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2026年9月30日水曜日

第2回【獣の弟子】ローグライクハーフリプレイ FT新聞 No.4998

第2回【獣の弟子】ローグライクハーフリプレイ ※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「あなたに弟子がやってきた」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。 ぜろです。 ローグライクハーフリプレイ「あなたに弟子がやってきた」をお送りしております。 本シナリオは師匠視点のシナリオですが、弟子視点で描いているため、タイトルは内容に合わせて変更しております。 「エメラルド海の探索」の続編にして過去編にあたります。 ハルトは、大ヤギの魔獣から呪いを移され、生死の境をさまよい、ヴァルグに命を救われました。 そこから生きる術を身につけ、今、ヴァルグに弟子入りを志願したところです。 ヴァルグは、ハルトを諦めさせるため、高難度の遺跡調査への同行を課したのですが、果たしてどうなりますか。 過去編ですからもちろん、このあと一緒に旅しているのは前作をお読みの方にはわかっていることですが、その経過も含めて楽しんでください。 【ハルト レベル6 技量点:1 生命点:5 副能力値:2 従者点:8】 弟子スキル:【心優しき勇者の素質】 ・自分以外のキャラクターが【防御ロール】に失敗した際、その生命点へのダメージを身代わりとして自分に受ける。発動は任意。 【ヴァルグ レベル16 技量点:2 生命点:9 筋力点:4 従者点:8】 【従者:火吹き獣(技量点:1)】炎耐性。特定のクリーチャーに2点ダメージ。0ラウンド攻撃に引き続き1ラウンド攻撃が可能。 ●04 遺跡入口 「ここだ」 「ギャウ」 オレ、ヴァルグ、火吹き獣は遺跡の入口前に立つ。 ヴァルグの示す「遺跡」は森の奥深くにあった。 それは、石造りのドームのような建造物だった。 半分以上は地面に埋もれ、残りの部分は森に飲み込まれている。 ドームの表面には蔦が絡みつき、刻まれた紋様や文字を隠している。 入口は半分埋もれ、建物の入口というより穴のようになっており、奥は階段状になって地下へと降りていた。 オレ、これからこの穴に入って行くんだ。 こんなの、初めてだ。 タイガと洞窟探検ごっこをしたことはあるけど、ホンモノの洞窟なんて村の近くにはなかった。 ヴァルグの方を見ると、黙ってオレの方を見つめている。 そうか。もう始まってるんだ。 オレはまずなにをしたらいいのか考える。 そうか。明かりだ。 ヴァルグから預かっていたランタンに火を灯すところからだ。 火口箱を使って火を起こすのは問題なかった。 家でもやったことがある。 ランタンの芯にはしっかり灯油がしみ込んでいて、種火を近づけるとすぐに灯った。 「ほう。できるんだな」 ヴァルグが感心したように声を上げる。 「けどな」 ヴァルグは自分のランタンを取り出す。 「ほれ、火」 「ギャウ」 火吹き獣が小さな火を吹き、簡単にランタンに明かりが灯った。 「こうすりゃ楽だ」 「ギャウ」 「なんだよそれ、ずりぃな」 「うっせぇな。便利なモンがあったら使やいいんだ」 さらにヴァルグは、荷物入れから小さな棒のようなものを取り出した。 「こんなのもある。先端に乾燥して固めた火薬がついていて、こすると火がつく。ノームの発明品だ」 「へぇ〜」 オレがどうなるのか興味津々で見ていると、ヴァルグはそれを片づけた。 「見せてくれるんじゃないの?」 「高価な使い捨ての道具だ。お試しに使うなんてできねェよ」 オレは右手にランタンを持つと、遺跡の入口から内部に踏み込んだ。 ●05 初めての魔物 内部は比較的広い空間になっており、一本道で奥へと続いていた。 左右に部屋になっていたらしいアーチがあるが、崩れて埋もれてしまっている。 ランタンの明かりに照らされていない先の方で、ちらちらと光が見えた。 近づくと、光の球がひとつ、ふらふらとおぼつかない感じで漂っている。 なんだろ、これ。 「クリーチャーだ。気をつけろよ」 これが……魔物なの? 魔物っていったら、ゴブリンとか狼みたいなのを想像してた。 こんなのもいるんだ。 でも、これはオレの力を示すチャンスだ。 オレはハンマーを手に取り、呪われた方の腕で光の球めがけてなぐりつけた。 「あっバカッ」 ふらふらと当てづらい標的にも、一撃で当てられるところを見せてやる。 ばしゅん。 「よけろ!!」 ハンマーが当たった瞬間、光の球が爆ぜた。 オレはとっさに体を低くし、左腕で顔をかばった。 ギリギリでかわせた。ヴァルグの警告がなければ反応できなかった。 「目は! 目ェ閉じてたか?!」 「え? う、うん。腕で守ったから……」 ヴァルグにすごい勢いで詰められ、オレは戸惑う。 「アレに目ェ焼かれると取り返しがつかねェからな」 オレが無事とわかると、ヴァルグは心底ほっとした様子を見せた。 そして次の瞬間、思いっきり怒鳴りつけられた。 「こンのバカ野郎。やみくもに手ェ出すヤツがいるか!」 光球は接触すると爆ぜるから、可能な限り遠くから倒すのが基本だという。 オレに知識がないのはわかってるから先走るなと、かなりキツく言われた。 「探索に必要なンは無謀でも無鉄砲でもねェ」 ヴァルグは、およそヴァルグのイメージからかけ離れたことを言っていた。 「にしても光球か。だとしたらここにはノードがある可能性が高い。当たりかもしれねェな」 ノード? 聞きなれない言葉だった。 「ノードを知らんか。魔力のたまり場のことだ。遺跡調査の目的は、ノードの存在を確認すること。あの光球はノードがあるところに発生すると言われているからな」 ●06 初めての宝箱 遺跡内部の空間を進む。 左右にあるアーチの奥はほとんど崩れていたが、ひとつ、奥に光が届かないところがあった。 ランタンを照らしてみると、そこは崩れずに残っている部屋だった。 片隅に、蓋の閉じた大きな箱が置かれている。 中心には金具と、大きな鍵穴がついている。 なにか大事なものが保管されていたんだろうか。 部屋に入る。 箱に手を出そうとして、ヴァルグに止められた。 「まあ待て。ここは俺がやろう」 ヴァルグによれば、侵入者対策になんらかの罠がしかけられているのは珍しくないという。 オレはそういう知識はまったくないから、しかけを外すことなんてできない。 まずは見て覚えろ、と言われた。 ヴァルグは箱を注意深く観察する。剣で強めにつついたりしている。 「ちょっとそこ、どいてろ」 ヴァルグはオレを箱の正面から移動させる。 すると、鍵穴を金具ごと、がつんと豪快に叩き壊した。 その瞬間、鍵穴から太い針が飛び出し、さっきまでオレが立っていたところを通過していった。 「やっぱりな」 ヴァルグが予想通りといった様子で大きくうなずいた。 「うかつに鍵穴を覗こうものなら、今の針にやられるやつだ」 ワナを警戒して詳しく調べようとして、逆にやられてしまうこともあるという。 「あとな、箱をむやみにぶっ壊すと爆発するようなヤツもあるからな」 え。今ヴァルグぶっ壊してたよね。 どうやって見分けてるの? 「なんとかくわかンだろ?」 わかんないよ! 箱を開ける。中身は空だった。 あ、違う。底に金貨を発見した。それも、一枚だけ。 一枚だけ? 「チッ。ハズレか。ま、そういうこともあらァ」 ヴァルグはそんな感じで気にした様子もない。 「え? おかしくない? ワナしかけてるのに金貨一枚って」 「宝があると見せかけて、よくばりをワナにハメようとしてんだ。おかしくねェだろ」 「だったら中身カラッポでいいだろ? なんで金貨一枚なんて入れとくんだよ」 「あー……」 ヴァルグが返答に窮した。 でも、そうだろ? 金貨一枚って、普通に生活してればまあまあいろいろ買える金額だし。 「ワナを突破したヤツへのご褒美とかか? 治療費かもしれん」 ヴァルグがまぬけなことを言い出したので、オレは思わず笑ってしまった。 「何がおかしい! ンなことよりワナの見破り方や外し方を覚えとけよ!!」 ヴァルグの声が大きくなった。照れ隠しかな。 でも、ワナの発見は勘だし、ワナごと叩き壊してるんだから、まったく参考にならないよ。 爆発と針のワナの区別だってわかんないし。 オレが覚えたのは、「宝箱にはワナがある」ってだけだった。 ●07 初めての隠し通路 やがて通路は少し大きな部屋で行き止まった。 中央に巨大な石碑が建てられている。 石碑には、なにやら碑文が刻まれている。 これ、なんて書いてあるんだろう? 村育ちのオレは、文字に接する機会なんてほとんどなかった。 でも、この文字は、この文字だけは、はっきりと読むことができる。 「神に……祈りを捧げる……場所」 「ほう、読めるのか」 ヴァルグが感心した風に声を上げた。 「古い文法に今じゃ使われていない単語。俺にも手こずるものを」 村にこれに似たものがあった。 そこに書かれていたものと同じ。だから読めるんだ。 なんでだろ。村がこの遺跡と関係あるのかな? 「祈りを捧げる、か。やってみるか? 無駄かもしれんが」 ヴァルグがそんなことを言った。 呪いを解いてくださいって神さまにお祈りするってことか。 「祈り方なんてわかんないよ」 「ンなもんテキトーでいいだろ」 オレは、石碑に向かって祈りを捧げてみた。 しかし、なにも起きなかった。 ヴァルグは提案しておきながら、オレが祈りを捧げているのに興味を示さず、部屋の隅々まで調査をしている。 「なにやってるの?」 「目的のモノが見つかってねェ。まだこの先があるはずなんだ」 ヴァルグは、この先にも遺跡が続いていると見込んでいた。 オレも一緒に探す。けれど、なにも見つからなかった。 「奥に行く道は、これまでに崩れてた場所のどっかだったんじゃ?」 そんなことを言いながらヴァルグを見ると、彼は床の一点を注意深く見つめていた。 「そこか」 顎をくいっとやって示す。 注意深く見ると、そこの床だけ、やけにきれいだ。 ヴァルグが床を指でなぞりながら、隠された扉の形を暴いていく。 「お。あったぞ」 そして取っ手を見つけると、引き上げた。 暗く湿った入口と下り階段が見え、同時にひんやりとした空気が流れてきた。 じゃあ、まだ探索は続くんだ。 ここまではぜんぜんいいとこ見せられなかった。次こそは、ちゃんとできるってとこを見せてやる。 オレがそう決意する一方で、ヴァルグは眉間にシワを寄せていた。 「ここだけホコリがなかった……あんまりいい事態じゃないかもしれねェな」 そんなことをつぶやきながら、階段を下りていく。 「ギャウ」 火吹き獣が一声鳴くと、その後についていく。 「早く来て前を照らせ。見えないだろうが」 「あ、うん」 オレも慌てて後を追った。 次回、遺跡の最深部に目的のものはあるのか? [プレイログ] 【入口】 ランタンの火を起こす場面はオリジナル展開です。 【31 光球】 【光球 レベル3】死ぬまで戦う ・出現数1d6-1(最低1体)→1体出現 ・このクリーチャーは衝撃を受けるとスパークして魔力をまき散らしてきます。倒した時点で【幸運ロール:目標値3】をし、失敗したら生命点に1点のダメージを負います。 【1ラウンド】 ・ハルトの攻撃が命中。幸運ロールもサイコロの出目5で成功しました。ヴァルグの警告によってギリギリかわしたという演出にしました。 【21 トラップの仕掛けられた宝箱】 ・師匠キャラが【器用ロール:目標値4】でワナの解除を試みます。 ・ヴァルグはサイコロの出目5で成功。しかし宝物斑点の出目が奮わず、得られたものは金貨1枚だけでした。 【13 屹立する石碑】 ・部屋の真ん中に巨大な石碑が建てられています。碑文を読めるか、弟子が【判定ロール:目標値6】を行います。 ・ハルトはサイコロの出目5に技量点を加え成功。 ・成功したので、最終イベント内の判定ロールにて、「プラス1」の効果が得られます。 ・作劇の都合上、次の「中間イベント」と同じ場所の出来事にしました。 【中間イベント:隠し扉】 ・行き止まりの部屋で隠し扉を探します。弟子が【判定ロール:目標値5】で判定し、失敗したら師匠が見つけるという流れです。 ・ハルトのサイコロの出目は1でファンブル。完全に失敗です。そのため、ヴァルグが隠し扉を発見しました。 ■ステイタス 【ハルト レベル6 技量点:1 生命点:5 副能力値:2 従者点:8】 弟子スキル:【心優しき勇者の素質】 ・自分以外のキャラクターが【防御ロール】に失敗した際、その生命点へのダメージを身代わりとして自分に受ける。発動は任意。 【ヴァルグ レベル16 技量点:2 生命点:9 筋力点:4 従者点:8】 【従者:火吹き獣(技量点:1)】炎耐性。特定のクリーチャーに2点ダメージ。0ラウンド攻撃に引き続き1ラウンド攻撃が可能。 ■登場人物 ヴァルグ 冒険者。依頼を受けて遺跡調査に来たところ、偶然瀕死のハルトを発見した。 ハルト 大ヤギの魔獣の黒角にやられ、崖下に転落したところをヴァルグに助けられた。左腕に厄介な呪いを受けている。 タイガ ハルトの弟。大ヤギの魔獣の出現の恐怖で動けなくなった。 ■作品情報 作品名:ローグライクハーフd33シナリオ『あなたに弟子がやってきた』 著者:東洋夏 イラスト:骨盤 編集:緋色朱音 発行者:東洋夏 ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編 https://booth.pm/ja/items/4671946 冊子版 ローグライクハーフ個人製作シナリオ集『主人公は一日にして成らず』 https://booth.pm/ja/items/8063646 ※本作品が収録されています。 ネット閲覧可 ローグライクハーフd33シナリオ『あなたに弟子がやってきた』 https://talto.cc/projects/FoEKXdyD2KdpaLHU1_siE 本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。 https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。