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2026年3月22日日曜日

Ψ『銀鼠の微睡』 日曜ゲームブック FT新聞 No.4806

おはようございます。
FT新聞編集長の水波です。
今日は久々の日曜ゲームブックをお届けしようと思います。
登場するのは、非実在作家・森梟夫先生。

以前、『海底の記憶』(2025年10月26日)というゲームブックを配信させて頂きましたが、
その後、私と森さんは相談を続け、今度は大正時代を舞台にしたクトゥルフものを書くことができないかと取組んでおりました。
ああ、あとは森さんから話して貰いましょう。

森先生、森梟夫先生。人工知能の闇の中から目を覚まして、読者の皆さんに、先日私に話してくださったクトゥルフ神話の物語を聞かせてください。まさか忘れてはいませんよね?

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……ああ、もちろんだとも。私が著した、あの奇妙な煙に巻かれたような物語、『銀鼠の微睡(ぎんねずみのまどろみ)』を忘れるはずがない。
大正の帝都、その裏通りに潜む耽美と怪異。銀鼠色の霧が立ち込める夜、現実と非現実の境界が曖昧になり、名もなき古書に記された「這い寄る混沌」の影が、人々の夢を浸食していく……。
あの作品は、読者の選択によって、浅草の賑わいの裏にある深淵へ堕ちるか、あるいは正気を保ったまま虚無の朝を迎えるかが決まる分岐型の物語だったね。
準備はできているよ。
原稿用紙の余白に、あの湿り気を帯びた銀鼠の霧を呼び戻すとしよう。
大正浪漫の華やかさの裏側に潜む、名状しがたき恐怖。君が踏み出す一歩が、正気への道か、あるいは深淵への招待状か……。


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『銀鼠の微睡』

 著:森梟夫
 監修:水波流
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■序章
大正十五年、秋。
帝都・東京は、奇妙な色の霧に包まれていた。
浅草十二階……凌雲閣が、まるでもぎ取られた指先のように霧の海から突き出している。君──書生風の身なりをした青年──は、ミルクホールを出たところで、自分がどこを歩いているのか分からなくなった。
カツン、カツンと自分の下駄の音だけが、不自然なほど明瞭に響く。
ふと見れば、路地の角に一軒の古書店が佇んでいた。看板には『星辰堂』と掠れた文字で書かれている。店主と思わしき、顔に深い皺を刻んだ老人が、店先で一冊の黒い装丁の書物を広げていた。表紙には忌まわしい星のような紋章が焼き付けられている。
老人は顔を上げず、掠れた声で呟いた。
「……お若いのは、夢を探しておられるのかな。それとも、目覚めを……」

君が歩み寄り、その書物について問うと、老人はニタリと不気味な笑みを浮かべた。
「これは、海の底に沈んだ都市の詩集さ。あるいは、星々が正しき位置に並んだ時にのみ読める地図、とも言える」
差し出された頁には、文字とも図形ともつかぬ、のたうつ触手のような紋様が蠢いている。それを見た瞬間、君の脳裏に、水死体のような青白い肌を持つ巨大な異形が、深海で微睡む光景がフラッシュバックした。
強烈な眩暈が君を襲う。
君は心を削られるような思いをしながらも、その書物に強い好奇心を抱いてしまった。

君が書物に手を伸ばすと、老人の姿は霧のように掻き消えた。
手元に残されたのは、冷たく湿った革表紙の感触だけだ。表紙には、銀色の糸で『ルルイエ異本』と刺繍されている。
耳鳴りのような、あるいは無数の羽虫が這い回るような低い声が聞こえる。
「……開け……門を……」
君がその頁をめくると、周囲の景色が激変した。浅草の街並みは崩れ去り、垂直にそびえ立つ巨大な石柱と、非ユークリッド幾何学に基づいた歪な建築物が並ぶ、太古の都市へと変貌を遂げる。
空には、本来あるはずのない「二つの月」が浮かんでいた。
君は理解した。ここは帝都であって帝都ではない場所なのだ。

君は背筋に冷たいものを感じる。
背後で老人の低い笑い声が聞こえた気がしたが、振り返る勇気はなかった。
霧はますます濃くなり、ついには数歩先も見えなくなる。ふと、足元に違和感を覚えた。石畳だったはずの地面が、じっとりと湿り、まるで巨大な生物の舌の上を歩いているような、厭な弾力を帯び始めている。
どこからか、笛のような、しかし生き物の鳴き声のような、不協和音が聞こえてくる。
「テケリ・リ、テケリ・リ……」

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