第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
●作品紹介とキャラクター準備
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「ゴルギアスロフの旅の店」に来ると、「旅の匂い」のする場所へ飛ばしてくれる。
城・街角・砂漠・様々な冒険の舞台が君を待つ
そこで出会うのは、盗賊・魔女・エルフの射手……彼らとどう関わる?
困難を越えて、宝を手に入れよう!
(冒頭の四コマ漫画より文章のみ抜粋)
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ぜろです。
ゲームブックをプレイしていると、時に、どうにも重い作品に手を出しづらいタイミングが訪れます。
それは、大作をプレイした直後であったり、別の理由で心身が疲れていたり、そんな時です。
そして私はお仕事が超絶忙しい人。それはもうずっと変わらないのですが、今年度はそれに拍車をかけて大変。
「これ以上忙しくなるなんて物理的に無理だろう」と思うような状況を、軽く更新してくれるので油断がなりません。
なお、職場の同僚には、私がリプレイ連載をしていることは隠していません。
なのでよく言われます。「いつ書いているのかわからない」と。
はい。私もそう思います。でもこうして公開しているのですから、書いているのです。どこかの時間で。ふしぎふしぎ。
さて、話を戻します。
どうにも重い作品に手を出しつらいタイミング。なんかやりたいけど、大物には食指が動かない。
そんな時には軽めの作品をプレイするに限ります。
そして、そういう時に役に立つのが短編集。
そこで手に取ったのが、「Hunted Gardenheart(ハンテッドガーデンハート)」。ゲームブック短編集です。
これには10本の短編ゲームブックが収録されています。
今のような気分の時にはぴったり!
まあ、そんな気分で初めてみたら、がっつり大冒険をしてしまった「マドレーンの海域」のようなパターンもありますが。
「マドレーンの海域」のリプレイは、FT新聞にて2023年11月8日から12月6日にかけて全5回で連載させていただきました。あの時は航路が荒ぶりすぎて、ものすごい大冒険になってしまったのでした。
今回は、そんな「マドレーンの海域」の次に収録されております「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦することにしました。
サイコロを振って遊ぶ、ファイティング・ファンタジーシリーズのルールがベースになった作品です。
作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います。
導入部分とゲームシステムを確認。
導入についてはリプレイ本編で語ることにしましょう。
戦士、盗賊、僧侶の3タイプの主人公の中からひとりを選んでプレイするようになっています。
ステイタスは、各キャラクターごとに固定値です。サイコロを振って1からキャラクターを作るわけではありません。
そして、それぞれのタイプに合った特技を身につけています。
戦士は、何の特技もありませんが、技術点、体力点が高く、屈強でタフネス。
盗賊は、弓矢による先制攻撃と、開錠ができる。
僧侶は、運だめしを行うたびに体力点を回復する加護がある。
この中では、僧侶の特技がこれまでに見たことがないものですね。
運だめしごとに体力点が回復するとなれば、戦闘の時の運だめしの出番が多そうです。
そんな各タイプの能力値がこちら。
戦士 技術点11 体力点13 運点9 金貨5枚
盗賊 技術点10 体力点10 運点10 金貨10枚
僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15枚
技術点、体力点、運点とはざっと以下のような内容になります。
技術点は戦闘の強さを含めた総合力の高さを示し、最も重要。
体力点はHP(ヒットポイント)。0点になったらなんまいだー。
運点は、運を天に任せるイベントで使用する。使うと減っちゃう。
盗賊の能力値、全部10点なんですね。
素早さや器用さを示す能力値があればきっと高いのでしょうけれど、全部ひっくるめて技術点が代用しますからね。
中堅どころ、しかも特殊技能も豊富。いちばんやってみたいタイプかもしれません。
一番厳しいのは、技術点に恵まれない僧侶かな。
いくら運だめしの際に回復できる特技があっても厳しいかも。
所持金を使って何か有用なアイテムを持ち込めるならワンチャン?
さて、この3タイプから自由に選択して良いとのこと。
それならここは、サイコロを振って決めましょう。
結果、僧侶となりました。
一番苦戦しそうなキャラクターに。
で、でも大丈夫。
三択で選択できるってことは、ちゃんと僧侶でもクリアできるバランス……のはず。
では、僧侶キャラで、名前は……ソウハで!
僧侶のソウに、走破してクリアしたいという願掛けを込めたネーミング。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
金貨のほかに、背負い袋と、自分に合った武器を持っているとのことです。
自分に合った武器ですか。
僧侶系のキャラクターだと、やはりメイス系の打撃武器というのが定番でしょう。
それではここから本編に入っていきましょう。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 ゴルギアスロフの旅の店
私の名はソウハ。
唯一神セルウェーを信仰する神官だ。
ロング・ナリクのランカスター司祭のもとに身を置いている。
最近ランカスター司祭は、人間に姿を変え、人間社会に溶け込み、人間を捕食する「変身獣」への対応に追われている。
「聖セルウェー変身獣討伐隊」なるものが組織されたほどだ。
私は、そんな様子を端で見て感じていた。私は非力で、そうした荒事の役には立てない。
私にもっと力があれば。
そんな折に耳にしたのだ。
「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を。
その店は、秘宝の力で、依頼人を冒険の場へと移動させてくれる、と。
手っ取り早く冒険の経験を積むにはもってこいだ。
こうして私は、商業都市ナゴールへ向かった。
ゴルギアスロフの旅の店を訪れるために。
さて、ゴルギアスロフ氏について、私が知っていることを伝えよう。
彼はドワーフ。引退した元冒険者だ。
彼はかつて、桜森にある「ディラットの危険な地下迷宮」にて、とある秘宝を手に入れた。
「トラファルデの秘宝」と呼ばれるそれは、信じられない効果をもたらす魔法道具だった。
ゴルギアスロフ氏は、その秘宝の入手をきっかけに、冒険者を引退し、ナゴールに小さな店を開いたという。
秘宝を売って財を成したわけではない。
むしろその逆で、秘宝を用いた商売を始めたのだ。
秘宝の入手はきっかけではあったが、それ以前の冒険で、店を開けるだけの稼ぎは得ていたようだ。
その秘宝の効果だが、なんでも、人をどこか別の場所に転移させられるとか。
その転移先では、様々な冒険が待ち受けているらしい。
このあたりになると、噂は少しあやふやになる。正確なところは、ゴルギアスロフ氏本人から直接聞いてみよう。
長旅を経て、ナゴールへと到着した。
道中、同じ方角へ向かう商隊と同じ速度で移動していたため、危険はなかった。
邪悪なるヒポグリフの微笑み商会。なかでもウェルタースという人物は軽口でおしゃべりで、彼の話のおかげで退屈しないで済んだ。
彼らは途中の小さな町にしばし逗留するとのことで別れたが、また会いたいものだ。
宿を確保し、ナゴールに一時滞在できる支度を整え、私はゴルギアスロフの旅の店に向かった。
その店は、狭い路地に入ったところにある、あまり目立たない店構えだった。
というか、およそ店らしい雰囲気をしていない。
商品を陳列する必要がないのだから、当然かもしれない。
「おやおや、新顔さんかな」
店の雰囲気に入るのをためらっていると、中から雑味のある声がした。
不揃いでぎざぎざの歯をしたドワーフが、崩れた笑みで迎えてくれる。
お世辞にも整った顔立ちではない。失礼だが、不細工である。
彼が店主のゴルギアスロフだろう。一般的にイメージするドワーフとはだいぶ異なった印象を受ける。
「ここがどんな店かわかって訪れたのかね」
私はうなずく。続いて言葉を発しようとすると、店主はそれを制した。
「いや、いい。この店がどんな店か知って訪れたのなら、それでいい。個々の事情は聞かんことにしとる」
下手に聞くことで、厄介ごとに巻き込まれたくないという。
長年この商売をしているだけに、用心深い。もしかしたら、過去に何かあったのかもしれない。
「まず最初に警告だ。わしを殺して秘宝を奪おうとは考えぬことだ。秘宝はわしにしか動かせぬ。わしがいなければ、ただのガラクタだからな」
しかも、店内は雑多にものが置かれており、どれが秘宝なのか、ぱっと見ではわからないようになっている。
その中のどれかが「トラファルデの秘宝」なのか、隠してあるのか。外見の情報がない限り、素人目には全部ガラクタにしか見えない。
これもこのドワーフの対策のひとつなのだろう。
警告を終えると、ゴルギアスロフは説明を始めた。
●アタック01-2 ゴルギアスロフ、旅のルールを説明する
「では、さっそく決まりごとを伝えよう」
ゴルギアスロフは、この店の利用方法を説明した。
「秘宝はお前さんを、『旅の匂い』のする場所に飛ばしてくれる。お前さんが選べるのはたったひとつ。旅の種類だ。『苦難の旅』『旅人の旅』と呼んでおる」
最初に選択肢を提示する。説明上手だな。慣れか。
「『苦難の旅』は、6つの旅に、続けて送り込むというもの。すべての旅路をくぐり抜ければ、帰還できる。『旅人の旅』は、ひとつの旅だけで帰還する」
これだけ聞くと、「旅人の旅」はおためしコースみたいなものだな。
「いずれの旅も危険に満ちておる。『旅人の旅』だからといって、おためしだ、などと思わぬことだ」
あ。思考を読まれた。
「どこに飛ばされるのかはわからん。魔道具が勝手に『旅の匂い』のする場所を選ぶでな。この大陸かどうかも定かではない。飛ばされた人間は、魔道具との繋がりができ、望めば一度だけ『帰還』ができる」
なるほど。
これはすさまじい力を秘めた魔道具だ。
決まった場所に移動できるようにすれば、某大作RPGの「たびのとびら」みたいな扱いができ、流通に革命が起こりそうなものだが。
この、ランダムな場所にしか移動させられないというのは、いったいどんな意図で作られたものなのだろう。
そう考えたとき、私の思考はひとつの結論を導いてしまった。
これは、依頼人をランダムな場所に運んでくれる素晴らしい魔道具などではない。
ダンジョンの探索者を、危険な場所に強制転移させる、トラップなのだ。
これを作る意味と、発見された場所を考慮すれば、おそらく間違ってはいない。
望めば帰還できるなら、トラップの用をなさないと思われるかもしれない。
帰還は、この魔道具の性能テストのための機能なのだろう。
当然、帰還には必要な手順があるはずで、罠にかかった探索者はそれを知る由もない。
理解すると同時に、この魔道具を利用することによる命の危機が予想できた。
「旅」なんて聞こえのいい言葉を使っているが、そんなお気楽なものではないのだ。
そもそも、旅ってなんだろう。
近所までお使いに行くのは旅?
隣町まで外食に行くのは?
地方のイベントに行ってくるのは?
仕事場に行くのは旅ではないが、「邪悪なるヒポグリフの微笑み商会」みたいな行商は旅と言えそう。
どこからどこまでという線引きは難しいが、「距離」と「目的」あたりがキーと言えそうだ。
加えて、そこで得られる新鮮な「体験」なども旅の重要なファクターと感じる。
だが、この店で言う旅は、断じてそんな甘いものではない。「冒険」の方がまだしっくりくる。
「なああんた、聞いとるのか」
私が沈思黙考に入っている間にも、ゴルギアスロフの説明は続いていたようだ。
いかんいかん。しっかり聞いておかないと。聞き逃したために命を落とすとか、シャレにならん。
「稼いできた金品のうち1割がこちらの取り分だ。ごまかすなよ。持ち物チェックはさせてもらう」
分割できない物品に関しては、金銭で相当額を納めるか、売り払って分配するとのこと。
それから、「旅人の旅」の利用は3回までとの話があった。
行ったら帰還を繰り返すといった、旅の選り好み行為を防ぐ目的のようだ。
実は「上限3回」の説明は、本来最初のルール説明には入っていない。1回目の「旅人の旅」が終わった際に追加で言われるものだ。
けれどここで伝えられた方が全体的に整理がしやすいので、リプレイ上ではそういうことにさせてもらった。
「なにか質問はあるか?」
私は尋ねた。「旅先」で死んだ場合、どうなるのか、と。
「死んだ後のことに興味があるのか。死んだらそれまでだろうに。お前さん、変わっとるな」
言うほど変わってるかな。
「遺体を戻して金品は頂戴する、と言いたいところだが、それはせぬようにしておる。あるかわからぬ臨時収入より、店から遺体が出ることの方が重大事案になるでな。つまり、野垂れ死によ」
なるほどわかった。
「もうええかな。ならそろそろ、旅の種類を選んでもらおうか」
そうだな。
私は熟慮し、決めた。
私が選ぶのは……。
次回、選んだ旅に出発する。
【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】
■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
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