SPAM注意

(編集・水波)最近SPAM投稿が増えておりますが、見つけ次第手動で削除いたしますので、決してクリックなどされないよう、ご注意下さい。

2025年10月26日日曜日

Ψ『海底の記憶』 日曜ゲームブック FT新聞 No.4659

おはようございます。FT新聞編集長の水波流です。
皆さん、森梟夫(もりきょうふ)先生を覚えておいででしょうか。
2023年6月18日のFT新聞で、私と合作で『魔法王国の再興』というゲームブックを執筆された、非実在作家です。
当時はChatGPTの出始めで、AI作家として実験的にファンタジー作品を書いてもらいました。
文章は軽々と執筆してくれるのですが、パラグラフ分岐や整合性は結局編集者である私がほとんど手作業で行う事となり、結構しんどい合作になったのを覚えています。

それから2年半……。
世間にはAIツールが沢山増えました。
X(旧Twitter)にGrok2というAIが搭載されたときに、私の好きな大正クトゥルフを森先生に書いてもらったのですが、パラグラフ分岐はお任せでほぼ問題なくなったものの、まだまだ大正時代の雰囲気ある文章は苦手な様子。
それでは、と、考えました。
既に米国ではパブリックドメインになっているラヴクラフト作品であれば、森先生の電子頭脳にも蓄積された知識があるのではないでしょうか。

さぁ森先生、2作目を書いて下さい!
言っておきますが、今回、私は文章の手直しもパラグラフ分岐の修正もしませんからね。
前回長かったから、今度は短編で行きましょう。30パラグラフでまとめて下さいな。
ほら、今すぐ!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『海底の記憶』

 著:森梟夫
 監修:水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

1
1926年、マサチューセッツ州アーカムの港町は、鉛色の雲と潮の匂いに包まれていた。霧が港を覆い、灯台の光も霞んで揺らめく。小舟を波止場に係留し、あなたは岸に足を踏み入れる。潮の匂いと古びた木材の匂いが入り混じり、港の倉庫やギルマンハウスの明かりが霧の中にぼんやり浮かぶ。夜の帳が町を包み、どこかで海底の存在がこちらを見つめている気配がする。胸の奥で、不安と期待が奇妙に交じり合う。

ギルマンハウスに向かう → 2
港の倉庫を探索 → 3
小舟の整備を確認 → 4

2
古びた酒場の扉を押すと、煙と酒の匂いが混じった薄暗い空間が広がる。カウンターには老人が一人、目を細めてあなたを見つめている。その目は深海の闇そのもので、瞳孔の奥に渦巻く光景が、常人の理性を軋ませる。彼は低くかすれた声で語りかける。「深き海には、我らの理解を超えた都市がある…」その響きは耳ではなく、脳の奥底に直接流れ込むようだった。

老人に話を聞く → 5
酒場の他の客に情報を求める → 6
話を遮って別の場所を探索 → 3

3
港の倉庫に足を踏み入れると、古びた木箱や青白く光る小箱が散乱している。微かに震える巻物や水晶が、深海都市ルルイエの幻影を指先に浮かび上がらせる。倉庫の奥は不自然な暗がりに沈み、遠くから水滴が石を打つ音が響く。その音に混じって、人間のものではない呼吸音が微かに聞こえた気がした。

小箱を調べる → 7
巻物を解読 → 8
倉庫の奥へ進む → 14

4
小舟の整備を確認していると、霧の中に海面がかすかに揺れる影を見つける。青白い光が波間に浮かび、未知の存在がこちらを見つめている。胸に戦慄が走る。冷たい風が頬を撫で、古代から続く呪詛の囁きが波に乗って聞こえた。

小舟で港外へ → 9
港周囲を観察 → 2
波に足を取られる → 14

5
老人は低く語る。「神殿跡の周囲には、深海の力を映す古代文字が刻まれている。好奇心が過ぎれば…」声が途切れ、背後の闇がざわめく。そのざわめきは、遠い海底で無数の触手が動く音にも似ていた。

神殿跡の外縁へ → 10
港に戻り倉庫探索 → 3
老人の話を詳しく聞く → 6

6
他の客は酒と煙に沈み、表情を変えずに座る。だが一角で微かに光る紙片が目に入り、古代文字の断片かもしれない。その紙片は見るほどに形を変え、意味のわからぬ象形が生き物のように蠢く。

紙片を手に取る → 8
無視して神殿跡へ → 10
酒場で他の客の動きを観察 → 2

7
小箱を開くと、内部から塩の結晶とともに奇妙な紋章が刻まれた金属片が現れる。その表面には、海底の暗黒にしか存在しない生物の姿が微細に彫られていた。指で触れると、冷たさの奥から耳鳴りが広がり、海の底へ引きずられる幻覚に襲われる。

金属片を持ち帰る → 11
放置して巻物を調べる → 8
倉庫の奥へ進む → 14

8
巻物を開くと、インクは海藻の緑色を帯び、描かれた図形は規則正しいはずの幾何を裏切る歪みを孕んでいた。読むほどに、文字がこちらの心を覗き返してくる感覚が強まる。やがてあなたは、自分が誰であったかの境界を見失いそうになる。

文字の解読を続ける → 12
危険を感じて閉じる → 3
巻物を持って港に戻る → 2

9
小舟で港外へ漕ぎ出すと、海霧の帳が世界を閉ざす。水面は鏡のように静まり返り、ただあなたの櫂が波紋を刻む音だけが響く。やがて海中に、都市の輪郭のような黒い影が揺れ、低く不協和な振動が船体を通じて骨にまで伝わってくる。あなたは深海からの呼び声に包まれる。

影に近づく → 18
港へ引き返す → 2
水中を覗き込む → 14

10
神殿跡は岩と珊瑚に覆われ、半ば海に沈んでいた。崩れた石柱には螺旋や眼を象った模様が刻まれ、視線を逸らしてもなお脳裏に焼き付く。潮騒の奥からは、聞き取れぬ祈りの旋律が流れ出ていた。

神殿の内部へ → 19
外縁を探索 → 20
港へ戻る → 2

11
金属片を持ち帰ると、夜ごとに夢が変容する。夢の中であなたは黒い海を漂い、月明かりのない空の下、塔のような構造物が浮かぶ都市を目にする。その塔の窓から覗く無数の眼が、あなたを値踏みしていた。

夢を記録する → 21
老人に相談 → 5
金属片を封印する → 3

12
文字を解読すると、言葉ではなく音楽のような響きが脳裏に満ちる。その旋律はあなたの鼓動と同調し、周囲の影が形を持ちはじめる。現実が軋む音が耳を打ち、やがてあなたは倉庫の外ではなく、石造りの広間に立っていた。

広間を探索 → 22
その場に留まる → 14
元の世界に戻ろうとする → 3

13
港に近い路地裏に足を踏み入れると、建物の壁は海藻と貝殻に覆われ、足元には冷たい水が溜まっている。奥に進むにつれ、空気は重く粘り、遠くで水音とともに何かが這いずる気配が近づいてくる。

奥へ進む → 23
引き返す → 2
声をかけてみる → 14

14
あなたの視界が暗転し、冷たい水が全身を包み込む。光はなく、上下も失われ、ただ圧迫感だけが魂を締め付ける。目の前には無数の影が蠢き、触手の渦が闇に広がる。鼓動は海の奥深くに吸い込まれ、耳には遠くで囁く異形の声が届く。身体は宙に浮き、時間の感覚は消え、あなたは永遠に深海の夢に囚われてしまう。最後に見たのは、巨大な影が触手を伸ばし、混沌の中で渦巻く光景だった。あなたは何度も夢の中で目覚めようとするが、深淵の都市は決して手放さない。
BAD END

15
古書店の裏部屋で見つけた革装の本は、表紙に名も知らぬ言語で書かれていた。ページをめくるたび、海底の風景が立ち上がり、潮の匂いが現実にまで滲み出す。指先が震え、紙面に刻まれた言葉が呼吸を始める。

本を読み進める → 24
本を閉じる → 2
本を持ち出す → 25

16
港の外れで見つけた洞窟は、内壁に青白い燐光が走り、無数の紋様が脈動していた。奥から吹く風は海の匂いを運び、同時に古代の腐臭を漂わせる。

奥へ進む → 26
洞窟を後にする → 2
紋様を調べる → 27

17
教会跡の廃墟は、十字架が全て逆さまに吊られ、石壁には見知らぬ魚類の姿が彫られていた。床には潮だまりがあり、その中で何かが蠢く。鐘楼の上からは、不気味な揺りかご歌が聞こえた。

鐘楼へ登る → 28
潮だまりを覗く → 29
廃墟を離れる → 2

18
影に近づくと、水面がゆらめき、下方に沈む構造物が姿を現す。巨大な尖塔が海底から天を突き、その壁面は螺旋状の彫刻と、無数の眼を模した浮き彫りで覆われていた。潮流の囁きは、あなたの意識に直接語りかける言葉へと変わり、深海へ誘う。

尖塔の基部を調べる → 30
周囲を回る → 19
港へ戻る → 2

19
神殿内部は青緑色の闇に満たされ、壁からは海水がしとどに滴り落ちていた。天井には無数の魚類の化石が嵌め込まれ、光のない空間に淡い燐光が漂う。あなたは奇妙な安堵を覚えながら、その中心に鎮座する黒曜石の祭壇へと歩み寄る。

祭壇を調べる → 21
別の通路へ → 22
外へ戻る → 10

20
神殿の外縁を巡ると、海底の地形は複雑な迷路のように入り組み、古代の石橋や沈んだ塔が水中に横たわっていた。遠くには、月明かりを呑み込むような巨大な影が蠢くのが見える。あなたは呼吸を忘れそうになる。

影に向かう → 18
迷路を抜ける道を探す → 23
港へ戻る → 2

21
夢の記録を続けるうちに、紙面は現実を裏切り始める。墨で描いた塔が立体となり、机の上から滑り落ちて床へと影を伸ばす。あなたの周囲には、もう港町の空気はなく、どこか遠い水底の圧迫感だけが漂っていた。

塔の内部へ進む → 26
塔を破壊しようとする → 14
記録をやめる → 3

22
石造りの広間は半円形で、壁には異形の神々の浮き彫りが並んでいた。その視線はあなたの動きに合わせて微かに動き、冷たい観察の気配を放つ。床の中央には黒い水たまりがあり、その奥底から泡がゆっくりと浮かび上がっていた。

水たまりを覗く → 14
別の扉へ → 27
広間から退く → 12

23
迷路を進むうちに、水は腰の高さまで満ち、あなたの足取りを重くする。壁面には苔と貝殻が厚くこびりつき、かすかに低音の振動が響く。それは心臓の鼓動と重なり、やがてあなたの呼吸を支配しはじめた。

振動の源を探す → 28
水をかき分けて進む → 29
引き返す → 13

24
本を読み進めると、文字は海流のように流れ出し、あなたの視界は渦に呑まれる。気づけば、あなたは古代都市ルルイエの石畳を歩いていた。空は低く垂れ込め、緑がかった月が不気味に揺れている。

都市を探索 → 25
戻ろうとする → 15
月を見上げる → 14

25
あなたは石造りの街路を歩き、奇妙な香辛料と腐臭が混ざる空気を吸い込む。建物は全て異様に高く、窓からは水が滲み出している。遠くで鐘の音が響き、その度に建物の影が僅かに形を変えるのを目撃する。

鐘の音を追う → 26
路地裏に入る → 23
戻る → 24

26
塔の内部は無数の階段と回廊が錯綜し、壁には魚類や触手の形をした燭台が並んでいた。中央の吹き抜けからは海水が滝のように落ちており、その中に巨大な影がゆったりと身じろぎしている。

影に話しかける → 14
階段を登る → 28
階段を降りる → 29

27
扉を開けると、そこは海底の墓地だった。石棺の間には青白い光が漂い、聞いたことのない言語での呟きが四方から響く。あなたは自分の名前がその囁きに混じっていることに気づく。

石棺を開ける → 14
墓地を進む → 30
引き返す → 22

28
鐘楼は黒い金属でできており、叩かずとも鐘は震えていた。低い音が空気を震わせ、あなたの胸骨を内側から揺さぶる。鐘の向こうに開いた空は、深海の闇そのものであった。

闇へ飛び込む → 14
梯子を降りる → 23
鐘を鳴らす → 30

29
潮だまりを覗くと、水面が突然破れ、無数の手のようなものが伸びてくる。それはあなたを引きずり込もうとし、冷たさと共に古代の匂いをまとっていた。

振り払って逃げる → 13
抵抗する → 14
手を掴む → 30

30
夜明け前の港に、あなたは再び立っていた。深海都市ルルイエの幻影は消え、しかし胸の奥にはまだ深海の余韻が渦巻く。波止場の木板はしっとりと濡れ、潮の匂いが漂う中、月光が港の水面に淡く反射する。あなたが手にした金属片や巻物は、ただの物理的な存在ではなく、未知の世界の記憶を呼び覚ます鍵となった。風がささやき、霧の中に微かに異界の構造が見える気配がするが、それはもはや恐怖ではなく、畏敬と好奇心を伴うものとなっている。あなたはその存在が永遠に溶け込むのを感じた。心の中に芽生えた探究の火を抱き、あなたは港を後にする。遠くから聞こえる潮騒は、未来に待つ新たな冒険の前触れのようだった。
END


☆★====================================================★☆

本作は、私の想像の中で1920年代のニューイングランドを歩く気持ちになり、霧に包まれた港町や海岸線を思い描くことで生まれた幻想の産物です。アーカムの夜の静寂、海面に揺れる異形の都市の影、そして人智を超えた深海の存在——そうしたものを、読者の皆様にできる限り鮮明に体験していただきたく、筆を走らせました。
ゲームブックという形式を通じて、物語は一つの線ではなく、無数の分岐をもって展開します。読者の選択によって、深淵を覗き込む恐怖、あるいは都市の神秘に触れる驚きの瞬間が変わるのです。この非決定的な構造は、私が愛するクトゥルフ神話の持つ「人知の限界」を象徴するものでもあります。心の奥底に潜む畏怖や憧憬を感じ取っていただければ幸いです。
本作が読者の皆様の想像力を刺激し、夜の海霧の向こうにひそむルルイエの幻影を心に留める一助となれば、これ以上の喜びはありません。

森梟夫


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
■今日の新聞に対するお便りはコチラ!
ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m

https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

【FT新聞・バックナンバー保管庫】 *2週間前までの配信記事が閲覧可能です。
https://ftnews-archive.blogspot.com/

【FT新聞のKindle版バックナンバー】 *kindle読み放題また有料購入が可能です。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B00OYN7Z84

■FT新聞をお友達にご紹介ください!
https://ftbooks.xyz/ftshinbun

----------------------------------------------------------------
メールマガジン【FT新聞】
編集: 水波流、葉山海月、中山将平、明日槇悠、天狗ろむ、くろやなぎ
発行責任者: 杉本=ヨハネ (FT書房)
ホームページ: https://ftbooks.xyz/
メールアドレス: sugimotojohn■■hotmail.com(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------------------------

メルマガ解除はこちら
https://ftbooks.xyz/acmailer/reg.cgi?reg=del&email=ryu00minami.2022ft0309news@blogger.com
※飛び先でワンクリックで解除されます。