取引」そのものがどのような意味を持つか考えなければならないと感じたためです。
◆ まとめ
この話は、実はそういった背景の細部が物語に命を吹き込むと感じる……というものでもあります。
「神は細部に宿る」とよく聞きますが、作らなければ興ざめというものではなく、作ると心がアツくなるものを求めていきたいと願っています。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第44回
「商人」
(中山将平)
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おはようございます。
大阪万博に行ってきたイラストレーターの中山将平です。
見たいものが一通り見れましたし、実に楽しい経験でした。
様々なコンテンツを見るうち、「物語の表現」というものについて様々な様態がありうることをひしひしと感じてきました。
僕は「絵」や「漫画」、ゲ−ムブックやTRPGなどの「アナログゲーム」をその表現方法として使いがちなのですが、考えてみると手段は他にもたくさんあるはずです。
それは彫刻や木彫りのような造形作品かもしれません。
または、踊りや歌、演技のようなパフォーマンスかもしれません。
朗読やトークショーのような様態を取ることもきっとあるはずです。
もちろん、それらの合わせ技ということも多々あるでしょう。
そもそもアニメや影絵、砂絵等々例を挙げ続けるなら枚挙にいとまがないと思います。
実はこんなことを考えていたのは、「FT書房の作っている物語を表現し、紹介していくこと」について、様々な方法があるだろうといつも検討しているためです。
表現方法は様々にあるのですが、考えれば考えるほど「方法ごとに得意不得意」が感じられるようにも思えてきました。
僕がよく使う「絵」は、「一瞬で種類や魅力などの情報を伝える」ことはとても得意な一方、それだけで「時間の経過や多面的な出来事」を表したり「物事の内面の機微」を表すのは簡単ではないと感じています。
これについてはあくまで自分の得意不得意もあるのだと思うのですが……。
そういうわけで、この「表現方法」のうち特に「歌」について活用できないかと考えていました。
短い時間で心に届きやすいと感じたためです。
僕自身にはこの作成能力が全然ないので、どうしようかと悩んでいる現状です。
読者の方が何かのアイデアを下さることも多々あるので、ひとまず書いてみました。
さて、それはそれとして、今日のテーマは「商人」。
ファンタジーのTRPGやゲームブックにおける「物売り」の存在について思うところを書いてみようと思います。
というのも、実はカエル人のTRPGのシナリオを作成する際、僕はこの要素の細部に対してとても悩んだ経験があるのです。
「商人って便利で楽しい存在だから、シナリオの中に1人くらい登場させたい!」と思っていても、それは簡単なことではなかったんです。
なぜ、簡単ではなかったのか。
そしてどう考えてその創作を行ったのか。
それを書いてみようと思います。
この記事が、ファンタジーを楽しまれている方にとって有益な物であれば幸いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
◆ 「商人」を取り巻く違和感
早速ですが、ダンジョンの中で出会う行商人に対し、僕は多くの場合違和感を捨てられずにいました。
危険な場所で商いをすること自体はあり得ると思うのですが、「どうやって身を守っているのか」という問いが解決しないためです。
より詳しく考えると、このことについて覚えた違和感は次の二つに分類できることに気づきました。
・ なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。
・ 商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか。
それぞれについて、語ろうと思います。
◆ なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。
まずは、「なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。」ということについて。
これは、そもそも襲うことができる前提がある場合も多いと感じています。
そもそも冒険の中で出会う商人って、信用できるか怪しい場合も多くないでしょうか。
商人と見せかけておいて、油断を誘い襲ってくる敵かもしれないはずです。
そんな相手を判別できないなら、「怪しい」ということを根拠に相手を制圧することがそれほど不思議とは思えません。
主人公側が重要な使命を帯びているなら、なおのことという風に感じます。
そもそも敵の根城で商人と出会ったなら、その相手は「敵と商売をしている」「敵側の存在である」ことも大いにあり得るはずです。
条件がそろっていた場合、実は「こちらから襲い掛かる」選択肢は最適解なのかもしれません。
しかし、ここで忘れてはいけないのは「主人公たちがどんな存在であるか」という視点だと思います。
主人公側が「正義」を掲げる存在であったり、ゲーム自体が「ヒロイック・アドベンチャー」なのであるならば、疑いが即攻撃になるのは速すぎる気がします。
無垢な人物を信じ、尊重してこそ主人公たちはヒーローたりえるのではないでしょうか。
一方カエル人のTRPGでは、主人公たちはケロナイツと呼ばれる「傭兵」や「用心棒」に近い立場です。
彼らはカエル人のコミュニティの守り手でもあるため、旅の途中出会ったカエル人を「ただ疑わしいというだけで」攻撃することにはためらいがある設定です。
しかし、相手が他種族であれば状況は違います。
もしかしたら危険かもしれないと危惧される場合には、警戒心を持って商人とも向き合わなければならないわけです。
そういうこともあって、カエル人TRPGのシナリオ内で出会う商人は非常に優秀な防御力と逃走力を持っていることが多くなりました。
穴の中から出てきて、危険があれば素早く土中に撤退する「ホシバナモグラ人」の商人などがこれに当たります。
◆ 商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか。
もう一つの話題、「商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか」について。
こちらについての一つの解は、先ほど話題に上げた「敵側の存在だから」というものが当てはまるかもしれません。
少なくとも、敵側や「誰とでも」取引をするタイプの商人は周囲から保護されていても違和感はないように感じます。
とはいえ、そのどちらでもない場合はやはり何か「特別な方法を用いている」と考える方が自然ではないでしょうか。
例えば危険が迫った際に姿を隠すことのできる魔法や道具などの手段があるとか。
常に巨漢の護衛と共に行動しているとか。
商人をシナリオに登場させるとき、この部分は特別気を配りたいと感じていました。
それは、その人物との「取引」そのものがどのような意味を持つか考えなければならないと感じたためです。
◆ まとめ
この話は、実はそういった背景の細部が物語に命を吹き込むと感じる……というものでもあります。
「神は細部に宿る」とよく聞きますが、作らなければ興ざめというものではなく、作ると心がアツくなるものを求めていきたいと願っています。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
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2025年4月21日月曜日
アランツァの「空白地帯」 FT新聞 No.4471
おはようございます、自宅の書斎から杉本です。
今日は「はざま」に落っことしてしまい、忘れていたお話をさせていただきます!
◆空白地帯。
FT書房が展開する世界観である「アランツァ」の主大陸ラドリドには、大きな平野地帯があります。
その位置は大陸の北西部で、「北方都市サン・サレン」「盗賊都市ネグラレーナ」「貿易都市ビストフ」「山岳都市カザド・ディルノー」の4つの都市に囲まれた、大きな平野地帯です。
実を申しますとこの平野、もともと「空白地帯」として用意された場所でした。
「空白地帯」とはなにか?
言い換えるなら「読者のための地域」です☆
◆オープンワールドのおもしろさ。
ローグライクハーフの個人制作では、オリジナルのシナリオやリプレイを自由に作ることができます。
そうした作品はアランツァのどこかの土地と結びつけられていることもありますし、オリジナルな世界観に基づいていることもあります。
そして、「アランツァのどこか」という設定で、街や土地が制作されることもあります。
そのような土地がどこにあるのかは、作り手の裁量に委ねられています。
そのいっぽうで、公式からも「このあたりに新しい街が作れることにしたら、作りやすいかな?」という場所を用意しています。
それがこの「空白地帯」というわけです☆
◆なぜ、この位置にしたのか?
それでは、なぜ、このあたりの土地をそのように設定したのか。
それは、この場所が、冒険に絡めやすい土地柄だからです。
◆北方都市サン・サレン。
北方都市サン・サレンの一帯には「周囲に地下迷宮がある土地柄」という設定があります。
冒険者が足を踏み入れたことのない、かつての遺跡。
魔術師が作り上げた、自分自身の住む場所である地下城砦。
さまざまな設定を盛り込みやすい場所です。
◆貿易都市ビストフ。
貿易都市ビストフは、大陸の外側からの装備品や情報が入ってくる流入口であり、多種族都市でもあります。
冒険都市カラメールとの輸出入が盛んであるため、褐色系の南方人たちもいます。
この街の近くに置けば、そういった種族や人々が多くいる街という設定に説得力が増すでしょう。
◆盗賊都市ネグラレーナ。
盗賊都市ネグラレーナは悪徳が栄えた街で、シティ・アドベンチャーを書きやすくなっています。
歴史の古い闘技場や、大学もあります。
意外に魔法も盛んで、からくり都市チャマイに大学から魔法学校へと留学生を派遣する制度があります。
盗賊、闘技場(戦士)、魔法使いといった、ファンタジーTRPGの要素を含んだ街です。
◆山岳都市カザド・ディルノー。
山岳都市カザド・ディルノーはリオ・アスール川を挟んで、シャンクルー鉱山に生息するゴブリンやオークたち【悪の種族】と、継戦状態にあります。
この街と同盟関係にある新しい街など、アイディア次第で面白いものになるだろうと思います。
◆平原そのもの。
この大きな「空白地帯」には、大型のモンスターが数多く見られます。
「ハリアー」と呼ばれる巨大ないも虫に襲われて、壊滅的な打撃を受けた冒険者一行の話もあります。
◆まとめ。
以上いろいろと書いてきましたが、あくまでこれは公式の「おせっかい」です☆
「ここに街をつくってほしいんじゃ!」という思いではなく、「あー、取っかかりが見つからないなー」となっている作り手の一助になるのであれば、というぐらいのお話です。
どこに何を作るのも、すべてはあなた次第です☆
それではまた!
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今日は「はざま」に落っことしてしまい、忘れていたお話をさせていただきます!
◆空白地帯。
FT書房が展開する世界観である「アランツァ」の主大陸ラドリドには、大きな平野地帯があります。
その位置は大陸の北西部で、「北方都市サン・サレン」「盗賊都市ネグラレーナ」「貿易都市ビストフ」「山岳都市カザド・ディルノー」の4つの都市に囲まれた、大きな平野地帯です。
実を申しますとこの平野、もともと「空白地帯」として用意された場所でした。
「空白地帯」とはなにか?
言い換えるなら「読者のための地域」です☆
◆オープンワールドのおもしろさ。
ローグライクハーフの個人制作では、オリジナルのシナリオやリプレイを自由に作ることができます。
そうした作品はアランツァのどこかの土地と結びつけられていることもありますし、オリジナルな世界観に基づいていることもあります。
そして、「アランツァのどこか」という設定で、街や土地が制作されることもあります。
そのような土地がどこにあるのかは、作り手の裁量に委ねられています。
そのいっぽうで、公式からも「このあたりに新しい街が作れることにしたら、作りやすいかな?」という場所を用意しています。
それがこの「空白地帯」というわけです☆
◆なぜ、この位置にしたのか?
それでは、なぜ、このあたりの土地をそのように設定したのか。
それは、この場所が、冒険に絡めやすい土地柄だからです。
◆北方都市サン・サレン。
北方都市サン・サレンの一帯には「周囲に地下迷宮がある土地柄」という設定があります。
冒険者が足を踏み入れたことのない、かつての遺跡。
魔術師が作り上げた、自分自身の住む場所である地下城砦。
さまざまな設定を盛り込みやすい場所です。
◆貿易都市ビストフ。
貿易都市ビストフは、大陸の外側からの装備品や情報が入ってくる流入口であり、多種族都市でもあります。
冒険都市カラメールとの輸出入が盛んであるため、褐色系の南方人たちもいます。
この街の近くに置けば、そういった種族や人々が多くいる街という設定に説得力が増すでしょう。
◆盗賊都市ネグラレーナ。
盗賊都市ネグラレーナは悪徳が栄えた街で、シティ・アドベンチャーを書きやすくなっています。
歴史の古い闘技場や、大学もあります。
意外に魔法も盛んで、からくり都市チャマイに大学から魔法学校へと留学生を派遣する制度があります。
盗賊、闘技場(戦士)、魔法使いといった、ファンタジーTRPGの要素を含んだ街です。
◆山岳都市カザド・ディルノー。
山岳都市カザド・ディルノーはリオ・アスール川を挟んで、シャンクルー鉱山に生息するゴブリンやオークたち【悪の種族】と、継戦状態にあります。
この街と同盟関係にある新しい街など、アイディア次第で面白いものになるだろうと思います。
◆平原そのもの。
この大きな「空白地帯」には、大型のモンスターが数多く見られます。
「ハリアー」と呼ばれる巨大ないも虫に襲われて、壊滅的な打撃を受けた冒険者一行の話もあります。
◆まとめ。
以上いろいろと書いてきましたが、あくまでこれは公式の「おせっかい」です☆
「ここに街をつくってほしいんじゃ!」という思いではなく、「あー、取っかかりが見つからないなー」となっている作り手の一助になるのであれば、というぐらいのお話です。
どこに何を作るのも、すべてはあなた次第です☆
それではまた!
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2025年4月20日日曜日
アランツァワールドガイド Vol.14 からくり都市チャマイ FT新聞 No.4470
おはようございます、編集長の水波流です。
杉本=ヨハネより預かりまして、今日配信するのは「アランツァワールドガイド」。
いよいよ「からくり都市チャマイ」の紹介です!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
聖フランチェスコ市で生物学の教鞭を取るカメル・グラント教授は、今は旅人として世界の主だった都市を巡っている。
カメルの横を歩くのはアレス・マイモロー博士。
旧友どうしがラクダに乗り、連れ立って旅をしているのだ。
◆時計塔。
街に入ったふたりはラクダを宿屋に預けて、徒歩で〈赤じゅうたん通り〉を抜け、中央広場へと向かう。
広場には古くて大きな噴水があり、その向こう側に四角い塔が建っている。
塔の下部は噴水とつながっており、その内側には木製の手桶が連なっている。時計が1秒を刻む動きに連動して、桶が噴水のなかに突っ込まれ、水を汲み上げる。水の入った桶は塔のなかばでひっくり返って、キラキラと陽の光を反射させながら噴水へと戻ってくる。
遊び心のある仕掛けである。
カメルとアレスは塔を守る番兵に通行許可証を示し、できれば塔の内部を見せてくれないかと頼んでみる。
すると、通行許可証とは無関係に、数枚の貨幣を支払うことで見学することができた。
時計塔の内側にはギッシリと歯車があって、1秒ごとに音を立てる。ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
すべての歯車が連動して、同時に動いている。
生物のように精密だと、カメルは感じた。
らせん階段が上へと続いているが、そこを登る許可はおりなかった。
◆からくり制作の現場。
それからカメルは、チャマイにある大きな工房をいくつかまわる。
ゴーレムや銃器といったからくりを手がける現場を、見ておきたかったからだ。
運のいいことに、主だった工房のひとつが見学を許可してくれた。
「きまじめノーム工房」ではノームたちが、喧騒のなかで仕事をしている。
人間が乗り込める大型のゴーレムを作っている最中で、{ルビ:モノクル}片眼鏡{/ルビ}を着けた中年のノーム男性がカメルの肩を叩き、
「乗ってみてくれ」
と言う。
言われるままに乗り込み、請われるままに乗り心地や、視線の高さについて感想を答える。
「ふーむ。もう少し重心が低いほうが乗り手に恐怖心を与えないな。そうだ!」
突然の大声をあげて、ノームはガチャガチャとゴーレムを分解しはじめる。
はたから見ると異常なほど、彼らは集中している。カメルに対してどこの誰であるかを聞くことすら、しないのだ。
その没頭ぶりにカメルは、うらやましさすら抱いた。
「ここはゴーレムの工房だ。銃器の工房や時計造りの工房も、この街にはある」
見学を許可してくれた親方のノームは、そう教えてくれた。
◆水運業。
聖フランチェスコ市ほどではないが、チャマイの市内にも水流があり、水門によって管理されている。
赤錆川の支流が流れ込んでいて、その流れを活用した水運業があるのだ。
赤錆川は下流に行けばアリクララ湖へと出てポートス川となる。
アリクララ湖の湖畔にはイルフムという名前の町があり、ポートス川の河口には旅の開始地点である聖フランチェスコ市がある。
街なかでときどき見られる幅のある川を眺めながら、カメルはそんなことを考える。
◆エルダーベリー魔法学校。
「あなた! グラント教授!」
見やると白いローブを着た、黒髪の女性が立っている。落ち着いた表情とたたずまい。彼女の胸についた徽章が、この魔法学校の学長であることを示している。
「ティーボグ! 我が妻よ、久しいな」
ふたりは名を呼び合い、熱い{ルビ:ハグ}抱擁を交わす。
ティーボグ・マイモローはアレスの伴侶である。
ティーボグはカメルのほうを向き、同じぐらい熱い抱擁を交わす。
「グラント教授、よくお越しくださった! 道中、危険もあっただろう。無事でなによりだ!」
はつらつとした笑みを浮かべて、ティーボグはカメルの背を叩く。
世界の困難に対抗する魔法使いたちの頂点、七賢者。
彼女はその筆頭である。
ティーボグはカメルたちを、校舎へと案内する。世界一と名高い、エルダーベリー魔法学校だ。古い木造の校舎は廊下の床から柱まで、落ち着いた濃い焦茶色をしている。教室ごとに十人前後の生徒が、授業を受けているのが見える。
「少人数制なのだよ」
カメルの視線が生徒たちに向けられていることに気づき、ティーボグはそう言った。
「ええ。私の教え子も、十人に満たないクラス単位です」
カメルはそう答えながら、愛しい教え子たちの顔を思い浮かべる。
◆クァッククラックの脅威。
「屋上に行かないか。いい風が吹くんだ」
ティーボグの提案に乗って、3人は校舎の屋上へとおもむく。
屋上からはチャマイが一望できる。少し強いが、いい風だ。
歴史のある石づくりの聖堂や教会が、表通りに面して並んでいる。
それよりは新しい、からくり造りの工房がその周辺に建ち並んでいる。
博学なカメルはひとつの疑問を口にした。
「不思議だね。これだけ歴史ある学校なら、街の中央にありそうなものだ」
ティーボグの目の奥が、輝いた。
「エルダーベリー魔法学校は、最初から街の郊外に建てられたのだ。ふたつ、理由がある」
左手でピースサインを作るティーボグは、どこかかわいらしかった。
「ひとつは、街の権力からの距離だ。我々は【善の種族】を守るために、ここにある。チャマイに従属する組織ではない。経済的にも、自立しているのだ」
アレスはティーボグの中指にそっと手を添えて、その指を曲げて尋ねる。
「もうひとつは?」
「もうひとつは、街の外からの脅威に備えるためだ。チャマイはよくも悪くも、他の都市からは『孤立』している。東に赤錆川、南にアリクララ湖。西側には西方山脈、北には還らずの森。しかし、他の土地よりも危険が多い。還らずの森には吸血鬼が住まい、南のアリクララ湖ではクラーケンなどの大型クリーチャーが猛威を奮う。しかし、最もこの街の安全を脅かすのは、赤錆川の向こうからくるふたつの勢力──アリ人とトカゲ人だ」
アリ人とトカゲ人。冷たい血が流れる、2種類のクリーチャー。
「あの種族たちは定期的に、この街への襲撃を繰り返している。その多くは街壁に設置された『おおからくり』によって、撃退されている。これを管理するために、エルダーベリー魔法学校は郊外に建てられたのだ」
気持ちを刺激されて、「おおからくり」とは何か尋ねる。
「見るのが早い。来なさい」
ティーボグはそう言って、好奇心旺盛なラクダ人を街壁そばへと案内する。
そこには移動式の回転刃や、砲台といった巨大な防衛装置が備えられている。
「これらのからくりは優秀なノームの技師たちによって整備され、魔法学校の職員や教師たちによって、エネルギーを吹き込まれている」
カメルはティーボグを見る。自信に満ちた表情で、彼女はカメルを見返す。
「そう……これらのからくりは『自分で考えて動く』のだ。彼らは一種のゴーレムなのだよ」
カメルは声をあげそうになった。自律行動できるゴーレムの中央には、人格核がある。生きた市民の人格を写しとって、番犬のように使っているのか? 半永久的に?
「カメル、違うぞ」
カメルの盟友とも言えるアレスが気づき、この「非人道的な」行いの補足をした。
「全員、志願した者たちだ。戦いで命を落とした兵士や、引退後に亡くなった魔法学校の教師たち。彼らが死のまぎわにこの『寝ずの番』を志願してくれたんだ。自分が亡くなった後も、家族や友人、この街で暮らす人々を守りたいと願って……。尊敬に値する人たちだよ」
カメルはアレスを見やり、それからティーボグを見た。
「それで、彼らがこの苦行めいた、敵を監視する日々にうんざりしたらどうするんだ?」
ティーボグは興味のない話に応じるときに見せる、事務的な顔つきになる。
「彼らが望めばいつでも『終わらせる』ことはできる。あるいは、ゴーレム剣士として前線に復帰した戦士もいたな。退屈な見張りよりも、戦いが性に合っていると言って」
それを聞いて、カメルの気持ちは少し安堵した。
◆還らずの森。
魔法学校が街の北東部に位置する理由はもうひとつあると、ティーボグは言う。
チャマイにとってのもうひとつの脅威……それは還らずの森に住む吸血鬼たちだ。
彼らはその高い身体能力を活かして、夜陰に乗じて街壁を越えようとするという。
「おそらくは監視をくぐり抜けて、チャマイに潜入した者もいるだろう。長期的にみれば、アリ人たちよりも彼らのほうがよほど恐ろしい。都市内に潜伏して、狡猾に仲間を増やして、いつか……。」
ティーボグはそれ以上を語らず、屋上から一望できるチャマイの街並みを指差した。
「私は古いものが好きだ、この街が好きだ。研究によれば、生命ノードの放射を浴びた私は、エルフよりも長い寿命をもっているらしい。すでに数百年を生きてきた私は……私の心は年とともに輝きを失った。かつてそうだったような新鮮な驚きを、心に抱くことはもうない」
なんと答えたらいいか分からず、カメルは黙っている。
「だが、この街は私が若かった頃を思い出させてくれる。私にとって本当に価値あるものは、魔法の神秘でも、【善の種族】たちの{ルビ:あんねい}安寧でもない」
ティーボグはアレスに視線を向ける。
「アレス、あなたへの愛と、この街だ。あとは、6人の賢者たちの行く末だな。アルキア。ユア。イルホーキ。ザスカル。オルヒ。アローシェ。みんな優秀だが……不完全な弟子たちだ。欠けているところよりも、持っているものを数えるほうが早いだろう。秀でた魔法の才以外には、ほとんど何もない者ばかり」
そう言ったティーボグはクルクルとおどるようにまわり、楽しそうな声で笑う。
「だからこそ、私たちは何かを成すことができる。他に依りどころなどなく、お互いをかけがえのない仲間だと、知っているから。この命が尽きるまで、私は戦うよ」
彼女がそんな風に感情をあらわにするのを、カメルは初めて見た。
◆堕落都市へ。
伴侶であるティーボグとの再会を果たした盟友アレスは、ポロメイアからはじまった長い旅をこのチャマイで終える。
カメルとアレスの、別れの時が近づいていた。
「気をつけて行けよ」
「ああ、ありがとう」
惜別の情は尽きなくとも、それぞれの道を行く時は来る。
カメルはラクダに乗り、いつまでも見送る2人の友人をときどき振り返りながら、やがて前だけを向き、進んでいく。
古く、美しくたたずむチャマイの街をあとにして。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
↓「アランツァ:ラドリド大陸地図」by 中山将平
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聖フランチェスコ市で生物学の教鞭を取るカメル・グラント教授は、今は旅人として世界の主だった都市を巡っている。
カメルの横を歩くのはアレス・マイモロー博士。
旧友どうしがラクダに乗り、連れ立って旅をしているのだ。
◆時計塔。
街に入ったふたりはラクダを宿屋に預けて、徒歩で〈赤じゅうたん通り〉を抜け、中央広場へと向かう。
広場には古くて大きな噴水があり、その向こう側に四角い塔が建っている。
塔の下部は噴水とつながっており、その内側には木製の手桶が連なっている。時計が1秒を刻む動きに連動して、桶が噴水のなかに突っ込まれ、水を汲み上げる。水の入った桶は塔のなかばでひっくり返って、キラキラと陽の光を反射させながら噴水へと戻ってくる。
遊び心のある仕掛けである。
カメルとアレスは塔を守る番兵に通行許可証を示し、できれば塔の内部を見せてくれないかと頼んでみる。
すると、通行許可証とは無関係に、数枚の貨幣を支払うことで見学することができた。
時計塔の内側にはギッシリと歯車があって、1秒ごとに音を立てる。ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
すべての歯車が連動して、同時に動いている。
生物のように精密だと、カメルは感じた。
らせん階段が上へと続いているが、そこを登る許可はおりなかった。
◆からくり制作の現場。
それからカメルは、チャマイにある大きな工房をいくつかまわる。
ゴーレムや銃器といったからくりを手がける現場を、見ておきたかったからだ。
運のいいことに、主だった工房のひとつが見学を許可してくれた。
「きまじめノーム工房」ではノームたちが、喧騒のなかで仕事をしている。
人間が乗り込める大型のゴーレムを作っている最中で、{ルビ:モノクル}片眼鏡{/ルビ}を着けた中年のノーム男性がカメルの肩を叩き、
「乗ってみてくれ」
と言う。
言われるままに乗り込み、請われるままに乗り心地や、視線の高さについて感想を答える。
「ふーむ。もう少し重心が低いほうが乗り手に恐怖心を与えないな。そうだ!」
突然の大声をあげて、ノームはガチャガチャとゴーレムを分解しはじめる。
はたから見ると異常なほど、彼らは集中している。カメルに対してどこの誰であるかを聞くことすら、しないのだ。
その没頭ぶりにカメルは、うらやましさすら抱いた。
「ここはゴーレムの工房だ。銃器の工房や時計造りの工房も、この街にはある」
見学を許可してくれた親方のノームは、そう教えてくれた。
◆水運業。
聖フランチェスコ市ほどではないが、チャマイの市内にも水流があり、水門によって管理されている。
赤錆川の支流が流れ込んでいて、その流れを活用した水運業があるのだ。
赤錆川は下流に行けばアリクララ湖へと出てポートス川となる。
アリクララ湖の湖畔にはイルフムという名前の町があり、ポートス川の河口には旅の開始地点である聖フランチェスコ市がある。
街なかでときどき見られる幅のある川を眺めながら、カメルはそんなことを考える。
◆エルダーベリー魔法学校。
「あなた! グラント教授!」
見やると白いローブを着た、黒髪の女性が立っている。落ち着いた表情とたたずまい。彼女の胸についた徽章が、この魔法学校の学長であることを示している。
「ティーボグ! 我が妻よ、久しいな」
ふたりは名を呼び合い、熱い{ルビ:ハグ}抱擁を交わす。
ティーボグ・マイモローはアレスの伴侶である。
ティーボグはカメルのほうを向き、同じぐらい熱い抱擁を交わす。
「グラント教授、よくお越しくださった! 道中、危険もあっただろう。無事でなによりだ!」
はつらつとした笑みを浮かべて、ティーボグはカメルの背を叩く。
世界の困難に対抗する魔法使いたちの頂点、七賢者。
彼女はその筆頭である。
ティーボグはカメルたちを、校舎へと案内する。世界一と名高い、エルダーベリー魔法学校だ。古い木造の校舎は廊下の床から柱まで、落ち着いた濃い焦茶色をしている。教室ごとに十人前後の生徒が、授業を受けているのが見える。
「少人数制なのだよ」
カメルの視線が生徒たちに向けられていることに気づき、ティーボグはそう言った。
「ええ。私の教え子も、十人に満たないクラス単位です」
カメルはそう答えながら、愛しい教え子たちの顔を思い浮かべる。
◆クァッククラックの脅威。
「屋上に行かないか。いい風が吹くんだ」
ティーボグの提案に乗って、3人は校舎の屋上へとおもむく。
屋上からはチャマイが一望できる。少し強いが、いい風だ。
歴史のある石づくりの聖堂や教会が、表通りに面して並んでいる。
それよりは新しい、からくり造りの工房がその周辺に建ち並んでいる。
博学なカメルはひとつの疑問を口にした。
「不思議だね。これだけ歴史ある学校なら、街の中央にありそうなものだ」
ティーボグの目の奥が、輝いた。
「エルダーベリー魔法学校は、最初から街の郊外に建てられたのだ。ふたつ、理由がある」
左手でピースサインを作るティーボグは、どこかかわいらしかった。
「ひとつは、街の権力からの距離だ。我々は【善の種族】を守るために、ここにある。チャマイに従属する組織ではない。経済的にも、自立しているのだ」
アレスはティーボグの中指にそっと手を添えて、その指を曲げて尋ねる。
「もうひとつは?」
「もうひとつは、街の外からの脅威に備えるためだ。チャマイはよくも悪くも、他の都市からは『孤立』している。東に赤錆川、南にアリクララ湖。西側には西方山脈、北には還らずの森。しかし、他の土地よりも危険が多い。還らずの森には吸血鬼が住まい、南のアリクララ湖ではクラーケンなどの大型クリーチャーが猛威を奮う。しかし、最もこの街の安全を脅かすのは、赤錆川の向こうからくるふたつの勢力──アリ人とトカゲ人だ」
アリ人とトカゲ人。冷たい血が流れる、2種類のクリーチャー。
「あの種族たちは定期的に、この街への襲撃を繰り返している。その多くは街壁に設置された『おおからくり』によって、撃退されている。これを管理するために、エルダーベリー魔法学校は郊外に建てられたのだ」
気持ちを刺激されて、「おおからくり」とは何か尋ねる。
「見るのが早い。来なさい」
ティーボグはそう言って、好奇心旺盛なラクダ人を街壁そばへと案内する。
そこには移動式の回転刃や、砲台といった巨大な防衛装置が備えられている。
「これらのからくりは優秀なノームの技師たちによって整備され、魔法学校の職員や教師たちによって、エネルギーを吹き込まれている」
カメルはティーボグを見る。自信に満ちた表情で、彼女はカメルを見返す。
「そう……これらのからくりは『自分で考えて動く』のだ。彼らは一種のゴーレムなのだよ」
カメルは声をあげそうになった。自律行動できるゴーレムの中央には、人格核がある。生きた市民の人格を写しとって、番犬のように使っているのか? 半永久的に?
「カメル、違うぞ」
カメルの盟友とも言えるアレスが気づき、この「非人道的な」行いの補足をした。
「全員、志願した者たちだ。戦いで命を落とした兵士や、引退後に亡くなった魔法学校の教師たち。彼らが死のまぎわにこの『寝ずの番』を志願してくれたんだ。自分が亡くなった後も、家族や友人、この街で暮らす人々を守りたいと願って……。尊敬に値する人たちだよ」
カメルはアレスを見やり、それからティーボグを見た。
「それで、彼らがこの苦行めいた、敵を監視する日々にうんざりしたらどうするんだ?」
ティーボグは興味のない話に応じるときに見せる、事務的な顔つきになる。
「彼らが望めばいつでも『終わらせる』ことはできる。あるいは、ゴーレム剣士として前線に復帰した戦士もいたな。退屈な見張りよりも、戦いが性に合っていると言って」
それを聞いて、カメルの気持ちは少し安堵した。
◆還らずの森。
魔法学校が街の北東部に位置する理由はもうひとつあると、ティーボグは言う。
チャマイにとってのもうひとつの脅威……それは還らずの森に住む吸血鬼たちだ。
彼らはその高い身体能力を活かして、夜陰に乗じて街壁を越えようとするという。
「おそらくは監視をくぐり抜けて、チャマイに潜入した者もいるだろう。長期的にみれば、アリ人たちよりも彼らのほうがよほど恐ろしい。都市内に潜伏して、狡猾に仲間を増やして、いつか……。」
ティーボグはそれ以上を語らず、屋上から一望できるチャマイの街並みを指差した。
「私は古いものが好きだ、この街が好きだ。研究によれば、生命ノードの放射を浴びた私は、エルフよりも長い寿命をもっているらしい。すでに数百年を生きてきた私は……私の心は年とともに輝きを失った。かつてそうだったような新鮮な驚きを、心に抱くことはもうない」
なんと答えたらいいか分からず、カメルは黙っている。
「だが、この街は私が若かった頃を思い出させてくれる。私にとって本当に価値あるものは、魔法の神秘でも、【善の種族】たちの{ルビ:あんねい}安寧でもない」
ティーボグはアレスに視線を向ける。
「アレス、あなたへの愛と、この街だ。あとは、6人の賢者たちの行く末だな。アルキア。ユア。イルホーキ。ザスカル。オルヒ。アローシェ。みんな優秀だが……不完全な弟子たちだ。欠けているところよりも、持っているものを数えるほうが早いだろう。秀でた魔法の才以外には、ほとんど何もない者ばかり」
そう言ったティーボグはクルクルとおどるようにまわり、楽しそうな声で笑う。
「だからこそ、私たちは何かを成すことができる。他に依りどころなどなく、お互いをかけがえのない仲間だと、知っているから。この命が尽きるまで、私は戦うよ」
彼女がそんな風に感情をあらわにするのを、カメルは初めて見た。
◆堕落都市へ。
伴侶であるティーボグとの再会を果たした盟友アレスは、ポロメイアからはじまった長い旅をこのチャマイで終える。
カメルとアレスの、別れの時が近づいていた。
「気をつけて行けよ」
「ああ、ありがとう」
惜別の情は尽きなくとも、それぞれの道を行く時は来る。
カメルはラクダに乗り、いつまでも見送る2人の友人をときどき振り返りながら、やがて前だけを向き、進んでいく。
古く、美しくたたずむチャマイの街をあとにして。
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編集: 水波流、葉山海月、中山将平
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2025年4月19日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第636号 FT新聞 No.4469
From:水波流
読んだら終わってしまうから、とめちゃくちゃ大事に取っておいた、小市民シリーズ最終巻『冬季限定ボンボンショコラ事件』(米澤穂信)を読み始める。
ゆっくり読もうと思って、1日に1章ずつと制限を課してみた。全12章なので、約2週間は楽しめることに。
from:葉山海月
学生だった頃のサークルから、前置きもなしに文集が送られてくる。
「印刷費など雑費がかかった。2000円請求いたします」
これって一種の送り付け詐欺!?
from:中山将平
僕ら5月11日(日)東京ビッグサイトで開催の「文学フリマ東京40」にサークル参加する予定です!
3月4月に結局参加イベントがなかったので、久しぶりのイベント参加となります。
お近くの方はぜひ遊びにお越しいただけましたら。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4/13(日)~4/18(金)の記事一覧
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2025年4月13日(日) 杉本=ヨハネ FT新聞 No.4463
アランツァクリーチャー事典 Vol.15
・本日はローグライクハーフ関連記事をお送りいたします。
アランツァクリーチャー事典の第15回。今回のジャンルは『怪物』!
ファンタジー世界にはお馴染みの、バジリスクやメデューサたち。異形なる怪物。
先月に続きまして、後編です。
どうぞお楽しみ下さいませ。
2025年4月14日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4464
☆5月配信作品の告知☆
・ヨハネ氏が今、激筆している作品。
それが『昆虫都市forローグライクハーフ』
ヨハネ氏が好きなモチーフ。
ネコ。きのこ。かえるに『昆虫』
それをモチーフとした『昆虫都市』
一度は中座した幻の作品が、「ローグライクハーフ」というアイディアを得て、今、熱くよみがえります!?
その辺のエピソードを知りたい方、ぜひ本記事を!
2025年4月15日(火) かなでひびき FT新聞 No.4465
これはゲームブックなのですか!? vol.118
・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。
今回紹介するものは、『裏のハローワーク』(草下シンヤ 著 彩図社)
「マグロ漁船乗組員」から、「詐欺師」まで。
カタギさんなら一歩たじろぐ職業を、ずらり20種も並べております。
裏稼業な世界観を出したい人にも、そして「こんな世界があったんだ!」と驚嘆したい方にもオススメ!
2025年4月16日(水) ぜろ FT新聞 No.4466
第7回【戦場の風】ゲームブックリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第434回をお届けしました。
今回挑戦する作品は、丹野佑・著『戦場の風』です。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
前回に引き続き、不退転な王女の決心を変えるぺく、ウォーレンは進言しますが……
吉と出るか凶と出るか?
聖堂の司祭に合言葉を伝え、王女のもとへ案内してもらおう。
「ひとつだけ、いいですか」
コーデリア王女が潜伏する地下への階段を下りようとした俺に、司祭が質問を投げかけてきた。
「この戦い、大勢は決したように思えます。それなのに、あなたがたはずいぶん勝敗にこだわっているように思えます。あなたはなぜここへ来たのですか?」
・最悪の負け方を避けるため
・いつか勝つため
さぁ、この答えを皮切りに、大きく運命は変わっていくようですが……。
どう切り返しましょうか?
続きは本編で!
2025年4月17日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4467
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.29
・岡和田晃氏による、新しく楽しい読み物満載な「SF Prologue Wave」とのコラボ企画記事です。
手品のおじさんのところへ行こう。
シンイチは学校から帰る途中、あざやかな色合いのコンビニのわきを通りながら決意した。
シンイチが3年生になった今年の春から、近くを流れる大きな川沿いに現れるようになった。子どもたちに人気のおじさんだった。
最初にそのおじさんに気づいたのは、入学のときからの友だちのショウゾウだった。
(本文一部抜粋)
今回お届けする作品は、市川大賀氏の、『光の国と魔法とおじさんと』(1)です。
古き良き不思議世界に、どうぞいざなわれてください!
2025年4月18日(金) 休刊日 FT新聞 No.4468
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(忍者福島さん)
美しい銭の蝶がクワニャウマらしくて良いかもしれませんね(笑)
(忍者福島さん):
善悪じゃなくて金銭で物事を語るクワニャウマ、筋が通っててカッコイイ・・・かどうかはさておき(笑)キャラがしっかり立っててシリアスな展開にも対応してていいですね〜。
ところどころ金に換算して会話してるのも、解りやすくシリアスな雰囲気と守銭奴なキャラの両立で読んでで面白かったです。
そしてゲルダも「知っているのかゲルダ」でしたか(ミン・メーショ・ボーの出典はなかったですが・笑)
(お返事:齊藤飛鳥)
感想だけでなく前回のリプライも下さって、ありがとうございますm(_ _)m
『常闇の伴侶』にて、イェリクの重い問いかけに対し、クワニャウマが茶化すのは論外ですし、さりとて急に極端に賢くなるのも違和感があるので、IQ調節をした甲斐がありました!ありがとうございます^^♪
本家でも、雷電以外に伊達や月光、死天王が解説していることがあり、雷電とは微妙に異なる解説を披露してくれていたことへのオマージュも兼ね、ゲルダの解説にはミン・メーショ・ボーはお休みです(笑) (本当は、隣の住民の名前はタイ・コーボ・ショリーンさんにしようと思いましたが、自重)
(ジャラル アフサラールさん)
蟹かマグロかどっちがいい?というヤの付く自由業の人が選択させるのはありますね。ちなみに『こちら亀有公園前派出所』で両津巡査は蟹漁師したし、マグロ販売もしていましたね。巡査が裏商売してもいいんでしょうか(笑)。
(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます!!
対象が女性ならば、ここでケンエツタイショーになるお仕事の選択肢もゲフンゲフン!
両津巡査のことは、それでいいんじゃないんでしょうか?
なにせあの両津巡査だし(笑)
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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3月4月に結局参加イベントがなかったので、久しぶりのイベント参加となります。
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ファンタジー世界にはお馴染みの、バジリスクやメデューサたち。異形なる怪物。
先月に続きまして、後編です。
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2025年4月15日(火) かなでひびき FT新聞 No.4465
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2025年4月16日(水) ぜろ FT新聞 No.4466
第7回【戦場の風】ゲームブックリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第434回をお届けしました。
今回挑戦する作品は、丹野佑・著『戦場の風』です。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
前回に引き続き、不退転な王女の決心を変えるぺく、ウォーレンは進言しますが……
吉と出るか凶と出るか?
聖堂の司祭に合言葉を伝え、王女のもとへ案内してもらおう。
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手品のおじさんのところへ行こう。
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2025年4月18日金曜日
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2025年4月17日木曜日
「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.29 FT新聞 No.4467
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「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.29
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●はじめに(岡和田晃)
時代を元号で区切るのはナンセンスですし、そもそも元号というのは天皇制と密接に関わっているという意味で、なかなかに厄介な問題を孕みます。
とはいえ、「昭和」の感覚、という言葉がピッタリと嵌まる事例があるのは確かでしょう。すべてが無機質、冷笑的でうわべだけの「正しさ」に汲々としている、そのような「令和」の感覚とは真逆のアツさ、アナログな感覚があった時代であります。
仮面ライダーがわかりやすいかもしれません。「昭和」と「平成」が、もうまったく異なりますよね。
怪獣映画、少年漫画、古き良き「昭和」の泥臭さを湛えた逸品、「光の国と魔法とおじさんと」を分割掲載していきます。もはやフィクションのなかで回想するしかないのか? そんな問いにも答えてくれるかもしれません。
まずは作品から読んでみてください。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
オリジナル小説「光の国と魔法とおじさんと 」(1)
市川大賀
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手品のおじさんのところへ行こう。
シンイチは学校から帰る途中、あざやかな色合いのコンビニのわきを通りながら決意した。
シンイチが3年生になった今年の春から、近くを流れる大きな川沿いに現れるようになった。子どもたちに人気のおじさんだった。
最初にそのおじさんに気づいたのは、入学のときからの友だちのショウゾウだった。
川原でサッカーをしていたときのことだ。そのおじさんに気付いたのだ。
「おじさん、ほーむれすっていう人?」
ショウゾウがそうたずねると、おじさんはこまったように笑ってみせた。
確かに川原に座ってぼんやり空をながめているおじさんには、自分のパパにある、どこかいつもいそがしそうにしているふんいきがないなと、シンイチは思った。
しかし、シンイチは以前、ママといっしょに大きな駅で本物のホームレスを見たことがあった。
そういう人たちとも違う、シンイチはなんとなく思った。
「どこから来たの」
「ここで何をしているの」
サッカーをやっていた仲間はみんな集まってきて、口々に質問をおじさんにあびせた。
「わかった、わかった」
おじさんはそう言いながら立ち上がり、シンイチたちに向けて手を伸ばした。
握手をするように差し出されたその手は、ゆっくりとにぎりしめられ、そして、やがてひろげられたその手からは、けむりのように紫の光が立ちあがった。
「うわぁ」
子どもたちは静かに声をあげ、息をのんでその光を見守った。
紫の光は淡くかがやきながら、おじさんの頭の上くらいまでのぼり、弱く消えていった。
「すげぇ!」
光が消えたのを合図のように、子どもたちがさわぎはじめた。
「今の何!? おじさん、今、何をやったの? どうしたの!」
「ねぇ見せて! もう一回見せて!」
おじさんは、さっきよりこまった顔になった。
でも笑っていた。シンイチには確かに、おじさんは笑っていたように見えた。
「これはね」おじさんが口を開いた。「いつでもすぐできる手品じゃないんだよ。今は特別に、やってみせたんだよ」
でも、シンイチの友だちのミキもケイもおじさんの言葉なんか聞かなかった。
「やってみせて!」「もっと見せて!」子どもたちはおじさんのそでを引っぱった。
「しかたないなぁ……」
まんざらでもない笑顔で応えるおじさん。
おじさんは、今度は空に向けて人差し指をさすと、じっと指先を見つめはじめた。
「見ていてごらん……。指の先の空……あの雲を」
おじさんの指先を見つめていたみんなの目が、ゆうどうされるように同時に空をむく。
その指の先では、青空の中に浮かぶ雲が動き始めていた。
「え……! 雲が……動いてるよ、あんなに早く!」
「動いてるっていうか、集まってる、雲が……」
ケイの言うとおりだった。
おじさんの指の先に広がる空では、雲がモクモクと動き始め、それらが一つになって、大きな生き物のようなかたちになりつつあった。
「ホラ、見てごらん。アレは何に見えるかな?」
指先に神経を集中しながら、おじさんが子どもたちに言った。
ウシ、ゾウ、クマ、口々に動物の名前をさけぶ子どもたち。
「バルドキング! ……違うな、ゴズラかな?」
クラスの中でも怪獣博士で通っていたショウゾウが、次々に怪獣の名前を口にした。
ぼくにはギャレスドンに見えるな……シンイチはそう思ったが言葉にはしなかった。
「怪獣か」ショウゾウの言葉をきいたおじさんがにやっと笑った。
「では、怪獣っていうことにしよう。ホラ、怪獣だよ!」
おじさんが声を上げると、雲が集まってできた怪獣が、両うでを振り上げて口を大きく開けた。
シンイチは、それが雲だとわかっているのに、その怪獣の口から炎が出るのではないかと、反射的に身構えてしまった。
「次は何!? 何を次は見せてくれるの!?」
ミキが目をきらきらと輝かせて声をはりあげた。
おじさんは、少し疲れた顔で息を荒げさせていたが、少し深呼吸をすると、汗をぬぐって笑顔で振り向いた。
「おじさんの手品は、タネを仕込まなきゃいけないからなぁ。
次に会うときは、もっとおもしろい手品を見せてあげるから、また今度おいで」
「ここにいるの?」
シンイチも気になっていたことをミキがたずねると、おじさんはうんとうなずいた。
だからその日はかいさんになった。
結局ケイのチームとのサッカーは、途中でうやむやになってしまったが、帰り道では誰一人として、そのことを口にすることはなかった。
みんなの胸の中は、次はどんな手品を見せてもらえるのだろうと、その期待でいっぱいだった。
その日、シンイチはベッドの中に入っても、紫の光や雲の怪獣が忘れられなかった。
それがシンイチたちと手品のおじさんの出会いだった。
コンビニの角を曲がると、ちょうど買い物に出かけていたママと出くわした。
「アラ、シンイチは今帰り?」
ママは買い物のビニール袋をママチャリのカゴに入れながら言った。
寄り道をする予定だったシンイチは、ちょっとバツが悪かった。
「手品のおじさんのところに寄るんだ」
ママが一緒にいる以上、帰るマンションは同じであり、しょせん寄り道はバレてしまう。
だったら先に、自分から言ってしまう方が止められにくいと、シンイチは子どもなりに知恵をはたらかせて自分から言い出した。
「テジナノオジサン? なぁに、それ」
ママは眉を少し上げながら笑ってオウム返しをして来た。
シンイチは、そうだ! あのおじさんの手品なら、きっとママもびっくりするぞと考え、その魅力をママに伝えようと説明を始めた。
すごいんだ。指の先から光が出るんだ。雲が怪獣になるんだ。
今日はもっとすごい手品を見せてくれるんだ。
シンイチが必死に説明すればするほど、ママはまゆつばな表情になっていく。
「いいから、ママも一回でいいからおじさんの手品を見てよ!」
いつの間にかシンイチの目的は、寄り道の正当化ではなく、ママにおじさんの手品を見せることにすりかわっていた。
シンイチは、自分のあのときの感動が、本当のものであることを信じたかった。
しかし、そのすばらしさを言葉にすればするほど、ウソのように聞こえてしまう。
言葉にしたとたん、自分が見たはずの奇跡が、安っぽい絵本やアニメの魔法のように思えてしまうのだ。
ママのその表情も、シンイチの自己嫌悪を加速させた。
見てもらうしかない、見せるしかない、ママにあのおじさんの手品を見せるしかないんだ。
シンイチはすでにそう決心していた。
ママがついてくると納得するまで、テコでも動かないいきおいだった。
ママは、やれやれといった顔でシンイチを見守る。
やがて川原の一角にとうちゃくしたところで
「ママ! ここだよ! ホラあそこにいるのが手品のおじさんだよ!」
そうさけんで川原にたたずむ中年を指差し、そして一気にかけだしていた。
「しかたないなぁ、もう」
ママはそうつぶやいて、ママチャリのスタンドを立てて停車させる。
ためいきをつきながら、軽く傾斜がついた川原をおりはじめると、すでにその「手品のおじさん」の周囲には、いくらかの子どもたちが集まっているのがわかった。
「おじさん! なんか見せてよ! こないだみたいな、すっごいやつ!」
先に来ていたショウゾウが、おじさんに向かってはやし立てていた。
見ると、同じようにショウゾウにさそわれて来たのだろう、ショウゾウのママも来ていた。
「あらあら、あなたも?」
シンイチのママが苦笑して声をかける。
「ママも見てよってきかないのよ。今月、パパが残業少ないから早く帰って来るんで、この時間は忙しいのに、困っちゃうわよねぇ」
苦笑いでほほえみ返すショウゾウのママ。
「ママ! 見て見て! ホラすごいよ!」
シンイチの声に振り向いた二人のママが見たのは……。
「すっげぇ! やっぱ、おじさんすごいよ!」
おじさんが右手の指で作った輪っかから、たくさんの光のリングがはなたれて、子どもたちのまわりを、円を描きながら飛び回っている状況だった。
「やだ……ねぇ見てよ、アレどうなってるの?」
「わからない……でもすごい」
二人のママはその奇跡の手品を見て、まるで小学生のように目を見開いた。
常識じゃない、でもどこかに手品のタネがあるのだろう。
これは、今こんな川原の草っぺりで見ているから、ことさらすごく目にうつるだけで、テレビの画面の中で見たら、きっとありきたりの手品なんだろう。
二人のママは、言葉にこそ出さなかったが、そう思い込むことで自分の中の常識を守りぬいた。
「すごいすごい!」
シンイチやショウゾウがはしゃぐ中、光のリングは宙を舞い続けた。
おじさんは、ひたいからたくさんの汗を流しつつも、笑顔をくずさずに光のリングを生み出し続けた。
子どもたちはその光の舞いに沸き立ち、ママ二人は立ち尽くして光を見つめていた。
「もっとやって! もっとやってよ、おじさん!」
シンイチがキラキラした目でおじさんにつめ寄る。
「ちょ……シンイチ……」
シンイチのママが止めかけたが、その目はやはり期待に光り、おじさんの反応をうかがっていた。
「わかったよ。とっておきのを見せてあげよう」
少し深呼吸をしたおじさんは、着ていたスーツのふところに片手を差し入れた。
いっしゅん気合を入れ、さっと抜き出す。
その手には、小さくしぼんだ、様々な色の風船がにぎられていた。
「風船……?」
きょとんとした表情で、見つめるシンイチ。
おじさんがエネルギーを込めるように手をかざした、風船はまたたく間にふくらんでいった。
「すげぇ! ふくらんでる!」
ショウゾウが前のめりになって風船を見つめる。シンイチは息をのんだ。
「ねぇねぇ」シンイチのママがショウゾウのママに語りかけた。「あれってどう思う?」
「うーん」ショウゾウのママも楽しそうだった。「スーツのそでにボンベのパイプを仕込む?」
二人のママと、何人かの子どもたちが必死に目をこらして見ても、タネはわからなかった。
そうしているうちに、みるみる風船はふくらみ、やがておじさんの手を離れ、全てが空へ舞い上がった。
「あぁあ……風船がぁ」
シンイチが思わず残念そうな声をあげてしまう。
それを見ていたおじさんは「これからだよ、見ていてごらん」そう言うと、なんと空へ浮かび上がり始めた。
「え!?」
その場にいた誰もがおどろいた。子どもも大人も、信じられない光景に目を丸くした。
全員がおどろいて固まる中、おじさんは空をすいすいとすべるように飛びまわり、舞い上がった全ての風船をつかみ取り、そしてやがて着地した。
「いったい……何がどうなってるんだ?」
ショウゾウの言葉に、はっきりとした答えを出してあげられることが誰にもできない。
二人のママも、自分の目が信じられないという表情でフリーズしていた。
「さぁ」おじさんは、つかみ取った風船を子どもたちに差し出した。「今日はここまでだよ。風船をあげるから、今日はこれでおしまいにしよう」
おっかなびっくりで、風船を受け取る子どもたち。
それを見ていたシンイチのママは「すごい……感動しちゃった」と言い、おじさんの前に一歩踏み出した。
「あなたすごいじゃないですか! そこいらの自称超能力者マジシャンなんかよりすごい! 今の飛行マジックなんて、ぜんぜんタネがわからなかった! でもすごい! すごいわ!」
「ありがとうございます」
おじさんは本当にうれしいんだなと、その表情を見ていたシンイチは思った。
けど、ママの方はテンションが上がりっぱなしになったようだった。
そんなママはシンイチそこのけで、「すごい」を連発してこうふんしていた。
「あなた、実はさぞかし名のあるマジシャンなんでしょう? どうしてこんなところにいるんですか? っていうか、どこに住んでらっしゃるの? どうしてここにいらっしゃったんですか? これってテレビでも見られるんですか?」
やれやれだなぁとシンイチは思い、ちょっとはずかしくなった。
おじさんは困ってる。理由はわからなくてもそう感じとったシンイチは
「おじさんはもう疲れてるんだよ。ママだって買い物の帰り途中だったじゃないか。だからもう帰ろうよ、今日はもうおしまいだって、おじさんも言ってたじゃないか」
そう言ってママの手首を引いた。
なごりおしそうにするママの背中を押して、川原の土手を上がる。
他の子たちも解散していく中、ふっと振り返ると、おじさんは小さく手をふっていた。
「ばいばい、またね」
シンイチはそうつぶいて、ママの背中を押す片手を使って、おじさんに振った。
シンイチは、ちょっと毎日が楽しくなる気分を感じていた。
次の日の夕方も、シンイチとショウゾウはママといっしょにおじさんの手品を楽しんだ。
今度はおじさんは、まだ子どものノラ犬をあやして、いろんな動物のなき声を出させて操ってみせた。
ゾウ、ネコ、サル、どんな動物の名前がリクエストされても、おじさんがちょいちょいと子犬の鼻をなでると、子犬の口からはその動物のなき声が出た。
「すごい、すごい!」
まったくママは「すごい」しか言わないんだな。
シンイチはおじさんの手品に夢中になりつつも、ママのそんな反応に肩をすくめていた。
今日は、うわさを聞きつけたどこかの大学の、手品研究会のお兄さんも来ていて、しきりにおじさんの手品を観察しながら、「これは高度だぞ」「こんな見せ方は今まで見たことがない」などなど、一人でぶつぶつ呟いては、感心し続けて帰っていった。
「本当、あのおじさんすごいね!」
その日の夕方の帰り道、ママはまるで子ども見たいな口調でシンイチに話しかけた。
「シンイチは手品好き?」
「うん、大好きになったよ」
「いいよねぇ。あそこの川原で手品見せてもらってる時間、まるで夢みたいだもんね」
夢か……。
シンイチはその言葉の意味を、夜に眠ってる間に見る夢のことだと受け取った。
そうだね、ふわふわしていて、本当っぽくなくて、終わるとすとんと地面に降りる感覚があって、本当に夢みたいだ、そんな風にママの言葉を思いかえした。
土曜日。
ママはパパのゴルフの準備をしてあげなくてはいけなかったので、シンイチは一人で川原へ行くことになった。
「おじさんがどんな手品でどんなことをやってくれたのか、あとでちゃんと教えてよ! ぜったいだからね! 約束だからね!」
ママはこういうときは本当に、クラスの女子よりも子どもだな、とシンイチは思った。
シンイチは、ようやく補助輪なしで乗れるようになった自転車をこいで川原へ向かった。
今日は一等賞だった。誰もいなかった。
変だなとは思ったが、おじさんはいつも通りだったので、それ以上は気にしないようにした。
「おじさん! 来たよ!」
「やあシンイチ君、今日は早いね」
おじさんは、川原に座って川面を見つめていた。
シンイチは、おじさんが手品をするたびにとても疲れてしまうのを知っていたから、みんながそろってからにしようと思った。
【つづく】
初出:「SF Prologue Wave」
https://prologuewave.club/archives/9780
※リンク先では、蓮鯉氏の素敵なイラストも鑑賞することができます。
市川大賀(いちかわ・たいが)
1966年生れ。少年時代からSFをこよなく愛し、1980年には同人誌「ざ・にゅうたいぷ」で円谷プロと新井素子さんのロングインタビューを行った。本名で監督した自主映画『異端者探偵局』(1985年)には新井素子さんも出演。
大学在学中から東映・松竹を中心に映画やドラマの助監督・制作進行の仕事に多数関わり、「宇宙船」1986年12月号掲載『ア・ホーマンス』(狩撫麻礼原作、松田優作監督)紹介記事を皮切りに、プロとしてのライター活動も開始。『このゲームがすごい! プレイステーション編』(宝島社、1997年)に〈スーパーロボット大戦〉論(「スパロボマスター」名義)、平井和正『ウルフガイ・イン・ソドム』(ハルキ文庫、2000年)の解説(本名)を担当するなどした。
近年は舞台の企画・脚本やウェブサイトの構成、増井公二監督の映画『ロリさつ』(2016年)のプロジェクト・コーディネーターをつとめた。著書に、評論集『スマホ・SNS時代の多事争論 令和日本のゆくえ』(日本地域社会研究所、2020年)、伝奇小説『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』(ネクパブ、2022年)。
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●はじめに(岡和田晃)
時代を元号で区切るのはナンセンスですし、そもそも元号というのは天皇制と密接に関わっているという意味で、なかなかに厄介な問題を孕みます。
とはいえ、「昭和」の感覚、という言葉がピッタリと嵌まる事例があるのは確かでしょう。すべてが無機質、冷笑的でうわべだけの「正しさ」に汲々としている、そのような「令和」の感覚とは真逆のアツさ、アナログな感覚があった時代であります。
仮面ライダーがわかりやすいかもしれません。「昭和」と「平成」が、もうまったく異なりますよね。
怪獣映画、少年漫画、古き良き「昭和」の泥臭さを湛えた逸品、「光の国と魔法とおじさんと」を分割掲載していきます。もはやフィクションのなかで回想するしかないのか? そんな問いにも答えてくれるかもしれません。
まずは作品から読んでみてください。
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オリジナル小説「光の国と魔法とおじさんと 」(1)
市川大賀
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手品のおじさんのところへ行こう。
シンイチは学校から帰る途中、あざやかな色合いのコンビニのわきを通りながら決意した。
シンイチが3年生になった今年の春から、近くを流れる大きな川沿いに現れるようになった。子どもたちに人気のおじさんだった。
最初にそのおじさんに気づいたのは、入学のときからの友だちのショウゾウだった。
川原でサッカーをしていたときのことだ。そのおじさんに気付いたのだ。
「おじさん、ほーむれすっていう人?」
ショウゾウがそうたずねると、おじさんはこまったように笑ってみせた。
確かに川原に座ってぼんやり空をながめているおじさんには、自分のパパにある、どこかいつもいそがしそうにしているふんいきがないなと、シンイチは思った。
しかし、シンイチは以前、ママといっしょに大きな駅で本物のホームレスを見たことがあった。
そういう人たちとも違う、シンイチはなんとなく思った。
「どこから来たの」
「ここで何をしているの」
サッカーをやっていた仲間はみんな集まってきて、口々に質問をおじさんにあびせた。
「わかった、わかった」
おじさんはそう言いながら立ち上がり、シンイチたちに向けて手を伸ばした。
握手をするように差し出されたその手は、ゆっくりとにぎりしめられ、そして、やがてひろげられたその手からは、けむりのように紫の光が立ちあがった。
「うわぁ」
子どもたちは静かに声をあげ、息をのんでその光を見守った。
紫の光は淡くかがやきながら、おじさんの頭の上くらいまでのぼり、弱く消えていった。
「すげぇ!」
光が消えたのを合図のように、子どもたちがさわぎはじめた。
「今の何!? おじさん、今、何をやったの? どうしたの!」
「ねぇ見せて! もう一回見せて!」
おじさんは、さっきよりこまった顔になった。
でも笑っていた。シンイチには確かに、おじさんは笑っていたように見えた。
「これはね」おじさんが口を開いた。「いつでもすぐできる手品じゃないんだよ。今は特別に、やってみせたんだよ」
でも、シンイチの友だちのミキもケイもおじさんの言葉なんか聞かなかった。
「やってみせて!」「もっと見せて!」子どもたちはおじさんのそでを引っぱった。
「しかたないなぁ……」
まんざらでもない笑顔で応えるおじさん。
おじさんは、今度は空に向けて人差し指をさすと、じっと指先を見つめはじめた。
「見ていてごらん……。指の先の空……あの雲を」
おじさんの指先を見つめていたみんなの目が、ゆうどうされるように同時に空をむく。
その指の先では、青空の中に浮かぶ雲が動き始めていた。
「え……! 雲が……動いてるよ、あんなに早く!」
「動いてるっていうか、集まってる、雲が……」
ケイの言うとおりだった。
おじさんの指の先に広がる空では、雲がモクモクと動き始め、それらが一つになって、大きな生き物のようなかたちになりつつあった。
「ホラ、見てごらん。アレは何に見えるかな?」
指先に神経を集中しながら、おじさんが子どもたちに言った。
ウシ、ゾウ、クマ、口々に動物の名前をさけぶ子どもたち。
「バルドキング! ……違うな、ゴズラかな?」
クラスの中でも怪獣博士で通っていたショウゾウが、次々に怪獣の名前を口にした。
ぼくにはギャレスドンに見えるな……シンイチはそう思ったが言葉にはしなかった。
「怪獣か」ショウゾウの言葉をきいたおじさんがにやっと笑った。
「では、怪獣っていうことにしよう。ホラ、怪獣だよ!」
おじさんが声を上げると、雲が集まってできた怪獣が、両うでを振り上げて口を大きく開けた。
シンイチは、それが雲だとわかっているのに、その怪獣の口から炎が出るのではないかと、反射的に身構えてしまった。
「次は何!? 何を次は見せてくれるの!?」
ミキが目をきらきらと輝かせて声をはりあげた。
おじさんは、少し疲れた顔で息を荒げさせていたが、少し深呼吸をすると、汗をぬぐって笑顔で振り向いた。
「おじさんの手品は、タネを仕込まなきゃいけないからなぁ。
次に会うときは、もっとおもしろい手品を見せてあげるから、また今度おいで」
「ここにいるの?」
シンイチも気になっていたことをミキがたずねると、おじさんはうんとうなずいた。
だからその日はかいさんになった。
結局ケイのチームとのサッカーは、途中でうやむやになってしまったが、帰り道では誰一人として、そのことを口にすることはなかった。
みんなの胸の中は、次はどんな手品を見せてもらえるのだろうと、その期待でいっぱいだった。
その日、シンイチはベッドの中に入っても、紫の光や雲の怪獣が忘れられなかった。
それがシンイチたちと手品のおじさんの出会いだった。
コンビニの角を曲がると、ちょうど買い物に出かけていたママと出くわした。
「アラ、シンイチは今帰り?」
ママは買い物のビニール袋をママチャリのカゴに入れながら言った。
寄り道をする予定だったシンイチは、ちょっとバツが悪かった。
「手品のおじさんのところに寄るんだ」
ママが一緒にいる以上、帰るマンションは同じであり、しょせん寄り道はバレてしまう。
だったら先に、自分から言ってしまう方が止められにくいと、シンイチは子どもなりに知恵をはたらかせて自分から言い出した。
「テジナノオジサン? なぁに、それ」
ママは眉を少し上げながら笑ってオウム返しをして来た。
シンイチは、そうだ! あのおじさんの手品なら、きっとママもびっくりするぞと考え、その魅力をママに伝えようと説明を始めた。
すごいんだ。指の先から光が出るんだ。雲が怪獣になるんだ。
今日はもっとすごい手品を見せてくれるんだ。
シンイチが必死に説明すればするほど、ママはまゆつばな表情になっていく。
「いいから、ママも一回でいいからおじさんの手品を見てよ!」
いつの間にかシンイチの目的は、寄り道の正当化ではなく、ママにおじさんの手品を見せることにすりかわっていた。
シンイチは、自分のあのときの感動が、本当のものであることを信じたかった。
しかし、そのすばらしさを言葉にすればするほど、ウソのように聞こえてしまう。
言葉にしたとたん、自分が見たはずの奇跡が、安っぽい絵本やアニメの魔法のように思えてしまうのだ。
ママのその表情も、シンイチの自己嫌悪を加速させた。
見てもらうしかない、見せるしかない、ママにあのおじさんの手品を見せるしかないんだ。
シンイチはすでにそう決心していた。
ママがついてくると納得するまで、テコでも動かないいきおいだった。
ママは、やれやれといった顔でシンイチを見守る。
やがて川原の一角にとうちゃくしたところで
「ママ! ここだよ! ホラあそこにいるのが手品のおじさんだよ!」
そうさけんで川原にたたずむ中年を指差し、そして一気にかけだしていた。
「しかたないなぁ、もう」
ママはそうつぶやいて、ママチャリのスタンドを立てて停車させる。
ためいきをつきながら、軽く傾斜がついた川原をおりはじめると、すでにその「手品のおじさん」の周囲には、いくらかの子どもたちが集まっているのがわかった。
「おじさん! なんか見せてよ! こないだみたいな、すっごいやつ!」
先に来ていたショウゾウが、おじさんに向かってはやし立てていた。
見ると、同じようにショウゾウにさそわれて来たのだろう、ショウゾウのママも来ていた。
「あらあら、あなたも?」
シンイチのママが苦笑して声をかける。
「ママも見てよってきかないのよ。今月、パパが残業少ないから早く帰って来るんで、この時間は忙しいのに、困っちゃうわよねぇ」
苦笑いでほほえみ返すショウゾウのママ。
「ママ! 見て見て! ホラすごいよ!」
シンイチの声に振り向いた二人のママが見たのは……。
「すっげぇ! やっぱ、おじさんすごいよ!」
おじさんが右手の指で作った輪っかから、たくさんの光のリングがはなたれて、子どもたちのまわりを、円を描きながら飛び回っている状況だった。
「やだ……ねぇ見てよ、アレどうなってるの?」
「わからない……でもすごい」
二人のママはその奇跡の手品を見て、まるで小学生のように目を見開いた。
常識じゃない、でもどこかに手品のタネがあるのだろう。
これは、今こんな川原の草っぺりで見ているから、ことさらすごく目にうつるだけで、テレビの画面の中で見たら、きっとありきたりの手品なんだろう。
二人のママは、言葉にこそ出さなかったが、そう思い込むことで自分の中の常識を守りぬいた。
「すごいすごい!」
シンイチやショウゾウがはしゃぐ中、光のリングは宙を舞い続けた。
おじさんは、ひたいからたくさんの汗を流しつつも、笑顔をくずさずに光のリングを生み出し続けた。
子どもたちはその光の舞いに沸き立ち、ママ二人は立ち尽くして光を見つめていた。
「もっとやって! もっとやってよ、おじさん!」
シンイチがキラキラした目でおじさんにつめ寄る。
「ちょ……シンイチ……」
シンイチのママが止めかけたが、その目はやはり期待に光り、おじさんの反応をうかがっていた。
「わかったよ。とっておきのを見せてあげよう」
少し深呼吸をしたおじさんは、着ていたスーツのふところに片手を差し入れた。
いっしゅん気合を入れ、さっと抜き出す。
その手には、小さくしぼんだ、様々な色の風船がにぎられていた。
「風船……?」
きょとんとした表情で、見つめるシンイチ。
おじさんがエネルギーを込めるように手をかざした、風船はまたたく間にふくらんでいった。
「すげぇ! ふくらんでる!」
ショウゾウが前のめりになって風船を見つめる。シンイチは息をのんだ。
「ねぇねぇ」シンイチのママがショウゾウのママに語りかけた。「あれってどう思う?」
「うーん」ショウゾウのママも楽しそうだった。「スーツのそでにボンベのパイプを仕込む?」
二人のママと、何人かの子どもたちが必死に目をこらして見ても、タネはわからなかった。
そうしているうちに、みるみる風船はふくらみ、やがておじさんの手を離れ、全てが空へ舞い上がった。
「あぁあ……風船がぁ」
シンイチが思わず残念そうな声をあげてしまう。
それを見ていたおじさんは「これからだよ、見ていてごらん」そう言うと、なんと空へ浮かび上がり始めた。
「え!?」
その場にいた誰もがおどろいた。子どもも大人も、信じられない光景に目を丸くした。
全員がおどろいて固まる中、おじさんは空をすいすいとすべるように飛びまわり、舞い上がった全ての風船をつかみ取り、そしてやがて着地した。
「いったい……何がどうなってるんだ?」
ショウゾウの言葉に、はっきりとした答えを出してあげられることが誰にもできない。
二人のママも、自分の目が信じられないという表情でフリーズしていた。
「さぁ」おじさんは、つかみ取った風船を子どもたちに差し出した。「今日はここまでだよ。風船をあげるから、今日はこれでおしまいにしよう」
おっかなびっくりで、風船を受け取る子どもたち。
それを見ていたシンイチのママは「すごい……感動しちゃった」と言い、おじさんの前に一歩踏み出した。
「あなたすごいじゃないですか! そこいらの自称超能力者マジシャンなんかよりすごい! 今の飛行マジックなんて、ぜんぜんタネがわからなかった! でもすごい! すごいわ!」
「ありがとうございます」
おじさんは本当にうれしいんだなと、その表情を見ていたシンイチは思った。
けど、ママの方はテンションが上がりっぱなしになったようだった。
そんなママはシンイチそこのけで、「すごい」を連発してこうふんしていた。
「あなた、実はさぞかし名のあるマジシャンなんでしょう? どうしてこんなところにいるんですか? っていうか、どこに住んでらっしゃるの? どうしてここにいらっしゃったんですか? これってテレビでも見られるんですか?」
やれやれだなぁとシンイチは思い、ちょっとはずかしくなった。
おじさんは困ってる。理由はわからなくてもそう感じとったシンイチは
「おじさんはもう疲れてるんだよ。ママだって買い物の帰り途中だったじゃないか。だからもう帰ろうよ、今日はもうおしまいだって、おじさんも言ってたじゃないか」
そう言ってママの手首を引いた。
なごりおしそうにするママの背中を押して、川原の土手を上がる。
他の子たちも解散していく中、ふっと振り返ると、おじさんは小さく手をふっていた。
「ばいばい、またね」
シンイチはそうつぶいて、ママの背中を押す片手を使って、おじさんに振った。
シンイチは、ちょっと毎日が楽しくなる気分を感じていた。
次の日の夕方も、シンイチとショウゾウはママといっしょにおじさんの手品を楽しんだ。
今度はおじさんは、まだ子どものノラ犬をあやして、いろんな動物のなき声を出させて操ってみせた。
ゾウ、ネコ、サル、どんな動物の名前がリクエストされても、おじさんがちょいちょいと子犬の鼻をなでると、子犬の口からはその動物のなき声が出た。
「すごい、すごい!」
まったくママは「すごい」しか言わないんだな。
シンイチはおじさんの手品に夢中になりつつも、ママのそんな反応に肩をすくめていた。
今日は、うわさを聞きつけたどこかの大学の、手品研究会のお兄さんも来ていて、しきりにおじさんの手品を観察しながら、「これは高度だぞ」「こんな見せ方は今まで見たことがない」などなど、一人でぶつぶつ呟いては、感心し続けて帰っていった。
「本当、あのおじさんすごいね!」
その日の夕方の帰り道、ママはまるで子ども見たいな口調でシンイチに話しかけた。
「シンイチは手品好き?」
「うん、大好きになったよ」
「いいよねぇ。あそこの川原で手品見せてもらってる時間、まるで夢みたいだもんね」
夢か……。
シンイチはその言葉の意味を、夜に眠ってる間に見る夢のことだと受け取った。
そうだね、ふわふわしていて、本当っぽくなくて、終わるとすとんと地面に降りる感覚があって、本当に夢みたいだ、そんな風にママの言葉を思いかえした。
土曜日。
ママはパパのゴルフの準備をしてあげなくてはいけなかったので、シンイチは一人で川原へ行くことになった。
「おじさんがどんな手品でどんなことをやってくれたのか、あとでちゃんと教えてよ! ぜったいだからね! 約束だからね!」
ママはこういうときは本当に、クラスの女子よりも子どもだな、とシンイチは思った。
シンイチは、ようやく補助輪なしで乗れるようになった自転車をこいで川原へ向かった。
今日は一等賞だった。誰もいなかった。
変だなとは思ったが、おじさんはいつも通りだったので、それ以上は気にしないようにした。
「おじさん! 来たよ!」
「やあシンイチ君、今日は早いね」
おじさんは、川原に座って川面を見つめていた。
シンイチは、おじさんが手品をするたびにとても疲れてしまうのを知っていたから、みんながそろってからにしようと思った。
【つづく】
初出:「SF Prologue Wave」
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市川大賀(いちかわ・たいが)
1966年生れ。少年時代からSFをこよなく愛し、1980年には同人誌「ざ・にゅうたいぷ」で円谷プロと新井素子さんのロングインタビューを行った。本名で監督した自主映画『異端者探偵局』(1985年)には新井素子さんも出演。
大学在学中から東映・松竹を中心に映画やドラマの助監督・制作進行の仕事に多数関わり、「宇宙船」1986年12月号掲載『ア・ホーマンス』(狩撫麻礼原作、松田優作監督)紹介記事を皮切りに、プロとしてのライター活動も開始。『このゲームがすごい! プレイステーション編』(宝島社、1997年)に〈スーパーロボット大戦〉論(「スパロボマスター」名義)、平井和正『ウルフガイ・イン・ソドム』(ハルキ文庫、2000年)の解説(本名)を担当するなどした。
近年は舞台の企画・脚本やウェブサイトの構成、増井公二監督の映画『ロリさつ』(2016年)のプロジェクト・コーディネーターをつとめた。著書に、評論集『スマホ・SNS時代の多事争論 令和日本のゆくえ』(日本地域社会研究所、2020年)、伝奇小説『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』(ネクパブ、2022年)。
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2025年4月16日水曜日
第7回【戦場の風】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4466
第7回【戦場の風】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【戦場の風】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
ぜろです。
ゲームブック「戦場の風」のプレイを続けています。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。主人公リオンは、いかにして彼女に撤退の判断をしてもらえば良いのでしょうか。
……前回と、主人公の名前を変えただけでまったく同じあらすじなのでした。
【リオン 技術点10 体力点11/20 運点9】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料0
・馬
・ガーネット
・牛飼いの笛
・黒いコイン
●アタック05-2 リオンと司祭
俺は、コーデリア王女の密偵から、王女の所在を聞き出した。聖堂にいる、と。
聖堂の司祭に合言葉を伝え、王女のもとへ案内してもらおう。
「ひとつだけ、いいですか」
コーデリア王女が潜伏する地下への階段を下りようとした俺に、司祭が質問を投げかけてきた。
「この戦い、大勢は決したように思えます。それなのに、あなたがたはずいぶん勝敗にこだわっているように思えます。あなたはなぜここへ来たのですか?」
・最悪の負け方を避けるため
・いつか勝つため
ここだ。
前回俺は、「いつか勝つため」を選択した。
しかし、選ぶ前からしっくりこなかったのだ。
なぜならそれは、司祭の言う「勝敗にこだわる」の回答になっていないと思われたため。
俺こそが勝ちにこだわっているようにしか見えない。
それになにより、俺は本当に「いつか勝つ」ことに主眼を置いているのか。
そうではない。最悪の負け方を回避するための方が、俺の任務として正しいのではないか。
これは、4人目の挑戦者ウォーレンと、王女とのやり取りを見ていて、ますます感じるようになった。
王女が捕虜になるという最悪の展開。最悪の負け方を避けるために、俺はここにいるのだ。
そう。最悪の負け方を回避するために。
「そうですか」
司祭は、俺の言葉をかみしめるように目を閉じた。
「私たちは立場上、戦の手助けをすることはできません。ですが彼女は……コーデリアは、私の教え子でもあります。彼女は勝ちたいと思うあまり、道を踏み外そうとしています」
展開が……変わった!
コーデリアの神学の師。それがこの司祭であった。
「本当に打ち勝つべき相手は目の前の敵ではありません。あなたはそれをすでにわかっておられるようだ」
うんうん。わかっているとも。
4人目のウォーレンが、思いっきりわからされたからね。
本当に打ち勝つべき相手は、敵ではなかった。能力値など、何の役にも立たなかった。
「私は、セロと申します」
司祭は、名乗った。
そうね。コーデリア王女の神学の師が無名のままってのもね。
そして、この名乗りを受けたことで、また展開が変化する要素が生じた。
セロの名を告げるべきと思ったところで、パラグラフジャンプができるようになったのだ。
これは王女の説得に生かせるに違いない。
セロの名前とアンドロの言葉。
王女の説得に使える材料が増えていく。
有効に活用したいものだ。
●アタック05-3 リオンと金牛の丘
ついにコーデリア王女に会うことができた。
地下の一室に、王女はかくまわれるように、いた。
傷つきつつも、気概は十分な兵士たちが、王女を守っている。
俺は王の使いであることを伝え、王の言葉「援軍はない。撤退せよ」を伝えた。
「陛下は、この戦の場にいないからわからないのです。たとえ援軍がなくても、私たちは……誇りのため、正義のため、命ある限り戦わなければなりません。ドラッツェンの横暴に屈してはならないのです!」
コーデリア王女は一歩も退かない。
王女の辞書には退却の文字はない。俺が書き込まなければならない。
兵士たちも、コーデリア王女の言葉に感化され、えいえいおーモードに入ってしまった。
・黙って成り行きを見守る
・口を挟み、彼らを止める
もう、黙ってらんない。
おくち、挟ませていただきます。
「なぜ止めるのですか? 戦うべきではない理由があるとでも?」
それがあるんだよ。それを今から説明してやる。
・ドラッツェン軍の狙いは、この土地だ
・ドラッツェン軍の狙いは、コーデリア王女だ
さて、この選択肢だが。
俺は前回、「コーデリア王女が狙いだ」とぶちあげた。
話を聞いた王女はショックを受けてブルっていた。
しかしそれでも、自分の考えは曲げなかったのだ。
だから次は、ちょっと目先を変えてみる。
・ドラッツェン軍の狙いは、この土地だ
「そんなことは、わかっています。だから我々はこの地の民を守るために……」
いーや。わかってないね。
もっと言えば、ドラッツェン軍の狙いは土地というよりも、牛だ。
この金牛の丘。牧草地の牛が必要なのだ。
コーデリア王女がきょとんとしている。
よし。目先を変えさせることに成功したぞ。
だが、この話を納得のいくように着地させなければならない。
牛は、ドラッツェンが誇る軍用ウォードレイクの、餌となる。
だから土地を獲得しても、彼らは民を従わせこそすれ、危害を加えたりはしない。
民たちにとっては、上が変わるだけだ。
「つまりドラッツェンは、軍事的な利用価値として、この土地と牛を欲している、と」
王女が聡明な人で助かった。
そういうこと。それが、ドラッツェンがこの「金牛の丘」に侵攻した理由だ。
そしてそこに指揮官として王女が来たことで、ドラッツェンにしてみたら、一石二鳥の状況になった。
なにしろ、王女の身柄を確保さえすれば、ロング・ナリクに対していくらでも優勢な立場で交渉ができるのだからな。
王女の表情が、みるみる深刻なものへと変化していくのがわかった。
これでようやく、王女と兵士のいけいけドンドンモードを、多少は落ち着かせることができたぞ。
●アタック05-4 リオンの残念な結末
「……ですが、それでも、私はここで、戦わなければならない理由があります」
王女は、熟慮のすえに、それでも戦うと発言した。
「私が退くわけにはいかない理由が、あなたにはわかりますか?」
きた。ついにここまできた。
ここの選択を、この運命を変えるために、俺はリオンとしてプレイしてきたのだ。
示された選択肢は、以下である。
・ロング・ナリクの民を守るため
・王族としての誇りが撤退を許さないから
・現実を見ず、理想に殉じたがっているから
このうち、「王族としての誇りが撤退を許さない」を選んだら、王女がその発言に同調し、戦意を鼓舞する方に変わってしまった。
「民を守るため」はすでに前提が崩れている。ドラッツェンの目的はこの地を軍事利用することにある。占領ではなく、統治の意思もあると見て良い。
だから俺は現実を突きつける。
前回は悩んだ末に選ばなかったことを言い放ってやろう。
勝ち目のない戦いに挑むのは、誇りでもなんでもない。
すべての戦いで、撤退は絶対に許されないのか。
そんなわけがないだろう。
戦いに勝てないならば、一兵でも多く帰還させる。
それだって指揮官のすべきことだ。
自分の理想に殉じることを兵士たちに強いるのは、集団自決と何が違うというのか。
もう、言いたい放題だ。
そして、これだけのことを言い放てば、いきり立つのは王女ではなく、周囲の兵士たちだ。
「不敬だぞ! たかが伝令が、殿下になんということを!!」
ほらやっぱりこうなった。
こうなる可能性を考えたから、4人目のウォーレンは、言い方を少しソフトに、別角度からにしたつもりだったんだよ。
通じなかったけど。
王女の護衛たちが、俺と王女の間に割って入った。
そしてそのまま俺は両腕をつかまれ、室外へと引きずられていく。
「……待ってください」
制止をかけたのは、コーデリア王女だった。
「その方の言葉には、聞くべきことが、あるのかもしれません。私が理想ばかりを見ていて、本当に選ぶべき道をたがえていたとしたら……」
王女は、護衛の制止を止め、俺のそばに寄ってきた。
「顔をよく見せてください。あなたが本当に国のために言っているのか、私を侮辱しただけなのか、目を見ればわかります」
コーデリア王女には、その人物の本質を見抜く力があるのか。
ここで、俺のこれまでの旅路の足跡と経験を、数値化する。
その数値でもって、俺がコーデリア王女の信頼を勝ち得たかどうか、判定するのだ。
道中で、手に入れた可能性のあるアイテムと、それに対応した数字がある。
その数字の合計が、一定の点数に達していたか否かで、王女の評価が決まる。
俺はここで、超シンプルな、あることに気づいた。
「牛飼いの笛」は、マイナス評価のアイテム。
これを持っているために、規定の点数に届かない。
「牛飼いの笛」は、今後に役立つ必須アイテムに思われる。
しかし、あそこで寄り道するのはあまり意味のない行動だったのはたしかだ。
ドラッツェン兵の襲撃も、俺たち不審者が牛飼いの家に入るのを偶然目撃されたから。
ファミリーだけなら別に問題はなかったはずなのだ。
「ごめんなさい」
コーデリア王女は言った。
「あなたは、優しすぎる。自分のすべきことよりも、他者の気持ちを優先しているようでは、強い兵士とは言えません」
そしてコーデリア王女は、俺に背を向けた。
「このような時でなく、友人としてあなたには出会いたかった」
コーデリア王女は、俺抜きで、今後の行動を決めると宣言した。
俺は、外へと追いやられた。
王女には、俺の言葉がいくばくかは届いていたと信じたい。
だが、事態は俺の手を離れてしまった。
王女がどのような結論を出すにせよ、俺が王女を連れて戦場を離脱するというルートは、ない。
俺は任務に失敗したのだ。
【リオン 技術点10 体力点11/20 運点9】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料0
・馬
・ガーネット
・牛飼いの笛
・黒いコイン
■登場人物
ウォーレン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。聖騎士と同名。4人目の挑戦者。
リオン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。5人目の挑戦者。
ロング・ナリク王 おうさま。コーデリア王女の父。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。
聖騎士ウォーレン ロング・ナリクの当代一の聖騎士。ロング・ナリク軍の副官。戦地で命を落とす。
ジェイコブ 金牛の丘の牛飼い
アンドロ 聖騎士ウォーレンに従っていた兵士。ウォードレイクに遭遇し生き延びる。王女に伝えたいことがある。
セロ 聖堂の司祭。コーデリア王女の神学の先生でもある。
■作品情報
作品名:戦場の風
著者:丹野佑
編集:エディットなかの
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B00SSZ9D5C
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ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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※ここから先はゲームブック【戦場の風】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
ぜろです。
ゲームブック「戦場の風」のプレイを続けています。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。主人公リオンは、いかにして彼女に撤退の判断をしてもらえば良いのでしょうか。
……前回と、主人公の名前を変えただけでまったく同じあらすじなのでした。
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●アタック05-2 リオンと司祭
俺は、コーデリア王女の密偵から、王女の所在を聞き出した。聖堂にいる、と。
聖堂の司祭に合言葉を伝え、王女のもとへ案内してもらおう。
「ひとつだけ、いいですか」
コーデリア王女が潜伏する地下への階段を下りようとした俺に、司祭が質問を投げかけてきた。
「この戦い、大勢は決したように思えます。それなのに、あなたがたはずいぶん勝敗にこだわっているように思えます。あなたはなぜここへ来たのですか?」
・最悪の負け方を避けるため
・いつか勝つため
ここだ。
前回俺は、「いつか勝つため」を選択した。
しかし、選ぶ前からしっくりこなかったのだ。
なぜならそれは、司祭の言う「勝敗にこだわる」の回答になっていないと思われたため。
俺こそが勝ちにこだわっているようにしか見えない。
それになにより、俺は本当に「いつか勝つ」ことに主眼を置いているのか。
そうではない。最悪の負け方を回避するための方が、俺の任務として正しいのではないか。
これは、4人目の挑戦者ウォーレンと、王女とのやり取りを見ていて、ますます感じるようになった。
王女が捕虜になるという最悪の展開。最悪の負け方を避けるために、俺はここにいるのだ。
そう。最悪の負け方を回避するために。
「そうですか」
司祭は、俺の言葉をかみしめるように目を閉じた。
「私たちは立場上、戦の手助けをすることはできません。ですが彼女は……コーデリアは、私の教え子でもあります。彼女は勝ちたいと思うあまり、道を踏み外そうとしています」
展開が……変わった!
コーデリアの神学の師。それがこの司祭であった。
「本当に打ち勝つべき相手は目の前の敵ではありません。あなたはそれをすでにわかっておられるようだ」
うんうん。わかっているとも。
4人目のウォーレンが、思いっきりわからされたからね。
本当に打ち勝つべき相手は、敵ではなかった。能力値など、何の役にも立たなかった。
「私は、セロと申します」
司祭は、名乗った。
そうね。コーデリア王女の神学の師が無名のままってのもね。
そして、この名乗りを受けたことで、また展開が変化する要素が生じた。
セロの名を告げるべきと思ったところで、パラグラフジャンプができるようになったのだ。
これは王女の説得に生かせるに違いない。
セロの名前とアンドロの言葉。
王女の説得に使える材料が増えていく。
有効に活用したいものだ。
●アタック05-3 リオンと金牛の丘
ついにコーデリア王女に会うことができた。
地下の一室に、王女はかくまわれるように、いた。
傷つきつつも、気概は十分な兵士たちが、王女を守っている。
俺は王の使いであることを伝え、王の言葉「援軍はない。撤退せよ」を伝えた。
「陛下は、この戦の場にいないからわからないのです。たとえ援軍がなくても、私たちは……誇りのため、正義のため、命ある限り戦わなければなりません。ドラッツェンの横暴に屈してはならないのです!」
コーデリア王女は一歩も退かない。
王女の辞書には退却の文字はない。俺が書き込まなければならない。
兵士たちも、コーデリア王女の言葉に感化され、えいえいおーモードに入ってしまった。
・黙って成り行きを見守る
・口を挟み、彼らを止める
もう、黙ってらんない。
おくち、挟ませていただきます。
「なぜ止めるのですか? 戦うべきではない理由があるとでも?」
それがあるんだよ。それを今から説明してやる。
・ドラッツェン軍の狙いは、この土地だ
・ドラッツェン軍の狙いは、コーデリア王女だ
さて、この選択肢だが。
俺は前回、「コーデリア王女が狙いだ」とぶちあげた。
話を聞いた王女はショックを受けてブルっていた。
しかしそれでも、自分の考えは曲げなかったのだ。
だから次は、ちょっと目先を変えてみる。
・ドラッツェン軍の狙いは、この土地だ
「そんなことは、わかっています。だから我々はこの地の民を守るために……」
いーや。わかってないね。
もっと言えば、ドラッツェン軍の狙いは土地というよりも、牛だ。
この金牛の丘。牧草地の牛が必要なのだ。
コーデリア王女がきょとんとしている。
よし。目先を変えさせることに成功したぞ。
だが、この話を納得のいくように着地させなければならない。
牛は、ドラッツェンが誇る軍用ウォードレイクの、餌となる。
だから土地を獲得しても、彼らは民を従わせこそすれ、危害を加えたりはしない。
民たちにとっては、上が変わるだけだ。
「つまりドラッツェンは、軍事的な利用価値として、この土地と牛を欲している、と」
王女が聡明な人で助かった。
そういうこと。それが、ドラッツェンがこの「金牛の丘」に侵攻した理由だ。
そしてそこに指揮官として王女が来たことで、ドラッツェンにしてみたら、一石二鳥の状況になった。
なにしろ、王女の身柄を確保さえすれば、ロング・ナリクに対していくらでも優勢な立場で交渉ができるのだからな。
王女の表情が、みるみる深刻なものへと変化していくのがわかった。
これでようやく、王女と兵士のいけいけドンドンモードを、多少は落ち着かせることができたぞ。
●アタック05-4 リオンの残念な結末
「……ですが、それでも、私はここで、戦わなければならない理由があります」
王女は、熟慮のすえに、それでも戦うと発言した。
「私が退くわけにはいかない理由が、あなたにはわかりますか?」
きた。ついにここまできた。
ここの選択を、この運命を変えるために、俺はリオンとしてプレイしてきたのだ。
示された選択肢は、以下である。
・ロング・ナリクの民を守るため
・王族としての誇りが撤退を許さないから
・現実を見ず、理想に殉じたがっているから
このうち、「王族としての誇りが撤退を許さない」を選んだら、王女がその発言に同調し、戦意を鼓舞する方に変わってしまった。
「民を守るため」はすでに前提が崩れている。ドラッツェンの目的はこの地を軍事利用することにある。占領ではなく、統治の意思もあると見て良い。
だから俺は現実を突きつける。
前回は悩んだ末に選ばなかったことを言い放ってやろう。
勝ち目のない戦いに挑むのは、誇りでもなんでもない。
すべての戦いで、撤退は絶対に許されないのか。
そんなわけがないだろう。
戦いに勝てないならば、一兵でも多く帰還させる。
それだって指揮官のすべきことだ。
自分の理想に殉じることを兵士たちに強いるのは、集団自決と何が違うというのか。
もう、言いたい放題だ。
そして、これだけのことを言い放てば、いきり立つのは王女ではなく、周囲の兵士たちだ。
「不敬だぞ! たかが伝令が、殿下になんということを!!」
ほらやっぱりこうなった。
こうなる可能性を考えたから、4人目のウォーレンは、言い方を少しソフトに、別角度からにしたつもりだったんだよ。
通じなかったけど。
王女の護衛たちが、俺と王女の間に割って入った。
そしてそのまま俺は両腕をつかまれ、室外へと引きずられていく。
「……待ってください」
制止をかけたのは、コーデリア王女だった。
「その方の言葉には、聞くべきことが、あるのかもしれません。私が理想ばかりを見ていて、本当に選ぶべき道をたがえていたとしたら……」
王女は、護衛の制止を止め、俺のそばに寄ってきた。
「顔をよく見せてください。あなたが本当に国のために言っているのか、私を侮辱しただけなのか、目を見ればわかります」
コーデリア王女には、その人物の本質を見抜く力があるのか。
ここで、俺のこれまでの旅路の足跡と経験を、数値化する。
その数値でもって、俺がコーデリア王女の信頼を勝ち得たかどうか、判定するのだ。
道中で、手に入れた可能性のあるアイテムと、それに対応した数字がある。
その数字の合計が、一定の点数に達していたか否かで、王女の評価が決まる。
俺はここで、超シンプルな、あることに気づいた。
「牛飼いの笛」は、マイナス評価のアイテム。
これを持っているために、規定の点数に届かない。
「牛飼いの笛」は、今後に役立つ必須アイテムに思われる。
しかし、あそこで寄り道するのはあまり意味のない行動だったのはたしかだ。
ドラッツェン兵の襲撃も、俺たち不審者が牛飼いの家に入るのを偶然目撃されたから。
ファミリーだけなら別に問題はなかったはずなのだ。
「ごめんなさい」
コーデリア王女は言った。
「あなたは、優しすぎる。自分のすべきことよりも、他者の気持ちを優先しているようでは、強い兵士とは言えません」
そしてコーデリア王女は、俺に背を向けた。
「このような時でなく、友人としてあなたには出会いたかった」
コーデリア王女は、俺抜きで、今後の行動を決めると宣言した。
俺は、外へと追いやられた。
王女には、俺の言葉がいくばくかは届いていたと信じたい。
だが、事態は俺の手を離れてしまった。
王女がどのような結論を出すにせよ、俺が王女を連れて戦場を離脱するというルートは、ない。
俺は任務に失敗したのだ。
【リオン 技術点10 体力点11/20 運点9】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料0
・馬
・ガーネット
・牛飼いの笛
・黒いコイン
■登場人物
ウォーレン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。聖騎士と同名。4人目の挑戦者。
リオン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。5人目の挑戦者。
ロング・ナリク王 おうさま。コーデリア王女の父。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。
聖騎士ウォーレン ロング・ナリクの当代一の聖騎士。ロング・ナリク軍の副官。戦地で命を落とす。
ジェイコブ 金牛の丘の牛飼い
アンドロ 聖騎士ウォーレンに従っていた兵士。ウォードレイクに遭遇し生き延びる。王女に伝えたいことがある。
セロ 聖堂の司祭。コーデリア王女の神学の先生でもある。
■作品情報
作品名:戦場の風
著者:丹野佑
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2025年4月15日火曜日
これはゲームブックなのですか!? vol.119 FT新聞 No.4465
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『これはゲームブックなのですか!?』vol.119
かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
皆さん、パソコンは一日中つけっパにしておきます?
できる方はうらやまCー。
かなで、そんな事したら確実に作動不良を起こします!
などと他人を羨みつつ、バーチャル図書委員長、かなでひびき登場!
例えば「ゴルゴる13」に、「ネコの目」
いや、そんなファンタジーなモノを出さなくても「夜逃げ屋」「示談屋」など「法律上」とか「タテマエ上」あってはいけないものは存在いたします。
まるでUMAのごとき都市伝説なものから、「これが真っ白な仕事か?」と聞かれると、言葉に詰まってしまう限りなくグレーなお仕事もございます。
今回の本は、そんなグレーな職業を、ずずずいと20種、取り揃えてございまする。
その名も『裏のハローワーク』(草下シンヤ 著 彩図社) にございまする。
で、中には「マグロ漁船乗組員」「治験バイト」、「原発作業員」など、「3K」だけど合法なものから始まりまするぅ。
「なんだ。そんなんヌルイ話だったら、タイトル名折れやん」とかおっしゃる方「マリファナ栽培」「臓器ブローカー」などのホンモノ辛口もございますぶぁい!
で、えてしてそういう仕事の真実を聞かされると「あれ? なんか思ってたより地味だなぁ」と、星新一先生の『盗賊会社』みたいなオチがついて、「ああ、フィクションと現実は違うなぁ」と幻滅することもあるけど、これは違う!
一番無難そうな「治験バイト」でも、読者のツボを押す「ヤバイ」話が満載!
それを支えるのが、エピソードの豊富さ、リアリティさぁね。
例えば「ヤクザの方が警察より礼儀正しい」「人の家を訪問するときは、ガスメーターが動いているのを確認して人がいるのを確かめる」なんて、この芸の細かさ!
で、「夜逃げ屋」「示談屋」とか本格的にやばいのになると、「これって話盛っているんじゃあなくって?」みたいな感じもないことはないけど、それでも、思わず「あるある」って頷いちゃう!
加えて、「まだこんな知らない世界があったのか!?」と驚くことウケアイでぃ!
例えば、「マグロ漁船載せるぞ」という市民権を得た脅し文句の職業。しかして、それが、具体的にどのような航路で、どのような仕事をし、どんな風にきついか、知ってる方、どれくらいいるかしらん?
また、「夜逃げするなら、もうそれで一回死んだことにしろ。というのが、ひょんなことから過去につながる行動をして、それで捕まる」
「詐欺師を騙せば詐欺にならない」
「マリファナは、種の状態だったら合法。発芽させた途端に罪になる」
など、ワンランクヤバイ知識が満載!
もちろん、鵜呑みにしちゃいけないよぉ!
だけど、この全編に渡る緊迫感、創作に使えると思えぬかのぉ?
以上、一介の本好きの歌舞く妖狐! ゆずはたんがお送りしましたぁ!
しめしめ。今回はうまく最後まで通せたの。
というか、こう最後までかなでの邪魔がないと、なんつーか……。
つーか、わしなんで出てきたのじゃ?
これなんていうプレイ?
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『裏のハローワーク』
著 草下シンヤ
出版社 彩図社
単行本 1980円(2004/05/01)
文庫 628円(2008/10/27)
Kindle版 508円(2008/10/27)
Audible版 3,000円(2017/8/4)
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かなでひびき
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できる方はうらやまCー。
かなで、そんな事したら確実に作動不良を起こします!
などと他人を羨みつつ、バーチャル図書委員長、かなでひびき登場!
例えば「ゴルゴる13」に、「ネコの目」
いや、そんなファンタジーなモノを出さなくても「夜逃げ屋」「示談屋」など「法律上」とか「タテマエ上」あってはいけないものは存在いたします。
まるでUMAのごとき都市伝説なものから、「これが真っ白な仕事か?」と聞かれると、言葉に詰まってしまう限りなくグレーなお仕事もございます。
今回の本は、そんなグレーな職業を、ずずずいと20種、取り揃えてございまする。
その名も『裏のハローワーク』(草下シンヤ 著 彩図社) にございまする。
で、中には「マグロ漁船乗組員」「治験バイト」、「原発作業員」など、「3K」だけど合法なものから始まりまするぅ。
「なんだ。そんなんヌルイ話だったら、タイトル名折れやん」とかおっしゃる方「マリファナ栽培」「臓器ブローカー」などのホンモノ辛口もございますぶぁい!
で、えてしてそういう仕事の真実を聞かされると「あれ? なんか思ってたより地味だなぁ」と、星新一先生の『盗賊会社』みたいなオチがついて、「ああ、フィクションと現実は違うなぁ」と幻滅することもあるけど、これは違う!
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それを支えるのが、エピソードの豊富さ、リアリティさぁね。
例えば「ヤクザの方が警察より礼儀正しい」「人の家を訪問するときは、ガスメーターが動いているのを確認して人がいるのを確かめる」なんて、この芸の細かさ!
で、「夜逃げ屋」「示談屋」とか本格的にやばいのになると、「これって話盛っているんじゃあなくって?」みたいな感じもないことはないけど、それでも、思わず「あるある」って頷いちゃう!
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例えば、「マグロ漁船載せるぞ」という市民権を得た脅し文句の職業。しかして、それが、具体的にどのような航路で、どのような仕事をし、どんな風にきついか、知ってる方、どれくらいいるかしらん?
また、「夜逃げするなら、もうそれで一回死んだことにしろ。というのが、ひょんなことから過去につながる行動をして、それで捕まる」
「詐欺師を騙せば詐欺にならない」
「マリファナは、種の状態だったら合法。発芽させた途端に罪になる」
など、ワンランクヤバイ知識が満載!
もちろん、鵜呑みにしちゃいけないよぉ!
だけど、この全編に渡る緊迫感、創作に使えると思えぬかのぉ?
以上、一介の本好きの歌舞く妖狐! ゆずはたんがお送りしましたぁ!
しめしめ。今回はうまく最後まで通せたの。
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つーか、わしなんで出てきたのじゃ?
これなんていうプレイ?
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『裏のハローワーク』
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2025年4月14日月曜日
☆5月配信作品の告知☆ FT新聞 No.4464
おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です。
5月の配信シナリオに関する告知です!
◆昔話を、させてください。
今から15年前、私は今よりも15歳ほど若く、ネコときのこと昆虫とかえるが好きでした☆
今も好きですが、それらをベースにした作品を創りたいという、強いモチベーションを抱えていました。
それから15年の間に、私はきのこの森を描いた「くさびらの森」と、かえる人が住む「かえる沼を抜けて」を書き、ネコを飼うようになりました。
しかし、昆虫が登場する「昆虫都市」だけは、書けないまま年月が過ぎていきました。
◆「昆虫都市」を書けなかった理由。
今では幻の作品と言われる「昆虫都市」が書けずに来た理由は、いくつかあります。
ひとつは気合を入れすぎて、プロットが複雑になりすぎてしまったからです。
別のひとつとしては、作品を出せずにいるうちに、周囲の期待値が上がりすぎてしまったことが挙げられます。
そして、最後のひとつとして、「昆虫」というものが苦手な人が、世の中にたくさんいることにハタと気づいてしまったこと、があります。
◆「どうして、昆虫を書こうと思ったの?」
「昆虫都市」はイラストレーターに、ドラゴンファンタジー(グレイルクエスト)のイラストレーターとして有名なHUGO HALLさん(私はハルさんと呼ばせていただいています)を起用することが内定していることで、刊行前から有名になった作品です。
「昆虫が苦手な人が多いと気づいてしまった」という悩みを、プロのゲームブック作家でもあるハルさんに相談したところ、こんなことを訊かれました。
「どうして、昆虫を書こうと思ったの?」
私は即答しました。
「昆虫がカッコいいと思ったからです。有機的でありながら、冷たいフォルム。哺乳動物とは異なる記号的な精神性。寿命が短いゆえの、進化サイクルの速さ。そんなところが好きなんですよね」
めっちゃ早口だったと思いますが、そんな風に答えたわけです。
「なら、『超カッコいい昆虫』を書けばいいじゃん」
私の悩みはそこで終わり、「昆虫都市」のプロットが再び進むようになりました。
去年のできごとです。
◆試行錯誤☆
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」の話に進みます。
今年に入って、私はこのTRPGの最新シナリオを、「からくり都市チャマイ」という街を舞台にして書くことに集中してきました。
これを続けながら、ずっと頭のなかに「昆虫都市」のことを考えていました。
なぜか……それは「昆虫都市」の舞台になるのが、何を隠そうこのチャマイという街だからです☆
私は「昆虫都市」とは関係ないシナリオを半分ほど書いたところで、それをボツにすることに決めました。
高いテンションで、人にお見せできるレベルのシナリオが書けていないと感じたからです。
気分転換に、私はあることをはじめました。
それは、「昆虫都市」のローグライクハーフ版を作ることです。
何週間か検討と思案を重ねた末に、私はこれに挫折しました。
「昆虫都市」はさまざまな事柄が並行して起こることが魅力の作品です。
「ローグライクハーフ」向きだとは、言えませんでした。
しかし、このトライはムダではありませんでした。
◆プロットの分化。
そこまでのトライアンドエラーを通じて、私はあることに気づきました。
実は、「昆虫都市」のシナリオは、大きくふたつのパートに分けることができるのです。
「昆虫都市」はチャマイの街に侵攻する勢力との戦いを描いた作品です。
この勢力はふたつあり、そして、それぞれが別個に襲撃を仕掛けてきます。
◆「昆虫都市forローグライクハーフ」!
「昆虫都市」に関するふたつのパートを仮にAとBとします。
「昆虫都市B」は複雑で、チャマイの街が襲撃される根本的な理由を描いた部分です。
これはおそらく、ゲームブックか小説でしか表現できません。
これに対して「昆虫都市A」は、チャマイにあるエルダーベリー魔法学校と、襲撃を仕掛けたもうひとつの勢力を描いた部分です。
比較的シンプルなプロットを有しているため、この部分をどのように扱うかが「昆虫都市」のもうひとつの難儀な点でした。
「帯に短したすきに長し」ということわざがありますが、まさにそのようなパートです。
そして、つい先日、ついに妙案がスパークしました。
「昆虫都市」のAパートを「ローグライクハーフ」のシナリオとして配信する、というものです。
それぞれの冒険を別々のものとして、お互いに影響し合わないように書くことができるのか……ここ数日、私はそこを検討していました。
その答えは「イエス」です。
2025年5月4日(日)に配信予定です。
楽しみにしていただけましたら、さいわいです。
それではまた!
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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編集: 水波流、葉山海月、中山将平
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それから15年の間に、私はきのこの森を描いた「くさびらの森」と、かえる人が住む「かえる沼を抜けて」を書き、ネコを飼うようになりました。
しかし、昆虫が登場する「昆虫都市」だけは、書けないまま年月が過ぎていきました。
◆「昆虫都市」を書けなかった理由。
今では幻の作品と言われる「昆虫都市」が書けずに来た理由は、いくつかあります。
ひとつは気合を入れすぎて、プロットが複雑になりすぎてしまったからです。
別のひとつとしては、作品を出せずにいるうちに、周囲の期待値が上がりすぎてしまったことが挙げられます。
そして、最後のひとつとして、「昆虫」というものが苦手な人が、世の中にたくさんいることにハタと気づいてしまったこと、があります。
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そこまでのトライアンドエラーを通じて、私はあることに気づきました。
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◆「昆虫都市forローグライクハーフ」!
「昆虫都市」に関するふたつのパートを仮にAとBとします。
「昆虫都市B」は複雑で、チャマイの街が襲撃される根本的な理由を描いた部分です。
これはおそらく、ゲームブックか小説でしか表現できません。
これに対して「昆虫都市A」は、チャマイにあるエルダーベリー魔法学校と、襲撃を仕掛けたもうひとつの勢力を描いた部分です。
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2025年4月13日日曜日
アランツァクリーチャー事典 Vol.15 FT新聞 No.4463
おはようございます。
FT新聞編集長の水波流です。
本日は日曜日。ローグライクハーフ関連記事をお送りいたします。
杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第15回です。
今回のジャンルは『怪物』!
ファンタジー世界にはお馴染みの、異形なる怪物。
先月に続きまして、後編です。
どうぞお楽しみ下さいませ。
アランツァクリーチャー事典『怪物』(後編)
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/AranciaMonsterEncyclopedia_vol.15.txt
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2025年4月12日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第635号 FT新聞 No.4462
From:水波流
新3年生になる娘が、春休みに家で暇だ暇だと言うので、「小学中級から」と記載がある本を本棚から箱に詰め込み、水波文庫をつくる。
自分が小学生の時に読んで面白かったのを選んだら海外翻訳ものばかりに。
(がんばれヘンリーくん、くまのパディントン、長くつ下のピッピなど)
果たして読んでくれるかなあ……と放置していたがチラリとめくるのみ。まあ本は読めと言われて読むものでなし、気が向いたら手に取れるところのあるというのが大きいものですが。
from:葉山海月
ヨル・フォージャーがいるのなら、ヒル・フォージャーがいてもいいのではないかしら?
from:中山将平
もし最近ご覧ただいていない方がいらっしゃったら、僕たちのBOOTHサイトを覗いてみてくださるとうれしいです。
ここでだけ公開している情報もありますので。
以下のURLよりどうぞ。
https://ftbooks.booth.pm/
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■4/6(日)~4/11(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年4月6日(日) ロア・スペイダー FT新聞 No.4456
『怪盗は雪夜に舞う』ローグライクハーフd33シナリオ
・お待たせしました! 待望の新作d33シナリオ『怪盗は雪夜に舞う(作:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ)』
ついにお目見え!
冒険の舞台は貿易都市『ビストフ』!
この街に最近現れた『怪盗ネーヴェ』!義賊として民衆に人気があるおかげで、下手な貴族等より人気があり、捜査は進ません。
しかし、そんな義賊だった怪盗ネーヴェが『天罰』と称して一般人等を殺す事案が発生。名の知れた冒険者である貴方は『怪盗ネーヴェ』を捕縛を依頼されたのです。
義賊がどうして殺人者に落ちたのか……理由はわかりません。だが、これ以上被害が増えるのは見逃すわけにはいきません。
こうして怪盗ネーヴェを捕まえるべく雪が降るビストフの街へ駆け出すことになったのです……。
探索の中で所々で味わえる他の街では見られない異国情緒。義賊がなぜ凶行にはしるようになったのか? 怪盗の正体とは?
ビストフの街を舞台に繰り広げられる痛快冒険譚をぜひお楽しみください!
2025年4月7日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4457
「ローグライクハーフ」個人制作シナリオのご紹介☆(後半)
・ローグライクハーフの運営をはじめてから、はや2年が経とうとしています。
前回に引き続き、個人制作によるサプリメントをご紹介してまいります。
◆『水底の街を歩いてforRLH』
作者名未記入。
本作品は「ローグライクハーフ」ですが、戦闘や【判定ロール】といった「危険」が存在しません。
湖の底にある街を歩く。
情景の透明さとともに、澄んだ気持ちにさせてくれる作品です。
◆『フォーリス学園』
作者名未記入。
装備品関連のサプリメント。
学園もののローグライクハーフを遊ぶ際に活用可能。
この学園を「故郷」として設定することもできます。
◆『ローグライクハーフ非公式 マーカー式キャラクターシート』
成田砂男 作。
キャラクターシートの数値が「マーカー式」になっていて、視覚的に現状を把握できます。
24レベルまで対応。
◆「ローグライクハーフ」D33シナリオ『お菓子の魔女と森』
成田砂男/宮田みゃーた 作
◆『可愛いあの子に最高のプレゼントを』
寝子 作
加えて、これからの「ローグライクハーフ」ホットニュースも音遂げします!
さて、ついに3年目に突入した「ローグライクハーフ」
引き続き応援よろしくお願いいたします。
2025年4月8日(火) 中山将平 FT新聞 No.4458
・中山氏が創作している『カエルの勇者ケロナイツ』(ファンタジー世界に住まうカエル人たちの活躍を描いたオリジナル作品)。
その創作から、学んだことを書きつづります。
今日の記事の話題は「宝」
TRPGやゲームブックを遊ばれていて、「命がけの冒険にしては報酬が足らない」と感じられたことはないでしょうか。
キャラクターが金貨(のようなもの)を握りしめながら、「こんな物のために命を賭けたのではない」と感じる事態を避けるべく、金銭を含めた「プレイヤーのキャラクターにとって、真に価値のあるもの」を考察。
実際にゲームに落とし込んだ際の工夫と狙いについてご紹介いたします。
2025年4月9日(水) ぜろ FT新聞 No.4459
第6回【戦場の風】ゲームブックリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第433回をお届けしました。
今回挑戦する作品は、丹野佑・著『戦場の風』です。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。
王女は、勝ち目のない戦いでも、退くわけにはいかないと固い決意を持っている。
誇りのためと言えば聞こえはいいが、勝てない戦いに挑むのは蛮勇や無謀を通り越して、犬死にだ。
それを正面きって進言したら、止まるだろうか?
話の流れを、変えるぺく、ウォーレンは進言しますが……
吉と出るか凶と出るか?
2025年4月10日(木) 齊藤飛鳥 FT新聞 No.4460
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.30『常闇の伴侶』その6
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
今回の挑戦する作品は「ローグライクハーフ」シリーズ『常闇の伴侶』
《太古の森》で行なわれている、怪しい儀式の原因を突き止めれば、高額報酬が期待できる。そんな噂を安酒場で聞いた冒険家乙女のクワニャウマは、カリウキ氏族の戦士ゲルダとまじない師ヴィドと《太古の森》の探索を始めた。ついに怪しい儀式の原因は闇エルフ達であり、それに樹人の長老の弟が使われていることが判明。樹人の長老の依頼で、儀式によって衰弱している弟の安楽死を依頼されたクワニャウマ達は、数々の冒険の果てにようやく長老の弟の木を見つけ出す。そして、長老の弟の木を安楽死させる機会は、闇エルフ達の儀式の時しかないと知り、待ち構えることにしたのだった。
ついに始まる邪悪な儀式。
乱戦の中、クワニャウマの善悪を超えた啖呵に心動かされる一本です!
2025年4月11日(金) 休刊日 FT新聞 No.4461
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
私が気になるのが「魔法の武器」ですね。クラシックD&Dで最初のシナリオで魔法の武器でないと倒せないモンスターにパーティーが全滅させられたのがトラウマでして、他のTRPGやメイルゲームでもまず魔法の武器ゲットすることが私のキャラの最優先事項になりまして(笑)、マスターから注意受けた事あります。
(お返事:中山将平)
いつもご感想をいただき、ありがとうございます。
システム面やゲーム性と物語がぶつかってしまうことって、色々なパターンでありそうですね。
個人的には、魔法の武器コレクターの主人公って、キャラ立ちしていて扱いやすく感じておりました。
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さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
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■4/6(日)~4/11(金)の記事一覧
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2025年4月6日(日) ロア・スペイダー FT新聞 No.4456
『怪盗は雪夜に舞う』ローグライクハーフd33シナリオ
・お待たせしました! 待望の新作d33シナリオ『怪盗は雪夜に舞う(作:ロア・スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ)』
ついにお目見え!
冒険の舞台は貿易都市『ビストフ』!
この街に最近現れた『怪盗ネーヴェ』!義賊として民衆に人気があるおかげで、下手な貴族等より人気があり、捜査は進ません。
しかし、そんな義賊だった怪盗ネーヴェが『天罰』と称して一般人等を殺す事案が発生。名の知れた冒険者である貴方は『怪盗ネーヴェ』を捕縛を依頼されたのです。
義賊がどうして殺人者に落ちたのか……理由はわかりません。だが、これ以上被害が増えるのは見逃すわけにはいきません。
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2025年4月7日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4457
「ローグライクハーフ」個人制作シナリオのご紹介☆(後半)
・ローグライクハーフの運営をはじめてから、はや2年が経とうとしています。
前回に引き続き、個人制作によるサプリメントをご紹介してまいります。
◆『水底の街を歩いてforRLH』
作者名未記入。
本作品は「ローグライクハーフ」ですが、戦闘や【判定ロール】といった「危険」が存在しません。
湖の底にある街を歩く。
情景の透明さとともに、澄んだ気持ちにさせてくれる作品です。
◆『フォーリス学園』
作者名未記入。
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学園もののローグライクハーフを遊ぶ際に活用可能。
この学園を「故郷」として設定することもできます。
◆『ローグライクハーフ非公式 マーカー式キャラクターシート』
成田砂男 作。
キャラクターシートの数値が「マーカー式」になっていて、視覚的に現状を把握できます。
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◆「ローグライクハーフ」D33シナリオ『お菓子の魔女と森』
成田砂男/宮田みゃーた 作
◆『可愛いあの子に最高のプレゼントを』
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さて、ついに3年目に突入した「ローグライクハーフ」
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2025年4月8日(火) 中山将平 FT新聞 No.4458
・中山氏が創作している『カエルの勇者ケロナイツ』(ファンタジー世界に住まうカエル人たちの活躍を描いたオリジナル作品)。
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TRPGやゲームブックを遊ばれていて、「命がけの冒険にしては報酬が足らない」と感じられたことはないでしょうか。
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2025年4月9日(水) ぜろ FT新聞 No.4459
第6回【戦場の風】ゲームブックリプレイ
・テンポのよい語り口で勝負する、ぜろ氏のリプレイ記事、第433回をお届けしました。
今回挑戦する作品は、丹野佑・著『戦場の風』です。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。
王女は、勝ち目のない戦いでも、退くわけにはいかないと固い決意を持っている。
誇りのためと言えば聞こえはいいが、勝てない戦いに挑むのは蛮勇や無謀を通り越して、犬死にだ。
それを正面きって進言したら、止まるだろうか?
話の流れを、変えるぺく、ウォーレンは進言しますが……
吉と出るか凶と出るか?
2025年4月10日(木) 齊藤飛鳥 FT新聞 No.4460
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.30『常闇の伴侶』その6
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
今回の挑戦する作品は「ローグライクハーフ」シリーズ『常闇の伴侶』
《太古の森》で行なわれている、怪しい儀式の原因を突き止めれば、高額報酬が期待できる。そんな噂を安酒場で聞いた冒険家乙女のクワニャウマは、カリウキ氏族の戦士ゲルダとまじない師ヴィドと《太古の森》の探索を始めた。ついに怪しい儀式の原因は闇エルフ達であり、それに樹人の長老の弟が使われていることが判明。樹人の長老の依頼で、儀式によって衰弱している弟の安楽死を依頼されたクワニャウマ達は、数々の冒険の果てにようやく長老の弟の木を見つけ出す。そして、長老の弟の木を安楽死させる機会は、闇エルフ達の儀式の時しかないと知り、待ち構えることにしたのだった。
ついに始まる邪悪な儀式。
乱戦の中、クワニャウマの善悪を超えた啖呵に心動かされる一本です!
2025年4月11日(金) 休刊日 FT新聞 No.4461
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
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■今週の読者様の声のご紹介
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ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
私が気になるのが「魔法の武器」ですね。クラシックD&Dで最初のシナリオで魔法の武器でないと倒せないモンスターにパーティーが全滅させられたのがトラウマでして、他のTRPGやメイルゲームでもまず魔法の武器ゲットすることが私のキャラの最優先事項になりまして(笑)、マスターから注意受けた事あります。
(お返事:中山将平)
いつもご感想をいただき、ありがとうございます。
システム面やゲーム性と物語がぶつかってしまうことって、色々なパターンでありそうですね。
個人的には、魔法の武器コレクターの主人公って、キャラ立ちしていて扱いやすく感じておりました。
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2025年4月11日金曜日
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2025年4月10日木曜日
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.30『常闇の伴侶』その6 FT新聞 No.4460
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児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.30
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〜前回までのあらすじ〜
《太古の森》で行なわれている、怪しい儀式の原因を突き止めれば、高額報酬が期待できる。そんな噂を安酒場で聞いた冒険家乙女のクワニャウマは、カリウキ氏族の戦士ゲルダとまじない師ヴィドと《太古の森》の探索を始めた。ついに怪しい儀式の原因は闇エルフ達であり、それに樹人の長老の弟が使われていることが判明。樹人の長老の依頼で、儀式によって衰弱している弟の安楽死を依頼されたクワニャウマ達は、数々の冒険の果てにようやく長老の弟の木を見つけ出す。そして、長老の弟の木を安楽死させる機会は、闇エルフ達の儀式の時しかないと知り、待ち構えることにしたのだった。
『常闇の伴侶』は、ついに3回目の冒険を迎えました!
闇エルフの儀式とは、いったいどんな儀式なのか? 「常闇の伴侶」との関連は? 謎の少女の正体は? という数々の謎が、これから続々と解明されていくので、この3回目の冒険の時は展開が気になってクリアするまで止められず、人生初の深夜1:45までプレイしたのは良い思い出です^^b
さて、クライマックスに向けてどんどんシリアスな展開となっていくので、プレイ中、クワニャウマのキャラがだんだん浮いてきて、キャラ崩壊ならぬ世界観崩壊の危機に瀕しました。シリアスな台詞で話しかけてくる敵に対し、今まで通りのクワニャウマのままリアクションをさせては、世界観大崩壊だからです。
そういうわけで、この辺りからクワニャウマのIQを上げてリプレイを書いていきました。本当はもっと知的なキャラにした方が世界観に合うのですが、今まですでにクワニャウマをシリアス度低めのキャラクターで進めていたので、いきなり知的でシリアスなキャラには変更できません。
「『常闇の伴侶』の世界観を破綻させない。自分のキャラクターの個性の一貫性も破綻させない。両方やらなきゃならないのが、どっぷり楽しんでいるプレイヤーのつら……いや、醍醐味だ」とばかりに、クワニャウマのIQを調整しながら冒険を進めた結果、強欲ボケ属性だったのが、善悪二元論や宗教に対して一家言あるキャラに急成長しました。
ところで今年の一月の連休中に、クワニャウマをシリアス度高めに設定して、パートナーをヴィド、少女は黒い肌になってから助ける選択でリプレイなしでプレイしてみたところ、凄まじく重厚感に満ちた冒険となり、切ない結末に精神を持っていかれました。一つのシナリオでこんなにも結末が変わるというのも面白いですが、主人公のシリアス度を上げると冒険の印象が変わってくるのも興味深く、自分が創作していく上でとても勉強にもなりました^^
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
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ローグライクハーフ
『常闇の伴侶』リプレイその6
《3回目の冒険》
齊藤(羽生)飛鳥
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0:冒険のはじまり ≪3回目の冒険≫
闇が深くなる刻限。中天に満月が差し掛かるのも間近。
ヒースの茂みに身を潜めながらも、それぞれが何かを感じ、油断なく目を周囲に配っている。
角笛の音が鳴り響き、皆が一様に身構える。闇の聖地に揺らめく松明の影とともに100人を超える行列が姿を見せ始めた。
闇妖精の古老たちがぶつぶつと古代語の呪い言葉を詠唱しながら先導している。
その後に闇のヴェールを被って連れてこられているのは、12人の白い肌をしたエルフの少年少女たちだ。花冠を頭に乗せ、複雑な文様を描いた民族衣装を身に纏っている。
その中にあの少女の姿を認めると、わたしは下唇を噛みしめる。
(こんな禍々しくもうさんくさい儀式に参加するために帰ると知っていたなら、見送らなかったのに!!)
古老たちの指示で闇エルフたちが古代樹の周囲に陣形を敷いてゆき、篝火が灯される。
……もしも、わたしたちが先に蜘蛛を追い払っていなかったら、彼らや少女も襲われて儀式が延期になっていたかもしれない。そう思うと、複雑だ。身代わりの依代という、すごくお得な宝物を手に入れた後なだけに、余計に。
歪んだ弦楽器が禍々しく奏でられ、打楽器が不可思議なリズムを刻んでゆく。身体を揺らしながら、少年少女たちのヴェールが取り払われる。
黒い衣装に、白い肌と頭上の色とりどりの花冠が眼を惹きつける。オラヴァンマルヤをはじめとした七種の呪いを持つ野の花を思い思いに編み込んだ花冠だ。
子供たちは闇の古代樹に吊り下げられた何本ものトレント葛を手にすると、まるで幽鬼が踊るようにその周囲を回り始める。
古老たちの呪文の唱和が続く中、大人が奏でる輪舞曲がじわじわと高まるにつれ、子供らの足取りもまた激しさを増してゆく。
篝火に照らされるなか演奏は邪悪に歪み始め、子供らは汗まみれになりながら踊り続ける。
不意に晴天の中を雷鳴が一閃する。一人の少年が倒れ伏し、白目を剥いてがくがくと痙攣する。
「ひとり」
古老の声が不気味に響くと、その少年の手足が漆黒を帯びはじめ、やがて全身が真っ黒い肌に覆われる。
(まさか奴ら……ああして闇の子を増やしているというのか)
しかも、すごく苦しそう! 雷を食らわすなんて、これ、どこからどう見ても虐待だよね!?
霹靂は何度も繰り返され、そのたびに少年や少女が1人ずつその身を汚されてゆく。と言うか、雷を食らってこげてない!? 大丈夫なの!?
落雷をその身に受け続ける古代樹は、呻き声のような響きを発していた。まるで痛い痛いと叫ばんばかりのその唸りにわたしは思わず顔を背けたくなる。
お金を積まれても見たくはない光景とは、こういうものだ。
わたしはじっとりとした汗をかきながら、必死で両手を握りしめていた。
輪舞を踊る子供たちは既に半数となっていた。あの少女も小さな鈴の音と共に必死で足を運んでいる。
これ、彼女を見殺しにすることにならない?
今なら、まだ間に合うかも……。
雷鳴が轟き、また一人少年が倒れた。
やはりこれ以上待つなど我慢ならない。
わたしは低木の茂みから弾かれるように立ち上がると、薬瓶の蓋を抜いて駆け出した。
「おら、どけどけどけーッ!!」
不意の闖入者たる君の姿にその場の全員が戸惑っている隙に、わたしは大きく手を振り薬瓶の中身を古代樹の幹に撒き散らす。
シュウシュウと煙が上がり、大樹の幹を焼き焦がすような異臭と共に、あたりは大混乱となる。そうだよね。
こんなにたくさん煙が上がるなら、前もって教えといてよ、長老! こっちも大混乱だ!
でも、周囲はわたし以上に大混乱している。
わたしはその隙に少女の手を取り、一緒にその場から逃げ出した。
空は一面、まだ闇夜に覆われていた。
1:魔犬獣の群れ
闇夜なだけに闇雲に走り出したわたしたちだが、しばらくしてその行く手を阻むように魔犬獣の群れが現れた!
しかも、その数は6匹!
ゆうべ長老からもらった食糧2個と無花果の若木に実った果実をたしたとしても、ワイロにするには数が全然たりない!
魔犬獣はわたしたちを睨みつけながら、低い唸り声で会話を交わしている。
やがて彼らの話し合いがまとまったようだ。
残念ながらわたしたちを襲う事に決まったらしい。牙をむいている。
「貢ぎ物(エサ)を持ってきておくんだったな……」
でも、いくら後悔しても、エサが空から降ってきてわたしたちの救いになることはない。
ここは割り切って戦うしか生き残る道はない。
「いくよ、ゲルダ! ウペペサンケ!」
わたしは、剣を片手に魔犬獣と互いに転がり合い、泥まみれになりながら戦う。
ゲルダたちは、剣や弓矢を使って、とても正々堂々と戦っている。
結果、わたしのダメージがけっこうかさんだけど、みんな無事だった。
「おまけに、金貨12枚相当のアクセサリーを手に入れられた。みんな、よくやった!」
「よく笑顔でいられるな。そんなにダメージを受けたなら、身代わりの依代を使えばよかったのに」
「この程度のダメージに身代わりの依代を使ったら、もったいなくない?」
「クワニャウマ、強欲……」
わたしに対し、ゲルダとウペペサンケがあきれていたけど、全員生き延びて金目の物が入っているのだから、気にしないったら気にしない!
2:鬼火
激闘の果て、わたしたちがおぼつかない足取りで歩くうちに、闇夜に点のような光が見えた。朧気に瞬きながら、上下にゆっくりと揺らめいている。
蛍だろうか。光はわたしを誘うように先導する。
あっと気づいた時には既に遅かった。足元には沼が真っ黒な口を開けていた。
わたしたちはまんまと誘い込まれてしまったのだ!
「クワニャウマ! ウペペサンケ! 危ない! 」
ゲルダの鋭い呼びかけのおかげで、わたしとウペペサンケはすんでのところで底無し沼にはまらずにすんだ。
「ありがとう、ゲルダ! 命拾いしたわ! 」
わたしは、ゲルダへ礼を言った。
「むぅ……まさか、噂に聞く鬼火をこの目で見ることがあろうとは……」
「知っているの、ゲルダ!?」
「あぁ。うちの近所のスヴァンテさんが酒を飲んで《太古の森》に迷いこんだ時に見かけたと言っていたんだ。底なし沼に落ちて死んだ奴が仲間が欲しくて鬼火となり、誘き寄せて沼に沈めようとしているんだとか何とか言っていたから、てっきり酔っ払いの戯言かと思っていた。だが、クワニャウマとウペペサンケが鬼火に誘い込まれる様子を見た今は、そうとは思えなくなった」
ゲルダの説明は、ヴィドとは違って参考文献を引用した説明ではなかった。けれども、なぜかとても信憑性のある話に聞こえた。
ふと見れば、ウペペサンケはまだ底無し沼に落ちかけた恐怖が抜けないのか、無言で震えている。それをエルフの少女が、頭を撫でて落ち着かせている。
ピンチの後だっただけに、心が和む光景を無料で見られて、満たされた気分になった。
3:中間イベント1≪3回目の冒険≫:『闇の追手』
鬼火に惑わされてすんでのところで底無し沼を回避できたわたしたちは、森を抜け出すべく再び歩き出した。
しばらくして、下生えを踏み鳴らす足音も激しく、わたしたちの背後から闇エルフの一団が追いすがる。いきり立つ戦士たちを制し、精悍な若者が一歩前に歩を進めた。
「聖なる儀式を汚した外なるものども……」
「なにが聖なる儀式だ。攫ってきたエルフを闇神に捧げる邪悪な儀式ではないか!」
ゲルダが唾を吐き捨てながら糾弾した。この状況で何だが、やっぱりそれは男らしいと言うより、おっさんくさい……。
「……何か思い違いをしているようだな」
若者は冷めた表情を崩さず、静かに言葉を続ける。
「憎き太陽が最も長きこの日の終わり。我らは神の加護を得る。この闇色の肌はその証。……貴様らはまさか我らが生まれ落ちた時からこのような漆黒の肌をしているとでも思っているのではあるまいな」
若者はそこで言葉を区切り、わたしたちをじっと見つめる。若者の言葉に思わずゲルダが息を呑んだ。
「まさか、闇エルフってのは」
「外なるものよ。我らを世界から追い立てたのは貴様らではないか。生きるために我らが選んだ信仰を邪悪と呼び、ましてや今度は我らの聖域すらも侵そうというのか。貴様らはいつもそうだ。森へ踏み込んできては何もかも奪う。……父は嬲り殺され、母も奴隷として連れて行かれ、二度と森へは帰ってこなかった……」
「生きるために選んだ信仰をしていても、お父さんとお母さんが不幸に見舞われたの? じゃあ、信仰の意味って何? そんなあやふやなもののために、この子に雷を食らわせる虐待をしようとしていたの?」
わたしが思ったことを率直に言うも、若者は何も答えない。
わたしたちの背後の木立の影から、濃い闇を身に纏った集団がじりじりと姿を現してゆく。
「我らを邪悪な闇のものと呼ぶ貴様らこそが、我らからすれば邪悪なのだ、外なるものよ」
若者は冷たい眼でわたしたちを見つめると、腰から長剣を引き抜いた。
どうやら、少女連れ去りと先程の発言から、わたしを邪悪認定したようだ。
「邪悪、ねえ。否定はしないよ。うん。この子を連れ去ったのは事実だもの。それに、お金大好きだし、楽しいこと大好きだし、つらいの苦しいのは大っ嫌い。そんなわたしの生き方を強欲だの邪悪だのと人は言う。でも、何ごとも善悪で物事を判断するってどうよ? この世は、善と悪だけじゃない。損と得だって存在することを忘れてない?」
「なに?」
「まだ、わからない? わたしに善悪で語るなって言っているの。もっと言えば、こすずるく情に訴えてくるなって言うの。いい? 現状の問題点を整理すれば、いたって単純。一:儀式を邪魔したか。答え:はい。邪魔しました。二:なぜ、この子をさらったか? 答え:この子が苦しむ顔を見ずにすむから。助けずに後悔し続け、寝不足が原因で病気になったら薬代が必要となるから圧倒的損。そんなの強欲なわたしには耐えられない。三:この子をあなたたちへ引き渡す気はあるか? 答え:ない。ただし、雷を食わらせないし、これから寂しい思いをさせずにかわいがると誓った場合は別とする。以上!」
わたしが両手をパンとたたくと、闇エルフの若者が息を呑んだ。
「そもそもの話、あんたたちの信仰も、お父さんとお母さんの身に降りかかった不幸も、この子を虐待する理由にはならないでしょ? それとも、子供を虐待したら、これまでの不幸が全部さかのぼってなかったことになるの? もしも、そんな力を持つ神様がいたら、わたしは寝返りを打つたびにふくらはぎがつる呪いをかけてやるわ!」
「なんて邪悪な……」
「だから、さっき言ったじゃない。わたしはあんたたちに邪悪と言われたことを一切否定しないってね。邪悪だから、気に食わないものは排除する。でもそれは、あんたたちだって同じ。わたしも同じ。ただ、わたしの方は言葉を飾らないだけ。似た者同士なんだから、争わず話し合いで決着つけない?」
「これ以上は語るべき言葉を持たん。太古の森は我らに残された最後の故郷(ふるさと)。土足で踏み込ませはせぬ」
彼の声に呼応するように、闇エルフたちが散開する。
あーぁ。話し合いによる平和的解決にしたかったのに、失敗か。仕方ない。ここは気持ちを切り替えて、相手の金や宝を分捕ることを楽しみに、戦うとするか。
「我こそは、隊長のイェリク。我が一族の聖なる儀式を汚した外なるものどもを神の名の下に成敗する」
わたしに話しかけてきた若者、意外とえらい奴だったのか。礼儀には礼儀だ。
「我が名は、冒険家乙女のクワニャウマ。強欲を賞賛と受け止め、善悪の欺瞞から解放されし、損得勘定の達人なり」
「完全に悪役の台詞だよな、それ!?」
この緊迫した状況で、ゲルダのツッコミが炸裂する。
「気にしたら負け! さあ、戦いの始まり始まりッ!」
闇エルフの追撃隊は、わたしの言葉が終わるか終わらないうちに、いっせいに矢を放ってくる。
「みんなよけて!」
「言われんでもよける!」
「ウペペサンケも、よけている!」
「俺は物陰から応援している!」
「いたの、ヴィド!? あと、あんたにはその子を保護してもらうことしか期待してないから安心して!」
わたしがヴィドへ叫んだ直後、長剣がわたしの三つ編みをかすめる。
「死ねい!」
「『死ね』って言った奴が三倍苦しんでから死ねッ!」
わたしはすかさずイェリクへ斬り返す。
言葉の応酬と同様に切れが今一つだったので、ダメージが入ったかどうか微妙だ。
そこへ、イェリクの足元に矢が刺さる。おかげで、イェリクの攻撃がずれ、わたしはからくも頭から真っ二つにされずにすんだ。
「暗いせいではずした! ごめん、クワニャウマ!」
「いいの。これでも十分助かった! ありがとね、ウペペサンケ!」
ウペペサンケが、嬉しそうに唇の片方をわずかに上げる。
その笑顔が、不意に苦悶に変わる。
胸が赤く染まっていく。
追撃隊の誰かが放った矢がウペペサンケの胸に決まったのだ。
「ウペペサンケ! あんたはゆくゆくは金貨10枚で雇われる最強の従者になっても、わたしにだけは常に5枚のまま雇われるサービス精神旺盛な弓兵になるんだから、こんなところでくたばったらダメ!」
わたしは、身代わりの依代をポケットから出す。
今なら、まだ間に合うはず!
そんな私の行く手を塞ぐように、イェリクがまわりこんでくる。
「仲間に対してどんな呼びかけだ!! 貴様は自分が主張した以上に邪悪……」
イェリクが叫ぶも、最後まで言えなかった。
「貴様の相手は、このゲルダだ」
すでに追撃隊を何人か血祭りにあげ終えたゲルダが、わたしとイェリクの間に割って入ってくる。
「クワニャウマ、ここは私にまかせておけ!」
「ありがとう、ゲルダ!」
わたしは、まだかろうじて息があるウペペサンケに身代わりの依代を使う。たちまちお守りについていた三つの輝石のうち、一つがはじけ飛ぶ。
それと同時に、ウペペサンケの胸に刺さっていた矢はかき消え、あとには血で汚れた鎖鎧だけとなっていた。
「間に合ったか。よかった! ならば、これで心置きなく戦える!」
ゲルダの猛攻に耐え切れず、イェリクがどんどん圧倒されていく。
その隙に、わたしは炎球を繰り出し、残りの追撃隊に食らわせる。
「ちっ、手強い……」
イェリクは腰の角笛を手にすると力強く吹き鳴らした。
ゲルダとヴィドが素早く視線を交わす。援軍を呼ばれてしまえば、生きて帰れる見込みはない。仲は悪いけど、こういう時は阿吽の呼吸だな、この二人。
「くそっ、どうするよ」
ヴィドが毒づいたその時、ぶうんと耳をつく音を立て、横殴りの衝撃と共に闇エルフの隊長が茂みに弾き飛ばされる。
樫の木トレントたちが枝を振り回しながら唸り声を上げてわたしたちと闇エルフの間に殺到してきた。
「しめた、ありがてえ!」
ヴィドにせき立てられ、わたしは急いでエルフの少女の手を引く。
そのとき、追撃隊たちとイェリクが落とした金貨5枚と7枚の計12枚を拾い上げる。お金を確保する余裕を与えてくれるとは、ヴィドじゃないけど、ありがてえ!
トレントたちに感謝しつつ、わたしたちはその場を逃げ出した。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2024年末に5巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2024年6月に『歌人探偵定家』(東京創元社)を、同年11月29日に『賊徒、暁に千里を奔る』(KADOKAWA)を刊行。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd66シナリオ
『常闇の伴侶』
著 水波流
2024年7月7日FT新聞配信/2025年書籍版発売予定
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〜前回までのあらすじ〜
《太古の森》で行なわれている、怪しい儀式の原因を突き止めれば、高額報酬が期待できる。そんな噂を安酒場で聞いた冒険家乙女のクワニャウマは、カリウキ氏族の戦士ゲルダとまじない師ヴィドと《太古の森》の探索を始めた。ついに怪しい儀式の原因は闇エルフ達であり、それに樹人の長老の弟が使われていることが判明。樹人の長老の依頼で、儀式によって衰弱している弟の安楽死を依頼されたクワニャウマ達は、数々の冒険の果てにようやく長老の弟の木を見つけ出す。そして、長老の弟の木を安楽死させる機会は、闇エルフ達の儀式の時しかないと知り、待ち構えることにしたのだった。
『常闇の伴侶』は、ついに3回目の冒険を迎えました!
闇エルフの儀式とは、いったいどんな儀式なのか? 「常闇の伴侶」との関連は? 謎の少女の正体は? という数々の謎が、これから続々と解明されていくので、この3回目の冒険の時は展開が気になってクリアするまで止められず、人生初の深夜1:45までプレイしたのは良い思い出です^^b
さて、クライマックスに向けてどんどんシリアスな展開となっていくので、プレイ中、クワニャウマのキャラがだんだん浮いてきて、キャラ崩壊ならぬ世界観崩壊の危機に瀕しました。シリアスな台詞で話しかけてくる敵に対し、今まで通りのクワニャウマのままリアクションをさせては、世界観大崩壊だからです。
そういうわけで、この辺りからクワニャウマのIQを上げてリプレイを書いていきました。本当はもっと知的なキャラにした方が世界観に合うのですが、今まですでにクワニャウマをシリアス度低めのキャラクターで進めていたので、いきなり知的でシリアスなキャラには変更できません。
「『常闇の伴侶』の世界観を破綻させない。自分のキャラクターの個性の一貫性も破綻させない。両方やらなきゃならないのが、どっぷり楽しんでいるプレイヤーのつら……いや、醍醐味だ」とばかりに、クワニャウマのIQを調整しながら冒険を進めた結果、強欲ボケ属性だったのが、善悪二元論や宗教に対して一家言あるキャラに急成長しました。
ところで今年の一月の連休中に、クワニャウマをシリアス度高めに設定して、パートナーをヴィド、少女は黒い肌になってから助ける選択でリプレイなしでプレイしてみたところ、凄まじく重厚感に満ちた冒険となり、切ない結末に精神を持っていかれました。一つのシナリオでこんなにも結末が変わるというのも面白いですが、主人公のシリアス度を上げると冒険の印象が変わってくるのも興味深く、自分が創作していく上でとても勉強にもなりました^^
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
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ローグライクハーフ
『常闇の伴侶』リプレイその6
《3回目の冒険》
齊藤(羽生)飛鳥
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0:冒険のはじまり ≪3回目の冒険≫
闇が深くなる刻限。中天に満月が差し掛かるのも間近。
ヒースの茂みに身を潜めながらも、それぞれが何かを感じ、油断なく目を周囲に配っている。
角笛の音が鳴り響き、皆が一様に身構える。闇の聖地に揺らめく松明の影とともに100人を超える行列が姿を見せ始めた。
闇妖精の古老たちがぶつぶつと古代語の呪い言葉を詠唱しながら先導している。
その後に闇のヴェールを被って連れてこられているのは、12人の白い肌をしたエルフの少年少女たちだ。花冠を頭に乗せ、複雑な文様を描いた民族衣装を身に纏っている。
その中にあの少女の姿を認めると、わたしは下唇を噛みしめる。
(こんな禍々しくもうさんくさい儀式に参加するために帰ると知っていたなら、見送らなかったのに!!)
古老たちの指示で闇エルフたちが古代樹の周囲に陣形を敷いてゆき、篝火が灯される。
……もしも、わたしたちが先に蜘蛛を追い払っていなかったら、彼らや少女も襲われて儀式が延期になっていたかもしれない。そう思うと、複雑だ。身代わりの依代という、すごくお得な宝物を手に入れた後なだけに、余計に。
歪んだ弦楽器が禍々しく奏でられ、打楽器が不可思議なリズムを刻んでゆく。身体を揺らしながら、少年少女たちのヴェールが取り払われる。
黒い衣装に、白い肌と頭上の色とりどりの花冠が眼を惹きつける。オラヴァンマルヤをはじめとした七種の呪いを持つ野の花を思い思いに編み込んだ花冠だ。
子供たちは闇の古代樹に吊り下げられた何本ものトレント葛を手にすると、まるで幽鬼が踊るようにその周囲を回り始める。
古老たちの呪文の唱和が続く中、大人が奏でる輪舞曲がじわじわと高まるにつれ、子供らの足取りもまた激しさを増してゆく。
篝火に照らされるなか演奏は邪悪に歪み始め、子供らは汗まみれになりながら踊り続ける。
不意に晴天の中を雷鳴が一閃する。一人の少年が倒れ伏し、白目を剥いてがくがくと痙攣する。
「ひとり」
古老の声が不気味に響くと、その少年の手足が漆黒を帯びはじめ、やがて全身が真っ黒い肌に覆われる。
(まさか奴ら……ああして闇の子を増やしているというのか)
しかも、すごく苦しそう! 雷を食らわすなんて、これ、どこからどう見ても虐待だよね!?
霹靂は何度も繰り返され、そのたびに少年や少女が1人ずつその身を汚されてゆく。と言うか、雷を食らってこげてない!? 大丈夫なの!?
落雷をその身に受け続ける古代樹は、呻き声のような響きを発していた。まるで痛い痛いと叫ばんばかりのその唸りにわたしは思わず顔を背けたくなる。
お金を積まれても見たくはない光景とは、こういうものだ。
わたしはじっとりとした汗をかきながら、必死で両手を握りしめていた。
輪舞を踊る子供たちは既に半数となっていた。あの少女も小さな鈴の音と共に必死で足を運んでいる。
これ、彼女を見殺しにすることにならない?
今なら、まだ間に合うかも……。
雷鳴が轟き、また一人少年が倒れた。
やはりこれ以上待つなど我慢ならない。
わたしは低木の茂みから弾かれるように立ち上がると、薬瓶の蓋を抜いて駆け出した。
「おら、どけどけどけーッ!!」
不意の闖入者たる君の姿にその場の全員が戸惑っている隙に、わたしは大きく手を振り薬瓶の中身を古代樹の幹に撒き散らす。
シュウシュウと煙が上がり、大樹の幹を焼き焦がすような異臭と共に、あたりは大混乱となる。そうだよね。
こんなにたくさん煙が上がるなら、前もって教えといてよ、長老! こっちも大混乱だ!
でも、周囲はわたし以上に大混乱している。
わたしはその隙に少女の手を取り、一緒にその場から逃げ出した。
空は一面、まだ闇夜に覆われていた。
1:魔犬獣の群れ
闇夜なだけに闇雲に走り出したわたしたちだが、しばらくしてその行く手を阻むように魔犬獣の群れが現れた!
しかも、その数は6匹!
ゆうべ長老からもらった食糧2個と無花果の若木に実った果実をたしたとしても、ワイロにするには数が全然たりない!
魔犬獣はわたしたちを睨みつけながら、低い唸り声で会話を交わしている。
やがて彼らの話し合いがまとまったようだ。
残念ながらわたしたちを襲う事に決まったらしい。牙をむいている。
「貢ぎ物(エサ)を持ってきておくんだったな……」
でも、いくら後悔しても、エサが空から降ってきてわたしたちの救いになることはない。
ここは割り切って戦うしか生き残る道はない。
「いくよ、ゲルダ! ウペペサンケ!」
わたしは、剣を片手に魔犬獣と互いに転がり合い、泥まみれになりながら戦う。
ゲルダたちは、剣や弓矢を使って、とても正々堂々と戦っている。
結果、わたしのダメージがけっこうかさんだけど、みんな無事だった。
「おまけに、金貨12枚相当のアクセサリーを手に入れられた。みんな、よくやった!」
「よく笑顔でいられるな。そんなにダメージを受けたなら、身代わりの依代を使えばよかったのに」
「この程度のダメージに身代わりの依代を使ったら、もったいなくない?」
「クワニャウマ、強欲……」
わたしに対し、ゲルダとウペペサンケがあきれていたけど、全員生き延びて金目の物が入っているのだから、気にしないったら気にしない!
2:鬼火
激闘の果て、わたしたちがおぼつかない足取りで歩くうちに、闇夜に点のような光が見えた。朧気に瞬きながら、上下にゆっくりと揺らめいている。
蛍だろうか。光はわたしを誘うように先導する。
あっと気づいた時には既に遅かった。足元には沼が真っ黒な口を開けていた。
わたしたちはまんまと誘い込まれてしまったのだ!
「クワニャウマ! ウペペサンケ! 危ない! 」
ゲルダの鋭い呼びかけのおかげで、わたしとウペペサンケはすんでのところで底無し沼にはまらずにすんだ。
「ありがとう、ゲルダ! 命拾いしたわ! 」
わたしは、ゲルダへ礼を言った。
「むぅ……まさか、噂に聞く鬼火をこの目で見ることがあろうとは……」
「知っているの、ゲルダ!?」
「あぁ。うちの近所のスヴァンテさんが酒を飲んで《太古の森》に迷いこんだ時に見かけたと言っていたんだ。底なし沼に落ちて死んだ奴が仲間が欲しくて鬼火となり、誘き寄せて沼に沈めようとしているんだとか何とか言っていたから、てっきり酔っ払いの戯言かと思っていた。だが、クワニャウマとウペペサンケが鬼火に誘い込まれる様子を見た今は、そうとは思えなくなった」
ゲルダの説明は、ヴィドとは違って参考文献を引用した説明ではなかった。けれども、なぜかとても信憑性のある話に聞こえた。
ふと見れば、ウペペサンケはまだ底無し沼に落ちかけた恐怖が抜けないのか、無言で震えている。それをエルフの少女が、頭を撫でて落ち着かせている。
ピンチの後だっただけに、心が和む光景を無料で見られて、満たされた気分になった。
3:中間イベント1≪3回目の冒険≫:『闇の追手』
鬼火に惑わされてすんでのところで底無し沼を回避できたわたしたちは、森を抜け出すべく再び歩き出した。
しばらくして、下生えを踏み鳴らす足音も激しく、わたしたちの背後から闇エルフの一団が追いすがる。いきり立つ戦士たちを制し、精悍な若者が一歩前に歩を進めた。
「聖なる儀式を汚した外なるものども……」
「なにが聖なる儀式だ。攫ってきたエルフを闇神に捧げる邪悪な儀式ではないか!」
ゲルダが唾を吐き捨てながら糾弾した。この状況で何だが、やっぱりそれは男らしいと言うより、おっさんくさい……。
「……何か思い違いをしているようだな」
若者は冷めた表情を崩さず、静かに言葉を続ける。
「憎き太陽が最も長きこの日の終わり。我らは神の加護を得る。この闇色の肌はその証。……貴様らはまさか我らが生まれ落ちた時からこのような漆黒の肌をしているとでも思っているのではあるまいな」
若者はそこで言葉を区切り、わたしたちをじっと見つめる。若者の言葉に思わずゲルダが息を呑んだ。
「まさか、闇エルフってのは」
「外なるものよ。我らを世界から追い立てたのは貴様らではないか。生きるために我らが選んだ信仰を邪悪と呼び、ましてや今度は我らの聖域すらも侵そうというのか。貴様らはいつもそうだ。森へ踏み込んできては何もかも奪う。……父は嬲り殺され、母も奴隷として連れて行かれ、二度と森へは帰ってこなかった……」
「生きるために選んだ信仰をしていても、お父さんとお母さんが不幸に見舞われたの? じゃあ、信仰の意味って何? そんなあやふやなもののために、この子に雷を食らわせる虐待をしようとしていたの?」
わたしが思ったことを率直に言うも、若者は何も答えない。
わたしたちの背後の木立の影から、濃い闇を身に纏った集団がじりじりと姿を現してゆく。
「我らを邪悪な闇のものと呼ぶ貴様らこそが、我らからすれば邪悪なのだ、外なるものよ」
若者は冷たい眼でわたしたちを見つめると、腰から長剣を引き抜いた。
どうやら、少女連れ去りと先程の発言から、わたしを邪悪認定したようだ。
「邪悪、ねえ。否定はしないよ。うん。この子を連れ去ったのは事実だもの。それに、お金大好きだし、楽しいこと大好きだし、つらいの苦しいのは大っ嫌い。そんなわたしの生き方を強欲だの邪悪だのと人は言う。でも、何ごとも善悪で物事を判断するってどうよ? この世は、善と悪だけじゃない。損と得だって存在することを忘れてない?」
「なに?」
「まだ、わからない? わたしに善悪で語るなって言っているの。もっと言えば、こすずるく情に訴えてくるなって言うの。いい? 現状の問題点を整理すれば、いたって単純。一:儀式を邪魔したか。答え:はい。邪魔しました。二:なぜ、この子をさらったか? 答え:この子が苦しむ顔を見ずにすむから。助けずに後悔し続け、寝不足が原因で病気になったら薬代が必要となるから圧倒的損。そんなの強欲なわたしには耐えられない。三:この子をあなたたちへ引き渡す気はあるか? 答え:ない。ただし、雷を食わらせないし、これから寂しい思いをさせずにかわいがると誓った場合は別とする。以上!」
わたしが両手をパンとたたくと、闇エルフの若者が息を呑んだ。
「そもそもの話、あんたたちの信仰も、お父さんとお母さんの身に降りかかった不幸も、この子を虐待する理由にはならないでしょ? それとも、子供を虐待したら、これまでの不幸が全部さかのぼってなかったことになるの? もしも、そんな力を持つ神様がいたら、わたしは寝返りを打つたびにふくらはぎがつる呪いをかけてやるわ!」
「なんて邪悪な……」
「だから、さっき言ったじゃない。わたしはあんたたちに邪悪と言われたことを一切否定しないってね。邪悪だから、気に食わないものは排除する。でもそれは、あんたたちだって同じ。わたしも同じ。ただ、わたしの方は言葉を飾らないだけ。似た者同士なんだから、争わず話し合いで決着つけない?」
「これ以上は語るべき言葉を持たん。太古の森は我らに残された最後の故郷(ふるさと)。土足で踏み込ませはせぬ」
彼の声に呼応するように、闇エルフたちが散開する。
あーぁ。話し合いによる平和的解決にしたかったのに、失敗か。仕方ない。ここは気持ちを切り替えて、相手の金や宝を分捕ることを楽しみに、戦うとするか。
「我こそは、隊長のイェリク。我が一族の聖なる儀式を汚した外なるものどもを神の名の下に成敗する」
わたしに話しかけてきた若者、意外とえらい奴だったのか。礼儀には礼儀だ。
「我が名は、冒険家乙女のクワニャウマ。強欲を賞賛と受け止め、善悪の欺瞞から解放されし、損得勘定の達人なり」
「完全に悪役の台詞だよな、それ!?」
この緊迫した状況で、ゲルダのツッコミが炸裂する。
「気にしたら負け! さあ、戦いの始まり始まりッ!」
闇エルフの追撃隊は、わたしの言葉が終わるか終わらないうちに、いっせいに矢を放ってくる。
「みんなよけて!」
「言われんでもよける!」
「ウペペサンケも、よけている!」
「俺は物陰から応援している!」
「いたの、ヴィド!? あと、あんたにはその子を保護してもらうことしか期待してないから安心して!」
わたしがヴィドへ叫んだ直後、長剣がわたしの三つ編みをかすめる。
「死ねい!」
「『死ね』って言った奴が三倍苦しんでから死ねッ!」
わたしはすかさずイェリクへ斬り返す。
言葉の応酬と同様に切れが今一つだったので、ダメージが入ったかどうか微妙だ。
そこへ、イェリクの足元に矢が刺さる。おかげで、イェリクの攻撃がずれ、わたしはからくも頭から真っ二つにされずにすんだ。
「暗いせいではずした! ごめん、クワニャウマ!」
「いいの。これでも十分助かった! ありがとね、ウペペサンケ!」
ウペペサンケが、嬉しそうに唇の片方をわずかに上げる。
その笑顔が、不意に苦悶に変わる。
胸が赤く染まっていく。
追撃隊の誰かが放った矢がウペペサンケの胸に決まったのだ。
「ウペペサンケ! あんたはゆくゆくは金貨10枚で雇われる最強の従者になっても、わたしにだけは常に5枚のまま雇われるサービス精神旺盛な弓兵になるんだから、こんなところでくたばったらダメ!」
わたしは、身代わりの依代をポケットから出す。
今なら、まだ間に合うはず!
そんな私の行く手を塞ぐように、イェリクがまわりこんでくる。
「仲間に対してどんな呼びかけだ!! 貴様は自分が主張した以上に邪悪……」
イェリクが叫ぶも、最後まで言えなかった。
「貴様の相手は、このゲルダだ」
すでに追撃隊を何人か血祭りにあげ終えたゲルダが、わたしとイェリクの間に割って入ってくる。
「クワニャウマ、ここは私にまかせておけ!」
「ありがとう、ゲルダ!」
わたしは、まだかろうじて息があるウペペサンケに身代わりの依代を使う。たちまちお守りについていた三つの輝石のうち、一つがはじけ飛ぶ。
それと同時に、ウペペサンケの胸に刺さっていた矢はかき消え、あとには血で汚れた鎖鎧だけとなっていた。
「間に合ったか。よかった! ならば、これで心置きなく戦える!」
ゲルダの猛攻に耐え切れず、イェリクがどんどん圧倒されていく。
その隙に、わたしは炎球を繰り出し、残りの追撃隊に食らわせる。
「ちっ、手強い……」
イェリクは腰の角笛を手にすると力強く吹き鳴らした。
ゲルダとヴィドが素早く視線を交わす。援軍を呼ばれてしまえば、生きて帰れる見込みはない。仲は悪いけど、こういう時は阿吽の呼吸だな、この二人。
「くそっ、どうするよ」
ヴィドが毒づいたその時、ぶうんと耳をつく音を立て、横殴りの衝撃と共に闇エルフの隊長が茂みに弾き飛ばされる。
樫の木トレントたちが枝を振り回しながら唸り声を上げてわたしたちと闇エルフの間に殺到してきた。
「しめた、ありがてえ!」
ヴィドにせき立てられ、わたしは急いでエルフの少女の手を引く。
そのとき、追撃隊たちとイェリクが落とした金貨5枚と7枚の計12枚を拾い上げる。お金を確保する余裕を与えてくれるとは、ヴィドじゃないけど、ありがてえ!
トレントたちに感謝しつつ、わたしたちはその場を逃げ出した。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2024年末に5巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2024年6月に『歌人探偵定家』(東京創元社)を、同年11月29日に『賊徒、暁に千里を奔る』(KADOKAWA)を刊行。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd66シナリオ
『常闇の伴侶』
著 水波流
2024年7月7日FT新聞配信/2025年書籍版発売予定
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2025年4月9日水曜日
第6回【戦場の風】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4459
第6回【戦場の風】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【戦場の風】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
ぜろです。
ゲームブック「戦場の風」のプレイを続けています。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。主人公ウォーレンは、いかにして彼女に撤退の判断をしてもらえば良いのでしょうか。
【ウォーレン 技術点12 体力点15/19 運点12】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1
・馬
・ガーネット
・牛飼いの笛
・黒いコイン
●アタック04-11 ウォーレンの説得は……
王女は、勝ち目のない戦いでも、退くわけにはいかないと固い決意を持っている。
誇りのためと言えば聞こえはいいが、勝てない戦いに挑むのは蛮勇や無謀を通り越して、犬死にだ。
それを正面きって進言したら、止まるだろうか。
王女だけでなく、王女の言葉を受けた兵士にも伝播している。
この雰囲気に呑まれてはいけない。
話の流れを、変えなければ。
・ドラッツェン軍の狙いは、この土地だ
・ドラッツェン軍の狙いは、コーデリア王女だ
やはりここは、王女自身が狙われている、と焦点を当ててみよう。
「ドラッツェン軍の狙いは、あなただ。コーデリア王女」
この指摘は、当人にとっては、絶大に効くはずだ。
「それは、どういう意味ですか?」
コーデリアの表情におびえが浮かぶ。
それはそうだろう。
俺はこれから、戦場での名誉ある戦死ではない、王女の別の利用価値の話をしなければならない。
それは、15歳の王女には、過酷な現実を突きつけることになる。
高揚した気分など、簡単に吹き飛ぶほどの。
「なぜ、ドラッツェン軍が激しい攻勢に出ないのか。それは、あなたが欲しいからだ。生きたまま。捕虜として」
コーデリア王女が捕虜となれば、この戦いの敗北だけではなく、それ以上の不利益を、我が国は被ることになる。
コーデリア王女の利用価値の前には、ひとつの戦の敗北など、小さなものだ。
この説明は、王女に衝撃を与えたようだ。
それはそうだろう。生きたまま敵国の捕虜となった場合、どのような目に遭わされるか。
自分に、どのような利用価値があるのか。
ここでその想像力が働かないのでは、王族としての力量に疑問符がつく。
「……ですが、それでも、私はここで、戦わなければならない理由があります」
王女はそれでも、そう言い切った。
しかし、その言葉はこれまでとは違う。
単なる戦場の高揚だけではない、熟慮のうえの言葉だった。
俺の言葉の意味を考え、吟味し、自身の思いと秤にかけて、それでも発した言葉であることは明らかだった。
「私が退くわけにはいかない理由が、あなたにはわかりますか?」
王女の方からの質問。
俺がこれになんと答えるか。
これは、非常に重要な意味を持つ。
示された選択肢は、以下である。
・ロング・ナリクの民を守るため
・王族としての誇りが撤退を許さないから
・現実を見ず、理想に殉じたがっているから
これもまた、熟慮を要する質問だ。
●アタック04-12 コーデリア王女の結論は……
コーデリア王女が退くわけにはいかない理由。それは。
・ロング・ナリクの民を守るため
・王族としての誇りが撤退を許さないから
・現実を見ず、理想に殉じたがっているから
この場の雰囲気に冷水をぶっかけるのなら、いちばん下の答えが適当だろう。
俺自身の考え方にもいちばん近い。だが、今それを言い放って本当に良いのか。
王女の気持ちをまったく理解していないとして、ばっさり切られてしまう可能性はないか。
では、上のふたつも考えてみよう。
・ロング・ナリクの民を守るため
これは、模範解答のような理想的な回答といえよう。
だが、ここでこれを答えるのは間違っている。
コーデリア王女は、援軍がないまま戦いに身を投じようとしている。
勝ち目のない戦いだ。
勝てないとわかっている戦いに、民を守るなどという理由を掲げるのか。
結果、民は守られないだろう。
きれいごとだ。
これを王女が退けない理由として一番に挙げるのならば、俺は王女を軽べつしかねない。
いや、15歳の王女だ。そこは経験不足ゆえということにしておこうか。
・王族としての誇りが撤退を許さないから
となると、これだが。
誇りのため。
これも本質を言い当てていると言える。
だが、撤退は許されないわけではない。
戦いに勝てないならば、一兵でも多く帰還させる。
それも指揮官の務めだろうに。
だから結局、結論は、「現実を見ず、理想に殉じたがっているから」となる。
これは、「誇りが撤退を許さない」と表裏一体の回答だ。同じことを、違う角度から言っている。
そうだな。だったら、こっちにしようか。
・王族としての誇りが撤退を許さないから
今俺は、王女の気持ちを言い当てろ、と言われたんだからな。
それなら、これだ。
でも王女、それは、間違っている。
……と、俺が続けられればよかったのだが。
「そうです。誇り高きナリクの聖騎士は、たとえ敵軍がどんな恐るべき力を振るおうとも、決してひるんではならないのです」
俺は、失敗を悟った。
この場面、俺はコーデリア王女の理想を言い当ててはいけなかったのだ。
せっかく王女が熟慮し、吟味したことを、自身の理想を言語化することで、再度塗りつぶしていくのが、俺には見えた。
もう、俺には止められなかった。
周囲の兵士は、俺と王女との間に距離を取らせた。
俺の言葉は、もう届かない。
俺に同行してきた、戦死した聖騎士ウォーレンの配下、アンドロ。
彼は王女に伝えたいことがあると言っていた。
しかし、そのチャンスがないまま、会談は終わってしまった。
ロング・ナリクはこれから、ドラッツェン軍に最後の攻勢をかけるのだろう。
そして、敗れる。コーデリア王女は、戦死するだろうか。捕虜となるだろうか。
いずれにせよ、俺は任務に失敗したのだ。
ゲームオーバー。
どんなに能力値に優れた屈強な戦士であっても、選択肢の前には無力だった。
こんなことなら、たとえ拒絶されようとも、「理想に殉じたいだけだろ」と本音をぶつけておくんだったな。
●アタック05-1 リオンの冒険ダイジェスト
さあ、アタック05だ。
今回は、変えたいと思うのは、ひとつだけだ。
それは、最後の選択肢。
そこで、途中経過は省略して、一気に物語を進めてしまおうと思う。
思うのだが、まずはキャラクターを作らなければな。
こうしてできたのが、5人目の挑戦者。その名はリオン。
【リオン 技術点10 体力点20 運点9】
技術点=十分強い
体力点=なかなかの強さ
運点=まあぼちぼち
技術点が10点に達しているかどうかが、強さの分岐点といえる。
だから十分に戦えるキャラクターと考えて良いだろう。
4人目のウォーレンと比べたら多少見劣りはするかもしれないが、戦う者としての力は十分にある。
では、新しいキャラクターもできたところで、一気に物語を進めていこう。
完全に中略できれば良いのだが、途中でサイコロを使った戦闘もあるため、完全に同じになるとは限らない。
最初の駐屯地での、ウォードレイクとの遭遇から逃走までの流れは、前回どおりに進んだ。
牛飼いジェイコブを救うところも、問題なかった。
選択肢を変えてみたのは、その先だ。
街道の先にはドラッツェン軍がいて危ないという牛飼いジェイコブは、他に2つの道を示してくれた。
「林を抜けるか、川を渡った方がいいですだ」
ここで選択肢が出る。
・ジェイコブの同行を断わり、街道を進む
・川を渡る道を選ぶ
・林を抜ける道を選ぶ
ここで前回は、林を抜ける道を選んだ。
ジェイコブは、「林を抜けるか、川を渡った方がいい」と言った。
こういう場面では、普段使い慣れた道や、意識している道が先に出るものだ。
つまりジェイコブにとっては、林を抜ける道の方が使い勝手が良い道ということになる。
そう思っていたのだが、林の道は俺にとっては思いのほか悪路で、体力点を2点、失ってしまったのだ。
川を渡る道を選べば、この体力点ロスを防げるかもしれない。そんなことを考えた。
ジェイコブの案内で川に向かうと、渡し守がいた。
「急いでいるんだ。向こうへ渡してもらえるだろうか」
「もちろんじゃ。代金さえ払ってくれるなら、戦の中だろうときっちり仕事はするとも」
そりゃお金かかるよな。
ところで、俺、持ち物欄に所持金まったくないんだが。
と思っていたら、持ち物に記載されておらずとも、路銀程度のお金ならきっちり持っていると説明された。
これで問題はなくなった。
俺とジェイコブは、川を渡って先へと進んだ。
これで俺は、体力点をロスする場面をひとつ飛ばすことができた。
次は友軍のテント。ここではアンドロに話しかけることで同行者とする流れは変えなかった。
他に2人、話しかけられる人物はいるが、アンドロが正解だろうと踏んでいる。
ジェイコブの家に立ち寄るかの選択。
ここ、立ち寄ると、2人のドラッツェン兵と戦わなければならなくなるんだよ。
でも、立ち寄れば牛飼いの笛をもらえるんだよね。牛を呼び寄せるという、パラグラフジャンプをともなうアイテム。
やはりこれ、欲しいよね。
俺はジェイコブの家に立ち寄る。
予定どおりに2人のドラッツェン兵と戦う。
ところが、これが大苦戦となった。
やはり前任者ウォーレンの技術点12は、非常に強かったのだ。
俺リオンも十分に強いがサイコロ運でどんどん押されてゆく。
【ドラッツェン兵1 技術点7 体力点6】
【ドラッツェン兵2 技術点8 体力点5】
1人目のドラッツェン兵を倒したとき、俺の体力点は20点から14点まで減らされていた。
2人目のドラッツェン兵を倒したとき、俺の体力点は、なんと4点まで減らされていたのだ。
サイコロ運、おそるべし。
初めて食料を食べ、体力点を8点まで回復させた。
こんな状態だったので、聖堂に行った際、司祭からほどこしを受けることにした。
前回は消耗がなかったために選ばなかった選択肢だ。
司祭は俺に聖水をくれた。使用すれば体力点3点を回復できる。
すぐに使って体力点は11点になった。
そこから戦場へ向かう途中にコーデリア王女の密偵と遭遇。王女の所在を聞き出すことができる。
俺は王女の居場所、聖堂に引き返す。
ここでパラグラフジャンプをすれば、王女に会えるのだが……。
待てよ。
ここでもう一度施しを受けることが可能なのでは?
そうしたら、また聖水がもらえる。体力点が回復する。
そして外に出て密偵に遭遇して聖堂に引き返す。
これを繰り返せば、体力点を満タンにできる!
……やらないけどね。
「またおまえか」
呆れた顔の密偵が脳裏に浮かんでしまったよ。
こうして俺は、聖堂に戻った。司祭に合言葉を伝え、コーデリア王女のところに案内してもらおう。
さあ、ここからが本番だ。
今度こそ、コーデリア王女を説得し、撤退の選択をさせなければ。
【リオン 技術点10 体力点20→4→11/20 運点9】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1→0
・馬
・ガーネット
・牛飼いの笛
・黒いコイン
■登場人物
ウォーレン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。聖騎士と同名。4人目の挑戦者。
リオン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。5人目の挑戦者。
ロング・ナリク王 おうさま。コーデリア王女の父。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。
聖騎士ウォーレン ロング・ナリクの当代一の聖騎士。ロング・ナリク軍の副官。戦地で命を落とす。
ジェイコブ 金牛の丘の牛飼い
アンドロ 聖騎士ウォーレンに従っていた兵士。ウォードレイクに遭遇し生き延びる。王女に伝えたいことがある。
■作品情報
作品名:戦場の風
著者:丹野佑
編集:エディットなかの
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B00SSZ9D5C
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編集: 水波流、葉山海月、中山将平
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
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※ここから先はゲームブック【戦場の風】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
ぜろです。
ゲームブック「戦場の風」のプレイを続けています。
戦場に取り残され、なおも戦おうというコーデリア王女を無事に離脱させるため、王命を受けて旅立った主人公。
ウォードレイクとの遭遇。牛飼いジェイコブとの出会いと別れ、聖騎士の配下だった兵士アンドロの同行。
そしてついに聖堂で、コーデリア王女に会うことができました。
しかし、王女は戦いをやめるつもりはありません。主人公ウォーレンは、いかにして彼女に撤退の判断をしてもらえば良いのでしょうか。
【ウォーレン 技術点12 体力点15/19 運点12】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1
・馬
・ガーネット
・牛飼いの笛
・黒いコイン
●アタック04-11 ウォーレンの説得は……
王女は、勝ち目のない戦いでも、退くわけにはいかないと固い決意を持っている。
誇りのためと言えば聞こえはいいが、勝てない戦いに挑むのは蛮勇や無謀を通り越して、犬死にだ。
それを正面きって進言したら、止まるだろうか。
王女だけでなく、王女の言葉を受けた兵士にも伝播している。
この雰囲気に呑まれてはいけない。
話の流れを、変えなければ。
・ドラッツェン軍の狙いは、この土地だ
・ドラッツェン軍の狙いは、コーデリア王女だ
やはりここは、王女自身が狙われている、と焦点を当ててみよう。
「ドラッツェン軍の狙いは、あなただ。コーデリア王女」
この指摘は、当人にとっては、絶大に効くはずだ。
「それは、どういう意味ですか?」
コーデリアの表情におびえが浮かぶ。
それはそうだろう。
俺はこれから、戦場での名誉ある戦死ではない、王女の別の利用価値の話をしなければならない。
それは、15歳の王女には、過酷な現実を突きつけることになる。
高揚した気分など、簡単に吹き飛ぶほどの。
「なぜ、ドラッツェン軍が激しい攻勢に出ないのか。それは、あなたが欲しいからだ。生きたまま。捕虜として」
コーデリア王女が捕虜となれば、この戦いの敗北だけではなく、それ以上の不利益を、我が国は被ることになる。
コーデリア王女の利用価値の前には、ひとつの戦の敗北など、小さなものだ。
この説明は、王女に衝撃を与えたようだ。
それはそうだろう。生きたまま敵国の捕虜となった場合、どのような目に遭わされるか。
自分に、どのような利用価値があるのか。
ここでその想像力が働かないのでは、王族としての力量に疑問符がつく。
「……ですが、それでも、私はここで、戦わなければならない理由があります」
王女はそれでも、そう言い切った。
しかし、その言葉はこれまでとは違う。
単なる戦場の高揚だけではない、熟慮のうえの言葉だった。
俺の言葉の意味を考え、吟味し、自身の思いと秤にかけて、それでも発した言葉であることは明らかだった。
「私が退くわけにはいかない理由が、あなたにはわかりますか?」
王女の方からの質問。
俺がこれになんと答えるか。
これは、非常に重要な意味を持つ。
示された選択肢は、以下である。
・ロング・ナリクの民を守るため
・王族としての誇りが撤退を許さないから
・現実を見ず、理想に殉じたがっているから
これもまた、熟慮を要する質問だ。
●アタック04-12 コーデリア王女の結論は……
コーデリア王女が退くわけにはいかない理由。それは。
・ロング・ナリクの民を守るため
・王族としての誇りが撤退を許さないから
・現実を見ず、理想に殉じたがっているから
この場の雰囲気に冷水をぶっかけるのなら、いちばん下の答えが適当だろう。
俺自身の考え方にもいちばん近い。だが、今それを言い放って本当に良いのか。
王女の気持ちをまったく理解していないとして、ばっさり切られてしまう可能性はないか。
では、上のふたつも考えてみよう。
・ロング・ナリクの民を守るため
これは、模範解答のような理想的な回答といえよう。
だが、ここでこれを答えるのは間違っている。
コーデリア王女は、援軍がないまま戦いに身を投じようとしている。
勝ち目のない戦いだ。
勝てないとわかっている戦いに、民を守るなどという理由を掲げるのか。
結果、民は守られないだろう。
きれいごとだ。
これを王女が退けない理由として一番に挙げるのならば、俺は王女を軽べつしかねない。
いや、15歳の王女だ。そこは経験不足ゆえということにしておこうか。
・王族としての誇りが撤退を許さないから
となると、これだが。
誇りのため。
これも本質を言い当てていると言える。
だが、撤退は許されないわけではない。
戦いに勝てないならば、一兵でも多く帰還させる。
それも指揮官の務めだろうに。
だから結局、結論は、「現実を見ず、理想に殉じたがっているから」となる。
これは、「誇りが撤退を許さない」と表裏一体の回答だ。同じことを、違う角度から言っている。
そうだな。だったら、こっちにしようか。
・王族としての誇りが撤退を許さないから
今俺は、王女の気持ちを言い当てろ、と言われたんだからな。
それなら、これだ。
でも王女、それは、間違っている。
……と、俺が続けられればよかったのだが。
「そうです。誇り高きナリクの聖騎士は、たとえ敵軍がどんな恐るべき力を振るおうとも、決してひるんではならないのです」
俺は、失敗を悟った。
この場面、俺はコーデリア王女の理想を言い当ててはいけなかったのだ。
せっかく王女が熟慮し、吟味したことを、自身の理想を言語化することで、再度塗りつぶしていくのが、俺には見えた。
もう、俺には止められなかった。
周囲の兵士は、俺と王女との間に距離を取らせた。
俺の言葉は、もう届かない。
俺に同行してきた、戦死した聖騎士ウォーレンの配下、アンドロ。
彼は王女に伝えたいことがあると言っていた。
しかし、そのチャンスがないまま、会談は終わってしまった。
ロング・ナリクはこれから、ドラッツェン軍に最後の攻勢をかけるのだろう。
そして、敗れる。コーデリア王女は、戦死するだろうか。捕虜となるだろうか。
いずれにせよ、俺は任務に失敗したのだ。
ゲームオーバー。
どんなに能力値に優れた屈強な戦士であっても、選択肢の前には無力だった。
こんなことなら、たとえ拒絶されようとも、「理想に殉じたいだけだろ」と本音をぶつけておくんだったな。
●アタック05-1 リオンの冒険ダイジェスト
さあ、アタック05だ。
今回は、変えたいと思うのは、ひとつだけだ。
それは、最後の選択肢。
そこで、途中経過は省略して、一気に物語を進めてしまおうと思う。
思うのだが、まずはキャラクターを作らなければな。
こうしてできたのが、5人目の挑戦者。その名はリオン。
【リオン 技術点10 体力点20 運点9】
技術点=十分強い
体力点=なかなかの強さ
運点=まあぼちぼち
技術点が10点に達しているかどうかが、強さの分岐点といえる。
だから十分に戦えるキャラクターと考えて良いだろう。
4人目のウォーレンと比べたら多少見劣りはするかもしれないが、戦う者としての力は十分にある。
では、新しいキャラクターもできたところで、一気に物語を進めていこう。
完全に中略できれば良いのだが、途中でサイコロを使った戦闘もあるため、完全に同じになるとは限らない。
最初の駐屯地での、ウォードレイクとの遭遇から逃走までの流れは、前回どおりに進んだ。
牛飼いジェイコブを救うところも、問題なかった。
選択肢を変えてみたのは、その先だ。
街道の先にはドラッツェン軍がいて危ないという牛飼いジェイコブは、他に2つの道を示してくれた。
「林を抜けるか、川を渡った方がいいですだ」
ここで選択肢が出る。
・ジェイコブの同行を断わり、街道を進む
・川を渡る道を選ぶ
・林を抜ける道を選ぶ
ここで前回は、林を抜ける道を選んだ。
ジェイコブは、「林を抜けるか、川を渡った方がいい」と言った。
こういう場面では、普段使い慣れた道や、意識している道が先に出るものだ。
つまりジェイコブにとっては、林を抜ける道の方が使い勝手が良い道ということになる。
そう思っていたのだが、林の道は俺にとっては思いのほか悪路で、体力点を2点、失ってしまったのだ。
川を渡る道を選べば、この体力点ロスを防げるかもしれない。そんなことを考えた。
ジェイコブの案内で川に向かうと、渡し守がいた。
「急いでいるんだ。向こうへ渡してもらえるだろうか」
「もちろんじゃ。代金さえ払ってくれるなら、戦の中だろうときっちり仕事はするとも」
そりゃお金かかるよな。
ところで、俺、持ち物欄に所持金まったくないんだが。
と思っていたら、持ち物に記載されておらずとも、路銀程度のお金ならきっちり持っていると説明された。
これで問題はなくなった。
俺とジェイコブは、川を渡って先へと進んだ。
これで俺は、体力点をロスする場面をひとつ飛ばすことができた。
次は友軍のテント。ここではアンドロに話しかけることで同行者とする流れは変えなかった。
他に2人、話しかけられる人物はいるが、アンドロが正解だろうと踏んでいる。
ジェイコブの家に立ち寄るかの選択。
ここ、立ち寄ると、2人のドラッツェン兵と戦わなければならなくなるんだよ。
でも、立ち寄れば牛飼いの笛をもらえるんだよね。牛を呼び寄せるという、パラグラフジャンプをともなうアイテム。
やはりこれ、欲しいよね。
俺はジェイコブの家に立ち寄る。
予定どおりに2人のドラッツェン兵と戦う。
ところが、これが大苦戦となった。
やはり前任者ウォーレンの技術点12は、非常に強かったのだ。
俺リオンも十分に強いがサイコロ運でどんどん押されてゆく。
【ドラッツェン兵1 技術点7 体力点6】
【ドラッツェン兵2 技術点8 体力点5】
1人目のドラッツェン兵を倒したとき、俺の体力点は20点から14点まで減らされていた。
2人目のドラッツェン兵を倒したとき、俺の体力点は、なんと4点まで減らされていたのだ。
サイコロ運、おそるべし。
初めて食料を食べ、体力点を8点まで回復させた。
こんな状態だったので、聖堂に行った際、司祭からほどこしを受けることにした。
前回は消耗がなかったために選ばなかった選択肢だ。
司祭は俺に聖水をくれた。使用すれば体力点3点を回復できる。
すぐに使って体力点は11点になった。
そこから戦場へ向かう途中にコーデリア王女の密偵と遭遇。王女の所在を聞き出すことができる。
俺は王女の居場所、聖堂に引き返す。
ここでパラグラフジャンプをすれば、王女に会えるのだが……。
待てよ。
ここでもう一度施しを受けることが可能なのでは?
そうしたら、また聖水がもらえる。体力点が回復する。
そして外に出て密偵に遭遇して聖堂に引き返す。
これを繰り返せば、体力点を満タンにできる!
……やらないけどね。
「またおまえか」
呆れた顔の密偵が脳裏に浮かんでしまったよ。
こうして俺は、聖堂に戻った。司祭に合言葉を伝え、コーデリア王女のところに案内してもらおう。
さあ、ここからが本番だ。
今度こそ、コーデリア王女を説得し、撤退の選択をさせなければ。
【リオン 技術点10 体力点20→4→11/20 運点9】
【持ち物】
・剣
・荷物袋
・食料1→0
・馬
・ガーネット
・牛飼いの笛
・黒いコイン
■登場人物
ウォーレン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。聖騎士と同名。4人目の挑戦者。
リオン ロング・ナリク軍の一員で若き騎兵。5人目の挑戦者。
ロング・ナリク王 おうさま。コーデリア王女の父。
コーデリア ロング・ナリクの王女。15歳で初陣。戦場の指揮を執る。
ジャルベッタ ドラッツェン軍の指揮官。冷酷無比との噂。
聖騎士ウォーレン ロング・ナリクの当代一の聖騎士。ロング・ナリク軍の副官。戦地で命を落とす。
ジェイコブ 金牛の丘の牛飼い
アンドロ 聖騎士ウォーレンに従っていた兵士。ウォードレイクに遭遇し生き延びる。王女に伝えたいことがある。
■作品情報
作品名:戦場の風
著者:丹野佑
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2025年4月8日火曜日
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第43回 FT新聞 No.4458
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第43回
「宝」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
おはようございます。
イラストレーターの中山将平です。
早速ですが、TRPGやゲームブックを遊ばれていて、「命がけの冒険にしては報酬が足らない」と感じられたことはないでしょうか。
僕はあるんです。
そういうわけで、今日の記事の話題は「宝」。
カエル人の創作を通して考えたファンタジーTRPG(またはゲームブック)における「冒険の報酬」についての話を語ろうと思います。
今回お話する「冒険の報酬」とは、単に依頼主から受け取れる成功時の金銭だけではありません。
冒険の体験を通して手に入るアイテムや金銭、事象等を全て含んだ概念と思っていただけましたら。
ファンタジーを楽しまれている方にとって、意味のある記事にできると幸いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
◆ 価値
この記事でお伝えしたいことは、ある一つの問いです。
それは「真に価値のあるものって何だと思われますか?」ということ。
ええ、人生の中でとか、この世界でというわけではなくて、あくまでTRPGやゲームブックで冒険を通して手に入る物の中で……というお話です。
言い換えるのであれば、ゲームを遊んだ後報酬としてどんな物を入手できると楽しいと感じられるでしょうか。
金貨、宝石、優れた武器や防具、魔法のアイテム、人脈等々、色々なものを想像されると思います。
「宝」が得られることは、それがゲームの世界の中だけの出来事であってももちろん嬉しい事象に違いありません。
しかし、カエル人の創作をしていて「本当にそうなのか!?」と感じた瞬間があったのです。
自分の作ったゲームシナリオを眺めていて、「適切な報酬(冒険した価値があったと喜ばれる報酬)」を用意できているのか、ふと疑問に感じたときです。
キャラクターが金貨(のようなもの)を握りしめながら、「こんな物のために命を賭けたのではない」と感じる事態……それは避けたいですよね。
それで自分に何度も問い続けることになりました。
「プレイヤーのキャラクターにとって、真に価値のあるものって何だと思うのか?」
◆ 試行と思考
こういう問題って、往々にして答えが出ない……悩み続けているということを結論にしがちだと感じるのは僕だけかもしれません。
でも、僕自身はというとそんな結論は嫌なんです。
答えを出したい。
自分自身の中だけでの真実でも構わないので、納得のいくところまで練り上げた意見を持っていたいのです。
せっかく自分でTRPGを作って遊ぶ環境があったので、色々な方向性を試してみることにしました。
つまり「金貨(のようなもの)を増額する場合」は当然として、その他考えられる「魔法の道具」「人脈」等まで実際に報酬としてみたのです。
そのことからどんなことが感じられたのか、一つずつまとめたいと思います。
◆ 金貨増額
実はカエル人たちは「金貨」というものを使わない設定をしているので、これに代わるものは「宝石」等になります。
それはそうと、報酬としての「金貨のようなもの」を増加させた場合について、2つ気づいたことがありました。
1つ目は、単純に「買い物」がより楽しくなるということ。
お金を使って装備やアイテムを買いそろえることはストレスフリーに楽しめることではないでしょうか。
気を付けたいと感じたのは、選択肢を増やしすぎると時間がかかりすぎることとパワーのインフレくらいかなと。
つまり、「こんなもののために命を賭けたのではない」という想いに対抗するものとして、キャラクターの多様なコンバートによる物語性の強化ができる点を感じたのです。もちろん、そのためには金貨を使うことで買える「良いもの」が設定されている必要性があるなぁという視点も感じました。
2つ目は、一度にたくさん手に入るより、手に入る機会を増やす方が楽しく感じるということ。
これは個人的な感覚なのかもしれませんが、この記事ではそのような要素も大切にしたいと思っています。
宝が手に入るのは嬉しいこと。嬉しいことは回数が多いほどより良い気分になると思うのです。
結果的に、カエル人のTRPGでは物語の様々な要素に「手に入る宝」を散りばめることになりました。
◆ 魔法の道具
やってみてより強く感じられたのですが、「魔法の道具」は物語の中で大きな影響を持ちうるようでした。
特にそれが「魔法の武器」や「魔法の防具」になってくると、装備するキャラクターの物語にも関わってくるのではないでしょうか。
TRPGやゲームブックは、ある意味では物語を体験するだけではなく実際に作るゲームでもあると感じています。
その中で、プレイヤーの「写し身」であるキャラクターの物語を描ける要素は、とても重要だと感じられました。
そのため、僕自身はこのアイテムたちを慎重に扱う方が良いと感じ、シナリオごとに1〜2個程度の登場に絞る傾向がありました。
同時に、(魔法のアイテムの影響力が大きいだけに)参加者全員の不公平感をなくす工夫も必要になるほどだと感じられました。
◆ 人脈
カエル人のTRPGでは、選ばれた結末に合わせて人物の「コネクション」(人脈)が得られるシステムを採用しました。
人脈が得られると、冒険の間に入手できるもの(買い物できるもの)が増えたり、魔法などの技能を教わることができる作りです。
作成側として用意するコストは多少増えましたが、小さくまとめたこともあっておおむね問題ない分量でした。
やってみると、NPCとのつながりはそのまま世界への没入感につながることが感じられました。
冒険の中で関わった人物が一過性の消費物ではなくなり、ずっと物語の中に生き続けてくれることも嬉しかったです。
◆ まとめ
今日は、感じたことをつらつらと書いてみました。
これらの経験から得たことは、「個人的に、物語が深まることがもっと大きな報酬に感じる」という実感です。
金貨の増量で様々なキャラクターコンバートが楽しめること。
魔法の道具でキャラクターの個性がより強まること(あるいは変化すること)。
人脈によって関われる世界が広がっていくこと。
これらは全て物語を深める要素ではないかと感じられたのです。
それが、この記事で書きたかったことです。
これについて、「私はこう感じていたよ」というご意見もぜひご感想にて聞かせていただきたいと願っています。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
よきファンタジー・ライフを。
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「宝」
(中山将平)
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おはようございます。
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早速ですが、TRPGやゲームブックを遊ばれていて、「命がけの冒険にしては報酬が足らない」と感じられたことはないでしょうか。
僕はあるんです。
そういうわけで、今日の記事の話題は「宝」。
カエル人の創作を通して考えたファンタジーTRPG(またはゲームブック)における「冒険の報酬」についての話を語ろうと思います。
今回お話する「冒険の報酬」とは、単に依頼主から受け取れる成功時の金銭だけではありません。
冒険の体験を通して手に入るアイテムや金銭、事象等を全て含んだ概念と思っていただけましたら。
ファンタジーを楽しまれている方にとって、意味のある記事にできると幸いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
◆ 価値
この記事でお伝えしたいことは、ある一つの問いです。
それは「真に価値のあるものって何だと思われますか?」ということ。
ええ、人生の中でとか、この世界でというわけではなくて、あくまでTRPGやゲームブックで冒険を通して手に入る物の中で……というお話です。
言い換えるのであれば、ゲームを遊んだ後報酬としてどんな物を入手できると楽しいと感じられるでしょうか。
金貨、宝石、優れた武器や防具、魔法のアイテム、人脈等々、色々なものを想像されると思います。
「宝」が得られることは、それがゲームの世界の中だけの出来事であってももちろん嬉しい事象に違いありません。
しかし、カエル人の創作をしていて「本当にそうなのか!?」と感じた瞬間があったのです。
自分の作ったゲームシナリオを眺めていて、「適切な報酬(冒険した価値があったと喜ばれる報酬)」を用意できているのか、ふと疑問に感じたときです。
キャラクターが金貨(のようなもの)を握りしめながら、「こんな物のために命を賭けたのではない」と感じる事態……それは避けたいですよね。
それで自分に何度も問い続けることになりました。
「プレイヤーのキャラクターにとって、真に価値のあるものって何だと思うのか?」
◆ 試行と思考
こういう問題って、往々にして答えが出ない……悩み続けているということを結論にしがちだと感じるのは僕だけかもしれません。
でも、僕自身はというとそんな結論は嫌なんです。
答えを出したい。
自分自身の中だけでの真実でも構わないので、納得のいくところまで練り上げた意見を持っていたいのです。
せっかく自分でTRPGを作って遊ぶ環境があったので、色々な方向性を試してみることにしました。
つまり「金貨(のようなもの)を増額する場合」は当然として、その他考えられる「魔法の道具」「人脈」等まで実際に報酬としてみたのです。
そのことからどんなことが感じられたのか、一つずつまとめたいと思います。
◆ 金貨増額
実はカエル人たちは「金貨」というものを使わない設定をしているので、これに代わるものは「宝石」等になります。
それはそうと、報酬としての「金貨のようなもの」を増加させた場合について、2つ気づいたことがありました。
1つ目は、単純に「買い物」がより楽しくなるということ。
お金を使って装備やアイテムを買いそろえることはストレスフリーに楽しめることではないでしょうか。
気を付けたいと感じたのは、選択肢を増やしすぎると時間がかかりすぎることとパワーのインフレくらいかなと。
つまり、「こんなもののために命を賭けたのではない」という想いに対抗するものとして、キャラクターの多様なコンバートによる物語性の強化ができる点を感じたのです。もちろん、そのためには金貨を使うことで買える「良いもの」が設定されている必要性があるなぁという視点も感じました。
2つ目は、一度にたくさん手に入るより、手に入る機会を増やす方が楽しく感じるということ。
これは個人的な感覚なのかもしれませんが、この記事ではそのような要素も大切にしたいと思っています。
宝が手に入るのは嬉しいこと。嬉しいことは回数が多いほどより良い気分になると思うのです。
結果的に、カエル人のTRPGでは物語の様々な要素に「手に入る宝」を散りばめることになりました。
◆ 魔法の道具
やってみてより強く感じられたのですが、「魔法の道具」は物語の中で大きな影響を持ちうるようでした。
特にそれが「魔法の武器」や「魔法の防具」になってくると、装備するキャラクターの物語にも関わってくるのではないでしょうか。
TRPGやゲームブックは、ある意味では物語を体験するだけではなく実際に作るゲームでもあると感じています。
その中で、プレイヤーの「写し身」であるキャラクターの物語を描ける要素は、とても重要だと感じられました。
そのため、僕自身はこのアイテムたちを慎重に扱う方が良いと感じ、シナリオごとに1〜2個程度の登場に絞る傾向がありました。
同時に、(魔法のアイテムの影響力が大きいだけに)参加者全員の不公平感をなくす工夫も必要になるほどだと感じられました。
◆ 人脈
カエル人のTRPGでは、選ばれた結末に合わせて人物の「コネクション」(人脈)が得られるシステムを採用しました。
人脈が得られると、冒険の間に入手できるもの(買い物できるもの)が増えたり、魔法などの技能を教わることができる作りです。
作成側として用意するコストは多少増えましたが、小さくまとめたこともあっておおむね問題ない分量でした。
やってみると、NPCとのつながりはそのまま世界への没入感につながることが感じられました。
冒険の中で関わった人物が一過性の消費物ではなくなり、ずっと物語の中に生き続けてくれることも嬉しかったです。
◆ まとめ
今日は、感じたことをつらつらと書いてみました。
これらの経験から得たことは、「個人的に、物語が深まることがもっと大きな報酬に感じる」という実感です。
金貨の増量で様々なキャラクターコンバートが楽しめること。
魔法の道具でキャラクターの個性がより強まること(あるいは変化すること)。
人脈によって関われる世界が広がっていくこと。
これらは全て物語を深める要素ではないかと感じられたのです。
それが、この記事で書きたかったことです。
これについて、「私はこう感じていたよ」というご意見もぜひご感想にて聞かせていただきたいと願っています。
それでは、今日はそろそろこのあたりで。
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2025年4月7日月曜日
「ローグライクハーフ」個人制作シナリオのご紹介☆(後半) FT新聞 No.4457
おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆
桜の咲く季節になりましたね。
1週間程度しか咲かないことから、桜は「はかなさ」の象徴とも言われてきました。
潔く散るさまに「死」を見出すことが、日本人の死生観に一致するとする考えもあるそうです。
まだ風の冷たい春に見る桜を見るたびに、次の桜を見るときに自分がどうなっているのか、思いを馳せます。
「ローグライクハーフ」も、この世に生まれ落ちてから2年が経ちました。
前回に引き続き、個人制作によるサプリメントをご紹介してまいります☆
◆主にTALTOから。
「ローグライクハーフ」のシナリオやサプリメントは、TALTOというサイトに掲載していただくことを推奨しています。
「ローグライクハーフ」というTRPGジャンルを分類に掲載してほしいと打診して、キッチリと応えてくれた最初のサイトだったからです。
もちろん、他の掲載サイトでもまったく問題ありません☆
そのTALTOには現在、約30個のローグライクハーフシナリオ/サプリメントが掲載されています。
今回はここ半年間で発表された作品に絞って、ご紹介いたしますね。
作品紹介にあたって、TALTOにある「作品概要」の記述からの引用をさせていただきました。
◆「水底の街を歩いてforRLH」
作者名未記入。
本作品は「ローグライクハーフ」ですが、戦闘や【判定ロール】といった「危険」が存在しません。
湖の底にある街を歩く。
情景の透明さとともに、澄んだ気持ちにさせてくれる作品です。
(概要から引用)
本作には危険がなく、終了時に獲得できる経験点もありません。ロールプレイを目的とした探索マップ、冒険の中のひとつのフレーバーとしてお楽しみください。
主人公の設定はあなた次第ですが、素潜りが不得手な主人公では違和感があるものと思われます。
https://talto.cc/projects/DCRVQCxXA2Q5G3YHSrv2b/rev/l8hovsvurc/booklets/SNUK8oOQVl
◆「フォーリス学園」
作者名未記入。
装備品関連のサプリメント。
学園もののローグライクハーフを遊ぶ際に活用可能。
この学園を「故郷」として設定することもできます。
(概要から引用)
このサプリメントでは基本ルールに記載された装備品の代わりに、主人公作成時、冒険終了後に学園内設備で装備品を購入することができます。あるいはひとつのフレーバーテキストとしてお楽しみください。
https://talto.cc/projects/02fygvYQ0eUrtiJSUj174/rev/SvHRxtD2Bu/booklets/sRUUhU2KQt
(「故郷」についてはこちら)
https://ftbooks.xyz/ftwiki/index.php?%E3%80%8C%E6%95%85%E9%83%B7%E3%80%8D
◆「ローグライクハーフ非公式 マーカー式キャラクターシート」
成田砂男さんによる作品。
キャラクターシートの数値が「マーカー式」になっていて、視覚的に現状を把握できます。
24レベルまで対応。
(作品から引用)
これはローグライクハーフの非公式(ファンメイド) キャラクターシート、戦闘管理シートです。印刷してご利用ください。
https://talto.cc/projects/57UwNr3ohDuedUny6xlwc/rev/UnaZiCq2l7/booklets/2LGSpBVz_w
◆「ローグライクハーフ」D33シナリオ『お菓子の魔女と森』
成田砂男/宮田みゃーたさんによる作品。
メルヘンと中世ファンタジーのハイブリッド。
「ヘンゼルとグレーテル」をベースにしつつ、アランツァを舞台として「ローグライクハーフ」に落とし込んだd63シナリオです。
(作品から引用)
これは「ローグライクハーフ」のd63シナリオです。少し経験を積んだレベルの主人公1人と従者、または主人公2人での冒険に適しています。もしもこの冒険を作りたて(10経験レベル)の主人公で行う場合、そのキャラクターには準備金として金貨20枚が(初期金貨に加えて)渡されます(そうでない主人公の場合にはありません)。
https://talto.cc/projects/tkREbaNwqCDqJTFRHQaHY/rev/-OWWEUQcGq/booklets/NhdAYUdGDt
◆「可愛いあの子に最高のプレゼントを」
寝子さんによるd22シナリオ。
ふたつのエリアに分かれているため、合計8個のランダムな〈できごと〉と、2個の〈固定イベント〉で構成されています。
寝子さんのオリジナル世界『キャトルド』のメイン地域「ウサギノニワ」を舞台とした、かわいさ溢れる作品です。
(作品から引用)
オリジナル世界『キャトルド』の『ウサギノニワ』という地域を舞台にしたローグライクハーフのd22シナリオです。
ウサギノニワで知り合った少女の誕生日を祝うために素敵なプレゼントを探しに行く、ほのぼのした初心者向けのシナリオです。
https://talto.cc/projects/-W-SVqaGb3l-BOfOB7o4H/rev/H0naVfkCS9/booklets/hhYMf08YJ8
◆5月は久々の出番です!
さて、ついに3年目に突入した「ローグライクハーフ」。
5月にはロア・スペイダーによる短編集「雪剣の頂 勇者の轍」の書籍版が刊行されます。
そして、5月にはもうひとつ、大きなニュースがあります。
5月の第1日曜日に配信予定のシナリオは、私杉本と紫隠ねこさんによる、最新のd66シナリオです☆
その詳細については、来週の記事にて!
それではまた!
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■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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https://ftnews-archive.blogspot.com/
【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84
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桜の咲く季節になりましたね。
1週間程度しか咲かないことから、桜は「はかなさ」の象徴とも言われてきました。
潔く散るさまに「死」を見出すことが、日本人の死生観に一致するとする考えもあるそうです。
まだ風の冷たい春に見る桜を見るたびに、次の桜を見るときに自分がどうなっているのか、思いを馳せます。
「ローグライクハーフ」も、この世に生まれ落ちてから2年が経ちました。
前回に引き続き、個人制作によるサプリメントをご紹介してまいります☆
◆主にTALTOから。
「ローグライクハーフ」のシナリオやサプリメントは、TALTOというサイトに掲載していただくことを推奨しています。
「ローグライクハーフ」というTRPGジャンルを分類に掲載してほしいと打診して、キッチリと応えてくれた最初のサイトだったからです。
もちろん、他の掲載サイトでもまったく問題ありません☆
そのTALTOには現在、約30個のローグライクハーフシナリオ/サプリメントが掲載されています。
今回はここ半年間で発表された作品に絞って、ご紹介いたしますね。
作品紹介にあたって、TALTOにある「作品概要」の記述からの引用をさせていただきました。
◆「水底の街を歩いてforRLH」
作者名未記入。
本作品は「ローグライクハーフ」ですが、戦闘や【判定ロール】といった「危険」が存在しません。
湖の底にある街を歩く。
情景の透明さとともに、澄んだ気持ちにさせてくれる作品です。
(概要から引用)
本作には危険がなく、終了時に獲得できる経験点もありません。ロールプレイを目的とした探索マップ、冒険の中のひとつのフレーバーとしてお楽しみください。
主人公の設定はあなた次第ですが、素潜りが不得手な主人公では違和感があるものと思われます。
https://talto.cc/projects/DCRVQCxXA2Q5G3YHSrv2b/rev/l8hovsvurc/booklets/SNUK8oOQVl
◆「フォーリス学園」
作者名未記入。
装備品関連のサプリメント。
学園もののローグライクハーフを遊ぶ際に活用可能。
この学園を「故郷」として設定することもできます。
(概要から引用)
このサプリメントでは基本ルールに記載された装備品の代わりに、主人公作成時、冒険終了後に学園内設備で装備品を購入することができます。あるいはひとつのフレーバーテキストとしてお楽しみください。
https://talto.cc/projects/02fygvYQ0eUrtiJSUj174/rev/SvHRxtD2Bu/booklets/sRUUhU2KQt
(「故郷」についてはこちら)
https://ftbooks.xyz/ftwiki/index.php?%E3%80%8C%E6%95%85%E9%83%B7%E3%80%8D
◆「ローグライクハーフ非公式 マーカー式キャラクターシート」
成田砂男さんによる作品。
キャラクターシートの数値が「マーカー式」になっていて、視覚的に現状を把握できます。
24レベルまで対応。
(作品から引用)
これはローグライクハーフの非公式(ファンメイド) キャラクターシート、戦闘管理シートです。印刷してご利用ください。
https://talto.cc/projects/57UwNr3ohDuedUny6xlwc/rev/UnaZiCq2l7/booklets/2LGSpBVz_w
◆「ローグライクハーフ」D33シナリオ『お菓子の魔女と森』
成田砂男/宮田みゃーたさんによる作品。
メルヘンと中世ファンタジーのハイブリッド。
「ヘンゼルとグレーテル」をベースにしつつ、アランツァを舞台として「ローグライクハーフ」に落とし込んだd63シナリオです。
(作品から引用)
これは「ローグライクハーフ」のd63シナリオです。少し経験を積んだレベルの主人公1人と従者、または主人公2人での冒険に適しています。もしもこの冒険を作りたて(10経験レベル)の主人公で行う場合、そのキャラクターには準備金として金貨20枚が(初期金貨に加えて)渡されます(そうでない主人公の場合にはありません)。
https://talto.cc/projects/tkREbaNwqCDqJTFRHQaHY/rev/-OWWEUQcGq/booklets/NhdAYUdGDt
◆「可愛いあの子に最高のプレゼントを」
寝子さんによるd22シナリオ。
ふたつのエリアに分かれているため、合計8個のランダムな〈できごと〉と、2個の〈固定イベント〉で構成されています。
寝子さんのオリジナル世界『キャトルド』のメイン地域「ウサギノニワ」を舞台とした、かわいさ溢れる作品です。
(作品から引用)
オリジナル世界『キャトルド』の『ウサギノニワ』という地域を舞台にしたローグライクハーフのd22シナリオです。
ウサギノニワで知り合った少女の誕生日を祝うために素敵なプレゼントを探しに行く、ほのぼのした初心者向けのシナリオです。
https://talto.cc/projects/-W-SVqaGb3l-BOfOB7o4H/rev/H0naVfkCS9/booklets/hhYMf08YJ8
◆5月は久々の出番です!
さて、ついに3年目に突入した「ローグライクハーフ」。
5月にはロア・スペイダーによる短編集「雪剣の頂 勇者の轍」の書籍版が刊行されます。
そして、5月にはもうひとつ、大きなニュースがあります。
5月の第1日曜日に配信予定のシナリオは、私杉本と紫隠ねこさんによる、最新のd66シナリオです☆
その詳細については、来週の記事にて!
それではまた!
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