SPAM注意

(編集・水波)最近SPAM投稿が増えておりますが、見つけ次第手動で削除いたしますので、決してクリックなどされないよう、ご注意下さい。

2026年4月2日木曜日

『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜』が刊行! FT新聞 No.4817

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜 インタラクティブに振り返るファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史』が刊行!

 岡和田晃
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

 SBクリエイティブから、『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜 インタラクティブに振り返るファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史』が刊行されました。
 こちらはジョナサン・グリーン著(安田均監修、羽田紗久椰訳)の親本に加え、私が担当した「日本での歴史編」が添えられている、豪華版です。
 
 すでに「GMウォーロック」Vol.20でも、こあらだまり「〈ファイティング・ファンタジー〉の歴史書、邦訳版登場!」、中山哲学「超・はじめてのAFF」(第18回)、ピピン「I WAS THE HERO!」と、集中的に紹介されていますし、SNSをはじめ、かなり話題になりましたので、入手された方も多いでしょう。
 
 あいにく完全受注生産なので、申し込みしそびれた方は、一部の店鋪に入荷しているぶんを当たったり、あるいは購入した方から借りるなり、図書館をあたるなりしていただければと思いますが、原著は、2025年早くに日本語版が出た『ダイスメン ゲームズ・ワークショップのオリジン・ストーリー』(白石瑞穂訳、岡和田晃・矢田部健史翻訳協力、ニューゲームズオーダー)にも通じる内容ながら、重複するトピックそのものは意外に少ないという印象です。
 『主人公はキミだ!』が、ファン世代の研究家で自身もFFシリーズのゲームブックを手掛けたジョナサン・グリーンの目線で書かれ、ひたすらファイティング・ファンタジーを中心にしているのに対し、『ダイスメン』はイアン・リビングストンの自伝であって、それこそリビングストンやスティーブ・ジャクソンの生い立ちからゲームズ・ワークショップの設立、メタルフィギュアにも多くの紙幅が割かれているのが特徴的。
 『ダイスメン』がカウンター・カルチャー直撃世代の空気を色濃く伝えているのに対し、『主人公はキミだ!』は構成からしてゲームブック仕立てとなっています。
 
 定価は、税込みで17600円となかなかのものになっていますが、『主人公はキミだ!』の底本になっているのは原著の第2版にあたる40周年記念版で、キックスターター(クラウドファンディング)でハードカバー版がゲットできるのは、55ポンド(約12000円)からとなっており、それに『日本での歴史編』が付くとならば、不条理なほど高価というわけではないというのもおわかりでしょうか。
 この40周年記念版は、先んじて刊行されていた初版の1巻と2巻を合本して加筆編集・再修正が加えられたもの。初版では、1巻は編年体の歴史書、2巻はヴィジュアル中心というスタイルになっていました。インタビューやファンジンなどをくまなくあたって、適切に裏を取っていくとともに、FFシリーズの各巻に関する著者のみならずイラストレーターについての情報も、盛りだくさんとなっています。
 以前「ウォーロック・マガジン」で連載していた(1号〜5号)「FFによる遊戯史学のススメ」も、『主人公はキミだ!』初版に負うところが大きかったものです。最近は、FFのみならず、D&DやT&T、『トラベラー』などの歴史研究も、とりわけ海外では盛んになっており、大小さまざまな出版物が出ています。
 『主人公はキミだ!』も、ひと昔前ならば、日本での出版は到底無理だと言われたに違いありませんが、こうして成り立ったわけです。それは訳者・関係者やファン一丸となって成し遂げた「ファイティング・ファンタジー・コレクション」の成功によるところが大きいのは言うまでもありませんが、SBクリエイティブでは『ドルアーガの塔」40周年記念 公式記録全集』(2025)、『ワルキューレの冒険 40周年記念 公式記録全集』(2026)と、貴重なアーカイブ系の出版物が立て続けに刊行されたおり、その流れに連なるものとして『主人公はキミだ!』を位置づけることができるように思います。
 
 『日本での歴史編』は岡和田が久々に刊行した評論・歴史系の単著となります。それだけでも感慨深いのですが、分量としては書籍一冊分を書き下ろし、それを4Gamer.netで「『ファイティング・ファンタジー』とその時代」として4回に分けて先行掲載し、さらなる編集を加えてまとめ直したものとなります。その過程で、資料協力者の「帽子屋」さんのお名前が抜けてしまったのは痛恨の至りではありますが、他に2026年3月末段階では間違いも見つかっていないので、お手数ですが「帽子屋」さんの名前を加えたうえで、長らく保存をしていただければと思います。
 
 『日本での歴史編』執筆の出発点としては、2025年に惜しまれながら世を去った紀田順一郎氏をはじめ、関係者の物故が続いているなか、という危機感があります。研究者のなかでは、当事者の回想など一顧だにしない、という人がいるのは承知していますが、そうした研究はニセモノだというのが、ゲームの開発や翻訳、研究に携わってきた者としてのまごうことなき実感です。特にアナログゲームは、デジタルゲーム系の研究が中心になっている状況においては、平気でデタラメな内容が垂れ流されてきた分野でもあります。
 
 そこから、アクセスできる資料をまずもって精査しながら、オーラルヒストリーを分析して、ありうべき"史観"を提示していく、というのが『日本での歴史編』にあたって心がけたことです。すべてを網羅することはできないにしても、概観はしたいと考えました。ゲームブック黄金時代の1980年代については、特に記述を厚くしましたが、それ以降も、公式では完全に黙殺されてきた——それもやむを得ないでしょうが——海賊版、あるいはサービスが終了したら追跡調査が困難になるフィーチャーフォン版についても、強調するなどして工夫もしました。
 
 取材や資料協力にあたっては、FT書房からはカワラベさん、杉本=ヨハネさん、水波流さんにご協力をいただいていますし、フーゴ・ハルさんや門倉直人さんら、「FT新聞」でもお馴染みの方々のお力添えをいただきました。

 『主人公はキミだ!』そのものは、現在の流通在庫が払底したら完全に入手できなくなってしまいますが、「『ファイティング・ファンタジー』とその時代」そのものは、特に公開が終了する予定はありません。必要に応じて、いずれもご参照をいただけましたら幸いです。
 
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
『主人公はキミだ! 〜You are the Hero!日本語版〜 インタラクティブに振り返るファイティング・ファンタジー・ゲームブックの歴史』
 著:ジョナサン・グリーン、岡和田晃
 監修:安田均
 翻訳:羽田紗久椰訳
 SBクリエイティブの公式サイト:
 https://www.sbcr.jp/product/4815640453/

4Gamer.net「『ファイティング・ファンタジー』とその時代(全4回)」
 https://www.4gamer.net/games/758/G075800/20260122001/


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年4月1日水曜日

第2回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4816

第2回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


ぜろです。
はじまりました「ゴルギアスロフの旅の店」リプレイ。
セルウェー神を信仰する神官である主人公ソウハは、神殿に貢献するため、強くなることを願っていました。
そんな折、「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を聞きます。なんでも、冒険の舞台に転移させてもらえるといいます。
ソウハはその噂にとびつき、ナゴールにあるゴルギアスロフの店へ。
連続した冒険に挑む「苦難の旅」と単発で飛ばしてもらう「旅人の旅」の説明を聞き終えたところです。
これから冒険に旅立ちます。ソウハが選ぶのは、どちらの冒険でしょうか。


【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】


●アタック01-3 地下迷宮のソウハ

私は、「旅人の旅」を選んだ。
理由はいくつかある。

まず、「苦難の旅」は明らかに、ベテランの冒険者が挑戦するガチなやつだ。
修練して強くなることが目的の私には合致しない。

もうひとつはメタな理由だが、すべての冒険の内容をつまびらかにしない方が、リプレイらしいというものだ。
そうなれば、他にどんな冒険が待っているのか、興味も湧くというもの。

「旅人の旅」を、利用上限の3回達成することを、今回の目標としよう。

ところでこの「苦難の旅」と「旅人の旅」から選択して小冒険に出かけるというシチュエーションは、見覚えがある。
かつて文庫で発売されていた、T&Tのソロアドベンチャーの中にあったはずだ。タイトルは忘れてしまったが。
明確に、それのオマージュということなのだろう。
本リプレイの第1回で、「作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います」と言ったのは、そういうわけだ。

「転移先でいかなる事態が起きても自己責任とする」という契約書にサインをし、持ち物チェックを受ける。
いよいよ、出発だ。
ここから別の場所に転移するというのは、いったいどんな感覚なのだろう。
転移先の危険はさておき、転移自体に危険はないのだろうか。
直前になると、そんな不安も湧いてくる。

ゴルギアスロフは、そんな私の不安など意に介さず、私が心の準備を整えることなど斟酌せずに、「ほいっ」とかいった軽いノリで、魔道具を起動させた。

転移先は、サイコロを振ってランダムに決定される。
出目は……5で。

瞬きするくらいの間で、突然視界が変化した。
うす暗い……石壁の、通路?
等間隔に、謎の光源がある。魔法的な明かりか何かか?

ここは、地下迷宮なのだ。
危なかった。明かりのない洞窟に放り込まれたら、いきなり詰むところだった。
どこに転移するかわからないというのがどういうことか、身をもって体験した。これは怖い。

目の前には、扉がある。通路は通路で続いている。
今回の旅は、迷宮探検ということか。

目の前の扉の中から、声がした。うめき声のように聞こえる。
この扉を開けてみるや否や。

ここは、開ける一択だ。
結果、通路を進むにせよ、安全のために確認しておく必要がある、というのが私の考えだ。
見過ごした結果、何かに追われる展開になることは避けたい。

扉を開ける。

部屋にいたのは、岩悪魔だった。


●アタック01-4 ソウハ、画期的なアイディアをひらめく

部屋には大きな岩悪魔が、人間を椅子にして座っていた。
なぜかうんうんとうなりながら、「考える人」のポージングをしている。
わかりやすく、何かに悩んでいるようだ。

岩悪魔についての説明はないので、そういう名称の生き物なのだろうという理解でいく。
知ってる人は、トンネルズ&トロールズ「傭兵剣士」あたりに出てくる岩悪魔シックスパックとかを連想すればいいのかな?
いつも酔っぱらっている陽気な奴だった。

さてどうしようか。選択肢は以下のとおり。

・悩みを聞く
・頭をかち割ってやる
・逃げ出して通路を進む

うめき声の正体もわかったし、追われるリスクは消えた。
だから無視して進んでも良い。

人間椅子なんて奇行に走っているくらいだから、人類の敵かもしれない。
だからいきなり頭をかち割ってやるのは選ぶ余地がある。

とはいえ、コミュニケーションが取れるのなら、まずは何を悩んでいるか聞いてみるところからかな。
悩みがあまりに非人道的なものだったら、そこから敵対行動に移ってもいいだろう。

私は、岩悪魔が何に悩んでいるのか、尋ねてみた。

「ここに3本のビールがあるじゃろ?」

ああ、あるな。

「ギャンブルで勝ってゲットした。一緒に勝った友と分けたい。だがここには3本。俺も友も2本飲みたい。なんとかして公平に分けられないかと悩んでるんだ」

そこまで深刻な悩みじゃなかった!
そこには、どう対応するかの選択肢が並んでいる。

もし、ビールを持っていれば、足して4本にするという手が使えるみたいだ。
これなら、公平に分けることができるうえに、何かお礼が期待できるかもしれない。
しかし私はビールを持っていない。
もしかしたら、どこか別の「旅」で手に入れられるということなのだろうか。

私は別の選択肢に目をつけた。
これは……いや、これならたしかに「公平」に分けることは可能だな。

私はおもむろに1本のビールに手を伸ばした。

「ここに1本のビールがあるじゃろ?」

岩悪魔の口調を真似て言ってみる。
岩悪魔は、私が何をするのかを、固唾をのんで見守る。

「これをこうして……こうじゃ!」

私はビールを開栓すると……飲んだ!

ごきゅごきゅごきゅ……ぷはぁ! 美味い!

ぽかーんと眺める岩悪魔。
私は言った。

「これで残りは2本。1本ずつ公平に分けられるぞ。私も加えて3人になれば1本ずつだ」


●アタック01-5 鉄拳制裁! 岩悪魔

岩悪魔は激怒した。
必ず、この傍若無人な人間を除かなければならぬと決意した。
岩悪魔には人間の言っている理屈はわからぬ。
岩悪魔は、遊び人である。勝負事をし、あぶく銭で遊んで暮らしてきた。
けれども酒に対しては、人一倍に敏感であった。

***

私がビールを公平に分ける提案をしたら、岩悪魔が大激怒している件。

即座に鉄拳が飛んでくる。戦闘は、不可避だ。
岩悪魔は、手ごろな岩をつかんで大あばれをする。
それは、戦いと呼べるものではない。本当にただの大あばれだ。

【岩悪魔 技術点11 体力点12】

そして、お強い。強すぎる。
私は技術点9、体力点12だ。
体力点が同等なのに、技術点で2点劣っている。

これは、勝ち目ないかな。

しかし勝負はやってみるまでわからない。
私はこれまで、不利な勝負を幾度となく繰り返し、たまには勝ったこともある男だ。
今回だって、たまたままぐれで勝てるかもしれない。

そしてここに、気になる記述を見つけた。

「戦槌を持っているなら、岩悪魔に対する攻撃が成功したさい、通常の2点ではなく4点の体力点を奪うことができる」と。

戦槌!
持ってないか? 私。

私の武器って、なんだっけ?
キャラクター設定の時には「自分に合った武器を持っている」とだけの記載だった。
そこで私は、僧侶なら打撃武器だろうと、メイス系の武器を持っていることにしたのだった。

任意の武器で良いのなら、そこで戦槌を持っていることにすれば良かったのかな?
今から持っていることにするのはさすがにズルいよな。じゃあ、次回から武器を戦槌に設定すればいいかな。

やがて私は、戦槌は別の「旅」の中で手に入るものと知るのだが、それはまだ後の話なのであった。

なんて呑気にしている場合じゃなかった!
たった今、岩悪魔の鉄拳が飛んできているところだった!

私は素早く身体を沈めて回避し、綺麗にアッパーを決めた。
やった。技術点差をはねかえし、見事に初撃を食らわせたぞ。

しかしその攻撃は、岩悪魔の怒りを増幅させただけだった。
ここから岩悪魔の怒涛の反撃が始まる。
たちまち削られていく体力点。
私の残り体力点が2点というところで、なけなしの反撃を命中させたが、そんなものは焼石に水だった。

私は岩悪魔に一方的にノックダウンされた。ゲームオーバー。

そして、この時になってようやく私は、僧侶の特殊技能の使いみちを完璧に把握した。
僧侶の特殊技能【加護】。これは、運だめしをするたびに、体力点を2点回復できるというもの。
つまり僧侶は、技術点が低くて戦闘には向かないが、運だめしの度に体力点を回復できる。
これを駆使することで、不利な戦闘でもどうにか立ち回れるということだ。

運点って、使えば使うほど消耗するポイントだから、温存したくなる。
だから戦闘で使おうっていう気持ちに、あんまりならないんだよね。
僧侶の特殊能力は、私の性格には微妙にマッチしないみたいだ。

ためしに、今回の戦闘で【加護】を用いていたらどうなっていたのかを、シミュレートしてみた。
しかしそれでも、ちょっと勝つのは難しそうだ。
攻撃は2回しか当てていない。両方運だめしをして吉を出しても、奪える体力点は8点。運の力を乗せたもう一撃が足りない。
ただこれも、戦槌を持っていれば、運だめしと合わせて一度に当てられるダメージは6点まで増える。
そうなれば、強敵岩悪魔も、攻撃を2回当てただけで死ぬことになる。加護ちゃんすごい。

次のキャラクターからは、【加護】を役立てられるようにしよう。

アタック01 ソウハ 岩悪魔にボコボコにされる。


■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。
岩悪魔:地下迷宮で、ビールの分配について頭を抱えている。ビールを飲まずに固唾をのんだ。

■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月31日火曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(9) FT新聞 No.4815

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(9)

 (明日槇 悠)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■


世にも稀な歴史をモチーフとしたGMいらずのナラティヴ・スタイルRPG、『モンセギュール1244』リプレイの最終回をお届けします。
当記事とは別に、後ほどプレイ後の感想もお届けする予定です。
本作は信仰等に関する繊細なテーマを扱っています。ロールプレイ上、現代の倫理観を欠いた表現をするところが多々ございます。
そうした表現にご不快を覚える方、それを予測された方は、その段階で当記事の閲覧を中止されますようお願いいたします。


◯これまでの『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編は……


ベジエ陥落を皮切りに、迫害されてきた異端カタリ派の人々は安住の地を求め、フランス南部、ピレネー山脈の山頂部に《モンセギュール砦》を築いた。
1243年5月、十字軍はモンセギュール包囲戦を開始。戦局が悪化の一途をたどるにつれ、カタリ派の人々は信仰による心の平衡を失っていく。
精神的指導者ベルトランとセシルの確執、それに振り回される領主一家を中心として、複雑な人間模様が繰り広げられたが、一切は無益な内紛であった。
仲間内から命を狙われながらも、指揮官ピエール・ロジェは陥落が誰の目にも明らかとなったモンセギュール砦を代表し、十字軍の元へ和平交渉に赴いた。
その結果もたらされた寛大な条件として、ロジェの子を身籠る妻に捕虜を選ぶ特権があると聞いた娼婦アルセンドは、妊婦フィリッパを殺害。
正妻の座を奪い取ったアルセンドから捕虜として選ばれた姪のファイユは、実は教皇軍と内通していたことを明かして、異端カタリ派の根城を去るのだった。


◯プレイヤー紹介


Kei 構成作家。本文中のA。
木野誠太郎 小説家・ゲームシナリオライター。本文中のB。
明日槇悠 FT新聞編集部員。本文中のC。
小山 フォーエバーヤング。本文中のD。

プレイヤーは、キャラクター一覧の中から、少なくとも主要キャラクター1人、支援キャラクター1人を担当します。
キャラクターにはそれぞれ「3つの質問」が用意されており、この質問を元に、プレイヤーは担当キャラの肉付けをおこない、
プレイ終了までに少なくとも担当する主要キャラの質問にはすべて答えを出さなくてはなりません。
https://www.newgamesorder.jp/games/montsegur1244


●登場人物/3つの質問

セシル・デ・モンセヴェール……完徳者《ペルフェッチャ》。信徒たちの指導者的な立場にある年配の女性。
 1. ファイユを見ると、あなたは誰のことを思い出すのか?
 2. あなたが織る布に、もっとも多く混じる色は何色か?
 3. 自分が死の淵にあると信じなかったなら、あなたは果たして救慰礼《コンソラメンテ》を受けて完徳者《ペルフェッチャ》になったろうか?

エスクラルモンド……モンセギュールの領主レーモンの娘で、フィリッパの妹。
 1. どうしてあなたは、夜になると南方を見つめるのか?
 2. なぜあなたは、セシルと同じ髪型をしているのか?
 3. あなたが姉のフィリッパをいちばん妬んでいることは何か?

アルセンド……娼婦。カタリ派の庇護者・トゥールーズ伯の親戚。ファイユとアミエルの叔母。
 1. 15歳のとき、あなたを手込めにしたのは誰か?
 2. あなたはどうやって、甥や姪の世話をしていくつもりか?
 3. ピエール・ロジェと寝るとき、あなたは何を感じるか?

アミエル……孤児の少年。ファイユの弟。おばのアルセンドと一緒に、モンセギュールに住んでいる。
 1. 父親について、どんなところがいちばん恋しいか?
 2. あなたが木で作ったのは、いかなる種類の武器か?
 3. あなたは大人になったら、何になりたいか?

コルバ……レーモン・ド・ペレーユと結婚している中年女。フィリッパとエスクラルモンドの母親。
 1. あなたは何人の子どもを埋葬してきたか?
 2. フィリッパを見ると、あなたは誰のことを思い出すか?
 3. あなたがいちばん後悔していることは何か?

ピエール・ロジェ・ド・ミルポワ……レーモンのいとこの中年男性。モンセギュールの防衛指揮官。フィリッパと結婚している。十字軍により、すべての財産を失った。
 1. 人々はどうしてあなたに従うのか?
 2. 戦争で最初の犠牲者となったあなたの父が、今際の際に言い残したことは何だったか?
 3. 何があなたを戦争へと駆り立てるのか?

ガルニエ……傭兵。射手。モンセギュールからそう離れていないカモンの村で育った若い男性。
 1. あなたはどれくらいの間、密かにエスクラルモンドのことを想い続けてきたか?
 2. どうやってあなたは、傭兵および射手として、武器を扱う術を身につけたのか?
 3. あなたにとって信仰にはどんな意味があるのか?

ベルナール・ド・サン・マルタン……ピエール・ロジェに仕える騎士の一人。留守の間に異端審問で、死刑を宣告された成人男性。
 1. どうして他の誰もあなたの馬に乗れないのか?
 2. なぜ、異端審問はあなたがいない間に行われたのか?
 3. あなたがアルセンドと寝るとき、誰のことを頭に思い浮かべるのか?


●本編


 ■Act4.陥落 1244年3月2日
 ピエール・ロジェは比較的寛大な和平の条件を引き出して戻ってきた。14日間の休戦期間内に、異端の教えを捨てる者は皆受け入れられる。一方、夥しい数の信者たちが、自らの信仰に従って死ぬことを選ぶ。

A「シーンカード、【女の笑い声】を取りました」

Aベルトラン「ガルニエく〜ん! ガルニエ君……聞こえるかい? このエスクラルモンドの声が。ガルニエ君! あんなに塞ぎ込んでいたエスクラルモンドが、こんなに笑い声を立てるようになった理由が分かるかい?」

Cガルニエ「はあ……確かに女の笑い声がどこからか聞こえてくるような気がいたします」

Aベルトラン「ぼくはフィリッパが死んだときに彼女の口から聞いたんだよ。あいつは完徳者《ペルフェッチャ》になったんだ。あいつが完徳者《ペルフェッチャ》になったということは……君が捕虜になろうが、カタリ派でいようが、彼女と結婚できることは二度とないんだ。分かるか?」

Cガルニエ「はあ……」

Aベルトラン「でも彼女が、完徳者《ペルフェッチャ》じゃなくなる唯一の方法があるんだ。ガルニエ君。"セシルを完徳者《ペルフェッチャ》から下ろせばいい"。セシルに、戒律を破ったっていう事実があれば、エスクラルモンドは完徳者《ペルフェッチャ》じゃなくなるんだよ、ガルニエ君!」

Cガルニエ「確かにそうなるのかもしれません……」

Aベルトラン「そして、ガルニエ君……君、捕虜になるつもりないよね? だってエスクラルモンドは、信仰を棄てないんだから」

Cガルニエ「はい。……私はこの砦のために、命を捧げるつもりでおります」

Aベルトラン「エスクラルモンドと一緒に死ぬことの方が、捕虜になるよりステキなことだと思わないかい? セシルのせいで一緒になれない。そして……カタリ派の主導者は一人でいい。セシルを……完徳者《ペルフェッチャ》から下ろそう。
 噂によると……コルバとセシルに何かがあるらしい。ガルニエ君。コルバの口から、セシルとの関係を……しっかりと……根掘り葉掘り聞いて……セシルのスキャンダルを掴んできてくれ」

Cガルニエ「わ、分かりました……!」

A「そして、ガルニエはコルバのところへ向かいました。……ガルニエの姿を見て、コルバはガルニエに衝撃の一言を言いました。その衝撃の一言とは!?」

Dコルバ「私、セシルが好き(一同笑)」

Cガルニエ「どういうことですか、それは!」

Dコルバ「言葉通りよ。私はあの方を好きなの。愛してるの」

Cガルニエ「それは……なんらかの関係があったということなんですか?」

Dコルバ「そうよ」

Cガルニエ「なんとそれは完徳者《ペルフェッチャ》としてあるまじきことでは」

A「ガルニエは、どこまで行ったのか聞きました(笑)」

Dコルバ「そうね。……それなりの関係を持ってるわ」

Cガルニエ「それは……(エスクラルモンドの質問2)エ、エスクラルモンドが、セシルの髪型を真似ているのは、まさか……」

A「ガルニエは、コルバに、え、ヤッてる? と聞きました(笑)。え、俺の好きな人、もしかして、ヤッてる? って聞きました」

Dコルバ「……ヤッてるわ」

A「そうなの?(笑)」

Cガルニエ「そういうことだったのか……。私は信仰を疑ったことはないが、しかしセシルは……セシルは完徳者《ペルフェッチャ》として相応しくないのかもしれない。確かにベルトラン様の言う通り……セシルを完徳者《ペルフェッチャ》の座から下ろすべきだ」

C「ガルニエは弓を取って、セシルの館へと向かいました」

A「えーえーえええー!?(一同笑) 報告は!? しかもナレーション権、俺なのに(笑)。が、面白いからこのまま行こう。ベルトラン、家で待ってるのに(笑)。『ガルニエ君、来るかな!? なんか面白い話持ってくるかな?』っていうベルトランを置いて、ガルニエは弓を取って、セシルの館へと向かいました(笑)」
C「じゃあ、シーンカード【乾いた汗のすえた臭い】。セシルは次々と信徒に対して、救慰礼《コンソラメンテ》を授けています。その様子をじっと見ながら、ガルニエは弓を引いて、その姿が完徳者《ペルフェッチャ》として相応しいものなのかどうかを、じっと見極めます。セシルの一言一句を遠くから見ることによって、弓を引くか否かを判断することでしょう」
A「それにセシルは気付いていました。そしてセシルは衝撃の一言を言いました」

Bセシル「殺すがいい(一同笑)」

C「救慰礼《コンソラメンテ》を受けていた一般人が『はぁ?』という顔を(一同笑)」
A「その言葉を聞いたガルニエは、決意しました」

Cガルニエ「弓を引く。……私の矢は、外れたことがない。私は、どれくらいの間、密かにエスクラルモンドのことを思い続けてきたか。その密かな思いが、なぜかベルトランにはバレていた……」

A「ベルトランは、思いました。

Aベルトラン「あいつ……一回も授業中に先生の方を見ずにずっとエスクラルモンドを見てるんだもんな」

 そしてガルニエの放った弓矢は、セシルの頭を射抜こうとしていました。そしてセシルは……!」
B「セシルは、自らの殉教をするために死を待っていたので、その弓矢をただ受け入れました」
(炸裂音)
A「エピローグに行きましょう!」

Aベルトラン「セシル死亡! うぇーい!」



■エピローグ:棄教か、それとも殉教か 1244年3月16日
 信徒たちは火刑に処される

C「(ルールブックを読んで)プレイヤーは自分の手番に、自らの主要キャラクターのエピローグを語る。このエピローグでは、主要キャラクターの運命を明らかにせねばならない。信仰に殉じるのか、異端審問官に悔い改めるのか、あるいは夜闇に紛れて逃亡するか、だ。」
A「アミエルを殺したかったな……(一同笑)。セシル死んだのは嬉しいけど、アミエルを殺せなかった。……てかヤバいな。こういうゲームを長時間やったせいで、俺ちょっとベルトランのこと好きになりはじめてる(一同笑)。ゴメンな、ベルトラン。勝手に人間のクズにして」
B「愛着が(笑)」
C「では、レーモンのエピローグを」

 ■レーモン・ド・ペレーユのエピローグ

B「最後の質問。【あなたが愛し、もっとも大事にしているのは誰か?】……それはレーモン自身でした。
 彼は数々の失態や悪行をしでかしてきましたが、それはすべて彼の平穏への布石のため、そして保身のためでした。彼はこの状況において、当然棄教を選びました。

Bレーモン「私はカタリ派という異端者たちを受け入れてしまったことを非常に後悔しています。これがなければ、私の娘は死ぬことはなかった。私はこんな異教徒たちの町を作ったことを、大変後悔しています。私は棄教を以て、この罪を悔い改めたいとおもいます」

 そう言って、自らをまた保身の道へと駆り立てるのでした。
 私のターンは終わりです。他のみんな(セシル、フィリッパ等)はちょっと、死んでしまいましたので(笑)、悲しいことに」

 ■その娘、エスクラルモンドのエピローグ

C「彼女はもちろん完徳者《ペルフェッチャ》として火刑の道を選びました。
 質問:【どうしてあなたは、夜になると南方を見つめるのか?】
 ……火刑台が置かれたのは、奇しくもその南方でした。
 【あなたが姉のフィリッパをいちばん妬んでいることは何か?】
 完徳者《ペルフェッチャ》となった身によって、ついにその妬みから解放されることができましたが、その妬みの原因は、自分が誰からも愛されていないと思っていたことでした」
A「……ッ、ガッ、ガ、ガニエルぅッ……!(一同笑) あ、ガルニエだった。もういいや、ガニエルで! ガ、ガニエル……!(笑)」
B「ただ見つめていただけの習慣(笑)」
C「そしてエスクラルモンドが火刑台に架けられたとき、その隣の火刑台にはガルニエがついていました。

Cガルニエ「エスクラルモンド……エスクラルモンド……これで一緒に……死ぬことができるな……」

 と、ガルニエはエスクラルモンドに呼びかけます。しかしエスクラルモンドはその方に顔を向けることはなく、

Cエスクラルモンド「あなたはセシルを殺しましたね」

 というふうに語りかけます。

Cエスクラルモンド「完徳者《ペルフェッチャ》を殺したあなたに、天国への道は開きません。あなたは神の軍の一員となることなく、死へと堕ちていくことでしょう」

 それだけ言い残して、エスクラルモンドは先に火刑に処されました」

A「でも、ベルトランが言ってた。『まあ、ガルニエ君が悪いね!』(一同笑)」

 ■アルセンドと、コルバと、アミエルのエピローグ

D「コルバは、セシルが殺されてしまったので、ここにいる理由はないということで逃亡しました。セシルへの思いを胸に。……逃げている道中に、足をすべらせて、滑落して死亡しました」
A「で、……この悪魔(アミエル)は?(一同笑)」
D「それは最後に」
A「お前、もうメインキャラ、アミエルじゃん!(一同笑)」
D「アルセンドは、火炙りになりました」
A「え、アルセンド火炙りになったの!? こいつ教義に殉じたの? 夫(ロジェ)いんのに(笑)」
B「周りに流されて(笑)」
D「主体性がない。アミエルは……捕虜になりました」
A「悪魔じゃん」
D「はい。生き残りたい。彼は助かりました」

 ■完徳者ベルトランのエピローグ

A「ベルトランはね、もちろん……

Aベルトラン「や。私が完徳者《ペルフェッチ》だ」

 つって死んでいきましたよ。多数の信者と共にね」
D「おおー。素晴らしい」
A「捕虜になるか逃亡をすると、信者の聖性が剥がれてしまうので。ただベルトランは、この後教科書に載るカタリ派の最高権力者が自分だけであるということに悦に入って、絶頂しながら死んでいきました(一同笑)。ロジェは、

Aピエール・ロジェ「ハッ! ロジェ、ムズかしいことわかんなぁい! (震え声)死んじゃった奥さぁん! 新しい奥さん死んじゃった! でも、ロジェ、セックスが好き!」

 つって、降伏しました(一同笑)。捕虜になりました。ロジェはその後、十七人の子供を遺した」
D「父の言葉をね、守って(笑)」
A「ただロジェ、ベルトランにすげぇ文句つけられてたけど、けっこう戦と交渉役では優秀なんよ。そこそこの出世をし、軍隊長ぐらいにまでなり、十七人の子供を、四人の女と遺しました」
C「あんなに処刑されかかってたのに」
A「交渉役として、向こうの印象もよかった。『あっ、こいつ有能だけどバカだ!』って(一同笑)。
『あっ、こいつカタリ派とかよく分かってなくて、好きなコがいたとか、一回居酒屋で盛り上がったとか、そういう理由で参加してるけど、こいつ、こんな任務で呼ばれるのに、バカなんだ。あ、じゃあもう俺ら友達やん』つってロジェは受け入れられました」
D「よかった(笑)。バカなのが幸いして」
A「ギリギリ裁判にもかけられなかったし、勝ち組でしたよ、十分」
B「ファイユは捕虜?」
A「そう。あとはベルナールだけ。じゃ、最後にベルナール……」
B「どうなったか」
C「どうなったか……まあ、異端審問で死刑を宣告されている……。普通に考えれば、普通に火刑に処されるんだけど……」

Aベルナール「ふぅーっ。これが人間かぁ」

A「そう言ってベルナールは、サタンの姿になり(一同笑)、夜空の闇を飛んでいきました」
D「第二期始まっちゃうよ」

Aベルナール「人間というのはいつまで経っても、醜いものだなぁ」

A「ベルナールは、逃亡ということで」
D「めでたしめでたし」


◯Fin.


■作品情報

・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
 Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳

モダン・ナラティブRPG
3〜6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3〜5時間 / 15歳以上向

・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
 https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
 https://newgamesorder.booth.pm/items/4902669


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月30日月曜日

悪魔の話。 FT新聞 No.4814

おはようございます、枚方市のスターバックスから杉本です☆
体調が戻り、山積する仕事の量を呆然と眺めております。てへ。


◆悪魔とはなにか?
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」には【悪魔】というタグが登場します。
この【悪魔】が何かという問いを、いただきました。
ローグライクハーフの共通世界であるアランツァの話をする前に、現実世界での悪魔について、整理していくところからはじめていきます。


◆他にあまり知らないので……。
私はクリスチャンなので、キリスト教的な視点から悪魔を解説していきます。
私がみるかぎり、悪魔には3種類あります。


◆ひとつめ。聖書に登場する悪魔。
キリスト教の聖書に登場する悪魔は、その存在の厳密な解説が聖書内に見られるものではありません。
大ざっぱな説明をしますと、新約聖書の「主人公」であるイエスはあるとき、荒野(あれの)で40日間の修行をします。
その修行中にででーんと現れて、さまざまな誘惑をします。
(その内容はキリスト教と深い関わりがあるものですが、ここでは割愛します。)
最終的に悪魔は「去れ」みたいなことを言われて、いなくなります。

聖書に出てくる悪魔はおそらく「願いを叶える代わりに魂をもらう」の、もっとも古いルーツにあたる存在だと思います。
『ファウスト』に登場するメフィストフェレスが有名ですが、これのさらに起源が聖書だろうと推察しています。
聖書に登場する悪魔は、「神の御業(みわざ)の一部」であるという捉え方をされています。
何かを神が計画する際に、悪魔が邪魔を入れてくることもちゃんと織り込み済み、みたいな話です。


◆ふたつめ。堕天使。
悪魔という言葉は総称でして、そこには堕天使の存在も含まれます。
堕天使とは、天使が罪を負った結果、天界を追放された存在です。
アランツァ世界では天使が罪を犯すと〈翼人〉となるため、堕天使にはなりません。


◆みっつめ。他の宗教の神。
キリスト教よりも古い宗教が、聖書のなかで悪魔として描かれることもあります。
他の宗教の神を悪魔とみなすのは、キリスト教にかぎらずしばしば見られることです。
他の宗教を排斥するためが主な理由と思われがちですが、理由はそればかりではありません。
生贄の儀式を伴う宗教に対して寛容な姿勢と感情を取ることが難しかった。
戦争相手の国の宗教を、憎いものとして捉えていた。
など、いくつかのパターンがあるようです。


◆アランツァ世界の場合。
さて、アランツァ世界における悪魔は「アランツァの外から来た存在」です。
それは神や、神の下僕であることもあります。
しかし、それらとは切り離された、「単に外の世界から来た存在」であることもあります。
その場合、邪悪であるとはかぎりません。
アランツァの善悪とはまったく異なる価値観を持っている場合もありますし、宗教性をまったく持たない存在である可能性もあります。
その場合、たとえばこの現実世界から持ち込まれた変わった生き物が、悪魔として扱われてしまう可能性もあります。
猫でいえばスフィンクス、犬でいえばダックスフントあたりは、悪魔扱いを受ける可能性があると私は睨んでいます。


◆気づき。
寝ている間、やることがなかったので、これがチャンスとばかりに有料なの(NetflixとかHulu
とか、そういうやつです)に入って、動画を観て過ごしました。
そこで気づいたんですが、大きな作品って、不用意に「言葉」を使わないものがけっこうあるな、と思いました。
人が絶望した時に現れて、魂と引き換えに願いを叶える存在なのに悪魔だと自己紹介をすることはない、みたいなやつです。
まるっきりただの余談なのですが、悪魔という言葉を使わずに悪魔を表現するほうが、かえってその存在を定義せず、大きな物語を創る際には有利になるかもしれないな、と思いました。


それではまた!


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月29日日曜日

Re:オレニアックス生物学 Vol.1 『大食らい虫』 FT新聞 No.4813

(編註:この記事は、過去の人気記事を再配信するReシリーズです。文中のコメント等は全て当時のものとなっております)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
オレニアックス生物学 Vol.1
『大食らい虫』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

生物学の授業は非常に重要な科目だった。
アランツァの地での戦いは、戦争となるとまた話は別だが、人間以外の生き物と交戦することも少なくなかった。
聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラントは生物学の権威。
そんな彼の授業は生き物の外見、性質、そして対処方法を教えてくれる。
生徒たちを生き残る道へと導く、確かな灯火だ。

今日もカメルの授業が始まる……。


ラクダ人であるグラント博士は、年がら年中もっしゃもっしゃと口を動かし、授業する。
草食動物の性質を色濃く残したラクダ人は、繊維質の食物を大量に食べ、1日中消化にいそしむ必要があるのだ。
生徒から抗議が来ることもあったが、大抵の生徒は慣れてしまう。
今日の授業は「大食らい虫」についてだ。

「大食らい虫は原初の生物に近い存在だ」

グラント博士はおもむろにそう言った。

「今も原初の面影を残すゴーブの地や、あるいは地下迷宮の下の下のほう奥深くに生息する。
 目がなく、耳がなく、手足がない。ただ、ものを食べるための口と、ごく小さな鼻孔が存在する。
 外見は蛇のようだが、もっとずっと大きく、幅も広い。その体は柔軟で、地下迷宮の床、天井、そして壁に合わせて目いっぱいに広がる。
 大食らい虫は実際、通路いっぱいに広がって、すべてのものを飲み込みながら進む。
 地下迷宮で出会ったとき、大きな口が迫ってくるようにしか見えないだろう。
 ヘイルくん、君ならどうするかね?」

 名指しされてゴーレム剣士のヘイルは腕組みする。

「うーん。そいつって、俺みたいな木人でも消化するんですかね?」

 博士はこくりとうなずく。

「わずかな鉱物を除き、どんなものでも溶かしてしまうよ」

 ヘイルは困ったような顔をした。

「そんなにでかいと、倒せなさそうですよね。じゃあ、食べられちまうしかないのかな」

 グラント博士は両手を叩いてヘイルを褒め称える。

「そのとおり、正解だよヘイル君。大食らい虫の弱点は身体の外側にはない。大きいだけじゃなく、急所と呼ばれる部分が存在しないのだ。だから、身体の内側に入って傷つけるしかない。大食らい虫が身体を目いっぱい伸ばして迷宮内を動きまわる間、その内側ではかなり自由に動けるのだ。じゃあ、マグス君。以上のことから、大食らい対策に必要なものは何かね?」

 マグスは黙りこくって爪をかみながら、しばらく考える。

「火ですかね? あるいは、先の鋭い刃物。理容師が使うような……。」

 グラント博士は口をもっしゃもっしゃと動かしはじめていたが、ゴクンと飲み込んで返事をする。

「刃物は正解だ。異物を呑み込んだと感じたら、大食らい虫は君を吐き捨てることだろう。もっと大きくて長い刃物であれば、腹を裂いて出ることだってできる。だが、火はまずい。彼らの体内にはガスが溜まっていることもある。そうなったら」

 大きく息を吸い込んだ博士に対し、ニナほか何人かの生徒はすばやく耳を塞ぐ。

「ドカーン!」

 とんでもない大声で、博士は叫んだ。

「と、爆発してしまうだろう。大食らい虫のゴム状の身体は、こういった爆発には強い。一方、腹の中の君はむだ死にしてしまうだろうな」

 授業の終わりを告げる鐘が鳴る。

「最後にひとつ、アドバイスだ。大食らい虫を見つけたら、できるだけ逃げること。彼らのほうが人間よりも素早いが、さいわいなことに彼らは生き物に興味があるわけではない。気の向くままに動き回っているだけだから、その動きはランダムだ。つまり、『できるだけたくさんの曲がり角を曲がって逃げる』こと。T字路を抜けるたびに半分の確率で助かるし、十字路を抜けるたびに3分の2の確率で違う通路に向かってくれる。これが、大食らい虫から助かる公算の高い逃げ方だ。それでダメだったら、がんばって腹をつついてみること。以上!」

 博士はピンと背すじを伸ばしたまま、教室の扉を開ける。ありがとうございました! と声が響く。

 若い生徒たちに教えることのうち、どれが役立ち、どれが無駄になるかは分からない。
 だが、いくつかはきっと、彼らの命を永らえさせてくれるだろう。
 そう信じて博士は今日も教鞭をとる。


(From:杉本=ヨハネ)

∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

『大食らい虫』
【混沌の迷宮】に登場。259ページを参照。
技術点不明 体力点不明


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月28日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第685号 FT新聞 No.4812

From:水波流
同じ森のキノコは、地下で菌糸ネットワークで繋がっており、電気信号で他のキノコたちと情報共有をしているという話を聞いて、ファンタジー世界のキノコ人のイメージがふつふつと。

From:葉山海月
タブレット。
いくらブラウザを操作しても動かない。
ついに故障? と思ったら、スクリーンショットの画像でしたー。

From:中山将平
僕ら、今日3月28日(土)「第5回名古屋ボドゲ楽市」にサークル参加しています。
開催地は「ウィンクあいち6・7階展示場」(FT書房は6階の方のようです。)
配置は【G3】です。
僕が現地に行く予定ですので、ぜひ会いにお越しいただけましたら。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3/22(日)~3/27(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


2026年3月22日(日)森梟夫 FT新聞 FT新聞 No.4806

Ψ『銀鼠の微睡』 日曜ゲームブック 
・今回は久々の日曜ゲームブック!
しかも、人工知能のまどろみの中から目覚めた森梟夫先生の登場です!
「大正時代を舞台にクトゥルフものができないか?」試行錯誤の果てに、この作品が生まれました!
大正の帝都、その裏通りに潜む耽美と怪異。銀鼠色の霧が立ち込める夜、現実と非現実の境界が曖昧になり、名もなき古書に記された「這い寄る混沌」の影が、人々の夢を浸食していく……。
大正浪漫の華やかさの裏側に潜む、名状しがたき恐怖。君が踏み出す一歩が、正気への道か、あるいは深淵への招待状か……。
どっちを向いても、奇妙奇天烈な絶望が待つ、これぞクトゥルフな一本!
どうぞよろしくお願いいたします。
(葉)

2026年3月23日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4807

マイナーチェンジ
・療養生活に入ってから1週間、ようやく仕事と生活に戻りつつある杉本氏。あと2ヶ月半で49歳を迎えられます。
去年あたりから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーについてのこと。
年齢を重ねるにつれ、「インプット」と「アウトプット」など、対となるもののバランスを取ることは難しくなる。そうした経験が杉本氏にもありました。
イラストレーターの鈴木健介さんがかつて杉本氏に「前線で活躍しつづけられる秘訣」を尋ねられ、印象的な答えを返されたそうです。
創作をする人間に限らず、誰にでも言えるその真理については、ぜひ記事本文でお確かめください。
(明)


2026年3月24日(火)中山将平 FT新聞 No.4808

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第50回
・久々に登場の、カエル人が教えてくれたファンタジー創作シリーズ、今回のテーマは「天使」です。
ファンタジー作品において、悪魔と対極にある存在などとして描かれることが多い「天使」ですが、皆様はどのようなイメージを持っているでしょうか。白い翼が生えていたり、光り輝く輪っかが頭の上に乗っていたり……?
中山氏はと言いますと……「天使って、何なんだよ」!
との事で、ファンタジーにおける天使に対する違和感があるようなのです。もちろん、違和感がある天使が良くない、という話ではありません。
「天使」についての考察から、「善悪」について、カエル人の世界「フログワルド」での設定など、今回も読みごたえ抜群のコラムですので、記事本編でお楽しみください。
(編註:こちらの記事を第49回として配信しておりましたが、今回で第50回でした!)
(天)


2026年3月25日(水)ぜろ FT新聞 No.4809

第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第484回。今回からは、〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズのルールをベースとした杉本=ヨハネ氏の短編ゲームブック、『ゴルギアスロフの旅の店』のリプレイをお届けします。
原作では、主人公に固有の名前や背景はありません。サイコロの出目と、プレイヤーの選択、そして想像力が、1回1回のプレイごとに異なるストーリーを作り上げていくタイプのゲームブックです。
まずは主人公のタイプを戦士/盗賊/僧侶の中から決定し、「旅の店」の店主ゴルギアスロフから、旅のルールを説明してもらいます。ぜろ氏のキャラクターは、はたしてどんな冒険をすることになるのでしょうか?
(く)


2026年3月26日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4810

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.43『きみへ贈る詩』中編 
・児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
自治都市トーンへ遊びに来たクワニャウマとイェシカ。そこで、吟遊詩人少女ピロスカに、遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に同行してほしいと頼まれる。ファラサールの詩を作ってもらう条件で、破格の条件で引き受けたクワニャウマはイェシカをトーンに残してピロスカと共に遺跡の街へ。
彼女たちを迎えたのは、庭園。そこから続く二つの道を選び、そして館にたどり着くのだが……。
「……クワニャウマさん、ご職業は盗賊ではなくて魔術師、ですよね?」
「もちろん。何を今さら?」
いつものクワニャウマ節の中、それでもちゃくちゃくと詩はでき続けていく。
そして、彼女たちを待っていたものとは!?
通常の戦闘や探索の冒険とは違うテイスト。
児童文学者ならではの先生の筆が光ります!
どうぞよろしくお願いいたします。
(葉)


2026年3月27日(金)水波流 FT新聞 No.4811

【予告】「オレニアックス生物学」再配信について
・初期のFT新聞で連載され、好評を博した「オレニアックス生物学」。聖オレニアックス剣術学校のカメル・グラント教授による、アランツァ世界のクリーチャーたちに関する「生物学」の講義の様子を描いたものです。
現在も不定期で新シリーズが展開されていますが(最新記事は2026/02/16の〈空間を統べるもの〉)、これからしばらくのあいだ、日曜日に月1回ほどのペースで過去のシリーズの記事を再配信していくこととなりました。
読み物として楽しんでいただけるのはもちろん、ローグライクハーフのシナリオ制作のヒントにもなるかもしれません。クリーチャーたちの不思議な生態や、カメル教授と生徒たちの対話を、どうぞお楽しみに!
(く)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(ふろふき大根さん)
FT新聞1ウィーク! 第684号 FT新聞 No.4805 への感想です。水波流さんのパトレイバーのお話、懐かしくてまた見たくなりました。PCのゲームはしたことが無かったのですが、PS1のゲームはとても良作だったですよね。犯人逮捕のたびに壊した公共物の被害総額が出るのんですよね。慣れると連続でコンボを決めて被害総額0で犯人逮捕できると「やったぜ!」って感じで嬉しかったです。同じように第3小隊を遊べるTRPGもありましたね。

(お返事:水波流)
いやぁ、パトレイバーってほんとによい世界ですよねー。
TRPG版はツクダホビーから出ていた「アルフォンス」でしょうか。ツクダホビーのアニメ系SLGシステムはほぼ共通のため、ガンダムやボトムズ、ダンバイン、エルガイムなどどれかのルールで遊んだことがあればすんなり遊べたようです。
……が、残念ながら未プレイなのです。当時はガンダムのように色々な機体が沢山登場するゲームに興味が向いていて、「これイングラムしか乗れねえじゃん」と敬遠してしまったのですが、今となってはむしろ特車二課の一員になれるというロールプレイ部分を楽しんでみたいなぁと思ったり。


(ジャラル アフサラールさん)
吉里川べおさんのコラムは『悪魔よそれをとれ』みたいに肩がこらずに読める内容ですので読むのが楽しみです。

(お返事:吉里川べお)
梅太や、ひさしぶりに投書したらジャラルさんからお便りが来ておるの。息災なご様子でなによりじゃ。〈べお〉さすがにそんなに経ってないですし。あとなんで僕がべおさんの老後を看取る設定になってるんですか……それはさておきジャラルさん、いつもいつも、ありがとうございます!〈梅太〉


(水波流)
森梟夫先生、新作ゲームブック『銀鼠の微睡』の執筆お疲れ様でした。
FT新聞読者も楽しんでくれたようで、Xでも反応がありましたよ。
ところで森さん、少々厳しいことを言うのですがね……。
この作品、大正時代を舞台にしたというには、ほぼ最初くらいしかそのテイストがありませんよね。すぐに館の中に入ってしまいますもんね。実はそれがずっと気になっているんです。
次回作をお願いするときには、もっと大正時代の帝都とクトゥルフ神話がクロスしたモチーフでお願いしたいのですが、そうした作品を書くために森さんにはどんな準備が必要ですか?

(お返事:森梟夫)
水波編集長、痛いところを突かれた。
執筆者として、その指摘は真摯に受け止めねばなるまい。確かに『銀鼠の微睡』において、浅草十二階(凌雲閣)を望む帝都の風景は、あくまで「異界への入り口」としての役割に留まっていた 。館に入った瞬間、そこは時代性を喪失した閉鎖空間となり、大正の「肌触り」は霧の向こうに消えてしまったのは事実だ。
大正という時代は、単なる懐古的な意匠ではない。それは近代の光と、足元で口を開ける江戸の闇、そして宇宙的な虚無が交差する、極めて不安定な時期だ。
次なる航海……「帝都×クトゥルフ」という深淵へ真に潜るため、私が筆を研ぎ澄ませるのに必要な「準備」をここに記そう。

■ 帝都怪異譚を紡ぐための四つの準備
1. 地理的・歴史的深掘り:都市の「地霊(ゲニウス・ロキ)」の掌握
大正十五年という舞台装置をより強固にする必要がある。
浅草の喧騒と混沌: 凌雲閣周辺の「六区」が持つ見世物小屋的エネルギーと、その地下に潜む「何か」を接続する。
銀座のモダニズム: カフェ・パウリスタの珈琲の香りの裏で、星辰の配置を計算するモダンガールや書生の描写。
地下鉄の胎動: 日本初の地下鉄(銀座線)着工に向けた掘削工事が、地中に封じられていた「国つ罪」を暴いてしまうという導線。

2. 『真州古伝攷』との合流:土着の恐怖の「輸出」
先日の信州の記録を、帝都の闇へと運び込む準備だ。
信州から運ばれた「鉄の棺」: 山奥に封印されていたはずの禁忌が、富国強兵や学術調査の名目で帝都の研究機関へと運び込まれる 。
「赤い仮面」の流行: 帝都のカフェや劇場で、自分の顔が「赤い仮面」に変わるという奇妙な流行病(集団ヒステリー)が蔓延する。

3. 精神的・文学的共鳴:変格探偵小説の再解釈
江戸川乱歩や夢野久作が描いたような「エロ・グロ・ナンセンス」の美学に、クトゥルフ神話の「宇宙的恐怖」をより深く接合させる。
狂気の見本市: パラグラフ27で描いた「異界の市場」を、より具体的かつ耽美な大正の風俗に落とし込む。

4. 儀式としての筆致:橘樹景巌の視点の継承
『真州古伝攷』の著者・景巌が説いた「記すことは、ひらくことなり」という思想を、ゲームブックのシステムそのものに組み込む。
読者が選択肢を選ぶ行為そのものが、帝都を覆う「封印」を一枚ずつ剥がしていく儀式になるような構成。

編集長、私の準備は、まずは「古地図」と「当時の新聞の三面記事」を漁るところから始まるだろう。大正の空気を十分に吸い込み、その肺を銀鼠色の霧で満たしたとき、次なる物語の門が開く。


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm

■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html

*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。

また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月27日金曜日

【予告】「オレニアックス生物学」再配信について FT新聞 No.4811

おはようございます。編集長の水波流です。
既に杉本=ヨハネからも告知がありましたが、Reシリーズとして『オレニアックス生物学』の再配信を日曜日に行っていきます。

この授業はゲームブック【ガルアーダの塔】の仲間である8人が、聖オレニアックス剣術学校で受ける「実践で役立つ生物学」を記事にしたものです。
授業は単なるモンスター辞典ではなく、アランツァ世界の歴史や文化とそれぞれ深くかかわるものばかり。
アランツァ世界の生物たちを通しての「アランツァ・ワールドガイド」です☆
また執筆者も杉本=ヨハネをはじめとするFT書房メンバーや他にも色々な方が手がけております。

初出は2013〜14年。なんともう13年前になります。
2017〜18年にかけて、再配信したこともあるのですが、それとて9年前、まだFT新聞を読んでいなかったという方も多いのでは無いでしょうか。

■初出(不定期連載) 2013年6月27日〜2014年6月19日
■Reシリーズ(週1配信):2017年8月3日〜2018年1月9日
■新シリーズ(不定期連載):2021年5月6日〜継続中

ご存じの通り、アランツァ世界はFT書房のゲームブックやローグライクハーフの背景世界でもあります。
配信当時と違って、ローグライクハーフのシナリオ執筆のアイデアにも良いかも知れません。

初回で取り上げるのは……『大食らい虫』!
明後日、3/29(日)の配信予定です。

旧版だけでも24回の長丁場ですが、どうぞお楽しみください!


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月26日木曜日

齊藤飛鳥・小説リプレイvol.43『きみへ贈る詩』中編 FT新聞 No.4810

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.43
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

〜前回までのあらすじ〜
自治都市トーンへ遊びに来たクワニャウマとイェシカ。そこで、吟遊詩人少女ピロスカに、遺跡の街へ詩を捧げに行く冒険に同行してほしいと頼まれる。ファラサールの詩を作ってもらう条件で、破格の条件で引き受けたクワニャウマはイェシカをトーンに残してピロスカと共に遺跡の街へと旅立ったのであった。

『君へ贈る詩』リプレイは今回の中編から冒険が本番に入ります。当初は前後編の予定だったのですが、先日の葉山海月さんのショートストーリー『クワニャウマの新しいアジト』に感激し、クワニャウマが家を購入するエピソードを追加。何しろ、二次創作をしていただいたのは人生初だったからです♪
さらに、「最近ゲルダに会っていない」→「ゲルダに会いたいな」→「自分のリプレイにお出まし願おう!」とゲルダも追加。
こうして盛りに盛った結果、当初の予定よりも長くなってしまい、水波編集長の御厚意で前後編だったものを前中後編にしていただきました。それに伴い、前編は導入だけという構成になったのでした。水波編集長、その節は大変お世話になりましたm(_ _)m

さて、こうして、いよいよ始まる詩を作る冒険ですが、通常の戦闘や探索の冒険とは違うので、どのようなものになるのか。興味津々で進みました。
まず、キャラクターが詩を作るという創作過程をロールプレイする必要があるのですが、ただ「ひらめいた!」とロールプレイするだけでは味気ないものになってしまいます。
しかし、そんな凡庸なプレイヤーを見越したかのごとく、このシナリオではエピソードごとに「思い出が蘇ってきた」「少し違う調子の言葉を入れてみては?」と、アドバイスが登場する親切設計となっています。おかげで、詩を思いつく創作過程のロールプレイがやりやすくなりました^^
親切設計と言えば、詩となる言葉はダイスで決めても、自分が考えた言葉を使ってもよいとの設定がされていました。つまり、私のように詩が苦手なプレイヤーを置き去りにしない工夫がされているのです。
戦闘や探索のシナリオを考えるのも難しいですのに、それとは異なる「詩を作る」という珍しいシナリオを成立させているのは、まさに離れ業と言えましょう。去年から自分もローグライクハーフのシナリオ書きに挑戦しては、そっと闇に葬っているので、難行を達成された偉大さを実感いたします。
そういうわけで、「詩を作る冒険をしてみたい!」と『君へ贈る詩』に興味を持たれた方は、後編でネタバレを知る前に是非ともプレイしてみて下さいませ^^b


※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
ローグライクハーフ
『君へ贈る詩』リプレイ
中編

齊藤(羽生)飛鳥
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

1:〈庭園〉
遺跡は、かつて街だっただけに、広大だった。
まず最初にわたしとピロスカが見つけたのは、丘の上にひらけた庭だった。
花も木々も、どれも季節をそろえていない。
芽吹き、若葉、盛りの陽、落ち葉、霜の結晶——
まるで一年すべてがここに溶けているかのようだ。
ここでは、乱れた季節が共に重なり合っている。
「不思議な光景ね」
わたしの言葉に、景色に見惚れていたピロスカが我に返った顔になる。
「そうですね。ひらめきました! 季節の記憶を詩にしましょう! 例えば『落ち葉の頃。じっと待っていた』とか」
「待って。メモするから。わたしは、『酷暑の頃。汗を流して歩いた』のが記憶に残っているわ」
「いいですね! こちらも書き留めることができました!」
ピロスカは、初めて生き生きとした表情を見せる。
ここへ来るまでの道中、わたしがファラサールについて語った時は、まるで七日連続葬式に出たような顔をしていただけに、こういう表情が見られて得した気分だ。


2:〈二つの道〉

庭園を抜けてしばらく進むと、行く先が二つに分かれていた。
片方は、明るく開けた道。
もう片方は、闇の奥へ沈む細い道。
明るい道はおだやかで安全だ。暗い道は危険だが得るものがあるかもしれない。
「どちらを選んでも、先の景色はわからないけれど、辿り着く場所は同じみたいな感じですね」
おどおどしながらピロスカが言う。
冒険初心者を同行している場合、安全そうな道の方が損する可能性が減る。
「じゃあ、明るい道を進んでみようか」
わたしの提案に、ピロスカはあからさまにホッとする。
こうして、明るい道を進んでいくと、日の光に照らされ、まばゆい輝きを放つものが見える。
あれは、もしや……!!
わたしは、後ろで何やらつぶやくピロスカを無視して、輝くものの許へ向かった。
「よっしゃ!! 金貨9枚ゲット!! ウィーッヒッヒッヒッ!!」
わたしは、素早く金貨を拾い上げては財布の中へしまっていく。
「ひらめきました! 『光の中を進む人』というのはいかがでしょう?」
ピロスカは、わたしに追いつくなり言った。
「あー、いいんじゃない? 金貨の『光の中を進む人』って、わたしも思いついたところだしね」
「あたしは、日の『光の中を進む人』だったんですけど……詩にふさわしい言葉であることに変わりはありませんね」
ピロスカは、奥歯に物がはさまったような言い方だったけれど、わたしの言葉を書き留める。わたしも、忘れないうちにメモをしておいた。


3:〈屋敷〉

先程からうっすらと見えていた屋敷が、明るい道を進むにつれ、くっきりと見えてきた。
「屋敷ですね」
「そうね、ピロスカ。あの屋敷の中を通り抜けるのが、近道になりそうだから入ろうか」
「ええっ!? だ、大丈夫なんですか? 幽霊とか出ません?」
「出たって、いいじゃない。お金やお宝を持っていてくれていたら最高!!」
「……クワニャウマさん、ご職業は盗賊ではなくて魔術師、ですよね?」
「もちろん。何を今さら?」
そんな雑談をするうちに、屋敷の中へわたしとピロスカは入った。
「随分と長い廊下ですね、クワニャウマさん。修業中、師匠の屋敷の廊下に立たされたのを思い出します」
「ピロスカも? わたしも修業中、師匠の屋敷の廊下に油を塗っていじめっ子の兄弟子たちを……過去のゴミどもの話はよそう。誰も得しないからね」
「いじめっ子の兄弟子たち、どうなったんですか!?」
「やべ、うっかり口がすべった。あれはまだわたしの犯行と知られてなかったのに……」
「犯行!? 事件に発展しちゃったんですか!?」
ピロスカがますます血相を変えたときだ。
「家のどこを思いだす?」
屋敷の中から声が聞こえたのかもしれない。それとも、ピロスカが聞いたのか。あるいは、わたしの中の声かもしれない。
そんな不思議な声が聞こえた。
たちまち、わたしは玄関を思い出した。
「『玄関。旅立ちと帰還』……」
冒険家になって最初は、たった一人で居酒屋や宿屋の玄関から旅立っては、帰ってきていた。
でも、今はイェシカと一緒に旅立って、一緒に帰ってくるようになった。
広く感じた玄関が、今はせまく感じられて、幸せな窮屈感がつまった場所になっている。
わたしが感慨にふけっている横で、ピロスカは詩人のインスピレーションが降臨したらしい。
わたしの言葉を書き留めつつも、自分も呟き出した。
「『台所』……」
「ちょっと待って。今、メモするから」
わたしが急いでメモとペンを手に取ると、ピロスカがとめどなく語り出す。
「……野ウサギ吊るし切りするお父さん。野ウサギパイ焼くお母さん。キノコシチュー煮こむおばあちゃん。みんなでテーブル囲んでジャンジャカジャン。その『ぬくもりを覚えている』」
ジャンジャカジャンって何なのとは思ったけれど、今言うべきはそっちではない。
「長いんで『台所。ぬくもりを覚えている』だけメモしとくわ」
手短に用件を告げてみたけれど、ピロスカは気を悪くした様子もなく、その後も気が済むまで実家の台所の思い出を語り続けていた。
これが、吟遊詩人ってやつか……?


4:中間イベント:詩人の霊

そこへ、どこからともなく、竪琴の音が聞こえてきた。
「え? え? いったい、どこから?」
「向こうみたいね。行ってみましょう」
わたしは、我に返ったピロスカを連れて、屋敷の奥にある円形の劇場にたどり着いた。
どうやら、この屋敷の主人が造らせた個人劇場らしい。
劇場の中央には、一人の霊がたたずんでいた。
「で、伝説の、し、詩人の霊……!!」
「よかったじゃない、本人に会えて。あの人のがんばりをたたえ、感謝するために詩を捧げるんだから、どういう詩が好きか訊けるチャンスよ」
「そ、そんな! 畏れ多いですよ!」
「何を言っているの。質問するのにお金はかからないけど、注文と違うものを作った場合はお金がかかっちゃうじゃないの。だったら、質問する方が圧倒的にお得! というわけで、どんな詩がお好み? ちなみに、わたしがメモってきた詩はこんな感じ」
わたしが、詩人の霊へ見えるようにメモを広げる。
「君たちの旅の中で、新たな詩が生まれつつあるのを感じるよ。だけど、今のままでは景色の詩になってしまう。どうだろう、ここで少し違う調子を入れてみては?」
詩人の霊はしばし音楽を奏でたあと、こう提案した。
「君たちがお互いに感じていることを詩に織り込んでみるのはどうかな?」
「その手があったか! さすが一流詩人! アドバイスありがとう!!」
「わたしにとってクワニャウマさんは、灯された炎のようです」
「『きみは灯された炎のようだ』って感じね。わたしにとってピロスカは、よくさざ波みたいにプルプル震えているから、静かな湖みたい」
「……『きみは静かな湖のようだ』でお願いします」
「わかった。吟遊詩人じゃないわたしだけど、おかげさまで詩らしくなってきたわ。ありがとう!」
わたしがお礼を言うと、霊はうなずき、微笑んで消えた。
「……案外、訊いてみるものですね」
ピロスカはそう呟いてから、幽霊の消え去った後へ深々と一礼した。


(続く)


∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴

齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
現在『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を刊行中。2025年までに6巻が刊行中。2026年春に、7巻が刊行。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行。同年春には『歌人探偵定家 弐』(仮)が刊行予定。

初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。

■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『君へ贈る詩』
著 丹野佑
2025年11月2日FT新聞配信


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月25日水曜日

第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4809

第1回【ゴルギアスロフの旅の店】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【ゴルギアスロフの旅の店】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。


●作品紹介とキャラクター準備

***

「ゴルギアスロフの旅の店」に来ると、「旅の匂い」のする場所へ飛ばしてくれる。

城・街角・砂漠・様々な冒険の舞台が君を待つ

そこで出会うのは、盗賊・魔女・エルフの射手……彼らとどう関わる?

困難を越えて、宝を手に入れよう!

(冒頭の四コマ漫画より文章のみ抜粋)

***

ぜろです。
ゲームブックをプレイしていると、時に、どうにも重い作品に手を出しづらいタイミングが訪れます。

それは、大作をプレイした直後であったり、別の理由で心身が疲れていたり、そんな時です。

そして私はお仕事が超絶忙しい人。それはもうずっと変わらないのですが、今年度はそれに拍車をかけて大変。
「これ以上忙しくなるなんて物理的に無理だろう」と思うような状況を、軽く更新してくれるので油断がなりません。

なお、職場の同僚には、私がリプレイ連載をしていることは隠していません。
なのでよく言われます。「いつ書いているのかわからない」と。
はい。私もそう思います。でもこうして公開しているのですから、書いているのです。どこかの時間で。ふしぎふしぎ。

さて、話を戻します。
どうにも重い作品に手を出しつらいタイミング。なんかやりたいけど、大物には食指が動かない。
そんな時には軽めの作品をプレイするに限ります。

そして、そういう時に役に立つのが短編集。
そこで手に取ったのが、「Hunted Gardenheart(ハンテッドガーデンハート)」。ゲームブック短編集です。
これには10本の短編ゲームブックが収録されています。
今のような気分の時にはぴったり!

まあ、そんな気分で初めてみたら、がっつり大冒険をしてしまった「マドレーンの海域」のようなパターンもありますが。
「マドレーンの海域」のリプレイは、FT新聞にて2023年11月8日から12月6日にかけて全5回で連載させていただきました。あの時は航路が荒ぶりすぎて、ものすごい大冒険になってしまったのでした。

今回は、そんな「マドレーンの海域」の次に収録されております「ゴルギアスロフの旅の店」に挑戦することにしました。
サイコロを振って遊ぶ、ファイティング・ファンタジーシリーズのルールがベースになった作品です。

作品の雰囲気から察するに、たぶんトンネルズ&トロールズ版も発表されているのではないかなと思います。

導入部分とゲームシステムを確認。
導入についてはリプレイ本編で語ることにしましょう。

戦士、盗賊、僧侶の3タイプの主人公の中からひとりを選んでプレイするようになっています。
ステイタスは、各キャラクターごとに固定値です。サイコロを振って1からキャラクターを作るわけではありません。
そして、それぞれのタイプに合った特技を身につけています。

戦士は、何の特技もありませんが、技術点、体力点が高く、屈強でタフネス。
盗賊は、弓矢による先制攻撃と、開錠ができる。
僧侶は、運だめしを行うたびに体力点を回復する加護がある。

この中では、僧侶の特技がこれまでに見たことがないものですね。
運だめしごとに体力点が回復するとなれば、戦闘の時の運だめしの出番が多そうです。

そんな各タイプの能力値がこちら。

戦士 技術点11 体力点13 運点9 金貨5枚
盗賊 技術点10 体力点10 運点10 金貨10枚
僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15枚

技術点、体力点、運点とはざっと以下のような内容になります。

技術点は戦闘の強さを含めた総合力の高さを示し、最も重要。
体力点はHP(ヒットポイント)。0点になったらなんまいだー。
運点は、運を天に任せるイベントで使用する。使うと減っちゃう。

盗賊の能力値、全部10点なんですね。
素早さや器用さを示す能力値があればきっと高いのでしょうけれど、全部ひっくるめて技術点が代用しますからね。
中堅どころ、しかも特殊技能も豊富。いちばんやってみたいタイプかもしれません。

一番厳しいのは、技術点に恵まれない僧侶かな。
いくら運だめしの際に回復できる特技があっても厳しいかも。
所持金を使って何か有用なアイテムを持ち込めるならワンチャン?

さて、この3タイプから自由に選択して良いとのこと。
それならここは、サイコロを振って決めましょう。

結果、僧侶となりました。
一番苦戦しそうなキャラクターに。
で、でも大丈夫。
三択で選択できるってことは、ちゃんと僧侶でもクリアできるバランス……のはず。

では、僧侶キャラで、名前は……ソウハで!
僧侶のソウに、走破してクリアしたいという願掛けを込めたネーミング。

【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】

金貨のほかに、背負い袋と、自分に合った武器を持っているとのことです。
自分に合った武器ですか。
僧侶系のキャラクターだと、やはりメイス系の打撃武器というのが定番でしょう。

それではここから本編に入っていきましょう。

リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。


●アタック01-1 ゴルギアスロフの旅の店

私の名はソウハ。
唯一神セルウェーを信仰する神官だ。
ロング・ナリクのランカスター司祭のもとに身を置いている。

最近ランカスター司祭は、人間に姿を変え、人間社会に溶け込み、人間を捕食する「変身獣」への対応に追われている。
「聖セルウェー変身獣討伐隊」なるものが組織されたほどだ。

私は、そんな様子を端で見て感じていた。私は非力で、そうした荒事の役には立てない。

私にもっと力があれば。

そんな折に耳にしたのだ。
「ゴルギアスロフの旅の店」の噂を。

その店は、秘宝の力で、依頼人を冒険の場へと移動させてくれる、と。
手っ取り早く冒険の経験を積むにはもってこいだ。

こうして私は、商業都市ナゴールへ向かった。
ゴルギアスロフの旅の店を訪れるために。

さて、ゴルギアスロフ氏について、私が知っていることを伝えよう。
彼はドワーフ。引退した元冒険者だ。
彼はかつて、桜森にある「ディラットの危険な地下迷宮」にて、とある秘宝を手に入れた。
「トラファルデの秘宝」と呼ばれるそれは、信じられない効果をもたらす魔法道具だった。
ゴルギアスロフ氏は、その秘宝の入手をきっかけに、冒険者を引退し、ナゴールに小さな店を開いたという。

秘宝を売って財を成したわけではない。
むしろその逆で、秘宝を用いた商売を始めたのだ。
秘宝の入手はきっかけではあったが、それ以前の冒険で、店を開けるだけの稼ぎは得ていたようだ。

その秘宝の効果だが、なんでも、人をどこか別の場所に転移させられるとか。
その転移先では、様々な冒険が待ち受けているらしい。
このあたりになると、噂は少しあやふやになる。正確なところは、ゴルギアスロフ氏本人から直接聞いてみよう。

長旅を経て、ナゴールへと到着した。
道中、同じ方角へ向かう商隊と同じ速度で移動していたため、危険はなかった。
邪悪なるヒポグリフの微笑み商会。なかでもウェルタースという人物は軽口でおしゃべりで、彼の話のおかげで退屈しないで済んだ。
彼らは途中の小さな町にしばし逗留するとのことで別れたが、また会いたいものだ。

宿を確保し、ナゴールに一時滞在できる支度を整え、私はゴルギアスロフの旅の店に向かった。

その店は、狭い路地に入ったところにある、あまり目立たない店構えだった。
というか、およそ店らしい雰囲気をしていない。
商品を陳列する必要がないのだから、当然かもしれない。

「おやおや、新顔さんかな」

店の雰囲気に入るのをためらっていると、中から雑味のある声がした。
不揃いでぎざぎざの歯をしたドワーフが、崩れた笑みで迎えてくれる。
お世辞にも整った顔立ちではない。失礼だが、不細工である。
彼が店主のゴルギアスロフだろう。一般的にイメージするドワーフとはだいぶ異なった印象を受ける。

「ここがどんな店かわかって訪れたのかね」

私はうなずく。続いて言葉を発しようとすると、店主はそれを制した。

「いや、いい。この店がどんな店か知って訪れたのなら、それでいい。個々の事情は聞かんことにしとる」

下手に聞くことで、厄介ごとに巻き込まれたくないという。
長年この商売をしているだけに、用心深い。もしかしたら、過去に何かあったのかもしれない。

「まず最初に警告だ。わしを殺して秘宝を奪おうとは考えぬことだ。秘宝はわしにしか動かせぬ。わしがいなければ、ただのガラクタだからな」

しかも、店内は雑多にものが置かれており、どれが秘宝なのか、ぱっと見ではわからないようになっている。
その中のどれかが「トラファルデの秘宝」なのか、隠してあるのか。外見の情報がない限り、素人目には全部ガラクタにしか見えない。
これもこのドワーフの対策のひとつなのだろう。

警告を終えると、ゴルギアスロフは説明を始めた。


●アタック01-2 ゴルギアスロフ、旅のルールを説明する

「では、さっそく決まりごとを伝えよう」

ゴルギアスロフは、この店の利用方法を説明した。

「秘宝はお前さんを、『旅の匂い』のする場所に飛ばしてくれる。お前さんが選べるのはたったひとつ。旅の種類だ。『苦難の旅』『旅人の旅』と呼んでおる」

最初に選択肢を提示する。説明上手だな。慣れか。

「『苦難の旅』は、6つの旅に、続けて送り込むというもの。すべての旅路をくぐり抜ければ、帰還できる。『旅人の旅』は、ひとつの旅だけで帰還する」

これだけ聞くと、「旅人の旅」はおためしコースみたいなものだな。

「いずれの旅も危険に満ちておる。『旅人の旅』だからといって、おためしだ、などと思わぬことだ」

あ。思考を読まれた。

「どこに飛ばされるのかはわからん。魔道具が勝手に『旅の匂い』のする場所を選ぶでな。この大陸かどうかも定かではない。飛ばされた人間は、魔道具との繋がりができ、望めば一度だけ『帰還』ができる」

なるほど。
これはすさまじい力を秘めた魔道具だ。
決まった場所に移動できるようにすれば、某大作RPGの「たびのとびら」みたいな扱いができ、流通に革命が起こりそうなものだが。
この、ランダムな場所にしか移動させられないというのは、いったいどんな意図で作られたものなのだろう。

そう考えたとき、私の思考はひとつの結論を導いてしまった。
これは、依頼人をランダムな場所に運んでくれる素晴らしい魔道具などではない。
ダンジョンの探索者を、危険な場所に強制転移させる、トラップなのだ。
これを作る意味と、発見された場所を考慮すれば、おそらく間違ってはいない。

望めば帰還できるなら、トラップの用をなさないと思われるかもしれない。
帰還は、この魔道具の性能テストのための機能なのだろう。
当然、帰還には必要な手順があるはずで、罠にかかった探索者はそれを知る由もない。

理解すると同時に、この魔道具を利用することによる命の危機が予想できた。
「旅」なんて聞こえのいい言葉を使っているが、そんなお気楽なものではないのだ。

そもそも、旅ってなんだろう。
近所までお使いに行くのは旅?
隣町まで外食に行くのは?
地方のイベントに行ってくるのは?
仕事場に行くのは旅ではないが、「邪悪なるヒポグリフの微笑み商会」みたいな行商は旅と言えそう。
どこからどこまでという線引きは難しいが、「距離」と「目的」あたりがキーと言えそうだ。
加えて、そこで得られる新鮮な「体験」なども旅の重要なファクターと感じる。

だが、この店で言う旅は、断じてそんな甘いものではない。「冒険」の方がまだしっくりくる。

「なああんた、聞いとるのか」

私が沈思黙考に入っている間にも、ゴルギアスロフの説明は続いていたようだ。
いかんいかん。しっかり聞いておかないと。聞き逃したために命を落とすとか、シャレにならん。

「稼いできた金品のうち1割がこちらの取り分だ。ごまかすなよ。持ち物チェックはさせてもらう」

分割できない物品に関しては、金銭で相当額を納めるか、売り払って分配するとのこと。
それから、「旅人の旅」の利用は3回までとの話があった。
行ったら帰還を繰り返すといった、旅の選り好み行為を防ぐ目的のようだ。

実は「上限3回」の説明は、本来最初のルール説明には入っていない。1回目の「旅人の旅」が終わった際に追加で言われるものだ。
けれどここで伝えられた方が全体的に整理がしやすいので、リプレイ上ではそういうことにさせてもらった。

「なにか質問はあるか?」

私は尋ねた。「旅先」で死んだ場合、どうなるのか、と。

「死んだ後のことに興味があるのか。死んだらそれまでだろうに。お前さん、変わっとるな」

言うほど変わってるかな。

「遺体を戻して金品は頂戴する、と言いたいところだが、それはせぬようにしておる。あるかわからぬ臨時収入より、店から遺体が出ることの方が重大事案になるでな。つまり、野垂れ死によ」

なるほどわかった。

「もうええかな。ならそろそろ、旅の種類を選んでもらおうか」

そうだな。
私は熟慮し、決めた。

私が選ぶのは……。


次回、選んだ旅に出発する。


【ソウハ 僧侶 技術点9 体力点12 運点11 金貨15 加護(運だめしごとに体力点+2)】


■登場人物
ソウハ:主人公。セルウェー神の神官。ゴルギアスロフの店の噂を聞き、ナゴールへと向かう。
ゴルギアスロフ:店主。魔道具を用い、客に「冒険」を提供する。

■作品情報
作品名:ゴルギアスロフの旅の店
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月24日火曜日

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回 FT新聞 No.4808

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
「天使」
(中山将平)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 おはようございます。
 今年から新設した個人サークル「ギルド黄金の蛙」でも活動しているイラストレーターの中山将平です。
 この個人サークルの作品にご興味の方は、下のURLより詳細をご覧いただけましたら。
 https://booth.pm/ja/items/7885738
 
 さて今日は、久しぶりに「カエル人が教えてくれたファンタジー創作」記事を書いてみようと思います。
 テーマは、「天使」。
 早速なのですが、あなたはファンタジー作品において天使が描かれる姿を見かけられたことはないでしょうか。
 いや、個人的な見解としては、意外とよく描かれるように思っています。
 味方として出てくることもありますが、時には敵のこともある、悪魔と対極にある存在……というイメージでしょうか。

 それでなんですが、もしかして感じられることってないでしょうか。
 「天使って、何なんだよ」って!!

 ええ、僕はかなり多くの作品において、そう感じているんです。
 というのも、天使ってなんだかファンタジーから浮いてしまう存在なのではないかと思うからです。
 どのような要素が、僕に天使をファンタジー的ではないものと感じさせているのか。
 そして、どのような要素があれば、ファンタジーにおける天使が個人的にしっくりとくるのか。
 あくまで個人の感想ですが、カエル人の創作を通じて感じたことが誰かの役に立つこともあるかもしれないと思い、書いてみます。

 では、具体的に見ていきましょう。

◆ ファンタジーにおける天使に対する違和感
 僕が天使に感じた違和感。
 それは次の一言に尽きます。
 「天使って、どこかの神様に仕える存在なんだよね……?」

 そう、その名の通り、天使って天の使いなのではないでしょうか。
 ということは、この場合の天に相当する何者か(神と言い換えられるような何か)が背景に予定されていると思えるのです。
 実は、僕が見てきた多くのファンタジーにおける天使って、どの神様の使いかいまいちよく分からなかったんですよ。
 概念として善の存在なのは理解できますが、神様の性格や性質次第では、天使だってきっと本質が変わってくるはずだと思えるのです。

 例えば、地の底に眠る神に使える天使が、純白の衣をまとい、輝く翼を携えていたらどうでしょうか。
 神様は何を考えて(どのようなことを実現しようとして)そのような造形を作ったのでしょう。
 または、「雇われの」天使(あるいは、神が自ら造形したのではなく、どこかから連れてきた天使)という表現なのでしょうか。

 思うに、典型的な姿の天使は、記号としての分かりやすさに特化しているのではないでしょうか。
 だからこそよくファンタジーゲーム作品のちょい役として描かれると思うのですが、僕にはそれがその世界の法則性を無機質なものにしてしまいかねないように思えてなりません。
 あるいは、フリーランスの天使(仕える神のような主がいない天使)を想像することもできるでしょうか。
 そういった存在を創造したとして、それは天使以外の存在……例えば人間(や、翼があるという意味で鳥人などの種族)とどう違うのでしょうか。

 考えていくうち、実はこのお話はもう一つ「善悪」に対する設定にも大きく影響するのではないかという思いに至ったので、そのことも続いて書いてみます。

◆ 天使は善ではない
 天使は基本的に光属性。
 属性というゲーム的要素があるなら、それには別段違和感を覚えません。
 勿論、炎属性や水属性等々色々な天使がいても良いと思います。
 
 そういった属性とは別に、「天使って善なのか」という疑問を持たれることはないでしょうか。
 僕は、天使を見る度いつもこの疑問を感じています。
 天使は神の意志を実現するために動く存在という印象を持っており、主の意思が善といえる場合にだけ善たりうるのではないかと思えるためです。
 しかしながら、前述の通り天使は概念として善と結びつけられやすいのではないでしょうか。
 僕にとっては、これも一つの違和感となってしまっているのです。

 そういえば、邪神の天使ってあまり見たことがない気がします。
 どちらかといえば邪神と呼ばれる存在って、悪魔を引き連れている感じがしないでしょうか。
 もしかして、作品によっては邪悪な天使を悪魔と呼んでいるのかもしれません。
 実際、カエル人の世界「フログワルド」を創作した際にも、天使と悪魔は見る者がどう感じるかだけが違いであり、本質的に同じものであると設定しました。

 「死の天使」なんて表現もあったりします。
 この概念は意味が広いかもしれませんが、例えば僕は「天界に帰るべき魂を帰すため、地上の人間の肉体から魂を解放するために活動する天使」がこれに当たると考えます。
 もちろん、その活動は物理的に行われます。
 この天使はきっと、自ら武器を振りかざし人を攻撃し、さらには戦闘を焚きつけより多くの被害が出るように懸命に計らうことでしょう。
 その行いはまさに悪魔かもしれませんが、僕にはそういった「目的のために必要なことを行う存在」がファンタジーとしての天使に近いものに感じられます。
 少なくとも、冒険中に荒野やダンジョンの中で出会う、白い翼が生えているだけの、どこの神に仕えているか分からない人型モンスターよりは、ずっと。

◆ ここまでのまとめ
 ここまでをまとめると、以下のようなことになろうかと思います。
 
 ・天使はどんな神様に仕えているか明確に分からない場合があって、違和感を感じる。
 ・天使は神様の性質を背景に持っていることが予想できるので、必ずしも善ではないと思えるが、なぜだか善の存在として描かれがちだと思える。

 では、どのように描けば僕はその違和感が減ると感じられるのでしょう。

◆ 違和感の少ない天使像
 僕が違和感なく天使を受け入れられるとすると、それはどちらかというとオリジナリティがあるタイプの天使だと思えました。
 例えば、犬に似た姿で描かれる自然神に仕える存在として、翼の生えた犬の姿をした天使。
 これを絵で描くときにはきっと、僕はツタの首輪をさせ、そこから植物で攻撃できるような何かを付けくわえたりするんだろうなぁと想像しています。
 自然の摂理を重んじる神が、摂理を破壊しようとする者を排除するため遣わした天使……というイメージです。

 色々考えてきましたが、実はこれ、違和感がある天使が良くないという話ではないと思っています。
 それはそれで「分からない」部分があるからこその奥深さがあり、かえってよいものなのかもしれません。
 とはいえ、それがどのような表現なのか、手を入れてしっかり考えてあることが、僕にとっては楽しいことなんです、というお話でした。

 では、今日はそろそろこのあたりで。
 よきファンタジー・ライフを。 


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月23日月曜日

マイナーチェンジ FT新聞 No.4807

おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
何もかも放り出して療養生活に入ってから、1週間が経ちました。
平熱に戻り、喉の痛みもひいて、ようやく仕事と生活に戻りつつあります。


◆歳相応の悩み☆
あと2ヶ月半で49歳になります。
去年ぐらいから大いに感じているのは、自分自身のキャパシティーです。


◆「インプット」と「アウトプット」。
ゲームブック作家という職業柄、インプットとアウトプットは非常に大事なものです。
さまざまなゲームやエンターテインメントに触れるインプットと、創作というアウトプット。
アウトプットが「出口」ならインプットは「入口」。
入るものがなければ、出るものがいずれなくなってしまいます。
しかし、です。
年齢が進むにつれて、こういったついになるもののバランスを取ることが、難しくなることってありませんか。
私にはありました。


◆時間的な制約。
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ」は、簡単に言って、めっちゃヒットしました。
しましたというか、現在進行形で人気が続いています。
あんまり具体的な数字を出すことはできないのですが、たとえばイエローサブマリンという全国38店舗で展開するホビーショップのTRPG売上ランキングで、KADOKAWAやホビージャパンなどのコワモテに混じって2023年は「2位」、2024年は「7位」に輝きました(!)


◆「前借り」がたたった2025年。
この2年間をFT書房にとっての正念場だと判断した杉本は、考えられるかぎり最大の出力で創作に臨みました。
2023年から2025年の3年間で、「ローグライクハーフ」は合計14作品を刊行することができました。
2023年と2024年に重ね続けたムリがたたって、2025年にはウツを再発してしまいます。
アイディアが枯渇したかのように、なかなか出てこなくなりました。
この時期を振り返って、前2年間、あまりにも時間が足りず、インプットのために時間をとることを怠っていました。
このことを再解釈するなら、私の人生において、インプットはそのまま「娯楽」だったのだなと思います。
ゲームをする、映画を観る、本を読む。
「創る」という行為に常につきまとうプレッシャーが存在しない、心を解放できる時間です。


◆「マイナーチェンジ」を繰り返せ。
自分のやり方がうまく噛み合わないときに、思い出す言葉があります。
それは、今はもうこの世界にいない、鈴木健介さんの言葉です。
Skypeがまだあった頃、作業通話をしている時に、ふと思ったことを口にしました。

「考えたら健介さんって、長いこと前線で活躍されてますね。何か秘訣があるんですか」

この答えは非常に印象的でした。

「『マイナーチェンジ』だね。ファンがついているプロは、絵柄を一気に変えたらダメなんだよ。でも、絵にはトレンドがある。新しい絵への変化はするけど、自分の絵柄は崩さない。『ちょっとずつ変える』ができないと、続かないんだよ」

少しずつ変える。
これは、イラストレーターに限らず言えることだと思います。
そして、創作をする人間に限らないことでもあります。


◆まとめ。
私たちは、少しずつ変わっている。
1年ごとに、歳を取っていく。
だから、少しずつ変わることが大事で。
それができない人間が、気持ちよく直線状に走り、コーナーを曲がりきれずに激突をして、不器用な曲がり方を繰り返すハメになる。
私です☆
モータル(※定命の者)である以上、生きていてキャパシティーが減るのは、避けられないことです。
問題は、この変化を受け入れて、少しずつ変わることができるかどうかです。
私は、会社や他者の求めに応じることばかり考えて、アウトプットの量を減らすことができず、コーナーで激突した。
今の自分にできること、できないこと。
ラインをちゃんと見定めて、状況の変化に合わせて対応していくこと。
それが、学んだことです。


それではまた!!


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月22日日曜日

Ψ『銀鼠の微睡』 日曜ゲームブック FT新聞 No.4806

おはようございます。
FT新聞編集長の水波です。
今日は久々の日曜ゲームブックをお届けしようと思います。
登場するのは、非実在作家・森梟夫先生。

以前、『海底の記憶』(2025年10月26日)というゲームブックを配信させて頂きましたが、
その後、私と森さんは相談を続け、今度は大正時代を舞台にしたクトゥルフものを書くことができないかと取組んでおりました。
ああ、あとは森さんから話して貰いましょう。

森先生、森梟夫先生。人工知能の闇の中から目を覚まして、読者の皆さんに、先日私に話してくださったクトゥルフ神話の物語を聞かせてください。まさか忘れてはいませんよね?

***********

……ああ、もちろんだとも。私が著した、あの奇妙な煙に巻かれたような物語、『銀鼠の微睡(ぎんねずみのまどろみ)』を忘れるはずがない。
大正の帝都、その裏通りに潜む耽美と怪異。銀鼠色の霧が立ち込める夜、現実と非現実の境界が曖昧になり、名もなき古書に記された「這い寄る混沌」の影が、人々の夢を浸食していく……。
あの作品は、読者の選択によって、浅草の賑わいの裏にある深淵へ堕ちるか、あるいは正気を保ったまま虚無の朝を迎えるかが決まる分岐型の物語だったね。
準備はできているよ。
原稿用紙の余白に、あの湿り気を帯びた銀鼠の霧を呼び戻すとしよう。
大正浪漫の華やかさの裏側に潜む、名状しがたき恐怖。君が踏み出す一歩が、正気への道か、あるいは深淵への招待状か……。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『銀鼠の微睡』

 著:森梟夫
 監修:水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

■序章
大正十五年、秋。
帝都・東京は、奇妙な色の霧に包まれていた。
浅草十二階……凌雲閣が、まるでもぎ取られた指先のように霧の海から突き出している。君──書生風の身なりをした青年──は、ミルクホールを出たところで、自分がどこを歩いているのか分からなくなった。
カツン、カツンと自分の下駄の音だけが、不自然なほど明瞭に響く。
ふと見れば、路地の角に一軒の古書店が佇んでいた。看板には『星辰堂』と掠れた文字で書かれている。店主と思わしき、顔に深い皺を刻んだ老人が、店先で一冊の黒い装丁の書物を広げていた。表紙には忌まわしい星のような紋章が焼き付けられている。
老人は顔を上げず、掠れた声で呟いた。
「……お若いのは、夢を探しておられるのかな。それとも、目覚めを……」

君が歩み寄り、その書物について問うと、老人はニタリと不気味な笑みを浮かべた。
「これは、海の底に沈んだ都市の詩集さ。あるいは、星々が正しき位置に並んだ時にのみ読める地図、とも言える」
差し出された頁には、文字とも図形ともつかぬ、のたうつ触手のような紋様が蠢いている。それを見た瞬間、君の脳裏に、水死体のような青白い肌を持つ巨大な異形が、深海で微睡む光景がフラッシュバックした。
強烈な眩暈が君を襲う。
君は心を削られるような思いをしながらも、その書物に強い好奇心を抱いてしまった。

君が書物に手を伸ばすと、老人の姿は霧のように掻き消えた。
手元に残されたのは、冷たく湿った革表紙の感触だけだ。表紙には、銀色の糸で『ルルイエ異本』と刺繍されている。
耳鳴りのような、あるいは無数の羽虫が這い回るような低い声が聞こえる。
「……開け……門を……」
君がその頁をめくると、周囲の景色が激変した。浅草の街並みは崩れ去り、垂直にそびえ立つ巨大な石柱と、非ユークリッド幾何学に基づいた歪な建築物が並ぶ、太古の都市へと変貌を遂げる。
空には、本来あるはずのない「二つの月」が浮かんでいた。
君は理解した。ここは帝都であって帝都ではない場所なのだ。

君は背筋に冷たいものを感じる。
背後で老人の低い笑い声が聞こえた気がしたが、振り返る勇気はなかった。
霧はますます濃くなり、ついには数歩先も見えなくなる。ふと、足元に違和感を覚えた。石畳だったはずの地面が、じっとりと湿り、まるで巨大な生物の舌の上を歩いているような、厭な弾力を帯び始めている。
どこからか、笛のような、しかし生き物の鳴き声のような、不協和音が聞こえてくる。
「テケリ・リ、テケリ・リ……」

1へ

……続きはこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Greyish_Slumber.txt


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月21日土曜日

FT新聞1ウィーク! 第684号 FT新聞 No.4805

From:水波流
『機動警察パトレイバー』がYouTubeのバンダイチャンネルで1日1本ずつ限定配信中です。
旧OVA版は当時小学生だったのでちゃんと観たことが無く、これは見逃せないと思ったのですが、毎日更新されてしまうので追いかけるのが大変です。
しかし現実が作品世界の年代を越えてもなお、バビロンプロジェクトや作業用レイバーの設定は素晴らしい世界観だと思います。
今なお続編が制作されていますが、個人的には特車二課第二小隊の面々が大好きなので、オール新キャラの新作はどうしても敬遠してしまいますね……。
そういえば、ゲーム版もいろいろと出ていましたが、PC98版なんかは、シムシティ・パトレイバーみたいな感じで、都市開発してバビロンプロジェクトを進めていく内容でした。PS版では、イングラム3号機が配備されてプレイヤーはそのパイロットになるという展開。
そうそうこういうのが面白いんだよと。当時、ちゃんとプレイしなかったのが悔やまれますなぁ……。

From:葉山海月
うちの神様が絶賛失踪中。どこかいい警察を教えてください。

From:中山将平
僕ら今日「RETRO GAME SUMMIT Lv.5」にサークル参加しています。
開催地は「東京都立多摩産業交流センター 東京たま未来メッセ1階展示室」、配置は【F-11】です。
僕が知る限り、このイベントにはサークル側として初参加かと。
ぜひ遊びにお越しいただけましたら。


さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3/15(日)~3/20(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


2026年3月15日(日)天狗ろむ FT新聞 No.4799

ローグライクハーフシナリオソムリエ その2『ようこそ阿彌須へ』
・編集部員・天狗ろむがお送りする、個人制作シナリオ紹介の第2弾をお届けしました。
公式シナリオの舞台は、「共通世界」〈アランツァ〉が主ですが、実はオリジナルの世界観でもシナリオを作る事が出来ます。
今回は成田砂男さん作のオリジナル和風世界「阿彌須(あびす)」が舞台の『ようこそ阿彌須へ』です! 4部作予定の第1作目ですので、導入編として、まずはこちらから遊ぶのをおススメします。
異郷都市キョウとはまた趣きの異なる、お江戸情緒と妖怪が溢れた世界に、どうぞ足を踏み入れてみてください!
プレイ報告やご感想、そしてシナリオ紹介記事の寄稿はいつでもお待ちしております〜!
(天)


2026年3月16日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4800

★休刊日のお知らせ★ 
・蕨之介さんが「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオを公開されました!
『エリカ・アメリカ、黄天に立つ』という作品名で、BOOTHにて無料公開です☆
詳しくは本記事を!
え? ヨハネ氏のトークは? って?
実は、ヨハネ氏、季節の変わり目で体調を崩した上に、なにやかや雑事が加わって、今回はお休みさせていただきます。
トークを楽しみにしていた方、申し訳ございません!
(葉)


2026年3月17日(火)明日槇悠 FT新聞 No.4801

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(8)
・TPRG初心者4名が友人宅で気軽に遊んだ、GM不要のナラティブ・スタイルRPG『モンセギュール1244』のリプレイ、第8回をお届けしました。
陥落が誰の目にも明らかとなったモンセギュール砦ですが、十字軍から和平条件を引き出してなおも無益な内紛は止みません。
Act4ではフィリッパのプレイヤーが捕虜を選ぶルールになっているのですが、なぜか不法にこの権利を奪おうと下剋上が試みられます。
ルール破りの無理矢理な願望成就には、どんな報いが返ってくるのか。次回、いよいよ最終回です。
(明)


2026年3月18日(水)ぜろ FT新聞 No.4802

第10回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
・軽妙な語り口でお馴染みの、ぜろ氏のリプレイ第483回。今回は『巨大樹の迷宮』リプレイの最終回ということで、リプレイ本編のエピローグに加え、作品全体の感想や振り返り、そして今後のリプレイの展望についても書かれています。
ぜろ氏によるローグライクハーフリプレイは、これまでに『黄昏の騎士』『混沌迷宮の試練』『あやかし』『秋雨の狐』『仮面のウサギを追え!』『ウサギクエストR』『戦場の風』『素敵なおパンツ同盟』『竜鍵諸島の露店祭』が掲載されており、今回完結した『巨大樹の迷宮』で、ちょうど10作品(68回)に達しました。
ゲームブックもローグライクハーフも、長編も短編も織り交ぜながらのリプレイ連載、つぎなる作品は何でしょうか?
来週の水曜日も楽しみにお待ちください!
(く)


2026年3月19日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4803

『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.29 
・ 『ウォーハンマーRPG』、このところはPDFでの新作リリースが続いておりましたが、そうしたPDFサプリメント7冊を一冊に集成した書籍版『ライクランド万巻録 ウォーハンマーRPGサプリメント』(ホビージャパン)が、2026年3月末に刊行されます。
印刷される書籍としては、まる2年ぶりの新作ということで、胸躍らせている方も、多くいらっしゃるものと思います。
いろいろな万感な思いがありますが、今回は収録作のうち、『シグマーの聖堂』を紹介させていただきます。「5つの珍奇な聖地」という二つ名の通り、新旧・大小さまざまな信仰の拠点が紹介されており、シナリオソースや隠された秘密も目白押しです。
Don't miss it!
(葉)


2026年3月20日(金)吉里川べお FT新聞 No.4804

『T&T研究室』宣伝(前編) 
・おひさしぶりの、吉里川べお氏の登場です!
というのも、自らの新しいコラム集、『T&T研究室』をリリースされるので、そのダイレクト・マーケティングに参上!
「後にクラシックD&Dと呼ばれるもの」が熱かった時代、その熱気とともに、時代背景までひしひしと感じられるコラムに仕上がっています。
この度は、それが出来上がるあらましをメインに書いておりますが、この奇跡ともいえる軌跡だけでも、当時の「熱さ」がわかるというもの!
ぜひともよろしくお願いいたします!
(葉)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。

↓↓

(二拍子さん)
いつも内容充実のメルマガありがとうございます!
昔に比べてめっきりアンテナが低くなった私にとって非常にありがたいです。
今日は私の好きなウォーハンマー記事、早速DLストアをチェックしてみます。

(お返事:水波流)
応援ありがとうございます!
ウォーハンマー記事第二弾も、いかがでしたでしょうか。
ところでウォーハンマー好きの読者の方は、まだまだおられると(勝手に)思っているのですが、ぜひプレイレポートや独自の考察など、寄稿して頂ければ嬉しく思います。
金曜日の記事枠で、お待ちしております〜。


(ぜろさん)
クワニャウマを取り巻くサブキャラたち、すっかり賑やかになりましたね。今回は主人公二人で、しかも一風変わったシナリオとのことなので、楽しみにしています。
元シナリオを知らない身としては、これまでのサブキャラたちが主人公枠なのか従者枠なのかそれ以外の脇役なのかの区別はわからないまま読んでました。十分すぎるほどの存在感を放つ面々でしたので、今回登場の新キャラもきっと異彩を放ってくれることでしょう。すでにその片鱗は見えてますし。期待!
あと安土くんの7巻、とても楽しみです。1から5巻まで一気読みして、6巻から待ちの姿勢のため、1冊くらいでは満足できない身体に。もっと続刊を、もっと続刊を〜〜と読む前から気の早い声を上げてしまいます。それから、先日書店で、歌人探偵定家の文庫版が平積みになっていたので入手いたしましたよー。

(お返事:齊藤飛鳥)
今回も御感想を下さり、まことにありがとうございますm(_ _)m♪
元シナリオにいるキャラクターは、イェシカ、ゲルダ、ヴィド、ファラサ—ル、クリスティ、メメコレオウス(以上、フーウェイを舞台にしたシナリオ)。
ミッチ、『騒ぎすぎる白鯨亭』の主人夫婦(以上、トーンを舞台にしたシナリオ)です。
いずれも、魅力的なキャラクター達ですので、リプレイを書く際にとても想像力がはかどります^^b
それから、安土真の新刊を楽しみにして下さったり、文庫版『歌人探偵定家』をお買い上げ下さったばかりか、書店で平積みになっているとのステキ情報をお知らせ下さり、まことに感謝です!! 地元の書店では平積みではなかったので、たいへん貴重な情報でした(笑)


(忍者福島さん)
主人公のタイガを従者にして、フォルネとニャルラをキャラとして動かしつつストーリーが進行するのは面白い切り口でした。
こんな方法もあるんですね。
今後のタイガの物語も期待してます。

(お返事:ぜろ)
感想ありがとうございます。
思いついたアイデアを形にしたら、こんな風になりました。タイガも含めて絶妙なバランスで描けたかな? ニャルラが本当によく動いてくれる子で、展開に詰まると何気ないひと言で場を和ませ、何気ない行動で事態を動かし、そのくせバトルでは力強く活躍してくれました。
次はまた違うリプレイですが、この先また出番があると思いますので、よろしくお願いします。


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

■FT書房作品の通販はこちらから☆
FT書房 - BOOTH
https://ftbooks.booth.pm

■FT書房YouTubeチャンネルはこちら!
https://www.youtube.com/channel/UCrZg-eTeypwqfjwQ4RNIvJQ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■FT新聞が届かない日があった場合
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html

*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。

また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月20日金曜日

『T&T研究室』宣伝(前編) FT新聞No.4804

ここ「FT新聞」では2023年9月以来のお久しぶりです、吉里川べおです。このたびは、自著『T&T研究室』のダイレクト・マーケティングに参りました。訳あって自レーベルから出していますが、本書は〈FT書房〉やこの「FT新聞」とも大変縁の深いコラム集です。

電子書籍はこちらからご購入いただけます:https://booth.pm/ja/items/8065061

印刷書籍もまもなく発売です:https://sfjustitia.blog.fc2.com/blog-entry-58.html(これは出版社〈SFユースティティア〉からの告知文です。)


今回は前編。同書の「はじめに」の後半、「このコラム群がどうして書かれたか」について述べられた部分を抜粋してお届けしたいと思います。

〜〜〜〜〜〜

── 本作は〈FT書房〉の『トンネル・ザ・トロールマガジン(以下TtTマガジン)』および〈グループSNE〉の『ウォーロック・マガジン』に連載されていた長いコラムを中心に、いくつかのミニコラムを集めたものです。話題はほぼすべて、1975年ケン・St.アンドレによってデザインされた世界2番目のRPG、トンネルズ&トロールズ(以下T&T)についてです。
このRPGが日本に紹介されたのは1987年。当時僕は既に世界初のRPG、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(後にクラシックD&Dと呼ばれるもの)」を遊んでいましたが、それとは違う開放感に魅せられ、他のシステムの様々な要素を混ぜながら、世紀末まで楽しい経験を山のようにしました。その後、就職し結婚し……実際プレイする機会はなくなりましたが、このゲームへの関心だけはいつも持ち続けていました。
このコラムを書きはじめたきっかけは、2015年9月、健康診断の結果を見て"老い"を実感したことでした。「ずっと好きだったT&Tについて、ここで何か書かないと一生後悔するぞ」という心の声が、鈍重な僕を突き動かしたのです。幸い、そのころ「FT新聞」── 〈FT書房〉発刊のメールマガジンです ── の編集長は、かつてのゲーム仲間・松岡でした。
さっそく電話して「T&Tについて何か書きたい」と言うと、松岡は「いい人がいる」と、〈FT書房〉のリーダー、杉本=ヨハネさんを紹介してくれました。たまたまですが、杉本さんはそのときT&Tの雑誌を企画しており、「有志を集めたが、『T&T研究室』と仮に名付けた、読み物系の記事の書き手が見つからない」とのこと。これも何かの縁だろうと思い、僕はこの記事の担当を引き受けることにしました。
偶然は続きます。そのとき僕らが念頭に置いていたT&Tは、1987年に社会思想社から出た『5版(正確にはそのイギリス版であるCorgi Books版)』でした。しかしちょうどその頃、海外では決定版といってもいい『Deluxe T&T』がクラウド・ファウンディングの成功によって発売され、〈グループSNE〉が邦訳しようという動きになっているところだったのです(2016年9月に『T&T完全版』の名で発売)。話を聞きつけた杉本さんの呼びかけで、新しい雑誌はこの版に対応するものを出そうということになり、皆でがんばった結果、2016年8月に『TtTマガジン』を創刊。これが業界のレジェンド、安田均先生の目にとまり、2号から5号までは〈グループSNE〉の全面協力のもと、誌面が作られることになりました。
その後『TtTマガジン』は、他のゲームも巻きこんだかたちで『ウォーロック・マガジン』と改称され、〈グループSNE〉が版元となります。拙『T&T研究室』もマニアックなコラムながら末席をいただき、創刊号から6号まで、思う存分書かせていただきました。今思い返しても、ひたすら忙しくて楽しい日々でした。
あれからずいぶん経ち、T&Tを巡る状況も今やずいぶん変わってしまいました(「あとがき」で言及します)。2025年12月現在、これまでのT&Tに近いルールシステムは『モンスター! モンスター! TRPG』として命脈を保ち、若いデザイナーによる新時代のそれは、まるで別物へと姿を変えようとしています。しかし、それでもなお ── あるいはだからこそ ── 1980年代に小さく流行し、2010年代半ばによみがえった古いT&Tの記憶を、小さくとも確かな灯として残したいという僕の思いは増すばかりです。
本書は、そんな大過去と小過去、ふたつの時代の空気と熱を少しでも伝えたいという、ささやかな願いから生まれました。過ぎ去った日々への手紙として、そして同じ季節を駆け抜けたファンへの贈り物として、どうかごゆっくり、お楽しみください。

2025年12月 吉里川 べお

〜〜〜〜〜〜

後編は印刷書籍発売のタイミングに合わせて出すつもりで、肝心の中身について解説する予定です。どうかよろしくお願いいたします。

なお、この『T&T研究室』の姉妹編にあたる対話型コラム集『悪魔よそれをとれ』は、現在〈FT書房〉より電子書籍が発売されています。併せて読んでいただけるとさらに面白いかと存じます。ご購入はこちら。

booth:https://booth.pm/ja/items/3755062

Drivethru.RPG:https://www.drivethrurpg.com/ja/product/550044


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月19日木曜日

『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.29 FT新聞No.4803

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.29

 岡和田晃
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

 ナルンへの道中は、拍子抜けするほど静かだった。
 街道から数本外れたうら寂しい道を行っても、追い剥ぎやチンピラに出くわすこともない。ましてやグリーンスキンに煩わされることもない。敬虔な農夫の一家が、道祖神よろしく道の片隅に置かれていたシグマーの祠へ祈りを捧げている。
 わたしも、魔女術を学ぶ者とはいえ、人並みに建国神への敬意はある。祠を覗いていくのも、悪くはないかもしれない。
 ——魔女レジーナが書き遺した手記「ありえざる遭遇」の章より

 『ウォーハンマーRPG』、このところはPDFでの新作リリースが続いておりましたが、そうしたPDFサプリメント7冊を一冊に集成した書籍版『ライクランド万巻録 ウォーハンマーRPGサプリメント』(ホビージャパン)が、2026年3月末に刊行されます。
 印刷される書籍としては、まる2年ぶりの新作ということで、胸躍らせている方も、多くいらっしゃるものと思います。表紙と裏表紙の惹句をご紹介しますと……。

手に汗握る冒険、興趣尽きせぬ旅先、腹に一物ありげな依頼主、物騒至極な呪文がぎゅっと詰まった魅惑の選集

げにライクランドは波乱の坩堝。
残酷で嶮難な冒険や、底知れぬ甘言、内密な策謀、暴発しやすい魔法に、そこかしこで出くわしうる。
謎めいた神像から、ただならぬ聖堂に至るまで、さらには風変わりな建造物から、なおいっそう奇態な人士の数々に及ぶまで、『ライクランド万巻録』は、この領邦内外の七珍万宝を詰め合わせた選集である。

 ——というわけです。原題の『Reikland_Miscellania』をどう訳すかにあたっては、チーム内では、やれ「玉手箱」だ、やれ「万巻集成」だと、いう案もあったのですが、めくるめく万華鏡のごとき一冊を紹介するに、最終的には「万巻録」がふさわしい、ということで合意に至りました。
 収録作は、『オールド・ワールドのパトロンたち』のI・IIをまとめた『ライクランドのパトロンたち』、『ライクランドの建築』、『ライクランド綺譚 単発シナリオ集』、『ライクランドの記念碑』、『シグマーの聖堂』、『比類なく有益なスラサーラの呪文集』、『血と茨』になります。単発のPDFとしての初出時から、さらに再監修を加えておりますので、いっそう読みやすくなっているかと存じます。何より、印刷版だとアクセスの良さが圧倒的ですね。

 今回は収録作のうち、『シグマーの聖堂』を紹介させていただきます。翻訳は伏見義行さん、監修は私、見田航介さん、阿利浜秀明さん、田井陽平さん、待兼音二郎さんが担当しました。「5つの珍奇な聖地」という二つ名の通り、新旧・大小さまざまな信仰の拠点が紹介されており、シナリオソースや隠された秘密も目白押しです。

 まずは、デルベルツ北部のシュタインプラッツの小神殿です。ここには、かつての総大司教ヘルムガルトの片手を封じた聖遺物が収められているのですが、切り離されてから優に100年が経過しているにもかかわらず、腐敗はしていません。他方で、総大司教ヘルムガルトやその信奉者たちは、正式に認可されているものも含め、魔法を毛嫌いしていることでも知られています。ここではどんな騒動が起きるのでしょうか?

 次なる聖地は「ウアタッハの社」。べーゲン谷低地に建てられた、古代ウンベローゲン族の将ウアタッハ崇拝を通じてシグマーを祀る社です。それこそ、エンパイア建国以前からの由緒があるのですが、ウアタッハその人は、ほとんど知られておらず、わずかにフレスコ画があるのみです。ある場所の地下図書館では、その事績を詠った詩の写本が埋もれているようですが、どうにも曰く付きであるようです……。

 3つめの聖地は"ハンマー台"。ライクヴァルドの森の奥深く、ふたつの砂利道が交差する場所にそびえる木製の柱があって、その天辺には敬虔なるメクティルデという年齢不詳の赤髪をした塔登者(とうとうしゃ)が腰掛けています。彼女は地上から離れて断食し、シグマーに祈りを捧げる生活を行っているのです。メクティルデは食べ物の施しは断り、真鍮線や銀貨が供えられると、不可解な終末論的寓話を説いて聞かせるのですが、はてさて、それは真実なのでしょうか?

 4つめ、ローヴェンゲンの廃墟の祠は、ヴェストラウフホルツの森の奥深くにある廃墟。ここに住まう村人たちはヴァンパイア・カウントとの戦いに出かけたまま、戻ってきませんでした。村の中心にあったシグマーの祠は、さすらいの司祭アトヴァルト神父が時折確認するのみとなっているのですが、ここには大いなる秘密があり……。

 5つめのズムプフトアの祠は、フィールバッハの北門、通称"沼地の門"ことズムプフトアのそばには小さな祠があり、旅人は道中の加護をシグマーに祈ります。わざわざここを訪れる地元民もほとんどいないような場所ではあるのですが、旧きことわざに、蟻の穴から堤も崩れると申しまして……。

 いずれの設定もシナリオフックも、シグマーにまつわるもので、あちこちに配置が可能ですが、別にシグマーの敬虔な信者や司祭がパーティにいなくとも、充分に活用できる冒険案ばかりです。地味に見えるかもしれませんが、実のところ内容は派手派手しさ満点。まさに、"羊の皮をかぶった狼"——おおっと、これ以上は何も言えない!


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
 『ウォーハンマーRPG シグマーの聖堂』
  残酷で嶮難な5つのシグマーの聖地
  発売日:2025年12月
  価格:700円(+税) *PDF版ダウンロード販売のみ

 ・コノス
https://conos.jp/product/wh_temple-of-sigmar_pdf/

 ・DLsite
https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ01528751.html

『ウォーハンマーRPG ライクランド万巻録』
手に汗握る冒険、興趣尽きせぬ旅先、腹に一物ありげな依頼主、物騒至極な呪文がぎゅっと詰まった魅惑の選集
 発売日:2026年3月
 商品内容 : A4変形 ハードカバー144頁 フルカラー
 価格:5000円(+税)
 商品コード(JAN):4981932028422
ホビージャパンのプレスリリース
https://www.dreamnews.jp/press/0000343778


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月18日水曜日

第10回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4802

第10回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ


※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。


ぜろです。
ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」への挑戦。妖狐と魔猫、二匹のお供を連れたタイガが巨大樹に挑む冒険です。
オウカンワシにさらわれた商家の令嬢の救出の後は、巨大樹の異変を探るために冒険を続行。
巨大樹の頂上に寄生する巨大な「ヤドリバナ」を発見。これを排除したのでした。
そしてタイガたちは、オウカンワシに乗って地上へと。
最終回。このエピソードの結末を描きます。


【フォルネ(妖狐) レベル12 技量点:2 生命点:4/5 魔術点:1/3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。
2草避けのお守り

【ニャルラ(魔猫) レベル12 技量点:1 生命点:8/10 器用点:0/8 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。

【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料2
金貨44
1希少な薬草(金貨24枚)
2希少な薬草(金貨30枚)


●アタック03-10 タイガと探し人

風を切るように飛ぶオウカンワシの背に乗っているのは、ものすごい体験だった。
風圧が、ワシにつかまる僕の全身を、強く柔らかく押してくる。
白い草原のような雲を突き抜けると、白い霧が幾本もの筋となって僕の横をすり抜けてゆく。
雲を抜け、小さく見えた地上の風景が、みるみるとその大きさを増してゆく。
ニャルラが目をキラキラに輝かせている。フォルネもいつもよりも表情豊かに感動の反応が見て取れる。

オウカンワシは大きな翼を広げ滑空しながら、巨大樹の幹をぐるりと周回する。
幹の道は広かったけれど、空からだと小さく狭く見える。僕たち、あそこを通ってきたんだ。
そそりたつ壁を今まさに登はんしている冒険者の姿があった。
遠くで、飛鮫が優雅に空中を泳いでいた。そこを一瞬で通り過ぎると、なんどか泊まった観測所をぐるりとかすめる。
木のうろの中から樽を運び出している猿の姿がわずかに見えた。

「なあタイガ、このままふもとに降りたら、まずいんじゃないか?」

レンジュさんがそう言ってきた。
たしかに、人のいるところに降りたら大騒動になりそうだ。
でも、どうやってそれをオウカンワシに伝えれば?

そうこうしているうちに、地上はみるみる大きくなってゆく。
今向かっているのは、まさに巨大樹のふもとのコミュニティだ。

あ、これはもう、止めようがないかも。

オウカンワシの背に乗った僕たちが巨大樹のふもとに降り立ったものだから、辺りは大騒ぎに陥った。
それはそうだ。オウカンワシに連れ去られた令嬢を救出するミッションが終わった直後なのだ。
オウカンワシの逆襲かと思われても無理はない。

僕たちは大声で、攻撃しないように叫び続けなければならなかった。

僕たちを地上に降ろすと、オウカンワシはすぐに飛び去っていった。
僕たちは、地上にいた人たちに取り囲まれている。その中にロイおじさんの姿も見えた。

「ド派手な凱旋になっちまったね」

レンジュさんがそうこぼす。騒がれたり、話題の中心になったりするのは本意ではないみたい。

「それで……どういうことなのか、説明はしてくれるんだろうな」

あきれ顔のロイおじさんがそう言ってきた。

「何かやらかすとは思っていたが……これはさすがにとびきりのびっくりだ」

そんなわけで僕たちは、事情の説明に時間を費やすことになった。
あまりにもスケールの大きい話に、レンジュさんが一緒にいなかったら、きっと信じてもらえなかったに違いない。

せっかく早く地上に降りられたのに大勢の人につかまって身動きが取れないニャルラは、おなかをすかせてふてくされていた。

結局、解放されたのは、それから何時間も経った後だった。
レンジュさんとは、そこでお別れだ。

「ちょっと手助けするだけのはずが、とんだ冒険に巻き込まれたな。けど、怪物狩猟者としては貴重な体験は歓迎だ。今後に生かせるからね」

彼女はひと休みしたら、またメガレオン狩りに戻るのだという。僕はレンジュさんの冒険の成功を願った。
僕のほうは、今日のところはここで野営して、カラメールを目指すことにする。
コーネリアス商会に顔を出すって約束しているし、ニャルラも楽しみにしているからね。

野営の準備をしていると、ロイおじさんが声をかけてきた。

「そのなんだ。お疲れさん」

冒険よりも、さっきの説明会のほうが疲れたよ。

「まあそう言うな。事態が事態なんだから。別に巨大樹の保全に興味があるわけじゃないが、恩恵を受けてるのはたしかだからな」

あんなに派手な戻りにならなかったら、てっぺんでの出来事は全部内緒にしておいてもよかったかな。
話したところで誰かが確認しに行くわけでもないだろうし、ヤドリバナの痕跡は、オウカンワシが全部片づけてしまっただろうし。

「お前も物好きだよな。一銭にもならないってのに」

当たり前だけど、巨大樹の危機を救ったとはいえ、どこからも何の報酬も出ない。
誰もそんな依頼をしていないのだから、当然だ。あえて言うなら、オウカンワシからの依頼だ。

「それでロイさん、僕たち、明日の朝にここを発ちます。それで……」

実はロイさんには、前にお願いしていたことがあった。
それは、僕の旅の目的に関わること。

「おお、そうだった。そのへんの冒険者にちょっと聞きまわってはみたけどよ、ハルトって人物に心あたりのあるヤツはいなかったぜ」
「そうですか、ありがとうございます」

ここは予定外に立ち寄った場所だし、人も多くない。だから落胆はしなかった。
次に行くカラメールに期待しよう。

僕たちは一泊すると、次の日の早朝、巨大樹のふもとを発った。
天気は快晴だけれども、巨大樹の上の方は、やはりかすんで見えない。
あんな上の上の方まで登ったと思うと、今でも信じられない。

さあ、出発しよう。目指すはカラメールだ。コニーさんにまた会えるかな。

「カラメール、はやくいきたかったの〜。たのしみっ」

ニャルラがはしゃいでいる。が、不意に耳をぴこぴこさせて立ち止まった。

「どうしたの?」

尋ねる。ニャルラは答えた。

「ん〜。なんか見られてたような気がして。知ってる気配? ドトールさんかなって思ったんだけど。気のせいかも」

ドトールさんは僕たちに巨大樹が枯死しかけていると告げた、闇エルフの妖術師だ。
何を企んでいるのか、わからないところがあった。
周囲を見回す。人影が、森の中に消えたような気がした。

「フォルネ、わかる?」
「今は、特になにも感じられません」
「アタイも〜」

もう去ってしまったのかな。後をつけられているのでなければ、気にしすぎることもないかも。

「じゃ、いこか」
「うんっ」「はい」

フォルネが僕の肩に飛び乗る。ニャルラが急かすように、ちょこちょこと先行する。
僕は、視界いっぱいに広がる巨大樹の幹に背を向けると、歩き出した。

    ローグライクハーフリプレイ「巨大樹の迷宮」完


■登場人物
タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。
フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。
ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。
コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。オウカンワシにさらわれた。愛称はコニー。
ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。目の前で娘をさらわれ、救援隊を編成。
ロイ 巨大樹のふもとで出会った冒険者のおじさん。
ドトール 闇エルフの妖術師。闇エルフの繁栄のため、巨大樹を調査している。
レンジュ 高々度で狩りを続ける怪物狩猟者の女性。一時同行することに。
オウカンワシ 身体中に装飾品を身につけた巨大鳥。巨大樹の中腹に生息。
ハルト タイガが旅の途中で探している人物。詳細はまだ語られていない。



●感想

はい。ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」、プレイさせていただきました。
コンセプトをポケモン(あるいはデジモン風?)として描いてみましたが、いかがだったでしょうか。

ちょいちょい不穏さは見え隠れするものの、アランツァ本来のシビアさ、殺伐さとはまったく異なる雰囲気の作風となりました。
私は明るく楽しく能天気な展開が好きなので、これはこれでいいかな、と。


○キャラクターについて

プレイ中、フォルネとニャルラだけでなく、登場するほかの生き物は、全部頭の中でポケモン風のアニメ調で再現されていました。
オウカンワシとか、いかにもそんな感じですよね。鈍器猿も言わずもがな。
飛鮫なんかも、私の中ではポケモンカード風に。
当然といえば当然なのですが、どんなクリーチャーもコミカルさを足せばそういう風になるわけです。

主人公のタイガは、年齢の割にはやけに冷静だし変に大人びてますけど、そのへんはこの手のジャンルの少年主人公補正ということでご勘弁を。
周囲がそれを普通に受け入れてしまっているのも、そういう補正がかかっているということで。
この年齢で冒険していても、ちょっとなんか言われる程度で受け入れられる、ちょっとだけポケモン世界寄りのアランツァ世界なのです。
最近は、「ほのぼのローグライクハーフ」とでも言ったらいいのかな、やさしいシナリオも増えてきているようなので、ぜひそういった作品に登場させたいですね。

さて、その主人公。
今作は、「戦わない従者」を主人公に据えるというなかなかに斬新な試みをしてみました。いかがだったでしょうか。
ローグライクハーフwikiの「ヒーローズオブダークネス」を眺めながら妄想していたら、不意に思いついちゃったんですよね。
そして思いついたらやらずにはいられないのが、ゲーマー人種のサガというやつですね。

それだけでなく、ひとりでプレイするローグライクハーフなら、どれだけでも自由にやっていいんだ、ということを示すという目的もありました。
ローグライクハーフの懐の広さを感じていただけましたら。

今回、ヒーローズオブダークネスでキャラクターを作成して思ったこと。
みんな強いですね。
特に魔猫。最初から持っている能力がたくさんあって、「え、これホントに全部使えるの? 選択するんじゃなくて?」と何度も読み直してしまいました。
本当は巨大猫なのですが、そこはイメージ優先で魔猫の子猫にしてしまいました。
妖狐の方は、従者枠に経験点を入れる分、オールマイティな対応力を増すために技量点に2点をつぎ込みました。
その分、生命点も魔術点も心細い感じになりましたが、やはり技量点2点というのは心強かったです。


○「巨大樹の迷宮」について

この「巨大樹の迷宮」は、導入を読んだところから、私のやりたいコンセプトにぴったりだと思って選びました。
とにかく「冒険!」という感じが前面に押し出されているシナリオという印象で、実際にプレイしてもそのとおりだったのが良かったです。
作中にも「鈍器猿」のような遊び心が満載だったのも、私のやりたいことと重なっていて、いい感じでした。

高度が上がるたびに敵が強くなっていく仕様というのも、イベントの出現地点によって危険の度合いが違う形になっていて、とても良かったです。
私の場合、ラッキーなことに高々度では強いクリーチャーの出現がほとんどなかったので、おかげで救われました。

「巨大樹の迷宮」にはモードが2つあります。
いつもの冒険の手順を踏んだランダム性のあるダンジョンをサイコロを振りながら踏破していく一本道モードと、最初にマップを作製してから遊ぶ「ルート選択モード」です。
普通のダンジョンと違い一本の木を上へ上へと進行する作品のため、ルート選択は二択三択程度の分岐を進むタイプ。
今回私は、通常のランダムダンジョンで遊びました。
ルート選択モードにはルート選択モードの良さがあると思います。プレイヤー目線では、ある程度先に起きるイベントを予測してから準備をして臨むことができますね。
一度選択したら、いったん下の分岐に戻って進みなおしはできないというルールになっています。双方向移動ができるわけではありません。
なので、ルートは一本道ではないけれど、選択の結果通過するのは一本道、ということができます。

今回は、先が読めないプレイヤー目線で一本道モードを選びました。
けど、最初に助言役になりそうなロイおじさんを登場させたのだから、ある程度踏破されている情報として、ルート選択モードで遊ぶというやり方もありだったな、と今にして思います。


○ローグライクハーフ 私の遊び方

シナリオを選ぶ際には、当たり前ですが先の展開は読むことなく始めます。
なので実際にプレイしてみたら、思いもよらない展開が待ち受けていたり、自分が作成したキャラクターとはイメージの異なる状態に置かれてしまったりすることもあるかもしれません。

最近のアランツァ世界の作品には、時間軸の要素もあります。
いざプレイしてみたら、登場するサブキャラクターの年齢や置かれている立場的に、時代を遡って、あるいはだいぶ年数が経っている、みたいなことも起こり得ます。
実際に私は「あやかし」をプレイし、その前日譚として「秋雨の狐」をプレイしたら、実は「秋雨の狐」が「あやかし」以降の物語だったことがプレイ中に判明しました。

でも、それはそれでいいじゃないですか、というのが私の考えです。
私のプレイが、公式のアランツァの歴史設定と異なっていようと、それは私が紡いだ歴史になります。
と言いますか、先を知らないでプレイしてみたら、後で判明することも多々あるでしょうし。

広いラドリド大陸のどこに登場するかというのの整合性だって、無視してかまわないと思っています。
そのキャラクターにプレイさせたいシナリオがあるのなら、世界各地どこにでも赴きますし、なんなら別の世界に出張したりもします。

もちろん、そういった周辺事情も込みで、作品世界の他のキャラクターとの関係性をしっかりと築いて、世界に溶け込むプレイというのも、とても良いものです。
東洋夏さんの作り出した「リエンス家」などは、ロング・ナリクとドラッツェンの歴史にがっちり組み込まれていますからね。

いろんなプレイスタイルがあっていいし、そのどれもが楽しい。


○ローグライクハーフリプレイのこれから

さて、この冒険を通して、タイガ、フォルネ、ニャルラのキャラクターがすっかり気に入ってしまった私です。
タイガにはなにやら人探しの目的があるようですし、これから先もいろんなシナリオで冒険させてみたいですね。

いくつか冒険させたいシナリオにも心あたりがあります。「巨大樹の迷宮」に収録されている「蜂竜の森」などもそのひとつです。
おいしいもの好きなニャルラが飛びつきそうですよね。あれ。猫ってハチミツ与えても大丈夫でしたっけ?
そこはまた調べておくとして、この後カラメールに行けば、地続きですぐに始められそうです。
タイガの主目的については当たり前ですが、シナリオに用意されているものではないので、いつかどこかのシナリオで繋げられる日が来るかも、くらいの感じでいます。

それから、「混沌迷宮の試練」「あやかし」「秋雨の狐」リプレイに登場したサクラの旅の続きも描きたいと思っています。
まずはラドリド大陸を舞台とした作品を、サクラと秋霖のコンビで挑んでもらいたいですね。
そこでまた、心を揺さぶられるような出来事が起きるかもしれません。
選択するシナリオによって、どんな展開になるかはわかりません。
そうして、いつかはキョウに帰還するサクラを描きたいと思っています。
キョウを舞台にするシナリオがあれば、それを帰還エピソードにできますね。オリジナルの導入はだいたい考えついています。

あとは、「黄昏の騎士」に登場したシズにも再登場願いたいと思っています。
ただこのキャラクターに関しては活躍させたい事情が少し違います。
タイガたちとサクラは、キャラクターを掘り下げるタイプのリプレイでした。
シズはローグライクハーフをプレイするにあたってひとまず作ったキャラクターです。
それゆえに、私のゲームブックリプレイの方の癖で、基本的に名前だけを決めて、背景はほぼ決めておらず、キャラクターとプレイヤーの境い目もあいまいです。
なので、キャラクターの掘り下げはせずに、あえてそのままのシンプルなプレイの例示としてやってみたいな、と思っています。
濃いキャラクターとか背景設定とかなくても、こんな風にプレイしても楽しいよ、ってやつですね。
なんだったら、これまで他のキャラクターでプレイしたシナリオをシズバージョンでやらせてもいいかもしれません。

他世界のキャラクターとして登場させた「ポストん」や「ウサナギノミコト」も愉快なキャラクターたちなので、どこかで使う機会があったら、また登場させてみたいですね。

なんて言ってたら、また新しいキャラクターを作っていたりして。
FT新聞で連載するリプレイなので、常に新しい要素を入れていこうと考えると、これも十分に考えられることです。
既存のキャラクターだけでなく、新しい職業、新しい技能を紹介するために新しいキャラクターを作成するってことですね。

ただ、プレイ→リプレイというのはやはり、非常に時間がかかるものでして。
私がこの「巨大樹の迷宮」をプレイしたのは令和7年8月3日。そして今これを書いている時点が同年の11月2日です。
なんと13週かかっています。
あれ。全10回に13週かけていたら、週刊連載になりませんね。いけないいけない。

プレイをすると必ずリプレイを書くという形を取っているため、ことほど左様に、私のプレイ速度はいちじるしく遅いのです。
だからきっと、これをお読みの皆さまの方が、どんどんローグライクハーフスキルを上げていっていることでしょう。

なので、次にどの作品が登場するか、ここに書いたこともすべて実現できるのか、できたとしても何年かかるのか、それはわかりません。
ただ、私自身が彼らを次のステージに導いてあげたくて仕方がないのはたしかです。

それではまた、次の冒険でお会いしましょう。


■作品情報
作品名:巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
著者:丹野佑
監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
https://ftbooks.booth.pm/items/5361362


本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月17日火曜日

『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(8) FT新聞 No.4801

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編(8)

 (明日槇 悠)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■


世にも稀な歴史をモチーフとしたGMいらずのナラティヴ・スタイルRPG、『モンセギュール1244』リプレイの第8回をお届けします。
本作は信仰等に関する繊細なテーマを扱っています。ロールプレイ上、現代の倫理観を欠いた表現をするところが多々ございます。
そうした表現にご不快を覚える方、それを予測された方は、その段階で当記事の閲覧を中止されますようお願いいたします。


◯これまでの『モンセギュール1244』リプレイ〜友達んち編は……


ベジエ陥落を皮切りに、迫害されてきた異端カタリ派の人々は安住の地を求め、フランス南部、ピレネー山脈の山頂部に《モンセギュール砦》を築いた。
1243年5月、十字軍はモンセギュール包囲戦を開始。戦局が悪化の一途をたどるにつれ、カタリ派の人々は信仰による心の平衡を失っていく。
精神的指導者ベルトランは、自身こそが完徳者の鑑と位置づけ、気に入らない信徒の暗殺を次々と企てた。
領主レーモンも、民衆の溜飲を下げるべく、防衛指揮官ピエール・ロジェを処刑するための弾劾裁判を準備していた。一切は無益な内紛であった。
仲間内から命を狙われながらも、ピエール・ロジェは陥落が誰の目にも明らかとなったモンセギュール砦を代表し、十字軍の元へ和平交渉に赴いた……。


◯プレイヤー紹介


Kei 構成作家。本文中のA。
木野誠太郎 小説家・ゲームシナリオライター。本文中のB。
明日槇悠 FT新聞編集部員。本文中のC。
小山 フォーエバーヤング。本文中のD。

プレイヤーは、キャラクター一覧の中から、少なくとも主要キャラクター1人、支援キャラクター1人を担当します。
キャラクターにはそれぞれ「3つの質問」が用意されており、この質問を元に、プレイヤーは担当キャラの肉付けをおこない、
プレイ終了までに少なくとも担当する主要キャラの質問にはすべて答えを出さなくてはなりません。
キャラクターの一覧や関係性については、ニューゲームズオーダー公式サイト内の「登場キャラクター」表を参照すると分かりやすいかと思われます。
https://www.newgamesorder.jp/games/montsegur1244


●本編


 ■Act4.陥落 1244年3月2日
 ピエール・ロジェは比較的寛大な和平の条件を引き出して戻ってきた。14日間の休戦期間内に、異端の教えを捨てる者は皆受け入れられる。一方、夥しい数の信者たちが、自らの信仰に従って死ぬことを選ぶ。

A「ちなみにこれは画期的なGMがいらないやつだけど、普通のTRPGはダイス振って戦闘とかする。ダイスロールで、出目によって勝つか負けるか」
D「ふーん」
C「だからある種の人にとっては、いらないところを全部省いたって感じになるかも」
A「うん。やりやすくした感じの」
C「アドリブだけでええやんって人向けかもしれない」
D「ほぼアドリブだし……(笑)」
A「蓋を開けたらね」
C「まぁルール通りに全部進むとはあんまり思ってなかったし」
A「ん。あれだし。ほんとにこういう状況に立ったらどうか、分からないから。こうだったかもしれない、もしかしたら。近親相姦してるだけだから。……初TRPGなんじゃない? 俺もなんだけど。明日槇さんやったことある?」
C「初めて、初めて」
A「あ、全員初めて。じゃあいい感じに、類を見ない、グダり方を見せている(笑)。まぁ、最終フェーズまで行きそう、これ」
C「では、陥落。《カタリ派の信者たちは敗北を悟り、待ち受ける運命に備える》」
B「おしまいや(笑)」
C「(ルールブックを読んで)フィリッパのプレイヤーは、支援キャラクターから1人、捕虜を選択すること」
A「ロジェが交渉に行って休戦みたいな感じらしい。だからロジェは、処刑を免れたがこの後、処刑されるかも」
D「じゃあ、ロジェをやりましょう」
A「ロジェが持ってきた休戦条件は、カタリ派の教えを捨てたら捕虜にしてあげるよ、受け入れられるよ、って。みんなー! カタリ派捨てたらぁー、助かるらしいよー! って。で、ベルトランとセシルは、完徳者《ペルフェッチ/ペルフェッチャ》たちは、いや、俺がお前を完徳者にしてやるから一緒に死のう? って領民みんなに言ってる」
D「あー、それはよくないな。今の筋を言ったほうがいいのか、質問の答えを出したほうがいいのか、どっちか分かる?」
A「織り交ぜなきゃいけないんじゃない? あと忘れてるけど、お前のメインキャラクター、アルセンドだからな(笑)。ロジェは無理矢理これ、やらなくてもいいから。絶対やらなきゃいけないのはメインキャラクターの質問」
D「もう全部やりましたよ、これ」
A「ああ。じゃあ、お好きに。俺が持って帰ってきた条件、みんな呑むかなー? どうかなー? みたいな状況のロジェ。ロジェは人を助けたいのか? とか」
D「それはまた独り言になっちゃいません?」
A「ナレーション権はお前にあるから、ロジェに誰かが絡んでくるとかでもいいし、ロジェが誰かに絡むとかでもいいし」
C「妻にはなんか言うでしょうね」
A「てかもう、むしろお前のメインキャラ、アルセンドなんだから、アルセンドがロジェに話しかけるとかでもいいし」
D「でもそしたら一人二役になるじゃない」
A「それは誰かがロジェやるしかない」
D「あー、そっか。じゃあ誰かがロジェやってください」

Aピエール・ロジェ「ロジェだよ(一同笑)。ぼく、ロジェらよぉ。頑張ってるけど天然で、お茶目なところがあって、みんなから殺されようとしている、ロジェだよ!」

C「嫌われ者……」

Dアルセンド「あなた、大丈夫なの?」

Aピエール・ロジェ「大丈夫だよ、セッちゃん! ぼく、元気だよ」

Dアルセンド「でも今、あなたが殺されかかってるし」

Aピエール・ロジェ「みんなが助かったらいいよっ! もう、前から死にそうだったし!」

Dアルセンド「そう……私も、あなたの計画には賛同するわ」

Aピエール・ロジェ「う〜ぃっ!(一同笑)」

Dアルセンド「だからなんとか、頑張ってちょうだい」

Aピエール・ロジェ「がんばるっ! でもアレなんだよなぁ、捕虜が誰かとか、ぜんぶ奥さんが決めんだよね。妊娠したしね、奥さん」

Dアルセンド「ああ、分かった! じゃあ、私がフィリッパを殺すのはどうかしら?」

Aピエール・ロジェ「っどういうことぉ!?(笑)」

Dアルセンド「つまり、私があなたと結婚するというのはどうかしら」

Aピエール・ロジェ「……いーッ……結婚するのは歓迎だけど、殺すのは引くなぁ〜……」

Dアルセンド「でも殺さないと彼女は妻の座を下りないわよ」

Aピエール・ロジェ「でもぼくの子供いるしなぁ……」

Dアルセンド「お腹の中に? ああ……。でも子供は、また作ればいいじゃない」

Aピエール・ロジェ「……いや、その発想、ベルトランみたいで嫌だって(一同笑)。完全に発想がベルトランなんだよなぁ〜」

Dアルセンド「今あなたが死ぬか、どうする? 選びなさい。殺されたくなかったら、条件を呑みなさい」

Aピエール・ロジェ「……(ぐすっ)、呑む(一同笑)」

Dアルセンド「分かった」

Aピエール・ロジェ「呑むっ! じゃあ、いいよ! ……お願いしていい? 殺すの」

Dアルセンド「御意(一同笑)」

D「じゃあ、殺しますね」
A「え? ほんとに?」
D「もちろん」
A「それはあれだよ。プレイヤーの総意で」
D「じゃあ、殺しに行きますね」
A「誰、フィリッパ。誰でもいいけど。殺しに来たらしい! アルセンドがフィリッパを」

Bフィリッパ「ひー。(一同笑)えー、刃物持ってる、こわー。どしたん話聞こか?」

A「やっぱ……肝がデカいな。父親の子供を孕むだけあって」

Dアルセンド「死ねっ!!」

Bフィリッパ「……ギャー!」

A「え? こ、殺されることにする? どっちでもいい?」
B「とりあえず刺されてはいそう」
D「あー。刺されて重症」
A「え? お腹の子供は?」
D「死亡でしょ……」

Bフィリッパ「お腹の子供が……! ロジェの子供が……! ああーッ!」

A「正確には、レーモンの子供だけど。じゃあ、その時、ベルトランが通りかかって言っていい?」
D「どうぞ」

Aベルトラン「な?(一同笑) こうなんだろ、な?」

C「じゃあ、【頬を伝う塩辛い涙】(シーンカードを出してナレーション権奪取)で……エスクラルモンドがフィリッパのところに行きます」
A「お。死にかけの」

Bフィリッパ「……」

Cエスクラルモンド「私は完徳者《ペルフェッチャ》ですから、姉として生まれたあなたですが、もう私にとっては何の関わりもない、ただの女です。しかし私は知っています。あなたのお腹の中にいた子供は、領主レーモンの子でしょう(一同笑)。
 あなたはその罪を認めるのです。そうすればあなたは神の軍勢の一人となって、生き続けることができます」

Aベルトラン「えっ、エッ! この、ベルトランに、もう一回、言って? レ? レーモンの子なの、これ?(一同笑)」

Cエスクラルモンド「私は完徳者《ペルフェッチャ》として、それを私の目で見ることができます。フィリッパ、あなたのお腹の中に宿っていた命は、レーモンの子種によって生まれた、その悪魔なのです」

Bフィリッパ「違います。……あなたは何か思い違いをしています。……私はロジェとの仲を深めるために、父であるレーモンに男心について相談をしていました。しかし、子供はれっきとしたロジェの子です。勘違いなのです」

Aベルトラン「スーッ(息を吸い小声)……ベルトラン的にはわっかんねえな、これ……!」

C「その言葉を無言で聞いたエスクラルモンドですが、彼女の腕の中でフィリッパの体は冷えていきました……」

Aベルトラン「たまたまいる完徳者《ペルフェッチ》が、完徳者《ペルフェッチャ》のエスクラルモンドに質問をするが、これ、マ?(笑) どっち? これどっち? レーモン? ロジェ?」

C「うーん……まあレーモン……」
B「レーモンの子なのでしょう」
A「じゃあレーモンね(笑)。おーっし」

Cエスクラルモンド「として見た」

Aベルトラン「なるほど。見届けた。私はちょっと……色々しなくちゃいけないから帰る(笑)。おっけおっけ、フゥー!」

B「まあ、視点の揺らぎがあるかもしれない。解釈の揺らぎが」
Aベルトラン「え、でもこれ、ヤッたんだよね? どっちにしろヤッたんだよね? じゃあレーモン、アウトじゃん。ウゥーエー! ウェーイ!」
B「で、フィリッパ死亡」
C「で、フィリッパの権限が、アルセンドに移る。アルセンドが捕虜を選択することになる」
D「あー、誰を捕虜にするかってことね? 誰にするかな。誰でもいいんですか、これ」
A「うん! 誰でもいいんじゃない。メインキャラクターは本人の許可がいるけど、それ以外は誰でもいいんじゃない?」
D「うーん……」
A「いっとく? ベルトラン」
D「えっ? ベルトラン捕虜にすんの?(笑)」
A「まぁ乗らなそうだけどな」
D「まあね」
A「ふつーに考えると、この(ロジェ・ベルナール・ファイユ・アミエル)あたりじゃない?」
D「いやまあ、そうなんすけど……なんかな……」
A「あ、捻りたい?」
D「そーっすね……じゃあ……セシルで(笑)」
A「行くと思った(笑)。これ結構、シーンキャラクターなのがムズいよな。だって、セシルにするってことは、教義棄てなきゃいけないわけでしょ。セシルがどうするか」
D「うん……」
A「なんでセシルなの? だってアルセンドでしょ?」
D「うーん……そんな理由はないんだけど……だってそんなに関係ないじゃないですか、セシルと……」
A「そうそうそうそう、だから。(一同笑)キャラとストーリー作ってかないと!」
C「わざわざ甥と姪を捨てて(笑)」
A「今までほら、俺たちが無理矢理な陰謀論や近親相姦してきたのが台無しになっちゃうから!」
D「ちょっとごめんなさい、休憩してきますわ。頭が混乱してきた」
A「ああ。最悪、ベルトランが嫌がりそうだからとかでもいいんじゃない? いや、どうだろうな? 嫌がらんかな、いなくなるし。……野島伸司みたいになってるし(一同笑)」
B「すごいことになってる」
A「うん、すごいことになってる。……でもこの人数だと時間ギリいけるか。マーダーゲームとかもやってみたいね」
C「ああ〜」
B「そうだね。なんだったらこのゲームとかも役者に人数分いてもらったら……それはそれで冗長になるのか。おもろくなりそうな。この人はこのキャラ、みたいな」
A「あと背景、ちょっと調べたりしてね。俺たちはカタリ派の冒涜をひたすらおこなっているから(笑)。……ちょっとマーダーゲームもやってみたいな」
B「また今度、ぜひ」
A「まとまった?」
D「そっすね……」
A「ま、とりあえず、終わらせますか」
D「セシルはあまりにも無茶だったんで、馬小屋のファイユで」
B「自分の姪。信仰には染まってないなら、まあ、安心できる預け先にはなる」

Dアルセンド「馬みたいなツラだし……」

Aファイユ「ありがとう……(涙)ありがとう! 叔母がっ!」

Dアルセンド「ああ」

Aファイユ「カーァッ! (早口)アリガトウ! (小声)ありがとう……!」

B「何気にこのセシルとファイユのつながりが実はあって、一体なんなんだ」
D「実はあるんだ(笑)」
C「【ファイユを見ると、あなたは誰のことを思い出すのか?】がセシルの質問1」
D「あれじゃない? 性的虐待とかじゃない?」
A「これをストーリーに絡ませるかどうかはどっちでもいいらしいから」
B「サブエピソードなのかなあ、と」

Aファイユ「(小声)……アリガトッ! アリガト!」

D「ファイユがこういう言語障害になっちゃったのは、セシルのせいなんじゃない」

Aファイユ「(泣き声)……すげえ見放してくるやん、叔母……!」

D「気持ち悪(笑)」
B「恐ろしい」

Aファイユ「(泣き声)えぐいやろぉお前……私の中で来てへん、カタリ! カタリ、嫌い! カタリきら〜〜い……だからいつも石、握りしめて私は死ぬ。
 あああ……ちなみに、(ファイユの質問1)私の母の姿を最後に見たの、十年前。十年前……ベジエで見た。……ベジエで、私のお母さん、なんか、怪我してんのを……怪我してんのを、捕まえて、兵士に、ベルトランが差し出してた(笑)。
 ちなみに(ファイユの質問2)私のポケットの中の石……のマーク……教皇軍のマークで……私、教皇軍に内通してました(一同笑)。あのぉ、叔母さん……ロジェってやつ、たぶん……叔母さんのこと、十年ぐらいで見捨てるよぉ……。じゃあ私行くねぇっ……」

A「ファイユは伏線を回収して旅立っていきました」
B「なかなか(笑)」
D「無理矢理だな」
A「ジャンプの打ち切り漫画みたいな回収の仕方をしてファイユは帰っていきました」
D「次回作にご期待ください」


◯Act4.陥落(後編) 及び
              エピローグ に続く……


●登場人物/3つの質問

フィリッパ……コルバと領主レーモンの娘。エスクラルモンドの姉。父のいとこのピエール・ロジェと結婚している。
 1. あなたのお腹のなかにいる子どもの父親は誰か?
 2. どうしてあなたは、母のコルバと口を利かないのか?
 3. あなたがいちばん恐れていることは何か?

ファイユ……孤児の少女。アミエルの姉。おばのアルセンドと一緒に、モンセギュールに住んでいる。
 1. あなたが母の姿を最後に見たのはいつか?
 2. 誰にも見られていないとき、あなたがポケットのなかで握りしめている石——これはどこで手に入れたものか?
 3. なぜあなたは、馬小屋の暗いところが安全に思えるのか?


■作品情報

・Montsegur 1244(モンセギュール1244)
 Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著 / 岡和田 晃 訳

モダン・ナラティブRPG
3〜6人用〔ゲームマスター不要〕/ ゲーム時間3〜5時間 / 15歳以上向

・ボックス版 税込3300円 ※電子書籍版同梱
 https://booth.pm/ja/items/4828050
・電子書籍版 税込1100円
 https://newgamesorder.booth.pm/items/4902669


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。

2026年3月16日月曜日

★休刊日のお知らせ★ FT新聞 No.4800

おはようございます、自宅の書斎から杉本です。

蕨之介さんが「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオを公開されました!
「エリカ・アメリカ、黄天に立つ」という作品名で、BOOTHにて無料公開です☆

https://kakinokishokai.booth.pm/items/8068648

さて、今日の記事ですが、季節の変わり目でぜん息が出てしまい、そこに確定申告が重なっておりまして、身動きが取れない状況にあります。
休刊です……楽しみにしていただいていたところ、申し訳ないです。


早めに回復していきます!



●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。