━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『これはゲームブックなのですか!?』vol.139 かなでひびき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 近所に24時間体制の本屋ができたんだけど、夜間は店サイド無人。 つまり全自動で機械がやってくるはるんですって。 ということは、ちょっとはサイバーでパンクな風景が見られるのかしら? どんどん近代化機械化が進む世の中、アナログなネタをお一つ! 『これはゲームブックなのですか!?』と謳っているのに、ちっとも「ゲームブック」の話をしない!ってんでお嘆きのアナタ! というか、かなで自身お嘆きなので、今回はゲームブックのお話をしてみようと思うの。 しかも、ど直球な原点。 『ドラゴンの洞窟』(J・H・ブレナン著 大久保寛訳)よ! それ相応にセピア色な本書は、まるで羊皮紙のような貫禄を持つわ! どれどれ、見てみると……。 発行は昭和六十年! まさに、ゲームブックブームが、産声を上げるその黎明期のお宝じゃあーりませんか!? 表紙帯にデカデカと踊る「ロール・プレインゲームの王様」プレイングの(グ)が抜けているとこに、時代を感じますぅ! 「読みだしたら止まらない本格の味!」 さらに「見てはいけないマップ付!」豪華仕様! 迷わずゲットして、読んでみましたら…… 話は、大魔術師のマーリンが、読者であるあなたに「電話」しているところから始まる。 で、マーリンは「いま現場にいる周りの人からは、ついにイッちゃったか!?」と思われている。 というのは、彼は電話機ではなく、法螺貝に向けて話しかけているから! マーリン自身の弁明によると「この時代は電話機が発明されてなかったから」 どうです!? この冒頭! このユーモアのセンスに、一発で引きずられました! 彼自身の弁によると「この本自体が魔法であり、あなたはこっちの時代へ飛んでこられる」とのことなんだけど。 この冒頭の文が、センスいいユーモアで彩られているので、まさに魔法にかかったように、この世界へ飛び込めたわ! で、この本でのあなた自身の役割。 そして、ここへ至るまでの経緯が話される。 八月はドラゴンの繁殖の季節。で、そこで暴れまわるドラゴンに、皆は悩まされているけど、今年はサイアク! 「地獄から生まれた」ともあだ名される最強最悪のドラゴン。「真鍮のドラゴン」からこの地を守るために、いえ、このままだと、奴に対して決定的な対処を立てられなかったおかげで賃金カットされそうなマーリンのために、あなたは旅立つ……。 で、戦闘システムは基本のキ、「サイコロを二つ用意して、それを転がして出た数をもとに、生命力や攻撃力、防御力を決める」というものなんだけど、かなりシンプルにまとめられている。 今時のゲームブックだと「あなたの生命値は……」と、ここだけなんか取り扱い説明書みたいなテイストでしらけるんだけど、この本はそういうことがないわ。 始終、物語と同じテイストで、マーリン先生がユーモアたっぷりに懇切丁寧教えてくれる。 この気の使いように、ものすごくかなで共感いたしました! 本書の最後にも、冒険記録用紙とともに戦闘のやり方まとめが載っている。 さらに、「開けるな!」と言っているページにも、大雑把にエンディングまでの道しるべ=パラグラフが載っている。この親切丁寧さ! それもそうでしょ。 当時は「ゲームブック」そのものが「海のものとも山のものともつかない」。さらには「本のすごろく」とまで評する方もおられた時代。 途中で投げ出さないために、例えば直接マップからバラグラフへ飛ぶ仕掛けがしてあったり、暗号があったり、本当に親切丁寧にできているよ! この辺、「RPGという概念が浅い日本人に、どうやったらその楽しさが伝わるか?」試行錯誤して出来た『ドラゴンクエスト』を彷彿させますぅ! そのかわり、罠が満載! この手のゲームの定番「その場所をよく調べて」みたら何もないのはいいほう。即死トラップが待っているってことも多く思える。 森であったウサギさえ牙を向いて襲ってくる! さらには「眠りで休息を取る」ための「夢時間」というパラグラフがあるのに、そこで体力を削られまくるってどういう仕様(涙) だけど、この辺は「初見殺し」ランダムなポイントが少ないので、一回かかったら二回目は回避できる。 何回もトライする意欲を促そうとしているんでしょうね。 まさに「死んで覚えろ」的な厳しさがコンティニューなしで最後まで突っ走った初期のファミコンゲーム感が出ていて、かなでキュンキュン! で、長さもちょうど良く、例えば休憩時間、電車などの移動時間を使ってこつこつとやっていけば、誰にでもエンディングを迎えられるはず。 あなたに親しげに話しかけるような、センス溢れたユーモアのある文に惹かれていると、最後まで読み通せるはず! ジョークやギャグは、はやりものの一過性であることも少なくないと思うけど、この文に流れるギャグは「今読んでも面白い!」、時をこえた色あせない名文! 意地悪なトラップやパラグラフジャンプもない。 本当に、この「読書体験」は「黄金」! 悪く言うと「泥臭い」 だけど、本当に読者のそばに作者、あるいはゲームマスターがいる感覚におちいらせてくれるこの文体は、もっともゲームブックが輝いていた時代だからこそだと思うの! ゲームブック好きな方にも、面白い本を探しているあなたにも、まさに教科書な一冊! 見逃せば後悔することウケアイ! ∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴ 『ドラゴンの洞窟』 著:J・H・ブレナン 訳:大久保寛 出版社:二見書房 1985/8/20 文庫 690円(絶版) 新訳版 『ドラゴンの洞窟』 著:ハービー・ブレナン 翻訳:日向禅 翻訳監修:フーゴ・ハル 出版社:創土社 2006/4/1 単行本(ソフトカバー) 1,320円(絶版) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ■今日の新聞に対するお便りはコチラ! ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m ↓ https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report 【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。 https://ftnews-archive.blogspot.com/ 【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。 https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84 ■FT新聞をお友達にご紹介ください! https://ftbooks.xyz/ftshinbun ---------------------------------------------------------------- メールマガジン【FT新聞】 編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ 発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房) ホームページ: https://ftbooks.xyz/ メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください) ---------------------------------------------------------------- メルマガ解除はこちら https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2026ft0409news@blogger.com ※飛び先でワンクリックで解除されます。