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2025年12月24日水曜日

第2回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4718

第2回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


ぜろです。
ニナ・ガーデンハートの雪深い森の中での逃避行。
その一点に絞ったゲームブック。それがこの「ハンテッドガーデンハート」です。
スタミナと敵との距離を測りながら、最終的に逃げ切るのが目的です。
しかし、相手は手練れのハンター、ダムリス。
その追跡術と、痕跡が残りやすい雪の地では、思うようにいきません。
最初の挑戦者は、雪による自然が作り出したトラップにはまり失敗に終わりました。
2回目の挑戦となる今回は、はたして逃げ切れるのでしょうか。


【ニナ スタミナ:5 距離:2】


●アタック02-1 ニナと毛皮商人

最初の挑戦は、あえなく失敗に終わった。
再挑戦の時間だ。
主人公ニナは、末妹ミナのような時を操る魔法使いではないので、設定を追加することもなくシンプルに「やり直し」ということでプレイする。

私ニナが、雪の森を歩いている場面からだ。
背後には、追っ手ダムリスが、視認できる位置をつかず離れずついてきている。

ダムリスは、優秀なハンターで、弓の名手でもある。
弓矢で狙われるリスクを考えると、隙を見せないよう、神経をすり減らし続けなければならない。
けれども、今回射てくることはないだろうと踏んでいる。
なぜなら、ヤツらは私を無傷で手に入れたいからだ。
私の身体が目当てなのだから。

ヤツらの組織はやばい。
かつて私がいっときヤツらの手に落ちていた時のことだ。
ヤツらは、私のセミヌードの写し絵を栞にして、全国各地のイベントで頒布してしまっていたのだ。
これだけで、ヤツらの組織がどれほど危険なのか、わかっていただけたと思う。

(註:FT書房はゲームブック「盗賊剣士」を発売した頃、ニナのセミヌード栞を各種イベントで頒布していました。今もあるのかな?)

いけない。現実と妄想の区別がつかなくなってきている。神経を使いすぎて、疲れてきたのかな。

・もう少し距離を取る
・状況を受け入れる

ここの答えはもう決まっている。
今、スタミナを余分に消費してまで無理に距離を取る必要はない。
むしろヤツは、そうやって私が消耗するのを待っている。だからああやってわざわざ見える位置からプレッシャーをかけ続けている。

私はそのまま、つかず離れずの距離のまま歩き続ける。

【ニナ スタミナ:5→3 距離:2→1】

やがて、メーラの実が3個なっている木を発見。
私は1個かじり、もう1個を半分にし、ポケットに突っ込む。

【ニナ スタミナ:3→4 距離:1】

やがて、野生のポルルポルルを発見した。
私の持つメーラの実に反応したため、餌付けついでに乗りこなす。
ポルルポルルは、最初こそ戸惑ったが、おとなしく私の合図に従ってくれた。
もともと人懐こい生物だけど、もしかしたらかつて人を乗せたことがあるのかもしれない。
私はこのポルルポルルを、ポリアンナと名づけた。

このまま森を抜けられたら良かったのだけれど、ポリアンナにはそんな体力は残っていなかったみたい。
少しの距離でへばってしまった。そのまま徒歩で並んで進むこともできそうにない。
せっかく名づけて愛着を持ったのに、別れの時は思いのほか早かった。

【ニナ スタミナ:4 距離:1→3】

やがて日が沈む。
そんなとき進行方向に、焚火の明かりが見えた。
人影は3人。中年の商人に、その護衛が2人といったところか。

・焚火の方に行く
・焚火を避ける

悩ましいシチュエーションだ。
焚火の商人たちとダムリスが連携を取っている可能性は少ないだろうと思う。
私は発見されるやいなや、逃走に転じた。だからそういった時間は与えていないはずだ。
しかし、それは別としてあの商人が、ヤツらの組織と繋がっている可能性は否定できない。

私は決めた。商人と接触しよう。
商人を避け、このまま夜通し歩き続けるくらいなら、賭けてみる価値はある。

私の接近に気づいた商人は、両手を大きく広げて歓迎のポーズをした。

「エルフのお嬢さん、こんばんは。一人旅ですかな? それともこの森にお住まいで?」

敵意がないことを示してくる。
たしかに、向こうは護衛を2人連れているのだから、立場的には上だ。
先にこちらの警戒心を解いてくるあたり、商売上手なのだろうと思う。

商人は、毛皮を取り扱っているという話をし、こんな森の中で出会ったのだから、お客でなくても歓迎だ、と言う。

・事情を話してみる
・事情は黙って泊めてもらう
・やはり夜通し歩く

いくら商人の信頼性が高かろうと、ここで事情を話すは、ないな。
事情を話すということは、商人側に選択肢を与えるということだ。
私は、出会ったばかりの商人に、自分の運命を委ねようなどという趣味はない。

私は、ただ旅人であることを告げ、一緒に野営したいと申し出る。商人は快諾してくれた。
なけなしの所持金を払うことにする。商人は断ってきたが、それでも強引に握らせた。

ダムリスは襲ってはこなかった。
商人の護衛たちがいるためだ。
おかげで私は、しっかり休息を取ることができた。

あくる朝。私のスタミナは1回復していた。距離は固定で、2にリセットされている。

【ニナ スタミナ:4→5 距離:3→2】

完全にスタート時のステイタスに戻った形だ。

商人とは進む方向が違う。
私は商人と別れを告げ、歩き出す。

商人の姿が見えなくなった頃合を見計らって、ダムリスがまた、その姿を見せた。
そうしてまた、視認されながらの、徒歩の追いかけっこが、始まる。


●アタック02-2 ニナとイタチ先生

森の端の崖側に、スキー板が落ちているのを見つけたが、無視した。
崖付近は、雪はあるけれど地面はないという危険性があるから、近寄らない方が良い。

ちなみにプレイヤーの方の私は、スキー場で道の端を歩いていた友人が、ずっぽりと雪に隠れた側溝にはまりこむのを目の当たりにしたことがある。
雪地の端はそれほどに危険なのだ。

この日もそのまま、つかず離れずの追いかけっこは続く。
徐々に空腹になってきた。
とはいえ、食料はない。
あの商人に、宿泊代を握らせるついでに、少しの食料でも分けてもらっておけばよかった。

過ぎたことを嘆いても仕方がない。

私は、昨日のように木の実がなっていないかといった期待をしながら、雪を踏みしめ歩く。

やがて、前方に動くものを見つける。小動物。イタチだ。
イタチを捕獲すれば、食料になる……か?
いやいや、さばく時間も、調理する時間もないぞ?
さすがに生肉にかじりつくこともできないし。

・イタチを追いかける
・まずは動きを観察する
・先を急ぐ

私は捕まえることにはこだわっていない。
ただ追うだけでは逃げられるだろうし、動きを観察してみよう。

どうやらイタチは、私ではない何かに追われているようだった。
せわしなく走り、川に飛び込んで反対側に渡ると数歩歩き……なんと、その数歩を、同じ足跡を踏んで戻った。
そして川に入り、泳いで消えて行った。

私は思った。これは……使える!

雪の中に行きの足跡しかない殺人事件のトリックのように、同じ足跡を踏んで戻る技術。
これを覚えておけば、ほんのわずかな距離でも行き先を偽装できる可能性がある。
きっとどこかで使えるチャンスはあるはずだ。

具体的には「雪に足跡が残る」という記述に出会った際に、特に指示がなくとも、直前のパラグラフに戻れるようになるという。
もとのパラグラフには戻るが、先に歩いて行ったと見せかける足跡が残った場面に変化しているという仕掛けだ。
これは新しいアイディアだ。
こうした短編作品には、何かひとつ目を引く仕掛けを用意するものだが、これがまさにそうだと確信できる。
この「バックトラック」を活用することが勝利の鍵となるに違いない。

そんなことを考えながら歩いていたら、うっかり仕掛け罠にかかってしまった。
イノシシなんかを捕獲する時に用いる「くくり罠」だ。

見れば、木々に動物が身体をこすりつけたような痕跡があった。
どうやらこのあたり、イノシシが生息しているようだ。それで猟師が、捕獲用のくくり罠を設置していたのだろう。
イノシシは本来、温暖なところを好む動物だ。このような雪の地にいるのは珍しい。冬眠する生態ではないから。

実際、プレイヤーの居住地、静岡はイノシシによる畑の被害が多いが、岩手に住んでいた頃、あちらにはイノシシは出ないと聞いたことがある。
それにしても迷惑なのはくくり罠だ。人には罠があることを知らせるために看板等で注意喚起をしておいてくれないと。甲種狩猟免許をはく奪されてしまうよ。
それに告知しておいてくれた方が、こうやって罠を無駄にしてしまうことが減るから、実は設置者にとってもお得なはずなのだ。
くくり罠は、獣の通り道を調べ、そこに足を置くであろう場所に想定して設置する、非常にデリケートで手間のかかる罠だから。

それでも、くくり罠はトラバサミよりはやさしい。人力なら比較的たやすく外すことができる。
とはいえ、罠を外すのに時間を要した。スタミナは減らなかったが、ダムリスは距離を詰めてきている。

【ニナ スタミナ:5 距離:2→1】

やがて、丸木小屋のある小さな広場に出た。


●アタック02-3 ニナと黒ずくめの男

ダムリスとの距離は1しかない。
かなり接近されてしまった。

あの丸木小屋を前にして、考えられる取り得る行動は2つ。
入るか、無視するかだ。

入る場合、何を目的とするか。
武器になるものを探すのが一番か。
今の距離だとダムリスは、私が小屋から出た時点で待ちかまえているか、なんらかの罠を仕かけてくる可能性は高いだろう。

いや待て。煙突から煙が出ている。
誰かが住んでいるのか。
だとしたらダムリスは慎重になるだろうな。焚火の商人に近づかなかったのと同じことだ。
住人が私にとってどういう態度に出るのかは賭けだけど、私にとって選択肢はないも同じだ。
このままではジリ貧なのだから、とにかく行ってみるしかない。

小屋に近づくと、異様な雰囲気に気がついた。
扉が半開きになっている。この寒い中で? 明らかに不自然だ。
扉の影からそっと中をのぞく。

2人の男がもつれあっている。
あ、ええと、いやらしい意味ではない。
青年が、黒ずくめの男に背後から首を締め上げられているのだ。

青年と目が合った。
助けを乞うような視線だ。
青年の足もとには、矢が数本と、弓が落ちている。あれがあれば、ダムリスに対抗する武器になるだろう。

・青年を助ける
・武器を持って去る
・先を急ぐ

今の状況を整理しよう。
青年が、黒ずくめの男に襲われている。これは間違いない。
となると、この小屋に住んでいたのは青年の方か。
青年が何をやらかしたのかはわからないが、あんなに怪しげな暗殺者を差し向けられるだけのことをしたということか。
ああ、考えてみたら私も完全に立場は同じだ。
となると、この小屋が青年の家なのかも怪しい。私と同じく一時避難として利用したのかもしれない。

なんにせよ、助けるほかないな。
だいたい、今助けを求めているのは若者の方だけだ。暗殺者に手を貸しても何の見返りもないどころか、目撃者として消されかねない。
若者の素性やいきさつによっては、危険ななにかに首を突っ込んでしまう可能性はあるけれど、売れる恩は売っておかないと。

私は若者に合図を送る。
若者は、暴れ出した。

「おとなしくしろ。今さら暴れても無駄だ」

もちろん若者の動きは、丸木小屋に進入した私の動きを察知されないためだ。
私はすかさず小屋に突入し、手近にあった薪を拾い上げると、暗殺者を殴りつけた。
頭部を狙ったつもりだったが、もみあう2人に正確な一撃を食らわせるのは難しく、肩への打撃となった。

「仲間がいたとはな!」

違うけど、誤解させておけ。
2対1になったにもかかわらず、暗殺者はひるむことなく私に向けて短刀を繰り出す。
相当な自信があるのか、失敗が許されないのか。

薪で防御するが、あっさりと払われる。
こいつ、かなり戦闘慣れしている。

・スタミナが3以上
・スタミナが2以下

今の私のスタミナは、5だ。これなら、いけそうだ。
戦いは長期戦になった。とはいえ、技量は向こうが上だ。
私はやがて、床に転ばされた。暗殺者は私に馬乗りになり、短刀を振り下ろしてくる。
私はその腕をつかみ、全力で止める。しかし力の差は歴然としており、短刀の刃先がじりじりと喉元に迫ってくる。

もうダメだと思った時、暗殺者は「うっ」とうめいた。短刀にかかる力がゆるむ。
その隙に抜け出そうとしたが、その前に暗殺者の身体が私に覆いかぶさるように倒れてきた。

その向こうに立っているのは青年だ。
暗殺者は息絶えている。首筋の後ろに、矢が突き刺さっていた。青年が、矢を直接ねじり込んだのだ。

助けに入って、助けられた。
けれど、実質は私が青年を助けたということで良いのだろう。
私が助けに入らなければ、青年は命を落としていたに違いないのだから。

次回、青年の助力を得て、ダムリスに反撃か


【ニナ スタミナ:5 距離:1】


■登場人物
ニナ・ガーデンハート ガーデンハート姉妹の長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
ダムリス 非合法な組織の追っ手。ニナを狙っている。
ポリアンナ 森でニナが餌付けしたポルルポルル。空腹。
イタチ先生 ニナに雪上の足跡トラップを伝授してくれる。
青年 小屋にいた青年。暗殺者に襲われていた。
暗殺者 名探偵コナンの犯人にしか見えない黒ずくめ。

■作品情報
作品名:ハンテッドガーデンハート
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています

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